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6・ 国内情勢

6・1 防衛体制

6・1・1 防衛の基本

6・1・1・1 憲法論議

 自民党が次の通常国会で、国会議員任期の特例延長など緊急事態条項の創設を軸に改憲議論を進展させたい考えである。
 COVID-19禍で世論の理解が得られやすいと判断しているためで、10月の衆院選で憲法改正に前向きな日本維新の会と国民民主党が議席を増やしたことも追い風とみている。
 岸田首相は12月23日の都内での講演で、自民党が掲げている改憲4項目はどれも現代的な課題だと安倍政権時代にまとめた党改憲4項目を軸に議論を進めたいとの考えを強調した。
 改憲4項目は
1. 9条への自衛隊明記

2. 緊急事態条項創設

3. 参院選挙区の合区解消

4. 教育の充実

からなる。
「改憲ありきの議論」と一線を画す立憲民主党が対応に苦慮する場面が増えそうである。 (2201-123105)
6・1・1・2 新たな課題

6・1・1・2・1 基地攻撃能力の保有

首相、敵基地攻撃能力の保有明記に意欲

 岸田首相が10月15日に読売新聞のインタビューに応じ、敵基地攻撃能力の保有について改定する国家安全保障戦略への明記に意欲を示した。
 首相は敵基地攻撃能力の保有を安保戦略に盛り込むことについて一つの選択肢だと述べ、その上で北朝鮮が開発を進める極高速滑空兵器や変則的な軌道で飛ぶBMなどの脅威に言及し、国民の命と暮らしを守るため、現実的なあらゆる選択肢を検討する姿勢は大事だと強調した。
 ただ国家安保戦略の改定時期は「できるだけ急ぎたい」と述べるにとどめた。 (2111-101602)

 岸田首相が10月19日に国家安全保障会議 (NSC) を開き、北朝鮮のBM発射に関する対応や方針を協議し、防衛力の抜本的な強化に向けて「敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を検討するよう確認した」と記者団に明らかにした。
 首相は、NSCで情報収集分析、警戒監視の徹底、米国を含む国際的な連携を関係閣僚に指示したとしたうえで、北朝鮮の発射意図については「私の立場から断定的に申し上げることは控える」と述べるにとどめた。 (2111-101906)

 岸田首相が11月27日に朝霞駐屯地で行われた観閲式で訓示し、日本を取り巻く安全保障環境が急速に変化している現状を踏まえ、BMを相手国領域内で阻止する敵基地攻撃能力の保有を排除せず検討し、必要な防衛力を強化していくと強調した。
 首相は、外交安全保障政策の長期指針である国家安全保障戦略などの改定の中で、敵基地攻撃能力の保有も含めあらゆる選択肢を排除せず検討し、必要な防衛力を強化していくと述べた。 (2112-112705)

岸田首相臨時国会での所信表明演説

 臨時国会が12月6日召集され、衆参両院の本会議で岸田首相の所信表明演説が行われ、第2次安倍政権が2013年に策定した中長期指針国家安全保障戦略の初改定を1年以内に行うと表明した。
 またBMを相手国領域内で阻止する敵基地攻撃能力の保有も含めあらゆる選択肢を排除せず検討すると強調した。 (2201-120605)

6・1・1・2・2 外交姿勢の方針転換

外務省が台湾担当のポストを新設

 外務省が12月17日の自民党の外交部会で、台湾と尖閣諸島などの海洋問題を担当する新たな課長級ポストを早ければ来年4月に設置する方針であることを明らかにした。
 台湾との関係は「非政府間の実務関係」としているため、台湾と名の付くポストは異例である。
 また、新疆ウイグル自治区や香港などでの人権問題に対応するための人権担当企画官も新設する方針で、対中国の姿勢が鮮明にしている。 (2201-121706)

6・1・1・2・3 経済安全保障

関係閣僚会議の新設

 複数の政府与党関係者が岸田政権が目玉に掲げる経済安全保障政策をより強力に進めるため、政府が省庁横断的に協議する関係閣僚会議を新設する方針を固め、近く第1回会議を開くことを明らかにした。
 閣僚会議は首相をトップとし、法制度整備をはじめとする経済安保政策の陣頭指揮を執る。
 法整備に向けては、内閣官房に準備室を立ち上げるとともに有識者会議を設置して法案作成作業を進める。 (2112-111004)

防衛省、経済安保の情報収集態勢強化

 複数の政府関係者が11月13日、防衛省が経済安全保障に関する情報収集態勢を強化するため、令和4年度から専従職員を新たに置くことを明らかにした。
 サイバ攻撃や工作員の活動などを通じて先端技術の獲得を狙う中国の動向を把握分析し、適切な保全措置につなげるのが狙いで、数人規模から開始して必要に応じて人員の拡充や専門組織の新編も視野に入れる。
 防衛省は4月に各国の軍事情勢や兵器の分析業務などを担う防衛政策局調査課に「経済安全保障情報企画官」を新設し、経済安保に関する情報の収集や分析、保全を目的に課内を横断的に総括するようにしたが、情報企画官以外に専従で経済安保を担当する職員はいなかった。
 このため、4年度から国外情報の収集に当たる戦略情報分析室や国内情報の収集整理を担う情報保全企画室、人的情報に関する調査研究室など課内の各室に専従職員を置く方向である。 (2112-111308)

通常国会へ提出をめざす経済安全保障推進法案

 政府が2022年の通常国会へ提出をめざす経済安全保障推進法案の概要が分かった。
 経済安保を政権の看板政策に掲げる岸田首相は11日に小林経済安保相と面会し、法案の準備を指示した。
 週内にも関係閣僚会議を立ち上げ、来年夏の参院選前に法案を成立させて令和5年度からの運用を想定している。
 法案は

特許の公開制限

サプライチェーンの強靱化

先端技術の研究開発支援

重要インフラの安全確保

の4つの柱で構成する新法として一括で提出する。 (2112-111402)

「経済安全保障担当室」(仮称)の新設

 複数の政府与党関係者が、政府が経済安全保障の司令塔となる部署を内閣府に新設する方針を固めたことを明らかにした。
 司令塔機能を担うのは「経済安全保障担当室」(仮称)で、財務、経済産業、防衛などの各省から数十人規模の人員を集める方向で準備を進めている。
 関係各省と連携し、半導体などの安定確保に向けた計画作成を企業に求めサプライチェーンの強靱化を図るほか、重要設備の脆弱性に関する事前審査も担い、企業に是正を勧告する権限も付与する。 (2201-121201)

防衛装備品のサプライチェーン強化

 複数の政府関係者が12月19日、政府が重要な防衛装備品のサプライチェーン強化のため検討している防衛産業維持強化法案で、部品調達先に海外のリスクがある事業者には調達先の変更命令を出すなどの措置を検討していることを明らかにした。
 調査の結果、供給断絶の恐れがある他国から部品を調達するリスクがある場合には調達先を変更するよう命令できる。 また製造者が事業から撤退するリスクがある場合は、事業継承先へ供給協力を要請できる。
 政府は2022年末にかけて、法整備を含めた防衛生産態勢強化策を策定する方針で、防衛省は令和4年度予算案に22億円を計上し支援策を本格化させる。 (2201-121903)

6・1・1・3 日米防衛協力指針

見直し論の浮上

 菅首相とバイデン米大統領が4月の首脳会談後の共同声明で台湾海峡について「平和と安定の重要性を強調する」と明記したことから、自民党内で日米の防衛協力の指針を見直す案が浮上してきた。
 ガイドラインが誕生したのは東西冷戦下の1978年までさかのぼり、当初はソ連の北海道侵攻を想定した日米協力の枠組みだった。
 その後これまで改定したのは北朝鮮のBM発射を受けて朝鮮半島有事に備えた1997年と、集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法が成立した2015年の2回しかない。 (2107-060401)

6・1・1・4 防衛の基本計画

6・1・1・4・1 国家安全保障戦略

国家安全保障戦略の見直し

 防衛省の報道官が9月17日にJaneに対し、防衛政策の元となる3大計画である、国家安全保障戦略 (NSS)、防衛計画の大綱 (NDPG)、中期防衛力整備計画 (MTDP) について見直すことを明らかにした。
 見直しのスケジュールはまだ決まっていないものの、辞任する菅首相は見直すべき時期としてこれら計画の評価を指示していたという。
 日本初となるNSSは2013年12月に閣議決定され、NDPGとMTDPは2019年12月に決定している。 (2110-092003)

岸田首相特別国会での初の所信表明演説

 岸田首相が10月8日に行う初めての所信表明演説で、外交防衛政策の基本方針国家安全保障戦略 (NSS)の改定を表明する。
 現行のNSSは2013年に安倍内閣で初めて閣議決定されたが、改定されれば初めてとなる。
 同時に防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画(中期防)を改定する方針も示す。 (2111-100702)

 岸田首相が10月8日に行われた初の所信表明演説で、ミサイル防衛能力など防衛力の強化、経済安全保障など新しい時代の課題に果敢に取り組むと訴え、経済安保とミサイル防衛を例示した。
 所信表明演説では、外交防衛の基本方針である国家安全保障戦略を改定すると表明し、合わせ防衛計画大綱と中期防衛力整備計画(中期防)もつくり直すとした。
 首相は自民党総裁選で3文書の見直しを公約に掲げて勝利している。 (2111-100804)

首相、改定作業の着手を指示

 政府関係者が10月14日、岸田首相が13日夜に首相官邸で国家安全保障会議 (NSC) の4大臣会合を開催し、国家安保戦略 (NSS) などの改定に向け、作業に着手するよう関係閣僚に指示したことを明らかにした。
 首相は日米同盟強化に向けた米側との協議の重要性を確認し、米国で国家安保戦略のとりまとめを進めているバイデン政権との協議も進めるよう指示した。 (2111-101402)

国家安全保障戦略の改定時期は2022年末

 複数の政府関係者が、政府が外交安全保障政策の中長期的な指針となる国家安全保障戦略の改定時期について、2022年末とする方向で調整に入ったことを明らかにした。 併せて防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画も見直す。
 中国の動きなどを念頭に置いた経済安保の推進を明記する方針で、敵基地攻撃能力保有の是非が検討の焦点となる。 (2112-110803)

防衛力強化加速会議の新設

 防衛省が11月12日、岸防衛相を議長とした敵基地攻撃能力保有の是非などを議論する防衛力強化加速会議を新設し初会合を開催した。
 政府が改定を表明している国家安全保障戦略や防衛計画の大綱に反映させる。
 岸防衛相は冒頭、中国や北朝鮮が極超音速や変則軌道で飛行するミサイルの開発を進めていることを念頭に、あらゆる選択肢を排除せず、冷静かつ現実的な議論をしっかり突き詰めていくことが重要だと強調した。 (2112-111209)

国家防衛戦略を新たに策定

 自民党が12月20日に、小野寺元防衛相を会長とする安全保障調査会の会合を党本部で開き、外交安全保障政策の根幹となる戦略3文書の改定に向けた検討作業を開始した。
 安保調査会はテーマごとに有識者を招いた勉強会を毎週1回のペースで開き、今年5月までに政府への提言をまとめる。
 小野寺会長は会合冒頭のあいさつで「国家の防衛戦略情報自体は今まで作っていない」と述べ、3文書とは別に国家防衛戦略を新たに策定することを検討する方針を明らかにした。 (2201-122003)

6・1・1・4・2 防衛計画の大綱

防衛計画大綱の見直し

 防衛省の報道官が9月17日にJaneに対し、防衛政策の元となる3大計画である、国家安全保障戦略 (NSS)、防衛計画の大綱 (NDPG)、中期防衛力整備計画 (MTDP) について見直すことを明らかにした。
 見直しのスケジュールはまだ決まっていないものの、辞任する菅首相は見直すべき時期としてこれら計画の評価を指示していたという。
 日本初となるNSSは2013年12月に閣議決定され、NDPGとMTDPは2019年12月に決定している。 (2110-092003)

6・1・1・4・3 中期防衛力整備計画

自民党、中期防改定を衆院選の公約に

 自民党は秋までにある衆院選の公約で、中期防衛力整備計画(中期防)の改定を明記する検討に入った。
 自民党は衆院選の公約で、2013年にまとめた国家安保戦略と2018年に改定した防衛大綱の見直しも掲げる見通しである。
 現行の戦略は国際社会の安定に進んで取り組む「積極的平和主義」を掲げているが、中国の台頭や米中対立といった安保環境の変化に合わせるべきだとの意見が出ている。 代表例が経済安保で、重要な技術流出の防止策への意識が乏しいとの指摘がある。
 装備品の性能や重要インフラに関する情報が漏れれば日本の安保に影響がおよぶ。 (2107-062701)

中期防見直し作業の開始

 複数の政府関係者が8月13日、現行の中期防を前倒しして改定する方向で調整に入ったことを明らかにした。
 台湾情勢の緊迫化や中国の海洋進出に備え、抑止力強化の一環として防衛費を総額で増額し、整備を急ぐ必要があると判断したもので、4月の日米首脳会談の共同声明に盛り込んだ「日本の防衛力強化への決意」を実行に移すことになる。
 中期防改定は、改定に向けた議論は防衛省や国家安全保障局を中心に進められ、8月上旬には菅首相や岸防衛相らが集まり見直し方針を確認した。
 早ければ年内の実現を目指す。 (2109-081403)

6・1・1・5 防衛白書

米中のパワーバランスの変化

 2020年の防衛白書の素案が明らかになり、急速に軍事力を強化する米中の軍事的なパワーバランスの変化が、インド太平洋地域の平和と安定に影響を与えるとして、台湾などをめぐる両国の軍事的な動向を注視する必要があるとしている。
 素案では、新たに米中関係に関する項目を設け、両国の政治・経済・軍事にわたる競争が一層顕在化し、相互に牽制する動きが見られるとしている。
 具体的には、中国が台湾周辺で軍事活動を活発化させる一方、米国は軍事面で台湾を支援する姿勢を鮮明にしているなどとして、米中のパワーバランスの変化がインド太平洋地域の平和と安定に影響を与えるため、台湾などをめぐる両国の軍事的な動向を注視する必要があるとしている。
 防衛白書は7月にも閣議で報告されて公表される。 (2106-051302)

中国とロシアの軍事面での連携強化

 2021年版防衛白書は、中国とロシアの爆撃機が2年連続で日本海や東シナ海を長距離共同飛行したことを挙げ、両国の軍事面での連携強化の動きを注視している。
 白書では中露関係の深化がうかがわれる動きとして、2019年7月と20年12月に中国のH-6とロシアのTu-95が島根県の竹島周辺で合流し、日本海、東シナ海方面に共同飛行した事例を飛行経路図とともに説明している。 (2108-071304)

台湾情勢の安定が重要と明記

 政府が7月13日午前の閣議で、2021年版防衛白書を了承した。
 中国軍機による台湾南西空域への進入など、中国が台湾周辺で活動を活発化させていることを挙げ、台湾情勢の安定は、わが国の安全保障にとって重要と初めて明記し、台湾への支援を鮮明にする米国と中国の対立が一層顕在化する可能性があると指摘して、緊張感を持って注視していくことが必要と警戒感を示した。
 また米中の対立が深まっていることを踏まえ、米中関係に関する項目を新設し、台湾問題や香港問題、新疆ウイグル自治区を巡る人権問題などにより政治や経済、軍事分野で米中において相互に牽制する動きがより一層表面化していると分析している。 (2108-071301)

気候変動を安全保障上の課題

 2021年版防衛白書は、気候変動が安全保障環境に与える影響を記述した。 白書では各国で気候変動を安全保障上の課題と捉える動きが広がっていると指摘し、気候変動による複合的な影響に起因する水、食料、土地などの不足は、資源をめぐる争いを誘発・悪化させる恐れがあるなどと懸念している。  また異常気象の増大は大規模災害の増加や感染症の拡大をもたらすと考えられるとも記述し危機感をにじませている。 (2108-071303)

6・1・2 制度・組織

6・1・2・1 編 成

6・1・2・1・1 内部部局、統合幕僚監部

サイバー人材の増強

 高度化するサイバ攻撃に備えるため7月1日付でNTTとラックの2社から1名ずつサイバーセキュリティ統括アドバイザーとして採用した。
 企業に籍をおいたまま非常勤で週2~3日、防衛省で勤務する。 (2108-070401)

6・1・2・1・2 陸上自衛隊

第301電子戦中隊の新編

 陸上自衛隊第301電子戦中隊が、建軍駐屯地で3月29日に編成を完結した。
 約80名で編成された中隊は、新たに開発された車載電子戦システムNEWSを含む数種類の電子戦装置を装備する。 (2104-033004)

自衛官数の減少

 1990年に24.6万人いた自衛官は2020年に22.7万人まで減少し、自衛隊員が1990年からの30年間で1割近く減った。
 1990年と比較した減り幅は陸上自衛隊が最大で12%減だったのに対し、航空自衛隊は8%減、海上自衛隊は3%減にとどまっている。
 各国軍も兵員数は減少傾向にあり、英国際戦略研究所 (IISS) 刊行の「ミリタリー・バランス」によると、1990年に米国が211万人、ソ連が398万人だったが、 2020年には米国が35%減の137万人、ロシアは8割減の90万人となった。
 英国やフランスの兵員数も1990年比で半分以下に減り、中国は兵員数を3割少なくしたものの、国防費は30年で40倍以上に膨れ上がっている。 (2106-052004)

6・1・2・1・3 海上自衛隊

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・1・2・1・4 航空自衛隊

F-35A 二番目の配備場所

 政府関係者が6月2日、F-35A 4機を2025年にも小松基地に配備する方向で調整していることを明らかにした。
 中国やロシアによる領空侵犯への対処力強化が狙いで、将来は約20機に増強する。
 小松基地には日本海側唯一の戦闘機部隊がありF-15を約40機配備しているが、F-15の一部をF-35Aに順次入れ替える方向で検討している。 (2107-060202)

 防衛省が、現在三沢基地に23機配備されているF-35Aについて、次は2025年までに20機を小松基地に配備する方針である。
 小松基地には現在2個飛行隊にF-15J/DJが40機配備されている。
 F-35は今までに合わせて147機が発注されている。 (2108-061604)

F-35B の配備場所

 国は航空自衛隊新田原基地に、約20機のF-35Bを配備する方針で、近く周辺の自治体や県に計画が示される見通しあることがわかった。
 関係者によると、新田原基地には1個飛行隊約20機が配備されるが、当面は令和6年度に6機、7年度に2機が配備される計画である。
 国は、中期防衛力整備計画で5年度までにF-35Bを18機購入する計画を示していて、新田原基地については有力な候補地であることは間違いないと説明していた。 (2108-071204)

 岸防衛相が7月16日、F-35Bの最初の4機を令和6年度に新田原基地に配備し、7年度に更に4機を追加配備すると述べた。
 新田原基地には最終的に約20機のF-35Bが配備される。 (2109-072809)

6・1・2・1・5 共同の部隊

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・1・2・1・6 外部部局

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・1・2・2 人 事

外部人材の起用

 防衛省が4月1日付で本省室長に部外から公募で中途採用した人材を初めて充てる。
 宇宙、サイバ、電磁波という新領域防衛のうち、宇宙を担当する枢要ポストの宇宙海洋政策室長に登用し、政策立案などを担わせる。 宇宙海洋政策室長に宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の男性を採用した。
 サイバを担当するAI・サイバーセキュリティ推進室長も民間企業を含め部外からの公募を実施したが採用は見送り、人材の獲得と育成で課題も浮き彫りになった。 (2104-033003)

6・1・3 日米防衛協力態勢

6・1・3・1 バイデン政権の日米協力

6・1・3・1・1 日米首脳会議

 菅首相が4月16日午後(日本時間17日未明)、ホワイトハウスでバイデン米大統領と初の首脳会談を行い、中国が軍事的圧力を強める台湾問題への対応を協議し、共同声明に「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」と明記した。
 日米首脳の合意文書に「台湾」が盛り込まれるのは、日中国交正常化前の1969年に佐藤首相とニクソン大統領が出した共同声明以来である。 (2105-041703)
6・1・3・1・2 日米安全保障協議委員会 (2-plus-2)

3月16日: 東京

 日米両政府が3月16日、外務防衛担当閣僚による安全保障協議委員会 (2-plus-2) を東京都内で開いた。 日米双方は2021年内に再び2-plus-2を開催する方針でも一致した。
 発表された共同文書は名指しで中国に言及し、海警局の武器使用権限を明確化した海警法の施行に深刻な懸念を明記した。
 尖閣諸島に関しては、米側は対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が適用されると改めて確認した。
 尖閣に関しては2019年の前回2-plus-2後に発表した文書では中国を名指ししていなかったが、今回は海警法を例示する形で「最近の混乱を招く動き」に言及し、「日本の施政を損なおうとする、いかなる一方的な行動にも反対する」との方針を明記した。 (2104-031601)

 日米両政府が3月16日、バイデン政権発足後初となる外務防衛担当閣僚会合 (2-plus-2) を東京都内で開いた。
 中国の海警部隊に武器使用を認める海警法などに深刻な懸念を表明し、軍事的、経済的に台頭する中国を強く牽制する共同声明を発表。
 米国は新政権発足から2ヵ月という異例の早さで日米2-plus-2を開き、対中政策でインド太平洋地域を重視する姿勢を鮮明にしたもので、ブリンケン国務長官とオースティン国防長官は初の外遊先に日本を選んだ。
 日米が共同文書で中国を名指しで批判するのは異例である。 また2021年内に2-plus-2を改めて開くことも確認した。 (2104-031602)

6・1・3・2 日米安全保障条約

6・1・3・2・1 米政府の姿勢

堅固な日米同盟の再確認

 米政府が3月14日、ブリンケン国務長官とオースティン国防長官の来日に合わせ堅固な(unbreakable)日米同盟の再確認と題する文書を発表した。
 同盟の重要性を平和と安全、繁栄の礎とうたい、中国によるアジアや世界中での挑発を含む、共通の挑戦に協力して対応すると中国を名指しして対抗する姿勢を鮮明にしている。  ブリンケン長官とオースティン長官は15日に来日し、16日に茂木外相、岸防衛相と日米安全保障協議委員会 (2-plus-2) に臨むが、米側はこの文書に沿って立場を表明する見通しである。 (2104-031502)

尖閣諸島への安保条約第5条の摘要

 3月16日に開かれた外務防衛担当閣僚による安全保障協議委員会 (2-plus-2) で、尖閣諸島について米側は対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が適用されると改めて確認した。 (2104-031601)

 菅首相はバイデン米大統領と初の首脳会談後の共同記者会見で、尖閣諸島に関してバイデン大統領と米国による防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象と改めて確認したと明らかにした。 (2105-041704)

6・1・3・2・2 「核の傘」

 複数の政府関係者が1月3日、菅首相と米大統領就任を確実にしたバイデン前副大統領との初の首脳会談で、日本政府が両首脳の共同声明に米国の核兵器で日本の防衛に当たることを明記するよう求める方向で調整に入ったことを明らかにした。
 共同声明をめぐっては、安倍前首相とトランプ米大統領との2017年2月の初会談で、米国の「核および通常戦力」による日本防衛への関与を明記しているが、米国が核の脅威で日本への攻撃を防ぐ「拡大核抑止」を提供することが盛り込まれたのは、1975年の三木首相とフォード大統領の会談以来だった。 (2102-010303)

 日米政府が5月1日に日米拡大抑止協議を4月30日にTV会議方式で開催したと発表した。 日本側は外務、防衛両省、米側は国務省と国防総省の幹部らが参加した。
 この協議は米国の核による日本の防衛について事務レベルで話し合う場で、2010年から定期的に開催している。
 今回は菅、バイデン両政権が発足してから初めてで、中国への対処を念頭にミサイル防衛や軍縮問題などを議論した。 (2106-050105)

6・1・3・3 日米共同国際協力

 複数の日本政府関係者が4月上旬にワシントンで行われる日米首脳会談で、第三国でのインフラ展開に向けた協力強化で合意する見通しとなったことを明らかにした。
 こうした方針は、首脳会談後に発表される共同文書に明記される。
 脱炭素化につながる発電設備や5G通信網など次世代型の基盤構築に力点を置き、中国の一帯一路を意識したインド太平洋地域のインフラ整備で日米が主導権を握る狙いがある。 (2105-040201)
6・1・3・4 米艦艇や航空機の防護

米艦艇や航空機の防護実績

 防衛省が2月19日、自衛隊が安全保障関連法に基づいて行う米軍の艦艇や航空機の防護について、2020年は2019年の14回から増加し25回実施したと発表した。
 内訳は、BMの警戒を含む情報収集警戒監視活動につく艦艇の警護が4回、共同訓練の際の航空機警護が21回であった。 (2103-021907)

防護対象国拡大の可能性

 集団的自衛権行使を一部容認する安全保障関連法が施行されて3月29日で5年になるが、この間に海上自衛隊艦による米艦防護などを通じ、日米の軍事的一体化は進んだ。
 同法施行により、自衛隊は外国の艦艇や航空機を「武器等防護」の名目で護衛することが可能になり、2017年5月に初めて海自護衛艦が米補給艦を防護して以降、2018年は16件、2019年は14件と着実に実施している。
 防護対象は米国以外にも拡大しつつあり、2020年10月の日豪防衛相会談では、オーストラリア軍を防護対象に加える調整に入ることで合意した。 実現すれば米国に続き2ヵ国目となる。
 欧州各国も中国の海洋進出への懸念を強めていて、フランスは2020年末に沖ノ鳥島周辺海域での日米仏共同訓練に潜水艦を派遣しており、英国は年内に空母Queen Elizabethを東アジアに派遣する。
 こうした国も将来は武器等防護の対象になる可能性がある。 (2104-032903)

日米同盟、中東へ拡大

 米主導のテロとの戦いで、日本は海上自衛隊をインド洋に派遣し米英仏などの艦船に燃料補給した。
 日米同盟を基軸にする自衛隊の活動の場は極東からインド洋・中東へ一気に拡大し、自衛隊の海外派遣の恒久法制定にもつながった。
 同時テロ事件ではテロ後に米海軍横須賀基地から急遽出港した空母を海自護衛艦が異例の護衛に当たった。
 当時を知る海自幹部は、横須賀は羽田空港に近いため基地で身動きが取れない空母が、航空機を使った自爆テロの標的になるのを避けるための出港だったと振り返る。 (2110-091102)

6・1・3・5 技術協力

日本側からの申し入れ

 米国防総省で研究開発を担当するシュウ次官が10月12日、防衛省が米国防総省に研究開発から調達段階に至るまでの共同開発について照会してきたことを明らかにした。
 同次官によると日本側は超高速技術や量子技術、及び広範囲な技術に関心を示しているという。 (2112-102002)

米国側からの申し入れ

 米国防総省で研究開発を担当するシュウ次官が11月8日、米国の研究開発に於ける優先項目について、豪、日、独、英及びラトビアと新たに設立された同盟国電話会議を通じて話し合ったと述べた。
 手始めとして米国は2023年に30項目を検討しており、その後協賛国を増やして毎年項目を増やしたいとしている。
 米国はまた11月上旬には、イスラエルと作業部会を開設している。 (2112-110808)

米空軍特殊作戦軍副司令官が US-2 を視察

 米空軍特殊作戦軍 (SOC) 副司令官のヒル少将が11月9日に岩国基地の海上自衛隊第31航空群を訪問しUS-2を視察した。
 米空軍もMC-130Jの水陸両用型を開発している。 (2112-111005)

6・1・3・6 日米共同訓練

6・1・3・6・1 海 上

1月16日: 大東島周辺

 海上自衛隊が1月16日、沖縄県大東島周辺で15日に護衛艦艦こんごうあさひが、米空母Theodore Rooseveltなど3隻と共同訓練をしたと明らかにした。
 東シナ海から太平洋へ海洋進出を強める中国や、14日の軍事パレードで新型SLBMを公開した北朝鮮をけん制する狙いがあるとみられる。
 米海軍は横須賀基地に空母Ronald Reaganを配備しており、海自の艦艇が横須賀配備以外の米空母と日本近海で訓練するのは珍しい。 (2102-011602)

米海軍との共同訓練、1~5月の実施回数は23回

 海上自衛隊と米海軍の共同訓練が2021年に入って急増している。
 2020年1~8月に実施した回数は8回、一昨年の同期間は9回だったのに対し、2021年1~5月の実施回数は日米が参加する多国間訓練を含め23回と、例年に比べ突出している。
 2月に中国海警法が施行されるなど、尖閣諸島をめぐる緊張の度合いが高まる中、即応性を強化し、中国を牽制する狙いがあるとみられる。 (2107-060603)

海上自衛隊の掃海演習に米海軍が初参加

 11月17日から日向灘で始まる海上自衛隊と米海軍による日米共同の掃海訓練に参加する海上自衛隊の掃海母艦など17隻、1,200名の乗組員などが15日に日南市の油津港に入港し、16日には歓迎セレモニーが行われた。
 海上自衛隊の掃海隊は、訓練の準備などを行うため1992年からほぼ毎年、油津港に入港しているが、今回の訓練には米海軍の掃海艦2隻が参加し、海中に機雷を設置したり除去したりする訓練などが行われる。 (2112-111608)

6・1・3・6・2 航 空

3月15日: 東シナ海空域

 航空自衛隊が3月16日、15日に那覇市北西の東シナ海空域で米軍と防空戦闘演習をしたと発表した。
 訓練には空自からF-15 4機が、米軍は海兵隊のF-35B 4機と空軍のKC-135を投入した。
 中国が沖縄県尖閣諸島周辺で活動を活発化させているのを意識し、日米の共同対処能力や戦術技量の向上をめざしている。 (2104-031603)

4月 2日: 日米ステルス機が共同訓練

 防衛省が4月2日、三沢基地配備のF-35が、1日に米空軍のF-22などと共同訓練を実施したと発表した。
 訓練は日本周辺空域で実施し、空自のF-35 4機と米空軍のF-22、KC-135などが参加した。
 抑止力と日米共同対処能力の向上が目的としており、力による現状変更を試みる中国を牽制する狙いがあるとみられる。 (2105-040207)

12月13~17日: 百里基地で日米共同訓練

 防衛省北関東防衛局が2日までに、航空自衛隊百里基地で13~17日に日米共同訓練を実施すると発表した。
 在日米軍再編に伴う訓練移転で、米軍岩国基地と航空自衛隊の戦闘機合わせて16機程度が、百里沖空域で戦闘訓練などを行う。
 同局によると、訓練に参加するのは第12海兵航空群のFA-18 8機程度と人員約170名、空自が第7航空団のF-2 8機程度になる。
 訓練移転に伴う百里基地での共同訓練は2018年4月以来で10回目になる。 (2201-120302)

6・1・3・6・3 陸 上

3月 9日: Airborne 21

 過去最大規模の日米合同降下訓練Airborne 21が3月9日に富士演習場で行われた。
 Airborne 21では第1空挺団の600名が富士山を背景にして、横田基地の米空軍第374輸送航空団第36飛行隊のC-130J Super Hercules 12機から降下した。 (2104-031205)

6月24日~7月11日: Orient Shield 演習

 岸防衛相が陸上自衛隊と米陸軍による実動演習Orient Shieldを過去最大規模で24日から7月11日にかけて全国の駐屯地や演習場で実施すると発表した。
 2021年の演習は3月の日米防衛相会談で、高度な訓練の実施を通じて即応性を強化することを確認したことを踏まえて、過去最大級となる日米の約3,000名が参加すると。 (2107-062204)

6月18日~7月11日: 奄美大島で米陸軍 Patriot 部隊が陸上自衛隊と対空戦闘訓練

 陸上自衛隊が6月10日、6月18日から7月11日にかけて国内各地で米陸軍との実動訓練を行うと発表した。
 奄美大島では、米陸軍のPatriot部隊が初めて展開し、陸上自衛隊と共同で対空戦闘訓練を行うという。 (2107-061005)

 奄美大島で7月1日から行われる日米合同訓練を前に、嘉手納基地からPatriot部隊40名が6月26日に名瀬港に到着し発射機など8両が上陸した。
 2年に一度行われる陸上自衛隊と米陸軍の日米合同訓練Orient Shieldは、今回は6月18日から北海道や関西などで行われている。 (2107-062601)

6月29日: 矢臼別演習場で米陸軍 HIMARS と陸自の MLRS の実弾射撃

 陸上自衛隊が6月29日、米陸軍と行っている日米共同演習Orient Shieldで、北海道の矢臼別演習場での米陸軍のHIMARSと陸自のMLRSの実弾射撃を公開した。
 米陸軍のHIMARSは米本土から展開したもので日本国内での実射は初めてである。
 射撃は10km遠方に敵部隊がいるとの想定で、敵の位置情報を共有した上で13:30にHIMARSが1発を発射し、続いて300m離れた地点から陸自のMLRSが15分間に4発を発射した。
 Orient Shieldは陸自と米陸軍の実動演習としては最大規模で、毎年行われているが今年は6月18日から7月11日にかけて実施し、これまでで最大級の3,000名が参加する。 (2107-062905)

7月30日: 第1空挺団がグアムの Andersen AFB で降下訓練

 陸上自衛隊第1空挺団が7月29~30日に、沖縄に駐留する米陸軍特殊部隊と米領グアムのAndersen AFBで空挺降下する共同訓練を実施した。
 空挺団が米軍機で国内を出発し、そのまま直接海外で空から降下するのは初めてである。
 訓練は敵の島嶼部への侵攻に対処する想定で、中国が活動を活発化させている南西地域の態勢を強化するため、日米の即応力を強める目的がある。
 第1空挺団の部隊は29日深夜に横田基地を米輸送機2機で出発して、飛行場を確保するという想定で30日早朝にAndersen AFB上空数百米から降下し、一連の行動を確認した。
 空挺団はアラスカ州で米陸軍と行ったArctic Auroraに参加して海外での降下経験を積んでいるが、その際は現地で航空機を乗り換えている。 (2109-080104)

12月 4日~17日: Resolution Dragon 21 演習

 米海兵隊が12月4日から17日まで陸上自衛隊と実施する共同演習Resolution Dragon 21で、新たな作戦構想の遠征前方基地作戦 (EABO) に基づきHIMARSを日本国内で初めて長距離空輸する。
 演習では、海兵隊部隊がC-130Jで米軍普天間飛行場から海上自衛隊八戸基地までHIMARSを空輸する。 海兵隊はこれまで日本国内ではHIMARSの長距離移動を艦艇で行ってきた。
 演習は、沖縄県の離島などで有事が発生した際、遠方から展開した海兵隊がHIMARSと陸自のSSMで中国に対抗する作戦を念頭に置くもので、八戸演習場や矢臼別演習場などで陸自1,400名、海兵隊2,650名が参加して行われる。 (2112-112707)

 米海兵隊と自衛隊が過去最大規模の共同演習Resolute Dragonを、米海兵隊から2,600名、陸上自衛隊から1,400名が参加して実施している。
 この演習では長距離での前方への補給が嘉手納基地とキャンプ富士を結んでMV-22 Ospreyにより行われている。
 また12月13~16日には日米のセンサと通信システムを共用したHIMARSの射撃を別々の2ヶ所で実施する。
 更に演習では航空自衛隊の空中給油機が米海兵隊機に空中給油を行っている。 (2201-120706)

12月 1日~13日: ヤマサクラ演習

 陸上自衛隊と米陸軍などによる日米共同方面隊指揮所演習ヤマサクラの開始式が12月5日に伊丹駐屯地で行われた。
 演習は1日から始まっており、期間中に日本側から3,500名、米側が1,500名が参加して座間や相浦などの駐屯地でも13日まで続く。
 日本が攻撃され有事に陥った際に展開する共同作戦の指揮能力の維持向上が目的でコンピュータを使った図上演習を行う。 (2201-120504)

6・1・3・6・4 陸海空合同

尖閣有事を想定した陸海空自と米海兵隊、陸海空軍の共同演習

 岸防衛相が3月16日にオースティン米国防長官と防衛省で会談し、尖閣諸島の有事に備えて自衛隊と米軍による共同演習を実施することで一致した。
 共同演習には陸海空自衛隊と米海兵隊と陸海空軍が参加し、尖閣諸島が侵略された場合の奪還や上陸を想定した役割分担などを確認する。
 領海侵入を繰り返す中国を牽制するのが狙いで、岸防衛相は「米軍と自衛隊が共に行動する姿を示すことが抑止力の観点から重要だ」と語った。 (2104-031703)

 日米両政府は尖閣諸島の防衛を想定した大規模な共同訓練を2021年内にも実施する調整を始めた。 陸海空自衛隊と米海兵隊や空軍が参加する合同演習となる見通しである。
 中国が海警局を準軍事組織に位置づける海警法を施行したのを踏まえ、不測の事態への共同対処力を高める。 (2104-032101)

 中国海警局艦が沖尖閣諸島の沖合で日本の領海への侵入を繰り返していることなどを念頭に、防衛省は自衛隊と米軍の共同訓練を今後、尖閣諸島周辺で重ねるなどして、日米両国の強固な連携を国内外に広く発信していきたい考えで、日米共同訓練を尖閣諸島周辺で重ねていきたい考えである。
 尖閣諸島を含む南西方面での共同訓練はこれまでも行われているが、今後は参加部隊を増やすなど規模を大きくする案のほか、より尖閣諸島に近い場所で行うべきだという意見もあり、日米間で調整を急ぐことにしている。 (2104-032302)

6・1・4 対中戦略

6・1・4・1 対中脅威認識と基本姿勢

菅首相が CSIS で譲歩する考えはないと強調

 米国を訪問中の菅首相が4月16日夜(日本時間17日午前)に戦略国際問題研究所 (CSIS) 主催のオンライン講演会で演説した。
 この日の日米首脳会談で最大の焦点だった中国について東シナ海、南シナ海などで一方的な現状変更の試みを継続していると指摘したその上で、主権に関する事項、民主主義、法の支配などの普遍的価値について、譲歩する考えはないと強調した。 (2105-041706)

岸防衛相が中国を一歩ずつ侵略と表現

 岸防衛相が4月22日に自民党議員の会合で講演し、海洋進出を進める中国について、「目立たないところで一歩ずつ侵略し、最終的には全部変わっている状況をつくろうとしている。 そうしたことを許さない」」と述べ警戒感を示した。 (2105-042302)

 中国外務省報道局長が4月23日、岸防衛相が尖閣諸島を巡り「中国は目立たないところで一歩ずつ侵略する」と警戒感を示したことについて「極めて無責任な発言だ」と強く批判した。
 中国はこれまで岸氏に対する批判を控えていた。 (2105-042303)

外交青書で深刻な懸念を明記

 外務省が4月27日の閣議で、2021年版外交青書を配布した。
 中国の軍事力拡大や海洋進出の動きについて安全保障上の強い懸念と指摘し、尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す中国の海警部隊の動きを、初めて「国際法違反」との表現で批判した。
 反体制的な言動を取り締まる香港の国家安全維持法の制定や新疆ウイグル自治区の人権状況にも触れ、日本として深刻に懸念していると明記した。 (2105-042704)

防衛研究所の中国の軍事動向に関する年次報告書

 防衛研究所が11月26日、中国の軍事動向に関する年次報告書を公表した。
 習近平国家主席が主導した人民解放軍の組織改革により、陸海空の従来領域と宇宙・サイバーなどの新領域で部隊を横断的に運用する「一体化統合作戦」能力が深化したと分析し、AIなどの先端技術を駆使した戦争への対応も進めていると指摘した。
 一方、高度科学技術人材について、民間との獲得競争を課題に挙げ、今後も多角的な観点から等身大の人民解放軍に注視し、その能力を継続的に評価していくことが緊要と強調している。 (2112-112608)

6・1・4・2 友好国との連携

6・1・4・2・1 外務防衛閣僚安全保障協議

 日本政府が、同盟国である米国や友好国との外務防衛担当閣僚による安全保障協議 (2-plus-2) を相次いで開催している。 4月にはドイツと初めて開き、同種の枠組みは8ヵ国を数えた。
 2020年に入り、政府は2月3日に英国とTV会議形式で2-plus-2を行ったのを手始めに、3月には米国、インドネシアと開催、4月のドイツで、早くも4ヵ国目となった。
 米国とは2020年内の再協議も確認している。
 東・南シナ海で軍事的な威圧行為を繰り返す中国を念頭に、抑止力を高めるため各国と連携を拡大する狙いで、防衛省幹部は「こんなに頻繁に行われるのは初めてだ」と話している。 (2106-050501)
6・1・4・2・2 日米の協力

日米首脳会談

 中国外務省が、4月16日にバイデン米大統領と菅首相が共同声明で台湾問題と尖閣諸島問題に言及したことに対し抗議した。 (2106-042809)

6・1・4・2・3 日米豪印の協力クワッド

バイデン政権の強化活性化姿勢

 米バイデン政権で国家安全保障問題を担当するサリバン大統領補佐官が1月29日、米シンクタンクのイベントで前任者のオブライエン氏と対談し、台頭する中国を念頭に日米とオーストラリア、インドで形成する枠組みクアッドの連携を重視する考えを明らかにした。
 サリバン補佐官は、インド太平洋地域で実質的な政策を立案する根本的基盤となるトランプ前政権の取り組みを強化し活性化すると述べた。 (2102-013002)

初のオンライン外相会合

 日米豪印4ヵ国首脳による初の会合が、2月中にもオンライン形式で開かれる方向で調整が進められており、これに先立ち外相会合が日本時間の18日夜に同様の形式で開かれることになった。
 2020年10月に東京で開かれた外相会合では、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた結束を確認している。 (2103-021708)

 日米豪印4ヵ国外相が2月18日に電話会合を開催した。
 クアッド (Quad) と呼ばれる4ヵ国の枠組みでの協議はバイデン米政権発足後初めてである。
 米国務省によると、テロ・偽情報対策や海洋安全保障などについても協議が行われた。 (2103-021901)

初のオンライン首脳会談

 複数の政府関係者が2月6日、日米豪3ヵ国がインドも加えたクアッドの枠組みでTV電話方式の首脳会談を開催する方向で調整に入ったことを明らかにした。 実現すれば初めてで、日米豪3ヵ国は前向きに検討しており、インド政府が同意すれば実現する。
 ただ、インドは中国を過度に刺激する事態を避けたい意向をにじませており、当初は外相会談にも消極的な姿勢を示していた。
 日本政府関係者は6日、首脳会談について「インドの反応を探っているという状況だ」と語った。 (2103-020603)

 日米豪印関係国筋が2月6日、4ヵ国が初の首脳会合をオンラインで開催する調整に入ったことを明らかにした。
 バイデン米政権が主導し対中けん制で結束を図りたい考えだが、各国に温度差もあり、開催がずれ込む可能性も残る。
 中国の海洋進出を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進に向けた協力などが議題となるとみられる。 (2103-020701)

 日米豪印の4ヵ国(QUAD)による初の首脳協議が近く開かれることを、2月18日夜の外相電話協議で初開催の方針を確認した。
 QUADの枠組みをめぐっては2017年に局長級、2019年に外相会談を初開催し、2020年10月の外相会談で定例化を確認した。 日本外務省関係者は「次は首脳級というのは皆が望んでいたことだ」と歓迎している。
 台頭する中国を牽制する狙いで始まったQUADの枠組みが、米バイデン政権のもと発展する。
 首脳協議に慎重だったインドに配慮し、日本政府は環境整備に腐心している。 (2104-030507)

 米大統領府が3月9日、日米豪印4ヵ国の首脳会合(クアッド・サミット)を12日にオンライン形式で開催すると発表した。
 COVID-19対応での連携を確認し、中国の台頭を念頭にインド太平洋地域の安全保障に関しても意見を交わす。
 また、国軍がクーデタで全権掌握したミャンマー情勢も議題となる模様である。 (2104-031001)

日米豪印4ヵ国首脳会合共同声明

 日米豪印4ヵ国が3月12日夜に初の首脳会合をTV会議方式で開催し、4ヵ国は年内に首脳会談を対面形式で行うことも申し合わせた。
 また自由で開かれたインド太平洋構想を推進し、法の支配に基づく海洋秩序維持での連携も確認した。 菅首相は東・南シナ海情勢を踏まえ中国の海洋進出を批判した。
 一方バイデン米大統領はCOVID-19ワクチンの生産拡大を加速させるための連携を表明した。 ワクチン外交を展開して軍事や経済で影響力を増す中国を念頭に置いて、発展途上国への支援で協力する。
 また自由で開かれたインド太平洋構想を推進し、法の支配に基づく海洋秩序維持での連携も確認した。 (2104-031202)

 日米豪印4ヵ国が3月12日夜に初の首脳会合をTV会議方式で開催した。
 各国首脳はCOVID-19対策を巡り、インド製のワクチンをアジアやアフリカの途上国などに供与するため、4ヵ国が協力することで一致した。 2021年内に対面による首脳会談を行うことでも合意した。
 菅首相は会談で、域内の情勢を巡り、中国による一方的な現状変更の試みに強く反対すると述べると共に、ミャンマーの国軍クーデターについても重大な懸念を表明した。 (2104-031301)

 日米豪印4ヵ国が3月12日夜に初の首脳会合をTV会議形式で開催し、13日未明に発表した共同声明で海洋安全保障の協力促進をうたった。
 中国に関しては名指しを避けたが、「東・南シナ海におけるルールに基づく海洋秩序に対する挑戦に対応する」との文言を盛り込み、北朝鮮の非核化、拉致問題の即時解決の必要性を確認した。
 またCOVID-19ワクチンに関する専門家作業部会を設置すると共に、日本はインドのワクチン製造に円借款を供与し、米国は2022年末までに10億回分製造するための資金協力を行うとした。
 会合ではワクチン、気候変動、革新的技術に関する3つの専門家作業部会を設置することでも合意し、気候変動対策のパリ協定の履行強化のため協力するほか、革新的技術については、中国が高いシェアを持つレアアースなどを念頭に、サプライチェーンに関する対話を行うとした。 (2104-031303)

 日米豪印4ヵ国が3月13日未明に海洋安全保障協力などを盛り込んだTV首脳会議の共同声明を発表した。
 共同声明は、公海自由の原則などを規定した国連海洋法条約の重要性に触れ、「東シナ海及び南シナ海におけるルールに基づく海洋秩序に対する挑戦に対応するべく、海洋安全保障を含む協力を促進する」と明記し、名指しは避けながらも東・南シナ海で軍事力を背景に一方的な現状変更の試みを強める中国を牽制するものになっている。
 非同盟を掲げるインドは、4ヵ国の枠組みが中国との対決色を強めることには慎重で、共同声明が安保協力に踏み込めるかどうかが焦点となっていた。
 菅首相は会議後の記者団に「日米豪印4ヵ国の連携を新たなステージに引き上げることができた」と成果を強調した。 (2104-031304)

クアッド拡大の可能性

 米大統領府国家安全保障会議 (NSC) インド太平洋調整官のキャンベル氏が聯合ニュースのインタビューで5月18日、「現時点でクアッドを拡大する計画はない」と述べた。
 21日の米韓首脳会談を控え、大統領府高官が今回の会談でクアッド問題を浮き彫りにしないことを確認した。 (2106-052003)

インドの消極姿勢

 インドのジャイシャンカル外相が5月20日に日経新聞の取材に応じ、モディ政権でのインドの基本的な外交方針について「多極化で推進する」と語り、日米豪と連携するQuadに傾斜することを避け、ロシアやEUなどとも協力を深める考えを示した。
 インドは5月にEU、英国と自由貿易協定 (FTA) の交渉再開について合意しており、こうした取り組みも同外相が言及した「外交の多極化」の一環とみられる。
 4月末に外務防衛担当閣僚協議 (2-plus-2) の新設で合意したロシアに関しては「強い外交関係には、強い軍事と安全保障の関係も必要になる」と指摘した。 (2106-052006)

 バルマ駐日印大使が6月15日に外国特派員協会で記者会見し、中国への対抗を念頭に置いた日米豪印4ヵ国の連携枠組みQuadについて、独立した国の外交方針と方向性が異なる場合には声を上げると述べた。
 バルマ大使は、Quadが共有する平和や核不拡散といった原則には従っていると述べる一方、インドが今後も非同盟の方針を貫くと強調した。
 Quad参加でインドが対中牽制に傾斜しているという見方が強まることを警戒し、中国への配慮も示した。 (2107-061506)

最先端技術に関する初会合

 日米豪印4ヵ国の連携枠組みQuadの最先端技術に関する初会合が7月13日開かれ、データ共有や人材交流などの協力を進める方針を確認した。
 会合は米国の呼びかけで行われ、各国の科学担当の閣僚級らがオンラインで参加した。
 7月下旬にも作業部会を開き、最先端技術の開発を加速させる中国への対抗を視野に、この分野での国際ルール作りを進める。 (2108-071401)

初の4ヵ国首脳直接会合

 複数の日米外交筋が7月18日、バイデン米政権が日本、オーストラリア、インドに対し、4ヵ国首脳による初めての直接会合を9月下旬に首都ワシントンで開くよう打診していることを明らかにした。
 バイデン大統領は専制主義と位置付ける中国の習近平国家主席と年内の直接会談を模索しており、これをにらんで民主主義陣営の結束強化を図る。 (2108-071803)

 複数の政府関係者が、日米豪印4ヵ国 (Quad) が対面式の初の首脳会議を米ワシントンで9月24日に開催する方向で最終調整に入ったことを明らかにした。
 菅首相が23日から訪米し参加しする。
 首相は自民党総裁選に出馬しない意向を表明しているが、首脳会議で4ヵ国の連携を改めて確認したい考えで、バイデン米大統領とも会談する方向で検討している。 (2110-091001)

 複数の関係者が、ワシントンで9月24日に開くQuad首脳会合の共同声明原案が22日に明らかにした。
 Quadがインド太平洋地域の平和や安定の力になると強調したうえで、中国艦による接近が続く尖閣諸島が位置する東シナ海や、南シナ海の一方的な現状変更の試みに反対して中国を牽制している。
 バイデン米大統領は21日の国連総会一般討論演説でQuad重視の姿勢を強調した一方、新冷戦は望んでいないと述べた。 (2110-092206)

 訪米中の菅首相が9月24日、日本時間の03:00すぎから米大統領府で、バイデン米大統領、モリソン豪首相、モディ印首相とのQuad首脳会合に望んだ。
 会合では、覇権主義的行動を強める中国を念頭に、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携を確認し、COVID-19対策、5Gなどの重要技術、気候変動対策などについて、議論の成果を盛り込んだ共同声明を発表する。 (2110-092501)

 日米豪印4ヵ国首脳が9月24日に米大統領府で初の直接会合を開き、台頭する中国を念頭に、民主主義陣営の結束を強調した上で、4ヵ国首脳外相会合を毎年開く方針で一致し共同声明を発表した。
 会合ではCOVID-19対応に加え新たにインフラ整備、宇宙やクリーンエネルギー分野で協力を進めることで合意し、日米が主導するインド太平洋重視戦略が加速した。 (2110-092502)

 9月24日に開催された日米豪印4ヵ国の枠組みQuadの首脳会議で、各国首脳は名指しこそしなかったものの、覇権主義を強める中国への牽制が事実上の焦点となった。
 ただ、米政府高官はQuadは地域安全保障機構ではないと明言しており、軍事的緊張が高まることに慎重な参加国に配慮して、COVID-19ワクチン供給など具体的な課題での成果を優先した。 (2110-092503)

米印協議

 インドを訪問中のブリンケン米国務長官が7月28日にジャイシャンカル外相らと会談し、対中牽制を念頭にした米印日豪の連携枠組み (Quad) での協力を深化させることを確認した。
 また、8月末の米軍完全撤収を前に激化するアフガニスタン情勢についても協議した。 (2108-072811)

Quad の共同海上演習実施へ

 インド国防省が8月2日、毎年行っている海上自衛隊、米海軍との合同海上演習マラバールを、2020年に続きオーストラリアも参加して西太平洋で実施すると発表した。
 日米豪印の連携枠組みクアッド内での協力を深め、インド太平洋地域で海洋進出を強める中国を牽制する狙いがある。
 豪州は2020年にベンガル湾とアラビア海を演習海域としたのマラバールに13年ぶりに参加した。
 インド海軍は8月上旬から2ヵ月の間に、マラバールに加え、豪州、ベトナム、フィリピン、シンガポール、インドネシアの海軍とそれぞれ2国間の演習も行う。 (2109-080304)

 日米印豪が10月11~14日、インド洋北東部のベンガル湾で共同訓練Malabar 2021のPhase 2を実施している。 (2111-101301)

4ヵ国局長級協議

 日米豪印のQuad 4ヵ国が8月12日に局長級協議をオンライン形式で2時間程度開き、自由で開かれたインド太平洋 (FOIP) の実現へ、海洋安全保障やサイバーセキュリティーなど様々な分野で協力を進めることで一致した。
 日本からは外務省の岡野正敬総合外交政策局長らが参加した。
 3月に実施したQuad首脳会談で設置を決めた作業部会の進捗も確認し、今後も定期的に協議し年末までに首脳会合を対面で開けるよう、事務方で調整していくことも確認した。 (2109-081301)

2回目の対面首脳会合

 複数の関係国筋が11月12日、日米豪印4ヵ国による協力枠組みQuadの2回目の対面首脳会合を日本で開催する方向で日本政府が3ヵ国と調整に入ったことを明らかにした。
 早ければ2022年春に実施される見通しで、覇権主義を強める中国をにらみ、経済安全保障の協力を進める。 (2112-111212)

 米国家安全保障会議 (NSC) でインド太平洋を担当するキャンベル調整官が11月19日の講演で、日米豪印4ヵ国の枠組みQuadの首脳会談を2020年に日本で開催する考えを示した。
 実現すれば、米国のバイデン大統領が就任後初めて来日することになる。 (2112-112001)

6・1・4・2・4 クアッドの拡大

クアッドからクイントへ

 複数の英メディアが1月30日までに、中国を念頭に置いた日米印豪4ヵ国連携の枠組みに英国が参加する可能性があると報じた。 香港の旧宗主国である英国は、香港民主派弾圧などで中国との対決姿勢を強めており、日米などとの同一歩調を模索しているとみられる。
 4ヵ国の枠組みは、トランプ前米政権が中国に対抗する手段として連携を進めたものだが、バイデン大統領も菅首相との初の電話首脳会談で4ヵ国の連携推進を申し合わせている。 (2102-013102)

韓国への参加打診

 韓国の鄭外交部長官が3月18日、米韓外交国防長官会談 (2-plus-2) で米国側と日米豪印戦略対話(クアッド)関連の議論はなかったと述べた。
 ただしブリンケン国務長官は別の記者のクアッド関連の質問に「クアッドは非公式的な同調国の集まり」としながら「さまざまなイシューに対して互いに協力していくもので、この部分でも韓国と緊密に協力を持続している」と答えた。 (2104-031803)

6・1・4・2・5 AUKUS からの誘い

英国防参謀長の認識

 オーストラリアの公共放送ABCが21日、英国防参謀長のカーター陸軍大将が米シンクタンクの新米安全保障センタ (CNAS) が開いたイベントで、米英豪3ヵ国による安全保障の枠組みAUKUSについて、日本などを含める形で拡大する可能性があるとの認識を示したと報じた。
 カーター大将は、英語圏5ヵ国による情報共有の枠組みFive Eyesを米英豪と構成するニュージーランドとカナダも、将来参加する可能性があるとの考えを示した。 (2111-102102)

6・1・4・3 対中経済安全保障

6・1・4・3・1 経済安保一括法制化

 政府が安全保障上重要な産業や技術への監督を強化するため、経済安全保障一括法の制定に向け調整に入った。
 一括法は、外資による重要企業への1%以上の出資を事前審査する外為法を基盤とする方向で、内閣官房が原案策定を開始し、外為法を所管する財務、経済産業両省のほか、個別企業を監督する総務、国土交通、金融など各省庁も協議に加わる。
 放送や通信、銀行などへの外資の出資やシステム整備を、経済安全保障の視点で監督できる仕組みを整える。
 外国資本による国内企業への出資を規制する外為法を軸に、放送、航空など個別業種に関連する法律の外資対応などを集約するもので、半導体をはじめとする戦略4品目の供給網強化策なども盛り込み、2022年の通常国会への法案提出を目指す。 (2108-072803)
6・1・4・3・2 経済連携の強化

日米豪が連携した海底ケーブル敷設

 国際海底ケーブルの敷設をめぐり、急速に勢力を拡大する中国に対抗して日米豪が連携を強化する。
 海底ケーブルは情報の抜き取りや遮断に使われる恐れがあり、安全保障上の重要なインフラになっていることから協力関係を深める。
 海底ケーブルのシェアは日米欧の企業が約9割を占めるが、華為技術(ファーウェイ)の傘下企業だった中国の華海通信技術が世界4位と存在感を高めている。
 太平洋地域での新たな敷設事業に3ヵ国が共同で関与し、各国の政府系金融機関などが計画を資金面で支援する。 (2105-041901)

脱炭素化へサプライチェーンを構築

 政府が、豪州、インドとの3ヵ国で脱炭素化に向けて資源、技術を相互に供給するサプライチェーンを構築する調整に入る。
 梶山経済産業相ら日豪印の経済担当閣僚が4月27日にオンラインで会談し、サプライチェーン強靱化計画の設置などを盛り込んだ共同声明を出す。
 水素やデジタルといった各国の得意分野を相互補完する枠組みで、東南アジア諸国にも参加を働きかける。
 再生可能エネルギーをはじめとした次世代技術で存在感を強める中国を念頭に地域間の連携で競争力を高める。 (2105-042701)

6・1・4・4 技術流出の防止

中国の千人計画への対策

 海外から優秀な研究者を集める中国の人材招致プロジェクトである千人計画に、少なくとも44人の日本人研究者が関与していたことが、読売新聞の取材でわかった。
 日本政府から多額の研究費助成を受け取った後、中国軍に近い大学で教えていたケースもあった。
 政府は経済や安全保障の重要技術が流出するのを防ぐため、政府資金を受けた研究者の海外関連活動について原則として開示を義務づける方針を固めた。 (2102-010102)

千人計画

 世界トップの科学技術強国を目指して、外国から優秀な人材を集める中国政府や省当局などの人材招致計画で、国家レベルでは2008年から実施されている。

国防7校

 中国の国家国防科学技術工業局の監督下にある北京航空航天大、北京理工大、ハルビン工業大、ハルビン工程大、南京航空航天大、南京理工大、西北工業大の7大学で、中国軍の兵器開発とつながりが深いとされる。

6・1・4・5 対中防衛を重視した部隊配置

6・1・4・5・1 南西諸島への部隊配置

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・1・4・5・2 支援部隊の配置

Ospray の配置

 防衛省が、陸上自衛隊のOspreyの佐賀空港への恒久的な配備計画に地元の理解が得られないことを受け、1月中にも佐賀空港に代わる候補地の選定に着手する。
 2020年7月に木更津駐屯地へ5年の期限で暫定的に配備したが、中国による南西方面の離島侵攻に備え迅速に展開することの危機感から、代替候補地は南西方面に近い九州の自衛隊基地を想定している。 (2102-010602)

 防衛省が1月22日、Ospreyが新たに5機を積載した船が米国を出発し2月上~中旬に岩国基地に陸揚げされる。 米側による整備や試験飛行などを実施後、木更津駐屯地に暫定配備される。
 オスプレイは2020年7月に最初の2機が木更津駐屯地に暫定配備され、将来は計17機体制となる。 (2102-012204)

6・1・4・5・3 航空自衛隊の配置

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・1・4・5・4 海上自衛隊の配置

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・1・4・6 対中防衛を想定した装備

6・1・4・6・1 超高速誘導弾

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・1・4・6・2 長距離対艦誘導弾

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・1・5 台湾との関係

6・1・5・1 台湾の地位への認識

台北の日本台湾交流協会に日本国旗を掲揚

 台北にある日本大使館に相当する日本台湾交流協会の玄関に、日本国旗が掲げられるようになった。
 今まで中国に気を使って控えてきた経緯があったが、これからは民主主義国と連携して対抗して行くという。 (2105-041707)

高市自民党政調会長の親台姿勢

 9月29日投開票の自民党総裁選に立候補した高市候補が21日、台湾の蔡総統とオンライン形式で20日に対談した動画を公開した。
 高市氏は経済安全保障への意欲を表明し、蔡総統は「日本には台湾および地域内の全ての国々と一緒に平和と安定を追求することを期待する」と述べた。 (2110-092104)

 自民党の高市政調会長が保守系議員の会合で10月5日、次期衆院選の公約に台湾の環太平洋連携協定 (TPP) 加入を明記する方向で検討していることを明らかにした。
 高市氏は先の総裁選で、台湾の蔡総統とオンラインで会談し、加入支援を表明していた。 (2111-100504)

6・1・5・2 台湾有事への対応

日米防衛相会談

 複数の日本政府関係者3月20日、バイデン米政権下で初めて行われた16日の日米防衛相による対面会談で、米中間の緊張が高まる台湾海峡で不測の事態が起きかねないとの懸念を共有し、台湾有事に際しては緊密に連携する方針を確認していたことを明らかにした。
 中台双方の対話による平和解決を追求する立場の日本が、台湾有事を議題としたことが明らかになるのは異例で、中国の圧倒的な軍備増強により地域の軍事均衡が崩れている現状に対する、日米防衛当局の危機意識が浮き彫りになった。 (2104-032102)

岸防衛相の与那国島を訪問

 岸防衛相が、台湾から110kmに位置する日本最西端の与那国島を訪問し、陸上自衛隊の沿岸監視隊を視察した。
 岸防衛相、我が国の安全保障にとってもとより国際社会の安定にとっても、この台湾の安定というものが重要であるとした上で、防衛省としても台湾をめぐる動向を引き続き注視していくとし、南西地域の防衛態勢の強化を着実に進める考えを示した。
 岸防衛相は自民党内でも親台湾派として知られ、就任後もたびたび中国の海洋進出の活発化に懸念を表明しているが、4月17日の視察は日米首脳が共同声明に台湾問題を明記する中、南西地域での自衛隊のプレゼンスを強調し、中国を牽制する狙いもあるとみられる。 (2105-041708)

法運用の本格的検討

 複数の政府関係者が4月24日、政府が菅首相とバイデン米大統領による首脳会談で台湾情勢が主要議題となったことから、台湾海峡有事が発生した際の自衛隊活動に関わる法運用の本格的な検討に入ったことを明らかにした。
 台湾有事の自衛隊活動に関しては、米軍などへの後方支援を行う重要影響事態か、集団的自衛権の行使を認める存立危機事態に該当するかどうかの判断が焦点となる。
 安全保障関連法に基づく「重要影響事態」や「存立危機事態」、日本が直接攻撃される「武力攻撃事態」に該当するそれぞれの状況や、自衛隊の役割を整理して必要な防衛力の強化を図るが、実際の適用は中国に配慮し、慎重に判断する方針という。 (2105-042402)

自衛隊と米軍が台湾有事を想定した共同訓練との報道

 英Finacial Times紙が複数の関係者の話として6月30日、自衛隊と米軍が台湾有事を想定した共同訓練を実施していると報じた。
 東シナ海や南シナ海で行われている公表済みの共同訓練に台湾有事のシナリオが盛り込まれている可能性があるという。 最高機密扱いの机上訓練も含むという。
 同紙によると、日米の当局者はトランプ前米政権末期から台湾有事を想定した対応の本格的な検討を始めており、日本側は米軍の台湾に関する作戦計画を共有するよう求めたが、米側は協力は段階的に進めるべきだとして難色を示したという。 (2108-070102)

 台湾国防部のシンクタンクが、米陸軍1,700名、自衛隊3,000名など過去最大規模の兵力が動員され、6月24日から18日間実施された今年の日米年次合同軍事演習Orient Shieldは尖閣諸島および台湾海峡に対する中国の脅威を想定したものだと分析している。
 台湾メディアが8月9日、台湾国防部のシンクタンク国防安全研究院 (INDSR) の研究員が国防安全誌で、日米年次合同演習orient Shield 21を分析して明らかにした。 また、日米が状況しだいでは台湾の防御を支援する可能性もあるという見方を示した。
 それによると冷戦中だった1985年にソ連の北海道侵攻を想定して始まったOrient Shieldが現在では中国との領有権紛争地域の尖閣諸島と台湾海峡に対する脅威を想定していると指摘した。 (2109-080902)

麻生副総理、台湾防衛発言

 麻生副総理が7月5日、日米は協力して台湾を防衛しなければならないと述べた。
 更にもし台湾が中国の手に渡れば次は沖縄だとも述べた。 (2109-071402)

高市政調会長、台湾防衛日米共同作戦系統の策定を

 自民党の高市政調会長が12月19日に東京都内での講演で、中国による台湾海峡危機に備え、日米の共同作戦の指揮系統を確立する必要性を訴えた。
 高市政調会長はまた、台湾海峡危機に備えた日米共同作戦系統の策定を訴えるとともに、多国間の共同訓練実施の重要性を強調した。
 更に、中国軍機による台湾の防空識別圏内への侵入が増える中、日台で航跡情報を共有したり、相互通報できる仕組みの構築の必要性を指摘した。 (2201-122001)

台湾有事に備えた日米作戦計画草案を起草

 共同通信が12月23日に匿名の政府筋の話として、日米が台湾有事に備えた作戦計画の草案を起草したと報じた。
 それによると台湾有事に際しては米海兵隊が南西諸島のどこかに応急陣地を構築するという。 The Guardian紙は24日に海兵隊は複数の陣地を構築すると報じている。 南西諸島には有人無人島が約200あり、応急陣地の候補には約40ヶ所が考えられる。
 共同通信によると米海兵隊は応急陣地にHIMARSを展開し、自衛隊が燃料、弾薬を含む兵站支援を行うという。
 岸防衛相は24日に台湾有事対応計画の立案について否定も肯定もしていない。 (2201-122710)

6・1・6 安全保障に関する日韓対話

6・1・6・1 米国を介した3国対話

4月 2日: 国家安全保障会議 (NSC) 責任者会合

 日米韓3ヵ国の国家安全保障会議 (NSC) の責任者による会合が4月2日にアナポリスで開催された。
 バイデン政権のもとでの開催は初めての会同に参加したのは、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)、北村国家安全保障局長、韓国大統領府の徐国家安保室長の3人で、ミサイル発射の再開で軍事的な挑発行動を見せる北朝鮮への対応を中心に協議するほか、中国との競争政策を念頭に半導体などのサプライチェーンのあり方についても協議する。 (2105-040206)

11月17日: 日米韓次官級協議後の共同記者会見を日本側が拒否

 シャーマン米国務副長官が11月17日、同日の日米韓次官級協議後に予定していた三者による共同記者会見について、日韓の意見対立を受けて取りやめたと明かした。
 具体的なテーマには言及しなかったが、在米日本大使館は「今回の次官級協議とは関係ない相違点があるため」と説明した。 (2112-111802)

 日米韓3ヵ国の外務次官協議が11月17日にワシントンで開かれた。 終了後に予定された3者の共同記者会見は、急遽シャーマン米国務副長官のみの会見に変更された。
 金韓国警察庁長官が竹島に上陸したことを踏まえ、日本側が拒否した。
 3ヵ国外務次官協議は対北朝鮮で3ヵ国が安全保障面の連携を示す場だったはずだったが、ホスト役のシャーマン副長官は「日韓間に今回の協議とは無関係の相違点があったため、会見形式を変更した」と説明した。 (2112-111804)

6・1・6・2 日韓直接対話

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・1・7 海上自衛隊の役割見直し

6・1・7・1 海上自衛隊の領海警備任務

維新と国民が自衛隊法などの改正案提出の方針

 中国海警局艦の領海侵入が続いていることを受けて、日本維新の会と国民民主党が領海警備の強化に向けて、自衛隊が警戒監視を担えることなどを明確にする自衛隊法などの改正案を、今の国会に共同で提出する。
 まとめた自衛隊法などの改正案では、自衛隊が必要な警戒監視や情報収集などを担えることを明記しているが、これらの活動は現状でも防衛省設置法の「調査・研究」の規定に基づいて行えるとしている。 しかし自衛隊法に位置づけることで、任務の根拠をより明確にするねらいがあるとしている。
 また警戒監視などの活動中の部隊が生命を守るためにやむをえない場合は武力の行使に至らない範囲で武器の使用を認める規定も設けられている。 (2106-052901)

6・1・7・2 陸自との関係見直し

6・1・7・2・1 陸自に輸送艦艇部隊

 複数の政府関係者が2月13日、政府が南西諸島に配置した陸上自衛隊の部隊に物資を運ぶ中型と小型の輸送艦3隻を2024年に導入する方針を固めたことを明らかにした。
 陸自への輸送艦配備は初めてである。
 中国艦が領海侵入を繰り返す尖閣諸島周辺の情勢を踏まえ、離島への弾薬や燃料、食料の安定供給網を構築するほか、水陸機動団の搬送も視野に入れる。 (2103-021402)

 岸防衛相が2月16日、南西諸島で陸上自衛隊の部隊へ物資を運ぶ目的で新編する計画の海上輸送部隊について、搭載能力2,000t程度の中型級船舶1隻と、数百トン程度の小型船舶3隻の計4隻の導入を検討していることを明らかにした。
 部隊の配備先や、船を陸自が保有するかについては決まっていないとして言及を避けた。 (2103-021602)

 岸防衛相が2月16日、離島防衛に供する輸送艦艇4隻を令和5年度までに調達すると述べた。
 4隻のうちの3隻は排水量が数百㌧の小型艇で、1隻は2,000t級の中型艦になると言う。 (2105-030310)

6・1・7・2・2 BMD の分担

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・1・7・3 海保との関係見直し

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・1・8 諸情勢への対応

6・1・8・1 武装工作員侵入への備え

警察との共同実働訓練

 福島県警と陸上自衛隊第44普通科連隊が12月3日、福島駐屯地で治安出動時の共同実働訓練を行い有事の連携を確認した。
 国籍不明の武装工作員が県内に侵入し、警察力では治安維持が難しいため、同連隊に治安出動命令が出た-との想定で県警と連隊から約100名が参加した。
 県警の機動隊員を自衛隊のヘリで運び、自衛隊車両を警察車両で先導する流れを確かめたほか、指揮拠点となる共同調整所の運営や、検問などの動きも確認した。
 この訓練は2003年に始まり10回目で、今回は初めてヘリを用いた。 (2201-120403)

6・1・8・2 装備体系の省人化

6・1・8・2・1 艦船の省人化

 防衛省が2030年代前半までに、護衛艦の4割を省力化され最新型に置き換える。 令和元年度時点で48隻の護衛艦を54隻まで増やし、そのうち22隻をFFMにする。
 船体をコンパクトにしたのに加え、監視カメラも多く搭載して見張りなどに従事する人員を減らし、消火装置といった艦内の機器の自動化も進め、人員配置を効率的にする。
 採用難でも防衛力を弱めない装備に変え、1隻あたりの乗組員を半数程度にして稼働する隻数を増やす。 (2102-011301)
6・1・8・2・2 無人戦闘機

 防衛省が2035年にも戦闘UAVを配備する方針で、次期戦闘機と同時期の導入をめざす。 複数の有人機やUAVを通信でつなぎ、一体的に運用して探知や迎撃をする。
 防衛省によると、中国は超音速巡航が可能な第四世代戦闘機を1,000機以上保有し日本の3倍に達し、日本が数的に劣勢である。 (2102-010101)
6・1・8・3 防疫体制の強化

6・1・8・3・1 COVID-19 対応

COVID-19 感染再拡大への対応

 政府はCOVID-19感染再拡大を受け、患者治療にあたる病床を増やす自治体向けに自衛隊派遣の態勢を整えた。 現地の対応力が高まるまで2週間程度の期間限定での対応を検討する。
 保有するヘリコプタなどの装備品を活用し、離島の患者を搬送する対処も準備する。
 自衛隊には約1,000名の看護官が勤務しているが、保有する全国の病院や駐屯地の医務室などで勤務しているため大量の人員を派遣できるわけではない。 自衛隊中央病院は2020年12月末にCOVID-19対応病床を10床から61床に拡充しており、ここでの治療にも人員をさかれている。 (2102-011601)

COVID-19 ワクチン大規模接種センタの開設、運営

 菅首相が4月27日に岸防衛相に対し、COVID-19のワクチン接種を迅速に進めるため、東京都内に大規模接種センタを5月24日を目標に開設するよう指示した。
 期間は3ヵ月間で防衛省が中心となって運営し、自衛隊の医官や看護官が接種に従事する。 大阪府を中心とする地域のセンタ開設支援への対応も検討する。 (2105-042705)

6・1・8・3・2 病院体制の見直し

中核病院の指定と地方病院の統廃合

 防衛省は全国に点在する自衛隊病院を令和3年度にも再編し、首都圏の3病院の機能を拡充して感染症や災害対応の中核病院と位置づけ、COVID-19の感染拡大や相次ぐ災害を受け、病床拡張など非常時の対処力を高める。
 中核病院となるのは自衛隊中央病院と横須賀病院、新設の入間病院で、入間は3年度末に開業し、横須賀は同年度中に建て替えに向けた調査工事に入る。
 一方地方病院は阪神病院など地方都市に近い病院を残しつつ、6病院を診療所に縮小するか廃止し、現状16の病院を11の体制にして、廃止する病院の人材は中核病院に移す。 (2102-011701)

北極域研究船の病院船としての活用

 政府が令和8年度の完成に向けて建造中の北極域研究船を緊急時の病院船として活用する方針を固めた。
 平時は気象観測にあたり、大規模災害時には被災地に駆けつけ災害対応拠点として運用する。 専用の病院船を新造するよりもコストを抑えつつ、医療支援の充実を図る利点がある。
 建造費は335億円で、文部科学省が所管する海洋研究開発機構が今年度建造に着手している。
 研究船は全長128m、幅23mで砕氷機能があり北極の気象観測を行うが、船員用の医務室を利用して被災者らの診療にあたるほか、患者や避難者のために65~75人分の宿泊部屋を提供でき、船内の風呂やシャワーは1日最大960人分、水は最大75万立提供でき、携帯電話などの充電用の電源も用意できる。
 また、治療室や検査室などとして使える医療用コンテナユニットを被災地に運び、ヘリポートを活用して緊急物資の輸送や人員搬送などにも役立てる。 (2109-080405)

6・1・8・3・3 衛生科装備の充実

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・1・8・3・4 病院船の建造

建造の見送り

 政府が3月30日、大規模災害時などに医療拠点となる病院船の導入を当面は見送る方針を決めた。
 医療従事者や運航要員の確保、平時の活用法が課題となっており、さらなる検討が必要と判断した。
 病院船を巡っては、COVID-19の感染拡大や相次ぐ自然災害を受け、与野党から早期導入を求める声が出ていて、政府は令和2年度第1次補正予算に調査費を計上していた。 (2104-033001)

6・1・8・4 沖縄基地問題

6・1・8・4・1 辺野古移転問題

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・1・8・4・2 沖縄県の対応

 沖縄県は3月25日までに、沖縄の日本復帰50年に向けた米軍基地に関する政府要請について、在沖海兵隊の撤退を盛り込む方針を転換し、在沖海兵隊の段階的な整理・縮小などという表現を検討している。 基地従業員や地権者の不安に配慮したことが背景にある。
 金城知事公室長は25日の米軍基地関係特別委員会で要請案を説明し、要請時期については「年度明けの適切な時期を検討していきたい」と述べた。 (2104-032602)
6・1・9 大規模演習

6・1・9・1 陸上自衛隊演習

 陸上自衛隊が2021年9月から11月にかけて、島嶼有事などを想定した過去最大規模の演習実施に向けた最終調整を進めており、近く概要を公表する予定である。
 全国規模の演習は28年ぶりで、ほぼ全隊員の約14万人が参加する。
 防衛省によると、全国規模の演習は過去4回の実績があり、平成以降では2度目で、直近の1993年は3週間で約14万人が参加した。 (2104-032301)

 陸上自衛隊が9月9日、全国の全ての部隊を対象にした大規模演習を9月15日~11月下旬に実施すると発表した。
 1993年以来28年ぶりで、隊員約10万人が参加し、鹿児島県を含む九州の演習場などに北海道や東北、四国の部隊を展開する。
 陸上幕僚監部によると、大演習には車両2万両、航空機120機が参加し、出動時の食料積み込み、隊員や装備品の輸送、予備自衛官の招集、通信基盤構築など作戦の準備段階を重視して訓練する。 移動には民間フェリーが活用され、海自、空自、在日米陸軍の支援も受ける。
 九州では第14旅団に加え、北海道と東北の師団が陸路や海路で機動展開訓練をする。
 地元説明などによると、霧島演習場、福山演習場、国分駐屯地、えびの駐屯地に9月下旬に中部方面隊第14旅団の3,100名、車両800両が展開する。 (2110-091002)

 陸上自衛隊が10月4日、令和3年度陸上自衛隊演習の一部を日出生台、十文字原の両演習場で公開した。
 9月15日に始まった演習は予備自衛官を含む100,000名、車両20,000両、航空機120機が参加し11月下旬まで行われる。
 演習は尖閣諸島や台湾を巡る有事における九州への部隊投入が念頭にあるとみられ、師団や旅団ごとに隊員の移動や装備品などの輸送手段を確認することが主な目的で、戦闘訓練は含まれていない。
 九州では、第2師団と第6師団、第14旅団の12,000名が日出生台と十文字原のほか、大矢野原、霧島の各演習場でも訓練している。 (2111-100503)

6・1・9・2 統合演習

 統合幕僚監部が11月11日、陸海空自衛隊に加え米軍も参加する実動の統合演習を19日から30日まで各地で行うと発表した。
 今回は初めて実動演習に指揮所演習を連携させるほか、F-35が初めて参加する。
 自衛隊の統合演習は毎年、実動演習と指揮所演習を交互に行っており、統合運用体制になってから15回目となる今年は実動演習と指揮所演習を連携させ、指揮所からの指示と実際の動きが連動することを確認する。
 実施場所は東北地方太平洋側や四国沖、鹿児島県の種子島、長崎県の津多羅島などで、人員30,000名、車両1,900両、艦艇10隻、航空機140機、米軍から5,800名が参加する。 (2112-111108)

 統合幕僚監部が11月19日から実施している自衛隊統合演習の一環で、21日午前に沖縄市の中城湾港新港地区に民間チャーター船はくおうが入港し、県外部隊の装甲車やトラックなどの陸上自衛隊車両約80両を陸揚げした。
 はくおうは21日08:00頃までに中城湾港新港地区南側の岸壁に接岸し、船体後部のランプウェイを岸壁に接続し、隊員らの誘導に従って09:00頃から約1時間かけて車両を上陸させた。 車両の大半には陸自の第42即応機動連隊の表記があった。
 今回の自衛隊統合演習では、県内では初となる民間港を利用した輸送訓練を実施していて、19日には海上自衛隊の輸送艇が石垣港に入港し、与那国島の祖納港へ向かった。 (2112-112102)
【註】17,345総㌧のはくおうは高速マリン・トランスポート社が所有し防衛省がチャーターする貨客船で、平時の訓練や整備は元の所有者である新日本海フェリーが行っている。
 1996年に運行を開始したが2012年6月に定期船としての運行を終え、2012年12月に防衛省にチャーターされ北朝鮮のBM発射に備えた部隊輸送のため石垣島へ運航した。 防衛省は2015年に民間資金により設立された特別目的会社と20年間の使用契約を締結した。

 11月19日から30日まで全国各地で行われている自衛隊の統合演習で、鹿児島県内では21日から鹿屋と種子島を拠点に離島防衛を想定した訓練が始まった。
 21日朝には鹿屋航空基地から陸上自衛隊員が輸送機で種子島に向かい、空挺降下した。
 県内ではこのほかに、種子島と奄美大島で電子戦の訓練などが始まっている。
 22日からは鹿屋基地と種子島で、SSM部隊などが参加する訓練が始まり、24日には米海兵隊も参加する。
 統合演習には陸・海・空の自衛隊30,000名と米軍5,800名が参加している。 (2112-112103)

 令和3年度自衛隊統合演習が11月19日~30日に実施されているが、24日に海上自衛隊鹿屋基地に普天間基地から米海兵隊のKC-130 2機が飛来し、IAMD・統合対艦攻撃訓練に参加した。  統合幕僚監部によると、鹿屋基地には航空自衛隊のE-2C等や米海兵隊の輸送機及び地対艦ミサイル部隊が、また種子島には陸上自衛隊の地対艦ミサイル部隊が展開する。 (2112-112501)

6・2 防衛予算

6・2・1 全般傾向

防衛費の推移

 中国軍の近代化と独善的なやり方により、日本の防衛力増強の政治的な圧力が強まっている。 (2106-052604)
【註】円建てで見たわが国の防衛費は令和元年度、2年度に5%程度の上昇を示しているが、ドル建てで見ると逆に減少傾向であるのが興味深い。

6・2・2 令和3年度防衛予算

6・2・2・1 令和3年度当初予算

 日本政府が2月17日、在日米軍54,000名に対する令和3年度の在日米軍駐留経費負担、所謂「思いやり予算」を2.017億円とすることで合意した。
 令和2年度は2,005億円であった (2105-030306)
6・2・2・2 令和3年度予算の補正

補正予算案の総額

 政府は令和3年度補正予算案で防衛費として補正予算で過去最大となる7,000億円超を計上する見通しとなった。
 4年度当初予算案の概算要求で盛り込んだ哨戒機や輸送機、機雷などを前倒しで調達するもので、補正予算の枠で装備品を新規に取得するのは異例である。
 当初予算の5兆3,422億円と合計すると3年度の防衛費は6兆円になる。 (2112-111811)

 複数の政府与党関係者が11月22日、編成を進める令和3年度補正予算案に計上される防衛費が在日米軍に関わる経費などを含んで7,700億円に上り、このうち3割を哨戒機や輸送機などの新規購入に充てる見通しになったことを明らかにした。
 検討中の補正予算案では、今年度の新規契約費として2,500億円、過去に契約した装備品の分割払いの経費として4,300億円をそれぞれ充て、哨戒機や輸送機のほかミサイルや魚雷などを増やす。
 装備品は当初予算案に計上されることが多いが、令和4年度当初予算案に計上する予定だった経費を前倒しして防衛力強化を加速させる。 (2112-112209)

7,738億円の補正予算案

 政府が11月26日に閣議決定した令和3年度補正予算案に、防衛費を補正では過去最大の7,738億円計上した。
 防衛力強化を急ぐため防衛省が4年度当初予算案の概算要求に盛り込んだ装備品調達費を前倒しした結果、年度を通した防衛費は初めて6兆円を超える。
 防衛費の補正での過去最高額は2次にわたり補正を組んだ元年度の4,545億円で、3年度当初予算には5兆3,422億円を計上しており、当初と補正の合計は前年度比7%増の6兆1,160億円となる。
 BM、CMに対応可能なPAC-3MSE弾の導入に441億円、基地防空用SAMに103億円を盛り込んだがいずれも概算要求からの前倒しで、納入時期が数ヵ月早まる見通しである。 このほかにP-1 3機に658億円、C-2 1機に243億円の取得費を新規計上する。
 更に過去に契約した装備品の分割払い経費には4,287億円を確保した。 (2112-112609)

 政府が11月26日に決定した令和3年度補正予算案で防衛関係費に、補正予算で計上する額としては過去最大となる7,738億円を充てた。
 当初予算とあわせると6.1兆円で、当初と補正をあわせた防衛費はGDP比で1%を超して1.09%となる。
 当初予算と補正予算を単純合算した額がGDP比1%を超えたのは平成24年度 (2012~2013年) 以降の10年間で8回あったが、令和3年度のGDP比の水準は10年間で最も高い。 (2112-112701)

 政府が11月26日に決定した令和3年度補正予算案で防衛関係費に、補正予算で計上する額としては過去最大となる7,738億円を充てた。
 当初予算とあわせると6.1兆円で、当初と補正をあわせた防衛費はGDP比で1%を超して1.09%となる。
 当初予算と補正予算を単純合算した額がGDP比1%を超えたのは平成24年度 (2012~2013年) 以降の10年間で8回あったが、令和3年度のGDP比の水準は10年間で最も高い。 (2112-112701)

補正予算案が成立、6兆1,160億円の令和3年度防衛費

 令和3年度補正予算が12月20日に参院本会議で可決成立した。
 一般会計の追加歳出は過去最大の35兆9,895億円で、3年度の歳出総額は当初予算から3割増の142兆円に達する。 財源の6割は国債を発行して賄う。
 防衛費は補正で7,738億円を充て、年度当初予算の5兆3,422億円と合わせ6兆1,160億円となった。 (2201-122005)

6・2・3 令和4年度防衛予算

6・2・3・1 防衛費の総額、GDP 比1%枠

官房長官発言

 加藤官房長官が防衛費について20日の記者会見で、GDP比1%枠内に抑えるという考え方は取っていないと述べ、目安としてきた1%枠にはこだわらない考えを示した。
 防衛費をめぐっては、1976年に三木内閣がGNP比1%を超えないことを閣議決定したが、中曽根内閣が昭和62年度から枠を撤廃したものの、平成2年度以降はリーマン・ショックでGDPが落ち込んだため1%を超えた平成22年度を除き1%未満で推移している。 (2106-052005)
【註】COVID-19パンデミックからリーマン・ショック時以上にGDPの伸びが止まり、むしろマイナス成長になる危険性があることから、防衛費を大きく増額しなくても1%を越える可能性があるための布石で、防衛費の大幅増額を意味するものではないと思われる。

防衛省の方針

 防衛省は昭和62年度以来続けてきた防衛費をGDPの1%以内にするとの制約を最早受けないとの方針を示した。 (2108-060902)

 令和4年度の予算概算要求に防衛省は防衛関係費を大幅増額する方針で、予算編成は防衛予算をどこまで増やすかが一つの焦点となる。
 3年度予算の防衛費のGDP比は0.95%だったが、米国は3%超、英国やフランス、ドイツも1%を超えている。 2年度の国防費の伸び率でも日本は1%程度で、米国の5.4%や中国の6.6%などと比べて低い。
 COVID-19感染拡大で3年度の当初見通しのGDPは前年度比で減少したため、3年度予算の概算要求で防衛省が示した5兆4,898億円は同年度のGDP比で0.98%に達する。
 令和4年度概算要求で要求額を1,000億円増やすだけでGDP比1%を超えることになる。 (2108-070602)

財務相の発言

 麻生財務相が8月10日、令和4年度以降の予算編成で防衛費は絶対的なものでなくて相対的なものだと延べ、相手の軍事費が伸びればそれに合わせて対応するのが当然だと防衛費の増額に理解を示した。
 軍備増強を進めている中国の2021年国防費は1兆3,553億元(23兆円程度)と日本の4倍ほどある。 (2109-081006)

菅首相の発言

 News Week誌が8月12日、菅首相が7月29日に行われたインタビューで日本の防衛予算について、「日本を巡る安全保障環境は厳しさを増している」と述べ、宇宙やサイバー分野を例に挙げ、防衛費をGDPの1%以内に抑えるというこれまでの目安にとらわれず必要な防衛費は確保すると表明した。
 また、台湾有事が発生した際の日本政府の対応を問われ「日米同盟に基づき沖縄が確実に守られるようにするのが重要な目標だ」と語った。 (2109-081205)

5兆4千億円超の概算要求

 政府関係者が19日、防衛省が令和4年度予算概算要求で、過去最大の5兆4千億円超を計上する方針を固めたことを明らかにした。 目安とされる国内総生産の1%を上回る可能性がある。
 軍拡を急速に進める中国への対処をにらみ南西諸島の防衛力を強化すると共に、装備の研究開発費を大幅に増やし、3千億円前後とする方向で調整する。 このため防衛装備庁の百数十人増員を求める。 (2109-081903)
【註】2020年9月に防衛省が行った令和3年度予算概算要求は5兆4,898億円であり、4年度の概算要求が5兆4千億円台であれば最大でも前年度比0.2%増にしかならなず、物価上昇を考えると実質大幅減になる。
 因みに12月に決定した政府原案で令和3年度予算案の防衛関係費は前年度比0.5%増の5兆3,422億円であった。

自民党、1%突破を選挙公約

 自民党が10月12日、衆院選の政権公約を発表した。
 軍備増強を図る中国や北朝鮮を念頭に、力による対抗策に重きをおいた安全保障政策を打ち出している。
 安全保障分野では、海上保安庁の体制拡充と自衛隊との連携強化を明記し、「敵基地攻撃能力」との文言はないものの、相手領域内でのBMなどを阻止する能力の保有を含めて、抑止力向上の新たな取り組みを進めるとした。
 さらに、令和4年度から防衛力を大幅に強化するとし、新たな国家安全保障戦略や防衛大綱を策定するとして、防衛費についてGDP比2%以上も念頭に増額を目指すと踏み込んでいる。 (2111-101205)

 日本で10月31日に行われる総選挙で与党の自民党 (LDP) がマニフェストで、防衛費をGPDの1%から2%に引き上げるとした。 (2112-102711)

公明代表が防衛費1%超えを容認

 公明党の山口代表が10月26日のBSフジの番組で、政府が防衛費の目安としてきた国内総生産 (GDP) 比1%枠について「周辺の安全保障環境の厳しさを考えれば、ある程度超えても仕方ない部分はある」との認識を示した。
 同時に「防衛費だけが突出して倍増することは、国民の理解を得られない。 おおむね1%前後としながら対応していく姿勢が基本だ」とも強調した。 (2111-102604)

6・2・3・2 概算要求

F-35A/B の調達

 政府関係者が8月12日に、防衛省が令和4年度予算概算要求に、F-35AとF-35Bを合わせて10機程度追加取得するための経費1,000億円超を計上する方針を固めたことを明らかにした。
 中国の海洋進出への備えを急ぐため、6機分650億円を計上した3年度予算からほぼ倍増させる。
 政府は2018年に策定した中期防で元年度~5年度にF-35A 27機、F-35B 18機の計45機を導入するとしているが、計画3年目の3年度までに計上できた取得費はF-35Aが13機、F-35Bが8機分の計21機と、予算化は遅れ気味である。 (2109-081204)

第2宇宙作戦隊の新編、川内駐屯地に電子戦部隊

 政府関係者が8月22日、防衛省が来年度に航空自衛隊の宇宙専門部隊を増強し、日本の人工衛星への妨害監視を担う第2宇宙作戦隊を新編する方針を固めたことを明らかにした。
 また南西諸島防衛強化の一環としては、陸上自衛隊の電子戦部隊を川内駐屯地に新設することも、来年度予算の概算要求に盛り込む。 (2109-082201)

概算要求の総額

 岸防衛相が8月25日に自民党国防部会などの合同会議に出席し、来年度予算概算要求で5兆4,797億円を計上すると表明した。
 本年度当初予算の5兆3,422億円から2.6%増であるが、要求段階で金額を示さない「事項要求」も含まれており、最終的に過去最大となる見通しである。 (2109-082503)
【註】令和3年度予算概算要求は5兆4,898億円であった。

総額5兆4,797億円の概算要求

 防衛省の令和4年度予算の概算要求は5兆4,797億円となった。
 過去最大だった3年度当初予算比で2.6%増加しており、年末の予算案決定時に防衛費の目安となっている対国内総生産 (GDP) 1%を超える可能性もある。
 F-35を31年度の2倍にあたる12機取得する方針で1,300億円を計上した。
 次期戦闘機の開発費用は1,047億円で、戦闘機を支援するUAVの研究費用として98億円も盛り込んだ。
 例年2,000億円超を計上している米軍再編関係経費など一部が金額を示さない事項要求となっており、予算編成時に総額が膨らむことも見込まれる。 (2109-083104)

 防衛省が8月31日に令和4年度予算の概算要求を発表した。
 総額は5兆4,797億円で、3年度当初予算の5兆3,422億円から2.6%増だが要求段階で金額を示さない「事項要求」が含まれており、年末に編成する予算案は最終的に過去最大となる見通しである。
 ゲーム・チェンジャーとなる先端技術の研究開発に集中投資しており、研究開発費は3年度当初比1,141億円増の3,257億円で過去最大となった。 (2109-083106)

 防衛省が8月31日、総額5兆4,480億円の令和4年度予算概算要求を公表した。
 この額には駐留米軍経費が含まれていないことから、最終的には5兆6.000億円になると見られる。 (2111-090802)

輸送艦艇の建造

 防衛省が8月31日午後に公表した令和4年度予算概算要求によると、沖縄県外や沖縄本島から島嶼地域へ部隊や物資を輸送する目的で、搭載能力1,700t程度の中型船舶1隻、350t程度の小型船舶1隻の建造費として102億円を盛り込んでおり、最終的には中型船舶1隻、小型船舶3隻の4隻をそろえる方針で、南西有事に備えて、県外にいる部隊を南西諸島に迅速に展開できることを目指す。 (2109-083103)

6・2・3・3 政府原案

GDP 1%を超える5兆4,000億円規模

 政府は令和4年度当初予算案の米軍再編経費を含む防衛関係費を防衛費の目安としてきたGDPの1%以内の枠を超える5兆4,000億円規模とする最終調整に入った。
 3年度補正予算案に積んだ7,700億円とあわせて防衛力強化加速パッケージと位置付けており、6兆円を上回る規模にして日本の防衛力強化の土台とする。 (2201-121102)

 政府が閣議決定した令和4年度予算案で、防衛費が10年連続増額の5兆4,005億円で過去最大となった。
 7,738億円を計上した3年度補正予算と合わせて防衛力強化加速パッケージと位置づけ、防衛費の大幅な増額に取り組む。 (2201-122404)

 12月24日に閣議決定した令和4年度予算案で、防衛費はデジタル庁への計上分を含め5兆4,005億円で、4年度のGDP見通しとの比較では0.957%となり1%枠内に収まったが、旧軍人の恩給費や海上保安庁予算などを含めるNATO基準では1%超になる。
 防衛省は3年度補正予算に7,738億円を計上しており、岸防衛相は「合計額は初めて6兆円を超えて大幅な増額となった」と胸を張った。
 具体的には、SM-6の取得費202億円を初めて計上し、長射程CMを艦艇や戦闘機からも発射可能にする開発費393億円を盛り込んだ。 南西諸島の防衛力強化では、西之表市馬毛島で進める自衛隊基地の建設に3,183億円を計上した。 (2201-122410)

6・3 ミサイル防衛

6・3・1 早期警戒、探知追随

6・3・1・1 監視衛星

最新技術の調査研究

 毎日新聞が1月24日、防衛省が北朝鮮や中国などの新型ミサイルを人工衛星で監視する最新技術の調査研究を委託するために競争入札を行ったが、最安値の22円を出した三菱電機が落札したと報じた。 防衛省は14日に三菱電機と正式に契約を結んだ。
 防衛省は超高速滑空兵器を開発する中国、ロシア、北朝鮮などの脅威に対応するため、人工衛星でミサイルを探知追随する新技術の研究事業を推進していて、令和2年度予算にこの研究事業費用として8,800万円を計上していた。
 同紙は関係者の言葉を引用し、人工衛星による警戒監視やリム観測研究開発の将来性を踏まえ、どうしても受注したかったのではないかと、三菱側の低額入札の背景を分析した。 (2102-012503)

衛星コンステレーションに関するタスクフォース

 防衛省が9月27日、ミサイルの捕捉追随などに当たる衛星コンステレーションに関するタスクフォースの初会合を開いた。
 防衛省は2020年度以降、衛星コンステレーションに関する研究を実施しており、今回発足したタスクフォースは先行する米国との協力などを検討し、導入の可否や運用の方法について早期に結論を得るとしている。 (2110-092702)

6・3・1・2 UAV の活用

 防衛省が、Mach 5以上の超高速ミサイルの早期探知を可能にするため、UAVの活用を検討している。
 すでに検証を終えているBM探知システムを応用する。 (2109-080709)
6・3・2 Aegis Ashore 代替

Aegis艦2隻建造の方針

 岸防衛相が2020年12月9日、計画を中止したAegis Ashore 2個システムの代替としてAegis艦2隻を追加建造すると述べた。 (2102-121604)

洋上イージス稼働日数は陸上の1/3と試算

 関係者への取材で、防衛省が2020年11月にAegis Ashoreの代替艦がミサイル警戒に従事できる期間が年間126日と試算されていたが公表されなかった。
 Aegis Ashoreは24時間365日、日本全体をカバーできるとの触れ込みだったが、代替艦はその1/3しかカバーできないことになる。 (2103-021701)

代替艦は多胴船型を検討

 政府がAegis Ashore代替として建造するAegisシステム搭載艦に多胴船形を検討しており、近く設計に関する調査研究を民間企業に委託する。
 多胴船形は単胴形と比べて波の影響を受けにくいことから、迎撃ミサイル発射に適しているというメリットがあり、甲板を広く取れ、大型装備品の搭載も可能になる。
 ただ、海上自衛隊での導入実績が少ないことなどから、単胴型と比べて建造費がかさむことが想定される。 (2105-042902)
【註】米海軍がIndipendence級LCSで三胴型を採用したことなどから、防衛省は「高速多胴船」を日米共同研究に取り上げると共に、装備庁はかねてから海上自衛隊に対し多胴型艦の提案を行ってきていた。

代替艦は艦隊を組まず単独運用

 複数の政府関係者が5月11日、Aegis Ashore代替策として新造するAegisシステム搭載艦2隻について、防衛省が艦隊を組まずに単独での運用を検討していることを明らかにした。
 単独運用で課題となる自己防護能力は、地上から航空機などが援護する運用を想定している。 (2106-051202)

概算要求への代替艦建造費要求見送り

 政府関係者が8月7日、防衛省が令和4年度予算概算要求にAegis Ashoreの代替となるAegis System搭載艦の建造費計上を見送る方向で調整に入ったことを明らかにした。
 運用や設計に関する方針が定まっていないことが理由という。
 建造費の計上が遅れることで、同艦の運用開始は9年度以降になりそうである。
 代わってSPY-7の塩害対策などの改修費用については、概算要求に盛り込む。 (2109-080801)

 防衛省が来年度予算案の概算要求について5兆4,000億円余りを計上した。
 Aegis Ashoreの代替であるイージスシステム搭載艦の建造費に関しては研究中との理由から計上を見送り、搭載するレーダの改修費用のみを計上した。
 これにより配備が当初の目標から大幅に遅れる可能性も出てきた。 (2109-083107)

ソフトウェア J7.B の試験に成功

 米MDAと海軍が8月26日、日本がAegisシステム搭載艦 (ASEV) にSPY-7レーダを搭載するのに伴うソフトウェアJ7.Bの試験に成功した。
 J7.Bは米海軍のBaseline 9を元に既に就役しているJ7を元にしている。 (2110-091007)

6・3・3 BMD システムの整備

SM-3 Block ⅡA を発注

 防衛装備庁が2020年12月18日、SM-3 Block ⅡAを米国に300.8億円で発注した。
 米国防安全保障協力局 (DSCA) は2019年8月に、SM-3 Block ⅡA 73発を$3.29BのFMSで日本へ売却することを国務省が承認したと発表している。
 これより先の2018年1月にDSCAはSM-3 Block ⅡA 4発の$133.3Mでの対日輸出を承認している。 (2104-022407)

6・3・4 BMD 実行動

6・3・4・1 部隊の展開

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・3・4・2 防空/BMD 演習

2月2日: 春日井駐屯地で PAC-3 の機動展開訓練

 航空自衛隊が2月2日、陸上自衛隊春日井駐屯地で、PAC-3の機動展開訓練を実施した。
 各地で行う訓練の一環だが、防衛省は米国のバイデン政権の対北朝鮮政策によっては、北朝鮮がBMの発射に踏み切る可能性があるとみて警戒を強めている。 (2103-020206)

2月22日~26日: 日米共同統合 IAMD 訓練

 BM対処要領などをシミュレーションで演練する令和2年度日米共同統合IAMD訓練が2月22日から26日まで、全国の各駐屯地、基地と米海軍横須賀基地などをつないで行われた。
 同訓練は海自と米海軍が平成22年度から行っているBMD特別訓練を同29年度から空自のPAC-3部隊を加えて統合化したもので、4回目となる今回は昨年3月に宮古島に移駐した7高特群が初めて加わった。
 訓練は日本側が、統幕運用部長の下淳市海将を統制官に、統幕、陸自の陸上総隊、2高特群、8高特群、2高特団、3、8高特群、15高特連、高射学校教導隊、自衛艦隊、護衛艦こんごうあたご、空自航空総隊、南西空、南警団、1高群、3、3、7基地防空隊が参加し、米側からは第7艦隊司令官のマーズ中将を統制官に同司令部と艦艇数隻が加わった。 (2104-030903)

10月24日: マクレガー射場で中SAM部隊と空自Patriot部隊が協同射撃訓練

 米ニューメキシコ州のマクレガー射場に同時期に派遣されていた陸自中SAM部隊と空自Patriot部隊が10月24日に初の協同射撃訓練を行い、陸・空の協同対処能力を向上させた。
 射撃当日は最初に陸自15高射特科連隊(八重瀬)と空自2高射群(春日)の隊員が一堂に会し、射撃に関する調整と準備を実施したのち、両隊は射場内で対空情報を共有しながら、15高特連は中SAM、2高群はPAC-2弾を飛来する目標に向けて発射した。 (2112-111714)

6・4 我が国周辺の警備

6・4・1 周辺安全保障政策

6・4・1・1 グレーゾーン対処

玉虫色表現の自民提言

 自民党国防、国土交通両部会などがとりまとめる尖閣諸島の防衛に関する提言原案が31日に判明した。
 尖閣周辺で中国海警船による領海侵入が常態化していることを踏まえ、現行法では自衛隊の対応に限界があると指摘した上で、海上保安庁などの対処力強化に向け、武力攻撃事態に至らないグレーゾーンの侵害について「遺漏なく対処するための方策を検討し、必要な法整備を行う」ことを求めている。
 原案は、中国で海警局に武器使用を認める海警法が施行されたことを受け、海警船がわが国領海に侵入することは、わが国の正当な権益を損なうもので、断じて許されないと明記している。 (2104-033102)

 自民党が政府に提出した尖閣諸島防衛に関する提言をめぐって党内の温度差が露呈した。
 海上保安庁法改正などの法整備を含む強い措置を求める国防部会とこれに反対する国土交通部会が対立し、取りまとめの調整は難航し、「必要があれば法整備も検討する」との玉虫色の表現に落ち着いた。
 国防部会と安全保障調査会が1月26日に開催した合同会議では自衛隊がより前面に出て対応すべきだと唱える声も上がったが、政府側には海警局の船に対抗して自衛隊艦艇が出動すれば中国側も軍艦を派遣しかねないとの見方があり、こうした強硬意見に慎重姿勢を崩さなかった。
 このため、国防部会側は議論の軸を自衛隊から、海警船対応を日常的に行う海保に変更し、海保を所管する国交部会側に、領域侵害への対処を可能とするなどの法整備を提案した。
 これに対して海保は懸念を深め、3月26日の合同会議では「巡視船の操船性能、搭載装備の性能も相手を上回る」、「軍事衝突に発展させないための緩衝材としての使命がある」などと訴え、海上保安庁法改正に反対した。 (2105-041102)

野党の提案

 立憲民主党が6月3日、尖閣諸島周辺で中国艦の領海侵入が相次いでいることに対応するため、自衛隊が海上保安庁の領海警備を補完することができる海上警備準備行動の新設が柱とする領域警備・海上保安体制強化法案を衆院に提出した。 (2107-060306)

6・4・1・2 海洋安全保障政策

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・4・1・3 不審船の活動

大和堆に MANPADS を装備した北朝鮮船

 松野官房長官が10月6日、海上保安庁が6月下旬にMANPADSを装備した北朝鮮当局船が我が国排他的経済水域内の大和堆を航行していたことを確認したこと明らかにした。
 政府関係者によると、MANPADSは旧ソ連製のSA-16と同タイプで、このミサイルは過去に北朝鮮の工作船に装備されていることが確認されている。 (2111-100604)

6・4・1・4 不審船監視システムの構築

 複数の政府関係者が、政府が令和4年度にAIと衛星を組み合わせた新たな不審船監視システムの実証実験を行い、令和6年度にも運用を開始する方針を固めたことを明らかにした。
 システムは、衛星が取得した船舶の位置や速度などのデータをAIが分析し、不審な動きをする船舶を早期に探知する仕組みで、海上保安庁が巡視船を派遣するなどして、迅速に追跡できる態勢を整える。
 政府はこれまでも衛星から得られた船舶の画像やデータを人の目で確認し、船の種類を特定してきたが、AIを使用することで、瞬時により多くの船を自動的に特定できるようになるという。
 尖閣諸島での中国艦による領海侵入や、能登半島沖大和堆での中国や北朝鮮の漁船による違法操業などが相次いでいるためで、広域で迅速な監視態勢を構築する狙いがあり、防衛省も情報共有する方向で調整している。 (2109-081501)
6・4・2 中国に対する監視

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・4・3 南西防衛を重視した部隊配置

6・4・3・1 水陸機動団

新編第3水陸機動連隊の配置場所

 複数の政府関係者が5月22日、陸上自衛隊水陸機動団のうち、新たに発足させる3番目の第3水陸機動連隊を、竹松駐屯地に配置する方向で検討に入ったことを明らかにした。
 第3連隊は第1、第2連隊と同様に600名規模で2024年編成完結を目指す。
 訓練環境が整っている北海道も検討したが、中国による尖閣諸島への圧力に対応するため、長崎県佐世保市に拠点がある既設の2個連隊や沖縄を含む米軍との連携を重視した。
 沖縄県辺野古の米軍キャンプ・シュワブに常駐させる案も明らかになったが、沖縄には当面置かないことになる。 (2106-052204)

6・4・3・2 南西諸島への部隊配置

6・4・3・2・1 奄美駐屯地関連の概算要求

 防衛省は8月31日に公表した令和4年度予算案の概算要求で奄美駐屯地関連では、瀬戸内分屯地の弾薬庫整備など約40億円を計上した。
 同省は瀬戸内分屯地のSAMなど弾薬を保管する弾薬庫地区の整備を平成30年度から進めており、現在は2本目の整備が進められている。
 また4年度末には奄美駐屯地業務隊の新編も計画されており、これに伴い奄美大島内の人員は600名程度までに増員する。
 陸自奄美駐屯地は2019年3月に開設され、同駐屯地には警備部隊、中SAM部隊など350名、瀬戸内分屯地には警備部隊、SSM部隊など210名が配置されている。 (2110-090601)
6・4・3・2・2 石垣島駐屯地に SAM と SSM 部隊

 防衛省が令和4年度末に陸上自衛隊のミサイル部隊を石垣島に配置する方針を固めた。 新たに常駐するのはSSMとSAMの部隊と警備部隊で、500~600名規模となるり、関連経費を来年度予算の概算要求に盛り込む。
 駐屯地は石垣市の市街地から離れた島内のゴルフ場跡地などに作り、隊舎や弾薬庫、訓練場なども設ける。
 防衛省は南西諸島の防衛力強化を進めていて、石垣島が加われば奄美大島と沖縄本島、宮古島の4島にミサイル部隊が配置されることになる。
 石垣市では部隊駐屯への反対があり、2018年3月の市長選でも争点となったが、事実上の容認姿勢だった現職の中山義隆氏が勝利し、中山市長は同年7月に部隊配備の受け入れを正式表明している。 (2109-080201)

 防衛省が8月31日午後に公表した令和4年度予算概算要求によると、石垣島で整備を進めてきた駐屯地を4年度中に開設するため、施設整備費として110億1,000万円を計上した。
 石垣駐屯地は警備部隊や中SAM、SSM部隊など570名を配置する計画である。
 また南西地域での火薬庫整備費として64億円を求めた。 (2109-083103)

6・4・3・2・3 勝連分屯地に SSM 連隊本部

 陸上自衛隊がうるま市の勝連分屯地に地対艦ミサイル (SSM) を配備する計画に関連し、南西諸島の4ヵ所に配置するSSM部隊をまとめる連隊本部を同分屯地に置く方向で調整していることが8月31日までに分かった。
 SSM部隊は、奄美大島と宮古島にすでに配備されており、令和4年度に開設する石垣島の駐屯地にも配備することが固まった。 (2110-090102)

 防衛省が8月31日、令和5年度に沖縄本島の勝連分屯地に複数の12式地対艦誘導弾 (SSM) 中隊を含む180名を配置する計画で沖縄県に通知した。
 防衛省は4年度予算にこのための経費21億円を要求している。
 陸上自衛隊は既に奄美大島と宮古島にSSM中隊を配置しており、石垣島にも配置する計画で、勝連分屯地の部隊はこれら4島のSSM中隊の指揮統制を行うことになる。 (2111-091506)

6・4・3・2・4 宮古島に弾薬搬入

6月 2日: 弾薬の搬入を開始

 防衛省が6月2日、宮古島市の陸上自衛隊施設内に弾薬の搬入を開始した。
 弾薬は2日午後にヘリ2機で航空自衛隊宮古島分屯基地まで空輸して車両に積み替え、今年運用が始まった保良訓練場に運び込まれた。
 今後、地対艦、地対空のミサイルなどを順次搬入する見通しである。
 市は日時や経路の開示を求めていたが、同省は保安上の観点から直前まで明らかにしなかった。 (2107-060206)

8月28日: SSM、SAM の搬入開始を予定

 防衛省が8月28日にも、陸上自衛隊宮古島駐屯地にSSMなどの弾薬を搬入する。
 6月に一部を搬入しているが、8月28日からSSM、SAMなどの弾薬を輸送艦で島西部の平良港から搬入し、陸路で島東部にある弾薬庫へ運ぶ計画という。
 2019年3月に新設された宮古島駐屯地は、弾薬をめぐる地元説明が不十分だったとして、2019年4月に弾薬を島外に撤去した経緯がある。 (2109-082404)

11月14日: SSM、SAM の搬入を開始

 防衛省が11月14日、海上自衛隊の輸送艦で宮古島にSSM/SAMなどの弾薬を運び入れた。 輸送艦は07:34に平良港着岸した。 平良港からは陸路で20km離れた保良訓練場に運び込む。
 防衛省は6月に保良訓練場への弾薬搬入を開始し、空路で少量の弾薬を同訓練場に運び入れている。
 保良訓練場は市上野野原の陸上自衛隊宮古島駐屯地に配備されているSSM/SAM部隊の弾薬を保管する目的で2019年に建設が始まり、2021年4月までに建設予定3棟のうち2棟が完成していた。 (2112-111401)

6・4・3・2・5 与那国配置部隊の増強

 防衛省が陸上自衛隊与那国駐屯地へ配置を検討していする電子戦部隊などについて、70名規模を想定していることが分かった。
 また令和4年度には航空自衛隊の移動警戒隊が宮古島分遣班として20名配置される計画で、同町に常駐する陸空の自衛隊員は、現在の160名から90名増の250名規模と、町人口1,700人の15%を占め、家族などを含めればその割合は更に高まることになる。 (2112-110802)
6・4・3・2・6 馬毛島への自衛隊基地

南種子町が自衛隊基地関連施設を誘致する方針

 西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練 (FCLP) 移転を伴う自衛隊基地整備計画を巡り、南種子町が関連施設を誘致する方針を固めた。
 島間港に自衛隊艦艇の専用岸壁を整備することなどを求める。
 中種子町も官民一体で施設誘致を進めている一方、西之表市は一貫して反対の立場で、種子島1市2町の立場の違いが鮮明になった。
 ロケットの運搬に使用される島間港は鹿児島県が管理し、岸壁の最大延長は220mあり、要望書では近くの海岸を埋め立て、450m級の岸壁を建設して3区画に分け、自衛隊艦艇とロケット運搬を専用で使う構想で防衛、文科両省による整備を見込む図案を提示した。
 更に旧南種子高校跡地内に隊員宿舎、2018年と2019年に陸自などが利用した前之浜海浜公園への降下訓練用地活用も求めた。 (2107-060404)

 西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練 (FCLP) を含む自衛隊基地整備計画について、南種子町の小園町長は6月10日に町議会一般質問で国の安全保障上、重要だとの認識を示した一方、馬毛島は西之表市の行政区で、市民の賛否も分かれており、他自治体が賛否表明すべきではないとも述べた。
 町は5月に町北西部の島間港に自衛隊専用岸壁の整備などを求め、商工会など9団体でつくる町自衛隊誘致推進協議会との連名で防衛大臣と地元選出の国会議員に要望書を提出した。 (2107-061101)

 南種子町議会が6月18日の最終本会議で、馬毛島への自衛隊施設の整備で隊員の宿舎設置などを要望する意見書を全会一致で可決した。
 意見書には「南種子町に自衛隊員の宿舎をはじめ、可能な限り関連施設を配置する」ことなど5件の要望が書かれている。
 南種子町は5月に、防衛省に自衛隊の関連施設の建設を求める要望書を出すなど誘致を進めていた。 (2107-061810)

自衛隊宿舎建設地の選定

 西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練 (FCLP) 移転と自衛隊基地整備計画を巡り、防衛省が種子島3市町に隊員宿舎を選定するための公有地を照会していた。
 同省からの照会は3月末で隊員150~200名程度、敷地面積は5,000㎡以上が必要との説明があったが、自治体ごとに異なる条件も示されたという。
 関連施設の誘致を進めている中種子、南種子両町が呈示した宿舎用地は、南種子町が「既存の港から車で15分以内」とされ、馬毛島に最も近い島間港を起点に選定し、中種子町は町北西部の浜津脇港から5km圏内だった。
 計画に反対の立場の西之表市は「市民の臆測を呼ぶ」として詳細な条件を明かさなかったが、西之表港からの利便性を求められたとみられる。 (2107-061201)

中種子町議会が全会一致で容認の意見書可決

 西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練 (FCLP) 移転と自衛隊基地整備計画を巡り、中種子町議会が6月17日に定例会最終本会議で「環境保全に配慮し、着実に前に進めることを要望する」とした防衛大臣への意見書を全会一致で可決した。
 意見書を協議した特別委員会の浜脇委員長は本会議後に報道陣に「国策の計画に異議を唱えるものではない」と述べた。 町議会は防衛大臣への提出前との理由で、同日は意見書を公表しなかった。
 計画を容認する内容で、馬毛島の行政区である西之表市以外の議会が賛否を明らかにしたのは初めてである。 (2107-061801)

西之表市議会特別委員会が自衛隊基地整備計画賛成の意見書

 米軍の訓練移転などのため馬毛島に自衛隊基地を整備する計画をめぐって、西之表市議会の特別委員会が計画に賛成する意見書案を本会議に提案することを決めた。
 6月23日の本会議で可決される公算が大きく、計画に反対する八板市長と市議会の間でねじれが生じることになりそうである。
 馬毛島特別委意見書案は安全保障上の重要性を踏まえ、市議会として馬毛島への自衛隊基地整備に賛意を示し、意見書のペーパー国に対して住民の理解を深めながら早期の基地整備を求める。 (2107-062104)

 米軍空母艦載機による陸上離着陸訓練 (FCLP) 移転候補地馬毛島への自衛隊基地建設計画で西之表市議会(定数14)は6月23日、早期の施設整備を求める意見書を可決した。
 市議会は、市内に自衛隊官舎建設などを求める市商工会の請願書を採択し、いずれも賛成7、反対6で付随する意見書も可決し、採択され国に提出される。 施設整備に反対する意見書も提案されたが否決された。
 市議会が基地建設に賛成の意思を示したのは初めてで、基地に反対して再選された八板市長と市議会のねじれの構図が鮮明になった。
 1月に市長選と同日に実施された市議選は、基地計画賛成派6人と反対派7人、中立1人が当選したが、中立の議員は5月の自衛隊によるデモ飛行後に賛成に転じた。 議決権のない議長が反対派から選出されているため、賛成派が上回っている。 (2107-062403)

港湾施設位置を示したイメージ図を公開

 防衛省が、米軍の訓練移転候補地として馬毛島に建設を計画している自衛隊施設の港湾施設位置を示したイメージ図を公開した。
 防衛省が示したイメージ図では、島の東側に輸送艦船や護衛艦などの停泊に使う係留施設や堤防のほか、仮設桟橋3本を建設する案が示されたが、今後のボーリング調査で港湾施設の位置や形を変更する可能性があるとしている。 (2109-080602)

令和4年度予算に3,183億円

 12月24日に令和4年度防衛予算を閣議決定した政府が、米空母艦載機離着陸訓練 (FCLP) の移転先として防衛省が基地建設を計画している西之表市馬毛島を巡り、自衛隊基地の施設整備費として3,182億9,000万円を盛り込んだ。
 施設整備費の内訳は係留施設及び仮設桟橋に1,129億円、滑走路、駐機場、燃料施設に884億円などになる。
 基地建設の環境アセスメントは終了時期が決まっていないが、防衛省は終了後4年間で完成を目指すとしている。 (2201-122408)

6・4・3・2・7 令和4年度防衛予算

 前年度当初比1.1%増である5兆4,005億円の令和4年度防衛予算案は、中国の進出に備えた南西シフトを着々と進める内容となっている。
 具体的には島嶼部に物資や人員を運ぶ輸送艦2隻の取得費102億円、長射程対艦ミサイルの開発費393億円を、南西諸島に火薬庫や倉庫を整備する費用128億円を積んでいる。
 ミサイル部隊などを置く石垣駐屯地を開設し、川内駐屯地に電子戦部隊を新編するほか、与那国駐屯地や対馬駐屯地などへの電子戦部隊配置に向けた整備費55億円も盛り込んでいる。 (2201-122501)
6・4・3・2・8 その他の自衛隊誘致活動

沖縄県北大東村

 沖縄県北大東村議会が8日開会の12月定例会に、自衛隊の誘致を求める意見書案を提案する。 村議らによると、9日の本会議で全会一致で可決される見通しで、村は意見書の可決後、沖縄防衛局などへの要請行動を検討している。
 村議らによると意見書案には、外国船舶の接近などに対する防衛面や村民の急患搬送、台風など災害時対応が迅速になるとして、自衛隊常駐の必要性を盛り込むという。
 宮城村長は「自衛隊の常駐を求める声は村内に以前からあった」とし、意見書は国の次期中期防衛計画で、村を重要拠点に含めるよう求める意味があるとし「含めるなら協力するという意図を込めたものだ」としている。 (2201-120501)

 沖縄県北大東村の宮城村長が12月22日、防衛省で鬼木誠副大臣に対し、北大東村への自衛隊配備について正式に要請した。
 村は周辺空海域の情勢を踏まえてレーダ施設の誘致などを求める考えを示しているが、要請ではどのような部隊を配備してほしいかについては言及せず、早期の配備を求めた。
 対応した鬼木副大臣は「非常にありがたい」と感謝した上で、自衛隊配備については「前向きに検討していきたい」と答えたという。 (2201-122406)

6・4・3・3 その他部隊の配置

6・4・3・3・1 電子戦部隊の配置

電子戦網の2つの弧

 防衛省が陸上自衛隊の電子戦専門部隊を令和5年度末までに与那国島と対馬に配置する。
 3月18日には電子戦部隊を熊本県で発足させ、北海道から九州にかけた「列島の弧」と九州と沖縄の「南西の弧」という2つの弧を描く形で10ヵ所以上に部隊を配置して電子戦で先行する中国とロシアに対抗する構えを築く。
 陸自の電子戦部隊は第1電子隊が東千歳駐屯地にあるだけだったが、18日に健軍駐屯地に80名規模で部隊を新設し、車載式ネットワーク電子戦システムを配備する。
 3年度末には朝霞駐屯地にも同規模で部隊を発足させる。
 また3年度末には北海道の留萌のほか、相浦、奄美、那覇、知念の駐・分屯地にも部隊を置き、更に5年度末までに対馬と与那国島の駐屯地にも新設する。 (2104-031707)

第301電子戦中隊の編成完結

 陸上自衛隊が3月29日に建軍駐屯地で第301電子戦中隊の編成を完結した。 中隊は最近開発された車載電子戦装置NEWSを装備する。
 NEWSは数両からなり、主として海空の通信やレーダを捕捉するが、電子偵察、C3ネットの妨害も行う。 (2106-040709)

与那国島駐屯地に NEWS 装備部隊を配置

 岸防衛相が8月3日の記者会見で、令和5年度ごろまでに陸上自衛隊の与那国島駐屯地にNEWSを装備した電子戦部隊の配置を検討していることを明らかにした。
 NEWSは電波の収集・分析や敵の通信を妨害する車載型ネットワーク電子戦システムで、電磁波領域への対応を強化する狙いがある。 (2109-080303)

令和4年度予算案の概算要求

 防衛省が令和4年度予算案の概算要求について5兆4,000億円余りを計上した。
 概算要求では急速に拡大する中国の軍事力を念頭に南西諸島の防衛力を強化するため、電子戦専門部隊を新たに鹿児島の川内駐屯地に置くための費用や沖縄県の与那国駐屯地に電子線部隊を置くための施設整備費用などが含まれている。 ()

6・4・3・3・2 戦闘機拠点を離島へ拡充

 航空自衛隊が、戦闘機などの展開能力を強化し壊滅的な被害を防ぐため、運用拠点の拡充を検討している。
 平素は民間航空機だけが運航している離島の空港に有事には戦闘機を展開させ、輸送機も送り込んで住民避難に充てるもので、離着陸を支援する整備員や管制官を現地に急派する態勢を整える。
 沖縄県では宮古島市の下地島空港は3,000mの滑走路が設置されており、F-35B以外の戦闘機も離着陸が可能だが、宮古空港と新石垣空港、与那国空港は滑走路が2,000mで、2,400m以上の滑走路が必要なF-15、F-2、F-35Aは長さが足りない。
 これに対して令和6年度から納入が始まるF-35Bは数百㍍の滑走路でも離陸できるため運用は可能で、C-2やC-130、C-1も3空港で離着陸できる。 (2112-110602)
6・4・4 航空自衛隊の緊急発進

6・4・4・1 緊急発進の回数

令和2年度の緊急発進回数の減少

 防衛省が4月9日、令和2年度の緊急発進が前年度から222回減って725回だったと発表した。
 このうち中国を対象としたのは217回減の458回だった。 (2105-040903)

 統合幕僚監部が4月9日、令和2年度における国籍不明機に対する緊急発進の回数が725回であったと発表した。 これは前年度に比べて222回、23%減である。
 そのうち中国機に対するものが全体の63%となる458回で、前年より217回少なくなっている。
 一方ロシア機に対するものが全体の36%にあたる258回で、前年より10回少なくなっている。 (2106-042111)

令和3年度上半期は増加、特に中国機への対応が増

 防衛省が10月15日、航空自衛隊の緊急発進が、令和3年度上半期に390回あったと発表した。
 前年同期と比べて19回増加で、特に中国機への対応が増え、全体の7割を超えた。
 同省によると、中国機への対応は47回増の281回と全体の72%で、ロシア機は32回減の102回で26%だった。 (2111-101502)

 国籍不明機に対する航空自衛隊の緊急発進回数が令和3年度上半期で390回と、前年同期に比べて5.1%増加した。
 このうち中国機に対する緊急発進回数が281回と72%を占め前年度より47回増加している。 (2112-102713)

6・4・4・2 緊急発進の態勢

総量の抑制

 政府関係者3月2日、防衛省が東シナ海などの中国機に対する航空自衛隊戦闘機の緊急発進を日本領空に侵入される恐れがより高い機体に対象を絞り、総量を抑制していることを明らかにした。
 空自へのF-35の導入が進み日本の防空体制は相手に存在を示し牽制する受動的なスクランブルから、より広範囲な警戒監視へ活動の軸が移りそうである。 (2104-030302)
【註】航空自衛隊がF-35を配備しているのは三沢基地だけで、しかもまだfull operationalにはなっていないと見られることから、この記事の後半部は当たらないと見られる。

6・4・5 南西諸島防衛演習

6・4・5・1 日米共同演習

「6・1・2・3・4 陸海空合同」で記述
6・4・5・2 陸上自衛隊演習

6・1・9 陸上自衛隊演習」で記述
6・4・5・3 北部方面隊総合戦闘力演習

 10月20日から全道で行われている陸上自衛隊北部方面隊の総合戦闘力演習で、陸上自衛隊の北海道大演習場で行われた離島の防衛訓練の様子が21日に公開された。
 訓練では、21日に戦闘に向けた準備が進められ、敵を阻止する障害物や陣地の確認をし、22日に戦闘訓練が始まる。
 演習は12,000名が参加し、北海道大演習場のほか上富良野演習場などで26日まで行われる。 (2111-102106)
6・4・5・4 防災、救助日米共同演習

大規模災害を想定した離島での日米共同訓練

 離島での大規模災害を想定した日米共同の防災訓練が、11月2日にうるま市などで行われた。
 在日米軍が沖縄地域での防災訓練に参加するのは初めてである。
 うるま市の浮原島などで行われた訓練には、陸海空自衛隊400名と在日米軍100名が参加し、互いに連携しながら負傷者の手当や医療施設に搬送する際の手順などを確認した。
 自衛隊は、今後も米軍との連携を強化し、災害時における対応能力の向上に努めたいとしている。 (2112-110206)

6・4・6 周辺海域警備の強化

6・4・6・1 日本海

6・4・6・1・1 中国艦の進出

3月19日: Type 055駆逐艦など3隻が対馬海峡から日本海へ航行

 防衛省統合幕僚監部が3月19日、中国海軍のType 055駆逐艦など艦船3隻が対馬海峡から日本海へ航行するのを確認したと発表した。
 Type 055は中国海軍最大の駆逐艦で、日本近海で活動するのを海上自衛隊が初めて確認した。
 日米が16日に外務防衛担当閣僚による安全保障協議委員会 (2-plus-2) を開催し、中国を名指しで懸念を表明したことから、防衛省はこの時期に日本付近で大型艦艇を航行させた中国の意図を詳しく分析している。 (2104-031905)

8月22日: 駆逐艦2隻と補給艦1隻が対馬海峡から日本海へ航行

 中国Global Timesが8月25日、Type 055駆逐艦などが22日に5ヵ月ぶりに日本海に入ったと報じた。
 これは日本の右翼勢力と軍国主義者に送る警告だという。
 これに先立ち統合幕僚監部は23日に、中国の駆逐艦2隻と補給艦1隻が22日に対馬の南西側150kmから北東側に向かって日本海に入ったと発表している。 (2109-082502)

11月22日: フリゲート艦が対馬海峡を通過

 統合幕僚監部が11月22日、中国海軍のフリゲート艦2隻が宮古海峡と対馬海峡をそれぞれ通過したのを確認したと発表した。
 2隻のうち1隻は19日23:00頃に対馬海峡を南下して日本海から東シナ海へ抜けた。 (2112-112206)

6・4・6・1・2 警備の強化

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・4・6・2 小笠原海域

6・4・6・2・1 我が国 EEZ 内で中国船が活動

中国の海洋調査船が活動

 第3管区海上保安本部が11月2日13:00頃、警戒中の航空機が日本最南端の沖ノ鳥島北東150kmの日本の排他的経済水域 (EEZ) 内で中国の海洋調査船深海一号が活動しているのを発見した。
 深海一号はワイヤーのようなものを海中に延ばし活動していたという。
 この海域で中国の調査船が確認されるのは、2021年に入って3度目である。
 海上保安庁は上空から無線で、この海域は日本の排他的経済水域内で同意のない調査活動は認められないと中止を求めたが中止要求に従わなかったため現在、巡視艇が向かっている。 (2112-110301)
6・4・6・2・2 空自の移動警戒隊の展開

 防衛省が小笠原諸島周辺空域での領空監視をするため、航空自衛隊の移動警戒隊を同諸島に展開する方針を固めた。 展開先は父島などが候補地に挙がっている。
 当面は交代で10名程度が常駐し、領空侵犯などの警戒監視を行う。 来春以降、地元との調整などを本格化させる。
 中国が空母の太平洋進出を繰り返していることを受け、同省は防空監視の空白域とされてきた太平洋の島嶼部での監視態勢構築を急いでおり、将来は固定式レーダを設置し、監視態勢を強化することも想定している。 (2106-053101)
6・4・7 重要施設等の保全

土地利用調査規制法

 複数の政府与党関係者が1月24日、外国資本による安全保障上重要な土地の買収対策で、政府が今国会で成立を目指す土地利用調査規制法案の概要を明らかにした。
 政府は有識者会議から提言を受け2020年12月、法案提出に向け準備を進めていたもので、3月上旬に閣議決定する。
 新法の正式名称は「重要施設周辺および国境離島等における土地等の利用状況の調査および利用の規制等に関する法律」となる。
 所有者や利用実態を調査する対象として防衛施設などの周辺おおむね1km以内の土地を注視区域に指定し、不適切な土地利用者に出す中止命令に従わない場合、懲役2年以下などの罰則規定を盛り込む。 (2102-012405)

 政府が自衛隊基地周辺などの土地の買収対策として、今国会に提出する新法の概要が判明した。 政府は3月上旬にも法案を閣議決定し、今国会での成立を目指す。
 中国など外国資本による不透明な動きを監視するため、安全保障上重要な施設の周囲1kmを注視区域や特別注視区域に指定し、利用実態を把握するもので、注視区域は自衛隊や海上保安庁の施設、原子力発電所や空港など重要インフラの周辺、日本の領海の基点となる国境離島を想定している。
 不適切な利用には中止命令を出し、違反者に懲役2年以下などの罰則を科す。 (2103-021401)

公明党の抵抗

 公明党の竹内政調会長が3月10日の記者会見で、自衛隊基地周辺など安全保障上重要な土地の取得や利用を規制する重要土地等調査法案について、決してこの法案に反対しているわけではないが、もうひと工夫何かする必要があると述べ、私権制限につながる側面があることを理由に修正を求める考えを示した。
 同時に竹内氏は、総論としては必要性を認めていることを強調し、政府自民党が目指す今国会成立にも賛意を示した。 (2104-031006)

法案の閣議決定

 政府は3月26日午前、自衛隊基地の周辺や国境離島などの土地の規制を強化する法案を閣議決定した。 4月にも審議入りさせ、今国会での成立を図る。
 安全保障上の観点から、政府による特定の土地や建物の所有者の調査を可能とし、土地売買に事前の届け出を定めるもので、与党内の法案の事前調整で公明党が私権制限や個人情報収集への懸念を指摘したため、特別注視区域から市街地のほか海上保安庁や原子力施設などを対象外とすることなどで折り合った。 (2104-032609)

 安全保障上、重要な土地の買収対策として政府・与党が今国会の成立を目指す土地利用規制法案は、防衛施設周辺や国境離島の土地所有者に対し、利用実態の報告や取引時の事前届け出を求める。
 不適切利用と認定されれば所有者は利用中止を求められることになる。
 法案が注視区域として調査対象とするのは、米軍、自衛隊の防衛施設や海上保安庁施設のほか、原子力発電所や軍民両用空港などの重要インフラ施設から1km周辺である。 重要インフラ施設は当初、発電所、ガス、貯水、鉄道なども想定されたが、今後必要最小限の範囲で指定する。
 領海や排他的経済水域 (EE) の基準となる「低潮線」を有する国境離島も対象だが、島内のどの範囲が指定されるのかは確定していない。 (2106-050901)

維新は対象拡大を要求

 今国会の焦点となっている土地利用規制法案は5月11日に審議入りする。
 政府案は与党内調整の段階で慎重姿勢の公明党の要望を受け入れ規制対象を大幅に絞る修正を経たが、かねて議員立法を提出していた日本維新の会は「土地取引に関する事前審査制の規定がなく、売買自体は事実上自由に行えるなど実効性に問題点がある」として規制対象の拡大を求める構えだ。
 維新は2016年から議員立法を提出してきたが、規制対象としたのは土地の所有そのものだった。 (2106-050902)

衆院内閣委で可決

 政府与党が今国会での成立を目指す土地利用規制法案が、5月28日に衆院内閣委員会で自民、公明両党などの賛成多数で可決された。 国民民主党などが共同提案した付帯決議案も可決した。 立憲民主党は採決に応じず、共産党は反対した。 法案は6月1日の衆院本会議で可決される見通しである。
 法案では防衛施設や海上保安庁施設、原子力発電所などの重要インフラ施設周辺1kmと国境離島の土地を注視区域として調査対象に設定し、施設の機能を阻害するなどの不適切利用に対し、中止を勧告命令する。 特に重要な施設や国境離島は特別注視区域として土地の取引者に事前届け出を課す。
 これまでの審議で、政府は注視区域として四百数十ヵ所、特別注視区域に百数十ヵ所、国境離島632島を想定していることを明らかにした。 (2106-052804)

成立へ

 参院内閣委員会が6月15日夜、自衛隊基地周辺や国境離島など安全保障上重要な土地の利用を規制する新法重要土地等調査法案を、与党と日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決した。
 立憲民主、共産両党は「私権制限」につながるとして反対した。 16日未明に本会議でも可決され、成立する見通しである。
 過去に中国や韓国の資本による不透明な土地購入の事例があり、こうした動きを監視することが目的である。 (2107-061508)

外資規制土地、600ヵ所が候補

 政府が安全保障上重要と判断した土地に関し、外国資本の取引を規制する指定区域の検討を始めた。
 自衛隊のレーダ施設など600ヵ所程度の防衛関係施設のほか、原子力発電所などの周辺を想定する。
 対象となる土地の情報を管理し、中国を含む外資の動向を把握する体制を整える。 (2109-081104)

6・4・8 海上保安部隊の強化

6・4・8・1 機能の強化

武器使用権限の確認

 奥島海上保安庁長官が2月17日の記者会見で、中国海警局の武器使用を認める海警法が1日に施行されたことを受け、尖閣諸島周辺の領海警備で武器を使用された場合の対応について「国際法で許容される範囲で、法律の原則にのっとり武器を使用することは排除されない」との認識を示した。
 海上保安庁法20条は海上保安官の武器使用要件について、警察官職務執行法7条を準用すると規定し、合理的に必要な限度で使用が可能などと定められている。 (2103-021705)

 政府が2月25日、自民党の国防部会/安全保障調査会の合同会議で、尖閣諸島に外国公船から乗員が上陸を強行しようとした場合、海上保安庁が阻止するために危害射撃が可能との見解を示した。
 政府は中国艦を念頭に、外国公船が尖閣諸島に接近し不法上陸する可能性が高いと判断した場合、凶悪犯罪と認定して危害射撃ができるとしたものである。
 武器使用には警察官職務執行法が準用され、相手に危害を加える危害射撃については正当防衛、緊急避難のほか、懲役3年以上相当の凶悪犯罪に対応する場合は可能とされている。 (2103-022503)

6・4・8・2 装備の増強

巡視船艇の老朽化

 海上保安庁関係者が3月21日、尖閣諸島周辺で領海警備に当たっていた尖閣専従巡視船が1月に任務中故障し、一時航行不能状態に陥っていたことを明らかにした。
 故障が発生したのは那覇海上保安部所属のヘリ搭載型巡視船うるまで、老朽化が進んでいる。
 尖閣専従船は那覇海保に2隻、石垣海保に10隻、計12隻が配備されているが、石垣の10隻(1,000t型)は2014~2016年に新造、那覇のもう1隻(ヘリ搭載型)は2000年に建造されたが、うるまは1980年の竣工で、12隻の中で最も古い。
 海上保安庁の巡視船艇は老朽化が進み、382隻の36%である139隻が耐用年数を超えている。 (2104-032105)

大型 UAV の導入

 海上保安庁長官が6月16日、洋上監視機能の強化のため大型UAVの導入に向けた必要経費を令和4年度予算の概算要求に計上する意向を明らかにした。
 海保は2020年10~11月に、9億円の予算でMQ-9B Sea Guardian 1機を使用し八戸基地を拠点に大型UAVの実証実験を実施した。 (2107-061601)

新型ジェット機を配備

 北九州空港にある第7管区海上保安本部航空基地に、全長約20mのFalcon 2000新型ジェット機が配備された。
 航続距離が長く高性能レーダで広い範囲を監視することができるため、災害時の情報収集などの活躍が期待されている。
 海上保安庁の航空基地は2020年4月に福岡空港から24時間体制で運用可能な北九州空港に移転し、現在ジェット機2機を含む11機が配備されていて、那覇航空基地とともに中国が活動を活発化させる東シナ海を警戒する2大拠点にする。 (2108-072906)

尖閣諸島警備へ最大級巡視船

 海上保安庁が尖閣諸島の警備を担う石垣海上保安部に、現在は試運転中の6,500総トンのヘリコプター搭載大型巡視船あさづきを11月にも配備する。
 同保安部にこのクラスの大型巡視船が配備されるのは初めてで、長期間の航行が可能な大型船の投入で監視を強化する。
 海保は尖閣専従の巡視船12隻と、鹿児島海保の6,500t級などの応援船が交代で警告や監視にあたるが、海警船の航行の常態化で現場の負担が増している。
 政府は2016年12月に海保の体制強化を決定し現在は、69隻の1,000t以上の巡視船を令和6年度までに77隻に増やす計画である。
 6,500t級大型巡視船は、鹿児島海上保安部などに4隻配備されておりあさづきで5隻目となる。 (2109-081902)

令和4年度予算の概算要求

 海上保安庁が大型巡視船を増強し、令和4年度から新たに4隻の建造を始める方針を固めた。 UAVによる海上監視も開始する方針で、いずれも4年度予算の概算要求に関連費用を盛り込む。
 新造を計画しているのは、3,500総㌧級3隻と1,000t級1隻で令和6年度までに完成させる。
 政府は2016年12月に海保の体制強化を決定し、現在は69隻の大型巡視船(1,000t以上)を令和6年度までに77隻に増やす計画で進めているが、この計画に4隻を上積みして7年度までに81隻とする。 (2109-082402)

大型ヘリ搭載型巡視船の石垣配備

 海上保安庁が11月12日に三菱造船江浦工場でヘリ搭載型巡視船あさづきが就役したと発表した。
 配属先は第11管区海上保安本部の石垣海上保安部である。
 全長150.0m、7,300総㌧の巡視船あさづきは、れいめい型巡視船の3番船として、平成29年度予算で建造された巡視船で、40mm単装機銃を2門、20mm多銃身機銃を2基装備する。
 ほかにも停船命令等表示装置、遠隔監視採証装置、遠隔放水銃などを備えている。
 搭載するヘリはSuper Pumaで、通常は1機だが、緊急時などの際は2機搭載でき、格納庫や発着甲板の移送レールなども2機分用意されている。
 従来、第11管区海上保安本部には那覇海上保安部にヘリ搭載型巡視船としてうるまおきなわりゅうきゅうの3隻が配備されているが、これらは全てS-76D中型ヘリ1機の搭載運用能力しかなかった。 (2112-111307)

 ヘリコプター搭載型巡視船あさづきが12日付で第11管区海上保安本部に配属され、26日11:00頃に乗組員64名を乗せて石垣港に初入港した。
 あさづきは全長150m、幅17,、6,500総㌧と海上保安庁が所有する最大級の巡視船で、ヘリを最大2機搭載可能である。
 あさづきは40mm単装機銃2門、20mm多銃身機銃2門、遠隔監視採証装置、遠隔放水銃、停船命令等表示装置など、最新の設備を装備しており、入港後すぐに訓練を開始し、能力を高めながら警備業務に入るという。 (2112-112704)

6・4・8・3 海上自衛隊との連携

3月 3日: 九州西方海域

 海上自衛隊と海上保安庁が3月3日に九州西方の海域で不審船対応を想定した共同訓練を実施した。 不審船が原子力発電所など重要施設に向かう想定で、連携して対処する際の護衛艦や巡視船の運用方法を確認した。
 訓練には海自から護衛艦さわぎりとヘリ及びミサイル艇おおたかが、海保から巡視船あそほうおうが参加した。
 不審船対応が目的の両者の共同訓練は1999年から定期的にあり今回が18回目であるが、海自は中国が2月1日に外国船舶への武器使用を可能とする海警法を施行したことを念頭に、海保との共同対処能力の強化を図ったとしている。 (2104-030401)

9月24日: 若狭湾

 舞鶴市の第8管区海上保安本部と海上自衛隊が9月24日、京都府と福井県沖の若狭湾で不審船対応の共同訓練を実施した。
 訓練は福井県内の原発に向かう不審船2隻を海自のヘリが発見したとの想定で実施し、不審船に見立てた船を巡視船あさまが追跡したが、巡視船だけでは停船対応が難しいため、海上警備行動が発令されて海自のミサイル艇はやぶさが追跡に加わり、発光信号や汽笛などを出して停船させた。
 共同訓練は1999年から実施していて、8管区内では11回目になる。 (2110-092504)

12月22日: 伊豆諸島周辺海域

 政府関係者への取材で、尖閣諸島に中国艦が接近し海上保安庁の巡視船では対応が困難になった事態を想定し、政府が海上自衛隊に海上警備行動を発令して、護衛艦に対処させる訓練を実施したことがわかった。
 複数の政府関係者によると、訓練には護衛艦のほか、尖閣諸島の警備を担当する海保の大型巡視船などが参加し、22日に伊豆諸島の周辺海域で行われた。
 中国軍艦を想定した合同訓練は異例である。 ()

6・4・8・4 米沿岸警備隊との協力

日米共同訓練

 海上保安庁が2月22日、巡視船と米沿岸警備隊の警備艦が小笠原諸島周辺で21日に合同訓練を実施したと明らかにした。
 海保によると、訓練は21日09:00から3時間余りにわたり小笠原諸島の周辺海域で、巡視船あきつしま(6,500t)と沿岸警備隊の警備艦Kimball (4,500t)が参加し、違法操業する外国漁船の取り締まりを想定して情報共有の方法や追跡、立ち入り検査などの手順を確認した。
 政府は東・南シナ海で軍事的影響力を強める中国を念頭に自由で開かれたインド太平洋構想を推進しており、海保は日米双方の連携協力がより重要になっていると強調した。 (2103-022202)

6・4・9 国境警備

6・4・9・1 関係機関の連携

自衛隊、海上保安庁、警察、外務省が図上演習

 複数の政府関係者が6月6日、中国による尖閣諸島占拠を想定した、自衛隊、海上保安庁、警察、外務省の担当者が参加する図上演習を複数回実施していることを明らかにした。
 この図上演習は、グレーゾーン事態から本格的な武力紛争に至るまで、自衛隊、海保、警察がスムーズに役割分担の確認を狙ったもので、都内の自衛隊施設で行っているという。
 演習では、中国の海上民兵や活動家が尖閣諸島に接近上陸を試みた際に海保が危害射撃を含む対応で阻止することを想定すると共に、沖縄県警の国境離島警備隊を海保、自衛隊が輸送する手続きなどを確認している。
 2月に中国海警艦が尖閣諸島に接近上陸を試みた場合に海保による危害射撃が可能との見解をまとめたことを踏まえた図上演習も実施しており、米軍が参加して日米共同で事態対処シミュレーションを行っていることも判明した。 (2107-060602)

自衛隊、海上保安庁、警察が無人島で実働演習

 複数の政府関係者が12月26日、11月に内閣官房が初めて発表した島での対処能力向上が目的とした海上保安庁、警察、自衛隊の共同訓練が、他国による尖閣諸島占拠を想定していたことを明らかにした。
 訓練が行われたのは、海岸線の形状や急峻な地形が尖閣諸島の魚釣島に似ている長崎県五島市の無人島である津多羅島で、長崎から離れた管区外の第11管区海上保安本部(那覇)や沖縄県警の離島専門部隊が参加した。 <(2201-122603) /td>

6・4・9・2 警察庁離島警備隊

 警察庁が令和4年度以降、尖閣諸島への不法上陸事案などに対処するため沖縄県警に2020年に発足した国境離島警備隊の訓練施設を県内に整備する方針を固めた。
 施設の設計費約5億円を既に今年度予算に計上しており、災害発生時に救助に当たる機動隊なども活用する予定で、完成には数年かかるとみられる。
 警備隊は2020年4月に武装集団らによる不法上陸を想定し、警視庁など他の都道府県警からの出向者を含む総勢150名で発足した。
 自動小銃を装備し、20名程度を輸送できる大型ヘリも沖縄、福岡両県警に計2機配備した。
 尖閣諸島の警備は警察官も乗船する海上保安庁の巡視船が担っており、不法上陸が図られた場合には海上では海保が阻止し、島に上陸した際は警備隊が検挙するなどする。
 集団が威力の強い銃器で武装するなど警察の対処能力を超えるケースでは自衛隊が対応する。 (2108-072804)
6・4・9・3 竹島周辺の警備

 韓国与党共に民主党の魚議員が海洋警察庁の国政監査資料として、日本の海上保安庁巡視船が2017年から2021年8月まで竹島付近の海上に404回出現したことを明らかにした。
 ただ、この5年間に日本の巡視船が竹島周辺の韓国が領海とする海域に進入したことはない。
(2111-101202)
6・5 海外活動

6・5・1 ペルシャ湾

派遣期間の延長

 岸防衛相が2月15日、イランのハタミ国防軍需相と約30分間、TV会議形式で会談した。
 岸防衛相は、海上自衛隊による中東海域での情報収集活動の1年延長について説明し、両相は防衛当局間の意思疎通を継続する方針で一致した。
 海自は2020年1月以降、護衛艦1隻とP-3C哨戒機2機をアデン湾やアラビア海北部に派遣して周辺を航行する船舶を確認しているが、派遣は同12月26日までのため、期限を迎えるに当たり1年間の延長を閣議決定していた。 (2103-021502)

派遣期間の延長

 政府が12月16日、中東海域で情報収集任務に当たっている護衛艦とP-3Cの派遣期間を1年間延長することを自民党安全保障調査会などに報告した。
 延長による派遣期限は2022年11月19日で近く閣議決定する。 (2201-121606)

派遣規模の縮小

 政府が12月24日の閣議で、中東海域で船舶の安全確保に当たる海上自衛隊の護衛艦1隻を撤収させることを決めた。
 今後はソマリア沖アデン湾で海賊対処活動に従事する別の護衛艦1隻が兼務する。
 南西諸島での中国の動きなどをにらみ、海自隊員の負担軽減を図る。 (2201-122405)

6・5・2 アフガンへの輸送機派遣

C-2 と C-130 を派遣

 アフガニスタンでは大使館やJICA(国際協力機構)で働いている現地スタッフ20人余りが国外に退避できずにいるため、政府は退避させるため、C-2とC-130を派遣する方向で最終調整しており、8月23日にも行われる国家安全保障会議 (NSC) で最終決定し次第出発する。 (2109-082204)

 政府は8月3日午前、首相官邸で国家安全保障会議(NSC)を開き、タリバンが実権を掌握したアフガニスタンに残る邦人や大使館などの現地スタッフを国外退避させるため自衛隊機を派遣する方針を確認し、岸防衛相が自衛隊に派遣を命じた。
 自衛隊法に基づく措置で、外国人の輸送は初めてとなる。
 第1陣となるC-2 1機は同日夕にカブール国際空港に向けて入間基地を出発した。 24日にはC-130 2機も出発し、隊員数百名も現地入りして準備が整い次第、輸送活動を開始する。
 輸送対象は、国際機関の日本人職員に加え、日本大使館やJICAのアフガニスタン人など現地スタッフで、家族も含め数百人規模になり、カブール国際空港から周辺国に向かう。 (2109-082301)

 アフガニスタンから邦人らを退避させるため輸送機派遣では、銃を携行した陸上自衛隊員も派遣される。
 派遣される陸自主力は中央即応連隊の100名以上で、カブール国際空港で邦人らを輸送機に安全に誘導するのが任務で、岸防衛相は8月23日に現地情勢を注視しながら対応に万全を期すとし武器は携行すると述べた。
 自衛隊法上、在外邦人輸送の際には隊員と共に行動する輸送対象者の防護のため、銃口を向けたり、威嚇射撃をしたりする武器使用が可能になる。
 米軍輸送機にアフガン人の群衆が殺到したケースもあり、活動は空港内だが混乱に乗じたテロも懸念され、緊迫した任務が続くことになるため、防衛省は米軍の撤退期限が迫れば安全確保が難しくなる恐れもあると見ている。 (2109-082401)

 政府は、タリバンが政権を掌握したアフガニスタンに残る邦人らを国外に退避させるため、政府専用機1機をアフガニスタン周辺国に派遣することを決め、邦人らの輸送にあたる自衛隊員や水、食料などを載せて早ければ8月25日朝にも日本を出発し、周辺国の活動拠点まで向かう。
 政府専用機は自衛隊員らを送り届けた後は、日本に引き返す予定である。 (2109-082501)

退避作戦の活動限界

 日本政府によるアフガニスタンからの邦人や大使館の現地スタッフの退避作戦は、事実上の活動期限である8月27日を過ぎ、継続は困難な状況となってきた。
 自爆テロによる治安悪化などの影響で、最大500人と想定する退避希望者の多くはアフガン国内に残されたままなのに、派遣の根拠である自衛隊法に活動を制約され、自衛官は首都カブールの空港から一歩も外に出られなかった。
 政府は当初、退避希望者の空港までの移動手段について、「各自で確保していただくしか仕方ない」(岸防衛相)としていたが、が24日にアフガン人の出国を認めない考えを表明したため方針を転換し、26日には空港へ向かうバスを20台以上用意したものの、空港ゲート付近で自爆テロが発生したため、移動を断念した。
 自衛隊法84条の4は輸送を「安全に実施することができると認めるとき」に限定しており、自衛官が市中に退避希望者を迎えに行き、警護して連れてくることはできなかった。 (2109-082901)

退避できた日本人は1人のみ

 日本が進めているアフガニスタンからの邦人や現地職員らの退避が難航している一方で、韓国はミラクルと名付けられた退避作戦で、現地職員やその家族390人を韓国国内に移送完了した。
 韓国の中央日報は、当初は500人の退避を想定しながら実際は10人程度だったとして、「日本、カブールの恥辱」との見出しで報じている。
 日本政府関係者によると、自衛隊の輸送機でアフガニスタンから退避できた日本人は1人のみとアフガニスタン人14人をパキスタンに運んだが、これは日本大使館や国際協力機構 (JICA) の職員ではなく、第三国から要請された人たちであった。 (2109-082905)

自衛隊法84条4改正を含む見直し検討

 岸田首相が12月13日に衆議院予算委員会で、海外での有事の際に安全な実施を条件に在外邦人の輸送を規定する自衛隊法84条4について、さらに改善できないか検討を指示したと述べ、法改正を含む見直しの必要性に言及した。
 政府は8月に自衛隊法84条4に基づきアフガニスタンから在留邦人を退避させるため、自衛隊を現地に派遣したが、自衛隊法上派遣できるのは「輸送を安全に実施できると認められるとき」に限られていることにより、安全確認に時間がかかり、派遣の決定の遅れにつながったのではないか、などとする指摘があった。
 政府関係者は法改正について、法改正で自衛隊の運用を変えるのではないと話している。 (2201-121306)

6・5・3 エチオピアへの輸送機派遣準備

 政府は紛争が激化しているエチオピアから自衛隊機で日本人を退避させる場合に備え、隣国ジブチに先遣隊を派遣し、現地で正確な情勢を把握する。
 これに関連し政府は11月26日に国家安全保障会議 (NSC) を開いた。
 首都アディスアベバでの戦闘の可能性も伝えられており、米欧各国は自国民の退避を呼びかけている。 (2112-112610)

 外務省は11月26日、エチオピアの首都アディスアベバの治安状況が急速に悪化する可能性も否定できないとして、同国全土の危険情報を最高度のLevel 4(退避勧告)に引き上げた。
 防衛省は26日、エチオピアで邦人保護が必要となる事態に備え、自衛隊が拠点を置くジブチに先遣隊を向かわせた。
 エチオピアでは連邦政府軍と北部ティグレ州を拠点とするティグレ人民解放戦線 (TPLF) との武力紛争が続いており、自衛隊機で邦人を出国させることも視野に情勢を見極める。 (2112-112703)

 防衛省が12月23日、エチオピアの紛争の激化を受け隣国のジブチに派遣していた同省と外務省の調査チームを撤収すると発表した。
 12月上旬以降、反政府勢力が首都に向けて南下する可能性が低くなったためという。
 自衛隊機で現地邦人を退避させる場合に備え情報収集を行っていた。 (2201-122302)

6・6 将来戦への対応

6・6・1 サイバ戦

6・6・1・1 中国からのサイバ攻撃

PLA 第61419部隊隷下のサイバ攻撃集団 Tick による攻撃

 加藤官房長官が4月20日の記者会見で、警視庁が日本の研究機関や企業に対するサイバ攻撃をめぐり中国共産党員で中国籍の男を書類送検したことについて、PLA第61419部隊を背景に持つTickと呼ばれるサイバ攻撃集団が関与した可能性が高いことが判明したと説明し、一連の攻撃に関する捜査は継続されるとした。
 また、PLAが関与している可能性が高い国内企業などに対するサイバ攻撃は約200件把握しているとした上で、「攻撃を受けた企業に警察から個別に注意喚起を実施している。
 現在のところ情報流出などの被害は確認されていないと報告を受けている」と述べた。 (2105-042004)

三菱電機へのサイバ攻撃で安全保障上重要な59件が流出

 防衛省は、2020年に公表された三菱電機への不正アクセスによって流出した可能性があるデータのうち、安全保障に影響を及ぼすおそれのあるものが59件あったことを明らかにした。
 防衛省によると、2019年三菱電機の中国拠点にあるサーバが攻撃を受けたことで日本国内のサーバも不正アクセスを受け、防衛省に関係するデータおよそ2万件が流出した可能性があるという。 (2201-122409)

中国軍61419部隊の工作未遂

 中国籍で30歳代の元留学生の男が、中国軍人の妻からの指示で日本企業向けのウイルス対策ソフトを不正に購入しようとしていた疑いが強まり、警視庁公安部は、詐欺未遂容疑で男の逮捕状を取ったが男は既に中国に帰国しており、国際刑事警察機構 (ICPO) を通じて国際手配する方針である。
 元留学生の妻は日本企業などにサイバ攻撃を仕掛ける中国のハッカー集団Tichと同体とみられている中国軍サイバ攻撃部隊の61419部隊に所属していたとされる。
 捜査関係者によると、元留学生は2016年11月に実在しない日本の企業名や担当者名を使い、都内の会社が販売している日本企業向けのウイルス対策ソフトを購入しようとしたが、会社側が不審点に気づき販売を見送ったという。
 公安部は、中国軍側がウイルス対策ソフトを入手して分析し、日本企業のシステムの脆弱性を探ろうとしていたとみている。 (2201-122801)

6・6・1・2 サイバー戦体制の強化

サイバー戦要員の確保

 防衛省はサイバ戦能力を強化する方針で、関連費を4年度予算の概算要求に計上する。
 平成30年度末時点で計430名だったサイバ部隊は段階的に増員して3年度末に800名と3年前の2倍にし、5年度には千数百名規模に拡大する。 また2022年に自衛隊サイバー防衛隊を創設して陸海空の機能を集約しサイバ防衛全体を統括する体制にする。
 さらに将来の担い手にするため、3年度には陸上自衛隊高等工科学校にサイバ専修コースを設けた。
 高度化するサイバ攻撃に備えるため7月1日付でNTTとラックの2社から1名ずつサイバーセキュリティ統括アドバイザーとして採用した。
 企業に籍をおいたまま非常勤で週2~3日、防衛省で勤務する。 (2108-070401)

次期サイバーセキュリティ戦略

 政府が7月7日、官房長官を本部長とするサイバーセキュリティ戦略本部の会合を開き、今後3年間の次期サイバーセキュリティ戦略案を策定した。
 中国やロシアなどによるサイバ攻撃を念頭に、安全保障上のサイバ抑止力向上を図るのが柱としている。
 今後意見公募を実施した上で、9月にも新戦略として正式に閣議決定する。 (2108-070704)

 政府が9月28日の閣議で、サイバー分野の安全確保に関する今後3年間の目標や対処方針を示したサイバーセキュリティ戦略を決定した。
 サイバー攻撃の脅威として中国、ロシア、北朝鮮を初めて明記し、全ての有効な手段と能力を活用し、断固たる対応をとると強調している。
 脅威に対しては、米国やオーストラリア、インドなどと連携し「非難等の外交的手段や刑事訴追等の手段も含め、しかるべく対応する」とした。 (2110-092802)

6・6・2 宇宙利用、宇宙防衛

6・6・2・1 宇宙利用

宇宙基本計画工程表の改定

 政府が6月29日に首相官邸で宇宙開発戦略本部を開き、特に重点的に取り組む事項の筆頭に宇宙安全保障の確保を掲げた宇宙基本計画工程表の改定に向けた重点事項を決定した。
 多数の小型衛星を低軌道に投入する衛星コンステレーションについて、ミサイル防衛強化などを目的に「米国との連携の可能性も念頭に検討を行い、先行的な技術研究に着手する」と明記した。 (2107-062903)

2020年代半ばに小型衛星3基を打ち上げ

 複数の政府関係者が、政府が小型衛星による観測網の構築に向け、2020年代半ばに衛星3基を打ち上げ、実証試験を行う方針を固めたことを明らかにした。
 災害状況の把握や海洋監視への活用が期待され、将来は中国やロシアが開発を進める超高速滑空兵器 (HGV) などの捕捉追随も視野に入れている。
 岸田首相は、宇宙など先端科学技術の研究開発に大胆な投資を行う方針を示していて、11月19日に決定した経済対策では経済安全保障の強化に向け5,000億円規模の基金創設を打ち出しており、3基の打ち上げ費用600億円はこの基金から捻出する。 (2112-112201)

6・6・2・2 宇宙防衛

6・6・2・2・1 宇宙作戦部隊

宇宙作戦群を新編

 複数の関係者が9月11日、防衛省が日本の人工衛星への妨害を監視する第2宇宙作戦隊を、令和4年度中に航空自衛隊防府北基地に新編する方針を固めたことを明らかにした。
 それによると、3年度には宇宙作戦指揮所運用隊を府中基地に置き、作戦隊などと合わせて宇宙作戦群としたうえで、4年度には府中基地の作戦隊を第1宇宙作戦隊に改編し、関連装備を維持管理する約10名の宇宙システム管理隊も置き、第2作戦隊を含む作戦群全体で120名程度に増やす。
 作戦群はレーダや人工衛星を運用する宇宙状況監視 (SSA) システムの運用が始まる5年度に本格稼働させる計画で、8年度までにSSA衛星の打ち上げを目指す。 (2110-091202)

防府北基地に第2宇宙作戦隊を新設

 岸防衛相が11月14日、日本の人工衛星の働きを電磁波で妨害する行為の監視を担う第2宇宙作戦隊を令和4年度中に航空自衛隊防府北基地に新設する方針を表明した。
 宇宙ごみ(スペースデブリ)の警戒活動も担う宇宙作戦隊は、2020年5月の府中基地に続く設置となるもので、防衛省は防府北基地を宇宙空間監視の西の拠点にしたい考えである。
 安全保障の新領域と呼ばれる宇宙や電磁波の分野での能力向上を中国やロシアが進めており対応を強化する。 (2112-111403)

6・6・2・2・2 宇宙状況監視

準天頂衛星に米宇宙軍の光学センサを搭載

 米宇宙軍が3月12日、2023年と2024年に種子島宇宙センターから打ち上げられる準天頂衛星 (QZSS) に、中国の宇宙活動を監視する目的で米SMSCが製造した光学センサを搭載することで日米が合意し、2020年12月に内閣府宇宙開発戦略推進事務局とMoUを交換したと発表した。
 米宇宙軍作戦部長のレイモンド大将は2月に議会で証言し、日本が今年、独仏に次いで公式に米宇宙軍との同盟国になると述べた。 (2104-031208)

宇宙状況監視 (SSA) 衛星

 防衛省が、打ち上げられた人工衛星の寿命を延ばす技術の研究に着手した。 専用の衛星で燃料補給や修理を行うもので、近く開発にかかるコストなどを報告書にまとめる。
 令和8年度までの打ち上げを予定している宇宙状況監視 (SSA) 衛星で実用化したい考えである。 (2104-032906)

民間人工衛星の監視強化

 政府が民間事業者が打ち上げる人工衛星の監視を強化するため、2021年中に宇宙活動法の指針を見直して宇宙での作業計画や軌道情報を国に詳しく報告するよう事業者に求める。
 現状は衛星の軌道や運行計画を十分把握できず、衛星同士が接近しても危害を加える意図がないか確認しにくい。
 宇宙ビジネスへの民間参入が続く中、他国に協調を呼びかけて国際的なルールづくりをめざす。 (2110-091205)

6・6・2・2・3 宇宙巡回船構想

 関係者が10月9日、防衛省が宇宙空間の警戒監視や人工衛星の修理補給を担う宇宙巡回船の建造を検討していることを明らかにした。
 実現時期は未定だが、同省の目指す宇宙状況監視(SSA)能力向上の一環として、宇宙空間を自由に航行する無人船を想定し、令和4年度予算概算要求に調査研究費1億円を計上した。
 宇宙空間には、役目を終えた衛星やロケットなどがスペースデブリとして多数存在し、稼働中の衛星に衝突する懸念があるうえに、中国やロシアは他国の衛星を攻撃妨害するキラー衛星の開発を進めているとされる。 (2111-101001)
6・6・3 電 子 戦

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・6・4 将来戦対応統合部隊の創設

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・7 防衛協力

6・7・1 多国間防衛協力

6・7・1・1 多国間訓練の増加

 自衛隊が外国軍と共同訓練する機会が増えてきた。 2021年1~5月は公表ベースで陸海空の合計で38回と週2回ペースで実施した。
 4月にフランス海軍が主導したインド東方のベンガル湾での訓練に海上自衛隊と米豪印の海軍が参加し、クアッド4ヵ国の枠組みに欧州が加わり、対中抑止で共同歩調を取る象徴となった。
 5月には陸上自衛隊が米仏軍と九州で離島防衛訓練を開き、航空自衛隊は4月だけで東シナ海上空で日米共同訓練を2回行った。
 近年、目立つのは同盟国の米国だけでなくオーストラリアやインド、欧州などを含めた多国間の訓練で、戦闘技術の向上や有事での協力に向けた準備だけでなく、軍備増強を進める中国の抑止という目的もある。
 台湾海峡や尖閣諸島周辺の緊張を受け、九州や沖縄近辺を選ぶ事例が多い。 (2107-060801)
6・7・1・2 日米豪共同演習

Talisman Sabre 演習

 陸上自衛隊が6月24日、水陸機動団が豪陸軍、米海兵隊、英国海兵隊と水陸両用作戦演習Talisman Sabreを実施すると発表した。
 これまで参加国が日米豪3ヵ国だった訓練に初めて英国が参加する。 水陸機動団は25日から8月7日の日程で参加する。
 実施場所は豪クイーンズランド州の演習場などで、オーストラリアの艦艇を活用し、各国部隊が水陸両用作戦を展開する。 (2107-062405)

 米国とオーストラリアが6月25日に開始したTalisman Sabre米豪合同演習に韓国海軍が史上初めて参加する。
 韓国国防部報道官は28日に、韓国海軍が今年初めて参加すると発表し、駆逐艦1隻とヘリ1機、海軍と海兵隊240名が7月中旬ごろに参加する。
 Talisman Sabre 2021には米豪と共にFive Eyesと呼ばれる英国、カナダ、ニュージーランドと日本も演習に参加する。 同演習は2005年から隔年で実施され、日本は2019年から参加している。 (2107-062902)

 米、豪、英、日、韓、ニュージーランドから17,000名が参加する隔年演習Talisman Sabreが7月14日に開始された。
 この演習には佐世保を基地とする米海軍強襲揚陸艦AmericaからESGと固定翼機70機とヘリコプタ50機が参加する。
 また相模原補給処の米陸軍第38防空砲兵旅団からPatriot部隊が参加し、16日にShoalwater湾で2機の標的機に対しオーストラリアで初めての射撃を行う。 (2108-071410)

 オーストラリア東部の沖合などを舞台とした隔年実施米豪軍事演習Talisman Sabreが7月14日に始まった。
 演習には日本も自衛隊を派遣、インドはオブザーバーで参加し、日米豪印の協力枠組みQuadを形成する4ヵ国が集結している。
 7月末まで続く演習は今回が9回目で、陸海空に加えてサイバ空間で相互運用性を高める狙いがある。 演習にはオブザーバーも含めて全部で11ヵ国から17,000名が参加し、日本からは陸上自衛隊から水陸機動団が参加している。
 豪公共放送ABCによれば、中国の情報収集艦が付近の海域に向けて航行している。 中国は過去2回の演習でも同種の艦船を送った。
 ダットン豪国防相はこの動きを確認し、活動の一環として監視していると語った。 (2108-071501)

 豪米日英韓から17,000名が参加して2週間にわたり行われるTalisman Sabre 2021演習がオーストラリア北西部Queensland州を舞台に7月に行われた。
 中国PLA海軍は2隻のType 815/815A情報収集艦を派遣してこの状況を監視した。 (2110-081804)

Down Under 演習

 米豪軍が夏、Down Under大規模二国間演習を予定している。
 この演習は2019年に行われたTalisman Sabre隔年演習に次ぐもので、Talisman Sabreでは米豪合わせて34,000名が参加している。
 2020年に予定されていた米比合同演習はCOVID-19パンデミックにより中止されたが、今回の演習には影響しないという。
 米豪軍から発表はないが豪国防相は2019年同様に日本からの水陸機動団の参加も望んでいる。 (2102-012806)

6・7・1・3 日米仏共同演習

6・7・1・3・1 海上共同演習

 海上自衛隊が2月19日、九州西方海域で米仏艦と共同訓練を行ったと発表した。
 フランス軍との間では、一昨年締結された物品役務相互提供協定 (ACSA) に基づき、初めて海上自衛隊の補給艦が燃料を補給した。
 海上自衛隊によると、19日に補給艦はまなが米駆逐艦Curtis Wilbur、仏フリゲート艦Prairialと共同訓練を行い、はまなが米仏艦にそれぞれ海上で燃料を補給したという。 (2103-022003)
6・7・1・3・2 陸上共同演習

 湯浅陸上幕僚長が4日の記者会見で、日本国内でのフランス陸軍、米海兵隊との共同訓練実施に向け調整していると明らかにした。 具体的な訓練場所や参加隊員の規模は未定で「早くても5月以降」としている。
 日米仏3ヵ国の陸上部隊同士による本格的な訓練が、日本で実現すれば初めてになる。
 欧州各国は、中国への警戒感から太平洋地域への部隊派遣を相次ぎ表明している。 (2104-030405)

 陸上自衛隊が調整を進めている米海兵隊、フランス陸軍との共同訓練が、宮崎県えびの市と鹿児島県湧水町にまたがる霧島演習場で5月にも実施されることが分かった。
 訓練は5月中旬を予定しているが、新型コロナウイルスCOVID-19感染拡大の影響で6月以降に遅れる可能性もある。
 日本国内でこの3ヵ国の陸上部隊による本格的な訓練は初めてのケースで、陸自は米国以外の国とも協力関係を深め、多国間連携で中国を牽制する狙いがあるとみられる。 (2105-040101)

 吉田陸幕長が4月15日の記者会見で、令和3年度主要訓練の重点の一つとして、国内の陸上で初となる米海兵隊、フランス陸軍との共同演習を、霧島演習場を中心にして5月ごろに実施すると正式発表した。
 九州防衛局や関係者へのこれまでの取材では、九州西方海空域を含む全体演習は5月11~17日、霧島演習場では14~16日の予定で、米軍のMV-22 Osprey 4機も参加する見込みで、海上自衛隊鹿屋基地を整備給油拠点として検討している。
 陸自は米軍以外との多国間連携を進めていく考えで、陸幕長は「フランスは法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を担う国だ」と説明し、今後の日仏陸部隊での訓練を増やす可能性に含みを持たせた。
 海洋進出を強める中国を念頭に、米国に加えてフランスとの関係を強化し、インド太平洋地域の平和と安定に寄与する。 (2105-041509)

 日米豪仏軍による離島防衛の能力向上を目的とした共同訓練ARC 21が5月11日に佐世保市の相浦駐屯地で開始された。
 17日までの日程後半では、洋上と陸上部隊が連携し、霧島演習場へ部隊を送り込む。 同演習場での演習には陸上自衛隊、米海兵隊、フランス陸軍が参加する。
 日本国内でこの3ヵ国の陸上部隊が本格的な実動訓練をするのは初めてである。 (2106-051204)

6・7・1・4 クワッド+仏共同演習

拡大 Malabar 演習

 インド政府関係者が、日米豪印にフランスを加えた5ヵ国が4月上旬に初の海上共同演習を行う方向で最終調整に入ったことを明らかにした。
 演習はインドの呼びかけでベンガル湾で行う。 各国の軍や自衛隊から駆逐艦や潜水艦を派遣することを検討している。
 日米豪印は2020年11月にインド洋で海上共同演習練Malabarを行っており、インド洋や南太平洋に領土や基地を持つフランスも中国の海洋進出を懸念して2018年にはインド太平洋の概念を取り入れた安全保障政策を欧州でいち早く発表した。
 日米豪印はインド太平洋地域に進出する中国を牽制する目的で、欧州主要国との連携を広げたい意向とみられる。 (2104-031401)

仏主導の共同訓練 La Pérouseにインドが初参加

 インド当局者が3月31日、フランス海軍主導で海上自衛隊と米海軍、豪海軍が参加する海上共同訓練La Pérouseに、今年はインドが初参加することを明らかにした。
 日米豪印は3月12日に初の首脳会合をTV会議方式で開いたばかりで、協力が4ヵ国にとどまらないことを印象付ける狙いがあると見られる。 (2104-033104)

 海上自衛隊と米豪印仏による共同演習La Pérouseがインド東方のベンガル湾で4月5日に始まった。 演習は仏が主導し仏強襲揚陸艦Tonnerreの艦長が司令官となり7日まで続く。
 この演習へのインドの参加は初めてである。
 海自の護衛艦あけぼのをはじめ各国から8隻が参加して、対空戦、海上戦などの訓練を行う。 (2105-040503)

6・7・1・5 その他の多国間演習

10月2日~3日: 米、英、蘭、加、NZと

 海上自衛隊が10月4日、10月2日から10月3日に掛けて沖縄の南西海域で米英蘭加及び、ニュージーランド海軍と合同演習を行ったことを発表した。
 この演習には護衛艦いせ、護衛艦きりしま、護衛艦やまぎりをはじめ、6ヵ国海軍から空母×4、巡洋艦×2、駆逐艦×4、フリゲート艦×5、補給艦×2の合計17隻が参加した。
 空母では護衛艦いせ、英空母Queen Elizabeth、米空母Ronald ReaganCarl Vinsonが参加した。 (2111-100403)

11月21日~30日: 米、豪、独、加と

 海上自衛隊が主催す年次演習ANNUALEXに2021年は米豪加に加えてドイツが初めて参加して5ヶ国で実施された。
 この演習には35隻の艦船と40機の航空機が参加した。 米第7艦隊からは空母Carl Vinsonが参加した。 (2201-120108>2201-120108>2201-120108)
【註】海上自衛隊の発表によると演習は11月21日~30日に自衛艦隊司令官を搭載官にして日本周辺で実施され、海上自衛隊からは艦艇20隻、航空機40機、米海軍からは艦艇10隻、豪海軍から2隻、加海軍から1隻、独海軍から1隻が参加した。

6・7・2 大洋州諸国との防衛協力

6・7・2・1 オーストラリア

2月25日: 日豪首相が電話会談

 菅総理が2月25日にモリソン豪首相と電話会談を行い、地域情勢が緊迫化するなか安全保障分野などの協力を進めることで一致した。
 菅総理とモリソン首相は2020年11月に東京で会談した際、日豪関係の強化で一致しており、今回の会談はさらなる協力推進を目指すオーストラリア側の申し出で40分間行われた。
 会談の中では、菅総理から中国海警局による外国船舶への武器使用を可能にした海警法について深刻な懸念が示され、両首脳は中国による東シナ海などでの一方的な現状変更の試みに対して日豪が緊密に連携していくことで一致したという。 (2103-022601)

5月19日: 日豪国防相が電話会談

 岸防衛相が5月19日にダットン豪国防相と電話会談し、中国が軍事的圧力を強める台湾情勢について意見を交換した。
 岸防衛相が就任以来、豪国防相と台湾情勢について意見を交わしたのは初めてで、米国以外の国と台湾情勢を協議するのは異例である。 (2106-051905)

5月29日: フリゲート艦 Ballarat が寄港

 海上自衛隊横須賀地方総監部が27日、豪海軍フリゲート艦Ballaratが補給のため29日に横須賀基地に入港すると発表した。 6月2日まで停泊するがCOVID-19感染防止対策のため乗員の上陸は予定されていないという。
 防衛省によると、同艦は5月中旬から北朝鮮の瀬取り警戒監視活動を日本周辺海域で展開している。 (2106-052802)

6月 9日: 2-plus-2、武器等防護の実施で合意

 岸防衛相が6月4日の記者会見で、日豪両政府による外務防衛担当閣僚協議 (2-plus-2) を9日にオンライン形式で実施すると正式に発表した。
 自衛隊が豪軍の艦艇や航空機を警護する武器等防護の実施に向け協議する。
 武器等防護は2015年に成立した安全保障関連法に基づく措置で、現在実施しているのは、米軍の艦艇と航空機による情報収集警戒監視、輸送補給、共同訓練などの際の警護でだけで、対象が米軍以外に広がれば初めてとなる。 (2107-060405)

 日本とオーストラリアの外務防衛閣僚会合 (2-plus-2) がTV会議で行われ、両国の防衛協力をさらに深化させていくことで一致した。
 2時間にわたる協議で、両国は安全保障防衛協力をさらに深化させていくことで一致と、自衛隊が平時から外国の艦船など守る武器等防護についても、両国間による実施に向けた準備が完了したという。
 オーストラリアの要請を受け、実施されれば、米国以外では初となる。 (2107-060904)

 日本とオーストラリア政府が6月9日、外務防衛担当閣僚協議 (2-plus-2) の共同声明を発表し「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と初めて明記した。 (2107-060906)

 日豪政府が6月9日、2018年10月以来9回目となる外務防衛担当閣僚協議 (2-plus-2) をTV会議形式で開催し、安全保障関連法に基づき自衛隊が他国の艦艇や航空機を守る武器等防護の実施に向けた体制が整ったことを確認した。
 武器等防護の対象となるのは米国に続き2ヵ国目で、海洋進出を強める中国を念頭に、準同盟国と位置付ける豪州との連携強化を図る。
 武器等防護の実施には豪軍からの要請が必要で、最初の防護の際は政府の国家安全保障会議 (NSC) で審議し、防衛相が実施の可否を判断する。 (2107-060907)

 日本政府が6月9日にオーストラリアとバーチャルで開いた2-plus-2で、オーストラリア側から要請があれば自衛隊が同国軍の防護にあたることで合意した。
 また同時に共同訓練などの円滑化協定 (RAA) 締結を促進することでも合意した。 (2108-062304)

円滑化協定、2021年中の最終合意へ

 山上駐豪大使が7月5日付のAustralian紙に掲載されたインタビュー記事で、自衛隊と豪軍が相互の国に滞在している間の法的地位などを規定する「円滑化協定」について、2021年中の最終合意に期待を表明した。
 協定は日豪の防衛協力の強化を示し中国を牽制する狙いがあり、2021年11月の日豪首脳会談で大枠合意したが、豪州が廃止した死刑制度をめぐる調整が残っている。
 山上大使は、協定を通じて自衛隊が豪州を訪れる頻度が増えて滞在が長期化する一方、豪州側も日本での演習が増えると予想し、不測の事態が起きれば緊密に協力する必要があるとして、日豪間で相互運用性を高めることが重要だと強調した。 (2108-070501)

駆逐艦 Brisbane の寄港

 オーストラリア海軍の駆逐艦Brisbaneが、10月13日にフィリピン海で行っていた訓練中に海没して失ったMH-60R Seahawkに代わるヘリを搭載するため、10月29日に初めて米海軍横須賀基地に入港し停泊している。
 代わりのヘリは30日に、豪海軍Nowra航空基地から同国空軍C-17で横田基地に空輸されてきている。 (2112-110104)

フリゲート Warramunga の寄港

 海上自衛隊呉地方総監部が、オーストラリア海軍のフリゲートWarramungaが補給および休養のため11月6日に呉基地に寄港したと発表した。
 Warramungaは8月に日米豪印の4ヵ国共同演習マラバール2021に参加して、護衛艦かがむらさめしらぬいなどと訓練を行っている。 (2112-110705)

他国武器等防護でフリゲート艦 Warramunga の警護

 防衛省が11月12日、安全保障関連法に基づき自衛隊が他国の艦艇や航空機を守る武器等防護任務をオーストラリア軍に対して初めて実施したと発表した。
 それによると、10~12日に海上自衛隊と豪海軍が四国の南方海域で共同訓練を実施した際に、豪軍から要請を受け豪フリゲート艦Warramungaの周辺を護衛艦いなづまが警戒監視するなどして防護した。
 自衛隊が米軍以外に武器等防護を実施したのは初めてで、防護の実施に当たっては、岸田首相が議長を務める国家安全保障会議 (NSC) で審議を経たという。 (2112-111211)

円滑化協定を2022年に

 政府が自衛隊とオーストラリア軍が相互の国を訪問しやすくする新協定を2022年に結ぶ調整に入った。
 協定は互いの部隊が共同訓練などを目的に相手国に入国する際の審査が要らなくなもので、入国手続きなどを簡素にして共同訓練の機会をすと共に、訓練に使う装備品を持ち込む手続きも簡素にする。
 日豪間の枠組みを準同盟の雛形として米国以外との関係深化を急ぎ、軍事力を拡大する中国の抑止を念頭に多国間の防衛協力の可能性を広げる。 (2112-112301)

 複数の政府関係者が、日豪両政府が自衛隊と豪州軍が互いの国に滞在した際の法的地位を定める円滑化協定 (RAA) を2022年1月にも締結する方向で最終調整に入ったことを明らかにした。
 海洋進出を強める中国を念頭に、日豪の部隊が相互に訪問しやすくし、安全保障協力を強化する狙いがある。 (2201-122701)

日豪安全保障共同宣言の改定

 日豪政府が日豪安全保障共同宣言の改定を検討している。
 日豪両政府は2007年に安全保障協力に関する日豪共同宣言(日豪安全保障共同宣言)を策定したが、現行宣言は北朝鮮の核やミサイルとテロに対する安保協力が中心で、中国の脅威への対応には触れておらず、宣言を改定して中国に対する協力強化を前面に掲げる。
 中国の台湾侵攻などを念頭に有事での共同対処能力を高め、安保協力を新次元に引き上げる指針とする。
 日豪間で共同宣言の改定が実現すれば初の改定となる。 (2201-122901)

6・7・2・2 ニュージーランド

初の共同訓練へ

 岸防衛相が4月19日、ニュージーランド(NZ)のヘナレ国防相とTV会議形式で会談し、両国による初の共同訓練実施に向け調整することで合意した。
 会談で、岸防衛相は中国海警局の武器使用権限を明記した海警法について「深刻な懸念」を表明し、両相は「法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序が重要」とのメッセージを発信する方針で一致した。 (2105-041904)

6・7・2・3 太平洋島嶼国

太平洋島嶼国3ヵ国に防衛協力強化呼びかけ

 日本と太平洋の島嶼国3ヵ国の防衛担当者によるオンライン会議が開かれた。
 防衛省は、海上交通で重要な航路にある太平洋の島嶼国との防衛協力を進めるため、パプアニューギニアやフィジー、トンガの3か国の国防相らを招いた閣僚級会合を昨年4月に東京で開催する予定だったがCOVID-19の影響で延期され、改めて開催時期の調整を進めている。 (2104-030305)

太平洋・島サミットで太平洋島嶼国に対するインフラ整備支援を強調

 菅首相が7月2日の太平洋・島サミットで、太平洋島嶼国に対するインフラ整備支援に向けた意欲を改めて強調した。
 政府は表向き中国に対抗する意図を否定するが、太平洋島嶼国への進出を強める中国系企業に対する警戒感を強めている。
 特に安全保障に直結するインフラ分野では、米国などと連携して中国の影響力をそぎたい考えで、島サミットはこうした取り組みを進めるうえで重要な会議となった。 (2108-070202)

6・7・3 インド、インド洋諸国との防衛協力

6・7・3・1 インドとの防衛協力

日印首脳電話会談

 菅首相が3月9日にインドのモディ首相と電話で会談し、日米豪印4ヵ国(クアッド)の連携を着実に進めることで一致した。
 両首脳はまた、国軍によるクーデタが起きたミャンマー情勢について重大な懸念を持ち、緊密に連携することを確認した。 両首脳は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた2国間協力や安全保障・防衛協力を強化することでも一致した。
 菅首相は、中国の東・南シナ海における一方的な現状変更の試みや中国海警局に武器使用を認めた海警法、香港や新疆ウイグル自治区での人権状況に懸念を表明し、北朝鮮による拉致問題の早期解決に向けた協力も求めた。
 モディ氏は菅首相をインドに招待する意向を示し、菅首相は適切な時期に訪印したい考えを示した。 (2104-030902)

外務防衛閣僚会合 (2-plus-2) 開催へ

 日本とインド政府が4月下旬に東京で外務防衛閣僚会合 (2-plus-2) を開催する方向で調整を進めていることがわかった。
 複数の政府関係者によると、ゴールデンウイークで調整が進められている菅総理のインド訪問を前に、防衛協力や地域の安全保障情勢について協議し、海洋進出を強める中国などを念頭に両国の連携強化を確認する方針という。 (2105-040904)

日印物品役務相互提供協定

 自衛隊とインド軍が食料や燃料などを融通し合う日印物品役務相互提供協定 (ACSA)が5月19日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決承認された。
 日本はすでに米英豪仏加とも同様の協定を結んでおり、中国に対抗するため安全保障で日印の準同盟関係を深める狙いがある。 (2106-051901)

海自が東シナ海でインドと訓練

 海上自衛隊が6月30日、補給艦はまなが29日に東シナ海で、インド海軍のコルベット艦Kiltanと洋上補給訓練を実施したと発表した。
 日印が東シナ海で共同訓練するのは異例で、インド太平洋で活動を強める中国を牽制する狙いがあるとみられる。
 日印は2020年、自衛隊とインド軍の間で食料や燃料などを融通し合う物品役務相互提供協定 (ACSA) に署名しており近く発効する。 今回は発効後を視野に運用手順を確認した。 (2107-063001)

空自、露主力戦闘機と初訓練

 航空自衛隊がインド空軍と初めて戦闘機による共同訓練を行う。 印空軍は中国空軍も採用しているSu-30を6機程度派遣する。
 共同訓練は2020年6月と2021年7月に予定していたがCOVID-19の影響で延期していたため、空自と印空軍はともに2021年度中に実現したい意向で一致している。 (2109-082202)

アラビア海で合同年次演習 JIMEX

 インド国防省が、インド海軍と海上自衛隊が今年で5回目となる両海軍合同年次演習JIMEXを10月6~8日にアラビア海で実施したと発表した。
 演習にはインド海軍からKolkata級駆逐艦Kochi、Talwar級フリゲート艦TegとP-8I、Dornie-228洋上哨戒機、MiG-29Kが参加し、海上自衛隊からは護衛艦かがむらさめが参加した。 (2111-101306)

6・7・3・2 インド洋諸国との防衛協力

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・7・4 欧州諸国との防衛協力

6・7・4・1 英 国

6・7・4・1・1 防衛協力への協議

TV 会議方式で外務防衛閣僚協議 (2-plus-2)

 日英政府が2月3日、外務防衛閣僚協議 (2-plus-2) をTV会議方式で行い、日本が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、協力をさらに進展させていくことを確認した。
 両政府は会談後、共同声明を発出し、東・南シナ海の現状について「深刻な懸念」を表明し、力を背景とした一方的な現状変更の試みに強く反対し、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序の重要性を確認した。
 日本側は、空母Qeen Elizabeth空母打撃群 (CSG) を2021年、東アジアに展開する計画の英国に対し、インド太平洋地域への関与を強化することを歓迎し、共同訓練の実施に向けて調整していくことで一致した。 (2103-020303)

ウォレス英国防相と電話会談

 岸防衛相が3月25日、ウォレス英国防相と電話会談を行い、同日の北朝鮮のBM発射についても協議して、国連安全保障理事会の決議違反として非難するとともに、危機感の共有を図るとみられる。
 両相は、英政府が表明している空母Qeen Elizabeth打撃群 (CSG) の東アジア展開についても意見を交わし、共同訓練を含め進捗を確認する。 (2104-032507)

円滑化協定が交渉入り

 茂木外相が9月28日、英国と自衛隊と英国軍の共同訓練などに関する円滑化協定 (RAA) の締結に向けた交渉に入ることで合意したことを明らかにした。 10月7日に初会合を開くという。
 軍事的影響力を強める中国をにらんだ対応で、インド太平洋地域で英国との防衛協力を促進する狙いがある。
 安全保障分野で関係国との連携を図る日本政府はオーストラリアとの円滑化協定締結を目指しており、2020年11月の日豪首脳会談で大枠合意に達している。 (2110-092803)

 英国が9月28日、日本との防衛関係の強化に向けた正式交渉を開始すると発表した。
 ウォレス国防相は「より深く複雑な防衛協力プログラム」の策定に向けた地ならしのほか、日英の人材交流などについて協議する意向を表明した。
 英国防省は、日本と交渉を進めることで、両国はルールに基づく国際秩序を重んじているとの明確なメッセージを送ることになるとの見解を示した。
 英国はインド太平洋地域に戦略の軸足を傾けており、日本との関係強化はその一環となる。 (2110-092902)

6・7・4・1・2Qeen Elizabeth CSG の日本寄港

Qeen Elizabeth CSGとアデン湾で海賊対処を想定した共同訓練

 岸防衛相が7月9日の閣議後記者会見で、海上自衛隊が英海軍空母Qeen Elizabeth CSGとソマリア沖アデン湾で海賊対処を想定した共同訓練を実施すると発表した。
 訓練日時や参加部隊の具体的内容は明らかにしていない。
 日本政府関係者によると、海自からはアデン湾の海賊対処行動に派遣している護衛艦とP-3Cが参加する。 (2108-070901)

 岸防衛相が7月13日、護衛艦せとぎりとP-3Cがソマリア沖のアデン湾で、11、12日に英空母Qeen Elizabethと共同訓練を実施したと発表した。
 Qeen Elizabeth CSGは、インド太平洋に向けて長期航海中で、共同訓練には空母に同行している米、オランダ両国の艦艇も加わった。 (2108-071302)

Qeen Elizabeth CSG の日本へ寄港

 日本政府関係者が7月18日、日英両政府が英空母打撃群を9月に日本へ寄港させる方向で調整に入ったことを明らかにした。
 寄港地を国内4ヶ所に分け空母Qeen Elizabethは米海軍横須賀基地に入港する見通しで、20日に東京で開催予定の岸防衛相とウォレス英国防相の会談で確認する。
 Qeen Elizabeth CSGには米国とオランダの艦艇も同行し編成が大規模なため、海上自衛隊横須賀基地、舞鶴基地、呉基地、米海軍佐世保基地への分散寄港を検討している。 (2108-071802)

 英海軍空母Qeen Elizabethが9月4日に米海軍横須賀基地に入港した。 日本への寄港は初めてで日本近海で活動を活発化させる中国軍を牽制する狙いがある。
 Qeen Elizabeth CSGは7日までの日程で、東シナ海から関東南方にかけての海空域で海空自衛隊、米海軍と防空戦、対潜戦訓練などを実施する。
 全長250m、排水量65,000tで、F-35Bなどを搭載しているQeen Elizabethを中心に英、米、蘭海軍の計9隻の艦船などで構成されるCSGは5月にポーツマスを出港し、スエズ運河やインド洋、南・東シナ海を航行しながら、海上自衛隊やインド海軍などと共同訓練を重ねてきた。 (2110-090403)

米英豪が日本南方海域で Qeen Elizabeth CSG と共同演習

 防衛省関係者によると、海上自衛隊が英空母Queen Elizabethと共に米英豪と8月上旬に日本の南方海域で共同演習を行う。
 また8月下旬には、航空自衛隊那覇基地のF-15とQueen Elizabeth搭載F-35Bなどによる日米英3ヵ国の訓練が、沖縄周辺の空域で行われる。
 英空母展開に合わせた一連の訓練は、海洋進出を図る中国を牽制する狙いもあるとみられる。 (2109-080103)

フリゲート艦 Richmond の佐世保入港

 イギリス海軍のQueen Elizabeth CSGを構成するフリゲート艦Richmondが、7日に佐世保に入港した。 8月24日まで停泊予定という。
 佐世保市は、乗組員全員がCovid-19ワクチンの接種を受けていて、基地の外に出ないなどの感染対策が行われているとしている。  Richmondは日米豪海軍が8月27日までの予定で行う共同訓練にCSGとして参加するものとみられる。 (2109-080705)

海上自衛隊が Qeen Elizabeth CSG と共同訓練

 防衛省が8月25日、英空母Qeen Elizabeth CSGや米軍、オランダ軍と共同訓練を実施したと発表した。
 4ヵ国による訓練は24日に沖縄南方の海空域で行われ、報道陣に公開された。
 航空自衛隊のF-15はQeen Elizabethから飛び立ったF-35Bや米軍の戦闘機などと共に訓練を展開した。
 また護衛艦いせは、米英両軍の艦艇と陣形を組んで航行し、Qeen Elizabeth艦載のヘリや米海兵隊のOspleyがいせに発着艦するなど、共同作戦を想定した連携を確認した。 (2109-082507)

日本周辺海域で対潜水艦戦訓練

 海上自衛隊が9月28日、14~15日に英海軍と日本周辺海域で対潜水艦戦訓練を実施したと発表した。
 日本と英国が潜水艦訓練をしたのは初めてである。 (2110-092906)

6・7・4・2 フランス

日仏外相会談

 茂木外相が5月4日午後(日本時間5日未明)にフランスのルドリアン外相とロンドンで会談した。
 茂木外相は、フランスがEUのインド太平洋地域への関与強化を主導していることを評価し、中国を意識した自由で開かれたインド太平洋構想の実現へ協力を具体化させていくことで一致した。 (2106-050502)

補給艦ましゅうとフリゲート艦Surcoufが共同訓練

 海上自衛隊が5月5日、補給艦ましゅうが4日に沖縄周辺海域でフランス海軍フリゲート艦Surcoufと共同訓練を行い、ましゅうからSurcoufに燃料を補給したたと発表した。
 陸上自衛隊は九州で11~17日に仏陸軍、米海兵隊と離島防衛作戦を想定した共同演習を予定しているが、同時期に海自も仏海軍と海上訓練を実施する計画で、日仏両国は訓練を繰り返して中国への抑止力を高める狙いとみられる。 (2106-050504)

強襲揚陸艦とフリゲート艦の沖縄寄港

 フランス海軍の強襲揚陸艦とフリゲート艦の2隻が5月4日の夜頃うるま市のホワイトビーチに入港したものと見られ、5日午後に沖合いに停泊しているのが確認された。
 このうちフリゲート艦Surcoufは今月4日に沖縄周辺海域で実施された日仏共同訓練に参加し、海上自衛隊の補給艦ましゅうから燃料の補給を受ける訓練を行っている。
 日仏の共同訓練には尖閣諸島や台湾を巡り、活動を活発化させる中国を牽制する狙いがあるものとみられる。 (2106-050604)

 仏海軍の強襲揚陸艦Tonnerreとフリゲート艦Surcoufが5月18日に燃料補給のため沖縄県うるま市の米軍ホワイトビーチに寄港した。
 2隻は11~17日に東シナ海などで行われた自衛隊と米仏両軍などによる共同訓練に参加し、防空、対潜訓練のほか、陸上自衛隊の水陸機動団などと連携した離島防衛訓練を行った。 (2106-051903)

日米仏共同演習 ARC 21

 陸上自衛隊、米海兵隊、仏陸軍の兵士約200名が5月15日に雨の中霧島演習場へCH-47で降着した。
 これは11日に開始された日米仏共同演習ARC 21の一環で、15日には東シナ海で3ヵ国にオーストラリアも加わり11隻が共同訓練を行った。 (2106-051601)

 陸上自衛隊霧島演習場で5月14日から米海兵隊40名と仏陸軍60名、陸上自衛隊100名の計200名が参加して日米仏共同演習が16日朝に終了した。
 演習では演習場を離島に見立てて大型ヘリから部隊を投入するヘリボン作戦などを実施した。
 米海兵隊と仏陸軍は16日午前中に演習場を陸路で去り、陸上自衛隊のほとんどの部隊も撤収したという。 (2106-051602)

日仏首脳会談

 菅首相が7月24日、五輪開会式に出席するため来日したマクロン仏大統領と都内で会談し、自衛隊と仏軍の共同訓練など両国の協力が進む現状を共有したうえで、インド太平洋地域での連携強化を確認した。
 菅首相は、陸上自衛隊と仏陸軍が5月に九州で共同訓練を行うなど、安全保障面での連携が進んでいることを念頭に日仏間の具体的協力が行われていることを歓迎し、引き続き強化していきたいとの考えを示した。 (2108-072402)

仏海軍哨戒機が普天間を拠点に北朝鮮監視飛行

 朝鮮半島と中国の間に横たわる黄海で、フランス海軍の偵察機が北朝鮮に向かう禁制品を見逃さないようくまなく監視を続けている。 任務は5日に終了した。
 このチームは、国連(UN)の対北朝鮮制裁を執行する国際的な任務の一翼を担い、沖縄にある米軍普天間飛行場(MCAS Futenma)から偵察飛行をしていた。 (2112-111703)

フランス政府が円滑化協定締結を打診

 フランス政府が日仏共同訓練を行いやすくする円滑化協定の締結を打診してきた。
 日本政府が交渉に入ればオーストラリア、英国に続く3ヵ国目になる。
 5月には仏軍は自衛隊、米軍と日本で初めて陸上部隊の本格的な訓練を実施しており、中国の覇権主義的行動を抑止していくため、仏政府は欧州勢で英国と並び、日本との安全保障協力を活発化させる意志を鮮明にした。 (2201-120505)

6・7・4・3 ドイツ

情報保護協定

 複数の関係者が、日本とドイツが来週にも東京で、軍事機密を共有し漏えいを防ぐ情報保護協定に署名する方向で調整を進めていることを明らかにした。
 情報保護協定は、メルケル首相が2019年2月に訪日した際、当時の安倍首相と締結で大筋合意したが、日独の法解釈の違いなどにより交渉が長期化し、正式な締結が遅れていた。
 日本は既に、米国やオーストラリアなどと情報保護協定を結んでいる。
 ドイツは2020年9月、中国偏重を見直すインド太平洋地域での外交貿易指針を策定し、同地域へのフリゲート艦派遣を計画するなど安保面でのアジア関与を強化しており、今回の協定締結もその一環となる。
 日本にとっては、これまで防衛装備品輸出の障害となっていた機密情報の共有が容易になり、輸出を後押しすることが期待される。 (2104-031901)

 日本とドイツの間で安全保障上の秘密情報を交換することを可能にする情報保護協定が締結された。
 日独情報保護協定の署名式は3月22日に外務省で行われ、茂木外務大臣とドイツのレーペル駐日大使が署名を行い発効した。
 この協定締結により、防衛協力や防衛装備品の輸出の促進が期待される。
 情報保護協定はこれまで、米国や韓国など7ヵ国とNATOとの間で結ばれている。 (2104-032204)

外務防衛閣僚会合 (2-pus-2)

 複数の政府関係者が、日独政府が初の外務防衛閣僚会合 (2-pus-2) を4月中旬にもTV会議方式で開催する方針を固めたことを明らかにした。
 覇権主義的な行動を強める中国を念頭に、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携や、安全保障分野での協力について協議する見通しである。
 2020年9月に新たな外交戦略「インド太平洋ガイドライン」を策定するなど、インド太平洋地域への関与を強めているドイツはUEの中核国であることから、ドイツとの関係を強化することでEUへの動きをさらに促したい考えである。 (2105-040502)

海上自衛隊と共同訓練

 独海軍はフリゲート艦Bayernを8月に出航させインド太平洋地域に派遣する。 寄港地は各国と調整中だが、複数の日本政府高官によると日本には11月上旬に寄港させたい意向を伝えてきた。
 寄港に合わせ、海上自衛隊が11月に予定している米海軍艦艇も加わる大規模演習の機会を生かして海自艦艇と共同訓練を行う。
 防衛省によると、海外に領土のないドイツがアジア地域で艦艇を投入して共同訓練を実施するのは初めてで、東・南シナ海で海洋進出を強めている中国を牽制する枠組みが拡大する。 (2107-060501)

 クランプカレンバウアー独国防相が共同通信の単独インタビューに応じ、中国が海洋進出を図るインド太平洋に派遣した海軍フリゲート艦Bayernが、オーストラリアやグアムを経て11月頃に東京に入港し海上自衛隊との共同訓練を通して対日連携を強化する見通しだと明らかにした。
 インド太平洋には英仏も艦船を派遣しバイデン米政権と共同歩調を取る構えで、ドイツはこれまで関与に慎重だったが、米やEUの動きを背景に一歩踏み出すこととなった。 (2109-081103)

 海上自衛隊が11月2日、関東南方海域でドイツ海軍フリゲート艦Bayernと4~5日の日程で共同訓練をすると発表した。
 防衛省によると独艦艇の日本寄港はおよそ20年ぶりで、日本周辺で活発な軍事活動を展開する中国の抑止を念頭に足並みをそろえる。 (2112-110204)

東京に寄港

 ドイツ海軍フリゲート艦Bayernが11月5日、東京国際クルーズターミナルに寄港した。
 Bayernは8月にドイツを出港してソマリア沖のアデン湾で海上自衛隊と共同訓練を行い、オーストラリアやグアムなどに寄港して、11月4~5日には日本南方の太平洋で再び海上自衛隊と共同訓練を行った。
 Bayernの派遣はインド太平洋地域への関与強化を図るドイツの姿勢を象徴する動きで、ドイツは昨年9月にはインド太平洋指針を閣議決定した。
 指針では「ルールに基づく秩序」などの原則を掲げ、日本など価値を同じくする国との連携を打ち出し、名指しはしていないが、中国により既存の国際秩序が脅かされているとの認識が背景にある。 (2112-110506)

太平洋に2年ごと艦船派遣方針

 ドイツ海軍総監のシェーンバッハ中将が11月7日に、東京に寄港したフリゲート艦Bayernの艦上で共同通信の単独インタビューに応じ、インド太平洋地域で法に基づく国際秩序維持と平和に貢献するため、可能ならば同地域に2年に1度は艦船を派遣したいと表明し、日本やオーストラリアなどと連携を強化したいと強調した。
 次回の派遣に関し「状況にもよるが2023年を念頭に置いている」と語った。
 南、東シナ海で海洋進出を強める中国をにらみ、バイデン米政権や英仏が同地域への関与を強化するなか、ドイツとしても継続的に存在感を示す意思を明確にした。 (2112-110706)

6・7・4・4 イタリア

空自戦闘機パイロットがイタリアで訓練

 戦闘機パイロットとしての初級訓練を終えた航空自衛隊のパイロットが、イタリア半島の踵部に位置するGalatina飛行学校でPhase 4段階の訓練を受けている。
 これはイタリア空軍参謀長と空幕長の協定に基づくもので、ドイツ軍やカタール軍と共に訓練を受けている。
 イタリア空軍参謀長によると日伊はF-35やKC-767などの装備が同じであることからイタリアでの訓練に適しているという。
 Galatina飛行学校は来年、サルジニア島のDecimomannu空軍基地に移駐することになっていて訓練空域が拡大することから、Phase 4訓練の受入数を年間40名から80名に倍増できるという。 (2111-102705)

6・7・4・5 その他

茂木外相がバルト三国歴訪

 イタリアでの主要20ヵ国地域 (G20) 外相会合を終えた茂木外相が7月1日にエストニアでリーメッツ外相と会談し、ラトビア、リトアニアを含むバルト三国歴訪を開始した。
 茂木外相は2日にラトビア、3日にリトアニアの外相と会談する。 バルト3国との経済関係強化を模索し、自由で開かれたインド太平洋構想への賛同も呼びかける。
 日本の外相によるバルト3国歴訪は初めてで、一帯一路を通じて欧州への影響力を強めようとする中国と距離を置き始めているバルト三国との連携強化を図り、中国の台頭を牽制したい考えである。
 中国はバルト三国を含む中東欧など17ヵ国と経済協力の枠組み「17+1」を通じて関係強化を図ってきたが、バルト三国の首脳は2月の17+1首脳会議を欠席し、リトアニアはこの枠組みからの離脱を表明した。 (2108-070104)

6・7・5 東南アジア諸国との防衛協力

6・7・5・1 ASEAN

茂木外相が ASEAN 版インド太平洋構想を提起

 茂木外相が8月3日にASEAN外相とのオンライン会議に参加し、南シナ海や東シナ海で海洋進出を強める中国を念頭に、ASEAN独自のインド太平洋構想 (AOIP) について協力を惜しまないと述べた。
 茂木外相はAOIPについて、日米豪印や欧州など国際的に支持が拡大していることは大きな進展だと評価し、ASEAN諸国との連携の重要性を強調した。
 茂木外相は設立に向けて準備を進めているASEAN感染症対策センターへの支援などを訴えた。 (2109-080305)

 日米中韓やASEAN加盟国など18ヵ国が参加する東アジアサミット (EAS) 外相会議が8月4日にオンライン形式で開かれた。 米国からはブリンケン国務長官が初参加し、南シナ海情勢やミャンマー問題について討議した。
 茂木敏充外相は、東・南シナ海での中国の行動を念頭に「力による一方的な現状変更の試みに強く反対する」と批判し、法の支配や紛争の平和的解決の重要性を強調。
 議長国はブルネイで、議長声明案によると南シナ海問題では中国の行動を念頭に「複数の閣僚から島の埋め立てなど、地域の安全や安定を損なう懸念が出された」と記載した。 (2109-080406)

6・7・5・2 インドネシア

防衛相会談

 岸防衛相が3月28日、インドネシアのプラボウォ国防相と防衛省で会談した。
 両相は中国が進出を強める東、南シナ海の情勢を巡り、力による一方的な現状変更の試みに強く反対するメッセージを国際社会に向けて発信していくことで一致した。
(2104-032802)

南シナで海上自衛隊とインドネシア軍の共同訓練

 岸防衛相が3月28日、インドネシアのプラボウォ国防相と防衛省で会談した。
 両相は南シナで海上自衛隊とインドネシア軍の共同訓練を実施する方針を申し合わせた。 (2104-032802)

防衛装備品・技術移転協定

 岸防衛相が3月28日にインドネシアのプラボウォ国防相と防衛省で約1時間会談し、海上自衛隊護衛艦の輸出など日本からの防衛装備品や技術移転の具体化を確認した (2104-032803)

 日本とインドネシア政府が3月30日、日本からの防衛装備品輸出に向けた防衛装備品・技術移転協定に合意し、東京都内での外務防衛閣僚会合 (2-plus-2) 後に両国の閣僚が署名した。 (2104-033002)

6・7・5・3 フィリピン

自衛隊の装備を政府開発援助 (ODA) で供与

 政府がフィリピン軍に、災害時の人命救助に必要な資機材がまとめられた自衛隊の人命救助システムを政府開発援助 (ODA) での供与を開始した。
 ODAの基本方針を定めた2015年策定の開発協力大綱で非軍事目的の他国軍支援は可能と明確化して以降、自衛隊の運用装備をODAで供与する初の事例となる。 (2105-041801)

航空自衛隊との共同訓練

 マニラ近郊で7月5日に比空軍と航空自衛隊が共同訓練を行った。 訓練は8日までの4日間、クラーク空軍基地で実施する。
 人道支援と災害救助に関する内容で、空自は戦術輸送機C-130Hで孤立地域への物資投下などを行う。
 両者が2国間で訓練するのは初めてで、駐マニラ日本大使館は声明で「両国の防衛協力において重要な一里塚になる」と位置づけた。 (2108-070503)

Kamabdag 日米比合同演習

 9月下旬にフィリピンで行われるKamabdag日米比合同演習では、沿岸配備武器が焦点になる。
 Kamabdag演習は大規模演習FIBLEXに代わる年次演習として2017年に開始され、2020年は米軍1,400名、比軍900名、自衛隊100名が参加して行われたが、今年はCOVID-19の影響で、9月にフィリピンで米海兵隊12名、比海兵隊242名、陸上自衛隊25名が参加して8日間行われた後、フィリピンの演習に参加するはずであった米海兵隊400名がキャンプFujiと沖縄で演習を行う。 (2111-093001)

6・7・5・4 ベトナム

日越防衛相会談

 岸防衛相が6月3日、ベトナムのファン・バン・ザン国防相とTV会議形式で約1時間会談し、艦艇の寄港や装備・技術協力などを通じた防衛分野での協力・交流をさらに進めていくことで一致した。
 岸防衛相は、中国の海洋進出を念頭に「力を背景とした一方的な現状変更の試み」に強く反対する考えを表明し、中国海警局の武器使用権限を明記した海警法への「深刻な懸念」も伝えた。 (2107-060307)

岸防衛相がベトナム訪問

 岸防衛相が9月10日の記者会見で、同日からベトナムを訪問し、11日にファン・バン・ザン国防相と会談すると発表した。
 防衛相は、日越防衛協力を新たな段階へ引き上げるべく率直な意見交換をしたいと述べた。 (2110-091003)

防衛装備品の技術移転協定に署名

 岸防衛相が9月11日午後に訪問先のベトナムの首都ハノイでファン・バン・ザン国防相と会談し、防衛協力を拡大することで一致した。
 会談に合わせ、両政府は相手国への防衛装備品の輸出を可能とする防衛装備品の技術移転協定に署名した。
 協定の署名を受け、両政府は日本からの艦艇などの輸出に向け、実務者による協議を加速化させる。 日本はこれまでに、米国や英国、オーストラリアなど10ヵ国と同様の協定を締結している。 (2110-091201)

ファン・バン・ザン国防相の訪日

 岸防衛相が11月23日、ベトナムのファン・バン・ザン国防相と防衛省で会談し、中国の南シナ海での軍事動向を念頭に「既存の国際秩序と相いれない力による一方的な現状変更の試み」に反対する方針で一致すると共に、9月に署名した防衛装備品・技術移転協定に基づき、日本から艦艇などの輸出に向けた協議を加速する方針を確認した。
 また国連平和維持活動(PKO)分野での協力を進めることも確認した。 岸防衛相は、知見の共有に向けて自衛官をベトナムに派遣する考えを示した。
 会談後、両政府の実務者はサイバーセキュリティーと衛生分野の防衛協力に関する覚書に署名した。 (2112-112305)

6・7・6 中東諸国との防衛協力

茂木外相、中東7ヵ国・地域歴訪

 茂木外相が8月10日、15~24日の日程でエジプト、パレスチナ自治区、イスラエル、ヨルダン、トルコ、イラン、カタールの中東7ヵ国と地域を訪問すると発表した。
 イスラエルとイランでそれぞれ新政権が発足したタイミングを捉え、日本の中東地域へのコミットメントを改めて強調するとともに、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の重要性を確認したいと狙いを語った。 (2109-081005)

6・7・7 その他諸国との防衛協力

6・7・7・1 カナダ

フリゲート艦 Winnipeg の佐世保寄港

 東シナ海で北朝鮮に対する国連の制裁措置支援に当たっていたカナダ海軍のフリゲート艦Winnipegが物資の補給や乗組員の休養などが目的で11月6日に佐世保に寄港した。
 Winnipegは8月にカナダを出港し、9月には海上自衛隊や英空母Queen Elzabethなどによる多国間の共同訓練に参加した。 (2112-110701)

6・7・7・2 韓 国

4月: 日米韓制服組トップが3者会談

 米統合参謀本部が4月30日、日米韓の制服組トップがハワイで29日に3者会談を開き、北朝鮮の核とBM開発への懸念を共有したと発表した。
 会談にはミリー米統合参謀本部議長、山崎統合幕僚長、元韓国合同参謀本部議長が出席した。
 「地域における法に基づく国際秩序推進の重要性について協議した」としており、軍事力拡大を続ける中国についても話し合ったとみられる。
 COVID-19感染拡大後に3ヵ国制服組トップが対面で会うのは初めてである。 (2105-043005)

9月: 日米韓で北朝鮮問題高官協議

 日米韓3ヵ国の北朝鮮問題を担当する高官が9月14日に東京で協議を開催し、北朝鮮のミサイルや核プログラム抑制に向けた方策を話し合った。
 米国のキム北朝鮮担当特別代表は冒頭、北朝鮮の最近の状況は3ヵ国の密接なコミュニケーションと協力の重要性を思い起こさせるものだと述べた。 (2110-091401)

6・7・7・3 中南米諸国

太平洋同盟正式加盟の検討

 松野官房長官が11月8日にコロンビアのラミレス副大統領兼外相との会談で、貿易自由化の枠組み太平洋同盟への正式加盟を要請され、日本側は前向きに検討する意向を示した。
 また首脳会談の早期開催へ調整を進めることでも一致したことを、ラミレス副大統領が会談後に記者団に明らかにした。
 政府関係者によると、太平洋同盟はメキシコやペルー、チリが加盟し、アジアからも枠組み参加への関心が高まっているという。 (2112-110804)

6・7・8 海上保安庁の協力事業

6・7・8・1 共同警備活動

フィリピン沿岸警備隊と公海上での哨戒

 海上保安庁が、東南アジア周辺海域における海賊対策およびフィリピン沿岸警備隊との連携訓練を実施するため、約1ヵ月間の予定で1月8日に大型巡視船えちごをフィリピン周辺海域に派遣した。
 派遣中は、公海上での哨戒を実施するほか、フィリピン沿岸警備隊と連携訓練を行うことで日比間の連携協力関係の強化を図るとしている。
 えちごはヘリ搭載型巡視船で、新潟海上保安部所属として新潟港を拠点に活動している。 (2102-010902)

6・7・8・2 共同訓練

インドネシア職員にオンライン指導

 海上保安庁が7月14日、インドネシアの海上保安機構Bakamlaの職員に不審者の制圧方法などを指導するオンライン研修を実施した。
 研修では、密漁者などを取り締まる際に抵抗する相手の動きを制止するための制圧方法や、小型船への立ち入り検査の際の効果的なやりとりなどをカメラ越しに実践し、通訳を交えての指導が行われた。
 海上保安庁は、東南アジアなどの周辺国に対し、海上警備などの知識や技能を伝え支援する部門を2017年に発足させ、各国に職員を派遣していたが、COVID-19の感染拡大により昨年からはオンラインでの研修を続けている。 (2108-071405)

フィリピン沿岸警備隊との訓練

 フィリピン沖に海賊対策任務で1ヵ月間派遣され、フィリピン沿岸警備隊と海賊対策の訓練を行ってきた函館海上保安部の巡視船つがるが帰港した。
 11月5日からフィリピン沖に派遣され、フィリピンの沿岸警備隊と海賊対策の訓練を行ってきた。
 東南アジア海域では、2020年だけでも海賊や武装集団による強奪や乗組員の誘拐などが62件発生しているため、海上保安庁は2000年から道内などの巡視船を派遣している。 (2112-112904)

マレーシアの海上保安能力強化への協力

 岸田首相が12月2日にマレーシアのイスマイルサブリ首相と電話で協議し、日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」の実現へ海上保安能力の強化などで協力を進めたいと述べた。
 中国が進出を強める東・南シナ海を巡り「一方的な現状変更の試みに強く反対する」と伝えた。
 日本政府は安倍元首相を政府特使として12月上旬にマレーシアへ派遣する計画であったが、COVID-19変異型オミクロン株の感染拡大を受けて見送ったが、感染の状況を見極めて安倍元首相の訪問を再調整する。 (2201-120205)

6・7・9 技術協力、武器輸出

6・7・9・1 武器輸出

6・7・9・1・1 輸出奨励策

国際協力銀行が低金利融資

 日本政府筋が、政府が防衛装備品の輸出促進のため低金利融資を行う方針であることを明らかにした。
 融資は国際協力銀行が日本貿易保険の支援を受けて実施する。 (2106-051802)

 日本政府が防衛装備品の輸出促進に向け、国際協力銀行を利用した低金利貸し付けを検討していると報じられた。 (2107-052610)

6・7・9・1・2 具体的な商談

インドネシアへの FFM 売り込み

 日本政府が海上自衛隊の護衛艦を原型にした共同生産方式で、インドネシアへの艦艇の受注を目指している。 共同生産で原型にするのは初号艦が2022年3月に就役するFFMである。
 インドネシアへの艦艇の技術移転は日本とイタリア、トルコが受注を争っており、日本が受注すれば共同生産を通じインドネシアとの安全保障協力を強化でき対中牽制で意義が大きい。
 2014年策定の防衛装備移転三原則で輸出を認められるのは救難や警戒監視などに用いられる装備に限られるため、殺傷能力のある護衛艦を移転するには輸出ではなく、共同生産でなければ認めにくい。 (2106-051108)

 政府がインドネシアと海上自衛隊の護衛艦を原型に艦艇の共同生産を目指していることが明らかになったが、受注争いはイタリアとの接戦が指摘される中、中国が陰の競合国といえる。
 インドネシアは輸出入とも中国が最も多く、COVID-19では中国製ワクチンの供給を受けた。
 このことから中国が日本からの艦艇移転に横やりを入れ、インドネシアも中国の顔色をうかがい、中国の一帯一路構想に参画しているイタリアになびく恐れはある。 (2106-051109)

 イタリアFincantieri社が6月10日、インドネシアからFREMMフリゲート艦6隻を受注したと発表した。 (2107-061006)

 イタリアのFincanrieri社が6月10日、インドネシアがMartadinata級2隻の後継に計画しているフリゲート艦6隻についてBergamini級FREMMを選定したと発表した。
 この受注戦にはオランダDamen社のSigma 10514、三井造船の60FFM、英Babcock社のArrowhead 140も候補に挙がっていた。 (2108-062302)

インドネシアの潜水艦

 複数のインドネシア国防当局関係者が、中国が海洋進出を活発化させるのに対し潜水艦の配備体制を強化し、最大で現在の3倍となる12隻の保有をめざしていることを明らかにした。
 インドネシアは韓国と潜水艦の生産協力を進めているが、フランスやロシア、トルコからも輸出の打診を受けているもようであることから、日本政府も輸出に関し意向調査に乗り出した。 (2106-052904)

マレーシアへ防空レーダ

 政府がマレーシアへの防空レーダの輸出に向け、7月に始まる入札に参加する。
 マレーシア国防省は6月2日に空軍が導入する防空レーダの入札公告を出し、8月末までに輸出できる装備を提案するよう求めた。
 7月1日に入札内容に関する説明会をオンラインで開き入札手続きが始まる。
 マレーシア周辺空域での中国軍機の威嚇が明らかになる中、南シナ海で安全保障協力を強化する意義がある。 受注に成功すれば、装備の海外移転に道を開いた防衛装備移転三原則に基づき昨年8月に契約したフィリピン向けに続くレーダ輸出で、国産装備の完成品輸出としても2例目となる。 (2107-061903)

6・7・9・2 共同開発

JNAAM 計画

 菅内閣が2020年12月31日の閣議で決定した令和3年度予算案で、日英共同開発のJNAAMの開発費10億円が認められた。
 平成30年度に開始され令和4年度に試験を完了するJNAAMはMBDA社製Meteor BVRAAMと三菱電機製AAM-4BのRFシーカを組み合わせるもので、F-35への装備が計画されている。
 一方日英は、次世代戦闘機F-Xが搭載するレーダでも共同研究を行う計画で41億円が計上されている。 (2103-020006)

6・7・9・3 技術協力

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・8 装備行政

6・8・1 調達行政

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・8・2 防衛技術保全

6・8・2・1 防衛技術流出事案

住友重機が機関銃設計図を中国に流出

 4月15日に住友重機が陸上自衛隊の機関銃生産から撤退することが報じられたが、住友重機が機関銃設計図を中国に流出させ、防衛当局で問題視されているという。
 2年前に防衛省は新機関銃の開発を目指し提案を求め住重を含む数社が提案したが、業界ではベルギー製の機関銃をライセンス生産してきた住重が有利との声があった。
 ところがその評価試験が行われている最中の今年3月に住重は突然選定の辞退届を出した。 注文数が少なく採算に合わないとの理由であった。
 住重は試作の過程である下請けの企業が、更にその下請けとして深圳にある中国企業を選定してしまい、設計図まで渡していた。 (2106-052002)

 住友重機械工業が防衛省に納入した試作機関銃の設計図の一部が、中国企業に流出していたことが住友重機の申し出てで発覚した。
 外為法は防衛装備品の海外移転には経済産業相の事前許可を得るよう規定しており、経産省は同社の下請け企業が法令に違反したとして両社を4月28日付で厳重注意した。
 経産省によると、住友重機は下請け企業に一部部品の図面を提供していたが、この下請け企業が量産化をにらんで中国企業に図面を渡していた。
 部品は機関銃の性能が分かるようなものではなかった。 (2106-052104)

軍用 UAV に転用可能なモーターを中国に

 加藤官房長官が7月7日、軍用UAVに転用可能なモーターを中国に輸出しようとしたとして、東京都の精密機器メーカーなどが外為法違反容疑で書類送検されたことについて、安全保障にかかる貿易管理制度の周知徹底を図っていくとしたうえで、不正な事案に対し厳正に対処し、再発防止を図っていきたいと述べた。 (2108-070705)

軍事転用可能なソナーの不正輸出

 軍事目的に使われる恐れがある高性能の水中探知装置を国の許可を受けずに不正に輸出したとして、東京のメーカー「ソニック」の元取締役原口容疑者と社員ら合わせて3人が外為法違反の疑いで逮捕された。
 兵庫県警によると、原口容疑者らは2020年7月、高性能の水中探知装置一式をチリに不正に輸出した疑いが持たれている。
 ソナーは魚の探知などに使われるが、探知距離が5,120mを超えるものは軍事転用される恐れがあるため、輸出する際は経済産業省の許可を受ける必要がある。
 警察は軍事転用されたかなどを含め捜査を進めている。 (2112-111705)

6・8・2・2 防衛技術保全強化策

経済安全保障情報企画官の新設

 AIなど先進技術の軍事転用に関する情報収集を進めるため、防衛省は4月にも専門の新たなポスト経済安全保障情報企画官を新設する。
 AIなどの先進技術をめぐっては、中国が軍事力に反映させるため、国家戦略として軍民融合を進めるなど、将来の安全保障に大きな影響を与えるとみられている。
 また、先進技術やそれに関連する情報が海外に流出するのを防ぐねらいもあるという。 (2102-011201)

外国からの研究費に開示義務付けへ

 井上科学技術相が読売新聞のインタビューで、政府は資金源の透明性を高め先端技術の海外流出を防ぐ狙いで、国から資金援助を受ける研究者に対し、外国を含めた資金提供状況の開示を義務付ける方針を固め、公的な研究費に関する指針を年内に改定することを明らかにした。
 また大学などの研究者の所属機関、日本学術振興会や科学技術振興機構 (JST) など研究費を配分する団体に対しては、研究者の資金状況について実態を把握するように求める。
 開示対象となるのは、公的助成を受けるため、国の「競争的研究費制度」に応募した研究者の資金源で、同制度では今年度予算で9府省が計127件、約7,200億円を計上している。
 このうち文部科学省が所管する「科学研究費助成事業(科研費)」が最大で、3割の2,300億円を占める。 (2103-022801)

外国人留学生や研究者に対する規制強化

 複数の政府関係者が、軍事利用が可能な先端技術について日本の大学などの外国人留学生や研究者に対する移転の規制を強化する方針を固めたことを明らかにした。 中国を念頭に、軍事関連技術の流出防止を図る狙いがある。
 外国為替及び外国貿易法(外為法)の運用を厳格化することを検討している。 外為法では日本国内で武器や兵器開発に転用可能な技術を外国人に提供することは「みなし輸出」と扱われ、国外への輸出と同様に経済産業相による許可制となっている。
 ただ、現行制度では入国から半年経過した場合などは規制が難しいため、見直しが必要だと判断した。
 外為法の解釈に関する財務省通達は、外国人のうち「日本にある事務所に勤務する者」と「日本に入国後6ヵ月以上経過している者」は、いずれも「居住者」として扱うとしており、軍事関連技術の取得にも許可申請が不要となっている。 (2106-052001)

孔子学院の実態把握へ

 政府は、中国政府が出資し日本国内の大学に開設している孔子学院の透明性確保に乗り出す。 孔子学院を巡っては、中国の対外世論工作を担っているとの懸念があり、政府は各大学に情報公開を促し、動向を注視する考えだ。
 孔子学院は、中国政府が中国語や中国文化の普及を目的に2004年から世界各国に開設し始め、2019年末時点で世界162の国と地域の550ヵ所に上るとされる。
 日本では立命館大や早大など14の私立大に設置されている。 (2106-053104)

安保技術提供を許可制に

 複数の政府関係者が、日本の大学や研究機関を通じて軍事転用可能な先端技術が海外に流出するのを防止するため、外国政府の強い影響下にある留学生や日本人研究者に対する技術提供は、経済産業相の許可制とする方針を固めたことを明らかにした。
 安全保障上の懸念が強いケースは不許可とし、流出を阻止する。 外国為替及び外国貿易法(外為法)の通達を改正し、2022年度までの運用開始を目指す。
 中国は海外に派遣した留学生・研究者や、日本人を含む外国人への資金提供などを通じ、軍事転用可能な技術の獲得を図っているとされ、対策を強化する。
 外為法は、軍事転用可能な機微技術の外国人に対する提供は、国内であっても「みなし輸出」に当たるとし、輸出と同様に経産相の許可制としている。 (2107-060601)

海外からの直接投資に対する規制を強化

 日本政府が主として防衛技術の流出を防ぐため、海外からの直接投資 (FDI) に対する規制を強化しようとしている。
 新たな規制は2~3ヶ月以内に実施されるという。
 今回の規制強化は2020年6月の外国為替及び外国貿易法の全面改正に次ぐ第二弾である。 (2108-063011)

中国製機器を念頭に調達先審査を強化

 政府が、防衛装備品の調達先を契約後に国が審査する新たな仕組みを検討する。
 装備品に組み込む部品や企業が扱う機器から機密情報が漏れないよう、信頼性を厳格に調べるもので、懸念があれば国が計画変更を求める権限などを定めた新たな法案を準備する。
 岸田政権が重視する経済安保の一環と位置づけ、サプライチェーンから情報の保全を図る。
 経済安全保障の観点から懸念がある中国華為技術(ファーウェイ)製など中国製機器の使用を防ぎ、国産装備や米国などとの共同開発の基盤も強化する施策で、令和5年度からの運用開始を想定し、2022年の通常国会への提出をめざす。
 企業側の自主的な管理に委ねている現状を改め、新法では防衛省の担当者が審査を担い、契約が決まった社を対象に使用する部品や、パソコンなどインターネットにつながる通信回線や端末が適切かどうかを調べる。 (2112-112101)

公安調査庁の調査結果

 公安調査庁関係者によると同庁は2021年春に「我が国留学歴を有する極超音速分野の中国人研究者」と題した資料を関係省庁に提出した。
 朝日新聞が入手した同資料によれば、日本の国立大学や国立研究開発法人に助教授や研究員などの肩書で所属していた中国人研究者9人は、ジェットエンジンや機体の設計、耐熱材料、実験装置などを研究しており、これらの分野は米中露が開発にしのぎを削る極超音速兵器の開発で鍵となる技術だという。
 日本や欧米の政府が、軍事に転用される可能性が高い機微技術の流出への対策を強化している。
 念頭にあるのは軍民融合を掲げて先端技術の軍事転用を進める中国で、各国は大学や研究機関での規制強化にも乗り出し、技術の保護と発展の両立という難題に直面している。 (2201-121202)

公安調査庁の活動強化

 経済安全保障への関心が高まる中、公安調査庁が中国による重要技術の獲得などに向けた働きかけが懸念されるとして、技術や製品の流出防止のため情報収集と分析に努める方針などを示した冊子をまとめた。
 公安調査庁は毎年この時期に「内外情勢の回顧と展望」という冊子をまとめている。
 この中で、中国による日本の企業や大学が持つ重要技術や製品の獲得のほか、企業の買収や高度な技術を持つ人材の招致に向けた働きかけが懸念されるとして、動向を警戒する必要があると指摘している。
 そのうえで、引き続き技術や製品の流出を防止するため情報収集と分析に努めるとともに対外発信を強めているとしており、企業や団体などへの啓発活動を強化する。 (2201-121902)

海外からの研究費、国に情報提出を義務化

 政府が、国内の研究機関が海外から補助金や助成金などの研究費を受け取る場合に、国に情報を提出するよう、研究費の扱いに関するガイドラインを改定した。
 新たなガイドラインでは、受け取った研究費の内容や、海外の研究への応募状況などの提出を求めている。
 また研究者が海外の機関に所属している場合や、海外の人材登用計画に参加している場合には、所属している機関の名前や就いている役職を報告することも求めている。
 情報を偽って不正に研究費を受け取っていた場合には、国内の研究計画に応募することが5年間制限される。 (2201-121704)

6・8・3 次期戦闘機の開発

開発チームの発足

 複数の政府関係者が1月11日、航空自衛隊F-2の後継となる次期戦闘機の開発で、三菱重工業を中核に複数の日本企業による技術者チームが発足したことを明らかにした。
 同社の工場に川崎重工業やIHIをはじめ各社の技術者が順次集まっており、最終的に500人規模になる見通しである。 (2102-011106)

 三菱重工業が統括する次期戦闘機の開発に川崎重工業とNECも参加することが分かった。 共同設計に参加する日本企業はこれで三菱重を含め8社となる。
 役割分担はエンジンがIHI、機体がSUBARUと川重、電子戦装備を制御するミッションシステムが三菱電機、レーダを含む電子機器が東芝と富士通、NECになる。 (2104-031005)

米企業の参加

 防衛省がMHIが開発するF-Xのシステムインテグレーション支援にLockheed Martin社を選定した。 またNorthop Grumman社も開発チームに参加する。
 F-X開発を巡ってはBoeing社と英BAE Systems社も参入を競っていた。 (2103-011104)

エンジンを英国と共同開発

 複数の日本政府関係者によると、F-2後継となる次期戦闘機の開発について、政府はエンジンを英国と共同開発する方向で最終調整に入った。
 日本はIHI社、英国はRolls-Roys社の参加を見込んでおり、将来の輸出も視野に入れた防衛協力を進める狙いもある。
 6月に英国で開かれた主要7ヵ国 (G7) 首脳会議の際に開かれた菅、ジョンソン両首相の会談でエンジンの共同開発についてのやりとりがあった。
 同月下旬には防衛省の担当者が訪英し、エンジン部分を含めた協力について英側と協議し、両国で最終調整を行っている。 (2108-070301)

 日英政府がF-2後継となる次期戦闘機用エンジンの共同開発で協議している。
 計画を実行するのはIHI社とRolls-Royce社で、IHIは今までも民間機用エンジンTrent部品の20%を生産している実績がある。 (2109-072102)

Tempest 計画に参加?

 7月に日本の次期戦闘機F-X用のエンジンを日英で共同開発すると報じられているが、9月にロンドンで開かれてDSEI展でTempest FCASの展示では英伊瑞と並んで日本の国旗も掲げられ、4ヶ国の国旗が並べられていた。
 英国の開発責任者は開発チームへの日本の参加も示唆している。 (2110-091511)

開発に英国が参加

 複数の政府関係者が、政府が次期戦闘機の機体開発の一部に英国を参加させる方向で最終調整に入ったことを明らかにした。
 エンジン部分は既に英国との共同開発の方針を固めており、エンジンと関連性のある機体部分も共同開発することで、数兆円を見込む開発経費の削減を図る。
 政府は令和8年度に試作を開始し、2030年代には飛行試験の開始をめざし、2022年3月までに協力の枠組みを固めたい考えである。 (2201-121901)

 防衛省が12月22日、次期戦闘機開発について英国防省と12月13日にエンジンの実証機開発を来年1月に開始することで合意したと発表した。
 日英間の協力で英国側はBAE Systems社とRolls-Royce社が、日本側はIHI社が参加し、当面は双方の技術を利用したエンジンの実証機を共同開発すると同時に、他の主要部品についても共同開発の可能性を探る。
 次期戦闘機の機体自体の開発はMHI社が主導しLockheed Martin社から支援を受けることになっており、防衛省は同社と支援内容についての協議を続けている。
 防衛省は令和4年度当初予算案に今回の日英共同研究とは別に開発費858億円を計上している。 (2201-122203)

 英国防省が12月22日、日英が別々に開発している第六世代戦闘機で使用するエンジンの試作機を共同で開発するすることで合意しMoUを結んだと発表した。
 IHI社とRolls-Royce社は現在進めている耐久性の検討が終わり次第、来年初めには開発を開始する計画で、日本側は令和4年度予算に経費を計上する。
 MoUではエンジンの他の技術での協力も盛り込まれているが、協力の内容は具体的には明らかにされていない。 (2201-122205)

6・8・4 その他新装備

6・8・4・1 艦 艇

6・8・4・1・1 計 画

新型外洋哨戒艦 (OPV) の検討

 装備庁が7月1日にビデオで、新型の外洋哨戒艦 (OPV) の検討に入っていることを明らかにした。
 新型OPVは中砲と軽砲を装備する低RCSのモジュラー艦で、多用途の格納庫と甲板を有する。 (2109-072807)

 防衛装備庁が、海上自衛隊が装備する哨戒艦を建造する企業の募集を始めた。 哨戒艦は全長90m、基準排水量1,900tで12隻の建造が見込まれている。
 尖閣諸島など南西諸島周辺で中国艦船の示威活動が激しさを増しており、海自と海上保安庁の警戒艦の隻数では対応が難しくなっている実情を踏まえたもので、1番艦は令和8年度に就役する見込みである。 (2112-111405)

SLGM / SLBM 艦の構想

 複数の政府関係者が、敵基地攻撃能力を具体化する装備として、海上自衛隊の潜水艦に地上の目標も攻撃可能な国産の長射程CMを装備する方向で検討に入ったことを明らかにした。
 配備は2020年代後半以降の見通しである。
 搭載を検討しているのは、12式地対艦誘導弾を基に新たに開発する長射程CMで射程は1,000kmに及ぶ。
 潜水艦からはVLSから発射する方式や、魚雷発射管から発射する方式などが検討されている。 海上自衛隊は射程は短いが魚雷発射管から発射する対艦ミサイルは既に保有している。 (2201-123002)
【註】潜水艦がVLSを装備するようになればSLBMの発射も可能になる。

6・8・4・1・2 護衛艦 いずも の空母化

米 F-35B による発着試験

 政府は、空母化に向けた改修を進める海上自衛隊の護衛艦いずもで、米海兵隊のF-35Bによる離着艦訓練を2021年中にも実施する方向で検討に入った。
 米軍との共同作戦を想定したもので、東シナ海や太平洋への進出を強める中国を牽制する狙いがある。 (2108-072703)

 防衛省が9月30日、10月初旬に太平洋上で米軍のF-35Bによる発着艦試験を、甲板の耐熱性向上などの改修を6月に終了した護衛艦いずもの艦上で実施すると発表した。
 いずもは令和6度末にも艦首の形状変更やF35B搭乗員の待機スペースを整備する改修を予定していて、同型艦のかがも同様の改修を行う計画である。 (2110-093005)

 防衛省が9月30日、駐日米海兵隊のF-35Bが10月3日~7日に太平洋上で護衛艦いずもでの離着艦試験を行うと発表した。
 試験では飛行甲板に施された耐熱塗装や、固定翼機の離着艦に合わせた照明灯などが検証される。
 自衛隊が装備する157機のF-35のうちの42機がF-35Bになり、2024年に引き渡しが開始されるが、海上自衛隊は令和4年度予算にいずもの追加改修分として$60Mを要求している。
 この中には艦首形状の変更分のほか着艦誘導システムJPALSに$32.2M、米国からの技術支援に$10.7Mが含まれ、2026年に完成する計画である。 (2110-093006)

10月 3日: 発着試験の実施

 岸防衛相が10月5日の記者会見で、改修中の護衛艦いずもが10月3日に四国沖で、米海兵隊F-35Bで発着艦試験を実施したと発表した。
 航空自衛隊のF-35B導入に向け、課題の洗い出しが目的で、発着艦可能と確認されたとしている。
 防衛省は、中国が東、南シナ海から太平洋へ進出を強めていることを背景に、いずもと同型の護衛艦かがも空母化する方針である。 (2111-100505)

 岩国基地に駐留している米海兵隊第1海兵航空団所属のF-35B 2機が10月3日に護衛艦いずもへの離着艦を行い、いずものF-35B運用能力を確認した。
 2015年にヘリ空母として就役したいずもはF-35Bの着艦に耐えられるように甲板の改修を行い、同型艦かがにも同様の改修が行われる。
 米空軍CV-22 Ospreyのいずもへの離着艦は2020年10月に確認されている。 (2111-100512)

 防衛省が10月5日、米海兵隊岩国基地所属のF-35B 2機による護衛艦いずもでの離着艦試験が3日に四国沖で実施されたと発表した。
 いずも型2隻に空母能力を付与する改修は5年ごとに行われる定期修理に合わせて実施される。 (2112-101310)

6・8・4・1・3 進 水

新型護衛艦もがみ

 新型護衛艦の命名・進水式が3月3日に三菱重工業長崎造船所で行われ、もがみと命名された。 2022年以降に就役する。
 2020年11月に三井E&S造船の玉野艦船工場で進水したくまのに続く2隻目になる。 (2104-030306)

 22隻の建造が計画されているもがみ型護衛艦の一番艦もがみが3月3日にMHI長崎造船所で進水した。 二番艦のくまのは2020年11月に進水している。
 全長133m、幅16.3m、喫水9m、基準排水量3,900tのもがみ型はMAN社製12V28/33D STCディーゼルエンジン2基と、Rolls-Royce社製MT30ガスタービン1基によるCODAG推進で、速力30kt以上の性能を持つ。
 主要装備は127mm/62口径砲1門と、キャニスタ発射対艦ミサイルとSeaRAMで、VLSには艦載型の03式中SAMを装備する。 (2105-031006)
【註】艦載型03式中SAMの搭載はWikipediaに記載があるものの「世界の艦船」を初めとする国内の主要報道にはない。
 そもそももがみとくまののMk 41 VLSは後年度装備になっていて、就役時点では装備していない。

もがみ 型護衛艦 のしろ

 海上自衛隊もがみ型FFMで3番艦の命名進水式が22日に、三菱重工業長崎造船所で開かれのしろと命名された。 就役は2022年の予定である。
 全長132.5m、全幅16m、基準排水量3,900tのもがみ型FFMは、従来の護衛艦よりも船体をコンパクトにして省人化を図り機雷除去能力も備える。
 乗員約90名のうち、約10名を女性自衛官にする予定である。 (2107-062202)

もがみ 型護衛艦 みくま

 三菱重工長崎造船所で今年3隻目となる新型護衛艦の命名進水式が行われ、鬼木防衛副大臣がみくまと命名した。
 みくまは今後、艤装工事を行い、2023年3月に防衛省に引き渡す予定である。
 長崎造船所での新型護衛艦の命名進水は2021年3月のもがみ、6月ののしろに続き3隻目になる。
 防衛省は22隻の新型護衛艦の建造計画を立てていて、うち長崎造船所では現在6隻を受注している。 (2201-121007)

たいげい型潜水艦 はくげい

 川崎重工業神戸工場で10月14日、潜水艦はくげいの命名進水式が開かれた。 引き渡しは2023年3月の予定である。
 全長84m、幅9.1m、高さ10.4mのはくげいはたいげい型2番艦で、音波探知能力を高める一方、探知されにくい船体構造を採用している。
 またリチウムイオン電池を搭載して水中で長く航行する。 (2111-101403)

 たいげい型SSKの二番艦はくげいが10月14日に神戸の川崎重工業で進水した。 就役は2023年3月に予定されている。
 全長84m、幅9.1m、喫水10.4m、基準排水量3,000tのはくげいは、そうりゅう型最終4隻と同様に新型の対魚雷防護装置を装備し、魚雷も従来の89式から新型の18式に代わっている。 (2112-102712)
【註】諸元の中で喫水については「世界の艦船」では、そうりゅう型の8.4mとほぼ同じ8.5mとしている。

4,900t油槽船 YOT 01

 海上自衛隊が2隻建造する新型の4,900t油槽船の1隻目YOT 01が10月20日、今治市波止浜にある新来島造船所で進水した。 就役は2022年4月に予定されている。 2隻目も2022年2月に進水する計画である。
 2隻合わせて52.6億円で同社に発注されたYOTの用途は公表されていないが、軍事専門家は沖縄を基地とする海上自衛隊に燃料を送るためと見ている。 (2201-110317)

6・8・4・1・4 就 役

Aegis 護衛艦はぐろ

 最新Aegis護衛艦はぐろの引き渡し式が3月19日にJMU横浜事業所磯子工場で行われ、海自の編成に入ったことを示す自衛艦旗が授与され就役した。
 これにより「防衛計画の大綱」で示しているAegis護衛艦8隻態勢が整った。
 はぐろは2020年3月に就役したまやと同型の2番艦で、他の護衛艦や航空機などと情報共有ネットワークでつなぎ、それぞれが捉えた敵の位置情報をリアルタイムで共有できる共同交戦能力 (CEC) を備えている。 (2104-031903)

 海上自衛隊がまや型護衛艦の2番艦で最終艦となるはぐろを就役させた。 はぐろは第4護衛隊群第8護衛隊(佐世保)に配属された。 (2105-033104)

そうりゅう型潜水艦の最終艦とうりゅう

 そうりゅう型潜水艦の12番艦で最終艦となるとうりゅうが3月24日に就役し横須賀の第2潜水隊群第6潜水隊に配属された。
 全長84m、幅9.1m、喫水8.4m、基準排水量2,947t、水中排水量4,100tのとうりゅうは、川崎12V 25/25ディーゼルエンジン2基と、Kockums V4-275R Stirling AIPエンジンを動力にして、蓄電池にリチウムイオン電池が採用されている。 (2104-032407)

 海上自衛隊がそうりゅう型潜水艦の12番艦で最終艦となるとうりゅうを就役させた。 とうりゅうは第2潜水隊群第6潜水隊(横須賀)に配属された。 (2105-033104)

あわじ型掃海艦の三番艦 えだじま

 海上自衛隊のあわじ型掃海艦の三番艦となるえだじまが3月16日に横須賀基地で就役し、呉の第3掃海隊に配属された。
 あわじ型は全長67m、幅11m、喫水5.2m、基準排水量690tで、速力14ktの性能を持つ。 (2105-032409)

6・8・4・2 航空機

6・8・4・2・1 電子戦機

C-2 SOJ

 防衛装備庁が2020年12月に、SOJの開発を川崎重工業 (KHI) に150億円で発注した。
 開発は2段階で行われ、令和8年度末までの第1段階で2機を試作し、14年度末までの第2段階で更に2機を試作する。
 装備庁は量産型SOJの単価を465億円、ライフサイクルコストを6,140億円と見込んでいる。 (2104-021702)

RC-2 ELINT

(2021年には特記すべき記事見当たらず)

P-1 ELINT

(2021年には特記すべき記事見当たらず)

6・8・4・2・2 ヘリコプタ

UH-2 の開発完了

 装備庁が6月24日、UH-2ヘリの開発を完了したと発表した。
 UH-2の開発は平成27年度にスバル社に発注され、2018年12月の初飛行を経て2019年2月に防衛省に納入されている。
 2020年3月には最初の6機が143億円で発注され、令和3年度にも7機分125億円が予算化されている。 今後は老朽化した127機のUH-1Jの後継として150機が装備される。 (2109-070709)

改良型 SH-60K

 MHI社が9月28日、SH-60Kの改良型2機を装備庁に納入したと発表した。 改良型SH-60Kは5月に初飛行している。
 海上自衛隊は2002年から69機のSH-60Kを装備している。 (2110-092808)

 MHI社が9月28日、SH-60Kの改良型2機を装備庁に納入したと発表した。 そのうちの1機は5月に初飛行している。
 改良型SH-60Kは全長、幅、高さなどの諸元と、エンジン形式はSH-60Kと同じで、改良型の名称はまだ明らかにされていない。
 2021年版防衛白書によると海上自衛隊はSH-60Kを69機装備している。 (2112-100610)

6・8・4・3 ミサイル

6・8・4・3・1 長距離対艦ミサイル

12式地対艦誘導弾を元に地上発射型長射程ミサイルを開発

 防衛省は令和4年度にも、12式地対艦誘導弾をベースとして開発中の地上発射型国産長射程ミサイルを、艦艇や戦闘機から発射可能な新たな長射程ミサイルとする開発に着手する検討に入り、4年度予算の概算要求に関連経費の計上を目指す。
 政府は平成30年の防衛計画大綱で初めて「スタンドオフ防衛能力を獲得する」と明記し、3年度予算に現行の12式地対艦誘導弾を長射程化し「スタンドオフミサイル」とするための開発費335億円を計上しており、3年度に開発に着手する。
 政府関係者によると、4年度からの開発を目指す長射程ミサイルは艦載型が5年程度、戦闘機搭載型が7年程度でそれぞれ試作や実用試験を実施する計画で、開発が完了し次第、順次導入する。 (2107-060406)

 防衛省が8月12日、AGM-158C LRASMをF-15J/DJに装備する計画を破棄した代替えとして、改良型12式地対艦誘導弾 (SSM) の空中発射型をF-2に搭載すると発表した。
 12式SSM改の空中発射型及び洋上発射型の開発は令和4年度予算に335億円が要求されており、開発は令和7年度に完了する計画である。 (2110-082505)

国産空中発射型長距離ミサイルを F-2 や F-2 後継戦闘機に搭載

 防衛省はF-15の改修が難航し、米国から購入する予定のLRASM導入を見送り空中発射型長距離ミサイルの開発を来年度から本格化させる検討を行っている。
 国産の空中発射型長距離ミサイルをF-2やF-2後継戦闘機に搭載することを計画している。
 防衛省は、令和2年度予算に計上したF-15の改修費390億円を経費高騰などから執行せず、3年度予算でも経費の計上を見送り、4年度予算概算要求までに事業継続の可否を判断するとして、米側と経費削減交渉を続けている。
 LRASM見送りを埋めるべく検討されているのが国産長距離ミサイルの活用で、12式地対艦誘導弾を長射程化する開発を進め、並行して艦載型、空中発射型の開発も行っており、艦載型は4年度から5年程度、空発型は7年程度と開発期間に見通しが立ちつつある。 (2107-062703)

2020年代後半までの配備

 防衛省が開発中しているCMの射程を1,000km超まで延ばし、陸上配備型だけでなく艦艇や戦闘機へも搭載し2020年代後半までの配備をめざす。
 令和3年度から開発に着手した地上配備型のほか、4年度には艦艇と戦闘機への搭載型の試作を開始する。 開発費は総額1,000億円ほどを見込んでいる。 (2201-120203)

6・8・4・3・2 高速対艦ミサイル

ASM-3A の量産開始

 防衛省がASM-3Aの量産を開始すると発表した。 ASM-3Aは開発中のASM-3改の技術を取り入れた改良型であるが射程は明らかになっていない。
 ASM-3はMHIが開発したType 93シリーズでMach 3、射程200kmであり、ASM-3改は射程が400km以上という。 (2103-011314)

6・8・4・3・3 超高速巡航ミサイル

 防衛装備庁 (ATLA) が三菱重工業 (MHI) と自衛隊向けの超高速巡航ミサイル (HCM) を開発している。 ただこれは自衛隊での装備化を前提としたものではない。
 MHIは長崎の総合研究所にあるMach 5以上を実現できる風洞を用いて試験を行っている。
 これとは別にATLA統合開発官室では2026年装備化を目指して平成30年度から超高速滑空弾 (HVGP) 計画を進めており、更に2030年代初期に改良型を装備化するという。 (2103-021909)
6・8・4・4 U A V

和製 Loyal Wigman 計画

 防衛省が1月12日、航空自衛隊のF-Xと共同で任務に当たるUAVを、早ければ2035年にも装備すると述べた。
 開発は令和元年に開始され、25億円が投入されているという。 (2103-012005)

6・8・4・5 陸戦兵器

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・8・4・6 電子兵器

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・8・4・7 その他

5G の導入

 防衛省が令和3年度から、高速大容量通信規格5Gの導入に向けた実証試験に乗り出す。
 自衛隊の基地に5G網を張り巡らし様々な機器をネットワーク化するスマート基地構想と呼ばれるもので、将来の防衛装備品への導入や前線部隊での活用につなげたい考えで、航空自衛隊千歳基地で2年間実証試験を行う。
 5Gは携帯電話事業者による全国向けの通信システムがあるが、今回の実証試験はこれとは別に自衛隊が基地局を整備して、限られた区域で運用するローカル5Gを採用する。 (2103-021001)

18式魚雷

 海上自衛隊佐世保総監部が6月14日、現有の89式魚雷に代わる新型18式魚雷の試験を4月26日に鹿児島で実施したことを明らかにした。  18式魚雷は2020年10月に進水し、2022年3月に就役するたいげいが装備する。 (2108-062305)

6・8・5 導入新装備

6・8・5・1 航空機

6・8・5・1・1 F-15JSI への改修

令和3年度予算の執行見送り

 複数の防衛省関係者が3月13日、岸防衛相が16日にオースティン国防長官と東京都内で会談し、F-15に長距離CMを搭載する近代化改修の減額要求する方向で調整に入ったことを明らかにした。
 改修の初期費用に関し当初想定の約800億円から3倍の2,400億円近い額が米側から提示されていたことが判明したため、事態を問題視して閣僚間での直接協議が必要だと判断した。
 政府はF-15改修の初期費用の大幅増を受け、令和3年度予算案への経費計上を見送ったため、2021年夏の4年度予算案概算要求に向け、日米間の事務方による協議が続けられているが、妥結には至っていない。 (2104-031307)

 防衛省関係者にると、F-15への長射程ミサイルの搭載や電子戦能力の向上などを目的とした改修計画について、令和2年度の予算390億円分の執行が見送られた。
 米政府の提示した価格が当初予定より高く、完成時期も大幅に遅れることなどが理由だという。
 予算執行の見送りは、先月に岸防衛相からオースティン国防長官に伝えられたという。
 防衛省は、尖閣諸島などの防衛強化にF-15の改修が重要としていて、米側とコストの見直しなどについて協議を続ける。 (2105-040702)

 日本政府がF-15J/DJにAGM-158C LRASMを装備する計画を中止した。 これは米国がF-15の改良を3,240億円 ($2.95B) と見積もっていたのを最終的に5,520億円としてきたためで、LRASMの中止によりF-15の改修費は3,980億円に抑えられた。
 航空自衛隊は201機保有しているF-15のうち70機を改修する計画である。 (2110-081808)

令和4年度予算の概算要求

 防衛省が、F-15の能力向上として搭載予定だった対艦長射程ミサイルLRASMの導入を見送る方針を固め、12式地対艦誘導弾を元に開発する新たな国産の長射程ミサイルを改良してF-2などに搭載して役割を代替する。
 さらに電子戦能力の向上を図り、JASSMを搭載する方針で、令和4年度予算の概算要求では、金額を明示しない「事項要求」で改修計画を盛り込み、12月の予算編成で正式に必要な額を計上したい考えである。
 改修を巡っては費用が多額なため中止論も出ていたが、米側との協議でLRASMの導入見送りなどで費用低減が見込めることから、事業継続は可能との結論に至った。
AGM-158C LRASMとAGM-158B JASSMはいずれも射程が900kmのスタンド・オフ・ミサイルで、南西諸島防衛を強化する狙いがある。 (2109-080402)
【註】AGM-158B JASSM-ER搭載にはF-15の近代化改修が必要であることから、結局、以下ということか。

・F-15 近代化改修    : 実 施

・AGM-158B JASSM-ER 導入: 実 施

・AGM-158C LRASM 導入  : 中 止、12SSMの射程延伸で対応

令和4年度予算政府原案

 航空自衛隊のF-15改修は、米国のメーカーで製造ラインを新たに整備する必要が生じたことなどから、一時当初の見積もりの3,240億円の1.7倍にあたる5,520億円まで費用が膨らみ問題化したため、LRASM搭載を見送ったりして3,980億円まで価格を抑えたが、さらに圧縮すべきだとの政府与党の意見を受けて、令和4年度予算案の概算要求では具体的な金額を明示しない事項要求となっていた。
 その後米側と交渉を重ねた結果、さらに10億円費用を圧縮して3,970億円まで価格を抑えられたとして、防衛省は4年度予算案に改修費を盛り込む方向で最終調整に入った。 (2201-121103)

6・8・5・1・2 その他の航空機

LR-2 (Beechcraf King Air 350i)

 Textron社が2月25日、陸上自衛隊でLR-2として使われるBeechcraf King Air 350i 1機をJacon社に納入したと発表した。
 King Air 350iは通信装置や胴体下にFLIRを搭載してLR-2として、陸上自衛隊で20年以上装備されている7機のLR-2に加わる。 (2105-031012)

改良型 SH-60K

 三菱重工業が5月12日、改良型SH-60Kが初飛行したと発表した。 初飛行は小牧南工場で行われ30分飛行したという。
 改良型SH-60Kの詳細な改良点と名称は明らかにされていない。 同機は2022年3月31日までに装備庁に納入されるという。
 海上自衛隊はSikorsky SH-60Bを元にしたSH-60Kを69機と、SH-60Kを元にしたSH-60Jを装備している。 (2107-052605)

KC-46A

 Boeing社が10月28日午後に、防衛省から4機受注していたKC-46Aの1号機をシアトルの同社工場で引き渡した。 C-46Aの米国外への引き渡しは初となる。
 引き渡されたKC-46Aは29日午前に美保基地に到着したことが、航空機追跡サイトADS-B Exchangeのデータから明らかになった。
 航空自衛隊は既に、小牧基地の第404飛行隊にKC-767 4機とKC-130H 2機を配備している。 (2112-110103)

 日本が4機購入するKC-46A空中給油機で2017年12月に発注していた1号機が10月29日に美保基地で納入された。
 1号機は2020年12月に編成された第405飛行隊(註:航空支援団第3輸送航空隊)に配備された。
 2号機は12月に納入される。 (2201-111012)

6・8・5・2 ミサイル

6・8・5・2・1 長距離ミサイル

AGM-158B JASSM-ER と AGM-158C LRASM の断念

 防衛省報道官が4月7日、F-15J/DJにAGM-158B JASSM-ERとAGM-158C LRASMを搭載するため、令和2年度予算で390億円が認められているF-15J/DJの改修を、少なくとも2年度中はすると発表した。
 JASSM-ERとLRASMの装備は令和元年~5年の中期防衛計画に明記されているが、価格と納期で折り合わなかったため2年度中の発注を断念した。 2106-042108>2106-042108)

 複数の政府関係者が6月19日、政府がF-15への搭載計画を進めている米国製長距離CM 2種類(AGM-158B JASSM-ER/-158C LRASM)のうち、対艦型(AGM-158C)の搭載を見送る方向で調整に入ったことを明らかにした。
 米国側が示した巨額要求に対応するためのコスト削減策で、約70機とした改修機数を減らす案も検討する。
 米国側はこれまで、長距離CM発射のためのF-15改修初期費用として、当初想定の3倍の2,400億円近い額を示した。 (2107-061904)

6・8・5・2・2 対艦ミサイル

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・8・5・3 U A V

6・8・5・3・1 Global Hawk

1番機が初飛行

 航空自衛隊向けに3機製造されるRQ-4 Global Hawk Block 30iの1番機が4月15日、カリフォルニア州Palmdaleで初飛行した。
 Northrop Grumman社は2018年11月に3機を$489.9MのFMS契約で受注していた。 (2106-042807)

 日本が発注したRQ-4 Block 30i GlobalHawkが4月15日に初飛行したが、その2週間後の4月29日に米国防総省が、Northrop Grumman社に$58.5MのFMS契約で三沢基地における後方支援を発注した。 (2107-051209)

6・8・5・3・2 Sea Guardian

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
6・8・6 将来技術の研究

6・8・6・1 防衛装備の近代化

戦闘車両のハイブリッドエンジン開発

 装備庁が3月3日、16式機動戦闘車に搭載するデーゼルエンジンと電動モータのハイブリッドエンジン開発を三菱重工業に12.1億円で発注した。
 計画は令和6~7年度に完了する。 (2108-060209)

6・8・6・2 防衛装備の基礎技術

機上 FCS への DBF 技術

 防衛省が令和3年度予算に、明らかにF-XやTempestでの活用を狙ったDBFレーダの英国との共同開発を開始するため41億円を計上している。 (2102-112305)
【註】この記事中の図は令和3年度防衛予算案に掲載されているもので、予算案では「戦闘機等において、常時の広覆域捜索を可能とするため、将来の高機能レーダに係わる技術を日英共同研究で確立」とある。
 また図の説明では下記のようになっている。

HPM や HEL を使用した DEW

 防衛研究所がEast Asian Strategic Review 2021で、HPMやHELを使用したDEWを開発する必要性が高まってきていると主張している。
 防衛装備庁もHELによるDEWで高速ミサイルを撃墜する構想を進めている。 (2106-040706)

AI 搭載 UAV

 防衛省が、次期戦闘機の配備に合わせ戦闘機と連携して運用するAI搭載UAVの導入に乗り出す方針で、来年度予算概算要求に研究開発費を盛り込む。 次期戦闘機と同じ2035年頃の配備を目指す。
 UAVは、有人戦闘機から離れた空域を飛行させ、搭載したセンサで敵戦闘機やミサイルなどを探知する運用を想定している。
 危険を伴う空域の飛行も任せられることから、戦闘機搭乗員の安全を確保できる。 (2107-060703)

 防衛省が8月11日、F-2後継となる次期戦闘機を支援するUAVを開発する方針を固め、次期戦闘機と同様に2035年頃の運用開始を目指して令和4年度予算概算要求に関連経費を盛り込んでAIによる自律飛行技術の実現に向けた検討を加速させる。
 支援のための運用方法としては、戦闘機と離れた空域を飛行しながら、敵戦闘機やミサイルの早期探知、ミサイル発射、電子攻撃を行うことや、敵ミサイルの囮となることなどが想定される。 (2109-081101)

衛星電波妨害の研究

 防衛省が人工衛星の電波を妨害する能力を備えるための研究に着手した。
 衛星通信と衛星利用測位システムは地球上と衛星の電波の送受信で機能しており、妨害による電波遮断で敵部隊を機能停止に陥らせる装備の保有を目指す。
 宇宙領域で先行する中国とロシアを念頭に置いた攻撃機能の研究が具体化したのは初めてである。 (2110-092105)

超高速兵器対抗手段としての UAV の活用

 防衛省が8月30日にJaneに対し、超高速兵器への対抗手段としてUAVの活用を検討していることを明らかにした。
 この計画は広範囲にわたる新たなAMDの一部として考えられているという。 (2111-090804)
【註】令和4年度予算概算要求では「ミサイル防衛のための滞空型無人機活用の検討」として1億円が計上されている。 ここでは「滞空型無人機による超高速滑空兵器 (HGV) の探知・追尾に関する調査研究を実施」としている。

6・8・6・3 研究施設の整備

海洋環境試験評価サテライトの新設

 防衛装備庁がUUV試験施設である艦艇装備研究所岩国海洋環境試験評価サテライトを山口県岩国市に新設し、9月5日に岸防衛相が出席して発足式を開いた。
 施設は吸音材を張った大型水槽で海中を再現し音響試験ができる。 (2110-090503)

6・8・6・4 装備に応用可能な民間技術

UAV の群制御

 7月23日に行われた五輪開会式上空に1.824機のUAVが市松模様のエンブレムを形成し、地球の形に変わるパフォーマンスを示したが、使われたUAVはIntel社のShooting Starであった。
 Shooting Starは2018年の平昌五輪でも活躍したが、このときは1,218機であった。
 Shooting Starは重量330g、ロータ径15cmのクアッドmicro UAVで、LED灯の組み合わせで40億以上の色の光を表現でき、PC 1基で数千機のUAV群を制御する。
 Intel社によると、現在は2種類のUAVがあるが、開会式で公開された動画を見ると使われたのはClassic Droneのようである。 (2108-072401)

長期滞空 UAV

 フジ・インバック社が、航続距離3,000km滞空能力30時間のUAVを2021年末までに開発する。
 翼端長5m、重量45kg程度、価格は海外製に比べて安価な1億5,000万円程度に抑え、安価と国産を売りに防衛省など官公庁に売り込む。
 同社は2008年に世界で初めて南極でのUAV飛行に成功し、東日本大震災での福島第一原子力発電所上空からの空撮飛行したり、西之島火山観測の空撮飛行やJAXAの依頼による「はやぶさ2カプセル回収プロジェクト」参加など、数多くの無人機開発実績がある。
 同社は航続距離2,500km滞空能力24時間、搭載能力50kgのUAVは製作済みで、到達高度5,700mの記録を達成している。 この技術や経験を基に機体を軽量化してエンジンも改良して実現を目指す。 (2108-072603)

6・8・7 防衛技術の育成

6・8・7・1 自衛隊と防衛産業の連携強化

 防衛省が自衛隊と防衛産業の連携強化を進める方針である。 中でもF-35の国内生産や、防衛生産分野での中小企業の強化を重視している。
 こうした方針は2019年に策定された防衛計画大綱や中期防衛計画でも取り上げられている。 (2108-060916)
6・8・7・2 軍事応用研究の助成

 防衛装備庁が8月11日、軍事技術に応用可能な基礎研究に費用を助成する令和3年度の安全保障技術研究推進制度に23件を採用したと発表した。
 91件の応募から審査を経て選んだもので、予算は101億円にのぼる。
 代表者の所属機関が大学だったのは豊橋技術科学大と宇都宮大、千葉工業大、岡山大、大分大の計5件であった。 23件のうち大規模研究課題が豊橋技術科学大の研究を含む9件、小規模研究課題が、それ以外の4大学を含む14件だった。
 この制度は、日本学術会議が2017年の声明で政府による介入が著しく、問題が多いと指摘しており、大学での軍事的研究には批判が根強い。 (2109-081102)
6・8・8 その他の装備行政

6・8・8・1 防衛企業の整理統合

三井造船の艦艇部門を三菱重工が買収

 三菱重工が3月29日、三井造船の艦艇部門の買収に合意した。
 買収交渉は海上自衛隊と海上保安庁の艦艇製造企業を4社からMHI、川重、JMUの3社に統合する目的で2020年6月に始められてきた。 (2104-032910)

6・8・8・2 防衛企業の世界順位

今年の世界トップ100社にMHI、KHI、スバルの3社

 日本では安全保障環境が厳しさを増すのに伴い、国内防衛企業の発展が進められており、今年の世界トップ100社にMHI(註:32位)、KHI(註:51位)、スバル(註:85位)の3社が名を連ねている。
 特に前年には番外であったKHIが復帰している。
 MHIは42%も落ち込んだのに32位(註:前年は21位)を維持している。 (2108-071206)

6・8・8・3 海外企業の日本進出

BAE Systems社

 BAE Systems社が10月12日に、日本メディアに向けた報道説明会を開催し、そこで2021年末から2022年初めまでに日本に現地法人を設立することを発表した。
 BAE Syatems社の日本地区担当支配人によると、これには二つの理由があると言う。
 一つは、日英間の防衛協力が近年著しく強化され、9月には空母Queen Elizabethが神奈川県の横須賀基地に寄港したことはその証左といえる。
 もう一つの理由は、BAE Syatems社は日本をインドと共に世界的な戦略的市場と位置付けており、さらに日本は現在宇宙空間やサイバ空間、さらにAIといった分野も含めた防衛能力の強化を進めていることから、いまこそ日本との協力関係を強化する機会と判断した。 (2201-120905)



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