1・1 全 般
1・2 戦闘/戦闘切迫地域の情勢
・総 論 2月24日にロシア軍がウクライナに侵攻したことで始まった戦争は、欧米からの支援を受けたウクライナ軍の強い抵抗でロシア軍の侵攻は頓挫し、膠着状態のまま年を越す。
こうしたロシアの動きに対し同調する国は少ないが、ロシアとの関係が深かった国々を中心に、様子見の傾向が見られる。
ロシアの圧力下で紛争が収まっていたバルカン半島やコーカサスの国々の中では、ロシアの力がそれ程ではないと見て紛争が再燃する傾向が見られる。
ロシアの弱体化を見越して、影響力を広げようと中国が狙っている。 このため中国はロシアよりになったり、離れたりの慎重な動きを見せている。
ウクライナ戦争の影響は欧州諸国に大きな影響を与え、スウェーデンやフィンランドが中立の国是を変えてNATO加盟に動き出した。
またNATO諸国が国防費を大幅に増やし、装備の充実を図ろうとしている。 特にバルト海沿岸諸国やドイツでその傾向が見られる。
更にEUを離脱した英国が欧州に於ける主導権をとろうとしている傾向も見える。こうした背景を受けわが国の防衛政策も急転回を見せた。
防衛関係三文書の改訂と防衛費の大幅増額を行い、反撃能力としてTomahawkを初めとする長射程ミサイルを装備する。
南西諸島での中国の脅威への対処能力を強化すると共に、台湾有事への対処も検討されている。兵器体系は開発や装備に時間がかかることから、国際情勢の急変を受けた目立った変化は起きていない。
次世代戦闘機の開発は日英伊で大きく一歩を踏み出したが、米国や独仏西の動きは遅れたままで、ロシアや中国からも目立った動きは見られない。
米国の次世代爆撃機B-21の発表も既定通りで、2022年に登場すると見られていた中国の次世代爆撃機H-20は登場しなかった。 ロシアではPak Daの話も見えていない。
こうした中、世界のUAVの開発が有人機随行UAV (Loyal Wingman) に重点を置くようになってきている。BMD/防空では早期警戒衛星が、従来型から衛星群型に大きく変わろうとしている。
また従来中隊-大隊-旅団といった部隊階層に従って構築されていた防空システム網が、展開した全ての発射機とレーダを直接制御する一括統制型に変わる兆候が出だした。原子力利用ではトレーラ搭載型の超小型原子力発電装置を基地の電源にするという米軍の計画や、静止衛星軌道以遠、月までのCislunar宇宙を飛行する熱核エンジン宇宙船の開発などが注目される。
・戦闘/戦闘切迫地域の情勢
イランでは核開発が既に兵器製造レベルになっているものの、国内では反政府活動が激化している。 その他中東地域ではイエメンのフーシ派によるサウジやUAEへの攻撃が続き、イラクではイラン系民兵やISIS残党などの活動で治安が安定していない。
イスラエルではアラブ諸国との連携が徐々に進んでいるが、パレスチナのイスラム武装勢力との武力抗争は続いている。
インド・パキスタン情勢や中印国境では小康状態が続いている。
2月24日のロシア軍侵攻で始まったウクライナでは西欧諸国の支援を受けたウクライナが侵攻を食い止め優位な態勢を得たが、ロシアは開戦以前の2倍以上の地域を占領したまま年を越した。
ウクライナ侵攻で弱体化したロシアの影響から、小康状態にあったコソボやナゴルノカラバフでの武力紛争が再燃する兆しが見えてきた。・紛争潜在地域の情勢
北朝鮮はICBMの発射を再開し大量のミサイル発射を行い、核実験の再開も懸念されている。 また、ロシアへの武器提供も報じられている。
東シナ海に於ける中国の対日挑発がますます活発化していて、艦船や航空機の海峡通過や領海侵犯も頻繁に生起している。
南シナ海では、新型HALE UAVの配備や、原潜用埠頭の増設など、海南島の軍備強化を続けられている。 また新たにスプラトリー諸島の4箇所で埋め立てを行っているのが確認された。
これに対し米海軍が南シナ海で大規模演習を実施したり、米豪機が哨戒飛行をしたりし、海上自衛隊も護衛艦を中国が主張する領海内を航行した。
一方でベトナムが埋め立て加速したり、フィリピンが軍事プレゼンス強化したり、インドネシアがナトゥナ諸島の経済特区化など、南シナ海周辺国が中国に対抗する動きも見られた。台湾海峡では米議会下院議長など米要人の台湾訪問が度々行われたことから緊張が高まり、中国機による台湾ADIZないの飛行、更には中間線超えの飛行が恒常的に行われるようになった。
朝鮮戦争終結以来中国が暫定的な「海上境界線」として用いてきた東経124゚付近での中国の動きが活発している。欧州ではコソボとセルビアの対立が再燃しようとしている。 またモルドバではウクライナ戦争の影響をうけ情勢が不安定化する危険が出ている。
・東アジア諸国
経済が低迷している中国では国防費だけは増大し続けている。 これを受け中国で3隻目となる電磁カタパルトを装備する排水量80,000t以上の空母が進水した。
この他に超大型UUVやLoyal WingmanとなるUAVなど高度な技術に基づく兵器を次々と開発している。韓国では左派の文政権に代わって誕生した尹大統領が米韓関係の再構築に舵を切ったが、日韓関係ではまた目立った動きはない。
軍事産業立国を目指す韓国は武器輸出の急速な拡大で成果を挙げている。台湾海峡の緊張増大を受け台湾は国防予算の大幅増大を行い装備の近代化を行っている。
フィリピンはマルコス大統領の誕生で再び親米路線に舵を切り、米国との合同演習も次々と復活している。
総選挙で労働党政権の誕生したオーストラリアは引き続き米国との関係を強化し、米軍の駐留を増大させようとしている。
また中国が進出を企てている南太平洋諸国との関係強化に尽力している。・周辺国を除く世界各国
バイデン米大統領が3月に議会に提出した予算教書で 国防関連予算は$800B超で、うち国防総省向けは$773Bであったが、議会が12月に可決したFY23 NDAA案では国防費を$858Bとした。
米国防総省が公表した中国の軍事動向に関する年次報告書で、企業が持つ高度な先端技術を中国軍が取り込み軍事力強化を図っていると指摘した。
オースティン米国防長官は12月に、ロシアによるウクライナ侵略が続く中でも、中国への対処を重視する立場を改めて強調した。
米陸軍が今後2030年までを見据えて米地上軍の作戦ドクトリンを改定した。 米陸軍が9月に3番目となるMDTFをハワイ州で編成した。
米海軍がNavigation Plan 2022を公表した。 海軍はFY23予算案で、今後5年間の新技術開発に必要な予算を確保するため、、巡洋艦5隻、Los Angels級潜水艦2隻など24隻を除籍するとした。
空軍は仮想シナリオの一番を中国、ロシアを二番とした調達計画を決めたが、ロシアのウクライナへの全面侵攻を受けて見直しを迫られている。
海兵隊はウクライナ戦争の戦訓などを取り入れてForce Design 2030ロードマップを改訂した。ロシアは4月に、射程18,000kmで10~15個の核弾頭の搭載が可能な200tを超える新型ICBM Sarmatの発射試験に成功し、調達を開始した。
ロシアが3月に欧州評議会から脱退した。
ロシアはスーダンに海軍基地を建設しようとしていたが計画が頓挫した。NATOが即応部隊を現行の40,000名から300,000名を遙かに超える水準に増強する。 また加盟国の装備品の備蓄増強について議論する方針を示した。
年頭には駐留や巡回配置で80,000であった在欧米軍は、ロシアのウクライナ侵攻により5月には102,000名になった。
EU欧州委員会が域内での軍や装備品の移動を簡略化するAction Plan on Military Mobility 2.0を提起した。 EUを離脱した英国もこの枠組みに参加する。英政府が2022年の国防費は国内総生産比2.3%に拡大するとの見通しを示した。 ジョンソン首相は2020年代末までに国防費をGDPの2.5%に引き上げると述べた。
フランス国防省が2023年国防予算に2017年に比べて36%増、2022年に比べても7.4%増を要求し、戦時経済を開始するとした。
政権交代で就任したショルツ首相が、積極的安全保障政策への転換を表明した。 また2022年度予算で国防予算に€100Bの基金を設置してGDPの2%以上にし、その後もこの水準を維持する必要があると表明した。
ポーランドは米国からのほか、韓国からを装備を購入し軍事力を強化している。 また移民の不法越境を阻止するために建設を進めていたベラルーシ国境沿いの壁が6月に完成した。 カリーニングラードとの国境沿いに鉄条網の設置を開始した。
リトアニアが2022年度に装備の購入費を追加計上した結果、国防費は対GDPで2.52%になった。
ロシアのウクライナ侵攻を受け国防費をGDP比2.5%に引き上げたエストニアが、更に国防費をGDPの3%まで引き上げる意向を示した。
フィンランドとスウェーデンが5月、NATOへの加盟申請書を同時に手渡した。 2ヵ国の加盟についてはNATO加盟30ヵ国全てが加盟議定書に署名しているが、批准手続きに入っていないのはトルコとハンガリーのみとなっている。トルコでは、ロシア国営Rosatom社が原子力発電所の建設を進めている。
インド財務省が2月に発表した2022年度の予算案で、国防費は中国との係争地での対立を背景に11%増えた。
インド陸軍は中国及びパキスタンとの山岳国境で戦闘に備え、高地戦用の装備を拡充している。
インド初の国産空母が就役した。スリランカでは4月、経済危機に反発する市民の抗議活動が拡大し、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領が国外に脱出し、首相が大統領代行に就任し、ラジャパクサ大統領らが進めてきた中国寄りの外交政策の見直しを宣言した。
ネパールでは、11月の下院選でネパール会議派(NCP)が最多の議席を得たが、連立工作の失敗で共産党毛沢東主義派(毛派)が政権を執った。
中国が12月にサウジアラビアとの包括的戦略パートナーシップ協定に合意した。 サウジにとって中国は最大の貿易相手国となっている。
年明けから反政府デモが拡大していたカザフスタンはロシアの介入で沈静化に成功したが、ウクライナ情勢からロシアから距離をとり対露関係を冷却化した。
ニカラグアの反米オルテガ大統領が国内にロシア軍が国内で任務に当たるとしたことから、2022年の後半から実際に駐留が始まる可能性がある。
・国 内 情 勢
中国艦船、航空機、UAVなどによる日本周辺での示威行動が目立ち、中露の艦船や爆撃機の行動も目立った。
対中戦略の強化が迫られたわが国は日米のほか、日米豪印のQuadや米、英、豪、NZ、加(Five Eyes)との連携も利用して対抗しようとしている。
更にNATOや欧州諸国との防衛協力も強化しようとしている。
南西諸島の防衛では第15旅団の師団への格上げや石垣駐屯達の開設、与那国駐屯地にSAM部隊の配置、馬毛島での自衛隊基地整備、沖縄訓練場に兵站拠点整備、南西諸島に燃料・火薬庫増設などを進めようとしている。政府は台湾海峡の平和と安定は、日本の安全保障だけではなく国際社会の安定にとっても重要だとの認識の元、台湾有事への備えの強化を進めている。
このような背景から日米共同訓練は増加傾向にあり、安全保障関連法に基づく外国軍隊の武器等防護の回数も増加している。
更に、自衛隊と米軍が収集した情報や画像を共有して分析するための組織、日米共同情報分析組織も運用を開始した。北方領土に於けるロシアの活動も活発化し、S-300などの射撃訓練や大規模演習を行っている。
北海道周辺での艦船の動きも活発化し、北海道周辺や日本海での航行、更には日本周回航行などでわが国に対する示威を強めている。これに伴い政府は、ロシアへの最恵国待遇を停止すると共に、国家安全保障戦略の改定でロシアを、「パートナー国」から「国家安全保障上の課題」へ変更した。
政府が国家安全保障戦略、国家防衛戦略(旧:防衛計画大綱)、防衛力整備計画(旧:中期防)の防衛3文書の改定を閣議決定した。
令和4年度第2次補正予算案に4,464億円が認められ、4年度予算は5兆8,469億円になった。
令和5年度の予算案で防衛費は25%増の6兆8,283億円になった。護衛艦2隻によるSM-3 Block ⅡAの迎撃試験を、前方展開したレーダの情報で迎撃ミサイルを発射する迎撃に成功した。
03式中距離地対空誘導弾を改修し、令和11年度までの量産開始を目指す。
宇宙状況を監視する第1宇宙作戦隊と人工衛星への妨害を監視する第2宇宙作戦隊からなる宇宙作戦群が編成された。いずも などの護衛艦、潜水艦、P-1などがインド太平洋巡航を行い、米国やインド、豪州など12ヵ国と地域に寄港した。
東南アジア諸国、大洋州諸国、インド、インド洋諸国、欧州諸国との防衛協力が進展した。防衛装備品を巡る機密情報の国外流出を防ぐ対策が講じられた。
日本、英国、イタリアの3ヵ国が次期戦闘機について、共通機体を共同開発すると発表した。 2035年ごろの配備を目指す。
Tomahawk CMを令和9年度までをメドに最大500発の購入する。
開発中の高速滑空弾の射程を1,000km超に延伸する改良を検討している。 射程3,000kmの報もある。 2030年代初頭の配備を目指している。
令和5年度予算案で極超音速ミサイル迎撃能力向上を要求した。
Aegis システム搭載艦 (ASEV) のほか、排水量1,920tの外洋哨戒艦 (OPV)や長射程ミサイルを発射可能な潜水艦の保有が検討されている。
防衛装備品を製造する国内企業向けの融資制度を新設する。 また事業継続が困難な場合は工場などの製造施設を国有化できる仕組みを創設する。・武器システム:対地攻撃兵器
米空軍でNGADは未だに設計段階にあってMilestone Bを通過せずEMDに入っていない。
日英伊のTempestは5年以内に初飛行するが、FCAS / SCAF NGFは、計画が少なくとも10年は遅れると見られる。
B-21 Raiderが公開された。 初飛行は2023年になる。
米陸軍が次世代ヘリFLRAAにV-280 Valorを選定した。米陸軍のPrSMはFY23に配備を開始し、IOC宣言はFY25に計画している。
ロシア国防省がRS-28 Sarmat重ICBMの装備を開始した。
米軍が長距離極超音速攻撃兵器 (C-HGB) は、陸軍が2023年に中隊を編成、海軍が2025年に洋上発射型を配備、空軍が2027年にALCMの配備となる。
ロシアの極超音速ミサイルZirconがフリゲート艦に搭載された。各国から有人機随行UAV (Loyal Wingman) が報告されている。
・武器システム:防空システム
地球~月間空間の深宇宙Cislunarの軍事利用の研究が進められている。
早期警戒衛星SBIRS GEOの最終機が打ち上げられた。 早期警戒衛星STSS 2基を退役させ、その役割をHBTSS (Hypersonic and Ballistic Tracking Space Sensor) のMDSL (Missile Defense Space Layer) に引き継いだ。FY23 NDAAでGMD体制を見直し、20基とされていたNGIの数を64基に増やす。
米国ではグアムのBMD計画が進められている。
GPI迎撃弾の開発はRaytheon社チームが開発続行を受注した。
ドイツが主導しNATOの加盟14国が参加している、European Sky Shield Initiative AMDシステムにフィンランドが招聘された。
米陸軍が開発を急いでいるPatriotに代わる将来防空迎撃弾 (FADI) の計画が明らかにされた。
Triumfator-Mと呼ばれるS-500の量産が開始された。陸軍は既にIM-SHORADを装備した1個小隊を駐独陸軍に編成している。
米陸軍のStingerに代わる次世代近距離SAMの開発を開始する。 陸軍は1万発以上を調達する計画である。
米海軍、ドイツ海軍、英海軍が対空レーザ兵器の実証試験に成功している。対UAVではハードキルシステム、UAVキラーUAV、ソフトキルシステム、鹵獲システムなどが公表されている。
対空レーダは地上型、艦載型が各種報告された。 空中センサではE-3 Sentry AWACSの後継がE-7 Wefgetailに決まった。
本格量産 (FRP) が開始されている米陸軍のIBCSは、IOT&Eが開始された。・武器システム:関連軍事技術
米陸軍が歩兵旅団戦闘団 (IBCT) が装備する軽戦車をGDLS社製に決め、26両とLRIPの70両を発注した。 米海軍の新型空母であるCVN-78 Gerald R. Ford が2021年12月にIOCになっていた。
Arleigh Burke級駆逐艦の後継となるDDG(X)は、発射機の後方には150kW高出力レーザを含む複数のHELを装備することになる。
米海軍のGhost Fleet Overlord USVが2021年にカリフォルニア沖で行われた作戦に参加した。
米中央軍が2023年中にペルシャ湾一帯に100隻を超えるUSV/UUVを展開させる。ウクライナ戦争の一環としてのサイバ戦が繰り広げられた。
米陸軍が発注したラムジェット推進155mm砲弾Ramjet 155が8月までに450発以上の発射試験に成功した。
JADC2最大の技術的課題はinteroperabilityで、米海軍は参加に難色を示した。
米陸軍が実施したIBCSを用いてF-35の捕捉したデータで野戦砲兵が射撃を行う試験では、データをJADC2経由で陸軍のAFATDSに送って射撃を実施した。米国防総省が進めているマイクロ原子炉開発Pele計画では、5MWの電力供給を3年以上できることを目指している。
DARPAが進めている地球~月間宇宙Cislunar宇宙を飛行する熱核エンジン (NTP) 宇宙船DRACO計画ではFY26に試作機の飛行試験が行われる。
1・2・1 イラン1・3 紛争潜在地域の情勢
1・2・2 中 東
・核 開 発 イスファハンで遠心分離機部品の製造が開始され、ナタンズの地下燃料濃縮プラントに設置された、最も先進的なIR-6遠心分離機3組のカスケードのうち3番目が稼働し始めたほか、未申告施設も報告されている。
濃縮ウランの備蓄が、核兵器製造に必要な核物質を3~4週間で確保できる量に増えている。
米国が対イラン経済制裁一部免除の復活を決めたが、その後の進展はない。・外交政策
ウクライナ戦争ではロシアへ大量の各種UAVを提供したほか、BMの対露供与も取り沙汰され、ロシアの侵攻に最も協力する国になっている。
イエメンのフーシ派への支援も各種ミサイルの提供など、積極的に行っている。
アルメニアと対立しているアゼルバイジャンがイスラエルと戦略的な関係を深めていることから、アゼルバイジャンへの対抗施設を強めている。・軍備増強
2月には中東地域の米軍基地やイスラエルを射程に収める新型固体燃料BMを公開した。
3月に革命防衛軍が2基目の軍事衛星の軌道投入に成功した。
11月には革命防衛軍が、極超音速弾道ミサイルを開発したと表明した。
2021年に革命防衛軍は小型攻撃艇340隻を保有しているとしていたが、5月には衛星画像から小型双胴艇を建造していることが判明した。
地下数百㍍にあるとされるトンネル内にミサイルを搭載したUAVが保管されているのが確認された。・軍事活動
イラク北部クルド人自治区の主要都市アルビルの米軍基地をBM攻撃したり、ペルシャ湾で米艦船の航行を妨害するなど対米軍事活動を行っている。 その中でイランが活動範囲を紅海にまで延ばしているのが注目される。
・国内で激化する反政府活動
へジャブの着用が不適切だったとして警察に拘束された女性が死亡したことを受け各地で起きた抗議活動が、大規模で長期に及ぶ反政府活動に発展している。
改革派のハタミ元大統領が抗議デモへの支持表明した。
こうした中で反体制デモで拘束された市民少なくとも11人に死刑が言い渡され1人の死刑が執行され、100人に死刑が言い渡される可能性があると報告されている。
1・2・3 イスラエル
・イエメン フーシ派によるサウジアラビアやUAEに対するUAVやUSVを使った攻撃がつづいている。
イランからの武器流入も盛んで、米海軍がイランを出港し50t以上の弾薬を運搬していた漁船を拿捕し弾薬を押収している。 またイエメン向けミサイル燃料も押収されている。
これに対しフーシ派と交戦する連合軍に参加しているサウジはフーシ派が拠点を置く首都サヌアを空爆した。・イラク
イラン系民兵やISIS残党の活動など、依然として治安は安定していない。
・クルド人
トルコがイラン北部のクルド人自治区をテロの拠点として度々空爆や越境攻撃したほか、イランも同地域を反政府活動の拠点としてミサイル攻撃した。
こうしたなか、トルコがシリアのロシア軍基地内にあるクルド人拠点を攻撃した。・ISIS との戦い
1月にシリア北東部ハサカ県にあるISIS戦闘員らの収容所が襲撃された。 2019年以来最大の襲撃という。
・中東駐留米軍
米中央軍は推定40,000~60,000の部隊を中東21ヶ国に展開しているが、一部部隊を移動させたり、基地の統合などを行っている。
一方でUAEへ第五世代戦闘機を増派したり、ヨルダンの航空基地を恒久基地化する工事を行っている。 米空軍が少なくとも2016年からUAVやジェット機を駐機させていると見られている。・湾岸諸国の AMD
米国務省がサウジアラビアへのPatriotとUAEへのTHAADの輸出を承認した。
米陸軍工兵隊がサウジアラビアが配置する7個THAADのサイトを建設している。
1・2・4 インド・パキスタン
・イスラエルの地位 イスラエルがUAEなどアラブ4ヵ国とブリンケン米国務長官を迎え、6ヵ国の外相会合を開いた。 イスラエルの2021年武器輸出が2020年比30%増加し、そのうちの7%がアラブ諸国向けであった。
イスラエルがイランからのロケット、CM、UAVに対抗する米中央軍が主導するMEADと呼ばれる新たな防空同盟に中東の数ヵ国が加盟する。・イスラエル国内
国政選挙で、ネタニヤフ元首相と極右勢力が過半数議席を獲得したことで、パレスチナに対して強硬姿勢のネタニヤフ政権の復活した。
エルサレム旧市街ではイスラム教聖地にあるモスクの敷地内でパレスチナ住民とイスラエル警官隊が衝突し多数の負傷者が出た。
イスラエルによる東エルサレム占領の記念日に、エルサレム旧市街でユダヤ人極右勢力らがパレスチナ人地区で大規模なデモ行進を行ったため、パレスチナ住民とイスラエル治安部隊などが衝突し多数が負傷した。・ガザでの戦闘
ハマスからのロケット弾攻撃と反撃が繰り返された。
またイスラエル軍がガザで武装組織イスラム聖戦を空爆し、イスラム聖戦は司令官1人が殺害されたことを認め、報復を宣言した。・ヒズボラとの戦闘
地中海沖合のカリシュガス田に向かっていたヒズボラのUAVをイスラエル軍が撃墜した。
・シリアとの戦闘
イスラエル軍によるシリア空爆が繰り返された。 シリア空爆では米国と密かに事前調整していることを明らかになった。
シリアからのイスラエルを攻撃するイラン製 UAV をイスラエル空軍が撃墜した。・イランとの直接対決
イランのテヘラン近郊パルチンにある国防軍需省の研究施設で起きた事故について、UAVが建物に突っ込んで爆発したとみられ、その手法からイスラエルの関与が濃厚という。
・核 保 有
イスラエルのラピド首相が、同国の核兵器保有について遠回しに言及する異例の発言を行った。
1・2・5 中国・インド
インドが発射した非弾頭の超音速 SSM がパキスタンに着弾する事件が起きた。
カシミールの中心都市で武装勢力による襲撃事件があった。
1・2・6 ウクライナ
・中印国交の緊張持続 中国がヒマラヤ地域係争地に中国語名付与したほか、中国側でインフラを整備したり、高地戦に適応したSAMなどの兵器を開発するなどの挑発を続けている。
インド軍は中印国境地帯で米国と共同演習を行った。
インドが実効支配し中国も領有権を主張するインド北東部で両国軍が衝突し、双方に負傷者が出る小競り合いがあった。・ヒマラヤ諸国
ネパールでは下院選で最多の議席を得たネパール会議派が連立工作に失敗したため、共産党毛沢東主義派政権が復活した。
1・2・7 その他旧ソ連諸国
・開戦に至る経緯 2014年にロシア軍の支援を受けてウクライナ東部2州の約3割を占領した親露派が1月に、「共和国」の創設を一方的に宣言した。 ロシア下院が2月、ウクライナ東部の親露派武装勢力ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国を国家承認するようプーチン大統領に求める決議案を可決した。 プーチン露大統領はウクライナ侵攻開始前の2月21日に、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立を認める法令に署名し、親露派指導者と友好条約に署名した。 プーチン大統領は2月23日に1時間にわたるTV演説で、ウクライナは古代ロシアの地で常にロシアの一部だったと主張し、現代ウクライナの起源もソ連にあると強弁した。 ロシアは2021年後半からウクライナ国境で兵力増強を行っており、1月~2月にかけ大規模演習を行ってきた。 2月中旬にはウクライナ政府軍が親露派を攻撃したとの偽情報流布や、破壊工作を自演する偽旗作戦を行った。
・2月24日にロシア軍の全面侵攻開始
2月24日にロシアが、ウクライナ国境東側の一部空域を封鎖した。
同日、プーチン露大統領が、ロシア軍にウクライナでの特別軍事活動を承認した。
同日未明にウクライナの複数の都市で激しい爆発音が聞かれ、ロシア軍の空爆が開始された。
同日、首都キエフとハリコフのウクライナ軍司令部がミサイル攻撃を受けた。
同日未明(日本時間同日午前)にプーチン大統領がウクライナ東部で「特別軍事作戦」を行うと発表した。
同日に親露派勢力がルガンスク州にあるウクライナ政府が統治する町への攻撃を開始した。
同日にロシア軍はベラルーシからも部隊をウクライナに侵攻させた。・開戦初期
開戦当初ロシア軍は北部ベラルーシ国境からと北東部からの進撃を行った。
開戦2日後の2月26日にはキーウに迫る勢いで、27日にはウクライナ第2の都市、東部ハリコフに入った。
侵攻開始から3日目となる2月27日、首都を目指すロシア軍機甲部隊がキエフを目前にしたブチャでウクライナ軍の反撃を受け、大きな損害を出した。
膠着するウクライナでの戦況から脱するため、ロシア軍は2月28日に戦力の増強を進めた。
3月に入るとロシア軍の進撃は頓挫し、、「一部の部隊は戦うことなく降伏しているようだ」と伝えられた。
3月中旬になるとウクライナ軍の優勢が伝えられ、下旬になると北部でウクライナ軍の攻勢が報じられた。
4月に入るとロシア軍は北部で後退し、上旬中にはベラルーシに向け敗走した。・黒海艦隊旗艦の巡洋艦 Moskva が沈没
4月15日にはウクライナ軍のミサイル攻撃で黒海艦隊旗艦の巡洋艦 Moskva が撃沈された。
・ハリコフの奪還
5月上旬にはウクライナ軍がハリコフ周辺でロシア軍の攻撃を退け、反転攻勢に出て、5月半ば頃までにロシア軍を撃退した。
更に6月常人までにはハリコフ州のロシア軍を国境まで押し戻した。
その後東部戦線では両軍の攻防が続きそのまま年を越そうとしている・マリウポリの陥落
ロシア軍は2月24日にはマリウポリへの上陸を試み、3月には同市を包囲しようとしていたが、中旬になって漸く包囲することができた。
その後もウクライナ軍の抵抗が続き、ロシア軍がほぼ制圧したのは4月の下旬であった。
・ロシアのウクライナ領編入
プーチン露大統領が9月30日にウクライナ東部と南部のルガンスク、ドネツク、へルソン、ザポロジエ4州のロシア領への併合を宣言した。
・ロシア軍のヘルソン撤退
11月にはに、ロシア軍が侵攻開始直後の3月から占領していたヘルソン市を取り戻し、ドニプロ河西岸を奪還した。
・ロシアの核による威嚇
ロシアは開戦当初から核兵器使用をチラつかせ、角による威嚇を続けている。
・ロシアが犯した戦争犯罪
ロシアは開戦初期にキエフ州全域で民間人の虐待、虐殺を行い、その後東部のハルキウ州でも多くの虐殺や性的暴行、拷問、捕虜の虐待などが発覚した。
また多くのウクライナ市民がロシアに強制連行され、その中には多くの子供達が含まれている。
更に、占領地域での民家からの金品の略奪が行われ、略奪品を戦車に載せて持ち去る様子などが目撃された。
国家規模では、ロシア軍がウクライナから略奪した大量の穀物を地中海へ搬出した。 その他に制圧したマリウポリから大量の金属を略奪したり、外国船を応酬したりした。・弱体化したロシア軍
弱体化したロシア軍の軍記の乱れ、士気の低下が報じられ、相次ぐ将官の戦死がそれを物語っている。
ロシア黒海艦隊の司令官の解任など軍将官の解任も相次ぎ、更迭されたばかりのウクライナ作戦総司令官も更迭され、ゲラシモフ参謀総長が新たな総司令官に任命された。
戦闘を通じてロシア兵器の低能力が露呈し、装備の枯渇も顕著になった。
このため1960年代のT-60 MBTが投入されたり、動員されたロシア兵に旧式小銃が手渡されたりしている。・ロシア国内情勢
プーチン大統領は政敵を排除し、ネット接続規制を強化すると共に、リベラル系紙を活動停止にし大手独立系メディアを非合法化して、情報の遮断と言論の弾圧を行っている。 更に虚偽の発表を流布して見せかけ、戦果を誇張している。
「戦争ではない特別軍事活動」としていたプーチン大統領も、戦況悪化に伴い9月21日に部分的動員を発令した。
一方で厭戦機運が広がり数百万人のロシア市民が国外に脱出したと伝えられた。・ウクライナ支援国の武器等供与
ロシア軍の侵攻当初から欧州各国が相次いでウクライナへの武器供与に踏み込んだ。
当初はMANPADSやATGMなど個人装備ミサイル等や小火器が主であったが、逐次供与武器が重装備化し、4月になるとソ連製戦車やS-300 SAMも加わった。
更に東欧諸国製の155mm SPHや米国から牽引155mm榴弾砲も多数供与され、ドイツやポーランドからは装軌の155mm SPHも送られた。
6月にはHarpoon対艦ミサイルも供与された。
この間、3月にポーランドが保有するMiG-29を米軍経由で供与する話が進んだが、米国の反対で行われなかった。・経済制裁
欧米諸国は開戦前から対露経済制裁を行い、段階的にこれを強化している。 その結果ロシア経済にかなりの影響を与えている。
しかしロシアへのエルギー依存が高くNordostream問題を抱えていたドイツなどは制裁の実施に慎重であった。
ただ経済制裁の影響でエネルギー価格が上昇した結果、ロシアの輸出利益が大幅に増加し石油生産量が増加するという逆効果も起きた。
更に、中国がロシア産石炭を人民元で購入したり、インドがロシア産石油の原産地を偽装する所謂ロンダリング(洗濯)で制裁網をくぐり抜け、漁夫の利を得るなどの問題も生起している。
またトルコなどが制裁逃れに加担しているなどの噂も報じられた。 サウジアラビアによる石油価格の高値誘導も間接的なロシア支援と見られている。
ロシアの侵攻開始後、欧米及び日本の民間企業の多くが相次いでロシアから撤退した。・国際世論と国際法判断
3月に国連総会(加盟193ヵ国)がウクライナ危機をめぐる緊急特別会合で、ロシア軍の完全撤退などを要求する決議案を141ヵ国の賛成多数で採択した。
反対は5ヵ国(ロシア、ベラルーシ、シリア、北朝鮮、エリトリア)、棄権は35ヵ国であった。
4月に国連総会の緊急特別会合で、国連人権理事会でロシアの理事国資格を停止する決議が、ロシアやベラルーシなど24ヵ国が反対、58ヵ国が棄権したが、93ヵ国の賛成により採択された。
ウクライナ国防省諜報機関は、戦争犯罪に直接関与したとするロシア軍兵士のリストを公表した。
米政府はロシア軍の一部がウクライナへの侵攻で戦争犯罪を犯したと判断している。
3月に国際刑事裁判所 (ICC) の検察官が、ウクライナで戦争犯罪が行われた疑いについて捜査を開始し、5月に調査団をウクライナに派遣した。・旧ソ連諸国の対応
ベラルーシはロシアの侵攻開始当初からロシアを支持して基地の提供を行い、同国からのロシア軍侵攻を認めているが、ウクライナ軍が直接参戦する可能性は低いと見られている。
これに対し旧ソ連諸国は対応に苦慮している。・ロシア友好国の対応
中国のロシアに軍事支援が懸念されている。 イランはロシアに数百機のUAVを供与しており、SRBM供給も噂されているが、見返りにロシアがイランの人工衛星を打ち上げを支援するとの報道もある。
早早にウクライナ東部親露地域の独立を承認した北朝鮮はロシアに兵器・弾薬を輸出した疑いが持たれている。
インドはロシアのウクライナ侵攻を公に批判しているが、経済制裁には加わっていない。
アフリカ各国は3月に国連で採決されたウクライナ侵攻に対するロシアへの非難決議では28ヵ国が賛成したものの、1ヵ国が反対、27ヵ国が棄権及び不参加だった。
1・2・8 その他地域
・ベラルーシ 反政府デモを抑え込んだベラルーシは、ロシアからIskanderとS-400を購入したり、保有するSu-24を核兵器の搭載が可能に改造し、ロシアの核恫喝に加担した。
一方で、長期外貨建て格付けをデフォルト(債務不履行)状態と判定された。
2021年の夏にベラルーシがEU側に中東やアジアからの移民を送り込むハイブリッド攻撃を行ったのを啓開したポーランドは、国境に高さ5.5mの金属製の壁を建設する工事を開始した。・ジョージア
ジョージアからの独立を宣言している親露派地域の南オセチアの指導者ビビロフ氏が、4月に実施する「大統領選挙」の直後にロシア編入の是非を問う住民投票を行ったが、 ビビロフ氏は選挙に敗れ、結局住民投票は中止になった。
・アルメニアとアゼルバイジャン
ナゴルノカラバフを巡る両国の紛争は、2020年の停戦合意後も度々武力衝突を繰り返しており、アルメニアはロシアの「平和維持部隊」が機能していないと、対露非難を行っている。
特にチラン県では8月に、双方に死者を出す衝突が起こり、9月には国境地帯の衝突で両軍の死者は200名を越えた。
更に12月にはナゴルノカラバフとアルメニアを結ぶ唯一の道路「ラチン回廊」がアゼルバイジャン側に封鎖されている。
・アフガニスタン アフガニスタン北東部パンジシール渓谷の住民がタリバンの統治に抵抗する武装勢力民族抵抗戦線(NRF)を組織して抵抗している。
・東地中海
イスラエルとレバノンの天然ガス田を巡る対立はとりあえず解消した。
キプロスとその周辺海域の問題は大きな動きがなかった。
1・3・1 朝鮮半島1・4 東アジア諸国
1・3・2 東シナ海
・核実験の再開に向けた動き 北朝鮮は2018年に核実験場を廃棄し、ICBM発射試験を中止すると宣言していたが、1月に核実験と ICBM 発射の再開を示唆した。
韓国は3月に北朝鮮が追加核実験を通じて小型低出力核弾頭を開発する可能性があり、新型TBMにこれを搭載すれば朝鮮半島に深刻な脅威になりかねないと見た。 米韓軍は、北朝鮮が最近2018年5月に爆破した豊渓里の核実験場の3番坑道に新たな入口を作っている状況をとらえた。・ICBM 発射の再開
北朝鮮は3月に火星-15と見られるICBMを、11月に火星-17と見られるICBMを発射した。
火星-17は飛翔距離は999km、到達高度は6,040kmで日本海に落下したが、正常軌道であれば15,000km飛翔していた可能性があった。・日本上空を通過した BM
10月には火星-12 IRBMと見られるBMが日本上空を通過し太平洋上に着弾した。
・砲撃と BM の大量発射による示威
北朝鮮が2022年に発射したBMは70発以上に達し、過去最多だった2019年の25発を大幅に上回った。 特に11月以降に集中した。
11月2日にはSRBMなどを20発以上発射し、1日の発射数で過去最多となる軍事挑発を行った。
一方10月には日本海と黄海に向け砲弾100発以上を発射した。 砲撃はその後も何回か行われた。・サイバ攻撃による資金調達
米国は北朝鮮がこの2年間で$1Bを超える暗号資産(仮想通貨)とビットコインをハッキングで窃取し、ミサイル開発など大量破壊兵器計画の資金を調達したと見ている。
・ロシア側への武器提供が核開発の資金源
12月にウクライナ侵攻に加担するロシアの民間軍事会社Wagnerに北朝鮮が武器を売却したことが明らかになった。
北朝鮮がロシアに武器を売却した資金により核やミサイル開発が進む恐れもある。・戦術核再配備論
韓国で戦術核再配備論が高まっている。 韓国与党関係者は、戦術核再配備を含めて米国と協議することを明らかにした。
・米国の対応
10月には北朝鮮のBM発射を受け米軍が空母を再び日本海に展開させた。 11月には米軍が、北朝鮮がICBM級ミサイルを発射したことへの対応措置として韓国軍と合同で、ミサイルの移動式発射機 (TEL) への打撃を想定した精密誘導爆弾の投下や、日本海上空での編隊飛行を行った。
この際には、米軍のB-1Bが九州北西空域で航空自衛隊の戦闘機との共同訓練を実施した。
1・3・3 南シナ海
・尖閣諸島周辺接続水域の航行 2022年に海警局艦が接続水域内で確認された日数は通算336日となり過去最多となった。
接続水域には76mm砲を搭載した警備艦が初めて投入された。・尖閣諸島周辺領海への侵入
2021年に中国海警艦が領海に侵入したのは34件で、2020年より10件増えた。
12月25日から連続侵入は72時間45分となり、2012年9月の尖閣国有化以降で最長となった。 また、尖閣周辺の領海侵入は2022年37日目になった。・日本漁船への接近
2021年に尖閣諸島周辺の領海で中国海警局艦が日本の漁船に接近しようとする動きが確認されたのは18件で、2020年の2倍以上に増えた。
2022年も中国海警局艦の日本漁船への接近は度々生起した。・艦船の通過
中国艦の沖縄本島と宮古島の宮古海峡通過は頻繁に行われた。
この他に中国艦は与那国島と台湾の間、奄美大島周辺海域、屋久島周辺海域、大隅海峡なども通過した。・海洋調査船の無許可活動と測量艦の領海侵入
海洋調査船が石垣島周辺や奄美大島周辺などのわが国EEZ 内での無許可活動を行った。
また中国海軍測量艦が屋久島南の領海に度々進入し、潜水艦の潜航航路の調査と見られる動きを行った。・航空機等の飛行
南西諸島周辺で哨戒機、爆撃機の飛行が度々行われ、UAVも飛行した。
・南西諸島近海での中国軍の活動
中国海軍空母遼寧を中心とした空母打撃群が大東島南西の太平洋上で、艦載戦闘機やヘリを300回以上発着艦させた。
・一方的な資源開発
5月に確認された日中中間線の中国側の新たな新たな海洋プラットフォームは6月には完成し海底の堆積物を試掘している。
・海上保安庁の対応
海上保安庁は宮古島海上保安部に初の大型巡視船を配備すると共に、グレーゾーン事態を想定した海上自衛隊との共同訓練を実施している。
・米空軍 MQ-9 の鹿屋基地展開
米空軍がインド太平洋地域で初めてMQ-9 Reaperを東シナ海の端にある鹿屋基地に配備した。
1・3・4 台湾海峡
・中国の兵力の増強 新型HALE UAVの配備や、原潜用埠頭の増設など、海南島の軍備強化を続けている。
・中国の人工島拡大
12月には新たにスプラトリー諸島の4箇所で埋め立てを行っているのが確認された。
・中国の周辺諸国恫喝
6月には豪空軍のP-8に対しチャフを散布するなどの危険行為を行った。
3月には台湾の大学とフィリピンの大学が行った共同調査を妨害した。
フィリピンに対しては3月に比警備艦に意図的接近を行ったり、11月には比海軍が海上で改修したロケット部品を強奪したり、12月には比海軍の補給船を追尾したりと、嫌がらせや恫喝を繰り返している。・米国のフィリピン防衛明言
ハリス米副大統領がマニラでマルコス大統領と会談し、中国と対立する南シナ海情勢に関し、比軍の航空機、船舶が攻撃された場合には米国は防衛力を発動すると述べ、強固な同盟関係をアピールした。
・米国の航行の自由作戦
米海軍が南シナ海の中国が領海と主張する海域で度々、巡洋艦または駆逐艦による航行の自由作戦を実施した。
・米海軍が大規模演習を実施
1月にはCarl Vinson CSGと海兵隊第11遠征隊 (MEU) が乗り組んだEssex ARGが演習を実施した。
またCarl Vinson CSGとAbraham Lincoln CSGの2個CSGも合同訓練を実施した。
7月にはRonald Reagan CSGが展開した。・米海空軍と豪空軍が偵察飛行
米軍が1月から11月までの間に、南シナ海上空だけで589回にわたって大型軍用機を派遣し、中国の軍事動向を中心とした情報収集を行っていた。 2022年1年間に米軍は600回以上の軍用機を派遣したとみられる。
米軍は嘉手納基地とフィリピンのクラーク基地から、P-8AやE-3G、RC-135Vなどを台湾海峡と南シナ海の地域に派遣し情報収集している。
また米軍に加えオーストラリア軍機も頻繁に南シナ海上空に飛来し、情報収集を行っている。・ベトナムの埋め立て加速
ベトナムが南シナ海スプラトリー諸島で、2022年後半だけで過去10年の3倍を超える面積を埋め立てているのが確認された。
・フィリピン南シナ海で軍事プレゼンス強化
フィリピン国防省が12月、係争水域での中国の活動に懸念を示し、南シナ海でのプレゼンス強化を軍に命じた。
・インドネシア、ナトゥナ諸島の経済特区化
インドネシア政府が漁業や観光関連の投資を呼び込むのと同時に、安全保障態勢を強化するため、南シナ海の自国領であるナトゥナ諸島の経済特区化を検討している。
・岸田首相が中国を名指しで批判
岸田首相が異例にも国際会議で中国に対し、南シナ海で軍事化や威圧的な活動など地域の緊張を高める行為が続いていると懸念を示した。
・日本版航行の自由作戦
海上自衛隊護衛艦が2021年春から複数回にわたり、中国が南シナ海で領有権を主張する人工島や岩礁の接続水域にあたる、海岸から12~24nm内近海を航行していた。
護衛艦の活動は政府の国家安全保障会議でも当時の菅首相に報告していた。
1・3・5 黄 海
・中国軍が台湾 ADIZ 内を飛行 中国軍機延べ39機が1月23日に台湾の防空識別圏に相次ぎ進入した。 1日当たりの数として2021年10月4日の56機以来の大量進入となった。
南西沖の台湾防空識別圏に12月13日、過去24時間に中国の航空機21機が進入し、うち18機がH-6だった。
爆撃機18機は、1日当たりのADIZ進入数としては過去最多となる。 11月は延べ21機のH-6が確認され、12月はすでに延べ23機が進入している。・中国軍が台湾との中間線を越え台湾の空域内に進入
台湾海峡の中間線は、1949年に国民党が共産党との内戦に敗れ、大陸から台湾に逃れた際に台湾とそれを支援する米国が主張したとされ、衝突を避けるため中国側も尊重してきた経緯があり、事実上の「境界線」となってきた。
9月15日にPLAの軍用機26機と2種類のUAVが台湾周辺に現れた。 軍用機の内Su-30 2機、JH-7 2機は中間線を越え、中間線超えず常態化した。
12月26日には台湾の防空識別圏に24時間でPLA機延べ71機が進入した。 このうち33機が台湾海峡の中間線を越えて台湾側を飛行した。・中国艦が台湾周辺を航行
中国艦が頻繁に台湾海峡を通過し、台湾東海岸沖を遊弋するようになった。
・中国軍が台湾周辺で演習を実施
5月には台湾の東と南西、7月~8月には台湾周辺や東/南シナ海で複数回に演習を行ったほか、8月には台湾対岸で揚陸戦演習、12月には各軍合同の演習を行った。
・台湾への威嚇行動
中国軍が6月1日、台湾周辺の海空域で最近、臨戦哨戒を実施したと発表した。
台湾周辺で台湾の年次演習「漢光」への牽制と見られる中国軍所属とみられるUAVの飛来が相次いだ。
PLAは12月に、軍用機339機、艦艇82隻を台湾周辺へ送り込み、軍用機39機のうちの30機は台湾のADIZ内に進入した。
12月になって下旬までに、PLAは軍用機339機、艦艇82隻を台湾周辺に送り込んでいる。・中国がペロシ米下院議長の訪台への牽制
8月2日に台湾へ向かったペロシ米下院議長搭乗機を追跡しようと、中国軍が最新の駆逐艦と戦闘機を投入したが、米軍の妨害で失敗した。
8月3日には、中国軍が戦闘機27機が台湾のADIZ に進入し、うちの22機が台湾海峡の中間線を越えた。
8月4日には、中国軍が台湾周辺で「重要軍事演習行動」を開始し、台湾側によるとBM 11発を発射した。 そのうち5発が我が国の排他的経済水域 (EEZ) 内に落下した。・米要人の訪台
8月上旬のペロシ米下院議長の訪台に続き、8月中旬に米上下両院超党派議員団、8月中下旬にインディアナ州知事と共和党上院議員、9月に8人の超党派米議員団など、米要人の訪台が相次いだ、
・中露艦隊による示威
中国とロシアが12月21日から27日までの日程で、台湾の北側300kmの東シナ海で海上連合2022共同演習に入った。
・中国が武力統一を放棄しないと警告
中国政府が8月、「台湾問題と新時代の中国統一事業」と題する白書を発表、武力使用を放棄しないと改めて警告した。
・米艦の台湾海峡通過
米海軍の巡洋艦や駆逐艦が、ほぼ毎月、台湾海峡を通過した。 またカナダ海軍も9月にフリゲート艦を通過させた。
・海上保安庁巡視船8隻が台湾海峡入り
8月5日から9月3日まで台湾周辺で台湾海峡の緊張が高まっているなか、台風11号からの避難を理由に海上保安庁の巡視船れいめい、あさづき、さど、うるま、なぐら、ぶこう、りゅうきゅう、ざんばの8隻が台湾海峡に入った。
・NATO が台湾情勢に特化した協議
NATOが9月に初めて台湾情勢に特化した協議を行っていた。
1・3・6 欧 州
・離 於 島 中韓が領有権を主張している離於島に就いては特に報道はなかった。
・東経124゚線
朝鮮戦争終結以来中国が暫定的な「海上境界線」として用いてきた東経124゚付近での中国の動きが活発している。
中国艦が2021年だけでも韓国の管轄海域に260隻も進入しており、中国の黄海内海化戦略の可能性がある。
・コソボ vs セルビア コソボ居住セルビア人問題が再燃している。
セルビアが実施した国民投票に、セルビアがコソボ在住セルビア人も参加させようとしたが、コソボ警察がこれを阻止した。
コソボがセルビア系住民にコソボの車両ナンバープレート使用を義務付けたことにセルビア系住民が反発し緊張が高まった。
12月にセルビア系の元警官がアルバニア系警官に暴行したとして逮捕されたのをきっかけに、セルビア系住民が道路にバリケードを築いて抗議した。 このためセルビア首相がコソボに軍を派遣する用意があると発言し、ブチッチ大統領が軍に最高度の戦闘準備態勢を敷くよう命じたが、緊張緩和を求める米国とEUの要請に応じてバリケードを撤去することに同意した。・その他の旧ユーゴスラビア諸国
NATO加盟国であるクロアチアはEUにも加盟しており、ロシアを後ろ盾とするセルビアと緊張関係にある。
在欧米軍特殊部隊が3月にアルバニアへ、恒久派遣される初の米軍として12~15名からなるTask Force Balkansを派遣した。
アルバニアはNATOの海軍基地をアドリア海沿岸に建設することでNATOと協議を進めている。・モルドバ
ウクライナの南に位置するモルドバは、ロシアによるウクライナ侵略以降多くの避難民を受け入れているが、ヨーロッパ最貧国としても知られ経済的に苦しい状況にある。
1・4・1 中 国1・5 世界各国(周辺国を除く)
1・4・2 北朝鮮
・世界制覇の国家目標 一帯一路構想名の元に金貸し外交を進めており、スリランカが債務返済に行き詰まっている。
中国海軍が将来戦場になりうる日本南方や台湾東方の海域に焦点をあて海軍力を大幅に増強している。
ジブチ共和国のドラレ港にある中国軍基地には大型の補給艦が入港し、今後は更に大型艦が基地にすると見られる。
カンボジアのリアム海軍基地に中国軍が独占活用できる基地が建設されると報じられた。
海軍のコルベット艦を海警局の警備艦に改造中と報じられたほか、複数の造船所で海軍のフリゲート艦12隻を中国海警局の警備艦に転用するための改修が進められている。・経済低迷下の国防費増大
中国の2021年の成長率は8.1%であったが2022年の経済成長目標を5.5%前後とした。 しかし中国のゼロコロナ政策や親プーチン政策を敬遠したグローバル資本の中国離れが進み、 中国証券市場の代表的指数であるCSI300は、この17ヵ月間に前の高値から27%下落した。
こうした中でも2022年国防予算は7.1%増とし、過去10年間で2.2倍、30年間で39倍に増え、2022年度の予算はは日本の防衛費の4.6倍になった。・共産党支配体制維持の努力
少数民族の人権問題も表面化し、国連特別調査官の報告書で新疆ウイグル自治区で少数民族が強制労働に従事させられていることが明らかにされた。
10月に開幕した中国共産党の第20回党大会で、習総書記の権威を確立する文言を盛り込んだ党規約改正案を採択され閉幕した。
10月に英マンチェスターで抗議デモを行っていた香港民主派の男性が中国領事館の敷地内に引きずり込まれたうえ、職員から殴る蹴るの暴行を受けた。
中国政府が世界各地に開設している中国により運営されているいわゆる海外警察署が全世界54ヵ所に存在するという。・欧米との対立
11月にミュンスターで開かれたG7 外相会合が、中国に武力を用いた威嚇やその行使を控えるよう求め、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する共同声明を発表した。
王毅国務委員兼外相が3月、ロシアのウクライナ侵攻に対して西側諸国が行なっている対露制裁が、自国に影響を及ぼす場合には報復すると警告した。
米国市場に上場する中国企業は、米当局から厳格な会計監査の受け入れを求められており、内部情報の開示を回避するため上場廃止に踏み切った。・軍備増強
中国は2027年までに最大700発の核弾頭、2030年までに少なくとも1,000発の核弾頭を保有する可能性がある。
中国が7月以降、複数の新しい宇宙機を秘密裏に試験しており、スペースシャトルに似た宇宙船を周回させている。
中国国防省が6月に地上配備型BMDSの試験を行った。 中国がBMDSの試験を公表するのは2021年2月以来6回目である。
中国が2021年8月に実施した超高速兵器は、超高速兵器は地球の低周回軌道を回った後に速度を上げながら滑空飛行し、目標から24哩離れた地点に着弾したとされる。 中国が2021年8月に試験を実施した低周回軌道を回った後に攻撃を行う部分軌道爆撃システム (FOBS) では南極経由で攻撃でき、米本土BMDSの裏をかくことができる。
中国が8月に中国国営CCTVでDF-17 MRBMの発射映像を流した。 また同日にGlobal Timesが報じた略図でDF-17は、先端にDF-ZF HGVを装着していた。6月に中国で3隻目となる空母福建が進水した。 排水量80,000t以上の福建は電磁カタパルトを装備する。 一方原子力推進では見られていた四番目の空母はディーゼル艦と分かった。
Type 052D駆逐艦の改良型であるType 052DLが建造中と見られる。国営CCTVが2021年11月に放映した映像に国産WS10エンジンを搭載したJ-10Cが映っていた。 J-10Cは半年前から配備されているという。
国営環球時報は改良型J-11Bのレドームが今までの黒から灰白色に変わっていることから、改良型J-11BはAESAレーダを搭載している模様と報じている。
AVIC社が4月、J-20が東シナ海と南シナ海で通常訓練の一環として哨戒任務についていることを明らかにした。 J-20は少なくとも2019年9月以降は国産のWS10Cターボファンエンジンを搭載している。
2021年12月にJ-31を元にした次世代艦載多用途戦闘機J-35を撮影した衛星画像が写っていた。
米国防総省は、中国が開発しているH-20の航続距離を8,500kmと推定しており、中国の爆撃機の航続距離を一気に二倍にする。
2021年11月下旬に撮影された衛星画像から、XAC社が国産のWS-20高バイパスターボファンエンジンを搭載したY-20BとKJ-600艦載AEW機の開発を進めていることが分かった。
中国のWeiboに2021年11月、Y-20A輸送機の空中給油機型Y-20Uの画像と映像が載せられた。
国営AICCが1月に、HAIG Z-20中型ヘリの武装型のCG画像を公表した。国営CCTVが10月、J-20のLoyal WingmanとしてUAVを活用する構想のCG画像を報じた。
海南省三亜市の海軍基地に全長16mと18mの超大型UUVを2隻配備した。
CSSC社が3月上旬に、速力42k、航続距離4,000nmの性能を持つ340tの戦闘USV (UCSV) を公開した。 また国営環球時報は6月に、排水量200tのUSVが試験を完了したと報じた。 船体はタンブルフォーム型で、速力は20kt以上という。・高度な技術力獲得
耐熱コーティング剤、Mach 5 の極超音速風洞が完成、Mach 33 の極超音速風洞が完成、ケロシンを燃料とした爆轟エンジン、電磁砲 (EMG) 、 SSPS (Space Solar Power Station)、AI技術を活用したリモートセンシング衛星などが報じられた。
・軍事産業の振興と武器輸出
パキスタンが3月に中国と共同開発したJF-17のステルス機能を拡充した第三世代を配備する。
タイが2017年に中国に発注した潜水艦1隻の建造を請け負う中国国有企業が予定していたドイツ製エンジンの搭載をドイツ側が拒んだため調達計画が暗礁に乗り上げている。
1・4・3 韓 国
・ICBM ICBM 火星-17の発射試験が4年ぶりに2月に再開され、2月27日と3月5日の2回の発射では性能を十分に発揮しない試射が目的だった可能性がある。
3月16日に行った発射試験は高度20km以下で爆発し失敗した。
3月24日には高射角発射が行われ、通常軌道なら15,000km以上飛翔する成果が得られた。 ただ、3月24日に発射したのは火星-15との指摘もある。
5月4日には火星-15と推定される飛翔体を発射したが失敗した模様である。
その後、5月25日と11月3日にも失敗を繰り返したが、11月18日にはロフテッド軌道で1,000km飛翔した。・IRBM
1月30日と10月4日に火星-12が発射され、10月4日の発射では日本上空を通過した。
・超高速兵器
1月5日と11日に極超音速巡航ミサイルと称するミサイルの発射試験が行われたが、極超音速巡航ミサイルとするには懐疑的な見方もある。
・SLBM
5月7日に発射されたミサイルについては短距離SLBMと見られている。
・Iakander 似の SRBM KN-23
北朝鮮はIakander似のSRBM KN-23の発射を1月以来何回も行っている。
・ATACMS 似の SRBM KN-24
KN-24の発射は1月に報告されている。
そのほかに4月にKN-23/KN-24の改良型SRBMの発射も行われた。・MLR (Multi-Launched Rocket)
北朝鮮軍は107mm、122mm、240mm、300mmなどのMRLを保有していて、殆どがDMZ付近に配備されている。
5月と10月には北朝鮮が超大型ロケット砲と呼ぶは600mmのKN-25が発射された。・実戦に即した BM の発射
6月には35分間に4ヶ所から8発の連射を行った。
・偵察衛星
北朝鮮が2月と3月に偵察衛星開発に向けた実験を実施した。
北朝鮮は2021~2025年の5ヵ年計画の期間内に多数の偵察衛星を軌道上に打ち上げるという。・長距離 CM
1月25日に日本海に向け2発発射し1,800km先の標的に命中したとした。
10月12日には黄海に向け2発発射し、2,000km先の標的に命中したとした。・サイバー戦
ハッカー集団Lazarusによる仮想通貨窃取で、2年間で$1Bを超える暗号資産等を窃取したと見られている。
北朝鮮偵察総局傘下のハッカー集団Kimsukyが技術データを盗み出す目的で、防衛装備大手へのハッキングを試みた可能性がある。
国連安保理の専門家パネルが、Kimsukyがフィッシングを通じてIAEAを狙った攻撃を実施したという報告を行った。 また北朝鮮が2021年9月と2022年1月に発射試験を行ったとしている極超音速ミサイルについては、開発に必要な技術的情報をハッカーの支援で入手あるいは窃取したとみられると指摘した。
1・4・4 台 湾
・政権交代 北朝鮮への柔軟政策を進めてきた親中の文政権に代わり、親米の尹大統領が誕生した。
この結果、韓国国防白書で6年ぶりに北朝鮮を「敵」と表現し、3軸体制に重点わ置く国防政策に切り替わり、対日装備ともとれる軽空母の建造計画も破棄された。
文政権下では中止又は大幅な規模縮小をされていた米韓合同演習も、ほぼ毎月のように実施されるようになった。 文政権下で廃止された乙支Freedom Guardianも、演習名を今回から乙支(ウルチ)Freedom Shieldとし8月下旬に実施された。・国防予算
韓国国会は2021年12月に、2022年度の国防予算を$46.31Bと、政府要求3.4%増のKRW55.23Tから1%削減され承認した。
韓国政府が8月に、日本の令和4年度防衛予算の5兆4,000億円を上回る、前年比4.6%増のKRW57.1238T(5兆8,600億円)となる2023年度国防予算案を確定した。 12月には韓国国会で2023年度国防予算が今年比4.4%増の5兆9,000億円に確定した。
韓国国防省が12月に発表した国防中期計画は、5年間で35兆円の国防予算を投じ、北朝鮮への先制打撃や報復攻撃の能力向上を目指す。 それによると、2023~2027年の年平均の伸び率を6.8%とし、2027年の国防予算は7兆9,600億円に達する。・日韓関係
日韓関係では、自衛隊機へのレーダ照射問題については4年前と同じ姿勢で、米側要求の日米韓3ヵ国合同演習も拒否した。
・戦略司令部の創設
韓国国防省が7月、新たに以下の3つの司令部組織を立ち上げることを明らかにした。
・Strategic Target Strike: ミサイルが北朝鮮を離れる前に破壊 (Kill Chain)陸軍のMissile CommandをMissile Strategic Commandに改称し、空軍のAir Defense Missile Commandも改称されるが新名称は明らかにされていない。
・Korea Air and Missile Defense: BMD、防空、CMD
・Korea Massive Punishment and Retaliation: 大量報復・軍備増強(弾道ミサイル)
4月にSLBM 2発の連続発射を行い、400km先の洋上標的に命中させた。
韓国は5月にで、射程が85kmであるK239 MRLの射程を200km以上に伸ばすことを明らかにした。
韓国軍が10月に北朝鮮の核とミサイルの脅威に対抗する戦略兵器「怪物ミサイル」の映像を初公開した。 この怪物ミサイルは玄武-5と命名されたという。
米韓軍が10月、北朝鮮のミサイル発射に対抗し、TBM 4発を日本海に向け発射したが、韓国軍の玄武-2は発射した直後に異常飛行を行い基地内に落下した。・軍備増強(IAMD)
韓国が4月に、陸軍Missile Commandと空軍のAir Defense Missile Commanを陸軍Missile Strategic Commandと空軍Missile Defense Commandに改編した。
韓国政府は20年前に米BMDSに参加しないと発表して以降、政権が代わってもその立場に変化はなし、独自に韓国型ミサイル防衛システムを構築するとした。
BMを高度50~60kmで迎撃することを目標に開発中LSAM初の発射試験が2月行われ、11月に初の迎撃試験に成功した。・軍備増強(艦船)
韓国が進めていた軽空母CVX計画は2023年予算に計上されなかったが、統合参謀本部議長はCVXより大型の空母の調達を検討していると発言した。
SLBMの発射管が10門とBatch Ⅰより4門増えてた潜水艦KSS-Ⅲ Batch Ⅱ二番艦が起工した。
2008年に一番艦が就役したKDX-Ⅲ駆逐艦がSM-6を装備する。 Aegis艦の4番目になるKDX-Ⅲ Batch 2の一番艦が進水した。・軍備増強(航空機)
韓国国産戦闘機KF-21の試作1号機が7月に初飛行した。 KF-21の艦載型であるKF-21Nの縮小模型が公開された。
韓国がF-35Aを更に20機調達することを決めた。 20機は2030年までに引き渡される。 既に発注されていた40機はBlock 3だが、新たに発注される20機はBlock 4になる。
韓国KAI社がUH-60の後継に次世代高機動ヘリの開発を開始している。
大韓航空がステルスUAV開発の第1段階を受注した。 2015年9月には初飛行させている。・軍備増強(陸戦兵器)
韓国が2021年12月に30mm SPAAGの装備を開始した。 韓国軍は併せて300両をVADSの後継として装備する。
DAPAがK1A1 MBTの改良型のK1A2 MBTの3次生産分とK2 Blzck Pantherを受領した。 K2 MBTはL55 120mm滑腔砲と40発の砲弾を搭載し、16発は自動装填機上にある。
DAPAがK9 155mm/52 SPHの改良型K9A2を型式化した。 K9A2では砲弾の取り扱いが完全に自動化されている。
Hyundai Rotem社が1月、多用途UGV (MPUGV) 2両を韓国陸軍に納入した。・先進軍事技術開発
韓国が極超音速CM Hycoreを開発している。 ネットに流れた映像によると重量2.4tで、ケットブースタで加速した後スクラムジェットエンジンで推進し最高速度Mach 6.2という。
LIG Nex1社が2021年12月にHaegum-2 (Sea Sward 2) USVの試験を完了したと発表した。 Sea Sward 2は全長12mで、12.7mm機銃を搭載した遠隔操縦砲塔と、Poniard 70mm誘導ロケット弾の2軸旋回式8セル発射機を装備している。
ADDが2021年11月にステルス機の機体形状に合わせたコンフォーマル小型アンテナを開発したと発表した。
韓国国防省が固体燃料と液体の推進剤を混合して燃焼させるハイブリッドロケットの開発を開始した。 国防省は各種低軌道衛星の打ち上げに活用し、搭載能力の増大やコスト削減を目指している。
その他にアクティブ振動抑制装置のソフトウェア開発、原子スピンジャイロの開発、AI 軍事利用のロードマップなどの先端技術開発を行っている。・軍事産業立国
Hanwhaグループが、韓国最大の海軍造船所である大宇造船海洋 (DSME) を買収する契約に署名した。
Hanwha社がNongsberg社とIFVと長距離精密射撃システムの共同開発協定を結んだり、HHI社とIAI社がレーダの契約を行うなど、積極的に海外技術の導入を図っている。
韓国の2022年の武器輸出受注額が$17Bとなり、年間受注額の過去最高を更新した。
韓国の武器輸出は2017~2021年の5年間に176.8%増加し、全世界の武器輸出市場で韓国が占めるシェアが1%から2.8%にまで拡大して、世界で8番目の武器輸出国となった。
韓国政府が2027年までに防衛産業輸出シェアを5%以上に高め、世界4大防衛産業輸出国に飛躍する計画である。・武器輸出の実績
2021年12月にフィリピンへ3,100tコルベット艦2隻、6月にフィリピンから2,400t外洋哨戒艦6隻を受注した。
K9 SPHとK10弾薬補給車の輸出が、2021年12月にAS9 155mm SPH 30両とAS10 砲側弾薬車15両、2月にエジプトへK9 200門とK10を受注したほか、7月にはポーランドからK2 MBT 980両、K9 SPH 648両、FA-50 48機を受注した。 TA-50/FA-50はコロンビアから合わせて20機を受注した。
この他にトルコが1,000両生産する計画の発展型T2戦車用パワーパックとして韓国製が100基採用される。
1・4・5 東南アジア
・国防予算 台湾立法院が1月、向こう5年間にTWD$237B ($8.71B) で8種類のミサイルを調達する別枠予算を承認した。 これはTWD$471.7Bの2022年度予算に上乗せされる。
台湾行政院が8月、2023年度の国防予算案を前年比12.9%増のTWD415.1B ($13.7B) とすると発表した。 更に施設整備や防衛生産などの非戦闘経費としてTWD62.9Bを割り当てられており、これらを合計した国防費は2022年を24%増のTWD586.3Bになる。・米台関係
米国務省ウェブサイトの台湾の概要説明で、台湾の独立不支持と自国の一部との中国の見解を認める表記が削除された。
バイデン米大統領が5月に都内で開かれた岸田首相との共同記者会見で、台湾防衛のために軍事的に関与する意思があると明言した。
米上院民主党の上院外交委員長と共和党の上院議員が6月、超党派で米政府の台湾支援を大幅に強化する台湾政策法案を提出した。 法案は4年間で総額$4.5Bの援助が盛り込まれ、NATO非加盟の主要な同盟相手として台湾を指定することや中国の敵対行為に厳しい制裁を科すのが柱になっている。 上院外交委員会は9月に法案を可決した。
米議会が台湾へ$10Bの軍事援助行うことをFY23 NDAAに盛り込んだ。 また政府当局者の台湾派遣の枠組みを盛り込んでいる。・武器の売却
Patriotの保守、改良のための関連機器やサービス、艦艇部品と関連技術支援、HIMARSとATACMSの追加購入など、12月にはバイデン政権下で8度目の武器売却が行われた。
・米要人の台湾訪問
バイデン米大統領が2月に元国防及び安全保障の高官からなる非公式の代表団を台湾に送った。
バイデン米大統領が台湾へ送った元統合参謀本部長のミューレン退役大将が率いた使節団が3月に蔡総統と会見した。
共和党のグラム上院議員を団長とする超党派訪台議員団6人が4月に蔡総統と会談した。
エスパー前米国防長官が団長を務める米シンクタンクAtlantic Council(大西洋評議会)の代表団が7月に訪台した。
ペロシ米下院議長が8月に米政府専用機で台湾入りした。
2022年に入り訪台した米議員は9月の時点で28人に上り、1年間に台湾を訪問した米議員数としては既に2013年以降の最多となった。 10月に米下院の情報特別委員会と軍事委員会の議員からなる訪問団が台湾入りした。・その他諸国との関係
スロベニアの首相が1月に、台湾と代表処設置を協議していると明らかにした。
スウェーデンの国会議員とスウェーデン選出の欧州議会議員による訪問団が4月に台湾に到着した。
欧州議会のベーア副議長が7月に台湾入りした。
リトアニアが台北に開設した通商代表部が9月に活動を開始した。
フランスのとペルバ上院議員を団長とする議員団が9月に訪台した。 仏議員団の訪台は、2021年10月からの1年間で4回に上った。
ドイツの超党派の国会議員団が10月に訪台した。 10月にはカナダ議会下院の超党派の国会議員団も訪台した。・日台間係
政府が安倍元首相の国葬で、各国代表が献花する際に国名を読み上げる指名献花について、台湾を対象にする方向で調整に入ったことを明らかにした。
台湾が正式名称とする中華民国ではなく台湾と呼ぶ。・防衛力整備(AMD)
台湾陸軍が天弓Ⅲへの換装に伴い2023年にMIM-23 HAWKシステムを破棄する。
台湾は現在Patriot 6個中隊を装備しており、各中隊は発射機4~6基を装備している。 台湾は2017年末までにPAC-2とPAC-3を装備しており、2020年にはPAC-3弾のPAC-3 MSEへの改良を発注している。・防衛力整備(艦船)
台湾は2019年~2025年までの計画で国産初の潜水艦海昌を建造しているが、2023年9月の完成を待って追加7隻の建造を行う計画である。
台湾国防部が10月に議会へ提出した2023年予算案で、従来計画していた4,500tの次世代フリゲート艦1隻の建造を中止して、2,000tフリゲート艦2隻を建造するとした。
台湾が建造した満載排水量10,600tのドック型輸送揚陸艦の引き渡し式が9月に開かれた。 この揚陸艦は海剣-2 SAM 4基や76mm砲1門、CIWS 2基を装備する。
台湾が国内で建造した4,000t級警備艦の2番艦が4月に海洋委員会海巡署(沿岸警備隊)に引き渡された。・防衛力整備(航空機)
台湾空軍の第4航空団が2021年11月にF-16V Block 20 42機を装備して編成を完結し、待機任務についた。
台湾は保有しているF-16A/B 140機をF-16Vに改修すると共に、新規にF-16V 66機を購入する。
台湾空軍が2021年11月にT-5 Yung Yin高等練習機の量産1号機を受領した。・防衛力整備(ミサイル)
台湾立法院が海空戦力の強化を目指した予算を認め、その中で18品目について年内の量産開始を決めている。
国防部は2026年までに取得するとしているが、無人攻撃システム、Hsiung Sheng SSM、Wan Chien ASM、Hsiung Feng ⅡE CMなどは2025年~2025年に取得する。
台湾政府高官が産経新聞の取材で4月、射程1,200kmの地上発射型CM雄昇の量産を近く開始することを明らかにした。・防衛力整備(UAV)
台湾が5月初旬から騰雲ⅡUAVの評価を実施している。 騰雲Ⅱは、昼夜のISRと電子戦の実施、気象観測を行うことがで、将来は装備予定のMQ-9B Sea Guardianとともに、台湾周辺海域を24時間哨戒する。 8月に台湾が米国からMQ-9B SeaGuardian 4機を購入することに合意したと報じられた。
台湾が11月に、台湾が開発した戦術用無人ヘリをメディアに公開した。・防衛力整備(陸戦兵器)
最初の8両が2023年に台湾へ引き渡されることになっていたM109A6 Paladinの納期が遅れることから、代替えにM142 HIMARSが候補に上がっている。
1・4・6 大洋州
・ASEAN ASEANはミャンマーの取り扱いを巡り、構成国間の意見の隔たりが埋められていない。
・フィリピン
マルコス比大統領が7月に就任後初の施政方針演説を行い、外交政策では独立した立場を貫くと表明した。 しかし今までのドゥテルテ大統領とは違う、親米路線に舵を切った。
更に就任後最初の訪問国インドネシアでは両国間の新たな防衛協定の締結が行われるとの見通しを明らかにした。
中国が触手を伸ばしていた米海軍が30年前に基地を撤収した部スービック湾で、フィリピン海軍が新たな用地を確保し、基地として運用を開始したと発表した。
駐米比大使が、米軍が台湾有事に対応する場合にフィリピンの軍事基地の使用を条件付きで認める考えを明らかにした。
ドゥテルテ大統領政権下で取りやめや規模縮小が示されていたBalikatanやKamandag米比合同演習が本格的に再開された。
フィリピンは、ロシア製Mi-17 16機の購入を取りやめ、米国とCH-47の導入に向けて交渉に入った。
フィリピンがBrahMos社にBrahMos超音速対艦ミサイル3個中隊を発注した。
比陸軍がイスラエルElbit社に155mm SPG 12門を発注した。 また同社製Sabrah ASCOD Ⅱ軽戦車も発注した。 フィリピンはElbit社か155mm牽引砲12門を購入し、陸軍と海兵隊が装備している。・ベトナム
ベトナムはロシアに8割以上を依存する兵器の調達多様化を模索しており、12月に同国で初となる兵器や防衛関連の装備品を展示する国際展示会が開幕し、世界30ヵ国の約170社が参加した。
・インドネシア
インドネシアの造船企業PT PAL社とフランスのNaval Groupがインドネシア海軍のScorpène潜水艦共同生産で合意した。
米国防安全保障協力局 (DSCA) が2月、インドネシアに対するF-15ID 36機と関連機器を売却すると発表した。
インドネシアが2月、Dassault社とRafale 42機の購入契約を行った。
トルコが3月、インドネシア陸軍にKaplan MT中戦車の初期分を納入した。・マレーシア
マレーシアが沿岸警備艦 (LMS) のSecond Batchとして8隻追加装備する。
マレーシアは2017年4月に中国CSICに4隻のLMSを発注し、最終艦は2021年12月に受領している。 Second Batch LMSは米独欄製の他マレーシア製も候補になっている。・シンガポール
シンガポールが、2022年の国防費が2021年より6.5%増になると発表した。
・タ イ
タイ空軍が、2年中断していた中国空軍との年次合同演習Falcon Strikeを再開すると発表した。
タイ海軍中国に発注しているType S26T潜水艦に搭載するエンジンの決定期限を延期したと発表した。 タイは2017年にドイツにエンジンの提案を要求したが、ドイツはEUの対中制裁を理由に売却を断ったため、中国CSOC社製エンジンの概要を説明を受けたが、タイ海軍は更なる評価が必要と決定期限を延期した。
タイ陸軍がイスラエルの技術を導入した迫撃砲と榴弾砲の計画を進めている。・カンボジア
米国がカンボジアに対し、中国への接近を理由に武器の禁輸とした。 これに対しフンセン首相は軍に対し、米国製武器の廃棄か保管を命じた。
・オーストラリア 5月に行われたオーストラリア総選挙で労働党政権の誕生した。 アルバニージー新首相は、地域における保健や安全保障、気候変動などの課題に取り組む上で、Quadを重要なフォーラムと位置付けている。
中国が太平洋島嶼国10ヵ国との間で警察活動、安全保障、貿易、海洋、データ通信分野の合意を求めるとする共同声明草案が報じられたが、アルバニージー首相は島嶼国支援を強化する必要があると述べた。
中国が影響力を拡大する太平洋地域で自国の立場を強化するため、予算案にソロモン諸島の警察官配置支援を計上した。 また豪外相が災害救助や防衛、治安維持などで協力するための安全保障協定に署名した。米政府がオーストラリア向けの原子力潜水艦数隻を米国で建造する検討をしている。
BAE Systems Australia社が2月、豪海軍が9隻の建造を計画しているHunter級フリゲート艦の設計を纏めたと発表した。
豪国防省が2021年12月に12隻の建造が計画されているArafura級外洋哨戒艦 (OPV) の一番艦を進水させた。
米国防安全保障協力局 (DSCA) が7月、オーストラリアへAGM-158B JAASM-ER 80発を売却すると発表した。 売却されるのはAGM-158B JASSM-ERであるがテレメトリーキットにはAGM-158B-2用も含まれている。 AGM-158B-2はJASSM-ERの更に長射程型で、射程は1,000kmを超えるとみられる。米空軍第509爆撃航空団のB-2 2機が7月にオーストラリアのBase Amberleyに到着した。 米空軍のB-2がオーストラリアに進駐するのは初めてである。
米軍がオーストラリア北部のティンダル空軍基地にB-52の配備を計画、基地にB-52を最大6機収容できる施設を整備する方向で準備が進んでいる。
これに関連し、米国のケネディ駐豪大使が31日の公共放送ABCの番組で、インド太平洋地域で海洋進出や軍備増強を進める中国に対抗する上で、外交や対話に加え抑止力を用いると明言した。・ニュージーランド
ニュージーランドが2022-23国防予算を2021-22より4%増の$3.8Bとすると発表した。
ニュージーランドのフリゲート艦改善計画でカナダのビクトリア州で改修されていたANZAC級フリゲート艦Te Manaが工事を終えて7月にDevonport海軍基地に戻った。
ニュージーランドのアーダーン首相が5月、ウクライナ兵へのm軽榴弾砲の操法訓練を支援するため、30名のニュージーランド将兵を英国に追加派遣すると述べた。 ウクライナを支援するUkraine Contact Groupには現在44ヵ国が参加している。・ソロモン諸島
中国外務省が3月、南太平洋の島国ソロモン諸島と安全保障協定に基本合意したと発表した。 ツイッターに投稿され「安保協力の枠組み合意(草案)」と題された文書では「中国は必要に応じて、ソロモン諸島の合意を得て船舶の寄港や物資補給を行える」と記し、更に「ソロモンにおける中国の人員や主要事業を保護するため中国の関連部隊が利用されうる」とも明記した。 豪メディアは中国軍艦の寄港を認めるものだと報じている。
更に、ソロモン諸島側は社会秩序維持などの支援を受けるため「中国に武装警察や軍の派遣を要請できる」との記述もあった。
英Financial Times紙が、中国がソロモン諸島に続き太平洋諸国2ヵ国と安全保障協定の締結に向けて交渉していると報じた。 それによると、キリバスとの交渉が最も進んでいるほか、少なくとも他の1ヵカ国と安保協定について協議している。
ペイン豪外相が4月、ソロモン諸島が中国と計画通り安全保障協定を締結しても、両国間の安保面の協力を継続する考えを示した。
ソロモン諸島を訪問中の米政府代表団が4月日、ソロモンが中国と安全保障協定を締結したことを受け、中国が軍を常駐させることになれば、対抗措置を取ると警告した。
ペイン豪外相が4月、ソロモン諸島が中国と計画通り安全保障協定を締結しても、両国間の安保面の協力を継続する考えを示した。・太平洋諸島フォーラム (PIF)
大洋州諸国首脳の対話の場であり地域協力の核とされる太平洋諸島フォーラム (PIF) は1971年に設立され、現在はオーストラリアやニュージーランドを含む18の国と地域が加盟しており、7月1に2年ぶりとなる首脳会議を開く。
キリバスが太平洋諸島フォーラム (PIF) から、同機構の事務局長人事をめぐる不満を理由として離脱を表明した。・PBP (Partners in the Blue Pacific)
6月に日米英豪とニュージーランドの5ヵ国が設立した太平洋諸島が重視する気候変動などの課題を支援する枠組みPBPに、仏独韓の3ヵ国が、まずは外相会合にオブザーバーとして参加する方向で調整が進められている。
1・5・1 米 国1・6 国 内 情 勢
1・5・2 ロシア
・基本政策 米大統領府が10月に国家安全保障戦略 (NSS)を公表した。
米国防総省が3月2にバイデン政権で初となる国家防衛戦略 (NDS) の概要を発表した。
Heritage財団が10月に発表した評価報告書「2023年米軍の軍事力指標」で、軍の態勢が「弱い」状態だと評価した。
米政府当局者らが3月、バイデン大統領が選挙期間中に掲げていた公約から距離を置き、核兵器使用に関する従来の方針を踏襲すると明らかにした。・国防予算
バイデン米大統領が3月2日に予算教書を議会に提出した。 国防関連予算は$800B超を要求し、うち国防総省向けは$773Bである。
議会下院が12月、国防費を$858BとしたFY23 NDAA案を可決した。・対中戦略
米大統領府NSCが2月に新たなIndo-Pacific Strategyを発表した。 米統合参謀議長のミリー陸軍大将が7月、「インド太平洋地域において中国軍は海上と空中で目に見えて攻撃的になっている」と述べた。
米国防総省が11月に公表した中国の軍事動向に関する年次報告書で、企業が持つ高度な先端技術を中国軍が取り込み軍事力強化を図っていると指摘した。
オースティン米国防長官が12月に、ロシアによるウクライナ侵略が続く中でも、中国への対処を重視する立場を改めて強調した。・対露戦略
米露による戦略安保対話が1月に開催され、ウクライナを中心とする欧州の安全保障の協議が行われたが、ロシアは米国側が受け入れられない要求を改めて示した。
米国がロシアに対し非公式の接触を通じて、ウクライナに核兵器を使った場合、相応の結果を招くと警告した。
米国が1月1日までに駐米露外交官の30名の削減を求めて査証(ビザ)発給を制限した。・対北朝鮮戦略
米財務省が1月に北朝鮮の大量破壊兵器やBM開発に関わったとして、北朝鮮国籍の個人5人に制裁を科したと発表した。
またこの5人とは別に北朝鮮の大量破壊兵器などの拡散に関わったとして北朝鮮国籍の個人1人とロシア国籍の1人、ロシアの1団体も制裁対象に加えた。・各軍の戦略戦術
陸軍が今後2030年までを見据えて米地上軍の作戦ドクトリンを改定した。 新たなドクトリンはField Manual 3.0 Oct. 10と題されている。
米陸軍が9月にハワイ州Ft. Shafterで大佐を指揮官とする3番目となるMDTFを編成した。
海軍が7月にNavigation Plan 2022を公表した。
海軍はFY23予算案で、今後5年間の新技術開発に必要な予算を確保するため、、巡洋艦5隻、Los Angels級潜水艦2隻など24隻を除籍するとした。
空軍は2021年末に仮想シナリオの一番を中国、ロシアを二番とした調達計画を決めたが、ロシアのウクライナへの全面侵攻を受けて見直しを迫られている。
海兵隊は5月にウクライナ戦争の戦訓などを取り入れてForce Design 2030ロードマップを改訂した。 砲兵は7個中隊を7個HIMARS中隊に改編する。
海兵隊は3月にノルウェーで行われたCold Response 2022演習で、海兵隊のEABO構想が北極圏でも適用可能であることが確認した。・インド太平洋軍
米国防総省の太平洋抑止計画 (PDI) について分析した報告では、十分な兵站能力を持っていないとしていると報じられた。 国防総省はPDIに5年間で$27.1B必要としているが、そのうち$10.2Bが兵站の整備費という。
インド太平洋海軍と海兵隊が指揮統制の円滑化と危機対応のため、海軍の遠征打撃群と海兵隊の遠征旅団からなるTask Force 76/3を新たに編成する。
海兵隊と海軍が9月に、インド太平洋地域の海上作戦での連携に向けて在沖縄米軍に250名の期間限定特別部隊を発足させた。
SSBN Nevada のグアム寄港のほか、グアムを基地とする第15潜水戦隊に攻撃型原潜を追加し5隻体制とした。
横須賀基地を母港とする空母Ronald Reaganのほかに1隻を加え、空母常時2隻態勢とした。
ハワイで2月第3海兵沿岸連隊第3沿岸対空大隊が発足し、第3海兵沿岸連隊が3月に発足した。
沖縄の第12海兵連隊第3大隊の1個中隊が2番目のHIMARS中隊になり、HIMARSが2倍に増強された。
2020年に開設されたグアムの米海兵隊Blaz基地には沖縄から第3海兵遠征軍の第一陣が移駐し、目下基地建設が急ピッチで進められている。
米宇宙軍がハワイPearl Harbor-Hickam基地にインド太平洋宇宙軍を発足させた。
韓国慶尚北道星州の在韓米軍THAAD基地に10月に、THAAD性能改良関連の装備が搬入された。
米国防長官が12月、オーストラリアに巡回駐留する陸海空軍の部隊を増強する方針を示した。・在日米軍
横須賀基地に建設した第5桟橋が完成した。
この桟橋にはArleigh Burke級駆逐艦やTiconderoga級巡洋艦用の416V電源のほかに、Zumwalt級駆逐艦用の4,160V電源も備えている。
海上自衛隊鹿屋航空基地に東シナ海における中国艦艇の監視強化が目的で、MQ-9 8機が配備された。
在日米海兵隊第1海兵航空団が岩国基地にF-35B 16機を追加配備され32機に倍増した。
米空軍が嘉手納基地で老朽化が進んでいるF-15の常駐を見直し、F-22の巡回配備への切り替える。
1・5・3 欧 州
・国内情勢 プーチン露大統領が7月、全世界に広がる「海洋大国」としての野望を打ち立てる新たな海洋戦略に関する大統領令に署名した。 プーチン大統領は演説で、ピョートル大帝がロシアを海洋大国にし、同国の世界的地位を向上させたと称賛した。
プーチン露大統領はウクライナと戦争になった時点で、経費を賄う十分な戦費を準備を続けてきている。 ロシア中央銀行の外貨準備高は過去最大に積み上がっており、原油価格の急騰のおかげでさらに増え続けている。・核戦略
4月に、射程は18,000kmで10~15個の核弾頭の搭載が可能な200tを超える新型ICBM Sarmatの発射試験に成功し、調達を開始した。
戦略ロケット軍が2022年に4個ICBM連隊を戦列化した。
ウクライナ侵攻直前の2月に極超音速ミサイルやBMなどを発射する演習を各地で実施した。 演習ではKinzhalやZirconのほか、Yars ICBM、Islander SRBMなどが次々と発射された。・戦力の強化
プーチン大統領が8月にロシア軍の総定員をおよそ190万人から204万人に増やすよう命じる大統領令に署名した。
修理中のロシア海軍唯一の空母でロシア艦隊の旗艦であるAdmiral Kuznetsovが火災を起こした。 2017年に始まったAdmiral Kuznetsovvのオーバーホールは2021年に完了するはずであったが、度重なる事故や火災で、遅れている。・対米挑発活動
ロシア海軍が千島列島ウルップ島の太平洋側で演習を行っていたところ米潜水艦を発見とたため、水中ソナー通信でロシア語及び英語で呼びかけたが応答がなかったため、適切な対応を取り領海外へ退避させたという。
ロシア外務省が8月、新戦略兵器削減条約(新START)に基づいた戦略核兵器の査察の受け入れを「一時的に」停止すると米国に通告した。・対欧州戦略
ロシアがフランスのストラスブールに本部を置く欧州評議会から3月に脱退した。
ロシア海軍がアイルランド南西240km沖合で艦載砲とミサイルの実射を行った。
ロシアのSu-24 2機とSu-27 2機の合わせて4機が3月にバルト海ゴットランド島の東側でスウェーデンの領空を侵犯した。
ロシア軍のMiG-31 2機がポルボー沖で領空を侵犯した。
ロシアが8月、Kinzhal極超音速ALBMを搭載したMiG-31 3機をカリーニングラードに配備した。・中東戦略
ロシアが地中海東部で実施する海軍演習のために、MiG-31KとTu-22MのほかKinzhalをシリアに配備した。
シリア東部で2月、ロシア機3機が連合軍の設定する制限空域に進入したため、米軍戦闘機や他の連合軍機が対応した。・アフリカでの活動
ロシアがスーダンに建設しようとしていた海軍基地の計画が頓挫した。
アフリカ西部マリの軍事政権が1月にフランス大使を国外追放した。 フランスの部隊削減を受け、マリの軍事政権はロシア政府とつながりのある民間軍事会社Wagnerを頼った。 Wagnerはロシア軍の支援を受けて展開しており、ロシア空軍機が彼らを現地へ移送している。・極東地域での活動
4月に露太平洋艦隊の潜水艦2隻が日本海でKalibrの発射演習を実施した。
露太平洋艦隊が6月に太平洋海域で演習を開始した。 ウクライナを支援する米国や日本を威圧する狙いとみられる。
露国防省が極東地区の東部軍管区で8月~9月に、Vostok大規模戦略演習を実施した。 Vostok演習には中国軍も参加した。
ロシアが2021年12月にK-300P Bastion-P移動型沿岸防備システムを千島列島の火山無人島である松輪島に配備した。 また列島の別の島にBastionと3K60 Bal (SSC-6) も配備するという。
Tu-95 2機が10月に太平洋などを飛行した。 2機は途中で空中給油を行い、太平洋~ベーリング海~オホーツク海の上空をMiG-31の護衛で12時間以上飛行した。
1・5・4 中 東
・NATO NATO各国の国防費が、多くの国で対GDP比が2020年に高水準に達したのち、COVID-19パンデミックが続く2021年に低下へと転じた。
こうしたなか、ストルテンベルグNATO事務総長が11月に、加盟国の国防費の目標を現在のGDP比2%から引き上げる可能性があると述べた。
NATOが1月、ロシアが要求しているルーマニアとブルガリアからの撤収は受け入れられないと表明した。 5月にはNATO事務次長が、NATOは東欧に部隊を配備しないとする従来方針にはもはや拘束されないとの見解を示した。
ストルテンベルグNATO事務総長が3月、NATO首脳がロシアに近い欧州東部の防衛力増強で合意したと明らかにした。 NATOが3月に、新たな多国籍戦闘団を4個創設し東欧に配置することで合意した。
ハンガリー軍が8月、ハンガリー駐留NATO High Vigilance戦闘群 (HUN eVA BG) がハンガリー西部のÚjmajor基地に展開したと発表した。
NATO国防相会合が6月16日に2日間の討議を終え閉幕した。
ストルテンベルグ事務総長が6月にで開かれるNATO首脳会議に先立ち、NATO即応部隊を現行の40,000名から300,000名を遙かに超える水準に増強すると述べた。
ストルテンベルグ事務総長が6月末のNATO首脳会議でウクライナ軍の近代化に向けた新たな包括的支援策で合意する見通しを示した。
6月にマドリードで開幕したNATO首脳会議が今後10年間の行動指針となる新たな「戦略概念」を採択し、ウクライナを侵略したロシアを事実上の敵国と認定し、NATOは冷戦後最大の転換点を迎えた。
ストルテンベルグ事務総長は10月に、加盟国の装備品の備蓄増強について議論する方針を示した。 またロシアの核戦力を注視しているとしてNATOが来週に核抑止演習を実施すると発表した。
ノルウェーの防衛能力強化を目指すNATOの冬季寒冷地大規模演習Cold Response 2022が、ノルウェー北部で行われた。 3月14日から始まった演習には、フランスやスペイン、ポーランドなど欧州と北米など27ヵ国の加盟国と友好国からの30,000名と、航空機200機、車両50両が参加した。
NATO加盟国が5月、欧州東部国境沿いでの即応態勢の向上を目指して、北マケドニアで実施された在欧米陸軍主導の大規模演習Quick Responseに参加した。
NATOの年次演習BALTOPSが6月中旬にバルト海で、NATO加盟14ヵ国とスウェーデン、フィンランドから、45隻の艦艇、75機以上の航空機と7,000名が参加して行われ、5月には地中海東部でNATO加盟国による共同演習Neptune Shield 2022が行われた。・在欧米軍
1980年代には欧州に200,000名が駐留していた米軍は2015年には33,000名にまで削減され、100ヶ所の陸軍駐留基地が閉鎖されていた。 その後2014年のロシアによるクリミア併合を機に米軍は人員や装備を欧州に戻し始めた。
年頭には駐留や巡回配置で80,000であった在欧米軍は、ロシアのウクライナ侵攻により3月には90,000以上になり、5月には102,000名でロシアによるウクライナ侵攻前と比べ30%増の水準になった。
バイデン大統領は6月にF-35 2個飛行隊を英国に追加配置するほか、スペインに配備されている駆逐艦を現行の4隻から6隻体制にすることでも調整中だと発表した。
米海軍は8月、強襲揚陸艦としては20年ぶりに、Kearsargeを旗艦とするESGを国際演習のためバルト海に派遣した。 10月には空母Gerald R. Fordを含む米欧4ヵ国の5個空母打撃群 (CSG) が欧州周辺で同時展開した。・E U
ウクライナが3月にEU加盟を正式に申請した。 7月には北マケドニア、アルバニアの両国とのEU加盟交渉入りについて、全加盟国が合意した。 またEU欧州委員会が10月に、EUへの加盟を申請していたボスニア・ヘルツェゴビナを加盟候補国と認めるよう加盟国に勧告した。 デンマークはEU共通安保への不参加を決めてきたが、ロシアによるウクライナ侵攻が世論の変化を促し、6月のEUの共通安全保障政策への参加を問う国民投票では、66.9%:33.1%で賛成支持が過半数に達した。 EU欧州委員会が9月に法の支配の保護を目的とする新たな制裁措置を初適用しハンガリーへの補助金の交付を汚職を理由に一時停止することを勧告した。 これに対し ハンガリーが12月にEU行政執行機関の欧州委員会が提案した2023年のウクライナ向け支援策を拒否したため、EUは代替案を模索することになった。
EU欧州委員会が11月に域内での軍や装備品の移動を簡略化するAction Plan on Military Mobility 2.0を提起した。 EUを離脱した英国もこの枠組みに参加する。
EUの外相に当たるボレル外交安全保障上級代表が、ウクライナの安全保障は欧州の安全保障に影響するとの認識を示し、欧州の安全保障を議論する際にはEUも交渉に参加すべきとした。
マクロン仏大統領が1月、EU加盟国のリトアニアが台湾との関係を強化したことにより中国から経済、外交で強い圧力を受けている問題について、EUが結束して対応する考えを示した。
第2次世界大戦後に不戦共同体として発展してきたEUが軍事を前面に出し、EUの防衛力増強に向けた国防費や投資の拡大に加え、ロシア産化石燃料への依存からの早期脱却を目指す方針でも一致した。
EUが3月開いた外相国防相理事会で、2030年までの安全保障戦略となる戦略羅針盤は5,000名規模の即応部隊の創設が柱で、ドイツが即応部隊の中核を2025年に提供することも確認した。
EUが、欧州防衛基金EDFによる一次分の研究開発を、26ヵ国からの140件以上の提案に対し61件の提案に発注した。 ドイツとスペインの企業はEDF最初の事業として極超音速弾防衛用迎撃弾の共同開発を行う。・その他の欧州連合
マクロン仏大統領が5月に、ウクライナや英国などのEU非加盟国が欧州の中核的な価値を共有できる新たな形での政治的な欧州共同体を支持すると表明した。 欧州政治共同体が10月に始動し、40ヵ国超の首脳が初会合した。
英国が主導する北欧10ヵ国の連合である統合遠征軍 (JEF) の6ヵ国首脳を含む代表が3月に初めて会合し、ウクライナが要請する武器その他の装備を相互に調整し、供給し、資金を手当てすることに合意した。・英 国
英政府が6月、ウクライナへの軍事支援強化により、2022年の国防費は国内総生産 (GDP) 比2.3%に拡大するとの見通しを示した。 またジョンソン首相は2020年代末までに国防費をGDPの2.5%に引き上げると述べた。
ジョンソン首相とモリソン豪首相が2月、中国の人権侵害に深刻な懸念を表明し、台湾海峡全体の平和と安定の重要性を強調し、台湾の有意義な国際機関への参加を支持すると表明した。
英政府がイングランド東部で進められている原発建設で中国企業に保有株式を放棄させることが明らかになった。
英国が北欧2ヵ国と相互安全保障宣言に調印後初めて、7月に戦闘機を派遣して共同訓練を実施した。 また英国とエストニア政府が11月にエストニアへの英陸軍SHORAD部隊とMLRS部隊の派遣を継続することで合意し、両国国防相が合意文書に署名した。・フランス
フランス国防省が9月、2023年国防予算に2017年に比べて36%増、2022年に比べても7.4%増を要求し、戦時経済を開始するとした。
フランス国民議会が1月、中国が新疆ウイグル自治区でウイグル人に対しジェノサイド(集団殺害)を行っているとして、非難決議を採択した。・ドイツ
政権交代で就任したショルツ首相が6月に、積極的安全保障政策への転換を表明した。 首相は9月に、ドイツは欧州の安全保障を確保するための主導的な責任を担う用意があるとし、そのためにはドイツ軍が欧州で最上の装備を保持しなければならないと述べた。
保有する12個FUのPatriotのうち2個FUをスロバキアに配備しているドイツは、10月にはドイツ主導で加盟国10ヵ国以上がPatriotなどで防空体制を強化する取り組みに着手した。
ショルツ独首相が2月に2022年度予算で国防予算に€100Bの基金を設置して国防費をGDPの2%以上にし、その後もこの水準を維持する必要があると表明した。 2021年度は1.53%であった。
2021年9月に完成してドイツ当局による最終承認を待っていたNordo Stream 2の一部を改造してバルト海沿いのLNGターミナルとの接続部にすることを検討するとともに、仏独が結んだ「欧州の連帯」供給契約に基づき、フランスからドイツに初めてガスが直接供給された。
ドイツ経済省が7月、2022年に予定されている国内の原子力発電所閉鎖の延期を検討すると明らかにした。 ドイツが4月に駐独ロシア大使館に勤務する相当数の職員を国外退去させる決定を下した。 この報復措置とロシア外務省が4月、ドイツの外交官ら40人をペルソナ・ノン・グラータに指定し、国外追放した。
ドイツ空軍が日本を初めとするインド太平洋諸国に、Eurofighter Typhoonなどを初めて派遣して合同演習などを行ったほか、軍艦の派遣や同盟国との演習参加によってインド太平洋地域における軍事的プレゼンスを拡大しようとしている。
ショルツ首相がロシアから攻撃を受ける可能性に備え、Arrow 3などの購入を検討していると明らかにした。・ポーランド
M1A2 Abrams MBT 250両、CAMM SHORAD 2個システム、Krab 155mm SPH 48門を購入し、Patriot 6個システムやM142 HIMARSを500両に追加購入するほか、韓国から戦車、自走砲、Chunmoo MRL、FA-50PL 48機を購入し装備を強化している。
移民の不法越境を阻止するために建設を進めていたベラルーシ国境沿いの壁が6月に完成した。 カリーニングラードとの国境沿いに鉄条網の設置を開始した。・リトアニア
首都への台湾の代表機関開設を認めるなど蔡政権との関係を強化しているリトアニアに対し、中国がリトアニアの外交官は中国を離れるよう強要され、リトアニアからの輸出品は中国の税関を通らなくなったなど、報復を本格化させている。
リトアニアは3月に同国駐在のロシア大使館員4人をペルソナ・ノン・グラータとし国外退去を求めた。
リトアニア大統領が2月、米国に部隊のリトアニア常駐を要請すると述べた。
ショルツ独首相が6月に、ロシアのウクライナ侵攻に対応しリトアニアに駐留する独軍を増強する方針を表明した。
フランスから榴弾砲18両、米国からHIMARS 8基を購入するほか、欧州のNATO加盟国として初めて射程40kmのSwitchblade 600突入攻撃型UAVを購入する。
リトアニアが2022年度の国防費に、HIMARS、JLTV、Switchbladeなどの購入費を追加計上した結果、リトアニアの国防費は対GDPで2.52%になった。・ラトビア
ロシアのウクライナ侵攻を受けてラトビアは2025年までに国防費をGDPの2.5%まで引き上げる。
ラトビアで5月にソ連時代の第2次世界大戦記念碑の撤去を求める大規模デモが行われ、地元メディアによれば約1万人が参加した。 首都リガで解体が進むソ連時代に建てられた戦勝記念碑が8月に、2台の重機によって土台から倒された。
ラトビアで10月に実施された議会選挙ではカリンシュ首相率いる親欧米の中道右派「新統一」を中心とする現在の連立政権が勝利したた。 人口のおよそ25%を占めるロシア系住民にかつて人気が高かった政党は軒並み得票率を落とし、2018年の選挙で首位だった親露政党「調和」は得票率が5%に低下した。
ラトビア国防相が7月、ウクライナに侵攻するロシアとの緊張の高まりを受け、徴兵制を復活させると発表した。
ラトビアとエストニアが8月に中国と中東欧諸国の協力の枠組みから離脱すると発表した。 リトアニアは2021年に離脱している。
APCやIFVなど300両近くの車両を装備する英国主導のNATO EFPがラトビアに派遣され、第1陣となる350名が5月にラトビアに到着した。・エストニア
ロシアのウクライナ侵攻を受けエストニアが国防費を引き上げGDP比2.5%にする。 エストニアはロシアによるウクライナ侵攻を受け、11月に国防費をGDPの3%まで引き上げる意向を示した。
エストニアはこれまでにビザを取得した5万人以上のロシア人に対しビザ取り消し、週内に国境を閉鎖する。
エストニアは8月に、中国と中東欧諸国の協力の枠組みから離脱した。
12月にエストニア駐留米軍に1個歩兵中隊が増強されることを明らかになった。
エストニアは、15年前にロシアから世界初の「サイバー戦争」を仕掛けられた経験を糧に、サイバー防衛で世界をリードするに至った。
米国がエストニアへのHIMARS 6両などの兵器売却を行った。・ノルウェー
ロシアが6月に、ノルウェーが課した規制によって北極圏のスバルバル諸島のロシア人居住区への物資輸送が妨げられているとし、報復措置を取ると警告した。 ノルウェー北岸と北極の中間に位置するスバルバル諸島はノルウェー領だが、1920年に締結された条約によりロシアは同諸島の天然資源開発権を持ち、現地には主にロシア人が居住する集落もある。
・スウェーデン
スウェーデン軍トップが1月、ロシアがバルト海で特異な動きを見せているため、同国軍が対抗する準備を進めていると述べた。 カリーニングラードから300kmの位置にあるゴッドランド島では警備が強化されている。
スウェーデンでは国防支出は2014~25年に85%増えるが、新たに誕生した中道右派の新政権は、ウクライナでの戦争や全般的に悪化している安全保障環境を踏まえ、政府は防衛力をさらに強化する必要があるとみているとして、国防支出を2026年までにGDPの2%相当に引き上げる。・フィンランド
ウクライナ侵攻を続けるロシアと国境を接するフィンランドは国防費を増額し、国境警備などを強化する方針を示した。
ウクライナに侵攻したロシアの脅威が高まる中、フィンランド南西部の演習場で5月に、フィンランド軍とNATOとの合同演習が行われた。
フィンランド政府が、ロシアとの国境に柵などの障害物を設置できるよう国境法を改正した。
ロシアが国境地帯に難民を向かわせて圧力をかけてくる可能性も懸念されており、ロシアとは戦争の歴史があるフィンランドは国境警備の強化を急いでいる。・フィンランドとスウェーデンの NATO 加盟問題
NATO本部に駐在するフィンランドとスウェーデンの大使が5月、ストルテンベルグ事務総長にNATOへの加盟申請書を同時に手渡した。
6月にスウェーデン、フィンランド、トルコの首脳にNATO側を加えた4者会談が行われ、トルコが北欧2ヵ国のNATO加盟を支持することで合意した。 2ヵ国の新たな合流についてはNATO加盟30ヵ国全てが今年の夏に加盟議定書に署名し、各国国会が批准する手続きに移っていて、この段階で批准手続きに入っていないのはトルコとハンガリーのみとなっていた。
ロシアはフィンランドとスウェーデンのNATO加盟は「軍事的、政治的に重大な結果を招く」と警告し、対艦ミサイルの配備示唆、加盟すればバルト海に核兵器を配備すると警告した。
フィンランドが米国から、AIM-9X Block Ⅱ Sidewinder AAM 40発とAGM-154 JSOW ASM/CM 48発を購入する。・ブルガリア
ブルガリアが3月に、スパイ活動を理由にロシア外交官2人に対して48時間以内の国外退去を命じ、6月にはスパイ行為の懸念があるロシアの外交職員70人を国外追放し、国内に駐在するロシア人外交官の数に制限を設けた。
ブルガリア議会がF-16C/D Block 70 8機の購入を承認した。 F-16は2023年に現在装備しているMiG-29と交代する。
ブルガリアは最初のF-16 8機を発注し、2025年に納入されることになっておりも2番目の8機は2027年に納入される。
ノルウェーが11に、ルーマニアに中古のF-16 32機を売却すると発表した。 ノルウェーはF-16を改修を施した上で2023~2024年に引き渡すとしている。・チェコとスロバキア
チェコの新政権が公表した施政方針で、外交政策において台湾を含むインド太平洋地域の民主主義のパートナーと協力を強化させていくとした。 台湾とチェコは関係を深めており、2020年には上院議長が代表団を率いて訪問し、2021年10月には台湾から閣僚が率いる経済視察団や呉外交部長が相次いでチェコを訪れた。
チェコのフィアラ首相が7月、スロバキアが保有するMiG-29をウクライナに譲渡するため、9月からGripen Cを装備するチェコ空軍がスロバキアの防空を担うと述べた。 スロバキアはF-16 Fighting Falconを発注している。
ドイツがソ連製のBVP-1装軌IFVをウクライナに提供する見返りに、旧仕様のLeopard 2 MBT 15両をスロバキアへ提供する。
米国が11月、修復したソ連製MBT、UAV、SAM、装甲車両などをウクライナに供与すると発表した。 この支援で中心となるのはチェコが保有するT-72B 45両で、米国が費用を負担して改修する。
オランダはチェコが同じくウクライナに供与する別のT-72B 45両の改良を行う。・ハンガリー
プーチン露大統領との親密な関係で知られるハンガリーのオルバン首相が3月、ウクライナへの軍事支援について国益に反するとして拒否する方針を明らかにした。
ウクライナのゼレンスキー大統領は3月にハンガリーに対し「どちらの側につくのか国として決める」よう告げていたが、オルバン首相は総選挙での大勝を受けてゼレンスキー大統領を攻撃し、陣営にとって戦わなくてはならなかった多くの敵の一人だったと明言した。
更にオルバン首相は5月に、ウクライナでの戦争によりハンガリーが非常事態に突入すると発表した。・その他欧州諸国
ルーマニアが2021年12月に、ノルウェー空軍から中古のF-16 32機を購入することを明らかにした。
ルーマニアは2016年10月から2021年3月にポルトガルから中古のF-16AM/BM 17機を購入している。ロシアのウクライナ侵攻を受けてスイス連邦参事会(内閣)が9月、これまで展開してきた永世中立策を維持しながらも、防衛力を強化するためにNATO及びEUとの緊密な関係構築を模索すると発表した。 スイスは今後、NATOとの合同演習への参加拡大と、EUの救助避難活動のための緊急派遣チームへの参加を目指す。
米国がスイスへFMSによりPAC-3 MSE弾72発の武器売却を行う。 契約には補給整備などの技術支援も含まれている。デンマークが 国防予算を段階的に増額し、2033年までにGDP比で2%に引き上げる。
デンマークは2019年に国防予算をGDP比1.35%から2023年までに1.5%に引き上げることにしたが、NATOの目標とする2%まで増やすよう米国からの圧力を受けていた。北マケドニアが4月、外交上の規範に違反したとして、ロシアの外交官6人に国外退去を命じた。 北マケドニアは3月にも別のロシアの外交官5人を追放している。
中国がリトアニアに続き、親台湾の動きをみせているスロベニアに対しても貿易圧力を加えている。
・トルコ
エルドアン大統領が5月、フィンランドとスウェーデンがNATO加盟に前向きな姿勢を示していることを巡り、トルコとしては支持できないとの見解を示していたが、6月に加盟を支持する姿勢に転じた。
スウェーデンとフィンランドがクルド人勢力を支援しないことや、トルコへの武器禁輸を行わないことなどに同意したという。
バイデン米政権が6月、トルコが求めているF-16の売却に応じる可能性を示唆した。 トルコは2021年10月に米国にF-16 40機の売却を要求したが、トルコがロシアからSAMを調達したことで問題が複雑化していた。
トルコが4月、シリア行きのロシアの軍民機のトルコ空域の飛行を禁止した。
トルコで、ロシア国営Rosatom社が原子力発電所の建設を進めている。 2023年後半にもトルコ初の原発として稼働を開始する見通しだが、市民からは、ウクライナ侵攻を続けるロシアとの協力を懸念する声も聞かれる。
原発の運営は完成後もロシア側が担い、トルコは少なくとも15年にわたって電力を購入する契約で、ロシアが将来原発を止めてトルコに圧力をかける事態もあり得るのではないかとの声も上がっている。
トルコのMIR戦闘USV構想には3種類があり、電子戦装置、ソナーのほか、各種ミサイルが搭載され、遠隔操作または乗組員が搭乗して自動で運用される。
トルコBaykar社が開発していたBayraktar Kizilelma無人戦闘機が12月に初飛行した。
KizilelmaはMTOW 6t、武器搭載能力1.5tで、ウクライナのIvxhenko-Progress社製Al-322Fターボファンエンジンを搭載する。
トルコが、射程100kmの2パルスロケットのSiper高高度長距離AMDミサイル初の発射試験を行った。
トルコはエチオピアへBayraktar TB2 UAV、ナイジェリアへ Bayraktar TB2 UAVとHürkus 軽飛行機、カタールへ艦艇、バングラデッシュへ Bayraktar TB2 UAVなど、武器輸出を拡大している。
1・5・5 南アジア
・中東全般 サウジアラビアのサルマン皇太子とUAEアブダビ首長国のナハヤン皇太子はバイデン米大統領から会談を求められたがいずれも拒否した。
サウジとUAEの当局者らは、ロシアのウクライナ侵攻に対抗するため高騰する原油価格の抑制に取り組んでいる米国の中東政策に対する批判を強めていた。・サウジアラビア
米国とサウジの当局者が、サウジアラビアがイランによる自国への攻撃が迫っているとの機密情報を米国と共有していたことを明らかにした。
中国の習国家主席が12月にサウジアラビアでサルマン国王とムハンマド皇太子と会談し、2年ごとの首脳会談や、同国との包括的戦略パートナーシップ協定に合意した。
中国は伝統的に親米で中東地域の大国でもあるサウジに接近し、同地域への影響力を広げようとしている。 サウジにとっても2013年以降、中国が最大の貿易相手国となっているが、近年の両国関係の密接さは資源の分野だけにとどまらない。
国家安全保障担当のサリバン米大統領補佐官が10月、サウジアラビアとの関係見直しをめぐり「軍事支援の変更も選択肢に含まれる」と述べ、サウジへの武器売却も検討対象との認識を示した。
サウジアラビアが自前のBMを開発しているのが公然の秘密になっている。
サウジアラビアの宇宙航空企業が3月に開かれてWorld Defense Showに各種UAVを出品した。・U A E
UAEのHALCON社がアブダビで開かれたUMEX展の初日に、精密誘導兵器や各種UAVと共に群飛行能力をもつUAVを発表した。
2月に中国からL-15 12機を購入すると報じられた。 今後更に36機を追加で購入する可能性があるという。・カタール
イランとカタールが2月、航空、貿易、海運、メディアなどの分野での協力やビザ免除で合意した。
イラン大統領として11年ぶりにカタールを訪問したライシ大統領はドーハでカタールのタミム首長と共同で発言し、アラブ湾岸諸国間の協力関係は潜在的に発展の余地があると湾岸諸国との関係改善にも期待感を示した。
1・5・6 その他の地域
・インド インド財務省が2月に発表した歳出総額が前年度比13%増の2022年度(22年4月~23年3月)の予算案で、国防費は中国との係争地での対立を背景に11%増えた。
インド陸軍が山岳仕様の対砲迫レーダ6基を発注した。
インド陸軍はまた7月に、中国及びパキスタンとの山岳国境での偵察警戒に当たる4×4多目的軽装甲車両 (LAMV) 800両のRfIを発簡した。 このLAMVは機械化歩兵軍団及び機甲軍団に装備され標高5,000m近くで使用される。
インドが4月までにロシアからS-400 2番目のシステムを搬入したと報じられた。
対露制裁を受け欧州企業が撤退を決めたロシア極東の石油天然ガス開発事業Sahalin 1計画について、インド政府が漁夫の利を得ようと国営企業に対し、同事業の運営会社の保有していた権益やロシア石油大手企業の株式取得について検討するよう指示した。
インド軍部隊がロシア軍主催のVostok 2022合同演習に参加するためロシア入りした。
インドがベトナムと6月に兵器を含む装備の補修や補給で基地を相互に利用する協定を結び、防衛協力を強化する。DRDOが2021年12月に固体燃料で1,000~2,000kmの射程を持ち、リングレーザジャイロによるINSを搭載したAgni Pの2度目の発射試験を行った。
12月には射程は5,400km余りのAgni 5の発射試験を行った。
5月には、射程がBrahMos-Aの290kmより長い空中発射超音速ミサイルのBrahMos-ERのSu-30MKIからの初めての発射試験を行い、標的に命中させた。
12月上旬にはBrahMosの空中発射型BrahMos-AのSu-30MKIからの発射に成功し、量産移行が可能になった。
5月には、射程がBrahMos-Aの290kmより長い空中発射超音速ミサイルのBrahMos-ERのSu-30MKIからの初めての発射試験を行い、標的に命中させた。
7月にインド国産空母が海軍へ引き渡された。
インドで3隻目となるSLBM搭載原潜 (SSBN) が進水した。 インドが修正した潜水艦建造30年計画では攻撃型原潜 (SSN) を6隻国産するとしている。
インドHAL社が第五世代戦闘機AMCAの試作機Test Boxの組み立てを開始する。
インドが7月、開発中のGhatak UCAVの縮小型技術実証機SWiFTの初飛行に成功した。 重量1tのSWiFTはロシア製ターボファンエンジンを搭載し自動技術の検証を行う。
DRDOが潜水艦発射UAVの開発を計画している。
陸軍が3月中旬、機械化部隊に装備する自動戦闘車ACVの要求を公表した。
DRDOが4月、Arjun Mk 1A MBTを元にした戦闘UGVの開発を計画していると発表した。
DRDOが5月、国内開発した空中発射短距離対艦ミサイルNASM-SRをSea King Mk 42Bから発射する試験を行った。
9月にDRDOが開発中のMANPADSを元にデュアルスラストロケットを使用したVSHORADSの発射試験を2度実施した。 低高度の経空脅威を近距離で撃墜する。
DRDOがインド工科大学 (IIT) と共同で100kkm以上離れた距離での量子鍵配送 (QKD) の試験に成功したと発表した。・パキスタン
4月にパキスタン軍がアフガンのパキスタン国境地帯に越境攻撃を行い少なくとも46人が死亡した。
パキスタンの反政府武装組織で南西部Balochistan州の分離独立を掲げるバルチ解放軍 (BLA) が4月に自爆攻撃し、北京から派遣された教師3人を含む4人が死亡した。・スリランカ
スリランカが4月、経済危機に反発する市民の抗議活動が拡大していることを受け全土に非常事態を宣言した。
4月には少なくとも41人の議員が与党連合から離脱し、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領率いる政権は少数与党に転落したため、ラジャパクサ大統領はに発令したばかりの非常事態宣言を撤回した。
スリランカが4月12日にデフォルト(債務不履行)を宣言した。 マヒンダ・ラジャパクサ首相は5月9日、史上最悪の経済危機の打開に向けた連立政権に道を開くために辞任したが、抗議デモの参加者は首相の弟、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領辞任も求めた。
首相の辞任を受け就任したウィクラマシンハ新首相は日本との関係改善を図る考えを示した上で、ラジャパクサ大統領らが進めてきた中国寄りの外交政策の見直しが必要だと訴えた。 しかしウィクラマシンハ新首相は7月に国の「破産」を宣言した。
7月13日未明にはゴタバヤ・ラジャパクサ大統領が軍用機で国外に脱出した。 モルディブへ向かったという。 スリランカ議会議長は7月15日、国外逃亡したラジャパクサ大統領の辞任を受理したと正式発表した。 同日、ウィクラマシンハ首相が大統領代行に就任した。
しかし7月15日にはスリランカの駐中国大使が支援取りつけを目指して中国と協議していることを明らかにし、合意できるとの見通しを示したと報じられた。
8月にはスリランカ政府が中国に対して、インドが軍民両用の諜報船だとしている調査測量船のスリランカへの入港を無期限で延期するよう要請したとほうじられれたが、 スリランカ国政府は一転して中国海軍観測船の入港を許可した。・ネパール
ネパールの新首相には、11月の下院選で最多の議席を得たネパール会議派(NCP)を率いるデウバ首相の続投が濃厚とみられていたが、与党連合内で首相の座を巡りデウバ氏と共産党毛沢東主義派(毛派)のダハル氏の交渉が決裂して12月に毛派が与党連合を離脱し、野党と組み下院で過半数を得る見込みとなった。
1・5・7 軍備管理
・中央アジア LPGの急激な値上がりを発端に年明けから反政府デモが拡大していたカザフスタンは、旧ソ連諸国でつくる集団安全保障条約機構CSTOに支援を要請した。
1月にははロシア空挺部隊の先遣隊がカザフに到着し、ロシア軍のほかベラルーシ、アルメニア、タジキスタン、キルギスの部隊がカザフに入った。
この事件でナザルバエフ前大統領は国外脱出し、トカエフ大統領がナザルバエフ前大統領を批判し前大統領の影響力排除した。
トカエフ大統領はウクライナ東部の親露派勢力が自称する独立国を国家承認しないと明言し対露関係を冷却化した。1月にはキルギスとタジクの武力衝突が起き、死傷者が出た。 衝突は9月にも起き、その際にも死傷者が出た。
両国の武力衝突は2021年5月にも発生し、キルギス側で36名、タジク側で19名が死亡している。・中南米
ニカラグアの反米オルテガ大統領が国内にロシア軍の戦闘機や艦船の駐留を認め、緊急時に人道的観点からロシア軍が国内で任務に当たるとしたことから、2022年の後半から実際に駐留が始まる可能性がある。
オルテガ政権はEUが政権の強権姿勢を批判したことへの報復として、EUの駐ニカラグア大使を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定し、国外退去を通告した。
コロンビアでは6月の大統領選決選投票で、元ゲリラの左派ペトロ元ボゴタ市長が勝利し、コロンビア史上初の左派政権が誕生した。
ウルグアイが7月、中国との自由貿易協定 (FTA) の推進方針を明言した。 中国は過去10年でエクアドルの主要な金融パートナーとなった。
エクアドルが9月に中国の銀行と債務再編で合意した。
汚職疑惑を追及されたペルーの急進左派カスティジョ前大統領が罷免されことに対するデモの一部が、公共施設を放火、警察署を襲撃、高速道路を封鎖するなどの事態に発展し混乱が続いている。・アフリカ
西アフリカ諸国経済共同体 (ECOWAS) が12月、治安回復を目的に加盟国に介入できる地域的な平和維持部隊を創設することで合意した。
11月に所属不明機が国境を越えて中央アフリカ北部に侵入し、ロシア人や軍が基地にして使っている基地を空爆した。 旧宗主国フランスや国連は、こうしたロシア人は民間軍事会社Wagnelの傭兵と見なしている。・北極圏
米沿岸警備隊 (USCG) の強い要望にかかわらず、新型砕氷艦の引き渡しが遅れている。
米陸軍がアラスカ州に配置している1個歩兵旅団と1個Stryker旅団を第11空挺師団に名称変更する。 ただ変更されるのは名称だけで、部隊の増強は行われない。
ロシアが、北極圏でNATOの軍事活動が活発化していることに懸念を示し、意図しない事態が発生するリスクが高まっていると警告した。
衛星画像から、北極圏にあるロシア軍のレーダ基地群や滑走路が過去1年の間に改修されたことが判明し、ウクライナ戦争で大きな損失も被っているとされるロシアが北極圏で軍事基地の拡張を今なお続けていることが確認された。
・核軍縮 ロシアが、11月29日~12月6日に予定されていた新戦略兵器削減条約(新START)に関する米国との2国間調整委員会の会合を後日に延期した。
・武器の国際取引
SIPRI が12月、世界の軍需企業上位100社による2021年の兵器などの販売額は前年比1.9%増の計$592Bとなったと報告した。
地域別では最大の米国が0.9%減少したが、中国の急拡大を背景に5.8%増加したアジア・オセアニアなど他地域が押し上げた。
1・6・1 防衛対象1・7 対地攻撃兵器
1・6・2 防衛体制
・対中戦略 中国艦の太平洋への進出に加え度重なる日本海進出、更に沖縄南方の太平洋上で空母による離着艦、わが国のEEZ内へのBM撃ち込みなど、わが国に対する威力誇示や挑発活動が頻発した。
ロシアと艦隊を組んでの太平洋での活動や、中露爆撃機編隊の飛行なども行われた。
このような中国に威嚇に対しわが国は日米豪印からなるQuadや米英豪NZと連携したPBP (Partners in the Blue Pacific)、更に米英豪NZ加(Five Eyes)との連携で対抗しようとしている。・南西諸島の防衛
第15旅団に1個普通科連隊を加えて師団に昇格させるほか、与那国駐屯地に電子戦部隊を新設し、SAM部隊を配置するなど、南西防衛を重視した部隊配置を進める。 このため 南西諸島に燃料・火薬庫増設するほか、沖縄訓練場に補給拠点を置くことを検討している。
また米軍空母艦載機陸上離着陸訓練移転がする馬毛島に自衛隊基地整備するほか、先島諸島の空港をF-35が離着陸できるよう延伸改修する方向で調整に入った。 更に島嶼部に迅速に部隊を展開するため移動式の臨時港を開発し、輸送艦などが接岸できるようにするなど、作戦基盤の整備を進める。
反撃装備の繰り上げ配備や情報戦の強化を図ろうとしている。・台湾有事への備え
林外相が2月に、ミュンヘン安全保障会議のパネルディスカッションで台湾について、台湾海峡の平和と安定は、日本の安全保障だけではなく国際社会の安定にとっても重要だと強調した。
政府が対台湾窓口機関の台北事務所に防衛省の現役職員を派遣する方針を固めた。・日米防衛協力
林外相が1月に行われた日米2-plus-2で日本側が敵基地攻撃能力の保有を検討している旨の説明をした。
岸防衛相が5月に国防総省でオースティン国防長官と会談し、日米同盟の抑止力対処力強化を早期に具体化させる方針で一致した。
バイデン米大統領が5月に来日し日米首脳会談が行われた。
浜田防衛相が9月に米国でオースティン国防長官と会談し、年末までの国家安全保障戦略など3文書の改定に合わせ、防衛力の抜本的強化と、その裏付けとなる防衛費の相当な増額に取り組む意向を伝えた。安全保障関連法に基づく外国軍隊の武器等防護は2021年1年間で22件だった。 これまでは2017年2件、2018年16件、2019年14件、2020年25件であった。
自衛隊と米軍の共同訓練が、2022年1~7月にはあわせて51回と、2021年の同時期と比べて5割増え、2020年の同時期比では2倍実施した。
陸上では、3月に水陸機動団と第31米海兵機動展開隊の共同演習や10月に海兵隊のHIMARSと陸自のMLRSの連携手順訓練が行われ、海上では2月にNoble Fusion演習への参加、6月にはRIMPAC 2022への参加が行われた。
11月にはB-1Bを交えた航空演習が、統合では11月にKeen Sword 23演習が行われた。・近隣国への備え
岸防衛相が1月に、北朝鮮は我が国を射程に収めるBMを数百発保有しているとの見方を明らかにした。
4月に金日成主席生誕110年の記念日の4月に合わせ、北朝鮮が核実験やBM発射を行う可能性があるとみて、米海軍Abraham Lincoln CSGと海上自衛隊が日本海で共同訓練を行った。韓国で文政権下の2019年2月に軍は「日哨戒機対応指針」を海軍に通達した。 これはその年1月に作成した「第三国航空機対応指針」とは別の指針である。
尹政権下の8月に長崎県沖合の日本の排他的経済水域 (EEZ) 内で、海上保安庁の測量船が韓国海洋警察庁船から調査の中止を要求される行為が断続的にあった。
韓国海洋警察庁船から無線で、韓国の海域での調査は違法であり、直ちに退去せよと要求された。ロシアはわが国の北方領土で度々の射撃訓練に加えS-300による対空射撃訓練を行った。 3月には3,000名以上と車両数百両が参加する演習も行った。
ロシア艦は宗谷岬沖や津軽海峡を度々通過し情報収集艦が度々対馬海峡を遊弋したほか、北海道を周回したり根室半島周辺で情報活動を行った。 更に中国艦と連携したと見られる艦船の動きも繰り返された。
3月には根室市でヘリによる領空侵犯があった。 爆撃機による日本接近も度々行われ、中露爆撃機の編隊による日本周回飛行も行われた。
ロシアの有力政党である公正ロシアのホームページで、ミロノフ議員が「専門家によれば、ロシアは北海道の権利を有している」表明している。政府はる国家安全保障戦略の改定で、ロシアを「パートナー国」から「国家安全保障上の課題」へ変更する対露戦略見直しを行った。
岸田首相は3月に、ロシアに対する追加の制裁措置として最恵国待遇を停止する方針を発表した。 これに対しロシアは、北方領土問題を含む日本との平和条約締結交渉を中断すると発表した。
ウクライナ戦争の波及で、日本も参加したサハリンの石油天然ガス事業Sakhalin 1/2などが大きく変更された。
ロシアが9月にウラジオストクに駐在する日本人外交官をスパイ活動の疑いで拘束し、ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)に指定し国外退去を通告した。
その対抗措置として政府は10月、在札幌ロシア総領事館の領事1人に対し、ペルソナ・ノン・グラータと通告し国外退去を命じた。
1・6・3 防衛諸計画
・国民の国防意識 ロシアのウクライナ侵攻による影響で、4月に実施した全国世論調査で、日本が防衛力を強化することに賛成が64%で、反対の27%を大きく上回った。
また5月に実施された別の世論調査で、「専守防衛」について「見直すべき」とする人が52%と過半数にのぼり「見直すべきではない」が28%であった。
更にが11月の全国世論調査で、反撃能力を日本が持つことに賛成が52%となり、反対の41%を上回った。・制度、組織
陸海空3自衛隊を一元的に指揮する統合司令部を創設し、そのトップに幹部自衛官の統合司令官を配置する組織改編を行い、令和9年度までの発足を目指す。
令和元年度に第7高射特科群の本部や本部管理中隊などが宮古島駐屯地へ移駐したため、竹松駐屯地に残っていた第327高射中隊などが第102高射特科隊に改編された。
政府が、航空自衛隊の名称を航空宇宙自衛隊に改称する方針を固めた。
三沢基地でRQ-4B Global Hawk を装備する偵察航空隊が新編された。
航空自衛隊がF-35Aを2026年に小松基地に、F-35Bを新田原基地の第5航空団に配備する。・経済安全保障
経済安全保障推進法が5月に成立した。 施行は2023年以降3段階で実施する。
経済安全保障推進法は「供給網強化」「基幹インフラの事前審査」「先端技術の官民協力」「軍事転用可能な機微技術の特許非公開」の4分野で構成されている。
政府が12月、5月に成立した経済安全保障推進法に基づき、国が安定供給を支援する「特定重要物資」として、半導体や蓄電池など11分野をし、欧米諸国とも連携して重要物資の「脱中国」「脱ロシア」を進める。・諸情勢への対応
衆院が本会議で3月、ロシア軍によるウクライナ侵略を非難する決議を採択した。
政府は半導体など先端技術の輸出を規制する経済制裁への協力を行ったが、ロシア産の石油を原則禁輸にしたものの、サハリン2はLNG生産量の6割が日本向けとなっていることから撤退せず継続した。
その他、外交官の追放やロシア航空機の日本領空飛行禁止などの制裁措置を講じた。 また国内主要企業も相次いでロシアから撤退した。
政府はロシアによるウクライナ侵攻における戦争犯罪を摘発するため、国際刑事裁判所 (ICC) に検察官を派遣した。
ウクライナに対しては装備品の提供のほか衛星データの提供や財政支援、人道などを行った。自衛隊が駐屯地単位で、県警と治安維持に関する共同訓練を行った。 陸上自衛隊北部方面隊が11月に武力攻撃を想定した机上の国民保護訓練を、北海道や道内市町村などと実施した。
東京都が5月、国民保護法に基づき、地下鉄駅舎など109の地下施設を緊急一時避難施設に指定した。
1月にCOVID-19の感染拡大で沖縄県知事の要請に基づく災害派遣で、県立病院に看護官らを派遣した。・気候変動対処戦略
防衛省が8月に気候変動タスクフォースを開き、気候変動が安全保障に及ぼす影響や今後の取り組みをまとめた防衛省気候変動対処戦略を策定した。
1・6・4 防衛予算
・防衛三文書の一括改定 政府が12月16日に、国家安全保障戦略、国家防衛戦略(旧:防衛計画大綱)、防衛力整備計画(旧:中期防)の防衛3文書の改定を閣議決定した。
・国家安全保障戦略
国家安全保障戦略では反撃能力保持を明記した。
・国家防衛戦略
政府は防衛計画の大綱を、米国の戦略体系にあわせて基本戦略や部隊運用に主眼を置いた「国家防衛戦略」に衣替えした。
国家防衛戦略は、限度ではなく日本を守るために必要な方法を明示する文書として位置づけた。・防衛力整備計画
従来5年間の計画であった中期防衛力整備計画を10年の防衛力整備計画に変え、2027年までの5年間と2032年までの10年間の2段階で防衛力を強化する目標とした。
岸田首相は計画の防衛費について、補完する経費も合わせて対GDP比2%に達する予算措置を指示した。
防衛省は次期防(中期)の総額を48兆円と提示したのに対し、財務省は35兆円が妥当と回答したが、43兆5,000億円で決着した。反撃能力の保有では陸上自衛隊を基幹部隊として位置づけ、地対艦ミサイル連隊7個、島嶼防衛用高速滑空弾大隊2個、長射程誘導弾部隊2個などを編成する。 またVLSを備えた潜水艦の保有も挙げた。
部隊の改編等では空自捜索機や陸自戦闘ヘリの廃止、地対艦ミサイル部隊の8個への増強、常設統合司令部の創設、サイバー防衛専門部隊の4,000名への拡充、陸自定員の2,000名を海空に振り向け、情報戦部隊、宇宙防衛部隊の強化、海上輸送総隊の創設などを挙げた。
自衛隊の継戦能力を強化するため、2035年までに全国で新たに130棟の弾薬庫を整備する方向で調整に入った。
内訳は、陸上自衛隊が90棟、海上自衛隊が40棟で、まず5年間で60~70棟の整備を目指す。
1・6・5 周辺警備
・令和4年度予算 令和4年度予算に第2次補正予算案に4,464億円が認められ、4年度予算は5兆8,469億円になった。
・令和5年度予算
令和5年度の予算案で防衛費は、令和4年度の当初予算に比べて25%増えて、6兆8,283億円になった。
スタンドオフ防衛能力の強化には1兆4,207億円を充て、このうちTomahawk Block Ⅴの取得には、2,113億円を計上した。
12式地対艦誘導弾長射程化改良の開発に338億円、量産には939億円を充てる。
島嶼防衛用高速滑空弾の能力向上型は開発費2,003億円、Mach 5以上で飛翔する極超音速誘導弾の研究費は585億円とした。・関係省庁の予算
令和4年度第2次補正予算で、海上保安庁装備の増強など「戦略的海上保安体制の強化」に760億円が計上された。
令和5年度の海上保安庁予算には、2,231億円の4年度当初予算を9%増額し、2,431億円を計上した。
1・6・6 将来戦への対応
・周辺空域の警備 防衛省は北大東村議会が2021年12月に自衛隊の誘致を求める意見書を全会一致で可決したのを受け、航空自衛隊の移動式警戒管制レーダを北大東島に配備する検討を行っている。
防衛省が10月、航空自衛隊戦闘機の緊急発進が、令和4年度上半期(4~9月)に、前年同期と比べ56回増加し446回あったと発表した。
中国機への対応が59回増の340回で全体の3/4を占め、ロシア機は7回減の95回だった。・周辺海域の警備
海上保安庁が10月、MQ-9B Sea Guardianの運用開始した。 MQ-9B Sea Guardian の運用は、令和5年度にも海上自衛隊と共同運用する。
海上自衛隊と海上保安庁の連携を強化するため、日本が攻撃を受けた武力攻撃事態を想定した初の共同訓練を実施した。・重要施設等の保全
12月に安全保障上重要な土地の利用を規制する重要土地利用規制法に基づく土地等利用状況審議会が、10月に候補地として示した5都道県の58ヵ所を注視区域・特別注視区域に指定する方針を了承した。
・インフラの保全
政府が重要インフラである海底ケーブルの陸揚げ拠点の分散に令和4年度から本格的に乗り出す。
・国境警備
政府が、特定有人国境離島地域の観光が、国境離島の人口減少や無人島化を防ぎ、領海の保全につなげるとして、観光振興への支援を強化する方針を決めた。
・南西諸島住民の保護
政府が台湾海峡や南西諸島での有事を想定し、先島諸島などで住民用の避難シェルターの整備を検討している。
防衛省は陸上自衛隊の那覇駐屯地、与那国駐屯地、健軍駐屯地と海上自衛隊の舞鶴地方総監部の4施設で司令部の地下化を令和10年度までに進め、航空自衛隊基地5ヵ所でEMP攻撃対策を11年度までに行う方向で調整に入った。
1・6・7 海外活動
・ミサイル防衛 護衛艦まやとはぐろが11月、米ハワイ周辺の太平洋でSM-3 Block ⅡAによる迎撃試験を、前方展開したレーダの情報で迎撃ミサイルを発射するEORでない、T4-E MRBM標的の迎撃に成功した。
令和5年度概算要求でAegis System搭載艦の建造のための構成品取得費等を折り込んだ。 主要目は全長210m、幅40m、基準排水量22,000tで、主兵装はBMD用のSM-3 Block ⅡA、CMD用のSM-6のほか、12式対艦ミサイル能力向上型を装備するとしていたが、その後当初案より小型化し機動力を高める方向で検討している。03式中距離地対空誘導弾を改修する。 改修は極超音速兵器の飛翔経路予測や追尾性能を向上させ、令和5年度に着手してソフトウエアの更新を8年度までに実施し、令和11年度までの量産開始を目指す。
国家防衛戦略では14個FUにミサイル迎撃能力を付与するとした。
更に日米両政府が極超音速滑空兵器 (HGV) を迎撃する新たなミサイルの技術の共同研究を検討する。
防衛省は、人工衛星を低軌道に多数投入する米国の衛星コンステレーションと並行した探知追随態勢構築を目指す。
全国で増加する風力発電の風車が航空自衛隊のレーダに影響を及ぼす懸念が浮上し、防衛省が対応に苦慮している。日米及び日米韓のミサイル防衛演習が主としてAegis艦で行われた。
また航空自衛隊PAC-3部隊の機動展開演習が11月、全国最多となる15基の原子炉がある福井県の若狭湾岸で行われた。
内閣官房や沖縄県などが11月に与那国島で、BM飛来を想定した住民避難訓練を初めて実施した。
北朝鮮が発射したミサイルが日本上空を通過して太平洋へ落下したとみられた10月に北海道や青森県で、Jアラート(全国瞬時警報システム)が鳴り響いた。・宇宙利用、宇宙防衛
政府が宇宙領域に特化した安全保障構想を初めて文書化する。 国家安全保障戦略の改定を受けた措置で、衛星通信など安全保障上の重要性が高まっている宇宙分野のてこ入れを目指す。
宇宙作戦群が編成された。 宇宙作戦群は70名の体制でスタートし、令和4年度には宇宙状況を監視する第1宇宙作戦隊や、人工衛星への妨害を監視する第2宇宙作戦隊を編成して120名体制になる。
防衛省が日本上空の宇宙空間の警戒を強化するため、監視衛星を2基態勢で運用する方針を固めた。
ミサイル防衛のため、多数の小型人工衛星で情報収集する衛星コンステレーションについて、50基の打ち上げを検討している。・電 子 戦
陸上総隊隷下に電子作戦隊が3月に発足した。
電子作戦隊は本部を朝霞駐屯地に置き、九州や沖縄を中心に全国の駐屯地に順次新設している電子戦部隊を束ねる。・サイバ戦 / 情報戦
政府がサイバー攻撃に対する防御を指揮する司令塔機能を担う組織を、内閣官房に新設する方針を固めた。
陸海空共同部隊である自衛隊サイバー防衛隊が3月に540名で発足した。 自衛隊のサイバー対処要員は3月に発足したサイバー防衛隊540名と、陸海空各自衛隊の専門要員合わせて890名であるが、5年度から5年で4,000名規模に拡充する。
2024年にも自衛隊が民間企業をサイバー防護できる制度をつくる検討に入った。警察庁にサイバー警察局を新設した。 公安調査庁にサイバ対策特別調査室を新設した。
1・6・8 防衛協力
・人道支援 海底火山が噴火したトンガ政府に対し輸送機2機と輸送艦 おおすみ が支援物資の輸送を行った。
・邦人の救出輸送
自衛隊法を改正し、外国で災害や騒乱などの緊急事態が起きた場合、自衛隊機による外国人だけの輸送を可能にするようにした。
また在外邦人の輸送について、政府専用機を原則とする規定を見直し、機動性の高い自衛隊機の使用をすぐに決定できるようにした。
ロシアの侵攻に伴う邦人の救出にはチャーター機を使用した。・自衛艦の海外派遣
海上自衛隊の掃海母艦と掃海艦が3月に、護衛艦が11月にカンボジアに寄港した。
6月からはあわせて1,000名ほどと、いずも などの護衛艦、潜水艦、P-1などがインド太平洋巡航を行い、米国やインド、豪州など12ヵ国と地域に寄港した。 寄港地にはトンガやフィジーなども含まれ、バヌアツには海自艦艇として初寄港した。
その間きりさめの艦長らは、8月7日に行われる「ガダルカナルの戦い80周年」の式典に参列した。・国連 PKO
国連南スーダン派遣団司令部への要員派遣を1年間延長した。
1・6・9 装備行政
・多国間防衛協力 海上自衛隊が加わった多国間訓練の回数は令和3年度には平成29年度の2倍以上に増加している。
1月~2月に米海軍と60ヶ国海軍がが参加して行われたInternational Maritime Eercise 2022 (IME 2022) とCutlass Express 2022 (CE 2022) の合同演習に海上自衛隊からは掃海母艦と掃海艦が参加した。
2月タイで行われ東南アジア諸国など主に7ヵ国が参加したアジア最大規模の演習Cobra Goldに自衛隊員35名が派遣された。
5月には200名の米海兵隊と豪陸軍400名、陸上自衛隊100名が参加したSouthern Jackaroo 22演習がオーストラリアで実施された。
7月に米海軍と26の同盟国や友好国が行う世界最大の海事演習のRIMPAC 2022に参加した。
8月に米国とインドネシア陸軍が計画しオブザーバーを含め14ヵ国が参加するする合同演習Garuda Shieldには、陸上自衛隊が初めて参加した。
日米豪3ヵ国国防相会談が行われたほか、11月には海上自衛隊が安全保障関連法に基づき米豪両軍に対して武器等防護を実施した。
11月に米海軍が、日米豪加海軍が日本領海と公海で隔年演習Keen Swordをで実施した。
12月に陸上幕僚長が朝霞駐屯地で、米太平洋陸軍司令官やフィリピン陸軍司令官と会談し、定期的な会合開催など防衛協力を進めることで一致した。・大洋州諸国との防衛協力
1月に日豪首脳が防衛協力を拡大することで合意し、自衛隊と豪軍の相手国訪問時の法的地位を定めた円滑化協定 (RAA) に署名した。
4月に試験の一環で小牧基地に飛来したKC-50Aが初めて航空自衛隊のF-2に空中給油を行った。
4月に岸田首相がニュージーランドのアーダン首相と会談し、機密情報の交換を可能にする「情報保護協定」の締結交渉を開始することを確認した。
4月に、中国が安全保障協定に署名し中国の軍事拠点化が懸念されるソロモン諸島に、外務政務官を派遣した。
5月にフィジーとパラオを訪問している林外相が、南太平洋地域で影響力を強める中国について意見を交わし、地域の平和と安定のために緊密に連携することを確認した。
8月にオーストラリア軍が主催し米国や英仏印などから17ヵ国が参加ししたPitch Black空軍合同演習に、日本からは隊員ら150名とF-2 6機が初参加した。
10月に岸田首相がアルバニージー豪首相と会談し、新たな「安全保障協力に関する日豪共同宣言」に署名した。
12月、日本とオーストラリアが外務防衛閣僚会合 (2-plus-2) を東京都内で開いた。
2023年1月1日付でキリバスに大使館、フランス特別自治体ニューカレドニアのヌメアに領事事務所をそれぞれ開設する。・インド、インド洋諸国との防衛協力
2月に陸上自衛隊とインド陸軍の対テロ共同訓練Dharma Guardianがインド西部ベラガビのインド軍訓練施設で始まった。
航空自衛隊が2023年1月にインド空軍と日本周辺空域で初めて戦闘機の共同訓練を行う。・欧州諸国との防衛協力
5月に岸田首相がEUとの定期首脳協議を官邸で開催した。 EU側はミシェル大統領とフォンデアライエン欧州委員長が出席した。
5月に山崎統合幕僚長がブリュッセルでNATO参謀長会議に出席した。
6月に訪日したNATOのバウアー軍事委員長が山崎統合幕僚長と会談し、日本とNATOのさらなる連携強化などを確認した。
6月に海上自衛隊がNATOの常設海上部隊と地中海で共同訓練を実施した。
6月に岸田首相がNATO首脳会議に出席した。 ストルテンベルグNATO事務総長と会談した首相は、日本NATO国別パートナーシップ協力計画 (IPCP) の改定が必要だとの考えで一致し、新計画の策定に向けて作業を急ぐことを確認した。5月に岸田首相がロンドンでジョンソン英首相と会談し、円滑化協定 (RAA) 締結に向けた大枠合意を確認した。
10月に浜田防衛相が国のウォレス英国防相とTV会議方式で会談し、日英両政府が共同開発する次期戦闘機について、年内の合意に向け協議を加速させることで一致した。
呉基地に11月、英海軍哨戒艦寄港した。 陸上自衛隊は11月に、相馬原演習場で英陸軍との離島防衛を想定し実施した共同演習を行ったした。1月に日仏が2-plus-2 をオンラインで開催し、覇権主義的な動きを強める中国を念頭に防衛協力を強化することで一致し、円滑化協定 (RAA) の締結も視野に議論を開始することを確認した。
フランス外務省は2月に改定したインド太平洋戦略で、日本をインドに次ぐ戦略上のパートナー国として明記した。4月に岸田首相がショルツ独首相と官邸で会談し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた安全保障協力の強化策として、両首脳が参加する政府間協議を新設し、2023年の開催を目指す方針で合意した。
9月にEurofighterをはじめとする独軍機が百里基地を訪れ、日独共同訓練を実施した。
11月に日独政府が、ドイツ西部のミュンスターで2-plus-2を開き、物品役務相互提供協定の締結を念頭に交渉を開始すると一致した。12月にスウェーデンとの間で日本の防衛装備品輸出を可能にする防衛装備品技術移転協定に署名した。
・東南アジア諸国との防衛協力
6月にシンガポールで開かれた英国際戦略研究所 (IISS) 主催のアジア安全保障会議で、岸田首相は日本が主導する「自由で開かれたインド太平洋」推進に向けた行動計画を2023年春までに策定すると表明した。
また、ASEANを含むインド太平洋諸国に対し、巡視船の供与など今後3年間で少なくとも$2Bの支援も打ち出した。4月に都内で外務防衛担当閣僚協議 (2-plus-2) を初開催した。
10月に米軍とフィリピン軍に陸上自衛隊と韓国軍が参加した初めての4ヵ国合同演習Kamandagが行われた。
11月に比国防相代行が、同国での自衛隊の活動を可能にする訪問軍地位協定 (VFA) の締結に意欲を示した。
12月、フィリピン北部ルソン島のクラーク空軍基地に航空自衛隊のF-15 2機が着陸した。
フィリピンに戦闘機が派遣されたのは初めてで、航空自衛隊員約60名が参加した。4月に岸田首相がインドネシアのジョコ大統領との会談で、海上保安能力の向上を支援すると伝えた。 巡視船供与に向けた調査を開始する。
8月インドネシア軍と米軍の合同演習Garuda Shieldがスマトラ島南部のバトゥラジャ演習場でおこなわれ、この演習に参加する第1空挺団の100名がグアムから米空軍機で移動した。4月に、タイと防衛装備品・技術移転協定を締結する調整に入ったことが明らかになった。 5月に岸田首相がタイのチャンオーチャー首相とバンコクの首相府で会談し、防衛装備品・技術移転協定の締結で合意して、両首相の立ち会いのもとで署名式が行われた。 日本はこれまで米英豪など11ヵ国と同様の協定を結んでいる。
両政府は今後、具体的な装備品の輸出に向けて協議を進める。6月に岸田首相が訪問先のシンガポールで会談するリー首相と、防衛装備品の技術移転協定締結に向けた交渉入りで合意し、安全保障協力を具体化させることで一致した。
10月に林外相が、訪問先のシンガポールでバラクリシュナン外相と会談して安全保障協力の強化で一致し、防衛装備品技術移転協定の早期締結に向けて作業を加速させることを申し合わせた。・韓国との防衛協力
2月に日米韓3ヵ国がハワイで開いた外相会談で5年ぶりに共同声明を公表し、日米韓の安全保障協力の推進を盛った。
6月に岸防衛相がオースティン米国防長官、李韓国国防相とシンガポールで会談し、北朝鮮のミサイル開発の進展を踏まえ、3ヵ国で警戒活動と探知追尾訓練を実施することについて合意した。・その他諸国との防衛協力
4月に林外相がカザフスタンを訪問し、外相会談でロシアのウクライナ侵略を巡り、緊密に連携していくことで一致した。
4月に林外相がウズベキスタンを訪れてミルジヨーエフ大統領と会談し、ロシアによるウクライナ侵略について日本の考えを伝えた。
5月に林外相がモンゴルを訪問しバトツェツェグ外相と会談した。
8月にチュニジアで開催された第8回アフリカ開発会議にオンライン形式で参加した岸田首相は、世界的な食料不足を念頭に$30Bの支援を約束するとともに、ルールに基づく国際秩序を共有する形でアフリカ諸国とより緊密な関係を築きたい考えを示した。・海上保安庁の協力事業
6月に岸田首相が10日からシンガポールで開かれるアジア安全保障会議で行う基調講演で、インド太平洋地域の海洋秩序維持に向け、20ヵ国以上で海上保安能力向上のための技術協力を進める方針を表明し、2023年春までに「自由で開かれたインド太平洋」を推進する計画案を策定する考えも示した。
・技術協力、武器輸出
政府は令和4年度中にも防衛装備品の輸出に関する規制を緩和する。 政府は自衛隊が持つ中古の防衛装備品の輸出条件を、いまは海外への提供を禁じる戦車やミサイルを対象に加え緩和する検討に入った。
11月に政府が国家安全保障戦略の改定に関する与党の実務者協議で友好国の軍などを支援する新枠組みをつくり、物資の無償供与やインフラ整備で協力する。8月に浜田防衛相が10年ぶりにイスラエルのガンツ副首相兼国防相と防衛省で会談し、防衛協力を進める覚書に署名した。
12月にベトナム国防省が、世界各国との防衛協力の強化を目的とした、初の大規模な国際装備品展示会を首都ハノイで開いた。 展示会には三菱電機など約10社の日本企業が参加した。
10月にフィリピンへ輸出する防空レーダの1基目が完成し、同国空軍の要員に対する教育を開始した。
・防衛技術保全 政府は防衛装備品を巡る機密情報の国外流出を防ぐ対策として、防衛産業からの撤退を検討する企業を対象に部品の設計図などを買い取り、技術力を持つ他の国内企業に無償で譲渡する仕組みを令和4年中に始める。
・次期戦闘機の開発
日本、英国、イタリアの3ヵ国が12月9日に次期戦闘機について、共通機体を共同開発すると発表した。
2035年ごろの配備を目指す。・長距離打撃装備
配備を目指す高速滑空弾について、射程を1,000km超に延伸する改良を検討している。 防衛省が射程3,000kmに達する極超音速ミサイルを開発し、2030年代初頭の配備を目指していると報じられた。
装備庁が2月、200kmと推定されている12式SSMの射程を1,000kmに延伸する改良型を明らかにした。
防衛省が長射程 CMを1,500発以上整備する方向で検討している。
射程延長などの改良を進めている12式地対艦誘導弾について、新たに潜水艦発射型を開発する方向で検討している。・対空ミサイル
03式中距離地対空誘導弾の改良のほか、防衛省が令和5年度予算案で極超音速ミサイル迎撃能力向上に関連する予算を要求した。
・艦 船
Aegis システム搭載艦 (ASEV) のほか、排水量1,920tの外洋哨戒艦 (OPV)や長射程ミサイルを発射可能な潜水艦の保有が検討されている。
もがみ型多機能護衛艦の5番艦、たいげい型潜水艦の3番艦が進水した。
新型潜水艦 たいげい、新型多機能フリーゲート艦 (FFM) のくまの、もがみ、あがの が就役した。
いずも型DDHの二番艦かが をF-35B搭載艦に改修する工事が開始された。・その他の新装備
南西諸島など離島での防衛力を強化するため、攻撃型の小型UAVを配備する。
掃海用USVを17隻装備する計画である。
防衛装備庁が、令和2年度にC-2を元にした航空自衛隊のSOJの開発を開始した。・導入新装備
防衛省がFMS契約でBoeing社にF-15Jの改良を発注した。 F-15J 68機を6,465億円かけてF-15JSIに改修する。 改修の内容はレーダを製AN/APG-82(V)1に換装し、武器搭載能力を増やすと共にAGM-158 JASSMの発射が可能になる。
防衛省がTomahawk CMを令和9年度までをメドに最大500発の購入する。
3月、航空自衛隊三沢基地にGlobal Hawk 1機が同基地に到着した。
国防総省が、日本へのSM-3最大32発とSM-6 Block Ⅰを含む装備の売却を発表した。
島嶼防衛の強化に向け、イスラエル製や米国製の攻撃型UAVを令和5年度に自衛隊へ試験導入する。
12月に次期装輪装甲車に、フィンランドのPatria社製AMVを選定した。
航空自衛隊のPAC-3でレーダをLTAMDに換装する。・将来技術の研究
防衛省が電磁砲(レールガン)の研究開発に本腰を入れ、防衛装備庁 (ATLA) が開発を2022年に加速する。
防衛装備庁が7月にJAXAの内之浦宇宙センタから、開発中のスクラムジェットエンジンを打ち上げた。
防衛省が令和4年度から攻撃型UAVの運用に向けた本格的な検討に乗り出す。
政府が戦闘機を支援して飛ぶLoyal Wingman UAVを日米が技術協力した開発に乗り出す。
防衛省が令和4年度から、UAVを無力化できる高出力マイクロ波 (HPM) 兵器の研究開発に本格的に乗り出す。
政府が「量子技術イノベーション戦略」の改定を決定し、令和3年度補正予算案に量子関連で800億円を計上した。・防衛技術の育成
防衛装備庁が新設する防衛産業の支援策などを国家安全保障戦略などの改定に反映させた。
・防衛産業の育成
国内で防衛装備品の生産から撤退を決めている小松製作所や三井E&Sホールディングスに続いて、油圧機器大手のカヤバ、島津製作所防衛装備品の生産から撤退する企業が相次いだ。
政府が防衛装備品を製造する国内企業向けの融資制度を令和5年度にも新設する。 また事業継続が困難な場合は工場などの製造施設を国有化できる仕組みを創設する。
・その他の装備行政
BAE Systems社が4月に、防衛省や自衛隊との関係強化を目指し日本子会社BAE Systems Japan GK社を設立した。
1・7・1 航空機1・8 防空システム
1・7・2 ミサイル等
・戦闘機等 米空軍長官が7月、NGADの中核になる第六世代戦闘機の機種選定はまだ決まっていないと述べた。
9月に米空軍長官が、NGADは未だに設計段階にあってMilestone Bを通過せずEMDに入っていないと述べた。
2018年に開始された Block 4は4.1、4.2、4.3、4.4に分かれて実施され、予定されているF-35へのセンサや武器の搭載が全てが可能になる。 そのうちBlock 4.1と4.3は社としてソフトの改修、Block 4.2と4.3ではハードウェアの改修が行われる。
米空軍はF-22を2060年代まで使用するとしていたが変更して、あと10年間だけ使用するとした。
米空軍はF-15C/Dの後継としてF-15EXを144機装備するとしていたが、FY23要求では80機に減らしている。ロシア国防省が1月、Su-30SM2の1号機が納入されたと発表した。 Su-30SM2はSu-30SMの改良型で、Su-30SMはインド向けに開発されたSu-30MKIの国内仕様である。
4月にSu-35がウクライナのイズミール近くで、初めて戦闘行動中に損耗したことが判明した。ウォレス英国防相が7月、Tempestは5年以内に初飛行すると述べた。
FCAS / SCAF NGF計画を進めている3社の1社であるDassault社が、計画が少なくとも10年は遅れるとの見通しを明らかにした。 従来の計画では運用開始2040年としてきたが、Dassault社は2050年以前の運用開始は無理とした。トルコとパキスタンが第五世代戦闘機の共同開発を進めている。
(中国と韓国の戦闘機は別に記述)
・爆撃機等
12月にB-21 Raiderが公開された。 初飛行は2023年になる。
B-21に随伴する同型のUAVを開発する計画は費用対効果で有効ではないことから中止になった。Tu-160Mの1号機が1月に初飛行した。 Tu-160Mへの改良はTu-160M1とTu-160M2の2段階で行われ、Tu-160M1は2014年末にoperationalになっており、Tu-160M2ではエンジンとレーダが換装される。
ロシアの次世代爆撃機PAK DAについては特記すべき記事がなかった。・ヘリコプタ、VTOL機
米陸軍がBlack Hawk及びApacheの後継となる次世代ヘリFLRAAにTextron Bell社のV-280 Valorを選定した。
・その他の航空機
米特殊作戦軍 (AFSOC) がC-130Jを水陸両用としたMACの初飛行を2022年内に実施しようとしていたが、まだ初飛行の報道はない。
米DARPAが洋上での長距離高速大量輸送のためWIG効果を活用したLiberty Lifter輸送機計画を開始した。
英Hybrid Air Vehicle (HAV) 社が最先端の飛行船Airlanderの本格的な生産に向けて準備を進めている。
1・7・3 U A V
・弾道弾 米空軍が4月、Minuteman Ⅲと2029年から換装されるGBSDの名称をLGM-35A Sentinelと発表した。
米陸軍のPrSMは、PrSM Increament 1が4Q/FY23に配備を開始し、本格量産 (FRP) 移行及びIOC宣言はFY25に計画している。
PrSM Increament 2は陸上移動目標及び艦艇を目標とするマルチモードシーカ搭載型で、4Q/FY24~1Q/FY26に発射試験を行う。
米陸軍が4,000発近いPrSMを発注した。
陸軍は将来PrSMの射程を延伸するためラムジェットの採用を検討しており、既にラムジェットの試験を実施している。ロシア国防省が4月、RS-28 Sarmat重ICBMを発射した。 RS-28 Sarmatは重量208.1t、射程18,000kmで、NATOはSatan Ⅱと呼んでいる。
プーチン露大統領が6月にRS-28 Sarmat ICBMを2022年内に実配備すると述べた。・極超音速飛翔体
米軍が長距離極超音速攻撃兵器 (C-HGB) は、陸軍が2023年に極超音速ミサイル中隊を編成、海軍が2025年に洋上発射極超音速ミサイルを配備、空軍が2027年に極超音速ALCMの配備となる。
海軍はZumwalt級駆逐艦3隻のAGS 155mm砲を極超音速兵器CPSに換装し、発射試験をFY25に行う。 CPSは水上艦として初めてcold launchで発射される。
米DARPAがOpFires初の発射試験に成功した。 実大発射試験は2022年に行われ、最終設計審査は2022年中に計画されていたが、まだ実施したとの報道はない。
3月半ばにLockheed Martin社製スクラムジェット推進極超音速ミサイルHAWCの発射試験に成功した。 Raytheon社製のHAWCは7月に2021年9月に次いで2度目の試験成功を収めた。
HAWCの計画完了を受け、DARPAはその技術を元にしたスクラムジェット推進のMoHAWCの開発をFY23に要求した。
オーストラリアが進めていたSCIFiREを継承した戦術極超音速兵器HACMにRaytheon/Northrop Grummanチームを選定し発注した。
米陸軍が3月、長距離極超音速兵器 (LRHW) が2023年末までに配備可能になるとの見通しを示した。
射程2,776km以上のLRHWを装備する中隊はLRHW弾2発を搭載したTEL 4両を装備する。 最初の中隊はC-130への卸下積載訓練を行い、インド太平洋軍で模擬実射訓練を完了しており、2023年2月頃に最初の実弾を受領する。
米国防総省はLRHW に移動目標も攻撃できるように改良する開発を進めている。
米空軍が12月、量産型AGM-183A ARRWの発射試験に成功した。 ARRWは2021年に行われた試験に3回連続失敗したため、議会がFY22に計上されていた予算の執行を停止していた。Avangard ICBMに関する特記すべき報道は特になかった。
5月にロシア北海艦隊のフリゲート艦がバレンツ海で極超音速ミサイルZircon CMの発射試験を行い、1,000km遠方の白海に設置された標的に命中した。
プーチン露大統領が7月、Zirconが数ヵ月中に海軍への納入が始まり、フリゲート艦に搭載されると述べた。
5月に露副首相が、陸海空から攻撃に用いる次世代の極超音速ミサイルを開発していると明らかにした。(中国と北朝鮮の極超音速飛翔体は別に記述)
この他にオーストラリアやブラジルからも極超音速飛翔体の開発が伝えられているが、かねてから開発を進めていたインドからの報告はなかった。
・巡航ミサイル
米空軍の核弾頭ALCMについて特記すべき報道はなかった。
米国防総省が3月にFY23予算要求で、トランプ政権が打ち上げた水上/水中発射核CM SLCM-Nの開発費を削除した。
米空軍のMC-130Jが11月に在欧米軍のAtreus作戦の一環として、JASSMを空投発射するRapid Dragonの海外で初となる試験を行った。
AGM-158B-2はかつてJAASM-XR或いはAGM-158Dと呼ばれていたJASSM-ERの更に長射程型で、-ERの射程が900km以上とされているのに対し-ER-2の射程は1,000kmを超えるとみられる。
米陸軍のTomahawkやSM-6の艦載発射機を車載した移動型対艦システムMRC (Mid-Range Capability) は、Mobile Medium Range Missile、更にStrategic Mid-Range Firesと名前を変えた。
Lockheed Martin社は2022年末までにStrategic Mid-Range Fires 4個中隊分を初めて納入する。
米海兵隊が遠隔戦闘中隊が装備するNSMをRaytheon/Kongsberg社に発注した。 制海と敵艦船の制圧を目指すNMESISでは海兵沿岸連隊 (MLR) に複数の中距離ミサイル中隊を置きEABO作戦を遂行する。インドBrahMos社が1月に射程延伸型の新型BrahMosの発射試験を実施した。
・S S M
米陸軍のLMAMSやSwitchblade 600、海兵隊のOPF-MS、米特殊作戦軍のAltius 700など各種索敵遊弋型兵器が報じられた。
レーザ誘導の70mm誘導ロケット弾6発を搭載した車載発射機が公表された。・A S M
米空軍がF-35Aが機内弾庫に搭載して突入攻撃するSiAW (Stand-in Attack Weapon) の開発を行っている。
米陸軍が8月にJAGMの本格量産への移行を承認した。 JAGMは射程8kmで、Hellfire、Maverick、TOWの後継となる。
Northrop Grumman社がAeroVironment社と、プロペラ推進の遊弋索敵弾と突入型TUAVの間を埋める高速遊弋弾Jakalの詳細を公表した。
Northrop Grumman社が5月、Hancher miniPSMの開発が試験を完了したと公表した。 HancherはGroup 3 TUAVから発射された。EUが現有の近接戦闘用LOSより遠方 (BLOS) 兵器の能力を高める計画MARSEUSを承認した。 計画はMBDA社のAkeron中長距離ミサイルを元にするもので、開発には数年を要するとみられる。
イスラエルRafael社が、2021年に公表したSea Breakerのファミリーである、重量350kg、射程300kmのASM Ice Breakerを公表した。
・A R M
米海軍が1月にAGM-88G AARGM-ER 2度目の実射試験を実施した。 試験ではF/A-18Fから105km離れた電波源に向け発射された。
F/A-18に搭載してのIOCは2023年9月が予定されている。
1・7・4 D E W
・HAPS UAV 2022年に特筆すべき記事はなかった。
・HALE/MALE/TUAV
GA-ASI社が5月、MQ-9B SkyGuardian及びSeaGuardian UAVにSTOL性を持たせMQ-9B STOLに改造するキットを開発したと発表した。
米陸軍がRQ-7 Shadow TUAVに代わるVTOL TUAV計画FTUASのInc 1にAerovironment社製のJUMP 20を選定した。 Increment 1はRQ-7B Sharowと即換装し運用すると共に、Increment 2の要求策定に向けたデータ収集を行う。独仏伊西が2月に正式にEurodrone計画を開始した。
インドネシア国営のPT Dirgantara社が2019年に、中国CH-4と良く似たElang Hitam (Black Eagle) MALE UAVを開発した。
Elbit社がSkylark 3 Hybrid UAVを公表した。 Skylark 3 Hybridは燃費の良い内燃機関を機体前方に配置しハイブリッド化することで、18時間の滞空性能を実現しつつ、電動推進の消音モードで低雑音と低熱放射を実現している。
イスラエルのAeronautics Groupoが6月に分類のUAV unmanned hover planeと称する電池を動力源とするUAVのTrojanを公表した。・特殊用途 UAV
トルコLentatek社が6月にエーゲ海で37ヵ国から1,000名以上が参加して行われたEFES-2022演習で、対レーダ遊弋索敵型UAVのKargiを展示した。 2018年に初飛行したKargiは現在、領収試験段階にあり2022年内には量産に移行できるという。
米海軍が10月に海兵隊のForce Design 2030を支えるため、MQ-9A Block 5-25 Reaperにネットワーク拡張の任に当たらせるSkyTower Ⅱ (ST Ⅱ) ポッドを発注した。
米空軍研究所 (AFRL) がBandit無人仮想敵UAV計画を開始した。
イスラエルのSpear社が、潜航中の潜水艦から発進するISR UAV Ninox 103を発表した。・有人機随行 (Loyal Wingman)
GA-ASI社が3月、Gambitと称するUAVを公表した。 Gambitは高性能ジェット推進UAVで、高度なAIや自動装置やOBSSを搭載した遠距離の情報取得などができる。
Lockheed Matin社が7月、米空軍向けに有人機に随伴する使い捨てのUAVを検討していることを明らかにした。
米空軍が11月にXQ-58A Valkyrieを2機受領し飛行試験を開始した。
Northrop Grumman社が5月に新型のModel 437を公表した。 Model 437は同社の子会社であるScaled Composites社が開発した有人機のModel 401を元にしていた。Boeing社がオーストラリアで開発しているLayal Wingmanの名称をMQ-28A Ghost Batとした。
1・7・5 爆弾,弾頭
・殺傷型 DEW ドック型輸送揚陸艦Portland が2021年12月にアデン湾でHEL兵器の試験を実施した。
Portland はソリッドステートレーザLWSD Mk 2 Mod 0を用いて水上の固定標的に対しレーザ照射を行った。・非殺傷型 DEW
2022年に特筆すべき記事はなかった。
・DEW 支援
2022年に特筆すべき記事はなかった。
1・7・6 電子戦
2022年に特筆すべき記事はなかった。
1・7・7 情報取得,偵察等
・航空機搭載電子戦装備 Raytheon社が7月にALQ-99の後継としてEA-18G Growlerに搭載されるALQ-249 NGJ-MBの納入を開始した。 NGJ-MBはALQ-99より高出力で、複数目標への同時妨害が可能という。
米海軍は8月に、ALQ-249(V)1 NGJ-MBの能力を向上させ帯域幅を広げたMB2の開発をRaytheon社に発注することを明らかにした。・艦載電子戦装備
対艦ミサイル防護のための艦載電子戦装置SEWIPを開発してきたNorthrop GrummanがArleigh Burke級駆逐艦に装備するSEWIP Block 3を製造している。
・陸上配備電子戦装備
米陸軍が7月、Lockheed Martin社に旅団装備電子戦装備TLS-BCT開発の概念設計段階を発注した。 契約は2023年10月までで、試作機3基を納入する。
TLS-BCTはSIGINT、EW、サイバ戦装置を車載したもので、防護と状況把握に使用する。
米陸軍が、旅団より高位の部隊が装備する電子戦装置TLS-EABの概念設計段階を、Lockheed Martin社とGD社に発注した。
TLS-EABは旅団戦闘団が装備するTLS-BCTと連携して任務に当たる。・EMP / HPM
米海軍研究本部 (ONR) と空軍研究所 (AFRL) が5年間にわたり共同で進めてきたHPM UAV計画HiJENKSがこの夏の試験を持って完了する。
HiJENKSは空軍が開発したCHAMPの後継で、より小型の機体にCHAMPを発展させた装置を搭載している。
・偵察衛星 2022年に特筆すべき記事はなかった。
・偵察機,哨戒機
ウクライナとの国境近くでのロシア軍の動きを、米陸軍のArtemis高高度偵察機が監視している。
Artemisは黒海からバルト海の上空41,000ftを飛行し、地平線までの250哩の偵察を行っている。・その他の情報取得システム
米空軍が2030年代初期を見据えたABMS (Advanced Battle Management System) 構成のためのRfIを発簡した。
米陸軍が6月にTITAN (Tactical Intelligence Targeting Access Node) 計画のPhase Ⅱを発注したと発表した。
TITANはLOS外の目標情報を得るため、戦場にセンサを連接するシステムで、Phase Ⅰは2021年1月に発注していた。
米NRO (National Reconnaissance Office) が商用の超広帯域リモートセンシング装置のRFPを発簡した。 超広帯域リモートセンシング装置は各軍が運用している衛星の活用を目指している。
1・8・1 宇宙防衛1・9 関連軍事技術
1・8・2 戦略 BMDS
・地球-月間空間の軍事利用 米SPACECOM副司令官が8月に、SPACECOMにとっての最優先課題は敵のASATやキラー衛星をかわす高速機動衛星と宇宙給油所的な宇宙インフラであると述べた。
また地球~月間の深宇宙Cislunarの支配には宇宙インフラが不可欠で、SPACECOMは核動力宇宙船DRACOに関心を持っていると述べた。・宇宙塵対策
オーストラリアが、米宇宙軍がWSMRに配備していた宇宙監視望遠鏡 (SST) をオーストラリアへ移設し、豪空軍と米宇宙軍が共同で運用している。
オーストラリアは南半球で宇宙塵を監視追跡するためSSTを2017年に移設し、2020年に最初の画像を捉えていた。
1・8・3 戦域防空/TBMD
・グアムの BMD グアムのBMDはTHAADとSM-3、SM-6の連携で行うという。
米国防総省がグアムに設置するAegis AshoreのレーダにSPY-7を選定した。
米MDAがグアムに設置するAegis BMDSで新たに採用する移動型発射機を発注する計画である。
中国からグアムへのBM攻撃に対し、議会はPatriotやSM-6、SM-3をグアムに配備することを求めたが、は2013年以来THAAD中隊を派遣している陸軍はより機動的なシステム、特に移動式発射機を要求している。・欧州の BMD
ホーランドのレジコボに建設していたAegis Ashoreは取り付けは既に完了し、現在は試験が行われており、2023年にはfull operationalになる。
・早期警戒衛星
2011年に初号機が打ち上げられたSBIRS GEOの6号機にして最終機となるSRIRS GEO-6が8月に打ち上げられた。
米MDAが2009年に打ち上げた早期警戒衛星STSS 2基を退役させ、その役割をHBTSS (Hypersonic and Ballistic Tracking Space Sensor) のMDSL (Missile Defense Space Layer) に引き継いだ。
SDA の NDSA (National Defense Space Architecture) はTranche 1 Tracking Layer (T1TL) の126基をNorthrop Grumman社が受注した。
中露の脅威に対抗する監視衛星システムの部分を成す中高度軌道に打ち上げられるNGOPI (Next-Generation Overhead Persistent Infrared) が最終設計審査 (CDR) を終えた。・早期警戒レーダ
LRDR(Long Range Discriminating Radar) レーダーが試験を完了し、数ヶ月以内に運用可能となった。
・地上配備迎撃システム
米議会上院軍事委員会がFY23 NDAA法案でGMD体制を見直し、それまで20基とされていたNGIの数を64基に増やす案を盛り込んでいる。
1月にイスラエル中部で、Arrow 3を用いた迎撃試験が行われ、標的に対し2発のArrow 3が発射され迎撃にに成功した。・艦載迎撃システム
米MDAがRaytheon社に実用型SM-3 Block ⅡAを発注した。
海軍から要求されている日米の駆逐艦や陸上システムに配備するSM-3 Block ⅡAの1/3を納入できずにいることが判明した。・DEW による迎撃システム
米MDAが9月にLockheed Martin社に対し、DEWのMDSに連接したBMDSとしての活用の可能性についての検討を発注した。
1・8・4 超高速ミサイル防衛
・NATO の BMD ドイツが主導しベルギー、ブルガリア、チェコ、ハンガリー、バルト三国、オランダ、ノルウェー、スロバキア、スロベニア、ルーマニア、英国のるNATO加盟14国が参加している、既存システムによるEuropean Sky Shield Initiative AMDシステムがフィンランドを招聘した。
・米国のTBMD /中長距離 SAM
UAEが1月に、アブダビに向けられたフーシ派のBM攻撃で初めてTHAADによる迎撃を行った。 これは知られている限りTHAAD初の実戦使用である。
UAEは米国以外で初のTHAAD保有国で、米陸軍は9個中隊のTHAADを要求しているが7個中隊しか装備されていない。
米MDAと陸軍が3月、THAADシステムでPAC-3 MSE弾の射撃を行う1試験を実施し、2発のPAC-3 MSE弾で標的機1機を撃墜するのに成功した。
米陸軍が開発を急いでいるPatriotに代わる将来防空迎撃弾 (FADI) の計画が明らかにされた。
陸軍が2028年配備を目指しているFADIは現在及び近い将来の脅威に対抗し得る迎撃弾で、航空機、ミサイルに加えて極超音速弾も対処脅威にしている。・ロシア
Almaz-Antey社が4月にS-500の量産を開始したと述べた。 Triumfator-Mと呼ばれるS-500は最大射高100~200km、射程500~600kmで2018年5月には481kmでミサイルを撃墜したと報じられていた。
プーチン露大統領が6月、S-500の配備を開始したと述べた。・欧 州
英国が、Type 45駆逐艦にASBMへの対抗能力を持たせるSea Viper Evolution計画の第1段階として2020年代後半までにAster 30 Block 1を装備する計画である。
・その他諸国
(中国、韓国、台湾は別項で記述)
1・8・5 近距離防空
・超高速ミサイル捕捉システム MDAが開発している中視野角のHBTSS衛星はSDAが開発する広視野角のTracking Layer衛星と低高度軌道でネットワークを構成し、SBIRSや旧式になったDSP、更に次世代のNext-Gen OPIRからキューイングを受けて極超音速ミサイルの追随し、AegisシステムやTHAADに引き継ぐ。
・超高速ミサイル迎撃システム
米国防総省がMDAの進めているGPI迎撃弾の開発について、Raytheon社とNorthrop Grumman社の2社に開発続行を発注した。 迎撃弾にはAegis BMD駆逐艦に搭載し現有のVLSから発射することと、改良型Baseline 9 AWSとの適合が求められた。
米DARPAが、滑空段階にある敵の極超音速ミサイルを撃墜するGlide Breaker計画で、風洞試験や飛行試験を行うPhase 2の提案を求めている。
1・8・6 短距離 BMD / C-RAM
・近距離 SAM 陸軍は既にIM-SHORADを装備した1個小隊を駐独第10 AMD司令部隷下の第4防空砲兵連隊第5大隊に編成している。
米陸軍が、FY23予算要求に盛り込まれなった優先度が高い項目リストM-SHOORADを外した。英国とが、ポーランドのSHORAD計画Narew計画で協力することに合意した。 ポーランドはNarewにMBDA社製CAMMを推薦していた。
英国防省のSky Sabre防空システムが初めて陸軍砲兵部隊に装備された。・MANPADS
米陸軍のStingerに代わる次世代近距離SAMにBoeing, Lockheed Martin, Raytheonの3社が名乗りを上げた。 陸軍は1万発以上を調達する計画である。
中国がQW-12 MANPADSの試験を行った。 QW-12はフレアを放出しながら飛行する攻撃ヘリを模して特別に設計された標的機を撃墜したほか、122mmロケット弾の撃墜にも成功した。・対空レーザ兵器
米海軍研究本部 (ONR) が2月にLLD (Layered Laser Demonstrator) レーザ装置でCMの撃墜に成功した。
米海軍が近く装備する艦載レーザ兵器ファミリNFLoS (Navy Laser Family of Systems) は固体レーザ実用化計画SSL-TMでは100kWのHELを目指している。
米海軍は極超音速ミサイルへの防護手段となりうる指向性エネルギー兵器を開発中である。ドイツ海軍フリゲート艦が8月にバルト海で、レーザ砲で標的の撃墜に成功した。 今後さらにUAV、UAV群、試験は2023年中頃まで続けられる。
英国のDragonFireが10月に撃墜試験に成功し、実用化に向け一歩前進した。Lockheed Martin社とRolls Royce社が企業レベルで開発している、100kWファイバーレーサを用いた艦船搭載/車載CMDレーザ兵器がCM標的の撃墜に成功している。
米陸軍は、小規模な歩兵部隊を防護するため、9人乗りの小型兵員輸送車である歩兵分隊車両に20kWレーザを搭載する計画AMP-HELを開始した。
300kWレーザ兵器HELSIが国防総省に納入され。 野外試験は2022年後半に開始される。
米陸軍が、50kWレーザをStrykerに搭載したGuardianと呼ばれるDE M-SHORADの部隊配備を9月に開始した。Rheinmetall社がSkyrager防空システムにHELを組み合わせたSkyranger 30 HELを開発した。
1・8・7 巡航ミサイル防空
米陸軍は2021年、IFPCInc2にIron Domeではなく、Dynatics社製の発射機とAIM-9X Sideeinderを組み合わせたEnduring Shielsの採用を決めた。
陸軍は2021年、IFPCInc2にIron Domeではなく、Dynatics社製の発射機とAIM-9X Sideeinderを組み合わせたEnduring Shielsの採用を決めた。
米陸軍が8月にイスラエルIMDOと共同でWSMRで行ったCMD実射試験で、複数のCMと航空機を模した無人標的機を撃墜した。
米海兵隊が9月にIron Domeと既存の防空システムを組み合わせたMRICの最終となる3回目の試験を行い、要求以上の成果を収めたと発表した。イスラエルがUAEへIron Domeを売却する交渉を進めている。
イスラエルが2月、コルベット艦でC-Dome防空システムのロケット弾、CM、UAVに対する発射試験を実施した。イスラエルがレーザーを使った防空システムLaser Wallの試験運用を1年以内に開始できるという見通しを示した。
イスラエルが100+kWのIron Beam対空レーザ兵器の試験で、UAVの他、迫撃砲弾やロケット弾の撃墜にも成功した。
1・8・8 対 UAV システム
・米国の CMD 米国防総省が7月に、CMに対する米本土防空の責任を空軍に付与した。 これに伴い、2023年に実施するCMD試験計画も空軍へ移管する。
・その他諸国の CMD
2022年に特筆すべき記事はなかった。
1・8・9 防空 C3I
・ハードキルシステム 米陸軍が6月にM-LIDS C-UAVの新型Increament 3の開発を行っている。
現在のM-LIDS Increament 2はM-ATV 2両で構成されているが、Increament 3ではこれをStryker 1車にしようという。 M-LIDSは30mm砲、.50機銃、7.62mm機銃、Coyote Block 2+ミサイルとソフトキル用の電子戦装置を装備している。
陸軍はまたGroup 1~2のUAVに対抗する20kW級レーザ兵器を歩兵分隊車ISVに搭載する計画で、2023年9月末までに試作を完了する。
Northrop Grumman社がStingerの補完として20-lb~250-lbのClass Ⅰ及びClass Ⅱの撃墜に、チェーンガンから発射するUAVの検知と炸裂指令を行うセンサを搭載した30×130mm弾を提案している。
米空軍研究所 が2月、現有のHPM兵器THORを発展させたC-UAV兵器であるMjolnirの開発を発注した。フランス軍事省が6月、2024年パリ五輪で配備するHELMA-P C-UAVレーザ兵器の試作機1基を発注した。
・UAV キラー UAV
欧州のMARSS社がWorld Defense Showで体当たり式のC-UAV UAVであるInterceptorを公表した。
・ソフトキルシステム
Teledyne FLIR社が3月、3DレーダとEO/IR装置、RF探知装置を組み合わせたADAとC-UAVを行うLVSSを公表した。
ドイツ政府が8月、連邦軍が装備するASUL C-UASシステム5基を発注したと発表した。・鹵獲システム
イスラエルのC-UAV専門企業のSkylock社がSky Intercepterロケットを公表した。 Sky Intercepterは他の爆薬でUAVを撃墜するハードキルシステムと異なり、弾頭には薄いゴム製の網が納められており、これが小型UAVのプロペラに絡まり飛行不能にする。
ベルギー国防省が非殺傷手段を用いたC-UAS演習を行った。
英陸軍はSkyWall Auto捕獲網発射砲を採用している。
・対空レーダ 米陸軍がFY23にLTAMDS (Lower-Tier Air and Missile Defense Sensor) のLRIPを発注する。 生産されるのは米国用に14基、輸出用に34基の合わせて48基で、FY24~FY27の4年間のオプションが入っている。
米空軍が受注していたAN/TPY-4 3DELRRレーダ初号機の試験を完了した。
Indra社が1月にLanza 3DレーダがNATOのDADR (Deployble Air Defence Radar) としてのTBM捕捉追随試験に合格したと発表した。 今までNATOのDADRに合格したのはLeonardo社製RAT-31DL/Mだけであった。
オーストラリアCEA社が地上設置型のAESA防空レーダ4基をて受注した。 CEA社は豪海軍のAnzac級フリゲート艦が装備しているレーダを製造しているが、地上型レーダはその技術を元にしているという。イスラエルのRADA社が11月に長距離型MHRであるexMHRを受注したと発表した。 この発注元を米国以外と見ている。 exMHRは4面固定レーダをJLTV車に搭載したもので、機動型Iron Domeに適していると見られる。
Lockheed Martin社が米陸軍から受注したSentinel A4レーダの一次分5基を6月に納入した。 Sentinel A4は陸軍のIBCSと一体となり運用される。
2021年10月に発表されたGhostEye MRはGaN素子を採用したレーダで、AMRAAM-ERを発射する改良型NASAMSでの採用を目指している。米海軍が今後5年間で31隻に装備するSPY-6レーダを発注した。 発注したSPY-6はArleigh Burke級Flight Ⅲ駆逐艦が装備するSPY-6(V)1のほか、空母、揚陸艦、フリゲート艦や旧型の駆逐艦にも装備される。
AN/SPY-1DをSPY-6(V)4に換装することで、Flight ⅡAはFlight Ⅲとほぼ同等のIAMD能力を持つことになる。・空中センサ
米空軍が4月、1970年代から使用し老朽化したE-3 Sentry AWACSをE-7 Wefgetailに換装すると発表した。
・情報処理、指揮統制
本格量産 (FRP) が開始されている米陸軍のIBCSは、IOT&Eが1月に開始された。 米陸軍は2021年12月にIBCS 160システムを発注した。
Patriotを装備する米陸軍1-1ADA大隊が6月、パラオ共和国で空軍のF-35Aと共同したCMを模した標的の撃墜を行った。
1・9・1 陸戦兵器
1・9・2 海戦兵器
・ロボット、UGV フィラデルフィアのGhost Robotics社が公開したVision 60は、レーザーレーダー (Lidar) を搭載して周辺の障害物を検知する。
米陸軍が軽戦闘UGV RCV-L計画を進めている。・A P S
イスラエルが陸上部隊や施設をATGMを含む空投武器から防護するAPS HybridEyeを試作し試験を実施した。 HybridEyeはマルチビームのC-bandレーダで遠距離から近距離まで全方位全高低にわたる全球の探知を行う。
・戦闘車両
米陸軍が歩兵旅団戦闘団 (IBCT) が装備する軽戦車をGDLS社製に決め、26両とLRIPの70両を発注した。
1・9・3 空戦兵器
・航空母艦 米海軍の新型空母であるCVN-78 Gerald R. Ford が2021年12月にIOCになっていた。
Gerald R. Ford は10月に初の展開に向け出航した。(中国、インド、韓国の空母については別に記述)
・潜水艦
2022年に特筆すべき記事はなかった。
・水上艦
Flight Ⅲの建造と平行してDDG 51 Flight ⅡAの近代化改修も行われている。 近代化ではAegisの改修とSPY-6レーダの搭載の他、SEWIPの搭載も行われる。
Arleigh Burke級駆逐艦の後継となるAeleigh Burke級の発展型DDG(X)は、上部構造物の前方で32セルのMk 41 VLSか大型のミサイル発射機の後方には150kW高出力レーザを含む複数のHELを装備することになる。
米海軍が1989年以来初となるフリゲート艦Constellation級の建造を2026年就役を目指し開始した。 Constellation級は20隻が建造される計画である。
米海軍がFY23で対潜戦システムが技術的に機能しなかったことからFreedom級LCS 9隻の除籍する。(中国の水上艦については別に記述)
・洋上基地艦船
米海軍が排水量50,000tの遠征洋上基地艦 (ESB) 3隻の建造を発注した。
米インド太平洋陸軍の装備を洋上備蓄するAPS艦が3月にフィリピンで行われた演習で、歩兵旅団戦闘団の装備を卸下した。・揚陸艦、輸送艦
米海兵隊はFY23に軽揚陸艦 (LAW) の建造を開始したいとしていたが、海軍との予算要求段階で2年先延ばしになった。
・USV / UUV
米海軍のGhost Fleet Overlord USVが2021年にカリフォルニア沖で行われた作戦に参加した。
米海軍と60ヶ国海軍が1月~2月17日に中東で実施した演習には新偏されたUSVを装備した小艦隊である第59戦隊を参加させた。
米海軍太平洋艦隊が5月に第1 USV師団を編成した。 8月に行われたRIMPAC 2022演習には30~40隻の艦船と共に4隻のUSVが参加した。
米中央軍司令官が2023年中にペルシャ湾一帯に100隻を超えるUSV/UUVを展開させることを明らかにした。英国防省がプリモス沖で9m S201超大型UUV (XLUUV) によるアレイソナーの牽引試験を実施した。
オーストラリア海軍が大型自動UUV XL-AUV 3隻を受注した。
シドニーのAnduril社が12月に豪海軍にGhost Shark UUVを納入した。 同社によると試作機は深度6,000mの海底で10日間にわたり活動しており、それより大型のGhost Sharkは、更に能力が高い。ロシア海軍艦が原子力推進の新型魚雷Poseidonの試験を準備していたのが把握された。
1・9・4 サイバ戦
・機上 FCS 装置 米空軍州兵が、装備しているF-16のAN/APG-83 SABRレーダへの換装を完了した。 AN/APG-83はF-35が装備しているAN/APG-81 AESAレーダと95%が互換である。
Raytheon社がPhantomStrike AESAレーダの輸出を2025年に開始する計画であると発表した。 GaN素子を使用しDBF及びビームの走査を行うPhantomStrikeレーダは小型軽量で、軽攻撃機のほか回転翼機やUAV、更に固定装置にも装着できる。
1・9・5 砲熕兵器
ウクライナ戦争の一環としてのサイバ戦が、大規模DDoS攻撃、通信衛星網のハッキング、ウクライナ高圧変電所へのサイバー攻撃のほか、ベラルーシ情報機関ハッカー集団のウクライナへのサイバ攻撃もあり、盛んに行われた。 デジタル世界の攻防が重要性を増したウクライナ侵攻では、ウクライナ側のIT戦略も際立っている。
(中国や北朝鮮のサイバ戦については別に記述)
1・9・6 共通技術
・従来型火砲 米陸軍では155mm砲が39口径から58口径に変わることで新たな155mm弾体系が開発されている。 58口径のERCA砲では射程70kmのXM1210 RAP弾が使用される。
米陸軍がFY24に射程1,900km の次世代火砲であるERCA-Ⅱの発射試験を実施する。・高速砲弾
2019年7月に米陸軍からラムジェット推進155mm砲弾Ramjet 155の開発で8月までに450発以上の発射試験に成功した。
・電 磁 砲
2022年に特筆すべき記事はなかった。
・誘導砲弾
2022年に特筆すべき記事はなかった。
・砲熕発射ミサイル
2022年に特筆すべき記事はなかった。
1・9・7 関連基礎技術
・測位、タイミング (PNT) GPS、Galileo、北斗 (Bei Dou)について、2022年に特筆すべき記事はなかった。
ロシアが11月にSoyuz 2.1b SLVの打ち上げを実施した。 搭載されていた測位衛星GLONASS-MはGLONASSの第2世代の衛星となる。
・ネットワーク
JADC2最大の技術的課題はinteroperabilityである。 現在JADC2のサブセットとして100件以上の計画が進められているが、これらにはinteroperabilityに欠けるものがある。 米海軍はまだJADC2を完全には理解していないと述べ参加に難色を示した。
米陸軍はITN (Integrated Tactical Network) Capability Setで、Capability Set '21 (CS21) は歩兵旅団、4月に配備を開始したJADC2に準拠するCS23はStryker旅団、CS25は機甲旅団が対象となる。
米陸軍が2021年に実施したIBCSを用いてF-35の捕捉したデータで野戦砲兵が射撃を行う試験ではF-35が捕捉、識別、追随した目標データをJADC2でデータ統合し、陸軍のAFATDSに送って射撃を実施した。
米陸軍がTITAN開発のPhase Ⅱを発注した。 TITANはセンサとユーザを連接して観目線外の目標照準を行うもので、陸軍のJADC2活用で重要な要素になっている。・戦闘クラウドシステム
米国防総省が12月、2021年7月に計画中止になったJEDIを引き継ぐ戦闘クラウド計画であるJWCC (Joint Warfighting Cloud Capability) をAmazon、Google、Microsoft、Oracleの4社に発注した。
・通信,C4I
米宇宙軍がハイブリッド衛星通信の検討を行っている。
・航空機関連技術 GE社が次世代戦闘機NGADに搭載する適応遷移エンジンAETP (Adaptive Engine Transition Program) のPhase 1試験を完了した。 P&W社もAETPエンジンを開発しており、AETPエンジンはF-35Aにも機体の改造なしで搭載できる。
・小型/マイクロ原子炉
米国防総省SCOが進めているマイクロ原子炉開発Pele計画では、第五世代原子炉により5MWの電力供給を3年以上できることを目指している。
・量子技術
バイデン大統領が5月に量子情報科学 (QIS) の国家レベルでの振興を図る2件の大統領令に署名した。 1件目は実行計画で、2件目は保全に関するものである。
・原子力推進宇宙船
米DARPAが進めている地球~月間宇宙Cislunar宇宙を飛行する熱核エンジン (NTP) 宇宙船DRACO計画ではFY26に試作機の飛行試験が行われる。
「2. 戦闘/戦闘切迫地域の情勢」 へ