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9 関連軍事技術

9・1 陸戦兵器

9・1・1 ロボット、UGV

9・1・1・1 2足、4足歩行ロボット

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・1・1・2 ロボット戦闘車

Robotic Combat Vehicle (RCV) (米陸軍)

 米陸軍がロボット戦闘車 (RCV) の軽量型RCV-Light (RCV-L) の納入を受け、今後もこのペースで納入を受け、2022年に中隊規模の試験を計画している。
 RCV-Lは4両をQinetiQ North America社チームに1年前に発注し、最初の1両は2020年11月に納入され、残りの3両も年末までに納入されている。
 RCV-Lは重量8,500-lb、搭載能力7,000-lb、速力40哩/時であるのに対し、30mm砲を装備する中型のRCV-Mは重量25,000-lb、速力25哩/時の性能を持つ。
 陸軍はRCV-Mを4月末から5月に受領する計画である。 (2104-031709)

 米陸軍がFY22にロボット戦闘車RCVの開発継続として$84.5Mを要求している。
 RCVには軽量型のRCV-Lと中型のRCV-Mがあり、重量10t未満、搭載能力7,000-lb、速力40mph以下のRCV-LにはQintiQ北米社とOshkosh社に買収されたPratt Millerのチームに4両、重量10.5t、搭載能力8,000-lb以上ね速力40mph以上のRCV-MにはTextron社、Howe&Howe社、Flir社のチームに4両が発注されている。 (2108-060906)

 米陸軍が2021年初めにそれぞれ4号機にして最終号機を受領したロボット戦闘車RCV-LとRCV-Mの実射試験を開始した。
 陸軍は6月から8月にテキサス州Ft. Hoodで、RCV-LとRCV-M 4両ずつと、BradleyをUGV化したMET-D 6両と無人化M113 APCのRCV-H 4両を交えた18両で試験を行う。 (2108-063005)

Warfighter Spike UGV(オーストラリア)

 オーストラリアのCyborg Dynamics社が6月1~3日にブリスベンで開かれたLand Force 2021展でSpike ATGMを装備したWarfighter UGVであるWarfighter Spike UGVを発表した。
 Warfighterは330kgの搭載能力と72時間の走行が可能であるが、予備燃料槽の装着で走行時間を延ばすこともできる。
 搭載するRafael社製Spike LR2 ATGMは射程が5.5kmで、非冷却IRセンサとLEDセンサで誘導される。 このほかにEOS Defence社製R150銃架に5.56mm/7.62mm軽機関銃または12.7mm重機関銃を装備できる。 (2108-070008)

T-72 MBT を元にした UGV(ロシア)

 TASS通信が8月24日、ロシア国防省が初めてT-72 MBTを元にしたUGVを発注したと報じた。
 発注したのはT-72B3 UGV 4両で、4両は砲身を短くした125mm滑腔砲、Shmel サーモバリックロケット発射機、30mm砲2門、TOS-1AサーモバリックMRLを搭載し、5両目のT-72B3 MBTに乗車した8名からなるチームがこれらを操作する。 (2111-090107)

Uran-9 戦闘 UGV と Nerekhta 偵察 UGV(ロシア)

 ロシア国防省の機関誌Krasnaya Zvezdaが10月1日ロシア軍参謀総長サリューコフ上級大将の話として、ロシア地上軍が2022年にUran-9戦闘UGVの調達数を決定する大規模な試験を行うと報じた。
 サリューコフ将軍によるとロシア地上軍は2022年に、Uran-9戦闘UGVとNerekhta偵察UGVを導入する。
 Uran-9システムはUGV 4両とKamazとそれを指揮するトラック1両からなり、露国防省は4月に20両のUran-9を1月に追加配備したと発表している。 (2112-101306)

9・1・1・3 自動(無人)発射機車

自動(無人)HIMARS(米陸軍)

 米陸軍が6月16日、自動(無人)発射機 (AML) による射撃のCG映像を公表した。
 AMLを搭載したC-130は太平洋上の島に設けられた滑走路に着陸し、他のC-130から下ろされたHIMARSと有無人チームを構成してPrSMの射撃を行った。 (2107-061605)

9・1・2 A P S

Leopard 2 MBT に Trophy

 ドイツ国防省とRafael社が2月23日、ドイツとイスラエルがTrophy APSをドイツ軍のLeopard 2 MBTに搭載する政府間合意に調印したと発表した。
 Trophy APSを装備するのはLeopard 2A6M3で、搭載後はLeopard 2A7A1になる。 (2103-022406)

 イスラエル国防省とRafael社が2月23日、ドイツとLeopard 2MBTにTrophy APSを装備する政府間協定に署名したと発表した。
 Trophy APSのLeopard 2 MBT搭載は1月27日に議会で承認され、28日には国防省が車体の改造なしに試験車両に搭載すると発表していた。
 Trophyを搭載するのはLeopard 2A6M3で、搭載は2023年まで続けられ、その後はLeopard 2A7A1と呼び名が変わる。
 その後も他のLeopard 2にも搭載される計画という。 (2105-030304)

 イスラエル国防省が11月3日、ドイツが装備したTrophy APS最初の一連の試験が完了したと発表した。
 Rafael社とKrauss-Maffei Wegmann社が行った試験では90%以上の成果を収めたという。 Rafael社によると試験は10月末に完了した。
 Trophy APSは2023年までにLeopard 2A6MA3に取り付けられ名称がLeopard 2A7MA1になる。
 1月にはドイツが2023年にNATOのVery High Readiness Joint Task Forceに差し出すLeopard 2 17両にAPSが取り付けられた。 (2201-111008)

Challenger 3 MBT に Trophy

 英国防省がChallenger 3 MBTに装備するAPSをRafael社のTrophyにしたと発表した。
 Challenger改良計画の主契約社であるRBSL社は軽量型TrophyのTrophy MVを用いた試験を行っている。
 国防省は6月28日にChallenger 2 148両をChallenger 3に改良する契約を£800M ($1.1B) で行った。
(2109-070706)

9・1・3 戦闘車両

9・1・3・1 新たな動き

米陸軍の軽戦車

 BAE Systems社とGDLS社が提案している米陸軍の軽戦車計画 (MPF) は6月まで続く5ヶ月間の評価試験の最中であるが、GDLS社は12両の試作車の納入を2020年12月末までに済ませているのに対しBAE Systems社は2両しか納入していない。
 契約上の納期は2020年8月とされているが、BAE Sytems社は遅延の理由をCOVID-19などのせいとしている。 (2104-021706)

 米陸軍が計画が遅れている新型軽戦車の機種決定を2022年の4~6月に行う。
 これにはM8装甲砲システムを搭載するBAE Systems社と、Abrams MBTの砲塔を軽量化して搭載するGDLS社が受注を争っており、それぞれ$376Mで受注し12両ずつの試作品を納入している。
 米陸軍は2025年に装備を開始し504両装備する計画である。 (2111-092906)

Challenger 2 をChallenger 3 に改良

 英国防省が6月28日にChallenger 2 148両をChallenger 3に改良する契約を£800M ($1.1B) で行った。
 この改良でChallengerは砲塔が更新されRheinmetall社製L55A1 120mm滑腔砲に換装される。 (2109-070706)

9・1・3・2 旧式戦闘車両の処分

AAV を FMS で輸出

 米海兵隊が水陸両用戦闘車をAAVからACVに切り替えるのに伴い、AAVをFMSで輸出しようとしており、これに伴い部品等の供給を担当する企業を募集している。 (2201-111704)

9・1・4 システム装具

IVAS

 米陸軍がMicrosoft社に$21.9Bで発注したIVASの納入が今年後半に開始され、最初の部隊装備は7月~9月になる。
 陸軍はオプションの5年間を含む10年間かけて調達を行う。
 IVASはHoloLens 2拡張現実 (AR) 装置を軍用にしたもので、これ一つで訓練、予行、実戦の場で使用できる。 (2105-040102)

9・1・5 対地雷、対 IED

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・2 海戦兵器

9・2・1 航空母艦

9・2・1・1 米 国

中型空母の検討

 中国の対艦兵器の能力向上から、米海軍では現在の空母より小型で搭載機数が1/2~2/3の中型空母の検討を進めている。
 現在の空母はF/A-18を48機、EA-18G 5機、E-2 4機、MH-60 19機、C-2AまたはV-22輸送機2機を搭載している。 (2103-011101)

9・2・1・2 中 国

「4・1・7・3・1 航空母艦」で記述
9・2・1・3 韓 国

「4・3・3・2・4 艦 船」で記述
9・2・1・4 英 国

 英海軍のQueen Elizabeth級空母二番艦Prince of Walesに6月9日、初めてF-35Bが飛来した。 F-35Bは着艦後、飛行甲板での露天繋止やエレベータでの昇降を行い、再び飛行甲板に出て発艦するまでの手順を乗組員らと実施した。
 2019年12月に就役したPrince of Walesは現在は乗組員が乗艦し運用試験が行われている。 (2107-061004)
9・2・1・5 フランス

次世代空母 PA-Ng

 フランスの国防調達庁であるDGAが3月29日に、次世代空母PA-Ngの2年間に及ぶ事前設計をNaval Group社を初めとする3社に10日前に発注したと発表した。
 PA-Ngは全長300m、排水量75,000tの原子力空母で、2,000名の乗組員と次世代戦闘機 (NGF) 30機を搭載し速力27ktの性能を持つ。 NGFは独仏共同のFCASとして開発が進められている。 (2106-040705)

9・2・2 潜水艦

9・2・2・1 米 国

Virginia 級 Block Ⅴ 攻撃型原潜

 米海軍が2019年12月にGDEB社に発注していたVirginia級Block Ⅴ攻撃型原潜9隻$24.1Bの契約に、オプションとして10番艦を追加する$2.4Bの契約修正を行った。
 Block Ⅴ Virginia級は艦首のVLSにTomahawk 12発、胴体中部にVPM Block Ⅴを装備しCM 40発を搭載する。 更に将来は超高速ミサイルの搭載も計画されている。 (2104-031907)

9・2・2・2 中 国

「4・1・7・4・3 潜水艦」で記述
9・2・2・3 ロシア

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・2・2・4 その他

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・2・3 水上艦

9・2・3・1 巡洋艦

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・2・3・2 駆逐艦

9・2・3・2・1 米 国

次期駆逐艦 DDG(X)

 米海軍が6月4日に、次期駆逐艦DDG(X)の開発を担当する新たな計画室を立ち上げた。 只DDG(X)一番艦の調達はFY28になる。
 DDG(X)はArleigh Burke級Flight Ⅲ同様にAN/SPY-6 AMDRを装備するが、また超高速ミサイルまたは長距離ミサイルを搭載することになるため、現在装備しているMk 41 VLSでは小さすぎる。 (2107-060409)

Arleigh Burke級 Flight Ⅲ駆逐艦

 米海軍Arleigh Burke級Flight Ⅲ駆逐艦の一番艦DDG 125 Jack H. Lucasが6月7日進水した。 2023年に就役する。
 駆逐艦Jack H. LucasはRaytheon社製のAN/SPY-6(V)1レーダをはじめ、Baseline 10のAegisシステムを搭載している。 (2107-060905)

9・2・3・2・2 その他諸国

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・2・3・3 フリゲート艦

9・2・3・3・1 L C S

 米海軍が、Freedom級LCSのトランスミッションに材料不良に起因する不具合が見つかったことから、就役中の同級艦で修理を行うと共に、新造艦の就役を停止している。 (2102-011905)
9・2・3・3・2 SSC /FFG(X)

 米海軍のConstellation級フリゲート艦の開発責任者であるスミス海軍大佐がNavy League 2021で8月2日、Constellation級フリゲート艦はリスク低減のため既存技術を活用すると述べた。
 このためレーダにはDDG 51 Flight Ⅲに装備されるAN/SPY-6(V)1を元にしたAN/SPY-6(V)3が装備される。 (2110-081106)
9・2・3・4 水陸両用戦艦

軽揚陸艦 (LAW)

 米海軍当局者がDNに、軽揚陸艦 (LAW) はFY22要求の建艦計画に載せられなかったが計画は続行していると述べた。
 2020年12月にトランプ政権が発表した建艦計画ではFY22にLAW 1隻の建造をあげていたが、5月28日にバイデン政権が公表したFY22建艦計画には含まれていなかった。
 しかし研究開発予算として取り上げられており、2020年夏には事前設計契約を行い、建造契約を2022年暮れに結ぶ計画である。 (2107-061007)

9・2・4 遠征海上基地

 米海軍が5月8日に遠征海上基地ESB(かつてLaWSを装備してペルシャ湾へ派遣されたAFSBPonceと同じ役割か)Miguel Keithを就役させた。
 ESBは当初、海上輸送司令部隷下の海軍船とする計画であったが、海軍は方針を変えて海軍艦ESB 5として就役させた。 但し乗員は当初計画通りで軍人100名と軍属44名になっている。 (2106-051208)

 米海軍が10月6日、日本の米海軍基地では初めて沖縄県うるま市の米軍ホワイトビーチに寄港した移動基地艦Miguel Keithを公開した。
 Miguel Keithは2021年5月に就役したばかりと米海軍の移動基地艦3隻の中で最も新しく、全長240m、幅50m、排水量50,000tで、海軍最大規模のヘリ甲板を備えている。
 100名の海軍乗組員のほか、航行支援を行う40名の民間技術者らが乗り組み、人道支援や災害派遣のほか、同盟国との合同演習、軍事作戦拠点としての活用が期待されている。 (2111-100701)

9・2・5 USV / UUV

9・2・5・1 米 国

9・2・5・1・1 無人艦全般

自動無人艦船の研究開発

 米海軍が、自動無人艦船の研究開発に関する会社説明会 (Industrial Day) を11月18日にオンラインで実施することを明らかにした。
 企業説明会で海軍は無人船体 (UxV) と無人システム (UxS) の開発、試験、調達、運用について明らかにする。 (2112-110411)

第5艦隊が UAV の運用試験

 米海軍第5艦隊に9月9日に創設された第59戦隊が10月26日に、2日間にわたる演習New Horizonをバーレーン海軍、沿岸監視隊、米沿岸監視隊と実施した。 この演習ではこの海域で初めてUSVが使われた。
 演習初日に参加したのはフロリダ州のUAVメーカーMaritime Tactical Systems社製Man-Portable Tactical Autonomous Systemの3.6m型MANTAS T-12 USVで、米海軍Cyclone級哨戒艇Fireboltから発進した。
 FLIRを装備するMANTAS USVは多数隻をネットワーク化してスワームとして運用できることからホルムズ海峡に於けるイランの監視に役立つと見られている。 (2201-110306)

試験施設を建設

 米海軍が12月14日、USVやUUVの試験を行うための新施設をカリフォルニア州Port Huenemeに建設すると発表した。
 ここでは中型/大型USVのほか超大型USV XLUUVの試験も行う。 (2201-121511)

9・2・5・1・2 大型 UUV

FY22 で LDUUV Phase 2 移行を認めない

 米議会上院歳出委員会が10月18日に公開したFY22予算案の中で海軍に対し、$29Mが要求されているLDUUV 計画のPhase 2移行を認めていない。 (2111-102110)

特大型 UUV (XLUUV) を潜水艦隊に配備

 米海軍の潜水艦戦責任者であるペリー少将がNavy Leagueの年次シンポジウムで11月18日、海軍は特大型UUV (XLUUV) を潜水艦隊に配備すると述べた。
 これはインド太平洋軍からの強い要望によるもので、XLUUVは特殊任務に当たるという。 (2112-112208)

DARPA の Manta Ray

 米DARPAが2020年に、Manta Ray全自動UUVのPhase 2の契約を発注し開発を進めている。
 Manta Rayは外洋での長距離、長期間にわたり搭載物を載せて潜航するUUVで、Northrop Grumman社とMartin社が受注したPhase 1では最終設計審査 (CDR) を完了している。
 Phase 2では実大試作を行い試験を実施する。 (2201-122007)

9・2・5・1・3 UUV

Knifefish SMCM UUV

 GDMS社が3月18日、Knifefish対水雷 (SMCM) UUVの1号機を米海軍に納入したと発表した。 これはGDMS社が2019年8月に$44.6Mで受注したLRIP分で、FY22には30隻のFRP契約が見込まれている。
 Knifefish UUVはLCSが搭載する対水雷戦 (MCM) バッケージの構成品て、全長6m、重量1,360kgで6ktで16時間航行できる。 (2107-050010)

9・2・5・1・4 大型 USV (LUSV)

Integrated Battle Problem 21

 米太平洋艦隊のIntegrated Battle Problem 21では、4月下旬にサンディエゴ沖で実施される実射を交えた有無人連携訓練が含まれる。 (2105-042006)

Ghost Fleet Overlord

 米海軍が計画している大型USV (LUSV) 開発の資を得るため建造されたGhost Fleet Overlord USVが、4,700nmに及ぶほぼ全自動航海の末、米西海岸で行われた揚陸演習に参加した。 (2102-011904)

 Ghost Fleet Overlord USVが4,700nmを越える航海を経て、太平洋岸で行われたDawn Blitz水陸戦演習に参加した。
 Ghost Fleetは4,700nmに及ぶ航海の97%以上を自動モードで行った。
 米海軍が計画しているLUSVの資を得るため2017年に開始されたGhost Fleet Overlordでは「海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約 (COLREGS)」に準拠した既存の商船2隻が使われた。 (2105-030011)

 米海軍当局者によると、海軍は2023年に7隻のUSVを取得し、大規模な装備更新を行うという。
 また2022年にはOverlord USV(Ghost Fleet)2隻が追加配備される。 最初のOverlord USV 2隻、NomadとRangerは年内に海軍長官官房 (OSD) から海軍へ引き渡されるという。 (2109-083006)

USV、UUV、UAV も参加した自動化海軍の演習

 米海軍の空母Abraham Lincolnを旗艦とする第3 CSG司令官のアイケン中将が4月20日、海軍が将来の自動化海軍を検証する最大規模の演習をカリフォルニア沖で実施していると述べた。 演習にはUSVやUAVも参加し、駆逐艦1隻が実射を行ったという。
 演習にはHarpoonを装備したLCS Coronadoを始め、LCS Fort Worth、Arleigh Burke級駆逐艦4隻、Zumwalt級駆逐艦Michael Monsoor、攻撃型原潜HamptoAnchorage、更にP-8AやEA-18Gなどと、MQ-8B Fire ScoutやMQ-9 Sea GuardianなどのUAVも参加した。
 演習ではUAVが捕捉したLOS外の目標に対し駆逐艦が射撃を行った。 (2105-042105)

新たな部隊の立ち上げ

 米海軍作戦部長のギルデイ大将がDefense News主催の9月8日に会議で、有無人共同の技術は過去数年間にめざましい発展を遂げているが、更に進めるため新たな部隊を立ち上げようとしていると述べた。
 海軍はColumbia級SSBNに次ぐ優先順位2番にギルデイ大将がProject Overmateと名付けた有無人連接ネットワークを挙げている。
 新たな部隊はProject Overmateの開発を支援するもので、数ヶ月以内に発足するという。 (2110-090803)

USV から SM-6 を発射

 米国防総省が9月上旬に、海軍と国防総省戦略能力室が2020年末にUSVからSM-6を発射し標的を撃墜することに成功した映像を公開した。 (2110-093008)

9・2・5・1・5 USV

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・2・5・2 U S V

ULAQ 武装 USV(トルコ)

 トルコのAres造船とMateksan社が2月上旬にULAQ武装USVを進水させた。 ULAQは全長11m、搭載能力2,000kg、速力35ktで、4連装のCirit発射機と、2連装のL-UMTAS発射機を搭載する。
 Ciritは射程8kmのIR誘導70mm誘導ロケット弾で、L-UMTASはレーザ誘導の長射程ミサイルである。br>  いずれもRocketsan社製である。 (2103-021603)

 2月にアンタルヤのAres造船所で進水したトルコのULAQ USVが5月26~27日の試験で初めて70mm誘導ロケット弾の実射試験を行った。
 発射したのは射程8kmのCiritレーザ誘導70mmロケット弾2発で、試験は4km遠方の島に設置された固定標的に対し行われた。 ULAQはトルコ海軍と沿岸警備隊のほか、カタール軍も採用する。
 ULAQには ISR型、EW型、ASuW型、ASW型が考えられている。 (2108-070009)

ISR/EW ULAQ
  全長11m、速力70kt、航続距離800km

ASW-LT ULAQ
  全長13m、速力35kt、Orka 324mm魚雷2発、TASSを装備

ASW-HT ULAQ
  全長13m、速力35kt、Akya 533mm魚雷1発、6連装対潜ロケット発射機2基装備

ASuW ULAQ
  全長24m、Rokersan社製で射程220km、弾頭重量250kgのAtmaca長距離対艦ミサイル4発、12.7mm重機関銃を装備

9・2・5・3 U U V

北極圏データを収集する AUV(NATO)

 NATOが融解の進む北極圏のデータを収集するため自動UUVであるAUVを活用しようとしている。 (2109-080604)

9・2・6 艦載装備

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・3 空戦兵器

9・3・1 機上 FCS 装置

Radar 1/2 Typhoon装備 AESA レーダ

 イタリアLeonardo社が9月14日、Eurofighter Typhoonに装備するAESAレーダのRadar 2を英国と開発していると発表した。
 Radar 2は各種Typhoon搭載AESAレーダの一つで、Radar 0はドイツ空軍のTranche 2/3 Typhoonのほかクウェートとカタールに、ディジタル化されたRadar 1はスペインが装備している。
 EA能力を持つとされているRadar 2は英国とイタリアが装備する。 (2111-092202)

9・3・2 A A M

9・3・2・1 米 国

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・3・2・2 ロシア

K-30 300M

 ロシアVympel社が1月下旬、10年前に開発を中止していた短距離AAM K-30の開発を再開することを明らかにした。
 再開するのは1986年に同社がPAK FA (Su-57) 搭載用として開発を開始したK-30 (K-MD) 300を引き継いだK-30 300Mで、同社は2006年に300型は2013年には装備化が可能としていた。 (2104-022205)

9・3・2・3 中 国

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・3・2・4 欧 州

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・3・3 戦闘機自衛装置

9・3・3・1 対ミサイルレーザ装置

SHiELD(米空軍)

 米空軍研究所 (AFRL) がFY24での試験開始を目標に進めている航空機搭載自衛用レーザ装置SHiELDは、レーザ装置をLockheed Martin、ビーム制御装置をNorthrop Grumman、搭載ポッドをBoeingの各社が担当して進めているが、AFRLは2月23日に3個サブシステムのうちの1個サブシステムは2月、残りの2個サブシステムは7月に納入されると発表した。
 Lockheed Martin社はレーザ装置を$26.3Mで受注している。 (2103-022302)

9・3・3・2 対ミサイル AAM

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・3・4 その他の機上搭載装備

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・4 サイバ戦

9・4・1 サイバ戦の様相

9・4・1・1 サイバ攻撃

9・4・1・1・1 中国によるサイバ攻撃

Microsoft社Mailerへのサイバ攻撃

 Wall Street Journalなどの米国メディアが、Microsoft社のMailerへのサイバ攻撃が拡大し、米企業や官公庁が被害を受けていると報じた。
 それによると、Microsoft社のOutlookへのサイバ攻撃により、中小企業や自治体、学校など数万の組織が影響を受けた。 関係者によると全世界で25万以上になる可能性もあるとされている。
 Microsoft社は攻撃を中国のハッカ集団によるものとみて、集団をハフニウムと名付けている。 (2104-030701)

ロシアから軍事技術をハッキング

 ロシアで潜水艦の設計を専門とする会社が最近ハッキングにあった。 このハッキングの背後勢力に中国が挙がっている。
 サイバーセキュリティー企業のCybereason社によると、ロシアで潜水艦の設計を専門とするRubin設計局を対象にしたハッキング攻撃が発生したことを明らかにした。
 同設計局はSSBNやSSGNのほか、Poseidon原子力UUVなどを設計した国営企業である。
 中国は戦略的協力関係のロシアを相手に各種技術を盗み出すという指摘を受けている。 2019年12月にロシア国営企業集団Rostecの知的財産権担当者は、中国は過去17年間に500件の軍事技術を不法に盗んだと話した。
 オンライン軍事専門メディアのウォーゾーンは、中国は潜水艦艦隊を育成するのに力を注いでいて、ロシアの進んだ技術に目を向けていると分析した。 (2106-051107)

米・EU・英・日・NATO が中国のサイバー攻撃を批判…韓国は加わらず

 米、EU、NATO、英、日などが中国の情報機関である国家安全部によるサイバ攻撃をほぼ同時に一斉批判した。
 米大統領府は7月19日、3月に公表されたMicrosoftエクスチェンジ・サーバの脆弱性を利用したサイバ攻撃などの背後に中国国家安全部が関与しているとしたFact Sheetを公表し、EUやNATOなども同じ内容の発表を行った。
 NATOが中国のサイバ攻撃を批判するのは今回が初めてである。
 米英からなる情報共有の枠組みFive Eyesをはじめとして、世界中の米国の同盟国も今回の批判に参加したが、韓国は参加しなかった。 (2108-072001)

台湾を標的とするサイバ攻撃

 来日中のサイバーと先端技術を担当するニューバーガー米国家安全保障担当副補佐官が11月17日に都内で、台湾を標的とする大規模サイバ攻撃が偶発的衝突に発展する懸念について「そうしたリスクを管理できるようにするため、同盟国地域のインフラ強靱性を高めつつ情報共有することに注力している」と述べた。
 米国は台湾関係法に基づいて台湾の自衛力向上を支援しているが、ニューバーガー副補佐官は「サイバー防衛の面でも同様だ」と述べ、「台湾の安定と防衛は米国の優先項目である」と強調した。 (2112-111710)

台湾へのサイバ攻撃に日米やQuadで対抗

 来日中のサイバーと先端技術を担当するニューバーガー米国家安全保障担当副補佐官が11月17日に都内で、中国などからの台湾に対するサイバ攻撃に関して、台湾側の防衛を支援する考えを示した。
 ニューバーガー副補佐官は、バイデン米政権が台湾海峡の安定と安全を重視していることから、台湾関係法に基づき台湾の防衛を支援する現在の政策にサイバも含まれると述べた。
 インド太平洋地域における協力では、日米豪印4ヵ国 (Quad) によるサイバ担当高官の協議枠組み創設を説明し、ソフトウエアの改善や重要インフラの防護などの対策で連携を進める考えを示した。 (2112-111711)

 来日中のサイバーと先端技術を担当するニューバーガー米国家安全保障担当副補佐官が17日に都内で、中国などを念頭に増大するサイバ攻撃の脅威には、日米や日米豪印4ヵ国 (Quad) などの枠組みで対応すべきだと強調した。
 ニューバーガー副補佐官は会見で、5月にあった米石油パイプラインへのサイバ攻撃を例に、民間企業も含めた国際協調を深めていくべきだと述べた。
 同副補佐官は15日に来日し、日本の安全保障や経済関連の省庁関係者、産業界や民間企業の担当者らと安全保障や情報共有の強化、新技術について意見交換したという。 (2112-111712)

9・4・1・1・2 ロシアによるサイバ攻撃

複数の米政府機関が標的となったサイバ攻撃

 米連邦捜査局 (FBI) と国家情報長官室、国家安全保障局 (NSA)、国土安保省サイバー・インフラ安全局 (CISA) が1月5日に共同声明で、複数の米政府機関が標的となった最近のサイバ攻撃についてロシア発とみられると結論付けた見解を明らかにした。
 狙われた機関の活動妨害ではなく機密情報の収集が目的だったと考えられると分析している。
 FBIによると、サイバ攻撃の影響を受けたのは官民合わせて18,000件で、そのうち政府機関は最大でも10件に満たないという。 米メディアによると、国防総省や財務、商務、国土安全保障の各省のほか、郵政公社などが含まれる。 (2102-010605)

 英外務省が4月15日、2020年12月に複数の米政府機関が利用している米SolarWinds社のネットワーク管理ソフトがサイバ攻撃を受けた件について、国家サイバーセキュリティーセンタ (NCSC) が調査の結果、ロシア対外情報局 (SVR) が関与した可能性が高いと判断したことを明らかにした。
 英政府は今回のサイバ攻撃はAPT29と呼ばれるチームによるものとみている。
 英政府は同日、米国とともにSVRの関与によるサイバ攻撃を仕掛けたロシアを非難した。
 米大統領府はロシアが2020年の米大統領選の工作活動にも関わったとみている。 (2105-041601)

米最大級パイプラインへのサイバ攻撃

 米最大級とされる石油製品パイプラインの操業がサイバ攻撃を受けて停止したことから、米運輸省は5月9日にタンクローリーでの代替輸送を混乱なく進めるため、東部と南部の計17州と首都ワシントンで、運転手の労働時間などに関する規制を一時緩和する緊急措置を実施すると宣言した。
 運営会社のコロニアルパイプラインは、情報を流出させない見返りに金銭を要求するコンピューターウイルスの一種、ランサムウエアの被害に遭ったとしている。
 この問題で、連邦捜査局 (FBI) が10日の声明でDarkSideと呼ばれるロシアのハッカ集団が犯行に関与していることを確認した。 (2106-051002)

 DarkSideと呼ばれるハッカー集団が5月10日に自らのウェブサイトを通じて、米最大規模の石油パイプラインがサイバ攻撃によって停止した事件の犯行声明を出した。
 DarkSideは声明で、我々の目的は金儲けであり社会に問題をおこすことではないとしたうえで、我々は非政治的だとも主張して我々を特定の政府と結びつけその動機を探す必要もないと述べた。
 旧ソ連圏政府などとの政治的な関与を否定するのが狙いとみられる。
 ランサムウエアを使ってデータを盗み金銭を要求する犯罪集団でありながら、被害者向けの電話窓口を備えるなど企業のような振る舞いをすることで知られており、背景に浮かび上がるのはサイバ攻撃がある種の産業となりつつある実態がある。 (2106-051104)

 米最大級のパイプラインがサイバ攻撃を受けた事件で英情報セキュリティー企業Digital Shadows社は、昨年8月に確認されたDarkSideは身代金要求型ウイルスのランサムウエアの開発に特化し、攻撃そのものは外部のハッカーに任せる手法が特徴だとしている。
 DarkSideは得た身代金を外部のハッカーと分け合うことでみずからのリスクを減らすほか、攻撃する対象を増やすねらいだという。
 またこうした手法を取る集団はほかにも多数存在し、中でもおよそ15の集団がランサムウエアの開発を競っている状況で、同じような攻撃が急増している。 (2106-051303)

首脳会談前に米機関を攻撃

 Microsoft社の調査で、ロシアと繋がりがあるとされるハッカー集団が米国の政府機関や非政府組織(NGO)などにサイバ攻撃を仕掛けていることが明らかになった。 外交政策に関わる機関が狙われているという。
 今回の攻撃は5月下旬に始まり、25日には米国際開発局(USAID)が配信したように見せかけたメールを使って、コンピューターウイルスを送り込む手口で各機関のシステムへの侵入を試みている。
 メール内のリンクをクリックすると、データ窃盗などを可能にするマルウエアを配布する仕組みである。
 バイデン米政権が発足して初めての米露首脳会談が6月16日に予定されるなか、ロシアが情報収集を活発化させている可能性がある。 (2106-052814)

米露首脳会談でサイバー攻撃も議題に

 米大統領府報道官が、6月中旬に行われるロシアとの首脳会談で米国に対するロシアが発信元とみられるサイバ攻撃が相次いでいることについて、議題になるという見通しを示したうえで、攻撃をやめさせるためロシア政府が役割を果たすべきだと強調した。
 これについてバイデン大統領は6月2日、記者団から何らかの報復を検討しているかとの質問に対しこの問題を注視していると述べた。 (2107-060301)

共和党にサイバー攻撃

 米メディアによると、共和党全国委員会のシステムが7月上旬にサイバー攻撃を受け、ロシア情報当局に近いハッカー集団の関与が疑われている。
 委員会は情報が盗まれた形跡はないとしている。
 一方、バイデン大統領は6日、2日に米企業などが受けたサイバ攻撃について、「われわれの対応能力に自信がある」と述べ、被害は最小限に食い止められたと強調した。
 これに対しロシア大統領報道官は、まったく関係ないとロシアの関与を強く否定した。 (2108-070801)

ドイツへのサイバ攻撃

 英Financial Times紙が、ドイツの政治家へのサイバ攻撃を繰り返しているとして独政府が9月6日にロシアに抗議していたと報じた。
 ドイツの中央や地方の多くの政治家を対象に、フィッシングメールで個人情報を不正に取得しようとした疑いがあるが、攻撃対象となった政治家や詳しいロシア側の狙いなどは明らかになっていない。
 ドイツでは26日に連邦議会選挙(総選挙)を控えており、サイバ攻撃を通じた選挙妨害への警戒が強まっている。
 今回の攻撃は総選挙に向けた世論操作などのための準備である可能性があるとして独外務省が9月上旬に、安全保障政策を話し合う会議でロシア側に抗議した。 (2110-090704)

 ドイツで連邦議会選挙が9月26日に迫るなか、政治家を標的としたサイバ攻撃や、インターネット交流サイト (SNS) での偽ニュース流布によるロシアの選挙介入に危機感が強まっている。
 独政府はロシアにサイバー攻撃の停止を要求し当局が捜査に乗り出したほか、偽ニュース対策も進められている。
 攻撃を実行しているのは、ロシア政府が背後にいるGhost Writerと呼ばれるハッカー集団とみているがロシア側は関与を強く否定している。 (2110-091504)

制裁関連情報狙う米政府標的のサイバ攻撃

 ロイタ通信が10月7日、複数の米政府機関が標的となった2020年のサイバ攻撃について、ハッカー集団が米政府によるロシア関係者への制裁に関連した情報の取得を目指していたと報じた。
 米政府が防諜活動の一環として行っている調査や、COVID-19対策に関する情報も狙われていたという。 (2111-100802)

9・4・1・1・3 北朝鮮によるサイバ攻撃

「4・2・5 サイバ攻撃」で記述
9・4・1・1・4 サイバ攻撃による破壊活動

イランのウラン濃縮施設への攻撃

 イラン国営TVが4月11日、イランの核活動の中枢であるナタンツのウラン濃縮施設周辺で「事故」が起きたと報じた。 配電設備の故障だとしている。
 ナタンツ核施設では2020年7月に爆発を伴う不審な火災が起き、ウラン濃縮に使う遠心分離器が破壊され、イランは最終的に「イスラエルの関与」とした。 (2105-041103)

 イラン国営TVが、原子力庁が4月11日にナタンズの核施設がテロ攻撃を受けたと報じた。
 原子力庁のサレヒ長官がこれを「無益な」行為と非難し、国際社会にこの対核テロ行為に立ち向かうよう求めた。
 原子力庁報道官は当初、ナタンズ施設の「濃縮施設の電気回路の一部で事故」が発生したと発表していた。
 Fars通信は同報道官の話として、この件による負傷者はなく放射性物質の放出もなかったと報じた。 (2105-041201)

 イランの原子力庁 (AEOI) が4月11日、ナタンズの原子力開発施設が破壊工作にあっていると発表した。 この前日には、新たなウラン濃縮施設の完成を発表したばかりだった。
 AEOI長官は、この施設が停電に見舞われたと述べた一方で、このテロ行為の実行者については語らなかった。
 しかしイスラエルの公共放送は情報機関筋の話として、イスラエルによるサイバ攻撃の結果だと報じている。
 イスラエル政府はこの件について直接、見解を示していないものの、ここ数日、イランの原子力開発に対する警告を強めていた。 (2105-041204)

米石油パイプラインへの攻撃

(2021年には特記すべき記事見当たらず)

9・4・1・2 サイバ反撃

9・4・1・2・1 米国による反撃

サイバ攻撃による報復

 匿名の米当局者が3月12日、米国が最近2度の大規模なサイバ攻撃を受けた問題で、バイデン政権は近く報復措置に関して何らかの決定をすることを明らかにした。
 これらのサイバ攻撃には外国政府の関与が指摘されており、米政府は防御を強めるため民間と緊密に連携しているという。
 サイバ攻撃は、Microsoft Exchange Serverと、米SolarWinds社製のセキュリティーソフトを標的にして行われ、影響を受けた官民のネットワークの数は数千に上る恐れがある。 (2104-031306)

 サイバー軍司令官も兼務している米国家安全保障局 (NSA) 局長のナカソネ陸軍大将が3月25日に上院軍事委員会の公聴会で、2020年11月の米大統領選への外国の干渉に対抗するため、二十数件のサイバ作戦を実施したと証言した。
 ナカソネ大将は作戦について、外国が2020年の選挙に干渉したり、結果に影響を与えたりするのを未然に防止するのが狙いだったとした。
 詳細に触れなかったが、サイバ軍から同盟国など9ヵ国に要員を派遣し、作戦を行ったと語った。
 米情報機関は3月、ロシアの政府機関などがプーチン大統領の指示の下、2020年の米大統領選でトランプ候補に有利になるような情報戦を実施し、一方イランはトランプ再選を妨害し、米国民の政府や選挙制度に対する信頼を損なうような工作活動を行ったとする報告書を公表した。 (2104-032704)

米大統領、武力戦争の引き金となる可能性を示唆

 バイデン米大統領が7月27日、主要国と本物の武力戦争が起きるとすれば、米国に対する大規模サイバ攻撃が引き金となる可能性があると述べ、ロシアと中国がもたらす脅威が拡大しているとの米政府の見解を強調した。
 米情報機関を統括する国家情報長官室 (ODNI) の幹部および職員向けの演説で、甚大な影響があるサイバ攻撃が起きる可能性は「劇的に高まっている」と指摘した。 (2108-072805)

ランサムウェアへの反撃

 米サイバー軍司令官と米国家安全保障局 (NSA) 長官を務めるナカソネ陸軍大将がワシントンで開かれた安全保障関連フォーラムで3日、ランサムウェア(身代金ウイルス)攻撃に対抗するため過去3ヵ月の間にわたり反撃を加えたと述べた。
 反撃の標的はランサムウェア攻撃への資金提供の出所とし、その多くはロシアと東欧にあるとした。
 米企業を脅し数百万ドルを手にしていたとも説明した。 (2112-110410)

9・4・1・2・2 その他諸国による反撃

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・4・2 サイバ戦技術

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・4・3 サイバ戦体勢

9・4・3・1 サイバ防衛体勢

韓 国

 韓国DAPAが1月11日、国内防衛企業に対して新cyber security diagnosis projectを通じて、国産の防衛技術が略取されるのを防ぐため、サイバセキュリティの強化を求めた。 (2103-012017)

9・4・3・2 国際協力

ランサムウエア対策国際会議

 米政府が10月13日、ランサムウエアを使ったサイバー犯罪への対策強化に向け、日本を含む30ヵ国以上が参加するオンライン会合を14日までの日程で開いた。
 この会合にはアジア、欧州、中東、アフリカなどの各国とEUが参加している。
 サリバン米大統領補佐官は、犯罪者は国境を越えたネットワークによって攻撃を仕掛けてくるため一つの国だけでは解決できないと強調した。 (2111-101304)

9・4・4 サイバ戦装備

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・5 砲熕兵器

9・5・1 従来型火砲

9・5・1・1 超長射程砲

9・5・1・1・1 ERCA

70kmの試射に成功

 米陸軍のLong Range Precision Fires Cross-Functional Teamの長であるラファティ少将が2月10日、陸軍が開発中の長距離砲ERCAは2020年12月にExcalibur弾を用いた70kmの試射に成功したのを受け、2023年の配備を目指して引き続き装薬や発射弾を含めた開発を続けていると述べた。 (2103-021806)

自動装填機の弾数

 米陸軍が2024年に運用試験を行おうとしているERCA Inc2では自動装填機を採用するが、装填機に載せる弾数を当初の計画31発から23発に低減させようとしている。
 31発は車両が耐え得ないのが理由という。 (2107-050506)

Paladin 155mm 4門を ERCA 試作0型に改造

 米陸軍LRPF-CFT長のラファティー准将が7月9日、ニュージャージー州のPicatinny造兵廠でM109A7 Paladin 155mm SPH 4門の砲身を30ft、58口径に交換して射程70kmのXM1299 ERCA試作0型に改造する作業が行われており、このうちの少なくとも1門がProject Convergencr 2021演習に参加すると述べた。
 陸軍は23発の自動装填機を改良して更に発射速度を上げるなどの能力向上を進めるという。 (2108-071407)

9・5・1・1・2 牽引砲の長射程化

M777A2

 米陸軍が155mm在来型砲の射程を2023年までに70kmに延ばす計画である。 新型ERCA砲には戦車砲弾を元にしたXM1135ER弾が使われ腔内圧を高く設定している。
 この長射程化はM777A2牽引砲でも行われ、39口径の砲身を55口径砲身に交換するが重量増加は1,000-lb以内という。
 M777A2はこの結果射程が60kmに延伸し、CEPは半分以下になるという。 (2108-060908)

9・5・1・1・3 戦略長距離砲

 米陸軍が検討を進めている射程1,000nmの戦略長距離砲 (SLRC) の開発は、米国科学アカデミー (NAS) での技術的可能性検討が結論を出し報告を行うまで保留されている。 (2104-030904)
9・5・1・1・4 射程延伸 (ER) 型 HE 弾

L12 155mm HE弾

 BAE Systems社が射程延伸 (ER) 型155mm HE弾の発射試験を2020年末に行った。 試験は同社製AS90 155mm/39 SPHと155mm/52砲で行われた。
 155mm ER HE弾はBB弾で、AS90で30km以上、155mm/52砲で40km以上と、現有のL15A4 HE弾を超える距離を飛翔した。
 155mm ER HE弾は(X) L12弾と呼ばれているが、装備化されればL12弾となる。 (2110-090002)

Ramjet 155 ラムジェット推進弾

 BAE Systems社、ノルウェーの弾薬メーカNammo社とチームを組んだBoeing社が、L39砲を用いてラムジェット推進弾Ramjet 155の試射を来年にも行う。

 Ramjet 155は250m/sで飛翔し、M109 Paladin砲からXM1113 RAP弾を発射した射程40kmの2倍近い70kmを飛翔する。 (2111-102008)

 ノルウェーのNammo社がBoeing社と米陸軍の155mm砲用に射程150km~200kmを目指して開発している固体燃料ラムジェット噴進弾155mm ramjet弾の実射試験が2022年5月に行われる。
 米陸軍はM109A7 Paladin SPHの20呎砲身を30呎に換えて39口径から58口径にしたERCA砲で射程を40kmから70kmに伸ばし、ロシアの2S35 Coalition-SV 152mm SPH並の射程にすることに成功している。
 ラムジェット噴進弾には同様に小型の拡張翼、小型カナード翼と精密誘導装置が取り付けられる。 (2112-102503)

XM1115 ERAMS ラムジェット噴進弾(米陸軍)

 米陸軍がラムジェットで噴進し射距離を100km以上とするXM1115 ERAMS砲弾の開発を近く発注する。
 ERAMSには以下のような特徴がある。

・高初速
・有翼による揚力
・発射後の噴進
 米陸軍は火砲の長射程化を進めてきている。 (2106-052405)
M549A1: 30km(冷戦時代)

XM1113: 40km RAP弾、M109 Paladin発射

XM1113: 70km XM1299 ERCA発射

XM1115: 100km ラムジェット噴進

9・5・1・2 戦 車 砲

独仏共同開発 MGCS MBT の搭載砲

 独仏が共同開発中のMGCS MBT搭載砲にRheinmetall社が130mm砲を提案し、Nexter社の140mm砲と競っている。
 MGCSの搭載砲は2022年に決まる。
 Rheinmetall社によると、砲を130mmに8%増やしただけで威力は50%増える。 (2105-031706)

 Nexter-KNDS社が4月14日、2040~2050年代に出現する脅威に対応する140mm戦車砲を発表した。
 この砲はASCALONと呼ばれる。 (2105-041410)

9・5・2 電 磁 砲

計画の後退

 米海軍は10年以上と$500Mをかけて超高速弾をMach 6~7で発射する電磁砲 (EMG) をZumwalt級駆逐艦に装備すべく開発を進めてきたが、国防総省の関心が超高速ミサイルに移ったため、海軍の要求は削減されている。 (2108-070105)

9・5・3 誘導砲弾

9・5・3・1 155mm砲用誘導砲弾

KATANA(フランス)

 フランスNexter Munitions社が2020年12月7~11日に、CAESAR 155mm砲を用いた砲を用いた誘導砲弾KATANAの発射試験を行い成功した。
 KATANAは単なる弾道ではなく射程延伸に適した飛弾経路を飛翔した。
 次回の試験は2021年に計画されている。
 この試験成功でKATANAは2023年の販売開始が可能になったと言う。 (2102-011906)

9・5・3・2 127mm砲用誘導砲弾

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・5・3・3 76mm/56mm砲用誘導砲弾

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・5・3・4 迫撃砲用誘導砲弾

Iron Sting 120mm迫撃砲用誘導砲弾(イスラエル)

 イスラエル国防省が3月14日、新型レーザ/GPS精密誘導迫撃砲弾Iron Stingの試射の模様をメディアに公開した。
 同国南部の砂漠地帯で実施された発射試験では、Elbit社製120mm迫撃砲弾が装甲車から発射され、次々に目標に命中、その精度の高さが証明された。
 開発に10年掛かったというIron Stingは二次被害を最小限に抑える一方で、野戦と市街戦両面で高度な能力を発揮することが期待されている。 (2104-031503)

 イスラエル国防省が3月14日、軍がElbit社が開発した120mm SAL/GPS誘導迫撃砲弾Iron Stingの装備を開始したと発表した。
 公開された映像ではIron StringはM1064装軌車に搭載されたElbit社製Cardomシステムから発射されていたが、Humveeに搭載された軽量型のCardome Spear (Hanit) システムからも発射できるという。 (2105-032414)

9・5・4 砲熕発射ミサイル

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・6 共通技術

9・6・1 測位、タイミング (PNT)

9・6・1・1 測位衛星

9・6・1・1・1 GPS

M-Code 互換 GPS 端末 (MGUE) Increment 1

 米国防総省がBAE Systems社にM-Codeの使用が可能なGPSモジュールを$325Mで発注した。
 この契約で同社はM-Code互換GPS端末 (MGUE) Increment 1 標準GPSモジュール (CGM) を今後10年間生産する。 (2108-070003)

 米国防総省がBAE Systems社に、対妨害性に優れるM-Codeを利用するGPSモジュールMGUEを$315Mで発注した。 同社は5月に$325Mで受注しているので、合わせた受注額は$641Mになる。
 発注されたのは携帯型または車両や航空機搭載、弾薬搭載型である。
 M-Codeを採用したGPS衛星の24号機は2021年夏に打ち上げられている。 (2201-120209)

GPS Ⅲ

(2021年には特記すべき記事見当たらず)

GPS ⅢF

(2021年には特記すべき記事見当たらず)

9・6・1・1・2 Galileo

28基体制

 Arianespace社が日本時間12月5日にGalileo測位システムを構成する測位衛星2基を打ち上げた。
 衛星は12月5日09:19に南米仏領ギアナにあるギアナ宇宙センターからソユーズロケットによって発射され、高度約23,500kmの中軌道に投入された。
 今回はArianespace社にとって2021年における13回目の打ち上げ成功となる。
 Galileoは2016年に初期サービスが始まったEUの全球測位衛星システム (GNSS) で、これまでにソユーズやAriane-5を使って、26基の測位衛星を2011年から2018年にかけて打ち上げられている。
 今回新たに2基が打ち上げに成功したことで、Galileoは28基体制となった。 (2201-121301)

9・6・1・1・3 北 斗

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・6・1・1・4 Glonass

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・6・1・2 その他の PNT システム

9・6・1・2・1 新たな PNT への要求

 米空軍研究所 (AFRL) 所長のプリングル准将が4月22日にSpace Foundation主催の行事で、AFRLは新たなPNTシステムの開発に重点を置いていることを明らかにした。
 AFRLは陸海軍とも協力して量子時計、慣性装置、RFセンサ、磁探装置など、各種PNT装置に取り組んでいるという。
 このうち量子時計は現在既にあるが、AFRLではその小型軽量省電力化を目指している。
 このためAFRLはFY20~FY25に$150Mを投資する計画であるという。 (2105-042211)
9・6・1・2・2 A-PNT

 Orolia社が2021年初めに、自己位置標定航法タイミング (PNT) 装置のM-Code対応型であるA-PNTの納入を開始する。
 Orolia社は今まで軍に、耐スプールGPSであるSAAMSで使われているVersaSyncやVersa PNTを納めてきた。 (2103-010002)


 GPSなしでのNPT (A-NPT) を追求している米海軍がS2MARTSのRfSを発簡し提案を求めている。
 今までもB-2、SM-62 Bnark CM、SR-71などでは天測航法を採用しており、SR-71では誤差300呎以内というが、この他にNASAが進めているNICERやSEXTANTも検討対象になっている。
 海軍はDDG 1000級駆逐艦にIRCPSを装備する計画を進めていて、ここでA-NPTを採用しようとしている。 (2107-060002)

9・6・1・2・3 NTS-3

 米空軍研究所 (AFRL) 所長のプリングル准将が2月24日、米空軍協会 (AFA) のAFA Winter 2021で、空軍が最優先のS&T計画として進めているVanguard計画が6件にまで拡大すると述べた。
 Vanguard計画では現在、以下の3件が進められている。 (2105-031008)

Skyborg: 自動飛行安価UAV

Golden Horde: 協調攻撃弾

NTS-3: 代替位置評定、航法、タイミング (PNT)

 米空軍研究所 (AFRL) が進めているVanguard計画で第1優先に挙げられているGPSに替わるPNTであるNTS-3の当初2020年に計画されていた打ち上げは2030年に延期されたが、NTS-3が相乗りする宇宙軍の衛星打ち上げが延期になったことから更に再延期されることになった。 (2105-042805)

 米空軍研究所 (AFRL) が2023年始めの打ち上げを目指して開発を進めているGPSに代わる次世代PNTシステムであるNTS-3のシステムを繋いだ地上試験end-to-end System Integration Testが8月に開始される。
 NTS-3の打ち上げは宇宙軍のSMCが担当する。 (2108-071603)

9・6・2 通信, C4I

9・6・2・1 JADC2 (Joint All-Domain Command and Control)

JADC2 から CJADC2 (Combined JADC2) へ

 米統合参謀本部で通信、C3I、サイバを担当している第6部長のクラール海兵隊中将が、1月末までにJADC2のデータ標準化につて結論を出したいとしている。 (2102-011204)

 米各軍、11個米統合軍、統合参謀本部の将官級代表国防総省部局やNROの代表が会して3月31日に開かれた隔年開催のWargighter Councilで、SDAのWarfighter Integration班の班長が、JADC2の通信中枢となる最初の衛星150基は2024年末までに打ち上げられると述べた。
 2020年5月に当時のエスパー国防長官が命じた300~500基からなるSDAのTransport Layer衛星は、国防総省が所管する全てのC2システムで使用される。
 2022までのTranche 0に続くTranche 1ではTransport Layer衛星だけを150基打ち上げる。 (2105-040105)

JADC2 のデータ中継

 米SDAのトーニア長官が4月21日に2021 C4ISRNETコンファレンスで、JADC2計画のデータ中継衛星が使用するレーザ通信で、光通信ケーブルを使用した在来の地上通信を活用すると述べた。
 JADC2ではTransport Layer衛星群が網目状にネットワークを構成しC&Cを行わせる。
 SDAは2022年にTranche 0として28基の衛星を打ち上げるが、そのうちの8基がTracking Layer衛星で残りの20基はTransport Layerである。
 更に2024年末までに打ち上げられるTranche 1の衛星150基は全てTransport Layer衛星になる。
 しかしながら最初にSDAが打ち上げるTransport Layer衛星は戦闘機や艦船などの戦闘システムとはRFによる今までのLink 16を用いて交信する。 (2105-042306)

開発完了

 米統合参謀本部でJADC2を所掌するクラール海兵隊中将が4月21日、JADC2開発完了の文書が近くオースチン国防長官に提出されるとの見通しを示した。
 国防次官と統参議長の審査は完了しているという。 (2105-042103)

JADC2 戦略

 JADC2戦略についてオースチン国防長官が5月上旬に承認することになっていたが、米統合参謀本部J-6副部長であるパーカー陸軍准将が5月11日に、JADC2 について国防総省の戦略を統合参謀本部が改訂したため、ヒックス国防次官は改定の是非について決定する必要があると述べた。 (2106-051112)

JADC2 の活用開始

 米国防総省が6月4日にJADC2の活用を開始した模様である。
 統合参謀本部でC4とサイバを統括するJ-6部長のグラール海兵隊中将によると、オースチン国防長官が5月13日にJADC2運用開始を公式に承認した。 (2107-060413)

JADC2 を経由した長距離指揮統制試験

 Northrop Grumman社が9月8日、JADC2を経由した長距離指揮統制試験を完了したと発表した。
 7月14日にカリフォルニア州Mojaveで行われた試験では高高度を飛行するProteus機と、有無人両用機FirebirdをLOSで結び、画像の交換を行った。 (2110-090804)

無駄だとする見方も

 米国防総省は陸海空軍の全てのセンサを結ぶJADC2を数十億㌦かけて整備しようとしているが、当局者や専門家には無駄だとする見方もある。
 JADCと並行して陸海空軍はFY22に、空軍はABMSに$204M、陸軍はProject Convergenceに$107M要求しているほか、海軍はProject Overmatchを進めている。 (2110-093009)

離れた空域での演習を結んで共通データを構成する試験

 米空軍が11月1日、10月26日に3ヶ所の離れた空域で行われた3個flagの演習を結んで共通のデータを構成する試験を初めて実施したと発表した。
 3個flagの演習とは、カリフォルニア州で行われたOranfe Flag、フロリダ州のEmerald Flag、ネバダ州のBlack Flagで、Link 16を用いて情報の交換を行った。
 Oranfe FlagとEmerald Flagだけを連接した試験は6月に実施しており、その際にはF-35AのほかSkyborgソフトを搭載したMQ-20 Avenger 2機も参加していた。
 今回はJADC2の採用を視野に入れたものであった。 (2112-110305)

9・6・2・2 JADC2 連接システム

連接ソフト TITAN の開発

 米陸軍が観目線外 (beyond-line-of-sight) でのsensor-to-shooterチェーンを構築するため、2020年配備を目指し全領域 (all dormain) のセンサ情報を収集しAIを活用して射撃諸元を火力システムに送るTITANソフトの開発を行っており、12ヶ月に及ぶそのPhase 1をPalantir社とRaytheon社にそれぞれ$8.5Mで発注した。 (2102-011307)

空軍のABMS、陸軍のConvergence、海軍のOvermatchとの連接

 米宇宙軍はJADC2を介して、陸海空軍が構築、及び構築しようとしている空軍のABMS、陸軍のConvergence計画、海軍のOvermatch計画など、衛星を介したC2システムを結びつけようとしている。 (2107-060311)

9・6・2・3 その他の通信, C4I

NATO の defense cloud solution

 NATOが初の戦域クラウドシステム (defense cloud solution) の開発にThales社を選定した。
 このシステムは有事に際して24時間以内に戦域に展開できることが要求されており、NATOは国際競争の末Thales社を選定した。 (2102-012510)

野外通信空中ノード機

 米空軍が2月5日、野外通信空中ノード (BACN) を更に6機増強すると発表した。 追加の6機は2026年までに取得する。
 BACNは山岳地域で音声通信の中継を行うノードで、現在はGlobal 6000 を元にしたE-11Aを3機保有している。
 元々4機あったがそのうちの1機を2020年にアフガンで失っている。 (2104-021708)

 米空軍が6月1日、E-11Aに改造するBombardier Global 6000ビジネスジェット機$465MでLeajet社に発注した。
 Global 6000最初の1機目は$70Mで合わせて6機が発注されると見られる。 Global 6000にはこのあとNorthrop Grumman社製Battle Field Airborne Communication Nodeが搭載される。
 このシステムは通常直接データの交換ができない航空機同士のデータ中継を行う。 (2107-060411)

Mission Partner Environment

 米国防総省がBold Quest多国参加演習で、秘匿情報や非公開情報を交換するMPEをJADC2上で使用する検証を行う。 (2107-050001)
【註】MPEとは、全てドメインにわたるセンサ情報をクラウドに集約して処理し、C4ISRデータとして提供する、戦域レベルの戦闘管理及び自動意思決定システムである。

Joint Air Battle Management System (JABMS)(オーストラリア)

 豪国防相が8月5日、JABMS競争評価の最終段階にLockheed Martin豪社とNorthrop Grumman豪社を選定したと発表した。 最終選考は2023年末に行われる計画である。
 JABMSは艦船、航空機、その他の装備を連接するシステムで、Phase 2では地上配備中距離SAMシステムが連接されるが、Boeing豪社とRaytheon豪社は選定されなかった。 (2110-081811)

9・6・3 見方識別

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・7 関連基礎技術

9・7・1 航空機関連技術

超高速エンジン Metacomet

 米国防総省がPratt & Whitney社と、再使用可能な超高速エンジンMetacomet計画を進めている。
 P&W社はMetacometで低コストのラムジェット/スクラムジェットエンジンを目指している。
 2012年にスクラムジェットの先駆者であるRocketdyne社を売却したP&W社にとっては10年ぶりのMach 3+への回帰であるが、P&Wには何十年も前にLockheed SR-71に搭載したJ58エンジンでMach 3+の経験がある。 (2105-032201)

9・7・2 ミサイル関連技術

9・7・2・1 誘導関連技術

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・7・2・2 弾体関連技術

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・7・2・3 推進装置関連技術

大型スクラムジェットエンジン

 米空軍の報道官が2020年12月29日、米空軍のMSCC計画でNorthrop Grumman社と現在ではLockheed Martin社の一部になっているAerojet Rocketdyne社が試作した大型スクラムジェットエンジンが、推力5,897kgを達成したと発表した。
 米空軍は2019年8月、全長5.5mのAerojet Rocketdyne社のエンジンが5,897kgを30分にわたり達成したと発表している。 (2103-020008)

低価格ターボジェットエンジン

 Kratos社のタービンエンジン部門KTTが6月28日、UAVや低価格CMに使用する低価格ターボジェットエンジンを公表した。
 KTTは1月に米空軍研究所 (AFRL) から$12.7Mで受注していた。
 同社はまた$8.6Mの別契約で、Group 3 UAVが使用する低価格ターボシャフトエンジンの開発も受注している。 (2109-080010)

Solid-Fuel Ramjet

 ノルウェーNAMMO社が米海軍及びノルウェー国防省と進めている、米海軍の長距離高速ミサイル (THOR-ER) に使用する固体燃料ラムジェット (SFRJ) の発射試験が2022年初期にノルウェーのAndøya試射場で行われる。
 THOR-ER開発は米国、ノルウェー、Nammo社が協同で2019年に開始している。 (2201-120806)

9・7・2・4 その他の要素技術

ナトリウムイオン電池

 NESSY-Ⅱは英仏が進めるMCM-ITP計画で進めている燃料電池、ナトリウムイオン電池、またはその両者を組み合わせた電源開発計画である。 (2201-110802)

Coanda TVC

 Coanda TVCは仏Roxel社が英S&C Thermofluids社とMCM-ITP計画で開発している機械可動部品を必要としないTVC装置である。 (2201-110802)

9・7・3 UAV 関連技術

9・7・3・1 次世代 UAV の要素技術

Speed Racer 空中発射ジェット推進試験用 UAV

 Lockheed Martin社Skunk Works事業所が、2月24~26日に仮想空間で開かれたセミナの前夜に、Speed Racer空中発射ジェット推進の試験用UAVの映像を公開した。
 機体は六角形の形状で拡張翼を持つ。 (2105-030801)

ソーラー UAV

 米国とスペインの企業であるSkydweller Aero社がSolar Impulse 2有人ソーラー機の技術を元にしたソーラーUAVの組み立てを開始する。
 初期型試作機は2020年12月と2021年2月の2回、スペインのAlbaceteで2時間半の飛行を行い、高度16,000ftに達している。
 JanesはかつてSkydweller Aero社のUAVを、翼端長72m、翼面積2,900平方呎、MTOW 2,500kgで、太陽光電力能力2kW、搭載能力400kg、巡航速度100kt、実用上昇限度45,931ftと報じている。 (2108-070012)

9・7・3・2 X Prime計画

 米DARPAが技術検証機であるX-planeと実大試作機Y-planeの間を埋めるX Prime計画を立ち上げ、開発がX-planeで頓挫 (valley of death) するのを防止しようとしている。
 X Primeの代表がShepardで、これは2000年代初期にIARPA計画として進められていたダクテッドファンを用いた超静粛、高効率、ハイブリッド電動UAVのGreat Horned Owlを発展させるもので、Northrop Grumman社の子会社であるScaled Composites社が進めている。 (2110-083002)
9・7・4 高出力 Laser 技術

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
9・7・5 その他の関連技術

9・7・5・1 小型/マイクロ原子炉

Project Pele 小型可搬原子炉開発計画

 米国防総省SCOが進めている小型可搬原子炉開発計画Project Peleは、3月にBWXT社とX-energy社がそれぞれ$27.9Mと$28.7Mで受注したが、両社は受注前に$13Mと$15Mの契約で研究を行っていた。
 SCOはこの原子炉の出力は1~5MWで3年間は連続使用できるとしており、その用途を極地などの遠隔地、戦略支援地域及びHADRの三つとしている。
 この原子炉ではウラニウム、炭素、セラミックを3層にした粒状のTRISOを使用し、1,800゚Cでも耐えメルトダウンを起こさない燃料を用いる。 (2107-062810)
【註】記事からするとこの原子炉は高温ガス炉と思われる。  軽水を冷媒とした軽水炉では冷媒温度は300゚C程度であるため熱効率が30%程度であるのに対し、ヘリウムガスを冷媒とし1,000゚C程度を取り出す高温ガス炉では効率が45%にもなる。

マイクロ原子力発電装置の配備

 アラスカ内陸のEielson AFBにマイクロ原子炉が初めて配備された。
 計画は2019年にNDAAが2027年までにマイクロ原子炉の配備を開始するよう求めてことから開始されていた。 (2111-102108)
【註】米国防総省が空母や潜水艦が使用している原子炉を60年間使用するProject Peleと呼ばれる計画計画を進めており、陸軍や空軍や基地で1~5MWで3年間は連続使用できる原子炉を電力源とすることを検討している。

 米議会が国防総省にNDAA 2019で、2027年までにマイクロ原子力発電装置の設置を求めたのに対し、空軍がアラスカ州フェアバンクス南東25哩に位置するEielson AFBに2027年までに設置することを明らかにした。
 設置の目的は安定的な電力供給で、マイクロ原子力発電装置は国家環境政策法に基づく民間の所有とし、空軍はその電力を購入することになる。
 マイクロ原子力発電装置の最大出力は20MWであるのに対しEielson AFBの所要電力は10~15MWと見られるが、状況により所要が25MWに急増することも考えられる。 (2111-103006)

9・7・5・2 IQPC (International Quality and Productivity Center)

仮想空間を活用した訓練

 NATOにとって他国軍による訓練は共同行動のために必須であるが、今までその実施に向けた目立った動きはなかった。
 このため2020年10月に米陸軍TRADOC司令官も加わったLand Force TrainingコンファレンスがIQPCを用いた仮想空間で実施された。 (2103-010003)

9・7・5・3 AI (Artificial Intelligence)

AI を U-2S の副操縦手として活用

 米空軍が2020年12月16日にAIをU-2Sの副操縦手として活用したことは、AIの新たな活躍の場として注目されている。
 U-2Sには副操縦手用の座席はないが、地ににはARTUμというコールサインが付与され、Raytheon社製のASARS SARレーダを操縦手と共用しながら任務を遂行した。 (2103-011102)

9・7・5・4 量子技術

量子技術による RF 検出計画 QA

 米DARPAが量子技術によるRF検出計画QAにHoneywell、Northrop Grumman、ColdQuanta、SRI Internationalの各社を選定した。
 RF探知に量子技術を使うことで感度などの向上が期待できるが、QA計画ではアンテナ装置に量子技術を用いて画期的に感度、帯域幅、ダイナミックレンジが向上した人力可搬システムを開発することを目指している。 (2109-080410)

9・7・5・5 衛星間光通信

Space-BACN 構想

 米DARPAが、官民で低軌道における小型衛星群の多用が拡大されると見込まれることから、光を用いた新たな衛星間通信Space-BACN構想を進めている。
 Space-BACNでは光学衛星間通信仕様OISLが採用される。 (2110-091304)

Space Test Program-6 (STPSat-6)

 米宇宙軍が12月7日、NASAの衛星を含む9基の実験衛星Space Test Program-6 (STPSat-6) をCape CanaveralからAtras Vで打ち上げた。
 打ち上げた衛星にはエネルギー省と国家核安全保障局が開発した性能向上型の核爆発探知衛星や、NASAのレーザ通信中継試作機などが含まれている。
 また宇宙軍は長時間推進のESPA-1 (LDPE-1) も軌道に乗せた。 宇宙軍はLDPEを宇宙貨物列車と呼んでおり、LDPE-1は複数ある計画の一つである。 (2201-120808)