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7・ 対地攻撃兵器

7・1 航空機

7・1・1 戦闘機等

7・1・1・1 米 国

7・1・1・1・1 NGAD

同行する Loyal Wingman 構想を変更

 米空軍がB-21やNGADに同行するLoyal Wingman構想を変更しようとしている。
 FY23に挙げた新たな秘匿計画2件は、各種任務に充てる今までの小型、再使用可能、自動機ではなく、数千ポンドの爆装ができる高価なUASになっている。 (2206-032101)

EMD (Engineering and Manufacturing Development) 開始

 ケンドール米空軍長官が6月1日にヘリテージ財団との討議で、NGADの開発がEMD段階に入ったと述べた。 空軍では一般的にEMD開始後7年でIOCになっている。
 長官は、彼が国防総省の調達担当官であった2015年にX-planeとなる初期試作が行われたと述べた。 (2207-060201)

機種選定はまだ

 ケンドール米空軍長官が、NGADの中核になる第六世代戦闘機の機種選定はまだ決まっていないが、遠からず決まると述べた。
 NGAD計画は第六世代戦闘機、AIM-260 JATM、随伴UAVの3要素からなるという。
 ケンドール米空軍長官は6月に、NGAD戦闘機はEMD段階にあると述べたが、6月末には未だ競争段階にあると述べ、開発の段階について疑義が生じていた。 (2208-071703)

Milestone B はまだ

 米空軍の第六世代戦闘機NGADの開発について、9月19日の空軍協会の宇宙航空サイバ会議でケンドール米空軍長官が、未だに設計段階にあってMilestone Bを通過せずEMDに入っていないと述べた。 (2210-092805)
【註】Milestone Bとは米国の装備開発で、Technology Development PhaseからSystem Developmet & Demonstration Phaseへの移行を認めるMilestoneである。

日英豪などの共同開発余地

 米空軍の次世代戦闘機NGADの開発は、海空軍や海兵隊と更に国際協力で開発したF-35と異なり、全くの単独で行っている。
 しかしながら空軍当局者は、NGADに随伴するCCA UAVについては日英豪などと共同開発の余地があると述べている。 (2211-100310)

7・1・1・1・2 F-35

Block 4 CCDD (Continuous Capability Development and Delivery)

 BAE Systems社が2021年12月15日にLockheed Martin社からF-35 のCCDDとも呼ばれているBlock 4改良の一環としての電子戦装置の開発を$493Mで受注したと発表した。
 BAE Systems社はF-35が装備しているAN/ASQ-239電子戦装置の開発と生産を行っている。
 2018年に開始された Block 4は4.1、4.2、4.3、4.4に分かれて実施され、予定されているF-35へのセンサや武器の搭載が全てが可能になる。
 そのうちBlock 4.1と4.3は社としてソフトの改修、Block 4.2と4.3ではハードウェアの改修が行われる。 (2204-010509)

南シナ海で着艦に失敗し海没したF-35Cの回収に成功

 米海軍第7艦隊が3月3日、南シナ海で空母への着艦に失敗し、海底に沈んだF-35Cの機体を水深3,800mの海底から回収したと発表した。
 米国内では、中国が機体を回収すればF-35の機密情報が流出すると懸念が強まっていた。 (2204-030405)

空母 George HW Bush で F-35C の初離着艦

 米海軍が2021年12月12日に空母George HW BushでVFA 125飛行隊のパイロットによるF-35Cの離着艦を初めて実施した。
 George HW BushではMQ-25 Stingray空中給油UAVも搭載している。 (2204-010507)

調達機数の大幅減

 F-35はフィンランドやスイスも含め18ヵ国から受注しているが、米国のFY23要求では2020年のFYDPで予定していた機数より33機少ない61機に留まっている。
 なぜ調達機数が大幅に減少したのかはCOVID-19感染拡大による納期遅延や・・・・。 (2207-040402)

7・1・1・1・3 F-22

 米空軍はF-22を2060年代まで使用するとしていたが変更して、あと10年間だけ使用し、今後はF-16、F-15EX、F-35及びNGADの4機種とA-10を合わせた4+1体系にする。
 F-22が対抗するJ-20が装備する2015年から試験を行っているPL-15 AAMは2021の殊海航空展で射程を145kmと説明していたが、専門家は200km以上と見ている。 しかも中国は更なる発展型を開発していると見られる。
 これに対し米空軍はAIM-120の後継にAIM-260 JATMの開発を2017年にLockheed Martin社を指名して開始した。 米空軍はAIM-260の発射試験を早ければ2020年に開始し、FY22には装備化したいとしていた。 (2204-011002)

7・1・1・1・4 F-15EX

 米空軍はF-15C/Dの後継としてF-15EXを144機装備するとしていたが、FY23要求では80機に減らしている。 (2209-070603)

7・1・1・1・5 F-15C

在欧米空軍から姿を消す

 在欧米空軍最後のF-15Cが4月27日に英空軍Lakebheath空軍基地を飛び立った。
 1994年以来欧州に派遣されていたF-15Cはこれで全て無くなったが、米空軍州兵では今後も装備する。 (2207-051101)

7・1・1・2 中 国

  「4・1・7・5・1 戦闘機」で記述
7・1・1・3 ロシア

7・1・1・3・1 次世代戦闘機

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・1・1・3・2 既存戦闘機

Su-30SM2 1号機が納入

 ロシア国防省が1月21日、Su-30SM2の1号機が納入されたと発表した。
 Su-30SM2はSu-30SMの改良型で、Su-30SMはインド向けに開発されたSu-30MKIの国内仕様である。
 Su-30SM2は、現有戦闘機とSu-35やT-50 PAK-FA(Su-57)の橋渡しに位置づけられている。 (2205-020207)

Su-35が初めて戦闘損耗

 4月3日にオンラインに流れた画像で、ロシア空軍のSu-35がウクライナのイズミール近くで、初めて戦闘行動中に損耗したことが判明した。 (2207-041304)

7・1・1・4 欧 州

7・1・1・4・1 Tempest

Isanke を装備

 英国が開発を進めているTempest FCAS-TIではIsankeと呼ばれるシステムが装備される。
 Isankeはレーダの他自己防護システム (DAS)、IRST、ESMなどからなり、MRFSが中心を成している。 (2205-020702)

日本も協議に参加
 英国が主導する次期戦闘機 (FCAS) 計画TempestについてBAE Systems社のサイトWartonで5月下旬、計画は2024年にOutline Business Case 2に入る準備中で、2035年運用開始を目指し2025年にはFull Buisiness Caseに入ることを明らかにした。 計画はBAE Systems社のほか、Leonardo社、MBDA UK社、Rolls-Royce社の4社が中心となり進められている。  Tempestには英国のほか、イタリアとスウェーデンが参加し、日本も協議に参加している。 (2208-061505)

初飛行は2027年

 ウォレス英国防相が開かれているFarnborough航空展会場のTempestのモックアップモデルの前で7月18日、Tempestは5年以内に初飛行すると述べた。
 開発を行っているTeam TempestにはBAE Systems、Leonardo UK、Rolls-Royce、MBDA UKの4社が参加し、イタリアとスウェーデンも計画に参加しているが、日本との関係も深まっている。
 Tempestのコンセプト分析の実施には英国のほか、イタリアと日本も参加している。 (2208-071901)

7・1・1・4・2 FCAS

計画進展の遅れ
 独仏西が2040年を目指して進めようとしている次世代戦闘機FCASの開発が、2027までに試作機を製造する開発のPhase 1BでAirbus社とDassault社で意見が合わず、計画が先に進んでいない。 (2204-030502)

 FCAS / SCAF NGF計画を進めている3社の1社であるDassault社が、計画が少なくとも10年は遅れるとの見通しを明らかにした。
 従来の計画では初飛行が2027年、最終設計固定2030年、運用開始2040年としてきたが、Dassault社は2050年以前の運用開始は無理とした。 (2208-061503)

計画が新たな段階へ

 独仏が共同開発する主力戦闘機計画が新たな段階に進む見通しであることがわかった。
 頓挫も懸念されていた欧州最大の防衛計画FCASは再び動き出し、両国間の難しい懸案の一つが解消されることが期待される。
 独仏両国とFCAS計画の主要参画企業でドイツ側Airbus社とフランス側Dassault社が技術実証機を開発する極めて重要な段階へとまもなく進むという。
 関係者はまだ未確定の事項があることを理由に匿名で取材に応じたが、そのうちの2人は数日中にも正式合意される可能性があると話した。 (2212-111811)

7・1・1・4・3 Saab JAS 39 Gripen

 スウェーデン軍需本部 (FMV) が4月14日、保有しているSaab JAS 39 Gripen C/Dの全機を2035年まで戦闘可能とする改良を2020年代末までに実施すると発表した。
 スウェーデン空軍は2023年に最新型であるGripen E 60機を受領するが、Gripen C/Dも40機を2030年代中頃まで使用するため、Gripen E 4個飛行隊とGripen C/D 2個飛行隊で編成されることになる。 (2207-042709)

7・1・1・5 その他

7・1・1・5・1 韓 国

  「4・3・6・5・1 KF-21 / IF-X 」で記述
7・1・1・5・2 トルコ

開発生産拠点施設の開設

 トルコがTF-Xの開発と生産の拠点となる施設を1月6日に開設した。
 全長21m、翼端長14m、高さ6mの双発で、Mach 1.8、上昇限度55,000ft、旋回能力9g~-3.5gの性能を持つTF-Xは、2023年にロールアウト、2029年に初飛行し、同年に空軍へ納入される。 (2204-011909)

パキスタンと共同開発

 トルコとパキスタンが第五世代戦闘機の共同開発を進めている。 両国は2010年代にそれぞれ国産戦闘機の開発を進めていた。
 TF-X Block 0は2025~2026年に初飛行し、2029年までに6機が試作される。 2029年にはトルコ空軍で就役し、2030年代には輸出することになっている。 (2206-030908)

7・1・1・5・3 インド

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・1・1・5・4 イラン

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・1・2 爆撃機等

7・1・2・1 米 国

7・1・2・1・1 B-21

試作1号機が地上試験開始

 米空軍が、開発中のB-21 Raiderの1号機が地上試験段階にあり、予定通り年内にロールアウトし続いて初飛行することを明らかにした。 (2204-030506)

UAV 型 B-21 の開発はしない

 ケンドール米空軍長官が2021年に、開発中のB-21とこれに随伴する同型のUAVを開発するとしていたが、長官はUAV型のB-21を装備するのは費用対効果で有効ではないとの結論に至ったと、開発を行わないことを明らかにした。 (2208-071606)

B-21 の開発状況

 米空軍の調達責任者であるハンター氏が9月20日に空軍協会 (AFA) のコンファレンスで、B-21 Raiderの試作機が12月第1週(土日を除けば1日か2日)にロールアウトすると述べた。
 Northrop Grumman社によれば、B-21は6機を試作中で、初飛行は2023年に行われるという。 (2210-092101)

B-21 の公開

 米空軍とNorthrop Grumman社が9月20日、12月第1週にB-21 Raiderを公開すると発表した。
 初飛行は2023年に予定されている。
 空軍はB-1BとB-2の後継としてB-21を100機以上装備する計画である。 (2301-100504)

 米空軍が12月2日、カリフォルニア州パームデールで、Northrop Grumman社が開発している次世代長距離戦略爆撃機B-21を初公開した。 米軍に新型戦略爆撃機が登場するのは、B-2以来30年以上ぶりである。
 B-21は世界初の「第6世代機」で、新世代のステルス性能と高度なネットワーク機能を誇る。
 旧世代の航空機と異なり、迅速な機体のアップデートも可能となる。 (2301-120309)

 米空軍のB-21 Raiderが12月2日にカリフォルニア州パームデールの第42空軍施設で公開された。
 6機試作されているB-21の1号機T-1は既に地上試験に入っており、初飛行は2023年に実施される。 初飛行の日程は今後の地上試験の結果次第だという。
 Northrop Grumman社によるとB-21は初の第六世代機で、ステルス性が向上しているほか、オープンシステムアーキテクチャーにより更なる改良が容易で、更にJADC2によるデータ共有能力も持つという。 (2301-120401)

7・1・2・2 中 国

「4・1・7・5・2 爆撃機」で記述
7・1・2・3 ロシア

7・1・2・3・1 次世代爆撃機 PAK DA

 2022年に特記すべき記事はなかった。
7・1・2・3・2 既存機の改良

Tu-160M

 Tu-160Mの1号機が1月12日に初飛行した。 Tu-160は1980年代末に初めて装備され1995年まで生産された。
 2015年には次世代爆撃機PAK-DAの計画遅れからプーチン大統領がTu-160Mの計画再開を命じた。
 ロシアは現有16機のTu-160を改造すると共に、新たに50機のTu-160Mを生産する計画で、量産1号機は2023年に配備される。
 生産は3機/年以上のペースで進められ、2023~2027年に10機が発注される。
 Tu-160Mへの改良はTu-160M1とTu-160M2の2段階で行われ、航法装置やオートパイロットを換装したTu-160M1は2014年末にoperationalになっている。
 Tu-160M2ではエンジンとレーダが換装される。 (2205-012606)

7・1・3 ヘリコプタ、VTOL機

7・1・3・1 米 国

7・1・3・1・1 FLRAA (Future Long-Range Assault Aircraft)

Textron Bell社の V-280 Valorを選定

 米陸軍がBlack Hawk及びApacheの後継となる次世代ヘリFLRAAにTextron Bell社のV-280 Valorを選定した。
 FLRAAへの換装は1:1ではないが、2030年までにBlack Hawk 2,000機、Apache 1,200機と換装される。
 V-280 Valorが採用された理由の一つは給油なしで2,440nmの長い航続距離にある。 (2301-120607)

7・1・3・1・2 FARA (Future Attack Recobnaissance Aircraft)

 2022年に特記すべき記事はなかった。
7・1・4 その他の航空機

7・1・4・1 米 国

水陸両用 C-130J

 米空軍は1973年にHU-16 Albatross飛行艇の最終号機を除籍して以来飛行艇を保有していないが、特殊作戦軍 (AFSOC) がC-130Jを水陸両用としたMACの初飛行を2022年内に実施しようとしている。
 このためAFSOC副司令官のヒル少将が2021年11月6日にU-2飛行艇を装備している海上自衛隊岩国基地の第71飛行隊を訪問し視察した。 (2204-012402)

Liberty Lifter WIG 輸送機

 米DARPAが洋上での長距離高速大量輸送のためWIG効果を活用したLiberty Lifter輸送機計画を開始した。 (2206-051814)

7・1・4・2 その他

ハイブリッド飛行船

 英Hybrid Air Vehicle (HAV) 社が最先端の飛行船Airlanderの本格的な生産に向けて準備を進めている。
 HAV社は年内にAirlanderの生産を開始する計画である。
 搭載能力は11tで、最大100人の乗客を乗せることができるにもかかわらず、排出量は一般的な航空機のわずか10%程度だという。
 HAV社によるとAirlanderは航続距離は7,40km、上昇限度は20,000ftで5日間飛行可能という。
 初期モデルは、2基の内燃機関と2基の電動モーターを採用したハイブリッド型だが、2030年までに完全電動へ移行する。 (2208-072809)

7・2 ミサイル等

7・2・1 弾道弾

7・2・1・1 米 国

7・2・1・1・1 GBSD (Ground Based Strategic Deterrent)

 米空軍が4月5日、50年経つMinuteman Ⅲと2029年から換装されるGBSDの名称をLGM-35A Sentinelと発表した。 (2205-040604)

7・2・1・1・2 Typhon MRC

MRC が Typhon と名称変更

 2012年にRaytheon社が開発しLockheed Martin社が引き継いだスーツケース程の大きさのコンピュータAegis CSLはLCSやConstellation級フリゲート艦などの小型艦で採用されるほか、陸軍や海兵隊、また海軍のUSVでも採用されようとしている。
 Typhonと名前を変えた射程1,800kmの中距離ミサイルMRCがスーツケース程の大きさのコンピュータAegis CSLを装備する。 また陸軍の遠征軍用の4セル型Mr 41 VLSでもAegis CSLが採用される。 (2202-012014)

7・2・1・1・3 PrSM

PrSM Increament

 Northrop Grumman社が米陸軍のPrSMで使用するロケットモーターの品質確認試験を行っている。
 この試験では2022年末までに18発の試験が行われて2023年に全システムがLRIPに入る。 (2202-011209)

 米陸軍はFY23にPrSM120発を#213.2Mで要求し、FY23予算要求文書によるとFY26の266発、$439.9MをピークにFY23~FY27に1,086発、$1.8Bを計画し、最終的には3,986発を計画している。 (2206-050307)

PrSM Increament 1

 最初の2発を2023年7月に受領し、4Q/FY23にLUTを行う。
 4Q/FY23に配備を開始し、本格量産 (FRP) 移行及びIOC宣言はFY25に計画している。

PrSM Increament 2

 陸上移動目標及び艦艇を目標とするマルチモードシーカ搭載型で、4Q/FY24~1Q/FY26に発射試験を行う。

将来PrSMに対艦用のシーカ、ラムジェット推進

 米陸軍が将来PrSMに対艦用のシーカを取り付けるほか、射程を延伸するためラムジェットの採用を検討しており、既にラムジェットの試験を実施している。 (2206-051015)

 米陸軍でLRPF-CFT長のラファティ少将が、PrSMの射程を2026年までに1,000kmまで伸ばすラムジェットの設計開発が進められていると述べた。
 ただ延伸する射程について陸軍参謀総長のマッコンビル大将は5月12日に500km以上とだけ述べ、明言を避けている。
 射程が1,000km以上に伸びても全長は13ftのままで、M142 HIMARSやM270 MLRSから発射できる。
(2208-052506)

PrSM Increament 2

 PrSM Increament 2ではマルチモードシーカも採用し、対艦能力も付与する。 (2208-052506)

4,000発の発注

 米陸軍が4,000発近いPrSMを$8BでLockheed Martin社に発注したと発表した。
 陸軍は9月に議会に対しPrSMの5ヶ年調達計画を提出している。 (2211-100512)

7・2・1・1・4 M270 MLRS、M142 HIMARS、GMLRS

 米国防総省が4月29日、陸軍のM270 MLRSとM142 HIMARSを増強する契約を、合わせて$429MでLockheed Matin社に発注したと発表した。
 MLRSは$224MでM270A2を2026年4月末までに、HIMARSは$205Mで2025年4月までに納入する。
 陸軍は225両のMLRSを調達する計画であったが、FY23要求では350両に増えている。 陸軍はFY23で$218Mかけて、M270A1仕様の21両をM270A2仕様に改良すると共に、24両を装甲強化操縦席にする。
 また、現在は使用されていないM270A0仕様160両をM270A2仕様に改良すると共に、現有のM270A1 190両をFY50まで使用可能なM270A2仕様に改良し、最終的にMLRSを350両体制にする。
 FY23予算資料によると陸軍は現在395両のHIMARSを保有しているが、これを521両にまで引き上げるのを目標にしている。
 このためFY23にはFY22より4両多い23両を調達し、その後FY24に27両、FY25に19両、FY26に18両、FY27両に18両調達するとしている。 (2207-051103)

7・2・1・2 中 国

「4・1・7・3」で記述
7・2・1・3 ロシア

RS-28 Sarmat 発射試験

 ロシア国防省が4月20日、RS-28 Sarmat ICBMを15:12に発射したと発表した。
 全長35.5m、胴径3m、重量208.1tでMIRV弾頭を搭し射程18,000kmであるRS-28は、NATOがSS-18 Satan MoD 5と呼ぶ Voyervoda ICBMの後継となる重ICBMであることからSatan Ⅱと呼ばれている。 (2207-042702)

RS-28 Sarmat ICBM を2022年内に実配備

 プーチン露大統領が6月21日に軍関係の高等教育機関の卒業生らを前に演説し、新型のRS-28 Sarmat ICBMを2022年内に実配備するなど軍備を強化していく考えを示した。 (2207-062204)

7・2・2 極超音速飛翔体

7・2・2・1 米 国

7・2・2・1・1 開発計画全般

国防長官が超音速兵器開発加速を要請

 オースティン米国防長官が2月3日、米国における軍需産業界の大手企業数十社の最高経営責任者 (CEO) によるオンライン会議で、超音速兵器の開発を加速するよう促した。
 多数のCEOが会議で超音速兵器の試験における弱点として、さらなる風洞の必要性を指摘した。
 あるCEOによれば米国は超音速風洞をわずかな数しか保有していないものの、中国は12基ほど保有し6ヵ月で1基建設しているという。
 米空軍元将校であるハイテン氏は昨年10月に、米国が過去5年で超音速兵器の試験を9回実施したのに対し、中国は数百回実施したと述べている。 (2203-020406)

Hypersonic Advanced Capabilities for Weapon System Improvement

 米海軍が3月9日、極超音速兵器の改良Hypersonic Advanced Capabilities for Weapon System Improvementに関するRfSを発簡した。
 極超音速兵器は空力加熱、ショック、振動など厳しい環境に晒されることから、RfSが求めている技術にはバッテリー、GPSに代わるPNT、高温下で使用できるRFアンテナなどが含まれている。 (
2206-032303)

長距離極超音速攻撃兵器 (C-HGB) 装備計画

 米軍が、初めて更新された長距離極超音速攻撃兵器 (C-HGB) の装備計画を策定した。
 それによると陸軍地上部隊と海軍艦艇で2026年と2027年にはoperationalになる予定で、陸軍は3月30日に2022年にC-HGBの単独調達契約を行う。 (
2204-033112)

 Lockheed Martin型の吸気式極超音速兵器HAWCの飛行試験が2月に成功した。 詳細は明らかにされていない。
 HAWCは8年越しの計画で、Aerojet Rocketdyne社製のスクラムジェットエンジンを搭載したLockheed Martin社の他にRaytheon/Northrop GrummanチームとBoeing社も参加しており、Raytheon/Northrop GrummanのHAWCは2021年9月に飛行している。
 米空軍はFY27に戦闘機と爆撃機にHAWCを装備する計画である。
 Lockheed Martin社、Raytheon/Northrop Grummanチーム、Boeing社は極超音速CM HACMでも5年にわたり競争している。
 更に空軍は速やかに装備する最初の実用型極超音速兵器として2017年にARRW、翌年にHCSWの開発を、それぞれ2022年末と2023年の装備化を目指して開始したが、HCSWの開発はFY21に中止になった。 (
2207-040401)

 米英豪3ヵ国のAUKUS首脳が4月5日、極超音速ミサイルを共同開発することで合意したと発表した。
 合意では、極超音速ミサイルと共に、極超音速ミサイル防衛、電子戦の開発や、情報の共有なども含まれている。
 米国防総省はFY23に極超音速ミサイルの研究開発として$4.7Bを要求しており、その中には

2023年: 極超音速ミサイル中隊の編成

2025年: 洋上発射極超音速ミサイルの配備

2027年: 極超音速 ALCM の配備

が含まれている。 (2205-040520)

 米国防総省がFY23予算で極超音速兵器の5年以内配備を目指して$4.7BとFY22の$3.8Bを大きく上回る要求を挙げている。
 FY23要求では陸上発射極超音速ミサイル中隊をFY23に、DDG 1000駆逐艦搭載をFY25、極超音速CMをFY27に配備するとしている。
 陸軍のLRHWは共用HGBであるC-HGBにブースタを取り付け射程を1,400哩にしたもので、RDT&Eに$173Mを要求している。
 空軍はAGM-183 ARRWとHACMのRDT&Eに$144.891M、調達に$46.566Mを要求している。 (
2207-040602)

 米国防総省が9月までに実施する計画であったロケット二段推進式長距離超高速兵器C-HGB 2度目の飛行試験JFC-2を延期したことで、2023年9月までに配備するとした計画が微妙になってきた。 (2211-100709)

国防生産法の発動

 米国防総省で研究開発担当次官室の主任が7月12日、極超音速兵器の開発を促進するため国防生産法第3条を適用するとした2件の大統領令にバイデン大統領が署名したことを明らかにした。 (2208-071304)
【註】国防生産法は、緊急時に政府が産業界を直接的に統制できる権限を付与する連邦法で、朝鮮戦争に対応して1950年に制定され、COVID-19パンデミック対応でも発動された。

7・2・2・1・2 DARPA の極超音速飛翔体開発計画

OpFires (Operational Fires)

 米DARPAがWSMRでOpFires初の発射試験に成功した。
 OpfiresはTime Criticalな目標を攻撃できる陸軍と海兵隊の装備を目指した地上発射中距離ミサイルで、ブースターで極超音速飛翔体を打ち上げる。
 発射機は海兵隊が装備しているごく普通のPLSトラックに搭載される。
 システムはLockheed Martin社、ロケットモータはNorthrop Grumman社が担当している。
 実大発射試験は2022年に行われ、最終設計審査は2022年中に計画されている。 (2208-071315)

HAWC (Hypersonic Air-breathing Weapon Concept)

 米国防当局者が、3月半ばに、HAWC極超音速ミサイルの発射試験に成功していたことを明らかにした。
 この試験についてはバイデン大統領の欧州訪問を控えていたことから、ロシアとの緊張が高まる事態を避けるため、公表を差し控えたとしている。
 当局者によると、HAWCは米西海岸沖でB-52から発射されブースターで加速させてスクラムジェットエンジンを点火して、Mach 5以上の極超音速に到達した。
 ミサイルは高度65,000ftを超え300mile以上を飛翔した。 (
2205-040511)

 米DARPAと空軍がLockheed Martin社製HAWCのフリーフライト試験を実施し、スクラムジェットで高度65,000ft以上、飛距離300哩以上をMach 5以上で記録した。
 今回の試験はDARPA HAWCの2度目の試験成功で他社製のHAWCは2021年9月に飛翔試験に成功している。 (
2205-040518)
【註】Raytheon社と組んだNorthrop Grumman社のHAWCは2021年9月27日に飛翔試験に成功している。

 米空軍がFY22末である9月30日までHACMの事前設計をRaytheon、Lockheed Martin、Boeingの各社と進めているが、この時点で開発から量産まで行う企業の選定を行うと見られる。 空軍はFY23にFY22より$257M多い$316.8Mを要求している。
 HACMはHGVであるAGM-183A ARRWと異なりスクラムジェットなど吸気式推進装置でMach 5を達成する。 (
2206-052007)

 米DARPAが4月5日、Lockheed Martin社製HAWCのfree flight試験を3月中旬に行ったと発表した。
 Raytheon/Northrop Grumman社製HAWCの飛行試験は2021年9月に実施されている。
 B-52Hから発射されたLockheed Martin HAWCは高度65,000ft以上をMach 5以上で300nm以上飛翔した。
 空軍とDARPAはこの他にもRaytheo社とTBGとHACMの開発を、空軍はLockheed Martin社とAGM-183 ALRRWなどの極超音速飛翔体を開発している。 (
2207-042003)
 米DARPAが空軍と進めているスクラムジェット推進極超音速飛翔体HAWCの3回目の飛翔試験が7月上旬に行われ、HAWCはNorthrop Grumman社製スクラムジェットエンジンで高度60,000ft以上をMach 5以上で300nm以上飛翔し試験は成功した。
 今回試験を行ったのはRaytheon社製のHAWCで、試験成功は2021年9月に次いで2度目となる。 この間今春にはLockheed Martin社製HAWCも試験に成功している。 (
2208-071810)

HACM

 米空軍が極超音速CM HACMにRaytheon/Northrop Grummanチームを選定し$985Mで発注した。
 HACMは54ヶ月の契約を完了した米国とオーストラリアが進めていたSCIFiREを継承した戦術極超音速兵器でFY27の装備化を目指している。
 SCIFiRE計画は2021年6月にBoeing、Lockheed Martin、Raytheonの3社が15ヶ月の契約で進めていた。 (
2301-100502)

MoHAWC

 米DARPAがRaytheon社とLockheed Martin社が開発しているHAWCの技術を元にしたスクラムジェット推進のMoHAWCの開発を行うためFY23に$60Mを要求している。
 HAWCの飛行試験はRaytheon社が2021年9月、Lockheed Martin社が2022年の3月に成功している。 政府は2015~2024年にHAWCとMoHAWCに$15Bを投じる計画である。
 DARPAはまた空軍向けのTBGに$30Mを要求している。 (
2206-051006)

7・2・2・1・3 陸軍の極超音速飛翔体開発計画

長距離極超音速兵器 (LRHW)、2023年末までに配備可能

 米陸軍参謀総長のマコンビル大将が3月31日、長射程の極超音速ミサイルや中距離地対艦ミサイルが2023年末までに配備可能になるとの見通しを示した。
 基地で固定運用せず、輸送機を活用して離島や遠隔地で機動的に運用していく考えも明らかにした。
 マコンビル大将によると、射程2,500km以上と見られる極超音速ミサイルは既に発射システムが完成し、ワシントン州で試験が行われており、2023年末には配備可能になるという。
 1,000~3,000km程度の準中距離射程を持つ地対艦ミサイルや、500km以上の射程があるPrSMも2023年に完成する。
 いずれもC-17で輸送でき、中距離ミサイルは沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ列島線沿いへの配備を想定している。 (2205-040106)

移動目標も攻撃できる発展型 LRHW

 米国防総省が、長距離極超音速兵器 (LRHW) に移動目標も攻撃できるように改良する開発を進めている。
 このため陸軍は5月3日に一社を指定した試作のRfPを発簡した。 LRHWには飛翔間に連接するデータリンクも装備する。
 陸軍は2025~2027年に複数のLRHW中隊を展開する計画である。 (
2206-050410)

LRHW 中隊

 サーグッド米陸軍中将がハンツビルで開かれたSpace and Missile Defenseシンポジウムで、陸軍RCCTOが概ね半年後に、長距離極超音速ミサイルLRHWの最初の実弾を、陸軍第1軍団隷下のワシントン州Lewis-McChord基地駐屯の第17野戦砲兵旅団5-3FA大隊の中隊に配備する。
 射程1,725哩(2776km)以上のLRHWはPrSM、ERCA、MRCと共に運用され、LRHW中隊はLRHW弾2発を搭載したTEL 4両を装備する。
 陸軍はFY23予算に2番目の中隊分として$249Mを要求している。
 最初の中隊はC-130への卸下積載訓練を行い、インド太平洋軍で模擬実射訓練を完了しており、FY23での運用開始を計画している。 (
2209-081211)

7・2・2・1・4 海軍の極超音速飛翔体開発計画

二段推進ロケット付き C-HGB 初の飛行試験失敗

 米軍が6月29日に実施したLockheed Martin社が開発している二段推進ロケットとSandia国立研究所が開発している陸海軍共用の極超音速兵器C-HGBを組み合わせた初の飛行試験JFC-1は失敗した。
 2021年10月21日にはブースターの試験に失敗している。 (2208-070111)

Zumwalt級駆逐艦のAGS 155mm砲を CPS に換装

 米海軍がZumwalt級駆逐艦3隻のAGS 155mm砲を乾ドックでの定期整備に合わせて極超音速兵器CPSに換装する計画で、FY24にDDG 1000 Zumwaltで最初の換装を行い、発射試験をFY25に計画している。
 CPSは水上艦として初めてcold launchで発射される。
 この計画にはGAOの2021年6月時点の試算で$900Mがかかるとみられるが、現時点では設計に$15M、FY22に$100Mが計上されているだけである。 (
2209-070601)

7・2・2・1・5 空軍の極超音速飛翔体開発計画

AGM-183A ARRW の量産開始の決定延期

 米空軍が1月19日、2021年に行ったAGM-183A ARRWの3回の試験に失敗したことから量産開始の決定を延期すると発表した。
 ただしFY22末まで量産をに開始するとした量産計画は変更しないという。
 全行程で行うARRW最初の試験all-up-round試験は2022年の6月下旬から9月下旬までに実施する。 (2205-020202)

下院歳出委員会、AGM-183 ARRW調達経費を削除

 米議会下院歳出委員会が3月9日、度重なる試験失敗と計画延期を受け、FY22の残りの予算から空軍の極超音速滑空兵器AGM-183 ARRW調達経費$161Mを削除した。
 空軍は極超音速滑空兵器の研究開発試験評価としてARRWに$319M、HACMに$190Mを確保していた。 (
2204-031101)

AGM-183A ARRW の量産開始の飛行試験成功

 米空軍が16日、カリフォルニア州南部の沖合で14日に極超音速兵器ARRWの飛行試験に成功したと発表した。
 ARRWはB-52から発射されMach 5を達成したという。 (
2206-051708)
【註】ARRWは各種開発が進められている米国の極超音速兵器で最も先行していて、すでにAGM-183Aの名称も付けられ量産開始を待つばかりの状態であったが、2022年1月19日に行われた3回目の試験を含む3回の試験全てで失敗したため、米議会下院歳出委員会は3月9日に、FY22の残りの予算から空軍のAGM-183A ARRW調達経費$161Mを削除していた。

 米空軍が7月12日にAGM-183A ARRW発射試験に成功した。
 これを持って空軍は13日にARRWのブースト試験完了を宣言し、今年後半には完成弾での試験を開始する。
 今回の成功は過去3回の試験失敗後、5月に初めて成功したのに次ぐ2回目で、空軍はFY23に$577Mを要求している。
 過去の失敗から議会はFY22に計上されていた$161Mの執行を停止していた。 (
2208-071403)

AGM-183A ARRW 量産型の飛行試験成功

 米空軍が12月12日、9日に量産型AGM-183A ARRWの発射試験に成功したと発表した。 これでARRWは2022年内に試験に成功したことになった。
 ARRWは2021年に行われた試験に3回連続失敗したため、議会がFY22に計上されていた$161Mの執行を停止していた。 (
2301-121303)

AGM-183A ARRW のB-52への搭載卸下試験を完了

 米空軍が最初の極超音速兵器となるAGM-183A ARRWの試験をルイジアナ州のBarksdale AFBで第爆撃航空団が進めているが、第1関門となるB-52への搭載卸下試験を完了した。
 AGM-183A ARRWはMach 8で1,000哩の射程と言う。 (
2301-120516)

HACM (Hypersonic Attack Cruise Missile) を発注

 米空軍が9月22日、HACMを$985MでRaytheon社に発注したと発表した。 受注を競っていたBoeing社及びLockheed Martin社は破れた。
 空軍は早ければ2027年の配備を目指しており、実現すれば米空軍初の極超音速CMになる。 (
2210-092216)

7・2・2・2 ロシア

7・2・2・2・1 Avangard ICBM

 2022年に特記すべき記事はなかった。
7・2・2・2・2 3M22 Zircon SLCM

バレンツ海でフリゲート艦から発射

 ロシア国防省が、5月28日に北海艦隊のフリゲート艦Admiral Gorshkovがバレンツ海でZircon CMの発射試験を行い、1,000km遠方の白海に設置された標的に命中したと発表した。
 プーチン大統領はZirconについて、Mach 6で飛翔する射程1,000kmのCMと述べている。 (2206-052813)

Zircon を数ヵ月中に配備

 プーチン露大統領が海軍の日に合わせてサンクトペテルブルクで実施された大規模な観艦式で7月31日、新型極超音速ミサイルZirconが数ヵ月中に海軍への納入が始まることを明らかにし、フリゲート艦に搭載されると説明した。 (2208-073105)

7・2・2・2・3 Kinzhal ALBM

 ロシア国防省が2021年12月21日に行った年次レビューで、ロシア宇宙航空軍に初のMiG-31 Kinzhal連隊が編成されたことを明らかにした。
 MiG-31 Kinzhal連隊が装備するMiG-31Iは今までのMiG-31Kを改修してKinzhal極超音速ミサイルを搭載するようにしたもので2021年8月に公表されていた。
 一方KBM社は9M726 Iskanderミサイルを航空機搭載型にした9A-7760 Kinzhalを受注していた。
 MiG-31 Kinzhal連隊は2021年12月1日に北海艦隊のMonchegorsk航空基地で発足した模様で、ここにはMiG-31BM要撃機2個飛行大隊、Su-24M戦術戦闘機1個飛行大隊、Bu-24MR偵察機1個飛行大隊からなる第98独立混成航空連隊が駐屯している。 (2204-01243)

7・2・2・2・4 次世代型極超音速ミサイル

 InterFax通信が5月9日、ボリソフ露副首相は次世代の極超音速ミサイルを開発していると明らかにしたと報じた。
 陸海空から攻撃に用いるという。 (2206-050906)

7・2・2・3 中 国

「4・1・7・3・4 超高速ミサイル」で記述
7・2・2・4 その他諸国

7・2・2・4・1 北朝鮮

「4・2・3・2 超高速兵器」で記述
7・2・2・4・2 オーストラリア

DART AE

 オーストラリア政府が2020年8月に同国のHypersonix社に発注しているDART AE多用途超高速飛翔体のロケットエンジンが米Kratos社に発注された。
 最初の発射試験は2023年に予定されている。
 SPARTANスクラムジェットで推進しMach 5~12で飛翔する射程500kmのDART AEは全て3Dプリンタで製造される。 (2202-012716)

 オーストラリアの小企業であるHypersonix社が極超音速飛翔体DART AEの開発を進めており、2月に米政府に説明を行っている。
 それによると幾つかの点で米国のシステムより優れているという。 米国ではLockheed Martin社製のARRWが試験での失敗を繰り返している。
 DART AEはクイーンズランド大学の超音速空洞での性能が確認されており、搭載するスクラムジェットエンジンは3Dプリンタで3週間で製造された。
 最初の発射試験は2023年に計画されている。 (2204-033114)

7・2・2・4・3 インド

 2022年に特記すべき記事はなかった。
7・2・2・4・4 ブラジル

14-X PropHiper

 ブラジルが2021年12月に、4回計画されているスクラムジェット推進の14-X PropHiper計画で初めてとなる飛行試験に成功した。
 全長1.5mの14-XはVSB-30二段推進ロケットで高度30kmまで打ち上げられMach 6近くで200kmを飛翔した。
 今後2024年に2度目、2027年に3回目の試験が行われ、4回目で最も高度な試験が2030年に計画されている。 (2204-011001)

7・2・3 巡航ミサイル

7・2・3・1 米 国

7・2・3・1・1 核弾頭 ALCM

 2022年に特記すべき記事はなかった。
7・2・3・1・2 核弾頭 SLCM

 米国防総省が3月28日に公表したFY23予算要求で、トランプ政権が打ち上げた水上/水中発射核CM SLCM-Nの開発費を削除した。
 SLCM-Nについてはオバマ政権が2010 Nuclear Posture Reviewで核弾頭Tomahawkの廃止を決め、2013年に除籍されていた。 (2204-032809)

7・2・3・1・3 OASuW (Offensive Anti-Surface Warfare)

 米海軍が空対艦ミサイル (OASuW) のIncreament 2となる極超音速ミサイルHALOの開発をFY28配備開始を目指してFY23予算に$92.5Mを要求して本格化させようとしている。
 OASuW Increament 1としてはAGM-158C LRASMが当てられている。 (2207-051105)
【註】LRASMはDARPAが開発を始めた初期の2010年頃には
LRASM-A: AGM-158-ER LASSMを対艦型にした亜音速ステルス型

LRASM-B: ラムジェット推進の超音速型

が考えられていた。

7・2・3・1・4 AGM-158 JAASM

AGM-158B JASSM-ER

 Northrop Grumman社が8月、2021年12月にB-2からのJASSM-ER発射に初めて成功したのを受け、米空軍がB-2にJASSM-ERを搭載することを決めたと発表した。
 JASSM-ERの射程は、現在B-2に搭載している射程250哩のJASSMに対し600哩 (966km) と伸びている。 (2211-092105)

AGM-158B-2 (JAASM-XR、AGM-158D)

 AGM-158B-2はかつてJAASM-XR或いはAGM-158Dと呼ばれていたJASSM-ERの更に長射程型で、-ERの射程が900km以上とされているのに対し-ER-2の射程は1,000kmを超えるとみられる。 (2210-080302)

Rapid Dragon 空投発射

 米空軍第352特殊作戦航空団のMC-130Jが11月9日にノルウェー海で、JASSMを空投発射するRapid Dragonの海外で初となる試験を行った。
 この試験は在欧米軍のAtreus作戦の一環として行われた。
 Rapid Dragonは計画開始から3年後に、北極圏で在欧米特殊作戦軍が装備しているという。
 第352特殊作戦航空団は英空軍のMildenhall基地に駐留し、試験を行ったMC-130Jは第67飛行隊の所属である。
 この試験は在欧米軍のAtreus作戦の一環として行われた。
 Atreus作戦では今まで、ルーマニア、英国、ラトビアでHIMARSの発射が行われている。 (2212-111102)

7・2・3・1・5 Strategic Mid-Range Fires

MRC (Mid-Range Capability) から Mobile Medium Range Missile 更に Strategic Mid-Range Fires

 米陸軍がFY23に、TomahawkやSM-6の艦載発射機を車載した移動型対艦システムStrategic Mid-Range Firesとして$404Mを要求している。
 このシステムはかつてMid-Range Capabilityと呼ばれていて、前年度にはMobile Medium Range Missileと呼ばれていた。 (2205-041809)

Typhon 4個中隊分を初めて納入

 Lockheed Martin社が2022年末までにMRC 4個中隊分を初めて納入する。
 MRC (Typhon) はSM-6とTomahawkを装備してPrSMとLRHWの中間の射程500km~1,800kmを担当するシステムで、陸軍は2023年9月までにMRC中隊を発足させる。
 MRCはM983A4 HEMTT社にコンテナに収納された4セルのMk 41 VLSとキャビンとVLSの間にレーダを搭載した発射機車からSM-6とTomahawkを発射する。
 MRC中隊は発射機車4両と同じくHEMTT搭載のBOC 1両、BOC支援車1両、装填車1両、予備弾搭載車1両で構成される。 (2211-082401)
【註】MRC中隊は米陸軍が整備を開始しているMDTFでHIMARS中隊、LRHW中隊と共に戦略火力大隊を構成することになっている。

7・2・3・1・6 NMESIS (Navy Marine Expeditionary Ship Interdiction System)

NSM を Raytheon/Kongsberg社に発注

 米海兵隊が遠隔戦闘中隊が装備するNSMをRaytheon/Kongsberg社に$21.16Mで発注した。
 発注したのはNMESISを構成するNSM発射機と武器操作装置 (WCS) で、開発費はFY22に$9.5Mが計上されている。
 制海と敵艦船の制圧を目指すNMESISでは海兵沿岸連隊 (MLR) に複数の中距離ミサイル中隊を置きEABO作戦を遂行する。
 最初のMLRはFY24に最初のNMESIS 8個システムを装備する。
 NMESISは2021年8月に行われたLarge-Scale Exercise 21演習において、ハワイ州Kauai島で洋上の廃艦に対しNSM 2発を発射している。 (2204-011203)

Oshkosh社に車両部を発注

 米海兵隊がOshkosh社にNMESISの車両部を$23.7Mで発注した。
 米国防総省は海兵隊のForce Design 2030の一環としてJLTV 4×4車にNSM 2発を搭載する遠隔操作遠征地上軍構想のROGUE Fires計画を進めており、2021年8月の大規模演習でNMESISは標的への命中に成功している。
 一方海兵隊はNMESISの量産開始を2023年末までに決める準備をしており、FY23予算に24個システムのLRIP分として$345Mを要求している。 海兵隊は更に2024年末までに巡回配置部隊として3個中距離ミサイル大隊を追加する計画である。 (2301-101204)

7・2・3・2 中 国

「4・1・7・6 巡航ミサイル」で記述
7・2・3・3 インド

新型 BrahMos

 BrahMos社が1月20日10:30に新型BrahMosの発射試験を実施した。
 新型BeahMosの開発にはインドDRDOとロシアのNPOMも参加している。
 Janesは新型BeahMosを射程延伸型と見ている。 試験の画像からすると発射されたBrahMosは空中発射型で小型のBrahMos NGより大きいようである。 (2205-020211)

7・2・3・4 イスラエル

Gabriel 5 対艦ミサイル

 イスラエル軍が新型のSa'ar 6コルベット艦にIAI社製Gabriel 5 対艦ミサイルを装備したことを認めた。
 しかし、Gabriel 5の詳細については明らかにしていない。
 イスラエル国防省によるとGabriel 5の発射試験は8月にSa'ar 6級4隻の二番艦Ozで行われた。
 IAIのウェブサイトでGabriel 5の詳細は明らかにされていないが、2019年12月にコルベット艦や高速艇用に購入したフィンランドがCGを公表した。
 それによるとGabriel 5は射程200km以上の亜音速ミサイルで、GPS/INS誘導で複数の経過点を通過して目標に向かう。
 IAI社はまた、Thales UK社と英海軍のSea Sepent対艦ミサイルとして開発を進めている。 (2301-100505)

7・2・4 S S M

7・2・4・1 ATGM (Anti-Tank Guided Missile)

7・2・4・1・1 FGM-148 Javelin

 Lockheed Martin社が6月13日~17日に開かれたEurosatory 2022でFGM-148 Javelinのロードマップを示した。
 現在のJavelinは2006年にFGM-148Eの弾頭を対人/対軽装甲車両に効果的なMPEHに換えたFGM-148Fであるが、軽量発射筒 (LTA) のIRシーカを冷却式から非冷却式に換えて電池寿命を4分間から8分間に伸ばしたFGM-148Gを2025年までに完成させ、2027年に配備を開始するという。 (2208-062903)

7・2・4・2 遊弋索敵弾

7・2・4・2・1 LMAMS (Lethal Miniature Munition System)

新たな SSN (Source Sought Notice) を発簡

 米陸軍がLMAMS索敵遊弋型兵器の新たなSSNを発簡した。 同様のSSNは2019年4月に発簡され、AeroVironment社が1年契約の$79.9MでSwitchblade 300を受注し、2020年末から配備された。
 新たなSSNでは完成弾 (AUR) と射撃制御装置 (FCU) を求めており、AUR 1発とFCU 1基の合計重量が5.4kg以下、できれば3.6kgでも各構成品には2.72kg以下、できれば2.3kgを求めている。
 収納状態から発射までの所要時間は2分以内、できれば30秒が求められている。
 滞空能力は風速10kt以下の無降雨状態で15分、できれば風速25ktの小雨状態で25分、飛行可能距離は48.2km/hで飛翔して5km、できれば80.5km/hで5kmとしている。
 対地高度100mでの目標視認距離は昼間対人で250m、できれば500m、夜間対車両で200mできれば250mが求められている。 (2205-020203)

OPF-MS (Organic Precision Fires - Munition Syatem)

 米海兵隊がBLOSを機甲部隊を精密打撃するULTV車搭載遊弋地上発射システムOPF-MSの開発をFY23に発注する計画である。 (2209-080109)

Switchblade 600

 米陸軍がウクライナ向けに準備しようとしている、今までのSwitchblade 300より長航続、高威力の突入攻撃UAVであるSwitchblade 600 10機のR&D契約を30日以内に行う。
 Switchblade 600は30-lbの対装甲弾頭を搭載している。 (2209-082210)

7・2・4・2・2 対艦艇遊弋索敵弾

Altius 700

 米特殊作戦軍 (USSOCOM) が特殊作戦軍企業会 (SOFIC) 2022コンファレンスで5月17日、海上精密交戦弾 (MPE-M) を構成するAltius 700のDTを計画していることを明らかにした。
 SOF Warrior PEOによるとArea-Ⅰ Altius 700は30-lbでMPE-M計画のBlock 1に位置づけられる。
 Switchblade 600を使用するBlock 1の試験は2021年4月にAeroVironment社に$26Mで発注されている。 (2208-060107)

7・2・4・2・3 その他の遊弋索敵弾

 Eurosatory防衛展でフランス陸軍の計画責任者が、仏陸軍が遊弋索敵弾 (LM) を装備することになると述べた。
 EurosatoryにLMが登場したのは2010年代であったが、2020年に起きたナゴルノカラバフ紛争でアゼルバイジャンが輸入したUAVで、T-72を破壊したことや、2022年ウクライナがロシアの車両に対抗していることなどから、2022年は数十社がLM及び対LMを出展していた。 (2207-061308)

 フランス陸軍の担当責任者が前週にパリで開かれたEurosatoryで、仏陸軍が米国AeroVironment社製のSwitchblade遊弋索敵弾を今後6ヶ月間で緊急調達することを明らかにした。
 仏ニュース社は6月、陸軍は30~50km以内を2~4時間滞空できるシステムを82機求めていると報じている。 (2207-062302)

7・2・4・3 巡航型 SSM

Blue Spear(イスラエル)
 イスラエルのIAI社とシンガポールのST Engineering社の合弁企業であるProtus社が、2022年シンガポール航空展にSSM型Blue Spearのモックアップを展示した。
 Blue SpearはIAI社が1960年代に開発しシンガポール海軍が1970年代から装備しているGabrieの発展型で290kmの射程を持つ。
 2021年10月にエストニアがBlue Spearの採用を決めている。 (2206-022304)

7・2・4・3 誘導ロケット弾

70mm誘導ロケット弾用発射機

 ウクライナ戦争でM142 HIMARSやM31 MLRSなど大口径のロケット弾が戦果を挙げてているが、Thales社やBAE Syatems社、L3Harris社などは、より高機動なレーザ誘導ロケット弾の発射機を提案している。
 Thales社はタイで開かれた防衛博で、レーザ誘導のFZ275LGR 70mm誘導ロケット弾6発を搭載したFZ606発射機を展示した。
 FZ606は米BAE Systems社製APKWS-ⅡやトルコRocktsan社製CIRITなどの70mmレーザ誘導ロケット弾も発射できる。
 これらのロケット弾はトルコ、UAE、バーレイン、フィリピンなども装備している。 (2209-083113)
【註】これらの70mm誘導ロケット弾は、既存の70mmロケット弾にSAL誘導装置を取り付けた簡易ミサイルである。

7・2・5 A S M

7・2・5・1 有人機搭載 ASM

7・2・5・1・1 米 国

SiAW (Stand-in Attack Weapon)

 米空軍が、敵のA2/ADを突破して防空システム、BM発射機、LACM/ASCM発射機、GPS妨害装置、ASATシステムを破壊するためF-35に装備するstand-in兵器SiAW開発の3ヶ月間に及ぶPhase 1をLockheed Martin、Northrop Grumman、L3Harrisの3社に、それぞれ$2Mで発注した。
 空軍はFY23予算要求でSIAW 42発を$78Mで要求している。 (2207-060901)

 米空軍がF-35Aが機内弾庫に搭載して突入攻撃するSiAW開発のPhase 1をLockheed Martin社とNorthrop Grumman社、及びもう1社に発注した。
 SiAWは60ヶ月以内の配備を求められており、2020年にRfIが発簡され、2021年3月にBoeing、L3Harris、Lockheed Martin、Northrop Grumman、Raytheon社が指名されていた。
 Lockheed Martin社はSkunk Worksが開発しているStarDriver、Northrop Grumman社はAARGM-ERを提案しているとみられる。 (2208-062202)

JAGM (Joint Air-to-Ground Missile)

 Lockheed Martin社がEurosatoryの会場で、米陸軍のM-SHORADにHellfireに代えてJAGMを搭載する検討を行っていることを明らかにした。
 Hellfireシリーズの後継として固定翼/回転翼機搭載ASMとして開発された2モードシーカのJAGMは陸軍と海兵隊が要求している洋上破壊力が要求を満たさなかったことからまだ本格量産 (FRP) になっていないが、陸軍は2022年夏には本格量産開始の決定を予定している。
 またLockheed Martind社は自社経費で、射程を2倍近い16kmに伸ばす開発も行っている。 (2207-061408)

 Lockheed Martin社が9月8日、米陸軍が8月30日にJAGMの本格量産への移行を承認したと発表した。
 JAGMのLRIP以降承認のMilestone Cを2018年6月に通過しており、陸軍がAH-64Eに搭載してのIOCを2019年3月、海兵隊はAH-1Z搭載のIOCを2022年3月に宣言している。
 JAGMはAGM-114 Hellfire、AGM-65 Maverick、BGM-71 TOWの後継となる射程8kmの固定翼/回転翼機及びUAV搭載ミサイルで、ゆくゆくは水上及び陸上発射をできるようになっている。
 更にLockheed Martin社は射程を16kmまで延ばした中距離JAGM型の開発も目指している。 (2211-092103)

高速遊弋弾 Jakal
 Northrop Grumman社がAeroVironment社と、プロペラ推進の遊弋索敵弾と突入型TUAVの間を埋める高速遊弋弾Jakalの詳細を公表した。
 機体は全長165cm以下、胴径15.2cm以下、重量29.5kg以下でターボジェットで推進し、10kgの搭載能力を持つ。
 速力483km/h (300 mph) 以上、100km以内のポイントで15分以上任務に就ける。 (2208-061502)

7・2・5・1・2 欧 州

MARSEUS 計画

 EUが米国への軍事的依存度を下げる動きとして、現有の近接戦闘用LOSより遠方 (BLOS) 兵器の能力を高める計画MARSEUSに€25M ($25.6M) を承認した。
 計画はMBDA社のAkeron中長距離ミサイルを元にするもので、開発には数年を要するとみられる。
 MARSEUSの総経費は€27.3Mと見積もられているが残りの€2.3MはMBDA社が負担する。 (2208-072602)

7・2・5・1・3 イスラエル

Ice Breaker

 Rafael社が7月18~22日に開かれるFarnborough航空展で射程300kmのASM Ice Breakerを公表する。
 Ice Breakerは2021年に公表されたSea Breakerのファミリーで、重量350kgと軽量なため、Gripen、FA-50、M-346、F-16のほかPumaヘリにも搭載でき、Gripenあれば6発、F-16であれば7発を搭載できる。 (2208-071301)

AeroSpike

 Rafael社が、固定翼機から発射する軽量ASMのAeroSpikeを公表した。
 AeroSpikeは陸上発射のSpike LR2を元にしており、昼夜間全天候で固定/移動目標を攻撃できる。
 AeroSpikeはSpike LR2が採用したマルチスペクトラム終末誘導、対装甲/破片効果弾頭などを継承する。
 全長177cm、胴径110cm、重量14kgはSpike LR2とほぼ同じであるが、翼端長は48cmに伸び、高度25,000ftで発射すれば30kmの射程を有する。
 CEP≦3ftの精度を持つ。 (2208-052505)

7・2・5・2 UAV 搭載 ASM

Hancher miniPSM(米 国)

 Northrop Grumman社が5月11日、Hancher miniPSMの開発が、完成弾による全行程にわたる試験を完了したと公表した。
 HancherはGroup 3 TUAVから発射された。
 2012年4月に公表されいていたHancherは重量2.72kg、胴径60mm、全長30.1cmで、Group 2~5のTUAVに搭載されるほか、ミサイルの子弾としても使用できる。 (2208-060106)

UAV 装備モジュラー式 ASM の共同開発(インドネシア、トルコ)

 インドネシアとトルコが、UAVに装備するモジュラー式ASMの共同開発で合意したことが、7月に公表された。
 インドネシアはこのASMを国内開発したElang Hitam (Black Eagle) MALE UAVに装備することを考えている。 (2210-080308)

7・2・6 A R M

7・2・6・1 米 国

7・2・6・1・1 AGM-88G AARGM-ER

発射試験

 米海軍が1月下旬にAGM-88G AARGM-ER 2度目の実射試験DT-2をPoint Mugu試験場で実施した。
 試験ではF/A-18FからAARGM-ERがPoint Muguから105km離れたSan Nicolas島に設置された電波源に向け発射された。
 2021年7月19日に行われたDT-1では弾頭を搭載しないテレメータ弾が使用された。
 DT-3~DT5は年内に実施される計画で、F/A-18に搭載してのIOCは2023年9月が予定されている。 (2206-021604)

 米国防総省の武器試験主任が、米海軍のAGM-88G AARGM-ERのfree flight発射試験がF/A-18で2021年7月に行われたことを1月に公開されたことを明らかにした。 (2207-042002)

7・2・6・2 その他諸国

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・3 U A V

7・3・1 HAPS UAV

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・3・2 HALE/MALE/TUAV

7・3・2・1 HALE UAV

7・3・2・1・1 米 国

7・3・2・1・2 欧 州

Eurodrone

 独仏伊西が2月24日に正式にEurodrone計画を開始し、共同軍備協力機構 (OCCAR) が代表となるAirbus社と契約を行った。
 EuroMALEシステムはUAV 3機と地上制御装置2基で構成され、20個システムの生産が計画されている。 (2206-030909)

7・3・2・2 MALE UAV

7・3・2・2・1 米 国

MQ-9B STOL

 GA-ASI社が5月10日、MQ-9B SkyGuardian及びSeaGuardian UAVにSTOL性を持たせMQ-9B STOLに改造するキットを開発したと発表した。
 ただMQ-9BをMQ-9B STOLに改造すると滞空能力は50%低下するという。
 GA-ASIによるとキットの開発は2021年に改良型Gray Eagle Extended Range UAVの開発に続いて行われたが、Majave STOL UAVでは離着陸距離91.4m以下を記録している。 (2208-052508)

MQ-9B SeaGuardian

 MQ-9B SeaGuardianはMQ-9A Reaperの洋上哨戒型で、MQ-9A Reaperの速力、上昇限度、搭載能力を犠牲にして、洋上監視能力、滞空能力を強化している。 (2210-090117)

7・3・2・2・2 そ の 他

Elang Hitam (Black Eagle) (インドネシア)

 インドネシア国営のPT Dirgantara社は2019年に、中国CH-4と良く似たElang Hitam (Black Eagle) MALE UAVを開発した。
 Elang Hitamは全長8.65m、翼端長16m、MTOW 1,300kg、搭載能力300kg、燃料搭載量700㍑で、実用上昇限度7,200m、巡航高度3,000~5,000m、滞空能力30時間以上、戦闘行動半径250km、速力235km/h、巡航速度50~180km/hの性能を持つ。 (2210-080308)

7・3・2・3 TUAV

7・3・2・3・1 米 国

FTUAS Inc 1 に Aerovironment社製 JUMP 20

 米陸軍がRQ-7 Shadow TUAVに代わるVTOL TUAV計画FTUASのInc 1にAerovironment社製のJUMP 20を選定し、1個システムを$8Mで発注した。
 旅団が装備するFTUASには6時間の滞空能力と100kmの航続距離が求められており、JUMP 20システムは地上装置のほかUAV 6機で構成される。 (2209-081909)

 米陸軍がRQ-7B Shadowに代わる滑走路不要なTUAVであるFTUAVのIncrement 1にAeroVironment社製Jump 20を選定し、8月18日に$8Mで1機の契約を結んだ。
 Jump 20は今後旅団戦闘団 (BCT) で実運用による試験を実施する。
 FTUAV Increment 1はRQ-7B Sharowと即換装し運用すると共に、Increment 2の要求策定に向けたデータ収集を行う。 (2212-083103)

DARPA の ANCILLARY VTOL UAV

 米DARPAが軽量、高ペイロード、長期耐久性のVTOL UAVのANCILLARY計画を進めようとしていて、企業からの提案を求めている。 (2210-090709)

7・3・2・3・2 イスラエル

Skylark 3 Hybrid

 Elbit社がSingapore Airshow 2022でSkylark 3 Hybrid UAVを公表した。
 元々のSkylark 3は機体後方のプロペラを電動モータで駆動するプッシャー型であったが、Skylark 3 Hybridは燃費の良い内燃機関を機体前方に配置しハイブリッド化することで、18時間の滞空性能を実現しつつ、電動推進の消音モードで低雑音と低熱放射を実現している。 (2203-021409)

 Elbit社がハイブリッド推進の新型であるSkylark 3 Hybrid STUAVを公表した。
 Skylark 3 Hybridは翼端長4.7m、MTOW 48kgで、上昇限度12,000ft、航続距離120kmの性能を持つ。
 Skylark 3 Hybridは内燃機関で任務空域 (AOI) まで高速で接近し、AOIでは電動で飛行する。
 2基の推進機関を持つことで抗堪性と信頼性が高まる。 (2206-022303)

Trojan hover UAV

 イスラエルのAeronautics Groupoが6月6日新たな分類のUAV unmanned hover planeと称する電池を動力源とするUAVのTrojanを公表した。
 Trojanは12kgまでの搭載が可能で、150km以遠まで2.5時間滞空でき、ISTARに使用できるという。 (2208-061506)

Nitzoz STUAV

 イスラエル空軍がHatzor航空基地で第144大隊を復活させた。 大隊はNitzoz STUAVを装備する。 大隊は航空基地に配置されたが、空輸のほか陸送も可能である。  Nitzozは翼端長4.2m、MTOW 45kgで、12kgの搭載能力と24時間の滞空能力があり、軌条式発射機からの発射のほかVTOLも可能である。 (2210-092116)

7・3・3 UCAV

 2022年に特記すべき記事なし。
7・3・4 mini/micro/nano UAV

 2022年に特記すべき記事なし。
7・3・5 特殊用途 UAV

7・3・5・1 輸送用 UAV

BWUAS (Blue Water Maritime Logostics UAS)(米 国)

 米海軍が海兵隊の兵站支援を自動で行うBlue Water Maritime Logostics UAS (BWUAS) の試験を2022年中頃に開始しようとしている。
 BWUASの航続距離は4.5kgを搭載して300nm以上が必須で、できれば22.67kgで400nmとしている。
 海軍は兵站支援用としてH-60とV-22を装備しているが、補給品の90%は22.67kg以下だという。
 開発はPhase 1がFY22、Phase 2がFY23、Phase 3がFY24と3段階で行われる。
 Skyway社が試作したBWUAS VTOL UASは2021年10月に陸上での試験を実施している。 (2206-033005)

Kargo 4ロータ輸送用 UAV(米 国)

 Kaman社が5月10日にワシントン DCで開かれたModern Day Marine 2022会議で、Kargo 4ロータ輸送用UAVの実大機が予定通り3Q/2022後半に初飛行することを明らかにした。
 Kargoは最大で363kgの搭載が可能で最大速度121kt、航続距離500nm以上の性能を持つ。
 同社は米海兵隊の太平洋地域に於けるForce Design 2030の一翼を担うことを目指している。 (2208-052507)

HLC (Heavy Lift Challene)(英 国)

 英国防省が6月22日、戦域内(艦艦間)及び戦域間(地艦地)でのUASによる空輸計画HLCが8月にPhase 2に移行すると発表した。 (2209-070608)

7・3・5・2 対レーダ UAV

Kargi 対レーダ遊弋索敵型 UAV(トルコ)

 6月9日にエーゲ海で米海軍輸送揚陸艦Arlingtonなど37ヵ国から1,000名以上が参加して行われたEFES-2022演習には、トルコの企業40社以上が参加し各社の製品を展示した。
 Lentatek社は対レーダ遊弋索敵型UAVのKargiを展示した。
 2018年に初飛行したKargiは全国産であるのが売りで、6時間の滞空能力を持つ。
 現在は3Q/2022年まで領収試験段階にあり、年内には量産に移行できるという。 (2207-061102)

7・3・5・3 通信中継用 UAV

SkyTower Ⅱ(米 国)

 米海軍が10月3日、海兵隊のForce Design 2030を支えるため、MQ-9A Block 5-25 Reaperにネットワーク拡張の任 (ANE) に当たらせるSkyTower Ⅱ (ST Ⅱ) ポッドを$8.4Mで発注した。
 SkyTowerは多種の電波形式やデータリンクの情報を共有しようとするもので、ネットワーク網管理ゲートウェイのAN/ASC-43(V)などを備えたST ⅠはFY23末までに装備される。  ST ⅡはST Ⅰの欠陥を捕備したもので、FY26には装備化される。 (2301-101205)

7・3・5・4 仮想敵 UAV

Bandit

 米空軍研究所 (AFRL) がBandit無人仮想敵UAV計画を開始し、3月9日にノースカロライナ州の中小企業Blue Force Technologies社に発注した。
 12ヶ月間の契約額は$9Mであるが、4機生産のオプションがついている。 (2206-032305)

7・3・5・5 潜水艦発射 UAV

Ninox 103(イスラエル)

 イスラエルのSpear社がオランダで開かれた水中防衛展で、潜航中の潜水艦から発進するISR UAV Ninox 103を発表した。
 Ninox 103は昨年バージニア州で行われたTrident Spectre演習で展示され、米国防総省が視察したという。 またイスラエル軍も試験を実施しているという。
 Ninox 103は4ロータのUAVで20ktで飛行し、50分間の滞空能力と10kmの航続距離があり、1kgのペイロードがある。
 試験は水深30mで行われているが、水深50mまでに耐えられるという。 (2207-061101)
【註】潜水艦発射UAVは2007年まで米海軍でもOhio級SSGNに装備する可変形状翼機体のCormorant MPUAVの開発が進められていた。
 また2016~2017年頃にも潜水艦発射UAVを検討していた。

7・3・6 有人機随行 (Loyal Wingman)

7・3・6・1 米 国

7・3・6・1・1 B-21 への随行

 ケンドール米空軍長官が2021年12月9日に開かれたDefense Oneの行事で、B-21 Raiderは最大5機のUAVと連携飛行 (MUM-T) すると述べた。
 B-21の平均単価は$702Mで、空軍はFY22で$2.9Bを要求している。 (2203-122201)

7・3・6・1・2 Loyal Wingman UAV

Gambit ACP

 GA-ASI社が3月3日、Gambitと称するACPを公表した。
 Gambitは高性能ジェット推進UAVで、同社がAvenger MQ-20を用いたSkyborg計画で得た高度なAIや自動装置やOBSSを搭載した遠距離の情報取得などができる。 (2204-030331)

Skunk Works の使い捨て Loyal Wingman 案

 Lockheed Matin社Skunk Works事業所が7月18~22日に開かれるFarnborough航空展を前にした11日、米空軍向けに有人機に随伴する使い捨てのUAVを検討していることを明らかにした。
 米空軍は中国との戦闘が2020年代にも生起する可能性があると見て、できれば3年以内に装備したいとしており、2030年代に更に発展したシステムを考えている。
 ケンドール空軍長官はかねてから度々、F-35やNGAD戦闘機1機に5機のUAVが同伴することを主張している。 (2208-071704)

XQ-58A Valkyrie

 米空軍が11月9日、フロリダ州Eglin AFBの第40飛行試験飛行隊が次世代戦闘機に随伴する自動制御UAV (Loyal Wingman) となるXQ-58A Valkyrieを2機受領し、11月末までに飛行試験を開始すると発表した。 (2212-111010)

7・3・6・1・3 Model 437

 Northrop Grumman社が5月5日に2021年9月に公表した将来UAV(を細身にした新型のイメージ図を公表した。
 公表されていたModel 437は同社の子会社であるScaled Composites社が開発した有人機のModel 401を元にしていた。 (2208-051804)

7・3・6・2 オーストラリア

MQ-28A Ghost Bat

 オーストラリア自由党が5月15日、2024-25年にMQ-28A Ghost Bat 10機をAUD454M ($319.6M) で調達すると発表した。
 Ghost Batについては2017年以来AUD150Mが投入されている。 (2208-060111)

 Boeing社がオーストラリアで開発しているLayal Wingmanの名称をMQ-28A Ghost Batとした。
 命名式典は3月21日に豪空軍Amberley基地で行われた。
 Ghost Batの開発にオーストラリアは2017年以来AUD150M ($111.17M) を支出している。 (2206-033011)

7・3・6・3 イギリス

 2023年に特筆すべき記事はなかった。
7・3・6・4 インド

CATS Warrior

 インドHAL社が2024年の初飛行を目指したLoyal Wingman CATS Warriorを開発している。  航続距離700kmで双発自動UCAVのCATS Warriorは2018年に計画が開始され現在は風洞試験段階にある。 (2207-040605)

7・3・7 UAV 活用技術

 2023年に特筆すべき記事はなかった。
7・4 D E W

7・4・1 殺傷型 DEW

7・4・1・1 対舟艇攻撃

艦載対空レーザでの対舟艇攻撃

 ドック型輸送揚陸艦Portlandが2021年12月14日にアデン湾でHEL兵器の試験を実施した。
 PortlandはソリッドステートレーザLWSD Mk 2 Mod 0を用いて水上の固定標的に対しレーザ照射を行った。
 Portlandは2020年5月に太平洋でLWSDを用いて小型UAVの無力化に成功している。
 LWSDの前身であるLWSは前方洋上基地艦Ponceに装備されて中東に配備されていた。 (2204-010506)

7・4・2 非殺傷型 DEW

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・4・3 DEW 支援

DEUCE (Directed Energy and Kinetic Energy Directed Energy Utility Concept Experiment)

 米空軍研究所 (AFRL) が1月24~28日に、DEWの活用を視野に入れた3回目の図上演習DEKE DEUCE (Directed Energy and Kinetic Energy Directed Energy Utility Concept Experiment) をKirtland AFBで行った。
 今回の演習ではDEWと在来型兵器の併用を想定している。 (2203-021408)

7・5 爆弾、弾頭

7・5・1 在来型爆弾

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・5・2 弾 頭

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・5・3 誘導爆弾

7・5・3・1 

7・5・3・1・1 GBU-31 QUICKSINK 対艦 JDAM

第2回投下試験

 米空軍研究所 (AFRL) が低価格対艦空投兵器Quicksinkの詳細を明らかにした。
 QuicksinkはWOSAシーカをGBU-31/B 2,000-lb JDAMに取り付けたもので、同じくJDAMを元にしたQuickstrike機雷とは別物である。
 Quicksinkの最初の試験は2021年8月にF-15E 3機で移動/固定目標に対して実施されており、2回目の試験をメキシコ湾で実施する計画である。 (2206-032304)
 米空軍研究所 (AFRL) が4月28日に対艦仕様のGBU-31 2,000-lb JDAMであるQUICKSINKのF-15Eによる投下試験をメキシコ湾で実大洋上標的に対し実施した。
 この試験は2回目で、最初の試験は2021年8月に擬製弾を用いて行われていた。
 QUICKSINKは洋上の固定及び移動目標に対し使用されるもので、GBU-24のようなレーザ誘導ではなくGPS誘導を使用している。 (2206-050504)

 米空軍研究所 (AFRL) が海軍と共同で行っている2,000-lb対艦誘導爆弾GBU-31(V)1B Quicksink初の、移動実大船舶標的の撃沈試験に成功した。
 Quicksinkは投弾距離24kmのJDAMを元にしたものだが、同じくJDAMを使用した機雷Quickstrike とは別物である。 (2208-051801)

7・5・3・2 誘導爆弾群

開発設備等の整備

 米空軍がGolden Horde爆弾群計画を進めるためフロリダ州Eglin AFBのGuided Weapons Evaliation Facilityに設置する新GPSシミュレータBroadSim WavefrontをOrolia社に発注した。
 Golden Hordeは空軍研究所 (AFRL) がVanguard計画に掲げる4件の開発計画の1つで、初の投下試験が2020年12月に行われた。
 試験では2発のCSDBがF-16から投下されたが搭載されたプロセッサのソフトの不具合から、最優先に設定された目標に向かえず別の目標が再指定された。 (2203-021617)

7・5・4 巨大爆弾

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・5・7 侵徹爆弾

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・5・6 核爆弾/弾頭

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・6 電子戦

7・6・1 電子戦全般

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・6・2 電子戦装置

7・6・2・1 航空機搭載

7・6・2・1・1 NGJ (Next Generation Jammer)

ALQ-249 NGJ-MB の納入開始

 米海軍が8月8日、Raytheon社が7月7日にALQ-249 NGJ-MBの納入を開始したと発表した。
 NGJ-MBはALQ-99の後継としてEA-18G Growlerに搭載されるEW装置で、海軍は2023年後半でのIOCを目指している。
 NGJ-MBはALQ-99より高出力で、複数目標への同時妨害が可能という。
 米海軍は8月に、ALQ-249(V)1 NGJ-MBの能力を向上させ帯域幅を広げたMB2の開発をRaytheon社に発注することを明らかにしている。 (2211-082404)

7・6・2・2 艦 載

7・6・2・2・1 取り付け型

AN/SLQ-32(V)7 SEWIP Block 3

 Northrop Grumman社がArleigh Burke級駆逐艦やフリゲート艦などの小型艦に搭載する小型のSEWIP Block 3の研究開発を行っている。 (2202-011002)
【註】SEWIPは、米海軍艦で広く装備されている電子戦装置のAN/SLQ-32の後継となる電子戦装置AN/SLQ-32(V)7で、SLQ-32の能力向上型であるBlock 1から、EO/IR対処能力を具備したBlock 4までが計画されている。

 対艦ミサイル防護のための艦載電子戦装置SEWIPを開発してきたNorthrop GrummanがArleigh Burke級駆逐艦に装備するSEWIP Block 3を製造している。 (2208-071510)

7・6・2・2・2 射出型

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・6・2・3 地上配備用

7・6・2・3・1 TLS (Terrestrial Layer System)

TLS-BCT (TLS-Brigade Combat Team)

 米陸軍が7月13日、Lockheed Martin社に旅団装備電子戦装備TLS-BCT開発のproof-of-concept段階を$58.9MのOTAで発注した。
 契約は2023年10月までで、Lockheed Martin社は試作機3基を納入する。
 陸軍は遅くとも4Q/FY23には試験を開始する計画である。
 TLS-BCTはSIGINT、EW、サイバ戦装置を車載したもので、防護と状況把握に使用する。 (2208-071511)

TLS-EAB (TLS-Echelon Above Brigate)

 米陸軍が、旅団より高位の部隊が装備する電子戦装置TLS-EABの概念設計段階を、Lockheed Martin社とGD社に$15Mで発注した。
 開発全段階には$163Mかかるとみられている。
 TLS-EABは旅団戦闘団が装備するTLS-BCTと連携して任務に当たる。 (2209-081903)

7・6・3 GPS 電子戦

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・6・4 ステルス

 2022年に特筆すべき記事はなかった。
7・6・5 EMP / HPM

HiJENKS (High-Powered Joint Electromagnetic Non-Kinetic Strike Weapon)

 米海軍研究本部 (ONR) と空軍研究所 (AFRL) が5年間にわたり共同で進めてきたHPM UAV計画HiJENKSが、この夏に2ヶ月間行われる試験を持って完了する。
 HiJENKSは空軍が開発したCHAMPの後継で、より小型の機体にCHAMPを発展させた装置を搭載している。 (2208-070114)

【註】CHAMPの開発は2009年から Beoing社が行った。
 CHAMPの弾頭は、HE のまわり にコイルが巻いてある構造で、HE が破裂すると強力なパルス状のマイクロ波を発生する。
 現在は HPM を発生するとミサイル自身も破壊されるが、一回の飛行で何回もの HPM 放射をするのが究極の目標である。
 CHAMPの機体にはJASSM-ERが考えられていた。

7・7 情報取得

7・7・1 偵察衛星

7・7・2 偵察機,哨戒機

7・7・2・1 米 国

7・7・2・1・1 Artemis

 ウクライナとの国境近くでのロシア軍の動きを、米陸軍の高高度偵察機が監視している。
 このISR機はBombardier社製Challenger 600を元にしたArtemisで、黒海からバルト海の上空41,000ftを飛行し、地平線までの250哩の偵察を行っている。
 Artemisは3月末までにBombardier社製Global 6000を元にしたARESと交代する。
 ARESは51,000ftまで上昇し275哩までを監視できる。 (2205-020703)

 米陸軍でBombardier社製Challenger 650機を元に開発中のARTEMISの試作機が2月1日~21日に14ソティー、対潜哨戒機やISR UAVと共にウクライナ周辺の情報収集を行った。
 ARTEMISはELINT装置と地上走査レーダを搭載しており、敵の戦車等の動きをリアルタイムで監視しながらRF情報も取得できる。 (2203-022212)

7・7・3 その他の情報取得システム

7・7・3・1 ABMS (Advanced Battle Management System) (米 国)

 米空軍が2030年代初期を見据えたABMS構成のためのRfIを発簡した。 このRfIは2024年に開始される計画の資を得るためのものである。
 ABMSは空軍が掲げる7大必須事業の一つになっている。 (2203-021407)
7・7・3・2 TITAN (Tactical Intelligence Targeting Access Node) (米 国)

Phase Ⅱ へ移行

 米陸軍が6月28日、TITAN計画のPhase ⅡをPalantir社とRaytheon社にそれぞれ$36Mで発注したと発表した。
 TITANはLOS外の目標情報を得るため、戦場にセンサを連接するシステムで、Phase Ⅰは2021年1月に発注していた。
 14ヶ月間のPhase Ⅱでは試作までを行い、その後1社に絞り込む。 (2207-062901)

7・7・3・3 超広帯域リモートセンシング (米 国)

 米NROが間もなく商用の超広帯域リモートセンシング装置のRFPを発簡する。
 NROの商用システム室副部長のパニック氏が11月3日に開かれたCyberSatGov会議で明らかにしたもので、超広帯域リモートセンシング装置のRFPは9月にNROが行ったRFリモートセンシング装置の契約と同様に、各軍が運用している衛星の活用を目指していると述べた。 (2212-110317)


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