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9・ 関連軍事技術

9・1 陸戦兵器

9・1・1 ロボット、UGV

9・1・1・1 2足、4足歩行ロボット

Vision 60 犬型ロボット(米 国)

 シンガポールのST Engineerin社が2月に開かれたシンガポール航空展で犬に似た形状で人間に随行するVision 60ロボットの試験を行っていると発表した。  Vision 60はフィラデルフィアのGhost Robotics社製で、レーザーレーダー (Lidar) を搭載して周辺の障害物を検知する。 (2204-032818) 9・1・1・2 U G V

RCV-L 計画(米 国)

 米陸軍が10月11日にAUSAの年次コンファレンスAUSA 2022で、軽戦闘UGV RCV-L計画を説明した。  陸軍は北米QintiQ社とOshkosh社がExpenditionary Modular Automomous Vehicleを元にした初期型RCV-L 4両を購入してFt. Hoodの第7騎兵連隊第1大隊で試験を行うと共に、初期型RCV-Lを元にした発展型の要求素案を2023年1月中旬に発簡する計画である。 (2301-102002)

9・1・2 APS (Active Protection System)

9・1・2・1 APS センサ

HybridEye(イスラエル)

 イスラエルのDDR&D (Mafat) がBIRD社と、陸上部隊や施設をATGMを含む空投武器から防護するAPS HybridEyeを試作し試験を実施した。
 HybridEyeは既存品と異なり、マルチビームのC-bandレーダで遠距離から近距離まで全方位全高低にわたる全球の探知を行い、目標諸元をアクティブ/パッシブの対処装置に送ることができる。 (2207-061411)

9・1・2・2 APS 迎撃弾

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・1・3 戦闘車両

9・1・3・1 米陸軍計画の次世代戦闘車 (NGCV)

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・1・3・2 米陸軍の軽戦車

 米陸軍の軽戦車計画MPFは順調に進んでおり、3Q/FY22、多分6月には契約が行われ、初号機の納入は4Q/FY25に行われると見られる。
 陸軍は当初生産を26両とし28両のオブション及び試作品8両の量産品仕様への改造を見込んでいる。 (2204-031204)

 米陸軍が6月28日、歩兵旅団戦闘団 (IBCT) が装備する軽戦車をGDLS社製に決め、26両とLRIP の70両を$1.14Bで発注すると発表した。
 またBAE Systems社との競争試作で納入した12両のうちの8両は改修して部隊装備するという。
 一次生産分は19ヶ月で納入され、MPFシステムとして42両を装備する最初の大隊は4Q/FY25に装備する。
 FRPは2025年に開始される。 (2207-062905)

9・1・3・3 米海兵隊の水陸両用戦闘車

 米海兵隊は2020年7月にサンクレメンテ島でAAVが沈没し9名が死亡した事故以来、2026年頃にACVが配備されるまでの間、非常事態以外でのAAVの洋上訓練を中止している。
 現在BAE Systems社で製造中のACVには人員輸送用のACV-P、指揮車用のACV-C、30mm砲搭載のACV-30、回収車型のACV-Rがある。 (2204-010505)
9・1・4 システム装具

9・1・4・1 個人用システム装具

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・1・4・2 システム照準具

NGSW-FC (Next Generation Squad Weapons-Fire control)(米陸軍)

 米陸軍が1月7日、XM157 NGSW-FCの量産にVortex Optics社を選定し契約したたと発表した。
 契約額は$2.7Bで、同社は今後10年間に25,000セットのNGSW-FCを納入する。
 NGSW-FCは近接戦闘部隊が装備するFC装置で、高倍率眼鏡、レチクル、レーザ測距器、弾道計算機、気温/気圧計、方位磁針、無線イントラネット、可視光/IR/レーザ照準具、ディジタル表示装置で構成され、現有のClose Combat Optic、Rifle Combat Optic、Machine Gun Opticに代わって装備される。 (2204-011903)

9・1・5 対地雷、対 IED

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・2 海戦兵器

9・2・1 航空母艦

9・2・1・1 米 国

CVN-78 Gerald R. Ford

 米海軍の新型空母であるCVN-78 Gerald R. Fordが2021年12月22日にIOCになっていた。
 建造は大幅な経費の増大と10年を超える計画遅延があったが今秋初めには配備される計画である。 (2205-040514)

12隻体制が目標

 米海軍作戦部長のギルディ大将が5月11日に議会上院軍事委員会の予算審議でFY23に要求している空母建造について、2039年まで11隻体制とするものの更に1隻を加えて12隻体制にしたいと述べた。
 30年建艦計画では2046~2048年には空母が10隻さらには9隻になる可能性も明らかにした。
 Ninitz級空母の初期型は4年間隔で建造されていたが後期では建造間隔が5年、6年、更にもっと長い間隔になっている。 (2208-052503)

Gerald Fordが初展開

 米海軍の新型空母Gerald Fordが10月4日に初の展開に向けてバージニア州のノーフォーク海軍基地を出航した。
 Gerald Fordの展開には、カナダ、フランス、ドイツなどが協力し、防空や対潜戦の演習や、陸海軍共同演習も実施する。
 米海軍によると、今回の展開には9,000人と船舶20隻、航空機60機が9ヵ国から参加する。
 従来の空母との主な違いは、航空機の離着艦のスピードが改善されたことだとされているが、今年6月に議会に提出された報告書では、このシステムに問題が生じていたことが分かっている。 (2211-100520)

 米海軍空母Gerald R Fordが10月4日13:00に初の公式展開のためNorfolkを出港した。
 第2艦隊司令官のドワイヤー中将は9月26日にGerald R Fordについて、当面他の空母のように戦闘部隊として管理されず(GFM: Global Force Management)、予備役艦(Retained Service)として扱われ、初めてGFMの仲間入りするのは2023年になると述べている。
 艦長のランジロッタ大佐は9月29日、Gerald R Fordは大西洋全域で活動すると述べている。 (2301-101202)

9・2・1・2 中 国

「4・1・7・4・1 航空母艦」で記述
9・2・1・3 インド

「5・5・1・3・6 艦 船」で記述
9・2・1・4 韓 国

「4・3・6・4・1 航空母艦」で記述
9・2・2 潜水艦

9・2・2・1 

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・2・3 水上艦

9・2・3・1 巡 洋 艦

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・2・3・2 駆 逐 艦

9・2・3・2・1 米 国

Arleigh Burke級 Flight ⅡAの近代化改修

 Flight Ⅲの建造と平行してDDG 51 Flight ⅡAのPinckneyの近代化改修も行われている。
 近代化ではAegisの改修とSPY-6レーダの搭載の他、SEWIPの搭載も行われる。 (2204-011907)

Arleigh Burke級 Flight Ⅲ

 米海軍のArleigh Burke級Flight Ⅲ駆逐艦の一番艦DDG 125 Jack H. Lucasを建造中のIngalls造船が、重要な結節である点火 (light-off) に達した。
 Light-Offにより搭載した戦闘システムの試験が開始されると共に、造船所は推進装置の試験を開始して洋上試験に備える。 (2202-011310)
【註】2023年予定のDDG 125 Jack H. Lucasは2019年11月に起工し、2021年6月に進水している。

 米海軍水上艦隊司令官兼太平洋艦隊司令官のキッチナー中将が1月11日の海軍水上戦協会シンポジウムで、2021年6月に進水したDDG 51 Flight Ⅲ駆逐艦の一番艦Jack H Lucasが2022年後半に命名されると述べた。
 DDG 51 Flight ⅢはAN/SPY-6(V)1 AMDRを装備し、電源装置や冷却装置が強化されている。 (2204-011907)

DDG(X)

 米海軍がArleigh Burke級駆逐艦の後継として開発しているDDG(X)の最新構想が1月12日に明らかになった。 ただ開発はまだ初期段階にあるという。
 開発の副責任者は水上海軍協会のシンポジウムで、SPY-6(V)1とAWS Baseline 10を装備したArleigh Burke Flight Ⅲは極めて高度な戦闘システムであるとした上で、DDG(X)は上部構造物の前方で32セルのMk 41 VLSか大型のミサイル発射機の後方には150kW高出力レーザ (HEL) を含む複数のHELを装備することになると述べた。
 更に、艦には艦尾に600kW級HEL 2基を搭載する余裕があるとも述べた。 (2202-011311)

 米海軍水上戦部長のシュリース少将が1月11日に海軍水上戦協会のシンポジウムで、米海軍はDDG 51 Flight Ⅲの建造と並行してDDGX LSC計画を進めると述べた。 (2204-011905)

 米海軍が2030年代から2060年代まで使用する次世代駆逐艦DDG(X)についてAeleigh Burke級駆逐艦の発展型を考えている。
 そのためAeleigh Burke級との共通性が重視されようとしている。 しかしながら高出力レーザ兵器HELIOSの搭載も考えられている。
 このためFY22には研究開発費として$121.8Mが計上されている。 (2203-022535)

9・2・3・2・2 中 国

「4・1・7・4・3 駆逐艦」で記述
9・2・3・3 フリゲート艦

9・2・3・3・1 米 国

LCS の役割変化

 米海軍が、出力組み合わせギアの不具合で新造Freedom級LCSの就役を停止していたが、2021年11月18日にLCS 21 Minneapolis-Saint Paulが不具合を修復して就役した。 (2203-120102)

 米海軍水上艦隊司令官兼太平洋艦隊司令官のキッチナー中将が1月11日に始まる海軍水上戦協会のシンポジウムに先駆けて7日に、海軍のLCSの役割は計画当初と大きく変わってきていることから、その運用や後方の構想を再構築する必要があると述べた。
 また、米海軍はLCSの役割について、対潜戦、対機雷戦、ISRに焦点を当て始めた述べた。 (2204-011906)

Freedom級単胴型 LCS の全艦除籍

 米海軍がFY23でLCSに搭載する対潜戦 (ASW) モジュールを除外することと、Freedom級LCS 9隻の除籍を挙げている。
 Freedom級LCS除籍の理由は推進装置の修理に費用がかかりすぎる点にある。
 海軍はこの他にFY23で、巡洋艦5隻、ドック型揚陸艦4隻、潜水艦2隻、給油艦2隻、外征輸送ドック2隻の15隻を除籍する。 (2207-040603)

 海軍作戦部長ギルデイ大将が5月11日の下院軍事委員会で、LCS9隻をFY23に除籍する主な理由として、対潜戦システムが技術的に機能しなかった点を挙げた。
 このうちIndianapolisBillingsWichitaの3隻は2019年に就役した新造艦で、これは当初の予定よりはるかに短い期間で退役計画が発表されたことを意味する。
 他にも退役させる予定のLCS 6隻は全て単胴船のFreedom級である。 (2206-051307)
【註】Oliver Hazard Perry級フリゲート艦の後継として計画された排水量約3,000tで速力45ktのLCSは、米海軍がLockheed Martin社が提案した単胴型とAustal USA社が提案した三胴型のいずれかを選定するはずが、2艦種を胴数ずつ建造することになった経緯がある。
 このうちFreedom級は10隻が就役し5隻が進水し1隻が建造中であるが、2008年11月に就役した初号艦のFreedomは2021年9月に退役しているため、残りの就役艦全てが廃艦になることになる。

FY23 艦船整備計画

 米海軍がFYDPより$199M低い$2.1BのFY23艦船整備計画を公表した。
 今まで3隻除籍することになっていたFreedom級LCSは6隻追加して9隻が除籍される。
 FY24に除籍される(註:Independence級 LCS)LCS 6 JaksonとLCS 8 MontgomeryはFY23にクルーを1クルーに削減する。 (2207-042704)
フリゲート艦 Constellation の建造開始

 1989年以来初となるフリゲート艦Constellationの建造が8月31日にFincantieri Marinette Marine社で開始された。 就役は2026年に計画されている。
 Constellation級は20隻が建造される計画で、32隻が就役しているLCSと共に小型水上艦52隻で、計画中の355隻体制の一翼を担うことになる。 (2210-090116)

9・2・3・4 コルベット艦等

イタリア海軍が7隻建造する外洋哨戒艦

 イタリア海軍が7隻建造する外洋哨戒艦 (PPA) の一番艦で3月18日に納入されたPaola Thaon di Revelが8月12日に初めての4ヶ月間の任務に就いた。
 Paola Thaon di Revelは満載時排水量5,830tで、Leonardo社製Kronos StarFire X-bandレーダを装備している。 (2211-082406)
【註】Paola Thaon di Revelは127mm主砲のほかに76mm対空砲を装備し、8セルのSYLVER A70 VLS 2基を装備し、CAMM-ER SAM 32発かScalp Naval CM 16発を装備できる。

9・2・4 洋上基地艦船

9・2・4・1 遠征洋上基地艦 (ESB)

 米西海岸に唯一残っているサンディエゴのGeneral Dynamics-NASSCO造船所で、海軍が$600Mで大型艦船3隻の建造を発注している。
 3隻はいずれも全長800ftで、Lewis級給油艦2隻が$500M、まだ命名されていない遠征洋上基地艦 (ESB) の初度費が$100Mである。
 この3隻の建造には合わせて$2Bかかると見られる。
 NASSCOでは6月25日にESB 4番艦John Canleyの命名式が行われ、Robert E. Simanekとなる5番艦が建造中である。 (2207-063015)
【註】全長240m、幅50m、排水量50,000tで、米海軍最大規模のヘリ甲板を備えているESBは、3番艦であるiguel Keithが2021年10月に沖縄に寄港している。

9・2・4・2 洋上備蓄艦 (APS)

 米インド太平洋陸軍の装備を洋上備蓄するAPS艦のUSNS Red Cloudが3月にフィリピンで、Operation Pathway演習の一環としてSalaknib 22演習及びBalikatan 22演習に参加し、スービック湾で第836輸送大隊が第25歩兵師団第3歩兵旅団戦闘団の装備を卸下した。 (2208-072202)
【註】USNS Red Cloudは全長950ft、幅106ft、喫水34ft、排水量62,644英㌧で、ガスタービンエンジン2基で推進し速力24kt、航続距離12,000nmの性能を持つ。
9・2・5 揚陸艦、輸送艦

9・2・5・1 揚 陸 艦

軽揚陸艦(米 国)

 米海兵隊はFY23に軽揚陸艦 (LAW) の建造を開始したいとしていたが、海軍との予算要求段階で2年先延ばしになった。
 LAWは海兵隊員75名を外洋から沿岸まで輸送し上陸させることもできるもので、4隻で規模を縮小した歩兵3個中隊を乗艦させることができる。
 海兵隊は3個海兵沿岸連隊を輸送できるだけのLAWを要求している。
 3月28日に公表されたFY23予算要求によると、海兵隊はFY25に1隻、FY26に1隻、FY27に2隻を予算化したいとしている。 (2204-032907)

9・2・6 USV / UUV

9・2・6・1 米国の USV / UUV

Ghost Fleet Overlord

 SCOのGhost Fleet Overlord USVのNomadとRangerは2021年にカリフォルニア沖で行われた作戦に参加した後も、2022年初期に海軍へ引き渡されるのを前に完全自動モードによる試験を行っている。 (2202-011208)  米海軍が人工知能 (AI) と学習機能 (ML) の活用を進めようとしている。
 SCOのGhost Fleet Ocerlord USVのNomadとRangerは2021年にカリフォルニア沖でほぼ完全自動モードでの演習を行ったが、今年も試験を継続実施する。 (2204-011904)

IME 2022 / CE 2022

 米海軍と60ヶ国海軍が、艦艇50隻、無人艦艇80隻、人員9,000名が参加したInternational Maritime Eercise 2022 (IME 2022) とCutlass Express 2022 (CE 2022) の合同演習を、1月31日に2月17日までの日程で中東で実施している。
 この演習には米海軍が第5、第6艦隊を参加させ、第5艦隊は新偏されたUSVを装備した小艦隊である第59戦隊を参加させ、ペルシャ湾、アラビア海、オマーン湾、紅海、北部インド洋を舞台に、東西南北の4個演習艦隊を展開させている。 更に第5演習艦隊であるTask Force XはAIを搭載したUSVで構成されている。 (2203-020208)

UMAA (Unmanned Maritime Autonomy Architecture)

 米海軍がUAV、USV、UUVを統合した水陸両用戦の検討を行うRAIL研究所を設立しUMAAの開発を行う。 (2204-030232)

第1 USV 師団を編成

 米海軍太平洋艦隊が5月13日、第1 USV師団をサンディエゴで編成した。
 師団はSea Hunter中型USVとSea Hawk大型USVを装備する。
 海軍は2021年に行ったUnmanned Integrated Battle Problem 21演習にSea HunteとSea Hawkを参加させたほか、最近では第5艦隊が1月にInternational Maritime Exercise 2022と2月にCutlass Exwecise 2022に、60ヵ国から9,000名の将兵と50隻の艦船及び80隻のUSVを集めた演習を行っている。  海軍はFY45までに89~149隻のUSVを装備すると予想している。 (2206-051703)

FY23 艦船整備計画

 米海軍がFYDPより$199M低い$2.1BのFY23艦船整備計画を公表した。 この中では大型無人潜水艦LDUUV計画は外されている。 (2207-042704)

RIMPAC 2022演習と USV

 8月4日まで行われるRIMPAC 2022演習には30~40隻の艦船と共に4隻のUSVが参加している。
 RIMPAC 2022に参加しているのは大型USVのNomadとRanger Overload及び、中型USVのSea HunterとSea Hawkで、結果は米海軍が2025年に開始する計画に中型USVが必要か否かの判断に使われる。 (2209-080203)

DARPAの中型 USV NOMARS計画

 米DARPAが中型USV (MUSV) を開発するNOMARS計画を、Phase 1で採用を決めたSerco社案を元にPhase 2に進めようとしている。
 Phase 1でSerco社は170t~270tの案を検討し、同社がDefiantと命名した210tの案を提案した。
 Phase 2では設計を確定して建造し、3月間の実検証を行う。 (2209-082213)

 米DARPAが8月22日、中型USV (MUSV) の試作検証計画NOMARSのPhase 2にSerco社チームを選定した。
 Gibbs & Coxチームは敗れた。
 Serco社のPhase 2提案は210tのDifiantで、Phase 1では170t~270tの各種を提案していた。
 Defiantの試験は2024年末に開始される。 (2211-090703)

ペルシャ湾一帯に100隻以上の USV/UUV を展開

 米中央軍司令官のクリラ陸軍大将が11月19日、バーレーンで開かれていた英シンクタンクの国際戦略研究所 (IISS) 主催の国際会議Manama対話で、米軍は2023年中にペルシャ湾一帯に100隻を超えるUSV/UUVを展開させることを明らかにした。
 クリラ大将は、2023年のこの時期までに100隻を超えるUSVまたはUUVの艦隊を展開するタスクフォースが昨年創設され、中東での活動準備を進めていると述べた。 (2212-112109)
RIPPAC 演習で UAV と USV を使用

 米海軍のキッチナー中将が8月18日行われた水上海軍協会 (SNA) 2022ウォーターフロントシンポジウムで、6月29日から8月4日にハワイ周辺で行われたRIPPAC演習でUAVとUSVを使用したと述べた。
 使用したUSVは今まで第3艦隊が運用の実績を持っている中型のSea HawksSea Hunterで、Sea Hawksは対潜装備、Sea Hunterは電子戦装備を搭載しているという。
 Sea Hunterは有人艦が装備しているソナーの死界を補う運用を行ったという。 (2212-083102)

LDUUV 計画の中止

 米議会上下院は海軍のLDUUV計画中止を支持しており、海軍に民生技術の活用を促している。
 海軍はFY23要求にLDUUVを計上していない。 (2301-122909)

9・2・6・2 その他諸国の USV / UUV

S201 9m超大型 UUV (XLUUV) (英 国)

 英国防省が5月18日、2Q/2022年にプリモス沖でMSubs社製の9m S201超大型UUV (XLUUV) によるSEA社製 Krait-Array細線牽引アレイソナーの牽引試験を実施したと発表した。 (2208-060108)

大型自動 UUV XL-AUV(オーストラリア)

 Anduril豪社が8月18日、オーストラリア海軍から大型自動UUV XL-AUV (Extra Large Autonomous Undersea Vehicle) 3隻を3年間で建造する契約をAUD100Mで受注したと発表した。
 Anduril豪社の社員は現在7名であるが、2023年には140名になるという。
 国内企業が受注したことで武器の国際取引の制限 (ITAR) を受けないという。 (2209-081906)

 シドニーの新興防衛企業Anduril社が12月12日に豪海軍に、予定より3ヶ月早くGhost Shark UUVを納入した。  同社によると試作機は深度6,000mの海底で10日間にわたり活動しており、それより大型のGhost Sharkは、更に能力が高い。 (2301-121202)

Poseidon 原子力推進魚雷(ロシア)

 ロシア海軍艦がここ数週間、原子力推進の新型魚雷の試験を準備していたのを米国は把握していることを、この件を直接知る米政府高官がCNNに明らかにした。
 米国は核兵器を爆発させるような実験が行われたとは考えていないが、原子力推進システムの誤作動で、放射能によるリスクをもたらす可能性がある。
 試験準備に参加したロシア艦の中には、Poseidon魚雷などUUVを発射できる特殊作戦用に改造されたSSN Belgordoが含まれていた。
 先週これらの艦が北極海の試験場を離れ、試験を行わずに基地に戻る様子が確認された。 技術的な問題に遭遇した可能性があると米国は考えている。
 米当局はロシアが再び魚雷の試験を試みる可能性があると述べたが、試験を行うエリアの海域は間もなく氷結し始め、試験可能な時間はそう残されていないと指摘した。
 Poseidon魚雷は通常弾頭と核弾頭の両方を搭載できる原子力推進UUVで、原子力推進システムにより航続距離はほぼ無制限である。 (2212-111103)

9・2・7 艦載装備

Aegis CSL

 2012年にRaytheon社が開発しLockheed Martin社が引き継いだスーツケース程の大きさのコンピュータAegis CSLはLCSやConstellation級フリゲート艦などの小型艦で採用されるほか、陸軍や海兵隊、また海軍のUSVでも採用されようとしている。
 陸軍では現在Typhonと名前を変えた射程1,800kmの中距離ミサイルMRCや遠征軍用の4セル型Mr 41 VLSで採用され、航空機搭載型は海兵隊がアラスカで行ったNorthern Edge 2021演習でAegis Airborneとして使用している。 (2202-012014)

9・3 空戦兵器

9・3・1 機上 FCS

9・3・1・1 米 国

AN/APG-83 SABR

 米空軍州兵が、装備しているF-16のAN/APG-83 SABRレーダへの換装を完了した。
 Northrop Grumman社製AN/APG-83はF-35が装備しているAN/APG-81 AESAレーダと95%が互換である。
 AN/APG-83はF-16用に設計され、ギリシャ、シンガポール、スロバキア、韓国が採用しているが、Northrop Grumman社によるとC-130への搭載も可能である。
 C-130は現在気象レーダしか装備していないが、AN/APG-83の装備で空対地能力を付与できるという。 (2208-062201)

PhantomStrike

 Raytheon社がFarnborough航空展で、PhantomStrike AESAレーダの輸出を2025年に開始する計画であると発表した。  PhantomStrikeレーダは小型軽量で、軽攻撃機のほか回転翼機やUAV、更に固定装置にも装着できる。  PhantomStrikeはGaN素子を使用しDBF及びビームの走査を行う。 小型と中型の2タイプがあり、小型は45kgとこの種AESAレーダの半分の重量で、価格も半分という。 中型は54kgである。 (2210-080305)

9・3・1・2 欧 州

ECRS Mk1( Radar 1)

 Leonardo社が1月14日、Eurofighter社製Typhoonに搭載するレーダECRS Mk1(別名 Radar 1)の開発をHensoldt社から€260M ($297M) で受注したと発表した。 ECRS Mk1の1号機は2025年に完成する。
 Hensoldt社はECRS Mk1の設計と計画全般の責任を持ち、Airbus社がTyphoonへの搭載を担当する。
 Leonardo社はイタリアと英国向けのECRS Mk2 (Radar 2) と、すデンクウェートとカタールが採用しているECRS Mk0 (Radar 0) の開発も担当している。 (2205-012607)

9・4 サイバ戦

9・4・1 サイバ戦の様相

9・4・1・1 米 国

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・4・1・2 中 国

9・4・1・2・1 中国が行ったサイバ攻撃

「4・1・5・2 サイバ戦」で記述
9・4・1・2・2 中国に対するサイバ攻撃

 中国国営の新華社によると、海外から中国へのサイバ攻撃が2月以降続いており、ロシアやウクライナ、ベラルーシを目標とするために中国国内のコンピュータが乗っ取られる事例が相次いでいる。
 こうした攻撃はアドレスの大半が米国発だったが、ドイツやオランダなども含まれていたという。 (2204-031112)
9・4・1・3 ロシア

9・4・1・3・1 ウクライナ戦争の一環

ベラルーシ情報機関ハッカー集団のサイバ攻撃

 ウクライナ国家安全保障国防会議副書記がロイタ通信に、1月13~14日にウクライナ政府へ向けられたサイバ攻撃について、ベラルーシの情報機関につながるハッカー集団が実行したと述べた。
 副書記によるとサイバー攻撃は、過去にリトアニアやラトビア、ポーランドも狙い、NATOへの批判を広めていたUNC1151として知られる集団が実行した。
 また、今回の攻撃で暗号化に使われたマルウエアは、ロシアの情報機関と関係が深い集団ATP29が使用しているものと酷似しているという。 (2202-011601)

大規模 DDoS 攻撃

 ウクライナの通信情報防護組織SSSCIPが3月19日、ウクライナが2月15日以降3,000件にのぼるDDoS攻撃を受けたと発表した。
 また100Gbps以上の強力なDDoS攻撃も1日に275件記録しているという。 殆どのネットワークを機能できなくするのには20~40Gbpsで十分であるという。
 3月11日にはウクライナの別の組織が口座情報やパスワードを窃取できるCobalt Strike Beaconを探知している。
 更に3月15日にはCaddyWiperやHermeticWiper、IsaacWiperと呼ばれるマルウェアを検出している。
 スロバキアのインターネットセキュリティ企業ESET社はCaddyWiperを検出している。 (2206-033009)

通信衛星網をハッキング

 ウクライナ侵攻当日にロシア軍が米Viasat社の通信衛星網をハッキングしていた可能性があることがわかった。
 ロシアの軍事諜報機関GRUがサイバ攻撃を主導し、ウクライナおよび欧州で展開する衛星通信サービスを妨害したとみられる。
 影響範囲はウクライナだけで数千件、その他ヨーロッパ地域を含めると数万件規模にのぼり、発電施設などの社会インフラや一般家庭など広い範囲で通信が断たれていて、現在もヨーロッパの一部では重要施設の稼働状況の監視に支障が出ている。
 この攻撃では、衛星通信の利用に必要な通信機器に対しワイパーと呼ばれるデータ消去ソフトが仕掛けられたもので、衛星本体は被害を免れたものの、企業や家庭などで衛星通信を利用するためのモデムが攻撃され、結果として数万ヶ所で衛星通信が利用できなくなっている。
 Viasat社は同社モデムに対して更新ファイルを配布し、復旧を進めている。
 ただし米ZDネット誌によると、一部モデムはソフトウェアでの復旧が行えず、物理的な交換が必要になっている。 Viasat社はリモートでの復旧作業と並行して、大量のモデムの配送手配を進めている。 (2205-041106)

ウクライナの高圧変電所へのサイバー攻撃

 ウクライナが4月12日、ロシア軍のハッカーとみられる集団が先週、ウクライナの高圧変電所を制御するコンピュータなどへのサイバー攻撃を試みたが、ウクライナが阻止したと発表した。
 現在調査中だが、サイバー攻撃による電力網などへの影響はないという。 (2205-041210)

ロシア政府所属のハッカー集団がウクライナに大規模サイバー攻撃

 Micro Soft社が4月27日、ロシア政府に所属するハッカー集団がウクライナに対し多数のサイバー攻撃を仕掛け、ロシア政府の軍事攻撃やオンライン上のプロパガンダを支援しているもようとする報告書を発表した。
 Micro Soft社によると、ロシアがウクライナ侵攻を開始する前日の2月23日から4月8日にかけ、ウクライナ国内でロシアによる破壊的なサイバー攻撃37件が確認された。
 こうしたサイバ攻撃はウクライナ侵攻の1年前から始まっており、ウクライナにおける軍事攻撃の下地を整えていた可能性が指摘される。 (2205-042806)

リトアニアへの DDoS 攻撃

 リトアニアのサイバー保安当局が6月27日、同国の国家機関および民間機関が同日にDDoS攻撃を受けたと発表した。
 声明で「運輸、エネルギー、金融セクターを中心に今後数日間は同様の、またはそれ以上の攻撃が続く可能性が非常に高い」とし、国家機関が使用する安全なネットワークも影響を受けたという。
 一方、ロシアのハッカー集団Kill Netは同日、リトアニアに対するDDoS攻撃の犯行声明を発表した。
 リトアニアがカリーニングラードへの貨物列車通過を拒否したことに対応したものとし、リトアニアが封鎖を解除するまで攻撃は続くとした。 (2207-062709)

ウクライナ侵攻にともなうサイバー攻撃の急増

 Microsoft社が公式ブログで、ロシアのウクライナ侵攻にともなうサイバー攻撃など、国家支援型サイバー攻撃の増加について報告している。
 同社の報告書Microsoft Digital Defeense Report 2022によると、ロシアによるウクライナのインフラを目標とした攻撃が大きな要因となり、この1年間で検知した国家支援型攻撃のうち重要インフラを標的としたものが全体の20%から40%に急増したという。
 ロシアはまた、NATO加盟国政府への妨害を目的としたIT企業へのサイバー攻撃も実施し、過去1年間のロシアのサイバー攻撃のうち90%がNATO加盟国を攻撃目標とし、そのうち48%がIT企業を対象としているという。
 また同社は、イランや北朝鮮、中国の国家支援型サイバー攻撃の実例を挙げているほか、国家支援型でないサイバー犯罪についても言及していて、サイバー犯罪については、ランサムウェアを利用した身代金要求は2倍以上に増加し、フィッシングメールにおいてはウクライナ侵攻に関するものが急激に増加しているという。 (2212-110707)

9・4・1・3・2 平時のサイバ戦

REvil の摘発

 InterFax通信などが、ロシア連邦保安局 (FSB) が1月14日に米企業などにランサムウエア攻撃をしかけて金銭を強要したとしてロシアのハッカー集団REvilのメンバーを拘束し起訴したと発表したと報じた。
 FSBは構成員14人を拘束し、4億2600万ルーブル(6億3900万円)などの現金やコンピューター機器、高級車20台を含む資産を押収したという。
 拘束されたハッカーの身元は明らかにされておらず、全員がロシア国籍なのかは判明していない。
 米政府はロシア政府が同国を拠点とするサイバー犯罪集団を十分に取り締まっていないとみて、ロシア側に監視強化を促していた。
 一方ロシア政府はサイバー攻撃への関与を一貫して否定していた。 (2202-011501)

9・4・1・4 北朝鮮

9・4・1・4・1 北朝鮮によるサイバ攻撃

「4・2・6 サイバー戦」で記述
9・4・1・4・2 北朝鮮に対するサイバ攻撃

1月26日: 

 ロイタ通信が保安専門家の話として、北朝鮮のインターネットが分散型サービス拒否 (DDos) 攻撃と推定されるサイバ攻撃を受け、1月26日午前に6時間にわたってダウンしたようだと報じた。
 北朝鮮のネットについて調査を行っている英国の専門家は、北朝鮮の大半のインターネットが一度にマヒしたことからDDoS攻撃の可能性を指摘している。
 数時間後に電子メール関連サーバーにはアクセスできるようになったが、高麗航空、北朝鮮外務省、北朝鮮政府の公式ポータル「ネナラ」などの北朝鮮の主要機関のウェブサイトへの接続障害は続いていたとも述べた。 (2202-012709)

9・4・1・5 その他

9・4・1・5・1 ウクライナ

IT Army of Ukraine

 デジタル世界の攻防が重要性を増したウクライナ侵攻で、ウクライナ側のIT戦略が際立っている。
 31歳の若さでウクライナ副首相とデジタル変革相を兼任するフョードロフ氏は、侵攻からわずか2日後にIT軍への参加を広く呼びかけた。
 省として公式に開設したIT Army of Ukraineに3月下旬までに世界からIT技術者からアマチュアまで、使命感に駆られた30万人が集まった。 このグループを通じ、ロシアにサイバ攻撃を仕掛けるための具体的な指示が出されている。
 ウクライナ国内からも、ITの専門家が多数参加している。 ウクライナはもともと世界のIT産業から業務を受託しており、優秀なエンジニアを多数擁する「東欧のシリコンバレー」とも呼ばれてきた。 (2204-032704)

 ウクライナのデジタル転換省のデュビンスキー次官が11月5日までにオンラインで共同通信の単独インタビューに応じ、偽情報の拡散を阻止するためIT軍がロシアの防衛産業や大統領府に近いメディアなど約8千に上る目標にサイバー攻撃したと明らかにした。
 ロシア政府系天然ガス企業ガスプロムやクレムリンへの攻撃は「成功した」と言う。
 ウクライナのIT軍は正規の軍ではなく身元を特定できない集団で、推定215,000名の規模と見られている。 (2212-110508)

9・4・2 サイバ戦技術

9・4・2・1 

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・4・3 サイバ戦体勢

9・4・3・1 米サイバ軍に CNMF

 米国防総省が12月19日、サイバー軍 (CYBERCOM) 隷下に少将を長とするCyber National Mission Force (CNMF) を公式に発足させた。
 2,000名以上で構成されるCNMFは隷下に6個Task Forceと39個のJpoint Cyber Teamを有する。 (2301-122011)
9・4・3・2 NATOのサイバ防衛協力センタ (CCDCOE)

韓国、カナダ、ルクセンブルクが正会員として加入

 韓国情報機関の国家情報院が5月9日、NATOのサイバ防衛協力センタ (CCDCOE) に韓国などが正会員として加入したことを受け、エストニアの首都タリンで5日午後に記念行事が開かれたと発表した。
 行事には韓国のほか、同じく正会員として加入したカナダ、ルクセンブルクの代表などが参加した。 (2206-050907)

9・4・4 サイバ戦装備

9・4・4・1 

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・5 砲熕兵器

9・5・1 従来型火砲

9・5・1・1 長射程砲

9・5・1・1・1 XM1299 ERCA

州兵大隊への装備

 米陸軍が、ユタ州とアーカンソー州の州兵で、それぞれの大隊が装備しているM109 Paladin SPHを2027年と2028年に開発中のERCAに換装することを明らかにした。 (2203-020707)

155mm弾体系の変更

 米陸軍では155mm砲が39口径から58口径に変わることで新たな155mm弾体系が開発されている。
 39口径では射程22.5kmのM795 HE弾、30kmのXM1128ベースブリード弾、40kmのXM1113 RAP弾であったが、58口径のERCA砲では射程70kmのXM1210 RAP弾(制式名称はXM1113ER)が使用される。
 砲弾の推進薬量はXM1128ベースブリード弾が3-lbであったのがXM1210 RAP弾では12-lbになる。 (2208-071111)
【註】XM1210 RAP弾の12-lbは推力を求めた推進薬であるのに対し、XM1128ベースブリード弾の3-lbは砲弾後方で発生する渦による抵抗を軽減するのが目的で推力に期待しておらず、両者を比較するのは適当ではない。

9・5・1・1・2 ERCA Ⅱ超長射程砲

 米陸軍がFY24に射程1,180哩 (1,900km) の次世代火砲であるERCA-Ⅱの発射試験をVandenberg SFBで実施する。
 この試験で陸軍は非榴弾77発を発射する計画である。 (2202-010613)

 ラファティ准将が1月11日、米陸軍が年内に長距離砲の試作品を完成させYuma試験場に搬入することを明らかにした。 しかしながらVandenberg SFBでの試射は2023年以降になるという。
 今までは、Vandenber SFBでの試射が2023年10月に短射程で開始されるとされてきた。 (2202-011210)

 米陸軍が2年間実施するERCA Ⅱの試射をVandenberg AFBで2023年10月に実施する計画で、海洋大気庁が1月6日に通報をだとた。
 ERCA Ⅱの試射は2023年10月~2025年10月まで行われ77発を発射する。 試射は非榴弾でVandenberg AFBからPoint Mugu試験場を超えて1,900kmで行う。
 試射はプリプログラムのA弾が4Q/2023年から、2Q/2024年からはA弾とB弾、1Q/2025年からはA弾と噴進するC弾で行われる。
 ERCAはスーパー装薬で射距離70kmを実現した58口径の155mm Paladin M109A7 SPHをXM1299試作ゼロと呼び2023年に18門で大隊を編成する。 (2204-011901)

長距離戦略砲が長距離砲に名称変更

 米陸軍が2年間実施するLRCの試射をVandenberg AFBで2023年10月から実施する計画で、海洋大気庁が1月6日に通報を出した。
 試験は2023年10月から2025年10月までの間の51日間に5種類でA、B、Cの3種類の弾で行われ、77発が発射される。
 陸軍当局者が1月18日、当初戦略長距離砲と呼ばれていた計画名称が単に長距離砲 (LRC) と改称したと述べた。
 LRCは安価に砲弾を1,609km (1,000哩) の射程を持ち、敵の固定施設、長距離レーダ、C&C拠点、堅固なサイロや掩体、通信ノードなどを破壊する。 (2205-020204)

 米陸軍が2021年10月に、射程1,000哩を目指している長距離戦略砲の名称から戦略の2文字を削除して、単に長距離砲に変更していた。 (2203-020706)

議会の予算削除で計画中止

 米陸軍が、中国を相手に開発していた射程1,000nmの戦略長距離砲SLRCの科学技術検証が、議会がFY22歳出法から予算を削除したことから中止した。 (2206-052401)

9・5・1・1・3 Ramjet 155 弾

 2019年7月に米陸軍からラムジェット推進155mm砲弾Ramjet 155の開発を受注したBoeing社とノルウェーのNanmo社が8月9日、今までに450発以上の発射試験に成功したと発表した。
 試験ではラムジェットエンジンへの点火し正常な燃焼と推進が確認されたという。
 同社によると次の段階は誘導飛翔で、誘導射撃試験は2023年と2024年に計画されている。 (2209-080906)
9・5・1・2 双輪自走中砲

米陸軍の双輪自走155mm砲

 米陸軍が装輪155mm榴弾砲の開発を次の段階に進めるため1月上旬にRfIを発簡した。
 RfIはトラック搭載型と装甲車搭載型の2本が別々に出された。
 2021年の時点では以下の各社が既存製品を元にした提案を行っている。 (2204-011902)

・BAE Systems:Archer

・Elbit Systems:
   Iron Sabre 8×8 Autonomous Treck Mounted Ordenance System

・Nexter:   CAESAR 6×6

・Yugoimport: NORA-B52

9・5・1・3 次世代戦車砲

130mm滑腔砲を装備した KF51 Panther

 6月13日~17日にパリで開かれたEurosatory 2022の初日に、Rheinmetall社が130mm滑腔砲を装備したKF51 Panther MBTを公開した。
 KF51は130mm滑腔砲と12.7mm機銃を装備するがオプションで7.62mm機銃やUVision社製Hero 20遊弋索敵弾も装備できる。
 同社によるとKF51は従来のMBTに比べて打撃力が50%強化されているという。
 砲塔には20発が搭載できる。 Leopard 2では砲塔内に15発と弾庫に27発搭載できる。 (2208-062206)

9・5・2 高速砲弾

9・5・2・1 

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・5・3 電 磁 砲

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・5・4 誘導砲弾

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・5・5 砲熕発射ミサイル

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・6 共通技術

9・6・1 測位、タイミング (PNT)

9・6・1・1 測位衛星

9・6・1・1・1 GPS (Global Positioning System)

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・6・1・1・2 Galileo

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・6・1・1・3 北斗 (Bei Dou)

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・6・1・1・4 Glonass (Global Navigation Satellite System)

 ロシアが日本時間2022年11月29日にSoyuz 2.1b SLVの打ち上げを実施した。 搭載されていた測位衛星GLONASS-Mは予定されていた軌道へ無事投入されたと報じた。
 GLONASSはロシアの衛星測位システムで、GLONASS-Mはその第2世代の衛星となる。
 今回打ち上げられたGLONASS-M No.61は第2世代最後の衛星として2015年に製造された。
 国営TASS通信の過去の報道によると、No.61を含む最後の6機は予備機として用意されたものという。
 ロシアは現在、第2世代のGLONASS-Mを、第3世代のGLONASS-Kシリーズや、第4世代のGLONASS-K2シリーズに置き換える計画を進めているが、その計画に遅れが生じている可能性が考えられる。 (2301-120108)
9・6・1・2 補完システム

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・6・2 ネットワーク

9・6・2・1 JADC2

JADC2 の技術的課題は interoperability

 JADC2最大の技術的課題はinteroperabilityである。
 現在JADC2のサブセットとして100件以上の計画が進められているが、これらにはinteroperabilityに欠けるものがある。 (2207-063016)

インド太平洋軍主催で JADC2 を検証する大規模演習

 米陸軍省で調達兵站技術を担当するブッシュ次官捕が7月11日に国防産業協会のシンポジウムで、JADC2を検証する大規模演習をインド太平洋軍主催で実施すると述べた。  米陸海空軍は、

陸 軍: Projrct Convergence

空 軍: ABMS

海 軍: Project Overmatch

と、JADC2に繋ぐそれぞれの計画を進めている。 (2208-071314)

国防総省は統合した開発機関

 米軍では陸海空軍がJADC2の採用に、陸軍はConvergence計画、海軍はOvermatch計画、空軍はABMシステムと、夫々独自の方向を示している。
 このため国防総省は統合した開発機関を発足させようとしている。 (2211-102701)

海軍が参加に難色

 米国防総省はFY23年度予算要求でJADC2に$2Bを計上しており、最近では計画統合室を開設するとしているが、海軍作戦本部情報副部長のトラスラー中将がAOC(米電子戦協会)の会合で、海軍はまだJADC2を完全には理解していないと述べた。 (2211-102708)

9・6・2・2 JADC2 連接システム

9・6・2・2・1 米陸軍のネットワーク化

ITN (Integrated Tactical Network) Capability Set

 米陸軍のネットワーク化は2年間隔で段階的に計画されている。 (2203-020910)

Capability Set '21:歩兵旅団が対象

Capability Set '23:Stryker旅団が対象、JADC2に準拠

Capability Set '25:機甲旅団が対象

 米陸軍戦術C3計画室 (PEO C3T) が2月8日、統合型戦術ネットワークITN Capability Set 2023 (CS23) の試験を完了し4月に部隊配備を開始することを明らかにした。
 ITNキットには2021年に歩兵旅団に装備したCS21、2023年にStryker旅団が装備するCS23、2025年に機甲旅団が装備するCS25がある。 (2206-022306)

 米陸軍のネットワーク化は、第1段階がCapabily Set '21、第2段階がCapabily Set '23、最終段階がCapabily Set '25としてすすめられており、JADC2がこれを支えることになる。 (2208-070115)

9・6・2・2・2 IBCS-AFATDS

F-35が捕捉したデータで野戦砲兵が射撃

 米陸軍が2021年にProject ConvergenceとしてIBCSを用いてF-35の捕捉したデータで野戦砲兵が射撃を行う試験を実施した。
 Yuma試験場で行われたこの試験ではF-35が捕捉、識別、追随した目標データをJADC2でデータ統合し、陸軍のAFATDSに送って射撃を実施した。 (2202-012015)

9・6・2・2・3 TITAN (Tactical Intelligence Targeting Access Node)

 米陸軍が6月末までにTITAN開発のPhase Ⅱを発注する。
 TITANはセンサとユーザを連接して観目線外の目標照準を行うもので、陸軍のJADC2活用で重要な要素になっている。
 設計を詰める12ヶ月間に及ぶPhaseⅠは2021年1月にRaytheon社とPalantir社にそれぞれ$8.5Mで発注され、14月間のPhase Ⅱでは試作を行い、2社の内1社が選定される。
 Phase Ⅲでは選定された1社が試作品の修正を行い、将来装備も考慮したPhase Ⅳに繋ぐ。 (2205-040101)

 米陸軍が2020年代末までに、遠方の敵を識別し交戦手段を決定するAIと機械学習を組み合わせた新たな地上システムSHOT構想を持っている。
 SHOTは陸軍の主要な近代化計画であるTITAN sensor-to-shoterシステムに兵士がアクセスするシステムである。 (2211-100701)

9・6・2・2・4 RIPL (Robust Information Provisioning Layer)

 Raytheon社の子会社であるRaytheon BBN社が今週、ニューヨークで行われた米空軍研究所 (AFRL) の実施した演習で、JADC2へアクセスするソフトRIPLを展示したと発表した。 (2212-111901)
9・6・2・3 戦闘クラウドシステム

JWCC (Joint Warfighting Cloud Capability)

 国防総省の悪名高きJDEIに代わる総額$9Bにのぼると見られる統合戦闘クラウド計画JWCCが遅れている。
 国防総省は2021年にAmazon、Google、Microsoft、Oracleと接触している。
 JWCCの前身であるJDEIは$10Bの計画と見られたが何年も遅延したあげく2021年に計画中止になった。
 JWCCは当初3年の計画で、1年間のオブションが付いた契約になっている。 (2204-033007)

 米国防総省が12月7日、2021年7月に計画中止になったJEDIを引き継ぐ戦闘クラウド計画であるJWCCを$9BでAmazon、Google、Microsoft、Oracleの4社に発注した。
 JEDIはトランプ政権とAmazon社の確執からMicrosoft社単独に$10Bで発注されていた。 (2301-120808)

 米国防総省はAmazon、Google、Microsoft、Oracleの4社に発注したJWCCについて、総額を$9Bとしているが各社に保証しているのはそれぞれ$100,000だけで、あとは相互の競争に期待している。
(2301-120903)

cArmy クラウド

 米陸軍最高情報責任者のRaj Ayer氏が6月、急拡大している陸軍のクラウド・コンピューティングを米本土以外に拡張しようとしており、まずはインド太平洋軍での採用を計画していると述べた。
 これは2021年10月に陸軍が公表したUnified Network構想に基づくもので、軍用と民生用のクラウドを合わせたシステムである。
 陸軍はごく最近にDISAが所管する軍用クラウドから陸軍に特化したアプリ50件を抽出し、cArmyクラウドと呼ばれるクラウドを100日以内に構築した。 (2209-071304)
【註】cArmyクラウドにはAmazonクラウドやMicrosoft Azureクラウドなどが加入している。

Vantage 情報システム

 米陸軍最高情報責任者のRaj Ayer氏が、陸軍で情報システムを扱うPEO EISと戦術C3システムを扱うPEO C3TをPEO EISに統合し、PEO EISが進めてきたVantage情報システムとPEO C3Tが進めてきたCPCEを一体化すると述べた。
 PEO EISが進めてきたVantage情報システムは民生のクラウドを元にしたシステムである。 (2209-071305)

milCloud 2.0

 米DISAのクラウド部門責任者が8月8日、2017年と2018年に初期運用に入ったmilCloud 2.0の見直しを行っていると述べた。 (2209-080804)

ゼロトラストアーキテクチャの実装

 米陸軍が10月10日に米陸軍協会 (AUSA) の年次会議でクラウドの活用法についての新計画を発表し、データ中心の別の計画も初公表した。
 クラウド計画には、初めてゼロトラストアーキテクチャの実装が含まれている。 (2211-101120)

米空軍のクラウドコンピューティング

 米空軍省の技術部門責任者であるボンチ氏が12月14日、空軍はクラウドコンピューティングに取り組んでおり、間もなくcloud-firstになるであろうと述べた。
 空軍は数年前からアプリや情報、更に広範な仮想装置を結ぶCloud OneをSAIC社が数百万㌦で受注し、大手のAmazon社やMicrosoft社などと進めている。
 更にその後継となるC1N (Cloud One Next) のRfIが11月に発簡されている。
 国防総省は12月8日にAmazon、Google、Mirosoft、Oracleの各社にJWCCを発注しており、空軍省もこの契約に関心を持っている。 (2301-121601)

9・6・3 通信,C4I

9・6・3・1 野外通信

A3M (Air Force and ArmyAnti-jamming Modem)

 米陸軍と空軍が装備しているSMART-Tを、新型の増強外征通信大隊 (ESB-E) 装置である耐妨害衛星通信モデム (A3M) に換装する。
 ESB-Eはデラウェア州兵部隊である陸軍第198外征通信大隊 (ESB) が最初に装備する。 (2211-082403)

9・6・3・2 衛星間通信

ハイブリッド衛星通信

 米宇宙軍がハイブリッド衛星通信の検討を行っている。 これと似た研究を米空軍研究所 (AFRL) もHawkEye 360宇宙空間ISRとして行っている。
 JWCCは当初3年の計画で、1年間のオブションが付いた契約になっている。 HawkEye 360では144MHz~15GHzのRF信号について識別、標定を行っている。 (2205-012605)

Space-BACN

 米DARPAが、宇宙空間での適応型通信ノード計画Space-BACNのPhase 1に11チームを選定した。
 Space-BACNは、ほとんどの衛星間光通信規格に適応し、多様な衛星コンステレーション間を変換する低コストで再構成可能な光通信端末を開発することを目指したもので、低軌道 (LEO) 衛星間にインターネットを構成し、現在は交信できない軍や政府と民間衛星間でのシームレスな通信を可能にする。 (2209-081014)

9・6・4 見方識別

9・6・4・1 

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・7 関連基礎技術

9・7・1 航空機関連技術

9・7・1・1 エンジン関連

適応遷移エンジン (AETP: Adaptive Engine Transition Program)

 GE社が次世代戦闘機NGADに搭載する適応遷移エンジンAETP XA100のPhase 1試験を完了した。 Phase 1試験は同社の高度試験施設で2021年8月26日に開始されていた。 続くPhase 2試験は1Q/2022年に2~3ヶ月かけて行われる。  一方P&WはAETPエンジンXA101開発している。  AETPエンジンはNGAD用に開発されているが、F-35Aにも機体の改造なしで搭載できる。 (2204-010508)

9・7・2 ミサイル関連技術

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・7・3 UAV 関連技術

有人機の無人自動飛行

 Lockheed Martin社の子会社であるSikorsky社が、完全に無人のUH-60Aが2月8日に30分間にわたり飛行したと発表した。
 このUH-60Aは米DARPAが6年前から進めているALIAS計画の一環で、今まで操縦士が搭乗しての自動飛行は行ったが、完全な無人飛行は初めてである。 (2203-020823)

9・7・4 高出力 Laser 技術

 2022年に特筆すべき記事なし。
9・7・5 その他の関連技術

9・7・5・1 小型/マイクロ原子炉

設計の確定

 米国防総省が4月13日、最初の移動型マイクロ原子力発電装置としてアイダホ研究所の案を採用したと発表した。
 これは国防総省のSCOが進めているPele計画によるもので第五世代原子炉により5MWの電力供給を3年以上できることを目指している。
 同様の原子炉は2021年に中国が完成させている。
 米国防総省は年間30TWHの電力を消費し、このため毎日1千万ガロン以上の石油を消費しているという。 (2205-041312)

試作の発注

 米国防総省が移動型マイクロ原子炉の試作にBWXT社を選定したと、同社が6月9日に発表した。
 契約額は$300Mで、BWXT社はFY24に実大のマイクロ原子炉を納入し、アイダホ国立研究所が3年かけて試験を行う。
 Project Peleと呼ばれるこの計画は、2021年に国防総省がBWXT社の他にLynchburg社、X-energy社を指名して進めてきた。
 BWXT社は主契約社としてNorthrop Grumman社、Aerojet Rocketdyne社、Rolls-Royce社及びTorch社の協力を得て試作を行う。 (2207-061001)

9・7・5・2 AI (Artificial Intelligence)

 米海軍太平洋艦隊水上艦隊司令官のキッチナー中将が1月7日に米水上海軍協会のシンポジウムで、海軍が人工知能 (AI) と機械学習 (ML) の開発に力を入れていると述べた。 (2202-011208)
9・7・5・3 量子技術

 バイデン大統領が5月4日、量子情報科学 (QIS) の国家レベルでの振興を図る2件の大統領令に署名した。
 1件目は実行計画で、2件目は保全に関するものであった。 (2208-051803)
9・7・5・4 原子力推進宇宙船

 米DARPAが進めている地球~月間宇宙Cislunar宇宙を飛行する熱核エンジン (NTP) 宇宙船DRACO計画Phase 2/3のRfPを発簡した。
 Phase 2/3ではFY26に試作機の飛行試験が行われる。
 Phase 1では事前設計を行うTrack Aと、概念設計を行うTrack Bが並行して実施された。 (2206-050420)
9・7・5・5 衛星間光通信

 2022年に特筆すべき記事なし。