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4・ 東アジア諸国

4・1 中 国

4・1・1 世界制覇の国家目標

4・1・1・1 一帯一路構想

4・1・1・1・1 一帯一路の推進

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・1・1・2 金貸し外交

スリランカ

 スリランカのラジャパクサ大統領が1月9日、コロンボで中国の王毅外相と会談し、大統領府の声明によるとCOVID-19感染拡大に伴う経済危機を理由として、債務返済計画を再考してもらえれば非常に安心すると、返済計画の再考を嘆願した。
 巨大経済圏構想「一帯一路」の下で進出する中国への莫大な債務を負ったスリランカが返済に行き詰まり、既に南部ハンバントタ港を中国国営企業に99年間租借させる事態に発展し、中国の「債務の罠」にはまったと指摘されていた。
 ロイタ通信によれば、スリランカが今年償還すべき対外債務は$4.5Bで、うち1割程度が対中債務とされる。
 AFP通信によると、スリランカの外貨準備高は2021年11月末で$1.5Bと輸入の1ヵ月分を賄う程度しかなく、12月にはイラン産原油の代金$250Mを紅茶で支払うことで合意していた。 (2202-011304)

中国のアフリカ融資で新たな世界金融危機

 ショルツ独首相が5月27日、中国がアフリカを中心とする貧困国で盛んに行ってきた融資は深刻な危険をもたらし、新たな世界金融危機を引き起こしかねないと警告した。
 ショルツ首相は「Global South(南半球を中心とする途上国)で次に起きる大規模な債務危機は、中国が世界中で行ってきた融資が引き金になるだろう。
 当事国があまりに多いために全体像が見えず極めて危険で、そうした事態になれば中国もGlobal Southも大規模な経済金融危機に陥り、それ以外の地域も影響を免れない。」と述べた。 (2206-052807)

4・1・1・1・3 東南アジアへの進出路確保

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・1・1・4 少数民族の人権問題

国連小保方智也特別調査官の報告書

 国連で現代的形態の奴隷制を担当する小保方智也特別調査官が8月16日に発表した報告書で、中国の新疆ウイグル自治区で少数民族が農業や製造業などの分野で強制労働に従事させられており、人道に対する罪としての奴隷制に相当する可能性があると指摘した。
 小保方氏は報告書で、シンクタンクやNGOの報告や被害者の証言に基づき、二つの「国家から課された制度」で強制労働が起きたとし、一つは少数民族を拘束して職業研修を課す職業技能教育訓練所制度、もう一つは、農村部の労働者を第2次・第3次労働に移行させる貧困削減政策だとした。
 中国政府は、新疆ウイグル自治区で100万人以上のウイグル人やその他のイスラム系少数民族を拘束し、強制労働をさせたり、女性に対する避妊手術を強制したりしていると非難されている。
 これを受け、中国外務省の汪報道官は17日、小保方調査官が「米国や反中勢力によって作られたうそや偽情報を信じることを選んだ」と非難し、少数民族の権利は守られていると主張した。 (2209-081804)

国連人権高等弁務官事務所の報告書

 国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) が8月31日、中国の新疆ウイグル自治区に関する報告書を公表し、少数民族ウイグル族などに対する恣意的で差別的な身柄拘束は人道に対する犯罪に相当する可能性があると指摘した。
 更に、中国政府がテロ対策や過激派対策として、新疆ウイグル自治区で深刻な人権侵害を行っているとした。
 この日に4年の任期を終えて退任したバチェレ国連人権高等弁務官は、5月の新疆ウイグル自治区訪問時には中国に対して弱腰との批判を浴びていた。 (2210-090105)

 グテレス国連事務総長報道官が定例記者会見で9月1日、国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) が中国新疆ウイグル自治区で「深刻な人権侵害が行われてきた」と指摘した報告書について、報告書で示された勧告を「中国政府が受け入れるよう事務総長は強く望んでいる」と述べた。
 中国の国連代表部報道官は1日、一部の欧米勢力の圧力と干渉により、国連事務局は欧米の政治的利益を図るための道具に成り下がったと批判する声明を発表した。 (2210-090305)

国連人権理事会で否決

 国連人権理事会が10月6日の定例会合で、中国新疆ウイグル自治区での人権侵害問題について、2023年2月に始まる次期定例会合で討議するよう求めた欧米主導の動議を反対多数で否決した。
 動議には47理事国のうち、中国やパキスタン、セネガルなど19ヵ国が反対し、ブラジルやインド、ウクライナなど11ヵ国は棄権したため、賛成は日本を含む17ヵ国にとどまった。
 国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) は8月31日に報告書で、同自治区でウイグル族らに対して深刻な人権侵害が行われていると指摘し、これに中国は猛反発していた。 (2211-100703)

チベット自治区で大規模抗議デモ

 中国のチベット自治区で起きたCOVID-19対策への抗議デモとみられる映像がSNS上で拡散している。
 少数民族への監視が厳しいチベット自治区で、大規模デモが起こるのは異例である。
米政府系メディアなどは、参加者は数百人に上り警察と衝突が起きたと報じている。 多くは漢族の出稼ぎ労働者で、「家に帰りたい」と訴えていたという。 (2211-102805)

4・1・1・2 海軍の活動

4・1・1・2・1 西太平洋への進出

進出航路の確保

 中国海軍が日本南方や台湾東方の海域で艦艇が常時展開する態勢を整え、将来戦場になりうる両海域に焦点をあて海軍力を大幅に増強している。
 日米台国の国防関係者によると、中国PLA海軍は少なくとも6ヵ月前から南西諸島最南端の東側および南側に駆逐艦と小型ミサイル艦を展開させている。
 中国海軍はこの1年、南西諸島と台湾の間の海域でプレゼンスを拡大してきた。
 米国防総省高官によると、現在艦艇1隻が常駐し、多くの場合もう1隻が随行しているという。 (2202-012515)

空母 遼寧 がグアム西方海域まで南下

 統合幕僚監部が12月28日、中国海軍の空母遼寧が太平洋上で活動を継続し、23~25日にはグアム西方まで南下したと発表した。
 17~27日の艦載戦闘機やヘリの離着艦は260回にのぼった。
 防衛省によると、遼寧は16日にほかの艦艇とともに沖縄本島と宮古島の間を抜けて太平洋に入ったのち、沖縄の東方から南方を移動し、グアム近くまで航行した後、26日以降は北上した。
 27日午後8時ごろには、沖大東島の東270kmで駆逐艦や高速戦闘支援艦などとともに確認されている。 (2301-122812)

4・1・1・2・2 海外拠点の確保

ジブチ共和国の中国軍基地

 中国艦がジブチ共和国のドラレ港にある中国軍基地に初めて現れた。
 同基地は2016年3月に建設が始まり2017年に完成していたが、これまで中国艦が入港したことはなかった。
 AFPの取材で米国の軍事専門家サットン氏は、今回入港したのは排水量23,00tのType 903A補給艦駱馬湖だと指摘している。
 サットン氏によると中国海軍が同地域で海賊の取り締りを行うとともに、欧米の戦艦による活動を監視している。 同地域で展開している艦隊は駆逐艦とフリゲート艦で編成されており、将来はより大型の戦闘艦が加わる可能性があるという。 (2204-033009)

 Maxar衛星がジブチの海軍基地を撮影した画像に60m級の揚陸艦が写っていた。
 衛星画像からするとこの艦は4月7日にベトナムダナンのSong Thu造船所で撮影されたベトナム海軍が4隻保有しているDamen Stan Lander 5612補給艦のようで、5月9日~14日の間にジブチに到着した模様である。
 ジブチ海軍は2021年11月に、Damen 5006長距離哨戒艦2隻と中国のType 074を元にしたと見られる揚陸艦1隻を受領している。
 一方8月12日にジブチにある中国の海軍基地を民間衛星として初めて撮影した画像には、飛行甲板に989と記されたType 071揚陸艦Changbai Shan玉昭)が写っている。 Changbai Shanは5月18日に中国が派遣した第41護衛戦隊の所属ではない。
 第41護衛戦隊はType 052D駆逐艦、Type 054Aフリゲート艦、Type 903A補給艦の各1隻で編成されている。 (2212-083104)

カンボジアのリアム海軍基地

 Washington Post紙が6月6日、カンボジアのリアム海軍基地に中国軍が独占活用できる基地が建設されると報じた。 9日に中国代表団が参加して起工式が開かれるという。
 Wall Street Journal紙は2021年、中国とカンボジアが現在埠頭が1つのリアム海軍基地に2つ目の埠頭を建設し、北側の基地を中国が独占使用する契約を結んだと報じた。
 この契約には、海軍基地に中国軍が駐留し、中国艦が停泊するほか、武器を貯蔵することをカンボジアが認める内容を含んでいる。
 特に、基地を30年間中国が独占使用し、その後10年ごとに使用許可を自動更新できる内容が含まれたという。
 中国の海外拠点基地の構築は、アフリカのジブチ共和国に続き2ヶ所目だが、中国は大西洋沿岸の赤道ギニアと南太平洋のソロモン諸島にも軍事基地の構築を進めていて、この構想が実現すれば、中国は大西洋で地中海とインド洋をつなぐスエズ運河とアデン湾、南シナ海と太平洋を連結する海上基地を構築する。 (2207-060803)

 カンボジアと中国が6月7日、カンボジアに中国海軍専用の秘密施設が建設されているとの米紙報道を否定した。
 7日のカンボジア政府の発表によると、ソコン副首相兼外相はペウォン豪外相との電話会談で「根拠のない言いがかりだ」と報道を否定した。
 政府報道官も先にAFPに対し、新施設の建設は「秘密」ではないと説明し、「政府は、中国軍がわれわれの軍事基地を独占的に使用したり、開発したりすることを認めない」と語った。
 中国外務省報道官はこの日、基地をめぐる米国の主張はカンボジアを攻撃中傷するための「悪意に基づく臆測」だと非難した。
 タイ湾に面した戦略的重要拠点であるカンボジアのリアム海軍基地をめぐっては、米政府は以前から軍事拠点網を整備し国際的な影響力の拡大を企図する中国向けに改修が行われているとみている。 (2207-060809)

4・1・1・2・3 外洋活動

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・1・3 海軍陸戦隊の強化

4・1・1・3・1 

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・1・4 海警局の強化

4・1・1・4・1 権限の強化

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・1・4・2 装備の充実

海軍艦の転用

 中国国内複数の造船所で海軍のフリゲート艦12隻を中国海警局の警備艦に転用するための改修が進められているという情報が、海外の情報機関から海上保安庁に寄せられたことが関係者への取材で分かった。
 転用はこれまでも確認されていて、フリゲート艦に搭載されていたミサイルは撤去された一方、76mm砲、射撃管制レーダ、機関砲などは装備されたままという。
 中国Weiboなどには昨年から1月にかけ、中国海軍の艦艇が海警局の船として塗装されたなどとする画像が、複数掲載されている。 撮影日時や撮影者は不明だが、海上保安庁は形状から中国海軍のType 056フリゲート艦を海警局艦に転用するため改修されているものと見ている。
 12隻の改修は短期間で完了して就役する可能性があるほか、将来は20隻余りが転用される計画とみられる。 (2203-020108)
【註】記事ではType 056をフリゲート艦としているが、同級は一般にフリゲート艦より小型のコルベット艦に位置づけられている。
 中国では今までも海軍艦を武装をそのままにして海警局の警備艦にしている。
 ただ従来は退役になった旧式艦が改造されていたのに対し、Type 056は2021年に最終艦となる72番艦が就役した比較的新鋭艦である。

 中国誌の「海軍と商船」が、海軍のType 056コルベット艦の対潜型であるType 056Aを海警局の警備艦に改造中とする記事を報じた。
 Type 056は一番艦が2013年2月に就役しType 056が22隻、Type 056Aが50隻建造されたが、2019年12月に建造を終了し役割を大型艦に移していた。
 改造ではミサイルと魚雷発射管が撤去されるが、76mm主砲と30mm機関砲は残される。
 海軍の戦闘艦を海警局の警備艦に改修するのは今回が初めてではなく、2007年3月に2隻が改修されている。 (2203-022007)

 中国共産党機関紙人民日報系の環球時報が9月16日、中国海軍のコルベット艦が中国海警局に移管され、3隻が海警の訓練に参加したと報じた。海警の「第2海軍」化が一層進んだ。 (2210-091617)
【註】中国が海軍艦を塗装し直して海警局の警備艦とするのはかねてから行われており、2015年にはType 053フリゲー艦を転用することが報じられ、2016年にはType 054フリゲート艦を元にした76mm砲搭載の警備艦Type 818が報じられている。

4・1・1・5 海外軍事拠点の建設

4・1・1・5・1 

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・1・6 ロシアとの連帯

2021年に陸海軍も初めて実施

 中国国防省が2021年11月19日、中国空軍とロシア空軍が日本海及び東シナ海上空で合同演習を実施したと発表した。
 この演習は2021年に両国軍が行った3回目の合同演習で、H-6K 2機とTu-95 2機が参加した。
 2021年10月には初めて、両国海軍がそれぞれ5隻ずつを参加させた巡航を日本東岸の西太平洋で実施し、2021年8月には両国陸軍が寧夏回族自治区の青銅峡演習場でSibu/Interaction 2021演習を初めて中国国内で実施している。 (2203-120106)

4・1・1・7 友好国の取り込み

4・1・1・7・1 中央アジア諸国

カザフスタン

 中国の習国家主席が2月5日にカザフスタンのトカエフ大統領と北京で会談した。
 中国外務省の発表によると、1月に起きた騒乱を制圧して権力を完全に掌握したトカエフ大統領に対し、習主席は必要な支援を行う用意があることも伝えた。
 中国にとって、カザフスタンは一帯一路の要衝でもあり、習主席は地域安全保障についても意思疎通を強化したいとした。 (2203-020506)

4・1・1・7・2 中東諸国

 欧米メディアがで相次い、中国新疆ウイグル自治区からアラブ諸国に移住したウイグル人が現地で拘束されたり、中国に強制送還されたりする事案を報じている。
 欧米メディアや亡命ウイグル人の組織「世界ウイグル会議」の幹部は、UAEにブラックサイトと呼ばれる中国の秘密収容所がある可能性も指摘している。
 英Sky News TVは2月9日、中国の要請によりアラブ諸国で拘束されたり、中国に強制送還されたりしたウイグル人は2001年以降で290人以上にのぼるとの推計を報じた。
 UAEのほか、エジプト、モロッコ、カタール、サウジアラビア、シリアが中国のウイグル人弾圧に加担していると分析した。
 中国が経済的につながりの深いアラブ諸国に拘束や送還を要請しているもようである。 (2203-021406)
4・1・1・8 インフラの支配

4・1・1・8・1 5G 通信の主導

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・1・8・2 全地球測位システムの構築

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・2 経済低迷下の国防費増大

4・1・2・1 経済低迷の低迷

4・1・2・1・1 GDP 成長率

2021年の成長率

 中国国家統計局が1月17日発表した2021年10~12月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質で前年同期比4.0%増となった。
 7四半期連続のプラス成長だが、成長率は7~9月期(4.9%)から縮小した。 前期比では1.6%増で、2021年通年のGDPは前年比8.1%増だった。
 成長率は2011年の9.6%以来の高い伸びだが、COVID-19感染拡大が深刻化した2020年が2.2%増にとどまった反動が大きい。 (2202-011703)

2022年の成長目標を5.5%

 中国の国会に当たる第13期全国人民代表大会(全人代)第5回会議が5日午前に北京の人民大会堂で開幕した。
 李克強首相が今年の経済成長目標を5.5%前後とする方針を示した。
 2021年の成長率は8.1%で「6%以上」とした目標を達成したが、2022年は雇用安定、民生保障、リスク防止の必要性を考慮し、過去2年の成長率の平均値にとどめた。 (2204-030508)

1~3月期の GDP 伸び率は4.8%

 中国国家統計局が4月18日に発表した1~3月期のGDPは、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年同期比4.8%増加した。
 4.0%増だった前期から加速したが中国政府が今年の成長率目標として掲げる5.5%前後を下回っている。 (2205-041805)

4・1・2・1・2 グローバル資本の中国離れ

コロナ封鎖と親プーチン政策を敬遠

 中国の厳しいゼロコロナ政策をはじめとする一方的な反市場政策と地政学的対立をめぐる懸念で、グローバル投資家たちの中国離れが続いているという分析が出てきた。
 2022年に入って海外投資家の離脱の加速化により、中国金融市場は変動性が大きくなっている。
 中国が、ウクライナに侵攻したロシアをかばって支援することも、海外投資家の離脱を煽ったという分析もある。
 Wall Street Journal紙によると、2~4月の中国債券市場だけで$45.03Bが流出した。
 中国証券市場の代表的指数であるCSI300は、この17ヵ月間に前の高値から27%下落し、米S&P500指数の下げ幅の26%を上回った。
 グローバルファンド情報会社EPFRは今月初めに発表した報告書で、世界新興市場の株式やファンドの中国市場の割合が3年ぶりに最低水準に落ちたと明らかにした。 (2208-071907)

4・1・2・2 国防費の増大

2022年国防予算は7.1%増

 中国の国会に当たる第13期全国人民代表大会(全人代)第5回会議が5日午前に北京の人民大会堂で開幕した。
 李克強首相が今年の経済成長目標を5.5%前後とする方針を示した。
 これに対して国防予算は前年比7.1%増の1兆4,504億5000万元(26兆3,000億円)と、経済成長目標を大幅に上回る伸びを確保し、習主席が掲げる「強軍」路線の継続が明確に示された。 (2204-030508)

 防衛白書によると中国の国防費は過去10年間で2.2倍、30年間で39倍に増え、2022年度の24.7兆円にのぼり、日本の防衛費の4.6倍に相当する。
 総額ベースでは世界一の米国に次ぐ規模である。
 白書では核戦力の拡大に警鐘を鳴らした。 (2209-081701)

 1972年の日中国交正常化から50年を経て、中国は増大した国力をてこに軍事力を強化し、国防費は約90倍に拡大した。 (2210-092604)

世界第2位の2021年中国国防費$293B

 韓国国防技術振興研究所が「2022世界防衛産業市場年鑑」で9日、2021年の世界の国防費が$2.113で2020年より7%増えたことを明らかにした。
 米国が$800Bで圧倒的に多く、中国$293B、インド$76B、英国$68B、ロシア$65が後に続いた。 日本は$54Bで9番目、韓国は$50Bで前年同様10番目だった。
 一方2017~2021年の世界武器輸出市場では米国が全体の39%で最も多く、ロシア19%、フランス11%、中国4.6%、ドイツ、イタリア3.1%、英国2.9%などと続き、韓国は2.8%で8番目に多かった。 (2301-120913)

4・1・3 共産党支配体制維持の努力

4・1・3・1 習近平独裁体制の確立

第20回中国共産党党大会

 10月16日に開幕した中国共産党の第20回党大会が22日、習近平総書記(国家主席)の権威を確立する文言を盛り込んだ党規約改正案を採択して閉幕し、習総書記の3期目入りが確定した。
 閉幕式では、新たな指導部を構成する中央委員らを選出した。 次期最高指導部は、23日にも開かれる第20期中央委員会第1回総会(1中総会)で発足する。
 ロイタ通信によると、新たな党規約には、習氏の地位と思想に忠誠を誓うスローガン「二つの確立」が盛り込まれた一方、毛沢東に使われた呼称「領袖」が習氏に適用されて規約に書き込まれるという観測や、習総書記の思想が「毛沢東思想」に並ぶ形で「習近平思想」として明記される案、更に絶大な権力を持つ「党主席」制の復活も関心を集めていたが、見送られたもようである。 (2211-102209)

4・1・3・2 国内反対勢力への弾圧

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・3・3 在外自国民への弾圧

中国領事館が、デモ参加者を引きずり込み暴行

 クレバリー英外相が10月19日に中国の公使を召喚し、マンチェスターで抗議デモを行っていた香港民主派の男性が中国領事館の敷地内に引きずり込まれたうえ、職員から殴る蹴るの暴行を受けた事件について容認できないとの考えを伝えた。
 同外相は警察の捜査結果が出た後、さらなる対応を取る可能性を示唆した。 (2211-102113)

総領事以下む6人の中国当局者を国外追放

 クレバリー英外相が12月14日、マンチェスターの中国総領事館で中国の習国家主席に反対する抗議活動に参加していた男性が敷地内に引きずり込まれ暴行を受けた事件を巡り、中国は英政府が事情聴取を求めていたマンチェスター総領事も含む6人の当局者を国外退避させたことを明らかにした。
 問題の事件は10月16日に発生した。 中国共産党大会の開幕に合わせて在英香港人など30~40人が抗議活動を行っていたところ、男性1人が中国総領事館の敷地内に引きずり込まれ、複数人から暴行を受けた。
 クレバリー外相によると、事情聴取を行うため英警察は6人の中国当局者の外交特権の放棄を要請したため、中国は総領事を含む当局者を英国から退避させた。 (2301-121502)

世界で100ヵ所以上の警察署を開設

 マドリードを拠点とする人権活動団体Safegard Defendersが9月に、中国政府が世界各地に開設しているいわゆる海外警察署が全世界54ヵ所に存在することを明らかにしたが、Safegard Defendersはその後、新たに48の海外警察署が中国により運営されている証拠をつかんだという。
 「巡回と説得 (Patrol and Persuade)」と題した最新の報告書は中国の海外警察がイタリア、クロアチア、ルーマニアなど複数の欧州諸国と実施する合同取り締まり活動の役割について検証している。
 CNNが入手した最新の報告書によると、中国は亡命した中国人に対する監視や嫌がらせ、場合によっては送還を行う目的でこうした警察署を設置し、国境を超えたプレゼンスを確保しようと欧州やアフリカ諸国と締結した二国間の安全保障協定を利用しているという。
 2015年以降の歴代政権下で中国と二国間安全保障協定を結んできたイタリアでは、イタリア警察は2016~2018年に中国警察と合同パトロールを複数回実施したが、自国内で行われているとされる活動が明るみに出てもほとんど口を閉ざしたままである。
 Safegard Defendersによれば、中国は南アフリカにも足がかりを得てきた。 さらに、近隣諸国とも南アフリカと同様の協定を結んでいる。 (2301-121007)

4・1・3・4 大規模な抗議活動

 中国のゼロコロナ政策への抗議の動きが広がり上海では習主席の退陣を求める声があがっており、11月26日の深夜から27日未明にかけて行われたとみられる抗議活動の映像では、「共産党退陣! 習近平退陣!」と公然と習近平政権の退陣を求めている。
 また、北京でも抗議が行われ、集まった市民はゼロコロナ批判のほか、「自由や人権が欲しい」と訴えるなど、習政権の政治姿勢にも矛先が向けられている。 デモは未明にいったん解散した。
 この他、広州や成都など他の都市でも抗議活動が行われたとする映像がSNSに投稿されている。 (2212-112804)

 中国で厳しいCOVID-19規制に対する抗議活動が行われ、11月27日までに北京を含む各都市に拡大し、上海では同日夜に数百人のデモ参加者と警察が衝突した。 同様の抗議デモは中国の複数の都市に広がり、3日目を迎えている。
 新疆ウイグル自治区のウルムチで発生した火災をきっかけに怒りが渦巻き、中国指導部を非難する声も上がっている。 (2212-112807)

4・1・4 欧米との対立

4・1・4・1 G7 外相会合が対中共同声明

 ドイツ西部ミュンスターで開かれた主要7ヵ国 (G7) 外相会合が11月4日、中国に武力を用いた威嚇やその行使を控えるよう求め、台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて強調する共同声明を発表して2日間の日程を終えた。
 一方、同じ日にショルツ独首相が訪中しており、ドイツが安全保障よりも最大の貿易相手国である中国との経済協力を優先するのではないかとの懸念も高まっており、対中姿勢を硬化させつつある西側同盟国間の分裂を招く恐れもある。 (2212-110426)

 ショルツ独首相が11月3日付の独Frankfurter Allgemeine紙への寄稿で、「現在の中国は5年前、10年前と同じではない。
 中国が変わったなら、われわれの対応も変わらねばならない」と、対中方針の転換を宣言した。
 4日に中国を訪問したショルツ首相は、今回の訪中に経済界の代表団も同行することから対中依存を強めるものだという批判が出ているため、中国に対して厳しい姿勢を強調したとみられる。 (2212-110418)

4・1・4・2 ウクライナ戦争への対応

4・1・4・2・1 中国の立ち位置

対露制裁が自国に影響を及ぼす場合には報復

 中国外務省によると、王毅国務委員兼外相がスペインのアルバレス外相との電話会談で3月15日、ロシアのウクライナ侵攻に対して西側諸国が行なっている対露制裁が、自国に影響を及ぼす場合には報復すると警告した。
 王毅外相は中国は、ロシアとウクライナ危機の当事者ではないとも語った。
 王毅外相は、ロシアとウクライナ間の紛争は、数年間蓄積されてきたヨーロッパの安保矛盾が招いた結果だと語った。 (2204-031612)

4・1・4・2・2 ロシアのウクライナ侵攻からの教訓

国際銀行間通信協会 (SWIFT) からの締め出し対策

 米英加EUがロシアを国際銀行間通信協会 (SWIFT) から締め出すことを発表したことを受け、将来は中国にも同様の手段が取られる可能性が話題となっている。
 米国に拠点を置く中国語メディアの多維新聞は、今回の措置がロシアを欧米など主要国の経済から完全に切り離すものであるとし、中国は欧米諸国が同様の手段を中国に適用することに備え、人民元の国際化を推進する必要性を主張している。 (2203-022809)

4・1・4・3 経済体制の不整合

中国国有5社、米上場を廃止

 中国石油化工や中国石油天然ガスなど中国の国有企業5社が8月12日、米国の株式市場での上場廃止を申請すると発表した。
 他に上場廃止方針を表明したのは、中国人寿保険や中国アルミニウム、中国石化上海石油化工で、各社は今月下旬以降にニューヨーク証券取引所の米国預託証券 (ADR) の上場廃止に向けた手続きを順次進める方針という。
 米国市場に上場する中国企業は、米当局から厳格な会計監査の受け入れを求められており、上場廃止により内部情報の開示を回避するためとみられる。 (2209-081301)

4・1・5 謀略活動

4・1・5・1 対外工作活動

英議員らへの献金で政治介入

 英メディアが1月13日に、英情報局保安部 (MI5) が、中国共産党工作員の女性が英議員らに対し、献金を通じて政治的な介入を行っているとして議会に異例の警告を発したと報じた。
 MI5はこの女性について、中国共産党で宗教や少数民族政策を担当する中央統一戦線工作部と連携して活動していると指摘し、同部が人権問題などを巡る英政界の対中批判をかわしたり、親中派の勢力伸長を図ったりしようとしていると警戒を促した。
 BBC放送などによると、女性は労働党のガーディナー下院議員に対して£420,000(6,500万円)を献金した。 (2202-011401)

対外宣伝

 中国PLA東部戦区司令部が、台湾問題について米国が偽情報を流しているとして、5月4日に海軍の公式SNSで、CIWS訓練、主砲の射撃訓練、ダメージコントロール訓練など、10種類以上の訓練映像を公開した。 (2206-050416)

4・1・5・2 サイバ戦

4・1・5・2・1 

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・6 周辺国への圧力強化

情報収集艦のオーストラリアでの活動

 ダットン豪国防相が5月13日、中国のType 815/815A情報収集艦Haiwangxingがオーストリア西海岸から50nmまで接近し情報収集を行ったと発表した。
 Haiwangxingは5月6日から2日間Harold E Holt施設から70nmを航行し、11日に通信施設の50nm沖で折り返した。
 13日にはBroomeの沖合250nmからダーウィンの方向へ向かったという。
 直径6~8mの半球レドームを装備している排水量6,100tのType 815/815Aを、中国海軍は9隻保有している。 (2208-052501)

4・1・7 軍備増強

4・1・7・1 核 戦 略

4・1・7・1・1 核戦力の増強

 防衛白書では核戦力の拡大に警鐘を鳴らした。
 中国はPLA創設100年にを台湾侵攻の目標年に据えているとの見方もある2027年までに最大700発の核弾頭、2030年までに少なくとも1,000発の核弾頭を保有する可能性に触れている。
 武器や装備の能力拡大も詳述していて、最新鋭の第4.5世代戦闘機の数は日本の4倍の1,270機を保有する。 (2209-081701)
4・1・7・1・2 ウクライナ戦争から学習

 中国政府の意向を知る複数の関係者が中国が核兵器の増強を図っていることを明らかにした。
 ロシアがウクライナに侵攻するはるか以前から、中国は核兵器開発を行ってきたが、米国がウクライナで直接介入することに慎重な姿勢を見せていることで、中国は抑止力としての核兵器開発を一段と重視する決断に強く促されたようだと話す関係者もいる。
 中国指導部はより強力な核兵器を保有することが、台湾を巡る紛争が起きた場合に米国の直接介入を防ぐ一つの方法だと考えている。 (2205-041001)
4・1・7・2 宇宙、BMD、防空

4・1・7・2・1 宇 宙 戦

宇宙船の周回

 中国が7月以降、複数の新しい宇宙機を秘密裏に試験している。
 国営企業の中国航天科技集団 (CASC) が8月25日遅く、準軌道型宇宙船の再利用に初めて成功したと発表した。
 声明は、宇宙船がゴビ砂漠にある酒泉衛星発射センタから打ち上げられたこと以外、その詳細に触れていない。
 飛行持続時間や高度については明らかになっていないが、かなり短時間の飛行だったとみられる。
 SpaceNewsによると、同機の最初の飛行は2021年7月に実施された。
 中国には現在も地球を周回している宇宙船があり、この種の宇宙船が国の最長飛行時間記録を更新したといわれている中で、この秘密ミッションは遂行された。
 スペースシャトルに似たその宇宙船は、米国空軍で現在1機が2年以上飛行中のX-37Bの小型版と思われる。
 中国の宇宙船は8月4日に打ち上げられ、3週間以上軌道を周回していたと見られる。
 中国が以前行った2020年の同様のミッションは、わずか2日で終わった。
 同機は、以前2020年8月27日に使用された滑走路に着陸するのに適した位置にいたと思われるが、衛星写真やその他の情報からはそのような着地が行われた形跡はない。 (2210-090404)

4・1・7・2・2 迎撃試験

6回目の迎撃試験

 中国国防省が6月19日、国内で地上配備型BMDSの試験を同日夜に行い、所期の目標を達成したと発表した。
 中国がBMDSの試験を公表するのは2021年2月以来6回目である。 (2207-062002)

 中国国防省が6月19日、BMを中期軌道で迎撃する地上配備型システム (GMD) の試験を6月19日に実施し所望の成果を上げたと発表した。
 この試験は中国が2010年1月以来2013年、2014年、2018年、2021年の5回行ってきた試験と同様のものとみられる。
 ロシア国営TASS通信は2020年8月に中国の開発を支援していると報じており、2019年12月にはプーチン大統領が中国のミサイル警報システム構築を支援すると述べたと報じている。 (2208-062906)

4・1・7・2・3 対日 BMD

対日早期警戒レーダ

 Maxar社の衛星が2月に中国山東省沂源県の山頂 (36°01′30″N, 118°05′31″E) を撮影しGoogle Earthに掲載した画像に新型の長距離レーダが写っていた。
 このレーダは日本の方角を向いており、米軍がPave Paws早期警戒網で使用しているAN/FPS-115と同級と見られことから、数千哩離れた日本全域から飛来するBMの早期警戒用と見られる。 (2205-041902)

4・1・7・2・3 SAM システム

9M96E シリーズ SAM 用 TEL

 7月1日にWeiboに中国PLAが展示した9M96EシリーズSAM用と見られるTELが掲載された。 PLAはS-300PMU2とS-400 Triumfを装備しているためTELを特定できない。
 S-300PMU2とS-400 TriumfのTELは射程250kmの48N6Ye3を4発装填するが、48N6のキャニスタ1本の場所には射程120kmの9M96Eまたは9M96E2を4発装填できる。
 公開された画像のキャニスタの長さから、このTELは9M96E2を装填するもののようである。 (2209-071301)

4・1・7・3 弾道ミサイル

4・1・7・3・1 BM 全般

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・3・2 FOBS (Fractional Orbital Bombardment System)

 複数の日米軍事筋が1月2日、Financial Timesが10月16日に報道した中国が2021年8月に実施した超高速兵器の発射試験で、標的に近接した地点に着弾していたと日米両政府が分析していることを明らかにした。
 報道では、超高速兵器は地球の低周回軌道を回った後に速度を上げながら滑空飛行し、目標から24哩 (39km) 離れた地点に着弾したとされた。
 中国の技術の向上で脅威レベルが高まっていることになり、米軍首脳が試験結果に大きな衝撃を受けたとしているのはこうした分析結果が反映されているとみられる。 (2202-010203)

 中国が低周回軌道を使った超高速兵器を標的近くに着弾させたことは、日本に対する米軍の拡大抑止の信用性を傷つけかねない意味を持つ。
 当初報道されたように標的から40km離れた地点に着弾したのであれば核兵器を搭載しても標的を破壊できない可能性があるが、精密誘導が可能であればピンポイントで核の脅しを行うことができ、通常兵器としても運用できることになる。
 北極圏経由で飛来するICBMは放物線で飛翔するするため軌道予測の可能性が高くBMDSによる迎撃は容易となるが、中国が2021年8月に試験を実施した低周回軌道を回った後に攻撃を行う部分軌道爆撃システム (FOBS) では南極経由で攻撃でき、米本土BMDSの裏をかくことができる。 (2202-010204)

4・1・7・3・3 ICBM

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・3・4 超高速ミサイル

DF-17 / DF-ZF

 米議会下院のペロシ議長が8月上旬にアジア太平洋諸国を歴訪する数日前の8月1日、中国国営CCTVがDF-17 MRBMの発射映像を流した。
 また同日にGlobal Timesが報じた略図でDF-17は、先端にDF-ZF HGVを装着していた。
 DF-31と同じと見られるTELに搭載されたDF-17は2019年10月に行われて閲兵式で複数が公開されたことからこの時点でoperationalと見られ、2020年にはPLAロケット軍が装備を開始した模様である。 (2210-081006)

4・1・7・3・5 SLBM

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・3・6 ASBM

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・3・7 IRBM / MRBM / SRBM

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・4 艦 船

4・1・7・4・1 航空母艦

Type 003 の進水

 米軍事メディアが衛星写真の分析として6月16日までに、中国で3隻目となる空母が建造されている上海長興島の江南造船所で、ドックへの注水が開始されたもようだと報じた。
 7月1日には中国共産党創立記念日を控えており、近く進水式が行われるとみられる。 (2207-061611)

 中国国営新華社通信が6月17日、上海の造船所で建造中だった3隻目の空母が進水し福建と命名されたと報じた。
 中国メディアによると、満載排水量は80,000t強で電磁カタパルトを初めて採用した中国海軍最大の空母となる。
 就役すると空母が3隻体制となり米海軍のCSGと同様に任務、訓練、補修のローテーション運用が可能となり、台湾海峡や南シナ海での緊張がさらに高まる。 (2207-061803)

 中国が6月17日、3番目の空母Type 003福建を進水させた。
 福建は全長320m、排水量80,000t以上で電磁カタパルトによるCATOBAR空母で、J-15やZ-9Cなど70機を搭載できる。
 また11銃身のType 1130 CIWSやType 346 MFRも装備する。 (2208-062902)

Type 004 は通常動力艦

 中国空母の四番艦の推進装置について専門家は、原子力ではなく最近進水した福建同様にディーゼルになると見ている。
 その理由について、中国ではまだ空母の推進装置に採用できるほど原子炉技術が発達していないと言う。 (2207-062319)

4・1・7・4・2 潜水艦

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・4・3 駆逐艦

Type 052D / 052DL

 中国版微博(ウェイボ)で8月下旬、遼寧省大連市で建造中という最新型駆逐艦5隻の写真が投稿された。
 中国共産党系環球時報などは、海軍がType 052D駆逐艦5隻を大連で建造中だと報じ、South China Morning Postは「5隻はType 052D、もしくはこれを改良したType 052DLのようだ」と報じた。
 日経新聞が入手した8月下旬に撮影された写真によると、中国の造船最大手、中国船舶集団 (CSSC) の大連造船所に5隻の船体が置かれ、作業員が建造作業中だった。
 このうち2隻は船体がほぼ完成し、甲板で作業が行われていた。 (2209-082804)

4・1・7・4・4 フリゲート艦

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・4・5 揚陸艦等

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・4・6 その他艦艇

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・5 航空機

4・1・7・5・1 戦闘機

J-10

 中国国営CCTVが2021年11月20日に放映した広東省の汕頭外砂航空基地を基地とする第25航空旅団の映像にJ-7Eと共に国産WS10エンジンを搭載したJ-10Cが映っていた。 J-10Cは半年前から配備されているという。
 J-10Bが搭載していたロシア製のSaturn AL-31FNエンジンをWS10Bに換装したJ-10Cの量産は2015年末に開始され、最初に汕頭市の第131航空旅団に配備され、その後第2、第5、第72、第170、第175、第176、第177旅団にも配備されている。 (2203-120108)

J-11

 中国国営CCTVが、PLA南部戦区海軍が改良型J-11Bが3月21日に演習を終え帰投する映像を放映した。
 国営環球時報は改良型J-11Bのレドームが今までの黒から灰白色に変わっていることから、改良型J-11Bは従来のパルスドップラレーダではなくAESAレーダを搭載している模様と報じている。 (2207-040608)

J-15

 中国AVIC社の子会社であるSAC社が、EMALSを装備する空母3番艦に搭載するカタパルト発進式のJ-15の製造を終え、2021年12月14日にネット上で公開した。 (2204-010515)

J-16

J-20

 中国AVIC社が4月12日、J-20が東シナ海と南シナ海で通常訓練の一環として哨戒任務についていることを明らかにした。
 J-20は元々Saturn AL-31FNシリーズのエンジンを搭載していたが、少なくとも2019年9月以降は国産のWS10Cターボファンエンジンを搭載している。
 WS10Cを搭載したJ-20AはPLA空軍 (PLAAF) 第172航空旅団に配備されたが、2021年以降には北部戦区鞍山航空基地の第1航空旅団でも見かけられ、PLAAFには既に40機が配備されていると見られる。
 J-20は南方戦区広西チワン族自治区桂林麗江の第5航空旅団に装備されている。 (2207-042711)

J-31 / J-35
 2021年12月29日に中国のSNS Weiboで公開した、J-31ステルス戦闘機を元にした次世代艦載多用途戦闘機J-35 2機が28日に黄渓:海軍航空基地を撮影した衛星画像が写っていた。
 J-35 2機はJ-15艦載戦闘機2機と並んで同飛行場に設置されたスキージャンプ台の横に置かれていた。
 このJ-35 2機は試作2号機と3号機と見られ、片方は2021年10月に初飛行している。
 J-35の双発単座形状はFC-31とよく似ている。 (2204-011910)

FC-1/JF-17

JH-7

次世代戦闘機
 2021年5月31日~12月1日に、成都にあるCAC社の試験施設を撮影した衛星画像に、全長15m、翼端長12mの無尾翼機が写っていた。
 このサイズはJ-10とほぼ同じで、翼端長はJ-20に近い。
 このことからこの無尾翼機は有人ステルス機の試作機か、Loyal Wingmanとして使われる新型UAVの可能性がある。
 中国でも米空軍が進めているNGADや海軍の同名の計画、英国のTempest、独仏西のFCASなどと同じ第六世代戦闘機JJ-Xが報じられているが、恐らくJ-20かFC-31の発展型と見られているが、その開発状況は殆ど知られていない。 (2203-122203)

4・1・7・5・2 爆撃機

H-6J

 中国国営CCTVが2021年12月3日、複数H-6Jが南シナ海で爆撃及び機雷敷設を行う映像を報じた。
 H-6Jは夜間に基地を離陸して払暁に南シナ海に到着し、2波に分かれて爆撃を行った後に貴平孟州の空軍基地で給油と補給を行い、2ソティーの攻撃を行った。
 H-6Jは両翼に射程500kmのYJ-12超音速ASCMを搭載し、弾庫に射程180kmのYJ-83K対艦ミサイルも搭載する。 また翼下外側には大型のECMポッドも搭載する。
 H-6Jは海南島から400km離れた内陸の貴平孟州の空軍基地に所在する第5独立連隊が装備している。 (2203-121505)

H-20

 中国がB-21 Raiderの対抗馬として開発しているH-20の航続距離を米国防総省は8,500kmと推定しており、中国の爆撃機の航続距離を一気に二倍にする。
 マカオを拠点とする軍事専門家はは、B-21はH-20よりも進んでいるが、両国間のギャップは狭まっていると述べた。 (2212-111113)

4・1・7・5・3 AEW / AEW&C機

KJ-600

 2021年11月下旬に撮影された衛星画像から、XAC社が国産のWS-20高バイパスターボファンエンジンを搭載したY-20BとKJ-600艦載AEW機の開発を進めていることが分かった。
 1月12日に公表された衛星画像では緑色に塗装されたKJ-600 3機が写っていた。
 既に塗装を終えている1機が確認されていることからKJ-600は4機存在することになる。 (2205-012611)

4・1・7・5・4 輸送機等

YY-20 (Y-20U) 空中給油機

 中国のWeiboに2021年11月28日、Y-20A輸送機の空中給油機型Y-20Uの画像と映像が載せられた。
 この機体は機体番号からPLA中央軍管区隷下で開封市を基地とする第13空輸師団第37航空連隊の所属と見られる。
 Y-20UはロシアのIl-78Mが装備しているUPAZ-1A給油ポッドを元にしたと見られる給油ポッドを、両翼外側と胴体下部に3基装備している。 (2203-120802)

 PLA空軍のY-20を元にした空中給油機が正式に就役した。 名称はYY-20と言う。
 YY-20はプローブ&ドローグ方式で、かつてはY-20Uと呼ばれるとみられていた。
 CCTVでは2機のJ-16Dが給油を受けている映像が報じられていた。 (2210-081002)

Y-20B

 2021年11月下旬に撮影された衛星画像から、XAC社が国産のWS-20高バイパスターボファンエンジンを搭載したY-20BとKJ-600艦載AEW機の開発を進めていることが分かった。
 1月12日に公表された衛星画像では少なくとも4機のY-20Bが写っていた。
 Y-20Bには空中給油ポッドが確認されており、既に公表されているY-20U空中給油機はPLA海軍が使用すると見られる。 (2205-012611)

4・1・7・5・5 ヘリコプタ

AC352 / Z-15

 中国AVIC社が5月12日、Airbus Helicopters社と共同開発している7tのAC352中型ヘリが予定通り2022年に中国民間航空局の型式審査を受けることを明らかにした。
 WZ-16ターボシャフトエンジンを搭載した7tのAC352の軍用型はZ-15で、これもAVIC社が開発している。 (2208-052511)

 中国国営CCTVが7月26日、Airbus社が中国航空工業集団公司 (AVIC) と共同開発したAC352多用途ヘリが中国当局の認証を取得したと報じた。
 同機の先行型でAirbus社が海外製造するH175についても中国当局の販売許可を申請しているがまだ下りていない。
 H175は2015年から中国国外で運航されており、捜索救助、緊急医療、警察といった用途向けに設計されている。 (2208-072610)

Z-20 中型ヘリの武装型

 中国国営AICCが1月31日、HAIG Z-20中型ヘリの武装型のCG画像を公表した。
 それによると武装型Z-20はミサイルを4発ずつ搭載した短い翼を持ち、機首右側には空中給油用のプローブを装備している。 (2206-022313)

4・1・7・5・6 哨戒機/電子戦機

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・5・7 その他の航空機

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・6 巡航ミサイル

4・1・7・6・1 対地 CM

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・6・2 対艦 CM

YJ-12

 台湾の海軍雑誌が、中国のYJ-12が台湾や米国にとっての脅威であると報じている。
 YJ-12は陸海空いずれからも発射可能で速度でも射程でも米空母の防空能力を超えると報じている。 (2202-012204)
【註】YJ-12は全長6m、重量1tで、速力Mach 2.5~3.5、射程150~400+kmと見られている。

4・1・7・7 戦術ミサイル

4・1・7・7・1 

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・8 無人兵器

4・1・7・8・1 U A V

Loyal Wingman

 中国国営CCTVが10月12日、J-20のLoyal WingmanとしてUAVを活用する構想のCG画像を報じた。
 CGでは複座型J-20にGJ-11 Sharp Swordと良く似たUAVが随伴していた。
 複座型J-20が公表されるのは初めてで、操縦士のほかに武器操縦将校が搭乗する。
 GJ-11はコンパクトな形状で、陸上滑走路のほか飛行甲板からも発進でき、850gのCH-817弾や2kgのFeihong-901 CMを搭載できる。 (2211-102003)

Wing Loong-3(翼竜-3)

 広東省珠海で11月8日に開幕する「第14回中国国際航空宇宙博覧会」の会場が6日に報道陣に公開された。
 今回は、初めて披露される偵察攻撃型UAV Wing Loong-3(翼竜-3)が目玉となる。
 会場の大画面では、島を走る戦車や敵艦を翼幅24mのWing Loong-3は2tの搭載能力があり、従来型と比べ航続時間が倍増したとされる。 (2212-110603)

4・1・7・8・2 U G V

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・8・3 UUV / USV

海南省三亜市の海軍基地に超大型 UUV を2隻配備

 英国海軍発行の月刊誌Naval Newsが、中国海軍がAI搭載の超大型UUVを開発し、すでに海南省三亜市の海軍基地に2隻配備していると報じた。
 同誌は海南島の中国海軍基地を撮影した衛星画像からのUAV 2隻の写真を掲載した。
 UUVは全長16mと18mの2隻で、ともに幅が2m、船首は流線型で、尾翼には2つのスクリューが横並びに配置されている。
 AI搭載の潜水艦の開発は米海軍に次いで世界で2番目で、中国のUUV開発は米軍が南シナ海で展開する「航行の自由作戦」に対抗する狙いがあるとみられる。 (2212-110304)

340tの戦闘 USV (UCSV)

 中国CSSC社が3月上旬にサウジアラビアのリヤドで開かれたWorld Defense Show (WDS) 2022で340tの戦闘USV (UCSV) を公開した。
 このUCSVは全長58m、幅18.1m、喫水6.2mで速力42kt、航続距離4,000nmの性能を持つ。
 装備としてはミサイル2発を並装した20/30mm砲、SAMを発射する8セルのVLS 2基とYu-7/ET-52 324mm軽魚雷を発射できる魚雷発射管を装備している。
 更にSchiebel社製S-100 Camcopterと似たUAVの飛行甲板を持つ。 (2206-033012)

200tの USV

 中国国営環球時報が6月9日、全長40m以上で排水量200tのUSVが試験を完了したと報じた。
 船体はタンブルフォーム型で、速力は20kt以上という。 (2208-062904)

4・1・7・9 その他

4・1・7・9・1 電子兵器

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・7・9・2 C-UAV 兵器

WS-03 Pro 小銃型 C-UAV jamming 装置

 ミャンマー陸軍が中国武漢のWave Sonic社から小銃型のC-UAV jamming装置WS-03 Proを導入した。
 WS-03 Proは重量5.7kg、有効距離1,200mで、価格は$5,000という。 (2208-061511)

4・1・8 高度な技術力獲得

4・1・8・1 極超音速兵器技術

耐熱コーティング剤

 中国CARDCの開発チームが、将来の極超音速飛翔体が使用するカーボンフォームを利用した耐熱コーティング剤を開発し、試作品の風洞試験を実施した。
 このコーティング剤は衝撃波の衝撃を20%以上吸収でき、Mach 6の環境で飛行安定性が二桁改善したと言う。 (2203-021706)

Mach 5 の極超音速風洞が完成

 中国の計測制御技術誌が、長征宇宙推進研究所がMach 5での高高度飛翔を模擬する極超音速風洞を完成させたと報じた。
 施設の名称と位置は公表されていない。
 この風洞では空気の希薄な状況を模擬するための13MWの真空ポンプを駆動するには市中電力では足りず、多数の舶用ディーゼルエンジンで電力を供給している。 (2208-070507)

Mach 33 の極超音速風洞が完成

 中国南陽の中国空力研究開発センター傘下にある超高速空力研究所のプロジェクトチームが9月1日に学術誌Acta Aeronautica et Astronautica Sinicaに掲載した論文で、2.5km/sec~11.5km/secとMach 33を超える風洞を建設したことを明らかにした。
 この風洞はオーストラリアの科学者が提唱した自由ピストン加圧技術を元にしている。 (2210-090815)

ケロシンを燃料とした爆轟エンジン

 中国が開発を目指しているMach 9の超高速航空機が使用する爆轟エンジンの試験が北京のJF-12超音速風洞で進められている。
 中国科学院機械研究所の上級技師である劉氏が率いるチームが、11月11日にJournal of Experiments in Fluid Mechanicsに掲載された論文で、ケロシンを燃料とするこのエンジンの技術的な詳細を明らかにした。
 爆轟エンジンはスクラムジェットなど他の超高速エンジンより効率的かつ強力で、今まで世界中で水素を燃料として開発が進められてきたが、燃料が高価なことや爆発の危険があった。 劉チームが開発した爆轟エンジンは一般的なジェット燃料であるRP-3を使用している。 (2212-111817)

4・1・8・2 電磁砲 (EMG)

研究開発の継続

 米国が技術的な困難への直面や極超音速ミサイルへの努力の集中のたね取りやめた電磁砲 (EMG) の開発を、中国はそれらを克服して続けている。
 1978年にEMGの開発を開始した米国は1,000発以上の試射を行い、Mach 7以上、射距離100哩以上の成果を納めたが、国防総省は2021年7月に計画中止を発表している。
 主たる理由は砲身命数が20発程度にしかならなかったことにある。
 一方中国は2018年にEMGを艦載して洋上試験を行い、昨年中国で発刊されたAir and Space Defence誌によると25kgの弾丸をMach 7.3で発射し250kmを飛翔させたという。
 また更に車載型の開発も行っているという。 (2203-021101)

4・1・8・3  SSPS (Space Solar Power Station)

 中国で宇宙基地責任者の揚教授が11月22日に海南島の文昌で開かれた会議で、超大型構造と高電圧の試験を行う天宮衛星が、中国の宇宙発電所 (SSPS) 計画の鍵を握ると述べた。
 軍民両用を目指す中国のSSPSは1km大の衛星を静止軌道に置き、GW規模のマイクロ波を地上に供給するもので、軍用は2030年代、民間用は2050年代の実用化を目指している。 (2212-112418)
4・1・8・4 AI技術を活用したリモートセンシング衛星

 米空母Harry S. Trumanが2021年6月17日にニューヨーク州Long Island海峡の通過訓練に向かった際に、最新のAI技術を活用した中国のリモートセンシング衛星はこれを自動で探知し北京に警報を送っていた。 (2206-051001)
4・1・9 軍事産業の振興と武器輸出

4・1・9・1 企業再編

4・1・9・1・1 

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・9・2 武器輸出

4・1・9・2・1 輸出実績

 2023年に特筆すべき記事なし
4・1・9・2・2 技術提供

JF-17 のパキスタンとの共同生産

 パキスタンが3月に中国と共同開発したJF-17のステルス機能を拡充した第三世代の50機を配備する。
 インドが導入したばかりのS-400に対抗すると共に輸出も視野に入れており、中国の技術力をテコに世界の兵器市場でのシェア拡大を目指す。
 パキスタンと中国の合弁事業としてのJF-17の生産は1980年代後半、$500M規模で始まり、パキスタン国内で組み立てた。
 機体、前部胴体、主翼、垂直安定板はパキスタンの国営企業が製造し、そのほかの部品は中国側が供給した。
 パキスタン空軍は2020年に追加された第二世代機26機を含めて2007年から100機以上を就役させた。 (2203-021008)

4・1・9・2・3 取引上のトラブル

タイから受注した潜水艦のドイツ製主機を巡るトラブル

 タイ政府による、タイが2017年に中国にTHB13.5M(500億円)で発注した潜水艦1隻の建造を請け負う中国国有企業はドイツ製エンジンの搭載を予定していたが、ドイツ側が供給を拒んだため調達計画が暗礁に乗り上げている。
 EUから中国への武器輸出は天安門事件を受けた措置で禁止されているが、ドイツMTU社がエンジンを民生用と偽ってて輸出しようとしていた。
 ところが、中国からタイへの潜水艦売却がニュースになりエンジン輸出が難しくなったという。
 タイ海軍は造船会社の代表者をタイに呼んで協議し、4月末までに結論を出すというが、タイ政府は当初の合意条件通りでなければ契約破棄もあり得るとしており両国関係のしこりとなる可能性がある。 (2205-041703)

4・2 北朝鮮

4・2・1 金正恩体制

4・2・1・1 軍備増強の方針

軍の新たな目標を発表

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)が12月28日、金総書記が党の重要会合で、国防力強化に向けた軍の新たな目標を発表したと報じた。
 KCNAは「金総書記が2023年に推し進める、自衛的な国防力強化の新たな目標を定めた」と報じ、来年もBMなどの試験を継続することを示唆した。 (2301-122811)

4・2・1・2 軍 事 費

4・2・1・2・1 

 2023年に特筆すべき記事なし
4・2・1・2・2 ミサイルの開発費

 VOAが2月11日、北朝鮮が2022年1月だけで7回行ったミサイルの発射に相当な費用が投じられたとの推算が発表されたと報じた。
 それによると、RAND研究所の研究員が「北朝鮮がミサイルを1回発射する費用は、IRBMで$10M~$15M、SRBMで$3M~$5M、ICBMの発射費用は1回当たり$20M~$30Mに上ると分析した。
 このことからVOAは、北朝鮮が1月に7回にわたってCM 2発を含む短距離ミサイル10発、IRBM 1発の計11発を発射するのに最大$65Mを投じたと推測している。 (2203-021106)
4・2・2 核開発

「3・1・1・1 核開発」で記述
4・2・3 長距離ミサイル

4・2・3・1 ICBM / IRBM

4・2・3・1・1 ICBM

4年ぶりの ICBM 発射試験を示唆

 北朝鮮が4年近くの間実施してICBMの発射試験を間もなく再開する可能性が高い。
 朝鮮中央通信 (KCNA) は1月20日に、朝鮮労働党 (WPK) の政治局会議で「一時的に中断されたすべての活動を再開する」ことに合意したと報じた。 (2205-020212)

2月27日と 3月5日: 火星-17の発射

 米政府高官が3月10日、北朝鮮による2月27日と3月5日に発射したBMを分析した結果、開発中の新型ICBMだったと結論付けたことを明らかにした。
 高官は、ICBM発射が国連安保理決議違反だと強く非難し、米財務省が11日に北朝鮮に対する新たな制裁措置を発動すると述べた。 北朝鮮のICBM発射は、2017年11月に火星-15以来となる。
 高官によると、発射されたのは2020年10月の閲兵式や2021年10月の国防発展展覧会で公開された新型ICBMだが、2回の発射では性能を十分に発揮しておらず試射が目的だった可能性があると分析した。
 その上で今後「人工衛星の打ち上げ」などの名目で、本格的な発射に踏み切る恐れがあると警告した。 (2204-031103)
【註】北朝鮮が2020年10月10日の軍閲兵式で公開した新型ICBMは火星-17と命名されたようであると報じられている。
 このICBMは世界最大のICBMで2~3発の核弾頭が搭載できると見られるが、公表された2020年時点ではまだ完成には至っていないと見られていた。

 米国防総省のカービー報道官が3月10日、北朝鮮が最近実施した衛星打ち上げのためと称する試験は新型ICBMの試験であったと述べた。
 このICBMと思われる飛翔体をJanesは、2020年10月の閲兵式で公表された射程12,875km (8,000哩) の火星-16かその発展型である火星-17と見ている。 (2206-032308)

3月16日: 高度20km以下で爆発

 防衛省関係者が、北朝鮮が3月16日午前にBMの可能性がある飛翔体を発射したことを明らかにした。
 韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が16日09:30頃に平壌の順安付近から飛翔体を発射したが、失敗したと推定されると発表した。
 VOAは15日に民間の衛星写真の分析を基に、順安空港の滑走路と誘導路の間にTELを置くためとみられるコンクリートの土台が設置されたと報じていたことから、日米韓当局がICBMを発射する準備が進められているとして警戒を強めていた。 (2204-031607)

 韓国軍関係者が3月16日、北朝鮮が同日午前に平壌の順安付近から発射した飛翔体についてBMと推定されるとした上で、高度20km以下の空中で爆発したもようだと明らかにした。
 北朝鮮専門サイトNK Newsはミサイルの破片が平壌近郊に落下したと報じた。
 防衛省の資料によると、北朝鮮によるBM発射が失敗したと推定されるのは2017年4月以来である。 (2204-031615)

3月24日: 高射角発射

 防衛省が、3月24日15:35に北朝鮮からBMの可能性があるものが発射されたと発表した。  BMと見られる飛翔体は青森県沖のEEZ内に落下する見込みと発表している。 (2204-032413)

 政府が3月24日夕、北朝鮮から発射されたBMの可能性がある飛翔体は15:44に青森県龍飛岬の西170kmに落下したとみられると発表した。 (2204-032415)

 岸防衛相は参院外交防衛委員会で、北朝鮮が発射した新型ICBM級BMは71分間飛翔し、飛距離約1,100km、到達高度は6,000kmを超えると推定されると明らかにした。 (2204-032416)

 岸防衛相は参院外交防衛委員会で、北朝鮮が発射した新型ICBM級BMの落下地点は、北海道渡島半島の西150kmの日本海だと明らかにした。 (2204-032417)

 北朝鮮が3月24日に発射した新型ICBMとみられるミサイルの射程について、政府が米東海岸まで届く可能性があるとの見解を示した。
 政府はミサイル発射を受けて開かれた自民党の会合で、今回は最高高度6,000kmのロフテッド軌道で発射されたと見られるが、通常発射された場合の射程は12,000kmに達し、米東海岸まで届く可能性があるとの見解を示した。 (2204-032419)

 北朝鮮の朝鮮中央通信が3月25日、金総書記が23日に新型の火星-17 ICBMの発射を命令し、24日の発射試験を視察したと報じた。
 朝鮮中央通信は24日に発射した火星-17の最大高度は6,248km、飛距離は1,090kmに達したと報じた。 (2204-032504)

 岸防衛相が3月25日の記者会見で、北朝鮮が発射した新型ICBMが、通常軌道なら15,000km以上飛行し、米東海岸を含む米国全土を射程に収める能力があるとの分析を明らかにした。 (2204-032506)

3月24日に発射したのは火星-15との指摘

 韓国聯合ニュースが3月27日、北朝鮮が24日に発射試験に成功と発表した新型ICBM火星-17とされるミサイルについて、米韓当局が新型ではなく既存の火星-15と結論付けたと報じた。
 聯合ニュースによると当局が衛星などで分析した結果、エンジンノズルが火星-15の2本で、火星-17の4本ではなかったことから、火星-15の弾頭重量を減らして発射し、火星-17に類似の軌跡を実現したとみているという。 ただ中央日報によれば、情報機関の国家情報院は火星-17と推定しており、軍と評価が分かれている。 (2204-032707)
【註】打ち上げの映像などでは、ロケットモータは4基に見える。

 北朝鮮が3月16日に発射した直後に空中で爆発した新型ICBMの火星-17の発射試験について、韓国国防省が国会国防委員会で29日、平壌に大量の破片の雨が降り、民間被害が発生したと報告したことを同委員会所属の国会議員が明らかにした。 (2204-032919)

 韓国国会議員が韓国国防省から非公開の報告を受け、北朝鮮が3月16日に新型ICBM火星-17の発射試験を行ったが失敗していたと国会に報告したことを明らかにした。
 北朝鮮は24日に火星-17を発射したと主張しているが、同省は旧型の火星-15で、国民に失敗を悟られないよう虚偽の宣伝をしたようだという。
 報告によると、北朝鮮が16日に発射した火星-17は、直後に数km上空で爆発し、降り注いだ破片で民家が損壊したとの見方があるが、死傷者は確認されていないという。
 この事故で広がった動揺を解消するため、24日に新型と偽って火星-15を発射し、25日に金総書記の指揮の下で火星-17の試験発射に成功したと大々的に報じた。 (2204-032923)

 松野官房長官が3月28日、北朝鮮が24日に発射したICBMについて新型ではないとの米国などの分析が韓国メディアで報じられたことについて、日本政府として分析に変更はないとした。
 長官は「飛翔軌道に基づき単純に計算をした場合、15,000kmを超える射程となり得ると考えており、これまでの一連の発射とは次元の異なる深刻な脅威であることに変わりはないと改めて強調した。 (2204-032806)

 北朝鮮が3月25日に新型ICBM火星-17を打ち上げた。 北朝鮮KCNAによると火星-17は高度6,248kmに達し、1,090kmを飛翔して日本海に落下した。
 ICBMの発射は2017年以来で、2018年からの発射自主停止の終焉を意味する。 (2207-040601)

5月04日: 火星-15 と推定される飛翔体を発射したが失敗か

 防衛省関係者によると、北朝鮮がBMの可能性があるものを発射した。
 防衛省が現在、日本への影響がないかなど詳細について確認作業を行っているが、政府関係者によると飛翔体はEEZの外に落下したという。 (2206-050409)

 韓国軍合同参謀本部が5月4日、北朝鮮が同日12:03頃に平壌順安から日本海に向けてBM 1発を発射したと発表した。
 飛翔距離470km、到達高度は780km、最高速度Mach 11という。
 北朝鮮が3月に発射に失敗したICBM火星-17の発射試験を再行するため、射程を短くして発射した可能性もある。 (2206-050412)

 北朝鮮が5月4日、平壌の順安から日本海に向けBM 1発を発射した。
 今回の発射は4月16日に「新型戦術誘導兵器」2発を発射してから18日ぶりであり、今年14回目になる。
 情報当局は、北朝鮮が火星-15 ICBMを発射した可能性が高いと見ているというが、偵察衛星打ち上げの発射試験を行った可能性もあると見られている。 (2206-050506)

 北朝鮮の国営メディアが5月5日朝、4日に行ったBM発射を報じなかった。
 多くの場合は発射翌日に報道されており、失敗したか発射実験を通じて北朝鮮が望んだ成果がなかったためとの観測も出ている。 (2206-050510)

5月25日: 

 韓国軍合同参謀本部が5月25日、北朝鮮が平壌の順安地区から1時間足らずの間にBM 3発を東岸沖に向けて発射したと発表した。 (2206-052504)

 韓国軍合同参謀本部が5月25日、北朝鮮が06:00頃と、06:37、06:42に平壌郊外の順安付近から日本海へ向けてBMを各1発ずつ計3発発射したと明らかにした。
 ミサイルの種類などの特定を急いでいる。
 北朝鮮のミサイル発射は、SRBM 3発を発射した5月12日以来で、CMを含めて今年16回目になる。
 日米韓はバイデン米大統領の日韓歴訪の前後に北朝鮮がICBMを発射する兆候があるとみて警戒を強めていた。 (2206-052505)

 北朝鮮が5月25日朝、日本海に向けてBMを発射したが、韓国軍は「発射は計3発で、1発はICBMと推定される」としている。
 韓国軍は「北朝鮮が06:00頃と06:42頃分ごろに計3発のBMを平壌近郊の順安から日本海に向け発射した」と発表した。
 最初の1発は到達高度540kmで360km飛翔したことからICBMと推定され、2発目は高度20kmで焼失し、3発目は到達高度60kmで、760km飛翔したとしている。 (2206-052508)

 韓国大統領室の金国家安保室第一次長が、北朝鮮が5月25日朝に発射したBMのうちICBMと推定されていた1発について、火星-17と判断したと述べた。 (2206-052510)

11月03日: 火星-17、発射試験に失敗

 防衛省が11月3日午前、北朝鮮が同日午前7時台~8時台に少なくとも3発のBMを東に向けて発射したと発表した。
 いずれも日本の排他的経済水域(EEZ)の外に落下したという。
 このうち07:39に北朝鮮西岸付近から発射されたミサイルは、到達高度2,000kmで750km飛行して朝鮮半島東側の日本海に落下した。
 防衛省はICBMの可能性があると分析している。
 政府は同日08:00頃に北朝鮮が発射したBMの可能性があるものが日本上空を通過したと発表したが、防衛省は「探知したものは日本列島を越えず、日本海上空でレーダから消失したことが確認された」としている。 (2212-110311)

 防衛省が11月3日、北朝鮮が3日07:39頃にICBM級の可能性のあるものも含め、少なくとも3発のBMを北朝鮮西岸付近から東方向に向けて発射したと発表した。
 落下したのはいずれも日本の排他的経済水域 (EEZ) の外だったとしている。
 防衛省によると、1発目は到達高度2,000kmで、飛距離は750kmだった。
 2発目は同日08:39頃に北朝鮮内陸部から発射され、到達高度50km、飛距離350kmで、朝鮮半島東岸付近に落下した。
 更に08:48頃に内陸部から3発目が発射され、到達高度50km、飛距離350kmで、朝鮮半島東岸付近に落下したという。 (2212-110312)

 北朝鮮が11月3日にBMを相次ぎ発射し、韓国軍合同参謀本部は午前にICBMとみられる長距離弾1発、SRBM 2発撃ったと分析した。
 更に夜にはSRBM 3発が発射されたと発表した。
 韓国軍によると1発目は07:40頃に平壌の順安付近から発射され、飛距離は760km、到達高度は1,920kmで、新型の火星-17 ICBMと推定した。
 ICBMは2段の推進装置と弾頭部に分かれ、今回は1段目と2段目の分離に成功したが、弾頭部が失速して高度や飛距離を出せずに落下したとの見方がある。
 韓国軍は失敗だったと見ている。 (2212-110319)

11月18日: ロフテッド軌道で1,000km飛翔

 韓国軍は、北朝鮮が先ほど東の方向に向けて発射したBMについてICBMと推定されると明らかにした。
 また防衛省によると詳、発射されたBMは現在飛翔中で、日本の排他的経済水域 (EEZ) 内の日本海に落下する可能性があるという。
 北朝鮮は11月17日もSRBM 1発を発射したほか9日にもSRBMを発射しており、9月25日以降、異例のペースでミサイルの発射を繰り返している。 (2212-111806)

 防衛省によると、北朝鮮は11月18日10:14頃に朝鮮半島西岸付近からICBM級のBM 1発を東方向へ発射した。 ロフテッド軌道で打ち上げた可能性がある。
 防衛省は、日本の排他的経済水域 (EEZ) 内の日本海に落下する可能性があると発表した。
 海上保安庁は防衛省の情報として、18日11:20頃に北海道渡島大島の西210km周辺海域に落下する見込みとしている。 (2212-111808)

 松野官房長官が11月18日の記者会見で、北朝鮮が発射したICBM級ミサイルについて、北海道渡島大島の西方200kmの日本海に落下したとみられると発表した。
 発射されたのは10:14頃、落下は11:23頃で、飛行時間は69分間程度だったとの認識も示した。
 通常より高い角度で打ち上げるロフテッド軌道と推定しているとも明らかにした。 (2212-111809)

 松野官房長官が北朝鮮によるBM発射を受けて11月18日午前に記者会見し、ミサイルはICBM級だと指摘し、飛翔距離1,000km、到達高度6,000km程度と推定されると明らかにした。
 ミサイルの軌道について、ロフテッド軌道で発射された可能性が高いとの見解を示した。 (2212-111810)

 北朝鮮が発射したBMは1時間9分という過去2番目に長い時間飛翔したが、政府が落下の見通しを具体的に示したのは、落下の15分前であった。
 「心配だ」などの声も多い中、きょうJアラートを発出しなかったことについて、松野官房長官は、海上の場合には出さない仕組みだと説明し、夕方の会見でも「現時点で問題があったとは考えていない」と強調した。
 こうした中、防衛省が自衛隊が情報収集を行ったとして、空中で確認したという動画を公開した。 (2212-111814)

 北朝鮮が11月18日に発射したBMは高度6,000kmまで上昇し日本海上に落下した。
 北朝鮮は11月3日にもICBMを発射したが、韓国軍はこの際には推進装置を分離した後に弾頭部が失速し正常に飛翔しなかったと評価した。 このミサイルの到達高度は1,920kmで最高速度はMach 15だった。
 韓国軍は18日のミサイルは3日と同型と見ているが、到達高度が6,000kmを超し、速度はMach 22だったとの探知情報からみて技術に進展があったとみている。
 現状で弾種は新型の火星-17との見方が有力である。 韓国軍はこれまで火星-17の飛行技術がまだ未完成だと分析してきており、3月24日に最高高度6,000kmに到達したミサイルは火星-17ではなく、既存の火星-15と推定していた。
 これに対し11月の2発のICBMは火星-17だと見ており、度重なる発射に伴って新型弾の技術を着実に向上させたことを韓国側も認めざるを得なくなってきた。 (2212-111819)

 防衛省は11月18日、北朝鮮が同日10:14頃に平壌:郊外から東方向にICBM級1発を発射したと発表した。
 着弾したのは同日11:23頃で、過去2番目の長さとなる69分間飛翔した。 発射場所は順安付近で、飛行距離1,000km、到達高度6,000kmと推定される。
 浜田防衛相は同日、弾頭重量などによっては15,000kmを超える射程となり得ると述べた。
 韓国軍関係者も今回発射されたのが新型ICBMで、米全土を射程に入れる射程15,000km以上の火星-17との見方を示した。 (2212-111820)

 北朝鮮国営朝鮮中央通信 (KCNA) が、11月18日のICBM発射に金朝鮮労働党総書記が立ち会ったと報じた。
 北朝鮮によれば発射したのICBMは火星-17で、飛翔距離は999km、到達高度は6,040kmで日本海に落下した。 (2212-111903)

北朝鮮は米全土を攻撃可能なICBMの開発を進めているが、18日の発射で技術的な進展があった可能性がある。
 金朝鮮労働党総書記は昨年1月の党大会で、米全土を攻撃可能な射程15,000kmのICBMの開発を進める考えを示した。
 北韓大学院大の梁教授は、今回のミサイルについて、火星-17新型ICBMを高角度で試射したと推定している。
 火星-17は2020年10月の閲兵式で初めて登場したミサイルで、全長22~24mと世界最長とみられ、巨大さから「怪物ICBM」の異名もある。
 弾頭部は核弾頭を2~3発搭載できる形状とされる。 (2212-111904)

4・2・3・1・2 IRBM

1月30日: 火星-12の発射

 防衛省が、北朝鮮からBMの可能性があるものが発射されたと発表した。
 船舶は、今後の情報に留意するとともに、落下物を認めた場合は、近づくことなく関連情報を海上保安庁に通報するよう呼びかけている。 (2202-013001)

 北朝鮮が1月30日に日本海に向けて発射したBMは、2017年以降に発射した中で最も大型のミサイルだったとみられている。
 韓国によると、ミサイルは30日07:52に北朝鮮の東方沖へと発射された。 韓国の国家安全保障会議は、IRBMで、2017年11月以降に北朝鮮が発射したミサイルの中で最大と見ている。
 日本と韓国の当局は今回のミサイルについて、高度,2000kmに達し、約30分間にわたって距離800kmを飛翔した後日本海に落下したと推定した。
 聯合ニュースは、2017年に北朝鮮が試射した火星-12に似ていると報じた。 (2202-013003)

 政府は、北朝鮮が中距離以上とみられるBM発射に踏み切ったことで、挑発行為は今後さらに強まるとみて警戒している。
 防衛省は高度や飛行距離の共通点から、2017年5月発射のIRBM火星-12と同型の可能性があるとみている。 同型なら、通常角度の発射での射程は5,000kmに及びグアムも攻撃可能である。
 北朝鮮は米国との緊張感が高まっていた2017年には高度2,000km超のロフテッド軌道での弾道ミサイル発射を4回行い、2回は日本上空を通過した。
 岸防衛相は1月30日に、北朝鮮のミサイルが高度2,000km以上で飛翔したのは2017年11月29日の火星-15以来だと述べ、挑発の度合いが2017年と同レベルに近づいているとの認識を示した。 (2202-013101)

 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙労働新聞が1月31日、国防科学院などの計画に従って火星-12 IRBMの発射試験が30日に行われたと報じた。
 発射は北西部から日本海に向けて通常より角度をつけて高く打ち上げるロフテッド軌道で行われシステムの正確性と安全性、運用の効果性を確認したとしている。
 また火星-12型は生産、装備されているとした。 (2202-013102)

 北朝鮮国営KCNAが、1月30日08:00少し前に火星-12 IRBMの発射試験に成功したと報じた。
 韓国合同参謀本部によると飛翔距離は800km、到達高度は2,000kmで、30分間飛翔した。
 この発射試験は2022年になって7回目で、最も長射程であった。 (2206-020901)

10月04日: 火星-12の発射

 Jアラートによると、北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられる。 (2211-100404)

 北朝鮮のミサイル発射に関するJアラートは、北海道と青森県を対象地域に指定し、避難を呼びかけた。 (2211-100405)

 Jアラートによると、北朝鮮が発射した飛翔体が日本上空を通過したもようである。 (2211-100406)

 海上保安庁が07:46に防衛省からの情報として、BMの可能性がある飛翔体は、07:29頃に北海道や青森県の上空を通過し、すでに太平洋へ落下したとみられるという情報を発表した。 (2211-100407)

 政府は、今回のミサイルが2017年にも発射された火星-12と同型である可能性があると分析している。
 火星-12は北朝鮮の代表的なIRBMで、これまでは3,000km程度で飛ばしていたが今回は4,600km、高度1,000kmなので、火星-12本来の能力を徐々に示しつつあると見られる。 (2211-100410)

 北朝鮮が10月4日07:20に日本上空を通過するコースでIRBMを発射した。
 飛翔距離4,600km、到達高度1,000km、最高速度Mach 17で16分間飛翔し、青森県上空を経て沖合3,200kmの太平洋上で日本のEEZ外に着弾した。
 このIRBMは火星-17と見られる。 (2301-101209)

4・2・3・2 超高速兵器

1月 5日: 発射試験

 北朝鮮の朝鮮中央通信が1月6日、国防科学院が1月5日にMach 5以上で飛ぶ超高速ミサイルの発射試験を実施し、700km先の標的に誤差なく命中したと報じた。
 超高速ミサイルの発射試験は2021年9月に続き2回目になる。 (2202-010602)

 朝鮮中央通信が6日、国防科学院が1月5日に極超音速ミサイル発射試験を行ったと報じた。
 同通信は「ミサイルは発射後に分離され、極超音速滑空飛行する弾頭部が飛行区間で初期発射方位角から目標方位角へと120kmを横方向移動し、700kmに設定された標的に誤差なく命中した」と報じた。 (2202-010603)

 岸防衛相が北朝鮮が1月5日に発射したミサイルについて6日、新型のBM 1発で、通常より低い最高高度50km程度で飛翔したと分析していると明らかにした。 (2202-010604)

 北朝鮮の朝鮮中央通信が1月6日、Mach 5以上の速さで飛ぶ極超音速ミサイルを5日に発射し700km先の標的に命中したと報じた。
 同通信は多段階滑空跳躍飛行という表現も使っている。
 朝鮮中央通信は、ミサイル発射後に弾頭が分離して初期の発射方向から目標方向へ120km横方向機動したと報じていることから、弾頭部が一定の高度を維持したまま、水平方向に滑空したと専門家はみている。
 2021年9月に発射試験を行った火星-8と比べ、弾頭部分は形状が変化しており速度や滑空性能が向上したとの見方がある。
 防衛省によると最高高度は50km以下と、通常のBMの軌道よりも低かった。 (2202-010610)

 岸防衛相が1月6日、北朝鮮が1月5日に発射したミサイルについて、新型のBM 1発で、通常よりも低い最高高度50kmで飛行したと明らかにした。
 北朝鮮が昨年9月28日に発射試験を行った極超音速ミサイルの一種とみられるが、形状が異なるという。 (2202-010611)

 北朝鮮が1月5日に今年初のBM発射試験を実施した。
 円錐形の弾頭を搭載した火星-12を短くしたと思われる液体燃料ロケットのブースタは、ロシア製MAZ-543を改造したと見られる装輪車搭載発射機から発射され、朝鮮中央通信によると回避行動を取りながら700kmを飛翔した。
 北朝鮮国防科学院は声明で、120km横方向へ飛翔したと述べている。 (2202-010614)

 韓国聯合ニュースが1月5日に、北朝鮮が08:10にBM 1発を日本海に向けて発射したと報じた。
 今回の発射は2021年10月にSLBMを発射して以来で、今年初の発射になる。
 韓国が2021年12月末にKSS-Ⅲ BatchⅡ潜水艦二番艦の起工を行ったのに呼応してたものと見られる。
 KSS-Ⅲ BatchⅡは垂直発射管を10本装備し、リチウムイオン電池を採用している。 (2204-011201)

極超音速巡航ミサイルには懐疑的な見方

 韓国軍が1月7日、北朝鮮国営朝鮮中央通信 (KCNA) が今週極超音速ミサイルの発射試験に成功したと報じたことについて、北朝鮮の従来のBMから大きな改善は見られないとの懐疑的な見方を示した。
 弾頭は極超音速に達していたもようだが、飛翔距離は国営メディアが報じた700kmよりも短く、横方向機動も報じられたほどではなかったという。
 韓国軍関係者は記者団に「これは極超音速滑空ミサイルでも、極超音速巡航ミサイルでもなく、単にモバイル弾頭を搭載したBMだ」と述べた。
 海外のアナリストもMaRV弾頭を搭載した液体燃料BMだったようだと見ている。 (2202-010709)

1月11日: 発射試験

 韓国軍の合同参謀本部によろると、北朝鮮が1月11日07:27頃に内陸部から日本海に向けてBMとみられる飛翔体1発を発射した。
 日本政府によると、通常の弾道軌道であれば飛距離は700km未満で、落下したのは日本の排他的経済水域(EEZ)外の海域と推定される。
 北朝鮮は5日に極超音速ミサイルと主張する発射試験を行ったばかりである。 (2202-011105)

 北朝鮮が1月11日07:27頃に内陸部から日本海に向けて発射した飛翔体について日米韓当局が詳しい種類の分析を進めているが、聨合ニュースは今回のミサイルがMach 10近くに達したと報じた。
 5日の発射について韓国軍は、極超音速兵器の技術に達せず、一般的なBMとの見方を示したが、弾頭部の変則飛行が認められ、北朝鮮が着々と技術を発展させている可能性が高く、日韓への脅威は日増しに高まっている。 (2202-011106)

 朝鮮労働党機関紙の労働新聞が1月12日、11日に国防科学院が極超音速ミサイルの発射試験を行ったと報じた。
 記事では、ミサイルから分離された弾頭が1,000km先の水域に設定された目標に命中したとしている。 (2202-011202)

 朝鮮労働党機関紙の労働新聞が1月12日、11日に極超音速ミサイルの発射試験を行ったことについて、今回の試験が極超音速ミサイルの発射技術を「最終的に実証」するために実施されたとしており、開発が最終段階にあると強調した。
 労働新聞によると、弾頭は発射から600kmの地点で再び浮上、旋回するなど進行方向を変え、目標に命中した。 弾頭部は5日に発射したミサイルと同じものとみられる。
 韓国の聯合ニュースは近く配備されるとみられると報じた。 (2202-011204)

 北朝鮮が極超音速ミサイルを発射した1週間後に再び極超音速ミサイルを発射した。 北朝鮮は1,000km先の標的に正確に命中したとしている。
 またロケットで発射された極超音速ミサイルはレーダの捕捉しにくい比較的低高度を240km飛行する段階に入り、少なくとも2度の飛行方向変換を行ったという。
 これが韓国と日本の発表した飛距離700kmとの差の原因と見られる。
 韓国統合参謀本部は飛翔高度を最大60kmと発表している。 (2202-011211)

4月25日: 閲兵式に登場

 北朝鮮が4月25日の朝鮮人民革命軍創建90周年記念閲兵式で極超音速ミサイルとICBM、SLBMなど最新型戦略武器を公開した。 今回の閲兵式では3月24日に発射試験に成功したと主張している射程15,000kmの火星-17が公開された。
 また、発射試験に成功したと主張しているHGV型の火星-8やMARV式の極超音速ミサイルなど、極超音速ミサイル2種類も公開した。
(2205-042711)

4・2・3・3 SLBM

4・2・3・3・1 北極星シリーズ SLBM

4月25日: 北極星-5の射程延伸型が閲兵式に登場

 北朝鮮が4月25日の朝鮮人民革命軍創建90周年記念閲兵式で極超音速ミサイルとICBM、SLBMなど最新型戦略武器を公開した。 今回の閲兵式では3月24日に発射試験に成功したと主張している射程15,000kmの火星-17が公開された。
 また、発射試験に成功したと主張しているHGV型の火星-8やMARV式の極超音速ミサイルなど、極超音速ミサイル2種類も公開した。
 これまで未公開だった新型SLBMも登場した。 新型SLBMは北朝鮮が2021年1月に公開した北極星-5と胴径は同じだが全長が0.5~1m位長い。
 峨山政策研究院外交安保センターの研究委員は「射程を伸ばすために燃焼部を追加したものと推定される」とし「弾頭部を拡張して多弾道を装着した可能性もある」と分析している。 (2205-042711)

5月 7日: 短距離 SLBM

 聯合ニュースが5月7日、北朝鮮の飛翔体について、韓国軍がBMと推定していると報じた。 (2206-050707)

 韓国軍合同参謀本部が5月7日、北朝鮮が発射した飛翔体について短距離のSLBMと推定されると発表した。 (2206-050708)

 岸防衛相が5月7日、北朝鮮が同日14:06頃に同国東岸付近から東方向にSLBMの可能性があるBM 1発を発射したと発表した。
 BMの到達高度は50km、飛距離は600kmで、北朝鮮東岸付近の日本の排他的経済水域 (EEZ) 外に落下したという。 (2206-050709)

 北朝鮮は5月7日14:07頃、東部の新浦沖から日本海へBM 1発を発射した。 防衛省や韓国軍はSLBMと推定されると明らかにした。
 防衛省によると、到達高度は50kmで、600km飛翔して日本の排他的経済水域 (EEZ) 外に落下したとみられる。 韓国軍は潜水艦から発射したとみていて、到達高度は60kmだったとしている。
 新浦には潜水艦基地があり、SLBMの発射準備とみられる動きが最近、衛星写真で捉えられていた。
 北朝鮮のSLBM発射は2021年10月19日に新型を発射して以来で、飛距離や高度がほぼ一致していることから同タイプの可能性がある。
 北朝鮮のミサイル発射は巡航ミサイルを含めて2022年14回目で、5月4日にもBMを発射した。 (2206-050711)

 岸防衛相が5月10日の記者会見で、北朝鮮による7日のミサイル発射について、2021年10月のSLBMと同型で、変則軌道だったとの分析結果を公表した。
 その上で「米国などと緊密に連携しながら、わが国の平和と安全の確保に万全を期していく」と強調した。 (2206-051012)

 防衛省と韓国合同参謀本部が5月7日、北朝鮮が14:00に新甫からSLBMを発射し、飛距離600km、到達高度60km(防衛省は50km)を飛翔したと発表した。  北朝鮮は5月4日にもMRBMを発射したほか、今年になって新型のSRBMや極超音速ミサイルと称するIRBM火星-12や火星-17/-15などを発射している。 (2208-051809)

10月09日: 2発発射

 防衛省が10月9日、北朝鮮が同日01:47と01:53に同国東岸付近から東方向に2発のBMを発射したと発表したが、発射地点が海岸付近であることなどから、SLBMだった可能性もあると見て分析している。 (2211-100907)

4・2・3・3・2 SLBM 搭載潜水艦

 北朝鮮が2021年10月にSLBMの試験発射に使った新浦級潜水艦8・24英雄が、停泊した新浦造船所から特異動向が観測されたという分析が出てきた。
 CSISが30日に、北朝鮮専門サイトBeyond Parallelが2月16日から27日まで撮影した衛星写真8枚を分析した結果をウェブサイトに掲載した。
 この動きについてBeyond Parallelは、英雄の改造や修理のための移動、SLBMの発射試験準備、戦略的欺騙作戦などの可能性があると分析している。 (2204-033107)

 民間衛星が北朝鮮の新甫南造船所を9月18日に撮影した画像から、2016年初めに建造を開始した新型SSBが近く進水することが示唆される。
 潜水艦の建造建屋の周辺には今まで見られなかった6隻の舟艇や艀が集まっている。 (2210-092117)

4・2・3・4 MRBM / SRBM

4・2・3・4・1 SLV と称する MRBM

12月18日: 飛翔距離500km、到達高度550km

 韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮が12月18日に東倉里付近から日本海にMRBM 2発を発射した。
 防衛省によると、いずれも飛翔距離500km、到達高度550kmで、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下した。 在日米軍基地や日本を標的に想定した可能性がある。
 日本政府は16日に「反撃能力保有」を明記した国家安全保障戦略など安保関連3文書を改定したばかりで、国連総会でも15日に日本人拉致問題を含む北朝鮮の人権侵害を非難する決議を採択しており、こうした動きに反発したとみられる。 (2301-121803)

 北朝鮮の朝鮮中央通信が12月19日、国家宇宙開発局が東倉里の西海衛星発射場で18日に偵察衛星の開発に向けた最終段階の重要試験を行ったと発表したと報じた。
 北朝鮮が18日に日本海に発射したMRBM 2発を指すとみられる。
 北朝鮮は今回の試験で衛星から撮ったとする写真も公開した。 聯合ニュースによると、写っていた場所はソウルと仁川港だった。
 北朝鮮は2023年4月までに軍事偵察衛星1号機の準備を終えると主張した。 (2301-121905)

4・2・3・4・2 KN-23 Iakander 似の SRBM

1月14日: 鉄道機動ミサイル連隊の射撃

 韓国軍合同参謀本部が、北朝鮮が1月14日にSRBMと推定される飛翔体を2発、北西部の平安北道から東に向けて発射したと発表した。
 北朝鮮のミサイル発射は過去2週間で3回目となる。
 岸防衛相は14日、北朝鮮が14:50頃にBMを少なくとも1発、北西部の陸地から東方向に発射したことを確認したと述べた。 飛翔距離は通常軌道なら400kmで、日本の排他的経済水域 (EEZ) の外側に落下したと推定している。 (2202-011403)

 韓国軍の合同参謀本部によると、北朝鮮北西部の平安北道義州付近から1月14日14:41と14:52に、SRBMとみられる2発の飛翔体が北東の日本海側に向けて発射された。
 飛翔距離は430km、高度は36kmと推定され、最高速度はMach 6と分析しているという。
 韓国の専門家からは、北朝鮮が1月5日と11日に発射した極超音速ミサイルと主張するSRBMではなく、ロシア軍のIskander Mに似たミサイル(米国はKN-23と命名)か、米陸軍ATACMSに似たもの(KN-24)との見方がある。 (2202-011406)

 朝鮮労働党機関紙の労働新聞が1月15日、鉄道機動ミサイル連隊が昨日発射訓練を行い、2発のTBMが日本海に設定された目標に命中したと報じた。
 公開された写真ではミサイルが、線路上の列車から炎を吹き出しながら上昇していく様子が写っている。
 北朝鮮は、昨年9月に新たに組織された鉄道機動ミサイル連隊が中部山岳地帯で発射訓練を行ったと明らかにしている。 (2202-011506)

 北朝鮮の朝鮮中央通信が1月15日、平安北道の鉄道機動ミサイル連隊が前日に射撃訓練を実施しTBM 2発を日本海上に設定した目標に命中させたと報じた。
 発射したのはロシア製Ikkanderの北朝鮮型でKN-23と呼ばれるSRBMとみられる。
 朝鮮中央通信は日本海の島に設定した標的にミサイルが命中する写真も公開した。 島は咸鏡北道吉州郡舞水端里沖にある無人島とみられる。
 韓国の軍当局と専門家は変則的な動きをするKN-23の精度が向上したと推定している。 (2202-011507)

1月27日: 2発発射

 韓国軍によると、1月27日に北朝鮮がSRBM 2発を発射した。 (2202-012707)

 日本政府関係者は1月27日、北朝鮮が発射した飛翔体について、日本の排他的経済水域 (EEZ) 外に落下したとみられると明らかにした。
 被害情報も入っていないという。 (2202-012708)

 韓国軍合同参謀本部が1月27日、08:00頃と08:05頃に北朝鮮咸鏡南道咸興一帯から日本海に向けて発射された2発のSRBMと推定される飛翔体をとらえたと発表した。
 今回発射された飛翔体の飛翔距離は190km、高度は20kmと探知されたと説明した。 (2202-012710)

 北朝鮮国営朝鮮中央通信が、国防科学院が1月27日にTBMの発射試験を行い、発射された2発は標的の島を精密に打撃したと報じた。
 韓国軍は、北朝鮮がき27日午前に日本海に向けてSRBMと推定される飛翔体2発を発射したと明らかにしていて、北朝鮮の発表はこれを指すとみられる。
(2202-012801)

 朝鮮中央通信が1月28日、27日に地対地TBMの発射試験を実施し、発射された2発が設定目標の島に命中したと報じた。
 公開された写真から、1月14日などにも発射が確認されたKN-23 SRBMの改良型とみられる。 (2202-012803)

 岸防衛相が1月28日午前の閣議後の記者会見で、北朝鮮が27日に日本海に向けて発射した飛翔体について、北朝鮮東部からBMを2発発射したものと推定しているとし、極めて低い高度で短距離を飛翔し、日本の排他的経済水域(EEZ)の外に落下したと述べた。 (2202-012805)

 朝鮮中央通信などの北朝鮮メディアが1月28日、25日と27日にそれぞれ長距離CMと地対地TBMの発射試験に成功したと報じた。
 長距離CMは北朝鮮が2021年9月に2回発射したCMで、形が米国のTomahawkと似ている。 地対地TBMは北朝鮮版Iskanderと呼ばれるKN-23で、北朝鮮はKN-23の試験を事実上昨年終えて、14日には列車から発射する改良型試験に成功している。
 今回再びKN-23を撃ったことについて韓国の軍事専門家はソ連がアフガニスタン戦争で洞窟の中に隠れている敵を攻撃するために開発した熱圧力弾(サーモバリック弾)の可能性が疑われると見ている。
 気化爆弾とも呼ばれるサーモバリック弾は爆発力よりも火炎と爆圧を最大にした爆弾で、地下施設に落とせば中にいる人が窒息死する。 (2202-012810)

9月25日: 1発発射

 日本政府関係者が9月25日、北朝鮮が発射したBMと見られる飛翔体は、日本の排他的経済水域 (EEZ) の外に落下したとみられ、現時点で航空機や船舶の被害情報はないことを明らかにした。 (2210-092505)

 韓国軍合同参謀本部が、9月25日06:53に北朝鮮西北部の平安北道の泰川周辺から、日本海に向けてSRBM 1発が発射されたと発表した。
 防衛省は、到達高度が50kmで、通常の弾道軌道であれば400km飛び、日本の排他的経済水域 (EEZ) の外側である北朝鮮東側の沿岸に着弾したと推定されると発表した。 (2210-092506)

 浜田防衛相は、北朝鮮から発射されたBMは変則軌道の可能性があると明らかにした。 (2210-092507)

 韓国軍合同参謀本部が9月25日、北朝鮮が同日朝に西部の平安北道泰川付近から朝鮮半島東の日本海上に向け1発発射したSRBMについて、高度60km、飛距離600kmで、速度はMach 5だったとの分析を明らかにした。
 専門家はIskanderの北朝鮮版と呼ばれるKN-23と似ていると分析している。 (2210-092509)

 浜田防衛相が、北朝鮮が9月25日に発射したBMについて、変則軌道でおよそ650km飛行したとみられると明らかにした。
 浜田防衛相は昨日ミサイルについて、「通常の弾道軌道だとすれば、約400km程度の飛翔をした」と発表していたが、今日の会見で「さらなる分析を進めた結果、変則的な軌道で650km程度飛翔した」と修正した。 (2210-092612)

 米国の北朝鮮専門サイトBeyond Parallelが10月12日、北朝鮮が9月25日に平安北道泰川の貯水池で発射したBMは、報道されたSLBMでなくSRBMだと報じた。
 Beyond Parallelは、今回の試験に使用されたミサイルはKN-23 SRBMの改良型と見ている。
 また、水中または地下に固定式サイロを設置して発射するのは冷戦時代に試験された方式で新しいものではなく、従来の移動式発射台および鉄道や潜水艦発射方式に比べて戦略的、戦術的メリットがないと指摘している。 (2211-101311)

9月28日: 2発発射

 日韓両政府が9月28日夕、北朝鮮がSRBM 2発を東岸沖へ発射したと発表した。 いずれも日本の排他的経済水域 (EEZ) 外に落下したと推定されている。
 韓国軍によると、BMは平壌付近から発射され、防衛省は2発とも変則軌道の可能性があり、1発目は高度50km、飛行距離350km、2発目は高度50km、飛行距離300kmだったと分析している。
 北朝鮮がBMを発射するのは、SRBM弾を発射した25日以来である。
 米韓は26日から合同軍事演習を実施中で、29日にはハリス米副大統領が訪韓する。 (2210-092816)

9月29日: 2発発射

 防衛省によると、北朝鮮からBMの可能性のある飛翔体が発射されたという。
 政府関係者によると、発射されたのはSRBM 2発とみられ、すでに落下したと推定されている。
 また、落下位置は日本の排他的経済水域の外とみられる。 (2210-092913)

 浜田防衛相が防衛省で記者団に29日、北朝鮮が同日発射したミサイル2発について、いずれも到達高度50km、飛距離は300kmだったと発表した。 (2210-092914)

10月01日: 2発発射

 海上保安庁が防衛省の情報として、10月1日06:47と07:01に北朝鮮からBMの可能性があるものが発射されたと発表した。
 いずれも「すでに落下したものとみられる」としている。 BM 2発が連射された可能性がある。 (2211-100104)

10月06日: 2発発射

 韓国軍合同参謀本部が10月6日朝、北朝鮮が6時台に相次ぎ平壌周辺から2発のSRBMを日本海に向け発射したと発表した。
 防衛省によると、1発目は到達高度100km、飛翔距離350km、2発目はそれぞれ50km、800kmで、いずれも日本の排他的経済水域 (EEZ) 外に落下したとみられる。
 2発目は変則軌道で飛翔した可能性があり、1発目については分析中という。
 北朝鮮がBMを発射するのはここ12日間で6回目で、北朝鮮が異例の頻度で試射を繰り返す中、米軍は空母を再び日本海に展開することを決めた。 (2211-100606)

10月09日: 2発発射

 防衛省にると、北朝鮮からBMの可能性があるものが発射された。
 政府関係者によると、日本の排他的経済水域 (EEZ) 外に落下したとみられ、今のところ被害の報告は入っていないという。 (2211-100901)

 防衛省は、北朝鮮が10月9日未明に東方向へ発射したBM 2発がSLBMだった可能性を含め分析を進めている。
 防衛省によると、北朝鮮は01:47と01:53に東岸付近からそれぞれ東方向へ発射した。
 同省は2発とも到達高度100km、飛翔距離350kmと分析し、日本の排他的経済水域 (EEZ) 外に落下したと推定している。 (2211-100902)

 10月9日未明に北朝鮮が発射した2発のBMについて、浜田防衛大臣は地上発射型のBMだった可能性があると明らかにした。
 防衛省は当初「発射場所が海上の可能性もある」として、SLBMの可能性も含めて分析していた。 (2211-101122)

10月12日: 2発発射

 朝鮮中央通信が10月13日、北朝鮮が12日に長距離戦略CM 2発の発射試験を行い金正恩総書記が視察したと報じた。
 同通信はミサイルが戦術核兵器の搭載を想定し戦術核運用部隊に配備されたとしている。
 同通信によると、黄海上空に設定された楕円と八の字状の軌道に沿って、2,000kmを2時間50分34秒かけて飛び、目標に命中したという。 (2211-101308)

10月14日: 1発発射

 浜田防衛相が10月14日未明に、北朝鮮が平壌近郊から東に向けて少なくとも1発のBMを発射したと発表した。 日本海の日本の排他的経済水域 (EEZ) の外に落下したという。
 北朝鮮のミサイル発射は9月25日以降8回目、計13発となる。
 防衛省によると、北朝鮮は14日01:47頃に少なくとも1発のBMを発射し、到達高度は50km、飛翔距離650kmと推定される。 変則軌道の可能性がある。 (2211-101402)

 韓国軍が、北朝鮮が14日未明に日本海に向けSRBM 1発を発射した。
 韓国軍の合同参謀本部によると、北朝鮮は首都平壌近郊の順安付近から14日01:49に、日本海に向けSRBM 1発を発射した。 飛翔距離は700km、到達高度は5kmで、速度はMach 6だった。 (2211-101407)

10月28日: 3発発射

 北朝鮮が10月28日に日本海に向け再びSRBMを発射した。 BMの発射は14日以来である。
 韓国軍によりると、北朝鮮は11:59から12:18までに北朝鮮東部の江原道通川一帯からSRBM 2発を発射したという。
 防衛省によると、日本のEEZへのBMの飛来は確認されていないという。 (2211-102810)

 韓国軍合同参謀本部が、北朝鮮が10月28日に東部から日本海に向けて発射したSRBM 2発について、高度24kmという低高度を230km飛翔したとの分析を明らかにした。
 速度はMach 5と探知された。 いずれも日本の排他的経済水域 (EEZ) 外に落下したもようである。
 低高度を飛ぶBMは探知や迎撃が比較的難しく、北朝鮮が日米韓のBMDSの回避を狙って低高度での発射の練度を上げようとしている可能性がある。 (2211-102811)

12月23日: 2発発射

 井野副防衛相が12月23日、北朝鮮が23日16:31頃に平壌近郊から少なくとも1発のBMを東方向へ発射したことを明らかにした。
 到達高度50km程度で300km程度飛翔し、朝鮮半島東側日本の排他的経済水域 (EEZ) 外側の日本海へ落下したと推定される。
 ミサイルは変則軌道で飛翔した可能性があり、防衛省は引き続き分析を進める。 (2301-122313)

 韓国軍によると、北朝鮮が16:32頃に平壌近郊の順安付近から日本海に向けSRBM 2発を発射したという。
 飛距離や高度などは米国と韓国の情報当局が分析中である。
 北朝鮮は9月25日以降、異例のペースでミサイルの発射を繰り返していて、11月18日にも火星-17を発射し、日本の排他的経済水域 (EEZ) 内側に着弾させたほか、韓国軍によると12月18日にもMRBM 2発発射し、その後北朝鮮メディアは「衛星実験だった」と報じている。 (2301-122314)

4・2・3・4・3 KN-24 ATACMS 似の SRBM

1月17日: 発射試験

 韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は1月17日午前にSRBMとみられる飛翔体3発を平壌の順安飛行場から東方向に発射した。
 海上保安庁は08:54に北朝鮮からBMの可能性があるものが発射されたと発表した。 すでに海上に落下したとみられる。
 北朝鮮は2017年の火星-12 MRBMの発射実験でも同飛行場を使った。
 北朝鮮が飛翔体を発射するのは今月に入ってから4回目になる。 (2202-011701)

 韓国軍合同参謀本部が1月17日、北朝鮮が平壌の順安飛行場付近から東に向けて発射されたSRBMと推定される飛翔体2発を確認したと発表した。
 ミサイルの飛行距離は400km未満だったもようで、KN-23と呼ばれる北朝鮮型Iskanderの可能性がある。
 北朝鮮は14日にも列車からKN-23とみられるミサイルを発射している。
 順安飛行場から北朝鮮が標的に使っている北東部の咸鏡北道吉州郡舞水端里沖にある無人島までは直線距離で370~400km程度である。 (2202-011702)

 韓国軍合同参謀本部が1月17日、北朝鮮が同日発射したSRBMと推定される飛翔体の飛行距離は380km、高度は42kmだったと明らかにした。 (2202-011706)

 北朝鮮の朝鮮中央通信が1月18日、国防科学院などが17日にTBMの発射試験を行ったと報じた。
 同通信は発射実験について、量産されているTBMを点検してシステムの正確性を検証する目的で行われたと伝えた上で、西部地区で発射された2発のTBMは日本海上の島の標的を精密に打撃したと明らかにした。
 朝鮮労働党機関紙の労働新聞が公開した写真によれば、戦術誘導弾は米陸軍のATACMSに類似したKN-24とみられる。 (2202-011803)

4・2・3・4・4 KN-23 / KN-24 の改良型 SRBM

4月17日: 発射試験

 北朝鮮の朝鮮中央通信 (KCNA) が4月17日、核戦力強化を目的とした新型TBMの発射試験を、金総書記立ち会いの下で実施したと報じた。
 韓国軍合同参謀本部は同日、北朝鮮が16日18:00頃に東部の咸興付近から東方の海に向けて飛翔体2発を発射したと発表した。
 最大速度Mach 4で110km飛翔し、高度は25kmだったとした。 (2205-041701)

 朝鮮中央通信が4月17日、金総書記の立ち会いの下で新型TBMの発射試験が成功裏に行われたと報じた。
 今回の試験でTELから発射されたTBMは米陸軍のATACMSに似たKN-24と似ているが、外形はIskanderの北朝鮮版と呼ばれるKN-23に近い。 2本のキャニスタを搭載したTELから発射できるようにKN-23を改良した可能性がある。
 一部の専門家はKN-23とKN-24の技術的な長所だけを盛り込んだ新型TBMの可能性もあるという。
 射程400~600kmのKN-23は飛行間に迎撃を回避するためプールアップ(滑降と上昇)する特徴があるため、韓国のBMDS (KAMD) で対応するのは難しいとの指摘もある。 (2205-041702)

 北朝鮮KCNAが4月17日、核弾頭搭載可能な新型SRBMの発射試験を行ったと報じた。
 韓国合同参謀本部によると18:00頃に発射されたのは2発で、110km飛翔し最高速度はMach 4であったという。 (2207-042712)

4・2・3・4・5 M L R

北朝鮮の MRL/MLR

 北朝鮮が6月12日に西海岸でMLRを発射し、北朝鮮のロケット砲戦力に注目が集まっている。 国防白書によると北朝鮮は2020年に5,500門のMRLを保有している。
 北朝鮮軍は107mm、122mm、240mm、300mmなどのMRLを保有していて、殆どがDMZ付近に配備されている。
 このMRLはDMZ付近で発射され、ソウル首都圏を奇襲的に大量集中火制できる。
 122mm MRLは射程20kmで、2010年の延坪島砲撃に動員された。
 240mm MRLは射程60~65kmで、首都圏地域に対する奇襲的な大量集中攻撃が可能である。
 300mrlは中国製を模倣生産したもので射程距離は180~200kmという。
 こうした北朝鮮の放射砲は誘導機能を備えSRBMに分類されるKN-25と呼ばれる超大型放MRLに発展した。 (2207-061405)

3月20日: 黄海に向け発射

 韓国国防省が、北朝鮮が3月20日07:00頃にMRLから黄海に向けBMを発射したと発表した。
 韓国国防省によると北朝鮮は16日にもBMを発射したが発射初期の段階で失敗した模様である。 (2206-033001)

5月12日: 3発を発射

 防衛省によると北朝鮮からBMの可能性があるものが発射された。
 政府関係者によると、飛翔体は日本のEEZ外に落下し、現在までに船舶などへの被害情報は入っていないという。
 韓国軍の合同参謀本部によると、北朝鮮は18:29頃に平壌近郊の順安付近から日本海に向けてSRBM 3発を発射したという。
 北朝鮮のミサイル発射は今年に入って15回目になる。 (2206-051207)

 韓国軍の合同参謀本部が5月12日、北朝鮮が同日18:29頃に平壌順安から日本海に向けSRBM 3発を発射したと発表した。
 同本部によると飛距離は360km、高度90km、速度はMach 5で、軍と情報当局はこのミサイルを北朝鮮が「超大型放射砲」と呼ぶSRBM KN-25と推定している。 (2206-051209)

 北朝鮮が5月12日18:30頃に平壌近くの順安からSRBM 3発を日本海に向けて発射した。 韓国合同参謀本部によると到達高度は90kmで360km飛翔した。
 これについて北朝鮮はコメントしていない。
 今回の発射試験は2022年になって16回目になる。 (2208-052502)

6月12日: 5発を発射

 韓国軍合同参謀本部が12日、北朝鮮が同日08:07から11:03にかけ、MRLとみられる飛翔体を複数発射したと明らかにした。
 聯合ニュースによると、北朝鮮の西海岸から黄海に向けて5発前後を発射した。 (2207-061206)

7月10日: 2発を発射

 韓国軍が、北朝鮮が7月10日の18:21から18:37まで、MLRを発射したとみられると発表した。
 韓国メディアは、発射されたのは2発だと報じている。 (2208-071007)

10月09日: 2発発射

 北朝鮮が同日01:47と01:53に同国東岸付近から東方向に2発のBMを発射したと発表したが、韓国軍からは北朝鮮が超大型ロケット砲と呼ぶKN-25との見方が出ている。 (2211-100907)

4・2・3・4・6 実戦に即した発射

6月05日: 35分間に4ヶ所から8発の連射

 韓国軍が6月5日朝、北朝鮮が日本海に向けてBM 8発を発射したと発表した。
 韓国軍によると、北朝鮮は09:00過ぎから平壌の順安などから日本海に向けて、SRBM 8発を相次いで発射した。
 北朝鮮によるミサイル発射は今年だけで17回目で、5月だけで4回の発射を行っているが、北朝鮮側は公表していない。
 これに先立ち、韓国軍は今月2日から4日にかけて、米軍空母Ronald Reaganなどと共に、沖縄近くの海上で合同演習を行ったと発表していることから、北朝鮮が演習に反発し、ミサイルを発射した可能性もある。 (2207-060503)

 防衛省が6月5日、北朝鮮が09:06~09:41に少なくとも6発のBMを東へ発射したと明らかにした。
 発射地点は北朝鮮東岸付近、西岸付近、内陸部の複数箇所で、いずれも最高高度50~100kmで300~400km飛翔し、日本の排他的経済水域 (EEZ) 外の日本海に落下した。
 6発のうち一部は変則軌道で飛翔した可能性があるという。
 6発以外にもミサイルが発射された可能性があるという。
 岸防衛相は記者会見で「北朝鮮は2022年に入ってから、CMも含めると17回に及ぶかつてない高い頻度、新たな態様での発射を繰り返していて、特に今回のように短時間で3ヵ所以上から極めて多い発数の発射は異例と言える」と指摘した。 (2207-060505)

 韓国軍合同参謀本部が6月5日、北朝鮮が同日午前に発射したSRBMは、首都平壌の順安のほか、北西部東倉里、東部咸興、内陸部价川の4ヵ所付近から発射されたとの分析を明らかにした。 (2207-060506)

 韓国合同参謀本部によると、北朝鮮が6月5日09:08~09:43にかけて、順安と平安南道价川、平安北道東倉、咸鏡南道咸興からSRBM計8発を発射した。
 飛翔距離110~670km、到達高度25~90km、最高速度Mach 3~6という。
 発射したのはIskanderの北朝鮮版と呼ばれるKN-23とATACMSに類似したKN-24、北朝鮮が超大型放射砲と呼ぶKN-25と推定される。 (2207-060508)

 北朝鮮が8発のBMを連続して発射するのは前例がなく、4種類のSRBMを一度に発射するのも初めてである。
 韓国軍によると、北朝鮮の歩兵部隊に配備される射程距離110kmの新型TBM、北朝鮮版ATACMSと言われる射程400kmのKN-24、超大型放射砲と称するKN-25、北朝鮮版Iskanderと呼ばれる射程700~800kmのKN-23が全て発射されたという。
 北朝鮮が複数の地域から各種BMを異なった高度や飛翔方式でほぼ同時に発射した場合、米韓による現在のBMD網では事実上何もできないとの指摘もある。 (2207-060604)

 北朝鮮が6月5日、09:00から40分間に 北朝鮮各地から日本海に向けSRBM 6発を発射した。
 韓国軍合同参謀本部によると射距離は100~670km、到達高度は25~90kmであった。
 北朝鮮のミサイル発射は2022年18回目で、6発の発射は1日としては今まで最多である。 (2208-061512)

4・2・3・5 偵察衛星

2月27日: 偵察衛星の試験と称する発射

 防衛省が2月27日07:59に北朝鮮からBMの可能性のあるものが発射されたと発表した。
 韓国合同参謀本部は、北朝鮮が東方に向けて飛翔体を発射したと明らかにした。 (2203-022703)

 2月27日07:51に北朝鮮の西岸付近からからBM少なくとも1発が東の方向に発射された。  最高高度は600km、飛翔距離は300kmと推定されている。
(2203-022704)

 朝鮮中央通信が2月28日、北朝鮮が27日に偵察衛星開発に向けた実験を実施したと報じた。
 日米韓は27日に弾道ミサイルとみられる飛翔体の発射を探知している。 (2203-022808)

 北朝鮮が2月27日に日本海に向けBMを発射した。
 韓国合同参謀本部によるとこのBMは08:00の少し前に発射され300kmを飛翔した。 到達高度は620kmであった。 (2206-030911)

3月 5日: 偵察衛星の試験と称する発射

 岸防衛相が3月5日、北朝鮮が08:47頃に北朝鮮西岸付近から少なくとも1発のBMを東方向に向けて発射したと明らかにした。
 詳細は分析中としたうえで、高度が550km程度に達し、飛距離が300km程度と発表した。 (2204-030509)

 韓国軍合同参謀本部が3月5日、北朝鮮が同日08:48頃に平壌の順安付近から朝鮮半島東の日本海に向けBM 1発を発射したと明らかにした。
 飛距離は270km、到達高度は560kmで、北朝鮮が2月27日に偵察衛星の開発名目に発射したMRBMと似ている。
 2月27日に発射された飛距離300km、到達高度620kmだったBMは、高射角でなく通常の角度で打ち上げていれば、飛行距離は2,000kmになると推定されている。 (2204-030515)

 北朝鮮の朝鮮中央通信が3月6日、同国の国家宇宙開発局と国防科学院が5日に偵察衛星開発計画に基づき再度、重要な実験を行ったと報じた。
 朝鮮中央通信は「この実験で衛星データの送受信、および操縦指令システムと各種の地上衛星管制システムの信頼性を実証した」と報じた。 北朝鮮は5日午前にBM 1発を発射しておりこれを指すとみられる。
 2月27日にもBM 1発を発射し、翌28日に衛星開発計画による実験だったと公表していた。 (2204-030606)

 北朝鮮が3月5日、偵察衛星と称するBMの2度目となる発射試験を実施した。
 韓国合同参謀本部によるとミサイルは09:00に打ち上げられ270kmを到達高度560kmを飛翔した。
 この発射は2022年になって9回目で、その直後の3月9日には韓国で大統領選挙が予定されていた。 (2206-031606)

5ヵ年間に多数の偵察衛星を軌道打入

 朝鮮中央通信が3月10日、北朝鮮の金総書記が国家宇宙開発局を視察し、偵察衛星開発に関する報告を受けたと報じた。
 金総書記は偵察衛星開発の目的が日米韓の軍事行動情報をリアルタイムで把握することにあると主張し、2021~2025年の5ヵ年計画の期間内に多数の偵察衛星を軌道上に打ち上げるという宇宙開発局の決意を党中央は支持すると強調した。 (2204-031006)

4・2・3・6 長距離 CM

1月25日: 日本海に向け2発発射、1,800km先の標的に命中

 複数の韓国メディアが1月25日、北朝鮮が同日午前に日本海に向けてミサイル2発を発射したのが捕捉されたと報じた。
 聯合ニュースは複数の韓国軍消息筋の話として、韓国軍合同参謀本部がCMとみて分析を進めていると報じた。 (2202-012511)

 韓国軍情報筋によると、合同参謀本部が1月25日08:30頃に北朝鮮がCMと推定されるミサイル2発を発射したとみて諸元を分析している。
 CMはBMと違い国連安全保障理事会決議違反に該当しないことから軍は通常、BMの場合は探知直後にメディアに公開するが、CMは探知しても特に公開していない。 (2202-012512)

 北朝鮮国営朝鮮中央通信が、1月25日に長距離CMの発射試験を行い、2発が1,800km先の標的の島に命中したと報じたが、韓国軍の関係者は25日に北朝鮮がCM 2発を発射したとみられると明らかにしていて、発表はこのミサイルを指すとみられる。 (2202-012801)

8月17日: 黄海に向け2発発射

 韓国軍関係者が8月17日、北朝鮮が同日早朝に平安南道温泉付近から黄海上へCM 2発を発射したと明らかにした。
 韓国軍は飛距離など詳細を調べている。 (2209-081710)

10月12日: 黄海に向け2発発射、2,000km先の標的に命中

 朝鮮中央通信が10月13日、北朝鮮が12日に長距離戦略CM 2発の発射試験を行い金正恩総書記が視察したと報じた。
 同通信はミサイルが戦術核兵器の搭載を想定し戦術核運用部隊に配備されたとしている。
 同通信によると、黄海上空に設定された楕円と八の字状の軌道に沿って、2,000kmを2時間50分34秒かけて飛び、目標に命中したという。 (2211-101308)

 北朝鮮が12日早朝に長距離CM 2発を黄海に向けて発射したが、北朝鮮の朝鮮中央通信は13日、「2発とも八の字形の飛行軌道に沿って10,234秒(2時間50分34秒)を飛び、2,000kmの距離にある標的に命中した」と報じた。 (2211-101409)

4・2・4 その他大量破壊兵器

 2023年に特筆すべき記事なし
4・2・5 その他兵器開発

 2023年に特筆すべき記事なし
4・2・6 サイバー戦

4・2・6・1 収入源としてのサイバー戦

国連安保理専門家パネルの報告

 国連安全保障理事会で対北朝鮮制裁決議の履行状況を監視する北朝鮮制裁委員会の専門家パネルがまとめた年次報告書の概要が判明した。
 報告書は北朝鮮が2020年から2021年半ばにかけ、暗号資産(仮想通貨)交換業者へのサイバ攻撃で$50Mを超える資産を盗んだと指摘している。
 安保理筋が本紙に明らかにしたところでは、暗号資産を狙ったサイバ攻撃は北米、欧州、アジアの少なくとも三つの交換業者が標的となっており、とりわけ暗号資産に対するサイバ攻撃が北朝鮮の重要な収入源であり続けているとしている。
 一方、北朝鮮が核やミサイル開発計画を推進し、核分裂性物質の生産能力の開発を続けているとも明記した。 (2203-020703)

 国連安保理が4月1日、対北朝鮮制裁決議の履行状況を監視する北朝鮮制裁委員会の専門家パネルがまとめた年次報告書を公表した。
 報告書では、北朝鮮がサイバ攻撃を通じて海外から暗号資産(仮想通貨)や極超音速ミサイルの開発技術を盗み取った可能性が高いと指摘している。
 暗号資産を狙ったサイバ攻撃では、2020年から2021年半ばに交換業者から$50Mを超える暗号資産を盗んだとした。 (2205-040305)

ハッカー集団 Lazarus による仮想通貨窃取

 ブロックチェーンのデータを調査分析するElliptic社が6月29日、北朝鮮のハッカー集団Lazarusが最近、$100Mの仮想通貨を窃取したという分析を公表した。
 ブロックチェーン技術企業のハーモニー社が24日にハッキングに遭い$100Mもの仮想通貨が盗まれたが、Lazarusの犯行とみられると明らかにした。 (2208-070105)

2年間で$1Bを超える暗号資産等を窃取

 米国土安全保障省のマヨルカス長官が10月18日、「北朝鮮がこの2年間で$1Bを超える暗号資産(仮想通貨)とビットコインをハッキングで窃取し、ミサイル開発など大量破壊兵器計画の資金を調達した」と明らかにした。
 7月には米大統領府でサイバや新興技術を担当するニューバーガー大統領副補佐官が、「北朝鮮は悪意のあるサイバ活動でミサイル開発資金の1/3を充当したと推定する」と述べていた。 (2211-102008)

4・2・6・2 サイバ攻撃の事例

4・2・6・2・1 韓国に対するサイバ攻撃

ハッカー集団 Kimsuky による犯行

 国連安全保障理事会で対北朝鮮制裁の履行状況を調べる専門家パネルが3月にも公表する最終報告書案の全容が明らかになった。
 報告書案によると、北朝鮮の偵察総局傘下のハッカー集団Kimsukyが技術データを盗み出す目的で、防衛装備大手のKAI社のVPN(仮想私設網)機器のハッキングを試みた可能性があるとも明らかにした。
 2021年5月には、KimsukyとみられるIPアドレスが韓国の原子力研究院のネットワークに侵入した事例も報告されている。 (2203-020809)

4・2・6・2・2 米国に対するサイバ攻撃

対米スパイ活動の発覚

 米ニューヨーク連邦地裁が4月12日、暗号資産(仮想通貨)やこれを支えるブロックチェーン(分散型台帳)の情報を米政府の許可なく北朝鮮に提供したとして、暗号資産専門家の米国人グリフィス被告に禁錮5年3月と$100,000の罰金を言い渡した。 グリフィス被告の行為は、対北朝鮮制裁逃れを支援したことになる。
 ニューヨーク連邦地検によると、被告は北朝鮮にとって暗号資産が米国の制裁を回避し核開発など不正な活動の資金源になると十分に認識していたにもかかわらず、2019年4月に国務省の許可を得ず訪朝して「平壌ブロックチェーン・暗号資産会議」に出席し、暗号資産の技術を使ったマネーロンダリング(資金洗浄)や制裁逃れの方法を指導した。
 米国人が政府の許可なく北朝鮮に技術や商品、サービスを提供することは法で禁じられており、グリフィス被告は2019年11月にロサンゼルス空港で逮捕されていた。 (2205-041403)

4・2・6・2・3 その他のサイバ攻撃

国際原子力機関 (IAEA) に対する攻撃

 国連安全保障理事会で対北朝鮮制裁の履行状況を調べる専門家パネルが3月にも公表する最終報告書案の全容が明らかになった。
 報告書では北朝鮮が国際原子力機関 (IAEA) や韓国の防衛企業を標的にしたサイバ攻撃を実施していたと指摘している。
 報告書案によると、北朝鮮の偵察総局傘下のハッカー集団Kimsukyがフィッシングを通じて、IAEAを狙った攻撃を実施したという。
 同じグループが技術データを盗み出す目的で、防衛装備大手のKAI社のVPN(仮想私設網)機器のハッキングを試みた可能性があるとも明らかにした。
 2021年5月には、KimsukyとみられるIPアドレスが韓国の原子力研究院のネットワークに侵入した事例も報告されている。 (2203-020809)

極超音速ミサイルの技術窃取

 国連安保理が4月1日、対北朝鮮制裁決議の履行状況を監視する北朝鮮制裁委員会の専門家パネルがまとめた年次報告書を公表した。
 報告書では、北朝鮮がサイバ攻撃を通じて海外から暗号資産(仮想通貨)や極超音速ミサイルの開発技術を盗み取った可能性が高いと指摘している。
 北朝鮮が2021年9月と2022年1月に発射試験を行ったとしている極超音速ミサイルについては、加盟国の情報として「開発に必要な技術的情報をハッカーの支援で入手あるいは窃取したとみられる」と指摘した。 (2205-040305)

4・3 韓 国

4・3・1 国内情勢

4・3・1・1 政権交代

4・3・1・1・1 対米姿勢の変化

米各首脳 米韓合同軍事演習拡大で合意

 バイデン米大統領と韓国の尹大統領が21日の首脳会談で、北朝鮮の脅威に対処するために米韓合同軍事演習の範囲や規模の拡大に向けて協議を始めることで合意した。
 バイデン大統領は首脳会談後の共同記者会見で日米韓3ヵ国関係について、経済的にも軍事的にも3ヵ国が緊密な関係を築くことが極めて重要だと述べた。 (2206-052106)

4・3・1・1・2 対北重視への回帰

3軸体制に重点、軽空母計画の破棄

 文政権が推進してきた韓国海軍の軽空母建造計画について、全面再検討される可能性が高いことが26日までに分かった。 韓国軍関係者は本紙の取材に対してこの日、「軽空母事業は事実上、破棄の手順を踏むものとみられる」と語った。 軽空母の艦載機としてF-35Bが候補に挙がったが、韓国軍は先月、F-35A 20機を追加購入すると確定し、F-35Bの配備は事実上白紙になる可能性が高い。  新政権は、北朝鮮の核やミサイルの脅威に備えるKill Chain、AMDなど3軸体制に重点を置いているだけに、効用性を巡って論争が存在する軽空母は後回しにすることもあり得る。 (2209-082704)

北朝鮮の BM 発射への対応

 韓国大統領室の金国家安保室第一次長が、北朝鮮が5月25日朝に発射したBMのうちICBMと推定されていた1発について、火星-17と判断したと述べた。
 これらの発射を受け、米韓は対抗措置として日本海へ向けBMを1発ずつ発射した。
 北朝鮮のミサイル発射に対する共同対応は4年10ヵ月ぶりで、米国との結束を重視する尹新大統領の姿勢が際立っている。 (2206-052510)

FY23 NDAA 法案で28,000名の維持

 米議会下院軍事委員会が6月23日、FY23 NDAA法案を57:1で可決した。
 16日には上院軍事委員会での審議も終わっており、同法案は本会議の可決を控えている。
 下院は韓国に配置された28,000名の米軍兵力は朝鮮半島を安定させるとして、同法案に在韓米軍の規模を明示した。
 また、韓国において米国は強力な軍隊を維持しなければならないと強調した。 (2207-062503)

米韓統一抑止戦略 (TDS) の改訂持

 北朝鮮が黄海に向けて2発のCMを発射した8月17日、米韓が米韓統一抑止戦略 (TDS) の改訂を発表した。
 米韓TDSの改訂は米国が2022年に改訂したNational Defense Strategyと、2019年に改訂したMissile Defense Reviewに基づくものである。 (2212-083110)

6年ぶりに北朝鮮を「敵」と表現

 韓国国防白書で北朝鮮政権と北朝鮮軍を「敵」と見なす表現が6年ぶりに復活する。 ただ、「北朝鮮は主敵」という表現は使わないものとみられる。
 文政府時代の2018年と2020年の国防白書では北朝鮮を敵と名指した表現は消え、「主権、国土、国民、財産を脅かし、侵害する勢力をわれわれの敵と見なす」という表現に代わった。 (2301-120705)

4・3・1・1・3 対中関係

尹大統領、ペロシ米下院議長とは面会せず

 ペロシ米下院議長が8月3日夜に韓国入りし、4日午前には韓国国会の金議長と会談したが、尹大統領とは面会はしなかった。
 電話協議となった理由について、韓国政府高官は記者団に大統領が休暇中のためとし、「韓国の国益を総体的に考慮して決めた」などと述べた。
 韓国政府関係者は「同盟国の米国と歩調を合わせる部分は多いが、過度に中国を刺激する必要はない」、ペロシの訪台に猛反発する中国との摩擦を避けるための判断が働いたとみられる。 (2209-080415)

4・3・2 国防予算

4・3・2・1 2021年度の実績

世界第10位の2021年韓国国防費

 韓国国防技術振興研究所が「2022世界防衛産業市場年鑑」で12月9日、2021年の世界の国防費が$2.113で2020年より7%増えたことを明らかにした。
 米国が$800Bで圧倒的に多く、中国$293B、インド$76B、英国$68B、ロシア$65が後に続いた。 日本は$54Bで9番目、韓国は$50Bで前年同様10番目だった。
 一方2017~2021年の世界武器輸出市場では米国が全体の39%で最も多く、ロシア19%、フランス11%、中国4.6%、ドイツ、イタリア3.1%、英国2.9%などと続き、韓国は2.8%で8番目に多かった。
 2022年に入って韓国の防衛産業輸出が大きく増えたため、この数値が反映されればシェアは大幅に増加すると予想される。 (2301-120913)

4・3・2・2 2022年度の予算

 韓国国会が2021年12月3日、KRW54.61T ($46.31B) の2022年度国防費を承認した。 この額は2021年8月に要求した3.4%増のKRW55.23Tから1%削減された。 (2203-121506)
4・3・2・3 今後2年間の調達優先24項目

 韓国DAPAが今後2年間の調達優先24項目を公表した。
 その中にはKAI社が海外企業と共同開発する海兵隊向けの攻撃ヘリ24機が含まれ、KRW1.6T ($1.4B) が含まれている。
 そのほかにはPAC-3弾の購入、KSS-Ⅲ通常動力潜水艦関連、AH-64E購入の$1.6Bや、H-60の改良、地上用レーザ照準具の購入などが含まれている。 (2208-052513)

 韓国DAPAが5月30日、PAC-3弾の追加購入と新型掃海ヘリ (MCH) の調達を合わせてKRW1.72T ($1.4B) で行うと発表した。
 PAC-3の追加購入と合わせて現有PAC-2弾の改良も行う。
 MCHは2020年代末までにKRW970Mで海軍に配備するもので、KAI社がKUH-1 Surionを元に提案している。
 これらとは別にDAPAは6月1日、Hyundai Rotem社にK808 20t装甲車を元にした指揮車をKRW55.3B ($44.7M) で発注した。 (2208-061507)

4・3・2・4 2022年補正予算

COVID-19 対応補正による国防費の減額

 韓国国会が5月下旬にCOVID-19対応のための補正予算で国防費をKRW1.5T ($1.2B) 以上削減しKRW65.95Tにした。
 この結果国防費は年率にして1.4%削減された。
 一番大きく削減されたのは航空機調達費でP-8AからのKRW135.9Bを含めKRW228.6B削減された。
 次いで艦船建造費で、潜水艦救難艦、PKX-B哨戒艇、FFX Batch Ⅲフリゲート艦などからKRW116Bが削減され、陸戦装備ではK105A1 SPHからKRW18.1B削減された。 (2208-061510)

4・3・2・5 2023~2027年の中期計画

 韓国国防省が12月28日に発表した国防中期計画は、5年間で35兆円の国防予算を投じ、北朝鮮への先制打撃や報復攻撃の能力向上を目指す。
 韓国国防省によると、国防予算の2023~2027年の年平均の伸び率を6.8%とし、2027年の国防予算はKRW76T(7兆9,600億円)に達する。 (2301-122910)
4・3・2・4 2023年度の予算

政府要求 KRW57.1238T

 韓国政府が8月30日の閣議で、日本の令和4年度防衛予算の5兆4,000億円を上回る、前年比4.6%増のKRW57.1238T(5兆8,600億円)となる2023年度国防予算案を確定した。
 尹大統領による対北朝鮮安全保障政策の重視を反映させ、北朝鮮が開発を加速させる核やミサイルの脅威に対応するための攻撃と防衛体系に重点的に予算を投じる一方、文前政権が計画してきた軽空母の開発計画には予算を配分しなかった。 (2209-083018)

国会議決 KRW57.143T

 韓国国会で12月24日、2023年度国防予算が今年比4.4%増のKRW57.143T(5兆9,000億円)に確定した。
 これは韓国は2023年の政府総支出増加率を8.9%から5.1%に大幅に縮小した状況でも、国防予算の増加率は3.4%から4.4%に拡大した。 (2301-122605)

 韓国で文前政権が力を入れていた軽空母建造の予算は2023年度の国防予算で「0ウォン」となったが、F-35の追加調達に必要な予算は増額されたことが分かった。
 軽空母建造は2022年度にKRW7.2B(7億5,000万円)の基本設計予算がついていたが、2023年は一切反映されなくなった。
 防衛力改善費は政府案よりもKRW166.4B削減されたが、北朝鮮の核とミサイルへの対応力強化にはKRW65.4Bが改めて投じられる。
 KRW65.4BのうちKRW18.8BはF-35A 20機を来年度から2028年度までに追加で配備するため配分された。 F-35Aはこれまでの40機から60機に増えることになる。 (2301-122607)

4・3・3 対米関係

4・3・3・1 文政権下での対米関係

4・3・3・1・1 戦時統制権移管

・2023年に特筆すべき記事なし
4・3・3・1・2 在韓米軍

在韓米軍の縮小問題

  2023年に特筆すべき記事なし

9月: 5年ぶりの空母寄港

 米海軍空母Ronald Reaganが9月中に釜山に入港する。  米空母が韓国国内に入港するのは2017年のCarl Vinson以来5年ぶりとなる。 (2210-090306)

4・3・3・2 米韓共同演習

4・3・3・2・1 文政権下

4月: 米韓合同 CPX

 在韓米軍と韓国軍が4月18日、朝鮮半島有事を想定した定例の合同軍事演習を開始した。 日程は週末を除く28日までの9日間で、コンピューターシを利用したCPXで、機動訓練は行わない。
 25日に朝鮮人民革命軍創建90年を控える北朝鮮が反発する可能性がある。 (2205-041803)

5月3日~6日: 合同対潜捕捉訓練

 米韓海軍が5月3日から4日間にわたり日本海で対潜捕捉訓練を実施する。
 訓練には駆逐艦など韓国の水上艦5隻、航空機3機、海洋調査船2隻と米駆逐艦Sampson、航空機1機などが参加する。
 かつては米国側の計画に韓国海軍が参加する形で行われていたが、2013年からは両国海軍が共同で実施している。 (2206-050305)

4・3・3・2・2 尹政権下

米韓連合訓練の正常化

 複数の韓国軍情報筋が7月31日、米韓連合訓練の正常化の一環として、米韓連合上陸訓練の双龍演習 (Ssang Yong Exercise) が来年春に復活することを明らかにした。
 現政権に入って事実上初めての大規模な連合野外機動訓練になる。
 双龍演習は米韓海兵隊が強襲揚陸艦、上陸突撃装甲車、垂直離着陸機と上陸機動ヘリなど各種装備と連隊級以上が動員される演習で、2018年の訓練を最後に中断していた。 (2209-080101)

5月 9日から2週間: 米韓空軍合同訓練

 韓国軍が5月3日、米韓空軍が9日から2週間にわたり航空機数十機が参加する合同訓練を実施することを明らかにした。
 同訓練は従来の大規模合同航空演習Max Thunderに代わり2019年に始まったもので、2022年はKorea Flighing Training (KFT) の名称で実施する。
 軍関係者によると、2022年の訓練規模は例年水準で、米第7空軍が参加するという。
 訓練は尹次期大統領の就任式の前日に始まることから、韓国の政権交代に合わせ北朝鮮に警告する意味合いもあると見られる。 (2206-050306)

6月 5日から3日間: 沖縄南東で米海軍との共同訓練

 韓国軍合同参謀本部が6月4日、沖縄南東の公海上で米海軍との共同訓練を同日までの3日間の日程で実施したと明らかにした。
 米海軍からは空母Ronald Reaganなどが参加した。
 米韓は北朝鮮が2017年9月に6回目の核実験を強行したのを受け、2017年11月に合同訓練を実施し米空母3隻が参加したが、今回の共同訓練はそれ以来4年7ヵ月ぶりで、核実験の準備完了が指摘される北朝鮮を牽制する狙いがあるとみられる。 (2207-060410)

6月 7日: 黄海上空で米空軍との共同訓練

 韓国軍合同参謀本部が6月7日、米韓の空軍が同日午前に黄海上空で共同訓練を実施したと明らかにした。
 北朝鮮が5日に8発のSRBMを発射し、核実験の準備も進めているとみられる中、さらなる挑発を抑止するため米韓の連携と攻撃力を示す狙いがある。
 精密誘導兵器を搭載した韓国軍のF-35Aなど16機と在韓米軍のF-16 4機の計20機が参加し、敵の主要目標への攻撃を想定した訓練を行った。 (2207-060707)

8月22日~9月1日: 乙支 Freedom Shield 米韓合同軍事演習

 韓国国防省が7月22日、8月22日~9月1日の予定の米韓合同軍事演習の規模を拡大し、野外訓練も再開すると発表した。
 文在寅前政権下では演習は指揮所演習に縮小されていたが、尹政権は北朝鮮の核やミサイルへの抑止力強化を目指しており、演習や訓練を正常化すると説明した。
 演習名は今回から乙支(ウルチ)Freedom Shieldとし、文政権下で廃止された乙支Freedom Guardianと似た演習名にした。 (2208-072213)

 米韓両軍が8月22日、朝鮮半島有事を想定した夏季定例の乙支(ウルチ)Freedom Shield (UFS) 共同演習を開始した。
 9月1日までの期間中、野外機動訓練も並行し韓国全域で実施する。
 2018年夏以降、文前政権下では南北朝鮮間および米朝間の首脳会談実施やCOVID-19感染拡大を受け、指揮所演習にとどめるなど規模が縮小されていたが、2022年は名称を新たにし、4年ぶりの正常化を果たした。
 韓国国防省は、野外機動訓練には空母打撃群訓練、上陸訓練などが含まれると明らかにしている。 (2209-082202)

9月26日~29日: 米韓両国海軍が日本海で合同演習

 米韓両国海軍が9月26日午前に日本海で合同演習を開始した。 北朝鮮に対し、強力な抑止力を見せつける狙いがある。
 韓国海軍の発表によると、米空母Ronald Reaganなど20隻余りの艦艇が参加し、29日までの期間中、北朝鮮との実戦を想定した訓練を実施する。 (2210-092610)

10月31日~11月4日: Vigilant Storm 米韓空軍合同演習

 韓国軍が10月18日、米韓空軍が31日~11月4日に合同訓練を実施すると明らかにした。
 聯合ニュースによると、韓国上空に250機を展開させる大規模な訓練になるという。
 中国の共産党大会が閉幕する22日から米中間選挙の投開票日となる11月8日までの間に、北朝鮮が7回目の核実験に踏み切るとの観測が出る中、軍事力を誇示することで強くけん制する狙いがありそうだ。 (2211-101806)

 米韓空軍が31日、連合作戦任務における遂行能力向上のための合同空中演習Vigilant Stormを開始した。
 韓国空軍によると、演習は11月4日まで行われ、米軍からはF-35など100機以上、韓国軍からもF-35など140機以上が参加した大規模な演習を実施する。  今回のように大規模な合同空中演習を実施するのは、2017年12月以来5年ぶりで、実戦同様の演習を24時間絶え間なく実施することで、持続的な作戦遂行能力を伸ばす計画という。
 北朝鮮がBM発射を続け、11月8日投開票の米中間選挙までの間に7回目の核実験に踏み切る可能性がある中、米韓両国には訓練を通じた軍事力誇示で北朝鮮に強い警告のメッセージを送る狙いがある。 (2211-103104)

 F35A/Bなど米韓の240機が参加する合同空中演習Vigilant Stormが11月4日までの日程で10月31日に開始された。
 行われる今回の演習では歴代最大規模となる1,600ソーティの出撃が行われる。
 今回の演習には、韓国空軍のF-35AとF-15K、KF-16、KC-330空中給油機など140機と、米国側からは海兵隊と海軍、陸軍も参加し、F-35B、EA-18G、U-2、KC-135空中給油機など100機が参加する。
 さらにオーストラリア空軍がKC-30A空中給油機1機を派遣して初めて米韓合同演習に参加した。 (2212-110105)

 北朝鮮による度重なるBM発射を受け、延長が決まった米韓空軍の合同演習に、米空軍が爆撃機を投入する可能性が出てきた。
 北朝鮮は3日午前に少なくとも3発のBMを発射し、このうち1発は火星-17新型ICBMとみられている。
 21:30過ぎからは内陸部から3発のSRBMを発射した。 さらに23:30頃には80発程度の砲撃を実施している。 (2212-110415)

4・3・3・2・3 多国籍演習への参加

Milan 2022 多国籍海上演習に初参加

 韓国海軍が2月25日から3月4日までインド主催で実施される多国籍連合海上演習Milan 2022にフリゲー艦艦光州と100名を派遣し初めて参加する。
 今回の演習には日米豪など16ヵ国が艦艇を派遣、39ヵ国が参観派遣、合わせて46ヵ国が参加する大規模な連合演習となる。
 軍関係者は、2020年にも該当演習に参加しようとしたが、当時はインド国内でのCOVID-19感染拡大の影響で参加できなかったと述べた。 (2203-022211)

4・3・3・3 経済上非同盟国扱い

ロシアへの半導体輸出禁止制裁のパートナー国から除外

 米国は24日に、ロシアへの半導体輸出禁止制裁を発表した。 米国の半導体技術や装備を利用した場合、第三国で生産した半導体もロシアへの輸出が禁止される。
 商務省は関連説明資料を発表して該当規定から外されるパートナー国家という項目を別途に作り32ヵ国のリストを発表した。
 「概してこれと似たような措置をすでに適用していたり、適用するという意思を明らかにしたりする国々には該当規定を適用しない」ということだが、32ヵ国のリストから韓国は外された。 (2203-022810)

4・3・3・4 北朝鮮のミサイル発射に対抗

ミサイル発射に対抗して地対地ミサイルを発射

 韓国軍合同参謀本部が10月5日、米韓軍が北朝鮮のミサイル発射に対抗し、地対地ミサイル4発を日本海に向け発射したと発表した。 (2211-100507)

4・3・4 日韓関係

4・3・4・1 日韓の対立

4・3・4・1・1 自衛隊機へのレーダ照射問題

4年前と同じ姿勢

 韓国国防省が11月17日の記者会見で、4年前の韓国軍による自衛隊機へのレーダ照射問題について照射は行っていないという当時と同様の見解を重ねて示した。
 4年前に起きた韓国軍による自衛隊機へのレーダー照射問題をめぐり、当時、韓国側は、遭難した北朝鮮の船舶の捜索中にレーダを運用したと説明し、自衛隊機をねらって照射したという見方を否定していたが、その後、韓国側はこの問題で日本側と協議する姿勢を示していた。
 北朝鮮を念頭にした日韓両国間の安全保障面の連携強化を図ろうという動きへの影響が注目される。 (2212-111716)

4・3・4・1・2 共同演習の拒絶

米側要求の日米韓3ヵ国合同演習を拒否

 複数の消息筋が、米空母Abraham Lincoln CSGが4月15日前後に日本海に入り5日程度行動することを明らかにした。
 またCSGが行動する期間に米韓海軍が合同演習を行う可能性が高いという。 米空母が日本海に入るのは2017年11月以来である。
 北朝鮮が2018年に爆破した豊渓里の核実験場の3番坑道を復旧し、7回目の核実験を実施する可能性が高まるなか、北朝鮮に対すし警告を発する意図があるものと受け止められる。
 米側は日米韓3ヵ国による合同演習を強く求めているものの、韓国側が難色を示したため、3ヵ国合同演習は行われない。 (2205-041107)

4・3・4・2 日韓の協力

「6・8・7・1 韓 国」で記述
4・3・5 宇宙開発

4・3・5・1 KSLV の開発

発射試験に初めて成功

 韓国国産宇宙ロケットのヌリ号 (KSLV2) が6月21日16:00に高興の羅老宇宙センターから打ち上げられ、衛星を正常に分離し打ち上げは成功した。
 ヌリ号は昨年10月21日に1回目の打ち上げ試験を行ったが、三段目の燃焼が早期に終了したためダミー衛星を目標軌道に乗せることができなかった。
 今回2回目の挑戦で初めて打ち上げに成功し、目標軌道への投入にも成功した。 (2207-062110)

4・3・6 軍備増強

4・3・6・1 兵員、編成等

4・3・6・1・1 戦略司令部の創設

 韓国国防部が7月6日、大統領が主宰した全軍主要指揮官会議で、北朝鮮の核・ミサイルへの対応能力の強化をはじめとする国防懸案の推進策を議論したと発表した。
 この会議で軍は、北朝鮮のミサイル発射の兆候を探知して先制攻撃するKill Chain、発射されたミサイルを迎撃するKAMD、報復攻撃を行うKMPRの3軸体系を指揮する「戦略司令部」を2024年をめどに創設すると発表した。 (2208-070609)

 韓国国防省が7月8日、新たに3つの司令部組織を立ち上げることを明らかにした。 (2209-072008)

Strategic Target Strike: ミサイルが北朝鮮を離れる前に破壊 (Kill Chain)

Korea Air and Missile Defense: BMD、防空、CMD

Korea Massive Punishment and Retaliation: 大量報復

4・3・6・1・2 ミサイル司令部の再編

 韓国国防省が2月18日、ミサイル連隊と防空連隊を再編強化することを明らかにした。
 陸軍のMissile CommandをMissile Strategic Commandに改称する。 空軍のAir Defense Missile Commandも改称されるが新名称は明らかにされていない。
 韓国DAPAは2020年代中頃までに射程120km以上のKTSSMを200発以上調達する。
 韓国空軍は中距離のM-SAMと長距離のL-SAMを装備する。
 空軍は7個中隊編成するM-SAMの最初の中隊を2021年11月に編成した。 各中隊はMFR 1基と8×8車のTELを4両装備する。
 ミサイルの射程は40kmである。 (2206-030204)
4・3・6・1・3 Army Tiger Demonstration Brigade

 韓国国防省が、陸軍第25歩兵師団に編成されているArmy Tiger Demonstration BrigadeにAIと無人システムを採用する計画を明らかにした。
 陸軍は2025年までにArmy Tiger Demonstration Brigadeを編成し、2040年にAIを組み込んだ6×6 UGVによる有無人連携戦闘の試験を実施する。 (2212-083111)
4・3・6・2 弾道ミサイル

4・3・6・2・1 T B M

「怪物ミサイル」 玄武-5

 第74回国軍の記念式典が行われた10月1日、韓国軍が北朝鮮の核とミサイルの脅威に対抗する戦略兵器「怪物ミサイル」の映像を初公開した。
 この怪物ミサイルは玄武-5と命名されたという。
 玄武-5は8~9tの弾頭が搭載可能で、弾頭の重量を1t以下に軽くすれば3,000km~3,500km飛翔するIRBMにもなり、北朝鮮はもちろん中国など周辺国の挑発にも対抗できるという。 (2211-100308)

玄武-2C の発射失敗

 韓国軍合同参謀本部が10月5日、米韓軍が北朝鮮のミサイル発射に対抗し、地対地ミサイル4発を日本海に向け発射したと発表した。 (2211-100507)

 韓国合同参謀本部が10月5日、北朝鮮が前日にIRBMを発射したのに対抗して米韓が5日に日本海上にATACMS 2発ずつを発射した。
 この日実施した連合対応射撃で韓国軍は玄武-2 BMも発射したが発射直後に異常飛行を行った後に基地内に落下する事故が発生した。 (2211-100508)

 韓国軍と在韓米軍が10月5日、北朝鮮による前日のBM発射を受けてミサイル発射を行ったが、韓国軍の玄武-2C 1発が発射に失敗し地面に激突した。
 この発射失敗でけが人や民間施設への被害はなかった。
 空軍基地の近くとされる場所からオレンジ色の炎の玉が出現する動画がSNSに投稿され、その時間後に韓国軍が発射失敗を認めた。
 韓国が開発した玄武-2CはロシアのIskanderに似たSRBMである。 (2211-100513)

 韓国合同参謀本部によれば、韓国軍と駐韓米軍が10月4日の23:00頃に江陵で連合地対地訓練を実施し、韓国軍の玄武-2C 1発とATACMS 2発、駐韓米軍がATACMS 2発を発射した。
 当初、韓国軍が先に玄武-2Cを発射しのちにATACMSを順次に発射する予定だったが、日本海に向け発射した玄武-2Cが標的と正反対方向に異常飛行を始め、近隣の空軍基地に墜落し、弾頭は発射地点から1km離れた基地内の韓国軍ゴルフ場のフェアウェイに落ちた。
 弾頭は破裂しなかったが、落下地点の700mには民家があった。
 玄武-2にはA、B、Cの3種類がある。 (2211-100516)

4・3・6・2・2 SLBM

4月18日: SLBM 2発の連続発射

 聯合ニュースが、韓国軍がSLBM 2発の連続発射試験に成功したと報じた。
 韓国軍は4月18日に黄海で、島山安昌浩潜水艦 (3,000t) から20秒の間隔でSLBM 2発を発射し、400km先の洋上標的に命中させたという。
 韓国軍は2021年9月のSLBM発射試験の際には結果を公表したが、今回は公表しなかったのは試験当日は北朝鮮が強く反発する米韓合同軍事演習が開始日であるため、公表しないことで北朝鮮への刺激を避けた可能性もある。 (2205-042204)

4・3・6・2・3 MRL

K239 MRL の射程延伸

 韓国DAPAが4月27日、ミサイル及びミサイル防衛計画を承認したと発表した。
 また射程120kmのKTSSMの開発は2022年末に開始し、2023~2034年にKRW1.56Tかけて200両を装備する。 (2207-050408)

 韓国ADDが5月に開いたR&Dセミナで、射程が85kmであるK239 MRLの射程を200km以上に伸ばすことを明らかにした。
 これにより射程が150~200kmの北朝鮮のMRLに対抗する。
 具体的にはK239弾に空気取り入れ口を取り付け、ロケットモータを酸化剤を持たずに外から取り入れるダクテッドロケットにする。
 韓国は現在、射程が300~800kmの玄武-2 SRBMを600発以上、500~1,500kmの玄武-3 CMを400発装備し、更に玄武-4-4 SLBMを開発した。 (2207-062407)

4・3・6・3 IAMD

4・3・6・3・1 KAMD 体制

BMD 体制の再編

 韓国がBMD部隊の再編を行っていて、4月1日に正式に改編した。
 今までの陸軍Missile Commandと空軍のAir Defense Missile Commanが、陸軍Missile Strategic Commandと空軍Missile Defense Commandに改編される。 (2207-042004)

米ミサイル防衛システムに参加せず

 韓国国防部副報道官が12月1日の定例会見で、韓国政府は20年前に米BMDSに参加しないと発表して以降、政権が代わってもその立場に変化はないと説明したうえで、「軍は独自に韓国型ミサイル防衛システムを構築しており、北の弾道ミサイルの脅威に対応するため韓米連合体制下の情報共有などに基づくミサイル防衛連合作戦を朝鮮半島で遂行している」と述べた。
 日米韓首脳が北朝鮮のミサイル発射に関する情報をリアルタイムで共有するなど安全保障協力の強化で合意したことや、北朝鮮によるICBMの発射、在韓米軍への宇宙軍部隊新設計画などを受け、韓国が米国のミサイル防衛システムに編入される可能性が高まったとの見方が出ていた。 (2301-120110)

4・3・6・3・2 K-LSAM の開発

初の発射試験

 韓国のBMD (KAMD) の主力兵器であるLSAMの開発が大詰めを迎えている。
 複数の軍消息筋によると、BMを高度50~60kmで迎撃することを目標に開発中LSAMの発射試験が2月23日に忠清南道泰安郡の安興試験場で行われる。
 韓国軍は当初、2026年配備を目標に開発していたが、北朝鮮のミサイル高度化に応じた迎撃網の補完の必要性が提起されており、早期に戦力化される可能性もある。 (2203-021808)

 韓国ミサイル防衛 (KAMD) の主力兵器である長距離SAM (LSAM) の発射試験が2月23日に忠清南道泰安郡の安興総合試験場で行われ成功した。
 韓国ADDが実施した発射試験は標的なしで行われ、発射されたミサイルは設定された地点に正確に着弾したという。
 LSAMは北朝鮮のBMを高度50~60kmでの迎撃することを目指して開発が進められている。 (2203-022321)

初の迎撃試験に成功

 韓国軍が北朝鮮のBMを迎撃するL-SAMの初の迎撃試験に成功した。
 L-SAMは今年2月初めに迎撃を行わない飛行試験が行われ、発射されたミサイルは計画した弾着点に正確に落ちて飛行試験成功と評価され、その9月後に標的の迎撃試験にも成功した。
 韓国型THAADと呼ばれるL-SAMは、軍が2026年の配備を目標に開発中のKAMDで核心となるミサイルで、BMを高度50~60kmで迎撃する。
 L-SAMが配備されれば高度40~150kmを防御するTHAAB、15~40kmをPAC-3とM-SAM(天弓Ⅱ)と共に多層的な防御体系が構築される。 (2212-112204)

4・3・6・3・3 K-MSAM

 2023年に特筆すべき記事なし
4・3・6・3・4 SHORAD

K-SAAM

 韓国DAPAが海弓 (Sea Bow) 艦載K-SAAMの試験を終え、2022年に量産と装備を開始する。
 K-SAAMは2000年代初期から装備しているRAMに換えてFFX-Ⅱ/Ⅲ、LST-Ⅱ、LPX-Ⅱなどに装備される。
 全長2.07mのK-SAAMは4セルのVLSから発射され、終末誘導をRFとIIRで行う。 (2203-122208)

4・3・6・3・5 LAMD (Low-Altitude Missile Defense System)

発射試験で長距離砲弾を撃墜

 韓国ADDがLAMDの発射試験を行った。
 LAMDは海軍のK-SAAMを元に開発された長距離砲の砲弾を撃墜する胴径165mmのミサイルで、射程7km、射高5kmの性能を持つ。
 ADDによるとLAMDは現在試験が行われているL-SAMと共にKAMDを構成する。
 Korea.netによるとLAMDは複数弾装填した発射機をネットワーク化してドームを構成する。 (2206-031607)

4・3・6・4 艦 船

4・3・6・4・1 航空母艦

韓国国防部長官候補者、韓国軽空母の導入に慎重

 韓国国防部長官候補者に指名された尹錫悦氏が4月25日、文政権で進めてきた軽空母 (CVX) 計画について「様々な意見があると承知している」としたうえで、「戦略的作戦的運用の概念、軍所要の充足性、国家利益の寄与度、費用対効果などを考えて優先順位を綿密に調べる必要がある」と述べた。
 文政府国防部は2020年8月発表した2021~2025国防中期計画で2033年までにKRW2.6T(2,666億円)を投じて30,000t級軽空母を建造すると発表した。
 2021年の国会予算審議の過程でこの計画が論議を呼んだが、予算削減をめぐる論議の末に2021年12月3日国会本会議で軽空母基本設計予算KRW7.2Bが全額認められた。 (2205-042614)

 韓国が進めていた軽空母計画CVNは2023年予算に計上されなかったが、統合参謀本部議長が9月19日に、CVXより大型の空母の調達を検討していると発言した。 (2301-100509)

4・3・6・4・2 潜 水 艦

KSS-Ⅲ Batch Ⅱ二番艦の起工

 韓国で2021年12月30日にKSS-Ⅲ Batch Ⅱ二番艦の起工式が行われた。
 建造は2021年にDSME社にKRW985.7B ($827M) で発注されている。 一番艦の建造は2021年8月に開始されている。
 KSS-Ⅲ Batch Ⅱは全長89m、基準排水量3,600tと、Batch Ⅰの83.5m、3,300tより大きくなっている。 SLBMの発射管も10門とBatch Ⅰより4門増えている。
 完成予定は2026年、引き渡しは2028年の計画である。 (2204-011210)

4・3・6・4・3 駆 逐 艦

KDX-Ⅰ 級駆逐艦3隻の近代化改修

 韓国DAPAが2021年12月28日、1998年7月~2000年7月に就役させ、その後PIP改修が施されているKDX-1級駆逐艦3隻の対潜能力と戦闘情報処理を強化する計画を開始すると発表した。
 今回の改修では現有の戦闘管制装置を広帯域で処理能力が高い国産装備に換装するほか、Link 16も装備する。 (2204-011209)

KDX-Ⅲ 駆逐艦に SM-6 を装備

 韓国DAPAが4月27日、ミサイル及びミサイル防衛計画を承認したと発表した。
 DAPAは2023~2031年に、Raytheon社製SM-6をKDX-Ⅲ駆逐艦にKRW460B ($606M) で購入し装備する。 (2207-050408)

KDX-Ⅲ Batch 2 一番艦が進水

 韓国海軍と防衛事業庁が7月28日、蔚山にある現代重工業の造船所で8,200t級Aegis駆逐艦正祖大王の進水式を行ったと発表した。
 正祖大王はKDDX-Ⅲ Batch 2の一番艦でAegis艦の4番目になる。 同型艦はさらに2隻建造される。
 全長170m、幅21mと7,600tのBatch 1より大きくなったBatch 2はBMD能力を持ちステルス性が強化された。 (2208-072806)

 韓国HHI社が7月28日、KDX-Ⅲ Batch 2駆逐艦の一番艦を進水させた。
 全長170m、幅21m、排水量8,200tのKDX-Ⅲ Batch 2はガスタービンエンジン4基で推進し速力30ktの性能を持つ。
 BMDSとしてACS Baseline K2を装備しSM-2 blockⅢBとSM-6を発射できる。 (2210-081007)

4・3・6・4・4 フリゲート艦

 2023年に特筆すべき記事なし
4・3・6・4・5 その他艦艇

 2023年に特筆すべき記事なし
4・3・6・5 航空機

4・3・6・5・1 KF-21 / IF-X

KF-21 / IF-X

 韓国DAPAがKF-21/IF-X開発のEMD段階の経費が当初計画のKRW8.6T ($7.2B) より少ないKRW8.1となることを明らかにした。
 この結果インドネシアが分担するKF-21/IF-Xの開発経費は当初計画よりKRW100B少ないKRW1.6Tとなる。 (2203-120808)

搭載 AESA レーダの開発

 韓国KAI社が、KF-21 Boramaeの初飛行を、搭載するAESAレーダの開発が完了することから予定通り7月に実施することを明らかにした。
 KAI社によると、6月までに飛行可能に試作機6機と、構造試験機2機が完成する。 (2206-030914)

KF-21 初飛行

 韓国国産戦闘機KF-21の試作1号機が7月19日15:40頃に初飛行した。
 KF-21は30~40分間飛行し基本的な機体性能などを確認した。 (2208-071919)

艦載型 KF-21N の開発

 韓国が非公開で開発を進めてきたKF-21の艦載型であるKF-21Nの縮小模型がソウルで開かれたDX Korea展に展示された。
 KF-21Nはまだ概念設計段階であるが、飛行甲板の下に収納するため折りたたみ翼で、離着艦はCATOBARとSTOBARのいずれも可能という。
 KF-21Nは全長17.1m、全高5.2m、全幅12.3m、MTOW 25,600kgで、搭載能力7,620kgの性能を持つ。
 エンジンはGE社製F414を搭載し速力はMach 1.6という。 (2210-092214)

 韓国KAI社が9月21~25日に高陽市で開かれたDX Korea 2022展で、KF-21の艦載型であるKF-21Nを公表した。
 KF-21Nは短距離離艦/拘束索着艦でもカタパルト発進/拘束索着艦で使用でき、カタパルト発進に耐えられるように機体強度を強化すると共に、離着艦時の安定性を確保するため翼面積を20%大きくすることになる。 (2301-100509)

4・3・6・5・2 F-35A

Block 4 20機の追加調達

 韓国DAPAが6月9日、韓国空軍のF-X計画してF-35Aを更に20機調達することを決めた。 20機は2030年までに引き渡される。
 Lockheed Martin社は既に発注されていたBlock 3 40機を2021年12月に納入を完了しているが、新たに発注される20機はBlock 4になる。 (2208-070202)

4・3・6・5・3 T-50 / A-50 / FA-50 Golden Eagle

 2023年に特筆すべき記事なし
4・3・6・5・4 KT-1 / KT-1 後継機

 2023年に特筆すべき記事なし
4・3・6・5・5 ヘリコプタ

次世代高機動ヘリ

 韓国KAI社がUH-60の後継に次世代高機動ヘリの開発を開始している。
 このヘリはMTOW 12,700kg(UH-60は8,031kg)で複合材料製同軸反転ロータと推進用プロペラを持ち、速力250kt(UH-60は160kt)のほかホバリング上昇限度6,000ft、巡航滞空性能25時間、垂直上昇率170mの性能を持つ。
 韓国軍は陸軍がUH-60P 103機とHH-60P捜索救難ヘリ4機、空軍がHH-60P 25機、海軍がUH-60P 10機を装備するほか2025年からMH-60R 12を装備する。 (2208-060101)

小型武装ヘリの量産

 韓国の防衛事業庁が11月28日に防衛事業推進委員会を開催し、国産小型武装ヘリの量産計画案を可決した。
 これによると韓国は、2022年から2031年までにKRW570B(5,900億円)を投じて小型武装ヘリを量産し2024~2025年に配備する。 (2212-112811)

4・3・6・5・6 多用途中型輸送機

多用途中型輸送機

 2023年に特筆すべき記事なし

4発重輸送機

 韓国が4発の重輸送機を2026年までに装備する計画で、2022~2026年にKRW710B ($581.5M) を計画している。 候補にはC-130J-30とAirbus A400Mが挙がっている。
 Embraer C-390も候補であるが双発のC-390は韓国の要求に合っていない。
 韓国は現在C-130H/C-130H-30 12機とC-130J-30 4機を保有している。 (2207-041307)

4・3・6・5・7 ISR 機

 2023年に特筆すべき記事なし
4・3・6・5・8 AEW&C 機

Falcon 2000LXS ISR

 韓国DAPAとKAI社が2021年12月17日、Baekdu計画の第2段階として4機のISR機をKRW800B ($675M) で発注したと発表した。
 Baekdu Ⅱ ISRは2001年から装備しているHawker 800SIG Peace Pioneer 4機の後継で、Dassault社製Falcon 2000LXSを元に、後部胴体下、前部胴体上、中部胴体上、両翼付け根下、機種下にブレードアンテナを、前部胴体下にEO/IRターレット、後部胴体両側にESM受信機及びミサイル警報装置アンテナを配置する。
 韓国空軍は2011年と2018年にBaekdu ⅠSIGINTとしてFalcon 2000 2機を装備している。 (2204-010511)

4・3・6・6 UAV

Loyal Wingman

 大韓航空が8月16日、韓国ADDからステルスUAV開発の第1段階を受注したと発表した。
 この開発はADDが2021年11月に発表した将来先進防衛技術開発の1つに挙げられていた。
 大韓航空は2010年から2021年までKaori-X無尾翼UAVを開発しており、2015年9月には初飛行させている。 (2212-083109)

Drone Launched Missile

 韓国LIG Nex1社が9月21~25日に高陽市で開かれたDX Korea 2022展でDrone Launched Missile構想を発表した。 ただ計画は初期の設計段階であるという。
 システムは4ロータVTOL UAVのラックにミニミサイル4発を搭載したもので、ミニミサイルはSALと近赤外線CMOSセンサの2つのセンサを搭載している。 (2301-100508)

4・3・6・7 陸戦兵器

4・3・6・7・1 対空兵器

30mm SPAAG

 韓国が2020年6月に一次生産分をKRW250B ($211M) で発注したDAPAが2021年12月15日、Hanwha社製30mm SPAAGの装備を開始したと発表した。
 韓国軍は併せて300両をM167 20mm VADSの後継として装備する計画である。
 新型の30mm SPAAGはHyundai Rotem社製K808 8×8車搭載を車体とした26.5tで、90km/hで走行できる。
 30mm機関砲は発射速度600rpm、射程3kmの性能を持つ。 (2204-010503)

4・3・6・7・2 戦闘車両

K2 Blzck Panther

 韓国DAPAがHyundai Rotem社からK1A2 MBTの3次生産分とK2 Blzck Pantherを受領した。 K1A2はK1A1の改良型で3次生産分ではGPSが搭載されている。 Hyundai Rotem社によるとK1A2の生産は2023年に終了する。
 54.5tのK1A1はM256 120mm滑腔砲をライセンス生産したKM256砲を装備し32発を搭載できるが、K2 MBTは砲身が1.3m長い6.6mのL55 120mm滑腔砲と40発の砲弾を搭載する。
 砲弾の16発は自動装填機上にあり、残りの24発は車体に収納されている。 (2206-020907)

K9A2 155mm/52 SPH

 韓国DAPAがK9 155mm/52 SPHの改良型K9A2を型式化した。 K9A2の開発は2016年に開始され2021年8月に完了している。
 K9A2では砲弾の取り扱いが完全に自動化されている。
 Hanwha社はK9A2に次ぐK9A3の開発を開始している。 58口径砲を採用したK9A3の射程は100kmで、2030年完成を目指している。
 K9 SPHは標準弾で射程が18kmであるが、RAP弾で30km、ベースブリード弾で40.6kmの射程になっている。 (2211-091408)

4・3・6・7・3 130mm誘導弾、155mm誘導砲弾

開発計画案を決定

 韓国の防衛事業庁が11月28日に防衛事業推進委員会を開催し、130mm誘導ロケットの開発計画案、155mm誘導砲弾の計画案などを可決した。
 130mm誘導ロケットと155mm誘導砲弾の開発には2036年までに合わせてKRW820Bが投じられる。 (2212-112811)

4・3・6・7・4 U G V

多用途 UGV (MPUGV)

 Hyundai Rotem社が1月10日、多用途UGV (MPUGV) 2両を韓国陸軍に納入したことを明らかにした。
 陸軍はこの2両でDMZでの運用を含む6ヶ月間の試験を行う。
 MPUAVはHR-Sherpa電動UGVを元に、視程4kmの昼夜カメラを搭載している。
 HR-SherpaはArgo水陸両用車を元にした6×6車で、全長2.7m、幅1.7m、高さ0.9mで、標準重量1.6t、全備重量2tである。 (2205-012609)

4・3・6・8 その他

4・3・6・8・1 宇宙利用

マイクロ衛星打ち上げ用固体燃料ロケット

 韓国国防省が、ADDが固体燃料ロケットの発射試験に成功したと発表した。
 このロケットエンジンは各種マイクロ衛星を低軌道に打ち上げるため開発しているが、一部の技術を民間に開放して国内宇宙産業の活性化に役立てる計画という。 (2207-041308)

4・3・6・8・2 電子兵器

長距離レーダ

 韓国DAPAが5月4日、2021年に開発を開始したKADIZ内の監視と識別を行う長距離レーダの詳細設計を完了したと発表した。
 このレータは送信出力が70%増大し、捕捉精度が20%向上しているという。 (2208-051810)

4・3・7 先進軍事技術開発

4・3・7・1 極超音速ミサイル

 北朝鮮だけでなく、韓国も極超音速ミサイルを開発している。
 2020年8月に当時の国防部長官が大田の国防科学研究所 (ADD) 創設50周年記念式で、超音速ミサイルの開発に拍車をかけると明らかにしている。
 これに続き国防部は、2020年12月の全軍主要指揮官会議において、極超音速誘導弾を「所要決定」するという意思を明らかにしている。
 兵器開発の過程における「所要」とは、研究開発または購入計画を意味する。 (2202-010702)

 北朝鮮が2021年9月と2022年1月に極超音速兵器と称する飛翔体を発射したのに対し、韓国DAPAが極超音速CM (HCM) Hycoreを開発していることを明らかにした。
 開発はADDとHanwha社が行っている。
 Hanwha社は計画について詳細を明らかにしていないが、ネットに流出した映像によると、Hycpreは全長9.8m、重量2.4tで、固体燃料ロケットブースタで加速した後スクラムジェットエンジンで推進し最高速度Mach 6.2という。 (2205-020201)

4・3・7・2 USV / UUV

Haegum-2 (Sea Sward 2) USV

 韓国LIG Nex1社が2021年12月15日、Haegum-2 (Sea Sward 2) USVの試験を完了したと発表した。
 Sea Sward 2は全長12m、幅3.5m、排水量11tで、12.7mm機銃を搭載した遠隔操縦砲塔と、Poniard 70mm誘導ロケット弾の2軸旋回式8セル発射機を装備している。 (2204-010514)

4・3・7・3 電子兵器

ステルス機の機体形状に合わせたコンフォーマルアンテナ

 韓国ADDが2021年11月23日、ステルス機の機体形状に合わせたコンフォーマル小型アンテナを開発したと発表した。
 この開発はDAPAがHanwha社と、2017年から4年かけて行ったという。 (2203-120806)

中央防空管制システムを強化

 韓国DAPAが4月19日、ADDの外郭団体である国防産業技術支援センタがLIG Nex1社と共同で、同国の中央防空管制システムを強化する技術ATTの開発を行っていると発表した。
 ATTは複数の長距離レーダの情報をリアルタイムで処理して、朝鮮半島上空を飛行する航空機を自動で識別し、捕捉追随するもので、座標系には航空管制に使用されるジオレフ系ではなく他のシステムで広く使用されているUTMが使用されている。 (2207-050406)

AI技術を用いた3D標定や照合を行う技術

 韓国ADDが目標の3D標定や照合をAI技術を用いてリアルタイムで行う技術を開発した。
 この技術では地形や建造物の3Dデータベースとの照合で行う。 (2206-022312)

4・3・7・4 航空技術

ハイブリッドロケットの開発

 韓国国防省がハイブリッドロケットの開発を開始した。
 ハイブリッドロケットとは固体燃料と液体の推進剤を混合して燃焼させるもので、国防省は各種低軌道衛星の打ち上げに活用し、搭載能力の増大やコスト削減を目指している。 (2206-032309)

【註】ハイブリッドロケットエンジンとは酸化剤を持たない固体燃料を燃焼室に置き、液体の酸化剤で燃焼させる方式で酸化剤の注入を制御することで燃焼の中断、再着火、推力の制御などか可能になる。
 また酸化剤と燃料が別なため、ロケット燃料が爆発する危険が少ない。

4・3・7・5 その他

アクティブ振動抑制装置

 韓国宇宙航空研究所とKAI社が2021年12月15日、韓国の次世代中型輸送ヘリに搭載するアクティブ振動抑制装置 (ACVS) のソフトウェア開発で合意したと発表した。
 契約額はKRW12.3B ($10.4M) で期間は2025年12月までになっている。 (2204-010512)

AI 軍事利用のロードマップ

 韓国で2021年に設立されたKRITが韓国初となるAIの軍事利用に関するロードマップを作成した。
 ロードマップでは、30件のシステムで採用する272件のAIを基礎としたコア技術を挙げている。 (2206-021609)

原子スピンジャイロの開発

 韓国ADDが兵器に搭載する低コストのコア技術として、従来兵器システムで使用している光学式ジャイロに代わる原子スピンジャイロ (ASG) を開発した。
 AGSが開発したASGは400㎤であるが、今後50㎤以下を目指すという。 (2301-101210)

4・3・8 軍事産業立国

4・3・8・1 軍事産業の育成

4・3・8・1・1 育成計画

 2023年に特筆すべき記事なし
4・3・8・1・2 企業の再編

HHI社によるDSME社の買収

 EU欧州委員会が1月13日、造船世界最大手の韓国現代重工業 (DSME) による世界2位の韓国大宇造船海洋 (HHI) の買収計画を認めないと発表した。
 統合会社が独占的な地位を得て、大型LNG船市場の競争環境を損なうと判断した。
 欧州委によると、両社合わせた大型LNG船の市場シェアは60%以上となり、競争政策担当のベステアー上級副委員長は声明で、統合で供給企業が減り価格が上昇すると指摘した。 (2202-011309)

 韓国のHanwhaグループが、韓国最大の海軍造船所である大宇造船海洋 (DSME) の支配権を買収する予備契約に署名した。
 ハンファは9月26日にDSMEとの条件付きMoUにより、KRW2T ($1.4B) 相当の49.3%の株式を確保すると発表していた。
これらの株式は、防衛部門であるHanwha Aerospace社などの子会社6社が取得する。
 株式はDSMEの主要債権者である韓国開発銀行 (KDB) から取得され、その保有は約28%に減少します。 (2301-100506)

4・3・8・2 海外技術の導入

4・3・8・2・1 海外企業との技術協力

Hanwha社とNongsberg社が IFV と長距離精密射撃システムの共同開発協定

 韓国のHanwha社とノルウェーのNongsberg社が6月14日、IFVと長距離精密射撃システムの共同開発で合意しMoUを結んだ。
 Hanwha社はかつてオーストラリア向けにK21 IFVを開発した経験があり、M270 MLRSの後継としてK239 Chunmooを開発している。 Chunmooは130mm、227mm、230mmの各種ロケット弾に使用できる。 (2207-062301)
韓国HHI社とIAI社がELM-2258レーダの契約

 イスラエルIAI社が4月26日、韓国HHI社とALPHA 3Dとも呼ばれるELM-2258レーダの契約を行ったと発表した。
 HHI社はこのレーダをフィリピンから受注した新型コルベット艦に装備する。
 ELM-2258はIAIの子会社であるElta社製の完全ソフトウェア制御の360゚監視可能なMFRで、低空目標は25km、高高度目標は250kmの捕捉が可能である。
 契約価格は$33Mという。 (2207-050405)

4・3・8・3 武器等の輸出

4・3・8・3・1 武器輸出の振興

世界8番目の武器輸出国

 韓国輸出入銀行の報告書「防衛産業の特性および輸出戦略」によると、韓国の2021年の武器輸出額はおよそ$7Bを突破し過去最高を記録した。
 2017~2021年の5年間に韓国の武器輸出は176.8%増加し、全世界の武器輸出市場で韓国が占めるシェアが2012~2016年の1%から2017~2021年には2.8%にまで拡大し、世界で8番目に多くの武器を輸出する国となった。
 1位は米国で、以下ロシア、フランス、中国、ドイツ、イタリア、英国、韓国の順となっている。 (2208-072504)

隙間を見つけた売り込み

 オーストラリアがAUKUSの支援で原子力潜水艦の装備を決めたが、専門家は豪海軍の原潜一番艦の就役を2040年近くとみているのに対し、現有のCollins級潜水艦の耐用期限は2030年頃という。
 駐豪韓国大使はこのギャップを埋めるため韓国製潜水艦の採用を働きかけ始めている。 (2208-072501)

過去最高額の武器輸出

 韓国防衛事業庁などによると、2022年の武器輸出輸出額は$10Bを突破し、2021年に記録した過去最高額の$7Bを大きく上回る見通しである。
 記録更新はポーランドの発注によるところが大きく、ポーランド政府は7月に韓国からK2MBT 980両、K9 SPH 648門、FA-50 48機を購入すると発表した。 契約額は総額$14.8Bに上るという。
 ほかにも、1月にはUAEと天弓-2 SAMの輸出契約を$3.5B結び、2月にはエジプトとK9 SPHの輸出契約をKRW2Tで交わした。
 K9 SPHはポーランドやエジプトのほか、これまでにトルコ、インド、フィンランド、ノルウェー、エストニア、オーストラリアに輸出されている。 (2210-091103)

 韓国防衛事業庁が11月4日、Hanwha社がポーランドと$3.55Bの天舞MRL第一次輸出契約を締結したと発表した。
 これにより、韓国の2022年の武器輸出受注額が$17Bとなり、年間受注額の過去最高を更新した。
 韓国の防衛産業における輸出受注額は2020年まで年平均$3B程度だったが、2021年は$7.25Bに増加した。
 2022年はポーランドとの契約だけで$12.4Bに達し、前年を二倍以上上回る成果を得た。
 $12.4Bには天舞MRLのほか8月に締結したK9 SPHとK2 MBT、9月に締結したFA-50が含まれている。 (2212-110428)

世界市場でシェア5%を目標

 韓国政府が11月24日、慶尚南道泗川市のKAI社で防衛産業輸出戦略会議を開き、2027年までに世界の防衛産業市場でシェア5%を突破し、世界4位を達成するとの目標を提示した。
 尹政権の発足後に防衛産業輸出戦略会議が開かれたのは初めてである。 (2212-112419)

 韓国政府が2027年までに防衛産業輸出シェアを5%以上に高め、世界4大防衛産業輸出国に飛躍するという計画の韓国で、K(=韓国)防衛産業が2023年にグローバル市場をさらに拡大する見込みである。
 関連業界によると、今年のK防衛産業輸出受注額は$17Bで過去最高となった。
 2022年、ポーランド、UAE、エジプトなどと締結した大型受注契約をきっかけに、東南アジアや欧州などに領域を拡大していくと予想される。 (2301-122410)

4・3・8・3・2 輸出の実績

フィリピンに3,100tコルベット艦2隻

 フィリピン国防省が2021年12月28日、韓国HHI社に新型コルベット艦2隻をPHP28B ($551M) で発注した。
 比国防省はそれ以上について明らかにしていないが、同社製HDC-3100の変形と考えられる。 HDC-3100は全長114m、排水量3,100tで25ktの性能を持ち、16セルのVLSと76mm艦載砲を前部に、CIWSを後部に、対艦ミサイル8発を中央部に装備している。
 フィリピンは2016年にもフリゲート艦2隻をPHP15.7Bで発注している。 (2204-011208)

フィリピンに2,400t外洋哨戒艦6隻

 韓国HHI社が6月27日、フィリピンから2,400t外洋哨戒艦 (OPV) 6隻をKRW744.9B ($573.8M) で受注したと発表した。 納期は2028年という。
 Wonhae OPVは全長94.4m、幅14.3mで、速力22kt、15kt巡航での航続距離5,500nmの性能を持ち、76mm砲1門と30mm砲2門を装備するほか、ヘリ及びUAV用の飛行甲板も持つ。 (2208-070101)

K9 SPH のエジプト輸出

 韓国Hanwha社がカイロで開かれたEREX展で2021年11月30日、エジプトがK9 Thunder 155mm SPHとK10弾薬運搬車の購入を検討していると発表した。
 聯合ニュースによるとK9はトルコがT-155 Firtinaとしてライセンス生産している。
 エジプトは現在、M109A5 170門以上を含むM109を2006~2008年から装備している。
 またこのほかにM109の車体にエジプト製のD-30 122mm砲を搭載したSPH-122も装備している。 (2203-120811)

 韓国の文大統領が1月21日に、UAE、サウジアラビア、エジプトの3ヵ国訪問を終えて帰国の途に就いた。
 今回の3ヵ国訪問で文大統領はエジプトを出発する直前に記者会見を行い、韓国とエジプト間のK9 SPHの契約妥結に期待を持っていたが、無理に交渉に臨むのではなく互いにウィンウィンになるようにじっくり交渉せよと指示し、さらに時間が必要だと述べた。
 政府は今回の訪問をきっかけに、輸出が実現する可能性を示唆していたが、両国が20日に署名したMoUにはこうした内容が盛り込まれていなかった。
 両国は訪問の最終日まで某所で交渉を行っていたが、エジプト側は終盤まで契約金額を値切る交渉をしていたという。 (2202-012206)

 韓国DAPAが2月1日、エジプトへHanwha社製K9 SPH 200門とK10弾薬補給車を$1.7Bで輸出する契約が成立したと発表した。
 エジプトは現在、米国製のM109 SPHのA2/A3/A5仕様を279両装備している。
 K9 SPHは韓国陸軍のほか、トルコ、ポーランド、インド、フィンランド、ノルウェー、エストニアが装備しており、オーストラリアも採用を決めている。 (2203-020112)

K9 SPH のオーストラリア輸出

 オーストラリアのモリソン首相が2021年12月13日、Hanwha豪社からAS9 155mm SPH 30両とAS10 砲側弾薬車15両をAUD1B ($720M) で購入すると発表した。
 納入は4Q/2024年に開始される。 (2203-122210)

戦車用パワーパックのトルコへの輸出

 トルコが初めて国産する戦車Altayのパワーパックとして韓国製が100基採用される。
 T1とT2の2段階で生産されるAltayは、T1が2018年11月にBMC社に250両が発注されている。
 トルコは発展型のT2を1,000両生産する計画で、その後無人型も検討されている。 (2204-032921)

コロンビアへ TA-50/FA-50 の輸出

 コロンビア空軍がKAI社製TA-50とFA-50合わせて少なくとも20機を$600Mで購入し装備する。
 TA-50/FA-50は練習機としてだけでなく老朽化したイスラエル製Kfirを補完して空対空及び空対地戦闘も行う。
 KfirはElta社製ELM-052 AESAレーダとRafael社製Derby BVRAAMを装備する南米最強の戦闘機である。 (2205-043002)

イラクへ輸出した T-50 が初飛行

 イラクが2013年12月に韓国KAI社に$360Mで発注したT-50練習/軽攻撃機24機の1機が6月22日に初飛行した。
 1号機は2017年に納入されていたが支払いのトラブルで2021年8月時点では使われていなかった。 (2209-070605)

インド陸軍向け K21-105 軽戦車

 インド陸軍が2021年4月に軽戦車350両の購入に関するRfIを発簡したのに呼応して、韓国Hanwha社がK21-105を提案している。
 K21-105は俯仰角42゚~-10゚の105mm砲と同軸の7.62mm機銃を搭載し、発煙弾発射機、対NBCフィルタを装備している。
 インドはRfIで、技術移転と国内生産についても情報を求めている。 (2205-012613)

 インドL&T社が2月7日、インド陸軍向けK21-105軽戦車生産で韓国Hanwha社と提携したことを明らかにした。
 K21-105は韓国陸軍が装備しているK21 IFVを元に、ベルギーCMI社製CT-CV 105HP 105mm砲塔を装備した軽戦車である。 (2206-021602)

ポーランドへK2 MBT 980両、K9 SPH 648両、FA-50 48機

 ポーランド政府が7月26日、韓国からK2 MBT 980両をはじめ、K9 SPH 648両、FA-50 48機を購入する計画であることを発表した。
 ポーランドはまず韓国からK2 180両の年内引き渡しを受け、技術移転を通じて800両以上のK2をポーランド国内で生産すると明らかにした。
 ポーランド国防省は2026年にはK2PL MBTの生産を始めるだろうとしながら、同じ年には既に購入したK2もK2PL規格で標準化することを明らかにした。
 またK9 SPHも48両を購入した後、引き続き600両以上を発注する予定を明らかにした。 K9 600両以上は2024年から引き渡しが始まり、2026年からはポーランドで量産する。
 ポーランド政府はFA-50 48機について、最初の12機は2023年にポーランドに引き渡されることを明らかにした。 (2208-072703)

マレーシアから FA-50 の引き合い

 マレーシア政府代表団が10月17~20日に訪韓し、FA-50導入のための調査を進めていたことが確認された。
 ポーランドに続いて韓国産防衛産業のマレーシア輸出が可視化したとみられる。
 業界関係者らによると、マレーシアの調査団はポーランドに輸出するFA-50の製造過程と完成品及びKF-21試作g機などを見回って前向きな反応を示したという。 (2211-102605)

 マレーシア政府代表団が10月17~20日に訪韓し、FA-50導入のための調査を進めていたことが確認された。br>  ポーランドに続いて韓国産防衛産業のマレーシア輸出が可視化したとみられる。br>  業界関係者らによると、マレーシアの調査団はポーランドに輸出するFA-50の製造過程と完成品及びKF-21試作g機などを見回って前向きな反応を示したという。 (2211-102605)

4・3・8・4 先端技術の開発

 2023年に特筆すべき記事なし
4・4 台 湾

4・4・1 国内環境

4・4・1・1 蔡政権

親北京の国民党寄り軍部

 台湾高雄地方検察署(地検)が11月22日、陸軍の向徳恩上校(大佐)を収賄などの罪で起訴した。
 大佐は「両岸(台湾と中国)の平和的統一を支持する」などと書かれた「降伏承諾書」に署名し、総額56万台湾元(255万円)を受け取ったとされる。
 起訴状によると、すでに中国に取り込まれていた退役軍人から昇進できると誘いを受け、文書に署名した後にこの退役軍人がアモイに行き、金銭授受の手続きを行った。
 2019年10月末から2022年1月にかけて、毎月4万元(約18万円)を受け取っていたとみられる。
 台湾国防部は22日に事件を受けて報道資料を出し、中国共産党による台湾での統一戦線工作はすでに重大な脅威となっていると指摘した。 (2212-112205)

4・4・1・2 国防予算

4・4・1・2・1 海空軍近代化の別枠予算

 台湾立法院が2021年11月23日、海軍と空軍の近代化のため5年間にわたり年度予算に追加するTWD240B ($8.6B) の追加予算を承認した。
 この法案は2021年9月に閣議で承認され、10月上旬に立法院に提案されていた。
 この法案ではWan Chien ASM、Hsiung Feng-ⅡE GLCM、Tien Kung-Ⅲ SAM、Tien Chien-Ⅱ中距離AAMの調達が認められている。 (2203-120807)
4・4・1・2・2 2023年度国防費

4.09% 増の当初案

 台湾の情報筋が7月29日、行政院が次会計年度の国防費に今年度を4.09%上回るTWD382.6B ($12.78B) を要求すると述べた。
 蔡総統が2~3日以内に予算案を承認すると言う。 (2208-073101)

前年比 13.9% 増に

 台湾行政院が8月25日、中国との緊張が高まる中、2023年の国防予算(特別予算含む)を前年比13.9%増のTWD586.3B ($19.41B) とする案を発表した。
 特別予算を除く国防予算の伸び率は12.9%で、防衛予算が歳出全体に占める割合は14.6%である。
 装備調達にTWD108.3Bの追加支出や国防部向けの特別予算を盛り込んだ。 詳細な内訳は公表していない。
 国防予算の増加率は2017年以降4%未満に抑えられていたが、一気に2桁の大幅増となった。 (2209-082507)

4・4・1・3 部隊の新編、改編

機雷敷設艇部隊の新編

 台湾の蔡総統が1月14日、高雄市で機雷敷設艇部隊の発足式に出席した。
 発足したのは海軍192艦隊機雷敷設大隊の第1、第2機雷敷設艇中隊で、龍徳社が建造した機雷敷設艇にNCSISTが開発した自動機雷敷設システムを搭載して風や波の影響を軽減できるほか、迅速かつ確実に任務を達成できる。 (2202-011405)

4・4・1・4 国防基盤の強化

4・4・1・4・1 ミサイル生産能力の拡大

 中国との緊張に伴い台湾のNCSISTが国産ミサイルの生産能力を拡大させる。
 国営CNA通信によると2018年以来TWD7B ($249M) でミサイル関連施設80ヶ所を改良や拡張しているが、新たに50ヶ所を加える。
 複数年の歳出計画は1月に立法院が承認している。
 台湾はラムジェット推進対艦ミサイル雄風-Ⅲ (HF-Ⅲ)、中距離SAM天剣-ⅡN、天剣-Ⅲなど数種類のミサイルを改良する。
 NCSISTは年間、雄風-Ⅲ 20発、天剣-ⅡN 40発、天剣-Ⅲ 48発を生産しているが、これを雄風-Ⅲ 70発、天剣-ⅡN 150発、天剣-Ⅲ 96発に引き上げる。
 このほかにも萬劍ASM、雄風-ⅡEなどの生産も行う。 (2206-031605)
4・4・2 米台関係

4・4・2・1 台湾の地位

4・4・2・1・1 米国の立ち位置

台湾独立不支持などの文言削除

 米国務省ウェブサイトの台湾の概要説明で、台湾の独立不支持と自国の一部との中国の見解を認める表記が削除された。
 国務省は、レーガン政権時代の1982年に台湾に提示した安全保障関連の「六つの保証」にも文言を追加した。
 台湾外交部は、引き続き自衛力を強化し、米国など認識を共有する国々と協力し台湾海峡およびインド太平洋の平和と安定、繁栄の推進に努めると指摘した。
 中国外務省報道官は会見で、中国は一つで台湾は中国に属するとし、中華人民共和国が唯一の合法的な政府だと主張して、国務省サイトの文言修正は、台湾海峡の現状変更を試みる政治的操作で、米国は自らがつけた火の粉をかぶることになると述べた。 (2206-051017)

バイデン大統領、台湾防衛への軍事的関与明言

 来日中のバイデン米大統領が5月23日、東京都内で開かれた岸田首相との共同記者会見で、台湾防衛のために軍事的に関与する意思があると明言した。
 バイデン大統領は「有事には台湾の防衛に軍事的に関与する意思があるか」との質問に「ある」と答え、記者が「意思があるのか」と確認すると、「我々が約束した責務だ」と答えた。
 中国が台湾を領土とみなすことに異を唱えない歴代米政権の「一つの中国」政策には「同意している」としつつも、「力による台湾の奪取は適切ではない。 地域全体を混乱させ、ウクライナで起きたこと以上の負担になる」と強調した。
 米メディアによると、米大統領府当局者は「大統領が話した通り、我々の政策に変化はない」と軌道修正を図った。
 米政府は、台湾防衛義務を意図的に明確にしない「あいまい戦略」をとっているが、バイデン氏は2021年にも台湾の防衛義務に2度言及しており、中国を牽制するために意図的に発言を強めている可能性がある。 (2206-052307)

バイデン大統領、台湾防衛を明言

 バイデン大統領が18日放映のCBS番組で、台湾は独立している、あるいは独立すべきかとの質問には距離を置きつつ、米軍が台湾を防衛するのかとの問いには「実際に前例のない攻撃があればイエスだ」と回答した。 CBSはこれを字幕表示した。
 一方で、米国の「一つの中国政策」は変わっていないとも指摘した。
 米当局者は18日、バイデン大統領は以前と同じ点を指摘したとした上で、米国の政策は変わっていないと強調した。
 バイデン大統領はこれまでにも類似の発言をしたことがあり、5月の訪日時には、台湾の防衛に必要な場合には「軍事的に関与」する用意があるかとの質問に対し、「イエス」と答え、「それはわが国が行った約束だ」と語った。
 大統領府当局者はその際にも火消しに回ったが、中国側から強い反発を招いた経緯がある。 (2210-091902)

米、州兵と台湾軍の「協力」を計画

 台湾を訪問中のダックワース米上院議員と5月31日に会談した蔡総統が、同議員が米超党派による「台湾パートナーシップ法案」の主要な発起人の1人であることに言及し、「この結果、米国防総省は現在、州兵と台湾軍の協力を積極的に計画している」と述べた。 詳細には踏み込まなかった。
 台湾メディアはこれまでに、ハワイの州兵と台湾が連携する可能性があると報じている。 (2206-053105)

エスパー前米国防長官が訪台

 台湾総統府が7月18日、米シンクタンクAtlantic Council(大西洋評議会)の代表団が訪台し、19日に蔡英文総統と会談すると発表した。
 代表団はエスパー前米国防長官が団長を務め、21日まで滞在する。 (2208-071807)

 台湾の蔡総統が7月19日、訪台している米国のエスパー前国防長官と総統府で会談した。
 エスパー氏は「中国は法の支配に基づく世界秩序を弱体化させ、全ての自由を愛する人々を脅かしている。 台湾はこの戦いの最前線にいる」と述べ、民主主義国家は台湾を守るために立ち上がる必要があると訴えた。
 エスパー氏の訪台は、米国内で対中強硬論と台湾擁護論が超党派で高まる中、台湾支援を明確に打ち出す動きの一環で、同氏は中台が不可分の領土だとする中国側の主張に基づく一つの中国政策は既に必要ないと強調した。 (2208-071912)

4・4・2・1・2 台湾政策法

上院超党派が台湾政策法案を提出

 ロイタ通信が、米上院民主党のメネンデス上院外交委員長と共和党のグラム上院議員が6月16日、超党派で米政府の台湾支援を大幅に強化する台湾政策法案を提出したと報じた。
 提案者は1979年の台湾関係法成立以降、米国の台湾政策の最も包括的な再構築になると強調した。
 法案では4年間で$4.5Bの軍事資金融資のほか、NATO非加盟の主要同盟国として台湾を指定することや、いかなる台湾攻撃でも中国に厳しい制裁を科すと警告する内容も盛り込まれている。 (2207-061708)

バイデン政権が台湾の安全保障法案について議員と協議

 米大統領府のカービー報道官が9月13日、バイデン政権は台湾の安全保障法案について、連邦議会議員と協議していると述べた。
 記者団に対し「この法案について議会と協力し、プロセスを進めていく」とし、米政府は台湾の自衛に対するコミットメントに関して譲らないとした。 (2210-091404)

上院外交委員会が賛成多数で可決

 米上院外交委員会が9月14日、台湾への軍事支援を強化する台湾政策法案を賛成多数で可決した。
 4年間で総額$4.5Bの援助が盛り込まれ、NATO非加盟の主要な同盟相手として台湾を指定することや中国の敵対行為に厳しい制裁を科すのが柱になっている。 (2210-091504)

4・4・2・1・3 米国の FY23 NDAA

台湾の国際機関への参加を促進

 米議会下院が7月14日に可決したFY23国防予算の大枠を$839.3Bと定めた国防権限法案 (FY23 NDAA) では、国防総省に台湾支援をめぐる防衛物資供給の遅延改善のため報告と、実行可能な軍事協力の研究を要求し、国務省には台湾の国際機関への参加を促進する戦略の報告を、大統領には中台間の紛争抑止を強化する総合戦略の報告を求めた。
 また、台湾との合同軍事演習の促進を支援し、2024年の多国間の海上演習「環太平洋合同演習」(RIMPAC) に台湾を招くべきだとした。
 中国による軍民両用技術の活用状況の評価や太平洋諸島地域での中国の影響力の分析も求めた。 (2208-071509)

$10Bの軍事援助

 Bloombergの記者Tiron氏が11月30日にTwitterで、米議会が中国と対峙する台湾へ$10Bの軍事援助行うことをFY23 NDAAに盛り込んだと述べた。
 米議会上下両院はバイデン政権からの国防費を$45B追加して$847Bにする要求に同意しており、新たな追加で国防費は$858Bに膨らむことになる。 (2301-120107)

米政府職員を台湾に長期派遣

 複数の関係者が日経新聞の取材に対し、米国のバイデン政権と議会が2023年秋から政府当局者を台湾に長期派遣する方向で調整に入ったことを明らかにした。
 米議会はFY23 NDAAに政府当局者の台湾派遣の枠組みを盛り込んでいる。
 派遣計画の運営に関わると見られるNPO Western Pacific Fellowship Projectのピアソン事務局長は取材で、12月中に法案が成立すれば2023年初めに希望者を募って9月に派遣を始める計画だと話した。 (2301-121508)

4・4・2・1・4 米下院議長の台湾訪問

ペロシ下院議長が台湾訪問の報道

 英Finacial Times紙が事情に詳しい関係者6人の話として、米国のペロシ下院議長が8月に台湾訪問を計画していると報じた。 (2208-071913)

 複数の関係者が、ペロシ米下院議長が8月2日に台湾を訪問する予定だと述べた。
 これに先立ち、複数の台湾メディアが1日、ペロシ議長が2日に台湾を訪問し台北で一泊すると報じていた。 台湾紙「自由時報」によると、ペロシ議長は3日午前に台湾議会を訪問し、その後アジア歴訪を続けるという。
 台湾外交部は報道についてコメントしなかった。 関係者によると、米国はペロシ議長の台湾訪問について一部の同盟国に通知しているという。 (2209-080111)

報道に対する中国の反発

 中国が7月21日までに、ペロシ米下院議長が台湾を訪問するなら「断固とした強硬な措置」に踏み切ると警告した。
 訪台が実現すれば、米国の代表として過去25年で最高位の人物となる。 (2208-072109)

 軍関係者によれば8月2日未明、台湾南東部沖をPLAの駆逐艦が航行したのが確認された。
 専門家によると確認されたのはType 055駆逐艦である可能性があり、駆逐艦に同行してしているフリゲート艦はType 054Aだとみている。
 また1日午後には東部や南東部沖で中国の海洋調査船と研究船各1隻が確認されており、中国軍の一連の動きはペロシ米下院議長の訪台を牽制する意味合いがあるとみられる。 (2209-080207)

中国の反発への米国の対応

 米海軍が8月2日、台湾東方のフィリピン海に空母Ronald Reagan、巡洋艦Antietam、駆逐艦Higgins、強襲揚陸艦Tripoliの4隻を展開していることを明らかにした。
 通常の配備と説明している。  海軍関係者はロイタに対し匿名を条件に、「万一の事態に対応できるが、通常の配備だ」とし、正確な場所についてはコメントできないと述べた。 (2209-080208)
【註】この艦隊に空母打撃群 (CSG) には所属していない強襲揚陸艦Tripoliが含まれていることが注目される。
 強襲揚陸艦Tripoliは第7艦隊の水陸両用部隊である遠征打撃群 (ESG) に属し、海兵遠征部隊 (MEU) を乗艦させて両用即応群 (ARG) を編成する。
 現在台湾沖に展開した強襲揚陸艦Tripoliには沖縄駐留の第31 MEUが乗艦している可能性がある。

ペロシ議長が台湾到着

 アジア歴訪中のペロシ米下院議長が8月2日夜に専用機で台湾入りした。
 航空機追跡の民間ネットワークによると、ペロシ議長の専用機は台湾に向かう際、中国が領有権と管轄権を主張する南シナ海を大きく迂回した。
 現職下院議長の訪台は1997年のギングリッチ氏以来25年ぶりで、3日に蔡英文総統と会談する。
 中国は対抗措置を警告し軍が台湾周辺の6ヵ所の空海域で実弾射撃を伴う演習を4~7日に実施すると発表した。
 米海軍は周辺海域に空母打撃群を派遣、台湾軍も警戒態勢を強化するなど緊張が高まっている。 (2209-080211)

 台湾を訪れたペロシ米下院議長が8月2日にWashington Pos紙に寄稿し、中国が台湾への軍事的、経済的圧力を強め、香港やチベット、新疆ウイグル自治区で人権弾圧を続けていると非難したうえで、「中国共産党が台湾、そして民主主義そのものを脅かすのを座視するわけにはいかない」と訴えた。
 ペロシ議長はロシアによるウクライナ侵攻を引き合いに、「今回の訪問は世界が専制主義か民主主義かの選択を迫られる中で行われた」と指摘し、「米国と同盟国が独裁者に決して屈しないと明確に示すことが極めて重要だ」と訪問の狙いを説明した。 (2209-080304)

 台湾を訪れたペロシ米下院議長が8月2日にWashington Pos紙に寄稿し、中国が台湾への軍事的、経済的圧力を強め、香港やチベット、新疆ウイグル自治区で人権弾圧を続けていると非難したうえで、「中国共産党が台湾、そして民主主義そのものを脅かすのを座視するわけにはいかない」と訴えた。
 ペロシ議長はロシアによるウクライナ侵攻を引き合いに、「今回の訪問は世界が専制主義か民主主義かの選択を迫られる中で行われた」と指摘し、「米国と同盟国が独裁者に決して屈しないと明確に示すことが極めて重要だ」と訪問の狙いを説明した。 (2209-080304)

台湾立法院で演説

 2日深夜に台湾を訪問したペロシ米下院議長が、8月3日に台湾立法院で演説した。
 長年にわたって中国を批判してきた政治家としても知られるペロシ議長は演説で、米国と台湾の議員同士の交流を活発化させたいと述べ、台湾は「世界有数の自由な社会」だと述べた。 (2209-080308)

蔡総統と会談

 訪台中のペロシ米下院議長が8月3日に台湾の蔡英文総統と会談し、自身の訪台は米国が台湾を見捨てないことを明確に示すものだと伝えた。
 米国が台湾と団結することがこれまで以上に重要になっているとし、台湾と世界の民主主義を守るという米国の決意は揺るぎないと語った。 (2209-080310)

中国の対応: 台湾を取り囲む6箇所で実弾射撃演習

 ペロシ米下院議長が8月3日22:43に台北松山空港に米空軍のC-40C(737-700)で到着した。
 その直後の22:59に中国国営環球時報は、PLA軍が台湾を取り囲む6箇所で8月4~7日の間に実弾射撃を含む重要な演習を行うと報じた。 (2209-080301)

中国の対応: 台湾防空識別圏 (ADIZ) にPLA軍機21機が進入

 台湾国防部がTwitterで、PLA軍機21機が8月2日に台湾南西部の台湾防空識別圏 (ADIZ) に進入したと発表した。
 ペロシ米下院議長は同日に台湾訪問を開始し、中国の反発を呼んでいた。 (2209-080302)

中国の対応: 22機が台湾海峡の中間線越え

 台湾国防部が8月3日同日夜、PLAの戦闘機27機が台湾の防空識別圏 (ADIZ) に進入し、うちの22機が台湾海峡の中間線を越えたと発表した。
 飛来したのは、J-16 5機、J-11 6機、Su-30 16機で、そのうちJ-11とSu-30の計22機が台湾海峡の中間線を越えた。
 2日にも21機のPLAが台湾のADIZに入っており、2日連続で20機超が飛来したことになった。 (2209-080318)

わが国の対応

 松野官房長官が中国軍が8月4日から台湾周辺で行う演習について、日本の排他的経済水域 (EEZ) が含まれているとして、中国側に懸念を伝えた。 (2209-080312)

 ANAホールディングスが8月3日、中国が台湾本土を囲むように飛行禁止区域を設定するとの航空情報 (NOTAM) を出しているのを確認したと明らかにした。
 回避ルートの作成が可能かどうか、台湾当局と調整し確認するという。 (2209-080314)

中国に対する G7 の対応

 ペロシ米下院議長の台湾訪問への対抗措置として、中国軍が台湾近海とその周辺で実施を発表した演習について、先進7ヵ国 (G7) 外相は8月3日に声明で、正当化できないと非難した。 (2209-080401)

4・4・2・2 武器等の売却

2月 7日: Patriotの保守、改良 $100M

 米国防総省の国防安全保障協力局 (DSCA) が2月7日、台湾が保有するPatriotの保守、改良のための関連機器やサービスの売却を承認し、議会に通知した。
 売却総額は推定$100Mである。 (2203-020815)

 米国務省が台湾への向こう5年間のPatriot支援を$100MをFMS契約することを承認したことを、DSCAが2月7日に議会に通知した。
 今回の契約はバイデン政権になって2度目の台湾への武器輸出で、最初の契約は2021年8月にM109A6 Paladin 155mm SPH 40門とM992A2砲側弾薬車20両の輸出であった。 (2206-021601)

3月 5日: Patriotの保守、改良 $95M

 米国務省が3月5日、台湾へのPatriotに関する訓練や保守などの技術支援や関連装備の$95Mでの売却を承認し議会に通知した。
 総統府によると、バイデン政権による武器売却の発表は3度目で、今年に入って2度目になる。
 国防部は6日、売却計画が1ヵ月後にも発効する見通しを示した。 (2205-040615)

広範囲での納期遅延

 COVID-19パンデミックの影響で、台湾が米国から2019年に購入した装備の内$14.2Bがまだ引き渡されていない。 更に米国ではウクライナへの装備品等の引き渡しが急務になっているのも影響している。
 納期遅延となっている中にはF-16 66機の$8B、Patriotの換装$620M、地上発射Harpoon Block Ⅱの$2.37B、SLAM-ERの$1Bの他に、Paladin SPHやMS-110偵察ポッド、野外情報通信システムなども含まれている。 (2205-041408)

M109A6 Paladin SPH の納入延期

 台湾国防部が5月2日、米国から購入するM109A6 Paladin SPHの納入が2026年まで延期されることを明らかにした。
 Paladinは総額$750Mで発注され、2023年に8門が納入された後2024年と2025年に16門ずつ、合わせて40門が納入されることになっていた。
 Paladinの射程は30kmで、発射速度は8rpmである。 (2206-050209)

 米国が5月2日に、2021年に$750Mで台湾へ売却するとしていたM109 Paladin SPH 40門の2023~2025年としていた納期を、生産ラインの多忙から2026年以降に延期すると通告してきたことに対し、台湾国防部がPaladinの購入をHIMARSに切り替えることを検討している。
 米側は生産ラインの多忙の理由を明らかにしていないが、ウクライナ戦争が影響している可能性も考えられる。 (2206-050303)

 米政府が2025年までに40両を台湾へ引き渡すことになっていたM109A6 Paladin SPHの引き渡しを、生産ラインの多忙を理由に2026年以降に延期したいと申し入れたとの報道に対しも生産するBAE Systems社がこれを否定し、米政府から受注すれば直ちに台湾向けの生産を開始できると述べた。
 台湾はM109A6 Paladinの納期延期を受け発注をLockheed Martin社製M142 HIMARSに切り替え、HIMARS 11両とATACMS 64発を発注しようとしていると報じられた。 (2206-050501)

艦艇部品と関連技術支援

 台湾外交部が6月9日、米政府から艦艇部品と関連技術支援を供与すると正式に通知を受けたと発表した。 総額$120M相当という。
 米国から台湾への武器供与は2022年で3回目である。 (2207-060910)

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が6月8日、艦船部品、搭載システム部品及び関連装置、推定$120Mの台湾向けFMS輸出を、国務省が承認したと発表した。 (2208-062207)

台湾向けの武器売却の指針

 米国務省と国防総省が2022年春に米国台湾ビジネス評議会と会議を開き、台湾向けの武器売却の指針について説明したが、日本経済新聞は会議記録の概要を入手した。
 それによるとバイデン米政権が台湾への武器売却で、中国軍の上陸阻止に向けて効果的な兵器を優先し、対艦ミサイルやBMDSを優先対象に挙げた。
 6月に開く方向で最終調整に入った米台の戦略対話で議論を詰める見通しである。
 概要によると、国務省高官らは会議で「非対称兵器」の売却を一段と優先していく方針を強調した。
 中国は台湾上陸作戦の序盤で大量の精密ミサイルを使って攻撃する可能性が高いとされるため台湾軍はミサイル攻撃を避けないと上陸作戦に対抗できず、回避に必要な俊敏性がとくに重要になる。
 米政権は非対称兵器として対艦ミサイルや防空システムに加え、敵の動きを把握する情報収集システムや早期警戒システムを挙げ、戦闘機は非対称兵器には該当しないとみられている。
 台湾に購入を推奨する兵器やシステムのリストを作成し、20程度の具体的な兵器などを売却の優先対象として選定したようだ。 (2207-061304)

FY23 NDAA法案に台湾向け武器売却拡大を盛り込み

 米議会下院軍事委員会がFY23 NDAA法案に、新型迎撃弾やレーダの台湾への売却を進め、AMD能力を増強させることを盛り込む。 (2207-062407)

$1.1Bのミサイルおよびレーダ関連機器

 事情に詳しい当局者が、バイデン米政権が台湾への$1.1B相当のミサイルおよびレーダ関連機器の売却を準備していることを明らかにした。
 米国務省は8月29日遅く、売却計画について議会に非公式に通知した。
 この当局者によると、売却済み監視レーダの維持に必要な$650M相当の関連機器のほか、$90M相当のSidewinder AAM 100発、とHarpoon対艦ミサイル60発の追加売却が含まれる。 (2209-083011)

HIMARS と ATACMS の追加購入

 台湾が2023年国防予算で従来11基の整備を計画していたHIMARSを18基増やして29基にしようとしている。
 また射程300kmのATACMSについても64発多い84発の整備を考えている。 (2209-083112)

$1.1Bの FMS 契約

 米国務省が台湾向け$1.1BのFMS契約を承認した。 この契約はバイデン政権下で5回目で、最大規模になる。
 DSCAによると契約にはAIM-9X Block Ⅱ Sidewinder 100発$85.6MやAGM-84L-1 Harpoon Block Ⅱ 60発$355Mなどが含まれている。
 また2013年に台湾北部の楽山に設置したAN/FPS-115 PAVE PAWSレーダ (SRP) の改良$665.4Mも含まれている。
 捕捉距離3,000nm、視野240゚のSRPは8月にペロシ下院議長が台北を訪問した際にPLAが発射したDF-15やDF-16を台湾に向け発射した際にも活躍している。 (2211-091407)

米、台湾との兵器共同生産を検討

 米台ビジネス評議会 (USTBC) のチェンバース会長が10月19日、米政府が台湾と兵器を共同生産する計画を検討していると発表した。 ただ、計画は「初期段階」という。
 ただ、このような計画には兵器メーカーが国務省および国防総省から共同生産のライセンスを取得する必要があるという。
 チェンバース会長は、重要な技術の国外流出への懸念から、米政府内には共同生産のライセンス発行に対する抵抗があるかもしれないと述べた。
 これに先立ち、日経新聞は関係者3人の話として、米政権が米国製の武器を台湾と共同生産する案を検討していると報じた。
 MANPADSや弾薬を念頭に台湾有事に備えて協力して生産能力を高め、武器提供を早めて中国抑止を急ぐ。
 また、武器生産技術の台湾への供与や台湾製部品を使った米国での生産も検討しているという。 (2211-102007)

12月に入って2度目、バイデン政権下で8度目の武器売却

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が12月28日、台湾への$180M相当の武器売却を国務省が承認したと発表した。
 売却が発表されたのは、Volcano対戦車地雷散布装置やM977A4 HEMTT重高機動戦術トラックなどである。
 米政府が台湾への武器売却を発表するのは12月に入って2度目で、バイデン政権下では8度目となる。 (2301-122911)

4・4・2・3 米要人の台湾訪問

2月: 元国防及び安全保障の高官からなる非公式代表団

 ロシアのウクライナ侵攻で混乱しているなか、バイデン米大統領が米台関係が盤石であることを示すため、2月28日に元国防及び安全保障の高官からなる非公式の代表団を台湾に送った。
 台湾へ派遣されたのはブッシュ大統領とオバマ大統領の下で統合参謀本部議長であったマレン氏、ブッシュの下でイラクとアフガニスタンの副国家安全保障顧問であったオサリバン氏、オバマ政権下の政策担当国防次官であったフルーノイ氏、国家安全保障会議のアジア担当上級取締役を務めていたグリーン氏とメデイロス氏である。 (2203-022831)

元統合参謀本部長のミューレン退役大将が率いた使節団が訪台

 バイデン米大統領が台湾へ送った元統合参謀本部長のミューレン退役大将が率いた使節団が3月2日に蔡総統と会見し、両国の関係が盤石であることを示した。 (2206-031604)

4月: 超党派訪台議員団6人が蔡総統と会談

 米共和党のグラム上院議員を団長とする超党派訪台議員団6人が14日夜に台北に到着し、台湾を離れる15日に総統府で蔡総統と会談した。
 グラム上院議員は挨拶で、ロシアによるウクライナ侵略と日増しに高まる中国の挑発行為に触れ、今回の訪台は米国の台湾に対する支持と愛を示すのが目的だと話した。
(2205-041510)

8月: ペロシ下院議長が訪台

 「3・4・1・2・1 ペロシ米下院議長の訪台」で記述

8月: 米高官が相次いで訪台米下院の情報特別委員会と軍事委員会の議員からなる訪問団訪台

 「3・4・1・2・4 米要人の訪台と中国の反応」で記述

10月: 米下院の超党派議員4名からなる訪問団

 台湾外交部が10月11日、米下院の情報特別委員会と軍事委員会の議員からなる訪問団が台湾入りしたと明らかにした。
 一行は13日まで滞在し、蔡総統との会談などが予定されている。
 訪問団は情報特別委員会と軍事委員会委員からなる共和党のウェンストラップ議員と民主党のモールトン議員がそれぞれ代表を務める2つの訪問団の4人である。 (2211-101124)

4・4・2・4 共同演習

 2023年に特筆すべき記事なし
4・4・2・5 米軍の駐留

 2023年に特筆すべき記事なし
4・4・3 その他諸国との関係

4・4・3・1 台湾承認国

4・4・3・1・1 

 2023年に特筆すべき記事なし
4・4・3・2 西側諸国

4・4・3・2・1 NATO / EU

欧州議会副議長が公式訪問

 欧州議会のベーア副議長が7月19日に台湾入りした。 21日まで滞在し、期間中には蔡総統との会談が予定されている。
 ベーア副議長は空港で談話を発表し、台湾と欧州は民主主義陣営の家族だと語った。
 ベーア副議長は、欧州議会副議長としての公式訪問であることに言及した上で、中国による台湾への圧力を欧州は座視するわけにはいかないと強調し、アジアで戦争が起こるのは目にしたくないと力を込めた。 (2208-071914)

4・4・3・2・2 欧米諸国

スウェーデン議員団の台湾訪問

 スウェーデンの国会議員とスウェーデン選出の欧州議会議員による訪問団が4月10日夕に台湾に到着した。
 同国議員団の台湾訪問は初めてで、一行はCOVID-19感染者の接触者として在宅隔離を受けている蔡総統と12日にリモート形式で会談し、賴副総統と面会する。 (2205-041103)

中国のリトアニア攻撃への対抗

 台湾の黄駐リトアニア代表(大使)が1月5日、中東欧への投資のため$200Mの基金が設立されることを明らかにした。
 リトアニアへの投資を優先して強化する方針で、まずは半導体やバイオテクノロジー、レーザーなどへの投資に充てるという。 (2202-010609)

リトアニアの通商代表部が活動開始

 リトアニアが台北に開設した通商代表部が9月12日に活動を開始することから、中国との緊張が高まっている。 (2210-091109)

スロベニアが台湾に代表処設置

 スロベニア共和国のヤンシャ首相が、台湾と代表処設置を協議していると明らかにした。 これについて、台湾外交部報道官は1月18日、心から感謝すると述べた。 (2202-011904)

フランス上院議員団の訪台

 台湾情勢への懸念が強まる中、米国の議員らが続々と台湾を訪問していることから、8月のペロシ米下院議長の訪台後中国は、台湾周辺で大規模な軍事演習を実施するなど圧力を一層強めた。
 ところが、こうした圧力を無視するかのように、米議員の訪台はむしろ活発化している。
 ペロシ氏の後、1ヵ月余りの間に3組が訪問し、2022年に入り訪台した米議員は9月7日時点で28人に上る。 Bloomberg通信の集計によると、1年間に台湾を訪問した米議員数としては既に2013年以降の最多となっている。
 8日には、訪台中のフランス上院議員団も頼副総統と会談した。
 総統府によるとペルバ団長は「台湾海峡の安定を重視し、これからも台湾を支持し続ける」と表明した。
 仏議員団の訪台は、昨年10月からの1年間で4回に上った。 (2210-090902)

ドイツの超党派国会議員団の訪台

 台湾の外交部が9月29日、ドイツの超党派の国会議員団が10月2~6日の日程で訪台すると発表した。
 外交部によると、独国会議員の訪台は3年ぶりで、訪問団は蔡総統、頼副総統と会談するほか、立法院やハイテク関連の企業を訪問し、サプライチェーンを含め、広く安全保障面での連携で意見交換する。 (2210-092911)

カナダ議会下院の超党派議員団の訪台

 台湾の蔡総統が10月11日、台湾を訪問しているカナダ議会下院の超党派の国会議員団と会談し、台湾に対する重視と支持に感謝し、今後も協力してインド太平洋地域の平和と安定を共に守っていく考えを示した。
 蔡総統は一行が10日の双十国慶節祝賀式典に出席したことは「互いの交流にとって非常に意義のあること」だと語った。 (2211-1011123)

4・4・3・2・3 その他諸国

ソマリランドが台湾に代表処設置

 中国外務省報道官が2月9日、台湾がアフリカ東部ソマリランドの訪問団を受け入れたことについて「民進党は自らが分裂をたくらむだけでなく、他国の独立と統一を破壊している」と非難した。
 ソマリランドは1991年にソマリアからの独立を一方的に宣言し、国際的に国家として承認されていないが、台湾とソマリランドは2020年に相互に代表処(大使館)を設置している。
 台湾がアフリカで外交関係を維持するのは現在、エスワティニ(旧スワジランド)のみである。 (2203-020908)

4・4・3・3 中南米諸国

ホンジュラス

 台湾総統府は1月19日、ホンジュラスのカストロ大統領の就任式に頼副総統をトップとする訪問団を派遣すると発表した。
 現地時間の26日に到着し27日に式典に出席する予定で。米国政府はハリス副大統領を派遣することから、頼副総統とハリス副大統領が会談するかどうか注目される。
 頼副総統一行は訪問の際、米国を経由するが、台湾外交部幹部は米国での予定は「相手側と調整中」とし、ハリス副大統領を含む各国代表との接触については「接触機会は必ずある」とした。 (2202-011908)
【註】就任するホンジュラスのカストロ新大統領は元大統領の妻で、選挙公約で当選すれば台湾と断交して中国と国交を結ぶと訴えていた。

 台湾が外交関係を持つ14ヵ国の1つであるホンジュラスでは2021年11月の大統領選挙で当選したカストロ新大統領の就任式が1月27日に行われ、台湾の頼副総統が出席し、前日の26日にはカストロ大統領と個別に面会した。
 台湾総統府によると、この会見で頼副総統はホンジュラスとの関係を引き続き強化したいという蔡総統からの書簡を手渡したのに対し、カストロ大統領は「台湾からの援助はホンジュラスにとって非常に重要だ」と述べました。
 中米では、中国が経済援助などをてこに台湾の友好国の切り崩しを進めていて、カストロ大統領は選挙中「当選したら台湾と断交して中国と国交を結ぶ」と主張していたが、頼副総統との面会後、台湾メディアの取材に対し「台湾との関係維持を希望する」と述べた。
 就任式には、ハリス米副大統領も出席し、頼副総統と短時間、ことばを交わした。 (2202-012807)

4・4・3・4 太平洋島嶼国

 2023年に特筆すべき記事なし
4・4・3・5 その他諸国

 2023年に特筆すべき記事なし
4・4・4 日台間係

4・4・4・1 台湾の地位

 複数の政府関係者が9月24日、政府が9月27日の安倍元首相の国葬で、各国代表が献花する際に国名を読み上げる指名献花について、台湾を対象にする方向で調整に入ったことを明らかにした。
 台湾が正式名称とする中華民国ではなく台湾と呼ぶ。
 中国は人民政治協商会議副主席が参列するとしているが、台湾を国扱いしたとして反発する可能性がある。
 台湾の指名献花を巡っては、2012年の東日本大震災追悼式で対象に含まれず、冷遇したとの批判を受けた当時の野田首相が国会で陳謝した。 (2210-092408)
4・4・4・2 日台防衛協力

「6・1・3・2 日台防衛協力」で記述
4・4・5 防衛力整備

4・4・5・1 体制の整備

海巡署警備艦が対艦ミサイルを発射
 台湾海軍司令部が5月27日、南部屏東県の基地や東部の海域でこの日までに、台湾軍が海洋委員会海巡署(沿岸警備隊)と合同で実弾射撃訓練を行なったと明らかにし、海巡署の警備艦安平が対艦ミサイル雄風-2を発射する様子を写した写真も公開した。
 安平は有事の際に、軍事転用することが可能で、海軍によると訓練は海軍と空軍、海巡署が平時と有事の切り換え作業や連携を確認するために実施したという。
 今回行ったのは防空と海上の制圧を想定した実戦的な訓練で、空中や水上、沿海部から、目標に対して射撃を行なったという。 (2206-052810)

「漢光38号」定例演習

 台湾で海軍と海洋委員会海巡署(沿岸警備隊)が7月26日、中国軍の台湾侵攻を想定した定例演習「漢光38号」の一環として宜蘭県蘇澳沖で艦艇20隻と戦闘機15機などが参加した合同実弾射撃演習を行った。 (2208-072611)

4・4・5・2 国防予算

4・4・5・2・1 年度予算

前年比12.9%増の2023年度予算案

 台湾行政院が8月25日、2023年度の国防予算案を2022年比12.9%増、額にして$6.9B多いTWD415.1B ($13.7B) とすると発表した。
 2023年予算にはこの他にF-16Vの購入と艦船の建造費TWD108.3Bも計上されている。
 更に、施設整備や防衛生産などの非戦闘経費としてTWD62.9Bを割り当てられており、これらを合計した国防費は2022年を24%増、額にしてTWD471.7B上回るTWD586.3Bになる。 (2211-090706)

4・4・5・2・2 5年間別枠予算

 台湾立法院が1月11日、中国の脅威に対抗して向こう5年間にNT$237B ($8.71B) で8種類のミサイルを調達する予算を承認した。
これはNT$471.7Bの今年度予算に上乗せされる。
 そのうちNT$79.7Bが沿岸配備対艦ミサイル、NT$34.7Bが陸上配備SAM、NT$17Bが射程1,200kmのHsiung Sheng SSM、NT$12.6Bが射程240kmのWan Chien ALCM、NT$8.9Bが野戦用SAMに割り当てられている。
 沿岸配備対艦ミサイルにはHsiung Feng 3超音速ミサイルとその射程延伸型、陸上配備SAMにはTien Kung 3(天弓-3)AMDミサイル、野戦用SAMには天弓-2などが含まれる。
 このほかに攻撃型UAVにNT$12B、高性能艦艇にNT$69.2B、沿岸監視隊の戦闘装備にNT$3.2Bが割り当てられている。 (2202-011602)
4・4・5・3 軍備増強

4・4・5・3・1 編成、定員

 2023年に特筆すべき記事なし
4・4・5・3・2 A M D

MIM-23 HAWKシステムの天弓Ⅲへの換装

 台湾陸軍が天弓Ⅲへの換装に伴い2023年にMIM-23 HAWKシステムを破棄する。
 NCSISTは2021年にHAWKミサイル51発を廃棄したが、2022年には更に249発を破棄する。
 同時にNCSISTは天弓Ⅲ量産の新施設を建設中で、これができると天弓Ⅲの生産ペースが年産48発から96発に倍増される。 (2205-040708)

米国とミサイル維持契約

 8月11日に、台湾が米国とTWD2.5B ($84M) のミサイル維持契約を結んだことが明らかになった。
 米国防安全保障協力局 (DSCA) は国務省が台湾向けPatriot改良の$100MにのぼるFMS契約を承認したとしている。
 台湾は2017年末までにPAC-2とPAC-3を装備しており、2020年7月にはPAC-3弾のPAC-3 MSEへの改良を$620Mで発注している。
 台湾は現在Patriot 6個中隊を装備しており、各中隊は発射機4~6基を装備している。 (2211-082409)

4・4・5・3・3 艦 船

国産初の潜水艦の追加7隻建造計画

 台湾は2019年~2025年までの計画で国産初の潜水艦海昌をTWD49.3Bで建造しているが、行政院は2023年9月の完成を待って追加7隻の建造をTWD300B ($10B) で行う計画である。 (2208-071801)

康定級フリゲート艦の能力向上計画

 台湾が6隻装備している康定級フリゲート艦の能力向上計画が進められており、既に4隻が完了し残りの2隻が年内に完了する。
 改良は新型通信システムと操舵システムの取り付けである。 (2205-040507)
【註】康定級フリゲート艦fはフランスのLa Fayette級フリゲート艦を元に台湾で建造された排水量3,800tのフリゲート艦で、La Fayette級より重装備になっている。

退役米 LCS の購入希望

 台湾の柏国防次官が4月11日に立法院で、米海軍で近く退役するLCSを台湾が購入する検討をしていると述べた。 (2205-041105)

国内建造4,000t級警備艦2番艦の引き渡し

 台湾が国内で建造した4,000t級警備艦の2番艦新竹が4月22日に海洋委員会海巡署(海上保安庁に相当)に引き渡された。 北部地区機動海巡隊に配備される。
 新竹は満載排水量5,044t、航続距離10,000nmで、最大射程距離120mの高圧放水砲を3基装備し、ヘリ甲板は内政部空中勤務総隊の多用途ヘリBlack Hawや海軍の対潜哨戒ヘリの離着艦ができる。
 また高度な医療設備を有し、病院船として用いることもできる。 (2205-042210)

4,500tの次世代フリゲート艦が1,500~2,500tの軽フリゲート艦に

 台湾国防部が2023年予算案で、今まで計画していた4,500tの次世代フリゲート艦建造計画を1,500~2,500tの次世代軽フリゲート艦計画に変更している。
 TWD24.55B ($807.65M) で2隻建造される次世代軽フリゲート艦は2026年までに就役する。 (2209-083109)

 台湾国防部が10月11日に議会へ提出した予算案で、従来計画していた4,500tの次世代フリゲート艦1隻の建造を中止して、2,000tフリゲート艦2隻を建造するとしている。
 国防部によると2隻の内の対空型は2025年、対潜型は2026年に就役する計画である。
 それぞれは76mm砲とPalanx CIWSのほか、中距離SAM、長距離超音速対艦ミサイル、可変深度魚雷などを装備する。 (2211-101201)

 台湾が8隻の建造を計画している軽フリゲート艦の最初の2隻の建造をTWD24.5B ($762.9M) で開始する。
 新型艦は主として偵察警戒を任務とし、8隻には対空型と対潜型があるが、いずれもSAMと長距離超音速対艦ミサイルを装備する。 (2211-103005)

新型ドック型輸送揚陸艦玉山の引き渡し

 台湾が建造した海軍の新型ドック型輸送揚陸艦玉山の引き渡し式が9月30日に高雄市の台湾国際造船高雄造船所で開かれた。
 命名進水式は昨年4月に行われ、公試運転の結果が軍の基準を満たしたことから引き渡しされた。
 玉山は全長153m、全幅23m、満載排水量10,600tで、海剣-2 SAM 4基や76mm砲1門、Fallanx 2基を装備する他、甲板にはヘリ2機が収容可能で、上陸用舟艇 (LCU) や機動揚陸艇 (LCM) などを搭載する。 (2210-093008)

 台湾海軍が初めて国内で建造した強襲揚陸艦玉山がCSBC社から海軍へ引き渡された。
 玉山は全長153m、幅23m、喫水6mで、速力21.5kt、13kt巡航での航続距離12,500nmの性能を持つ。
 全長36mの揚陸艇2隻を搭載するほか、76mm砲1門、Mk 15 Phalanx CIWS 2基を装備し、HF-Ⅱ/Ⅲ 対艦/対地CMも搭載できる。 (2301-101201)

フランス製 La Fayette 級フリゲート艦に台湾製ミサイルを搭載する近代化

 台湾海軍が10月14日、1996以降にフランスから購入した6隻のLa Fayette級フリゲート艦に台湾製のミサイルを搭載して近代化する2030年までの9年がかりの工事を公表した。
 La Fayette級フリゲート艦からはRIM-72C Sea Chapparlが撤去され国産の天剣-Ⅱ (TJ-Ⅱ) 中距離SAMが搭載されるほか、雄風-Ⅲ (HF-Ⅲ) 対艦ミサイルが新たに装備される。
 第1期工事には1隻分として2023年にTWD9.73Bが計上される。 (2211-101501)

沿岸警備隊向け1,000t哨戒艦の引き渡し

 台湾CSBC社が沿岸警備隊向けに建造していた排水量1,000tの哨戒艦彰化の命名引き渡し式が、11月16日に基隆の同社造船所で行われた。
 彰化は全長98.5m、幅13.2m、喫水7.6m、満載時排水量2,167tで、速力24ktの性能を持つ。
 装備はBofors社製L-70 40mm砲に代えてChungshan科学技術研究所が開発した70mmロケット弾42発を装填するZhenhai (鎮海) システムを装備している。 (2212-112101)

4・4・5・3・4 航空機

F-16V Block 20 が待機任務に

 台湾空軍の第4航空団が2021年11月18日、F-16V Block 20 42機を装備して編成を完結し、待機任務についた。
 台湾は2016年に保有するF-16A/B/C/D 141機をF-16Vに改修す計画を開始しており、2023年末までに全機の改修を終える計画である。 (2203-120109)

T-5 Yung Yin高等練習機の量産1号機を受領

 台湾空軍が2021年11月28日、T-5 Yung Yin高等練習機の量産1号機を受領した。
 台湾は2017年にAIDC社にT-5 66機をTWD68.6B ($2.2B) で発注しており、2026年までに老朽化したAIDC社製AT-3練習機及びNorthrop Grumman社製F-5E/F Tiger Ⅱと換装する。 (2203-120801)

アリゾナ州 Luke AFB の F-16 が F-16V への改修のため帰還

 F-16 6機が6月10日、アリゾナ州からハワイを経由して花蓮県の台湾空軍基地に飛来した。
 台湾空軍はアリゾナ州のLuke AFBにF-16 10機を置いて訓練を行っているが、これらを台湾でF-16Vに改修するため帰還した。
 台湾は保有しているF-16A/B 140機をF-16Vに改修すると共に、新規にF-16V 66機を購入することになっている。 (2207-061010)

破損した E-2K AEW&C機の修理断念

 台湾が11月25日に、着陸に失敗して破損したE-2K AEW&C機の修理を断念した。 修理にはTWD2B ($65.16M) かかると見られていた。
 事故は着陸に際し脚を出さなかった人為的なミスによるとされている。 (2301-122108)
【註】台湾がE-2T AEW&C機をE-2Dと同等の性能を持つE-2Kに改良し、2013年に6機体制が整っていた。

4・4・5・3・5 ミサイル

各種ミサイルの本格量産開始

 台湾立法院が海空戦力の強化を目指した予算を認め、その中で18品目について年内の量産開始を決めている。
 国防部は2026年までに取得するとしているが、無人攻撃システム、Hsiung Sheng SSM、Wan Chien ASM、Hsiung Feng ⅡE CMなどは2025年~2025年に取得する。
 Hsiung Sheng SSMは100発以上生産され、射程が1,000~1,200kmのHsiung Feng ⅡE CMは最初のバッジが2008年に生産され、今までに245発を装備している。 (2204-030319)

 台湾外交部が1月にTWD237M ($8.45B) にのぼる予算の説明資料として5ヶ年の海空戦力強化計画を提出している。
 この中で射程400kmのHsiung Feng Ⅲ対地対艦超音速ミサイルは2023年に量産を開始し、年産能力を現在の20発から70発に引き上げるとしている。
 Hsiung Feng ⅡE と同じと見られる射程が1,000~1,200kmのHsiung Sheng CMは生産能力を81発から131発に引き上げられる。 Hai Chien Ⅱ SAMは年産能力が40発から150発に引き上げられ、Tien Kung Ⅲ SAMも生産能力が48発から96発に引き上げられる。
 更にWan Chien ALCMとChien Hsiang遊弋索敵弾も、それぞれ50発と48発になる。 (2204-030406)

雄昇 (Hsiung Feng Ⅲ) CM

 台湾政府高官が産経新聞の取材で4月21日、台湾が射程1,200kmの地上発射型CM雄昇の量産を近く開始することを明らかにした。
 雄昇は射程が600kmと推定されている配備済みの雄風-2Eの射程延伸型で、目標までの通過地点を設定できるため防空網を突破する能力も向上していて、雄昇を台湾本島から発射した場合、上海が射程に入る。
 雄風-2Eは、台湾侵攻時に中国大陸の台湾海峡沿岸部に集結する中国軍の部隊など策源地への攻撃が主目的なのに対し、雄昇が配備されればさらに後方の部隊やBM基地などを攻撃できる。
 また、中国最大の経済都市、上海が射程に入ることで、中国の政治・軍事指導部への心理的な圧力も高まる。
 弾頭はHE型とクラスタ型の2種類で、目標は都市部ではなく中国軍の指揮所や滑走路などの軍事施設、台湾侵攻部隊の集合地点だとしている。 (2205-042110)

 台湾では中国軍機が度々ADIZに進入するようになったことなどを受け2021年に、向こう5年間でのNTD240B ($8.2B) の追加支出が認められたが、これによりミサイルやUAVの生産体制を強化し、今年は年産を2倍近い500発まで引き上げる。
 射程1,000kmのHS CMは上海周辺や浙江省を含むPLA東部戦区殆ど全域の基地を射程に収める。
 UAVについては2025年までに新たに4ヶ所の基地や修理施設を新設する。 (2205-042305)

4・4・5・3・6 U A V

騰雲Ⅱ (Tengyun-Ⅱ)

 台湾NCSISTが5月初旬から騰雲Ⅱ (Tengyun-Ⅱ) UAVの評価を実施している。
 騰雲Ⅱは、昼夜のISRと電子戦の実施、気象観測を行うことがで、将来は装備予定のMQ-9B Sea Guardianとともに、台湾周辺海域を24時間哨戒する。 (2206-051612)

 台湾国産の騰雲-2 (Teng Yun 2) UAVが台湾を1周する飛行に成功した。
 6月25日18:46に花蓮県の佳山空軍基地を離陸した騰雲-2は反時計回りに防空識別圏 (ADIZ) 沿いに10時間16分飛行し、26日05:02に佳山空軍基地着陸した。
 騰雲-2は5月に5月に5時間と7時間の直線飛行試験を行ったのち、3時間の飛行試験に成功していた。 (2207-062701)

MQ-9B SeaGuardian の導入

 台湾のメディアが8月31日、米国からMQ-9B SeaGuardian 4機を$55Mで購入することに合意したと報じた。 1号機の引き渡しは2025年で、最終納期は2029年12月という。 (2210-090117)

 台湾与党民進党の王議員が自身のFacebookで8月31日に、台湾がMQ-9B SeaGuardian 4機をTWD16.88B ($546.3M) で購入する契約を8月24日にGA-ASI社と行ったことを明らかにした。
 この契約にはSeaGuardianの機体とその支援装置が含まれているが、その他経費を含めた総経費はTWD21.72Bにのぼるという。
 この契約は即日発効して2029年末まで有効で、1号機は2025年に花蓮空軍基地へ納入されるという。 (2211-092101)

戦術用無人ヘリ

 台湾の国家中山科学研究院 (NCSIST) が11月15日、台湾が開発した戦術用無人ヘリをメディアに公開した。
 この日はスイッチを押すだけで離陸し、自動で飛行したのちに一定の場所で滞空し、その後着陸する展示が行われた。
 NCSISTによると、このUAVは行動半径30km、滞空能力1時間で、陸軍はTWD779.98M(35億1,000万円)を投じ50機を購入する予計画である。
 この他会場には同じくNCSISTが開発した行動半径1,100km、滞空能力20時間の大型UAVの騰雲も展示された。 来年以降、量産を始める予定だという。 (2212-111511)

4・4・5・3・8 陸戦兵器

納期が遅れる M109A6 Paladin 代替えに M142 HIMARSが候補

 最初の8両が2023年に台湾へ引き渡されることになっていたM109A6 Paladin 155mm SPHの引き渡しが、早くても2026年以降に延期されたことから、台湾国防部は5月2日に代替え案の検討を行っていることを明らかにした。
 代替え案としてはM142 HIMARSが候補に挙がっているという。 (2207-051107)

2023年度予算案に計上した主な陸上兵器

 台湾が2023年度予算案に以下のような数種類の陸上兵器を計上している。 (2211-092108)

・CM-34装輪IFV: 305両
・120mm MMS
・四輪偵察戦闘車: HUMMWVの後継
・105mm砲搭載8×8 Cloud Leopard
・M1A2T Abrams 108両
4・4・5・4 防衛産業の育成

4・4・5・4・1 ミサイル生産能力向上

 台湾でミサイルの開発を行っている国営のNCSISTが5月10~12日に台湾南東の蘭嶼島及び緑島周辺でミサイルの発射試験を行った。
 台湾国防部は数年かけてNCTISTのミサイル生産能力向上を目指しており、計画は2022年6月に完了する。
 国防部はHF-Ⅲラムジェット推進対艦ミサイル20発、TC-ⅡN中距離SAM 40発、TK-Ⅲ SAM 40発であるNCSISTの年産能力を、HF-Ⅲ 70発、TC-ⅡN 150発、TK-Ⅲ SAM 96発に引き上げる。 (2208-052512)
4・5 東南アジア

4・5・1 ASEAN

4・5・1・1 南シナ海問題

 2023年に特筆すべき記事なし
4・5・1・2 ミャンマーの取り扱い

カンボジアの受け入れ姿勢とシンガポールの反発

 ASEANは2021年秋の首脳会議からミャンマー軍トップのミン・アウン・フライン総司令官を排除する措置を取っているが、ASEANの新議長国であるカンボジアのフン・セン首相がミャンマーを訪問し、ミン・アウン・フライン総司令官と会談した。
 カンボジアは議長国として、ミャンマー情勢に全当事者を関与させる必要があると強調し波紋を呼んでいる。
 これについてシンガポール外務省は1月15日、リー・シェンロン首相が14日にカンボジアのフン・セン首相とオンラインで会談し、ミャンマー軍政が暴力停止などASEANの5項目合意を履行しない限りASEAN会議から引き続き排除すべきだと訴えた。 (2202-011704)

4・5・1・3 拡大 ASEAN 会議

拡大 ASEAN 首脳会議

 2023年に特筆すべき記事なし。

拡大 ASEAN 国防相会議

 ASEANと日本や米国、中国など18ヵ国が参加する拡大ASEAN国防相会議が11月23日にカンボジアで開かれ、オースティン米国防長官、中国の魏国務委員兼国防相やASEAN加盟国の国防相らが参加し、日本からは小野田防衛政務官が出席した。
 2021年2月に国軍がクーデターで全権を掌握したミャンマーは国軍が任命した国防相の出席を拒否されたため欠席した。
 23日に採択された共同宣言では、台湾海峡や中国がフィリピンやベトナムなどと領有権を争う南シナ海を念頭に、上空飛行や航行の自由の維持を強調し、更に覇権主義的な動きを強める中国とそれに対応する米国などの動きを念頭に関連国同士の情報共有を強化し海上衝突回避規範(CUES)と呼ばれる国際ルールを順守するよう求めた。
 一方、関係国が「誤った情報や政治的意図」で行動することを回避し、相互の信頼を確保する重要性も強調した。 (2212-112312)

4・5・2 フィリピン

4・5・2・1 国内情勢

4・5・2・1・1 政権交代

マルコス比大統領が就任後初の施政方針演説

 マルコス比大統領が7月25日に就任後初の施政方針演説を行い、外交政策では独立した立場を貫くと表明した。
 一方、いかなる外国勢力に対しても領土は一切譲らないと強調した。 フィリピンは米同盟国だが、近年は中国にも接近していた。 (2208-072605)

対米姿勢に変化

 アジア歴訪中のブリンケン米国務長官が8月6日に都マニラでマルコス比大統領と会談した。
 マルコス大統領は会談冒頭に、ペロシ米下院議長の訪台により「米中の対立を激しくしたとは思わない。 いかに対立が激しいかということを示した」と述べ、台湾海峡の緊張を高めていないとする米側の主張に理解を示した。
 ブリンケン長官は「米比同盟は強固であり、さらに強固にすることができると信じている」と語り、米国とフィリピンの防衛義務を定めた米比相互防衛条約の責務を守ると強調した。
 ドゥテルテ前政権下でぎくしゃくした両国関係を立て直す狙いがある。 (2209-080606)

 中国の脅威拡大に対処するため関係修復を急ぐ米国とフィリピンが2022年中に首脳会談を開く方向で調整に入った。
 ロムアルデス駐米比大使は日経新聞の取材で、9月に米ニューヨークで開く国連総会や、11月の東南アジアでの国際会議に合わせて首脳会談を調整していると明かし、フィリピンのマルコス大統領による早期のワシントン訪問にも意欲を示した。 (2210-090408)

インドネシアと新たな防衛協定

 フィリピン外務省が9月2日、マルコス大統領が4日から予定している就任後初の外遊について、最初の訪問国インドネシアでは両国間の新たな防衛協定の締結が行われるとの見通しを明らかにした。
 同省によると、両国間の防衛協定は1997年に締結した後、2021年に失効していた。
 マルコス大統領はインドネシアに続いてシンガポールにも6日から2日間の日程で訪れ、テロ対策や個人情報保護などについて協議する。 (2210-090212)

比 EEZ における中国との共同資源探査について協議再開

 マナロ比外相が8月31日に議会の公聴会に出席し、中国との間で進めていた南シナ海の自国の排他的経済水域内における共同資源探査について、協議を再開する考えを明らかにした。
 共同開発をめぐっては、ドゥテルテ前政権が中国側と交渉を重ねたものの、南シナ海の領有権を争っている中でフィリピン側の主権を損ねるおそれがあるとして協議を打ち切っていたが、マルコス新政権では方針を転換した。 (2210-090107)

中国との共同資源探査協議、行き詰まり

 マルコス比大統領が12月1日、南シナ海の資源の共同開発を巡る中国との協議が行き詰まっていることについて、中国の領有権主張により「共同開発の障害であり解決は難しい。 中国政府との交渉以外の方法があるかもしれない」と述べた。
 中国に対し、自国の権益を譲らない姿勢を示したとみられるが、具体的な方法については言及しなかった。
 両国は2018年に南シナ海で石油天然ガスの共同探査開発を行うことで合意し協議を進めていたが、2022年6月にドゥテルテ前政権が協議の打ち切りを発表し、マルコス政権は協議を再開する意向を示したが、中比のどちらの法律に基づいて開発を進めるかが問題となっていた。 (2301-120115)

4・5・2・1・2 旧米軍基地の扱い

スービック湾のフィリピン海軍基地が運用を開始

 米海軍が30年前に基地を撤収したフィリピン北部スービック湾で、フィリピン海軍が5月26日までに新たな用地を確保し、基地として運用を開始したと発表した。
 スービックが面する南シナ海で軍事活動を活発化させる中国を牽制する狙いで、米軍も共同利用する可能性がある。
 スービック港湾公社幹部によると、旧米海軍基地を民間転用した空港の一部でも、フィリピン空軍が監視任務のため駐留する。
 港湾公社のパウリノ総裁は、中国を名指しし「ドゥテルテ政権は海軍の改善に尽くしたが、中国海軍の強力な能力に対しては不十分で、米海軍のプレゼンスは均衡を取るのに役立つ」と強調した。 (2206-052613)
【註】スービック湾とクラーク空軍基地にはかねてから中国が指触を伸ばしており、日本も絡んだ三つ巴の状況を呈していた。

4・5・2・1・3 台湾有事に於ける旧米軍基地

 フィリピンのロムアルデス駐米大使が日経新聞の取材で、米軍が台湾有事に対応する場合にフィリピンの軍事基地の使用を条件付きで認める考えを明らかにした。
 台湾に近いフィリピンの協力が得られれば米軍の作戦の柔軟性が増し、中国に対する抑止力強化につながる。
 ロムアルデス大使はドゥテルテ前政権下の2017年に駐米大使に就き、22年6月末に発足したマルコス政権で再任された。
 マルコス大統領の親戚で、外交安全保障政策に強い影響力を持つ腹心である。 (2210-090407)
4・5・2・2 対米関係

4・5・2・2・1 地位協定

 2023年に特筆すべき記事なし
4・5・2・2・2 米比合同演習

Balikatan 演習

 フィリピン軍と米軍の定期合同演習Balikatanが3月28日にルソン島で開始された。
 米軍によると、両軍の計8,900名が参加する過去最大のBalikatanとなる。
 4月8日まで海上警備や人道支援などを訓練し、相互運用性の強化を図る。  BalikatanはCOVID-19で2020年は中止され2021年に規模を縮小して再開した。
 今回はフィリピン軍から3,800名、米軍からは5,100名が参加する。 (2204-032813)

Kamandag 演習

 フィリピンのルソン島各地で、3,500人以上が参加する米比合同演習Kamandagが行われていて、10月7日には両国の海兵隊が、中国との係争地となっている岩礁から240km離れた浜辺に上陸した。
 演習は3日から始まり、14日まで続けられる予定で、演習目的の一つはフィリピン軍の沿岸防衛能力の強化という。
 ドゥテルテ前大統領は中国との融和路線に転じ、米国との演習を中止する可能性も示していたが、マルコス大統領は数十年に及ぶ米国との同盟関係への強い支持を表明した。 (2211-100714)

4・5・2・2・3 武器輸入

CH-47 の導入検討

 フィリピンのロムアルデス駐米大使が15日、ロシア製Mi-17 16機の購入を取りやめたフィリピンは、米国とCH-47の導入に向けて交渉していることを明らかにした。
 フィリピンはロシアのウクライナ侵攻を巡る米国の制裁を懸念してPHP12.7B ($227.35M) の契約を6月に白紙に戻した。 (2209-081510)

4・5・2・3 対中関係

4・5・2・3・1 中国との共同資源探査

協議を打ち切り

 ロクシン比外相が6月23日、南シナ海における自国の排他的経済水域 (EEZ) 内における中国との共同資源探査に関する協議を打ち切ったと発表した。
 憲法上の制約と領有権の問題を理由に挙げた。
 両国は南シナ海で領有権争いを何十年も繰り広げていたが、中国との関係改善を目指すドゥテルテ大統領の姿勢を反映し、EEZでの石油ガス共同開発に合意していた。 (2207-062407)

4・5・2・3・2 中国との軍事交流

 マルコス比大統領が、東南アジアを歴訪している中国の王毅外相との会談前の7月5日に記者会見し、両国が領有権を争う南シナ海の問題の解決方法を探る手段として「役に立つのであれば軍事面の交流も行う」と述べ中国との軍事交流に初めて言及した。
 またマルコス大統領は、5日夜からフィリピンを訪れている中国の王毅外相と6日に会談することを明らかにした。 (2208-070602)
4・5・2・4 ロシアとの関係

Mi-17 の発注と契約取り消し

 AP通信が7月27日にフィリピン当局者の話として、比政府がロシアから軍用ヘリ16機を購入する契約を取り消したと報じた。
 報道によると、ロレンザーナ元国防相が26日夜に、Mi-17を$227Mで購入する契約は取り消されたと述べた。
 Mi-17の購入はドゥテルテ前大統領が6月30日の任期末直前前に承認したという。 ロレンザーナ氏はAP通信に「われわれは制裁に直面する恐れがある」と語った。
 ロシア製ヘリの購入取りやめについて米安全保障当局は承知しており、代わりに同様の大型ヘリを供給する可能性があると述べた。 (2208-072707)

4・5・2・5 軍備増強

4・5・2・5・1 国防費

8%増の2023年度国防予算要求

 フィリピン政府が、2022年を8%上回るPHP240.29B ($4.28B) の2023年国防予算要求を公表した。 (2212-083108)

4・5・2・5・2 艦 艇

 2023年に特筆すべき記事なし
4・5・2・5・3 航空機

 2023年に特筆すべき記事なし
4・5・2・5・4 ミサイル

BrahMos

 フィリピンがBrahMos社にBrahMos対艦ミサイル3個中隊を$368Mで発注した。
 BrahMosの装備はフィリピン軍が2023~2027年に予定していた近代化計画Horizon 3に入っていたが、2018~2022年のHorizon 2に前倒しされた。
 BrahMosは固体燃料ブースタと液体燃料ラムジェットで推進し、速力Mach 4で290kmの射程を有する。 (2202-012814)

 印露合弁のBrahMos社が1月28日、2021年12月にフィリピンから沿岸配備型対艦ミサイルを$375Mで受注したと発表した。
 フィリピンは2019年12月にはBrahMosの導入に関心を寄せていた。 (2206-020906)

 ロレンツァーノ比国防相が1月14日、インドから導入する沿岸配備型BrahMos対艦ミサイルを、2020年8月に編成された海兵隊沿岸防備連隊が装備すると発表した。
 射程290kmBrahMosは3個中隊分が2021年12月に$375Mで発注されている。 (2205-012608)

4・5・2・5・5 陸戦兵器

イスラエルから各種陸戦兵器を導入

 比陸軍が1月10日、イスラエルElbit社にATMOS 155mm/52 SPG 12門を2021年12月末に発注したことを明らかにした。
 また同社製Sabrah ASCOD Ⅱ軽戦車とSabrah Pandur Ⅱ直接照準射撃支援車(6×6 APC)も発注したという。
 フィリピンはElbit社からM-71 155mm牽引砲12門を購入し、陸軍と海兵隊が装備している。
 一方PNAは1月11日、比陸軍は発注していたM125A2 120mm SPM 15両を受領した。 (2204-011912)

4・5・3 ベトナム

4・5・3・1 兵器の「脱ロシア」

 ベトナムのハノイ市で12月8日、同国で初となる兵器や防衛関連の装備品を展示する国際展示会が開幕し、Lockheed Martin社をはじめ世界30ヵ国の約170社が参加した。
 ベトナムはロシアに8割以上を依存する兵器の調達多様化を模索している。 (2301-120908)
4・5・4 インドネシア

4・5・4・1 艦船の増強

Scorpène潜水艦共同生産

 インドネシアの造船企業PT PAL社とフランスのNaval Groupが2月10日、インドネシア海軍のScorpène潜水艦共同生産で合意した。 2社は2022年中頃に正式契約を行う。
 合意には更に2隻をインドネシア国内で建造するオプションも含まれている。 (2206-022308)

4・5・4・2 航空機の増強

F-15EX と Rafale の装備決定

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が2月10日、国務省がインドネシアに対するF-15 36機と関連機器を推定$13.9Bでの売却することを承認し議会に通知したと発表した。
 フランスも同日、インドネシアにRafale 42機を含む$8.1Bを売却すると発表した。 (2203-021104)

Rafale 42機の購入契約

 インドネシアが2月10日、Dassault社とRafale 42機の購入契約を行った。
 2021年には36機購入とされていたので6機多く、F-5E/F Tiger Ⅱの後継となる。
 2026年に引き渡される最初の6機はフランス軍が使用した中古でF3仕様になる。 残りは最新のF4仕様になる。 (2206-022309)

F-15ID Advanced Eagle 36機の購入

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が、国務省が2月10日にインドネシアへF-15 Advanced Eagle 36機を$13.6Bで売却することを承認したと発表した。
 売却されるのはインドネシア仕様のF-15IDで、サウジアラビアへ売却するF-15SAやカタール向けのF-15QAと同じ仕様になる。 (2206-022310)

4・5・4・3 その他

Haeimau 30t中戦車

 インドネシアのPT Pindad社が2月下旬にHaeimau 30t中戦車の射撃試験を行った。
 Harimauの105mm砲は1,250m離れた4m×4mの標的に対し射撃した。
 PT Pindad社は2019年2月にトルコのFNSS社とHarimauの共同開発で合意し、初期生産の18両は一部をトルコで、残りをインドネシアで生産する。
 砲塔はベルギーJohn Cockeill社製C3105 105が採用されている。 (2206-030912)

 トルコFNSS社が3月15日、インドネシア陸軍にKaplan MT中戦車の初期分を納入した。
 Kaplan MTはインドネシア陸軍でHarimauと名付けられる。
 インドネシアのPT Pindad社は2019年末にFNSS社と初期生産18両の共同生産契約を行っている。
 Harimauは2018年にインドネシア陸軍の評価試験に合格しPT Pindad社は2021年にHarimauの走行試験、2022年下旬に射撃試験を行っている。
 陸軍は105mm砲を装備する30tのHarimauを、300両以上装備しているフランス製のAMX-13の後継として400両要求している。 (2206-033013)

Rajata 遊弋弾

 インドネシアのPT Dahana社がRajata遊弋弾を公開した。 7月に陸軍の歩兵兵器センタに納入した。
 RajataはHero-30などと競合することになるという。 (2210-081009)

4・5・5 マレーシア

沿岸警備艦 (LMS) 8隻追加装備
 マレーシア国防相が1月17日、沿岸警備艦 (LMS) を8隻追加装備すると述べた。
 マレーシアは2017年4月に中国CSICに4隻のLMSを発注し、一番艦は2020年1月に就役し、最終艦は2021年12月に受領し1月28日に就役することになっている。 (2205-020213)

沿岸警備艦 (LMS) の最終艦が就役

 マレーシア海軍で4番艦にして最終艦となる沿岸警備艦 (LMS) のRencongが1月28日にコタキナバル海軍基地で就役した。
 マレーシアは2017年4月に中国CSICの子会社で武漢市にある造船所に4隻を発注していた。 (2206-020905)

Second Batch LMS

 マレーシア海軍が8隻の建造が計画されているSecond Batch LMSと呼ばれている沿岸作戦艦 (LMS) 改良型の最初の3隻をMYR2.4B ($524.84M) で要求した。
 マレーシアは最初のLMS 4隻を2017年に中国CSIC社に発注し、2020年1月~2022年1月に受領した全長68.8m、排水量700tの4隻はコタ・キナバルの第11LMS戦隊で就役している。
 Second Batch LMSはCSIC以外の数社からの提案が評価されており、米Swiftships社は70.7mの哨戒艦、オランダDamen社は68mのStan Patrol 6811外洋哨戒艦、ドイツのFassme社は70.2mの哨戒艦、マレーシアのPreston社は70mの哨戒艦を提案している。、 (2301-100507)

4・5・6 シンガポール

国防費の増額

 シンガポールが、2022年の国防費が2021年より6.5%増のSGD16.36B ($12.16B) になると発表した。
 そのうちSGD15.71Bが軍備増強に充てられる。 (2206-030205)

4・5・7 タ イ

4・5・7・1 対外姿勢

中国空軍との年次合同演習 Falcon Strike

 タイ空軍が、COVID-19禍で2年中断していた中国空軍との年次合同演習Falcon Strikeを14日から11日間の日程で再開すると発表した。
 この演習は2015年から4年連続で実施されており、今回の日程は6月に決まったという。 (2209-080902)

4・5・7・2 軍備増強

4・5・7・2・1 海軍の増強

潜水艦主機の問題

 タイ海軍が8月9日、中国に発注しているType S26T潜水艦に搭載するエンジンの決定期限を延期したと発表した。
 タイは2017年にドイツにMTU 396エンジンの提案を要求したが、ドイツはEUの対中制裁を理由に売却を断った。
 このため中国CSOC社は6月にS26T用のエンジンとしてCHD620を提案し、8月9日にCHD620の概要を説明してきた。
 タイ海軍は更なる評価が必要と決定期限を9月中旬に延期した。 (2211-082408)

4・5・7・2・2 空軍の増強

 2023年に特筆すべき記事なし
4・5・7・2・3 陸軍の増強

各種自走火砲の開発

 タイ陸軍がイスラエルの技術を導入した迫撃砲と榴弾砲の計画を進めている。
 装輪車載自動迫撃砲 (ATMM) はElbit社製Spear 120mm迫撃砲をインドTata社製4×4車に搭載している。
 装輪車載自動榴弾砲 (ATMG) はElbit社製ATMOS 155mm/52榴弾砲をチェコ製のTatra 6×6 10tに搭載している。
 タイ陸軍はATMM 22門を装備する計画で2023年末までに12門以上を取得する。
 ATMGは18門装備するほか、海兵隊が6門を装備する。
 タイ陸軍は最終的にATMMとATMGを合わせて100門装備すると見ている。 (2211-091409)

4・5・8 カンボジア

武器の禁輸

 米商務省産業安全保障局 (BIS) が12月9日にカンボジアに対し、中国への接近を理由に武器の禁輸とした。
 これに対しフンセン首相は軍に対し、米国製武器の廃棄か保管を命じた。
 米国は1970年代中頃に武器禁輸を決めたが1992年に解除され、その後1990年代末に再度輸出制限をしたが2005年に解除していた。
 米国防安全保障協力局 (DSCA) によると、1950年~2020年のカンボジアへのFMSによる武器輸出は総額$14.3Mで、過去10年間には大きな取引は行われていない。 (2203-122202)

4・6 大洋州

4・6・1 オーストラリア

4・6・1・1 政権交代

労働党政権の誕生

 5月21日に行われたオーストラリア総選挙で勝利した労働党のアルバニージー党首が23日に首都キャンベラで宣誓を行い、新首相に就任した。
 アルバニージー新首相は、24日に東京で開かれる日米豪印の連携枠組みQuad首脳会議に出席するため、訪日する。
 アルバニージー新首相は、地域における保健や安全保障、気候変動などの課題に取り組む上で、Quadを重要なフォーラムと位置付けている。 (2206-052302)

南太平洋島嶼国への支援を強化

 ロイタが、中国が太平洋島嶼国10ヵ国との間で警察活動、安全保障、貿易、海洋、データ通信分野の合意を求めるとする共同声明草案を報じたが、アルバニージー首相は「これに対応する必要がある」と言明し、「前政権のように島嶼国支援を後退させるのではなく、強化する必要がある」と述べ、労働党による新政権が海洋安全保障などで島嶼国支援強化を公約したことに触れた。
 ウォン豪外相は23日の就任以来初の太平洋島嶼国訪問として26日にフィジーを訪問し、同国首相と会談する。 (2206-052606)

4・6・1・2 外交政策

4・6・1・2・1 対中関係

中国の投資が70%減

 Australian Financial Reviewが、会計大手KPMGとシドニー大学ビジネススクールの調査で、2021年の中国のオーストラリアへの投資は$600Mと前年の$1.9Bから70%減少したと報じた。
 二国関係の冷却化に加え、新型コロナウイルス流行が響いた。
 資源ブームでピーク時の2008年は$16.2Bだった。 (2205-042611)

中国海軍の情報収集艦が豪州西部にある軍事施設に接近
 オーストラリア政府が5月13日、中国海軍の情報収集艦が豪州西部にある軍事施設に接近したとして懸念を表明した。
 豪国防省によると、中国の東調級情報収集艦が排他的経済水域 (EEZ) に6日に進入し、11日には西部エクスマウスにある海軍通信局の50nm以内に近づいた。
 同通信局は米国や同盟国の潜水艦も利用している。
 ダットン国防相は「中国艦がここまで遠く南下してきたことを考慮すると攻撃的行為と考えられる」と批判した。
 豪州は約1週間後に総選挙を控えており、太平洋地域で影響力拡大を図る中国の動きに神経をとがらせている。 (2206-051308)

中国がオーストラリアの原潜保有を中止するよう要求

 中国国防部広報官が8月25日にPLAのニュースサイトChinaMilitaryで、オーストラリアが独自の原潜を保有するとした2021年9月のAUKUSの決定を中止するよう求めた。 (2211-090705)

4・6・1・2・2 対米外交

 2023年に特筆すべき記事なし
4・6・1・2・3 AUKUS

ENNPIA (Exchange of Naval Nuclear Propulsion Information Agreement) 協定に署名

 オーストラリア国防省が2021年11月22日、米英と艦船用原子力推進機関の情報を共有するENNPIA協定に署名したと発表した。 (2203-120108)

4・6・1・2・4 対南太平洋諸国

津波に襲われたトンガの救援

 1月15日に南太平洋で起きた海底火山の噴火による津波に襲われたトンガの救援のため、オーストラリアとニュージーランドが艦船と航空機を派遣している。
 豪国防省は18日に軍に対し偵察飛行を発令しP-8 PoseidonとC-130Jがを向けると共に、海軍にLHD Adelaideの派遣を決めた。
 ニュージーランドは補給艦Aotearoaと外洋哨戒艦Wellingtonの派遣を決めると共に、17日にP-3K2 Orionをトンガに派遣した。 (2205-012601)

 オーストラリアのコンロイ国際開発太平洋担当相が6月28日にフィジーの首都スバで行われた会議でビデオ演説し、太平洋島嶼国の軍事訓練を目的とした防衛学校を設立すると表明した。
 同相はまた、太平洋諸島の広大な漁業水域を監視するための拠出金を倍増するほか、予想される海面上昇に対応できるインフラ構築に資金を提供すると表明した。 (2207-062807)
太平洋島嶼国に供与する Guardian級哨戒艇の技術的欠陥

 オーストラリア国防省が7月1日、同国Austal社製のGuardian級哨戒艇の技術的な欠陥解明のためAustal社と共に専門家を太平洋の数ヵ国に派遣したことを明らかにした。
 Guardian級哨戒艇は過去16ヶ月間に排気システムの欠陥から亀裂が入るなどの故障を起こしている。
 オーストラリアはAUD2.1B ($1.45B) で太平洋島嶼12ヵ国に22隻のGuardian級哨戒艇を供与する計画で、既に15隻の供与が終わり、残る7隻の供与が2023年に完了することになっている。 (2209-071314)

豪予算案にソロモン諸島の警察官配置支援を計上へ

 豪政府は来週発表する予算案で、ソロモン諸島の警察官配置支援措置としてAUD46M ($29M) を計上する。
 労働党政権は選挙期間中、太平洋地域への公的援助を4年間でAUD525M増やすことを公約し、10月21日にはこの数字をAUD900Mに引き上げた。 この中にソロモン諸島警察へのAUD46Mの支援も含まれる。
 中国が影響力を拡大する太平洋地域で自国の立場を強化するもので、ウォン外相は21日の講演で「この支出がなければ他国がその空白を埋め続けるだろう」と述べた。 (2211-102110)

バヌアツとの安全保障協定に署名

 南太平洋バヌアツを訪問中のウォ豪外相が12月13日に、バヌアツのカルサカウ首相と災害救助や防衛、治安維持などで協力するための安全保障協定に署名した。
 バヌアツは人口約326,000人で軍隊はない。
 オーストラリアと対立する中国は4月にソロモン諸島と安保協定を締結しており、協定の内容は現在も非公表だが中国の軍や警察の派遣を認めているとみられている。
 オーストラリアは、太平洋諸国における中国の影響力拡大に神経をとがらせ、各国のつなぎ留めに懸命である。 (2301-121315)

4・6・1・2・5 対日外交

 2023年に特筆すべき記事なし
4・6・1・3 国防方針

 2023年に特筆すべき記事なし
4・6・1・4 軍備増強

4・6・1・4・1 兵力増強

 モリソン豪首相が3月10日、「世界情勢の一段の不透明化」における国家の安全保障確保のため、2040年までにAUD380B ($280B) を投じ、常勤の国防要員を30%増やすと明らかにした。
 この増員で国防軍はベトナム戦争以来最大の8万名となる。
 ダットン国防相は、オーストラリアを米国や英国、NATOにとって「信頼に足るパートナー」にするには、防衛力強化は不可欠とした。 (2204-031010)
4・6・1・4・2 国防省組織の改善

 オーストラリア国防省報道官が、海軍の艦船建造や維持の業務を、国防省に設立>されたNSSGが担当すると述べた。
 NSSGは当面、Raytheon AustraliaとAUD322M ($201M) の5年契約を交わしたCollins級潜水艦6隻の戦闘システムの維持やBAE Systems AustraliaとAUD155Mで交わしたHobrt級AWDの保守契約の他、2021年12月に一番艦が進水したArafura級外洋哨戒艦12隻の建造を担当する。 (2301-102005)
4・6・1・4・3 原子力潜水艦

最初の数隻は米国で建造

 Wall Street Journalがは9月23日、米政府がオーストラリア向けの原子力潜水艦数隻の建造を検討していると報じた。
 同紙が伝えた欧米の外交筋の話によると、米英豪3ヵ国の高官は、米国が建造する原潜数隻を2030年代中ごろまでにオーストラリアに提供する案について協議した。
 米英豪は安全保障枠組みAUKUSを通じ、米英が技術協力しオーストラリア国内で計8隻の原潜を建造して配備する計画だが、完成は遅れる見通しであるため、中国に対抗するため一部を米国製にして配備を早める狙いという。 (2210-092406)

4・6・1・4・4 水上艦艇

Hunter級フリゲート艦

 オーストラリア海軍が9隻の建造を計画している英国のType 26を元にしたHunter級次期フリゲート艦について、当初計画より計画進行が遅すぎ艦が大きすぎ、しかも設計に多くの不具合があると指摘した2021年11月に作成された海軍の技術報告が漏洩し、The Australianで公表されたことに対し、国防相、国防省、海軍トップが反論した。 (2206-021608)

 BAE Systems Australia社が2月10日、豪海軍が9隻の建造を計画しているHunter級フリゲート艦の設計を、1年に及ぶ検討を経て纏めたと発表した。
 英国のType 26 GCSを元にしたHunter級は国産のCEAFAR2レーダを装備し、建造にはAUD44.1B ($32B) がかかる。 (2206-022314)

Arafura級外洋哨戒艦 (OPV)

 豪国防省が2021年12月16日に12隻の建造が計画されているArafura級外洋哨戒艦 (OPV) の一番艦を進水させた。
 Arafura級は現有のArmidale級及びCape級の後継となる。
(2204-010513)
【註】Arafura級外洋哨戒艦の性能諸元

・全 長: 80m
・全 幅: 13m
・排水量: 1.640t
・速 力: 12kt
・装 備: 40mm砲×1門、12.7mm機銃×2丁
4・6・1・4・5 航空機

 2023年に特筆すべき記事なし
4・6・1・4・6 ミサイル

AGM-158B JASSM-ER の導入

 ダットン豪国防相が4月5日、オーストラリアが防衛用ミサイルの改修に向けてAUD3.5B(3,200億円)を支出すると明らかにした。 国防省によれば、新しいミサイルは2024年までに運用が開始される見通しである。
 国防省や政府の発表によれば、F/A-18やF-35Aに搭載するJASSM-ERをはじめ、フリゲート艦や駆逐艦に搭載するノルウェー製NSM」、港湾防備ための機雷の獲得を加速させる。 (2205-040707)
【註】オーストラリアは2008年にAGM-158A JASSMを購入し、2014年にoperationalにしている。
 今回はAGM-158A JASSMをAGM-158B JASSM-ERに改良することと思われる。

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が7月21日、オーストラリアへAGM-158B JAASM-ER 80発を$235Mで売却すると発表した。
 売却されるのはAGM-158B JASSM-ERであるがテレメトリーキットにはAGM-15M-2用も含まれている。 AGM-158B-2はかつてJAASM-XR或いはAGM-158Dと呼ばれていたJASSM-ERの更に長射程型で、-ERの射程が900km以上とされているのに対し-ER-2の射程は1,000kmを超えるとみられる。
 2006年に射程300km+のAGM-158Aを装備しているオーストラリアは、4月にJASSM-ERの調達に$2.6Bをかける発表している。 (2210-080302)

4・6・1・4・7 U A V

MQ-9B SkyGquardian ISR UAV 計画の中止

 オーストラリア国防省のヤノプロス副長官が4月1日に議会上院の委員会で、2020年代中頃にMQ-9B SkyGquardian ISR UAVを12~16機装備するProject Air 7003計画を中止したと述べた。
 中止の理由をサイバ防衛の方が優先度だ高いためという。
 オーストラリアは総額$1.3BのProject Air 7003計画のうち、既にAUD10M ($7.4M) を支出しているという。 (2207-041301)

4・6・1・5 駐留米軍

B-2 2機の駐留

 ミシシッピー州Whiteman AFBを基地とする米空軍第509爆撃航空団のB-2 2機が7月10日にオーストラリアのBase Amberleyに到着した。
 この2機は駐豪爆撃機戦隊 (BTF) として8月末までここに駐留する。
 Base Amberleyには米太平洋空軍からKC-135数機も派遣されており、B-2は豪空軍のKoolendong演習やArnhem Thunder演習にも参加する。
 米空軍のB-2がオーストラリアに進駐するのは初めてである。 (2210-080306)

B-52 最大6機の駐留

 関係者が10月31日、米軍がオーストラリア北部のティンダル空軍基地にB-52の配備を計画、基地にB-52を最大6機収容できる施設を整備する方向で準備が進んでいることを明らかにした。
 これに関連し、米国のケネディ駐豪大使が31日の公共放送ABCの番組で、インド太平洋地域で海洋進出や軍備増強を進める中国に対抗する上で、外交や対話に加え抑止力を用いると明言した。 (2211-103107)
【註】オーストラリアAmberley基地にはB-2 2機が7月10日に派遣されたことが報告されている。

4・6・1・6 資源安全保障

レアアースプロジェクトへの資金拠出

 モリソン豪首相が3月16日、レアアース分離施設やバナジウム処理工場など一連のプロジェクトへの資金拠出を発表した。
 レアアースなど重要鉱物資源の生産拡大にAUD500M ($360M) の財政支援を行い、同盟国の供給を多様化すると同時に、世界市場での中国の支配的地位に対抗する。
 日米豪印国4ヵ国Quadは昨年9月に開いた首脳会合で、レアアース供給網の安全性を高めることで合意していた。 (2204-031611)

4・6・2 ニュージーランド

4・6・2・1 国防方針

国防レビュー

 7月に作成が公表されたニュージーランド (NZ) の国防レビューは、10月に4段階からなるレビューの第1稿が公表されるはずであったが、10月17日に開かれた豪ND国防相年次会合で半年遅れて2023年3月になることが明らかにされた。
 NZではレビュー第1稿の公開に続き6月に将来軍備構想が設定され、2024年中頃までにレビューが完成する。 (2301-102006)

4・6・2・2 防衛力増強

4・6・2・2・1 国防費の増額

 ニュージーランド (NZ) が2022-23国防予算を2021-22より4%増のNZD6B ($3.8B) とすると発表した。 (2208-060110)
4・6・2・2・2 装備の充実

フリゲート艦改善計画 (FSU)

 ニュージーランドのフリゲート艦改善計画 (FSU) でカナダのビクトリア州で改修されていたANZAC級フリゲート艦Te Manaが工事を終えて7月8日にAucklandのDevonport海軍基地に戻った。
 FSUではLockheed Martin加社製CMS 330戦闘管理システムThales社製SMART-S Mk 2 E/F-band 3Dレーダ、MBDA社製Sea Ceptorミサイルシステム、Safran社製Vampir NG IRST装置、Rheinmetall社製Multi Ammunition Softkillシステムなどが装備された。 (2209-072007)

4・6・2・3 対中外交

4・6・2・3・1 中国の進出

 2023年に特筆すべき記事なし
4・6・2・3・2 アーダーン首相の対中姿勢

 パートナー国首脳としてNATO首脳会議に参加したニュージーランドのアーダーン首相が6月29日に演説で、ロシアのウクライナ侵攻を非難して国際ルールの重要性を強調し、新たな軍拡競争に警鐘を鳴らした。
 また中国がより積極的に国際規範に挑戦するようになっているとし、「われわれはルールに基づく秩序を堅持し外交的関与を求め、人権侵害に対して声を上げなければならない」と述べた。 (2207-063006)
4・6・2・4 米との安全保障関連協定

自由連合協定 (COFA)

 バイデン米大統領は、中国が影響力を強めている太平洋諸島に今週、外交トップを送り込むが、マーシャル諸島のザキオス駐米大使は、バイデン政権はインド太平洋の安全保障問題に深く関わる方針を示しているが、自由連合協定 (COFA) 更新に向けた協議は、米政権交代後行われていないと述べた。
 原因はバイデン政権が経済支援以外の重要問題を担当する交渉担当者を任命していないことだと指摘した。
 ブリンケン国務長官は、オーストラリアでの日米豪印4ヵ国 (Quad) 外相会合に出席した後、2月12日にフィジーを訪問して太平洋諸島の首脳らと会談することになっている。
 マーシャル諸島などの太平島嶼国は、米国と自由連合協定 (COFA) を締結し、安全保障を米国に委託している。
 マーシャル諸島、ミクロネシア連邦とのコンパクトは2023年に、パラオは2024年にそれぞれ期限を迎える。 (2203-021007)

4・6・2・5 集団安全保障

Ukraine Contact Group への派遣

 ニュージーランドのアーダーン首相が5月23日、ウクライナ兵へのL119牽引105mm軽榴弾砲の操法訓練を支援するため、7月末まで30名のニュージーランド将兵を英国に追加派遣すると述べた。
 ウクライナを支援するUkraine Contact Groupには現在44ヵ国が参加している。
 ニュージーランド軍が1980年代から装備しているL119 105mm軽榴弾砲は米国ではM119と呼ばれ、射程は10哩以上である。 (2206-052414)

4・6・3 南太平洋

4・6・3・1 中国との綱引き

4・6・3・1・1 中国の進出

中国とソロモンが「安保協力の枠組み合意」

 ソロモン諸島が中国との安全保障協力の強化を検討していることが3月25日までに分かった。
 中国とソロモン両国による「安保協力の枠組み合意(草案)」と題された文書が24日にツイッターに投稿された。
 文書は第1条に「中国は必要に応じて、ソロモン諸島の合意を得て船舶の寄港や物資補給を行える」と記し、更に「ソロモンにおける中国の人員や主要事業を保護するため中国の関連部隊が利用されうる」とも明記した。 豪メディアは中国軍艦の寄港を認めるものだと報じている。
 更に、ソロモン諸島側は社会秩序維持などの支援を受けるため「中国に武装警察や軍の派遣を要請できる」との記述もあった。
 豪公共放送ABCは文書が本物との裏付けを得たとしたうえで「最近作成されたが、両国政府による正式な署名はなされていないとみられる」と報じた。 (2204-032501)

 ソロモン諸島のソガバレ首相が3月29日、中国との安全保障協力に向けた協議への反発について、非常に侮辱的だと語った。
 ソガバレ首相は議会で、流出した中国との安全保障に関する文書は原案であり、詳細は公表しないと述べ、「われわれは、新たな友好国からいかなる圧力も受けておらず、中国に対して、国内に軍事基地の建設を求めるつもりも全くない」と語った。
 オーストラリアやニュージーランド、米国は、ソロモン諸島と中国が安全保障協定を結び、中国が同国に軍地拠点を設ける可能性があるとして警戒を強めている。 (2204-032911)

 中国外務省が3月31日、南太平洋の島国ソロモン諸島と安全保障協定に基本合意したと発表した。
 具体的な内容は公表されていないが、インターネット上に流出した協定の草案とされる文書によると、ソロモン側が社会秩序の維持などのために、中国に軍や警察の派遣を要請できると明記した。
 また、ソロモン諸島で中国の人員の安全や主要な事業を守るため、中国の部隊が利用できるとも記されている。
 ソロモンに近いオーストラリアなどは中国の軍事拠点の構築につながると警戒している。
 ソロモンは2019年に台湾と断交して中国と国交を樹立し、2021年には親中派のソガバレ現政権に反発する住民らが反政府デモを行ったのをきっかけに暴動が起きたが、中国外務省は中国から警察顧問や警備に必要な物資を送り大きな成果をあげたと主張し、今回の安保協定の意義を強調した。 (2204-033117)

 ソロモン諸島のソガバレ首相が4月1日、中国と安全保障協定に調印する計画だが、国内での中国軍基地の建設は容認しないと述べた。
 ソガバレ首相は協定案の詳細を明らかにしていないが、中国海軍艦船による補給が認められるとの草案がリークされ、懸念が浮上している。
 ミクロネシア連邦のパニュエロ大統領はソガバレ首相に親書を送り、太平洋の島々が米中間の戦争に巻き込まれる恐れがあると警鐘を鳴らし、中国と安全保障に関する協定を結ばないよう要請した。 (2205-040109)

安全保障協定を正式に締結

 中国外務省副報道局長が19日、ソロモン諸島と基本合意していた安全保障協定を正式に締結したと発表した。 中国とソロモン諸島の外相が正式署名したという。
 中国艦艇の寄港や軍隊、警察の派遣を認める内容とみられる。
 中国の軍事拠点化を警戒する米国やオーストラリアが阻止を図っており、中国が締結を急いだ可能性がある。 (2205-041914)

他の太平洋諸国2ヵ国にも触手

 英Financial Times (FT)紙が米国や同盟国の当局者を引用して、中国がソロモン諸島に続き太平洋諸国2ヵ国と安全保障協定の締結に向けて交渉していると報じた。
 それによると、キリバスとの交渉が最も進んでいるほか、少なくとも他の1ヵカ国と安保協定について協議している。
 FTは米国の同盟国の情報当局者の話として、安保協定がソロモン諸島との協定とほぼ同内容になると報じている。
 中国外務省はFTからのコメント要請に対して回答していない。 (2206-052104)

王毅外相の太平洋諸国8ヵ国訪問

 中国外務省報道官が5月24日、王毅外相が5月26日から6月4日にかけてソロモン諸島など太平洋諸国8ヵ国を訪問することを明らかにした。
 ソロモン諸島のほか、キリバス、サモア、フィジー、トンガ、バヌアツ、パプアニューギニア、東ティモールを歴訪する。 (2206-052409)

安保連携目指すも合意できず

 中国の王毅国務委員兼外相が5月30日、訪問先のフィジーで太平洋の10ヵ国の外相とオンラインの会合を開いたが、ロイタ通信などによると、中国は安全保障分野での連携を共同声明に盛り込むことを目指したが合意できなかった。 一部の国から懸念が出たためとみられる。
 王毅外相は「近ごろ、中国がなぜこれほど積極的に太平洋の島国を支持し援助するのかと疑う人がいるが、過度に心配する必要はないと忠告したい」と述べた。 (2206-053101)

 中国の王毅国務委員兼外相が5月26日から10日間に及んだ南太平洋諸国歴訪を終えた。
 5月30日にフィジーで行われた第2回中国・太平洋島国外相会合では、安全保障面で中国の希望通りの合意には至らなかった。
 太平洋地域の専門家からは、歴訪が失敗だったと厳しい評価も出ているが、米欧などの警戒は解けていない。 (2207-060607)

4・6・3・1・2 オーストラリアと南太平洋諸国

中国に対抗したワクチン提供

 モリソン豪首相が3月13日に太平洋諸島の指導者らと毎週協議を行い、ワクチンを提供することでこの地域に対する中国の「侵略」を阻止できているとの見解を示した。
 モリソン氏は、中国が太平洋諸島に軍事拠点を建設するという野心を「非常に明確」にしてきたが、それは起きていないとし、これはオーストラリアが他国に先んじてCOVID-19ワクチンを提供するなど、地域と緊密に連携しているためだと強調した。 (2204-031403)

ソロモン諸島との安保協力を継続する方針

 オーストラリアのペイン外相が4月17日、南太平洋の島国ソロモン諸島が中国と計画通り安全保障協定を締結しても、両国間の安保面の協力を継続する考えを示した。
 安保協定の詳細は明らかになっていないが、オーストラリアからの距離が2,000kmに満たないソロモンが中国の軍事活動の拠点となる可能性を豪政府は懸念している。
 ソロモンのソガバレ首相が、協定締結後も国内で中国軍基地の建設は容認しないと述べた発言は「非常に重要」との認識を示した。 (2205-041802)

 中国がソロモン諸島と安全保障協力で合意し4月19日に文書に署名した。
 ソロモン諸島は今までオーストラリアとの関係が深く、オーストラリアはGuardian級哨戒艇を供与している。 (2207-050404)

 AFPが入手した文書で5月25日、中国が南太平洋の10ヵ国に対し安全保障や経済面での協力を大幅に拡大する計画を提案したことが明らかになった。
 入手した文書は、「包括的発展の展望」と題された協定の草案と5ヵ年計画で、王毅外相が26日に開始する太平洋諸国歴訪で各国と協議し、30日にフィジーで開く外相会合での承認を目指すとみられる。
 中国は10ヵ国に対し、数百万ドル規模の援助、自由貿易協定で中国市場への参入機会提供を提案する見返りとして、各国の警察の訓練、サイバ安全保障への関与、政治的関係の拡大、海洋地図の作成、天然資源の利用拡大を求めている。
 当該国の首脳からは、中国の影響力拡大を懸念する声も上がっている。 (2206-052601)

 中国の王毅外相が5月26日、中国とソロモン諸島との関係が他の太平洋島嶼国の手本となることを期待すると語った。
 王外相は26日から10日間の日程で、中国が外交関係を持つ太平洋島嶼国8ヵ国を歴訪する。
 この日は最初の訪問国のソロモン諸島に到着した。 (2206-052607)

 中国の王毅国務委員兼外相が5月26日、6月4日までの10日間の日程でソロモン諸島など南太平洋島嶼国7ヵ国と東ティモールの歴訪を開始した。
 中国は、太平洋島嶼国14ヵ国のうち10ヵ国と国交を持つ。
 王外相はミクロネシア連邦、クック諸島、ニウエともオンライン形式で会談予定で、中国メディアは「太平洋島嶼国を全てカバーする訪問」と強調している。
 王外相は26日に最初の訪問地のソロモン諸島でマネレ外務貿易相と会談し、安保面でソロモン諸島を固く支持すると表明した。
 両国は安保協力に関する協定を4月に結んでいるが、詳細は明らかになっていない。 会談後の記者会見で王氏は協定に関し「警察の法執行能力の向上支援が目的だ」と主張し、米豪を念頭に「太平洋島嶼国は主権独立国家で、誰かの『裏庭』ではない」と牽制した。 (2206-052611)

キリバス進出の狙い
 異例の10日間にわたる太平洋島嶼国訪問を続けている中国の王毅外相が5月27日に訪れたキリバスでは、中国がハワイに近い島での滑走路の改修事業を支援する。
 訪問開始2日目となる27日、王外相はキリバスのマーマウ大統領と会談し「米国とその仲間は中国の発展を阻止することに専念している」と述べ、バイデン米政権への警戒心を示した。
 地域への浸透や拠点の確保を通じ、米国やオーストラリアに対抗する姿勢が鮮明になっている。
 中国がキリバスとの協力で目玉と位置付けるのが、同国カントン島の滑走路改修支援で、今回の協力文書には含まれなかったもようだが、キリバス政府は2021年5月、改修の事業化調査について中国から資金援助を受けることを認めている。
 滑走路は首都タラワなどと結ぶ商業飛行のためと強調しているが、同島の人口は数十人とされ、改修事業の真意は見えない。
 米国がインド太平洋軍が司令部を置くハワイから3,000kmと近く、中国が軍事的価値を見いだしている可能性もある。 (2206-052809)

ウォン豪外相がトンガ訪問

 トンガ政府が、ウォン豪外相が6月3日に中国外相が訪問したばかりのトンガを訪問すると発表した。
 トンガのソバレニ首相は1日に中国の王毅外相の訪問について地元記者団に説明し、6件の協定に署名したと述べた。
 首相府によるとソバレニ首相は中国からの融資について協議したことを確認した。
 予算によると、トンガは対外債務$195Mの2/3を中国輸出入銀行に対して負っているが、1月に火山噴火と津波に見舞われたトンガにとってオーストラリアとニュージーランドが最大の援助国である。
 ウォン外相の事務局によると、ウォン氏はサモアも訪問する。 (2207-060112)

サモアに哨戒艇を供与

 ウォン豪外相が2日にサモアを訪問し、同国に新たに哨戒艇を供与する意向を表明した。
 太平洋地域で中国が影響力を拡大する中、サモアとの関係強化を狙ったものとみられる。 (2207-060207)
【註】オーストラリアは太平洋諸島12ヵ国に供与されてこれら諸国の哨戒艇22隻と換装されるPacific Patrol Boatを21隻建造する計画で、2018年5月に一番艇が進水している。
 Pacific Patrol Boatは全長39.5m、全幅8m、乗員23名で、30mm艦載砲と12.7mm機銃を搭載できるスペースを有している。

南太平洋国防相会合

 南太平洋のトンガで10月18日、オーストラリアとニュージーランド(NZ)や軍隊を持つ島嶼国3ヵ国などの国防関係者が参加する南太平洋国防相会合が始まった。
 会合には豪、NZに加え、仏領ニューカレドニアに基地を持つフランス、南米のチリ、南太平洋島嶼国のパプアニューギニア、フィジー、トンガが参加した。
 豪州は地域で影響力を強める中国を念頭に軍の相互運用性を高めるなど、島嶼国との連携を深める。 (2211-101805)

4・6・3・1・3 米 国

駐ソロモン諸島米大使館の再開

 米政府高官が2月12日、太平洋の島嶼国一帯で影響力を強めている中国に対抗するため、南太平洋ソロモン諸島の米大使館を復活させる方針を明らかにした。
 ソロモン諸島の首都ホニアラにあった米大使館は1993年に閉鎖されていた。 (2203-021208)

米高官の太平洋島嶼国歴訪

 米大統領府が4月18日、国家安全保障会議 (NSC) のインド太平洋担当のキャンベル調整官が、フィジー、パプアニューギニア、ソロモン諸島の太平洋島嶼国を歴訪すると発表した。
 歴訪には東アジア太平洋担当のクリテンブリンク国務次官補らが同行し、3ヵ国の政府高官とそれぞれ会談する。
 「米国との協力関係が太平洋諸島における平和と安定、繁栄をもたらす」ことを確認すると、関係強化を通じてこの地域への影響力を強める中国を牽制する狙いがあると見られる。 (2205-041907)

米政府代表団がソロモン諸島に警告

 南太平洋のソロモン諸島を訪問中の米政府代表団が4月22日、ソロモンが中国と安全保障協定を締結したことを受け、中国が軍を常駐させることになれば、対抗措置を取ると警告した。
 米大統領府によると、米政府代表団はソガバレ首相に対し、安全保障協定は米国とその同盟諸国の地域安全保障に影響を及ぼしかねないとして、「事実上の軍の常駐や戦力展開、軍事施設を確立する措置が取られるならば、米国は対抗措置を取る」と伝えた。 (2205-042308)

キリバスとトンガに大使館を開設

 米政府はインド太平洋地域への関与を強化するため、キリバスとトンガにそれぞれ大使館を新設する方針である。
 いずれも中国と国交がある国で、中国寄りの姿勢を抑える狙いもある。 (2208-071208)

気候変動対策や漁業支援資金に、現状の3倍を拠出

 キリバスとトンガを含む太平洋地域の気候変動対策や漁業支援としては、現状の3倍に相当する年$60Mを10年間拠出することで、この地域への経済支援で先行する中国に対抗する構えである。 (2208-071208)

米英豪NZが Cartwheel 演習

 米英豪NZが参加し9月12日にフィジーで始まったCartwheel演習が11日間の日程を終え23日に終了した。
 演習の名称Cartwheelは第2次大戦でパプアニューギニアのラバウルで行われたCartwheel作戦にちなんでいる。
 米国は中国とソロモン諸島が5月に2国間安全保障条約を結んだことで、中国がこの地域に海軍基地を建設することを警戒している。 (2210-092115)

米沿岸警備隊と米軍の存在感

 米国が太平洋連携戦略 (PPS) の一環として、太平洋地区に於ける米沿岸警備隊と米軍の存在感を高めようとしている。
 米国は大統領府でクック諸島、ミクロネシア連邦、フィジー、仏領ポリネシア、ナウル、ニューカレドニア、パラウ、パプアニューギニア、マーシャル諸島共和国、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツの14ヵ国を招いた会合の冒頭でバイデン大統領がPPSを公表した。 (2301-101211)

4・6・3・1・4 PBP (Partners in the Blue Pacific)

日米英豪NZの5ヵ国に仏独韓の3ヵ国も加入か

 日米英豪とニュージーランドの5ヵ国が6月に太平洋諸島が重視する気候変動などの課題を支援する枠組みPBPを設立し、経済支援を通じて太平洋の島嶼国に影響を強める中国を牽制しようとしているが、枠組みの拡大で対中包囲網を更に強化したい考えである。
 複数の政府関係者が明らかにしたところによると、枠組みの拡大で対中包囲網を更に強化したい考えで枠組みを拡大する方針で、国連総会に合わせ9月下旬にニューヨークで予定している外相会合に仏独韓の3ヵ国が加わることを検討しており、まずは外相会合にオブザーバーとして参加する方向で調整が進められている。 (2210-092002)

4・6・3・2 南太平洋諸国

4・6・3・2・1 太平洋諸島フォーラム (PIF)

2年ぶりとなる首脳会議

 大洋州諸国首脳の対話の場であり地域協力の核とされる太平洋諸島フォーラム (PIF) は1971年に設立され、現在はオーストラリアやニュージーランドを含む18の国と地域が加盟しており、7月12~14日にフィジーのスバで対面での開催は2年ぶりとなる首脳会議を開く。
 首脳会議に先立ち加盟6ヵ国と地域が6月7日、2021年の指導部選出を巡る内部対立の解消で合意したほか、組織改革を提案した。
 2021年の内部対立では一部加盟国が脱退を表明、組織の存続が危ぶまれる事態に陥った。
 一部の加盟国は台湾と外交関係を持っているが、最近では中国が太平洋諸島への外交攻勢をかけており、安全保障を巡って米国とその同盟国から懸念の声が上がっている。 (2207-060804)

 フィジーの首都スバで7月に開催される太平洋諸島フォーラム (PIF) では、外交関係を持つ太平洋島嶼10ヵ国との貿易や安全保障に関する協定締結を目指す中国の動きが議題になる見通しである。
 PIFにはオーストラリアやニュージーランドのほか、中国ではなく台湾を承認している複数の国が含まれる。
 関係筋によると、中国はPIFの首脳会議最終日に当たる7月14日にこれら10ヵ国とのオンライン会議開催を目指している。 (2207-062807)

キリバスが離脱を表明

 オーストラリア公共放送ABCが7月11日、キリバスが太平洋諸島フォーラム (PIF) から、同機構の事務局長人事をめぐる不満を理由として離脱を表明したと報じた。
 PIFは同日から3年ぶりとなる対面式の首脳会議をフィジーで開催し、中国との連携などを協議するが、開幕直前の離脱表明は地域諸国の連帯を乱し、中国の影響力拡大にさらなる余地を与える可能性がある。 (2208-071106)

 太平洋島嶼国やオーストラリア、ニュージーランドなど18の国と地域で作る地域協力機構の太平洋諸島フォーラム (PIF) からキリバスが脱退した。
 PIFは地域の外交窓口としても機能してきただけに、島嶼国の発言力の低下につながりかねないとの懸念が出ている。
 キリバスは中国と関係を深めており、地元メディアからは「PIFの結束の乱れに乗じて、中国が影響力を増す可能性がある」といった指摘もあがっている。 (2210-090406)

4・6・3・2・2 南太平洋諸国

ツバル

 ポルトガルで27日に開幕した国連海洋会議で、台湾と外交関係を持つツバルの代表団のメンバーとして加わっていた台湾人3人が中国に出席を拒否された。  これを受け、ツバルのコフェ外相は抗議の意を示すため会議を退席した。 (2207-062808)

ソロモン諸島

 「4・6・3・1・1 中国の進出」で記述

 Stars & Stripesなどが8月26日、太平洋の島嶼国ソロモン諸島が、米沿岸警備隊警備艦の寄港を拒否していたと報じた。
 報道によると、沿岸警備隊の警備艦Oliver Henryが補給などのため、ソロモン諸島のガダルカナル島に寄港予定だったが、ソロモン諸島は米国の寄港許可要請に応じなかった。
 ソロモン諸島は中国との関係を強化しており、米国の影響力低下への懸念が強まりそうである。 (2209-082702)

パプアニューギニア

 マールズ豪国防相が8月31日、パプアニューギニアが両国間の安全保障条約締結を提案したと明らかにした。
 一方、パプアのトカチェンコ外相もABC TVに対し、30日にポートモレスビーを訪れたウォン豪外相と安保条約について協議したと明らかにした。
 ウォン外相はABCに対し、協議はごく初期の段階だと述べた。
 パプアはオーストラリアにとって数㌔しか離れていない最も近い北の隣国で、かつては植民地だったが、中国との貿易投資関係を強めている。
 中国がソロモン諸島と安保協定を締結したことを受け、太平洋諸島地域では緊張が高まっているが、中国は6月にパプアを含む太平洋地域10ヵ国と貿易と安保に関する包括協定を締結することに失敗した。 (2209-083105)



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