付録-2

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ウ ク ラ イ ナ 戦 争




 1 開戦に至る経緯
  1・1 ロシアの動き
  1・2 ウクライナ軍の動き
  1・3 西側諸国の支援
  1・4 軍事衝突に向けた動き
  1・5 ウクライナ侵攻作戦
 2 ロシア軍の全面侵攻
  2・1 侵攻作戦の推移
   2・1・1 開戦初期
    2・1・1・1 ロシア軍の進撃
    2・1・1・2 ロシア軍の進撃頓挫
    2・1・1・3 ウクライナ軍の攻勢
    2・1・1・4 露軍の北部退却
   2・1・2 東部でのロシア軍の攻勢
   2・1・3 ウクライナ東部の攻防
   2・1・4 ウクライナの反攻準備
   2・1・5 ウクライナの反転攻勢
   2・1・6 ロシアのウクライナ領編入
   2・1・7 ロシア軍のヘルソン撤退

  2・2 ロシアの活動
   2・2・1 ロシアの傭兵
   2・2・2 ロシアの領土拡張
   2・2・3 核による威嚇
   2・2・4 ロシアが犯した戦争犯罪
   2・2・5 弱体化したロシア軍
   2・2・6 ロシア国内情勢
   2・2・7 軍の体制強化

  2・3 ウクライナの活動
   2・3・1 義勇軍、傭兵
   2・3・2 在住ロシア人を審査
   2・3・3 争犯罪人の訴追
   2・3・4 穀物の輸出路確保
   2・3・5 石油の輸入路確保
   2・3・6 ロシア協力者の取り締まり
   2・3・7 NATO 加盟申請
   2・3・8 脱ロシアの加速

 3 ウクライナ以外への侵攻の可能性
  3・1 モルドバ
  3・2 バルト三国

 4 ウクライナ支援国
  4・1 米国の姿勢
  4・2 NATO / EU
   4・2・1 対ウクライナ姿勢
   4・2・2 エネルギー戦略
   4・2・3 東翼兵力の増強
   4・2・4 EU 加盟問題
   4・2・5 復興支援
   4・2・6 要人のウクライナ訪問
   4・2・7 西欧諸国の足並みの乱れ
  4・3 武器等の供与
   4・3・1 個人携帯ミサイル等の供与
   4・3・2 供与武器の種類拡張
   4・3・3 重装備の供与
   4・3・4 HIMARS / MLRS の供与
  4・4 作戦機の供与問題
  4・5 経済制裁
  4・6 外交官等の退避及び追放
  4・7 その他の民間活動
  4・8 その他の活動

 5 国際世論と国際法判断
  5・1 ロシアに批判的な動き
   5・1・1 国際世論
   5・1・2 戦犯訴追の動き
   5・1・3 国際的な保険機構
   5・1・4 国連などの国際機関
   5・1・5 国際司法機関

  5・2 ロシアに同調する動き

 6 旧ソ連諸国の開戦後の対応
  6・1 ベラルーシ
  6・2 ロシア主導の安全保障機構
  6・3 アルメニア

 7 ロシアの友好国
  7・1 中 国
  7・2 イラン
  7・3 北朝鮮
  7・4 ミャンマー
  7・5 アラブ諸国
  7・6 インド
  7・7 アフリカ諸国



1 開戦に至る経緯

1・1 ロシアの動き

1・1・1 ウクライナ侵略のシナリオ

1・1・1・1 親露武装勢力の支援

ドネツク人民共和国が近代兵器の供給を要請

 ウクライナの親露派武装勢力ドネツク人民共和国の指導者であるプシーリン氏が1月27日に、欧米の支援を受ける政府軍から自衛するための近代兵器の供給をロシアに対し要請した。
 プシーリン氏はプーチン政権寄りで知られるロシア人TV司会者ソロビエフ氏とのオンラインインタビューで、トルコ製Bayraktar UAVへの対策が最優先課題だと述べた。 (2202-012806)

1・1・1・2 ウクライナ東部の独立

ロシア議会からの発議

 タス通信が、ロシア下院議長が1月21日に親露武装勢力が占領するウクライナ東部地域の独立承認について、プーチン大統領に要請するかどうかを来週に検討に入る考えを明らかにしたと報じた。
 野党のロシア共産党が19日に下院に提出した親露派地域の独立承認を求める大統領への要請案は、親露派の占領地域を「独自の主権を持つ独立国家として」承認するよう求めると明記した。
 親露派は2014年にロシア軍の支援を受けてウクライナ東部2州の約3割を占領し、「共和国」の創設を一方的に宣言した。 この東部紛争を巡ってウクライナとロシア側との緊張が再び高まっている。 (2202-012113)

 ロシア議会下院の一部議員が、ウクライナ東部の親露支配地域を独立国家と承認するようプーチン大統領に要請する案を提出し、議会は2月14日に同案の採決日を設定することになっていたが、親露派支配地域を独立国家と認定すれば、ウクライナ情勢は一段と緊迫化することが予想される下ことから、院のボロジン議長が11日、政府の見解を求める可能性があると述べた。
 議長によると、提案の即採決を要求しているのは450議席中85議席を占める共産党と公正ロシアの2政党で、議長の出身政党で325議席を有する統一ロシアは、親露派支配地域に軍需物資などを提供するという別の案を支持しているという。 (2203-021201)

 ロシアのボロジン下院議長が2月14日、ウクライナ東部の親露派が実行支配する東部ドンバス地域のドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の承認を大統領に要請することの是非について2つの案を討議し、15日に採決を行うと明らかにした。
 審議する2案は、両地域を独立国として承認するよう大統領に議会が直接要請する案と、大統領に要請する前に外務省など他の政府機関に諮問する案で、後者の案は与党統一ロシアの議員が提案しており、政府が外交努力の余地はあるとの立場を示す中、時間稼ぎが可能になるとみられる。 (2203-021501)

 タス通信が、ロシア下院が2月15日、ウクライナ東部を実効支配する親露派武装勢力ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国を国家承認するようプーチン大統領に求める決議案の採決を行い、賛成多数で可決したと報じた。
 露メディアによると、決議に法的拘束力はなく、可決がロシアによる親露派の即座の国家承認にはつながらない。 (2203-021517)

米国の対応

 ブリンケン長官が2月16日、ロシアがウクライナ東部の親露派が実効支配する2地域の独立を承認すれば、米国は同盟国および友好国と完全に協調して迅速かつ強硬に対応すると表明し、独立が承認されればウクライナの主権と領土保全が一段と阻害され著しい国際法違反となると述べた。 (2203-021701)

70万人超の自国民保護を侵攻の口実に

 ロシアはパスポート配布70万で紛争解決へ譲歩迫る。
 ロシアによるウクライナ侵攻への警戒が広がるなか、親露派武装勢力と政府軍によるウクライナ東部紛争の緊張が高まっている。
 ロシアは親露派地域で70万人超に増えた自国民保護を口実にした侵攻もちらつかせ、ウクライナに譲歩を迫っており、紛争解決への協議が難航し、ロシア側が軍事的挑発に出る可能性がある。
 ブリンケン米国務長官は2月12日、「ロシアが軍事行動を正当化するための挑発や事件を引き起こしたとしても驚くことはないと発言し、ロシアをけん制した。
 一方、ロシア対外情報局長官は10日、ウクライナ側で戦争の準備が急速に進んでいると述べ、親露派への攻撃が始まりかねないと主張した。
 また親露派幹部は13日に、万全の準備が必要だとして戦闘準備を整えたことを示唆した。 (2203-021405)

モスクワに「ドネツク人民共和国」大使館開設

 ロシアが独立を承認したウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」の大使館が、7月12日にモスクワ市内に開設された。 (2208-071302)

1・1・1・3 傀儡政権の擁立

 英外務省が1月22日の声明で、ロシアがウクライナ中央政府に親ロシア派の指導部設置を目指していると警告した。
 ゼレンスキー政権に代わる親露派政権の樹立を企図した動きとみられ、ムラエフ元ウクライナ最高会議(議会)議員が首班候補として検討されているという。
 声明によれば、ロシアの情報機関はアザロフ元首相らウクライナの多くの元政治家と接触し、元政治家の一部はウクライナ攻撃計画の策定に関わるロシア情報機関員と繋がっているという。 (2202-012302)

 英外務省が1月22日、ロシアがウクライナ政府の指導部に親露派を就任させようと画策していると非難し、ロシアの情報機関が侵攻計画の一環として、複数のウクライナ元高官と接触していると指摘したが、ラーブ英副首相が23日、ロシアがウクライナ侵攻と同時に傀儡政権を樹立した場合、厳しい経済制裁を受けることになると警告した。
 ロシア外務省は英外務省の発表を偽情報とし、英国とNATOがウクライナ情勢を巡る緊張を高めていると非難した。 (2202-012401)

1・1・1・4 ロシアとの併合

ロシア連邦帰属の是非を問う住民投票

 ウクライナ東部親露派組織のドネツク人民共和国を率いるプシリン氏が3月29日、ロシアがドネツク地域全体を掌握した後、ロシア連邦への帰属を検討すると述べた。
 プーチン露大統領はウクライナ侵攻開始前の2月21日に、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立を認める法令に署名している。
 ルガンスク人民共和国の指導者は3月27日にロシア連邦帰属の是非を問う住民投票を実施する意向を示している。 (2204-033006)

1・1・2 ロシアの要求

1・1・2・1 プーチン大統領の本音

ウクライナを「私の美しきものよ」と発言

 プーチン露大統領が2月8日未明にマクロン仏大統領との共同記者会見で、ウクライナのゼレンスキー大統領が同政府軍と親露派武装勢力の停戦を定めた「ミンスク合意」を好ましくないと述べたことを批判したうえで、ロシア語で韻を踏みながら「(ミンスク合意を)好むと好まざるとにかかわらず耐えよ、私の美しきものよ」と述べ、ウクライナを「私の美しきもの」と呼んだ。 (2203-020906)

プーチン大統領が「ウクライナは元々ロシアのもの」演説

 プーチン露大統領が2月21日にロシア軍のウクライナ東部派遣を命令する前に国民向けのTV演説で「ウクライナは傀儡政権になった米国の植民地で、1991年のソ連崩壊当時ロシアが強奪された」と主張した。
 BBCなどによると、プーチン大統領は1時間にわたるTV演説で、ウクライナは古代ロシアの地で常にロシアの一部だったと主張し、現代ウクライナの起源もソ連にあると強弁した。
 プーチン大統領は「現代ウクライナはロシア、さらに正確にはボリシェビキ共産主義ロシアによって作られた国で、レーニンのウクライナと呼ぶことができると述べた。 (2203-022316)

1・1・2・2 NATO に東方不拡大要求

NATO ロシア理事会

 ウクライナ情勢をめぐり1月12日に開かれたNATOロシア理事会で、ロシアは10日に協議した米国に続き、NATOに対しても東方不拡大の確約やウクライナへの支援停止を強硬に要求し、軍事力を行使する可能性を示唆しつつ、要求を受け入れるよう圧力をかけた。
 タス通信によると、露代表団を率いたグルシコ外務次官は同理事会後に記者会見し、ロシアはNATOに対し外交的手段がなくなれば軍事的手段で脅威を排除するとも警告した。 (2202-011305)

 NATOとロシアが1月12日、緊迫するウクライナ情勢についてブリュッセルで2年半ぶりに理事会を開いたが、ロシアからのNATOの東方不拡大要求をNATO側が拒絶し、議論は平行線のまま終了した。
 理事会終了後、NATOのストルテンベルグ事務総長は記者会見し、ロシアとの間には大きな意見の相違があり、歩み寄りは簡単ではないと厳しい認識を表明したが、一方でNATO加盟国とロシアが同じテーブルに座り、実質的な議論を行ったことは前向きな兆候だとも語り、NATOはロシアに対しミサイル配備や軍備管理について協議を続けるよう提案したという。
 米欧とロシアは13日も、欧全欧安保協力機構 (OSCE) で協議を行うが、現段階で対立解消に至るのは難しいとみられる。 (2202-011306)

武力行使をちらつかせて恫喝

 ロシア外務省が2月17日、ウクライナ情勢をめぐるロシアの要求に対する米国とNATOの書面回答に文書で返答したと発表した。
 NATOの拡大停止などロシア側の一連の要求が無視され、米国や同盟国に都合のいい論点が選ばれたとNATO側の回答を厳しく批判し、今後の交渉で合意できなければ軍事技術的な手段で対応すると警告した。
 ウクライナ国境付近に集結する大規模な兵力についても、ロシア軍の自国内での展開は、米国の国益に影響しないと反発した。 (2203-021801)

米外交官の追放

 米国務省報道官が17日、ロシア政府が駐露米大使館のゴーマン次席公使を追放したと発表した。 追放の理由は明らかになっていない。 報道官は「根拠なく米国の外交官や職員を追放するのをやめるよう要求する」とし、「米国は対応措置を検討している」と述べた。
 米大統領府副報道官も「ロシアの措置は理不尽」と批判した。 (2203-021802)

旧ソ連構成国に軍事施設を建設するなと要求

 ロシア通信 (RIA) とTadd通信が3月1日、ラブコフ外相が旧ソ連構成国に西側諸国は軍事施設を建設してはならないとの考えを示したと報じた。
 また欧州の複数の国が米国の核兵器を受け入れていることや、ウクライナの核兵器入手を阻止する措置を取っていないのは容認できないとも述べた。 (2204-030124)

1・1・2・3 NATO からの核兵器撤去要求

 国営タス通信が1月27日、ロシアが米側に対してNATO諸国からの核兵器の撤去を要求していると報じた。 安全保障についてのロシアの要求の一つだという。
 ロシア外務省担当者は、米国にNATO諸国に配備されている200発の核爆弾をすべて撤去するよう要求しているという。 (2202-012714)
1・1・2・4 OSCE 加盟国への要求

 フィンランドのハーヴィスト外相が2月1日、欧州安全保障協力機構 (OSCE) 加盟国からの安全保障を求めるロシアから受け取った書簡に対する回答を準備していると述べた。
 ハーヴィスト外相は書簡について、西側諸国がロシアの犠牲の上に自国の安全を確保したとするロシアの考えに関するもので、西側諸国は明らかにこれに対して全く異なる見解を持っていると述べた。
 フィンランド国営放送YLEによると、OSCE全加盟国が書簡を受け取ったという。
 スウェーデンのリンデ外相も書簡を受け取ったことを明らかにしたが、書簡の内容についてはコメントを控えた。 (2203-020203)
1・1・3 国境での兵力展開

1・1・3・1 兵力増強

2021年末の状況

 2021年10月末以降もロシアがウクライナとの国境から250km以内に兵力を集中している。
 国境近くでロシアが兵力を増強したのが確認されたのは2021年初期で、それ以降兵力増強が続けられている。
 その中でVoronezh地域のPogonovo演習場に展開した第1戦車軍は、隷下部隊をKurskとBryanskの間に展開し、第6混成軍第138自動車化旅団の大隊戦闘群が11月下旬にKursk東方の演習場に展開したのが確認されている。
 そのほかに第42自動車化師団、第138自動車化山岳旅団、第247空挺連隊、第9防空旅団などがクリミアに配置されている。 (2203-121501)

極東からの増強

 ウクライナ危機を巡って外交交渉が続けられた1月中旬に、ロシアがMBTやIFV、MRLなどの装備を極東の基地から西方へ移動し始めたことが、米当局者やソーシャルメディアの情報で明らかになった。
 装備はなお移動中だが、当局者や専門家は、ロシアによる軍備増強の次の段階なのか否かを見極めようとしている。 (2202-011503)

 Maxar社が収集分析した新たな衛星画像から、ベラルーシやクリミア半島、ロシア西部の複数の場所で露軍のプレゼンスが一段と拡大していることがうかがえ、ウクライナ周辺でロシアの軍備増強が着実に進んでいることを示すさらなる証拠が浮上した。
 Maxarなどの衛星画像提供企業によると、ウクライナ国境から240km以内にある既存のロシア軍訓練場や駐屯地がここ数ヵ月で拡張されたことが判明した。
 中には国境から数㌔以内に位置する施設もあるという。 (2203-020303)

1・1・3・2 国境付近での演習

1月11日: 国境付近4地域で3,000名

 ロシアが1月11日にウクライナとの国境付近で戦車と実弾を使った演習を実施した。
 ロシア国防省によると、ロシア南西部の4地域で3,000名が模擬戦闘を含む訓練に参加した。 (2202-011201)

1月12日: 南部軍管区が10,000名

 タス通信が、ロシア軍南部軍管区が1月12日、クリミア半島などで10,000名以上が参加する演習を実施したと発表したと報じた。
 クリミア半島のほかロシア南部地域にある20以上の訓練場で、射撃や戦車などによる訓練を実施した。
 ロシア軍は11日にもウクライナ東部に近い西部軍管区内で3,000名規模の演習を実施した。
 ウクライナ情勢を巡り、NATOが12日に「NATOロシア理事会」の会合を2年半ぶりに開いたが、ロシアの大統領報道官は同日に軍事演習の実施について「ロシアとNATOとの協議とは関係がない」と述べた。 (2202-011207)

1~2月: 海軍と航空宇宙軍による演習

 ロシア国防省が1月20日、露近海などで1~2月に海軍と航空宇宙軍による演習を行うと発表した。
 発表によると演習はロシア近海に加え地中海や北海、オホーツク海などでも実施し、140隻以上の艦艇や60機以上の航空機、10,000名の将兵が参加する。
 演習の開始日は不明だが、既に大型揚陸艦6隻が地中海に向けて移動を開始したという。 (2202-012102)

1月26日: 第150自動車化狙撃師団の訓練公開

 ロシア国防省が1月26日、ウクライナと国境を接するロシア西部ロストフ州にある射撃場に向かうロシア軍部隊の映像を公開した。
 演習に参加したのは第150自動車化狙撃師団のMBT、SPH、IFV、APCなどで、射撃訓練だけでなく火力支援など幅広い任務に取り組んだ。 (2202-012711)

2月 1日: 一部の部隊での演習を終えたと発表

 ロシア軍が2月1日までに一部の部隊での演習を終えたと発表した。
 ロシア軍の南部軍管区はロシア南部で実弾演習などを含む軍事演習を終えた6,000名以上が通常の駐屯地に戻ったと発表した。
 西部軍管区は1月にロシア西部のボロネジ州などウクライナ東部国境に近い訓練場で3,000名が参加した射撃などの演習を終了したと発表した。
 また、黒海艦隊は黒海で実施した防空演習などが終了し基地に帰還したと発表した。 演習には黒海艦隊のフリゲート艦や哨戒艦など20隻以上が参加し、南部軍管区と合同で演習を実施した。
 ロシア海軍はこのほか、1~2月にかけてバルト海などでも軍事演習を実施している。
 米露外相が電話協議を開くなどウクライナ情勢が緊迫するなか、演習の終了が緊張関係の緩和につながるか不透明感が漂っている。 (2203-020201)

1・1・3・3 ベラルーシとの共同演習

ロシア軍のベラルーシ進駐

 ロシアによるウクライナ侵攻が日を追って現実味を帯びてくるなか、ロシアは政治的、経済的、軍事的に緊密な関係にある同盟国ベラルーシと、外部からの脅威に対する即応能力の向上を目的とした合同軍事演習を行う。
 演習はベラルーシ西部国境周辺と、ウクライナと国境を接する南部でも実施される予定で、ロシアはこの演習にはウクライナ周辺に展開する100,000名の兵力とは別に、極東軍管区から部隊を送り込む。 (2202-011907)

 カービー米国防総省報道官が1月27日、ロシア軍がウクライナおよびベラルーシとの国境付近に展開している部隊を過去24時間でさらに増強したもようだと明らかにした。 (2202-012715)

 ベラルーシでロシア軍とベラルーシ軍の合同演習が2月3日も前日に続いて実施された。
 演習にはロシア軍砲兵隊と戦車部隊に加えて、戦闘ヘリ部隊、空挺部隊などが参加している。 また演習はシベリアと極東の両軍管区からも部隊が参加して行われている。
 この演習についてストルテンベルグNATO事務総長は2月3日、モスクワは過去30年で最大の兵員と装備をベラルーシに配備していると記者団に語った。
 この配備によって、ロシアはウクライナ国境に展開する大軍をさらに増強していることから、西側はウクライナ侵攻間近と見ているようである。 (2203-020405)

NATO の危機感

 ストルテンベルグNATO事務総長が2月3日の記者会見で、ロシア軍がここ数日ベラルーシへの兵力を増強し、近く予定される合同演習に30,000名を参加させる見込みだと述べた。
 ストルテンベルグ事務総長は、ベラルーシに特殊部隊や戦闘機、核搭載可能なミサイルも配備されるとし、ロシア軍のベラルーシでの配置としては冷戦後最大と危機感を表明した。 (2203-020401)

リトアニアの危機感

 リトアニアのシモニテ首相が2月4日、ロシア軍のベラルーシ派遣について大きな懸念を表明した。 シモニテ首相は記者会見で、EUとして対応の準備をしなければならないと述べた。
 バルト三国の首相は同日ラトビアの首都リガで会談し、ウクライナ情勢などをめぐって協議した。
 ロシアがウクライナに再侵攻すれば東欧諸国への脅威は一気に高まるため、バルト3国は警戒感を強めている。
 ストルテンベルグNATO事務総長は3日にロシア軍がベラルーシへの兵力を増強していると述べ、戦闘部隊は30,000名にのぼるとし、戦闘機やミサイルも配備されるとし、冷戦後ではロシアによるベラルーシへの最大の軍事展開と語った。 (2203-020502)

Su-35 や東部軍管区の S-400 がベラルートに展開

 ロシア国防省などにると、ロシア軍とベラルーシ軍が2月10日から20日までの日程で、ウクライナと国境を接するベラルーシで合同軍事演習「同盟の決意2022」を行う。
 ロシア国防省は9日、9,000km以上離れた極東地域などを管轄する東部軍管区から移送したとするS-400が演習地に到着した映像を公開した。
 ベラルーシにはSu-35などもすでに到着し、ロシア各地から部隊が集結していることがうかがえる。
 これに対し米国などNATO加盟国は、ロシアが演習を名目に部隊を集結させウクライナに侵攻するのではないかと警戒を強めている。 (2203-021003)

合同演習後もロシア軍の駐留継続

 ベラルーシ国防省が2月20日、自国領内でのロシアとの合同演習後も両軍が活動を継続すると発表した。
 ウクライナ東部での情勢緊迫化などを受け、ロシアのプーチン大統領とベラルーシのルカシェンコ大統領が決定した。
 ベラルーシに派遣された30,000名ともされるロシア軍の駐留継続で、ウクライナ侵攻への懸念がさらに強まることになる。 (2203-022012)

 Tass通信によると、ベラルーシ南部などで合同演習同盟の決意2022を実施してきたロシアとベラルーシが2月20日、ウクライナ情勢の悪化を理由に、部隊の点検を続けると決定した。 露部隊がベラルーシに残留するとみられる。 (2203-022013)

1・1・3・4 海軍の動き

海上での陽動、アイルランド沖合で演習

 アイルランドのコーブニー外相が1月27日までに、ロシア海軍が2月初旬にアイルランド南西沖の排他的経済水域 (EEZ) 内で演習を計画しているとして、ウクライナ情勢をめぐる米欧とロシアの対立が深まるなかで歓迎すべき行動ではないと述べた。
 演習はアイルランド沿岸から240km離れた海域で予定されているとし、通常の手続きに従ってアイルランドの航空行政当局にその旨が通知されたとした。
 海軍が他国のEEZ内で演習を展開するのは国際海洋法の下で認められており、演習の海域はアイルランドのEEZ内だが公海でもある。 (2202-012712)

露海軍北方艦隊の展開

 InterFax通信が2月7日、ロシア北方艦隊の巡洋艦Marshal Ustinov、駆逐艦Vitse Admiral Kulakov、フリゲート艦Admiral Kasatonovが演習参加のためジブラルタルから地中海に入ったと報じた。
 これら艦は黒海艦隊と太平洋艦隊の演習に加わるという。
 ロシアは先月、海軍が太平洋から大西洋にかけて全艦艇を動員した大規模な軍事演習を行うと発表していた。 (2203-020807)

黒海艦隊の増強

 ロシアInterFax通信が2月8日に国防省の発表として、ロシア艦6隻が演習に参加するために地中海から黒海に向かって航行していると報じた。 事前に計画された移動の一環としている。
 この日にボスポラス海峡を通過したのはコロレフミンスクカリーニングラードと見られる。
 目撃者によると、このうち3隻が8日に黒海に通じるトルコの海峡を通過した。 トルコ当局は残りの3隻は9日に通過するとしている。 (2203-020903)
【註】コロレフミンスクカリーニングラードの3隻はいずれも基準排水量2,200tのProject 775/775M揚陸艦で、いずれもバルト艦隊に所属している。

海上封鎖を示威する演習

 ウクライナ外務省が2月10日、ロシア海軍が2月中旬に予定している演習により、ウクライナが海上封鎖状態に置かれていると非難した。
 クレバ外相によると、ロシア海軍によってアゾフ海は完全に封鎖され、黒海もほとんど航行できない状態になっているという。
 レズニコフ国防相も、2つの海の国際水域もロシアによって封鎖されているとツイートした。 (2203-021106)

 ロシア国防省が2月12日、ロシア海軍が黒海で演習を開始したと発表した。
 黒海艦隊によると、演習にはフリゲート艦や小型ミサイル艦など30隻以上の艦艇が参加し、今月上旬にはバルト艦隊や北方艦隊の大型揚陸艦も黒海に入った。
 演習の目的は、クリミア半島沿岸にある海軍の拠点や、通信や経済のインフラを軍事的脅威から防衛することだとしているが、ウクライナや欧米への圧力を強める狙いがあるとみられる。 (2203-021306)

カスピ海で大規模演習

 ロシア国防省が、陸海軍の大半を動員した軍事演習の一環として海軍の20隻が2月17日にカスピ海で演習を開始したと発表した。
 ロシアはウクライナとの国境付近に100,000以上の兵力を集結させているが、ウクライナに侵攻する計画はないと主張している。 (2203-021717)

1・1・3・5 兵力の集中

作戦準備完了

 ウクライナ国防省が1月20日までに、ロシアによる同国への攻撃に動員される可能性がある国境線周辺での兵力の増強がほぼ完了し、侵攻がいつでも起き得る可能性があるとの最新の情報分析を明らかにした。
 CNNに独占的に提供されたこの分析結果によると、集結したロシア地上軍は106,000名で、これに海空両軍のが加わり総兵力は127,000名以上である。
 また、新たな情報分析では、ロシアがウクライナ東部地域で武装闘争を展開する35,000名以上の親露勢力これら地域を拠点とするロシア軍3,000名がを支援しているともした。
 ウクライナに対するロシアの諜報活動も活発化し、国境線近くには無線や衛星通信担当部隊も追加派遣されており、国境線に沿った偵察飛行の回数も2021年同時期の3倍に達したとした。
 ウクライナ軍は、ロシアはIskanderの追加分も国境線に搬入したと見ている。 (2202-012010)

準備未完了との見方も

 ロシアはウクライナを包囲している兵力について、ウクライナの最新の分析ではロシア軍の規模について、ウクライナに本格的な侵攻をするにはまだ不十分であると見ている。
 1月27日現在ロシア地上軍は109,000名で、これに海空軍の21,000名を加えた総兵力は130,000名以上と見られ、現在も増強が続けられているという。
 ウクライナの分析ではロシア軍が58個大隊戦術群 (BTG) を国境近くに展開しているが、ショイグ国防省は2021年8月にロシア軍は170個BTGを有しているとしていることから、これは170個あるロシア軍BTGの1/3以上にのぼる。
 因みにBTGは1個大隊を基幹に、砲兵、防空砲兵、工兵、兵站部隊で構成され、狙撃旅団や戦車旅団に隷属している。 (2202-012718)

輸血用血液など医療物資を国境沿いに移動

 ウクライナとの国境付近で軍を増強させているロシアが、輸血用の血液を含む医療物資を国境沿いに移動させたことが、複数の米当局者の話で分かった。 ロシアが侵攻の準備を進めていることを示す重要な動きとして警戒されている。
 匿名を条件にロイタに情報を提供した3人の米当局者のうち2人によると、輸血用血液がウクライナとの国境沿いに運ばれたのはここ数週間のことだった。
 米国防総省は、ロシアが軍増強の一環として「医療支援」も国境沿いに配備していることはこれまでも察知していた。 (2202-012903)

 NATO軍事委員会のバウアー議長が2月7日にウクライナ情勢についてリトアニアの首都ビリニュスで記者会見し、ベラルーシのウクライナ国境近くでは最近、野戦病院や支援部隊の展開が確認されたと指摘し「侵略を本気で考えると、戦闘部隊以外にもいろいろ必要になる。 とても懸念している」と述べた。 (2203-020801)

米国防総省、侵攻能力をすでに整えたとの見方

 オースティン米国防長官が1月28日に国防総省で行った記者会見で、プーチン露大統領はウクライナに侵攻する能力をすでに整えたとの見方を示し、ただ侵攻はまだ最終決定されていないと述べた。
 米国はウクライナ侵攻の口実として利用される恐れのあるロシアによる偽情報への対応に引き続き注力しているという。
 また統合参謀本部議長のミリー大将は、ウクライナ国境沿いの露軍増強は、陸海空軍だけでなくサイバ攻撃などの分野にも及んでいると指摘した。 (2202-012904)

ウクライナ側からの兵力見積もり

 ウクライナのゼレンスキー大統領が1日、ロシアがクリミアに30,000~50,000名、ウクライナ東部の紛争地域に30,000~35,000名、ウクライナとの国境付近に100,000名余りを配置していると推計している。
 ジョンソン英首相は、プーチン露大統領がウクライナを併合しようとする動きに続き、ジョージアやモルドバにも影響を拡大しようとするかもしれないと指摘した。 (2203-020204)

必要兵力の70%を国境地帯に配置の報

 米当局者が、米情報機関の分析によるとロシアはウクライナへの全面侵攻に必要な兵力の70%を既に国境地帯に配置済みであることを明らかにした。
 米当局者が最近、連邦議会や欧州同盟国に説明したところによれば、ウクライナとの国境地帯に集結したロシア軍は11万名に上っており、兵力の増強が今のペースで続けば、2月半ばまでにはプーチン大統領が全面侵攻を命じるのに必要な15万人の兵力に達するとみられる。
 ロシア軍が全面侵攻した場合、2日以内にウクライナの首都キエフは制圧され、ゼレンスキー大統領は失脚する恐れがあるという。
 そうなれば民間人25,000~50,000人が死亡し、ウクライナ軍には5,000~25,000、ロシア軍に3,000~10,000の犠牲が出て、100万~500万人の難民がポーランドなどへ流入しかねないと警告している。 (2203-020603)

 事情に詳しい米当局者2人が、米当局はプーチン露大統領がウクライナへの全面的な侵攻作戦に向け、すでに必要な人員、兵器の7割を国境に集結させたと推定していると語った。
 当局者らは最新情報の分析に基づく推定としたうえで、情報の具体的な内容や分析方法については情報収集活動の機密性にかかわるとして言及を避けた。 (2203-020604)

 NATO軍事委員会のバウアー議長が2月7日にウクライナ情勢についてリトアニアの首都ビリニュスで記者会見し、ロシア軍がベラルーシにとどまり続けるかどうかによると前置きしつつ、バルト三国やポーランドで部隊を増強し続けると警告した。
 ベラルーシのウクライナ国境近くでは最近、野戦病院や支援部隊の展開が確認されたと指摘し「侵略を本気で考えると、戦闘部隊以外にもいろいろ必要になる。 とても懸念している」と述べた。 (2203-020801)

米政府、ロシアが侵攻に十分な兵力を集結させたと発表

 米政府は2月11日にロシアはウクライナ侵攻に十分な兵力を集結させたと発表した。
 また、ロシア側が西側諸国に対する強硬姿勢を一段と強めたことを受け、ウクライナ国内にいる米国民に対し24~48時間以内に退避するよう呼び掛けた。
 国家安全保障担当のサリバン米大統領補佐官が11日、ロシアによるウクライナ侵攻はいつ開始されてもおかしくはないと指摘し、おそらく空爆で始まるとの見解を示した。
 その上で、プーチン大統領は1月20日の北京冬季五輪閉幕前にも侵攻を命令する可能性があり、首都キエフに対する急襲も考えられるとの見方を示した。 (2203-021204)

米政府、ロシアの侵攻間近と観測

 米国防総省のカービー報道官がMSNBCとのインタビューで2月14日、プーチン露大統領が日ごとにウクライナ国境周辺で部隊を増強し、軍事力を高めているという認識を示した。
 その上で、プーチン大統領が軍事力の行使を望めば、いつでも起こり得ると強調し、米政府はロシアからのサイバ攻撃の可能性も排除していないとした。 (2203-021502)

 ウクライナのゼレンスキー大統領が2月14日、ロシアによる侵攻が迫っているとして国外に避難した政府当局者、政治家、実業界のリーダーらに対し、連帯を示すために24時間以内に帰国するよう呼び掛けた。
 国内メディアは、ウクライナの一部の政治家や実業界のリーダーらも先週末に国外に逃れたと報じていた。
 大統領はビデオ演説で、「ロシアによる侵攻は16日に行われるとの情報を得ている。 われわれはこの日を連帯の日にする」とし、24時間以内に帰国して国民と共にあるよう呼び掛けると語った。 (2203-021503)

 ・ロシア軍が活動を活発化

ウクライナとの国境付近に展開するロシア軍が活動を活発化させていることが、Maxar社が2月15日公開した衛星画像で明らかになった。
 Maxar社は13日と14日に撮影した衛星写真を公開し、ベラルーシとクリミア半島、ロシア西部でロシア軍の新たな重要な動きがあったと指摘した。
 兵員と攻撃ヘリの大規模な配備が数回行われたほか、対地攻撃機や戦闘爆撃機が前方に展開したという。
 また複数の地上部隊が基地を出発する様子や、車列を組んでいる他の戦闘部隊も見られるとした。 (2203-021515)

1・1・4 ハイブリッド作戦

1・1・4・1 サイバ攻撃

 ロシアがウクライナ国境付近に大規模部隊を集結させるなかで、同国政府機関に大規模サイバ攻撃を実施したとされる。
 ウクライナ当局は1月14日に政府機関のサイトが13~14日にハッキングされたと発表した。
 ロイタ通信などによると、被害が出たサイトは70に上り、一部ではウクライナ国民の個人情報を「盗んだ」などとのメッセージが表示された。
 政府高官はサイバー攻撃について16日、あらゆる証拠は背後にロシアがいることを示しているとし、ハイブリッド戦争を遂行しているとロシアを非難した。 (2202-012013)

 サイバー・先端技術を担当する米国のニューバーガー国家安全保障担当副補佐官が2月2日、ウクライナを不安定化させる試みの一環としてロシアがサイバー攻撃を仕掛ける可能性があると警告した。
 ニューバーガー副補佐官はEUのほかNATOの当局者とロシアによるウクライナに対するサイバー攻撃の脅威について協議したあとの記者会見で、ロシアは過去10年間にわたり、サイバー攻撃を利用してきたとし、これにはウクライナに対する攻撃も含まれると述べた。 (2203-020302)

 米欧当局筋が2月15日、ウクライナを巡る緊張が高まるなかで米国や同盟国はロシアによるサイバ攻撃に対し報復措置を講じる用意があることを明らかにした。 具体的な対応はサイバ攻撃の規模次第になるという。
 ウクライナは15日に同国の国防省と銀行がサイバ攻撃を受けたと発表したが、米欧当局筋は15日のサイバー攻撃を予想外ではなかったと述べ、西側の専門家はロシアによる犯行とみている。
 バイデン米大統領は米政府はサイバ空間の脅威に対する防衛強化のためNATO同盟国などと緊密に連携していると明らかにした。 (2203-021610)

 米連邦捜査局 (FBI)、国家安全保障局 (NSA)、CISAなどの機関が2月16日、ロシア政府の後ろ盾が疑われるサイバ攻撃の可能性について、米防衛関連企業に警告した。
 ロシアとウクライナを巡る緊張が高まる中、ウクライナは15日に国防省と大手銀行がサイバ攻撃を受けたと発表し、ロシアが背後にいた可能性があるとの見解を示した。 (2203-021704)

 米国家安全保障担当でサイバー・先端技術を担当するニューバーガー副補佐官が2月18日、今週発生したウクライナ国防省や銀行などを標的としたDDoS攻撃の背後にロシア軍の情報機関当局がいたと明らかにし、ロシア政府の責任を追求すると言明した。
 英外務省も、ロシア軍の情報機関であるロシア連邦軍参謀本部情報総局 (GRU) がウクライナに対するサイバ攻撃に関与していたことはほぼ確実という認識を示した。 (2203-021906)

1・1・4・2 政治工作活動

 米国が1月20日、ロシア政府の指示の下でウクライナを不安定化させる活動に関与したとして、ウクライナの現・元当局者4人に制裁を課すと発表した。
 米財務省によると、2人はウクライナ議会の議員、残りの2人は元政府当局者で、ロシア連邦保安局 (FSB) の指示に従ってロシア政府を支援し、米国を含む他国の不安定化を目指す活動に関与した。
 4人のうち1人はウクライナのニュースチャンネルを支配し、ウクライナのゼレンスキー大統領の側近に関する偽情報を流すといったFSBの計画を支援していたという。 (2202-012106)
1・1・4・3 侵攻の口実捏造

ロシアが侵攻の口実作り

 米国防総省報道官が、ウクライナ侵攻の口実を作るための動きをロシア側が始めたことを示す情報を持っていると、ロシア軍がウクライナ侵攻に向けた準備ともとれる工作活動を始めたと明らかにした。
 具体的にはウクライナ領内に住むロシア系住民に対する攻撃やロシアの権益に対する攻撃があるかのように見せかける偽装工作をおこなう工作員が展開したとしている。
 また、ウクライナ側がロシアを挑発しているとする偽情報をSNSや国営メディアで流すキャンペーンも始められているとしている。
 一方、ウクライナ国内で発生しているサイバ攻撃については、ロシアによる工作活動か特定できていないとする一方、ロシアが過去に取った手口と同じだとしている。 (2202-011504)

 ロシア通信がロシアのチジョフEU大使が2月15日、親露派が支配する東部ドンバス地方などでロシア市民が殺害されれば対応すると述べたと報じた。 (2203-021513)

偽動画の捏造

 米国務省報道官が2月3日、ロシアがウクライナ侵攻の口実として、ウクライナ軍や情報機関による攻撃をでっちあげる複数の計画を策定しているとの情報を入手したと発表した。
 米政府高官によると、軍事侵攻を正当付ける動画を捏造し公開することだという。
 これに先立ちNew York Times紙も、ロシアの領土もしくはウクライナ東部の親ロシア派が実効支配する地域に対しウクライナ軍が攻撃を仕掛ける映像をロシアが捏造する可能性があると報じている。
 Washington Post紙は、米国の情報機関はこうした計画に関する情報の機密を解除し、3日中にも公表する可能性があるとしている。 (2203-020402)

ウクライナ政府軍が親露派を攻撃したとの偽情報

 ウクライナ政府軍の報道官がロイタの電話取材に対し2月17日、われわれは禁止されている武器による攻撃を受けたが反撃していないと述べ、政府軍から攻撃を受けたとする東部親露勢力の主張を否定した。 (2203-021715)

 ウクライナ情勢をめぐりロシアが見せた緊張緩和への動きについて、米政府は虚偽と警戒を呼びかけている。
 2月16日に会見した米政府高官は、ロシアは西側諸国を加害者にでっち上げる偽情報により、攻撃の口実を捏造するのがロシアの定石だと分析し、その兆候はすでにあるという。
 プーチン大統領は15日に、「現在、ドンバス(ドネツク州とルガンスク州)で起きているのは集団殺害だ」と語った。
 ウクライナ東部のドンバスで続く紛争では多数の犠牲者が出ているが、米国務省のプライス報道官は「集団殺害の主張には何の根拠もない」と否定した。
 ロシアはクリミア半島を併合した際も、現地に住むロシア系住民への迫害を口実にした。
 米政府によればロシア側の偽情報はこの数日で増えていて、欧米がゲリラを送り込んで地元住民を殺害しているとか、米国とウクライナが生物・化学兵器を開発しているといった偽情報が出ていると指摘し、特にロシア国営系メディアの報道には懐疑的になるよう呼びかける。 (2203-021719)

 ロシアの支援を受けた分離独立派と政府軍との紛争が続くウクライナ東部で2月17日に激しい砲撃があり、幼稚園などが被害を受けた。
 政府と分離独立派はいずれも、戦闘激化の責任は相手側にあると非難し、ロシアがウクライナに侵攻する可能性をめぐる懸念が高まっている。
 ウクライナ軍の発表によると、分離独立派は17日に34回にわたり停戦に違反し、うち28回では重火器を使用したため、兵士2名と民間人5人が負傷した。
 一方でロシア通信社はルガンスク州の分離派当局の話として、前線での戦況悪化の責任はウクライナ政府にあると報道している。
 ロシア大統領府報道官は、「非常に深い懸念」を表明した。 (2203-021803)

 ロシアが支援する親露派武装勢力とウクライナ軍の紛争が続くウクライナ東部のドネツク、ルガンスク両州で2月17日、銃撃や砲撃などの停戦違反行為が相次いだ。
 親露派、ウクライナ軍共に相手からの挑発行為があったと主張し、非難の応酬が続いている。
 ウクライナ軍によると、東部の停戦ライン周辺では現地時間の17日夕の時点で、親露派武装勢力からの停戦違反行為が少なくとも39件確認され、このうち30件で迫撃砲などの重火器が使用されたという。 付近の幼稚園などが被害を受け、兵士2人のほか、民間人5人が負傷したとしている。
 一方Tass通信によると、親露派側はウクライナ軍による周辺集落への銃撃や砲撃が、17日朝の2時間だけで約160回あったと発表し、民間人を守るために反撃を余儀なくされたと主張した。
 紛争地域での緊張は、ウクライナ国境付近に集結するロシア軍が介入する口実となりかねず、国際社会から懸念が出ている。 (2203-021804)

破壊工作を自演する偽旗作戦

 ロイタ通信が2月17日、ウクライナ政府がロシアメディアのウクライナ軍が17日04:30頃にルガンスク地域に迫撃砲と手榴弾で4回にわたり攻撃を行ったという報道を否定したと報じた。
 ウクライナ軍による攻撃の報道はロシアのメディアが初めて報じたことから、一部ではロシアがウクライナを攻撃する口実を作るために行った自作自演かもしれないとの分析が出ている。 (2203-021716)

 バイデン米大統領が2月17日にホワイトハウスで記者団に対し、われわれが持つすべての情報が、ロシアがウクライナ侵攻の準備を進めていることを示していると述べ、数日以内にもロシア軍の侵攻が行われるとの見方を示した。
 また、ロシアが開戦の口実を得るために、親露派への破壊工作を自演する偽旗作戦を実行していると警戒感を示した。 (2203-021806)

 ウクライナ国防省情報総局が2月18日、東部の親露派支配地域にある複数のインフラ施設をロシア側が爆破するという情報があると発表した。
 情報当局は、ウクライナ政府がテロ攻撃を行ったとして非難するための口実をつくろうとしていると指摘している。 (2203-021907)

 ウクライナと米国の当局者が2月19日までに、ロシアの支援を受ける分離派実効支配地域のドネツク市で起きた車両爆発について、ウクライナ東部の緊張をあおることを目的とした自作自演の攻撃との見方を示した。
 現場は分離派の自称ドネツク人民共和国 (DPR) の本部に近い地域で、ドネツク市からの映像には駐車場での火災の様子や大きく損傷した軍用車が映っている。
 一連の画像や動画に映る損傷した車両についてCNNは、ロシア製RV車と特定したが、損傷や火災の原因について確認する手段はない。 (2203-021910)

「政府軍の攻撃に備え住民をロシア領内に収容」芝居

 ロシア通信 (RIA) が2月18日、ロシア大統領府報道官が「プーチン大統領が非常事態相に直ちにロストフ地域に赴き、避難してくる住民のための宿泊施設、食事、医療体制など、必要なものを全てを整えるよう命じた」と述べたと報じた。
 親露派指導者はドネツク人民共和国から70万人をロシアに退避させることを計画していると発表した。
 InterFaxはドネツク人民共和国の議会関係筋の話として、数十万人の住民がドネツクからロシアのロストフに避難すると報じた。 (2203-021811)

 ウクライナ東部ドネツク州でドネツク人民共和国の樹立を宣言した親露派勢力の指導者プシーリン氏がメッセージアプリのテレグラムに投稿した動画で、ウクライナのゼレンスキー大統領が近く軍に対し、親露派支配地域への攻撃を命令するとの見解を示し、女性と子ども、高齢者からロシアへの大規模な避難を2月18日に開始すると発表した。
 ドネツク州に隣接するロシア南部ロストフ州とロシア当局は受け入れ準備ができており、宿泊先が用意されているという。
 同じく東部ルガンスク州で親露派が樹立を宣言したルガンスク人民共和国の指導者、パセクニク氏も、民間人の犠牲を防ぐためとして、住民にロシアへの避難を勧告し、武器を持てる男性全員に対し、自分たちの土地を守るために立ち上がるよう呼び掛けた。 (2203-021902)

1・1・4・4 情報機関が傭兵利用

 西側治安当局の高官3人がロイタに、ロシア情報機関と繋がりのあるロシアの傭兵がここ数週間にウクライナで動きを活発化させており、一部のNATO加盟国の間ではロシアが侵攻の口実を作ろうとするのではないかという懸念が強まっていることを明らかにした。
 米国は2月13日、ロシアが侵攻を正当化するため偽旗作戦(敵になりすまして行われる作戦)を展開する恐れがあると改めて警告している。
 西側関係筋の1人は「ロシアの傭兵がロシア政府の指示の下、ウクライナでの敵対行為に関与する可能性が高く、侵攻の口実を作る可能性もある」と語った。
 関係筋らによると、傭兵は旧ソ連国家保安委員会 (KGB) の後継機関であるロシア連邦保安庁 (FSB) やロシア軍参謀本部情報総局 (GRU) と密接な繋がりを持つロシアの民間軍事企業から派遣されている。
 ここ数週間に派遣された傭兵には、元GRU関係者で民間軍事会社Wagnerで働いたこともある人物が含まれており、この人物は親露分離独立派が2014年から実効支配しているウクライナ東部ドネツクに向かったという。 ロイタはこの人物がどのような任務を課されたか確認できていない。 (2203-021512)
1・1・4・5 親露派勢力からの派遣要請

 ウクライナ東部のドネツクの親露派勢力のドネツク人民共和国を率いるプシリン氏が2月7日に、本格的な戦争が今にも勃発する恐れがあるとし、戦争が始まればロシアに支援を要請する必要が出てくると述べた。
 これとは別にドネツク人民共和国の元政治指導者で現在は軍事部門を統括するホダコフスキー氏は、ロシアに対しドネツクに30,000名を派遣するよう呼び掛けた。
 ホダコフスキー氏によると、ドネツクの親露派は30,000名を擁しているが、前線で戦う準備ができているのは10,000名で、前線で銃を持つ少なくとも40,000名が必要だとし、ロシアに対し30,000名の派兵の要請を明らかにした。 (2203-020804)
1・1・4・6 傀儡政権樹立工作

「2・6・1・1・3 傀儡政権の擁立」で記述
1・1・5 反対世論の高まり

1・1・5・1 国内世論工作

 モスクワで国営TVでは、重装備のNATO軍部隊がウクライナ国境に向かって進軍し偵察機が上空を飛び、戦車、鉄条網、狙いを定める狙撃手の映像が報じられている。
 ロシア国営TVに映し出される地図にはNATO軍に囲まれたベラルーシが示されている。
 これは西側メディアの報道で見られる三方をロシア軍に囲まれたウクライナの地図にそっくりである。 (2202-012608)

 ロシアでは国営メディアが、ウクライナ軍からの砲撃を受けたなどとする親露派の主張を流すなど、現地の危機的な状況を伝える報道が続いている。
 また、すでに破壊工作が行われている可能性もあるとして、車が炎上する様子も伝えている。
 ロシア国営TVでは、子どもや女性、高齢者が荷物を抱えてバスに乗り込み、夜中にロシア南部ロストフ州に到着する様子や、被害を受けた住宅などの映像が流されている。 (2203-021915)

1・1・5・2 反対運動の弾圧

2月28日 各地で5,942人を拘束

 ロシアの人権団体OVD Infoが27日、ロシア政府がウクライナ侵攻以降、反戦の抗議に参加したとしてロシア当局が同国各地で5,942人を拘束したと報告した。
 最新データによると、27日には57都市で2,802人が無許可のデモに参加したとして拘束され、モスクワだけで1,275人に上ったという。
 28日はこれまでのところ、抗議が起きている様子はないという。 (2203-0228302204-030101)

3月 8日 累計の拘束者数13,500人超え

 ロシアの独立系人権団体によると、ロシアのウクライナ侵攻に抗議するデモが3月6日にロシア全土で展開され、治安当局による拘束者数はモスクワなど74都市で5,180人にのぼり、2月24日の侵攻開始以降、累計の拘束者数は13,500人を超えた。 (2204-030802)

1・1・5・3 ロシア将校協会の離反

 日本では全く報道されていないが、ロシアで1月31日に全ロシア将校協会のHPに「ウクライナ侵攻をやめること」と「プーチン辞任」を要求する公開書簡が掲載された。
 この公開書簡は、イヴァショフ退役上級大将が書いたものだが、彼は「個人的見解ではなく、全ロシア将校協会の総意だ」としている。
 国営TVの番組にもしばしば登場し著名で影響力のあるイヴァショフ氏は元々かなり保守的でこれまでプーチン政権を支持してきたは、プーチン大統領が強調している外からの脅威を否定しないが、核兵器は安全に管理されており、NATO軍は増強や脅迫的な活動をしておらず、ロシアの生存を脅かすほどではないとしている。
 プーチン大統領がウクライナをNATOに加盟させない保証を要求している件について、ウクライナは独立国で国連加盟国である以上、国連憲章51条によって集団的自衛権を有しておりNATOに加盟する権利があるのだと主張をしている。 (2203-021604)
1・1・5・4 プーチン大統領の精神状態

米政府高官が大統領の精神状態に関する情報収集を指示

 CNN TVが1日、米政府高官が情報機関に対し、プーチン大統領の精神状態に関する情報収集を指示したと報じた。
 サキ米大統領報道官も2月27日にABC TVに出演し、最近のプーチン大統領の言行を深く懸念していると語った。 (2204-030213)

1・1・6 露軍の偽計

1・1・6・1 露軍部隊が帰還と発表

露国防省が演習終了、部隊帰還を発表

 ロシア国防省が2月15日、ウクライナとの国境付近での軍事演習を終えた軍の一部部隊が基地に帰還しつつあると明らかにした。
 ロシア国防省の報道官は、オンラインで公開された動画で国内各地で大規模な演習は続いているが、南部と西部管区の一部部隊は訓練を終え、基地に向かっていると述べた。
 国防省提供の動画には、戦車などの装甲車両が貨車に積み込まれる様子が映っている。
 これについてウクライナのクレバ外相は、ロシア軍の撤収を目で確認するまで緊張緩和を確信しないと述べた。 (2203-021514)
【註】InterFax通信は、ロシア軍南部軍管区が2021年12月25日にウクライナ国境周辺を含む部隊10,000名以上を撤収させると発表したと報じていた。

1・1・6・2 西側が懐疑

英首相が懐疑的な見解

 ジョンソン英首相が2月15日、ロシア軍の一部がウクライナ国境付近から撤収を開始したと報じられたことに関し、「われわれの機密情報は依然として勇気づけられるものではなかった」と述べ、緊張緩和に懐疑的な見解を示した。 (2203-021518)

米、NATO が、露国防省の発表は虚偽

 ウクライナ国境近くでロシア軍の動きが活発化しているとの情報が相次いで報じられている。 その様子は衛星写真で捉えられ侵攻への警戒が強まっている。
 米CBS Newsは米当局者の話として2月14日、ロシア軍の一部の部隊が集結した地点から離れて攻撃態勢に向けて動き出したと報じた。
 列になって移動する様子が衛星写真で確認された。 長距離砲やロケット砲などの装備を発射位置に移動させているという。
 AP通信も国防当局者の話として、少数の地上部隊が数日前からウクライナ国境に向けて移動を開始したと報じた。 (2203-021605)

 ブリンケン米国務長官が2月16日にMSNBCとのインタビューで、「ロシア軍のいかなる撤収も確認できておらず、主要な部隊はウクライナとの国境から遠ざかるのではなく、むしろ近づいている」と述べ、ロシアの言行は一致していないとの考えを示した。 NATOも同様の見解を示している。
 ロシア国防省は15日にウクライナとの国境付近での軍事演習を終えた軍の一部部隊が基地に帰還しつつあると明らかにしたが、ウクライナのクレバ外相は、ロシア軍の撤収を目で確認するまで緊張緩和を確信しないと述べていた。 (2203-021701)

 ロシア国防省が2月16日、実効支配するウクライナ南部クリミア半島で軍事演習を行っていた部隊が撤収する様子だとする映像を公開した。
 国防省は前日、ロシア軍の部隊の一部がウクライナとの国境周辺から撤収を開始したと発表しているが、欧米諸国からは「撤収は確認できていない」などと懐疑的な見方が出ている。 (2203-021702)

 エストニアの対外情報機関トップが2月16日、ロシアは引き続きウクライナとの国境に部隊を移動させており、ウクライナに対して限定的な攻撃作戦を実施する可能性が高いと述べた。
 ロシアによる攻撃にはミサイル発射やウクライナ国内の重要地域の占拠が含まれると指摘している。
 一方、ウクライナの国境警備隊は16日、ベラルーシとの国境における状況が激化しているため、警備隊を増員したと発表した。 (2203-021707)

1・1・6・3 部隊の増強を継続

撤収は確認できずむしろ部隊の増強を継続

 米政府とNATOが2月16日、ウクライナ国境付近から部隊を一部撤収したとのロシアの主張について、撤収は確認できずむしろ部隊の増強を継続していると批判した。
 ロシア国防省は15日にウクライナ国境付近での演習を終えた部隊を一部撤収していると表明し、16日には軍用車両がクリミア半島から離れている様子を撮影したとする映像を公開したが、ブリンケン米国務長官はMSNBCとのインタビューで、「いかなる撤収も確認できていないし、主要な部隊はウクライナとの国境から遠ざかるのではなく、むしろ近づいていると述べ、ロシアの言行は一致していないと批判した。 (2203-021708)

 英国の国防情報当局トップが声明で、ロシアの部隊がウクライナとの国境から撤収したことを示す証拠はなく、ロシアはウクライナとの国境で軍事力の増強を続けており、部隊を縮小するという同国の主張と矛盾していると指摘した。
 装甲車やヘリコプター、野戦病院がウクライナとの国境に向けて移動しているのが目撃されており、ロシアはウクライナに侵攻するための軍事力を配備していると述べた。 (2203-021710)

 米当局が2月16日夕にウクライナ国境からの部隊撤収を進めているとするロシアの主張にもかかわらず、国境沿いに集結する露軍はここ数日で7,000名増えたとの見方を示した。
 新たな推計を基にすると、ロシア軍はバイデン米大統領がテレビ演説で言及した150,000を超えることになる。
 米政府高官の1人は、こうした兵員数の増加を踏まえるとロシアの撤収の主張は虚偽になると指摘した。
 この高官は「我々の持つあらゆる情報から、ロシアは表向き対話姿勢を打ち出して緊張緩和を主張しているに過ぎず、その裏では戦争に向けた動員を進めていることがうかがえる」としている。 欧米の指導者は当初からロシアの撤収の主張を懐疑的に受け止めていた。 (2203-021712)

 ウクライナ国境地帯でロシアの軍事活動が活発に行われている。
 CNNが2月17日、15日の商業用衛星写真を分析した結果、ウクライナ国境から6.4kmの距離にあるベラルーシのプリピヤト川でロシアの浮橋が発見されたと報じた。
 米国海外政策研究所は今月初めにベラルーシに移動したロシア陸軍工兵が浮橋を設置したと分析した。
 CNNは匿名の米国当局者を引用し、ロシアが浮橋だけでなく道路、さらには最前線の野戦病院まで建設していると報じている。
 一方、ウクライナ国防省は17日にアゾフ海付近の領空を国籍不明機が侵犯した発表した。 ウクライナ側は2014年のクリミア事態以来の領空侵犯だと明らかにした。 (2203-021713)

 オースティン米国防長官が2月17日にNATO本部で、ロシア軍が部隊をウクライナ国境近くに移動させ、輸血用血液を備蓄しているほか、周辺を飛行する戦闘機も増えているとし、軍を撤収させているというロシア側の主張に否定的な見方を示した。
 ウクライナ東部の親露派勢力がウクライナ政府軍から砲撃を受けたと非難していることについては懸念を示し、情報を収集中としつつもロシアが軍事紛争を正当化するためにこうした行動を取る可能性はあるという認識を改めて表明した上で、米国とNATO同盟国は警戒を続けると言明した。 (2203-021722)

15万の国境周辺兵力を17~19万に増強

 ロイタ通信が全欧安保協力機構 (OSCE) のカーペンター米大使の発言として2月18日、ウクライナ国境周辺にロシアが169,000~190,000の部隊を配置している可能性を報じた。
 バイデン米大統領は15日の演説で15万以上と述べていたが、さらに増員した可能性もある。
 1月31日の時点では、国連安全保障理事会で米国のグリーンフィールド国連大使が「10万人超」と指摘していた。 (2203-021810)

ヘリコプタ部隊の大幅増強

 Maxar社の新たな衛星画像から、ウクライナ国境付近に展開するロシアのヘリコプタ部隊が大幅に増加していることが明らかになった。
 Maxarの分析によると、ウクライナ国境から16kmのミレロボ飛行場には新たなヘリ部隊や、戦車や装甲兵員輸送車などで構成される戦闘群が配置された。
 ミレロボはルガンスク人民共和国を自称する親露分離勢力の支配地域の近くに位置する。
 そのやや北方でウクライナ国境の東27kmのバルイキ付近にもヘリ20機以上を擁するヘリコプタ部隊が配置されている。
 また以前の画像と同様にウクライナ国境の東35kmのベルゴロド付近には依然として20機近いヘリが配備されたままである。
 CNNが確認したSNS上の動画には、バルイキ、ベルゴロド付近の両飛行場に攻撃ヘリが展開した様子が映っている。 (2203-021914)

通常戦力の75%をウクライナ周辺に集結

 CNN TVが米当局者の話として2月20日、ロシア軍が通常戦力の75%近くがウクライナ周辺に集結していると報じた。
 報道によると、防空大隊35個がウクライナ周辺に展開しているとされ、米側は戦闘機500機、戦略爆撃機50機などが配備されていると推計している。
 米高官はこれまでに、集結したロシア軍部隊の規模を最大190,000名と見積もっている。
 対ウクライナ国境まで60km圏内に120個大隊戦術群が展開しており、ロシア軍が侵攻準備を整えたとする米国の見方を一部裏付けているという。 (2203-022101)

1・1・6・4 攻撃発起位置への展開

「ロシア軍司令官にウクライナ侵攻命令」の情報

 Washington Postが当局者2人と、情報当局の事情に詳しい人物1人の話として、米当局がロシア軍にウクライナ侵攻の命令が出されたとの情報を把握していると報じた。
 ロシア軍の戦術司令官と情報工作員に向けた命令とされる。
 米国はロシアの侵攻準備が最終段階に入ったかどうかを見極めるため、このような命令に注目してきた。
 一部の情報筋によると、侵攻の兆候としてはほかに電波妨害や広範に及ぶサイバー攻撃も考えられるが、これらは今のところ確認されていない。
 同情報筋は、侵攻命令が撤回される可能性や、米国や同盟諸国のかく乱を狙った偽情報である可能性も指摘した。
 別の米当局者によると、米国は先週の時点で侵攻命令の情報を入手していた。 最近のバイデン大統領やブリンケン国務長官の発言は、この情報に基づいているという。 (2203-022104)

前方展開

 ベラルーシ国防省が、2月20日に終了する予定だった同国でのロシア軍との合同演習を延長すると発表した。
 一方、米衛星運用企業Maxar社の衛星画像分析によると、複数のロシア軍部隊がウクライナ国境沿いの森林や農地、工業地帯に新たに配置された。 一部は国境からわずか15kmの地点に配置されているという。
 同社は、最近まで部隊は主に既存の駐屯地や演習地の中あるいは付近に配置され、ウクライナ情勢をめぐる緊張は一段と高まったと指摘した。 (2203-022102)

 米民間企業Maxar社が2月20日、以前から確認された戦車や装甲兵員輸送車、支援機材などの戦闘部隊の展開に、ここ1週間で異なる新たな動きが見られたと発表した。
 同社の担当者は、戦闘準備態勢の強化を示唆していると分析した。
 同社によると、13日に撮影された衛星画像では、国境に近いソロチの駐屯地周辺に戦闘部隊の大規模な展開が観測されていたが、20日撮影の画像ではほとんどの戦闘部隊や支援機材が出発し、一部の機材がウクライナとの国境から北方15kmのバルイキの東方に移動したほか、別の都市ベルゴロドの北西でも新たな展開が見られたという。 (2203-022105)

 2月20日に撮影された衛星画像をもとにCNNが、複数の新たなロシア軍部隊が、ウクライナ北東部との国境から35kmほどのロシア西部ベルゴルド州に配置されたと報じた。
 部隊の一部は国境から15kmしか離れていない場所にも展開しているという。
 撮影したMaxar社は、今までの部隊配置は既存の駐屯地の中や周
辺などだったと、ロシアの部隊配置の傾向に変化が見られると指摘している。 (2203-022107)

1・1・7 プーチン大統領の暴走

1・1・7・1 プーチン政権による粛正

 ロシアの独立系メディアが3月11日、情報治安機関の露連邦保安庁 (FSB) の対外諜報部門のトップらが自宅軟禁に置かれた可能性があると報じた。
 これはロシアの情報機関の取材を長年続けるロシア人記者が11日にSNSで報じ、ラトビアに拠点を置く独立系ニュースサイト「メドゥーザ」などが詳しい内容を伝えている。
 報道によると、自宅軟禁処分となったとみられるのはFSBで旧ソ連諸国を中心とした対外諜報活動を担当しているの第5局と呼ばれる部署の局長らで、容疑は資金の着服のほか、ウクライナの政治状況に関する誤った情報を報告したことが挙げられているという。
 この情報を報じた記者はメドゥーザに対し、第5局は指導者を怒らせるのを恐れてプーチン大統領が聞きたいことだけを報告していたと指摘している。
 ウクライナ政府は9日にロシア軍将官8名前後がすでに解任されたとの見方も示している。 (2204-031212)
1・1・7・2 対外強硬姿勢

国交断絶を示唆

 ロシア外務省が3月21日、サリバン駐露米大使を召喚し、バイデン大統領が先週プーチン大統領を「戦争犯罪人」と述べたことを受け、米露関係は崩壊の危機に瀕していると警告した。
 さらに、このようなロシアへの敵対的な行動に対し、「決定的かつ確固たる措置」に直面するとも警告した。 (2204-032201)

1・2 ウクライナ軍の動き

1・2・1 国境防衛

1・2・1・1 ウクライナ軍の能力

兵力増強計画

 ウクライナのゼレンスキー大統領が1日、、向こう3年間で兵力を100,000名増員する法令に署名した。
 ジョンソン英首相は、プーチン露大統領がウクライナを併合しようとする動きに続き、ジョージアやモルドバにも影響を拡大しようとするかもしれないと指摘した。 (2203-020204)

防空能力

 ウクライナ国防省が2021年12月13日、ロシア軍が国境に迫るなか、ウクライナ空軍が防空能力を強化するためインフラの整備に力を入れていると発表した。
 ウクライナ空軍はソ連時代に入手した以下のSAMを装備している。

9K35 Strela-10 × 150

9K33 Osas × 120

9K37 Buk 数不明

9A330 Tor × 24

 このほかにS-300も保有しているが定期整備や修理が行われていないため稼働するのは40%で、しかも発射機34基は2014年にクリミアに残置してきた。
 大量に装備していたS-125は2005~2006年に一旦除籍されたが、2020年にLviv修理施設で修復し復役している。 (2203-122207)
1・2・1・2 ロシアの侵攻予測

 ウクライナのゼレンスキー大統領が1月21日、ロシアがウクライナに侵攻すれば東部の都市ハリコフを占領する可能性があり、これをきっかけに「大規模な戦争」が勃発する恐れがあるとの考えを示した。
 ゼレンスキー大統領はWashington Post紙に対し、ロシアが一段のエスカレーションに動けば、伝統的にロシアとのつながりのある人々が暮らしている地域に対する行動を起こすとの見方を示し、ハリコフはウクライナ政府の統治下にあるが、ロシアはロシア語を話す住民の保護を口実に占領する可能性があると述べた。
 ハリコフはロシアとの国境から42kmにあるウクライナ第2の都市で、ソ連時代の1919年から1933年までウクライナの首都だった。 人口は140万人で、戦車やトラクター、電子機器などの製造業が集積している。 (2202-012201)
1・2・1・3 ウクライナ軍の作戦

ロシアの三正面作戦を警戒

 米政権がウクライナ侵攻への警戒をさらに高める切っ掛けとなったのは、共同軍事演習同盟の決意を実施するとして1月18日ごろにロシアがベラルーシに部隊を送ったことが大きい。
 ウクライナの首都キエフとベラルーシ国境の距離はわずか100km程度しかなく、このルートではウクライナを縦断するドニエプル川を渡る必要がない。
 ウクライナ侵攻は天候にも左右される。 バイデン米大統領は19日の記者会見で「地面が凍るまでプーチン大統領は少し待たなければいけない」と話した。 (2202-012507)

対機甲戦に弱点

 2014年以来7年間にわたり抗争を繰り返してきたウクライナとロシアは、共に似た戦術教義と装備を持つが、ロシア軍はウクライナ軍の5倍の兵力を持ち、旧式装備のウクライナ軍と比べて装備の近代化が進んでいる。
 ウクライナ軍は長年の実戦経験を積んでいるいるだけ有利であるが、ただ弱点はロシアの機甲戦力との戦いである。
 ウクライナ軍はロシアが支援してきた非正規軍との戦いで火力戦闘、電子戦、サイバ戦などの経験は豊富だが対機甲戦の経験は乏しい。
 ロシアは冷戦時代に机上では世界最強の機甲軍団を有していたが、ロシアの戦車は前部装甲は強固なものの上部からの攻撃に弱い。
 西側諸国はこの弱点に乗じて各種対戦車装備を開発し装備してきた。 (2202-012719)

1・2・1・4 大規模演習

1月13日: 東部国境付近で機甲科部隊による演習

 ウクライナ軍が1月13日、ロシア軍の大部隊が展開するウクライナ東部国境付近で、機甲科部隊による演習を実施した。 (2202-011705)

1・2・1・5 NATO 加盟促進政策に揺れ

 ウクライナのプリスタイコ駐英大使がBBCに2月14日、NATO加盟という目標に対してウクライナは柔軟に対応する用意があるとの見解を示し、NATO加盟に関する立場を変える可能性があるかとの質問に対しあり得るとし、このように脅かされ圧力を受けている状況ではなおさらだと語った。
 この発言を受けウクライナ大統領報道官は、NATOおよびEU加盟を目指す方針は憲法に明記されており、絶対的な優先事項だと述べた。
 プリスタイコ大使はBBCに対し先の報道は誤解と指摘したうえで、わが国は現在NATO加盟国ではなく、戦争回避のため多くの譲歩をする用意があり、ロシア側と話し合っているが、憲法に明記されているNATO加盟目標は別問題だと説明した。 (2203-021404)

 ウクライナのゼレンスキー大統領が3月15日、英国主導合同遠征軍首脳に向けたビデオ演説の中で、ウクライナがNATOに即座に加盟できるとは考えていないとの見方を示した。
 今回のゼレンスキー氏の発言は、これまでNATOへの早期加盟を求めていたウクライナが、その立ち位置から離れたことを示す。 (2204-031609)

1・2・2 親露派との戦闘

1・2・2・1 親露派勢力

親露派を支援するためロシア軍

 ウクライナ軍情報筋によると、同国東部を実効支配している親露派が1月14日にロシア軍監督の下で実弾演習を行ったという。
 ウクライナと西側は、親露派を支援するためロシアはウクライナ東南部の工業地帯ドンバス地方に大部隊を展開していると指摘しているが、ロシアはこれを否定している。 (2202-011705)
総動員令の発令、予備役の招集

 ウクライナ東部のドネツク人民共和国の指導者プシーリン氏と、ルガンスク人民共和国の指導者パセクニク氏が2月19日、国内での紛争への懸念の高まりを受け、総動員令を発令し予備役を招集したと発表した。
 欧州安保協力機構 (OSCE) の監視団は、ウクライナ東部で政府軍と親露派の戦闘が大幅に激化していると報告している。
 プシーリン氏は、ウクライナ政府軍による攻撃を防いでいるが、なおも攻撃が続いていると主張しているが、ウクライナ政府はロシアに併合されたクリミア半島を含め、親露派支配地域を武力で奪還する計画はないと繰り返し主張している。 (2203-021912)

親露派地域で砲撃応酬か

 Tass通信によると、親露派武装勢力のドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国が2月20日、ウクライナ軍の砲撃が複数の集落に着弾し、民間人2人が殺害されたと主張した。
 またロシアは同日、親露派支配地域から避難住民4万人以上が露南部ロストフ州に到着したと発表し、露治安機関の連邦保安局 (FSB) は19日にウクライナ軍の砲弾2発がロストフ州に着弾したと主張した。
(2203-022013)

ロシアがウクライナ東部への介入強化

 ウクライナ東部で続く同国政府軍と親露派武装集団との紛争を巡り、プーチン露政権がロシア系住民の保護を口実に介入とみられる動きを強め、親露派の支配地域に軍事介入する懸念が一層強まってきた。
 重大犯罪捜査を担当する露連邦捜査委員会は2月19日、親露派が実効支配するドネツク州で18日に起きた車両爆発について、殺人未遂の疑いで捜査を開始したと発表した。
 今もウクライナに属する同州で捜査を行う法的根拠は示していない。 (2203-022014)

1・2・2・2 政 府 軍

 ウクライナ政府軍が2月19日、東部での親露派武装勢力との戦闘で兵士1名が死亡したと明らかにした。 (2203-021913)

 ウクライナが2月19日、親露派の砲撃で兵士2名人が死亡し、4名が負傷したと発表した。
 ウクライナ軍高官は声明で親露派への攻撃を否定し、「親露派と露諜報機関がロシアを軍事介入させるために情報工作をしている」と述べた。 (2203-022013)

1・2・2・3 停戦合意違反

 ウクライナ政府軍の東部作戦司令部は、同日07:00(日本時間同日13:00)までに66回の交戦を確認したとしている。
 ウクライナ政府軍によれば、親露派は東部ドネツク州とルガンスク州の前線で、ミンスク合意で禁止されている82mmと120mm迫撃砲を使用した。
 欧州安保協力機構 (OSCE) は18日、ウクライナ東部で停戦合意違反が870件発生したと報告している。 (2203-021913)
1・2・3 首都名の表記の変更

ロシア語由来のキエフ (Kiev) からウクライナ語のキーウ (Kyiv) に変更

 ロシアのウクライナ侵攻を受け欧米メディアの間では、ウクライナ首都名の表記をロシア語由来のキエフ (Kiev) からウクライナ語のキーウ (Kyiv) に変更する動きが広まっている。
 英BBCに続き、今週には仏日刊紙Liberationも表記変更を発表した。 2月28日には、デンマークの日刊紙Jyllands-Postenも表記変更を発表した。
 AFPは2022年初め、英語では各国メディアや国連の標準表記に沿って「キーウ」を採用した一方で、フランス語では大半のメディアと国連の慣習に合わせ「キエフ」表記を維持することを決めている。 (2204-030328)

1・3 西側諸国の支援

1・3・1 米 国

1・3・1・1 ウクライナ支援

武器の供与

 米バイデン政権がウクライナに対し、ロシアによる占領に抵抗できるようにより多くの武器供与を含めた新たな選択肢について検討している。
 米当局幹部によれば、その中にはウクライナ軍に対する追加の弾薬や迫撃砲、ATGM、SAMの提供の可能性も含まれており、SAMはNATOから提供される可能性が高い。 (2202-011909)

バルト三国から Javelin ATGM と Stinger MANPADS を移転

 複数の関係筋によると、米国務省がバルト三国に対し米国製のミサイルなどをウクライナに移動することを許可した。
 米国務省報道官も、エストニア、ラトビア、リトアニア、英国に対し、米国製の装備をウクライナに移すことを認めたと明らかにした。
 米国から購入した武器を第三国に移す場合、輸出管理規制により米国務省の承認が必要となる。
 関係筋によると、今回の承認によりエストニアはJavelin ATGMを、リトアニアはStinger MANPADSをウクライナに移すことが可能になる。 (2202-012009)

供与武器の搬入

 ウクライナのレズニコフ国防相が1月23日、米国からの武器供与の第2陣を受領したことを明らかにした。 レズニコフ国防相はツイッターへで、友好国の米国からウクライナの防衛力を強化するための80t以上の武器類が首都キエフに届いたと述べた。
 武器供与の第1陣は21日にウクライナに到着していた。 キエフ駐在米大使館が21日夜に明らかにしたところによれば、ウクライナ防衛の前線で利用するための弾薬など90tが届けられていた。 (2202-012406)

1・3・1・2 対露制裁

ロシアの世界電子機器供給へのアクセス阻止

 米大統領府が、ロシアによるウクライナ侵攻が起きた場合、新たな対ロシア輸出規制に備えるよう米半導体業界に伝えたと、関係筋が明らかにした。
 規制にはロシアの世界電子機器供給へのアクセス阻止が含まれる可能性があるという。
 関係筋によると、米国家安全保障会議 (NSC) 高官らが1月14日に半導体産業協会の幹部と行った電話会合で、ウクライナ情勢について「異例の状況で、第2次世界大戦以来の最悪の侵攻になる恐れがあるという認識を伝えた」とし、「政権があらゆる選択肢を積極的に検討していることを示唆した」という。 (2202-012003)

「彼らの銀行はドルが使えなくなる」

 バイデン米大統領が1月19日にホワイトハウスで記者会見し、国境付近のロシア軍展開で緊張するウクライナ情勢について、ロシアが侵攻すれば大惨事になると述べ、改めて強力な経済制裁を警告した。
 ウクライナ情勢に関しては、私の見立てではロシアのプーチン大統領は侵攻するとも言及し、軍事侵攻した場合は「彼らの銀行はドルが使えなくなる」と語り、大規模な金融制裁で対抗する考えを表明した。 (2202-012004)

バイデン米大統領、Nordo Stream 2 の開通阻止を警告

 バイデン米大統領が2月7日に訪米したショルツ独首相と共同記者会見し、ロシアがウクライナに侵攻した場合にはNordo Stream 2計画は進まないと断言した。
 ショルツ首相も対露制裁で米国と足並みをそろえる姿勢を示した。
 これに先立つ会談で、両首脳は、国際秩序に対する中国の挑戦について協議した。 (2203-020806)

 バイデン米大統領が2月7日にショルツ独首相とホワイトハウスで共同記者会見に臨み、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻を命じた場合、ロシアとドイツを結ぶ海底ガスパイプラインNordo Stream 2の開通を阻止するとの立場を明らかにした。
 バイデン大統領は「われわれはこれに終止符を打つだろう」と発言し、「ロシアの侵攻後もNordo Stream 2が前進するということはあり得ない」と強調した。
 ドイツ政府はウクライナへの武器提供を拒否しているほか、ロシアがウクライナに侵攻した場合にNordo Stream 2を停止すると表明するまでには至っていないが、一方でベーアボック外相は7日にウクライナの首都キエフで、ドイツは供給停止で生じ得るいかなる影響にも耐えるだろうと表明し、ドイツは経済上の高い代償を払う用意があると述べた。 (2203-020808)

1・3・1・3 バイデン大統領の失言と波紋

「小規模な侵攻であれば代償も小規模」発言

 バイデン米大統領が1月19日、ロシアのウクライナ侵攻を予測した上で、本格的に軍事侵攻すれば大きな代償を払うことになると語った。
 同時に、小規模な侵攻であれば代償も小規模にとどまる可能性を示唆したことで、西側諸国の対応を巡り不確実性が高まった。
 ジョンソン英首相が20日、ロシアによるいかなるウクライナ侵攻も世界の大惨事になると警告し、英政府がウクライナの主権と保全を支持すると表明した。
 ジョンソン首相はバイデン大統領のコメントについて、「ロシアがウクライナに侵攻すれば、どのような規模であれウクライナだけでなくロシアにとっても、世界にとっても大惨事になる」という考えを示した。 (2202-012101)

NATO や関係国の反発

 バイデン米大統領が1月19日に、ロシアのウクライナ侵攻を予測した上で、本格的に軍事侵攻すれば大きな代償を払うことになると語ると同時に、小規模な侵攻であれば代償も小規模にとどまる可能性を示唆したことに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は20日小規模な侵攻などないと反発した。
 ゼレンスキー大統領、ささいな侵攻も小国も存在しないことを大国に再認識してもらいたいとし、愛する人を失うことによるささいな悲痛が存在しないのと同様だと言明した。 (2202-012103)

 バイデン米大統領がロシアによるウクライナ侵攻を巡り小規模な侵攻であれば代償も小規模にとどまる可能性を示唆したことを受け、ストルテンベルグNATO事務総長は1月20日、バイデン大統領の発言はロシアのウクライナ侵攻を認めるものではないと述べた。
 CNNのインタビューで、バイデン大統領の発言はロシアの侵攻を認めたことになるのかと問われ、「そんなことは全くない」と強調した。 (2202-012108)

バイデン大統領の弁解

 バイデン米大統領が1月20日、ロシアの軍部隊が国境を超えてウクライナに入れば「侵攻とみなすことをプーチン大統領に明確にする」と表明した。
 バイデン大統領は19日に、ロシアによるウクライナ侵攻が小規模であれば代償も小規模にとどまる可能性を示唆し、物議を醸していた。 (2202-012109)

ブリンケン長官の弁解

 ブリンケン米国務長官がCNNとのインタビューで1月23日、今後ロシア軍のたとえ1個部隊でも攻撃的な侵入がみられた場合、米欧は団結して素早く厳しい対応を取ると、改めて警告した。  先制的に制裁を科すことに消極的な米政権の立場について、制裁の目的は侵攻を抑止することで、現時点で科してしまえばその抑止効果を失うことになると説明した。  ロシアがウクライナ国境に兵力を集結させていることに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領らは米欧が即刻、制裁に踏み切るべきだと主張している。 (2202-012403)

1・3・1・4 ウクライナと認識にずれ

 バイデン米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が27日に電話で協議した。
 米国家安全保障会議報道官は、バイデン大統領がロシアが2月にウクライナに侵攻する確かな可能性があると警告した。
 一方、ゼレンスキー大統領は、緊張緩和に向けた最近の外交努力について話し合い、今後の共同行動で合意したと明らかにしたが、米ニュースサイトのアクシオスは、複数の匿名関係者の話として、ロシアによる侵攻の脅威がどれだけ迫っているかで、両大統領は意見が分かれたと報じた。 (2202-012811)

 ウクライナのゼレンスキー大統領が海外メディア向けの記者会見で1月28日、米政府やメディアのパニック的な対応が同国経済に重くのしかかっていると批判した。
 また、前日に実施したバイデン米大統領との電話会談で、ホワイトハウスが大規模な戦争が起こるリスクを過度に強調するのは誤りであることを伝えたことを明かした。
 大統領はメディアはまるでウクライナが戦争をしているというような印象を与えているが、そのようなことはなく、このようなパニックは必要ないと述べた。
 その上で、現状が以前よりも緊迫しているとは考えていないとしつつも、事態がエスカレートする可能性がないとは言えないと語った。 (2202-012902)

1・3・1・5 米大統領と露大統領が電話協議

 バイデン米大統領とプーチン露大統領が12日にウクライナ情勢をめぐり1時間にわたり電話で協議した。
 バイデン米大統領は、もしロシアが軍事侵攻をすれば同盟国とともに断固として対応し、迅速に厳しい代償を科すと伝えた。
 協議後に取材に応じた米政府高官は「過去数週間にわたり続いてきた構図に、基本的な変化はなかった」と述べ、事態は引き続き切迫しているとの認識を示した。
 ただ今後も高官レベルで関与を続けることには合意したという。 (2203-021303)
1・3・1・6 米大統領が「戦犯」と発言

 バイデン米大統領が3月16日、ホワイトハウスで開かれたイベント後に記者団に対し「プーチン大統領は戦争犯罪者だ」と述べた。
 Tass通信によると、ロシア大統領報道官はバイデン大統領の発言を「容認できず、許されないレトリックだ」と批判した。 (2204-031705)
1・3・2 NATO / EU

1・3・2・1 NATO 軍の派遣

NATO の派遣準備

 NATOが1月24日、東欧に臨時部隊を待機させ、艦隊や戦闘機を増派するとの声明を発表した。
 NATOによると、デンマークはバルト海にフリゲート艦を派遣し、リトアニアにF-16を配備する。
 スペインはNATOの海軍部隊に艦船を派遣し、ブルガリアへの戦闘機派遣も検討している。
 フランスはルーマニアに部隊派遣の用意があると表明し、オランダは4月からブルガリアにF-35 2機を派遣する。
 米国も東欧での増派を検討中という。 (2202-012501)

 NATOが1月24日、欧州東部への戦闘艦や戦闘機の配備を強化し、南東部にも追加部隊を派遣する姿勢を示した。
 ストルテンベルグNATO事務総長は、東部でのNATOのプレゼンス強化には戦闘部隊の追加配備も含まれるとし、NATO南東部への戦闘部隊の配備も検討していると述べた。
 NATOはこれまでのところ、エストニア、リトアニア、ラトビア、ポーランドに4,000名のほか、戦車などを配備している。
 米当局者によると、米国防総省はNATO東部に配備する部隊を特定するための作業を実施中で、当局者の一人は最大5,000名の部隊が派遣される可能性があるとしたほか、NATO外交筋は、米政府が欧州西部に配置している部隊の一部を向こう数週間で段階的に東部に移動させることを検討しているとの見方を示した。 (2202-012505)

NATO の足並みの乱れ

 事情に詳しい3人の米当局者が、米国と一部の同盟国はロシアによるウクライナ侵攻が起きる前に、東欧のNATO加盟国に数千名の部隊を増派する協議を行っていることを明らかにした。
 部隊の受け入れを検討している国はルーマニアやブルガリア、ハンガリーなどで、各国に1,000名が派遣される可能性があり、バルト諸国やポーランドに現在駐留中の前方戦闘部隊と同様のものになる。
 ただNATO諸国の脅威認識は一枚岩ではなく、たとえばドイツはウクライナへの新たな兵器売却を拒んでいる。
 このため、米国は2国間ベースで追加部隊を派遣するか、あるいは当局者の1人が語ったように有志連合として増派することを協議中だという。 (2202-012705)

NATO事務総長がウクライナに派兵しないと言明

 ストルテンベルグNATO事務総長が1月30日にイギリスのメディアに対し、ロシアがウクライナに軍事侵攻した場合もNATOの部隊を派遣する計画はないとの考えを示した。
 事務総長は、ウクライナはNATOの加盟国ではないためロシアが軍事侵攻したとしてもNATOの部隊をウクライナに派遣する計画はないと話した。
 そのうえで、NATOはウクライナに対し、兵器の提供などで支援をしていくとしている。 (2202-013103)

NATO軍事委員会議長がバルト三国やポーランドで部隊を増強し続けると警告

 NATO軍事委員会のバウアー議長が2月7日にウクライナ情勢についてリトアニアの首都ビリニュスで記者会見し、ロシア軍がベラルーシにとどまり続けるかどうかによると前置きしつつ、バルト三国やポーランドで部隊を増強し続けると警告した。 (2203-020801)

 NATOがスロバキア、ハンガリー、ブルガリアとルーマニアの4ヵ国への兵力増強を計画している。
 エストニア国防省は、現時点のベラルーシのロシア軍は15,000名と2倍に増強されるとみおり、状況が悪化した場合、NATOからの劇的な変化が必要になるだろうと指摘している。 (2203-020905)

東欧での長期的な体制

 ストルテンベルグNATO事務総長が2月7日、ロシアによるウクライナ国境沿いの軍増強を受けNATOは防衛強化に向け東欧での長期的な体制を検討していると明らかにした。
 事務総長は、NATO東部のプレゼンスについてまだ何も最終決定していないが、NATO内で一段と長期的な調整を検討していると述べた。 NATOは16~17日に開く国防相会議で強化について討議する見通しである。
 NATOは現在、東欧諸国に輪番制で軍を派遣しており常駐はさせていない。
 当局者によるとロシアを抑止しながらも挑発しないよう、意図的に軽微に保たれている。 (2203-020803)

 2月16日と17日に開催するNATO国防相理事会で、ウクライナ国境沿いでのロシアの配備増強に対応するため、欧州南東部への部隊増強に着手する見込みと外交官4人が明かした。
 ブルガリアとルーマニア、場合によってはスロバキアとハンガリーに、それぞれ1,000名の部隊が配置される可能性がある。
 NATOの上級外交官は、新たな部隊は米英などによるNATO東部への軍備増強に加えて配備されるが、ロシアが軍を撤退させれば段階的に縮小されるとした。 (2203-021601)

1・3・2・2 EU の姿勢

欧州委員長が警告

 EUのフォンデアライエン欧州委員長が1月20日に緊迫するウクライナ情勢に関し、ウクライナの領土が攻撃されれば大規模な経済金融制裁で応じると述べ、改めてロシアに警告した。
 EUは24日にブリュッセルで外相理事会を開き、ウクライナ問題を協議する予定で、ブリンケン米国務長官も参加してさらなる連携を図る。 (2202-012012)

EU の緊急支援

 EUのフォンデアライエン欧州委員長が1月24日にウクライナに対し、€1.2Bに上る緊急支援策を表明した。 (2202-012501)

制裁のパッケージの準備完了

 EUのボレル外交安全保障上級代表(外相)が2月17日、ロシア軍のウクライナ侵攻時に発動するEUの対ロシア制裁について、「既に制裁のパッケージの準備を整えた」と語った。
 実際の制裁発動決定には全加盟国の一致が必要となるが、EUはこの日にブリュッセルで臨時の首脳会議を開き、首脳全員が合意したという。
 EUは米国との制裁内容の調整を急いできたが、米国の主張通りNordo Stream 2を制裁対象にするかについては、「エネルギーは制裁の最重要問題の一つだ」と述べるにとどめ、詳細への言及は避けた。 (2203-021805)

イタリアがエネルギー部門の制裁に反対

 ドラギ伊首相が2月18日、ロシアがウクライナを侵攻した場合にEUが導入を検討している制裁措置について、エネルギー部門を含めるべきではないとの考えを示した。
 ドラギ首相は記者会見で、EUと制裁措置について協議しているが、イタリアはエネルギー部門を含まない狭い分野に特化したものにすべきと主張していると述べた。 (2203-021904)

1・3・2・3 DSCE の関与

 ウクライナが2月11日、OSCEの枠組みを通じてロシアに対し、ロシアがウクライナとの国境近くやベラルーシとバルト諸国の国境近くに大規模な兵力集中を行っていることについて説明を求めた。
 ロシアやウクライナも加盟しているOSCEでは、リスク低減の意味で加盟国がたの加盟国軍の動きについて説明を求めることができるメカニズムであるウィーン文書を定めている。 (2203-021109)
1・3・2・4 G7 の姿勢

 複数の政府関係者によると、緊迫するウクライナ情勢に対応するため、G7緊急外相会合が今年の議長国であるドイツのミュンヘンで開催される方向で調整が進められていて、林外務大臣も出席する方向で調整している。
 現地では、EUやNATOの加盟国など30ヵ国以上の閣僚級が参加するミュンヘン安全保障会議が2月18日から3日間予定されていて、ハリス米副大統領も出席を予定している。 (2203-021615)
1・3・2・5 安全保障会議

 2022年で58回目となるミュンヘン安全保障会議は、ミュンヘンで2月18日から20日までの3日間にわたって行われ、ウクライナ情勢を巡り外交的な解決を目指す方針を確認する。
 今回の会議には、ハリス米副大統領やショルツ独首相、ウクライナのゼレンスキー大統領など、各国から首脳や閣僚らが出席するが、これまで代表団を派遣していたロシアは今回は出席しない。 (2203-021807)
1・3・3 西側諸国

1・3・3・1 英 国

対戦車兵器などの供与

 ウォレス英国防相が1月17日、ウクライナに対し対戦車兵器などの供与を同日にし開始したと述べた。
 供与する兵器の種類の詳細については明言を避けたが、ウォレス国防相はロシアが戦車やロケット砲、SRBMをウクライナ国境付近に配備していると述べ、同盟国が懸念していると延べ、兵器の供与は自衛目的だと強調した。
 またショイグ露国防相に対し、ロンドンでの会談開催を打診したことも明らかにした。 (2202-011805)

 ウクライナ西部リビウ(Lviv)で1月28日、スウェーデンや英国製の対戦車兵器NLAWを使ったウクライナ軍の演習が行われた。
 ロシアによる侵攻の脅威が高まる中、英国や米国、バルト三国は1月にウクライナにATGMやSAMなどの武器供給で合意していた。 (2202-013002)

ロシア周辺NATO加盟国へ英軍の増派

 英政府が1月29日夜にロシア周辺のNATO加盟国への英軍の派兵の倍増を検討すると発表した。
 バルト三国のエストニアに防衛用の兵器を送ることも検討する。
 英政府によると、エストニアを拠点に900名超の部隊を配置し、ウクライナには2015年から始まった同国軍の訓練のための枠組みで100名以上が配置されている。
 米国もバイデン大統領が東欧への増派の意向を示しており、足並みをそろえた増派でロシアを牽制する狙いがある。 (2202-013004)

ウクライナ海軍を支援

 ウクライナのゼレンスキー大統領が2月1日、英国の支援で海軍を増強する計画を明らかにした。
 大統領はウクライナを訪問中のジョンソン英首相と記者会見し、海軍基地建設など軍事支援を含む£1.7B相当の援助について英国への謝意を表明した。
 英国はインフラやエネルギーを含むその他の共同プロジェクト向けにも£2B近くを提供するという。
 ゼレンスキー大統領はロシアがクリミアに30,000~50,000名、ウクライナ東部の紛争地域に30,000~35,000名、ウクライナとの国境付近に100,000名余りを配置していると推計している。 (2203-020204)

バルト三国に増派

 ウォレス英国防相が2月7日、ロシアの抑制に向けポーランドと協議していると明らかにし、ポーランドに350名の増派を行うと表明した。
 英国は2021年、ベラルーシとの国境沿いの移民難民問題への対応でポーランドに100名の部隊を派遣している。 (2203-020802)

 ウォレス英国防相が2月7日、ポーランドに軍350名を増派すると発表した。 英国はすでにポーランドに100名の英陸軍工兵隊を駐留させている。 (2203-020819)

 英軍の一部が2月8日、エストニア軍と合同演習を実施した。
 英国は空軍のTyphoonと海軍艦を欧州南東部に派遣することを決定したが、エストニアに駐屯する英軍の増強を検討中だという。 (2203-020905)

1,000名規模部隊の派遣準備

 英国が、ロシアのウクライナ侵攻によって人道的な危機が発生した場合に支援を提供できるよう、1,000名規模部隊の派遣準備を命じた。
 ジョンソン英首相は2月10日にブリュッセルとワルシャワを訪問し、NATO加盟国やポーランドの首脳とそれぞれ会談する。 会談ではNATOの原則を堅持する必要性を強調するとともに、英国が軍事的な支援を提供する方法について議論するとみられる。 (2203-021004)

軍事経済支援パッケージ

 英政府報道官が2月13日、ウクライナへの軍事経済支援パッケージに取り組んでいると表明した。
 報道官によると、ジョンソン首相は数日中に発表されるウクライナへの支援パッケージについて同盟国と協力しているという。
 ジョンソン首相はロシア対応を巡り、週内に欧州を訪問する予定で、訪問先の詳細は明らかにされていないものの、首相は北欧やバルト諸国との関わりを深めたい考えである。
 英国はウクライナに対戦車兵器と訓練要員を提供してきたが、週末にはそれらの部隊は撤退を命じられた。 (2203-021402)

英外相がプーチン大統領がウクライナ危機を長引かせとの観測

 トラス英外相が日刊紙Daily Telegraphに寄稿し、プーチン露大統領がウクライナ危機を長引かせ、西側諸国の団結に揺さぶりをかける可能性があるとの認識を示した。
 ヒーピー国防担当閣外相はBBCラジオに対し、ロシアがベラルーシとウクライナの国境付近のプリピャチ川に複数の橋を架けていると指摘した。 (2203-021718)

ポーランドに Sky Sabre を派遣

 ウォレス英国防相が17日、英軍の最新鋭のSAM部隊をポーランドに派遣すると発表した。
 ロシアの軍事的脅威を受けた東欧防衛強化の一環で、ポーランド政府が要請したという。
 配備されるのは、Sky Sabreと呼ばれる中距離のSAMと将兵約100名で、Sky Sabreは高い迎撃性能を誇り、英政府は「音速で飛ぶテニスボール大の物体に命中させる能力がある」としている。 (2204-031813)
【註】Sky SabreはMBDA社が開発したCAMMと呼ぶ空対空/艦対空/地対空兼用ミサイルで、地対空型のSky Sabreは2021年12月6日に初めて陸軍砲兵部隊に装備されRapierと換装された。
 レーダはスウェーデンSaab社製、指揮装置はイスラエルRafale社製で、Link 16も装備していることから海軍艦や空軍、更にNATOの同盟国軍とも連接できる。

1・3・3・2 フランス

マクロン大統領がプーチン大統領と首脳会談

 仏政府は2月8日、プーチン大統領がマクロン大統領に、ロシアが当面ウクライナ近辺で軍事演習を行わないと伝えたとする仏政府筋の発言を撤回したが、マクロン大統領は今回の会談が、危機の悪化を防ぐのに役立ったと考えていると述べた。
 マクロン大統領によると、ロシアとウクライナの双方が2014年のクリミア併合後に締結された和平合意であるミンスク合意を順守する考えを示したという。
 マクロン仏大統領が8日、前日のロシアに続きウクライナを訪問しゼレンスキー大統領と会談した。
 だがゼレンスキー大統領は「私は言葉をあまり信用しない」と述べ、ロシアが具体的な行動で示すよう求めた。 (2203-020904)

 フランス大統領府が2月7日の仏露首脳会談後、ウクライナ国境付近からのロシア軍の撤収などについてロシア側と合意したとの説明を記者団にしたため各国メディアが報道したが、ロシア側がすぐに否定した。
 仏大統領府がメッセージアプリを使い、「首脳会談で覚えておくべきこと」と題した説明を記者団のスマホに送ったためで、フランス側の「勇み足」の背景には、4月の大統領選への思惑も見え隠れする。 (2203-020907)

1・3・3・3 ドイツ

ウクライナへの武器提供拒否

 ドイツのショルツ首相が1月25日にウクライナ情勢をめぐり、フランスのマクロン大統領とベルリンで会談した。
 共同記者会見でショルツ首相は「ウクライナへの殺傷武器の移転は行わない」と述べ、軍事支援を活発化する米英とは異なる方針を示した。 (2202-012605)

 ドイツ政府が1月26日、ウクライナに対し軍用ヘルメット5,000個を供与すると発表したが、ドイツ製の艦艇などの提供を求めてきたウクライナ側からは、「言葉を失った」(キエフ市長)などと失望の声が出ている。
 ドイツは世界4位の武器輸出大国だが、2021年12月に発足した新政権は「抑制的」輸出政策を掲げてウクライナへの供与も拒否したため、対露支援で米英やバルト三国などがウクライナに武器を送ることを決める中で、ドイツも歩調を合わせるべきだとの圧力は高まっている。  (2202-012704)

NATO 軍への増派

 ショルツ独首相が2月6日、ドイツからバルト三国のリトアニアに派遣されているNATO軍について、強化のために必要なあらゆる措置を取る準備ができていると述べ、増派する可能性を示唆した。
 リトアニアには、ドイツが主導するNATO軍の500名が駐留している。
 ロシアとウクライナをめぐる情勢が緊迫し、ロシアと距離が近いバルト三国でも緊張が高まる中、軍事面で支援する姿勢を示したとみられる。
 ショルツ首相は7日にワシントンでバイデン米大統領と会談する。 (2203-020702)

 ランブレヒト独国防相が2月7日、NATO戦闘部隊の強化のために14日からリトアニアに最大350名の増派を行うと明らかにした。 (2203-020802)

 ランブレヒト独国防相が2月7日、リトアニアに最大350名を近日中に増派すると述べた。 ロイタ通信によると14日から開始する。  ドイツは今回の増派とは別にリトアニアに500名を派遣している。 (2203-020819)

独外相のウクライナ訪問

 ベーアボック独外相が2月7日に訪問先のキエフでウクライナのクレバ外相と会談し、ウクライナに対する揺るぎない支援を確約した。
 ただウクライナ当局者はこれまでに、ドイツが防衛のための武器売却に消極的であることをなどを非難しており、独外相の今回の訪問中のゼレンスキー大統領との会談を巡り、外交筋は中止されたとする一報、大統領府はそもそも予定されていなかったと表明するなど混乱が見られた。 (2203-020805)

バルト三国擁護の姿勢

 ショルツ独首相が2月10日にバルト三国の首脳とベルリンで会談した。
 ショルツ首相は会談前の記者会見で、ロシアはわれわれの団結と決意を見くびるべきでないと述べ、ロシアがウクライナに侵攻した場合には西側諸国が一致して強力な制裁を行うことを改めて警告した。
 ショルツ首相は、ロシアと国境を接するバルト三国の懸念を非常に深刻に受け止めていると表明し、リトアニアへの増派などを通じてバルト三国を支援する姿勢を明確にした。 (2203-021102)

 ドイツが2月14日、バルト三国のリトアニアに派遣している600名のNATO軍部隊にSPH 6門に加えて、兵員350名を増派すると発表した。
 乗員5名で52口径155mm榴弾砲を装備するSPHは、NATOの東部側面に対する備えとして、ドイツ西部のミュンスターからリトアニアに車両で輸送される。 (2203-021511)

経済支援の拡大を検討するが武器の供与は引き続き拒否

 ドイツ政府筋が2月13日、ドイツはウクライナ向け経済支援の拡大を検討している一方、武器の供与は引き続き拒否する見通しであると語った。
 政府筋は、ドイツとしてはウクライナとの間に経済支援の可能性がまだ残っているか検討していると述べた。
 ドイツは第2次世界大戦以降、紛争地帯に殺傷兵器を提供することを拒否しており、ウクライナとの間に軋轢が生じている。 (2203-021403)

NATO 即応部隊 NRF に派遣しているドイツ軍を厳戒態勢

 ドイツ国防省が2月18日、NATO即応部隊NRFに派遣しているドイツ軍を厳戒態勢に置くと発表した。 ロシアとの緊張が一段と高まった場合に、迅速に欧州東部の同盟国を防衛できるためとしている。
 国防省は声明で、NATO最高司令官のほか同盟国と緊密に協議して決定したもので、NRFの出動が決定された場合に展開に必要な時間を短縮するために決定したとした。 (2203-021903)

ゼレンスキー大統領がドイツを批判

 ウクライナのゼレンスキー大統領が17日、ドイツ連邦議会(下院)でビデオ演説した。
 支援に謝意を示す一方、ドイツはロシアとの経済関係を深めて戦費を稼がせた上、ウクライナのNATO加盟などの要望をはぐらかし、ウクライナと欧州の間に「新たな壁」をつくることに加担してきたと批判した。
 ゼレンスキー大統領は、ドイツが計画凍結を余儀なくされたNordoStream 2について、以前からドイツに「戦争への準備だと警告してきたが、受け取った答えは経済的な計画だということだった。」と、ドイツが土壇場まで計画を維持したことを糾弾した。 (2204-031716)

1・3・3・4 ポーランド、バルト三国

ポーランド

 ロシアに対抗するウクライナを支援する諸国にポーランドが加わった。
 ポーランドのブワシュチャク国防相が2月1日、ウクライナにPiorum MANPADSを供与すると発表した。
 同相によるとウクライナに、今までに数万発の弾薬、砲弾、防空システム、軽迫撃砲、偵察用UAVなどを供与している。 (2203-020209)

エストニア

 エストニア国防省が2月18日、ウクライナにJavelin ATGMを提供したと発表した。
 NATO加盟国のエストニアはラトビア、リトアニアと共に、1月21日に米国製のATGMやSAMをウクライナに提供すると発表していた。 (2203-021901)

1・3・3・5 オランダ

狙撃銃やヘルメットなど装備品の供与

 オランダのフクストラ外相が2月18日、ウクライナに対し自衛のために狙撃銃やヘルメットなど装備品の供与を閣議決定したと述べた。
 供与品のうち、殺傷力のある武器は狙撃銃100丁と弾丸3万発のみで、金属探知機30基、機雷探知ロボット2機、戦場監視レーダ2基、対砲レーダ5基に加え、ヘルメット3,000個と防弾胴衣2,000着も送られる。
 ドイツは1月にウクライナに武器ではなくヘルメット5,000個を供与すると発表したため、キエフのクリチコ市長は「冗談もいいところだ」と皮肉った。 (2203-021911)

1・3・3・6 トルコ

仲介を申し出

 トルコのエルドアン大統領が2月3日に訪問先のウクライナでゼレンスキー大統領と会談し、ウクライナとロシアの紛争解決に向けた仲介を申し出た上で、危機を平和的に収束させるためにあらゆる手段を尽くすと確約した。
 両国はこのほか、自由貿易協定などにも調印した。
 NATO加盟国のトルコはロシアとも良好な関係を維持しており、ロシアがウクライナを侵攻すればNATO加盟国としてあらゆる対応をすると表明しているが、トルコ当局者によるとエルドアン大統領はどちら側にも加担しない姿勢を示している。
 今回の会談を機に、ウクライナはトルコのUAVを国内で製造する契約に調印した。 トルコ製のUAVはウクライナ東部の親露派が実効支配する地域の紛争への対応にウクライナ政府がすでに導入している。 (2203-020403)

ウクライナで UAV を共同生産

 トルコのエルドアン大統領が2月3日にキエフを訪問し、自由貿易と防衛に関する一連の協定を結んだ。
 ウクライナへの武器供給をやめるよう求めるロシアの警告に抗して、ウクライナとの防衛協力を深めた。
 すでにウクライナ側がトルコから少なくとも20機のUAVを購入している協力関係を拡大して、殺傷能力を持つUAVをウクライナで共同生産し、ロシアが支援する分離独立派に対して配備することが含まれている。 (2203-020404)

1・3・3・7 カナダ

 トルドー加首相が1月21日、ウクライナに最大でCAD120M(108億円)を融資すると延べた。
 「ロシアは経済面も含めてウクライナを不安定にしようとしている」と述べ、財政支援を通じ、国境付近での軍備増強を進めるロシアをけん制する考えを示した。
 トルドー首相は財政面以外の支援も検討していると明らかにしたが、武器提供などについては明言しなかった。
 カナダは自国内にウクライナ系カナダ人や移民を抱える。 (2202-012202)
1・3・3・8 東欧諸国

ポーランド、チェコ、スロベニア3ヵ国首相が戦場のキエフ訪問

 ポーランドのモラウィエツキ首相が3月15日、チェコ、スロベニア両国の首相と共に、ウクライナの首都キエフを同日訪問することを明らかにした。
 ロイタ通信によると、3首相は15日午前(日本時間午後)に列車でウクライナに入った。
 ゼレンスキー大統領らと会談し、EU全体としてのウクライナの主権と独立への明快な支援を伝達すると強調した。 3ヵ国はNATO加盟国でもある。
 モラウィエツキ首相は、フェイスブックで「世界にとってこのような重要な時に、歴史がつくられている場所にいるのはわれわれの義務だ」と強調した。 (2204-031506)

 ポーランド、チェコ、スロベニアの東欧3ヵ国首脳が3月15日にウクライナの首都キエフを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した。 3首脳は列車で現地入りした。
 チェコのフィアラ首相はキエフ訪問について、ミシェルEU大統領やフォンデアライエン欧州委員長との協議を受け決定されたと述べたが、EU当局者は今回の訪問が有効なイニシアチブとしつつも、EUが課した「公式な任務」ではないとした。 (2204-031601)

ハンガリーの不介入方針

 ハンガリーのオルバン首相が3月15日、支持者集会でウクライナには武器を供与せず、戦争には関与しないと述べ、野党がハンガリーを戦争に巻き込もうとしていると批判した。
 ハンガリーでは4月3日に議会選が実施されるが、今回の選挙では野党が政権打倒に向けて連合を結成したため、与党フィデスは厳しい選挙戦を強いられている。 (2204-031608)

1・4 軍事衝突に向けた動き

1・4・1 退避の動き

1・4・1・1 米 国

米大使館員家族に退避命令

 FOX Newsが1月22日、米国務省が在ウクライナ大使館員の家族に対し24日にも国外へ退避を始めるよう命じたと報じた。
 国境付近でロシアとの緊張が高まっているための措置で、当局者の一人は国務省が一般の米国人に対しても民間機での退避を近く促す見通しを明らかにした。 (2202-012301)

 米国務省が1月23日、ウクライナ国境での緊張が続いているとして、ロシアとウクライナへの渡航警戒レベルを4段階のうち最も厳しい渡航中止 (Level 4)とした。 (2202-012402)

ベラルーシ駐在米外交官の家族に出国命令

 ロシアのウクライナ侵攻の可能性が高まるなか、CNNとロイタ通信が1月31日に米国務省が国民にベラルーシへ旅行自粛を警告し、ベラルーシ駐在外交官の家族に出国を命じたと報じた。
 米国はすでにCOVID-19感染拡大と欧州最後の独裁者と呼ばれるルカシェンコ政権の恣意的な法執行などを理由に、ベラルーシを旅行警報最高Level 4(旅行禁止)に指定している。 (2203-020109)

ウクライナ駐在米国人に対し直ちに退避するよう勧告

 米国務省が2月10日、ウクライナに対するロシアの軍事行動の脅威が高まっているとし、ウクライナ駐在の米国人に対し直ちに退避するよう勧告した。 また、ウクライナへの渡航を中止するよう勧告した。
 バイデン米大統領もNBCニュースのインタビューで、米国人は直ちに退避すべきだと発言したうえで、ロシアが侵攻した場合に退避する米国人の救助のためウクライナに米軍を派遣する考えはないとした。
 更に、「われわれは世界有数の規模の軍を相手にしている」とし、「事態は極めて急速に展開する可能性がある」との見方を示した。 (2203-021103)

米大使館の全ての米国人職員を国外退避

 AP通信が2月11日、米政府が在ウクライナ米大使館の全ての米国人職員を国外退避させる見通しだと報じた。 (2203-021207)

 米国務省は2月11日、キエフにある米大使館職員の大半に対し即座に国外退避するよう命じたと発表した。
 一部の職員は、ポーランド国境に近い西部の都市リビウに移り、緊急の領事業務のみを継続するという。 (2203-021301)

フロリダ州兵160名の国外退避

 米国防総省のカービー報道官が、オースチン国防長官が2021年11月からウクライナに駐留していたフロリダ州兵の160名に、ロシアの攻撃が切迫しているとして、欧州の別の位置への移動を命じたことを明らかにした。
 フロリダ州兵の160名は第53歩兵旅団戦闘団の所属で、ウクライナの多国籍訓練群に参加していた。 (2203-021211)

 米国防総省のカービー報道官が2月12日、ウクライナで同国軍への助言や指導にあたってきた米軍部隊160名に、ウクライナを離れて欧州内の別の国に移る一時的な配置転換を命じたと発表した。 (2203-021301)

 米国防総省のカービー報道官が2月12日、ウクライナで同国軍への助言や指導にあたってきた米軍部隊160名に、ウクライナを離れて欧州内の別の国に移る一時的な配置転換を命じたと発表した。
 また米国務省は同日、キエフにある米大使館職員の大半に対し即座に国外退避するよう命じたと発表した。
 一部の職員は、ポーランド国境に近い西部の都市リビウに移り、緊急の領事業務のみを継続するという。 (2203-021301)

米国務省がベラルーシへの渡航中止勧告

 米国務省が2月14日、ベラルーシに滞在する米国人に対し、直ちに出国するよう求めた。
 ウクライナとの国境周辺でロシア軍が部隊増強を図っているほか、拘束の懸念があるためで、ベラルーシへの渡航中止も勧告した。 (2203-021509)

1・4・1・2 英 国

英大使館が一部職員と家族らを退避

 在ウクライナ英大使館が1月24日、ロシアの脅威が強まっていることへの対応として、一部職員と家族らを退避させていると発表した。
 ただ英国大使館は開いており、不可欠な業務は続けていくとしている。 (2202-012409)

英国、滞在中の国民に退避勧告

 英外務省が2月11日、情勢が緊迫するウクライナに滞在中の英国民に対し、民間航空便が利用できるうちに退避するよう勧告した。
 英外務省はロシアが軍事侵攻した場合、ウクライナ退避に現地の英大使館の支援を期待しないよう注意を促している。
(2203-021206)

英大使館の機能を首都キエフから移転

 英外務省が2月18日、在ウクライナ大使館の機能を首都キエフから西部の都市リヴィウに移転すると発表した。
 また同時に、ウクライナに滞在する自国民に対し、領事館からの支援や避難の補助を期待せず、民間の移動手段が利用可能なうちに国外に退去するよう指示した。 (2203-021908)

1・4・1・3 NATO / EU 諸国

EU は駐在外交官が不退去

 EUのボレル外交安全保障上級代表が1月24日、EUとして現在ウクライナ駐在外交官を退避させる計画はないと述べ、米国の決定に追随しない構えを示した。
 ボレル上級代表は米国が在ウクライナ大使館職員と家族の国外退避を決めたことについて、特段の理由がないからわれわれは同じ措置をとらないと述べた。 (2202-012410)

NATO は駐在員を移動

 NATO関係者が2月19日にキエフの駐在員を西部リビウ(Lviv)とNATO本部があるベルギーのブリュッセルへ移動させていると明らかにした。
 関係者はAFPに、在ウクライナ事務所の業務は継続すると述べたが、移動した職員の数は明かさなかった。
 NATO非加盟国のウクライナにNATOの部隊は展開されていないが、キエフには1990年代後半から二つの事務所が置かれている。 (2203-022009)

ドイツが自主的国外退避の支援

 ドイツ外務省報道官が1月24日、ウクライナの首都キエフに駐在している大使館職員の家族や、民間組織の従業員らの自主的国外退避の支援を行うと発表した。
 ウクライナとの国境でロシアが軍備を増強し、緊張が高まっていることを受けた措置という。 (2202-012413)

ドイツ、フランスが自国民に国外退避勧告

 ドイツの外務省が2月19日、ウクライナに滞在する自国民に対し、直ちに国外退避するよう勧告した。
 フランスの外務省も同日に声明で、ウクライナ国境でのロシア軍集結とウクライナ東部での停戦違反を理由に、ウクライナのドネツク州など東部3州に滞在する自国民に対し、直ちにその地域から離れるよう勧告し、それ以外の地域に関しても、やむを得ない事情がある場合を除き、国外退避するよう呼び掛けた。 (2203-022006)

1・4・1・4 その他諸国

カナダ、在ウクライナ大使館職員家族の一時退避を決定し

 カナダ外務省が1月25日、在ウクライナ大使館職員の家族について、一時退避を決定したと発表した。
 ロシア軍によるウクライナ侵攻の懸念が強まる中、同様の措置を取った米英に続いた。 (2202-012602)

韓国、出国勧告の対象地域を拡大

 韓国政府がウクライナの首都キエフを含む12の地域を新たに出国勧告の対象地域に加え自国民に安全な地域への出国を勧告した。
 これにより対象はウクライナ全土25の地域の半数を超える15の地域に拡大され、現在ウクライナへの滞在が確認されている565人の韓国人の大多数が対象となる。 (2202-012607)

カナダがが退避

 カナダのジョリー外相が11日、滞在中のカナダ国民に対し、直ちに出国するのに必要な準備をするよう勧告するとの声明を出した。
 ジョリー外相は、大使館職員らが現地に残り国民に必要な支援をする構えだが「われわれができることも極めて限定的になる可能性がある」とし、事態が切迫しているとの認識を示した。 (2203-021206)

豪大使館職員が退避

 ペイン豪外相が2月13日、ウクライナ情勢の緊迫化を受けキエフにある豪大使館の職員に退避を指示したと発表した。
 今後、大使館業務は西部リビウで行う予定という。 (2203-021304)

1・4・1・5 民間航空の運行停止

KLMオランダ航空がキエフへの航空便の運航休止

 KLMオランダ航空が2月12日、キエフへの航空便の運航休止を発表した。 再開時期は未定で、ウクライナ上空も飛行しないとしている。
 オランダはドイツやベルギーなど他の欧州諸国と同様にウクライナからの退避や同国への渡航中止を国民に呼び掛けている。 (2203-021401)

ルフトハンザ航空がキエフ、オデッサへの航空便の運航停止

 ルフトハンザグループが2月19日、ウクライナの首都キエフと南部オデッサへの航空便の運航を21日から2月末まで停止することを明らかにした。
 西部の主要都市リビウへの運航は継続する。 (2203-022003)

1・4・2 避難民流入に備えた準備

ウクライナからの避難民流入に備えた準備

 ロシアはウクライナへの侵攻の可能性を否定し続けているが、実際にはウクライナとの国境付近に十数万規模の部隊を配置している状況を受け、多くの国はウクライナからの避難民の流入に備えた準備を始めている。
 ポーランドのカミンスキ内相は、ロシアが攻撃を開始すればウクライナからは安全を求める避難民が流入する可能性があるとして、準備を開始したとツイートし、ワシク副内相はこれに先立ち出演した同国のラジオ番組で、ウクライナからは「最大100万人の避難民が流入することもあり得るとしている。
 一方Washington Post紙によると、イスラエルはウクライナから避難してくるユダヤ系ウクライナ人の支援に向けた準備を始めているという。
 2014年にロシアがクリミア半島を併合したときにも、多くのウクライナ市民がイスラエルに逃れた。
 また、国家主義的で独裁的といわれるハンガリーのビクトル首相は国民に対し、ロシアが侵攻すればウクライナからの避難民が国境を越えて隣国に流入することになると警告している。 (2203-021607)

1・4・3 天然ガス供給源の確保

エネルギー供給の維持について協議

 米政府高官がウクライナ情勢に絡みロシアが天然ガスなどの供給停止を欧州に対する武器として使う場合に備え、世界各地で代わりのエネルギーを確保できるよう準備を進めていると明らかにした。 (2202-012518)

 西側諸国は1月25日、ロシアの侵攻への備えを強化した。 米政権が欧州へのエネルギー供給の維持について協議を進めたほか、バイデン米大統領はプーチン露大統領に直接制裁を課すことを検討すると表明した。
 ジョンソン英首相は議会で、世界の銀行間決済システムを運営する国際銀行間通信協会 (SWIFT) からロシアを排除する可能性について米英が協議していると明かした。 (2202-012601)

 米政府高官が1月25日、欧州がロシアに依存する液化天然ガス (LNG) を賄うため中東やアジアなどの複数国と協議を開始したと明かした。
 現在、米国が交渉しているのは中東、北アフリカ、アジア、米国のガスと石油の関連企業で、米大統領府のサキ大統領報道官は24日の記者会見で「天然ガスの生産量を一時的に急増させる能力と意思を把握し、欧州に割り当てる検討をしている」と説明した。
 ロシアは世界の天然ガス生産の17%を占め、欧州は消費量の3割を依存していて、米メディアによるとウクライナを通るパイプラインを経由して欧州に流れる量はその1/3に達する。 (2202-012603)

 バイデン米大統領とEUのフォンデアライエン欧州委員長が1月28日にエネルギー安全保障での協力をめぐって共同声明を出した。
 特にEUが輸入量の約4割をロシアに依存する天然ガスに関し、欧州への安定供給維持のために連携する方針を表明した。 (2202-012901)

カタールへの働きかけ

 カタールがEUに対し、域外への天然ガス転売を制限する必要があると述べたことを関係筋が明らかにした。 転売を制限することで、ロシアがウクライナに侵攻した場合も主要供給国がガスを提供でき、短期的な危機を回避できるとしている。
 カタールは、EUが余剰分の液化天然ガス (LNG) について域内にとどめると約束するよう望んでいる。
 関係者は、転売制限が実行されなければEUに対する緊急輸出がEU外で収益を上げるための現物として転売される恐れがあるとの認識を示した。 (2203-020104)

 バイデン米大統領が1月31日、ホワイトハウスでカタールのタミム首長と会談し、同国をNATO非加盟の主要同盟国に指定する考えを明らかにした。
 欧州では、ロシアがウクライナ有事の際には天然ガス供給を制限するとの不安が広がっており、米国はカタールを含む中東や北アフリカなどからの供給拡大を模索している。
 会談では、食料危機に直面するアフガンへの人道支援のほか、ウクライナ情勢悪化で不安定化の懸念が強まるエネルギー供給などを議論した。
 バイデン氏は会談の冒頭、アフガニスタンからの米国人退避や対テロ作戦でカタールから多大な支援を受けたと謝意を表明したうえで、信頼できる有能なパートナーだと称賛し、経済、安全保障面で関係を強化していく意向を示した。 (2203-020105)

日本の LNG を欧州に融通

 電力などに必要な天然ガスの4割をロシアからパイプラインを通じて供給を受けている欧州は、仮にロシアがウクライナに侵攻した場合に欧米がロシアに対して経済制裁に踏み切る可能性から、ロシアが対抗措置として欧州向けの天然ガスの供給を絞るのではないかという見方も出ている。
 こうした情勢を踏まえ、日本政府は国内に必要なLNGを確保したうえで一部をを欧州向けに融通する方針を固めた。
 バイデン政権が要請してきたものに応えるもので、日本としては異例の対応となる。 (2203-020901)

欧州委員長、ガス供給が一部停止しても対処可能

 EUのフォンデアライエン欧州委員長が2月15日、ロシアからのガス供給が一部途絶えたとしてもEUは対処可能だとの見方を示した。
 EUはLNGの供給拡大について、米国、カタール、エジプト、アゼルバイジャン、ナイジェリア、および韓国と協議したと明らかにした。
 欧州は天然ガスの40%をロシアからの供給に依存している。 (2203-021611)

1・4・4 米国の作戦準備

1・4・4・1 国防総省の作戦行動方針案

国防総省の作戦行動方針案

 米国防総省が1月21日、ウクライナに対してロシアが侵攻に踏み切った場合、大統領の承認に委ねる軍事行動の一連の選択肢を取りまとめていることを明らかにした。
 同当局者によると、これら選択肢には欧州内に既に配備したり欧州外で手当てが出来たりする装備品や兵力の移動が含まれる。
 また一部の部隊は演習や訓練の形式で動員される可能性もあり、兵力の新たな展開とは別に兵器提供も考慮されるだろうとした。
 ウクライナ国内で同国特殊部隊の訓練支援に従事している米軍特殊部隊はが、この任務は維持するとも述べた。 (2202-012207)

米、単独でウクライナに派兵せず

 米大統領府が1月25日、バイデン大統領はウクライナに軍を派遣する意図も関心も持っておらず、NATOが東部の友好国を支援する機構となっており、焦点はNATOにあると述べバイデン大統領は単独でウクライナに派兵する意向は持っていないと表明した。
 これに先立ち、ファイナー国家安全保障担当副大統領補佐官は、軍の移動についてNATOがあらゆる決定を下すとしたうえで、決定が下されれればすぐにでも動く用意があると述べた。
 ロシアがウクライナに侵攻する前に部隊が展開する可能性があるかとの質問に対しては、いかなる選択肢も排除していないと応じた。 (2202-012517)

オースティン国防長官のリトアニア、ポーランド訪問

 米国防総省が2月14日、オースティン長官が15日からベルギー、リトアニア、ポーランドを訪問すると明らかにした。
 カービー報道官によると、オースティン長官はそれぞれの国の首脳と会談するほか、ブリュッセルではNATOの会合に出席する。 (2203-021504)

大使館も臨戦態勢

 ブリンケン米国務長官が2月14日、ウクライナ周辺に集結しているロシア軍の増強が劇的に加速しているとして、在ウクライナ大使館の機能を首都キエフから西部リビウへ一時的に移転すると発表した。
 米国務省のプライス報道官が14日の記者会見で、臨時代理大使がすでにリビウに移ったと明らかにした上で、大使館の機密文書や通信機器について予防措置を取ったと述べた。
 一部の文書やコンピュータなどの機器を破棄、破壊したものとみられる。
 米メディアでは、ロシア軍部隊の一部が攻撃態勢に移り始めたとの報道も出ている。 (2203-021508)

バイデン米大統領、米国人を攻撃すれば強力に対応

 バイデン米大統領が2月15日、ロシアがウクライナに侵攻すれば「無用な死や破壊」を招くとし、ロシアのプーチン大統領に戦争回避を強く訴えた。
 米国はロシアとの直接的な対立を求めておらず、米軍兵士がウクライナで戦うことはないとしつつも、ロシアがウクライナ国内の米国人を攻撃すれば「われわれは強力に対応する」と言明した。 (2203-021606)

防空能力強化の必要性

 歴代のNATO軍最高司令官など米国の軍事専門家が、ロシアの侵攻に伴い空域も支配されることになることから、ウクライナの防空能力強化の必要性を西側諸国に訴えている。
 ウクライナは大量の対空システムを保有しているがこれらは旧式で、ロシアの最新システムには太刀打ちできないという。
(2203-022001)

NATO・ロシア基本議定書の見直し論

 2014~2017年に在欧米陸軍司令官であったホッジス退役中将が、NATO・ロシア基本議定書では新規にNATOに加盟した東欧諸国に恒久的なNATOの基地を設置しないとしていることから、過去25年間NATOの基地をロシアの近くに置くことはタブーであったが、2月21日にプーチン大統領が親露の人民共和国2つの独立を承認したことから、ポーランド、ルーマニア、バルト諸国における恒久的な基地をを真剣に検討することになるだろうと述べた。 (2203-022218)

1・4・4・2 地上軍の派遣

米軍の派遣準備

 New York Times紙が1月23日、米政府がバルト三国など東欧の同盟国に数千名規模の米軍部隊を派遣することを検討していると報じた。 米国はロシアと外交による緊張緩和を目指してきたが、派兵に踏み切れば事態は一層緊迫することになる。
 米政府によるとバイデン大統領は22日に、滞在先のキャンプデービッド山荘でウクライナ情勢について安全保障担当の高官らと対応を協議した。
 同紙の報道によると、この場で国防総省高官が米軍の対応について複数の選択肢を提示したという。
 このうち一つが、東欧諸国に1,000~5,000名の部隊を派遣する案だった。 さらに事態が悪化すれば、部隊を10倍に増強することも可能という。
 派遣先には、エストニアやラトビア、リトアニアなどNATO東部の同盟国が挙がり、部隊とともに艦艇や戦闘機を派遣することが検討されている。
 大統領は、早ければ週内にも決断を下すとみられる。 (2202-012405)

 報道によればロシアのウクライナ侵略に備えて米国は、大統領が決心すれば5,000名規模の部隊を早ければ今週中にも海路及び空路で中東欧に派遣できる。
 在欧米軍司令部は選択肢としてイタリアのヴィチェンツァに駐留する第173空挺旅団を東欧に空挺降下させたり、ドイツのヴィルセックの基地からポーランドに第2騎兵連隊を投入したり、ドイツ駐留の砲兵部隊を東欧に空輸できる。
 陸軍はポーランドやバルト三国に戦車旅団を巡回配置してNATOの野戦軍に組み入れている。 (2202-012414)

 米国防総省が1月24日、ウクライナ情勢の緊迫化を受け、8,500名規模の米軍部隊に対し、警戒態勢を強化して欧州への派遣に備えるよう命じた。
 NATOが即応部隊 (NRF) の編成と出動を決断した際に同部隊に参加する。 (2202-012503)

 米国防総省が1月24日に最大8,500名を発令後5日以内に展開させると発表したのを受け、陸軍と空軍が約10ヶ所の基地で待機についている。
 これらの部隊はFt. Braggの第8空挺軍団と第82空挺師団、Ft. Campbellの第101空挺師団、Ft. Carsonの第4歩兵師団と、Wright-Patterson AFB、Robins AFB、Davis-Monthan AFBの空軍である。
 第82空挺師団は2021年8月のカブール撤退時にIRFとして活躍した実績を持ち、第4歩兵師団の第3 ABCTは2017年にポーランド、ラトビア、エストニア、ルーマニア、ブルガリアへMBT 87両、Bradley 144両と3,500名を展開させた経験を持っている。 (2202-012717)

 カービー米国防総省報道官が1月27日、米国はウクライナへの防衛用兵器の提供を急ぐと述べ、殺傷能力があるものが含まれるとしたが詳細は明らかにしなかった。
 米国は最大8,500名の部隊を東欧に派遣するとしているが、同報道官は部隊の内訳に初めて言及し、医療支援、航空支援、後方支援、戦闘部隊が含まれると述べた。 (2202-012715)

バイデン大統領が英仏独など欧州の首脳と会議

 米大統領府が1月24日、ウクライナ情勢をめぐり、バイデン大統領が英仏独など欧州の首脳とオンライン会議を行ったと発表した。 (2202-012506)

バイデン大統領、近いうちに東欧やNATO加盟国に派遣

 バイデン米大統領が1月28日、米軍を近いうちに東欧やNATO加盟国に派遣すると述べた。
 米国防総省のカービー報道官は24日、必要に応じて極めて短時間で欧州に派遣できるよう、米軍は兵士8,500名を派兵待機としたと発表している。 (2202-012906)

 米国防総省が1月31日、NATO東翼に米軍を派遣する可能性について、東欧の同盟国と活発な協議を行っていると明らかにした。
 国防総省は、新たな部隊の移動に関する決定は、先週発表した国内の8,500名派兵待機とは別個のもので、バイデン米大統領が28日に東欧への「近いうちの」米軍派遣の可能性を表明したことを受けたものだという。
 カービー報道官は、大統領が言及した部隊は欧州内から再配置される可能性があるとし、同盟国と緊密に協議しながら最高司令官がそのような決定をした場合に備えた作業を進めていると明らかにした。 (2203-020106)

東欧の米軍増強へ

 米政府が2月2日、ロシアによるウクライナ再侵攻に備え、数日中に3,000名規模の米軍部隊をNATOのポーランドやルーマニアなどに派遣し東欧での米軍を増強すると発表した。
 ノースカロライナ州から1,700名の部隊がポーランド、300名がドイツにそれぞれ派遣され、ドイツに駐留する米部隊1,000名人がルーマニアに派遣される。 (2203-020301)

第82空挺師団がポーランドへ

 ポーランド軍の広報官がAFP通信に、ロシア軍によるウクライナ侵攻の懸念を受けたNATO加盟国へ増派される米軍の一陣が2月5日にポーランドに到着したことを明かした。
 ポーランド入りしたのは空挺師団で、1,700名となる部隊の主力も間もなく到着するという。 (2203-020507)

 4人の匿名米当局者が2月11日、先に派兵待機とした8,500名やポーランドとルーマニアに展開すると発表した3,000名に追加して、ロシアによるウクライナ再侵攻に備えて東欧の米軍を増強するため新たに3,000名の部隊をポーランドに追加派遣する方針であることをロイタに明らかにした。
 2月中旬にはポーランドに到着する予定という。
 関係筋によると、追加で派遣されるのはノースカロライナ州Ft. Braggフォートブラッグに駐屯する第82空挺師団隷下部隊で、在欧州の米軍内からではないという。 (2203-021202)

 米兵らを乗せた旅客機が2月13日にポーランド南東部に到着した。
 これに先立ちC-17やV-22などの米空軍機が、ウクライナ国境からほど近い空港に到着した。
 米国は先週ポーランドに1,700名の派遣を決定しているが、11日には更に3,000名を派遣すると発表した。 (2203-021507)

 米陸軍当局者が2月15日、ケンタッキー州Ft. Campbellに駐屯する第101空挺師団の3,000名がポーランドに派遣されていると述べた。
 11日には匿名を条件とした当局者が、ポーランドに派遣される3,000名は全て第82空挺師団からとしていた。
 第101空挺師団はオースチン国防長官が1月24日に8,500名が待機しているとした中に含まれ、数週間にわたり待機しているという。 (2203-021520)

 オースチン米国防長官が第82空挺師団の4,700名にポーランド派遣を命じ、第18空挺軍団から別の300名をドイツに派遣すると共に、ドイツ駐留第2騎兵連隊の1,000名をルーマニアに派遣している。
 ポーランドに派遣された4,700名の空挺部隊がポーランド軍との訓練に備えて野営をしている。
 一方、試験段階にある陸軍の偵察機Artemisfがベラルートとの国境やロシアの飛び地であるカリーニングラード付近を2月17日に飛行したことが飛行データから明らかで、陸軍のヘリはポーランド空域を飛行すると共に、キエフから米国人患者の空輸も行っている。 (2203-022005)

駐独 Stryker大隊がルーマニアへ

 ルーマニアに派遣されるドイツVilseckに駐留する第2騎兵連隊の1,000名が2月8日に、Vilseckの陸軍航空基地でStrykerをはじめとする装備を受領した。
 連隊長のイーバーズ大佐によると第一陣は既にルーマニアに入っているという。
 米国防総省は第82空挺師団の1,700名をポーランドに派遣すると共に、これとは別にノースカロライナ州Ft. Braggの300名を指揮所要員としてドイツに派遣している。
 またイーバーズ大佐によると1,000名はルーマニアの各所に展開して実戦的な訓練を行う。
 一方、イーバーズ大佐によると第2騎兵連隊を統制するため陸軍は第5軍団を再立ち上げしている。 (2203-020912)

 ルーマニアのドゥンク国防相が2月8日、米軍増派部隊の第1陣100名超が同国に到着したことを明らかにした。 (2203-020818)

 欧州へ巡回配置されている米軍は平均80,000名いるが最近数千名が追加され、既に1,700名が駐留しているポーランドに3,000名が追加された。
 ドイツVilsecに駐留していた1個Stryker大隊はチェコ、スロバキア、ハンガリーを経て、既に900名が跳梁しているルーマニアに入った。 (2203-021519)

1・4・4・3 海軍の派遣

空母 Harry S. Truman CSG が地中海で新たな演習を開始

 米海軍Harry S. Truman CSGが来週地中海で、NATOの新たな演習Neptune Strike '22を開始する。 Harry S. Truman CSGはこの演習の中核となる。
 米国防総省のカービー報道官は、この演習は2020年から準備を進めてきたもので、ロシアとの緊張の高まりを受けて実施するものではないと述べた。 (2202-012209)

 米空母Harry S. Truman CSGが1月24日、地中海一帯でロシアのウクライナ侵攻に対応して冷戦後初めてNATOの指揮下で大規模な演習に入った。
 米大統領府のサキ報道官が、NATOが2月4日までの日程でNeptune Strike 22演習を開始したと発表した。 NATOも、NATO打撃支援司令部と米第6艦隊が地中海一帯で作戦に入ったと発表した。 (2202-012604)

 米国防総省は緊迫するウクライナ情勢を受け、2月3日までにアドリア海でのNATO軍との2週間にわたる合同演習を終了した米空母Harry S. Truman CSGを欧州海域に待機させ続けることをこのほど決めた。
 冷戦終結後、米空母打撃群がNATOの指揮下に入ったのは初めてである。
 Harry S. Truman CSGは水上艦5隻、潜水艦1または2隻で構成されている。
 F/A-18を含む90機の航空機を搭載するHarry S. Truman は、当初12月半ばに中東へ向かう予定だったが、国防総省は欧州での緊張増大を踏まえ、欧州海域にとどめことを決めていた。 (2203-020304)

 米海軍空母Harry S. Trumanが2月上旬に東地中海で仏海軍空母Charles de Gaulle及び伊海軍空母CavourとNATOの合同演習を行った。
 演習には空母艦載機を含め20ヵ国の空軍や海軍航空隊が参加した。 (2203-021521)

地中海での米艦船増強

 地中海とその近くの海域では、NATOとロシアの間の緊張増大により、過去数十年来の戦闘艦が遊弋している。 2月上旬には米空母Harry S. Trumanが仏海軍空母Charles de Gaulle及び伊海軍空母Cavourと共同訓練を行っている。
 Harry S. Truman CSGは長期展開計画に従って2021年12月中旬に地中海入りをしているが、1月中旬から2月上旬にThe SullivansDonald CookMitscheGonzaleの駆逐艦4隻が母港を出て地中海入りしている。
 またこれとは別に4隻の駆逐艦がスペインのロタ港に派遣されている。 (2203-021618)
【註】Harry S. Truman CSGは空母Harry S. Trumanを旗艦に、巡洋艦San Jacinto及び、第28駆逐戦隊の駆逐艦ColeBainbridgeGravelyJason Dunhamとその他の艦船で構成されている。
 スペインのロタ港に派遣されている駆逐艦4隻は、欧州配備BMDSであるEPAA Phase 1 としてBMD任務に就いている。

ロシア軍機が地中海上空で米海軍機に異常接近

 米国防総省が2月16日、ロシア軍機が地中海上空の国際空域で米海軍機3機に接近したと明らかにした。
 米高官によると、うち1回は数呎に異常接近したという。
 米ロシア機の接近は珍しいことではないものの、ウクライナ情勢が緊迫化することから、国防総省の報道官は事故や間違いを引き起こしかねないとコメントした。 (2203-021703)

1・4・4・4 米空軍の増派

 ロシアのウクライナ侵攻が切迫するのに伴い米国は既に、第82空挺師団隷下部隊を主力とする6,000名を欧州に派遣しているが、この作戦には空軍の即応部隊が貢献している。
 またドイツSpangdahlem航空基地や英空軍Lakenheath基地などに駐留していた空軍戦闘機が急速に東方展開すると共に、英空軍Fairford基地への巡回配備が計画されていたB-52も飛来した。
 更にF-16が2月11日にルーマニアに向かい、NATO軍が行っている黒海上空での警戒飛行を増強すると共に、2021年12月から伊空軍のTyphoonが行っているeAPを支援する。 (2203-021212)

 NATOの爆撃機戦隊として任務に就く複数の米空軍B-52が2月21日にチェコの空軍基地に飛来した。
 チェコの基地では弾薬の再装填、燃料の補給などターンアラウンド訓練が行われ、チェコ空軍の戦闘機が随行援護した。
 これとは別のB-52は2月10日に計画された巡回配備で英国のFairford空軍基地に飛来し、更にドイツのSpangdahlem空軍基地や英空軍のLakenheath基地に飛来している。 (2203-022309)

1・4・4・5 ISR 活動

ISR 機がウクライナ空域を定期飛行

 米空軍はウクライナ軍の空輸やISRなどで協力しており、RQ-4 Global HawlやRC-135V/W Ribet Jointsが黒海近くまでのウクライナ空域を定期的に飛行している。、 (2203-022001)

試作機 ARTEMIS の投入

 米陸軍でBombardier社製Challenger 650機を元に開発中のARTEMISの試作機が2月1日~21日に14ソティー、対潜哨戒機やISR UAVと共にウクライナ周辺の情報収集を行った。
 ARTEMISはELINT装置と地上走査レーダを搭載しており、敵の戦車等の動きをリアルタイムで監視しながらRF情報も取得できる。 (2203-022212)

1・4・4・6 侵攻開始時期の見積もり

集結部隊が攻撃態勢に移行したとの判断

 米CBSニュースが米政府当局者の話として2月14日、ロシア軍がウクライナ国境地帯に集結中の部隊の一部を攻撃態勢に移行させたと報じた。
 国防総省のカービー報道官も同日の記者会見で、ロシアは即座に攻撃に移ることが可能だと分析した。
 米当局者によると、ロシア軍は国境地帯の部隊のうち、長距離砲やロケット砲を射撃位置に移動させた。
 情勢が切迫する中、オースティン米国防長官は15日からベルギーとポーランド、リトアニアを歴訪してNATO加盟国の国防相らとウクライナ情勢について協議し、米国の関与を約束する。 (2203-021506)

1・4・4・7 侵攻決定と断定

 バイデン米大統領が2月18日、プーチン露大統領がウクライナ侵攻を決断したと言明した。
 米情報機関の情報に言及し、われわれには確信する十分な根拠があると述べ、ロシアが数日中にも侵攻に踏み切るという認識を示し、さらにロシアが首都キエフを攻撃の目標にするとも確信していると述べた。
 米国防総省の高官は、ウクライナ国境近辺に集結しているロシア軍部隊の40~50%が攻撃態勢にあると明らかにした。
 米民間企業Maxar社は自社の衛星画像を元に18日、ベラルーシやクリミア、ウクライナ国境に近いロシア西部の複数の場所で軍事活動が活発化していると指摘した。
 ベラルーシ北西部にヘリコプターが新たに多数配備されている様子や、ウクライナとの国境から26kmにあるミラーロヴォ飛行場に戦車や人員輸送車、支援機材などが配備されている様子が写っているという。 (2203-021909)
1・4・4・8 米国内の対応

ロシアと利害関係のある米企業の対応

 ロシアがウクライナに侵攻すれば、米国は制裁を科す構えであるのため、ロシアと利害関係のある米企業は緊急対応策の策定を急いでいる。
 首都ワシントンの弁護士によると、ここ数週間で対ロシア制裁の内容を懸念する銀行、運輸、石油・ガス業界の顧客と日々連絡を取り合っている。
 法律事務所の国際貿易コンプライアンス専門家は、ロシアでの事業を制裁から守るのは非常に難しく、米政府による措置の内容が分からない場合はなおさらだと語る。 (2203-020202)

1・4・5 打開への動き

「ミンスク合意」4ヵ国の動き

 1月26日にウクライナ、ロシア、ドイツ、フランスの4ヵ国の高官がウクライナ東部紛争をめぐって行った協議は、停戦順守の必要性で一致したことを、協議に参加したロシアのコザク大統領府副長官が明らかにした。 (2202-012703)

 ウクライナ情勢を巡り首脳外交を続けるマクロン仏大統領が2月8日にキエフでゼレンスキー大統領と会談し、会談後の共同記者会見でウクライナが自国に不利だとして修正を主張する紛争解決に向けた「ミンスク合意」の履行が「平和と政治的解決につながる唯一の道だ」と強調した。
 ロシアとウクライナ、仏独の4ヵ国がまとめ2014年と2015年に結ばれたミンスク合意には、親露派武装勢力が実効支配するウクライナ東部地域での停戦や同地域への一定の自治権付与が含まれ、ロシアが履行を求めている。 (2203-020902)

1・5 ウクライナ侵攻作戦

1・5・1 親露2勢力の独立承認

1・5・1・1 独立承認大統領令

独立承認大統領令に署名

 プーチン露大統領が2月21日、ウクライナ東部で親露派が支配して自ら名乗るドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立を認める大統領令に署名した。
 それに先立ち、国民に向けてTV演説し、同地域で衝突が激しさを増していると承認の理由を説明した。
 ロシア大統領府によると、プーチン大統領は同日、マクロン仏大統領とショルツ独首相に承認の方針を伝えた。
 これによりウクライナ東部へのロシアの支配が強まり、軍が駐留する可能性もある。 (2203-022201)

ミンスク合意の無効宣言

 プーチン露大統領が2月22日、ウクライナ東部の停戦と和平への道筋を示した「ミンスク合意」はもはや存在せず、履行すべきことは何も残っていないと述べた。
 ミンスク合意はロシアがウクライナ東部の親露派2地域の独立を承認するはるか前にロシア側ではなくウクライナ側が放棄したと非難した。 (2203-022304)

独立承認した地域に実効支配境界線を越える地域も

 ウォレス英国防相が2月22日、ロシアが前日に独立を承認したウクライナ東部の2地域について、親露派が実効支配する境界線を越える地域も含まれている可能性があるとの見方を示した。
 ロシア外務省は、境界線は将来に決定されるとの見解を示している。 (2203-022305)

EU 欧州議会がロシアを「テロ支援国家」に認定

 ロイタ通信などによるとEU欧州議会が11月23日に、エネルギーインフラや病院や学校などを標的としたロシア軍の攻撃は国際法に違反しているとしてロシアをテロ支援国家に指定した。 (2212-112313)

 AP通信などが、EUの欧州議会が11月23日にウクライナ侵攻を続けるロシアを「テロ支援国家」と認定する決議案を賛成多数で可決した直後、議会のウェブサイトがサイバ攻撃を受けたと報じた。
 メツォラ議長は「親露派グループが犯行を主張している」と明らかにした。 議会の報道官はDDoS攻撃を受けた可能性があるとの見方を示した。 (2212-112410)

1・5・1・2 西側諸国からの反発

フランスと EU が制裁発動

 ミシェルEU大統領とフォンデアライエン欧州委員長が2月21日、プーチン露大統領がウクライナ東部の親露派支配地域の独立を承認したことを受けて共同声明を出し、「EUはこの違法行為の関係者に制裁で対応する」と表明した。
 その上でウクライナの独立や主権へのEUの揺るぎない支持を改めて強調した。
 一方、ポーランドのモラウィエツキ首相は、即座の制裁で対処しなければならないとのべ、対応を協議するため、EUの緊急首脳会議の招集を求めた。 (2203-022202)

米国が制裁発動

 米大統領府が、バイデン大統領が2月21日にプーチン露大統領によるウクライナ東部の親露派の独立承認を受け、制裁を発動する方針を明らかにしたと発表した。
 バイデン大統領は21日、ホワイトハウスで外交安全保障の高官らとウクライナ情勢をめぐって協議したのち、ウクライナのゼレンスキー大統領のほか、マクロン仏大統領、ショルツ独首相と電話会談した。 (2203-022103)

 バイデン米大統領が2月22日、ロシアがウクライナ東部の親ロシア地域の独立を承認し軍派遣を命じたことについてロシアによるウクライナ侵攻が開始されたとし、対ロシア制裁の第一弾を発動すると表明した。
 ロシアがさらに攻撃的な行動に出れば追加措置を実施するとも言明した。
 ロシア政府系銀行の開発対外経済銀行 (VEB) を含む2つの主要金融機関やソブリン債のほか、特権階級層やその親族らが制裁の対象になるとした。
 ロシアのソブリン債に対する制裁は、ロシア政府が西側諸国の資金調達から断絶されることを意味するとした。 (2203-022311)

米国が部隊を東欧に移動

 米政府当局によると、バイデン大統領は2月22日に1個大隊の歩兵800名をバルト地域に派遣し、F-35最大8機をNATO東方地域の複数の拠点に配備するほか、AH-64 32機を欧州域内からバルト地域やポーランドに移す欧州における軍の再配備を発表した。 (2203-022311)

 米国防総省が2月22日、既にドイツやポーランド、ハンガリーに駐留している6,000名の米軍がバルト諸国やポーランドに展開したと発表した。 展開したのは以下の通りである。 (2203-022312)

・イタリア駐留の歩兵1個大隊800名がバルト諸国へ
・ドイツ駐留のF-35A 8機がバルト諸国とNATO南東翼へ
・ドイツ駐留のAH-64 Apache 20機がバルト諸国へ
・ギリシャ駐留のAH-64 Aapche 12機がポーランドへ

英国が制裁発動

 ジョンソン英首相が2月22日、ロシアの5銀行とプーチン大統領に近い富豪ら3人に経済制裁を科すと発表した。
 プーチン大統領がウクライナ東部の親露地域の独立を承認し、軍派遣を命じたことを受けた措置だが、ロシア最大の国営銀行に対する制裁やロシアの有力オリガルヒ(新興財閥)の国外退去措置などは見送られた。 (2203-022301)

 トラス英外相が2月23日、ロンドン市場でロシアの国債発行をできなくする考えを明らかにした。
 トラス外相はSky Newsに、「われわれはロシアによる英市場へのアクセスを制限すると明確にしてきた。 ロシア政府が英国内で国債を発行することを阻止する」と表明した。
 また「ウクライナへの本格的な侵攻があれば、ロシアの主要なオリガルヒ(新興財閥)により厳しい制裁を科し、金融市場へのアクセスを制限する」と述べた。
 ただ欧米当局者によれば、ロンドンでの国債売却を制限するためには、英国は新たな法律の制定が必要になる。 (2203-022318)

英国がNATO 派遣戦闘部隊の増強

 英国はエストニアに派遣しているNATO戦闘部隊を800名増強すると明らかにした。
 リトアニアのアヌサウスカス国防相は、将来に予想される増強も含めると、バルト三国に派遣されているNATO軍の規模は倍増すると予想している。
 年初時点で三国に派遣されているNATO部隊は3,400名だった。 (2203-022303)

ドイツが NATO 東部派遣部隊を増強

 ランブレヒト独国防相が2月22日、ロシアがウクライナ東部の親露派地域を独立国家として承認したことを受け、ドイツはリトアニアを含むNATO東部にさらに部隊を派遣する可能性があると述べた。
 リトアニアには1,100名のNATO戦闘部隊が派遣されているがドイツ軍がこの約半分を占めている。
(2203-022303)

EU が制裁で合意

 EUの外相に当たるボレル外交安全保障上級代表が2月22日、ロシアによるウクライナ東部の親露地域の独立承認を受け、ロシアの27の個人と団体、銀行や国防セクターに制裁を科す方針で合意した。
 ロシアによる欧州資本市場へのアクセスも制限するもので、ロシア下院の全議員も制裁の対象となり、入国制限や資産凍結などの措置が含まれる可能性があるが、プーチン大統領は制裁対象外であった。 (2203-022308)

国連事務総長が領土保全と主権侵害と批判

 グテレス国連事務総長が2月22日、プーチン露大統領がウクライナ東部の親露派武装集団が実効支配する地域を独立国家として承認したことについて、ウクライナの領土保全と主権の侵害だと批判した。
 事務総長は、プーチン大統領が平和維持目的で同地域に露軍部隊を派遣する方針を示していることに対し、平和維持の概念が曲解されていると懸念を表明して、ある国の部隊が他国の領土にその同意を得ずに入ることは、公平な平和維持部隊ではないと強調した。 (2203-022315)

ウクライナの EU 加盟申請と EU 側の反応

 ウクライナのゼレンスキー大統領が3月1日、欧州議会の緊急会合でビデオ演説し、EUがウクライナと共にあることを証明してほしいと訴えた。
 ゼレンスキー大統領は前日、EU加盟を正式に申請する文書に署名している。
 ミシェルEU大統領はゼレンスキー大統領の演説を受け、EUはウクライナの正当な加盟申請を真剣に検討する必要があると表明したが、EU拡大について欧州内で異なる見解が存在していることは承知しており、困難が予想されるとの見方も示した。 (2204-030201)

 欧州議会が3月1日、ロシアの軍事侵攻を受けているウクライナのEU加盟に向けて、加盟国や関係機関に努力するよう求める決議を採択した。 決議に拘束力はない。
 欧州議会はロシアを非難する決議を賛成多数で採択した中で、ウクライナにEU加盟候補国の地位を与えるよう、関係機関などに努力するよう求めた。
 EU加盟国には東欧を中心にウクライナの加盟を支持する国はあるものの、実際に加盟交渉を始めるかどうかは加盟27ヵ国の全会一致が必要で、ミシェル大統領は真剣に分析すると表明する一方、難しいテーマで加盟国の中には様々な意見があると語った。 (2204-030207)

1・5・1・3 NordoStream 2 への影響

ドイツ、計画承認停止の方針

 ショルツ独首相がロシアによるウクライナ東部地域の独立承認を受け2月22日、ロシアからの天然ガス輸送パイプラインNordo Stream 2の計画承認停止を明らかにした。
 ハベック経済相はNordo Stream 2による追加供給がなくてもドイツへのガス供給は確保されるとしたが、短期的には価格は上昇するとの見方を示した。 (2203-022215)

ドイツ、計画完全中止の可能性も

 ハーベック独経済気候保護相が22日に公共TV ARDとのインタビューで、ロシアからの天然ガスパイプラインNordo Stream 2計画について、対露制裁の一環として完全中止も大いにあり得ると述べた。
 ドイツは天然ガスを再生可能エネルギー普及までのつなぎとして不可欠と位置付けてきており、計画が完全に放棄されれば、ドイツのエネルギー政策は大幅な修正を迫られるとみられる。 (2203-022319)

バイデン米大統領、Nordo Stream 2 運営会社等に制裁

 バイデン米大統領が23日に声明を出し、ロシアへの対抗措置としてNordo Stream 2の運営会社とその関係者に制裁を科す方針を発表した。
 22日に発表した第一弾となる対露経済制裁の一環という。 (2203-022403)

Nordo Stream 2AG が破産か

 ロシア産の天然ガスをドイツに運ぶパイプラインNordoStreem 2の事業会社NordoStreem 2AGが破産申請を検討していると関係筋2人が明らかにした。
 この関係筋によると、NordoStreem 2AGは負債の一部の清算を始めており、早ければ3月上旬にスイスで破産申請手続きを正式に開始する可能性がある。
 NordoStreem 2AGはロシア国営ガス会社ガスプロムの子会社で、スイスに拠点を置いている。 (2204-030202)

 NordoStreem 2の事業会社NordoStreem 2AGが3月2日、破産の申請をした事実はないと表明した。
 NordoStreem 2AGは、破産を申請したとのメディア報道を認めないとした上で、従業員を解雇する必要があることを複数の地元当局に伝えただけだと表明した。 (2204-030303)

1・5・1・4 通貨ルーブルと株価の反応

経済制裁への懸念から売りが殺到

 2月21日のロシア株式市場では、ウクライナ情勢の緊迫化や米欧による経済制裁への懸念から売りが殺到し株価が急落した。
 通貨ルーブルも対ドルで一時3%超下落した。 代表的な株価指数であるRTS指数は前週末終値比13.2%安の1207.50と、2020年11月以来の安値で引けた。
 ウクライナ情勢への警戒感から欧州主要国の株価も軒並み下落し、ドイツ株式主要40銘柄指数 (DAX) は2.1%安、フランスCAC40種指数は2.0%安、英FT100種平均株価指数は0.4%安となった。 (2203-022104)

制裁が限定的との臆測から反発

 2月22日の金融市場で、ロシア株とロシア・ルーブルが前日の急落から反発し、ルーブルが新興国通貨の中でも値上がり上位に入った。
 EUと英国の制裁対象から外れた国営のVTB銀行とズベルバンクは、いずれも株価が上昇しロシア株の指数をプラスに押し上げた。
 西側諸国の制裁が限定的にとどまる可能性があるとの臆測が、トレーダーらの間に広がった。
 Monex証券欧州の為替分析責任者は「西側諸国の発言から、制裁は当初懸念されたほど厳しくなく、範囲も広くもないことが示唆される」と述べた。 (2203-022310)

2020年3月以降の最安値

 2月23日の外国為替市場ではルーブルがドルに対する下げを拡大し、COVID-19パンデミックが始まった2020年3月以降の最安値を付けた。
 ルーブル相場はトレンドラインの突破が目前で、テクニカルアナリストも安値更新の展開を見込んでいる。 (2203-022401)

1・5・1・5 ロシア、ガス供給で反撃

LPG 輸送の受注停止を通告

 ロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムの子会社で鉄道輸送を手掛けるガスプロムトランスが、2月18日からウクライナ向け液化石油ガス (LPG) 輸送の受注を停止したとする顧客企業に宛てたメモをロイタが入手した。
 メモでは、ウクライナ情勢の激化によるガスプロムトランスが所有する鉄道車両への損害などの潜在的なリスクを避けるため、ウクライナ向け出荷の受注を停止する必要があるとし、顧客企業に対し他の供給先を検討するよう求めたほか、すでに受注が確定した注文は履行するが、輸送中に車両などに損害が生じた場合は全額補償するよう要請した。 (2203-022302)

1・5・2 ロシア軍の進駐

1・5・2・1 親露「独立国」と友好条約

 プーチン露大統領が2月21日、ウクライナ東部の親露派指導者と友好条約に署名した。
 大統領が批准を求めて議会に提出した同一内容の友好条約では、ロシアは親露派地域に軍事基地を建設する権利を持ち、親露派もロシアに軍事基地を建設する権利があるとしている。
 また、ロシアと親露派地域は相互防衛にコミットし、軍事協力と相互の国境承認に関する別の合意にも署名する計画である。
 31条からなる条約には、ロシアと親露派地域が経済統合で協力することも記されている。
 条約の期間は10年で、いずれか一方が離脱を通知しない限り、自動的に5年間延長される。 (2203-022205)

 ロシア連邦議会が2月22日、プーチン大統領がウクライナ東部の親露派2地域の独立承認を受け、両地域との友好相互援助条約批准を承認した。
 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとの国交断絶を検討することを明らかにした。 (2203-022214)

 ロシア大統領府が、プーチン大統領が2月22日に親露派2地域との友好条約を批准したと発表した。
 これにより、両地域に軍事基地を建設し、軍隊を配置し、共同の防衛体制構築に合意し、経済統合を強化できるという。 (2203-022304)

1・5・2・1 進駐開始

進駐軍の目撃情報

 ロイタ記者が2月22日未明に、ウクライナ東部ドネツク州の首都ドネツク周辺で戦車など軍用車両が隊列を成しているのを目撃した。
 ドネツク郊外で戦車5両前後の隊列を確認し、他の場所でも2つの車列があった。 どの軍に所属しているかを示す記章は確認できなかった。
 ロイタの記者によると、前日まではドネツクで戦車は走行していなかった。 (2203-022206)

平和維持軍の派遣命令

 InterFax通信が、プーチン露大統領が2月21日に露国防省に対し、ウクライナ東部ドネツク、ルガンスク両州の親露派支配地域に軍を派遣して平和を維持するよう指示したと報じた。
 主権国家であるウクライナ領への事実上の侵攻をする可能性が高まり、米欧はロシアへの制裁などを発表した。緊迫するウクライナ情勢はついに侵攻の危機に直面した。
 ロイタ通信は22日、戦車を含む戦闘車両がドネツク州の州都ドネツク近郊で目撃されたと報じた。 どの国の戦車か所属を表す記章はなかったという。 (2203-022208)

 ロシア連邦議会上院が2月22日、プーチン大統領が要請した国外へのロシア軍派遣を全会一致で承認した。 直ちに発効されるという。
(2203-022304)

 緊張が高まるウクライナ情勢をめぐって、ロシアはウクライナ東部の親露派が事実上支配する地域の独立を一方的に承認し、平和維持の名目で部隊を派遣する準備を整えた。
 プーチン大統領は、軍を展開させる時期は明らかにしていないものの、ウクライナへの圧力を一段と強めている。 (2203-022313)

米国の反応、バイデン米大統領が侵攻開始と断定

 バイデン米大統領がロシアがウクライナ侵攻を開始したと言明し、米国としてロシアに対する制裁の第一弾を開始すると発表した。
 これより先、EUと英国は一連の対ロシア制裁案を発表した。 (2203-022213)

米国の反応、米政権高官は今までも行ってきたことと判断

 バイデン米政権の高官が2月21日、プーチン露大統領がウクライナ東部の親露派2地域の独立を承認する大統領令に署名し、平和維持軍の派遣を命じたことについて、親露派実効支配地域への軍派遣はロシアが既に行っていることで、より広範な制裁を発動するような侵攻には相当しないとの見方を示した。
 この政権高官は「ロシア軍がドンバス地域に進出することは過去8年間行ってきたことで新たな動きではなく、よりあからさまな方法でこれを行う決定をしているにすぎないと述べた。 (2203-022209)

 最新の情報に詳しい米政府高官が、米国はロシア軍がドンバス地方に早ければ米東部時間の2月21日夜か22日にも進駐する可能性があると見ていることを明らかにした。
 米国は依然として、ロシア軍が輸送艦艇や空挺部隊の装備品の積み込みを含む広範な侵攻準備を確認している。 (2203-022210)

1・5・2・3 全面侵攻の切迫

 ストルテンベルグNATO事務総長が2月22日、ロシアはウクライナに対する全面的な侵攻をなお計画しているとの見方を示した。
 事務総長は記者会見で、ロシアがウクライナに対する全面的な侵攻を計画し続けていることを示すあらゆる兆候があると述べた。 (2203-022307)

 米国防総省高官が2月23日、ウクライナを取り囲むように集結しているロシア軍の部隊について最大限の準備ができており、部隊の80%がいつでも出動できる準備を整えたと指摘した。
 そのうえで、われわれの評価ではプーチン大統領は大規模な侵攻を行うための準備が完全にできており、それは可能性の高い選択肢だと述べて、大規模な軍事侵攻がいつ始まってもおかしくないという見方を示し強い警戒感を示した。 (03-022404)

 事情に詳しいウクライナや欧米の当局者が、米国がウクライナ政府に対し、最新の諜報ではロシアによる全面侵攻が間近に迫っていることが示されていると警告したことを明らかにした。
 各国の指導者も攻撃が差し迫っていると警告すると指摘していて、モリソン豪首相は米東部時間2月22日夕に、「ウクライナへの全面侵攻を完遂するためのロシアの準備はピークに達していると述べ、全面侵攻が24時間以内に起きる可能性が高いとも述べた。
 また23日午前にはラトビアのカリンシュ首相が、分離派支配地域にロシア軍が入ったと明らかにした。 その後、米国防総省もロシア軍が同地域に移動しているとの見方を示した。 (2203-022405)

2 ロシア軍の全面侵攻

2・1 侵攻作戦の推移

2・1・1 ロシア軍の進撃

2・1・1・1 ロシア軍の進撃

 2月24日 09:59 ブリンケン米国務長官が23日にNBC Newsとのインタビューで、ロシアが24日夜明けまでにウクライナに侵攻するとの見方を示した。
 長官は「ロシアがウクライナに対して大規模な攻撃を行うための準備は全て整っているようだ」と述べたが、時間や場所について正確なことは言えないとした。 (2203-022407)

 2月24日 10:38 ロシアが、ウクライナ国境東側のロストフ飛行情報区 (FIR) の一部空域を封鎖した。
 民間航空便に「安全を提供」するためとしている。
 通知には回避すべき特定の区間や高度が記されている。 (2203-022409)

 2月24日 10:47 ウクライナ東部のドニプロ、ハルキウ、ザポリージャの各空港が24日朝まで閉鎖されたことを、地元当局が航空関係者向けの通知で明らかにした。  理由は示されていない。 (2203-022410)

 2月24日 11:21 ウクライナ南東部のルガンスク州で2月22日、親露派武装組織側からの砲撃で、州都ルガンスクにある火力発電所が被弾、変圧器が破損した。
 散発的な砲声が響く中、発電所から立ち上る黒煙が目撃された。
 プーチン大統領はこの前日、ウクライナ東部のドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立を認める大統領令に署名したその日の深夜にウクライナ東部で軍用車両の隊列が目撃されたが、これが平和維持の名目でウクライナに侵入したロシア軍のものかは不明である。 (2203-022411)

 2月24日 12:22 ウクライナ政府が24日早く、同国領空での民間機の飛行を制限したことを明らかにした。  01:56 GMT(日本時間10:56)に出された航空関係者向けの通知によると、当局は民間機の運航に危険が及ぶ恐れがあるとしてウクライナ領空での飛行を制限している。
 この通知は延長されない限り、24日23:59 GMTに解除される。 (2203-022412)

 2月24日 12:28 プーチン露大統領が24日、ロシア軍にウクライナでの特別軍事活動を承認した。
 プーチン大統領は「特別軍事活動の実施を決断した」とし、「狙いは過去8年間、脅しと大量虐殺の対象となってきた人々を守ることだ。 そのためにウクライナの非軍事化と非ナチ化を目指す」と発言し、「ロシア連邦の市民を含め、市民に対する多数の流血の犯罪を犯した人間を裁判にかける」と述べた。
 ウクライナ軍に向けて「直ちに武器を捨てて帰るよう求める。この要求に応じるウクライナ兵は全員、戦闘地帯を自由に離れ、家族のもとに戻ることができる」とも述べた。 (2203-022413)

 2月24日 12:35 ウクライナメディアによると、同国内の複数の都市で24日未明に激しい爆発音が聞かれ、ロシア軍の空爆が開始された可能性がある。
 爆発音が響いたのは東部クラマトルスクや黒海に面した南部オデッサなどで、首都キエフでも05:00過ぎから朝日新聞記者が断続的に爆発音が響くのを聞いた。 (2203-022414)

 2月24日 12:39 ニュースサイトのUkrainska Pravdaが、ウクライナ内務省高官が24日に首都キエフとハリコフのウクライナ軍司令部がミサイル攻撃を受けたと明らかにしたと報じた。
 ロイタの記者は、キエフで24日早朝に迫撃砲のような爆発音が遠い場所から複数回響き渡るのを聞いた。
 数分前にはプーチン露大統領が、ウクライナ東部での特別軍事活動を承認したと伝わっていた。 (2203-022415)

 2月24日 13:16 ロイター通信が、ウクライナ外務省が24日に同国内の複数の都市が攻撃を受けたと発表したと報じた。
 首都キエフがミサイル攻撃を受けているという。
 Wall Street Journalなどの米メディアは日本時間の同日午後にロシア軍がウクライナ東部へ攻撃を開始したと報じた。 (2203-022416)

 2月24日 13:36 ロイタ通信がロシアメディアの報道として、ロシア軍が24日にウクライナ南部の黒海に面した港湾都市オデッサや東部ドネツク州マリウポリに上陸し、同国への侵攻を開始したと報じた。
 CNN TVによると、黒海に面した同国の港湾都市オデッサでも複数の爆発音が聞かれたという。
 ウクライナのクレバ外相はロシアが「全面的な侵攻」に踏み切ったと述べた。 (2203-022417)

 2月24日 14:17 ロシア軍が24日にウクライナに侵攻した。
 プーチン大統領は24日未明(日本時間同日午前)に国営TVを通じて緊急演説を行い、親露派武装勢力とウクライナ軍の紛争が続くウクライナ東部で「特別軍事作戦」を行うと表明した。
 ロシアメディアによると露軍は同日、ウクライナ南部の黒海に面した港湾都市オデッサや東部ドネツク州マリウポリに上陸した。
 InterFax通信によると、首都キエフや東部ハリコフで爆発があったほか、東部クラマトルスク、オデッサとニコラエフなどで爆発音が聞かれた。
 ウクライナ当局者は、全土の軍事施設がミサイル攻撃を受けているとしている。
 ウクライナのクレバ外相はロシアが「全面的な侵攻」に踏み切ったと述べた。
 攻撃を受け、ウクライナでは戒厳令が布かれた。 (2203-022418)

 2月24日 14:28 プーチン露大統領が24日のTV演説で、「ロシアは世界で最も強力な核保有国の一つ」と欧米に警告した。
 プーチン大統領は「ソ連崩壊で多くのものを失ったが、現代のロシアは世界で最も強力な核保有国の一つ」というだけでなく、最新兵器でも優位性があると強調し、「我が国を攻撃すれば、壊滅し、悲惨な結果になることに疑いない」と主張した。 (2203-022419)

 2月24日 14:37 ウクライナのゼレンスキー大統領が24日、全土を戦時体制に移行すると宣言した。
 大統領はTV演説で「ロシアのプーチン大統領はウクライナ東部での特別軍事作戦を表明した。 ロシアはわが国の軍事インフラと国境警備要員への攻撃を行った」とし、「わが国の全土に戦時体制に移行する」と述べた。 (2203-022420)

 2月24日 14:49 InterFax通信が、ウクライナの親露派勢力が24日にルガンスク州にあるウクライナ政府が統治する町への攻撃を開始したと発表したと報じた。 (2203-022421)

 2月24日 14:55 CNN TVによると、ロシア軍は24日にベラルーシからも部隊をウクライナに侵攻させ、軍用車両などがウクライナ国境を越えたとしている。 (2203-022422)

 2月24日 15:17 ウクライナ国防相は、ウクライナ東部の部隊や軍司令部、飛行場がロシアからの激しい砲撃を受けていると明らかにした。
 ウクライナ軍は、空軍がロシアの空襲撃退に努力しているとした。 またロシア軍が南部の黒海に面した都市オデッサに上陸したとの情報は誤りだとした。 (2203-022423)

 2月24日 15:21 CNNはライブストリーミング映像を通じて、軍隊が軍用車の車列に乗って、ベラルーシとの国境を越えてウクライナに入ってくる様子を目撃した。
 この映像はベラルーシのベセロフカと国境を接するウクライナのセンキウカで撮影されたもので、車列が現地時間06:48に入ってくる様子が見えた。 (2203-022425)

 2月24日 15:48 プーチン氏の国民向けTV演説の直後、夜明け前のウクライナの首都キエフで爆発音が聞かれた。
 InterFax通信によると、キエフの空港の周辺では銃声が聞かれた。 (2203-022428)

 2月24日 16:15 ロシアメディアが、ロシア国防省が24日にウクライナ空軍基地の施設を機能できない状態にし、ウクライナの防空体制を制圧したと表明したと報じた。
 ウクライナ軍は、ロシア機5機とヘリ1機をルガンスク地域で撃墜したと述べていたが、ロシア軍は同国軍機1機がウクライナで撃墜されたとの情報を否定した。 (2203-022429)

 2月24日 16:21 ロイタ通信によると、ウクライナ西部でポーランドと国境を接する街リビウも攻撃を受けたとの情報が伝えられている。  ウクライナ情勢の緊迫化を受け米国はキエフの大使館を閉鎖してリビウに移転すると発表しており、日本大使館も邦人の国外退避などのために臨時の連絡事務所を設置している。 (2203-022426)

 2月24日 16:53 ウクライナ内相顧問が24日、ロシア軍の砲撃により少なくとも8人が死亡し9人が負傷したと述べた。
 ウクライナ国境警備隊によると、ロシア軍の部隊は国境を越え北部チェルニヒウ、北東部ハルキウ、東部ルガンスクの各地域に入った。 (2203-022430)

 2月24日 18:03 ウクライナ大統領首席補佐官顧問は、ウクライナ軍が港湾での業務を全て停止したことを明らかにした。 国外への穀物輸送の停滞が懸念されている。
 トルコの海事当局は、トルコの船舶が24日にオデッサの沖合で砲撃を受けたと発表した。 ただ死傷者はなく、船舶は安全だという。
 アゾフ海でのウクライナの最重要港はマリウポルで、アゾフ海からは主に小麦、大麦、トウモロコシを地中海諸国に輸出している。
 ロシアは世界最大の小麦輸出国で、主に黒海の港から出荷している。 (2203-022432)

 2月24日 20:01 ウクライナ大統領顧問が24日の会見で、同国がミサイル攻撃の第2波に見舞われていると述べた。
 同国はプーチン露大統領が24日午前に軍事作戦の実施を指示した直後に第1波のミサイル攻撃に見舞われ、国内の複数の都市の軍事施設などが攻撃を受けた。 (2203-022433)

 2月24日 22:42 ストルテンベルグNATO事務総長が24日、ウクライナ情勢をめぐり緊急首脳会議を25日にオンライン形式で開くと表明した。
 NATOは24日の大使級理事会で、加盟国に向けたNATO即応部隊 (NRF) 投入も視野に入れた防衛計画の発動を決めた。
 ストルテンベルグ事務総長は終了後の記者会見で、計画発動は加盟国への危機波及を防ぐための慎重で防御的な措置だと説明した一方、ウクライナについては、これまで同国の軍備強化を支援してきたことに触れつつ、NATO部隊を展開する計画は何もないと明言した。
 さらに加盟各国が既に東欧に増派していることを踏まえ、集団防衛義務を定めたNATO条約第5条順守の取り組みは鉄壁だと強調し、ロシアによる加盟国攻撃を牽制した。 (2203-022427)

 2月24日 23:53 ウクライナのメディアによると、南部オデッサ州でもロシア軍の攻撃を受け、計22人が死亡した。 (2203-022434)

 2月25日 00:13 ウクライナ軍が24日、ベラルーシ領内から南西方向にBM 4発が発射されたと発表した。
 これを受け、ウクライナのゼレンスキー大統領は同日、同盟国がロシアに対し具体的な制裁を科すのを待っていると述べた。
 またウクライナ東部マリウポリの市議会は住宅地が砲撃を受け、死傷者数を確認していると発表した。 (2203-022501)

 2月25日 00:45 ウクライナのゼレンスキー大統領が24日、ロシア軍が南部ヘルソン地域の一部を掌握したと発表した。
 また、チェルノブイリ原発跡の制圧も目指していると明らかにした。 さらに、ウクライナ軍当局によると、首都キエフ近郊のホストメル空港では、ロシア軍のヘリなどが空挺部隊を降下させ、戦闘が続いている。 エネルギー相によると、電力供給は安定しているという。
 これに先立ち、ウクライナ内相の顧問は、ベラルーシ方面から進撃中のロシア軍がキエフの北130kmにあるチェルノブイリ原発跡周辺に侵入したと明らかにした。
 キエフ市長は地下鉄の駅を防空壕として使用するよう呼び掛けるとともに、外出禁止令を発出した。
 大統領府の顧問によると、ウクライナ軍では40名以上が死亡し、数十名の負傷者が出ている。 (2203-022502)

 2月25日 01:06 米国防当局者が24日、これまでのところロシアによるウクライナ侵攻は攻撃目標を主として軍事施設、防空関連、兵舎、弾薬庫、空港など約10ヵ所にしているとした上で、ロシアによるウクライナ侵攻はウクライナ政権打倒が狙いで、攻撃の主要目標のひとつは首都キエフ攻略にしていると米政府は確信していると明らかにした。
 ロシアの攻撃は現時点で大規模なウクライナ侵攻の初期段階とした上で、攻撃が始まってからの1時間の動きは米政府が想定するロシアの侵攻の目的と一致しているとした。 (2203-022503)

 2月25日 02:15 米国防総省はロシアによるウクライナへの攻撃について航空機75機が参加しミサイル100発以上を発射したという分析を明らかにした。
 CNNなどによると、米国防総省の分析では、ロシアがウクライナへ発射したミサイルは100発を超えていて、ほとんどはSRBMで、このほかにCMやSAMも含まれている。
 一方、米軍はウクライナ国内には入っておらず、ポーランドやルーマニアに設置された避難所での救援活動にあたるとしている。 (2203-022504)

 2月25日 02:38 複数の米メディアによると、米国防総省高官が24日にロシア軍はウクライナのゼレンスキー政権を転覆するため、首都キエフに向けて進撃を続けているとの見方を示した。
 New York Timesによると、ロシア軍は3手に分かれてウクライナ国内の都市に向けて進撃を続けており、このうち二つは首都キエフに向かって進撃しているという。
 国防総省高官は「我々の分析では、ロシア軍にはゼレンスキー政権を転覆して、自分たちの統治方法を据え付ける意図がある」と語った。 (2203-022505)

 2月25日 02:48 InterFaxが、ロシア国防省はロシア軍がウクライナにある陸上の目標83ヵ所を破壊し、24日の攻撃目標を達成したと発表したと報じた。 (2203-022506)

 2月25日 04:23 バイデン米大統領が24日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて記者会見し、「プーチン大統領は侵略者だ。 彼はその報いを受けることになる」と述べ、ロシアに対する追加の経済制裁を発表した。
 ロシアの大手銀行に米国での取引を禁じる措置を拡大するほか、ハイテク製品の輸出規制を発動する。 (2203-022507)

 2月25日 06:36 米国防総省が24日、ロシアのウクライナ侵攻を受け、数日中に米軍7.000名をドイツに派遣すると発表した。
 機甲旅団戦闘団が含まれ、NATO加盟国に対するロシアの侵略を抑止することなどが目的で、ドイツから東欧に派遣される可能性もあるという。 (2203-022509)

 2月25日 07:43 ウクライナのリャシュコ保健相が、ロシアがウクライナへの本格的な侵攻を開始した24日に57名が死亡し、169名が負傷したと述べた。 (2203-022510)

 2月25日 08:18 ロシアのウクライナ侵攻を受けてモスクワ、サンクトペテルブルク、エカテリンブルクといったロシアの主要都市では、「戦争反対」などのスローガンを掲げた何百人もが集結して抗議活動を展開した。
 人権団体のOVDインフォによると、警察は24日19:39 GMTまでに53都市で合わせて1,667人の身柄を拘束した。
 COVID-19感染拡大を理由にいかなるデモも禁止しているモスクワの警察は600人を拘束したと発表した。  プーチン大統領がウクライナへの侵攻を開始して以降、ロシアの有名な歌手、ジャーナリスト、コメディアン、サッカー選手などが相次いでオンラインで戦争に反対すると表明しており、同国としては異例の事態となっている。 (2203-022511)

 2月25日 09:09 国防総省高官が、オースティン米国防長官が24日に欧州への米軍7,000名の派兵を命じたことを明らかにした。
 7,000名は主に米コロラド州Ft. Carson駐屯陸軍第4歩兵師団の部隊で構成し、まずドイツの拠点に派遣される。 NATOが近く編成を決めるとみられる即応部隊 (NRF) に合流する可能性がある。
 また国防総省高官は24日、露軍の初期の空爆で発射されたミサイルは160発以上と明らかにした。
 空爆の対象地域はウクライナの首都キエフ、南部ヘルソン、東部ハリコフなど主要都市の周辺部で、ウクライナ軍の指揮管理機能などが攻撃された。 (2203-022515)

 2月25日 10:01 欧州安全保障協力機構 (OSCE) が24日、ロシアの侵攻を受けできるだけ早期にウクライナからスタッフを退避させると発表した。
 OSCEは退避は一時的な措置だとしている。 同国東部には非武装の監視員数百人が滞在している。
 OSCEのウクライナ特別監視団 (SMM) は、同国東部における親露派とウクライナ軍との間で停戦の履行状況を監視する任務を負っている。 (2203-022516)

 2月25日 12:40 黒海に浮かぶウクライナのスネーク島を防衛するウクライナ軍守備隊13名と、ロシア海軍艦が交わしたものとみられる音声が明るみに出た。 ウクライナのゼレンスキー大統領によると、スネーク島の守備に当たっていた全員が戦死したと報告されているという。
 両者のやり取りとされる音声によると、24日に同島に接近したロシア艦が「流血と不必要な犠牲を回避するため武器を置くことを提案する。 さもなくば攻撃する」と述べたのに対しウクライナ守備隊からのものとされる応答は、「ロシア艦、消え失せろ」という内容だった。 (2203-022519)

 2月25日 15:11 ウクライナのゼレンスキー大統領がTV演説で、ロシア軍が現地時間25日04:00にミサイル攻撃を再開したと明らかにした。 ミサイル攻撃は軍民両方の施設を目標にしているという。
 ただ、ロシア軍の進撃は大半の方向で食い止められていると述べた。 (2203-022520)

 2月25日 15:38 ウクライナのヘラシチェンコ内相顧問が25日、ロシア軍の戦車が今日にもキエフを攻撃するとの見通しを示し、最も厳しい1日になる可能性があるとしている。
 また、ウクライナ国防省高官は25日にロシア軍が今日にもキエフ近郊まで進撃する可能性があるとの見方を示した。
 ウクライナ軍は、海外同盟国から供給されたATGMを用意しているという。 (2203-022521)

 2月25日 16:44 ウクライナ国防省が、空中機動部隊がロシア軍のキエフ侵攻を阻止するため、キエフの北50kmに位置する川にかかる橋を爆破したと発表した。
 国防省はロシア軍の前進が止まったと述べた。
 米政権幹部は、ベラルーシからウクライナに侵入したロシア軍が25日早朝には、キエフから32kmの距離まで来ていると推定していた。 (2203-022523)

 2月25日 18:28 ウクライナ軍幹部が25日、同軍が北からのロシア軍の進撃を阻止することに成功していると明らかにした。
 それによると、ウクライナ軍はキエフの北に位置するチェルニヒウ地区でロシア軍の突破作戦の撃退に成功し、敵軍の車両はチェルニヒウからセドニウの方向へ退却したと述べた。
 また近隣のホロドニアにいた車両もセメニウカまで退却したという。
 しかしロシア軍は24日、キエフ州ホストーメリにある空港を奪った後、首都キエフの北西で配備を増強していると見られる。 (2203-022525)

 2月25日 19:37 クライナ国営通信ウクルインフォルムによると、ウクライナ大統領府高官が25日にブチャやボルゼリなどキエフ近郊で、政府軍と侵攻してきたロシア軍の間で激しい戦闘が起きていると明らかにした。
 ブチャやボルゼリは、キエフを防衛するうえで最も重要なイルピニ川流域に位置しており、キエフからは25kmしか離れていない。
 ロシア軍に両市を支配されイルピニ川を渡られると、キエフの防衛は難しくなる。  ロシア軍は北東方面からもキエフに迫っている。 InterFaxウクライナによると、同国軍参謀本部は25日に同国北東部から侵攻したロシア軍部隊が攻勢を強めて首都キエフに迫りつつあると明らかにした。 キエフから250km離れた北東部のコノトプはロシア軍によって奪われた。
大統領府高官はウクライナ軍はなおロシア軍の攻撃を持ちこたえているとしている。 (2203-022526)

 2月25日 20:35 ウォレス英国防相が25日にBBC放送のラジオ番組で、英情報機関の分析として、侵攻したロシア軍とウクライナ軍との戦闘でロシア側の450名が死亡したとの見方を示した。
 ウクライナ側の抵抗で初日の目標は達成されなかったとも指述べた。 (2203-022527)

 2月25日 22:57 ロシア国防省が25日、キエフ近郊のホストメリ空港を制圧し、空挺部隊が一帯に展開していると発表した。
 ロシア軍は西側からキエフにつながる道路を封鎖したという。
 ウクライナ東部では親露派部隊がロシア軍の支援を受けてウクライナ軍の拠点を攻撃している。 (2203-022529)

 2月25日 23:20 ロイタ通信が25日にロシア国防省からの情報として、ロシア軍がキエフ郊外の飛行場に空挺部隊を降下させ飛行場を制圧したと報じた。
 ロシア軍が西側からのキエフへのアクセスを遮断しているという。
 一方InterFax通信はロシア国防省の情報として同日、飛行場制圧の際にウクライナの特殊部隊200名以上を殺害し、キエフの西側から包囲を進めていると報じた。 (2203-022530)

 2月25日  2月25日に、ウクライナ軍が24日に初めてロシア軍の航空基地をミサイル攻撃したと報じられた。
 攻撃されたのは国境から20km離れたロシアのロストフ州にあるMillerovo航空基地で、攻撃に使われたのはOTR-21 Tochka (SS-21 / 9M79) CRBMで、弾数は不明である。
 Millerovo航空基地では第31親衛戦闘機連隊に所属するSu-30SMが少なくとも1機火災を起こしていた。
 9M79弾は射程が15~70kmで破片効果弾の単弾頭か子弾の弾頭を搭載する。 ウクライナは500発保有していると見られる。 (2203-022532)

 2月25日  ウクライナ国境警備隊が2月25日、ロシアがウクライナ侵攻を開始した初日の24日にZmiinyi島(蛇島)がロシアに占領されたと発表した。
 ゼレンスキー大統領が25日、島を守備していた13名全員が戦死したと発表した。
 ウクライナ国防省によると蛇島への攻撃は航空機及び巡洋艦Moskvaとコルベット艦Vasily Bykovにより行われた。 (2203-022533)

 2月25日  9ヶ月間の巡回派遣を終えカンザス州Ft. Rileyに戻るはずであった第1歩兵師団 (1ID) 第1旅団戦闘団 (1ABCT) が、ロシアのウクライナ侵攻の影響で帰国を延期された。 1ABCT-1IDはポーランド、ルーマニア、ラトビアなどに展開していた。  1ABCT-1IDと交代する予定であったジョージア州Ft. Stewarの1ABCT-3IDのほか、コロラド州Ft. Ccarsonの3ABCT-4IDなど7,000名も、既に5,000名が配置されている欧州に派遣される。 (2203-022534)

 2月26日 00:16 InterFax通信によると、プーチン露大統領が25日に安全保障に関する会合で、ウクライナ軍に対しゼレンスキー大統領が率いる政権を転覆させるクーデターの実施を呼びかけた。
 ウクライナに全面侵攻しているロシア軍が首都キエフ攻略に乗り出しており、ウクライナ軍を揺さぶる狙いとみられる。 (2203-022601)

 2月26日 01:30  米国防総省高官が25日に記者団に対し、ロシア軍のウクライナ首都キエフなどへの侵攻速度が当初の予測よりも遅くなっていると述べた。
 ウクライナ軍側の指揮命令系統は損なわれておらず、各地で抵抗が続いているとした。
 この高官によると、ロシア側はウクライナ国境に集結させた大軍の1/3を侵攻に投入し、これまでにBMとCM 200発以上を発射し、一部が民間人居住区に着弾した。 (2203-022602)

 2月26日 01:53 英国防省が25日、ロシア軍がキエフに向けて新たな進撃路を啓開したと明らかにした。  国防省は「ロシア軍はチェルニーヒウの攻略に失敗した後、キエフに向け新たな進撃路を啓開した」とし、ロシア軍主力はキエフ中心部から50km以上離れた場所に留まっているとした。 (2203-022603)

 2月26日 01:56 米国防総省高官が匿名を条件に25日、ロシアはキエフへの進撃を含め想定より大きな抵抗を受けているとし、勢いが一部失われているように見えるとの認識を示した。
 その上で、ロシアは現時点でウクライナ上空の制空権は掌握していないとし、全般的にロシア軍は勢いをやや失っていると語った。 (2203-022604)

 2月26日 02:36 NATO加盟30ヵ国首脳が25日、東欧に軍を追加配備すると発表した。
 ストルテンベルグ事務総長は首脳会議後の記者会見で、ロシアはウクライナ政府を転覆させようとしていると指摘し、「民主的に選出されたウクライナ政府の排除」が強く示唆されたと述べた。
 その上で、加盟30ヵ国の一部が防空兵器などをウクライナに供与すると表明、陸・海・空および特殊作戦部隊からなる対応部隊を配置するとした。 2203-022605>2203-022605)

 2月26日   ウクライナによると、ロシアがウクライナ沖の黒海で外国籍の船舶2隻に向けて発砲した。
 両船はロケット弾の被弾で火災が発生したが、乗員らはウクライナの救助隊によって救助されたという。
 現地の船舶代理店によると、うち1隻はパナマ船籍で愛媛県今治市の日鮮海運が所有の貨物船Namura Queenである。 (2203-022606)

 2月26日 03:22 ロシアによるウクライナ侵攻2日目の25日、ロシア軍の先遣隊とみられる部隊がキエフ市内に侵入し、初めて市街戦となったが、ウクライナ軍により撃退された。
 戦闘が起きた同市北部のオボロン地区では、銃声や爆発音が響いた。ウクライナ国防省は、敵の工作・偵察部隊によって衝突が引き起こされたとしている。 (2203-022607)
【註】ロシア軍は撃退されたのではなく、そもそも威力偵察を試みた可能性もある。
 威力偵察とは本格的に攻撃ではなく、限定的な攻撃に対する相手の反応から相手の規模や配備の情報を取る戦術行動を言う。

 2月26日 06:56 Maxar社が25日に撮影した衛星写真に、ロシア軍がウクライナとの国境に近いベラルーシ南部に150機近くのヘリや大量の地上部隊を配置していることが判明した。
 キエフ制圧に向けた準備の可能性もある。 (2203-022608)

 2月26日 09:13 ウクライナのゼレンスキー大統領が25日深夜に動画メッセージを発表し、ロシア軍が北と東からキエフに迫っていることを明らかにした。
 ロシア軍は24日にキエフ北郊の空港を掌握し、現在は首都キエフ付近におり、また北の2本の経路と東の少なくとも1本の経路からも進撃している。 (2203-022609)

 2月26日 09:18 米大統領府がロシアのウクライナ侵攻に対応するため$6.4B必要と議会に通知した。
 内訳は国防総省経費が$3.5Bで、東欧諸国の支援が$2.9Bになっている。 (2203-022610)

 2月26日 09:38 ストルテンベルグNATO事務総長が25日に開いた緊急の首脳会議後の記者会見で、ウクライナに攻め込んだロシアの脅威がNATO同盟国にも及んでいるとして、即応部隊 (NRF) の展開を決めたと発表した。
 40,000名からなるNRFのうち初動を担う5,000名の多国籍旅団VJTFが、ロシアやウクライナに近い東欧諸国で警戒活動にあたる。 (2203-022611)

 2月26日 12:05 ウクライナ軍が26日、首都キエフの勝利通り(Victory Avenue)でロシア軍の攻撃を受けたが撃退したと発表した。
 ウクライナ軍は、キエフ南方のVasylkivで激しい戦闘が続いており、ロシア軍が空挺部隊を送り込もうとしていると発表した。
 26日00:00ごろにはロシア軍のヘリとSu-25を撃墜しIl-76を破壊したと発表した。
 ロシア国防省はまだ本件についてコメントしていない。 (2203-022613)

 2月26日 14:29 フランス統合参謀総長のビュルカール陸軍大将が25日、NATOの部隊としてルーマニアに仏軍500名を派遣すると表明した。
 またエストニアに対する200~250名規模の部隊を派遣する計画も明らかにした。 (2203-022614)

 2月26日 15:37 ウクライナメディアによると、首都キエフ中心部で26日に多数の銃撃があった。
 現場は鉄道駅や中心広場などの付近としている。 (2203-022615)

 2月26日 16:22 ウクライナ侵攻を続けるロシア軍が26日、キエフなど複数の都市に対してミサイルや砲撃による連携攻撃を開始した。
 InterFax通信によると、ロシア国防省はウクライナ南東部ザポリージャ州メリトポルを制圧したと明らかにした。
 メリトポルは人口15万人で、報道が確認されれば、ロシア軍が24日の侵攻開始後、初めて相当規模の都市を制圧したことになる。
 ロイタ記者によると、キエフでは26日にかけて砲撃による爆発が発生し、ウクライナ当局者によるとロシア軍はスムイとポルタバ、マリウポリの街に向けて黒海からCMを発射した。
 キエフでは中心部の政府機関の建物が多い地区で銃声や砲撃音が聞かれ、ロイタ記者は、キエフの南西区域にミサイル2発が撃ち込まれたのを確認した。
 うち1発はジュリャーヌィ空港近くに着弾したという。 キエフ市政府は1発が住居用ビルに撃ち込まれたと述べた。 (2203-022617)

 2月26日 16:55 ウクライナのゼレンスキー大統領は西側諸国に対し、ロシアとの軍事力があまりに不均衡なことから、ロシア軍をウクライナから排除するため制裁以上の措置を取るよう訴えている。
 以下に両国の軍事力の比較を示す。 (2203-022618)

・国防費: $45.8B : 4.7B
・兵 員: 90万+200万 : 19.6万+90万
・装甲戦闘車両: 15.857両 : 3,309<両br> ・航空機: 1,391機 : 128機
 2月26日 18:15 米シンクタンクの戦争研究所(ISW)などの分析をもとに、マップで主な出来事を振り返る。
【キエフ周辺】
 ロシア軍は現地時間03:00ごろにキエフなどの主要都市に向けて24日に続いて追加の空爆とミサイル攻撃を実施した。
 ロシア軍は11:00、キエフ郊外のドニエプル川西岸に進駐した。 キエフ市街地では、ロシアの破壊工作集団が私服姿で活動しているとの報告がある。

【ハルキウ周辺】
 21:00ごろにロシア軍が複数の方向からハルキウ郊外に侵入した。

【ドネツク周辺
 ロシア軍はウクライナ軍の防戦にあって侵攻を食い止められており、ドネツク州での包囲作戦を見合わせている。

【クリミア半島周辺
 ロシア軍はクリミア半島からウクライナ本土に入り、18:00ごろにへルソンを掌握したと伝わった。

 ウクライナ軍はロシア軍の進撃を食い止めるため、ドニエプル川に架かる橋を破壊した。 (2203-022619)

 2月26日 20:14 フランスが26日、同国海軍がEUの対ロシア制裁に基づき、ロシアの貨物船Baltic Leaderを英仏海峡で拿捕したと明らかにした。
 仏海軍は北部Boulogne-sur-Merまで船を誘導した。 サンクトペテルブルクに向かっていた同船の積荷は乗用車だった。
 同船はロシアのウクライナ侵攻を受けたEUの対ロシア制裁の対象となっている企業が保有する疑いがあるという。 (2203-022620)

 2月26日 22:59 国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR) が26日、ロシア軍の24日の侵攻後にウクライナから隣国ポーランドなど周辺国に116,000人が避難したと明らかにした。
 ポーランド政府は国境周辺に複数の避難民受け入れ施設の設置を表明し、負傷者をポーランドへ運び出す医療列車も26日にウクライナ方面に派遣した。 (2203-022622)

 ・当局者が2月26日、Patriotを含む1,200名からなる新たなNATOの多国籍戦闘群がスロバキアで編成されたことを明らかにした。
 この多国籍群は米軍と独軍で構成されているが、今後ポーランド、スロバキア、チェコ、オランダからも参加する。 このうち独軍と蘭軍がPatriotを担当する。
 仏軍を主力とする戦闘群は既にルーマニアに展開しており、その他の戦闘群も近く編成される。 (2203-022623)

 ・ドイツ運輸相が2月26日、ロシア機のドイツ領空飛行を禁止したと発表した。
 FlightAwarw.com飛行追跡サイトによると、その数時間前にドイツ籍のDHL貨物機がロシア空域から引き返している。 (2203-022624)

 2月27日 01:14 バイデン大統領がウクライナ支援のためJavelin ATGMなどの兵器$350M相当分を大統領の引き出し権限で供与することを国務省に命じた。
 供与されるのはJavelin ATGMのほか対空システム(註:恐らくStinger MANPAD)、弾薬、防弾チョッキなどである。
 バイデン大統領が大統領権限で米軍の備蓄をウクライナに提供するのは3回目で、安全保障装備を提供するのは今年になって$1Bにのぼることになる。 (2203-022701)

 2月27日 01:15  米国防総省高官が26日に記者団に対して、ロシア軍によるキエフへの侵攻がウクライナ軍の抵抗がロシアの想定よりも強いことから、「ロシアが勢いを失っていることに徐々にいらだっている兆候がある」と述べた。
 この高官はロシア軍がキエフから北方30kmの位置にと留まっており、制空権も確保できていないとした。
 ウクライナ軍の抵抗は引き続き強く、キエフ以外の大都市も制圧していないと指摘し、戦場はダイナミックであり情勢はすぐに変わる可能性があるとも語った。
 ウクライナに入ったロシア軍を25日時点では1/3とみていたが、現在は50%以上と分析している。 ロシア軍は侵攻開始から250発以上のミサイルを使ったとみられ、大半がSRBMだと話した。 (2203-022702)

 2月27日 15:09  ロシアの人権団体OVD Infoが26日、プーチン大統領がウクライナ侵攻を開始した24日以降の3日間で、反戦活動を行って当局に拘束されたロシア人が少なくとも3,052人に上ったことを明らかにした。
 OVD Infoがツイッターに投稿したところによると、26日だけで34都市で467人が拘束されたという。 (2203-022707)

 2月27日 15:23  ウクライナメディアによると、ロシアの軍用車両が27日、ウクライナ第2の都市、東部ハリコフに入った。 (2203-022708)

 2月27日 15:27  NBC TVが当局者の話として27日までに、カザフスタンがロシアからウクライナ侵攻への軍派遣を求められたものの、要請を断っていたと報じた。
 また、ウクライナ東部の親ロシア派組織が自ら名乗る「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立についても、カザフは承認していないと報じた。 (2203-022710)

 2月27日 16:07  ロシア国防省報道官が27日にメディアを通じて声明を出し、同国軍が過去24時間で、ウクライナ南部Khersonと南東部Berdyanskを完全包囲したと発表した。 (2203-022711)

 2月27日 16:07  ロイタ通信がウクライナ当局の発表として27日、ロシア軍がウクライナ北東部ハリコフの天然ガスパイプラインを爆破したと報じた。
 報道によると、通信アプリTelegramに投稿された動画には、夜の暗闇の中で大きなキノコ雲が上がっている様子が映っていた。
 ハリコフはキエフに次ぐ人口規模で、ロシア軍とウクライナ軍の攻防が最も激しいとされる。 (2203-022712)

 2月27日 17:40  英国防省がウクライナの戦況について26日、ロシア軍の大半は首都キエフから30kmの地点に進駐しているとの最新の情報を明らかにした。
 ロシア軍がこれまで被った損失は多大とみられ、ロシア大統領府が認めたり予期していたより大きいと分析している。
 ウクライナ軍による全土での頑強な抵抗は続いているともした。
 ロシアは制空権をまだ掌握しておらず、ウクライナはロシア空軍の戦力を大きくそいでいるとも述べた。
 米国防総省高官は26日に、プーチン大統領はロシアが保持する戦力全体の半分以上をウクライナに投入しているとの見方を示した。
 同省高官はまた、最も激しい戦闘は東部に位置するハリコフ市内外で起きていると説明ている。
 ウクライナ北部に侵入したロシア軍は2本の経路でウクライナ軍の抗戦に遭遇しているとし、首都キエフへ向かう経路とロシアのベルゴロドからハリコフを狙う経路とした。
 ウクライナ南部での交戦などはより少ないとも指摘した。
 一方、ベルゴロド南方にいるCNN取材班は26日午後の早い時間帯にウクライナ国境に近い場所でロシア軍のサーモバリック弾の発射装置を搭載出来るロケット弾の発射装置を目撃したと報告した。 ただサーモバリック弾がウクライナ内でこれまで使われたことを示す証拠はない。 (2203-022715)

 2月27日 19:00  ロシア軍は26日もキエフなどで作戦を継続しているが、25日時点と比べるとキエフ周辺では反撃するウクライナ軍の堅い守りに侵攻を阻まれている。
 一方、南部のクリミア半島からは徐々に支配地域を拡大している。
 米シンクタンクの戦争研究所(ISW)などの分析をもとに、マップで主な戦闘を振り返る。 (2203-022716)

【キエフ周辺】
 ロシア軍は現地時間25日夜にドニエプル川西岸に沿ってキエフ市街地に侵攻したがウクライナ側の抵抗は強く、ロシア軍の統率は乱れている。
 26日時点ではキエフの東側からの侵入には失敗している。
 衛星写真でも26日時点ではロシア軍による大規模な攻撃の痕跡は確認できなかった。 キエフ中心部でロシア軍の大規模な侵攻の痕跡は確認されていない。

【ハリコフ周辺】
 ロシア軍は現地時間の26日、チェルニヒウとハリコフの間にある前線から歩を進めた。
 ウクライナ軍は引き続きロシア軍の侵攻を遅らせ、損害を与え続けている。
 ハリコフ北東部の平原では爆撃の痕跡が残る。

【ドネツク周辺】
 ロシア軍はドネツク周辺での直接攻撃やルガンスク州の包囲作戦をウクライナを攻略する上でそれほど重視していないとみられ、膠着が続く。
 キエフの占領に向けた作戦を優先しているとの見方がある。

【クリミア半島周辺】
 ロシア軍は26日、クリミア半島から北と東に向けて支配領域を拡大した。 ドネツク周辺のウクライナ軍を孤立させる狙いとみられている。
 一方、ウクライナ軍も反撃し、現地時間の25日夜から26日未明にかけてヘルソンを奪還した。

 2月27日 19:37  トルコ政府が27日、ロシアによるウクライナ侵攻に対し初めて「戦争」という表現を使った。 地中海と黒海をつなぐ2つの海峡はトルコが管理しており、ロシア軍艦艇の通過制限につながる可能性がある。  ウクライナ政府はロシア艦がボスポラス海峡とダーダネルス海峡を通過して黒海に入るのを禁止するようトルコ政府に求めていたが、トルコ側は両海峡の管理を定めた条約の下、ロシア艦には帰港する権利があるとして受けれてこなかった。 トルコは1936年の条約により両海峡を管理しており、戦争中や戦争が差し迫った際に軍艦の航行を制限できる。 (2203-022717)

 2月27日 19:53  ギリシャ政府が26日、ロシア軍によるウクライナ東部の都市マリウポリ付近への爆撃で、ギリシャ国民10人が死亡、6人負傷したと発表した。
 ギリシャ外務省によると、爆撃はサルタナ村とブガス村郊外で起き、負傷者の1人は子どもだったという。
 マリウポリには数千人のギリシャ人が居住している。 (2203-022718)

 2月27日 20:49  国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR) によると、ウクライナから国外に逃れた避難民の数が27日までに36万8,000人に達した。
 現在も増え続けているという。 (2203-022721)

 2月27日 21:38  ロシアの人権団体OVD Infoが27日、ウクライナ侵攻を受けてロシア各地で広がっている反戦デモで当局に拘束された参加者がこれまでに40以上の都市で計4,200人を超えたことを明らかにした。
 首相はロシアによるウクライナ侵攻について、「暴挙には高い代償を伴うことを示す」と強調し、「ロシアの侵略により関係をこれまで通りにしていくことはもはやできない」と述べた。 (2203-022722)

 2月27日 22:28  ウクライナメディアのKyiv Indipendentがウクライナ北東部ハリコフ州知事の発言として27日、ロシア側が侵攻して市街戦が生じていると伝えられていた第2の都市ハリコフの統制を取り戻したと報じた。
 警察や治安部隊が活動し、敵を街から撃退しつつあると述べたという。 (2203-022723)

 2月27日 22:57  プーチン露大統領が27日、NATO首脳らによる声明と西側諸国の対露経済制裁を受け、核戦力を含む核抑止部隊を高度の警戒態勢に置くよう軍司令部に命じた。
 プーチン大統領は国営TVで、西側諸国はわが国に対し経済分野で非友好的な手段を取るだけでなく、NATO主要国の首脳らはわが国について攻撃的な声明を出した」などと語った。
 米国は、緊張を高める受け入れられない行為だと非難した。 (2203-022724)

 2月28日 02:37  米国防総省高官が27日に記者団に対して、ロシア軍によるキエフへの進軍が滞っているのは、ウクライナ軍の強い抵抗に加え、燃料が不足していることを理由にあげた。
 ロシア軍はキエフの中心部から北方30kmと前日から前進しておらず、第2の都市ハリコフへの進撃についても燃料などの後方支援の遅れが大きな障害となっているという。
 この高官は、ロシアが後方支援体制の強化を図ると予測した。
 ウクライナ周辺に集まったロシア軍の1/3は依然としてウクライナに入っていないと推計し、ロシアはまだ強力な戦闘能力を残していると話した。 (2203-022801)

 2月28日 03:18  ロシアやベラルーシで抗議行動が広がっている。
 ロシアの人権団体OVD Infoによると、27日までの拘束者数は5,000人を超えた。 反戦デモは40を超える都市で起きており、警察が相次いで参加者を拘束する事態となっている。
 27日は同日夜時点で2,000人以上が拘束された。 内訳をみると、モスクワで1,000人超、サンクトペテルブルクでは700人を上回っている。
 ベラルーシでも反戦の動きが広がっており、27日の憲法改正の是非を問う国民投票に合わせて、反政権・反戦デモが起きた。
 反体制派の活動家らが国民投票への反対だけでなく、ルカシェンコ政権への抗議とウクライナへの支援をネットメディアで訴えた。
 InterFax通信によると、ミンスクなど複数の都市で80人以上が拘束されたという。 (2203-022802)

 2月28日 03:47  ロシア国防省が27日夜、ウクライナへの侵攻でロシア軍に死者が出ていることを公式に認めた。
 ロシア側は自軍の死者数を積極的に発表してこなかったが、ウクライナが前日にロシア軍の死者数を3,500名と発表するなど犠牲に関する情報が相次いでおり、被害への言及を避け続けることが難しくなったとみられる。
 InterFax Ukrine通信によると、ウクライナ大統領府のポドリャク顧問は26日のTV番組で、同日朝の時点でロシア軍3,500名が死亡し、200名が捕虜になったと述べていた。 (2203-022805)

 2月28日 04:19  EU外相会合はロシア中央銀行との全ての取引を禁止することを承認したことを、決定のプロセスが非公開であることを理由に複数の当局者が匿名で明らかにした。 (2203-022806)

 2月28日 07:51  ウクライナ南部アゾフ海沿岸のベルジャンシクの首長代行が、ロシア軍がベルジャンシクを制圧したと発表した。
 ベルジャンシクは人口10万人で小さな海軍基地がある。 (2203-022813)

 2月28日 09:32 米国防総省高官が27日、ロシア軍がウクライナでの戦況が芳しくないため作戦を包囲攻撃に転換している可能性があるとの見方を示した。
 この高官によると米政府、ウクライナ軍の強い抵抗や、一部部隊で燃料不足など兵站の問題が生じ、ロシア軍の前進が限定的にとどまっているとは分析している。
 これまでにウクライナ側に350発以上のミサイルが撃ち込まれ一部の民間施設も被害を受けたが、主に軍基地などが目標になっているという。
 高官は、キエフの北に位置するチェルニヒウに対するロシア軍の攻撃を挙げて「包囲戦術を採ろうとしているようだ」とした上で、包囲攻撃では市民が巻き添えになる可能性が高くなると懸念を示した。
 高官によると、ロシア軍はウクライナの都市を制圧していないほか、制空権も確保できておらず、部隊はキエフ中心部から30kmの位置で前日から前進していない。 (2203-022817)

 2月28日 11:23 圧倒的兵力のロシア軍によるウクライナ侵攻から3日目となる2月27日、首都を目指すロシア軍機甲部隊がキエフを目前にしたブチャでウクライナ軍の反撃を受け、戦闘車両などが大きな損害を出した。
 キエフの北西に位置するブチャの通りには、焼け焦げた戦車や歩兵戦闘車両、兵員輸送車などの残骸が見渡す限り続いており、戦闘の激しさを物語っている。
 ロシア軍はウクライナ第2の都市ハリコフと、港湾都市オデッサでもウクライナ軍の執拗な抵抗で侵攻速度が落ちている。 (2203-022818)

 2月28日 16:17 Maxar社によると、27日に撮影された画像で、戦車を含むロシアの大規模な地上部隊が64km離れた地点からキエフに向けて移動していることが示された。
 部隊は数百両で構成され、5km以上にわたる車両縦隊となっている。
 車両縦隊はウクライナの都市イバンキフの北東に位置し、燃料、補給物資のほか、戦車、歩兵戦闘車、自走砲などが含まれている。 (2203-022823)

 2月28日 15:19 ウクライナメディアによると、ウクライナ軍が先ほど「ロシア軍による首都キエフの占領工作は失敗した」との声明を発表した。
 ウクライナ軍は声明の中で「キエフの状況について依然としてウクライナの支配下にある」とし、ロシア軍の占領作戦はすべて失敗したと発表した。 (2203-022822)

 2月28日 18:00 ロシア軍は27日もウクライナ侵攻作戦を継続した。
 26日時点と比べるとウクライナ軍の激しい抵抗により支配地域を拡大できていない。 キエフの中心市街地には未だ侵入しておらず、郊外で足止めされている。
 一方、第2の都市ハリコフでは軽装備の部隊の進軍が確認され市街戦に発展した。
 米シンクタンクの戦争研究所(ISW)などの分析をもとに、マップで主な戦闘を振り返る。 (2203-022824)

【キエフ周辺】
 ロシア軍は27日もドニエプル川西岸からキエフへの攻撃を続けた。 ウクライナ側は激しく抵抗し同軍参謀本部は13:00にキエフ郊外各所の防衛に成功したと報告した。
 ロシア軍は追加戦力の投入準備に動き始め、ベラルーシのバラナビチ飛行場に戦闘機部隊を再配置しており、キエフでの航空支援を強化する狙いがあるとみられる。

【ハリコフ周辺】
 ロシア軍の軽装備部隊が27日にハリコフ市街地に突入したが、ウクライナ軍は攻撃を退けたと主張している。
 ロシア軍は住宅地にも爆撃を始め、ハリコフ南東部のクピャンスクを奪取したもようである。

【ドネツク周辺】
 ロシア軍は27日、ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリを西から包囲して同都市への攻撃を始めた。
 ロシア海軍歩兵2,000名が上陸したとの情報もある。

【クリミア半島周辺】
 ロシア軍は27日、稼働中の原子力発電所のあるウクライナ南東部のザポリージャへ向けて北上を続けた。
 ウクライナ軍参謀本部はロシアの黒海艦隊の一部が同日、ウクライナ海軍を攻撃するために出港したと報告したが、現時点でロシア軍の海上部隊の活動の詳細は確認できていない。

 2月28日 18:53 ウクライナ軍が27日、ロシア軍のBuk(SA-11)SAMをUAVで破壊した際の様子だとする映像を公開した。
 ロイタはこの映像の真偽を独自に検証することはできなかった。
 ウクライナ軍によると、場所はキエフの西に位置するジトーミル地方のマリンで、攻撃にはトルコ製のBayraktarが使用されたという。 (2203-022826)

 2月28日 20:22 英国防省が28日、ロシア軍地上部隊の大半がまだキエフ北方30km超の地点に留まっていると述べた。
 同省は「ロシア軍の前進は、初日の衝突でロシア軍の重要目標となったホストメルの飛行場を守るウクライナ軍によって遅くなっている」と述べた。
 同省はまた、チェルニヒウやハリコフ周辺では激戦が続いているが、両都市ともまだウクライナの統治下にあると言及し、兵站面での失敗や頑強なウクライナの抵抗がロシアの前進を阻み続けているとも述べ、ロシア軍が初めて犠牲者を認めざるを得なくなったと指摘した。 (2203-022827)

 2月28日 20:22 ロシアがウクライナに侵攻しミサイル攻撃や砲撃、地上戦で攻防が続くなか、サイバ空間でも両国間の戦いが激しさを増してきた。
 官民のハッカーや国際ハッカー集団が入り乱れ、両国の政府機関などを標的にサイバ攻撃を仕掛けている。
 サイバ攻撃の対象がインフラでさらに広がれば、市民生活への被害や予期せぬ衝突のリスクが高まると懸念されている。 (2203-022829)

 2月30日 04:49 米国防総省高官が28日、ロシア軍が国境付近に集結した戦闘部隊のうち75%をウクライナ国内に投入し、キエフまで25kmの地点まで前進したとの見解を示した。
 ロシア軍は前日にはキエフの北方30km地点におり、1日で5kmの前進となったが、今後は南方にも回り込みキエフを包囲して複数の方向から圧力をかける狙いとみられるという。
 この高官は、ロシア軍がキエフに向けた進展の遅れに不満を抱いていて、戦術を再検討しより攻撃的になる可能性があると指摘した。 (2204-030108)

 2月30日 08:17 ロシアは主要目標とするウクライナの首都キエフ、第2の都市ハリコフ、黒海沿岸の拠点マリウポリをまだ占領していない。
 戦争序盤でのロシア軍の損失はかなり大きく、韓国21世紀軍事研究所研究委員は「ウクライナ国防省の26日の発表によると、ロシアの戦車146両と装甲車706両が破壊されたことから、ロシアは25~30個大隊戦術群を失ったということ」と述べた。
 ロシアは今回の戦争に160個大隊戦術群を動員し、100個群を戦闘に投入した。 (2204-030114)

 2月30日 12:01 ウクライナ海軍が28日、ロシア軍への降伏を拒み、砲撃されて死亡したとされたウクライナの国境警備隊13名全員が生きていたと発表した。
 ロシア軍が灯台やアンテナを含め、島のインフラを完全に破壊して隊員たちと連絡がとれなくなったため、死亡したと思われていたという。
 ウクライナ海軍の28日発表によると、ズミイヌイ島の国境警備隊と海兵隊は2度にわたり、勇敢にロシアの占領者の攻撃を撃退したものの、弾薬が底をついて戦い続けられなくなったのだという。 (2204-030115)

 2月30日 13:33 InterFax通信がロシア軍東部軍管区の発表として、極東駐屯部隊が長距離移動訓練を行い、欧州とアジアに接する国境付近に位置する南西部アストラハン州で演習を実施すると報じた。 (2204-030117)

 2月30日 15:05 NBC放送など海外メディアが1日、ロシアがウクライナに対する攻撃レベルを高め、軍事施設でない民間人地域に対しても砲撃したと報じた。
 NBC放送によると、ロシアの侵攻5日目の28日にハリコフの民間人居住地域に数十発の砲撃があった。
 ロシアは軍事施設を打撃したと主張してきたが、進撃が遅滞し民間地域に対する無差別砲撃まで敢行するのではという懸念が強まっている。 (2204-030119)

 2月30日 18:30  ロシア軍は2月28日、膠着するウクライナでの戦況から脱するため、戦力の増強を進めた。 キエフの郊外では侵攻に向けて軍用車両の長蛇の列ができた。 市ハリコフでは重火器が使用されるなど戦闘は激しさを増している。 (2204-030123)

【キエフ周辺】
 ロシア軍は28日にかけてドニエプル川西岸に大砲などの戦力を追加投入した。
 Maxar社の衛星画像からは、キエフの北東部でロシア軍の軍用車両が40哩の列を作っていることが確認できる。
 キエフ郊外のイワンコフ周辺ではロシア軍車両の長蛇の列ができている。

【ハリコフ周辺】
 ロシア軍は28日、ハリコフ中心部で空爆に加えて、MLRの使用を始めた。

【ドネツク周辺】
 ロシア軍はウクライナ南東部の港湾都市マリウポリの攻略に向けて前線に大砲やATGMを追加配備した。

【クリミア半島周辺】
ロシア軍は28日、ウクライナ南東部のザポリージャに向けて前進した。 ロシア国防省は郊外にあるザポリージャ原子力発電所を制圧したと主張している。

【ベラルーシ】
 ベラルーシ軍は28日にベラルーシ南西部に空挺部隊を配置した。

 2月30日 02:14 ウクライナとロシアが2月28日に侵攻後初めての停戦交渉をウクライナ国境に近いベラルーシのゴメリで実施したが、双方の隔たりは大きく合意に至らなかった。
 ロシア国営タス通信はこの日、3月2日に2回目の停戦交渉が行われると報じていたが、ゼレンスキー大統領は1日、ロシアとの有意な和平協議を実施するには、ロシアが爆撃を停止する必要があるとの考えを示した。 (2204-030204)

 2月30日 03:37 ロイターは2月28日にオンラインに掲載された住宅が広がる地域で衝撃音と閃光が収録された2種類の映像の位置情報を確認した結果、ウクライナ第2の都市ハリコフと分かった。
 この映像を解析した国際人権組織は「ハリコフは2月28日に複数のクラスター爆弾による攻撃を受けたもようだ」とし、一般市民が被害を受けた可能性があると述べた。 (2204-030205)

 2月30日 11:58 ウクライナのサイバ攻撃部隊を取りまとめるアウシェ氏が2月28日、ロシアによる侵攻の報復としてウクライナのサイバ攻撃部隊が、ロシア国内の鉄道システムや送電網など重要インフラにサイバ攻撃を仕掛ける計画であることを明らかにした。
 ウクライナ国防省は先週、サイバーセキュリティーの専門家である同氏に、対ロシア防衛のためハッカー部隊をとりまとめるよう打診していた。 (2204-030215)

2・1・1・2 ロシア軍の進撃頓挫

 3月02日04:52 米国防総省高官がウクライナへ侵攻するロシア軍について1日、「一部の部隊は戦うことなく降伏しているようだ」と述べた。
 ロシア兵の大半が若い徴集兵で十分な訓練を受けず、戦闘任務で派遣されたと認識していないケースもあるとし、戦闘意欲や能力の低さが侵攻の停滞につながっているとみられると述べた。 (2204-030208)

3月02日10:15 ウクライナ軍のブダノフ准将が3月2日にMilitary Timesとの独占インタビューで、キエフに向けて前進中のロシア軍の車列をウクライナ軍のSu-24やSu-25の空爆、砲兵の弾幕射撃で打撃を与えたと述べた。
 これについて米国防総省報道官のセメルロス海兵隊中将は、確認していないと述べた。 (2204-030214)

 3月02日13:11 ロシア国防省は3月1日にウクライナ領内にヘリコプターで展開する同国航空宇宙軍兵士の映像を公開した。
 ロシア軍によるウクライナ侵攻は1日で6日目に入り、ハルキウに対する砲爆撃は激しさを増しており、住宅や民間施設などが砲爆撃を受けており、首都とハルキウの中間に位置するスームィ州のアフトゥイルカでは、ロシア軍の砲撃でウクライナ兵70人が死亡したが、反対にウクライナ軍は各前線で予想をはるかに超える激しさで抵抗しており、侵攻開始から間もなく1週間が経とうとするが、ロシア軍は依然として制空権を確保できていない。 (2204-030218)

 3月02日15:02 ウクライナ東部ドネツク州で3月1日、ロシア軍のウクライナ侵攻に呼応した親露派武装組織が軍事活動を活発化させている。
 ロシア国防省広報官はこの日、ロシア軍部隊がドネツク州で親露派と連携してウクライナ軍を撃破、アゾフ海沿岸の最大都市マウリポリに向け前進していると発表した。 (2204-030219)

 3月02日16:30 ロシア軍が1日、首都キエフを東西から包囲するための作戦を継続した。 第2の都市ハリコフでは空爆などにより戦闘が激しさを増している。 (2204-030222)

【キエフ周辺】
 ロシア軍は西側からのキエフ包囲に向けて補給などの態勢を整えている。 これを東側から支援するため、キエフ北東部のチェルニヒウやスムイでも攻略作戦を実行している。
 Maxar社の衛星画像によると、キエフ北西部のアントノフ飛行場にはロシア軍の追加の戦闘部隊が配置されており、ウクライナ側の反撃に備えて守備を強化しているもようである。

【ハリコフ周辺】
 ロシア軍は1日、地上軍の投入に向けてハリコフ市街を集中的に砲撃した。 空爆やMLRに加え、サーモバリック弾を使用した可能性もあるという。

【ドネツク周辺】
 ロシア軍は1日、マリウポリを海と陸から包囲する作戦を完了したと主張した。 一方、ウクライナ側は攻略の試みは失敗したと否定している。

【クリミア半島周辺】
 ロシア軍はウクライナ南東部のザポリージャで優勢を維持している。 クリミア半島に近いヘルソンでも支配を強化しており、西方向への進軍の拠点にするとみられる。

 3月02日17:23 ロシア通信 (RIA) が、ロシア国防省は2日にロシア軍がウクライナ南部のヘルソンを支配下に置いたと発表したと報じた。 (2204-030224)

 3月02日19:30 キエフのクリチコ市長が2日、露軍部隊が近づきつつあると明らかにし、「われわれは準備を整えている。キエフを守る」と表明した。  ウクライナのマリャル国防次官は、オデッサ空港をロシアがロケット弾などで攻撃した可能性があるとの情報を当局が調査していると述べた。 (2204-030226)

 3月02日20:46 トルコのチャブシオール外相が1日夜、ボスポラス、ダーダネルス海峡を通って黒海に向かおうとしたロシア艦4隻のうち、3隻について両海峡の通航を認めなかったと明らかにした。
 アナトリア通信によると、チャブシオール外相は2月28日に戦時中の航行制限を認める国際条約に基づき、両海峡に軍艦を通航させないよう各国に警告した際、通航要請はこれまでのところないとしていたがこれを修正した。 (2204-030228)

 3月02日21:00 ウクライナメディアは2日、ウクライナに侵攻したロシア軍が市街地への攻撃を激化させ、多数の民間人が死傷していると報じた。
 ハリコフでは空挺部隊が降下して市街戦が起き、南部ヘルソンや東部マリウポリで砲撃が強まるなど無差別的な攻撃を展開している。 (2204-030229)

 3月02日 ウクライナ国防相が3月2日、2021年10月に6機購入していた追加取得し空輸されたトルコBaykar社製Bayraktar TB2 UCAVの追加取得分が空輸されたが到着したと発表した。
 TB2はトルコ軍のA400Mで1日にポーランドに空輸されていた。 追加分が何機なのかは明らかにされていない。
 Bayraktar TB2は全長6.5m、翼端長12m、MTOW 630kgのUAVで、搭載能力55kg、巡航速度70kt、航続距離150km、滞空能力24時間、上昇限度30,000mの性能を持つ。 (2204-030231)

 3月02日 ロシアが2月24日早朝にウクライナに侵攻した。
 NATO東翼のバルト三国、ポーランド、スロバキア、ルーマニアは1949年のワシントン条約第4条に基づく北大西洋理事会 (NAC) の開催を要求した。
 NACはワシントン条約第5条に基づく相互防衛義務を確認した。 (2206-030201)

 3月02日 ロシアがウクライナへの侵攻を開始した際に同国北東部の空域を封鎖したことから、NATOは航空機による活動を封じられた。 (2206-030202)

 3月03日02:25 ロシア国防省報道官が国営TVで2日、よるウクライナ侵攻で、自国軍の兵士498名が死亡し1,597名が負傷したたと発表した。
 侵攻開始以来、ロシア側の死者数が公表されたのは初めてである。 (2204-030305)

 3月03日04:32 ウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問が2日、ロシアのウクライナ侵攻開始以来7,000名以上のロシア軍兵士が死亡し、数百人が捕虜になっていると述べた。
 また、ロシア軍司令官1名が重傷を負い、ベラルーシに運ばれたという。 (2204-030306)

 3月03日06:32 米国防総省高官が2日、ロシア軍の侵攻に対してウクライナ軍の強い抵抗が続き、キエフに迫るロシア部隊も立ち往生した状態だとの見解を示した。
 この高官によると、キエフ北方25kmほどの地点では長さ60km超にわたるロシア軍の車列が確認されているが、車列はこの2日間ほど大きな前進をみせておらず、立ち往生を続けているという。
 ただ、ロシア軍はキエフをはじめとする主要都市を狙ってミサイル攻撃などを強めており、今後は無差別的な攻撃が激化する懸念もあるという。 (2204-030307)

 3月03日09:16 ウクライナ軍が、Silver Wolfと呼ばれるウクライナのトップガンであるオクサンチェンコ大佐が戦死したことを明らかにした。
 オクサンチェンコ大佐は2月25日にキエフの上空でロシアの戦闘機をウクライナ軍部隊から引き離す任務を遂行中だったが、ロシアのS-400に撃墜された。
 2,000時間以上の飛行記録を持つオクサンチェンコ大佐はSu-27の操縦士であったが2018年に退役した。 しかしロシアがウクライナを侵攻するとすぐに現役に復帰した。
 ウクライナ国防省は2月25日に、「退役した将軍まで、数十人の熟練パイロットが空軍に復帰しているとしていた。 (2204-030309)

 3月03日11:33 ウクライナはNATOに航空支援を要求している。 更に3個飛行隊分A-10の供与をも要求している。 (2204-030313)

 3月03日11:40 レジャバ駐日ジョージア大使が3日にツイッターを更新し、「ジョージア政府が本日EU加盟申請することを発表致しました」とジョージアの国旗と欧州旗の絵文字を添えて報告した。
 現在ロシアと領土問題を抱えている旧ソ連構成国のウクライナ、ジョージア、モルドバは昨年、EU加盟の意思を公に表明しており、ウクライナは1日にEU加盟を申請している。 (2204-030314)

 3月03日13:23 最新の機密情報に通じた米当局者2人が、ウクライナが喪失した戦力は10%であるの一方、同国内においてロシアは戦車や航空機、重火器といった兵器のおおよそ3~5%を喪失したとの見解を明らかにした。
 ただ欧米諸国の当局者は、7日目を迎えた戦闘において両者が損害を受け続けているだけでなく、双方の部隊が補給を受けているため、この割合の計算は難しく、変化する可能性が高いとして注意を促している。 (2204-030316)

 3月03日16:14 InterFax通信が、ウクライナ東部のドネツクを実効支配する親露派武装組織のバスーリン司令官が3日に南東部の港湾都市マリウポリに対して、市内のウクライナ政府軍が降伏しなければ攻撃すると警告したと報じた。
 ロシア当局と親露派は、マリウポリを包囲したとしている。 (2204-030321)

 3月03日: ウクライナ侵攻から3日で1週間を迎えた。ロシア軍は2日、首都キエフ攻略に向けてキエフ北西部への攻撃を再開した。 (2204-030325)

【キエフ周辺】
 ロシア軍は1日まで約3日間にわたって補給などの態勢整備を優先し、攻撃を中断していたが、2日にキエフ北西部への攻撃を再開した。
 包囲網を強化するため、新たに西部ジトーミルでもミサイルなどを使った攻撃を始めた。
 キエフ北東部のチェルニヒウなどでも前進し、東西2つのルートからのキエフ攻略を目指している。

【ハリコフ周辺】
 ロシア軍はハリコフ市街への集中砲撃を続けた。

【ドネツク周辺】
 ロシア軍はウクライナ南東部の港湾都市マリウポリへの砲撃を続けた。 ロシアは海と陸の両面からの包囲を完了したとしている。

【クリミア半島周辺】
 ロシア軍が2日、クリミア半島に近いウクライナ南部ヘルソンを制圧したと伝わった。 確認されれば、主要都市の陥落は初めてとなる。

 3月03日19:21 ウクライナに侵攻中のロシア軍が3日、南部の人口約30万人の都市ヘルソンを制圧した。
 初めての主要都市の陥落となる。
 ヘルソン州はドニエプル川が黒海に注ぐ付近に広がり、2014年にロシアが併合したクリミア半島の水源となるなど、今回の侵攻の重要な攻撃目標の一つだった。 (2204-030326)

 ・3月03日 オランダ国防省がウクライナにSquire人力可搬2Dレーダ2基とAN/TPQ-30 Firefinder対砲迫レーダ5基を供与する。
 AN/TPQ-30はHMMWV車または2.75tトラックで移動でき、2015年11月に米国がウクライナに$20Mで5基売却している。 (2204-030329)

 ・3月03日 ロシアのウクライナ侵攻開始から7日経ったが、ロシア空軍 (VKS) は地上戦にそれ程貢献しておらず、ウクライナ空域での航空優勢もとれてれていない。
 その原因としてVKSはこのような作戦を考えいなかったことが考えられる。 (2204-030330)

 ・3月03日 Mitchell研究所長で米空軍デプチュラ退役中将が、ロシアがウクライナに侵攻したがウクライナ空域の航空優勢が確保できず、今週になってもまだ空域を支配できていないのは不思議だと述べた。
 その原因として明確なのは作戦が予定通りに進展していないことと、ロシアがマルチドメインの活用ができていないためと見ている。 (2204-030332)

 3月04日02:26 カナダ政府が3日、ロシアとベラルーシに対する最恵国待遇の適用を停止すると同時に、ウクライナに対しロケット弾発射機や手榴弾などの兵器を追加的に提供すると発表した。
 アナンド国防相によると、カナダ軍の既存の備蓄品から、最大4,500発のM72対戦車ロケットと最大7,500個の手榴弾を含む兵器をウクライナに追加的に提供する。 (2204-030402)

 3月04日05:35 米国防総省高官が3日、ロシア軍がウクライナ国境地帯に集結させた兵力の9割を投入したとの分析を明らかにした。 (2204-030403)

 3月04日07:39 ウクライナ国防省が3日、ウクライナの特殊部隊がキエフ近郊のホストメル空軍基地近くでロシア軍の戦闘車両20両を破壊したと発表した。
 SNSに投稿された映像には、ウクライナ兵士が壊れて燃えている車両の横をVサインをして歩く様子が映っている。
 車両はベラルーシから来たロシア軍のものとみられる。
 CNNは映像を検証し、映像がホストメル飛行場から8kmの地点のものと特定した。 飛行場は2月24日にロシア軍に制圧されたと伝えられている。 (2204-030407)

 3月04日09:59 ウクライナにある欧州最大のZaporizhia原子力発電所で、ロシア軍の攻撃による火災が発生した。
 同原発の広報担当が4日にメッセージアプリのTelegramで発表した。 (2204-030408)

 3月04日07:47 複数の米政府高官が3日、米国はウクライナに対して、侵攻してきたロシア軍に反撃する上で役立つ情報をリアルタイムで提供し続けていることを明らかにした。
 米政府高官の話では、ロシア側はウクライナの戦闘機が、ロシアの戦闘部隊や輸送部隊を的確に狙って猛攻撃できる状況に驚いているという。 (2204-030409)

 3月04日08:48 New York Timesなどが、ロシア軍が2日にウクライナ南部の要衝地ヘルソンを掌握したと報じた。
 人口28万のヘルソンはドニエプル川が黒海に注ぐ河口にある港町で、ウクライナ最大の港オデッサから145kmで、ロシア軍はオデッサに進撃する要衝地を確保した。 (2204-030410)

 3月04日11:16 ウクライナのゼレンスキー大統領が3日、ロシアの侵攻に対する国土の防衛を支援するため、外国人義勇兵の第1陣がウクライナに到着したことを明らかにした。
 同大統領はフェイスブックに投稿した動画で、「ウクライナは外国人義勇兵をすでに迎えている。
 まず16,000名がすでに往路の途上にある」と述べた。 (2204-030411)

 3月04日18:00 ロシア軍が3日にキエフ近郊やハリコフなどで攻撃を続けた。 ウクライナ南部からも北上しており、ザポロジエ原子力発電所では火災が発生した。 (2204-030412)

【キエフ周辺】
 ウクライナ軍は3日にキエフの西側ジトーミルを包囲しようとするロシア軍の動きを封じた。
 ロシアの戦闘機を撃墜するなど、キエフ包囲作戦を食い止めている。
 ウクライナ軍は3日、ロシア軍がキエフ北部など郊外の4地点で攻撃を企てるとみている。
 キエフの主要駅を標的にしたロシア軍のミサイルをウクライナ軍が迎撃したとの情報もある。

【ハリコフ周辺】
 ロシア軍は3日にハリコフ市街地で空爆やMLRによる民間施設への攻撃を続け、壊滅的な打撃を与えている。

【ドネツク周辺】
 ロシア軍は2日に完全包囲したマリウポリで民間インフラや住宅地を破壊する作戦を展開し降伏を迫っている。
 ウクライナ軍はマリウポリは3日時点で安定していると報告し、戦況は混沌としている。

【クリミア半島周辺】
 ロシア軍は2日、クリミア半島に近いウクライナ南部ヘルソンを制圧した。
 ウクライナ側によると、ロシア軍は3日にザポロジエ方面も攻撃し、ザポロジエ原発で火災が発生した。

 3月04日19:42 ウクライナ南部の港湾都市ミコライウ地元当局が4日、初めてロシア軍が市内に侵入したことを明らかにした。
 現地では戦闘が続いているという。 (2204-030413)

 3月04日20:08 ウクライナが民生用のUAVを戦闘に活用してる。
 キエフには中国DJI社製UAVだけで300機はあり、その販売店がユーザを組織化している。 (2204-030414)
 3月04日 2014年のロシアによるクリミア併合以来ウクライナ軍は各種電子戦兵器を開発し装備している。
 Bukovel-AD C-UAV装置はOrlan-10 UAVに特化したC-UAV装置で、100kmで捕捉しRF妨害は50kmで有効である。
 妨害は3G/4Gなどの移動体通信やGPS、GLONASS、Bei Douなどに対しても行う。
 Nota EWは有効距離20kmのUAVの捕捉と妨害を行う装置で、1km以内であれば携帯電話の妨害も行う。
 Mandat-B1E R-330UM通信妨害装置
 Anklavは精密誘導兵器の妨害を行うもので、無指向性アンテナを用いれば20km、指向性アンテナを用いれば40kmまで有効である。 (2204-030418)

 3月05日02:48 NATOが4日開いた外相理事会で、ウクライナが要求している飛行禁止区域の設定について、応じないことで一致した。
 NATOがこれに関与すれば、欧州全体を巻き込んだ戦争につながりかねないと判断した。 (2204-030501)

 3月05日02:51 米防衛当局者が4日、ロシアのウクライナ侵攻が9日目を迎えるなか、ウクライナはなおUAVおよびSAMなど、空戦力の大部分を維持しているという認識を示した。
 当局者は、ロシア軍の攻撃でウクライナ軍機の一部は破壊されたとしつつも、詳細には踏み込まなかった。 (2204-030504)

 3月05日10:10 ウクライナ南部ムィコラーイウの地方行政責任者が5日までに、同市周辺でウクライナ軍とロシア軍が対峙していることを明らかにした。
 同責任者がTelegramで明かしたところによると、ロシア軍は軍用飛行場を離れたものの、まだ市のすぐそばにとどまっていて、現在は双方とも銃撃を止めている。 (2204-030507)

 3月05日11:50 CNN TVによると、米空軍B-52が4日にドイツとルーマニアで両国軍と訓練を実施した。
 訓練を実施したのは英空軍基地に展開している複数のB-52で、ドイツ、ルーマニア両軍とそれぞれ航空支援などの統合訓練を行った。
 ロシアを牽制する狙いとみられる。 (2204-030510)

 3月05日12:09 米国防総省高官にると、ロシア軍はウクライナの周辺に集結させた戦力の92%を投入し、これまでに500発を超える様々な種類のミサイルを発射したという。
 また「ここ数日、一日に数十発ずつ発射されている」として、攻撃の激化に懸念を示した。 (2204-030511)

 3月05日12:20 アゾフ海に面する人口約45万人のマリウポリの市長が5日、同市がロシア軍に数日間にわたる攻撃を受けて封鎖状態にあるとし、物資を輸送するルートの確保を求めた。 (2204-030512)

 3月05日13:23 ロシア軍による攻撃が激しさを増す中、国外から祖国を目指すウクライナ人が増えている。 ポーランドとウクライナの国境では連日、多くの車が検問所で列を作っている。
 食料や医療物資を運ぶトラックが多いが、なかには男性が1~2人で乗っている普通車もある。 祖国で戦うことを決意した人達である。
 ゼレンスキー大統領は行った2月24日の呼び掛けに応じ、国外から祖国に戻ったウクライナ人は数万人とされる。 更にゼレンスキー大統領は2月27日に外国人義勇兵も募ったが、応募者は16,000人に達しており、一部はウクライナに到着したという。 (2204-030513)

 3月05日13:40 米当局者の1人が、ロシアは今後数日から数週間のうちに最大1,000名の傭兵をウクライナへ派遣するとみられることをCNNに明らかにした。
 米国はすでに複数の兆候から、ロシア人傭兵らが今回のウクライナ侵攻に一部地域で関与する可能性を見出していた。
 ロシア軍の一部は士気の面で問題を抱え、戦場での後退も余儀なくされており、キエフの北郊ではロシア軍の大規模車列のほとんどが、過去数日にわたり前進できずにいる。 (2204-030514)

 3月05日17:10 英Times紙が、ウクライナのゼレンスキー大統領が暗殺対象になっていて、ここ1週間ほどで少なくとも3度の暗殺未遂が起きたと報じている。
 暗殺を行おうとしていたのはロシア南部チェチェン共和国の特殊部隊とロシアの民間軍事会社の雇い兵で、どちらもプーチン政権と関係が近いとされている。
 ウクライナ当局者らによると、いずれも侵攻に反対するロシア連邦保安局 (FSB) の関係者からの情報提供で、暗殺を未然に防いだという。 (2204-030516)

 3月05日05:09 プーチン露大統領が5日、NATOがウクライナの領空に飛行禁止区域を設定すれば参戦とみなすと警告した。 ウクライナの領空をめぐってはウクライナがNATOに飛行禁止区域とするよう求めていた。
 また、今回のウクライナ侵攻を理由に日本や欧米諸国が科している経済制裁についても、ロシアに対する攻撃と同一視するという考えを示しました。
 一方で戒厳令については、外部からの差し迫った脅威はないとして現時点での導入を否定した。 (2204-030603)

 3月05日12:01 ロシアによるウクライナへの侵攻でロシア軍がキエフ近郊の町を制圧した。
 キエフの州知事は5日、キエフの北西60kmにあるボロディアンカがロシア軍に制圧され、ほぼ完全に破壊されたと発表し、危機感をあらわにした。
 州知事はまた、町にある病院もロシア軍によって一時占拠されたと述べた。 病院には寝たきりの患者100人を含む670人の関係者がいて、現在は水も電気も止まっていると危険な状態だという。
 一方、ウクライナ軍はキエフ北部でロシア軍のヘリコプターをミサイルで撃墜したとする映像を公開した。 (2204-030608)

 3月06日17:40 ロシア国防省が6日、3月6日の朝にウクライナのスタロコスティアニフに近いウクライナ空軍基地を精密長距離兵器で攻撃し無力化したと発表した。
 報道官によると、ロシア軍はウクライナのS-300もロケット部隊が破壊し、過去24時間にヘリコプタを含むウクライナ機10機を撃墜したという。
 ただ、英国の軍情報部は最新の情勢分析で、ロシア軍はハリコフ、チェルニヒウ、マリウポリといった人口の多い都市に狙いを定めて攻勢をかけているものの、ウクライナ側の激しい抵抗で思うように前進できていないと指摘している。 (2204-030612)

 3月07日05:23 米国防総省高官が7日、プーチン露大統領がウクライナとの国境沿いに集結させた150,000の部隊のほぼ全てをすでに戦闘に投入したとの見方を示した。
 ロシアが侵攻を開始してから12日が経過したが、ロシア軍は首都キエフをまだ制圧していない。
 ウクライナ上空の制空権も確保していないが、国防総省高官は、国境付近に配備している戦闘機やヘリコプターの大部分はまだ利用可能な状態になっているとし、ロシアの別の場所から空軍力を転用する必要に迫られていないとの見方を示した。
 国防総省は、週末の間に欧州に追加増派を命令した結果、米国が欧州に派遣する兵力は100,000名になる。 (2204-030703)

 3月07日07:42 米国防総省高官が6日、ロシア軍がウクライナ南部の港湾都市オデッサに攻撃を仕掛ける懸念が強まっているのを受け、オデッサやその周辺に対するロシア軍の水陸両用作戦が差し迫っていると米国は考えていないと述べた。
 高官によると、ロシア軍はウクライナ侵攻を開始して以来、600発のミサイルを使い、ウクライナ国外で待機していた戦闘部隊の95%を同国内に配置したとみら、引き続きキエフ、ハリコフ、チェルニヒウへの進撃および他地域からの隔離を試みているがウクライナ側の強力な抵抗に直面していると述べた。 (2204-030704)

 3月07日08:21 欧州歴訪中のブリンケン米国務長官が6日に訪問先のモルドバで記者会見し、ポーランドによるウクライナへの戦闘機供与を「積極的に検討している」と述べた。
 ポーランドが保有する旧ソ連製戦闘機を供与し、米国がポーランドに補填機を提供する計画が浮上していると認めた。
 ただ、ポーランドの首相府は「ポーランドは戦闘機をウクライナに送らず、飛行場を出撃に使わせない」と発信し、提供を否定している。
 モルドバでの記者会見では、ブリンケン長官とともに登壇した同国のサンドゥ大統領が、モルドバ東部トランスニストリア地域に駐留するロシア軍について懸念を示し、米国に支援を求めた。
 ウクライナに隣接する同地域には1990年にロシア系住民が独立宣言し、1,000名以上の露軍部隊が駐留しているとみられている。 (2204-030705)

 3月07日10:01 ウクライナのゼレンスキー大統領が6日、中西部ビンニツァの民間空港がロシアのミサイル攻撃を受けたと明らかにした。
 大統領は8発のミサイルが撃ち込まれ空港は完全に破壊されたと語った。
 ビンニツァはロシアやベラルーシ国境からは遠く、これまで攻撃をほとんど受けていなかった。
 一方、ロシア国防省報道官は、ウクライナ西部にある同国空軍の基地を高精度長距離兵器で同日攻撃し、機能を停止させたと述べた。 (2204-030706)

 3月07日10:12 ロシア国防省報道官が6日、ウクライナの軍用機の着陸を認めているとして、NATO加盟国をはじめウクライナ周辺国に警告し、ロシア攻撃のため空域を使用させたりすることは参戦と見なすと述べた。
 これに対し、ルーマニアのチウカ首相はTVの取材に「民間人を殺害し戦時国際法は無視し、現実から目をそらすための修辞にすぎない」と反論した。
 今後もロシアはルーマニアを脅すかもしれないが「恐怖を感じる理由はない」と対抗心をあらわにした。 (2204-030707)

 3月07日12:07 米防衛当局幹部が6日、ロシア軍が侵攻を開始して以降600発のミサイルを発射したことを明らかにした。
 この当局者によれば、ロシア軍が集結させた戦力のうち95%がウクライナ領内に投入されたという。
 ヘルソンとムィコラーイウでは6日も戦闘が継続しており、ロシア軍は引き続きキエフやハリコフ、チェルニヒウ、マリウポリを包囲しようとしているが、ウクライナ側の強い抵抗にあい前進速度は鈍化している。
 キエフの北部に位置する64kmにおよぶロシア軍の車列に動きはなく、キエフとの距離にも変化はないという。 このロシア軍は先週、キエフ中心部から25kmに位置していた。
 キエフ上空の制空権をめぐる争いは続いている。 (2204-030708)

 3月07日13:53 Wall STreet Journalが米当局者4人の話として6日、ロシアがキエフ攻撃のため市街戦の経験のあるシリア人兵士を募集していると報じた。
 シリアでは、市街戦を中心とした泥沼の内戦が10年以上続いている。
 ある米当局者はWSJに、複数のシリア人戦闘員がすでにロシア入りし、ウクライナ侵攻に加わる準備を進めていると語った。
 ロシア軍に加わった人数など、それ以上の詳細は不明だという。
 ロシアによるウクライナ侵攻では、双方に外国人戦闘員が参加している。 (2204-030711)

 3月07日14:33 ウクライナのクレバ外相がCNN TVで6日、ロシアと戦うためウクライナに集まった外国人義勇兵の数が約2万人に達したと語った。  ほとんどが欧州から来たという。
 ただ、クレバ外相は義勇兵の意志は尊重するとしつつも、防空に焦点を当てた米国のリーダーシップが必要だと訴え、世界各国からの軍事支援が最重要だと話した。 (2204-030713)

 3月07日14:39 米国と欧州の当局者が、ウクライナのゼレンスキー大統領が首都キエフを離れなければならなくなった場合、西側諸国が亡命政権をどのように支援するのかについて検討を進めていることを情報筋が明らかにした。
 話し合いの内容は、ゼレンスキー大統領や主要な当局者がウクライナ西部のリビウに移った場合の支援から、ゼレンスキー大統領や側近がウクライナからの避難を余儀なくされポーランドに新政権を樹立することまで幅広い。
 情報筋によれば、話し合いは初期段階にあり、何の決断もされていない。 (2204-030714)

 3月07日16:35 ロシア軍は6日にかけて、キエフやハリコフなどの周辺に戦力を集結し、大規模侵攻に備え始めた。 6日に計画されていたウクライナ南東部マリウポリの民間人退避は失敗した。 (2204-030715)

【キエフ周辺】
 ロシア軍は東西から首都キエフを攻略するため、戦力の集結を進めている。

【ハリコフ周辺】
 ウクライナ軍によると、ロシア軍は軍事侵攻に向けてハリコフの西部や北西部に部隊を結集しているもようである。

【ドネツク周辺】
 南東部の港湾都市マリウポリの包囲作戦を進めるロシア軍は、市街地への砲撃を続けた。

【クリミア半島周辺】
 ロシア軍は港湾都市オデッサの攻略に向けて西側に進路を進めている。
 一方、ウクライナ側も応戦し、クリミア半島から北西に位置するムィコライウでロシア軍の攻撃を退けたとしている。

 3月07日17:31 英国防参謀総長のラダキン海軍大将が6日に英国BBC放送に出演し「計画通りに進んでいないウクライナへの侵攻により、プーチン大統領は自らロシアを混乱の中へと追い込んだ」とし「ロシアの主要戦力がすでにウクライナから深刻なダメージを受けていることから、ウクライナを制圧するのはもう必然だとは言えない状況になった」と述べた。
 ラダキン大将のこのような内容は、ロシア空軍機8機がウクライナ軍より最近撃墜されたなか発言されたものである。 (2204-030716)

 3月07日 米国防総省のカービー報道官が3月7日、オースチン国防長官が500名の将兵と装備に欧州への追加派遣を命じたと発表した。
 新たに派遣されたのはワシントン州Fairchild AFBのKC-135と150名の将兵がギリシャへ、ジョージア州Ft. Stewartの40名がポーランドとルーマニアの作戦支援センターへ、Ft. Stewartとノースカロライナ州Ft. Braggの300名が第3歩兵師団第1機甲旅団戦闘団を支援する武器中隊としてドイツに向かう。 (2204-030722)

 3月08日03:22 シャーマン米国務副長官が7日、ウクライナへの武器輸送が今後数日間で難しくなる可能性があると述べた。
 ウクライナ軍が何を必要としているのか知っているゼレンスキー大統領が求めるものを送ることが重要だとした上で、「今後数日間はそれが難しくなる可能性があり、他の方法を模索する必要があるだろう」とした。 ただ詳細は語らなかった (2204-030803)

 3月08日06:48 米国防総省が7日、ウクライナ北部と北東部におけるロシアの進撃にここ数日で大きな進展があったとは考えていないと発表した。
 国防総省のカービー報道官は、ロシア軍は南部の主要都市ヘルソンを制圧したほか、南部のマリウポリを包囲しようとしているが制圧には至っていないと述べた。
 また、ロシア軍が攻撃目標に対してより長距離から攻撃を行うようになったことで、民間人の犠牲や民間インフラへの被害が増加していると指摘した。 (2204-030804)

 3月08日11:28 英国の経済回復センターと一部の戦略コンサルティング会社が3日、開戦から4日間でロシアの戦費は$7B程度だったが、その後、弾薬や補給品の増大、戦死者の続出、ロケットやミサイルの発射などで一日に$20B~$50Bの戦費となっていると推定した。
 一日$20B以上となれば韓国の年間国防予算KRW54.6T(註:≒$44.19B)の半分ほどになる。
 ウクライナ国防省は今回の侵攻で5,000名近いロシア兵が死亡し、戦車146両、航空機27機、ヘリ26機を破壊したと明らかにし、発射したミサイルは600発以上と推定される。 (2204-030808)

 3月08日12:24 米国防総省高官が4日、ミリー統合参謀本部議長が先週に兵器輸送の拠点になっているウクライナ国境付近の飛行場を訪れ、多国籍による取り組みの様子を視察したことを明らかにした。
 同高官によると、飛行場の場所は明らかにされていないが、同飛行場の運航便数はここ数日の間に1日数便から、同飛行場で運航できる上限の17便に増えている。
 米政府高官がCNNに語ったところによると、米国などのNATO加盟国はこれまでに、ATGM 17,000発、Stinger MANPADS 2,000発をウクライナに輸送した。
 2月下旬にロシアが軍事侵攻を開始する前から、欧州の上空は米軍のC-17などの輸送機が頻繁に飛行し、NATO東翼に沿って部隊を再配置するとともに、ウクライナへの輸送拠点に武器を移動させていた。 (2204-030809)

 3月08日15:05 ウクライナ軍情報当局が8日、ロシア第41軍第1副司令官ゲラシモフ少将を7日にハリコフ付近で殺害したと発表した。
 ロシアのウクライナ侵攻でロシア軍の高級将校が死亡したのは2人目になるがロシア国防省のコメントは取れておらず、ロイタは発表内容の信憑性を確認できていない。 (2204-030812)

 3月08日21:30 英Times紙が7日、ロシアのウクライナ侵攻は「完全な失敗」としたロシアの情報機関である連邦保安局 (FSB) の内部文書とみられる報告書の内容を報じた。
 真偽は不明だが、文書はロシア軍の死者が既に1万人規模に上っている恐れがあるとし「ロシアは追い詰められている。
 勝利の選択肢はなく、敗北のみだ」と指摘している。
 ロシア軍の死者について、同国国防省は3月2日に498人と発表したが、ウクライナ外務省は8に最大12,000人としている。
 文書は主要部隊と連絡が取れていないとして、プーチン政権内で正確な死者数を把握できていないとの見方を示した。 (2204-030816)

 3月09日01:27 米国のバーンズ中央情報局 (CIA) 長官が8日の下院情報特別委員会で証言し、ロシアのウクライナ侵攻についてプーチン大統領の当初の想定通りには進んでいないとの見方を示し「プーチン大統領は憤り、いら立っている」と述べ、ロシア軍が市民の巻き添えを顧みずに攻勢を強める恐れがあると警告した。
 ヘインズ米国家情報長官も証言し、プーチン大統領はウクライナの抵抗や欧米の制裁を受けても侵攻を思いとどまる可能性は低く、侵攻をさらに加速させるかもしれないと分析していると明らかにした。 (2204-030903)

 3月09日02:59 ヘインズ米国家情報長官は8日に世界的の脅威に関する下院情報委員会の公聴会で、ロシアのウクライナ侵攻が失敗したり、国際的な制裁に伴う経済的苦境が強まったとしても、プーチン大統領が身を引く可能性は低く、反対にウクライナへの攻撃をエスカレートさせる恐れがあるとの認識を示した。
 また中央情報局 (CIA) のバーンズ長官は「プーチン氏は今、怒っているし、いら立っていると思う。彼は民間人の犠牲を顧みず、ウクライナ軍を粉砕しようとする可能性が高い」と述べた。 (2204-030904)

 3月09日03:05 米国防総省高官が8日、ロシアのウクライナ侵攻が13日目に入った現在でも、両国の戦闘能力は共に大部分がまだ利用できる状態にあるとの見方を示した。
 また、ロシアは侵攻に先立ち国境沿いに15万を超える部隊を集結させていたが、国内の別の地域から国境沿いに増援部隊を配置している兆候は見られないとした。
 ロシア国防省はこの日、2月24日の作戦開始以来、ロシア軍はウクライナの戦車や装甲車など900両を破壊したと発表した。 マリウポリについては、ドネツクの親露派による攻撃が再開されているとした。 (2204-030905)

 3月09日04:52 米国防総省高官が8日、ロシア軍が新たに北東部からもキエフに向けて前進し、3方向からキエフを包囲する動きを進めているとの見解を示した。
 現時点までのロシア軍の消耗度合いは限定的で、制空権をめぐってもロシアが優位性を得つつあるという。 (2204-030906)

 3月09日07:28 最新の諜報に詳しい米当局者が、米国はウクライナ侵攻に使われたロシアの軍事資産のうち8~10%が失われたと推計していると語った。 失われた装備品には戦車や航空機などが含まれる。
 CNNは先週、ロシアの軍事資産の3~5%が失われたとの推計値を報じたが、今回の数値はその倍近い値となる。
 この当局者によると、米国はウクライナ軍も同様の割合の軍事資産を失っていると推計している。 (2204-030908)

 3月09日08:02 米中央情報局 (CIA)のバーンズ長官や駐露大使を務めた経験があるヘインズ国家情報長官が8日に下院情報特別委員会の公聴会で証言し、ヘインズ長官はロシア軍の速やかにキエフを制圧してウクライナ軍を圧倒する計画が失敗に終わったとしたうえで、ロシアの意思決定プロセスの歪みに言及した。
 プーチン大統領の判断に疑問を呈したり、反対したりすると昇進が危うくなる体制だと指摘し、大統領に苦言を伝える側近が存在しないまま、ウクライナ侵攻を決めたと分析した。
 ロシアの誤算はロシア兵の死者数にも表れる。 ベリア国防情報局長は確度が低いとしつつも死者数を2,000~4,000名と推計した。
 20年間にわたるアフガニスタン戦争で米兵の死者数は2,461人であったことからも、推計が事実であればロシアの犠牲者の多さが際立つ。 (2204-030911)

3月09日:15:03 米国防総省高官が8日、ロシア軍がキエフの北東部から進撃し、60kmの地点まで達したとの分析を明らかにした。
 この高官は露軍の進軍がキエフの北20km付近で停滞していると指摘していたが、露軍が別ルートからも包囲を強め、総攻撃に備えている可能性がある。
 高官はキエフ市街地での戦闘も起きているとし、混乱を招くことを意図した露軍の偵察部隊の仕業だと評価していると語った。
 南東部の港湾都市マリウポリは露軍が包囲したと分析した。 (2204-030919)

 3月09日:16:53 英国防省が9日、ウクライナの防空装備がロシアの戦闘機に対してかなりの効果を発揮しており、ロシアは制空権を確保できない可能性が高いとの見方を示した。
 ロシア軍が首都キエフ北西の戦闘で大きな成果を得られていないとの見方も示した。 (2204-030920)

 3月10日05:49 ロシアのウクライナ侵攻開始から14日目の9日、ロシア軍がキエフに向け前進した。
 AFPの記者は、キエフ東郊の衛星都市ブロバルイに向けへ急速に前進するロシア軍部隊を目撃した。
 ブロバルイの北東約15kmにある町の住民は、ロシア軍の戦車部隊が前日に数㌔離れた二つの村を占領したと述べ、彼らは人々を怖がらせて家にとどまらせるために発砲し、物資を盗み、ウクライナ軍に爆撃されないように地元住民に交じり居座っていると話した。 (2204-031004)

 3月10日11:56 ウクライナの首都キエフで9日、領土防衛隊の新たな志願兵が対戦車兵器の操法訓練を受けた。
 教官は、ロシア軍がキエフ制圧を試みる時、これらの志願兵は立ち向かう準備ができており、「ロシア軍はキエフに入ることはできても、出ることはできない」と述べた。 (2204-031007)

 3月10日17:30 米当局者が、ウクライナ侵攻開始以降に死亡したロシア軍兵は6,000名に上る可能性があるこを明らかにした。
 この当局者は、ロシア軍の死者数は5,000~6,000名かそれ以上に上る可能性があるとしたうえで、戦闘が進行する中で死傷者数を正確に推計するのは非常に難しく、こうした数字の信頼度は低いとも強調した。
 これより先の8日に米国防情報局 (DIA) 局長は下院情報委員会で、信頼度は低いとしながらも2,000~4,000名のロシア兵がウクライナで死亡したとの分析を示していた。 (2204-031011)

 3月10日23:00 ウクライナに侵攻しているロシア軍が10日、キエフの包囲に向け同市の北東端に装甲車などの部隊を展開させた。 AFP取材班は、キエフの境界に位置する検問所から数百㍍しか離れていないスキビンから煙が立ち上るのを目撃した。
 ウクライナ兵の説明によると、キエフに通じる幹線道路の支配権をめぐる激しい戦闘が夜間に繰り広げられたという。
 あるウクライナ兵は「スキビンでは軍事作戦が続いている」とし、ロシア軍装甲車の車列の一部が破壊されたと話した。
 また取材班は、キエフの境界から5kmに位置するベリカディメルカ(Velyka Dymerka)に、Gradロケット弾が着弾するのも目撃した。 少なくとも6発のミサイルが人けのない道路や無人とみられる数軒の民家に当たり、取材班の車両も被害を受けた。 (2204-031013)

 3月11日08:14 米国防当局者が10日、キエフ北西にあるホストメル空港付近でロシア軍が直近1日に5km前進したと述べた。
 この当局者はまた、キエフ郊外でロシア軍が2本の軸で前進を続け、北側の軸はキエフの東40kmに到達したとも述べた。
 スムイから出発したとみられる南側の軸も、キエフから40kmに近いところまで来た可能性があるという。
 ただ、南側の軸はスムイに戻るために再配置している可能性があるとの見方を示した。戻る部隊の規模や速度、理由については不明だとした。
 北部チェルニヒウは「現在孤立している」とも語った。
 この当局者によると、ロシア軍はウクライナ侵攻開始以降、これまでに多種多様なミサイル776発を発射した。
 また南部マリウポリやヘルソン周辺を中心に直近24時間でインターネットの不通が報告されているという。 (2204-031104)

 3月11日07:59 米国防総省高官が10日、ロシア軍がキエフに向けて再接近を始め、中心部まで15kmの地点に迫っているとの見解を示した。
 ロシア軍は1週間ほど大きな前進ができずに停滞していたが、再び首都包囲に動き出した模様だが、ウクライナ側も強く抵抗している。 (2204-031105)

 3月11日09:05 ウクライナキエフ州のブロバルイで隊列を組んだ戦車が、次々と破壊されていく様子を捉えた動画が10日に公開された。
 建物や車両の構成は、この地域を捉えた衛星写真と一致しており、地上で撮影された画像や映像からも裏付けが取れているが、この動画は情報提供者によって編集されている。 (2204-031106)

 3月11日11:28 Maxar社が現地時間10日11:37に撮影された新たな衛星画像から、キエフの北西で64km以上の長さで伸びていたロシア軍車両縦隊は、大半が分散し再配置されたことが分かった。
 同社によれば、画像から車列の一部がルビャンカ近隣の森林及び並木道の区域に移動されたことが分かるという。
 ホストメルにあるアントノフ空軍基地のすぐ北でキエフの北西27kmに位置する町には、ロシア軍の車両が町の道路に複数停車している。
 アントノフ空軍基地から北西4.8kmのルビャンカで木がまばらに生えた地域では、牽引された野砲や車両に覆いがかけられているのが確認できる。 (2204-031107)

 3月11日11:28 ロシア軍戦車縦隊が3月9日にキーウ(キエフ)に東から突入を図ったが、UAV 攻撃に阻まれて撤退した。
 これは、国家親衛隊隷下の準軍事組織アゾフ連隊が公開した空撮映像で、UAV攻撃を受ける戦車隊の様子が克明に捉えられている。
 AP通信は10日、独自にUAVを飛ばしてこの場所がドニエプル川東岸のブロバルイであることを確認した。
 また現場近くのウクライナ軍兵士も9日にUAV攻撃があったと証言した。
 極右組織「ウクライナの愛国者」を率いていたビレツキー氏が2014年のドンバス戦争当時に創設した準軍事組織であるアゾフ連隊はウクライナ内務省管轄下にあり、元々アゾフ大隊と呼ばれていたが連隊に昇格している。 (2204-031109)

 3月11日12:59 米国防当局幹部が10日、ウクライナに展開するロシア軍がこの数日間で長距離の砲撃や爆撃及びミサイル攻撃を増やしていると述べた。
 この当局者は、米国はロシア軍が当初直面した兵站上の課題に適応し克服すると予想していたとも述べ、それが世界が今目撃している人口密集地に対する長距離砲撃の利用増加になっていると指摘した。
 またこの当局者によると、南部の港湾都市マリウポリはロシア軍に包囲された状態が続いているが、まだ掌握されてはいないという。 (2204-031110)

 3月11日15:56 ロシア通信 (RIA) が11日にロシア国防相の話として、ウクライナの親露武装勢力が南東部マリウポリの北にあるボルノバハを制圧したと報じた。
 ボルノバハはマリウポリへの北からの入り口として戦略的な要衝とされる。 (2204-031113)

 3月11日17:00 ポーランドとウクライナの国境上空でNATO偵察機が収集した情報とレーダの分析から、ロシアがウクライナでの航空作戦の大半をベラルーシから飛ばした航空機で遂行していることが明らかとなった。
 CNNは10日にAWACSによるNATO軍の偵察任務に同行して航空状況を確認した。 現地時間08:00に離陸してから2時間以内に、同機はロシア製の航空機十数機がベラルーシ国内で空中待機状態にあるのを捉えたとNATOの戦術責任者が述べた。
 数時間後、レーダは少なくとも9機のロシア製航空機がベラルーシからウクライナ領空に入るのを察知した。
 NATO軍は、侵攻開始以降にウクライナ領空に侵入するロシア製戦闘機の大多数がベラルーシを起点としており、先週の特に活発だった日には約20機がベラルーシからキエフに飛行するのが確認された。
 ベラルーシ軍が直接紛争に加わっているのかについて、NATO軍は答えられないとしているが、ベラルーシとロシアはともに同じMiG-29を使用しているため、その場でどちらの国の機かを判別するのは難しという。 (2204-031114)

 3月11日21:07 InterFaxが、ショイグ露国防相が11日の国家安全保障会議で「志願兵」としてウクライナ東部に行くことを希望する外国人が16,000名以上いることを明らかにしたと報じた。
 ショイグ国防相は、彼らがボランティアだとし、「大半が中東からでISISと戦った兵士も多い」と話した。
 また、ウクライナ東部の親露派勢力に対し、ウクライナ軍との戦闘で獲得したMANPADSなどを供与するとした。 (2204-031115)

 3月11日 米国防総省のカービー報道官が3月11日、ロシアがウクライナのLuska及びIvano-Frankivskにある航空基地を長距離BMで攻撃したと発表した。
 これはロシア軍がウクライナに対し縦深攻撃を開始したものとの見方を示した。
 カービー報道官によるとロシアは開戦以来810発近くのミサイルを発射しており、その半数はウクライナ領内から、残りはベラルーシやロシア領内から発射している。 中でも6発は黒海上のロシア艦が発射しているという。 (2204-031117)

 3月12日01:17 ウクライナのイェニン内務次官がTVインタビューで11日、ロシアがウクライナ空域からベラルーシを空襲し、ベラルーシを紛争に巻き込もうと画策していると非難し、ベラルーシが11日中にウクライナに侵攻することを計画している可能性があると明らかにした。
 ウクライナ空軍は、ロシアの軍用機が11日にベラルーシを離陸し、ウクライナ領空を通過した後、ベラルーシのコパニを襲撃したとの情報を、国境警備当局が現地時間14:30に入手したと発表した。
ウクライナ空軍はオンライン声明で「これはベラルーシ共和国軍をウクライナとの紛争に巻き込むことが目的だ」と強く批判し、同じ作戦でベラルーシの他の2地域も標的にされたとした。 (2204-031207)

 3月12日02:30 西側諸国の複数の当局者が11日、ロシアがウクライナ侵攻を正当化するために、攻撃を自演する偽旗作戦の一環として化学兵器を使用する可能性があるとの見方を示した。
 ただ、こうした作戦以外の全般的な攻撃に化学兵器が使用されることを示す兆候はないとした。
 一方、当局者によると、ウクライナには約20名のロシア軍少将が派遣され、このうち3名が戦死した。
 これにより、ロシア軍が現場で判断を行えなくなっているか、前進を恐れる状況になっている可能性があるという。
 また、ロシア兵5,000~6,000名人が戦死したと推定している。 ウクライナは12,000名以上のロシア兵が戦死したとする一方、ロシアは戦死者は500名にとどまっているとしている。 (2204-031202)

 3月12日06:28 ロシア軍が11日にウクライナの中部と西部で戦線を拡大し、首都キエフに対する攻勢を強めている。
 11日には中部ドニプロにミサイル3発が撃ち込まれた。 人口100万人の工業都市ドニプロはこれまで、比較的安全な地域とみられており、人道支援の拠点や、東部の激しい戦闘から逃れる人々の避難先となっていた。
 さらにウクライナ西部のルーツィクとイバノフランコフスクでは、ロシアが軍用飛行場を無力化したと発表した。
 ウクライナは、ロシアが戦線を拡大したのは各都市の掌握に失敗したからで、ロシア側に過去24時間で大きな進歩があったわけではないと主張している。 (2204-031206)

 3月12日07:19 ロシアのウクライナ侵攻が3週間目に入った11日、キエフの包囲に向け軍を再編して各地で砲撃を続けている。
 キエフのクリチコ市長によると、人口350万人のキエフに現時点でも200万人が残留しているが、市内に残っている人のために2週間分の物資が確保されているほか、現時点ではキエフへの供給ラインは閉ざされておらず、市内では電気、暖房、ガス、水道は機能しているという。
 英国防省はMaxar社の画像から、キエフ北西にある空港近辺の集落をロシア軍の装甲車が移動していることから、ロシア軍はキエフ襲撃を含む新たな攻撃を準備していると見ている。
 一方ウクライナ軍参謀本部は、ロシア軍をベラルーシとの国境付近の不利な位置に押し戻したとし、ロシア軍は打撃を受けた後、再編成しているとの見方を示した。 (2204-031208)

 3月12日17:48 ウクライナ情勢は12日もロシア軍による攻撃が続き、英国防省によるとキエフ中心部から25kmの地点まで部隊が迫った。
 首都北西地域でも戦闘が発生したほか、複数の都市がロシア軍に包囲され、激しい攻撃にさらされているという。
 英国防省は11日の段階でロシア軍が部隊を再編成しつつあり、キエフへの攻勢を準備している可能性があると指摘したが、同省は12日に情報を更新し、キエフ北西部で戦闘が続いているほか、ハリコフやチェルニヒウ、スムイやマリウポリがロシア軍に包囲され、激しい攻撃を受けているとした。
 マリウポリの市当局は11日の声明で、12日間にわたるロシア軍の攻撃と都市封鎖により、少なくとも市民1,582人が死亡したと明らかにした。 (2204-031210)

 3月12日19:45 ロイタ通信が、ウクライナのゼレンスキー大統領が12日にロシアの侵攻後ウクライナ軍の1,300名が戦死したと述べたと報じた。
 またウクライナ原子力企業エネルゴアトムが、ロシアがは12日に制圧下にある欧州最大級の南部ザポロジエ原発について、ロシア国営原子力企業ロスアトムが接収したと主張したことを明らかにした。 (2204-031211)

 3月13日09:59 英国防省が12日、ロシア軍部隊の大部分がキエフ中心部から25km圏内に到達したとの見方を示した。
 キエフの西50kmに位置する村マカリフからは、ロシア軍の空爆によるとみられる被害状況の画像がSNSに投稿され、CNNが真偽を確認した。
 アパートや学校、医療施設が標的になったとみられ、破壊されている。
 ゼレンスキー大統領は12日の記者会見で、「いくつかの小さな町はもはや存在しておらず、人々が永遠に消えたと訴えた。
 南部の港湾都市マリウポリの衛星画像には、複数のアパートやガソリンスタンドが破壊され、炎上する様子が写っていて、国境なき医師団 (MDF) の緊急対応担当者はCNNとのインタビューで、同市は現在、大惨事の局面にあるとの見解を示した。 (2204-031302)

 3月13日21:45 ウクライナ国営通信などによると、ロシア軍が13日に西部リビウ州でポーランドとの国境から20kmに位置するヤボリウにある軍訓練施設国際平和維持・安全センターを空爆し、地元政府は少なくとも35人が死亡、134人が負傷したと明らかにした。
 空爆では30発のミサイルが発射されたという。
 センターでは今年2月中旬頃まで、米国などの外国の軍要員がウクライナ軍の訓練を実施し、供与した兵器を残しているという。
 ロシアによる侵攻開始後、米国とポーランドは協力してウクライナに戦闘機を供与する検討も行っており、今回の空爆にはウクライナへ支援を続ける米欧を威嚇する意図もありそうだ。 (2204-031305)

 3月14日07:24 英国防省が13日、ロシア海軍がウクライナの黒海沿岸を封鎖したと発表した。
 ロシアは、アゾフ海で実施したような上陸作戦を今後数週間にさらに実施する可能性があるという。
 同省によると、ロシア海軍はウクライナの目標へのミサイル攻撃を継続している。 (2204-031401)

 3月14日09:53 ポーランドのドゥダ大統領がBBC TVとのインタビューで13日、ロシアがウクライナで化学兵器を使用すれば状況は一変し、NATOは対応を真剣に検討する必要が出てくるとの考えを示した。
 西側諸国当局者は11日、ロシアがウクライナ侵攻を正当化するために、攻撃を自演する「偽旗作戦」の一環として化学兵器を使用する可能性があるとの見方を示した。 (2204-031402)

 >3月15日05:59 米国防総省高官が14日、ウクライナ西部リビウ近郊の演習場を目標とした13日の攻撃について、ロシア軍の長距離爆撃機から発射されたCMによるものだと分析結果を明らかにした。
 この高官は、について「ロシア領空内から数十発のCMが発射され、少なくとも建物7棟が損壊した」と記者団に説明した。
 演習場はポーランド国境近くに位置し、かつては米軍がウクライナ軍兵士に訓練を行っていた。
 空爆による軍事支援物資の輸送に影響はないという。 (2204-031502)

 3月15日12:30 ロシア軍が戦力増強や補給の確保を優先し、14日も首都キエフなどへの大規模な侵攻を見合わせた。
 キエフへの侵入ルートを確保するために、北西部のイルピニ川に橋を架けようと試みたが、作戦は失敗した。
 米シンクタンクの戦争研究所は、ロシア軍がシリア兵や民間軍事会社からも兵力を補おうとしており、目先の侵攻再開の可能性は遠のいたと見積もる。 (2204-031504)

 3月16日: 米国防総省高官が15日、キエフに向かうロシア地上軍は複数の方向から包囲を目指して迫り、ウクライナ軍が抵抗するという構図が続いており、前進を阻まれたロシア軍はキエフ郊外から遠距離で市内を砲撃する動きも強めている。
 高官は「住宅地を含む民間の標的が、遠距離から攻撃される頻度が増えている」との見方を示した。
 高官によると、キエフに向かう地上軍の北西方面部隊はキエフ中心部まで15~20km地点、東方面部隊は20~30km地点に留まっている。
 ロシア軍が接近するキエフ東郊にあるブロバルイも、まだウクライナ側の統制下にある。
 一方で、北方面からキエフに迫る途上にあるチェルニヒウはロシア軍に包囲されて孤立した状況が続いており、ウクライナ軍は外部からの補給路の確保に努めているという。 (2204-031606)

 3月16日12:30 ロシア軍が15日、ウクライナ南東部や南部で勢力を拡大した。
 ヘルソンから北東方面に侵攻したほか、ドネツク周辺でも支配エリアを広げた。
 港湾都市マリウポリでは抵抗するウクライナ軍を追い詰めている。
 首都キエフ近郊では散発的な攻撃を仕掛けているものの戦況は膠着しており、戦力の補充や補給の確保を進めているもようである。 (2204-031610)

 3月16日18:30 Planet社の衛星画像で、ウクライナ軍が15日にウクライナ南部のヘルソン国際空港で、ロシア軍の複数のヘリコプターを破壊したことが明らかになった。
 衛星画像には、空港から立ち上る巨大な黒い煙が捉えられていて、少なくとも3機のロシア軍のヘリコプターが燃えているか破壊されており、ウクライナ軍がロシア軍のヘリコプターに対して実施した攻撃で知られているものとしては、今回の戦争中で最大規模の破壊となる。
 UAVが撮影した別の画像からも空港から立ち上る巨大な煙が捉えられている。 CNNは位置を特定し、画像の信憑性を確認した。
 空港での攻撃は、世界各地の大規模な火災を追跡している、米航空宇宙局 (NASA) のFIRMSでも検知されており、FIRMSが収集したデータによれば、攻撃は現地時間13:42頃に起きた。 (2204-031617)

 3月16日 露国防相が3月7日に公開した映像では、ロシア空軍がウクライナ侵攻作戦でSu-35SにKh-31PM ARMを搭載してSEAD任務に当たらせている。
 2機のSu-35Sが映った映像では1機がKh-31P 2発とR-77及びR-73 AAMを搭載し、もう1機は対空任務に使われていたが、帰投したSu-35S 1機はKh-31PMを1発だけ搭載していた。 (2206-031602)

 3月16日 ロシアは、ウクライナへの多面的な作戦を調整するために、前例のない指揮統制 (C2) システムを構成している。
 当初ロシア軍は西側諸国のような大将を司令官とする4つの軍管区が同時に大規模な作戦を遂行している。
 これらの新しい指揮系統がロシア軍の進撃速度の遅さに大きく影響している。
 4個軍管区のうち少なくとも3個は、地上、航空、陸軍航空、空挺、ミサイル、特殊部隊を要しており、もう1個の南部軍管区は海軍と水陸両用部隊を隷下に入れている。 (2206-031603)

 3月17日07:42 米国防総省高官が16日、黒海に展開するロシア海軍がオデッサ付近に砲撃を行ったと明らかにした。
 揚陸作戦や地上侵攻前の地ならしの可能性もある。
 高官は記者団に、黒海北部でロシア海軍の活動が活発化していると分析する一方、海上から周辺の町を砲撃する狙いについては揚陸作戦の前触れかどうかは分からないと述べた。
 一方、首都キエフを含むウクライナ北部の戦線は膠着状態が続いている。 (2204-031706)

 3月17日08:58 パナマ政府が16日、ロシアのウクライナ侵攻が2月に始まって以降、パナマ国旗を掲げた船舶3隻が黒海でロシア軍のミサイルの被害に遭ったと明らかにした。
 1隻は沈没したが、死傷者は報告されていないという。 (2204-031707)

 3月17日12:30 ロシア軍は16日、マリウポリなどで民間インフラに対し無差別攻撃を続け、マリウポリ中心部では市民の避難所になっていた劇場が爆破された。 米シンクタンクの戦争研究所 (ISW) は、一連の攻撃が同市の降伏を迫る動きと分析している。
 ウクライナ軍参謀本部によると、南部オデッサ州ではロシアの軍艦が複数の集落を砲撃したという。
 キエフ周辺では大規模な攻撃を見合わせている。 ISWはロシア軍が失った戦力の補充に苦慮しているとみている。 (2204-031710)

 3月17日17:01 英国防省の情報当局が17日、ウクライナに侵攻中のロシア軍の動きがここ数日、陸海空の全てでほぼ止まっているとの見解を示した。
 同省は、ウクライナ側の抵抗は依然激しく、よく連携が取れていると分析し、全ての主要都市を含め、ウクライナの領土の大半は引き続きウクライナの統治下にあるとした。
 ロシア軍は甚大な損失を被り続けているという。 (2204-031713)

 3月17日: 米国防総省高官が16日、ロシアが地上戦闘を担う主力部隊である大隊戦術群の75%をウクライナへ投入したと分析した。
 17日には英国防省がロシアの侵攻はすべての前線で大きく停滞していると指摘し、ロシア軍は余力が乏しいこともあり、停戦に向けた協議も模索し始めている可能性がある。
 バイデン政権は侵攻前にウクライナ周辺に集まったロシア軍の規模は最大19万と推計していたが、国際戦略研究所 (IISS) のMilitary Ballanceによれば、ロシア陸軍の抱える兵力は28万である。 (2204-031719)

 3月17日 ロシアの3週間にわたる爆撃機にもかかわらず、ウクライナが耐えているのにはトルコ製UAVの働きもあると見られている。
 トルコBaraktar TB2 UAVはアゼルバイジャン、リビア、モロッコ、エチオピアにも輸出され、アゼルバイジャンは2020年のナゴルノカラバフで活躍させている。
 ウクライナは2019年から装備し東ドネツクでの戦闘で活用したためロシアが不安定化材料と指摘していた。 ウクライナは20~50機装備していると見られてる。 (2204-031720)

 3月18日04:29 米国防当局高官が17日、ロシアがウクライナ侵攻を開始してからウクライナに対し1,000発以上のミサイルを発射したと述べた。
 また紛争が4週目に入る中、ウクライナにいる一部のロシア軍部隊で士気が低下している兆しがあるとしたが証拠は示さなかった。 (2204-031802)

 3月18日06:49 New York Timesが16日、米国の複数の高官が米国の情報当局は2月24日のウクライナへの侵攻開始から約3週間のロシア兵の死者数を7,000人と推定していると報じた。
 これはメディア報道、ウクライナとロシア双方の推計、攻撃を受けた装甲車の映像、衛星写真の分析などを総合したもので控えめな推計だという。
 ロシア軍の死者数を13,500人とするウクライナと498人だとするロシアの中間水準でもある。 (2204-031805)

 3月18日06:58 米国防総省高官が17日、ウクライナに侵攻したロシア軍が東部の町イジュームを制圧したとの分析結果を明らかにした。
 この町を拠点に南進してマリウポリを制圧することで、親露派が実効支配する東部ドンバス地方をウクライナ政府支配地から切り離す狙いがあるとみられる。
 高官によると、ロシア軍が侵攻開始以降に使用したミサイルは1,000発を超えた。
 キエフを含む北部の戦線は膠着状態が続いているが、ロシア軍が砲兵部隊をキエフ周辺に集結させ、砲撃を強化しようという動きがあるという。 (2204-031806)

 3月18日11:08 UAV 1機が先週、ウクライナ西部の国境を560km以上も越えてクロアチアに墜落した。
 クロアチア当局者によると、このUAVはウクライナ軍のものかロシア軍のものか分かっていないが、爆弾を搭載していた。
 ルーマニアでは別のUAVが領空に侵入し、15日にはウクライナ軍がポーランド領空を経由してウクライナに再侵入したロシアのUAVを撃墜したと発表した。
 この3機のUAVは、ロシアがウクライナで行っている戦争がNATO加盟国にまで飛び火しかねないとの懸念を増大させており、たとえ意図的ではなかったとしても、加盟国で事態が起きた場合にどう対応すべきかの判断をNATOは迫られている。 (2204-031808)

 3月18日 NATO当局者によると、キエフ攻略を目指すロシアの攻勢はほぼ失速しており、ウクライナ軍は17日に同市郊外の完全支配に向けた反攻を開始したことを明らかにした。
 一方、New York Timesが現時点での死者数を7,000人とした数字は米国の推計値の中でも高い部類に入るとされているが、死者数を3,000人とする推計もあれば、10,000人以上との見方もある。
 NATOの予想では「ロシア国民が損失の規模を認識し始めるにつれ、報じられている死傷者数の多さに対して国内でも何らかの反応があるだろう」と見ている。 (2204-031809)

 3月18日12:30 ウクライナ軍が17日、ロシア軍の動きが止まるなかで主要都市の周辺で反撃に出た。
 首都キエフの北西部でいくつかの攻撃によりロシア側に損害を与えたほか、第2の都市ハリコフの周辺でもロシア軍を撃退し、連隊指揮官を殺害したことも明らかにした。
 一方ロシア軍は同日、南東部のマリウポリ周辺で徐々に支配地域を広げ、攻撃の対象を住宅地に広げつつある。 (2204-031810)

 3月18日: ウクライナ西部リビウのサドビー市長が、ロシア軍が18日に空港付近をミサイルで攻撃したことを明らかにした。
 ウクライナ軍によると、攻撃に使われたのはKh-555 CMとみられ、黒海の方向から発射された。
 市長によると、攻撃されたのは航空機整備工場。複数のミサイルが撃ち込まれ、建物は崩壊した。
 工場は操業しておらず、人的被害はなかったという。 空港自体は攻撃を受けなかったという。 (2204-031811)
【註】Kh-555の前身で1984年に配備を開始したKh-55はソ連がTomahawkに対抗して開発した戦略核CMで、Kr55SM (AS-15B) の核弾頭を通常弾頭に換えたCMで射程は3,500kmという。

 3月19日09:25 ウクライナ軍が18日、ロシア軍による首都キエフへの攻撃に使われる主要な2経路を封鎖したと述べ、首都防衛に関し楽観的な見方を示した。
 ウクライナ軍のフルゼビッチ准将によると、ロシア軍は同市を南北に流れるドニエプル川の両側で足止めされている。
 18日の時点で、ロシア軍は市の右岸から70kmの位置に留まっており、ロケット以外での攻撃は不可能な状況にある。 左岸でも進軍が止まっていて、主な攻撃手段を封じられた状態だという。
 ロシア軍はキエフ北東郊のブロバリ周辺と南東郊のボリスピルでの攻勢作戦を断念し、ウクライナ軍は2本の防衛線を構築して現在は遠方にある3本目の防衛線の強化を進めているという。
 CMの脅威については、キエフ周辺の防空システムは依然稼働しているものの、市内上空で迎撃されたミサイルはやはり脅威だと認めた。
 リビウでは18日午前に黒海上空から発射されたCM 4発が航空機部品工場に着弾し、ほかにも2発が目標着弾前に防空システムによって迎撃された。 (2204-031904)

 3月19日11:25 ロシア国営TVが17日、第331親衛空挺連隊長ら少なくとも5人が戦死したと報じた。
 第331親衛空挺連隊はロシアのエリート部隊の一つと目され、2度のチェチェン戦争で戦ったほか、一部は2014~2015年にかけてウクライナ東部ドンバスの紛争に直接関与していた。 (2204-031905)

 3月19日17:37 ロシア国防省が19日、ウクライナ西部イワノフランキフスク州デリアティンのウクライナ軍の地下弾薬庫を、空中発射極超音速ミサイルKinzhalで破壊したと発表した。
 確認されれば、ウクライナ侵攻でのKinzhalの使用は初めてとみられる。 (2204-031907)
【註】KinzhalはMiG-35から発射される極超音速ミサイルで、その形状からIskanderの空中発射型であるALBMと見られている。
 Kinzhalを装備したMiG-35がシリアに配備されていることは度々報じられていた。

2・1・1・3 ウクライナ軍の攻勢

 3月20日21:34

 ロシア国防省が19日にウクライナ西部にあるミサイル貯蔵施設を空中発射型新型ミサイルKinzhalで破壊したとの発表について疑義が浮上している。
 同省がSNSで公開した着弾の様子を捉えたとする動画を米メディアなどが検証したところ、撮影地点はウクライナ東部とみられることが明らかになった。 毎日新聞も同じ手法で確認した。
 露国防省は攻撃の瞬間を上空から捉えたとする動画を公開たが、動画に映る建物などの特徴とGoogle Earthで公開されている衛星画像を比較した結果、撮影場所は東部の農業地帯の可能性が高い。
 米メディアや専門家はロシアが公開した動画について、ミサイル貯蔵施設が破壊されたのであれば爆発規模が小さいなど疑義を指摘している。 (2204-032002)
【註】Kinzhalでの攻撃は事実としても露国防省が発表を飾るため、動画だけ適当なものを貼り付けた可能性もある。
 いずれにしても発表される情報が宣伝用で信頼性が低いことには変わりない。

 3月21日11:04

 ロシア軍は20日、首都キエフ西方の都市ジトミルに激しい空爆を加えた。 ウクライナ非常事態庁は、ジトミルへの空爆で13の建物が狙われ、3人が負傷したことを明らかにした。
 一方、ロシア当局者らからは20日、マリウポリをめぐる戦闘でロシア黒海艦隊の副司令官が戦死したことを認める発言が相次いだ。 (2204-032102)

 3月21日17:30

 英軍情報当局がウクライナの戦況について21日、キエフの北東で中心部から25km超の地点でロシア軍が足止め状態にあると指摘した。
 英国防省はキエフの北で大規模な戦闘が続いているとし、ロシア軍のホストメルから北西への進撃は、ウクライナ軍の強力な抵抗に阻まれていると述べた。 (2204-032103)

 3月22日00:29

 ロシア連邦保安局 (FSB) が声明で、ウクライナ軍が420個の機雷を仕掛けたが、荒天のため機雷を係維する係維索が切断され、機雷は黒海西部を漂流していると主張した。
 これに対し、ウクライナ側は、FSBの情報が誤りであり、機雷が漂流している事実はないと強調し、ロシアが海域の一部を封鎖しようとしていると非難した。 (2204-032202)

 3月20日00:42

 米国防総省当局者が21日、ロシアがウクライナ攻撃に極超音速ミサイルを使用したと明らかにしたことについて、米国は独自に確認できていないと述べ、軍事的観点からこうした兵器の使用はほとんど意味がないとの考えを示した。
 米国防総省当局者は匿名で、ロシアが交渉で優位に立つために西側にメッセージを送ろうとしている可能性があるほか、ロシアの精密誘導兵器の供給に制約があるとの米国の評価を受けて、ロシアは最新兵器に目を向けているのかもしれないとした。 (2204-032204)

 3月22日07:03

 ロシアはウクライナでの軍事作戦の照準を再び東部に定めつつあり、特にマリウポリに目標を絞っていて、プーチン大統領は侵攻の目標を狭めるPlan Bに変更している可能性がある。
 マリウポリへの陸海空からの砲撃は21日も続き、包囲攻撃だけでなく市内中心部での戦闘も報じられている。 (2204-032206)

 3月22日10:37

 複数の米当局者が、米国はウクライナ軍を支援するため、何十年も前にひそかに入手したソ連製兵器をウクライナに提供していることを明らかにした。
 米国は米軍の訓練に役立てる目的で少数の旧ソ連製ミサイルシステムを入手していたが、今回ウクライナに提供するのはSA-8などで、ウクライナ軍はソ連解体後にこの種の兵器を受け継いでいて取り扱いに慣れている。
 米当局者によると、ウクライナに提供する兵器にS-300は含まれない。
 米政府はウクライナの防空能力を高め、同国が設定を要請している飛行禁止区域 (NFZ) を実質的に創り出したい考えである。 (2204-032208)

 3月22日11:20

 ロシアのタブロイド紙Komsomolskaya Pravdaのウェブサイトにロシア国防省からの情報として、ウクライナでの「特別作戦」で9,861名が死亡、16,153名が負傷したとしたとの記事が掲載されたが、この部分は間もなく削除された。
 CNNの分析によれば、記事はモスクワ時間の21日00:09に公開されたとみられソーシャルメディアで注目を集め始めたが、CNNが閲覧した直後のモスクワ時間21:56に死者数への言及は全面的に削除された。 (2204-032209)

 3月22日11:49

 ロシア連邦チェチェン共和国のカディロフ首長が3月21日、マリウポリに到着したチェチェン共和国兵士の映像をSNSに投稿した。
 AP通信は撮影場所および日時、さらに映像の内容を独自に確認できていない。
 映像には「部隊は直接町を攻撃し、地区ごとに解放している」と記されており、「われわれは間もなくマリウポリをウクライナから完全に解放するであろう」と主張している。
 カディロフ首長は先週も、マリウポリに向かうチェチェン人兵士の映像をSNSに投稿している。 (2204-032210)

 3月22日12:30

 キエフを巡る攻防は膠着状態が続いている。
 ロシアの地上軍による目立った攻撃はこの数日、ウクライナ軍の反撃による戦力喪失や士気低下を受けて見られない。
 ハリコフなどウクライナ北東部でも補給の確保に苦戦しており、防御姿勢を強めている。
 ウクライナ軍の反撃も続いている。南部ミコライウではロシア軍の侵攻を食い止め、港湾都市オデッサの掌握を狙うロシア軍の動きを封じている。 (2204-032211)

 3月22日13:30

 事情に詳しい複数の情報筋が、ロシアがウクライナでの戦争を率いる軍の指揮官を指名しているのかどうか米国は確認できていないことを明らかにした。
 ロシアの攻撃が拙劣で無秩序なように見えるのはこれが主因である可能性が高い。
 米国防当局者2人によると、全戦域を統括する最高指揮官がウクライナ国内や周辺におらず、ウクライナ各地に展開する異なる軍管区からの部隊は、互いの活動を調整するどころか、むしろリソースを奪い合っているように見えるという。
 情報筋らは、ウクライナ全土での作戦に参加する部隊は連携が取れておらず、包括的な作戦計画なしに独立して行動しているように見受けられると指摘する。
 ロシア軍は通信面でも大きな問題を抱えているようで、携帯電話などセキュリティーの確保されていない手段を使って会話する場合もあるため、通信が傍受され易く、ウクライナ軍が反撃の目標を定める助けになっているという。
 これら全てが要因となり、ちぐはぐで時に混乱した作戦が展開され、欧米の当局者を驚かせる状況になっているという。 (2204-032212)

 3月22日16:49

 ウクライナ軍が22日、数日間にわたる戦闘を経てキエフの西48kmに位置するマカリフを奪還したと発表した。
 ウクライナ軍によれば、ロシア軍が撤退し市内にはウクライナの旗が掲げられた。 CNNはウクライナ軍の主張について独自に確認できていない。 (2204-032215)

 3月23日09:37

 米国防総省高官が22日に記者団に対し、ウクライナ軍がここ数日で反撃に転じているとの分析を示した。
 露軍によって制圧状態とみられている東部イジュームでは、ウクライナ軍が奪還に向けて激しい戦闘を展開している。
 高官によると、ロシア軍はイジュームを拠点に南進し、南東部マリウポリの制圧を目指していた。
 国防総省はウクライナ軍が北東部ハリコフ、イジューム、マリウポリを結ぶ線で、親露派武装勢力が実効支配する東部ドンバス地域と西側を分離する狙いがあるとみている。
 高官は「ウクライナ軍は効果的に防御しているだけでなく、ここ数日で露軍の支配地域を奪還する動きを明確に見せている」と分析した。
 また、AP通信などによると、ウクライナ国防省は22日にキエフ西方50kmにある要衝マカリウをロシア軍から奪還したと発表した。
 一方で、露軍は黒海やアゾフ海で活発な動きを見せており、この高官はアゾフ海に数隻のロシア艦が展開してマリウポリを砲撃していると説明した。
 掃海艇や揚陸艦も確認されているという。 (2204-032304)

 3月23日09:56

 ロシア大衆紙Komsomolskaya Pravdaが、ウクライナで1万名近いロシア軍兵士が死亡したとする記述を記事掲載から6時間余り経過してから削除したことについて、偽ニュース拡散を狙ったハッカからサイバ攻撃を受けたと主張した。
 ウェブアーカイブで収集された元の記事は、ロシア国防省の話としてウクライナの特別軍事作戦で同国軍兵士9,861名が死亡し、16,153名が負傷したと報じていた。 (2204-032305)

 3月23日10:14

 米国防当局者が匿名を条件にロシアの戦闘力について22日、ウクライナ軍事侵攻前の90%に低下したとの見方を示した。 ロシア軍の死傷者が増加している可能性がある。
 ロシアは2月24日のウクライナ軍事侵攻前、国境付近に15万以上の兵力を集結させ、本格的な攻撃のための戦闘機や戦車などを配備していたと米国は推定している。 (2204-032306)

 3月23日11:25

 米国防総省高官が22日、ウクライナに侵攻したロシア軍が前線で燃料や食料などの補給不足に悩まされ、凍傷を負った兵士も出ているとの分析を明らかにした。
 この高官は、ウクライナ軍がキエフ郊外の町を奪還したと発表したことに関し、事実確認を避けつつ、ウクライナ軍がロシア軍に制圧された地域の一部奪還に向け攻勢に出ているとの見方を示した。
 高官はまた、ウクライナ国内で展開中の戦闘部隊が当初投入した兵力の9割を初めて下回ったとの分析を明らかにした。
 更に、露軍が食料や燃料などの再補給を計画するものの実施に至っていないと指摘し、艦船の燃料や、精密誘導兵器などの武器や弾薬の在庫も不足し始めているという。 (2204-032308)

 3月24日00:30

 ロシアがウクライナ侵攻を始めてから24日で1ヵ月となり、戦況は膠着し始めている。
 軍事サイトOryxによると、ロシア軍の戦車や装甲車の損失は22日時点で800両超とウクライナ軍の3.5倍にのぼり、SSM/SAMも140両と同6割多い。  米政権の推定で、ロシアは侵攻までに15万~19万の兵力を国境付近に集めたが、弾薬や燃料、食料など兵士1人の維持にかかる費用を1日1,000ドルと仮定すれば、1日に$150M~$200Mの支出が続いており、世界銀行によるとロシアの2020年の軍事支出は$61.7Bで戦費負担も軽くはない。
 元米軍高官のホッジス氏は米欧の経済制裁が効力を発揮し、今後戦費調達が苦しくなることなどもあり、ロシア軍は激しい攻勢を長くは続けられないと分析する。 (2204-032401)

 3月24日03:40

 キエフのクリチコ市長が23日、ウクライナ国軍が同市周辺の複数の地域でロシア軍を撃退したと明らかにした。
 クリチコ市長によると、同市の北郊外と東郊外で激しい戦闘が続いており、ウクライナ軍は同市の西方50kmのマカリウを奪還したほか、東郊イルピンのほぼ全域を支配下に置いた。
 AFP記者によると、イルピンやキエフ北郊では激しい砲撃戦が起きている。
 ウクライナの通信社は、イルピン、キエフ西郊のブチャやホストーメリでロシア軍が包囲されている可能性について報じた。 (2204-032402)

 3月24日06:26

 米国防総省高官は23日、ウクライナに侵攻したロシア軍がウクライナ側の激しい反撃を受け、キエフ周辺から後退したとの分析を明らかにした。 ウクライナ軍は各地で反転攻勢に出つつあるという。
 北西からキエフに迫っていたロシア軍部隊はいまだ市中心部から15~20kmの地点にとどまっているが、高官は「ロシア軍は塹壕を掘るなど防御態勢に移行した」と指摘し、「侵攻していないのではなく、侵攻しようとしていない」と分析している。 (2204-032406)

 3月24日07:19

 New York Timesが22日、ロシアがウクライナ侵攻を開始してから1ヵ月になっても停滞状態に留まっている理由の一つは、ウクライナ領空の掌握の失敗で、ウクライナを圧倒する空軍力を持つロシアが大きな力を使えないのは、まさにウクライナの空で戦うという点のためだと指摘した。
 ウクライナ空軍報道官は「我々の領土で作戦を行っているので、ウクライナは空中で効果的に対応してきた」と述べ、「我々の領空に飛んでくる敵機は、我々の防空システムの中に入ってくることになる」とし、その戦略を「ロシアの戦闘機をウクライナの防空システムの“罠”に誘い込むもの」だと表現した。
 米国防省の官僚は、ウクライナを侵攻しているロシアは戦闘機を毎日200回出撃させている一方、ウクライナは5~10回出撃させていると述べているが、ウクライナ政府はこれまでに97機のロシアの戦闘機を撃墜したと明らかにしている。 (2204-032407)

 3月24日08:51

 ロシアがウクライナ侵攻を開始して24日で1か月を迎えたが、短期決戦に失敗したロシア軍は、民間人の犠牲をいとわない消耗戦に持ち込もうとしているもようである。
 米政府によると、ロシア軍はこのところウクライナ側の抵抗により地上部隊の進攻が阻止されているため、空爆や艦砲射撃を強化している。
 攻撃部隊はキエフから北西15km、東方30kmの地点で足止め状態で、可能な攻撃は遠隔での砲爆撃のみとなっている。 (2204-032409)

 3月24日11:20

 NATO軍高官2人が23日に記者団に対し、ウクライナで続くロシアの侵攻で1ヵ月間に最大15,000名のロシア兵が死亡したとの推計を明らかにした。 2人の高官によると、ロシア兵の死者総数の範囲は7,000~15,000名である可能性がある。
 ウクライナ軍参謀本部の推計では、今回の紛争でのロシア兵の死者数は15,600名となっている。
 NATO軍高官は、死者や負傷者、行方不明者を全て合わせると30,000~40,000名に上る可能性があると推計している。
 別の米当局者らも7,000~14,000名のロシア兵が死亡したと推計しているものの、数字の信頼度は低いとしている。 (2204-032410)

 3月24日12:30

 ウクライナ軍は23日もキエフの西側などで反撃を続けた。
 22日にロシア軍から奪回したと発表したマカリフなどでロシア軍の侵攻を食い止め、前線を押し返している。
 ウクライナ軍の反転攻勢を受けて、ロシア軍は防衛陣地の構築や地雷敷設など防御策により重点を置き始めた。
 マリウポリを巡る攻防も激しさを増していて、ウクライナ軍の抵抗が強まるなか、ロシア軍は砲撃に一段と傾斜している。 (2204-032411)

 3月24日13:01

 ロシア軍の侵攻の影響で、黒海やアゾフ海で外国籍の商船100隻以上が立ち往生している。
 業界関係者によると、危険な状況下での待機が長引き食料や医薬品が不足し、乗員は厳しい状況に置かれている。
 船員が退避できた例もあるが、戦闘で足止め状態の外国籍船は140隻あり、これらには20ヵ国から1,000人以上の船員が乗船しており「紛争の巻き添えになっている」と業界団体幹部は述べた。
 すでに商船5隻が攻撃を受け、うち1隻が沈没する事案も起きている。 (2204-032412)

 3月24日16:06

 ウクライナメディアが、ロシア軍が白燐弾を使用したと報じた。
 ロシア軍が、非人道的な兵器として国連の条約で市民に対する攻撃で使用が禁止されている白燐弾をドネツク州やキエフ近郊で相次いで使用し、2人の子どもを含む4人が死亡したとしている。
 一方キエフ近郊では、ロシア軍とウクライナ軍による一進一退の攻防が続いていて、米国防総省の高官は23日にウクライナ軍がキエフの東側20kmから30kmにいたロシア軍を55kmの地点まで押し戻したと発表している。 (2204-032414)

 3月24日18:30

 米国防総省高官が24日までに、ロシア軍はミサイルの備蓄問題に直面し始めているとの分析を明らかにした。
 このことがほかの種類の爆弾の使用頻度が増えている理由になっているとした。
 ロシア軍はこれまで準備していたCMのかなりの量を使い果たしており、相当な数の不発にも遭遇しているともした。 精密誘導兵器の一部は発射出来ず、目標に命中せず、さらに着弾時点で爆発しない欠陥も露呈しているという。 (2204-032418)

 3月20日01:05

 ウクライナ海軍が24日、アゾフ海に面したBerdyansk港で、停泊していた露海軍大型揚陸艦Orskを撃沈したとする動画と写真を公開した。
 Berdyanskは、マリウポリの西80kmにあり、露軍が補給拠点に使っている。
 別の揚陸艦が深刻な損傷を受けたとの情報もあり、事実なら南部の戦況に影響するとみられる。  Orskは戦車20両、装甲車45両、兵員400名の輸送が可能とされる。 (2204-032502)

 3月25日10:55

 米情報活動に詳しい米当局者3人がロイタに語った米政府評価によると、米政府はロシアのウクライナへの精密誘導ミサイル攻撃について、一部ミサイルの失敗率が最大で60%にも上ると分析している。
 それによると、ロシアの失敗率は日によって変わり、発射されるミサイルの種類にも左右されている。 50%を超えることもあるかもしれないという。
 このうち1人は、ロシアのALCMの失敗率が日によって20~60%になっているとの米情報機関の見方を示した。
 ロイタが取材した専門家2人によると、通常は20%以上の失敗率は高い率と見なされる。 (2204-032508)

 3月25日16:32

 英国防省が25日、ウクライナがキエフの東35kmまでの町と防衛陣地を奪還したと表明した。
 ロシア軍が補給路の不足で後退しているという。 (2204-032511)

 3月25日19:27

 キエフで15年暮らす高垣典哉さんは、最近、街の様子にも変化が出てきて、「先週の土曜日あたりから経済活動が再開しだし、カフェなどの小さな店が開くようになった」と話す。
 現地時間25日07:30すぎだの朝を迎えたばかりのキエフ市内では「ほとんどこの近くで爆撃音が聞こえなかった、そんな夜でした」という。 (2204-032514)

 3月25日20:34

 ロシア国防省が25日、キエフ近郊のカリノフカにある最大の軍事用燃料貯蔵施設をKalibr洋上発射型CMで攻撃し破壊したと発表した。 この施設はウクライナ国内に残存している貯蔵施設としては最大のもので、中部で活動する同国軍に燃料を供給していたとしている。
 同省はさらに、2月の侵攻開始以降、ウクライナ軍のUAV 260機、戦車などの装甲車両1,580両以上、対空兵器204基を破壊したと明らかにした。
 ウクライナ側も、燃料貯蔵施設への攻撃があったことを認めた。 (2204-032516)

 3月25日22:14

 ウクライナ軍が25日、同軍の攻撃を受けBerdyansk港で破壊されたロシア軍の揚陸艦はSaratovだったとする声明を出した。 先の報告では同艦はOrskとされていた。
 声明では別の2隻の大型船も攻撃の中で破壊されたとし、敵の他の損失は解析中としている。 (2204-032517)

 3月25日23:36

 ロシア国防省が25日、ウクライナにおける軍事作戦の第一段階はほぼ完了したとし、ウクライナ東部ドンバス地域の完全「解放」に焦点を当てると表明し、より限定された目標に切り替えている可能性を示唆した。
 ロシア国営通信社によると、現在ドンバス地域では、親露派がルガンスク州の93%、ドネツク州の54%を掌握しているという。
 国防省はまた、これまでにロシア軍の死者は1,351名、負傷者は3,825名になったと発表した。 (2204-032518)

 3月26日01:49

 ロシア軍が25日にモスクワで開いた会見で、ウクライナ侵攻で自国軍の兵士1,351名が死亡し、3,825名が負傷したと発表した。
 ロシア軍当局による同国側の死者数公表は3週間ぶりである。 (2204-032603)

 3月26日03:00

 米国防当局者が25日、ロシアがキエフでなく東部ドンバス地域の制圧に注力しているという認識を示した。
 和平交渉での影響力を高めると同時に、東部のウクライナ軍を他の地域から切り離す狙いがある可能性がある。
 米国防当局者はまた、ロシアがジョージアからの援軍派遣を模索していると述べた。
 ロシア国防省は25日に、ウクライナにおける「軍事作戦」の第一段階はほぼ完了したとし、ウクライナ東部ドンバス地域の完全「解放」に焦点を当てると表明した。 (2204-032604)

 3月26日07:22

 匿名を条件に報道陣の取材に応じた米国防総省高官が25日、ウクライナに侵攻したロシア軍が制圧した唯一の主要都市である南部ヘルソンについて、ウクライナ軍が奪還に向けた反攻を開始し、再び係争地になっていることを明らかにした。
 高官は、現在どの軍がヘルソンを掌握しているかは確認できないものの、ロシアの支配は弱まっているもようだと述べた。 (2204-032617)

 3月26日12:10

 米国防総省高官が26日までに、キエフ周辺に展開するロシア軍が防御態勢に入っており、キエフに向けた地上からの侵攻を停止したとの見解を示した。
 ただ、空からの攻撃や長距離攻撃は続いているという。
 米国の見方では、ウクライナ軍はロシア軍をキエフのさらに東方に押し戻した後、その状態を維持している。
 北部の都市チェルニヒウ周辺でも、ウクライナ軍がロシア軍を後退させている兆候がある。
 同高官はキエフ近郊のマカリウは控え目に見ても戦闘状態で、ウクライナの支配下に入っている可能性もあるという。
 この高官によると、ロシアは侵攻開始以降、ウクライナに向け1,250発のミサイルを発射したという。 (2204-032611)

 3月26日14:35

 ウクライナ軍が25日、ロシア軍がウクライナ空軍の司令部へ6発のCM攻撃を行ったと発表した。 施設に相当な被害が出たとし、司令部機能への影響を含め調べているとも述べた。
 司令部はウクライナ中西部ビンヌィツャにあり、司令部への攻撃は現地時間の25日16:30頃で、ミサイルの一部は防空網で阻止したが、数発は複数の施設に着弾したという。
 一方、米国防総省高官は25日、ロシア軍がジョージア駐屯部隊をウクライナへ送り込んでいることを明らかにした。 この増援部隊の規模や移送の期間については不明とした。
 ジョージアからの増強部隊がウクライナのどの地域に配備されるのかもわかっていない。 ロシアは2008年にジョージアに侵攻し、その後も軍の駐留を維持していた。 (2204-032612)

 3月26日20:30

 ウクライナ侵攻で苦戦を強いられているロシアが戦略を変更したとの見方が浮上している。
 キエフを早期に制圧して親欧米派のゼレンスキー大統領を退陣させる当初のシナリオの変更を迫られている可能性がある。
 ルドスコイ第1参謀次長が侵攻開始からの1ヵ月を総括し、ウクライナ軍の戦闘能力を弱体化したと強調した。
 今後は親露派の支配地機を含む、東部のドネツク、ルガンスク2州全域の「解放」に注力すると説明した。
 この談話からはロシア軍の窮状が透ける。 (2204-032613)

 3月27日00:38

 ウクライナ西部リビウ州の知事が26日、ミサイル2発の攻撃を受け、5人が負傷したと明らかにした。
 リビウでは同日16:30頃に複数の爆発音が起き、黒煙が上がった。 現場には石油タンクがあり、ロシアが石油備蓄施設を目標にした攻撃を行ったとみられる。
 リビウでは16:12に空襲警報が発令され、約20分後に室内にも響く「ズズーン」という音が複数回した後、市中心部から北東方向で黒煙が上がるのが確認された。 (2204-032701)

 3月28日10:13

 ウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問が27日、東部ハリコフ州やスムイ州で反攻作戦が進んでいると表明し、南部ヘルソンでも反攻を準備していると述べた。
 同氏によると、ヘルソンでの反攻に成功すれば、露軍は東部マリウポリに戦力を集中できなくなり、マリウポリ救援につながる。
 ハリコフ州のシネグボフ知事も同日、ハリコフ西方で複数の都市や集落を奪還し、露軍は国境に向かって敗走していると発表した。
 一方、東部を実効支配する親露派武装勢力トップは27日に、ロシアへの編入の是非を問う住民投票を近く行う意向を明らかにしたが、ロシア側は慎重な姿勢を示した。 (2204-032804)

 3月28日12:30

 ウクライナ軍は27日にかけてキエフの東方やスムイ州の一部、ハリコフ周辺などでロシア軍への反撃を続けた。
 一部地域ではロシア軍に占領された領土の奪回に成功した。
 キエフ北西部では大きな動きはなかった。 ロシア軍は喪失した戦力の補充などに苦戦しているものの、戦争研究所は大規模な侵攻のためにキエフ北西部の戦力を再編成する取り組みをやめていないと見ている。 (2204-032807)

 3月28日13:53

 ウクライナ軍は首都キーウの西60kmに位置するマカリウ周辺で反撃に転じロシア軍を押し戻した。
 マカリウ郊外のシトニャキには、ウクライナ軍の攻撃で破壊され焼け焦げたロシア軍のMBTやMRL、APCなどが乗り捨てられており、戦闘の激しさを物語っている。
 ロシア軍は親露派武装勢力が実効支配するドンバス地域を含む東部戦線に兵力を集中してウクライナ軍を消耗さる作戦に変更したとみられるが、ウクライナ軍も2014年のロシアによるクリミア半島併合以降、東部に兵力を集中しており、ウクライナ戦争は長期戦の様相を呈し始めている。 (2204-032810)

 3月28日15:48

 ウクライナ軍が28日、キエフに北東および北西から侵攻しようとしているロシア軍を阻止していると述べた。
 南部ではクリビーリフ、ザポロジエ、ミコライウの防衛に重点を置いていると説明した。 また過去24時間にロシアの戦闘機など4機、UAV 2機、CMを撃墜したと述べた。
 チェルノブイリ原子力発電所の作業員の住居があるスラブチッチ市の市長は28日、週末に同市を制圧したロシア軍が去ったと明らかにした。 (2204-032811)

 3月28日15:49

 ロイタ通信が、ウクライナでチェルノブイリ原発の職員が住む北部スラブチチのフォミチェフ市長が28日、スラブチチからロシア軍が撤収したことを明らかにしたと報じた。
 ロイタ通信によると、フォミチェフ市長は「露軍は着手した作業を完了した。
 スラブチチでの調査を終え、今日この街から撤収した。 彼らは現在、スラブチチにはいない」などと話した。
 スラブチチが露軍の支配下に置かれたことが26日に明らかになり、住民による抗議デモが起きていた。
 地元メディアによるとフォミチェフ市長は26日に露軍に拘束されたが、住民による抗議デモの後、解放されていた。 (2204-032812)

 3月28日19:57

 ウクライナの執拗な抵抗によって混乱と崩壊に瀕しているロシア軍は、この数日では複数の前線で活発化したウクライナの反撃にも遭っている。
 ロシア軍は数の上ではかなり優位だが、圧倒的とは言えないうえ、ロシアの機甲部隊は西側諸国が供与した対戦車兵器やトルコ製のUAVに苦戦している。
 ウクライナの防空部隊は予想以上の能力を発揮し、さらに数千発のStingerで防備を固めている。
 不十分な後方支援や疑問の残る戦術、次第に明らかになる大隊戦術群の士気の低下などにより、ウクライナ軍は複数の地域でロシアの侵攻に対し反撃に転じている。
 CNNが衛星画像やSNSコンテンツ、両国の公式声明などを分析した結果、戦争は消耗戦に移行しつつあることが伺える。
 ロシア軍の長く伸びた戦列にウクライナが切り込むことで、ロシアは支配地域を広げるどころか失い始め、物資補給に大きな問題を抱えることになるかもしれない。 (2204-032814)

 3月29日00:32

 キエフ近郊イルピン市の市長が28日に対話アプリTelegramに投稿した動画で、ウクライナ軍がイルピンを完全に奪還したと述べた。
 市長は「さらなる攻撃を受けるだろうが、勇気を持って防衛する」と述べた。 (2204-032902)

 3月29日00:53

 ウクライナメディアによると、マリウポリのボイチェンコ市長が28日に同市での死者が5千人近くに達したと述べた。 このうち210人が子どもだという。
 市長は、40万人以上の同市民の多くが退避したが、17万人が市内にとどまっているが、市内の集合住宅の約90%が損傷しており、そのうちの約60%には砲弾などが直撃したなどと説明した。
 また11の医療機関が損傷し、うち4ヵ所は破壊されたとしている。 (2204-032903)

 3月29日01:14

 米国防当局者が28日、ウクライナ軍が北東部スムイ州のトロスティアネツをロシア軍から奪還したと明らかにした。
 これに先立ち、キエフ近郊にあるイルピンの市長は、ウクライナ軍がイルピンを完全に奪還したと発表していた。 (2204-032904)

 3月29日05:55

 ウクライナのスビリデンコ第1副首相兼経済相が28日、ロシアの軍事侵攻でこれまでに被ったウクライナの経済損失が$565Bに上るとの試算をあきらかにした。
 その上で、国内で凍結したロシア資産の接収などにより、一部を穴埋めする意向を示した。
 侵攻が長期化すれば、損失のさらなる増大は避けられない見通しだ。
 スビリデンコ第1副首相は「ウクライナはあらゆる障害を乗り越え、侵略者に賠償金を要求することを目指す」と訴えた。 (2204-032906)

 3月29日07:32

 英国防省情報部が28日、ロシアの民間軍事会社Wagnerグループがウクライナ東部に派遣されていると明らかにした。
 国防省は、Wagnerは1,000以上の傭兵を派遣して戦闘行為を行うとの見通しを示した。 (2204-032908)

 3月29日12:30

 ウクライナ軍は反転攻勢を続け、28日は首都キエフの北西に位置するイルピンを奪回した。ロシア側はなお、キエフへの大規模な侵攻に向けて軍備を再編成している。
 米シンクタンクの戦争研究所はウクライナ軍がこの合間を利用して、「今後数日の間にさらにキエフ北西部の地域を取り戻そうとするだろう」とみている。
 ウクライナ北東部のスムイ、北部チェルニヒウ、第2の都市ハリコフなどでは28日にかけてロシア軍による砲撃が続いたが、地上軍による新たな攻撃はみられなかった。
 ウクライナ側の報告によると、スムイ付近にいたロシア軍の大隊戦術群がロシアに撤収したという。 撤収した部隊は他の戦線に再配置されるとみられる。
 ウクライナ南東部のマリウポリではロシア軍が支配地域を徐々に拡大している。 一方、ウクライナ軍も応戦し、ロシア軍に損害を与えている。
 南部のヘルソンなどでは戦況は膠着状態だった。 (2204-032912)

 3月29日15:49

 キエフ西郊のストヤンカの集落入り口の交差点では人けはないが、今なおロシア軍の狙撃兵が潜んでいる。
 キエフ包囲をもくろむロシア軍に対峙する最前線となったストヤンカは廃虚と化した。 集落を囲む木に覆われた低い丘からは砲声が響き銃声も聞こえる。
 ウクライナ領土防衛隊によれば、狙撃兵が潜んでいるのはその林の中だ。 (2204-032916)

 3月29日17:02

 ウクライナ軍が、3月1日にロシア軍の手に落ちた同国東部のトロスティアネッツを、ロシア軍から奪還した。
 AP通信の記者は3月28日、ロシア軍の敗走を喜ぶ市民のそばを、勝ち誇った兵士を満載して走るウクライナ軍の戦闘車両とは対象的に、放棄された陣地に散乱する破壊された戦車や自走砲、軍用車両、さらに遺棄された無数の弾薬箱などを目撃した。
 複数の住民の証言では、ウクライナ軍の激しい攻撃を受けたロシア軍が敗走したという。
 ウクライナ軍は各地の戦線でロシア軍を押し戻しており、米の軍事専門家は、ロシア軍の前進は止まったようだと見ている。 (2204-032917)

 3月30日00:25

 ルーマニア軍とトルコ軍が28日、それぞれ沖合で見つかった機雷を除去した。
 ルーマニアでは28日、黒海の沖合70kmで漂流していた機雷1個を漁船が発見し通報したため、国防省が処理のため潜水士のチームを派遣した。
 トルコでも同日、ブルガリアとの海洋境界の付近の沿岸部で機雷1個が見つかったため軍が除去した。
 26日にはボスポラス海峡の黒海側の出入り口付近で機雷が漂流しているのが発見され、軍が処理したばかりだった。
 ロシア連邦保安局 (FSB) は19日、ウクライナの複数の港周辺で同国海軍の機雷420個を係留していたケーブルが切れて漂流したと主張したが、ウクライナ側は、海域を封鎖するためのロシアの偽情報だとして否定していた。 (2204-033001)

 3月30日00:56

 在欧米軍司令官ウォルターズ空軍大将が上院の公聴会で29日、ロシアがウクライナの軍事目標に向け極超音速ミサイルを繰り返し発射していると述べた。
 これらの攻撃の大半は特定の軍事目標向けられていると述べた。
 ロシア国防省は20日、19日夜と20日朝にCMや極超音速ミサイルでウクライナの軍事施設を攻撃したと明らかにした。 (2204-033003)

 3月30日01:42

 国防総省のカービー報道官が29日の会見で、ここ1~2日で少数のロシア軍がキエフから移動したとの認識を示した上で「ただ、これは再配置であって真の撤退ではない。 ウクライナの他の地域に対する大規模な攻撃を監視する用意を整えるべきであり、キエフに対する脅威が去ったことを意味するものではない」と述べた。
 ベディングフィールド大統領府報道官も29日、ロシアはウクライナに駐留している部隊を再配置しており、撤退はしていないと述べた。
 これに先立ち米政府高官も29日、「キエフ周辺からのロシア軍の移動は撤退ではなく再配置と捉えている。
 ウクライナの他の地域に対する大規模な攻撃が続くことに備える必要がある」とし、「ロシアは手法を変えているのであった、ロシアが紛争を終わらせたと勘違いしてはならない」と語った。 (2204-033004)

 3月30日02:17

 ウクライナ南部の港湾都市ミコライフで29日、地方行政庁舎にロシア軍のロケット弾が命中し、地元当局によると少なくとも12人が死亡、33人が負傷した。 (2204-033005)

 3月30日07:30

 TASS通信が関係筋の情報として、ウクライナとの国境近くのベルゴロド近郊にあるロシア軍の宿営地に29日遅く砲弾が着弾したと報じた。
 初期段階のデータ解析からウクライナ側から発射されたという。
 これより先、ベルゴロド近郊で複数の爆発が起きたと地元当局者が明らかにしていた。
 ベルゴロドは、ロシア軍がここ数週間に激しい砲撃を加えてきたウクライナのハリコフから80km北に位置する。 (2204-033010)

3月30日12:30

 ロシア国防省が29日、キエフとチェルニヒウでの軍事活動を縮小すると発表した。
 ウクライナ軍の反撃を受けて、ロシア軍の一部は29日にかけてキエフ周辺から北部に向かって撤退した。
 ロシア側はなお前線維持に努めているが、米戦争研究所 (ISW) はキエフ制圧を断念した可能性があると分析している。
 マリウポリでは激しい市街戦が続いており、ISWは数日以内にロシア軍が制圧する可能性が高いとみている。
 第2の都市ハリコフや南東部ザポロジエでは膠着状態が続いている。
 ロシア軍は戦力の補充に苦慮しているとみられ、英国防省によると、ロシアの民間軍事会社Wagnel Gp.がウクライナ東部に派遣されているという。 (2204-033013)

 3月30日17:49

 ウクライナではロシアが軍事活動の縮小を表明したにもかかわらず、キエフと北部チェルニヒウの周辺で30日も砲撃が行われている。
 チェルニヒウ地域の知事は、ロシア軍は攻勢を弱めておらず、チェルニヒウは一晩中、攻撃を受けたとし、ロシアの活動縮小の約束は信じられないと述べた。
 ただ、キエフ副市長によると、キエフは砲撃を受けていない。 (2204-033016)

 3月30日
 ロシア国防省が3月19日、ウクライナでKh-47M2 Kinzhal ALBMを初めて使用したと発表した。
 攻撃されたのはウクライナの西部国境から100km離れたIvano Frankivskにある武器補給処である。
 Kh-47M2 Kinzhalは9K720 Iskander-Mが使用する9M723-1弾の一種である9M723-1F弾をALBMにしたもので、MiG-31かTu-22M3Mから発射される。
 Kinzhalを搭載したMiG-31数機はウクライナへの侵攻以前にカリーニングラードで目撃されているが3月19日の攻撃に使用された可能性は低い。
 Tu-22M3Mが今回の作戦に参加しているとは報じられていないことからKinzhalはロシアから発射されたと見られる。 (2206-033002)

 3月31日05:03

 米国防総省が30日、ロシアがキエフ周辺に配置している部隊の20%弱の再配置を開始したと明らかにした。
 ただ、部隊の撤収ではなく再配置に向けた補給や再装備が目的の可能性があると警告した。
 カービー報道官は、ロシア軍の一部がキエフを離れ北部に向かっているとし、北部チェルニヒウや北東部スムイ周辺の部隊も含まれるとした。
 ただ、キエフでは空爆や地上攻撃が続いていると付け加えた。 また一部の部隊はベラルーシに移動した可能性があると述べた。
 一方ロシアの民間軍事会社Wagner Gp.が1,000人をドンバス地域に派遣したことも明らかにした。
 ロシア国防省は30日、ウクライナのキエフとチェルニヒウ周辺で部隊を再編成し、他の主要地域やドンバス地域のに注力すると発表した。 (2204-033105)

 3月20日12:30

 ロシア軍はウクライナ軍の反撃に備えて、キエフ周辺で防御姿勢を強め、これまでに確保した前線を維持しつつ、一部戦力をベラルーシに引き揚げている。
 戦争研究所は、キエフ周辺から撤収した戦力は他地域に再配置されるとみられると見ている。
 東部のドネツク、ルガンスクの両州ではウクライナ軍が反撃に出ている。
 ウクライナ側によると、同軍はロシア軍による複数回の攻撃をかわし、戦車や装甲車などの破壊に成功した。
 一方、南東部の都市マリウポリではロシア軍が前進を続け、陥落の可能性が高まっている。 (2204-033111)

 4月01日07:48

 英国防省が31日、ロシアがウクライナ侵攻を強化するためジョージアから部隊を再配置していると発表した。
 1,200~2,000名を複数の大隊戦術群に再編しているという。 (2205-040107)

 4月01日12:30

 ウクライナ軍が31日、首都キーウ(キエフ)周辺でロシア軍の戦力縮小を機に反撃を続けた。
 キーウ周辺やチェルニヒウ、スムイ方面で一部の領土を奪回した。
 戦争研究所は「今後、数日の間にキーウの北西部や東部でさらに領土を回復するだろう」とみており、ロシア軍に圧力をかけている。
 ロシア軍は南東部のマリウポリや東部のドネツク周辺で攻撃を続けたが、大きな前進はみられなかった。 (2205-040108)

 4月01日15:04

 ロシア西部ベルゴロド州のグラドコフ知事が1日、ウクライナのヘリ2機が州都ベルゴロドの燃料貯蔵庫を攻撃したと主張した。
 ベルゴロド州はウクライナに隣接しており、仮に事実なら2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻開始後、ウクライナ側が初めてロシア領内に空爆を加えたことになる。
 ウクライナ国防省報道官は、攻撃への関与について「確認も否定もしない」と語った。
 ベルゴロド郊外ではこれより先に武器庫で爆発を伴う火災も発生している。 (2205-040110)

 4月01日15:09

 英軍情報当局が1日、ウクライナ軍が北部チェルニヒウと首都キーウ(キエフ)の間の主要補給路沿いにある2つの村SlobodaとLukashivkaを奪還したと明らかにした。
 英国防省によると、ウクライナ軍はキーウの東および北東で限定的ながら効果的な反撃を続けている。 (2205-040111)

 4月01日21:53

 ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、両国高官が1日にオンラインで停戦交渉を再開した。
 東部ドネツク州の港湾都市マリウポリでは同日、赤十字国際委員会や国連難民高等弁務官事務所が関与した人道回廊の設置が予定されているが、ロシア軍とともにマリウポリへの無差別攻撃を続けているドネツク州の親露派武装勢力は3月31日、市政府を無視して新たな行政組織をつくる方針を発表した。 (2205-040115)

 4月02日04:14

 ウクライナ国家安全保障国防会議のダニーロフ書記が1日、ウクライナはロシア西部べロゴロドの燃料貯蔵施設を攻撃していないと述べた。
 ロシア国防省は、ウクライナのヘリコプター2機が低高度で飛行しながらロシア領内に入り、国境から35kmの地点にあるベルゴロドの燃料貯蔵庫を攻撃したとしている。
 べロゴロドはロシア軍の重要な兵站拠点の一つで、ロシアは今回の攻撃でウクライナとの和平交渉に影響が及ぶ可能性があるとしている。 (2205-040202)

 4月02日06:32

 ウクライナ当局者によると、ウクライナ軍はキーウ北部のブチャとイヴァンキフを奪還し、近隣のボロディアンカが解放されたとし、同地で撮影したとする写真を公開したが、キーウ近郊の一部地域では依然として激しい戦闘が続いており、キーウの西35kmのドミトリフカでは、破壊された戦車からなお煙が立ち上り、付近の路上にはロシア兵少なくとも8名の遺体が横たわっていた。
 南西部オデーサでは住宅地が3発のミサイル攻撃を受け、怪我人が発生した。 オデッサ州のマルチェンコ知事によると、ミサイルはロシアが2014年に併合したクリミア半島に配備したIskanderシステムから発射された。
 また、ウクライナ軍は オデーサの重要インフラに対するロシア軍の攻撃を未然に防いだと表明したがロイタはこの情報を確認できていない。 (2205-040203)

 4月02日22:44

 ロシアが侵攻しているウクライナでは、2日にかけて中部の工業都市ドニプロなどへのミサイル攻撃があり、東部では地上での戦闘が続いている。
 ドニプロの行政当局は2日、ミサイル攻撃でガソリンスタンドなどが大きな被害を受けたと発表。 中部ポルタワの行政当局も、工場などがミサイルや空襲で被害を受けたと発表した。
 ニュースサイト「ウクライナ・プラウダ」は2日、東部イジュームで戦闘があったと伝えた。
 ウクライナ軍参謀本部は2日、南西部で国境を接するモルドバのトランスニストリア地域で、駐留しているロシア軍の動きが活発化していると指摘し、ウクライナ攻撃に備えている可能性があるとした。
 ウクライナのゼレンスキー大統領も2日に国民向けの動画でこの先には激しい戦いがあると強調した。 (2205-040210)

 4月03日00:47

 英国防省が2日、ウクライナ軍がキーウ近郊で前進を続けていて、キーウの東側にあるいくつかの村を奪還したなどする分析を明らかにした。
 またロシアの侵攻開始直後から戦闘が続いていたキーウ近郊の国際空港からもロシア軍が撤退したとの情報があるとしている。
 ウクライナの国営通信は、ウクライナ軍がキーウ北方の村も取り戻したと報じている。 さらに、第2の都市ハルキウでも、激しい戦闘の末、ウクライナ軍が重要なルートを確保した。
 一方、ロシア軍が南部での攻勢も強めるなか、ウクライナ議会は南部へルソン州のタウリーシク市の市長がロシア側に拉致されたと明らかにした。
 侵攻開始以降、ロシア軍によるウクライナ当局者の拉致が相次いでいる。 (2205-040301)

2・1・1・4 露軍の北部退却

 4月04日01:44

 英Independent紙が2日、露軍がウクライナ侵攻後に失った軍用車両が、戦車331両を含む2,055両に上るとする研究グループの集計を報じた。
 一方、ウクライナ政府は3日、戦車だけで644両を破壊したと主張した。
 アフガニスタン侵攻でソ連が失った戦車は147両とされている。  要因は、兵力で劣るウクライナ軍が身を隠す場所が多い都市部周辺で待ち伏せし、露軍戦車部隊の位置を小型UAVで把握してJavellinやNLAWなどのATGMを発射する戦術が大きな戦果を上げている。 ATGMは装甲が薄い戦車の上部を自動で狙う機能がある。  都市部から離れて待機する部隊には、トルコ製TB-2 UAVで攻撃する。
 最大24時間の滞空性能があるとされるTB-2は、アゼルバイジャンやエチオピアの紛争でも高い攻撃能力が確認された。
 米「戦争研究所」によると、露軍は奇襲対策として対人地雷を使用しているが、効果は薄いようだ。 (2205-040401)

 4月04日02:46

 ウクライナのベネディクトワ検事総長が3日、これまでに首都キーウ近郊の地域から民間人410人の遺体が運び出されたとフェイスブックに投稿した。
 そのうちすでに140人については検視を終えたという。 (2205-040402)

 4月04日07:06

 オデーサの市議会が3日朝にロシア軍のミサイル攻撃があったとSNSに投稿し、重要なインフラ施設が被害を受けたと明らかにした。
 この攻撃による死者やけが人はいないという。
 ロシア国防省はオデーサの燃料貯蔵施設など3ヵ所を高精度ミサイルで攻撃したと発表している。 (2205-040405)

4月04日12:23

 ウクライナ軍は3日にかけて首都キーウを含むキーウ州全域をロシア軍から奪還した。
 ロシア軍はキーウ周辺からの撤退を完了しつつあり、ウクライナ軍は3日に撤退から取り残されたロシア兵の掃討作戦を続けた。
 戦争研究所は「キーウから撤退したロシア軍が戦闘力を回復するには相応の時間がかかりそうだ」と分析する。
 マリウポリなどでは戦闘が続いており、ウクライナ東部でもロシア軍が攻撃を仕掛けているが、大きな前進はなかった。 (2205-040407)

 4月04日14:55

 ウクライナ軍の高官が4日、ロシア軍が予備兵約6万人を投入する見通しだと明らかにした。
 ロシアの軍や政治指導部は、予備兵を極秘に投入して軍に戦時態勢を敷くための措置に着手したと述べた。 (2205-040408)

 4月04日

 ロシアが4月3日にオンラインに載せられた画像から、イジュームに近いハルキウ州で初めて最新式のSu-35を失ったことが分かった。
 Su-35がどのようにして撃墜されたかは不明であるが、火災を起こす前の画像では、ほぼその姿が明らかになっていた。 (2205-040412)

 4月05日08:48

 国家安全保障担当のサリバン米大統領補佐官が4日、ロシアがウクライナでの軍事作戦で南東部への攻勢に軸足を移すなか、数万人の部隊を東部に展開する可能性が高いとの見方を示した。
 同補佐官は、ロシアが戦争の目標を変更し、ウクライナの大半の領土を標的とする代わりに、東部と南部の一部に的を絞る方針に転換していると述べた。
 また、次の段階ではロシア軍部隊がウクライナ兵の数を上回り、戦闘が長期化する恐れがあると警告し、ロシアは侵攻前の親露派支配地域よりもかなり広い範囲の掌握を目指す可能性が高いと述べた。
 南部では、クリミアへの水の供給を支配するためヘルソンの維持を目指すだろうとし、更にウクライナ各地に新たな空爆やミサイル攻撃を仕掛ける見通しとした。 (2205-040504)

 4月05日:

 ウクライナ側の4日の発表によると、キーウから撤退したロシア軍はドネツク州やルガンスク州に重点を置きつつあり、ロシア軍は東部に追加部隊を配置した。
 1日にハリコフ南東のイジュームを占領したロシア軍は、戦力を整えたうえでさらに南東に位置するスラビャンスクへの攻撃を開始するとみられる。
 戦争研究所は「ロシア軍がスラビャンスクを攻略できなければ、ルガンスク州とドネツク州の全域を占領する計画は失敗する可能性が高い」と分析している。
 ロシア軍はウクライナ南東部の都市マリウポリへの攻撃を続けているが、ウクライナ軍はなお占領を食い止めている。 (2205-040512)

 4月05日14:09

 メキシコとスペイン語圏最大手TV局の取材班が4月1日、ウクライナ北部でロシア軍が撤退した後の首都近郊で、無差別に殺害されたとみられる住民の遺体複数を発見した。
 数々の遺体が発見されたのはキーウに隣接するイルピンで、リポーターはバラバラにされた遺体も何体かあったと証言した。 (2205-040513)

 4月05日20:37

 ウクライナ当局が、キーウ西方のモティジンでスヘンコ市長とその夫、息子のほか、家族以外の男性2人の合わせて5人の非戦闘員が手を縛られた状態で死亡しているのを発見した。
 AFP取材班は警察の案内で、市長の自宅敷地に隣接する松林に市長ら4人の遺体が半分ほど埋められているのを確認した。 5人目の遺体は庭の井戸の中で見つかった。
 地元住民によると、市長や夫は侵攻したロシア軍への協力を拒否していたという。 地元警察は、市長やその家族は3月24日にロシア軍に拉致されたとしている。 (2205-040517)

 4月06日02:13

 ウクライナ国防省情報総局が5日、ブチャで多数の遺体が見つかったことに絡み、ブチャで残虐行為を働いたロシアの部隊がウクライナ国内に戻ろうとしていると発表した。
 この部隊は第64自動車化狙撃旅団で、ブチャから一旦ベラルーシに移動していたが、再びウクライナ国内に投入されるとの情報があるという。
 情報総局によると、この部隊は4日の時点ではベラルーシ領内にいたが、6日までロシア領内で休暇を過ごし、ウクライナ北東部ハルキウ周辺に送られる計画があるという。 (2205-040601)

 4月06日02:20

 ウクライナ当局者が5日、マリウポリでドミニカ船籍の貨物船にロシア海軍のミサイルが命中したことを明らかにした。
 乗員12人は別の船に避難したが、1人が負傷し治療を受けているという。
 マルタに拠点を置く貨物船所有者からのコメントは得られていない。 ロシア政府もコメントの求めに応じていない。 (2205-040602)

 4月06日12:30

 ロシア軍はキーウから部隊の撤退をほぼ完了し、一部をベラルーシからロシアに移動させている。
 ウクライナ軍は北部のチェルニヒウ周辺も奪回し、スムイ方面へとロシア軍を追い詰めている。
 ロシア軍は東部のドネツク州やルガンスク州の攻略に向けて部隊の再配置を続けている。
 マリウポリへの砲撃を続けているが、ウクライナ軍はなお抵抗を続けているもようで、占領を食い止めている。 (2205-040614)

 4月06日15:23

 ロシア軍が包囲を続けるウクライナ東部マリウポリで4日、市街地に放置されていた遺体が、ロシア側が支援する部隊によって収容される様子が撮影された。
 地元住民やウクライナ兵とみられる遺体が街頭や建物から運ばれ、車に乗せられていく様子をロイターの記者が目撃した。 遺体は安置所に運ばれるという。 (2205-040618)

 4月06日20:06

 反体制派の市民への私刑や拷問など、残虐行為で知られるロシア南部チェチェン共和国の独裁者カディロフ首長の特殊部隊「カディロフ部隊」が、ロシア軍のウクライナ侵攻で暗躍しており、マリウポリの市街戦で戦闘に参加しているほか、キーウ州での民間人殺害に関わったとの疑惑も出ている。
 ウクライナのアレストビッチ大統領府顧問は4日、キーウ州で判明した民間人殺害などの犯罪行為について、カディロフ部隊を含む十余りのロシア部隊が関与したとの分析を公表した。
 同部隊を束ねるカディロフ氏はマリウポリを拠点に指揮しているとみられる。
 ウクライナメディアは、カディロフ部隊に汚れ役を引き受けさせているとの見方を示している。 (2205-040619)

 4月06日20:15

 リビウの軍責任者は6日、Telegramへの投稿で国防軍がリビウのラデキフ上空でCM 2発を撃墜し、残骸がリビウ郊外に落下して使用されていない民間施設で爆発が起きたと述べた。
 爆発後に発生した火災は緊急当局がただちに消火し、死傷者の報告はなかったという。
 ウクライナ空軍西部司令部も6日、ロシアのCM 2発を撃墜したとの声明を出した。 声明によると、ベラルーシから飛来した戦闘機がミサイルを発射した。
 リビウの民間施設を狙ったとみられるが、ウクライナ空軍がSAMで迎撃し攻撃を阻止したという。 (2205-040620)

 4月07日00:37

 西側当局者が6日、ウクライナの首都キーウ周辺から撤退したロシア軍の東部ドンバス地域への再配置は、再編成や再装備が必要なため時間がかかると述べた。
 キーウ北部やチェルニヒウ近郊からのロシア軍の撤退はほぼ完了したが、ロシアは部隊の再編成や再装備、新たな部隊との統合などにかなりの期間を要するため、少なくとも1週間、より実戦的にするためには数週間かかる可能性が高いとしたほか、ロシア軍の再配置に関する計画はドンバス地方に集中しているとした。 (2205-040701)

 4月07日06:18

 米国防総省高官が6日、ウクライナに侵攻したロシア軍がキーウとチェルニヒウ周辺から完全に撤収したとの分析結果を明らかにした。
 高官は、ロシア軍が800~1,000名で構成される大隊戦術群 (BTG) 20個をそれぞれキーウとチェルニヒウの攻撃に参加させていたが、過去24時間で完全に撤収したとしている。
 ロシア軍はウクライナ侵攻作戦に130個BTGを投入しており、いまだ全体の6割に当たる80個以上が東部や南部に残っていて、ドンバス地方には30個BTG以上が展開していると分析している。
 ただ高官は、ロシアの長期的な戦略目標は不透明だと述べ、再びキーウが攻撃の目標となる可能性も排除できないと警告した。 (2205-040704)

 4月07日12:30

 ロシア軍はベラルーシなどへの部隊の再配置を進めてスムイ周辺からも引き揚げ、ウクライナ北部からの撤退を完了した。
 ウクライナ軍は5日までにチェルニヒウ周辺を奪回し、ロシア側をスムイ方面に追い込んでいた。
 ウクライナ側は撤退した一部の部隊が東部イジューム方面への増派に向け、既にロシア西部のベルゴロドに到着していると分析している。
 ドネツク州やルガンスク州では、ロシア軍は引き続き兵力と物資を集めて攻撃の準備を進めた。
 マリウポリではロシア軍による激しい空爆と砲撃が続いた。
 米国防総省が6日、「孤立状態の続くマリウポリについてウクライナが降伏したという情報もあるがロシアは掌握できておらず、ウクライナ軍による降伏が起きたとは評価していない」との見方を示した。 (2205-040706)

 4月07日19:09

 米国防総省高官が6日、ロシア軍がキーウとチェルニヒウの周辺から完全に撤収したとの分析結果を明らかにした。
 こうした中、ベラルーシの国営Belta通信によると、ルカシェンコ大統領がウクライナでトラック運転手を帰還させるための「特別作戦」を実施したと述べた。
 ウクライナ軍が北部の奪還を進める中、ロシアに協力してウクライナ領内に入っていたベラルーシの後方支援要員の帰国を進めるための措置とみられる。 (2205-040711)

 4月08日03:42

 ロシア大統領府のペスコフ報道官がSky Newsとのインタビューで7日、2月24日に開始したウクライナ侵攻でかなりの兵力が失われ「大きな悲劇だ」と述べた。
 ロシア国防省は3月25日にウクライナの戦闘でこれまでにロシア軍の死者は1,351名、負傷者は3,825名になったと発表していた。 (2205-040802)

 4月08日07:30

 ウクライナ侵攻開始から6週間経過し、ロシア軍が作戦を維持する能力の深刻な欠陥が明るみになっており、同国は戦争の目標を縮小せざるを得なくなった。
 現在は東部ドンバス地域を制圧して南岸地域をできるだけ抑えることで、クリミア半島への陸路の回廊を確保することに集中している。
 英王立防衛安全保障研究所 (RUSI) アナリストのエバンズ氏は、「当初の大きな目標よりは現実的だが、最も重要なのはスピードだ」と指摘し、「ロシア軍は疲弊しており、勢いを維持して圧力を継続するのは難しく、多くはウクライナ軍の状況にかかっている」と述べた。
 米国の幾つかの推計によると、戦備を整えてウクライナに展開したロシア軍のうち最大1/3は戦闘力を失った状態とされる。
 このため、ポーランドを拠点とする防衛研究グループのロチャン・コンサルティングは、ウクライナ軍を包囲するにはかなりの補強が必要になると分析している。 (2205-040805)

 4月08日12:30

 ロシア軍は7日、マリウポリ中心部の奪取に成功したと主張した。 ウクライナ軍は同市南西部の港湾の支配を維持しているもようだが、陥落の瀬戸際に立たされている。
 戦争研究所は「今後数日間でロシア軍がマリウポリの占領を完了させる可能性が高い」と分析している。
 ロシア軍は東部への戦力再配備を進めている。 ウクライナは、ロシアとの攻防が続く東部のドネツク州、ルガンスク州などの住民に即時退避を要請している。 (2205-040810)
 4月09日04:47

 ウクライナ東部クラマトルスク地域当局が、8日早朝にクラマトルスクの鉄道駅がミサイル攻撃を受け、子ども5人を含む少なくとも50人が死亡したことを明らかにした。
 米国防当局高官は8日、クラマトルスク駅に対するミサイル攻撃にはSS-21 SRBMが使用されたと確信していると述べた。 (2205-040902)

 4月09日13:40

 ウクライナ東部ドネツク州で8日、女性や子供など避難民4,000人で混雑していた政府軍が支配するクラマトルスクの鉄道駅にBMが撃ち込まれた。
 着弾当初は複数の親露派が通信アプリTelegramで「ウクライナ軍が集結しているクラマトルスクの駅を10分前に攻撃した」とこぞって戦果として伝えていたが、避難民に死傷者が出ているのが判明すると不自然な形で削除し、ロシアのメディアはウクライナ軍の仕業であると宣伝し始めた。 (2205-040903)

 4月09日16:30

 ウクライナ東部ルハンスク州の地方行政当局の責任者が9日までに、州内の医療関連施設や病院の全てがロシア軍の攻撃で破壊されたことを明らかにした。
 高度な医療器具を備え新たに開設したばかりとする病院の建物が損傷を受けたことを示す複数の画像も添付した。 (2205-040905)

 4月10日00:49

 ウクライナ国防省は9日、キーウ近郊のマカリウで、民間人132人の遺体が見つかったと明らかにした。
 ウクライナメディアは当局者の話として、遺体は7日に集団墓地で見つかり、射殺されていたと報じている。 (2205-041002)

 4月10日05:06

 ウクライナ最高会議の人権担当者デニソワ氏が複数の情報源の話として8日、ロシア軍が侵攻以降に12万人以上の子どもを強制的に連れ去ったとfacebookに投稿した。
 孤児を含む子どもを、ロシアが包囲攻撃を続けるウクライナ南東部マリウポリなどから親露派支配地域を経由し、ロシア西部に強制的に連れ去られたとしている。
 ロシアメディアによると、ロシア国防省は7日、ウクライナ側から12万人以上の子どもを含む658,000人以上が「避難した」と発表した。 (2205-041004)

 4月10日11:30

 複数の米欧主要メディアが9日、プーチン露大統領がウクライナの侵攻作戦を統括する司令官を新たに任命したことを米欧の当局者らが確認したと報じた。
 報道によると新司令官は南部軍管区のドゥボルニコフ大将で、彼はシリアでアサド政権軍を支援する軍事作戦を指揮し人口密集地周辺への爆撃で多くの民間人死傷者を出している。
 作戦を統括する司令官の任命は侵攻後初めてで、ロシア軍が問題のあった部隊間の連携など態勢を立て直し、掌握を目指すウクライナ東部などで攻勢を強める可能性があり、ドゥボルニコフ大将の下で民間人犠牲が拡大する懸念が出ている。 (2205-041006)

 4月10日17:29

 英軍情報当局が10日、ウクライナ侵攻で兵士が減ったことから、ロシア軍が兵力の補強を目指しているとの見方を示した。
 2012年以降に除隊された兵士を徴兵するという。
 ロシアはまた、モルドバのトランスニストリア地域から新兵を募集することも目指しているという。 (2205-041008)

 4月10日19:59

 ウクライナ東部にロシア軍が新たな部隊を派遣している様子が衛星写真から明らかになった。
 ウクライナ東部ハルキウ近郊で8日に撮影された衛星写真では、ロシア軍のものとみられる軍用車列がドンバス地方に向かって南下している様子が確認された。
 写真を公開したMaxar社によると、装甲車に加え大砲や補給物資を牽引した軍用トラックなどの車列は13kmの長さに及んでいるという。 (2205-041009)
【註】衛星画像から見ると車列は100mに5両程度の間隔のようであることから、13kmで650両程度と見られる。
 このことからこの車列は2,500~3,000名の部隊、恐らく2~3個大隊戦術群 (BTG) 程度と推測できる。
 ロシアはこの作戦に130個BTGを投入していると報じられていることから、2~3個BTGの動きはそれ程大規模なものとは思えない。

 4月10日23:37

 ウクライナの検事総長が10日放送の英Sky News TVとのインタビューで、ロシアの侵攻後に多数の民間人が殺害されたキーウ州で計1,222人の死亡を確認したと述べた。 (2205-041010)

 4月11日12:30

 ロシア軍が10日、マリウポリを市内中心部から海岸にかけて分断し、港や製鉄所に残るウクライナ軍の守備隊を孤立させている。
 ドネツク州やルガンスク州ではロシア軍とウクライナ軍の衝突が激しさを増している。 イジューム近郊での侵攻を支援するためのロシア軍の増派も続いている。
 ウクライナ軍はヘルソン周辺で反撃を続けており、戦争研究所は「ウクライナ軍は今後数週間のうちに、ヘルソン市に対してより大規模な攻撃を試みる可能性がある」と予想している。 (2205-041102)

 4月11日15:48

 ウクライナのハルキウ州のバルビンコフでは、予備役や志願兵が塹壕を掘りや鹵獲戦車の修理に余念がない。
 バルビンコフのすぐ東には、鉄道駅がミサイル攻撃を受け、子どもを含む50人以上が死亡したクラマトルスクがある。
 志願兵は予備役や正規軍、さらに親露派武装組織戦闘員と識別するために、左腕に青いテープを巻いている。
 ウクライナ軍兵士は、予備役や志願兵がいるので「兵員は十分だが、兵器がもっと欲しい」と兵器の不足を訴えていた。
 ゼレンスキー大統領は4月9日、西側諸国にさらなる兵器の迅速な供与を要請した。 (2205-041104)

 4月12日00:29

 ウクライナ国防省報道官が11日、ロシア軍はウクライナ東部のドネツク、ルハンスク両地域に対する再攻撃のため増強をほぼ完了したと明らかにした。
 報道官は、まもなく両地域で戦闘が始まるとし、ウクライナ軍には応戦する準備を完了していると述べた。
 米国防総省高官は同日、ロシア軍がドンバス地域で軍の補強と補給を開始した兆候を米国は捉えたとしながらも、米国はこうした動きをドンバス地域に対する新たな攻勢の開始と見なしていないと述べた。 また、ベラルーシに駐留しているロシア軍の一部が東方に移動している証拠があるとした。
 一方ロシア国防省は欧州からウクライナに供給されたS-300を10日に海上発射ミサイルによって破壊したと発表したが、米高官はドニプロの空港が攻撃されインフラの一部が破壊されたものの、S-300がロシア軍に破壊された証拠はないとした。 (2205-041201)

 4月12日10:25

 ウクライナが11日、ルハンスク州ノボアイダルにあるロシアの武器庫を破壊したと主張した。 CNNは攻撃後の様子を映したとみられる複数の画像や1本の映像について、地図上の位置を確認した。
 同州軍事行政トップはfacebookに、ウクライナ軍が州内にあるロシアの拠点付近の「弾薬庫」を破壊したと投稿した。
 ロシア国営RIAチ通信が報じた映像では、同州の自称「人民共和国」の「人民軍」将校が、ウクライナの攻撃で「民家20軒以上と化学肥料の貯蔵庫1棟」が破壊されたと語った。 (2205-041204)

4月12日12:30

 ウクライナの準軍事組織アゾフ大隊が11日、ロシア軍がマリウポリで「ウクライナ軍や市民に有毒物質を使った」と主張したため、米英は確認を急いでいる。
 ロシア軍は東部イジューム近郊での攻勢を強めるために兵士の増派を続けている。
 戦争研究所は「ロシア軍は今後数日間で、イジュームから南東方面への攻撃を再開し、スラビャンスクの攻略を目指す」と予想している。
 ヘルソン周辺の戦況は膠着しており、ロシア軍はウクライナの反撃に備えて防衛の準備を進めている。 (2205-041205)

 4月12日15:43

 ロシア軍の攻勢が続くウクライナ南東部のマリウポリで、ロシア軍が化学兵器を使用した可能性が指摘されている。
 マリウポリ市議会によると、11日にロシア軍がウクライナ軍や市民らに対し何らかの有毒物質を使用し、市民らが呼吸不全に陥っているという。
 ウクライナ東部にいるウクライナ軍アゾフ大隊の隊長はTwitterで、製鉄所にUAVから有毒物質が投下され、3人に中毒症状が見られると明らかにした。
 ロシア軍が化学兵器を使用した可能性があるという。 (2205-041206)

 4月12日17:38

 ウクライナ国防省のマリャル次官が12日、マリウポリでロシアが化学兵器を使用した可能性があるとの未確認情報を検証していると述べた。
 同次官は「理論上は、リンの軍需品である可能性があるが公式情報は今後発表する」と述べた。
 InterFax通信によると、親露分離主義勢力は化学兵器の使用を否定しており、ロシア国防省のコメントは取れていない。
 マリウポリ市議会は、毒物が使用されたとされる地域を検証するのは、敵からの攻撃があり、まだ不可能だとしているが、ウクライナ兵が毒物に接触しており、症状が出ている可能性があるとしている。
 ゼレンスキー大統領は11日にロシアが化学兵器を使用する可能性があると述べ、西側諸国に強力な制裁をロシアに科すよう求めた。
 英国は、ロシアがマリウポリで化学兵器を使用した可能性があるとの報告について検証を進めている。 (2205-041208)

 4月12日23:30

 ウクライナが12日、ロシア軍のハッカーとみられる集団が先週、ウクライナの高圧変電所を制御するコンピュータなどへのサイバー攻撃を試みたが、ウクライナが阻止したと発表した。  現在調査中だが、サイバー攻撃による電力網などへの影響はないという。 (2205-041210)

 4月13日00:33

 ブリンケン米国務長官が12日、ウクライナで化学兵器が使用されたとする報道について、米政府は確認する立場にないと述べた。
 これに先立ち米国防総省高官は、ロシア軍がマリウポリで化学兵器を使用した可能性について、米国はまだ確認できていないと述べていた。
 ウクライナ国防省のマリャル次官はこの日、ロシア軍がマリウポリで化学兵器を使用した可能性があるとの未確認情報を検証していると発言したことについて、国防総省高官は匿名を条件に、ロシア軍がウクライナ国内、もしくはウクライナ近辺で化学兵器を移動させたことを確認する情報は得られていないと述べた。 (2205-041302)

 4月13日06:22

 米国防総省高官が12日、ロシア軍がウクライナ東部での戦力集中に備え、この地域での戦力強化を狙っているという分析を示した。
 ロシア軍の補給車列は、激しい戦いが続く東部イジュームの北方60kmまで近づいていることが確認されたという。
 ロシア軍は既に、ロシアなどからドンバス地方へ部隊を移動させている。
 ロシア軍は当初の侵攻後、ウクライナ北部で補給の問題を抱えており、国防総省高官は東部での動きについて問題点を修正する努力だろうだとの見方を示した。
 また、ロシア軍がウクライナ軍の補給路や防空網を攻撃しようとしているとも分析している。 (2205-041303)

 4月14日09:22

 ロシア軍に包囲されているマリウポリのボイチェンコ市長が13日にオンラインで記者団の取材に応じた。
 市長は、マリウポリにロシアから13基の移動式火葬施設が到着し、市内で収容した遺体を焼却することでロシア側が戦争犯罪の証拠を隠滅しようとしていると訴えた。
 ただ市長はこの主張について証拠を示してはおらず、ロイターは独自に検証することはできなかった。
 市長によると、これまでに市民21,000人が殺害されたとの見方を示した。 (2205-041405)

 4月14日11:28

 ウクライナ南部オデーサ州のマルチェンコ知事がTelgramへの投稿で、ウクライナ軍が巡洋艦MoskvaにNeptuneミサイルを命中させたと主張した。
 その数時間後にロシア国営メディアは、ロシア国防省が13日にMoskva艦上で起きた火災で弾薬が爆発して艦が重大な損傷を受けたため乗員が退避したことを明らかにしたと報じた。
 ロシア国営メディアはTASSもRIAも、同艦の乗員が退避したと伝え、出火原因はまだ分かっていないとしている。
 黒海は悪天候に見舞われていて衛星画像やセンサー衛星のデータが不明瞭だったため、同艦の損傷を目視で確認することはできなかった。
 ロシア国防省のTelegramには、乗員の退避についても艦内の火災についても公式に確認する投稿は掲載されていない。
 Maxar衛星の画像では、同艦は4月10日にクリミア半島南西部セバストポリの北西沖に停泊していた。 (2205-041407)
【註】ウクライナ国防省が2020年12月30日に、Ukonboronprom傘下のLuch設計局にRK-360MC Neptune対艦ミサイルを発注したと発表している。 2021年に納入されるという。
 Neptuneは射程300kmのMS-400超低空CMを発射するシステムで、Janeは2021年6月にウクライナが発射機6機からなる部隊を3個隊編成すると報じていた。
 射程が300kmであればオデッサ州から発射すればセバストポリ軍港まで届く。
 巡洋艦Moskvaは排水量11,300tで、黒海艦隊の旗艦という。

4月14日12:30

 ロシア軍はマリウポリで北部の製鉄所を奪取し一段と包囲網を狭めている。
 ロシア国防省は製鉄所で1,000名以上のウクライナ兵士が降伏したと主張するが、米戦争研究所によるとウクライナ側は兵士らが現場を逃れて別の製鉄所にいる部隊と合流したとしている。
 マリウポリの港では12日から13日にかけてロシア側の激しい砲撃も続いた。
 ロシア側は東部で大規模な攻撃に向けた準備も続け、ハリコフでは部隊の再編成を進め、南部のイジュームでは小規模な攻撃もしかけた。 (2205-041410)

 4月14日

 ロシア国営RIA Novosti通信が4月14日、巡洋艦Moskvaが火災により弾薬が爆発し大破したため乗員全員が離艦したと報じた。
 米国務省によるとMoskvaはウクライナのオデッサ沖60~65nmで活動していた。
 その前日にオデッサ州知事はSSN Telegramで、ウクライナ軍のNeptune ASCMでMoskvaを大破させたと発表していた。 (2205-041414)

 4月15日04:40

 ロシア連邦捜査委員会が14日、対ウクライナ国境に近い西部ブリャンスク州南部の町が、ウクライナ軍のヘリによる空爆を受けたと主張した。
 ロシアは、ウクライナの軍用ヘリ2機がロシア領空に侵入し、国境から10km離れたクリモボで少なくとも6回にわたり住宅を空爆し、幼児を含む7人が負傷したとした。
 AFPは空爆の事実を確認できていない。
 ウクライナ政府は攻撃を否定し、ロシアが反ウクライナ感情をあおるため自国内でテロ攻撃を行ったと主張した。
 ロシアは13日にウクライナ軍がロシアの領土に攻撃を仕掛けた場合、キーウの司令部を攻撃すると警告していた。 (2205-041502)
 4月15日06:14

 ロシア国営TASS通信が14日、黒海艦隊旗艦の巡洋艦Moskvaが沈没したと報じた。
 Moskvaは弾薬の爆発による火災で船体が損傷し、悪天候の中で目的地まで曳航されていたが沈没したとしている。 (2205-041503)

 4月15日10:29

 米国防総省高官は14日、ロシア軍ヘリコプター部隊の増援部隊がウクライナ東部に向かう動きが新たに確認されたと明らかにした。
 ドンバス地方とマリウポリではロシア軍が空爆を続けておりマリウポリは陥落間際とされるが、同省高官は、制空権をめぐる戦いが続いており、陥落はしていないとの見方を示した。 (2205-041505)

 4月15日12:30

 ロシア黒海艦隊の旗艦である巡洋艦Moskvaが14日に沈没した。 ロシア国防省は火災が原因と説明する一方、ウクライナ軍はNeptune ASCMで攻撃したとしているが、米戦争研究所は「ウクライナ軍が巡洋艦を撃沈する能力を有しているとみられる」と見ている。
 ロシア軍はマリウポリでの攻撃を継続している。 ウクライナ軍は一部の兵士がロシア軍に拘束されたことを認めたが、なお陥落を阻止するために抵抗を続けている。
 ロシア軍はウクライナ東部への増派に向けて、ベラルーシからロシアへの部隊の再配置を続けた。 (2205-041507)

 4月15日17:25

 ロシア国防省か゜、キーウ郊外にあるASCMを製造修理する工場をCMで攻撃したと発表した。
 攻撃の理由は、ウクライナ軍がロシア領内を攻撃したことへの報復措置だという。
 また、ウクライナ軍の攻撃に応じてキーウ郊外への攻撃を拡大させるとしている。 (2205-041511)

 4月15日20:40

 ロシア軍が防空システムの要としてきた巡洋艦Moskvaを14日に失ったことから、南部制圧に向けた作戦の修正に迫られるのは必至で、増加の一途をたどる兵士の犠牲と合わせてロシア国内に厭戦ムードが広がる可能性もある。
 ウクライナ国防省は15日、ロシア軍の死者が20,000名を突破したと発表した。
 ロシア側は最新の死者数を1,300名余としているが、契約軍人を募るキャンペーンを強化するなど、実際は兵力不足が深刻な可能性が高い。
 こうした状況の中、ロシアの政権与党幹部は15日「軍事作戦は間もなく完了する」と同国メディアに強調していることから、5月9日の対独戦勝記念日に合わせた「勝利宣言」名目でプーチン大統領が幕引きを図る可能性もありそうである。 (2205-041514)

 4月15日21:25

 Maxar衛星が11日に撮影した写真では、ウクライナ東部国境に近い露西部ベルゴロド州ソロチなどに集結する露軍の車列が確認された。
 露軍は東部、中央軍管区からも部隊を送り、露西部に集結している。
 ウクライナ東部ではイジュム周辺での攻撃強化に向け部隊を増強していて、8日にはハリコフ州の町を南へ移動する露軍の装甲車など数百両の軍用車両の車列が13kmにわたって撮影された。
 露軍はマリウポリを陥落させ、イジュムまでの線を押さえる作戦を想定しているとみられる。
 米戦争研究所によれば、クリミア半島などで新たな補給基地が設置され、付近のヘルソンやマリウポリの戦闘での補給に利用されている。
 ウクライナ軍は14日、チェルニヒウから撤退した露軍部隊が東部ルガンスク州セベロドネツクに配置されたと発表した。
 事実ならキーウ周辺や北部から東部に配置された初の部隊となる。 (2205-041515)

 4月16日02:38

 匿名を条件に報道陣の取材に応じた米国防総省高官が15日、ウクライナで沈没したロシア黒海艦隊旗艦の巡洋艦Moskvaについて、ウクライナ国産のNeptune 2発による攻撃で撃沈したとの見解を示してウクライナ側の主張を認め、ロシアにとって大きな痛手だと述べた。
 ロシア側は、同艦は弾薬の爆発により損傷したとしている。 (2205-041601)

 4月18日10:33

 英国防省が17日、ロシアがウクライナに欧米志向を断念させ、地域におけるロシアの優位性を誇示する決意を持っていると分析した。
 また、ロシア軍は東部全域で攻勢を強める構えでウクライナ側の拠点に砲撃を続けているとし、ハリコフやセベロドネツクを含むウクライナ東部に向け、ベラルーシから武器など物資を補給し続けているとの見解を示した。 (2205-041804)

 4月18日11:39

 ウクライナメディアが、ロシア軍の黒海艦隊旗艦Moskvaが沈没する前とみられる映像を報じた。
 映像からは、Moskvaとみられる艦の前方部分が損傷し、全体が左側に傾き煙を上げている。 このあと、さらなる爆発が起きて沈没した可能性がある。
 Moskvaには、少なくとも500名の乗組員がいたが、米メディアは当局の分析として、犠牲者が出たとみられるとしている。 (2205-041806)

 4月18日11:50

 独立系メディアNovaya gazeta欧州が17日、ウクライナ軍のミサイル攻撃で沈没したロシア海軍黒海艦隊旗艦の巡洋艦Moskvaで乗組員の母親の話として、乗組員約40名が死亡し多数の負傷者が出たと報じた。
 また、別の乗組員の家族による証言から27名が行方不明になったとも報じた。
 ロシア側は、ウクライナの攻撃には触れず、乗組員は避難したと発表したが、死者の有無には言及していない。 (2205-041807)

 4月18日:

 ロシア軍は16日までにマリウポリをほぼ制圧した。
 同市の製鉄所に立てこもるウクライナ兵に対し投降を要求しているが、残る兵士らは抗戦の構えを崩していないもようである。
 米戦争研究所は「今後1週間のうちに占領を完了しそうだ」と分析している。
 ロシア軍は17日もドネツク、ルガンスク州などウクライナ東部や南部を重点的に攻撃したが、大きな前進はなかったもようだ。 (2205-041808)

 4月18日17:25

 ロシア国防省が18日、ウクライナ各地で17日夜から18日にかけ、300ヵ所を超える目標にミサイルなどで攻撃を加えたと発表し、軍関連施設少なくとも16ヵ所を破壊したと主張した。
 西部リビウも軍施設などがミサイルに被弾し、リビウのサドビー市長によると7人が死亡、11人が負傷した。
 ロシア国防省は声明で、東部のハリコフ州やドネツク州、南部の都市ミコライウなどを攻撃の標的にしたと述べした。
 ロイタ通信はウクライナ国防省の話として、ロシア軍機による空爆が50%以上増えたと報じた。 (2205-041810)

2・1・2 東部でのロシア軍の攻勢

 4月19日04:22

 ロシア国防省報道官が、ロシア軍が18日午前に実施した空爆で、ウクライナ西部リビウ近郊の兵器保管施設を破壊したと発表した。
 施設には欧米諸国が最近供与した軍備が多数保管されていたとしている。
 同日には燃料や弾薬の保管施設、Tochka-Uの修理工場を含む16ヵ所の軍事施設を破壊したとしている。
 ウクライナ中部や東部の戦闘を逃れる住民や外交官の避難先となっているリビウ州の知事は、同日の空爆で少なくとも7人が死亡し、11人が負傷したと説明した。 (2205-041903)

 4月19日05:54

 ロシア軍が18日に、ウクライナ東部2州の全面支配に向けて大規模な作戦を開始したもようである。
 米政府によると、ロシア軍は週末に10,000名前後をウクライナに追加投入した。
 親露派武装勢力は侵攻開始前に東部2州の約3割を実効支配していたが、ロシアは支配を2州全体に広げる計画で、ルガンスク州の大半をすでに支配し、同州の一部とドネツク州の西側をめぐる攻防が激しくなる。 (2205-041904)

 4月19日06:07

 AP通信などが、ウクライナのゼレンスキー大統領がビデオ演説で、ロシア軍がドンバス地方で18日に大規模な攻撃を開始したことを明らかにしたと報じた。  ゼレンスキー大統領は「ロシアが長い間準備してきたドンバスでの戦闘を開始したと言える」とし、ロシアの軍のかなりの部分がこの攻勢に加わっていると述べた。 (2205-041905)

 4月19日08:00

 米国防総省高官が18日、ウクライナに侵攻したロシア軍について「現在、76個大隊戦術群が南部と東部に集中している」との分析を明らかにした。
 先週より11個大隊戦術群が増強され、ウクライナ東部のドンバス地方にヘリコプターの支援部隊や迫撃砲、装備などを移動させているという。
 同高官はロシア軍の態勢について、東部の開豁地形などを念頭に機甲部隊などを増強しているとの見方も示した。
 同高官によると、ロシア軍による空爆はほとんどが東部で行われていて、過去24時間に200出撃したという。 (2205-041908)

 4月19日11:15

 ロシア軍が18日、ドンバス地方で大規模な作戦を開始したとみられる。
 ロシア軍は過去数週間、増派やウクライナ北東部からの再配置により、ドンバス地方に戦力を集中していた。
 米戦争研究所は補給面の課題や士気低下により、「これまでの攻撃を上回る劇的な成果を挙げる可能性は低い」と予想している。
 マリウポリでは、激しい砲撃にもかかわらず、ウクライナ軍がなお抗戦を続けている。
 ハリコフ周辺ではウクライナ軍の反撃が成功し、18日にかけてハリコフ南東部の複数の町を奪還したため、イジュームの前線に前進するロシア軍は迂回を余儀なくされると見られる。 (2205-041910)

 4月19日14:30

 ウクライナとの国境に近いロシア南西部ベルゴロド州の知事が19日に、ウクライナ軍が村を攻撃し住民1人が負傷したとTelegramに投稿した。
 攻撃が砲撃やミサイルによるものなのか、空爆なのかは現時点で不明である。
 ロシアは4月に入り、ベルゴロドの燃料貯蔵施設へのヘリ攻撃や同州の村々への砲撃、弾薬庫へのミサイル攻撃を行ったとしてウクライナを非難している。 (2205-041911)

 4月19日19:10

 ロシアのラブロフ外相が19日、ウクライナでの「特別軍事作戦」は新たな段階が始まったとし、重要な進展になるとの見通しを示した。
 ラブロフ外相はTVインタビューで、ウクライナ東部で始まった新たな段階の作戦は特別作戦全体にとって非常に重要な節目になると確信していると述べた。 (2205-041915)

 4月19日23:06

 ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事が19日、ロシア軍が同州クレミンナ市を制圧したと発表した。 ウクライナ軍は同市から撤退したという。
 ロシア軍によるウクライナ東部での新たな攻撃開始以降、都市制圧が確認されたのは初めてとみられる。 (2205-041916)

 4月19日

 米国防総省高官が4月19日、ロシア軍は2月24日のウクライナ侵攻以来、投入した戦力の1/4近くを喪失したと述べた。 その主な内訳は以下の通りである。

・兵 員: 20,800名
・戦闘機:   169機
・戦 車:   802両
・装甲車:  2,063両
・MLRS :   132両
 一方ロシアも同日、ウクライナ側の損失を以下の通りと発表した。 (2205-041917)
・航空機:   140機
・U A V :   490機
・戦車等:  2,367両
・MLRS :   256両
・砲 迫:  1,021門
 4月20日01:40

 ウクライナ軍が19日、同軍がロシア南西部ベルゴロド州の村を攻撃したとのロシア側の主張を否定し、根拠のない言いがかりだとした。
 国境に近いロシアのベルゴロド州知事は19日に、ウクライナの攻撃で住民3人が負傷し30戸超の住宅が被害を受けたと述べた。 (2205-042001)

 4月20日03:54

 米国防総省高官が19日、ウクライナ東部に侵攻するロシア軍について、東部で限定的な作戦が始まったと述べたうえで、ロシアが計画してきた更に大きな攻撃の前兆だとの認識を示した。
 またロシア軍が、ウクライナ国内に地上部隊を増強したとの見方も示した。 (2205-042002)

 4月20日09:10

 英国防省が情報活動の最新報告としてツイッターで、ウクライナ軍が東部ドンバス地方の支配線上で、ロシア軍による数多くの進軍の試みを撃退したと発表した。
 英国防省は「ロシアの進軍能力はこれまで悩みの種となってきた環境、補給、技術面の課題や、士気の高いウクライナ軍の回復力によって影響を受け続けている」と投稿した。
 さらに、ロシア軍がマリウポリでいくつかの「無差別」攻撃を実施しても抵抗を一掃できていないとも指摘し、これは「彼らが望んでいたような早期での目標達成の失敗を示している」との見解を示した。 (2205-042004)

 4月20日11:45

 親露派武装組織が実効支配するドネツク州の政府が4月19日、ウクライナ軍が防衛線を敷いていた2ヵ所ある製鉄所の一つを、親露派が制圧したと発表した。
 アゾフ海に面する港湾都市マリウポリには、左岸の2ヵ所に製鉄所があり、投降を拒否するウクライナ軍が防衛線を敷いていたが、親露派によると、そのうちの一つイリーチ製鉄所での戦闘が終了したという。
 同製鉄所の社員がAP通信に語ったところによると、激しい戦闘で子どもを含む大勢の一般市民が死亡したという。
 もう1ヵ所のアゾフスタル製鉄所には依然としてウクライナ軍が布陣しているが、同製鉄所には1,000人の一般市民も避難している。 (2205-042006)

 4月20日12:30

 ロシア軍が19日、東部イジュームから南部ミコライウまでの前線地域に向けてミサイルや砲兵部隊による集中砲撃を開始した。
 5月9日の対独戦勝記念日までに戦果を得るため攻勢を強めているとみられる。
 米戦争研究所は大規模な攻撃作戦の準備が不十分で、攻撃を急ぎすぎており有効性が損なわれているとみている。
 マリウポリや南部ヘルソン周辺では地上軍による戦闘が続いているが、大きな進展はなかった。 (2205-042007)

 4月21日08:28

 米国防総省高官が20日、ウクライナ東部で攻勢を強めているロシア軍の戦闘が新局面に入り、ドネツク州で南進しているとの見方を示した。
 高官によると、ロシア軍はドネツク州との境に近いイジュームから、同州のクラマトルスク方面に向けて前進しており、東部の鉄道網の拠点であるクラマトルスクの鉄道駅は8日にロシア軍のミサイル攻撃を受け、高官は「ロシア軍はこの地域に確かに関心がある」と指摘した。
 一方、ウクライナ軍も抵抗している。 (2205-042102)

 4月21日12:30

 ロシア軍が20日にかけてウクライナ東部でわずかに支配地域を拡大し、最前線にあるイジューム南東の都市ルビジュネなどの一部を占領した。
 ロシア軍はマリウポリの製鉄所でも徐々に前進を続けている。
 米戦争研究所は5月9日の対独戦勝記念日までにマリウポリでの勝利を宣言するだろうと分析している。 (2205-042106)

 4月21日13:18

 ウクライナ東部ルハンスク州の軍事指導者であるハイダイ氏が21日までにCNNのインタビューに答え、同州領域の80%が現在ロシアの支配下にあると明らかにした。
 非公開の場所で取材に応じたハイダイ氏は、戦争が第2局面に入ったとするロシア側の見方に同意しつつも、いまだ完全かつ総力を結集しての侵攻には至っていないと警鐘を鳴らした。
 同氏によると、ロシア軍は戦線を大きく広げ、多数の町を守るウクライナ軍を包囲しようとしているが、今のところいかなる成果もあげていないという。 (2205-042107)

 4月21日17:26

 TASS通信などが、ショイグ露国防相が21日にプーチン大統領と面会し、露軍が包囲するマリウポリについて、市内はすでに平穏でウクライナ軍が立て籠もるアゾフスターリ製鉄所以外を制圧したと報告したと報じた。
 プーチン大統領は製鉄所への突入は控えるよう指示し、ハエ一匹漏らさないよう包囲を続けるよう命じた。
 ショイグ国防相は、市内には8,100名以上のウクライナ部隊がいたが、すでに4,000名以上を殺害し、1,478名が投降、残る2,000名以上が製鉄所に立て籠もっているとした。
 ただ、製鉄所の周囲をしっかりと封鎖していると述べ、攻略まで3、4日くらい必要との認識を示した。
 プーチン大統領は露軍や親露派武装勢力による製鉄所内への突入は無意味だとして製鉄所の地下回廊に入り込む必要はないと命じ、代わりに製鉄所の封鎖を続け、立てこもる戦闘員に改めて投降を呼びかけるよう指示した。 (2205-042109)

 4月22日04:31

 米国務省のプライス報道官が21日、米政府はウクライナ軍が依然として南東部マリウポリを維持していると理解しているとし、プーチン露大統領が同市を解放したと主張しているのは偽情報との見解を示した。 (2205-042206)

 4月22日04:56

 ウクライナの要衝マリウポリを事実上制圧したとするロシア側は、ウクライナ東部を中心に3日連続1,000ヵ所以上を攻撃するなど、攻勢一層を強めている。
 ロシア国防省はドネツク州などでミサイル部隊と砲兵部隊が、21日だけで指揮所などの軍事拠点あわせて1,451ヵ所を攻撃したと発表した。
 プーチン大統領は21日にマリウポリを事実上制圧したとの考えを示したうえで、ウクライナ軍側が拠点とするアゾフスタリ製鉄所に対し、突入作戦を行わずに、封鎖するよう指示した。
 ロシアはドンバス地方の制圧を目指し、戦力を集中させる狙いがあるとみられ、さらなる攻撃激化が予想される。 (2205-042207)

 4月22日07:06

 ロシアが制圧したと主張する南東部のマリウポリでは、ウクライナ側の兵士が立て籠もる製鉄所に依然として攻撃が続いているとみられる。
 マリウポリ制圧の報告を受けたプーチン露大統領は21日にウクライナ側の兵士が立てこもっているアゾフスタリ製鉄所への攻撃をやめるよう命じた一方、ウクライナ軍は「ロシア軍が空爆を続け、製鉄所への攻撃を試みた」と発表した。
 また、米国防総省の高官も「ロシア軍による攻撃とウクライナ側の抵抗がまだ続いている」と明らかにしている。 (2205-042209)

 4月22日19:23

 ロシアメディアが軍高官の話として22日、ロシア軍が21日に南東部マリウポリを「解放」したと発表していたと報じた。
 現地通信社によると、この軍高官は「特別作戦の第2段階の開始以降、ロシア軍の任務の一つはウクライナのドンバス地方および南部の完全制圧を達成することにある」と明かし、これにより2014年にロシアが併合したクリミア半島まで「陸続きの回廊ができる」と述べたとされる。
 この発言は、ロシア軍がキーウから退却した後に始まった第2段階作戦の目標について、最も詳細に説明したものとなった。 (2205-042211)

 4月22日23:12

 国営TASS通信とRIA Novostiが、ロシア中央軍管区司令官代理が22日にエカテリンブルクで開かれた国防業界の会合で、ウクライナ南東部での攻勢は「ドンバス地方と南部ウクライナの完全な支配を確立すること」が目的だと語り、「これでクリミアを陸続きにできるほか、ウクライナ経済の重要な部分に影響を及ぼし、農産物や金属製品を輸出する黒海の港も確保できる」と述べたと報じた。
 この発言内容が公式の方針なのかは明らかでないが、同司令官代理の発言について記者会見で質問を受けた大統領報道官はコメントを控えた。 (2205-042212)

 4月23日04:50

 ロシア通信 (RIA) がロシア国防省が22日、黒海艦隊旗艦の巡洋艦Moskvaの沈没で乗組員1名が死亡し、27名が行方不明になっていると明らかにしたと報じた。
 他の乗組員396名は救助されたとしている。 (2205-042302)

 4月23日11:10

 ロシア国営TASS通信によると、ロシア軍中央軍管区司令官代行のミンネカエフ少将が、目標はドンバス地方とクリミア半島を結ぶ陸上回廊の構築にあるとし、ウクライナ南部を支配すれば、ロシア軍は1990年代初頭からロシア軍が駐留するモルドバの分離派支配地域トランスニストリア(沿ドニエストル共和国)へアクセスできるようになると付言した。
 これに対しモルドバ外務欧州統合省は22日に露大使を呼び出し、この発言はモルドバの主権と領土の一体性を支持するロシア連邦の立場と矛盾すると懸念を伝えた。
 ロシア国営メディアはこれに先立ち同日、ウクライナ侵攻の第2段階におけるロシア軍の目標はウクライナ南部の完全支配にあると報じていた。 (2205-042306)

 4月23日11:35

 ジョンソン英首相が22日、ロシアがウクライナでの戦争に勝利する現実的な可能性があるとの認識を示した。
 一方で、状況は現時点で「予断を許さない」とも指摘した。
 ジョンソン首相はプーチン露大統領について、極めて大規模な軍隊を抱えているものの、破滅的な失敗を犯したことで政治的に非常に困難な立場に置かれていると分析し、現実的に残された選択肢は、持ち前の激しい手法を駆使して砲撃を中心にウクライナ側をたたき潰すことだけだとの見方を示した。
 一方で要衝マリウポリを押さえることにより2つの支配地域を連結する陸上回廊を確保しつつあるとも述べ、現段階は予断を許さない状況である点は現実を見なくてはならないと述べた。 (2205-042307)

 4月24日01:47

 ウクライナのゲラシチェンコ内相顧問が23日、オデッサに対しロシア軍によるミサイル攻撃があり5人が死亡、18人が負傷したと明らかにした。 (2205-042401)

 4月24日15:45

 英国防省がウクライナ側が得た諜報に基づき23日、ロシアが占領したウクライナ南部ヘルソンや中南部ザポリージャでロシア軍がウクライナの民間人の徴兵を計画しているとの声明を出した。
 声明は、ジュネーブ諸条約では占領した勢力は保護すべき個人を自らの軍や補助兵力に取り込むことを強制出来ないと定められていると主張し、志願者を兵役に組み込むことを狙って圧力を加えたり、組織的な宣伝活動を進めたりすることも容認されていないと非難した。
 ロシアがかつて、多くの地域を押さえるウクライナ東部ドンバス地方と強制併合したクリミア半島でも同様の徴兵を行ったことがあるという。 (2205-042405)

 4月25日07:09

 西側の軍事専門家たちは、ウクライナ戦争の開戦当初、ロシアが制空権を掌握して簡単に勝つと予想したがこの予想は外れた。
 ロシア空軍は、全空軍力の60%以上を今回の戦争に投入し、600機の戦闘機、爆撃機、攻撃ヘリなどが1日平均200出撃しているのに対しウクライナ空軍の出撃回数は1日5~10回だというのにもかかわらず、ロシア空軍は2ヵ月あまり制空権を掌握できずにいる。
 韓国国防研究院が20日に開催した「ウクライナ戦争の診断と課題」と題したフォーラムでは、ロシア空軍の教義に注目した。
 ロシア空軍は地上軍の作戦に支障をきたさぬよう、最前線での局地的な航空優勢の確保のみに注力する。 このような戦い方は、ソ連時代の地上戦中心の教義から抜け出せていないためで、ソ連軍は強大な戦車と砲兵戦力で敵の防御線突破し突破口を拡大して、敵を包囲殲滅するという教義にもとづいていた。
 現在のロシア軍も同じで、空中砲兵 (airborne artillery) と呼ばれている空軍は地上軍を火力支援するという教義に縛られている。
 ロシアでは敵の領土の奥深くに侵入する攻撃は空軍ではなくミサイル部隊などが担うことになっている。 (2205-042503)

 4月25日09:48

 ロシア軍が侵攻しているウクライナでは24日、東部や南部で戦闘が続いた。
 東部では攻勢に出てきたロシア軍をウクライナ軍が食い止めている模様で、ドネツク州や北東部ハルキウ州の州境付近などを中心に、一進一退の攻防が続いている。
 ウクライナ軍参謀本部は24日夜にドネツク州など7地点でロシア軍の攻撃を撃退したと発表した。
 南部でもロシア軍が攻勢に出る動きがあり、クリビーリフの地元当局者は24日、南方のロシア軍が数日内に中部方面に向け北上し始めるとの観測を明らかにした。 (2205-042504)

 4月25日12:30

 ロシア軍は、マリウポリにあるアゾフスターリ製鉄所への砲撃と空爆を継続している。 ウクライナ軍は施設に立て籠もり抵抗を続けている。
 米戦争研究所は「ロシア軍が再攻撃の準備をしている可能性があり、同軍にも多くの死傷者が出る可能性がある」と指摘している。
 首都キーウから撤退したロシア軍は、ウクライナ東部で戦闘を再開している。
 南部の情勢は大きく変化していない。 (2205-042505)

 4月25日15:52

 ロシアによるウクライナ侵攻の開始から2ヵ月が経過し、ロシア軍はウクライナの東部と南部で攻勢に出つつある。
 これに対しウクライナのゼレンスキー政権は徹底抗戦の構えで、米欧なども同国支援を続ける構えである。
 攻防戦の今後を予測すると、いかなる結果になってもロシアが開戦前より弱体化することが必至であることがみえてくる。 (2205-042506)

シナリオA:ロシア軍優勢、ウクライナ領を部分奪取
シナリオB:ウクライナ軍持ちこたえ、ロシア軍押し戻される
シナリオC:ロシア軍、劣勢挽回へ大量破壊兵器を使用
 4月26日00:57

 ロシア国防省が25日、ドンバス地域のウクライナ軍に外国製兵器を輸送する鉄道の送電施設6ヵ所を高精度ミサイルで攻撃し破壊したと発表した。
 更に、ドネツク州スラビャンスク近郊の武器庫も破壊したと明らかにした。
 ウクライナ軍司令官はこれに先立ち、ロシアが外国からの武器供給を妨害するため、ウクライナの鉄道関連インフラを爆撃しようとしていると述べていた。
 また、ウクライナ中部ヴィーンヌィツャ州の検察当局によると、ロシア軍が25日に同州の輸送インフラを標的にロケット弾で攻撃し、5人が死亡、18人が負傷したと発表した。 (2205-042602)

 4月26日09:19

 ウォレス英国防相が25日に英下院で、ウクライナ侵攻後のロシア軍の戦死者が15,000名に上るとの見方を報告した。
 ロシア国防省は3月25日にロシア軍の戦死者について1,351名と発表している。
 また少なくとも530両の戦車を含む2,000両以上の装甲車を失い、目標のほぼ全てにおいてロシアは失敗していると述べた。
 侵攻の次の段階として、ロシア軍が東部2州の支配地をさらに広げ、南東部マリウポリを経由しクリミア半島までを陸路で繋げようとしていると予想し、今後3週間が鍵となると述べ、武器供与が急務となっていると強調した。 (2205-042608)

 4月26日10:09

 ウクライナ鉄道のカミシン会長が25日、ロシア軍がウクライナ中部と西部の鉄道駅5駅を攻撃したと発表した。
 会長は、ロシア軍が鉄道インフラを体系的に破壊し続けており、25日今朝も1時間のうちに5駅が攻撃されたと述べ、旅客列車少なくとも16本を停止するとした。
 リビウ地域の軍当局者は同日、ロシアに攻撃されたウクライナ西部の駅の被害状況を明らかにした。
 それによると25日08:30頃にクラスネ駅の変電所がミサイル攻撃を受けて爆発した。
 ミサイルは南東からウクライナに向けて発射されており、ロシア軍が戦略爆撃機から発射しているようだと語った。
 ミサイルのうち1発はウクライナ空軍のSAM部隊が撃墜したという。 (2205-042609)

 4月26日11:43

 ロシア西部にある複数の燃料貯蔵施設で4月25日に大規模な火災が発生した。
 ロシア非常事態省によれば、火災は25日の02:00頃にウクライナの国境から100kmも離れていないパイプライン輸送会社Transneftなど2ヵ所の国営施設と軍の燃料貯蔵施設で発生し、もうもうたる黒煙が立ち上る様子が数㌔先からも見えた。
 ブリャンスクとクルスク、さらにベルゴロドの西部3州は、テロの脅威があるとして4月初旬に発出した非常事態を延長した。 (2205-042612)

 4月26日:

 ロシア軍が25日にマリウポリのアゾフスターリ製鉄所への地上攻撃を再開し、製鉄所を封鎖して内部に残るウクライナ側を兵糧攻めする方針から転換している。
 ロシア国防省は同市で市民の避難ルートである「人道回廊」を設けると発表したが、ウクライナ側は設置で合意した事実を否定している。
 キーウから退却したロシア軍は東部での戦闘を再開しているが、ウクライナ側からの反撃で戦況は膠着している。
 TASS通信などはモルドバ東部の親露派地域で複数の爆発があったと報じているが、ウクライナ側はロシア側が企てた偽旗作戦だと見ている。 (2205-042613)

 4月26日17:39

 ロシア軍が26日、ウクライナ南部と東部へ集中的に戦力を投入して侵攻作戦を続行し、英国防省の最新の戦況分析によると、同日朝までにルガンスク州の都市クレミンナが陥落したもようである。
 東部ハリコフの南東にある町イジュームでも激しい戦闘が発生し、英国防省はロシア軍が東部各地にあるウクライナ軍の拠点を狙って包囲網を築こうとしていると分析した。 (2205-042615)

 4月27日11:45

 ロシア軍が26日、イジューム南方やルビジュネ北西方面でわずかに前進した。
 米戦争研究所は「ロシア部隊が複数の平行な道路を使って距離を保ちながら進撃しており、これまでの作戦よりも高い戦闘力を発揮できる」として、ロシア側が堅実な作戦を取り始めたとみている。
 南東部のマリウポリではアゾフスターリ製鉄所への地上攻撃に加えて空爆も実施したが、残留するウクライナ軍の抵抗で製鉄所への突入には失敗した。
 ウクライナと国境を接するモルドバ東部の親露派地域では26日も複数の爆発が報告され、25日に続いて反ウクライナ感情を高めるための偽旗作戦が実行されたとみられる。 (2205-042714)

 4月27日20:56

 ロシア軍はウクライナ東部と南部で攻勢を継続し、東部からクリミアに至る回廊を確保して自身の勢力下に置く狙いだとみられる。
 南部ヘルソン州やザポロジエ州の占領地域では、ロシアはウクライナからの独立を既成事実化するための住民投票を計画しているとされる。
 国営ロシア新聞は26日に「ウクライナは今後、複数の国家に分裂する可能性がある」とする露国家安全保障会議のパトルシェフ書記のインタビュー発言を報じ、ウクライナを分割する露政権の意思を示唆した。
 一方ウクライナメディアによると、同国大統領府のアレストビッチ顧問は同日、「欧米諸国から攻撃兵器が供与され次第、即座に反攻作戦を開始する」と表明し、徹底抗戦を続ける方針を改めて示した。 (2205-042718)

 4月28日03:17

 Micro Soft社が27日、ロシア政府に所属するハッカー集団がウクライナに対し多数のサイバー攻撃を仕掛け、ロシア政府の軍事攻撃やオンライン上のプロパガンダを支援しているもようとする報告書を発表した。
 Micro Soft社によると、ロシアがウクライナ侵攻を開始する前日の2月23日から4月8日にかけ、ウクライナ国内でロシアによる破壊的なサイバー攻撃37件が確認された。
 こうしたサイバ攻撃はウクライナ侵攻の1年前から始まっており、ウクライナにおける軍事攻撃の下地を整えていた可能性が指摘される。 (2205-042806)

 4月28日10:44

 ロイタが26日、ルガンスク地域に展開するウクライナ軍が、ドンバス地域のロシア軍拠点に向けて、BM21 Geadから多数のロケット弾を撃ち込む様子を撮影した。
 ウクライナ軍作戦司令部によると、同軍はこの1週間でドネツクとルガンスク地域においてロシア軍の攻撃を63回撃退し、戦車55両と多数の軍用車両を破壊したと発表した。
 このうち戦車13両は、過去24時間以内に破壊したという。 (2205-042809)

 4月28日12:30

 ロシア軍は27日、ウクライナ東部の都市イジュームの西方に進出し、複数の町を制圧した。
 近くに展開するウクライナ軍を迂回して南下するためとみられる。
 ウクライナ南部と国境を接するモルドバの親露派地域では、モルドバに参戦の口実を与えるための「偽旗作戦」を続ける準備をしているとみられる。
 米戦争研究所は「モルドバと隣国ルーマニアの緊張を高めてNATOに圧力をかけ、モルドバ自体を不安定化させる可能性もある」とみている。
 マリウポリでは27日もロシア軍によるアゾフスターリ製鉄所への空爆や地上攻撃が続いた。 (2205-042811)

 4月28日17:30

 英国防省が27日に最新の諜報の公表で、ロシアの侵攻が始まって2ヵ月経過したウクライナ戦況に触れ、ウクライナは大半の制空権を押さえ続けていると報告した。
 ロシアはウクライナ空軍の戦力や防空網の効果的な破壊や封じ込めに失敗していると分析し、ウクライナの防空能力はロシア空軍が投入する兵器に脅威を与え続けているとした。
 ロシア空軍の活動は現在、主にウクライナ南部と東部に重点が置かれ、地上部隊の支援任務に当たっており、ウクライナ北部や西部では非常に限定的となっているとした。 (2205-042813)

 4月28日17:33

 ウクライナと接するロシア西部で弾薬庫や石油関連施設などの爆発が相次いでいる。
 ウクライナ側は公式には認めていないが、ポドリャク大統領府長官顧問は27日に自国の攻撃であることを示唆した。
 ロシア軍の補給線に打撃を与えるため、UAVなどで攻撃を強化しているとみられる。
 米戦争研究所も27日、UAVかミサイルでウクライナ軍がロシア西部ベルゴロド、ボロネジ両州で補給拠点を攻撃したと分析し、今後、越境攻撃が拡大すると予測した。
 ロシアが撃墜したと主張するトルコ製攻撃型UAVの画像もインターネット上で出回っている。 (2205-042814)

 4月29日02:19

 米国防総省高官が28日、マリウポリでの戦闘は続いているものの、ロシア軍の一部がマリウポリを離れて北西部に向かって移動している兆候が見られると述べた。 (2205-042901)

 4月29日04:07

 グテレス国連事務総長が訪問中のウクライナの首都キーウが28日20:15頃にロシア軍によるミサイル攻撃を受け、1発が25階建て住宅に着弾し、二つの階が損壊認した。 救急当局によると10人が負傷したが、グテレス事務総長を含む国連代表団は無事だという。  同市への攻撃は4月中旬以来である。 (2205-042902)

 4月29日04:14

 米国防総省高官が28日、ロシア軍はウクライナに92個大隊戦術群 (BTG) を投入しており、18日時点に比べて16個BTG増えたと述べた。
 4月上旬にキーウ周辺から完全撤退したロシア軍はベラルーシやロシアで補給を完了した部隊がウクライナ東部のドネツク州やルガンスク州に再配置されたとみられ、ウクライナ周辺には20個BTG以上が残っているといい、さらに兵力を増強する可能性がある。
 高官は東部の戦闘について一進一退の攻防が続いているとの見方を示した。
 ロシア軍はイジュームから南下を目指しており一部で進展はあるが、高官は「戦況を変えるほどではなく、1週間前とおおむね同じだ」と言明した。
 ロシア軍の侵攻が緩慢な理由として補給体制の立て直しに触れ、具体的には戦闘部隊と補給部隊が離れすぎないようにしていると言及した。
 高官はウクライナが雨期に入って地面がぬかるむことから、戦車などは舗装された道路を通る必要が生じ、ウクライナ軍の目標になりやすくなると述べた。 (2205-042903)

 4月29日05:52

 InterFax通信によると、親露派武装勢力ドネツク人民共和国のトッププシーリン氏が28日、5月9日の戦勝記念日にはパレードを行わないと表明した。
 トッププシーリン氏は東部での激しい戦闘が5月中旬以降も続く見通しを示し、そのうえでウクライナ側による攻撃を受けるおそれがあるとしていて、ドネツク州全域を制圧したあとにパレードを実施するとしている。
 これに先立ち、ドネツク州にあるマリウポリでは、ロシア側が一方的に指名した副市長が5月9日にパレードを行う意向を示していた。 (2205-042905)

 4月29日08:20

 米国防総省高官が28日、ロシア軍がウクライナ東部ドンバス地方で徐々に前進しているとの見方を示した。 ウクライナ軍の抵抗も続いている。
 ロシア軍は東部ドネツク州との境に近いハルキウ州イジュームから侵攻を続けているが、ウクライナ軍との戦闘は一進一退だという。
 マリウポリでは、ロシア軍による砲撃が続いており、ロシア軍がマリウポリから北西方面に移動する動きが確認され始めた。
 ただ高官は、「このことはロシア軍がマリウポリを制圧したことを意味しない」とも述べた。 (2205-042906)

 4月30日06:57

ウクライナ東部ではウクライナ軍が徹底抗戦していて、ロシア軍の支配地域拡大が限定的になっているとみられるなど一進一退の攻防が続いている。
 ロシア国防省は29日に潜水艦が黒海からKalibr CMを発射し、キーウ州や南部オデーサ州などにある鉄道関係の変電所3ヵ所を破壊したと発表した。
 英国防省は29日、ロシア軍は東部のドネツク州とルハンシク州での戦いが戦略的な焦点となり続けていると指摘する一方、ウクライナ軍の強い抵抗でロシアの領土獲得は制限され、多大な犠牲を出していると分析している。
 米国防総省高官も29日、ロシア軍はイジュームから南に向けて徐々に前進しているものの、ウクライナ側の激しい抵抗に直面しているうえ、前線部隊への物資の補給ルートを維持するため慎重に進んでいて、東部での計画は当初の予定より遅れていると考えられると述べた。
 またこの高官は、ロシア軍は東部地域のウクライナ軍に3方向から圧力をかけるため、マリウポリに展開していた部隊を北へ移動させているのを確認したと述べた。 (2205-043005)

 4月30日09:08

 ウクライナに隣接するロシア南西部クルスク州と西部ブリャンスク州の知事が29日、ウクライナ側から攻撃を受けたと主張した。
 国境地帯のロシア側では最近、燃料貯蔵施設などの爆発が相次いで伝えられており、ウクライナ軍がロシアの補給施設を攻撃している可能性がある。
 クルスク州知事は同日「国境地帯の集落が迫撃砲で攻撃され、露軍が反撃の射撃を行った」と発表し、ブリャンスク州知事も「国境管理施設がウクライナ軍に砲撃された」と述べた。 ブリャンスク州では25日にも燃料貯蔵施設で爆発が起きた。
 さらに露南西部ベルゴロド州知事も27日に弾薬庫が爆発したと発表した。 同州では3月末から4月上旬にも弾薬庫の爆発や石油関連施設の火災が発生した。
 米戦争研究所は27日、ウクライナ軍がUAVかミサイルでベルゴロド州などの補給拠点を攻撃しているとの分析を発表した。 ウクライナ側は露国内への攻撃を否定も肯定もしていない。 (2205-043006)

 5月01日07:48

 ロイタ通信などが、オデッサ州知事が4月30日にロシアによるミサイル攻撃を受け州内の空港の滑走路が破壊されたと発表したと報じた。 死傷者は出ていないという。
 主要港湾都市オデッサでは、穀物を輸出港に搬入するための鉄道橋も26~27日に2発のミサイル攻撃を受けて一部が損壊した。
 ウクライナは世界有数の穀物の輸出国で、ロシアは黒海の海上封鎖も継続中で、ウクライナの収入源である穀物の輸出阻止を狙っているもようだ。 (2206-050101)

 5月01日13:59

 ウクライナのゼレンスキー大統領が30日、同国の軍がこれまでにロシア軍の戦車1,000両あまりと航空機200機近く、装甲戦闘車両2,500両近くを破壊したと述べた。
 ゼレンスキー大統領は一方で、ロシア軍にはさらなる攻撃を仕掛ける装備が残っていると指摘し、「わが国の領土を攻撃するミサイルはまだある」としたうえで、ロシア軍は今回の侵攻でかなり弱っているため、9日に予定される「対独戦勝記念日」の閲兵式に出せる車両などはさらに減ったはずだと主張した。
 大統領はまた、ロシア軍がウクライナ侵攻開始後に失った兵力は23,000名を超えるとの見方を示した。 CNNはこの人数の真偽を確認できていない。
 2人のNATO高官は最近、ウクライナで7,000~15,000名のロシア兵が戦死したとの推計を発表した。 米当局者らも7,000~14,000名が死亡したとみている。 (2206-050102)

 5月02日06:32

 ウクライナに侵攻したロシア軍は1日、東部ドネツク州やハリコフ州で攻撃を続け、ドネツク州のキリレンコ知事は1日にTelegramで、リマンが砲撃され4人が殺害され、他に11人が負傷していると訴えた。 さらにリマン近郊の町でも負傷していた1人が死亡したと明らかにした。
 鉄道の要衝でレンガ造りの建物が目立つ産業の街として知られたリマンはウクライナ軍は既に撤退しており、陥落は時間の問題とみられている。
 ハリコフ一帯でも、住宅地に砲撃が加えられ、ハリコフ州のシネグボフ知事がTelegramに1日、3人が犠牲になり負傷者は8人だと書き込んだ。 (2206-050201)

 5月02日12:15

 ウクライナ国家親衛隊が4月30日、イジューム近郊のロシア軍拠点に対する攻撃の様子をとらえた映像を公開した。 撮影日時は不明である。
 ウクライナ軍参謀本部によれば、東部戦線でのロシア軍の攻撃が加速されているという。
 同参謀本部は、ロシア軍の最終目標は東部ドネツク州とルハンシク州の完全制圧であり、クリミア半島への「陸の回廊」の打通であるとみている。 (2206-050205)

 5月02日12:30

 ロシア軍は現在占領しているウクライナ南部で、恒久的な支配を確立しようと準備している。
 英国防省によると、ロシア側はヘルソンでロシアの通貨ルーブルの導入を進めている。
 米戦争研究所は東部のドネツク州やルガンスク州のドンバス地方にとどまらず南部でも。 (2206-050206)

 5月02日19:25

 英国防省が2日、ロシア軍がウクライナ侵攻で被った損害に関する包括的な分析結果を公表した。
 それによると、ロシアは侵攻開始時における全地上戦闘能力の65%に相当する120個以上の大隊戦術群 (BTG) を投入したが、そのうち1/4以上が戦闘不能になった可能性が高い。
 空挺部隊を含む精鋭部隊が最も大きな打撃を受けており、国防省は部隊再建に恐らく数年を要すると見込んでいる。 (2206-05010)

 5月02日21:12

 New York Times紙か1日、ウクライナ軍がイジュームを訪れていたゲラシモフ参謀総長を目標に、集中攻撃を行ったと報じた。
 ゲラシモフ参謀総長は直前に立ち去り、攻撃を逃れたという。 この攻撃で、露軍の司令官ら200名が死亡したという。
 同紙がウクライナ軍と米政府高官の話として報じたところによると、ウクライナ軍は、ゲラシモフ参謀総長の現地入りを察知して、4月30日夕に露軍が前線基地にしているとされる学校に激しい攻撃を仕掛けた。
 ゲラシモフ氏はこの日午前に学校を訪れていた。 (2206-050212)

 5月02日21:16

 ウクライナ国防省が2日、黒海のズミイヌイ島(スネーク島)付近でロシアの警備艇2隻をトルコ製UAVで撃沈したとの声明を出すとともに、小型軍用船1隻が爆発する様子を捉えた動画を公開した。
 声明には、ウクライナ軍のザルジュニー総司令官が、トルコ製のBayraktar UAVが力を発揮していると述べたと記されている。
 ズミイヌイ島は、駐留していたウクライナ兵がロシア艦からの投降の呼び掛けを拒否する交信がネット上で拡散したことから、ウクライナの抵抗の象徴となっていた。 (2206-050213)

 5月03日02:07

 米政府高官が匿名を条件に、ロシア軍制服組トップのゲラシモフ参謀総長が先週、激しい戦闘が続くウクライナ東部ドンバス地域を訪問したとみているが、戦闘中に負傷したというメディア報道は確認できないと述べた。
 同高官によると、ロシアは侵攻開始以来、ウクライナに向けて2,100発以上のミサイルを発射したが、ここ数日間にドンバス地域では極僅しか前進していないとした。 (2206-050301)

 5月03日10:08

 米国防総省高官が2日、ロシア軍が東部で僅かに支配地域を広げたとの分析を明らかにした。
 同省はウクライナ軍の抵抗によってロシア軍が東部で予定通りの侵攻ができていないとみている。
 高官によると、ロシア軍がイジュームの東側とポパスナで支配地域をわずかに広げる動きがあった。
 ただ、ウクライナ軍も激しく抵抗していて戦況は一進一退で、高官は、ロシア軍にとって僅かな進展だと述べた。
 ハルキウではロシア軍が砲撃を続けているが、直近ではウクライナ軍がロシア軍を40km東に押し戻す動きもあったという。 (2206-050304)

 5月03日18:07

 カーペンター米駐欧州安保協力機構 (OSCE) 大使が2日、ロシアがドネツク、ルガンスクの2州を併合を計画していると警告した。
 ロシアに編入するため5月中旬に「見せ掛けの住民投票」を実施する計画があるという。
 ロシアは2014年にウクライナ南部クリミア半島を併合した際も同様の手法を使った経緯がある。 (2206-050308)

 5月03日18:21

 英国防省が3日、ロシア軍がウクライナ侵攻後に強い抵抗を受けるなどして著しく弱っているとした上で、西側諸国の経済制裁で戦力回復に支障が出ると指摘し、今後の長期的な軍事展開能力に影響が及ぶと分析した。
 分析では、ロシアが2005年から2018年にかけて国防予算をほぼ倍増させて高性能装備に投資し、特に2008年からは軍備近代化に注力してきたが、戦略的作戦の立案や遂行の失敗を重ねて「数の力」を生かせず、ウクライナの支配を進められていないとの見方を示した。 (2206-050309)

 5月03日19:17

 ウクライナのゼレンスキー大統領が、自国に侵攻しているロシア軍が2日にオデーサの学生寮にミサイル攻撃を行い、14歳の少年が死亡したと明らかにした。
 露軍は欧米による武器供与の妨害に腐心しているとみられ、4月30日にもオデーサの空港を攻撃目標とした。
 露国防省も、オデーサの軍用空港の物流施設を精密ミサイルで攻撃し、トルコ製のTB2 UAVや欧米の武器が保管されている格納庫を破壊したと発表した。
 一方、ドンバス地方の戦況に関し、米国防総省の高官は2日、露軍はこの数日間で殆ど進展していないと指摘し、ハルキウ周辺では40km東の地点への後退を余儀なくされたとの分析を明らかにした。
 同高官は、指揮系統の乱れや兵士の士気低下を主な苦戦の要因として挙げ「無気力という言葉がぴったりだ」との見解を示した。 (2206-050310)

 5月04日02:56

 ウクライナのベネディクトワ検事総長が3日、ロシアはウクライナ侵攻にあたりレイプを戦術の一環として利用しているとし、ロシアのプーチン大統領は戦争犯罪を犯していると非難した。
 検事総長によると、女性ばかりでなく子どもや男性もレイプの被害者になった疑いがあり、ロシアはレイプを戦術として利用しているかとの質問に対し「戦術だったと確信している」とし、「市民社会に恐怖を植え付け、ウクライナを屈服させるためにあらゆることを実施している」と述べた。 (2206-050401)

 5月04日07:19

 ウクライナ国営鉄道が3日、同国中部や西部で計6ヵ所の鉄道施設がロシア軍のミサイル攻撃を受けたと発表した。
 職員や乗客に死者は確認されていないが、インフラが大きく損傷し列車の運行が乱れたという。
 鉄道施設への攻撃をめぐっては、露国防省が4月25日にも、中部と西部の変電所など6ヵ所をミサイルで破壊したと発表していた。
 ロシアは、欧米側がウクライナに供与した装備品の輸送ルートに打撃を与える思惑だとみられる。 (2206-050403)

 5月04日10:30

 ウクライナのイジュームから南に18km離れたスルイヒフカ村で、ウクライナ軍の攻撃により多数のロシア軍車両が破壊されたことがUAVの映像で確認された。
 映像には、ウクライナの砲撃とUAV攻撃がロシア軍の装甲部隊を破壊し続けている様子が映っている。
 CNNは2日にTelegramにアップロードされたこの映像の場所を特定しその真偽を確認したがいつ撮影されたかは不明である。
 しかしウクライナ軍とハルキウ地方軍政官は、この映像は4月30日にTelegramに投稿されたもので、ロシア軍が村の近くに侵攻しようとしたがウクライナ軍が撃退しロシア軍が大きな損失を被ったと主張した。 (2206-050407)

 5月04日11:30

 ウクライナ軍が、ロシアに占領されたスネーク島で、ロシアの軍事拠点少なくとも2ヵ所を攻撃したと発表した。
 攻撃にはBayraktar UAVを使用したとしている。
 攻撃は、建物と通信塔の間の地点、および弾薬などの爆発物を格納していると思われる地点を狙った様子で、2番目の地点では、最初の爆発に続いて何度も爆発が起きていた。
 ウクライナ軍がこの攻撃をいつ実施したのかは不明だが、ウクライナ軍南部作戦司令部がこの動画を投稿したのは3日だった。
 CNNは攻撃の様子を映した動画の撮影場所を特定し、信憑性を確認した。
 スネーク島はウクライナの国境警備隊が、ロシアのウクライナ侵攻が始まった当初、ロシア軍に攻撃されながら投降を拒んだことで脚光を浴びた。 (2206-050408)

 5月06日12:45

 ロシア軍は4日、ウクライナの複数都市をミサイルで攻撃した。
 ウクライナ軍は東部ハリコフ周辺でロシア軍の攻撃を退け、反転攻勢に出ている。
 米戦争研究所はウクライナ軍の動きについて、ロシア軍をハリコフを砲撃できる射程外に追いやり、再配置を強いる狙いがあるとみている。
 ロシア側はハリコフ付近の陣地を強化するか、同市街地の砲撃範囲内にある陣地の大半またはすべてを失うリスクを冒すかの判断を迫られる可能性が高いとみられる。
 数万人の民間人が取り残されているとされるマリウポリでは避難が進み、国連によると2日に始めたマリウポリからの民間人救出作戦でこれまでに計500人近くが退避に成功した。
 中にはアゾフスターリ製鉄所から脱出した人も含まれる。 (2206-050601)

 5月06日14:06

 ウクライナ南東部ドネツク州の親露派武装組織が5月4日、ドネツクの北東郊外のマキーイウカにある石油貯蔵所がウクライナ軍に砲撃され1人が死亡、2人が負傷したことを明らかにした。
 この砲撃で、4基ある容量5000トンの石油タンクが被弾して炎上した。
 AP通信は、親露派に取材を許可された報道陣の一員として現地取材しているが、親露派が主張するウクライナ軍の砲撃という事実を独自に確認できていない。
 前線での取材は危険を伴う上に、ウクライナ側、親露派側ともに厳しく報道規制していることから、戦闘の全体像を把握することが難しくなっている。 (2206-050603)

 5月06日14:34

 複数の米メディアが5日、巡洋艦Moskvaが4月に撃沈されたことについて、米国が同艦の位置情報をウクライナ軍に提供し攻撃を支援していたと報じた。
 バイデン米政権のウクライナ支援をめぐっては、大規模な武器供与に加え、ロシア軍の動向に関する機密情報を積極的に提供していることが明らかになっている。
 米当局者によると、ウクライナ軍から黒海を航行中だった艦船について照会を受けた米国は、艦船がモスクワだと特定し位置情報を確認したが、米側は攻撃目標にするとは知らされていなかったという。 (2206-050604)

 5月06日16:58

 ウクライナ政府は、同国軍が4月の最終週に北東部ハルキウ州内で、2ヵ月間ロシア軍に占領されていた村のうち、少なくとも11ヵ村を奪還したと発表した。 (2206-050605)

 5月06日17:35

 ウクライナでの戦闘が激化するなか、ロシアでは貯油施設など重要なインフラ施設における原因不明の火災が頻発しているが、またもや不可解な大規模火災がウクライナと国境を接するロシア南西部の都市クルスクで発生した。
 ここ数週間、ロシア最大の化学工場、貯蔵所、防衛研究所といった重要な施設で、原因不明の火災や爆発が起きているが、こうした不可解な火災の原因について、現在のところロシアは詳細を明らかにしていない。 (2206-050607)

 5月06日19:46

 ウクライナメディアが6日、オデッサ沖の黒海で露海軍フリゲート艦にウクライナ軍のNeptuneが命中し、火災が発生したと報じた。
 露黒海艦隊所属のAdmiral Makarovの可能性があるという。 (2206-050612)
【註】Admiral Makarovは2017年に就役した満載時排水量4,035tのフリゲート艦で、SA-N-7C SAM用の24セルVLSやCIWS 2基を装備している。

 5月06日01:25

 米国防総省カービー報道官が6日に声明で、ウクライナが4月に巡洋艦Moskvaを撃沈した際に米国が支援したとの報道について、米国は作戦について事前に知らなかったし、具体的な標的情報を提供していないと否定した。
 さらに、ウクライナにはロシア艦を追跡攻撃するための独自の情報収集能力があり、今回もそれが使用されたとした。 (2206-050701)

2・1・3 ウクライナ東部の攻防

 5月06日 23:08

 ゼレンスキー大統領は3日に、ロシアが2014年に併合した南部クリミアの奪還を目指す方針を明らかにした。
 ゼレンスキー政権は3月29日のイスタンブールでの停戦協議では早期停戦を優先し、ロシア軍にクリミアや東部の親露派武装集団が実効支配する地域からの撤退を求めなかった。
 ロシアは侵攻後に制圧した南部ヘルソン州などでの実効支配を強化し、ウクライナの領土分断を図る構えを鮮明にしていることから、双方が犠牲者を出しながら、激しい攻防を続ける可能性が指摘されている。 (2206-050616)

 5月07日 11:00

 ウクライナでは5日から6日にかけて、北東部や南部でウクライナ軍がロシア軍を押し戻す動きが活発化した。
 ウクライナ軍参謀本部によると、北東部ハルキウ州で6日、ロシア軍が侵攻した五つの集落をウクライナ軍が奪還した。
 5日には州内のハルキウやイジュームの都市部で戦闘があり、ウクライナ軍がロシア軍を押し戻したという。
 米戦争研究所は6日、ハルキウでの反撃について「これまでとは違い、広範囲を取り戻すことに成功した。
 ウクライナ側が攻勢に出ている」と分析した。 (2206-050705)

 5月07日 18:45

 ウクライナ軍はハリコフ周辺で大きく前進しており、今後数日中にロシア国境まで進出する可能性が高い。  ロシア軍はハリコフ市北東で一部が退却している可能性がある。 またウクライナ軍の進撃を遅滞させるため複数の橋梁を破壊した。  ウクライナ軍はバルヴォークへのロシアの進撃を撃退し続け、ロシア軍はスロビャンスクに向かう進撃を放棄した可能性が高い。 ロシア軍は5月7日にポパスナを占領したと主張したが、ウクライナ東部では大部分が行き詰まっている。  ロシア軍は今後数週間のうちに、ヘルソン人民共和国を創設するか、ヘルソン州を併合すると発表すると思われる。  ロシア軍は過去数日間、CMでオデーサを攻撃し、沿ドニエストルで偽旗攻撃を行い続けている。 (2206-050713)

 5月07日 22:17

 ウクライナ軍参謀本部が6日、ハルキウの郊外で五つの集落を奪還したと発表した。
 米戦争研究所は、ウクライナ軍がハルキウで局所的ではなくより広範な反撃に転じていると分析している。
 ウクライナ軍トップは5日にSNSで、ハルキウなどで反撃作戦への移行を表明していた。
 戦争研究所はハルキウ周辺でのウクライナの抗戦が大きな弧に沿ったものとなり、これまでより規模が大きくなっているとも指摘した。
 ウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問は6日、露軍がドネツク州の北部一帯での戦闘に最も力を集中させていると指摘し、ウクライナ軍の抗戦により露軍の進軍を防いでいると強調した。
 一方、露軍も米欧からの武器供与ルートを狙った攻撃を強めており、東部での攻防が激しくなっている。
露国防省は7日、東部で弾薬庫や欧米の武器を破壊したと発表し、ウクライナへの武器供与ルートへの攻撃を強めている。
 ウクライナ国営通信によると、7日には、南部オデーサにミサイル6発が撃ち込まれた。 (2206-050714)

 5月07日 22:49

 ウクライナ国防省は7日、南部オデッサ沖の黒海にある島で、トルコ製Bayraktar TB2 UAVを使ってロシア黒海艦隊の揚陸艇を破壊したとツイッターで明らかにした。
 破壊する瞬間の映像も公開した。 (2206-050712)

 5月08日 11:57

 ウクライナのメディアが8日、ウクライナ軍がオデッサ沖で7日、ロシア海軍の哨戒艇2隻と揚陸艇2隻をトルコ製Bayraktar TB2 UAVで撃破したと発表した。
 別の哨戒艇1隻にも損傷を与えたという。 (2206-050802)

 5月08日 18:45

 ロシア軍はドネツク州とルハンスク州の州境まで地上侵攻を続けたが、領土獲得はできなかった。
 ロシア軍は、ウクライナ軍の反撃部隊がロシア国境に迫るのを防ぐために、ハリコフ北部を強化するためベルゴロドに集結している可能性が高い。
 ロシア軍はウクライナ南部での新たな攻撃の準備をしている可能性があるが、成功する可能性は低い。 (2206-050806)

 5月09日 13:16

 ウクライナ軍が5月8日、ウクライナ沖にあるズミイヌイ島(スネーク島)で、ロシア軍のヘリコプタを撃破するUAV映像を公開した。
 ウクライナ軍は、黒海の制海権を確保しようとするロシア軍を阻止すべく、ロシア軍に占拠されたスネーク島に対するUAVやミサイル攻撃を続けている。 (2206-050905)
【註】ズミイヌイ島(スネーク島)はクリミアのセバストポリとの距離が280kmで、ウクライナのNeptune対艦ミサイルの届くギリギリの距離にある。

 5月09日 19:15

 ロシア軍は今後数日のうちにイズユム付近で攻撃を再開するための部隊を集結させようとしている可能性が高い。
 ロシア軍は過去24時間でセヴェロドネツク周辺でわずかな進展を見せた。
 ロシア軍は、ハリコフ市周辺のウクライナがロシアとの国境に達するのを阻止するため、ベルゴロド州に部隊を集結させ続けている可能性が高い。
 ロシア軍はザポリージャ州の部隊を再編成中で、マリウポリに配置されていた部隊から援軍を受ける可能性が高い。 (2206-050911)

 5月09日 23:31

 英国防省がウクライナでの戦況について9日、侵攻がロシアの予想より長引いていることで精密誘導兵器の多くを使い果たしている可能性があると指摘した。
 このためロシア軍は、迎撃されやすい古い兵器を使用せざるを得なくなっていると見ている。
 侵攻でロシアの精密兵器の大規模運用能力に欠陥があることも明らかになったとした。 (2206-050910)

 5月10日 05:07

 ウクライナメディアなどが、国防省報道官が9日にCM 50発を搭載したロシア艦7隻が黒海で確認できると明らかにしたと報じた。 4日には3隻で20発分だとしていた。  ロシア軍が黒海沿岸の南部や南東部での攻勢を強めるとみられる。 (2206-051009)

 5月10日 07:06

 ウクライナ侵攻を続けるロシア軍の疲弊が鮮明になっている。
 経済制裁の影響で、兵器など物資の調達がままならないことが要因の一つで、現在の規模の戦闘を維持した場合、月内か6月に軍事資源が枯渇するとの分析があり、西側情報筋は「ロシアは戦闘の規模を縮小して長期戦に持ち込む公算が大きい」と指摘している。
 英国防参謀長のラダキン海軍大将が5日のTVインタビューで、ロシアはミサイル製造に必要な半導体などのハイテク製品を外国から調達していたが、米主導の国際的な輸出規制により入手が難しくなっており、プーチン大統領は軍に物資を供給するための厳しい「補給戦争」に直面しているとの見解を示した。
 西側情報筋は、戦時には平時を大幅に上回る軍需生産態勢が必要だが、ロシア国内の軍需関連工場の稼働率は平時より低く、戦車が故障しても修理に必要な部品を十分に生産できていない状況という。 (2206-051007)

 5月10日 10:54

 米国防当局者3人とウクライナ当局者が、ウクライナ軍は週末に黒海のスネーク島にあるロシア軍防空システムのうち、少なくとも1基を攻撃したことを明らかにした。
 米国防当局の高官は、ロシア軍のヘリと上陸用ボートへの攻撃に加え、SA-15 SHORADへの攻撃が行われたと述べた。
 当局者は9日の会見で「スネーク島での空爆では少なくとも3ヶ所に命中したと考えているが、全体的な成果についてはまだ把握に努めている」と説明した。 8日朝の衛星画像では、スネーク島から2本の煙が上がっているのが確認された。
 一方でロシア国防省は同日に全く異なる見解を示した。 ロシアの少将は、7日夜にウクライナ軍のSu-24 2機とMi-24 1機が、ロシアの防空システムにより島の上空で破壊されたと述べた。 (2206-051011)

 5月10日 12:14

 ロシア国防省が9日夜、オデッサ沖の黒海に浮かぶズメイヌイ島周辺で多数の航空機を撃墜し、島の奪還を狙ったウクライナ軍の上陸を阻止したと発表した。
 ロシア国防省によると、ウクライナ軍は7日から島への上陸を空と海から試みたがロシア側が応戦し、Sukhoi戦闘機などの飛行機とヘリそれぞれ4機ずつを撃墜し、8日夜には小型船3隻を破壊し、UAV 29機も撃墜したという。 (2206-051013)

 5月10日 12:45

 ウクライナ南部のオデーサにあるショッピングモールとホテル2軒が9日にロシア軍の攻撃で破壊された。
 オデーサ地方軍政部報道官は、ロシアの極超音速ミサイルKinzhal 3発が航空機から発射され直撃したと述べた。 (2206-051014)

 5月10日 19:15

 ハリコフ北部でのウクライナの反撃はさらに地歩を固め、ロシア国境から10km以内に接近した可能性がある。
 ベラルーシは、NATOと米国がベラルーシ国境を脅かしていると非難しているが、ベラルーシが参戦する可能性は低いままである。
 イズィウム周辺のロシアの作戦は停滞したままである。
 ウクライナ東部のロシア軍はセヴェロドネツク地域の包囲を目指してポパスナからドネツクとルハンスクの州境に到達したと伝えられている。 (2206-051018)

 5月11日 05:55

 米国防総省高官が、過去76日間でロシア軍が10発から12発の極超音速ミサイルを発射したと明らかにした。
 一方、ウクライナ軍への軍事支援については提供される榴弾砲90門のうち、89門がすでにウクライナ側に手渡されたとしている。 (2206-051102)

 5月11日 16:54

 ウクライナのクレバ外相がFinancial Timesとのインタビューで、ウクライナは戦争の目標を引き上げ、今では西側の支援国が約束した大型兵器を迅速に届けてくれる限り、ロシア軍を国外へ追い出すことを目指していると語った。
 クレバ外相は、当初は我々の戦争の勝利をロシア軍が2月24日以前の位置まで撤退することとウクライナ側が受けた被害に対する賠償を得ることと考えていたが、今ではこの戦争における勝利をウクライナ領土を解放することになると述べた。 (2206-051107)

 5月12日 02:29

 ウクライナ軍は11日も東部ハリコフ州で反撃を続け、国境から数kmの地点までロシア軍を撤退させた。 戦闘の勢いが変化する可能性がある。
 ウクライナ軍はここ数日、ハリコフ市の北方と東方で反撃を行っていたが、ウクライナ軍関係筋によると、国境から40kmの地点にあるハリコフ市の郊外まで迫っていたロシア軍を11日朝の時点で国境から数キロの地点まで後退させた。  ウクライナ軍は11日夕にハリコフ北方の幹線道路沿いのピトムニクを奪還し、さらに東方にあるドネツ川のほとりのルビージュネ村も奪還したとみられている。
 ゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍が進軍したことでハリコフ市はロシア軍砲撃の射程外になったと表明した。 (2206-051201)

 5月12日 17:30

 ハリコフ市北のウクライナの反撃は、ロシア軍を防御に追い込み、ハリコフ市への砲撃を阻止した。
 ロシア軍はセヴェロドネツク~ルビジネ~リシチャンスク地域のウクライナ軍陣地を包囲しようとしたが、確認された前進はしなかった。
 ロシア軍は、ポパスナを占領した後、スロビャンスクへの北の高速道路アクセスを確保するために、バフムートへの新たな前進を開始している可能性がある。
 ロシア軍は、西ヘルソン州での体勢を固め、ムィコラーイウ州に押し込もうとしている。
 親露派はTelegramで、ウクライナ軍がイズユムの北40kmで反撃を行っている可能性があると報じたが、ISWは現時点でこれらの報告を確認することはできない。 (2206-051117)

 5月12日 09:15

 ロシア当局が、ウクライナからの国境越しの砲撃によって、民間人1人が死亡したと発表した。 ウクライナからの砲撃によるロシアの民間人の死亡が伝えられたのは初めてである。
 ロシア西部ベルゴロド州知事によると、ウクライナとの国境から10kmの位置にある同州の村が砲撃されて、1人が死亡した。
 ベルゴロド州ではここ数週間の間に、ミサイルや爆弾が原因と思われる爆発が相次いでいるが、ウクライナ側は一連の爆発への関与について肯定も否定もしていない。 (2206-051202)
【註】仮に、砲撃がウクライナ軍のよるもので、米国から供与されたM777 155mm榴弾砲によるものとした場合、M777が使用する通常弾 (M107) の射程は24kmであることから、M777は国境から14km以内で射撃をしたことになる。
 砲側に砲弾を並べ砲班員が暴露した状態で射撃をする牽引榴弾砲は相手から狙撃されるような場所では射撃をできないので、ウクライナ軍はロシア軍と国境から数km以内で接触していることになる。

 5月12日 10:44

 ロシアによるウクライナ侵攻で、ウクライナ軍は11日、東部ハリコフ州で攻勢を続けた。
 州都ハリコフの東方にあるドネツ川沿いにまで露軍を押し返し、露側の補給路を絶つことを視野に入れつつあるという。
 ロシア国境から数kmの地点まで露軍を後退させており、ハリコフ方面でのウクライナ側の反攻作戦が成功しつつある。
 ベラルーシ国防省が10日にNATO加盟国との国境に部隊を配置すると発表したが、ウクライナ内務省顧問は「ベラルーシ側がウクライナを攻撃する可能性は低い」との見方を示した。
 ただウクライナは防衛のため、ベラルーシ国境沿いに一定規模の兵力を配備せざるを得ないとした。
 露国防省は11日、ウクライナの軍事施設に前日夜から500回の攻撃を行い、17の武器保管施設を破壊したと発表した。 (2206-051203)

 5月12日 14:42

 ウクライナ国民防衛隊司令官が11日、ロシアによる侵攻開始以来、隊員561名が死亡し、1,697名が負傷したと明らかにした。
 ウクライナ側もロシア側も自軍の戦死者数を公表しておらず、極めて異例の発表となった。
 内務省管轄の国民防衛隊は2014年にロシアによるクリミア併合と国境近くへのロシア軍集結を受けて創設され、隊員の上限は6万名と法律で定められている。 (2206-051205)

 5月12日 18:45

 ロシア軍はセヴェロドネツク北部でわずかに成果を上げ、ルビジネとヴォエヴォディフカを占領した可能性が高い。
 ロシア軍はハリコフ市周辺でウクライナ軍の反撃を阻止するため、ハリコフ北部のウクライナ軍陣地に火力を集中した。
 ウクライナの陣地に砲兵が焦点を合わせたことで、ハリコフの射程内に残っているロシアの砲兵隊が、ウクライナの進撃を止めるというより緊急の任務に迂回した可能性が高い。
 ロシア軍は、オデーサへの接近に関する黒海北西部におけるウクライナの海上通信と能力を阻止するために、スネーク島での陣地を強化している。 (2206-051213)

 5月13日 10:23

 ウクライナが12日、ここ数日戦闘が再開されている黒海でウクライナ軍がSnake島の近くを航行していたロシア海軍の船舶を攻撃し破損させたと発表した。
 オデーサの当局者によると、船舶はロシア艦隊の新しい補助艦であるVsevolod Bobrovと述べた。

ロイタは独自に詳細を確認できていない。
 ロシア国防省は現時点で、コメント要請に応じていない。 (2206-051304)

 5月13日 18:45

 ウクライナはハリコフの戦いに勝利した可能性が高い。 ロシア軍はハリコフ市北部から撤退を続けた。
 ウクライナ軍は、シヴェルスキー・ドネツ川を強行渡河しようとしたロシア軍を阻止し、セヴェロドネツクとリシチャンスクの包囲を完成させようとするロシアの作戦を阻止している可能性が高い。
 ロシア軍はアゾフスタール製鉄所の西入口付近の高速道路を確保した可能性が高いが、施設のための戦いは続いている。
 ザポリージャ州のロシア軍は、ザポリージャ市外の砲兵射場に到達しようとしている可能性が高い。 (2206-051311)

 5月14日 01:28

 ウクライナ軍が13日に公開した映像によると、苦戦している東部ドンバス地域で再び攻勢を強めようとしているロシア軍が行った渡河作戦は、ウクライナ軍の反撃に合い失敗したもようである。
 ウクライナ軍の映像では、一部が水没した橋の近くに破壊された軍用車両や戦車などが映し出されている。
 英国防省は、東部ルガンスク州セベロドネツクの西方を流れるドネツ川を横断しようとするロシア軍をウクライナ軍が阻止したと発表した。
 英国防省によると、ロシアはセベロドネツクやイジューム周辺に兵力を投入し、スロビアンスクおよびクラマトルスク方面に突破口を開き、ドンバス地域を占領しようとしているという。
 ただ、ロイタは現時点で英国防省の発表および戦闘の発生場所や時期を確認できていない。 (2206-051401)

 5月14日 19:00

 ロシア軍は、セヴェロドネツクへの南からの戦いのため渡河作戦を強行したが、壊滅的な損失を被ったことから、少なくとも一時的には北からの作戦に支障を来している。
 ウクライナ軍は、イズユム周辺で反撃を行うと発表したが、ロシア軍はハリコフ州北部から撤退を続けたが、ベルゴロドからヴォフチャンスク経由でイジュムまでの連絡線を守り維持しようとする可能性が高い。 (2206-051416)

 5月14日 19:04

 ウクライナのゼレンスキー大統領が13日に動画を公開し、ロシア軍から千ヵ所以上の集落を奪還したと述べ、「国土の早期解放」に向けて全力を尽くす考えを表明した。
 米戦争研究所は東部ハリコフ市周辺で同国側が勝利を収め、ロシア軍が撤退を決めた可能性があるとの分析を明らかにした。
 ウクライナ軍の猛反撃で苦戦を迫られているもようである。 (2206-051414)

 5月14日 21:33

 米英の国防当局は13日、ウクライナ東部ドンバス地方の制圧を目指すロシア軍が渡河作戦中にウクライナ軍の攻撃を受け、重大な損失を被ったことを明らかにした。
 露軍が渡河を試みたのはルハンスク州西部のドネツ川で、ウクライナ軍はSNSで露軍部隊の渡河を9回阻止し、計70両以上の戦車や装甲車などを破壊している。 (2206-051415)

 5月15日 07:49

 ウクライナ東部ハリコフ州のシネグボフ知事が14日、ウクライナ軍が露軍の占拠下にある同州の要衝イジュムに向け反攻作戦を開始したと発表した。
 ウクライナメディアは地元自治体が露軍を10km押し戻したことを明らかにしたと報じた。
 ウクライナ軍はイジュムを奪還し、露軍が制圧を目指す東部ドンバス地域の防衛に戦力を集中させる狙いだとみられる。
 一方、ロシア国防省は14日、東部ルガンスク州のウクライナ軍の複数の弾薬庫や軍事拠点にミサイル攻撃や空爆を行い、最大90人の将兵を殺害したと発表した。
 MRLなどもミサイル攻撃で撃破したとしている。 (2206-051503)

 5月15日 14:42

 ウクライナ軍関係者はBBCに対し、東部ルハンスク州でシヴェルシキードネツ川の渡河を狙ったロシア軍の大隊が装甲車のほとんどを失ったと語った。
 ウクライナ軍は3日間で3度、渡河を試みるロシア軍を攻撃したという。
 ウクライナ軍はロシア側の重火器など約70両を排除して渡河を阻止したという。
 BBCは、開戦以降にウクライナで戦うロシア部隊の損失について、公式発表や地元メディア報道、ソーシャルメディア、ロシア軍人の親族への聞き取りなどをもとに検証を続けており、現時点までに2,336名のロシア軍人の死亡を氏名、階級、所属部隊も確認している。
 これはロシア国防省が3月に公式発表した死者数のほぼ2倍にあたる。 ウクライナはこれまでに27,000人近くのロシア兵が死亡したとしている。
 確認されている軍人の犠牲者の20%近くが将校で、この割合はこの3ヵ月間変わっていない。
 犠牲者の25%は偵察活動や襲撃作戦に投入される空挺隊員や海兵隊員である。 (2206-051505)

 5月15日 18:30

 ロシア軍はドネツク州の州境に到達することよりも、セヴェロドネツクの戦いに勝つことを優先する可能性が高い。
 ロシア軍は、イズユム地域での攻勢作戦が失敗したため、スロバキア方向に進出しなかった。 ウクライナの航空部隊は、イズユムの北と東で作戦を続けている。
 ロシア軍はアゾフスタル製鉄所に砲撃、空、海軍の攻撃を仕掛け続けたが、マリウポリの守備隊は陣地を維持した。 (2206-051508)

 5月15日 19:25

 英国防省が15日、ロシア軍が制圧を目指す東部ドンバス地域で攻撃の勢いを失い、作戦が予定よりも「大幅に遅れている」との分析結果を公表した。
 2月の侵攻開始以降、地上戦力の1/3を失い、4月中は実質的な領土の獲得ができず、今後30日間に大きな前進は見込めないとの見方を示した。 (2206-051506)

 5月16日 05:57

 英国防省が15日、ロシア軍が2月の侵攻開始後に投入した地上戦力の1/3を失った可能性が大きいとする分析を明らかにした。
 一方、ストルテンベルグNATO事務総長も15日、ロシア軍がキーウ制圧に失敗しハリコフ周辺から撤退し、ドンバス地方での大規模攻勢は失速したと指摘したうえで、ウクライナはこの戦争に勝ち得ると述べた。 (2206-051603)

 5月16日 10:02

 ウクライナ軍が15日、ロシア軍が新たに2,500名の予備役を投入する準備をしていると発表した。
 ウクライナ軍参謀本部は、ロシアの予備役招集は部隊の損耗補填のためだとしている。
 予備役はウクライナとの国境に近いロシアのボロネジ州、ベルゴロド州、ロストフ州で訓練を行っている。 (2206-051605)

 5月16日 10:30

 ロシアのラブロフ外相が14日、ロシアは欧米諸国からハイブリッド攻撃を受けているが、中国やインドなどとの関係強化により制裁に耐えることが可能だと述べた。
 演説で「このハイブリッド戦争がいつまで続くのか予測は難しいが、影響が全ての人々に及ぶことは明らかだ」と述べた。 (2206-051607)

 5月16日 11:17

 ウクライナが、「大統領閣下、第127ウクライナ領土防衛隊第227大隊は本日、5月15日、ロシア国境に到達したことを報告します」という音声が入った映像を公開した。
 映像には青と黄色のウクライナ国旗を象徴する国境の標識の周りに集まるウクライナ軍兵士の姿が映っている。
 撮影場所は明らかにされていないが、ハルキウ州とみられている。
 西側軍事筋はハルキウ戦線でロシア軍の進撃が止まったとの見方を示している。 ウクライナもドネツク州でロシア軍を押し戻したと発表している。
 また、ハルキウ州知事によると、東部のイジュームでもロシア軍の進撃が止まったという。 (2206-051608)

 5月16日 12:47

 ドンバス地方の制圧を目指すロシア軍の作戦について英国防省が13日の戦況報告で、ロシア軍が現地で抵抗を続けるウクライナ軍部隊の孤立化を図るため包囲しようとしているとの見方を示した。
 ただ、ロシア軍は渡河作戦に失敗するなどし、引き続き苦戦しているという。
 報告によれば、ロシア軍がウクライナ軍を西方からの支援や増援を断ち切るためスラビャンスクやクラマトルスクに向け、北方や東方からの進撃を試みているのに対し、ウクライナ部隊は東部ルガンスク州セベロドネツクの西方を流れるドネツ川の仮設橋を渡ろうとするロシア部隊を攻撃し、大きな損害を与えたとされる。
 報告はロシア側がリスクの高い渡河を試みた背景に、作戦で進展を得なければならないと「司令部が圧力にさらされている」ことがあると分析した。 (2206-051609)

 5月16日 14:55

 ウクライナ軍が5月14日、ウクライナ軍に押し戻されたロシア軍がハルキウから撤退を開始したことを明らかにした。
 ロシア軍から奪還したハルキウ郊外の村では、ウクライナ軍が掃討作戦を実施し、残留ロシア兵がいない1軒1軒確認に当たっている。
 国境まで押し戻されたロシア軍は依然として砲撃を継続しており、ウクライナ軍も米国とNATO加盟国から供与された榴弾砲で応戦するなど、ハルキウ戦線の戦いは新たな段階に突入した。
 ハルキウから、ロシア国境までは40km足らずで、戦前の人口140万人のほとんどがロシア語をしゃべる。
 ロシアは侵攻初期の段階で同市の制圧を目論んでいたが、ハルキウとその周辺の農村部は相次いでウクライナ軍が奪還した。 (2206-051611)

 5月16日 16:55

 ウクライナ軍が5月13日、ロシア軍がハルキウから撤退を開始したことを明らかにしたが、ロシア軍の撤退を受けて、ウクライナ軍と市職員は、戦死して放置されたロシア軍兵士の遺体収容に着手し、13日だけでハルキウ周辺の複数の村から、少なくとも41人の遺体を収容した。
 遺体はロシアへの返還に備えて冷凍貨車に仮安置しており、13日にはキーウと周辺都市で、数百名の遺体が冷凍車に安置されたという。
 ウクライナとロシアは、遺体の本国送還に関する正式な合意に達していないことから、このままだと数百人、あるいは数千人の遺体が送還されないという事態もありうる。 (2206-051613)

 5月16日 18:30

 ロシアとウクライナが16日に、負傷したウクライナ軍人264名をアゾフスタル製鉄所から避難させる交渉を行った。
 ウクライナ軍はハリコフ市の北にあるロシア国境に到達した。
 ロシア軍はドネツク州とルハンスク州で地上作戦の失敗を続け、16日には確認された前進をしなかった。
 ロシア軍はザポリージャ州での陣地を強化し続けている。 (2206-051617)

 5月17日 07:10

 英情報筋が16日までに、ウクライナの西部領空にNATOの偵察機が進入し、東部のロシア軍の動きをリアルタイムで監視、ウクライナ軍と情報を共有していると明らかにした。
 ウクライナはこれを基にロシア地上部隊の位置を高精度で特定し、米欧が供与した榴弾砲を使い攻撃を強化している。 ウクライナ領空での偵察は最近始まった。
 空域と対地上監視を行っているのはAEW&C機でこれを戦闘機2機が援護してポーランド国境から50kmのリビウ周辺を飛行しているという。
 NATO側は監視活動であり、軍事行動ではないと位置付けている。
 ロシア側は戦闘機を接近させるなどして偵察活動を阻む動きは、これまでのところない。
 西側情報関係者の間では、ウクライナに情報を提供するだけでなく、ロシアの出方を試すのも目的ではないかとの見方もある。 (2206-051704)

 5月17日 09:23

 ウクライナ軍参謀本部が声明で、軍最高司令部はアゾフスターリ製鉄所に駐留する部隊の指揮官に対し、「マリウポリの守備隊は戦闘任務を完遂した戦闘任務を終了したとし、隊員の命を救うよう命令したことを明らかにした。
 この中にはアゾフ部隊やウクライナ国家親衛隊第12旅団、第36独立海兵旅団、警察、義勇兵、マリウポリの領土防衛隊が含まれるとした。 (2206-051705)

 5月17日 10:05

 リビウ州軍政トップがポーランド国境から15kmのウクライナ軍基地が17日未明にロシアのミサイル攻撃を受けたことを公表した。
 リビウ中心部では空襲警報が鳴り響いた直後の00:45頃に複数の爆発音が聞こえ、警報は01:15に解除された。
 北西40kmのヤボリウには軍施設があり、ロシアによるウクライナ侵攻開始以降に少なくとも3回攻撃の対象になっている。 (2206-051706)

 5月17日 10:46

 ウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で16日、製鉄所内からのウクライナ兵の退避が始まった。
 包囲下で抵抗を続けてきたウクライナ内務省軍のアゾフ連隊は同日、任務を完了したとSNSに投稿した。
 2ヵ月半に及ぶロシア軍による製鉄所の包囲が終わり、ロシア軍が要衝のマリウポリを制圧下に置く可能性がある。 (2206-051707)

 5月17日 19:00

 ウクライナ軍司令部は、アゾフスタルの残りの守備隊に、捕虜交換としてウクライナに帰還することを期待して、おそらく条件付きで降伏するよう命じた。
 条件付き降伏の可能性の発表はロシア社会で反発を買い、降伏したアゾフスタールでの捕虜交換を禁止する法律をロシア下院に要求した。
 ロシア軍はドンバスで限定的な前進を続け、主にセヴェロドネツクの戦いに重点を置いた。 (2206-051714)

 5月17日 19:03

 ロシア軍が包囲するマリウポリのアゾフスターリ製鉄所で17日、数週間にわたる籠城を続けていたウクライナ兵が投降した。
 ウクライナ軍参謀本部は17日未明、製鉄所を防衛する守備隊の任務を終了したと表明した。
 ロシア国防省は17日、製鉄所に立てこもっていたウクライナ兵について、過去24時間に265人が投降しうち51人は重傷を負っていると表明した。 (2206-051711)

 5月18日 06:04

 英Times紙が西側諸国の複数の軍関係者の話として17日、プーチン露大統領が、通常なら大佐以下が決めるようなレベルのロシア軍の細かい戦術決定に関与していると報じた。
 ゲラシモフ参謀総長も失脚説が出ているものの同様に細かい動きを指示しており、まだ職務に従事していると考えられる。 (2206-051802)

 5月18日 09:33

 マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で17日、数週間にわたる籠城を続けていたウクライナ兵が投降した。
 マリウポリはロシア側の管理下に入り、苛烈を極めた同製鉄所の包囲戦は幕引きを迎えた。
 ウクライナ国防省のマリャル次官によると、兵士らは東部の親露派支配地域ノボアゾフスクの病院や、同じく親露派地域のオレニフカに移送された。
 マリャル次官は、全員がロシアとの捕虜交換する場合の対象になると述べた。
 ただロシア議員からは兵士らを死刑に処すべきとの意見も出ており、処遇がどうなるかは不明である。
 ロシアのペスコフ大統領報道官は17日、投降した兵士らを「国際基準に従って」扱うことをプーチン大統領が保証したと述べた。 (2206-051804)

 5月18日 14:43

 ロシアはウクライナ南東部のマリウポリを完全に制圧しつつあるが、ロシア軍が甚だしい損害を受け、大きく前進するための兵力が不足しているためマリウポリを含むドンバス地域全体を支配しようとする戦いは敗北の公算が高まってきた。
 ウクライナ側は西側諸国の最新鋭兵器を装備して戦力が増強されており、プーチン大統領としては力が弱まったウクライナ侵攻部隊を復活させるために、より多くの人員と装備を前線に投入するべきかどうか決断を迫られるかもしれない、と複数の専門家は話す。
 ポーランドに拠点を置くコンサルティング企業ロチャンのディレクターはロシア軍について「現有の兵力のまま負けるか、新たな動員があるかのどちらかで、その中間の事態はないと思うと述べた。 (2206-051807)

 5月18日 18:29

 ロシア国防相が18日、マリウポリのアゾフスターリ製鉄所に立てこもっていたウクライナ兵について、16日以降これまでに959名が投降したと発表した。 うち80名は負傷者という。
 過去24時間では負傷者24名を含む694名が投降し、軍事組織「アゾフ連隊」の兵士も含まれると述べた。
 ロシア国防相はまた、ドネツク州のソレダー地域をミサイルで攻撃しSu-24や武器庫、S-300などを破壊したという。 米国製のM777榴弾砲も攻撃したと述べた。
 ロイターはロシア国防相の主張を独自に確認できていない。 (2206-051811)

5月18日 19:00

 ロシア軍はここ数日の撤退にもかかわらずアゾフスタル製鉄所に空爆と砲撃を続けており、ウクライナ軍の一部が工場内に残っていることを示している。
 ロシア軍はセヴェロドネツクへの攻撃準備を続け、ライマン周辺の作戦を強化した。
 ロシア軍は、ハリコフ市北でのウクライナ軍の更なる前進を防ぐため国境付近の陣地を堅持することを優先し続けており、他の前進軸への追加増援を犠牲にし続ける可能性が高い。
 ロシア軍はウクライナ南部での、前線に沿ってロケット弾、ミサイル、砲撃を行うことに集中した。 (2206-051812)

 5月18日

 ウクライナが5月7日、Bayraktar TB2 UAV 1機でロシア海軍Project 11770 Serna級揚陸艇1隻をZmiinyi (Snake) 島近くで破壊したと発表した。
 ロシア海軍はSerna級を12隻保有しており、そのうちの2隻が黒海に配置されていた。
 Serna級は全長25.6m、幅5.8mで100名または45tの物資を輸送できる。 (2208-051806)

 5月19日 07:01

 米国防総省高官が18日、ウクライナ東部ドンバス地方におけるロシア軍の攻撃が「小規模で目標も限定的となってきた」との分析を示した。
 この高官によると、ここ数日でロシア軍の攻撃は大隊ではなく中隊規模と小規模化し、町や村単位の小さな前進を目指す傾向がみられるようになった。 (2206-051902)

 5月19日 17:30

 ロシア軍は、セヴェロドネツクへの攻撃に備え、ポパスナの北と西に前進する作戦を強化している。
 マリウポリのロシア当局と代理当局は、マリウポリ市での行政機構を確立するのに苦労している。
 伝えられるところによれば、ロシア軍はハリコフ市北で失った占領地の支配を取り戻そうとした。
 ロシア軍は、スネーク島周辺海域の海軍を増強し、島との連携を強めている。 (2206-051908)

 5月19日 23:04

 ウクライナのアレストビッチ大統領府長官顧問が19日、ロシア軍の占領下にある南部ザポロジエ州メリトポリで反露武力闘争が行われていると明らかにした。
 ザポロジエ州当局は18日、「メリトポリで露軍の人員を乗せた装甲列車が爆破されたとみられる」と発表した。
 アレストビッチ顧問は19日、「爆発は装甲列車が通る前に起き、線路を損傷させたが、列車に損傷はなかった」と述べる一方、「占領下の地域ではパルチザンが活動し、成功を収めている」と述べた。
 17日には地元メディアが、市内で露軍の将校2名が殺害されているのが見つかったとも報じていた。 (2206-051909)

 5月20日

 ロシア国防省が19日、マリウポリのアゾフスターリ製鉄所に立てこもっていたウクライナ兵がさらに771名投降したと発表した。
 16日からこれまでに投降した兵士は1,730名に上る。
 ただ、同製鉄所には依然として数百名の兵士が残り抵抗を続けているとみられ、ロシアによる制圧は足踏み状態にある。
 製鉄所に立てこもっていたアゾフ大隊のパラマル副司令官は18秒間の動画を公開し、同司令官らはまだ製鉄所内に残り、ある作戦が進行中だと述べ、その詳細は明かせないとした。
 製鉄所内に何人の兵士が残っているかは不明である。 (2206-052002)

 5月20日 17:30

 ロシア軍は、南からセヴェロドネツクへの攻撃を続けるために、ポパスナの北、西、南で僅かに前進した可能性がある。
 ロシアは、ウクライナ兵と交換される可能性のあるロシア人捕虜の数を最大化するために、アゾフスタルで投降したウクライナ軍守備隊の数を誇張している可能性がある。
 伝えられるところによれば、ロシア軍はハリコフ市の北でウクライナの反撃によって取られた特定の位置を取り戻した。
 ロシア軍は、ウクライナの大規模な反撃と、南部でのにおける長期戦に備えている可能性が高い。 (2206-052009)

 5月20日 21:28

 マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で抵抗を続けていたアゾフ連隊のプロコペンコ司令官が20日、ウクライナ軍が戦闘停止を命じたことを明かした。
 プロコペンコ司令官はTelegramに投稿した動画の中で「軍の上層部が、連隊の兵士の命を救うため、市の防衛任務を停止するよう命令を下した」と話した。
 司令官によると、戦死者の遺体を製鉄所から運び出すための対応が進められているという。 (2206-052012)

 5月21日 00:27

 ロシア軍が19日、ウクライナ東部ルハンスク州のほぼ全域に対して、激しい攻撃を繰り返した。
 TASS通信によると、ショイグ国防相は20日にルハンスク州全域の制圧が近づいていると主張した。
 州知事は、少なくとも市民13人が死亡したと明らかにし、また20日には200人以上が避難していた学校が砲撃を受け、3人が死亡したとしている。 (2206-052101)

 5月21日 07:52

 ロシアInterFax通信が、ロシア国防省が20日にマリウポリを完全に制圧したと主張したと報じた。
 抵抗の拠点となっていた地下施設も含め、アゾフスターリは完全にロシア軍の支配下に入ったとしている。
 ロシア国防省によると、アゾフスターリからは20日にウクライナ兵士の最後のグループ531名が投降し、投降したウクライナ兵士が2,439名になったとも発表した。 (2206-052103)

 5月21日 17:30

 ロシア軍は、セヴェロドネツクとドネツク川対岸のリシチャンスク間を分断する作戦を行っている。
 ロシア軍は、国境へのウクライナのさらなる前進を防ぐために、ハリコフ市周辺で兵力を増強している可能性が高い。
 ロシア軍は、ザポリージャ州とヘルソン州の特定の地域で部隊を結集し、ウクライナ南部でさらなる攻撃を開始している可能性がある。 (2206-052107)

 5月22日 14:32

 ウクライナのゼレンスキー大統領が21日夜、ロシア軍が2月下旬以降にこれまで1,873ヶ所の教育関連機関を破壊したことを明らかにした。
 1,873ヶ所には、小学校、大学、幼稚園やほかの教育関連機関が含まれる。
 ゼレンスキー大統領によると、キーウで会談したポルトガルのコスタ首相がウクライナの学校や幼稚園の再建への支援を申し出たという。 (2206-052201)

 5月22日 17:30

 ウクライナの情報筋は、ロシア軍が少なくとも5月20日以来、ポパスナの北と西へ進出していることを確認した。
 ロシア軍は、セヴェロドネツク包囲を支援するために、さらに西のバフムートの北に進出しようとする可能性が高いが、急速に前進する可能性は低い。
 ロシア軍は、ウクライナ軍の攻撃に対してドネツ川西岸を固め、ウクライナ軍がイズユムへのロシアの連絡線を脅かすのを防ごうとする可能性が高い。
 ロシア軍は、ウクライナ南部での攻撃を再開する準備をしている可能性が高い。 (2206-052202)

 5月22日 19:29

 ルガンスク州のガイダイ知事が22日、ロシア軍がセベロドネツク市に4方向から攻撃したが、ウクライナ軍が撃退したと発表した。
 ガイダイ知事は21日には露軍が同市とリシチャンスクを結ぶ橋を破壊して両市を孤立させ、ウクライナ軍の防衛を困難にする狙ったが、知事は両市間の連結は維持されているとした。
 更に知事は露軍が同州全域の制圧に全力を注いでいるとするが、ウクライナは同州の10%をなお保持し、露軍の前進を阻止しているとした。
 21日にドンバス地域の40以上の集落が露軍の攻撃を受けたが、ウクライナ軍はドネツ川で再び露軍の渡河作戦を失敗させ、少なくとも1個BTG相当の損害を与えたと発表した。
 露軍は5月中旬にもドネツ川の渡河に失敗しており、英国防省によるとこの際にも露軍は1個BTG相当の損害を受けた。 (2206-052203)

 5月23日 17:22

 英国防省が23日、ロシアがウクライナ侵攻開始以降の3ヵ月間に出したロシア軍の戦死者数が、ソ連が9年間のアフガニスタン侵攻で出した戦死者数に相当する可能性が高いと発表した。
 ロシア軍の死者数についてウクライナ軍は22日時点で29,000名としているが、英国防省は4月25日時点で15,000名と推定している。
 一方ロシア国防省は3月25日に1,351名と発表して以降、新たな数字は発表していない。 (2206-052305)

 5月23日 17:30

 イズユム周辺のロシア軍は空爆と砲撃の頻度を上げ、今後数日のうちに停滞していた攻撃作戦を再開しようとする可能性が高い。
 セヴェロドネツクを包囲するロシアの作戦は、過去24時間でわずかに前進し、ゾロテを通って北上した。
 セヴェロドネツク北のライマンでは、ロシア軍がウクライナの補給線を遮断しようとして戦闘が続いている。
 ロシア軍は近い将来、ポパスナの西でさらに小さな前進を遂げる可能性が高いが、バフムートを素早く占領できる可能性は低い。
 ハリコフ北東のウクライナの反撃は、ロシアの陣地を脅かし続けており、ロシアはヴォフチャンスク近くの防衛陣地を強化するために、ウクライナ東部で進行中の攻撃作戦から部隊を引き抜くよう強いている。 (2206-052306)

 5月24日 09:39

 ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事が23日、ロシア軍は現在同州に25個の大隊戦術群12,000名を投入し、ルガンスク州の孤立化か、同州の重要都市セベロドネツクの制圧のどちらかだと指摘した。 ただ、ウクライナ軍も増強されており、露軍を撃退し続けているとした。
 ウクライナ側は、露軍が面積の90%を占領しているルガンスク州を制圧した後、隣接するドネツク州の攻略に戦力を集中させる戦略だと分析しているが、露軍はここ数週間、ルガンスク州でもわずかしか前進できておらず、戦況は膠着している。 (2206-052404)

 5月24日 17:30

 ロシア軍は、ウクライナ東部の大規模なウクライナ軍包囲作戦を放棄し、代わりにより小規模な包囲を行い、セヴェロドネツクに集中しようとしている可能性が高い。
 ロシアのこの変化は、小規模な前進を可能にしているが、代わりにいくつかの前進線を放棄し、ウクライナ東部におけるウクライナ軍の縦深にわたる包囲を放棄している。
 ウクライナ軍は補給線を守るため、バフムート近くのポパスナの南西で撤退を行っている可能性が高い。
 ロシア軍はハリコフ州北部のテルノヴァを奪還しようとしており、ウクライナの反撃に対してロシア国境近くの防御陣地を安定させようとしている。 (2206-052407)

 5月25日 03:08

 ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ州知事がラジオ放送で、スビトロダルスクを含む3つの町がロシア軍に制圧されたと語った。
 これに先立ち、親露派のドネツク人民共和国はTelegramへの投稿で、スビトロダルスクが制圧され、ウクライナ国旗がロシア国旗に置き換えられたと投稿していた。 (2206-052503)

 5月25日 08:34

 ロシア軍が24日、ウクライナ東部2都市の包囲に向けて総攻撃を仕掛けた。
 ドネツク州知事は、スビトロダルスクを含む3つの町がロシア軍に制圧されたと、ラジオ放送で語った。
 ロシアが戦力を集中して、ドンバス地方で親露派が権利を主張するドネツク州とルハンスク州を掌握し、ウクライナ軍を東部戦線の限られた地域に封じ込めようとしており、ドンバスでの作戦の成否を左右する可能性がある。
 ウクライナ国防省報道官は、ロシアのウクライナに対する全面侵攻は現在、最も活発な段階に入っているとし、「東部戦線の状況は極めて困難で、ウクライナの運命は今まさに東部戦線で決定されようとしていると述べた。 (2206-052506)

 5月25日 09:59

 ウクライナのドネツク州政府が24日、ロシア軍がスビトロダルスク市を制圧し、ウクライナ軍は撤退したと明らかにした。
 同政府は、これはウクライナ軍の撤退ではなく再編成だと述べた。
 親露派のTelegramには市庁舎にロシア国旗が掲げられた画像が投稿された。 (2206-052507)

 5月25日 17:30

 ロシア軍はセヴェロドネツクの南西にあるウクライナの地上連絡線 (GLOC) を遮断し、ルハンスク州での包囲作戦を完了するために、ポパスナの東と西の前進を優先した。
 ロシア軍はライマンに進入した可能性が高く、この足場を使ってイズユム南東の進軍と調整し、シヴェルスクに攻撃を仕掛ける可能性がある。
 ロシア軍はセヴェロドネツクの南西と北西のウクライナのGLOCを完全に遮断する前に、セヴェロドネツクの戦いを開始する可能性がある。
 ロシア軍は東部で活動するウクライナ軍の重要な兵站拠点を混乱させようとして、ザポリージャ市を攻撃した。 (2206-052511)

 5月26日 08:34

 ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事がセベロドネツクをめぐるロシア軍との攻防について25日にTelegramで、露軍は同市に包囲に成功していないと表明した。
 露軍は同州内でウクライナ政府が統治する最後の主要都市であるセベロドネツクの制圧に向けて集中攻撃を仕掛けており、ルガンスク州の親露派勢力は25日に包囲に成功したなどと主張していたが、ガイダイ知事は物資の輸送も依然可能だとし、事実ではないと指摘した。
 米戦争研究所は、露軍がこれまで進めてきたウクライナ東部を広範囲にわたり包囲する戦略から、小規模な地域を包囲して制圧する作戦に転換したとの見解を示した。
 また露軍がセベロドネツクの包囲に成功した場合は、市内での市街戦に突入すると分析した。 (2206-052602)

 5月26日 10:34

 ウクライナ東部ドンバス地方の完全掌握を目指すロシア軍が25日、同地域の都市セベロドネツクと近隣のリシチャンスク市に激しい攻撃を加えた。
 ロシアは数千名を投入し、三方面から同地域を攻撃してウクライナ軍を包囲しようとしている。
 ウクライナのアレストビッチ大統領府長官顧問は、両市でロシア軍は戦術的な成功を収めつつあり、作戦成功につながる恐れがあり、セベロドネツクとその南東にある町バフムートが包囲される危険性があるとも語り、それらの集落を手放し、大きな痛手を負う可能性があると述べた。
 両市が陥落すればルガンスク州全域がロシアの支配下に置かれるとみられる。
 ロシア政府はこれまでに掌握した地域で支配を固めようとしており、プーチン大統領は南部のへルソン州とザポロジエ州の住民がロシアの市民権およびパスポートを取得する手続きを簡素化する大統領令に署名した。 (2206-052603)

 5月26日 17:30

 ロシア軍がイズユムの南東への進撃を試みたものの失敗に終わったが、セヴェロドネツク周辺で着実な前進を続け、今後数日のうちにセヴェロドネツク~リシチャンスク地域を完全に包囲しようとする可能性が高い。
 ロシア軍はポパスナの南と西でバフムートに向かって前進を続けたが、ロシア軍の前進のペースは町自体に近づくにつれて遅くなると見られる。
 南ウクライナ占領地域のロシア軍はこの地域を長期的に支配し、ウクライナの反撃を撃退する準備をするために、第三の防衛線を準備していると伝えられている。 (2206-052608)

 5月27日 08:11

 ウクライナ軍が26日、ロシア軍がドネツク州でさらに前進し、要衝の町バフムトから16kmに位置する地区を奪取したと認めた。
 ウクライナ軍参謀本部によると、ロシアのいくつかの前進は阻止されたものの、ポクロフスキーとクリノベの方面では部分的な成功を収め、ミドナ・ルダ村を奪取したという。
 ミドナ・ルダ村はここ1週間激しい砲撃にさらされているバフムトの南東16kmに位置する。
 バフムトは前線のウクライナ部隊への主要な補給路上にあり、ロシア軍がさらに前進すれば補給路が断たれる可能性もある。 (2206-052701)

 5月27日 09:49

 ウクライナ東部ハリコフの当局がTelegramで、市の中心部で26日にロシア軍の攻撃により民間人7人が死亡、17人が負傷したことを明らかにした。
 ハリコフとその周辺ではウクライナ軍の攻勢により露軍占領地の奪還が進み、市内では24日に地下鉄の運行が再開されるなど市民生活が回復しつつあったが、露側が同市の攻略に向け攻撃を再開した可能性がある。
 ロイタ通信が、露軍が制圧に向けて猛攻を仕掛けている東部ルガンスク州の要衝セベロドネツクをめぐり、同州のガイダイ知事は26日に露軍が同市近郊の高速道路を一時的に掌握したと明らかにしたと報じた。
 その後ウクライナ側が奪還したものの、露軍が激しい攻撃を加えているという。 (2206-052704)

 5月27日 11:33

 米国防当局幹部が26日、現在も続くウクライナでの戦争でロシア軍がこれまでに戦車1,000両近くと350門を優に超える砲、36機の戦闘爆撃機と50機以上のヘリを失ったと述べた。
 ただし、これだけの損失があってもロシアはまだ能力の大部分を残していると米国は評価しているという。
 この高官は、ロシアはこの戦いに非常に多くのハードウェアと人員を投入しており、ウクライナ、ロシアの双方が損失を被っていると述べた。
 また、ロシアは人員、装備、武器で、この戦いに注入できる資産の数で優位に立っており、我々はそのことに留意しなければならないとも付け加えた。 (2206-052706)

 5月27日 17:30

 ロシア軍は、セヴェロドネツク市を完全に包囲せずに突入を開始したことから、同市を占領するのに苦労する可能性が高い。
 ライマンのロシア軍は、イズユムで停滞している部隊を支援する南西部と、南東部からシヴェルスクを攻撃する二手に分かれているように見えるが、今後数日内にいずれの目標も達成に苦労するであろう。
 ポパスナのロシア軍は、西のバフムートに向かって前進するのではなく、セヴェロドネストクの包囲を支援するために北に進撃しようとしている。
 ハリコフ市の北東では、ロシア軍に対するウクライナ軍による大規模な攻撃はなく、おおむね平静なままである。
 ロシア軍は南部に沿った防御陣地を強化し続け、ヘルソン地域をロシアの経済政治体制に組み込もうとする取り組みを進めている。 (2206-052710)

 5月27日 19:01

 ウクライナ東部の親露派が27日、鉄道の重要な拠点となる町ライマンを完全掌握したと表明した。
 ウクライナの工業地帯であるドンバス地方を巡るロシア軍の三方向攻撃で、ライマンはそのうちの一つである北側からの攻撃に対する主要な前線となっていた。
 ゼレンスキー大統領の顧問を務めるアレストビッチ氏はソーシャルメディアに投稿した動画で「未検証のデータによると、われわれはライマンの町を失った」と述べ、ロシア側の戦術が改善しているとの認識も示した。 (2206-052713)

 5月27日 19:54

 ジョンソン英首相がBloomberg UKに対し27日、プーチン露大統領がドンバス地方で緩慢ながらも明白な進展を遂げているとの認識を示した。
 首相は「残念ながら、プーチンはドンバス地方を破壊し続けている」と発言し、われわれが引き続きウクライナ軍を支援することが極めて重要だ」と述べた。
 また、ウクライナにはMLRSなど、追加の軍事支援が必要であり、紛争を終わらせなければならないと発言した。 (2206-052714)

 5月27日 20:31

 ウクライナ軍が、東部ドンバス地方のルガンスク州でロシア軍の猛攻にさらされており、ガイダイ州知事によると、ウクライナの支配地域は5%に縮小して、残る都市セベロドネツク周辺ではロシア軍が三方向から包囲を進め、退路を断たれたウクライナ部隊が完全に孤立する恐れが出ている。
 ロシア軍は兵力を集中させてセベロドネツク一帯への無差別攻撃を継続しており、ウクライナのメディアは第2のマリウポリになると警鐘を鳴らしている。 (2206-052715)

 5月28日 06:54

 ウクライナ東部のルガンスク州を含むドンバス地域でロシア軍が攻勢を強め、ウクライナ側の苦戦が明らかになっている。
 ルガンスク州のガイダイ知事は27日、州の大半の地域がロシア軍の手に落ちる中、ウクライナ軍は捕虜になるのを避けるために、最後まで残っている州内の拠点から撤退せざるを得なくなる可能性があるとの見方を示した。
 ガイダイ知事によると、ロシア軍はルガンスク州の要衝セベロドネツク市を数日間包囲したのち、同市に侵入した。
 ただ知事はTelegramへの投稿で「ロシア軍は向こう数日間でルガンスク州を占領することはできない」とも述べた。
 ウクライナ軍が撤退した場合、ロシアはルガンスク州とドネツク州の完全制圧に一歩近づくことになる。 (2206-052804)

 5月28日 09:55

 ウクライナ空軍はfacebookへの投稿で、同軍のMiG-29が27日14:00頃に南部ヘルソン州上空でロシアのSu-35を撃墜したと述べた。
 米当局者によると、ウクライナ空軍のMiG-29は老朽化が進んでいるものの、他国からの予備部品の到着により、侵攻開始前よりも多くの戦闘機を使用できるようになった。
 ロシア国防省はウクライナ軍機を撃墜したと何度も主張しており、ウクライナ空軍の現在の戦闘能力を見極めるのは難しい。 (2206-052806)

 5月28日 17:30

 ロシア軍はセヴェロドネツクとその周辺への攻撃を行い僅かに前進した。
 ハリコフのロシア軍は、ウクライナの反撃がハリコフとベルゴロドの国境に到達するのを防ぐことに努力を集中し続けている。
 ウクライナ軍は、ヘルソン市の北東約70kmのヘルソン州とムィコラーイウ州境付近で反撃を開始しインフレーツ川を渡った可能性がある。
 ロシアが南軸で保管されたT-62を使用していることは、ロシアの物量能力での問題を呈している。
 ウクライナのパルチザン活動は、ヘルソン州とザポリージャ州のロシア占領軍に負担を課し続けている。 (2206-052808)

 5月29日

 ロシア軍はセヴェロドネツクを完全に掌握する作戦を続けた。
 ロシア軍はイズユムの南東で攻撃を続けたが、スロバキアに向けて確認された前進はなかった。
 ロシア軍は、バフムート北東部のウクライナ地上連絡線 (GLOC) を分断するための攻撃を継続しており、バフムートを直接攻撃する可能性は低いと思われる。
 ヘルソン州北西部でのウクライナの反撃はロシア軍に防御戦を強いており、ロシアのウクライナ南部占領地域での支配強化を混乱させる可能性が高い。 (2206-052901)

 5月30日 06:09

 ウクライナ東部でロシア軍が攻勢を強めるなか、ウクライナ軍は南部ヘルソン州で反撃を開始した。
 ウクライナメディアなどによると、ロシア軍が制圧を宣言している南部ヘルソン州で28日、ウクライナ軍が空軍や砲撃隊の支援を受けてロシア軍の防衛線から9kmの地点まで進出したという。
 ウクライナの軍事専門家は「ロシア軍は現場の兵士だけでなく司令部も混乱に陥った」と指摘している。
 ヘルソン州はクリミア半島の重要な水源で、ロシア軍が全域の制圧を宣言しており、ロシア側は編入に向け住民投票を計画しているほか、ロシア国籍取得の簡素化を進めるなど実効支配を強めていた。 (2206-053002)

 5月30日 17:30
 ロシア軍はセヴェロドネツクの地域を徐々に占領しているが、まだ完全には包囲していない。
 ロシア軍は、スロビャンスクとバルヴィンコーヴェへの攻撃を再開するためにイズユムの近くで小規模な攻撃のみを行った。
 ロシア軍はスロビャンスクに向けて漸次前進を続けており、今後数週間で街を攻撃しようとしているが、決定的な勝利を得る可能性は低い。
 ハリコフのロシア軍は、ウクライナの反撃がハリコフとベルゴロドの国境に到達するのを防ぐことに努力を集中させ続けており、ウクライナ軍はここ数日、この地域で重要な作戦を行っていない。
 ヘルソン州北部でのウクライナの限定的な反撃は、過去48時間でそれ以上の地積を獲得しなかったが、ロシアの作戦を混乱させた。
 ロシア軍はインフレーツ川東岸のウクライナ軍の橋頭堡に対し何度か攻撃を仕掛けたが失敗に終わった。 (2206-053007)

 5月30日 17:40

 ウクライナ東部ルハンスク州軍政トップのハイダイ氏が30日、ロシア軍が同州セベロドネツクの中心部に進攻中だと述べた。
 ハイダイ氏によると29日の攻撃では2人が死亡し、4人が負傷し、50軒の住宅が破壊されたという。
 ハイダイ氏はロシア軍が市の北東部及び南東部郊外への支配を強めており、セベロドネツクと隣接するリシチャンスクを包囲しようとしていると述べた。 (2206-053008)

 5月30日 23:39

 ウクライナ軍参謀本部が30日、セベロドネツクの北東と南東の郊外に露軍が侵入し、ウクライナ軍との間で激しい戦闘が起きていると発表した。
 同州のガイダイ知事は30日、露軍が同市中心部に向かって前進を図っており、露軍の砲撃で少なくとも市民2人が死亡したという。
 ウクライナ側によると、セベロドネツクでは9割の建物が損傷を受けたとしている。
 ウクライナ軍参謀本部によると、露軍は占領した鉄道交通の要衝である東部ドネツク州リマンで部隊を増強し、スラビャンスク方面への攻勢を準備している。 (#2206-053009)

 5月31日 12:29

 TASS通信が、ウクライナ東部の親露派武装勢力であるルガンスク人民共和国の指導者パセチニク氏が31日午前、ロシア軍がルガンスク州セベロドネツクの1/3を制圧したが、攻撃には予想以上の時間がかかっていると述べた。 市内では戦闘が続いているという。
 TASS通信によると、セベロドネツクにある複数の大型化学工場がロシア軍の進軍の妨げになっている。 (2206-053104)

 5月31日 15:26

 ロシア軍はセベロドネツクに引き続き攻勢をかけ半分を制圧したもようだが、ウクライナ軍も抵抗を続けており、当初の想定より完全掌握に時間を要している。
 ルガンスク州のガイダイ知事は31日に国営TVに対し、ロシア軍がセベロドネツクの中心部に向けてゆっくりと前進していると述べた。
 防衛に当たっているウクライナ軍は川を渡ってリシチャンシクまで後退できるため、包囲される恐れはないとの認識を示した。 (2206-053106)

 5月31日 17:30

 ロシア軍は、イズユムの南東とライマンの西からスロビャンスクへの攻撃を激化している。
 ロシア軍はセヴェロドネツク内外で成果を上げている。
 ロシア軍はセヴェロドネツクからドネツ川の渡河を避け、トシキフカからリシチャンスクに前進する可能性が高い。
 ヘルソン州におけるロシアの部隊は、ヘルソン州北西部における限定的なウクライナの反撃で圧力を感じている可能性が高いが、ロシアは現在、作戦の焦点をセヴェロドネツクの占領に向けている。 (2206-053109)

 6月01日 04:15

 ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事が31日、セベロドネツクの大半がロシア軍の手に落ちたと明らかにした。
 セベロドネツクはまだ包囲されていないとしながらも、ロシア軍による砲撃で人道支援物資を届けることも民間人の避難も不可能になっているとした。 (2207-060103)

 6月01日 06:07

 ウクライナ国家特殊通信情報保護局が31日、ロシア軍が占領しているヘルソン地域で全ての通信機器の電源が切られたほかケーブルが切断され、固定電話と携帯電話が使えなくなりインターネットも遮断されていることを明らかにした。
 これに先立ちゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍は南部ヘルソン周辺、および首都キーウ東方のハリコフで成功を収めていると述べていた。 (2207-060104)

 6月01日 07:31

 ウクライナ東部ルハンスク州軍事行政トップのハイダイ氏がセベロドネツク市の戦況について、ロシア軍が市の大半を支配しているとの認識を示した。
 ただ、現地のウクライナ軍が今後包囲されるとの見方は否定した。
 セベロドネツクからの退避の可能性については現時点ではないとし、「非常にリスクが高く、無傷で脱出できる可能性は非常に少ない。
 人々の命を危険にさらす意味はない」と説明した。 (2207-060105)

 6月01日 17:30

 ロシア軍はスロビャンスクの北に僅かに前進したと伝えられているが、スロビャンスクへの道をまだ支配できていない可能性が高い。
 ロシア軍は、セヴェロドネツクからドネツ川を渡河しないで、南と西からリシチャンスクに向かって攻撃しようとしているが、これまでのところ成功は限られている。
 ロシア軍はアヴディイフカの北で僅かに前進した。
 伝えられるところによれば、ロシア軍はウクライナの反撃に対抗して、ダヴィディフ・ブリッド近くのインフレーツ川に架かる橋梁を破壊した。 (2207-060113)

 6月01日 19:03

 ウクライナ軍によると、ロシア軍はセベロドネツクの北部、南部、東部で引き続き攻勢をかけている。
 ルガンスク州のガイダイ知事によると、セベロドネツクの70%をロシア軍が掌握した。
 ガイダイ知事は音声アプリで「一部ウクライナ軍の部隊は態勢が整っている地点まで後退した」と述べた。 (2207-060116)

 6月01日 23:24

 ロシア軍の攻撃が続くセベロドネツク市の行政部門責任者ストリウク氏がロイタの電話インタビューで1日、セベロドネツク市は現在60%がロシア軍の制圧下にあるものの、ウクライナ軍は20%をなお掌握しており、残りの20%は無人地帯になっていると述べ、ロシア軍による全面的な制圧は防げるとの見方を示した。 (2207-060121)

 6月02日 07:30

 ウクライナ東部ルハンスク州軍事行政のハイダイ氏はがセベロドネツク市の戦況について、現時点でロシア軍が同市の8割を占領していると明らかにした。
 ハイダイ氏は「一部の通りでは我々の守備隊が成功を収めている」と説明し、ロシア兵6名が拘束されたとも述べた。
 ハイダイ氏によると、ルハンスク州に残るウクライナ支配地域には絶え間ない砲撃が浴びせられているが、そうした状況でも地元のボランティアが人道物資を積んだトラックを多くの集落に届けたり、住民を避難させたりしたという。 (2207-060202)

 6月02日 12:26

 英Sky News TVが1日、米サイバー軍のナカソネ司令官がウクライナ支援のためにサイバ攻撃を実施したことを明らかにしたと報じた。
 ロシアに対して行ったとみられる。 同TVによると米国がウクライナ支援のためのサイバ攻撃実施を認めるのは初めてである。
 ジャンピエール米大統領報道官は1日の記者会見で、ロシアに対するサイバー攻撃はロシアとの直接的な衝突を避ける米政権の方針に反するものではないとの認識を示した。 (2207-060205)

 6月02日 18:15

 ロシア軍はルハンスク州の完全支配を主張するために、セヴェロドネツクとリシチャンスクに対する攻撃を続けている。
 ロシア軍はセヴェロドネツクを優先するため他の前進軸を犠牲にしており、イズユムの南東とライマンの西からスロビャンスクを攻撃する作戦は殆ど進展していない。
 ロシア軍はアヴディイフカ周辺で僅かに前進した。
 ヘルソン州北西部ではウクライナの反撃でロシア軍はインヒューレット川の東岸に圧迫され、ロシアの地上連絡線 (GLOC) T2207高速道路が混乱している可能性が高い。 (2207-060209)

 6月02日 22:49

 ウクライナのゼレンスキー大統領が2日にルクセンブルク議会でオンライン演説し、ロシア軍はクリミア半島と親露派勢力が実効支配する東部を含め、ウクライナの国土の1/5を占領していると明らかにした。
 ロシア軍は東部ドンバス地方の支配を固めており、ウクライナ政府が東部地域を管轄する行政機関を置くドネツク州クラマトルスクに進撃を続けている。 (2207-060212)

 6月02日 23:46

 英国防省が2日にセベロドネツクの大半を露軍が制圧したとの分析を発表した。
 ガイダイ州知事は1日、市の8割を露軍に掌握されたが、ウクライナ軍は反撃を試みていると強調し、軍が市から撤退しても隣接するリシチャンスクで抗戦を続けるとした。
 TASS通信は、親露派武装勢力「ルガンスク人民共和国」トップのパセチニク氏が2日にセベロドネツクとリシチャンスクを除くルガンスク州全域を制圧したと述べたと報じた。
 ウクライナに部隊を派遣しているチェチェン共和国のアラウディノフ司令官はウクライナ軍をセベロドネツクの工場地帯に追い込んだとし、近く同市を掌握してリシチャンスクも近日中に包囲できるとの見通しを示した。
 露軍はルガンスク州を掌握後、隣接するドネツク州の制圧に向け戦力を集中させるとみられる。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は2日にルクセンブルク議会でオンライン演説し、「ロシアは現在、ウクライナ領の2割を占拠している」として支援を訴えた。 (2207-060213)

 6月03日 08:11

 ウクライナ軍が2日、南部ヘルソン州の占領地にあるロシア軍拠点への攻撃で、大きな進展があったと報告した。
 領土防衛アゾフ・ドニプロ部隊はTelegramに「ヘルソン州で軍が占領地8kmを解放した」と投稿した。
 1日には同州トップのラグタ氏が、20の集落が解放されたと発表していた。
 ウクライナ軍は先週、州北方の複数の有利な地点から攻撃をしかけ、その後作戦に関する情報はほとんどなかったが、軍は北部の多数の集落を奪還してインフレツィ川の対岸の拠点を強化しているとみられる。 (2207-060303)

 6月03日 19:30

 ロシア軍はイズユムの南東と南西、ライマンの西で攻撃を成功させたが、スロビャンスクへの大きな前進を確保する可能性は低い。
 ロシア軍はセヴェロドネツク東部でわずかな前進を遂げたが、ウクライナ軍はセヴェロドネツクとその郊外で局地的な反撃を続けている。
 ロシア軍はアヴディイフカへの攻撃を行わなかった。
 ロシア軍はヘルソン州北東部で失われた陣地を取り戻すことができず、占領していた陣地を防御している。
 ロシア占領当局はヘルソン市とメリトポリでのウクライナによるパルチザン行動を終わらせられていない。 (2207-060311)

 6月04日 06:34

 ウクライナ東部ルハンスク州のガイダイ知事が3日、ロシア軍の攻撃が続くセベロドネツクでこれまでにロシア軍の手に落ちた地域の20%をウクライナ軍が奪還したと明らかにした。
 ロイタはガイダイ知事の発言を独自に確認できていないが、2日にセベロドネツク入りしたロイタの記者は、同市がまだ完全にロシア軍の手に落ちていなかったことを確認している。
 ガイダイ知事は国営TVに対し「状況は困難だがウクライナ軍は約20%を奪還し、ロシア軍の制圧下にある地域は約70%となった」と述べた。 (2207-060404)

 6月04日 10:18

 ウクライナ軍参謀本部は3日の発表で、ロシア軍がスラビャンスクへの攻撃を再開する準備を進めていると明らかにした。
 ロシアはこの地域に20個BTGを集中させ、スラビャンスクの北と北西にある2つの町に対して攻撃を試みたものの失敗に終わったとしている。
 5月下旬にリマンを制圧して以降、ロシアがスラビャンスク以東の地域をさらに奪取したかは不明だが、ウクライナによるとロシア軍はスラビャンスクに近い2つの地域で火砲を使用しているという。 (2207-060406)

 6月04日 15:45

 英国防省が諜報に基づく分析で3日、ウクライナ東部ルハンスク州の攻防についてロシア軍が今後2週間内に州全域を制圧する可能性があるとの最新の情勢分析を示した。
 ロシア軍は現在、ドンバス地域で戦術的な戦果をあげているとし、ロシア軍は勢いを維持してウクライナ軍の抵抗を制する主導権を握っているようにみられるとしている。 (2207-060408)

 6月04日 18:00

 ウクライナ軍はセヴェロドネツクでの反撃を成功させ、ロシア軍の市内への攻撃と包囲作戦は遅滞しており、 ウクライナ軍の東部防衛は依然として有効である。
 ロシア軍はイズユムの南西とライマン地域で一連の攻撃作戦を開始したが失敗した。
 ロシア軍はハリコフ市周辺でウクライナの防衛軍に対しミサイルと砲撃を開始した。
 ロシアはウクライナ南部でのパルチザン活動に対し、移動と通信アクセスを制限しようと努力しているが制圧できていない。 (2207-060409)

 6月05日 12:11

 ウクライナ東部ルガンスク州のハイダイ知事が4日、ロシア軍が予備隊を含む全戦力を投入してセベロドネツクの制圧を目指しており、ウクライナ軍も撃退を試みているため攻防戦は一段と激化しているとの見方を示した。
 ハイダイ知事は大半の地域がロシア軍に掌握されたが、ウクライナ軍は押し戻しているとも語った。
 ゼレンスキー大統領は4日夜の演説で、セベロドネツクの状況は依然、極めて厳しく街戦が続いているとして、ドンバス地方の他の都市も同じ状況にあると述べた。 (2207-060504)

 6月05日 14:12

 ウクライナのメディアによると、キーウ市内2ヵ所に対し5日早朝に相次いでミサイル攻撃があり、大きな爆発と火災が起きた。
 クリチコ市長が通信アプリで明らかにしたところでは、爆発があったのは中心部と川を挟んで対岸にある東部ドニプロ地区と南東部ダルニツァ地区で、現地の報道によれば、火災が発生して黒煙が立ち上った。
 ロシア軍による本格侵攻が始まった当初、キーウは何度もミサイル攻撃にさらされたが、ロシア軍が北部キーウ州などから撤退して以降は比較的平穏が保たれ、外国政府要人らの訪問が続いていた。
 ただ、グテレス国連事務総長が訪れた4月下旬にはミサイルが着弾し、死傷者が出ている。 (2207-060507)

 6月05日 17:15

 ウクライナ軍が反撃で、セヴェロドネツク市街の大部分を奪還し、ロシア軍を市南部の郊外から駆逐した。
 ロシア軍はイズユムの南東とライマンの西からスロビャンスクに集結しようとしたが、セヴェロドネツクの優先順位が高いため、スロビャンスク周辺で目立った前進をする可能性は低いままである。
 ウクライナ軍はハリコフ市の北で限定的かつ局地的な反撃を行ったと伝えられている。 (2207-060510)

 6月05日 17:30

 ロシア軍が制圧したウクライナ南部ザポリージャ州メリトポリのフェドロフ市長が5日までに、市内でパルチザン活動が増えており、多数のロシア軍兵士を殺害するなどの行動に出ていると報告した。  自らはもう市内から離れたとしながらも、ゲリラ運動と特務機関との協力で殺害したロシア軍兵士らは100人以上となったとの諜報に言及し、実際の人数はより多いことを確信しているともした。 ただ、この人数を立証しうる方途はなく、ロシア兵士らがメリトポリ市内で殺害されることを目に見える形で確認出来る材料もない。 (2207-060511)

 6月05日 17:55

 ウクライナ東部ルガンスク州のハイダイ知事が5日、セベロドネツクをめぐる攻防戦でロシア軍が一旦制圧した地区から後退したと語った。
 ハイダイ知事はTelegramで、「ロシア軍は市内の70%を制圧していたが、この2日間で後退を余儀なくされた。 市内は二分されていて、ロシア兵は市内を自由に移動することを恐れている」と述べた。 (2207-060512)

 6月05日

 英国防省が5日、ロシア軍が制圧を目指しているウクライナ東部のセベロドネツクの攻防について、これまで兵力と砲撃を集中させて攻勢を強めていたロシア軍の勢いをウクライナ軍の直近24時間で反撃で鈍らせたようだと分析した。
 セベロドネツクなどへの攻撃に投入されているロシア軍の部隊に、親露派「ルガンスク人民共和国」の予備軍から動員された兵士らが含まれており、これらの兵士がロシアの正規軍と比べて装備も訓練も不足しているとみている。 (2207-060517)

 6月06日 00:35

 ウクライナ軍が5日午後、ロシア軍が同日朝にカスピ海からキーウに向けてCM 5発を発射したと発表した。
 うち1発は迎撃し、4発が鉄道施設などキーウのインフラ施設に着弾したという。 (2207-060601)

 6月06日 06:18

 ウクライナ東部ルハンシク州のハイダイ知事が5日、ウクライナ軍最後の拠点とされるセベロドネツクについて、ウクライナ軍がロシア軍を押し戻し、市の5割を奪い返したとSNSに投稿した。
 知事によると、ロシア軍は10日までにセベロドネツクを攻略するよう命令を受けているという。 (2207-060603)

 6月06日 19:15

 ロシア軍はセヴェロドネツクの大部分を支配している可能性が高い。
 イズユム地域のロシア軍に目立った前進はなかったが、ライマンから西に部隊が僅かに前進した。
 ロシア軍は、バフムートの北東にあるウクライナの連絡線を断ち切ろうとしたが失敗した。
 ハリコフ北方ではウクライナ軍による6月5日の限定的局地的な反撃により、ロシア軍は防衛線を維持することに集中せざるを得なくされた。
 ウクライナ海軍は、ロシア黒海艦隊を沿岸100km以遠に後退させたと主張しており、ウクライナ港湾に対するロシアの封鎖を軽減する可能性が高い。 (2207-060609)

 6月07日 00:49

 ウクライナ国防省がTelegramへの投稿で6日、ロシア艦隊を黒海沿岸から100km以上押し戻して黒海北西部の制海権を奪い、同海域は「グレーゾーン」となったと発表した。
 ロシア側が現在、奪還を試みているとした。
 ゼレンスキー大統領は6日、輸出できずに国内に残置される穀物の量は秋までに現在の3倍以上に当たる7,000万~7,500万㌧に増える可能性があると警告した。 (2207-060701)

 6月06日 01:12

 ウクライナ東部ルガンスク州のハイダイ知事が6日、セベロドネツクでウクライナ軍が再び劣勢に立たされていることを明らかにした。
 ウクライナ軍は同市の一部地域をロシア軍から奪還していたが、一進一退の攻防が続いている。
 ハイダイ知事は、反撃に転じたウクライナ軍が市の半分を奪還したものの現地では激戦が続いており、「状況はわれわれにとって悪化した」と説明した。
 ロシア軍は、撤退時に街を破壊する焦土作戦に出ており、「守るべきものは何も残っていない」と語った。 (2207-060702)

 6月07日 07:56

 ウクライナ海軍が6日、ウクライナ軍のミサイルやUAVによる攻撃で、ロシア黒海艦隊艦がウクライナ海岸から100km以遠に退却したと発表した。
 ウクライナ海軍によると、約30隻の露海軍水上艦と潜水艦が民間船の輸送を妨げている。
 現在黒海には12隻程度の揚陸艦がいるが、その1/3以上は修理中だという。
 またロシア黒海艦隊の水上艦と潜水艦は、侵攻開始以来300発以上のCMをウクライナ領土に発射した。
 現在はKalibrによる激しい攻撃は減り代わりに対艦ミサイルを地上目標に撃ち込んでいる。
 ロシア側は黒海北西部の支配権を取り戻すため、クリミアとヘルソンの沿岸にミサイルシステムを配備したため、ウクライナ海軍は海からのミサイル攻撃の脅威がまだ残っていると分析している。 (2207-060703)
【註】ロシアはウクライナ侵攻以前からクリミアに超音速地対艦ミサイルBastionを配備していた。

 6月07日 10:46

 ウクライナのゼレンスキー大統領が6日、セヴェロドネツクで持ちこたえているウクライナ軍について、人数でロシア軍に劣っており不利な立場に追い込まれているとの見方を示した。
 ゼレンスキー大統領は、同市と近隣のリシチャンスク市について、戦闘の激しさからともに「死んだ町」になっていると話した。
 双方の軍は6日、セヴェロドネツク市で市街戦を繰り広げた。
 ロシア軍は、これら2つの戦略的目標を制圧できれば、ウクライナ東部ルハンスク州全域を掌握することになる。 (2207-060704)

 6月07日 18:00

 ショイグ露国防相か゜7日、ウクライナ東部ルガンスク州の97%を制圧したと国防省の会議で表明した。
 同州でウクライナ軍が抵抗する最後の拠点セベロドネツクで市街地の掌握を終え、工場地区に攻勢をかけていると説明した。
 ロシア軍が主要目標の一つとする同州の全域制圧が間近となった。 (2207-060708)

 6月07日 19:15

 ロシア軍がセヴェロドネツクの住宅地域の大半を掌握した可能性が高い。
 ロシア軍がイズユムから南東に、ライマンから西にスロバキアへ攻撃を続けて防御戦を突破しようとした。
 ロシア軍は、南部のトシキフカ~ウスチニフカ地域と北西のクピャンスクの両方から、セヴェロドネツク~リシチャンスク地域への攻撃を強めようとしている。
 ロシア軍はザポリージャ州の現在位置から部隊を撤退させ始め、損耗した部隊を後方で交代させるか、ヘルソン州北西部の防衛を強化する可能性が高いが、ISWは現在これらの部隊の行き先を確認できない。
 ロシア軍は7日現在、ウクライナ軍が占領しているイフレツ川西岸を取り戻せていない。 (2207-060711)

 6月07日 21:01

 ウクライナ海軍が6日、ロシアの黒海艦隊をウクライナ沿岸から100km以遠に後退させたと発表した。
 ウクライナは、ロシアによる海上封鎖で輸出が滞っている小麦を、第三国の艦船による護衛で黒海から輸出することについて英国やトルコと協議を始めた。 (2207-060712)

 6月08日 18:30
 ロシア軍はセヴェロドネツクのウクライナ軍に対する攻撃を続けると同時に、ドネツ川を渡河するのを避けるために、この地域のウクライナの陣地を側面から排除しようとしている。
 ロシア軍は、スヴィアトヒルスク周辺とライマン西部で作戦を継続しており、イズユム南東部の作戦と連携しスロビャンスクを攻撃している。
 ロシア軍は、ウクライナの反撃に対応してヘルソン州北西部を強化している。
 ザポリージャ州のロシア軍は、ザポリージャとドネツクの州境付近で地上攻撃と砲撃を集中させ、ザポリージャ北東部での作戦を支援するために、ヴァシリフカ~オリヒフとフリアポレの間の高速道路の支配を強化しようとしている可能性が高い。 (2207-060811)

 6月09日 08:21

 ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事が8日、セベロドネツクの大部分をロシア軍が制圧し、抵抗を続けてきたウクライナ軍が市周辺に撤退したと明らかにした。
 ウクライナ側は先週の反撃で市の一部を奪還していたが再びロシア軍の手に落ちた。
 ガイダイ知事は、ウクライナ軍は再び市周辺のみを制圧するに至ったが、戦闘はまだ続いていると述べた。 (2207-060902)

 6月09日 16:14

 英国防省がウクライナでの戦況について9日、ロシア軍が東部イジウムの南を目指す動きを強めていると指摘した。
 「イジウムへのロシアの進撃は、ウクライナ軍の現地の地形を利用した抵抗で4月以降止まっていたが、ロシア軍は勢いを取り戻してセベロドネツクに一段の圧力をかけ、ドネツク州の奥深くへ進む選択肢を得ようとしているようだ」とした。 (2207-060906)

 6月09日 18:45

 ロシア軍は激しい砲撃の援護下でセヴェロドネツクのアゾット工業地帯での戦闘を続けた。
 ロシア軍はスロビャンスクの北でわずかな成果を上げたが、ドネツ川渡河の危険により市街攻撃を困難にする可能性が高い。
 ロシア軍はバフムートの東に僅かに前進し、バフムートの北東へのウクライナの連絡線を切断する努力を続けている。
 ロシア軍は、ハリコフ州北部の占領地境界沿いで限定的な戦闘を行っている可能性が高い。
 ロシア軍は南軸に沿った防衛線の強化を続けており、部隊と装備を転用する支援を受けて、ザポリージャ州北東部での地上攻撃を強化している。 (2207-060909)

 6月10日 16:00

 ロシア軍はセヴェロドネツク内で攻撃を続けているが、6月10日現在セヴェロドネツク市の完全な支配権をまだ確保できていない。
 ロシア軍はスロビャンスクに対する攻撃を再開する準備をしており、市の北部で僅かな成果を上げている。
 ロシア軍は、T1302バフムート~リシチャンスク高速道路を分断し、高速道路近くの集落への攻撃を続けている。
 伝えられるところによれば、ロシア軍は黒海北部のキンバーン・スピットを支配し、それによって黒海沿岸のさらなる支配権を確保している。 (2207-061006)

 6月10日 20:41

 ウクライナ国防省が10日、南部ヘルソン州のロシア軍拠点を空爆したと発表した。
 国防省は「敵基地のほか、装備や兵士の集結場所、州内の5個集落近辺に置かれている屋外貯蔵施設に対して一連の空爆を行った」と発表した。
 ウクライナ軍は、ロシア軍が侵攻直後に掌握した同州の奪還を目指している。 (2207-061009)

 6月11日 09:15

 ウクライナ軍が10日、ロシア軍が黒海艦隊に潜水艦1隻を新たに配備し、CM 40発が発射できる状態にあるとSNSで明らかにした。
 黒海北西部を封鎖しているほか、大型揚陸艦1隻も配置しているとしている。
【註】地中海と黒海を結ぶボスポラス海峡とダーダネルス海峡の軍艦の通過は、2月28日にトルコが1936年のモントルー条約を適用して認めないと通告しているが、条約には登録基地に戻る船舶を除外する条項がある。 (2207-061103)

 6月11日 18:00

 ロシア軍はセヴェロドネツクで攻撃を継続しているが、ウクライナの守備隊はセヴェロドネツクの工業地帯を確保している。
 ロシア軍はT1303 Hirske-Lysyschansk高速道路沿いの集落を攻撃を再開したが失敗した可能性が高い。
 ロシア軍は、スロビャンスクでの作戦を再開するためイズユムの南西と南東の攻撃への攻撃を続けた。
 ウクライナ軍は11日にヘルソン市北西で以前の作戦地域より南で反撃を再開した可能性が高い。 (2207-061107)

 6月11日 19:24

 ウクライナ東部ルガンスク州の要衝セベロドネツクでは、激しい市街戦が続いているが、英国防省は11日の戦況報告で、市街戦で両軍に大量の死傷者が出ているもようだとした。
 ウクライナのアレストビッチ大統領府顧問は10日、侵攻開始以来のウクライナ兵の戦死者が10,000名に上ったことを明らかにした。 (2207-061108)

 6月12日 18:30

 ロシア軍はセヴェロドネツクで攻撃を続け、セヴェロドネツクとリシチャンスクを結ぶドネツク川の橋を爆破し、バフムートからリシチャンスクとセヴェロドネツクに至るウクライナの連絡線 (GLOC) を分断しようとした可能性が高い。
 ロシア軍はイズユムの南東で逐次前進し、北西からスロバキアへの前進を続ける可能性が高い。
 ロシア軍は南軸に沿った防衛線を維持することに集中し、ハリコフ市の北東で争われている前線からウクライナ軍を押し戻そうとしている。 (2207-061205)

 6月13日 08:18

 ウクライナ東部ルガンスク州地元当局者が12日、セベロドネツクで川の対岸の都市につながる橋をロシア軍が爆破し、民間人の避難ルートの一つが遮断されたことを明らかにした。
 ウクライナ軍が依然として市街戦を繰り広げているセベロドネツクはロシア軍が市の大部分を制圧したが、工業地帯や数百人の民間人が避難している化学工場は依然ウクライナ軍の支配下にある。
 だが、ドネツ川をはさんでセベロドネツクと対岸のリシチャンスクを結ぶ橋をロシア軍が爆破により、3本の橋のうち残るは1本となった。 (2207-061301)

 6月13日 19:19

 ウクライナのメディアが、ロシア軍が12日に東部ドンバス地方で大きく攻勢に転じたと報じた。 その他の地方でも攻撃を強めているという。
 ルハンスク州のハイダイ知事が13日、セベロドネツク市の完全制圧を狙うロシア軍は、ウクライナ側が維持している化学工場アゾトを中心とする工業地帯に対し、激しい攻撃を加えていることを明らかにした。
 知事は「セベロドネツクは新たなマリウポリになりつつあるが、アゾトのシェルターはマリウポリの製鉄所アゾフスターリほど頑強ではない」と記した。 (2207-061305)

 6月13日 19:30

 ロシア軍は13日、セヴェロドネツクの中心部からウクライナの守備隊を排除しセヴェロドネツクとリシチャンスクを結ぶ残りの橋を破壊したと伝えられているが、ウクライナは軍が包囲されていないと報告した。
 ロシア軍は、ポパスナとバフムート付近のウクライナ地上連絡線 (GLOC) の遮断に成功した。
 ロシア軍はイズユムの南東とスロヴィャンスク北部への攻撃を開始したが失敗したことから、シヴェルスクとウクライナ北西部のGLOCをリシチャンスクで攻撃するため準備している可能性が高い。
 ロシア軍は、ロシア軍後方地域の砲兵射程外にウクライナ軍を排除しようとハリコフ市北北東で限定的な攻撃を行い、一部が成功している可能性が高い。
 ロシア軍とウクライナ軍は、ヘルソン州北西部でダヴィディフ・ブリッドを巡る戦闘を続けている。 (2207-061306)

 6月14日 04:33

 ウクライナ親露派のドネツク人民共和国当局者が13日、ウクライナ軍が同地域の中心部にある市場を攻撃し少なくとも3人が死亡し18人が負傷したと明らかにした。
 ドネツク通信は、攻撃に使われたのはNATOが標準装備する155mm砲弾だったという。
 ロイタは報道の内容を確認できていない。 (2207-061402)

 6月14日 06:21

 ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事が13日、セベロドネツクと対岸を結ぶ3本の橋のうち、最後まで残っていた1本がロシア軍に破壊されたと明らかにした。
 外部との通行が絶たれ、完全に包囲される恐れがある。
 英国防省は同日「渡河作戦が戦争の行方を左右する最も重要な要素になる可能性がある」との分析を公表していた。
(2207-061404)

 6月14日

 ロシア軍はアゾト工業工場制圧の戦い続けており、セヴェロドネツクとリシチャンスクの間のすべての橋を破壊して、市内に残っているウクライナの守備隊を重要な連絡線から孤立させる可能性が高い。
 ロシア軍は、イズユムの南東とライマンの西のスロビャンスクに向けた攻撃の準備を続けている。
 ロシア軍は、セヴェロドネツク~リシチャンスクへのウクライナの連絡線を遮断するため、T1302高速道路付近のバフムートの東で攻撃を継続している。
 ロシア軍は、ウクライナ軍をハリコフ市北東から排除するための攻撃を継続した。 (2207-061407)

 6月15日

 ウクライナと国境を接するロシア西部のブリャンスク州のボコマズ知事が、国境から50kmの距離にあるクリンツイが砲撃を受け6人が負傷したことを明らかにした。
 ロイターは現時点でこの内容を確認できていない。
 ウクライナと国境を接するロシアの地域ではここ数週間、国境を越えた砲撃で住宅が損壊し、住民が負傷したとの報告が出ている。 (2207-061501)
【註】国境から50kmを砲撃するとすれば射距離は60km以上必要と思われるが、米国がウクライナに大量供与したM777などの155mm砲は射程が24kmで、米軍が装備しているM982 Excalibur誘導砲弾でも40kmしかない。

 6月15日 09:21

 ロシア軍が制圧を宣言しているウクライナ南部ヘルソン州のフラニ顧問が14日、ウクライナ軍が同州の州都ヘルソンから20km地点付近まで前進したと発表した。
 一方ウクライナ軍参謀本部は同日、最激戦地となっている東部ルガンスク州のセベロドネツクについて、戦闘が続いているとした上で、露軍が部隊を再編成して攻勢を強めようとしていると発表した。 (2207-061507)

 6月15日 10:40

 ロシア軍が14日にウクライナ東部の要衝セベロドネツクに続く橋をすべて破壊したが、ウクライナ側によると同市内に展開する部隊は持ちこたえているとしており、侵攻開始以来最も激しい戦いの1つである同市での戦いは重要な局面を迎えた。
 ウクライナ側によると、市民500人以上が同市内にある化学工場に避難しており、ロシア軍の数週間に及ぶ砲撃に耐えているという。
 セベロドネツクの川向にあるリシチャンスクは依然ウクライナ側の支配下にあるが、この2都市間を結ぶ橋がすべて寸断されたため、5月にロシア側に陥落したマリウポリ同様、ウクライナ軍は包囲される可能性を認めている。 (2207-061509)

 6月15日 11:33

 親露派武装組織が実効支配するウクライナ東部ドネツク州のドネツクで14日、市内の産院がウクライナ軍の砲撃で被弾、病棟の屋上に大きな穴が空き、窓ガラスが割れたが、死者や負傷者は出ていない。
 病院は、生命維持装置につながれた新生児を、地下に避難させられないため、命に関わる事態だったと砲撃を非難した。
 親露派によれば、ウクライナ軍は13日にも市内のマーケットを砲撃した。
 2015年以降最も激しい砲撃で、民間人3人が死亡、18人が負傷したという。 (2207-061510)

 6月15日

 ロシア国防省が15日、ウクライナ西部リビウ州ゾロチウ近郊をKalibr CMで攻撃し、M777 155mm榴弾砲をはじめNATOの加盟各国がウクライナに供与した武器が保管された貯蔵庫を破壊したと発表した。 (2207-061511)

 6月16日 08:00(15日18:00ET)

 ロシア軍はセヴェロドネツクとその周辺の集落で攻撃を開始したが、セヴェロドネツクを完全には支配していない。
 ロシア軍がリシチャンスクへのウクライナ連絡線 (GLOC) を遮断しようとしたT1302高速道路周辺での攻撃はほとんど失敗した。
 ロシア軍はE40高速道路に沿ってスロビャンスクとイズユムの南東まで前進しようとしている。
 ロシア軍とウクライナ軍はハリコフ市北東部の集落で戦闘を続けている。
 ロシア軍はザポリージャ州とヘルソン州での陣地を強化し続け、黒海におけるロシアのプレゼンスを強化するための防衛措置をとった。 (2207-061605)

 6月16日 13:42

 ウクライナ南部のヘルソン市に迫りつつあるウクライナ軍兵士は、ヘルソン市をもう少しで奪還できると手応えを感じている。
 しかし、軍事専門家によると、ウクライナ軍が大規模な反転攻勢の一環としてヘルソン市までの最後の30kmを前進するには、兵器と人員の大量の補給がなければ困難だとみている。
 キーウの専門家ジダーノフ氏は、ヘルソンのような地方主要都市の攻略は、武装増強によって初めて可能になるもので、現在到着している西側の兵器は依然として「大海の一滴」に過ぎないという。 (2207-061609)

 6月16日 22:11

 ウクライナの停戦協議代表団長アルハミア氏が15日、東部戦線でのウクライナ軍の戦死者が1日に200~500名で、死傷者は毎日最大1,000名に上っていると明らかにした。
 米統合参謀本部議長ミリー陸軍大将は15日に、露軍が装甲戦力を最大30%失ったとし、第1次世界大戦のような消耗戦になっていると述べた。
 ルハンスク州のセベロドネツクでは、重火器の量で勝る露軍側が3/4を掌握したと述べたが、露軍には補給や指揮命令系統などの課題があるとの認識も示した。
 ウクライナ軍総司令官は15日、露軍がルハンスク州を制圧するため同時に9方向から攻撃しようとしているとの分析を明らかにした。 (2207-061613)

 6月17日 09:00(16日19:00ET)

 ロシア軍は、セヴェロドネツクとリシチャンスクへのウクライナ連絡線 (GLOC) 沿い集落への攻撃を続けた。
 ウクライナ軍諜報機関はISWが以前に評価したように、ロシア軍は今では大隊戦術群 (BTG) として活動していないと報告した。
 ロシア軍はスロバキア北西部で攻撃を成功させなかったが、ウクライナ軍はイズユム西部での反撃準備を再開したとしている。
 ロシア軍とウクライナ軍はハリコフ市の北と北東で衝突したが占領地域に変化はなかった。
 ロシア軍はヘルソン州北西部でのウクライナの反撃を予期し陣地を強化し続けている。 (2207-061704)

 6月17日 10:53

 英軍参謀長のラダキン海軍大将が17日に公開された英PA通信とのインタビューで、ウクライナ戦争について「ロシアは既に戦略的に敗北した」と述べた。
 ロシアは決してウクライナを支配できないし、ロシアは弱体化すると断言した。 (2207-061706)

 6月17日 18:03

 ウクライナ南部オデッサ州のマルチェンコ知事が17日、ウクライナ軍がロシアが占領しているオデッサ南方のズミイヌイ島に兵士、武器、弾薬を運んでいたロシア海軍のタグボートをミサイルで攻撃したことを明らかにした。
 ウクライナ海軍司令部によると、タグボートはSAMを搭載していたが、ミサイルの迎撃に失敗した。 (2207-061709)

 6月18日 09:00 JST (17 19:00ET)

 ロシア軍が17日に行ったセヴェロドネツクと南東郊外に対する攻撃は失敗した。
 ロシア軍は、北からスロバキアスクへ、そして南はバフムート近くで、リシチャンスクへのウクライナの連絡線を遮断しようとしている。
 ウクライナ軍は、ロシア軍のスロバキアへの攻撃を阻止し、ロシアの補給線を混乱させることを目的として、イズユムの北西で反撃を行っている可能性が高い。
 ウクライナ軍と航空部隊が、占領されている南軸沿いの集落にあるロシア軍の兵站基地と要塞の攻撃を続行している。
 ロシア軍は防御線を維持するため、ザポリージャ州の部隊を再編成し移動している。 (2207-061808)

 6月18日 12:01

 ウクライナ地上軍のカルペンコ後方支援司令官が15日付のNational Defense誌とのインタビューで、ロシア軍とのこれまでの戦闘でIFV 1,300両、MBT 400両、ミサイル発射システム700基など、それぞれ最大で50%を失ったと明らかにした。
 ゼレンスキー政権は最近、戦死者数を含めた損害に関する情報を積極的に開示しており、米欧に武器供与の加速を促す狙いとみられる。 (2207-061811)

 6月18日 23:40

 TASS通信によると、ルハンシク州の一部を実効支配する親露派勢力が、セベロドネツクのアゾト化学工場にロシア側の部隊が突入したと明らかにした。
 ただ完全制圧には至っていないという。 ルハンシク州知事によると工場には民間人がおよそ500人残っている。 (2207-061813)

 6月19日 00:56

 英国防省が18日、ロシア軍がセベロドネツクの包囲にむけイジュームから南方への進攻を再開したとみられると分析している。
 セベロドネツク市長は、セベロドネツクではかなり激しい戦闘が続いており、住民が避難しているアゾト化学工場を破壊しようとしていて、かなり厳しい状況だとのべている。
 また、ルハンシク州の知事は、セベロドネツクの近郊リシチャンシクの住宅街にも、ロシア軍が砲撃を加えていると明らかにした。 (2207-061901)

 6月19日 05:30JST (18 15:30ET)

 ロシア軍はセヴェロドネツク郊外で僅かに前進し、おそらくメトルカインに前進したが、ロシアの作戦は遅いままである。
 ロシア軍は、T1302バフムート-リシチャンスク高速道路沿いのウクライナの連絡線を分断するため、高速道路沿いに地上攻撃と砲撃を行った。
 ロシア軍がスロバキアに向けた攻撃に使用しているハリコフ市周辺の鉄道を射程内に収めるウクライナ軍砲兵を排除しようとしている。
 ロシア軍は南軸に沿った行動は行わず、南部の占領地域でパルチザンの圧力に直面し続けている。 (2207-061903)

 6月19日 07:24

 ロイタ通信が、ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事が18日に、ロシア軍がセベロドネツクの完全掌握に向け、他の戦場から多数の予備部隊を転用して同地に送り込みつつあるとの見方を示したと報じた。
 知事は国営TVで、ロシア軍の動向について「今日か明日、または明後日にも予備部隊の全てを投入してくるだろう」と語った。
 ISWは18日にロシア軍はセベロドネツク郊外でわずかに前進したが、数週間以内に同地を奪取するには、活用できる戦力の大部分を集中する必要があると指摘している。
 ウクライナ軍はドンバス地方で守勢を強いられる一方、南部では反攻の機会を伺っており、大統領府は18日にゼレンスキー大統領がミコライウ州を訪問し、ロシア軍に封鎖されている黒海の状況を含め、軍幹部から戦況報告を受けたと発表した。 (2207-061904)

 6月20日 07:21

 ロシア国防省が19日、ウクライナ東部セベロドネツクの南東6kmにある村Metyolkineを掌握したと発表した。 ウクライナ側はロシアが「部分的に」制圧したとしている。
 ルガンスク州のガイダイ知事はウクライナのTV局に対し、ロシア側はMetyolkineの一部を制圧したが全体ではないと主張している。
 また、ロシアはセベロドネツク周辺の別の集落への攻撃で「一定の成功」を収めていると述べた。
 ロイタは、地上戦の状況を確認できていない。 (2207-062005)

 6月20日 07:30JST (19 17:30ET)

 ロシアは戦力不足の可能性が高い歩兵部隊を砲兵火力で補っても、セヴェロドネツク内での前進には不十分である。
 ロシア軍はイズユムの南東とライマンの西からスロビャンスクに前進する準備を続けた。
 ウクライナがヘルソンとムィコラーイウの州境沿いでの反撃に成功したため、ロシア軍は南軸沿い防御陣地の強化に力を入れている。
 ザポリージャ地域でのウクライナの反撃成功は、ロシア軍に弱体化した前線への増援を急がせている。
 ロシアが支配する領土に対して偽旗砲撃を行っている可能性が高い。 (2207-062004)

 6月20日 10:21

 ロシア国防省が19日、Kalibr CMでウクライナ東部にあるウクライナ軍の司令部を攻撃し、作戦会議中だった将校ら50名以上を殺害したと発表した。
 また南部ミコライウでは、Kalibrで欧米諸国から提供された155mm榴弾砲10門と装甲車約20両を破壊したという。
 ルハンシク州のセベロドネツクでの戦闘は成功裏に展開されていると強調した上で、隣接するリシチャンシク付近ではウクライナ軍の小隊が装備を置いて退却するなど士気が低下しているとして、ロシア軍の優勢ぶりをアピールした。 (2207-062008)

 6月20日 12:12

 ウクライナ軍が待ち望んでいた米国から供与されたM777 155mm牽引式榴弾砲が6月18日にドンバス地方で最前線に投入された。
 これまでは、ロシア軍が一方的に東部の町や村を砲撃してきたが、これでウクライナ軍がようやくロシア軍陣地への砲撃が可能になった。
 ウクライナ軍砲兵隊を指揮する士官は、従来の野砲に比較して命中精度、発射速度と使い勝手に格段の差があり、砲全体が軽量なため、これまでの野砲より素早い展開が可能で、射撃後迅速に移動できると述べた。
 しかし、東部戦線でロシア軍を押し戻すためには、砲の門数が絶対的に不足している。 (2207-062010)

 6月21日 01:06

 ウクライナ軍が20日、オデーサにある食糧貯蔵施設がロシア軍のミサイル攻撃で破壊されたと明らかにした。
 ウクライナの南方作戦司令部によると、ロシア軍は3時間に14発のミサイルを発射した。 民間人の死者は出ていないとしている。
 この件について、ロシア軍は現時点ではコメントしていない。 (2207-062103)

 6月21日 05:08

 TASS通信によると、ロシアが2014年に一方的に併合したクリミア半島で首長を務めるアクショーノフ氏が、20日午前に黒海沖にある公営エネルギー企業の採掘施設が、ウクライナ軍の攻撃を受けたと発表した。
 同氏はSNSで3人が負傷し、7人が行方不明になったと投稿した。
 ロシアが20日の一連の攻撃で、オデッサの食品倉庫へのミサイル攻撃はロシアによる報復との見方も出ている。 (2207-062104)

 6月21日 21 07:30JST (20 17:30ET)

 ウクライナの情報筋は、ロシア軍がセヴェロドネツク地域に部隊と装備を集中させ、来週にはロシア軍がセヴェロドネツクの占領を完了すると述べた。
 ウクライナの情報筋は、ロシア軍が戦闘が継続中のアゾット工業地帯を除いたセヴェロドネツクの全域を占領していることを確認した。
 ロシア軍は、セヴェロドネツク~リシチャンスクでの戦闘拡大を支援するために、T1302バフムート~リシチャンスク高速道路沿いのウクライナの連絡線を分断する作戦を強化している可能性が高い。
 ロシア軍は、ハリコフ市北の州境に向かうウクライナ軍の更なる前進を阻止することに集中している。
 ウクライナのパルチザン活動は、占領地の支配を強化するためのロシア占領当局の活動力を複雑化している。 (2207-062107)

 6月21日 09:22

 ウクライナのゼレンスキー大統領が19日、EUがウクライナの加盟申請を支持するかどうかを議論する首脳会議を開くほか、ロシアが東部の制圧に向け攻勢を強めていることが背景に、ロシアによる攻撃が今週激化するとの見方を示した。
 またロシア軍は東部ハリコフにも接近し、ハリコフ北部で砲撃が再開された (2207-062108)

 6月21日 19:11

 ウクライナのマリャル国防次官が20日、ロシア軍が攻勢を強めているウクライナ東部ルガンスク州のセベロドネツクで「ロシア軍が包囲に向けて事実上、全部隊を投入している」と述べ、攻防が激化していると説明した。
 黒海に面したオデッサで食料倉庫がミサイル攻撃で破壊されるなど、東部や南部で緊迫が強まっている。 (2207-062112)

 6月22日 01:00

 英国防省がウクライナ軍の情報として21日、黒海で武器や兵員輸送に当たっていたロシア海軍の救難タグボートVasily Bekhを、ウクライナ軍が欧米から供与されたHarpoonで攻撃し損害を与えた発表した。 Harpoonによる攻撃を成功させたのは初めてという。
 ウクライナ軍は4月に国産の対艦ミサイルNeptuneでロシア黒海艦隊の旗艦Moskvaを沈没させたと伝えられている他、複数の艦艇に打撃を与えてきたとみられ、英国防省はウクライナの沿岸防衛力の向上で、ロシアの黒海北西部での制海権掌握能力は大きくそがれたと分析している。 (2207-062203)

 6月22日 07:20

 ウクライナ軍が21日、黒海のズミイヌイ島(スネーク島)に対して空から攻撃を加えたと明らかにした。
 ウクライナ軍南部作戦管区によると、「様々な戦力を使って狙いを定めた攻撃」を行ったという。
 この軍事作戦はまだ進行中で、作戦終了まで詳細の公表を控える必要があるとしている。 (2207-062208)

 6月22日 07:29

 ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事らが21日、同地域のリシチャンスクとセベロドネツク近郊の複数の集落がロシア軍に制圧されたと発表した。
 親露派は20日、セベロドネツク南部のToshkivkaを掌握したと主張していた。
 ウクライナ軍の参謀によると、リシチャンスク南部のPidlisneとMyrna Dolynaの集落がロシア軍によって制圧された。 (2207-062206)

 6月22日 07:20

 ウクライナ軍が21日、黒海のズミイヌイ島(スネーク島)に対して空から攻撃を加えたと明らかにした。
 ウクライナ軍南部作戦管区によると、「様々な戦力を使って狙いを定めた攻撃」を行ったという。
 この作戦はまだ進行中で、作戦終了まで詳細の公表を控える必要があるとしている。 (2207-062208)

 6月22日 09:45

 ロシアが最近、ロシア空挺部隊司令官を更迭すると共に、ウクライナ作戦総司令官である南部軍管区司令官を解任し、新たに任命した可能性がある。  ロシア軍は6月21日にセヴェロドネツク南東の集落で若干の前進に成功し、ドネツ川渡河を避けながら、今後数日でリシチャンスクを脅かす可能性がある。
 ロシア軍は、ウクライナの連絡線 (GLOC) を分断するため、T1302リシチャンスク~バフムート高速道路沿いの集落への攻撃を続けている。
 イズユム~スロビャンスク軸に沿ったロシアの作戦は、ロシア軍がセヴェロドネツク周辺の作戦を優先しているため、ますます停滞している。
 ロシア軍は、ヘルソンとムィコラーイウ州境近くのウクライナ軍橋頭堡から、インフレーツ川の東岸を奪還した可能性が高い。
 ウクライナ軍は黒海のスネーク島のロシア軍陣地を攻撃し、島のロシアの要塞と装備を破壊した可能性が高いと伝えられているが、ISWは攻撃の結果にについて相反するウクライナとロシアの主張を確認できない。 (2207-062210)

 6月22日 13:17

 米Maxar社が6月21日、黒海にあるズミヌイ島(スネーク島)に、前日までなかった3ヵ所の焼け跡が写った衛星画像を公開した。
 ロシア国防省はこの画像が公開された日、ロシア軍の防空システムが、同島に対するウクライナ軍の攻撃を撃退したと発表している。
 露国防省によれば、ウクライナ軍は15機のUAVとロケット砲の支援の下、同島への上陸を試みたが、ロシア軍防空システムが13機のUAVを撃墜した結果、作戦は失敗したと述べた。 (2207-062212)

 6月22日 15:30

 ロシア軍がセベロドネツク市街に攻撃を仕掛けてから2ヵ月近くが経過したが、圧倒的な兵力にもかかわらず、ロシアは未だウクライナの決死の抵抗を打破できずにいるうえ、同市に残る守備隊に武器や弾薬を送り込む補給線を断つこともできていない。
 このためロシア軍は兵力を比較的狭い地域に集約せざるを得ない状態で、いまだ支配下に置くことのできないルハンスク州でも、領土の残り10%を制圧するのに手間取っているうえ、依然としてドネツク州の大部分を手中に収められていない。
 ロシア国防省は19日にセベロドネツクのすぐ南東に位置する町メテルキノを攻略したと発表したが、ロシア軍がリシチャンスクとセベロドネツクという隣接する2都市でウクライナ守備隊を包囲するという目標を達成するには、しばらく時間がかかりそうである。 (2207-062213)

 6月23日 03:54

 英国防省が、ウクライナ東部ドンバス地方でロシア軍が大量の予備兵力の投入を準備している可能性が非常に高いとの分析を明らかにした。
 ロシア軍はまた、先月撤退した北東部ハルキウ周辺で再び攻勢を強めている。 (2207-062303)

 6月23日 07:45

 ロシア軍はリシチャンスク南で前進しており、数日中に市に到達する可能性が高いが、セヴェロドネツク~リシチャンスク地域をすぐに占領できる可能性は低い。  ロシア軍はスロバキアに向けて僅かに前進した。
 ロシア軍は、T1302バフムート~リシチャンスク高速道路に沿ったウクライナ連絡線遮断のための戦闘を強化した。
 ロシア軍は南軸沿いでは防御に集中し、ムィコラーイウ州内で僅かな成果を上げた可能性がある。
(2207-062304)

 6月23日 12:06

 英国防省が22日、ウクライナ東部ドネツク州でロシア軍と親露派部隊で多数の死傷者が出ているとの見方を示した。
 一方的に独立を宣言した親露派地域、自称ドネツク人民共和国の民兵だけだと、開戦当初の兵力の55%を失っていると推定している。
 親露派部隊はこの数ヵ月間、民間人が民兵に強制的に徴兵され、士気が下がっているとの報告があがっている。
 数十年前に使われなくなった小銃など質の悪い武器を携行しているとの情報もある。 (2207-062309)

 6月23日 13:24

 欧州の複数の新聞とのインタビューで、ジョンソン英首相が国防情報当局の見解として、ウクライナ戦争におけるロシアの勢いは、軍が資源を使い果たすにつれて今後数ヵ月で減速すると述べたことを南ドイツ新聞が22日に報じた。
 「国防情報当局によると、今後数ヵ月の間にロシアは資源を使い果たし、前進する勢いを失う可能性がある」とし「その時に形勢を逆転させるようウクライナを支援しなければならないことを、この週末にドイツで開催される主要7ヵ国 (G7) 首脳会議で主張するつもりだ」と話した。
 ロシア軍はドンバス地域で前進しているが、兵士や装備に大きな損失が出ていると指摘した。 (2207-062312)

 6月23日 13:57

 Microsoft社が22日公表した報告書で、ロシアのウクライナ侵攻以降、ロシア政府のハッカー集団がウクライナ支援国にもサイバ攻撃を仕掛けていると指摘した。
 報告書によると、ウクライナを除く42ヵ国の128組織がロシアによるサイバ攻撃を受けた。
 ウクライナ以外で最も多く攻撃を受けたのは米国でNATO加盟国も狙われた。
 攻撃を受けた組織が拠点を置く国にはデンマーク、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、ポーランドのほか、NATO加盟の意向を表明しているフィンランドとスウェーデンも含まれている。
 Microsoft社は「現在行われている戦争のサイバー的側面は、ウクライナを遥かに越えて広がっている」と説明した。 (2207-062313)

 6月23日 14:47

 ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事が23日、ロシア軍が攻勢を強める都市リシチャンスクとセベロドネツクの南にあるLoskutivkaおよびRai-Oleksandrivkaの両集落が制圧されたと明らかにした。
 ウクライナ軍は、セベロドネツクとその近郊のZoloteおよびVovchoyrovka集落の防御を続けているという。 (2207-062314)

 6月23日 15:08

 英国防省が23日、ロシア軍がリシチャンスクに向かって前進しており、川を挟んだセベロドネツクを含め周辺地域に対する圧力を強めていると分析した。
 6月19日以降、リシチャンスクに南方から進入する経路に向け5km余り前進した可能性が高いとした。 (2207-062315)

 6月23日 17:11

 ウクライナの親露派武装勢力のルガンスク人民共和国が22日に報道官はロシア国営TVに対し、セベロドネツクと対岸のリシチャンスクを守るウクライナ軍の部隊を間もなく包囲できると発表した。 AFPは「ルガンスク人民共和国」の主張を独自に検証できていない。
 ロシア軍はセベロドネツクを制圧すれば、さらに西のスラビャンスクとクラマトルスクに進出できるようになる。 (2207-062316)

 6月23日 19:45

 ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事が22日にラジオ局の取材に応じ、州内でのウクライナ軍の掌握地域は45%になっていて、これら地域では交戦が今なお続いていることを明らかにした。
 同州内の残る55%の地域は完全に破壊され、占領者の支配下にあるとした。 (2207-062317)

 6月24日 08:15

 ベラルーシ軍はウクライナ国境沿いで動員演習を行っているが、ウクライナでの戦争に参戦する可能性は低い。
 リシチャンスクの南郊外に到達したロシア軍は、同市とセヴェロドネツクの完全な占領を目指しセヴェロドネツク周辺で部隊を強化している可能性が高い。 ただ、これらの戦果はロシア軍にウクライナでの更なる作戦での優位を与える可能性は低く、ロシアの能力をさらに低下させている。
 ロシア軍は、ヒルスケとゾロテのウクライナ軍を包囲を目指しており、これらの集落を占領する動きを見せている可能性が高い。
 ロシア軍は、T1302高速道路沿いのウクライナ連絡線分断に成功した可能性が高く、その成果を利用してリシチャンスクへの攻撃を強化している。 (2207-062406)

 6月24日 06:18

 ジョンソン英首相が23日にロイタ通信の取材に答え、ウクライナ南部沿岸での機雷除去の支援に前向きな姿勢を示した。
 詳しい支援内容には触れなかったが「英国は既に、自衛のための装備をウクライナに提供している」として「オデッサで機雷除去を支援するため、技術的なレベルで話し合うことは確かだ」と述べた。
 ロイタによると、除去は数ヵ月かかる見通しという。 (2207-062407)

 6月24日 15:19

 ウクライナ東部ルガンスク州のハイダイ知事が24日、ロシア軍との激戦が続いていた要衝セベロドネツからウクライナ軍がやむを得ず撤退すると明らかにした。
 ハイダイ知事はTelegramに「ウクライナ軍はセベロドネツクからの撤退命令を受けた」と投稿した。 (2207-062413)

 6月24日 18:00

 ロシア軍は現在、ウクライナ東部で優位に立っている。
 ロシア側の進展が顕著に表れたのはこの数日ウクライナによるリシチャンスクの防衛がますます危うくなって以降だで、ロシア軍はウクライナ軍の砲撃による被害を受けながらも、この2、3日で同市南郊の複数の村に前進した。
 米国の諜報の評価について直接知る当局者2人が、侵攻の初期段階にロシア軍が犯した失敗から学び、空襲と地上攻撃のより高度な連携を実現して兵站や補給線を改善したことが要因となっているとの見方を明らかにした。 (2207-062414)

 6月25日 08:15

 ロシア軍はリシチャンスクまで北上し、ヒルスケ~ゾロテのウクライナ軍を包囲した可能性が高い。
 ウクライナ当局者は、ウクライナ軍がセヴェロドネツクの工業地帯で最後の戦いを行っていると発表した。
 ウクライナ軍はヘルソンとドニエプロペトロフスクの州境沿いで反撃を開始しており、ヘルソン市のロシア軍を脅かしている。 (2207-062502)

 6月25日 18:25

 激戦が続くウクライナ東部では、州知事が要衝のセベロドネツクからウクライナ軍が撤退すると表明したが、その一方で南部ではウクライナ軍がロシアから奪還しようとする動きを見せている。
 24日朝にはヘルソンで親露派幹部サブルチェンコ氏の車で爆発が起き死亡した。
 ヘルソン州知事の顧問はウクライナ軍の指示を受けたパルチザンが暗殺を実行したと述べている。
 現在、ロシア軍に占領されているザポリージャ州のメリトポリ周辺でもパルチザンによる抵抗が活発化していて、ウクライナメディアによると、5月30日にメリトポリの中央広場付近で爆発が起き、負傷者が救急搬送された。
 この爆発ではロシア側が一方的に任命していた親露派の“市長”は「自分が狙われた」と話している。 (2207-062505)

 6月25日

 ウクライナ当局者が、ロシアの侵攻が5ヶ月目に入る6月25日早朝に、ロシアが初めてベラルーシ上空からウクライナ北部と西部に50発のミサイルを撃ち込んだと非難した。
 25日にはプーチン大統領がサンクトペテルグルグでベラルーシのルカチェンコ大統領と会見し、核兵器を含む兵器をベラルーシに移送すると述べた。 (2207-062507)

 6月26日 07:00

 ロシア国防省は、ロシア最高司令部がウクライナでの作戦指導部を再構築しているというISWの評価を確認した。
 ウクライナの諜報機関関係者は、ベラルーシがウクライナでの戦争に参加する可能性は非常に低いと強調した。
 ウクライナの情報筋は、ロシア軍がセヴェロドネツクを完全に支配し、リシチャンスク市内で戦っていることを確認した。
 ロシア軍はバフムートの北と南東で確認できるほどの成果を上げた。
 ロシア軍はイズユムの南東をスロヴィャンスクに向けての前進に失敗した。
 ロシア軍はハリコフ市北側で陣地防御を続けている。
 ロシア軍は防御線を強化し、南枢軸国で失われた陣地を奪還しようとした。 (2207-062502)

 6月26日 20:07

 ウクライナの首都キーウの市長がTelegramで、キーウ中心部に対し26日未明に複数のミサイル攻撃があり、9階建ての集合住宅など少なくとも2棟で火災が発生し1人が死亡したことを明らかにした。
 キーウへのミサイル攻撃は郊外の鉄道修理工場が被弾した6月5日以来となる。
 ロシアはウクライナ北部や西部などを含め50発近いミサイルを撃ち込んでおり、主要7ヵ国 (G7) 首脳会議を前にウクライナを支援する米欧に揺さぶりをかける思惑とみられる。 (2207-062603)

 6月27日 06:30

 ロシア軍は4月29日以来初めてキーウに対してミサイル攻撃を実施したが、これは開催中のG7首脳会議に合わせた可能性が高い。
 ロシアのジドコ上級大将が、ウクライナにおける作戦の戦域司令官の役割を引き継いだ可能性が高い。
 ロシア軍はリシチャンスクの南部郊外への攻撃を続け、セヴェロドネツクとその周辺の集落の支配を強化した。
 ロシア軍は、T1302バフムート~リシチャンスク高速道路の占拠を維持するために、バフムートの東で作戦を実施している。
 ロシア軍はスロヴィャンスク北西部への地上攻撃に失敗した。
 ロシア軍は南軸沿いのウクライナ軍陣地に対する砲撃を強化した。 (2207-062703)

 6月28日 06:45

 ロシア軍が、ウクライナのインフラと都市に対する戦争拡大の一環として、クレメンチュクのショッピングモールを攻撃した。
 ロシア軍はリシチャンスクの南西、T1302 Bakhmut~Lysychansk道近くで若干前進したが、バフムートへのウクライナの連絡線を完全に切断してはいない。
 ロシア軍は、バフムートの東への攻撃で目に見える前進をした。
 ウクライナ軍はスロバキア北部のロシアの攻撃を撃退した。
 ロシア軍はハリコフ市周辺て限定的かつ局地的な攻撃を行ったが、6月27日には前進しなかった。
 南枢に沿ったウクライナの反撃は、ロシア軍に防御を強要し続けている。
 ロシア占領当局は占領地の経済管理を強化し、ウクライナ人にルーブルへの切り替えを強制するための措置を講じている。 (2207-062803)

 6月29日 09:45

 ロシア軍はリシチャンスクの南と南西で攻撃を続け、親露派はウクライナ軍が撤退し開始したと主張したが、ISWはこの主張を確認できていない。
 ロシア軍はスロビャンスク北部で攻撃を開始し、イズユムの西の集落に対し陽動攻撃を行い、ウクライナの反撃を混乱させようとしている可能性が高い。
 ロシア軍はハリコフ市~ベルゴロド高速道路沿いの前進に失敗し、国境やイズユムへのウクライナの前進を阻止している。
 ウクライナ軍はヘルソン市の北で反撃を続け、2つの集落を確保したと伝えられている。
 ロシア軍はメリトポリの東で装備と人員を移動させている。 (2207-062906)

 6月29日 11:35

 ウクライナ中部ポルタバ州のクレメンチュクにあるショッピングモールに対するロシア軍のミサイル攻撃について、ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は6月28日にモスクワで行われたブリーフィングで、ロシア軍機は同地にある西側の兵器と弾薬集積所に対して、精密誘導ミサイルを発射したと述べた。
 同報道官は「ミサイルは、米国と欧州諸国から提供された兵器と弾薬を保管してある自動車工場を直撃。 弾薬の誘爆が工場に隣接する営業を休止したショッピングモールに延焼した」と説明した。
 また、トルクメニスタンで開かれていたカスピ海沿岸国サミットに出席していたラブロフ外相は、この爆撃について国防省報道官のコメントを引用、「ショッピングモールに人はいなかった」と改めて主張した。
 この空爆で少なくとも18人が死亡し60人近くが負傷した。 (2207-062909)

 6月29日 13:58

 ウクライナのゼレンスキー大統領が28日、前日に発生した同国中部クレメンチュクのショッピングセンターへのミサイル攻撃について、ロシアによる意図的な攻撃だったとの見方を示すとともに、ミサイルが着弾した瞬間だとする新たな監視カメラ映像を公開した。
 この攻撃についてロシア当局は、ミサイルは付近の武器庫を攻撃したもので、ショッピングセンターは無人だったと主張した。
 ロイタはロシア側の説明や、ロシアが意図的に民間人を攻撃しているとするゼレンスキー大統領の主張について、独自に真偽を確認することはできなかった。 (2207-062912)

 6月30日08:00

 ウクライナの情報筋は、ロシア当局がウクライナ南部の地域を「タヴリア・グベルニア」として併合する準備をしている可能性があり、ロシアは占領地域での住民投票の準備を通じて併合の条件を設定していると報告した。
 ロシア軍は、ザポリージャ原発での偽旗挑発を計画している可能性がある。
 ロシア軍はリシチャンスクとその周辺で攻撃を続けた。
 ロシア軍は、E40高速道路に沿ってバフムートの東で僅かに前進し、バフムートへの直接攻撃の準備をしようとする可能性がある。
 ロシア軍はハリコフ州とドネツク州境近くの北西からスロヴィャンスクに前進するための攻撃を継続した。
 ハリコフ市の北部で攻撃し続けているロシア軍は、ドンバスを越えた領土拡大を目指しているため、より重要な前進軸で攻撃力を犠牲にして人員と装備を消耗し続けている。 (2207-063004)

 6月30日 07:04

 英国防省が28日、ロシア軍がウクライナ侵攻作戦で急速に戦力を消耗していると分析し、軍の空洞化が進んでいるとの見方を示した。
 ロシア軍は死傷するなどして戦線を離脱した幹部を補充するため、退役将校や予備役を登用して、東部ドンバス地方などでは戦闘能力が低下したまま消耗戦を展開しているが、長期的には持続不可能とみられている。
 ウクライナ軍によると、ロシア軍は24~28日にCM 130発以上を発射し、27日には中部クレメンチュクの商業施設に旧ソ連製の長距離対艦ミサイルが着弾し、市民約20人が死亡したほか、報道によれば29日にも南部ミコライウで集合住宅が攻撃され、少なくとも3人が死亡した。 (2207-063005)

 6月30日 18:25

 ウクライナのイェルマーク大統領府長官が30日、ロシア軍が侵攻初日に占拠した黒海の戦略的前哨基地である蛇島から撤退したと明らかにした。
 長官はTwitterに「蛇島にロシア軍はもういない。 わが軍が素晴らしい仕事をした」と述べた。
 ウクライナ国防省も、ロシア軍が蛇島から撤退し「誠意を見せた」とし、ウクライナから農産物を輸出するための人道回廊設定に向けた国連の取り組みをロシアが妨げていないことを示していると述べた。 (2207-063009)

 6月30日 03:21

 ウクライナ軍当局者が30日、ロシア軍はウクライナの軍事施設や重要インフラを攻撃しようとしているものの、攻撃の半数以上に旧ソ連製の精度の低い旧式ミサイルを使用しているため、民間の建物が誤って攻撃されけ、民間人の死傷者が増えているとの認識を示した。 (2208-070102)

 7月01日 09:25

 ロシア軍はリシチャンスク精油所内とリシチャンスク周辺で限定的な成果を得た。
 ロシア軍はバフムートの南と東、スロバキアの北で攻撃を続けた。
 ロシア軍はハリコフ市北部集落を奪還しようとしている。
 ウクライナの反撃で南枢のロシア軍は防御に専念している。
(2208-070103)

 7月01日 09:53

 ウクライナのオデーサで地元当局者が1日、ロシアのミサイルが集合住宅とリゾート施設に着弾し、少なくとも18人が死亡し、31人が病院に運ばれたことを明らかにした。
 ウクライナ軍高官によると、6月後半は202発のミサイルがウクライナに打ち込まれ、6月前半から120発増加した。 6月後半は68の民間施設が攻撃を受けた。 (2208-070107)

 7月02日 06:05

 ウクライナ軍が1日、ロシア軍が前日撤退していた黒海のズミイヌイ島(スネーク島)で、露空軍のSu-30が1日18:00頃に2度にわたり白燐弾による攻撃を行ったと発表した。
 ウクライナ軍が公開した映像には、同島で戦闘機が少なくとも2度にわたり空爆を行い、爆弾の上に白い筋のようなものが上がっている様子が映されている。
 ロシア国防省は前日、同島から軍を撤退させ、ウクライナからの安全な穀物輸出の実現に向けた国連の取り組みをロシアが妨害しないことを示す「善意の印」だと説明したが、ウクライナは同国軍の砲撃とミサイル攻撃によりロシア軍が撤退を強いられたと主張している。 (2208-070204)

 7月02日 09:25
 ロシア軍はリシチャンスクを包囲し続け、市の南と南西で攻撃した。
 ロシア軍は、T1302バフムート-リシチャンスク高速道路にまだ到達していない可能性が高いが、道路沿いに残っているウクライナの陣地に対する砲撃と空爆を続けることで、ウクライナ軍による使用を阻止している。
 ロシア軍は、スロビャンスク北部拠点の強化を行っている。
 ハリコフ州北部でロシア軍の攻撃は確認されていないが、ハリコフ市北のウクライナの陣地への砲撃を続けた。
 また南軸沿いの砲撃とミサイル攻撃を行った。 (2208-070205)

 7月02日 21:55

 ウクライナ軍が1日、ロシア軍が黒海に大型揚陸艦3隻を新たに配備し、海上封鎖の強化に乗り出していると指摘した。
 露軍は6月末にズミイヌイ島から撤収したものの黒海封鎖を維持する構えとみられる。
 ウクライナ軍によるズミイヌイ島の奪還がウクライナ産穀物の輸出再開につながるかどうかは不透明になっている。
 またウクライナ軍は1日、露軍がズミイヌイ島に放置した兵器などを破壊するため、空爆したとする映像を公開した。 (2208-070208)

 7月03日 07:45

 ロシア軍は7月2日にリシチャンスクに侵攻し市内に突入した。
 ロシア軍はリシチャンスク南西を攻撃しており、西のシヴェルスク方面へ前進してルハンスク州全体の占領を完了する可能性が高い。
 ロシア軍のスロビャンスク北部への攻撃は失敗した。
 ロシア軍はドネツク市南西で限定的な攻撃で、目立った戦果を得られなかった。
 ウクライナ軍は欧米から供給された兵器で、ハリコフ州のロシアの連絡線 (GLOC) を脅かしている可能性が高い。
 ウクライナの反撃とパルチザン活動により、ロシア軍は南軸に沿った防御を強いられている。 (2208-070302)

 7月03日 06:36

 親露派ルガンスク人民共和国部隊報道官は2日、ロシアが完全掌握を目指すウクライナ東部ルガンスク州で、ウクライナ軍の最後の防衛拠点リシチャンスク市の市政を完全に支配下に置いたと主張した。
 一方、ウクライナ国家親衛隊の幹部は地元メディアに「周囲で激戦が続いているが市は包囲されておらず、ウクライナ軍の支配下にある」と語った。 (2208-070303)

 7月03日 14:44

 米政府当局者が3日までに、ロシア軍が制圧したウクライナ南部の一部地域で親露派の人物を狙った攻撃がここ2週間で3件続発した状況に触れ、占領当局に対する抵抗運動の高まりを示唆しているとの見方を示した。
 ヘインズ米国家情報長官は6月29日、ロシアはウクライナ南部でパルチザンの増加に直面しているとも指摘していた。
 米政府当局者はロシアはヘルソン州で効果的な占領統治を進められる十分な兵力を配備していないと判断し、展開させていた兵力をウクライナ東部のドンバス地方での戦闘へ転用させたのが原因とみている。 (2208-070306)

 7月03日 16:55

 ウクライナとの国境に近いロシア南西部ベルゴロドのグラトコフ知事がTelegramで、3日早朝に大規模な爆発が相次いで発生し、少なくとも3人が死亡、4人が負傷したことを明らかにした。
 知事はウクライナ軍による攻撃かどうか明言するのは控えた。 (2208-070307)

 7月04日 04:06

 ウクライナ軍参謀本部が4日SNSに、激戦が続くウクライナ東部ルハンスク州で、ウクライナ軍にとって最後の拠点となっていた主要都市リシチャンスクについて「激しい戦闘後、ウクライナ軍は占領地と境界から撤退することを余儀なくされた」と投稿し、陥落したことを認めた。
 ショイグ露国防相は3日、リシチャンスク市を制圧しルハンスク州全域を掌握したと宣言していた。 (2208-070401)

 7月04日 08:45

 ロシア軍は7月3日、リシチャンスクとルハンスク州の州界に残った領土を占領した。
 ロシア軍はバフムートの北東とスロヴィャンスクの北に攻撃を仕掛けたが進展はなかった。
 ロシア軍が南枢西部で行った大規模砲撃で、ウクライナの反撃が混乱させられた可能性が高い。
 ウクライナのパルチザンが7月2日にメリトポリ近郊で弾薬を積んだロシアの装甲列車を脱線させたと伝えられている。 (2208-070403)

 7月05日 08:00

 ロシア指導部は、リシチャンスクとルハンスク州の境界の掌握後、作戦停止の条件を設定している可能性がある。
 ロシア軍は、セヴェロドネツクとリシチャンスクに対する領土的行政的支配を強化している。
 ロシア軍はバフムートとシヴェルスクへ前進すべくバフムートの東方への攻撃を継続した。
 ロシア軍はハリコフ市北で限定的な攻撃を行い失敗し続けた。
 ウクライナのパルチザン活動は、メリトポリとトクマク周辺のロシアの鉄道路線を標的にしている。
 ロシア指導部は、占領地に住むウクライナ国民の徴兵を準備している可能性がある。 (2208-070501)

 7月05日 11:42

 ロシア軍が7月4日にハルキウの住宅街を空爆しミサイル1発が市内の学校を直撃した。
 市当局によると、校舎の一部が完全に破壊されるなど、学校は大きな被害を受けたという。
 一方、ハルキウ州当局は、直近24時間のロシア軍による砲爆撃で、ハルキウ市内とその周辺で、民間人3人が死亡したことを明らかにした。
 ロシア軍はここ2週間、ハルキウ市内の集合住宅や学校と、周辺地区に対する砲爆撃を再開しているが、ウクライナ政府はハルキウ防衛のために主戦場のドンバス戦線から兵力を振り向けさせようという狙いがあるのではないかとみている。 (2208-070503)

 7月05日 21:57

 ウクライナ軍参謀本部によると、同国東部ルハンスク州の完全支配を宣言したロシア軍は4日から5日にかけ、隣のドネツク州で複数のウクライナ軍支配地に砲撃を浴びせた。
 更に、北東部や南部では都市へのミサイル攻撃も続いた。
 ショイグ露国防相は4日にプーチン大統領と面会し、ルハンスク州の作戦完了を報告した。
 ウクライナ軍がルハンスク州内の事実上最後の拠点となったリシチャンスクからの撤退を認めたことで、戦闘の焦点は今後、ウクライナ軍が確保しているドネツク州西部地域の攻防に移るとみられている。 (2208-070508)

 7月06日 08:30

 ロシア安全保障理事会のパトルシェフ書記長がプーチン大統領のウクライナでの作戦当初目標を改めて表明し、ドンバスをはるかに超えた政権転覆や領土拡大を含む最大主義的目標を保持していることを示唆した。
 ロシア軍は、南からバフムートに前進するために、バフムート南東の村道へのアクセスを試みている可能性が高い。
 ウクライナ軍はドネツク市の南西で限定的な反撃を行った。
 ロシア軍はハリコフ州北部で限定的攻撃を続けたが失敗した。
 ロシアは、継続する人的資源の損失を補うため、占領地で徴兵を実施している。 (2208-070604)

 7月06日 09:51

 ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事が5日、ロシア軍が同州を制圧したのちに激しい戦闘を展開して隣接するドネツク州に前進していると述べた。
 「ルガンスク州の境界で激しい戦闘が続いており、ロシア軍は全部隊と予備役を投入したが大きな損失を被っている」とウクライナのTV局に語った。
 また「大量の装備がドネツクに送られており、ルガンスク州に続き、ドネツクが当然ロシアの優先目標だ」とした。
 またロシア軍はセベロドネツクとリシチャンスクの確保に長期間を要し、大きな損失を受けたものの、南下に向けて戦力を集中させていると指摘した。 (2208-070605)

 7月06日 12:13

 ウクライナ空軍が7月5日、東部航空管区所属の第138SAM旅団が、ロシア軍が海上から発射したCM 6発を撃墜したとする映像を公開した。
 空軍によれば、ロシア軍はドニプロ川中流域ドニプロペトロウシク州のドニプロなど数ヵ所に、洋上発射型CMの3M-54 Kalibr 6発を発射したが、いずれも撃墜されたという。 (2208-070606)

 7月07日 07:00

 ロシア国防省は7月3日以降は領土拡大を主張しておらず、ロシア軍は限定的な攻撃を行いながら、より重要な攻撃作戦のため作戦の一時停止を行っていると見られ、長期にわたる戦争の準備を続けている。
 ロシア軍はスロヴィャンスクの北西と東で攻撃した。 ロシア軍はルハンスクとドネツクの州境からシヴェルスクに向かって西進しようとしている。 また南からバフムートに向かって前進を試み続けた。
 ロシア軍はハリコフ市の北で限定的な攻撃を行った。
 ロシア軍はヘルソン州北西部で攻撃を成功させた。
 一方ウクライナ軍はヘルソン市に対する反撃を準備している可能性がある。
 ロシア軍は、ニジニ・ノヴゴロド州ムリーノで新たな部隊を編成している可能性がある。 (2208-070701)

 7月08日 06:45

 ロシア国防省は、ロシア軍が休息と再編成のために作戦の一時停止を行っていると発表した。
 ロシア軍はイズユムの南東からスロヴィャンスクに向かって前進しようとしており、バルヴィンコヴェの南東からスロビャンスクまたはクラマトルスクに向かって前進する準備をしている可能性がある。
 ロシア軍はシヴェルスクの南東で僅かに成果をあげ、リシチャンスク地域の西で攻撃を継続し、バフムートの南と東で攻撃を続けた。
 ロシア軍はハリコフ市の北での限定攻撃は失敗した。 ウクライナのパルチザンはメリトポリ周辺のロシアが支配する鉄道を目標にし続けている可能性が高い。
 ロシア連邦諸州は、ウクライナでの人的損失を補うために、独自に志願兵部隊を創設し続けている。 (2208-070801)

 7月09日 07:54

 ウクライナメディアが、ウクライナのベレシチュク副首相が8日に近くウクライナ軍が本格的な反攻作戦を開始するとして、南部ヘルソン州とザポロジエ州内の露占領地域の住民に即時の避難を呼びかけたと報じた。
 ウクライナ国軍のマロムシュ大将も8日に同国メディアで、米欧から供与された兵器の習熟が完了しつつあるとして、「今後3~4週間以内に大規模な奪還作戦が始まり、南部から露軍を駆逐できるだろう」との見通しを示した。
 米戦争研究所も6日に「ウクライナ軍がヘルソン方面で反攻を準備している」とする分析を公表している。
 ただ、露軍も南部の占領地域で防衛線を構築しており、ウクライナ軍が反攻を本格化させた場合、激しい戦闘が起きる。 (2208-070903)

2・1・4 ウクライナの反攻準備

 7月09日 08:00

 ロシア軍はスロビャンスク北部で限攻撃を続けた。
 ロシア軍はリシチャンスクからシヴェルスクへの前進を試みたが前進は確認されなかった。
 ロシア軍は、T2117高速道路沿いにあるウクライナの連絡線 (GLOC) を狙いデメンティエフカへの攻撃を開始した。
 ロシア軍は失った陣地を奪還ため、ヘルソン-ムィコラーイウ州とヘルソン-ドニエプロペトロフスク州境沿いの集落を攻撃した。 (2208-070904)

 7月09日 15:21

 ウクライナ東部の完全制圧を目指すロシアは、ドネツク州の各地を砲撃し、ドネツク州知事によると7日に民間人6人が死亡し、21人が負傷した。
 英国防省は8日にロシア軍の戦略について、スロビャンスクとクラマトルシクの主要都市の攻略に向けてシベルシクが直近の目標になる可能性があると分析している。
 一方で、南部のへルソンではウクライナ軍が徐々に成果を上げているとしている (2208-070905)

 7月10日 07:15

 ロシア軍はスロビャンスク北西部で行った攻撃は失敗したため、シヴェルスクの東でリシチャンスク地域から攻撃を実施した。
 ロシア軍はハリコフ市の北西で局地的な攻撃を続けているが、この地域のロシアの連絡線 (GLOC) を防衛するためと見られる。
 ロシア軍は人員と装備の不足に直面し続けており、新しい募集活動を開始している。 (2208-071002)

 7月10日 09:48

 ウクライナ大統領府のアレストビッチ長官顧問が9日、米国から供与されたHIMARSにより過去2週間で露軍弾薬庫や兵器修理施設20ヵ所を破壊したと発表した。
 ウクライナメディアによると、大統領府のポドリャク長官顧問も8日、過去1週間で露軍の兵舎や弾薬庫16ヵ所を破壊したとし、「露軍が攻勢を一時的に弱めて補給を行っている」との見方を示し、「露軍は補給に問題を抱えており、兵站への打撃は戦況のターニングポイントになる」と述べた。
 ウクライナは露軍の兵站に打撃を与え、継戦能力を低下させようとしている。
 英国防省は9日、露軍は最新装備が不足し、旧式装備の運用を余儀なくされていると分析している。
 英国防省は、露軍は国内で増援部隊を編成しているとしつつ、増援部隊には装備や装甲が貧弱な旧式APCのMT-LBが割り当てられていると分析し、侵攻当初には露軍部隊の大半に配備されていたIFV BMP-2に比べ質が落ちていると指摘している。 (2208-071004)

 7月10日 22:14

 ウクライナメディアがヘルソン州当局者の発表として、ウクライナ軍が10日に露軍が制圧を宣言しているヘルソン州の州都ヘルソンに駐留する露軍部隊をミサイルで攻撃したと報じた。
 これに先立つ8日にウクライナのベレシチュク副首相は、ヘルソン州や南部ザポロジエ州の奪還作戦が近く開始されるとし、露占領地域の住民に即時避難を呼びかけており、攻撃は同作戦の一環だとみられる。 (2208-071008)

 7月11日 09:00
 ロシア軍はウクライナ全域で作戦を停止し、将来の攻撃の準備を行っている。
 ロシア軍はスロビャンスク北西部で限定的な偵察行動を実施した。
 ロシア軍は、バフムートを孤立させるため、バフムートの西で砲撃とミサイル攻撃を強化している可能性が高い。
 ロシア軍はドネツク市の北で限定攻撃を行ったが失敗した。
 ロシア軍指導部は、年配の男性と犯罪者で部分的に構成された臨時の志願兵部隊と民間軍事会社の戦闘組織を結成し続けている。 (2208-071103)

 7月11日 23:41

 InterFaxが11日、ロシア国防省がウクライナ東部でウクライナ軍のSu-25 2機とMiG-29 1機を撃墜したと発表したと報じた。
 また、M777榴弾砲が格納されているウクライナ軍の格納庫2棟を破壊したという。
 ロイタはこの報道を確認できていない。 (2208-071110)

 7月12日 08:10
 ベラルーシのルカシェンコ大統領は、ベラルーシ軍をウクライナへの直接関与の危険にさらすことなく、ロシアのプーチン大統領への支持を示すために、ベラルーシ領空へのアクセスを許可し続けている可能性が高い。
 ロシア軍は、スロヴィャンスクの北西とドネツク市の西で行った限定攻撃に失敗した。
 ロシア軍はシヴェルスクとバフムート周辺で空爆と砲撃を続けた。
 ロシア軍はハリコフ市の北西で局地的な攻撃を行った。
 ロシア軍は南軸全体に沿った防御に集中している。 (2208-071203)

 7月12日 09:25

 ウクライナ公共放送が11日、ロシア軍の侵攻開始以降にウクライナ軍や治安部隊の7,200名と連絡が取れない状態だと報じた。
 軍人らの大半はロシア側で捕虜になっているとみられるという。
 ロシア国防省は6月30日、ウクライナ側の6,000名以上が投降するなどして捕虜になったと主張していた。 (2208-071204)

 7月12日 11:16

 ロシアの占領下にあるウクライナ南部ヘルソン州の町ノバカホフカで11日夜、大きな爆発が相次ぎ発生した。
 ノバカホフカで大規模爆発が起きるのはここ4日間で2度目になる。
 この町は重要な水力発電ダムがあるほか、北クリミア運河を通じたクリミア半島への水供給の中継地点にもなっている。 (2208-071205)

 7月13日 03:27

 ウクライナ軍が12日、ロシアが支配するウクライナ南部ヘルソン州のノバカホウカを攻撃し、砲や装甲車と弾薬庫を破壊したと発表した。
 一方、現地の親露派は、攻撃により民間施設が損傷し、少なくとも7人が死亡したと主張しているが、死者数については裏付けが取れていない。 (2208-071303)

 7月13日 08:52

 ウクライナ軍が12日、南部へルソン州のロシア占領下にある町ノバカホフカのロシア軍と弾薬庫を11日深夜に長距離ロケット砲で攻撃したと発表した。
 軍によると、この攻撃でロシア軍で52名が死亡し、弾薬庫のほか、軍用車両なども破壊した。
 ウクライナは米国から供与されたHIMARSによる効果的な攻撃ができているとしているが、国防省は使用した武器についてコメント要請に応じていない。
 ウクライナ側は数十万名を動員した反撃で、この地域の奪還を計画している。
 ウクライナは、黒海へのアクセスという戦略的重要性を持つ南部地域をロシア軍から奪還するため、最大100万名を動員するとしている。 (2208-071307)

 7月13日 09:10

 ロシアはイランのUAV偵察機を調達していると伝えられている。
 ロシア軍は、スロヴィャンスクの北とシヴェルスクの東で限定攻撃を行ない失敗した。
 ロシア軍はバフムートとアヴディイフカ周辺で空爆と砲撃を続けた。
 ロシア軍はハリコフ市の北で複数の攻撃を行ったが失敗に終わった。
 ロシア軍はザポリージャ州エネルホダールにあるザポリージャ原子力発電所に偽旗攻撃を行った可能性が高い。
 ロシアとウクライナの情報筋は、ウクライナによる7月10日の攻撃でヘルソン市で複数のロシア人将校を殺害したと報じた。
 ウクライナ軍は南軸にあるロシアの弾薬庫への攻撃を継続した。 (2208-071308)

 7月13日 11:52

 ウクライナ軍が11日、南部へルソン州のノバカホフカにあるロシア軍の弾薬庫を攻撃したことを明らかにした。
 ロイタ通信は攻撃の特徴から、米国提供したHIMARSが攻撃に使用された可能性があるとしている。
 また、ウクライナメディアにると、12日にウクライナ軍はロシア側が実効支配している地域にある5箇所の弾薬庫を破壊したという。 (2208-071310)

 7月14日 08:30
 ロシア連邦政府が連邦構成単位に対し、ウクライナに展開する志願兵大隊を編成するよう命じた可能性が高い。
 ロシア軍はスロヴィャンスク北部とバフムート周辺での攻撃に失敗した。
 ロシア軍はシヴェルスク周辺とドネツク市の西で空爆と砲撃を続けた。
 ロシア軍は東枢のウクライナ鉄道網を攻撃目標にし続けた。
 ロシア軍はハリコフ市の北で限定攻撃を試み失敗した。
 ロシア軍は、ウクライナ軍が弾薬庫への攻撃を続けたため、南軸での防御を優先した。
 ロシア占領当局は、占領地のウクライナ人の子供達をクリミアに強制移住させる準備をしている可能性がある。 (2208-071407)

 7月14日 11:32

 ロシア軍が占領しているウクライナのザポリージャ州メリトポリのフェドロフ市長が、ロシア軍が町からの避難を2日続けて阻止し、数千人の市民を人間の盾としていることを明らかにした。
 フェドロフ市長は11日、ロシア軍が他地域へ向かう主要な通過地点であるバシリウカの検問所を閉鎖していると述べた。
 フェドロフ市長は現在市内にはいない。 (2208-071409)

 7月15日 05:55

 ウクライナ軍幹部のグロモフ氏が14日、ウクライナ軍は西側諸国が提供した長距離兵器と155mmの砲を使ってロシアの弾薬庫や供給ラインを攻撃したと述べた。
 これによりロシア軍は前線への燃料や弾薬の補給要領の見直しを余儀なくされるという。
 これに先立ちウクライナ軍は同日、ロシア軍が占領するウクライナ南部の町にある検問所などを攻撃したと発表していた。 (2208-071503)

 7月15日 09:00

 ロシアはヴィニツィア、ハリコフ市、ムィコラーイウ市などの都市住宅地への組織的な攻撃を続けた。
 ロシア軍はシヴェルスクへの前進を目論んだが、その進捗は不明である。
 ロシア軍はバフムートとスロビャンスク周辺で限定的な攻撃を行ったが成果はなかった。
 チェチェン支配者のカディロフが新たに編成した4個大隊のうちの1個大隊をウクライナに配置されたと主張した。 (2208-071506)
 7月16日 08:25

 ロシア軍は作戦停止を終え、スロヴィャンスクの北、シヴェルスクの南東、バフムート周辺、ドネツク市の南西で攻撃を再開した可能性が高い。
 ロシア軍は、ハリコフ州でロシア国境に向かってウクライナ軍が前進するのを阻止するために、ハリコフ市方面の占領地を確保し続けた。
 ロシア軍は7月15日、ムィコラーイウ市の住宅インフラ、娯楽施設、教育機関などの民間施設を目標に組織的な攻撃を続けた。 (2208-071603)

 7月16日 06:25

 ウクライナ国防省報道官が15日、ここ数週間にロケット攻撃で30ヵ所以上のロシア軍輸送拠点を破壊し、ロシアの攻撃力を著しく低下させたと発表した。 報道官は、これにはHIMARSが貢献していることを示唆した。
 これが確認されれば、西側諸国からの兵器提供が戦況に大きく影響していることを意味し、ウクライナ戦争の力学における変化を示す可能性がある。 (2208-071604)

 7月16日 08:25

 ロシア軍は作戦停止を終え、スロヴィャンスクの北、シヴェルスクの南東、バフムート周辺、ドネツク市の南西で攻撃を再開した可能性が高い。
 ロシア軍は、ハリコフ州でロシア国境に向かってウクライナ軍が前進するのを阻止するために、ハリコフ市方面の占領地を確保し続けた。
 ロシア軍は7月15日、ムィコラーイウ市の住宅インフラ、娯楽施設、教育機関などの民間施設を目標に組織的な攻撃を続けた。 (2208-071603)

 7月17日 07:00

 ロシア国防省は戦闘再開を発表し、ロシア軍が複数の前進軸に沿って攻撃を再開している可能性が高い。
 戦闘再開がウクライナ全土での攻撃の大幅増加につながる可能性は低いが、スロビャンスク-シヴェルスク-バフムートに焦点をあてた限定攻撃が継続させる可能性が高い。
 ロシア政府は軍にハリコフ州全体を支配するよう命じたかもしれないが、これが成功する可能性は極めて低い。
 ロシア軍は、シヴェルスクとバフムート周辺で限定攻撃を行い、それ以外ではウクライナ東部全域のウクライナ軍と民間施設を砲撃した。 (2208-071702)

 7月17日 20:54

 ロシア国防省が17日、ウクライナ南部オデッサで、NATO側が供与したHarpoonを保管していた施設を空中発射ミサイルで、また東部ドネツク州でHIMARSを地上発射ミサイルで破壊したと発表した。
 このほか、東部ハリコフ州や南部ザポロジエ、ミコライウ州、北東部スムイ州などにも空爆や砲撃を行い、ウクライナ軍の陣地や弾薬庫などを破壊したという。 (2208-071705)

 7月18日 04:12

 英国防省が17日、ロシア軍がウクライナ南部の支配地域で防御態勢を強化しているとの分析を発表した。
 分析によると、露軍はマリウポリ、ザポロジエ、ヘルソンなどで兵員や装備を増強しているという。
 ウクライナのレズニコフ国防相は10日付の英紙で、ゼレンスキー大統領から南部の黒海沿岸地域の奪還に向けた作戦の立案を命じられたことを明かしている。
 ウクライナ国防省幹部は16日のTV番組で、クリミア半島にHIMARSなどで攻撃を仕掛ける可能性を示唆した。
 欧米の支援で長距離攻撃能力を強化したウクライナは、南部や東部での反転攻勢を目指している。
 一方、ISWは16日、プーチン露大統領が軍に東部ハリコフの制圧を命じた可能性があるとの見方を示した。 (2208-071802)

 7月18日 05:03

 ロシア上院のクリシャス憲法法制委員長が17日、2014年に強制編入したウクライナ南部クリミア半島とロシア南部クラスノダール地方を結ぶクリミア橋(ケルチ海峡大橋)への攻撃を示唆したウクライナ高官の発言に強く反発し、全ウクライナを武装解除し非ナチ化する必要性を改めて示したと述べて軍事作戦強化を訴えた。
 ロシア紙によると、ウクライナのアレストビッチ大統領府長官顧問が16日にクリミア橋について、「技術的に可能になれば真っ先に標的になる」と述べた。
 同紙はウクライナ軍幹部が、米国供与のHIMARSの使用もあり得ると述べたと報じた。 (2208-071804)

 7月18日 06:00

 ロシア軍は慎重に攻撃を再開したため、7月17日には確認された領土獲得をしなかった。
 ロシア軍はシヴェルスク、バフムート、ドネツク市周辺で限定攻撃を続け、ドンバス全域の民間および軍事施設を砲撃した。
 ロシア軍はハリコフ市の北と南軸で防御に集中した。 (2208-071805)

 7月18日 11:20

 ウクライナのゼレンスキー大統領が17日のビデオ声明で、侵攻開始以降に露軍が発射したミサイルの数が3,000発を超えたと表明した。
(2208-071806)

 7月19日 06:30

 ロシア国防省がウクライナ東部の軍司令官と会合したことは、露政府が作戦の焦点をスロバキア占領ではなく、代わりにシヴェルスクとバフムートを占領しようとすることを優先することを示唆している。
 プーチン大統領は、ロシア系住民の動員を避けるため、ウクライナ作戦での負担を少数民族に負わせようとしている可能性がある。
 ロシア軍はシヴェルスクの東とバフムートの南で攻撃を行った。
 ロシア軍はアヴディイフカへ前進するためドネツク市~アヴディイフカ戦線に沿って限定攻撃を行った。 (2208-071904)

 7月19日 15:37

 ウクライナ東部ドネツク州アウディーイウカの地元当局が19日、ここ数日にロシア軍から攻撃を受けたが撃退したと述べた。
 アウディーイウカはドネツク市とコスタンチノフカ、クラマトルスク、スラビャンスクを結ぶ幹線道路沿いにある。
 同当局者は国内TVで、「アウディーイウカとコスタンチノフカを結ぶ幹線道路が敵の支配下にあるとの主張は事実ではない。 敵の損失はわれわれよりはるかに大きい」とし、ロシア側の40名が死亡したと述べた。
 ウクライナ側の死者は4名という。 (2208-071917)

 7月20日 04:45

 ウクライナのレズニコフ国防相が19日に米シンクタンクAtlantic Council(大西洋評議会)のイベントにオンラインで、ロシア軍兵士の死者数は推定38,000名だと述べた。
 ロシア軍の総兵力は推定90万名だが、米政府は2月24日の侵攻開始前にウクライナ周辺に展開していた兵力は15万名以上と分析していた。 (2208-072002)

 7月20日 05:11

 TASS通信などが、ウクライナ南部ザポロジエ州でロシア側が一方的に設置した「軍民行政府」が20日、同州エネルゴダールにあるザポロジエ原発敷地内に同日ウクライナ側による爆発物を積んだUAV 3機の攻撃があり、11人が負傷したと述べたと報じた。
 原子炉に被害はなく放射線レベルも正常という。
 ザポロジエ原発は欧州最大級の原発で、3月にロシア軍に占拠された。
 ロシア国防省は7月12日にも、同原発に近い建物をウクライナ軍がUAVで攻撃し2発の砲弾を撃ち込んだと発表していた。 (2208-072003)

 7月20日 07:09

 ウクライナ国防省高官が、クリミア半島を欧米の重火器で攻撃することを示唆したのに対し、ロシア側は反発し核使用をちらつかせて反撃を警告したことから、米国なども困惑している。
 スキビツキー国防省情報総局報道官は16日の地元TVで、クリミアの軍事目標はHIMARSやMLRSの攻撃目標の一つだと明言した。
 ウクライナのレズニコフ国防相は先にBBC放送に対し、HIMARSでロシア領内を攻撃しないことになっていると説明していたが、クリミアはあくまでもウクライナ領で、攻撃しても米国などとの約束に反しないと述べている。
 これに対しロシア側は強く反発しており、InterFax通信によると、メドベージェフ前首相は17日に「そうした事態となれば、彼ら全員に終末の日が訪れるだろう」と警告して、クリミアへの攻撃をロシアの「国家の存立」を脅かすものと見なし、核兵器使用も辞さない姿勢を強調した。
 ゼレンスキー大統領は17日のビデオ演説で「脅迫は誰も受け入れない」と一蹴したが、クリミアを攻撃すれば反撃を受けるだけでなく、欧米が今後の兵器供給に及び腰になる恐れもあり、ウクライナ側は可否を慎重に見極めているとみられ、高官の発言はドンバス地方の完全支配を目指すロシアを牽制する狙いだったとも言える。 (2208-072004)

 7月20日 07:40

 ウクライナに供与された欧米の長距離火力兵器により、前線から遠く離れたロシアの指揮所や兵站拠点、弾薬集積所を攻撃することが可能になったのことで、ウクライナでの戦争に新たな、そして潜在的に非常に重要な要素が加わった。
 ウクライナ軍は南部と東部でこれらを効果的に配備している。
 ドネツクやルハンスク、ザポリージャ、ヘルソン各州の被占領地域では14日までの1週間に大規模な爆発が相次ぎ発生したが、人工衛星の画像や欧米の専門家の話から判断する限り、目標選定は非常に効果的に行われているようである。
 ウクライナ軍は具体的な情報をあまり公表していないものの、内務省高官は13日に供与された兵器のおかげで、過去2週間に兵器や燃料潤滑剤の保管倉庫20ヵ所以上を破壊できたことから、ロシアが使える火力に影響が出るだろうと述べた。
 供与された欧米の兵器で最も高性能なのはHIMARSだが、それ以外にもウクライナは米国とカナダからM777榴弾砲、フランスからCAESAR SPHを受領している。 (2208-072005)

 7月20日 08:30

 ロシア政府は、早ければ2022年9月11日にも、占領下のヘルソン州、ザポリージャ州、ドネツク州、ルハンスク州をロシアに併合しようとする可能性が高い。
 ロシア軍は、イズユムの南東とバルヴィンコーヴェ周辺からスロビャンスクへの攻撃を再開しようとし続けた。
 ロシア軍はシヴェルスクの東方への攻撃を続け、バフムートの東方への攻撃で部分的に成功した。 (2208-072006)

 7月20日 09:15

 ウクライナ軍参謀本部が19日、ドネツク州のバフムトやセベルスク方面に前進を図った露軍を撃退したと発表した。
 ドンバス地域の制圧を主目標とする露軍は7月上旬にルガンスク州の制圧を宣言した後、目立った前進を遂げられておらず、戦況は膠着状態が続いている。 (2208-072007)

 7月20日 20:03

 ロイタ通信などが、ウクライナ軍が19、20日の両日にヘルソンにかかる大型の橋を砲撃したと報じた。 ウクライナ軍はHIMARSを使ったとみられる。
 この橋はドニエプル川西側のヘルソン市街と対岸を結ぶ長さ1kmの橋で、ロイタによると、ロシアがヘルソンに一方的に設置した「行政府」が、攻撃で橋の道路は損壊したと発表したという。
 SNSには、アスファルトの路面に大きな穴が開いた様子などが投稿された。
 TASS通信は行政当局者の話として20日、橋は損傷が激しく通行止めとなる可能性が高いと報じた。
 英国防省は20日に発表した分析で、橋は露軍が補給路などに使う渡河地点の一つで、橋を巡る攻防は戦況を左右する重要な要素になるとの見方を示した。
 ウクライナ軍は、欧米が供与した高精度の長距離砲による露軍の基地や武器庫などへの攻撃も続けており、南部を中心に制圧された地域の奪還へ反転攻勢を強めている。 (2208-072013)

 7月20日 21:50

 ウクライナ南部でロシア軍支配地域をめぐる攻防に注目が集まっている。
 ウクライナ軍は20日にSNS上で、ヘルソン州にあるロシア軍の重要設備を破壊したと発表した。
 同州の州都と対岸を結ぶロシア軍にとって戦略上重要な橋に対しても2日連続で攻撃した模様で、ウクライナ軍が南部奪還に向けて布石を打ち始めている。
 ウクライナ軍が破壊したと発表したのは、ヘルソン州の黒海沿いに配備されたロシア軍の移動式レーダで、ウクライナ軍はロシア軍が持ち込んだS-400やS-300と連接しているとしている。
 また、ロシア国営RIA Novosti通信は20日にヘルソンでドニプロ川の橋がミサイル攻撃を受けたと報じた。
 19日も同じ橋にミサイルが命中し、黒煙が立ち上るのが確認された。 地元の親露派は、20日の攻撃はウクライナ軍のHIMARSによる攻撃だとしている。 (2208-072014)

 7月21日 05:49

 ウクライナの原子力企業Energoatom社が20日、ロシア軍が3月上旬から欧州最大級のザポリージャ原子力発電所の施設内に兵器を隠すことを要求してきたことをSNSで明らかにした。
 ロシア軍は原発には攻撃ができないことを逆手に取り、同原発を軍事基地のように使っているとみられてきた。
 これまでも、同原発の敷地内からウクライナ側に攻撃を加えてきたとされている。 (2208-072104)

 7月21日 06:04

 ラブロフ露外相がウクライナでの軍事作戦の目標について、東部の制圧だけでなく南部の制圧も含まれるとの認識を示した。
 一方露国防省は20日、ショイグ国防相が前線部隊を視察したと発表した。
 ショイグ国防相はこのところ、前線部隊を相次ぎ視察していて、ウクライナ軍の反撃を警戒しているとみられる。 (2208-072105)

 7月21日 07:10

 ロシアの攻撃は現在、ドネツクのE40高速道路北東で僅かに前進しており、E40に沿って集中する可能性が高い。
 ロシア軍は、スロヴィャンスク北西部とドネツク市アヴディイフカ周辺で限定攻撃を再開した。
 ロシア軍はシヴェルスクの東で局地攻撃を続け、バフムートの北東で僅かに前進した。
 ウクライナ軍は、ヘルソン市の東にあるロシアの主要な補給路であるアントニフスキー橋に対して、2回連続で高精度の射撃を行った。 (2208-072106)

 7月21日 15:20

 米中央情報局 (CIA) のバーンズ長官がAspen研究所のイベントで20日、ウクライナ侵攻でロシア側の死者が15,000名に上り、負傷者も45,000名に達するとの推計を明らかにし、ロシアがより人的被害が少ない長距離砲などを使った戦闘に軸足を移したとの見方を示した。
 バーンズ長官はウクライナ側の死傷者も多数に上るが、ロシア側よりやや少ないとみられると述べた。 (2208-072108)

 7月21日 20:30

 ロシア軍がウクライナ東部ドネツク州マリウポリから南部地域の各地へ装備を輸送し続ける動きが強まってきた。
 マリウポリを既に離れた同市の市長顧問は、市内を通過しての装備品の移送が続いていると述べ、7月16日には装備品を積んだ最大100両からなる大規模な車列が中南部ザポリージャ州へ向かったとした。 これら車列にはIFVも含まれた。
 CNNは先週、ザポリージャ州メリトポリ市近くで西進するロシア軍の大規模な車列の位置情報を確認した。
 マリウポリの地域住民グループは7月15日にロシア軍の複数の軍用車両が南東部の港湾都市ベルジャンスクの方向へ市内を走行する画像も公開していた。
 これに加え大人数のロシア軍兵士がトラックでマリウポリ西部にある2ヵ所の村落に運ばれ、陣地を構築したともした。
 これら装備品などの西方への移動は南部ヘルソン州に展開するロシア軍の支援が目的との見方もある。
 同州でロシア軍はウクライナ軍の長距離兵器を駆使した攻撃で守勢にあるともされることから、ウクライナ軍が攻勢を仕掛ける南部で戦局の転換を図る狙いとみられる。 (2208-072111)

 7月21日 23:28

 英国防省が21日、ロシア軍がウクライナ東部ドネツクの北東50kmの町ボホレヒルスクに近づいているもようだと分析した。
 露軍は侵攻後、原子力発電所などのインフラ施設の制圧を優先目標にしており、この町には国内で2番目に大きい発電所がある。
 英国防省は発電所を制圧し、ドネツク州クラマトルスクやスラビャンスクなどの要衝獲得に向けた足掛かりにする狙いもあるとみている。 (2208-072112)

 7月22日 06:00

 現在のロシア作戦進展は公表した作戦休止中と著しく異なることはなく、今後数週間で大きな地盤を固める可能性は低い。
 ロシアは、高精度兵器備蓄の55~60%を射耗した可能性が高い。 ロシア軍はシヴェルスクの東とバフムートの南で限定攻撃を続けた。
 ハリコフ市北でのロシア軍の攻撃は失敗した。
 ロシア軍はヘルソン州で限定攻撃を行った。
 ロシア軍は、ザポリージャ原子力発電所の施設をウクライナの攻撃から守るため装備を搬入している可能性がある。
 ロシアのムルマンスク州は志願兵大隊を編成していると伝えられている。 (2208-072204)

 7月22日 06:26

 英国の対外情報機関、秘密情報部 (MI6) のムーア長官が21日に米コロラド州で開催されたAspen研究所の安全保障フォーラムで講演し、ウクライナ侵攻を続けるロシア軍は今後数週間のうちに何らかの形で作戦を休止し、ウクライナに重要な反撃機会を与える可能性が高いとの見解を示した。
 同長官は、ウクライナ戦争でこれまでに15,000名のロシア軍兵士が死亡したとの推計を発表し、これは「おそらく控えめな推計値」だとした。
 その上で、今後数週間でロシア軍は人員や物資の供給に一層困難をきたすと予想し、「何らかの形で作戦を一時停止せざるを得なくなり、ウクライナに反撃の機会を与えることになる」とした。 (2208-072205)

 7月22日 09:09

 米外交誌Foreign Policyが20日、ロシア軍が来年初頭にもオデッサの攻略に向けた新たな大規模作戦に乗り出す可能性があるとする米欧当局者の分析を報じた。
 分析は一方で、米欧によるウクライナへの軍事支援拡大やロシア軍の損害拡大により、ロシア軍がオデッサを制圧できる保証はないとも指摘した。
 ウクライナ軍参謀本部は21日、最前線であるドネツク州の主要都市スラビャンスクやクラマトルスク方面に前進を図ったロシア軍を撃退したと発表した。
 一方ハリコフの市街地が同日にロシア軍の砲撃を受け、市民3人が死亡し20人以上が負傷した。 (2208-072207)

 7月22日 11:51

 ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問が21日、ロシア軍に南部ヘルソン州からの退却を要求し、拒否すればHIMARSの恐怖にさらされると警告した。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州のドニエプル川に架かる大型橋を砲撃するなど反撃を強めている。
 一方、南部ミコライウ州のキム知事は21日に、ロシアのミサイル2発が人道支援物資の倉庫に着弾し、物資数千㌧が焼失したことを明らかにした。 (2208-072210)

 7月22日 20:43

 英国防省が、ウクライナでロシア軍がミサイル攻撃でS-300などのSAMを使用しているため目標が外れて市民の被害がさらに広がるおそれがあると指摘している。
 SAM地上への攻撃には適さないうえ、兵士も訓練をほとんど受けていないため、攻撃目標が外れて市民の被害がさらに広がるおそれがある。 (2208-072214)

 7月23日 05:50

 米国防総省高官が22日、ウクライナ戦争でロシア軍が1日当たり数百名の死傷者を出しており、これまでに数千名の将校を失っているため指揮系統が混乱しているとの見解を示した。
 ロシアは3月25日時点では死者数を1,351名と発表していたが、平時でも軍の死者数を国家機密として戦時も公式の死傷者数をほとんど更新していない。 (2208-072302)

 7月23日 07:30

 ロシア軍がシヴェルスクの東、バフムートの東と南に攻撃を行った。 またドネツク市の北西に前進しようとして失敗した。
 ウクライナ軍はハリコフ市北の陣地で限定的な戦闘を行った。
 ロシア軍はヘルソン~ムィコラーイウ州境付近で局地攻撃を行った。
 チェチェン共和国のカディロフ隊長は、新たに編成された西アフマート大隊は直ちにウクライナに配備されず、チェチェンに留まると発表した。 (2208-072204)
【註】22日のISW報告でヘルソン州の戦況を示した地図ではロシアとウクライナの情報源が、ウクライナがLozove近くに橋頭堡を確保したと報じている。
 これによりウクライナ軍はヘルソン側に向けムィコラーイウ川の渡河が可能になったはずである。

 7月23日 10:30

 ミリー米統合参謀本部議長が記者団に20日、米国がウクライナがロシアの高価値目標100ヵ所あまりを破壊したと分析していることを明らかにした。
 目標の大半はウクライナ東部でここ数週間のうちに破壊された。
 国防総省高官によると、ウクライナ軍の攻撃対象となっているのはロシア軍の指揮所や弾薬集積所、防空施設、レーダ、通信拠点、長距離砲陣地という。
 ただし米国の分析では、ロシアは依然として1日あたり数万発を発射しているという。 (2208-072305)

 7月23日 15:30

 ミリー米統合参謀本部議長が23日、50ヵ国が参加したウクライナへの軍事支援を協議する4回目の国際会合に出席後ウクライナ戦況に触れ、ロシア軍は米欧がウクライナに供与したロケット砲などの破壊には一切成功していないと述べた。
 ロシアは、米国がウクライナに提供したHIMARSを前線近くで破壊したと主張している。 (2208-072307)

 7月23日 18:12

 ウクライナの大統領府顧問が、ウクライナ軍が反転攻勢を強めている南部ヘルソン州で、ロシア兵1,000名以上を包囲していると明らかにするとともに、これはほんの始まりにすぎないと投稿した。
 またロシアメディアも、ロシア側が兵士を避難させるための人道回廊の設置をウクライナ側に要求したと報じている。 (2208-072310)

 7月23日 19:39

 ウクライナ軍が23日、オデッサの商業港がロシア軍のミサイル攻撃を受けたと発表した。
 ロシアの黒海封鎖でウクライナ産穀物の輸出が滞っている問題を受け、イスタンブールで輸出再開と航路の共同監視を柱とする合意文書に両国が22日に署名したばかりであった。
(2208-072312)

 7月24日 07:00

 ウクライナ軍は、ヘルソン州で反撃を開始する準備をしているか、既に開始している可能性が高い。
 ロシア軍はバフムートの東で限定的な偵察活動を行い、スロヴィャンスクの北西、シヴェルスクの東、バフムートの南で限定攻撃を続けた。
 ロシア政府引き続きし、7月末まで16個の地域志願兵大隊を編成する計画である可能性が高い。
 ロシア占領当局は、占領地のロシア連邦への併合に関する国民投票の準備を続けており、占領地域を非ロシア情報空間から隔離するための措置を講じている。 (2208-072402)

 7月24日 07:16

 ウクライナとロシアがトルコや国連の仲介で穀物の海上輸送の再開について合意した翌23日にオデッサ港がミサイル攻撃を受けたことを巡り、トルコのアカル国防相は23日夜、ロシア側が関与を否定していることを明らかにした。
 アカル国防相によると、ロシア側はミサイル攻撃について全く無関係だと全面否定した上で、事案の詳細について調査していると述べたという。
 ウクライナ軍によると、使われたミサイルはKalibr CM 4発で、黒海で活動する戦闘艦から発射されたとみられる。
 そのうち2発を迎撃し、残り2発は港のポンプ場に直撃したが、被害は小さいという。 (2208-072404)

 7月24日 14:38

 米軍高官が24日までに、ウクライナのHIMARSがもたらす破壊力をそぐため、ロシア軍が兵力の展開場所の変更など様々な対応策を講じている兆候があると分析した。
 この高官はロシア軍のこれらの対策がどれだけの効果を上げているのかは言い切ることは出来ないとしながらも、それほど奏功していないようにみられるとした。
 更に、HIMARS 4基を破壊したとするロシア軍の主張を、22日朝の時点でウクライナ側と話し合った限りでは、ロシア軍の主張は真実でないと判明したと断定し、HIMARSがロシア軍を明らかに苦しめ続けていることになるとも述べた。
 ウクライナ軍はHIMARSを用いてロシア軍の指揮統制拠点や弾薬を中心にした後方支援網などへの攻撃に注力している。 (2208-072405)

 7月25日 07:30

 ウクライナ当局者はヘルソン州におけるウクライナによる反撃を強調している。
 ロシア政府はまだ非常に限定的であるが、少数民族に不平等な負担を強いているとする国内の反対意見の高まりに直面している。
 ロシア軍は7月24日、スロヴィャンスクの北西、シヴェルスクの東、バフムートの南で限定攻撃を試みた。
 過去1週間にヘルソン市に通じるロシアが支配する3つの橋すべてが、ウクライナの攻撃で損傷を受けた。 ロシア軍はヘルソン州で限定攻撃を試みた。
 ロシア政府は地方で志願兵大隊の編成を続け、民間軍事会社の募集活動を利用して戦闘力を生み出している。 (2208-072502)

 7月25日 09:04

 ロシア軍が24日、オデッサの港に停泊していたウクライナ艦と米国が供与したHarpoonの倉庫をミサイルで破壊したと発表した。
 オデッサ港などではロシアによる侵攻後に穀物輸出が滞っており、国連の仲介でロシア、ウクライナ、トルコが22日、穀物の海上輸送の再開に向けた合意文書に署名したが、翌23日にウクライナ側はオデッサの港湾施設がロシア軍のミサイル攻撃を受けたと明らかにしており、国連や米国などがロシアを非難していた。 (2208-072503)

 7月25日 11:50

 AFP通信によると、南部ヘルソン州の幹部クラン氏がウクライナのTV局に対し、ヘルソン州は9月までに間違いなく解放されると述べた。
 また米国からHIMARSなどが提供される中「戦場に転機が訪れた。 我々は防御から攻撃へと移行している」と強調した。 (2208-072505)

 7月26日 09:00

 ロシア軍はバフムートの南で僅かに前進したが、この前進によるバフムートの制圧はできそうにない。
 ロシア軍はハリコフ市の北、シヴェルスクの東、バフムートの東で限定攻撃を行った。
 ロシア軍はウクライナの反撃に備えてザポリージャ州とヘルソン州で陣地を強化し続けている。
 これに対しウクライナ軍は、南軸沿いのロシアの拠点を攻撃し続けている。 (2208-072604)

 7月26日 14:48

 ウクライナ南部ミコライウのセンケビッチ市長が26日、港湾インフラをロシア軍が攻撃したことを明らかにした。 被害状況には言及しなかった。
 市長は「黒海方向から大規模なミサイル攻撃が行われた」とウクライナ国営TVに述べた。
 南部ではロシアが23日にオデーサ港を攻撃し、ウクライナ産穀物輸出の再開に不透明感が生じている。 (2208-072609)

 7月26日 22:07

 ウクライナ軍が、欧米から供与されたロケット砲などで攻勢を強めている。
 ドイツが供与したGepard SPAAGもウクライナに到着し、ロシアが実効支配を進める東部や南部での反攻を本格化させる。
 英国防省は26日、ロシアは対艦ミサイルを重要な脅威と位置づけているとの見方を明らかにした。
 英国防省は26日の戦況分析で、ロシアは対艦ミサイルを黒海艦隊の有効性を制限する重要な脅威と位置づけていることはほぼ間違いないと指摘し、ロシアはオデッサ攻略のための水陸両用攻撃に踏み切ることができず、侵攻計画が大きく損なわれているとした。 (2208-072613)

 7月27日 08:15

 ロシア軍はバフムートの北東郊外を確保し、バフムートの東と南で戦闘を続けている。
 ロシア軍はイズユムの北西で限定攻撃を行い、イズユム~スロバキア線のロシア軍の後方地域を確保した可能性が高い。
 ロシア軍はドネツク市の南西、ザポリージャ州境付近で限定攻撃を行った。
 ロシア軍はヘルソン州北西部で防御に集中し、奪還された地域への限定攻撃を行った。
 ウクライナ軍はヘルソン州のロシアの兵站基地を攻撃し続けている。 (2208-072704)

 7月28日 07:37

 ウクライナのアレストビッチ大統領府長官顧問が27日、ロシア軍がウクライナ南部で部隊の大規模な再配置を実施しているようだと述べた。
 また、ウクライナ東部にあるソ連時代に建設された国内第2の石炭火力発電所ボホレヒルスク発電所をロシア軍が制圧したと述べた。
 アレストビッチ顧問は、ロシア軍が攻撃から戦略的防御に作戦を転換させているようだと述べ、制圧を目指す東部ドネツク州ではウクライナの攻撃力を弱めることに目標を絞った攻撃を行っていると分析した。
 ウクライナ側は、ロシア軍が侵攻初期段階で占拠した南部へルソン市の奪還を目指す考えを明らかにしているが、ウクライナ国家安全保障国防会議のダニロフ書記は先に、ロシアがへルソンに向けて最大数の兵力を集中させているとツイッターに投稿した。
 アレストビッチ顧問は、ロシア軍はへルソンだけでなく、南部メリトポリとザポロジエにも部隊を送っていると述べた。 (2208-072801)

 7月28日 08:30

 ウクライナ軍がイズユムの南西で局地的な反撃を開始した可能性がある。
 ロシア軍はシヴェルスクの東、バフムートの北東と南東の集落を攻撃した。
 ハリコフ市の北で戦闘が行われている。
 ウクライナ軍はアントノフ大橋を10日間で3度攻撃し、7月27日にはおそらく使用不能にした。 (2208-072802)

 7月28日 10:04

 英PA通信が27日に西側当局者の話として、ウクライナ東部ドンバス地域でロシア軍が戦闘の主導権を決定的に失ったと報じた。
 ドネツク州全域を今後数ヵ月で制圧する可能性は一層低くなったと指摘した。
 また南部でロシアの補給路となっていた橋をウクライナが攻撃したことも痛手になっているとの見方を示した。  これに対し当局者は、ウクライナでの戦闘は一進一退の状態が続いているとして、ロシア軍には状況に応じて戦術を変更する能力があり、ドンバス地域の攻略が難航しても撤退する見込みはないと述べた。 (2208-072803)

 7月28日12:40

 ウクライナのゼレンスキー大統領が26日のビデオ演説で、2月の侵略開始以降にロシア軍の戦死者が4万名に上っているとした。 負傷者も数万人いるとみられる。
 ウクライナ軍は米国から供与されたHIMARSなどを使って反撃を強めており、露軍の損害が増えている模様である。 (2208-072805)

 7月28日 15:02

 New York Timesが27日、バイデン米政権がウクライナに侵攻したロシア軍の死傷者を75,000名超と推計していると報じた。
 推計が正確であれば、露軍は米国が今年春時点で最大150,000と見積もっていたウクライナ投入部隊の約半数を損耗していることになる。 (2208-072807)

 7月28日 15:14

 英国防省が28日、ウクライナ南部ヘルソン市でウクライナ軍の反撃が勢いを増しているとの見方を示した。
 ウクライナ軍は、ヘルソンの北で州境となっている川(註:Inhulets River)の南岸に橋頭堡を築いた可能性が高いという。 (2208-072808)

 7月28日 18:30

 英国防省は28日、ウクライナ軍が南部ヘルソン州の奪還を目指し勢いを増しているという分析を発表した。
 ウクライナ軍は南部での作戦を本格化している。
 一方、ロシア軍も攻撃を続けていて、ウクライナメディアによると28日にキーウの中心部に近いビシュホロドのインフラ施設がミサイル攻撃を受けた。 北部チェルニヒウでも10発以上のミサイル攻撃が確認された。
 ウクライナ海軍は27日、オデッサ州のオデッサ、チョルノモルシク、ピフデンヌイの3港が再開されたと明らかにした。
 ウクライナ側は週内にも同国産の穀物を載せた再開後の第1便を出航させる方針で準備を進めている。 (2208-072811)

 7月28日 19:38

 ウクライナ軍が28日、ロシア軍が黒海やベラルーシから首都のあるキーウ州や、北部チェルニヒウ州などにミサイル約20発を発射したと発表した。
 現地メディアなどによると、ロシア軍は、黒海からKalibrを発射したほか、ベラルーシからもIskanderを発射したという。 (2208-072812)

 7月29日 08:30

 ドネツク州のロシア軍はバフムート周辺で前進しようとしている可能性が高く、シヴェルスクへの前進の優先順位を下げる可能性がある。
 ロシア軍はスロヴィャンスクの北西とバフムートの北東と南西で限定攻撃を行った。
 ドネツク市とその周辺でのウクライナの攻撃を防ぐため、ロシア軍はアヴディイフカ周辺の攻撃を強化している可能性がある。
 ロシア軍はハリコフ市に対する新たな攻撃を準備している可能性がある。
 ロシア軍は南軸で限定攻撃を試みたが、ヘルソン州で占領地喪失に直面している可能性が高い。
 ロシア軍はヘルソン市とその後方支援地域のヘルソン州東部を結ぶドニプロ川を経由する連絡線を維持しようとしている。 (2208-072902)

 7月29日 09:30

 ウクライナ当局が29日までに、ロシア占領下の南部ヘルソン州にある要衝の橋がウクライナの長距離砲で繰り返し砲撃され損傷したため、ロシア軍は重兵器や弾薬を輸送できない状態だとした。
 損傷したのはドニプロ川に架かる1,000mのアントニウスキー橋で、以前この橋は南部ミコライウの前線に武器や弾薬、食料を補給する主要ルートになっていた。
 英国防省は28日、ウクライナの長距離砲で3本の橋が攻撃され、ドニプロ川西岸に駐留するロシア軍部隊は非常に脆弱になっているように見えると指摘している。
 ロシア占領下で最も重要な人口集中地であるヘルソン市はいま、実質的に他の占領地から孤立しているとの見方を示した。
 ウクライナ政府顧問は、ロシアが渡河のため浮橋をつくることも可能かもしれないが、ドニプロ川の左岸はほぼ全て氾濫原と泥沼だとしている。
 ただ、ロシアは依然としてヘルソン市北東の広い地域を支配しており、浮橋やフェリーでドニプロ川を渡って西岸の部隊に物資を補給できる可能性もある。 (2208-072903)

 7月29日 11:31

 ウクライナ北東部ハルキウ州に展開したウクライナ軍砲兵部隊が7月28日、前夜ハルキウを砲撃したロシア軍野砲陣地にSPHによる報復砲撃を行った。
 ウクライナ当局この日、ロシア軍に占領された同国南部地域を解放すると発表したが、その発表にかぶせるようにロシア軍は、ハルキウ州に加えてこれまで数週間砲爆撃の目標にしていなかった北部キーウ州とチェルニヒウ州に対して攻撃を加えた。
 ロシア軍の北部2州に対する砲撃は、ウクライナで初めて行われた「国家樹立の日」に対する報復を意図して実施されたのではないかとキーウ州当局はみている。 (2208-072904)

 7月30日 08:30

 地上戦はハリコフ市の北で続いたが支配地域に大きな変化はなかった。
 ロシア軍はヘルソン州で現体制のままで限定攻撃を続けている。 (2208-073003)

 7月31日 10:30

 ロシア軍はバフムート周辺、ドネツク市周辺、イズユム南西部で攻撃を行ったが、バフムートの東での攻撃は一回だけで、大きな成果はなかった。
 ロシア軍はシヴェルスク付近では攻撃を行わず、この地域での作戦の優先順位を下げていることを示唆している。
 衛星画像は、ロシアの増援がウクライナ国境付近でイズユムに向かう連絡線 (GLOC) に集中していることを示した。
 ウクライナ軍はヘルソン州でのロシアの攻撃を先制砲撃で妨害した。
 ウクライナ当局者は、ヘルソン近くのドニエプロ川を渡る鉄道橋の損傷により、ロシア軍は鉄道で川の西岸に補給できなくなっていると主張している。 (2208-073102)

 7月31日 11:47

 ウクライナのゼレンスキー大統領が30日夜、ウクライナ統治下の東部ドネツク州で戦闘が激化するとの見通しを示し、同州にまだ残る数十万人の全住民に避難を命令した。 (2208-073103)

 7月31日 11:47

 駐英露大使館は同日、ウクライナ軍アゾフ連隊の兵士には絞首刑による「屈辱的な死」がふさわしいとツイートした。
 これを受けてウクライナ政府は、ロシアを「テロ国家」と非難した。 (2208-073103)

 8月01日 09:30

 クレムリンは7月31日現在、オレニフカ刑務所への立ち入りを求める国際赤十字社 (ICRC) の要請に応じておらず、国際的な捜査活動を妨げている。
 ロシア軍はイズユムの南西と北西で限定攻撃を行い、現在のイズユム~スロバキア線の北西に前進する準備をしている。
 ロシア軍はスロヴィャンスクの北西、シヴェルスクの北東、バフムートの東と南で攻撃を続けている。
 ロシア軍はアヴディイフカ地域でわずかに前進し、アヴディイフカとピスキーへの攻撃を続けた。
 ロシア当局は、ロシアのレニングラード州でネフスキー大隊とラドガ大隊の志願兵の募集を開始した。 (2209-080102)

 8月01日 08:00

 ISWは、ウクライナ人捕虜53名を殺害した7月28日のオレニフカ刑務所への攻撃にロシア軍が関与していたと判断している。
 二人の匿名の米高官は、ウクライナ軍がHIMARSが、衛星や他の画像に見られるような損害を与えたという証拠はないことを確認した。
 ロシア軍は、スロヴィャンスクの北やシヴェルスク周辺で攻撃を行わなかった。
 ロシア軍は南軸に沿った防御陣地増援のためスロバキア地域から東部軍管区 (EMD) の部隊を移動させている。
 ロシア軍はバフムートの南と南東の集落への攻撃に失敗した。
 ロシア軍はアヴディイフカとピスキーへの攻撃に失敗したため、アヴディイフカ近郊への前進を主張しなかった。
 ロシアの地方当局者は、チュヴァシア共和国のAtal志願兵大隊に約束された支払いを怠っていると伝えられている。 (2209-080204)

 8月02日 12:59

 ロシア国営TVが7月31日、ロシア軍の浮橋でウクライナ南部のドニエプル川を渡る市民と車の映像を公開した。
 浮橋は、ウクライナ軍の砲撃で橋が通行止めとなったための代替手段で、連結することで車20台まで運ぶことが可能で、渡河には10分かかるという。
 ロシア軍はこれとは別の浮橋で、物資や補充部隊をヘルソン州の前線に送っているというが、AP通信はその情報を確認できていない。 (2209-080205)

 8月02日 13:54

 ウクライナ軍は米国から供与されたHIMARSなどを使い、ロシアが制圧対象とするヘルソン州やザポリージャ州などの南部で激しい戦闘を繰り広げており、ウクライナ国営通信が1日に南部ヘルソン州でウクライナ軍がこれまでに46集落を奪還したと報じた。
 ウクライナのレズニコフ国防相は1日に、HIMARSでこれまでに露軍の弾薬庫約50ヵ所を破壊したと主張した。
 戦況を分析している英国防省は1日、露軍によるドネツク州の要衝都市バフムトの制圧が遅々として進んでいないとし、ドンバス地方での作戦を修正し、相当の兵力を南部に転戦させている模様だと指摘した。 (2209-080206)

 8月03日 05:18

 ウクライナ軍はロシア軍に対し南部で反転攻勢に出ている。
 露国防省のコナシェンコフ報道官は2日、ウクライナ軍がHIMARSで攻撃を続けているとしたうえで「ウクライナ軍は米軍と事前に調整して目標を定め攻撃しており、ウクライナの紛争に米国が直接関与している証拠だ」と主張した。
 またショイグ露国防相は2日に行われた会議で、HIMARS 6基を含め欧米側がウクライナに支援した多くの兵器を破壊したと主張し「制御のないウクライナへの兵器の供与は地域の安全保障を深刻に脅かしている」と述べ、警戒感を示した。 (2209-080305)

 8月03日 10:00

ロシア軍はハリコフ市の北東と北西で攻撃は成功しなかった。
 ロシア軍はスロヴィャンスクの北西とシヴェルスクの東で限定攻撃を行った。
 ロシア軍はバフムートの南東で僅かに前進し、バフムートの北東と南東への攻撃を継続した。
 ロシア軍はアヴディイフカ周辺で逐次前進し、アヴディイフカ南西に進出する試みを続けている。
 ロシア軍はヘルソン州北部で2回攻撃し、南軸への部隊の再配置を続けている。 (2209-080306)

 8月03日 13:50

 ウクライナ当局者が3日までに、南部ヘルソン州で緊張が高まっていると明らかにした。
 同州の軍民行政府の顧問は2日、ロシア軍が大隊戦術グループをヘルソン州に移動させていると述べた。
 同幹部は、同州の人口密集地からは依然として距離はあるものの、市街戦が起こる危険性がは大きいとの見方を示した。
 ヘルソン州北部でも戦闘が続いていて、同州の軍民行政府のトップ代行はロシア軍から53ヵ所の集落を解放したと明らかにした。
 しかし、ほとんどすべての地域が絶え間ない砲撃にさらされているという。 (2209-080311)

 8月04日 07:30

 ロシア政府は、ウクライナで使用するUAVを確保するため、イランとの関係を活用しようとしている。
 ロシア軍はスロヴィャンスク北西部で限定攻撃を行い、北東、東、南東からバフムート前進を試みている。
 ロシア軍はアヴディイフカでの突破を優先しているためピスキーを確保することができなかった。 (2209-080403)

 8月04日 16:06

 国際原子力機関 (IAEA) のグロッシ事務局長が2日、ウクライナに侵攻したロシア軍が占拠した欧州最大のザポリッジャ原子力発電所について、完全に制御不能な状況だと明らかにした。
 AP通信によると、グロッシ事務局長はサポリッジャ原発で点検と修繕を行う必要があると述べた。
 ウクライナ南東部にある欧州最大のザポリッジャ原発は、ロシアとウクライナの戦闘が起きている場所から近く、危険な状態にある。
 ブリンケン米国務長官は今週初め、ロシアが同原発をウクライナ軍への攻撃拠点として利用していると非難した。
 ウクライナ当局は、ロシアがウクライナ南部のドニプロ川沿いにある原発の敷地内に軍隊を駐留させ、装備品を保管しているとしている。 (2209-080411)

 8月05日 04:58

 ウクライナ軍のフロモフ准将が4日、ロシア軍がヘルソン州に攻勢をかけるため兵力を増強していると明らかにした。
 フロモフ准将は記者会見で、ロシア軍はヘルソン州の北東に大量の兵器などを移動させたとし、「ウクライナ領の奥深くまで攻撃する可能性がある」と述べた。 (2209-080506)

 8月05日 08:00

 ロシア軍はイズユムの北西に前進しようとした。
 ウクライナ軍はイズユムとスロビャンスクの間で一連の局地的な反撃を行い、多くの集落で陣地を奪還した。
 ロシア軍はバフムートの北東と南で攻撃を続けた。
 ロシア軍はピスキーへの進撃を続け、ドネツク市の南西で限定攻撃を行った。
 ロシア軍はヘルソン州北東部とザポリージャ州西部に部隊を移動し続けている。 (2209-080509)

 8月05日 08:44

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが4日に公表した報告書で、ロシアの侵攻を受けているウクライナ軍が、民間人居住地域に軍事拠点を設け、市民の命を危険に晒していると批判した。
 これに対しウクライナのゼレンスキー大統領は、アムネスティはロシアのウクライナ侵攻を後押ししており「責任を加害者から被害者に転嫁しようとしている」と強く反論した。 (2209-080508)

 8月05日 19:40

 ウクライナ東部で、プーチン大統領が支配を狙うドンバス地方のうち残るドネツク州の掌握をロシア軍は急いでおり、ロシア軍とウクライナ軍の戦闘が再び激化する様相を見せている。
 ロイタ通信によれば、ウクライナ軍高官は4日にドネツク州北部スラビャンスクに近い2つの村の奪回に一旦成功したが、ロシア軍の反撃で後退を強いられたという。
 州北部で持ちこたえてきたウクライナ部隊が前線を構えた中部ドネツク市郊外の村ピスキでも攻撃を強化しており、ロシアのTASS通信は5日にロシア軍と親露派の部隊がピスキを占領したと報じた。
 ゼレンスキー大統領は東部情勢について「地獄だ」と述べ、ロシア軍の容赦ない砲撃に自国部隊が強い圧力にさらされていることを認めた。 (2209-080511)

 8月06日 04:48

 ウクライナ南東部でロシア軍に占拠されている欧州最大のザポリージャ原子力発電所が5日に攻撃を受け、原子炉1基が停止した。
 ウクライナとロシアはいずれも相手側による攻撃だと非難している。
 ウクライナ政府は、ロシア軍がウクライナ侵攻の初期に占拠していたザポリージャ原発内に重火器を保管していると非難し、一方のロシア政府は、ウクライナ軍が原発を攻撃していると批判してきた。 (2209-080602)

 8月06日 08:30

 ウクライナ当局者は、ロシア軍がウクライナでイラン製のUAVを使用していることを確認した。
 ロシア軍はバフムート南部の集落への攻撃に失敗した。
 ロシア軍とウクライナ軍はピスキーで激しい砲撃を交わしたが、ロシア軍がピスキーを完全に制圧する可能性は低い。
 ロシア軍はドネツク市の北、北西、南西に何回かの限定攻撃を行った。
 ロシア軍とウクライナ軍は、ザポリージャ原発近くで射撃したとしてお互いを非難したが、ISWはどちらに責任があるかを判断できない。
 ロシア軍がドニプロ川を渡る部隊を砲撃するため施設内に配置した砲兵を繰り返し使用してきた。
 ロシア軍はヘルソン州ロゾーヴェへの前進を試みたが失敗した。 おそらくインフレーツ川岸のウクライナ橋頭堡を目標にした。
 ロシア連邦は、オムスク州とサマーラ州で新しい志願兵大隊を編成している。 (2209-080605)

 8月07日 10:00

 ロシアの反体制派は、ロシア軍がザポリージャ原発とその周辺に爆発物と地雷を貯蔵しており、発電所の一部を採掘した可能性があると報じた。
 ロシア軍はまた、原発内または近くからウクライナの陣地にロケット弾を発射している可能性がある。
 ロシア軍はスロヴィャンスクの北西とバフムートの東と南で限定攻撃を行った。
 ロシア軍はドネツク市の北、西、南のウクライナ防衛線を突破しようとして、一連の攻撃を行った。
 ロシア軍はウクライナ南部で攻撃を実施せず、防御態勢を続けた。 (2209-080701)

 8月08日 04:00

 ウクライナ軍の戦い方が、市民を巻き添えにしかねないとの調査報告書を4日に公表した国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが7日、一転してウクライナに「深い遺憾の意」を表明した。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、加害者ロシアではなく、被害者ウクライナに責任を転嫁しようとしていると猛反発し、同団体のウクライナ代表も、「この調査はロシアのプロパガンダの道具になっている」と抗議して辞任する事態に発展していた。 (2209-080802)

 8月08日 09:00

 ロシア軍では大規模な離職が続いており、指導部はウクライナにおけるロシアの指揮統制に影響を与えている可能性が高い。
 ロシア軍はイズユムの南西と南東、シヴェルスクの東、バフムートの東と南で限定攻撃を行った。
 ロシア軍はドネツク市の北西部と南西部郊外の集落で逐次成果を上げ、アヴディイフカ~ドネツク市のウクライナ軍防御線を断ち切ろうとしている可能性が高い。
 ロシア軍は8月7日、ムィコラーイウ市の東での前進に失敗した。
 ロシア軍はオレンブルク州で第3軍団隷下に第72独立自動車化狙撃旅団を新編している。 (2209-080803)

 8月09日 08:00

 ザポリージャ原発でロシア軍は原子炉付近から攻撃を行い、装備を保管し続けており、核惨事に対する欧米の恐怖を弄び、ウクライナに追加の軍事支援を提供しようとする欧米の意志を貶める可能性が高い。
 ロシア軍はスロヴィャンスクの北西とバフムートの北東と南東で攻撃を行った。
 ロシア軍はドネツク市の北西と南西で攻撃を続行した。
 ロシアは、ウクライナ軍の攻撃で橋と近くの建設機械を損傷したためアントニフスキー橋の再開を延期した。 (2209-080901)

 8月09日 13:47

 ロシア国防省は8月8日、ウクライナに展開するロシア軍がBM-21 Grad 122mm MRLを発射する一連の映像を公開した。 撮影場所などは明らかにされていない。
 英国防省は、ロシア軍の侵攻は新しい段階に入ろうとしているとし、ウクライナ南部のザポリージャからヘルソンまでの350kmの戦線に、主戦場が移っていると分析している。 (2209-080905)

 8月10日 00:07

 ロシアが編入したウクライナ南部クリミア半島ノボフェドロフカで9日、ロシア軍の航空基地の方向から爆発音がし黒煙が上がったと、地元の目撃者3人がロイタに明らかにした。
 目撃者によると、1分間に少なくとも12回の爆音がし、火花や煙が上がったほか、その約30分後に最大の爆音が聞こえたという。
 ソーシャルメディアに投稿された動画には、大きな煙が立ち上っている様子が映っている。
 ロシア通信 (RIA) によると、ロシア国防省はロシア軍基地での爆発を確認した上で、攻撃ではなく航空弾薬の爆発によるものと発表した。
 同省筋は防火対策の不備が爆発の唯一の原因と考えられていると述べたという。 (2209-081001)

 8月11日 09:00

 ロシアは、少なくとも8機の航空機と複数の建物が破壊されたクリミアのサキ空軍基地への8月9日の攻撃について混乱したままである。
 ロシア軍はイズユムの西で攻撃を行った。
 ロシア軍はバフムートの北東と西で限定攻撃を続けたが、僅かな成果しか得られなかった可能性が高い。
 ロシア軍はドネツク市の北西で僅かに前進し、ドネツク市郊外から北西への前進を試み続けている。
 ロシア軍はハリコフ市の北と北東で複数回攻撃したが失敗した。
 ロシア軍はヘルソン州北西部で威力偵察に失敗した。 (2209-081102)

 8月11日 11:04

 ウクライナ南部クリミア半島西岸のノヴォフェドロフカに近いSaki軍事基地では9日に複数の爆発があり1人が死亡した。
 被害を受けたとみられる航空機の多くは、基地内の格納庫から離れた、開けた場所に駐機してある複数の戦闘機で、広範囲にわたって焦土と化した大地が見て取れることがPlanet Labsが発表した最新の衛星写真から明らかになった。
 ウクライナは、この爆発には関与していないとしているが、今回の新たな証拠によって、この基地を目標に攻撃した可能性が出ている。 (2209-081103)

 8月11日 11:34

 ウクライナは、ロシアが占拠したザポロジエ原子力発電所の周辺からロケット弾を発射し、少なくとも13人が死亡し10人が負傷したと明らかにし、ウクライナ側が反撃できないことを利用して攻撃していると非難した。
 ウクライナによると、ロシアが攻撃目標にしたのは原発からドニプロ(ドニエプル)川を隔てたマルハネツという町で、 ロシアはザポロジエ地方の他の複数の地域も砲撃した。
 マルハネツの近くに位置しウクライナが支配しているニコポリの市長はTelegramへの投稿で、近隣地域が過去1週間ほぼ毎晩、ロシアの砲撃を受けていると語った。
 ロシアはマルハネツを、過去にウクライナが同原発のロシア兵を砲撃するのに使用した町だとしている。 (2209-081104)

 8月11日 15:52

 ウクライナ南部クリミア半島のロシア空軍基地で9日に起きた少なくとも2回の爆発で、ロシアの航空機少なくとも7機が破壊されている様子を、Planet Labの衛星画像がとらえた。
 9日に撮影された衛星画像には、Saki空軍基地内の土塁にある複数の戦闘機が写っていたが、爆発後の10日に撮影された写真では、少なくとも7機が土塁の中で焼け焦げた残がいになっていた。
 整備区域や駐機場にあるほかの機体に損傷はなさそうだった。  基地のこの区画には、少なくとも4つの穴が見え、土塁や整備区域周辺には焼け跡があり、草木が傷んでいた。
 爆発の原因は依然として不明で、ウクライナ国防省は原因を特定できないとしている一方、ロシア国防省は航空弾薬の爆発によるものとしているが、弾薬が爆発した経緯は明らかにしなかった。
 今回の航空機破壊はロシア空軍にとって、旧ソ連時代も含めて第2次世界大戦以来、最大級の損失になる可能性がある。 (2209-081105)

 8月11日 23:27

 ウクライナ国営原子力企業Energoatom社が11日、ロシアの管理下にある南東部ザポロジエ原子力発電所が再び砲撃を受けたと発表した。
 ロシア軍の攻撃とみられ、放射性物質の保管場所近辺を含め、原発周辺が5回攻撃されたという。 負傷者はなく、原発の状況は落ち着いているとしている。
 これに先立ち、ロシア国営TASS通信はロシア当局者の情報として、ウクライナが11日にザポロジエ原発に対し2回目の砲撃を行ったと報じた。 (2209-081110)

 8月12日 03:13

 ウクライナ南部クリミア半島にあるロシア空軍基地で9日に起きた爆発について、ロシアは事故だったと説明しているが、専門家によると衛星写真からはウクライナ軍による攻撃だった可能性が示されている。
 軍事専門家のアレクサンダー氏はAFPに対し、10日に公開された衛星写真からは、基地が「何かで攻撃され」少なくとも9機の航空機が破壊されたことが分かると述べている。
 「事故だとしたら、4~5人が同じ場所にたばこを投げ捨てるか、複数の爆弾をハンマーでたたく必要があっただろう。」と指摘した。
 ただ、爆発の原因が特殊部隊による妨害工作だったのか、ミサイル攻撃だったのかは不明だという。
 New York TimesとWashington Postは匿名のウクライナ当局者の話として、爆発は同国が起こしたものだったと報じているが、同国軍は今のところ攻撃実行を公に認めていない。 (2209-081202)

 8月12日 04:58

 ウクライナ軍のフロモフ准将が11日に記者会見で、ロシア軍による空爆が先週と比べて2倍に増え、軍事拠点のほか民間のインフラ施設を狙っていると語った。
 フロモフ准将は「敵は我々の防衛システムを避けながら飛行してくるため攻撃の精度は低い」と述べた。
 ロシア軍は目立った前進が無いため、戦況の打開を狙っている可能性がある。 (2209-081204)

 8月12日 08:37

 ウクライナのメディアが、ロシア軍がウクライナ攻撃に使用しているとみられるベラルーシ南東部でウクライナとの国境に近く、ロシア軍がミサイルや攻撃ヘリを配備したウクライナ北部への攻撃拠点としているジャブロフカ飛行場で11日未明に大規模な爆発があったと一斉に報じた。
 ベラルーシ国内の独立系軍事情報監視団体「ベラルーシ・ガユン」がSNSに発信した情報によると、00:20頃から少なくとも8回の爆発が発生し、装甲車両やレーダなどが破壊されたようだという。
 ミサイルシステムの一部が使えなくなった可能性もあり、犠牲者が出たとの未確認情報もあるとして、20~25km先から撮影したという爆発の映像を公表した。
 ポーランドのベラルーシ反政権派系衛星放送「ベルサット」によると、ベラルーシ国防省は大規模な被害を否定し、「エンジンに着火した事故」と説明した。
 ウクライナ当局は11日現在攻撃を認めていないが、イグナト空軍報道官はベルサットに「ベラルーシの抵抗勢力はウクライナを助けてくれている」と述べ、関与をほのめかした。 (2209-081207)

 8月12日 10:00

 ロシア軍はシヴェルスクの東、バフムートの北東と南東で攻撃を行った。
 ロシア軍はドネツク市の北部と南西部の郊外への攻撃を続けた。
 ウクライナ当局者は、南軸沿いのロシア軍司令部と弾薬庫を再度攻撃した。
 ロシアはハバロフスク地方で、2個志願兵大隊を新編している。 (2209-081209)

 8月12日 10:30

 クリミア半島にある空軍基地で9日発生した爆発について、一部の軍事専門家からウクライナが新たな長距離兵器を入手したのではないかとの見方が出ている。
 攻撃を受けたロシア軍基地がある場所は、西側がウクライナへの供与を認めているどの兵器の射程もはるかに超えている。
 今回の攻撃について、ウクライナは関与を認めていないことから、ウクライナ当局者の一部からは、外部からの侵入者による破壊行為ではないかとの見方を示す声もある。
 しかし西側の軍事専門家は、被害の規模や精度から強力な新兵器である可能性を指摘している。 (2209-081210)

 8月12日 22:38

 英メディアが、ウォレス英国防相が11日にウクライナ侵攻を続けるロシアについて、全土の占領は困難で侵攻は南部と東部に絞られてきたと指摘し、攻勢は頓挫して負け始めていると強調したと報じた。
 ウクライナ軍の報道官は12日、空軍機がロシア軍が占拠する南部ヘルソン州の2ヵ所に空爆を行い、弾薬庫などを破壊したと発表した。 (2209-081214)

 8月12日 22:50

 英国防省が12日、クリミア半島のロシア軍航空基地で9日に起きた爆発によって、ロシア軍のSu-24など少なくとも8機が破壊されるか深刻な被害を受けた。
 英国防省は飛行場は引き続き使用が可能だろうと分析しながらも、黒海艦隊航空部隊の能力が著しく低下したとの見方を示した。 (2209-081215)

 8月13日 06:56

 ウクライナ軍が、ドニエプル川に架かる橋の近くにあるロシア軍の弾薬庫を12日に砲撃したと発表した。
 ウクライナ軍によると、ロシアが制圧している南東部ザポロジエ原発からドニエプル川を130km下った地点にあるベセレの弾薬庫を砲撃し、ロシア兵11名が死亡したという。
 ベセレの近くには前進に重要なカホフスキー橋がある。
 ウクライナ南部軍は、ウクライナ軍がロシアの南部補給路ほぼ全てを攻撃できるようになり、HIMARSなどで10ヵ所を超えるロシア軍の弾薬庫を攻撃したとしている。
 ロシアはこの攻撃に関してコメントしていない。 (2209-081305)

 8月13日 07:12

 クリミア半島にあるロシア空軍基地で9日に起きた爆発について、米国防総省は12日に米国がウクライナに供与した武器を使った攻撃ではなかったとした上で、爆発の原因は分からないと説明した。
 今のところ攻撃実施を認めた組織はなくロシアは事故だったと説明しているが、爆発の明確な原因は不明で、専門家によると衛星写真からはウクライナ軍による攻撃だった可能性が示されている。
 米国はウクライナに大量の武器と弾薬を供与しているが、同国軍の支配地域からロシア占領地域を攻撃できるものはない。 (2209-081306)

 8月13日 10:00

 ロシア軍はシヴェルスクの東、バフムートの北東と南東を攻撃した。
 ロシア軍はドネツク市の南西と北西を攻撃した。
 ウクライナ軍は、カホフカ水力発電所の近くでロシア軍が使用していた最後の橋梁を破壊した。
 ウクライナ軍は、ロシアの弾薬庫とヘルソン州の兵站基地を攻撃した。 (2209-081307)

 8月13日 10:59

 ウクライナ軍の高官が11日に記者会見し、ロシア軍の攻撃手法の変化や部隊の現状について、空爆の回数を増やしているが精度は低く、司令官や将校の多くが解任されるなど混乱ぶりが際立つと分析した。
 高官は、露軍によるウクライナへの空爆が、先週に比べて倍増しているのは、ウクライナ軍がHIMARSで露軍の弾薬庫多数を破壊した結果、露軍地上部隊の補給が混乱して進撃が鈍ったため空爆を多用し始めた可能性があるが、攻撃機やヘリはウクライナの防空網を避けて飛行しているため、攻撃の精度は低いという。
 露軍では侵略作戦が思うように進まない責任を問われ、作戦立案に携わった司令官や将校のうち30~40%が解任されたか調査対象となっているとの見方も示した。
 兵員の犠牲が大きいため、部隊構成も変化し、60%が短期契約の志願兵になったという。 (2209-081308)

 8月13日 17:46

 英国防省の12日の戦況報告によると、ウクライナ南部ヘルソン州で主要な橋梁2ヵ所に攻撃を加えて使用不能とし、ロシア軍の補給線に大きな打撃を与えたことで、ヘルソン州のドニエプル川西岸への補給が困難になったことから、英国防省は「西岸でこれまでにどれだけの物資を備蓄していたかが、ロシアの耐久力を左右する決定的要因になると分析している。
 一方、クリミア半島のロシア軍基地で9日に起きた爆発について、ロシア側は損害が1人死亡、軍用機の被害なしとしているが、米国防総省は12日の声明で「ロシア機と弾薬に大きな被害が出たのは明らかだ」と指摘した。
 ウクライナは、少なくとも60人が死亡したとしている。
 爆発の原因は不明だが、ウクライナの特殊部隊が関与したとの観測も出ている。 (2209-081309)

 8月14日 07:33

 Washington Postが12日、ウクライナ南部ヘルソン州でのウクライナ軍の奪還作戦が失速していると報じた。
 ウクライナ軍関係者は現状では兵器が足りず全面的な反撃は不可能だとして、欧米の追加軍事支援が必要だと述べた。
 ウクライナ軍はヘルソン州で、ロシア軍が補給路として重視する橋をHIMARSで攻撃し通行不能にするなど戦果を上げてきたが、ロシア軍は1週間で3,000名を追加派遣して同州で部隊を増強し、ドニエプル川西岸に駐留するロシア軍は少なくとも15,000名になっている。 (2209-081404)

 8月14日 15:12

 ウクライナ軍が南部へルソン州奪還に向け攻勢を強めるなか、ヘルソン州に隣接するミコライウ州のキム知事が13日、ロシア軍の司令官らがドニエプル川を越えて退却していると述べ、ロシア側がヘルソンを放棄したことを示唆した。 (2209-081406)

 8月15日 09:28

 ロシアが占拠するウクライナ南部ザポロジエ原発があるエネルゴダール市のオルロフ市長が14日、ロシア軍が同日に原発付近を少なくとも6回砲撃したと非難し、原発職員1人が死亡し数人がけがをしたと通信アプリで明らかにした。
 欧州最大の原発であるザポロジエ原発を巡っては、ロシアとウクライナは、双方が相手の攻撃だと主張している。 (2209-081504)

 8月15日 09:49

 英国防省が14日、ウクライナに侵攻するロシア軍がヘルソン州などで戦力を増強しているとの見方を示した。
 ヘルソン州はウクライナ軍が奪還を目指しており、防御を強化する狙いとみられる。
 英国防省は、この1週間のロシアの優先事項はウクライナ南部を増強する部隊の再配置であったようだと述べた。 (2209-081505)

 8月15日 10:30

 ウクライナのロシア軍と親露派部隊は、およそ6個の部隊集団で活動している。
 ロシア軍はハリコフ市の北、スロバキアの北西、シヴェルスクの東に攻撃を行い、バフムート周辺で何らかの成果を上げた。
 ウクライナ軍は、ルハンスク州ポパスナでWagner軍を攻撃し、死傷者を出したと伝えられている。 (2209-081506)

 8月15日 10:45

 ウクライナ国営通信社のUkrinformが14日、ヘルソン州で重要補給路上にある橋梁が破壊されたことから、ロシア軍司令部がメリトーポリに後退したと報じた。
 メリトーポリはクリミア半島に最も近い占領地で、メリトーポリ市のフェドロフ市長はロシア軍はここでヘルソン州一帯などの部隊を指揮することを明らかにした。 (2209-081507)

 8月16日

 ロシア軍はスロビャンスク北西部で複数回の限定攻撃、ハリコフ市の北で限定攻撃を行った。
 ロシア軍は、シヴェルスクの東と南東、バフムートの北東と南東で複数の攻撃し、ドネツク市の北西、西、南西で攻撃を続けた。 (2209-081601)

 8月16日 15:06

 国営ロシア通信 (RIA) が、ロシア国防省が16日にクリミア北部ジャンコイに近い軍の倉庫が破壊工作によって損害を受けたと発表したと報じた。
 これに先立ちクリミアの当局者は、同地域の弾薬庫で大規模な火災が発生したと述べていた。
 ロシア国営TASS通信によると、国防省は破壊工作により発電所などの民間インフラが被害を受けたと明らかにした。
 TASS通信は地元当局者の話として、クリミア北部メイスコエで弾薬庫が爆発したと報じていた。 RIAによると、この爆発で深刻な犠牲者は出ていないと国防省は説明した。
 RIAは16日、20km離れたクリミアのジャンコイで爆発があり、変電所で火災が発生したと報じていた。
 ウクライナは最近クリミアで報告された爆発について、ウクライナ軍によるものかどうか確認も否定もしていない。 (2209-081603)

 8月16日 23:18

 New York Times紙が16日にウクライナ政府高官の話として、クリミア半島で同日起きた爆発についてウクライナ軍の精鋭部隊が攻撃に関与したと報じた。
 クリミア半島では9日にもロシア軍の航空基地で爆発が起き、ウクライナ側による破壊工作の可能性が指摘されているが、ウクライナ側は攻撃への関与についてこれまで公式には認めていない。
 ウクライナ軍は同国南部でロシアの占領地域の奪還を急いでおり、今後も同半島の軍関連施設などで爆発が続く可能性がある。 (2209-081605)

 8月17日 05:35

 ウクライナのゼレンスキー大統領が16日、ロシアに占領されている地域の住民にロシア軍施設から離れるよう求めた。
 ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島のロシア軍施設で爆発が相次いでいることなどを念頭に置いている。
 同半島では同日に弾薬庫で爆発があり、3,000人以上が避難した。 (2209-081702)

 8月17日 10:00

 ロシア軍は東軸を越えて攻撃を行ったが、スロヴィャンスクの北西とシヴェルスクの東への前進に失敗した。
 ロシア軍はアヴディイフカの南西、ドネツク市の南西、バフムート周辺で攻撃を開始している。
 ロシア軍はヘルソン州北部と北西部での攻撃に失敗した。
 チェチェン部隊は、ロシア軍兵の脱走を取り締まるためにヘルソン州に移動していると伝えられている。 (2209-081705)

 8月17日 10:43

 ウクライナ国営通信が、ポドリャク大統領府顧問が16日の地元TVで、ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミアの北部で爆発した弾薬保管場に関し、付近で炎上した変電所とともに重要な目標だったと述べ、ウクライナの関与を示唆したと報じた。
 また、始まったばかりだとも語り露軍関連施設での爆発は続くとの認識を示したと報じた。
 ポドリャク顧問は、露軍はこの変電所を通じてザポリージャ原発の電力をクリミアに引き込もうとしていたとの見解を示し、原発を奪ったのは、電気を含め、できる限りのものを盗むためだとロシアを批判した。 (2209-081706)

 8月18日 00:39

 ウクライナ軍はここ数週間、戦略的に重要な地域やヘルソン市を占領するロシア軍の補給線を組織的に狙う戦術をとっているが、奪還に向けた大規模な攻勢が近いという意味ではない。
 米国や欧州から新型兵器を供給されてはいても戦力的に劣勢のウクライナ軍は、ドニエプル川に面しヘルソン市への大規模な攻撃を今のところ避けている代わりに注力しているのが敵を消耗させる作戦で、米国が供給したHIMARSなど長距離兵器でヘルソン市西岸にあるロシア軍の補給に利用される橋などを相次ぎ破壊した。
 ウクライナは南部の反転攻勢を準備している可能性が高いが、事情に詳しい西側当局者2人は、ウクライナ軍の反転攻勢は、ロシア軍の兵站や補給線にさらなる打撃を与え、前進できる自信がある場合にのみ実行するだろうと語った。
 前進すれば攻撃を受けやすくなるリスクもあるため、ウクライナ軍は慎重だという。 (2209-081801)

 8月18日 01:32

 ロシア通信 (RIA) が関係筋の情報として17日、ロシア黒海艦隊司令官のオシポフ大将が解任され新司令官にソコロフ大将が就任したと報じた。
 この情報が確認されれば、ロシアのウクライナ侵攻開始以降で最高位の軍幹部の解任となる。 (2209-081802)

 8月18日 01:46

 ウクライナのポドリャク大統領府顧問が17日、ロシアがクリミア半島と同国本土を結ぶクリミア橋を解体するよう呼び掛けた。
 その方法について、自発的かどうかは重要ではないとし、橋がウクライナ軍の攻撃目標になる可能性を示唆した。
 ケルチ海峡を渡る全長19kmのクリミア橋は、プーチン露大統領の命令で建設され2018年に開通した、ロシアにとってクリミア半島への軍民両用の主要輸送路となっている。 (2209-081803)

 8月18日 09:45

 ロシア軍は戦術的に困難なハリコフとドネツク州境付近の森林地帯で複数の攻撃を試みたが失敗した。 ロシア軍はシヴェルスク南東の集落を攻撃したが失敗した。
 ロシア軍はバフムートの北東と南で複数回の攻撃を行い、ホルリフカ近くの戦術的位置を改善しようとしている可能性が高い。
 ロシア軍はドネツク市の北西及び、ザポリージャとドネツク州の州境界付近で限定的な成果を挙げた。
 ロシア軍は、ザポリージャ州東部の前線の集落を奪取することで、メリトポリ~トクマク~ベルディヤンスクにまたがる連絡線(GLOC)を守る準備をしている可能性が高い。 (2209-081806)

 8月18日 09:58

 CNNが7日、ウクライナ軍がヘルソン州ノバカホフカ近くのロシア軍基地を空爆し、10~15名のロシア軍兵士が死亡したと報じた。
 ウクライナ軍は攻撃時の映像を公開した。  ヘルソン州国境守備隊も「ノバカホフカにある占領軍の基地が破壊された」ことを明らかにした。
(2209-081807)

 8月18日 13:19

 ウクライナ国防省情報総局が17日、ロシアが航空基地などで起きた爆発を受けウクライナ南部クリミアの航空基地から、少なくとも戦闘機24機とヘリコプター14機を撤収したとSNSに投稿した。
 爆発は、今月9日にサキ航空基地で、16日には北部の弾薬保管場でしたが、CNNが入手したウクライナ政府の報告書によると、9日の爆発は手応えがあったものの、露軍にとっては一時的な損失にとどまったとの見方が示されているという。 (2209-081809)

 8月18日 16:30

 ウクライナ国防省情報総局の報道担当者がTVで17日、「近い将来に全ての前線で非常に活発な動きがあるだろう」と、ロシア軍の占領地を奪還する反攻が近く開始されることを示唆した。
 また「特定の期日にとらわれるものではないが、ウクライナの独立記念日は考慮に入れなければならない」とした。 独立記念日は8月24日となっている。
 ウクライナ政府当局者は過去数週間、特に南部を中心にした占領地を奪回する反撃開始に言及しているが、これまではロシア軍の補給線、航空基地や弾薬庫への攻撃に限定され、前線での戦果も非常に小規模だった。 (2209-081810)

 8月18日 17:15

 ウクライナ軍のザルジニー総司令官が18日までに国内の戦況に触れ、ロシア軍は全ての前線で前進し続けておりウクライナ軍陣地に対する砲撃は連日700~800回に及び、使用する砲弾は40発から6万発に達していると報告した。
 ロシア軍の使用弾数に関するこの推定は西側諸国の軍事専門家らの見立ての多くと合致している。 射耗する弾数は7月初旬には比較的落ち着いた水準にあったという。 (2209-081811)

 8月19日 05:19

 ウクライナとの国境に近いロシア南西部ベルゴロド州の弾薬庫で18日に火災が発生し、周辺2村の住民が避難したと地元当局が発表した。
 ベルゴロド州のグラトコフ知事は、ウクライナの国境から50km以内にあるチモノボ村の近くの弾薬庫で火災が発生したと述べた。 (2209-081902)

 8月19日 06:07

 クリミア半島にあるロシア空軍基地付近で18日、少なくとも4回の爆発が発生した。 関係筋によると、爆発があったのはセバストポリの北にあるベルベク基地付近で、ウクライナのニュースサイトに投稿された映像には、夜空に発射されたロケット弾のようなものが映っており、少なくとも2回の爆発音が聞こえた。
 ロイタはこの映像の真偽を確認できていない。
 これについて、セバストポリのラズボザエフ知事は、ロシアの対空部隊がウクライナのUAVを撃墜したとし、「被害はなく、負傷者も出ていない」と述べた。 (2209-081904)

 8月19日 08:00

 8月18日にロシアは、7月6日以来初めてウクライナにおける領土獲得の発表がなかった。
 ロシア軍はシヴェルスクの南、バフムートの北東と南で攻撃を行った。 ロシア軍はドネツク市の北、西、南西で攻撃を続けた。
 ロシア軍はザポリージャ正面での攻撃に失敗した。
 ウクライナ当局者はヘルソン州のロシア軍基地と倉庫をさらに攻撃したことを認めた。
 ロシアの消息筋は8月18日の夜にクリミア全土で未確認の一連の爆発を報告した。 (2209-081905)

 8月19日 11:25

 英情報機関である政府通信本部 (GCHQ) のフレミング長官が英Economist誌エコノミストへの寄稿で、ロシアのウクライナ侵攻に関して、プーチン大統領はこれまでのところウクライナと西側諸国における情報戦で完敗しているとの見方を示した。
 長官は、ロシアとウクライナのどちらもサイバ能力を駆使してきたが、地上侵攻と同様にロシアが当初のオンライン上の計画で頓挫したようだとし、ロシアは無責任かつ無差別的な形で攻撃的なサイバ手段を活用してきたと分析した。
 ただ、ウクライナや西側諸国以外の地域でロシアの偽情報がどのように展開されているかを過小評価すべきでないとも警告した。 (2209-081908)

 8月19日 23:01

 ロイタ通信が18日、クリミアにあるロシアのベルベック軍用飛行場近くで4回の爆発が起きたと報じた。
 ロシアに属する地元当局も同日、露本土とクリミアを結ぶクリミア大橋付近で爆発音があったと明らかにした。
 ウクライナ側がUAVの攻撃を繰り返している可能性がある。
 ベルベック飛行場での爆発に関しては、地元当局幹部が防空システムでUAVを撃墜したとSNSに投稿した。
 別の地元当局幹部は18日、クリミア大橋がかかるケルチでも防空システムが戦闘したとしている。
 ウクライナ軍参謀本部は18日夕の戦況報告で、露軍が南部に重火器などの装備を伴った2個大隊戦術群 (BTG) を移動させたと分析し、18日には、露軍が多数のS-300をウクライナとの国境付近に搬入したことを確認したと明らかにした。
 一方ウクライナ軍は南部で弾薬庫など露軍の拠点への攻撃を続けている。 (2209-081911)
【註】ベルベック飛行場という名称はGoogleMapで確認できないが、Web Site Avionioにある「ベルベック空港 セヴァストポリ(UKS)到着時刻表」に載っている空港の航空写真は、Google Mapでセバストポリ港の北7~8kmに位置するAeroport Imeni A.koltunovoyと完全に一致している。
 ただ、航空写真から見ると、ここは戦闘機やヘリが多数駐機しおり、「空港」には見えない。

 8月20日 00:50

 西側当局者が19日、ウクライナ南部クリミア半島ノボフェドロフカ付近のサキ航空基地での9日の爆発で、ロシア黒海艦隊の海軍航空戦闘機の半数以上が使用不能になったと述べた。
 当局者によると、黒海艦隊は沿岸防備以上の機能を果たせず、南部オデーサへの陸海空軍共同の攻撃が難航していて、全体的に戦争は「作戦停止に近い状態」とした。 (2209-082001)

 8月20日 02:05

 米国防総省高官が19日、ロシア軍のウクライナ進攻はここ数週間、ウクライナ軍により阻止されており、地上戦で劣勢に回っているとの見解を示した。
 匿名を条件に報道陣の取材に応じた高官は、「戦場でロシア軍は全く前進していない」と指摘した。 (2209-082002)

 8月20日 06:19

 ロシア軍が制圧しているウクライナ領の前線から離れた場所で19日にかけて爆発が相次ぎ、ロシア軍の補給路を遠方から攻撃するウクライナ軍の能力が高まっている可能性があることが示された。
 クリミア半島ではセバストポリの北にあるロシア軍のベルベク空軍基地付近で爆発が起き、半島の反対側にあるケルチでも巨大な炎が上がった。
 ケルチにはロシアとクリミア半島を結ぶ巨大な橋がある。
 このほか、ロシア国内ではベルゴロド州の弾薬庫で爆発があった。
 ベルゴロド州はウクライナとの国境に近いが、ウクライナ軍の支配地域からは100km以上離れている。
 ウクライナ当局者は、クリミアで発生した爆発の約半分はウクライナ軍による攻撃だったとしていが、ウクライナがATACMSを保有しているかについては明らかにしなかった。 (2209-082005)
【註】MGM-140 ATACMSはMLRSやHIMARSが装備するMLRS 6発入りのパックに代えて1発搭載し発射する射程300kmと見られるSRBMで、米陸軍では開発中の同じ発射機から発射する射程500km以上(750kmとの見方がある)のPrSMに換装される。

 8月20日 08:30

 クリミアとヘルソン州のロシアの軍事及び交通インフラに対する最近のウクライナの攻撃は、ロシア後方地域の安全を低下させている可能性が高い。
 ロシア軍はハリコフ市の北、イズユムの南西と南東、シヴェルスクの東、バフムートの南と東で限定攻撃を行った。
 ロシア軍は南翼の集落に対し複数回の攻撃を行ったが失敗した。
 ロシアは地域志願兵部隊を引き続き編成しており、その多くを第3軍団の一部としてヘルソンとウクライナ南部に投入する可能性が高い。 (2209-082006)

 8月20日 09:30

 複数の西側当局者によると、ロシア黒海艦隊は相次ぐ打撃を被ったことを受けて防御態勢に入った。
 クリミア半島のサキ航空基地に対する先週の攻撃で、黒海艦隊の航空部隊の少なくとも半数が戦闘不能になったという。
 公開情報によると、黒海艦隊の航空部隊はSu-24MやSu-30SMを含む作戦機20機以上からなる飛行隊を2個有しているが、先週の攻撃で航空機少なくとも7機、場合によっては10機が損傷もしくは破壊されたと示唆されていた。
 ロシアは依然、クリミア半島で他の2基地に数十機の作戦機を持つが、これらは特に黒海艦隊所属ではない。 (2209-082007)

 8月20日 13:32

 ウクライナ東部ハルキウ州の州都ハルキウ市では17~18日に住宅街などが露軍の攻撃を受け21人が死亡した。
 ウクライナ軍参謀本部によると、19日も州内各地で砲撃などが確認された。
 英国防省は露軍の一連の攻撃に関し19日、ウクライナ軍の重要な部隊を前線に留め、他地域での反撃に投入されないようにしていると指摘し、ウクライナ軍が南部で攻勢を強めるのを阻止する狙いがあると分析している。 (2209-082008)

 8月20日 14:30

 西側諸国当局者が19日、ウクライナとロシアの両国が戦況の流れを左右する十分な戦力を保持しておらず、作戦遂行の観点から言えば現在は行き詰まりに近い状況にあるとの認識を示した。
 複数の当局者は記者会見で、両国は共に人的資源確保で問題を抱えており、衝突が始まってほぼ半年を経過し兵力の消耗の度合いは相当な水準にあると分析し、この人員不足が戦略上の膠着状態を生じさせる要因になっているとした。 (2209-082009)

 8月21日 01:31

 ウクライナ南部クリミア半島にあるロシア黒海艦隊司令部に対し、UAVによる攻撃があった。
 地元市長などによると、20日にクリミア半島のロシア黒海艦隊司令部の建物にUAVが衝突して炎上したが、これまでのところ大きな被害はないという。 (2209-082101)

 8月21日 10:30

 クリミアのロシア占領当局者は、セヴァストポリのロシア黒海艦隊司令部に対する別のUAV攻撃を報告し、半島の安全保障の強化を検討している可能性が高い。
 ロシア軍は東翼全域で攻撃を行ったが失敗した。 ロシア軍はハリコフ市の北で限定攻撃を試みたが失敗した。
 ロシア軍はヘルソン市の北西とムィコラーイウ市の東で数回の攻撃を行ったが前進できなかった。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州とザポリージャ州にあるロシアの弾薬庫と陣地への攻撃を続けた。 (2209-082104)

 8月21日 10:58

 ウクライナ南部クリミア半島セバストポリの地元当局が、ロシア軍黒海艦隊の司令部上空で20日にUAVが撃墜されたことを明らかにした。
 セバストポリのラズボジャエフ市長は、メッセージアプリのTelegramに「UAVは司令部の真上で撃墜された」と投稿しウクライナ軍による攻撃だと非難した。
 ラズボジャエフ市長によると、UAVは司令部の屋上に落下して炎上したが、大きな被害や死傷者は出ていないという。
 司令部は7月31日にもUAV攻撃を受け5人が負傷したため、同日予定されていたロシア海軍記念日の行事は中止を余儀なくされた。 (2209-082105)

 8月22日 07:58

 ロシア国防省が21日、ウクライナ南部オデーサをKalibr CMで攻撃し、HIMARS用のミサイルや欧米製のSAMシステムを保管している弾薬庫を破壊したと発表した。
 一方、オデーサ地方行政当局は、撃ち込まれたCMのうち2発は海上で撃墜し、3発が穀物庫に着弾したと通信アプリに投稿した。
 ロイタは戦況を巡る情報の真偽を確認できていない。
 ロシア国防省はまた、ウクライナ南部へルソンでウクライナ側が配備していたM777榴弾砲2門と、南部ザポロジエのディーゼル燃料100t超を貯蔵している燃料庫も破壊したと発表した。 (2209-082201)

 8月22日 08:47

 ショイグ露国防相が21日に公開された動画で、「特別軍事作戦」で極超音速ミサイルKinzhalを3回使用し、3回とも素晴らしい特性を発揮したと発表した。 (2209-082203)

 8月22日 10:30

 ウクライナ軍情報機関は、ロシアとベラルーシが、損傷したロシアの航空機器をベラルーシで修理しウクライナで再利用する合意に達したと見ている。
 ロシア軍はイズユムの南西と南東で何回かの攻撃を試みたが失敗した。
 ロシア軍はシヴェルスクの南東とバフムートの北東と南に攻撃を開始した。
 ロシア軍はドネツク市の西で一部前進したが、ドネツク~ザポリージャ州境での攻撃は行わなかった。
 ロシア軍はドネツク市の南西で攻撃に失敗したが、アヴディイフカの北西と南西の集落を攻撃し続けた。
 ロシア軍はヘルソン~ムィコラーイウ線に数回の攻撃を行い、ムィコラーイウ市の東で部分的に前進した。 (2209-082206)

 8月22日 23:21

 ウクライナ軍のザルジニー総司令官が22日、ロシアとの戦争でこれまでに9,000名のウクライナ兵士が死亡したと発表した。
 ただ、詳細には踏み込まず、国境警備隊員など、全ての犠牲者数が含まれるかは不明である。
 ウクライナの民間人およびロシア側の死者数には言及しなかったが、ウクライナ軍当局の推定によると、ロシア軍の死者は45,000名と見られる。 (2209-082212)

 8月23日 03:59

 ロシアは開戦当初、ほぼ全く武力を行使することなくウクライナ南部の町や都市を支配下に収め、それ以降はクリミアと黒海艦隊はロシアがウクライナ南部の支配を目指す上で、兵員や装備の重要な供給拠点となってきた。
 ロシアはここからウクライナの都市や軍事施設にCMを発射し、クリミア半島はオデッサに西進しモルドバとつなぐ陸橋を開設するというロシアの目標にとっても重要な役割を果たすとみられていた。
 ところがセバストポリにある黒海艦隊司令部を含め、ロシア占領地に深く攻め入った攻撃を受け、軍事専門家や当局者はウクライナ南部での前進を目指すロシアの計画に狂いを生じてさせており、戦略の抜本的な見直しを迫られる可能性があると分析している。 (2209-082302)

 8月23日 07:15

 ロシア軍はイズユムの南西と南東で局地的な攪乱攻撃を行った。
 ロシア軍はシヴェルスクの南東とバフムートの北東と南で攻撃を続けた。
 ロシア軍はドネツク市の北部と西部の郊外から前進を試み続け、ドネツク市の南西で限定攻撃を行った。
 ロシア軍はムィコラーイウ~ヘルソン線に沿って僅かな成果を挙げた。
 ウクライナのパルチザンが占領下のメリトポリでロシア軍に対する攻撃を続けている。 (2209-082304)

 8月23日 12:21

 ロシアの侵攻から半年となる24日は、ウクライナが旧ソ連から独立を宣言した記念日であるが、首都キーウの当局は24日の独立記念日を前に、ロシア軍のミサイル攻撃の可能性が高まっているとして、25日まで大規模イベントを禁止すると発表した。
 またロシアと国境を接するハルキウ州でも25日まで外出禁止令が出されるなど、各地で警戒が強まっている。
 こうした中ウクライナ軍は、ロシア軍が戦闘機とヘリ約800機を国境付近に集結させていると明らかにした。
 またロイタ通信は米政府関係者の話として、ロシア軍が今後数日のうちに、民間のインフラ施設や政府の建物を攻撃する準備をしているとの情報があると報じている。 (2209-082306)

 8月23日 21:13

 ウクライナ空軍が8月21日に同軍のSAM部隊が、ロシア軍のKa-52を5日間で2機撃破したと述べた。 ほかの軍用機も複数、破壊したという。
 ウクライナ空軍がfacebookに投稿した内容によれば、同軍は複数のロシア軍基地に10回の爆撃を行い、Ka-52のほかにもUAV 7機と、Kalibr CM 2発を破壊した。
 ウクライナ軍は16日にも同規模の攻撃を行い、南部ザポリージャと東部ドネツクで、ロシアのKa-52 1機とUAV 3機を破壊している。 (2209-082311)

 8月23日

 米国防総省が8月19日に発表した$800M近くのウクライナ支援で、Carl Gustav弾2,000発など近接戦闘に適した兵器を追加供与していることから、ウクライナが数週間の砲撃に続いて失地回復作戦に出ようとしていることが窺える。 (2209-082313)

 8月24日 06:31

 米国が23日、ロシアが今後数日以内にウクライナ政府施設を攻撃する可能性があると警告した。
 ロシア政府は、先週末に同国で起きた暗殺事件はウクライナが実行したものだとし、実行者に対して「容赦ない」措置を取ると警告しており、攻撃の懸念が高まっている。
 在ウクライナ米大使館は安全情報を発出し、「米国務省は、ロシアが今後数日のうちにウクライナの民間施設や政府施設を攻撃するための取り組みを強化しているとの情報を得た」と説明し、ウクライナに滞在する米国民に対し、改めて出国を呼び掛けた。 (2209-082402)

 8月24日 09:45

 ロシア政府筋は、ロシアがウクライナ人の子供をロシアに連行し、ロシア人に養子縁組させていることを確認した。
 子どもをある集団から別の集団に強制移送することは、ジェノサイド罪の防止および処罰に関する条約に違反する。
 ロシア当局は、戦争への支持の薄れとルハンスク住民間での戦闘意欲の高まりに対応して、ルハンスク州に治安部隊を配置している。
 ロシアは、ウクライナ独立記念日にウクライナ政府の建物に対する攻撃を正当化するために、ドネツク市で偽旗活動を行った可能性がある。
 ロシア軍は、バフムートの北東と南、ドネツク市の北西ドネツク市>の南西限定攻撃を行った。
 ロシア軍はムィコラーイウ市の東とヘルソン州北西部で一部が前進した。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州にあるロシアの軍事資産と連絡線 (GLOC) を攻撃し続けた。
 ウクライナのパルチザン活動は、ロシアの占領活動を混乱させ続けている。 (2209-082405)

 8月24日 11:35

 ロシア当局が8月23日、親露派武装勢力が実効支配するドネツク州の州都ドネツク市に対するウクライナ軍の砲撃で、4人が死亡、10人以上が負傷したことを明らかにした。
 ロシア国営TVは、被弾した共和国行政府の建物とされる映像を公開したが、AP通信はこの映像に関して、撮影日時と撮影場所、さらに撮影の状況などを確認できていない。 (2209-082407)

 8月24日 17:24

 ウクライナではここ数ヵ月、ロシアの進軍が鈍っているが、ショイグ露国防相は24日にウズベキスタンで開催されている上海協力機構の国防相会議で、ウクライナでのロシアの軍事作戦について、「民間人の犠牲を減らすためにあらゆることを行っているため攻撃のペースは鈍るが、これは意図的なものだ」と述べた。 (2209-082408)

 8月25日 04:30

 ロシア軍はイズユムの南西と南東、バフムートの北東と南、ドネツク市の西と南西で限定攻撃を行った。
 ロシア軍はヘルソン州北西部で限定攻撃を行った。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州とザポリージャ州にあるロシア軍と連絡線 (GLOC) を攻撃し続けた。 (2209-082503)

 8月25日 08:30

 ロシア軍はスロヴィャンスクの北西と北東、バフムートの北東と南、ドネツク市の北西で限定攻撃を行った。 ロシア軍はハリコフ州北西部で限定攻撃を行った。
 ロシア軍はヘルソン州北西部で限定攻撃を行った。 ウクライナ軍はヘルソン州にあるロシアの軍事資産と連絡線 (GLOC) を攻撃し続けている。 (2209-082602)

 8月25日 17:05

 ウクライナのフロロワ元国防次官が25日記者会見し、クリミア半島でロシアの軍事施設を狙った作戦が進行中で、今後も破壊工作やゲリラ戦が増えていくとの見方を示した。
 クリミアでは8月に入り、ロシア軍の基地や弾薬庫などの爆発が続いているが、ウクライナ軍は関与を公式に認めていない。
 フロロワ元次官は、ロシアに侵攻される前まではクリミアの解放は政治・外交的手段によってのみ可能だとされてきたが、今はレトリックが変わったと述べた。 (2209-082604)

 8月26日 08:30

 ロシア軍はスロヴィャンスクの北西と北東、バフムートの北東と南、ドネツク市の北西で限定攻撃を行った。 ロシア軍はハリコフ州北西部で限定攻撃を行った。
 ロシア軍はヘルソン州北西部で限定攻撃を行った。
 ウクライナ軍はヘルソン州にあるロシアの軍事資産と連絡線 (GLOC) を攻撃し続けている。 (2209-082602)

 8月26日 17:05

 ウクライナのフロロワ元国防次官が25日記者会見し、クリミア半島でロシアの軍事施設を狙った作戦が進行中で、今後も破壊工作やゲリラ戦が増えていくとの見方を示した。
 クリミアでは8月に入り、ロシア軍の基地や弾薬庫などの爆発が続いているが、ウクライナ軍は関与を公式に認めていない。
 フロロワ元次官は、ロシアに侵攻される前まではクリミアの解放は政治・外交的手段によってのみ可能だとされてきたが、今はレトリックが変わったと述べた。 (2209-082604)

 8月27日 08:45

 国際原子力機関 (IAEA) が、ザポリージャ原子力発電所 (ZNPP) が8月26日にウクライナの電力網に再接続されたと述べた。
 ロシア占領当局は、国民投票の準備を進めているという報道にもかかわらず、9月上旬までにウクライナ領土をロシア連邦に併合するための偽の国民投票を実施する可能性は低い。
 ロシア軍は、イズユムの南西、バフムートの北東と南、ドネツク市の北西郊外で限定攻撃を行った。
 ウクライナ軍は、ドニプロ川西岸での作戦を支援するヘルソン州のロシアの連絡線 (GLOCS) と軍事インフラを攻撃し続けた。
 ウクライナのパルチザン等は、占領地のロシアの支配に脅威を与え続けている。 (2209-082703)

 8月27日 09:30

 ウクライナ南部作戦司令部は、10名から成る対露破壊活動と偵察を行う部隊が攻撃を行っていることで、ヘルソン州におけるロシア軍の能力がさらに低下したとしている。
 ロシア軍はハリコフ市の北で限定攻撃を行った。 ロシア軍はイズユムの南西、シヴェルスクの北東、バフムートの北東と南、ドネツク市の西と南西で限定攻撃を行った。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州西部でロシア軍の空中指揮統制部隊を攻撃した。 (2209-082801)

 8月28日 18:33

 New York Times紙が27日、国際原子力機関 (IAEA) の調査団が、ロシア軍の占拠下にあるウクライナ南部ザポリージャ原発を近く訪問する方向で調整していると報じた。
 同紙が入手した調査団のリストによると、IAEAのグロッシ事務局長が団長を務め、10人以上の専門家が同行する見通しで、当事国双方に配慮し、ウクライナを支持するポーランドやリトアニアに加え、ロシア寄りとされる中国やセルビアの専門家を入れた一方、米英の専門家は含まれていないという。
 調査団の訪問を前に、露軍側は原発で働くウクライナ人職員に、実情を話さないよう圧力を強めているようで、露治安当局は24日に現地職員2人をウクライナ軍に協力した疑いで拘束したことを明らかにした。 (2209-082805)

 8月29日 08:45

 ロシア軍はスロビャンスク北西部で攻撃に成功した。
 ロシア軍はバフムートの南東とドネツク市の西と南西で限定攻撃を行った。 ロシア軍はハリコフ市の北で限定攻撃を行った。
 ロシア軍は、ヘルソン州やザポリージャ州で一切の攻撃を行わなかったと報じられている。 (2209-082902)

 8月29日 13:41

 英国防省が28日、プーチン露大統領が25日に露軍を137,000名増やし、115万名以上にする大統領令に署名したが、ウクライナ戦争で効果を生む可能性は低いとうした見方を示した。
 英国防省は、兵員の増員によってロシアの戦闘力が高まる可能性は低いとし、その根拠として、ロシアの以下の事情を挙げた。 (2209-082905)

・何万人もの兵士が失われた。
・徴兵によらない新たな兵士の採用がほとんどない。
・徴兵された兵士は厳密には、ロシア領外で任務につく必要がない。
2・1・5 ウクライナの反転攻勢

 8月29日 23:14

 ウクライナ南部軍司令部報道官が29日、ロシア軍に対する反撃をヘルソン地域を含む同国南部で開始したと発表した。 ただ攻撃に関する詳細については言及を避けた。
 ロシア通信 (RIA) はロシア政府が任命した地元当局者の話として、ロシアが制圧しているノバ・カホフカにウクライナ軍がロケット弾を撃ち込み、電力と水道が遮断されたと報じた。
 ノバ・カホフカはヘルソンの東隣に位置している。 (2209-082908)

 8月29日 23:44

 ウクライナ南部へルソン州の地元高官が29日、ウクライナ軍がロシア軍に占領されているへルソン州の奪還に向けた反攻を開始したことを明らかにした。
 へルソン州議会議員で州知事の顧問も務めるフラニ氏はTV局Pryamyiに対し、同日へルソン州全域でロシア軍陣地に対する強力な砲撃がありし、へルソン州の奪還が始まったという発表だと述べた。
 一方でロシア国防省は声明で、ロシア軍はヘルソン、ミコライウの南部2州でウクライナ軍を撃退し、ウクライナ軍の作戦は失敗に終わったと主張している。
 声明では、ロシア軍が戦車26両、装甲車32両、Su-25 2機を破壊し、ウクライナ側は兵士560名以上を失ったと説明した。
 AFPはこの主張の信憑性を確認できない。 (2209-082909)

 8月30日 06:30

 ウクライナメディアが29日、ウクライナ軍が南部ヘルソン州でロシア軍の第1防衛線を突破したと報じた。 南部奪還に向け本格的な攻撃を開始するとみられる。
 ウクライナ軍は29日、ロシア軍が補給路として利用してきた州内のドニエプル川に架かる橋をHIMARSでほぼ全て破壊したと明らかにした。 (2209-083004)

 8月30日 06:34

 ウクライナ南部軍司令部報道官が29日、ウクライナ軍がヘルソン地域を含む南部でロシア軍に対する反撃を開始したと発表した。
 これに対しロシア国防省は、ウクライナ軍が南部ミコライウとヘルソン地域で攻勢をかけたことで多大な犠牲が出たと表明し、「ウクライナ軍の攻勢は失敗した」とした。
 一方、ロシア軍は南部の主要都市ミコライウで住宅地に砲撃を実施し、市当局や目撃者によると、少なくとも2人が死亡、24人が負傷した。
 ロイタはこれを独自に確認することはできなかった。 (2209-083005)

 8月30日 07:32

 ウクライナ軍の情報筋が、南部ヘルソン市近郊でロシア占領下の4ヵ村を奪還したことを明らかにした。
 情報筋は「作戦は夜間に始まり、ロシアの陣地やその後方への大規模砲撃が行われた」と述べた。
 情報筋によると、主な攻撃対象となっているのはプラブディンという村で、自称「ドネツク人民共和国 (DNR)」と「ルガンスク人民共和国 (LNR) 」の親露派勢力の歩兵部隊を攻撃したところ、歩兵部隊は逃走し続いてロシアの上陸部隊も逃げたという。
 情報筋は「我々は4ヵ村を解放し、彼らの最初の防衛線を3ヵ所で突破した」とも述べた。
 ウクライナのポロシェンコ前大統領は29日にCNNに対し、「反攻作戦は本日07:00に開始され、砲撃やミサイル攻撃が行われた」と説明。 ウクライナ軍が反攻のためにこれほど集中投入されるのは今年2月以降初めてで、西側から供与された火砲やHIMARS、ミサイルも投入されているという。 (2209-083006)

 8月30日 10:59

 ウクライナ軍が29日、ロシア軍が制圧を宣言するヘルソン州など南部で多方面にわたる攻撃を開始したと発表した。 奪還に向けた本格的な動きとの見方が出ている。
 ウクライナ軍南部方面の報道官は南部の情勢に関し、かなり緊迫しているがウクライナ軍が掌握していると述べた。 露軍は攻撃を仕掛けてきていないという。
 ウクライナ軍はまた、ヘルソン州の州都ヘルソンに通じる主要な橋をほぼ全て破壊し、露軍の補給路を遮断した。
 CNNによるとウクライナ軍はヘルソン周辺の四つの村を奪還し、軍関係者が「我々の目標はヘルソンだ」と語ったという。
 一方、露国防省は、ウクライナ軍がヘルソンや南部ミコライウ州の州都ミコライウ近郊などで攻撃を開始したことを認めた上で、「攻撃の試みは完全に裏目に出た。 ウクライナ軍に多数の犠牲者が出た」と説明した。 (2209-083008)

 8月30日 12:15

 ウクライナ軍当局者は、ウクライナ軍が8月29日にヘルソン州で反撃作戦を開始したと発表した。
 国際原子力機関 (IAEA) のグロッシ事務局長がザポリージャ原子力発電所へのIAEA調査団が原発に向けて出発したと発表した。
 ロシア軍はスロヴィャンスクの北、シヴェルスクの南東、バフムートの南、ドネツク州西部で限定攻撃を行った。
 ロシア軍はドネツク市周辺で前進した。
 ハリコフ州北東部におけるロシア軍の攻撃は確認されていない。  ロシア軍はヘルソン州北西部で限定攻撃を行った。 (2209-083009)

 8月30日 16:11

 ウクライナ軍がウクライナ南部でロシア軍に対して反撃に出たとの報道について、米国家安全保障会議 (NSC) のカービー戦略広報担当調整官は、大統領府はそうした報道を認識しているものの、特定の軍事作戦にはそれ以上コメントしないと述べた。
 それでも、カービー調整官は、直近の反攻の規模や範囲などにかかわらず、ウクライナは「ロシア軍の能力にすでに影響を与えている」と述べた。 (2209-083012)

 8月30日 16:29

 ウクライナ大統領府が30日朝、ロシア軍に占領されている南部ヘルソン州のほぼ全域で激しい戦闘となっていると発表した。
 大統領府は「ヘルソンで昼夜にわたり強力な爆発が続き、ヘルソンのほぼ全域で激しい戦闘が行われており、ウクライナ軍はさまざまな方面に攻撃を開始した」と説明した。 (2209-083013)

 8月30日 17:22

 ウクライナ南部軍司令部報道官が29日、ロシア軍に対する反撃をヘルソン地域を含む同国南部で開始したと発表した。
 ただ、新たな攻撃に関する詳細については言及を避けた。
 一方ウクライナのアレストビッチ大統領府長官顧問は同日、反撃に乗り出した部隊がヘルソン市付近の複数区域でロシアの防御を突破したと明らかにした。
 ロシア通信 (RIA) はロシア政府が任命した地元当局者の話として、ロシアが制圧しているノバ・カホフカにウクライナ軍がロケット弾を撃ち込み、電力と水道が遮断されたと報じた。 (2209-083015)

 8月31日 11:48

 ウクライナ軍南部作戦管区報道官が30日の記者会見で南部ヘルソン州の戦況について、敵はドニプロ川の左岸(南岸)から予備兵力を投入しようとしているがドニプロ川に架かる複数の橋が損傷したため、それは不可能だとの見方を示した。
 ヘルソン州南部とヘルソン市をつなぐアントニウスキー橋では30日未明にさらなる攻撃が報告された。
 ロシア軍は今後も渡し船や浮橋を設置して渡河を試みる可能性があるが、浮橋を渡す場所もウクライナ側の射撃統制下に入るため、攻撃を受けることになるとしている。 (2209-083103)

 8月31日 12:04

 ウクライナ軍が30日に南部ヘルソン州の奪還作戦を進め、ロシア側と激しい戦闘を続けたが、軍事専門家らは奪還はすぐには達成されないだろうとみている。
 ウクライナ軍はHIMARSを使いロシア軍が架けた浮橋や司令部、武器庫などを攻撃している。
 こうした動きは、ドニプロ川西岸にいるロシア軍を孤立させ、部隊や武器の供給を断つのが目的だとみられているが、ウクライナ政府高官は迅速な勝利を期待してはならないと警告し、今回の攻撃について敵をゆっくりと抑え込むものだと説明している。
 これについては、BBCが取材した軍事専門家らも賛成している。 (2209-083104)

 8月31日 12:30

 ウクライナ軍は、ドニプロ川を渡るロシアのGLOCに対する攻撃で成果を上げ、川を渡る浮橋を攻撃し始めた。
 ロシア軍はハリコフ市の北で限定攻撃を行った。
 ロシア軍はイズユムの南西、バフムートの南、ドネツク市の西郊外付近で限定攻撃を行った。 またヘルソン州北部で限定攻撃を行った。
 ロシア軍は装備をクリミアに移動させ続けている。 (2209-083106)

 8月31日 19:50

 英国防省が31日、ウクライナ軍が南部で反撃を継続し、複数の地点でロシア軍を押し戻したとの分析を発表した。
 ウクライナ軍はヘルソン州内の集落奪還作戦を続けており、地元当局は30日に奪還した51集落のうち33集落で電力が回復していないと述べた。 (2209-083111)

 9月01日 07:03

 欧米の当局者によると、ウクライナは米特殊部隊が開発したレジスタンス戦争の手法をたくみに駆使してロシアに反撃し、戦力で大幅に上回るロシア軍を足止めしている。
 この作戦概念は小国が規模で勝る隣国の侵攻に効果的に対抗するための枠組みを提供している。
 レジスタンス作戦概念は2013年に、その数年前に起きたロシアとジョージアの戦争を受けて策定されたが、その価値が認識されるようになったのは、ロシアによる2014年のクリミア半島侵攻後である。 (2210-090102)

 9月01日 07:48

 ウクライナ南部ヘルソン州ノバカホフカ地域で大規模な爆発が起きたとの複数の報告があった。
 この数週間、同地域の弾薬庫も攻撃を受けている。 ウクライナ、ロシア双方とも爆発の報告について公式なコメントを出していない。
 ノバカホフカはドニプロ川にとって戦略的な位置にある町で、ロシア軍が占領している。 川に架かる橋は繰り返しウクライナ軍の攻撃対象になっていた。
 州都ヘルソン市近郊のアントニウスキー橋の近くや、近隣のオレシュキー地域でも新たな爆発の報告があった。 (2210-090104)

 9月01日 11:30

 米当局者2人がCNNに、ロシア軍がウクライナで深刻な人員不足に直面しており、人員増強のための新たな方策を探っているとみていると米国が見ていることを明らかにした。
 当局者によれば、ロシア国防省はそうした人員不足を埋め合わせるために契約軍人を募集したり、負傷兵を強制的に戦場に再投入したり、民間の警備会社から人員を獲得したり、徴集兵に特別手当を支払ったりしているという。
 また当局者によれば、米国はロシア国防省が有罪判決を受けた犯罪者を恩赦や金銭的な補償と引き換えに兵士として採用し始めている可能性が高いとの「信頼できる報告」を得ているという。
 米国防総省が8月に発表した試算によれば、ロシア軍のウクライナ侵攻による死傷者数は最大8万人となっている。 (2210-090108)

 9月01日 12:45

 ロシア軍はハリコフ市の北で限定攻撃を行った。 ロシア軍はバフムートの南とドネツク市の西郊外沿いに攻撃を行った。
 ロシアが任命したクリミアの当局者は、繰り返されるUAV攻撃に対応して、防空システムの再構築を開始した。
 ロシアは他の戦域を犠牲にしてクリミア防空を強化している可能性が高い。 (2210-090109)

 9月01日 15:33

 ウクライナザポロジエ州のスタルク知事が1日、ザポロジエ原発を調査する国際原子力機関 (IAEA) 調査団の移動経路をロシア軍が砲撃しているとTelegramに書き込んだ。 (2210-090110)

 9月01日 16:30

 ウクライナ南部ヘルソン州の州議会幹部が9月1日までに、ウクライナ軍がヘルソン、ベリスラウ、カホウカの州内3都市での攻防で戦果を収めたことを明らかにした。
 ただ、この幹部はウクライナのTV局の取材に戦果の詳細には触れなかった。
 ウクライナ軍筋もCNNの取材に、同国軍はヘルソンに近い南部でロシアの占領下にあった4ヵ村落を奪回したとも明かしていた。
 ウクライナ軍の機甲部隊は8月29日以降、南部の複数の地点で攻撃を続行しているとし、防御網が比較的手薄なロシア軍を狙い、前線地帯を一定程度で後退させたと述べた。
 英国防省が8月31日発表した戦況分析で、ウクライナ軍が同国南部でロシア軍をある程度の距離で押し戻すことに成功したと報告した。
 一方、ロシア国防省は8月31日にTelegram上で、ウクライナ軍による南部地域での攻勢が失敗し、ロシア軍がウクライナ軍の装備品や兵力に大きな損害を与えたと主張した。 (2210-090112)

 9月01日 18:20

 ウクライナとの国境に近いロシア西部のベルゴロド市近くから発射されたロケット弾かミサイルが軌道を外れ、市内の住宅地区に着弾したことが、8月31日夜にTelegramに掲載された多数の動画で判明した。
 地元行政当局のコメントはない。
 動画は、着弾する前に同市上空を円弧状で横切っていく飛行体の姿をとらえていた。
 複数の住民はTelegramで着弾した場所はコムソモルスキー地区と述べた。 (2210-090113)

 9月01日 21:12

 ウクライナ国営原子力企業Energoatom社が1日、国際原子力機関 (IAEA) の調査団がザポリージャ原発に到着したことを明らかにした。
 ロシア通信によると、IAEAのグロッシ事務局長は原発で調査を開始したと表明した。
 到着前に原発敷地内への砲撃で稼働中の原子炉2基のうち1基が緊急停止した。 原発には6基の原子炉があり、うち4基はこれまで停止していた。 (2210-090115)

 9月02日 04:28

 ロシア軍が占拠しているウクライナ南東部のザポリージャ原発の初視察を終えウクライナ政府の支配地域に戻った国際原子力機関 (IAEA) のグロッシ事務局長が1日に記者団に対し、初日の視察は有意義なものとなり、多くの情報を収集できたとした。
 その上で、度重なる砲撃により同発電所とその物理的な完全性が何度も損なわれたことは明らかだと指摘した。
 今後は14人からなるIAEA調査団の一部が4日か5日まで原発に留まり評価を継続するとしたが、残留する人数については明らかにしなかった。 (2210-090202)

 9月02日 06:59

 欧米の当局者やウクライナの情報筋が、ウクライナ軍が現在の反攻を準備する際に、米国がウクライナに戦線が広がりすぎて複数の前線で膠着状態に陥るのを避けるため作戦の目標と作戦範囲を限定するよう促していたことを明らかにした。
 情報筋によると、こうした議論の中でウクライナとの図上演習も行われ、米国やウクライナの当局者によると、ウクライナは当初、より大規模な反攻を検討していたものの、ここ数週間で任務の範囲を南部ヘルソン州に絞った。
 当局者は現在、ウクライナ軍とロシア軍の戦力は以前より均衡しているとの見方が出ているが、欧米の当局者は、8月29日に南部ヘルソン州で始まったとみられるウクライナの作戦を本格的な反攻と呼ぶことにはためらいを見せている。 (2210-090203)

 9月02日 12:11

 ウクライナ軍が南部ヘルソン州でロシア軍に圧力をかけ続けており、1日にはドニプロ川に架かる橋を含む複数の目標を攻撃した。
 ウクライナ軍南部作戦管区によると、ミサイル部隊や砲兵部隊がレーダ施設1ヵ所や、人員や兵器、装備が集中している拠点2ヵ所などを攻撃したという。
 カホフスキー橋に対する攻撃でさらなる穴が空き、ロシア軍は依然として橋を使用できない状態で、ダリリウカ地域でもウクライナ側の攻撃でロシアが新たな浮橋を設置するのを阻止したという。 (2210-090205)

 9月02日 13:00

 ウクライナ軍は、ウクライナ南部での反撃を支援するため、ヘルソン州全域のロシアの兵站拠点と主要陣地を砲撃し続けた。
 ロシアの軍事ブロガーは、ウクライナ軍がヘルソン州西で4本の前進軸に沿って攻撃していると繰り返した。
 ロシア軍はスロヴィャンスクの北西、バフムートの南と北東、ドネツク市の北西と南西で攻撃した。
 ロシア陸軍第3軍団はドンバスへの展開のため編成作業を続けている。 (2210-090207)

 9月02日 17:47

 ウクライナの国営原子力企業Energoatom社が2日にTelegramへの投稿で、ロシア軍が駐留している発電所の危機センタに国際原子力機関 (IAEA) の調査団が立ち入ることが許されなかったと指摘し、ロシアの干渉を理由にIAEAの調査団がザポロジエ原子力発電所の状況を公平に評価することは困難になるとの見解を示した。 (2210-090209)

 9月03日 00:00

 ロシア国営RIAノーボスチ通信が、在ウィーン国際機関ロシア代表部のウリヤノフ大使によると、国際原子力機関IAEAの調査官2名がザポロジエ原発に常駐すると報じた。 (2210-090301)

 9月03日 03:55

 ウクライナ軍が2日、ザポロジエ原発に近いエネルゴダル周辺にあるロシア軍の拠点に対する攻撃を行ったと発表した。
 ウクライナ軍はfacebookに、ケルソンとエネルゴダルの周辺地域で、ウクライナ軍の正確な攻撃により、ロシア軍の砲3門と弾薬庫などを破壊したことが確認されたと投稿した。
 ウクライナ軍が特定の攻撃目標について詳細を明らかにすることはほとんどないため、今回の発表は異例である。 (2210-090302)

 9月03日 11:00

 独立系の世論調査では、ロシア人の過半数がウクライナにおけるロシアの戦争をいまだに支持していることが示された。
 ロシアと親露派武装勢力は、ウクライナ軍の反撃が彼らナを衰弱させると主張して彼らの守りを固めている。
 ウクライナ当局者は、ヘルソン州で陣取り戦が進行中で、ウクライナ軍がヘルソン州南部と中央部全域でロシアの連絡線 (GLOC)、兵站拠点、増援に対し攻撃を続けていると報告した。
 ロシア軍はバフムートの南と北東、ドネツク市の西と北の郊外で攻撃を行った。
 ロシア軍はウクライナ軍の後方地域を攻撃し続けており、ドンバスとクリミアのロシア後方地域から装備を推進して南翼を強化している可能性がある。
 ウクライナの情報によると、ロシアはシリア、アルメニア、タジキスタン、ナゴルノ・カラバフとカザフスタンへの派遣を支援している部隊から、さらに300,000~350,000名を転用するくことができると主張しているが、これらの数字はそれら地域での作戦を支援するために必要であることから正確ではない。 (2210-090307)

 9月03日 11:47

 ウクライナ軍が最新の作戦状況として、ロシア軍が南部ドニプロ川の渡河に使っていた門橋(註:数隻の船を連結した上に橋板を載せ渡し船として使用する渡河資材)を破壊したと明らかにした。
 ウクライナ軍南部作戦管区によると、ヘルソン州ベリスラフ地区にある村の近郊で、ミサイル部隊や砲兵部隊が渡河用の門橋に効果的な攻撃を加え、敵軍が集中している他の2地域も攻撃した。
 ベリスラフ地区ではこれより前、ロシアの弾薬集積所やSu-25を破壊したという。  CNNはウクライナの主張を独自に検証できていない。 (2210-090308)
 9月03日 16:18

 CNNが2日、ウクライナ軍が南部ヘルソン州でロシア軍がドニエプル川を渡るために利用している門橋の拠点を破壊したと報じた。
 ロシア軍の弾薬庫を破壊したほか、戦闘機も撃墜し、ロシア軍に打撃を与えたとしている。
 New York Times紙も2日、ウクライナ軍がヘルソン州の州都ヘルソンに向けて北西と南西から攻撃し、激しい抵抗に遭いつつも一部の陣地を回復したと報じた。
 ウクライナ軍が砲撃を強化しているほか、反ロシア勢力がゲリラ戦も展開しているという。 (2210-090309)

 9月04日 06:32

 ウクライナ軍が、8月下旬からヘルソン州など南部を中心に反転攻勢を続けており、ウクライナ軍が一定の成功をおさめたという見方が出ている。
 ウクライナ空軍は、黒海からロシア軍が発射したKalibr CM 5発を撃墜したと公表した。
 英国防省は「ウクライナ軍がヘルソン州の三方面に攻撃を集中させ、戦術的な奇襲はある程度、成功した可能性が高い」と分析したうえで、ロシア軍は増援部隊をどこに配置するか判断を迫られていると指摘している。
 一方、ロシア国防省は3日「ウクライナは失敗を続け、戦車や戦闘機、兵士など多くの損害を受けた」として、ウクライナ軍を撃退しているとする主張を繰り返している。 (2210-090401)

 9月04日 10:00

 ウクライナ当局者が、現在行っているウクライナ軍の反撃は、領土全域を直ちに奪還することを狙ったものではなく、南部のロシア軍と兵站を意図的に劣化させる組織的な作戦であると直接述べた。
 ウクライナ軍当局は、ウクライナ軍がヘルソン~ムィコラーイウに沿って攻撃を続けており、ロシアの連絡線 (GLOC)、装備と人員の集中箇所、兵站拠点を集中して攻撃していると報告した。
 一方ソーシャルメディアの映像は、ヘルソン州西部と中央部でウクライナの攻撃が効果を上げている証拠を示している。
 ロシアのミブロガー (miblogger) は、ウクライナ軍がヘルソン州西部、インフレーツ川沿い、ヘルソン北部のドニエプロペトロフスク州境沿いで戦っているとしている。
 ロシア軍はバフムートの北東と南、ドネツク市の北と南西で限定攻撃を行った。
 ウクライナ軍は、ロシア軍が進めようとしている増援を妨害するために、西ザポリージャ州で接触線に沿って局地攻撃を行っている可能性がある。 (2210-090405)

 9月05日 07:57

 ウクライナ大統領府のイエルマーク長官が4日、同国軍が奪還作戦を進める南部ヘルソン州の集落1ヵ所を露軍から新たに奪還したことを示す写真をSNSに投稿した。
 ウクライナは8月下旬にヘルソン州など南部での奪還作戦の本格化を示唆し、これまでに同州の複数の集落を奪還したとされるが、露軍に情報を与えて有利にさせないためとして、奪還作戦の進展については詳細を公開しない方針である。 (2210-090502)

 9月05日 10:34

 ウクライナのゼレンスキー大統領が4日、ウクライナ軍が南部で2ヵ所と東部ドネツク州で1ヵ所、計3ヵ所の集落を露軍から奪還したと宣言した。
 ゼレンスキー氏もビデオ演説で奪還した集落の詳細には触れなかった。
 大統領府長官や副長官は4日にそれぞれのSNSに、自国兵士が建物の屋上でウクライナ国旗を掲げる写真を投稿した。
 大統領府長官は「一歩一歩」とのメッセージを付けた。
 写真は、東部ドニプロペトロウシク州と隣接するヘルソン州北部の集落で撮影されたとみられている。 (2210-090504)

 9月05日 12:00

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍がウクライナ南部の集落2ヵ所とドネツク州の集落1ヵ所を解放したと発表した。
 ISWはドネツク州の集落とヘルソン州の集落の1つの解放を独自に確認した。
 ウクライナ軍は、ロシア軍の連絡線 (GLOC)、弾薬庫、および重要地点を攻撃した。
 ウクライナによるヴィソコピリヤの解放は、一部のロシア人ミルブロガーの間で否定的な議論を呼んでいるが、ロシア国防省は、クライナ軍は前進に失敗したと主張した。
 ドネツク人民共和国 (DNR) 第1軍団第127連隊は、物資不足のために戦闘を拒否したと伝えられている。
 ウクライナ軍はドネツク州のシヴェルスキー・ドネツ川左岸の領土を取り戻した。
 ロシア軍はバフムートの北東とドネツク市の西で限定攻撃を行った。
 ロシア軍は、ザポリージャ州の後方地域にある主要な連絡線 (GLOCS) で装備等を移動させていると伝えられている。 (2210-090506)

 9月05日 22:37

 ウクライナ軍南部司令部は4日夜、侵攻初期に掌握された南東部ヘルソン市の弾薬庫と指揮所を破壊したとFacebookに投稿した。
 ゼレンスキー大統領も同日の定例会見で、南部で集落二つと東部で一つを奪還したと発表した。 ただし、集落の名前は公表しなかった。
 政権幹部のティモシェンコ氏はTwitterに、ヘルソン州北部の集落ビソコピッリャにウクライナ国旗が掲揚されている写真を投稿した。
 ヘルソン州は、ほぼ全土がロシア軍に占領されている。
 米戦争研究所 (ISW) は報告書で「ウクライナ軍の反転攻勢は、南部と東部で検証可能な成果を挙げている」としている。
 南部司令部は空爆や砲撃でロシア軍の部隊の移動と兵站を混乱させることを目指しているとしている。 (2210-090509)

 9月06日 10:06

 ウォレス英国防相が5日に英下院で、ロシアが戦略的目標を何一つ達成していないと述べた。
 ウォレス国防相は、ロシアがウクライナ侵攻で装備と人員を大量に失い続けているとし、こうした損失がロシアの将来的な軍事上の有効性に長期的な影響を及ぼすとの見方を示した。
 ウォレス国防相は「現在までに25,000名を超えるロシア兵が命を落としたと推定される」と指摘したほか、負傷者や捕虜となったもの数万名と報じられている逃亡兵などを加えれば死傷者などは8万人を超えると述べた。 (2210-090602)

 9月06日 11:52

 ウクライナ軍参謀本部が5日夜、ロシア軍による複数回の攻勢を撃退したほか、ウクライナ東部クラマトルスクでロシア軍を押し返したことを明らかにした。
 参謀本部はまた、ビロホリウカなどの地域でロシア軍の攻撃を撃退することに成功したと述べた。
 ウクライナ軍はヘルソン州やハルキウ州で長距離砲による砲撃が成功し、クピャンスクではロシア軍に100名を超える死傷者が出たほか、戦闘車両2両台を破壊した。
 更にヘルソン市では30名以上のロシア兵やMBT 3両などに攻撃を加えた。 (2210-090603)

 9月06日 12:30

 ウクライナ軍の反撃は、ウクライナ南部におけるロシアの兵站と行政能力を目に見えて劣化させている。
 ウクライナ軍は、ウクライナの反撃の進展に関して作戦上の沈黙を維持したが、ヘルソン州中部のロシア軍連絡線 (GLOCs) を更に破壊したと公表した。
 ロシア軍はシヴェルスクの東、バフムートの北東と南、ドネツク市の北西郊外に沿って攻撃を行った。
 ウクライナの特殊部隊がエネルホダール地域のロシアのFSB (Federal Security Service) 基地に対して限定攻撃を実施した。
 ザポリージャ原発の6号炉はウクライナの電力網から切り離された。 (2210-090604)

 9月06日 21:25

 ロシアメディアが6日までに、ドニプロ川に面する町ノバカホウカの周辺で激しい攻撃があったと報じた。
 ロシアを後ろ盾とするノバカホウカ行政府は5日、町がまたしてもウクライナ軍のロケット弾による攻撃を受けており、空襲警報が鳴るのは一日に8回目だと述べた。
 ロシア国営RIAノーボスチ通信は行政府のトップの話として、夜間に74発のミサイルが飛来し、午前中にも砲撃が続き、道路や水力発電所に着弾したという。
 ノバカホウカには戦略上重要な水力発電所やドニプロ川を渡る橋が存在する。
 この橋はウクライナ軍の空爆や火砲による攻撃を頻繁に受け、現在は通行不能になっているとみられている。 (2210-090609)

 9月07日 08:50

 ウクライナのゼレンスキー大統領が6日夜の定例演説で、ウクライナ軍が同日午前にロシア側のCM 5発を撃墜したと発表した。
 ゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍がロシアのKh-101 6発のうち5発を撃墜し、うち4発は南部で撃墜したと明らかにした。
 だが、先に当局者が示唆していた東部での作戦進展には言及しなかった。
 これに先立ち、東部のハリコフとイジュームの間にあるバラクリア周辺での戦闘状況がソーシャルメディア上で投稿されていた。
 イジュームはロシアが兵力の補充に使う鉄道の要衝とされる。  ロイタはこれらの事実を独自に確認できておらず、ロシアからの回答もない。 (2210-090703)

 9月07日 09:48

 国際原子力機関 (IAEA) が6日、ロシア軍が占拠しているウクライナ南部ザポロジエ原発で行った視察の報告書を公表した。
 報告書はグロッシIAEA事務局長率いる視察団が1日に同原発入りし、視察した結果を52頁にまとめたもので、物理的な損傷の状況や安全性、職員の労働環境などを調査した。
 報告書によると、原発内では砲撃にり核燃料や放射性廃棄物を収容する建物のほか、使用済み核燃料の保管施設周辺にある放射能監視システムなどに複数の損傷が確認されたが、現時点で「放射性物質が拡散する恐れを示す兆候は見つかっていない」とした。
 そのうえで、原発の状況に対する「重大な懸念」は依然として変わらないと強調し、紛争が終結するまでの暫定措置として、域内の安全が確保される「保護区域」の早期設置を求めた。 (2210-090704)

 9月07日 12:00

 ウクライナ軍は、ハリコフ州南部で威力偵察的な反撃を行い複数の集落を奪還した。
 ロシア軍がヘルソンでのウクライナの反撃に対応するため、この地域から部隊を転用したことを受けたとみられる。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州全域のロシアの兵站拠点、輸送手段、人員と装備の拠点、統制点への攪乱攻撃を実施している。
 ロシア軍はバフムートの南で逐次前進し、ドネツク市の北、北西、南西で攻撃を続けた。 (2210-090706)

 9月07日 20:00

 ウクライナ軍が同国ハルキウの東に前進している。
 CNNが位置情報を確認したSNSの動画には、最近までロシア軍に占領されていた町にウクライナの兵士がいる様子が映っている。
 ウクライナ軍がこの町で地歩を固めることができれば、隣接するバラクレヤを占領するロシア軍を包囲することが可能になる。
 ウクライナ、ロシア双方の情報によると、バラクレヤでは自称「ルガンスク人民共和国」の民兵やロシア国家親衛隊の兵士が守備に就いており、こうした民兵や兵士の置かれた状況は危うくなっている可能性がある。
 CNNはこうした情報を独自に検証できていない。
 この地域でのウクライナの攻勢に関しては、ロシア政府もウクライナ政府も言及していない。 (2210-090707)

 9月07日 23:29

 ロイタ通信が7日、南部で反転攻勢に乗り出しているウクライナ軍が、東部ハルキウ州でも反撃を開始したと報じた。
 ウクライナ軍が8月29日に開始した反攻が広範囲に及んでいる可能性がある。
 ロイタ通信によると、東部ドネツク州の親露派武装集団幹部は6日、露軍が占拠するハルキウ州バラクレヤに対し、ウクライナ軍が激しい攻撃を始めたとSNSに投稿した。
 バラクレヤは、露軍がドネツク州攻略の拠点としているハルキウ州イジュームに近く、奪還されれば、イジュームを防衛することも難しくなるという。
 ウクライナ大統領府幹部も反攻を認めた。
 ウクライナ軍は6日、南部ヘルソン、ザポリージャ両州でも露軍拠点への攻撃を強めており、戦場の主導権がウクライナに移り始めているようだ。 ()

 9月08日 02:17

 9月7日にウクライナ軍のザルジニー総司令官とザブロツキー中将の連名で発表された「軍事作戦を遂行するための見通し - 2023年:ウクライナの見解」という声明文で、8月9日に行われたクリミア半島のノヴォフェドロフカにあるサキ飛行場への攻撃はミサイルによって行われたと言及した。
 サキ飛行場は現在のウクライナ支配領域から最短で200km離れており、ウクライナ軍が保有する射程90kmのHIMARSのM31誘導ロケット弾や射程120kmのTochka U(SS-21)SRBMでは届かないはずである。 (2210-090801)

 9月08日 05:01

 ウクライナ国営Ukrinform通信社が7日に報じた寄稿で、ウクライナ軍のザルジニー総司令官が7日、クリミア半島で最近起きたロシア軍の航空基地の爆発について、ウクライナ軍が攻撃したことを認めた。
 クリミア半島西部のロシア軍の航空基地では8月9日に複数回の爆発があり戦闘機が破壊されたが、この爆発についてウクライナが攻撃に関与したとの見方が強まっていたものの、これまで同国は公式に認めていなかった。 (2210-090802)

 9月08日 06:18

 ウクライナのゼレンスキー大統領が7日の夕方のビデオ演説で、東部ハリコフ州から良いニュースがもたらされたとし、ウクライナ軍がロシア軍から複数の集落を奪還したと明らかにした。
 大統領は南部に展開するロシア軍に対する攻撃に成功したウクライナ砲兵隊を称えた。 (2210-090803)

 9月08日 06:20

 米国防総省で政策を担当するカール次官が7日にイベントで、「ウクライナ軍はゆっくりだが意味ある前進をしており、南部ではウクライナ側の方がロシア側よりもうまくいっているのは確かだ」と述べた。 (2210-090804)

 9月08日 08:23

 ウクライナメディアが、ウクライナ軍が7日に東部ハリコフ州バラクレヤ周辺の集落ノバヤ・グサロフカを露軍から奪還したとする動画をSNSで公開したと報じた。
 これに先立ち、米戦争研究所 (ISW) は6日付の戦況報告で、ウクライナ軍がバラクレヤ方面で反攻を展開し、バラクレヤに近い集落ベルボフカを奪還したとみられるほか、ノバヤ・グサロフカなどでも露軍を後退させたもようだと分析していた。
 一方CNNは7日、「ウクライナ軍が年内にヘルソン州の大半を奪還する目標を立てている」とする米当局者とウクライナ当局者の話を伝えた。 (2210-090808)

 9月08日 11:30

 ウクライナ軍は、イズウム~ハリコフ地域からロシア軍転用された配備の隙を巧みに利用して領土を奪還してロシアGLOCを脅かしており、ロシアの士気低下反応を促している。
 プーチン露大統領は、ザポリージャ原発の状況に関する国際原子力機関 (IAEA) の9月6日の報告書を否定しようとしている。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州内のロシア軍兵站拠点、人員と装備の集結地、輸送網、指揮所を攻撃し続けた。
 ロシア軍はハリコフ市の北、スロヴィャンスクの北西、シヴェルスクの北東、バフムートの南と北東、ドネツク市の北西を攻撃した。
 ウクライナ軍は9月6日から7日にかけて、ハリコフ州南東部での威力偵察的な攻撃でイズウムの北西400㎢を奪還した。 (2210-090810)

 9月08日 12:18

 ウクライナ国営Ukrinform通信が ウクライナ軍総司令官のザルジヌイ陸軍大将の話として7日、8月9日に複数の爆発に揺れたサキ軍事基地を含む、クリミア半島の多数の軍事施設に向けてウクライナ軍のロケット弾が発射されたと報じた。
 攻撃をめぐっては1ヵ月もの間、誰が関与しているのか不明のままだった。
 ザルジヌイ大将は、ウクライナへの攻撃を開始するのにロシアが使用する基地を攻撃し、ロシア軍の戦闘機10機を不稼働状態にしたと主張した。 (2210-090811)

 9月08日 19:00

 ウクライナのゼレンスキー大統領が8日までに、ロシア軍がS-300を保管している武器庫を破壊したと報告した。
 大統領はMLRSの成果だとロケット砲旅団の戦士たちをたたえた。
 一方、ウクライナ国防省情報総局も8日までに、中南部ザポリージャ州にありロシア連邦保安局 (FSB) が使っている基地を攻撃したと報告した。
 場所は同州カミアンカ・ドニプロウスカ地区で、ロシア軍はこの基地内にある建物1棟にザポリージャ州で画策する住民投票用の投票用紙も収納していたとした。
 カミアンカ・ドニプロウスカ地区での爆発の発生は一般公開の情報でも流れたが、CNNはウクライナ国防省情報総局が主張した内容は独自に立証出来ていない。 (2210-090813)

 9月08日 20:00

 ウクライナ軍参謀本部が8日午前に最新の戦況に触れ、複数の地域でロシアの攻勢を撃退したと明らかにした。
 ウクライナ軍がザポリージャ州の村にあるロシア軍基地を火砲で攻撃したとも明らかにしたものの、北東部や南部の戦線で進行中の反攻については情報を盛り込まなかった。
 参謀本部によると、ウクライナ軍は陣地を維持して敵の進軍を防いでおり、東部ドネツク州のコンスタンチノフカやマヨルスクなどの地域でロシア軍の撃退に成功したという。
 参謀本部はまた、各地の戦場でロシアの激しい砲撃があったとも報告した。 (2210-090814)

 9月09日 02:02

 ミリー米統合参謀本部議長が8日、ドイツのRamstein空軍基地で開催されたウクライナ支援を巡る防衛幹部らの会議に出席し、ウクライナは西側諸国提供の最新兵器で絶大な戦果を挙げていると述べた。 HIMARSだけでロシア軍の400ヵ所以上に打撃を与えるなどしているという。
 この会議でオースティン米国防長官は、バイデン米大統領がウクライナ向けに$675Mの追加軍事支援を承認したことを明らかにした。
 またこれとは別に、ブリンケン米国務長官がキーウを訪問し、ウクライナのほかロシアの脅威にさらされる中東欧諸国18ヵ国に対する$2.2Bの支援を実施すると表明した。 (2210-090901)

 9月09日 10:36

 ウクライナ北東部ハルキウ州では、ウクライナ軍による予想外の反攻を受けたロシア軍が守勢に回ることを余儀なくされ、親露派の当局者が避難を呼び掛ける事態となっていた。
 ハルキウ州クプヤンシクではロシアが据えたガンチェフ市長が避難を呼び掛けた。
 クプヤンシクは絶え間なくウクライナ軍のロケット攻撃を浴びているという。
 ウクライナ当局者は北東部の攻勢についてコメントを控えているものの、CNNが位置情報を確認した動画からは、ウクライナ軍が7日にクプヤンシクから50kmほどの町に入ったことがうかがえる。 ハルキウ州の情勢についてはロシア当局者も沈黙を保っている。
 ハルキウ州での作戦に先立ち、南部ではヘルソン市付近で戦闘が激化していた。 (2210-090903)

 9月09日 13:00

 ハリコフ市~イズウム線でのウクライナの成功は、ロシア軍に亀裂を生じさせ、ロシアの指揮に5月中旬のロシア川渡河失敗以来の自信喪失を与えている。
 ハリコフ州のウクライナ軍は、9月8日にクピャンスクにあるロシアの主要兵站経路から20km以内に前進した。
 ウクライナ軍は今後72時間以内にクピャンスクを占領する可能性が高く、イズウムへのロシアの地上通信線 (GLOC) を完全には切断しないものの打撃を与えるだろう。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州のロシアのGLOC、指揮統制所、弾薬庫に対し砲撃を続けている。
 ロシア軍は東翼全域で限定攻撃を行った。 (2210-090904)

 9月10日 00:17

 ウクライナ軍幹部が8日の記者会見で、東部ハルキウ州でロシア軍から20以上の集落を奪還したと発表した。
 露軍は南部の占領地域への反転攻勢に備え主力を転用したため、ウクライナ軍の東部での奇襲が成功した形になっている。
 オースティン米国防長官は8日、「ウクライナ軍が戦闘の主導権を握りつつある」と述べた。
 ウクライナ軍参謀本部は9日、ハルキウ州では露軍の占領地域に3日間で最大50km前進したと発表した。
 戦車部隊が素早い前進に貢献しているとされ、周到に準備された作戦とみられる。 (2210-091001)

 9月10日 05:07

 ロシアが9日、ウクライナ北東部ハルキウ州に援軍を派遣すると発表した。
 ロシア国営メディアは、ウクライナ侵攻の象徴であるZの文字が描かれた戦車や支援車両、大砲の列が舗装道路や未舗装路を走行する映像を流した。
 ウクライナ軍は侵攻したロシア軍に対する大規模な反攻を続けており、同州でこれまでに30以上の集落を奪還したとしている。 (2210-091003)

 9月10日 13:15

 ウクライナ軍は9月9日現在、ハリコフの反撃でハリコフ州で推定2,500㎢を奪還した。
 ウクライナ軍はクピャンスク郊外に到達し、9月9日現在、北西、北、北東、南東からイジウムに向け前進しており、今後数日以内にイジウムへのロシア軍の補給路 (GLOCS) を分断する可能性が高い。
 ウクライナ軍は、フルシフカの北、ハリコフ州北東部のヴェリキ ブルルクにあるロシアの兵站拠点に向かって前進した可能性がある。
 ロシア軍はハリコフ市の北、東翼を越えて攻撃を行った。
 ウクライナ軍は、ロシアのGLOCSを阻止し、ロシアの士気を落とすなど、ウクライナ南部で反撃作戦を継続している。 (2210-091006)

 9月10日 15:30

 ウクライナ軍参謀本部が9日、「ロシア軍のモラルや精神状態は大きく悪化しており、脱走兵の人数も増えている」と、同軍が反転攻勢を進める南部ヘルソン州でロシア軍の脱走兵が増えていると主張した。 脱走兵の増加を示す特定の証拠には触れなかった。
 参謀本部はまた、ウクライナ軍の戦闘機が東部ドネツク州や南部で10回以上の空爆などを実施したとも報告した。
 ウクライナ空軍の出撃はここ数週間、活発化の兆しがあり、ロシア軍の防空部隊を探索し攻撃出来る米国製ミサイルの駆使を反映しているともみられる。
 さらに、ウクライナ軍南部作戦管区はロシア軍の兵力や装備品の集積拠点をたたく作戦は続行しているとし、ドニプロ川西岸に展開する部隊への補給路としてロシア軍が設けた、ノバカホウカ地区にある仮設橋梁とダリウカ地区の浮橋も攻撃しているとした。 (2210-091007)

 9月10日 16:15

 複数の米政府高官とウクライナ政府当局者が10日までにCNNの取材に、ウクライナ軍がヘルソン州などで踏み切った反転攻勢で、2022年年末までに占領地の大半を奪還する大がかりな目標を据えていることがを明らかにした。
 南部で先週みられた反攻の規模はロシア軍の侵攻開始以降、最も大規模な地上攻撃ともなった。
 出回った映像の位置情報や衛星画像の分析では、前線から後方に離れた指揮統制拠点、弾薬庫や燃料貯蔵庫などへの攻撃が継続的に仕掛けられ、米政府高官はロシア軍の補給路の破壊で一定の戦果を収めたと分析し、ドニプロ川西岸に現在配置されているロシア軍への補給遮断や孤立化を狙った戦術とも述べた。 (2210-091009)

 9月10日 19:08

 ウクライナのゼレンスキー大統領が9日のビデオ声明で、東部ハリコフ州で30ヵ所以上の集落を露軍から奪還したと発表した。
 同州の幹部は10日にSNS上でクピャンスクを露軍から解放したと表明した。 今後、露軍の防衛線が崩壊する可能性も指摘されている。
 米ISWは9日、ウクライナ軍が同州内で2,500㎢を奪還したと分析し、ウクライナ軍は既にクピャンスク郊外まで達していおり、更に前進を続けて今後数日間でイジュム周辺の露軍は孤立する可能性が高いとした。
 英国防省も10日、露軍はウクライナ軍の反攻に衝撃を受けているとし、ウクライナ軍がハリコフ州の複数の都市を包囲して、州の重要都市イジュム周辺で露軍を孤立させているほか、クピャンスクも奪還する可能性があるとの見方を示していた。
 TASS通信によると、ハリコフ州の占領地域にロシアが設置している暫定統治機関トップが9日、ウクライナ軍の攻撃が激化しているとして、イジュムやクピャンスクから住民避難を開始したと明らかにした。 (2210-091011)

 9月10日 20:02

 ウクライナ東部ハリコフ州に駐在するロシア当局者が9日にロシア国営TVで、ウクライナ軍が同地域でロシア軍の防衛線を突破し実質的な勝利を収めたとの見方を示し、 ロシア側が公式にウクライナによる反攻を認めた。
 また、同州のイジュムやクピャンスクなどロシア支配下にある3都市から市民が避難していることを明らかにした。
 これについて、ロシア大統領府はコメントしていない。
 こうした中、ハリコフ市のテレホフ市長はTelegramへの投稿で、ハリコフ市中心部にある子どものための美術センタと学校のほか、民間住宅が9日にロシア軍によるロケット弾攻撃を受け、子ども3人を含む少なくとも10人が負傷したと明らかにした。 (2210-091012)

 9月10日 21:16

 ウクライナ軍が10日、東部ハリコフ州の要衝イジュム市の入り口に到達した。 ウクライナメディアがイジュム市の入り口で国旗を掲げる兵士の動画を掲載し、ロシア軍が既に撤退していたとも報じた。  州内では10日にウクライナ保安局(SBU)が重要拠点クピャンスクに特殊部隊が進軍したと発表したほか、シネグボフ知事がバラクレヤの奪還を宣言した。
 ウクライナ軍の反攻を受けてロシア軍は部隊の増派を迫られ守勢に立たされているが、補給路が断たれたロシア軍は拠点の崩壊につながる可能性も指摘される。 (2210-091013)

 9月11日 02:00

 ウクライナ軍が10日、ハルキウ州のロシア軍占領地への攻撃を進め、同軍が補給基地とする町を奪還した。
 これを受けてロシア国防省は同日夕、これまでロシア軍が同州で東部制圧を狙うための重要拠点としてきた都市イジューム周辺から部隊を撤退させると発表した。
 ウクライナ軍が奪還したのはハルキウ州東部の交通の要所クピャンスクで、ロシア軍はこの町を2月にウクライナ侵攻を始めた直後に占領下に置き、州内の他の占領地への補給基地の役割を持たせてきた。 (2210-091101)

 9月11日 11:39

 ウクライナ軍が10日、ハルキウ州で反転攻勢を進め、ロシア軍が拠点としてきたイジュームに進撃した。
 現地からの情報によると、ロシア軍は同市からの撤退を余儀なくされた。
 現地からの動画や衛星画像には、ウクライナ軍が前線を越えてロシア軍の司令拠点や弾薬庫、燃料庫を攻撃する場面が写っている。
 ウクライナ軍は10日、イジュームの北50kmに位置するクピャンスクの奪還も発表した。  ウクライナ陸軍の報道官は声明で、ロシア軍が武器や弾薬を残して敗走し、市中心部は解放されたと宣言した。
 ロシア軍の動きを伝えるTelegramは、ロシア軍がクピャンスクから撤退するなか、住民らはウクライナの報復を恐れ、隣接する東部ルハンスク州で親露派が名乗る「ルガンスク人民共和国」へ逃げ出したと伝えているが、SNSには解放された地区の住民がウクライナ軍部隊を歓迎する様子が投稿されている。
 ウクライナ軍はさらに、ドネツク州とルハンスク州の境界付近でも反撃を開始し、ルハンスク州のハイダイ知事によると、焦点となるのはウクライナ側が州内で最後まで維持しながら7月にロシア軍に制圧された拠点都市リシチャンスクであるという。 (2210-091104)

 9月11日 13:30

 ハリコフ州のウクライナ軍は、ロシアの北部ドンバスでの防御線を崩壊させており、ウクライナ軍は、今後48時間以内にイズユムを奪還する可能性が高い。
 ロシア国防省が9月10日にバラクリヤ~イズウム線からの撤退を発表しが、露国防省は的確な情報を説明できなかった。
 ウクライナ軍は、ハリコフ州北東部、イズウムの北部郊外、ライマンの南と南西の郊外のロシアとの国境から15~25kmまで前進し、クピャンスクの西半分を占領した。
 ロシア軍はヘルソン州で陣地を強化しているが、ウクライナ軍は陣地攻撃を行い、ロシアの兵站線に対する阻止作戦を継続している。
 ロシア軍はハリコフ市の北、バフムートの南、ドネツク市の西で限定上攻撃を行った。 (2210-091105)

 9月11日 17:30

 ウクライナ軍参謀本部が南部ヘルソン州の戦況について10日、東部ハルキウ州と同様にロシア軍にさらなる損害を与えたと発表した。
 最新の戦況分析で、南部のミコライウ、ヘルソン両州や東部ハルキウ州でロシアが占領していた集落を解放したとしたが、ウクライナ軍兵士の安全確保のため集落などの詳細は追って公式情報で伝えるとした。
 同参謀本部はまた、ロシア軍の第106空挺師団がウクライナ軍による過去24時間の攻撃で約60名を失ったとし、ロシア軍司令官はほかの部隊を呼び集め、第1軍団の再編成を図っているとした。
 一方、ウクライナ軍の南部作戦管区は、チェチェン共和国からロシア軍の1,300名の増援部隊がヘルソン州に到着したとも明かした。 (2210-091108)

 9月12日 11:01

 反転攻勢を続けるウクライナ軍が11日、ロシア軍が東部ルハンシク州の補給拠点スバトボから撤退したと発表した。
 スバトボは、ドネツク州との境界に沿った10日時点の前線から40kmほど北に位置し、ロシア軍が前線への補給拠点にしていた。
 ウクライナ軍参謀本部は声明で、ロシア軍がトラック4両と装甲車20両、住民から盗んだ車20台で逃走したと述べた。 CNNはこの情報を独自に確認できていない。
 ハルキウ州の軍政幹部は国内TV局とのインタビューで、すでに40以上の集落を正式に解放したと述べた。
 ウクライナ軍のザルジニー総司令官は11日、今月に入ってから奪還した国土は3,000㎢を超えると述べ、ハルキウ州から南方と東方だけでなく北方にも進撃して、ロシア国境から50kmの位置に迫っていると述べた。
 CNNはこの情報についても独自に確認していない。 (2210-091203)

 9月12日 12:00

 ウクライナ軍は迅速な反撃でハリコフ州のほぼ全域を奪還した。
 ウクライナ当局は9月11日、ザポリージャ原発で稼働中の最後の原子炉を停止した。
 ロシア国防省は、ロシア軍がハリコフ州最東端を除くすべての地域から撤退していることを確認した。
 ロシアのミルブロガーは、オスキル川をロシアがハリコフ州東部の陣地から撤退した後の新しい最前線と定義した。
 ウクライナ軍は、国境のすぐ南にあるヴォフチャンスクとヴェリキー ブルルクに前進した。
 ロシア軍はアヴディイフカとバフムート地域で限定攻撃を行った。 (2210-091204)

 9月12日 14:18

 ウクライナ軍が9月11日、ドンバス地域の玄関口ともいえるイジュームを奪還した。
 ウクライナ軍の反転攻勢に包囲を恐れたロシア軍は、イジュームを占拠していた部隊を撤退させたが、相当数の武器や弾薬を残して退却した。
 そのハルキウ州では11日、第93独立国土防衛旅団が建物の屋根にウクライナ国旗を掲げ、ボルシュコワでは第127独立国土防衛旅団の兵士が、地面に広げられたロシア国旗を踏みにじるなど、勝利を味わっていた。
 一方、イジューム市内の広場を背景にした映像では、第95国土領土防衛旅団の兵士が、ハルキウ市の北でロシア国境沿いのホプティウカでは第130独立国土防衛旅団の兵士がグループ写真に収まるなど、ウクライナ軍によるハルキウ奪還を証明していた。 (2210-091205)

 9月12日

 ウクライナ東部ハリコフ州に駐在するロシア側当局者が12日、ウクライナ軍がハリコフ州で行った大規模な反転攻勢について、ウクライナ軍の兵力はロシア軍および親露派の8倍だったとの見方を示した。
 この当局者はロシア国営TVで、ウクライナ軍はロシアがこれまでに制圧した同州北部の集落を奪還してロシアとの国境に迫り状況は刻々と厳しくなっていると述べ、約5,000人の民間人がロシアに避難し、ロシアのベルゴロド州との国境は現在閉鎖されていると語った。
 ロイタは、戦況に関する発言が事実かどうか確認できていない。 (2210-091206)

 9月13日 05:20

 仏Le Monde紙の取材に応じたウクライナのレズニコフ国防相が12日、西側諸国からの武器供与により現在行っている反攻は、領土奪還を目指し南部と北部で始まった第三段階だと言明した。
 ゼレンスキー大統領は同日、同国軍が東部と南部で今月奪還した国土は6,000㎢に上ると発表し、われわれはさらに進撃していると語った。 (2210-091305)

 9月13日 06:11

 ウクライナ軍がロシア軍が制圧していた南部と東部で反転攻勢を強め、多くの集落を奪還したことで、12日は前線にあった集落に住民が戻り始めた。
 ただこの日も、ロシア軍による東部ハリコフ市へ砲撃が続き、ハリコフ市長によると少なくとも1人が死亡したほか、市内の電力と水道の供給が途絶えた。 (2210-091306)

 9月13日 08:02

 米軍当局者が12日、ロシア軍がウクライナ東部ハリコフ付近からほぼ撤退し、兵士の多くが国境を越えてロシアに戻ったと明らかにした。
 米国はロシア軍が撤退に伴い装備を放棄しているという報告を受けており、「ロシアの指揮統制の乱れを示している可能性がある」という。
 ウクライナ軍は南部と東部で反転攻勢を強めており、同国軍当局によると、過去1日で20以上の町や村を奪還し、南部ドネツク州ではバフムトとマイオルスクの重要地域でロシアの進軍を阻止したという。
 また、バフムトについてはロシア軍が依然として戦力を集中させているとの認識を示し、かなりの砲撃と空爆が続いていると語った。 (2210-091307)

 9月13日 10:37

 ウクライナ軍が南部と東部でロシア軍に対する反転攻勢を強め、多くの集落を奪還していて、前線にあった集落には住民が戻り始めており、ウクライナの地雷除去部隊は9月12日、東部ハリコフの北にあるロシアとの国境付近で、ロシア軍が残した爆発物の除去を開始したと発表した。
 除去部隊によると、対人地雷の除去に当たったのはロシア国境から約7kmにあるウディ村で、ロシア軍の拠点が5~10ヵ所発見され、ロシア軍拠点近くで発見したという地雷や爆発物が、近くの町に並べられた。 (2210-091309)

 9月13日 10:45

 ウクライナ軍はヘルソン州で劇的な前進を続け、この地域におけるロシア軍の士気と戦闘能力を確実に低下させている。
 ロシア軍は、ここのところのロシア軍の損害と士気低下のために、新編部隊のウクライナへの投入を中断している可能性がある。
 ロシア軍はハリコフ州東部で、ウクライナ軍が成果を挙げていることから新たな前線を強化できず、逃げるか他の翼に再展開している。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州内のロシア軍と陣地を攻撃し続け、おそらく着実に彼らを弱体化させている。
 ウクライナによるイズユムの奪還は、イズユム~スロヴィャンスク道沿いで砲撃を行うロシア軍の能力を低下させた可能性が高い。
 国際原子力機関 (IAEA) は、ザポリージャ原子力発電所 (ZNPP) の第2予備送電線の復旧を発表した。
 ウクライナの徹底的な反撃はロシアの行政能力を損ない、占領地域のロシアは補給路の遙か後方に後退させられている。 (2210-091310)

 9月13日 15:22

 英国防省が12日、ロシアがウクライナ東部ハリコフ州のオスキル川以西の州全域から軍の撤退を命じた可能性が高いと発表した。
 同省は「ウクライナの急速な成功はロシアの全体的な作戦計画に大きな影響を与える」とtweetした。 (2210-091313)

 9月13日 16:42

 英国防省が13日、ウクライナ北東部ハルキウ州から撤退したロシア軍のなかにはロシア軍の誇る精鋭部隊の一つで西部軍管区に属する第1親衛戦車軍が含まれていたとする分析を公表した。
 第1親衛戦車軍は首都を防衛しNATO軍と交戦になった場合に反撃を主導する役割を担っていたという。
 英国防省によると、第1親衛戦車軍は侵攻初期に大きな打撃を受け、ウクライナ軍の反攻の前に十分に戦力を回復することができていなかった。
 英国防省はこの部隊を含む西部軍管区の勢力が劣化したため、ロシア軍の対NATO戦力は著しく弱体化したと指摘し、ロシアが戦力を再建するには何年もかかるだろうと述べた。 (2210-091315)

 9月13日 17:05

 ウクライナが反転攻勢を強めており、南部ヘルソン州を占領したロシア軍の一部が降伏交渉を開始したとも伝えられ、東部ではロシアに制圧されたルガンスク州の一部集落が解放されている。
 ルガンスク州のガイダイ知事は12日にTelegramで、ウクライナ軍の反撃により州内のロシア軍が自国へ逃げ始めたと述べ、更に一部の集落を奪還したことも明かした。
 ロシア軍は7月上旬にルガンスク州を完全制圧したと宣言していたが、隣接するハリコフ州でウクライナ側が勢いを増していることに合わせて、ルガンスクでもウクライナ軍が攻撃に転じている。 (2210-091316)

 9月13日 22:18

 ロシア国防省はウクライナ情勢をめぐる13日の定例会見で「ウクライナ軍に対し全正面で空軍、ミサイル部隊、砲兵部隊が大規模な攻撃を行っている」と述べた。
 同省の声明によると、東部ドネツク州のスラビャンスクとコンスタンチノフカ周辺に拠点を置くウクライナ軍に対し精密誘導弾攻撃を開始したという。
(2210-091317)

 9月13日 23:51

 ウクライナ国防省のマリャル次官が13日、ウクライナ北東部ハリコフ地方で奪還した国土は9月6日以降で3,800㎢に上ると述べた。
 ゼレンスキー大統領は、9月1日以降にウクライナ南部と東部の合計で6,000㎢以上の国土を解放したと述べたが、これにはマリャル次官が言及した数値も含まれている。
 マリャル次官はTVで、ロシア軍から奪還した国土には300以上の集落があり15万人が現在住んでいるとしたうえで、「作戦は進行中で、目的はハリコフ地方の完全な解放であり、近い将来、これが実現すると信じている」とした。 (2210-091318)

 9月14日 02:51

 西側当局者が匿名を条件に13日、ウクライナ軍が反転攻勢を強め、東部を中心に国土を奪還していることについて、戦争の転機になるか判断するのは時期尚早との見方を示した。
 当局者は「ロシア軍の撤退の性質について議論が続いているが、参謀本部が命令した撤退であり、軍の完全な崩壊ではない公算が大きい」とし、「戦争の転換点か判断するのは尚早」と指摘し、「ロシア軍が防御を容易にするために戦線を短縮し、そのために占領地を犠牲にしたという点で、良い決断をしたことを考慮する必要がある」と述べた。
 その上で、ロシア軍は複数の前線で攻撃にさらされているため直ちに失土を取り戻そうとはせず、今後ハリコフを取り戻そうとする可能性はあるとの見方を示した。 (2210-091401)

 9月14日 05:11

 ウクライナのゼレンスキー大統領が13日、ウクライナはロシア軍から奪還した4,000㎢を超える国土を完全に統治していると表明し、4,000㎢を安定化させているとした。
 ゼレンスキー大統領は12日、最近の反転攻勢で6,000㎢以上の国土を奪還したと表明したが、当局者は国土奪還と完全な安全確保とを区別する必要があるとの見方を示している。 (2210-091403)

 9月14日 03:28

 ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事が13日、ロシア軍が同州のクレミンナ市から撤退したと通信アプリに投稿した。
 ロシア軍はウクライナ東部に攻撃を集中させた後の4月中旬に同市を制圧し、7月にルガンスク州全域の制圧を宣言していた。
 ガイダイ知事は通信アプリへの投稿で「13日の時点でクレミンナ市は空っぽで、ロシア軍は同市を放棄していた」と表明した。
 同市の隣のドネツク州リマンでの攻防が、ルガンスク州での反転攻勢のカギになるとの見解を示した。 (2210-091405)

 9月14日 08:55

 ウクライナメディアが、ロシアの占領下にある南部ザポロジエ州メリトポリのフェドロフ市長が13日にSNSを通じ「露軍が市内からクリミア半島に向けて逃走を始めた」と述べたと報じた。
 露軍が同市を放棄した場合、南部でのウクライナ軍の反攻が進展する可能性がある。
 メリトポリはアゾフ海に近い南部の要衝で、露軍が侵攻開始直後に制圧したが、ロシア側要人を狙ったパルチザンによる武力闘争が伝えられていた。 (2210-091407)
【註】ヘルソン市にあったロシア軍司令部が、ヘルソン州で重要補給路上にある橋梁が破壊されたことからメリトーポリ市に後退したと8月15日に報じられていた。

 9月14日 12:15

 ロシア政府はこの戦争で初めてハリコフ州での敗北を認めた。 ロシア政府は、プーチン大統領から非難をそらし責任を彼の軍事顧問に帰している。
 ハリコフ州周辺のウクライナの反撃成功で、ロシア軍人、占領当局、ミルブロガーがパニックに陥っている。
 ウクライナ軍がドネツク州北部のライマン~ヤンピル~ビロホリフカ線に沿って攻撃を継続している可能性が高く、オスキル川を渡って限定攻撃を行っている可能性がある。
 ロシアとウクライナからの情報では、ウクライナ軍が南部での反撃の一環として、ヘルソン州の3つの地域で演習を行っていることを示した。
 ロシア軍はバフムートの南で逐次前進し、ドネツク州全域で攻撃を続けた。 (2210-091410)

 9月14日 13:37

 米軍幹部の1人は12日、ロシア軍がハリコフ周辺の制圧地の大半を明け渡したうえで北方と東方に撤退したと話し、多くの部隊が国境を越えてロシア側に戻ったと明らかにし、ウクライナ政府は6,000㎢を奪還したと発表した。
 ロシア軍が装備を放棄して撤退したという報道について、この米軍幹部は「ロシアの指揮系統が混乱している可能性がある」と語った。
 それでも米軍関係者は、ウクライナ側の領土奪回が速やかに進んだからといって目先の戦況の見通しが根底から覆されたわけではないとくぎを刺し、ウクライナにとって厳しい戦いは終わっていないと慎重な見方をしている。 (2210-091412)

 9月14日 13:43

 ウクライナ陸軍第25独立シチェスラフ空挺旅団は9月13日、ロシア軍から奪還した同国北東部のハルキウ州で撮影した映像を公開した。
 映像の中で、ウクライナ軍空挺隊員は「ロシア軍は戦車から友軍兵士まで置き去りにして退却した」と語った。
 逃げる際に足手まといになる負傷した友軍兵士を撃つこともあったという。
 一方のロシアは、ハルキウ州から部隊を撤退させたことを認めている。 (2210-091413)

 9月14日 18:38

 ウクライナのゼレンスキー大統領が13日の演説で、ウクライナ軍が今月に入り解放した土地は8,000㎢に上ると明らかにし、約半分の地域では依然として安定化の措置が進められているという。 (2210-091417)

 9月14日 20:15

 ウクライナのゼレンスキー大統領が14日、東部ハリコフ州の要衝イジュムを訪問し戦果を誇示した。
 ロシア通信が、ロシア軍のザポロジエ州軍民行政府の幹部が14日に、ウクライナ軍が同州の前線にかつてない規模の大部隊を集結させていると述べたと報じた。
 ロシア国防省は当初、ハリコフ州からの撤退を再配置と説明したが、ロシア国内では敗退との受け止め方が広がり、TV番組などで激論も交わされている。 ウクライナの脅威が強調され、世論が動揺している。 (2210-091418)

 9月14日 21:51

 ハルキウ州の警察幹部が13日にSNSを通じ、イジューム北方のバラクレヤで露軍が地元住民を拘束し拷問したとみられる施設の存在を確認したと明らかにした。
 露軍がバラクレヤで建物の地下にウクライナ軍に協力したなどの疑いで地元住民を常時約40人拘束し、拷問を加えていたという。
 New York Times紙はウクライナがハルキウ州と南部ヘルソン州での「二正面」の領土奪還作戦を数ヵ月前から米国と協議していたと報じた。
 ウクライナ大統領府顧問は13日にCNNに対し、ウクライナ軍がドネツク州北部にある鉄道輸送の拠点リマン奪還に注力しており、進軍速度は落ちるとの見通しを示した。
 ウクライナは10月頃から路面がぬかるみ戦車の走行に適さない雨期を迎えるため、双方の攻防は天候にも左右される。 (2210-091420)

 9月15日 03:19

 ウクライナ北東部ハルキウ州からのロシア軍の突然の撤退は、ロシアの愛国的ブロガーの批判を招き、それが主流派の政治家にも広がった。
 だがロシア軍は依然としてウクライナのドンバス地方で重要拠点を確保しており、南部のヘルソン周辺地域で激しい戦いを続けている。
 ウクライナがクリミアとロシア本土を結ぶ補給路の遮断に成功した場合、クリミアを守るためロシアが軍の再配置に動く兆しも見られる。
 事情に詳しい関係者は部外秘の話だとして匿名で、ロシア大統領府内では戦況の劇的な変化に衝撃を受けて挫折感がますます支配的となり、戦闘を激化させ戦線から遠く離れたウクライナ領のインフラに対する攻撃を強めることへの決意が膨らんでいると語った。
 ロシアは公式には民間施設を目標にしていることを否定しているが、ロシアはウクライナの発電所を攻撃し、11日には広範な地域で停電を発生させた。 (2210-091502)

 9月15日 08:31

 ウクライナメディアが、ウクライナ南部ヘルソン州当局者が14日、ウクライナ軍が州都ヘルソン市から北西15kmに位置する要衝キセリョフカを露軍から奪還したと発表したと報じた。
 ISWは12日に衛星写真データに基づき、キセリョフカからは露軍部隊の大半が撤退したとしており、キセリョフカを喪失した場合、露軍はヘルソン市の防衛が困難になると分析していた。
 ウクライナ国防省情報総局は14日、露軍はヘルソン市周辺に増援部隊を派遣しようとしているものの、士気の低下や人員不足により成功していないことを明らかにした。 (2210-091505)

 9月15日 10:15

 Wagner Gp.の金融家プリゴジンは、ウクライナにおけるロシアの特殊軍事作戦の顔になりつつある。
 ロシア軍は、ウクライナ軍がインフレツ川を渡って活動するのを妨害するため、ドニプロペトロフスク州のウクライナの水力発電所を目標にして砲撃した可能性が高い。
 東ハリコフ州におけるウクライナ軍の反撃はロシア軍を弱体化させ続け、ロシアの砲兵と防空を脅かしている。
 ロシアとウクライナからの情報では、ヘルソン州北部、ヘルソン州西部、ヘルソン市の北西部でウクライナの攻撃が報告されたが、大きな進展の報告はなかった。
 ロシア軍はバフムート周辺とドネツク市の北西と南西で攻撃を続けた。 (2210-091506)

 9月15日 12:31

 ウクライナ軍が15日までに、ハルキウ州で反転攻勢を成功させて以降、同州でのロシア軍による砲撃が大きく減少していると明らかにした。
 しかし、ウクライナ軍参謀本部によれば、ドネツク州での砲撃は続いており、特にバフムートやアウディーイウカではそうだという。
 ザポリージャ州の集落に対しても砲撃が行われているという。 ウクライナ軍はミコライウやヘルソン方面へ向けて国土の奪還を目指しているが、ロシア軍の抵抗に直面している。
 参謀本部はまた、ドネツク州の複数の方面で、ロシア軍による進攻を食い止めたと述べた。
 ウクライナ軍によれば、ロシア軍はS-300を占領地の後方、さらにロシアの領土へと撤収させようとしている。
 ウクライナがHARMを獲得して以来、ロシア軍の防空システムは、より損傷を受けやすい状況となっている。 (2210-091511)

 9月15日 12:49

 ウクライナ軍南部作戦管区の報道官が会見で14日、ロシア軍がウクライナ南部の一部地域からクリミア半島に移動している兆候が見られると明らかにした。
 報道官は、「我々はロシアがクリミアに逃げて再編を図っているのを目にしており、そう理解している」と説明し、軍の装備品が集まれば大きな攻撃目標になるため、今より対応は簡単になると指摘した。
 これに先立ち、南部ザポリージャ州メリトポリのフェドロフ市長が13日、ヘルソンからクリミアに入るチョンガルの検問所ではすでに装備品の列が確認されていると述べていた。
 フェドロフ市長によると、ロシア兵は盗品をザポリージャ州からクリミアに運ぶため、車庫に侵入して民間人の車を盗んでいるという。
 CNNは市長の主張や、ロシア軍がチョンガルを通って脱出しているとの情報について独自に検証できていない。 またSNSではそうした動きを捉えた動画は公開されていない。 (2210-091512)

 9月16日 09:56

 ウクライナ軍参謀本部が15日、ロシア軍は東部ドネツク州では依然として前進を試みているものの阻止されているとの認識を示した。
 ウクライナ軍は「敵は引き続きドネツク州全域を占領することに注力していて、接触線沿いにある我々の陣地を砲撃し、別の方面では部隊の再編を試みている」と指摘した。
 CNNは参謀本部の主張について独自に検証できていない。 (2210-091607)

 9月16日 11:30
 ウクライナ軍はウクライナ東部で反撃を継続している。
 ロシアとウクライナの情報から、ウクライナの攻撃はハリコフ市の北西、インハレツ川岸のウクライナ橋頭堡付近、ヘルソンとドニエプロペトロフスクの州境の南で行われていると見られる。
 ロシア政府は、ウクライナ侵攻が始まって以来、旧ソ連諸国に駐留していたロシア軍の大部分をほぼ確実に投入しており、これらの国々におけるロシアの影響力を弱めている可能性が高い。
 ロシアの占領当局者とミルブロガーは、ウクライナ軍がクリミア半島のキンズバーン岬に上陸したとした。
 ロシアの傀儡であるドネツク人民共和国 (DNR) は、ウクライナの反撃に先立ってその行政担当者が逃げるのを止めようとしている可能性が高い。 (2210-091610)

 9月16日 23:36

 ロシアに占領されたウクライナ東部ルガンスク州で親露派ルガンスク人民共和国の報道官がTelegramに、16日に爆発があり分離派政権の検事総長と次官が死亡したと投稿した。
 また、ロシアから派遣されたザポリージャ州の親露派当局は、ここ数日、砲撃が激化していると伝えられているヘルソン市の市庁舎をウクライナ軍が砲撃し、死者1人、負傷者1人を出したと非難した。 (2210-091620)

 9月16日 10:00

 ウクライナ・レジスタンス・センターが、ロシア軍が9月17日から9月20日の間に占領地域で偽旗攻撃を行う可能性があると警告した。
 ウクライナ軍は9月16日にクピャンスク市全域を占領し、オスキル川の東で攻撃を継続している。
 ウクライナ軍がおそらくHIMARSを使用して、ヘルソンのロシア占領本部を攻撃した。 また南部反撃の準備としてヘルソン州の3地域で演習を行っている。
 9月16日のルハンスク人民共和国 (LNR) 検事総長と次官の暗殺は、ロシアからの情報が早かったことから、ウクライナのパルチザンが行ったものではないことを示唆している。 (2210-091708)

 9月18日 11:30

 ロシア軍はハリコフ州でのウクライナの反撃に対する防衛よりも、ドネツク市とバフムート周辺での無意味な攻撃を優先し続けている。
 ウクライナ軍はライマンの南西にある集落を奪還し、この地域での陣地を拡大し続けている可能性が高い。
 ロシア軍はバフムートとアヴディイフカ周辺を攻撃したが失敗した。
 ウクライナ軍はヘルソン州で阻止作戦を続けている。
 ウクライナの情報筋は、ザポリージャ州南部のロシア軍の装備と兵站に対する広範なパルチザン攻撃を報告した。 (2210-091801)

 9月18日 14:20

 ウクライナ軍が17日時点での戦況分析で、ロシア軍が南部ヘルソン州からの退路構築を準備していると報告した。
 ウクライナ軍参謀本部報道官は、ロシア軍が同州カホウカ市内を流れるドニプロ川で渡河ルートを設けるため列車車両の9両を沈めたと述べた。
 ヘルソン州の前線地帯でドニプロ川を渡河する全ての経路を封じるウクライナ軍の作戦が成功しているため、「占領者たちは退路を用意している」とSNS上で断じた。 (2210-091803)

 9月18日 15:45

 米国防総省のヒックス副長官が18日に諜報や国家安全保障に関する会合でウクライナ戦況に触れ、ロシア軍は一部の極超音速兵器をウクライナ戦争に投入したものの軍事的な効用はほぼなかったとの見方を示した。
 オースティン米国防長官は3月にCBS TVとの会見で極超音速ミサイルの威力などに触れ、「戦局を一変させるようなものとしてはみていない」とも指摘していた。
(2210-091805)

 9月19日 09:28

 ウクライナ軍が18日、東部ハリコフ州を南北に流れるオスキル川の両岸の支配をロシア軍から奪還したと発表し、川に架設した臨時の橋を戦車が渡る動画を公開した。
 ISWは、ロシア軍が同州と東部ルガンスク州に大規模な増援部隊を送れず、ウクライナ軍の反攻に対して守備が脆弱だと分析した。
 東部ドニエプロペトロフスク州のレズニチェンコ知事は、ニコポリで18日にロシア軍の激しい砲撃により住民2人が死亡、3人が負傷したと発表した。
 ニコポリはロシア軍が占拠するザポロジエ原発からドニエプル川を挟んで対岸に位置する。 (2210-091903)

 9月19日 09:29

 米統合参謀本部議長のミリー陸軍大将が18日にウクライナを支援するポーランド軍の基地を訪問し、ロシアがウクライナでの戦況の劣勢を受けてどのように反応するかは依然として不明だと述べ、米軍に警戒強化を命じた。
 基地ではロシアの攻撃に備えたPatriotなどの防空システムを視察した。
 ミリー大将は基地訪問後ワルシャワで、欧州に駐留する米軍への脅威が高まっているというわけではないとした上で、戦争では次に何が起こるか分からないものだと述べた。
 ミリー大将に同行した記者団は、基地の名称や場所を公表しないよう要請した。 (2210-091904)

 9月19日 11:35

 ウクライナ軍がハリコフ州のオスキル川東岸の橋頭堡を確保しているが、ロシアはウクライナ軍をここで阻止しようとしている。
 ロシア軍の防衛線が9月初めにハリコフで崩壊し混沌とした撤退したため、ヘルソン州西のロシア軍は統制のとれた撤退で防御が可能な位置まで後退しようとしている可能性がある。
 9月18日に発表された評価によると、複数のロシアの装甲部隊および機械化部隊が壊滅的に破壊された可能性が高い。
 特にハリコフでのウクライナ軍の反撃で、人的にも物質的にも壊滅的な損失を被った。 (2210-091905)

 9月19日 12:35

 バイデン米大統領が18日放映のCBS TVの対談で、ウクライナ侵攻で劣勢に立たされているロシアが化学兵器や戦術核兵器を使えば、米国も対応策を取り「重大な結果を招くことになる」と警告した。
 「ロシアが何をするかによって対応策を決める」と述べ、具体策は明らかにしなかった。
 バイデン大統領はロシアのプーチン大統領が化学兵器や戦術核を使用すれば「第2次大戦後なかった状況へと戦争を変質させる」と指摘し「使ってはならない」と3回繰り返した。
 使用に踏み切れば、ロシアはさらに国際社会で孤立すると牽制した。 (2210-091906)

 9月19日 16:53

 ウクライナ軍が18日、ハリコフ州を南北に流れるオスキル川の東岸に進出したと発表した。
 オスキル川はドンバス地方の親露派支配地域ルガンスクを通るドネツ川と南方で合流しており、ハリコフ州での反攻で新たな重要な戦果となる。
 ウクライナ軍はTelegrsmで、「オスキル川を渡った。 昨日から東岸を支配している」と明らかにした。
 ルガンスク州のガイダイ知事は「ルガンスク地域はすぐ隣で、占領解除はそう遠くない」とTelegrsmに投稿した。
 ロイタは戦況について独自に確認できていない。 (2210-091908)

 9月20日 02:48

 ウクライナ南部の南ウクライナ原発で19日、原子炉から300mほどの場所にロシア軍によるミサイル攻撃があったとウクライナの原子力企業Energoatom社が発表した。
 衝撃で施設内のガラス窓が100枚以上割れたほか、送電線から一時的に切り離されたという。 (2210-092001)

 9月20日 07:16

 ウクライナ東部ルハンスク州軍政トップのハイダイ氏が19日にTelegramで、同州の村ビロホリウカが完全にウクライナ側の支配下に入ったことを明らかにした。
 CNNの取材班はビロホウリカに入り、ロシアの戦車や装甲兵員輸送車が破壊されているのを目撃した。
 ウクライナ軍は作戦初期の5月にビロホリウカ付近で2つの舟橋を爆破し、ドネツ川を渡ろうとするロシア軍を食い止めたことがあった。
 7月にはウクライナ軍参謀本部が、ビロホリウカやベレストベ付近で威力偵察の試みを撃退し、ロシア軍兵士が損害を被って退却したと発表していた。 (2210-092003)

 9月20日 07:41

 在欧米空軍司令官のヘッカー大将が19日にワシントンでの会議で、ロシアによるウクライナ侵攻開始以降にウクライナの防空システムが55機のロシア軍戦闘機を撃墜したと発言した。
 ロシアがウクライナで制空権を確立できたことは一度もないとの認識も示した。
 その結果、ロシアが航空機でウクライナ領土に深く入り込むことはまれな状況となり、長距離ミサイルを撃ち込む攻撃が続いている。
 英国防省も19日、ロシア軍が侵攻開始以降に戦闘機55機を失ったと発表した。 そのうち4機は過去10日間に失われた可能性が「非常に高い」としている。
(2210-092004)

 9月20日 09:47

 ウクライナに侵略したロシアが制圧を宣言している東部ルガンスク州のガイダイ知事が19日、ウクライナ軍が同州の主要都市リシチャンスク西方10kmの集落ベロゴロフカを露軍から奪還したとSNSで発表した。
 知事は「ルガンスク州の解放はハリコフ州より困難になる」とした上で、それでもウクライナ軍がルガンスク州で本格的な反撃を近く開始するとの見通しを語った。
 ウクライナ軍の反攻に遭い、東部ハリコフ州から事実上の撤退を表明したロシアは、主目標とする東部ドンバス地域全域の制圧に注力する方針だが、ウクライナのゼレンスキー大統領はドンバスでも奪還作戦を行うとしており、今後、ドンバスを巡る戦闘の激化が予想されている。 (2210-092008)

 9月20日 11:35

 ウクライナ軍がオスキル川を渡り、ライマン~ヤンピル~ビロホリフカ線に沿って、限定的局地的な攻撃を継続している可能性が高い。
 ロシア軍はバフムートの南で攻撃を続けた。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州にあるロシア軍、輸送、兵站資産を攻撃し続けている。
 ウクライナとロシアからの情報から、9月19日に戦闘が行われている3ヵ所を、ヘルソン市の北西、インヒューレツ川岸のウクライナ軍橋頭堡近く、オルヒネ近くのヘルソン州北部と特定した。
 ロシアが新編することができる志願兵部隊の規模は縮小している可能性が高い。 (2210-092009)

 9月20日 14:51

 ウクライナ東部ドネツク市でロシアの支援を受ける市長が、19日に爆発が相次ぎ、13人が死亡し、けが人も出たことを 明らかにした。
 ドネツクは2014年からロシアの代理当局が支配し、ウクライナからの分離派が権力を握っている。 ウクライナ軍が同市を攻撃していると繰り返し非難している。
 ウクライナ当局はコメントしていない。 ウクライナ東部地域では分離派が権力を握っているため、独立した実態の検証はできない。
 東部ルハンスク州のハイダイ知事は、ウクライナ軍の戦車が浮橋を渡る映像を公開し、北東部の最前線とされるオスキル川東岸をウクライナが制圧したと説明した。 (2210-092013)

 9月20日 15:01

 英国防省が20日、ロシア黒海艦隊が、潜水艦の一部をクリミアのセバストポリ港からロシア南部クラスノダール地方のノボロシースクに移動させたことを明らかにした。
 同省のtweeterによると、配備先の変更はウクライナの長距離攻撃能力が向上し、現地の安全保障上の脅威レベルが最近になって変化したためとみられる。 (2210-092014)

 9月21日 08:12

 ウクライナ軍参謀本部が9月19日に公式twitterで、ロシアのT-90Mを東部ハルキウ州で鹵獲したことを明らかにした。
 画像は外観だけでなく車内の様子も含まれており、無傷の状態の運転席周りや液晶パネルなどを確認することができる。
 T-90Mは2021年8月よりロシア陸軍に引き渡しが始まった最新のMBTで、原型であるT-90はT-72の近代化改修型として1990年代前半に登場したが、1990年代にロシア経済は混迷の度合いを深めたことから、T-90の量産とロシア陸軍への本格配備は2000年代以降にずれ込んだ。 (2210-092104)

 9月21日 08:54

 ウクライナ東部ドネツク州の親露派「ドネツク人民共和国」の幹部は、ウクライナ軍の2個大隊がリマン市の北方から進攻しようとしたが、ドネツク人民共和国幹部によれば攻撃は撃退されウクライナ軍はかなりの損失を被ったという。
 同幹部はロシアのTVに対して、南側からのウクライナ軍による攻撃も撃退したと述べた。
 ウクライナ軍は9月に入って北東部ハルキウ州で急速に侵攻しており、リマン市はウクライナ軍に3方向から包囲されており、同市の防衛は主にドネツク人民共和国の民兵が担っている。 (2210-092105)

 9月21日 10:45

 ルハンスク州、ドネツク州、ヘルソン州、ザポリージャ州のロシアが任命した占領当局者は9月20日、ロシアへの編入に関する「国民投票」を9月23日~27日に行うと発表した。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州のドニプロ川を渡る兵站線 (GLOC) を再確立しようとするロシア軍を阻止している。
 ロシア軍は、シヴェルスキー・ドネツ川沿いのウクライナの陣地を脅かすため、ハリコフ州とルハンスク州のウクライナの水力発電所を攻撃目標にしている可能性が高い。
 ロシア軍は9月20日、ドネツク州で攻撃を行った。
 ロシア軍は9月20日、フリャイポレ西での攻撃を行わず、ザポリージャ州全域で日常的な砲撃を続けた。 (2210-092107)

 9月21日 19:47

 ショイグ露国防相がTV放映された会見で21日、2月にウクライナに侵攻して以降の死者は5,937名に上ったと発表した。
 ロシア政府が軍の犠牲者数に言及するのはまれである。 (2210-092114)

 9月22日 10:35

 ロシアとウクライナが21日、300人を対象とする捕虜交換を実施した。
 ロシアのウクライナ侵攻開始以降最大の規模で、外国人の雇い兵10人や東部マリウポリで長期にわたりロシア軍に抵抗したウクライナ部隊の指揮官らも含まれた。 (2210-092208)
 9月22日 11:30

 プーチン露大統領が発表した部分的な動員は、今後数ヵ月間の戦争の経過に実質的な影響を及ぼさないだろう。
 またロシアは、もしウクライナが反撃作戦を継続するならば核兵器を使うと明白な脅迫をしていない。
 ウクライナ軍はライマン周辺で攻撃作戦を継続した可能性が高い。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州内のロシアの兵站、部隊、輸送手段に対する阻止作戦の一環として、ヘルソン市の北と東に攻撃を行った。
 ウクライナとロシアからの情報は9月21日に戦闘地域として、ヘルソン市の北西、インハレツ川岸のウクライナ橋頭堡近く、ヘルソン州とドニエプロペトロフスク州境南のヴィソコピリヤ周辺の3ヵ所を特定した。 (2210-092209)

 9月23日 10:15

 強引な部分的な動員はほとんど利益が得られないうえ、国内の大きな反発を引き起こしている。
 ウクライナ軍はハリコフとルハンスクの州境沿いで限定反撃を継続し、9月22日にはライマンへの攻撃を継続した可能性が高い。
 ウクライナ軍当局者は、9月22日のヘルソン州での攻撃について沈黙を維持した。
 ロシア軍は9月22日、ドネツク州で限定攻撃を行った。
 ロシア軍は9月22日、フリャイポレ西部で確認された地上攻撃を行わず、ザポリージャ州西部全域で日常的な攻撃を続けた。
 ロシア占領当局者は、ロシアが占領ウクライナ領土を違法に併合した後、ウクライナ人がロシア軍に動員される可能性が高い。 (2210-092303)

 9月23日 14:58

 TASS通信が、ウクライナ東部ドンバス地方と南部ヘルソン、ザポロジエ両州のロシア支配地域で23日、ロシア編入に向けた「住民投票」が開始されたと報じた。
 現地の親露派は先進7ヵ国 (G7) など国際社会の批判を無視し、27日まで実施する。  27、28両日中に暫定結果を公表する見通しである。 (2210-092307)

 9月24日 12:00

 ロシアの部分動員令は、発令後大衆の憤りを生み出し、動員された予備軍はプーチン大統領の期待した任務を達成できないと見られる。
 抗議行動、徴兵事務所に対する攻撃や破壊行為は、部分動員令発令後の48時間以内にロシア全土で発生している。
 ウクライナ軍はライマンの北と北西に前進した。 ウクライナ軍はヘルソン州で奪還作戦を継続しているが、進展に関して沈黙を維持している。
 ロシア軍はバフムート近郊とドネツク市の北西での攻撃に失敗した。
 ウクライナ軍はイラン製のMohajer-6 UAVをオデサ近くの黒海で撃墜した模様である。 (2210-092403)

 9月24日 15:00

 ウクライナ軍参謀本部が23日、同国東部のドネツク、ルハンスク両州と北東部ハルキウ州の州境が交わる地域で攻勢を強化し続け、ドネツク州では新たな村落を奪還したとの最新の戦況を報告した。
 新たに奪回したのはヤツキウカ村でオスキル川の東岸に位置する。
 オスキル川の西岸地域はハルキウ州イジューム市を含めウクライナ軍による今月初旬の反攻の急襲作戦で取り戻していた。 (2210-092404)

 9月24日 15:45

 複数の米政府当局者が24日までに、米国が過去数ヵ月間ロシアに対し非公式の接触を通じて、ウクライナに核兵器を使った場合、相応の結果を招くと警告してきたことを明らかにした。
 この接触手段の詳細や警告した時期などは明らかにしていないが、米政府当局者は米国務省が関与していることは認めた。
 バイデン米政権は、ウクライナ侵攻に備えた兵力集積や侵攻開始の時期に情報機関を通じて機微に触れるメッセージを伝えてきてもいた。 (2210-092405)
 9月25日 11:00

 ウクライナ軍はハリコフ州とルハンスク州の州境とライマン北西に沿って前進し続けた可能性が高い。
 ウクライナ軍当局者は、ウクライナ南部で継続中のウクライナの阻止作戦が、ロシアの戦闘能力を劣化させていることを示唆した。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がヘルソン州で作戦を行った地域をヘルソン州北部、インヒューレツ川近くのヘルソン州西部、およびムィコラーイウ州とヘルソン州の州境近くのヘルソン市北西の3ヵ所と特定した。
 ロシア軍はバフムート、ドネツク市周辺、ドネツク州西部を攻撃した。 (2210-092510)

 9月25日 11:24

 ラブロフ露外相が24日、国連総会出席のため訪問中の米ニューヨークで記者会見し、ロシアが制圧するウクライナ東部や南部で親露派が強行した「住民投票」の結果ロシア編入が決まれば国家の完全な保護下に入ると表明し、核兵器使用の可能性を含む軍事ドクトリンが適用されるとの認識を示した。 (2210-092511)

 9月26日 08:00

 ロシア軍は、2021年秋にロシア戦闘軍予備役(ロシア語の頭字語はBARS)と呼ばれる計画を開始し、10万人の志願者を訓練して予備役にするとしているが、大部分が失敗し2月のロシア侵攻までに目標のほんの一部しか達成していない。
 ロシア軍は、BARSの募集と並行して正規予備軍の一部を非自発的に動員した。
 侵攻前の召集に関する詳細は乏しいが、西側当局者は、ロシア軍が侵攻する前に部隊に登録した数万人の予備役兵を招集したと報告したと見ている。
 動員の3番目は小規模で、2022年3月上旬に何千人もの予備役兵が損失補填ために召集されたという報告が浮上している。
 プーチン大統領は6月に国民を動員する第4の取り組みを開始し、7月に志願兵大隊の結成を呼びかけた。 この結果多くの志願兵大隊が編成され、その内の一部はウクライナで戦ったが貧弱ではある。 (2210-092607)

 9月26日 13:13

 ウクライナ軍が25日に声明で、ウクライナが実効支配する地域の東端に近いクラマトルスク市近郊のソレダルなどの集落がある地域でロシア軍の攻撃を撃退したと明らかにした。
 ウクライナ軍はまた、ザポリージャ州の東部で、ロシア軍の兵器などを砲撃したと発表した。
 ウクライナ軍参謀本部によれば、ザポリージャ州のロシア軍施設に攻撃を行った結果、フリアイポレの地域でロシア軍の兵器や装備品約10品目を破壊したほか、トクマク市の近郊ではS-300を破壊した。 (2210-092611)

 9月27日 13:25

 ウクライナ軍はライマンの北とオスキル川の東岸で前進した。  ウクライナ軍は、南部の反攻阻止作戦の一環として、ロシアの兵站線(GLOC)を攻撃し続けた。
 ロシア軍はバフムート周辺とドネツク市の西で攻撃作戦を続けた。
 ロシア軍は、ウクライナ軍とウクライナ南部の都市を攻撃するために、イラン製UAVを使い続けた。 (2210-092706)

 9月28日 10:30

 ロシア軍は、新たに動員した西部軍管区の部隊を、事前の訓練なしにヘルソン州とハリコフ州の前線に投入していると伝えられている。
 ウクライナ軍はオスキル川の東岸で陣地を固めており、ライマン郊外でさらなる前進を遂げている。
 ウクライナ軍は南部で、ロシア軍の補給路 (GLOC) 、特に艀の検問所を建設するロシアの動きを妨害している。
 ロシア軍はバフムート周辺とドネツク市の西で攻撃に失敗し続けた。
 ロシア軍は、ウクライナ軍のクリヴィーイ・リー飛行場に深刻な損害を与え、ウクライナ南部全域で常時空爆とミサイル攻撃を続けた。
 ロシア当局は、ロシア国境に検問所を設置し、ロシアから逃れて強制動員を避けようとしているロシア人男性を強制的に動員している。 (2210-092810)

 9月28日 10:53

 ロイタ通信によると、ロシア軍が27日にウクライナ軍に奪還された東部ハルキウ州を攻撃した。
 州都ハルキウの市長は同日にSNSで、計4回の攻撃でインフラ施設が損傷し、市内の一部で停電が起きていることを明らかにした。
 ウクライナ当局は、ウクライナ軍の反転攻勢で支配地域からの撤退を余儀なくされた露軍による報復との見方を示している。
 地元メディアによると、南部オデーサ州でも同日に露軍によるミサイル攻撃があり、ウクライナ軍が2発を迎撃した。 (2210-092811)

 9月28日 13:44

 ウクライナのゼレンスキー大統領が27日、ウクライナ軍が前進していると明らかにした。 ただし、詳細は明らかにしなかった。
 ゼレンスキー大統領は夜の会見で、前線に関して朗報があるとし、詳細は省くが、ウクライナ軍は前進しており、領土の解放を行っていると述べた。 (2210-092815)

 9月29日 09:30

 ロシアは、これまでロシアで最強戦闘部隊と考えられていた部隊を含む部隊の損耗を補填するために、動員されたものの訓練を受けていない新兵を投入している。
 ウクライナ軍は9月28日、ライマン周辺で大きな前進を続け、ゼレナ~ドリーナ~コロディアジ弧に沿ってヤンピル周辺で前進した。
 ウクライナ軍は、9月28日のヘルソン州でのウクライナの具体的な行動に関して沈黙を維持していたが、ウクライナ軍は南軸に沿って陣地を固めるために、不特定の場所で陣地戦を実施していると述べた。
 ロシア軍はドネツク州での攻撃に失敗した。
 ロシア当局は、国外に逃亡しようとする何十万人ものロシア人男性に対処するために、ロシア国境地域へのロシア市民の移動を制限し始めている。 (2210-092905)

 9月29日 09:46

 ロシアの独立系メディアMEDUZAが28日、動員回逃のためロシアを出国する人が続出する中、市民の不満拡大を懸念する当局が国境を閉鎖できずにいると報じた。
 MEDUZAによると、プーチン政権に近い情報筋は「脱出する人の多さを過小評価していたため、国境を封鎖するのは困難だ」と述べた。 国境に配置する治安部隊が不足し、暴動が起きれば抑止できないという。 (2210-092906)

 9月29日 19:30

 戦争研究所 (ISW) が28日、ウクライナ東部ドネツク州でウクライナ軍が反攻を加速し、北部リマン周辺で領土の奪還を進めつつあると指摘した。
 隣接するルガンスク州の知事はリマンでの攻防がルガンスク州での反転攻勢の鍵を握ると指摘しており、大きな戦果につながる可能性がある。 (2210-092909)

 9月30日 09:30

 ベラルーシが新たに動員されたロシア兵を収容する準備をしているかもしれないが、ロシアに代わってウクライナでの戦争に参加する可能性は低いままである。
 ウクライナ軍は、ライマンのロシア軍包囲をほぼ完了し、ドロビシェブ~ライマンのロシア軍を支援する重要な補給路 (GLOCS) を分断した可能性が高い。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州でのウクライナ軍の動きについて沈黙したが、ロシア軍がヘルソン州前線を強化するため新たに動員された部隊を展開していると述べた。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州にあるロシア軍の兵站、輸送、軍事施設を砲撃し続けている。
 ロシア軍はドネツク州で攻撃を続けている。
 ロシア軍は、ウクライナ南部でイラン製Shahed-136 UAVの使用を増やした可能性が高い。
 ロシアの独立系世論調査機関Levada Centerは、ロシア人のほぼ半数が動員を心配しているが、ロシアの軍事行動に対する支持は44%にわずかに低下しただけだという。 (2210-093006)

 9月30日 10:30

 プーチン露大統領が核兵器の使用を含むあらゆる手段でロシアの領土を防衛すると宣言したことから、世界中で核戦争への懸念が高まっているが、一部の専門家はロシアがウクライナ軍に対して、あるいは軍の拠点を破壊するために、短距離型の戦術核兵器を投入する可能性が最も高いと語っている。
 戦術核兵器についてKings College Londonの専門家ソーントン博士は、プーチンが最初の攻撃でウクライナの都市を標的にする可能性は極めて低く、犠牲者を出すことを避けるだろうと述べている。
 その攻撃目標がどこになるかを予測するのは難しいが、プーチンは戦争の初期にロシアが占領し、その後奪還されてウクライナの抵抗の象徴となった黒海に浮かぶスネーク島を念頭に置いている可能性があると指摘した。 (2210-093007)

 9月30日 17:03

 ウクライナ南部ザポリージャ州の知事が30日、人道支援に向かっていた民間人の車列がロシア軍の砲撃を受け、少なくとも23人が死亡、28人が負傷したと発表した。
 全員が地元の民間人だという。
 一方、同州の親露派当局は、攻撃はウクライナ軍によるものだとし、ロシア軍の関与を否定した。
 親露派はTelegramに「ウクライナ兵がまたテロ行為をした」と投稿し、ウクライナ側によるものだと主張した。 (2210-093009)

2・1・6 ロシアのウクライナ領編入

 9月30日 22:48

 プーチン露大統領が30日、先の「住民投票」でロシアへの編入を圧倒的多数で支持したウクライナ東部と南部のルガンスク、ドネツク、へルソン、ザポロジエ4州の親露派代表と併合条約に署名し併合を宣言した。
 署名された併合条約に基づくと、ロシアがまだ制圧していない地域も含め、ウクライナ領の22%がロシアに併合されることになる。
 ウクライナと西側諸国は併合には正当性がなく、承認しないとしており、開始から7ヵ月が経過したロシアによるウクライナ侵攻は予測不可能な新局面に入った。 (2210-093012)

 10月01日 01:47

 英国防参謀総長のラダキン海軍大将が30日にワシントンで記者団に対し、ウクライナに侵攻しているロシア軍に脆弱性が増大している兆候が出ているとの見方を示した。
 一方で、戦闘の推移は緩慢なためロシア軍が突然崩壊することはないとし、ウクライナ軍とロシア軍のバランスが大きく変化することはない」との見方も示した。
(2211-100101)

 10月01日 10:30
 ウクライナ軍は今後72時間以内にライマンを確保するか包囲する可能性が高い。
 ウクライナ軍はヘルソン州での戦況に関して沈黙しているが、ウクライナ軍はロシア軍を陣地貼り付けさせていると述べた。
 ロシア軍はドネツク州で攻撃を継続している。 (2211-100105)

 10月01日 22:29

 ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事が1日、ウクライナ軍が東部ドネツク州リマンに陣取るロシア軍5,000人以上を包囲し退却路をほぼ遮断したと表明した。
 ロイタ通信によると、ウクライナ軍は1日にリマン市内で戦闘が開始されたと説明した。
 ウクライナ軍にとって大きな戦果で、ルガンスク州西部の人口約9万人のリシチャンスクを奪還できる可能性が高まった。
 ロシア国防省は1日、包囲されるのを避けるため部隊がリマンから撤退したと発表した。 (2211-100107)

 10月02日 08:50

 ロシアのプーチン政権に近い露南部チェチェン共和国のカディロフ首長が1日にTelegramへの投稿で、露軍に小型核を使用し戦況を改善するように求めた。
 カディロフ首長は「個人的な意見」と前置きした上で、ロシアはより思い切った作戦を取る必要があるとしたうえで、ロシアとウクライナ国境付近に戒厳令を敷き、小型核を使用すべきだと主張した。 (2211-100202)

 10月02日 09:00

 ウクライナ軍はライマンを解放し、10月1日現在には周辺集落を掃討している可能性が高い。
 ロシアは、ザポリージャ原発 (ZNPP) の法的責任を継承しようとしている可能性が高い。
 ウクライナ軍はヘルソン州で反撃作戦を継続し、今後の前進のための準備をしている。
 ロシア軍はドネツク州のバフムートとアヴディイフカ地域で攻撃を行った。
 ロシア軍は、南部のウクライナ軍の後方地域を継続して砲撃している。 (2211-100203)

 10月02日 11:44

 ウクライナ国営の原子力企業Energoatom社が1日、ザポリッジャ原発のムラショフ所長が9月30日午後4時ごろ、同原発から近隣の町エネルホダルに車で向かっていたところをロシア軍に拘束されたと発表した。 (2211-100204)

 10月02日 20:30

 ウクライナのゼレンスキー大統領が2日にTelegramで、東部ドネツク州の要衝リマンからロシア軍を完全に排除したと宣言した。
 ソーシャルメディアには、リマン中心部にある自治体庁舎とされる建物にウクライナ国旗を掲げる兵士らの動画が投稿された。 (2211-100206)

 10月03日 07:18

 ウクライナのゼレンスキー大統領が2日に毎晩恒例の演説で前線での成果について、ヘルソン州の小集落、アルハンヘルスケとミロリュビフカを奪還したと表明した。
 ウクライナ軍はライマンを奪還し、10月1日現在には周辺集落を掃討している可能性が高い。
 ロイタは、ゼレンスキー大統領発言の真偽を現時点では確認できていない。 (2211-100302)

 10月03日 12:15

 ウクライナ軍はライマンの東と北東の集落を奪還し続け、ドネツク州のトルスケを奪還した。
 ロシア筋は、ロシア軍はライマンの北東の陣地から撤退し、クレミンナ周辺とR66スヴァトーヴェ~クレミンナ高速道路沿いを陣地にする可能性が高いとしている。
 ウクライナ軍はクピャンスクの東の集落に前進し続け、ハリコフ州のキシャリフカを奪還した。
 ロシア軍はバフムート、ヴィイムカ、アヴディイフカ周辺での攻撃に失敗した。
 ウクライナ軍はヘルソン州北部で反撃を再開し、ゾロタ・バルカとクレシチェニフカに陣地を確保した。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍もシェフチェキフカとリュビミフカを奪還し、ロシア軍をミカイリフカ周辺の新しい防御陣地に押しやったと主張した。
 ロシア軍は、イラン製Shahed-136 UAVでクリヴィーイ・リーとムィコラーイウ州を砲撃し続けた。 (2211-100306)

 10月03日 14:00

 オースティン米国防長官が2日に放送されたCNNとの単独インタビューで、ウクライナ軍が南部ヘルソン州で前進しており、ロシア軍の侵攻に対して反攻を続けていると語った。
 オースティン長官は、戦場での力学に変化が生じているのを目の当たりにしていると指摘し、ウクライナ軍は東部ハルキウ州で非常にうまくやっているとしたほか、ヘルソン州でも速度は少し遅いものの前進を続けていると述べた。 (2211-100309)

 10月03日 06:34

 米軍の高官の1人が、ウクライナのリマンから撤退したロシア軍は、東に位置する町クレミンナに向けて後退したとみられることを明らかにした。
 同高官は、ロシア軍が兵站拠点として使用していたリマンの奪還は作戦上相当な成果と評価し、現状は前線に展開するロシア軍部隊の補給能力に影響を及ぼし、その範囲はハルキウ州からドネツク州バフムートへと下り、南部ヘルソンにまで至るとしている。 (2211-100403)

 10月04日 10:41

 ロシア軍と親露当局が3日、ウクライナ軍が南部ヘルソンでドニプロ川岸のロシア軍防御線を突破したことを明らかにした。
 ロシアが任命したヘルソン当局トップのサルド氏によると、ウクライナ軍は前線だった地点の南30kmにあるドニプロ川沿いの町ドゥドチャニ付近で突破したという。
 ロシアの一部報道も、ウクライナ軍がドゥドチャニを制圧したとしている。
 サルド氏によると、ウクライナ軍の2個大隊がヘルソンの東70kmにある港湾都市ノヴァ・カホフカのカホフカ水力発電所を目指したという。
 ロシア国防省報道官は、数の上で優勢なウクライナ戦車部隊がドニプロ川沿いの前線となっていたゾロタヤ バルカ村の南に深いくさびを打ち込んだとしたうえで、この時の戦闘で、ロシア軍はウクライナ兵約130人を殺したと主張した。
ロイタ通信によると、ウクライナは、ドニプロ川西岸にいる約25,000人のロシア軍の補給路を断とうとしているという。 (2211-100408)

 10月04日 11:00

 ウクライナ軍は、過去24時間でライマン周辺とヘルソン州北部で前進した。 敗退したロシア軍はかつてロシア有数の精鋭部隊の見られていた。
 プーチン大統領は、ベルドニコフ中将を西部軍管区司令官に任命した。
 ロシアは拘束していたザポリージャ原子力発電所の所長を解放した。
 ウクライナ軍はオスキル川~クレミンナの線をルハンスク州州境に向けて前進した。 ヘルソン州北部でも前進した。 (2211-100409)

 10月04日 12:18

 ウクライナのゼレンスキー大統領が3日、反転攻勢を強める北東部ハルキウ州で「9月に開始された防衛作戦で奪還した集落はハルキウ州だけで450以上だ」と述べた。
 米国防総省高官は3日、ロシア軍の追加動員についてウクライナでの戦闘に投入された兵士は、現段階ではまだ少数にとどまっているとの分析を明らかにしている。
 こうした中、ロシア軍との捕虜交換で解放されたアゾフ連隊の司令官らがトルコで家族と再会した。 (2211-100412)

 10月04日 21:33

 親露派が自称する「ルガンスク人民共和 (LPR)」の軍事指導者マロチコ氏が3日にTelegramで、ウクライナ軍がLPRとの行政上の境界を越え、リシチャンスク方面に足場を築いたと述べた。 ウクライナ軍は9月末に同州のビロホリウカ村を奪還している。
 親露派のジャーナリストによると、ウクライナ軍は同州のスバトベやクレミンナに向けて攻勢を続けており、「ボロバ地域の我々の勢力に脅威が迫ったことを受け、ゼレベツ川の戦線まで今夜退却することが決まった。」と述べた。 (2211-100419)

 10月05日 04:17

 国際原子力機関 (IAEA) が4日、ロシアが占拠するウクライナ南部ザポロジエ原子力発電所のムラショフ所長が、拘束から解放された後も復職しないことを明らかにした。
 IAEAは声明で「ムラショフ氏は現在ウクライナの支配地域に家族とともにおり、同原発での職務を継続することはないと理解している。 後任はまだ決まっていない」とした。 (2211-100501)

 10月05日 05:38

 ロシア国防省が4日に発表したウクライナの戦況地図から、ウクライナが反撃を強める東部南部地域からロシア軍が急速に撤退している様子が示された。
 国防省は定例会見で撤退については言及しなかったものの、ロシア軍の動きを示す地図は、ロシア軍が支配地域が前日から大幅に縮小した。
 東部ではロシア軍の防衛線がルガンスク州境まで撤退したもようで、ハリコフ州ではロシア国境近辺の一部の小地域を除き、ロシア軍が撤退したことを示している。
 南部のヘルソン州でもロシア軍の防衛線が後退した。 (2211-100502)

 10月05日 05:51

 ロシア国防省は4日、ウクライナ南部ヘルソン州を占領する部隊がここ数日で重要地域からの撤退を強いられたことを示す地図を公表した。
 同省の定例報告に含まれた地図では、ドニエプル川西岸のドゥドチャヌイ村がもはやロシア軍の支配下にはないことが示されている。
 同地域では、ロシア軍がウクライナ侵攻初期に掌握した領土の奪還に向け、ウクライナ軍が攻勢を強めている。
 さらに東部ハルキウ州では、10月に入ってからのウクライナ軍の反攻により、ロシア軍がオスキル川西岸から撤退したことも判明した。
 ウクライナ軍は4日、ヘルソン州のロシア軍は士気を失っており、弾薬庫や橋を破壊しながら後退していると発表した。
 ゼレンスキー大統領も、自国軍が南部で急速かつ強力に進撃しており、ヘルソン州を含む南部や東部で今週、数十の集落を奪還したと述べた。
 ウクライナ軍は、数週間前からヘルソン州で徐々に領土を奪還していたが、進撃のペースはここ数日間で加速している。 (2211-100505)

 10月05日 09:35

 ウクライナのゼレンスキー大統領が4日のビデオ声明で、ロシアが併合を宣言した南部ヘルソン州で8つの集落を奪還したと発表した。
 ウクライナ軍の発表を加えると、4日に同州で奪還が公表されたのは10集落に上る。
 大統領や軍が同州での奪還を発表したのは、リュビモフカ、クレシチェノフカ、ゾロタヤ・バルカ、ベリャエフカ、ウクラインカ、ベリカヤ・アレクサンドロフカ、マラヤ・アレクサンドロフカ、ダブイドフ・ブロド、アルハンゲリスコエ、スタロセリエ-の10集落である。 (2211-100510)

 10月05日 12:00

 ウクライナ軍はヘルソン州で大きく前進し続け、ハリコフとルハンスク州でも前進を続けた。
 ウクライナ軍は10月4日、ヘルソン州北部で大きく前進し、その地域でまばらに配置されたロシア戦線を崩壊させ始めた。
 ウクライナ軍は10月4日、スヴァトーヴェの西にあるハリコフ州東部で前進を続け、オスキル川を越えたルハンスク州におけるロシア陣地を圧迫している。
 ロシア軍は10月4日、フリャポレの西、ドニエプロペトロフスク州とムィコラーイウ州で砲撃、空爆、ミサイル攻撃を続けた。 またドネツク州で攻撃を続けた。
 ロシア連邦政府は、動員経費のかなりの部分を地方予算から賄うよう命じた。
 プーチン大統領の部分的な動員が、追加部隊を生み出すためにロシアの治安部門を疲弊させている。 (2211-100511)

 10月05日 16:53

 英国防省が5日、ウクライナ軍が北東部ハリコフ州を流れるオスキル川を越えてロシア側の防衛地帯に最大20km進攻し、ルガンスク州スバトボに向かっていると見られることを明らかにした。
 ウクライナ軍は今後、ルガンスク州のスバトボとクレミンナを結ぶ道路を攻撃できる可能性が非常に高いという。 (2211-100514)

 10月05日 21:00

 ロシアで著名な戦争特派員のスラドコフ氏が4日に国営TVを通し、ウクライナ南部ヘルソン州でロシア軍が大きく後退していることを認めた。
 同氏はロシア軍がヘルソン州で17ヵ所の集落を失ったと報告し、米国からたっぷりと提供される兵器や、人工衛星で収集された情報のせいだと語った。
 スラドコフ氏は一方で、「われわれがもろくも崩れ落ちたというわけではなく、戦略上の大失敗というほどのミスではない。 われわれは今も学びの途上にある」と強調し、プーチン大統領が先月出した動員令による増派を待っていると述べた。
 ロシア側では同氏のほか、複数のジャーナリストが最近、ウクライナでの損失を報じており、戦争特派員のコッツ氏も4日にTelegramへの投稿で、ロシア軍が作戦上の危機に陥っているとの見方を示し、国営メディアの記者ポドゥブニー氏は「当面はさらに厳しさが増すだろう」と伝えている。 (2211-100519)

 10月06日 04:57

 ウクライナ軍が5日、東部ルガンスク州の一部を奪還したと発表した。
 ウクライナ軍は最近、隣接するドネツク州や南部戦線で前進を続けている。
 ルガンスク州のハイダイ知事はTelegramに、ルガンスク州の奪還が本格的に開始され、いくつかの集落はすでにロシア軍から奪還されてウクライナ国旗が掲揚されていると投稿した。
 ウクライナは、東部ハルキウ州のほぼ全域を支配下に置いたことにより、親露派武装勢力の拠点であるルガンスク州への進軍が可能となっていた。 (2211-100604)

 10月07日 08:15

 ウクライナ軍はクピャンスク近郊のハリコフ州北東部で反撃し、10月6日にルハンスク州西部のクレミンナ~スヴァトーヴェ道路沿いのロシア軍を圧迫している可能性が高い。
 ロシア軍はヘルソン北東部で戦線が崩壊しためヘルソン州北部に防衛陣地を構築している可能性が高い。
 ロシア軍は10月6日にドネツク州で攻撃を続け、バフムート周辺で徐々に前進した可能性が高い。
 ロシア軍は10月6日、フリャイポレの西、ドニエプロペトロフスク州とムィコラーイウ州で、砲撃、空爆、ミサイル攻撃を継続した。
 ウクライナの抵抗活動本部が10月6日、ロシア軍がロシア占領下のクレミナとルハンスク州スタロビルスクでウクライナ国民の強制動員を開始したと報告した。 (2211-100704)

 10月07日 16:29

 ウクライナ軍参謀本部が6日の戦況報告に、東部ドネツク州の都市ライホロドクの周囲が洪水に見舞われていると記した。
 ロシア軍が撤退の際にダムを破壊したためとしており、ウクライナ軍による奪還が進む地域では、ロシア軍がインフラなどを破壊する焦土作戦に出ていると指摘している。
 参謀本部はまた、ロシア軍が撤退時に大量の行政文書などを破壊しているとも報告した。
 ルハンスク州の都市では行政の歴史文書が特に狙われたという。 (2211-100708)

 10月07日 21:20

 英国防省が7日、侵攻が始まって以来、ウクライナ軍がロシア軍から鹵獲した戦車が少なくとも440両に上るとの見方を公表した。 このほか650両の装甲車も鹵獲したとみられるという。
 同省によると、ロシア軍からの鹵獲品がウクライナ軍の装備のなかで大きな割合を占めていて、現在装備している戦車の半数以上が鹵獲したものの可能性があるという。
 同省は、ロシア軍の練度の低さを指摘、今後も重火器を失い続ける可能性が高いとした。 (2211-100712)

 10月08日 01:22

 ウクライナ東部ドネツク州の親露派武装勢力が7日、ロシア軍の火力支援を受けて同州バフムート周辺の村々を掌握したと発表した。
 ウクライナ軍が反攻に成功し始めて以降、ロシア側が占領地を拡大したと主張したのは初めてである。
 バフムート市はウクライナ支配下にある工業都市で、ここ数週間にわたりロシア軍の砲撃を受けていた。 (2211-100802)

 10月08日 11:15

 ウクライナ軍は、ルハンスク州西部のクレミンナ~スヴァトーヴェ道路沿いで反撃を継続した可能性が高い。
 ロシア軍はヘルソン州北部に防御陣地を構築し、ウクライナとロシアからの情報源ではヘルソン市の北と北西で戦闘が進行中という。
 ロシア軍はドネツク州で攻撃を続けている。 (2211-100807)

 10月08日 15:43

 TASS通信などによると、ロシアの国家テロ対策委員会などは、ロシア本土とクリミア半島を結ぶ自動車鉄道橋のクリミア橋で8日早朝に本土側からのトラックが爆発したのが原因で火災が発生し、3人が死亡したと発表した。
 現地から伝えられた映像では、燃料輸送列車の一部が火災を起こし、自動車橋が崩落した様子がうかがえる。
 クリミア橋は、ロシアが先に併合した南部ヘルソン州に至る補給ルートで、ロシア軍が苦戦する戦況にも影響を与えそうである。
 一方、ウクライナのメディアは関係筋の話として、爆発に情報機関のウクライナ保安局(SBU)が関与したと報じた。 (2211-100808)

 10月08日 16:06

 ロシア当局によると、クリミア半島ロシア間のケルチ海峡にかかる橋梁で8日朝に橋の道路部分でトラックが爆発し、並行する鉄道橋で列車の燃料輸送車両に火が燃え移った。
 トラックの爆発で道路の一部が崩落し、近くの車両にいた3人が死亡したという。
 ロシアは、鉄道橋の部分は8日夜には通行が再開するとしている。
 ロシアはこれまで、装備品などをウクライナへ運び込むためにこの橋を使ってきており、ロシア軍の補給拠点を集中的に攻撃してきたウクライナ軍にとって、この橋は重要な攻撃目標だったとされている。
 ウクライナの大統領顧問ポドリヤク氏はTwetterに橋の道路部分が崩落した写真を投稿し、トラック爆破がウクライナによるものとは直接は認めなかったものの、違法なものはすべて破壊されなくてはならず、盗まれたものはすべてウクライナに返還されなくてはならないと書いた。 (2211-100809)

 10月08日 22:21

 ロシアメディアが伝えた交流サイトに投稿された映像では、クリミア橋道路橋の橋桁は爆発による火災で一部が崩落しており、並行する鉄道橋に止まった貨物列車が激しく炎を上げ続けていた。
ロシアの政府系TVによると、クリミア半島と対岸のロシア本土をつなぐフェリーが代替の移動手段として運航を開始した。
 爆発物の専門家は英BBC放送に、橋はウクライナ側が確保している地域から160km以上離れており、橋の破損の状況から火災はミサイルなど空からの攻撃によるものではなく、無線を使い爆破した可能性があるとも指摘した。 (2211-100812)

 10月09日 12:30

 ケルチ海峡橋で起きた大規模な爆発は橋に深刻な損害を与えた。
 クレムリンは、ロシア航空宇宙軍司令官スロヴィキン陸軍大将を、ロシアのウクライナ作戦司令官に任命した。
 ロシアの情報筋によると、ウクライナ軍がハリコフ州とルハンスク州で反撃している。
 ロシア軍はヘルソン州北部で防御陣地を強化している。 ロシア軍はバフムート、アヴディイフカ、ドネツク市西の集落を攻撃している。
 伝えられるところによれば、ウクライナ軍はイラン製Shahed-136 UAVの撃墜を続けている。
 ロシアと占領下の当局者は、ロシア占領地の民家からウクライナの子供達を拉致し続けている。 (2211-100903)

 10月09日 14:15

 ウクライナのゼレンスキー大統領が8日、ロシアが制圧を目指しているウクライナ東部の戦略的要衝バフムト付近で、非常に激しい戦闘が行われていると述べた。
 ゼレンスキー大統領はビデオ演説で、「特にバフムト方面のドンバスで陣地を維持しているが、極めて困難で厳しい戦闘となっていると述べた。
 ロシア軍は、スラビャンスクとクラマトルスクに通じる主要道路にあるバフムトの制圧を何度も試みている。
 スラビャンスクとクラマトルスクは、ロシア側がまだ完全に占領できていないドンバス地方に位置する。 (2211-100904)

 10月09日 15:03

 Maxar社が8日、クリミア半島とロシアを結ぶクリミア橋で8日早朝に起きた爆発後の橋を撮影した衛星写真を公開した。
 公開された衛星写真から、クリミア橋の一部が崩落している様子がはっきりと確認できる。
 また、併設された鉄道でも火災が発生し、黒煙が上がっている。 (2211-100905)

 10月09日 16:45

 ロシア国防省が8日、クリミア半島への橋で起きた爆発を受け、ウクライナ南部ヘルソン州や中南部ザポリージャ州に展開するロシア軍部隊への補給は海路や陸路を通じて行う方針を示した。
 ロシア軍は両州の部隊への補給路としてこの橋に大きく依存してきたが、ケルチ海峡に架かる橋の道路と鉄路の使用不能の期間がどれほど長くなるのかは不明となっている。 (2211-100906)

 10月10日 11:35

 ウクライナ軍はオスキル ルヴェルの東、ルハンスク州方面へ前進を続け、ステルマキフカ(スヴァトヴェの西18km)に進んだ。
 ロシア軍はハリコフ州とロシア国境のブルダカとライマンの北東にあるテルニーへの攻撃に失敗した。
 ロシア筋は、ロシア軍がテルノヴィ ポディ(ヘルソン市の北西30km)の方向に攻撃しようとしたと報告し、ウクライナの情報源は、ロシア軍がヘルソン州北部で新しく占領した集落を、ウクライナ軍が砲兵、MLRS、空爆で攻撃し続けていると報告した。
 ウクライナの情報筋は、ウクライナ軍がバフムートとアヴディイフカ地域で30回以上の攻撃を撃退したと報告した。
 ロシア軍はドネツク市の南西を攻撃をしたが失敗した。
 ロシア軍はCMでザポリージャ市の住宅地を攻撃した。 (2211-101002)

 10月10日 14:59

 クリミア半島とロシアを結ぶ橋で爆発が起きたウクライナの首都キーウで、10日08:15頃に大きな爆発音が3回発生したとAFP記者が伝えた。
 爆発の1時間以上前には空襲警報が鳴り響いた。 (2211-101004)

 10月10日 18:28

 ベラルーシ国営ベルタ通信が、ルカシェンコ大統領が10日の軍治安機関との会合での発言として、、ロシアのウクライナ侵攻を背景としたNATOとの緊張に鑑み、ロシアと合同の地域部隊を展開することで合意したと明らかにしたと報じた。
 ルカシェンコ大統領はこの中で、非公式チャンネルで、ウクライナ領からベラルーシに攻撃があるという警告を受けたと主張して、対応の必要性を訴えた。 (2211-101006)

 10月10日 18:38

 ウクライナのゼレンスキー大統領が、10日朝に国内の複数の都市で相次いだロシアによるミサイル攻撃について、エネルギーインフラ設備を攻撃目標としたものだったとの見方を示した。
 ゼレンスキー大統領によると、中部ドニプロ、ビンニツァ、西部イバノフランコフスク、南部ザポリージャ、東部ハルキウ州やスムイ州も攻撃を受け、西部リビウでも報告されている。 イラン製Shahed UAVを用いた攻撃もあったとしている。
 今回の一連の空爆について、ウクライナ軍のザルジニー総司令官は、少なくとも75発のミサイルをキーウと南部および西部の複数の都市に向けて発射したと発表し、このうち41発は防空部隊が撃墜したことを明らかにした。 (2211-101007)

 10月10日 20:56

 ウクライナ軍が10日、ロシア軍が同日ウクライナ各地で実施した攻撃について、その一部はベラルーシから送られたイラン製UAVによるものだったと発表した。
 ウクライナ軍はFacebookに、ロシア軍がベラルーシ領内とクリミア半島からの攻撃でイラン製Shahed 136を使用し、UAV 9機を破壊したと主張した。 (2211-101008)

 10月11日 00:11

 ウクライナ国営通信などによると、キーウで10日朝に同市内の4地区に露軍のミサイルが着弾し、少なくとも5人が死亡、50人が負傷した。
 露軍による首都へのミサイル攻撃は今年6月下旬以来とみられ、ウクライナ当局は、博物館や子供の遊び場などが攻撃を受けたと説明した。
 同国の国防次官は、露軍は10日に全土で80発以上のミサイルを発射し、このうち約半数を迎撃したと述べた。
 10日には、キーウ以外でも東部や西部の主要都市などで露軍の攻撃が相次ぎ、ウクライナの首相は10日に11州でエネルギー関連施設が被害を受けたと明らかにした。 (2211-101101)

 10月11日 00:57

 モルドバが10日、ウクライナを攻撃目標としたロシアのCMが領空を通過したことを受け、説明を要求するためにロシア大使を召喚したと発表した。
 ポペスク外務・欧州統合相はTwitterへの投稿で、今朝黒海のロシア艦からウクライナに向けた発射されたCM 3発がモルドバの領空を通過したことから、ロシア大使を呼び出し説明を求めるよう指示したと述べた。
 ロシアがウクライナ各地の都市で民間施設を攻撃したことに愕然としているとし、ロシアは殺戮を止めなければいけないと訴えた。 (2211-101102)

 10月11日 07:04

 ウクライナ当局が、10日に84発のCMが同国に向けて発射され、攻撃用UAVによる被害も発生したことを明らかにした。
 これらの兵器のうちCM 43発とUAV 13機が破壊されたと付け加えた。
 ウクライナ軍参謀本部は同日14:00の時点で、ロシア側が84発のCMと24機のUAVを使用したと発表した。 UAVのうち13機はイラン製のShahed 136だとしている。 (2211-101106)

 10月11日 07:22

 ミシェルEU首脳会議常任議長(大統領)がロシア軍がキーウ市街地などウクライナ全域にミサイル攻撃をしたことについて10日に声明を発表し、「民間人を無差別に標的にすることは戦争犯罪だ」とし、最も強い言葉で非難すると述べ、ロシアがこうした攻撃に出ることは「自暴自棄になりつつあることを示している」と指摘した。 (2211-101108)

 10月11日 10:03

 マクロン仏大統領が訪問先のマイエンヌ市で記者団に対し、ロシア軍が10日にウクライナ全土でミサイル攻撃を行ったことに対し、ロシア軍による民間人への意図的な攻撃を非難した。
 マクロン大統領は、「これは、この戦争の本質を根底から変えるものだ」と述べた。 (2211-101113)

 10月11日 10:07

 ウクライナの緊急対応当局が、10日にロシアが行った首都キーウなどに対する攻撃によって、少なくとも14人が死亡し、97人が負傷したと明らかにした。
 ウクライナ軍によれば、約20ヵ所の集落が攻撃を受けた。
 ウクライナ軍参謀本部によれば、ロシア軍は84回を超えるミサイル攻撃や空爆による攻撃を行った。 ウクライナ側は、ミサイルやUAVを56回迎撃したと主張している。 (2211-101114)

 10月11日 11:30
 ロシア軍は、ウクライナの20以上の都市対し大規模なミサイル攻撃を行った。 プーチン大統領は、協調ミサイル攻撃はケルチ海峡橋での爆発に対する報復だと主張した。
 ロシアとベラルーシの地上軍がベラルーシからウクライナを攻撃する可能性は低いままである。
 ウクライナ軍は10月10日現在、ルハンスク州西部の200㎢以上を奪還した可能性が高い。
 ロシア軍がヘルソン州北西部で最近失った占領地を奪還しようとしたが失敗し、急遽動員された部隊で近くの陣地を強化した。
 ロシア軍はドネツク州で攻撃を続けた。
 ロシアと占領政府当局者は、最大4万人の住民をヘルソン州からロシア占領下のクリミアとロシア連邦に移動させる準備をしている。 (2211-101116)

 10月11日 14:48

 ウクライナのエネルギー省が10日に声明で、国内のエネルギーインフラが本日、火力発電所と変電所がロシアのミサイル攻撃を受けたとして、EUへの電力輸出を停止すると発表した。
 ウクライナは6月、最大のエネルギー輸出先となっているEUに年内に€1.5B ($1.45B) の電力を輸出する意向を示していた。 (2211-101118)

 10月11日 20:21

 ウクライナ西部リビウで11日に前日に続き重要インフラを狙ったロシアのミサイル攻撃があり、被害を受け一部で停電が発生している。
 リビウ市長はSNSへの投稿で「ミサイル攻撃のため市内の30%が一時的に停電している」と述べた。
 ロイタ記者によると現地時間正午過ぎに市内で3回の爆発があった。 (2211-101125)

 10月12日 05:24

 ウクライナのゼレンスキー大統領が11日夜のビデオ演説で、11日朝にかけてロシア軍が28発のミサイルを発射し、ウクライナ軍がうち20発を迎撃したと明らかにした。
 大統領は10日に84発が発射され、43発を迎撃したと説明していたことから、2日間で100発超がウクライナに発射された可能性がある。 (2211-101205)

 10月12日 05:45

 通信傍受や暗号解読などを担う英情報機関の政府通信本部 (GCHQ) のフレミング長官が11日にロンドンでの講演で、ウクライナに侵攻するロシア軍が甚大な人的物的損害を被り、消耗しているとの見方を示した。
 また、攻撃に使える武器も枯渇しつつあるとし、プーチン大統領の戦略決定には欠陥があると断定した。 (2211-101206)

 10月12日 04:15

 西側の軍事専門家が、ロシアによるウクライナへの大規模なミサイル攻撃は、市街地におけるウクライナのミサイル防衛能力がいかに脆弱かを露呈させたと指摘している。
 ウクライナの弱みはこうした大規模なミサイル攻撃を受けた場合にどの国も直面するであろう技術的な課題に起因すると言えそうだが、ウクライナにとっては西側からの先端防空システムの提供が遅れていることも要因の一つとなっている。
 米国防総省はこれまで、2ヵ月以内にNASAMS 2個FUをウクライナに供与すると明らかにし、さらに6個FUを振り向ける計画だが、国防総省、業界幹部のいずれも、実際に到着するまでには少なくとも1年半かかる可能性があるとの考えを示している。 (2211-101211)

 10月12日 07:17

 ウクライナ軍参謀本部が11日、ロシア軍が同日ウクライナ全土に対して行った攻撃がCM 30発とMLRによる攻撃25回などにのぼったと発表した。
 ウクライナ軍はこのうち、ミサイル21発を撃墜し、UAV 11機を破壊したという。 (2211-101212)

 10月12日 10:15

 ロシア軍が2日連続でウクライナ全土で大規模なミサイル攻撃を行った。
 ロシアはベラルーシの貯蔵基地から弾薬やその他の物資を搬出している可能性が高いが、これはロシア軍がベラルーシから地上攻撃しようとするものではない。
 ロシア筋は、ウクライナ軍がオスキル川の東、クレミンナ~スヴァトヴェの方向に反撃を続けていたとした。
 ロシア筋は、ウクライナ軍がヘルソン州北部と西部で攻撃を続けているとした。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州内のロシア軍と兵站施設と集中地域を攻撃目標に阻止作戦を継続している。
 ロシア軍はドネツク州で攻撃を続けた。
 クリミアのジャンコイでの爆発に関するロシアの報告は、ケルチ海峡橋の爆発に続いてクリミアでさらなる兵站能力を失ったことに対するパニックを示した。 (2211-101214)

 10月12日 15:12

 ウクライナのエネルギー相が11日にCNNの対談で、エネルギーインフラの30%が10日と11日のロシアのミサイル攻撃を受けたと述べた。
 連日の攻撃で一部で停電が発生し、ウクライナ政府は市民に節電を呼びかけている。 (2211-101218)

 10月12日 23:50

 NATO高官が12日、ロシアがウクライナ侵攻で使用している精密誘導弾薬のかなりの量を使い果たしているとの見方を明らかにした。
 さらに、西側諸国の制裁によってロシア軍需産業はあらゆる種類の弾薬や兵器システムを生産できない状況に追い込まれているという。 (2211-101222)

 10月13日 06:00

 ウクライナメディアなどが12日、ウクライナ軍が南部ヘルソン州で5つの集落を奪還したと報じた。 (2211-101307)

 10月13日 08:19

 ウクライナ侵攻で苦戦するロシア軍の人的損害について、ロシアの独立系メディア「バージニエ・イストーリー」が12日、ロシア連邦保安局 (FSB) など情報機関の現役将校とOBの話として戦死傷者と行方不明者で計9万人以上に上っているとみられると報じた。
 欧米当局は概ね同等の推計を示していたが、ロシアの内部情報が明るみに出るのは極めて異例である。 (2211-101309)

 10月13日 09:45

 ロシア軍がShahed-136 UAVの操法訓練のため、イランイスラム革命防衛軍 (IRGC) 隊員をロシア軍占領地域に投入した可能性がある。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がスヴァトーヴェとクレミンナに対する反撃を続けており、ロシア軍はこの地域で防御しているとしている。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がヘルソン州の北西と西部で攻撃を行っているとしている。
 ロシア軍はバフムートとアヴディイフカ周辺で攻撃を行った。
 ロシア軍はザポリージャ州西部の前線を強化している可能性が高い。 (2211-101312)

 10月13日 09:46

 ロイタは衛星写真から、ウクライナ兵がロシア軍から奪還した村で国旗を掲げるているのは南部ヘルソン州のアルハンヘルスケと確認した。
 兵士は戦略上重要なインフレツィ川沿いにあるこの町を奪還したと述べたが、ロイタは撮影時期の確認できなかった。
 ゼレンスキー大統領は10月5日にヘルソン州でアルハンヘルスケなど3集落を奪還したと発表していた。 (2211-101313)

 10月13日 15:10

 ウクライナ軍南部作戦管区司令部が10月12日、ヘルソン州で新たに5つの集落を奪還したと発表した。
 ウクライナ軍によって突破されたばかりのロシア軍陣地には、兵士らの戦闘靴や衣類から食料、弾薬まで残されていた。 (2211-101317)

 10月13日 21:28

 ウクライナと国境を接するロシア南部ベルゴロド州の知事は13日、同州がウクライナ軍による砲撃を受け、集合住宅が損壊したほか、弾薬庫が爆発したと発表した。
 同州知事はTelegramに、「ウクライナ軍がベルゴロドを砲撃した。 グブキン通りの集合住宅が被害を受けた」と投稿した。
 ソーシャルメディアで拡散している一般市民が撮影した画像には、高層ビルから黒煙が立ち上り、がれきが周囲に散乱している様子が捉えられている。
 知事はその後Telegramへの投稿で、州内の村でウクライナ軍の砲撃により弾薬庫が爆発したが、死傷者が出たとの情報はなく、住民は安全な場所に避難させられているとした。
 これについてウクライナのポドリャク大統領府顧問は自国軍の関与を否定し、ロシア軍がウクライナのハルキウを砲撃しようとしたものの、何らかの不具合で失敗したとの見方を示した。
 ロシア側はこれまで繰り返しウクライナ側がベルゴロド州を砲撃したと主張し、ウクライナに進撃する根拠としている。 (2211-101318)

 10月13日 23:50

 ウクライナ南部ヘルソン州の親露派首長が13日にロシアに対し、民間人の州外への避難を支援するよう要請した。
 同州でウクライナ軍による反攻が進んでいることを示すものとみられる。
 ロシア政府がヘルソン州の「知事」に任命したサリド氏はTelegramに「ヘルソン州のすべての人々に、希望するならばミサイル攻撃から身を守るため、他の州に逃げるよう提案した」と投稿し、住民の避難先は2014年にロシアが併合したクリミア半島や、ロシア南部になると述べた。 (2211-101319)

 10月14日 07:25

 フスヌリン露副首相が13日、ウクライナ軍がヘルソン州奪還へ攻勢を続ける中、同州の占領地域の住民の避難をロシア軍が支援すると発表した。
 この発表は、ヘルソン州の親露派トップがロシアに支援を要望したことを受けたもので、こうした動きはロシア軍がウクライナ軍の前進に直面して苦戦していることを示す証拠である。
 ウクライナ軍は、ロシアが侵攻初期に占領した地域を奪還するという目標をもって前進を続けており、米国とウクライナの当局者は9月に、年内にヘルソン州全域を奪還する考えを明らかにしている。 (2211-101405)

 10月14日 11:15

 ロシア軍は10月13日、ウクライナの重要インフラへの攻撃を続けた。
 ロシア軍の士気、規律、戦闘能力のますます低下は、地域によっては攻撃の一時的な停止につながっている可能性がある。
 ウクライナ軍はスヴァトーヴェの北西で勝利を収めた。
 ロシア軍はクレミンナに対するウクライナの攻撃を予期して、防御態勢を継続している。
 ウクライナとロシアの情報筋は、ロシア軍がヘルソン州北部と北西部で陣地を奪還しようとしていると述べた。
 ケルチ海峡橋の損傷は、ウクライナ南部へのロシアの物資と人員の移動を妨げ続けている。
 ロシア軍はドネツク州で攻撃を続け、バフムートの南で一部が前進をしたと主張した。 (2211-101408)

 10月14日 13:03

 ロシア国営TVが10月13日、ウクライナ軍のミサイル攻撃を受けたというロシア南部ベルゴロドにある高層集合住宅の映像を公開した。
 その衝撃で外壁のコンクリートが剝がれ、近くに駐車してあった車の屋根とボンネットを直撃したという。 ベルゴロドから直近のウクライナ国境までは35kmしかない。  ベルゴロド州知事は、建物はウクライナの砲撃を受けたというが、国営TVはミサイルの破片が建物の屋根に落下したと主張している。
 これに対して、ウクライナ政府関係者は砲撃の事実を否定したうえで、国境沿いのウクライナの町や村に対するロシア軍の一連の攻撃でミサイルが目標を外れて、自国領内の建物を誤爆したのではないかとの見方を示した。 (2211-101410)

 10月14日 13:45

 ウクライナの被占領地域再統合省が13日、同国軍が過去1ヵ月で600以上の集落を奪還したと明らかにした。
 戦略的に重要なヘルソン州では75の集落を、ウクライナ軍が9月に反攻を進めた北東部ハリコフ州では502の集落を解放したという。
 東部のドネツク州では43、ルガンスク州では7つの集落を解放した。
 ロイタは戦況を独自に確認できておらず、ウクライナ軍や大統領府の確認も現時点で得られていない。 (2211-101411)

 10月14日 16:15

 英国防省が14日、ロシアの部隊が過去3日間でドネツク州東部の戦略的要衝バフムトの中心部に向かって前進したとの見方を示した。
 同市の南の村にも進出している可能性が高いという。
 バフムトはスラビャンスクとクラマトルスクに通じる主要道路沿いに位置する。
 国防省はロシアの民間軍事企業Wagner社が現在もバフムトの戦闘に深く関与している公算が大きいとの見方を示した。
 ドンバス州中部でロシア軍は攻撃を続け、前進は非常に遅いペースと指摘した。 (2211-101414)

 10月14日 19:35

 CNNが13日、ウクライナ軍が戦況が膠着することが予想される冬までに大幅な領土奪還ができない場合、現状維持を狙う露軍には大きな成果となると指摘した。  ウクライナ政府は13日、反転攻勢を本格化させた9月以降にウクライナ軍は、ハルキウ州で502集落、ロシアが一方的な併合を強行した東部ドンバス地方で50集落、南部ヘルソン州で75集落の合わせて627集落を露軍から奪還したと発表した。  露政府は13日、露軍が本土から南部クリミアへの主要な補給路としてきたクリミア大橋の全面復旧は来年7月になるとの見通しを明らかにした。 (2211-101417)

 10月15日 05:30

 ウクライナと国境を接するロシア南部ベルゴロド州のグラトコフ知事がTelegramに14日、州都ベルゴロドの変電所がウクライナ軍による攻撃を受けて火災が発生し、22:00頃ごろに鎮火したが電力を復旧させるまで最大4時間かかると発表した。
 ロシアは先週、国境を接する同国の領土でウクライナ軍による砲撃やミサイル攻撃が増加していると批判していた。 (2211-101504)

 10月15日 07:47

 ウクライナのレズニコフ国防相が14日、ロシア軍が軍事侵攻を開始した2月以降、保有していた高精度ミサイルの2/3を射耗したとの見方を示した。
 特に地上発射型ミサイルの備蓄は侵攻前の14%程度にまで低下したと分析している。
 レズニコフ国防相はTwiterで、ロシア軍はウクライナ侵攻前に1,844発の高精度ミサイルを保有していたが10月12日時点の残存数は609発で、「民間施設の攻撃に高精度ミサイルを使った結果、軍事施設を攻撃する能力を低下させた」と述べた。 (2211-101505)

 10月15日 09:00

 ウクライナと西側の当局者は、ベラルーシのルカシェンコ大統領が「対テロ作戦」センタを開設したという報道を流しているが、ウクライナへの侵略の兆候は見られないと述べている。
 プーチン大統領は10月14日、ウクライナに対するさらなる大規模攻撃の追加の必要性は今のところないと述べた。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がクピャンスクの東にある北東ハリコフ州で反撃を行っているとしている。
 ロシア軍が失地を回復するため、クレミンナの西で限定攻撃を行った。
 ロシア軍が失地を回復するため、北西ヘルソン州で限定攻撃を行った。
 ロシア軍はバフムートとドネツク市周辺を攻撃している。
 ロシア当局は、ドネツク州南部のロシア兵站線に対するウクライナの攻撃に対し懸念を表明した。 (2211-101506)

 10月15日 15:42

 ウクライナ軍の攻撃が続いている南部ヘルソン州を実効支配する親露派「行政府」幹部のストレモウソフ氏が15日に通信アプリにビデオ声明を投稿し、州内のドニエプル川西岸地域の住民に安全な場所への退避を呼びかけた。
 同州ではロシア側支配地域は9割を超えていたが、ウクライナ軍が攻勢を強化していることから、ロシア側は併合地域を維持できなくなる可能性がある。
 ウクライナ政府はロシア側による住民退避の動きに反発し、ヘルソン州のフラン議員は14日のオンライン記者会見で、退避はロシア側への強制送還だと訴えた。 (2211-101511)

 10月16日 07:06

 英Finacial Times (FT) 紙が14日に欧米の国防当局者の見通しとして、「ウクライナ軍が早ければ今月後半にもヘルソン市を奪還する可能性がある」と報じた。
 ロシアにとって大敗北(米国防総省)になるという見方もある。
 ヘルソン州を支配する親露派幹部は13日、ウクライナ軍の反撃が続いているとして、希望する住民にロシア本土への避難を呼び掛けるとともに、プーチン政権に協力を要請した。 訴えはロシア国営TVでも放映された。
 現地でロシア軍が劣勢であると暗に認めたもので、FTがウクライナ軍による早期奪還の可能性を伝えたのはそのためである。
 折しも、ロシア本土とクリミア半島を結ぶ橋が爆破され、地続きであるヘルソン州へのロシア軍の補給ルートが損害を被ったと指摘されている。 (2211-101603)

 10月16日 10:30

 ロシアはウクライナ人の強制連行を行っているが、これはジェノサイド犯罪の防止及び処罰に関する条約の明らかな違反に加えて、意図的な民族浄化キャンペーンに相当する可能性が高い。
 ロシアはイランとArash-2 UAVの供給に関し新たに契約した可能性がある。
 ロシア軍はクレミンナの西で反撃を続けている。
 ロシア筋はがウクライナ軍がヘルソン州北部全域で反撃を開始したとしている。
 ロシア軍はドネツク州での攻撃を続けた。
 ウクライナ軍がザポリージャ州とドネツク州南部のロシア軍補給路 (GLOC) に位置するロシア軍を攻撃した可能性が高い。 (2211-101605)
註】Arash-2はKian-2と良く似た形状の全長<約4.5m、翼端長3.5~4mのデルタ翼亜音速UAVで、レーダ捕捉機能と破壊の能力がありSEADとして使えるという。
 Arash-2はターボジェットで推進するKian-2と異なりプロペラで推進する。
 Kian-2は航続距離1,000km以上と言う。

 10月16日 16:33

 ウクライナのレズニコウ国防相が16日までに、ロシアが投入しているイラン製の攻撃型UAVを無力化する新たな技術を開発していることを明らかにした。
 国防相はロシアが現在保有するこれらUAVを300機と推定し、さらに数千機の追加調達をもくろんでいるとも判断したうえで、ロシアがより多くのUAVを獲得する事態への準備をしなければならないとし、その脅威を封殺するためのシステムを開発中とした。
 細部まで分解して内部に搭載している「電子頭脳」の種類などを特定し、様々な対抗措置を検討しているとした。
 ウクライナ軍南部作戦管区の報道担当者によると、ロシア軍はイラン製の自爆攻撃型UAVを集団で投入し、ウクライナ軍の防空態勢の探知などを進めている。
 これらUAVをウクライナ全土で用いており、南部だけでなく北部からも飛ばしているという。 (2211-101607)

 10月16日 18:03

 ロシア国営RIA Novostiが、2014年からウクライナ東部ドネツク市を占拠し支配する親露派幹部は16日、市中心部が16日朝にウクライナ軍の砲撃を受け、親露派が本拠とする市役所庁舎が被害を受けたと明らかにしたと報じた。
 砲撃は市役所庁舎がある行政地区だけでなく、ドネツク市中心部の広い範囲に及んだという。 (2211-101608)

 10月16日 19:14

 ロシアからの報道によると、ウクライナと国境を接するロシア南部ベルゴロド州の石油貯蔵施設で15日に火災が発生した。
 同州のグラトコフ知事は通信アプリで、砲撃によるものだと主張した。 グラトコフ知事は、数日にわたりベルゴロド州にウクライナ軍の砲撃が行われているとし、16日にも新たな砲撃があったと訴えた。
 ベルゴロド州はウクライナ北東部ハリコフ州に隣接する。
 ウクライナ側は関与を明言していない。 (2211-101609)

10月17日 05:00

 ウクライナ軍参謀本部は16日、露軍が15日に30ヵ所以上を攻撃したと明らかにした。 ウクライナの国営電力会社によると、キーウ州のエネルギー関連施設も攻撃を受けた。
 東部南部では、反転攻勢を続けるウクライナ軍と占領地維持を狙う露軍の攻防が続いている。
 南部ヘルソン州当局は16日に露軍が州北部で空爆を行うなど激しい戦闘が続いているとした。
 ザポリージャ州の知事も16日に露軍が州内2ヵ所の学校を攻撃したとSNSに投稿した。 (2211-101702)

 10月17日 06:45

 複数のロシア筋はヘルソン方面でのウクライナの新たな攻撃を報告しているが、ウクライナ軍は戦況について全くの沈黙を維持している。
 ウクライナ軍当局者は10月16日、ロシア軍は過去数日間にバフムート近郊のいくつかの町を占領したと虚偽の主張をしているが、ウクライナ軍はロシアの攻撃に対して戦線を維持していると述べた。 ロシア軍は、ウクライナ北東部と南部で損失が続く中、少なくとも1ヵ所では成果を上げていると自画自認するために、バフムート地域での前進の主張を偽造している可能性が高い。
 ウクライナの情報筋は、ヘルソン市のロシア占領当局者がウクライナのパルチザンに対する摘発を強化し、主要な資材と要員をクリミアに退避させていると報じた。 (2211-101703)

 10月17日 07:31

 ウクライナのゼレンスキー大統領が16日にビデオ演説で、東部ドンバス地域にあるソレダルとバフムトの2つの町周辺で激しい戦闘が起きていると述べた。
 バフムトはドネツク州を前進するロシア軍の攻撃目標となっており、ソレダルはバフムトのすぐ北に位置する。 (2211-101705)

 10月17日 11:25

 ウクライナ国防省報道官が16日、ロシアがへルソン州で銀行などの「国家機関」を他の地域に避難させ始めたと発表した。
 銀行や年金機構の従業員や資産をクリミア半島に移しているとみられる。 親露派は先週すでに住民に対し避難を呼び掛けている。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、東部ドネツク州のソルダルとバフムトで激しい戦闘が行われていると明らかにした。 (2211-101708)

 10月17日 19:54

 ロシア国防省が17日、ウクライナ全土の軍事目標とエネルギーインフラに対し、高精度兵器を使った大規模な攻撃を実施したと表明した。 ミサイルは指定された全ての目標に命中したという。
 南部ヘルソン州の防衛を破ろうとしたウクライナの試みも阻止したとしている。
 ウクライナのモナスティルシキー内相によると、ウクライナの複数の都市では17日にロシアによる空襲で数人が死亡した。 (2211-101711)

 10月18日 09:33

 ウクライナのキーウ市長がロシア軍が16日からウクライナ全域にイラン製の自爆UAVを大量に飛ばし、17日の昼ごろまでにキーウだけで28機が飛来したことを明らかにした。
 キーウ上空に飛来したイラン製のShahed-136 UAVはその多くが上空で撃墜された。
 ウクライナ国防省によると、ロシア軍がウクライナ全土に飛ばしたUAVの総数は現時点で把握できていないが、17日朝までの13時間に37機が撃墜されたという。
 これはキーウ市が正午に発表した内容よりも最新の状況で、キーウに飛来した28機のうち撃墜されたものも全て含まれた数字のようだ。 (2211-101801)

 10月18日 10:30

 ロシア軍が10月17日にウクライナ全土の住宅地や重要インフラ施設をUAVとミサイルで攻撃した。
 ロシアはイランからUAVとミサイルを入手し、ますます消耗しつつある備蓄を補おうとしてようである。
 ロシアの情報筋は、10月16日と17日にスヴァトーヴェの北西でウクライナの反撃について論議している。
 ロシア筋は、ウクライナ軍が10月16日と17日にヘルソン州で反撃を行っているとしている。
 ロシア軍は10月16日と17日にドネツク州で攻撃を行った。
 ウクライナ軍は、10月16日と17日にザポリージャ州に集中させたたロシア軍を攻撃している。
 ロシアはザポリージャ原発 (ZNPP) を完全に支配し続けている。 (2211-101803)

 10月19日 00:37

 TASS通信によると、ロシアの大統領報道官は18日、ロシアが一方的な併合を強行したウクライナ東部と南部4州が核戦力による保護対象になるかどうか記者団から問われ、「ほかのロシア領と同様の安全が確保される」と答えた。
 4州はロシアにとって不可分の領土だと主張し、ロシアに統合する作業が進展していると述べた。 (2211-101901)

 10月19日 06:13

 ロシアが併合を宣言したウクライナ南部ヘルソン州の親露派トップが18日にビデオ声明で、ウクライナ軍の攻撃から市民を守るためとして、州内のドニエプル川西岸地域からの住民退避を決定したことを明らかにした。 (2211-101904)

 10月19日 07:14

 TASS通信が、ロシアのウクライナ侵攻を統括するスロビキン総司令官が18日、ロシアのSu-57が実戦参加していることを明らかにしたと報じた。
 スロビキン氏は2017年からロシアの航空宇宙軍の司令官を務めており、8日に侵攻の総司令官に任命された。 (2211-101905)
【註】Su-57 (T-50 PakFa) は2021年12月に配備が開始され76機を調達する計画で、2024年までに24機を装備する。  シリア内戦にも試験投入されたF-22に対抗しうるとされている最新鋭機である。
 ウクライナ戦争ではSu-57が力を発揮するような高度な航空戦が起きている様子はないのに、まだ配備を開始したばかりで僅かな機数しか装備していない虎の子を投入しなければならないほど、ロシアの戦力不足が切迫している可能性がある。

 10月19日 07:52

 TASS通信が、ウクライナ侵略を続けるロシア軍総司令官のスロビキン上級大将が18日、南部ヘルソン州でウクライナ軍の攻勢により困難な状況が発生しているとし、状況次第では容易ではない決断も排除しないと述べたと報じた。
 ヘルソン州の少なくとも一部地域を放棄する可能性を示唆したもので、仮にヘルソン州の主要地域を喪失した場合、露軍の劣勢がさらに加速する見通しだ。
 スロビキン上級大将は、ウクライナ軍のHIMARSを使った攻撃でヘルソン州内の橋などが破壊され、輸送路が使用不能になっているとし、作戦全体に関しても「軍は早急に前進するのではなく、敵の攻勢を打ち砕く戦略をとっている」と主張し、守勢に回っていることを暗に認めた。
 さらに、TASS通信によるとヘルソン州の親露派勢力幹部は18日、ウクライナ軍の攻撃に備えた措置だとして同州の一部地域の住民を別の地域に避難させると発表した。 (2211-101906)

 10月19日 09:43

 ウクライナ国営通信Ukrinform社が18日、国防省のブダノフ情報総局長が「戦争は来夏までに全て終わるだろう」との見通しを国内メディアの対談で示したと報じた。
 ブダノフ総局長はヘルソン州を念頭に、「我々は今年の年末までに大きな進展を遂げる。 すぐにわかるだろう」と強調し、そのうえで、「クリミア半島を含む1991年の国境線まで到達することがなによりも重要だ」と語った。
 また、戦争が終結した際には「ロシア連邦で一部の地域が連邦から離脱するだろう」と指摘し、それはコーカサス地方から始まるとの考えを示した。
 ブダノフ氏は「ロシアには領土問題がたくさんあり、ロシア連邦の『連邦』は、ただの名前にしか過ぎず、政権が崩壊したとたんにすべて崩壊する」と述べた。 (2211-101907)

 10月19日 10:30

 ベラルーシは、ロシアのウクライナ侵略を支援するために領土と領空を提供し続けているが、戦争に参加する可能性は非常に低いままである。
 ロシア軍はウクライナの重要な民間インフラに対し空爆、ミサイル攻撃、UAV攻撃を行っている。
ロシア軍はウクライナの反撃で莫大な損失を被ったにもかかわらず、ハリコフ州北部で限定攻撃を行い、ロシア軍が依然としてハリコフ州で領土拡張の野望を持っていることを示唆しているようだ。
 ロシア筋はロシア軍がハリコフ州北東部で失地回復ために限定攻撃を行ったと主張した。
 ロシア筋はウクライナ軍がヘルソン州の前線全体で反撃していると述べた。
 ウクライナ軍はヘルソン州中央部にあるロシアの補給路 (GLOC) と弾薬庫を攻撃し続けている。
 ロシア軍がバフムートとアヴディイフカの近くで攻撃を続けた。
 ロシア当局はケルチ海峡橋への攻撃後、クリミア経由の兵站能力の低下に対処するのに苦労している。 (2211-101908)

 10月19日 13:27

 ロシア国防省報道官が10月18日、ロシア軍が海陸から長距離精密兵器で、ウクライナの軍事およびエネルギー施設、さらに外国製兵器の弾薬庫を攻撃したことを明らかにし、全ての目標に命中したと発表した。
 同報道官はまた、ロシア軍がハルキウ州でホロビフカの集落に進出したと公表し、この際ロシア軍はウクライナ国家警備隊第1作戦旅団に著しい損害を与えたと述べた。
 さらに、ハルキウ州、ドネツク州、ヘルソン州でロシア軍の防御戦を突破しようとしたウクライナ軍を阻止したと述べた。 (2211-101910)

 10月19日 19:07

 ロシアが併合を発表したウクライナ南部ヘルソン州の親露派当局が19日にロシア国営TVに対し、ドニプロ川の東岸へ向けて「当局全体が既に移動を開始している」と述べた。
 また親露派当局は同日、「ヘルソンでは、ドニプロ川対岸への住民の計画移送が開始された」とソーシャルメディアに投稿し、ロシアのTV局Rossiya 24は、フェリーを待つ人々を捉えた映像を放送した。
 ロシア政府がヘルソン州「知事」に任命したサリド氏は、避難者の正確な数は不明としながらも、ヘルソン州内の住民のうち最大4割が、戦闘を回避して移動するとしている。
 親露派当局は同日先に、ウクライナ軍による反攻を理由に、市民約5万人を避難させると発表していた。 (2211-101914)

 10月19日 20:29

 ウクライナ軍が19日に声明で、9月13日にウクライナの領土で初めてイラン製Shahed 136を撃墜して以降、同種のUAV 223機を撃墜したとしている。 (2211-101915)

 10月19日 20:55

 プーチン露大統領が19日に安全保障会議で演説し、ロシアが「併合」したウクライナ東部南部4州に戒厳令を敷く大統領令に署名し、上院に承認を求めた。 (2211-101916)

 10月20日 00:29

 ウクライナの首都キーウのクリチコ市長が19日にTelegramで、同市上空に飛来したロシアのロケット弾数発を防空システムが撃墜したと発表した。
 これに先立ち、AFP記者は市中心部で複数の大きな爆発音を聞いていた。 (2211-102001)

 10月20日 04:58

 ウクライナ南部ヘルソン州のフラニ副知事が19日、同州の親露派当局が発表した州都ヘルソンからの市民退避は強制移住に等しいと非難した。 (2211-102004)

 10月20日 06:22

 ロシアが黒海から発射したミサイルがモルドバの領空を侵犯してウクライナに向かったのを受け、モルドバの国防相が新たに防空兵器を装備する方針を明らかにした。
 ただ防空兵器は高価であることから、西側諸国の支援を求めている。
 これとは別にモルドバ当局によると、ドイツから新たにUAVを導入することで合意しており、2023年1月には納入されることを明らかにした。 (2211-102006)

 10月20日 10:30

 ロシア当局は、計画されたロシアの撤退とヘルソン州における重要な領土の喪失を正当化するために、情報を操作している可能性が高い。
 ロシア軍は、カホフカ水力発電所 (HPP) に偽旗攻撃を行うための情報を操作している。
 ロシア軍は、ダムを破ることで、ドニプロ川の右岸からの撤退を覆い隠し、川を渡るウクライナの進軍を阻止したり遅らせたりできると考えているかもしれない。
 ロシア軍はハリコフ州北東部で失地回復のため限定攻撃を続けている。
 伝えられるところによれば、ロシア軍とウクライナ軍はクレミンナ~スヴァトーヴェ地域で戦闘を続けている。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍が北西ヘルソン州で新たな攻撃を行ったと主張している。
 ロシア軍当局者は、ロシア占領地のウクライナ住民を、ロシア軍のための労働や戦闘に強制的動員している。 (2211-102009)

 10月20日 10:46

 ロシア国防省は10月19日、ウクライナ南部のザポリージャ原発を奪還しようとしたウクライナ軍を、ロシア軍が撃退したと発表した。
 同国防省によると、ウクライナ軍は19日早朝、37隻のボートでドニプロ川左岸にある同原発を確保しようと上陸を試みたが、ロシア軍がこれを阻止し、上陸部隊を撃退したという。
 AP通信は同国防省の主張を独自に確認できていない。 (2211-102010)

 10月20日11:31

 AP通信などが、ウクライナ政府がロシア軍が19日午後にウクライナの複数の地域に対してミサイル攻撃を行い、破壊されたウクライナの電力施設に対して再び攻撃を加えたが、ウクライナ軍はCM 4発とイラン製のUAV 10機を撃墜したと発表したと報じた。 (2211-102011)

 10月20日 23:19

 英国のウォレス国防相が、ロシアの戦闘機が9月29日に黒海の国際空域を哨戒飛行していた非武装の英偵察機の近くにミサイルを発射したと述べた。
 ただ、明らかに事故であり、意図的に緊張をエスカレートさせるものではないとした。
 この件に関する英政府の懸念をショイグ露国防相に伝えたところ、ロシアは10月10日に技術的な誤作動が要因と答えたという。
 また、ロシアが今回の件が国際空域で起こったことを認めたとした。
 現在は哨戒飛行が再開され、英機を戦闘機が護衛しているとした。 (2211-102016)

 10月21日 05:40

 ウクライナ軍のフロモウ副参謀長が20日に会見で、ロシアとベラルーシの軍事政治指導部による攻撃的な発言が激化しているとし、北方戦線でのロシア軍による攻勢再開の脅威が高まっていると述べた。
 ポーランドなどの国々からの軍備供給路を断つために、ベラルーシ西部から攻勢がかけられることもあり得るとした。
 ベラルーシとロシアは先週、合同部隊を新たに結成すると発表し、ベラルーシの国営Belta通信が国家保安委員会(KGB)が20日に「ウクライナ領土からの情報活動やベラルーシ領空を侵犯しようとする試みが毎日のように増加している」と主張している。 (2211-102103)

 10月21日 08:04

 ウクライナのゼレンスキー大統領が20日、カナダのTV局との対談で、クリミア半島とロシアを結ぶクリミア橋の爆発への関与を否定した。
 ロシア側はウクライナによるテロと主張しており、双方の言い分の対立が続く。
 ゼレンスキー大統領は8日に起きたクリミア橋の爆発について「私の知る限り、我々は絶対に命令していない」と発言し、ロシア内部での軍や特殊部隊などの主導権争いが爆発の原因とする見方を示し、ロシア内の複数の部門がどこが中心になるかを決めようとしていると述べた。 (2211-102105)

 10月21日 10:30

 ロシアは、カホフカ水力発電所 (HPP) に対する偽旗攻撃の準備を続けている可能性が高い。
 ウクライナ軍の前進が切迫していることから、ロシア軍はドニプロ川西岸から軍と占領当局を離脱させようとしている可能性が高い。
 米大統領府は10月20日、ロシア軍がウクライナの民間人や民間インフラをUAVで攻撃するのを支援するため、イラン軍の要員がクリミアに派遣されていることを確認した。
 ウクライナがハリコフ州の1.8%を除く全てを奪還したというウクライナの報告にもかかわらず、ロシア筋はロシア軍は10月20日にハリコフ州北東部で陣地を固めていると主張している。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍が阻止作戦実施のためヘルソン州北部に前進したと見た。
 ロシアの情報源はバフムートを確保したとしているが、これは偽情報の可能性が高い。
 ロシアの地方政府とロシア国防省は、軍事行政の失敗についてお互いを非難し続けている。 (2211-102108)

 10月21日 10:32

 ウクライナのゼレンスキー大統領が20日、ロシア軍が支配下に置く南部ヘルソン州のカホウカ水力発電所とそのダムに爆発物を仕掛けたと非難した。 大統領はダムが破壊されれば、北クリミア運河はたやすく消滅し大惨事になると述べた。  カホウカ水力発電所のダムは、ドニエプル川にあり、ダムは現在ロシア軍の支配下にあるが、ウクライナ軍がそう遠くない距離まで迫っている。 (2211-102109)

 10月21日 12:50

 ウクライナ軍参謀本部のフロモウ副参謀総長が21日までに、ロシア軍の最優先任務は南部前線を維持することだとの見解を示した。
 ドニプロ川両岸では最近、戦闘が起きている。
 副参謀総長によると、ロシア軍は部分的動員第1陣の助けを借りつつ、ヘルソンに向かうウクライナ軍の前進を止めるため塹壕を構築したり増援を投入したりする策を講じている。
 副参謀総長はまた、ロシア軍はヘルソン州に40個以上の大隊戦術群を展開していることも示唆した。 (2211-102111)

 10月21日 19:49

 InterFax通信が、ベラルーシの国防省が20日に露軍との合同部隊が活動を開始し、国境地帯で露空軍機による哨戒飛行を行ったと発表したと報じた。
 ベラルーシ国防省によると、合同部隊には露軍から最大9,000人の兵員とMBTやIFVなど470両が加わる。
 場所は不明だが、ウクライナに隣接する南側か、NATO圏に接する西側国境だとみられ、東部や南部の戦線で劣勢に立つロシアがベラルーシの参戦を示唆してウクライナを威嚇し、戦力を分散させる思惑だとの観測が強い。 (2211-102115)

 10月21日 22:42

 英国防省が20日、ロシア軍がウクライナ軍の反転攻勢を受け南部ヘルソン州で、ドニプロ川西岸から大規模な撤退を計画しているとの分析を発表した。
 英国防省は露軍が浮橋を使って装備をドニプロ川東岸に運ぶ衛星写真も公開した。
 ウクライナ軍幹部は20日の記者会見で、露軍が戦闘経験豊富な兵士だけを東岸に移し、最近招集された動員兵をヘルソン市に残そうとしているとの見解を明らかにした。
 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は20日に、露軍が占拠する同州のカホフカ水力発電所のダムに爆発物を設置したとの情報があることを明らかにし、破壊して人為的に洪水を起こす可能性を警告した。 (2211-102118)

 10月22日 00:43

 ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官が21日にSNSで、南部ヘルソン州で88の集落を奪還したと発表した。
 ウクライナ政府は先週、同州で75の町や村を解放したと発表していた。
 一方の同州の親露派当局は同日、州都ヘルソン市の防衛力を強化し要塞化すると宣言した。
 前日には、同州から約15,000人を退避させたと発表していた。 (2211-102201)

 10月22日 09:40

 Maxar衛星画像から、ロシアの支配下にあるウクライナ東部の町ヒルスケに、全長2km弱の対戦車障害物が建設されていることが明らかになった。
 対戦車障害物は4列に並ぶコンクリート製のピラミッドで構成されており、ロシアはこれによりウクライナの車両や戦車の東進を防ぐことを期待している。
 防御施設の後方には大きな塹壕もある。
 欧州宇宙機関 (ESA) の衛星画像からは、塹壕の掘削が2ヵ所に分けて行われたことがうかがえ、1ヵカ所目は9月25日から、2ヵ所目の掘削は9月30日~10月5日の間に行われたとみられる。
 現地から報道したロシアの2つのメディアは傭兵集団Wagnerに触れ、この障害物をWagner線と呼んでいる。 (2211-102204)

 10月22日 10:00

 ヘルソン州西部からのロシアの撤退が始まった。
 ロシア軍は今後数週間にわたって撤退を続けるつもりである可能性が高いが、ウクライナ軍が攻撃を仕掛けた場合、順調に撤退するのに苦労するかもしれない。
 ロシア軍は、ヘルソン市からの撤退を隠蔽し、ウクライナ軍がヘルソン州奥深くまでロシア軍を追撃するのを防ぐために、カホフカ水力発電所 (HPP) のダムを爆破しようとする可能性が高い。
 ロシアとウクライナの情報源は、国境沿いのハリコフ市の北東、スヴァト~ヴェ-クレミンナ前線、リシチャンスクの西で戦闘が行われた報告している。
 ウクライナの南部作戦司令部が、ロシア軍がドニプロ川を渡って装備を輸送する際に、ウクライナの民間人を人間の盾として使用していると強調し、ロシアの情報源はヘルソン市からのフェリーを待っている民間人の列を示す映像を公開した。
 ロシア軍はドネツク州で攻撃を続け、フリャイポレの西とムィコラーイウ州で毎日砲撃を行っている。 (2211-102206)

 10月23日 06:29

 プーチン露大統領の側近でウクライナを担当するキリエンコ大統領府第1副長官が22日、特別軍事作戦と呼んできたウクライナ侵攻について、「戦争」という言葉を連呼した。
 議員を除き、政権高官が戦争と認めるのは初とみられる。
 この側近は、戦争の責任を負うのはNATO側と主張し、ロシアが仕掛けたにもかかわらず「被害国」だと訴えている。
 これまで対テロなどと同じ「作戦」の位置付けだったが、部分的な動員令と戒厳令が出され、事実上の「戦時体制」に入ったことが背景にあると見られる。 (2211-102301)

 10月23日 09:00

 ロシア軍がウクライナのインフラに対する大規模な攻撃を続けているが、この攻撃がウクライナの戦闘意欲を蝕む可能性は低いものの、冬季間に経済的、人道的課題を抱えることになるであろう。
 ヘルソン州の占領当局は10月21日に民間人に対し東への避難を命じた。 ヘルソン市からの住民避難でロシア軍はカホフカ水力発電所 (HPP) ダムを爆破し易くなるだろう。
 Wagnerを創設した実業家プリゴジン氏が進めている防御要塞Wagner Lineの建設は、ルハンスク州中央部を通ってベルゴロドまで限られた能力で広がっている。
 プリゴジン氏の言動は必ずしもロシア政府の方針と一致していないが、政府の方針に不満を抱いているロシアの国家主義者はプリゴジンを慕っている。
 ロシアの情報筋は、10月22日にクレミンナとスヴァトーヴェをウクライナが反撃したと報告している。
 ロシア軍は、10月22日にハリコフ州、ルハンスク州、ドネツク州で失地回復のため限定的な攻撃を行ったが、前進を確認できていない。
 クリミア占領当局がインフラと軍事物流の撮影を禁止した。 ロシアの補給拠点と補給路を目標にしたウクライナの攻撃が続いているためと思われる。
 ロシア軍と占領当局は、10月22日にロシア占領下のウクライナ住民の移動を制限し、検問所の管理を強化し続けている。 (2211-102302)

 10月23日 22:00

 ウクライナ軍参謀本部が22日、ロシア軍がヘルソン州から撤退を続けており、州内の陣地2ヵ所から完全に姿を消したと発表した。
 同参謀本部によると、ロシア軍はドニプロ川西岸からフェリーなどで東岸へ退避し、住民の車や衣類などを略奪する様子も見られるという。
 ロシア軍の一部がヘルソン市での市街戦を計画しているとの情報もあるという。 (2211-102304)

 10月24日 05:00

 ショイグ露国防相が23日、英仏土国防相と相次いで電話協議し、ウクライナ政府が汚い爆弾(ダーティーボム)を使用する可能性について懸念を伝えた。
 汚い爆弾とは放射性物質を含んだ爆弾で、ロシア国営メディアも同日にウクライナが製造の最終段階にあると報じた。 (2211-102401)
【註】ウクライナが自国国土を放射線汚染させるとは考えにくいことから、ロシアがウクライナで汚い爆弾をしようとしているか、するぞとの威嚇である可能性がある。

 10月24日 07:30

 ドニプロ川東岸へのロシア人避難の現地からの情報流出を制限するため、ロシア当局は10月22日にヘルソン市のインターネットアクセスを遮断した可能性が高い。
 ロシアの情報筋は、ロシア軍が北西ヘルソン州でウクライナの攻撃を撃退したとした。
 ウクライナとロシアからの情報では、ウクライナ東部のシヴェルスク、ソレダール、バフムート、アヴディイフカ、マリンカの近くで戦闘が起きた。
 ロシア国防省は、ロシア軍がドネツク州西部でのウクライナ軍の攻撃を撃退したとした。
 ロシア筋は、ウクライナ軍がクレミンナとスヴァトヴェの方向で反撃したとした。
 ロシア軍はザポリージャ市、ムィコラーイウ市、ムィコラーイウ州の他の地域をShahed 136 UAVとS-300 SAMで攻撃した。
 ウクライナの情報筋は、ロシア軍がニコポルとマルハネツをMLRで攻撃したと報じた。
 ウクライナ空軍司令部報道官は、ウクライナ軍が9月13日以来Shahed-136 UAV 273機を撃墜したと主張した。
 ウクライナ政府筋は、イラン人教官が報告されたクリミアに加えてベラルーシでも、ウクライナの北部と西部に対するShahed-136 UAVでロシア軍を支援したと報告した。
 ロシアの報道機関は、ロシア軍はウクライナ軍の前進を遅らせるためのカホフカ水力発電所の破壊についてウクライナを非難する準備を進めている可能性が高い。
 ロシアの情報源は、クルスク州(註:ウクライナとの国境に接するロシアの州)における防衛陣地の構築について広く議論している。 (2211-102402)

 10月24日 18:00

 英国防省が24日、イラン製のShahed-136 UAVを使ったロシア軍の攻撃を撃退するウクライナの試みが2211-102405>徐々に成功しているとの最新の分析結果を公表した。
 同省は、ゼレンスキー大統領を含む公的な情報源は、攻撃の最大85%が撃墜されていると主張していると言及し、次第に効果的になっているウクライナの防空機能を突破しようと、ロシア側がUAVを大量消費している可能性があるとの見方を示した。
 またUAVは備蓄が不足しつつあるロシア製長距離精密兵器の代替として利用されている可能性があるとも指摘した。 (2211-102405)

 10月25日 09:57

 ウクライナのニュースメディアUkrayinska Pravdaが、国防省情報総局トップのブダノフ氏が、ロシア軍がヘルソン市に対するウクライナ軍の新たな攻撃に備えるため、新たに部隊を投入していると明らかにしたと報じた。
 ブダノフ氏はロシアのこうした行動について、ウクライナ軍がヘルソン市の東に位置するカホウカダムを奪還し、包囲されることを恐れたためだと説明した。
 ブダノフ氏によれば、ロシアは、負傷者や現金、ロシアが設置した行政当局や金融機関を市外に移動させる一方で、さらに部隊を投入していた。 (2211-102502)

 10月25日 10:30

 ロシア政府は、ウクライナが2日連続で汚い爆弾を使って偽旗攻撃を行う準備をしていると非難する情報戦を展開化した。
 ウクライナ軍事情報局 (GUR) のブダノフ先任少将が10月24日、ウクライナの重要インフラに対するロシアのテロ攻撃の影響は弱まっていると述べた。
 プーチン露大統領がウクライナの4州を併合したことで、ウクライナの奪還戦闘激化するしたことで、ロシア政府内の分裂に火をつけた。
 ロシア軍はヘルソン市を防衛する準備をしている可能性が高く、一部のロシア軍がヘルソン州北部から撤退したとの報告にもかかわらず、ヘルソン州北部から完全には撤退していない。
 ウクライナ参謀本部が、ウクライナ軍がルハンスク州でカルマジニフカ、ミアソジャリフカ、ネフスケ、ドネツク州でノボサドヴェを占領したことを確認した。
 クルスク州が10月23日にウクライナとの国境で強化された2本の防御線の建設完了を発表した。 おそらくウクライナの機械化部隊によるロシア侵攻の危険性が全くないので、国内のロシア人を狙ったものとみられる。
 Wagner Gpの財務責任者プリゴジン氏が、ロシア軍がバフムート付近で後退しているため、Wagner Gpの戦闘進展が遅いことを認めた。
 ウクライナ軍が、10月23日から24日にかけてザポリージャ州前線付近に集結したロシア軍部隊を攻撃し続け、10月22日にはエネルホダール付近でロシア軍を攻撃した。
 ロシアの占領軍が、ウクライナの前進に先立ってロシア軍の状況を民間人が知ることを制限しようと、ヘルソン市の通信システムを遮断した。 (2211-102503)

 10月25日 14:24

 ウクライナのブダノフ情報総局長が24日に、南部の要衝ヘルソン市について、ロシアが守り抜こうとして部隊を増派している可能性があると述べた。
ウクライナはこれまで、ヘルソン市からロシア部隊が撤退する可能性があるとしていた。
 このところ、ウクライナがドニプロ川に沿って同市へと前進しておりロシアへの圧力を強めているが、ブダノフ総局長はロシア軍が増援をしており、道路で防御戦の準備を進めているとした。 (2211-102505)

 10月26日 18:54

 英国防省が26日に発表したウクライナ情勢の分析で、ロシア西部ブリャンスク州で線路が何らかの爆発によって損傷し、ロシア国内の反戦団体が犯行を主張していると指摘した。
 同団体が自らの行為だと主張する鉄道インフラへの破壊工作は6月以降、この件を含め6件起きているという。
 英国防省やロシア紙ベドモスチによると、ブリャンスク州の線路が損傷する事件は24日、隣国ベラルーシとの国境から15km離れた村のそばで起きた。
 線路はロシアとベラルーシ南部を結ぶ主要な路線で、この件についてストップ・ザ・ワゴンズと名乗るロシアの反戦団体が自らの犯行だと主張しているという。
 英国防省によると、ロシア軍はウクライナへの部隊派遣を主に鉄道輸送に頼っているが、33,000km以上に及ぶ鉄路大半が人気のない地域に敷かれているため、攻撃から守るのは非常に難しいとしている。 (2211-102607)

 10月27日 08:39

 ウクライナのゼレンスキー大統領が26日、東部ドンバス地域の2つの重要な町周辺でロシア軍が狂気じみた戦術を展開しているとした上で、繰り返される攻撃にウクライナ軍は持ちこたえていると述べ、前線から朗報があるだろうとも語ったが、詳細は明らかにしなかった。
 ドネツク市郊外のアウディーイウカと、さらに北東に位置するバフムトの周辺で最も激しい戦闘が起きているとした。 (2211-102703)

 10月27日 08:50

 ヘルソン州でウクライナ軍の反攻が停滞しつつある。
 背景にはヘルソン市を含むドニエプル川の西岸地域を放棄する可能性が指摘されてきた露軍が、西岸地域でも兵力を増強していることがあるとみられる。
 露軍はヘルソン市などで市街戦の準備を進めており、同市を死守する方針を固めたもようである。
 ウクライナメディアの26日の報道によると、同国のレズニコフ国防相はFOX Newsとの対談で、天候の悪化によりヘルソン州での反攻速度が落ちていると認めた。
 ウクライナのマリャル国防次官も26日に同州を含む各方面でウクライナ軍が防御戦闘を行っていることを認めたが、それは今後の攻勢再開に向けた過程の一つだと説明した。 (2211-102704)

 10月27日 09:30

 ロイタ通信が調査したバラクリヤからのロシア文書は、ロシア軍の劣悪な状態に関する以前のISW評価を裏付けている。
 ヘルソン州のロシア占領当局者は、ドニプロ川西岸からのロシア軍撤退の情報統制を緩和しようとしている。
 ロシア軍は、ウクライナ軍をウクライナ北部国境に貼り付けようとしようとしている。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がスヴァトーブの西で反撃したとしている。
 ロシア軍はヘルソン州のドニプロ川の西岸と東岸で防御陣地の構築を続けている。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がヘルソン州北西部で反撃し続けているとした。
 ロシア軍はドネツク州で攻撃を行った。  ヘルソン州のロシア占領当局は、ドニプロ川の西岸から住民を移住させ続けている。 (2211-102705)

 10月28日 09:30

 ロシア高官が、ウクライナを支援する西側の商業衛星を攻撃目標にする可能性があると脅迫した。
 ロシアの情報筋が、ウクライナ軍がハリコフ州北東部とクレミンナ~リシチャンシクの線に沿って反撃したと張した。
 ロシア軍はヘルソン州のドニプロ川東岸に沿って防御準備を行っている。 またロシアの情報筋によると、ウクライナ軍がヘルソン州で限定攻撃を行った。
 ロシア軍はドネツク州で攻撃を続けている。  ロシア軍がロシアで働く外国人に動員通知を送った。
 プリゴジンのWagnel Gp.は、空中戦能力をさらに発展させ、ロシア軍と同等のより複雑な装備を保有している可能性がある。
 ロシアと占領行政当局が、ロシア占領地域で住民の携帯電話を押収し始めた。 (2211-102808)

 10月28日 10:32

 ウクライナ侵略で焦点化している南部ヘルソン州の攻防を巡り、同国のゼレンスキー大統領は、ロシア軍が州都ヘルソンを含むドニエプル川の西岸地域からの撤退を示唆していることについて「情報戦だ」と指摘した。その上で、ウクライナ軍は露軍をヘルソン市で包囲することを目指していると明らかにした。 イタリアメディアとのインタビューでの発言を27日にウクライナメディアが伝えた。
 ゼレンスキー大統領は露軍の情報戦の目的について、ウクライナ軍をヘルソン州に引き付け、他の戦線での劣勢を打開することだと指摘した。
 露軍はヘルソン市に精鋭部隊を残すなど同市を離れる動きを見せていないとした上で、「露軍はウクライナ軍が成功した場合、包囲されることを知っている。
 われわれはそれを目指している」と述べた。 (2211-102809)

 10月28日 14:02

 ウクライナ東部ルハンスク州のハイダイ知事が28日に戦況について、スバトベとクレミンナの周辺でウクライナ軍が前進しているとSNSに投稿した。 クレミンナは6月にロシア軍が制圧した要衝セベロドネツクから北西20kmにある。
 ウクライナメディアによると、ウクライナ軍の前進の速度は緩やかだという。
 また、ハイダイ知事は投稿で「ロシア軍がウクライナ軍に奪還された村をロケット砲で砲撃し続けている」という。 (2211-102812)

 10月29日 03:13

 2014年にロシアがウクライナから併合したクリミア半島の親露派当局首長のアクショノフ氏が27日夜にSNSへの投稿で、ウクライナ南部ヘルソン州の州都ヘルソン市で28日までに、親露派当局が組織した住民退避が完了したと発表した。
 東部と南部で大きな戦果を上げたウクライナ軍は、ヘルソン市を含むドニエプル川右岸一帯の奪還に向けた激戦に備えている。 (2211-102902)

 10月29日 06:09

 ウクライナが28日、反転攻勢を進めている東部でロシア軍が占領した地区2箇所を結ぶ主要な道路をウクライナ軍がほぼ掌握したと発表した。
 ウクライナ軍は現在、東部ルガンスク州で東に向けて進撃しており、ロシア占領下にある同州のスバトベとクレミンナの奪還を目指している。
 ルガンスク州のガイダイ知事は国営TVに対し、ウクライナ軍はスバトベからクレミンナに至る道路を実質的に支配下に置いたと述べた。
 ロシア側の当局者は26日、クレミンナとスバトベで激しい戦闘があったと明らかにしていた。 クレミンナはスバトベの南方45kmにあり、共に9月以降に戦闘の前線になっている。 (2211-102904)

 10月29日 10:30

 ロシア軍は、バクムット、ドネツク州、または最前線の他の場所で大きな進展を見せていない。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がクレミンナとスヴァトーブの方向に反撃したとした。
 ロシア軍は、ヘルソン州のドニプロ川の岸に動員された要員を配置し、防御陣地を構築し続けている。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がヘルソン州北西部で反撃したとした。
 ロシア軍がドネツク州で攻撃を続けている。
 ロシアの占領当局は、11月1日の秋季徴兵で color=red>ウクライナ民間人の強制動員を合法化するために、10月30日までに占領地域のウクライナの民間人にロシア市民権を強制することを計画している。 (2211-102906)

 10月29日 14:54

 英国防省が28日のウクライナ侵攻戦況報告で、ロシア軍が過去6週間に前線の大半の地域で長期的な防御態勢の構築を進めていたと発表した。
 一方、ウクライナ軍の発表によれば、南部ヘルソン州からの民間人の避難を完了させたロシア軍は、民間人が立ち去った地域に1,000名の部隊を送り込み、地元住民が暮らしていた住居を占拠している。 (2211-102908)

 10月29日 14:56

 ウクライナ東部ルハンスク州のハイダイ知事が28日にウクライナのTV局取材で戦況について、同州の同国軍の前進は悪天候と、ロシア軍の数千人規模の動員兵の展開や激しい抗戦が理由でその速度が緩やかになっていると述べた。 (2211-102909)

 10月29日 16:07

 ロシア軍のセバストポリ軍港が29日未明にUAVによる攻撃を受けたものの全機撃墜し、攻撃を退けることに成功したと、ロシアに任命されたラズボザエフ市長が明らかにした。
 ラズボザエフ市長はTelegramで、今日04:30ら数時間にわたりセバストポリのさまざまな防空システムがUAVによる攻撃を退けたが、UAVは全機撃墜したと述べた。 (2211-102911)

 10月29日 22:50

 ウクライナ軍参謀本部は29日の戦況報告で、ロシアによる侵攻が2月に始まって以来、ロシア軍の死者数が7万人を超えたとの見方を示した。
 報告によると、今月29日時点でのロシア軍兵士の死者数は70,250名となったという。
 一方、ロシア側は9月21日時点で死者数を5,937名としている。 (2211-102912)

 10月30日 09:30

 ウクライナ軍が10月29日にセバストポリ近くでロシア黒海艦隊のGrigorovich級フリゲート艦をUSVで攻撃した模様である。
 ロシア政府が南部軍管区司令官のラーピン上級大将を解任した。 南部軍管区司令官はウクライナ作戦における中央軍司令官でもあった。
 ウクライナ軍はクレミンナ~スヴァトーブの線で獲得した地域を確保するとともに、逆襲を行っている。
 ウクライナの諜報機関は、ヘルソン州の防衛に依然として練度の高いロシア軍が当たっているとした。
 ロシア軍はドニプロ川西岸に防御陣地を強化している。
 ロシア軍はウクライナ軍の攻撃を受けて、バクムット地域での攻撃速度を遅くした可能性がある。
 ロシアの情報筋は、ロシア軍がヴフレダール地域で攻撃を開始したとしている。
 ロシア軍はドネツク市周辺でわずかな成果を上げた可能性がある。 (11-103003)

 10月30日 09:36

 ロシア国防省が29日、クリミア半島西部セバストポリの港湾一帯で、露海軍黒海艦隊の艦艇や民間船がウクライナのUAVなどで攻撃されたと発表した。
 これについてウクライナ軍は否定も肯定もしていない。 露国防省によると、攻撃にはUAV 9機とUSV 7隻が使われ、損害は掃海艇1隻などにとどまったとしている。
 ウクライナ軍情報機関はSNSで、沈没した巡洋艦Moskvaに代わって黒海艦隊の旗艦になったフリゲート艦が損傷したとの見方を示した。
 TASS通信などによると、この攻撃を受け、露国防省は黒海経由でのウクライナ産穀物の輸出に関する国連などとの四者合意の参加停止を表明した。 (2211-103004)

 10月30日

 ロシア国防省が、10月29日にクリミア半島のセバストポリで露海軍黒海艦隊の艦艇や民間船がウクライナのUAVなどで攻撃されたと発表した。
 露国防省によると、攻撃にはUAV 9機とUSV 7隻が使われたが、UASは4隻を艦船が撃破し3隻を岸から撃沈した。 公開された映像によるとロシア艦周辺を高速で移動するUSVをMi-8ヘリが機銃掃射すると共に、艦砲の射撃も行われた。
 露国防省は、攻撃は英国の支援を受けウクライナ海兵隊第73特殊作戦部隊が実施したという。
 この攻撃がロシアが主張するようにミコライウのチャキフから行われたとすると、USVは波の荒い外洋を150km以上航行したことになる。 (2211-103007)

 10月31日 06:02

 ウクライナ軍は30日に、東部ドネツク州の10地区でロシア軍を撃退したと発表したほか、南部ヘルソン州ではヘルソン市に向けて部隊を進めているとみられるなか、ウクライナのメディアは29日にウクライナ軍の情報部門トップの見方として、ロシア軍がヘルソン方面に4万人規模の部隊を集結させていると報じた。
 その多くは空挺部隊などの精鋭で、ヘルソンの解放には11月末までかかる可能性が高いとしていて、予断を許さない情勢が続いている。
 ヘルソン州をめぐっては、ウクライナのレズニコフ国防相も25日にNHKとのインタビューで、ロシア軍が中心都市ヘルソンとその周辺に部隊を集めていると指摘していした。 (2211-103101)

 10月31日 07:00

 未確認のロシアからの報告によると、ロシア南部軍管区第8諸兵科連合軍司令官のモルドビチェフ中将が、10月30日の時点で中央軍管区 (CMD) 司令官としてラパン准将と交代した。
 ロシアの情報筋は、ラパン准将がCMDの指揮から完全に排除されたのか、それともウクライナで活動しているロシアの作戦「中央軍グループ」の指揮から抜けただけなのかについて矛盾した報告を続けている。
 ロシア国防省とロシアの情報筋によると、ロシア軍がハリコフ州のペルショトラヴネヴェ、タバイウカ、ベレストーブに対するウクライナの攻撃を撃退した。
 ウクライナの情報源と位置情報によると、ロシア軍がルハンシク州クラスノリチェンスケのクラスナ川に架かる橋を破壊した。
 ロシアのミルブロガーは、ウクライナ軍が橋を破壊したと非難している。
 ロシアの占領当局者は、ロシア軍がビロゼルカとチョルノバイウカで防御しヘルソン市を守る計画をしていると述べた。
 一方、ウクライナ軍当局者は、ロシア軍がドニプロ川の西岸のある地域から砲兵部隊を撤退させ、他の方向を強化する準備をしていると報告した。
 また、数百名のロシア国家親衛隊兵がチェチェン共和国からヘルソン州南西部のカランチャクに配置されたと報告した。
 ロシア軍はヘルソン州のベリスラフ・ライオンでウクライナの陣地を砲撃し続けているが、ウクライナとロシアの双方からの情報源は乏しい。
 ロシアの情報筋は、ロシア軍が10月30日にドネツク国際空港の北西4kmのヴォディアネを占領したと主張した。
 ウクライナ軍参謀本部の夕方の報告はロシアの攻撃を撃退したとしておらず、ロシアの主張が正しい可能性がある。
 ロシアの情報筋は、ロシア軍が10月30日にドネツク州のヴフレダールの南西2kmにあるパヴリフカを占領したと報じた。
 ただ、一部のロシアの情報筋は、10月30日の時点でロシア軍がパブリフカの半分しか支配していないと主張している。
 ウクライナ軍参謀本部の夕方の報告はロシアの攻撃を撃退したとしておらず、ロシアの主張が正しい可能性がある。
 ロシア軍はムィコラーイウ州のオチャキフでKh-59 CMを発射した。
 ロシアの情報筋はロシア軍がオチャキエフの軍事インフラを標的にして破壊したとした。 (2211-103102)

 10月31日 09:30

 カリーニングラード防衛のためロシア海軍は6年前に軍団を新編したが、ウクライナ戦争がロシアにとって非常に不利になり始めたとき、ロシア政府はカリーニングラードから第11軍団を引き上げウクライナに投入した。
 そしてウクライナ軍は直ちにその軍団を壊滅させた。
 戦略的に重要な海に沿った2つのNATO加盟国に挟まれているその軍団は、ロシア軍に世界戦争における優位性をもたらすはずだったが、第11軍団の結成、展開、壊滅はロシアのウクライナにおける戦争の悲話以上に大きいことを物語っている。 (2211-103105)

 10月31日 15:44

 ロシアが30日、同国がウクライナ産穀物の輸出合意の履行停止に踏み切った理由としている黒海艦隊へのUAV攻撃について、破壊したUAVの残骸を回収したところ、穀物回廊の民間船から発射された疑いがあると主張した。
 またUSVの残骸を海中から回収したところカナダ製の航行モジュールが見つかったとし、軍の専門家が現在調査中としている。
 ロシア軍はさらに、USV 1隻の航行受信記録を調べたところ、ウクライナ南部オデーサ近辺の海岸を出港していたことが分かったとした。 (2211-103106)

 11月01日 11:00

 ロシア軍はヘルソン市周辺の陣地構築をしながらも、ドニプロ川西岸から撤退を続けている。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍が10月30日と31日にハリコフ州北東部とスヴァトーブ~クレミンナ線に沿って反撃し続けているとした。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がヘルソン州で10月30日と31日に反撃を続けていると報告した。
 ウクライナ軍の阻止作戦がドニプロ川を越えて潜入するロシア軍に損害を与えていると伝えられている。
 ロシア軍は10月30日と31日にバクムット周辺で攻撃を続けた。
 ロシアの情報筋は、ロシア軍が10月30日と31日にアウディーイウカ~ドネツク市地域で逐次前進したとしたが、ISWはこれを確認できない。
 ヘルソン州のロシア占領当局は、ロシアルーブルと一緒にウクライナグリブナの使用を許可すると発表し、ヘルソンでの数ヶ月にわたるルーブル化に失敗を示した。 (2212-110106)

 11月01日 16:42

 ヘルソンを占領しているロシア当局者が31日、ウクライナがカホフカダムを攻撃してこの地域を浸水させる可能性があるとの主張を繰り返し、ドニプロ川流域からの避難区域を拡大すると述べた。
 ロシアが任命したヘルソン州の責任者サルド氏はTelegramへの投稿で、民間人への避難命令対象地域を15km広げ、さらに7つの集落を含めるとし、「ウクライナがカホフカ水力発電所への大規模なミサイル攻撃を準備しているという情報」があるとした。
 ウクライナ側はこれを否定し、ロシアが攻撃の自作自演を検討しており、それをウクライナとその西側支援国になすりつける兆候だと訴えた。 (2212-110108)

 11月02日 10:30

 南部軍管区 (SMD) の第8諸兵科連合軍司令官モルドビチェフ中将が、中央軍管区 (CMD) 司令官ラパン上級大将と交代したと伝えられた。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がスヴァトーブとクレミンナの方向で反撃したとした。
 ウクライナ軍はロシア軍は防御準備を続けているヘルソン州で反撃した。
 ロシア軍はバクムット周辺とドネツク市周辺で攻撃を続けている。 (2212-110209)

 11月02日 12:29

 2022年9月にロシア軍はウクライナ東部の小さな町、バラクレヤから敗走したが、そこにはロシア軍が駐留していた数多くの痕跡が残されていた。
 その1つが町外れにある古びた車両修理工場に設置したロシア軍の司令部で、内部には大量の文書が放置されており、そこからは占領から敗走に至るまでに経緯が、詳細に記されていた。
 ロイタが文書を発見したのはここの地下壕で、これら文書の1,000頁以上を閲覧した。
 文書によると敗北に至る数週間、ロシア軍は情報活動と電子戦で苦境に置かれていた。
 彼らは市販のUAVを使い、操作する兵士は訓練を受けておらず不慣れだったうえ、ウクライナ側の通信を妨害する機器はたびたび故障した。 (2212-110211)

 11月02日 22:43

 New York Times紙が複数の米政府高官の話として2日、ロシア軍幹部がウクライナで戦術核を使用する時期や使用方法について協議したと報じた。
 それによると、米政府は10月中旬にロシア軍幹部の協議の情報を把握している。
 プーチン大統領は協議に参加しておらず、ロシアが実際に核兵器使用に向けた準備をする兆候は確認されていないという。
 米国はロシア軍がウクライナでの戦況の劣勢に不満を募らせている可能性があるとみて警戒を強めている。 (2212-110220)

 11月03日 10:29

 ウクライナが10月30日、わずか一日でロシア軍に950名の死者が出たとした。
 これはロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、一日のロシア軍の死者数としては最多で、ウクライナ軍は同30日、ロシア軍の戦死者はウクライナ侵攻開始以降、少なくとも71,200名に達するとした。
 またウクライナ軍の攻撃から逃れる途中だったロシア軍の装甲車両が転覆する映像が公開された。
 ロシアは訓練を十分に受けていない招集兵らを前線に送り込んでいるため事故が頻発している。
 英国国防省は、ロシアは動員令によって招集した兵士数万人をウクライナの前線に配置したものの、そのほとんどはまともな軍装を身に付けていないと指摘している。
 英国国防省は10月31日午前のブリーフィングで「9月の時点でロシアの将校らは、最近招集された予備役兵らが武器も持たずに前線に到着することを懸念していた」と説明した。
 ロシアのメディアは、訓練をほとんど受けずに前線に配置された予備役兵らが大勢戦死していると報じた。
 ロシアの軍事専門家ルージン氏は、ロシア軍は大規模な徴兵を予測できていなかったため、数万人に達する予備役兵を訓練させる能力がないと指摘した。 (2212-110308)

 11月03日 10:30

 ロシアの情報筋は、ロシア軍はスヴァトーブとクレミンナの方向に反撃をし続けるウクライナ軍を拘束するために攻撃を実施したとした。
 ロシア軍はドニプロ川沿いで防御を続け、ウクライナ軍は阻止作戦を続けている。
 ロシア軍はバクムットとドネツク市の近くで攻撃を続けている。 (2212-110309)

 11月03日 18:28

 英国防省が3日、ロシア軍が10月中旬にウクライナの反攻を前に、1日に一個大隊の装備に匹敵する40両以上の装甲車両を喪失していたとする分析を公表した。
 ロシア軍はここ数週間でベラルーシ軍から100両以上のMBTとIFVを補充したという。
 英国防省は、ウクライナに派遣されているロシア兵が、古いIFVに不満を抱いており、「アルミ缶」と表現していると指摘した。 (2212-110318)

 11月04日 04:53

 国際原子力機関 (IAEA) が3日、ウクライナが放射性物質をまき散らす汚い爆弾を使用する恐れがあるとするロシアの主張を受けてウクライナの施設を調査した結果、未申告の核活動や核物質の兆候は確認されなかったと発表した。
 IAEAの声明によると、調査はロシアの主張を否定するウクライナ政府が要請した。 対象となる3施設にIAEAの査察官を派遣し検証活動を実施した。
 査察官らは関連施設に自由に出入りすることができる状況で検証したという。
 汚い爆弾を巡っては、ロシアが自ら使用して、ウクライナに責任を負わせる偽旗作戦の可能性もあると指摘されている。 (2212-110403)

 11月04日 05:26

 オースティン米国防長官が3日、ウクライナ軍はロシア軍からヘルソン市を奪還できるとの見方を示した。
 ヘルソン地域を巡っては、ロシア側の当局者がドニプロ川西岸からロシア軍が撤退する可能性があると述べている。
 ウクライナ軍は10月初めにロシア軍の前線を突破しドニプロ川に沿って軍を進めてきたが、ロシア軍が仕掛けた可能性のある罠を警戒してこのところ進軍速度は減速している。 (2212-110404)

 11月04日 06:06

 ウクライナ軍のザルジニー総司令官が3日、同国侵攻をロシアが始めてからの約8ヵ月で、ロシア軍機278機を破壊したと明らかにした。
 旧ソ連は約10年に及んだアフガニスタン侵攻で118機を失ったとし「アフガンの二倍だ」と述べた。
 冷戦下の1979年にソ連はアフガンに親米政権が樹立されることを危ぶみ侵攻したが、1989年に撤退した。 (2212-110405)

 11月04日 09:08

 ヘルソン州を実効支配するロシア当局者が3日、ロシア軍がドニエプル川西岸から撤退する可能性が高いと述べた。
 ただ、ウクライナ側や欧米の専門家はロシアの撤退に慎重な見方を示しており、撤退を装った罠の可能性に警戒している。
 ウクライナ南部軍司令部報道官は、ロシアの罠である可能性があるとしていると述べた。
 一方、オースティン米国防長官は3日、ウクライナ軍はロシア軍からヘルソン市を奪還できるとの見方を示した。
 ロシアはこれまで、プーチン大統領が9月末にロシアへの「併合」を宣言した同地域からの撤退を強く否定していたことから、実際に撤退が行われればロシアにとっては大きな後退で、侵攻の転換点になる。
 同地域には侵攻開始後にロシアが無傷で占領したヘルソン市や、ドニエプル川にはクリミア半島への灌漑用水を供給している巨大なダムがある。 (2212-110411)

 11月04日 09:22

 国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR) のグランディ高等弁務官が2日、ロシアのウクライナ侵攻がこの数十年で発生したものとしては最速かつ最大の避難民を生み出しており、2月24日以来、1,400万人が家を追われたと声明で述べた。
 国連はロシア軍によるエネルギーインフラへの攻撃でウクライナの人々が直面する厳しい冬や、戦争で家を追われた多くの人々について懸念を強めている。 (2212-110412)

 11月04日 11:15

 ヘルソン州北西部からの一部ロシア部隊の撤退が続いているが、ロシア軍がヘルソン市を守るかどうかはまだ不明である。
 ロシア軍はドネツク州西部で、狭小でかつ作戦上重要でない地積を獲得するための攻撃に、新たに動員された兵員を投入している。
 ロシアの報道機関は、ロシア中央軍司令官のラパン上級大将の解任について報道が矛盾し混乱している。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がクレミンナとスヴァトーブの方向で反撃しているとした。
 ロシア軍がバクムット、アウディーイウカ、ドネツク市周辺で攻撃を続けている。
 ロシア軍は、主要装備の補給で著しい問題に直面している。 (2212-110414)

 11月04日 17:15

 10月29日にUSVがロシアの黒海艦隊基地を急襲し、ロシア軍の弱点をあらわにした。 一部の専門家はこのUSV攻撃が海戦の新時代を開いたと述べている。
 ロシア国防省によると、クリミア半島のセバストポリにある黒海艦隊基地がUSV 7隻とUAV 9機の攻撃を受け、掃海艇1隻と港湾設備の一部に軽微な損傷を受けたものの、すべて撃墜したという。
 だが、攻撃の様子を映した出所不明の動画を見た複数の海事専門家は、ウクライナが入手の容易な最新技術を使ってロシアの軍事的優位を相殺できることを証明したと話す。  軍事専門家は、複数のUSVが防御の堅い軍港を長距離攻撃したことで「海戦の未来像が垣間見えた」と語る。
 ネットに投稿された動画には、USVがロシア黒海艦隊の主力フリゲート艦Admiral Makarovに向けて直進する様子が映っていた。
 港内を走るUSVが目標を探すかのように急激に方向転換する映像もあった。 別の動画にはロシア軍がUAVを撃墜しようと必死に砲火を浴びせている映像もある。
 複数の船舶を沈めたとするウクライナ側の主張は間違いだと指摘する専門家もいるが、ロシアのSNS上にはAdmiral Makarovが損傷したとの複数の報告が寄せられている。 (2212-110423)

 11月05日 11:15

 ロシア軍は動員兵を活用してドネツク攻勢を再開しようとしているようであるが、作戦に及ぼす大きな成果を達得られないと見られる。
 ロシア軍はヘルソン州での敗走を回避するため、ドニプロ川西岸からの秩序ある撤退をしようとしている。
 ロシアの兵力増強による多額の出費が引き続きロシア経済に重くのしかかり、社会的緊張を生み出す可能性が高い。
 イランは、イラン製の兵器へのロシアの依存を利用して、核計画に関するロシアの支援を要求している可能性がある。
 ロシア軍は、深刻な士気問題に対応するために、脱走兵に対して極端な措置を行っている可能性がある。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がクレミンナとスヴァトーブの方向に反撃を続けたと見ている。
 ロシア軍はヘルソン州で既存および新規の防御線を構築し続けている。
 ロシア軍はバクムット、アウディーイウカ、ドネツク市周辺で攻撃を続けている。 (2212-110505)

 11月05日 18:39

 ウクライナのデジタル転換省のデュビンスキー次官が5日までにオンラインで共同通信の単独インタビューに応じ、偽情報の拡散を阻止するためIT軍がロシアの防衛産業や大統領府に近いメディアなど約8千に上る目標にサイバー攻撃したと明らかにした。
 ロシア政府系天然ガス企業ガスプロムやクレムリンへの攻撃は「成功した」と言う。
 ウクライナのIT軍は正規の軍ではなく身元を特定できない集団で、推定215,000名の規模と見られている。 (2212-110508)

 11月06日 08:30

 DNRのホダコフスキー軍司令官が、ロシアの友軍相撃が5月中旬以降のロシアの総損失の最大60%を引き起こした可能性があると述べた。
 ウクライナ軍がスヴァトーブ~クレミンナの線に沿って反撃していると伝えられた。
 ロシア軍はバクムット周辺を攻撃し続け、何らかの前進をした。
 ロシア軍はアウディーイウカ~ドネツク市地域とドネツク西部で失敗した攻撃を続けている。
 ロシア軍がヘルソン州で強制避難を続け、ヘルソン住民の80%以上が避難したと伝えられている。 (2212-110602)

 11月076日 07:34

 ロシア国営メディアが救急当局の情報として6日、ウクライナ南部へルソン州のロシア占領下にあるノバカホフカダムが、ウクライナ軍による砲撃で損傷したと報じた。
 TASS通信によると、HIMARSから発射されたロケット弾がダムの水門に命中して破損したという。 ロイタはこの報道を確認できていない。
 ロシアとウクライナは10月以降、ダムを破壊して下流域を浸水させ、ヘルソン市周辺に大きな被害をもたらす計画を立てているという非難の応酬を繰り返している。 (2212-110703)

 11月07日 09:30

 ロシアのミルブロガーが、ロシアの第155海軍歩兵旅団がドネツク州のパブリフカへの最近の攻撃で深刻な損失を受けたと強調している。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がスヴァトーブとクレミンナの方向に反撃を続けたとした。
 ロシアの反体制派筋は、ルハンシク州マキイフカ近郊でのウクライナの砲撃で、1日で最大500人のロシア人動員兵が殺害された可能性があるとした。
 ヘルソン州で、ロシア軍がドニプロ川の西岸で防御陣地を強化し続ける一方、ウクライナ軍はロシアの兵站阻止作戦を続けている。
 ロシア軍はバクムット、アウディーイウカ、ヴフレダールの近くで攻撃を行った。
 ロシアの情報筋は、ロシア軍がバクムット近くのウクライナの防衛線を突破し、アウディーイウカの南で僅かな成果を上げ、ドネツク州西部のパブリウカの近くに食い込んだままであると主張した。
 ウクライナ人職員が、11月5日にザポリージャ原発 (ZNPP) への2本の外部電力線を修理し、11月3日に砲撃にり切れていた施設の電源が電力供給を再開した。
 ロシアの占領当局は、ヘルソン州での民間人の強制移住を正当化するため、カホフカ水力発電所に対するウクライナ軍の攻撃にによる危険を引き続き持ち出している。 (2212-110704)

 11月07日 09:32

 ロシアの独立系メディア複数が6日までに、ウクライナ東部ルガンスク州で、動員令によって招集されたロシア中部ボロネジ州の予備役で編成された1個大隊が、3日間続いたウクライナ軍の砲撃でほぼ全滅し、500人以上が戦死した可能性が高いと報じた。
 生存者や親族の証言を総合すると、11月1日に「領土防衛隊」として前線の15km手前に到着し、隊員らは深夜に前線へ展開し塹壕を掘るよう命じられたが、スコップは多くて「30人に1本」しかなく、手で掘らざるを得なかったという。
 部隊は武器も殆ど装備していなかったといい、証言によって幅はあるが、560~570人規模とされる部隊のうち「無傷の29人、負傷した12人を除く全員が死亡し、生存者は31人だった」などと伝えられている。 (2212-110705)

 11月08日 01:21

 ロシア国防省が7日、ロシア海軍の歩兵部隊がウクライナ東部で甚大な損失を被ったと報告する公開書簡について、内容を否定すると共に、ロシア軍は逆に進撃したと表明した。
 この公開書簡はロシアの太平洋艦隊第155海兵旅団が極東沿海地方のコジェミャコ知事に宛てたもので、軍事ブログGray Zoneが内容を公表したもので、ドネツクの南西でウクライナ軍に対する「理解しがたい」攻撃に投入されたとし、4日間で300人の死傷者が出たほか、装備の半分が失われたと指摘している。
 更に指揮官を名指しした上で、自身のキャリアアップにしか興味がなく、部下を「肉」のように扱うと非難した。
 これについて国防省は声明で、多くの人命と装備が失われたとの主張を否定し、旅団長が無能だったとの主張も明確に否定して、10日間で海兵隊はウクライナ軍の防衛域内に5km以上前進したと表明した。
 一部のロシアの軍事ブロガーはSNS上で50万人を超えるフォロワーを持ち、9月にウクライナ軍に北東部の大部分を奪還されて以降、ロシア軍の指揮官に対する批判を強めている。 (2212-110802)

 11月08日 06:45

 ウクライナのゼレンスキー大統領が7日、東部のドネツク地域はなお戦闘の中心地になっており、毎日数百人のロシア兵が戦死していると述べた。
 東部ドネツク州ではバフムトとアウディーイウカが戦闘の中心地になっている。 (2212-110804)

 11月08日 07:26

 ウクライナ空軍の報道官は、ロシアが購入したと報道されているイランのBMへの対応に、西側諸国から新たに供与された防空システムが寄与するだろうと述べた。
 その上で、ウクライナがイラン製のBMを発射直前に破壊するかもしれないとの見方を示した。 ミサイル発射はロシア国内から行われる可能性が高い。
 報道官によれば、イランのBMは射程が300kmと700kmで、ウクライナにとってロシアは侵攻当初からIskanderを使用していることから目新しくないという。 (2212-110805)

 11月08日 08:43

 ウクライナ軍が7日、ヘルソン市でロシア軍が民間人が退避して空き家となった家屋を占拠して市街戦の準備をしていると主張した。
 ロシアはウクライナ軍の攻勢を理由にヘルソンの住民らに退避を勧告してきた。
 ロシア軍については、民間人の家屋を占拠して民間人の服を着用して、屋内で市街戦に向け態勢を強化していると指摘している。
 またロシア兵は住民やインフラ施設に対して略奪や窃盗を働き、機器や食料、車をロシアに運んでいるとした。 (2212-110807)

 11月08日 09:30

 ロシア太平洋艦隊の第155海軍歩兵旅団から報告された大規模な損失と不適切な指揮についての多くのミルブロガーからの抗議に応えて、国防省が11月7日に珍しく声明を発表した。
 Wagnerの創始者プリゴジンやチェチェン共和国首長カディロフなどロシアのシロヴィキ派は、厳密に戦争に勝つためではなくロシアと占領下のウクライナでの個人的な利益を得るため影響力を高めている。
 ロシア軍は高精度兵器の備蓄を使い果たし、莫大な航空損失を被っており、ウクライナの重要なインフラに対するロシア軍の組織的な作戦は現在のペースを維持するのに苦労する可能性がある。
 ロシア軍はハリコフ州北東部の国境にウクライナ軍を拘束しようとしている。
 ロシアの情報筋が、ウクライナ軍がスヴァトーブ方向で反撃を続けたとした。 またウクライナ軍がヘルソン州方向に集結していると報告した。
 ロシアの情報筋が、ロシア軍がクレミンナの西で失地回復のために限定攻撃を行ったとした。 また傀儡軍とWagner Gp.軍がビロホリフカの郊外に入ったと主張した。 更にロシア軍はバクムット周辺、アウディーイウカ-ドネツク市地域、およびドネツク州西部で攻撃を続けている。
 ウクライナ軍は、ザポリージャ州のロシアの集結地域に対して限定的な阻止攻撃を行った。 (2212-110809)

 11月08日 10:00

 ロシア海軍歩兵隊が11月4日までに、ウクライナ東部でのウクライナ陣地への2日間にわたる攻撃で兵士63人を失ったとされている。
 これは規模が小さいロシア海軍歩兵隊にとって1990年代のチェチェン紛争以前にさかのぼっても、明らかに一つの軍事作戦としては最悪の損失になる。
 ロシアの海兵隊である「海軍歩兵」はウクライナ軍との8ヵ月にわたる消耗戦を経て残った最高の部隊に含まれていた。 (2212-110810)

 11月09日 09:45

 イランの情報筋がロシアの合意なしに、ロシアの国家安全保障会議のパトルシェフ書記が11月8日にテヘランに到着し、イラン製BMのロシアへの売却を打診していた可能性が高いと発表した。
 Wagner Gp.軍が傀儡軍やロシア軍より優れていると主張するため、ドンバスでの成果を誇張している。
 ウクライナ軍はルハンシク州のスヴァトベの北西でわずかな成果を上げた可能性が高く、ロシアの情報筋はウクライナ軍がクレミンナへの攻撃を強化したとしている。
 ロシア軍は、バクムット、アウディーイウカ周辺、およびドネツク州西部で攻撃を続けた。
 ロシアの兵力増強が主にロシアの地方政府の予算に不均衡な財政的負担をもたらし、国民の反発を引き起こしている。
 ヘルソン州のロシア占領当局は、ドニプロ川の西岸での通信を遮断することで住民を州の西部から追い出そうとしている可能性がある。 (2212-110903)

 11月09日 21:43

 米国防総省で政策を担当するカール次官が8日にジョージワシントン大学で記者団の取材に答え、ロシアがウクライナとの戦争でMBTの半数を失い、精密誘導兵器の半数超を使い果たした可能性が高いとの見解を示した。
 またロシアは開戦以来、数万人の死傷者を出したとの見解を示し、これはソ連がアフガニスタンで被った損失に比べ桁違いに多いと指摘した。
 カール次官はロシア大統領府にとってこの戦争は大きな戦略的失敗になったとも指摘し、ロシアは開戦時よりも弱体化した状態で戦争を終えることになるとの見通しを示した。 (2212-110907)

 11月10日 00:33

 ショイグ露国防相が軍に対し9日、ヘルソン市からの撤退を命じた。 ウクライナの反転攻勢を受けるロシアにとって大きな打撃となる。
 ロシアのTV局は、ショイグ国防相がウクライナでの特別軍事作戦を指揮するスロビキン総司令官と開いた協議の様子を放送した。
 総司令官がヘルソン市から撤退しドニエプル川左岸に防衛線を構築するという難しい決断を提案すると、国防相は「部隊の撤退を開始せよ」と述べた。
 だがウクライナ側は、ロシアの発表について懐疑的な見方を示しており、ポドリャク大統領府顧問はTwitterに「ロシアが戦わずにヘルソンから撤退する兆候はない」と投稿し、ショイグ国防相の命令を「演出されたTV声明」と呼び、ロシアの発表が策略である可能性を示唆した。 (2212-111002)

 11月10日 02:19

 国営通信社Ukrinformなどウクライナのメディアが9日、ロシア軍がヘルソン州のドニエプル川西岸地域にある支流の橋を次々と爆破していると報じた。
 東岸に撤退する準備に入ったとの見方が出ている。 Ukrinformはヘルソン州議会議員の話として、ロシア軍が西岸の橋すべてを爆破していると報じた。
 一方、ロイタ通信は9日、橋の爆破はロシア軍ではなくウクライナ軍の破壊工作によるものだとする軍事専門家の見方を伝えた。
 西岸のロシア軍と東岸に駐留するロシア軍とを分断する狙いがあるという。 (2212-111003)

 11月10日 10:44

 ショイグ露国防相が9日にヘルソン市から撤退しドニエプル川東岸に防御線を構築するよう命令したが、方ウクライナ側によると、民間インフラ施設を狙ったUAV攻撃が急増している。 これに対しウクライナ側は独自のC-UAVを開発し、およそ8割の確率で撃墜しているという。
 ウクライナ国家警備隊は民間の技術者と協力して、改造された軍用車に機関銃を搭載した独自の対空兵器を作って対抗している。 (2212-111006)

 11月10日 11:15

 ロシア国防省が、11月9日にドニプロ川西岸のロシア軍に東岸への撤退を開始するよう命じた。
 ヘルソンの戦いは終わったわけではないが、ロシア軍はウクライナの反撃を完全に止めようとせず逐次に渡河してウクライナ軍を遅滞させる新段階に入った。
 ロシアのミルブロガース界での主流は、ロシアが9月中旬にハリコフ州からの惨めな撤退をしたことを教訓に、スロビキン特別軍事作戦総司令官の命令を支持している。
 ロシアのパトルシェフ国家安全保障会議長官が11月9日にテヘランでイランの高官と会談し、イラン製BMの売却やその他の協力について協議する可能性がある。
 ロシアとウクライナの情報筋は、スヴァトーヴェ~クレミナ高速道路とルハンシク州のビロホリフカに沿って戦闘が続いていると報告した。
 ウクライナ軍はヘルソン市の北東で国土を回復し、阻止作戦が成功している。
 ロシア軍は、バクムット、アウディーイウカ周辺、およびドネツク州西部で攻撃を続けている。
 ロシア占領下のヘルソン州副首長ストレモソフ氏が、ロシア軍がヘルソン州の西岸からの撤退を発表した日に自動車事故で死亡した。 (2212-111007)

 11月10日 11:47

 チェチェン共和国のカドイロフ首長が、ロシア国防省がヘルソン州の一部で軍を撤退させた決断について支持を表明した。
 カドイロフ氏は、ウクライナ侵攻を統括するスロビキン総司令官が、包囲されていた1,000人の兵士を救ったと述べた。
 カドイロフ首長はロシア国防省とウクライナ侵攻の指揮官をたびたび批判していた。 (2212-111008)

 11月10日 18:58

 英BBC放送が米統合参謀本部議長のミリー大将が9日にニューヨークで講演し、2月のロシアによるウクライナ侵攻開始以来、ロシア兵の死傷者が10万人を超え、ウクライナ兵を含めれば20万人以上が死傷したとする推計を明らかにしたと報じた。  ミリー大将は、ロシア軍の死傷者は優に10万人を超え、ウクライナ側も恐らく同じだろうとし、民間人の死者も約4万人に上ると推定した。 その上で、交渉を通じた停戦実現には「戦争での勝利は軍事的手段によって達成できないかもしれず、他の手段を検討すべきだという相互認識が必要だ」と述べた。 (2212-111013)

 11月10日 19:35

 ロシア軍のウクライナ侵攻作戦総司令官のスロビキン上級大将が9日、ドニプロ川西岸からのロシア軍撤退に関連し、「ヘルソン市や隣接する複数の集落が現在陥っている戦況では十分な補給や必要な機能維持などが見込めない」ことが理由になったとの見解を示した。
 総司令官は「ウクライナ軍が今年8月から10月にかけてヘルソンで失った兵員は9,500人以上」とも説明し、ロシア側の損失より7~8倍多いとも付け加えたが、この主張の独自の立証はあり得ない状況となっている。
 最近、2ヵ所の前線で突破を果たしてヘルソン市へ躙り寄っていたウクライナ軍に対し、ロシア軍は同川東岸にある陣地の強化を始めていた。 (2212-111014)

 11月11日 07:18

 ウクライナ南部ヘルソン州の州都ヘルソン市の地元メディアが10日に住民の話として、9日に撤退命令を受けたロシア軍がヘルソン市で、電気や暖房などのインフラを破壊した疑いがあると報じた。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は10日夜のビデオ演説で、南部戦線から「良いニュースがある」と紹介し、41集落がロシア軍から解放され、ウクライナ国旗が戻ったと強調した。 (2212-111104)

 11月11日 10:00

 ロシア軍が11月10日にドニプロ川東岸に撤退しウクライナ軍がヘルソン州で着実に前進したが、ロシアの撤退は完了するまでに時間がかかるため、ウクライナ軍の前進には特にヘルソン市周辺で事前に準備されたロシアの防衛線に阻まれ、ヘルソン州全体で戦闘が続くであろう。
 ただウクライナは主導権を握っており、ヘルソンでの大勝利を確実にしつつある。
 ISWは、ウクライナでの戦闘が冬の天候のために停止または膠着状態に入るとの西側の誤った予測を評価していない。
 ウクライナ空軍司令部広報官が、ロシア軍はウクライナのインフラに対する攻撃のペースを遅らせる可能性が高いと述べた。
 ウクライナ軍は、スヴァトーブ~クレミンナ線で反撃を続けている。
 ロシア軍は、バクムット、アウディーイウカの近く、およびドネツク西部で攻撃を続けた。
 ロシア軍はクリミアとウクライナ南部に第二線の防御陣地を構築し始めた。 (2212-111105)

 11月11日 13:01

 ウクライナ軍が10日、ロシアが自軍に撤退命令を出した南部ヘルソン州の州都ヘルソン市周辺で大きく前進したと発表した。
 ウクライナ軍によると、ヘルソン市の北50kmに位置する町スニフリウカを奪還したという。 ウクライナ政府も、ヘルソン市近郊の2つの前線でロシア軍を大きく押し戻し、場所によっては7km前進したと主張している。
 ロシア国防省の発表は同国の大きな後退を示すものだと見なされているが、ウクライナ当局は懐疑的で、撤退命令が罠である可能性があると警告している。
 ヘルソンからのロシア軍の大規模撤退を直ちに示す証拠は得られていない。 (2212-111109)

 11月11日 15:38

 マリウポリでは侵攻直後から数ヵ月間にわたり激しい戦闘が続いた結果、かつて人口43万人だった町は徹底的に破壊され、現在では推計で数万人にまで減少した。  BBCの分析によると、ロシアが侵攻して以来、マリウポリ郊外の墓地には4,600基以上の墓が建てられ、さらにここ数ヵ月で1,500基増えたという。 (2212-111110)

 11月11日 18:36

 ウクライナ公共放送が11日に地元住民の話として、ウクライナ南部のヘルソン州で、ドニエプル川を親露派が支配する東岸に渡る唯一の橋であるアントノフスキー橋が崩壊したと報じた。
 公共放送が公開した写真では、橋の全ての部分が崩れてなくなっている。
 ロシアは9日にドニエプル川の西岸から東岸に撤退すると表明しているが、現時点で崩壊の原因は不明である。 (2212-111111)

 11月11日 19:48

 ロシア国防省が11日にTelegramの公式チャンネルで、ロシア軍が05:00にウクライナ南部ヘルソン州のドニプロ川西岸地域からの撤退を完了したと発表した。
 ただ、ウクライナ軍が市内に入ったことを示唆する情報はない。 (2212-111112)

2・1・7 ロシア軍のヘルソン撤退

2・1・7・1 ロシア軍のヘルソン撤退(その1)

 11月12日 00:49

 ウクライナ国防省情報総局が11日にヘルソン市に入り、ロシア軍が侵攻開始直後の3月から占領していた同市を取り戻したと明らかにした。
 情報総局はヘルソン市に残っているロシア兵に対し投降を呼びかけている。 (2212-111201)

 11月12日 03:31

 ウクライナ軍がヘルソン市内に入った。
 ヘルソン市中心部の広場に市民が集まりウクライナ国旗を振り、ウクライナ軍兵士を歓迎する様子がSNSに投稿されている。
 ウクライナ国防省情報総局は軍のヘルソン入域を確認し、ゼレンスキー大統領はTelegramで、今では「ウクライナの」支配下にあると宣言した。
 プーチン大統領は撤退についてこれまで公にコメントしておらず、ペスコフ大統領報道官は、撤退が「スロビキン司令官の提案で、ショイグ国防省が決定した」と記者会見で説明し、撤退決定からプーチン氏を切り離そうと努めている。 (2212-111202)

 11月12日 07:50

 Maxar社が11日に公表した衛星画像で、ウクライナ南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所のダムの一部が破壊された様子が明らかになった。
 New York Times紙によると、ヘルソン市周辺からのロシア軍撤退に伴い変化が見られたが、ウクライナ軍が奪還しても利用できなくする焦土作戦の可能性がある。 (2212-111203)

 11月12日 08:00

 ウクライナ軍は、ヘルソン州のドニプロ川西岸の奪還を完了し、11月11日にヘルソン州全域を獲得し、今後数日間かけて西岸の支配を強化するであろう。
 ロシアのミルブロガーは、ロシア軍のドニプロ川左岸への撤退についてロシア国防相の声明を批判したが、一般的に落ち着いた態度をとった。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がルハンシク州クレミンナとスヴァトーブへの反撃を継続し、ルハンシク州後方のロシア兵站を目標にしたとしている。
 ロシア軍は、バクムット、アウディーイウカ、ヴフレダール周辺で攻撃を続けた。
 ウクライナ軍は、ザポリージャ州へのロシア軍集結地を攻撃目標にし続けた。
 Wagner Gp.の資金提供者であるプリゴジンは、ロシア領土へのウクライナによる侵攻の脅威がないにもかかわらず、ベルゴロド州とクルスク州(註:ロシア西部でウクライナと接する州)で並行した防御線を構築し続けている。
 ウクライナのパルチザンはロシアの占領当局を攻撃目標にし続けている。 (2212-111204)

 11月12日 10:05

 ウクライナ政府のクラウドファンディングサイトで、「2022年10月29日に海軍のUSVがロシア艦を攻撃し3隻を損傷させた。この中には、ロシア黒海艦隊の旗艦であるフリゲート艦Admiral Makarovも含まれていたことを初めて認めた。 ロシアは掃海艇が損傷したことを認めたが、それ以外の艦艇については被害を認めていない。 Admiral Makarovが大きく損傷したことを独立した立場から確認した情報はない。
 クラウドファンディングの目標は、こうしたUSV 100隻からなる艦隊を編成し、自国海域の防衛やロシア艦船の出港の阻止、商船の保護、秘密任務の実施に使われるとしている。
USV 1隻のコストは$250,000と推計されている。 (2212-111206)

 11月12日 14:40

 ウクライナ軍が反転攻勢を仕掛ける東部ルハンスク州の主要都市セベロドネツクの行政当局幹部がウクライナのTV局の取材に答えた。 この幹部によると、ウクライナ軍は同州スワトベ市やさらに北へ離れた地域の周辺で一定の戦果を得ている。
 スワトベの西方や南方へ前進しており、ロシア軍の弾薬庫なども破壊しているという。 ただ、ルハンスク州の全ての最前線では交戦が続いているとした。
 同州クレミンナ市、ルビージュネ、セベロドネツクにリシチャンスク市はいずれもスワトベからは南方に位置し、ロシア軍が今年の春と夏に激しい戦闘などの末に掌握していた。
 ウクライナ軍は現在、これら4地域から数哩以内に進出しているという。
 ロシアはルハンスク州の一方的な併合を宣言している。 (2212-111208)

 11月12日 17:32

 ウクライナの国営電力企業Ukrenergoが12日までに、ロシア軍によるエネルギー関連施設への波状攻撃を受け電力供給が最も脆弱な地域は首都キーウの州と北東部ハルキウ州になっているとの現状認識を示した。
 同社のCEOは7日に地元TV局で、5波にわたる大規模攻撃と多数の小規模攻撃により給電を実施できる状況は厳しいとの見方を表明している。 (2212-111209)

 11月12日 17:46

 ロシア軍がヘルソン市からの撤退完了を発表したのは11日で、撤退を命じてからわずか2日後であったことから、英国防省は12日、ロシア軍のヘルソン市からの撤退作業は先月下旬に始まっていた可能性があるとの分析を公表した。
 ウクライナのレズニコウ国防相は当初、撤退には最低でも1週間はかかると見ていたが、英国防省によるとヘルソン市の親露派が市民に避難を促した10月22日の時点で既に軍の撤退が開始されいた可能性があるという。
 ロシア軍が市民の避難に合わせ、民間人の服を着た兵士や装備品を退避させていたと考えるのが現実的だとしている。 (2212-111210)

 11月12日 18:39

 ウクライナのゼレンスキー大統領が11日、ヘルソン市に軍の特殊部隊が市内に入り、軍本隊も市近郊に迫っていることを明らかにした。
 大きな痛手を受けたロシアだが、撤収に合わせ、ヘルソン州内のダムや橋などインフラの破壊を試みたとも伝えられている。
 ウクライナメディアが、ヘルソン州の西隣にある南部ミコライウ州の知事も11日、州内のほぼ全ての地域がロシア軍から解放されたと明らかにしたと報じた。 (2212-111211)

 11月13日 05:30

 ロシアの情報筋はウクライナ軍がクレミンナとスヴァトーブの方向に反撃を続けているとした。
 ロシア軍はバクムット、アウディーイウカ、ヴフレダールの方向に攻撃を続けている。 (2212-111301)

 11月14日 09:30

 ベラルーシに駐留するロシア軍は、ベラルーシ人との間で社会的緊張を生み出している。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がクレミンナとスヴァトーブで反撃しているとした。
 ウクライナ軍は、ヘルソン州のドニプロ川西岸の確保を強化し続け、東岸ベリスラフの南50kmのチャプリンカにあるロシア軍基地を攻撃した。
 ロシア軍はバクムット、アウディーイウカ、ヴフレダールの方向を攻撃し、ロシア国防省はロシア軍がバクムットの南東にあるマヨルスクを占領したとした。
 ロシア軍はザポリージャ州とドニプロペトロウシク州の最前線の集落を砲撃し続け、Iskanderでザポリージャ市を攻撃した。
 ロシア軍と占領当局はメリトポリ、ザポリージャ州で男性を強制動員し、市内に塹壕と防御陣地の建設を強制している。
 ウクライナ当局は、ロシア軍がドニプロ川東岸から撤退し、ザポリージャ州のメリトポリとドネツク州のマリウポリに部隊と装備を集結させていると述べた。 (2212-111401)

 11月14日 10:26

 ウクライナ軍は13日、7日から13日の一週間だけで南部へルソン州とミコライウ州で179の町や村を解放したと発表した。
 一方、ザポリージャ州知事はロシア軍がへルソン州の方向などからザポリージャ州のメリトポリに移動していると述べた。 周辺に防御陣地を構築しているとの情報も出ている。
 またゼレンスキー大統領は、ロシア軍かが東部ドンバス地方について攻撃のペースを弱めず、激しい戦いが続いているとしながらも「我々の防衛ラインは突破させない」と強調している。 (2212-111402)

 11月14日 11:43

 ウクライナのゼレンスキー大統領が、ウクライナ軍が反転攻勢を続ける南部ヘルソン州について、「ロシアによる400件以上の戦争犯罪の記録があり、民間人と軍人両方の遺体が発見されている」と指摘し、「全ての殺人者を見つけて、責任を追及する」と強調した。
 こうしたなかロシアの独立系メディアのメドューザが、軍事会社Wagnerの元戦闘員が裏切り者として処刑された疑いがあると報じた。
 この元戦闘員はウクライナで投降した際に、「ウクライナ側として戦う」などと話したという。
 これに先立ちSNS上には元戦闘員が処刑される様子を撮影したとする動画が投稿されている。 処刑動画の投稿は、見せしめの狙いもあるとみられる。
 元戦闘員は殺人罪で服役中、Wagnel創設者のプリゴジン氏に勧誘され、戦闘員になったという。
 プリゴジン氏はこの件について「犬は犬死にする」などとコメントし、関与を示唆している。 (2212-111403)

 11月14日 17:10

 ウクライナのゼレンスキー大統領が14日、ウクライナ軍が奪還した南部ヘルソン州の州都ヘルソン市を訪れて部隊を視察し戦果を誇示した。
 大統領は13日のビデオ演説で、露軍が撤退する際に破壊したヘルソン市の水や電気などのインフラの復旧を急いでいることを明らかにし、ヘルソン州内で226の集落で治安を回復しつつあり、当局が400件以上に及ぶロシア軍の戦争犯罪の捜査に乗り出したことにも言及した。
 さらに13日は合計5州で露軍からミサイル攻撃や空爆を受けたことを明かし、東部の「ドネツク州で、戦闘が激しくなっている」と述べた。
 一方、ヘルソンで撤収を余儀なくされたロシア軍は東部ドネツク州で激しい戦闘を続けており、東部の占領地域の拡大に注力する様相を見せている。
 ロシア国防省も13日に、ドネツク州中部にあるマイオルスク村を占拠したほか、他方面の戦闘でウクライナ軍を撃退したと発表した。 (2212-111405)

 11月14日 21:20

 ウクライナのゼレンスキー大統領が14日にウクライナ南部のヘルソン市を訪問した。
 ロシア大統領府報道官は14日、ゼレンスキー大統領のヘルソン訪問については「コメントを差し控える」とした上で、「周知の通り、この土地はロシア連邦の一部だ」と強調した。 (2212-111407)

 11月15日 07:15

 ウクライナ南部ザポリージャ州メリトポリのフェドロフ市長がTelegramへの投稿で13日、ロシア軍が占領中に同市を「巨大な軍事基地」に変えたと述べた。
 メリトポリにはヘルソンやザポリージャ州トクマクからロシア軍が到着しているという。
 フェドロフ市長は「メリトポリ市の周辺に要塞が建設されている」と述べ、ロシア軍は接収した地元の住宅や学校などで暮らし、住宅地に軍装備品が配備されているという。
 更に民間人はメリトポリの飛行場周辺への接近を禁じられているという。 (2212-111504)

 11月15日 10:30

 ロシア軍はドネツク州での攻撃を強化し、バクムット周辺とドネツク市の南西に進出したと主張した。
 ロシア国防省が、ヘルソン州西岸からの撤退したロシア軍が11月13日と14日にドネツク州で戦果を拡大したことから、ドネツク州での作戦を強化しているを強調している可能性がある。
 ロシアのミルブロガーは、ゼレンスキー大統領が11月14日にヘルソン市を訪問したことから、前日よりもヘルソン州西岸からのロシア軍撤退を批判している。
 ウクライナ軍はスヴァトヴェ~クレミンナ線で反撃を続け、ビロホリフカの近くでロシア軍と交戦した。
 ロシア軍はハリコフ州北東部での失地回復に失敗した。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がキンバーンスピットへの襲撃に失敗したと主張した。 (2212-111506)

 11月15日 11:56

 ストルテンベルグNATO事務総長が14日、ウクライナにとって今後数か月が試練になると述べ、ロシアの軍事力を過小評価するべきではないと警告した。
 ストルテンベルグ事務総長は、プーチン露大統領の狙いは、ウクライナに寒くて暗い冬を迎えさせることだ」と指摘したうえで、ロシアを過小評価する過ちを犯してはならないと述べ、ロシア軍は大きな軍事力と兵力を保持していると警鐘を鳴らした。 (2212-111507)

 11月15日 13:57

 ロシアによるウクライナへのミサイル攻撃は10月に激しく継続して行われたが、ウクライナ空軍はミサイル攻撃に小康状態がみられると明らかにした。
 空軍の報道官によれば、依然として前線の町にはロケット砲やS-300 SAMによる攻撃が行われており、弾道軌道の種類のミサイルも発射しているという。
 ロシア軍は12日には爆撃機から複数のKh-22を発射して攻撃を行ったという。
 報道官は「過去1週間、CMやShahed UAVの使用を目撃していない。 ロシア軍は兵器不足から大規模な空爆を継続的に実施できなくなっている」と述べた。
 Iskander SRBMやKh-555、Kh-101などのCM、特にKalibr CMが不足しているとみられるという。
 報道官によれば、10月にはKalibr CMは15回使用されたが、Kalibr CMは素早く製造して配備するということができないという。 (2212-111509) 【註】

Kh-22: 1950年代初期に開発された射程600kmのCM。 NATO名AS-4
S-300: 露軍の主力長距離SAM。 BMやCMに比べて高価、弾頭は対空用。
Kh-555: 1978年に初飛行したKh-55 (AS15) の通常弾頭型
Kh-101: Kh--555の後継として開発されたステルスCM。 Kh-102は核弾頭。
Kalibr: 3M-14、533mm魚雷発射管から発射できる露軍の主力CM
 11月16日 03:19

 ロシア軍が15日、ウクライナ南部ドニエプル川からの撤退加速の兆候を見せる一方、ウクライナの各都市にミサイル攻撃を行った。
 ウクライナ空軍の報道官によると、ロシア軍は夕方までにウクライナに100発のミサイルを発射したという。
 今回のミサイル攻撃はウクライナ侵攻で最も激しいもので、主要な10都市で空襲警報が鳴り響き、爆発が発生した。
 こうした中、ヘルソン州第2の都市ノバ・カホフカでロシア設置の行政機関が、務めている職員が数千人の住民とともに避難したと発表した。 (2212-111601)

 11月16日 03:57

 ロシア軍が15日、ウクライナ南部ドニエプル川からの撤退加速の兆候を見せる一方、ウクライナの各都市にミサイル攻撃を行った。
 ウクライナ空軍の報道官によると、ロシア軍は夕方までにウクライナに100発のミサイルを発射したという。
 今回のミサイル攻撃はウクライナ侵攻で最も激しいもので、主要な10都市で空襲警報が鳴り響き、爆発が発生した。
 こうした中、ヘルソン州第2の都市ノバ・カホフカでロシア設置の行政機関が、務めている職員が数千人の住民とともに避難したと発表した。 (2212-111602)

2・1・7・2 ロシア製ミサイルがポーランドに着弾

 11月16日 03:57

 AP通信が米情報当局の高官の話として、ロシアのミサイルがポーランドに着弾し2人が死亡したと報じた。 (2212-111602)

 11月16日 04:06

 ポーランドが11月16日早くに、ロシア製のミサイルがポーランド東部に落下し、2人が死亡したと発表した。
 ポーランド政府報道官は同国軍の一部が警戒態勢に入ったと述べた。 また同国外相はロシア大使を召喚し、詳細について直ちに説明するよう求めた。 (2212-111603)

 11月16日 04:23

 ポーランドのモラウィエツキ首相が、臨時の国家安全保障会議を招集した。
 一部メディアは、ロシアのロケット弾がポーランドに着弾し2人が死亡したと報じた。
 ポーランド政府報道官はTwitterで、未確認情報とした上で会議招集の正確な理由については説明を避けた。
 AP通信は、匿名の米情報当局高官の話としてロシアのミサイル2発がポーランドに着弾し、2人が死亡したと報道。
 またポーランドのラジオ局Zetも国内でのミサイル着弾について、ウクライナとの国境から4哩(6km)の地点にロケット弾が落下したと報じた。 (2212-111604)

 11月16日 05:20

 ロシア国防省がTelegramに投稿した声明で、ミサイルがポーランドの領土に着弾したという報道について、緊張の高まりを狙った「意図的な挑発」だと一蹴した。
 同省は爆発が報告されたウクライナとポーランドの国境付近に兵器を向けたことはなかったと主張し、報道で示された破片はロシアの兵器と一致しないと指摘した。 (2212-111607)

 11月16日 05:22

 米国防総省の報道官ライダー空軍准将は、ポーランドのプシェボドフ村にロシア製ミサイルが落下し2人が死亡した事件について承知しているが詳細は不明であるとした。
 またポーランドに駐留する6,500名以上の米軍が動くか否かについての質問にも答えられないとした。 (2212-111608)

 11月16日 05:45

 ウクライナに近いポーランド東部の村で爆発が起き、その衝撃で2名が死亡した事件では、直後からSNS上に損害の状況が投稿されているが、ポーランド政府はまだ公式発表をしていない。
 しかし、もしロシアがポーランドをミサイルで攻撃したのであればNATO条約の第5条適用となりNATOとロシアの戦争になる。 (2212-111609)

 11月16日 06:48

 CNN取材班が、ウクライナとの国境近くでの爆発によって死者が出たポーランドのプシェボドフに入った。
 現場は警察が道路を封鎖しているため記者は現場に立ち入ることができない。
 爆発を引き起こした飛翔体がどこから飛んできたのかは不明だが、着弾したのはロシアによる大規模なウクライナへのミサイル攻撃とほぼ同時だった。
 地元住民によれば、飛翔体が町の上空を飛行した際には恐ろしい「ヒュー」という音が聞こえたという。 (2212-111611)

 11月16日 08:24

 欧米メディアによると、ポーランド外務省は、同国に着弾したのはロシア製ミサイルだと明らかにした。 (2212-111612)

 11月16日 11:40

 バリ島で開かれた主要7ヵ国(G7)とNATOの首脳会合の終了後の16日に、滞在先のバリ島で記者団の取材に応じたバイデン米大統領が、ポーランド東部での爆発について、「ミサイルの軌跡から考えるとロシアから発射されたとは考えにくい」と述べた。
 「爆発の調査でポーランドを支援することで合意しており、何が起きたか正確に把握するつもりだ」とも強調した。 (2212-111616)

 11月16日 11:56

 ポーランドに着弾したミサイルについてポーランドのジャーナリストは関係者の情報として、ウクライナが迎撃したミサイルの残骸が落下した可能性が高いと報じている。 (2212-111617)
【註】事件現場のPrzewodów村付近はGoogle Earthで見ると広大な田園地帯に小さな集落がポツン、ポツンと点在する地域で、残骸が落下する可能性があるのはほぼ畑の中で、村落に落下する可能性は極めて低いと思われる。 しかも人の近くに落ち2人が死亡する可能性は皆無に近い。
 とすると、このミサイルは集落か車両を目標にして突入したはずである。
 更に落下物が爆発し2人が死亡したとの報道からすると、残骸ではなく、弾頭が爆発したと見るのが合理的である。

 11月16日 12:30

 ロシア軍は開戦以来、ウクライナの重要なインフラに対して大規模なミサイル攻撃を実施し、おそらく高精度兵器の相当部分を射耗してしまったようである。
 ポーランド政府は、ロシア製ミサイルと思われるものが、ウクライナとの国境から6km以内のポーランドに着弾したと発表した。
 伝えられるところによると、ロシア軍司令官は焦りから既定のヴーレダール方向への攻撃計画を無視し、訓練不十分な援軍をパヴリフカへの難しい攻撃に投入し、ロシアの軍事指導部への批判の原因をつくった。
 ロシア人が動員問題への不満を表明するためにSNSをほ活用し、組織化されたオンライン反戦運動を高めた可能性がある。
 ロシアの情報筋によると、ウクライナ軍がスヴァトーブとクレミンナの方向に反撃を続け、ルハンシク州後方のロシアの兵站線を攻撃しているとした。
 ロシア軍はバクムット、アウディーイウカ、ヴフレダール付近で攻撃を続けた。
 クリミアからウクライナ南部へのロシア軍の兵站線はかなり劣化している。
 物資が減少するロシア軍は、ベラルーシから装備の供給を続けている。 (2212-111618)

 11月16日 13:35

 NATO軍関係者が15日、同日にポーランド上空を飛行していたNATOの航空機が、同日ポーランドに着弾したミサイルをレーダで追跡していたことをCNNに明らかにした。
 このミサイル追跡の情報はNATOとポーランドに提供されたと語ったが、ミサイルを発射した主体や発射地点に関する情報ついては語らなかった。
 NATOの航空機はロシアのウクライナ侵攻以降、ウクライナ周辺で定期的に監視活動を行っている。 (2212-111619)

 11月16日 18:52

 NATOが16日、ポーランドのウクライナ国境近くに15日にミサイルが着弾し2人が死亡したことを受けて緊急会合を開く。
 NATO関係者によると、バイデン米大統領は着弾したのはウクライナの迎撃ミサイルだったと主要7ヵ国 (G7) とNATO加盟国に伝えた。
 RIA通信によると、ロシア国防省は16日、ポーランドが公開した残骸の写真から、専門家がウクライナ空軍のSAMだと特定したと表明した。 (2212-111621)
【註】東方向から飛んでくるロシアの経空脅威に対して発射されたウクライナのSAMが西に飛んでポーランドに落ちたとは考えにくい。
 また、もし何らかのトラブルでウクライナのSAMが西に飛んだとしても、殆ど人気のない地域で人的損害を出すとは考えづらい。

 11月17日 00:15

 ウクライナ国家安全保障国防会議のダニロフ書記が16日、ポーランド東部で発生した爆発についてポーランド政府とNATOはウクライナの迎撃ミサイルが原因としているが、ウクライナはロシアの痕跡を示す証拠を持っていると述べた。
 ダニロフ書記はどのような証拠に基づいたのか詳細は明らかにしていない。 (2212-111701)

 11月17日 01:38

 ポーランドに15日に落下したミサイルは、ウクライナ軍のS-300である可能性が高いことが明らかになった。
 ポーランドに落下したミサイルについて、ロシア国防省はウクライナ軍のS-300だと主張している。
 専門家によると、ウクライナ西部を狙ったロシア軍のミサイルの迎撃を試みたものの、トラブルで制御不能になり、国境を越えた可能性が高いという。 (2212-111703)

 11月17日 03:10

 InterFax通信が、ウクライナウクライナのゼレンスキー大統領が16日に、ポーランド東部で2人が死亡した爆発の原因はウクライナのミサイルではないと確信していると述べたと報じた。
 ゼレンスキー大統領は「極めて信頼度の高い」ウクライナ軍からの報告に基づいて、爆発はロシアのミサイルによるものとの結論に至ったとし、「原因がウクライナのミサイルでなかったことに疑う余地はない」と述べた。
 また、ウクライナは当然、爆発現場への立ち入り調査に参加する権利を有しているとの見解を示した。 (2212-111704)

 11月17日 06:22

 CNN TVが米当局者の話として16日、ポーランド東部にミサイルが着弾した問題を巡り、ウクライナ軍がその時間帯に現場周辺でSAMによりロシア軍が発射したミサイルの迎撃を試みていたと米国に認めていた。
 ロシア軍が15日にウクライナ全土をミサイル攻撃していた。
 現場で見つかった残骸とこのSAMが同じものかは不明だが、米国はNATOの情報を補完する重要な状況証拠の一つと見なしている。 (2212-111706)
【註】ウクライナのSAMによる迎撃で機体に損傷を受け、予めセットされていた目標への飛翔ができなくなったロシアのミサイルが本来の目標から外れ、ポーランドとの国境を越えてプシェボドフ集落を目標と誤認し突入した可能性も考えられる。

 11月18日 06:49

 15日19:40にロシアのミサイルがポーランド領土に落下し2人が死亡したというAP通信の速報が流れ、欧州全体が驚愕した。
 「本当にロシア軍が撃ったミサイルがポーランドを攻撃したのか」(BBC)など、主要海外メディアは全欧州と世界を破滅へと導く戦火の拡大という不吉なシナリオを頭の中から消そうと努め、速報に速報を重ねた。
 北大西洋条約第5条は、「一国に対する攻撃は、加盟国すべてに対する攻撃」とみなして対応せよとはっきり示しているため、ロシアがポーランドに意図的な攻撃を加えたのなら、NATO加盟国は力を合わせて立ち向かわなければならない。 それは、この9ヵ月間のロシアとウクライナ戦争が、ロシアとNATO戦争へと拡大することを意味した。
 最初の報道が流れてから7時間半後のバリ時間で16日09:53、中部欧州標準時で16日02:53にG20サミットに出席していたバイデン大統領が口を開き、「軌跡から見てロシアから発射されたものではないようだ」と述べた。
 その後ストルテンベルグNATO事務総長が記者会見を開き、「ロシアの攻撃を防ごうとしたウクライナ防空システムのせいで発生したもの」とし「ロシアもNATOを攻撃する意図はないようだ」という「予備結論」を下した。
 全世界を第3次世界大戦の恐怖に陥れたポーランドのミサイル事態が終わった瞬間だった。 (2212-111802)

2・1・7・3 ロシア軍のヘルソン撤退(その2)

 11月17日 00:16

 ウクライナ軍南部方面軍報道官が15日に地元TVに対し、同国南部ヘルソン州のドニプロ川東岸で防御を固めるロシア軍が河岸から15~20kmまで後退していると述べた。
 西岸地域の奪還に成功したウクライナ軍は攻勢を強めており、東岸の一部地域からは住民が退避を始めている。
 TASS通信などによると、ロシアが同州に設置した「政府」が15日、カホフカ水力発電所のダムに近い東岸の都市から行政職員も退避したと明らかにした。
 また、ロシアが任命した同州の「暫定知事」は15日にロシア国営TVに対し、同発電所が発電を停止したと説明した。
 同州の「政府」関係者はミサイル攻撃で「大規模な損傷」を受け、復旧に1年以上かかる可能性もあるとした。 (2212-111702)

 11月17日 08:35

 米統合参謀本部議長のミリー陸軍大将が16日の記者会見で、ロシアのウクライナ侵攻に関して「ロシアがウクライナ全土を征服するという戦略目標を実現できる可能性はゼロに近いが、ウクライナが軍事的に勝利することも当面ないだろう」と指摘した。
 ミリー大将は「防衛に関して、ウクライナ軍は大成功を収めているが、攻撃に関しては、9月以降にハリコフ州とヘルソン州で成功したが、全体から見れば小さな地域で、ウクライナ全土の20%を占領するロシア軍を軍事的に追い出すことは非常に難しい」と指摘した。
 その上で「ロシア軍は大きなダメージを受けており、政治的判断で撤退する可能性はある」と述べ、攻勢に出ているウクライナにとっては交渉の好機だとの考えを示した。 (2212-111709)

 11月17日 10:19

 ベラルーシが16日、ウクライナから飛来したUAVを撃墜したと明らかにした。
 南部ピンスクの国境警備隊は、国境まで100mの地点で、ベラルーシ領内に入ってきた4ロータUAVを発見し、銃で撃墜したとしている。
 国営Belta通信は、南東部ゴメリも今月、UAVを撃墜したと報じている。 (2212-111710)

 11月17日 10:30

 Wagner Gp.の資金提供者であるプリゴジンは、野心的な政治的目標を追求する可能性が高く、超国家主義社会の中心人物としての地位を確立し続けている。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がスヴァトーブとクレミンナの方向で反撃を続けているとした。
 ロシア軍はバクムットとアウディーイウカの近く、およびドネツク州西部で攻撃を続けた。
 ウクライナ軍は、ウクライナ南部のロシア軍と兵站線を攻撃し続けている。
 ルハンシク州とドネツク州におけるロシア軍の士気と心理状態が非常に低いとの複数の報告がある。
 ロシア当局は、占領地の代理役人をロシア当局に置き換え、住民を強制的に移住させ、占領地域をロシアと統合する努力を続けている。 (2212-111712)

 11月17日 18:01

 英国防省が17日、ウクライナ全土で15日にあったロシア軍のミサイル攻撃について、最大で80発が長距離ミサイルによるもので、主に電力インフラを標的としたとする分析を公表した。 (2212-111717)

 11月18日 08:15

 ウクライナ軍南方作戦司令部によると、ロシア軍はドニプロ川東岸に置く防御線の増強を続けるとともに、部隊の再編成を行っている。
 ロシア軍はドニプロ川東岸へ撤退したが、カホフカ周辺のロシア軍陣地を目標にウクライナの砲撃は続いていているが、カホフカの町でロシア軍はインフラ施設に爆発物を仕掛け、携帯電話の中継塔を破壊していると同司令部は説明した。
 ロシア軍の砲撃は中部ドニプロペトロフスク州のミリブカ、マルハネッツ、ニコポルなど川を挟んでさらに北の地域に対して続けられたという。
 また、黒海ではロシアは展開する海軍のCM搭載艦を増やして現在は3隻で、うち1隻は水中におり、Kalibr 24発による一斉射撃が可能だという。 (2212-111803)

 11月18日 09:45

 ヘルソン州東部のロシア軍は、ウクライナ軍の阻止作戦に対して部分的に脆弱である可能性がある。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がスヴァトーブ~クレミンナ線に沿って反撃を続けているとした。
 ロシア軍はバクムット、アウディーイウカ、ドネツク市の南西周辺で攻撃を続けている。
 ウクライナ軍は11月17日に、ヘルソン州の東岸とザポリージャ州の後方にあるロシアの装備と部隊の集結地を引き続き攻撃目標にしている。 (2212-111804)

 11月18日 10:30

 ウクライナ軍の第92機械化旅団が、ドンバス地方のセベロドネツクから北西に48km離れたロシアが占領している町スバトボの近くで、ロシアの徴集兵で編成され前線に押し出された第362自動車化狙撃連隊を、前線投入と同時に殺害している。
 第362自動車化狙撃連隊と姉妹連隊の第346連隊は、ウクライナの第92機械化旅団のセベロドネツクへの進軍を止めることはできないまでも、遅滞させるためスバトボ周辺の戦線を維持するよう命令されている。
 スバトボへの配属はロシアの徴集兵にとってまさに死刑宣告で、連隊はわずか12日間で兵力の半分にあたる2,500人を失ったと、ある徴集兵が傍受された通話で話した。 (2212-111805)

 11月19日 07:40

 英国防省が定例の情報ブリーフィングで18日、ドニプロ川西岸から撤収したロシア軍は、占領地全域で兵力の再整備、再編成、防御準備を続けていると明かした。
 更に、部隊はクリミア半島の国境付近やドネツク州~ルハンスク州間のシベルスキー・ドネツ川付近に新たに塹壕線を構築したとし、これらの地域の一部は現在の戦線より最大で60km後方に位置しており、ウクライナ軍のさらなる主要突破に備えていることを示唆するとコメントした。
 また「ロシアはヘルソンから撤収した兵力の一部を、ドネツク州のバフムト村付近で攻勢を強化拡大するため、再配置を試みる可能性がある」との見方を示した。 (2212-111906)

 11月19日 10:30

 ロシア軍は、ウクライナ軍がスヴァトーブ~クレミンナ線に沿って反撃を続けるのに対抗して、ルハンシク州の後方地域を強化すると共に、失地を回復しようとしている。
 ロシア軍は、バクムットとアウディーイウカの近く、およびドネツク州西部で限定攻撃を続けた。 (2212-111907)

 11月19日 18:30

 米統合参謀本部議長のミリー陸軍大将が19日に、ウクライナ支援を協議する関係諸国との国際会合後にオースティン米国防長官と共に臨んだ記者会見で、ロシアはウクライナ戦争で全ての目標達成に失敗しているとの戦況判断を示した。
 ミリー大将は、ロシアがウクライナ全土の制圧、その後のウクライナ東部ドンバス地方の支配固めを重視する戦略への転換、中南部ザポリージャ州や南部ヘルソン州の占領を狙う作戦など侵攻開始時での目標達成に失敗したと指摘した。 (2212-111909)

 11月20日 10:30

 伝えられるところによると、ロシア軍は占領下のルハンシク、ドネツク、ザポリージャ州東部で、ヘルソン州からの部隊と動員兵で陣地を強化している。
 米国の情報当局者が、ロシアとイランの当局者が11月初旬にイランのUAVをロシア国内で製造する契約を締結したと述べた。
 ウクライナ軍は、スヴァトーブ~クレミンナ線で反撃を続けている。
 ロシア軍はバクムット周辺で多大な損害を出しているにもかかわらず、バクムット、アウディーイウカ、およびドネツク市の西周辺で攻撃を続けている。
 ロシア軍は、ケルチ海峡橋が一部使用不可能になってるなか、ウクライナ南部の兵站線周辺を強化している。
 ロシアの囚人の数は、おそらくWagner Gp.の大規模な採用により、2022年1月以降6.5%減少した模様である。 (2212-112004)

 11月20日 15:33

 ウクライナ南部ヘルソン州では、ウクライナ側が西岸地域を奪還したドニエプル川を挟んでロシア、ウクライナ両軍が対峙し、ロシア側が住民と部隊を移動させた東岸への進撃を図るウクライナ側が、東岸の最西端にあるキンブルン半島上陸を狙う一方、ロシア軍は阻止する構えである。
 ドニエプル川河口に位置するキンブルン半島の先端は、対岸の港町オチャコフから数㌔しか離れていない。
 ロシア軍撤退後の11日に西岸にウクライナ軍はヘルソン市に入ったが、ドニエプル川の橋は破壊され、東岸への進攻は容易ではない。 (2212-112005)

 11月20日 18:43

 国際原子力機関 (IAEA) のグロッシ事務局長が20日に声明を発表し、ウクライナ南部ザポロジエ原発で19~20日に砲撃によるとみられる十数回の爆発が起きたと明らかにした。
 IAEAによると、爆発は原発敷地内とその周辺で発生した。 放射能漏れは起きておらず、原子炉の安全に影響はないものの、いくつかの建物や設備が損壊した。
 グロッシ事務局長は「まったく受け入れられない」と述べ、「実行者が誰であれ、直ちにやめるべきだ」と強調した。 (2212-112008)

 11月21日 09:49

 ウクライナのゼレンスキー大統領が20日夜のビデオ演説で、東部ドンバス地域で激しい戦闘が続いたと語った。
 ロシア軍は今月、南部ヘルソンから撤退後、一部兵力を東部に移動させたとみられている。
 ゼレンスキー大統領は「最激戦はドネツク州で起きている」とし「東部だけでロシアからの砲撃が1日に約400回あった」と主張した。
 ルガンスク州ではウクライナ軍が徐々に前進しており、南部では防衛線を維持し、ロシア軍の戦力を計画的に破壊していると明らかにした。 (2212-112105)

 11月21日 10:30

 ウクライナ中央軍事情報局 (GUR) は11月20日、ベラルーシ軍にウクライナでの戦争に参加するよう圧力をかけるために、ロシア軍の特殊部隊がベラルーシの重要なインフラ施設への偽旗攻撃を計画していると報告した。
 ウクライナ軍参謀本部は、ベラルーシ突入部隊を観察していないとしているが、ISWはベラルーシ軍がウクライナに侵攻する可能性は低いと引き続き見ている。
 ロシアとウクライナの情報筋は、11月20日にスヴァトーブ~クレミンナ線に沿って進行中の戦闘を報告した。
 ロシア国防省は、ルハンシク州のノボセリフスケ地域にウクライナ軍が集結していると主張した。
 ロシア国防省は以前にも集落に対するウクライナの攻撃を撃退すると主張しており、この主張は、ウクライナ軍が集落に前進したことを示している可能性がある。
 ロシア軍は、バクムット、アウディーイウカ、およびドネツク西部の方向で攻撃を続けている。
 ウクライナ当局は、ロシア軍がドニプロ川の東岸から他正面に一部の部隊を移動させたが、依然としてヘルソン州南部で重要な部隊を維持していると報告した。
 ウクライナとロシアの情報筋は、砲撃がザポリージャ原発 (ZNPP) のインフラに損害を与えたと報告した。
 あるロシアのミルブロガーは、砲撃は工場の南にあるロシアが支配する地域から行われたと主張したが、ほとんどのロシアの情報筋はウクライナを非難している。 (2212-112106)

 11月21日 11:53

 英ロンドンを訪問しているウクライナ国防次官のハウリロウ退役少将が19日、英Sky Newsとの会見に応じ、ウクライナ軍がクリスマスまでにクリミア半島に進撃し、2023年春には戦争を終わらせることができると主張した。
 ハウリロウ次官は「ロシア国内で予期せぬ大きな変動が起き、ウクライナに有利な環境が生じる可能性も排除できない」とし、「たとえそうした事件がなくても、ウクライナ軍が年末までにクリミアに到達することができるだろう」と述べた。
 ただ、ロシアのウクライナ侵攻から1年目となる来年2月24日までに戦争が終わるかという質問には「現実的にそれよりは時間がかかるだろう」としながらも、「個人的には春が終わる前にこの戦争が終わりそうだと感じている」と答えた。 (2212-112107)

 11月21日 20:43

 ロシア西部レニングラード州知事が19日にSNSで、サンクトペテルブルク郊外を走る天然ガスパイプラインで大規模な爆発が発生したことを明らかにした。
 19日の爆発について州知事は「パイプラインの圧力低下が原因だ」と指摘したが、ロシア軍がウクライナのエネルギー施設を集中攻撃する中、露国内でも類似事例が相次いでいる。
 ロシアのニュースサイトは、黒海に面した南部ノボロシスク港にある大規模石油ターミナルが18日夜にウクライナ軍のUSVで攻撃されたと報じた。
 ターミナルの管理会社は攻撃自体を否定した。 ノボロシスク港は露海軍黒海艦隊が艦艇の退避先に使っている。 黒海艦隊の母港は10月下旬にウクライナ軍のUSVで攻撃された。
 ウクライナとの国境に近い露西部オリョール州の知事も16日、州内の石油貯蔵施設がUAVによるとみられる攻撃を受けたとSNSで明らかにした。 (2212-112113)

 11月22日 09:45

 2日間の砲撃でザポリージャ原発は広範な被害を受けた。
 ロシア政府が情報統制を強化している。
 ウクライナ諜報機関はロシア軍特殊部隊がベラルーシの重要なインフラへの偽旗攻撃を計画していると報告したが、ベラルーシ軍にウクライナでの戦争に参加するよう圧力をかけることに失敗する可能性が高く、ISWはベラルーシ軍が戦争に参加する可能性は低いと評価している。
 あるウクライナ当局者が、ウクライナ軍がムィコラーイウ州のキンバーンスピットで作戦を行っていることを認めた。
 ウクライナ軍は、気象条件が悪化するなか、ウクライナ東部で反撃を続けている。
 ロシア軍はバクムットとアウディーイウカの近くで攻撃を続けた。
 ウクライナ軍がウクライナ南部のロシア軍の集積所を攻撃し続けている間に、ロシア軍はドニプロ川の南でヘルソン州で防御準備を行い要陣地を強化し続けている。 (2212-112203)

 11月23日 01:35

 ショルツ独首相が22日、ウクライナ情勢がエスカレートする可能性に備える必要があるという認識を示した。
 ショルツ首相は「戦争の進展状況や目に見えて拡大しているロシアの失敗を踏まえると、われわれは情勢のエスカレーションに備えなければならない」とし、インフラの破壊も含まれる可能性があると述べた。
 さらに、今月初めの中国訪問で、ウクライナでの核兵器使用への反対姿勢を習国家主席と共同で明示したことには価値があったと述べた。 (2212-112303)

 11月23日 03:26

 ロシアから派遣されているクリミア半島セバストポリのラズボザエフ知事が22日にSNSで、対空防衛システムが作動し、2機のUAVを撃墜したことを明らかにした。
(2212-112304)

 11月23日 07:41

 ウクライナのゼレンスキー大統領が22日にフランスの地方自治体首長らの会合でオンライン演説し、ウクライナの都市や集落など3,700ヵ所以上の拠点が露軍に一時的に占領されたものの、これまでに1,800ヵ所以上を奪還したと明らかにした。
 一方で「解放しなければならない拠点がなお2,000ヵ所残っている」と指摘し、領土解放を続ける意思を表明し、国際社会に支援を求めた。 (2212-112307)

 11月23日 10:30

 ロシア政府は、ベルゴロド州での偽旗攻撃の準備をしている可能性がある。
 ロシア軍は高精度ミサイルの兵器を大幅に使い果たしたが、それでもウクライナのインフラを脅かす可能性がある。 また高精度兵器の備蓄補充に苦労している可能性がある。
 ベラルーシの首相はイランを訪問し、経済協力と安全保障関係の可能性について話し合った。
 ロシア軍の動きからロシア軍がザポリージャ東部とドネツク州西部の陣地を強化している可能性が高いことを示唆している。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がスヴァトーブ~クレミンナ線に沿って反撃作戦を続けたとした。
 ロシア軍はバクムットとアウディーイウカ付近を攻撃し続けている。
 クリミア占領当局は、半島のロシアの兵站線 (GLOC) に対するウクライナ軍の攻撃とキンバーン岬での戦闘に不安を高めている。 (2212-112309)

 11月23日 18:45

 英国防省が23日、ロシアは9月以降に数百機のイラン製UAVをウクライナに対する攻撃に使い、ウクライナ軍の拠点や電力網のほか、最近では医療施設も標的にしているとし、ミサイルの不足を補うためにUAVを使っていると英国防省は分析した。
 その上で11月17日ごろから、自爆型のUAVによる攻撃が報告されておらず、保有していたUAVをほぼ使い切ったと見ている。
 英国防省は一方、ロシアが追加供給を模索しているとも指摘し、自国でミサイルを製造するよりも早く外国からUAVを調達する可能性があるとしている。 (2212-112311)

 11月24日 04:46

 オースティン米国防長官が23日、ロシア軍はウクライナ侵攻当初から兵站に苦戦してきたとし、ウクライナ軍により軍需品の保管施設が攻撃されたため、利用可能な弾薬の残量に若干の問題が生じ始めたと述べた。
 ロシア軍は、地上部隊の進軍前に大量の砲弾を撃ち込むなど、砲撃に大きく依存した作戦を展開しているが、オースティン長官はそのような作戦を維持できるような弾薬が残っているかどうかはわからないと述べた。
 また、ロシアの精密誘導弾の供給が9ヵ月間にわたる侵攻で著しく減少していると言明し、マイクロチップなどの輸出入制限のため、弾薬を早急に補填することができないとの見方を示した。 (2212-112406)

 11月24日 08:45

 ロシア軍は、ウクライナの重要なインフラに対して、別の一連の大規模なミサイル攻撃を実施した。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がクレミンナとスヴァトーブの方向に反撃を続けたとした。
 ロシア軍はバクムットとアウディーイウカ周辺で攻撃を続けた。
 ロシア軍はヘルソン州のドニプロ川の東岸で防御を続けた。
 ロシア軍と占領当局は住民を強制移住させ、彼らの財産を没収し続けた。 (2212-112414)

 11月24日 17:16

 ウクライナのゼレンスキー大統領が24日にフランス語圏諸国で構成する国際組織での演説で、ロシア軍が侵攻を開始以降今月20日時点で、ウクライナ国内に撃ち込んだミサイルは4,700発以上に達すると述べた。
 一方、ウクライナ軍は23日にSNS上で、ロシア軍が23日にウクライナの重要インフラ施設へ70発もの大規模なミサイル攻撃を仕掛けたが、このうち51発を撃墜し、攻撃型UAV 5機も撃墜したと述べた (2212-112416)

 11月26日 11:00

 フォーブスの調査によると、ウクライナでの戦争がロシア連邦の年間予算に深刻な影響を及ぼしている。
 あるウクライナ当局者が、ウクライナ軍がクリミアでイランの軍事顧問を殺害し、イラン軍を攻撃目標にすると警告したことを確認した。
 ロシア軍指導部が、ロシアがウクライナでの戦争に勝つために500万人を動員する必要があると述べた文書を回覧しているもようである。
 ロシア軍はスヴァトーブの北西で失地回復のため限定反撃を行った一方、ロシアの情報筋はウクライナ軍がクレミンナへの反撃を続けたとした。
 ロシア軍はバクムットとアウディーイウカ地域で攻撃を継続しているが、ロシアはバクムット地域での進展の欠如の責任をそらすための情報を操作している可能性がある。
 ロシア軍は、ヘルソン州のドニプロ川の南と、クリミアとヘルソン州南部を結ぶ重要な補給路の周辺で防御を強化している。
 ロシアの情報筋と当局者は動員の可能性を否定しながら、おそらく2回目の部分的な動員を試みようとしている。 (2212-112607)

 11月26日 11:31

 ウクライナ国家安全保障国防会議のダニーロフ書記が24日に英Guardian紙の取材に応じ、クリミアでロシア軍にイラン製自爆UAVの使用法を指導しているイラン人を攻撃して処断したと主張した。 正確に何人が攻撃対象になったかは明かさなかった。
 ダニーロフ書記はさらに「このイラン人らはロシアが不法占領したわれわれの領土に来て、ロシアに協力し、わが国への破壊行為に参加した」とし、「これからも戦争に関与するイラン人は追加で標的になるだろう」と警告した。 (2212-112609)

 11月26日 20:56

 ロシア系独立メディア「バージュニエ・イストーリイ」が25日、ロシアで動員された兵士の死傷者が来夏までに10万人に達する可能性があるとの予測がロシア政府内部で出ていると報じた。 軍参謀本部と情報機関の連邦保安局(FSB)にそれぞれ近い2人の人物が情報源だという。
 ロシア国防省は10月28日、30万人を動員したと発表しており、バージュニエ・イストーリイは、動員兵の死傷者を10万人とするロシア政府内での予測が現実になれば、動員兵の3人に1人が殺されるか負傷することになるなどとしている。 (2212-112617)
【註】この報道については朝日新聞以外では見当たらない。  ロシア系独立メディア「バージュニエ・イストーリイ」については、ネット「kibounohosi34@gekkoukamen7のコメント一覧 - NewsTwit」上に「出所元のバージュニエ・イストーリイというメデイアが架空のもの?ネット上に存在しない。」との投稿が出ている。
 11月27日 05:45

 ウクライナでの作戦の進展は、戦域全体が凍結するため、今後数週間で上がる可能性がある。
 ロシア当局は、ウクライナの子どもたちをロシアに強制連行し続けている。
 ロシア当局は、Wagnerのプリゴジン氏の影響力の高まりに対抗しようと、ロシア軍を強化しようとしている可能性がある。
 ロシア軍は、ウクライナのインフラに対する攻撃で核弾頭型のKh-55 CM(通常弾頭型はKh-555)から核弾頭を外して使用している可能性が高く、ロシア軍の高精度兵器の枯渇を浮き彫りにしている。
 ロシア軍は、スヴァトーブ~クレミンナ線で行われているウクライナ軍の反撃に対する防御を継続している。
 ロシア軍はバクムットとアウディーイウカの方向で攻撃を続けた。
 ロシア軍はヘルソン州東部に防御陣地を構築し続けている。 (2212-112703)

 11月28日 07:13

 英国防省が27日公表の最新のウクライナ情勢分析で、ロシアは東部ドネツク州中南部地域を 今後の攻撃拠点として重視しているもようだが、状況を打破するだけの質を誇る部隊を集めることは困難だとの見方を示した。
 同地域での攻防では、ロシア海軍歩兵部隊に多大な被害が出ているという。
 英国防省は、ウクライナ軍、ロシア軍とも同地域に戦力を投入しているものの、双方の支配領域は過去2週間ほぼ変化していないとしたうえで、「ロシアが作戦上の局面打開に必要な質を備えた兵力を集結させることは恐らくできない」と分析した。
 ウクライナ軍参謀本部は27日、ドネツク州などで前日の戦闘だけで600人のロシア兵が死亡したと推計した一方、ロシアが来月10日から追加動員を計画しており、準備を進めているとの情報を入手したと発表した。 (2212-112805>)

 11月28日 07:30

 ウクライナの参謀本部は、スヴァトーブ~クレミンナ線のロシア軍がクピャンスク周辺で防御し、クレミンナの西で攻撃を行っていると報告した。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がスヴァトーブとクレミンナに対する反撃を続けたと報告した。
 ロシア軍はアウディーイウカ周辺で攻撃を続けた。
 ウクライナ軍参謀本部は、ウクライナ軍が11月27日にバクムット周辺での攻撃を撃退したとの報告がないことから、ロシア軍がその地域で前進した可能性があるとした。
 ロシア軍は、ドニプロ市、クルィヴィーイ・リーフ、ザポリージャ市を打撃した。 (2212-112806)

 11月28日

 戦争研究所が27日、ウクライナ南部ヘルソン州のドニエプル川東岸を拠点とするロシア軍が、ウクライナ軍の渡河を想定して地上戦に備えている可能性が高いと指摘した。
 衛星写真などから、ロシア側は河口のキンブルン半島へのウクライナ軍の上陸は防げないと判断していると分析し、半島と陸続きの内陸部に塹壕を掘り防衛線を築こうとしているとした。
 東部ドンバス地域とクリミア半島を結ぶ陸路を保持したいロシアにとって、ドニエプル川東岸部の死守は至上命令とされ、ウクライナ軍が東岸への渡河に成功すれば、全体の戦局に影響しそうである。
(2212-112810)

 11月29日 06:57

 ウクライナの親露派勢力が、ロシア政府がウクライナ中南部のザポリージャ原発からの撤退を計画しているとの見方について「積極的に偽情報を拡散させている」と否定した。
 親露派当局はSNSへの投稿で、「この情報は現実に即していない」とし、ザポリージャ原発は依然としてロシア軍の支配下にあると述べた。
 ウクライナ国営原子力企業Energoatom社のコティン総裁は27日に、ザポリージャ原発を占拠しているロシア軍が撤退する可能性があるという情報を受け取ったと明らかにしていたが、国際原子力機関 (IAEA) はコティン総裁の主張を裏付ける情報を発表していない。 (2212-112904)

 11月29日 07:09

 ウクライナのゼレンスキー大統領が28日、ロシア軍がウクライナ南部ヘルソン州の30ヵ所の集落を過去1週間で258回砲撃したと発表した。
 また、ヘルソンの北西にあるミコライウ市への給水施設をロシア軍が破壊したと明らかにした。
 ロシア軍はヘルソン州のドニエプル川西岸から撤退したが、対岸の新たな地点からヘルソン市などに対する砲撃を続けている。 (2212-112906)

 11月29日 08:30

 ロシアが11月27日と28日にバクムット周辺のいくつかの集落を占領したとの主張は、ロシアによるバクムットの差し迫った包囲の前兆ではない。
 11月にロシア軍をベラルーシへ配置は、ロシア軍の訓練と情報戦を実施するためである可能性がある。
 ロシア軍は来週、ウクライナ全土で新たなミサイル攻撃を実施する可能性が高いが、これは攻撃頻度を増大すのではなく維持する程度の可能性が高い。
 ロシアの情報筋か゜、ウクライナ軍がクレミンナの西で反撃を続けたと報告したため、ロシア軍はスヴァトーブ周辺のウクライナの反撃に備えている。
 ロシア軍はバクムットの南で徐々に成果を上げている。
 ロシア軍はヘルソン州東部で引き続き陣地を強化し、安全を確立しようとしている。
 ウクライナ軍は、ロシア軍とウクライナ南部の重要な兵站線に沿って攻撃をしている。 (2212-112907)

 11月29日 11:04

 ウクライナのレズニコフ国防相が28日に自身のTwitterで、ロシア軍によるミサイル攻撃の97%は民間施設を目標としたものだったと非難し、「我々はテロ国家と戦っている」と強調した。
 レズニコフ国防相によると、露軍によるミサイル攻撃は2月の侵略開始以降の9ヵ月で16,000発以上に上り、このうち軍施設を狙ったのは500発だけで、12,000発超は郊外や村落に落ちた。
 1,900発は住宅、250発は橋などの輸送基盤、220発はエネルギー施設を狙ったものだった。 (2212-112909)

 11月29日 20:42

 英国防省が29日、ロシア軍が大隊戦術群 (BTG) での運用をこの3ヵ月でほぼ行っていないとの見方を発表した。
 同省によると、BTGはロシア軍がこの10年ほどの間に強化してきた、装甲、偵察、砲撃や後方支援の部隊が統合された部隊で、ロシアの軍事ドクトリンで重要な役割を果たしていたが、大規模な戦闘となっているウクライナへの侵攻では、比較的小規模に歩兵を配置するBTGでは効果的ではないことや、砲を分散配備する方法ではロシアの優位性を十分に発揮できず、更に適任の指揮官がほとんどいないといった弱点が露呈してきているという。 (2212-112914)

 11月30日 08:30

 ロシア軍が11月29日にバクムット周辺で若干の成果を上げたが、ロシアの情報筋が主張する速度でロシア軍が前進した可能性は低い。
 英国国防省がISWの過去の見解どおり、ロシア軍が過去3ヵ月間に大隊戦術群 (BTG) の展開を停止した可能性が高いと報告した。
 ウクライナ軍がスヴァトーブとクレミンナ周辺で反撃したたため、ロシア軍はスヴァトーブ周辺で防御を続けている。
 ロシア軍は失地回復のために、クレミンナの西で限定攻撃を続けた。
 ロシア軍はシヴェルスクとアウディーイウカの近く、及びドネツク州西部で攻撃を行った。
 ウクライナ軍がウクライナ南部のロシア軍集結地を攻撃しているため、ロシア軍はヘルソン州東部の防御陣地を強化し続けている。 (2212-113009)

 11月30日 09:41

 ウクライナ当局者が29日、ウクライナ南部ヘルソン州でロシア軍がドニプロ川西岸の全ての集落に対して砲撃を行っていると明らかにした。
 砲撃の対象となっている集落には最近になってウクライナ軍によって解放された場所も含まれている。
 ヘルソン州議会の議員は記者会見で、ロシア軍がヘルソン市とドニプロ川沿いの全ての集落に対して砲撃を継続していると述べた。
 同議員によれば、死傷者は出ていないものの、主要なインフラに対する攻撃は続いている。 (2212-113010)

 11月30日 09:59

 ウクライナ部隊の将校が11月29日、東部ドネツク州の要衝都市バフムト方面が現在の最激戦地と指摘する一方、ドネツク州の親露派武装勢力トップは28日にバフムトの包囲が近いと主張した。
 戦争研究所は、露軍の一定の前進がみられるものの、露軍が同市の包囲に成功する保証はないと分析している。 (2212-113011)

 12月01日 10:00

 ロシア軍はバフムート周辺で、作戦上重要でない集落を無駄に攻撃する以前の失敗を繰り返している。
 ロシアの国営原子力企業Rosenergoatom社が、ザポリージャ原発の新しい取締役を任命した。
 ロシアの世論調査では、ロシア国民がウクライナ戦争への厭戦意識が広がっていることを示している。
 ロシア軍は、スヴァトーブ~クレミンナ線に沿ったウクライナの反撃から防御する努力を続けている。
 ロシア軍はバフムート周辺で徐々に戦果を上げ、アウディーイウカ~ドネツク市地域で攻撃を続けている。
 ウクライナ当局者は、ウクライナ軍がキンバーン岬で作戦を行っていることを認めた。 (2301-120106)

 12月01日 18:26

 ウクライナの戦況をめぐり戦争研究所 (ISW) が11月30日、ロシア軍がウクライナ東部ドネツク州バフムート周辺で戦力を消耗しているとする分析を公表した。
 ロシア軍は5月下旬以降、一貫して同方面に戦力を注いできたが、得られた戦果は少ないという。
 ISWは、ロシア軍がバフムート方面に注力することで、他の地域でウクライナ軍が反攻しやすくなる可能性があるとしている。 (2301-120112)

 12月01日 19:54

 ラブロフ露外相が1日の会見で、米国とNATOはウクライナに武器を供与し、自らの領土で軍事訓練も提供していることから、ウクライナ戦争に直接参戦しているとの見解を示した。
 また、ウクライナと西側諸国が戦争犯罪と非難しているウクライナのエネルギー施設への攻撃については「われわれがエネルギー施設を無能力化するのは、西側諸国がこれらの施設のおかげで殺傷兵器をウクライナに供与し、ロシア人を殺害できるためだ」と述べた。 (2301-120114)

 12月02日 11:00

 ロシア軍は、スヴァトーブ~クレミンナ線に沿ったウクライナの反撃からの防御を続けている。
 ロシア軍はバフムート周辺で逐次成果を上げ続け、アウディーイウカ~ドネツク市地域で攻撃を行った。
 ザポリージャ州でのロシア軍の動きは、ウクライナ軍の砲撃の増加で重要地域を守れないことを示唆している可能性がある。
 ロシア軍は、ザポリージャ州とドニプロ川の東岸での防衛を支援するためにクリミアに予備軍を保持している。 (2301-120202)

 12月02日 18:11

 ウクライナのポドリャク大統領府顧問が1日に地元TVとの会見で、ウクライナ軍の戦死者について10,000~13,000人と述べ、ウクライナ軍の死者が10万人と述べたEU欧州委員会のフォンデアライエン委員長に反論した。
 フォンデアライエン委員長は11月30日にウクライナ兵10万人と民間人2万人が死亡したと述べたが、その後EUは公式発表から削除している。
 ミリー米統合参謀本部議長も11月上旬に、露軍とウクライナ軍の死傷者数がそれぞれ10万人を超えたとの見方を示していた。 (2301-120207)

 12月02日 22:24

 ウクライナ軍報道官によると、ロシア軍が南部ザポリージャ州の集落数ヵ所から撤退を開始している模様という。
 最近の州内での戦闘で、露軍の軍事施設や弾薬庫などを破壊したとしている。
 またゼレンスキー大統領は1日のビデオ演説で、ロシアとの捕虜の交換でウクライナ軍兵士ら50人が解放されたと発表した。 これまでに1,300人以上が解放されたとしている。 (2301-120208)

 12月03日 03:45

 ウクライナ南部ヘルソン州の親露当局が2日、ドニエプル川東岸の市民の移住拡大の一環として、カホフカ地区からの移動困難者の避難を開始すると発表した。
 カホフカ当局によると、寝たきりの人や体の不自由な人は南東のゲニチェスク地区に移されるという。 (2301-120302)

 12月03日 04:55

 ロシアの独立系メディアMedusaが2日にプーチン政権に近い複数の消息筋の話として、ウクライナが同国経由のロシア産原油と天然ガスの欧州向けパイプライン輸送を保証した場合、引き換えにロシアがウクライナ南部ザポロジエ原発から軍を撤退することを検討していると報じた。
 ロシアは2月の侵攻開始後もウクライナ領内のパイプラインを通じ原油などを欧州に輸出しており、消息筋は原油とガスの輸出は「国家財政に重要だ」と説明したという。 (2301-120303)

 12月03日 06:25

 ウクライナ軍統合参謀本部が2日、南部ザポリージャ州でロシア軍の部隊の一部に撤退する動きがみられると明らかにした。 また、これらの地域の行政職員を避難させる準備を進めているとしている。
 こうしたなかロシアの独立系メディアMedusaが2日、ロシアがザポリージャ原発をウクライナか国際原子力機関 (IAEA) に引き渡す可能性があると報じているた。
 ザポリージャ原発をめぐってはウクライナの原子力企業Energoatom社もロシア軍が撤退準備を進めている兆候があるとしているが、これまでのところロシア側は原発からの撤退を否定している。 (2301-120305)

 12月03日 11:00

 ラブロフ露外相は西側との交渉の基礎として、2月24日の侵略前に行ったのとまったく同じ要求を繰り返し、ペスコフ報道官はウクライナ領土のロシアへの併合を認めるようさらに要求した。
 ウクライナ軍が防空に成功にもかかわらず、ロシア軍は依然としてウクライナのエネルギーインフラに脅威を与えている。
 西側からの追加防空システムがロシアに対し、ウクライナのインフラに対するロシアの空爆に疑問を持たせようとしている。
 ロシア当局は、ザポリージャ原発 (ZNPP) の非軍事化に条件を付けているが、ロシアはこれに従わない可能性が高く、脅威を排除または減少させることはない。
 ウクライナ軍がクレミンナの南西と北西に局地的な突破口を開いた。
 ロシア軍はバフムート地域で僅かに前進を続け、アウディーイウカ~-ドネツク市地域で攻撃した。
 ロシア軍は、ウクライナ軍の砲撃により、ウクライナ南部の後方地域への部隊配置に苦労している可能性がある。 (2301-120307)

 12月03日 15:00

 ウクライナ空軍報道官が2日、ロシア軍による首都キーウや州都などへのミサイルやUAV攻撃が過去1週間ほぼ途絶えている珍しい状態が続いていると報告した。
 大きな被害が生じたミサイル攻撃などは、70発のALCMがウクライナ全土の標的を襲っていた11月23日以降、記録されていないとした。
 報道官は地元TVの取材に、ロシア軍がイランから調達した攻撃型UAV Shahedを使い尽くしたことが一因の可能性があると述べた。 注文して受け取っていた分を既に使い切ったとし、「追加分として1700機程度を新たに発注した懸念が出ている」とも述べた。 (2301-120312)

 12月03日 17:10

 リトアニアのランズベルギス外相が1日に共同通信との面談に応じ、ウクライナはクリミア半島を含めロシアから領土を奪還するつもりだと指摘し、支持する考えを強調した。
 また、制裁で凍結されたロシア資産をウクライナ支援に活用する案や将来的なウクライナのNATO加盟に賛同を示した。 (2301-120313)

 12月04日 08:00

 ウクライナ軍はドニプロ川のヘルソン市対岸に到達したと伝えられている。
 ウクライナ東部の状況は冬が始ったことで、戦闘推移が速くなっている可能性がある。
 ロシアとベラルーシの国防相がミンスクで会談し、二国間安全保障関係をさらに強化した可能性がある。
 ウクライナ軍はクレミンナの北西に前進し続けている可能性が高い。
 ロシア軍は、バフムート周辺、アウディーイウカ~ドネツク市地域、ドネツク西部とザポリージャ州東部で攻撃を続けている。
 ロシア当局はロシアの協力者をオレシキーから避難させたと伝えられた。
 プーチン大統領が10月31日に部分動員の正式な終了を発表したにもかかわらず、ロシア国家警備隊 (Rosgvardia) が動員が継続していることを確認した。 (2301-120404)

 12月04日 11:44

 英国防省が3日にTwitterで、激しい攻防が続くウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトでロシア軍が前進した可能性が高いことを明らかにした。
 ロシア軍はドネツク州バフムト周辺の前線でおよそ15kmにわたって大規模な兵力と火力を投入し、南側に前進した可能性が非常に高いという。
 一方で、ロシアにとって「得られる成果に釣り合わないほど高くついている」と分析し、「バフムトの占領は政治的な目的になった可能性がある」と指摘している。
 バフムトについてウクライナのゼレンスキー大統領は、「最も激しく苦しい状況だ」として、前線で戦う兵士に感謝の意を示した。 (2301-120405)

 12月04日 15:50

 ウクライナ軍はロシア軍が実効支配するへルソン州の東部に到達し、国旗を掲揚したとする動画を公開した。
 ウクライナ軍特殊部隊のCarlsonが3日、兵士らがへルソン州のドニプロ川をはさんだ東側に到達したとする動画をSNSに公開した。
 場所はへルソン市の対岸だとしていて、国旗は前の晩に掲げたという。
 戦争研究所 (ISW) は、「これが事実ならば、ウクライナ軍がへルソン州の東部で作戦を開始する糸口になる可能性がある」と指摘している。 (2301-120406)

 12月04日 21:17

 ウクライナ南部ヘルソン州の知事が3日、ドニプロ川東岸で戦闘が激化する恐れがあるとして、東岸住民に避難を呼びかけた。
 州知事は、ウクライナ軍が奪還した西岸への避難を促しており、普段は住民に禁じているドニプロ川の渡河を、3~5日の日中は認めた。
 ウクライナ軍南部方面軍報道官も4日に公共放送で「ドニプロ川東岸も解放しなければならない。
 地元住民はウクライナ軍が近くにいることを知っている」と述べ、反攻を計画していることを示唆した。
 ウクライナ軍の特殊部隊は3日、東岸でウクライナ国旗を掲げ、橋頭堡を確保したとの動画をSNSに投稿した。
 ウクライナ軍が、東岸奪還に向けた反転攻勢に近く乗り出す可能性がある。 (2301-120411)

 12月05日 08:15

 ウクライナ当局がウクライナ軍が冬期間に反撃を継続することを示唆した。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がクレミンナとスヴァトーブの方向に反撃を続けていると報告した。
 ロシア軍はバクムットとアウディーイウカ周辺で攻撃を継続している。 (2301-120504)

 12月05日 20:38

 英国防省が5日、ロシア軍の爆撃機などによる出撃回数が減少していると発表した。
 同省によると、3月には1日に最高300回ほど出撃していたが、現在では数十回に減少している。
 同省は、出撃回数が減っている理由は、ウクライナの防空システムの脅威、ロシアの航空機が飛行できる時間が限られるようになったこと、天候の悪化の3点を挙げ、「ロシアの地上攻撃戦術は視覚的な識別と無誘導弾に大きく依存しているため、天候の悪い冬の間はロシア空軍の地上攻撃は少ないだろう」とした。
 ロシア軍は戦闘で60機以上の固定翼機を失っていて、すでに多数の爆撃機を失い、最新式の装備にも乏しいことから、今後も低調のままではないかとみている。 (2301-120511)

 12月05日 23:47

 ロシア国防省が5日、国内の空軍基地2ヵ所でウクライナのUAV攻撃があり、軍事要員3人が死亡し4人が負傷したほか、航空機2機が軽い損傷を受けたと発表した。
 ロシア国防省の発表に先立ち、ロシア通信 (RIA) は、モスクワの南東185kmに位置するリャザン州の空軍基地で燃料車両が爆発し、3人が死亡、6人が負傷したと報じていた。
 また、サラトフ州知事は同州のエンゲルス空軍基地で「大きな衝撃音と閃光」があったとのSNS投稿を認めた上で、Telegramに「住宅エリアで緊急事態が発生したわけではない。
 民間インフラに被害はなかった」と投稿し、「軍事施設での出来事に関する情報は法執行機関によって確認されている」とした。
 エンゲルス基地はモスクワの南東730kmに位置し、ロシアの空輸核戦力を収容する2つの戦略爆撃機基地の1つである。
 リャザン州およびサラトフ州はともにウクライナから数百マイル離れている。 (2301-120514)

 12月05日 23:52

 ウクライナ各地で5日にロシア軍による新たなミサイル攻撃があり、大規模な停電が発生している。
 南東部ザポロジエ州では住宅にミサイルが撃ち込まれ、少なくとも2人が死亡、子どもを含む3人が負傷したという。
 北部キーウ州のクレバ知事によると、攻撃によって同州の40%で電力がストップしている。
 また南部オデーサ州では電力が失われたため断水しているほか、ミコライウ市周辺では火災発生の恐れから停電が実施されているという。
 ウクライナ空軍によると、ロシア軍が5日に発射したミサイル70発超のうち60発超を撃ち落とした。
 また政府当局者によると、キーウ市に向けて発射された10発のミサイルのうち9発が撃墜された。 (2301-120515)

 12月06日 04:57

 InterFaxが、ロシア国防省が5日、ロシア国内2ヵ所の空軍基地で同日あった爆発について、ウクライナ軍のUAV攻撃だったと発表したと報じた。
 攻撃されたのはモスクワ南東部のリャザン州とロシア南部サラトフ州にある空軍基地で、UAVはいずれも撃墜したが、その破片の落下や爆発で軍用機2機が損傷し、3人が死亡し、4人がけがをしたとしている。 同省はロシアの長距離爆撃機を狙ったとみている。
 ロシアの独立系メディアは同日、サラトフ州の空軍基地がUAV攻撃され、Tu-95 2機が損傷したと報じた。
 またリャザン州の空軍基地では、タンクローリーが爆発して3人が死亡したと報道されていた。
 いずれもウクライナ国境から400km以上離れた場所で、事実だとすれば国内のかなりの距離まで侵入を許したことになる。 (2301-120603)

 12月06日 05:00

 ロシア軍がスヴァトーブ~クレミンナ線に沿ってウクライナの攻撃から守り続けた。
 ロシア軍はバクムット周辺で徐々に戦果を上げ続けたが、まだ都市を包囲しておらず、アウディーイウカ~ドネツク市地域で攻撃を実施した。
 ロシア軍がドニプロ川西岸にある20以上の集落を砲撃し、ヘルソン市を攻撃し続けた。 (2301-120604)

 12月06日 05:25

 ロシア国防省が、ロシア南西部の航空基地2ヵ所で5日にウクライナによるUAV攻撃があり、3人が死亡したと発表した。
 攻撃を受けたのは、リャザニ州のジャギレボ航空基地とサラトフ州のエンゲリス航空基地で、国防省によると同日朝にウクライナの旧ソ連製UAVが飛来し迎撃されたが、残骸が飛行場に落下し爆発し、ロシア兵3人が死亡、4人が負傷し医療施設に搬送された他、航空機2機が軽度の損傷を受けた。
 また国防省は同時に、同国軍がモスクワ時間の同日15:00(日本時間同9時)頃に「ウクライナ軍の指令システムおよび関連する防衛と通信、エネルギー、軍事施設に対する大規模な攻撃」を実施し「17の目標すべてに命中した」と発表した。 (2301-120605)

 12月06日 17:48

 ロシアの空軍基地2ヵ所に対する攻撃について、ロシア国防省はウクライナのUAVによって実施されたとし、ロシアの防空システムがUAVを撃墜したとも主張しているが、衛星画像や写真からは、リャザン州の基地にいるロシア軍機に一定の損害が出たことがうかがえる。
 このことからウクライナによる長距離UCAV開発の取り組みに注目が集まっている。
 ウクライナ国防省は一連の爆発について公式にコメントしておらず、ウクライナ政府は長距離UCAVが保有兵器に加わったことを認めていないが、国営兵器メーカUkroboronprom社はここ数週間、新型長距離UAVの完成が近いと複数回示唆していた。
 Ukroboronprom社は10月にFacebookでUAVの構造の一部とみられる画像を公開し、航続距離1,000km、搭載重量75kgで、最終仕上げを行っているとの説明を添えていた。
 1ヵ月後の11月24日には別の投稿を行い、UAVの試験が次段階に入り、参謀総長のために電子戦の環境下での飛行試験の準備をしていると述べた。
 さらに12月3日には、同社の広報がウクライナのTVに対して「様々な段階の試験が成功裏に完了した」と明らかにした。 (2301-120611)

 12月06日 18:24

 ウクライナ空軍は5日、SNSで「リャザン州。 何が起きた?」とのコメントとともに、損傷した軍用車両と戦闘機の写真を公開し、関与を示唆した。
 また、ウクライナ側は「ロシアのクルスク州の空軍基地近くの燃料タンクが攻撃された」とする州知事のコメントをSNSで紹介し、黒煙と炎があがる6日早朝のものとみられる映像も公開した。
 ウクライナ側による新たな攻撃の可能性もある。
 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、ロシア軍による70発のミサイル攻撃があり、4人が死亡したと明らかにした。 (2301-120613)

 12月06日 18:44

 ロシアの空軍基地2ヵ所で計3人が死亡した5日のUAV攻撃について、New York Times紙が同日、ウクライナ政府高官が自国の関与を認めたと報じた。
 基地はウクライナのインフラに対するミサイル攻撃の出撃拠点になっていたとされる。 同紙はこれまでで最も明確なロシア領土への攻撃だとした。
 UAV攻撃を受けたモスクワ南東リャザニ州のジャギレボ空軍基地と南部サラトフ州のエンゲリス空軍基地はTu-160やTu-95などロシアの主力長距離戦略爆撃機が配置され、いずれの基地もウクライナ国境から約500km離れている。 (2301-120614)

 12月07日 07:31

 ウクライナ国防省情報総局長のブダノフ氏がウクライナのTVで、ロシアが高精度のミサイルをほぼ使い果たし、これまでのところイランからBMを受け取っていないとの見方を示した。
 「だが我々が現在目の当たりにしているように、ロシア軍は在庫が完全に尽きるまでミサイルを使うことを決めた。
 これはロシアにとって愚かなことで、現地の軍はこの問題に気づいている」と指摘した。
 ただブダノフ氏は「ロシア軍が現在使用しているミサイルの数に比べると極めて少ないが、新しいミサイルを製造している。
 何種類かの高精度ミサイルのみが製造されている」と説明した。
 CNNはロシア軍のミサイルの在庫について確かめることはできない。 (2301-120706)

 12月07日 10:30

 ウクライナ軍は最近ハリコフ州北東部で戦果を上げた可能性が高く、ロシア軍は限定的な攻撃でウクライナの反撃から防御している。
 ロシア軍はバフムートとアウディーイウカの近くで攻撃を続けた。
 ロシアの情報筋は、ロシア軍がバフムートの近くでわずかに前進したと主張しているが、ロシア軍は都市を包囲できていない。
 ロシア当局は、橋桁が修理されたケルチ海峡橋について安全性であると思わせるに情報操作を行っている可能性が非常に高い。
 ロシア外務省報道官は5日、ロシアがザポリージャ原発からの撤退または管理権を別の関係者に移す準備をしているという噂を否定した。
(2301-120707)

 12月07日 20:33

 ウクライナに隣接するロシア中部クルスク州の飛行場で6日に、燃料タンクがUAVによる攻撃で炎上した。
 5日にはロシア中部サラトフ州の重爆撃機が30機以上駐留する戦略的に重要な拠点エンゲリス空軍基地がUAV攻撃され、ウクライナ各地へのミサイル攻撃に使用されるTu-95 2機が損傷した。
 この基地はウクライナから600km以上離れている。
 またモスクワに近いリャザニ州のディアギレボ空軍基地でも5日に燃料輸送車が爆発して3人が死亡した。
 ロシア内外では、内陸部の空軍基地が相次いでウクライナのUAV攻撃を受けたことで衝撃が広がっている。 (2301-120716)

 12月07日 21:22

 戦争研究所 (ISW) が6日、ウクライナ軍が北東部ハルキウ州で僅かにに前進したようだとする分析を公表した。
 ウクライナ軍は9月に同州の大半を奪還したが、ロシアの支配下にある州東部でも反転攻勢を広げている可能性があるという。
 ウクライナ軍参謀本部は5日、ハルキウ州東部の三つの集落周辺で、ウクライナ軍の陣地がロシア軍から砲撃を受けたと発表した。
 ロシア国防省も同日、州東部の別の集落にあるウクライナ軍の司令部を攻撃したと発表した。
 ISWはロシア国防省の発表について、ウクライナ軍がこの集落をすでに制圧したことを不用意にも示してしまっていて、ウクライナ軍の発表も踏まえ、同軍が州東部で支配地を広げている可能性があると結論づけている。 (2301-120717)

 12月08日 00:13

 プーチン露大統領がTV演説で7日、ロシア軍がウクライナで長期間戦う可能性があるが、現時点では追加動員の必要はないと述べた。
 9~10月に実施された1回目の部分動員では30万人が招集されたが、プーチン氏によると、現在ウクライナに投入されているのは15万人で、そのうち77,000人が戦闘部隊、ほかは防衛部隊という。 また残り15万人は訓練センターにいるとした。
 核戦争のリスクは高まっているとしたが、ロシアは核兵器を先制攻撃ではなく報復のための手段とみなしているとし、「われわれは正気を失ったわけではない。 核兵器が何であるかを理解している。 他のどの核保有国よりも高度かつ近代的な核兵器の手段を持っていることは明らかだが、核兵器をかみそりのように振り回しながら世界を駆け回るつもりはない」とした。 (2301-120801)

 12月08日 03:28

 ロシア国防省が5日、モスクワ南東リャザニ州と南部サラトフ州の空軍基地2ヵ所がウクライナのUAVで攻撃され、6日にも3ヵ所目のロシア飛行場がUAV攻撃を受けたと発表したが、ウクライナはこれらの攻撃への直接の関与を認めていない。
 米国家安全保障会議 (NSC) のカービー戦略広報調整官は7日、ロシアとウクライナの戦争の拡大を懸念しているとしつつも、米国がウクライナに供与した兵器をどのように使用するかを巡る決定を含め、米国はウクライナの主権を尊重すると言明した。 (2301-120803)

 12月08日 07:08

 ウクライナ軍によるとみられるロシア本土の空軍基地へのUAV攻撃では、防空網を突破し内陸の奥深くまで500km以上も進入しており、ウクライナ軍が保有する航続距離150kmのトルコ製Bayraktar TB2では不可能なため、ソ連時代に開発された無人偵察機の改良型が使用されたという見方が出ている。
ロシア国防省は発生当日の5日、ウクライナ軍の攻撃とすぐさま「ソ連製のUAVで攻撃された」と発表した。
 ロシアの政権系メディアによれば、Tu-141無人偵察機が転用されたとみられている。
 ウクライナのメディアによると、Tu-141はソ連時代にウクライナ北東部ハリコフの工場で生産され、1979年から使用されており、もともと航続距離400kmだったが、2014年のロシアによる軍事介入後、改良されて航続距離が1,000kmまで延び再投入されたとされる。
 ウクライナの国営防衛企業Ukroboronprom社は10月に、航続距離1,000kmのUCAVの開発が最終段階にあると明らかにした上で「年末までにウクライナ人も敵ロシアも驚かせる」と宣言していた。 (2301-120805) 【註】Tu-141 無人偵察機

・全  長: 14.33m
・翼 端 長: 3.88m
・全備重量: 6,215kg
・巡航速度: 1,000km/h
・航続距離: 1,000km
・実用上昇限度:6,000m 
 12月08日 07:01

 ウクライナ南部のヘルソン州とザポリージャ州、東部ドネツク州などで6日から7日にかけてロシア軍の攻撃が続き、民間人の死傷者が報告された。
 ウクライナ軍はこの間に、イラン製Shahed-136 UAV 14機を撃墜したと発表した。  さらにロシア製Orlan-10 UAV 1機と、未確認の2機も撃ち落としたという。
 CNNは真偽を独自に確認できていない。 (2301-120807)

 12月08日 09:00

 プーチン露大統領は、ウクライナでの征服戦争が長期にわたるのに備えている。
 ストルテンベルグNATO事務総長はISWの以前からの主張どおり、2022年から2023年の冬の作戦停止がロシアに有利であるとコメントした。
 ロシア軍が3週間ぶりにShahed-136 UAVを使用した。
 ベラルーシにウクライナでの戦争に参加するよう圧力をかけるロシアがベラルーシ軍と摩擦を引き起こしている可能性がある。
 ロシア軍は、ハリコフ東部とルハンシク州西部で攻撃速度を上げている可能性が高い。
 ロシア軍は、バクムットとアウディーイウカ~ドネツク市地域で攻撃を続けた。
 ロシア軍は、ヘルソン州東部で防御しながら部隊の配備変更を続けている。
 独立系のロシアのメディアは、ロシア当局の否定声明にもかかわらず、動員が継続されていると報じている。
 ロシア占領当局は、ドネツク州のマリウポリをロシア軍の後方軍事および兵站基地に変えている可能性が高い。 (2301-120809)

 12月08日 09:44

 ウクライナ軍参謀本部が12月7日、ロシア軍がウクライナ東部で攻勢を強めているため、ウクライナの都市や集落の20ヵ所程度が激戦地になっていることを明らかにした。
 このためロシア軍は毎日100名程度が損耗しており、ウクライナ軍にも損害が出ているという。
 こうした中、ゼレンスキー大統領が前線を訪問し兵士を激励した。 (2301-120810)

 12月08日 10:00

 BBCが、ロシアが占拠している南東部の港湾都市マリウポリで、露軍の軍事施設とみられる大型の建物が新たに建設されていることが、Maxar社が撮影した衛星画像で明らかになったと報じた。
 反転攻勢を強めるウクライナ軍に対し、露軍の劣勢ぶりが伝えられているが、ロシアは支配下にある地域では影響力を強めようとしている模様である。
 Maxar社が11月末に撮影したマリウポリの衛星画像では、屋上にロシア語でАРМИЯ РОССИИ(ロシア軍)と書かれた大規模な施設が新たに造られた様子が確認された。
 春の戦闘で破壊された劇場では周りに新たに囲いが設置された。 空爆で一部が破壊されていた集合住宅はその後、完全に解体されたことが確認された。
 BBCによると、露軍が修理不可能な住宅を解体し、新たな建物を造ろうとしている可能性があるという。 (2301-120811)

 12月08日 10:19

 ウクライナと国境を接するロシア西部クルスク州と、ベルゴロド州の知事は7日までに、防衛線の建設状況を視察したと明らかにした。
 英国防省は7日のウクライナ侵攻に関する定例会見で、ロシア側の防衛線強化は「愛国心の高揚」が狙いだが、ロシアの政治指導者の間には「ウクライナからの侵攻の脅威が現実味を帯びている」とみる向きもあるとの見解を示した。 (2301-120812)

 12月09日 08:40

 ショルツ独首相がロシアの核エスカレーションのリスクは低いと述べた。
 米統合参謀本部議長のミリー大将が、冬期間にウクライナで戦闘が激化する可能性があると述べた。
 ウクライナ当局は、ロシア軍がザポリージャ原発 (ZNPP) をさらに軍事化したと述べた。
 ウクライナ東部でのウクライナの反撃が続く中、ロシア軍はスヴァトーブ近くの陣地を強化しクレミンナの近くで反撃を行った。
 ロシア軍は、バクムットとアウディーイウカ~ドネツク市地域を攻撃し続けた。 (2301-120906)

 12月09日 12:57

 ウクライナ国営原子力企業Energoatom社が8日、ロシア軍がザポリージャ原発の敷地内にMRL数両を持ち込み、第6原子炉の近くにある使用済み燃料保管庫の隣に配置したとして、ザポリージャ原発で挑発の準備をしていると指摘しました。
 Energoatom社は、ロシア軍が燃料保管庫を盾にして、ドニプロ川の対岸の町を攻撃する可能性が高いと見ている。 (2301-120911)

 12月09日 15:44

 ロシアの侵攻を受け総動員令が出ているウクライナで、徴兵逃れが横行している。
 富裕層向けに兵役免除の証明書入手をあっせんする「脱徴兵ビジネス」に関与する20代男性が9日までに実態を明かした。
 男性は「武器を手にしたくない人に選択肢を提供している」と正当化するが、抜け穴拡大を恐れる当局は取り締まりに力を入れる。
 男性はウクライナ中部の医大生で、仲介の依頼があれば68万~136万円程度で仲間の医師がいる徴兵事務所などで検査を受けてもらい、心臓病などを装った診断書を軍に提出し、 (2301-120914)

 12月09日 20:34

 ロシアの独立系メディアが8日、5日のUAV攻撃で攻撃目標となったロシア本土の空軍基地2ヵ所から、少なくとも16機が姿を消したと報じた。
 国外で紹介された衛星写真を基に攻撃の前後で比較すると、UAV攻撃でTu-22が損傷した写真がインターネット上に投稿されているリャザニ州のディアギレボ空軍基地では、爆撃機9機と別の軍用機の少なくとも計10機が衛星写真から見えなくなった。
 一方、サラトフ州のエンゲリス空軍基地を捉えた衛星写真では、攻撃を受けた後にTu-95 6機が減っていた。 (2301-120920)

 12月10日 08:45

 ロシア軍はスヴァトーブの近くに防御線を確立した。 ロシア軍とウクライナ軍はクレミンナの近くで交戦した。
 ロシア軍はバクムットとアウディーイウカの近くで攻撃を続けている。
 ロシア軍は、ドニプロ川のヘルソン市西の島に陣地を構築した可能性がある。
 ウクライナ南部のロシア軍装備等と兵站拠点に対するウクライナ軍の阻止作戦は、ロシア軍及びその兵站路に打撃を与えると共に、ロシアの士気をより広範に低下させた可能性がある。 (2301-121004)

 12月10日 18:08

 英BBC放送ロシア語版が9日、ウクライナ侵攻で死亡したロシア兵10,002名の名前を確認したと報じた。 うち約400名は9月の部分動員令による招集兵だったという。
 ロシアの独立系メディアMedia Zonaなどと合同でロシア各地の墓地や記念碑を調査し裏付けた結果としており、確認できた死者数は、実際の死者の4~6割程度と推定している。
 BBCによると、HIMARSなどによりロシアの指揮所への攻撃が可能になったことから戦死者には精鋭部隊や将校も含まれており、将官4名、大佐49名が死亡したとしている。 (2301-121005)

 12月11日 08:40

 タイムズが、匿名の米国防筋が国防総省はもはやウクライナに、ロシアの軍事目標を攻撃することを控えることを主張していないと述べたと報じた。
 ロシア軍は、前週よりも多くのイラン製UAVを使用して、ウクライナのインフラに対する攻撃を実施した。
 ロシア軍が、ウクライナ軍砲兵をドネツク市が射程に入らない距離に遠ざけることができなかったため、ドネツク州の親露派指導者からの支持を失う可能性がある。
 ロシア当局が占領地の行政体制を管理するためにチェチェンの官僚と軍を更に投入している。
 ウクライナ軍はスヴァトーブへの反撃を継続し、ロシア軍とウクライナ軍はクレミンナの近くで交戦した。
 ロシア軍は、バクムットとアウディーイウカ~ドネツク市地域に向かって前進し、ドネツク州西部で防御しようとしている。 (2301-121102)

 12月11日 20:35

 ウクライナ南部クリミア半島の町ソビエツキーで10日朝、ウクライナ侵攻のため動員兵が集められたロシア軍の兵舎が火災に見舞われ、親露派がSNSで伝えたところによると、2人が死亡したという情報がある。
 ウクライナの一部メディアは火災について「UAV攻撃が原因」と報じていたが、ウクライナ人と先住民族タタール人のパルチザンを名乗る団体Ateshが同日夜、声明を出し「計画に成功した」と、人為的に火を付けたと主張した。 (2301-121104)

 12月12日

 ロシア国防省が12月11日、ゲラシモフ参謀総長が解任されたという噂を否定し、辞任したとした。
 ウクライナとロシアの情報筋は、悪天候の中でスヴァトーブ~クレミンナ線に沿ってライマンの近くで戦闘が続いていると報告した。
 ロシアのミルブロガーは、ロシア軍がヘルソン正面からクピャンスク方向に200品目以上の装備を移動させたとし、衛星画像ではルハンシク州の露軍T-90 MBTが西に向かっているのが見られる。 ウクライナの当局は増強されたロシア軍部隊は今のところ脅威ではないないと述べた。
 ロシアとウクライナの情報筋がバクムット周辺での戦闘が続いていると報告していたとおり、ロシア軍がわずかなに占領地域を拡大した。
 ウクライナ軍東部軍報道官が、ロシア軍が部隊運用を戦術大隊戦術グループ (BTG) からより小さな攻撃に適した突撃部隊に変更したと述べた。
 ロシアとウクライナの情報筋が、ウクライナ軍がロシア軍の主要兵站路にあるスカドフスク、ホラプリスタン、オレシキー、ヘルソン州のノヴァカホフカを砲撃したとした。
 ロシアとウクライナの情報筋は、ウクライナ軍がザポリージャ州のメリトポリにあるロシア軍の基地を砲撃したと報告した。 ある情報筋はこの砲撃で最大200名のロシア兵が死亡したと主張した。
 ウクライナのパルチザンが、クリミアのソビエトでロシア軍兵舎を焼いたのは自分たちと主張している。 (2301-121201)

 12月12日

 ウクライナ東部ルハンスク州のハイダイ知事が11日、ウクライナ軍がロシアの雇い兵組織Wagnerの本部を攻撃したと発表した。
 ハイダイ知事が11日、ルハンスク州カディフカ(別名 Stakhanov)にあるロシアの雇い兵組織Wagnerの拠点となっているホテルが攻撃を受け、ロシア側が大きな損失を被ったと説明した。
 医療の不足から、生存しているWagner部隊の少なくとも50%は死亡するとみているとした。
 BBCはこのホテルにWagnerがいたかどうか独自に検証できていない。 (2301-121203)

 12月13日 07:15

 ロシアの占領下にあるウクライナ南部メリトポリのフェドロフ市長が12日、ウクライナのTV局との対談で、市内のロシア軍が先週末のウクライナ軍による攻撃を受けて「再配置」を進め、パニック状態に陥っているとの見解を示した。
 フェドロフ氏は証拠を示さずに「彼らは軍の部隊を他の場所に移して隠そうとしている」と述べた。
 フェドロフ氏は市外に退避している。 (2301-121304)

 12月13日 09:00

 ロシア軍は、ハリコフとルハンシク州の州境近くでウクライナの反撃に対する防御を強化し、ドネツク州での限定攻撃を支援するために、ウクライナ東部での態勢強化を続けている。
 ロシアのウクライナでの戦争による経済的な負担が、プーチン大統領の世界での地位を弱体化させ続ける可能性が高い。
 ロシア国防省は、ゲラシモフ参謀総長が交代したか、または間もなく交代するという噂を、彼が一時的に職務を停止しているものの、ショイグ国防相の補佐をまだしていると公式に否定した。
 ウクライナのレズニコフ国防相が、路面凍結で機動戦が可能になったのち、ウクライナは2022年から2023年の冬に反撃を継続する予定であるとしたISWの見方を肯定した。
 米国政府高官は、この冬に反撃作戦を実施するウクライナの能力と意図に関する評価を修正している可能性がある。
 ロシア軍は、ウクライナ軍がルハンシク州の後方を攻撃したため、スヴァトーブとクレミンナの近くで限定攻撃を続けている。
 ロシア軍はバクムットとアウディーイウカ~ドネツク市地域で攻撃し、ドネツク市の南西で防御している。
 ウクライナ軍は、ウクライナ南部の重要な地上通信線 (GLOC) に沿ったロシアの装備等と兵站拠点を引き続き攻撃目標にしている。
 ロシア軍は黒海沿岸のクリミア半島北部水祭を強化している。
 ロシア軍はクリミアのロシア軍を維持するのに十分なインフラを欠いている可能性がある。 (2301-121305)

 12月13日 09:20

 ウクライナのメディアが、志願兵でつくる特別部隊Krakenが12日にSNSを通じ、ウクライナ軍が東部ルガンスク州の要衝スバトボの北方に位置する集落2ヵ所をロシア軍から奪還したと発表したと報じた。 ガイダイ州知事はこの日までに、州内の要衝クレミンナにもウクライナ軍が数㌔地点まで接近していると明らかにした。
 部隊が奪還を発表したのは、東部ハリコフ州内のルガンスク州との州境に近い集落2ヵ所で、ルガンスク州でこれまでに10ヵ所以上の集落を奪還したウクライナ軍はスバトボとクレミンナを奪還した上で、露軍が7月上旬に全域の制圧を宣言した同州の中心都市セベロドネツクやリシチャンスクの解放を目指している。
 ただ、ガイダイ知事は「露軍がルガンスク州内を要塞化している」と指摘し、州での反攻は容易ではないとの認識も示した。
 一方露軍は現在、全域の制圧を目指すドネツク州の要衝バフムト方面で攻勢を強化しており、ウクライナ軍参謀本部によると、この方面で連日激戦が続いている。
 露軍はバフムトを制圧し、州の中心都市クラマトルスクの制圧を狙う構えである。 (2301-121306)

 12月13日 10:51

 ウクライナ南部ザポリージャ州で12月10日、ロシア軍占領下にあるメリトポリで大きな爆発があった。
 ロシアが任命した同州の知事はTelegramに、HIMARSが市外のレクリエーション施設に着弾し2人が死亡、10人が負傷したと投稿した。
 これに対して、メリトポリのフョードロフ市長は地元住民からの情報として、攻撃されたのはロシア軍基地で、占領軍200名が死亡したとみられると話している。
 メトロポリは、11月にヘルソン市を放棄したロシア軍が、へルソン州の「新州都」を設けたヘニチェスクから約90km北に位置しており、ウクライナとロシアの2つの市政府が、互いに正当性を主張し合っている。 (2301-121308)

 12月13日 17:05

 ウクライナ軍報道官はTelegramへの投稿で東部のバフムート市について、周囲で激しい戦闘が行われているものの、バフムートは持ちこたえていると述べた。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は先ごろ、ウクライナ軍が東部のドンバス地方の前線で厳しい状況に置かれているとの認識を示していた。 (2301-121310)

 12月13日 19:47

 ロシア国営RIA Novosti通信がウクライナ東部ドネツク州の親露派で自称「ドネツク人民共和国」のトップであるプシーリン氏が同州前線の状況について「難しい」と述べたと報じた。
 プシーリン氏によれば、ロシア軍は前進を続けているものの、望むような速さではないという。
 プシーリン氏は、激しい戦いが続くバフムートとその周辺の状況についても言及し、ロシアの民間軍事会社Wagnelの傭兵がバフムートの北東16kmに位置する集落を掃討し、バフムートに大規模な攻勢をかけるのに必要な状況を整えているという。
 ドネツク市は2014年以来、親露派が占拠しているものの、ウクライナ軍は依然として市から数㌔離れた位置にとどまっていて、ドネツク州の多くの地域を支配下に置いている。 (2301-121313)

 12月13日 20:00

 米軍高官が12日に記者団に対し、ロシア軍の砲弾やロケット弾の在庫が減少し、2023年初頭にも枯渇する公算が大きいとの分析を明らかにした。 高官は、イランや北朝鮮などに接触し、信頼できる弾薬を得ようとしていると語った。  ウクライナ国防省情報総局の幹部が12日のNew York Times紙との対談で、露軍がウクライナへの攻撃に使用しているミサイルについて、ロシアが侵略開始後にCMを約360発製造したとの見方も示し、ミサイル攻撃が当面続く可能性に警戒感を示した。 (2301-121314)

 12月14日 00:05

 英国防省が13日までに、ウクライナがロシアが侵攻後に制圧した地域の54%を奪還したとの分析を発表した。
 英国防省は戦況分析で、ロシアは東部のドネツク州やルガンスク州、南部のザポロジエ州やヘルソン州への支配拡大を依然として目指していると推定したが、これらの地域を奪還できる打撃部隊を編成する可能性は極めて低いとして、目的を達成することは困難だと指摘した。 (2301-121401)

 12月14日 08:30

 12月13日にベラルーシ軍の特別検閲が急に行われたが、ベラルーシ軍がウクライナを攻撃する可能性は依然として低い。 ウクライナ当局も、12月13日の時点でベラルーシがウクライナに侵攻する可能性は低いと見ている。
 イスラエルの高官は、イランは国連制裁の切っ掛けとなるのを避けるために、ロシアに提供する予定のミサイルの射程を制限していると述べた。
 ウクライナの諜報機関は、1990年代にウクライナがロシアに移送したミサイルでウクライナを攻撃していると報告した。
 米国当局は12月13日、国防総省がPatriotをウクライナに送る計画を最終決定したと述べた。
 ロシア軍はスヴァトーブとクレミンナの近くで限定攻撃を行った。
 ロシア軍はバクムット内でわずかに前進し、アウディーイウカとヴフレダールの近くで攻撃を続けた。
 ロシア軍は、占領下のヘルソン州の後方陣地を強化し続けているため、ドニプロ川南の一部地域から撤退している可能性がある。
 過去数日間ウクライナ軍がメリトポリ近くのロシア軍への砲撃が増える中、ウクライナ軍がザポリージャ州メリトポリの橋を崩落させた可能性がある。 (2301-121406)

 12月14日 10:56

 米政府の対ロシア制裁に違反し、ロシア軍に向けて米国製の装備を密輸したとして、米司法省がロシア人5人と米国人2人を訴追したことが、最近公開された起訴状で明らかになった。
 被告らは、ロシア連邦保安局 (FSB) と共謀して米国からロシア軍向けに半導体、電子製品などの禁輸品を密輸、購入していたモスクワの企業2社の関係者で、ニューヨーク州東部地区の連邦地検管内などにあるメーカーや販売業者から、数百万㌦相当の軍事用や軍事、民生用のどちらにも使える技術をロシアに流していたとされる。 ()

 12月14日 15:49

 ロシア軍は2ヵ月前からウクライナの電力網を攻撃し続けているが、ウクライナ政府によると直近の5日の爆撃では、ロシアが撃ったミサイル70発のうち、10発しかウクライナの防空網を突破することができなかった。
 ウクライナ側が主張する87%の迎撃率は、同国の防空システムの有効性が高まっていることの証しだが、それらのシステムは西側の最新機器と技術による改良で強化されているものの主に旧ソ連時代のものである。
 しかしウクライナは憂慮すべきスピードで弾薬を消費していて、ロシアの精密誘導ミサイルの備蓄が急減する一方で、ウクライナのSAMも残り少なくなるという弾薬の消耗戦になっている。 (
2301-121409)

 12月15日 05:02

 ウクライナ軍参謀本部が13日、南部ザポリージャ州の露軍占領地域に対するウクライナ軍のミサイルなどを使った過去数日の攻撃で、露軍司令部をはじめ複数の拠点を破壊したと発表した。
 ウクライナ軍の大統領府顧問は10日、露軍が兵站拠点にしている主要都市メリトポリを奪還すればクリミア付近まで進軍が可能になると述べ、奪還に向けた作戦開始を示唆していた。
 メリトポリの市長は12日に、ロシアからの重要な補給路となっているクリミアへの橋で爆発が発生し、住民の抵抗運動が関与したと指摘した。
 さらにウクライナとの国境に近い露西部ブリャンスク州でも13日に爆発が発生し、ウクライナ軍が露軍基地にミサイルで攻撃した可能性が取りざたされている。
 ウクライナのエネルギー施設を断続的に集中攻撃している露軍は、14日にキーウ中心部や周辺に自爆型UAVを発射した。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、UAV 13機全てをSAMで撃墜したと発表した。 (2301-121501)

 12月15日 08:30

 ウクライナ当局は、ロシア軍が2023年の初めに大規模な攻撃を開始しようとする可能性があると予測している。
 ウクライナの防空部隊は、ロシア軍が12月14日の攻撃で発射したすべてのUAVを撃墜した。
 ロシア政府はウクライナ政府に対し、宗教の自由と報道の自由を抑圧しているとした情報操作を強化する可能性がある。
 ウクライナ軍が反撃を続ける一方、ロシア軍はスヴァトーブとクレミンナ地域で攻撃した。
 ロシア軍はバクムットとアウディーイウカ地域で攻撃を続けた。
 ロシア軍はヘルソン州のドニプロ川の南で防御を続けている。
 ウクライナのパルチザンは、ウクライナ軍が攻撃目標を決めるのを支援している。 (2301-121503)

 12月15日 11:08

 ロシア国防省が12月14日、ここ数週間で東部戦線ロシア軍の主要目標の一つとなっていた、ウクライナ東部ボジアーネの集落を制圧したと発表した。
 露国防省によると、ウクライナ兵最大50名が死亡、戦車1両、装甲車3両、ピックアップトラック4両が破壊されたという。
 ボジアーネは、ドネツク州のブフレダールの北東10kmに位置する集落で、バフムートと並んで、ロシア軍が制圧を目指していた。
 露国防省はまた、ドネツク州クラマトルスク地区のリマンにある、ウクライナ戦術群司令部を砲撃したことを明らかにしたが、キーウからは何の反応もなく、AP通信もロシア国防省の主張を確認できていない。 (2301-121505)

 12月16日 04:20

 ウクライナのダニロフ国家安全保障国防会議書記が14日の対談でロシアのミサイル備蓄について、「ロシアがこれまでにどれだけ消耗しているかは分かっている。
 ウクライナのエネルギーインフラを徹底的に破壊したような大規模なミサイル攻撃を仕掛ける余力は、ロシアにはあと3回~4回分しか残っていない」と語った。 (2301-121602)

 12月16日 05:32

 ウクライナ軍総司令官のザルジニー陸軍大将が、ロシア軍は1月にも再び首都キーウ制圧を試みることは「疑いようがない」と警告した。
 ザルジニー大将によれば、ロシア軍はベラルーシ側から攻め込む可能性がある。
 またダニロフ国家安全保障国防会議書記は、ロシア軍が2ヵ月にわたるエネルギー施設への攻撃で使用したタイプのミサイルは急速に底をつきつつあると指摘した。 (2301-121604)

 12月16日 09:30

 ロシアは、2023年冬にウクライナに対して、おそらくキーウに対して新たな攻撃を行う準備をしている可能性がある。 ただ、このような攻撃が成功する可能性は非常に低い。
 また現時点では、ロシアによるベラルーシ正面からの攻撃は差し迫っていない。
 ISWはベラルーシ軍がウクライナでの戦闘に参加しないと見ているが、ロシア軍はベラルーシ領土から攻撃する準備をしている可能性がある。
 ウクライナ軍がクレミンナとスヴァトーブで反撃を続けいると伝えられている。
 ロシア軍はバクムットとアウディーイウカ地域で攻撃を続けている。
 ロシア軍はドニプロ河南で防御している。
 ロシアの将校達はウクライナで大きな損失を被り続けている。
 ウクライナのパルチザンがザポリージャ州ベルジャンシクの変電所を攻撃した。 (2301-121605)

 12月16日 10:08

 ウクライナ東部ドネツク州でロシアが任命した首長のクレムジン氏がTelegramで、ウクライナ軍が07:00に分離主義勢力の占領下にある東部ドネツク州に対し、2014年以降で最大規模となる攻撃を実施したことを明らかにした。
 東部ではこれに先立ち激しい戦闘が起きていた。
 クレムジン氏の15日の説明によると、BM-21 Grad MRLからロケット弾40発を市内に向けて発射され、市中心部の主要交差点が攻撃を受けたという。
 一方、ロシア軍もウクライナ南部ヘルソン市に対して夜間に新たな攻撃を仕掛け、南部の戦況は一段と激しさを増した。 (2301-121608)

 12月16日 14:30

 英国国防参謀総長のラダキン海軍大将が14日にロンドンで講演し、ウクライナ戦争でロシア軍は弾薬が不足するなどの困難に陥っているため敗勢が強まり、自由世界は勝利を収めつつあると語った。
 ラダキン大将は、ロシアは戦争の目的を何一つ達成できておらず今後も実現できないと述べ、ウクライナ侵攻はロシアにとって不利になる一方だと強調した。 (2301-121612)

 12月16日 21:05

 英Guardian紙が15日、ウクライナのレズニコフ国防相が同紙との対談で、ロシア軍が2023年2月にも新たな大規模攻撃を開始する準備をしていると述べたと報じた。
 プーチン大統領が9月に命じた部分動員で招集した30万人のうち、半数の15万人が訓練を既に開始しているが、準備には最低3ヵ月かかるとの見方を示した。
 ザルジニー総司令官も英Economist誌に、ロシア軍が20万人の兵士を訓練中で、大規模攻撃は2023年1月末から3月に行われる可能性があると指摘し、首都キーウ制圧を狙う可能性についても言及した。 (2301-121614)

 12月17日 05:30

 ウクライナ各地が16日朝に再び大規模なミサイル攻撃を受け、住宅や電力施設が破壊されて少なくとも2人が死亡したほか、ウクライナ全土で緊急停電した。
 ウクライナ軍総司令官によると、ロシア軍は76発のミサイルを発射し、うち60発が撃墜されたという。 (2301-121702)

 12月17日 08:00

 プーチン露大統領が19日にベラルーシのミンスクで開催される会議で、ルカシェンコ大統領にウクライナでのロシアをさらに支援するよう圧力をかける可能性が高いが、ルカシェンコはすでにこの要求をそらす準備をすでに行っている。
 プーチン大統領のミンスクへの訪問は、ベラルーシ領からの新たな攻撃を行おうといる可能性がある。
 プーチン大統領は、ウクライナへの本格的な侵攻を開始する前に、ロシア経済へ及ぶ悪影響について最悪のシナリオを無視したと伝えられている。 このためロシアは、経済的課題に直面し続けている。
 ロシア軍はスヴァトーブとクレミンナ、及びバクムットとアウディーイウカ~ドネツク市で攻撃を続ける一方、ドニプロ河東岸で防御態勢をとり続けている。
 ロシアの占領当局は、負傷したロシア兵を治療し、占領地で活動しているロシア軍を支援するために、民間インフラを接収し続けている。 (2301-121704)

 12月18日 07:30

 バフムート周辺でロシア軍が進めている攻撃が、ドネツク人民共和国軍とWagnel Gp.軍との間での断絶を更に大きくしている。
 米CIAが今までのISWの見解通り、ロシア政府がウクライナとの停戦交渉に真剣に取り組んでいないと評価している。
 ウクライナ軍はスヴァトーブとクレミンナの近くで反撃を行い、ロシアの後方地域を攻撃し続けている。
 ロシア軍はバクムットとアウディーイウカ-ドネツク市の近くで攻撃を続けた。
 ウクライナ当局は、ロシア軍がドニプロ河東岸の罠にウクライナ軍を引き込もうとしている可能性があると警告した。 (2301-121801)

 12月18日 11:10

 ロシア国防省が17日の定例会見で、ウクライナ全土に停電と断水をもたらした前日の大規模攻撃について、同国への外国製兵器の引き渡しを阻止する戦果も挙げたと主張した。
 会見では、「ウクライナ軍の指揮系統、軍産複合体、それを支えるエネルギー施設に対し、高精度兵器で大規模攻撃を行い、目標は達成され全目標に命中した。 攻撃の結果、外国製の武器弾薬の搬入を妨害し、交戦地域への増派を阻止し、ウクライナ企業による武器生産と修理を停止させた」とした。 (2301-121802)

 12月19日 05:56

 ウクライナ軍参謀本部が18日までの戦況分析で、ロシア軍が南部ヘルソン州のドニエプル河東岸にある2つの町から撤退を開始したとの見方を示した。
 ロシア軍が11月に西岸ヘルソンから撤退したのち両軍は川を挟んでにらみ合う形となっていたが、ウクライナ軍特殊部隊は12月3日にドニエプル河東岸に橋頭堡を確保したとする動画を公開した。
 参謀本部は13日にも東岸地域の別の集落からロシア軍が撤退したことを確認したと主張し、ISWは撤退は後方の守りを固めるためのものだとの見解を示していた。 (2301-121903)

 12月19日 04:00

 ウクライナ中央軍事情報局 (GUR) のユソフ代表が、ロシア軍がイラン製UAVの新しいバッチを受け取り、BMの取得についてイランと交渉を続けていると報告した。
 ウクライナとロシアの情報筋は、スヴァトーブ~クレミナ線に沿って戦闘が続いたと報告した。
 ウクライナとロシアの情報筋は、バクムット郊外と市の北東と南で進行中の戦闘を報告した。
 ロシア国防省は、ロシア軍がソレダールの北東にあるドネツク州のヤコブリフカを占領したとした。
 ロシアの情報筋は、ウクライナ軍がバクムット近くからロシア軍を排除したとした。
 ウクライナ当局者は、ロシア軍がヘルソン州のドニプロ河岸から部隊を配置転換しているが、ロシア軍が撤退しているか否かを判断するのは時期尚早であると述べた。
 ロシア軍とウクライナ軍は、ドニプロ河を渡って定期に砲撃とロケット弾攻撃を続けている。
 ウクライナ軍は、ウクライナ軍が12月16日にザポリージャ州のロシア軍集結地2箇所と2箇所の弾薬庫を攻撃し、150人の人員を負傷させ、10品目の装備を破壊したと報告した。
 メリトポリのフェドロフ市長は、ロシア軍がメリトポリにDragon's Teeth対戦車構築物を設置していると述べた。 (2301-121904)
【註】Dragon's Teethとは、MBTやIFVなどの前進を阻止するため構築された鉄筋コンクリート製のビラミット状構築物で、第二次世界大戦中にドイツ軍がジークフリート線で広く使用した。

 12月19日 21:58

 ロシア国防がSNSに19日、ウクライナと国境を接する西部ベルゴロド州上空で、防空システムが米国製のHARMミサイルを迎撃したと投稿した。
 ウクライナ侵攻開始から約10ヵ月が経過したが、ロシア側によるこうした主張は前例がほぼないとみられている。
 ロシア側は、同州はウクライナからの攻撃を頻繁に受けていると主張している。 (2301-121914)

 12月20日 07:11

 ロシアの国内メディアが、プーチン露大統領が19日に国境警備の強化を指示し、ロシアが自国領と主張するウクライナの地域で大規模集会を規制し、住民の安全を確保するよう特殊部隊に命令したと報じた。
 またTass通信によると、「防諜機関には最大限の冷静さと戦力の集中が求められる」とし、「外国の特殊部隊の行動を厳しく抑え込み、裏切り者、スパイ、破壊工作員を素早く特定することが必要だ」と述べた。 (2301-122005)

 12月20日 10:05

 ウクライナのゼレンスキー大統領が19日に、ラトビアでこの日開かれた北欧諸国などが参加する英国主導の軍事枠組みである合同遠征軍 (JEF) の首脳会合でオンライン演説し、ロシアがイランから自爆型UAVのShahed 250機を新たに調達し、34機をウクライナの電力インフラを攻撃目標とした同日未明の攻撃で使用したと明らかにした。
 ウクライナ軍などによると、同日未明に首都キーウなどにShahedを使った露軍の攻撃があり、30機を撃墜したが、一部が電力インフラに命中した。
 ウクライナ国防省情報総局の高官は17日に、ロシアがイランからShahedを追加調達したとする諜報結果を公表したが、調達した機数は明らかにしなかった。
 米国家安全保障会議 (NSC) のカービー戦略広報調整官は9日時点で、ロシアがこれまでにイランから数百機のShahedを調達したとの見方を示していた。 (2301-122007)

 12月20日 11:30

 ベラルーシのルカシェンコ大統領は、12月19日にロシアとベラルーシの統合に譲歩を強要するプーチン大統領の圧力をそらした可能性がある。
 ロシア軍は、12月18日から19日にかけて、Shahed-131とShahed-136 突入攻撃型UAVでキーウを攻撃した。
 元ロシア軍で司令官で、情報分野で批判的な声を上げたロシアの著名なミルブロガーのガーキンが、戦争におけるロシア軍全体の動きについて厳しい批判を書いた。
 ドネツク人民共和国 (DNR) は、行政手順の基本についてロシア占領当局と衝突し、ウクライナのさまざまな占領政権間の緊張を示唆していると伝えられている。
 Wagner Gp.が、最近採用され訓練が不十分な囚人の素養に対応するため、残虐行為を中心に攻撃モデルを構築した可能性がある。
 ロシア軍は、ウクライナ軍がルハンシク州のロシアの後方陣地を攻撃目標にしたとして、スヴァトベ~クレミンナの線に沿って限定的な攻撃を続けている。
 ロシア軍が12月18日にバクムットの南を失ったため、バクムットとドネツク市の近くで攻撃を続けた。と伝えられた。
 ウクライナ当局は、ロシア軍がヘルソン州のドニプロ河東岸地域から一部の部隊を下げていると報告した。
 ロシアの占領当局は、占領地内の移動を制限し、社会的脅迫戦術をとっている。 (2301-122010)

 12月20日 19:13

 プーチン露大統領が「国家治安部隊員の日」に際して20日、ロシアが併合したと主張するウクライナのドネツク、ルガンスク両人民共和国と、ヘルソン州、ザポリージャ州の4州について、「極めて困難な」状況にあるとの認識を示した。
 大統領は、情報活動に対抗する戦いにおいて「最大限の冷静さと戦力の集中」が必要だと訴えるとともに、「外国の情報機関の活動を完全に抑え込み、直ちに反逆者やスパイ、妨害工作員を特定することが重要だ」と強調した。 (2301-122013)

 12月20日 19:40

 ウクライナ軍参謀本部がfacebookで20日、過去24時間にウクライナ全土でロシア軍による空爆が60回、ミサイル攻撃が4回、MLR攻撃が80回以上行われたと発表した。
 一方、ウクライナ側もルガンスク州やドネツク州の10ヵ所でロシア軍の攻撃を撃退しており、東部を中心に激しい攻防が続いている。
 ウクライナ軍参謀本部は、ロシア軍がウクライナ南部のザポロジエ州とヘルソン州でドニプロ川東岸に沿ってウクライナ軍の拠点と民間インフラへの砲撃を続けているとした。 (2301-122015)

 12月21日 10:00

 ISWは、ロシアがベラルーシからウクライナ北部へ向けて侵攻する可能性は極めて低いと見ているが、最も危険な可能行動として引き続き観察している。
 ゼレンスキー大統領のバフムート訪問は、プーチン大統領を戦争指導者としているロシア政府の情報戦を弱体化させた。
 ロシア軍はスヴァトーブ~クレミンナ線に沿って限定反撃を行った。
 ロシア軍はバクムットとアウディーイウカ地域で攻撃を続けた。
 ロシア軍は、ヘルソン州のドニプロ河東岸の防御陣地を強化している。
 プーチン大統領は、ロシアの治安機関に対し親ウクライナのパルチザン活動への対抗強化を命じた。 (2301-122106)

 12月22日 00:54

 プーチン露大統領が21日に軍幹部の会議で、ショイグ国防相が提案した戦闘要員を115万から150万に30%超増強する計画を支持した。
 プーチン氏はこの夏にも戦闘要員を115万のレベルに引き上げるため、2023年1月1日から137,000名の増員を命じる法令に署名したばかりで、部分動員令を発して30万人の招集も行い、徴兵忌避や反戦デモなどの社会的混乱を引き起こしていた。
 米国や西側の軍事専門家は、ロシアがウクライナに侵攻して以来10ヵ月で数万人のロシア軍兵士が死亡したと推計している。 (2301-122201)

 12月22日 09:00

 ショイグ露国防相は、一連の広範なロシア軍の改革を提案したが、現在の紛争に間に合う可能性は非常に低い。
 プーチン大統領が目標を達成できなかったことから、国内での信頼を取り戻し2年目の戦争継続しようとする政権を危うくしている。
 ロシアの核発言は、恐らく国民にアピールし、西側を威嚇しようとするものであり、核兵器を使用しようとするものではない。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は12月21日にワシントンDCを訪問した。
 ロシア軍とウクライナ軍は、スヴァトーブ~クレミンナ線で交戦を続けている。
 ロシア軍はバクムットとドネツク市地域で攻撃を続けた。
 ウクライナ当局者は、ロシア軍がドニプロデルタ諸島を確保しようとして失敗したことを確認した。
 ロシア当局は、パルチザン活動を抑圧し、パルチザンの支援者を抑えるため、法執行機関の取り締まりを強化した。 (2301-122205)

 12月22日 11:02

 ロシアの通信社によると、ウクライナ東部ドネツク市で21日にロゴジン元露副首相と親露派勢力ドネツク人民共和国のホツェンコ首相がウクライナ軍の砲撃によって負傷した。 TASS通信によると命に別状はない。
 側近らがロシアの通信社に語ったところによると、2人はドネツク郊外のホテルが高精度兵器の砲撃を受けた際に負傷した。
 ホテルにいたロシア国会議員は、砲撃は情報を元に行われたとの見方を示した。
 ロゴジン元副首相は親露派支配地域で軍に助言する役割を担っている。 (2301-122207)

 12月23日 01:25

 ウクライナのニュースメディアUkrains'ka Pravdaが22日、同国の情報機関の話として、ロシア軍が23日か24日に大規模なミサイル攻撃を計画していると報じた。
 報道によると、ロシア軍はTu-95 8~14機、Tu-22M3 3機、Iskander 4発と、Kalibrを含むCM 67発を用意しているという。
 そのほかUAVによる攻撃が行われる可能性もあるとしている。 (2301-122301)

 12月23日 08:56

 ウクライナ軍参謀本部が22日、ロシアが2月にウクライナ侵攻を開始して以降、露軍の戦死者数が10万人を超えたと発表した。 また、これまでに露軍のMBT 3,000両とIFV 6,000両、野砲2,000門を破壊したとした。
 これに対しショイグ露国防相は9月下旬時点で、露軍の戦死者数を5,937名で、ウクライナ軍の戦死者は6万人、負傷者は6万人としている。
 ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は12月、自軍の戦死者数が10,000~13,000名で、負傷者はそれ以上だと説明しており、戦死者数は双方の発表内容が大きくかけ離れており、実態は判然としない。
 米統合参謀本部議長ミリー陸軍大将は11月上旬時点で、双方でそれぞれ10万人が死傷したとの見方を示している。 (2301-122305)

 12月23日 09:00

 プーチン露大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領を対等で主権のある相手として扱うことを拒否し続けており、さらにウクライナとの真剣な交渉に興味がないことを示している。
 プーチンの言い方は、主権国家としてのウクライナを否定する情報操作の一部である。
 ロシア軍はクレミンナ~スヴァトーブ線に沿って限定攻撃を続け、ウクライナ軍はクレミンナ地域で反撃を続けている。
 ロシア軍はバフムートとアウディーイウカ地域で攻撃を続けた。
 ロシア軍は、ウクライナの反撃を恐れて、ヘルソン州とクリミアの治安対策を強化している。 (2301-122306)

 12月23日 16:30

 ウクライナ侵攻を続けるロシアがミサイル戦力の低下に危機感を強めている。
 ウクライナへの大規模攻撃でBMの備蓄が急減する一方、欧米から同国へのSAMシステムの供給が進んでいるためで、北朝鮮からのミサイル調達を進めているとの見方も広がっている。
 ロシアのCMの生産能力は年間100発程度とされるが、ウクライナへの攻撃で数百発を射耗しており、ウクライナ国防省は「あと何回か大規模攻撃を仕掛けるだけの備蓄しかない」と見ている。
 生産体制の拡大にも動いているが、欧米の対ロシア制裁による資材不足が障害になっている。 (2301-122311)

 12月23日 18:46

 ウクライナ軍参謀本部が22日、ロシアが実効支配する南部ヘルソン州のドニエプル川東岸にあるカホフカの飛行場を20日に攻撃し、ロシア側の約150人が死亡したと主張した。
 東岸の黒海に面した地区への攻撃では約140人が負傷したとしている。 ウクライナ側が東岸進出に向け攻撃を強めている可能性がある。
 一方ウクライナ警察は22日、ヘルソン州のドニエプル川西岸で、奪還以後に332人の死亡を確認したと明らかにした。
 州内でロシア軍による戦争犯罪の捜査が8,000件以上進められており、ウクライナ人を拷問した部屋が7ヵ所新たに見つかったという。 (2301-122316)
【註】Google Earthで見る限り、Kaxobka市及びHoba Kaxobka市周辺に飛行場は見当たらない。

 12月24日 10:44

 AP通信が22日、ウクライナ南部マリウポリ周辺で3~12月にかけて衛星やドローンの画像などを活用して地面が掘り返された場所を詳しく調べ、少なくとも10,300基の墓が新たに作られたとの分析結果を報じた。
 報道によると、新しい墓は50,000㎡ル以上の範囲に作られており、画像を分析したところ、露軍が重機で長い溝を掘り、埋め戻されていたことも分かった。
 墓には数字が記された小さな札があり、書かれた数字などから複数の遺体が埋葬されているとみられるものもあったという。
 マリウポリでは2万人以上が死亡したとされるため、集団墓地の調査経験がある専門家は「墓の数は必ずしも殺害された人数と一致しない」と指摘している。 (2301-122409)

 12月24日 11:30

 ISWは、ロシア政府が多分キーウを狙ってベラルーシから新たな攻撃を行うという、最も危険な行動方針 (MDCOA) の準備を少なくとも2022年10月以降続けていると見ている。
 ロシアの著名なミルブロガーは、冬から春にかけてMDCOAが実行される可能性を強調しているが、ISWはこのMDCOAについて可能性は低いと評価してる。
 ロシア軍は明らかに、ルハンシク州北西部での攻撃の準備を行っている。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍が冬の攻撃失敗するのを利用して2023年2月に和平案を提示する準備をしていると伝えられている。
 プーチン露大統領が新たに公の場へ登場しているのは、彼がロシアでの彼の人気とイメージ低下を懸念するようになったことを示している可能性がある。
 ロシア軍は、12月22日から23日にかけて、ウクライナ北部と北東部で少なくとも2回の威力偵察を実施した。
 ウクライナ軍は、過去72時間にわたってバフムート市の東と南で戦果を上げた可能性がある。
 ロシア軍は、ドニプロ河東岸のヘルソン州とザポリージャ州で防御陣地を強化して、ウクライナ南部で防衛作戦を実施している。
 ウクライナのパルチザンは、占領地のロシア当局者を目標にし続けている。 (2301-122411)

 12月24日 21:46

 InterFax Ukrine通信が、ウクライナ南部ヘルソン州の検察が24日、ロシア軍の砲撃によるヘルソン市での死者が少なくとも8人にのぼると明らかにしたと報じた。
 検察当局は、クリスマスイブの24日朝に地元住民が最も多く集まる場所が狙われたとみており、声明で「住宅、行政施設、車両などの民間インフラも被害を受けた」と指摘した。
 ウクライナ大統領府の高官は、負傷者も多数に上っており、「少なくとも16人は重体だ」とSNSで明らかにした。 (2301-122413)

 12月24日 22:01

 AP通信がウクライナ当局が24日、ヘルソン市中心部らロシア軍の攻撃があり、7人が死亡し少なくとも58人が負傷したと明らかにしたと報じた。 うち16人は重傷という。
 ゼレンスキー大統領はTelegramで、攻撃された場所は軍事施設ではないとしたうえで、「脅迫と快楽を目的とした殺人だ」と非難した。 (2301-122414)

 12月24日 23:59

 Wall Street Journal紙が24日までに、ウクライナのゼレンスキー政権が、11月に提示した10項目の和平案の具体化を進めていると伝えた。
 ロシアによる侵攻開始1年の2023年2月24日ごろの公表を目指しているという。
 ただ、10項目はウクライナの領土回復やロシア軍の撤退など、ロシアが受け入れられないものばかりで、和平案は対露圧力の強化が目的とみられる。 (2301-122415)

 12月25日 05:05

 ウクライナメディアのUkrains'ka Pravdaによると、ウクライナ軍の報道官が24日、ロシア軍が制圧を目指す東部ドネツク州バフムトでロシア軍兵士90人以上が死亡し、約100人が負傷したと明らかにした。
 ロシア側はバフムトに戦力を重点配置して激戦が続いている。  報道官は、ロシア軍側から同日「砲やMBT、MRLによる225回の攻撃があった」と述べた。
 ロシア軍はあらゆる手段でバフムト戦線での進軍を試みているが「損失が続いており、ウクライナ軍の防衛を突破することはできない」と強調した。 (2301-122502)

 12月25日 09:00

 ロシア軍はバフムートとアウディーイウカ周辺で攻撃を継続しているが、バフムート地域での攻撃ペースを維持するのに苦労する可能性があり、作戦を一時停止しようとしている可能性がある。
 ロシア軍は、クレミンナ~スヴァトーブ線に沿って失地を回復するため、限定的な攻撃を続けている。
 ロシア軍はバクムットとアウディーイウカ周辺で攻撃を継続した。
 ロシアのSPETSNAZ(註:特殊部隊)が、ドニプロ河西岸のヘルソン州におけるウクライナの防衛を調査するためドニプロ河デルタを偵察している可能性がある。
 ロシア軍は、Grad MRLでヘルソン市の住宅地を攻撃し、少なくとも10人が死亡、55人が負傷した。 (2301-122503)

 12月25日 04:31

 英国防省が25日までの戦況分析で、9月に部分動員を発令したロシアは10月以降に数万人の予備役をウクライナに投入し、兵員不足は改善されつつあるが、弾薬不足が依然として要因となり、攻撃が限定的になっている可能性があるとの見方を示した。
 ロシア軍はCMが不足し、ウクライナへのインフラ攻撃を週1回前後に限定しているとみられほか、前線の防御だけでもかなりの砲弾やロケット弾を消費していることが「ロシア軍の弱点」と指摘した。
 一方ウクライナ軍は25日にロシア軍将校らの会議が開かれていた拠点を攻撃し、約70人が負傷したと主張している。 (2301-122603)

 12月26日 10:10

 ウクライナのメディアが26日、ロシア南部サラトフ州のエンゲリス空軍基地で2回爆発があったと報じた。
 詳細は不明だが、現場ではサイレン音が鳴り響いたという。 (2301-122606)

 12月26日 20:18

 ロシア国防省が26日、南部エンゲリスの空軍基地で「ウクライナのUAVを撃墜した」と発表した。 残骸が基地に落下し、軍人3人が死亡したとしている。
 この空軍基地には5日にもUAVが飛来したとされており、ロシア本土への攻撃が続いた可能性がある。
 TASS通信によると、26日の攻撃では航空機への被害はなかった。
 エンゲリスの基地は、ウクライナへのミサイル攻撃にも使われているとされるTu-95を配備する航空部隊の拠点でウクライナとの国境からは450km以上離れている。
 ウクライナ側は攻撃への関与を認めていない。 (2301-122611)

 12月27日 07:59

 ウクライナのゼレンスキー大統領が毎日夜に放送されているビデオ演説で26日、ドンバス地域の前線における状況は「困難かつ苦痛」であり、国の全ての「強さと集中力」が必要だと訴え、バフムト、クレミンナなどドンバス地域の都市は、最大限の力と集中力を必要とすると述べた。
 現地の状況は困難かつ苦痛で、占領軍は前進するために利用可能な全てのリソースを投入しているなどとした。 (2301-122703)

 12月27日 09:40

 ウクライナ軍参謀本部が26日、24~25日にかけて南部ヘルソン州と東部ルガンスク州のロシア軍部隊の密集地域を攻撃し、合わせて300名を死傷させたと発表した。 また露軍は負傷兵の増加に苦しんでおり、各地の民間病院を接収して治療を施しているとも指摘した。
 一方、露国防省は26日、最激戦地のバフムト方面を含む東部ドネツク州でウクライナ軍170名を死傷させたと主張した。
 東部や南部で激戦が続いているが、バフムト方面では露軍の攻勢が弱まりつつあるとの観測も出ている。 これに対しウクライナ軍は、バフムトで露軍に損害を強いつつ、南部ザポロジエ州やヘルソン州、ルガンスク州などで反攻の機会を伺っているとの観測が強い。 (2301-122704)

 12月27日 13:00

 プーチンは、エリート層のなかでウクライナ戦争への支持の欠如を懸念している可能性があり、彼らの財産の国有化する準備をしている可能性がある。
 ロシアのミルブロガー世界で、ロシアのはるか後方にある軍事目標に対するウクライナの攻撃は、頭痛の種になっている。
 ロシア軍とウクライナ軍は、スヴァトーブ~クレミンナ線で交戦をを続けている。
 ウクライナの情報筋は、ウクライナ軍がクレミンナの近くで戦っていると報告した。
 ロシアの情報筋は、ロシア軍がバクムットの北東で限定的ながら戦果を上げたとしている。
 ロシア軍はドネツク市の西郊外への攻撃を続けている。
 ウクライナ軍当局者は、ロシア軍がザポリージャ州で攻撃は陽動のため部隊を集中させている可能性があり、ロシア軍がヘルソン州で西岸に到達するために小規模な偵察活動を実施しようとしていることを示唆した。 (2301-122705)

 12月27日 17:01

 ロシア国営TASS通信が、ラブロフ外相が26日にウクライナがロシア政府の「新しい領土」に関する提案を受け入れなければならず、受け入れられない場合にはロシアが軍事行動を起こすと述べたと報じた。
 ロシアは9月にウクライナのルハンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソンの4州で偽の住民投票を実施した後、これらの地域の併合を主張したが、完全な支配下には置けていない。
 プーチン露大統領は先週、併合した4州について「極めて複雑」な状況にあると認めていた。 (2301-122707)

 12月28日 10:00

 ラブロフ露外相が、米国とウクライナがロシアの要求を受け入れるまで、ロシアは軍事的解決策を追求し続けると述べた。
 ウクライナ軍は、ISWが以前に評価したよりもウクライナ北東部でより多くの戦果を上げた可能性がある。
 バクムット地域とアウディーイウカ~ドネツク市地域でのロシアの攻撃が最高潮に近づいている可能性がある。
 ロシア軍はウクライナ南部で要塞化の取り組みを続けている。 (2301-122805)

 12月28日 15:09

 ウクライナ東部ルハンスク州の軍政トップのハイダイ氏が27日、同州リシチャンスク北西のクレミンナ市で激しい戦闘が続いていると述べた。
 ロシア軍は現地に兵力を投入しているという。
 ハイダイ氏によれば、ロシア軍は大量の死傷者を出しているものの、クレミンナを失えば、全ての防衛線が崩壊するとして、大量の予備兵と装備を投入して、常に兵力の回復を行っているという。
 CNNは、ロシア側の死傷者数について、独自に確認できていない。 (2301-122808)

 12月28日 16:36

 ウクライナ軍によると、ロシア軍が28日未明までの24時間でヘルソンの非軍事目標に33発のロケット弾を発射した。
 ロシア軍はヘルソン近郊のドニエプル川西岸の人口密集地を砲撃しているという。 ロシアは民間人への攻撃を否定している。
 このウクライナ軍発表をロイタは独自に確認できていない。
 ウクライナの軍事アナリストによると、ロシア軍は先月放棄したヘルソンへの攻勢を強めている。
 ウクライナ当局によると、28日朝には全土で空襲警報が発令された。
 SNSでは警報はベラルーシからロシア機が飛び立ったことを受けたものとの情報が飛び交っているが、ロイタはこの情報を確認できていない。 (2301-122809)

 12月29日 10:15

 バクムットに対するロシアの攻撃は、おそらく最高潮に達している。
 ロシア軍はルハンシク州での決戦の準備をしているようで、2023年の冬にザポリージャ州で新たな攻撃を行う可能性は低い。
 ロシアは、ウクライナがロシアのウクライナ領併合を受け入れることを主張することで、ウクライナとの停戦交渉を行う意図がないことを示し続けている。
 ロシアは、Patriotの供与を米露関係悪化の拡大としているが、ISWはロシアがNATOとの大規模な紛争に故意に拡大しようとはしないと確信している。
 ウクライナ軍はクレミンナへの反撃を続け、ロシア軍は失地回復のために反撃を続けている。
 ロシア軍は、バクムット、ドネツク市周辺、およびドネツク州西部で攻撃を続けた。
 ロシア軍はヘルソン州とザポリージャ州で防御と部隊交代を続けた。 (2301-122905)

 12月29日 12:58

 ウクライナ国防省情報総局長のブダノフ少将がBBCの取材に対し、現在ウクライナでの戦闘はウクライナとロシアのどちらも大きく前進できずにいる膠着状態にあると話した。
 この間、ウクライナ政府は西側各国からの先端兵器の提供を待っているところだという。
 ウクライナ軍が11月にへルソン市を奪還して以降、最も激しい戦闘は東部ドネツク州のバフムート周辺で行われてきたが、それ以外の場所では、ロシア軍はもっぱら防戦態勢をとっている様子だという。
 その一方、全長1,000kmにわたる前線においてウクライナ軍の地上部隊の動きは、冬の寒さの影響でペースを落としている。
 ブダノフ局長は、かなりの被害を受けたロシア軍は今では完全に行き詰まり状態にあるとし、ロシア政府は今後さらに徴集兵の動員を発表すると決めたようだと話した。
 それでもウクライナ軍は今も複数の場所で前進するための物資が不足していると、局長は付け足した。 (2301-122908)

 12月29日15:10

 ウクライナ東部ルハンスク州のハイダイ知事が28日にTV局との会見で、ロシア軍との攻防が続く同州の要衝クレミンナ市の戦況に触れ、同市に来ていたロシアの民間人全員が業務を中断して退去したと報告した。 またロシア軍司令部もクレミンナから他の集落へ移ったと説明した。 市に派遣されていた医師や修理要員ら民間人が携わっていた全ての業務が中止や凍結され、全員がロシア領内へ向かったなどと述べた。  2022年春以降、クレミンナを占領しているロシア軍は、クレミンナを失えばロシア軍はセベロドネツク市に展開する部隊への補給に支障が出る事態となる。 (2301-122912)

 12月29日 17:37

 ウクライナで29日朝に各地でロシアのミサイル攻撃があり、首都キーウなど複数の都市で爆発音が響いた。
 ウクライナ空軍は、ロシアが夜間のUAV攻撃に続き、多方向からCMで攻撃しているとした。 ポドリャク大統領顧問は120発以上のミサイルが飛来したと述べた。 (2301-122914)

 12月29日 21:50

 ベラルーシ国防省が29日、ウクライナ領内から10:00頃に発射されたミサイルを防空システムで迎撃したと発表した。
 ウクライナおよびポーランドと国境を接する西部ブレスト州の村でその残骸が見つかり、初期調査段階で残骸は「ウクライナ領内から発射されたS-300の破片とみられるとしている。
 ロシアによるウクライナ侵攻後、ロシアの主要同盟国であるベラルーシがこのような報告をしたのは初めてである。
(2301-122916)

 12月29日 22:14

 ウクライナ軍総司令官のザルジニー陸軍大将が29日、初期情報によると本日発射されたミサイルは69発に上ったがCM 54発が撃墜されたと述べた。
 キーウ市当局も同日、同市に向けて発射されたミサイル16発を全て撃墜したと発表していた。
 同市の軍当局はSNSに「キーウ上空でミサイル16発が記録されたが、16発全てが撃墜された」と投稿した。 ただ、ミサイルの破片で民家3軒と自動車1台が損傷したという。
 大統領府顧問ポドリャク氏は先に、120発以上が発射されたとしていた。 (2301-122917)

 12月30日 04:53

 ウクライナが国防省は声明で29日に、ベラルーシが自国領内で撃墜したミサイルについて、ロシアがウクライナ侵攻にベラルーシを参戦させるために行った策略であった可能性を示唆した。
 声明では、ベラルーシへのミサイル飛来がロシアの「意図的挑発」であった可能性は排除できないと指摘し、ロシアが発射したCMにベラルーシ領空での迎撃を誘発するような経路を取らせた可能性があるとした。 (2301-123001)

 12月30日 07:30

 ロシア軍は、ウクライナの重要インフラに対して新たな大規模ミサイル攻撃を実施した。
 ラブロフ露外相は、ロシアがウクライナとの真の停戦交渉を行うことを望まないことを繰り返した。
 ウクライナの軍事情報局 (GUR) のブダノフ長官がウクライナでの戦闘は行き詰まっていると述べた。
 クレムリンは、反対派を排除するために、政府に広範な権限を曖昧な条件で与えるため法律を操作し続けている。
 ウクライナが繰り返すロシア国内深くの目標に対する打撃は、UAVに対するロシアの防空の能力限界を露呈し、自国領を護れないという批判を招いている。
 ウクライナ軍はクレミンナの近くで反撃を続け、ロシア軍はスヴァトーブ~クレミンナ線に沿って限定攻撃を行った。
 ロシア軍は、アウディーイウカ地域とバクムット周辺で攻撃を続けており、戦果を挙げる可能性が高い。
 ロシア軍はヘルソン州で防衛を継続した。 (2301-123004)

 12月31日 02:00

 ウクライナ侵攻が長引き、ロシア軍の戦力が低下してきた。 ロシア軍は29日朝にウクライナ全土で大規模なミサイル攻撃を実施したが、これまでに発射されたミサイル数は確認されただけで549発と、ロシアの年間生産量の6年分を3ヵ月で使い切った計算で、ミサイルの備蓄は急減している。
 米欧による先端技術部品の輸出禁止でロシアのミサイル生産能力も落ちていて、ウクライナ軍はあと2~3回の大規模攻撃でロシア軍のBMの備蓄が尽きるとの見方がある。
 兵器の損失も膨らみ続けていて、民間の軍事情報サイトOryxの24日時点のリストによると、破壊されたりウクライナ側に渡ったりしたロシア側の装備品は8,500品目で、ウクライナ側のほぼ3倍になっている。
 直近の1ヵ月でロシア軍は240両を超える戦車と装甲車を失ったという。
 ウクライナはロシアが核使用に踏み切れないとみて同国本土への直接攻撃を強める構えだが、偶発的に西側との全面戦争にエスカレートするリスクも残る。 (2301-123102)

 12月31日 07:30

 ロシア軍が12月29日から30日の夜にイラン製UAVを使用してキーウを攻撃した。
 ロシア軍はスヴァトーブ~クレミンナ線で攻撃を続けた。
 ウクライナ軍はルハンシク州のロシア軍集結地を攻撃した。
 ロシア軍は、アウディーイウカ地域とバクムットで攻撃を続けたが、ロシアの攻撃速度は前日に比べて鈍化した可能性がある。
 ロシアの情報筋は、ロシア軍がザポリージャ州で攻撃を行ったとした。 (2301-123109)

 12月31日 09:26

 ベラルーシ国営Belta通信によると、同国の国防省は29日午前にウクライナ方面から飛来したS-300を迎撃し、破片が南西部ブレスト州の畑に落下したと発表した。
 ベラルーシ外務省は駐在するウクライナ大使を召還し抗議した。
 ウクライナは、ベラルーシがウクライナへの批判を強めていることから、一方的な主張を展開してロシア軍と共に侵攻する根拠にするのではないかと警戒している。 (2301-123110)

2・2 ロシアの活動

2・2・1 ロシアの傭兵

3月17日 20:31

 在英のシリア人権監視団が17日、ウクライナに侵攻しているロシアが兵員補充のためシリアで戦闘員を募集したところ、応募者が4万人を超えたと明らかにした。 ロシア軍が審査し22,000人の参戦を認めたという。
 実際にウクライナへ派兵されたケースはまだ確認されていない。 (2204-031718)

4月20日 14:48

 欧州の当局者が19日、ウクライナに侵攻したロシア軍に加わっているロシアの民間軍事会社Wagnelなどの傭兵部隊の総数が10,000~20,000名に上るとの分析を明らかにした。
 同当局者はワシントンで記者団に対し「彼らは大型車両や重火器を持ち合わせておらず、歩兵部隊のようなものだ」と説明した。
 プーチン露大統領に近いといわれるWagnelのほかシリアやリビアからの傭兵も含まれるが、それぞれの数を把握するのは困難だという。 (2205-042008)

7月29日 17:14

 英国防省が29日、ロシアはウクライナ戦争で兵員の不足により前線任務の一部を民間軍事会社Wagnelの戦闘員に託しているとの見方を示した。
 国防省は、Wagnelは2015年以降、正規軍の任務とは異なる役割を主に引き受けていたが、今回は異なった活用をしていると指摘した。 (2208-072906)

8月07日 10:39

 New York Postに5日にロシア国営TVの報道を引用して、ロシアの軍事専門家コロチェンコ氏がこの日TVに出演しで、対砲兵戦での経験が多い100,000名の北朝鮮義勇軍がウクライナに来て紛争に参加する準備ができていると話したと報じた。
 同氏は更に「北朝鮮が戦う意志を表明するならば、われわれロシアはこれを受け入れるべき」と主張した。
 しかしNew York Postは、北朝鮮で義勇軍と関連した動きは見られないと分析しており、ロシアからこうした話が流れ出るのは、戦争を継続する資源が不足していることを示唆すると付け加えた。 (2209-080702)

9月21日 04:34

 ウクライナのフョードロフ副首相兼デジタル転換相が19日にTelegremで、同国のIT部隊がウクライナ侵攻に加わっているとされるロシアの軍事企業のWagnel社のサイトのハッキングに成功し、「雇い兵の個人情報を全て入手した」と投稿した。
 フョードロフ副首相は投稿の中で、「死刑執行者や殺人者、強姦者は全て厳罰に処す」として、戦争犯罪に関与した雇い兵の追及を進めるとした。
 ロシアは今回、Wagnelの侵攻参加を公式には認めていないが、雇い兵1,000人以上がウクライナ東部に展開し、戦闘で重要な役割を担ったとの情報もある。
 一方、ロイタ通信は19日に米高官の分析として、Wagnelが犯罪受刑者1,500人以上を勧誘しているものの、多くが参加を断わっていると報じた。
 Wagnelは若くて経験が浅い雇い兵を中心に犠牲者が増加しているといい、兵士不足を補おうとしているとみられる。 (2210-092102)

2・2・2 ロシアの領土拡張

2・2・2・1 占領地のロシア化

3月26日 11:49

 ウクライナ中南部ザポリージャ州の軍当局が26日未明、ロシア側が制圧した州内のメリトポリで、ロシア支持を表明する集会が開かれるとの情報をつかんだと発表した。
 ウクライナ保安庁がロシア側関係者の通話を傍受し、情報を得たとしている。
 集会参加者にはロシア側から日当RUB1,200ルーブル(1,400円)が支払われるという。
 また軍当局によると、ロシア側に制圧されているザポリージャ州の都市トクマクでは、ロシア側が4月4日から市内での通貨をロシアのルーブルに移行させる計画だという。 (2204-032610)

3月27日 18:22

 TASS通信が、ウクライナ東部親露派武装勢力のルガンスク人民共和国幹部が27日にロシアへの編入の是非を問う住民投票が近く実施される可能性について言及したと報じた。
 2014年にロシアがクリミア半島を併合した際に行った手口が繰り返される恐れが出ているが、ロシア下院で旧ソ連圏の問題を担当する委員会のカラシニコフ委員長は、ウクライナで軍事作戦が続いていることから「今は適切な時期ではないと思う」と否定的見解を示した。 (2204-032706)

4月28日 11:32: ヘルソンで市長を任命

 ロシア軍が占領しているウクライナ南部ヘルソンでロシア軍が市の行政本部を占拠し4月26日に独自に市長を任命した。
 これに反対する住民の抗議集会を散会させるためロシア軍が27日、催涙ガスや音響閃光弾を使用したと、ウクライナ検事総長が明らかにした。 検事総長は、集会は平和的だったが少なくとも4人が負傷したとし、調査を行っていると明らかにした。
 ヘルソンはロシアが2月24日の侵攻開始後に最初に制圧した主要都市で、一部の住民が抗議集会を時折開いており、27日にも中心部に人々が集まった。
 ウクライナ政府は、ヘルソンを同国東部のような分離地域にするためロシアが27日に住民投票を計画しているとしていた。 (2205-042810)

4月28日 17:42: ヘルソンで通貨をルーブルへ

 ウクライナ南部ヘルソンの親露派当局者がロシア通信 (RIA) に対し、5月1日から同地域でロシアの通貨ルーブルの使用を開始すると明らかにした。
 ルーブルへの移行には最大4ヵ月かかるため、それまではウクライナフリブナも並行して流通すると述べた。
 ロシアは26日にヘルソン一帯を完全に掌握したと発表した。 地元当局者によると、ロシア軍は市の行政本部を占拠し、独自に市長を任命した。 (2205-042815)

5月06日 21:18

 ウクライナ東部の親露派武装勢力「ドネツク人民共和国」の「運輸省」が5日、港湾都市マリウポリのウクライナ語と英語で書かれた地名標識を撤去し、代わりにロシア語の標識を設置したと発表した。 (2206-050615)

5月07日 02:22 :ロシアが永遠にウクライナ南部に留まると宣言

 ロシア議会上院のトゥルチャク第1副議長が5月6日、同国軍が制圧したウクライナ南部ヘルソンを訪問し、ロシアは永遠にウクライナ南部に留まると宣言した。 (2206-050703)

5月11日 20:22

 ロシア軍が占領するウクライナ南部ヘルソン州で占領政策に協力する親露派の政治家ストレモウソフ氏が11日、ヘルソン州のロシアへの編入をプーチン大統領に要請する方針を表明したとロシア通信が報じた。
 ストレモウソフ氏は「ヘルソンはロシアだ。 ヘルソン州に『ヘルソン人民共和国』はつくられないし、住民投票も行われない」と主張しているが、ヘルソン州では親露派による「人民共和国」樹立に向けて住民投票が強行されるとの見方もあったものの、住民の根強い反露感情を踏まえて実施を断念した可能性がある。 (2206-051109)

5月24日 13:50

 ロシア通信 (RIA) が24日、ウクライナ南部ヘルソンでロシアが任命した当局者の話として、同地域に軍事基地を設置するようロシア政府に要請する見通しだと報じた。
 ロシアが「ヘルソン民軍地域行政」と呼ぶ組織の幹部は「ヘルソンにロシア軍基地を置くべき」とRIAに述べた。
 ロシアは今回の軍事侵攻でヘルソンを掌握した後、現地の当局者を新たに任命し、通貨ルーブルの導入を開始した。 (2206-052406)

6月08日 03:52

 ウクライナ政府は7日、ヘルソン州を支配するロシア軍がジャーナリストや親ウクライナ派を中心に約600人を拘束していると明らかにした。
 拘束されている人々の大半はロシア軍の占領後にヘルソン市や周辺地域で「親ウクライナ集会」を組織したジャーナリストや戦闘員で、「特別に改造された地下室」に監禁されて非人間的な状況で拘束され、拷問を受けているという。
 ドニエプル川の河口に位置するヘルソン市は、ロシア軍の攻撃を受けて多数の住民が市外に脱出した。 (2207-060802)

6月08日 10:08

 親露派勢力が支配するウクライナのメリトポリで市長を自認するダニルチェンコ氏が、ロシア大統領府の第1副長官が7日に同市を訪問し、同市が住民投票の準備を開始したと明らかにした。
 メリトポリはウクライナ南東部ヘルソン州の隣に位置するザポリージャ州の主要都市である。 (2207-060805)

6月12日 05:55

 ロシアメディアが11日、ロシア軍に占領された南部ヘルソン州とザポロジエ州の一部で、ロシア国籍の付与が開始されたと報じた。
 プーチン大統領は5月下旬に南部2州の住民を対象に国籍取得を簡素化するよう命令していた。 (2207-061202)

7月11日 02:20

 ロシア通信によると、ウクライナ東部ハルキウ州の親露派幹部が8日、歴史的に同州はロシア領土の一部だと主張した。
 ロシアは攻防が続くドネツク州だけでなく、隣接するハルキウ州でも併合に向けた動きを強めている。
 露軍はハルキウ州南東部イジュームなど州全体で20%とされる制圧地域に親露派「暫定当局」を設置しており、8日には「戒厳令」を出した。
 プーチン露政権は行政の専門家チームの派遣も検討している。 (2208-071101)

7月11日 07:15

 プーチン露大統領が11日、ウクライナ東部や南部の一部地域の住民に導入してきたロシア国籍取得手続きの簡素化に関して、対象をウクライナ全土の住民に拡大する大統領令に署名した。
 AP通信によると、ロシアはドネツク州とルハンシク州では2019~2022年に72万人がロシアのパスポートを受領しており、6月にはヘルソン州ヘルソンとザポリージャ州メリトポリの住民にもパスポートを発行している。 (2208-071306)

7月19日 11:00

 米国家安全保障会議 (NSC) カービー報道官が19日の記者会見で、ロシアがウクライナの支配地域を併合する計画を進めていると非難した。
 カービー報道官は2014年のロシアによるクリミア半島併合に言及し、ロシアは東部のドネツク、ルガンスク両州の全域と南部のヘルソン、ザポリージャ両州の一部を対象に、2014年に見られたものと酷似した一種の併合作戦を展開し始めていると指摘した。
 また、ロシアは既にウクライナの支配地域に「代理人」を違法に置いており、早ければ9月にも支配地域で「偽の住民投票」を実施する計画だとし、武力による併合は国連憲章に著しく反しており容認できないと語った。 (2208-072008)

12月13日 10:53

 ロシア大統領府のペスコフ報道官が13日、ウクライナ侵攻で占領した地域を同国政府がロシア領と認めない限り、紛争解決に向けた進展はないとの見解を示した。
 ぺスコフ氏は記者団に対し、「現実はロシア連邦が新たな領土を獲得した」ということであり、その点に納得しない限り「いかなる進展もあり得ない」と述べた。 (2301-121407)

12月16日 04:49

 プーチン露大統領が15日、上下両院の議長や主要閣僚らが参加した会議で、欧米の制裁を経済戦争と表現して欧米のもくろみは失敗したと主張し、アジアや中東、南米やアフリカなどの非欧米諸国へのエネルギー輸出が拡大したなどとして、今年のGDP成長率はマイナス2.5%に収まる見通しだと強調した。
 そのうえで、一方的に併合を宣言したウクライナの4州について、現地の生活水準を引き上げるための発展計画をまとめるよう指示し、ロシア領として統合を推し進める姿勢を示した。 (2301-121603)

2・2・2・2 ロシア編入に向けた住民投票

9月20日 08:30

 ドンバスの親露派指導者はロシア編入に向けた住民投票の速やかな実施を呼びかけるなど、ウクライナの勢いに神経をとがらせている兆候も見られるが、ウクライナ側によると、ウクライナ軍はロシアが放棄した領域まで部隊を東進させ、ドンバス地域のロシア軍に反攻する態勢を整えつつある。
 現在ロシア軍の支配下にあるルガンスク州のガイダイ知事は、ウクライナ軍が同州ビロホリフカ村を完全に掌握し、州全体を奪還するための戦闘態勢を整えていると述べた。 (2210-092005)

9月27日 13:13

 ウクライナのゼレンスキー大統領が9月27日、親露派が東・南部4州で実施したロシアへの編入の是非を問う「住民投票」で賛成票が圧倒的多数を占めたと発表されたのを受け、親露派支配地域の国民を「守る」と表明した。
 ゼレンスキー大統領は「人々は銃を突き付けられて投票用紙への記入を強制された」として、「偽の住民投票の結果とされる数字は、あらかじめ用意されたものだ」と主張した。 (2210-092814)

2・2・2・3 ウクライナ4州を独立

 プーチン露大統領が9月29日、ウクライナの南東部ザポリージャ州と南部ヘルソン州を独立国家として一方的に承認する大統領令に署名した。
 2月には東部のドネツク州とルハンシク州を独立国家として一方的に承認しており、プーチン大統領はこれらを根拠に30日に4つの州を併合する文書に調印する構えである。 (2210-093004)
2・2・2・4 ウクライナ4州のロシアへの編入

「2・1・6 ロシアのウクライナ領編入」で記述
2・2・2・5 ウクライナ4州の住民にロシアのパスポート発給

 ロシア政府は24日、プーチン大統領が「併合」を発表したウクライナ4州の住民に対し、8万冊以上のロシアのパスポートが発給されたと明らかにした。 (2212-112420)
【註】ロシアは侵攻開始直前に「パスポートを70万人に配布する」としていた。
 また6月には「ドネツク州とルハンシク州では2019~2022年に72万人がロシアのパスポートを受領している」としていた。
2・2・3 核による威嚇

2・2・3・1 ロシアの恫喝

プーチン露大統領が核抑止部隊に高度の警戒態勢を命令

 プーチン露大統領が2月27日、NATO首脳らによる声明と西側諸国の対露経済制裁を受け、核戦力を含む核抑止部隊を高度の警戒態勢に置くよう軍司令部に命じた。
 プーチン大統領は国営TVで、西側諸国はわが国に対し経済分野で非友好的な手段を取るだけでなく、NATO主要国の首脳らはわが国について攻撃的な声明を出した」などと語った。
 米国は、緊張を高める受け入れられない行為だと非難した。 (2203-022724)

ラブロフ外相の発言

 ロシアのラブロフ外相が国営TVのインタビューで、核戦争が起きるかなりのリスクがあり、過小評価すべきではないとの見方を示し、「このようなリスクを人為的に高めることは望まない。 高めたいと考える国は多い。 深刻で現実の危険があり、それを過小評価してはならない」と語った。
 また、西側諸国がウクライナに供与する武器はロシア軍の正当な目標になるとした。 (2205-042610)

プーチン露大統領の発言

 プーチン露大統領が4月27日にサンクトペテルブルクで開かれた議会関係者との会合で演説し、ウクライナ軍事作戦に関し第三国がロシアに戦略的脅威を与えようと意図した場合は「電撃的で素早い対抗措置を取る」と述べ、核兵器の使用を辞さない姿勢を示した。
 プーチン大統領は、ロシアは他国が持たない兵器を保有していると述べ、ロシアにとって受け入れがたい干渉を受けた場合には「それを自慢したりせず、必要なら使う。 皆がそれを知っておくべきだ」と警告した。 (2205-042801)

Iskanderの模擬発射訓練を公表

 国防省が5月4日、ロシア軍が同日にカリーニングラード州でIskanderの模擬発射訓練を行ったことを明らかにした。
 ロシア軍は100名以上が参加したコンピューターシミュレーションによる演習で、仮想敵のミサイル発射装置や飛行場などの重要インフラ、指揮所などを模した標的に対する単射と連射での攻撃を訓練した。 (2206-050508)

ロシア外務省、核兵器使用を否定

 ロシア外務省情報局次長が5月6日の定例記者会見で、ウクライナでの軍事作戦でロシアが核兵器を使用することはないと述べ、ウクライナ侵攻でロシアが核を使う可能性があるとの欧米側の指摘を意図的な偽りと批判した。
 ロシアがどのような場合に核兵器を使用するかは軍事ドクトリンなどに明記されていると指摘し、ウクライナでの作戦は適用外と明言した。
 ロシアの軍事ドクトリンは、自国や同盟国に核や大量破壊兵器による攻撃があった場合や、通常兵器による侵略で国家の存立が脅かされる場合には核兵器使用の可能性があるとしている。 (2206-050614)

ICBM Yars など核部隊が演習

 InterFax通信が6月1日に国防省からの情報として、ロシア核部隊がモスクワ北東のイワノボ州で演習を行っていると報じた。
 演習は1,000人態勢で、ICBM YarsのTELを含む100両以上が参加しているという。 (2207-060109)

プーチン大統領がロシアでの国際会議で核使用発言

 プーチン露大統領は17日にロシアでの国際会議で、「私たちが何を持っているのかを知るべきだ。 そして我が国の主権を守る必要がある場合にはそれを使用する」と、核兵器を念頭に国家の主権を守る必要がある場合には使用すると発言した。  プーチン大統領は2月には「ロシアは最も強力な核保有国の一つ」と発言し、4月にも戦略的脅威に対する反撃について「手段はすべてそろっている。 誰もが持っていないものもある」と述べていて、ウクライナへの軍事支援を強化する欧米を強く牽制している。 (2207-061813) 【註】プーチン露大統領の核威嚇は、2月24日に侵攻を開始したが思うような速度で進展しなかった2月27日と、ウクライナ北部からの退却を余儀なくされた4月27日に行われた。

ベラルーシに Iskander を配備、戦闘機を核兵器搭載可能に改良する支援

 プーチン露大統領が6月25日、同国を訪問したベラルーシのルカシェンコ大統領と会談した際、ベラルーシにIskanderを数ヵ月以内に配備する方針を明らかにした。
 プーチン大統領はさらに、ベラルーシの戦闘機を核兵器を搭載できるよう改良する支援も申し出た。 (2207-062601)

部分的動員令と核兵器を使用する可能性を示唆

 プーチン露大統領が9月21日、国民の部分的動員を発表した演説の中で、同国には「さまざまな破壊手段」があると述べ、核兵器を使用する可能性を示唆した。
 プーチン大統領は演説の中で、ロシアが保有する兵器の一部はNATOよりも進んでいると改めて強調し、「領土の一体性が脅かされた場合は当然、国家と国民を守るために使える手段をすべて行使する」と繰り返した。 (2210-092112)

汚い爆弾(ダーティーボム)で威嚇

 ショイグ露国防2211-102401>相が10月23日、英仏土国防相と相次いで電話協議し、ウクライナ政府が汚い爆弾(ダーティーボム)を使用する可能性について懸念を伝えた。
 汚い爆弾とは放射性物質を含んだ爆弾で、ロシア国営メディアも同日にウクライナが製造の最終段階にあると報じた。 (2211-102401)
【註】ウクライナが自国国土を放射線汚染させるとは考えにくいことから、ロシアがウクライナで汚い爆弾をしようとしているか、するぞとの威嚇である可能性がある。

 米国務省のプライス報道官が10月24日、ロシアが放射性物質をまき散らすことを目的とした汚い爆弾もしくは通常の核兵器のいずれを使用しても重大な結果に直面するという認識を改めて示した。
 ロシアはウクライナが汚い爆弾を使用する可能性があると主張しているが、西側諸国はロシアが戦争をエスカレートさせるための偽旗作戦の可能性があるとして警戒している。 (2211-102501)

核ミサイル演習で威嚇

 米国防総省のライダー報道官が10月25日、ロシアから核戦力の演習を計画しているとの通知があったと明らかにした。 演習の詳細については明確にしなかった。
 ライダー報道官は核戦力の演習について、これはロシアが年次演習だとし、「この件に関し、ロシアは軍備管理上の義務や透明性のコミットメントを順守している」と語った。
 米当局者によると、米ロの新戦略兵器削減条約(新START)により、ロシアはこのような演習を事前に通知する義務があるという。 (2211-102603)

 露大統領府が、10月26日にプーチン大統領の統率の下、核戦力の陸海空軍部隊による核弾頭搭載ミサイルの発射演習を行ったと発表した。
 ロシアは核兵器の運用能力を誇示し、侵略を続けるウクライナや同国を支援する米欧諸国を威圧する思惑だとみられ、17日から核抑止演習を開始したNATOに対抗する狙いもあるもようである。 (2211-102606)

核魚雷の試験を準備

 ロシア海軍艦がここ数週間、原子力推進の新型魚雷の試験を準備していたのを米国は把握していることを、この件を直接知る米政府高官がCNNに明らかにした。
 米国は核兵器を爆発させるような実験が行われたとは考えていないが、原子力推進システムの誤作動で、放射能によるリスクをもたらす可能性がある。
 試験準備に参加したロシア艦の中には、Poseidon魚雷などUUVを発射できる特殊作戦用に改造されたSSN Belgordoが含まれていた。
 先週これらの艦が北極海の試験場を離れ、試験を行わずに基地に戻る様子が確認された。 技術的な問題に遭遇した可能性があると米国は考えている。
 米当局はロシアが再び魚雷の試験を試みる可能性があると述べたが、試験を行うエリアの海域は間もなく氷結し始め、試験可能な時間はそう残されていないと指摘した。
 Poseidon魚雷は通常弾頭と核弾頭の両方を搭載できる原子力推進UUVで、原子力推進システムにより航続距離はほぼ無制限である。 (2212-111103)

RS-28 Sarmat新型ICBMの発射試験

 InterFax通信が、ロシア軍が11月18日にRS-28 Sarmat新型ICBMの発射試験に成功したと発表したと報じた。
 Sarmatは、BMD網を突破できるほか、極超音速ミサイルAvangardを搭載可能とされ、発射試験の実施で米国を牽制する狙いがある。 (2212-111822)

プーチン露大統領が「核戦争の脅威は高まっている」

 プーチン露大統領が12月7日、侵略するウクライナをめぐって核戦争の「脅威は高まっている」と述べた。
 「核は防衛手段として考えているが、我々に向けて攻撃があれば対抗する」とも主張し、苦戦が続く中、ウクライナを支援する米欧を改めて牽制した。
 ロシアの核戦力について他の核保有国よりも進んでいると語り、ロシアが優位にあると主張したうえで、我々は保有する全ての手段によって国益を守ると強調した。 (2301-120814)

プーチン露大統領が、予防的核兵器先制使用を軍事ドクトリンに加える検討

 キルギスで首脳会談を終えたプーチン露大統領が記者団に、敵の武装解除を目的とした予防的な核兵器先制使用が可能であると、正式に軍事ドクトリンに加える方向で検討するかもしれないと語った。
 米国は高精度ミサイルを使って予防的な攻撃を仕掛ける戦略をとっていると主張し、「敵の士気をくじくための攻撃ということであれば、米国側のアプローチをわれわれも取ることを考えるべきだろう」と述べた。
 ロシアの軍事ドクトリンでは、核使用は国家の存続が脅かされる場合の最終手段に位置づけられている。
 プーチン大統領が核問題について話すのは今週2回目で、12月7日には核戦争のリスクが高まりつつあり、ロシアの核兵器は紛争の「抑止要素」だと述べていた。 (2301-121003)

親露派司令官、核兵器なければ NATO を打ち破れず

 ドネツク州の親露派武装勢力のホダコフスキー司令官が12月13日にロシア国営メディアに対して、ロシアのリソースには限りがあり、ウクライナで核兵器を使用することなくNATOのブロックを打ち破ることはできないと述べた。
 ホダコフスキー司令官は、ロシアは西側諸国全体と戦っているため、ウクライナの戦争が次に拡大するのは「核」だけだとした。 そのうえで、我々にはNATOのブロックを通常の方法で打ち破るリソースはないが、我々にはそのために核兵器があると述べた。
 ロシア大統領府は公にはホダコフスキー司令官の発言について反応していない。 (2301-121412)

プーチン露大統領が戦略核兵器強化を

 プーチン露大統領が12月21日に国防省の幹部会議で演説し、ウクライナを軍事支援するNATO側が「潜在的な軍事力を積極的にロシアに向けている」と述べて欧米を批判、国家主権確保の保証として戦略核兵器を強化していくと述べた。
 ロシアは保有する核弾頭の91%を新型に更新したと説明し、欧米との核戦力の均衡を維持すると述べた。 (2301-122114)

2・2・3・2 ウクライナの反応

 ウクライナのゼレンスキー大統領は9月25日に放送された米CBSの番組の中で、プーチン露大統領が核兵器の使用を示唆して威嚇していることについて、現実になるかもしれないとの見方を示した。
 ゼレンスキー大統領は番組の中で、「もしかしたら、昨日は、はったりだったのかもしれないが、今は現実になるかもしれない。 彼がはったりを言っているとは思わない」と語った。 (2210-092705)
2・2・3・3 米国の対応

ロシアに警告

 米国で国家安全保障問題を担当するサリバン米大統領補佐官がNBC TV番組でロシアが核兵器を使用して一線を越えた場合、ロシアに破滅的結果がもたらされる断固たる対応を取ると強調した。
 一方、ロシアのラブロフ外相は24日の記者会見で、ウクライナの併合地域を防衛するために核兵器を使用する根拠があるか問われ、ロシアの領土は将来編入する地域を含めて国家の完全な保護下にあるとの認識を示した。 (2210-092609)

 ブリンケン米国務長官が25日放送のCBS TVとの会見で、ウクライナに侵攻したロシアが核兵器使用に踏み切った場合について、米国として対応策は用意できているとし、「破滅的な結果になるとロシア政府が知ることが重要だ」と警告した。
 対応策の具体的な中身については明かさなかったが、「第3次大戦」の勃発を食い止める内容になりそうか問われ「われわれはこの戦争を拡大させないよう決意している」とも述べた。 (2210-092616)

ロシアの核兵器動向報道への反応

 英Times紙が3日、NATOが加盟国にプーチン露大統領がウクライナとの国境近辺で核実験を行い、核兵器使用の意志を示そうとしていると伝えたと報じ、国防省の核兵器担当部署に関連するとみられる列車が移動したとも報じた。
 このほか、伊La Repubblica紙は2日、ロシア海軍の原潜Belgordoの動きに関する情報報告書をNATOが加盟国に配布したとし、原子力核魚雷Poseidonの初となる試験が実施されると懸念されていると報じた。
 米国防総省高官は4日に、ロシアが戦術核兵器を鉄道で移動させている可能性を示唆する報道が出ていることについて、これらを裏付ける情報はないとし、米軍の核態勢の変更につながるような事態は見られていないと述べた。 (2211-100503)

2・2・3・4 NATO の対応

ロシアが核兵器を使用すれば物理的な対応

 匿名を条件にNATO高官が10月12日、ロシアが核兵器を使用すれば、ほぼ確実にウクライナの同盟国およびNATO加盟国の物理的な対応が引き起こされるとの見方を示した。
 NATOは12~13日に国防相理事会を開催し、13日には核計画に関するグループの非公開会合も開かれる。 (2211-101304)

2・2・4 ロシアの犯した戦争犯罪

2・2・4・1 民間人の虐待、虐殺

キエフ州全域を解放、280人の遺体埋葬

 ウクライナのマリャル国防次官が2日、同国軍がキエフ州全域をロシア軍から奪還し、イルピンとブチャ、ホストーメリとキエフ州全域が侵略者から解放されたたと発表した。 3都市はいずれもキエフの北西にあり、ロシア軍の侵攻により大きな被害を受けていた。
 イルピンとブチャは今週、ウクライナ軍により奪還されたが、戦闘により多数の民間人が犠牲となった。
 ブチャに入ったAFPは、一つの道路で少なくとも20人の遺体を確認し、うち1人は両手を縛られた状態で亡くなっていた。
 ブチャ市長はAFPの電話取材に対し、街中には遺体が散乱しており、これまでに280人が集団墓地に埋葬されたとし、「全員が後頭部を撃たれ殺されていた」と語った。
 多くは武器を持っていないことを示す白い布を身に着けていたという。 (2205-040302)

首都郊外のブチャ、奪還地域に多数の遺体

 ロシア軍の撤退でウクライナ側が奪還したキーウ郊外のブチャで、民間人とみられる多くの遺体が横たわっていたことが現地からの報道で2日に分かった。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、北部から撤収するロシア軍が地雷を仕掛けていると主張し、退避した人々が戻るのは困難という見方を示した。 (2205-040303)

キーウ州では首長が遺体で発見

 ウクライナのベレシュチュク副首相が「3日時点で、キーウ、ヘルソン、ハルキウ、ザポリージャ、ミコライウ、ドネツクの6つの州で、合わせて11ヵ村の首長がロシア軍に拘束されている」と会見で述べた。
 ロシア軍から奪還されたキーウ州のモティジン村では3月23日に拉致されたスヘンコ村長と夫の遺体が見つかったという。 (2205-040307)

見渡す限り遺体散乱

 ウクライナに侵攻しているロシア軍が、首都キーウ近郊ブチャで多数の民間人を殺害していた疑いが、現地入りしたウクライナ軍や報道機関の指摘で浮上した。他の都市でも露軍による民間人殺害や暴行が報告されており、ブチャの惨状は氷山の一角とみられる。
 2日にブチャに入ったAFP記者は、静かな並木道に見渡す限り遺体が散乱していたと表現し、記者が確認した20人の遺体はいずれも軍人には見えない服装だったという。
 遺体は露軍の激しい攻撃で廃虚と化した市内各地に点在しており、英Sunday Timesは2日にブチャの民家の地下室で、両手両足を縛られた子どもを含む男女18人の遺体が見つかったと報じた。 遺体はバラバラに切断されていたという。
 露軍が撤退の際に組織的に住民を殺害したと考えられ、露軍が遺体や民家に地雷を仕掛けており、民間人被害の全容把握には時間がかかりそうである。 (2205-040309)

ロシア軍撤退前に殺害

 New York Timesが4日、キーウ近郊ブチャの衛星写真と動画を同紙が分析したところ、多数の民間人殺害はロシア軍撤退前の同軍管理下で起きたことが分かったと報じ、ロシア軍撤退後に虐殺が起きたなどとするロシア側の主張は事実ではないと指摘した。
 ロシア軍は3月30日前後に撤退したが、多くの殺害行為は3週間以上前に行われたとみられるという。
 同紙によると、ブチャの大通りに横たわっていた少なくとも11遺体については、衛星写真により3月11日から倒れていたことが確認できた。 (2205-040506)

キーウ近郊で“大量虐殺

 ウクライナのゼレンスキー大統領が、キーウ近郊で300人以上の住民が虐殺されたことが国際的な問題になる中、別の町でさらに犠牲者が出ている可能性があると明らかにした。
 ゼレンスキー大統領はSNSで、「周辺にあるボロジャンカなどでは、さらに犠牲者が多いとの情報がある」と明らかにした。 (2205-040510)

虐殺実行者は「残忍な」年配部隊

 ロシア軍に占領されていたブチャの住民によると、当初は若いロシア兵ばかりだったが、2週間後には40歳以上とみられる年配の兵士も加わり、「彼らは残忍で、皆を虐待した。 その時から虐殺が始まった」という。
 年配の兵士たちは良い装備を持ち、ロシア軍の標準的な軍服とは異なる黒と濃い緑色の服を着ていたという。
 ロシア兵の中には良い人もいたが、特にロシア連邦保安局 (FSB) の職員は非常に荒っぽかったという。 (2205-040608)

ボロディアンカでブチャを上回る数の遺体

 首都キーウ北方のブチャでは、410人もの住民が無差別に虐殺され、ロシア軍の戦争犯罪が声高に糾弾されているが、ウクライナのベネディクトワ検事総長によれば、キーウの北西64kmのボロディアンカからは、ブチャを上回る被害が報告されているという。
 ブチャで起きた惨劇は、首都北部のスクイやチェルニヒウでも起こっていたとみられており、ボロディアンカでは、ブチャを上回る数の遺体が発見されたと報じられている。 (2205-040617)

ロシア軍の民間人虐殺「意図的な作戦」

 ブリンケン米国務長官が5日、ウクライナのブチャなどでロシア軍が多数の民間人を虐殺した疑惑について、「意図的な作戦」と述べ、露軍が組織的かつ計画的に実行したとの認識を示した。
 ブリンケン長官は記者団に「我々が目撃しているのは、ならず者による暴走ではなく、殺害や拷問、性的暴行など残虐行為を目的にした意図的な作戦だ」と語った。
 ウクライナ検察当局は5日、戦争犯罪の容疑で5,000件を捜査していると明かしており、ロシアの組織的犯行だと追及する動きが強まっている。 (2205-040622)

ロシア軍に深く根付いた「残虐行為の文化」

 ウクライナのブチャで撮影された凄惨な写真の数々は、ロシア軍による戦争犯罪とみられる行為があったことを示す強力な証拠になっているが、ロシア軍には残虐行為に及んだり武力紛争法を軽視したりする文化があり、それは過去にも広く記録されてきた。
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのカラマール事務局長は、ウクライナであれシリアであれ自国内のチェチェンでの軍事作戦であれ、ロシアによる軍事介入の歴史には国際人道法をあからさまに無視する傾向があると指摘していた。
 カラマール事務局長によると、ロシア軍は民間人を保護しないどころか直接攻撃することさえあり、戦時国際法に繰り返し違反してきており、おそらく意図的に民間人や民用物を狙う場合もある。 (2205-040703)

市民殺害を話すロシア軍無線を傍受

 ドイツ連邦情報局 (BND) が6日に議会の委員会会合で、ロシア兵がウクライナでの兵士や市民の銃撃について話す無線を傍受したと報告したことを、会合に詳しい情報筋が明らかにした。 この報告が会合の最重要項目だったという。
 本件を最初に報じたDer Spiegel誌によると、BNDはブチャでの市民殺害について話すロシアの無線を傍受した。 一部の会話は特定の殺害に直接かかわる内容の可能性があるという。
 ロシアは戦争犯罪の発生を否定しているが、この記録はロシア軍のこうした行動様式を暗示している可能性がある。 (2205-040806)

ブチャの虐殺者、大佐へ昇進

 ロシア国防省が22日にSNSで、英国がキーウ近郊のブチャでの虐殺に関わった指揮官だと名指しして経済制裁の対象にしているオムルベコフ中佐が、大佐に昇進したことを明らかにした。
 ブチャでは少なくとも350人が死亡したとされるほか、拷問や性的暴行を受けたりしたと欧米メディアなどで報じられている。 (2205-042310)

キーウ州で民間人1,150人の遺体を回収

 ウクライナのキーウ警察が4月28日、ロシアの侵攻を受けて以来、キーウ州で民間人1,150人の遺体が回収されたと発表した。
 このうち50~70%には小火器で撃たれた痕があったという。
 州警察トップはツイッターに投稿した動画で、遺体の大半はブチャで見つかったとし、遺体は法医学の専門機関に引き渡したと述べた。
 ウクライナは、ロシア軍の撤退後にブチャで遺体となって見つかった多数の民間人はロシア軍の占領時に処刑されたと主張している。 (2205-042817)

露政府がアゾフ連隊兵には絞首刑による「屈辱的な死」をと

 駐英露大使館は同日、ウクライナ軍アゾフ連隊の兵士には絞首刑による「屈辱的な死」がふさわしいとツイートした。
 これを受けてウクライナ政府は、ロシアを「テロ国家」と非難した。 (2208-073103)

ハルキウ州で拷問後に虐殺

 ウクライナ北東部ハルキウ州の検察は、地元住民によるfacebookへの投稿でロシア軍が複数の村人を殺害したとの報告を受けたことから、捜査を開始したと明らかにした。
 検察によれば、当局者が9月11日に自宅の敷地内に埋められていた3人ともう1人はアスファルト工場の敷地内に埋められていた1人の合わせて4人の遺体を発見したが、全ての遺体に拷問の形跡があったという。
 検察は初期の捜査の結果として、犠牲者はロシア軍に殺害されたとの見方を示した。 (2210-091314)

バラクレヤで住民を拘束し、拷問

 ハルキウ州の警察幹部が9月13日にSNSを通じ、イジューム北方のバラクレヤで露軍が地元住民を拘束し拷問したとみられる施設の存在を確認したと明らかにした。
 露軍がバラクレヤで建物の地下にウクライナ軍に協力したなどの疑いで地元住民を常時約40人拘束し、拷問を加えていたという。
 New York Times紙はウクライナがハルキウ州と南部ヘルソン州での「二正面」の領土奪還作戦を数ヵ月前から米国と協議していたと報じた。
 ウクライナ大統領府顧問は13日にCNNに対し、ウクライナ軍がドネツク州北部にある鉄道輸送の拠点リマン奪還に注力しており、進軍速度は落ちるとの見通しを示した。
 ウクライナは10月頃から路面がぬかるみ戦車の走行に適さない雨期を迎えるため、双方の攻防は天候にも左右される。 (2210-091420)

ハルキウ州の集落で少なくとも10ヵ所の拷問部屋

 Interfax-Ukraine通信が、ウクライナ国家警察クリメンコ長官が9月16日、ロシア軍から奪還したハルキウ州の集落で「少なくとも10ヵ所の拷問部屋が存在する」と説明したと報じた。
 長官はロシア軍による戦争犯罪の可能性について捜査するため、この1週間で204件の刑事手続きを開始したと述べた。
 AFP取材班は、ウクライナ高官が集団墓地が見つかったと発表した後、ロシア軍から奪還した東部イジューム近郊の森で数百の墓を確認している。 (2210-091618)

イジュームで集団墓地、400体以上の遺体

 ウクライナがロシア軍から奪還した北東部イジュームで、集団墓地が見つかった。
 ゼレンスキー大統領は、「400体以上の遺体が発見された」とした上で、拷問の痕があるものや、子供の遺体もあるとしている。
 ウクライナ警察はほとんどが民間人だとしていて、戦争犯罪がなかったかなど捜査を進めるとしている。 (2210-091703)

 ウクライナ軍が奪還した北東部ハルキウ州イジューム郊外の森で見つかった集団墓地についてシネグボウ州知事はSNSへの投稿で、「掘り起こされた遺体の99%に暴力による死亡の痕跡が見られた」と発表した。
 後ろ手に縛られた遺体が複数あったほか、首にロープを巻かれていた人もいたと説明し、「これらの人々は明らかに拷問、処刑された」とした。
 現場のAFP記者もこれに先立ち、掘り起こされた遺体のうち少なくとも1体が手を縛られた状態だったことを確認していた。 (2210-091704)

イジュームで集団墓地、180体の遺体

 ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事が10月7日、ロシア軍から奪還したドネツク州リマンで集団墓地が発見されたことを明らかにした。
 埋葬されている遺体の数は不明というが、ウクライナ国営Ukrinform通信は警察当局者の情報として、この墓地に180体の遺体が埋葬されていると報じた。 (2211-100805)

2・2・4・2 レイプや性的暴行

 国連の紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表パッテン氏が10月14日にAFPとの対談で、ロシア軍によるレイプや性的暴行はロシアの「軍事的な戦略」であり、「被害者の人間性を奪う意図的な戦術」だとの認識を示した。
 レイプがウクライナの戦争で武器として使われているのかとの質問に対し、パッテン氏は「ウクライナにはそれを示唆するものがすべてある」と述べた。 (2211-101421)

 ウクライナ当局が進める戦争犯罪捜査を支援する国際犯罪弁護士によると、ロシア軍司令官らがウクライナで兵士による性的暴行を認識し、時には奨励や命令さえしていたことを示す証拠が見つかっている。 (2212-112503)

2・2・4・3 捕虜の虐待

捕虜への拷問や銃殺の証拠を隠蔽

 ウクライナのゼレンスキー大統領が7月29日夜、親露派が支配している東部ドネツク州オレニウカで、ロシア側の収容所への攻撃で50人以上のウクライナ側の捕虜が死亡したと、SNSに投稿した。
 ウクライナ軍参謀本部は、ロシアがウクライナ兵の捕虜への拷問や銃殺の証拠を隠蔽しようとして攻撃したと主張した。
 この攻撃をめぐってはロシア国防省が同日、「ウクライナ軍の攻撃を受けた」と発表しており、両者の主張が食い違うなか国際社会からは捕虜収容所への攻撃に対する非難の声が出ている。 (2208-073004)

国連が捕虜虐待の事実認定

 国連ウクライナ人権監視団のボグナー団長が11日までに、ロシアが拘束した戦争捕虜に虐待や拷問を加えていることを確認したと発表した。
 ロシアは監視団に捕虜収容施設の調査を認めていないと批判し、水や食料、医療が適切に提供されていない施設があると訴えた。
 ボグナー団長によると、ロシアは多くのウクライナ人捕虜に対し家族に収容場所や健康状態を伝えることも禁じている。
 妊娠した女性らも拘束しており、人道的見地から即時解放するよう求めた。 (2210-091106)

2・2・4・4 ウクライナ人の強制連行、人間の盾

2・2・4・4・1 強制連行

米国務長官が認定

 ブリンケン米国務長官が7月13日、ロシアがウクライナの支配地域などから最大160万人の市民を強制的にロシアに連行したとし、「民間人の保護に関するジュネーブ条約に著しく違反しており、戦争犯罪だ」と非難する声明を出した。
 具体的には、ウクライナ市民の旅券を没収し、ロシアの旅券を発行して人口構成を変えようとしたり、市民の個人情報や生体情報を収集したうえでロシアへの滞在に同意する書類に強制的に署名させ、ウクライナに自由に帰国できないようにしたりしているという。
 ロシア当局による拷問や処刑の報告もあるという。 (2208-071408)

国連も事実を認定

 ケフリス国連人権担当事務次長補がウクライナに関する安全保障理事会の会合で9月7日、「保護者がいない子どもがロシアの占領地や本国に強制的に移送されているとの主張は信憑性が高い」と述べたた上で「ロシア当局が保護者がいない子どもに対する国籍付与手続きを簡略化し、ロシア人家庭に養子縁組させる事態を懸念している」と語った。
 また、ロシア軍は占領地でウクライナ人を「選別」し、多数の人権侵害を行っているとも指摘し、着衣を脱がされての身体検査や、経歴や家族関係、政治信条、ロシアへの忠誠心などに関する詳細な尋問、携帯端末の検査、個人情報の取得、写真撮影、指紋採取といった事例が確認されていると説明した。
 ウクライナ政府や軍に近いと判断された結果、拷問を受け、ロシア国内の流刑地や収容所に強制移送された事例もあるという。 ケフリス事務次長補は、「特に懸念されるのは、女性や少女が『選別』中に性的虐待を受ける恐れがあることだ」と述べた。 (2210-090809)

米国務省の関連団体紛争監視団が認定

 ロシアによる戦争犯罪の証拠を収集する米国務省の関連団体紛争監視団が18日、ロシアが併合を宣言したウクライナ南部ヘルソン州に関する報告書を発表し、226人が拘束されたり行方不明になったりしたと明らかにした。
 報告書によると、226人はウクライナの政府関係者や治安当局者、市民社会の指導者らで、実際はこれよりはるかに多数に上ると分析している。 (2212-112002)

ウクライナ人、子供だけで11,461人強制移住

 ウクライナ政府は11月26日までに、ロシアが侵攻後に制圧地から強制移住させたウクライナ人が子どもだけで11,461人に上り、329人が行方不明との統計を発表した。
 ロシア側はウクライナの攻撃から身を守るための「避難」と正当化してプロパガンダにも利用しているるが、人権団体は「戦争犯罪」と非難している。 (2212-112615)

2・2・4・4・2 人間の盾

 ロシア軍が占領しているウクライナのザポリージャ州メリトポリのフェドロフ市長が、ロシア軍が町からの避難を2日続けて阻止し、数千人の市民を人間の盾としていることを明らかにした。
 フェドロフ市長は7月11日、ロシア軍が他地域へ向かう主要な通過地点であるバシリウカの検問所を閉鎖していると述べた。
 フェドロフ市長は現在市内にはいない。 (2208-071409)
2・2・4・4・3 不法拘束

 ロシアのInterFax通信が、同国の連邦保安局 (FSB) が12月8日、同局やロシア国防省の施設に関する情報をウクライナ側に伝えたとして、クリミア半島の住民2人を国家反逆容疑で拘束したと報じた。
 2人はセバストポリの住民で、今年2月にロシア軍がウクライナに全面侵攻を始めた後に国家(ロシア)の防衛能力に損害をもたらす情報を伝え、報酬を受け取った疑いがかけられたという。
 FSBはうち1人を「ウクライナのイデオロギーの支持者」で、2016年から情報機関であるウクライナ保安局 (SBU) と協力関係にあったとし、拘束されたもう1人の住民から通信アプリで情報を伝えられていたとした。 (2301-120820)
2・2・4・5 略 奪

2・2・4・5・1 金品の略奪

ロシア兵が自動車部品、楽器を略奪

 ベラルーシメディアがオンラインのビデオカメラで録画した映像を公開した。
 映像ではロシア軍の大型トラックが4月上旬にウクライナ国境に近いベラルーシ南部モジルにあるロシア系物流会社の近くに現れ、兵士が荷物を運び込み大量の物資を母国に送る手続きをする様子が映っている映像を公開した。
 荷物はテレビや自動車部品、楽器などで計2t以上で、その多くが盗品だとみられる。
 ウクライナ侵攻中のロシア軍は市民への残虐行為を国際社会から批判されているが、軍紀の乱れも深刻になっている可能性がある。 (2205-040906)

略奪品を戦車に乗せて持ち去る様子

 ロイタが5月26日にルガンスク州ポパスナで、たくさんの荷物を乗せたまま走行する「Z」マークの戦車を撮影したが、これは自分の家財道具ではないかとの連絡が寄せられた。
 ポパスナから2人の子供を連れて英国に避難したコレニウクさんが6月1日、ロイタのインタビューに応じた。
 ロイタはコレニウクさんの主張を独自に確認することはできないが、ウクライナでロシア軍が略奪行為を行っているとの指摘に対し、ロシア当局は回答していない。 (2207-060806)

ハルキウ、ルハンスクの両州から撤退する際に略奪

 ウクライナ軍が9月15日までに、ロシア軍が北東部ハルキウ、東部ルハンスクの両州から撤退する際に略奪行為を広範に行っていると報告した。
 ウクライナ軍参謀本部によると、スタロビルスク、ルハンスクを結ぶ高速道路ではルハンスクへ向かう車線でロシア軍兵士らが運転する複数のトレーラートラックが目撃された。
 積んでいたのは約300台の自家用車で、大半はハルキウ州のナンバープレートを付けていた。
 略奪は南部でも起きているとし、ポロヒ市周辺ではロシア軍が自家用車を盗んでいるとした。
 ヘルソン州ノバカホウカでは住民が一時退避した集落で家具や家電製品を大量に持ち出し始めたという。
 また、中南部ザポリージャ州メリトポリ市のフェドロフ市長は、同州での盗品をクリミア半島へ運ぶため、ロシア軍兵士が車庫に侵入し、自家用車を強奪していると述べた。
 CNNはウクライナ軍参謀本部などが主張する略奪の発生を独自に確認出来ていないが、ハルキウ州やロシアが以前占領していた地域で略奪が多発していたことを示す証拠はこれまで出ていた。 (2210-091514)

へルソン州から撤退する際に略奪

 ロシア軍の苦戦が伝えられるウクライナ南部へルソン州で、露軍や親露派勢力が現地の文化財や住民の資産などを略奪しているとの情報が相次ぎ浮上している。
 露軍部隊はすでに同州のドニエプル川西岸から撤退を開始しており、占領地を離れる前に「価値のあるものをすべて奪っている」とウクライナ側は批判している。 (2211-102507)

美術館の展示品をロシア軍が略奪

 ウクライナメディアのKyiv Independentが11月5日、ヘルソン州のヘルソン美術館が、ロシア占領軍に美術品を略奪されたとSNSへの投稿で訴えたと報じた。
 報道によると、ロシアの占領軍とその協力者たち40人前後の集団がは10月31日から11月3日にかけて、適切な梱包などをしないまま目に付いたものすべて、手の届くものすべてを持ち去ったという。
 一部は武装していた。 (2212-110509)

2・2・4・5・2 大量の穀物を略奪

ロシア軍が大量の穀物を略奪 飢餓の歴史再来の懸念

 ロシア軍がウクライナの占領地で農家から大量の農業機械や穀物を略奪していると、複数の関係者がCNNに語った。
 特にウクライナ南部のヘルソンやザポリージャなどの穀倉地帯ではロシア軍が統制を強め、略奪を加速させていると関係者は訴える。
 ロシア軍は同州の農地の90%を占領し、約10万㌧の穀物をこの地域から持ち去ったと推定している。ウクライナ国防省は5月5日、これまでに推定40万㌧の穀物が盗まれたと発表した。
 そうした地域では種まきの中断や中止を余儀なくされた農家も多く、今年の収穫が脅かされる恐れもある。
 ウクライナには1930年代にスターリンが農民が貯蔵していた食糧を収奪し数百万人が餓死したホロドモールと呼ばれる歴史がある。
 ルハンスク州の当局者は、ロシアはホロドモールの再来を狙っているとの見方を示している。 (206-050608)

ロシア軍に盗まれた穀物、すでに地中海上に

 ウクライナ国防省の情報部門が5月11日までに、ロシア軍が占領地域で盗んだ穀物はすでに地中海を進むロシア船籍の貨物船の上にあると主張した。
 行き先として最も可能性が高いのはシリアで、そこから他の中東諸国に密輸される可能性があるとしている。
 同部門はまた、ロシアが引き続き盗んだ食料をロシア連邦の領土や占領下のクリミア半島に運んでいるとの見方も示した。 (2206-051103)

盗んだ穀物積載ロシア商船が地中海沿岸で入港拒否

 CNN TVが5月13日までに海運関係者やウクライナ当局者の話として、大量の穀物を積んだロシア商船が地中海沿岸の港で入港を拒否され、シリア北西部ラタキア港に停泊していることが判明したと報じた。
 穀物はロシアが侵攻したウクライナから強奪したものという。
 CNNによると、4月下旬にクリミア半島のセバストポリで確認された3万㌧の穀物を積んだ商船はエジプト北部アレクサンドリアに向かったが、ウクライナ側が盗んだ穀物を積んでいると伝え入港を拒まれた。
 レバノンの首都ベイルートでも同様に入港を拒否されシリアのラタキアに向かった。 (2206-051408)

略奪した小麦10万㌧をシリアに移送

 ウクライナの駐レバノン大使館が、ロシアがウクライナ侵攻開始以降に同国から略奪した小麦推定10万㌧をシリアに送ったと主張し、「犯罪行為」だと非難した。
 大使館はロイタ宛ての文書で、一部はロシア籍の船舶マトロス・ポジニッチで輸送され、積み込まれた小麦はウクライナのロシア制圧地域の貯蔵施設から「盗まれた」ものだと主張している。
 Refinitiv社のデータによると同船は、ロシアがウクライナから併合したクリミア半島のセバスポリ港で小麦を積み込んで5月19日に出港し、シリアで荷降ろしするとなっていた。
 米衛星画像企業Planet Labsが5月29日に撮影した衛星画像では同船はシリアのラタキアに停泊していた。 (2207-060305)

略奪した穀物をトルコなどに密輸

 ウクライナのボドナル駐トルコ大使が6月3日に開いた記者会見で、ロシアがウクライナの占領地から盗んだ穀物をトルコなど複数の国に密輸していると訴えた。
 ウクライナはロシアが中東などにウクライナの穀物を運び、産地を偽装するなどして転売しているとみていて、トルコ当局や国際刑事警察機構 (ICPO) に捜査協力を依頼しているという。
 ボドナル大使によると、ロシアはウクライナ南部クリミア半島からこうした穀物船を出している。
 ロイタ通信は駐レバノンのウクライナ大使館の話として、ロシアが侵攻開始以降、シリアに10万トンの穀物を密輸したとも報じていた。 (2207-060402)

穀物略奪報道を米英政府も確認

 ロシアが侵攻したウクライナから穀物を略奪しているという報道について、米英の政府高官が相次いで報道内容を支持する発言をした。
 ブリンケン米国務長官は6月6日の記者会見で、ロシアがウクライナの輸出用穀物を盗み、みずからの利益のために売っている信頼に足る報道があると言及した。
 英国のプレンティス農業漁業食料担当相も7日に国際会議の席で、穀物略奪疑惑について早急に調査を行うべきだと訴えた。
 ウクライナは4月に、ロシアが穀物数十万㌧を略奪していると非難しており、盗まれた穀物の移送先はアフリカや中東などに広がっているとみられる。 (2207-060810)

トルコがロシア船の出港を容認

 ウクライナ外務省が7月10日までに、トルコがウクライナから奪われた疑いがある穀物を積載したロシア貨物船の出港を認めたことは容認出来ないと反発する声明を発表した。
 ウクライナは、トルコ側が同船の差し押さえや貨物の押収を求める要請を無視し7月6日の出港を許可したと、声明で深い失望を表明し、トルコに調査を開始するよう緊急に要請し、トルコの駐ウクライナ大使も呼び、しかるべき説明を求めたともした。 (2208-071006)

ロシアがウクライナ産穀物輸出に当たる企業GUKを設立

 ウクライナ国防省情報総局が7月14日までにTelegramで、ロシアがウクライナ産の穀物の窃取を続けており、ウクライナ中南部ザポリージャ州の占領地域から窃取した穀物の輸出を試みていることを明らかにした。
 ロシアは輸出に当たる企業GUKを設立したが、この会社の責任者は以前ウクライナ野党に所属していた政治家で、現在は同州の占領当局の責任者を務めているともした。
 同情報総局によると、GUKは穀物価格も雑穀類は1tあたり$98、食用小麦は$147に大麦は$114に定めているが、穀物生産の農家はこの値段の水準に反発し、倉庫や戸外の場所などで貯蔵する方途を選んでいるという。 (2208-071413)

2・2・4・5・3 ウクライナからの穀物の出荷

 InterFax通信が、ロシア国防省がウクライナからの穀物輸出について6月2日、穀物を積載した船舶が「人道回廊」を通して黒海に面するウクライナの港から出港できるようにすると表明したと報じた。
 ロシアにはこうした船舶の安全を保証する用意があるとしている。 (2207-060301)

 6月7日にトルコ入りしたラブロフ露外相が、8日のチャブシオール外相と会談後の共同会見で、「われわれはウクライナの港を出る船の安全を確保する用意がある」と述べた上で、トルコ側と協力する考えを示した。
 会談では主に、ロシアの海上封鎖のために行き場を失っているウクライナ産小麦など穀類を輸出するための安全回廊の設置について話し合われた。 (2207-060812)

2・2・4・5・4 金属約2,700tを略奪

金属2,700t略奪

 ロイタ通信が5月28日、ロシアがマリウポリを制圧後、初めて船舶が入港したと報じた。 船は金属約2,700tを積み込み、海路ロシアに向かうという。
 港の担当者はTASS通信の取材に、船の目的地は160km離れたロシア南部のロストフナドヌーだと述べたという。
 ウクライナ側は略奪行為だと非難している。 (2206-052812)

2・2・4・5・5 外国商船を押収

 ウクライナ親露派組織「ドネツク人民共和国」がマリウポリで、リベリア船籍とパナマ船籍の商船2隻を押収したことが分かった。
 ドネツク人民共和国は2隻が所有者への補償なしに「国有財産」への強制転換を伴う動産強制収用の対象になったと通知した。
 リベリア船の所有社は、6月30日に電子メールで押収を通知されたという。
 同社によると同船は鋼材積み込みのため2月21日にマリウポリに到着したが、3月20日に砲撃を受けて船体が大きく損傷した。
 乗組員19人はロシア軍によりドネツクに強制連行され、1ヵ月後に解放されたという。
 国際海事機関 (IMO) によると、依然として80隻以上の外国船舶がウクライナの港で立ち往生している。 (2208-070601)
2・2・4・5・6 ザポロジエ原発の強奪

 ロイタ通信が、プーチン露大統領が10月5日に露軍の占領下にあるウクライナのザポロジエ原発について、ロシアの国有資産と位置づける大統領令に署名したと報じた。 (2211-100603)

 国際原子力機関 (IAEA) のグロッシ事務局長が10月6日、IAEAはウクライナのザポロジエ原子力発電所をウクライナの施設とみなしていると述べた。
 プーチン露大統領は5日に、ザポロジエ原子力発電所を監督下に置き、連邦財産にすることをロシア政府に命じる法令に署名している。 (2211-100702)

2・2・4・6 財政への圧迫

国防関連に23年予算の3割超、経済分野を犠牲

 プーチン大統領が12月に承認した2023年の露国家予算は、国防関連費に全支出の30%超を充て異例の増額とした一方、経済発展のための予算は2022年より大きく減額させ、露国家予算は、軍事作戦に全力を傾けるロシアの内情を改めて示した。
 露有力紙「独立新聞」によると、2023年の予算は兵器製造や軍の人件費などに充てる軍事費がRUB5T(11兆円)で、RUB4.7Tだった2022年と比較し、外形上はそれほど増えていないようにも見えるが、2022年の軍事費はウクライナでの軍事作戦の開始を受け、当初計上されたRUB3.5TにRUB1.2T増額された経緯がある。
 テロ対策やデモの取り締まりを担う治安機関の運営などに充てられる国家安全保障治安維持費も2023年はRUB4.4Tを計上し、2022年のRUB2.8Tから大きく増額された。
 プーチン政権は予算拡大で治安機関の忠誠心を高め、国内統制を強める思惑だとみられる。
 一方、技術開発や産業振興などに充てられる2023年の国家経済費はRUB3.5Tにとどまり、2022年のRUB4.3Tから減額された。 (2301-121411)

2・2・5 弱体化したロシア軍

2・2・5・1 軍記の乱れ、士気の低下

 英国防省が6月19日の戦況分析で、ロシア軍部隊内で命令拒否や対立が続いていると指摘した。
 ウクライナ侵攻を特別軍事作戦とする公式な立場に阻まれ、ロシア当局が反対する兵士らに法的圧力をかけるのに苦労しているとの見方を示した。
 あらゆる階級のロシア軍兵士の多くが戦争の目的について混乱したままとみられ、士気の問題は作戦目標の達成能力を制限するほどに重大だとし、士気低下の原因としては指導力の低さや死傷者の多さ、劣悪な兵站、給与問題などが挙げられるという。
 ウクライナ軍も激しい戦闘に投入され、ここ数週間、脱走を繰り返しているようだと指摘した。 (2207-061906)

 英国防省が9月4日、ウクライナに侵攻するロシア軍兵士に十分な給与が支払われておらず、不満を持つ兵士の士気が低下しているとの分析を明らかにした。
 ロシア軍の兵士には本給に加え、さまざまなボーナスや手当が支給されることになっているが、ウクライナでは多額の戦闘ボーナスが支払われていない可能性が高いという。
 英国防省は、非効率な軍の官僚機構や司令官の間にはびこる腐敗などが原因だと指摘した。
 また、ロシア軍はこれまでも、給与のほか制服や武器、食料など基本物資の供給が恒常的に不足しており、これらが間違いなく多くの部隊の士気に影響していると強調した。 (2210-090501)

 ロシア軍の不意を突いたウクライナ軍の最近の反撃をめぐっては、ロシア軍内での脱走、命令拒否、士気の低下など、指揮系統の崩壊を示唆する情報が出ている。
 さらに専門家は、将官や士官の死や負傷が大打撃となっていると指摘し、軍隊の訓練体制が近年悪化し、有能な後任を確保するのが難しくなっているとみている。
 匿名を条件にAFPの取材に応じたフランス軍幹部は、ロシア軍には階級を上ってその分野のエキスパートとなった下士官が十分にいないと指摘し、ロシアは年配の兵士を優先して昇進させる傾向があるが、「年長者だけが昇進し、部下との関係が権力によるものだけになると、攻撃を実行するのが難しくなる」と説明した。 (2210-091705)

2・2・5・2 相次ぐ将官の戦死

 3月17日16:31

 ウクライナのゼレンスキー大統領が16日、ロシア軍の将官が戦死したと述べた。
 ゼレンスキー大統領は死者を特定しなかったが、内務省顧問はミチャエフ少将で、ウクライナの極右組織アゾフ大隊が15日に殺害したとした。
 報道では、第150自動車化狙撃師団長のミチャエフ少将はマリウポリ近郊で死亡したとされる。
 事実であればロシア軍の将官級の死者はこれで4人目で、侵攻部隊を指揮しているロシア軍の将官約20人のうち1/5が戦死したことになる。
 これまで死亡が伝えられた将官は、ミチャエフ少将のほか、第29合同軍のコレスニコフ少将、第41合同軍のゲラシモフ少将、同軍のスホベツキー少将である。 (2204-031712)

 3月22日13:34

 英情報筋が、ウクライナに対するロシア軍の侵攻開始から1ヵ月足らずで、同軍の将官ら上級将校少なくとも5名がウクライナ側に前線で戦死したことを明らかにした。
 ウクライナ当局や報道によると、戦死したのは陸軍の少将3名と大佐2名で、3月初めから18日にかけ、ハリコフやマリウポリ付近で狙撃されるなどし戦死した。 将官クラスの戦死としては異例の人数で、ロシア部隊の指揮系統の混乱につながっているもようだ。
 ロシア軍の使用する通信システムが極めて旧式なため容易に傍受され、将官の行動予定が筒抜けになっていることなどが背景にある。
 英米は合同の通信傍受チームをウクライナに派遣しており、捕捉した情報はウクライナ軍や情報当局と共有されている。
 情報筋は「侵攻したロシア軍は初期的なアナログ通信でやりとりしている部隊が多く、前線部隊の指揮官と後方の司令部がスマートフォンで連絡しているケースもあるため通信内容が丸ごと傍受されているに等しいと話した。 (2204-032213)

 3月26日21:43

 英Times紙が26日、ロシアが制圧したウクライナ南部ヘルソン近郊の飛行場でロシア軍のレザンツェフ中将がウクライナ軍による攻撃によって死亡したと報じた。
 同紙によると、ロシア軍将官の戦死は7人目で、レザンツェフ中将は侵攻4日目に士気の下がったロシア兵に対し、ウクライナの制圧は時間の問題だと鼓舞していた。
 戦死した7人のうち6人がロシア正規軍で、1人がチェチェン共和国の将官という。 (2204-032615)

 5月11日 09:54

 ベリエ米国防情報局 (DIA) 長官が10日に上院軍事委員会で証言し、ウクライナで続く紛争で8~10名のロシア軍将官が戦死したとの見解を示した。
 米当局は増え続けるロシア軍将官の死者数を注視しているが、これほどの数の将官が死亡するのは現代の軍では異例で、20年に及んだアフガニスタン紛争で死亡した米軍将官の数をはるかに上回る。 (2206-051104)

2・2・5・3 指揮官の更迭

ロシア軍将官8名前後が解任

 ウクライナ政府は3月9日にロシア軍将官8名前後がすでに解任されたとの見方を示している。 (2204-031212)

ロシア黒海艦隊の司令官が解任

 ウクライナのネットメディアが4月22日にウクライナ国防省の情報局幹部の話として、ロシア黒海艦隊の司令官が解任され逮捕されたと報じた。
 巡洋艦Moskva沈没の責任を問われたとみられる。
 情報局幹部はほかにも、ロシア軍の5名の将官がウクライナでの苦戦などを理由に解任されるなどしたとし、司令部への弾圧が新局面に入ったとみている。 (2205-042402)

空挺軍司令官の更迭

 米ISWが6月19日までにウクライナ関係筋の情報として、ロシア軍空挺軍司令官のセルジュコフ大将が、ウクライナ侵攻で大損害を出したことを理由に解任されたとみられると明らかにした。
 空挺軍は侵攻初日の2月24日に300名でキーウ郊外のアントノフ空港を一時占拠したが、ウクライナ軍の反撃でほぼ全滅している。
 後任はソ連時代のウクライナ東部ドネツク州出身のテプリンスキー大将であるという。 (2207-062007)

ウクライナ作戦総司令官の更迭

 ロシアが最近、ロシア空挺部隊司令官を更迭すると共に、ウクライナ作戦総司令官である南部軍管区司令官を解任し、新たに任命した可能性がある。
(2207-062209)

ブルガコフ国防次官の解任

 ロシア国防省が、プーチン露大統領が9月24日、ブルガコフ国防次官を解任したと発表した。
 ブルガコフ次官は、ウクライナ侵攻におけるロシア軍の補給を担当していたため、補給の混乱がウクライナ南部などでのロシア軍苦戦の原因とされているだけに、その責任を問われた可能性がある。
 国防省はTelegramで、後任にはマリウポリへの激しい攻勢を指揮したミジンツェフ上級大将が就くとした。 (2210-092514)

西部軍管区司令官の解任

 ロシアのメディアが10月3日、ロシア軍を構成する5個の軍管区の1つでロシアがウクライナ侵攻の主力部隊である西部軍管区の司令官を解任し新しい司令官に交代したと報じた。
 今のところ、ロシア国防省の公式発表はない。 (2211-100402)

東部軍管区司令官の解任

 ロシアのニュースサイトRBCが10月7日、ロシア軍東部軍管区司令官のチャイコ大将が解任されたと報じた。
 RBCによると、東部軍管区の新たな司令官にはムラドフ中将が任命された。
 この軍管区は通常は極東を拠点とするが、ウクライナ侵攻後は、多くの部隊がウクライナでの作戦に従事しているという。
 3日には西部軍管区司令官も交代している。 ウクライナ戦線での劣勢の責任を取らされる形で、相次いで更迭された可能性がある。 (2211-100806)

ウクライナ作戦総司令官の解任

 ロシア国防省が10月8日、ショイグ国防相がウクライナでの軍事作戦を統括する司令官に航空宇宙軍総司令官のスロビキン上級大将を任命したと発表した。
 国防省はこれまで、軍事作戦を統括する司令官を公式には明示してこなかったが、任命公表により責任者を明らかにしショイグ氏への批判をかわす狙いもありそうである。
 TASS通信によると、スロビキン上級大将はチェチェン共和国への軍事介入に参加したほか、シリアでのロシアの軍事作戦でも指揮を執り、2017年から航空宇宙軍総司令官を務めていた。 (2211-100813)
【註】ロシアはウクライナ北部での作戦失敗を受け、4月侵攻作戦を統括する司令官を新たにもうけ、司令官に南部軍管区のドゥボルニコフ大将を任命したと報じられていた。
 しかしその後6月に、ウクライナ作戦総司令官である南部軍管区司令官を解任し、新たに任命した可能性があると報じられている。

ロシア軍中央軍管区司令官のラピン上級大将が解任

 英国防省が11月6日、ロシア軍中央軍管区司令官のラピン上級大将が解任され、司令官代行としてリンコフ少将が任命されたとの分析結果を明らかにした。
 ウクライナ軍が反転攻勢を強める状況に不満の声が出ており、ロシア軍では幹部の更迭が相次いでいる。
 ラピン上級大将は7月に東部ルガンスク州制圧に貢献したとして、プーチン大統領から「英雄」の称号を授けられたが、最近はチェチェン共和国のカディロフ首長らから批判され、前線の指揮から外れたとの見方も出ていた。 (2212-110606)

2・2・5・4 ロシア軍の窮状

戦力維持に苦戦

 英国防省が7月19日、ロシアがウクライナ侵攻開始以来、効果的な戦闘力の維持に苦戦しているとの見方を示した。
 この問題はますます深刻になっているようだという。
 同省は「ロシアの戦略担当者は深刻な兵力不足に対処するだけでなく、ドンバス地域に予備兵力を配置するか、南西部ヘルソンでウクライナの反撃に対し防衛するかというジレンマに直面している」と分析した。
 また、ロシアはさらに占領地域を拡大する可能性があるものの、前進速度はかなり遅くなるという見通しを示した。 (2208-071916)

少数民族地域出身者の戦死者数が突出

 ロシアの独立系メディアMediazonaが8月12日、BBCと合同で実施した調査の結果、ロシア軍でウクライナで死亡した兵士の出身地はイスラム教徒やモンゴル系など少数民族が住む地域が特に多いことが分かったと。
 調査によると、死亡が確認されたロシア兵5,507名のうち、イスラム教徒が多いロシア南部ダゲスタン共和国の267名、次いでブリャート人が多い東部ブリャート共和国の235名だった一方、モスクワ出身者は14名と少なかった。
 ロシアは人口の約8割がロシア人だが国内には約200の民族が住むとされている。
 英秘密情報部 (MI6)長官も7月に同様の見解を米国での講演で語っていた。
 こうした兵士の中には戦闘を拒否する者もおり、ロシアの英字メディアMoscow Timesによると、侵攻直後の3月にはダゲスタン共和国から派遣された兵士300名が戦闘命令に従わずに帰還したという。
 ラトビアに拠点を置くロシアの独立系メディアMeduzaも7月、ブリャート人兵士150名が軍との契約を破棄し地元に戻ったと報じていた。 (2209-081405)

ロシア兵器の低能力が露呈

 プーチン露大統領が8月15日にモスクワ近郊で開催された兵器展示会で行った演説で、ロシアは世界の同盟国に先進的な兵器を販売し、軍事技術の開発で協力する用意があると述べた。
 大統領は、ほとんどすべての兵器が実戦ですでに複数回使用されていると述べた。
 ロシアがウクライナ侵攻を開始してから半年が経過し、西側諸国の専門家はロシア軍の兵器の能力の低さが露呈しているため、これまでロシアの兵器に依存してきたインドなどの国への兵器輸出に影響が出る可能性があるとの見方を示している。 (2209-081512)

ロシア兵の脱走

 ウクライナ軍参謀本部が9月9日時点での戦況分析で、東部ハルキウ州で大きな損害を受けたロシア軍の一部兵士が軍服を脱ぎ捨てて私服姿になり、地元住民らの間に紛れ込んで脱走を試みる事例を報告した。
 私服に着替えた脱走兵はロシア本土への帰還を求めており、これらの脱走は1日あたり15件以上把握されたともした。 (2210-091107)

脱走兵対策にバリア部隊を配置

 英国防省が11月4日、ロシア軍が徴収兵が脱走したり命令なしに撤退したりするのを防ぐためにバリア部隊を配置していると報告した。
 バリア部隊は、第二次世界大戦中にソ連のバリア部隊が行ったように、逃亡する兵士を逮捕したり射殺さえしたりして罰する。 (2212-110706)

2・2・5・5 装備の枯渇

T-62 の再登場

 ウクライナ軍との戦いで1,000両以上のMBTを失ったロシア軍は夏に、備蓄していた数百両のMBTを再使用し始めた。
 1950年代に設計され、1960年代から生産されたT-62は、1980年代にソ連軍からほとんど退役し、数千両単位で倉庫に保管されている。
 修理や若干の改良を行っても老朽化した戦車はあまりうまく機能せず、ウクライナ軍が反攻を開始したヘルソン州では、T-62の乗員が放棄する傾向が顕著になっている。
 ウクライナ軍は、自軍でT-62大隊を編成することができるほどのT-62を奪取したものの実際に編成するかはわからないが、スロベニアがウクライナ側に改良されたとはいえT-62よりもさらに旧式のM-55を提供したとき、ウクライナ当局は断らなかったという事実は注目に値する。 (2211-102905)

動員されたロシア兵に旧式小銃

 英国防省が10月31日に発表した戦況分析で、新たに動員されたロシア兵に渡されている小銃が、1959年に初めて導入されたAKMと呼ばれる小銃の可能性があると述べた。
 多くは保存状態が悪くほとんど使用不可能な状態とみられるという。
 英国防省によると、動員兵がAKMを使っているとみられ、正規軍の大半が使用しているAK-74Mなどの銃とは銃弾が異なるため、ロシア側は戦線に2種類の弾薬を届ける必要が生じるという。 (2211-103108)

1910年式の PM1910 重機関銃の登場

 米国とウクライナの関係に必要な民主的価値、反腐敗システム、強い国防力の重要性などについて研究している非営利組織変化の風研究グループ (WCRG)の関係者が10月31日にツイッターを通して「後退するロシアの兵士が、1910年式のPM1910重機関銃を残置していった」という書き込みと共に動画を公開した。
 1分ほどの動画には、ロシア軍の遺棄した兵器を調べるウクライナ兵の様子が収められていて、昔の武器が珍しいらしく、あちこち触ってみて、実際に武器を持っていたずらっぽく笑う姿も捉えている。
 PM1910は水冷式で、今日でも依然として使用可能だという。 (2212-110210)

2・2・6 ロシア国内情勢

2・2・6・1 専制政治の強行

2・2・6・1・1 政敵の排除

 ロシアの反政権運動家ナワリヌイ氏がこれまで過ごしていた流刑地から厳重な警備の刑務所へと移送されたことがわかった。
 ナワリヌイ氏の弁護団は6月14日早く、同氏の居場所がわからず確認中だと発表していた。
 広報担当者によれば、弁護団が流刑地に面会にいったところ、そこにはいないと知らされたという。 (2207-061505)
2・2・6・1・2 海外情報の遮断

ネット接続規制を強化 複数の VPN を遮断

 InterFax通信が6月2日、ロシアの通信規制当局が規制コンテンツへの接続を許可しているためとして、スイスのプロトン仮想私設網 (VPN) など複数のサービスを遮断したと報じた。
 ロシアがVPN を使ったインターネットの接続規制を一段と強化している。
 VPNはネット上に仮想的な専用線を設けてデータを暗号化してやり取りするため、政権に都合の悪い情報をシャットアウトする強権国家では、多くの人々が規制をかいくぐる目的で使っている。
 ロシア政府はウクライナ侵攻以降FacebookやInstagramなど人気の高いSNSのほか、一部の独立系メディアなどのアクセスを制限したため、こうしたサービスの利用希望者がVPNを使ってサービスを利用している。 (2207-060214)

2・2・6・1・3 言論の弾圧

リベラル系紙 Novaya gazeta が活動停止

 2021年のノーベル平和賞受賞者であるムラトフ氏が編集長として率いるロシアのリベラル系紙Novaya gazetaが3月28日、ロシア軍のウクライナ侵攻が終わるまで活動を停止すると発表した。
 同紙はメディア規制の法律に従わなかったなどの理由で当局の警告を受け、登録を廃止される危険にさらされていた。
 ロシアの通信規制当局は28日、同紙が記事で非政府組織やメディアに触れた際、その団体が政府から「外国の代理人」の指定を受けていることを明示しなかったなどの理由で、3月2度目の警告をしていた。
 当局から1年間に文書で2度の警告を受けると、当局が裁判所に登録廃止を申請することが可能になる。 (2204-032816)

侵略を「戦争」と表現した議員に禁錮7年の判決

 TASS通信が、モスクワの裁判所が7月8日にロシア軍によるウクライナ侵略を巡り、露軍に関する「虚偽情報」を広めた罪に問われたモスクワのゴリノフ区議に対し、禁錮7年の判決を言い渡したと報じた。
 ゴリノフ区議は今年3月の区議会で、侵略を「戦争」と表現したとされる。 (2208-070906)

2・2・6・1・4 世論工作

国際人権団体の登録抹消

 ロシア法務省が4月8日、ロシアの国内法に対する違反が見つかったためとして、国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチやアムネスティ・インターナショナルなど15の国際組織の登録を取り消すと発表した。
 これらの国際人権団体は、ロシア軍の戦争犯罪やロシア国内における人権侵害を告発するなどたびたびロシアの行動を批判していて、今回のロシア政府の措置はこうした批判に対する報復とみられる。 (2205-040907)

イスラエルとの敵対アピール

 ロシア外務省報道官が5月4日に政府系メディアSputnikのラジオで、イスラエル人傭兵がウクライナで同国内務省系軍事組織のアゾフ連隊と共闘していると語った。
 ロシアはアゾフ連隊を「ファシスト」「ナチス」と見なしており、そうした組織とイスラエル人傭兵の共闘を示唆したことで、関係悪化に拍車がかかるのは必至である。 (2206-050509)

ばらまき政策で政権支持を獲得

 ロシアの独立系調査機関Levada Centreによると、プーチン大統領の支持率は侵攻後に急上昇し8割超で推移し、6月は83%だった。
 ウクライナ侵攻を「支持する」との回答は7割を超え、年齢が上がるにつれて支持が高まる傾向がある。
 プーチン大統領は資源収入を原資に6月以降、最低賃金の10%引き上げや年金の増額を相次いで実施し、国民の不満を抑えるばらまき策を相次ぎ実施して高支持率を維持している。
 主な歳入源である資源の価格上昇が、国民の支持を狙ったばらまき策を可能にしている。 (2208-072311)

劣勢続きに虚偽の発表で見せかけ戦果を誇張か

 米シンクタンク戦争研究所 (ISW) が10月28日、ロシアがウクライナ東部ドネツク州での戦果を誇張している可能性が高いとする分析を公表した。
 北東部や南部でロシアの劣勢が続くなか、虚偽の発表で戦果を誇張しているという。
 ISWによると、ロシア軍は士気の向上などを狙い、同州の要衝バフムート方面で大きな戦果を得たと主張しているが、ロシア軍はバフムートのウクライナ側拠点に向けてわずかに前進したが、その速度は非常に遅く、多大な犠牲を伴っていると指摘し、ロシア軍はバフムートを含めた全ての前線で目立った戦果を得ていないとしている。 (2211-102914)

2・2・6・1・5 プーチン腹心の登用

チェチェン共和国のカディロフ首長を上級大将に任命

 ロシア南部チェチェン共和国のカディロフ首長が5日、ロシア軍で3番目に高い上級大将の称号を授与されたと発表した。
 元軍人のカディロフ首長はプーチン大統領の支持者で、ロシアのウクライナ侵攻も全面的に支持していた。 (2211-100605)

2・2・6・2 政権に不利な動き

2・2・6・2・1 経済への圧迫

ロシアの戦費、英調査機関「1日最大3兆円」

 ロシアのウクライナ侵攻が長期化し戦費がプーチン政権の重荷になり始めている。
 米欧などによる経済制裁で国家財政が苦しくなり、戦闘機の補修やミサイルなど兵器の補給にも制裁の影響が及んでいる模様である。
 露国防省によると、ショイグ国防相は3月25日にシルアノフ財務相と会談し、軍予算の増額について協議した。
 ロシアはウクライナ侵攻の戦費を公表していないが、巨費に上るとの指摘が相次いでいる。 ロシアの調査報道専門メディアによると、ロシア軍が26日に発射した52発のミサイルの総額は推計$340Mだった。
 プーチン大統領は、ロシア軍が6日にウクライナ中部の空港に高価な長距離精密誘導弾8発を撃ち込んだことに激怒したとも報道された。
 英国の調査研究機関などは3月上旬、ロシアの戦費に関し「最初の4日間は1日あたり$7Bだったが5日目以降は$20B~$25Bに膨らんだ」と試算した。
 露政府の歳入は年間でRUB25T ($375B) 程度である。 (2204-032922)

インフレ率15.66%

 ロシア経済省が30日に発表した3月25日時点のインフレ率は前年比16.66%と、前週の14.53%から上昇し、2015年9月以来の高水準を付けた。
 2月のインフレ率は9.15%で、西側諸国の制裁措置を受けたルーブル安で物価が高騰している。
 ロシア中央銀行が2月28日に9.5%から20%に緊急利上げを実施したが、3月18日の政策決定会合では政策金利を20%に据え置いた。 (2204-033104)

侵攻継続以外の選択肢なし

 ロシア独立系メディアMeduzaが4月22日、ロシア大統領府に近い複数の関係者の話として、政権内では数週間前から戦闘終結に関するシナリオが検討され始めたが、プーチン大統領の支持率低下を避ける「出口戦略」を見いだせず、停戦交渉のための世論づくりを放棄してすべて成り行きに任せることになったと報じた。
 こうした方針に至ったのは、ロシアの中産階級の間では侵攻を支持する割合が高く、中途半端な形での幕引きで不満が高まることを警戒したからだという。
 Meduzaが引用した、13~16日にモスクワ市民1000人を対象に行われた世論調査結果によると、「実質的に何でも買える」収入を得ている豊かな層では作戦継続に賛成が62%で、停戦交渉に賛成の29%を大きく上回った。
 収入的にその一つ下の層でも作戦継続賛成が54%で交渉支持は37%、これが食費も十分でない貧困層になると停戦派が53%と作戦継続派の40%を上回った。 (2205-042403)

宣戦布告、動員令発令の可能性

 ウォレス英国防相が英ラジオ局LBCの番組で4月30日までに、プーチン露大統領が第2次大戦対独戦勝記念日の5月9日に、ウクライナと戦争状態にあると位置付け、宣戦布告して総動員をかける可能性があるとの見方を示した。
 ロシアは侵攻を「特別軍事作戦」とし戦争とは表現していない。 (2205-043009)

2・2・6・2・2 黒い噂

また富豪が死亡、自殺か、1月以降で6人

 ロシアメディアが5月4日、新たな実業家の死を報じた。
 死亡したのはロシアで有名なレストランチェーンの創設者リャキシェフ氏で、当局は自殺の可能性があるとして捜査を進めているという。
 ロシアでは富豪の自殺が相次いで伝えられていて、1月以降少なくとも6人の死亡が報道されている。 (2206-050503)

プーチン大統領重病説

 ウクライナ国防省のブダノフ情報局長が5月13日に英国メディアのインタビューで、「プーチン大統領は癌などさまざまな重い病気を患っていて、精神的、肉体的に非常に悪い状態にあることが確認できる」という分析を明らかにした。
 ただ、その根拠については言及しなかった。
 また、ロシア軍との戦闘については、8月の後半が分岐点となり2022年中にはウクライナ国内での戦闘の大部分が終結するとの見通しを示した。 (2206-051502)

プーチン大統領進行癌説

 News Week誌が6月2日に米情報当局の分析として、プーチン露大統領が4月に進行した癌の治療を受けたとみられると報じた。
 情報当局が5月末にまとめた機密の報告書の内容について、複数の情報機関高官が明らかにしたという。 (2207-060308)

プーチン批判の実業家が不可解な死

 ロシア第2位の石油会社LUKoil社のマガノフ会長が9月1日、入院先の病院で窓から転落して死亡したことを、事情に詳しい2人の関係者が明らかにした。
 死亡当時の詳しい状況ははっきりしていないが、ロシアではエネルギー業界を中心にこのところ不可解な死を遂げるビジネスマンが相次いでいる。
 国営TASS通信は、法執行機関当局者の話としてマガノフ氏が自殺したと伝えた。 この当局者によると、マガノフ氏は心臓発作で入院し、抗うつ薬も服用していたという。
 一方でマガノフ氏と親しかった3人の関係者はロイタに、同氏が自殺したとは信じられないと語った。 (2210-090204)

 TASS通信などが9月1日、ロシアのウクライナ侵略を公に批判した数少ない露大手企業であるロシア第2位の石油会社LUKoil社のマガノフ会長が入院先で死亡したと報じた。
 マガノフ氏は1日朝、病院6階の窓から転落したとみられている。
 LUKoil社は3月初旬、ロシアのウクライナ侵略を悲劇とし、武力衝突の即時終結を訴える声明を出していた。
 ロシアの捜査当局は自殺との見方を示したが、ロシアでは侵略後にエネルギ関連企業幹部らが相次いで不審死を遂げ自殺などと報じられるたことから波紋が広がっている。 (2210-090304)

大物実業家9人目の不審死

 ロシア極東北極圏開発公社の航空産業担当責任者だった実業家が、ウラジオストクで死亡しているのが9月12日に判明した。
 自殺や原因不明の事故で命を落としたロシアの大物実業家は2022年1月以来9人目で、そのうち6人はロシアのエネルギー大手2社の関係者だった。 (2210-091411)

ロシア議員と同行者が相次ぎ死亡

 インド当局が12月27日、自国のウクライナ侵攻を批判していたとされるロシアの地方議員とその同行者が、旅行先のインドの高級ホテルで相次いで急死し、警察が捜査していることを明らかにした。
 この議員は富豪としても知られるアントフ氏で、他のロシア人3人と共に滞在中だったインド東部オディシャ州ラヤガダのホテルの外で24日、血を流して死亡しているのが発見された。
 このホテルではアントフ氏と共に滞在していたビデノフ氏がこの2日前に意識不明の状態で発見され、その後死亡が確認されていた。 心臓発作を起こしたとみられている。 (2301-122802)

2・2・6・2・3 継戦基盤への影響

プーチン氏の支持率が8割に

 ロシアの独立系世論調査機関Levada Centreが3月30日に発表した同月実施の最新の調査で、プーチン大統領を信任するとの回答は83%に達し、ウクライナ侵攻前に実施した2月の71%と比べ12%上昇した。 「信任しない」は15%で前月より12%下落した。
 また、同センターが3月31日に発表したロシア軍のウクライナでの行為に関する調査では53%%が「確実に支持する」で28%が「どちらかと言えば支持する」と答えた。
 Levada Centreは政府から独立した予算で運営し、欧米各国から業務を委託されるなど、調査の信頼性が比較的高いとされる。 (2205-040112)

ロシア国民、388万人が国外流出

 ロシア国外に拠点を構える独立メディアのNovaya Gazeta (New Gazette) Europeが5月6日に連邦保安局 (FSB) の統計として、ウクライナに侵攻中のロシアで、国民が国外に出る動きが急増し、2022年1~3月に388万人が国外に出たと報じた。
 観光や出張なども含まれているとみられるが、若者を中心に国外に脱出する動きが伝えられており、まとまった数字が明らかになったのは初めてとみられる。
 渡航先は旧ソ連の構成国が多く、ジョージアは38,281人と前年同期比で4.5倍、カザフスタンは204,947人と同1.6倍に増えた。
 アルメニアは134,129人と昨年1~4月と比べて3倍に急増し、ウクライナには328,435人で微増だった。
 今後も人材の流出が続けば、ロシア社会に大きな打撃となる可能性もある。 (2206-050611)

厭戦ムードじわじわと

 ロシアでプーチン政権と一線を画す独立系世論調査機関Levada Centreが9月1日、8月下旬に実施したロシアのウクライナでの「特殊軍事作戦」に関する世論調査で、作戦継続か和平協議に移行すべきかどうかを巡る意見が二分したとの結果を発表した。
 ロシアのウクライナ侵略開始から半年が経過し、厭戦ムードがじわじわと広がり始めている可能性がある。
 作戦を継続すべきだとの回答は48%だったのに対し、44%が和平協議の開始を支持した。
 40歳未満では和平協議への支持が作戦継続を上回った。 (2210-090313)

2・2・6・2・4 情報統制への反発

国防相発表「戦果」への不信

 ロシアの独立系メディアProektが6月末、露国防省が発表するウクライナ侵攻でのロシアの「戦果」が「でたらめ」だとの調査報道を公表した。
 Proektの記者らは、ロシア国防省報道官コナシェンコフ中将の日に複数回行うこともある6月26日までの記者発表計196回について、内容を詳細に分析した結果、ロシア側はウクライナ軍が保有するヘリコプターの88%、固定翼機の108%を撃墜し、トルコ製Bayraktar TB2 UAVに至っては135%を撃ち落としたことになっているという。 (2208-070702)

2・2・6・2・5 政権への批判の声

地方議員から反発の声

 サンクトペテルブルクのスモルニンスコエ地区議員のパリュガ氏が連邦議会下院に対し、プーチン大統領を反逆容疑で弾劾訴追するよう要求した。
 ロシアで反体制的な見解が示されるのは異例だが、パリュガ氏は警察に呼び出され罰金が言い渡されるとみられている。
 パリュガ氏ともう1人の議員はTwitterに、サンクトペテルブルク市警が出した召喚状を投稿した。 罪状は「支配層の信用をおとしめたこと」だった。 (2210-091005)

 モスクワの区議グループが9月9日、ウクライナ侵攻の責任を問いプーチン大統領の辞任を要求した。
 要請書は、プーチン大統領の言動がロシアを冷戦時代に引き戻し、世界を核兵器で脅すことにつながっていると批判し、経済成長は実現せず、有能な人材が海外へ流出していると指摘した。
 区議会では少数派だが、長期化する侵攻に不満がくすぶっていることを示している。
 米政府系放送局によると、プーチン氏の故郷サンクトペテルブルクでも7日、区議グループがロシア下院に対し、国家反逆を理由に大統領を弾劾するよう訴える要請書を公表したという。 (2210-091010)

 ロシアの地方議会で反プーチンの動きが広がっていて、サンクトペテルブルク市のセメノフスキー地区の議員が9月12日、モスクワとサンクトペテルブルクなど18の地区の地方議員が署名したプーチン大統領に辞任を要求する声明を発表した。
 ウクライナへの侵攻が長期化するなか、サンクトペテルブルクの市議らがプーチン大統領を国家反逆罪で告発しようとするなど、地方議会から反プーチンの動きが表面化している。 (2210-091207)

 ロシアによるウクライナ侵攻を巡りサンクトペテルブルクの地方議員グループがプーチン大統領の解任を要求し、議会が解散される可能性が浮上している。
 ユフェレフ議員によると、ロシアの裁判所は9月13日に一連の議会会合を無効と判断し、自治体首長による議会解散につながるとの見方を示した。 (2210-091408)

反発の声の高まり

 ロシア軍がハルキウ州で後退したことを受けて、ロシア国内では珍しくコメンテータや政治家が議論し、公の場で批判の声が上がっている。
 ただ、批判の矛先は主に国防省になっている。
 コメンテーターは、国防省が週末に発表した軍のハルキウ州からドンバス地方への軍の「再移動」という説明を受け入れていない。
 ロシア政府の民族融和に関する評議会の会員の1人は、ウクライナ軍の攻撃が差し迫っているとの情報を無視した軍当局者に責任を取らせるべきだと指摘した。
 この会員は限定的な動員を呼びかけたほか、ウクライナでの後退について戦術的な敗北と述べた。
 国民の動員に関する議論と、特別軍事作戦を戦争と呼ぶことの議論も議会で始まりつつある。 (2210-091507)

 ロシア有力紙Kommersantが親プーチン派政党「公正ロシア」代表を務めるミロノフ議員の発言として、下院がショイグ国防相を召喚し非公開で質問を行うことを検討していると報じた。
 議会が国防相を召喚し説明を求めることはこれまで事実上なかったが、ロシア軍がウクライナ東部ハリコフの制圧を急速に失ったことについて、軍は公然と批判されている。 (2210-091604)

恩師の娘で TV 司会者を捜査

 ロシア当局が10月26日、プーチン大統領の大学時代の恩師の娘でTV司会者のサプチャク氏に対し恐喝容疑で捜査に着手し、モスクワ郊外の自宅を捜索したと現地メディアが一斉に伝えた。
 ウクライナ侵攻で強まる報道規制の一環とみられ、サプチャク氏は直前に出国した。
 サプチャクさんは、自身が創設した独立系メディアの幹部が先に拘束されており、当局は国営防衛企業ロステクのチェメゾフ最高経営責任者が恐喝されたと主張している。 (2211-102706)

露連邦警護局が内乱鎮圧を想定した演習

 ロシアでプーチン大統領ら要人の安全を守る露連邦警護局が10月25~27日に、モスクワ中心部の大統領府や上下両院などで内乱鎮圧を想定した定期演習を行った。
 連邦警護局の発表によると、テロの脅威封じ込めや容疑者拘束などの訓練で、クーデターへの対処も含まれるとみられ、SNSでは装甲車両などが出動する動画が拡散している。
 プーチン大統領は26日に旧ソ連構成国の情報機関トップらとのオンライン会合で「民主化運動を指す『カラー革命』のシナリオは終わっていない」との持論を展開した。 (2211-102709)

2・2・6・2・6 プーチン露大統領の権威が弱体化

 西側諸国の当局者が11月2日、ウクライナ侵攻の決定によりプーチン露大統領の権威は弱体化したものの、ロシアの政治体制は独裁的で、近く政権交代となる公算は小さいという認識を示した。
 この当局者は、ロシア軍がウクライナで後退を余儀なくされる状況となる一方、ロシアの侵攻を受けウクライナの国力は強まりNATOの拡大も促進されたと指摘、実に壊滅的な間違いによってプーチン氏は弱まったと語った。
 さらに、ロシア国民はウクライナ侵攻が容易に進むと考え、第2案を用意していなかったとし、プーチン大統領が大きな間違いを犯したと誰もが分かっていると述べた。
 こうした状況によって、プーチン大統領の後継者に関する議論が高まる可能性はあるものの、大統領交代が近く実現する公算は小さいという見方を示した。 同時に2020年代中頃は一段と興味深い状況になるように見え始めたと述べた。 (2212-110302)
2・2・6・3 実質戦時体制へ移行

 ロシア下院は7月5日、ウクライナに侵攻したロシア軍の活動を支えるためとして、政府に特別措置を発動する権利を与える法案を審議し、第1読会(3段階審議の3段階目)を全会一致で通過させた。
 法案は、政府が企業に指定した量と金額で物品を納入するよう義務付けることを可能にするほか、労働者の残業や夜間労働、休日出勤を政府が指示できると規定しており、欧米メディアは事実上の「戦時経済体制」への移行だと報じている。 (2208-070603)

 ロシア下院で軍の支援を目的とした新たな経済対策の法案が通過した。
 依然として議会での手続きが必要となるが、法案が成立すれば、ロシア国内の合法な事業体はロシア軍との契約を拒否できなくなる。
 ロシア当局者は引き続き、ウクライナでの戦争について「特別軍事作戦」と呼んでいるものの、新しい法案は事実上、ロシアが侵略を支援するために産業界を再編し、戦時体制に入ることを意味している。 (2208-070608)

2・2・6・4 統一地方選挙

多くの立候補者が「削除された」統一地方選

 ロシアで9月11日、年1回の統一地方選の投票があった。
 今回の統一地方選は、州や共和国など14の地方で首長を選び、6つの州と共和国で議会選を実施し、12の地方の中心都市でも議会選があった。 大都市では首都モスクワで地区議会選が行われた。
 ウクライナ侵攻後初の全国的な選挙だが、プーチン政権は内政の締め付けや情報統制で安定を保とうとしているため、与党の統一ロシアが各州の知事選や中心都市の議会選で勝利する見通しである。
 投票は各地域で現地時間午後8時に締め切られ、極東から順次開票が始まり、首長選ではスベルドロフスク州で現職の州知事がトップに立つなど、各地で現職知事ら与党系候補の優位が伝えられている。 (2210-091201)

 ロシアで統一地方選が行われたが、厳しい締め付けにより野党からの立候補者数が大幅に減り、有権者にとっては選択肢を奪われたなかでの選挙となった。 (2210-091202)

2・2・6・5 ロシア国民の挫折感

 ロシア国営TVで11月9日に放送された番組冒頭で番組MCが、本来ならば米中間選挙について番組内で議論する予定だったが、ヘルソン撤退というより重大な事態が発生したと深刻な面持ちで説明したのち、ロシア軍部隊をドニプロ川西岸帯域から撤退させると発表したショイグ国防相の映像を紹介した。
 MCはロシアが過去に携わった戦争に言及し、「我々は日露戦争に負けた」と、彼は1905年にロシア帝国が直面した屈辱の敗北を挙げると、「第一次世界大戦にも負けた。 大戦のさなかでも革命が起きて、1914年から1918年まで続いた長い戦争に、我々は負けた」と続けた。 (2212-111207)
2・2・7 軍の体制強化

2・2・7・1 動員令発令

2・2・7・1・1 部分的動員令

脱走や徴兵忌避などへの罰則強化

 ロシア国営TASS通信が、ロシア下院が9月20日に兵役に関する法律を修正し、脱走や徴兵忌避などの違反に対する罰則を強化したと報じた。
 今回の修正によれば、動員あるいは戒厳令の期間中、暴力行為あるいは暴力による脅迫を含む公式命令に違反する強制や兵役に関連した抵抗については最長15年の禁錮刑となる。
 RIAノーボスチ通信が、ロシア下院はこれとは別に、刑法の修正の準備を進めていて、修正案では戦時中の武器や装備品の破壊や過失による破損について5年以下の禁錮刑が提案されている と報じた。
 また、刑法に「動員」「戒厳令」「戦時」「武力衝突」の概念を導入し、これらは刑事事件の判決に際して加重要素とみなされる。 (2210-092108)

部分的動員令の発令

 プーチン露大統領が9月21日、国民の部分的動員を発表した演説の中で、同国には「さまざまな破壊手段」があると述べ、核兵器を使用する可能性を示唆した。
 プーチン大統領は演説の中で、ロシアが保有する兵器の一部はNATOよりも進んでいると改めて強調し、「領土の一体性が脅かされた場合は当然、国家と国民を守るために使える手段をすべて行使する」と繰り返した。 (2210-092112)

 ショイグ露国防相が9月21日、プーチン大統領が発表した部分動員令で、30万人が対象になると明らかにした。 (2210-092111)

 プーチン露大統領が9月21日表明した部分的動員令をめぐり、欧州諸国からは、自暴自棄の行動だ(ショルツ独首相)などと厳しい反応が相次いだ。
 DPA通信によると、ショルツ首相は、プーチン大統領が今回の決定により「ロシアのすべてを大幅に悪化させた」と断言した。
 ウォレス英国防相は声明で、ロシアは侵略失敗を認めたと論評し、「いくら脅しやプロパガンダを続けても、ウクライナが勝利しつつあることや、国際社会の団結、ロシアが世界ののけ者になっている事実は隠せない」と強調した。
 また、ロイタ通信によると、EU欧州委員会報道官は「プーチン大統領が平和に関心がなく、侵略戦争をエスカレートさせることに関心があることを改めて示すものだ」と批判した。 (2210-092113)

 プーチン露大統領が9月21日、ウクライナでの戦闘における劣勢打開を狙い、第二次世界大戦後初めてとなる動員令を出した。
 現時点の公式説明では総動員ではなく、数ヵ月かけて予備役30万人を段階的に召集する部分的な動員となる。
 ショイグ国防相は、総動員をかければ2,500万人を当てにできると述べた。
 ロシアの法律では、18歳から60歳の男女をランクに応じて予備役として召集することができる。 (2210-092213)

動員規模は30万ではなく100万

 プーチン露政権が部分動員令をてこにウクライナで苦戦するロシア軍の立て直しを急ぐ一方、ロシア国民の動揺が広がっている。
 独立系メディアNovaya Gazeta Europeが9月22日、招集人数が30万人ではなく、大統領令にひそかに100万人と記されていると報道した。
 再燃した反戦デモの火に油を注ぎかねず、ペスコフ大統領報道官は「偽情報だ」と否定に追われた。
 プーチン大統領の21日のTV演説後に公表された大統領令は、10項目中、第7項が機密扱いで、プーチン大統領の21日のテレビ演説後に公表された大統領令では、10項目中、第7項が機密扱いで、ペスコフ報道官は「人数に関する」とだけ説明しており、30万人はショイグ国防相が口頭で述べたにすぎない。 (2210-092305)

発表とは異なる動員範囲

 ロシアの独立系メディアMEDUZAが9月22日、プーチン大統領が発表した部分的な動員令に反対し、警察署に拘束されたデモ参加者に軍への召喚状が手渡されたと報じた。 (2210-092215)

 ウクライナのゼレンスキー大統領が9月23日のビデオ演説で、ロシアがウクライナの占領地域でも動員の準備を進めていると主張した。
 占領地域の編入に向けた「住民投票」など強硬手段に打って出たロシアに対し、国際社会からの反発が一段と強まっている。
 ゼレンスキー大統領は、ロシアが自国内だけでなく現在支配しているウクライナ南部クリミア半島や他の地域でも、犯罪的な動員を行おうとしているとし、クリミアでは先住民族タタール人が密集して住む地域で、多数の男性を動員しようとしていると述べた。 (2210-092503)

動員めぐる混乱に親プーチン派も苦言

 プーチン露政権が始めた予備役兵の部分的動員で、本来は対象外のはずなのに招集令状が届くケースが続出し、親プーチン派の上下両院議長が当局に対して苦言を呈する混乱ぶりとなっている。
 ショイグ国防相は9月21日に、部分的動員の対象は戦闘経験を持つ者で30万人規模と説明したが、ロイタ通信などによると、兵役経験のない人や徴兵年齢を超えた人にも招集令状が届くケースが相次いでいるという。
 マトビエンコ上院議長は25日にSNSへの投稿で「そのような行き過ぎた行為は絶対に容認できない」と指摘し、「部分的動員が基準に完全かつ絶対的に準拠して実施されることを保証してほしい」と招集担当者に求めた。
 ウォロジン下院議長も同日、「間違いがあれば、修正することが必要だ。 あらゆるレベルの当局がその責任を理解するべきだ」と投稿したという。 (2210-092601)

プーチン大統領、部分動員が円滑に進まなかったことを認め

 RIA Novosti通信が、プーチン大統領が9月29日に安全保障会議で、軍の部分動員令で生じた全ての誤りを正すべきだと述べたと報じた。
 21日に発表した部分動員が円滑に進まなかったことを初めて公に認めた。 (2210-093001)

1日か2日訓練を受けただけの召集兵を戦場へ

 ロシア陸軍はわずか1日か2日訓練を受けただけの召集兵をウクライナの前線に送り込んでいる。
 なかには全く訓練を受けていない兵士もいる。
 戦争研究所 (ISW) は「1日か2日の訓練を受けただけの召集兵がロシアを強化するとは思えない」としている。 (2210-093005)

30万人の招集が完了

 ショイグ露国防相が10月28日にプーチン大統領に対し、部分動員令にもとづく30万人の招集が完了したと報告した。
 ショイグ国防相によると動員兵の平均年齢は35歳で、訓練を終えた82,000名が特別軍事作戦が繰り広げられている地域に投入され、残りの218,000名は訓練中だという。 (2211-102907)

2・2・7・1・2 動員令への反発

抗議活動

 プーチン露大統領が9月21日に軍の部分動員令に署名したことを受け抗議活動が行われ、人権団体によると全国で109人を超える抗議活動参加者が身柄を拘束された。
 抗議活動をモニターする独立組織のOVD Infoは、少なくとも15都市で抗議活動参加者が拘束されたとしている。
 ロシアでは無許可の集会は違法行為とされている。 (2210-092202)

抗議行動への弾圧

 国連人権高等弁務官事務所が、信頼できる情報筋からの報告として、9月26日時点でロシアで予備役の動員に対して抗議し拘束されたデモ参加者が2,377人にのぼると発表した。
 そのうち、どれほどの人の拘束が続いているかはわからないとしている。 (2210-092802)

ダゲスタン共和国での衝突

 ロシアの独立監視団体OVD Infoが、南部のダゲスタン共和国で9月25日にプーチン大統領が21日に出した部分動員令に抗議する人々と警察が衝突し、少なくとも100人が拘束されたことを明らかにした。
 SNSに投稿された動画では、ダゲスタンの首都マハチカラでデモ隊が「戦争反対」と叫びながら警察と対峙する様子や、拘束を試みる警察と抵抗するデモ隊が激しく衝突する場面が映っている。
 ウクライナに兵士を増派する部分動員令を受け、ロシア各地で抗議デモが起きており、とりわけカスピ海沿岸に位置しイスラム教徒の多いダゲスタンのような貧しい少数民族地域で反発は強いようである。 (2210-092606)

徴兵事務所への放火

 ロシアの独立系メディアMEDUZAが9月25日、プーチン大統領が部分的動員を発令した21日以降、ロシア各地で徴兵事務所への放火が相次いでいると報じた。
 MEDUZAが地方メディアの報道をまとめたところ、25日までに放火は少なくとも10件に上り、多くが徴兵事務所1階に火炎瓶などを投げ入れる手法だった。
 被害は建物内の執務室などが焼ける程度だが、25日は欧州の飛び地カリーニングラード、西部ルザエフカ、北西部キロフスクの3ヵ所で起きたという。 (2210-092608)

徴兵事務所で発砲

 シベリア地方のイルクーツクで9月26日、徴兵事務所で銃を発砲した男が身柄を拘束された。
 イルクーツク州フ知事のSNSへの投稿によると、事務所の所長が重体で病院に搬送されたという。
 また地元メディアによると、モスクワの南東185kmに位置するリャザン市のバス停では、ウクライナで戦いたくないと叫んだ男性が焼身自殺を図り、救急車で運ばれた。
 南部のダゲスタン共和国の首都マハチカラでは25日に部分動員令に抗議する人々と警察が衝突し、少なくとも100人が拘束された。 (2210-092613)

ロシア西部の露軍演習場で発砲事件

 ロシア通信が15日に露国防省の話として、ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州の露軍演習場で発砲があり、11人が死亡し15人が負傷したと報じた。
 露国防省はテロ行為と主張しており、発砲した2人を殺害したという。
 演習場では、ウクライナ侵略に参加する志願兵の訓練が行われており、発砲したのは独立国家共同体 (CIS) 諸国の出身者だという。 (2211-101601)

国内で70万人追加動員のうわさが拡散

 ロシアで「最大で70万人の予備役が来年初めに追加で招集されるかもしれない」とのうわさが広まり、国民の間で動揺が広がっている。
 野党の複数の議員はロシア社会の不満を解消するため「ウクライナ戦争に投入される予備役の動員が正式に終わったとする法案を発表してほしい」とプーチン大統領に直接要請した。 (2212-112504)

2・2・7・1・3 動員逃れ国外逃亡

国外逃亡多発

 ロシアの独立人権監視団体OVD Infoが21日、ロシアの20以上の都市で行われた反戦デモの取り締まりで、少なくとも1,045人が拘束されたと発表した。
 OVD IndoがTlegramで公開した写真には、サンクトペテルブルクで警察がデモ参加者に対し警棒を使用している様子がうつっている。
 またビデオ映像ではイサキエフスキー大聖堂に集まった群衆が「動員反対」のシュプレヒコールをあげる中、警察が群衆を柵の向こうに封じ込めようとしている。 (2210-092205)

 プーチン露大統領が部分的な動員令を発動したのに対してロシア全土で9月21日に抗議デモが行われ、ロシアの人権団体OVD Infoは現地時間22日01:30現在、38都市で1,400人を超える市民らが警察当局に拘束されたと発表した。
 OVDによると、拘束者が多いのは首都モスクワと第2の都市サンクトペテルブルクで、それぞれ500人を超える参加者が、地域ごとの警察署などに分散して拘留されている模様である。 (2210-092206)

 プーチン露政権がウクライナ侵攻の兵員補充のため始めた予備役兵動員に対する抗議行動が9月24日にロシア各地で行われ、人権団体OVD Infoによるとモスクワ時間25日00:00までに少なくとも790人が拘束された。
 動員をめぐる抗議行動はプーチン大統領が演説で発表した21日当日以来2度目で、市民団体の呼びかけにより極東から始まり、その後シベリアやロシア西部へと広がった。 (10-092508)

 ロシアでは、プーチン大統領がウクライナ侵攻を巡り9月21日に出した部分動員令への抗議デモが全土で続き、治安当局による拘束者は2,000人を越えた。
 独立監視団体OVD Infoによると、24日には33の町で計798人が拘束された。
 政府系メディアからも批判的な声が上がっている。
 国営放送RTのある編集者は、招集令状が対象条件と合致しない男性に送られるといった問題が「人々を激怒させている」と指摘した。
 招集兵の戦地派遣が始まる中、状況を悲観した国民がフィンランドやジョージアなどを目指す動きも見られる。 (2210-092513)

 プーチン露大統領が9月21日にウクライナでの戦闘継続のために部分的な動員令に署名したことを受け、招集される可能性のある男性の出国が増加しているため、フィンランドは22日に大部分のロシア人の入国禁止を検討していると発表した。
 サンクトペテルブルクから車で3時間の距離にあるバーリマーの境検問所にはフィンランドに入国しようとする車が押し寄せ、国境当局によると3車線ある道路で最大400mルにわたり渋滞が発生した。 ジョージアへの出国も増えており、ロシアとジョージアとの間の国境検問所沿いでも渋滞が発生している。
 ロシアと国境を接するエストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドは19日からロシア人の入国を禁止し、バルト三国は21日に部分動員令による招集を逃れるロシア人に保護は提供しないと表明した。 (2210-092301)

 ジョージアとカザフスタンの当局は9月27日、プーチン露大統領が部分的動員を発表して以来、ロシアからの入国者が数万人規模で殺到していると明らかにした。
 一方、中央アジアのカザフスタン政府も27日に、ロシアが動員令を発表して以降、ロシア人98,000人が入国したと発表した。
 カザフのトカエフ大統領は同日、「ロシアから絶望的な状況により国を去らざるを得ない人が大半だ。 われわれは彼らの世話をし安全を確保しなければならない」と述べ、ロシア人の安全を確保すると表明した。 (2210-092707)

 CNN TVが9月29日、ロシア周辺国などが公開したデータを基に集計した結果、ロシアで部分的動員令が発令されたのちに20万人を超えるロシア人が国外に逃亡したとの集計を公表した。
 報道によると、カザフスタンは28日に1週間で約10万人がロシアから流入したと明らかにした。
 ジョージアは21~26日に少なくとも53,000人がロシアから越境してきたとしている。
 EUの欧州国境・沿岸警備隊は19~25日に66,000人がEU域内に入ったと公表したほか、モンゴルやアルメニアへのロシア人の入国も確認されているという。 (2210-093002)

 ジョージアと国境を接するロシアの北オセチア共和国の当局が9月28日、ウクライナ侵攻への動員令を逃れようとした人々がジョージアに多数流入していることを受け、同共和国への車での移動を制限すると発表した。
 例外としてジョージアの親露派支配地域である南オセチアで登録された車の入境は許可するとした。
 ジョージア国境では渡航禁止や国境封鎖の措置が取られる恐れが高まっており、すでにロシア国境警備隊により越境を阻止された人がいるとも伝えられている。 (2210-092820)

逃亡者流入の阻止

 フィンランド政府がロシア人観光客の入国を9月30日22:00から大幅に制限すると発表した。
 プーチン露大統領が国民の一部を動員すると発表して以降、フィンランドに陸路で入国するロシア人が増えていて、入国したロシア人の多くがシェンゲン協定内のEU諸国に移動しているとされていることから、フィンランド政府は「各国との国際関係が脅かされているため制限を決定した」としている。 (2210-092910)

60万~70万人がロシアから脱出

 プーチン露大統領が発令した部分的動員を巡り、ショイグ国防相が10月4日に軍高官らとのオンライン会議に出席し、現時点で20万人以上を招集したと発表した。
 一方、Forbesは同日に露大統領府筋の話として、9月21日の部分的動員の発表以降、60万~70万人の露国民がロシアから脱出したと報じた。 (2211-100509)

モスクワ市職員の1/3近くが国外に逃亡

 ロシアのメディアNestkaが、プーチン露大統領が予備役の部分的動員を発令したことを受け、モスクワ市職員の1/3近くが1ヵ月の間に国外に逃れたと報じた。
 ロシアでは、徴兵を逃れようとする国民の「大量脱出」が起きている。
 Nestkaは事情に詳しい関係筋の話として、住宅や地域サービス、医療、教育など、大規模な部門の男性職員やIT部門の専門家らが一斉に逃げ出したと報じた。
 職員の多くは正式に辞職しておらず、関係当局に届け出もしていないという。 (2211-102910)

オンライン銀行大手の創業者がロシア国籍を放棄

 ロシアで2,000万人の顧客を抱えるオンライン銀行大手Tinkoffの創業者である富豪ティンコフ氏が10月31日にInstagramに、ウクライナでの戦争とプーチン露大統領のファシズムを理由にロシア国籍を放棄したと投稿した。
 公の場でウクライナ侵攻を批判するロシアの富裕層は少ない。 (2212-110109)

2・2・7・1・4 政権に批判的な動きの台頭

ロシアの戦争特派員が国営テレビで異例の報告

 ロシアで著名な戦争特派員のスラドコフ氏が10月4日に国営TVを通し、ウクライナ南部ヘルソン州でロシア軍が大きく後退していることを認めた。
 同氏はロシア軍がヘルソン州で17ヵ所の集落を失ったと報告し、米国からたっぷりと提供される兵器や、人工衛星で収集された情報のせいだと語った。
 スラドコフ氏は一方で、「われわれがもろくも崩れ落ちたというわけではなく、戦略上の大失敗というほどのミスではない。
 われわれは今も学びの途上にある」と強調し、プーチン大統領が先月出した動員令による増派を待っていると述べた。
 ロシア側では同氏のほか、複数のジャーナリストが最近、ウクライナでの損失を報じており、戦争特派員のコッツ氏も4日にTelegramへの投稿で、ロシア軍が作戦上の危機に陥っているとの見方を示し、国営メディアの記者ポドゥブニー氏は「当面はさらに厳しさが増すだろう」と伝えている。 (2211-100519)

ロシア重鎮議員が軍の「うそ」批判

 ロシア連邦議会下院国防委員会委員長を務めるカルタポロフ議員が10月5日国営TV局の司会者に対し、ウクライナに侵攻した自国軍が苦戦を強いられていることを受け、軍上層部は戦況について真実を語るべきだと訴えた。 (2211-100601)

2・2・7・1・5 反戦テロ

 英国防省が10月26日に発表したウクライナ情勢の分析で、ロシア西部ブリャンスク州で線路が何らかの爆発によって損傷し、ロシア国内の反戦団体が犯行を主張していると指摘した。
 同団体が自らの行為だと主張する鉄道インフラへの破壊工作は6月以降、この件を含め6件起きているという。
 英国防省やロシア紙ベドモスチによると、ブリャンスク州の線路が損傷する事件は24日、隣国ベラルーシとの国境から15km離れた村のそばで起きた。
 線路はロシアとベラルーシ南部を結ぶ主要な路線で、この件についてストップ・ザ・ワゴンズと名乗るロシアの反戦団体が自らの犯行だと主張しているという。
 英国防省によると、ロシア軍はウクライナへの部隊派遣を主に鉄道輸送に頼っているが、33,000km以上に及ぶ鉄路大半が人気のない地域に敷かれているため、攻撃から守るのは非常に難しいとしている。 (2211-102607)
2・2・7・1・6 動員兵の反乱

 ロシアで部分動員令により招集された兵士たちが、政府から報酬が支払われていないとして実力行使に出る事態が相次いでいる。
 SNSには、新兵訓練センターの敷地内で100人以上が集まって抗議のスローガンを叫ぶ姿を映した動画のほか、仲間たちが見守る中で上官と対峙して報酬の支払いを訴える兵士の動画などが次々に投稿されている。
 ロシアの独立系ニュース機関7x7 Horizontal Russiaによると、大規模な抗議活動を起こしたのは、中部ウリヤノフスクの訓練所にいるチュバシ共和国出身の兵士らだったという。
 兵士らは同メディアに対し、RUB195,000(46万円)の支給を約束されたが、いまだに受け取っていないため、戦闘に参加しないストライキを実施すると語った。 (2212-110425)
2・2・7・1・7 世論の変化

軍事作戦の継続支持が25%に急減

 ロシアの独立系メディアMedusaが30日、11月にロシア大統領府が独自に行ったとする世論調査で、ウクライナ戦争の継続を支持する人が25%と、前回7月の調査の57%から大きく減少した一方、停戦交渉を支持すると回答した人が55%と前回の32%から大幅に増えたことが明らかになったと報じた。
 この結果について、独立系世論調査機関Levada Centerのボルコフ所長は、9月の動員発表後に停戦交渉を望む人が急増したとし、「国民は自分自身が戦闘に参加することを望んでおらず、当初は自分が無関係だとして作戦を支持していた人も今はリスクが増えたため交渉を望んでいる」と説明している。 (2301-120201)

2・2・7・2 軍の体制変更

北欧2国の NATO 加盟に対処した改革

 プーチン露大統領が出席してモスクワで12月21日に開かれた国防省幹部会拡大会合で、ショイグ国防相が一連の軍改革案を示した。 プーチン大統領はこれら提案を承認した。
 ウクライナ侵攻の長期化やNATOの拡大など、安全保障環境の変化に対処するのが狙いで、ショイグ国防相はスウェーデンとフィンランドによるNATO加盟申請を踏まえロシア北西部に部隊を創設する対抗措置が必要だとし、モスクワ、レニングラード両軍管区を新設するよう求めた。
 また2023年に大規模軍事演習Zapad(西方)を行う方針も明らかにした。 (2301-122204)

2・2・7・3 プーチンの本音

「戦争」と発言

 プーチン露大統領が12月22日にモスクワで会見し、ウクライナでの「戦争」の終結を望んでいるとし、これには外交的解決が必要となると述べた。
 10ヵ月にわたる戦いの間、プーチン大統領は一貫して、ロシアのウクライナ侵攻を戦争ではなく、特別軍事作戦と呼んできた。
 プーチン大統領「われわれの目標は軍事衝突を継続することではない。 逆に、この戦争を終わらせることだ。この目標に向け努力しており、今後も努力を続ける」と述べた。
 一方で、米大統領府国家安全保障会議のカービー戦略広報調整官は、プーチン大統領は戦争終結に向けた交渉に関心を示していないと述べた。 (2301-122310)

 プーチン露大統領が12月22日の記者会見で、可能な限り早期にこの戦争を終結させたいと述べてたのに対し、サンクトペテルブルクのユフェレフ議員が22日、プーチン大統領に法的措置を取るようソーシャルメディアで呼び掛けた。
 ロシアの裁判所は今月、ウクライナ侵攻を戦争とした野党指導者ヤシン被告に対して「誤った情報」を拡散したとして矯正労働収容所での懲役8年6月を言い渡している。 (2301-122401)

2・3 ウクライナの活動

2・3・1 義勇軍、傭兵

2・3・1・1 領土防衛隊

 ウクライナの領土防衛隊が3月29日に外国メディアを招待して、リビウ近郊の訓練所で第103独立旅団の男女隊員による戦闘訓練を公開した。
 領土防衛隊は2014年のドンバス戦争勃発時に設立されたボランティア民兵組織を、予備役部隊に編成替えした準軍時組織で、20万名の男女隊員が登録しており、一朝有事の際には正規軍を側面から支援する。 (2204-033015)
2・3・1・2 ウクライナ人志願兵

3月18日 08:27

 ウクライナの国境警備当局が、ロシアによるウクライナ侵攻開始以降、32万人以上のウクライナ市民が戦闘を支援するためウクライナに帰国したと発表した。
 大半が男性だとしている。 (2204-031807)

2・3・1・3 ウクライナ支援国際義勇軍

2月27日 09:07

 デンマークのフレデリクセン首相が27日に記者会見し、デンマーク国民がウクライナへ行き、ロシア軍と戦うための国際義勇軍に参加することについて容認する姿勢を示した。  これに先立ちウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの侵略と戦うための支援を世界に呼び掛け、各国のウクライナ大使館へ行き国際義勇軍に参加登録してほしいと訴えていた。 (2203-022816)

3月02日 17:01

 ウクライナのために参戦するという人たちが相次ぎ登場している。 一部の国は自国民の自発的参戦を全面許容している。
 国際義勇軍募集が伝えられた翌日の2月28日にウクライナの国防次官が、数千人がウクライナ参戦を志願したと投稿した。
 一部では部隊単位で国際義勇軍への合流の意向をしており、2月28日には米特殊部隊出身で構成された退役部隊がポーランドに集まりウクライナ参戦を準備していると報じられた。
 米国人6人、英国人3人、ドイツ人1人で構成されたこの部隊はNATO軍の訓練を受け、接近戦と対テロ経験もある。
 米軍将校の2名も部隊のリーダーとして合流する意思を明らかにしたという。 (2204-030223)

3月19日 15:30

 ロシアによるウクライナ侵攻に義憤を覚え、多くの外国人ボランティアや退役軍人らが同国に駆けつけ、戦場あるいはそのほかの場所でウクライナ防衛に一役買っている。
 ウクライナ国防省は最近、その人数は2万人以上で52ヵ国の出身者と報告した。
 戦闘経験のある者や軍事訓練を一切受けたことがない外国人らが含まれる。 (2204-031906)

3月25日 11:10

 ジョージア出身の慶應義塾大学SFC研究所上席所員のゴギナシュヴィリ博士は、ウクライナに世界中から2万人の義勇兵の応募があったといわれているが、その国際部隊の中核を担うのがジョージア人部隊、通称ジョージア軍団だと述べている。
 ジョージア軍団司令官のマムラシュビリ氏は14歳のとき将校だった父親とともにロシア軍と戦い、2008年にロシアがジョージアに侵攻した際にも参戦した非常に経験豊富な軍人で、ロシアがクリミア半島を併合した2014年にジョージア軍団を創設した。
 ゴギナシュヴィリ博士は、今回ロシア軍と戦っているジョージア人は非常に多く、元国防相が一人の兵士として戦っているほか、現職の国会議員も義勇兵として加わっていると述べた。 (2204-032509)

4月02日 06:36

 ウクライナ政府は、ロシアによる軍事侵攻後、外国人にもウクライナの領土を守る部隊に加わるよう呼びかけていて、3月7日の時点で2万人から応募があったとしている。
 外国人部隊はウクライナ西部のリビウに拠点を設けていて、各国のウクライナ大使館で面接を受けリビウで最終的な審査を受けたうえで、採用された人が活動しているという。
 広報担当を務めるノルウェー人のマグルー氏は「未経験の人を訓練する余裕はなく、渡された武器をすぐに使えるような軍での経験がある人だけを採用しており、武器や装備を手配したらすぐに最前線で戦闘に加わっていることを明かした。
 部隊の公式ツイッターでは3月26日には外国人部隊がキーウの北西のイルピンでロシア軍を撃退した。 (2205-040204)

5月19日 15:14

 ロシア軍が2月24日の侵攻開始以降ハルキウに対して連日砲爆撃を続けてきたが、ウクライナ軍が反転攻勢に転じた現在、自国国境まで40km近く押し戻されている。
 ハルキウ戦線をはじめ、ウクライナ東部の最前線でウクライナ軍とともに戦っているのが、ゼレンスキー大統領の呼び掛けに応えて世界各国から駆けつけた義勇兵で、領土防衛隊国際軍団には、日本をはじめオーストラリアや南米など世界52ヵ国から20,000名の軍隊経験者が集まっている。
 全体の半数がイラクやアフガニスタンで実戦を経験した米国と英国からの義勇兵だという。 (2206-051906)

6月18日 11:02

 ロシア国防省が17日、ウクライナ侵攻開始以降にウクライナ軍に加わった外国人「傭兵」の死者は1,959名に上っていると発表した。
 露国防省によると、侵攻開始以降に64ヵ国から「傭兵」と武器専門家6,956名がウクライナ入りしたが、これまでに1,779名が国外退去した。
 外国人「傭兵」を出身国別で見ると、欧州ではポーランドが圧倒的に多く、ルーマニア、英国が続くという。 この他の出身国として、カナダ、米国、ジョージアも名指した。
 同省は外国人「傭兵」は減少しており、ウクライナ政権の軍事的失敗が増加して兵員と装備に多大な損失が続いているため、多くはウクライナから退去していると主張した。 (2207-061810)

2・3・1・4 チェチェン人義勇兵/傭兵

 ロシアのウクライナ侵攻では、チェチェン人がロシア側とウクライナ側について戦闘に参加している。
 ウクライナ側について参戦しているチェチェン人グループは、ロシアからの独立を目指したチェチェン共和国の指導者、故ドダエフに忠誠を誓い、ドダエフ大隊を結成している。
 そのドダエフ大隊が敵視するのが、ロシアのプーチン大統領を支持し、マリウポリやウクライナ東部の戦線でロシア軍に加わったチェチェン共和国の武装勢力である。
 キーウ近郊の原野では欧州各地から馳せ参じた少数のイスラム系チェチェン人義勇兵が、同郷の第2次チェチェン紛争の経験者である義勇兵から軍事訓練を受けている。
 ウクライナ軍関係者によれば、ウクライナには300名から1,000名のチェチェン人義勇兵が「チェチェン大隊」を編成して、各地の前線で戦闘に参加しているが、正式にウクライナ軍に編入されているわけではないという。 (2209-082904)
2・3・2 在住ロシア人を審査

敵対行為の有無の調査

 ウクライナの移住管理行政当局の責任者が5月14日までに、国内に居住するロシア国籍の保持者に提供しているサービスの種類などの「徹底的な審査」を始めていることを明らかにした。
 ウクライナへの敵対行為に加わる個人をあぶり出すための措置で、同国の法執行機関も関与しているという。
 ロシアによる軍事侵攻を受けたウクライナは同国の国籍取得を求めるロシア人の申請受け付けを停止しているが、ロシアやベラルーシの国籍を持つ外国人のウクライナ内の居住人口は15万人を超えるとされ、同国では最大の外国人グループを形成している。 (2206-051412)

2・3・3 戦争犯罪人の訴追

ウクライナが戦争犯罪人10名を特定

 ウクライナのゼレンスキー大統領が4月28日にソーシャルメディアに投稿された演説で、ブチャでウクライナ国民に対して行われた犯罪の容疑者としてロシア軍兵10名が特定されたことを明らかにした。
 ゼレンスキー大統領はロシア軍による犯罪の調査が進行中であり、「ブチャで我が国民に対して犯罪を行ったロシア陸軍第64自動車化狙撃旅団の兵士10名が最初の容疑者として特定された」と述べ、容疑者の姓が判明しており「彼らが何をしたかは立証されている」と語った。 (2205-042910)

ロシア兵による戦争犯罪、11.239件を捜査中

 ウクライナの検事総長室はCNNに対し、ロシア兵による戦争犯罪が疑われる事件計11.239件を捜査中だと明らかにした。
 国内全土で8,000人あまりの検察官を動員しているという。
 ウクライナのベネディクトワ検事総長は5日に米ヘルシンキ委員会で証言し、ロシア軍は70日間続く戦争で9,800件以上の戦争犯罪を犯したと主張していた。
 5月13日には、2月の侵攻開始以降で初となる戦争犯罪の公判が行われ、21歳のロシア兵が出廷した。
 検事総長室によると、この兵士はウクライナのスムイ州で非武装の男性を殺害した罪に問われている。 (2206-051409)

戦争犯罪を裁く2例目の裁判

 ロシア兵による戦争犯罪を裁く2例目の裁判が5月26日にポルダバ州コテルバの裁判所で初公判が開かれ、ロシア軍捕虜2名はいずれも有罪を認めた。
 両被告は、MLRで民間インフラを砲撃した罪に問われており、コテレフスキー地方初公判で2人は有罪を認めた。
 被告の弁護人は、2人は上官の命令に従っただけだとして減刑を求めている。 (2206-052708)

戦争犯罪でロシア兵600人以上特定

 ロイタ通信が、ウクライナのベネディクトワ検事総長が5月31日に国際刑事裁判所 (ICC) の捜査チームとハーグで記者会見し、ロシア軍の戦争犯罪の容疑者として軍幹部や政治家らを含む600人以上を特定し、うち約80人の訴追手続きを始めたと明らかにしたと報じた。
 ウクライナ検察は戦争犯罪の疑いのある事案を14,000件以上把握したとしている。 (2207-060101)

ロシア軍戦争犯罪記録 "The Book of Executioners" の出版

 ウクライナのゼレンスキー大統領が6月7日、同国に侵攻したロシア軍の戦争犯罪の記録を集めたThe Book of Executionersと題する出版物を発行すると述べた。
 ウクライナ検察当局は、ロシア軍の戦争犯罪の容疑者として600人以上を特定し、うち約80人の訴追手続きを開始したことを明らかにしている。 (2207-060808)

メドベージェフ国家安全保障会議副議長を指名手配

 ウクライナ情報機関の保安局 (SBU) が10月10日、ウクライナの領土保全を侵害したとして、前ロシア大統領のメドベージェフ国家安全保障会議副議長をウクライナの刑法110条にのっとり、指名手配リストに載せたと発表した。
 メドベージェフ副議長は最近も、クリミア橋の爆発に対して徹底的な報復を求めるなど、ウクライナに対する強硬な姿勢で知られる。
 ほかにロシア連邦保安局 (FSB) のボルトニコフ長官やロシア外務省のザハロワ報道官らプーチン政権の幹部が指名手配されているという。
 刑事訴追されれば、終身刑になることもあるという。 (2211-101104)

4万件以上がウクライナ検察の捜査対象

 ウクライナ検察が14日、ロシアが侵略を始めてから捜査の対象となっている露軍の戦争犯罪が4万件に達したと発表した。
 ウクライナ軍の反転攻勢で9月以降、露軍が撤退した地域では残虐行為が相次いで発覚した。
 ウクライナ検察によると14日までの捜査件数は4万40件に上り、1週間前から1,394件増えた。
 ウクライナは露軍の責任追及に協力するよう国際社会に求めている。 (2211-101508)

2・3・4 穀物の輸出路確保

鉄道でポーランドへ輸送しポーランドの港から輸出する案

 ロシアによる侵攻後、黒海が封鎖されてウクライナからの海上輸送が滞っていて、アフリカなどでは穀物が届かず食料危機が起こる恐れが指摘されている。
 このため穀物をウクライナから鉄道でポーランドへ輸送し、ポーランドの港から各国へ輸出することも検討されている。
 ポーランドは既に、鉄道を使った穀物輸送の強化に向けて検査体制の拡充などを発表した。
 鉄道業界団体は、「先月はウクライナから60万㌧の穀物を運んだが、300万㌧から400万㌧を運ぶ必要がある」としている。 (2206-052301)

有志国による護送船団の提案

 ウクライナ海軍が6月6日、ロシアの黒海艦隊をウクライナ沿岸から100km以遠に後退させたと発表した。
 ウクライナは、ロシアによる海上封鎖で輸出が滞っている小麦を、第三国の艦船による護衛で黒海から輸出することについて英国やトルコと協議を始めた。 (2207-060712)

 訪日中のリトアニアのランズベルギス外相がNHKのインタビューに応じ、ロシアの軍事侵攻によってウクライナの港で穀物の輸出が滞っている問題について、黒海に安全な回廊を作ることが解決策の一つになるとして有志国による護送船団を組んで穀物の輸送船を守ることを提案し、日本を含む各国に協力を求めていく考えを示した。
 ランズベルギス外相は、オデーサ港からボスポラス海峡までの海上ルートで有志国による護送船団を組み、穀物の輸送船を守ることを提案し、日本を含む各国に協力を求めていく考えを示した。 (2207-060715)

ウクライナ産穀物の輸出再開

 黒海からのウクライナ産穀物の輸出再開に向けた作業は大詰めを迎え、8月1日朝にも再開される見通しが示されているが、露軍は挑発行為を続けており、7月31日にはウクライナの穀物輸出第二の主要港があるミコライウやオデーサを攻撃した。
 ミコライウ市長はSNSに、31日未明にロケット弾40発が着弾し、2月の侵略開始以降で最も激しい攻撃だったと投稿した。
 住宅のほか、教育機関やホテルなどが被害を受け、輸出再開交渉に深く関わっていたという大手貿易商夫妻が死亡した。
 オデーサなど黒海に面する港が封鎖されたのを受け、ドナウ川沿いの港から黒海へ抜ける輸出代替ルートとして7月中旬から使われているドナウ川河口の水路では31日に水先案内船に爆発装置が仕掛けられて爆発し一時閉鎖された。
 ロイタ通信によると、黒海沿岸のルーマニア、ブルガリア、トルコ軍は31日に掃海作業を行った。 (2209-080106)

 トルコ国防省が8月1日に声明で、ウクライナからの穀物輸出が同日午前に開始されたと発表した。 ほかの貨物船も調整がつき次第、順次出港する見通しという。
 トウモロコシ26,000tを載せた最初の貨物船1隻が、レバノンに向けてオデッサ港を出港した。 (2209-080107)

 再開したウクライナ産の穀物輸出第1便の貨物船がトルコに到着した。
 ウクライナ産トウモロコシ27,000tを積んだは、8月1日に南部のオデーサを出港し、トルコのイスタンブール沿岸に到着した。
 到着した貨物船は、共同調整センターによる積み荷検査のあとレバノンに向かう。 (2209-080309)

2・3・5 石油の輸入路確保

リトアニアから海上経由で

 ウクライナが燃料危機のなか新たな輸入ルートを開拓し、海上経由でリトアニアから石油製品の輸入を開始する。
 Refinitivのデータによると、リトアニアのクライペダ港でガソリン7,600tを荷積みしたマルタ籍のタンカーが28日にドナウ川左岸に位置し、重要な輸送拠点となっているウクライナのレニ港に到着する。
 トレーダーによると、バルト海経由でのタンカーによる燃料輸入は初となる。
 また市場関係筋は、7月に地中海諸国からディーゼルを中心とした石油製品がレニ港に向け出荷されたと明らかにした。 (2208-072804)

2・3・6 ロシア協力者の取り締まり

検事総長と保安庁長官を停職処分

 ウクライナのゼレンスキー大統領が17日にベネディクトワ検事総長と、治安機関であるウクライナ保安庁 (SBU) のバカノフ長官を解任したことを明らかにした。
 両氏の解任の理由について大統領は、「侵攻後、ロシアに協力する検察職員やSBU職員が多数出たことへの責任を取らせるためだ」と説明した。
 大統領によると、現時点でロシアに協力した国家反逆罪などでの法務治安当局職員らの刑事訴追件数は651件に上っている。
 また、60人以上の検察官とSBU職員が占領地域でロシアのために働いているとした。 (2208-071806)

 ウクライナのゼレンスキー大統領がベネディクトワ検事総長とバカノフ保安局長官の2人を停職処分にした。 2人は一時的に他の者と交代させられている。
 大統領は2人の指導力を疑問視するとともに、2人の部下らによる反逆行為やロシアへの加担を非難した。
 ゼレンスキー大統領は17日、毎晩行っているビデオ演説で2人を解任したかのような発言を行ったが、スミルノフ大統領府副長官は18日、2人が受けたのはあくまで停職処分で、捜査の結果によって大統領が2人の解任決議案を議会に提出するかどうかを決めると述べた。 (2208-071920)

2・3・7 NATO 加盟申請

 ロイタ通信によると、ウクライナのゼレンスキー大統領が9月30日にTelegramで、正式にNATOに加盟申請すると表明した。
 シュミハリ首相はゼレンスキー大統領らとともに申請に向けた書類に署名したと明らかにした。 (2210-093013)
2・3・8 脱ロシアの加速

キリスト教東方正教会の脱ロシア

 人口の7割がキリスト教東方正教会の信徒とされるウクライナで、ロシア正教会と明確に一線を画す脱ロシアの動きが加速していて、ウクライナ正教会は24日にロシア正教会と同じ1月7日に祝ってきたクリスマスの祝祭を12月25日に営むことを容認した。
 地元メディアなどによると、ウクライナ正教会は24日、国内のギリシャ・カトリック教会とのトップ会談で、クリスマスや復活祭など教会暦の改革に向けた作業部会を設置することで合意した。 ウクライナ正教会が将来、ロシア正教会と同じユリウス暦(旧暦)の変更に踏み切る可能性が出てきた。
 ウクライナ正教会は、ソ連崩壊後の1991年の独立以降もロシア正教会の管轄下にあったが、2014年のロシアによるクリミアの併合を受けて2018年に独立した (2301-122601)

3 ウクライナ以外への侵攻の可能性

3・1 モルドバ

3月03日: モルドバへの侵攻を示唆

 ロシアの同盟国のベラルーシで3月1日に開かれた安全保障会議でルカシェンコ大統領が、指し示しながら話している地図をよく見ると、その地図には、ロシア軍がウクライナへ侵攻する経路などがピンク色で示されているが、物議を醸しているのは、その一本が黒海に面したオデッサから隣国モルドバに伸びていることで、ウクライナとルーマニアの間にありかつて旧ソ連の構成国でるモルドバでは、一昨年親欧米派の大統領が誕生している。
 英国の大衆紙The Sunは、ソ連を再建しようとしているプーチン大統領のターゲットは、ウクライナにとどまらないとの懸念が、さらに高まったと警告している。 (2204-030312)

3月18日:00:41 モルドバ支援グループの立ち上げ

 主要7ヵ国 (G7) の外相がオンラインで会合を開き、ウクライナからの避難民を受け入れている隣国モルドバを支援するグループを立ち上げる方針で一致した。
 ウクライナの南に位置するモルドバは、ロシアによるウクライナ侵略以降、10万人を超える避難民を受け入れているが、ヨーロッパ最貧国としても知られ経済的に苦しい状況にある。 (2204-031801)
【註】ソ連崩壊で独立したモルドバにはウクライナとの国境沿いのトランスニストリア地方にロシア語を話すスラブ系少数民族がおり、モルドバ独立後に沿ドニエストル共和国として独立を宣言し内戦になった。
 1992年にロシアの仲介で停戦となって以来、ロシア軍が「平和維持部隊」として駐留している。

3月27日:07:19

 ウクライナの隣国でEU加盟を目指すモルドバでは、戦禍のウクライナに同情を示す人が多く反戦機運も強い一方、同じ国内でも親露派が分離独立を宣言し事実上ロシアの支配下にある東部の沿ドニエストル共和国では事情が全く異なり、プーチン政権を擁護する住民が目立つことから、ロシアによる第2の侵攻の口実に利用されるのではないかとの懸念が広がっている。
 モルドバの首都キシニョフから東へ車で1時間半で、1990年に多数派のロシア系住民が分離独立を宣言した地域への検問所がある。
 ここはロシアが支援し1992年にモルドバ軍と本格的に衝突した国際的に国家承認されていないが、モルドバ政府の統治は及ばない「共和国」があり、今も1,500名のロシア軍が駐留している。 (2204-032703)

4月02日:22:44

 ウクライナ軍参謀本部は2日、南西部で国境を接するモルドバのトランスニストリア地域で、駐留しているロシア軍の動きが活発化していると指摘し、ウクライナ攻撃に備えている可能性があるとした。 ウクライナのゼレンスキー大統領も2日に国民向けの動画でこの先には激しい戦いがあると強調した。 (2205-040210)
【註】ソ連崩壊で独立したモルドバにはウクライナとの国境沿いのトランスニストリア地方にロシア語を話すスラブ系少数民族がおり、モルドバ独立後に沿ドニエストル共和国として独立を宣言し内戦になった。
 1992年にロシアの仲介で停戦となって以来、1,500名のロシア軍が「平和維持部隊」として駐留している。

4月10日:17:29

 英軍情報当局が4月10日、ウクライナ侵攻で兵士が減ったことから、ロシア軍が兵力の補強を目指しているとの見方を示した。 2012年以降に除隊された兵士を徴兵するという。
 ロシアはまた、モルドバのトランスニストリア地域から新兵を募集することも目指しているという。 (2205-041008)

4月23日:11:10

 ロシア国営TASS通信によると、ロシア軍中央軍管区司令官代行のミンネカエフ少将が、目標はドンバス地方とクリミア半島を結ぶ陸上回廊の構築にあるとし、ウクライナ南部を支配すれば、ロシア軍は1990年代初頭からロシア軍が駐留するモルドバの分離派支配地域トランスニストリア(沿ドニエストル共和国)へアクセスできるようになると付言した。
 これに対しモルドバ外務欧州統合省は4月22日に露大使を呼び出し、この発言はモルドバの主権と領土の一体性を支持するロシア連邦の立場と矛盾すると懸念を伝えた。
 ロシア国営メディアはこれに先立ち同日、ウクライナ侵攻の第2段階におけるロシア軍の目標はウクライナ南部の完全支配にあると報じていた。 (2205-042306)

4月26日:04:51

 TSV TVがモルドバのトランスニストリア地域(沿ドニエストル共和国)のチラスポリにある治安当局の建物で25日に相次いで爆発が起きたと報じた。 死傷者の報告はない。
 同TVは当局筋の話として、建物は何者かによって擲弾発射筒で攻撃されたとし、建物の窓などが吹き飛ぶ様子や、現場にいる消防隊員の様子を放映し、現場に放置された擲弾発射筒の写真も掲載した。 (2205-042606)

4月27日:02:38

 モルドバ東部の親露派支配地域沿ドニエストル共和国では25日に治安当局の本部で複数の爆発があったほか、翌26日にはラジオの電波塔などで爆発があった。
 最初の爆発を受け、ウクライナ国防省は爆発のあった現場にロシアの情報機関の支局もあったとして「反ウクライナ感情をあおるためのロシア側による挑発行為だ」と指摘していた。
 モルドバのサンドゥ大統領は26日に記者会見し、地域を不安定化させようとする勢力がいるとして、「モルドバを巻き込もうとするいかなる挑発行為も非難する」との表明を出した。 (2205-042706)

4月27日:14:18

 モルドバの親露派が実効支配する沿ドニエストル共和国地域で爆発が相次ぎ、分離独立派の動きが活発化しているとして警戒感が高まっており、サンドゥ大統領は「国内の不安定化を狙う勢力が攻撃を行った」として、パトロールを強化するよう指示している。
 モルドバ政府は19日にロシア軍の侵攻を象徴する「Z」の文字などの使用を禁止したが、国内の親露派からは反発の声が上がっていて、その報復措置としてウクライナカラーの塗りつぶしが行われている。 (2205-042717)

4月27日:21:41

 ウクライナ南西部の国境地域の緊張が高まっている。
 モルドバでは中央政府の支配が及ばない分離独立派地域(沿ドニエストル共和国)で何者かによる攻撃、爆破事件が相次いだ。 同派はウクライナからの攻撃を示唆している。
 一方のウクライナは同派を支援するロシアが背後にいるとみており、分離独立派地域に駐留するロシア軍が事件を口実に地上侵攻に踏み切る可能性があると警戒を強めている。 (2205-042719)

4月28日:02:01

 モルドバ東部の親露派が支配するトランスニストリア地域(沿ドニエストル共和国)の当局が27日、弾薬庫がある国境沿いのコバスナ村に向けウクライナ方面から発砲があったと明らかにした。
 同地域当局は、夜の間に数機のUAVがウクライナ方面からコバスナ村の上空に入り、27日朝にウクライナ側から同村に向け発砲があったとした。
 トランスニストリア地域当局は専門家の話として、コバスナ村には欧州最大の弾薬庫があるとしている。  この件に関してモルドバ政府はコメントしていない。 (2205-042803)

5月02日:07:41

 ウクライナ情報当局がSNSで1日、隣国モルドバ東部で独立を宣言している親露派支配地域「沿ドニエストル共和国」で、2日の日付が入ったロシア語の新聞を入手したと発表した。
 新聞には、1日に大きなテロが起き、子どもや高齢者、女性を含む数十人が殺害されたとした架空のテロ事件を引き合いに出しながら、ロシアの関与を求めるような内容の記事が載っているという。
 治安の乱れを口実にロシアの介入を求めているともとれる記事の内容について、ウクライナ情報当局はロシア側が記事にあるようなテロを自作自演で起こし、ウクライナや西側陣営のせいにしようとしている可能性があると警戒している。 (2206-050202)

5月08日:18:45

 モルドバのロシア軍はTiraspolに司令部を置いているが、ウクライナの情報組織によると主力の第113装甲歩兵大隊と第82装甲歩兵大隊はCobasna弾薬補給処に駐留している。 (2206-050807)

5月22日:22:19

 トラス英外相が5月21日付の英Daily Telegraph紙のインタビューで、ロシアによる侵攻の脅威を念頭にNATO加盟国がモルドバに対し武器を供給することを協議していると明らかにした。 (2206-052205)

5月25日:02:30

 モルドバ国営TVモルドバが24日、ドドン前大統領が汚職容疑で当局に身柄を拘束されたと報じた。
 ロシア通信 (RIA) も前大統領の拘束を報じた。
 当局筋によると、前大統領の自宅に家宅捜索が入っている。
 前大統領は親露派の野党党首を務めており、ペスコフ露大統領報道官はこの報道に懸念を表明し、前大統領の権利を尊重するよう求めた。 (2206-052502)

10月31日:20:58

 モルドバ政府が31日、ウクライナの防空システムが迎撃したロシア軍のミサイルが、自国北部のウクライナ国境に近いナスラブチャ村に落下したと発表した。
 モルドバ内務省によると、現時点で被害者は報告されていないがナスラブチャ内の複数の民家の窓ガラスが割れたとしている。
 ウクライナは同日、ロシア軍が国内各地の電力及び水道施設を目標にCM 50発以上を撃ち込んだと発表した。 (2211-103109)

11月01日:02:06

 モルドバ外務省が31日、在キシナウ露大使館の職員をペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)に指定し国外退去を通告した。
 外務省はロシア大使に対し、「隣国ウクライナへのミサイル攻撃は安全保障上のリスクを高め続けており、わが国の市民は戦争の壊滅的な結果をますます感じているうえ、ウクライナのエネルギーインフラへの攻撃は、モルドバのエネルギー安全保障への脅威を増大させている」と伝えたという。
 これに対し、ロシアの報道機関はロシア外務省の見解として、ロシアはモルドバの動きに対応すると報道している。 (2212-110101)

11月24日:05:39

 ウクライナとモルドバが23日、ロシアの国営Gazprom社がウクライナ経由のモルドバ向けの天然ガス供給を削減すると警告したことについて、ロシアによるエネルギーを利用した「脅迫」として非難した。
 モルドバは天然ガス輸入をGazprom社に完全に依存している。 (2212-112409)

11月24日:06:59

 ロシアが11月23日にウクライナの送電網に更なるミサイル攻撃を行い、都市の電力を遮断すると共に、モルドバへの電力供給も停止させた。 (2212-112411)

12月 5日:04:57

 モルドバ警察が政府系サイトを通じて5日、ウクライナ国境に近い北部で、ミサイルの破片を発見したことを公表した。
 モルドバでは10月末にもウクライナが迎撃したロシアのミサイルの破片が北部の村に落下したことがある。
 ウクライナ外務省報道官は声明を出し「ロシアのミサイル攻撃は、ウクライナだけでなく近隣国の安全保障にも大きな脅威を突き付けている」と訴えた。 (2301-120602)

3・2 バルト三国

3・2・1 三国全体

3月06日: バルト三国への侵攻への口実作りか

 ロシア通信 (RIA) が、ロシアが3月5日にエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国に対して、それぞれの国にあるロシア大使館を保護する措置を講じるよう要求したと報じた。
 RIAによると、ロシア外務省は「リトアニアの首都でロシアの外交官が暴力でもって攻撃された」と述べた。
 リトアニアの首都ビリニュスでは、ロシアの外交官が襲撃される事件が起きている。 リトアニア国営放送は先週、ロシア大使館の第3書記官が2月24日夜に大使館近くで襲撃されたと報じた。
 この日はロシアがウクライナ侵攻を開始した日で、事件当時はウクライナへの支援を表明するために1万人ほどの人々が大使館前に集まっていたという。 (2204-030611)

3月18日: バルト三国がロシア大使館員を国外退去に

 TASS通信によると、リトアニアが18日に同国駐在のロシア大使館員4人をペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)とし国外退去を求めたと発表した。
 またラトビア、エストニア両国もそれぞれのロシア大使館員3人を同様の処分としたと発表した。
 3国で計10人のロシア外交官追放は、ロシアによる侵攻を受けたウクライナへの連帯を示すために行われたという。
 ロシア外務省は同日、「根拠のない追放」と批判、対抗措置を取ると表明した。 (2204-031901)

3・2・2 エストニア

6月21日: ロシア軍機の領空侵犯

 エストニア政府が6月21日、ロシアのヘリコプタによる極めて深刻な領空侵犯に抗議するため、駐エストニアロシア大使を呼び出した。 ここ2週間程で2度目の抗議となる。
 エストニア外務省によると、ヘリコプタは6月18日に南東部のある地点の上空を許可なく飛行していたという。
 エストニアは、完全に容認できない極めて深刻で遺憾な出来事だと考えているとの声明を発表し、ロシア軍はウクライナから撤退すべきだと再度強調した。 (2207-062211)

10月18日: ロシアを「テロリスト政権」と「テロ支援国家」に指定

 エストニア議会が10月18日、ロシアを「テロリスト政権」と「テロ支援国家」に指定した。
 エストニア議会は、民間軍事会社Wagnerの傭兵や、「ドネツク人民共和国」や「ルガンスク人民共和国」と自称している武装勢力についてもテロ組織とみなしていると明らかにした。
 エストニア議会は、ロシアを国連安保理の常任理事国から追放することも求めた。 (2211-101909)

3・2・3 ラトビア

5月21日: ラトビアで反露活動

 ラトビアで20日にソ連時代の第2次世界大戦記念碑の撤去を求める大規模デモが行われ、地元メディアによれば、約1万人が参加した。
 デモ参加者は「ウクライナへの支援を」というメッセージや「私たちの領土、私たちの統治」と書かれたプラカードを掲げたり、ラトビアとウクライナの国旗を振ったりした。
 1985年に建てられた高さ79mの記念碑を破壊撤去する費用はクラウドファンディングで集まっており、市議会も撤去を暫定的に承認している。
 ただ、記念碑は親露派が集会を行う拠点となっている。 (2206-052105)
【註】ラトビアは人口の1/4がロシア人であるが、ラトビアがソ連から独立した際にラトビア語を国籍取得の条件にしたため無国籍のロシア人も多い。
 また独立時にラトビアが、ロシアとの国境をソ連併合以前の国境を主張したが、2007年に要求を取り下げ国境画定条約に調印した経緯がある。
 因みに定員100名のラトビア国会で第一党として23名を占めているのはロシア系政党である「社会民主党『調和』」である。

3・2・4 リトアニア

カリーニングラードの封鎖

 「4・8・1 カリーニングラードへの圧力」で記述

4 ウクライナ支援国

4・1 米国の姿勢

4・1・1 侵攻開始後の米軍増強

3月03日 16:47

 ロシア軍のウクライナ侵攻を受けて、米ジョージア州Stewart駐屯の陸軍第3歩兵師団の一部3,800名が3月2日、ドイツに向けて出発した。
 同師団の将兵は、ロシアに対する抑止力として、ドイツでNATO同盟国と訓練を行う。
 ロシア軍が2月24日に侵攻を開始してから1週間、ロシアは初めて自軍の戦死者が500人近くに、負傷者が,1600人に達したことを公表したが、ウクライナ側は実際の戦死者はこれよりはるかに多いとしながらも、自軍の損害については明らかにしなかった。 (2204-030322)

3月08日 

 テキサス州Ft. Hoodから米陸軍第96輸送中隊の160名が3月7日に欧州へ出発した。 中隊は昨年に装備化されたばかりの新型重量物輸送車を装備している。 この重量物輸送車は既存の車種より重量物が運搬できる。
 第96輸送中隊は第297内陸貨物輸送中隊からの配属を受けて増強されている。 (2204-030821)

3月09日

 在欧米軍特殊部隊が3月9日、アルバニアのティラナへ、アルバニアに恒久派遣される初の米軍として、タボル空軍少将を長とする12~15名からなるTask Force Balkansを派遣した。 (2204-030922)

3月10日 00:17

 米MDA長官のヒル海軍中将が3月9日、ポーランドのRedzikowoに建設中のAegis AshoreはSPY-1レーダの取り付けが2021年に行われて外観が完成し、現在内部の作業中であると述べた。
 ポーランドのAegis Ashoreはイランに対する米BMDSの欧州配備計画EPAAの一環で、Aegis艦のスペインRota配備やAN/TPY-2のトルコ配備は2011年に完了し、ルーマニアのDevesluに建設した最初のAegis Ashoreは2016年に完成している。 (2204-031003)

3月10日 00:17

 米国がドイツのRhine補給処 (Rhine Ordnance Barracks) からPatriot 2個中隊をポーランドに派遣している。
 ポーランドには2月に第82空挺師団の4,700名が派遣されている。 (2204-031001)

3月16日

 米海軍強襲揚陸艦Keardargeを中心とする水陸両用戦群 (ARG) が3月16日に欧州を目指してNorforkを出港した。
 Keardarge ARGはドック型輸送揚陸艦Arlington、ドック型揚陸艦Gunston Hillで構成され、海兵隊の第22MEUが乗艦して総勢4,000名になる。 (2204-031621)

4・1・2 バイデン大統領発言

 バイデン米大統領が3月26日に訪問先のワルシャワでの演説で、プーチン露大統領について「この男が権力の座にとどまり続けてはいけない」と発言した。
 この発言は、プーチン政権の体制転換とも受け取られかねない内容であり波紋が広がったが、米大統領府当局者は直後に声明で「バイデン氏は、プーチン氏の権力や体制転換について話していない」と軌道修正した。 (2204-032702)
4・1・3 実質 2-plus-2 の実施

 米国とウクライナ両政府の外交防衛担当閣僚が3月26日にワルシャワで会談した。
 米国からはブリンケン国務長官とオースティン国防長官、ウクライナからはクレバ外相とレズニコフ国防相が出席し、バイデン米大統領も40分協議に加わった。
 クレバ外相は会談について外務防衛担当閣僚協議 (2-plus-2) の特別会合と位置づけた。
 米国とウクライナは正式には2-plus-2を立ち上げていないが、両国の緊密な関係を印象づけた。
 米国務省によると、米国は軍事や経済支援を続けていく方針を伝えたが、米国がウクライナに戦闘部隊を送らない方針に変更はない。 (2204-032616)
4・1・4 要人のウクライナ訪問

国務、国防長官のキーウ訪問

 ロイタ通信によると、米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官が4月24日、ウクライナの首都キーウを訪問しゼレンスキー大統領と会談した。
 ロシア軍がウクライナ侵攻を開始して以降、米閣僚の訪問は初めてである。
 ロシア軍が東部ドンバス地方や南部の制圧に向け攻勢に乗り出したのを受け、ゼレンスキー大統領はロシアの侵攻に対する反撃能力を高めるため、長射程の重火器や対空砲、戦車を含む装甲車両といった大型兵器など、米国からの迅速な武器支援を求めたもようである。 (2205-042502)

上院議員団のキーウ訪問

 米メディアが5月14日、上院共和党トップのマコネル院内総務ら少数の議員団がウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談したと報じた。
 具体的な訪問日時は明らかにされていない。 (2206-051501)

4・1・5 大使館警護に部隊派遣

 Wall Street Journal紙が5月22日、今月中旬に業務を再開したウクライナの首都キーウの米大使館警護のため、数十人規模の米軍特殊部隊を派遣する案が米政府内で検討されていると報じた。
 ただ複数の米当局者の話として、ウクライナ領内への米軍派遣はロシアを刺激するとして慎重意見も出ているという。
 同紙によると、5月8日にカビーン代理大使がキーウの米大使館に一時戻った際も米軍特殊部隊が警護で同行した。
 世界各地の米大使館の警備と同様に海兵隊部隊を派遣する案も話し合われている。 (2206-052303)
4・1・6 在欧米軍にウクライナ支援司令部

 米政府当局者2人が10月2日までに、米国防総省がウクライナへの兵器や訓練供与の調整を主任務とする新たな司令部の設置を図っていることを明らかにした。
 兵器提供など調整作業の合理化を視野に入れているもので、新たな司令部はドイツのウィースバーデンに設け、米欧州軍司令官の指揮下に入り、司令官は中将級の軍人になる見通しである。
 米政府当局者などはこの司令部新設に関する議論の内容を公にすることについて、プーチン露大統領に米国がウクライナ戦争の当事者と主張させる隙を与えないため慎重姿勢を示してきた。 (2211-100205)
4・2 NATO / EU の対応

4・2・1 対ウクライナ姿勢

4・2・1・1 「2008年合意」で独仏を非難

 ウクライナのゼレンスキー大統領は3日のビデオ演説で、キーウで起きた民間人殺害に関し、2008年にウクライナのNATO入りをドイツとフランスが阻止したことがロシアの侵攻を招いたとして、独仏への怒りを示した。
 ゼレンスキー大統領はメルケル前独首相、サルコジ元仏大統領を名指しで批判した。
 NATOは2008年にブカレストで開いた首脳会議の声明で、ウクライナとジョージアは「将来、加盟国になる」と明記したが、仏独の反対で加盟は実現しなかったとされている。 (2205-040505)
4・2・1・2 継続支援の方針

 NATOが3月16日にブリュッセルで国防相会議を開いた。 会議にはNATO非加盟国のフィンランド、スウェーデン、ジョージアも参加し、ウクライナのレズニコフ国防相もオンラインで参加した。
 NATO各加盟国はウクライナに対し、軍事、財政、人道面での「重要な支援」を続けることで合意した。
 NATOは24日にブリュッセルでバイデン米大統領も出席して首脳会議を開き、ウクライナに侵攻するロシアへの対応をさらに協議する。 (2204-031703)

 ミシェルEU大統領が18日にゼレンスキー大統領と電話会談し、国際的なウクライナ連帯基金の創設について協議した。
 市民の住居や食料、医療品、軍の装備品など直ちに求められている物資調達に必要な資金を援助し、さらに戦後の経済復興も支援する構想で、基金の規模や仕組みなど詳細は今後検討する。
 バイデン米大統領も参加して24日からブリュッセルで開かれるEU首脳会議で議論される。 (2204-031902)

4・2・1・3 武力介入の是非

ポーランドが平和維持部隊の派遣要請

 ロイタ通信などが、ポーランドのモラウィエツキ首相が3月18日にロシアに侵攻されたウクライナに平和維持部隊を派遣するようNATO加盟国に要請する意向を明らかにしたと報じた。
 24日に開かれるNATO緊急首脳会議で提案される見通しだが、ロシアとの直接衝突を恐れる米国や他の加盟国は慎重な姿勢を示すとみられ、実現可能性は低そうである。 (2204-031815)

フランスが「人道的作戦」の実施を検討

 マクロン仏大統領がブリュッセルで行われた記者会見で3月25日、マリウポリから市民を脱出させるための「人道的作戦」を数日以内に実施すると明らかにした。
 マクロン大統領は「トルコ、ギリシャと協力し、マリウポリからの脱出を望むすべての人々を避難させる」と述べ、プーチン露大統領と48~72時間以内に会談して条件を整えると説明した。 (2204-032608)

4・2・1・4 NATO の中東欧諸国

 ロシアがウクライナ4州の併合を一方的に宣言したことに対して、NATOに加盟する中東欧9ヵ国の首脳が10月2日に共同声明を出し、NATOからの軍事支援を強化するよう求めた。
 首脳らはこの中で、NATOが2008年の首脳会議でウクライナをいずれメンバーに加えるとした「ブカレスト宣言」を固く支持するとの立場を示した。
 共同声明にはチェコ、エストニア、ラトビア、リトアニア、北マケドニア、モンテネグロ、ポーランド、スロバキア、ルーマニアの首脳が参加した。 (2211-100303)
【註】NATOに加盟する中東欧諸国でもハンガリー、スロベニア、ブルガリア、アルバニア、クロアチアの5ヵ国は、この共同声明に参加していない。
4・2・2 エネルギー戦略

4・2・2・1 ロシア依存からの脱却

ウクライナ、モルドバ両国に EU の電力供給網を連結

 EU欧州委員会のシムソン委員(エネルギー担当)が16日、EUの電力供給網をウクライナ、モルドバ両国と連結させたと発表した。
 ロシアの侵攻を受けて以降、同国の電力網から離脱していたウクライナの要請を受けたもので、ウクライナ国内の電力の安定供給維持へ大きく寄与することになる。
 旧ソ連時代から続いてきた連結先の切り替えで、ウクライナとモルドバの電力系統はロシアの影響下からの脱却を果たした。 (2204-031708)
欧州諸国、露産ガス確保困難に

 プーチン露大統領が3月31日、日米欧など「非友好国」に指定した国や地域に対し、天然ガスの取引代金をルーブルで支払うよう命じる大統領令に署名し、支払いがなければ輸出停止の可能性を示唆した問題で、欧州はガスの安定確保が困難になる事態に直面している。
 欧州側がルーブルでの支払いを拒否しているためロシア産天然ガスの供給が途絶えることも現実味を帯びてきた。
 EUはロシアの要求に応じない方針だが、EUは天然ガスの3割超をロシアに頼り、ドイツの依存度は5割を上回る。
 ロシアを天然ガスの主要輸入先とするドイツのハーベック経済相は31日に、発電などに使うロシア産天然ガスの供給が途絶えた場合、ドイツ産業に災害をもたらすと懸念されているとして、緊急事態態勢を敷いて国民に省エネを呼びかけ、民間のガス供給状況を監視する緊急ガス計画を発動して早期警戒を宣言した。
 早期警戒は、緊急ガス計画の中で最も軽い段階だが、同政府は状況次第でレベルを引き上げるという。 (2205-040208)

天然ガスの相互融通

 Gazpromがポーランドとブルガリアに対し4月27日からガスの供給を停止すると通知したが、ギリシャが27日にブルガリアに対する支援を申し出るとともに、ロシア国営天然ガス独占企業Gazpromに対する自国の支払いは予定通り5月末に行うと発表した。
 ギリシャは年間エネルギー需要の30%以上をロシア産ガスに依存しており、2026年までの供給契約を結んでいる。 (2205-042807)

Gazprom社の子会社をドイツ政府の管理下

 ドイツ政府が6月14日、ロシアの国営Gazprom社の子会社だったGazprom Germania社を長期的に管理下に置き、政府系金融機関が最大€10B ($10.4B) を融資する救済策を発表した。
 欧州のエネルギー安定確保につなげたい考えで、長期管理に切り替えるのに合わせて企業名をSecuring Energy for Europeに変更する。
 Gazprom Germania社はガスの取引、貯蔵、輸送を手掛けており、ロシアのウクライナ侵攻後の4月にGazprom社が手放したことを受け、期間限定でドイツ政府の管理下に置かれていた。 (2207-061506)

ドイツに供給する天然ガス供給量を大幅削減

 ロシア国営天然ガス企業Gazprom社が6月14日にドイツのSiemens社製のコンプレッサー設備の修理を理由に、Nord Stream経由でドイツに供給する天然ガス供給量を1日当たり40%減となる1日当たり1億立米にする方針を示した。
 ハーベック独副首相兼経済気候保護相は翌15日に修理の必要性は認識しているとしながらも、関連作業は秋まで行われない予定だと指摘し、この削減規模は正当化できないと述べ、政治的な決定で技術的に正当な解決策ではないと非難したが、Gazprom社は15日にさらに33%削減すると発表した。 (2207-061601)

フランスに供給する天然ガス供給量を60%削減

 フランスの天然ガス輸送網を運営するGRTgaz社が17日、ロシアから6月15日以降にパイプライン経由で天然ガスを受け取っていないと明らかにした。
 フランスは、ロシアからドイツ経由で自国消費の17%前後に相当する量の天然ガス供給を受けているが、すでに年初から供給は60%削減されており、ガス価格が高騰している。
 ロシア国営天然ガス企業Gazprom社は今週、欧州への供給を大幅に削減すると発表していた。
 Gazprom社はNord Stream経由の供給削減は、設備の修繕が理由と説明しているが、欧州当局者はウクライナを支援する国々に対する懲罰的な措置とみている。 (2207-061711)

天然ガス依存急低下へ

 ノルウェーに拠点を置くコンサルタント会社DNVが10月12日、ウクライナでの戦争を機に、欧州が天然ガスへの依存度低下を加速させるとともに、ロシア産に変わるエネルギーに移行して供給確保を強化するとの見通しを示した。
 DNVはエネルギー移行に関する年次リポートで「ウクライナ戦争は、欧州の天然ガス消費に対する当社の予想に強く影響した」とし、2050年時点の欧州ガス消費量を年間1,700億立米と予想し、1年前の3,100億立米から修正した。
 2020年の消費は5,800億立米だった。 (2211-101315)

4・2・2・2 電力供給

ウクライナ、モルドバ両国に EU の電力供給網を連結

 EU欧州委員会のシムソン委員(エネルギー担当)が16日、EUの電力供給網をウクライナ、モルドバ両国と連結させたと発表した。
 ロシアの侵攻を受けて以降、同国の電力網から離脱していたウクライナの要請を受けたもので、ウクライナ国内の電力の安定供給維持へ大きく寄与することになる。
 旧ソ連時代から続いてきた連結先の切り替えで、ウクライナとモルドバの電力系統はロシアの影響下からの脱却を果たした。 (2204-031708)

4・2・2・3 天然ガスの節約

 欧州委員会でエネルギーを担当するシムソン委員が6月27日、ロシアからの天然ガス供給に深刻な混乱が生じる可能性があるとし、各国に対し緊急計画を見直すと同時に、可能な限り他の燃料を使用して天然ガスを節約するよう呼びかけた。
 ロシアはEU加盟27ヵ国のうちすでに12ヵ国への供給を削減しており、欧州委は供給を巡る一段の衝撃に備えるための計画を7月に提示する。 (2207-062802)
4・2・2・4 原子力回帰

ドイツが原子力発電所閉鎖の延期を検討

 ドイツ経済省が7月18日、2022年に予定されている国内の原子力発電所閉鎖の延期を検討すると明らかにした。
 メルケル前首相は福島原発の事故を受けて脱原発を公約し、国内に残っている3箇所の原子力発電所は2022年末までに閉鎖する予定となっているが、経済省報道官は、再度見直して数週間以内に決定すると説明した。
 この3箇所の原子力発電所は、2022年第1/四半期に国内発電量の6%を占めていた。 (2208-071906)

4・2・2・5 Nordostream の爆破

 ロシアからヨーロッパに天然ガスを送るパイプラインNordostreamで3ヵ所からガスが漏れているのが確認された。
 デンマーク空軍によると、バルト海南部のボーンホルム島の沖合で9月27日に、Nordostream 1と2のあわせて3ヵ所でパイプラインが破損しガスが漏れているのが確認された。
 AFP通信によるとデンマークの首相は離れた場所で破損が起きていて「単なる事故とは考えにくい」との見方を示しており、破壊工作によるものとの見方も出ている。
 Nordostream 1は先月ロシアの運営会社が保守点検を理由に操業を停止し、Nordostream 2はウクライナ侵攻に対する制裁の影響で稼働していない。
 EUは「今のところ影響はない」としているが、復旧のメドは立っておらず冬の到来を前にヨーロッパ各国でガス不足の懸念が一層高まりそうである。 (2210-092803)
 バルト海海底を走るNord Stream 1とNord Stream 2の計3ヵ所で原因不明のガス漏れが発生した問題で、スウェーデンの地震観測機関は9月27日、漏えい発生の直前に複数の爆発が検知されていたことを明らかにした。
 ロシアによるウクライナ侵攻をめぐる緊張が高まる中、破壊工作を受けた疑いが高まっている。
 デンマーク軍が撮影した写真には、ガス漏れによって海面に大量の泡が直径200~1000mにわたり広がっている様子が写っている。
 スウェーデン国立地震ネットワークがガス漏れの直前にデンマーク領ボーンホルム島沖の現場付近で2回の「大規模なエネルギー放出」を観測したとし、「これだけ大きなエネルギー放出を引き起こせるのは、爆発以外にはほぼない」との見解を示した。 (2210-092804)

 欧州委員会のフォンデアライエン委員長が9月27日、NordostreamとNordostream 2で発見されたガス漏れは破壊工作によるものだとし、欧州のエネルギーインフラが攻撃された場合には「可能な限り強力な対応」を取るとした。
 委員長はTwitterに投稿し、デンマークのフレデリクセン首相と情報交換を行ったことを明らかにした上で、その理由を完全に明らかにするため調査を行うことが最重要だとした。
 デンマークのフレデリクセン首相とスウェーデンのアンデション首相は27日、意図的な行為によるものとの認識を示した。 (2210-092806)

 スウェーデンのSvenska Dagbladet紙がスウェーデン沿岸警備隊報道官の話として、ロシアと欧州を結ぶ天然ガスパイプラインで4ヵ所目のガス漏れを今週発見していたと報じた。
 4ヵ所のうち2ヵ所はスウェーデンのEEZ内にあり、他の2ヵ所はデンマークのEEZ内にある。
 EUはロシアによる破壊工作の疑いがあるとみており、エネルギーインフラを意図的に破壊する行為に対して断固とした措置を取ると表明している。 (2210-092908)

4・2・3 東翼兵力の増強

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアとウクライナ両国に近接する8ヵ国のNATO軍と米軍の兵力は侵攻前と比べおよそ2.5倍に膨らんだ。
 NATOはバルト三国のエストニア、ラトビア、リトアニアと東欧のポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアの8加盟国をロシアへの抑止力を強める拠点と位置づけている。
 英IISSがウクライナ侵攻前に発表したMilitary Ballance 2022によると、NATO諸国から8ヵ国に10,000名強が駐留していたが、NATOによると侵攻後の3月下旬時点でこの8ヵ国への駐留兵は25,000名程度に膨らんだ。
 最も多くの兵力を派遣しているのは米国で、ウクライナ侵攻前はポーランドにNATOの枠組みの兵力と駐留米軍をあわせて5,000名程度であったが、侵攻後はハンガリーを除く7ヵ国に追加派遣し、欧州全体で100,000名規模の兵力を持つとみられる。 (2205-042802)

 ジョアナNATO事務次長が5月29日、NATOは東欧に部隊を配備しないとする従来方針にはもはや拘束されないとの見解を示した。
 ジョアナ次長は、ロシアによるウクライナ侵攻およびNATOとの対話停止を受け、NATOとロシアが1997年に締結した基本文書の条項は一切無効になったとAFPに語った。
 NATO、ロシア双方は基本文書で「中・東欧を含む欧州の合意地域において、潜在的な脅威となり得る通常戦力の増強を抑止する」ことで合意しているが、ジョアナ次長は「ロシア側は近隣諸国を攻撃しない、またNATOと定期的に協議すると決めた義務を守っていない」と指摘し、「基本文書はロシアのせいで基本的に機能しなくなったと思う」と語った。 (2206-053004)

4・2・4 EU 加盟問題

ウクライナ、EU 加盟に関する質問書に回答

 ウクライナのゼレンスキー大統領が4月18日、EU加盟に関する質問書に対する回答を正式に提出した。
 これにより、数週間以内にEU加盟候補国の地位を獲得できるとの考えを示した。 ゼレンスキー大統領は「EU加盟候補国の地位付与を巡る手続きは数週間以内に実施されると確信している。
 独立と民主主義のためにウクライナが払った代償を踏まえると、EU加盟はウクライナの歴史と国民に恩恵をもたらすと考えている」と述べた。
 欧州委員会のフォンデアライエン委員長は8日にウクライナの首都キーウを訪問した際、ゼレンスキー大統領に質問書を手渡し、ウクライナの加盟に向け迅速に動くと確約していた。 (2205-041901)

独、仏、伊の支持取り付け

 マクロン仏大統領とショルツ独首相、ドラギ伊首相が16日、ウクライナの首都キーウを訪問してゼレンスキー大統領と会談した。 会談にはルーマニアのヨハニス大統領も出席した。 ロシアによる2月の侵攻開始後、3首脳のウクライナ訪問は初めてである。
 ゼレンスキー大統領は会談後の共同記者会見で、西欧3首脳の訪問について歴史的な意義があると歓迎し、国を再建するために私たちがしなければならない仕事について協議したと成果を述べた。
 これを受け、マクロン大統領は「勝利するまでEUはあなたたちの味方だ」と述べ、「われわれ4人はウクライナを加盟候補国として速やかに認定することを支持する」と強調した。
 EUは来週行われる首脳会議で、ウクライナを加盟候補国として認めるかどうかを議論するが、西欧3首脳は今回の訪問で、ウクライナへの支援を改めて表明し、対ロシア姿勢をめぐってウクライナとの間に生まれた亀裂を修復したい思惑があったとされる。 (2207-061610)

欧州委員会が EU 加盟候補国に推薦

 EUの行政執行機関である欧州委員会が、ウクライナとモルドバにEU加盟候補国としての地位を与えることを推奨する。
 候補国の地位付与の最終決定にはEU加盟全27ヵ国の承認が必要で、加盟手続きは多数のステップや条件があり、通常は10年以上を要する。
 事情に詳しい複数の関係者によれば、欧州委は17日に意見を公表する見込みで、法の支配や司法、汚職防止に関して両国が将来満たさねばならない条件を設定する。
 特定の条件を満たせば、ジョージアにも候補国の地位を与えることを推奨する見通しだという。 (2207-061705)

4・2・5 復興支援

ウクライナ連帯基金の創設

 EUが3月25日、ウクライナ連帯基金の創設を発表した。
 EU首脳会議のミシェル常任議長とウクライナのゼレンスキー大統領とが電話協議を通じて発案したもので、停戦後の復興まで見すえつつ、まずは市民の生活やウクライナ軍の活動を支える。
 ウクライナは国債の発行などで市場から資金を調達するのが難しく、民間の投資も引き揚げる動きがあることから、EU首脳会議が打ち出した基金はこれを埋め合わせるもので、国際会議を開いて広く参加を呼びかけるという。 (2204-032515)

4・2・6 要人のウクライナ訪問

4月 9日: ジョンソン英首相がキーウを電撃訪問

 英首相官邸が9日、ジョンソン首相が9日にウクライナの首都キーウを電撃訪問してゼレンスキー大統領と会談したと発表した。 (205-041005)

4月21日: スペインのサンチェス首相とデンマークのフレデリクセン首相が訪問

 スペインのサンチェス首相とデンマークのフレデリクセン首相が21日、ウクライナの首都キーウを訪問した。 (2205-042115)

4月25日: 米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官が訪問

 ロイタ通信によると、米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官が24日、ウクライナの首都キーウを訪問しゼレンスキー大統領と会談した。 (2205-042502)

4月29日: グテレス国連事務総長が訪問

 グテレス国連事務総長がウクライナの首都キーウを訪問中した。 (2205-042902)

5月08日: ジル・バイデン米大統領夫人がウクライナ西部ウジホロドを訪問

 ジル・バイデン米大統領夫人が8日、ウクライナ西部ウジホロドを予告なしに訪問し、ゼレンスキー大統領のオレナ夫人と会談したことを、米大統領府が明らかにした。
 ジル夫人は5~9日の日程でルーマニアとスロバキアを歴訪し、スロバキアから陸路、車列を連ねてウジホロド入りした。
 米当局者によると、2月24日のロシア軍のウクライナ侵攻開始後、オレナ夫人が公の場に姿を現したのは初めてという。 (2206-050805)

5月08日: カナダのトルドー首相が訪問

 ロイタ通信によると、カナダのトルドー首相が8日、ウクライナを予告なしに訪問した。
 ロイタ通信はまた、トルドー首相が会談に先立ち、ロシア軍による侵攻で深刻な被害を受けたキーウ近郊イルピンを訪れたことを、同市のマルクシン市長がTelegramで明らかにしたと報じた。 (2206-050901)

5月09日: EUのミシェル大統領がオデーサを電撃訪問

 EUのミシェル大統領が5月9日にオデーサを電撃訪問し、ロシアがウクライナの自由を「処刑」することはできないと述べた。
 ウクライナ首相との会談中にミサイル攻撃があり、避難を強いられる一幕もあった。 (2206-051004)

5月26日: フィンランドのマリン首相がキーウ訪問

 フィンランドのマリン首相が26日にキーウを訪問し、キーウ郊外のイルピンとブチャを訪れた他、ゼレンスキー大統領らと会談した。
 ウクライナのシュミハリ首相との記者会見でマリン首相は、ロシアによるウクライナ侵攻は欧州の「転換点」になったと指摘し、ロシアはウクライナ侵攻により失った地位を取り戻すのに数十年かかるとの見解を示した。 (2206-052707)

6月06日: ラブロフ外相搭乗機の領空通過拒否

 ラブロフ露外相が6日、セルビアを訪問する搭乗機に対しブルガリア、北マケドニア、モンテネグロの東欧3ヵ国が領空通過を拒否したため訪問できなくなったことを明らかにした。
 これに対しラブロフ外相は、「ロシアとセルビアの関係を誰も壊すことはできない」として、代わりにセルビア外相にモスクワ訪問を招請すると述べた。 (2207-060611)

4・2・7 西欧諸国の足並みの乱れ

6月06日: マクロン仏大統領発言にウクライナが反発

 マクロン大統領が4日付の地元紙とのインタビューで「戦闘が終わった時に外交的手段を通じて出口が築けるよう、われわれはロシアに屈辱を与えてはならない」とし、「仲介者になるのがフランスの役割だと確信している」と述べた。
 これに対してウクライナのクレバ外相はTwitterで4日、「ロシアの屈辱を避けるための呼びかけは、フランスとそれを求める他の全ての国に屈辱をもたらすだけだ」と反論した。 (2207-060606)

6月15日: マクロン仏大統領が再度発言

 ロシアのウクライナ侵攻をめぐりマクロン仏大統領が6月15日、「時が来たら、ウクライナの大統領はロシアと交渉せねばならない」と述べ、平和解決に向けた対話の必要性を主張した。
 マクロン大統領はロシアとウクライナ、欧州が同じ大陸にあると強調したうえで、「『ロシア人と戦争し、完敗させるべきだ』との意見にはくみしない」と述べ、対露強硬策を主張するポーランドやバルト諸国と距離を置いた。
 マクロン大統領はこれまで、ロシアを「辱めてはならない」と繰り返し発言しており、ウクライナのクレバ外相は「ロシアを辱めるなという訴えはフランスを辱めるだけ」と反発し、フランスがプーチン露大統領と対話を続けることに警戒感を示してきた。 (2207-061512)

4・3 武器等の供与

4・3・1 個人携帯ミサイル等の供与

2月26日 14:39

 ショルツ独首相が26日、これまでの方針を一転し、ウクライナへ武器を供与すると発表した。
 今回供与が決まったのは、対戦車兵器1,000個とStinger MANPADS 500発、対戦車ロケット400丁で、オランダ経由でウクライナに送られる。
 政府高官によると、装甲車14両と燃料最大10,000tもポーランド経由で届け、さらなる支援も検討している。 (2203-022706)

2月26日 16:18

 ロシア軍の侵攻を受け欧州各国が相次いでウクライナへの武器供与に踏み込む動きが加速してきた。
 チェコとオランダは26日に、ポルトガルは25日に軍事支援を発表した。
 チェコのフィアラ首相は機関銃、軽機関銃、狙撃銃、拳銃と相応の弾薬類、$8.5M超相当の武器をウクライナ側が望む場所に送る方針を表明した。
 オランダ政府はStinger MANPADS 200発の供与と他の防御用装備品も提供し、ウクライナへ搬送中である。 ポルトガルのコスタ首相もウクライナ軍地上部隊へ武器を送ると述べている。
 一方、ドイツのショルツ首相は26日に1,000の対戦車兵器やSringer 500発の供与を発表した。
 ドイツは以前、ウクライナ政府が求めた防御兵器の調達を拒んでいたが、政策の転換に踏み切った。 (2203-022713)

2月26日 16:28

 テスラ社のマスク最高経営責任者 (CEO) が26日、ウクライナのフョードロフ副首相から支援要請に応じ、自身が率いる宇宙企業Space X社を通じ、ウクライナに人工衛星による高速インターネットサービスを提供すると表明した。
 副首相が26日に衛星通信の提供要請したのに対し、マスクCEOは約10時間後に「ウクライナで利用可能になった」と返信した。 専用の送受信機も提供する。 (2203-022714)

2月26日 21:41

 フランスなど欧州各国が26日、ロシア軍の侵攻を受けるウクライナへの軍事支援を相次いで発表した。
 ロイタ通信によると、仏軍報道官は防衛装備品を提供することを決め、チェコやオランダも新たな武器を供与する。
 NATOは、加盟国ではないウクライナに部隊を派遣しない方針だが、一部加盟国は侵攻前からウクライナへの武器援助を進めており、首都キエフを含む現地の各地で戦闘が激しさを増す中、一段と支援姿勢を強めている。 (2203-022621)

2月27日 14:22

 スウェーデンのアンデション首相が27日、紛争当事国に兵器を供与しない国是を破り、AT4対戦車ロケット弾5,000発や戦闘食糧135,000食、ヘルメット5,000個、防弾ベスト5,000着などの軍事物資をウクライナに送ると発表した。
 スウェーデンが武力衝突の起きている国に武器を送るのは、1939年にフィンランドがソ連の侵攻を受けて以来初めてという。
 これまでにウクライナ政府の緊急要請に応じて武器を提供した国は、米国、カナダ、欧州19ヵ国に上る。 (2203-022819)

3月01日 08:08

 イタリアが2月28日、ロシアに対抗するウクライナにStinger SAM、迫撃砲、MilanまたはPanzerfaust対戦車兵器などの供与を決め、武器を供与する多くの国々の仲間入りをした。
 現地の報道ではイスラエル製のSpikeも取り沙汰されたが、イスラエルとの関係から今回は含まれなかった。

 ウクライナへの武器供与ではドイツは今までの方針を変えて対戦車兵器1,000発、Stinger 500発、榴弾砲9門、装甲車14両をウクライナに供与する。  スウェーデンは対戦車兵器5,000、フィンランドはロケット発射機1,500門と突撃銃2,500丁、ノルウェーはM72対戦車ロケット(LAW)2,000門、オランダはStinger 200発を供与する。 (2204-030112)

3月01日 14:52

 モリソン豪首相が3月1日、ウクライナにミサイルや弾薬を含む殺傷力のある防衛兵器を提供するためAUD70M ($50M) の資金を提供すると表明した。
 先週時点では軍事技術支援向け資金のみ提供するとしていたが、姿勢を転換した。
 首相は、資金の大半は殺傷力のある兵器に充てられるとし、ミサイルや弾薬、ウクライナの自国防衛を支援するものであり、NATOと連携して行うと述べた。
 また、ウクライナ人向けに住居、食料、医療、水、教育を支援する国際機関に対し、AUD35Mの人道支援を行うことも表明した。 (2204-030118)

3月02日 07:45

 米大統領府が、バイデン大統領が1日にウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談し、ロシアの軍事侵攻に対抗するための米国の支援について協議したと発表した。
 バイデン大統領は軍事的、経済的援助に加え、人道的支援を継続すると強調した。
 また両首脳は経済制裁などでロシアの責任を追及していくことも話し合った。 (2204-030210)

3月03日 17:11

 DPA通信が3日、ドイツ政府がウクライナに対し、旧東独軍が保有していたソ連製MANPADSのStrela 2,700発を供与することを承認したと報じた。 (2204-030324)

3月05日 13:43

 国際通貨基金 (IMF) が5日、ウクライナから要請を受けている$1.4Bの緊急融資について、来週にも理事会で検討すると表明した。
 IMFはまた、ロシアと経済的なつながりが強い国々への影響に懸念を示し、ウクライナの隣国モルドバとも支援の手段を協議していると述べた。
 さらにロシアの軍事侵攻とそれに関連する制裁措置が、世界経済全体に深刻な影響を及ぼすとの見通しを示した。 (2204-030609)

3月09日 06:27

 バイデン米大統領か8日にホワイトハウスで記者会見し「ウクライナはプーチン露大統領の勝利にならない。 都市を制圧するかもしれないが、国家を支配することはできないだろう」と述べた。
 そのうえで、ウクライナへの武器供与や人道支援などに新たに$12B規模の予算措置をすると表明し、議会に早期可決を求めた。 (2204-030912)

3月10日 08:18

 米下院が9日、FY22予算案を可決し、上院に送付した。 予算案は上院可決後、バイデン大統領の署名により成立する。
 ロシアの軍事侵攻を受けたウクライナと近隣諸国への支援関連で、合わせて$13.6Bが計上された。 (2204-031005)

3月10日 14:06

 米商務省が9日、米国民からのウクライナ向け銃器や弾薬の輸出申請を迅速に処理していると表明した。 (2204-031009)

3月11日

 英国防相が3月9日、ウクライナにStarStreak HVM MANPADSを900発以上とATGM数千発を供与すると発表した。
 英国は今までにNLAW 3,615発を供与している。 (2204-031016)

3月11日 22:11

 EUのボレル外交安全保障上級代表(外相)が11日、ロシア軍侵攻に対抗するウクライナ軍に武器などを供与するための資金拠出額を€500M追加し、倍増させる方針を明らかにした。
 10日にパリ近郊ベルサイユ宮殿で開かれたEU首脳会議で提案したという。 (2204-031116)

3月13日 04:15

 バイデン米政権が12日、ウクライナに$200Mの追加の武器供与を行うことを決めた。
 米メディアによると、今回の武器供与にはJavellin ATGMやStinger MANPADSが含まれるという。 (2204-031301)

3月14日 14:50

 西側の武器提供により、ウクライナは米情報当局の予想以上に効果的にロシア軍と戦うことが可能になっているが、欧州で大量の武器を投入することはこれらの一部が悪の手に渡るリスクもはらんでいる。
 国防総省が実施した2019年の調査でRAND研究所は、1970年代以降に60機以上の民間航空機がMANPADSにより撃墜され1,000人超の民間人が死亡したと推定している。
 2019年時点で57の非国家武装集団がMANPADSを保有しているか、保有が疑われているという。 (2204-031405)

3月16日 03:36

 ロシアによるウクライナ侵攻は過酷な市街戦となる見通しが一段と強まっているが、ウクライナに各国から大量に送られたATGMが戦争の流れを変える可能性がある。
 過去数週間でウクライナに送り込まれた最新式ATGMの量は驚異的であり、近代の主要戦争では前例のない量をウクライナ軍が手にした可能性がある。
 英国はウクライナにNLAW 3,615発、ドイツは1,000発、ノルウェーは2,000発、スウェーデンは5,000発のATGMをそれぞれ供与する。 米国は数量を公表していないがJavellinを、他の国も同様の兵器を送っておりロシア軍にとっては相当な脅威となる。
 プーチン大統領が始めた侵攻はウクライナ側の抵抗とロシアの誤算により、当初の想定通りには進んでいないが、最新鋭の対戦車兵器もロシア軍を阻む要因の一つである。 (2204-031602)

3月16日

 バイデン米大統領が3月16日、$800Mにのぼるウクライナへの追加支援を公表した。 これで先週以来の援助額は$1Bになった。
 今回新たに送られるのはJavellin ATGM 2,000発、LAW 1,000発、AT-4対戦車兵器6,000発と、TUAV 100機、機関銃、擲弾発射筒を含む小火器7,000丁、弾薬2,000万発、防弾着衣とヘルメット25,000着などである。 (2204-031620)
【註】AT-4とはスウェーデンSaab社製の単発使い捨て式の84mm滑腔式無反動砲で、米軍などNATO加盟国の間でM72 LAWの後継装備品として採用されている。

3月17日 03:43

 バイデン米大統領が16日、ウクライナに追加で$800Mの支援をすると発表した。
 追加で提供される装備品はStinger MANPADS 800発、Javellin ATGM 2,000発などでUAVも提供する。
 今回の分を含めると、過去1週間で合わせて$1Bの追加支援をすることになるという。 (2204-031701)

 バイデン米大統領が16日にホワイトハウスで演説し、$800M規模の対ウクライナ追加軍事支援を発表した。
 ロシアによる軍事侵攻への対抗手段として、小型UAV 100機やJavellin ATGM 2,000発などを供与する。 (2204-031704)

3月17日 10:20

 バイデン米大統領は16日、ウクライナに対する$800Mの追加安全保障支援を発表した。
 この日ウクライナのゼレンスキー大統領はオンラインを通して米議会で演説し、「ロシアはウクライナの空を死の源に変えた」と述べ、改めて飛行禁止区域の設定を訴えたが、バイデン大統領の消極的な姿勢に変わりはなかった。 (2204-031709)

3月18日 05:27

 オースティン米国防長官が17日、ウクライナと接するスロバキアを訪れ、S-300の対ウクライナ供与問題などを協議した。
 スロバキアのナジ国防相は記者会見で「適切に代替されればすぐ供与できる」と強調したが、オースティン長官は「米国ではなくNATOの問題だ」と慎重な姿勢を示し、今後も調整を進めると語った。
 ゼレンスキー大統領はNATOがウクライナ上空に飛行禁止区域を設定できないなら、S-300を提供するよう強く求めている。 (2204-031803)

3月21日 04:38

 ウクライナのゼレンスキー大統領が20日、イスラエル国会でビデオによる演説をした。
 ロイタ通信などによると、ゼレンスキー大統領はイスラエルのIron Domeをウクライナへ輸出するよう求めた。
 また、ロシアへの経済制裁に加わることも求めた。 (2204-032101)

3月23日

 米政府が3月16日、$800Mにのぼる武器をウクライナへ供与することを決めた。

・Stingert MANPADS: 800発
・Javelin ATGM: 2,000発
・軽対装甲兵器: 1,000基
・AT4 対装甲兵器: 6,000発
・Switchblade UAV: 100発
・小 銃: 5,000丁
・拳 銃: 1,000丁
・機関銃:  400丁
・鉄帽/防弾衣: 25,000着
・小火器弾: 2,000万発
 2月下旬と3月12日にも
・Stinger: 600発以上
・Javelin: 2,600発
・Mi-17: 5機
・哨戒艇: 3隻
・HMMWV: 70両
を供与している。 (2206-032301)

3月24日 07:47

 英国が23日、ウクライナに対して対戦車用など6,000発のミサイルの提供や£25Mの資金援助を含む新たな支援策を発表した。
 また24日に開かれるNATO首脳会議およびG7首脳会議で、ジョンソン首相はウクライナを防衛するための支援継続を参加国に訴えるとしている。 (2204-032408)

3月25日 10:07

 ウクライナがここ数日で米政府からの軍事支援で要望する項目のリストを更新し、ATGMやSAMの数が以前より数百発増えていることがCNNに提供された文書からわかった。
 米議員に伝えられた最新の要請によると、ウクライナは米国製のStinger MANPADSとJavellin ATGMを毎日各500発必要としているが、米国やNATOの当局者からは多くの武器が既にウクライナに向かっていると反発する声も出ている。
 米国や他のNATO諸国は3月7日までに17,000発のATGMと2,000発のMANPADSをウクライナに送っている。
 英国も22日にATGMや高性能爆薬兵器を含む6,000発ののミサイルを新たに支援すると発表した。 (2204-032507>)

4・3・2 供与武器の種類拡張

3月09日 情報の提供

 欧州評議会が2月28日、EU衛星センタ (EU SatCen) がウクライナに地理空間情報 (GEOINT) を提供すると発表した。
 またEU各国の国防相がウクライナ情勢についてビデオ会議を開き、殺傷性兵器に€450M ($502.4M)、非殺傷性兵器に€50Mの援助を行うことで合意した。 (2206-030902)

3月09日 EU が殺傷性武器の供与

 2月27日にバーチャルで開かれたEU外相会議で、ロシアに対し政治、軍事、経済の要人に対する制裁を決めたのに続き、65年に及ぶEUの歴史で初めてロシアの侵攻を受けているウクライナに殺傷性武器の供与を決めた。
 供与される武器は、2021~2027年に€5B ($5.6B) が用意されているEPFから支出される。 (2206-030905)

3月09日 Bayraktar TB2 UAV

 ウクライナ国防相が3月2日、トルコBaykar社製Bayraktar TB2 UAVが届けられたと発表した。
 TB2はトルコ空軍のA400Mでポーランドに空輸されウクライナへ届けられたという。
 ウクライナがTB2を初めて使用したのは2021年10月で、ドンバス地方武装勢力のD-30 122mm榴弾砲への攻撃で使用された。
 TB2は全長6.5m、翼端長12m、MTOW 630kgで、55kgの搭載能力、巡航速度70kt、航続距離150km、滞空能力24時間、実用上昇限度30,000ftの性能を持つ。 (2206-030901)

3月25日 14:22

 バイデン米大統領がウクライナにソ連時代の長距離ミサイルを供与すると約束したが、調達と移送で問題が生じ計画が行き詰まっていて、米国など西側高官の話で明らかになった。
 米国と同盟国は今週、ロシアへの追加制裁に加え、ウクライナへの武器供与や人道支援を新たに発表する構えだが、ウクライナがロシアの侵攻を食い止めるうえで不可欠と判断するSAMの調達には時間がかかりそうだ。 (2204-032510)

3月31日 02:26

 米国防総省がスロバキアからウクライナにS-300を供与する検討を行っている。
 スロバキアは代替えが保証されればS-300のウクライナへの供与は可能としている。
 このためドイツはウクライナと国境を接するスロバキア東部へのPatriot派遣を申し出ており、別の案としてはSwitchblade索敵攻撃UAV 100機のスロバキアへの提供も検討されている。 (2204-033102)

3月31日 02:38

 米大統領府が30日、バイデン大統領が米国東部時間の30日にウクライナのゼレンスキー大統領と55分間の電話協議をし、ウクライナに$500Mを直接支援する意向を伝え、軍事支援の継続についても話し合ったと発表した。)

(2204-033103)

3月31日 16:10

 ウクライナ軍が31日までに、必要とする兵器や装備品を連ねた最新版のリストを米連邦議会に提出した。
 CNNも入手したリストは17項目から成り、偵察用あるいは武装UAV、レーダ、C-UAV電子戦システムやCAS機などが含まれる。
 また、移動式野戦病院を含めた軍装備品の修理も要請すると共に、隣国での装甲車両の修理の便宜や武器運搬を助ける航空機供与も加えられた。
 今回の最新版リストは29日に届けられ、実弾頭を積む自爆式のものも含むUAVは最優先に必要と位置づけられた。
 更に今回の要望リストにはSu-25や火砲、SAM、対艦ミサイルや光学監視装置も求めている。 (2204-033115)

4月01日 05:52

 ウォレス英国防相が31日、35ヵ国以上が出席した第2回ウクライナ防衛国際ドナー会議 (IDDCU) 後に記者団に対し、英国を含む支援国が「ウクライナに一段の兵器が提供される。
 多くの国が資金提供を確約した」と述べた。
 具体的には、防空システム、沿岸防衛システム、長距離砲、装甲車などのほか、ウクライナ兵士の訓練や後方支援などが提供される。 (2205-040105)

4月01日 19:45

 英政府が3月31日にウクライナへの軍事支援を話し合うオンラインの多国間会合を主催し、会合には米国や日本、韓国など30ヵ国以上が参加し支援拡大で合意した。
 会合では装甲車両の提供や訓練などでも支援を強化する方針が決まったほか、防空や沿岸防御のための兵器、長射程砲の提供などが検討されている。
 ウォレス英国防相は会合後にテレビ番組で、ロシア軍がウクライナの都市部に対し、遠方からの砲撃を強化しているとして、これに対抗するにはより射程の長い砲がふさわしいと述べた。 (2205-040113)

4月01日 20:58

 モリソン豪首相が1日、同国製の輸送防護車Bushmasterをウクライナに供与する方針を明らかにし、近く数両をC-17で空輸すると述べた。
 ウクライナのゼレンスキー大統領が3月31日に豪議会でオンライン行った演説で、Bushmasterを非常に優れていると評価して提供を要請したのに対し、モリソン首相が一晩で快諾した。
 Bushmasterは兵員10名を運べ、価格は1両推定AUD50,000(4,600万円)という。 (2205-040114)

4・3・3 重装備の供与

4月02日 12:06

 New York Timesが1日、バイデン米政権がウクライナ東部ドンバス地域の防衛強化を目指し、同盟国からウクライナへの旧ソ連製戦車の供与を支援すると報じた。
 ウクライナ軍はソ連製戦車の使い方を把握しており、ゼレンスキー大統領が要請していた。
 米政府高官は、戦車配備によってドンバス地域のロシア側に対する長距離砲撃が可能になると説明し、移送が近く始まるとの見通しを示したが、どの国から何両送られるのかは言及を避けた。
 米国が仲介役となって戦車移送を支援するのは、ロシアのウクライナ侵攻後初めてとなる。)

(2205-040205)

4月02日 19:54

 米国防総省が1日、最大$300Mの新たな軍事支援策を発表した。
 支援策はレーザ誘導ロケット弾やTUAVのほか、軍用車両、医療用品など多岐にわたり、従来よりも攻撃的な兵器の供与する方針も明らかになった。
 1日のNew York Timesによると、バイデン政権は同盟国とウクライナ軍が現在も使っている旧ソ連製の戦車を同盟国を経由して間接譲渡する案も検討している。
 米国がロシア侵攻に伴うウクライナへの武器支援で戦車を譲り渡すのは初めてで、米政府高官の話として「ロシアに対し長距離砲撃が可能になる」と報じている。
バイデン政権によるウクライナへの軍事支援は$2.3B超で、そのうちロシア侵攻後だけで$1.6B以上にのぼる。 (2205-040207)

4月03日 17:25

 米国がウクライナに対しソ連製のT-72 MBTを提供する方針であることが3日までにこの計画に通じる関係筋が明らかにした。
 米政府高官はCNNの取材に、ウクライナ軍兵士はT-72の操作経験が豊富であり、ウクライナへの引き渡しは数週間内ではなく、数日間内に実施されるだろうともした。
 ウクライナへ送られるT-72は複数のNATO加盟国が手当てするという。)

(2205-040306)

4月04日 16:27

 FNN取材団が4月3日、ウクライナと国境を接するポーランドのメディカで複数の戦車が国道を移動する様子を目撃した。
 戦車はポーランド軍の大型トラックで運ばれていた。 その形からポーランド軍が所有する旧ソ連製のT-72M1とみられる。
 T-72M1は旧ソ連製のT-72シリーズの中の輸出用に性能を落としたもので、ポーランド軍は300両を装備している。
 Washington Postなどは、米国がウクライナ軍を支援するため、近日中にソ連製の戦車をNATO各国を通じて提供すると報じていて、FNNが撮影したこれらの戦車も国境を越えウクライナ軍に提供される可能性がある。
 T-72M1は旧ソ連製のT-72シリーズの中の輸出用に性能を落としたもので、ウクライナ軍が使い慣れている戦車と操作方法がほぼ同じため、ウクライナ軍にとって即戦力となると見られる。 (2205-040409)

4月06日 08:33

 チェコのTVなどが5日、ソ連製の戦車をウクライナに提供したとに報じた。
 ロシアによる侵攻開始以来、国外からの戦車の提供は初めてとみられる。 チェコのTVによると、T-72 MBTやIFVをウクライナに提供したという。
 戦車が鉄道で輸送される動画も公開した。
 Wall Street Journalによると、チェコは十数両の戦車をウクライナに提供した。 (2205-040609)

4月06日 10:46

 米国防総省が5日、ウクライナへの軍事支援として、新たに$100M相当の武器を供与すると発表した。
 ウクライナが緊急に必要としているJavellin ATGMを追加供与するためという。
 バイデン米政権は1日にも$300M相当の軍事支援を表明したばかりで、政権発足後のウクライナ支援は、今回を含め総額$2.4Bに上る。 (2205-040612)

4月06日 11:41

 Wall Street Journalなどがチェコ当局者らの話として5日、チェコがウクライナ軍に戦車を提供したと報じた。
 それによるとチェコは政府や民間の資金協力で、ウクライナに数十両のソ連製戦車や榴弾砲などを提供した。
 ウクライナでは戦車などの兵器を修理する防衛産業拠点が露軍に破壊されており、チェコの協力は貴重とみられている。 (2205-040613)

4月07日 08:41

 英Times紙が国防関係者の話として、英国がウクライナに装甲車を提供する計画を策定していると報じた。
 国防省で検討されている選択肢には、Mastiffのような防護警備車両や、Jackalなど偵察や長距離警備に使用できる車両の提供が含まれている。 
また訓練実施のために英軍兵士らをウクライナに隣接する国に派遣するという。
 同紙は、ATGMやSAMを含むさらなる支援が、今後数日中に発表されるとしている。 (2205-040705)

4月07日 

 米国防総省のカービー報道官が6日、自爆型UAVのSwitchBlade 100機をウクライナに供与すると明らかにした。
 戦地にすぐ投入できるよう、ウクライナ兵の訓練を米国内で行ったという。
 Switch Bladeは数十㌔の飛行が可能とされ、戦車など軍用車に機体ごと突っ込んで破壊する能力を持つ。 (2205-040710)

4月08日 15:50

 モリソン豪首相が7日、Bushmaster双輪APC 20両をウクライナに送る方針を明らかにした。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は豪議会で3月31日に行った演説で、Bushmasterの供与を特に要望していた。
 BushmasterはThales豪社が製造したもので、側面にはウクライナ国旗が描かれている。
 今回送られるうち2両は、赤十字の標章を付けた救急車仕様になる。 (2205-040812)

4月08日 18:10

 米国防総省が7日、ロシアの侵攻を受けるウクライナに米国が供与した武器の詳細を発表した。
 対戦車兵器は12,000発以上、弾薬は5,000万発以上に上り、米国の支援がウクライナ軍を戦場での成功に導いていると強調した。
 供与の内訳はJavellin ATGM 5,000発以上、Stinger MANPADS 1,400発以上、Switchblade自爆型UAV数百機などである。 (2205-040813)

4月08日 

 米国防総省のカービー報道官が4月8日、スロバキアがウクライナにS-300 1個中隊分を供与したのを補うため、米陸軍のPatriot 1個中隊がスロバキアへ進駐したと発表した。 (2205-040815)

4月09日 00:32

 スロバキアのヘゲル首相が8日、S-300をウクライナに供与したことを明らかにした。
 ウクライナは防空能力の向上に不可欠として米欧に提供を強く求めていたが、米欧は慎重な姿勢を示していた。
 旧ソ連時代に開発されたS-300はウクライナ軍が長年運用し、ロシアの侵攻後も制空権の維持に活用されてきた。
 米国はスロバキアやブルガリアなどS-300を装備しているNATO加盟国と協議を続けていた。
 スロバキア国防省は8日、S-300の代替システムとしてNATO加盟国の支援を受けPatriotを国内に配備すると発表した。 (2205-040901)

4月10日 07:09

 英首相官邸が9日、9日にウクライナの首都キーウを電撃訪問してゼレンスキー大統領と会談したジョンソン首相が、装甲車120両とHarpoon対艦ミサイルをウクライナに提供する新たな軍事支援を示したと発表した。
 英GuardianによるとHarpoonはロシア艦に打撃を与えることができ、黒海に展開するロシア海軍に対処するために使われる可能性があるという。 (2205-041005)

4月12日 02:51

 ウクライナにS-300を供与したばかりのスロバキアのナジ国防相が4月10日、ウクライナとZuzana 155mm SPHを売却する交渉を行っていることを明らかにした。
 Zuzanaは8輪の装輪SPHで、かつてのチェコスロバキアが開発したDana SPHを元にしており、スロバキア軍の他キプロス軍も装備している。
 ZuzanaにはZuzana 2000と改良型のZuzana 2があり、スロバキア軍は1998年~2000年にZuzana 2000を16門調達したのに続き、2018年にZuzana 2 25門を国営KONŠTRUKTA社に発注している。 (2205-041202)

4月12日 04:36

 ロシアによる侵攻の焦点がウクライナ東部に向けられるのに対応して、米国と同盟国がウクライナへの重装備の供与を開始している。
 米国は先週発表した$100Mの追加支援でJavellin ATGMのほか、対砲/C-UAVレーダ4基と対迫レーダ4基、装甲Humvee、レーザ誘導ロケット弾を供与する。
 ウクライナへの£100M ($130M) にのぼる武器の供与を表明した英国は、その翌日にジョンソン首相がキーウを訪問して120両の装甲車両と新型対艦ミサイルの供与を発表した。
 英国は先週、StarStreakの追加と800発のATGM及び滞空索敵弾の供与も発表している。
 チェコはNATO加盟国で初めてウクライナ軍へT-72 MBT及びMVP-1 IFVを供与している。 (2205-041203)

4月14日 08:17

 バイデン政権はウクライナ軍への機密情報の提供拡大や重火器供与の決定により、今回のウクライナ紛争に対するアプローチを軌道修正する。
 だが、米国は情報共有の新たな指針においても、ウクライナによるロシア領土内への空爆を可能にするような情報の共有までは踏み込まない方針で、米当局者はこれについて、紛争を拡大させないために設けられた制限だと説明した。 (2205-041404)

4月14日 

 Rheinmetall社CEOが4月12日にHandelsblatt紙で、Leopard 1 50両をウクライナに納める準備ができており、ドイツ議会が承認すれば最初のLeopard 1をイタリア経由で6週間以内に納品できることを明らかにした。
 50両の納入は3ヶ月以内に完了でき、乗員の訓練は2~3日でできるという。
 またMarder IFV 70両の納入も6~8ヶ月以内に可能で、最初の10両は5週間以内に納入できるという。 (2205-041413)

4月18日 

 米国防総省高官が4月18日、米国がウクライナに対し行う新たな$800Mの援助に155mm砲1個大隊分18門と砲弾40.000発が含まれているため、近日中に米軍がウクライナ国外でウクライナ軍に対し操法訓練を実施することを明らかにした。
 米陸軍は旧式で射程14哩のM198と、これに代わる射程18哩のM777を装備しているが、ウクライナに供与されるのはこのいずれかになる。
 ウクライナ軍はソ連時代のMsta-B 152mm砲とD-30 122mm砲を装備しており、Msta-Bの射程は15哩である。 (2205-041812)

4月20日 06:24

 ショルツ独首相が19日に記者会見し、ウクライナがドイツ製の兵器や弾薬を購入する際に資金支援を行うと発表した。
 即時配備可能な装備が少ない独連邦軍からの直接供与は限界に来たとして、妥協策を示した。
 ただ、ウクライナが強く求める戦車など大型兵器については、支援適用の可否を明言しなかった。
 ロシア軍がウクライナ東部で攻勢を強めるなか、国内外で高まるショルツ首相への「及び腰」との批判が沈静化するかは不透明だ。 (2205-042003)

4月20日

 米大統領府と国防総省が4月13日、155mm榴弾砲や車両、対人地雷など$800Mをウクライナに供与すると発表した。
 供与されるのは牽引155mm榴弾砲18門、同砲弾40,000発、M113 APC 200両、装甲HMMWV 100両、Mi-17 11機、AN/TPQ-36対砲レーダ10基、AN/MPQ-64対空レーダ2基、Switchblade索敵攻撃UAV 300機、沿岸防衛用USV、M18A1対人地雷などである。 (2207-042001)

4月21日 10:07

 米国防当局者が20日、ウクライナ空軍に予備の部品が届いたことで、運用可能な航空機が約20機増えたことを明らかにした。
 前日には、米国防総省のカービー報道官が、ウクライナが追加の戦闘機を受け取ったと明らかにしていたが、国防当局高官は20日にウクライナは追加の航空機を受け取っておらず、実際には既存の航空機の運用数を増やすことのできる航空機の部品を受け取ったと説明した。
 それでも同当局者は、少なくとも1ヵ国がウクライナに追加の航空機を送る検討をしていることを示唆した。 (2205-042103)

4月21日 11:11

 ノルウェーのグラム国防相が20日、Mistral MANPADSをウクライナに送ったことを明らかにした。
 国防省によるとMistral 100発と少数の発射ユニットをすでに発送した。
 ノルウェーはこれまでに4,000発のATGMと数種類の防護具、その他の軍事装備を提供している。 (2205-042105)

4月21日 23:55

 スペインのサンチェス首相とデンマークのフレデリクセン首相が21日、ウクライナの首都キーウを訪問した。
 ゼレンスキー大統領との共同記者会見でサンチェス首相は、大型輸送車両や弾薬を含む200t分の装備品をウクライナに送ったことを明らかにした。 (2205-042115)

4月22日 00:32

 バイデン政権が4月21日に、ウクライナに更に$800Mの追加支援を行うと発表した。 ウクライナに送られるのは以下の装備である。

・155mm榴弾砲72門と砲弾144,000発
・155mm榴弾砲牽引車両72両
・Phoenix Ghost TUAV 121機以上
・その他装備品と補用品
(2205-042201)

4月22日 00:43

 バイデン米大統領が21日にロシアが侵攻を続けるウクライナ情勢について演説し、同国に対し$800Mの追加軍事支援を行うと発表した。
 米国は13日にも$800Mの支援を発表しており、ウクライナ東部でロシア軍による大規模攻勢と対峙するウクライナ軍に榴弾砲など重火器の供給を拡大する考えだ。
 新たな$800Mの支援には、155mm榴弾砲72門と砲弾144,000発、UAVなどが含まれる。 (2205-042202)

4月22日 06:12

 米バイデン政権が21日、ウクライナに対し新たな$800Mの軍事支援を決め、新型UAVなどを提供することを明らかにした。 ウクライナ兵への使い方の訓練も行う。
 米国防総省のカービー報道官によると、このUAVは「ウクライナの要望に合わせ米空軍が急いで開発したものPhoenix Ghostで、121機以上が提供される。
 米国がこれまでウクライナに提供してきたSwitch Bladeに似た性能を持ち、複数の目標に対応できるという。 (2205-042208)

4月27日 01:29

 ウクライナへの軍事支援を協議する国際会合がオースティン米国防長官主催で26日にドイツのRamstein米空軍基地で開かれ、NATO加盟国やフィンランドなど40ヵ国以上の国防相らが参加した。 岸防衛相もオンラインで参加した。
 会合は各国の武器の在庫状況などを確認し、各国は重火器を含めた武器の供与の調整を進める。
 会合にあわせた声明でランブレヒト独国防相は、Gepard SPAAGを、国内メーカーを通じてウクライナに供与すると表明した。
 兵器供与に消極的な姿勢が批判されていたドイツが大型兵器を供与するのは初めてで、ソ連製重火器をウクライナに提供した東欧諸国に武器を補充する考えも示した。 (2205-042702)

4月27日 01:39

 ドイツ政府がウクライナへ、Gepard SPAAG 50両を供与する。
 ドイツ軍は既にGepard SPAAGを装備していないが、製造したKrauss-Maffei Wegmann社は相当数を保管していた。 (2205-042703)

4月27日 01:55

 ロシア国防省が26日、英国がウクライナを扇動し、ロシアを目標とする攻撃が行われた場合、直ちに「相応の対応」を取ると警告した。
 ウクライナがロシアの物流や供給ラインを攻撃することに正当性があるとのヒーピー英国防担当閣外相の発言を受け、ロシア軍はウクライナ政府の意思決定機関に対して高精度の長距離兵器で報復攻撃を行えるよう24時間態勢にあるとした。 (2205-042704)

4月27日 02:26

 ポーランド首相が2月24日、ウクライナにT-72 MBTを提供することを確認した。 この発表はジョンソン英首相からT-72の補完としてChallenger 2 MBTを購入する約束を取り付けた直後に行われた。
 購入するChallenger 2の数は公表されていないが、ポーランドは2019年にPGZ傘下の企業にT-72 318両をT-72M1仕様に改良する契約を行っている。
 ポーランドは4月上旬に米国とM1A2 Abrams SEPv3 250両を$4.75Bで購入する契約を行っている。 (2205-042705)

4月27日 13:33

 米国防総省監察官が議会下院歳出委員会で、大統領が近く引き出し権限を行使して、ウクライナ向けに$3.5B相当の武器等の備蓄を放出すると述べた。 (2205-042716)

4月27日

 米政府が4月13日と24日にそれぞれ$800Mずつ発表したウクライナへの支援で供与されるM777 155mm牽引榴弾砲90門の半数以上が既にウクライナ軍に引き渡されている。
 カリフォルニア州March州兵空軍基地 (ARB) にはC-17に搭載される海兵隊のM777が並べられている。 (2205-042722)
【註】米海兵隊はForce Design 2030計画で、M1A1 MBT 200両全てを退役させ陸軍に管理替えすると共に、歩兵大隊を24個から21個へ、砲兵中隊を21個から5個へ、削減し、新たな編成に移行する計画で、今回ウクライナに供与するのとほぼ同数の155mm砲が余剰になっているはずである。

4月28日 16:31

 トラス英外相が27日の演説で「プーチン大統領が成功に至れば、欧州全体が悲惨な状況に陥り、世界中に恐ろしい影響が及ぶだろう長期戦に備えて、ウクライナへの支援を倍増する必要がある」と同盟国に呼びかけた。
 トラス英外相は、ロシアによるウクライナ侵攻が膠着し長期戦が予想されることから、同盟国に対しウクライナへの戦車や武器の提供など、さらなる支援を呼びかけ、その上で「プーチン大統領の恐ろしい戦争に資金を提供してはいけない」として、各国にロシア産の石油やガスの輸入を完全に停止することを含む、より厳しい経済制裁を求めた。)

(2205-042812)

4月28日 21:49

 バイデン米大統領が28日にホワイトハウスで演説し、ウクライナへの軍事支援や財政援助を含む、総額$33Bの追加予算を米議会に要求すると表明した。 追加予算のうち$20.4Bはさらなる武器供与やNATO加盟国の防衛強化に充て、残りはウクライナ政府への資金援助や人道支援などに使用する。
 また、ロシアのプーチン大統領に近い新興財閥(オリガルヒ)から押収した資産を売却し、収益をウクライナ支援に活用する方針を発表し、関連法案を議会に提出する。 (2205-042818)

4月29日 02:19

 米国防総省高官が28日、ウクライナ軍への榴弾砲の訓練に加え、レーダやM113 APCの訓練がウクライナ国外で行われているとした。
 ただ、どこの国で行われているかなどの詳細は明かさなかった。 (2205-042901)

4月30日 04:44

 ドイツ当局筋が29日、26日にウクライナに対する初の重火器支援を発表したばかりのドイツが長射程榴弾砲の提供を検討していると明らかにした。
 同筋によると、独政府が提供を検討しているのはPanzerhaubitze 2000 SPHで、オランダ政府と協議を行っているという。 (2205-043003)
【註】ドイツは185両のPzH2000を装備していたが、15両をカタール、16両をリトアニアに売却したため、現在の保有数は154両である。

4月30日 05:44

 ポーランドのメディアが29日、同国が保有するT-72 MBT 200両をウクライナに供与したと報じた。 このほかにUAVや砲弾なども含め、軍事支援額は$1.6Bになるという。  ジョンソン英首相は22日、ポーランドがウクライナに戦車を供与した場合、英国がその穴埋めとしてポーランドに戦車を送る案に言及していた。 (2205-043004)

5月04日 01:46

 ジョンソン英首相が3日、ロシアによるウクライナ侵攻後外国首脳として初めてウクライナ最高会議(議会)でビデオ演説し、同国に£300Mの追加軍事支援を行うと表明した。
 追加支援には、電子戦装置や対砲レーダ、GPS妨害装置、数千個の暗視装置が含まれる。
 英国は既にウクライナに対し、£450M相当の軍需品を段階的に供与している。 (2206-050412)

5月04日 04:55

 ジョンソン英首相が5月3日にウクライナ議会で行ったビデオ演説で、英国が対艦ミサイルや補給用UAVなど£300M ($375M) の追加支援を行うことを明らかにした。
 追加支援される対艦ミサイルはBrimstone ASMの対艦型である。
 英国は今までに£800M ($1B) の支援を行っている。 (2206-050402)

5月04日

 ウクライナのキーフをペロシ米議会下院議長などの議員団が訪問しゼレンスキー大統領と会談したが、大統領は同行した元レンジャー隊員のクロウ下院議員にウクライナが引き渡しを求めている武器について伝えた。
 ウクライナが要求しているのは高度な多用途UAV、M142 HIMARS、Harpoonなどで、特に海上からの攻撃に悩んでいるウクライナはHarpoonの供与を熱望した。 (2206-050419)

5月05日 09:41

 4月24日に再選されたマクロン仏大統領が4月30日、ウクライナへの武器提供を控えていたのを破りCaerar車載155mm/52口径砲12門と砲弾数万発及びMilan ATGMを提供すると発表した。
 12門をウクライナに提供することで仏陸軍の保有数は64門に減ることになる。)

(2206-050507)

5月06日 20:36

 ドイツ国防省は5月6日、ウクライナにPanzerhaubitze 2000 (PzH2000) SPH 7両を供与すると発表した。
 スロバキア訪問中のランブレヒト独国防相は、オランダもPzH2000 5両を供与する予定だと明らかにした。
 ドイツはPzH2000を約100両保有しているが、このうち実配備されているのは40両のみで、今回供与されるPanzerhaubitze 2000 (PzH2000) はドイツ軍が整備中のもので、現在運用されているものではないとしている。
 供与の具体的な予定日は不明だが、ドイツ国内でウクライナ兵に向けた訓練が来週にも開始されるという。 (2206-050613)

5月07日 08:25

 バイデン米大統領が6日、ロシア軍の侵攻が続くウクライナに対し追加の軍事支援を実施すると発表した。
 弾薬のほか、対砲レーダなどを供与する方針で、規模は$150Mに上る。 (2206-050704)

5月07日 14:45

 米国防総省のカービー報道官が6日、米国がウクライナへ供与したM777 155mm榴弾砲のウクライナ軍200名以上に対する操作訓練が終了し、別の150名余が現在この訓練を受けていることを明らかにした。
 対空レーダでは15名、M113 APCでは60名が実習などを完了したと述べた。 M113では50名の習練が続いているとした。
 また、調達担当のラプラント国防次官は6日、ウクライナへ譲渡するSwitch Bladeを確保するための契約を同日中に関係企業と$17.8Mの契約を結ぶと発表した。
 一方、ブルガリアの国営放送 (BNT) が、ウクライナのゼレンスキー大統領が7日までにブルガリアに、戦闘で損傷した装備品の修理への支援を要請したと報じた。 (2206-050706)

5月10日 07:13

 バイデン米大統領が9日、ウクライナへの武器の貸与を容易にする「ウクライナ民主主義防衛・レンドリース(武器貸与)法案」に署名した。
 武器貸与法は、第2次世界大戦中に英国などへの支援を促進したことで知られ、連合国が勝利した背景の一つとみられている。 (2206-051008)

5月10日 15:51

 米議会下院歳出委員会が5月10日、バイデン政権から要求のあったウクライナへの緊急支援のため$7Bを追加し最終的に$140Bとする法案の審議を開始した。
 $7Bの要求の内の$6Bは安全保障関係費で、国防総省にウクライナ向けの武器等をメーカーから直接購入できるようにするとしている。 (2206-051016)

5月11日 20:55

 米議会下院が10日に超党派で合意したウクライナへの支援を強化する$40Bの予算案を賛成368、反対57の賛成多数で可決した。 上院で可決されれば大統領の署名を経て成立する。
 尚、反対票を投じたのは全員、共和党議員だった。
 予算には軍事、人道支援が含まれ、装備の供給を急ぐために大統領権限で米軍の兵器を譲渡する枠は、当初の$5Bから$11Bに拡大された。 (2206-051111)

5月13日 19:36

  EUのボレル外務安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長が13日、EUがウクライナに€500M相当の追加軍事支援を提供する方針を示した。 対ロシア追加制裁第6弾に盛り込んだロシア産石油の禁輸措置については数日内の合意成立に自信を示した。 ウクライナへの追加軍事支援の内容は戦車や砲弾など重火器で、支援総額は€2Bに達すると述べた。  一方、ロシア産石油の禁輸措置について、加盟国大使で合意できなかった場合は16日に閣僚レベルで調整する見通しを示した。 (2206-051309)

5月14日 17:30

 ウォーマス米陸軍長官が米上院歳出委員会小委員会の公聴会で、ウクライナへ支援目的で提供した備蓄ミサイルの補充には、1年以上要する可能性があるとの見方を示した。
 補充に要す期間は、JavelinやStingerの製造元が持つ生産能力にかかっているが、同長官は製造するRaytheon社が、放出した備蓄を1年内に補充出来るのかには確信を持てないとしている。
 Raytheon社はJavelinについて1年内に補充が実現出来るよう増産に努めているが、1年以上要する可能性を考慮していると述べ、Stingerについては更に時間が必要になるだろうと判断しているとした。 (2206-051413)

5月16日 13:07

 NATOが15日にベルリンで開かれた外相会合で、ウクライナへの無制限の軍事支援を約束した。
 ベーアボック独外相は会合で、ウクライナが自国の防衛のためNATOの支援を必要とする限り軍事支援を行うと述べた。
 ストルテンベルグNATO事務総長は「ウクライナはこの戦争に勝てる。 ウクライナ国民は勇敢に祖国を防衛している」と語った。 (2206-051610)

5月17日 06:44

 EUが16日にブリュッセルで開いた外相理事会で、ウクライナに対する武器調達支援を$2Bに増額することで一致した。
 EUはロシアの軍事侵攻が始まった直後の2月末に$500Mの支援を打ち出して順次積み増してきた。 
今回の$500Mの増額は殆ど全てを殺傷能力のある武器の調達に振り向けるという。
 一方で、石油の禁輸については合意を持ち越した。 (2206-051702)

5月18日 

 20名のウクライナ兵が5月9日の週に、ドイツ軍砲兵学校でPzH 2000 155mm SPHの操法訓練を開始する。
 5月6日にドイツ陸軍は5月6日にPzH 2000 7門をオランダからの5門と合わせてウクライナへ供与すると発表しており、訓練を終えたウクライナ兵と共にウクライナに送られる。
 通訳やスペシャリストを含むウクライナ軍の60名以上が40日間の訓練を受けている。 (2208-051807)
5月19日 

 米国防総省のカービー報道官が5月19日、ウクライナに$100Mの追加支援を行うと発表した。
 追加支援されるのはM115榴弾砲18門と18両の車両、及び砲身18本である。
 追加支援にはAN/TPQ-36対砲レーダ3基も含まれている。 (2206-052001)
【註】M115榴弾砲は第2次大戦末期に生産された牽引式の203mm野戦重砲で、昭和時代には陸上自衛隊も装備していた。
 18門は1個大隊相当分である。
 最大射程23km、発射速度3発/2分で、砲弾は90kg、操作人員は14名である。
 M115 18門と共に供与される18両はM115を牽引する装軌式のM4またはM8高速牽引車と思われる。

5月20日 08:15

 複数の関係者が、バイデン米政権がウクライナに対艦ミサイルを供与し、ロシアの黒海封鎖を打ち破ることを検討していることを明らかにした。
 英国防省によると、現在ロシアの艦艇は黒海の作戦区域に潜水艦を含めて約20隻いるという。
 ウクライナ政府の供与希望リストには、ロシアの艦艇を排除して穀物などの輸出再開を可能にする対艦ミサイルも含まれる。
 ハドソン研究所の海軍関係専門家は、Harpoonのような対艦ミサイルが12~24基あればロシア艦艇に十分脅威を与えられ、ロシア側に封鎖を解除させられるとした。
 ただHarpoonは艦対艦ミサイルなので、米海軍艦艇から発射装置を陸揚げする方法も模索されている。
 米政府は対艦ミサイルをウクライナの戦闘機に搭載することも考えているとされる。 (2206-052003)

5月20日 09:52

 米上院が5月19日、ロシアの侵攻を受けるウクライナや周辺国に対する軍事、経済、人道支援の強化のためFY22に$40Bの追加予算を取る法案を86対11で可決した。
 下院は通過しており、バイデン大統領が署名して成立する。)

(2206-052005)

5月24日 04:37

 ウクライナへの軍事支援を議論する米国主催の国際会議が23日にオンラインで開かれ、終了後に会見したオースティン米国防長官らによると、会議には47ヵ国が参加し、デンマークがHarpoonを新たに提供することを表明した。
 この他にも、イタリアやギリシャ、ノルウェーやポーランドが砲と弾薬の提供を表明するなど、約20ヵ国が新たな軍事支援を打ち出したという。 (2206-052402)

5月24日 23:29

 ニュージーランドのアーダーン首相が5月23日、ウクライナ兵へのL119牽引105mm軽榴弾砲の操法訓練を支援するため、7月末まで30名のニュージーランド将兵を英国に追加派遣すると述べた。
 ウクライナを支援するUkraine Contact Groupには現在44ヵ国が参加している。
 ニュージーランド軍が1980年代から装備しているL119 105mm軽榴弾砲は米国ではM119と呼ばれ、射程は10哩以上である。 (2206-052414)

5月26日 19:20

 米国防総省が26日までに、ウクライナへの軍事支援に関する国際会合でデンマークがHarpoonの発射装置と本体の提供に合意したと発表した。
 この2回目の会合はオースティン国防長官がオンライン上で主催したもので、チェコも武装ヘリ、戦車やロケット弾の拠出に同意したとした。
 長官は会合後の記者会見で、20ヵ国が新たな軍事支援を表明し、ウクライナが死活的に必要としているとする砲弾、沿岸防衛兵器、戦車やほかの装甲車両の提供にも応じたという。
 ウクライナ軍の訓練での協力を新たに申し出た国もあるとした。
 ミリー米統合参謀本部議長によると、今回の会合には47ヵ国が参加し、オースティン国防相は6月15日に3回目となる会合をブリュッセルで対面方式で開く計画も示した。 (2206-052610)

5月27日 10:39

 複数の当局者が、バイデン米政権がウクライナに提供する武器の種類を強化する準備を進めていることを明らかにした。
 米政権が来週にも発表するウクライナ向けのより大型の軍事支援の一部として、このシステムを提供する方向でまとまりつつある。
 ウクライナのゼレンスキー大統領やクレバ外相を含む当局者はこの数週間、MLRSやHIMARSの提供を欧米諸国に要請していた。 (2206-052705)

5月27日 18:46

 ウクライナは1990年代に武器取引の拠点だった過去があるため、西側諸国がウクライナに供与している武器や弾薬が、将来的に意図せざる勢力の手に落ち、国内外に拡散する可能性があると武器取引の専門家は懸念している。
 ベルギーの独立系研究機関Flemish Peace Institute、「現在、ウクライナの武器、その中でも特に小型武器が各地に拡散する重大なリスクが存在すると警告した。
 米シンクタンク、Stimson Centerは3月、「より多くの武器をウクライナに供与するという対応は理解できるものの、安全保障に与える即時および長期的な影響について検討する賢明さも必要だ」との見解を示した。 (2206-052712)

5月28日 00:35

 米陸軍が5月27日、ウクライナへ1,400発を供与したStinger MANPADSの備蓄補填としてRaytheon社にStingerを$624.6Mで発注したと発表した。
 納期は2026年6月30日で、Raytheon社は1,300発の新弾を生産する。 (2206-052801)

5月28日 01:20

 関係筋が27日、米国がウクライナに$687M相当のStinger を供給するための契約に調印したことを明らかにした。
 ロイタが入手した文書によると、25日に1,468発のStingerを提供する契約が調印された。 期限は示されていないが、全てが提供されるまでに最大2年6ヵ月かかる可能性があるという。
 この件に関して国防総省、およびRaytheon社からコメントは得られていない。
 米国は2月以降、ウクライナにStinger 1,400発を供与しており、侵攻するロシア軍に対する防衛に大きな役割を果たしている。 (2206-052802)

5月28日 21:17

 ロイタ通信が、ウクライナのレズニコフ国防相が28日、デンマークから供与されたHarpoonの受領が開始されたと明らかにしたと報じた。
 南部オデッサなど黒海沿岸周辺の防衛に使用するという。 (2206-052811)
5月30日 00:58

 ポーランド公共ラジオが29日、ポーランド政府がウクライナ軍に射程40kmのAHS Krab SPH 18両を提供したと報じた。
 ウクライナ政府は、ロシア軍撃退のため、長射程の大型兵器供与を欧米に求めていた。 (2206-053001)
【註】AHS KrabはポーランドのStalowa Wola製鉄所が設計したNATO互換の155mm SPHで、韓国製K9の車体に、52口径砲を搭載した英国製AS-90M砲塔と火器管制システムを組み合わせたもので、ポーランド陸軍は120両を装備する計画である。

5月30日 14:09

 リトアニアの人口はわずか280万人だが、ウクライナにトルコ製のBayraktar TB2 UAVを提供する資金を調達するための募金活動が行われ、28日夜までの3日半で€5M超が集まった。
 発起人となったネットTV局のLaisves TVによると、募金はリトアニア国防省に渡され、同省がUAVと搭載弾薬を購入する。 (2206-053005)

5月31日 

 ウクライナはロシア軍が使用する長距離ロケットシステムと同性能の武器が必要だとし、米国に対しM270 MLRSとM142 HIMARSの提供を要請している。
 両システムは複数のロケットを同時に発射可能で射程は300kmと野砲の8倍以上に達する。
 ウクライナのポドリャク大統領府顧問は28日にTwitterへの投稿で「西側諸国が本当にウクライナの勝利を望んでいるなら、MLRSを提供するべきではないか」と訴えていた。
 しかしバイデン米大統領は30日に「ウクライナにはロシア領内を攻撃できるロケットシステムは提供しない」と明言した。 (2206-053103)
【註】MLRSとHIMARSは射程が40/70kmのMLRS/GMLRS弾の6発の代わりに長射程のATACMS弾1発を装填し発射できる。
 この記事で言う射程300kmのロケット弾とはATACMS弾を指すもので、通常のMLRS弾や誘導装置付きのGMLRS弾ではない。

6月01日 00:56

 ショルツ独首相が31日にEU首脳会議後に記者団に対し、ドイツはギリシャにIFVを提供し、これを受けギリシャはウクライナにソ連型の兵器を提供すると明らかにした。
 ただ、ドイツがギリシャに提供するIFVの詳細のほか、ギリシャがウクライナに提供する兵器の種類などについては明らかにせず、「合意を迅速に実行に移すために、両国の国防省が詳細を詰める」と述べるにとどめた。 (2207-060102)

4・3・4 HIMARS / MLRS の供与

6月01日 09:31

 バイデン米大統領が31日に記者団に「ロシアに打ち込むロケットシステムをウクライナに送るつもりはない」と述べたが、1日に発表される$700M規模の対ウクライナ軍事支援に射程80kmのHIMARS供与を盛り込むことに同意した。
 米当局者によると、この支援パッケージには弾薬、対砲レーダ、対空監視レーダ、Javelin ATGM、および装甲車含まれる。 (2207-060107)

6月01日 13:09

 複数のドイツメディアが1日、独政府がウクライナに独連邦軍が装備しているMLRS 4両を月末までに供与する方針を決めたと報じた。 (2207-060110)

6月01日 17:33

 スイスの放送局SRFが1日、スイス政府がデンマークに売却したAPCについて、ウクライナへの再輸出を求めたデンマークの申請を退けたと報じた。
 デンマークが申請していたのはPiranha 3装輪APC 20両の再輸出で、スイス政府は「紛争地域に兵器を供給しない」という原則に基づき認めなかった。 (2207-060114)

6月01日 19:16
 ショルツ独首相が、ウクライナ政府からの要請を受けIRIS-T SAMを供与すると議会で表明した。
 ドイツの野党も重火器の供与を拡大すべきだと主張していた。
 首相はドイツがロシアのウクライナ侵攻当初から継続的に供与」を続けているとし、弾薬1,500万発以上、手榴弾100,000個以上、対戦車地雷5,000個以上をウクライナに供与したと述べた。
 関係筋はロイタに対し5月に、ドイツがIRIS-T SLM中距離SAMをウクライナに供与することを検討していると述べていた。 (2207-060117)
【註】IRIS-T SAMはIR誘導のIRIS-T AAMを陸上発射にしたシステムで、IRIS-T AAMをそのまま陸上発射にした短距離型のIRIS-T SLSと、先端形状を空気抵抗の少ない形に変え、固体燃料ブースタを取り付けた中距離型のIRIS-T SLがあるが、IRIS-T SLMとはSLS弾にレーダ等を含めたシステムをさす。

6月01日 15:04

 カール米国防次官が6月1日、最新のウクライナ支援$700Mには射程80kmのHIMARS 4両が含まれると述べた。
 この他にMi-17 4機、戦術車両15両、対砲レーダ5基、対空レーダ2基、Javelin 1,000発、対装甲武器6,000発、155mm砲弾15,000発も含まれる。
 米国は4月以降、射程24kmのM777 155mm榴弾砲を108門ウクライナに供与している。 (2207-060122)

6月02日 10:04

 ウォレス英国防相が1日、ウクライナに対しM270 MLRSを供与すると明らかにした。
 声明によれば、今回の動きは米国と緊密に連携したもので、米国はHIMARSを供与することを決定している。 (2207-060203)

6月02日 11:51

 消息筋3人が、バイデン米政権がウクライナにHellfireの搭載可能なMQ-1C Gray Eagle 4機を売却することを計画していることを明らかにした。
 米高官によると、バイデン大統領は向こう数日で売却計画を米議会に通知する意向で、その後に計画の公表もする予定だが、消息筋によると売却には米議会の承認が必要で、議会に反対される可能性もある。
 計画は国防総省で数週間検討されてきたが、方針が変更され売却しないことになる可能性もあるという。
 滞空能力30時間以上のGray EagleはPredatorの陸軍型で、Hellfireを8発搭載できる。 (2207-060204)

6月02日 12:26

 英Sky News TVが1日、米サイバー軍のナカソネ司令官がウクライナ支援のためにサイバ攻撃を実施したことを明らかにしたと報じた。
 ロシアに対して行ったとみられる。 同TVによると米国がウクライナ支援のためのサイバ攻撃実施を認めるのは初めてである。
 ジャンピエール米大統領報道官は1日の記者会見で、ロシアに対するサイバー攻撃はロシアとの直接的な衝突を避ける米政権の方針に反するものではないとの認識を示した。 (2207-060205)

6月03日 11:16

 スウェーデンが2日、ウクライナに追加の経済・軍事支援を行い、対艦ミサイル、小銃、対戦車兵器などの軍事装備を提供することを明らかにした。
 スウェーデンは2月に対戦車兵器やヘルメット、防護服を含む装備をウクライナに提供し、3月にも対戦車兵器の追加供与を発表している。
 財務省は声明で、中央政府予算への割り当て資金は2022年にSEK1B($102M) 増加する提案を議会に提出したことを明らかにした。 (2207-060306)

6月03日 12:15
 トルコBaykar社が2日、同社のBayraktar TB2 UAVをリトアニアに無償提供すると発表した。
 リトアニアでは同機を購入してウクライナに送るための募金が行われ、これまでに$5M以上が集まった。
 Baykar社は2日、「リトアニア国民がバイラクBayraktar TB2を購入してウクライナに供与するための資金を見事に集めた」ことを知り、同機をリトアニアに無償提供することにしたとツイッターに投稿した。
 集まった資金については「ウクライナへの人道支援に充ててほしい」と記した。 (2207-060307)

6月05日 19:17

 TASS通信が、プーチン大統領がロシア国営TVが5日に放送したインタビューで、米欧側が供与を決定した長距離攻撃兵器がウクライナに配備された場合、「これまで攻撃対象としてこなかった対象も攻撃する」と警告したと報じた。
 プーチン大統領は「新たな攻撃対象」について具体的な言及を避けた。
 米国は最近、HIMARSの供与を発表し、英国もM270 MLRSの供与を決めていた。 (2207-060513)

6月09日 12:58

 ノルウェー国防省が8日、ウクライナにM109 SPH 22両を供与したと明らかにした。 M109 SPHのほかにも、装備や交換部品、弾薬も提供した。
 ノルウェー軍は最近韓国からK9 155mm SPHを導入してM109と換装していた。
 ノルウェーのグラム国防相は声明で、ウクライナでの戦争の進展が今示唆しているのは、より大きな重砲や兵器の供与が必要だということだと述べた。 (2207-060904)
【註】M109 155mm SPHは1963年から各国で装備されており、M109に次いでM109A1~M109A7と発展してきており、米陸軍は装備しているM109A6をA7に換装している。
 ノルウェーは2019年からA2とA3を合わせて55両装備しているが、6月8日にそのうちの22両をウクライナに供与した。

6月15日 09:47

 ウクライナのマリャル国防次官が14日、ロシアの侵攻に対抗するため西側諸国に供与を要請した武器について、これまでに10%しか届いていないと語った。
 マリャル次官はTV番組で「ウクライナがいかに奮戦し、わが軍の練度がいかに高かろうと、西側のパートナー諸国の支援がなければこの戦争に勝つことはできないだろう」と述べ、武器提供に要する時間の短縮を訴えた。 (2207-061508)

6月15日

 ロイタ通信が6月1日、米政府がウクライナにAGM-114 Hellfireを搭載したMQ-1C Gray Eagle 4機を供与すると報じた。
 その2ヶ月前の4月にFobesが、GA-ASI社がウクライナへ重攻撃型UAVを送ったと報じていた。
 バイデン米大統領は6月1日に声明で、射程70kmのM31 GMLRS単弾頭型を発射するM142 HIMARS 4両を含む$700Mの援助を発表した。
 この中には対砲レーダ5基、対空レーダ2基、155mm砲弾15,000発、Javelins 1,000発、発射装置50基などが含まれる。 (2208-061501)

6月15日 22:51

 オースティン米国防長官が15日にNATO本部で開かれた関係国会合で、「ウクライナの防衛に対する関与を強化しなければならない」と述べた。 (2207-061513)

6月15日

 ウォレス英国防相が5月5日、ウクライナにM270 MLRSとM31A1 GMLRS弾を提供すると述べた。
 BBCは6月6日に提供数は3両と報じている。 (2208-061504)

6月16日 02:49

 バイデン米大統領が15日にウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行い、総額$1Bの新たな武器支援を伝えたという。
対艦ミサイルシステム、ロケット弾、榴弾砲弾などが含まれる。
 バイデン大統領はこのほかに、ウクライナに対する飲料水、医薬品、食料など$225Mの追加人道支援も発表した。 (2207-061602)

6月16日 03:52

 オースチン米国防長官が6月15日にブリュッセルで、初めてHarpoon対艦ミサイルも含むウクライナへの$1Bにのぼる武器の追加供与を発表した。
 今回供与される中にはHarpoon発射機2基、既に供与が決まっているM142 HIMARSが発射するGMLRSロケット弾(数量非公開)やM777榴弾砲18門と155mm弾36,000発が含まれている。 (2207-061603)
【註】GMLRSは射程40kmとされているMLRS弾に誘導装置を取り付けたもので、射程は70kmと見られている。

6月16日 12:18

 ストルテンベルグNATO事務総長がNATO国防相会合に先立ち15日に記者団に対し、NATOが引き続きウクライナに対して支援を行い、旧ソ連時代の兵器からより近代化した兵器への移行を支援すると明らかにした。
 また事務総長は、ウクライナのゼレンスキー大統領が2週間後にスペイン首都マドリードで開催されるNATO首脳会議に招待されると明らかにした。 (2207-061608)

6月18日 04:45

 ジョンソン英首相が17日にウクライナを電撃訪問しゼレンスキー大統領と会談した。
 同首相のウクライナ訪問はロシアの侵攻以来2度目で、ウクライナ軍に対する軍事訓練の提供を申し出た。
 英首相官邸によるとジョンソン首相は、120日ごとに最大10,000名の訓練が可能な大規模訓練をウクライナ国外で開始をすることを提案した。
 両首脳は、重火器の追加支援およびウクライナの防空体制を強化することの必要性について協議した。
 この前日には、マクロン仏大統領、ショルツ独首相、ドラギ伊首相、ルーマニアのヨハニス大統領の4首脳がキーウを訪問しゼレンスキー大統領と会談していた。 (2207-061804)

6月18日 07:22

 ウクライナに対する米欧からの武器供給が依然として遅れている。 ウクライナは射程の長い重火砲を中心に支援を急ぐよう要請しているが、供与が必要量に追いついていない上、ウクライナ兵が武器を扱うのに必要な訓練に時間がかかるなど、複数の課題が横たわる。
 ドンバス地方での攻防は、破壊力の大きな火砲を撃ち合う砲撃戦の様相を一段と強めていて、ウクライナ軍が1日に射耗する弾数は5,000~6,000発とされるが、ウクライナ側によるとロシア軍が保有する火砲の数はウクライナ軍の10倍程度で、英Sky News TVによれば、ウォレス英国防相は16日に戦地の一部では差が20倍に上ると指摘している。 (2207-061806)

6月22日 01:48

 ウクライナ国防省が21日、ドイツから供与された高性能SPHを漸く配備したと発表した。
 ウクライナのレズニコフ国防相はSNSに「Panzerhaubitze 2000 (PzH2000) SPHを漸くウクライナ軍が装備した」と投稿し、ドイツのランブレヒト国防相に謝意を表した。
 ドイツは5月にウクライナに対する重火器供与の一環として、PzH2000 SPH 7両を供与すると発表していた。
 ドイツは同型のSPHを約100両保有しているが、配備されているのは40両のみである。 (2207-062205)

6月23日 05:00

 EUが23~24日にブリュッセルで開く首脳会議で採択される合意文書の草案が明らかになった。 ウクライナに侵攻するロシアへの追加制裁を見送る。
 読売新聞が入手した20日付の草案では、対露制裁について「制裁強化と制裁逃れを防ぐ作業を継続する」と記され、追加制裁の発動方針を示唆する内容にとどめられた。
 一方、ウクライナ政府への財政支援として最大€9Bを拠出するとしている。
 また会議では、ウクライナをEUの加盟候補国に認定する見通しである。 (2207-062305)

6月24日 01:07

 ウクライナのレズニコフ国防相が、HIMARSが届いたとし、オースティン米国防長官にTwitterで謝意を表した。
 米国とNATO加盟国は、榴弾砲などの重火器をウクライナに供与しており、特にHIMARSはロシアの同様の兵器よりも射程と精度の面で勝る。 (2207-062401)

6月24日 07:53

 米国防総省が23日、ウクライナに$450Mを上限に追加軍事支援を行うと発表した。
 HIMARS 4両を新たに供与するほか、沿岸河川警備艇18隻と数千発の砲弾も含まれる。
 バイデン政権は先週、対艦ミサイルやロケット弾、榴弾砲、砲弾など、ウクライナに対する$1Bの武器支援を発表したばかりで、わずか1週間で追加支援を決めた。
 ロシアによる侵攻開始以降、バイデン政権はウクライナに$6.1Bの軍事支援を行っている。
 ウクライナ政府は23日に、米国が供与したHIMARS第一弾が到着したと発表した。 (2207-062405)

6月24日 07:07

 ウクライナのレズニコフ国防相が23日、米国のHIMARSが、既にウクライナに到着していると明らかにした。 (2207-062408)

6月27日 12:59

 ウクライナ国防省が6月25日、米国からウクライナに供与されたHIMARSが実戦に投入された映像を公開した。
 映像では、教官が要員に発射の仕方を指示する様子が捉えられている。
 米軍関係者によれば、最初に供与された4両は既にウクライナ軍が前線に投入、ロシア軍陣地に対して一定の戦果を上げているという。 (2207-062704)

6月27日 15:03

 情報筋が、米国が週内にもウクライナのために先進的な中長距離SAMを購入したことを発表する計画であることを明らかにした。
 ウクライナ軍側からの要請に応える形で、追加の火砲弾薬や対砲兵レーダなどの新たな軍事支援についても週内に発表される可能性が高い。 (2207-062705)

6月27日 23:19

 CNNによるとウクライナは射程160km以上のシステムの供与を要求しているもようで、長距離火砲の弾薬や対砲兵レーダなども含む見通しである。 (2207-062708)

6月29日

 オースチン米国防長官と統参議長のミリー大将が6月15日、ウクライナへM31 MLRS弾、M777牽引榴弾砲18門、155mm砲弾36,000発、通信機や暗視ゴーグル数千器と共に、車載のHarpoon沿岸防衛システムを供与すると述べた。
 米国は車載のHarpoon沿岸防衛システムを保有していないことから、ウクライナが入手するのには数ヶ月かかるとみられるが、米高官は車載発射機にはHarpoonと共に他国製のミサイルも搭載されると述べた。 (2208-062901)
【註】車載Harpoon沿岸防衛システムとはウクライナへ供与するとの緊急性から全く新たに開発するとは思えず、Harpoonを他国製ミサイルと一緒に車載すると言うことから、米海兵隊が装備するノルウェーKonsberg社製のNSMをFCSとJLTVに搭載したNMESISの改良型の可能性がある。

6月30日 16:28

 英国が29日、ウクライナに£1Bの追加軍事支援を行うと発表した。
 これにより英国のウクライナへの軍事支援は総額£2.3Bになる。 英国はまたウクライナに£1.5B相当の人道及び経済支援も行っている。
 英国のウクライナへの拠出額は、先月$40B規模の支援パッケージを承認している米国に次いで2番目に多い。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は先にNATO加盟国に対し、ウクライナの防衛には月に$5Bが必要だと訴えていた。 (2207-063008)

6月30日 23:49

 マドリードで開かれていたNATO首脳会議は6月30日にウクライナへの長期的支援を確認して閉幕した。
 会議では、ウクライナ軍装備の近代化を図る「包括的支援策」も決定した。 「包括的支援策」では、ウクライナ軍装備の刷新が柱となる。
 旧ソ連の装備を主力としていることから、軍事支援による最新装備の配備に時間を要し、欧米基準と適合する砲弾や弾薬も限定されていたことから、ストルテンベルグ事務総長は29日、「長期的視点でウクライナ軍の近代化を図り、NATOとの相互運用性を高め、防衛能力強化を支援する」と述べていた。
 東欧では旧ソ連の兵器を装備している国が多く、NATO全体の装備近代化を進めることも確認した。 欧州東部の防衛体制強化も決めているNATOは、加盟国間での装備の相互運用性を高めることで、防衛戦略の効率化を図る。 (2207-063013)

7月01日 13:11

 ウクライナ軍将兵数百名が、英国でMLRSなどの訓練を終えた。 英政府は、ウクライナにMLRSを供与している。
 ジョンソン英首相は6月にキーウを電撃訪問した際、120日ごとに最大1万人のウクライナ将兵を訓練する支援策を発表した。
 また英政府は6月29日にウクライナに£1Bの追加軍事支援を行うと明らかにしたが、これにはSAM、UAV、新しい電子戦装備などが含まれる。 (2208-070110)

7月02日 05:57

 米国防総省が7月1日、ウクライナに中長距離SAMや対砲レーダを含む$820Mの追加援助を行うと発表した。
 この中にはNASAMSとして$770M、対砲レーダの追加分4基、155mm砲弾150,000発のほか、先週ウクライナに引き渡したHIMARS用の弾薬(GMLRS弾)$50Mが含まれている。
 ただ、NASAMSの完成には数週間~数ヶ月かかる上、操作訓練も必要になる。 (2208-070203)

7月06日

 米政府が6月23日、M142 HIMARS 4両を含む$450Mのウクライナへの援助を発表した。
 ウクライナ国防相は同日に、最初のHIMARS 4両を受領したと発表していることから、追加のは7月中旬に引き渡されると見られる。
 今回の援助には105mm砲弾36,000発、155mm砲の牽引車両18両、擲弾発射筒1,200丁、機関銃2,000丁と、沿岸/河川哨戒艇18隻が含まれている。
 哨戒艇は35ftの河川哨戒艇2隻、40ftの沿岸戦闘艇6隻、Dauntless Sea Ark級34ft哨戒艇10隻である。)

(2209-070602)

7月08日 10:23

 アナンド加国防相が7日、トルドー首相が先週のNATO首脳会議の際に発表したCAD500Mにのぼるウクライナ軍事支援の一環として、ウクライナに対しGDLS社のAPC 39両をこの夏に供与すると発表した。 (070803)

7月09日 02:54

 米国防当局高官が7月8日、ウクライナへの$
400Mにのぼる追加支援にM142 HIMARS 4両が含まれると述べた。
 また155mm砲弾1,000発も含まれている。  HIMARSはウクライナへ既に8両が供与されており、今回の追加供与で12両になった。 これに対しロシアは2両を破壊したと発表している。 (2208-070902)

7月13日 03:27

 米国とEUが12日、ウクライナに対し合わせて3,700億円の支援を表明した。  ウクライナに軍事支援も行っているEUは、5月に合意された€90B(1兆2,000億円)の財政支援の第1弾となる€10Bの融資を承認した。
 米国も侵攻からの復興資金として$17Bの拠出を表明した。 5月にバイデン大統領が承認していた$75B(1兆円)の追加支援の一部となる。 (2208-071303)

7月16日 04:34

 ウクライナのレズニコフ国防相が15日、最初のM270 MLRSを受領したと発表した。 M270を提供した国は明らかにしていない。。
 西側諸国が提供する長距離砲が増えることで、戦況に変化が生じているとの見方を示している。 (2208-071601)

7月19日 11:12

 ウクライナ軍総司令官のザルジニー陸軍大将が18日にミリー米統合参謀本部議長と電話会談した。
 ウクライナのレズニコフ国防相とオースティン米国防長官も18日に電話会談し、両国の連携を確認した。
 レズニコフ国防相はSNSに「良いニュースが米国からもたらされる」と投稿し、追加の武器供与への期待感を示した。
 ザルジニー大将はSNSで、「米国が供与したHIMARSのおかげで、状況を安定化させた」と謝意を表明し、HIMARSの投入により戦況が変化しつつあるとの認識を示した。 (2208-071910)

7月20日 18:51

 米空軍参謀総長のブラウン大将が、米国と同盟国がウクライナ空軍の戦闘機操縦士の訓練を行う可能性を検討し始めたことを明らかにした。
 ウクライナ空軍の刷新に向けた長期的取り組みの一環で、ウクライナが米国製戦闘機を調達して操縦法を習得し、ロシア製戦闘機依存から脱却したい意向である。 (2208-072012)

7月21日 04:22

 オースティン米国防長官が20日、ウクライナにHIMARS 4基を追加供与することを明らかにした。
 ウクライナは、MLRSでロシアの輸送拠点など30ヵ所の攻撃に成功したとしており、ミリー米統合参謀本部議長もウクライナがHIMARSを使用してウクライナ国内にあるロシア軍の物流網や防空拠点を攻撃したと述べた。
 200名のウクライナ軍兵士がHIMARSの訓練を受けており、ロシア軍に破壊されたものはないという。 (2208-072102)

7月22日 03:33

 ロシアと戦うウクライナに世界中から数十億㌦にのぼる支援が寄せられているが、これを捌くため米国と他の同盟国が在欧米軍司令部のあるシュツットガルトにECCU/IDCCと呼ばれる兵站組織を立ち上げている。 (2208-072203)

7月23日 03:37

 米国が22日、ウクライナに対するHIMARS 4基などを含む$270Mの追加軍事支援を発表した。 これで米国から供与されたHIMARSは20基になる。
 ウクライナのレズニコフ国防相は今週、米国に対しHIMARS 100基の供与を要請していた。
 記者会見した米国家安全保障会議 (NSC) のカービー報道官によると、追加支援には索敵遊弋弾Phoenix Ghost 500発、砲弾36,000発も含まれる。 (2208-072301)

7月27日 23:59

 独Spiegel誌が製造元のKMW社の話として、ドイツ政府がウクライナにPanzerhaubitze 2000 SPH 100門を提供することを承認したと報じた。
 提供するのは€1.7Bで、KMW社はすでに製造を開始しているが、最初の提供がいつになるのかは不明としている。)

(2208-072708)

7月29日 17:08

 ドイツと東欧の同盟国が編み出したウクライナ支援計画は、ポーランドなどがソ連製の戦車をウクライナに供与する見返りに、ドイツが西側製の装備で補填するという計画だったが、約束が果たされていないと同盟国が非難し合う争いの種になっている。
 ドイツにとってこの構想はウクライナに戦車や装甲車両を直接供与し、ロシアをむやみに挑発するのを避ける狙いがあり、ドイツはポーランド、スロベニア、スロバキア、ギリシャ、チェコと長期にわたり協議しているにもかかわらず、まだどの国とも契約締結に至っていないと認めた。
 ポーランドはウクライナにT-72 MBT 240両を供与し、ドイツからLeopard MBTで補填してもらえると期待していたが、ドイツはまだ20両しか提供していない。
 ポーランドとはこれを機に関係が悪化する恐れがある。 ポーランドは代替戦車として米国と韓国に目を向けており、ドイツ当局筋は「ポーランド政府との合意は基本的に機能していない」と明かした。 (2208-072905)

8月01日

 米NSCのカービー報道官が8月1日、バイデン大統領がウクライナへ$550Mの追加軍事支援を決めたと発表した。 今回の軍事支援は17回目で総額は$8Bを越えることになる。
 今回の支援には155mm砲弾75,000発、数量非公開のHIMARS用ロケット弾が含まれている。
 ウクライナのレズニコフ国防相は8月1日にTwitterへの投稿で、米国から供与されてM777榴弾砲90門とHIMARS 16両がウクライナに届いていると述べている。 (2209-080112)

8月02日 03:55

 ウクライナが1日、米国とドイツから追加の高性能ロケットシステムを受領したと発表した。
 ウクライナのレズニコフ国防相はTwitterへの投稿で、米国からHIMARS 4基を追加受領し、ドイツからもMARS Ⅱ MRLを初めて受け取ったと発表した。
 米国は同日、ウクライナに対し$550M分の武器を追加供与すると発表した。
 米国はこれまで、ウクライナ支援の一環としてHIMARS 20基を供与することに合意している。 (2209-080201)

8月04日 19:15

 ウクライナのレズニコウ国防相が4日までに、ドイツが供与を約束していたMRLのMARS2を受け取ったことを明らかにした。
 ドイツはウクライナにMARS2 3基を引き渡す方針を示しているが、これまで同国に実際に運びこまれた数は不明である。
 MARS2は、米軍のM270 MLRSをドイツが改良したものともで、射程はHIMARSと同じとされるが機動性で若干劣るとの評価もある。
 一方、ウクライナ空軍は2日、ロシア空軍のTu-95がウクライナ支配地へ向けて同日午後にCM 8発を撃ち込んだものの、7発の迎撃に成功したと発表した。
 撃墜に失敗した1発はウクライナ西部リビウのSAM陣地に着弾したとも報告した。 (2209-080414)

8月05日 14:31

 ウクライナ軍が先週、HIMARSでヘルソン東方、ドニエプル川にかかる1.4kmの長さのアントノフ大橋を攻撃した。
 この攻撃でロシア軍の大型軍用車両がこの橋を通行するのは不可能になり、クリミア半島からヘルソンへの補給路は断たれた。
 またHIMARSは先週末、補給物資と兵員をクリミアからヘルソン地域へ運ぶ列車を破壊した。
 ウクライナ内務省顧問氏によると、この攻撃でロシア軍兵士のうち80名が死亡、200名が負傷した。 英政府当局者は、鉄道の修復に数週間が必要になる可能性があると明らかにした。
 米国防総省高官によると、ウクライナはHIMARSでロシア軍の指揮所、弾薬庫、防空拠点、レーダ通信基地、長距離砲陣地など100ヵ所を超える重要目標を破壊した。
 HIMARSは追加の4基が今週ウクライナに到着し、ウクライナは20基を保有することになった。 米政府は1日にHIMARS用のロケット弾の追加供与を承認した。
 ドイツは同種のMRL 3基をウクライナに提供した。
 しかしウクライナ側は満足しておらず、追加のHIMARSとそのロケット弾の速やかな供給を求めている。
 事情を知る関係者によると、ウクライナ政府は3月に少なくとも50基のHIMARSの提供を求めていた。 (2209-080510)

8月06日 05:58

 複数の関係筋の話で5日、米国が$1B規模の新たなウクライナ安全保障支援を計画していることが分かった。
 規模はこれまで最大で、長距離攻撃に使用される兵器や装甲救急車などが含まれ、8日にも発表される可能性がある。
 ロシアの侵攻以来、米国はこれまでにウクライナに対し$8.8Bを支援しているが、新た支援策にはHIMARSとNASAMS用の追加弾(M31 GMLRS弾とAIM-120 AMRAAM弾)などが含まれる。 (2209-080604)

8月09日 13:30

 カール米国防次官が8日の記者会見で、米国がウクライナにARMを供与したと明らかにした。 国防総省がARMをウクライナに供与したことを認めたのは今回が初めてである。
 カール次官は具体的な数量や正確な時期については言及しなかったが、国防当局者はCNNの取材に対し、供与したミサイルはAGM-88だと明らかにした。 (2209-080904)
【註】AGM-88 HARMは空中発射のARMで、発射する戦闘機などには相手のレーダ等を捕捉識別し発射管制を行う電子戦装置が搭載されている必要がある。
 HARMを供与するためには、ウクライナのMiG-29などに電子戦装置の搭載やパイロンの取り付け改造する必要があることから、既にHARMを装備できるようにしたNATO加盟国のMiG-29に搭載するのではないか。

8月12日 02:32

 デンマークのボドスコフ国防相が、西側26ヵ国が11日にコペンハーゲンで開催した会議で、ウクライナの軍事力強化に向け$1.55B超の支援を確約したと述べた。
 資金は各国が保有している兵器等の供給のほか、ウクライナ向け兵器の生産拡大、ウクライナ兵の訓練、ウクライナ紛争地域での地雷除去に使用されるという。
 ボドスコフ国防相によると、ポーランド、スロバキア、チェコの国防相はウクライナ向けに砲や装備品などの生産を拡大する意向を示した。
 また英国は同日、€300Mの追加支援を確約し、これにはMLRSなどが含まれているという。 (2209-081201)

8月17日

 ウクライナは再びF-16の供与を求めると共に米国から空中発射ARMを受領したと発表した。
 ウクライナ国防省が同国空軍記念日の8月7日にtweetしたウクライナ空軍色に塗装されたF-16の想像図では、AGM-88 HARMかAGM-88E AAGMが搭載されていた。
 しかしながらカール米国防次官は8月8日に、供与されるARMはウクライナ空軍機に装備されるのであって、F-16を含む西側の航空機が近いうちにウクライナへ供与されることはないと述べた。 (2210-081701)

8月20日 02:49

 米国防総省が8月19日、ウクライナへ更に$775Mの支援を行うと発表した。
 今回の支援には初めてScanEagle UAV 15機と105mm榴弾砲16門及び砲弾36,000発が含まれている。
 この中には耐地雷路外走行車40両、Humvee 50両、Javelin 1,000発も含まれている。
 更にGarl Gustafから発射する光学誘導弾1,000発も他国から送られる。
 また最近AGM-88 HARMが初めて供与されたことも認めた。 (2209-082003)
【註】Carl Gustafは陸上自衛隊も装備しているスウェーデンFFV社製の肩撃ち式84mm無反動砲であるが、Raytheon社とSaab社がこの無反動砲から発射するSAL/INS誘導で2,000mの射程とCEP≦1mの誘導精度を持つ誘導型Carl-Gustafを開発していた。

8月20日 05:19

 米政府が19日、ウクライナに対する最大$750M相当の追加武器支援を発表した。
 Scan Eagle UAV 15機や地雷除去装置などを供与するという。 (2209-082004)
【註】Scan Eagle UAVとは民生用のSea Scan UAVを軍用にした22kgのISR用miniUAVで、わが国でも陸上自衛隊が装備している。

8月23日 03:26

 トルコが中古のKirpi耐地雷路外走行車の一次分50両をウクライナに提供する。
 Kirpi 1は2008年に設計が開始され、試作品が2009年に完成しており、今までに1,500両以上が生産されている。
 BMC社は2018年にKirpi 2 529両を受注している。)

(2209-082301)

8月24日 05:31

 ドイツがソ連製のBVP-1装軌IFVをウクライナに提供する見返りに、旧仕様のLeopard 2 MBT 15両をスロバキアへ提供する。
 提供されるMBTは現在メーカに保管されており、提供は2022年内に開始される。
 S-300をウクライナへ提供したスロバキアには、独米蘭がPartiotで支援した実績がある。 (2209-082401)

8月24日 07:21

 ロイタ通信が23日、米政府がウクライナに対し1回の支援額としては過去最大となる$3B規模の追加武器支援を発表すると報じた。
 24日はウクライナの旧ソ連からの独立記念日で、ロシアの侵攻開始から半年の節目にも当たるため、これに合わせて公表する。
 報道によると、今回の追加支援にはこれまでウクライナに提供されていない武器は含まれていないもようで、弾薬などが中心になるとみられるという。 (2209-082404)

8月2日 09:53

 バイデン米大統領がロシアの侵攻開始から半年経った8月24日、ウクライナに対し一日として最大となる$2.98Bの援助を発表した。

・NASAMS 6個FUと追加のNASAMS用AIM-120 AMRAAM
・155mm砲弾245,000発
・120mm迫撃砲弾65,000発
・対砲レーダ24基
・Puma UAV及びScan Eagle UAVの支援装備
・VAMPIRE C-UAVシステム
・レーザ誘導ロケット ・訓練、整備、部隊維持の資金
 米国のウクライナに対する援助はこれまで$13B近くに達した。 (2209-082406)
【註】米軍が現在装備しているレーザ誘導ロケット弾は、Hydra 70 70mmロケット弾にSALホーミング装置を取り付けた射程6km、誘導精度CEP≦1mのAPKWS-Ⅱがある。
 今回の援助では120mm迫撃砲と合わせ近接戦闘用の装備が増えていることが注目される。 8月19日に発表された$800Mの援助でもその傾向が見られた。

8月30日 10:46

 ウクライナでの戦争により、米国で一部の弾薬備蓄が枯渇しつつある。
 国防総省が迅速に補充できていないため、米軍の戦闘準備態勢が危機にさらされるのではないかとの懸念が当局者の間で生じている。
 米国はこの6ヵ月、HIMARS 16基のほか何千もの銃やUAV、ミサイルなどの装備をウクライナに提供してきたが、複数の国防当局者によると、これらの装備や弾薬の多くは米国の備蓄から供給されており、予期しない脅威に対処するための備蓄が枯渇しつつあるという。
 国防総省が供与した100-lbの155mm榴弾を80万,6000発を供与したと発表したが、年初に何発保有していたかについては明らかにしていない。

(2209-083007)

9月01日 20:15

 スペイン国防省が9月1日に、ウクライナへ対空砲やSAMを供与すると発表した。
 スペインがこの種の兵器の引き渡しに応じるのはロシアの侵攻が始まって以降、初めてで、声明では野砲弾1,000発、軽油1,000t、各種装甲車両や冬季用軍服3万着も送ると表明した。
 スペインは4月に弾薬200tと他の装備品のウクライナへの譲渡を発表していた。
 スウェーデンのアンデション首相もストックホルムにウクライナのクレバ外相を迎えた記者会見で、ウクライナにSEK1B(130億円)相当の軍事、民生両面での追加援助を実施する方針を表明した。
 クレバ外相は、スウェーデンに対し榴弾砲、防空兵器やより多くの砲弾の供与を求めた。  一方、ウクライナを最近、電撃訪問したジョンソン英首相は$66M相当の軍事援助の実施を発表した。
 今回発表の援助にはBlack Hornet 850機を含むUAV 2,000機などが含まれた。
 ノルウェー国防省によるとBlack Hornetはノルウェー企業が開発したものでウクライナへの供与は英国と共同で実施する。 (2210-090114)

9月05日 08:29

 ウクライナのシュミハリ首相が訪問先のドイツでシュタインマイヤー大統領との会談に先立ち4日、今週中にEUから€5B ($4.98B) のマクロ金融支援を受ける予定だと述べた。
 シュミハリ首相は声明で、金融支援はウクライナ経済の安定、軍隊の支援、暖房シーズンへの備えに役立つとの見方を示した。
 首相はまた、ドイツがこの秋にウクライナに対し高性能の防空システムを供給する見込みだと明らかにした。 (2210-090503)

9月08日 21:48

 米政府が9月8日、ウクライナに対し榴弾砲など$675Mに上る追加軍事支援を実施すると発表した。 追加支援には105mm榴弾砲や、GMLRS砲弾などが含まれる。
 ただ、ウクライナが供与するよう要求している射程300kmのATACMSについては、ミサイルがロシア領内に着弾して戦線拡大の懸念があるとして、米政府は供与を拒んでいる。 (2210-090817)

9月13日 11:51

 ショルツ独首相がイスラエルのラピド首相との共同記者会見で12日、ドイツがウクライナに供与した兵器について非常に効果的で、ウクライナ東部で現在行われている戦闘で効果を発揮していると述べた。
 ショルツ首相は、Gepard AASPGやSPH、MARS MRLなどドイツが供与した兵器が東部の戦闘で結果を変える可能性があるという事実に貢献しているとの見方を示した。
 ドイツはウクライナに対してIRIS-T SAMシステムを供与しているが、ウクライナは同システムの増強を決めたという。
 ウクライナ政府は更に近代化された戦車などを要求しているが、ランブレヒト独国防相はMarder IFVやLeopard MBTなどの供与は拒否し続けている。 (2210-091312)

9月14日 

 米バイデン政権が9月2日に議会に対し、ウクライナに対する軍事及び経済支援として$11Bの支出を要求した。
 この中には国防総省の備蓄から$4.5Bをウクライナ向けに放出する分も含まれている。
 また軍事、情報の支援として引き続き$2.7B、ウクライナ政府に対する戦争継続の経費$4.5Bも含まれている。 これらの経費は10月1日に始まった1Q/FY23で支出される。
 米議会は5月にウクライナに対する$40Bの支援を承認している。 (2211-091404)

9月15日 18:26

 米国防総省当局者の3人が15日までに、国防総省がミリー統合参謀本部議長を中心に、ウクライナ軍を詳細に分析し、同軍をロシアとの軍事衝突後も含め中長期的に支える方策をまとめていることを明らかにした。
 国防総省高官は、今回の作成作業はウクライナ軍の将来の姿を見据えているとし、中長期的にウクライナが取り組むべき問題点への解決策を見い出すことを狙っているとした。 (2210-091516)

9月16日 18:26

 ウクライナのゼレンスキー大統領が15日、フォンデアライエン欧州委員会委員長との共同記者会見で、ロシアの攻撃からウクライナの都市や町を守るために防空システムが優先事項と述べた。
 また、イスラエルから防空システムが供給される可能性について、ウクライナはまだ前向きな回答を得ていないと指摘し、米国とドイツが確約した防空システムもまだウクライナに到着していないと述べた。 (2210-091601)

9月16日 04:41

 ドイツがウクライナに、MARS Ⅱ MRL 2基とロケット弾200発及びDingo APC 50両を提供すると共に、ギリシャに元ドイツ軍が装備していて現在企業に保管されているMarder IFV 40両を提供して、同国が保有しているソ連製BMP-1 IFV 40両をウクライナへ提供する。
 これらはウクライナが要求しているLeopard 1 MBTとMardere IFVへの代替えである。 (2210-091603)

9月16日 05:18

 ランブレヒト独国防相が15日、ウクライナに対しMARS Ⅱ MRL 2基とロケット弾200発を追加的に提供すると明らかにした。
 このほかDingo APC 50両も提供する。 (2210-091605)

9月16日 15:37

 ウクライナへのSPHやSPAAGを供与しているドイツ政府は15日、MRL 2基とAPC 50両を追加提供すると発表したが、武器供与についてショルツ首相は慎重な姿勢を保っていてMBTの供与には踏み込まなかった。
 ランブレヒト国防相は12日に、西側製MBTをウクライナ軍に供与している国はなく、「我が国は連携する国々との間で、ドイツが単独でそうすることはないとの了解に至っている」と述べ、従来の方針を改めて示していた。
 ウクライナへのMBTの供与を拒むドイツのショルツ首相に再考を求める圧力が高まっていて、連立与党からも政策を疑問視する声が上がっている。
 ベーアボック外相も独紙に14日、新鋭戦車に関しては連立政権内で、そして国際的に協調して決断を下さなければならないと語り、政策転換の可能性を示唆した。 (2210-091612)

9月16日 17:21

 ブリンケン米国務長官が15日、ウクライナに対し$600Mの追加軍事支援を行うと発表した。
 バイデン政権発足後の支援の総額は$15.8Bに上る。
 ロイタ通信によると、HIMARSや155mm砲弾などが中心で、ウクライナ軍向けの教育訓練にも投じられるという。 (2210-091614)

9月19日

 ドイツ国防相が9月19日、ウクライナへ更に4門のPzH2000 SPHと弾薬を供与すると述べた。
 ウクライナへは今までにドイツから10門、オランダから8門のPzH2000 SPHが送られている。 (2210-091910)

9月20日 08:56

 米国の軍幹部が、米国が将来にはウクライナに対して戦車の供与を行う可能性があることを明らかにした。
 しかし、訓練や保守整備の問題から直近の戦闘では選択肢になっていないとした。
 米国は現在、HIMARSが使用しているGMLRSより射程の長い兵器の供与を検討していないが、当局者はそうした兵器が今後、選択肢となるかどうかは明言していない。 (2210-092006)

9月21日 15:03

 ドイツ政府が20日、スロベニアがソ連製の戦車28両をウクライナに供与すると発表した。
 ドイツはその見返りとしてスロベニアに40両の軍用トラックなどを送る「武器交換」を実施するという。
 ウクライナはドイツ政府にLeopard MBTの供与を重ねて求めているが、ショルツ政権は応じていない。
 しかし、欧州最大の経済大国であるドイツには戦車を供与すべきだとの圧力が強まっている。 (2210-092110)

9月21日 

 9月9日にドイツRamstein航空基地で開かれたウクライナ支援国会議の終了後、オースチン米国防長官が新たな$675Mのウクライナ支援計画を公表した。
 支援内容には数量非公開のM142 HIMARS弾、155mm対戦車地雷遠隔啓開弾1,000発、105mm榴弾砲4門と105mm弾36,000発、装甲HMMWV 100両、小火器弾1,500万発、対装甲システム5,000以上などが含まれている。 (2211-092102)

9月22日 12:07

 プーチン露大統領が第二次大戦後初の動員令を出したことを受け、国連総会出席のためニューヨークを訪れているEU 27ヵ国の外相らが9月21日、ロシアに対する新たな制裁の準備とウクライナへの武器供与拡大で合意した。
 10月中旬に開催する正式なEU外相会合で制裁を最終決定する可能性がある。
 外相らはウクライナへの武器供与を拡大することでも合意し、ボレル外交安全保障上級代表は制裁や軍事支援の詳細は明らかにしなかったが、新たな措置には全会一致の支持があるだろうと述べた。 (2210-092212)

9月22日 20:00

 米国防総省当局者が22日までに、ウクライナ軍が同国東部、西部の両戦線で最近得た戦果に関連し、米国の支援を受けたウクライナ軍による巧みな作戦の遂行の結果とみられるとの判断を示した。
 背景要因の一つとして、ウクライナ側が過去数ヵ月間、米国との情報共有に積極性を見せていたことに触れ、結果的に戦闘現場での作戦立案で米当局者がウクライナ側を手助け出来ることにつながったとした。 (2210-092218)

9月日 05:47

 ウクライナのゼレンスキー大統領が25日に放送されたCBS TVとの対談で、米国からNASAMSを受領したと明らかにした。
 米政府は8月24日にウクライナに対して$2.98Bの軍事支援をすると発表したが、この支援策にNASAMSも含まれていた。
 ロイタ通信は、ウクライナがNASAMSの受領を明らかにしたのは初めてだと報じた。 (2210-092602)

9月28日 00:05

 米議会が9月27日、2022年3回目となる$12.3Bにのぼるウクライナ向け支援を公表した。
 そのうち$7.5Bは軍事援助、$4Bは経済民生支援である。
 軍事援助$7.5Bの内$3Bは装備等の供与、$2.8Bは在欧米軍の強化、$1.5Bはウクライナへ放出した武器等の補充である。 その中には$540Mの弾薬補充も含まれている。 (2210-092801)

9月日 20:34

 米国防総省報道官が27日、米国がウクライナへの供与を表明したNASAMSはウクライナ側にまだ渡っていないと説明した。
 CBS TVが25日放送の番組でゼレンスキー大統領がNASAMSを受け取ったと発言したとされたが、ロイタ通信によると、CBSが通訳の間違いだったと認めた。
 報道官はNASAMSの到着には2ヵ月ほどかかるとの見通しを示した。 (2210-092817)

9月日 06:10

 米国防総省が9月28日、HIMARS 18両やC-UAV装置を含むウクライナ向け装備$1.1B相当を企業に発注した。
 これらは中長期の支援でウクライナが入手するのは6~24ヶ月後になる。
 支援品目には対砲対空の多機能レーダ20基やHumvee、トラック、各種装備の牽引車などの車両300両以上も含まれる。 (2210-092903)

9月30日 04:16

 リトアニアが今年度の国防費に、HIMARS、JLTV、Switchbladeなどの購入費として€148M ($144.5M) を追加計上した。 この結果リトアニアの国防費は対GDPで2.52%になる。
 JLTVはリトアニアがウクライナへM113 APC 50両程度を供与した補完に当てる。
 ラトビアは7月にHIMARSの売却要求を米国にしており、9月にはポーランドもHIMARS 500両の売却を要求している。 (2210-093003)

10月01日 05:10

 ランブレヒト独国防相が独メディアとのインタビューで2日、ドイツ政府がウクライナに新たに榴弾砲16門を2023年に供与することを明らかにした。
 ウクライナに供与される榴弾砲はスロバキア製のZuzana 2 155mm装輪SPHで、€90Mを超える規模の支援はデンマークとノルウェーの両国と共同出資する。
 また提供を表明していたIRIS-T SAMも近く発送される。 (2211-100301)

10月03日 19:12

 ゼレンスキー大統領のオレナ夫人がtweeterで、トルコで建造中のコルベット艦の進水式に出席したことを明らかにした。
 トルコは停戦交渉を仲介するなどロシア、ウクライナ双方と良好な関係を維持するが、同艦の建造は侵攻前にウクライナ側と合意していた。 (2211-100312>)

10月04日 04:15

 関係者2人が10月3日、ロイタにバイデン政権のウクライナに対する$625M規模の追加軍事支援策にはHIMARS 4両などが含まれる見込みであることを明かした。
 早ければ4日に発表されるという。
 今回の支援策は国内余剰兵器の移送を許可する緊急時大統領在庫引き出し権 (PDA) に基づく支援策で、このような支援はウクライナ軍が大きな戦果を得た9月中旬以降で2回目となる。
 PDAを活用することによりHIMARS 2両とそのロケット弾、耐地雷伏撃防護車両 (MRAP) 200両、榴弾砲弾、地雷を今後数日内にウクライナに送ることができる。
 匿名の関係者は、支援策の金額や内容は直前で変更される可能性があるとした。 (2211-100401)

10月04日 15:37

 ポーランドからウクライナ軍に供与されたSPHが東部ドンバス地域で威力を発揮している。
 ウクライナ軍が要衝リマンと鉄道拠点クピャンクスをロシア軍から奪還した際、リマンの南50kmに位置するバフムート方面からロシア軍が反撃してくるリスクが高かったが、それを阻止した一助が、ポーランドからウクライナに供給されたAHS Krab 155mm SPHだといわれている。
 韓国製K9 SPHの車体に、英国製砲塔を組み合わせたポーランド製のAHS Krabは、ロシアの2S19 Msta-S 152mmSPHに比べ機動性が高く、陣地に入ってからすぐに戦えると前線から戻ったウクライナ兵の評価が高い。 (2211-100415)

10月04日 16:11

 チェコで、ウクライナ軍に供給する戦車を購入するためのクラウドファンディングが行われ、$1.3M超が集まった。
 「プーチンへの贈り物」と題されたキャンペーンには、チェコ国防省と在チェコ・ウクライナ大使館が協力しており、ソ連時代のT-72 MBTを現代化したThomasを購入し、ウクライナに送ろうと1万1,288人が参加した。
 チェコのチェルノホヴァ国防相は、10月7日に70歳の誕生日を迎えるプーチン大統領に「ふさわしい贈り物」になったと冗談をTweetした。 (2211-100416)

10月05日 05:41

 米国防総省が10月5日、HIMARS 4両の追加やExcalibur GPS誘導砲弾など$625Mにのぼるウクライナへの追加支援を発表した。
 今回の援助にはHIMARS 4両のほかMaxxPro MRAP車200両、155mm砲弾75,000発以上、M982 Excalibur 500発以上、RAAM対戦車散布地雷1,000発以上などが含まれている。 (2211-100504)
【註】Excalibur GPS誘導砲弾には初期型のIncreament Ⅰaのほか、既に生産を完了したⅠa-2、Ⅰb、着弾角度を選択できるようにして射程延伸を可能にしたExcalibur B、SAL誘導装置を取り付け移動目標も攻撃できるExcalibur Sなど各種があり、どれがウクライナに送られるかは不明である。

10月06日 06:05

 米国務省が10月6日、クウェートへのNASAMS売却$3Bを承認した。
 NASAMSはハンガリーとインドも導入したほか、米国もワシントンDCの防衛用に装備している。
 更に7月にはウクライナに供与するNASAMSをUSAIから$770Mで購入している。 (2211-100607)
【註】米陸軍が IHAWK PIP Ⅱ を PIP Ⅲ 化した際に、ノルウェー空軍はHAWKシステムのレーダを廃し、Raytheon社製AN/TPQ-36AでIHAWKミサイルを射撃する独自のNOAH (Norway Adapted HAWK) を選択した。
 その後NOAHはミサイルをAIM-7 Sparrowに代え、より機動性に富んだNASAMS (Norwegian Advanced SAM System) に発展させた。
 NASAMSはレーダをAN/MPQ-64に替え、ミサイルにAIM-120 ARMAARを採用したNASAMS Ⅱに発展し、米Raytheon社を協同生産社にし、National Advanced SAM Systemとして米陸軍にも装備された。
 現在AMRAAMの長射程型やESSMの陸上型も発射できるようになっている。

10月10日

 10月10日のウクライナに対するロシアの攻撃を受け、西側同盟国はウクライナに対するより高度な防空システムや長射程兵器の提供を検討し始めている。
 ウクライナ軍はロシアが発射した83発のミサイルの内43発を撃墜したという。
 ドイツ国防省は10日、ウクライナへの提供を約束したIRIS-T 4個システムの最初の1個システムが数日以内に到着すると述べている。
 米国防総省は9月末にNASAMS 2個システムの提供を発表している。 ウクライナはフランスのSAMP/Tに関心を持っていると言う。
 フランスはデンマークから受注していたCAESAR SPカノン榴弾砲18門をウクライナに転用して提供する。 (2211-101009)

10月11日 01:18

 米国防総省が10日、12日にブリュッセルで米欧の国防相らがウクライナへの追加の軍事支援を話し合う国際会議を開くと発表した。
 50ヵ国ほどが出席する見通しで、ロシアがクリミア橋の爆発をうけて報復攻撃を開始したのを踏まえ、ウクライナの防衛力強化を検討する。
 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、4月に設けた西側諸国の国防相による会合を開くのは次回が6回目で、NATO加盟30ヵ国のほか、NATOに加盟を申請したフィンランド、スウェーデンも初めて招待する。
 これまでインド太平洋地域から日本やオーストラリアも参加している。
 引き続き12~13日にはNATO国防相会議も開く。 (2211-101103)

10月11日 15:51

 バイデン米大統領が10日、ロシア軍がウクライナの首都キーウを含む同国各地にミサイル攻撃を行ったことを受けゼレンスキー大統領と電話会談し、高性能防空システムを供与することなどを改めて約束した。
 バイデン政権はこれまでに、米首都ワシントンの防空にも使用されているNASAMS 8個FUをウクライナに供与することを承認しており、国防総省は9月下旬時点で最初の2個FUが同国に到着するまでには2ヵ月を要するとの見通しを示し、残り6個FUの引き渡しまでには更に長期間が必要としている。
 しかし、露軍が今回ウクライナ各地に大規模なミサイル攻撃を行ったことでウクライナの防空体制強化をめぐる議論がさらに高まるのは確実で、供与の迅速化を求める声が強まることも予想される。 (2211-101119)

10月12日 04:13

 米国家安全保障会議 (NSC) のカービー戦略広報調整官が11日、ウクライナへのNASAMSの輸送を加速させていると明らかにした。
 カービー調整官は記者会見で、NASAMSをできるだけ早くウクライナに輸送したいと考えているとし、最初の2個FUをごく近い将来にウクライナに届けると述べた。 (2211-101204)

10月12日 05:54

 独Spiegel誌が11日、ドイツ政府がウクライナへの供与を表明していたIRIS-T SLMが同国に引き渡されたと報じた。
 今回の引き渡しは最初の1個FUで、ドイツ政府は2023年にかけて4個FUを供与する方針を明らかにしていた。
 IRIS-TはドイツのDiel社製で、有効射程は40km、高度20kmで、戦闘機やヘリのほか、CMなども迎撃できるという。 (2211-101208)

10月13日 10:20

 マクロン仏大統領が12日に国営TVの対談で、ウクライナに防空システムを供与すると表明した。
 大統領は、UAVやミサイルによる攻撃に対する防衛が必要だと述べ、ウクライナへの軍事支援としてレーダやミサイル、防空システムの供与に言及した。
 さらに、ウクライナにCAESAR SPH 6両を追加供与する方針も明らかにした。
 デンマークに納入される予定だったもので、同国と協力して移転を決めたと述べた。 フランスはすでにCAESAR 18両をウクライナに供与している。 (2211-101314)

10月14日 01:13

 英政府が13日、ウクライナに対し米国が供与するNASAMSで使用するAMRAAMを数週間以内に供与すると発表した。
 そのほか、すでに提供している数百基の防空システムのほか、情報収集と後方支援のためにUAVや榴弾砲18門も供与する。
 英政府はまた、NATOによるウクライナへの支援パッケージに対し、£10Mを拠出するとしている。 (2211-101401)

10月日 11:54

 米政府が14日、ウクライナに$725Mに相当する追加の武器支援を決めたと発表した。 HIMARSや155mm榴弾などが柱で、ARMや軍用車両も含む。
 ロシアによる侵攻が始まった2月24日以降、米国が約束した安全保障に関する支援の総額は$17.6Bに達する。 (2211-101509)

10月20日 01:00

 イスラエルが19日にウクライナに対し、民間人向けの空爆警報システムの開発支援を申し出た。
 ロシア軍がウクライナで自爆型UAVを使用したことを受け、これまで人道支援に限定するとしていた方針を軟化させた。
 イスラエルは、主にイランなどからの攻撃を想定して迎撃ミサイルを配備しているほか、ミサイルが発射された場合にサイレンや携帯電話で市民に避難を呼びかけるレーダネットワークを有する。 イスラエル国防省報道官は、同様の早期警戒技術がウクライナにも提供される可能性があると述べた。
 しかし、ウクライナ大使は警報システムではなくC-UAVの提供を要望しており、これに対しイスラエルのガンツ国防相は、ウクライナへの武器供与は行わないことを明言していると述べた。 (2211-102002)

10月22日 01:57

 ウクライナ支援について討議された2日目のEU首脳会議後の記者会見で、欧州委員会のフォンデアライエン委員長が21日、EUは2023年に月額€1.5Bのウクライナ支援を実施すると発表した。
 ウクライナにとって予測可能で安定した収入を持つことは非常に重要だとし、ウクライナ政府が必要とする基礎経費は月額€3B~4Bと推定しているとした。
 また、EUはウクライナの水道や電力などの再確立を支援する方法も検討していると語った。
 EUの今年のウクライナ支援額は€19Bだが、今回の首脳会議では2023年を視野に入れた。 (2211-102202)

10月25日 15:30

 複数の米当局者がロイタに、米政府が現在保管している旧式のHAWKをウクライナに移送することを検討していることを明らかにした。
 バイデン政権は国内余剰兵器の移送を許可する緊急時大統領在庫引き出し権 (PDA) を活用する見通しである。 (2211-102506)

10月26日 04:37

 Raytheon社のNASAMS計画責任者が10月25日に、ウクライナへ送るNASAMS 2個FUを陸軍へ納入したと発表した。
 米国は数週間以内にこの2個FUをウクライナに引き渡せるが、残りの6個FUにはさらに時間がかかりそうである。 (2211-102604)

10月28日 09:07

 米政府関係筋が27日、ウクライナ向けに$275Mの追加軍事支援を用意していることを明らかにした。
 ロシア軍に対する反攻を支援する弾薬やHIMARSが含まれるとみられ、早ければ28日にも発表する。 米国によるウクライナへの安全保障支援は$17.6Bに上っている。
 米国家安全保障会議 (NSC) のカービー戦略広報調整官はCNNとの対談で、ウクライナに対する追加の武器供与が間もなく発表されると述べたが、支援の詳細についてはコメントを控えた。
 複数の米当局者によると、政府は現在保管している旧式のHAWK SAMをウクライナに送ることを検討している (2211-102806)

10月28日 

 米国防総省がウクライナに対し総額$275Mの24回目となる援助を行う。
 この援助にはExcalibur 155mm誘導砲弾500発、155mm遠隔操作対戦車地雷2,000発、対戦車兵器1,300基以上、小火器弾2億7,500万発、HIMARSなどが含まれている。 (2211-102815)

10月29日 16:45

 米国務省は29日までに、ウクライナへ供与した兵器が犯罪人らの手に渡ることを阻止する対策を実施しているとし、その内容を明かした。
 同省のプライス報道官は、ウクライナ側も受け取った防衛装備品の適切な保護や管理を約束しているものの、「米国はこれら兵器が悪しき人物らに流出することを警戒し続けている」と指摘した。 (2211-102913)

11月04日 02:04

スイスが3日、同国製弾薬をウクライナに提供する許可を求めていたドイツの要請を拒否した。 ドイツはウクライナの要求に応じ、ロシア軍のCMやUAVの撃墜が可能なドイツ製Gepard AAGSPを提供する意向で、合わせて、Gepard用のスイス製弾薬12,400発も供与するとしている。  だがスイスのパルムラン経済相はランブレヒト独国防相に宛てた書簡で、自国の中立の原則に基づく方針として、ウクライナが武力紛争の当事者である限り、スイス製軍需品の提供は承認できないと説明した。  スイスは2日、冬を迎えるウクライナでの飲料水供給と損傷したエネルギー施設の復旧に向けた支援として、CHF100M(150億円)を提供する意向を表明していた。 (2212-110401)

11月04日 11:08

 ブルガリア国会が3日、政府に対し、ウクライナに提供可能な兵器の一覧作成を賛成多数で認めた。
 1ヵ月以内の作成を促しており、これまで自制してきた直接の兵器支援に道が開かれる。
 ブルガリア軍はMiG-29を保有しておりウクライナは提供を切望している。
 歴史的経緯からブルガリアの世論にはロシアヘの同情も強く、3日の採決で反対票を投じた社会党の議員は「ブルガリアの安全保障を危険にさらすことはないか、必要な分析が行われていない」と兵器提供を批判した。 (2212-110413)

11月04日 15:12

 米国防総省が11月4日、修復したソ連製MBT、UAV、SAM、装甲車両など$400M相当をウクライナに供与すると発表した。
 この支援で中心となるのはチェコが保有するT-72B 45両で、米国が費用を負担して改修する。
 T-72Bの供与にはチェコとオランダが同意しており、オランダはチェコが同じくウクライナに供与する別のT-72B 45両の改良を行う。 これには$90Mがかかる。
 これら90両のMBTは早ければ2022年12月に引き渡しが開始される。
 このほかの大きな供与品は改修したMIM-23 HAWKシステムで、HAWKシステムについてはスペインが10月に発射機4基の供与を決めており、米国がミサイルを提供する。  以下はこの他の主な供与品目である。 (2212-110420)

・Phanix Ghost UAV 1,100機
・装甲河川艇40隻
・M1117装甲警備車250両の改修費
11月05日 04:33

 ブルガリア議会がF-16C/D Block 70 8機の$1.3Bでの購入を承認した。
 ブルガリアは既に最初のF-16 8機を発注しており、2025年に納入されることになっている。
 2番目の8機が2027年に納入される。 F-16は2023年に現在装備しているMiG-29と交代する。 (2212-110501)

11月05日 06:13

 米国防総省が4日、ウクライナ向けに$400Mの追加軍事支援を発表した。 改修されたT-72 MBTやHAWK SAMなどが含まれる。
 シン報道官によると、チェコから供給されるT-72 45両やHAWKミサイルの一部の改修費用を手当てするという。 (2212-110502)

11月05日 06:32

 米蘭政府が4日、チェコが保有するT-72 MBT 90両を改修した上でウクライナに提供すると発表した。
 米とオランダはこれに光学や通信機能などを追加する改修を施して供与するという。
 ロシアの侵攻開始以降、米国がウクライナに戦車を提供するのは初めてである。 (2212-110503)

11月07日 23:59

 ウクライナのレズニコフ国防相が7日、西側諸国から防空システムを追加で受領したと発表し、エネルギー施設を目標とするロシア軍の攻撃から防御するのに役立つと歓迎した。
 ここ1ヵ月間のロシア軍の攻撃により、ウクライナの発電所の1/3が破壊された。
 レズニコフ国防相はSNSに「NASAMSとAspideがウクライナに到着した! これらの兵器はウクライナ軍を大幅に強化し、わが国の領空をより安全にする」と投稿し、ノルウェー、スペイン、米国に感謝すると述べた。
 レズニコフ国防相は10月にドイツから最初の防空システムIRIS-Tを受領したと発表していた。 (2212-110710)
【註】Aspideは米国のAIM-7 Sparrow AAMのイタリア型で、AIM-120 AMRAAMなどのAAMをSAMとして装備しているNASAMS Ⅱの原型であるNASAMSが、Sparrowと共にSAMとして装備していた。

11月10日 12:47

 ウクライナ政府や米議会超党派グループからの要請にもかかわらず、バイデン米政権はウクライナにMQ-1C Gray Eagle UAVを提供しない決定をした。
 ウクライナ政府は数ヵ月にわたり最新兵器の提供を要請しているが、今回の決定は、米政府が提供をいとわない兵器に限度があることを示すもので、米当局者や事情を知る複数の関係者によると、MQ-1Cを提供すれば米国がロシア国内の拠点を攻撃できる武器を提供しているというシグナルをロシア政府に送ることになり、対立が激化しかねないと米国防総省は懸念して要求を拒否した。 (2212-111009)

11月10日 18:49

 ウクライナのレズニコウ国防相が10日までにSNS上で、西側の同盟国が提供した新たな防空兵器がウクライナ国内に到着したと報告した。
 国防相はパートナー国への謝意を表明し、「ノルウェー、スペインと米国」の国名に触れた。
 米国は今年の夏、高性能のNASAMSのウクライナへの供与を約束し、2個システムの迅速な引き渡しも示していた。 (2212-111012)

11月10日

 米国防総省が11月10日、ウクライナに対する砲弾やHIMARS用ロケット弾など、新たな$400Mの軍事支援を発表した。
 今回の支援ではCMや低空飛行航空機に対処するAvengerが含まれている。 Avengerは現在4両が輸送中であることから、ウクライナは間もなく受領すると見られる。
 この他にHAWK SAMやHMMWV車100両、擲弾発射筒数百丁、2千万発の小火器弾などが含まれている。 (2212-111016)

11月11日 12:28

 Wall Street Journalが10日、韓国政府が米国との秘密の取引を通じ、ウクライナ向けの弾薬を初めて売却すると報じた。
 同紙によると10万発の155mm砲弾を米国が韓国から購入しウクライナに提供する。
 韓国の李国防相が11月上旬にオースティン米国防長官と会談した際に、弾薬の売却に原則合意したという。
 韓国は殺傷性のある兵器をウクライナに提供していないと公言しているが、米国への売却という形で支援の実現に動いたとみられる。 (2212-111108)

11月15日 05:49

 EUのボレル外交安全保障上級代表(外相)が14日に外相理事会後の記者会見で、イランがロシアにBMを供与しているとの疑惑について「今のところ証拠がない」との認識を示した。
 ただ、UAV供与には改めて懸念を表明し、「必要であれば、さらなる措置を講じる」と述べた。
 イランを巡っては、加盟国外相は理事会で、国内のデモ弾圧に関与したとして、バヒディ内相らへの制裁で合意し、制裁は即日発動された。 (2212-111501)

11月15日 06:04

 米陸軍が10月21日と11日2日に、Lockheed Martin社にウクライナへ供与した分の補充としてMLRS弾を$521Mで発注した。
 Lockheed Martin社はHIMARSの交換分を$179Mで受注している。 (2212-111502)

11月16日 06:48

 米大統領府が11月15日に議会に対し、$38Bにのぼるウクライナ支援の承認を求めた。
 この要求が通れば米国のウクライナ支援は1年経たずして$100Bを越えることになる。 (2212-111610)

11月16日 11:03

 ランブレヒト独国防相が15日、ウクライナに提供した兵器の点検修理を行うためスロバキアに拠点を設置すると明らかにした。
 拠点設置はドイツが資金を提供するもので、交渉は9月に開始され、ウクライナ支援のため両国とも迅速な合意を目指したという。
 スロバキア側によると、修理作業は数週間以内に開始され、榴弾砲や防空システムが主となる。
 またEUの訓練任務の一環として、来年6月までにウクライナ兵5,000名をドイツ国内で訓練する計画だと述べた。 (2212-111615)

11月16日 23:18

 ドイツ国防省報道官が16日、ポーランドにミサイルが着弾したことを受け、ポーランド領空の警戒活動に独空軍戦闘機を派遣する用意があると表明した。
 報道官は、ドイツのEurofighterによるポーランド領空の警戒活動の強化を提案するとし、戦闘機をポーランドに配置する必要はなくドイツの空軍基地から発進可能であることから、ポーランドが希望するなら、あすからでも実現可能だと述べた。 (2212-111623)

11月19日 14:45

 問題の詳細を直接知り得る立場にある3人の米政府当局者が19日までにCNNの取材に、ウクライナへ提供する米国の高性能兵器の一部で、残りが少なくなっていることを明かした。
 米政府当局者の1人は、一部の兵器の備蓄量は9ヵ月間に及ぶウクライナへの支援により減少の一途にある現状から、引き渡すことができる在庫の余剰分にも限りがあるとした。
 ウクライナの提供要請に応える上で残存量に懸念が生じている兵器には155mm榴弾やStingerが含まれる。
 更にARM、GMLRSやJavelinの追加の生産能力への疑念も出ているという。
 米国はこれら兵器などの生産能力の強化に動いている。 (2212-111908)

11月24日 00:01

 スナク英首相がキーウを訪問し£50M ($60M) にのぼるウクライナへの追加支援を発表した。
 11月23日に発表された計画では、砲弾10,000発の追加支援のほか中古のSH-3 Sea Kingヘリ1機も初めて含まれている。
 このため英海軍は10名のウクライナ軍要員と技術者に対し6週間にわたる訓練を実施してきたという。 (2212-112401)

11月24日 02:37

 米国防総省が11月23日、ウクライナに対し$400Mの追加支援を行うと発表した。
 支援内容はHIMARS用ロケット弾、HARM、Excalibur 155mm誘導砲弾200発、UAV撃墜用IR照準サイト付き重機関銃150丁、120mm迫撃砲弾10,000発、Humvee 150両、軽戦闘車両100両以上、小火器弾2,000万発以上が含まれている。 (2212-112404)

11月24日 05:26

 米政府が23日、ウクライナへの$400M規模の追加武器支援を発表した。 HIMARSの追加弾薬や200台以上の発電機などを供与する。
 2月のロシアのウクライナ侵攻開始以来、米国による武器支援の総額は$19B以上となった。 (2212-112408)

11月25日 01:23

 ポーランドのブワシュチャク国防相が23日にTwitterで、ドイツに対しポーランドに配備予定のPatriotについて、ウクライナの自衛を支援するためウクライナの西側国境に配備できるよう、ウクライナに送ることを要請したと投稿した。
 先週、ウクライナ国境に近いポーランド東部の村にミサイルが着弾し2人が死亡したことを受けて、ドイツ政府は今週に入り、ポーランド上空の防衛支援を発表していた。 (2212-112501)

11月25日 23:28

 ポーランドがドイツに対し、Patriotをウクライナに送るよう要請したことについて、ストルテンベルグNATO事務総長は25日、ドイツが決定することだとの見解を示した。
 ストルテンベルグ事務総長は、Patriotを配備してポーランドの防空を強化するというドイツの申し出を歓迎すると表明した一方で、ウクライナに特定の武器を送る計画は「国家による決定」だと強調した。
 ランブレヒト独国防相は24日に、ポーランドからの提案については、NATOと協議する必要があると述べていた。 また独政府報道官は25日、ポーランドの提案にどう対処するか、現在同盟諸国と協議中だと説明した。 (2212-112508)

11月26日 00:40

 ドイツ政府報道官が25日にベルリンで報道陣に対し、ポーランドからの要請を受けPatriotをウクライナに派遣することを同盟国と協議していることを明らかにした。
 ストルテンベルグNATO事務総長がそのような動きに反対しない可能性を示唆したことが背景にある。
 ポーランドのドゥダ大統領は25日にリトアニアでの記者会見で、軍事的な観点からはPatriotはポーランド領内も守れるようにウクライナに配備するのが最善だとの考えを示し、どこに配備するのかは「ドイツが決めることだ」と言及した。 (2212-112601)

11月日 17:35

 米国防総省は、豊富にあるロケットに取り付けられた安価な小型精密爆弾をウクライナに供給するというBoeing社提案を検討している。
 複数の業界筋によると、Boeing社が提案しているのは地上発射型小直径爆弾GLSDBと呼ばれるシステムで、早ければ2023年春に供給される可能性がある。
 米国は射程297kmのATACMSの提供は拒否しているが、射程150kmのGLSDBならウクライナはこれまで届かなかった重要な軍事目標を攻撃でき、ロシアの後方地域をかく乱することができるようになると見ている。
 GLSDBはスウェーデンのSaab社とBoeing社が2019年から共同開発生産している。
 これはGBU-39 SDBとM26ロケットモーターを組み合わせたもので、どちらも米国に豊富な在庫がある。
 米国と同盟国の武器在庫が縮小し、需要増への対応に苦慮する中、この案ならウクライナ側はロシアとの戦線のはるか後方への攻撃が可能となる。 (2212-112809)
【註】GLSDBはGPS誘導の有翼滑空爆弾GBU-39/B SDB-1にM26 MLRSのロケットモータを装着したもので、重量600-lb、全長391cm、胴径9.5inで、翼を開帳すると翼端長は63.3inになる。
 射程は前方150km以上、後方70kmである。

11月29日 09:38

 エストニアのレインサル外相が28日にロイタ通信との面談に答え、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、国防費をGDPの3%まで引き上げる意向を示した。
 ロシアの侵攻後、各国は国防費を増やす流れにあるが、レインサル外相は「欧州諸国は国防費を2倍に増やして欲しい」とも述べた。 ウクライナへの軍事支援に関しても、「EU全体でGDPの0.2%を充てているが、1%まで増やすことができれば、戦局を大きく変えられる」と語った。 (2212-112908)

11月29日 19:02

 ストルテンベルグNATO事務総長が29日にルーマニアのブカレストで演説し、NATOがウクライナ向け支援を縮小することはないと表明し、電力などが不足するウクライナへの越冬支援を増やすよう呼びかけた。
 29日開幕のNATO外相会議では、防空システム、弾薬など軍事支援の強化のほか、燃料、医薬品、冬の装備など非軍事支援についても協議する。 (2212-112913)

11月30日 06:07

 米国防総省高官が29日に記者団に、ウクライナ軍の防空能力を支援するためPatriotの提供を検討していることを明らかにした。
 この高官は、ウクライナの防空は米国の「最優先事項」だと同高官は付け加えたうえで更に、「ウクライナがロシアの攻撃に耐えられるよう、あらゆる可能な支援策を検討しており、米国ができること、同盟国やパートナー国ができることを精査し、有用な策の組み合わせを検討している」と述べた。 (2212-113008)

11月30日 13:48

 NATO外相会合が29日に初日の協議を終えて声明を発表し、ウクライナへの支援強化やロシアの砲撃によって大きな被害を受けたエネルギーインフラ修復の援助を表明した。
 ストルテンベルクNATO事務総長は、ロシアが冬の寒さを「戦争の武器」として利用していると述べたが、クレバリー英外相はNATOがウクライナを支え続けるため、ロシアのインフラ攻撃は「成功しないだろう」との見通しを示した。 (2212-113013)

11月30日 14:06

 バイデン米大統領が29日にホワイトハウスで上下両院の与野党指導部と会談し、ウクライナ支援や新型コロナウイルス対策にあてる追加予算を年内に承認するよう要請した。
 年明け以降に共和党が下院で多数派となる前に早期承認を目指す。
 Washington Post紙によると、バイデン政権は15日にウクライナ支援を柱とする$47.7Bの追加予算の承認を議会に求めた。
 このうち、ウクライナへの武器供与や人道支援に$37.7Bをあてるとしている。 (2212-113014)

11月30日 14:40

 NATOの外相理事会が30日までの日程で29日にルーマニアの首都ブカレストで始まった。
 ロシア軍からエネルギー施設へのミサイル攻撃を受けたウクライナに対し、電力施設の復旧を支援し、新たな防空システムを供与することで合意した。
 会合に参加したブリンケン米国務長官は29日、ウクライナの電力網の回復と維持のため、変圧器などの支援に$53M以上を拠出すると表明した。
 ドイツやノルウェーなども冬季対策で支援する方針を示している。
 NATOは、ロシアから圧力を受ける非加盟国のジョージアやモルドバへの支援拡大策も協議した。
 一方、ウクライナが申請したNATO加盟についてストルテンベルグ事務総長は、慎重な姿勢を崩さなかった。 (2212-113015)

12月01日 13:39

 米国防総省が30日、ウクライナに供与するNASAMS 6個FU、$1.2B相当をRaytheon社に発注したと発表した。
 米国はウクライナにNASAMS 8個FUを供与することになっており、11月に2個FUがウクライナ側に引き渡された。
 残りも順調にいけば数ヵ月内に納入される見通しである。
 バイデン政権が表明したウクライナ向け軍事支援は$19.3B以上に上る。 (2301-120109)

12月01日 18:00

 多数の米政府当局者が12月1日までに、バイデン米政権がウクライナ軍を対象にした米軍による訓練計画の大幅な拡充を検討していることを明らかにした。
 ドイツにある米軍基地での訓練では人数を月間最大2,500名まで飛躍的に増やす案も含まれている。 (2301-120111)

12月02日 11:15

 ストルテンベルグくNATO事務総長が1日にベルリンで行われた同国のショルツ独首相との共同記者会見で、ドイツからポーランドに提供されたくPatriotをウクライナに移すというポーランドからの提案について、結論を出すのはまだく時期尚早だと述べた。
 ストルテンベルグ事務総長は「くポーランドの領空を守るためにドイツが提供した3個FUのPatriotについての議論と、ウクライナへのさらなる防空支援の問題は分けて考えることが重要だと述べた。 (2301-120203)

12月06日 05:45

 スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークのノルディック諸国が11月にヘルシンキで、ウクライナへの軍事支援会合を開き、シェア分担、兵站支援、戦争で疲弊したウクライナへの安全輸送などについて協議した。
 ノルディック諸国によるMAPは既に10次に上り、スウェーデンはRBS 70 MANPADSやArcher 155mm SPH、ノルウェーはM72対戦車兵器、Ivoco LAV Ⅲ APC、M109 SPHなどを供与している。 (2301-120606)

12月08日 12:05

 ドイツが更新したウクライナに搬送する兵器のリストで、RCH 155 155mm SPH 18両を供与する計画であることが明らかになった。
 リストによれば、搬送は「準備・実行」の段階にある。
 ドイツとオランダはすでにウクライナに対して、PzH2000 SPH 14両と数千発の弾薬を供与している。
 製造したKrauss-Maffei Beckman社によれば、RCH155はPzH2000を改良したもので、自動化や乗員の安全性を向上させた。
 ドイツ政府は9月にRCH155のウクライナへの供与について、合法的な道筋をつけていた。
 ドイツはまた、追加でC-UAVセンサと妨害電波発生装置100基や運搬車両7両などを供与する。 (2301-120813)

12月09日 08:57

 関係筋の話やロイタが入手した文書で8日、米国は$275Mのウクライナ向け軍事支援を準備しており、新たにC-UAV用の防空装備などが含まれることが分かった。
 このほか、HIMARS用ロケット弾や155mm砲弾、HUMVEE、発電機も含まれる見通しという。
 これらの支援には、議会の承認なしに国内余剰兵器の移送を許可する緊急時大統領在庫引き出し権 (PDA) が使用される。
 米国はロシアによる2月24日のウクライナ侵攻以降、ウクライナに$19.1B相当の軍事支援を行っている。 (2301-120907)

12月13日 03:17

 岸田首相が13日未明にオンライン形式で開催された主要7ヵ国 (G7) 首脳会議に出席し、ロシアによる侵攻が続くウクライナに対し、$2.5Mの無償資金協力を表明した。
 国際機関を通じて発電機やソーラー・ランタンを提供する意向も示し、補正予算措置として、ウクライナや周辺国に対し$500Mの支援を決定したと説明した。 (2301-121302)

12月14日 03:08

 複数の米政府当局者の話で13日、米政府がウクライナにPatriotを提供する方向で最終調整していることが分かった。
2301-121403)

12月15日 10:34

 複数の米メディアが13日に、米国がウクライナに対して近くPatriotを供与する見通しであることが明らかになったと報じた。
 複数の当局者によると、バイデン大統領が今週中にも供与について発表する可能性が高い。
 ウクライナではロシア軍の攻撃で民間人が死亡し、大規模な停電が続いており、ウクライナは以前から西側諸国に対し、さらなる防空支援を求めてきた。 (2301-121504)

12月18日 17:30

 米国防総省のライダー報道官が18日までに、バイデン政権によるウクライナへの軍事支援の内容についてロシアが口をはさみ指図などするようなコメントを受け入れることはないとの考えを示した。
 駐米ロシア大使館が、米国がPatriotをウクライナへ提供する可能性が浮上したことに関連し「予期せぬ結果を招き、国際的な安全保障環境を損ねる」との声明発表を受けた発言で、ライダー報道官は「挑発もない中で隣国を不法かつ侵略という残忍な手段で襲い、罪のない民間人を殺し民間インフラを破壊している国の当局者が、市民の命を守るべく防御システムを挑発的と評したのは皮肉であり非常に意味深い」とあてこすった。 (2301-121805)

12月19日 09:34

 スロベニア軍がウクライナ軍にM-55S MBTを供与した見返りに、ドイツ軍からRheinmetall MAN社製8×8車40両を受領した。 (2301-121906)
【註】M-55S1 MBTはスロベニアがイスラエルのRafel社の協力でT-55 MBTを改良したMBTで105mm/51口径砲を搭載している。

12月19日 09:53

 ロシアは12月13日に、ロシアが占領したウクライナ領土から撤退するよえう求めたウクライナの和平提案を拒否し、代わりに現実を受け入れて占領地にロシアに割譲するよう求めた。
 このため米国はウクライナへの武器供与を倍増させる必要に迫られた。
 米国はPatriot 1個中隊のほか、射程150km、弾着精度1mのGLSDBをウクライナに供与することになりそうである。
 Saab社とBoeing社が共同開発したGLSDBは、単価$40,000のGBU-39 SDB 113kg精密誘導(註:拡張翼装着)爆弾に弾頭を外したM26ロケット(MLRS 及び HIMARS の発射するロケット弾)を組み合わせたもので、M142 Himars及びM270 MLRSAから発射する。 (2301-121907)

12月21日 09:40

 複数の米当局者が、米国がウクライナにJDAMを供与する見通しであることを明らかにした。
 JDAMは無誘導弾に装着する精密誘導システムで、米当局者は早ければ今週中にも対ウクライナ安全保障支援に盛り込まれる見通しだとしているが、提供される数や種類については明らかにしなかった。
 誘導爆弾は戦闘機から投下するが、ロシアの防空システムを考慮するとこれは非常に難度が高い。 (2301-122105)

12月22日 03:44

 ウクライナのゼレンスキー大統領を乗せた米軍用機が21日、ワシントン近郊のアンドルーズ空軍基地に着陸した。
 TV像によると、滑走路では多数の高官らが同氏を迎えた。
 ゼレンスキー大統領はこの後、ホワイトハウスでバイデン大統領と会談し、議会で演説する。
 米政府は同氏の訪問に合わせ、初となるPatriotの供与を含む$1.85Bのウクライナ軍事支援を表明した。 (2301-122202)

12月22日 13:55

 ウクライナのゼレンスキー大統領が米議会の上下両院合同会議で21日行った演説で、支援に消極的な下院共和党議員に協力の必要性を訴えた。
 バイデン政権はロシアの侵攻以降、軍事、人道、財政などの分野で$50Bの支援をウクライナに提供し、議会は今週$44.9Bの追加支援を承認するとみられているが、共和党が下院の多数派になる2023年1月以降も支援が続くかどうかは不透明なため、ゼレンスキー大統領は演説の冒頭、民主党と共和党の双方に向けて演説していることを強調し、ウクライナの戦いはより大きな善のためだとし、これまでの支援について全ての米国民に感謝すると述べた。
 しかし、共和党強硬派の一部は支援を打ち切り、資金がどのように使われているか検証するよう求めている。)

(2301-122209)

12月22日 14:35

 21日に米議会で演説したウクライナのゼレンスキー大統領は党派を超えた上下両院議員の大きな拍手に包まれた。
 しかし、議員の反応には濃淡もあった。 ウクライナ支援に否定的な共和党のFreedom Caucus(自由議連)の一部議員は演説中にほかの議員たちの拍手に同調しなかった。
 ウクライナ支援に慎重な共和党下院のマッカーシー院内総務は演説中のスタンディングオベーションで、早々に腰を下ろす場面が目立った。
 マッカーシー院内総務は「ウクライナは支援するが、白地の小切手を支持したことはない」とメディアに言い切った。
 2023年1月の新会期で下院議長就任を目指しており、党内の視点も意識したようである。 (2301-122210)
【註】Freedom Caucusは米議会下院の共和党保守派の議員連盟で、2022年の中間選挙前には34名が所属していた。

12月23日 01:55

 ベーアボック独外相が22日にベルリンで記者団に対し、主要7ヵ国 (G7) がウクライナ防空能力強化に向け、より緊密に連携すると述べた。
 ベーアボック外相は、米国がウクライナに対するPatriot供与を決定したことを歓迎すると表明し、防空能力で人命が救われるため、ウクライナに対する一段の兵器供与が検討されていると語った。 (2301-122302)

12月24日 00:41

 ラトビアのUAVメーカであるAtlas Dynamics社がウクライナ軍を支援するため2023年早期にUAVの研究開発施設をウクライナに開設し、その後生産施設も開設する。
 Atlas Dynamics社はウクライナ戦争開始以来300機のAtros Pro三ロータUAVをウクライナに納入しており、1月中旬までに更に75機を納入するという。 (2301-122402)

12月24日 04:52

 米下院が23日、FY23(2022年10月~2023年9月)の予算案を賛成多数で可決した。
 歳出規模は$1.7T(226兆円)で、前年度の$1.5Tから増加した。 上院は既に前日通過させており、バイデン大統領の署名により成立する。
 予算案にはロシアの侵攻を受けるウクライナなどへの支援$4.49Bが盛り込まれ、国防費は$858Bと、前年度から約1割増額した。 (2301-122405)

4・4 作戦機の供与問題

4・4・1 ポーランドの MiG-29 供与問題

3月05日 04:23

 ロイタ通信が、ブリンケン米国務長官とウクライナのクレバ外相が5日にウクライナとポーランド国境で面会し、ロシアのウクライナ侵攻について協議したと報じた。
 両相は武器援助や経済制裁について協議し、クレバ外相はブリンケン長官に、軍用機や対空兵器の増強など、より強力な支援を求めたという。 (2204-030601)

3月05日 14:32

 米大統領府報道担当者が5日、米国とポーランドがウクライナへ戦闘機を供与する可能性について検討していることを確認した。 供与はポーランドが担うとした。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、東欧諸国に対し自国の戦闘機をウクライナへ派遣するよう求めている。
 同報道担当者によると、ポーランドがウクライナへの戦闘機提供に踏み切った場合、ポーランドの負担を相殺する措置として米国が示し得る選択肢を決めている段階にあるという。
 その場合、具体的にポーランドからウクライナへどう移すかを含めた後方支援にかかわる多くの問題があるとも述べた。 (2204-030610)

3月08日 14:36

 New York Timesが6日、ポーランドのソ連製の戦闘機をウクライナに提供し、米国がポーランドにF-16で補填する案をバイデン政権が検討していると報じたが、次に輸出されるF-16は台湾に売却されることが決まっており、時期を遅らせるのには抵抗があるようだとも報じている。
 これについて米国防総省のカービー報道官は7日にCNNとのインタビューで、報道について「うわさであり事実ではない」と一蹴した。
 米国政府が戦闘機を提供して補填することについて内部で検討を行っていると認めたものの、結論が出ていないと話した。 (2204-030811)

3月08日 17:41

 数日前から米国と続けられていたポーランドのMiG-29をウクライナに供与し、代わりに米国から中古のF-16を受け取る問題は、ポーランドかMiG-29をドイツRamstein空軍基地で米軍に引き渡し、代わりにF-16を受領すると3月8日に発表した。
 しかしこの提案は事前に米側に知らされておらず、米側はこの提案を拒否した。 (2204-030813)

3月08日 23:26

 ウォレス英国防相が8日、ポーランドがウクライナに戦闘機を提供すると決定した場合はそれを支援すると明言した。
 ウクライナへの軍事支援をめぐっては、ポーランドが米国からF-16を取得する見返りに、ソ連製の航空機をウクライナに送る検討がされている。
 国防相はSky Newsとのインタビューで、ポーランドがどんな選択をしても支援するが、ウクライナに戦闘機を供与すればポーランドがロシアやベラルーシとの直接の戦闘に巻き込まれる可能性もあると述べ、実施に当たっては細心の配慮を払う必要があるとの認識も示した。 (2204-030819)

3月09日 06:11

 米国防総省は、ポーランドが発表して自国のMiG-29をドイツのRamstein空軍基地で米国の管理下に移したののちにウクライナに引き渡すという提案を受け入れられないと拒否した。
 ポーランドは今も30機近くのMiG-29を保有している。
 国防総省のカービー報道官は、ロシアと争っているウクライナの空域にドイツのNATO基地から戦闘機が発進すれば、NATO同盟国全体に深刻な懸念を提起するとの見解を示した。 (2204-030907)

3月09日 07:42

 ポーランドが8日、自国が保有するMiG-29をドイツのRamstein空軍基地で米国の管理下に置く用意があると表明した。
 また同型機を保有する他のNATO加盟国にも同様の対応を求めた。
 ポーランド外務省は保有する全てのMiG-29を無償でRamstein空軍基地に即時移動し、米国政府の管理下に置く用意があると表明した。 (2204-030909)

3月09日 11:02

 国防総省のカービー報道官が8日に声明で、ポーランドが保有するMiG-29を米軍基地経由でウクライナに供与する案について受け入れを拒否した。
 ポーランドはこの日、MiG-29を独南西部Ramstein米空軍基地に引き渡す用意があると表明し、同基地経由でウクライナに移送して見返りにF-16を受け取る考えだった。
 米国の管理下に移されたMiG-29が米軍のほかNATO軍も拠点としている基地を飛び立ち、ロシア軍との戦闘が行われているウクライナの領空に入ればNATO全体に深刻な懸念をもたらすと述べた。 (2204-030916)

3月10日 01:28

 ウクライナのゼレンスキー大統領が9日、同国に戦闘機を供与するというポーランドの申し出について、早急に結論を出すように西側諸国に求めた。
 ただドイツとカナダは、この提案について否定的な見方を示した。
 ショルツ独首相は9日に首都ベルリンでトルドー加首相と開いた共同記者会見で、戦闘機供与に反対の姿勢を表明し、トルドー首相も、戦争を拡大・悪化させる恐れがあると警告した。
 欧米の同盟諸国は、ウクライナにATGMやSAMなどの兵器を供与しているが、戦闘機についてはロシアとの対立拡大を恐れて供与に踏み切っていない。 (2204-031002)

3月27日 15:07

 ウクライナのクレバ外相が26日、ウクライナに戦闘機を提供する案について米国は反対していないと述べた。 この案はポーランドが示したが、米国防総省は拒否していた。
 クレバ外相はAFPに書面で、米国は戦闘機提供案に反対しておらず、われわれボールは今ポーランド側にあると見ており、ポーランドとの対話を通じて詰めていくと説明した。
 ポーランドは自国保有の旧ソ連製MiG-29を独南西部Ramsteinにある米空軍基地を経由してウクライナに輸送する案を提示したのに対し、米国防総省はリスクが高いとして支持しない立場を示していた。 (2204-032705)

4・4・2 MiG-29 の供与問題

5月04日

 ウクライナ空軍は44機のMiG-29を保有していたが、その殆ど或いは全てが破壊されていると見られる。
 3月にポーランドからMiG-29を米国経由で譲り受ける話が進んだが実現しなかった。
 ただポーランドは単座のMiG-29を21機、複座を6機、ブルガリアは単座11機と複座3機、スロバキアは単座9機と複座2機を保有しており、これらの国から部品と技術支援を受ければ、ウクライナは使用できる戦闘機を増やすことができる。 (2207-050402)

7月25日

 スロバキア国防相が7月25日、同国が保有するMiG-29 11機を8月末頃までにウクライナへ送ると述べた。
 スロバキアはMiG-29の後継としてF-16 Block 70/72 14機を購入することになっていたが、納期が2年延期され2024年になった。 (2208-072509)

8月27日

 チェコのチェルノチョワ国防相、ポーランドのブラシュツァク国防相、スロバキアのナド国防相が8月27日、保有しているMiG-29 11機を退役させるスロバキアの空域警備をチェコとポーランドが肩代わりする合意文書に署名した。
 肩代わりはポーランドかF-16 2機で9月1日に開始され、スロバキアがF-16を受領する2024年まで続けられる。
 スロバキアで退役するMiG-29はウクライナへの提供が検討されている。 (2209-082708)

4・4・3 西側戦闘機の供与問題

3月03日 16:08

 かつて在欧米空軍司令官を務めたブリードラブ退役空軍大将や2017~2019年にウクライナ交渉担当を務めたフォルカー元米特別代表などが、A-10の一部をモスボール化してにウクライナに送ることを提案しているのに対し、米空軍長官が3月3日に、そのような計画はないと述べた。
 また空軍参謀長のブラウン大将も同様の回答をしている。 (2204-030320)

7月20日 01:06

 ケンドール米空軍長官7月20日にコロラドで開かれたAspen安全保障フォーラムで、ウクライナはロシア製のMiGやSukhoi戦闘機から西側機に換える必要があると述べ、空軍はウクライナ空軍操縦士への訓練について検討を始めている。
 西側戦闘機としては米国のF-15やF-16のほかTyphoon、Gripen、Rafaleなどが考えられるが、ゼレンスキー大統領はF-15とF-16を希望している。
 Aspenフォーラムのあと空軍長官は、なぜウクライナにA-10を供与しないかとの質問に対し、ウクライナ次第だと答えた。 (2208-072201)

7月22日 17:06

 米国家安全保障会議 (NSC) のカービー戦略広報調整官が22日、ウクライナに米国製戦闘機を供与することを検討していると明らかにした。
 カービー調整官は会見で戦闘機供与の実現可能性について、バイデン政権が予備的な調査を行っているが短期的に実現するものではないと述べた。 (2208-072309)

4・5 経済制裁

4・4・1 経済制裁の強化

2月22日 02:00

 政府がロシアによるウクライナへの侵攻を想定し、半導体など先端技術の輸出を規制する経済制裁の調整に入った。
 岸田首相は22日に主要7カ国 (G7) で連携して制裁を含む厳しい対応の調整をしていると述べた。
 ロシア主要銀行との取引制限のほか、ロシア政府要人の資産凍結と渡航制限なども検討する。
 軍需品からスマートフォンといった民生品まで幅広く網をかける可能性があるほか、金融取引の制限は複数のロシア大手銀行に照準を定める。
 資産凍結では2014年のロシアのクリミア併合以降、凍結している政府要人ら82の個人と団体の範囲を広げる。 (2203-022306)

2月24日 04:39

 バイデン米大統領が24日にホワイトハウスで演説し、ロシアに対する追加制裁を発表した。
 大統領はロシアのウクライナ侵攻について「プーチンは侵略者だ」などと非難し、第一弾の制裁では対象にしなかったVTBバンクなど、複数の金融機関をドル決済の禁止や米国内の資産凍結の対象とするほか、先端技術の輸出規制、プーチン氏の側近らを対象とした制裁の対象拡大を明らかにした。
 一方で、ロシアの銀行をドル建ての国際送金業務を担う国際銀行間通信協会 (SWIFT) から排除することや、プーチン大統領個人への制裁は今回の追加制裁措置には盛り込まれなかった。 (2203-022508)

2月24日 08:22

 バイデン米政権が24日、ロシアに対してハイテク製品などの輸出を厳しく制限する規制を発表した。
 海外で製造される米国原産品を含む製品も対象としており、半導体や航空機部品などの調達を困難にしてロシア経済への打撃を狙う。
 米商務省によると、外国直接製品ルール (FDPR) と呼ばれる輸出規制の範囲を大幅に広げ、米国原産品を含むハイテク製品を海外で製造する企業がロシアに輸出する場合は米政府の許可取得を義務付ける。 米商務省が許可申請を原則却下するとの規定も盛り込まれた。 (2203-022512)

2月24日 08:46

 ニュージーランドがロシアに対し、渡航禁止やロシア軍および治安部隊との商取引禁止から成る制裁を発動した。
 紛争が激化した場合は追加制裁を科す可能性があると警告した。 (2203-022513)

2月25日 10:27

 モリソン豪首相が25日、ロシアに対する追加制裁をエリート層や議員を標的に発表した。
 新たな制裁は「ロシアにとって戦略的に重要な経済力を持つロシア新興財閥のオリガルヒと、ウクライナ派兵を承認したロシア議会議員300人超が対象になる。
 その上で、中国がロシアとの貿易制限を緩和していることは「容認できない」と非難した。 (2203-022518)

2月25日 21:21

 ドイツが2月25日に今までの方針の大転換を行い、ウクライナへ対戦車兵器の供与とSWIFTからのロシアの排除を決めた。 (2203-022435)

2月25日 23:48

 複数のEU当局者と欧州外交筋がAFPに、EUが25日までにプーチン露大統領とラブロフ外相に関連する資産を凍結することで合意したことを明らかにした。 EU外相会合で正式決定される見通しである。
 EU首脳による前夜からの会合で提起された後、25日にロシアに対する追加制裁として資産凍結措置が加えられた。 (2203-022531)

2月27日 06:43

 米国は24日に、ロシアへの半導体輸出禁止制裁を発表した。
 米国の半導体技術や装備を利用した場合、第三国で生産した半導体もロシアへの輸出が禁止される。
 商務省は関連説明資料を発表して該当規定から外されるパートナー国家という項目を別途に作り32ヵ国のリストを発表した。
 「概してこれと似たような措置をすでに適用していたり、適用するという意思を明らかにしたりする国々には該当規定を適用しない」ということだが、32ヵ国のリストから韓国は外された。 (2203-022810)

2月27日 07:06

 EUのフォンデアライエン欧州委員長が27日、ロシアに対する制裁を強化し、同国に協力するベラルーシにも制裁を科す方針を明らかにした。
 更にウクライナの自衛を支援するため武器購入資金も提供する。
 EUはロシアの航空機に対し領空を封鎖する。 ロシア新興財閥(オリガルヒ)のプライベートジェットも対象になる。
 またEUの分裂を引き起こすためのうそを拡散ができないようにするため、ロシア国営TVのRussia Todayと通信社SputnikのEU域内での活動を禁止する。
 ベラルーシに対しては、同国からの鉱物性燃料やたばこ、木材、セメント、鉄鋼などの輸入を禁止する。
 EUはさらに、ウクライナに武器などを調達するための資金を供与する。
 欧州委関係者がロイタに明らかにしたところによると、ウクライナの武器購入支援に€450M ($507M) 、医療物資などの購入支援に€50Mを拠出することを目指している。 (2203-022811)

2月27日 08:08

 ノルウェーのストーレ首相が27日、同国政府系ファンドで保有している$1.3T規模のロシア資産を売却する方針を明らかにした。
 同ファンドの運用を担うノルウェー中央銀行投資管理部門によると、2020年末時点でNOK6.7B相当の国債とNOK23.3B相当の株式を保有していた。 (2203-022814)

2月28日 20:22

 バイデン米政権が28日、ロシアに対する金融制裁としてロシアの中央銀行や政府系ファンド、財務省との取引を同日付で禁止した。
 これによりロシア中銀が米連邦準備制度理事会 (FRB) に持つドル資産が事実上凍結される。
 米国とEUは外貨準備の利用を制限する制裁も発動し、プーチン政権は通貨ルーブルの防衛能力が奪われ、ロシア経済に大打撃となる。 (2203-022828)

3月01日 00:09

 永世中立国スイスの政府が28日に声明で、ロシアのウクライナへの軍事介入が続いていることから、連邦会議(内閣に相当)が2月28日にEUが2月23日と25日に発動した制裁措置を導入することを決めたと発表した。 これはスイスの伝統から大きく逸脱する動きとなる。
 スイスはまた、プーチン露大統領、ミシュスチン首相、ラブロフ外相に対する金融制裁を直ちに適用した。 (2204-030102)

3月01日 01:03

 EUの外相に当たるボレル外交安全保障上級代表が28日、EUはウクライナに対する軍事支援を強化するため、マドリードにある衛星センターを通してロシア軍の動きに関する情報をウクライナに提供すると明らかにした。
 ボレル上級代表はまた、ベラルーシに対し一段の制裁を導入するとしたほか、ロシアによるウクライナ侵攻を手助けしているいかなる国に対しても制裁を導入する用意があると表明した。 (2204-030103)

3月02日 21:19

 欧米メディアによると、ロシア最大手銀行Sberbankが2日、欧州市場から撤退することを表明した。
 Sberbankの欧州子会社をめぐっては、米国やEUの対ロシア制裁の影響で急速に預金が流出したため、欧州中央銀行 (ECB) が破綻する可能性が高いと判断し、閉鎖を命じていた。 (2204-030230)

3月02日 00:21

 EUが2日、対ロシア追加制裁の一環として、ロシア銀行大手7行を国際銀行間通信協会 (SWIFT) から排除することを決定した。
 対象となるのは同国2位のVTB銀行やプロムスビャジ銀行などで、ロシア銀最大手のSberbank銀行とガスプロム銀行は含まれていない。
 ロシア産の石油ガスに対する主要な決済手段となっているためというが、EU幹部によると、この2行には別の措置が適用されるという。 (2204-030301)

3月03日 00:21

 EUが2日、対ロシア追加制裁の一環として、ロシア銀行大手7行を国際銀行間通信協会 (SWIFT) から排除することを決定した。
 対象となるのは同国2位のVTB銀行やプロムスビャジ銀行などで、ロシア銀最大手のSberbank銀行とガスプロム銀行は含まれていない。
 ロシア産の石油ガスに対する主要な決済手段となっているためというが、EU幹部によると、この2行には別の措置が適用されるという。 (2204-030301)

3月03日 09:30

 世界銀行が2日、ロシアとベラルーシ向けの全事業を直ちに停止したと発表した。
 世銀はロシアがウクライナ南部クリミア半島を併合した2014年以降、ロシア向けの新規融資や投資を承認していない。
 ベラルーシに関しても、2020年半ばから新規事業を行っていない。 (2204-030310)

3月07日 04:45

 ブリンケン米国務長官が6日にNBC TVとのインタビューで、「欧州の同盟国とロシア産の原油の輸入を禁止することについて積極的に議論している」と話し、同盟国と協調してロシア産の原油の輸入禁止を検討していると明らかにした。
 また長官はロシア産の原油の輸入禁止について、「きのう、バイデン大統領や閣僚らと話し合った」とした。
 さらに、ポーランドがソ連製戦闘機をウクライナに提供する場合、「我々が何を埋め合わせできるか考えている」と話し、米国としてポーランドへの支援を検討していることも明らかにした。
 ブリンケン米国務長官が6日にNBC TVとのインタビューで、「欧州の同盟国とロシア産の原油の輸入を禁止することについて積極的に議論している」と話し、同盟国と協調してロシア産の原油の輸入禁止を検討していると明らかにした。 また長官はロシア産の原油の輸入禁止について、「きのう、バイデン大統領や閣僚らと話し合った」とした。
 さらに、ポーランドがソ連製戦闘機をウクライナに提供する場合、「我々が何を埋め合わせできるか考えている」と話し、米国としてポーランドへの支援を検討していることも明らかにした。 (2204-030701)

3月07日 23:47

 ショルツ独首相が7日に声明を発表し、ロシアからのエネルギーが「公共サービスや市民生活に不可欠」だとして、輸入を当面継続する方針を示した。
 ショルツ首相は、エネルギー供給源についてEU諸国などと代替策を検討しているものの、きょうあすに解決するものではないとし、対ロシア制裁からエネルギー分野を除外したのは、そうした事情を考慮した上での決定だと説明した。 (2204-030719)

3月08日 01:34

 複数の関係筋が7日、米バイデン政権が欧州同盟国の参画がなくても独自にロシア産原油の輸入を禁止する意向であることを明らかにした。
 関係筋は、まだ何も決定されていないとしながらも、「米国のみが独自に動く可能性がある」と述べた。
 議会指導部はロシア産原油の輸入禁止を可能にする法案の迅速審議を準備中で、ホワイトハウスは議会指導部と交渉を進めている。
 こうした中でも、バイデン大統領はロシア産原油の輸入禁止に向けた支持を得るため、この日に独仏英の首脳と電話会談を行うとみられている。 (2204-030801)

3月08日 07:37

 ロシアでエネルギー問題を担当するノバク副首相が7日遅くのTVで、ウクライナ侵攻に対する制裁措置への対抗策として、NordoStream 1経由での欧州への天然ガス供給の停止も辞さない構えを表明した。
 ノバク副首相はまた、米国とEUがロシア産原油の禁輸に踏み切ればロシアには原油販売で別の選択肢があると語り、そうした行動は世界市場に壊滅的な結果をもたらし、価格が1バレル$300以上に急騰する可能性があると警告した。 (2204-030805)

3月08日 23:24

 複数の米メディアが、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対する新たな制裁としてバイデン政権がロシア産原油の輸入禁止を決定したと報じた。
 欧州の同盟国の中にはロシア産原油の輸入禁止に慎重論も出ているため、米単独で踏み切るとしている。 (2204-030818)

3月09日 00:24

 英シェル石油がロシア産原油の購入を停止し、ロシアでの事業から全面的に撤退すると発表した。 ロシア産原油の短期取引を即時停止したうえで、石油製品やLNGの調達についても段階的に取りやめるという。
 シェルは2月28日にサハリン沖での石油天然ガス開発事業サハリン2からの撤退を表明していたが、先週ロシア産原油について購入を継続する方針を決めていて、これについてブールデンCEOは8日の声明で「間違っていた。 申し訳ない」としている。 (2204-030901)

3月12日 02:49

 主要7ヵ国 (G7) 首脳がは11日にウクライナ侵攻を続けるロシアを経済や国際金融システムから孤立させるという決意を持ち続け、できるだけ早く追加措置を講じることを約束するなどとする共同声明を発表した。
 米国がロシアへの貿易面での最恵国待遇を撤廃すると発表したのに呼応し、各国が国内手続きを進める。
 また、ロシアが国際通貨基金 (IMF) や世界銀行など主要な国際金融機関から融資を受けられないよう、「一丸となって取り組む」という。
 さらに、新興財閥(オリガルヒ)らプーチン大統領を支える関係者への資産凍結の手続きなども続けるという。 (2204-031203)

3月14日 22:44

 プーチン露大統領が、ロシアの航空会社が外国企業からリース契約に基づいて借り受けている航空機について返還する必要性を否定する法案に署名した。
 新たな法律は、ロシアの航空会社が外国企業から借り受けている航空機について、ロシアの航空会社の資産として認めると定め、ロシア国内におよそ700機あるとされる外国企業から借り受けた航空機について、返還の必要性がないと認定した。
 ロシアの航空会社は、借り受けている航空機が外国の空港で差し押さえられることなどを懸念して、3月8日からほぼすべての国際線の運航を停止している。 (2204-031409)

3月15日 04:40

 米高官、中国がロシア側の要請に応じて、ウクライナでの紛争支援に向けロシアに軍事的経済的援助を行う意思を示したと米国がNATOおよびアジア諸国の同盟国に伝えたことを明らかにした。
 情報当局によって外交公電で直接伝えられたメッセージによると、中国側はこれらの計画を認めないことが予想されるという。 (2204-031501)

3月16日 04:51

 ウクライナへの侵攻を続けるロシアへの対応でバイデン米大統領は先に、関税などでほかの貿易相手国と同じ条件を保障する最恵国待遇を取り消す方針を示し、日本を含むG7首脳も取り消すよう努めるなどとした共同声明を発表した。
 これを受けて岸田首相は、ロシアに対する追加の制裁措置として最恵国待遇を停止する方針を固め、16日にも発表する。
 ロシアへの制裁措置として、日本政府はすでに先端技術を使った製品に加えて一般向けの半導体などの輸出を禁止している。 (2204-031603)

3月20日 05:41

 租税回避地として知られ世界中の企業や富豪が資産を移しているカリブの島国バハマの中央銀行が18日、ロシアのウクライナ侵攻に伴う金融制裁によりロシア関係者がバハマに持つ資産$2.92Bを凍結したことを明らかにした。
 バハマ当局は12日付で金融機関に、ロシアや同国を支援するベラルーシの企業や関係者との取引凍結を通達した。
 各機関からの情報を総合したところ、ロシア関係だけで資産は預金$420M、信託財産$2.5Bに達した。 (2204-032001)

3月22日 08:32

 ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、スイスの首都ベルンに集まった市民や政治家にオンラインで演説し、ロシア富裕層が資金の置き場として利用しているスイスの役割について、同国の銀行を批判した。
 ゼレンスキー大統領は、この戦争を引き起こした人々の資金がスイスの銀行に蓄えられていることに疑問はないはずだと指摘し、これは悪に対する戦いで、こうした人々の資金は凍結するべきだと訴えた。
 スイス銀行協会 (SBA) は18日、同国内の銀行に保管されているロシアの富裕層資産は推定でCHF150B~CHF200B($140B~$190B)に上るとの概算を発表した。
 スイスは銀行の守秘義務で知られ規制が相対的に緩いことから、長年にわたりロシアの富裕層資産を引き付けている。 (2204-032207)

3月23日 15:02

 InterFax通信がサベリエフ露運輸相の22日の発言として、海外でロシアの航空機78機が差し押さえられていると報じた。
 運輸相は、海外で差し押さえられているロシアの78機がロシアに返却されることはないと語った。
 ロシアの航空会社は海外から515機のリースを受けているが、ロシアでは今月、国内航空会社が外国からリースを受けている航空機をロシア籍に再登録することを認める法律が成立した。 だが、航空会社は海外の取引先との関係悪化を恐れてこの法律の利用を躊躇している。 (2204-032309)

3月24日 05:46

 レモンド米商務長官が23日、ロシアによるウクライナ侵攻を受け米国が導入した輸出規制に違反すればどの国の企業であれ厳しく対応すると述べ、中国企業が米国の技術を利用して製造した半導体をロシアに提供すれば、米国は必ず輸出規制の実施で対応すると改めて表明した。
 ただ、現時点では違反は確認されていないとした。 (2204-032403)

3月25日 09:15

 国際金融協会 (IIF) によると、ロシアが2月下旬にウクライナに侵攻して以来、中国から投資マネーが前例のない規模で引き揚げられており、新興国の資本フローで極めて異例の変化を示した。
 IIF が24日の報告で、他の新興国市場への資本流入が続いているにもかかわらず、高頻度データで中国の株や債券から大規模な資本の流出を検知したことを明らかにした。
 公式データによると、2月はロシアによるウクライナ侵攻が世界の債券投資家の償還に拍車を掛けたことが一因で、外国人投資家の中国国債保有が過去最大の減少を記録した。
 中国の株式市場も3月初めに大幅下落した。
 制裁措置により、ロシア中央銀行がユーロとドルで保有する外貨準備が凍結され、ロシア政府が保有する中国資産を売却して資金を調達するとの臆測につながっている。 (2204-032505)

3月30日 11:16

 TASS通信が29日、ロシア航空大手エアロフロート傘下のロシア航空が運航する旅客機について、全125機が国内登録に変更されたと報じた。
 ロシア政府は先に、ロシアの耐空証明を取得するため外国企業のリース機材の登録を認めることを提案していた。
 ロシア航空のウェブサイトによれば、機材の半分をやや下回る航空機がBoeing社とAirbus社製で、残りはロシアのSukhoi社製という。 (2204-033012)

3月31日 07:40

 米政府高官がインドのロシア産原油輸入急増について、インド政府を「大きなリスク」にさらす恐れがあると警告した。
 バイデン米大統領がロシア産の原油等の輸入を禁止すると表明したのは他国によるロシア産原油の購入を阻止する効力はないが、米政府の発した警告で、他国の購入を制限しようとする狙いがあるという観測が高まった。
 インドはロシアがウクライナに侵攻した以降の値下がりを利用し、ロシア産原油の2021年通年購入量の1,600万バレルに近い少なくとも1,300万バレル購入している。
 米高官は、前年の水準から目立った増加でなく、ある程度の増加は許されると述べた。 (2204-033108)

3月31日 11:42

 ケンドラー米商務次官補が30日、各国による輸出制限によりロシアの戦車生産などが打撃を受けているとの見方を示した。
 ウクライナ政府の情報として、ロシアの主要戦車2工場が部品不足で生産停止したと指摘し、ロシアのBaikal Electronics社は偵察機器や通信機器に使う集積回路を入手できなくなり、MCST社は台湾TSMC社の撤退で、軍事情報システムで広く使用する半導体の調達を断たれたという。 (2204-033110)

4月01日 03:06

 米財務省が3月31日、ロシアの企業など21団体と個人13人に対する追加制裁を発表した。
 制裁対象の企業には合資会社ミクロン社が含まれる。
 米財務省はミクロン社について、極めて重要なロシアの半導体メーカーで、集積回路や電子部品メーカーでもあると説明した。 (2205-040104)

4月03日 08:47

 スペインやマルタなど欧州の主要港で、給油業者がロシア船籍の商船に対する補給を取りやめたことを事情を知る業界関係者5人が明らかにした。
 欧州の港が給油を拒否したことで、複数のタンカーが他国で給油するため遠回りせざるを得なくなったと、このうちの1隻の動きに詳しい関係者は明らかにした。
 地中海の主要な給油地を失うことで、バルト海からアジアへ向かうロシアの油槽船は補給に問題を抱えることになると、複数の海運関係者は指摘する。
 原油を積んだまま海上で立ち往生する可能性もあり、安全上の懸念もあるとしている。 (2205-040304)

4月04日 04:52

 リトアニアのシモニテ首相が3日、ロシアからの天然ガス輸入を完全にやめることを明らかにした。
 アヌサウスカス国防相によると2020年時点では天然ガスの6割をロシアに頼っていたが、他地域からの輸入のめどが立ったもようである。 欧州メディアによるとリトアニアは4月1日から輸入をやめている。
 EU内でロシア産天然ガスの輸入をやめるのは同国が初めてだが、ラトビアとエストニアも輸入をやめる方向で検討を進めている。
 EUは2019年に天然ガスの4割、原油の2割超などをロシアから輸入していた。 (2205-040403)

4月26日 00:40

 インドが、ロシアのウクライナ侵攻後の2ヵ月間に2021年一年間の2倍超のロシア産原油を購入したことがロイタの試算で明らかになった。
 西側諸国の制裁で買われなくなったロシア産原油を、インドの石油精製業者が割引価格で大量購入したため。
 原油の入札業者や取引業者の情報に基づくロイタの試算によると、インドの石油精製業者は2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以来、少なくとも4,000万バレル (bbl) のロシア産原油を発注した。
 ロイタの試算によると2021年一年間におけるインドのロシア産原油の輸入総量は1,600万bblだった。
 インドは世界3位の石油輸入消費国で、日量500万bblの原油需要の85%超を輸入に依存している。
 企業関係者によると、石油精製業者はサウジアラビアなど一部の生産国のより高い公定販売価格の影響を一部相殺するため、より安価なロシア産原油を購入している。 (2205-042601)

4月26日 02:42

 ポーランドの複数のメディアが26日、ロシアがポーランドに対する天然ガスの供給を停止したと報じた。
 ロシアと欧州を結ぶ天然ガスパイプラインYamal-Europeのベラルーシからポーランドに向けた天然ガスの流れは、GMY 14:00(日本時間23:00)時点でゼロになっている。
 ポーランドは、ロシア産天然ガスのルーブルでの支払いを拒否すると繰り返し表明していた。
 この日はロシア国営天然ガス独占企業Gazpromを含むロシア企業やオリガルヒ(新興財閥)に対する制裁措置を発表した。 (2205-042707)

4月28日 02:08

 スイスが27日、EUが決定したロシアとベラルーシに対する制裁措置を強化し、資金調達能力や産業基盤の拡大を制限する。
 スイスは褐炭や石炭、キャビア、木材、魚介類などの輸入を禁止するほか、工業用ロボットや化学製品など、工業生産強化につながる製品の輸出を禁止する。
 また、スイスに居住するロシア人による信託登記を認めないなどの金融制裁も導入する。
 ただ、化学兵器禁止機関 (OPCW) の要請に従い、核兵器、生物化学兵器による攻撃から守るための特殊装備などの輸出は認める。 (2205-042804)

5月02日 08:44

 ドイツが1日、EUの対露追加制裁で露産石油の輸入禁止に前向きな姿勢を示した。
 露産石油に依存するドイツが反対を取り下げたことで、EUは石油禁輸の実現に大きく踏み出した。
 ロシアは東欧2ヵ国に天然ガス供給を停止してEUに揺さぶりをかけており、EUは2日にエネルギー関連閣僚の緊急会合で結束を確認する。
 ドイツはロシアのウクライナ侵攻前、石油輸入1/3をロシアに依存していたため、オーストリアやハンガリーとともにEUの禁輸制裁に反対してきたが、UAEなど新たな供給元の確保が進み、ハーベック経済気候保護相は4月末に、露産への依存度は12%に下がったとして、禁輸は実現可能だという見方を示していた。 (2206-050203)

5月02日 10:32

 ハンガリーでオルバン首相率いる政権の閣僚が、ロシア産エネルギーの輸入制限につながる欧州のいかなる提案に対しても拒否権を行使する方針だと述べた。
 グヤーシュ首相府長官は1日にHir TVに対し、EUがロシア制裁措置をエネルギー分野に拡大することについて「われわれが決して支持しないことを明確にしている」と語った。
 EUはロシア産原油の輸入を年末までに禁止する提案を行う見込みだと、Bloombergが4月30日に報じていた。
 ロシア産エネルギーに大きく依存するハンガリーは、制裁拡大に最も強く反対する国の一つである。 (2206-050204)

5月02日 19:46

 ロシアのガス企業Gazpromが、2022年の1月から4月までの4ヶ月間に於ける中国への輸出量が前年同期を60%上回った。
 一方、非独立国家共同体向けは26.9%減になっている。 (2206-050211)

5月05日 02:34

 EUが対ロシア制裁の一環としてロシア産原油の禁輸措置として、原油は半年以内、石油精製品は年末までに輸入を段階的に廃止する提案を行った。
 ただしロシア産の石油に大きく依存しているハンガリーとスロバキアは来年末までの猶予が与えられた。 発動には全加盟国の合意が必要となる。
 この提案に対しハンガリーのシーヤールトー外務貿易相が4日、現在の形では支持できないと表明した。
 シーヤールトー外務貿易相はFacebookに投稿した動画で、提案された禁輸措置はハンガリーのエネルギー供給を完全に破壊するものだとし、パイプライン経由で運ばれる原油が除外されるのであれば、ハンガリーは禁輸を支持すると述べた。
 これに対しウクライナは、禁輸措置を妨害するEU加盟国はロシアの「共犯」となると警告した。 (2206-050505)

5月10日 05:30

 欧州委員会のフォンデアライエン委員長が9日にハンガリーのオルバン首相と会談し、EUによるロシア産エネルギーの禁輸措置について進展が得られたと述べた。
 ただ、一段の取り組みが必要とし、原油関連のインフラを巡る地域協力の強化に向け、ビデオ形式の会議を開くと明らかにした。 (2206-051005)

4・5・2 経済制裁の効果

2月28日 18:16

 ウクライナ侵攻による米欧の経済制裁で通貨ルーブルが急落し28日には過去最安値を更新したことから、通貨安に伴うインフレ加速を抑えるためロシア中央銀行は28日に政策金利を従来の9.5%から20%に引き上げると発表した。 利上げは2月に入って2回目になる。  政策金利が20%台になるのは2003年以来およそ19年ぶりで、国際決済銀行(BIS)などによると、アルゼンチンの42.5%に次いで高く、トルコの14%を上回る水準である。 (2203-022825)

3月01日 02:19

 国際金融協会 (IFF) が28日、ロシアが対外債務の不履行に陥る可能性は極めて高く、2022年のロシア経済は2桁の縮小に見舞われるとの見通しを発表した。
 インフレ率も2桁に達する見込みという。
 西側諸国による制裁がかつてない規模に達していることが背景にある。
 IIFは、ロシア中央銀行の外貨準備の半分は資産凍結を行った国に保有されていると推定しており、ロシア当局が経済を支える能力は著しく低下しているとみている。 (2204-030105)

3月02日 20:12

 欧米の対ロシア制裁を受けロシア経済が大混乱の様相を呈している。
 露通貨のルーブルは暴落し、過去1間おおむね$1=RUB70台前半で推移していたルーブルは、侵攻初日の2月24日、$1=RUB90近くに下落し、ロシアの主要金融機関を国際銀行間通信協会 (SWIFT) から切り離すとの米欧日の方針決定を受け、28日には一時$1=RUB120近くに下がった。
 このため国民は銀行のATMに長蛇の列をつくり、プーチン政権を支えてきた富豪のオリガルヒ(新興寡占資本家)からも今回の軍事行動に否定的な声が出始めた。 (2204-030227)

3月09日 21:48

 ロシア中央銀行が9日、市中の銀行が国民に外貨を売ることを停止すると発表した。 これを受け、外貨両替ができなくなる。
 ウクライナ侵攻に伴う欧米の制裁で中銀が保有する外貨準備が凍結されたため、深刻な外貨不足に見舞われているもようである。 (2204-030921)

3月14日 15:04

 Wall Street Journalが13日、西側諸国の制裁により経済危機に直面しているロシアの検察が、同国事業の停止や撤退を発表した外国企業に対し、関係者の逮捕や資産の差し押さえを警告したと報じた。
 WSJは情報筋の話として、コカ・コーラ、マクドナルド、P&G、IBM、ケンタッキーフライドチキンとピザハットを運営するブランズなど複数の外国企業を対象に、検察当局から電話や書簡もしくは職員の訪問を通じて警告があったと報じている。
 警告内容は、ロシア政府を批判した関係者の逮捕、知的財産を含む資産の差し押さえなどだったという。 (2204-031406)

3月25日 01:40

 国際金融協会 (IIF) によれば、ロシアはウクライナ侵攻によって2023年末までに過去15年分の経済成長を失う見通しである。
 多くの制裁措置が発動されたほか、ロシアから撤退する企業が相次いだことが背景にある。
 IIFのエコノミストが戦争の影響に関する初期分析を行った結果、ロシアの経済成長率を今年が-15%、来年が-3%と予測した。
 この結果、国内総生産 (GDP) は15年前の水準へと落ち込むことになる。 このエコノミストは追加制裁によって予測が変化する可能性もあるとしている。 (2204-032503)

3月29日 07:34

 S&P Globalが、ロシアの2022年の国内総生産 (GDP) 成長率見通しを従来から10%以上引き下げ-8.5%とした。
 ウクライナでの紛争による影響を考慮したもので、ポーランドおよびトルコの成長率見通しも1%以上引き下げた。 (2204-032909)

5月06日 17:26

 ロシアでの資本規制や外貨需要の低迷を背景に、6日のロシアルーブルは一時、2020年2月以来の高値となるRUB69.125と2年ぶりの高値をつけた。
 対ドルでも1.1%高のRUB66.24で、前日記録した2年ぶり高値のRUB65.3125に迫っている。
 ルーブルはここ数週間、輸出企業による強制的な外貨の売却で恩恵を受けているうえ、輸入の縮小や国境を越えた取引の制限で外貨需要も低迷している。 (2206-050606)

5月14日 04:35

 ロシア連邦統計局が13日公表した4月の消費者物価指数は前年同月比17.83%上昇した。
 前月比でみると、3月は7.61%で1999年以来の大きさだったが、4月1.56%の上昇で上昇幅は緩やかになっている。
 ロイタ通信によると、2002年1月以来の高水準で、西側諸国による制裁とルーブルの大幅な変動が主な要因とみられる。
 ルーブルは対ユーロなどで回復しつつある一方、高インフレは生活水準の低下につながるため、プーチン政権にとっても懸念になっている。 (2206-051407)

6月09日 16:15

 ショルツ独首相が訪問先のリトアニアの首都ビリニュスでの記者会見で9日、西側諸国の厳しい制裁に晒されているロシアが現在のような軍事力を維持することは不可能になるだろうとの見方を示した。
 ウクライナ侵攻以降に打ち出された制裁は非常に効果的かつ非常に広範囲に及んでいるとし、ロシア経済は数十年前の状態まで後退するだろうとも指摘した。
 ロシアが例え、軍用に回すため民生品の輸入を転用しようとしても、制裁の効果を受け軍事力の持続は不可能だろうとも述べた。 (2207-060907)

6月13日 12:00

 フィンランドの環境団体が13日に公表した調査結果によると、ウクライナ侵攻が始まってからの100日間でロシアからの化石燃料の輸出総額は13兆円余りに上るという。
 ロシアからの平均輸出価格が去年に比べて60%高騰しているため、経済制裁などにより輸出量は減ったものの、価格高騰が影響し十分な利益を得たと分析している。
 主な輸出先は中国、ドイツ、イタリアで、インドはロシアからの原油が精製した後に欧米へと再輸出していて、抜け穴になっていると指摘している。 (2207-061302)

6月18日 04:45

 ロシアの最大手銀行SberbankのグレフCEO(元経済発展相)が17日にサンクトペテルブルクで開かれたロシアの年次国際経済フォーラムで、ロシアが制裁により貿易の約半分を断たれた結果、制裁を受ける前の2021年の経済水準に戻るには10年かかる可能性があるとの見解を示した。
 グレフCEOはロシアに制裁を加えた国はロシアの輸出の56%、輸入の51%を占めるとの試算を示し、「これはロシアGDPの15%に対する脅威であり、経済の大部分は火の車だ」とし、ロシア経済の構造改革を呼びかけた。 (2207-061801)

6月20日 11:00

 10日から3日間開かれた英国際戦略研究所 (IISS) が主催するアジア安全保障会議 (Shangri-La Dialogue) で議長を務めたチップマンIISS所長が、伝統的にロシアからの武器供与に依存している国は1、2年で部品調達やメンテナンス、新たな装備調達が困難になることに気づくだろうと述べた。 (2207-062009)

6月23日 05:50

 シルアノフ露財務相が22日、政府の今年第1四半期(1~3月)の歳入がRUB72T(18兆円)と、前年同期より増加したことを明らかにした。
 欧米の対露制裁などを受けて石油やガス価格が高騰し、税収が伸びたことなどが背景にある。
 ロシアのウクライナ侵攻を受け、欧米や日本は、厳しい対ロシア制裁を科し、同国に打撃を与える狙いだったが、供給不安から石油などのエネルギー価格が高騰したため、逆にロシア政府の歳入が増加する結果となった。 (2207-062306)

6月23日 09:42

 米大統領経済諮問委員会 (CEA) のラウズ委員長が22日、中国とインドが米国の想定より多いロシア産原油を購入してる可能性があり、これが世界市場の需給逼迫を緩和し、最近の原油相場反落を招いている可能性があるとの見方を示した。 (2207-062307)

8月27日 19:15

 BBCが26日、ロシアがフィンランドとの国境近くにある液化天然ガス (LNG) プラントで、大量の天然ガスを焼却処分していると報じた。
 1日に焼却されたガスを金額に換算すると$10Mに上る。
 処分しているのはドイツに供給されるガスだったとみられ、駐英独大使はBBCに対し「ロシアは買い手を見つけられなかったので、燃やすしかないのだろう」と述べた。
 欧州各国がロシアへの天然ガス依存を見直す中、国内で余るようになったとの見方が出ている。 (2209-082707)

9月18日 16:50

 複数の米政府高官が18日までにCNNの取材で、ロシアのウクライナ侵攻を受け米国が主導して打ち出した制裁がロシア経済にこれまで大きな打撃を与えていないことへの失望感を表明した。
 これら高官は、最も厳しい波及効果は早くとも来年初期まで表れない可能性があるとも述べた。 (2210-091806)

10月07日 11:11

 木原官房副長官が7日午前の閣議後会見で、ロシアがウクライナ4州の併合を宣言したことに対し、日本政府は7日に新たな追加制裁として併合に直接関与したと判断した4州と、ロシアの関係者に対する資産凍結を行うことを決めたと発表した。
 追加制裁の対象はロシア政府関係者やウクライナ東部ドンバス地方の義勇兵連合関係者ら81人と9団体である。 (2211-100706)

10月15日 18:24

 米財務省はロシアへの制裁に加わる33ヵ国の政府関係者と14日にワシントンで会議を開き、半導体輸出規制などの経済制裁が効果を上げ、ロシアが戦車やミサイルなどの武器を作れなくなっていると報告した。
 報告書によると、2月の制裁開始以降、武器生産に不可欠な半導体の輸入は約7割減少したため、極超音速弾道ミサイルの製造がほぼ停止し、SAMなどの生産工場が閉鎖された。
 ロシア軍は不足する武器を補うため、旧ソ連時代の備蓄を使い始め、北朝鮮やイランなどロシアに比べて技術力の低い国にも供給を頼らざるを得なくなっているが、半導体の軍事転用のため自動車生産が昨年に比べ3/4に減り、食器洗い機や冷蔵庫の半導体も軍事機器の修理に使われているとの見方を示した。 (2211-101513)

10月20日 18:15

 米情報機関を統轄する国家情報長官室が20日までに、ロシア軍がウクライナに投入している武器弾薬類の補給能力が西側諸国による制裁の効果で大幅に削がれているとの新たな分析結果を明らかにした。
 ロシア政権はこの事態を受け、情報機関に対して制裁策をかわしウクライナ侵攻を支える必要不可欠な技術や部品調達の方途を見い出すよう迫っているともした。
 CNNが入手したこの分析結果によると、ロシアがウクライナ侵攻に踏み切って以降に失った軍装備品は6,000点以上で、ロシア軍はマイクロチップ、エンジンや赤外線画像の技術といった新たな兵器製造に必要な物資の確保に手間取っているとした。
 マイクロ電子技術を手掛けるロシアの最大手2社は必要な外国製部品が入手できないため一時的に製造中止を強いられ、ハイテク技術の部品でもないベアリングも欠乏しており、戦車、航空機、潜水艦やほかの軍事的な装備品の生産にも支障を与えている。 (2211-102013)

11月02日 00:46

 ロシアのRIA Novosti通信が、ロシアの大富豪25人の保有資産が年初から$83.4B減ったと報じた。 25人の合計資産は$300Bで22%の下落となる。
 資産が最も減った富豪は$11.2B減であった。
 ウクライナ侵攻後の株価の下落やビジネスの縮小が影響したとみられる。 (2212-110201)

11月29日 03:59

 ロシア外務省報道官が国営TASS通信に対し、29日~12月6日に予定されていた新戦略兵器削減条約(新START)に関する米国との2国間調整委員会の会合を後日に延期すると発表した。 それ以上の詳細については明らかにしなかった。
 両国は新STARTに基づき相互の軍事施設に対する査察を行ってきたが、ロシア政府は8月に自国による査察を米国が妨害したとして、米査察の受け入れを停止すると表明し、米政府は査察再開の可能性について11月、近くロシアと協議する予定だとしていた。 (2212-112902)

12月31日 02:38

 ロシア連邦統計局が12月30日に2021年の経済成長率を1.7%から5.6%に上方修正した。
 COVID-19パンデミック1年目からの回復が従来想定よりも力強いものだったという。
 これに対し政府が年初時点で3%と年間成長率を見込んでいた3Q/2022年の経済成長率は前年比で-3.7%と、速報値と変わらなかった。 (2301-123103)

4・5・3 ロシアへのエルギー依存

Nordo Strean 1 のジレンマ

 カナダ政府が、同国で修繕を終えたNordo Strean 1のタービンをドイツに返却すると発表した。
 時限的に対露制裁の適用除外とし、欧州がロシア産ガス依存から脱却するまでエネルギーを安定調達できるよう支援すると表明した。
 ロシア国営Gazprom社は6月、独Siemens Energy社がカナダで修繕中の設備の返却が遅れていることを理由にNordo Strean 1経由でドイツへのガス供給量を計画の4割に削減した。
 ロシア大統領府は7月8日にタービンが返却されれば欧州向けのガス供給を増やす考えを示しており、10日にはSiemens社ができる限り早期にNordo Streanにタービンを戻せるように取り組んでいると表明している。
 これに対しウクライナ政府は、カナダはロシアの気まぐれに応じて制裁を変更しているも同然だと反発し、決定の撤回を求めた。 (2208-071102)

 ロシアからドイツに天然ガスを送るNordostream 1は7月11日から10日間、定期保守点検に入るため供給が完全に停止する。 Nordostream 1はバルト海底経由で年間550億立米のガスを輸送している。
 欧州の各国政府や市場、企業は停止期間が延長される可能性を懸念している。
 ロシアは6月、独Siemens Energy社がカナダで修繕中の設備の返却が遅れていることを理由にNordostream 1経由でドイツへ供給される量を従来計画の4割に削減した。
 カナダはこの週末に、修繕を終えたガスタービンをドイツ側に返却すると発表していた。 (2208-071104)

 ルメール仏経済財務相が7月10日に開かれた経済会議で、EUによる制裁とウクライナへの支援に対する報復として、ロシアが天然ガス供給を完全に遮断する事態に欧州は備える必要があると語った。
 同経済財務相は、フランスはエネルギー消費に「大いに慎重を期す」と同時にガス備蓄を積み増し、再生可能エネルギーの開発を遅らせる官僚主義を排し、原発新設計画を加速させなければならないと主張した。
 さらにガラスメーカーなどが回復不能な損害を被ることを確実に免れるよう企業別、地域別にエネルギー使用量を抑制する計画を立案する必要性に言及した。 (2208-071105)

Nordo Strean 1 のタービン返却問題

 ロシア国営Gazprom社が7月16日にTwitterで、独Siemens Energy社に対し、カナダで修繕したNordostreamのタービンを返却するよう要請したことを明らかにした。
 Gazprom社は6月中旬にタービンの返却の遅れを理由に、ガス輸送量を削減しているのに対し、カナダ政府は対露制裁を緩和しタービンを返却すると発表したが、Gazprom社は「書類上保証されていない」としていた。
 Gazprom社は7月11日から保守作業を理由にガス輸送を停止している。
 保守作業は21日に終了予定だが、欧米の経済制裁への報復で供給が再開されないことが懸念されている。 (2208-071701)

 ロシアのKommersant紙が7月18日に関係筋の話として、カナダが修理作業を終えたNordostream 1のタービンを17日に航空機でドイツに輸送したと報じた。
 Kommersantによると、タービンはドイツからフェリーで送られ、ヘルシンキ経由でロシアへ陸送される。 ロシアに到着するのは24日ごろで、稼働に向けた準備作業に3~4日必要としている。
 ロシア国営Gazprom社はこれまでに、タービンの返却の遅れを理由にドイツへのガス供給量を減らしている。
 Nordostream 1は現在、定期メンテナンス中で21日に完了する。 (2208-071808)

 複数の関係者がロイタに、Nordostream 1経由のガス供給は定期メンテナンスが終了する7月21日に再開される見通しと述べた。
 Nordostream 1を通じた供給は定期保守点検のため今月11日から停止していた。 (2208-072001)

 ロシア国営Gazprom社が8月3日、Nord Stream 1用のタービンについて、対露制裁のためドイツからの納入が不可能となっていると主張した。
 Gazprom社は「カナダとEU、英国による制裁に加え、タービンを製造した独Siemens社との契約義務関連の問題のため、タービンの納入が不可能となっていると説明した。
 欧州諸国は、ロシアがタービンの受け取りを遅らせ、欧州へのガス供給をさらに減らすための口実にしようとしているのではないかと疑っている。
 ベーアボック独外相は、プーチン露大統領が駆け引きを仕掛けてきているが、西側諸国が分断されることは「あり得ない」と述べた。 (2209-080408)

4・5・4 経済制裁の逆効果

エネルギー輸出利益が大幅増加

 ラブロフ露外相がボスニアのセルビア系TVで4日、西側の制裁によって石油輸出に影響は生じていないとし、今年のエネルギー輸出利益は大幅に増加するとの見方を示した。
 ラブロフ外相は、西側の制裁の結果として形成された価格水準によりロシアは財政面で全く損失を負わないどころか、むしろ今年はエネルギー資源輸出から得る利益が大幅に増加するだろうと述べた。 (2207-060605)

ロシアの石油生産量が増加

 石油輸出国機構 (OPEC) とロシアなどの産油国で構成するOPEC+の資料によると、OPEC+全体の5月の生産量は目標日量を2,695,000バレル下回り、4月は同2,595,000バレル下回ったが、4月に日量9,159,000バレルだったロシア生産量は5月には日量9,273,000でと増加した。 (2207-061612)

4・5・6 経済制裁破り

4・5・6・1 中 国

中国政府が制裁に反対

 各国がロシアへの経済制裁に乗り出す中、中国政府は「ロシアと正常な貿易協力を進める」と制裁に反対する姿勢を表明した。
 中国外務省は2日の会見で、欧米や日本などによる経済制裁について、あらゆる違法な制裁に断固反対すると主張した。
 そのうえで、中国とロシアは引き続き正常な貿易協力を進めたいと述べ、天然ガスなどの購入を続ける考えを強調した。
 また金融監督当局のトップも2日の会見で、金融制裁に賛成しないと明言し、国際的な制裁の動きには参加せずに正常な金融取引を保つとしている。 (2204-030317)

中国の数社がロシア産石炭を人民元で購入

 ロシアのウクライナ侵攻を巡り、欧州は米国と歩調を合わせて追加制裁を打ち出す構えだが、ロシアが経済を支える方法を見い出しつつある兆しが多く表れている。
 ロシア極東産ソコル原油の5月出荷分は完売した。
 中国の数社は3月にロシア産石炭を人民元で購入した。 ロシアから欧州に輸出されるガスの量は侵攻以降に増加した。 このいずれもが制裁の対象とはなっていない。
 Bloomberg Economicsはロシアがエネルギー輸出で今年上げる収入を前年から3割強増の$32Bと予想している。
 ルーブルはドルに対して戦争前の水準をすでに回復しており、バイデン米大統領が「がれき」とやゆしたルーブルの盛り返しが鮮明になっている。 (2205-040804)

中国の5月原油輸入量、ロシア産が首位

 中国税関総署が6月20日に5月の貿易統計の詳細データを公表したが、中国の5月の原油輸入量はロシア産がサウジアラビア産を抜いてトップになった。
 ロシアからの調達が国別で最も多くなるのは2021年12月以来5ヵ月ぶりで、ロシア産原油は米欧の輸入禁止の制裁で買い手が減っており、中国は国際価格よりも安い価格で調達したもようである。 (2207-062111)

4・5・6・2 インド

インドがロシア産石油の原産地洗濯

 Wall Street Journalが6月1日、ロシア産石油が瀬取りなどで原産地を偽装する所謂ロンダリング(洗濯)で国際社会の制裁網をくぐり抜け、世界各地に輸出されていると報じた。
 特に日米豪と共にQuadに参加しているインドの大手精油会社が、ロシア産石油をガソリン、軽油と混合して密輸するのに重要な役割を担っていると指摘している。
 インドのロシア産石油輸入量はロシアのウクライナ侵攻前に1日約3万バレルだったが、侵攻後1日80万バレルの27倍急増した。
 特にエネルギー大手のReliance Industries社は5月だけロシアの侵攻前より7倍多いロシア産石油を買い、ロシア産石油の購入の尖兵に立っている。
 Reliance Industries社が産地を偽装したロシア産石油が米国に輸出しているとの疑いも起こった。
 Reliance Industries社は4月21日に石油精製品をタンカーに載せ、5月22日に米ニューヨークで荷下ろした。 米税関当局が、ガソリンや軽油などには明確な原産地の表示を強制しないことを狙ってロシア産石油を米市場に売ったとみられている。 (2207-060304)

制裁違反にインド船が関与

 インド準備銀行(中央銀行)のパトラ副総裁が8月13日、米国の対露制裁に違反してロシア産原油を原料とする燃料がインドの船舶を介して米国に輸出されたとして、米政府から懸念を表明されたと明らかにした。
 米国は、ロシア産の原油、石油製品、石炭、ガスなどの輸入を禁止している。 (2209-081501)

 バイデン米大統領が8月14日、インド独立75周年に際し祝辞を贈った。
 大統領は声明で、米国とインドは欠くことのできないパートナーであり、この先何年もの間、世界の課題に取り組むべく協力し続けるだろうと述べた。 (2209-081502)

 インド政府が8月12日、ロシア産の石油価格に上限を設ける措置の導入に関して、欧米諸国などからの圧力はないと述べた。
 イエレン米財務長官は先月、ロシアの戦争資金調達を困難にするため提案されているロシア産原油価格に上限を設定する案について、インドとの協議は心強い内容だったと述べた。 (2209-081503)

インドの屁理屈

 ジャイシャンカル印外相は12月5日、欧州はロシア産化石燃料依存からの脱却を目指しているが、いまだに輸入量はインドを大幅に上回っていると主張し、ロシア産原油の割安価格での輸入を正当化した。
 ウクライナのクレバ外相は6日に放送されたインドの民放NDTVとの対談で、「欧州も同じことをしている」と主張してロシア産原油の輸入を正当化するのは完全に間違っており非道徳的だと反論した。 (2301-120711)

4・5・6・3 トルコ

トルコがロシアと協力強化

 InterFax通信が5日にノバク露副首相の発言として、プーチン露大統領とトルコのエルドアン大統領が、ロシア産ガスに対する支払いの一部をルーブルに切り替えることで合意したと報じた。
 露国営TASS通信によると、両首脳は5日にソチで4時間にわたり会談し、輸送業、農業、建設業で協力を強化することでも合意したという。 (2209-080601)

欧州各国のエネルギー不足を「自業自得」と揶揄

 トルコのエルドアン大統領が9月6日に記者会見し、欧州各国でロシアからの天然ガス供給が滞り、暖房需要が高まる冬場のエネルギー不足が懸念されていることについて「自業自得だ」と述べ、ウクライナ侵攻を受けた欧州諸国の対ロシア強硬姿勢を問題視した。 (2210-090607)

4・5・6・4 その他諸国

トルコが制裁逃れに加担

 トルコメディアが関係者の話として6月9日、ロシア国営ガス大手ガスプロムやオリガルヒ(新興財閥)など43のロシア企業がトルコのイスタンブールに欧州拠点を移すと報じた。  移転は8日に開かれた両国の外相会談で協議され、7月に開始されるという。
 欧州は米国などとともにロシア企業への制裁を強めていて、ドイツは4月にガスプロムの独子会社を政府管理下に置いている。
 欧米企業が自主的に取引を打ち切るケースも多い一方、トルコはNATO加盟国でEUとは関税同盟を結びながら、ロシアへの制裁に反対している。
 トルコ商工会議所連合会(TOBB)によると、トルコ国内に設立されたロシア系企業は3月に64社、4月に136社となった。
 2021年1年間では177社であり、ウクライナ侵攻後に急増している。 (2207-061002)

 米財務省が、アデエモ米財務副長官がトルコのエリタス財務次官と電話会談し、ロシアの団体や個人がトルコを利用して米欧の制裁を回避しようとしていると警告したと発表した。
 トルコ財務省の発表によると、エリタス次官はトルコがロシア、ウクライナ両国と深い経済・政治的関係を築いていると強調すると同時に、いかなる組織や個人による制裁違反も許容しない立場を改めて示した。 (2209-082205)

セルビアが制裁実施を拒否

 セルビアのブチッチ大統領が6月10日、同国を訪問したショルツ独首相との共同記者会見で、ロシアへのEUの制裁に加わるべきだとのショルツ首相の主張について、「制裁に関する限り、われわれはEUとは立場が異なる」と述べ撥ね付けた。
 セルビアはEUから加盟候補国と認定されている国の一つであるが、ブチッチ大統領はセルビアとロシアが長く特殊な関係にあったことをEUが考慮すべきだと述べた。
 ショルツ首相は今回のバルカン諸国訪問で、長年停滞しているEU加盟問題を再活性化させる手伝いをするととして、10日にセルビアに先立ち訪問したコソボでは、クルティ首相との記者会見で自分の政府はコソボのEU加盟を優先事項としていると表明している。 (2207-061303)

制裁崩しのロシアの策謀

 Bloombergが8月24日に西側当局者の話として、ロシアがアジア数ヵ国に対し、最大30%の割引価格で石油長期供給契約について打診したと報じた。 (2209-082502)

フィリピンが「国益優先」

 マルコス比大統領がBloombergとの会見で9月23日、国益がロシアのウクライナ侵攻を巡る潜在的懸念より優先されるとして、燃料および他の主要商品の購入でロシアと協議を行っていると語った。
 ロシアのウクライナ侵攻を受けた米国主導の制裁措置について問われると、「政治的な面はやや複雑だが、それでも国益が優先される」と答えた。 (2210-092407)

4・5・7 間接的ロシア支援

サウジアラビア、石油価格の高値誘導

 米上院外交委員会のメネンデス委員長(民主党)が10月10日、サウジアラビアはウクライナ戦争でロシアを支援していると非難し、武器売却など同国との協力関係を凍結するよう求めた。
 同委員長は声明で、武器売却や安全保障上の協力を含むサウジアラビアとの全ての協力を直ちに凍結する必要があるとし、サウジアラビア政府がウクライナ戦争に関する立場を再評価するまでいかなる協力も承認しないと語った。 (2211-101117)

 米国家安全保障会議 (NSC) のカービー戦略広報調整官が10月11日の記者会見で、バイデン大統領がサウジアラビアとの関係見直しを考えていると明らかにした。
 石油輸出国機構 (OPEC) 加盟国とロシアなどの非加盟の産油国で構成するOPECプラスが米国などの要望に反して減産に乗り出す中、不満をあらわにした。 (2211-101207)

 石油輸出国機構 (OPEC) とロシアなど非加盟の主要産油国で構成するOPECプラスが大幅減産を発表する数日前、米政府関係者はサウジアラビアと湾岸の主要生産国に減産を1ヵ月先送りするよう求めていたことを協議の内容を知る関係者が明らかにした。 米国への答えは断固とした「ノー」だった。
 米国側はサウジに対し、減産に踏み切ればウクライナ戦争でロシアの側に立つという明確な意思表示と見なし、米政府内ですでに弱まっているサウジ支援の機運がさらにしぼむことになると警告したがサウジ政府関係者は、米中間選挙を控えて都合の悪いニュースが出るのを避けたいバイデン政権の政治的思惑にすぎないと判断し、要請をはね付けた。 (2211-101210)

トルコ、エネルギー供給拠点を新設するプーチン提案に同調

 トルコのエルドアン大統領が13日、ロシアと協力して欧州へのエネルギー供給拠点を新設するプーチン大統領の提案について、直ちに作業を開始するようエネルギー省に指示したと、現地メディアが14日に一斉に報じた。 エルドアン大統領は記者団に対して、トルコ北西部のトラキア地方で建設を進める意向を示した。
 プーチン大統領は13日にカザフスタンのアスタナでエルドアン大統領と会談し、この中で「トルコが最も信頼できる天然ガスの欧州向けルートだ」と述べて拠点新設を提案していた。 (2211-101418)

中国のロシアとのエネルギー貿易が33%増加

 習主席が11月22日、中国のロシアとのエネルギー貿易は、2022年の10ヶ月間に33%増加し$153.9Bに達したと述べた。
 中露貿易でエネルギー貿易が占める割合は66%であるという。 (2212-113022)

4・6 外交官等の退避及び追放

2月24日 08:54

 米国務省が24日、在米ロシア大使館の公使を国外に追放すると発表した。
 ロシアが先に米国のゴーマン駐露首席公使を追放したことへの報復という。 同省はゴーマン公使が追放された際、「いわれのない理不尽な行為だ」と批判していた。
 また、政治専門紙The Hillによれば、国務省はロシアによるウクライナ全面侵攻を受け、大使館機能を同国西部リビウからポーランドに一時的に移転すると決めた。 (2203-022514)

2月25日 17:19

 ミクロネシア連邦が25日、ロシアのウクライナ侵攻に抗議するため、ロシアとの外交関係を断絶した。 (2203-022524)

2月27日 07:14

 駐露米大使館が27日、ロシア在住の米国人に対し、直ちに国外退避を検討するよう勧告した。
 ウクライナ侵攻を受けて各国の航空会社がロシア発着便をキャンセルしている上、複数の国がロシア航空会社に領空を閉鎖したことを理由としている。
 米国務省は1月下旬に、ロシアへの渡航を最も危険度が高いレベル4の渡航中止と定めている。 (2203-022812)

3月01日 00:09

 米国は28日、ベラルーシの首都ミンスクの大使館を閉鎖したと発表した。
 フィッシャー駐ベラルーシ米大使はツイッターに、職員が国旗を降ろしている写真を投稿した。 同大使によると、米国人の大使館員は全員ベラルーシを出国した。
 また、駐露米大使館についても緊急対応要員以外の職員および家族の出国を許可した。 (2204-030101)

3月01日 06:07

 ネベンジャ露国連大使が28日、米国が国連に派遣されているロシアの外交官12人に対し3月7日までに国外に退去するよう要請したしたことを明らかにした。
 ロシアも対応するとしている。
 ネベンジャ国連大使はウクライナの人権状況を討議する安全保障理事会会合の冒頭でこの問題を提起し、米国のこうした行動は敵対的だとし、ニューヨークに国連本部を置く国としてコミットメントに違反していると述べた。 (2204-030111)

3月02日 19:06

 米政府が1日、国連職員として勤務していた3月14日で任期が終了する予定だったロシア人1人を国外追放すると明らかにした。
 米国連代表部の報道担当者は、この人物は情報員で米国に居住する特権を乱用していたと説明した。 (2204-030225)

3月30日 06:24

 EUに加盟するベルギー、オランダ、アイルランドなどが29日、スパイ行為などの疑いで複数のロシア外交官に国外退去を求めた。
 ベルギーはスパイ行為にかかわったとの疑いで、ブリュッセルの大使館とアントワープの領事館に勤務する合わせて21人のロシア外交官に国外退去を要請し、オランダはベルギーと協調して外交官の資格を持つ17人のロシアの情報要員に国外退去を要請した。
 このほかにアイルランドがロシア大使館勤務の外交官4人、チェコがロシア大使館勤務の外交官1人に国外退去を求めた。
 ロシアは「非友好的な行為」に対抗措置を講じる姿勢を示している。 (2204-033008)

4月05日 02:20

 ドイツのベーアボック外相が4日、ロシアの外交官を国外へ追放すると発表した。
 独メディアによると、40人規模の外交官を「招かれざる者」として退去するよう命じた。 独メディアによると、指定された外交官は5日以内に国外へ退去しなければならない。
 フランス外務省も同日、ロシア外交官を追放すると発表した。 AFP通信によれば、対象は35人という。
 ロシアの外交官をめぐっては、ポーランドなどの欧州諸国も、スパイ行為に関与した疑いで外交官らの国外追放を決めている。 (2205-040502)

4月06日 03:30

 イタリアのドラギ首相が5日、ウクライナで起きた「戦争犯罪」は罰せられる必要があると言明した。
 また、イタリア政府は国家安全保障上の理由から、ロシアの外交官30人を追放すると発表した。 (2205-040603)

4月21日 20:10

 ロシア外務省が21日、ラトビア、リトアニア、エストニアのバルト三国の領事館に閉鎖を命じ、職員に国外退去を命じたと発表した。
 対象となったのはサンクトペテルブルクにある3ヵ国の領事館と西部プスコフにあるラトビアとエストニアの領事館と事務所て、ウクライナ侵攻を受けてラトビアとエストニアが4月にロシアの領事館の閉鎖を命じ、リトアニアがロシア大使に国外退去を命じたことへの報復という。 (2205-042113)

5月19日 00:51

 ロシアが18日、フランス、スペイン、イタリアの外交官ら計85人を国外追放すると発表した。
 ロシア外務省によると、追放される外交官や大使館職員は、フランスが34人、スペインが27人、イタリアが34人で、これら3ヵ国がロシアの外交官を国外退去させたことへの対抗措置という。
 ロシアがウクライナ侵攻を開始した2月24日以降、これら3ヵ国を含め欧州諸国から追放されたロシアの外交官は300人を超える。
 ロシアも西側諸国の外交官を国外退去させ、報復合戦になっている。 (2206-051901)

9月27日 22:02

 米政府が9月27日、ロシアに滞在する米国民に対し、直ちに出国するよう勧告した。
 ロシアが部分動員令を出したことで、米国との二重国籍保有者がロシアから出国できなくなり、徴兵される可能性があると指摘した。 (2210-092819)

10月03日 14:23

 日本政府は、10月内に松田ウクライナ大使を首都キーウに帰任させ、日本大使館の一部業務を再開させる方針を固めた。
 ロシアによるウクライナ侵攻を受けて3月上旬からキーウの日本大使館を一時閉鎖し、ポーランドで業務を行っている。 (2211-100311)

10月10日 08:57

 ポーランド政府が10月10日、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ポーランドとベラルーシの関係が一段と悪化しているため、ベラルーシ国内にいる自国民に退避を勧告した。
 ポーランドとベラルーシは2021年にベラルーシ国境から移民が流入して関係が悪化し今年2月のロシアによるウクライナ侵攻で一段と緊張が高まっている。
 ポーランドは9月に、ロシア国内にいる自国民にも同様の勧告を行っている。 (2211-101112)

4・7 その他の民間活動

4・7・1 企業の撤退

3月01日 02:30

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対する経済制裁の一環として行われる輸出規制に関連し、インテルとAMDがロシアへの半導体販売を停止したことが複数のメディアで報じられた。
 また、台湾政府及び台湾半導体大手のTSMCも同調する動きを見せており、ロシアの国産半導体の供給が阻害されるとの見方も強まっている。 (2204-030106)

3月01日 05:22

 英石油大手シェル石油が2月28日、ロシアのガス大手ガスプロムとの提携を解消し、シベリアでの石油天然ガス開発事業サハリン2から撤退する方針を表明した。
 同業大手の英BPに続き、ロシアでの事業を抜本的に見直す動きが広がる。
 サハリン2には三井物産と三菱商事も参画しており、日本にとってエネルギー安全保障の重要性が増すなか、両社は難しい対応を迫られる。
 シェルは他にサリム油田の権益のほか、NordoStreem 2事業からも手を引く。 (2204-030109)

3月01日 09:27

 世界最大の航空機リース会社であるアイルランドのAerCap社が、ロシアの航空会社との間でリース活動を停止すると発表した。
 このため米市場に上場する同社株は13%超値下がりした。
 航空調査のCirium社によると、ロシアの航空会社は980機の旅客機を運航しているが777機がリースで、このうちの2/3に当たる515機が外国企業からのリースという。
 EUは27日に航空機リース会社に対し、3月28日までにロシアでの現行契約を終了するよう求めた。 (2204-030113)

3月02日 09:50

 イタリア関係筋2人が1日、イタリアはロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシア天然ガス大手Hobatek社が主導する北極圏のLNG事業への融資を停止したことを明らかにした。
 イタリアは総事業費が$21Bに上るArctic LNG2事業に€500M ($561M) を融資する予定だったが、欧米の対ロシア制裁がさらに強化される可能性もあるため、再考を迫られた。 (2204-030212)

3月02日 12:14

 Boeing社が1日、ロシアの航空会社への部品、メンテナンス、技術サポートを停止したと発表した。 (2204-030217)

3月02日 15:59

 Apple、Exxon Mobil、Boeingなど米大手企業が2日、ロシアからの撤退や停止を発表した。 Walt Disney、Ford、Mastercardなども相次いでロシア事業からの撤退や停止を表明しており、同国経済への打撃は避けられない。
 更にクレジットカードVisa、Mastyer Card、American Expressの各社も、ロシアの複数の銀行を決済網から排除すると表明した。 (2204-030221)

3月03日 00:33

 Exxon Mobil社が1日、日本の官民が出資するロシアの石油天然ガス開発事業サハリン1から撤退すると発表した。
 サハリン1には日本やロシア、インドともに出資していて、日本政府、伊藤忠商事、丸紅など日本勢が30%の権益を保有している。 (2204-030302)

3月03日 12:03

 マツダがロシアにある合弁工場への部品の輸出を将来にわたって停止する。
 マツダはウラジオストクでロシアの自動車メーカと合弁工場を運営していて、部品を日本から輸出しSUVなどを現地で組み立てているが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、予約済みのコンテナ便については予定通り運用するが、それ以降の新規の予約はしない。
 マツダは、今後のウクライナ情勢を注視して最終的な対応を判断したいとしている。 (2204-030315)

4・7・2 マスコミの動向

2月27日 05:01

 スイスのベルンに本部を置く欧州通信社連盟 (EANA) が27日、ロシア政府のメディア統制で偏りのない報道ができなくなっているとして、ロシアのTass通信の会員資格を即時停止したと発表した。
 複数の会員から除名要請があり、理事会が資格停止を決定した。今後、総会で除名するかどうかを決める。 (2203-022807)

3月05日 02:48

 英BBCが4日、ロシアでの全ジャーナリストとサポートスタッフの業務を一時的に停止すると発表した。
 ロシアで、意図的にフェイクニュースを流したとされる人物に刑事罰を科す新法が導入されたことを受け、スタッフの安全確保を優先する。
 BBCは、この法律は独立したジャーナリズムのプロセスを犯罪視していると非難する声明を発表した。
 BBCのロシア語サービスは継続し、ロシア国外から運営するという。 (2204-030503)

3月09日 07:52

 英BBCが8日、ロシアからの英語放送を再開すると発表した。ロシアからの英語放送を8日夜から再開することを決めたとしている。
 ロシアではウクライナ侵攻をめぐる情報統制の一環として4日、同国軍に関する「偽情報」を報じる行為を対象に長期の禁錮刑を科す新法が成立したため、BBCは同日に同国での取材活動を停止していた。
 BBCは、慎重に検討した結果、ロシア国内からの報道が急務であることを考慮したとした。
 外国メディアでは、米New York Times、カナダ放送協会(CBC)、独公共放送のARDとZDF、米Bloomberg News、CNNとCBSなどがロシアからの報道を停止している。 (2204-030913)

4月01日 01:16

 英政府が31日、ロシアのウクライナへの軍事侵攻についてうその情報を拡散したとして、ロシア国営メディアのRTとSputnikの運営団体や幹部を制裁対象に加えると発表した。
 英国内の資産が凍結されるほか、個人は英国への渡航も禁じられる。英国の企業や個人がRTやSputnikと取引することも禁止される。 (2205-040102)

5月19日 11:52

 ロシア外務省が18日、公営カナダ放送協会 (CBC) モスクワ支局の閉鎖と、同支局の記者に発給していたビザと記者証抹消を決めたと発表した。
 カナダ政府が3月にロシア国営TV RTのカナダ国内での放送を禁止したことへの報復措置という。 (2206-051904)

4・7・3 民航機、船舶、鉄道

2月27日 03:42

 日本時間の27日23:00の時点でEU加盟16ヵ国のほか、ノルウェー、アイスランドや北マケドニア、英国の合わせて20ヵ国がロシアの航空機の上空の通過を禁止した。 国の数はさらに増える可能性もある。
 これに対しロシアもこれらの国に対して同等の措置をとっているため、欧州とロシアを結ぶフライトの多くがキャンセルになり、ロシア上空を飛ぶ欧州から日本に向かう便にもすでに影響が出ている。 (2203-022804)

2月27日 08:34

 EUが27日に、ロシアへの制裁の一環として、EU領空にロシアの航空機が乗り入れるのを禁止すると発表した。
 カナダもロシア機に対して自国の領空通過を禁止した。 米国もロシア機の自国領空への乗り入れ禁止を検討しているが、米当局者によると最終決定はしていない。
 乗り入れ禁止では英国やバルト三国などが先行し、ドイツ、スペイン、フランスが続いた。
 これに対して、ロシアの航空大手アエロフロートは、全ての欧州路線の運航を当面停止すると発表した。 (2203-022815)

3月01日 03:38

 英政府が2月28日、ロシアへの制裁の一環としてロシアが関係する船舶の国内への入港を禁止する方針を発表した。 近く制裁の根拠となる法律を整備する。
 シャップス運輸相は国内の港湾運営者に宛てた書簡で、法整備が整うまでの措置として、ロシア国旗を掲げたりロシアに関係する個人が所有したりする船舶に港湾を利用させないよう要請した。
 英北部のオークニー諸島にはロシアの石油タンカーが近く寄港する予定だったが、軍事侵攻に反発する地元自治体が寄港拒否を可能にする措置を中央政府に働きかけていた。 (2204-030107)

3月01日 06:05

 トルコ国営アナドル通信が、チャブシオール外相が28日に黒海沿岸と非沿岸国に対し、ボスポラス海峡とダーダネルス海峡の軍艦の通航を阻止すると警告したと報じた。
 1936年のモントルー条約は、紛争中に海峡を通過する船舶をトルコが制限することを認めているが、登録基地に戻る船舶を除外する条項がある。 (2204-030110)

3月02日 03:42

 EU当局筋が、ロシア船籍の船舶などの域内港湾への入港禁止を検討していることを明らかにした。 デンマーク外務省によると、EU外相は2月27日にロシア船舶の入港禁止を討議した。
 エネルギー供給が逼迫するなかで原油やLNGなどの海上輸送を断つことはEUにとっても厳しい決断となる。
 英国はすでに国内の全ての港に対し、ロシア船籍の船舶やロシアが所有や運営している船舶などの入港を禁止するよう指示している。 (2204-030206)

3月02日 12:05

 米運輸省と連邦航空局 (FAA) が、ロシア航空機の米領空飛行禁止を2日深夜までに完全に実施すると発表した。 旅客および貨物便、定期路線およびチャーター便の全てが対象になる。
 バイデン米大統領は一般教書演説で、同盟国に追随して全てのロシア機の米領空飛行を禁止すると発表した。 (2204-030216)

3月05日 10:58

 ロシア連邦航空局が3月5日に、外国企業からリースされている機材を運航する国内航空各社に対し、西側諸国による対ロシア制裁に関連して保有機が差し押さえられる事態を回避するため、国際便の運航を一時停止するよう勧告した。
 Aviation Weekによると、ロシアでは商用機の半数以上をリース機が占めている。
 これを受けアエロフロート・ロシア航空が5日にすべての国際便を8日に一時停止すると発表した。 国内線およびベラルーシ便は通常通り運航を続ける。
 同局によると、ロシア発の国際便はグリニッジ標準時 (GMT) 5日21:00以降、ロシア着の便は7日21:00以降に運航が停止される。 (2204-030607)

3月28日 08:09

 フィンランド国有鉄道事業会社VRが25日、ヘルシンキとサンクトペテルブルクを結ぶ列車アレグロの運行を28日から停止すると発表した。
 VRはフィンランド政府から、対露制裁を踏まえるとアレグロの運行はもはや適切でないと伝えられたという。
 ロシア国有鉄道は、制裁を理由にしたフィンランド側の決定は承知しているとだけ記した声明を公表した。
 これでEUとロシア間を直結する列車は事実上なくなる。 (2204-032803)

4月21日 02:35

 バイデン米大統領が4月21日、ロシアに関連する船舶の入港を禁止すると発表した。
 関係筋によると、2021年のロシア船舶の米入港は1,800回で、全体から見ればわずかな割合を占めるに過ぎない。
 カナダや欧州各国に追随し、ロシアへの圧力を強化する。 (2205-042203)

4・8 その他の活動

4・8・1 カリーニングラードへの圧力

4・8・1・1 リトアニアがロシア貨車の通過禁止

リトアニアがカリーニングラードへのロシア貨車の通り抜け禁止

 リトアニアが、EUの制裁対象の貨物を積んだ列車がロシア本土からリトアニアを経由してカリーニングラードに乗り入れることを禁止した。
 制裁対象品には石炭、金属、建築資材、先進技術が含まれる。
 これに対しロシアのペスコフ大統領報道官は20日、前例のない違法な措置であり、数日中に対応策を発表すると表明した。 (2207-062012)

 カリーニングラードへの貨物列車輸送をリトアニアが禁止したことについて、プーチン露大統領の最側近パトルシェフ安全保障会議書記が6月21日、リトアニア国民が痛みを感じる形で対応すると警告した。
 ロシア通信 (RIA) によるとパトルシェフ氏は、リトアニアの敵対的な行為はロシアが西側諸国を信頼できないことを示すものだとして、「ロシアはこのような敵対的な行動には必ず対処する」と表明し「適切な措置が省庁間で検討されており、近いうちに実施する。
 その結果、リトアニア国民は深刻な悪影響を受ける」と威嚇した。
 リトアニアのシモニテ首相は記者団に対しカリーニングラードの封鎖ではなく、EUの制裁を施行しているにすぎないとした。 (2207-062113)

 EUが発動した対露制裁に基づき、加盟国であるリトアニアがカリーニングラードとロシア本土間の建設資材や金属、石炭などの物資の国内通過を拒否したのに対しロシアは激怒し、プーチン大統領最側近の1人は6月21日、リトアニア国民が痛みを感じる方法で報復すると警告した。
 これに対しナウセーダ大統領は22日にロイタのインタビューに応じ、ロシアが対抗措置として非友好的な行動、例えば送電システムの遮断に動くことなどへの準備は整っていると語った。
 ただ軍事的な衝突は想定していないという。 (2207-062310)

 リトアニアが7月11日、カリーニングラードへの鉄道貨物輸送の禁止措置を拡大し、リトアニア税関の報道官によると11日朝からコンクリート、木材、アルコール、アルコールベースの工業用化学品などが禁止対象となった。
 リトアニアはEUの対ロシア制裁の一環で鉄道貨物輸送の禁止を発表し6月中旬から段階的に実施している。
 ロシアは8日、カリーニングラード向けの輸送が「数日以内」に可能にならなければ厳しい措置を取る可能性があるとリトアニアとEUに警告した。 (2208-071108)

EU の新たな指針で一定規模を認める

 リトアニア外務省が13日、EU欧州委員会がこの日に対ロシア制裁に関する加盟国向けの新たな指針を打ち出したことを受けた措置として、カリーニングラードへの鉄道による貨物輸送について、一定規模を認めると発表した。
 欧州委の指針は、ロシア本国と飛び地間の物資輸送において過去3年間の平均量を超えない範囲ならば禁止する必要はないと述べ、生活必需品への実需に配慮する考えを示した。 (2208-071406)

4・8・1・2 Suwalki Gap の緊張

 ロシアの飛び地カリーニングラード州を巡り、ロシアとバルト三国が対立している。
 リトアニアが7月11日にロシア本土から同州への貨物の輸送制限を強化したのに対し、ロシアは対抗措置も辞さない構えで、同州に通じるリトアニアとポーランドの100kmにわたる国境地帯Suwalki Gapで緊張がにわかに高まっている。
 ロシアのジャバロフ上院外交第1副委員長は「軍事衝突に発展する可能性もある」と主張しており、ロシアがSuwalki Gapを制圧すればロシアからベラルーシ経由でカリーニングラード州に到達する陸路を確保でき、バルト三国とポーランドの間にくさびを打ち込むことも可能になる。 (2208-071209)
4・8・2 ウクライナ産穀物の搬出

4・8・2・1 陸路搬出

 ドイツなど数ヵ国は陸路での穀物輸送に向けた取り組みを進めており、ベーアボック独外相はポーランドとルーマニアの鉄道を利用した穀物輸送の取り組みを支持すると述べた。
 ハンガリーのシーヤールトー外相も、陸路を通じた穀物輸送に協力を表明し、ハンガリーを通して輸出できるウクライナ産穀物の量については具体的に言及しなかったものの、東側の国境にある2ヵ所の物流拠点を利用できるとの見方を示した。 (2207-062102)
4・8・2・2 海路搬出

ウクライナ海軍が水路を確保

 ウクライナ海軍が7月11日夜、ウクライナの港に穀物を輸出するための外国船8隻が入港したと発表した。
 ロシア軍の侵攻によって港の封鎖が続いていたが、黒海の制海権の鍵を握ると言われるズミイヌイ島をロシア軍から奪還し、一部の水路が使えるようになったという。
 ウクライナ海軍によると、8隻はルーマニアとの間を流れるドナウ川と黒海を経由し、海軍が輸送の安全確保にあたるという。 2208-071206>2208-071206)

国連とトルコの仲介で穀物輸出の再開に合意

 ウクライナとロシア、国連、トルコの各代表が13日にウクライナの穀物輸出の再開に向けた協議をイスタンブールで開き、輸出航路の安全確保などで合意した。
 トルコとウクライナによると、黒海の安全航行の監視と調整を行う共同調整センターが設置される。
 ただ、ロシア側のコメントは得られていない。 (2208-071404)

 ロシア軍の黒海封鎖によりウクライナ産穀物の輸出が停滞している問題で、ロシアとウクライナ、トルコ、国連の四者が22日、トルコのイスタンブールで海上輸送の再開に向けた合意文書に署名した。
 合意文書ではウクライナの穀物輸出拠点のオデーサ、チョルノモルシク、ユジニの3港から穀物輸送船の運航を可能にする航路を確保するとしている。 (2208-072215)

5 国際世論と国際法判断

5・1 ロシアに批判的な動き

5・1・1 国際世論

2月25日 10:21

 オーストラリアのメディアによると、ダットン国防相が25日にオーストラリア放送Channel 9など現地メディアのインタビューで習中国国家主席がウクライナ侵攻に黙認しているとし、「中国はロシアの邪悪な同盟」と述べた。 (2203-022517)

3月12日 05:24

 バイデン米大統領が11日にフィラデルフィアで演説し、第3次世界大戦に発展するまでに至ってもNATO加盟国の領土は守るが、ウクライナでロシアと戦うことで紛争を拡大させるリスクはとらないと言明すると共に、飛行禁止区域は設定しないとの考えも示した。 (2204-031205)

9月16日 14:39

 EUのフォンデアライエン欧州委員長が15日にドイツのTVインタビューで、プーチン露大統領について、ウクライナにおける戦争犯罪で国際刑事裁判所 (ICC) の裁きを受けるべきだと主張した。
 委員長は「プーチン大統領は戦争に敗れるべきで、自らの行動に向き合う必要がある」と指摘した上で、ウクライナで戦争犯罪が起きているのは疑いがないとし、ICCで行われる可能性のある審理のため、証拠集めを支援すると述べた。 (2210-091611)

9月20日 09:28

 ロシア国営TASS通信が19日、ウクライナ東部ルハンスク州の親露派勢力が名乗る「ルガンスク人民共和国最高裁判所」が19日に欧州安保協力機構 (OSCE) のスタッフ2人に「国家反逆罪」で13年の自由剝奪を言い渡したと報じた。
 2人は地元の住民で、ロシアの侵攻開始までウクライナ東部紛争の停戦監視に当たったOSCE監視団で通訳などとして働いていた。
 親露派は2人が監視団で働く間に集めた軍事情報を米軍や米中央情報局 (CIA) に渡したなどとして、今年4月に拘束していた。
 OSCEは声明で判決を非難し、2人の即時解放を求めている。 (2210-092007)

5・1・2 戦犯訴追の動き

3月24日 05:57

 ブリンケン米国務長官が23日に声明で、米政府がロシア軍の一部がウクライナへの侵攻で戦争犯罪を犯したと判断していると明らかにした。
 声明では、この評価は公的な情報源と情報機関からの入手可能な情報を慎重に検討した結果に基づいているとしたうえで、マリウポリに言及してロシア軍による「無差別攻撃や民間人を意図的に標的とした攻撃、その他の残虐行為に関する信頼できる多くの報告がある」と述べた。
 長官は、米国は戦争犯罪に関する報告の追跡を続け、収集した情報を同盟国や国際機関と共有し、あらゆる犯罪容疑と同様に犯罪を管轄する裁判所が特定のケースにおける犯罪を認定する最終的な責任を負うとして、「われわれは利用可能な全ての手段を行使し、説明責任を追求することにコミットしている」と述べた。 (2204-032404)

4月05日 00:09

 バイデン米大統領がホワイトハウスで4日、プーチン露大統領を戦争犯罪者と呼び、戦犯裁判を求めると言明した。
 バイデン大統領はさらに、ロシアに対する制裁を引き続き強化すると表明した。
 バイデン米大統領は、ウクライナが戦い続けられるよう必要な武器を提供し続けると同時に、戦犯裁判を起こすために全ての詳細を把握する必要があると述べた。 (2205-040501)

4月05日 16:24: 戦争犯罪に直接関与したロシア軍兵士1600人以上のリスト公表

 ウクライナ国防省諜報機関が4日、ブチャで「戦争犯罪に直接関与した」とするロシア軍兵士のリストを公表した。
 ブチャに駐留していたロシアの部隊を第64自動車化狙撃旅団と特定し、所属する1,600名以上の名前や生年月日、階級、パスポート番号などが掲載されている。 (2205-040515)

5月18日 07:55: 米、ロシアの戦争犯罪の証拠収集分析

 米国務省が5月17日、ロシアのウクライナで行った可能性がある戦争犯罪や残虐行為の証拠を収集分析する計画を立ち上げると発表した。
 衛星画像やSNS上で共有される情報などを分析保存することで、ロシアの説明責任を追及する仕組みの中で活用できるようにするもので、地理情報システム (GIS) のEsriやエール大学の人道研究室などと協力して進める。
 国務省は声明で「この紛争監視プログラムは、ロシアの恐ろしい行為に対する説明責任を確実に追及するための国内外で米政府が進めるさまざまな取り組みの一環だ」と説明した。 (2206-051803)

5月26日 13:24

 ブリンケン米国務長官が、ウクライナで行われた戦争犯罪や残虐行為を記録するウクライナ検事総長 (OPG) の取り組みを支援する英国、EU、米国による共同グループの立ち上げを発表した。
 ブリンケン長官によると、残虐行為犯罪諮問グループ (ACA) と呼ばれる新しい組織はウクライナにおける戦争犯罪やその他の残虐行為を起訴する法的責任を負うOPGの戦争犯罪部門に、戦略的助言と運営上の支援を提供するという。 (2206-052605)

10月10日 07:11

 イスラエルのラピド首相が10日に自身のTwetterから、ロシアがウクライナ全土にミサイル攻撃したことについて、市民に対するロシアの攻撃を強く非難すると投稿した。
 地元Jerusalem Post紙は、同国の首相によるこのようなロシアへの批判は初めてと報じている。
 イスラエルは、ロシアがシリアに強い影響力を持つことなどから、自国の安全保障上のリスクを考慮して、欧米主導の対露制裁には加わっておらず、ウクライナのゼレンスキー大統領がIron Domeを提供するよう再三求めてきたが応じてこなかった。
 6月まで首相だったベネット氏は、ロシアとウクライナの間の「仲介外交」を試みていた。 (2211-101107)

10月19日 20:55

 EU行政トップのフォンデアライエン欧州委員長が10月19日に欧州議会での演説で、ロシア軍がウクライナでエネルギーインフラを集中攻撃していることは純然たるテロ行為であり、戦争犯罪にあたるとの見方を示した。 (2211-101917)

10月21日 22:34

 エストニアなどバルト三国の首脳がEU加盟各国に21日、ウクライナに侵攻したロシアの指導部を侵略犯罪で裁く特別法廷の設置に向けて動くよう呼び掛けた。
 エストニアのカラス首相は、「戦争犯罪は国際刑事裁判所 (ICC) が訴追するが、侵略犯罪は別個の法廷でのみ訴追可能だとして、EUはこれを主導できる」と訴えた。
 ラトビアのカリンシュ首相も法廷の設置を訴えた。
 EU議長国のチェコは、特別法廷設置への動きを支持する考えを示しているが、EU内には慎重論もある。
 EU欧州委員会で司法を担当するレインデルス委員(EU法相)は先週、まずは既存の枠組みを最大限活用することが必要だとし、ICCの捜査を見守る考えを示した。
 ICC は、ロシアがウクライナで戦争犯罪を行った可能性があるとして捜査を進めている。 ウクライナ政府は、ロシア指導部をより早く訴追できるとして、別の法廷を設置して侵略犯罪でも裁くよう求めている。 (2211-102117)

5・1・3 国際的な保険機構

2023年1月1日からロシア・ウクライナでの戦争保険提供停止

 世界の外航船舶の船主責任保険(P&I保険)を90%提供する、アメリカン、ノース、UK、ウエストの各クラブが12月23日、船舶保険各社がロシア、ウクライナ、ベラルーシでの戦争リスクをカバーする保険を1月1日から提供できなくなるとウェエブサイトで発表した。
 再保険会社が大幅な損失に直面し、同地域から撤退しているという。
 UKクラブは23日に、「当クラブの再保険会社はロシア、ウクライナ、ベラルーシの領土での戦争リスクのエクスポージャーに対する再保険を保証することができなくなった」と表明し、アメリカンクラブも23日に戦争リスクを巡る再保険を提供する再保険会社から同地域における「解約通知」を受け取り、その結果、クラブ内の保険を解約することになったと発表した。 (2301-122816)

5・1・4 国連などの国際機関

3月03日 02:09

 国連総会(加盟193ヵ国)が2日、ウクライナ危機をめぐる緊急特別会合で、ロシア軍の完全撤退などを要求する決議案を141ヵ国の賛成多数で採択した。
 反対は5ヵ国(ロシア、ベラルーシ、シリア、北朝鮮、エリトリア)、棄権は35ヵ国であった。
 国連総会は2014年にロシアによるウクライナ南部クリミア半島の編入を認めない決議案を賛成100、反対11、棄権58で採択したが、これを大きく上回る賛成が集まったことで、ロシアの孤立ぶりが浮き彫りになった。 (2204-030304)

4月04日 05:33: 国連総長、独立調査求める

 グテレス国連事務総長が3日に異例の2文だけから成る声明を発表し、ロシア軍撤収後にウクライナ首都キーウ郊外ブチャで、民間人とみられる多くの遺体が見つかったことについて「独立した調査によって説明責任がしっかりと果たされることが不可欠だ」と述べた。
 事務総長は人道問題担当のグリフィス事務次長に人道的停戦に向けた交渉を指示するなど、仲介の姿勢を鮮明にしている。 (2205-040404)

4月05日 10:17

 米英が4日、キーウ近郊のブチャでロシア軍が組織的に民間人を殺害した疑いがあることを受け、国連人権理事会におけるロシアの資格を停止する処分を求める意向を表明した。
 ロシアの資格停止には、国連総会の採決で2/3以上の賛成票が必要となるが、棄権は票に含まれないため、決議は成立すると米英はみている。
 国連総会は、過去にはリビアを人権理から追放した経緯がある。 (2205-040508)

4月08日 01:00

 国連総会の緊急特別会合で7日、ウクライナへの軍事侵攻をめぐり、国連人権理事会でロシアの理事国資格を停止する決議が、ロシアやベラルーシなど24ヵ国が反対、58ヵ国が棄権したが、93ヵ国の賛成により採択された。
 国連人権理事会の理事国の資格停止処分は、市民への弾圧を続けていた2011年のカダフィ政権下のリビア以来2例目である。 (2205-040801)

4月27日 00:20

 国連総会(193ヵ国)が26日、安保理常任理事国が拒否権を行使した場合、総会会合を開いて理由の説明を求める総会決議案について採決に付さず総意で採択した。 念頭に常任理事国のロシアを置いている。
 主導したリヒテンシュタインによると、常任理事国の米英仏に加え、日本やドイツなど80ヵ国以上が共同提案国として名を連ねた。 (2205-042701)

5月04日 13:21

 ロシア外交筋が5月3日、4日開催予定の国連安保理をロシアが欠席する意向であることを明らかにした。
 匿名を条件に取材に応じたロシアの外交筋によると、決定はウクライナの状況が関係している。 西側の外交筋はAFPに対し、ウクライナ侵攻開始以降、ロシアが国連安保理の会合を欠席したことはなかったと指摘した。 ロシアは、国連人権理事会 (UNHRC) をはじめ、複数の国連機関の資格を停止されている。
 ロシアはまたEUの政治安全保障委員会 (PSC) の会合を欠席する意向であることが分かった。
 PSCは毎年、非公式会合を行っていたが、COVID-19感染拡大を受け、2019年以降開かれていなかった。 (2206-050411)

5月13日 04:39

 国連人権理事会 (UNHRC) が12日にウクライナ情勢をめぐる特別会合を開き、同国でロシア軍が深刻な人権侵害を行った疑いについて調査を開始する決議案を圧倒的賛成多数で採択した。
 47理事国のうち、33ヵ国が決議案に賛成し、中国とエリトリアの2ヵ国が反対し、インド、パキスタン、キューバなど12ヵ国は棄権した。
 理事国資格を停止されたロシアは、オブザーバーとしての立場で見解を求められたが、特別会合は政治的な演出だとして出席を拒否した。
 UNHRCは、超法規的処刑、民間人の犠牲、拷問、児童虐待を懸念し、加害者への責任追求も視野に入れた調査の開始を決めた。 (2206-051301)

8月22日 09:44

 核拡散防止条約 (NPT) 再検討会議で核不拡散を扱う第2委員会が21日、ロシアが占拠するウクライナ南部ザポロジエ原発について、名指しを避けていたこれまでの最終文書素案を改訂し、ロシアを名指した上でウクライナによる管理復活を求めた素案を共同通信が入手した。
 対露圧力を高めたい欧米諸国はこれまでの討議でロシアの責任を明記するよう繰り返し求めており、今回の改訂で主張が反映されたが、ロシアは名指しのない段階でも、原発を巡る表現は「受け入れられない」と強調していた。 (2209-082204)

8月23日 13:27

 ウクライナのクレバ外相が22日、23日にオンライン形式で開かれる外交枠組みCrimea Platformに、約60ヵ国と機関が参加すると発表した。
 大統領や首相など首脳級も約40人が参加するといい、クレバ外相は「クリミア問題で全世界がウクライナ側の味方だと示している」と述べた。
 Crimea Platformは、2014年にロシアが併合した南部クリミアの脱占領を目指し、ウクライナが2021年創設したもので、2021年は欧州を中心とした46ヵ国と機関の代表が参加したが、2022年はアフリカなどからの参加表明もあり、正真正銘グローバルな会議になるという。 (2209-082307)

9月13日 02:50

 国連のアルナシフ人権高等弁務官代理がジュネーブで始まった国連人権委員会冒頭の9月12日に、「ロシア連邦ではウクライナ戦争に反対を表明する人々に対する脅迫、制限的措置、制裁が行われ、集会、表現、結社の自由を含む憲法で保障された基本的自由の行使が損なわれている」と述べた。
 また、ロシア政府はジャーナリストに圧力をかけるほか、インターネットを遮断したり検閲を実施したりすることで、情報へのアクセス権を侵害しているとも指摘した。 (2210-091304)

9月28日 10:30

 国連のディカルロ事務次長が9月27日に安全保障理事会で演説し、ロシアによるウクライナ侵攻を調査するなかで、戦争犯罪や人権侵害などの残虐行為を示す大量の証拠が集まっていると報告した。
 ディカルロ事務次長は一例として、ハルキウ州の要衝イジュームで見つかった400人以上の集団墓地を挙げ、重大な懸念を表明した。
 国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) はウクライナ北東部ハルキウ州で地元当局と協力し、最近までロシア支配下にあった地域での人権侵害を調査している。
 国連人権理事会 (UNHRC) が設置した独立調査委員会は同州やキーウ、北部チェルニヒウ州、北東部スムイ州で調査を実施し、ロシア軍による大量殺人などの戦争犯罪があったと結論付けている。 (2210-092809)

10月01日 06:02

 国連の安保理事会が、ウクライナの東部や南部で行われた「住民投票」だとされる活動を違法だと非難し、ロシアによる一方的な併合などの根拠にはできないとして、ロシア軍の即時撤退を求める米国ととアルバニアが提案した決議案をロシアが拒否権を行使して否決した。
 決議案には理事国15ヵ国のうち10ヵ国が賛成したが、中国、インド、ブラジル、ガボンが棄権した。 (2211-100103)

10月06日 02:25

 経済協力開発機構 (OECD) のコーマン事務総長が、ウクライナ政府からの要請を受け、加盟38ヵ国がウクライナを加盟候補国として承認することを決定したと発表した。
 声明によると、今後加盟国はウクライナ加盟を巡る協議を開始し、加盟に向けたロードマップの草案を作成することを検討するというが、加盟候補国は贈収賄防止や税制、環境、統計などの分野でOECDの基準を自国の政策に導入したりすることが求められるため、加盟に向けた手続きは複雑で長期にわたる可能性がある。 (2211-100602)

10月11日 06:46

 ロシアがウクライナの4つの州を一方的に併合したことを非難する決議の採択を目指し、国連総会の緊急特別会合が日本時間11日04:00から始まった。
 緊急特別会合では、60ヵ国以上が演説を行った上で、ロシアによる一方的な併合を非難する決議案の採決が行われる。
 総会決議に法的拘束力はないが、国際社会の総意としての意味を持つため、何ヵ国が賛成するかが焦点となる。 (2211-101105)

10月13日 05:34

 国連総会が10月12日、ロシアが一方的に宣言したウクライナ4州の併合を違法で無効とする決議を採択した。
 米英や日本など143ヵ国が賛成し、中印など35ヵ国が棄権し、ロシアや北朝鮮など5ヵ国が反対した。
 3月の国連総会でロシアのウクライナ侵攻を非難する決議の賛成票を上回る結果となった。 (2211-101305)

11月12日 08:27

 国連総会の議長報道官が11日、カナダやウクライナが要請したウクライナ情勢を協議する緊急特別会合を14日に再開すると明らかにした。
 欧米や日本が、ロシアに対してウクライナ侵攻による損害の賠償を要求する決議案を共同提案し討論の後に採決する。
 決議案は、ロシアが国連憲章や国際人道法に違反した行為によってウクライナに与えた人的損害などに対し、賠償を含む法的責任を負わなければならないと指摘し、賠償を管理する国際的な仕組みが必要だとして損害の記録を作成するよう推奨している。 (2212-111205)

11月16日 08:25

 国連総会が11月14日、ロシアがウクライナ侵攻による国際法違反の責任を負うべきとの決議を採択した。
 決議には94ヵ国が賛成、14ヵ国が反対、73ヵ国が棄権した。 決議に拘束力はなく、象徴的な意味合いが強い。
 ロシア大統領府のペスコフ報道官は15日、国連を使った強盗の形式化だと述べた。 (2212-111613)

11月26日 10:25

 国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) のトゥルク人権高等弁務官が11月25日の声明で、ウクライナの重要エネルギーインフラへのロシアの度重なるミサイル攻撃により、数百万人のウクライナ人が「極度の苦境と悲惨な生活状況に陥っている」との認識を示した。
 トゥルク高等弁務官はさらに「全体として、この状況は国際法人道法上の重大な問題を提起する。 国際人道法では、個々の攻撃目標につき具体的かつ直接的な軍事的利益がなくてはならないと定めている」とも述べた。 (2212-112606)

12月 8日 19:51

 国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) が12月7日、ロシアがウクライナへの侵攻を始めた2月24日から4月6日までの6週間に、首都周辺のキーウ州など3州で少なくとも441人のウクライナ民間人を殺害したとする報告書を公表した。
 戦争犯罪の可能性がある即決処刑による殺害も確認されたが、ロシアが調査や訴追を開始した兆候はないという。
 特に死者が多かったのはキーウ州ブチャで、73人の殺害が確認された。OHCHRは、3州での実際の死者数はさらに多いとみており、調査を続けている。
 死者のうち100人を詳しく分析した結果、57人が即決処刑だった。
 報告書は「捕虜の人道的待遇を定めたジュネーブ条約の重大な違反である戦争犯罪に相当する可能性があることを強く示している」と非難した。 (2301-120819)

5・1・5 国際司法機関

3月03日 10:32

 国際刑事裁判所 (ICC) の検察官が2日、ウクライナで戦争犯罪が行われた疑いについて直ちに捜査を開始すると明らかにした。
 前例のない数のICC加盟国から要請があったという。
 カーン検察官は「39ヵ国からの要請を受け、ウクライナで正式に捜査を開始する」と述べた。
 ロシアはICC非加盟で管轄権を受け入れていないが、ICCは加害者の国籍にかかわらずウクライナ領で起きた戦争犯罪と人道に対する罪を捜査できる。 (2204-030311)

3月07日 19:26

 国際司法裁判所が7日、ロシアの軍事行動停止を求めたウクライナの訴えを受理し審理を開始した。 ただ、ロシアがボイコットしたため、同国の法的代理人不在の審理となった。
 この訴訟は、両国が署名した1948年の大量虐殺防止に関する条約の解釈が中心となっている。 (2204-030718)

3月17日 04:10

 ロシアのウクライナに対する激しい攻撃が続くなか、国際司法裁判所 (ICJ) が16日に軍事作戦を停止させる仮保全措置を命じた。
 これは、ウクライナが攻撃の即時中止などを求めてICJに提訴していたもので、ロシアは出廷を拒否しており、今回の命令には従わないものとみられる。 (2204-031702)

3月17日 20:18

 ロシア大統領府は17日、国際司法裁判所 (ICJ) が前日に出したウクライナでの軍事行動を停止するよう求める命令を拒否した。 (2204-031717)

5月18日 00:39

 国際刑事裁判所 (ICC) が17日、ロシア軍の侵攻後にウクライナで起きた戦争犯罪の疑いを調査するため、42人から成る調査団を同国に派遣した。
 ICC創設以来最大の調査団派遣だとしている。
 ICCのカーン主任検察官の発表によると、調査団は捜査官のほか、犯罪科学の専門家や補助員から構成され、ウクライナ当局と協力しながら軍事攻撃に関連する証拠や証言を集める予定である。 (2206-051801)

6月18日 06:57

 ロシア軍のウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪などを捜査している国際刑事裁判所 (ICC) のカーン主任検察官が声明で17日、ウクライナに現地事務所を開くと発表した。
 現地で捜査にあたるスタッフを増強し、ウクライナにいるすべての関係者との連携を深めて捜査を加速させるという。
 3度目となるウクライナ訪問を終えたカーン主任検察官は同国滞在中にゼレンスキー大統領と会談したほか、同国第2の都市である北東部ハルキウにも足を運び、市民の被害状況を聞き取るなどしたという。
 カーン主任検察官は声明で、銃を手に取り戦車を動かしミサイルを発射する者が罪を犯せば、それが誰であろうとも責任を問われると指摘した。 (2207-061805)

9月22日 08:23

 国際刑事裁判所 (ICC) のカーン主任検察官が9月22日に国連安保理の会合で、調査のためにウクライナを3回訪問した結果、疑われている戦争犯罪が行われたと考えていると述べた。 (2210-092302)

10月14日 05:56

 国際刑事裁判所 (ICC) のカーン主任検察官が記者団に10月13日、ロシアのウクライナ侵攻に伴う戦争犯罪行為について、ロシア人容疑者をICCに送致することは可能との見解を示した。
 ロシアはICCに加盟していないが、カーン主任検察官はウクライナでの戦争犯罪をICCで審理することに「管轄面の障害はない」と指摘し、「ウクライナ国内で裁判を開けない理由があり、その必要があるなら、ウクライナと協力することになる」と語った。 (2211-101403)

11月30日 17:31

 EU欧州委員会のフォンデアライエン委員長が30日、ロシアがウクライナで犯した戦争犯罪の可能性を調査起訴するため、国連の支援を受けて専門裁判所の設立を目指す方針を明らかにした。
 フォンデアライエン委員長は「この専門裁判所に対し可能な限り幅広い国際的支持を得るために国際社会とともに作業を始める用意がある」と述べた。 (2212-113018)

5・2 ロシアに同調する動き

南米4ヵ国

 ウクライナのゼレンスキー大統領が、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの4ヵ国が加盟する南米南部共同市場Mercosurが7月21日に開いた首脳会議でのオンライン演説を断られていたことが分かった。
 ゼレンスキー大統領は議長国パラグアイのアブドベニテス大統領と6日に電話会談した際、首脳会議での演説を申し入れた。
 パラグアイの外務副大臣は20日の記者会見で、演説拒否について「加盟国の同意が得られなかった旨をウクライナ側に伝えた」と説明したが、どの国が反対したかは明かさなかった。
 ブラジルのボルソナロ大統領はプーチン露大統領との関係を深めているほか、アルゼンチンは対露経済制裁に反対の立場を示している。 (2208-072208)

マクロン仏大統領

 マクロン仏大統領が仏TV局TF1との対談で、、ロシアがウクライナ戦争終結に向けた協議に合意した場合、西側諸国はロシアの安全保障の必要性を考慮すべきとコメントしたことを巡って、ウクライナやバルト諸国などが一斉に批判した。
 マクロン大統領は「ロシアが交渉のテーブルに戻る際、どのように保証を与えるか」を考える必要があるとも述べた。 (2301-120505)

6 旧ソ連諸国の開戦後の対応

6・1 ベラルーシ

2月24日 17:55

 ベルタ通信が、ベラルーシのルカシェンコ大統領が24日に同国軍はウクライナでのロシア軍の作戦に参加していないと述べたと報じた。
 ウクライナの国境警備隊は、ロシア軍の攻撃は現地時間05:00ごろにロシア側とベラルーシ側からあり、ベラルーシの援軍もあったと主張していた。 (2203-022431)

2月28日 14:46

 Washington Postが米政府当局者の話として2月27日、ベラルーシのルカシェンコ政権がロシア軍を支援するため、ウクライナに派兵する準備を整えていて、28日にもウクライナに部隊を送る可能性があるとの見方を明らかにした。 (2203-022820)

3月02日 07:04

 NATOが1日、即応部隊の一部がルーマニアに到着したことを明らかにした。
 一方、ベラルーシのルカシェンコ大統領は安全保障に関する会議で1日、ベラルーシはロシアの軍事作戦には参加していないし、将来も今回の特別な軍事作戦に加わるつもりはないと述べた。 (2204-030209)

3月02日 01:49

 ロシア通信 (RIA) がベラルーシ国営Belta通信の報道を引用して、ルカシェンコ大統領が3月1日に首都ミンスク西方にS-400を追加配備するようロシアに要請したと報じた。 (2204-030203)

3月02日 09:49

 ベラルーシ国営Belta通信が、ルカシェンコ大統領が1日に国家安全保障会議で、ウクライナ国境地帯への部隊増派を指示したと発表したと報じた。
 ルカシェンコ大統領は兵士数百名と装甲車、迫撃砲などで構成される戦術戦闘群5個を南部に追加配置すると述べた。 現地には現在、ヘリコプターや戦闘機が配備されている。
 ただし、軍事同盟国であるロシアのウクライナ侵攻には参加しない方針だという。 (2204-030211)

3月23日 03:10

 CNNは米政府高官などの話として、ベラルーシが近くウクライナ侵攻に参加する可能性があると報じた。
 ベラルーシの反体制派情報筋は、軍の部隊が数日中に数千名規模で展開する準備を整えていると話しているという。
 一方NATOの高官はベラルーシがウクライナへの侵攻を正当化する環境を整えているとみている一方、現状で戦闘に参加している様子はないとしているが、侵攻に参加すればベラルーシは不安定化すると指摘している。 (2204-032302)

3月24日 07:30

 ウクライナ軍が3月23日、ベラルーシの反乱軍がベラルーシとウクライナを結ぶ鉄道の一部を破壊したと発表した。
 ウクライナ軍参謀本部は23日に公開した日報の中で、ロシア軍がベラルーシの領土を使用することを非難する反対勢力と市民によって、鉄道の一部が使用不能にされたと発表した。
 参謀本部によると、ウクライナとベラルーシの国境沿いにはロシアとベラルーシの装備が集積されており、ベラルーシ軍がロシアの侵攻に加わる懸念が高まっている。
 この動きはベラルーシの国民と軍の一部が、ロシアの侵略に反対していることを示している。
 ウクライナ軍は、マリウポリを攻撃しているロシア軍の中で戦闘を継続する準備ができている兵士は10%以下で、ひどく士気が落ちている模様だと見ている。 (2204-032405)

4月07日 19:09

 米国防総省高官が6日、ロシア軍がキーウとチェルニヒウの周辺から完全に撤収したとの分析結果を明らかにした。
 こうした中、ベラルーシの国営Belta通信によると、ルカシェンコ大統領がウクライナでトラック運転手を帰還させるための「特別作戦」を実施したと述べた。
 ウクライナ軍が北部の奪還を進める中、ロシアに協力してウクライナ領内に入っていたベラルーシの後方支援要員の帰国を進めるための措置とみられる。 (2205-040711)

5月04日 21:28

 ベラルーシ軍が4日、計画が事前に公表されていなかった演習を実施した。
 国防省は今回の演習について、各部隊が警戒態勢に入り、所定の場所に移動し、戦闘訓練を行う即応能力を試す抜き打ち訓練だと発表するとともに、戦車などの車列が道路を通る写真を公開した。
 ウクライナはこれまで、ロシアの同盟国であるベラルーシがロシアの侵攻を支援するため派兵を計画していると繰り返し主張しており、今回の演習についても注視するとみられる。 (2206-050417)

5月11日 05:01

 ベラルーシのグレビッチ参謀総長が10日、ウクライナとの国境付近の3地域に特殊作戦部隊を配置すると表明した。
 グレビッチ参謀総長は「米国とその同盟国がベラルーシの国境沿いで軍事プレゼンスを増大させ続けている」とし、西部地域に訓練のために防空システムやミサイルなどを配備すると述べた。
 ベラルーシのルカシェンコ大統領は、ロシアがウクライナで使用したIskanderに類似するミサイルをベラルーシが製造するのを支援することで合意したと表明し、「NATOを打ち負かすことはできないと理解しているが、NATOからの攻撃が行われる可能性がある地域に損害を与えることはできる」と述べた。 (2206-051101)

5月27日 09:26

 ベラルーシのルカシェンコ大統領が5月26日、ウクライナとの国境がある同国南部に新たな軍司令部を設けるよう命じた。
 軍服を着用した大統領は、TV中継され国防当局者の会合で「新たな戦線が開かれており、注意を払う必要がある」と述べ、司令部の早期新設を呼びかけるとともに、設置前であっても「迅速に南部国境の防衛計画を立てる責務がある」と語った。
 ベラルーシ軍がウクライナ国境沿いに配備する部隊を増やせば、東部ドンバス地方でロシア軍の攻撃に抵抗しているウクライナ軍は、人員配備に一段と窮することになる。 (2206-052703)

6月02日 18:22

 ウクライナ軍参謀本部が2日までに、ベラルーシ軍が国境付近で一部の部隊の再配置を進めており、6月から7月にかけて演習が行われる計画があるとの分析を発表した。
 国境付近のベラルーシ軍は最新兵器を装備し、ブレスト、ゴメリ2州で国境警護を強めているという。
 ウクライナ軍は、ベラルーシ領内からのミサイル攻撃や空爆を警戒している。 (2207-060210)

6月21日 00:58

 EUが6月20日、ルクセンブルクで外相会合を開き、世界的な食糧難の回避に向けウクライナからの穀物輸出を可能にする方法について協議した。
 EUで外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は、ロシアはウクライナからの穀物輸出を阻むことで戦争犯罪を犯していると非難し、ロシアに対してウクライナからの穀物輸出を可能にするために黒海の航路を開放するよう呼びかけるとした。 (2207-062102)

6月24日 07:07

 ウクライナ軍高官は23日、ベラルーシが保有兵器をロシアに供与して不足分を補う可能性があると指摘した。
 ドンバス地方ではロシア、ウクライナ両軍とも大きな損害を被っていると伝えられ、ベラルーシの参戦論もささやかれている。 (2207-062408)

7月 2日 10:17

 ベラルーシのルカシェンコ大統領が2日、ウクライナからのミサイル攻撃を阻止したと述べた。
 ルカシェンコ大統領は、3日ほど前にウクライナから撃ち込まれた複数のミサイルをベラルーシ軍が迎撃したとし、ウクライナ側が挑発していると非難した。
 一方ウクライナは1週間前に、ベラルーシとの国境地帯に向けてベラルーシ側からミサイル攻撃があったと主張していた。
 ベラルーシ国営Belta通信によると、ルカシェンコ大統領は「1年以上前に言った通り、ウクライナで戦うつもりはない」として、自国の関与を否定した。 (2208-070304)

7月 4日 09:20

 ベラルーシ国営Belta通信が動画で、ルカシェンコ大統領が3日に第2次世界大戦時のソ連軍によるミンスクの解放を記念する式典で演説し、ウクライナ侵攻を続けるロシアを今後も支援すると表明したと報じた。
 ロシアと連合国家創設を目指す動きの一環との認識を示した。
 ベラルーシは1990年代半ば以来、ロシアとの連合国家の形成を標ぼうしてきたが、実現に向けた進展はほとんどない。
 ルカシェンコ大統領は過去にベラルーシが主権を維持する必要性にも言及している。 (2208-070404)

10月10日 18:28

 ベラルーシ国営ベルタ通信が、ルカシェンコ大統領が10日の軍治安機関との会合での発言として、ロシアのウクライナ侵攻を背景としたNATOとの緊張に鑑み、ロシアと合同の地域部隊を展開することで合意したと明らかにしたと報じた。
 ルカシェンコ大統領はこの中で、非公式チャンネルで、ウクライナ領からベラルーシに攻撃があるという警告を受けたと主張して、対応の必要性を訴えた。 (2211-101006)

10月10日 20:56

 ウクライナ軍が10日、ロシア軍が同日ウクライナ各地で実施した攻撃について、その一部はベラルーシから送られたイラン製UAVによるものだったと発表した。
 ウクライナ軍はFacebookに、ロシア軍がベラルーシ領内とクリミア半島からの攻撃でイラン製Shahed 136を使用し、UAV 9機を破壊したと主張した。 (2211-101008)

10月12日 08:42

 ベラルーシ国防省が10月11日に声明で、安全保障理事会事務局が11日から大統領の指示に従いベラルーシ軍の査察を実施していると明らかにし、戦闘態勢の確保に向けて、軍の点検を実施していると明らかにした。
 ベラルーシの国防相はこれより前に、ベラルーシとロシアの合同軍について、任務は純粋に防衛的なものであり、現在行われている全ての活動は国境付近の動きに適切に対応することが目的だと説明していた。 (2211-101213)

10月13日 04:04

 ベラルーシで今週相次いだ軍事行動はロシアによるウクライナでの戦争にベラルーシが参戦する可能性を示しているとして、ウクライナと西側諸国が警戒している。
 ベラルーシのルカシェンコ大統領は10月10日、ウクライナ政府や西側のウクライナ支援国からのベラルーシに対する明確な脅威に対抗するため、同国軍をロシア軍と共にウクライナ周辺に配置するよう命令し、11日にはウクライナとの国境から20kmしか離れていないイェルスク付近で「妨害工作グループ」を排除するための演習を実施した。 (2211-101303)

10月14日 17:31

 ベラルーシの独立系メディアが10月13日、ルカシェンコ大統領がウクライナ情勢に絡み、極秘に国民を動員する方針を決めたと報じた。
 一方ロシアのIzvestiya紙は14日、マケイ外相が「ベラルーシ領の一部占拠に向けて周辺国が挑発を計画しているという情報がある」と主張し、対テロ作戦の態勢に移行したと明らかにしたと語ったと報じた。 (2211-101416)

10月15日 18:27

 TASS通信によると、ベラルーシ国防省が15日にロシア軍が合同部隊に参加する名目で同盟国ベラルーシ領内に入ったと発表した。
 ベラルーシのルカシェンコ大統領は10日、ロシア軍との合同部隊の展開でプーチン大統領と合意したと説明したが、活動場所・目的について不明な点が多く、ウクライナ侵攻にベラルーシが参戦する隠れみのではないかという観測も浮上している。 (2211-101514)

10月17日 03:19

 TASS通信が、ベラルーシとロシア軍の合同部隊についてベラルーシ国防省は、ロシア軍の総数は最大9,000人程度になると述べ、部隊の配置には数日かかると発表したと報じた。
 ベラルーシのルカシェンコ大統領は10日、合同部隊を編成することに合意したと発表している。 (2211-101701)

10月17日 05:00

 ベラルーシの独立系軍事監視団体ガユンが14日、直近の1週間でベラルーシ軍からロシア軍に戦車70両近くが引き渡されたと指摘した。 露軍が戦車を多数失ったことが、ウクライナの反転攻勢を許した理由の一つに挙げられており、露軍が外国から戦車を補充している可能性がある。
 ベラルーシ国防省は15日、露軍部隊がベラルーシに到着したと発表した。 ガユンは、「合同部隊の編成はロシアの部分的動員で招集された予備役をベラルーシで訓練するための可能性がある」との見方を示した。 ロシアでは教官の人員不足も指摘されている。
(2211-101702)

10月17日 09:21

 ベラルーシ国営通信が、ルカシェンコ大統領が14日に行われた米NBCの取材で、「最も重要なことは対話相手を、たとえ敵対者であっても窮地に追い込まないことで、そのためロシア側が言うところのレッドラインを越えてはいけない」と述べ、ロシアを追い詰めないようウクライナと西側諸国に警告したと報じた。 (2211-101706)
【註】この記事は、ルカシェンコ大統領がロシアが窮地に追い込まれつつあることを暗に認めていることを意味する。

10月17日 14:35

 ベラルーシ国防省が10月15日、地域合同部隊編成のために、同国に到着したロシア軍部隊第1陣の映像を公開した。
 同国防省は合同部隊の編成を「ベラルーシ国境の保護と防衛強化目的にのみ実施される」と説明している。
 ベラルーシのルカシェンコ大統領は、合同部隊編成の理由として「ポーランド、リトアニアとウクライナがベラルーシ攻撃のために過激派を訓練している」と主張し、さらに南から「ベラルーシ国境の攻撃を計画している」とウクライナを非難している。 (2211-101709)

10月22日 09:58

 ベラルーシのルカシェンコ大統領が21日、西部の軍事施設で国産UAVを視察した際、ロシアのウクライナ侵攻に参戦しない意向を示した。  大統領は国産UAVについて、ウクライナとの国境に配備する可能性があるとする一方、「これらUAVがウクライナで使われるのは望ましくない。 ウクライナ国民は同胞なのだ」と述べた。
 また、ベラルーシは国産UAVを「誰にでも」販売するとも述べた。
 さらに「われわれはどこにも行くつもりはない。 現在ベラルーシで戦争は起きていないし、われわれに戦争は必要ない」として、いかなる戦争にも関与しない意向を示した。 (2211-102205)

11月01日 04:37

 Telegramのルカシェンコ大統領に近いチャンネルが31日、ベラルーシがロシアとの共同軍事訓練センターの設立を計画していると報じた。 ただ、協定はさらなる交渉に委ねられるという。
 それによるとルカシェンコ大統領はロシアと、兵士の共同訓練センターを設立する協定案を認める法令に署名した。
 新たに動員されたロシア兵にベラルーシの訓練場を提供することで、ロシアの戦力が強化される可能性がある。 (2212-110102)

12月04日 03:24

 ベラルーシ国営Belta通信によると、ショイグ露国防相が3日にベラルーシの首都ミンスクを訪問し、ルカシェンコ大統領やフレニン国防相と会談した。
 ルカシェンコ大統領は会談で「ベラルーシは公開された実際の条約に基づいてすべきことをする」と強調した。 発言の詳細は不明だが、両国は連合国家を形成し軍事同盟も結んでいる。
 ウクライナや欧米諸国は、ベラルーシが侵攻作戦に加わる可能性があるとの警戒を強めている。
 2日に行われたロシアのプーチン露大統領とルカシェンコ大統領が電話協議では、経済問題のほか、ウクライナへの軍事侵攻を巡る状況や合同部隊についても協議した。 (2301-120403)

12月08日 02:47

 ベラルーシ領内からウクライナに向けて新たな攻撃を仕掛ける可能性があるの懸念が高まっている。
 ベラルーシ国営Belta通信が7日、同日から8日にかけてテロ対策演習を目的に同国軍の部隊および装備を移動させると報じた。 どの地域が影響を受けるのか、どのような形で演習が行われるのかは明らかにしなかった。
 期間中は特定の公道や地域を通る市民の移動などが制限されるほか、訓練目的の模造兵器の使用も計画されているという。 (2301-120802)

12月08日 16:44

 ロシアが12月8日、ロシア軍がベラルーシでの戦術的な軍事演習に参加していると発表した。
 ロシア国防省は西部軍管区の部隊がベラルーシで集中的な戦闘訓練を行っているとの声明を発表した。
 ロシアがベラルーシに対しウクライナ戦争への関与を強めるよう圧力をかけていると懸念されている。
 ベラルーシのルカシェンコ大統領は参戦しないとしているが、過去に軍に対し、ロシア軍と共にウクライナ国境付近に展開するよう命じたことがある。 (2301-120815)

12月12日 13:45

 国連の報道官が、ベラルーシが9日にウクライナ産穀物をリトアニアの港から輸出するためベラルーシ領土を経由することを無条件で容認すると国連に伝えたことを明らかにした。
 同報道官によると、ベラルーシのアンブラゼビッチ外務次官が9日にニューヨークでグテレス国連事務総長と面会し、ウクライナ産穀物の通過に前提条件はないと伝えた。
 同時に、現在制裁の対象となっているベラルーシ産肥料の輸出再開を求める政府の立場も改めて説明したという。
 ベラルーシは6月に自国の産品もバルト海沿岸の港から輸出が認められるなら、ウクライナ産穀物の通過に応じるとしていたが、ウクライナはこの提案を受け入れなかった。
 ベラルーシは2021年から今2022年にかけて西側の厳しい制裁を受け、バルト海の港からの肥料輸出が滞っている。 (2301-121204)

12月14日 01:11

 ベラルーシが13日、南部での戦闘態勢の強化を含む臨時検閲の実施を発表した。
 ロシアと経済的、軍事的に密接に連携しているベラルーシが、先週実施した「テロ対策の演習」を含む軍の一連の動きから、ウクライナではベラルーシが侵攻に参加するのはないかとの懸念が高まっている。
 ベラルーシ国家安全保障会議のボリフォヴィチ書記は国防省が発表した声明で、全ての作戦司令部が実質的に臨時検閲に参加するが「ベラルーシの国境沿い、もしくは国内」でのいかなる戦争拡大にも最初に対応する部隊が当初参加すると表明し、その一環としてある特定の部隊に「南部国境の目標」を確保する任務が付与されたとし、この任務はロシアがウクライナで実施している「特別軍事作戦」の分析から派生したものと説明した。
 ベラルーシ国防省はこれに先立ち、今回発表された演習の一環として、部隊は「指定された地域」に迅速に移動し、ベラルーシ西部と東部のネマン川とベレジナ川に橋を架けると発表していた。 (2301-121402)

12月15日 19:29

 ベラルーシの独立系軍事監視団体「ガユン」が14日、ロシア軍のA-50 AEW&C機や軍用車両60両などが、ここ数日の間にベラルーシ入りしたと明らかにした。
 ガユンによると、A-50の飛来が確認されたのは、ロシアがウクライナ侵略を開始した2月以来で、MiG-31も確認されており、ウクライナへの攻撃に投入される可能性を指摘した。
 露国防省は12日に露軍兵士がベラルーシで雪上演習に取り組む動画を公開した。
 ベラルーシ軍も13日、有事に備えるとして特別検閲を開始しており、両国が連携してウクライナへの揺さぶりを強める狙いとみられる。 (2301-121509)

12月19日 13:07

 ロシアのInterFax通信が19日、ベラルーシに進駐したロシア軍が大隊戦術群 (BTG) による演習を実施するとしたロシア国防省の声明を報じた。
 ベラルーシのどの場所でいつ演習が行われるかは現時点で不明である。
 ベラルーシ国防省は10月に国境防衛に伴う「地域(軍事)協力」の一環として、国内にロシア軍9,000名弱を駐留させると明らかにしていた。 (2301-121908)

12月20日 02:46

 プーチン露大統領が19日に国防相と外相を伴ってベラルーシを訪問した。
 ベラルーシにウクライナ侵攻に参加するよう圧力をかけるのではないかとの懸念が出ているが、ルカシェンコ大統領との共同記者会見でウクライナ侵攻に関連する質問は出ず、両首脳は両国間の緊密な経済、防衛関係を強調しただけで、ウクライナ侵攻についてはほとんど触れなかった。
 ベラルーシ反体制派の間でロシアがベラルーシを吸収もしくは併合するのではないかとの懸念が出る中、プーチン大統領は「ロシアは何かを吸収する意図は持っていないし、そうしたことに何の適切性もない」とし、不特定の「敵」がロシアのベラルーシとの統合を阻止しようとしていると述べた。 (2301-122002)

12月20日 10:44

 プーチン露大統領が19日にベラルーシの首都ミンスクを訪問してルカシェンコ大統領と会談し、会談後の共同記者会見でプーチン大統領は、ロシアは核ミサイルを搭載できるように改修したベラルーシ空軍機の乗員への訓練支援を続けると表明した。
 両国の経済統合を深めるほか、NATO圏との緊張が高まっているとして両国で共同対処していく方針を示した。
 一方、ルカシェンコ大統領は会見で、ロシアの支援でベラルーシ空軍機の改修が完了したと発表すると共に、Iskander-Mが供与され配備したとも明らかにした。
 ベラルーシ空軍機の改修はプーチン大統領が6月の会談でルカシェンコ大統領に約束し、Iskander-Mの供与も示していた。 (2301-122008)

12月21日 03:00

 ベラルーシのルカシェンコ大統領が12月20日、すでにロシアから受領したS-400とIskanderが戦闘可能状態にあると述べた。
 ベラルーシのこれで火力を今までの300kmから500kmにまで延伸することができた。 因みにミンスクとワルシャワは546km離れている。 (2301-122101)

6・2 ロシア主導の安全保障機構

6・2・1 集団安全保障条約機構 (CSTO)

旧ソ連諸国が対応に苦慮

 ロシアのウクライナへの侵攻に対し旧ソ連諸国が対応に苦慮している。
 ロシアの非人道的な軍事行動には総じて否定的だが、反旗を翻せばロシアの反発は必至なため、目立った外交活動は控えざるを得ないのが実情のようである。
 ロシアを全面的に支持するのはベラルーシだけで、逆にすでに完全に西側陣営に入っているバルト三国以外で反ロシアを鮮明にして侵攻を非難しているのがジョージアとモルドバである。
 こうした各国の立ち位置を如実に示したのが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた一連の国連総会決議で、ジョージアとモルドバはいずれも賛成票を投じた。
 それ以外の国々は総じて、棄権、あるいは投票に参加しないで明確な態度表明を控えているが、国連人権理からロシアを追放する決議案には、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの中央アジア4ヵ国が反対に回った。 (2205-042708)

 5月16日にモスクワで、ロシア主導の集団安全保障条約機構 (CSTO) が首脳会合を開催し、プーチン露大統領のほか、ベラルーシのルカシェンコ大統領、アルメニアのパシニャン首相、カザフスタンのトカエフ大統領、キルギスのジャパロフ大統領、タジクのラフモン大統領のCSTO全6ヵ国の首脳が出席した。
 ロシアは同条約の締結30周年記念サミットだとしているが、CSTO諸国との結束を確認し、国際的に孤立したとのイメージの払拭や対露制裁の打破を狙っている。 (2206-051614)

アルメニアの離反

 旧ソ連圏の集団安全保障条約機構 (CSTO) 首脳会議が11月23日、アルメニアの首都エレバンで行われた。
 会議では主催国アルメニアのパシニャン首相が会議冒頭、ナゴルノカラバフで2020年にアゼルバイジャンと衝突し、支配地域の多くを失ったと無為無策によりアルメニア内外で軍事同盟のイメージが「著しく損なわれた」と苦言を呈し、不満を盟主プーチン露大統領にぶつけ軍事同盟の在り方に不満を表明したとロイタ通信などが報じた。 (2212-112412)

 ロシア主導の軍事同盟である集団安全保障条約機構 (CSTO) の首脳会議が11月23日開かれ、議長国アルメニアのパシニャン首相が宣言への署名を拒否する異例の事態となった。
 アゼルバイジャンとの紛争へのCSTOの対応に不満があるためだが、ウクライナ侵攻に苦戦するロシアの影響力低下も背景にある。
 パシニャン首相は23日にアルメニアの首都エレバンで開かれたCSTO首脳会議で「CSTOによる同盟の義務の放棄を意味するだけでなく、アゼルバイジャンにとってはアルメニア侵略への青信号と解釈される可能性がある」と述べ、宣言案などへの強い不満を表明した。 (2212-112413)

 旧ソ連6ヵ国で構成するロシア主導の軍事同盟である集団安全保障条約機構 (CSTO) が、11月23日にアルメニアの首都エレバンで首脳会議を開いた。
 プーチン露大統領にウクライナとの停戦を求める声が上がったほか、アルメニアのパシニャン首相がロシアやCSTOに不満を述べ、共同宣言への署名を拒否する一幕もあり、ウクライナ侵略で進んだロシアの求心力の低下と、CSTOの足並みの乱れが改めて示唆された。
 ベラルーシのルカシェンコ大統領はウクライナ情勢について「停戦交渉を始めるべきだ」と指摘し、カザフスタンのトカエフ大統領も「ウクライナ情勢は和平を模索するときが来ている」と訴えた。 (2212-112417)

 集団安全保障条約機構 (CSTO) の首脳会議で、アルメニアのパシニャン首相が写真撮影の際、プーチン露大統領からあからさまに距離を置こうとしている様子が収められた動画が公開された。 パシニャン首相は、同会議で共同宣言への署名を拒否するなど、ロシアへの不満をあらわにしている。
 東欧のメディアNEXTAが公開した首脳会議の別の映像では、パシニャン首相が共同宣言に署名をせずに会議の閉会を宣言する様子が捉えられている。
 各国首脳と共に会議のテーブルを囲んだパシニャンは、「閉会します。 ありがとうございました」と言い、同席していたプーチンやベラルーシのルカシェンコ大統領は、狼狽するような素振りを見せた。 (2212-112608)

6・2・2 独立国家共同体 (CIS)

プーチン大統領が結束要求

 プーチン露大統領が10月14日、カザフスタンの首都アスタナで、旧ソ連諸国で構成される独立国家共同体 (CIS) の首脳会議に出席した。
 CIS首脳会議には、モルドバを除く加盟及び準加盟9ヵ国の首脳が出席し、テロ抑止策で各国の協力を深めるとした共同文書などが採択された。
 プーチン大統領は旧ソ連諸国に結束を確認させ、ロシアの孤立化を防ぐ思惑だが、ウクライナ侵略についてロシアは勢力圏とみなす旧ソ連諸国の大半から支持を得られていない。 (2211-101419)

プーチン大統領が協力要望

 プーチン露大統領が12月26日、旧ソ連諸国で構成する地域協力機構の独立国家共同体 (CIS) 非公式首脳会議をサンクトペテルブルクで開催し、ベラルーシのルカシェンコ大統領やカザフスタンのトカエフ大統領ら10月の首脳会議と同様のメンバーが出席した。
 冒頭発言でプーチン大統領は地域安定や安全保障について「残念ながら、加盟国の間で意見の相違があることは認めざるを得ない」と懸念を示し「重要なのは我々が備え、協力していくことだ」を訴えた。
 CIS創設はロシアとウクライナ、ベラルーシの3ヵ国首脳が1991年に宣言し、旧ソ連15ヵ国のうちバルト諸国を除く12ヵ国が加盟していたが、ロシアとの紛争が起きたジョージアが2009年に脱退し、2014年のロシアによる一方的なクリミア併合を機にウクライナも事実上脱退した。 (2301-122701)

プーチン大統領の影響力低下

 ロシアの独立系メディアMedusaなどによると、12月27日にサンクトペテルブルクで閉幕した旧ソ連の独立国家共同体 (CIS) 非公式首脳会議に出席した8ヵ国首脳に、プーチン露大統領が記念の指輪をプレゼントした。
 指輪は中心部にCISのマークをあしらい「ロシア、新年おめでとう2023」の文字が透かし彫りになっている。
 ロシアは旧ソ連圏での影響力低下が指摘されており、「盟主」を自任するロシアを中心に加盟国が結集するとの願いを込めたとの観測も出ているが、Medusaは指輪を実際に着けたのはベラルーシのルカシェンコ大統領だけだったと報じた。 (2301-122813)

6・2・3 タジキスタン

ロシアの態度に不満表明

 タジキスタンのラフモン大統領が10月14日、カザフスタンの首都アスタナで開かれた独立国家共同体 (CIS) など中央アジア諸国とロシアとの会議で、プーチン露大統領に「我々に敬意を払ってほしい」と異例の注文をした。
 地元メディアによると、ラフモン大統領の発言は14日の会議で飛び出し、「我々は1億人も2億人もいない。 しかし敬意は払われたい。 何か間違いを犯したのか。 挨拶をちゃんとしなかったのか」とプーチン氏に問いかけたという。
 ロシアは中央アジアなど旧ソ連地域を勢力圏と位置づけ、盟主として振る舞ってきたが、ウクライナ侵攻で劣勢を強いられ想定外の事態を招いている。 (2211-101604)

6・2・4 カザフスタン

ウクライナ親露派を国家承認せず

 カザフスタンのトカエフ大統領が6月17日、プーチン大統領も参加したサンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムのパネルディスカッションで、2月のウクライナ侵攻開始直前にロシアが独立を承認したウクライナ東部の親露派ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国を国家として承認しない考えを示した。
 トカエフ大統領は、国家の一体性と民族自決の権利は国際社会で互いに相反する価値観だと指摘し、仮に独立を求める世界中の民族全ての独立を認めれば、国連加盟国の数は現在の193から600以上にもなり「大混乱を招く」と指摘した。 (2207-061807)

プーチン大統領の目算に狂い、中央アジア諸国冷ややか

 ロシアは2022年初め、反政府デモが暴徒化していたカザフスタンに対して、2,000名規模の部隊を派遣し鎮圧に当たらせた。
 その6週間後、ロシアがウクライナへの侵攻を開始すると、カザフには侵攻への支持を表明してロシアに恩返しする機会が訪れたが、カザフはそうしなかった。
 カザフをはじめ、ロシア南部と国境を接する中央アジア諸国は、侵攻に対して中立な立場を維持した。
 旧ソ連圏諸国でロシアへの全面的な支持を表明しているのはベラルーシのみで、カザフは西側の対ロシア制裁を履行すると確約し、ロシアを迂回したルート経由で欧州への石油輸出を拡大するとし、国防費の増強にも動いた。
 これに加え、カザフを自国の勢力圏に引き込みたい米国からの訪問団を受け入れた。 (2208-072607)

ロシアとの協力関係を改めて確認

 カザフスタンのトカエフ大統領が11月28日、モスクワを訪問しプーチン露大統領と会談した。
 両国はウクライナ情勢をめぐり意見の相違が表面化していたが、歴史的につながりの深い両国の協力関係を改めて確認した。 (2212-112813)

6・3 アルメニア

ロシア平和維持部隊を批判

 アルメニアのパシニャン首相が12月22日、アゼルバイジャンとの係争地ナゴルノカラバフに展開するロシアの平和維持部隊を、アゼルバイジャンによる違法封鎖を防げないでいると批判した。
 アルメニアによると、アゼルバイジャンがナゴルノカラバフとアルメニアを結ぶ唯一の陸路ラチン回廊を封鎖したため、食料や医薬品が止まる人道危機を招いており、パシニャン首相はロシアの部隊が「『ラチン回廊』管理という義務を果たしていない」と訴えた。 (2301-122307)

7 ロシアの友好国への接近

7・1 中 国

中国がロシアに軍事支援の懸念

 ブリンケン米国務長官が3月17日の記者会見で、中国がロシアに軍事支援を検討していると懸念を示した。
 米政府高官が中国がロシア支援を検討していると公の場で認めるのは初めてで、ブリンケン長官は「ウクライナでロシアが使う軍事兵器を中国が直接支援するのを検討していると懸念している」と表明した。 (2204-031804)

対中輸出が抜け道、中国が漁夫の利

 中国は3月にロシアから製鋼用石炭(原料炭)の輸入をほぼ倍増させた。
 ウクライナ戦争を受けて他国がロシア産の石炭禁輸に踏み切る中で割安に調達している。
 中国税関総署のデータによれば、ロシア産の原料炭輸入は3月に140万㌧と前年同月の55万㌧から大幅増になった。 2月は110万㌧だった。
 一方、平年に比べて気温が高めだったことで需要が鈍ったほか、国内生産も増えたため、発電用の一般炭輸入は減少した。 (2205-042009)

中国のロシアへの兵器供与、これまで形跡なし

 バイデン米大統領が9月22日までにCBS TVとの会見番組で、ウクライナ情勢をめぐり中国が兵器やロシア側が求めた支援物資の供与に踏み切った兆しはこれまでみられないとの判断を示した。 (2210-092217)

中露オンライン首脳会談

 プーチン露大統領が12月30日に中国の習国家主席とオンラインで会談し、互いを友人と呼び、関係強化の意向を表明した。
 両首脳は会談で、プーチン大統領は会談の冒頭で習主席に「われわれはロシアと中国との軍事協力の強化を目指している」と伝えた。
 その上で前例のない西側の圧力と挑発に対抗する両国の努力を称賛し、地政学的緊張が高まる中、安定化要因としてロシアと中国の戦略的パートナーシップの重要性が高まっていると述べた。 (2301-123105)

 米国務省報道官が12月30日、プーチン露大統領が中国の習国家主席とビデオ会談を行ったことを受け、米国はロシアと中国の連携を懸念していると述べた。
 「中国政府は中立性を主張しているが、その行動からロシアとの緊密な関係になお投資していることは明らかだ」と指摘し、米政府は「中国政府の活動を注意深く監視している」とした。 (2301-123106)

7・2 イラン

イランがロシアに数百機のUAVを供与

 米国家安全保障問題担当のサリバン大統領補佐官が7月11日、イランがロシアに数百機のUAVを供与する準備を進めているとの情報があると明らかにした。
 武装型も含まれており、今月中にも使い方の訓練を始める可能性があるとの見方を示した。 既に供与したかどうかは不明という。
 UAVなどはイエメン内戦の停戦前にイランがサウジアラビアを攻撃する際に使っていたもので、ロシアが米欧の武器支援を受けるウクライナとの戦闘で武器を失っている状況に触れ「イランのような国にも戦力を求めていることの一例だ」と強調した。 (2208-071201)

 匿名を条件にした米政権高官が、ロシアがイランから8月に入手したイラン製Mahajer-6 UAVとShahedシリーズ UAVで多数の不具合に直面していることを明らかにした。
 これらはロシアのUAV数百機取得計画の一環である可能性が高いという。
 国家安全保障問題を担当するサリバン大統領補佐官は7月、イランがロシアに最大数百機のUAVを提供する準備を進めていることを示す情報があると表明していた。 (2209-083010)

ロシアがイランの人工衛星を打ち上げ

 ロシアの宇宙機関がイランの人工衛星「ハイヤーム」が8月9日、ロシアのソユーズでカザフスタン南部から打ち上げられ、軌道に乗ったことを明らかにした。
 イランは、今回打ち上げた衛星について、放射線の研究や農業用の環境監視など、科学的研究のために設計されたと説明している。
 Washington Post紙は先週、衛星の打ち上げによりロシアによるウクライナへの偵察能力が高まるほか、イランもイスラエルや中東の軍事目標監視で前例のない能力を獲得するとの米政府当局者の懸念を伝えていた。 (2209-080907)

ロシアに SRBM を供給

 Washington Post紙が10月16日に米国や同盟国の安全保障当局者の話として、イランが同国製のSRBMをロシアに初めて供給することで秘密合意が成立したと報じた。
 ロシアが10月に実施したウクライナ全土への攻撃後、急速に不足が目立ち始めた精密誘導ミサイルなど兵器の欠乏を埋め合わせる意味合いがあるという。 (2211-101707)

EU がイランに制裁

 EUの議長国を務めるチェコ政府が10月20日、ウクライナへの攻撃に使用することを目的としたイラン製UAVをロシアに提供した3個人と1団体に対し、制裁を科すことで合意したと発表した。
 UAVの輸送を担当する3個人と1団体の資産を凍結するとともに、過去の制裁リストに掲載されているイランの4団体にも制裁を拡大する用意があると警告した。  今回の制裁措置は、20日に発効する。 (2211-102015)

イラン軍人がクリミアでロシア軍に提供した UAV を操作

 米国務省のプライス報道官が10月20日、イランの軍人がウクライナ南部のクリミアで、イランがロシア軍に提供したUAVを操作してウクライナ全域に対する攻撃を支援していたと米政府が断定したと明らかにした。
 また、ロシアがイランからSAMなどの高度な通常兵器を入手しようとする可能性を懸念していると述べた。 (2211-102102)

イラン外相発言、「無関心」でいない

 イランのアブドラヒアン外相が24日、ロシアがウクライナでイラン製UAVを使用していることが明らかになれば、イラン政府としては無関心でいないとの立場を示した。
 ウクライナ政府は、同種のUAVが最近のロシアが国内各地への攻撃で使用ているとし、ゼレンスキー大統領はロシアはイランにUAV 2,000機を発注したと語った。 (2211-102504)

イランで開発された UAV をロシア国内で生産することで合意

 米Washington Post紙が11月19日に米安全保障当局者らの話として、イランで開発されたUAVをロシア国内で生産することで両国が合意したと報じた。
 11月上旬にイランで開かれた会合で秘密裏に合意をまとめ、数ヵ月以内に数百機の生産を開始できるよう主要部品などの移送に向けて動いているという。
 ウクライナへの攻撃でイラン製UAVを多用しているロシアは、自国内でUAVを生産して備蓄を増やし、精密誘導弾の不足を補えるようになる。 (2212-112007)

対ロシア軍事協力拡大に「誰の許可も求めず」

 イラン外務省報道官が12月18日、ウクライナ侵攻を続けるロシアとの関係を拡大するために「誰の許可も求めることはない」と表明し、イランとロシアの軍事協力強化に懸念を示す米国に反発した。 (2301-121910)

7・3 北朝鮮

ウクライナ東部親露地域の独立を承認

 ウクライナ東部の親露派勢力ドネツク人民共和国の指導者およびロシア国営通信が、北朝鮮が13日に親露派勢力が統治する「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を独立国家として承認したことを明かした。
 両地域を独立国家として承認するのはロシア、シリアに続き3ヵ国目で、北朝鮮は2014年のロシアによるクリミア併合への支持を表明している。 (2208-071401)

ドンバス地方の親露派支配地域に労働者派遣

 ロシアのマツェゴラ駐北朝鮮大使が7月18日にイズベスチヤとのインタビューで「北朝鮮と共和国との協力の可能性は非常に幅広い」と話した。
 大使が言う共和国とはウクライナの親露派勢力が独立を宣言した「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を指しており、北朝鮮は13日に両地域を正式に国家承認した。
 北朝鮮の労働者海外派遣は2017年に採択された安保理対北朝鮮制裁決議第2397号により禁止され、国連はすべての加盟国に2019年末まで北朝鮮の海外派遣労働者を全員本国に送還するようにさせたが、中国やロシアをはじめアフリカ諸国などには最大で数万人規模の北朝鮮労働者が滞在中であるものと推定されている。 (2208-071918)

北朝鮮から砲弾を購入

 New York Times紙が9月5日、米情報機関はロシアが北朝鮮から砲弾を買い入れているとの見方を示していると報じた。
 報道によると、ロシアが砲弾やロケット弾を購入したことが最近機密解除された情報で明らかになった。 何が購入されたのかについての詳細は記載されていないという。
 ロシアはこうした装備を今後も購入することが予想されるとしている。 (2210-090605)

 米国家安全保障会議 (NSC) のカービー戦略広報調整官が9月6日のオンライン記者会見で、露国防省が北朝鮮から弾薬を購入するため協議の過程にあると述べた。
 弾薬の種類や規模は迫撃砲の砲弾やロケット弾など数百万発に上る可能性があると明らかにした。
 すでに購入されたかどうかは未確認としている。
 ロシアが海外に武器などの調達を求める動きは、イランから同国製の戦闘用UAVが8月下旬に空輸されたことが判明しており、経済制裁の影響で兵器や弾薬の不足に悩むロシアが、権威主義国家に支援を求める実態が浮き彫りになった。 (2210-090705)

 InterFaxが、ロシア鉄道が2日に極東沿海地方のハサンから北朝鮮に向けて2020年初頭以来となる貨物列車が出発したと発表したと報じた。
 両国間の鉄道運行は北朝鮮側のCOVID-19対策で中断していたが、北朝鮮の申駐露大使は9月にロシア極東沿海地方のコジェミャコ知事と会談した際、運行再開の方針を伝えていた。
 露朝国境を介しては2019年にはロシア側から5万㌧以上の貨物が送られていた。 (2212-110212)

 米大統領府のカービー戦略広報調整官が、北朝鮮がロシアに大量の砲弾を密かに供給している情報があるとして、監視を続けていることを明らかにした。
 カービー戦略広報調整官は「我々の情報によれば、北朝鮮は中東や北アフリカに送ると見せかけて最終目的地を分かりにくくし、ロシアに大量の砲弾を密かに供給している。」と述べた。
 そのうえで、ロシアが実際に砲弾を受け取ったか監視を続けているが、ウクライナの戦況を変えるほどの量ではないとも述べた。 (2212-110301)

 米国家安全保障会議 (NSC) のカービー戦略広報担当調整官が11月2日に、北朝鮮が中東や北アフリカを通じて秘密裏にロシアに数千発の砲弾を支援しているという北朝鮮~ロシア~中東兵器コネクションを暴露した。
 バイデン米政権は、ロシアへの兵器支援を遮断することを示唆するなど、強い対応を予告した。
 韓国外交部当局者は3日、「ロシアと北朝鮮の兵器取引について懸念している」とし、「米国などと対策を緊密に協議している」と話した。 (2212-110410)

北朝鮮「ロシアに兵器・弾薬を輸出したことも、計画もない」

 北朝鮮は、ロシアがウクライナ戦争の過程で足りない砲弾、ロケット、弾薬などの通常兵器を北朝鮮側から購入しようとしているというニュースが伝えられると、事実ではないと反発した。
 北朝鮮国防省装備総局副総局長が22日に朝鮮中央通信を通じて、「北朝鮮は過去、ロシアに兵器や弾薬を輸出したことがなく、今後もその計画はない」と主張した。 (2210-092207)

ロシアー北朝鮮貨物鉄道が再開

 InterFaxが、ロシア鉄道が2日に極東沿海地方のハサンから北朝鮮に向けて2020年初頭以来となる貨物列車が出発したと発表したと報じた。
 両国間の鉄道運行は北朝鮮側のCOVID-19対策で中断していたが、北朝鮮の申駐露大使は9月にロシア極東沿海地方のコジェミャコ知事と会談した際、運行再開の方針を伝えていた。
 露朝国境を介しては2019年にはロシア側から5万㌧以上の貨物が送られていた。 (2212-110212)

北朝鮮がロシアに大量の砲弾を供給

 米大統領府のカービー戦略広報調整官が、北朝鮮がロシアに大量の砲弾を密かに供給している情報があるとして、監視を続けていることを明らかにした。
 カービー戦略広報調整官は「我々の情報によれば、北朝鮮は中東や北アフリカに送ると見せかけて最終目的地を分かりにくくし、ロシアに大量の砲弾を密かに供給している。」と述べた。
 そのうえで、ロシアが実際に砲弾を受け取ったか監視を続けているが、ウクライナの戦況を変えるほどの量ではないとも述べた。 (2212-110301)

米高官「北朝鮮が秘密裏にロシアに弾数千発供与」

 米国家安全保障会議 (NSC) のカービー戦略広報担当調整官が2日に、北朝鮮が中東や北アフリカを通じて秘密裏にロシアに数千発の砲弾を支援しているという北朝鮮~ロシア~中東兵器コネクションを暴露した。
 バイデン米政権は、ロシアへの兵器支援を遮断することを示唆するなど、強い対応を予告した。
 韓国外交部当局者は3日、「ロシアと北朝鮮の兵器取引について懸念している」とし、「米国などと対策を緊密に協議している」と話した。 (2212-110410)

Wagnel が北朝鮮から武器調達

 米政府高官が12月22日、ロシアの民間軍事会社Wagnerが11月に北朝鮮からミサイルや歩兵用ロケットを購入し、その代金の支払いが完了したことを確認したことを明らかにした。
 Wagnerに渡った兵器の規模は「ウクライナの戦況を変えるものではない」と指摘する一方、北朝鮮からの兵器輸出がさらに拡大することへの懸念を示している。
 北朝鮮に対する国連の制裁決議では、あらゆる武器の輸出入を禁じていて、米政府は今後、北朝鮮とロシアの国連安保理決議違反を提起する方針である。
 北朝鮮国防省は11月に、「ロシアと武器取引をしたことがなく、今後もそんな計画はない」と全面否定する談話を発表している。 (2301-122304)

7・4 ミャンマー

軍事協力強化

 InterFaxが、フォミン露国防次官がミンアウンフラインミャンマー国軍総司令官と11日にモスクワで会談し軍事分野の協力強化で一致したと、露国防省が12日に発表したと報じた。  会談にはロシア国営武器輸出企業ROEの社長も同席した。
 ロシア通信によると、ミンアウンフライン総司令官は10日にロシア入りし、国営宇宙開発企業Roscosmosの社長と会談し、宇宙分野の協力を話し合うなどした。 (2208-071309)

ラブロフ露外相がミャンマーを訪問

 ラブロフ露外相が8月3日にミャンマーを訪問し、クーデターで権力を握ったミャンマー国軍が外相に任命したワナマウンルイン氏と会談した。
 両国は、ミャンマーでの地球観測インフラの設置やロシアのクレジットカードシステム整備について協議したほか、ロシア正教会の教会をヤンゴンに建設することにミャンマー当局が同意したという。
 また今後も、軍事フォーラムにミャンマーを招待するなど、関係強化を進めていく考えを示した。 (2209-080316)

ミャンマー軍系複合企業とロシア企業の合弁製鉄所がも再稼働

 ミャンマーで、国軍系複合企業MEC社とロシア企業Tyazhpromexport社の合弁による製鉄所が、来年にも再稼働する。
 この製鉄所は、赤字だったとしてアウンサンスーチー氏が率いた前政権下で操業を停止していた。 (2209-080405)

7・5 アラブ諸国

7・5・1 シリア

ウクライナと断交

 ウクライナが、親露派支配地域「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立をシリアが承認したことへの対抗措置として、シリアとの断交を表明した。
 これを受けてシリアは7月20日にウクライナとの断交を表明した。 (2208-072010)

ロシア軍撤退の影響

 関係者4人がロイタに、ウクライナ戦争の長期化に備えたロシアのシリア政策の転換を反映して、トルコの国家情報機構 (MIT) トップのフィダン氏が過去数週間、シリアの首都ダマスカスで同国の情報機関トップのマムルーク氏と複数回協議を行っていることを明らかにした。
 トルコ治安当局者によると、シリアのアサド政権の後ろ盾であるロシアは、ウクライナ戦争に注力するためにシリアから軍を段階的に撤退させており、シリアにおける「政治的解決を加速させる」ため、トルコに対してアサド政権との関係正常化を要請した。 (2210-091606)

ロシア軍機がシリアの難民キャンプを空爆

 ロシア軍が11月6日にシリア北西部イドリブの難民キャンプを空爆した。 反政府勢力などによると、この空爆によって子供3人を含む民間人少なくとも9人が死亡し、70人以上が負傷した。
 西側が支援する救助組織White Helmetsによると、空爆があった場所の近くに軍事基地や反政府組織の兵舎はないという。
 ロシア軍、およびロシア軍と同盟関係にあるシリア軍のコメントは得られなかった。 (2212-110806)

7・5・2 アラブ連盟

 アルジェで開かれていた21ヵ国と1機構が加盟するアラブ連盟の首脳会議が11月2日に共同宣言を発表して閉幕した。
 宣言の中でウクライナでの戦争について「非同盟の原則を誓う」と明記し、ウクライナや同国を支援する欧米とロシアとの間で中立を保つ姿勢を鮮明にした。
 アラブ圏には、カタールやバーレーンのように米軍基地がある国の一方で、アルジェリアのように独立戦争で旧ソ連から支援を受け、歴史的にロシアとのつながりが深い国もある。 (2212-110310)
7・6 インド

ウクライナ侵攻を公に批判

 インドのモディ首相が9月16日、プーチン露大統領と訪問しているウズベキスタンのサマルカンドで会談し、今は戦争の時ではないと述べウクライナ侵攻について公に批判した。
 プーチン大統領はモディ首相の発言に対し、「ウクライナ紛争に関するインドの立場や懸念は理解している」とした上で、「われわれは可能な限り早期の停戦に向け全力を尽くしている」と言明した。 ウクライナが交渉を拒否したとも述べた。
 プーチン大統領はこれまで、西側諸国と対立しているものの、中国やインドなどアジアの大国に目を向けることができるため、ロシアは孤立していないと繰り返し述べていた。 (2210-091701)

ジャイシャンカル印外相がモスクワでウクライナ侵攻を遠回しに批判

 ラブロフ露外相とジャイシャンカル印外相が8日にモスクワで会談した。
 TASS通信によると、終了後の記者会見でジャイシャンカル外相は「今は戦争の時ではない」と、モディ印首相が9月にロシア大統領に伝えた「苦言」を引用し、ウクライナ侵攻を遠回しに批判した。 (2212-110814)

7・7 アフリカ諸国

国連決議で多くの国が棄権

 日本にいると、世界中がウクライナの味方になっているように錯覚するかもしれないが、アフリカ各国は立場を異にしている。
 3月に国連で採決されたウクライナ侵攻に対するロシアへの非難決議ではアフリカの28ヵ国が賛成したものの、1ヵ国が反対、27ヵ国が棄権及び不参加だった。
 そして10月に開かれたウクライナ4州のロシアによる一方的併合を無効とする決議では、反対こそなかったが、アフリカの24ヵ国が棄権及び不参加だった。
 これは彼らはロシアに味方した訳ではないが、端的に言うとアフリカ各国が貫く「非同盟主義」の結果である。
 欧米の先進国が率いるいわゆる「西側」と、ロシアを筆頭とする「東側」のどちらにも属さない国々は、約120ヵ国で「非同盟運動」という緩い連合体を持っている。 (2301-122907)