2024年の北極圏地域の情勢に関する報道

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2024.10.02
 14:34
Reuters 通信

(Yahoo)

中国海警局船、初めて北極海へ ロシアとのパトロールで <2411-100220>
 中国国営TVが2日、中国海警局艦が1日にロシア当局との共同哨戒のため初めて北極海に入ったと報じた。
 北極海入りは中国の建国75周年記念日に合わせたもので、9月21日以降、両国が北部太平洋で行っている共同哨戒の一環という。
 北極海航路は、地球温暖化によって氷塊が縮小し、船舶が航行しやすい無氷期間が長くなるにつれて、太平洋と大西洋を結ぶ代替貿易ルートとしてますます利用されるようになっている。
 北極海を通る場合、航行距離は大幅に短縮されるものの、航路は難易度が高く、ロシア北岸を通過する船舶を助けるために砕氷船の支援を必要とすることも多い。
 西側諸国の制裁下にあるロシアは、より多くの石油とガスを中国に届けようと北極海航路の開発に中露共同で取り組んでおり、一方の中国は東南アジアのマラッカ海峡への依存を減らすために代替航路を求めている。
【関連記事:2410-093004 (時事 2024.09.30)】
2024.09.30
 08:40
時事通信

(Yahoo)

日本政府、北極で「法の支配」目指す=中ロ念頭、欧米と連携強化―第2部「蒼い北極」(1)
〔66°33′N=北極が教えるみらい〕
<2410-093004>
 政府が、ロシアや中国が進出を強める北極圏について、「法の支配」に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化を図る方針で、海洋国家・日本の強みを生かし、欧米など北極圏諸国と連携を深め、資源探査や航路開拓をにらんだ北極外交に力を入れる。
 上川外相は時事通信の取材で北極海について「法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序の維持・発展の確保を重視する」と表明し、軍事連携を強める中露の動向を注視し、「国連海洋法条約と整合的でない形で排他的な航路の規制を設けたり、資源の独占的利用をしたりすることは認められない」と牽制した。
 北極圏は地球温暖化で海氷が減少し、新航路開拓や資源開発を巡る各国の競争が激しさを増し、北極圏に最大の領土を有するロシアは、北極海航路の貨物輸送量拡大や資源開発を進め、軍事施設整備など軍事活動を一段と強化する一方、中国は巨大経済圏構想「一帯一路」の一環として「氷上のシルクロード」構想を掲げ、インフラ投資を活発化させる。 中露は米アラスカ州沖での合同哨戒実施など軍事面の連携も強化している。
 米国防総省は7月に発表した北極圏に関する戦略文書で、中露の連携強化が「北極圏の安定と脅威」の構図を変えると警戒して、同盟国などと連携して安定維持を図る方針を示した。
 こうした状況を踏まえ、日本は北極圏諸国を含む関係国との協力強化に取り組んでいる。
 上川外相は1月に訪れたフィンランドで、日本と北欧の協力強化を盛り込んだ外交方針「北欧外交構想」を公表し「北極と海洋」を柱に掲げ、海洋秩序の維持・強化を図る考えを示した。
 この構想では日本初の砕氷機能を持つ北極域研究船みらいⅡによる国際共同研究や、北極圏8ヵ国で構成する「北極評議会」を通じた貢献の継続など、持続可能な北極の利用に向けた連携を深める方針を打ち出した。
第2部「蒼い北極」(2)(時事 2024.10.01)】
2024.09.20
 11:07
聯合ニュース

(Yahoo)

ロシア外相、北極圏で「国益守る」 NATO 演習拡大に対抗姿勢 <2410-092008>
 ロシアの各通信社が20日、ラブロフ露外相が、NATOが北極圏でが軍事演習を拡大していることにロシアとして対抗する決意だとし、政治や軍事的観点で北極圏の国益を守ると表明したと報じた。
 ラブロフ外相は取材で、「北極圏で起こり得る危機に関してNATOがいかに演習を強化しているかをわれわれは認識している」とした上で、ロシアが「軍事、政治、軍事技術の観点で国益を守る用意が完全に整っている」と語った。 これ以外の発言内容は報じていない。
2024.09.19
 04:00
Military Times Army deploys to Alaska island amid rise in Russian military activity <2410-091905>
 最近、ロシア軍の航空機や艦船が米国領に接近する中、130名の将兵と移動式ミサイル発射機をアラスカ西部のアリューシャン列島の荒涼とした島に展開した。
 ロシアと中国が合同軍事演習を実施した先週、ロシア軍用機8機と潜水艦2隻を含む海軍艦4隻がアラスカに接近した。 国防総省広報官は18日、いずれの機も米国領空を侵犯しておらず、警戒する理由はないと述べた。
 国防総省広報官のライダー少将は記者会見で「ロシアと中国が付近を飛行しているのを見たのは初めてではなく、それは明らかに我々が綿密に監視していることであり、我々が対応する準備ができていることでもある」と、述べた。
 「戦力投射作戦」の一環として、陸軍は9月12日、アンカレッジの南西約1,200哩にあるシェミヤ島に兵士を派遣した。 部隊たちは、HIMARS 2基を搬入した。
 サリバン上院議員は、ロシアと中国が9月10日に太平洋と北極海でOcean-24演習を開始した際、米軍はアラスカ西部地域に駆逐艦と沿岸警備隊の艦艇も配備したと述べた。
2024.09.16 Stars & Stripes 130 soldiers deploy to Alaska’s Aleutian Islands in response to Russian, Chinese probes of Arctic region <2410-091613>
 米国防当局者によると、陸軍3個部隊の一部が、北極圏への最近のロシアと中国の空と海の調査に対応して、アラスカ沖のシェミヤ島に配置されている。
第11空挺師団と第1および第3
MDTFの部隊が、12日にアリューシャン列島の一部であるシェミヤ島に上陸した。
 陸軍はアラスカ諸島のアンカレッジの西1,200哩にある幅2.7哩の島に、配置された兵員数は130名という。 アンカレッジ近郊のエルメンドルフ・リチャードソン統合基地に司令部を置く第11空挺師団師団長のヒルベルト少将は、この動きは、空軍による追加行動とともに、北極圏での最近のロシアと中国の軍事活動に対する力の誇示であると述べた。
 「6月のロシアと中国の合同爆撃機哨戒を含め、アラスカ周辺や地域全体で敵対演習の数が増える中、シェミヤ島への作戦は、インド太平洋地域や世界中の出来事に対応する師団の能力を実証し、数時間以内に即応可能な致死力を持つ部隊であることを示している」とヒルベルト大将は13日に発表した声明で述べた。
2024.09.13
 07:32
時事通信

(Yahoo)

ロシア、北極評議会への復帰要望 中国と将来像相いれず 米専門家・第1部「二つの北極」(4)〔66°33′N 北極が教えるみらい〕 <2410-091308>
 米シンクタンクWilson Centerの国際研究員ブレグは、ロシアと中国が描く北極の将来像は全く相いれないものだと話している。
 ロシアにとって北極は国家安全保障に関わる地域だが、中国は領有権のない公共領域にしたいため、ロシアは管理された経済発展中国は完全に自由な経済活動を望んでいる。 両国は短期的には良い関係にあるが、将来も同じ道を歩むとは思えない。
 中国が北極にアクセスするには、米国とロシアの間にある狭いベーリング海峡を通る必要があるが、ロシアはベーリング海峡を閉鎖することで、簡単に中国を閉め出すことができる。 ロシアは中国にとって、北極の「門番」なのだ。 このため、中国は慎重にならざるを得ず、要求し過ぎれば墓穴を掘ることになる。
 ロシアも中国抜きでは北極の資源開発をできないが、中国が北極で重要な役割を担うことは困る。 両国は非常に複雑な駆け引きをしている。
2024.09.13
 07:31
時事通信

(Yahoo)

ロシア、北極評議会「脱退も」 国際枠組みに揺さぶり 対中関係でジレンマ・第1部「二つの北極」(4)〔66°33′N 北極が教えるみらい〕 <2410-091307>
 北極を巡るロシアの国際協力が岐路に立っている。 プーチン政権は欧州とアジアを「最短ルート」で結ぶ北極海航路開拓を主導し、豊富な海底資源が眠る北極圏を経済、安全保障上の戦略地域と位置付けてきたが、ウクライナ侵攻を背景に西側諸国は対露協力を凍結した。 ロシアは米国など8ヵ国で構成する北極評議会からの「脱退」も示唆し、揺さぶりをかける。
 ロシア政府高官は侵攻3年目に差し掛かった2月に自国メディアに「北極評議会の活動がロシアの利益に合致しない場合、脱退も含めてあらゆる選択肢を検討しなければならない」と語った。
 2021~2023年に北極評議会の議長国だったロシアが2022年に侵攻を始めたことで、他の加盟7ヵ国は会合ボイコットを宣言し、同年6月にロシア抜きで一部の活動を再開し、2024年2月にはロシアを含む形で専門家レベルの作業部会のオンライン会合を再開することで全加盟国が一致した。
 だが、ロシアとの政府レベルの協力再開時期は見通せない。 同高官は「北極評議会は最低速度で動いている」と強い不満をにじませ、ロシアは2月に同評議会への年次分担金の支払い停止を表明した。
 米露間に唯一残る核軍縮枠組みの新戦略兵器削減条約(新START)履行停止に、包括的核実験禁止条約(CTBT)批准撤回と、西側諸国と対立するプーチン政権は、2023年だけでもこれらの国際枠組みから離脱した。
2024.07.23
 18:31
産経新聞

(Yahoo)

米、北極圏で中露の脅威対抗 偵察能力や同盟国との連携強化 戦略文書 <2408-072314>
 米国防総省が22日に発表した北極圏を巡る安全保障政策の特別文書「北極戦略」で、中国が「北極圏で影響力と活動の拡大を図っている」と指摘し、米国防衛や北極圏の安定に向けて同盟国との連携を推進する方針を打ち出した。 文書は、安全保障環境の変化として「北極圏の国家ではない中国が、より大きな影響力を追求している」と指摘し、同国を批判。北極圏の資源活用を目指していることにも強い警戒感を示した。
 さらに「中露協力」との項目を設け「北極圏での合同演習を含む中露軍事協力は増加の一途をたどっている」と明記し、両国の海軍艦艇によるアラスカ沖での共同作戦の実施などを説明し、中国軍の活動拡大を牽制した。
 また従来の脅威であるロシアに関しては、北極海に面するコラ半島が北方艦隊や原子力潜水艦、核戦力の重要拠点になっているとし「米国本土や同盟国を危険にさらす可能性がある」と述べた。
 ヒックス国防次官は22日の記者会見で、北極圏について「米国本土の防衛に極めて重要だ」と述べ、安全保障環境の変化に対応していく必要性を強調した。
2024.07.15 Janes US, Canada, and Finland to collaborate on icebreaker production <2408-071517>
 米大統領府が7月11日、米、加、芬3ヵ国が、砕氷艦の建造と関連能力について協力するための三国間協定である砕氷艦協力努力 (ICE) 協定を締結する意向であると発表した。
 米大統領府は声明で、「この協力は、各国の造船業と産業能力を強化し、極地砕氷船やその他の北極圏および極地能力の建造に焦点を当てた情報交換と相互の労働力開発を通じて、両国間のより緊密な安全保障と経済関係を構築することを目的としています」と述べている。
 米国は、大型砕氷艦「米国沿岸警備隊警備艦のWAGB-10 Polar Starと中型砕氷艦USCGC Healyの2隻の砕氷艦に依存しており、現在、新たにPolar Security Cutterを建造しているが、その取り組みは遅れている。 カナダはまた、独自の新しい砕氷艦を建造している。
2024.07.02
 13:58
AFP=時事

(Yahoo)

スバルバル諸島最後の私有地、外国勢力への売却を阻止 ノルウェー <2408-070214>
 ノルウェー政府が1日、中国などの外国勢力による買収を防ぐため、北極圏にあるスバルバル諸島(Svalbard Islands)の最後の私有地の売却計画を阻止したと発表した。
Svalbard Islands の位置 (Google Map)】
 スバルバル諸島は、ノルウェー本土と北極の中間に位置し、面積はベルギーの2倍。 ロシアと西側諸国との関係が冷え込む中、地政学的にも経済的にもホットスポットとなっていた。
【関連記事:2207-063003 (Reuters 2022.06.30)】
 同諸島は、1920年に締結されたスバルバル条約により、外国企業の参入を認める異例の法的枠組みに基づき統治されている。 ノルウェー領だと認められているが、ロシアや中国を含む締約国の国民にも、鉱物資源を開発する権利を認められている。
 同諸島南西部の僻地にある私有地Sore Fagerfjordは、山々や平原、氷河から成る60㎢の土地で、€300Mで売りに出されていたが、主権の守りたいノルウェー政府は、この土地が外国資本の手に落ちるのを快く思わず、1日に売却に際しては国家安全保障法に基づき、国の承認を要すると発表した。
 所有者の代理人を務める弁護士は以前AFPの取材に対して、北極圏とスバルバル諸島に長い間、心からの関心を示してきた中国の潜在顧客が具体的な行動を示していると説明していた。
2024.05.13 National Defense JUST IN: Canada prioritizing Over-the-Horizon Radar in NORAD modernization <2406-051322>
 カナダが4月、2017年の前回更新以降の「重大な世界的変化」に対応して、北極圏へのアクセスがますます容易になるなど、防衛政策の改訂を発表した。 その結果、同国は、この地域のドメイン認識を向上させるための主要な
NORAD近代化の取り組みの一環としてOTH-Rの開発を続けている。
 カナダのブレア国防相は5月13日にワシントンを訪問した際、記者団に対し「われわれは本当にレベルアップする必要がある。 地平線を越えれば、北米全域のドメイン認識の視点が得られるだろう」と述べた。
 OTH-Rは、レーダーの地平線を越えた長距離 (通常は数百~数千㌔) の目標を検出できる。
 2023年に中国の気球がNORADの領空に侵入したことを受け、米国とカナダの国防当局は技術と手順のギャップを調査することになった。
 ブレア国務長官は、カナダがNORADの近代化に$40Bの投入を発表し、OTH-Rの開発と配備を行うと発表した。