2003年の台湾情勢に関する報道

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出   典
標     題
要         旨
2003.12.10 Jane's Defence Weekly Taiwan expands space-based surveillance  台湾が1月17日に ROCSAT-2 衛星を Vandenberg 基地から打ち上げる。
 ROCSAT-2 は750kgで、高度891kmの低周回軌道に打ち上げられ、1日に地球を14周する 。 ROCSAT-2 の目的は土地利用、漁業資源、災害被害評価、環境保全などのデータを収集する科学衛星とされているが、 解像度は2mであり軍事目的にもしよう可能である。
 ROCSAT-1 は1999年1月に打ち上げられており、現在2005〜2006年打ち上げを目指す ROCSAT-3 の開発が進められている。
2003.12.03 Jane's Defence Weekly Taiwan faces surveillance capability gaps  台湾の国防委員会が、同国の情報取得能力は中国海軍の動向を知るには十分であるが、地上軍の情報取得能力が不十分であるという内 部報告書を作成していた。
 今月中か来年にも打ち上げられる予定の2mの解像度を持つ偵察衛星 ROCSAT 2 は未 だにロールアウトしていない。 多額の予算をつぎ込んだ SIGINT 設備はアースカバチャーの影響で能力が制限される。 ECM の実施に 必要な十分な EOB 情報取得ができない。 当初2基装備する予定であった Raytheon社製又は Lockheed Martin社製の早期警戒レーダの購 入が1基に留まる、などである。
2003.12.03 Jane's Defence Weekly Taiwan receives AIM-120C missiles  台湾が10月に AIM-120C AMRAAM の最初のバッチを受領した。 これは2000年9月に承認された 200発の売却契約によるもので、中国が R-77 (AA-12) を受領するまで留保されていた。
 これとは別に米海軍は Raytheon社に対し、台湾に FMS で売却する182発の AIM-9M-2 を$16.7Mで発注すると 発表した。
2003.12 International Defense Review Taiwan enhances C4ISR  Lockheed Martin社が台湾の C4ISR 構築契約を FMS で受注した。 2004年6月までの当初契約分は$27.5Mであるが、全てのオプション が追加されると契約額は$2.15Bにのぼる。
2003.11.26 Jane's Defence Weekly Taiwanese missile test failed  8月末に台湾の CSIST が SSM の発射試験を実施したが、技術的な故障で失敗した。 この SSM は 天弓 SAM を改造したもので、ブースタを取り付け900kmの射程を有する。
2003.11 Jane's Missiles & Rockets Taiwan inaugurates new missile boat  台湾が、170t新型ステルス高速ミサイル艇の1号艇である Kuang Hua-6 を就役させた。 同型は今後更に29隻建造され、47tの 旧型艇50隻と交代する。
 新型艇は Hsiung Feng 2 対艦ミサイルを4発(旧型艇は2発)搭 載し、30ktの速度と800nmの航続距離を持つ。
 9月に行われた Hankuang 19 演習で Kuang Hua-6 は2発の Hsiung Feng 2 を発射した。 Hsiung Feng 2 は Mach 0.85 で150kmを飛行した。
2003.10.29 Yahoo 時事通信記事

「台湾が中距離ミサイル ・・・・」

 台湾が上海までとどく中距離ミサイルの発射試験を行ったが失敗した模様である。
 このミサイル(註:「天馬」のことか)の開発には、米国が強く反対してきた。
2003.10.06 Defense News Taiwan to build military-wide C4ISR network  台湾政府はこのほど、陸海空軍の C4ISR を統合化したネットワーク "Po Sheng" を構築す ることを決め、Lockheed Martin社と$27.5Mで契約した。 計画全体では総額$2.1Bの契約となる模様。
 Lockheed Martin社は C4ISR 構成システムと Link 16 を3軍に適用し、数年以内にネットワークを完成させる 。
 軍のネットワーク化は1990年後半から DoD が強く求めており、今年初めに両国間で合意が得られていた。
2003.10.01 Jane's Defence Weekly Taiwan set to launch huge C4ISR project  台湾が、陸海空と指揮所を Link 16 で結び、指揮統制、情報、偵察、監視を一元化する 大規模な C4ISR 網構築計画 'Po Sheng (Winning the Game)' 計画を開始した。
 当初分の$27.5Mの契約は Lockheed Martin社が受注したが、計画全体は$2.1Bにのぼるものと見積もられている。
2003.09.17 Jane's Defence Weekly Taiwan exercise hit by mishaps  台湾が9月4日に、過去最大の実射演習を実施した。 演習では2発の Hsiung Feng U 対艦ミサイルが、新型の Kwang Hua-6 ステルスミサイル艇から発射された。
 しかしながらこの演習では AGH-114 Hellfire, MIM-72 Chaparrel, SM-1MR が目標を外した。 結局演習は国籍不明のスパイ船と、 中国の Tu-154 ELINT/EW機の出現を理由に以後のミサイル発射を取り止めた。
2003.09.10 Jane's Defence Weekly Taiwan receives upgrade to signals intelligence site  台湾が、台北北方 Yangmingshan (註:陽明山)山中の Pingtung Lee にある SIGINT 施設の更新を行った。
 この工事を担当したのは米国の STS (Summit Telecom Systems) 社で、同社はこれまでに、台湾、韓国、日本 にある米国の SIGINT 施設を手がけている。
2003.08.13 Jane's Defence Weekly Taiwan unveils supersonic missile  台湾の CSIST が開発中の Hsiung Feng V (HF-3) 超 音速対艦ミサイルの一部の情報が公表された。
 それによると機体は固体ロケットブースタ付きのラムジェット推進で、その形状は1999年に公表された風洞試験のモデル(右図上)と そっくりである。
 HF-3 は誘導装置を替えることにより、対地ミサイル、ARM、としても使用可能であり、同ミサイルを使った超 音速標的機の開発も行われている。
2003.08.06 Jane's Defence Weekly US initiates plan to activate four Kidds for Taiwan  VSE社は米海軍から、台湾に売却する4隻の Kidd級駆逐艦の再就役工事を$8.1Mで受注した。
 Kidd級駆逐艦の売却は当初、台湾が希望する Aegis艦の代替であったが、今では Aegis艦購入までの繋ぎと見 られている。
 いずれにしても満載排水量9,900tの同艦は台湾海軍最大の艦船になる。
2003.08.01 時事通信

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台湾防衛に兵器売却の用意=中国のミサイル増強に警告−米  マクレラン米大統領報道官は31日の会見で、国防総省が前日公表した今年度の「中国の軍事力」報告に関連して、台 湾対岸での中国の短距離ミサイル増強に強い懸念を表明、1979年の台湾関係法に基づいて、台湾への防衛用兵器売却の 用意があると言明した。
2003.08 Jane's Missiles & Rockets Thunder 2000 tested with modified launcher  台湾の CSIST が、RT-2000(雷電-2000: 右図)の発射機に発見された問題点を解決したと発表した。 問題は発射機 の材質にあり、軽量化を図ったため耐熱性に問題があった。
 RT-2000 は Oshkosh社製 HEMTT社に発射機を載せたシステムで、MLRS の1/3の価格であるという。
 RT-2000 は以下の3種類の弾を発射する。
 Mk15 117mm弾、射程15km
 Mk30 180mm弾、射程30km
 Mk45 230mm弾、射程45km
 陸軍は60基の装備を予定しており、水際防御の火力として使用する。
2003.07.31 ロイター

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米国防総省、中国の台湾攻撃リスクの高まりを指摘  国防総省は30日、議会に中国の軍事力に関する年次報告を提出し、その中で、軍事予算を拡大し弾道ミサイルの配備 を強化している中国が、米国に介入のすきを与えることなく台湾を支配下におくための戦いを台湾海峡で行うこ とを視野に置いた戦略をとっている、と指摘した。
2003.07.30 Jane's Defence Weekly Taiwan looks at short take-off and vertical landing F-35 option  台湾が STOVL型の F-35 JSF を購入する可能性が取り沙汰さ れている。 台湾はかつて AV-8B Harrir の購入を検討したことがあったが、中古機しか入手できないことから中止した経緯がある。
 台湾は Su-30MKK の導入や、J-10、J-X/J-13A の開発な どによる中国空軍の増強を警戒しており、STOVL F-35 を次期戦闘機にすることにより、中国からの攻撃に対する抗堪性が向上することに 期待している。
 F-35 JSF の購入にはシンガポール、イスラエルも関心を示しているが、輸出ができるようになるのは2013年以降 になる。
2003.07.23 Jane's Defence Weekly Taiwan set to receive US missiles  台湾への AIM-120C AMRAAM 200発の引き渡しが、2ヶ月以 内に開始される。
 米国は2000年9月に AMRAAM と292基の LAU-129 発射機を$150Mで売却することを承認していたが、中国が AMRAAM と同等の性能を有する R-77 (AA-12) AAM を配備するまで引き渡しを凍結していた。
 しかしながら2002年6月に中国が Su-30 から発射されたとの報道を受け、国務省が AMRAAM を 引き渡すことにした。
2003.07.14 Defense News Pentagon suggests Taiwan shop for used European sub  米政府が台湾の潜水艦購入を援助する決定を下して2年を経ているが、このほど同国に対し中古の潜水艦をスペインか イタリアから導入する提案を行っている。
 この提案は、8隻のディーゼル/電池発電潜水艦を新たに建造し2012年以降導入するまでの中継ぎとして戦力の間隙を埋めるもので、台 湾政府に検討を求めている。
 米国内ではこの種潜水艦は現在建造されていないが、台湾は2006年の導入開始を強く求めている。
2003.07 Jane's Missiles & Rockets Taiwan afraid of US deal with China  台湾は、中国が台湾に向けた TBM の増強を凍結する代償に、米国が台湾への武器売却を停止するとの取引を行おうと していることに危機感を募らせている。
 中国は現在台湾に向け100発 Dong Feng-11 (M-11) と、 300発 Dong Feng-15 (M-9) を配置している。 これに対して台 湾は PAC-3 と EWR を米国から導入する計画でいる。
 もし米中間の取引が行われると、台湾は Tien Kung SAM 派生型の SRBM や、Hsiung Feng 対艦ミサイル改良 型の HF-2E 巡航ミサイルの開発を継続する計画である。
2003.07 Jane's Missiles & Rockets Taiwan test-fires mobile land-based Hsiung Feng missile  台湾がの対艦ミサイル Hsing Feng-2 (HF-2) の発射試験が5月に行われた。  試験では2発の陸上発射型 HF-2 が使われ、沖合の2目標に直撃した。
 陸上発射型 HF-2 の最初の発射試験は2002年に行われているが、今回は新型の発射機が初めて使われた。 台湾は海 岸線の6ヶ所に HF-2 の基地を配置している。
 HF-2 は固体ロケットブースタで発進、ターボジェットで推進し、150kmを Mach0.85 で飛行する。
 台湾にはこの他に HF-3 及び HF-2E 対地攻撃巡航ミサイルがあるがいずれも開発中である。 ただし HF-3 は2004年に生産が開始されると見られている。
2003.06 Jane's Missiles & Rockets Taiwan debates anti-ship missile purchase  台湾は F-16 に装備する対艦ミサイルを、自国開発の Hsiung Feng (Brave Wind: 註 "勇風") とするか、米国製の AGM-84A Hapoon とするかで、激しい論争を再燃させているが、立法院国防委員会は最終的に Hapoon 購入の予算を承認した。
 軍当局者によれば、Hsiung Feng を F-16 に装備するためには、多額の費用をかけて F-16 を改修する必要がある。
2003.05.17 共同通信

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最新鋭ペトリオットを導入 台湾が米と交渉  台湾が中国の弾道ミサイル配備に対抗するため、PAC-3 導入に向けた米国との交渉を、今年 に入ってから進めていることを米国防総省当局者が明らかにした。
 ただ、国防総省当局者は、台湾との協議は PAC-3 に限定された話であり、日米が協議している多層間にわたるミサイ ル防衛とは、情報の共有など質が違うとしている。
2003.04 Jane's Missiles & Rockets Taiwan plans to deploy missile defences  台湾が新たなミサイル防衛システムを10年以内に構築しようとしている。
 これとは別に台湾は、他のアジア諸国と協同で独自のシステムを開発しようとしている。 台湾国防相は最近の北鮮 による巡航ミサイル発射試験を指摘してミサイル防衛の必要性を強調している。
 その一環として Patriot 6個 FU の追加購入が計画されている。 既に購入した3個 FU の Patriot は台湾北部に配置されているのに対して、追加分は中南部の軍事施設の掩護にあたる。
2003.03.26 Jane's Defence Weekly Taiwan considers boosting missile defences
 台湾が BMD 能力向上のため EWR の装備を検討している。
 候補となっているのは Raytheon社の AN/FPS-115 Pave Paws (右図右)と、Lockheed Martin社 の Advanced Digital Surveillance Radar(右図左)を元にしたディジタルレーダである。
 Lockheed Martin社案は UHF ディジタルレーダで、Pave Paws に比べて小型であるのが特色である。
 台湾は現在3個中隊の PAC-2 Plus を装備していて、更なる ATBM の増強を考えているが、Tien Kung 3 (Sky Bow 3 : 天弓 3) の開発をしているため PAC-3 の導入はないと見られる。
 台湾の CSIST は、Tien Kung 3 と合わせて2004〜2005年完成を目指して探知距離1,000kmの Chang Shan (Long Mountain : 長山) レーダを開発している。
2003.02.26 時事通信

インターネット

米国防関係者らが来月訪台し、ミサイル防衛めぐり協議  26日付の台湾紙・聯合報は、米国の国防総省幹部や太平洋軍司令部関係者、ミサイル防衛の専門家 が3月初めに台湾を訪問し、ミサイル防衛をめぐり台湾側と協議すると報じた。
 米台間では、ローレス国防副次官補が今月中旬にテキサス州で行われた米台防衛会合で、台湾は早急にミサイル防衛 体制を構築する必要があると指摘している。
2003.02.22 台北国際放送

インターネット

米国、台湾にPAC3購入を提案  米国が台湾に対し PAC3 の購入を促した模様と、22日付の大手日刊紙が米国防省の幹部職員 の談話を引用して報じた。
 中共人民解放軍が台湾の対岸に配備したミサイルは約400基で、台湾を照準とするミサイルは 年間75基のペースで増加、2005年には650基から700基に達すると言う。
 パトリオット迎撃ミサイルシステムを9セット購入するのに必要な経費は台湾元1100億元に上る他、米国が同 システムを台湾に供与するかどうか、明らかでない。
2003.02.15 時事通信

インターネット

台湾のミサイル防衛必要、米高官  ローレス米国防副次官補は13日、台湾を射程に入れた中国の弾道ミサイルなど軍事力増強の脅威を指摘し、 ミサイル防衛の能力獲得が台湾の緊急課題だと述べ、早急にミサイル防衛体制を構築する必要 があるとの考えを明らかにした。
2003.01.29 Jane's Defence Weekly Taiwan receives Trailblazer intercept systems  台湾陸軍は HF/VHF/UHF帯の EW/SIGINT 装置である AN/TSQ-138 Trailblaser(右図)を、1990年代後半に米国から導 入し保有している。 保有数は明らかではない。
 米軍は AN/TSQ-138 を既に AN/TSQ-140 Propnet に換装している。
2003.01.15 Jane's Defence Weekly Taiwan pays off destroyers  台湾は2004〜2005年に米国から Kidd級駆逐艦を購入するのに伴い、第2次大戦から使われている7隻の Gearing級駆逐 艦を除籍する。 台湾は既に4隻のGearing級駆逐艦と7隻の Allen M Sumner級駆逐艦を除籍している。
 Kidd級駆逐艦は Mk 26 2連装発射機を2機ずつ装備しているが、これらは SM-2 Block VA を搭載するため VLS に換 装されると見られる。