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4・ 東アジア諸国

4・1 中 国

4・1・1 世界制覇の国家目標

4・1・1・1 一帯一路構想

4・1・1・1・1 140ヶ国が署名

 中国国営新華社通信が、習国家主席が6月23日に一帯一路に関するアジア太平洋地域のオンライン国際会合に書面で挨拶を寄せ、一帯一路関連の協定に140ヵ国が署名したと述べ、協力国が増えたと強調したと報じた。
 中国外務省によると出席した王毅国務委員兼外相は、一帯一路を通じたCOVID-19対応で中国がワクチンや原料4億回分以上を供与した約90ヵ国のうち「大半が一帯一路の協力パートナーだ」とし、会合に参加した29ヵ国の外相らはワクチン協力の推進で一致した。 (2107-062402)
4・1・1・1・2 東南アジアへの進出路確保

ビエンチャン~昆明鉄道の開通

 ラオスの首都ビエンチャンと中国南部雲南省昆明を結ぶ総工費$5.9Bの新しい鉄道路線が開通する。
 ラオスの山岳地帯を抜けて昆明に達する総延長1,035kmの路線は、COVID-19パンデミックの影響で収益が望めないことから、当分の間は貨物輸送専門となる。
 中国とラオスを結ぶ鉄道は、将来は中国とタイ、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、シンガポールを結ぶ可能性を秘めており、港湾と輸出市場が欲しい中国にとってみれば、願ってもない機会だが、海外の専門家は、ラオスへの潜在的な利益が不明確であり、コストが高すぎると警鐘を鳴らしている。
 ラオスのような貧しい国は中国の取組を歓迎するが、プロジェクトは返済が必要な中国国営銀行からのローンによって賄われており、一部の借り手は、高額なプロジェクトのため、多額の債務を残している。 (2201-120206)

4・1・1・1・3 金貸し外交への反発

モンテネグロ

 旧ユーゴスラビアのモンテネグロが中国への債務の肩代わりをEUに要請した。 EUの欧州委員会報道官は4月12日、モンテネグロ政府からの支援要請を認め、債務の肩代わりは否定しつつ「モンテネグロに寄り添う」として資金支援の可能性に言及した。
 モンテネグロがEUに支援を打診したのは、中国から受けた$1Bの融資の借り換え返済で、資金は2015年に本格着工した南部の港町バールと隣国セルビアを縦断する全長165kmの高速道路整備事業に使われた。
 経済の活性化の起爆剤として期待を寄せたが、人口62万人の小国による大規模事業の採算を疑問視する声は多く、欧州の銀行が融資を拒否した経緯がある。 (2105-041506)

 山腹のトンネルに消えて行くのは、中国からの資金に頼る$1Bの大工事で建設されているバルカン半島の小国モンテネグロを走る新しい高速道路の起工部で、この事業のために同国の経済は危機に直面している。
 モンテネグロ政府は中国からの融資のうちすでに$944Mを工事の第1区間である41kmの完成に費やしてしまった。 そして残る130kmを完成するには少なくとも€1Bが必要とみられている。 世界で最も高価な舗装道路区間の一つと言える。
 中国人労働者たちが6年がかりで硬い岩盤にトンネルを掘り、山間部や峡谷にそびえ立つコンクリートの橋脚を建ててきたが、道路は文字通り行き先が見えない。
 そのための資金をどこから得るのか、そしてGDPが€4.9Bのモンテネグロがすでに中国に負っている債務をどうやって返済するのかは不明である。 (2107-061103)

ザンビア

 債務不履行(デフォルト)に陥ったアフリカ南部ザンビアの選挙管理委員会は8月16日、12日に投票が行われた大統領選で野党・国家開発統一党のヒチレマ党首が初当選したと発表した。
 中国からの借り入れなどで債務を膨らませた現職のルング大統領に不信任を突きつける結果となった。
 ザンビアは2020年11月、ドル建て国債の利払いができずCOVID-19流行下でアフリカ初のデフォルトとなった。 中銀によると対外債務残高は2020年末に$12.7Bと、ルング氏が大統領に就任した15年から倍増した。
 世界銀行によると最大の債権国は中国で、対中債務残高は2019年末時点で$3.4Bと2015年末から2倍に膨らんだ。
 対中債務の条件が不透明だとみる欧米の債権者との間で利払い猶予の交渉が頓挫した背景となった。 (2109-081605)

4・1・1・2 海軍の活動

4・1・1・2・1 潜水艦隊の活動拡大

潜水艦通信用 ELF (0.1~300Hz) 波巨大アンテナの建設

 South China Morning Post (SCMP) によると、武漢海洋通信研究所が先月、世界最大のアンテナが中国中部地域に設置されたとする論文を中国艦船研究に掲載した。 正確な位置と時期は公開されなかったが、SCMPは記された内容から見て、安徽・湖北・河南省にまたがる大別山に位置するようだとしたうえで、一般送電線のようにケーブルと鉄塔で作られたアンテナは宇宙から見ると、長さと幅が100km以上の巨大な十字架のように見えるとし、ケーブルの端は厚い花崗岩深く固定されているとしている。  ELF波を利用したこの施設は水中と地上で長距離での通信が可能な0.1~300Hzの電磁波対応で、グアムまで到達できるように3,000km以上の範囲で潜行中の潜水艦との通信を維持するために設計されたという。 (2201-120401)

4・1・1・2・2 外洋への進出

インド洋

 フランス海軍のバンディエ参謀総長が6月11日付仏紙ルモンドとのインタビューで、インド太平洋に最近展開した仏軍艦が常に中国艦に追尾され、時には中国艦との衝突回避のための操縦を迫られたと明らかにした。
 バンディエ参謀総長は、中国艦に接近された艦船については触れず、航行の自由に反する行為があったと批判した。
(2107-061104)

4・1・1・3 海外軍事拠点の建設

4・1・1・3・1 東南アジア

南シナ海

 「3・3・1・1 人工島の拡張」及び「3・3・1・2 軍備の増強」で記述

カンボジア

 カンボジアの海軍基地をめぐり、中国が軍事利用の計画を進めている疑いが浮上している。
 米シンクタンクが、米国の資金で造った施設が解体されたことを示す衛星写真を公開した。
 基地内には中国の支援で船の修理施設が建設されており、ASEAN加盟国からは地域の不安定化を懸念する声が上がっている。 (2103-020302)

4・1・1・3・2 南太平洋

キリバスで滑走路修復 対米軍事目的か

 中国がキリバスで、離島に放置されていた滑走路の修復を計画していることが判明し、米国向けの軍事利用が狙いではないかとの観測が広まっている。
 ロイタ通信は5月5日、キリバス中部のフェニックス諸島にあるカントン環礁で、中国が2,000mの滑走路の修復計画を進めていると報じた。 記事は匿名の関係者の言葉として、同環礁は中国の動かない空母になると報じた。
 キリバスは2019年9月に台湾との国交を解消し中国と国交を樹立している。
 カントン環礁は大戦後ハワイとオーストラリアを結ぶ航路の中間点として民間機の給油地点となったが、長距離が飛行できるジェット機の普及で1968年に閉鎖されて以降、滑走路は放置されていた。
 島は同諸島唯一の有人島だが、住民はわずか20人である。 (2107-062101)

キリバスの保護地域で商業漁業の解禁

 キリバスが、世界遺産に登録されているフェニックス諸島保護地域で商業漁業の解禁を決めた。
 政府内で解禁に慎重な意見が残るなか、親中の同国に中国が介入したとの観測が浮上しており、太平洋諸国に影響力を高める中国の取り組みの一端が浮き彫りとなった。
 保護区は米軍基地があるハワイに比較的近く太平洋上の重要なシーレーンにあり戦略上重要な地点であることから、ニュージーランドの公共放送TVNZは、今回の決定が中国の圧力で行われた懸念があると報じた。
 キリバスは2019年に台湾と断交し中国と国交を樹立しており、最近では、保護区内にある島の滑走路と橋を中国の資金で改修する開発計画が明らかになった。
 この滑走路は太平洋戦争中に米軍が利用したもので、専門家らは滑走路は太平洋有事の際に中国に利点を与えることになると警告している。 (2112-111614)

4・1・1・3・3 インド洋周辺

スリランカの支配

 中国が主導するインフラ整備計画を巡り、同国によるスリランカの支配が強まってきた。
 中国国有企業の中国港湾工程(CHEC)がスリランカで高架式の高速道を建設し18年間保有することになったもので、競争入札の過程が不透明なため親中のラジャパクサ政権の意向が働いた可能性がある。
 中国港湾工程は中国交通建設(CCCC)の子会社で、5月にはコロンボ郊外での延長17kmの高速道路の建設案件をスリランカ政府から受注した。
 中国港湾工程は建設した高速道路を所有し、元本を回収して利益をあげ、18年後にはスリランカ政府に引き渡す建設・運営・譲渡(BOT)方式を採用する。
 結果として中国港湾工程はスリランカで高速道路を所有する初めての外国企業になる。 (2108-070806)

4・1・1・3・4 ペルシャ湾

UAE に極秘で建設する軍事施設が発覚

 事情に詳しい複数の関係者が、米国の情報機関が今春、中国がUAEの港湾に軍事施設と疑われるものを秘密裏に建設していることを把握したことを明らかにした。
 バイデン政権はこれを受け、中国軍の駐留が米国とUAEの関係を脅かす恐れがあるとUAE政府に警告した。
 その後、米政府関係者の訪問や会合を経て、最近になって建設が中止されたという。
 こうした情報や米国の警告は、UAEの首都アブダビ近郊の港にある建設現場に関するものだった。
 関係者によると、UAE政府は米軍の駐留を受け入れており、米国から最新鋭戦闘機やUAVの購入を目指しているが、中国の活動が軍事的性質を持っていることは認識していなかった。 (2112-112005)

4・1・1・3・5 地 中 海

イスラエルのハイファ港

 イスラエルの日刊紙Haaretzなどが、中国がハイファに建設し向こう25年間中国のSIPG社が運営することになっている港湾施設について、イスラエルが米国からの検証要求を拒否したと報じた。
 これはイスラエルの対中関係と対米関係を比較するテストケースとして注目される。
 バイデン米大統領は就任後、多くの外国首脳と電話会談を行っているが、ネタニアフ首相とは行っていない。 トランプ米前政権は2020年イスラエルに対し、米沿岸警備隊によるハイファ港の検証を申し入れていた。 (2103-020308)

4・1・1・3・6 アフリカ

ジブチ

 米アフリカ軍司令官のタウンゼント陸軍大将が4月20日、中国が2017年にジブチに開設した基地を空母が接岸するに十分な規模に拡張する兆候があると述べた。
 この中国軍基地はアフリカの角における米軍のハブになっているCamp Lemmonierから7哩しか離れておらず、近くには日、仏、伊も小規模な拠点を持っている。 (2105-042104)

赤道ギニア

 複数の米当局者が、米情報機関の機密報告書によると中国は赤道ギニアに軍事基地を建設する意向であることを明らかにした。 実現すれば中国が大西洋沿岸に初めて常設の海軍基地を持つことになるため、米大統領府と国防総省はその脅威を警戒しているという。
 国家安全保障問題を担当するファイナー大統領副補佐官は10月に赤道ギニアを訪問し、テオドロ・ムバソゴ大統領とその息子で後継者とされるテオドロ・マング副大統領に対し、中国からの申し出を拒否するよう求めていた。
 ムバソゴ大統領の息子の1人であるガブリエル・リマ鉱業石油相にWall Streer Journalが問い合わせたところ、赤道ギニアと中国の関係や一族の汚職疑惑に関する質問は書面で提出するよう求められ、これらの質問には答えなかった。
 赤道ギニアの駐米大使に複数回取材を申し込んだが、回答は得られなかった。 (2201-120603) /td>

4・1・1・4 ロシアとの連帯

4・1・1・4・1 地上軍の連帯

中国軍の大規模演習にロシア軍が参加

 中国国防省が8月6日、ロシア軍との合同演習を中国内陸部の寧夏回族自治区で開始したと発表した。 1万人余りが参加し8月中旬まで実施する。
 5日に合同で防空、対地攻撃、空挺降下訓練などを実施した。
 中露は過去にも合同演習をしているが、中国の戦略的な作戦行動演習にロシア軍が組織的に参加するのは初めてという。
 ロシアは中央アジアを勢力圏と見なしており、米軍が撤退を進めるアフガンからの過激派勢力の流入を警戒していて、中露が連携して中央アジアへにらみを利かせる狙いがありそうである。 (2109-080601)

 中国とロシアが軍事的結びつきを強めており、8月9日には寧夏回族自治区の青銅峡演習場で13,00名が5日間の日程でSibu/Interaction 2021演習を行った。
 この演習に中国側はPHL-03 300mm MRL、PCL-181 155 SPH、ZSL-10 APC、ZBL-09 IFV、HQ-16 MSAMなどと、Su-35、J-16、H-6、JH-7、Y-20などの航空機、ロシア側からはBMP-3 IFV、Taifun-PVO耐地雷車やSu-30SM、Il-76、Mi-171Yeなどの航空機が参加した。 (2110-081803)

4・1・1・4・2 海軍の連帯

ロシア軍が日本の EEZ を含む海域で訓練

 ロシア軍が10月7日、太平洋艦隊の巡洋艦や大型対潜艦など10隻以上がウラジオストクを出港し、ミサイル射撃訓練を予定する日本海の海域に向かったと発表した。
 訓練ではUAVによる攻撃も想定したSAMや機関砲の射撃などを行うため、露軍艦艇が演習海域を封鎖するという。
 事前通告通り、日本の排他的経済水域 (EEZ) を含む海域で訓練を実施するようである。 ロシア太平洋艦隊は5日にも日本海でミサイル迎撃演習を行った。
 国連海洋法条約は、他国のEEZ内での軍事訓練を明確に禁じてはいない。 (2111-100706)

中国海軍の合流

 中国PLA海軍が10月14日からロシア海軍との演習に参加していると報じた。
 演習はウラジオストク近くの日本海で行われていて、両軍の間の通信訓練のほか、海上封鎖を想定した機雷や潜水艦への対応について訓練するという。
 中国からは、2020年就役したType 055駆逐艦南昌が海外で初めての演習として参加している。
 今回の演習について中国共産党系の環球時報は、年度計画に基づく演習だと紹介している。 (2111-101404)

中露艦隊10隻が津軽海峡を通過

 防衛省が10月18日、中国とロシアの駆逐艦など10隻が津軽海峡を通過したと発表した。
 中露の艦艇が同時に同海峡を航行するのが確認されたのは初めてである。
 統合幕僚監部によると、18日08:00頃に中国艦5隻とロシア艦5隻が奥尻島の南西110kmの海上で発見され、10隻はその後東に進んで太平洋に抜けた。
 ウラジオストク沖の日本海ではロシア軍が演習をしており、中国艦はこれに参加したとみられる。 (2111-101901)

 防衛省が10月18日、Type 055駆逐艦を含む中国艦5隻とウダロイ級駆逐艦などのロシアの戦闘艦5隻の合わせて10隻が初めて津軽海峡を通過し太平洋に出たと発表した。
 海上自衛隊は掃海艇いずしまあおしまとP-3Cで哨戒にあたった。
 中露艦合わせて15隻と固定翼機12機は10月14~17日に日本海でJoint Sea 2021演習を実施していた。 (2112-102714)

中露艦隊の日本周回

 防衛省によると、10月18日に初めて津軽海峡を同時に通過した中国とロシア海軍の駆逐艦などあわせて10隻は、その後太平洋側を南に進み21日04:00頃に伊豆諸島の須美寿島と鳥島との間を西に進んだという。
 また、須美寿島の南西50kmから100kmの海域で、中国とロシアそれぞれのフリゲート艦からヘリコプタが発着したことも確認され、自衛隊が戦闘機を緊急発進させて対応した。 (2111-102201)

 日本海で行われた中露合同演習に参加した10隻からなる中露艦隊が10月18日に津軽海峡を通過して太平洋に出た。
 幅が12nmしかない津軽海峡の領海について日本は、国際法で認められた12nmではなく、両岸から3nmだけを領海としている。
 その後艦隊は21日早くに小笠原諸島の須美寿島と鳥島の間を通過し、両国艦が搭載しているKa-27とKa-28を発艦させたため、航空自衛隊が緊急発進した。
 この艦隊には中国PLA海軍のType 055駆逐艦1隻、Type 052D駆逐艦1隻、Type 054Aフリゲート艦2隻とType 903A補給艦が加わっている。
 日本側は護衛艦やまぎりたかなみに加えて、八戸の第1航空群に所属するP-3Cが監視にあたった。 (2111-102205)

 防衛省が、中国とロシア海軍の艦船あわせて10隻が10月22日夜に鹿児島県の大隅海峡を通過し東シナ海に入ったと発表した。
 中露の艦船が同時に大隅海峡を通過するのを確認したのは初めてである。
 防衛省は18日に中国とロシアの駆逐艦など10隻が津軽海峡を通過したことを確認していて、これらが太平洋を南下して21日に伊豆諸島の海域を通過し、22日に大隅海峡を西に進んだとみられる。 (2111-102301)

 フジTVで安全保障を担当する能勢解説委員は、中露の艦隊の日本一周は共同して行動できる能力を示したかったと考えられ、日本だけでなく米国も注目するものだったと指摘していると述べている。
 ロシアに近い日本海で10月、米海軍駆逐艦が中露の共同演習中に、ロシア艦の駆逐艦まで60m以内まで近づいていた。 (2111-102402)

 日本海で10月14~17日に行われた中露合同演習に参加した15隻のうちの10隻からなる中露艦隊が10月18日に津軽海峡を通過して太平洋に出て、日本列島を1周した後22日に大隅海峡から東シナ海に抜けた。
 この艦隊には中国PLA海軍のType 055駆逐艦1隻、Type 052D駆逐艦1隻、Type 054Aフリゲート艦2隻とType 903A補給艦の5隻が、ロシア艦隊からはウダロイ級駆逐艦2隻、ステレグシュチイ級コルベット艦2隻、ミサイル追尾艦1隻の5隻が加わっていた。 (2201-110307)

外務省が強く自制を要請

 外務省の船越アジア大洋州局長が11月10日、中国外務省国境海洋事務局の洪亮局長と海洋問題をめぐって3時間にわたるTV会議形式で協議を行った。
 日本側は中国海警局の船や中国軍の艦艇が日本の周辺海域で活動を活発化させていることに重ねて懸念を示し自制を強く求めた。
 この中で船越局長は、中国海警局艦が尖閣諸島沖合の接続水域で連日航行を続けていることや、中露艦隊が津軽海峡と大隅海峡を初めて同時に通過したことに重ねて懸念を示し自制を強く求めた。
 一方、協議では日中の偶発的な衝突を防ぐため、防衛当局の幹部が直接連絡を取り合うホットラインの早期開設に向けた取り組みなどを進めていくことを申し合わせた。 (2112-111101)

中露艦が2時間差で対馬海域を通過

 防衛省にると、11月18日17:00頃にロシア海軍の駆逐艦1隻が対馬の北東65kmを南西に進むのが確認された。
 その2時間後の19:00頃には中国海軍の駆逐艦1隻とフリゲート艦1隻が、対馬の東40kmの海域を南西に進むのも確認された。
 これらの艦艇は対馬海峡を南下し、東シナ海へ向けて航行したという。 (2112-112004)

4・1・1・4・3 空軍の連帯

11月19日: 中露軍機9機が韓国の識別圏に進入

 韓国軍合同参謀本部が11月19日、中国軍機2機とロシア軍機7機が同日午前と午後に日本海の竹島北東方向に当たる韓国の防空識別圏 (ADIZ) に進入したと明らかにした。
 韓国軍は中露が合同訓練を行ったとみているいるが、韓国外務省は中露両国に遺憾の意を伝え、再発防止を求めた。
 今回、韓国のADIZに入ったのは、中国の爆撃機2機のほか、ロシアの爆撃機2機や戦闘機4機、A-50 AEW&C機1機で、一部は午前に進入して離脱した後、午後に再進入したが、韓国領空へは侵入しなかった。
 中国側は進入後、韓国側に訓練だと通知したが、ロシア側からの通知はなかったという。 (2112-111904)

 中国国防省が、中露空軍が11月19日に日本海などの空域で合同哨戒飛行を実施したと発表した。
 中国国防省によると、19日に中国軍のH-6K 2機と露軍機2機が編隊で、日本海と東シナ海の空域で合同哨戒飛行を行ったという。
 両国の空軍の合同哨戒飛行は今回が3回目で、戦略的な協力関係の発展や、共同作戦能力のレベルの向上が目的だとしている。
 両国海軍は10月にも日本を周回する航海を行うなど軍事的な結びつきを強めている。 (2112-112003)

岸防衛相が「わが国に対する示威行動」

 岸防衛相が11月23日に防衛省で記者団に、中国とロシアの爆撃機各2機の計4機は19日午前から午後にかけて、日本海から東シナ海を南下して太平洋へ抜けた後、再び東シナ海へ向かったした事案に関し、「わが国に対する示威行動を意図したと考えられる」と述べ、防衛力強化を図る考えを自ら示した。 (2112-112306)

中露が今後の継続を確認

 中国国防省が、魏国防相とロシアのショイグ国防相が11月23日、オンラインで会談し合同パトロールを強化することで一致したと発表した。
 中露は19日に日本海や東シナ海の空域で爆撃機による合同パトロールを実施したばかりで、10月には海上合同パトロールとして日本列島を周回するなど軍事的な連携を強めており、こうした動きを今後も続けるとみられる。 (2112-112401)

4・1・1・5 友好国の取り込み

イラン

 中国とイランが3月27日、経済や安全保障などの分野で連携を深める、25年間を期限とした戦略的互恵包括協定に署名した。
 この協定は米国による対イラン経済制裁に対抗するもので、両国は対米牽制に向け戦略的協力関係を強める。 (2104-032707)

4・1・1・6 海軍陸戦隊の強化

海軍陸戦隊の統合軍化

 中国国営CCTVが6月2日、PLA海軍陸戦隊 (PLANMC) が統合軍化、マルチドメイン化に向けて装備の更新を進めていると報じた。 改編の一部は2017年に開始されているという。
 その一例としてNORINCO社製のType 15 (ZTQ-15) 軽戦車の装備を挙げている。 (2108-061605)

4・1・1・7 陸海空軍海兵隊が頻繁に海上演習

 中国Global Timesが8月24日、PLA陸海空軍及び海兵隊が、過去3月間に120回以上の海上演習を実施し、即応能力を高めていると報じた。
 舞台となったのは渤海。黄海、東シナ海、台湾海峡、南シナ海に及んだという。 (2111-090806)
4・1・2 経済低迷下の国防費増大

4・1・2・1 経済の低迷

 中国国家統計局が12月17日、2020年の国内総生産 (GDP) の確定値が物価変動の影響を除く実質で前年比2.2%増だったと発表した。 速報値より0.1%引き下げた。 飲食や宿泊、不動産業が当初より低い数値となったことによる。
 2021年1月に発表した速報値は2020年にCOVID-19感染拡大が経済を直撃したため44年ぶりの低成長としていたが、修正でさらなる低成長となった。 (2201-121705)
【註】2010年にGDPの前年比10.3%増で世界第2位の経済大国になった中国は、2011年に伸び率9.2%と10%を割り込んだのち毎年伸びを弱め2015年には7%を割り込み6.7%になった。
 その後も伸びを弱め2019年には6.1%増にまで落ち込んできたが、それにしても2020年の2.2%増は異常な値である。
4・1・2・2 国防費増大

世界で突出した伸び

 英国際戦略研究所 (IISS) が2月25日に発表した年次報告書Military Ballanceにると、世界全体の2020年防衛費はCOVID-19の感染拡大で経済が大きな打撃を受けるなかでも前年比で3.9%増加して$1.83Tに達したとしている。
 このうち最多は米国で78兆円余りと全体の4割を占め、これに次いで中国が20兆円余りとなっていて、日本は5兆円余りで8番目となっている。 (2103-022602)

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) が4月26日、2020年の世界の軍事費が推計値が残る1989年以降で過去最高額となる$1.981Tだったと発表した。
 COVID-19の感染拡大で世界経済が打撃を受けるなか、各国が軍事費を増加させている。
 中国やロシアの脅威に懸念を強めている米国が1位、2位の中国は26年連続での増加で10年前に比べて76%増となっている。 この2ヵ国で世界全体の総額の半分以上を占めており、日本は1.2%増の9位であった。 (2105-042603)

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) が4月に20年の世界の軍事費の推計額を発表した。 それによると世界各国の2020年の総軍事費は$1.981Tと過去最高を記録した。 前年比2.6%増で、冷戦終結が宣言された後の1990年に比べて4割多くなった。
 米国と中国の2ヵ国で世界全体の半分を占め、上位10ヵ国では3/4に達する。
 額が大きいのは上から米国、中国、インド、ロシア、英国の順番だった。 GDPで世界3位の日本は$49.1Bの9位に位置する。 (2107-061503)

4・1・2・3 2021年度の国防費

 中国共産党機関紙人民日報系の環球時報が2月26日、複数の軍事専門家が2021年の国防予算について2020年を上回る伸びの約7%増と予想していると報じた。
 2020年はCOVID-19感染拡大で経済が打撃を受け、前年以下の伸びだったが6.6%増を維持した。
 同紙は、中国経済は回復しており国防予算の着実な伸びが見込まれると報じた。 (2103-022701)

 中国政府が3月5日、2021年の国防予算について2020年比6.8%増の1兆3,553億元($208B)、日本円で22兆円を超えることを明らかにした。
 COVI-19による経済の落ち込みから回復するなか、2020年の伸び率をわずかに上回った。
 今世紀中ごろまでに世界一流の軍隊を目指すとする中国は、3隻目の国産空母の建造が伝えられるなど、軍備の増強を進めている。 (2104-030508)

 中国全人代初日の3月5日、第14次5ヵ年計画の初年度となる2021年の国防費が6.8%増のCNY1.355T ($209.4B) と発表された。
 第14次5ヵ年計画では新時代の先端軍事技術を取り入れた軍の知能化の推進を謳っている。 (2105-031702)

4・1・3 共産党支配体制維持の努力

4・1・3・1 台湾制圧準備

4・1・3・1・1 台湾侵攻の可能性

米インド太平洋軍司令官、6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性大

 米インド太平洋軍司令官のデービッドソン海軍大将が3月9日に上院軍事委員会の公聴会で、今後6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性があると証言した。
 デービッドソン大将は中国について、国際法に則った国際秩序を求めるわが国のリーダとしての役割に2050年までに取って代わろうという野心を強めていると私は憂慮していると発言し、その前に台湾がその野心の目標の一つであることは間違いないと述べ、その脅威は向こう10年、実際には今後6年で明らかになると思うと語った。 (2104-031004)

 米次期インド太平洋軍司令官に指名された太平洋艦隊司令官アキリーノ海軍大将の承認に関する公聴会が3月23日に上院軍事委員会で開かれ、アキリーノ大将は台湾有事の時期について大方の予想よりずっと近いと警告し、西太平洋に展開する米軍態勢を増強して中国に対する抑止力を強化する必要性を訴えた。
 アキリーノ大将は、中国が台湾を武力侵攻する可能性のある時期について「今日から2045年までと見解によって幅があるが、切迫感を持ち短期間で抑止能力を向上させなければならない」と強調し、「日付変更線以西に、同盟・パートナー国と連携しつつ事態に即応できる部隊を展開することが重要だ」と述べた。 (2104-032403)

米国務長官、米軍の防衛義務を明確にせず

 ブリンケン米国務長官が4月11日にNBCのニュース番組で、中国が台湾に侵攻すれば「武力によって現状を変更するのは深刻な過ちだ」と警告を発した。
 台湾関係法に基づき、台湾の自主的な防衛する責務があるとの認識を示した。
 台湾関係法は武器売却などを通じた台湾への支援を定めているが、有事に米軍が防衛義務を負うと明確にしているわけではない。 (2105-041202)

米統合参謀本部議長、近い将来に起きる可能性は低い

 米統合参謀本部議長のミリー陸軍大将が17日に上院歳出委員会の公聴会で、中国による台湾の武力統一について「近い将来に起きる可能性は低いだろう」と語った。  ミリー大将は中国の軍事能力について「軍事作戦を実施し、台湾全体を支配するだけの圧倒的な能力を持つには至っていない」と分析した上で「現時点で武力統一を実行に移す動機や理由もない」と述べ、早期の台湾侵攻に懐疑的な見方を示した。 (2107-061803)

4・1・3・1・2 台湾及び支援国に対する恫喝

 中国国防省報道官が1月28日、台湾海峡で行っている中国軍の軍事活動について、米国を念頭に外部勢力の干渉と台湾独立勢力の挑発に対する厳正な対応であると表明した上で、台湾の独立は戦争を意味すると、これまでにない強い表現で関係強化を進める米国と台湾を牽制した。 (2102-012901)
4・1・3・1・3 中南米諸国の取り込み

 中国の習国家主席が12月3日に行われた中南米カリブ海地域の32ヵ国との会議にオンラインで出席して演説し、中国とともに困難を乗り越えることを歓迎すると述べ関係強化に期待を示した。
 一方、王外相は台湾問題に触れ、台湾は中国の国家統一と民族の感情に関わるもので、中国の正当な立場を支持すると信じると各国の外相らに訴えた。 (2201-120507)
4・1・3・1・4 武力による威嚇行動

3月 4日: 上陸作戦を想定した統合演習

 中国共産党機関紙人民日報系の環球時報が3月4日、陸海空軍が上陸作戦を想定して本土から離れた海域で統合演習を行ったと報じた。
 具体的な演習内容や場所は不明だが、同紙は不慣れな地域で統合的な戦闘能力を高めたという分析を報じた。
 同紙によると、南部戦区のType 071揚陸艦2隻が参加し、搭載されたLCACから海軍陸戦隊員と陸軍のType 96 MBTが上陸して空軍のSu-30やH-6Kが上陸を援護した。
 演習には上陸作戦能力の向上だけでなく、米軍や台湾の蔡政権を威嚇する狙いもあるとみられる。 (2104-030403)

7月16日: 福建省沿岸で上陸作戦を想定した実弾演習

 中国共産党機関紙人民日報系の環球時報が7月19日、中国軍が台湾に近い福建省の沿岸地域で上陸作戦を想定した実弾演習を16日に行ったと報じた。
 演習は陸軍と海軍が合同で実施し、揚陸艦で運ばれた多数の水陸両用装甲車が沿岸を攻撃した。 演習は夜間にも行われたという。
 同紙はこの演習で米国や台湾独立派に対する警告を発したという専門家の見方を載せた。 (2108-071905)

中国軍、台湾周辺海域などで演習120回超

 中国共産党機関紙傘下の環球時報が8月25日、中国軍がこの3ヵ月間に東・南シナ海や台湾周辺などの海域で120回以上の演習を実施したと報じた。
 それによると、中国海事当局による演習海域での航行禁止の通達や台湾国防部の発表を集計したところ、中国北部の渤海・黄海では少なくとも48回、台湾周辺では約399回、南シナ海では少なくとも26回の演習が実施され、東シナ海では少なくとも7回の演習が行われたとしている。
 中国の軍事専門家は同紙に対し、多方面での戦闘に同時に対処する準備を進めているとの見方を示した。 (2109-082602)

4・1・3・1・5 台湾軍への浸透工作

 台湾の邱国防部長が12月22日、中国の工作員が国軍内部に浸透している可能性について、万全な管理体制に自信があると強調した。
 ロイタ通信は20日に、過去10年間に少なくとも21人の現役または退役した大尉以上の将校が中国のために諜報活動を行ったとして有罪判決を受けたと報じた。
 報道では、少なくとも9人が現在も裁判または調査中だとし、蔡総統の警護にも危険が及んでいる可能性が指摘された。 (2201-122202)
4・1・3・2 被征服民族への圧力と反発

4・1・3・2・1 新疆ウィグル自治区

装備近代と戦闘力強化

 中国PLA地上軍 (PLAGF) が新疆軍の装備近代と戦闘力強化を続けている。
 NORINCO社がType 15 (ZTQ-15) 軽戦車が就役したと発表した数日後の2月6日に中国国営CCTVが、Type 15がPCL-181 155mm装輪SPHやCSK-181装輪装甲車、装輪自走橋などの他の装備と共に新疆に配備されたと報じた。
 CCTVでは少なくとも18両のPCL-181が放映されていた。 (2104-021703)

 中国国営CCTVが、装備近代と戦闘力強化を続けている中国PLA地上軍 (PLAGF) が新疆軍にZ-20ヘリを配備している映像を流した。
 一方2月上旬にWeiboには、少なくとも2機のZ-20がZZ-8G輸送ヘリ1機及び複数機のZ-10攻撃ヘリと共同で訓練を行っている画像がuploadされた。
 これらのヘリは新疆五家渠の陸軍第84航空旅団の所属という。 (2104-021704)

 中国CCTVが5月25日、地上軍の増強が続くPLA新疆軍を報じた。
 映像には約50両の装軌車両が映っており、そのうちの25両は対空型、少なくとも23両が砲兵型であった。
 対空型はHQ-17A SHORAD 2個中隊とみられ、砲兵型はPHL-11 122mm MRL 2個中隊のようである。
 CCTVは5月16日にもZLB-09 (Type 09) 8×8車を装備した機械化混成大隊を報じており、2月と5月中旬にはType 15軽戦車、PCL-161 122mm SPHおよびPCL-181 155mm SPH、更にPHL-03 300mm MRLも報じている。 (2108-060912)

国外居住ウイグル人にサイバ攻撃

 Facebook社が3月24日、中国国外に居住する少数民族ウイグル族を標的に、Facebookを利用してマルウエアに誘導していた中国のハッカ集団の動きを阻止したと発表した。
 同社によると、このハッカ集団はセキュリティ業界でEarth EmpusaもしくはEvil Eyeとして知られており、主にウイグル族の活動家、ジャーナリスト、反体制派らを標的として活動し、トルコ、カザフスタン、米国、シリア、オーストラリア、カナダなどに居住している500人弱の新疆ウイグル自治区出身者が標的になっていた。 (2104-032502)

4・1・3・2・2 チベット自治区

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・1・3・2・3 内モンゴル自治区

 中国内モンゴル自治区の出身者らでつくる世界モンゴル人連盟が5月8日に浅草橋に本部事務所を開設した。
 中国政府の迫害政策に対する抗議活動やモンゴル文化の保護運動などで国内の拠点となる。 欧米諸国にも支部が立ち上がったという。
 自治区では2020年秋から中国語教育が強化されており、在日のモンゴル人らも民族の権利を守るため昨年12月に同連盟を設立した。 (2106-050803)
4・1・4 欧米との対立

4・1・4・1 米国との対立

4・1・4・1・1 経済対立

輸出入規制

 中国商務省が1月9日、米国がPLAと関係の深い中国企業に対し輸入制限を実施したのに対抗して、「外国による規制およびその他の手段による不当な域外適用への対抗措置に関する規則」を公布した。 (2103-012018)

4・1・4・1・2 軍事的威嚇

空母想定の実弾射撃

 中国共産党系メディアが5月31日、PLA陸軍のロケット砲部隊の訓練映像を公開した。
 渤海の海上にある空母に見立てた標的に対して連続して射撃するもので、南シナ海で空母を展開させた米国などを牽制する狙いがあるとみられる。
 4月には米海軍の空母などが南シナ海に展開し、マレーシア軍と合同訓練を行ったほか、英国も今月以降、空母打撃群が40ヵ国を訪問するなかで、南シナ海を航行する。 (2106-053106)

4・1・4・1・3 米中外交交渉

米中外交トップの会談

 アラスカで行われていた米中外交トップ同士による2日間の会談は、米中の熾烈な対立を改めて浮き彫りにするなかで終了した。
 会談では、香港や台湾問題などでは激しく対立したものの、北朝鮮やイランの核問題、気候変動など米中が連携する余地のあるテーマも議論された。
 会談後ブリンケン米国務長官は、「我々から様々な問題を提起したが、当然、中国側からは反論があった」と述べた。 中国側からは制裁関税の解除なども提起されたものの、米側は「議会や同盟国と議論している最中だ」と答えるにとどめたという。
 中国側は会談後、「中国の主権と安全、利益を守る決意を見くびるなと伝えた」と米側を強く牽制したものの、今後の協力の余地もにじませた。 (2104-032002)

中国軍、米と対話拒否

 英Financial Timesが5月21日に複数の関係者の話として、バイデン米政権が中国に対し、オースティン国防長官と中国軍の制服組トップ、許中央軍事委員会副主席との対話を3回にわたって打診したものの拒否されたと報じた。
 台湾などを巡り米中の対立が深まる中、米側は国防トップの対話を重視しているが、米国防当局者は同紙に対し「中国側からの反応はない」と語っている。 (2106-052201)

4・1・4・2 G7 との対立

 先進7ヵ国首脳会議(G7サミット)が6月13日午後に首脳宣言を採択して閉幕した。
 宣言では中国が軍事的圧力を強める台湾に初めて言及し、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と明記した。
 また東/南シナ海で威圧的行動を続ける中国に深刻な懸念を示した。
 更に首脳宣言は香港や新疆ウイグル自治区の人権問題にも触れ、中国に人権と基本的自由を尊重するよう求めた。  日米が重視する台湾海峡の平和と安定は、5月のG7外相会議の共同声明にも明記されており、G7内には対中姿勢で温度差もあるが、サミットでは足並みをそろえた。 (2107-061301)
4・1・5 核戦力の強化

4・1・5・1 核兵器の増強

核弾頭の増強

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) によると、核兵器を持つ国は核拡散防止条約 (NPT) で保有を認められた米露英仏中のほか、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の9ヵ国で、2019年末の核弾頭の総数は13,440発に上り、うち約3,720発が実戦配備されている。
 最大の保有国はロシアで6,375発、2位の米国が5,800発、3位は320発の中国で2015年末の260発から増強されている。 (2106-052603)

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) が6月14日、米露英仏中にインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮を加えた9ヵ国の核弾頭総数が今年1月時点で推計13,080発となり、昨年より320発減ったとする報告書を発表した。
 ただ、中国は30発増の350発で、北朝鮮の推定保有数も30~40発から40~50発に増えた。
 世界全体の減少は、総数の9割以上を保有する米露が老朽化した兵器を廃棄したことが主な要因で、米国は昨年比250発減の5,550発、ロシアは120発減の6,255発だった。 (2107-061403)

 米国務省が米国の核弾頭保有数について10月5日、2020年9月時点で3,750発と 1962年以降で最少となったと公表した。
 2019年の3,805発からは55発減少し、保有数が最大だった1967年の31,255発からは88%減となった。
 国務省によると公表数の3,750発には配備済みと保管中の弾頭が含まれるが、退役し解体待ちの弾頭は含まれない。
 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) によれば、解体待ちの弾頭を含めた全世界の核弾頭総数は推計13,080発で、米国の5,550発に対しロシアは6,255発、中国は350発を保有している。 (2111-100602)

 米国防総省が11月3日に、中国の軍事力に関する議会への年次報告を公表した。
 それによると中国の軍事力拡大は米当局が考えていたより遙かに急速で、核弾頭数について言えば、1年前に米国は200発台の下の方と見ていたが6年以内に700発に達する可能性があり、2030年には1,000発に達すると見ている。 (2112-110307)

核ミサイル数の拡大

 米空軍宇宙航空情報センタ (NASIC) が1月11日に公表した2020 Ballistic and Cruise Missile Threatと題する報告書で、中国は米国まで届く核ミサイルの数を拡大し続けており、今後5年以内に200基を優に超える数にするとの見通しを示した。 (2104-020302)

 米インド太平洋軍司令官のリチャード海軍大将が4月20日に上院軍事委員会で、中国はいかなる核展開戦略にも対応できる能力を持っていると述べた。 (2106-042804)

プルトニウムの生産開始

 ロイタ通信が3月25日、中国がプルトニウムを大量に抽出する再処理施設を建設することにより、米国の専門家らが神経を尖らせていると報じた。
 ロイタは、中国がプルトニウムを核兵器開発に使用するという証拠はないが、中国が現在保有している200発余りの核弾頭は今後10年間で増加すると予想され、懸念が高まると報じた。
 報道によると、中国は環境汚染への対応として石炭への依存度を下げるために、高速炉と再処理施設を建設している。 再処理施設では使用済み核燃料を再処理しプルトニウムを抽出する。 (2104-032607)

ICBM用とみられる地下施設を砂漠地帯に110ヶ所建設

 New York Times紙が7月26日、米専門家が民間衛星の画像を分析した結果、中国がICBM用とみられる地下施設を新疆ウイグル自治区の砂漠地帯に110ヶ所建設していることが分かったと報じた。 建設は3月に始まったという。
 専門家は、サイロの建設はこれまでで最大の核兵器増強とみなされると指摘しているが、別の専門家によると米軍の攻撃に備え、囮も含めミサイルの数以上のサイロを作っている可能性もあるという。
 6月には米国の別の研究機関による衛星写真の分析で、甘粛省でサイロとみられる施設が約120ヶ所建設されていることが判明している。
 米国防総省は2020年発表した年次報告書で、中国のICBM保有数を約100基と推計している。 (2108-072801)

ミサイル格納設備建設が疑われる施設で相当の進展

 全米科学者連盟 (FAS) が11月2日、衛星画像の分析結果をもとに、中国のミサイル格納設備建設が疑われる3施設で相当の進展があったとする報告書を発表した。
 いずれ長距離核ミサイルの発射が可能になる可能性もあり、中国が核能力の開発に相当な労力と資源を注ぎ込んでいることを示唆するとしている。
 米政府は中国の急激な軍事力増強に対して懸念を強めていて、戦略軍司令官のリチャード海軍大将は8月に、「中国の核戦力と通常戦力の爆発的な成長と近代化は、驚異的としか形容できない。 驚異的という言葉だけでは不十分かもしれない」と述べていた。 (2112-110303)

2030年には1,000発の核兵器: 2021 China Military Power Report

 米国防総省が11月3日に公表した報告書2021 China Military Power Reportによると中国は2027年までに700発、2030年には1,000発の核兵器を保有すると見られる。
 2020年版では200発以下としていた。
 また報告書では、中国が初期の核兵器三本柱を構築したともしている。 更に近く低威力核兵器の配備も可能と見ている。
 以下、ALBM、H-6N、DF-41、DF-5、DF-27、DF-5C、DF-31B、DF-17、DF-26、JL-3について記述。 (2201-111703)

過去最大の核戦力増強、近代化、多様化: 米中経済安全保障調査委員会

 米議会の超党派諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」が11月17日に公表の年次報告書で、中国が核兵器開発に成功した1960年代以降、過去最大となる核戦力の増強と近代化、多様化を進めていると指摘し、「最小限の核戦力」のみを保持する従来の方針からの転換を示していると警戒感を示した。
 報告書は、中国がICBM用の地下格納庫を270ヵ所以上建設しており、陸海空それぞれの領域で核兵器を運搬できる「核の3本柱」も完成に近づいていると分析し、中国の核戦力は約10年後に質的に、2030年には量的にも米国と対等になる可能性があると予想している。
 米国防総省も11月、中国が2030年までに少なくとも1,000発の核弾頭を保有する意図を有している恐れがあるとの見方を公表した。 2020年は中国の保有核弾頭数を200発台前半と推計していた。 (2112-111803)

4・1・5・2 FOBS を復活

米空軍長官が警鐘

 ケンドール米空軍長官が9月20日に開かれた空軍協会 (AFA) のAir, Space, Cyber会議で、中国が55年も前の構想である宇宙空間または近宇宙空間から核爆弾を投下する計画を復活させようとしていると警鐘を鳴らした。
 バイデン政権は過去3ヶ月間この問題に取り組んでいるという。
 冷戦時代にFOBSと呼ばれていたこの計画は、国際航空機関 (FAI) によって高度150kmに設定された航空機と宇宙船の管轄を分ける線Karman Lineの直下となる90~150kmを飛翔することでロシアのAvangardの様なICBM級HGVと同等の効果を得られるという。
 中国は1970年代初期に3段推進型のDF-5でFOBSを目指していた。 (2111-092702)

英 Finacial Times 紙が報道

 英Finacial Times紙が複数の関係筋の話として10月16日、中国が核弾頭を搭載可能な超高速兵器の発射試験を8月に行ったと報じた。
 ロケットで打ち上げたミサイルが地球を周回後に下降した。
 目標は外したが、ICBMを使わず宇宙空間から世界各地を攻撃できる能力につながる懸念がある。
 米情報当局は、中国の技術力の「驚異的進歩」に衝撃を受けたという。 (2111-101702)

 中国外務省副報道局長が10月18日の記者会見で、中国が8月に核搭載可能な極超音速兵器の発射試験を行ったという英Finacial Times (FT) 紙の報道について、ミサイルではなく宇宙船の実験だったと述べた。
 同紙の報道を完全に否定した形だが、中国はこうした内容を発表していなかった。
 FTは、極超音速滑空体が地球の軌道を回った後、標的から30km以上離れた場所に着弾したと報じたが、宇宙船の帰還前に分離した装置が大気圏で燃えて解体され、公海上に落ちたと説明したが、無事帰還したかどうかには触れなかった。 (2111-101801)

 中国の極高速ミサイル発射試験についてFinacial Timesが情報筋4人を引用して10月21日、中国が7月と8月に1回ずつ、計2回の発射試験を実施したと追加で報じた。
 新たに把握された内容によると、中国軍は7月27日に、FOBSとなるHGV搭載ロケットを初めて地球軌道に発射したという。
 続いて8月13日には2回目の試験を行った。 (2111-102203)

 米統合参謀本部議長のミリー陸軍大将が10月27日にBloomberg TVの番組で、Finacial Timesが10月16日に中国が超高速飛翔試験に成功したと報じたのを確認し、スブートニク以来の衝撃だと述べた。
 同紙の報道によると中国は8月にHGVを搭載したロケットを低高度衛星軌道 (LEO) に打ち上げ、標的から20~30哩離れて着弾した。
 中国外務省報道官は18日にこの報道を否定して、試験を行ったのは超高速兵器ではなく再使用可能な宇宙船の飛行試験であったと述べた。 (2201-110301)

 11月中旬にメディア各社が、中国が7月に南シナ海上空を滑空中の超高速兵器からMach 5以上の速度でミサイルを発射したと報じたことに米国防機関には動揺が広がっている。
 Finacial Timesが消息筋の話として、米国防関係者が今回の中国の実験に不意を突かれたと報じている。
 実験の詳細は明らかになっておらず、ミサイルが標的に命中したのか、そもそも標的があったのかどうかも不明だが、いずれにしても、多くの専門家が遠い未来の話と考えていた技術において、中国が予想外の進歩を遂げていることが、今回の実験により示された。
 この報道に対して専門家は、中国にとって大きな飛躍ではあるものの、この高度な技術を実配備する能力を中国が有するかは疑わしいと見ている。 (2112-112404)

 中国が南シナ海上空で超高速飛翔体から子弾を放出したとの11月21日のFinacial Times紙の報道を専門家は疑問視している。 全米兵器工業会 (NDI) の先進技術研究所 (ETI) の副所長で超高速の専門家であるルイス氏は超高速飛翔体からの物体の放出は極めて、極めて、極めて、極めて困難と述べている。
 米DARPAは20年前に、衛星に近い軌道を超高速で滑空する飛翔体から2発の子弾を放出するCAV計画を進めていたが、放出した子弾が起こす衝撃波の影響で子弾が反転して母機を破壊するとの検討結果が得られていた。
 実際にSR-71の前身となった母機からD-21 Tagboardと呼ばれるHGVを投下したところ母機が墜落し、乗組員の一人が死亡している。 (2112-112410)

4・1・6 周辺国への圧力強化

4・1・6・1 わが国への挑発

中露艦隊が日本周回

 「3・2・1・3 海軍艦の動き」で記述

海軍艦が沖縄近海を航行

 「4・1・1・4・2 海軍の連帯」で記述

遼寧 が北大東島と沖大東島周辺海域で戦闘機の発着艦

 防衛省が12月26日、中国空母遼寧など計5隻が25日00:00ごろ、沖縄本島と宮古島の間の公海を北上し、太平洋から東シナ海に抜けたと発表した。 艦載機の発着や、警戒監視に当たる自衛艦への危険な行為は確認されていないという。
 遼寧を含む艦隊は12月16日ごろ同じ海域を南下して東に向かい、19、20両日は沖縄県の北大東島と沖大東島周辺の公海で、早朝から夜間にかけて艦載されていた戦闘機とヘリコプターが発着を繰り広げた。 (2201-122601)

4・1・6・2 海上交通安全法の大幅改正

 中国が1984年施行の海上交通安全法を、海事当局を傘下に持つ交通運輸省が、外国船による領海の通航を国際法で認められた無害通航でないと判断すれば阻止できるように、年内にも大幅改正する。 法案によると、中国の領海に入る外国船が海上の交通安全を脅かす可能性がある場合は海事当局への報告を義務づけ、違反した船の所有者や船長に罰金を科す。 領海で法に反した外国船を、海事当局が追跡できる権限も明記した。
 海洋権益を強化する狙いとみられ、中国艦船が尖閣諸島周辺海域でさらに組織的に日本領海に侵入する口実とする可能性がある。
 全国人民代表大会常務委員会が昨年12月下旬に改正法案の審議を始め、内容を公表した。 (2102-011002)

 中国領海での航行ルールを定めた改正海上交通安全法が9月1日に施行された。 海上交通の安全と監督を担う海事局の権限強化を図り、危害を及ぼすと判断した外国船に対して目的地などの報告を義務づける。
 海事局が8月27日に発表した公告によると、領海を航行する外国の潜水艦や原子力を動力とする船舶、危険物を運ぶ船などに対し目的地や搭載内容の報告を義務づけた。 指示に従わなければ退去させる権限も有する。
 中国の海上交通安全を危うくする可能性のある船舶も対象に含まれており、線引きはあいまいである。
 中国は領海法で尖閣諸島や南シナ海の諸島を自国領土と定めており、周辺海域も法適用範囲となる。 (2110-090103)

4・1・6・3 海警法の改正

 中国国営メディアによると、全人代常務委員会が1月22日、海警局の武器使用を含む任務を定めた海警法を可決した。 法律は2月1日に施行される。
 詳しい内容は公表されていないが、草案の段階では中国が管轄する海域で外国の船が違法に活動し、停船命令などに従わない場合、武器を使用できるなどと規定している。
 尖閣諸島周辺では、日本の漁船が海警局の艦艇に追跡される事態が相次いでおり、今後、さらに活動が先鋭化する可能性がある。 (2102-012301)

 中国が1月22日に海警法を改定した。
 新法によると中国沿岸警備隊 (CCG) は、国家主権が外国組織や個人により侵された場合にCCGによる武器の使用が認められると共に、中国の施政下にある島や海域で外国政府や個人が設置した固定又は浮遊施設を破壊したり撤去することができるとしている。 (2104-020301)

4・1・6・4 海事局の権限強化

 中国が、領海の管理強化に向けて海上交通安全法の改正作業を進めている。
 法改正により、交通運輸省の傘下にある海事局の権限が強化され、海事当局が脅威があると判断した外国船に領海からの退去を求める権限を付与する内容で、尖閣諸島における中国公船の活動強化につながる恐れもあり、2月に施行された海警法に続き影響が懸念される。
 全人代は4月26~29日に開く常務委員会で審議するが、草案の審議は2020年12月に始まっており、2021年内にも施行される可能性がある。
 国連海洋法条約によって、外国籍の船舶は平和や秩序を乱さない無害通航であれば、事前通告なしで他国の領海を通過できるが、草案では外国船が中国の領海の安全を脅かす可能性があれば、海事管理機関が退去を命じる権利があると明記した。 (2105-042403)

 中国全人代常務委員会が4月26日に開幕し、領海などでの航行ルールを定めた海上交通安全法改正案の審議が始まった。 早ければ最終日の4月29日にも成立する見通しである。
 2月に施行した海警法に続く海洋関連の法整備となり、海警局が違法行為を取り締まる法執行機関であるのに対し、船舶管理や海洋交通を所管し安全監督を担う海事局の権限強化を目指すもので、尖閣諸島周辺でさらなる緊張を招く可能性もある。
 国際法は沿岸国の安全を脅かさないことを条件に外国船の領海での航行を認めているが、改正案は原子力船や有害物質を運ぶ船、中国が海上交通に危害を及ぼすと判断した外国船に海事局への報告を義務づけ、海事局に外国船を領海から退去させたり追跡したりする権限も与える。 (2105-042703)

4・1・6・5 海警局装備の強化

大型哨戒艦の建造

 香港のSouth China Morning Post紙が、中国海警局が南シナ海での海上パトロールのため、新たに基準排水量5,560tの大型哨戒艦を建造し、海南省の海南海上保安署に配備すると報じた。
 この哨戒艦は海巡-03と名付けられ、全長128.6m、速力20kt、航続距離10,000nmで、燃料の補給なしで60日間連続で洋上を哨戒することができるという。
 米軍を刺激するのは必至で、フィリピンやベトナムなど南シナ海の島嶼の領有権を主張する東南アジア諸国も警戒感を強めている。 (2110-091902)

10,000t級警備艦の配備

 中国海事局が10月24日までに、警備艦海巡-09を中国南部の広東省広州に配備した。 中国メディアによると海巡-09は23日に配備された。
 2019年に建造を始めたヘリ搭載の海巡-09は、全長165m、満載排水量13,000tで、放水システムも装備していて、90日間の航行が可能だという。 (2111-102403)

4・1・7 軍備増強

4・1・7・1 基本方針

三つの近代化

 中国の解放軍報が2月23日に、Mechanisation、Information、Inteligensationの、軍の「3つの近代化」を報じた。
 3つの近代化は元々、1990~1991年の湾岸戦争の教訓から1990年代に唱えられたスローガンであった。 (2106-042115)

4・1・7・2 宇宙、BMD、防空

4・1・7・2・1 宇宙防衛

TJSW シリーズキラー衛星

 中国はTJSWシリーズのキラー衛星の開発を行っており、2月にはTJSW-6衛星を打ち上げている。 (2104-021701)

4・1・7・2・2 偵察衛星

遥感シリーズ衛星

 中国が3月13日に長征-4Cで遥感-31 (Yaogan-31) 観測衛星3基を打ち上げた。 この3基は尖兵-8 (Jianbing-8) 海洋監視衛星群の一部となる模様である。
 遥感-31は3基の衛星からなる以下の3個衛星群で構成されており、今回打ち上げられた3基は4番目の衛星群になると見られる。

遥感-3-01: 2018年 4月10日打ち上げ

遥感-3-02: 2021年 1月29日打ち上げ

遥感-3-03: 2021年 2月24日打ち上げ

 尖兵-8は遥感-20、遥感-25、遥感-31で構成され、6つの軌道を周回している模様である。 (2105-032411)
4・1・7・2・3 B M D

Dong Neng-3 (DN-3) IRBM 迎撃システム

 中国はIRBM級に対抗するシステムを開発中という。 Diplomat誌によると米政府はこれをDong Neng-3 (DN-3) と呼んでいる。 (2104-021701)

 中国国防省が2月4日夜、地上配備型のIRBM迎撃システムの技術試験を同日実施したと発表した。
 中国が迎撃システムの試験を公表するのは3年ぶり5回目で、ICBMやIRBMへの対応技術向上を示す狙いがあるとみられる。 (2103-020505)

HQ-19

 中国国防省が2月4日、地上発射型中間軌道迎撃弾の試験を実施したと発表した。 ただそれ以上の詳細は明らかにしていない。
 米国防省は中国が過去に4回、2010年1月、2013年、2014年、2018年にABMの試験を実施していると見ている。
 米国防総省が発簡した報告書2020年版中国の軍事力によると、中国はS-300の中国型であるHQ-9を元にしたHQ-19 (CH-AB-X-02) を開発し、既に中国西部に配備している。
 HQ-19は射程が3,000km級のBMに対抗するシステムである。 (2104-021701)

4・1・7・2・4 防 空

FK-2000

 中国CASIC社が9月28日~10月3日に殊海で開かれている航空展に新型の自走防空システムFK-2000を出品した。
 ロシアのPantsirを発展させたと見られるFK-2000は8×8車に発射機とレーダを搭載したシステムで、航空機に対しては射程1.2km~25km、射高15m~12km、ASMやCMに対しては射程1.2km~10km、射高15m~8kmの性能を持つ。 (2111-100511)

4・1・7・3 弾道ミサイル

4・1・7・3・1 BM 全般

ミサイル発射機数、20年で2.7倍 中距離が急増

 防衛省が英シンクタンクの報告書を基に分析したところによると、中国の地上配備型BMの発射機数は2020年に533基で、2001年から2.7倍に増えた。
 中国は発射機数を公表していない。
 1991年には68基であったICBMとIRBMが533基の3割を占め、射程の長いミサイルの増加に米国に肩を並べる大国をめざす中国の戦略がうかがえる。
 特にIRBMはこの10年間で急増し、2011年に10基だったが、2020年にはDF-26など82基と8倍に増大した。 (2107-061401)

ICBM サイロ119ヵ所建設

 Washington Posrが6月30日、中国が北西部の砂漠地帯にICBMの地下格納庫とみられる施設を建設していると報じた。
 施設は119ヵ所に上り、中国による核戦力の大幅な増強を示唆している可能性があるという。
 ミドルベリー国際大学院の不拡散研究センターが商業衛星写真に基づいて分析したもので、甘粛省玉門市の北西にある砂漠地帯に建設されていた。
 中国は核兵器250~300発を保有しているとされるが、これらの地下施設は囮の可能性もあり、実際に何発のICBMが配備されるかは不明である。 (2108-070101)

4・1・7・3・2 ICBM

ICBM 施設の増強

 全米科学者連盟 (FAS) の核専門家クリステンセン氏が2月26日、衛星写真から中国軍が内モンゴル自治区で、ICBM用とみられる発射施設少なくとも16基の新設を進めている可能性が高いとした論文をまとめた。
 クリステンセン氏は共同通信の取材に、施設増強で米国への反撃能力を高める意図があると指摘した。
 同氏によると、砂漠地帯の演習場に2016年以降、3期に分けて少なくとも16基の建設が進み、うち11基は昨年後半に工事が始まった。 中国はこれまで18~20基の発射施設を整備している。 (2103-022703)

4・1・7・3・3 超高速ミサイル

 米インド太平洋軍が今まで非公開にしていた議会報告の付属文書で、中国が2025年までに超高速ミサイルを200基程度配備するとしている。
 また戦闘機と爆撃機の数もそれぞれ56%と29%増強すると共に水上艦の数も段階的に引き上げると見ている。 (2104-031104)

 米統合参謀本部副議長のハイテン空軍大将が10月28日、中国が極高速兵器の試験を5年間で数百回実施したのに対し米軍は9回にとどまると中国の脅威を強調した。
 民主党に浮上する軍縮論を後退させる思惑も透ける。
 また国防総省について官僚的すぎるとして、失敗を恐れない慣習が必要だと唱えた。 (2111-102902)

 中国国防省報道官が11月25日、中国軍が超高速兵器DF-17を既に相当数配備していることを明らかにした。 現在の米国のミサイル防衛では迎撃不能とされており、米国や日本、台湾などに対する脅威が増しているとみられる。
 中国が2019年10月に公開したDF-17について米国防総省は、3日に公表した中国の軍事力に関する年次報告書で2020年に配備を開始したとしている。 (2112-112508)

4・1・7・3・4 SLBM

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・1・7・3・5 ASBM

2020年8月26日の発射試験

 中国軍筋が、南シナ海で2020年8月26日に行ったASBMの発射試験で、航行中の船を標的にしていたことを明らかにした。 米軍高官もこの事実を認めている。
 2発が標的船に命中したとの複数の証言もあり、事実とすれば、中国周辺に空母を展開する米軍の脅威となる。
 試験では無人標的船に対し内陸部の青海省から射程4,000kmのDF-26B 1発を先に発射し、数分後に東部の浙江省から射程1,500kmのDF-21D 1発を発射した。 2発はほぼ同時に標的船に命中して沈没させ、海域周辺に展開していた米軍の偵察機やイージス艦に中国軍のミサイル能力を誇示したという。 (2102-011302)

日本やインドに向けて配備

 香港のSouth China Morning Postが米国科学者連盟 (FAS) の1月21日の報告書を引用して26日、中国軍が山東地域の訓練場にDF-26 ASBMの発射機を複数配備したと報じた。
 FASはDF-26が衛星写真で該当地域で確認されたのは初めてだとしている。
 DF-26は射程5,000kmのIRBMで、中国軍事専門メディア「漢和ディフェンスリビュー」の編集長は横須賀など在日米軍基地や、インドを射程内に収めたものだと見ている。 (2102-012602)

4・1・7・3・6 IRBM, MRBM, SRBM

改良型 DF-15

 中国CCTVが8月21日、中国西北部の砂漠地帯で戦略ミサイル部隊のロケット軍がDF-15の改良型とみられる新型BMの発射に成功したと報じた。
 発射試験は最近実施され、TELから発射された2発が悪い自然条件と複雑な電磁妨害を克服して、数百㌔㍍離れた地上の目標に正確に命中した。
 台湾メディアは、中国軍が1990年代の台湾海峡危機時に打ち込んだDF-15の改良型だとの見方を報じており、発射試験は台湾に対するミサイル攻撃能力を誇示する狙いがあると見られる。 (2109-082102)

 中国国営CCTVが8月21日、PLAロケット軍 (PLARF) が新型の通常弾頭SRBM 2発を発射する映像を流した。
 この映像はDF-15 (CSS-6) の改良型で新型または改良型の弾頭を搭載している模様である。
 公開された映像は弾頭部に操舵翼と見られるフィンがついていることからDF-15Bと見られ、GNSS誘導とレーザ測距装置とレーダシーカで誘導される。
 射程は搭載される弾頭の重量で異なるが800kmは超えると見られる。 (2111-090101)

各種 TBM の射程延伸

 米陸軍が8月9日に発簡し23日に公表した報告書Chinese Tacticsによると、中国陸軍ロケット部隊のミサイルが射程を延伸し精度も向上しているという。
 300kmであったDF-11の射程は700km以上になり、600kmであったDF-15/16の射程は1,000kmになっているという。 (2109-082303)

4・1・7・4 艦 船

4・1・7・4・1 急速な建艦ペース

 中国PLA海軍が4月23日に習主席を迎えてType 075強襲揚陸艦、Type 055駆逐艦、Type 094晋級SSBNの就役式典を海南島の榆林海軍基地で行った。
 Type 075強襲揚陸艦は同級の一番艦で海南と命名された。
 Type 055駆逐艦は13,000t駆逐艦の三番艦で大連と命名され南海艦隊に配属された。 2020年1月と2021年始めに就役した一、二番艦は北海艦隊に配属され遼寧CSGを構成している。
 Type 094晋級SSBNは射程7,000kmのJL-2 SLBMを12発搭載する。 (2107-050505)
4・1・7・4・2 航空母艦

Type 001 遼寧

(2021年には特記すべき記事見当たらず)

Type 002 山東

(2021年には特記すべき記事見当たらず)

Type 003

 海洋強国を目指す中国はすでに2隻の空母を就役させ、現在、上海の造船所で3隻目の建造を進めている。 (2102-010502)

 環球時報が1月18日、中国海軍で3隻目となる空母が2021年末までに進水し、2025年頃に就役する可能性があると報じた。
 中国には、共産党創設100年を迎える今年に空母の建造で成果を上げ、海軍力増強を誇示する思惑がある。 (2102-011802)

 2020年7月2日から上海に近い江南長興島造船所の乾ドックで建造されているCATO-BAR方式のType 003空母を1月に撮影された衛星画像から下部船体は組み上がり、上部船体の取り付けが開始されている模様である。 (2104-020304)

 中国PLA海軍の3番目の空母Type 003の建造は上海で進められ、民航機から撮影した画像からすると組み立ては既に飛行甲板にまで達していて、カタパルトの様子も見られる。
 武漢の試験場に置かれた搭載する戦闘機のモックアップからするとType 003にはFC-31が搭載されるようである。
 国営CCTVが5月下旬に海南島北部の航空基地でJ-15艦載戦闘機が訓練を行っている様子を報じた。 1月23日に撮影したこの基地の衛星画像では滑走路の北西端が空母甲板を模して塗装されていたことが分かっている。 (2107-060909)

 最近の衛星画像から、上海の長興島造船所で建造中の3番目の空母Type 003が上部構造物の取り付けが終わり船体工事を終えたことから、半年以内に進水すると見られる。 (2109-071401)

 上海に近い江南造船を7月12日にMaxar衛星が撮影したType 003空母の画像によると、既にアイランド部が取り付けられ、あとは内部の工事だけのようである。
 甲板には2ヶ所に大きな穴があるが、恐らく主機などの取り付けのためと思われる。
 全長318m、幅75m、Type 003は304.5m、70mのType 001/002より大型であるが、アイランドの長さは40mとType 001/002の60mより短い。
 初めてのCATOBARで3本のカタパルトを持ち、着艦路は230mとType 001/002より24m長い。 ただ着艦用の拘束索はまだ取り付けられていない。 (2110-080411)

 CSISが11月9日、衛星画像の分析から、中国が上海江南造船所で建造中の国産2隻目の空母Type 003が早ければ2022年2月にも進水するとの報告書を発表した。
 Type 003は上海江南造船所のドックで建造中で、ソ連製のVaryagを改修した遼寧(Type 001)と、初の国産である山東(Type 002)に続く3隻目となる。 (2112-111001)

Type 004

 香港のSouth China Morming Postが関係者の話として1月5日、中国がCOVID-19の影響で遅れていた4隻目となる空母の建造を2021年初めにも開始する見通しだと報じた。
(2102-010502)

 香港のSouth China Morning Postが3月13日、中国が建造中の4隻目の空母について動力を原子力とする案が検討されていると報じた。
 中国軍関係筋によると、造船会社が動力を原子力とする案を示し、軍の最高指導機関である中央軍事委員会が検討しているという。 実現すれば、中国初の原子力空母となる。 (2104-031305)

4・1・7・4・3 潜水艦

改良型晋級原潜

 香港のSouth China Morning Post紙が5月3日までに、4月23日に就役した中国軍の改良型晋級原潜が、推定射程10,000km以上で中国近海から米本土の大部分を射程に収める新型のSLBM巨浪-3 (JL-3) を搭載可能だと報じた。
 中国が現在保有する推定射程8,000kmのJL-2は中国近海から北米の一部にしか届かないが、原潜をJL-3を搭載するように改良したことで米本土全体をカバーできるようになり、実際に搭載されていれば、米国にとり大きな脅威になる。 (2106-050302)

 中国は上半期にType 091V SSBN長征18を就役させている。 (2108-070504)

改良型 Type 039A/B 元級

 TikTokに揚子江と思われる河を2隻の船に固定されて運搬されている潜水艦の映像が流れた。
 武漢の武昌造船所で進水前の5月上旬に撮影されているこの潜水艦の画像には、スウェーデン海軍向けにSaab社が建造中のKockums A26潜水艦とよく似た独特のフィンを装備している。
 衛星画像からするとこの潜水艦は寸法からType 039A/B元級の改良型のようであるが、明らかに再設計されているようである。 (2108-063002)

4・1・7・4・4 水上戦闘艦

Type 055 駆逐艦

 中国国営メディアが3月7日、PLA海軍が2隻目のType 055駆逐艦Lhasaを就役させ北海艦隊に配属したと報じた。
 Type 055の一番艦は2020年1月12日に就役しており、PLA海軍は更に6隻のType 055を進水させている。
 112セルのVLSを装備しているType 055がType 052Dと違うのは推進方式がCODAGからCOGAGになっていることである。 (2105-031709)

Type 052D/DL 駆逐艦

 国営メディアが3月2日、7隻目のType 052D駆逐艦が就役し北海艦隊に配属されたと報じた。
 この駆逐艦は他の少なくとも3隻のType 052D及び数隻のType 056/056Aコルベット艦と黄海で5日間の演習を行っているとして映像を公開した。
 この艦はストレッチ型の四番艦でType 052DLと呼ばれている。 (2105-031709)

 中国国営ラジオが3月29日にWeiboで、ストレッチ型のType 052D駆逐艦三番艦が他の駆逐艦と訓練を行っている画像を公表した。
 Janeは3月2日にストレッチ型のType 052D駆逐艦四番艦が就役したと報じており、これで就役したType 052Dは17隻になる。 (2106-041408)

 中国海軍関連のウェブサイトによると、中国が2021年になって4隻目のType 052D駆逐艦開封を就役させた。
 中国は上半期にType 052D駆逐艦蘇州淮南南寧を就役させ、Type 055駆逐艦拉薩大連も就役させている。 (2108-070504)

Type 054A フリゲート艦

 Type 054Aフリゲート艦がHHQ-16 SAMのFCSレーダとして装備しているMR-90 Front Domeレーダが2面プレーナアレイアンテナのLY-80Nに換装されている模様である。 (2109-072114)

 Type 054Aフリゲート艦の31番艦が広州黄埔造船廠で進水した画像が、7月17日にネット上で公開された。
 31番艦はMR-90 Front Domeに代えType 382と見られる4面固定レーダが設置される。
 Type 054Aは2006年から2018年に30隻が広州黄埔造船廠と上海の滬東中華造船で進水している。
 滬東中華造船ではパキスタンから受注したType 054A/P 2隻とPLA海軍向けの2隻が建造中である。 (2109-072806)

 中国のソーシャルメディアに流れた画像から、PLA海軍で32隻目となるType 054Aフリゲート艦が上海の滬東中華造船で進水したことが明らかになった。
 既に30隻が就役しているType 054Aフリゲート艦の建造は3年以上の空白を開けて再開され、31番艦は7月12日に広州黄埔造船廠で進水している。 (2110-081805)

Type 056Aコルベット艦

 中国国営メディアが、Type 056Aコルベット艦の最終艦となる2隻が1月30日と2月上旬に就役し、合わせて72隻になったと報じた。
 これでType 056が22隻、Type 056Aが50隻になった。
 全長89m、満載時排水量1,300tの同級コルベット艦は、76mm砲1門とY-83対潜ミサイルとYu-8対潜魚雷を発射する発射機4基を装備している。 (2105-030309)

4・1・7・4・5 揚陸艦艇

Type 075 強襲揚陸艦 三番艦の進水

 環球時報によると、中国で3隻目となるType 075強襲揚陸艦が1月29日に上海の造船所で進水した。
 Type 075は米海軍のWasp級に匹敵する排水量約40,000tとみられ、ヘリ30機、揚陸艇、水陸両用戦闘車などを搭載できる。
 環球時報は、中国がType 075の建造を急ぐ理由として、台湾や南シナ海で領土や主権を守るためと指摘している。 (2102-012904)

 Type 075 LHD強襲揚陸艦の三番艦が1月29日、上海の滬東中華造船 (Hundong-Zhonghua Shipyard) で進水し、乾ドックを出て河岸の埠頭に接岸した。
 Type 075は全長225m、幅36m、排水量35,000tと米海軍のWasp級よりやや小型と推定される。
 Type 075の二番艦は洋上試験を終えて帰港しており、一番艦は海南島三亜市にある空母山東の母港で確認されている。
 一方、3隻建造されたType 071 LPD 8隻は、中国は公表していないが2020年までに就役したと見られている。 (2104-021007)

Type 075 強襲揚陸艦 一番艦の就役

 中国CCTVが4月24日、習国家主席が出席して中国初の強襲揚陸艦Type 075の就役式が海軍創設72年の記念日となる23日に海南島三亜で行われ海南と命名されと報じた。
 Type 075は米軍のWasp級に匹敵する推定排水量40,000tとみられ、中国軍は台湾侵攻や南シナ海での紛争を想定し、今後も上陸作戦の中核を担う強襲揚陸艦を配備していくようである。 (2105-042405)

 中国は上半期にType 075上陸強襲艦海南を就役させている。 (2108-070504)

Type 726 LCAC

 中国国営CCTVがType 726 LCACの画像を報じた。
 Type 726は排水量150~160tで、50tを搭載して60~60ktで航行できる。 (2104-033011)
【註】Type 726/726A LCACはType 071揚陸艦が6隻ずつを搭載している。

4・1・7・4・6 その他の艦艇

Type 927 音響捜索艦の捜索能力強化

 中国がType 927音響捜索艦を2隻増強して潜水艦捜索能力の強化を図っている。 最初の3隻は2017年中頃~2018年初めに進水し、2隻は南海艦隊で、1隻は東海艦隊で就役している。
 4番艦は2020年の8月から11月の間、5番艦は2020年8月から2021年1月に進水している。
 Type 927は全長90m、最大幅30mであるが、葫芦島の造船所では全長100mとType 927より大型艦が建造されている。 (2107-051904)

4・1・7・5 航空機

4・1・7・5・1 戦闘機

J-20A

 1月1日に中国のオンラインフォーラムに改良型J-20の画像が掲載されたが、機体は黄色のプライマーではなく灰色の難視塗装がなされており、J-20改は間もなくPLA空軍に配備される模様である。
 J-20改にはSaturn AL-31FNシリーズエンジンに替えて国産のWS10Cターボファンエンジンが搭載されている。
 WS10CはJ-10CやJ-16が搭載しているWS10Bを元に開発されたエンジンで、142kNの出力を持つ。 (2103-011313)

 4月9日に遼寧省の鞍山航空基地を撮影した衛星画像から、北部戦区第1航空旅団が老朽化したJ-11Bに替えてJ-20を装備したことが判明した。
 第1航空旅団のJ-20装備は安徽省蕪湖市の東部軍区第9航空旅団に次いで2番目で、衛星画像から鞍山のJ-20は初めて国産のWS10Cエンジンを搭載していることが分かる。 (2106-042810)

 中国PLA空軍が9月28日~10月3日に開かれる殊海航空展の開会冒頭で、国産のWS10Cターボファンエンジンを搭載したJ-20A 2機による展示飛行を行う。
 J-20Aは2019年9月以来数機が成都にあるCAIG社の生産施設で確認されているが、一般に公開されるのは初である。 (2112-100604)

複座型 J-20A

 中国のソーシャルメディアに10月26日、複座型J-20Aの試作機と見られる映像が流れた。
 撮影されたのは成都市青羊区にある成都飛機工業公司 (CAIG) 社の製造工場に隣接する同社の飛行場で、複座型J-20Aは黄色のプライマで塗装されていた。
 ただ、この機体には単座型のJ-20Aも装備している灰色のレドームは付いていなかった。 (2201-1103003)

 10月28日に撮影されたとする複座型J-20A試作機の画像が11月5日に中国のWeiboに流れた。
 この機は明らかに初飛行を終えたと見られる。
 複座型の名称は明らかにされていないためJ-20B、J-20AS、J-20Sなど名称が考えられる。 (2201-111712)

J-31 艦載戦闘機

 中国が殊海航空展で国産エンジンWS-10Cを搭載したJ-20 2機を公開したのに引き続き、年内に次世代艦載戦闘機J-31を公開することを、AVIC社がWeibo上で公表した。
 ただしJ-31は当面、J-15同様にロシア製エンジンを搭載する模様である。 (2110-092908)

 AVIC社が殊海航空展で9月29日、2021年内に次世代艦載戦闘機の詳細を明らかにすると述べた。
 またSAC社でJ-15やFC-31を開発してきた主任設計士は、次世代艦載戦闘機は発表と同時に機体を公開する準備ができていることも明らかにした。 (2112-100602)

 中国のWeiboで10月29日、SAC社製次世代艦載戦闘機が初飛行する画像が掲載された。
 新型艦載機の開発は2016年12月に初飛行したFC-31を元に遅くとも2018年には開始されていて、6月には武漢に作られて空母のモックアップ近傍で見られていた。
 FC-31の試作機は当初ロシア製のRD-93エンジンを搭載していたが、後に中国製のWS-13Eターボファンエンジンに換えられている。 (2201-111004)

J-15

 中国CCTVが5月27日、海南島の陵水航空基地に駐機している少なくとも2機のJ-15艦載戦闘機の映像を報じた。
 陵水航空基地は2018~2019年からPLA海軍の第3航空師団が基地にしている。
 最新の開発状況は、1月27日に民間衛星が撮影した画像に空母飛行甲板を模した滑走路に置かれているのが確認されている。 (2108-060910)
【註】空母遼寧に搭載されたJ-15は欠陥による墜落事故が相次ぎ、代替機の開発が進められていると報じられたが、2020年には生産が再開されたと報じられている。

 8月1日に中国のWeiboにアップされた画像から、J-15艦載戦闘機の生産が継続している模様であることが判明した。
 画像が掲載されたJ-15にはPLA海軍航空隊の塗装が施され、機体には第4次生産分であることを示す機体番号0401が記されていた。 (2110-081112)

J-10C

 China National Radioが国産のWS-10Bターボファンエンジンを搭載した中国PLA空軍のJ-10Cが射撃を行っている画像を報じたことから、既に就役していることが明らかになった。 (2106-051111)

 中国国営CCTVが5月10日にWeibo上に、国産WS10エンジンを搭載したPLA空軍J-10の画像を掲載した。 WS10Bエンジンを搭載したJ-10Cは迷彩塗装が施されていた。
 2018年以来300機が生産されたJ-10は、今までロシア製のSaturn AL-31FNターボファンエンジンを搭載していた。 (2107-051906)

 中国共産党 (CPC) 創立100周年の7月1日にWeibo上にJ-10Cの6次生産分と見られる画像が流れた。
 機体は黄色のプライマのままで生産途中であるが、機体番号には6次生産機であることを示す619番が描かれていた。
 6次生産機は5次生産機の一部同様に、ロシア製Saturn AL-31FNエンジンではなく、WS10シリーズエンジンのWS10Bが搭載されている。 (2109-071410)

4・1・7・5・2 爆撃機

H-20

 PLA空軍が1月5日にネット上で公開した募兵広告動画に、開発中のステルス戦略爆撃機のシルエットが登場する。 機体をすべて布で覆い、シルエットだけが見える。  H-20は西安飛機工業公司 (XAC) が開発しているもので、米国戦略軍は今後10年以内に開発を終えると見ている。 (2102-010701)

4・1・7・5・3 AEW&C 機

KJ-600 艦載 AEW&C機

 環球時報が2月23日、中国がKJ-600艦載AEW&Cの試験飛行に成功したと報じた。
 国営CCTVの報道として、1月27日に陝西省西安で飛行したという。
 中国軍の専門家はカタパルトを備えた空母に搭載されるとの見通しを示した。
 中国は空母艦載機として使用するAEW&C機を開発しているといわれていたが、国営メディアが報じたのは初めてとみられる。 (2103-022401)

 Maxar社が10月1日と2日に西安のXAC社閻良飛行場を撮影した衛星画像にKJ-600艦載AEW機の試作2号機が写っていた。
 2020年6月24日には緑色のプライマーで塗装された試作1号機が写っていた。 (2112-101302)

 10月2日に撮影された商用衛星画像の分析からKJ-600艦載AEW&C機とWS20高パイパスエンジンを搭載したY-20であるY-20Bの開発が進展していることが分かった。
 KJ-600とY-20Bの初飛行はそれぞれ2020年8月と11月に行われている。
 Type 003空母に搭載されると見られるKJ-600は機械走査と電子走査を組み合わせたKLC-7 D-band(1GHz~2GHz)レーダを搭載している。 (2201-111010)

Y-20 AEW&C機

 中国Global Timesが7月5日、Y-9輸送機を元に開発したKJ-500 AEW&Cの設計副主任がセミナで行った講演で、中国にはより小型及びより大型のAEW&C機が必要であると述べたと報じたことから、Y-20のAEW&C型が一段と現実味を帯びてきた。
 Y-20の主任設計士は2019年3月に、2016年に就役したMTOW 220tのY-20には各種の型があると述べており、既に空中給油機型のY-20Uの存在が明らかになっている。 (2109-072103)

4・1・7・5・4 輸送機

国産 WS20 エンジンを搭載した Y-20B

 中国陝西省にあるXAC社の施設を1月29日と3月3日に撮影した衛星画像に、国産のWS20高バイパスターボファンエンジンを搭載したY-20重輸送機が写っていた。
 この機体はロシア製のD-30KP2エンジンを搭載しているY-20Aに対してY-20Bと呼ばれている。 (2105-031707)

4・1・7・5・5 ヘリコプタ

Z-11WB

 中国CCTVが2020年12月30日に昌河飛機社のZ-11が同社の景徳鎮工場で量産に入ったとする映像を報じた。
 Z-11WBはAirbus Helicopters社製AS350BAを元にした民間ヘリZ-11の偵察軽攻撃型で、PLA地上軍が装備する。 (2103-011315)

海軍型 Z-20

 PLA海軍南海艦隊が1月上旬にWeChatに掲載した写真に対潜型と見られるZ-20ヘリが映っており、同機が就役間近であることが示唆された。
 2013年に初飛行したと見られるZ-20はUH-60 Black Hawkと良く似た外観で、陸上型は2018年時点で少なくとも2個航空旅団に数機が配備され、その一部はチベットで地上部隊の支援に使われている。 (2103-012013)

 中国メディアが1月12日に報じた海軍型のZ-20はPLA海軍陸戦隊用の可能性がある。
 このZ-20はKD-10と見られるATGMを搭載しているがKD-10は対艦用とは報じられていない。 (2103-012704)

ATGM 搭載型 Z-20

 中国のWeiboに10月20日、ATGMなどを搭載したZ-20多用途ヘリの新型と見られる画像が投稿された。
 画像でZ-20はスタブ翼に、KD-10 ATGM 8発及び米国製のESSSと似たロケット弾ポッドを搭載している。 (2201-110315)

4・1・7・5・6 その他の航空機

J-16D 電子戦機

 中国が9月28日から10月3日の間に開かれる殊海航空展でJ-16の電子戦機J-16Dを公開すると見られる。
 地上で撮影されたJ-16Dの画像では両翼にポッドを搭載している。
 2020年11月の開催予定がCOVID-19パンデミックで延期されていた今回の殊海航空展では、このほかにWZ-7 HALE UAVやJ-20も公開されると見られる。 (2110-092406)

 中国PLA空軍が9月28日~10月3日に開かれる殊海航空展でJ-16多用途戦闘機の電子戦型であるJ-16Dを、地上展示スペースに設置した。
 複座の同機はやや小型のAESAレーダを搭載するためか機首のレドームがやや短く、両翼端にELINT/SIGINT用ポッドが取り付けられ、翼下及び空気取り入れ口下の合わせて4ヶ所にも大型のjammingポッドが取り付けられている。 (2112-100603)

 中国CCTVが11月6日、電子戦型のJ-16が訓練飛行を開始したと報じた。
 SEADを任務とする最初の原型機は2015年12月に報じられており、J-16Dは9月28日~10月3日の殊海航空展で公開されていた。
 電子戦型は両翼端の2ヶ所にEWポッドを取り付け、翼下及び吸気口下の4ヶ所に大型のEWポッドを搭載している。 (2201-111710)

4・1・7・6 U A V

WJ-700 HALE/MALE 武装偵察 UAV

 中国CASIC社の子会社であるHiwing社が1月11日、WJ-700 HALE/MALE 武装偵察UAVを公表した。 WJ-700は2018年の殊海航空展で公表されている。
 全長9~10m、翼端長17~19m、MTOW 3,500kgのWJ-700は滞空能力20時間で、実用上昇限度8,000m、巡航速度500~700km/hで飛行し、130kgを搭載して5時間飛行ができる。
 その前身のWJ-500やWJ-600が車両発射型のCMタイプの形状であるのに対し従来型の航空機形状をしている。
 このため陸海におけるISR、AEW、SIGINTやEWなどに使用するほか、翼下4箇所にハードポイント持ちCM-102超音速ARM、C-701またはC-705KD対艦/対地CMを装備できる。 (2105-030010)

UAV による小型 UAV の放出

 中国Zhongtian Feilong社(中天飛龍社)が4月1日、3月20日に同社製のUAVによる小型UAVの放出に成功したと発表した。
 試験を行ったのは4基のロータと前進用プロペラを持つ双胴型VTOL UAVで、放出された小型UAVは偵察や突入攻撃ができる。 (2105-040806)

CH-5 MALE UAV

 中国航天空気動力技術研究院 (CAAA) が2020年12月23日に公開した画像にCH-5 MALE UAVが2機映っていたことから、CH-5が既にPLA空軍で就役していることが明らかになった。 (2103-011311)

CH-6 MALE/HALE UAV

 まだ公開されていない中国CASC社が開発しているCH-6 MALE/HALE UAVの模型が、4月19日に同社の施設で公開された。
 それによると翼下に4箇所のハードポイントを持ち、翼端にはBoeing 737似のウイングレットがついている。
(2107-060008)

CH-7 HALE UAV

 中国CASC社が2018年の殊海航空展でターボファン搭載のHALE級UCAVであるCH-7を発表している。
 CH-7のMTOWは3,300kgのCH-5を遙かに凌ぐ13,000kgで、高度32,808~42,650ftを740km/hで飛行する。
 CH-7は926km/hの記録を持っている。 (2107-060008)

WZ-7 HALE UAV

 6月22日に貴州省安春黄国湖空港を撮影した衛星画像にWZ-7 HALE UAVが5機写っていた。
 5機のうちの少なくとも1機にはPLA空軍の塗装が施されていた。
 全長14m、実用上昇限度18,000m (59,050ft)、巡航速度405kt (750km/h)、航続距離3,780nm (7,000km) のWZ-7は2006年の殊海航空展で模型が展示されている。 (2109-072110)

 中国国営CCTVが11月10日、PLA北部戦区空軍第16特殊作戦師団がWZ-7 HALE UAVを装備している映像を報じた。
 映像には少なくとも2機のISR用のWZ-7が灰色塗装で映っていた。
 その放送によるとWZ-7はJ-20、J-16、J-16D、Y-20、KJ-500及びHQ-9B防空システムと共同演習に参加しているという。 (2201-112408)

殊海航空展での UAV

 中国が9月28日~10月3日に実施した殊海航空展では、国内開発したUAVの発展での自信を見せつけた。 (2112-100605)

WZ-7 HALE UAV

 RQ-4 Global Hawk同様にPLA空軍で標準的なHALE UAV

WZ-8 HALE UAV

 MTOW 5,000kgで空中発射、地上滑走回収

GJ-11 UCAV

 機内弾庫2ヶ所を持ち、それぞれに4発ずつのPGMを搭載

武装型 CH-6 MALE UAV

Tengden MALE UAV

 TB001 MALE UAVの3発の双胴型
 標準の双発型は8月下旬に日本の空域で航空自衛隊に捕捉されている。

4・1・7・7 UUV / USV

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・1・7・8 電子兵器

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・1・7・9 その他

U G V

 中国国営TVのCCTV 7が1月6日、東部戦区のPLA陸軍が演習で新型UGVが使用されているのを報じた。
 このUGVは35mm弾を発射するQLG-10擲弾発射筒2門を装備していた。 (2103-012015)

長距離砲、MRL

 中国CCTVが5月29日、PLA陸軍が長距離砲やATGMによる実射訓練を実施した映像を公開した。
 訓練を実施したのは第80軍集団隷下の旅団で、PHL-03 MRL数両がUAVによる偵察照準飛行を受けて渤海湾の洋上目標に向けて射撃を行った。
 CCTVは2020年10月にチベット軍がPHL-03 MRLの配備を開始したと報じていた。 CCTVによるとPHL-03の射程は従来より30km伸びているという。
 PHL-03は無誘導のBRC4弾、BRE2弾と射程130kmの300mm誘導ロケット弾Fire Dradon 140A弾を発射するとされてきたが、CCTVの報道からすると射程が160kmになったことになる。 (2108-061607)

4・1・8 高度な技術力獲得

4・1・8・1 急速な先進技術開発

 米DIA長官のベリエ陸軍中将が4月29日に議会上院軍事委員会に文書で、中国の先進技術開発はすさまじく、2030~2035年には様々な分野で米国と同等または同等に近いレベルに達し、世界をリードすることになると述べた。 (2107-051203)
4・1・8・2 研究開発設備の増強

超高速風洞の建設

 中国国営CCTVが8月22日、北京市懐柔区の中国科学技術大学機械工学研究所に建設されたJF-22超高速風洞が2022年には稼働すると報じた。
 JF-22は高度40km~100kmを模擬した環境でMach 30までを実現できるという。
 JF-22は2012年以来使用しているMach 9を実現できるJF-12超高速風洞を発展させたものという。 (2111-090102)

4・1・8・3 技術情報の略取

民間企業に偽装して軍事企業を買収

 中国の国営企業が2018年にイタリアの軍用UAVメーカーAlpi Aviation社を買収し、イタリア軍がそれまでアフガニスタンで用いていたノウハウや技術を中国に移転し始めていたことが明らかになった。
 イタリアと欧州の当局はこの動きを察知しておらず、中国政府がいかにして欧州の甘い投資審査をすり抜け、機密技術を獲得しようとしているかが明らかになった。
 専門家はこの買収について、中国国営企業が表向きは民間のダミー会社を使って特定の技術を持つ企業を買収し、その技術を中国国内に移すといういつものパターンだと見ている。
 香港に籍を置くある企業が2018年にAlpi Aviation社を買収した件について捜査している伊当局は、この企業が中国政府のフロント企業で、技術や知的財産を中国の新たな生産拠点に移す作業を進めていたと当局は考えている。 (2112-111609)

4・1・8・4 具体的な成果

4・1・8・4・1 UAV 関連技術

UAV から小型 UAV を放出

 中国の中天飛龍 (Zhongtian Feilong) 社が4月1日、新しく開発したUAVから小型UAVを放出する試験に3月20日に成功したと発表した。
 小型UAVを放出したのは4基の回転翼と1基の推進プロベラを持つVTOL UAVで、放出された小型UAVは遊弋弾、ミニEW UAV、ISR UAVなどが考えられるという。 (2106-042112)

UAV の群制御

 中国共産党創立100年の節目となった7月1日に、広東省深圳市で開かれたショーでは、UAVの編隊飛行によって空に鳥や中国共産党の党旗などが描かれた。 (2108-070304)

4・1・8・4・2 その他関連技術

ペブルベッド型高温ガス原子炉が稼働

 中国の山東省で、中国核工業集団公司 (CCNNC) が開発したペブルベッド型高温ガス炉 (PBR) の原子力発電所が稼働した。
 CNNCが20日に明らかにしたところによると、Shidaowan原子炉事業の1号基の総発電能力は200MWで2号基は現在建設中である。 (2201-122004)
【註】同様の原子炉は米国でも小型可搬原子炉開発計画Project Peleとして開始している。

高温でも使用可能な IR ホーミング技術

 中国では高温でも使用可能な次世代超高速ミサイルのIRホーミング技術の開発に成功した。 米国がこの技術を取得するのは2025年になるとみられる。
 中国とロシアは既に第一世代の超高速ミサイルを配備しているが、一般には第一世代の超高速ミサイルは核戦争でなければ使用できないとみられている。 (2201-123106)

4・1・9 軍事産業の振興と武器輸出

4・1・9・1 軍事産業の振興

4・1・9・1・1 軍事産業振興策

ロシア依存の低下

 中国とロシアは7月下旬に軍事技術の結びつきを強化することに合意したが、近年中国の対露軍事技術依存は低下している。
 中露は2014年と2015年にS-400 6個中隊、Su-35 24機、Mi-17 100機の購入で合意し、2015年~2018年に対中輸出がピークを迎えたがその後新たな契約はなく、2015~2018年に$740Mであった売買額が2019年には$1.8B以上に増大したが、2021年には$1.1Bに減少している。
 このままでは2020年代末には$300Mにまで落ち込むと見られる。 (2110-081812)

UAV 生産に伴う企業の増益

 CH-5 MAE UAVなどを生産する中国のCASC社が1月26日、2020年度の売り上げが7%増のCNY267.74B ($41.4B) で、売り上げ益はCNY24.22Bの11.7%増であったと発表した。 (2104-020317)

4・1・9・1・2 企業の再編、拡張

CSSC 滬東中華造船の拡張移転

 上海の黄浦江から移転したCSSC滬東中華造船の二期工事が完成し1月4日に操業を開始した。
 滬東中華造船は中国主要な建艦企業で、現在Type 075 35,000t揚陸艦の3番艦やパキスタン向けのType 054A/Pフリゲート艦4隻を建造しており、過去10年にはType 071強襲揚陸艦7隻、Type 054Aフリゲート艦13隻、Type 056コルベット艦22隻、Type 815A情報収集艦8隻などを建造している。 (2103-012001)

大連造船所の動向

 Maxar社の衛星画像から、今までType 052Dストレッチ型駆逐艦やType 055駆逐艦を建造してきた大連の造船所で、過去10年間で初めて駆逐艦の建造が行われていないことが分かる。
 大連の造船所では2000~2004年に400m×95mの乾ドックが建設され、2016年以来このドックで駆逐艦が建造されてきたが、2月12日現在ではここではほぼ完成した全長252mの商船が建造されており、艤装中のType 055 2隻とでType 052Dストレッチ型1隻はドックの外に接岸している。 (2105-031715)

NORINCO社とCETC社が協力関係強化

 中国国営二大装備品メーカであるNORINCO社とCETC社が5月13日、相互の協力関係強化で合意したと発表した。
 CETC社は主として電子装備、NORINCO社はミサイル、車両、無人装備、レーダなどの生産を行っている。 (2106-051801)

CASIC社とCETC社が協力関係強化

 中国国営軍事企業であるCETC社とCASIC社が防衛生産での技術協力に合意し協定に調印した。
 両社は今までも防衛事業で協力し、HQ-22 SAMやFK-1000 SAMシステムではレーダなどのCETEC社製品をCASIC社が車両に搭載するなどしてきた。
 中国の電子防衛装備ではトップクラスの実績を持つCETC社の2019年における売り上げは$33Bで、CASIC社の2019年売り上げは$41Bであった。 (2111-091511)

軍事企業売上高世界7~9位に中国企業3社

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) が12月6日、世界の軍事大手は2020年のCOVID-19パンデミックに伴う不況の影響をおおむね回避し6年連続で黒字を増やしたとする報告書を発表した。
 SIPRIによると、各国政府はパンデミックで世界経済は2019年比で3%以上縮小したが、兵器調達を続け国内の軍事企業を支援する法案を可決した国も複数あった。 このため世界の軍事大手100社の利益総額は同1.3%増加し、過去最高の$531Bに上った。
 売り上げトップはLockheed Martin社の$58.2Bで、上位5社は全て米国企業だった。 6位はBAE Systems社で、7~9位に中国企業3社が入った。 (2201-120606)

4・1・9・2 外国技術の略取

4・1・9・2・1 ウクライナへの触手

航空機エンジンメーカ買収の試みと失敗

 ウクライナのゼレンスキー大統領が1月28日、同国の航空機エンジンメーカであるMotor Sich社を買収しようとした中国のSkyrizon社とその子会社に対し、国の安全に係わるとして制裁を発動した。
 これは米国が1月中旬に同様の決定を行ったことを受けたもので、米商務省は1月14日にSkyrizon社を2020年12月にMEUリストに挙げたと発表している。 (2104-021011)

 ウクライナのゼレンスキー政権が同国の航空エンジン製造企業Motor Sich社の中国企業による買収阻止を決めた。 重要な軍事技術が流出する恐れがあると米国が反対していた。
 ロシアとの対立の陰で中国の存在感が高まるなか、ウクライナは対米協調を優先した。
 Motor Sich社はソ連の軍事開発の一端を担った企業のひとつで、ヘリコプタや大型輸送機などのエンジンを手がけ、ロシアの軍用機にもエンジンを供給してきたが、2014年にロシアがクリミア半島の併合を一方的に宣言したことで、最大顧客であるロシアとの取引を失い、経営が悪化していた。
 そこで同社に触手を伸ばしたのが中国で、北京天驕航空産業投資が2017年ごろから株式取得を進め、2019年末までに過半数を取得した。
 軍用機エンジンの開発技術が中国に渡れことに対して米国は安保上の脅威を指摘し、買収を認めないようにウクライナに求めていた。 (2104-031705)

 ウクライナ政府が、航空エンジン製造企業Motor Sich社の中国企業による買収を阻止することを決め、ゼレンスキー大統領が3月23日に関連する大統領令に署名した。
 阻止の背景には、中国への軍事技術流出を警戒する米国の懸念を考慮して、ロシアとの対立で米国の支援を得たいゼレンスキー政権の思惑がある。
 1907年設立のMotor Sich社はソ連の軍用ヘリや輸送機のエンジンを製造し、ソ連崩壊後もロシアが大口顧客だったが、2014年のロシアによるウクライナ南部クリミア半島併合で両国関係が悪化しロシアとの取引を停止した結果、経営難に陥っていた。 (2104-032505)

 ITAR-TASS通信が、中国企業がウクライナの世界的航空エンジン企業Motor Sich社を買収しようとした問題で、同国のゼレンスキー大統領は3月31日までに、同社を国有化する大統領令に署名したと報じた。
 これに先立つ3月11日、ウクライナ国家安全保障・国防会議が同社を国有化する方針を決定し、20日には同国裁判所がウクライナ保安庁の申し立てを受けて同社の全株式と資産を国の管理下に移すことを決定していた。
 国有化に際し、同国は同社株式の過半数を保有する中国企業「北京天驕航空産業投資有限公司」)などに補償を行う。
 ウクライナは最大の貿易相手国である中国よりも、対ロシア戦略の後ろ盾である米国との関係強化を優先したもので、中国はウクライナに反発している。 (2104-033103)

4・1・9・2・2 サイバ攻撃による技術略取

COVID-19ワクチン情報の略取

 ロイタ通信がオランダ紙の報道として6日、COVID-19ワクチンの承認審査を行うEU機関の欧州医薬品庁(EMA)に対して中国のスパイとロシア情報機関がサイバ攻撃していたと報じた。
 報道によると、EMAは2020年前半に中国のスパイ、その後にロシア情報機関の標的にされている。
 EMAは2020年、サイバ攻撃でワクチンなどに関する資料が盗まれ流出したと報告しており、米ファイザーとワクチンを共同開発したドイツのビオンテックも、EMAのサーバーに保存されていたワクチン承認申請の関連資料が不正アクセスを受けたと発表していた。 (2104-030702)

4・1・9・3 輸出仕様の兵器

HQ-17A SHORAD の輸出仕様 HQ-17AE

 中国国営環球時報が3月7日、HQ-17A SHORADの輸出仕様HQ-17AEを報じた。 (2105-031708)

4・1・9・4 武器輸出

世界的な武器取引の縮小傾向

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) が3月15日、2011~2015年と2016~2020年の各5年間の世界の兵器輸出量を比較した結果、ほぼ増減はなかったと公表した。
 米仏独の3ヵ国は輸出を増やしたが、ロシアと中国は減った。 米国が世界のシェアを32%から37%に拡大した一方、世界2位のロシアは2割近く減らした。 インドがロシア製兵器を買わなくなった影響が大きい。
 21世紀に入って増え続けてきた兵器輸出量が初めて止まる傾向を示したのは、兵器輸入国が自国で生産するようになった影響も大きいとみられ、必ずしも世界が平和になったわけではないとSIPRIの専門家は警告している。 (2104-031506)

4・2 北朝鮮

4・2・1 金正恩体制

4・2・1・1 対 GDP 比世界一の北朝鮮軍事費

 シドニーに本部を置く国際シンクタンクの経済平和研究所が18日に発表した2021年版の「世界平和度指数(GPI)」報告書によると、北朝鮮のGDPに占める軍事費の割合は24.0%で、調査対象国・地域のうち最も高かった。 北朝鮮に次ぐレバノン(13.5%)、オマーン(10.8%)、リビア(10.5%)などと比べても格段に高い。
 また、社会の安全と治安、進行中の国内外の紛争、軍事化の程度などを総合的に評価して平和の度合いを数値化したGPIのランキングで、北朝鮮は昨年と同じ調査対象の163ヵ国と地域のうち151位で、非常に低い水準に分類された。
 北朝鮮のほか、ベネズエラ、スーダン、ロシアなど12ヵ国が非常に低いと評価され、最下位は4年連続でアフガニスタンであった。 (2107-061805)
4・2・1・2 友好国との連携

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・2・2 軍の動き

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・2・3 大量破壊兵器

4・2・3・1 核兵器

「3・1・1・1 核開発」で記述
4・2・3・2 弾道ミサイル

4・2・3・2・1 ICBM

 米国防総省傘下の米国防情報・ 弾道ミサイル分析委員会 (DIBMA) が1月11日に公開した報告書「弾道・巡航ミサイル脅威」で、北朝鮮が4種のICBMを開発したと分析した。
 報告書の作成には米空軍の国立航空宇宙情報センター (NASIC) を中心に陸・海軍、海兵隊などが参加した。
 北朝鮮のICBM級はTaepodong-2、火星-13、火星-14、火星-15型の4種類だが、火星-13だけは実際に発射したことがない。 (2102-012502)

 韓国国防省が2月2日に公表した2020年度国防白書が、北朝鮮がBM部隊を増強しているとしている。 2017年に9個であったミサイル旅団が13個旅団にまでなっているという。
 また北朝鮮が閲兵式で公開した新型ICBMはMIRV弾頭を搭載している可能性があるとしている。 (2104-021001)

 2020年10月10日の軍閲兵式で公開した新型ICBMを火星-17と命名したようである。
 公開当時には北朝鮮が最後に開発したICBMが火星-15だったことから、韓国軍関係者らは新型ICBMの名称を火星-16と推定したが、朝鮮中央TVが報じた映像では火星-17となっていた。 (2111-101302)

4・2・3・2・2 IRBM

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・2・3・2・3 SLBM

北極星-5

 北朝鮮メディアが1月15日、12日に閉会した朝鮮労働党の党大会を記念する閲兵式が、14日夜に平壌で開催されたと報じた。
 閲兵式では新型とみられるSLBMが登場した。 報じられた写真では、北極星-5と書かれた新型のSLBMとみられるミサイルが確認できる。
 閲兵式の実施は、2020年10月以来およそ3ヵ月ぶりで、20日に発足するバイデン次期政権に向けて、軍事力を誇示する狙いがあるもようである。 (2102-011501)

 北朝鮮が1月14日に行った閲兵式に、開発中の新型SLBMをはじめとする新兵器が登場した。
 北極星-5と記されたSLBMは2019年に発射試験を行った北極星-3や2020年10月に登場した北極星-4とは明らかに異なる形状の弾頭部となっている。
 その他に注目されるのは5軸装輪TELに2発ずつ搭載されたSRBMで、今まで公表されているKN-24 SRBMより大型のようである。
 また4軸車TELに2発搭載されているロシアのIskander似で射程が430哩のKN-23より全長が長い。 (2102-011502)

 北朝鮮が1月14日に実施した閲兵式に北極星-5のモックアップが少なくとも4基参加した。 オジャイブ形状の先端は2020年10月10日に公開された北極星-4より長くなっている。
 2019年10月3日に発射試練が行われた北極星-3は射距離が450kmであったが射高が910kmであったことから、もし最大射距離で発射すれば2,000km飛んだと見られている。 (2103-012702)

 在韓米軍司令官のエイブラムズ陸軍大将が3月10日に下院軍事委員会の公聴会で、北朝鮮が1月の閲兵式で公開した新型SLBMについて、それを発射できる基盤が公開されたという報告がないと準備書面で述べ、実用性に疑問を呈した。
 同大将は、北朝鮮はSLBMを最も強力な兵器と位置付けたが、北朝鮮がそのような兵器を保有していると断定することと、兵器だけでなく発射基盤を保有していると認めることには大きな違いがあると指摘し閲兵式で新しい軍事能力を公開するのは効果的な広報戦略だが、発射能力があることとは必ずしも一致しないと述べた。 (2104-031102)

SLBM の発射

 韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮が10月19日10:17に日本海に向けてBMを発射した。 岸田首相は2発発射されたと明らかにしている。
 発射されたのは新浦付近からで、韓国政府関係者によると、SLBMの可能性が高いという。
 SLBMの発射であれば2年ぶりである。 (2111-101904)

 岸防衛相が10月19日に防衛省で記者団の質問に答え、北朝鮮が同日発射した2発のBMのうち1発について、最高高度50kmを変則軌道で600km飛翔し、日本の排他的経済水域 (EEZ) の外側に落下したとの分析を明らかにした。
 残る1発に関しては「引き続き分析中だ」と述べるにとどめたが、ミサイルがSLBMの可能性があると指摘し、変則軌道のSLBMであれば「確認されている中では初めての可能性が高いのではないか」と述べた。 (2111-101905)

 北朝鮮の国営朝鮮中央通信(KCNA)が10月20日、前日に日本海に向けて発射した飛翔体について、新型のSLBMだったと報じた。
 KCNAは、新型ミサイルには「多数の先進制御誘導技術」が搭載されているとし、5年前に北朝鮮が行った初のSLBM発射試験で使用されたものと同じ潜水艦から発射されたと報じた。 (2111-102001)

 朝鮮労働党機関紙「労働新聞」が10月20日、国防科学院が19日に潜水艦からの新型SLBM発射に成功したと報じた。
 それによると、5年前に初めてSLBMを発射した潜水艦が再び新型の発射に成功したという。
 北朝鮮がSLBMを発射したのは、2019年10月に元山沖から北極星-3を発射して以来である。
 紙面には、ミサイルが海上を上昇していく様子や、海面に浮上した潜水艦の姿を捉えた写真合わせて5枚を掲載している。 (2111-102002)

 北朝鮮が10月19日にSLBMを発射したが、韓国軍は到達高度60km、飛翔距離590kmと推定しており、北朝鮮がこれまで発射したMRBMとみられるSLBMと比べかなり射程は短い。
 これについて東京大先端科学技術研究センターの小泉特任助教は、展覧会に登場したSLBMの可能性もあると分析している。
 北朝鮮は11日に開いた国防発展展覧会で、既存のものより小型化された新型SLBMとされる兵器を披露しており、米専門家も展覧会で見られた小型のミサイルと推定している。
 小泉氏は形状からロシアのIskanderを北朝鮮が改良した地上発射型ミサイルKN-23のSLBM型とみる。 (2111-102003)

 韓国合同参謀本部は、北朝鮮が発射したことのない新たな小型SLBMを潜水艦から発射したと見ている。
 北朝鮮は10月12日に国防発展展覧会 自衛2021で小型SLBMを初公開した。
 今回のSLBMはSRBMで、2019年10月に艀から発射された射程2,000km以上のSLBM北極星-3とは違って、戦術核を搭載して韓国への攻撃が可能な新型兵器をアピールしたという分析もある。
 軍関係者は、新浦造船所で建造を終えた3,000tの新型潜水艦はまだ進水していないので、既存の潜水艦から発射されたと推定されると述べた。 (2111-102004)

 北朝鮮のKCNAが、10月19日に短距離SLBMの発射試験を実施したと報じた。
 このSLBMは10月11日に国防展で公表されたロシアの9M723 Iskanderと似たSLBMで、2016年に最初のSLBM発射を行った8.24 Yongungから発射された。
 SLBMは590km飛翔し、高度60kmに達した。
 最も最近行われたSLBMの発射は2019年10月に行われた北極星-3で、その際には射距離450km、到達高度900kmであったことから、最長の弾道で発射すれば2,000kmの射程を持つと見られた。
 今回発射を行った8.24 Yongungは全長66.75mで発射管を1本持つが、新浦南造船所で数年前から建造されている潜水艦は3本の発射管を持つと見られている。 (2112-102701)

4・2・3・2・4 SRBM、MRBM

KN-23 Isknder 改良型 SRBM

 防衛省が北朝鮮が1月14日に実施した閲兵式で公開した新型SRBMの改良型とみられるミサイルに、射程が延伸され日本に脅威を及ぼす可能性が高いことから警戒を強めている。
 閲兵式の最後に登場したSRBMが、2020年10月の閲兵式ではTELが4軸だったが、今回は5軸と大型化したことから、防衛省幹部はIskanderを基に開発したSRBMの改良型の可能性があると見ている。
 西日本の一部に届く距離だった600kmとされる射程が延伸した可能性を意味する。
 Isknder改良型は通常のBMよりも低空を飛び、着弾前に再上昇するなど変則的な軌道を描く。 (2102-011604)

3月25日: KN-23 2発を

 日本政府が3月25日朝、北朝鮮からBMの可能性がある飛翔体が発射されたと発表した。 日本の領域には飛来せず、排他的経済水域(EEZ)にも落下しないものと推定するという。
 北朝鮮のBM発射が確認されるのは2020年3月29日以来で、政府高官は発射されたのは2発だとしたうえで「種類は分析中で日本に影響はない」と語った。
 韓国軍合同参謀本部も25日、北朝鮮が日本海に向けて飛翔体を発射したと発表した。 (2104-032501)

 岸防衛相は3月25日午前、北朝鮮が発射した2発のBMについて、いずれも推定450km飛翔したとの分析結果を明らかにした。 高度は100km未満だったとした。
 岸防衛相は、北朝鮮が従来から保有するScudよりも低い高度だったと語った。 (2104-032503)

 朝鮮労働党機関紙の労働新聞が3月26日、前日に国防科学院が新型戦術誘導弾の発射試験を実施したと報じた。
 北朝鮮は25日朝に東部の咸州付近から日本海上に向けてSRBM 2発を発射している。
 同紙によると2発は600km離れた標的を正確に打撃し試験は成功裏に行われたという。
 国防科学院は新型TBMについて、弾頭重量は2.5tで既にほかのBMでも採用している低高度で変則軌道飛翔という特性をさらに拡充したと説明した。 (2104-032604)

 朝鮮労働党機関紙の労働新聞が3月25日、新たに開発した新型戦術誘導弾の発射試験を行ったと発表した。
 弾頭重量を2.5tに改良し600kmの水域にある標的を正確に打撃したという。
 北朝鮮が戦術誘導弾、または戦術誘導兵器と呼ぶ兵器はおととし以降、これまで2種類の発射が確認されていて、一つは低空で飛行し変則的な軌道で落下するIskanderに形が似ていると指摘されているミサイルで、2019年5月、7月、8月に合わせて4回の発射が確認されている。
 もう一種類の戦術誘導兵器は米陸軍のATACMSに形が似ていると指摘されている兵器で、2019年8月と2020年3月に合わせて3回の発射が確認されている。 (2104-032605)

 北朝鮮が3月21日のCM発射に続き3月25日にBM 2発を発射したが、北朝鮮のミサイル発射は今回も外信が先に報じた。
 韓国合同参謀本部が北朝鮮のミサイル発射を初めて発表したのは07:25だったが、日本海上保安庁は北朝鮮が1発目を撃った3分後にミサイル発射情報を公式発表している。 合同参謀本部は最初の発表で未詳発射体としたが、日本はBMの可能性があるという情報を発表に入れた。
 韓国は09:00から1時間30余分間、大統領府で開かれた国家安全保障会議 (NSC) 常任委員会の緊急会議結果をまとめた発表文にも「弾道」は含まれなかった。
 これについて政府消息筋は「CMと違って BM発射は国連安全保障理事会の北朝鮮決議違反事案」なため「政府がそうした点を考慮して『弾道』という用語をひとまず避けたとみられる」と話した。 (2104-032606)

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信が3月26日、国防科学院が25日に新型戦術誘導弾の発射試験を実施し、600km離れた日本海に設定された目標を正確に打撃し成功したと報じた。
 同通信によると、弾頭重量は2.5tで変則的な軌道なども再確認したという。
 配信された写真には、ミサイルがTELから発射される様子が写っている。
 発射された2発は変則軌道を持つKN-23の改良型で、1月の閲兵式で公開された新型とみられる。 (2104-032608)

 岸防衛相が3月26日午前、北朝鮮が25日に発射した2発のBMについて、これまでに発射されたことのない新型のBMだとの認識を示した。
 岸防衛相は、「今回発射されたBMは閲兵式に登場した5軸TELのものとみられると述べた。 北朝鮮は今年1月に実施した閲兵式で、SRBMの改良型とみられるミサイルを登場させている。 その際は5軸10輪のTELに搭載されていた。
 新型は通常のBMよりも低空を飛び、着弾前に再上昇するなど変則的な軌道を描く可能性があり、現行の弾道ミサイル防衛システムでは迎撃が難しいとされている。 (2104-032610)

 岸防衛相が3月26日午前、北朝鮮が25日に日本海に向け発射した2発のBMについて、これまでに発射されたことがない新型のBMだと述べた。
 さらに、2発の到達高度が100km未満で、北朝鮮が従来保有しているScudの軌道よりも低いことから、ミサイルの種類について「現在情報収集と分析を重ねている」と述べた。
 防衛相は北朝鮮が1月14日に北朝鮮が平壌で行った閲兵式に登場したものと同系統のミサイルの可能性があると説明した。
 閲兵式に登場したミサイルについて防衛省関係者は、低空で飛行し変則的な軌道を描くロシアのBM Iskanderの改良型の可能性も指摘した。 (2104-032611)

 北朝鮮が3月25日に日本海に向けSRBM 2発を発射した。 韓国統合参謀本部は、北朝鮮が咸州県から07:06と07:25にSRBMを発射し高度60kmに達し450kmを飛翔したと発表した。
 これに対し日本政府は宣徳近郊から07:04と07:23にSRBMを発射し、1発は420km、もう1発は430km飛翔し、到達高度はScud型より低い100km以下であったとしている。 (2105-033101)

 北朝鮮国営KCNAが3月26日に報じた画像から、その前日に発射したSRBMは1月14日に行われた閲兵式に登場した新型SRBMであると見られる。 KCNAによると2.5tの弾頭を搭載するという。
 1月14日に登場したSRBMはロシアの9M723/9M723E Iskanderと良く似た米国がKN-23と呼ぶSRBMと似ているが全長はKN-23より長く、搭載しているTELはKN-23が4軸であるのに対し5軸になっている。 (2106-040702)

 韓国の徐国防部長官が4月28日の国会国防委員会で、北朝鮮が3月25日に発射したBMの飛行距離について、米韓間で分析をしたが少し差があったとし、現時点では600km程度飛翔したと判断していると述べた。
 韓国軍当局は発射された直後に450km飛行したと発表したが、北朝鮮は600km離れた目標を正確に打撃したと主張していた。
 長官は飛行距離の分析が訂正された理由について、北朝鮮が日本海側にミサイルを発射した場合、韓国のシステムでは低い位置の動きが正確に観測できないなどと説明した。 (2105-042803)

 韓国国防相が4月28日、3月25日に北朝鮮が2発発射したKN-23の改良型と見られるSRBMの射程について、当初射距離450km、到達高度60kmとしていたのを600kmに訂正した。 (2107-051208)

9月15日: KN-23 の改良型を2発発射

 海上保安庁と韓国軍によると、15日午後に北朝鮮からBM 2発が発射された。
 海保は1発目について12:38、2発目は12:43に発表し、いずれも日本の排他的経済水域 (EEZ) の外に落下したとみられる。 (2110-091502)

 複数の韓国政府筋の話で、北朝鮮が9月15日午後に発射した2発のBMは3月25日に発射されたものと同じIskanderの北朝鮮版と呼ばれるKN-23だったことが分かったことを明らかにした。
 軍は北朝鮮がKN-23の射程を伸ばし精度を向上させるなど改良を続けているとみている。
 この日発射されたSRBMは約60kmまで上昇し、800km飛翔した。 (2110-091507)

 防衛省が9月15日、北朝鮮が同日12:32と12:37に同国内陸部から日本海に向け東方向に少なくとも2発のBMを発射したと発表した。
 ミサイルは変則的な軌道を描き、750km飛翔し高度50kmに達したのち、我が国の排他的経済水域 (EEZ) 内に落下したとみられる。 ミサイルの落下地点は能登半島沖の舳倉島の北方約300kmの海域と推定されるという。
 韓国軍によると、発射地点は北朝鮮西部の平安南道陽徳付近だった。
 北朝鮮によるBM発射は今年3月25日以来で、日本のEEZ内への落下は2019年10月以来とみられる。 (2110-091508)

4・2・3・2・5 列車発射式ミサイル

 朝鮮中央通信 (KCNA) が9月16日、今年編成された鉄道機動ミサイル連隊が新型の鉄道機動ミサイルシステムの発射試験を15日に行ったと報じた。
 ミサイルは800km飛翔し、北朝鮮東岸沖の標的に命中したという。
 国営メディアは、山に囲まれた場所で線路に停車した鉄道車両からミサイルが発射される場面の写真を公開した。 (2110-091605)

 朝鮮中央通信 (KCNA) が9月16日、北朝鮮が15日に列車からBMを発射する写真を公開した (2110-091606)

4・2・3・2・6 火星-8 超高速ミサイル

 北朝鮮の金委員長が第8回党大会で極高速兵器の開発を公式化し、北朝鮮がTHAADなど韓米防空網を無力化するほどのゲームチェンジャー確保の意思を露骨に表した。
 北朝鮮は1月9日、新型弾道ミサイルに搭載する極超音速滑空飛行体の開発研究を完了し、試作に入る準備をしていると明らかにした。 (2102-011102)

 韓国軍合同参謀本部が、北朝鮮が日本海に向けて飛翔体を発射したと発表した。 日本政府によると飛翔体はBMの可能性があるという。
 北朝鮮は9月15日にもBMを発射したばかりである。 (2110-092801)

 韓国軍合同参謀本部が、北朝鮮が9月28日06:40頃に内陸部の慈江道舞坪里付近から日本海に向けて短距離ミサイル1発を発射したと発表した。
 聨合ニュースによると、今回のミサイルの飛距離は200kmに満たず、到達高度も30km程度だったもようから、北朝鮮が超大型放射砲と称して発射してきた事実上のSRBMと飛距離や高度は似ているが、速度を含めた飛行特性が過去に発射したミサイルとは異なっており、発射実験の行ったことのない新型だった可能性もある。 (2110-092805)

 韓国軍が、北朝鮮が9月28日06:40分頃に内陸北部から東に向けて、短距離ミサイル1発を発射したと発表した。
 日本政府はBMの可能性があるとしているほか、政府関係者は「日本の排他的経済水域内に落下した可能性は極めて低い」としている。
 韓国の聯合ニュースは、飛距離や高度などの特性から新型の可能性があるとする軍関係者の見解を報じている。 (2110-092901)

 防衛省が9月28日、北朝鮮が同日06:38にBMの可能性がある飛翔体1発を内陸部から東方向に発射したと発表したが、日本政府関係者によると、飛翔体は日本海に向けて発射されたが海に達せず陸地に落下した可能性もあるという。
 韓国軍によると、飛翔体は北朝鮮北部慈江道舞坪里から発射され、聯合ニュースによると飛行距離は200kmに届かず、到達高度は30km程度だったという。 (2110-092903)

 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙の労働新聞が9月29日、国防科学院が新たに開発した極高速ミサイル火星-8の発射試験を28日午前に実施したと報じた。
 労働新聞は、ミサイル1発がオレンジ色の炎を上げながら上昇していく様子を捉えた写真を掲載した。 (2110-092904)

 北朝鮮の朝鮮中央通信が9月29日、国防科学院が前日に新型極超音速ミサイル火星-8の発射試験を初めて行ったと報じた。
 中央通信は発射試験について「ミサイルの飛行操縦性と安全性のほか、誘導機動性や滑空飛行特性などの技術的指標を確証した」と説明した。 (2110-092905)

 北朝鮮国営の朝鮮中央TVが10月12日20:00からの放送で、金総書記が出席して11日にピョンヤンで開幕した国防発展展覧会の映像を報じた。
 金総書記は各種兵器を集めた展示会で演説を行った。
 この中で金総書記は、2020年10月の閲兵式で登場した大型ICBM級のミサイルや、各種サイズのSLBM、9月上旬に発射された超高速ミサイルとみられる兵器などを見て回る様子が確認された。 (2111-101206)

 北朝鮮国営KCNAが、9月28日に新型の超高速ミサイルと称する火星-8 (Hwanseong-8) を、慈江道龍林郡論山から日本海に向け発射したと報じた。
 超高速とはMach 5以上を指すが、聯合ニュースは匿名の筋の話として、このミサイルの飛翔速度はMach 3程度であったと報じている。 (2112-100601)

4・2・3・2・7 長距離巡航ミサイル

 朝鮮中央通信が9月13日、北朝鮮の国防科学院が11、12両日に新型長距離CMの発射試験を実施し成功したと報じた。
 1,500km先の標的に的中したという。 (2110-091301)

 朝鮮中央通信が9月13日、国防科学院が11、12両日、新たに開発した新型長距離CMの試射に成功したと報じた。
 ミサイルは設計上の要求をすべて満たしたという。
 朝鮮中央通信は同ミサイルについて試射を成功裏に行ったとしたうえで、領土領海上空に設定された楕円および8の字飛行で7,580秒(註:2時間6分20秒、200m/s相当)飛行し、1,500km先の標的に命中したと報じた。 (2110-091302)

 日本政府が、北朝鮮による9月11、12日の新型長距離CMの発射試験について、いずれも失敗したとの見方を強めていることがわかった。
 目標に到達せずに途中で落下した可能性が高いという。
 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、ミサイルが北朝鮮の領土領海の上空を楕円および8の字軌道で約2時間、1,500km飛行し、標的に命中して発射実験は成功したと公表したが、日本政府はCMの飛行を確認できておらず、関係国も発射後の早い段階でミサイルを追跡できなくなったという。
 政府関係者は、総合的に判断すれば何らかの原因で墜落したとみられると語った。 (2110-091703)

 9月11日と12日に北朝鮮が発射した射程1,500kmのCMはターボファンエンジンを搭載していた。 (2111-092201)

4・2・3・2・8 M L R

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・2・3・3 SLBM 搭載潜水艦

SLBM 搭載潜水艦の建造

 朝鮮中央通信が1月9日、5日~7日に行われた党大会で核潜水艦と水中発射戦略兵器を保有する課業が上程されたと報じた。
 具体的には海軍の水中作戦能力を向上させる新型核潜水艦の設計研究が終わり、最終審査段階にあると説明した。
 また、15,000kmの射程圏内にある戦略的対象を正確に打撃し消滅させる命中率を向上させ、核打撃の能力を高度化する目標が提示されたと報じた。 (2102-010901)

 北朝鮮の金委員長が第8回党大会で「新しい原子力潜水艦設計研究が完了し、最終審査段階にある」と述べ、原子力潜水艦の開発を初めて公式化した。
 北朝鮮の原子力潜水艦は5,000~6,000t級で、SLBM 6基以上を搭載できると推定されるが、韓国軍の一部ではSLBM 10~12発搭載できる6,000t級という見方もある。 (2102-011103)

新型潜水艦の進水を準備

 38 Northによると、3月24日に新浦南造船所一帯を撮影した商業人工衛星写真を分析した結果、北朝鮮咸鏡南道新浦の海軍基地で、これまで近隣の埠頭に停泊していた浮遊式ドライドックが潜水艦進水施設の隣に移動したことが確認され、新型潜水艦の進水を準備している情況が捉えられた。 (2104-032703)

 複数の韓国政府消息筋が4月11日、米韓の情報当局が北朝鮮は3,000t級の潜水艦の建造を終え、進水の時期を検討している段階にあると分析していることを明らかにした。
 建造が終わったと考えられている潜水艦は、北朝鮮が2019年7月にその一部を公開したものという。
 ある消息筋は「米韓は北の新浦造船所の動向をはじめ、多様な情報を総合し、建造作業が完了したと判断した」と伝えた。
 韓国軍と情報当局は同潜水艦について、1,800t級の潜水艦を改造したもので、全長80m、幅7m程度で、SLBMを3発搭載可能とみている。 (2105-041101)

4・2・3・4 生物化学兵器

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・2・4 その他の兵器開発

4・2・4・1 通常戦力の増強

 米ODNIが4月13日に公表した年次報告2021 Annual Threat Assessmentで北朝鮮について、通常兵器の能力向上が進み、米韓日への脅威が増大しているとしている。 (2106-042802)
4・2・4・2 艦 船

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・2・4・3 短距離巡航ミサイル

3月21日: 黄海に向け短距離 CM 2発

 Washington Post米紙が消息筋の話として3月23日、北朝鮮が先週末に複数の短距離ミサイルを発射していたと報じた。 短距離ミサイルの種類や飛距離など詳細は不明である。
 国防総省報道官は23日の記者会見で、現時点で何もコメントはないと述べた。
 事実なら、北朝鮮によるミサイル発射が明らかになるのは、バイデン米大統領が就任して以降初めてで、バイデン政権が行っている北朝鮮政策の見直し作業に影響を及ぼす可能性もある。 (2104-032402)

 北朝鮮が3月21日に黄海に向けCM 2発を発射したが、北朝鮮のCMの技術水準に関心が集まっている。
 金総書記は1月に開催した第8回党大会で中長距離CMを開発したことを明らかにし、その後行われた党大会記念閲兵式でこの中長距離CMと見られる新型ミサイルを公開した。
 米メディアは、北朝鮮が今回発射したのは短距離ミサイルだと報じたが、韓国軍合同参謀本部の関係者は今回のミサイルの飛行距離に関する質問に対し、詳細を確認中だとして即答を避けた。  一部の専門家は、北朝鮮は閲兵式で公開した新兵器の発射試験を2~3ヵ月以内に実施した前例があることから、先週末に発射したCMがこの中長距離CMである可能性があるという分析も出ている。
 専門家は、北朝鮮が米軍の空母打撃群を攻撃するCMを開発してきたと見ている。 (2104-032405)

艦艇発射対艦艇/対沿岸ミサイル

 北朝鮮が10月11日に平壌で開催した国防発展展覧会で、艦艇や海岸砲を攻撃する艦艇発射用のスパイク級精密誘導ミサイルを公開した。
 ミサイル防衛を無力化できる機動式再突入弾頭 (MARV) 搭載のBMを開発したとの見方も出ている。 (2111-101302)

4・2・4・4 U A V

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・2・4・5 S A M

 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙の労働新聞が、国防科学院が新たに開発したSAMの発射試験を9月30日に行ったと報じた。
 発射試験について、誘導の正確さ、目標を打撃する距離を大幅に伸ばしたことを検証したとしている。 (2111-100102)
【註】この画像を見るとミサイルがスラスト間に方向を変えていることからTVC技術を用いていると見られ、北朝鮮が高度な軍事技術を取得していると見られる。
4・2・5 サイバ攻撃

4・2・5・1 破壊活動

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・2・5・2 情報の略取

韓国の原子力研究機関をハッキング

 韓国原子力研究院が5月に、北朝鮮が関与しているとみられるハッカー集団からハッキングを受けていた。 サーバーの中にあった資料が北朝鮮に渡った可能性が十分あるという。
 原子力研究院は、ハッキングの事実を認めたうえで、被害の内容を調査中だとしている。 (2107-061811)

大宇造船の原子力潜水艦資料ハッキング

 複数の韓国政府筋が6月20日、2020年から2021年上半期まで韓国海軍の各種水上艦艇と潜水艦を設計建造する大宇造船海洋を北朝鮮と推定される勢力がハッキングし、一部の資料が流出したことを明らかにした。
 ハッキング攻撃を受けた資料の中には国産原子力潜水艦研究資料も含まれた。
 韓国政府内外では、最近発生した北朝鮮偵察総局傘下のハッカー組織の犯行とみられる韓国原子力研究院ハッキング事件との関連性も提起されている。
 情報筋によると、昨年と今年に大宇造船海洋をハッキングした組織は異なるとし、北の偵察総局傘下の複数の組織が競争するように浸透している。 (2107-062102)

大宇造船がまたハッキング被害

 潜水艦や駆逐艦などを建造している大宇造船海洋 (DSME) が、北朝鮮と推定される勢力からハッキング攻撃を受けたことが10月29日までに分かった。
 DSMEがハッキングを受けたのは2016年と今年初めに続いて今回が3回目となる。
 情報消息筋によると、軍事機密の流出など被害の状況を把握するため防衛事業庁、国家情報院、軍事安保支援司令部などが合同調査を繰り広げているという。 (2111-103003)

4・2・5・3 資金の略取

 北朝鮮が2020年、韓国の金融やインフラなどの公共分野で1日平均約150万件のサイバー攻撃を仕掛けた疑いがあることが、韓国政府関係者への取材でわかった。 4年前に比べて急増し、金銭窃取を目的とする攻撃が目立った。
 韓国政府関係者によると、2020年に受けた攻撃のうち90~95%は北朝鮮によるもので、大部分は他国を経由して攻撃してきたと分析されている。
 韓国の情報機関である国家情報院の2020年11月の国会報告では、韓国の公共分野が受けたサイバー攻撃は2016年の1日平均41万件から急増し、2020年は約4倍の162万件に達した。
 手口の約4割はハッキングで、金融機関を狙ったものや暗号資産(仮想通貨)を窃取する攻撃があった。 (2103-020101)

 北朝鮮が身代金要求型ウイルスであるランサムウエアによる企業脅迫型のサイバ攻撃を急増させていることが、情報関係者への取材で明らかになった。 暗号資産(仮想通貨)を脅し取り、中国で現金化しているという。
 韓国情報機関の国家情報院によると、同国では1日に158万件のサイバー攻撃が確認されている。
 北朝鮮の不法資金活動に詳しい関係者によると、北朝鮮は2018年以降、韓国の中小企業に狙いを定めたランサムウエア攻撃を急増させた。 セキュリティーが脆弱で、言葉の壁がないため狙われやすいようである。
 北朝鮮は年間1,000人の「サイバー戦士」を育成し、制裁下での外貨獲得策を確立しようとしている。 (2103-021707)

 米司法省が2月17日、銀行などへのサイバ攻撃で$1.3B以上を盗もうとしたとして、北朝鮮のハッカー3人を起訴した。
 起訴状によると3人は東南アジアや台湾、アフリカなど、世界各地の銀行へのサイバ攻撃などで、現金や暗号資産、いわゆる仮想通貨あわせて$1.3B以上を盗もうとした。
 司法省によると、北朝鮮のハッカー3人は軍の工作機関である偵察総局の所属で、2014年に金総書記の暗殺を描いた映画の制作会社などに対するサイバ攻撃に関与したとして、起訴された人物も含まれている。
 3人のハッカーは中国やロシアでも活動していたとされているほか、カナダ系米国人も資金洗浄に関与していた。 (2103-021801)

 北朝鮮がサイバ空間での活動を活発化し、能力の強化をはかっている。
 COVID-19流入防止のための中朝国境封鎖で経済は悪化しており、サイバ攻撃による違法な資金稼ぎに活路を見いだそうとしているようである。
 韓国国情院の調査によると、北朝鮮はランサムウェア(身代金ウイルス)によるサイバ攻撃を繰り返しており、製薬会社を狙ってCOVID-19のワクチンや治療薬の情報入手を試みたことも確認されている。 (2105-040205)

4・3 韓 国

4・3・1 国内情勢

2022年大統領選

 2022年3月の韓国大統領選の保守系候補である尹前検事総長が11月12日に海外メディアと記者会見し、北朝鮮の核ミサイルに対する迎撃、監視偵察、情報共有で日米韓の強い協力が必要だと訴えた。 (2112-111210)

4・3・2 国防予算

国防省が4.5%増を要求

 韓国政府が8月31日に2022年の国防予算として、前年比4.5%増のKRW55.2277T(約5兆2,200億円)を計上し9月3日に国会に提出することをと明らかにした。
 日本の令和3年度の防衛予算約5兆3,000億円とほぼ同水準で、日本の防衛予算を逆転する可能性が高まっている。
 国会で原案通りに可決した場合、2022年5月に任期を終える文政権下での国防予算の伸び率は年平均で6.5%となる。
 今回は軽空母の建造に向けた研究費としてKRW7.2Bを計上し、北朝鮮を監視する超小型衛星の開発にKRW11.2B、次世代型の潜水艦にKRW421B、長射程砲を迎撃するシステム構築にKRW18.9B億を充てる。 (2109-083109)

 韓国国防部が9月2日、2022~2026年の国防中期計画を発表した。 同期間の国防費総額はKRW315.2T(30兆円)を見積もった。
 文政権で最後となる今回の国防中期計画は昨年発表した2021~25年の中期計画より投入財源がKRW14.5T増えた。
 年別の国防費は2022年にKRW55.5T、2023年にKRW59.3T、2024年にはKRW63.4TとKRW60Tを超えて2025年にKRW67Tになり、2026年にKRW70Tを超えるとの見通しで、年平均の増加率は5.8%となる。
 国防部は米韓ミサイル指針の撤廃を受け、破壊力を大きく高めた地対地/艦対地弾道ミサイルを開発して近く配備するとしている。
 また、Patriotの性能改良と天弓-2 BMDシステム、長距離SAM(LSAM)を装備すると共に、韓国版Iron Domeの長距離砲迎撃システムの開発に着手する。 (2110-090203)

 韓国国防省が8月31日、2022年度国防費に前年度比4.5%増となるKRW55.23T ($47.6B) を要求したと発表した。
 このうち軍近代化は前年度比5.7%増のKRW17.34T、運用訓練費は2%増のKRW37.89Tになっている。
 また装備品等調達費はKRW12.49T、研究開発費は13%増のKRW4.88Tである。 (2111-090805)

 韓国国防省が9月2日、KRW315.2T ($271.5B) にのぼる2022~2026年5年間の中期国防計画を明らかにした。
 この額はKRW300.7Tとした2021~2025年計画5%上回り、毎年の上昇率を5.8%とすることになる。
 この計画では部隊運用費を4%増としているのに対し、研究開発費を含む近代化経費を6.5%増のKRW106.7Tにしている。
 一方で2017年時点で617,000名であった兵力を2022年には500,000名に削減するとしている。 (2111-091504)

国会審議で大幅削減

 軽空母導入など韓国軍の大型装備導入予算が国会の審議過程で大幅に削減された。
 国会国防委員会予算審査小委員会は11月16日に2022年度国防予算審査結果を提出し、軽空母基本設計予算をKRW7.2BからKRW500Mに大きく減らした。
 軍関係者によるとこの程度の予算では基本設計着手は不可能で、事実上軽空母導入は次期政権にボールを渡したと話した。
 2020年も防衛事業庁は予算案に軽空母基本設計着手金名目でKRW10.1Bを計上したが、KRW100Mだけ残し全額削減した。 (2112-111612)

 韓国で新たな兵器の購入・開発・研究に使われる防衛力改善費が15年ぶりに削減されたことが11月17日までに分かった。
 国民の力(保守系野党)のデシク議員が公開した今月16日の国会国防委員会予算決算審査小委員会の結果報告書によると、防衛事業庁は当初、2022年度の防衛力改善費として2021年のKRW16.9964TよりもKRW340.1B多いKRW17.3365Tを要求したが、国防委員会はその中のKRW606.7Bを削減し、2022年度の防衛力改善費は2021年よりもKRW266.6B減となった。
 2022年度の防衛力改善費削減分にはハイテク兵器関連の予算が多く含まれ、PeaceEye AEW&C機の第2次導入予算はKRW328.3B、F-35A改良は半分のKRW20Bが削減された。 大型攻撃ヘリは「在韓米軍がすでに保有している」などの理由で全額削減され、実効性への疑問が指摘されてきた軽空母関連もKRW7.1BのうちKRW6.6Bが削減された。 (2112-111807)

4・3・3 軍備増強

4・3・3・1 改編等

4・3・3・1・1 空輸師団の創設

 韓国初の空輸師団が新年初日に創設された。
 国防部が1月1日に明らかにしたところによると、この日創設されたのは陸軍第2即応師団で、機甲及び機械化部隊で構成されている陸軍第7機動軍団隷下に入り、後方を守る第2作戦司令部の作戦統制を受ける。 (2102-010302)
4・3・3・1・2 海兵隊に航空団を復活

 韓国軍海兵隊が12月1日、慶尚北道浦項海兵隊基地で航空団創設式を開いた。 1973年の海兵隊司令部解体以来48年ぶりに復活した。
 海兵隊は1958年に第1上陸師団航空観測隊を創設して以来、1973年までに航空機23機を保有していた。 (2201-120103)
4・3・3・2 装備の充実

4・3・3・2・1 防空/BMD

KL-SAM の開発

 韓国LIG Nex1社が6月25日、KAMDの一翼となるL-SAMの開発拠点となる新施設を開設したと発表した。
 韓国ADDは2024年完了を目指してL-SAMの開発を進めており、同社は慶尚北道金泉市に14ヵ月間KRW9.2B ($8.15M) をかけて新施設を建設していた。
 L-SAMはM-SAM Ⅱを元に、対航空機型とBMD型の2種類が作られ、対航空機型は射程150km、BMD型は二段推進で射程150km、射高40~100kmという。 (2109-070708)

KM-SAM の取得

 韓国DAPAが2020年11月26日、7個中隊計画されているCheongung Ⅱ M-SAM最初の中隊が韓国空軍に納入されたと発表した。
 Cheongung ⅠのCheongung Ⅱへの改良は2012年に開始されていた。
 Cheongung Ⅱは現有のMIM-23 HAWKの後継で、最大射程40kmと高度20kmでBMを迎撃する性能を有する。 (2102-120905)

 韓国軍が、国産Cheongung Ⅱ M-SAM(天弓-2)中隊を従来の7個中隊から20個中隊へと3倍以上増やす決定をした。
 天弓-2は国産SAMの天弓をBMD用に改良したもので、2020年配備を開始している。
 天弓-2中隊はミサイル8発を搭載する発射機4基からなり、中隊に32発のミサイルが配備されるため、韓国軍は少なくとも700発以上の天弓-2を配備する計画といわれている。 (2105-040306)

 2011年に開発を完了して2013年に量産を開始し、2015年から装備している天弓 Block 1は全長4.6mのコールドロンチ式垂直発射ミサイルで、最高速度Mach 4.5、最大射程40km、射高15~20kmの性能を持つ。
 中隊は指揮装置1基、MFR 1基、8発搭載TEL 4両からなり、全てが8×8車に搭載されている。 (2108-071602)
【註】コールドロンチとは、ミサイルを火薬または圧搾空気等で発射機から放出し、空中でロケットモータに点火する発射方式で、S-400を始めとするロシアの中大型SAMシステムで一般的に使われている。

HAWKシステムが公式に退役

 韓国国防省のクッバン日報紙が7月7日、韓国空軍のMIM-23 HAWKシステムが公式に退役し天弓 Block 1に引き継がれたと報じた。
 最後までHAWKシステムを装備していたのは1983年以来39年間HAWKとAN/TSQ-73防空指揮装置を装備していた第1防空旅団の第2970部隊(大隊)である。 DAPAは2020年4月に天弓 Block 1の配備を完了したと発表している。 (2108-071602)

 韓国空軍が7月7日、天弓 (Cheongung) Block 1への換装に伴い1983年以来装備してきたMIM-23 HAWK SAMとAN/TSQ-73防空指揮装置を正式に退役させた。 (2109-072810)

韓国版 Iron Dome の開発

 韓国DAPAが6月28日、国防部長官主宰の防衛事業推進委員会を開き、韓国版のIron Dome開発を推進することを決めたと発表した。
 北朝鮮は南北軍事境界線 (MDL) 近くに約1,000門の長距離砲を配備しており、このうち射程54kmの170mm自走砲6個大隊と射程60kmの240mm MRL 10個大隊330門がソウルと首都圏を射程圏内としている。 (2107-062805)

 韓国DAPAが6月28日、北朝鮮の長距離砲に備えるため独自のC-RAMを開発すると発表した。
 開発は2022年に開始され、KRW2.89T ($2.56B) かけて2035年に完成させる計画である。  聯合ニュースによると北朝鮮は軍事境界線 (MDL) 沿いに射程54kmの170mm SPH 6個大隊、60kmの240mm MRL 10個大隊など、合わせて1,000門の長距離砲を配備しているという。 (2109-070703)

 ソウルで10月19日~23日に開かれたADEX 2021展でLIG Nex1社が、開発中のLAMD SHORAD/C-RAMシステムを公開した。
 LAMDは韓国海軍のHaegungシステムを元にしたセミトレーラ搭載で、固定運用として使われる。
 ARH誘導のミサイルは射程が7km、射高が5kmで、発射機は16発を4×4で配置し、Iron Domeと良く似た形状をしている。 (2112-102706)

KSAAM の開発

 韓国LIG Nex1社が、ソウル近郊城南市で開かれているADEX 2021展でK-SAAMと呼ぶLAMDのモックアップを展示した。
 K-SAAMは射程7km、射高5kmで、システムはセミトレーラ搭載16連装(4×4)発射機1基、指揮装置1基、MFR 1基で構成される。
 LAMDのRfPは2022年に発簡され、2030年代初期に配備される計画という。 (2111-102207)

4・3・3・2・2 SLBM

玄武-2B を元にした SLBM

 韓国が射程500kmの玄武-2Bを元にしたSLBMを開発している。
 韓国ADDは2020年に泰安郡の試験場で地上発射試験を完了しており、次の段階では水中発射が行われる。
 韓国国防省は2020年後半に就役する3,000t級AIP推進潜水艦KSS-ⅢにSLBMを装備するという。 同級の二番艦、三番艦も既に進水している。
 これらKSS-Ⅲ batch 1はSLBMを6発搭載するが、batch 2では8発、batch 3では10発の搭載が計画されている。 (2103-012701)

陸上発射試験

 韓国の聯合ニュースが韓国軍消息筋の話として1月13日、2020年までに3,000t級以上の潜水艦への搭載が計画されている国産SLBMが、地上発射試験を完了し2021年中に水中発射試験が行われる計画だと報じた。
 水中発射実験はバージ(艀)を使って実施する案が有力だが、実際に潜水艦から発射することもあり得るという。
 SLBMは、北朝鮮も2019年10月に新型の北極星-3を発射し、2020年10月の閲兵式では北極星4と書かれた新型とみられる兵器も登場しており、南北で開発が進んでいる。 (2102-011305)

水中発射試験

 韓国YTNが軍関係者を引用して7月4日、2020年末のSLBM地上発射成功に続き水中発射に成功したと報じた。 これにより、韓国は世界で8番目の技術保有国になる。
 今回成功した韓国のSLBMは玄武-2Bを改造したもので、最大射程距離は500kmほどである。 (2108-070403)

 韓国が3,000t級潜水艦KSS-Ⅲに搭載するSLBM初の水中発射試験に成功した。
 詳細は明らかにされていないが、発射されたのは射程500kmの玄武-2Bの模様で、試験は艀を用いて行われた。
 2018年9月に進水したKSS-Ⅲ一番艦は6発のSLBMを装備するが、将来艦は10発を搭載する。 (2109-071403)

 9月2日に韓国が安興試験場の近海でSLBMの発射試験を行った際に中国の情報艦が関連情報を探知したことが確認された。
 試験発射に際して黄海の黒山島近海東経124゚付近に中国の情報艦が出没した。 韓国政府関係者によると、中国は試験発射を控えた数日前から情報艦を配置していた。
 発射は先月13日に就役した潜水艦島山安昌浩からコールドローンチ方式で行われた。
 3,000tの島山安昌浩は垂直発射管6本を装備し、最大射程500kmの玄武-2Bを搭載している。 (2110-090703)

潜航潜水艦からの発射試験

 韓国軍消息筋が9月7日、韓国が1日に国産SLBMの潜水艦からの水中発射試験を行い成功したと語った。
 発射試験は非公開で、潜行中の潜水艦島山安昌浩から発射されたという。
 韓国軍とADDはさらなる潜水艦からの試験発射を実施した後、量産と実戦配置に入る。 (2110-090702)

 韓国が9月15日午後に、SLBMの潜水艦からの発射試験に初めて成功した。
 韓国大統領府によると、SLBMは8月13日に就役した潜水艦島山安昌浩 (3,000t) に搭載されて水中から発射され、計画通りの距離を飛行して目標地点に正確に命中した。
 SLBMの潜水艦発射実験の成功は世界で7番目となる。 (2110-091506)

 聯合ニュースが9月7日、韓国が国産SLBM初の潜水艦からの発射試験に成功したと報じた。 水中筏からの発射試験には既に成功している。
 発射したのは8月13日に就役したKSS-Ⅲ潜水艦島山安昌浩で、発射されたのは射程500kmの玄武-2Bである。
 島山安昌浩は2022年8月に配備される。 (2111-091501)

4・3・3・2・3 長距離ミサイル

KTSSM 戦術 SSM の量産開始

 韓国が2020年11月25日、国内開発した戦術SSMのKTSSMが間もなく量産に入ると発表した。
 射程120kmと見られるKTSSMは200発以上がKRW320B ($289M) でHanwha社に発注されており、2025年までに納入される。
 KTSSMは米陸軍のATACMSと概観も寸法等がそっくりに作られており、弾頭は小径侵徹弾を充填した曳火射撃弾かサーモバリック弾と見られる。 (2102-120902)

米韓ミサイル指針の撤廃

 韓国の文大統領が5月21日にバイデン大統領と行った共同記者会見で、米韓ミサイル指針を撤廃したことを明らかにした。
 ミサイル指針の撤廃は、最大射程と弾道重量の制限がなくなるという意味で、韓国がミサイル主権を確保したものと評価されている。
 米韓ミサイル指針は、1979年の朴正煕政権当時に米国からミサイル技術の移転を受けるために合意されたもので、その後2001年、2012年、2017年、2020年の4回の改正を通じて徐々に緩和されてきた。 (2106-052202)

 韓国の文大統領がホワイトハウスでのバイデン大統領との会談後に、韓国のBMの射程を800kmに規制した改訂ミサイル指針を撤廃することで両国が合意したと発表した。
 ミサイル指針は1979年に米国が韓国にミサイル開発技術を提供する際に決められたもので、当初は射程を180km未満、弾頭重量を500kg以内としていた。
 その後2012年に指針は改訂され、弾頭重量が500kgであれば射程800kmまで、1,000kgであれば500km、2,000kgであれば300kmまでにされていた。 (2108-060203)

玄武-4

 2020年に試験発射した玄武-4に対する詳しい諸元はベールに包まれているが、弾頭重量が2tを超え、地下300mの掩体を破壊できるミサイルという。 (2109-082904)

4・3・3・2・4 KF-X

開発計画の進捗状況

 韓国DAPAが3月1日、KF-Xの組み立てはほぼ完了しており、4月にはロールアウトすると発表した。 初飛行は2022年に計画されている。
 2015年に開始したKF-Xの開発は2026年に完了し、2028年に40機、2032年に80機が発注されるという。 (2104-030204)

 韓国DAPAが3月1日、KF-Xの組み立てはほぼ完了しており、4月にはロールアウトすると発表した。 GE社製F414-GE-400Kエンジンは既に搭載されている模様で、初飛行は2022年に計画されている。
 2015年に開始したKF-Xの開発は2026年に完了し、2028年に40機、2032年に80機が発注されるという。
 公開された画像では6機試作する3番機の組み立てが開始されている模様である。
 MTOW 25,580kg、搭載能力7,700kgのKF-Xは最大速度Mach 1.83、航続距離2,900kmの性能を持つ。 (2105-031004)

KFX SW Suite 自衛用電子妨害装置 (SPJ)

 韓国LIG Nex1社がKF-Xが装備する自衛用電子妨害装置 (SPJ) であるKFX SW Suiteを開発し、2Q/2020にKFXの組み立てが行われている泗川市のKAI社工場に納入した。
 LIG Nex1社は2016年10月下旬に開発をKRW114.5B ($101M) で受注していた。 (2104-032408)

 韓国LIG Nex1社がKF-Xが装備するKFX EW Suite SPJの試作品を2020年後半にKAI社に納入した。
 KFXは試作1号機が4月にロールアウトし、2号機、3号機も年内に完成する。
 残りの3機も2022年前半に完成し、4号機と6号機は複座型になる。 (2106-040708)

インドネシアが計画残留表明

 韓国の徐国防部長官とインドネシアのプラボウォ国防相が4月8日にソウルの同部庁舎で会談し、韓国国産戦闘機(KFX)計画など防衛産業分野での協力は両国の固い信頼関係を象徴するものだと評価した。 (2105-040804)

 COVID-19パンデミックを理由に2020年3月にインドネシアへ帰国していたKF-21の共同開発を行ってきた140名以上の技術者が間もなく韓国へ戻る模様である。
 これはインドネシアがKF-21計画に復帰することを意味する。 (2107-051207)

 韓国DAPAが8月11日、KF-21戦闘機の開発にあたる32名のインドネシア人技術者が、KAI社に戻ったと発表した。
 インドネトアからの技術者は年内に100名まで増えるという。 (2110-082507)

 韓国防衛事業庁が11月11日、インドネシア国防省とKF-21 (IF-X) 共同開発分担金交渉が妥結したと明らかにした。
 今回の第6回実務協議はジャカルタで姜防衛事業庁長とインドネシア国防事務次官が出席した中で行われ最終合意文に署名した。
 両国の合意に基づき、インドネシアは開発費分担比率20%を維持し、KRW1.73T (1,670億円) を納付することにした。
 また従来の契約通り納付期間 (2016~2026年) も維持することに同意した。
 ただ、インドネシアの分担金の30%は現物で納付することにし、細部事項は今後協議することで合意した。 (2112-111203)

試作1号機がロールアウト

 韓国DAPAが4月9日、泗川にあるKAI社の工場で、KF-Xの試作1号機のロールアウト式典を開催した。
 DAPAは2022年上半期までに地上テストを完了して2022年7月に初飛行して試験を行い、2026年までに開発を終える。 (2105-040907)

 韓国KF-Xのロールアウト式典が4月9日にKAI社泗川工場で行われ、正式名称をKF-21ポラメ(若い大鷹)と発表した。
 KF-21は第5世代戦闘機に必須の機内弾倉を持っておらず、AAMは胴体に半埋め込み式で搭載されることから、韓国空軍はKF-21を第4.5世代戦闘機と位置付けている。
 機内弾倉は現在開発中で、KF-21の改良型で実装される予定である。
 KF-21は2022年に初飛行、2026年までに開発を完了する計画で、2028年までに40機、2032年までに120機を空軍が装備する計画であると式典の祝辞で文大統領が発表した。 (2105-040908)

 韓国で4月9日にKF-Xがロールアウトした。
 KF-21 大鷹と名付けられたKF-Xは2028年に40機、2032年までに120機が就役する計画という。 (2106-041901)

 韓国KAI社で4月9日に正式名KF-21となったKF-Xがロールアウトした。 KF-21は2028年までに40機、2032年までに更に80機が調達される。
 MTOW 25,580kgのKF-21は最大速度Mach 1.83、搭載能力7,700kg、航続距離2,900kmの性能を持ち、搭載されたHanwha社製レーダは1,000目標以上の捕捉追随が可能という。 また同社製のIRST装置やLIG Nex1社製EW装置も搭載する。 更にElbit社とTF/TAの搭載でも合意している。
 一方ロールアウト後に統合参謀本部当局者がJaneに、KF-21に搭載する超音速ASMの開発を計画していることを明かした。
 このASMは1.36tで、速力Mach 2.5と射程250km以上の性能を持つという。 韓国は2018年にALCMの開発を決定していた。 (2106-042101)

ロールアウト後に再び分解

 4月9日にロールアウトした韓国のKF-21が再び解体されていた。 複数の消息筋が6月1日、1号機はエンジンも外して胴体は骨組みを露出した状態だと述べた。
 DAPAのKF-21関係者は、6月中旬ごろが過ぎれば完全な姿に戻すことができるとし、全面分解は地上試験過程のうち計画された手続きと説明しているが、正常な手続きという説明とは違い、事業団側は1号機の状態に関連して緘口令を下した状態である。
 匿名を求めた航空産業関係者は、性能試験をしながら装備点検のために分解する場合はあるが、ロールアウト直後に分解するのは常識外で、海外戦闘機の開発でこういう事例はほぼないと話している。 (2107-060201)

4・3・3・2・5 艦 船

軽空母計画

 韓国海軍が1月3日、軽空母の最新完成予想図を公表した。 最新案にスキージャンプ台はなく、甲板は2アイランド式になっている。
 公表された空母はKSS-Ⅲ潜水艦、KDX-2、KDX-3 Batch Ⅱ、KDDX駆逐艦、AOE-Ⅱ補給艦などとCSGを編成するという。 (2103-012004)

 中央日報が、現在韓国海軍が概念設計を進めている軽空母の鳥瞰図を単独入手した。
 海軍は鳥瞰図について、最終確定ではなく、研究と検討をしながら軽空母の艦型を発展させていくとし、艦艇設計は基本設計、詳細設計の段階でも修正する可能性があると説明しているが、基本は大きく変わらないはずというのが複数の政府筋の言葉である。
 変わらない基本とは、平甲板、ダブル艦橋、ウェルドック廃止と見られる。 (2102-010401)

 韓国軍が1月14日、現代重工業が軽空母の概念設計を完了したことを明らかにした。 概念設計は艦艇の構造や性能を決定する最初の段階である。
 合同参謀本部は2020年12月30日に軽空母建造計画を正式に推進することに決めており、概念設計はこれに先立ち終了した。
 設計結果によると、軽空母は全長250m以上、排水量が30,000t以上で、VTOL戦闘機12機、海兵隊ヘリ8機の搭載が可能な規模でありヘリの数を減らすと戦闘機を最大16機まで搭載できる。  軍は、2022年に基本設計に着手し、2033年までに就役させる計画である。 (2102-011403)

 韓国防衛事業庁が2月22日、徐国防部長官の主宰で防衛事業推進委員会を開き、軽空母の設計と建造を国内で行う事業推進基本戦略を議決したと明らかにした。
 これにより、2022年から2033年までにKRW230B(1,930億円)を投じて軽空母を建造する。 (2103-022203)

 韓国DAPAが2月23日、軽空母の建造を2022年に開始し、2033年に就役させると発表した。
 計画はKRW2.3T ($1.07B) と見積もられている。 これに伴いLPX-Ⅱ計画はCVX計画と名称が変更された。 (2105-031005)

 6月9~12日に釜山で開かれたMADEX 2021にDSME社とHHI社がそれぞれ提案している1/125と1/400模型を展示した。 (2107-060908)

DSME (Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering) 社案

 2アイランド型、スキージャンプ台無し
 全長263m、幅46.6m、排水量45,000t、速力27kt
 F-35B 16機を甲板上、更に12機をハンガー搭載

HHI (Hyundai Heavy Industries) 社案

 2アイランド型、スキージャンプ台オプション
 全長270m、幅40m、満載時排水量45,000t
 F-35B 16機を甲板上、更に8機をハンガー搭載

 6月9~12日に釜山で開かれたMADEX 2021にDSME社とHHI社が、韓国海軍の軽空母計画に提案している自社案のモデルを出品した。
 いずれの案も満載時排水量45,000tで、CIWSとSAMを装備する。
 韓国海軍の軽空母はF-35Bを搭載するが、各種ヘリを搭載して水陸両用作戦、捜索救難、対潜作戦を行うこともできることが求められている。
 DSME社案は全長263m、幅46.6m、速力27ktで、F-35Bを飛行甲板に16機、ハンガーに12機搭載できる。
 HHI社案は全長270m、幅60mで、F-35Bを飛行甲板に16機、ハンガーに8機搭載できる。
 軽空母計画でDSME社は英Babcock社、HHI社は伊Fincantieri社の協力得ることになっている。 (2108-061602)

 韓国の現代重工業 (HHI) が9月上旬に、英防衛大手Babcock International社と新空母の設計と建造で協力することで合意しMoUに署名した。
 Babcock社はQueen Elizabeth級空母の設計と建造を担った企業で、釜山に事業拠点を持つ。 (2110-090402)

 韓国の造船企業DSME社とHHIC社が、韓国海軍が計画している軽空母CVXの設計、開発、建造を共同で行うと発表した。
 CVX計画は公式には2022年に開始される。 (2111-090110)

 韓国が計画している空母 (CVX) を巡りHHI社と英国のBabcock International社が8月31日、協力するMoUを締結した。
 CVXはかつてLPX-Ⅱとされていた計画で、韓国海軍は2033年就役を目指してKRW2.3T ($2.06B) を支出する。 (2111-091505)

 韓国で軽空母の建造を狙っているHHI社がADEX 2021が開かれている10月19日にKAI社と協力するMoUを結んだ。
 MoUでは新空母 (CVX) での有無人機の試験評価、運用、補給整備、訓練についての協力を定めている。 CVXではF-35Bと共に海兵隊のMUH-1 Marineonも搭載される。
 HHI社は8月に英国でQueen Elizabethの建造を手がけたBabcock社と技術協力のMoUを結んでいる。 (2112-102708)

KSSⅢ 潜水艦

 DSME社が2020年12月15日に、KSSⅢ潜水艦の一番艦が5日前にディーセルエリクトニック潜水艦の連続運用時間で世界記録を樹立したと発表した。 (2103-010607)

 設計から建造までを初めて韓国で行った潜水艦島山安昌浩が8月13日に就役した。
 今後1年間の戦力化訓練と作戦遂行能力評価を経て、2022年8月ごろ実配備される。
 島山安昌浩は全長83m、幅9.6m、直径7.7mで、速力20kt、航続距離10,000nmと言われている。
 主な武装はSLBMや重魚雷-Ⅱ、対魚雷用音響妨害装置、自航式掃海具などで、曳航ソナーおよびISUS-90側面配列ソナーなども装備されている。 (2109-081303)

 韓国海軍が2018年9月に進水した初めて国内開発したディーゼル/電気推進潜水艦KSS-Ⅲの初号艦を就役させた。
 実配備は2022年8月の予定である。
 全長83.5m、浮上時排水量3,358t、潜航時3,705tのKSS-Ⅲは速力20kt、航続距離10,000nmで、艦首にLIG Nex1社製Tiger Shark 533mm重魚雷の発射管8門と、フィン後方に射程500kmの玄武-2Bを発射する6セルのVLSを装備している。 (2110-082504)

 KSS-Ⅲ Batch 1の3番艦が9月28日にHHI社の蔚山造船所で進水した。 引き渡しは2024年に予定されている。
 一番艦の島山安昌浩は8月13日に就役している。
 全長83.5m、水上排水量3,358t、水中排水量3,705tも速力20kt、航続距離10,000nmのKSS-Ⅲ Batch 1は533mm魚雷発射管8基とSLBM用のVLS 6基を装備しているが、Batch 2以降はVLSが10基になる。
 KSS-Ⅲの建造は3つのBatchで3隻ずつ、計9隻が建造される。 (2112-100608)

KSSⅢ Batch-Ⅱ潜水艦

 韓国DSME社がKSS-Ⅲ Batch Ⅱ潜水艦の一番艦をKRW985.7B ($845.5M) で受注した。 海軍への納入は2026年になる。
 KSSⅢ Batch Ⅱは全長89m、幅9.6m排水量3,600tで速力20ktの性能を持つ。
 水素燃料電池によるAIPを装備し、韓国艦初となるリチウムイオン電池潜水艦となる。 (2111-092210)

 韓国防衛事業庁が12月30日、巨済のDSME社造船所でKSSⅢ Batch-Ⅱ 3,600t潜水艦2番艦の建造着工式を開催した。
 Batch-Ⅱ 3,600t潜水艦は全長89m、幅9.6mで、2021年8月に海軍に引き渡されたBatch-Ⅰ 3,000tの1番艦より全長が5.5m長い。
 Batch-ⅠはSLBMの垂直発射管を6本搭載しているが、全長が長くなるBatch-Ⅱは最大10本の発射管を装備する。
 ただ、韓国軍はSLBM発射管については機密事項だとして公表していない。 (2201-123003)

KSSⅢ Batch-Ⅲ潜水艦

 韓国の原子力潜水艦は2021年初めに作戦要求性能 (ROC) が確定し、計画最大の山場である燃料問題でも進展を見せ、2021年中に原潜関連の公式発表が出てきそうである。
 防衛事業庁は1~3月期にKSS-Ⅲ Batch-ⅢのROCを決めた。 それによるとSLBMを10発搭載する4,000t級原子力潜水艦として開発する計画で、全備重量は5,000t以上になるものとみられる。
 関連事情をよく知る韓国政府消息筋は「文在寅政権で最も重要な装備計画は軽空母と原潜であるが、軽空母は順調に進んでいるのに対し原潜は敏感な事案のため水面下で進められているが、2020年からうまく進んでおり現政権で締めくくれそうだ」と打ち明けた。 (2109-082903)

 原潜建造のカギは原子炉と核燃料だが、原子炉は旧ソ連の原潜用原子炉を基に設計された韓国製小型原子炉であるSMARTを改良して使うものとみられる。
 SMARTはまだ設計図段階で現在商用化を進めているが、専門家はSMARTを基礎にした原潜用の原子炉は4年以内に試運転できると話している。
 核燃料については米国が20%未満のウランを韓国に提供する方式で合意するものとみられる。
 専門家は、高濃縮ではなくても最小7~8年、最大30年まで核燃料を交換しなくても良いとみている。
 韓国の原潜は政治的決断だけが残った。
(2109-082904)
KDX-I 駆逐艦の PIP

 2回目の近代化改修を受けた1998年7月就役の韓国廣開土大王級駆逐艦 (KDX-Ⅰ) 廣開土大王が10月22日に工事を終え復役した。
 改修工事は戦闘管制装置 (CMS) とセンサを中心に行われ、Link 16の搭載も行われた。 (2201-110314)

KDX-Ⅲ Block 2 駆逐艦

 韓国HHI社が2月16日、3隻の建造が計画されているKDX-Ⅲ Block 2駆逐艦一番艦の起工式を行った。
 船台組み立ては10月に開始され、進水は2Q/2022年、就役は2024年に予定されている。 HHI社は2019年10月にKDX-Ⅲ Block 2をKRW676.6B ($610M) で受注したと発表していた。
 全長170m、幅21m、排水量8,100tのKDX-Ⅲ Block 2は速力30ktで、BMD能力を有する。 (2104-022406)

 HHIが11月9日にKDX-Ⅲ Batch-Ⅱ駆逐艦を進水させた。
 進水したのは韓国海軍が3隻建造する全長170m、幅21m、基準排水量8,100tの駆逐艦の2番艦でKRW636.3B ($541.7M) で受注していた。 (2201-111714)

FFX-Ⅱフリゲート艦

 韓国海軍が5月3日、新型フリゲート艦の5番艦大田の進水式を慶尚南道の大宇造船海洋玉浦造船所で行ったと発表した。 2022年末に海軍に引き渡され就役する。
 全長122m、幅14m、排水量2,800tの同艦は、5吋砲のほか艦対艦誘導弾、戦術艦対地誘導弾、近接防御システムなどを装備する。 (2106-050301)
【註】進水した大田は満載時排水量3,660tのFFX-Ⅱフリゲート艦で、CODLOG推進で速力30ktの性能を持つ。
 兵装としては5吋砲1門のほか16セルVLS 1基、20mm CIWS 1基を持ち、K-SAAM SHORADを発射できる。

 韓国DAPAが8月4日、蔚山級フリゲート艦の第4次建造計画を決定した。
 第4次建造分は防空能力が強化されているという。
 計画経費はKRW3.51T ($3B) で、今後23年~32年後に就役するという。 (2110-081809)
【註】蔚山級フリゲート艦は1981年に一番艦が就役した、全長102m、幅11.5m、基準排水量2,180tのCODOG推進艦で、速力34ktの性能を持つ。
 装備は76mm砲2門と30mm双連機関砲4門(前期型)または40mm双連機関砲3門(後期型)を装備している。

 韓国が11月9日に蔚山で新型フリゲート艦天安 (2,800t) の進水式を開催した。
 天安は全長122m、幅14m、高さ35で、5吋砲、艦対艦誘導弾、戦術艦対地誘導弾、CIWSなどを装備しヘリ1機を運用できる。
 天安は現有の1,500t級フリゲート艦と1,000t級の哨戒艦の後継で、2023年に海軍に引き渡されて第2艦隊の主力艦艇として黄海上の北方限界線 (NLL) の警備に投入される。 (2112-110906)

 韓国が8隻建造するFFX-Ⅱフリゲート艦の7番艦が11月9日に蔚山のHHI社造船所で進水した。 就役は2023年になる。
 同級艦の最初の3隻は既に就役しており、6番艦も9月に進水した。
 FFX-Ⅱは2013年に一番艦が就役し6隻建造されたFFX-Ⅰより大型で、全長122.1m、幅14m、基準排水量2,800t、満載時3,650tである。 (2201-111709)

Type 209/1200 潜水艦の改良

 韓国DSME社が2020年12月11日にType 209/1200潜水艦3隻の改良をKRW165B ($151M) で追加受注した。 9隻保有する同級潜水艦のうちの3隻改良は2014年にKRW179B ($164M) で受注し2019年に完了している。
 全長55.9m、幅6.2mのType 209/1200は最初の1隻がドイツで建造されて1993年に就役し、残りの8隻をDSME社が建造した。 (2103-010607)

大型輸送艦

 韓国海軍が6月28日、大型輸送艦馬羅島 (14,500t) の就役式を開いた。 一番艦の独島から14年ぶりに就役した大型輸送艦で、10月ごろに配備される。
 全長199.4m、幅31.4m、速力23ktの馬羅島は一番艦の運用で見つかった問題点を改善し、最新装備を搭載して戦闘能力を大幅に高めているた。
 中でも対艦ミサイル防衛に垂直発射式SAM「海弓」を装備している。
 また搭載している戦闘システムは韓国国内で独自開発したもので、外国から技術支援を受け開発した独島の戦闘システムに比べ、処理速度や対空対艦の目標への同時対応能力が向上している。 (2107-062802)

 韓国海軍が6月28日、独島級LPHの二番艦にして最終艦の馬羅島を就役させた。
 全長199.4m、幅31m、排水量14,500tの馬羅島は速力23kt、18ktでの巡航時の航続距離10,000nmの性能を持ち、武装兵720名、MBT 6両、KAAV7/A1 水陸両用戦闘車7両、Solgae LCAC 2隻を搭載できる。
 装備は一番艦独島より強化され、Haegung/K-SAAMを発射する韓国式4セルVLS、Mk 15 Phalanx CIWS 2基、IAI/Elta社製ELM-2248 MF-STARレーダ、LIG Nex1社製SPS-550K 3D捜索レーダを装備する。 (2109-070707)

艦載武器

 釜山で開かれたMADEX 2021にHanwha社とLIG Nex1社がCIWSのモデルを展示した。
 いずれの案も発射速度4,700rpmのGAU-8/A Avengert 30mm 7銃身ガトリングン砲に追随レーダと四面固定AESA方式捕捉レーダを装備している。 (2108-061603)

 韓国DAPAが10月29日、KRW320B ($273M) で開発するCIWS-Ⅱの開発と生産にLIG Nex1社を選定した。 Hanwha社は破れた。
 CIWS-Ⅱは4,200rpmでの射撃が可能な30mmガトリング砲で、四面固定のAESA捕捉レーダとEO照準装置で射撃統制する。 レーダにはKF-21の開発で得た技術を採用するという。
 CIWS-Ⅱの開発は2027年までに完了し、KDDX駆逐艦のほかFFX-Ⅲフリゲート艦やAGX-Ⅲ外洋哨戒艦に装備する。 (2201-111011)

4・3・3・2・6 その他の航空機

KF-16C/D の KF-16V への改装

 韓国空軍が1月22日にKF-16V Block 70/72への改装を完了した10機を受領した。 今までにKF-16C/D Block 50/52 20機のKF-16V Block 70/72への改装を完了している。
 KF-16Vへの改装は2016年11月に$1.2Bで保有する130機のKF-16を2026年末までに行う契約をLockheed Martin社と結んでおり、改装にはAN/APG-83 SABRレーダの搭載も含まれている。 (2104-020303)

FA-50 の能力向上計画

 KAI社がADEX 2021展でFA-50の能力向上計画を明らかにした。
 それによると新たに300ガロンのコンフォーマル増槽を取り付けて航続距離を伸ばし、照準用ポッドを取り付ける。
 またBVRAAMやKongsberg/Raytheon JSM、Taurys KEPD 350K-2、Roketsan SOMなどを搭載する。
 KAI社によるとこのほかにマルチモードFCSレーダ、グラスコックピット、大型表示器、ヘルメット表示器、空中給油装置、電子戦装置、データリンク、ディジタル飛行制御などが採用され、改造は2022年に開始できるという。 (2112-102705)

多用途中型輸送機の開発

 KAI社が5月11~13日に開かれたAerospace Conference 21で、韓国軍に提案している多用途中型輸送機のCG映像を公開した。
 同社の計画では、開発を2025年末に開始し、2031年に完了すると言う。
 同機は軍用輸送や特殊部隊の作戦支援の他、小型衛星打ち上げのSLVを発射できるという。 (2106-051310)

 韓国KAI社が5月11~13日にソウルで開かれたAerospace Conference 2021で、開発しようとしている多目的輸送機のCGI映像を公開した。
 同社によると2025年末には開発が開始でき、2031年には完了できるという。
 この輸送機は人員貨物の輸送や特殊作戦部隊の支援の他、小型衛星打ち上げのSLV空中発射も行えるという。
 聯合ニュースは4月に、KAIとDAPAが輸送機開発で合意したと報じている。 (2107-051902)

電動式の基本練習機

 韓国KAI社が、ソウル近郊城南市で開かれているADEX 2021展で電動式の基本練習機Black Kitaを公表した。
 主翼に4基の電動プロペラを持つBlack Kitaは全長11.6m、翼端長11.2mの複座で、韓国空軍゛保有しているKT-1の後継機に考えられている。 (2111-102206)

 ADEX 2021展でKAI社が、電動4発のBlack Kiteを発表した。 Black Kiteは全長11.6m、翼端長11.2mで、韓国空軍が使用しているKT-1 Woong-Bee練習機の後継として提案され、コックピットはT-50/TA-50及びKF-21と同様のディジタルコックピットになっている。
 会場にはKT-1の発展型でターボプロップ単発のBlack Kiteも展示されていた。 (2112-102707)

白頭山-Ⅱ ISR 機

 KAI社が11月1日、韓国DAPAが次期ISR機である白頭山-Ⅱ (Baekdu-Ⅱ) にKAI社が提案していたDassault社製Falcon 2000LXSが選定されたと発表した。
 開発にLIG Nex1と共同で行う。 韓国空軍は既にELINT機としてFalcon 2000LXS 2機を使用している。
 大韓航空が7月に提案したFalcon 2000Sは敗れた。
 白頭山-Ⅱは2001年から使用しているHawker 800SIG Peace Poineer 4機の代替えとして2026年までに4機装備する計画で、DAPAはかつて計画経費がKRW877.5B ($744.9M) であることを明らかにしていた。 (2201-111009)

L A H

 韓国KAI社が2020年12月11日、DAPAが同社が試作したLAHに対し、実用に供し得るとの仮宣言を行ったことを明らかにした。
 LAHは韓国陸軍のAH-1F及び500MD/Towの後継として2023年から210機を装備する計画で5年半前に開発を開始し、2018年7月に初飛行している。
 LAHは20mmガトリング砲と70mmロケット弾及び韓国国産で射程8kmのChungum ATGMを装備する。 また機首にはEO/IRセンサを搭載している。
 LAHはAirbus Helicopters社製H155を元にしており、エンジンはHanwha社が仏Safran社と共同開発した。 (2103-010609)

 韓国聯合ニュースが3月1日、KAI社が韓国製軽戦闘ヘリLAHに有無人機連携機能MUM-Tを搭載すると報じた。
 この報道について韓国DAPA高官も確認した。 (2104-030203)

 聯合ニュースが3月1日、韓国DAPAが2022年末に開発を完了するKAI社製軽武装ヘリLAHに有無人機連携MUM-T機能を持たせる計画と報じた。
 聯合ニュースによると今後2年間で第一段階、続く第二段階も5年以内に完了する計画という。
 LAHには既に地上経由でUAVの信号を受信する機能が備えられているという。 (2105-031011)

AH-64E Apache Guardian 48機の購入

 韓国陸軍当局者が3月3日、韓国陸軍が攻撃ヘリを36機追加購入すると述べた。
 その1年前の2020 Singapore Air ShowでBoeing社が、韓国がAH-64E Apache Guardian 48機の購入に関心を持っていることを明らかにしている。 (2105-032410)

 韓国DAPAが3月31日、攻撃ヘリ36機をKRW3.17T ($2.81B) で海外から追加購入すると発表した。 これは韓国陸軍が装備しているAH-1Sの後継となる大型攻撃ヘリ計画の第2段階で、第1段階ではAH-64E Apache 36機を$1.6Bで購入している。
 調達は2022年に始まり2028年に完了すると言う。 (2106-041406)

海兵隊用戦闘ヘリの国内開発

 韓国DAPAが4月26日、韓国海兵隊が20~24機の装備を計画している戦闘ヘリを国内で開発すると発表した。
 2022年に開始し2031年に完了する計画で、開発と調達の経費はKRW1.6T ($1.44B) が見込まれている。
 海兵隊は既にKAI社製MUH-1 Marineonヘリを装備してるが、開発する戦闘ヘリはこれとの互換性が重視される。 (2105-042707)

 韓国DAPAが4月26日、韓国海兵隊が20~24機装備する攻撃ヘリMAHを国内開発することに決めた。
 開発はKAI社製MUH-1 Marineonを元に2022年に開始し2031年に完了する計画で、経費はKRW1.6T ($1.44B) を見込んでいる。
 計画は2019年1月に開始され。Bell Textron、Boeing、TAI、Sikorsky、KAIの各社が名乗りを上げていた。
 MAHはKAI社が開発しているLAHG同様に機首に20mmガトリング砲とEO/IRセンサを搭載し、副翼の6箇所にハードポイントを持ち、70mmロケット弾ポッドまたは4連装/2連装のASM発射機を取り付けられる。 (2107-050503)

4・3・3・2・7 陸戦兵器

K2 Black Panther MBTの三次生産

 韓国Hyundai Rpotem社が2020年12月22日、K2 Black Panther MBTの三次生産をKRW533B ($481.4M) で受注したと発表した。 受注数は公表されていないが54両と見られる。
 同社は2010年に受注した一次生産では100両、2014年に受注した二次生産では106両を生産している。
 2007年に開発を完了したK2MBTは120mm滑腔砲を装備した56tで、三次生産でも二次生産同様ドイツ製の変速機を搭載している。 (2103-010604)

指揮車型 K808 装輪装甲車

 韓国DAPAが1月25日、Hyundai Rotem社が指揮車型K808装輪装甲車の開発を完了したと発表した。 量産契約は2022年に予定されている。
 K808指揮車は従来の天幕による指揮所に代わるもので、2名の乗員のほかに8名が乗車できる。
 車内は対NBCのため与圧され、路上を100km/hで走行できるほか、完全な水陸両用性能を持ち後部に取り付けられたウォータージェットにより8km/hで航行できる。 (2104-020313)

自走浮橋

 韓国DAPAが1月19日、韓国陸軍の自走浮橋に、Hanwha社が提案していたGDELS社製M3の韓国型であるM3Kの採用を決めたことを明らかにした。 Hyundai Rotem社が押していたしていたOtter社のシステムは敗れた。
 契約額はKRW500B ($454M) で、2023年から100両が納入される。 (2104-020314)

地上設置レーザ防空兵器

 韓国ADDが5月25日、将来の地上設置防空兵器への応用を目指したレーザ装置を開発したと発表した。 開発はDAPAが2015年に開始し、2020年に完了したという。
 ADDは1kWのモジュールを5個束ねて出力を合成し、5kWを実現したという。 (2106-052507)

 韓国Hanwha社が5月31日、韓国ADDからレーザを用いたSHORAD用としてのレーザ発振器の開発をKRW24.3B ($21.9M) で受注したと発表した。
 契約期間は4年間になっている。 (2108-060914)

国産水陸両用戦闘車 (KAAV) 計画

 韓国DAPAが9月28日、2036年の配備を目指した次世代の国産水陸両用戦闘車 (KAAV) 計画を進めていると発表した。
 韓国海兵隊はBAE Systems社製AAV7Aを元にHanwha Defense社(当時はSamsung Techwin社)製の人員運搬車KAAVP7A1、指揮車KAAVC7A1、回収車KAAVR7A1を合わせて170両装備している。
 今回の発表の数ヶ月前にHanwha社はADDとKAAVⅡの開発を行っていることを明らかにしており、同社は2022年に複数の試作KAAVⅡを納入して2023~2028年に更なる開発を進め、2029年に量産を開始するという。 (2112-101311)

4・3・3・2・8 無人兵器

Hae Gum 3 (Sea Sword 3) USV

 韓国LIG Nex1社が11月中旬にソウルで開かれたDX Korea 2020展にHae Gum 3 (Sea Sword 3) USVを出品した。
 Sea Sword 3の排水量や寸法諸元はSea Sword 2と同じと見られる。
 Sea Sword 2は全長12m、幅3.5m、排水量11tで、2名しか乗れなかったのに対し、Sea Sword 3は8名乗ることができる。
 Sea Sword 3は12.7mm機銃1丁と2.75吋誘導ロケット弾1発を装備できる。 (2103-010010)

水中/水上捜索救難自動無人システム

 韓国海洋科学技術研究所 (KIMST) が中心になってHanwha社などと、水中/水上の広範囲にわたる捜索救難 (SAR) にあたる自動無人システムを開発している。 (2109-080011)

MBT と SPH の UGV 化研究

 韓国HYudai Rotem社が2020年12月、韓国陸軍が装備しているK1 MBTとK9 SPHをUGVに改造する研究開発の主契約社に選定されたと発表した。
 研究開発の契約は2件からなり、合わせてKRW15.2B ($3.98M) で、2024年に完了することになっている。

 韓国陸軍は1984年から1990年代中頃までに調達したK1 MBTを1,000両以上保有している。 (2103-020010)

偵察用 UGV (USV: Unmanned Surveillance Vehicle)

 韓国DAPAが4月22日、ADDとHanwha社が開発していた偵察用UGV (USV)の開発を完了したと発表した。
 USVの開発は2018年に開始され、2020年12月下旬から2021年2月にかけて行われた一連の試験結果から、3月に実用に供し得るとの判定を得ていた。 (2105-042207)

多用途 UGV MPUGV

 韓国のHyundai Rotem社が7月7日、DAPAに2020年11月に受注した多用途UGV MPUGV 2両を納入した。
 今後6ヶ月かけて韓国陸軍が評価試験歩行う。
 MPUGVは同社製HR-Sherpaを元にしているがHR-Sherpaより高性能という。
 重量は2t以下で蓄電池でホイールモータを駆動し遠隔操作のRWSを装備し、200kg以上を運搬できるという。 (2109-072113)

知能型 UGV の I-MPUGV

 韓国Hanwha社が10月8日、同社が開発した1.5tの多用途UGV MPUGVを大型化し2tとした知能型UGVのI-MPUGVが、陸軍第5歩兵師団で5日に試験運用を開始したと発表した。
 I-MPUGVはAIを利用した6輪車で、国内開発した遠隔操作砲塔 (RCWS) を装備し、路上で40km/h、路外を20km/hで走行できる。
 搭載能力はMPUGVの200kgの2倍以上となる500kgである。 (2112-102007)

40mm擲弾6発を装備した UAV

 韓国DAPAが6月28日、2022年から2033年にKRW1.28TをかけてVTOL UAVを開発すると発表した。
(2109-070703)

 韓国ADDが8月3日、韓国軍が2022年上半期に2種類の国産UAVを装備すると発表した。
 そのうちの一機種は40mm擲弾6発を装備した行動半径2kmの6ロータUAVで、2軸の衝撃吸収装置付き6発搭載発射機を装備している。
 40mm擲弾は5m以内の目標に対し2秒間隔で発射できる。 (2109-080306)

 韓国DAPAが8月3日、2022年前半に2種類の国内開発UAVを装備すると発表した。 そのうちの一機種は40mm擲弾6発を発射するVTOL UAVで半径2km以内で行動できる。
 擲弾を2秒間隔で発射でき、2軸のジンバルと無反動衝撃吸収装置を装備することで射撃を行っても安定した飛行が可能になる。
 もう1機種は重量1.95kg以下のモジュラー式小型VTOL UAVである。 (2110-081104)

沿岸監視用に国産 VTOK UAV を採用

 韓国DAPAが9月16日、2020年7月に限定数を調達した国産VTOL UAVを陸軍と海兵隊が2022年から沿岸監視用に使用すると発表した。 (2111-092909)

ステルス UAV の開発

 KAL社が9月30日、韓国KRITからステルスUAV開発のための、電波吸収機体構造や表面気流制御などの研究を16日に受注したと発表した。 この研究は2025年に完了する。
 同社は既にADDから受注した契約で2010年から2021年8月までKaori-X UAVの開発を行っていて、ステルス製、空力制御、安定性、推進方式などの技術を積んでいるという。 (2112-101308)

ヘリコプタによる有無人連携 (MUM-T)

 韓国がヘリコプタによる有無人連携 (MUM-T) 計画を進めようとしている。
 ADEX2021展で公開された海兵隊のSurion MAHは大型のスタブ翼を持ち、4基のキャニスタを搭載している。 キャニスタからは小型UAVまたは遊弋弾を発射するという。
 韓国はSurion MAHを海兵隊に20~24機装備する計画で、4月にKRW1.6T ($1.44B) での計画推進を決定した。 計画は2022年に開始され、2031年に完了する。 (2112-102703)

FA-50 を UAV 化した Loyal Wingman

 ソウルで10月19日~23日に開かれたADEX 2021展でKAI社がUAV型にしたFA-50をLoyal WingmanとしてKF-21に随伴させる構想を公表した。
 韓国空軍は2032年までに140機以上のT-50/FA-50と120機のKF-21を装備する計画であるが、FA-50をUAV化することでKF-21を増強できるとしている。 (2112-102704)

4・3・3・2・9 電子兵器

IAI社から航空機搭載電子機器を購入

 IAI社が1月4日、韓国空軍から3種類の航空機に$50Mの搭載電子機器を受注していると発表した。
 詳細は明らかにされていないが、S-92 (VH-90) へり、RC-800B/RC-800GへのMode 5 IFF搭載と見られる。 (2103-012011)

地上固定型長距離レーダの開発

 韓国DAPAが2月8日、空軍が装備しているAN/FPS-117に代わる地上固定型長距離レーダの開発をLIG Nex1社にKRW46B ($41M) で発注したと発表した。
 開発には48ヶ月かけ2027年には配備するという。 (2104-021710)

UAV 搭載衝突回避航法技術

 韓国ADDが5月11日、UAVに搭載する衝突回避航法技術の開発を完了したと発表した。
 この技術よればUAVは近距離の脅威を探知して回避し、安全に目的地に到達できるという。 (2107-051908)

Maritime Surveillance Radar-Ⅱ沿岸監視レーダ

 韓国DAPAが5月14日に、海軍が装備する国内開発した沿岸監視レーダMaritime Surveillance Radar-Ⅱの量産をLIG Nex1社にKRW164B ($145.4M) で発注したと発表した。
 2015年にKRW31.6Bで開発が開始されたこのレーダは、老朽化した現有装備より小型で捕捉距離や解像度が改善されているという。
 量産は2022年に開始され2026年までに完了する。 (2106-051408) 【註「今までより小型で分解能が高い」と言うことは、周波数帯域を上げたと見られる。

 韓国DAPAが5月14日に、Maritime Surveillance Radar Ⅱの量産をLIG Nex1社にKRW164B ($145.4M) で発注した。
 聯合ニュースによると生産は2026年まで続けられるという。
 海軍が沿岸監視に使用している現有レーダより小型で感度が高いというこのレーダは、LIG Nex1社が2015年にKRW31.6Mで開発を受注し、STX Engine社などの協力で完成させたという。 (2107-052607)

高出力、高感度レーダを開発

 韓国ADDが4月27日、ステルス目標を捕捉追随できるアクティブフェーズドアレイ技術を用いた高出力、高感度レーダを開発したと発表した。 (2107-050504)

個人装備の戦況表示装置

 韓国DAPAが8月31日、韓国軍が装備する個人装備の戦況表示装置の開発をHanwha社にKRW14.5B ($12.5M) で発注すると発表した。
 開発は2024年に完了する。
 開発するシステムはスマホの技術を元にした眼鏡と個人装備無線機、戦術多目的通信装置を接続したもので、戦況把握や戦場情報のリアルタイム入手が可能になる。 (2109-083110)

軍用通信衛星システム

 Hanwha社とLIG Nex1社が韓国DAPAから韓国初のANASIS-Ⅱ軍用通信衛星との連接装置をKRW360B ($307M) で受注した。
 ANASIS-ⅡはAirbus社製で2020年7月に打ち上げられている。 (2111-092908)

4・3・4 宇宙利用

軍用宇宙開発

 韓国DAPAが8月19日、米韓ミサイル指針の終了に伴いBMの開発を促進するのに続いて、今後10年間にKRW16T ($13.6B) を支出して軍事用宇宙開発を行う計画であると発表した。
 ADDは2019年12月に2023年末の完成を目指した衛星の開発を開始したと発表しており、2020年8月にはSARを開発中と発表している。
 ADDが開発しているのは重量66kg以下の解像度1mの画像衛星で、寿命を3年としている。 (2111-090111)

 7月29日に新型固体燃料エンジンの燃焼試験に成功した韓国が9月16日、新型SLVを2024年に羅老宇宙センタから打ち上げると発表した。
 計画では小型衛星または複数の超小型衛星を低高度軌道に打ち上げるという。
 韓国は10月に羅老宇宙センタから国内開発した液体燃料のSLVヌリを打ち上げる。 ヌリSLVは1.5tの衛星を高度600km~800kmの軌道に打ち上げる能力がある。 (2111-092907)

Nuri KSLV-Ⅱの打ち上げ失敗

 韓国が国産初となるSLVである三段推進のNuri KSLV-Ⅱに模擬衛星を取り付け10月22日に打ち上げたが、三段目の燃焼が46秒で停止したため模擬衛星を低高度軌道に乗せるに必要な7.5km/sに達することができず失敗した。
 次回の打ち上げは2022年5月19日に計画されている。 (2201-110312)

4・3・5 軍事産業立国

4・3・5・1 軍事産業の育成

4・3・5・1・1 育成計画

2021-35 Core Technology Plan

 韓国DAPAが3月22日、将来のハイテク軍事技術開発に向けた15年計画"2021-35 Core Technology Plan"を発表した。
 対象となるは8分野140項目に及ぶ。 (2104-032307)

 韓国DAPAが3月22日、軍事技術向上長期計画2021-35 Core Technology Planを開始した。 新計画では以下の8分野で140項目を基幹技術として列挙している。 (2105-033110)

・AIを用いたISR
・高度に連接された情報、C&Cシステム
・超高速打撃兵器
・将来推進装置
・有無人連携
・先進技術による各個戦闘
・サイバ戦
・将来先進技術
KRIT の発足

 韓国DAPAが5月21日、防衛技術開発と企業の支援にあたる新たな組織KRITが公式に発足したと発表した。
 KRITに移管されるのは防衛技術の立案、管理、国内軍事産業の強化であるという。 (2108-060213)

KAI社が大規模設備投資

 韓国KAI社のCEOが4月4日の記者会見で、同社は今後5年間にKRW2.2T ($1.9B) の設備投資を行い、2020年代末までに世界有数の航空機メーカになると公言した。
 それによると2020年の売上額がKRW2.83Tの同社は2025年にKRW5T、2030年にKRW10Tに伸ばすという。 (2105-040706)

 韓国KAI社が4月4日、2020年代末までに世界最大級の航空機メーカになるための今後5年間のKRW5T ($1.9B) にのぼるR&D投資計画を公表した。
 これにより2020年にKRW2.83Tである同社の売り上げを2025年にはKRW5T、2030年にはKRW10Tまで引き上げるという。 (2106-041410)

世界トップクラスの武器輸出国を目指す

 韓国DAPAが、2~3年後に世界トップクラスの武器輸出国になることを目指している。
 DAPAによると2020年の武器輸出額はKRW1.7T ($1.43B) と2019年並みであったが、今後2~3年後には更に伸ばすことを目指しているという。
 DAPAはHanwha社製Redback IFVなどのプラットフォームの輸出により輸出額の増大を狙っている。 (2112-101313)

4・3・5・1・2 企業の再編

HHI社によるDSME社の買収注

 韓国の株式市場が9月30日、HHI社によるDSME社の買収が再び遅れていることを明らかにした。  HHI社とDSME社が2019年3月に買収で合意して以来、今回は5回目の遅延になる。 (2112-101312)

4・3・5・2 海外技術の導入

イスラエル Elbit社との UAV 技術提携

 10種類以上のUAVを開発して30ヵ国以上に販売実績を持つイスラエルElbit社が3月15日、韓国KAI社とISTAR UAVを共同開発することで合意しMoUに署名した。 (2104-031507)

 イスラエルと韓国がISTAR UAVの事業協同で合意し、3月15日にMoUを締結した。 MoUはElbit社とKAI社の間で結ばれた。
 UAVで先行するElbit社は10種類以上のUAVを開発し、30以上のユーザで数十年にわたり使用されてきている。
 一方、KAI社も近年、Naxt Corps UASやTactical UAS及びステルスUCAVを手がけている。 (2105-032412)

英国から空母技術の導入

 英The Daily Telegraphが3月21日、英国が空母に関する技術を韓国に輸出するため非公式対話を始めたと報じた。
 韓国海軍は65,000tのQueen Elizabethより小型の軽空母建造計画を進めている。
 同紙は業界情報筋を引用し、英国際通商省が韓国側と非公式対話を始め、英国防相は1月に徐国防長官と電話会談し、軍事問題と関連した緊密な協力について議論したと報じた。
 英国は空母Queen Elizabeth建造のために開発した技術を韓国側に提案したという。 (2104-032201)

英国と軍事技術協力で合意

 韓国DAPAが6月8日、韓国と英国が軍事技術で協力することで合意したと発表した。 韓国と英国は2020年に軍事技術のR&Dで協力することに合意しMoUを結んでいる。
 英国が今までに韓国へ輸出した最大の取引は、2016年に結ばれたLeonardo社製AW159 Wildcatへり6機の輸出で、$560Mであった。 (2108-061610)

E-737 AEW&C機の改修を受注

 KAI社が7月30日、韓国空軍のE-737 AEW&C機の改修E-737 AEW&C Performance Improvement Projectを7月28日にKRW18B ($15.6M) で受注したと発表した。
 改修にはIFFやLink 16の改良などが含まれている。 (2110-081114)

遊弋索敵ミサイルの技術でIAI社から技術導入

 IAI社が10月20日に、10月19~23日にソウル南側の城南市で開かれたADEX 2021展で、KAI社と既に実戦経験のあるIAI社製HARPY NGWやHAROP遊弋索敵ミサイルの技術を元にした遊弋索敵攻撃UAVの技術で協力する協定に署名したと発表した。
 両社は3月に韓国陸軍向けMUM-T技術で協力する最初の協定に署名している。 (2111-102005)

ISTAR 計画

 Northrop Grumman社が10月19日にLIG Nex1社及びHuneed社と、韓国空軍が計画しているレーダ偵察機ISTARに提案するJSTARS-Kを共同開発するMoUを交わした。
 JSTARS-Kは機体にGulfstreem G550を使用するがG550は2020年に生産終了していることから中古の機体を使用することになる。
 一方Raytheon社と大韓航空、Bombardierの各社は1年前にISTAR-Kを提案している。 こちらは機体にBombardier社製Global 6500を使用する。
 韓国国防省の2019~2023年中期計画によると計画経費はKRW2T ($1.7B) で1番機の引き渡しは2023年になっている。 (2201-110313)

イスラエルの Elbit社及び Elta社と技術協力

 韓国Hanwha社が10月21日、イスラエルのElbit社及びElta社とAESAレーダ、都市航空機、航空電子などに関する技術協力で合意した。 (2201-110319)

4・3・5・3 武器等の輸出

4・3・5・3・1 艦 船

フィリピンへのフリゲート艦

 フィリピンが韓国HHI社に2隻発注した107.5m多用途フリゲート艦の2隻目が、2月5日にスービック湾に向けて蔚山のHHI社造船所を出航した。 (2103-020802)

フィリピンとの潜水艦商談

 フィリピンの次期潜水艦を巡って韓国とフィリピンが協議を続けている。
 韓国DSME社が5月27日、フィリピン国防省の調達担当次官が12日に韓国潜水艦隊司令部を訪問し、訓練を含む協力について協議した。
 フィリピンは2011年から、Nagapasa級 (DSME 1400) 潜水艦の改良型であるDSME 1400PNをトータルパッケージとして導入している。 (2106-052807)

 韓国DSME社が5月27日、フィリピンが韓国と次期潜水艦についての協議を進めていることを明らかにした。
 フィリピンは2023~2028年の防衛力近代化計画Horizon Threeに潜水艦の建造を挙げている。
 韓国が売り込みをかけているのはDSME 1400の改良型であるDSME 1400PNという。 (2108-060913)

インドネシアへ潜水艦

 インドネシアの国営PAL造船所で3月17日、潜水艦Alugoroの引渡式が行われた。
 1,400tの小型潜水艦Alugoroは大宇造船海洋 (DSME) がPALL造船所と共に2011年にインドネシア国防省から受注した3隻の最終艦で、DSMEの技術移転で現地で組み立てを行った。
 1、2番艦は2017年、2018年に韓国内で建造され、インドネシア海軍に引き渡された。
 DSMEは今回の3隻とは別に4~6番艦建造も受注したが、インドネシアは現在まで契約金を納入しておらず進展がないという。 (2104-031802)

4・3・5・3・2 航空機

タイ国空軍に T-50TH 高等練習機を2機を追加輸出

 韓国KAI社が7月20日、タイ国空軍がKAI社製T-50TH高等練習機を2機をTHB2.36B ($72M) で追加購入すると発表した。
 これによりタイ空軍のT-50TH保有数は14機になる。 (2108-072006)

 KAI社が8月2日、タイ空軍からT-50TH 2機を追加受注したと発表した。 契約額は$78Mで納期は2023年11月末となっている。
 これでタイ空軍は14機を発注したことになった。
 今回の受注は4回目で、最終契約になる。 タイ空軍は2015年と2017年に4機と8機のT-50THを合わせて$380Mで発注し既に8機が納入されている。
 更に2019年には$52.5Mで能力向上を発注している。 (2110-081109)

インドネシアに T-50i 6機を追加輸出

 KAI社が7月20日、タイに続いてインドネシアがT-50i 6機を$240Mで追加発注したと発表した。
 インドネシアは2012年に16機を購入しているため、今回の発注で20機を保有することになる。 (2108-072204)

 インドネシア国防省がT-50i高等練習機6機を追加購入する計画で、海外に$240Mの融資先を求めている。
 インドネシア空軍は2011年に$400MでT-50i 16機を購入し2013年9月~2014年1月に取得しているが、そのうちの2機を2015年と2020年に事故で失った。 (2110-080405)

T-50 の欧州への輸出努力

 KAI社が11月3日、韓国、ハンガリー、ポーランド、チェコ、・スロバキアで行う韓国V4首脳会談に合わせブダペストで行われた韓国V4ビジネスフォーラムで、スロバキアの国営防衛企業LOTN社とFA-50の輸出のためのMOUを結んだ。
 スロバキアは老朽化した高等練習機L-39の交代を推進しており、FA-50を有力な候補として挙げているとKAI社は説明している。 (2112-110405)

イラクから T-50IQ の保守契約を受注

 KAI社が11月8日、イラク国防省とT-50IQ高等練習機の維持整備、弾薬の管理、パイロットの訓練で$360Mの契約を行ったと発表した。
 イラクは2013年12月にT-50IQ 24機を発注し、2017年から配備しているが、イラク国防相は8月にTVで、T-50IQは財政上の問題から全く飛行していないと述べていた。 (2201-111717)

4・3・5・3・3 陸戦兵器

UAE に KM-SAM

 UAEが16日、韓国のM-SAMを購入する計画であることを明らかにした。 UAEはKM-SAMを購入する最初の国となる。
 UAE国防省はこの日に、ツイッターで、韓国のKM-SAMを導入する計画で、契約規模は$3.5Bと発表した。 (2112-111704)

 UAE国防省が11月16日、韓国からM-SAMを$3.5Bで導入すると発表した。
 M-SAM中隊はHanwha社が開発した自走式MFR 1両、指揮統制車1両、8発搭載発射機4両からなり、Block ⅡはBMに対する直撃能力を持つ。
 Block Ⅱ中隊は2020年11月から韓国空軍で就役しており、DAPAによると7月~8月に行った受領試験ではBMの撃墜にも成功している。 (2201-112409)

豪陸軍の M113AS4 APC 後継

 豪陸軍がM113AS4 APCの後継となるProject Land 400 Phase 3で、Rheinmetakk社製 Lynx KF41 IFVと競争することになった韓国Hanwha社が1月12日、豪陸軍に納入するRedback IFV3両の製造を開始した。
 MCCCとも呼ばれているProject Land 400では450両のIFVと17両の支援車両をAUD18~27B ($13.9~20.8B) で調達する。 (2103-012012)

 豪Hanwha社が3月16日、Redback IFVにイスラエル製装備2種類を搭載した試験に成功したと発表した。 搭載したのはElbit社製Iron Fist APSとRafael社製Spike LR2 ATGMで、Iron Fistの試験は2020年末、Spikeの試験は2月に実施された。  韓国Hanwha社製Redback IFVは豪陸軍がAUD18.1B~27.1B ($14B~21B) で計画しているIFVで、Rheinmetall社のLynx KF-41と受注競争を行っている。 (2105-032405)

UAE に Chunmoo MRL

 UAEのアブダビで、7つの宗主国が1つの連合国家UAEの統一されて32年となることを記念した3月4日の式典で、韓国Hanwhad社製Chunmoo MRLが披露された。
 Chunmooはロケット弾ポッドを2個車載したシステムで、そりぞれのポッドは130mm無誘導弾20発、239mmミサイル6発、400mmミサイル2発、または射程290kmの600mmミサイル1発を装填できる。 ただ大口径ロケット弾については量産に入っているのか否かは定かでない。
 式典に参加したChunmooは6発装填ポッドを2個搭載していた。 (2105-031712)

豪陸軍に K-9 SPH 30門

 韓国DAPAによると、オーストラリアが12月13日の豪韓首脳会談に合わせてキャンベラで、Hanwha社とK-9 SPH売買契約を締結した。
 オーストラリアはK-9 SPH 30門とK-10弾薬運搬車15両をKRW900Bで購入する。 K-9は2020年9月に豪陸軍のSPH装備計画で単独優先交渉対象装備に選定されていた。
 K-9は、韓国と6ヵ国で1,700門が採用されており、これまでトルコ、ノルウェー、フィンランド、エストニアなどに輸出されたほか、エジプトへの輸出の協議も進行している。 (2201-121302)

4・3・5・4 先端技術の開発

反応性金属材料

 韓国ADDが8月10日、新しい反応性金属材料 (reactive metal material) を独自に開発した。
 この物質は非爆発物の粉末であるが、高温高圧をかけると火薬のように爆発する性質があり、弾頭の外殻などに使用されるという。 (2110-082506)

4・3・6 対外関係

4・3・6・1 対米関係

4・3・6・1・1 戦時作戦統制権の移管問題

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・3・6・1・2 在韓米軍の縮小問題

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・3・6・1・3 米韓安全保障協議

米韓 2-plus-2

 バイデン米政権のブリンケン国務長官とオースティン国防長官が、政権発足後初の外遊として日本と韓国を訪問し、それぞれの国で外務防衛担当閣僚会合 (2-plus-2) に臨んだ。
 日米は会談後に発表された共同文書で、中国を名指しして「ルールに基づく国際体制を損なうインド太平洋地域の他者に対する威圧や安定を損なう行動に反対する」と批判、日米が連携して中国に対峙していく姿勢を鮮明にした。
 一方、その翌日にソウルで開かれた米韓2-plus-2後の共同声明は、日米の発表とはあまりにもかけ離れていた。
 米国にとって最優先事項のはずの「中国」と「北朝鮮の非核化」の文字が抜け落ちていたのだ。 (2104-032001)

定例安保協議 (SCM)

 オースティン米国防長官と徐韓国国防相が12月2日にソウルで定例安保協議 (SCM) を開き、核ミサイル開発を進める北朝鮮に対応するため、朝鮮半島有事の際の作戦計画を見直すことで合意した。
 韓国国防省によると、今回の協議では作戦計画の見直しに向けて、新たな戦略企画指針 (SPG) が承認され、今後両国軍は承認されたSPGに基づき、現状の作戦計画をBM攻撃にも対応できるように更新する。 (2201-120306)

4・3・6・1・4 米韓合同演習

2020年12月7~11日: 合同航空演習の戦闘準備態勢総合訓練

 韓国軍関係者が1月6日、韓国軍と米軍が2020年12月7~11日に合同航空演習の戦闘準備態勢総合訓練を実施したことを明らかにした。
 同関係者によると、韓国空軍のF-15KとKF-16、米空軍のF-16など韓国に所在する航空部隊が参加し、海外から動員された部隊はなく、演習の規模と形は例年の水準だった。 (2102-010603)

3月 8~18日: 上半期の米韓連合演習

 米韓軍が3月8日午前に朝鮮半島の有事を想定した合同指揮所演習を18日までの予定で、コンピューターシミュレーションにより開始した。
 COVID-19の状況を考慮して、演習の規模は縮小しており、野外機動演習などは行わない。 演習規模の縮小には、北朝鮮への刺激を避けたいという文政権の意向が反映されたとの見方もある。
 2020年春の合同演習はCOVID-19の感染拡大で中止されている。 (2104-030802)

 韓国軍合同参謀本部が3月7日、今年上半期の米韓連合演習を3月8~18日の9日間の日程で実施すると発表した。
 実際の兵力や装備を使用する屋外の実員演習は実施せず、コンピューターを使った指揮所演習 (CPX) だけが行われる。
 米韓両国は南北首脳会談が行われた2018年以降、4年にわたり実員演習を実施していない。
 今回は米軍の増員兵力など参加人員を最小限に抑え、また防御から反撃に移行する形では実施しないという。 ある韓国政府関係者は、文大統領が北朝鮮の反発を過度に意識し、反撃演習は準備の段階で終わらせるかもしれないと述べている。 (2104-030803)

 3月8日から始まった米韓合同軍事演習は、前半の防御段階を終え後半の反撃段階に入った。
 米韓演習の終了日の前日である17日にはオースティン米国防長官の訪韓があり長官の視察の可能性があがっているが、COVID-19感染症事態のため不透明な状況である。 (2104-031501)
【註】今回の米韓演習は防御段階のみで、毎回行われてきた反撃段階への移行はないと報じられていた。

8月: 米韓合同軍事演習

 韓国国防部報道官が5月27日、8月実施が予定される米韓合同軍事演習について、演習の時期、規模、方式などは確定していないとしたうえで、今まで下半期の演習では野外機動演習はなかったと述べた。
 演習はCOVID-19の状況や戦闘準備態勢の維持、米軍主導の韓米連合軍が持つ有事作戦統制権の韓国軍への移管、朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和定着のための外交努力支援などを総合的に考慮して決める方針という。 (2106-052801)

 南北通信線の回復により8月行われる米韓合同軍事演習の実施が注目される中、韓国国防部は米国と緊密に協議中という立場を繰り返している。
 韓国国防部報道官は7月29日、南北間の通信線再稼働による演習の中断や縮小を観測している報道についての質問に対し、下半期の合同指揮所訓練の時期、規模、方式はまだ確定されていないと答え、COVID-19感染の拡散状況、連合防衛態勢の維持や戦時作戦統制権についての調整、朝鮮半島非核化と恒久的平和定着のための外交的努力支援などを総合的に考慮して、米韓間で緊密に協議していると強調した。
 北朝鮮が2020年6月に一方的に遮断した南北間の通信回線が13ヵ月ぶりに回復したことで、軍の内外では北朝鮮が反対している米韓合同演習の延期や規模の縮小の可能性が取りざたされている。 (2108-073003)

米韓合同軍事演習、突然の規模縮小

 韓国軍が8月6日、米韓合同演習への参加を準備している一部の陸海空軍および海兵隊の各級部隊に「来るな」という指示を下したことが分かった。
 また、米韓軍事作戦の核心である反撃訓練は省略する可能性が浮上している。
 今回の合同演習は、当初から例年より規模を縮小してコンピューターシミュレーション形式でのみ実施する予定だったが、それすらも半分の半分へとさらに削られ、有名無実化される。
 韓国軍は、表向きはCOVID-1の状況を理由に挙げているが、結局は北朝鮮の金与正氏の「合同演習は面白くない前奏曲になるだろう」という警告以降、与党側から起こった演習延期要求に押されたものとみられる。 (2109-080703)

 韓国政府が、8月16~26日に予定されている米韓合同軍事演習で、韓国軍側だけ参加人数を急遽減らす方向で米国側と調整に動いている模様である。
 演習準備が始まった段階で、韓国軍だけが規模を縮小するのは異例である。
 南北対話再開を模索する与党「共に民主党」内で演習の延期論が高まったため、米韓同盟を重視する文政権が板挟みの中で考えた苦肉の策だが、規模を縮小しても演習が実施されれば北朝鮮の反発は必至で、南北関係は再び暗転する可能性がある。
 今回の演習は指揮所演習で、COVID-19感染再拡大も踏まえて野外機動訓練は行わず、元々大幅に規模を縮小する予定だったが、韓国軍消息筋によると韓国側はその後も追加で縮小案を検討した。 (2109-080708)

米韓合同軍事演習、事前訓練開始

 米韓軍が米韓合同8月10~13日の日程で米韓合同演習の事前演習となる米韓合同危機管理参謀訓練 (CMST) を行う。
 公式演習の日程に含まれない韓国軍合同参謀本部主導の訓練だが、北朝鮮の金委員長の妹である金党副部長が批判した朝鮮半島有事を想定した米韓合同演習が事実上スタートしたことになり、北朝鮮の反応が注目される。
 16~26日に予定されている米韓合同本演習の合同指揮所演習も演習のための増員を行わず、参加兵力を従来より抑えるとされるが、米韓合同第1部防御、米韓合同第2部反撃としたシナリオは変更せずにた指揮所演習を実施する。
 戦時状況を想定した演習となるため、有事作戦統制権を持つ米韓連合軍司令官(在韓米軍司令官兼務)ラカメラ米陸軍大将が統裁する。 (2109-081001)

米韓合同軍事演習開始

 韓国軍が8月15日、米韓合同演習を16日から実施すると発表した。
 韓国軍によると、演習は16日から9日間の日程で、シミュレーションを中心に規模も縮小して行われる。
 理由についてはCOVID-19流行に加え、朝鮮半島の平和定着のための外交努力を考慮したとして、北朝鮮に配慮したことを示唆している。 (2109-081601)

米韓空軍定例合同訓練

 聯合ニュースによると、米韓空軍が11月1日に定例の合同訓練を開始した。
 この訓練は非公開で5日まで実施され、両軍の戦闘機などがそれぞれ100機程度参加するが、米本土からの展開はないという。
 米韓空軍は以前、毎年12月ごろに大規模な合同訓練を行っていたが、南北、米朝首脳会談が行われた2018年以降、規模を縮小している。 (2112-110101)

4・3・6・1・5 その他の米韓関係

対北ビラ散布禁止を表現の自由制限と糾弾

 米国務省が3月30日に各国の人権状況をまとめた2020年版の報告書を発表し、韓国については、北朝鮮を非難するビラ散布を禁止する法律が成立したことなどを表現の自由の制限として言及した。 (2104-033101)

駐留経費負担問題

 米韓が3月18日、向こう6年間の駐留経費負担に関する特別協定 (SMA) に合意した。 (2105-032406)

クワッド参加拒否

 日米韓3ヵ国安保室長会議で浮き彫りになった、北朝鮮や中国に対する文政権とバイデン政権の姿勢の違いがさらには中韓外相会談で表面化していて、4月2日に中国外交部の王部長と会談するため中国に向かった韓国外交部の鄭長官は出国の際に、朝鮮半島平和プロセスを進展させるためには中国との協力が非常に重要だと述べた。
 そのわずか数時間前にバイデン政権のある高官は、中国を牽制する日米豪印の4ヵ国連合体クアッドに「韓国の参加をいつでも歓迎するだろう」とコメントした。
 文政権は南北対話の再開に死活をかけ、米中間で綱渡りを続けているが、バイデン政権は北朝鮮の非核化と中国牽制に焦点を合わせ、これに韓国も参加するよう圧力を加えている。 (2105-040302)

黒海での多国間演習 Sea Breeze 21 招請拒否

 米国が6月28日から7月10日まで黒海でウクライナ海軍と主管する多国間演習Sea Breeze 21を実施する。 この演習には32ヵ国から5,000名と、艦艇32隻、航空機40機が参加し、上陸作戦や陸上機動戦、水中浸透作戦、対潜水艦戦、捜索救難作戦などを実施する。
 米6艦隊司令部は6月21日、公式発表資料に韓国を参加国に明記したが、韓国国防部と海軍は「韓国軍は訓練に招請されているが、合同訓練に参加および参観の計画はない」と答えた。
 韓国はこれまでこの訓練にオブザーバー資格としても参加したことはないと伝えたというが、ロシアとの関係など朝鮮半島の戦略的環境を考慮しただけでなく、黒海まで艦艇を送る環境が整っていないと分析されている。 (2107-062301)

在韓米軍と文政権の軋轢

 2021年7月に離任したエイブラムス前在韓米軍司令官兼米韓連合司令官が12月25日にVOAとのインタビューで、2018年11月に就任して北朝鮮の核やミサイル高度化などに対応した米韓連合作戦計画の改訂に向け新たな戦略企画指針 (SPG) の承認を韓国国防部に要求したが、受け入れられなかったと述べた。
 エイブラムス氏は北朝鮮の新たな脅威としてSRBM、向上した砲弾体系、SLBM、GLCMなどを挙げ、この種兵器は最後にSPGが修正された2010までは存在していなかったと説明した。
 その後も新作計の必要性に関する評価を韓国国防部と米国防長官室に提供したが、2020年4月に韓国国防部は連合司令官として私が必要とするものを支援しなかったと述べた。 (2201-122702)

 韓国国防部がエイブラムス前在韓米軍司令官が朝鮮半島有事の際に適用する新たな作戦計画に中国に対する対応案も盛り込むべきと主張したことに対し「極めて意外」としながら個人的な意見にすぎないと明らかにした。
 エイブラムス前司令官は12月25日にVOAとのインタビューで漸増する中国の脅威に対応して韓米が新たな作戦計画に中国対応案を盛り込むべきと主張していた。 (2201-122707)

4・3・6・2 対中関係

対中気遣い

 台湾が12月21日、韓国が台湾の唐鳳(オードリー・タン)政務委員(閣僚)を会合に招待して講演を予定しながら、両岸関係を理由に中止したことを受けて韓国に抗議したと発表した。
 台湾外交部によると、台湾のデジタル政策を担当する唐政務委員は16日にソウルで開かれた会合で講演する予定だったが、主催者は「両岸関係の各側面」を理由に講演を中止した。 (2201-122104)

4・3・6・3 対露関係

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・3・6・4 対欧関係

ドイツ

 韓国国防省が5月26日、韓国とドイツが防衛および安全保障のキーパートナーとして協力関係を深めることに合意したと発表した。 (2108-060202)

英 国

 韓国海軍が8月12日、月末に釜山に寄港予定の英空母Queen Elizabethを旗艦とするCSG所属の原子力潜水艦Artfulが補給整備のため11日に釜山に入港したことを明らかにした。 (2109-081202)

4・3・7 日韓関係

4・3・7・1 日韓の対立

4・3・7・1・1 竹島問題

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・3・7・1・2 五島列島沖の EEZ

 1月11日03:25ごろに長崎県五島列島の南西に位置する女島から西方140kmの東シナ海で、日本の排他的経済水域 (EEZ) 内で海洋調査をしていた海上保安庁の測量船昭洋に対し、韓国の海洋警察庁所属船が接近し「ここは韓国の海域だ」として、調査の中止を繰り返し要求した。 (2102-011105)
4・3・7・1・3 防衛協力の拒絶

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・3・7・1・4 非友好国と見た対日認識

 韓国の文政権で2回目となる2020年版の国防白書では北朝鮮について敵との記述が盛り込まれなかった。 また、強固な米韓同盟を強調するなか、米軍主導の韓米連合軍が持つ有事作戦統制権の韓国軍への移管を加速化させるとした。
 一方、従来パートナーとして位置づけていた日本は隣国と記述するにとどめた。 (2103-020205)

 韓国大統領府が12月26日、最近激しい議論になっている軽航空母艦 (CVX) 建造計画について文大統領が「北朝鮮に対する抑止力のためだけに必要というわけではなく、強大国に挟まれた韓国の自主のために必要だ」との考えを示したことを明らかにした。 (2201-122705)

4・3・7・2 日韓の接触

日米韓外相会談

 日米韓3ヵ国がロンドンで5日午前(日本時間同日夕)にバイデン米政権発足後初めてとなる日米韓外相会談を開催した。
 米政権による対北朝鮮政策見直し作業の完了を踏まえ、北朝鮮の完全非核化への決意を再確認し、北朝鮮に国連安全保障理事会決議の下での義務に従うよう求める方針で一致した。 また北朝鮮政策を具体的に進める際には、3ヵ国で緊密に連携すると申し合わせた。 (2106-050506)

日韓外相会談

 主要7ヵ国 (G7) 外相会議出席のためロンドンを訪れている茂木外相が5日午前に韓国の鄭外相と初めて会談した。 日本外務省の発表によると、茂木氏と鄭氏の会談は20分間行われた。
 元慰安婦問題などで両国関係の冷え込みは続いており、対面での日韓の外相会談は2020年2月以来となった。 (2106-050507)

日米韓情報機関トップ会談

 日米韓3ヵ国の情報機関トップによる初の会談を5月中旬に日本で開催する方向で最終調整されている。
 政府関係者によると、来日するのはヘインズ国家情報長官と韓国国家情報院の朴院長で、日本の瀧澤内閣情報官がホスト役を務める見通しという。
 バイデン政権の発足後、日米韓の安全保障担当補佐官協議や外相会談などが相次いで開かれているが、日韓関係の改善を目指す米政府の意向があるとみられる。 (2106-050801)

4・3・7・3 2022年韓国大統領選挙

 2022年3月の韓国大統領選で、保守系最大野党国民の力の候補である尹前検事総長の陣営関係者は、半導体などの経済安全保障を日韓、日米韓の新たな協力テーマと位置付ける考えを明らかにし、日韓、日米韓協力の強化を主張している。
 与党共に民主党候補の李前京畿道知事は、「日本は信頼できる友好国なのか」と語るなど警戒心を隠していない。 (2201-120305)
4・4 台 湾

4・4・1 国内環境

4・4・1・1 親米、反中感情の高まり

国民投票で政府与党が勝利

 成長促進剤のラクトパミンを飼料に使った米国産豚肉輸入禁止案と第4原発建設再開案などを巡って12月18日に行われた台湾の国民投票(住民投票)で、有権者は蔡総統の民進党が反対してきた4案件全てに反対票を投じた。
 有権者は中国ではなく米国を選び、政府与党を後押しして世論が終盤にひっくり返り、劇的な勝利となった。 (2201-122002)

4・4・1・2 台湾の地位

海巡署警備艦に TAIWAN の標記

 台湾総統府報道官が2月17日、蔡総統が海上保安庁に相当する海洋委員会海巡署が保有する大小4隻の警備艦の側面にTAIWANの文字を追加するよう指示したことを明かした。
 同署によれば、塗装は2021年1月に始められ、現在では500t級1隻、1,000t級2隻、2,000t級1隻で作業が完了して、今後引き続き、225隻に同様の塗装を施すという。 (2103-021703)

環太平洋連携協定 (TPP) への加入申請

 台湾政府が9月22日、環太平洋連携協定 (TPP) への加入を正式に申請したことを明らかにした。
 行政院報道官によると、全ての加盟国に申請を伝えた上で、加入への支持を要請した。 23日にも詳細を説明する。
 TPPをめぐっては、蔡総統ら政権幹部がこれまで参加希望を繰り返し表明して関係国と非公式に交渉してきたが、16日に中国が申請を発表し先を越された格好となり対応を急いだもようである。
 台湾は主に中国の介入により、国際的な経済枠組みから除外され、ニュージーランドやシンガポールなど一部の国と自由貿易協定 (FTA) を締結するにとどまっている。 (2110-092207)

4・4・1・3 米国の立場

台湾独立支持せず、米高官

 米国家安全保障会議 (NSC) でインド太平洋政策を統括するキャンベル調整官が7月6日にシンクタンクでの講演で、台湾との「強力で非公式な関係」を支持するも独立は支持しないと明言し歴代米政権が踏襲してきた「一つの中国」政策は変更しないという立場を確認した。
 一方でキャンベル調整官は、COVID-19など感染症対策で台湾が国際的役割を果たすよう望むとも語った。
 ロイタ通信によるとキャンベル調整官はまた、バイデン大統領が2021年中に、Quad首脳会議を主催すると改めて表明し、同会議でCOVID-19ワクチンやインフラ投資への断固たる関与が実現すると語った。 (2108-070603)

台湾を中国の一部とした地図の作成を禁止、米下院

 米下院が7月28日、FY22の国務省対外活動関連計画歳出法案を可決した。
 同法案は賛成217、反対212で可決され、今後上院に送られて可決されればバイデン大統領の署名を経て成立する。
 この日の議会では、共和党のティファニー議員やシャボット議員ら親台派議員5人が法案に、政府に対して台湾を中国の一部とした地図の作成などを禁止する修正案を提出した。
 修正案は口頭による採決の方式で全会一致で可決され、歳出法案に盛り込まれることが決まった。 (2108-072903)

4・4・1・4 防衛計画

4年ごとの防衛計画の見直し

 台湾国防部が4年ごとの防衛計画の見直しを行い、今後の重点として長距離攻撃の能力の向上を挙げ「射程を大幅に伸ばしスタンドオフ攻撃できる空中発射型ミサイルを増強するなど、重層的な抑止力を打ち立てる」としている。
 また、今回の見直しでは武力攻撃に至らない、いわゆるグレーゾーン事態への対応について新たに1つの章を立てた。 更に中国が世論操作で人々の不安をあおろうとしたり、サイバ攻撃を繰り返したりしており、警戒を強化する必要があるとしている。 (2104-032103)

4・4・1・5 国防予算

2022年の国防費は小幅増額

 台湾の行政院が8月26日発表した2022年の国防予算はTWD471.7B ($16.89B) と小幅な増額にとどめた。
 2021年の国防費はTWD453.4Bだったことから、伸び率(註:4%増)は今年の10%を下回る。
 TWD401.B ($1.44B) を新規の戦闘機購入に充てる。 (2109-082603)

2021年度国防報告書と2022年度の予算書

 台湾国防部が8月31日、中国の軍事力に関する2021年度の報告書を公表すると共に、2022年度の予算書などを立法院に送った。
 中国の電子戦能力について、例年の報告書では「台湾の防空、制海、反撃作戦を麻痺させる初歩的な体系を備えている」との言及にとどめていたが、2021年度は「第1列島線以西の地域に対して物理的・非物理的電子攻撃を行い、通信を遮断無効化する能力を有している」との指摘が記載された。
 上陸能力については、2020年度の報告書では「現段階では大規模に上陸作戦を実施する能力を完全には備えてない」との見方を示していたが、2021年度は上陸用車両や後方支援態勢は依然として不十分だとしつつも、各種の海空戦略の装備に引き続き力を入れると同時に、ヘリを運用した立体上陸や多次元的、スピーディーに上陸する多維双超の作戦力を加速度的に向上させていると指摘している。 (2109-083108)

 台湾が8月26日、前年比4%増のTWD471.7B ($16.8B) となる2022年国防費を要求した。 GDPの2.3%になる。
 この中にはM142 HIMARS、AGM-84H SLAM-ER、MS-110多波長偵察ポッドの購入や、T-5高等練習機の調達、2020年11月に建造が開始された通常動力潜水艦などが挙げられている。 (2111-090808)

 中国からの深刻な脅威に直面する台湾が、軍備増強が急務だとして今後5年間でTWD240B ($8.69B) の国防費を追加する。
 2022年のTWD471.7Bの国防予算に追加されるが、問題なく議会で承認される見通しである。 (2110-091608)

2,400億台湾元を上限とする武器購入の特別条例

 台湾立法院が11月23日、海空の戦力増強のため武器の購入に関する特別条例を可決した。 特別予算の上限は2,400億台湾元(9,900億円)としている。
 可決された条例ではミサイルや艦船、搭載する武器などを主に自国で生産するとし、海空の防衛力と統合作戦の効果の向上を図ることを目的とするという。
 地対艦ミサイルは、現有の雄風-2や雄風-3の拡充を図る他、射程延伸型雄風-3を量産し、2026年までに台湾各地に配備する。
 沱江級コルベット艦の量産、SAMやUAV、AAMなどの開発、製造も続けていく。 (2112-112304)

4・4・1・6 対大陸政策

中国製情報通信製品の使用禁止

 米国が、中国の情報技術 (IT) 企業制裁に同盟国を引き入れている中で、台湾もこれ賛同しているという報道が出た。
 自由時報など台湾メディアが8月8日、台湾行政院が全ての公共機関に、2021年末まで中国製情報通信製品の使用を禁止する公文書を発送したと報じた。
 年末までに交換が不可能な場合はその理由と交換完了時期などについて、当局に報告しなければならないという。
 今回の制裁対象には、ファーウェイ (HUAWEI) 製品だけでなく、世界最大の監視装置メーカーである、ハイクビジョン ((Hikvision) 製品なども含まれていると伝えられている。
 台湾行政院の5月統計によると、台湾の公共機関2,596ヵ所で19,256個の中国製情報通信製品を使用している。 (2109-080803)

4・4・1・7 漢光37号年次演習

Kid級駆逐艦4隻による演習

 台湾が9月に中国の侵攻を想定した定例演習漢光37号を行うのを前に、海軍168艦隊は24日までにKid級駆逐艦4隻による演習を行った。
 演習では艦隊がPhallanxで模擬ミサイル迎撃をする光景や、MK45 5吋砲 の実弾を発射する様子を捉えた写真も公開された。
 Kid級駆逐艦は、満載排水量が9,000tと同軍の主力艦として最大で、台湾は4隻を保有している。 (2109-082504)

4・4・1・8 予備役の強化

 台湾の国防部が11月2日、予備役部隊の戦闘演習や射撃演習などを来年から強化する方針を示した。
 国防部は、2022年から一部の予備役に義務付ける招集訓練を現行の5~7日間から14日間に延長する。 対象は2022年に訓練する予備役110,000名の13%とされ、さらに対象を広げるかは今後決定する。
 また射撃演習では弾量を2倍に増やし、戦闘訓練を半日から56時間に拡大する。
 邱国防部長は10月、中国との緊張関係が過去40年以上で最悪の状態にあるとの見解を示している。 (2112-110202)
4・4・2 米台関係

4・4・2・1 台湾の地位

4・4・2・1・1 台湾との緊密な関係を維持

要人の訪台

 ポンペオ米国務長官が1月6日、クラフト国連大使が台湾を訪問すると発表した。 ただ、訪問する時期は明らかになっていない。
 長官はまた、香港民主派の前立法会議員ら53人が逮捕されたことに触れ、関与したすべての個人と団体に対して制裁を検討することを明らかにした。
 中国外務省は7日、一つの中国の原則に著しく違反しているなどと強く反発している。 (2102-010801)

 米国務省が1月12日、順調な政権移行のため、ポンペオ長官のベルギー訪問など、1月中旬に予定されていた全ての外遊をキャンセルすると発表した。
 これに伴いクラフト米国連大使の台湾訪問が中止になった。 (2102-011304)

 クラフト米国連大使が1月14日、予定されていた台湾訪問が中止されたことから、蔡総統とビデオ通話で会談した。
 米国は政権移行を1週間後に控え、クラフト大使の訪台や、ポンペオ国務長官の欧州歴訪を直前になって中止した。 (2102-011404)

米国務省が台湾との緊密な関係維持を鮮明化

 米国務省が1月23日の声明で、中国に対して台湾への軍事外交経済的圧力を停止し、台湾の民主的に選ばれた代表者と有意義な対話を行うよう促すと表明し、十分な自衛能力を維持するよう台湾を支援していくとし、台湾との緊密な関係を維持する意向を鮮明にした。 (2102-012403)

インド太平洋軍司令官の認識

 米インド太平洋軍司令官のデービッドソン海軍大将が3月4日に米シンクタンクで講演し、インド太平洋地域で米国と同盟国が直面している最大の危険は中国による従来の抑止力に対する侵食だとの見解を示し、日本などの同盟国と連携して米軍の抑止力を強化する重要性を強調した。
 中国の急速な軍拡で地域での軍事バランスが不均衡になっていると指摘し、高度な装備を持つ統合部隊の配備などが必要だと主張した。
 また、中国軍による台湾周辺での威嚇的な飛行についても深刻に懸念しているとし、台湾への軍事支援や武器売却を進める考えを示した。 (2104-030503)

 米インド太平洋軍司令官のデービッドソン海軍大将が3月4日に米シンクタンクAEIのオンライン対談で、台湾の防衛力増強を支持、支援し、台湾への武器売却を続行する米国の姿勢を改めて示した。
 台湾海峡情勢に関する質問を受けたデービッドソン大将は、中国軍機が台湾周辺空域を飛行する頻度が最近増加し、台湾のADIZに進入することもあると指摘し、台湾の国防力増強につながる非対称戦力の提供が非常に大切だと訴えた。 (2104-030506)

駐日米臨時代理大使が台湾の駐日代表を大使公邸に招待

 ヤング駐日米臨時代理大使が3月4日、台湾の駐日大使に相当する台北駐日経済文化代表処の謝代表を大使公邸に招待したと自らのツイッターに投稿した。 台湾との断交以来、初めてだという。
 地域の安定や経済の繁栄など、幅広いテーマにわたる共通の優先事項について意見交換した。
 台北駐日経済文化代表処もツイッターで謝代表が2日に大使公邸を訪れたことを明らかにした。 (2104-030509)

日米 2-plus-2 と台湾

 日米両政府が3月16日に開いた外務防衛担当閣僚会合 (2-plus-2) で、来日したブリンケン国務長官とオースティン国防長官は日本との同盟を重視する考えを繰り返し強調した。
 米国が中国の尖閣周辺での領海侵入に厳しい姿勢を示す視線の先には台湾がある。
 米インド太平洋軍司令官のデービッドソン海軍大将は9日の上院軍事委員会で、「台湾への脅威はこれから6年以内に明らかになるだろう」と証言し中国による台湾侵攻の可能性を訴えた。
 台湾有事となれば台湾に最も近い沖縄の米軍基地が重要な役割を果たすことから、米国が東シナ海に積極的に関与する姿勢をみせるのは、こうした差し迫った事情もある。 (2104-031702)

パラオ大統領の台湾公式訪問に駐パラオ米国大使が同行

 パラオのウィップス大統領が3月28日に台湾を公式訪問した際には、駐パラオの米国大使も同行した。 (2104-032901)

バイデン大統領が非公式代表団を派遣

 ロイタ通信が、バイデン米大統領が4月13日に元上院議員と元政府高官など3名による非公式代表団を台湾に派遣したと報じた。
 同通信によると、ドッド元上院議員、国務省副長官を歴任したアーミテージ氏、大統領副補佐官を務めたスタインバーグ氏の3名が、バイデン大統領の要請により台湾へと出国した。
 バイデン政権の高位関係者は非公式代表団の派遣は、台湾関係法制定の42周年(4月10日)に合わせたという。 (2105-041406)

 台湾の蔡総統が4月15日、バイデン米大統領の要請で台湾を訪問しているドッド元上院議員やアーミテージ元国務副長官ら米代表団と総統府で会談した。
 ドッド元上院議員は、バイデン政権が頼りがいのある、信頼できる友人である台湾の自衛への投資を支援すると述べた。 また、米国と台湾のパートナーシップは「かつてないほど強力だ」とも発言し、今回の訪問はバイデン大統領の台湾に対するコミットメントを再確認するものだと述べた。
 蔡総統は、できる限り早期に米国との貿易交渉を再開したいとも発言した。
 台湾は以前から米国との自由貿易協定の締結を目指している。 (2105-041604)

「米軍用機が台湾に来れば戦争」?

 米国が台湾に提供する75万ダースの新型ワクチンとダックワース議員(民主)、サリバン議員(共和)、クーンズ(民主)連邦上院議員を乗せた米空軍C-17が6月6日に台北松山空港に着陸した。
 米上院議員が軍用機に乗って台湾を訪問したことから、現地では中国の対応に関心が集まった。
 中国国営環球時報は1年前に社説で、「米軍用機が台湾に離着陸すれば台湾海峡の戦争はその時に始まる」と脅迫していたが、7日の環球時報は立場を変えて「台湾当局が米国上院議員というわらをもつかむ」と題した社説を掲載した。 (2107-060702)

バイデン政権台湾政策の方針

 米国家安全保障問題担当のサリバン大統領補佐官が4月30日にAspen研究所の催しで、中国が台湾への軍事圧力を強めていることについて、習国家主席が中国の長期的な威信や安定には圧力強化が不可欠と考えたのだろうと指摘し、習国家主席は台湾への圧力強化を外交政策の核に据えたと分析した上で、台湾の防衛能力強化に向けた支援を続ける考えを強調した。 (2106-050102)

 ロイタ通信が、米国家安全保障会議 (NSC) でアジア政策を統括するインド太平洋調整官のキャンベル氏が5月4日、米国が台湾防衛の意思を明確にすれば重大な不都合が生じると述べ、従来の戦略的曖昧さを維持すべきだと主張したと報じた。 (2106-050505)

中国大使よりも先に台北事務所長を任命

 米国の対台湾窓口機関である米国在台協会 (AIT) が7月6日、次期台北事務所長オードカーク国務次官補代理が就任すると発表した。 7月中旬に任期満了で離任する所長の後任として夏に着任する予定という。
 バイデン政権は依然として次期駐中国大使を指名しておらず、大使職は前大使が2020年10月に離任して以降空席となっている。 バイデン政権としては中国大使よりも先に台北事務所長を任命することで、台湾重視の立場を改めて打ち出す狙いもあるとみられる。 (2108-070804)

台湾陸軍司令官が率いる代表団が訪米

 台湾陸軍司令官の徐大将が率いる代表団が、ハイレベルの軍事交流を行うために米国を訪問している。
 10月9日に出発した代表団は大将1名、少将2名、大佐5名で構成され、ワシントンD.Cで開催される米陸軍協会 (AUSA) の年次総会と博覧会に出席する。 滞在中には国防総省当局者と会談する。
 その後ハワイでインド太平洋軍司令官アキリノ海軍大将及び太平洋陸軍司令官フリン大将と会談し、2022年の2国間協力に関する事項について話し合う。 (2111-101203)

米国務長官が台湾の国連参加支持声明

 国連での中国の代表権を認めた「アルバニア決議」の採択から50年を迎えた10月25日の翌日にブリンケン米国務長官が声明を出し、台湾の国連組織への参加を支持する立場を表明した。
 ブリンケン長官は声明に、台湾は民主化に成功しており情報の透明化や人権、法治の尊重は国連の価値観と一致するとしたうえで、「台湾の国連組織への有意義な参加は政治的問題ではなく、実務的な問題だ」とも記した。
 一方で長官は、これは米国の「一つの中国」政策と合致したものだとした。 (2111-102704)

上院共和党議員が台湾支援法案を提出

 米上院共和党議員が11月4日、台湾の対中防衛能力を強化するため年間$2Bを台湾に提供する台湾抑止力法案を提出した。
 無償供与や融資を通じて、米国製の武器など防衛装備の購入を2032年まで支援する。
 法案には現行の武器輸出管理法を修正し、米企業が台湾に武器を売却しやすくする条項も盛り込まれると共に、台湾の対中防衛戦略を毎年調査することも義務付けている。
 また台湾との軍事交流も強化し、台湾の軍人が米国で軍事教育や技術訓練を受ける機会を増やす。
 民主党がこの法案にどのような見解を示すかは現時点で不明だが、台湾支援は上院で超党派の支持を集める数少ない課題の一つである。 (2112-110503)

上下両院議員団の訪台

 台湾メディアによると、米国の上下両院議員の一行を乗せた専用機が11月9日夜に台北市の松山空港に到着した。
 台湾外交部は米代表機関、米在台協会台北事務所が管轄しているとして訪台の目的など詳細について公表を避けた。
 台湾メディアなどによると、軍事活動を活発化させている中国の動向について情報交換する可能性があり、専用機はマニラから到着した。
 一方中国軍は台湾海峡に向けた戦闘準備のための警戒パトロールの実施を発表した。
 対抗措置とみられ、台湾国防部は9日にJ-16やY-8 ASW機など計6機が同日に台湾の防空識別圏に進入したと発表した。 (2112-110907)

バイデン大統領が対台湾政策の維持を表明

 台湾外交部が11月16日、バイデン米大統領が中国の習国家主席とのオンライン会談で台湾について言及し米国の対台湾政策に変更がないことを習氏に伝えたことに対し、バイデン大統領への謝意を表明した。
 バイデン大統領は会談で、米台関係の基礎となる台湾関係法や米中3つのコミュニケ、台湾への「6つの保証」によって導かれる一つの中国政策を堅持し、両岸の現状を一方的に変更、あるいは台湾海峡の平和と安定を破壊する行為に強く反対する米国の立場を強調した。 (2112-111613)

上下両院超党派議員団が3回目の訪台

 台湾メディアによると、11月25日夜にタカノ米下院議員を代表とする超党派の台湾訪問議員団が米軍の専用機を使って台北市に到着した。
 米国が台湾に議員団を送るのは11月2度目で、議員団は26日に国防部を訪れ、蔡総統らと意見交換をするという。 (2112-112509)

 台湾の蔡総統が11月26日に米下院議員団と総統府で会談し、台米双方の継続した努力によって協力関係にさらに豊かな成果をもたらせるよう期待を寄せた。
 2021年に入って3組目になる訪台米議員団は退役軍人委員長を務める民主党のタカノ下院議員ら超党派の下院議員5人を含む17人で、19日に米国を出発して日本と韓国を訪れ、25日夜に米軍の専用機で台湾に到着した。 (2112-112607)

 中国PLAで台湾方面を管轄する東部戦区の報道官が11月26日夜に発表した談話で、同日に台湾海峡方面で持続的な戦闘準備の警戒パトロールを行ったと明らかにした。
 「目下の台湾海峡情勢に対処するのに必要な措置だ」としており、米国の超党派議員団による訪台への対抗措置とみられる。 (2112-112612)

米国は台湾の自衛能力維持に強くコミット=国務省高官

 東南アジアを歴訪中の米国務で東アジア・太平洋を担当するクリテンブリンク次官補が12月2日、中国が台湾を威嚇し圧力をかけているため、台湾が自衛能力を維持するために米国の支援がますます必要になっているとの認識を示し、米国は台湾の支援に強くコミットしていると述べた。
 中国からの脅威と圧力が増すにつれて、米国も適切な方法で対処する必要があるとして、「われわれは義務と約束を果たすつもりだ」と防衛と通商面での支援を挙げた。 (2201-120208)

台湾有事なら「恐ろしい結果」=国務長官

 ブリンケン米国務長官が台湾海峡情勢についてオンラインイベントで12月3日、中国がここ数年、軍事的挑発などで現状変更を試みていると非難したうえで、台湾有事は多くの人にとって恐ろしい結果をもたらすと警告し、中国の指導者が危機を助長しないよう極めて慎重に考えることを望むと語った。
 台湾有事への対応に関しては、台湾が自衛手段を持つことを保証する責務がわれわれにはあると述べるにとどめ、従来の米政府の方針に沿い具体的行動には言及しなかった。 (2201-120404)

FY 22NDAA て RIMPAC への台湾招待を提言

 米上院が12月15日、FY22国防権限法案 (NDAA) を88対11で可決した。 下院では7日に363対70で可決されており、バイデン大統領が署名して成立する。  米海軍主催の来年の環太平洋合同演習 (RIMPAC) への台湾の招待に関する提言や、台湾の非対称防衛戦略強化に対する支援計画の制定への呼び掛けなども盛り込まれた。 (2201-121605)

4・4・2・1・2 台湾の駐米代表部に対する位置づけ

台北駐米経済文化代表処代表への大統領就任式正式招待

 台湾の駐米代表部に相当する台北駐米経済文化代表処の蕭美琴代表が、1月20日のバイデン米大統領の就任式に正式招待を受けて出席した。
 台湾外交部は、台湾の代表が正式招待を受けて出席したのは国交断交後初めてだとし、米台が価値観の共有に基づき、緊密で協調的な関係にあることを浮き彫りにしたと称賛した。 (2102-012102)

台北駐米経済文化代表処代表の名称を台湾代表処に変更する検討

 英Financial Times紙が9月11日までに、米政府が台湾の在米大使館に相当する台北経済文化代表処の名称を台湾代表処に変更することを検討していると報じた。
 複数の関係者の話として同紙が報じたところでは、名称変更は台湾側の要請によるもので、国家安全保障会議(NSC)と国務省のアジア担当官から幅広い支持を得ているが、実現には大統領令が必要で、最終決定は下されていないという。
 台湾の表記が正式名称に入ることになり、実現すれば中国が一つの中国の原則に反すると反発するのは必至である。 (2110-091203)

4・4・2・1・3 国際機関への加盟支持

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・4・2・1・4 米沿岸警備隊と台湾海巡署の関係強化

 米台が3月26日夜、25日に沿岸警備作業部会を設立するとしたMoUを交わしたと台北で発表した。
 MoUは米沿岸警備隊と台湾海巡署の関係強化を図るもので、具体的には、規制に従わない漁業活動の取締りや捜索救難活動に協力して取り組むなどとしている。
 台湾の蘇行政院長は中国で海警局の船に武器の使用を認める「海警法」が施行されたことへの対応がねらいだという考えを示している。 (2104-032701)
4・4・2・1・5 台湾への米軍派遣

米特殊作戦部隊派遣の報道

 Wall Street Journal紙が10月7日、米特殊作戦部隊と海兵隊が秘密裏に台湾に派遣され、軍事訓練を施していると報じた。
 米当局者は、米軍部隊が少なくとも1年前から台湾で活動していると指摘している。
 当局者によると、米特殊作戦部隊とその支援部隊の計20数名は、台湾陸軍の小規模部隊に訓練を実施し、米海兵隊は台湾海軍に小型艇を使った訓練を行っている。
 いずれも巡回配備とされるが、ホワイトハウスや国防総省はコメントしていない。 (2111-100801)
【註】米特殊部隊の台湾派遣は最早既知の事実で、今までにも度々報道されている。

総統が米軍受け入れを確認

 台湾の蔡総統が10月26日にCNN TVのインタビューで、中国の脅威が日々増大していると述べるとともに、訓練目的で米軍部隊の派遣を受けている事実を初めて認めた。
 その際、蔡総統は米軍の規模については明言しなかったが「人々が思っているほど多くはない」とし、「われわれの防衛能力を高めるため、米国と幅広く協力している」と述べた。
 米メディアは今までに、米軍の特殊作戦部隊と海兵隊が秘密裏に台湾に派遣され、軍事訓練を施していると報じていた。 (2111-102803)

 台湾の蔡総統が10月28日までにCNNの単独取材に応じ、台湾軍の訓練のために米軍が駐留していることを認めた。
 蔡総統はCNN記者から駐留米軍の人数を尋ねられたのに対し、「人々が考えているほどは多くない」と答え、駐留を認めた。
 CNNは米政府の資料として、2018年の10名から2021年には32名に増加したと報じている。
 台湾への米軍の駐留はこれまで公然の秘密とされ、公には語られてこなかった。 (2111-102806)

 蔡総統が10月28日にCNNとのインタビューで、米軍の訓練要員が台湾に派遣されていることを認めたが、その規模は明らかにしていない。 (2201-111001)

4・4・2・2 米軍の台湾防衛能力

台湾防衛能力への疑念

 米シンクタンクCNASが報告書で、最近実施したCPXで台湾が実効支配する周辺の諸島を中国が制圧した場合、米国が中国との戦争勃発や事態の大規模な悪化のリスクを引き受けずに打ち出せる有効な対応策はほとんどないとの結論を導き出したとしている。
 CPXの舞台となったのは、台湾と香港の間の南シナ海に位置し、台湾軍500名が駐屯している東沙環礁であった。 (2111-102805)

台湾防衛能力への自信

 米統合参謀本部議長のミリー陸軍大将が国家安全保障に関するAspen Security Forumで11月3日、台湾が中国による攻撃を受けた場合、米軍には要請に応じて台湾を防衛する能力が確実にあると明言した。
 ミリー大将は、米国は台湾防衛に関する立場として「戦略的曖昧さ」を保持していると述べ、中国が台湾の制圧を試みた場合に介入するかどうかは大統領の判断になると説明した。 (2112-110401)

4・4・2・3 共同演習

米海兵隊特殊作戦軍との共同演習

 米海兵隊特殊作戦軍の隊員が2021年初めて台湾を訪問し台湾の特殊部隊と交流すると一部メディアで伝えられた。
 これに対し台湾国防部は6月2日、軍の防衛作戦は戦争を防ぐことを目標としているとし、関連の軍事訓練や交流はこれに基づいて指導や計画を行っていると説明し過度な憶測はやめるよう呼び掛けた。 (2107-060205)
【註】この記事では「米海兵隊が初めて台湾訪問」としているが、2020年11月9日にはTaiwan Newsが「高雄市の左營海軍基地で米海兵隊と台湾海兵隊の4週間にわたる共同訓練」と報じている。

海軍陸戦隊(海兵隊)がグアムで米軍と合同訓練

 台湾海軍陸戦隊(海兵隊)がグアムで米軍と合同訓練を行っていることが一部メディアで報じられたが、邱国防部長は11月2日にこれを認め、台湾と米国の交流の一環だと語った。
 報道によると、40名の陸戦隊員がグアムに派遣され、1ヵ月間で水陸両用上陸作戦の合同訓練が行われているという。
 邱国防部長はまた、陸軍が後方支援に必要な物資の購入に関する事務所を米国に設置していることを明らかにし、連絡官が常駐していると述べた。 (2112-110201)

 台湾の邱国防部長が、台湾国営中央通信社が11月2日に報じた台湾海兵隊員がグアムに派遣されたとの記事を認めた。
 派遣されたのは台湾海兵隊第99旅団の40名という。 台湾海兵隊には第66と第99の2個旅団と1個防空部隊がある。
(2201-111001)

4・4・2・4 米国の武器売却

台湾の潜水艦建造支援

 台湾の邱国防部長が3月17日、台湾が建造中の新たな潜水艦に搭載する機密技術の輸出を米国が承認したと述べた。
 また邱部長は議会で、台湾が南シナ海で実効支配する太平島への人員と兵器の配備を増強したと明らかにした。
 太平島はスプラトリー諸島で最大の自然島とされ、台湾は沿岸警備隊を派遣している。 (2104-031704)

バイデン政権初の武器輸出

 台湾の複数メディアが4月19日、米政府がバイデン政権では初めてとなる台湾への武器売却を近く承認する見通しになったと報じた。
 台湾のメディアによると、売却が予定されているのはM109 Paladin SPHで、米軍が配備を進めているモデルの一世代前のモデルである。
 台湾は今回SPH 100門以上の購入を予定し、2023年から2025年までに取得する計画だという。
 トランプ前大統領は昨秋から台湾への武器売却を加速させたが、バイデン政権も流れを受け継ぐ可能性がある。 (2105-041903)

 UDN(台湾四大新聞の一角を占める聯合報)が4月19日、バイデン政権がM109A6 Paladin SPH 40門を台湾へ売却すると報じた。
 米国防安全保障協力局 (DSCA) が近く議会へ報告するという。
 この契約は2019年にトランプ政権により進められようとしていたが、売却品目にM982 Excaliburが含まれていたためスウェーデンが止めていた。
 台湾機現在M109A2~M109A5 SPHとM114 155mm榴弾砲、M110A2 SPHを装備している。 (2105-042003)
【註】米陸軍は現在M109A7を装備している。

M142 HIMARS と HCDS の輸出

 台湾国防省が6月17日、米国在台湾協会と総額$1.75BでM142 HIMARSとHCDSをFMSで購入する契約を行ったと発表した。
 陸軍向けの長距離精密誘導システムは$346.3Mで2027年までに、海軍向けは$1,406Bで2028年に納入を完了するという。
 米国防安全保障協力局 (DSCA) は2020年10月に、国務省が台湾へM142 HIMARS 11両とHCDS 100両をそれぞれ$436.1Mと$2.37Bと推測される額のFMS契約で売却することを国務省が承認したことを明らかにしていたが、最終的にM142 11両とデータ処理装置17基、M57単弾頭型ATACMS 64発、RGM-84L-4 Harpoon Block Ⅱ 400発となった模様である。 (2108-063004)

SPH や弾薬補給車、バイデン政権初の台湾への武器売却

 バイデン米政権が8月4日、総額$750Mにのぼる台湾への武器売却を決め、米議会に報告したと発表した。
 SPH 40両や弾薬補給車20両などで、バイデン政権での台湾への武器売却は初めてである。 (2109-080403)

MS-110航空機搭載多波長偵察ポッドの売却

 台湾国防省が7月28日もMS-110航空機搭載多波長偵察ポッド6基をCollins社に$343Mで発注したと発表した。 納期は2029年3月15日と言う。
 MS-110は台湾が保有しているF-16A/BをF-16V Block 70/72に改良するPhoenix Rising計画の一部になっている。 (2110-081110)

AGM-158 JASSM 100発以上の売却要望

 台湾自由時報が10月16日、台湾がF-16V 66機の引き渡しを督促すると共に、AGM-158 JASSM 100発以上売却を求めていると報じた。
 2019年に売却契約が行われたF-16Vは、最初の2機が2023年に納入され、2026年までに完納されるが、台湾政府は射程370kmのJASSM 100発以上をNTD30B ($1.07B) で購入しようとしている。 (2111-101603)
【註】AGM-158 JASSMには射程が200nmとされる原型AGM-158Aと、射程が500nmとされる長射程型AGM-158B JASSM-ERがあるが、記事では射程が370kmとしていることから、台湾が導入を計画しているのはAGM-158Aと見られる。

4・4・2・5 米沿岸警備隊との連携

 台湾外交部が8月11日、台湾と米国が同日に沿岸警備に関する意思疎通や情報共有を行うワーキングチームの初会合をオンライン形式で開催し、漁業や合同海難救助などの面で意見交換したことを明らかにした。
 会議は海洋委員会海巡署(海上保安庁に相当)と米沿岸警備隊の間で行われ、今後も定期的に会議を開くことで一致した。
 米台は3月に沿岸警備分野で協力を強化するため、ワーキングチームを発足させる覚書に調印している。 (2109-081203)
4・4・3 その他諸国との関係

4・4・3・1 西側諸国

4・4・3・1・1 G7 が台湾支持

G7 が台湾指示を採択議

 先進7ヵ国 (G7) 外相会合が5月5日に共同声明を採択し、中国、ロシア、COVID-19のパンデミックが現在の最大の脅威と指摘した。
 また台湾やウクライナへの支持を表明したが、具体的な措置に関する言及はなかった。
 G7外相は声明で、台湾が世界保健機関 (WHO) の年次総会や世界保健総会に参加することに支持を表明し、台湾海峡の「緊張激化につながり得る一方的な行動」にも懸念を示した。 (2106-050601)

 先進7ヵ国首脳会議(G7サミット)が6月13日午後に首脳宣言を採択して閉幕した。
 宣言では中国が軍事的圧力を強める台湾に初めて言及し、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と明記した。 (2107-061301)

4・4・3・1・2 EU の台湾支持方針

EU が駐台湾出先機関の名称に「台湾」明記を決議

 欧州議会外務委員会が9月1日、EUと台湾間の政治関係と協力に関する報告書の草案と修正案を賛成多数で可決した。
 中国の軍事的脅威に対する深い懸念を示した上で、EUと台湾が2者間投資協定(BIA)を結んだ場合の影響評価の実施やEUの駐台湾出先機関の名称に「台湾」を明記することを欧州委員会に提言する内容が盛り込まれた。 (2110-090204)

欧州議会代表団の台湾訪問

 香港のSouth China Morning Postが10月27日、フランス選出のグリュックスマン欧州議員率いる欧州議会代表団が来週初め台湾を訪れ、現地の高官たちと面談する予定であると報じた。
 グリュックスマン議員は対中強硬派で、中国が3月に制裁リストにあげた人物である。 (2111-102703)

 EU議会の議員団が11月5日まで滞在する予定で3日から台湾を初めて公式訪問していて、4日には蔡総統と会談する。
 台湾を公式訪問しているのは、外国政府による情報操作など民主プロセスへの干渉に関する問題を扱うEU議会の委員会の委員たちで、3日は蘇行政院長と会談した。 (2112-110402)

 訪台中の欧州議会代表団のグリュックスマン団長が11月5日に台北市内で記者会見を行い、「台湾は欧州にとって理念の近いパートナーであり盟友」だと述べ、台湾を支持する立場を示した。
 グリュックスマン団長は、「台湾は地域で最も活躍している民主主義体制であり宝物でもある」とした上で、「台湾は孤独ではない。 台湾を守ることはEUの利益に合致する」と強調した。
 また、EUが設立を検討している偽情報対策センターについても触れ、台湾に設立されるよう努力すると語った。 (2112-110505)

4・4・3・1・3 欧州各国の台湾支持方針

リトアニアやチェコなど巡る視察団の派遣

 台湾外交部欧州司の陳立国司長が9月14日、10月にスロバキアやチェコ、リトアニアの3ヵ国を歴訪する経済視察団を10月20~30日に派遣することを明らかにした。
 国家発展委員会の龔主任委員(閣僚)が団長を務め、政府関係者のほか通信、精密機械、電気自動車関連の民間企業トップら約65人が参加する。
 台湾と東欧中欧諸国の関係を巡っては、チェコの上院議長らが2020年訪台したのに続き、スロバキア、チェコ、リトアニア、ポーランドが台湾に対して新型コロナウイルスワクチンの提供を表明し、リトアニアとは年内にも相互に代表機関を設置する計画がある。 (2110-091501)

元国防相が率いるフランス上院議員団の訪台

 中国の強い反対を押し切り10月6日に台湾入りしたリシャール元国防相が率いる4人のフランス上院議員団が7日に総統府で蔡総統と会談した。
 蔡総統は、台湾海峡情勢への関心と台湾の国際社会参加支援についてフランスに謝意を表明し、台湾が今後も国際社会の一員としての役割を果たし続け、地域の平和と安定を実現していくと言明した。 (2111-100705)

チェコと経済、貿易、産業での協力覚書

 台湾行政院の国家発展委員会が10月25日に、台湾とチェコが経済や貿易、産業分野での協力に向けた覚書を締結したと発表した。
 チェコを訪れた同委員会の龔主任委員(閣僚)率いる経済視察団が調印式に出席した。
 チェコとは昨年にも覚書を取り交わしており、今回は半導体や第5世代移動通信システム (5G)、情報セキュリティーなどに範囲を拡大し連携していくという。 (2111-102602)

台湾外交トップ、スロバキアで演説

 東欧を訪問中の台湾の呉外交部長(外相)が10月26日にスロバキアの首都ブラチスラバで演説し、同国と貿易や投資、産業面での協力関係を強化すると述べ、自由や民主主義、人権の尊重など普遍的な価値観を共有しているとも強調し親密な関係をアピールした。
 呉外相は27日にはチェコで、大統領に次ぐナンバー2の地位にあるビストルチル上院議長らと会う予定だが、同議長は昨夏に政界や経済界などの関係者からなる代表団を率いて台湾を訪問し、チェコと台湾は「独裁から脱し民主化を実現した」と共通点を指摘するなど、台湾との関係強化に動いている。 (2111-102702)

陳前副総統がリトアニアとポーランドを歴訪

 台湾外交部が11月15日、陳前副総統がバルト三国のリトアニアとポーランド歴訪に向け出発したと発表した。
 台湾と欧州をめぐっては、呉外交部長が10月下旬にスロバキアとチェコを歴訪したほか、経済視察団も両国とリトアニアを訪問している。
 また11月上旬にはEU欧州議会の代表団が台湾を訪れたばかりで、陳氏の歴訪で欧台の接近ぶりが一段と鮮明になっている。 (2112-111611)

バルト三国の国会議員団が台湾訪問

 リトアニアの国会議員団が11月28日早朝に台湾に到着した。 外交部や立法院などが12月2日から3日にかけて台北市内のホテルで催すフォーラムに出席する。
 フォーラムは外交部や立法院の他、米国の非政府組織 (NGO) や台湾のシンクタンクなどが開催し、エストニア、ラトビアからも国会議員が台湾を訪問し参加する予定で、外交部によればバルト三国の国会議員は蔡総統との面会なども予定されている。 (2112-112801)

 台湾国防部が、防空識別圏に中国の戦闘機27機が進入したと発表した。 台湾国防部によると、11月28日に進入した中国の戦闘機27機のうち、一部は台湾の南海上を通過し東部海域まで深く進入したという。
 台湾がバルト三国などとの関係を深めるにつれて、中国からの圧力が強くなっている。 (2112-112804)

フランス国民議会が台湾支持決議

 フランス国民議会下院が11月29日、世界保健機関 (WHO) など国際機関への台湾の参加を支持し、政府に対して実現に向けた外交努力を強化するよう求める決議案を賛成多数で可決した。
 上院は既に同様の決議を5月に可決している。
 審議に出席したルモワンヌ外務副大臣は、中国の反対で台湾がWHOに参加できなくなっていることに関し遺憾だと述べて決議に同調し、中台間の軍事的緊張の高まりに強い懸念を表明した。
 また航行の自由を訴え、フランス海軍情報収集艦が10月に台湾海峡を航行したことも明らかにした。 (2112-113002)

フランス国民議会議員団の訪台

 フランス国民議会(下院)のドルジ元環境相率いる台湾友好議員団が12月14日に台湾訪問に向けて出発した。 20日までの旅程で、滞在中に蔡総統らと会談する見込みという。
 議員団代表のドルジ氏はマクロン大統領の与党に所属し、11月末に下院が採択した台湾支持決議案を主導した。
 フランスからは10月に上院議員団が訪台したばかりである。 (2201-121502)

オランダ議会下院が台湾を支持する動議を可決

 オランダ議会下院が11月30日、台湾を支持する動議2件を賛成多数で可決した。
 可決されたのは、中国による一方的な台湾海峡の現状変更を受け入れない立場を表明するようオランダ政府に求める動議で賛成120、反対30で可決され、リトアニアが台湾との関係を強化することをEUに支持するよう政府に促す動議で賛成117、反対33で可決された。 (2201-120104)

スロバキアの経済副大臣率いる訪問団が専用機で訪台

 スロバキアの経済副大臣率いる訪問団が12月5日夕にスロバキアの国名や国章が入った専用機で台湾に到着した。
 外交部によれば、一行は10日まで滞在する予定で、経済連携について話し合う会議を台湾と共同で開催する。 (2201-120506)

4・4・3・1・4 その他各国の台湾支持方針

アボット元豪首相の訪台

 オーストラリアのアボット元首相も台湾を訪れており、総統は10月7日に面会する予定である。 (2111-100705)

4・4・3・2 台湾承認国

パラオ

 台湾と外交関係を結ぶパラオのウィップス大統領が3月22日にFocus 台湾とリモートでの単独インタビューに応じ、台湾との関係を重視する姿勢を強調した。
 ウィップス大統領は28日から4月1日までの日程で就任後初の外国訪問として台湾を訪問する予定で、台湾滞在中には蔡総統と会談する。 (2104-032303)

 3月28日のパラオ共和国のウィップス大統領の台湾公式訪問には、台湾との外交関係を重視する姿勢を内外に示す狙いがあり、滞在中には台湾の蔡英文総統とも会談する。
 現在、台湾と外交関係のある国はパラオを含め15ヵ国となっているが、中国は台湾が他国と外交関係を結ぶことに反対し外交攻勢をかけていて、2019年にはソロモン諸島とキリバスが相次いで台湾と断交し、中国と国交を樹立している。 (2104-032901)

ホンジュラス

 台湾外交部が11月11日、ホンジュラスのエルナンデス大統領が蔡総統の招待に応じ、近く台湾を訪問することを認め歓迎の意を示した。
 台湾メディアなどによると、12日に台湾を訪問し、13日には蔡総統と会談する可能性があるという。
 ホンジュラスは台湾が外交関係を持つ15ヵ国のうちの1国で、今年は外交関係の樹立から80年の節目を迎えた。
 海外の高官の台湾訪問が相次いでおり、再び中国が強い反発姿勢をみせる可能性がある。 (2112-111107)

4・4・3・3 台湾事務所の新規開設

ガイアナ

 台湾外交部が2月4日、南米ガイアナとの間で1月に台湾事務所開設で合意し、一部業務が始まったと発表した。 (2103-020402)

 台湾外交部が2月5日、ガイアナと事務所を相互開設するために調印した協定について、ガイアナ側が一方的に破棄したと発表した。 中国が介入したとみられる。
 外交部は、中国が圧力をかけたもので、多方面から努力したがガイアナの決定を覆すことはできなかったと説明した。 (2103-020503)

リトアニア

 リトアニア経済イノベーション省の報道官がロイタに、アジアでの経済外交強化を狙い2021年内に台湾に通商代表事務所を開設すると述べた。
 この発表に対し中国外務省報道官は「世界に中国は一つだ」と述べ、リトアニアによる通商代表事務所開設には断固として反対すると表明した。 (2104-030404)

 Baltic News Service (BNS) が3月17日、リトアニアの政界や文化界の関係者が16日に台湾との関係を発展させようと、リトアニアー台湾フォーラムを設立した。
 経済相や副外相、首都ビリニュス市長のほか、欧州議会議員、大学教員など50人余りが創始メンバーとして参加し、元教育科学相が議長に選ばれたと報じた。
 リトアニアでは2020年10月に議会選挙が行われ、中道右派の祖国同盟が第1党になり、3党が組む連立政権は同11月に自由を守る台湾を支持する姿勢を示していた。
 3月初旬にはリトアニア政府が台湾への代表処設置を計画していると現地メディアで報じられた。 (2104-032203)

 台湾が7月20日、リトアニアの首都ビリニュスに代表機関である台湾代表処を開設すると発表した。 台湾外交部は、両者は民主主義体制を守る戦略上の前線にいるとして友好関係をアピールした。
 リトアニアはこれに先立ち、台湾に代表機関を設置する方針を発表したほか、台湾に対しCOVID-19ワクチン2万回分の提供を表明するなど、国交を結ぶ中国と距離を置く姿勢を鮮明にしている。
 これに対し、リトアニアと国交のある中国政府は、いかなる形であれ台湾との公式往来には断固反対だと強く反発している。 (2108-072005)

中国がリトアニアに圧力

 中国外務省が8月10日、リトアニアに台湾代表処が設立されることに反対し、駐リトアニア中国大使の召還を決めたと発表した。  リトアニア側にも駐中国大使に退去を要求した。 (2109-081007)

 リトアニアのアルモナイト経済革新相が10月27日、訪問中の台湾経済視察団団長と共同で取材に応じ、2022年初頭にも台湾に代表機関を設置する予定であることを明らかにした。
 台湾の政府関係者や企業トップらで構成される視察団は26日に現地入り、27日には貿易投資に関するフォーラムが行われ覚書に調印した。
 今回の訪問により2者間の経済貿易協力に堅実な基礎が築かれることが期待されている。 (2111-102804)

 台湾が11月18日、リトアニアに出先機関の台湾代表処を開設した。
 台湾の外交部によると、他国で出先機関を設置する際に使われる「台北経済文化代表処」ではなく台湾という表記が使われるのは欧州で初めてで、リトアニアも近く台湾に代表機関を設置するという。
 台湾代表処の設置計画は7月から進められ、中国から台湾独立の動きにつながると強い反発を受けていた。
 リトアニアは中国と国交を持ち台湾との外交関係はないが、人権弾圧問題などで中国を批判するようになり台湾との関係強化に動いていて、10月には台湾の経済視察団を受け入れ、半導体や畜産などの分野で協力することに合意していた。 (2112-111812)

 中国外務省が11月18日夜に発表した報道官談話で、台湾がリトアニアに出先機関の台湾代表処を同日に開設したことに対し「強烈な抗議と断固とした反対」を表明し、一切の必要な措置をとり、国家主権と領土を守り抜くと強調し、リトアニアに対して報復措置をとる方針を示した。
 台湾代表処の設置計画は7月から進められていたため、中国は8月に駐リトアニア中国大使の召還を決め、リトアニア側にも駐中国大使を引き揚げるように求めていたが、実際に設置されたことで、さらなる報復措置に出ると見られる。
 欧州では台湾との結びつきを強める動きが活発になっており、中国は警戒を強めている。 (2112-111903)

 中国国営CCTVによると、在リトアニア中国大使館が11月25日に大使館の領事業務を同日から停止すると発表した。 領事業務の停止については技術的な理由とするが、詳細は不明で、復旧時期も後日通知するとしている。
 リトアニアで18日に台湾の名称を使用した代表処が欧州で初めて開設されたことに対する報復措置の可能性がある。
 リトアニアが台湾代表処を開設したことを受けて中国は強く反発し、中国外務省は21日にリトアニアとの外交関係の「格下げ」を宣言していた。 (2112-112602)

 中国政府が11月21日、台湾外交部がリトアニアに駐リトアニア台湾代表処を設置したと発表したことを受けて、リトアニアとの外交関係を格下げし、派遣する代表を大使から代理公使にすると発表した。
 更に中国外務省は26日に現地に設置している大使館を代表処に変えたとリトアニア側に通知したことを明らかにした。 (2112-112611)

 リトアニア外務省が12月3日、同国製品が中国で税関を通らないとして、来週にも欧州委員会の関与を正式に要請する方針である。
 リトアニア産業連盟は、把握しているだけでも5社がこうした問題に直面していると地元メディアに語った。
 リトアニアは、台湾の大使館に相当する代表機関「台湾代表処」開設をめぐって中国と対立している。 (2201-120405)

 リトアニアの政府高官と業界団体がロイタに明らかにしたところによると、中国が多国籍企業に対しリトアニアとの関係を絶たなければ中国市場から締め出すと警告している。
 リトアニアと中国の直接貿易はそれほど多くないが、リトアニアには家具、レーザー、食品、衣料などを多国籍企業向けに製造する企業が多く、そうした多国籍企業は中国に製品を販売している。
 これについて中国外務省のコメントは取れていない。 (2201-120907)

4・4・3・4 台湾不支持国

ニカラグア

 ニカラグアの外相は12月9日の記者会見で、中国が唯一の合法政府だと述べ台湾との国交を断絶することを発表した。
 この発表を受け台湾外交部は、台湾は長年ニカラグアの発展を支援してきたが、大統領の政権が長年の友好関係を無視したことを残念に思うと声明を出した。
 ニカラグアでは11月の大統領選挙が行われ現職のオルテガ大統領が5度目の当選を果たしたが、選挙前に有力候補を拘束したことなどから米国やEUから選挙結果を認めないと批判されていた。 (2201-121004)

4・4・4 日台間係

初の日米台戦略対話

 日米台の有力国会議員による初の日米台戦略対話が7月29日にウエブ会議形式で開かれる方向で調整されている。
 当初は2020年5月の蔡総統の就任式に合わせて台湾で対面方式で行う予定だったが、COVID-19蔓延で断念していた。
 戦略対話は安倍前首相が顧問を務める超党派の日華議員懇談会が主催し、初会合では今後の議題について話し合われる予定で、安全保障、半導体などのサプライチェーン確保、国際機関への台湾の参加などを目指している。
 日華懇関係者は、正式な外交関係がない台湾とは政府の活動に限界があるため、議員外交でサポートしたいと話している。 (2108-072807)

日台議員が「与党版2プラス2」

 自民党の外交、国防両部会長が8月27日に台湾民進党で外交、防衛分野を専門とする立法委員とオンラインで会談し中国の動きをめぐって意見交換した。
 日本側は佐藤正久外交部会長と大塚拓国防部会長、台湾側は羅致政、蔡適応両立法委員が出席した。
 この枠組みを外務防衛担当閣僚協議 (2-plus-2) の与党版と位置付け、継続的に開催することを確認した。 (2109-082701)

閣僚が台湾の TPP 加入申請を歓迎

 茂木外相が9月23日、台湾が環太平洋連携協定 (TPP) への加入を正式に申請したことについて歓迎したいとし、戦略的観点や国民の理解も踏まえて対応したいと述べた。
 16日に加入を申請した中国に関しては、茂木外相らTPPに関係する閣僚は歓迎の意を示さなかった。 (2110-092301)

 台湾が環太平洋連携協定 (TPP) への加盟を申請したことについて、議長国である日本では加藤官房長官が「肯定的に受け止めている」と発言したのに続き、麻生財務相、西村再生相、梶山経産相などの閣僚が相次ぎ歓迎の意を表明した。
 中国が9月16日に申請した際は加盟条件を満たせるかどうか懐疑的な見方も出ていたが、台湾の加盟申請に際しては台湾を自国の一部とみなす中国が猛反発している。 (2110-092404)

安全保障に於ける台湾国民の日本への期待

 台湾の民間シンクタンク台湾民意基金会が11月2日、台湾人の約6割が台湾有事の際に日本が自衛隊を派遣するだろうと考えているとの世論調査結果を明らかになった。
 同基金会によると、有効回答が得られた1,075人のうち、58%が台湾有事で日本は自衛隊を派遣して台湾防衛に協力するだろうと答え、派遣しないだろうと答えたのは35.2%にとどまった。
 一方、米軍については65.0%が参戦するだろうと回答し、参戦しないだろうと考える人は28.5%だった。 (2112-110409)

4・4・5 防衛力整備

4・4・5・1 体制の整備

4・4・5・1・1 戦域戦闘軍への改編

 台湾の邱陸軍大将が5月中旬に国会で、陸海空統合の強化策として陸軍の再編を行うと報告した。
 改編は各種軍団を戦域戦闘軍に改編するもので、Penghu, Huadong, 第6、第8、第10軍団は、第1~第5の戦域戦闘軍に改編される。 (2106-051704)

 台湾陸軍が5月10日、陸軍の3個軍団と2個防衛隊を2022年1月1日から5個戦域軍に改編すると共に、陸海空軍の統合運用及びインターオペラビリティを強化すると発表した。 (2107-052601)

第1戦域軍: 澎湖島防衛隊(機械化歩兵大隊、砲兵大隊)を改編

第2戦域軍: 東部の花蓮防衛隊を改編

第3戦域軍: 北部の第6軍団を改称

第4戦域軍: 第8軍団を改称

第5戦域軍: 中部、西部の第10軍団を改称

4・4・5・1・2 国防動員庁 (NDMA) の創設

 台湾立法院が5月21日、2022年1月1日に国防動員庁 (NDMA) を創設する法案を可決した。
 NDMAは国防部にあった国家総動員室と予備役軍司令部を併合した組織で、国防部および行政院国家総動員委員会と共に機能する。
 台湾には現在168万名の予備役兵とそれを保管する100万名の民間防衛隊がある。 (2108-060208)
4・4・5・1・3 HF 対艦ミサイルを全国配備

 台湾自由新報が立法院が12月8日、11月25日に特別に承認したNT$237.3B ($8.53B) にのぼる5ヶ年の一括支出により、Hsiung Feng対艦ミサイルのサイトを全土の9ヶ所に設置すると報じた。
 サイトの詳細位置は明らかにされていないが、新台北市、桃園市、嘉義県などが含まれるという。 (2201-120805)
4・4・5・2 軍備増強

4・4・5・2・1 防空/BMD

PAC-3 MSE 弾の購入

 台湾国営の中央社Focus 台湾が3月31日、台湾がPAC-3 MSEを購入する計画であると報じた。
 購入数は公表されていないが、国防省によると引き渡しは2025年と2026年で、2026年末には配備されるという。
 台湾は現在PAC-3 CRI弾を装備している。 (2106-041407)

 台湾が過去3ヶ月で2回目となるPAC-3の改良契約を米国と結んだと10月28日に報じられた。
 契約額はTWD991.65M ($35.63M)で、8月31日のTWD1.41B契約と合わせるとTWD2.44Bにのぼる。 今回の契約は主として整備と修理になる。
 台湾は350発のPatriotを配備している。 (2111-102802)

長射程型天弓-Ⅲ

 台湾NCSISTが6月12日、22~25日にミサイルの発射試験を行うと発表したが、23日の試験については高度を規定していないことから天弓-3 (Skt Bow-3) の長射程型の発射試験との見方がでている。 因みに天弓-3の到達高度は26kmである。
 NSCISTによると新型ミサイル生産は2024年に開始される。 (2107-061203)

天弓-Ⅲの生産拡大

 台湾Liberty Timesが7日、国防部がSky Bow Ⅲ SAMの生産拡大のためNT9.4B ($335.87M) の追加支出を決めたと報じた。
 Sky Bow Ⅲ SAMには2015年~2024年にNT74.8Bを割り当てていたが、PLA空軍の執拗なADIZへの侵入を受け増産を決めた。
 追加生産分のSky Bow Ⅲは2022年6月に馬祖列島の一部である東引島に配備を完了するという。 (2111-100704)
【註】天弓-3 (Sky Bow Ⅲ) は台湾が開発した天弓シリーズ中距離SAMの最新型で、全長5.673m、胴径42cm、重量1,135kg、弾頭重量90kgで射程は150kmという。
 垂直発射方式で誘導はアクティブレーダホーミングである。

天弓-Ⅲ/-Ⅱの発射試験

 台湾NCSISTが11月18日夜、太平洋に向けてSAMの発射試験を実施した。 実弾の試射は12月上旬まで断続的に行われる予定という。
 発射試験が行われたのは、南部屏東県の九鵬基地と東部台東県成功鎮の沿岸部で、台東で発射を見たNCSISTの元職員はメディアの取材に、九鵬からは天弓-3、成功からは天弓-2がそれぞれ発射されたとの見方を示した。 (2112-111902)

海剣Ⅱ (Sea Sward Ⅱ) 艦載中距離 SAM

 台湾が海剣Ⅱ (Sea Sward Ⅱ) 艦載中距離SAMの開発を完了したと発表した。 海剣ⅡSAMは沱江級コルベット艦塔江に装備する。
 海剣ⅡはF-CK-1 IDFに搭載されているTC-Ⅱ AAMの艦載型で射程は50kmと見られる。
 沱江級コルベット艦搭載と共に、フリゲート艦が装備しているSea Chaparralと換装する計画という。
 2020年12月15日に進水した685tの塔江は速力30ktと航続距離1,800nmの性能を持ち、8月に就役する予定である。 (2108-060911)

 台湾海軍が康定級フリゲート艦6隻が20年間装備しているSea ChaparralをNCSISTが開発した新型ミサイル海剣Ⅱ (Sea Sword Ⅱ) に換装して対空/対ミサイル能力の向上を目指す。
 海剣Ⅱはアクティブレーダ誘導の中距離SAMで、2021年初めに試験を完了している。 (2109-083105)

Sea Oryx SHORAD

 台湾の軍事ウェブサイトAlert 5が、Kaohsiung LSTがSea Oryx SHORAD発射機と国産のフェーズドアレイレーダを搭載している画像を公開した。 Sea OryxはNCSISTが開発した。
 2015年の台北宇宙防衛博で初公開されているSea Oryxは米国のRIM-116 RAMの台湾版と言えるTC-1 (Sky Sword-1) AAMの艦上発射型で、陸軍もAntelopeとして採用している。 (2107-060802)

4・4・5・2・2 艦 艇

国産潜水艦

 台湾が2020年に建造を開始した国産潜水艦は、当初2024年上半期に初航海、2025年に就役の計画であったが、2023年初航海に計画が早まった。 (2108-072106)

 台湾初の国産潜水艦が11月に船台組み立てを開始する。
 これに伴い欧米その他の国は2020年に台湾潜水艦に搭載する装置等の搬入を開始する。
 台湾海軍は一番艦の完成を2025年に予定し、2019年から2025年に一番艦の建造としてNT$49.36B ($1.48B) を投入する。 (2110-090206)

 台湾の造船企業CSBC社が11月16日、国産初となる潜水艦の船台起工式を実施した。
 全長70m、幅8m、潜航時排水量2,500tの潜水艦は2017年に受注したもので、2024年に完成し2025年に納入される予定である。 (2201-112402)

Tuo Jiang(沱江)改級コルベット艦

 台湾蘇澳鎮の龍德造船で2020年12月15日、Tuo Jiang(沱江)改級コルベット艦の一番艦が進水した。 台湾は2023年までに沱江改級を6隻建造する。
 沱江改級は全長65m、幅14.8m、喫水2.1,、排水量685tと沱江級より若干大きく、速力30kt、作戦航続距離1,800nmの性能を持つ。
 武装はOTO Melara 76mm砲のほか、TC-2N SAM、HF-Ⅱ/Ⅲ対艦ミサイルを装備する。 (2103-010608)

 台湾宜蘭県の龍德造船が7月27日、沱江(改)型高速コルベット艦塔江を公式に海軍へ納入した。
 塔江は2020年12月15日に進水し、8月には就役する予定である。
 ウォータージェットで推進する双胴型ステルス形状の沱江(改)型高速コルベット艦は2023年までに6隻建造されるが、その後更に5隻の建造が計画されている。 (2108-072705)
 台湾海軍が7月27日、改良型沱江(Tuo Jiang)級ステルスコルベット艦の一番艦塔江 (Ta Jiang)を宜蘭県蘇澳鎮の龍德造船で公式に受領した。
 全長65m、幅14.8m、喫水2.1m、排水量685tと沱江より僅かに大型の塔江はOto Melara社製76mm砲とVulcan Phalanx 20mm CIWS 1基、12.7mm機銃4丁のほか、Sea TC-2N MSAM及びHS-Ⅱ/Ⅲ対艦ミサイルを装備する。 (2110-080407)

 台湾がSky Sward Ⅱ (TC-Ⅱ) SAMの艦載型を完成させ、8月までに沱江級フリゲート艦塔江に装備する。
 塔江は亜音速ASCMのHF-Ⅱ 8発と、超音速ASCMのHF-Ⅲ 8発を装備しているが、対空能力に欠けるため、今後はHF-Ⅲ 4発とTC-Ⅱ 12発を装備するようになる。 (2106-052703)
【註】今まで満載時排水量567tの沱江級はコルベット艦と呼ばれてきたが、この記事では沱江改級である満載時排水量685tの塔江フリゲート艦と呼んでいる。
 TC-Ⅱは元々はレーダー誘導のAAMである。

 台湾が建造したTuo Chiang(或いはTuo Jiang:沱江)改級コルベット艦の一番艦Ta Chiang塔江)と、FMLB高速機雷敷設艦の二番艦が9月9日に就役した。
 台湾はTuo Chiang改級コルベット艦を更に5隻建造する計画で2023年以降に就役する。
 Tuo Chiang改級コルベット艦は全長65m、幅14.8m、喫水2.1m、排水量685tで、速力43kt、航続距離1,800nmの性能を持ち、Oto Melara 76mm砲と、Sea TC-2N MSAM、HF-Ⅱ/Ⅲ ASCMを装備している。 (2111-092208)

Tuo Jiang(沱江)改2級

 2度目の改良が施される沱江(Tuo Jiang)級コルベット艦の建造が、10月6日に宜蘭県蘇澳鎮の龍德造船で開始された。
 建造されるのは6隻計画されている沱江改級の2番艦で、2023年完成予定である。
 沱江改級の1番艦塔江 (Ta Jiang)は9月9日に澳鎮基地で就役している。 (2112-102008)

M109 攻撃艇

 台湾海軍が1月27日、高雄市の左営軍港で実施した訓練で、海軍陸戦隊(海兵隊)が新しく導入した国産のM109攻撃艇を初公開した。 主に港湾の防衛や偵察巡視に当たるという。
 M109は高強度複合材料が用いられており、全長11.2m、幅3.2m、排水量4t、速力46ktで、定員は武装兵8~10名である。 (2102-012706)

ドック型輸送揚陸艦

 台湾海軍の新型ドック型輸送揚陸艦の一番艦の命名進水式が4月13日に高雄市の台湾国際造船高雄造船所で開かれ、玉山と命名された。 引き渡しは2022年の予定である。
 は全長153m、幅23m、満載排水量10,600tで、海剣-2 SAM 2基や76mm砲1門、Phalanx 2基などを搭載する。 (2105-041305)

 台湾が4隻の建造を計画しているLPDの一番艦玉山 (Yu Shan) が4月13日に、高雄市の国営CSBC社造船所で進水した。
 全長152m、排水量10,600t、速力21kt、航続距離7,000nmのYu Shan級はAAV7と673名の兵員を搭載するほか、HF-Ⅱ ASCM 8発を装備し対艦作戦も行う。
 ASCMに代えてHai Chien SAM 16発を装備することもできる。
 この他に76mm多目的砲1門とFalanx CIWS 2基も装備している。 (2105-041308)

 台湾が4隻の建造を計画しているドック型揚陸艦 (LPD) の一番艦が4月13日に進水し玉山と命名された。 海軍への引き渡しは2022年前半になる。
 玉山は全長153m、幅23m、基準排水量10,000tで、速力21.5kt、13kt巡航での航続距離12,500nmの性能を持つ。
 76mm艦載砲、HF-Ⅱ/Ⅲ ASCMを装備し、全長16mの揚陸艇4隻か36mの揚陸艇2隻をウェルドックに搭載する。 更にS-70C対潜ヘリ1機も搭載できる。 (2106-042109)

大型警備艦の就役

 台湾が独力で建造した4,000t級警備艦の初号艦嘉義が4月29日、高雄市で海洋委員会海巡署に引き渡された。
 建造を手掛けた台湾国際造船によれば、嘉義は満載時排水量5,044t、航続距離10,000nmで、最大放水射程120mの高圧放水銃を3基装備している。
 同社は同級警備艦4隻を受注しており、この日は2号艦新竹の命名進水式も行われた。 このほか1,000t級警備艦6隻、100t級警備艇15隻の建造も進められている。 (2105-042905)

高速敷設艦三番艦と四番艦の引き渡し

 台湾で建造されていた、高速敷設艦の三番艦と四番艦が12月16日に宜蘭県蘇高港で海軍へ引き渡された。 (2201-121707)

4・4・5・2・3 航空機

F-16V

 台湾CNA通信が2020年12月6日、2020年末までにF-16A/B 22機をF-16Vに改修する計画は既に19機が終了し、計画通り年内に22機の改修を終えると報じた。
 台湾は2023年までに保有するF-16A/B 140機をF-16Vに改修する計画で、2021年と2022年に35機ずつ、2023年に残りの32機の改修を終える。
 米国防総省は2020年11月5日に、Lockheed Martin社に$53.2MでF-16 50機の復元を発注したと発表している。
 この他に米国務省は2019年8月に66機の新規製造F-16Vを台湾へFMSで売却することを承認している。 (2102-121606)

 台湾国営メディアが3月17日、台湾空軍の保有するF-16A/B/C/D 142機をF-16V Block 70/72に改装する計画の1次分42機の改装が完了したと報じた。
 改装されたF-16Vは南部の嘉義市を基地にする第4戦術戦闘航空団に配備される。
 この改造でF-16はRaytheon社製AN/APG-83 SABR AESAレーダを搭載し、エンジンはGE社製F110-GE-129に換装された。 (2105-033108)

 米国防総省が4月26日、台湾のF-16A/BをF-16V Block 70/72に改造する契約をLockheed Martin社に$138Mで発注したと発表した。 契約には$67.62MのFMS契約が含まれている。
 改造には自動地表衝突防止装置 (Auto GCAS)、AGM-88 HARM、レーダソフトの改善、先進IFFなどが含まれている。 (2107-050508)

 台湾軍関係者が9月21日、南部嘉義の空軍基地でF-16Vを装備する最初の部隊の発足式が11月に開催されることを明らかにした。
 台湾は141機あるF-16A/B全てをV型に改修する計画で、嘉義の部隊にはすでに少なくとも42機が引き渡されている。
 この他に、トランプ前政権がF-16V 66機の売却を決めており、これらは東部台東の空軍基地に配備される見通しである。 (2110-092103)

 台湾が保有しているF-16A/Bを改修して性能を高めたF-16V Block 20を装備した部隊が11月18日に南部嘉義県の空軍嘉義基地で発足した。 (2112-111810)

新型高等練習機勇鷹

 漢翔航空工業が開発した新型高等練習機勇鷹の量産1号機が10月21日午前、台中市の清泉崗空港を離陸し初飛行した。
 勇鷹の試作機は昨年6月に初飛行に成功し、現在は空軍と同社が各種試験を実施している。
 台湾国防部が9月に立法院にへ提出した報告書によると、今年12月末までに量産機2機が完成する見通しで、2026年までに66機の引き渡し完了を目指している。 (2111-102104)

次世代戦闘機を国内開発

 台湾NCSISTが4月15日、次世代戦闘機を国内開発すると発表した。
 そのR&D第1段階としてTWD10.5B ($370.6M) が予算化され、そのうちTWD8.8Bでエンジン、TWD1.7Bで機体の開発が行われ、第1段階は2024年に完了するという。
 NCSISTは2018年にもTFE-1042-70を元にしたエンジン開発10年計画を開始している。 (2106-042808)

4・4・5・2・4 長距離ミサイル

Hapith Ⅰロケット

 台湾のtiSPACE社が8月23日、オーストラリアのSouthern Launch社とHapith Ⅰロケットの打ち上げ契約を行ったと発表した。
 Hapith Ⅰは全長10m、胴径1.5m、発射重量3tのロケットで、オーストラリア南部に打ち上げ施設を有しているSouthern Launch社は、数回にわたるHapith Ⅰの打ち上げを行うという。
 台湾政府は今年5月に国内の宇宙企業振興を目指した宇宙開発法を成立させている。 (2109-082403)
【註】Hapith Ⅰは民間が開発している宇宙用のロケットとしているが、形状や塗装はSLVと言うよりSRBMのようである。

1種類の量産開始、3種類を開発中

 台湾が3月25日に長距離ミサイル1種類の量産を開始したことを明らかにした。 これとは別に3種類の長距離ミサイルを開発していることも認めた。
 台湾の公的研究機関である国家中山科学研究院の幹部も立法院で、1種類の陸上発射型長距離ミサイルがすでに量産段階に入ったと発言し、これとは別に3種類の長距離ミサイルを開発中だと述べたが、これらのミサイルの射程は明らかにしなかった。
 同研究所は台湾の兵器開発で中心的な役割を担っており、ここ数ヵ月、南東部の海岸で一連のミサイル試験を実施している。 (2104-032506)

 台湾が陸上発射長距離ミサイルの量産が開始されていると共に、NCSISTが3種類の長距離ミサイルの開発を行っていることが明らかにされた。
 これらの詳細は明らかにされていないが、Janeは2020年4月にラムジェット推進で射程1,500~2,000km、速力Mach 3の雲峰 (Yun Feng) CMの発射試験を報じている。
 台湾メディアは2019年にYun Feng 20発以上と発射機10両の量産を$390Mで開始したと報じている。 (2106-040707)
【註】雲峰の発射試験は、良く似た雄風-3 (HF-3: Hsiung Feng Ⅲ) 超音速ASCMの発射試験に紛らせて秘密裏に行っていたとされている。

HF-ⅡE とその射程延伸型の発射試験

 台湾NCSISTが8月7日、屏東県の漳平基地で8月13~17日にミサイルの発射試験を行うと発表した。
 発射されるミサイルについて軍消息筋は、射程が600kmで量産可能段階にある陸上発射CM HF-ⅡE及びその射程延伸型で射程1,000km以上のミサイルと見ている。 (2109-080706)

雲峰 CM や雷霆-2000 MLRの発射試験

 台湾NCSISTが11月18日夜、太平洋に向けてSAMの発射試験を実施したが、危険区域が数十㌔から数百㌔、弾道の頂点高度は25,000呎以下から無限とされていることから、NCSISTの元職員は発射試験が行われているのはSAMのほか、雷霆-2000 MLR、射程1,500kmのCM雲峰などではないかと語った。
 一方で軍関係者は東部沖を11月1日から18日の間に、中国のフリゲート艦や駆逐艦、情報収集艦など10隻のほか、米国の補給艦と駆逐艦計4隻、韓国の駆逐艦1隻が航行したと明らかにした。 (2112-111902)

4・4・5・2・5 陸戦装備

射程延伸型 Thunderbolt-2000

 台湾NCSISTが4月7日に台東県蘭嶼島で複数ミサイルの発射試験を行った。 台湾当局は詳細を明らかにしていないが、Thunderbolt-2000の射程延伸型と見られる。
 13~16日には長射程型Sky Bow Ⅲ(天弓-Ⅲ)の試験も行われ、試験海域に200kmが指定されている。
 この試験を監視するためか中国海軍が6日にこの海域に電子情報収集艦を派遣している。 (2105-040704)
【註】Thunderbolt-2000(雷霆2000)は1997年から生産されている装輪MRLで、胴径117mmで射程15kmのMk 15、胴径180mmで射程30kmのMk 30、胴径227mmで射程45kmのMk 45がある。
 NCSISTは2019年に長射程型の発射試験を射距離63nmで実施したが、長距離型の射程は更に長いと見られている。

 台湾国防部が、射程が100km以上という新型Thunderbolt-2000 MLRS(RT-2000)の発射試験を行った。 ただ国防部は新型がまだ開発段階なのか量産に移行しているのかは明らかにしていない。
 RT-2000には射程が15kmのMk-15、30kmのMk-30、45kmのMk-45がある。 (2107-061807)

M142 HIMARS とHapoon 沿岸防衛システム (HCDS) の導入

 台湾国防部が6月17日、米国からM142 HIMARSとHapoon沿岸防衛システム (HCDS) を購入する2件の契約に署名したと発表した。 HIMARSの契約は$436.1Mで納期は2027年、HCDSは$2.37Bで納期は2028年になっているという。
 米国は2020年10月21日にM142 HIMARS(註:11基)とM57単弾頭型ATACMS 64発の台湾への売却を承認し、26日にHCDS 100基とRGM-84L-4 Harpoon Block Ⅱ 400発の売却を承認していた。 (2107-061701)

直射火力支援型 Cloud Leopard 8×8戦闘車

 台湾が直射火力支援型Cloud Leopard 8×8戦闘車が装備する徹甲弾をNTD14.02M ($498.000)で米陸軍に発注した。
 発注したのは105mm砲用のAPFSDS-T弾で、2020年12月4日に台湾はM68A2低反動戦車砲2門を米国に発注している。 (2109-072109)

 台湾国防省装備局が7月31日、105mm砲搭載のACVを開発する計画であると発表した。
 陸軍は当初、120mm砲搭載ACVを要求していたが、120mm砲搭載ACVは世界でも開発中で、105mm砲が広く採用されていることから105mm砲搭載に決まった。
 国防省は3月に、NCSISTが研究開発の参考として米国からM68A2戦車砲2門を購入したことを明らかにしている。 (2109-080102)
【註】M68A2は英Royal Ordnance社が開発したL7 105mm戦車砲で、世界中でMBTの主砲に採用されている。
 因みに我が国の74式戦車もL7A1を採用し、16式機動戦闘車の砲もL7を元にしている。

4・4・5・2・6 その他の装備

TC-2 (Sky Sword 2) 中距離 AAM の量産開始

 台湾国防相当局者が8月3日、F-CK-1 IDFに搭載する射程延伸型TC-2 (Sky Sword 2) 中距離AAMの量産を開始すると述べた。
 レーダ誘導ミサイルであるTC-2の最新型は、射程が60~80kmと見られている。 (2110-081103)

4・4・5・3 防衛産業の振興

 台湾が防衛産業の振興と国際的なサプライチェーンへの参画を目指して企業協力計画 (ICP) の全面的な見直しを行おうとしている。 (2109-071412)
4・5 東南アジア

4・5・1 東南アジア諸国全体

4・5・1・1 南シナ海情勢

「3・3 南シナ海」で記述
4・5・1・2 ASEAN

ブリンケン米長官が ASEAN 関連のオンライン会合に出席

 米国務省が7月31日、ブリンケン長官が8月2日から始まるASEAN関連のオンライン会合に出席すると発表した。
 中国やミャンマー情勢などで、激しいやりとりとなる可能性がある。
 バイデン米政権は民主主義の重要性を掲げ、中国など専制主義国家と対峙する上で東南アジアやインドを重視する姿勢を鮮明にしている。
 ただ、ASEANはミャンマーや軍政の流れをくむタイ、社会主義のベトナムなど多様な国家を擁し、加盟国ごとに米国との間に大きな温度差がある。 (2109-080101)

G7 がインド太平洋地域への関与強化を打ち出し

 12月12日に閉幕した主要7ヵ国(G7)外相会合では、インド太平洋地域への関与強化を打ち出した。
 今回オンラインも交えてASEANも初参加したG7外相会合では、林外相が12日に「ASEANは『自由で開かれたインド太平洋』実現の要だ」と述べ、ASEANとの連携の重要性を訴えた。
 G7は声明で、中国が南シナ海で進める軍事拠点化などを念頭に「埋め立てなどの重大な活動に懸念が示されている」と指摘し、G7とASEANで「海洋安全保障、航行や上空飛行の自由の促進などの海洋協力の強化を奨励する」と訴え、台頭する中国による抑止を念頭に、G7と東南アジア諸国との利害が一致した。 (2201-121309)

4・5・2 フィリピン

4・5・2・1 国内情勢

4・5・2・1・1 大統領選挙

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・5・2・1・2 国際刑事裁判所が捜査開始

 オランダのハーグに本部を置く国際刑事裁判所 (ICC) が9月15日、フィリピンのドゥテルテ政権が麻薬戦争として進めた麻薬犯罪容疑者の超法規的殺害について、人道に対する罪の疑いで正式に捜査することを承認したと発表した。 検察局が申請し、予審裁判部が審理していた。
 ICCの検察局は2018年にフィリピン人弁護士の告発を受けて予備調査を開始し、2021年6月に正式な捜査の許可を申請した。
 フィリピン政府は麻薬犯罪の取り締まりに関連する死者は今年4月時点で6,000人を超えていると発表しているが、検察局は超法規的な殺害の犠牲者はフィリピン政府の数字より多く、2016年7月~2019年3月に12,000人から30,000人に上るとみている。 (2110-091609)
4・5・2・2 対米関係

4・5・2・2・1 米比相互防衛条約第四条、相互防衛義務

 ブリンケン米国務長官が7月11日、南シナ海での中国の権利主張を退けた仲裁裁判所の判断から5年を迎えるのに際し声明を出し、中国が南シナ海でフィリピン軍を攻撃すれば、米国のフィリピン防衛義務を定めた1951年の米比相互防衛条約が適用されることになると改めて警告した。
 ブリンケン長官は、トランプ前政権が昨年7月に示した中国の海洋権益に関する主張を否定する米政府の方針を確認し、「われわれはまた、南シナ海でのフィリピン軍部隊や公船、航空機への武力攻撃は、米比相互防衛条約第四条の下で、米国の相互防衛義務の適用につながると確認する」とした。 (2108-071201)
4・5・2・2・2 米軍の駐留

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・5・2・2・3 訪問軍地位協定 (VFA)

 フィリピンのロクシン外相が2月8日、今月米国と訪問軍地位協定 (VFA) を巡る意見調整のため協議を行うと明らかにした。
 ドゥテルテ大統領は2020年2月に警察トップとして麻薬犯罪組織撲滅に向けて強硬な措置をとった上院議員らへのビザ発給を米国が拒否したことを理由にVFAの破棄を通告したが、その後、破棄手続きを2度先送りし、今に至っている。 (2103-020801)

 フィリピン大統領報道官が2月15日、米国と訪問軍地位協定 (VFA) 延長の条件に軍事援助の拡大を挙げた。
 ただ具体的な拡大額については明らかにしなかった。 (2103-021505)

 ロクシン比外相が6月14日、米国と訪問軍地位協定 (VFA) の扱いを引き続き留保すると発表した。
 外相は、ドゥテルテ大統領が協定を研究し、大統領が問題視する内容に両国が対処するためと説明したが、どの部分を問題視しているかは明かさなかった。
 ロムアルデス駐米大使は4日、協定の改定版がドゥテルテ大統領に送られ、「協定が維持されることに自信を持っている」と発言したが、改定された内容は明かしていない。 (2107-061404)

 フィリピン訪問中のオースティン米国防長官が7月30日にロレンザーナ国防相と会談し、フィリピンが破棄を一方的に通告していた同国での米兵の法的地位を定めた訪問軍地位協定について、今後も維持されると会談後の記者会見で明らかにした。
 地位協定はドゥテルテ政権が昨年2月に破棄を一方的に通告したが、最終的な破棄決定は保留していた。 (2108-073004)

4・5・2・2・4 米比共同演習

Balikatan 米比演習

 Balikatan米比共同演習が23日までの計画で4月12日に開始された。
 比軍から736名、米軍から225名、合わせて約1,000名が参加しているBalikatan演習は2020年にはCOVID-19の影響で中止されたが、前回の2019年には米海軍の強襲揚陸艦Waspと海兵隊のF-35Bが参加している。 (2105-041208)

4・5・2・2・5 米国製武器購入

 米政府か6月24日、フィリピンにF-16 12機や対艦ミサイルなど総額約$2.6Bの武器売却を承認し、議会に通知した。
 国防安全保障協力局 (DSCA) によると、売却されるのはF-16のほか、空中発射型Harpoon 12発とSidewinder 24発などである。
 ロイタ通信によれば、フィリピンは多用途戦闘機を調達する方針で、F-16を含む複数の候補を検討していた。 (2107-062502)

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が6月24日、米国務省がフィリピンへF-16とAAM、ASM合わせて$2.6Bの売却を承認したと発表した。
 F-16は最新型のF-16Vで、単座のBlock 70 10機と複座のBlock 72 2機の合わせて12機で、AAMはAIM-9X Sidewinder Block Ⅱ 24発、ASMはAGM-84L-1 Harpoon Block Ⅱ 12発である。
 F-16V 12機にはAN/APG-83 SABR AESAレーダのほかヘルメットサイトや電子戦装置など及び、AIM-120C-7/C-8 AMRAAMも含まれ、F-16V関連だけで$2.43Bになる。 (2107-062505)

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が6月24日、最新型のF-16とAAM及びASMを$2.6Bでフィリピンに売却することを国務省が承認したと発表した。
 売却されるのは端座のF-16V Block 70/72 10機と複座の2機、及びAIM-9X Sidewinder Block Ⅱ 24発、AGM-84L-1 Harpoon Block Ⅱ 12発という。 (2109-070704)

4・5・2・3 対中関係

旧米軍基地跡地

 フィリピンと中国がスービック湾とクラーク空軍基地を結ぶ鉄道を$940Mで中国が建設することで合意した。
 スービック湾とクラーク空軍基地はかつて米軍が駐留していた基地で、現在も米軍がフィリピンに派遣された際に使用している。 (2102-012207)
【註】スービック湾とクラーク空軍基地にはかねてから中国が指触を伸ばしており、日本も絡んだ三つ巴の状況を呈していた。

4・5・2・4 その他諸国との関係

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・5・2・5 軍備増強

Secind Horizon近代化計画

 フィリピン政府がSecind Horizon近代化計画に基づき空軍へPHP12B ($252M) の支出を認めた。
 これは予算管理省の支出指令SAROによるもので、SAROには高性能GBADのほか中型輸送機や軽戦車が含まれている。
 GBADはRafael社製Spyder自走SAMでPHP3.42Bが支出されるが2020年11月にもPHP2.39Bが支出されている。
 PHP2.98Bが支出される陸軍の軽戦車はElbit社がGD社製の車体にSabea 105mm砲を搭載したもので、2020年10月にPHP1.4Bが支出されている。
 中型輸送機にはPHP2.64Bが当てられ3機の購入が計画されている。 (2107-051907)

フリゲート艦

 フィリピンが韓国HHI社に発注していた全長107.5mフリゲート艦の二番艦にして最終艦のAntonio Lunaが2月9日にカポネス島に入港し、一番艦のJosé Rizalと並んだ。
 このあとスービック湾へ向かう予定になっている。
 José Rizal級フリゲート艦は韓国のFFX-1をやや小型化したHDF-3000で、2016年にPHP16B ($315M) でPHP2Bの武器弾薬と共に発注されていた。 (2104-021712)

 フィリピン海軍が韓国HHI社に2隻発注していたフリゲート艦の二番艦が2月9日に蔚山で比海軍に引き渡されて13日にフィリピンへ到着し、19日にマニラ南港で就役式典が開かれた。
 全長107.5mのこの艦は、韓国海軍が装備しているFFX-1を小型化したHDF-3000仕様で、2016年にHHI社にPHP16B ($329M) 、別に武装と弾薬にPHP2Bで発注されていた。  (2105-033107)

Del Pilar級哨戒

 フィリピン海軍Del Pilar級哨戒艦の3番艦であるAndres Bonifacioが1年以上にわたる整備と改修を終え、7月31日に乾ドックを出てスービック湾で整備を続け、8月31日に現役復帰した。
 新しく装備されたのはMk38 Mod 2 25mm砲2門と12.7mm機関銃1丁と見られる。 (2111-091507)
【註】Del Pilar級哨戒艦は全長112.5m、幅13.1m、排水量3,250tで、OTO Melara 76mm砲1門を装備している。

Shaldag Mk Ⅴミサイル搭載型高速哨戒艇

 フィリピン海軍司令官が、海軍が8隻装備する計画のイスラエル製Shaldag Mk Ⅴミサイル搭載型高速哨戒艇 (FAIC-M) の最初の3隻が1Q/2022年に引き渡されると述べた。
 比海軍は全長32.65mのFAIC-Mのうち4隻にRafael社製Spike NLOSを、残りの4隻には機関銃と機関砲を装備する計画という。
 PHP10B ($209.4M) で発注したShaldag Mk Ⅴは比海軍のCavite造船所で武装されるという。 (2107-052606)

潜水艦

 6月8日に定年で退役するフィリピン海軍司令官のバコルド中将が7日に国営PNA通信で同国の潜水艦装備計画について、PHP70B ($1.47B) で2隻の建造を計画していると述べた。
 この計画にはフランス、韓国、トルコ、インドなどが売り込みを行っているが、非公式ながらシンガポールが同国の中古潜水艦の売り込みを打診しているという。 (2108-062306)

4・5・3 ベトナム

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・5・4 インドネシア

4・5・4・1 国防政策

4・5・4・1・1 対中政策

インドネシアの海軍と中国海軍が合同訓練

 中国軍の発表によると中国とインドネシアの海軍が5月8日にジャカルタ付近の海域で合同軍事訓練を実施した。
 中国側からは複数のフリゲート艦が参加し、インドネシアの艦船と所定の海域で合流した。
 中国の海洋進出に対して米国を中心に多国間の連携が強まるなか、これに対抗する狙いがあるとみられる。 (2106-051006)

瀬取りをしていたタンカーの中国人船長とイラン人船長に有罪判決

 インドネシアの裁判所が5月25日、瀬取りをしていたとされる石油タンカー2隻の中国人船長とイラン人船長の2人に対して「海上に不法に燃料を放棄した」「インドネシア領海に不法に侵入した」として執行猶予付きの禁固1年の有罪判決を下したことを明らかにした。
 地元メディアなどによると、パナマ船籍のタンカーの中国人船長とイラン船籍のタンカーのイラン人船長は、1月にインドネシア領海への不法侵入と積み荷の石油の海上不法投棄などで摘発、起訴されていた。
 スマトラ島北部のリアウ諸島州バタムの地方裁判所で4月から公判が続けられた結果、25日に判決が言い渡された。 (2106-052705)

4・5・4・1・2 国 防 費

国防近代化法

 インドネシア大統領府が2040年代中頃までの25年間に$125Bを支出する国防近代化法の素案を纏めた。
 この素案ではこの期間を5年毎の5つの段階に分け、第1段階を2020~2024年、最終段階を2040~2044年にしている。
 $125Bの内訳は装備の近代化に$79B、維持経費に$32.5B、残りの$13.4Bは外国へのローン支払いになっている。 (2107-060106)

2020~2044年、軍近代化計画

 インドネシア大統領府が、2020年から2044年までの25年間に$125Bをかける軍近代化計画の素案を公表した。
 計画は5年ごとの5段階で構成され、装備品調達に$79B、軍の維持に$32.5B、$13.4Bを海外からの借款への金利に充てている。
 このうち空軍への支出が最大で、Hawk 109/209の後継としてにF-16V Block 70/72を購入するほか、F-5E、C-130J、CH-47の後継やAEW&C機の購入も挙げられている。 (2108-060915)

4・5・4・1・3 沿岸警備の強化

イランとパナマ船籍タンカーを拿捕

 インドネシアが1月24日、同国の沿岸警備隊がカリマンタン島(ボルネオ島)沖で不審な石油タンカー2隻を発見し拿捕したと発表した。 2隻はイランとパナマの船籍で、積み荷を海上で移し替える瀬取りを行っていた疑いがあるとしている。
 イラン外務省報道官は25日、インドネシア側に詳細な経緯の説明を求めた。 (2102-012506)

4・5・4・2 軍備強化

空軍の装備計画

 インドネシア国防省が2月中旬に、今後4年間に空軍が購入する装備計画の2021年度版を公表した。
 その中にはRafale、F-15EX、C-130J、Airbus A330空中給油/輸送機 (MRTT) が含まれている。 Rafale 36機と共に36機装備するF-15EXについては当初分の8機を発注し、2022年までに6機を取得する。
 C-130Jを15機、A330 MRTTを2機、UAVを3機購入するほか、地上設置早期警戒レーダを30基購入する。 (2105-030307)
【註】この記事から、一旦購入が決まっていたもののその後保留になっていたSu-35の購入は完全に消えた。

KF-21/IF-X 計画への完全復帰

 韓国DAPAが11月11日、インドネシアがKF-21/IF-Xの開発費について20%を分担することを再確認し、そのうちの30%を物納すると発表した。
 当初2016年の合意では、2028年までの開発費KRW8.8T ($7.5B) のうち60%を韓国政府、20%をインドネシア、20%をKAI社が負担することになっていて、特に2015~2026年の支出がKRW8.12B、2026~2028年にKRW680Bが追加された。
 その後2017年にインドネシアがKRW227B支払った時点で支払残高がKRW800Bとなったため、支払いを停止していた。 (2201-112407)

Su-35 の断念

 インドネシア空軍参謀長が記者団に対し、同国はSu-35の購入を取りやめ、F-15EXとRafaleが4.5世代戦闘機の候補となったと述べた。 もしF-15EXの採用を決めれば、早ければ2027年には配備できるという。
 インドネシアは2015年にSu-35 11機の採用を決めたが契約には至らずにいた。
 Su-35の購入交渉が進まなかった背景には、米国で2017年に成立したCAATSA法による制裁があった。 (2201-122206)

4・5・4・3 艦 船

4・5・4・3・1 潜水艦

潜水艦の就役

 インドネシア海軍のNagapasa級 (Type 209/1400) 潜水艦の3番艦にして最終艦となるAlugoroが4月6日にNatuna諸島のGreat Natuna島で就役した。
 Alugoroは韓国DSMEと共同でインドネシアの国営PT PAL社で建造された初の潜水艦で、3月にPT PAL社からインドネシア海軍へ引き渡されていた。 (2106-042107)

潜水艦の増強

 複数のインドネシア国防当局関係者が、中国が海洋進出を活発化させるのに対し海軍力の増強を進めるインドネシアは、潜水艦が沈没し全乗員が死亡した事故を踏まえて潜水艦の配備体制を強化する。
 最大で現在の3倍となる12隻の保有をめざしていることを明らかにした。
 インドネシアは韓国と潜水艦の生産協力を進めているが、フランスやロシア、トルコからも輸出の打診を受けているもようであることから、日本政府も輸出に関し意向調査に乗り出した。 (2106-052904)

4・5・4・3・2 水上艦艇

次期フリゲート艦

 イタリアFincantieri社が6月10日、インドネシアからFREMMフリゲート艦6隻を受注したと発表した。 インドネシアはこの他に、伊海軍で退役する予定のMaestrale級フリゲート艦2隻も改修して購入するという。
 この契約でFincantieri社は伊海軍から10隻、エジプト海軍から2隻、米海軍から2隻と合わせて20隻のFREMMを受注したことになり、この他にエジプトから2隻、米国から8隻のオプションも受けている。 (2107-061006)
【註】インドネシアのフリゲート艦では日本もFFMを元にして売り込みを行っていた。

試作双胴型高速艇

 インドネシア国営PT Pindad社が5月23日、同社が4月28日に進水させたAntasena Tank Boatの試作艇Pindadがジャワ島東部沖合で洋上試験と射撃試験を実施していると発表した。
 Pindadは全長18m、幅6.1m、喫水1mの双胴型で、速力40kt、9kt航行で航続距離600nmの性能を持ち、5名の乗員のほか60名を載せることができる。
 武装としてMk44 30mm機関砲1門と12.7mm機銃2丁を装備している。 (2108-060210)

三胴型高速攻撃艇

 インドネシアPT Lundin社が海軍から受注した三胴型高速攻撃艇Golokが8月21日に進水した。
 Golokは2012年に火災で失ったKlewangの同型艇で、船体と上部構造は炭素樹脂で作られている。
 全長は63mでMJP 550ウォータージェット4基で推進し、速力35kt、巡航速度16ktの性能を持ち、RBS15 Mk3 SAM 4発を装備する。 (2111-090112)
【註】ニュージーランドの協力で設計され2012年8月に進水したKlewangは全長63m、幅16m、排水量219tの三胴船形の高速艇で、C-705対艦ミサイル4~8発とType 715 CIWS 1基が装備されることになっていたが、洋上試験中の2012年10月に火災を起こし沈没した。

4・5・4・3・3 潜水艦の事故

事故の発生

 インドネシア軍幹部が4月21日、53名が乗った潜水艦が訓練中に連絡を絶ち行方が分からなくなり、捜索を始めたと明らかにした。
 潜水艦は21日未明、バリ島北方95kmの海域で訓練をしていたが、海軍の報道官は「水面下に入ったと報告があった後、すぐに連絡が取れなくなった」と話した。 インドネシア政府はオーストラリアとシンガポールに支援を要請したという。
 ロイタ通信によると、潜水艦は1978年にドイツで建造されたNanggalaで、インドネシア海軍が持つ潜水艦5隻のうちの1隻だった。 (2105-042101)
【註】Nanggalaはドイツで輸出用に開発された209シリーズで水上排水量1,306tのType 209/1300で、ドイツで2隻建造され1981年に就役した。
 その後2005~2006年に韓国でバッテリーの交換とエンジンのオーバーホールが行われている。
 つづく水上排水量1,280t、水中排水量1,412tのType 209/1400は3隻が韓国で建造され、4隻目はインドネシアでライセンス建造されている。

シンガポールとの救難協定発動

 バリ島近海で魚雷発射訓練中の53名が乗り組んだインドネシア海軍の潜水艦Nanggalaが4月21日早朝に消息を絶ったのを受け、シンガポール海軍の潜水艦救難艦Swift Rescueが同日午後にバリに向け出航した。
 Swift Rescueはインドネシア海軍と協力して捜索に当たるが、Nanggalaからの最後の消息を確認した水深700~800mの現地では、既にインドネシア海軍のコルベット艦2隻などが捜索を行っている。
 シンガポールとインドネシアは2012年に救難協定を結んでおり、インドネシアは米国を含む他の国々とも同様の協定を結んでいる。  Swift Rescueは海軍艦でありながら契約した民間人が乗り組んでいる。 (2105-042102)

4・5・5 マレーシア

4・5・5・1 安全保障政策

4・5・5・1・1 シンガポールとのイザコザ

 マレーシア警察のヘリコプターが2021年9月11日に、承認なしにPulau Tecong島の東部上空にあるシンガポールの領空に侵入したためシンガポール空軍のF-16が緊急発進した。
 シンガポール国防相は10月5日に発表された議会の質問に対する書面による回答で、マレーシア警察のヘリはジョホール南部のタンジュン・ペンゲリに向かって南東方向に移動していたと述べた。 (2111-100608)
【註】シンガポールとマレーシアは過去にもジョホール水道を挟んで国境侵犯のいざこざを度々起こしている。
4・5・5・1・2 対外関係

北朝鮮大使館員に国外退去命令

 北朝鮮がマレーシアに対し3月19日、マネーロンダリングなどの罪に問われた北朝鮮の国民を米国に引き渡したことに反発し、国交を断絶すると宣言した。
これに対しマレーシア外務省は声明で、「決定は極めて遺憾」と表明し、「非友好的で、国際社会の相互尊重の精神を軽視している」と非難した上で、「身柄の引き渡しは正当な法的手続きを経ている」と強調し、北朝鮮大使館に勤務する外交官とその家族に対し、48時間以内に国外に退去するよう命じた。 (2104-031904)

4・5・5・2 軍備の増強

4・5・5・2・1 艦 船

沿岸警備艦 (LMS) 二番艦が就役

 マレーシアが2017年に中国に4隻発注した沿岸警備艦 (LMS) の二番艦Sundangが就役し、3月5日に母港となるコタキナバルで就役式典が行われた。
 1月24日に上海に近い啓東で引き渡されたSundangは、一番艦のKerisと第11沿岸警備隊を編成する。 (2104-030511)

沿岸警備艦 (LMS) 三番艦が就役

 マレーシア海軍が10月22日、Keris級沿岸警備艦 (LMS) の三番艦を就役させ、ボルネオ北部で南シナ海に面するコタ・キナバル近くの基地に配備した。
 全長68.8m、幅9m、喫水2.8m、排水量700tのLMSは20mmまたは30mm艦載砲と12.7mm機銃2丁を装備し、速力22kt、15kt巡航での航続距離2,000nmの性能を持つ。 (2201-110316)

4・5・5・2・2 航空機

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・5・5・2・3 陸戦兵器

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・5・6 シンガポール

4・5・6・1 安全保障政策

4・5・6・1・1 対中姿勢

 シンガポールが2月24日、約5年ぶりに中国海軍との合同演習を実施した。
 中国との軍事関係が今後強化される可能性はあるものの、米国がシンガポールにとって「安全保障上の第一のパートナー」であることは変わらないとシンガポールの専門家は見ている。
 ビジネスを重視するシンガポールの外交政策を考慮すれば、中国封じ込めの国家連携に参加することは考えにくく、バイデン米大統領が中国に対抗する、いわゆる「民主主義国家の連携」を提唱しているが、シンガポールのリー首相はこの考えを「冷戦型」と呼んで、参加を拒否する姿勢である。 (2103-022604)
4・5・6・1・2 国土と人口の制約

米国での戦闘機訓練

 米国とシンガポールがアーカンソー州Ft. SmithのEbbing州兵空軍基地でシンガポール空軍のF-16及びF-35Bの訓練を行うことに合意した。
 アーカンソー州兵広報によるとF-16は2023年に、F-35Bの1番機は2026年に到着する。
 シンガポール空軍は現在F-16の訓練を、アリゾナ州フェニックスに近いLuke AFBで行っている。 (2107-060408)

 シンガポール国防省が6月4日、同国空軍のF-16及びF-35Bの訓練基地にアーカンソー州Ft. SmithにおるEbbing州兵空軍基地が選定されたと発表した。
 この結果アリゾナ州Luke AFBからF-16C/D 12機が2023年以降に移駐する。 またF-35Bは2026年からEbbing州兵空軍基地に配置される。
 Luke AFBにはシンガポール空軍のほかに台湾空軍のF-16も駐留している。 (2108-061606)

4・5・6・1・3 第3世代 (3G) 近代化計画

 シンガポール国防省が6月30日、陸軍が17年かけた第3世代 (3G) 近代化計画を3G混成師団の運用開始をもって完了したことを明らかにした。
 3G混成師団は自動車化混成旅団とHIMARSなどを装備する師団打撃旅団で構成され、3G指揮統制情報処理装置 (CCIS) や戦場管理システム (BMS) を装備する。
 2020年11月には射撃統制を行う国産の指揮所Sense and Strike (HQ SS) を装備し、TPQ-53対砲迫レーダと迫撃砲を搭載したBelrex装甲車 (PCSV) を導入している。 (2109-071409)
4・5・6・2 装備開発

4・5・6・2・1 艦 船

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・5・6・2・2 U A V

Veloce 15 ハイブリッド VTOL miniUAV

 シンガポール陸軍が6月28日にVeloce 15ハイブリッドVTOL miniUAVを公表した。
 Veloce 15は2009年から装備しているSkyblade Ⅲ miniUAVの後継となる。
 翼端長3.7m、MTOW 17.5kgのVeloce 15は高度300~2,000ftを飛行でき、滞空能力3時間、データリンク通達距離15kmの性能を持つ。 (2109-080012)

4・5・6・2・3 UUV / USV

 シンガポールがAIを利用したUSVの試験中で、完了すれば哨戒任務用として4隻を導入する。
 このUSVは台湾の龍德造船が建造したもので、全長16.9m、排水量30tで、12.7mm機銃1丁とレーザ幻惑装置、長距離音響装置を装備して、速力25kt、航続26時間の性能を持つ。 (2104-030106)
4・5・6・2・4 その他の装備

個人用システム装具

 シンガポール陸軍が2020年12月、バリスティックヘルメットと軽量装置で構成される戦闘LBS計画を開始した。
 LBSは人間工学上の配慮と熱放散に優れ、米軍で1980年代から使用されているPASGTのシンガポール型に代わって装備される。
 LBSにはイヤーマフ、通信装置、暗視装置などが取り付けられ、重量は10%軽減されている。 (2103-020001)

軽量型航空機武器搭載装置

 シンガポール国防省が6月30日、空軍が国防科学技術局 (DSTA) が開発した軽量型航空機武器搭載装置 (CLAW) の試験を行っている。  CLAWは1名で操作できる2輪の装置で、弾薬の保管庫への収納や航空機への搭載ができる。 装置は全長4,020mm、幅1,440mm、高さ1,240mmで電動で駆動し、連続8時間使用できる。 (2109-080001)

4・5・6・3 装備の導入

4・5・6・3・1 防 空

Aster 30 SAMP/T

 シンガポール空軍が2020年12月17日に東部のLim Chu Kang Camp ⅡでAster 30 SAMP/Tを公開した。
 シンガポールは2012年にイスラエルからSPYDER-SR SHORADを導入し、2018年7月にFOCとしたが、2013年9月にSPYDER-SRを補完するものとしてSAMP/Tの導入を決めた。
 SAMP/Tの標準的な中隊はAster 30 8発を搭載したVLS TEL 4両(6両まで可能)と、Arabel 360゚監視X-band MFRレーダ1基及び指揮統制車1両で構成される。 (2103-020003)

4・5・6・3・2 艦 船

 UAE国防省と海軍が5月18日、UAE Edge社傘下のアブダビ造船 (ADSB) 社にFalaj 3級外洋警備艦をAED3.5B ($952.7M) で発注したと発表した。
 ADSB社は3Q/2021年末にシンガポールのST Engineering社の支援を受けて4隻の建造を開始し、5年以内に引き渡すという。 (2106-051803)
【註】Falaj 3は全長60m、幅9.5m、喫水4.45m、満載時排水量641tで、速力26kt、航続距離2,000nmの性能を持つ。
4・5・6・3・3 航空機

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・5・6・3・4 その他

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・5・6・4 武器輸出

ニュージーランド艦の大規模整備

 ニュージーランド海軍が多用途艦Canterburyの2ヶ月間に及ぶ15年目の大規模整備をシンガポールのST Engineering社で行う。
 ニュージーランドには全長131mのCanterburyが使える乾ドックがないためである。
 Canterburyは2007年6月にオランダのMerwede造船所で建造されオーストラリアで艤装されたあとニュージーランドに納入された。 (2109-082004)

IAI社とST Engeneering社の合弁企業がBlue Spearをエストニア軍へ

 IAI社が10月6日、エストニア軍からBlue Soear沿岸防衛システムを受注したと発表した。
 契約はIAI社とシンガポールのST Engeering Land Systems社の合弁会社であるProteus Advanced Systems社と行われた。
 Blue Sprear 5GはGabriel ASCMの陸上発射型で、Gabrielはイスラエル国防省をはじめ世界中に1,000発以上が販売されている。 (2112-102005)
【註】Proteus Advanced Sytems社はBlue Spearを販売するために2020年7月にIAI社とST Engeering Land Systems社が50%ずつの出資で設立した。

4・5・7 タ イ

T-50TH の増強

 タイ空軍がKAI社にT-50TH 2機をTHB2.36B ($72M) で追加発注すると発表した。 契約は2021年後半に行われる。
 これによりタイ空軍のT-50THは合わせて14機になる。 (2109-072808)

4・5・8 その他

4・5・8・1 ミャンマー

初の潜水艦が就役

 ミャンマー海軍が2020年12月24日に、初の潜水艦の命名就役式を行った。
 この潜水艦は元インド海軍のKilo級潜水艦で、2019年末に修復を終え2020年初めにミャンマーへ引き渡されていた。 (2103-011312)

中国向けパイプラインを襲撃

 ミャンマーのインターネットメディアによると、5月5日05:00頃に中部マンダレーでパイプラインを警備していた警察官5人が約20人に襲われ3人が刺殺された。
 国軍によるクーデターに抗議する市民の間では、国軍と関係が深いとされる中国に対する反感が強まっており、ネット上では中国関連施設への襲撃が呼びかけられていた。
 パイプラインは中国の一帯一路構想の一環として、ミャンマー西部ラカイン州チャウピューから中国雲南省昆明までをつないでおり、中東からの原油をマラッカ海峡や南シナ海を通らずに中国へ送ることがでる。
 中国メディアによると2013年に天然ガス、2017年に原油の輸送が始まり、合わせて年60億立方メートルが中国に供給されている。 (2106-050802)

4・5・8・2 カンボジア

中国が米国の建てた施設を取り壊して改修

 カンボジアのバン国防相が6月2日、米軍が中国の軍事利用を懸念している南西部のリアム海軍基地について、カンボジアが中国に改修の支援を求め、中国が基地再開発に貢献していると認めた。
 中国が同基地の近代化と拡張を助けてくれるが、基地施設へのアクセスは中国だけに限られているわけではないとも表明した。
 カンボジアは昨年10月、同国最大の海軍基地であるリアム基地に米国が建てた小規模施設の取り壊しを確認し、計画していた改修の一環だとしたが、中国が関与しているとの報道は否定した。
 米国防総省は昨年、取り壊しについてカンボジアからの説明を求めていた。 (2107-060303)

 カンボジア南部にある海軍基地をめぐっては、米有力紙などがカンボジアへの経済支援の見返りに中国の基地利用を認めている疑いがあると報じている。
 さらに6月にカンボジアを訪れたシャーマン米国務副長官も中国軍が存在感を高めていることに深刻な懸念を表明していて、11日にカンボジア政府の同意のもと、駐プノンペン米大使館駐在武官が基地を視察したが、米大使館は発表の中で、今回の視察には制約があり改めて制約を設けずに視察に応じるようカンボジア側に求めたとしている。
 これに対し、カンボジア政府に近いメディアは米側の要請には十分に応えたとして「大使館の発表は事実に反している」と報じている。 (2107-061202)

米、カンボジアに武器禁輸

 米政府が12月8日、中国軍がカンボジアで影響力を拡大しているなどとして、カンボジアに対する武器の禁輸と新たな輸出規制を発表した。
 米商務省は、カンボジアは中国軍が軍事的プレゼンスを拡大し、専用施設を建設するのを容認していると批判すると共に、人権侵害や汚職に対する懸念にも言及し、軍事転用可能な製品などの輸出規制を表明した。
 カンボジア南西部のリアム海軍基地では、中国が軍事利用を計画している可能性が指摘されており、米国は神経をとがらせている。 (2201-120901)

4・6 大洋州

4・6・1 オーストラリア

4・6・1・1 国防の基本方針

4・6・1・1・1 国防費の増額

 豪政府が5月11日、2021-2022会計年度の国防費を4.4%増のAUD44.61B ($34.84B) と発表した。 対GDP比は2.1%になる。
 豪国防相は2020年に、今後2029-2030年度までの10年間で国防費をAUD575Bとすると発表していた。 (2107-051905)
4・6・1・1・2 対中政策

地方政府の対中協力合意を無効化

 オーストラリア政府が4月21日、ビクトリア州が中国政府と結んだ中国の巨大経済圏構想一帯一路で協力する合意文書を無効にすると発表した。
 豪政府は2020年8月に州政府や地方自治体、公立大学が外国政府と結ぶ経済、文化、学術分野の協定について、外務省が内容を審査する方針を発表している。
 また2020年12月に可決した法案は、国益を害すると判断した場合、政府が締結済みの協定を取り消し、検討中の協定の締結を認めない内容で、中国が念頭にあるとみられてきた。 (2105-042204)

 オーストラリア地方政府が中国企業と結んだダーウィン商業港の賃借契約について、豪州連邦政府が見直しの検討を始めた。 同港には米海軍が寄港することもあり、中国企業が管理することに安全保障上の懸念が上がっていた。
 同港をめぐっては2015年に中国企業嵐橋集団が、北部準州とAUD500M(420億円)で99年間賃借する契約を結んだ。
 嵐橋集団のトップは中国の国政助言機関である人民政治協商会議委員を務めた経歴があり、同社は中国政府と深い関係にある。
 豪州北部で唯一大型艦が接岸できる軍民共用桟橋も賃借契約の対象で、野党陣営や安全保障の専門家が批判していた。  Sydney Morning Herald紙は5月3日、モリソン政権が国防省の助言を受けて最終的に契約内容について判断するが、嵐橋集団に同港の管理権を強制的に売却させることなどが視野に入っているもようだと報じている。 (2106-050402)

豪中戦略経済対話の無期限停止

 中国国家発展改革委員会が5月6日、オーストラリアとの戦略・経済対話に関する全ての活動を無期限に停止すると発表した。
 中国は一帯一路構想や中国企業をめぐる豪州の対応に不満を強めており、同国への圧力を強化する狙いがあるとみられる。 (2106-050603)

米国の支持

 ブリンケン米国務長官が5月13日、中国から経済的圧迫を受けているオーストラリアを米国は決して孤立させないと断言した。
 オーストラリアのペイン外相は、オーストラリアは中国との建設的な関係を構築したいという姿勢を明確にしていると説明しつつ「だがわれわれは国家安全保障や主権の点で妥協せず、これを守るために行動を堅持する」と強調した。
 中国とオーストラリアはCOVID-19や5G通信網の問題などを巡って近年関係が悪化しており、中国がオーストラリア産のワインから石炭までさまざまな輸出品に制裁を科している。 (2106-051403)

中国を念頭に大学への外国干渉規制を強化

 オーストラリア政府が、大学での自己検閲や機密技術の秘密裏の移転を阻止するため、大学に対する外国の干渉規制を強化したと発表した。
 アンドリュース内相は11月17日に外国からの干渉に関する指針について、機密性の高い研究を標的にしたり、議論を封じ込めたり、留学生を威嚇したりすることで知られる敵対的な外国の諜報機関等から大学や学生を守るためと述べた。
 国際人権団体HRWは6月に、中国人留学生の多くが自己検閲の雰囲気を作っているため、講師が中国政府への批判を避けたり、中国人学生が嫌がらせを恐れて沈黙したりしているとの報告書を公表した。
 指針によると望ましくない技術移転や、非民主主義国の軍や政府に所属していることを申告しない研究者を懸念している。
 国際教育は、オーストラリアで4番目に大きな輸出産業であり、中国は私費留学生の最大の供給源となっている。 (2112-111709)

4・6・1・1・3 米国との軍事協力強化

共同演習の拡大

 Australian紙が7月21日、オーストラリアと米国が軍事協力の強化に向けて豪州での新たな軍事演習を計画していると報じた。
 報道によると、検討しているのは米陸軍との合同演習で、米海兵隊が豪北部ダーウィンに毎年巡回駐留するのをモデルとし、豪北部などの軍事訓練地域を利用することを想定している。
 米豪の制服組トップらが参加して8月に米ワシントンで開かれる会合を前に、協議が進んでいるという。 (2108-072105)

巡回駐留米軍の規模拡大

 米国とオーストラリアが9月16日、ワシントンで外務国防閣僚協議 (2-plus-2) を開催し、豪州に巡回駐留する米軍の規模拡大で合意した。
 米英両国は15日に豪州の原子力潜水艦建造を支援する方針を表明したばかりで、インド太平洋で安全保障連携を強化し、急速に軍事力を拡大する中国に対抗する狙いがある。 (2110-091704)

航空機、潜水艦のローテーション配備を容認

 ブリンケン米国務長官が9月16日に米国を訪問したペイン豪外相とワシントンで、オースティン米国防長官とダットン豪国防相も出席して米豪外務国防閣僚協議 (2-plus-2) を開催した。
 会議後に開かれた共同記者会見で、オーストラリアが米軍が駐屯する基地を提供することで合意したことを明らかにした。
 ダットン国防相は、あらゆる種類の米軍機がオーストラリアに巡回配備され得るようにすることも含まれると明かした。
 これについて米国の外交専門誌Foreign Policyは同日、豪州西部パースの潜水艦基地に米軍が配備されることもあり得ると報じた。 (2110-091803)

4・6・1・1・4 米英豪3ヶ国安全保障協力 AUKUS

原子力潜水艦技術移転と AUKUS

 米英豪が9月15日、中国に対抗する3ヶ国の安全保障協力の一環として原子力潜水艦技術で協力すると発表した。 米国はこの協力関係をAUKUSと呼んでいる。
 米国にとって核推進技術の共有はソ連がスプートニクを打ち上げた1958年に英国と相互安全保障合意を行って以来初となる。
 原子力潜水艦の建造はまたオーストラリアにとって過去最大の契約であるAUS90Bにのぼる仏Naval Group社との潜水艦建造契約を凌ぐものになる。 (2110-091510)

 米英豪3ヵ首脳が米東部時間9月15日午後に、インド太平洋地域における安全保障協力の枠組みを設立すると表明した。
 バイデン米大統領はこの中で、豪州に原子力潜水艦関連技術を供与すると表明した。
 バイデン大統領はまた、米英豪3ヵ国が21世紀の脅威に対応するため、共有する能力を刷新、向上させると強調した。 (2110-091604)

フランスの反発

 フランスは9月16日、オーストラリアがフランスと交わしていた潜水艦の大型契約を破棄し米国製の原子力潜水艦を導入すると決めたことを受け、豪政府の裏切りを非難し、米国はトランプ前政権と同様の行動を取ったと批判した。
 フランスのルドリアン外相はラジオ放送で、これはまさに裏切り行為で、オーストラリアと築いてきた信頼関係が裏切られたと主張した。
 米大統領府高官はAFPに対し、米国はこの件についてフランスと事前協議していたとしているが、仏大使館の報道官はこれを否定し事前協議はなかったとしている。 (2110-091702)

 オーストラリアがフランスと交わしていた潜水艦の大型契約を破棄し、米国製の潜水艦を購入すると決めたことを受け、フランス政府は米国とオーストラリアに駐在する大使を召還した。
 ルドリアン仏外相が9月17日に声明で、協議のために大使2人を直ちに召還することを決めたと発表した。 (2110-091801)

 豪首相が9月19日、自国が破棄したフランスとの潜水艦共同開発契約について、数ヵ月前から仏側に懸念を示していたと述べ、豪州がうそをついたと非難する仏政府に反論した。 (2110-091907)

 英メディアが9月20日、ロンドンで今週開催予定だった英国とフランスの国防相会談が中止されたと報じた。 仏側が中止を申し入れたという。
 米英豪が立ち上げた新たな安全保障の枠組みAUKUSをめぐり、仏側と生じた亀裂が一段と深まった。 (2110-092001)

 オーストラリアがフランスのNaval Groupに発注していたAttack級潜水艦12隻の契約を破棄したことに対しフランス国防相が9月21日に、米国の議会調査室 (CRS) 資料を根拠に、Virginia級SSNは1隻$3.45BとフランスのBarracuda級SSNの3倍もすると述べ、オーストラリアの決定に異議を唱えた。 (2111-092903)

ニュージーランドの反応

 米英両国がオーストラリアに原子力潜水艦の建造に必要な技術供与を表明した問題で、ニュージーランドのアーダーン首相がモリソン豪州首相に対し、NZ領海内への原潜の進入は容認出来ないとの立場を伝えたことが9月19日までにわかった。
 ニュージーランドは先進国の中で原子炉を保有しない数少ない国のひとつで、原子力利用、原子力船の入港や核兵器持ち込みを拒否するなどの非核政策を堅持している。 (2110-091908)

近隣国は様々な反応

 オーストラリアが9月15日に原子力潜水艦を装備すると発表したことで、近隣国は様々な反応を示した。 (2111-092902)

インドネシア

 17日に外相が深い懸念を示した。

シンガポール

 16日に首相が、AUKUSが地域の平和と安定化に寄与することを期待すると述べた。

マレーシアの反応

 マレーシアのイスマイルサブリ首相がオーストラリアのモリソン首相との電話協議で、米英豪の新たな安全保障協力の枠組みAUKUSがインド太平洋地域で核兵器の軍拡競争を引き起こすとして懸念を表明した。
 インドネシア政府も原子力潜水艦の保有をめざす豪州の方針を注意深く見守るとしており、ASEAN内に波紋が広がっている。 (2110-091909)

 9月19日にマレーシア外相が、AUKUSの設立には言及しなかったが、地域の軍拡に懸念を示した。 (2111-092902)

国内世論の支持

 オーストラリアが原子力潜水艦を保有する計画について、豪国内で支持が不支持の2倍に上ることが、10月4日付のオーストラリアン紙に掲載された世論調査で明らかになった。
 調査によれば、原潜配備への支持は59%、不支持は31%だった。
 また、中国は豪州の国家安全保障の大きな脅威と答えた人も75%に達した。 (2111-100402)

AUKUS に基づく情報交換協定に署名

 米英豪が11月22日、安全保障枠組みAUKUSに基づく情報交換協定に署名した。
 オーストラリアは原子力潜水艦配備に向け、核推進に関する米英の情報にアクセスできるようになる。 (2112-112205)

AUKUS の運営組織が発足

 米英政府が12月17日、米英豪が創設したインド太平洋の安全保障枠組みAUKUSを運営する組織が12月、初会合を米国防総省で開催し、2022年初めまでに作業計画をまとめることで一致したと発表した。
 3ヵ国は9日に先進的な能力に関する会合、14日に原潜に関する会合を開き、オーストラリアへの早期の原子力潜水艦配備に向け、オーカスが本格始動すると共に、サイバーやAI、量子技術など先端技術の協力強化も確認した。 (2201-121801)

4・6・1・2 軍備の増強

4・6・1・2・1 北部軍施設の増強

 モリソン豪首相が4月28日、今後5年間で$500M以上を投じて最北部にある軍事訓練施設4ヵ所を改修すると発表し米軍との合同演習を拡大する計画を発表した。
 軍施設の増強計画は2年前に案が持ち上がった当初よりも広範囲に及び費用も膨らんでいて、ダーウィン港に巡回駐留する米海兵隊などとの合同演習の回数を増やすことが可能となる。
 保守派のモリソン政権はここ数ヵ月、中国との関係悪化に伴い安全保障問題で強硬姿勢を強めていて、3月に就任したダットン国防相は、中台間の衝突の可能性を公言している。 (2105-042804)
4・6・1・2・2 防空/BMD

GBMRAD (Ground-Based, Medium-Range, Air Defence)

 オーストラリア国防省がProject Air 6502 Phase 1とするGBMRADのRfPを発簡した。
 GBMRADはRaytheon豪社とKongsberg豪社がNASAMSを元に進めているスタンドアローンのLand19 Phase 7Bの上位に位置するもので、オーストラリアの将来IAMDの中枢ととしてNorthrop Grumman社とLockheed Martin社が開発を進めているJABMSとの連接が求められている。 (2112-100607)

4・6・1・2・3 艦 船

Attack 級潜水艦

 フランスNaval Group社とオーストラリアが6月16日、もめていた総額AUD90B ($68.2B) の将来潜水艦計画で次段階移行に合意したと発表した。
 オーストラリアが12隻建造するAttack級4,500t潜水艦は事前設計審査 (PDR) が2023年5月に計画されているが、Naval Group社の呈示額がAUD2.5~3Bとの豪政府の見積もりを50%以上上回っていた。 (2108-063008)

Attack 級潜水艦の計画中止と原子力潜水艦の建造

 米英豪が9月15日、中国に対抗する3ヶ国の安全保障協力の一環として原子力潜水艦技術で協力すると発表した。 米国はこの協力関係をAUKUSと呼んでいる。
 米国にとって核推進技術の共有はソ連がスプートニクを打ち上げた1958年に英国と相互安全保障合意を行って以来初となる。
 原子力潜水艦の建造はまたオーストラリアにとって過去最大の契約であるAUS90Bにのぼる仏Naval Group社との潜水艦建造契約を凌ぐものになる。 (2110-091510)

 オーストラリアが9月16日に、6隻保有しているCollins級潜水艦に代わるAttack級12隻の建造をフランスNaval GroupにAUD90B ($68B) で発注していたのを破棄して英国と米国に原子力潜水艦を発注することにした最大の理由は中国に対抗する能力が求められたことで、モリソン首相は極秘にブラウン海軍准将を長とするチームを編成した慎重な調査結果で、以前は利用できなかった原子力潜水艦の技術が、民間の支援を必要としないところまで進化したことを確認したことによる。 (2111-092901)

 オーストラリアは、米英両国と新たな安全保障の枠組みで合意したのに伴い原子力潜水艦の保有に向けて前進したが、今回の合意はフランスとの関係悪化を招いている。
 オーストラリアはフランスのNaval Group社と2016年に潜水艦最大12隻の建造契約を結んでいたが、フランスは今回の米英豪合意でこの計画が破棄されたとした。 (2110-091607)

 オーストラリアは、米国、英国との安全保障の枠組みAUKUS(オーカス)を通じて、原子力潜水艦の取得など防衛政策の大きな転換期を迎える。
 豪州が進める既存の潜水艦事業の行き詰まりも契機になったとみられる。
 豪州は2016年に日本も受注競争に参加した次期潜水艦の建造で、フランスを開発相手に選定したが、当初はAUD50B(4兆円)と見込んだ12隻の建造費はAUD90Bに跳ね上がり計画も遅れたことから、事業継続の是非で判断を迫られていた。 (2110-091611)

 オーストラリアがフランスとの潜水艦共同開発計画を撤回し批判されている問題で、豪政治家は進展の遅れやコスト超過、適切性について何年も前から公の場で懸念が表明されていたため、仏側が想定外と受け止めるべきではないと主張、豪政府の文書からも計画撤回のリスクが存在していたことが示された。
 フランスとの潜水艦開発計画は2016年に発表され、仏政府系造船会社Naval Groupとは2019年2月に契約を締結した。 (2110-092205)
【註】オーストラリアが2016年4月に決めた次期潜水艦のフランスへの発注には豪国内から異論が相次ぎ、当時の日本の提案を最善とする声は豪国防関係者の間では根強いとされていた。
 オーストラリアが潜水艦をフランスに発注したのは、親中派とされる当時のターンブル首相が対中配慮から、有力候補であったそうりゅう型を日本に発注するのを避けるためであったとの見方もあった。
 そうりゅう型が既に海上自衛隊で就役しているのに対し、フランスの提案はBarracuda級原潜を通常動力型にするという机上案であった。

 オーストラリア国防省が計画を中止したAttack級潜水艦の建造施設を原子力潜水艦建造に活用できないか検討している。
 オーストラリアは9月にフランスNaval Groupに発注していたAttack級12隻の建造を取りやめ、AUKUSの支援で8隻以上の原潜を建造するとした。 (2201-111015)

原潜のリース

 ダットン豪国防相が9月19日までに、米国と英国の協力に基づく原子力潜水艦の装備計画について、国内での建造に先立ち、米英からのリースや購入も検討していることを明らかにした。 (2110-091906)

 ダットン豪国防相が9月20日にSky Newsとのインタビューで、豪海軍は建造される原潜が引き渡されるまでの間、原潜をリースして運用する可能性があることを確認した。 (2111-092904)

Hobart級 AWD 駆逐艦

 オーストラリア海軍のHobart級AWD駆逐艦の三番艦にして最終艦となるSydneyが7月30日、戦闘能力確認のため4ヶ月半にわたり米国とカナダを訪問していた航海を終えシドニーに帰港した。
 2018年5月に進水したSydneyはその2年後に就役している。 (2110-081113)

Hunter級フリゲート艦

 オーストラリア政府が8月2日、海軍が9隻建造するHunter級フリゲート艦の一番艦建造が18ヶ月遅れると発表した。
 Hunter級は英国のType 26フリゲート艦を元に建造されるがCOVID-19感染拡大などの影響で設計作業が遅れているという。
 Hunter級は8隻保有しているAnzac級に代わる対潜能力を重視した多目的艦で、対水上戦機能にはAegisシステムが導入され、レーダには豪州製のCEAFARが採用されている。 (2110-081111)

洋上補給艦 (AOR)

 豪海軍がスペインNavantia社に2隻発注していた洋上補給艦 (AOR) の一番艦Supplyが1月8日に就役した。
 2019年8月30日に進水した二番艦Stalwartも2021年後半に就役する。
 Supply級AORは全長173.9m、幅23m、排水量19,500tで、速力20kt、13kt航行での航続距離11,000kmの性能を持ち、1,450㎥のJP5ジェット燃料、ディーセル燃料8,200㎥、真水1,400㎥、弾薬270t、食料470tを積載できる。 (2103-012014)

 オーストラリアが2隻の建造を計画しているSupply級補給艦 (AOR) の一番艦Supplyが4月10日に就役した。
 スペインNavantia社で建造されたSupplyは2020年8月にスペイン沿岸で公試運転を行い、1月15日にシドニーへ回航されてきた。 2019年8月30日に進水した二番艦のStalwartも2021年末までに就役する。
 Supply級AORは全長173.9m、排水量19,500tで、MH-60RまたはMRH90ヘリ2機を搭載でき、1,450㎥のJP5燃料、8,200㎥のディーゼル燃料、1,400㎥の真水を積載でき、270tの弾薬と470tの補給品を積載できる。 (2106-042110)

艦艇誘導武器の更新

 豪国防省が1月25日、海軍艦艇の誘導武器を更新するAUD1B ($772M) にのぼる計画を発表した。
 導入するのは射程370km以上の対艦/対空ミサイルや射程1,500km以上の艦対地ミサイルなどで、AGM-158C LRASM、RIM-162 ESSM Block 2、SM-2 Block ⅢC、SM-6 Block Ⅰなどが候補に挙がっている。 (2104-020311)

4・6・1・2・4 航空機

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・6・1・2・5 陸戦装備

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・6・1・2・6 U A V

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・6・1・2・7 UUV / USV

Project SEA 1778

 オーストラリア国防省が1月20日、海軍が掃海 (MCM) 任務のため急速展開が可能な無人システム計画Project SEA 1778を進めていることを明らかにした。
 この計画でオーストラリアのグラスファィバーボートメーカのSteber Internal社が速力25kt、全長12mのボート5隻をAUD6M (&4.63M) で受注している。 (2102-012206)

4・6・1・3 防衛産業の振興

4・6・1・3・1 

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・6・1・3・2 技術開発の促進

吸気式超高速飛翔体 SCIFiRE の米豪共同開発

 米豪国防省が2020年11月30日、SCIFiRE計画を共同で開始すると発表した。
 SCIFiREは吸気式超高速飛翔体で、両国は過去15年にわたりHIFiRE計画として共同研究を続けてきた。 (2102-120903)

4・6・2 ニュージーランド

4・6・2・1 安全保障政策

4・6・2・1・1 対米関係

米海軍艦の寄港再開

 横須賀を基地とする米海軍駆逐艦Howardが11月26日にニュージーランドのウェリントンに入港した。
 ニュージーランドは1985年以来核疑惑から米海軍艦の寄港を認めておらず、このため米国はANZUS条約に基づくニュージーランドへの義務を停止していた。
 Howardの寄港は2016年に南島で起きたM7.5地震の救済のため駆逐艦Sampsonが寄港して以来になる。 (2112-112510)

4・6・2・1・2 対中政策

対中対立の議会

 在ニュージーランド中国大使館が声明で5月6日、5日にニュージーランド議会が全会一致で可決したウイグル人に対する人権侵害に重大な懸念を表明する動議を可決したことを受けて、事実無根と反発した。
 野党側が提出したこの動議で、アーダーン首相率いる与党労働党がジェノサイドへの言及を削除するよう主張した結果、ジェノサイドへの言及を避けたにもかかわらず、中国の反発を避けることはできなかった。
 ニュージーランドが最大の貿易相手国である中国と、欧米同盟諸国との間で板挟みになっている現状が浮き彫りになった。 (2106-050702)

成熟した対中関係を要望する政府

 ニュージーランド (NZ) のマフタ外相がロイタのインタビューで5月7日、対中関係について通商関係や見解の相違を超えた成熟した関係を望むと発言した。
 同国議会は、中国の新疆ウイグル自治区でウイグル族の人権が侵害されていると全会一致で宣言したため中国の反発を招いていることについてアーダーン首相は今週、中国との見解の相違を解決することが一段と困難になっていると発言している。
 マフタ外相は4月、安全保障上の機密情報を共有する5ヵ国の枠組みファイブアイズの役割拡大について不快感を表明している。
 ファイブアイズは香港やウイグル族の扱いを巡り声明を発表しており、NZにとって最大の貿易相手国である中国はこれを批判している。 (2106-050704)

4・6・2・2 軍備増強、近代化

(2021年には特記すべき記事見当たらず)
4・6・3 南太平洋

4・6・3・1 太平洋諸島

4・6・3・1・1 太平洋諸島フォーラム

深刻な亀裂、影響力拡大狙う中国に追い風

 太平洋の島嶼18ヵ国と地域でつくる域内協力機構太平洋諸島フォーラムが、事務局長の選出を巡って深刻な亀裂に直面しており、中国の影響力拡大懸念もある。
 フォーラムは1971年の前身組織設立以来、オーストラリアとニュージーランドが経済支援を通じて影響力を発揮し結束を保ってきたが、加盟国間の対立が深まれば、域内への浸透を図る中国には追い風となる。
 フォーラムは2月3日に加盟国と地域の首脳による投票で、東部ポリネシアにあるクック諸島のプナ前首相を事務局長に選出したが、パラオが翌4日にフォーラムからの脱退を表明した。 マーシャル諸島なども不服を唱えている。
 パラオが反発するのは、東部ポリネシア、南部メラネシア、北部ミクロネシアの3地域から順に事務局長を選ぶとの加盟国間の紳士協定が破られたとみるためで、ミクロネシア地域の各国は、域内にあるマーシャル諸島のザキオス駐米大使を推していたが、9対8の接戦で敗れた。 (2103-020902)

 太平洋18ヵ国と地域で作る地域協力機構の太平洋諸島フォーラム (PIF) からパラオなどミクロネシア地域の5ヵ国が脱退を表明し、関係国などと協議が続いている。
 台湾と断交し中国と国交を樹立する国が増えているなか、この5カ国のうち3ヵ国は台湾と外交関係を維持しているが、脱退が現実となれば太平洋地域でのインフラ整備などを通じた中国の影響力がさらに増す可能性がある。
 PIFは1971年に結成され、オーストラリアやニュージーランドのほか太平洋の島嶼国家などが加盟して域内をまとめる一定の役割を担ってきたが、近年はフィジーにある事務局や大国である豪州の発言力が強まり、加盟国内でより小さい地域単位での経済・地域統合を目指す動きも出ていた。 (2108-072808)

4・6・3・1・2 海底通信ケーブル敷設計画

東ミクロネシアケーブル、中国企業参加に米懸念で頓挫

 太平洋島嶼国を対象とする世界銀行主導の海底通信ケーブル「東ミクロネシアケーブル」の敷設計画が、中国企業の参加が安全保障上の脅威だとする米国の警告を各島嶼国政府が聞き入れたために頓挫していたことを、2人の関係筋がロイタに明らかにした。
 東ミクロネシアケーブル計画はナウル、キリバス、ミクロネシア連邦の各島嶼国における通信環境を改善するために計画された。 ケーブルは軍事施設のある米領グアムにつながる計画だった。
 この関係筋によると、この$72.6Mの計画に華海通信技術(旧社名華為海洋網絡:ファーウェイMarine Networks)がノキア傘下のASM社やNECよりも20%以上低い価格で応札した。
 入札社のうちファーウェイだけをを排除する具体的な方法がなかったため、全3件の入札が不適合と判断されたという。 (2107-061806)

新たな海底ケーブル計画

 ナウル共和国が中国企業による海底ケーブル建設計画に代わり新たなオーストラリアのケーブルと接続する交渉を進めている。
 関係者によると、ナウルと1,250km離れたソロモン諸島の首都ホニアラの間に海底ケーブルを敷設し、オーストラリアとソロモン諸島、パプアニューギニアを結ぶ全長4,700kmのCoral Sea Cableと接続する計画である。
 アジア開発銀行 (ADB) はナウル、キリバス、ミクロネシア連邦の島嶼各国の通信環境を改善するために「東ミクロネシアケーブル」の建設を計画して昨年入札を行ったが、これにファーウェイグルーブの華海通信技術(旧社名:華為海洋網絡)が競合企業よりも20%低い価格を提示したためナウルは安全保障上の脅威を指摘し、米国も警告を発して計画は頓挫した。
 ナウル共和国は台湾との外交関係を維持しており、中国との間に緊張が生じている。 (2107-062404)

日米豪3ヵ国が太平洋3ヵ国海底ケーブルに資金支援

 日本と米国、オーストラリアが12日、太平洋島嶼国のミクロネシア連邦とナウル、キリバスでインターネットの接続を改善するため、これら3ヵ国を海底ケーブルで結ぶ事業に資金支援すると発表した。 (2201-121204)

4・6・3・2 南太平洋諸国

仏領ニューカレドニア

 フランスの海外領土ニューカレドニアで12月12日、独立の是非を問う住民投票が行われる。
 ニューカレドニアは世界有数のニッケル産出地で、経済進出を続けた中国が独立支持派に急接近しており、フランス国内で警戒感 が強まっている。
 ニューカレドニアは19世紀にフランスに併合されたが、1980年代に先住民から独立要求が高まり、1998年の協定で独立を問う住民投票を3回実施することが決まった。
 2020年までの2回の投票では2018年の第1回投票で43%、2020年の第2回投票は47%と独立支持がいずれも否決されており、今回が3回目の投票となる。 (2201-121107)

 仏領ニューカレドニアで12月12日にフランスからの独立を問う3回目の住民投票が行われ、独立反対が96.49%を占め、過去2回の投票に続き独立が否決された。
 住民投票は仏政府との取り決めで3回行うことになっておりこれが最後だが、独立賛成派が投票ボイコットを呼びかけた結果、投票率が43.9%と低く、住民投票の正当性を巡り政治的混乱が予想される。
 独立支持派の一部がCOVID-19で多数の死者が出たことを挙げ「喪が終わっていない」と投票不参加を呼び掛けたことが影響し投票率は前回2020年10月の85.69%を大きく下回った。 (2201-121207)

バヌアツ

 バヌアツの警察が1月30日までに、同国海域内で違法操業をしていた疑いで中国漁船2隻とロシア船1隻を拿捕したと発表した。
 警察によると、中国漁船2隻は1月19日、バヌアツ北方のHiu島付近で巡視船に捕らえられた。 中国籍の乗組員14人は拘束後に隔離され、今後、違法操業について取り調べを受ける。
 バヌアツ当局による中国漁船の拿捕は初とみられる。
 警察はさらに、中国漁船と首都ポートビラへ向かう途中にLuganville付近でロシア船1隻を発見し拿捕した。 (2102-013003)

サモア

 南太平洋サモアで4月行われた総選挙で明確な勝敗がつかずツイラエパ首相が退陣を拒否していた問題で、女性のマタアファ元副首相率いる野党FAST党の勝利がこのほど確定し、約23年ぶりの政権交代が実現した。
 フィアメ氏は27日に政府庁舎に入り新政権を本格始動させた。
 サモアでは、ツイラエパ前政権がつくった対中国の巨額債務が問題化し、フィアメ新首相は中国が支援する$100M規模の港湾開発計画を棚上げする方針を表明している。 (2108-072704)

 サモアのマタアファ新首相が、中国が支援する$100Mの港湾開発事業を取りやめる考えを正式に表明した。
 サモアが抱える対外債務の内、対中債務は$160Mで全体の4割ほどを占めている。
 マタアファ新首相は5月にロイタに対して、既に多額の対中負債を抱えるサモアにとって過剰なプロジェクトだとし、同事業を見直す方針を示していた。 (2108-073005)

ソロモン諸島

 南太平洋の島国ソロモン諸島で政府への抗議デモが起き、一部が中国系商店に放火や略奪するなど暴徒化している。
 在ソロモン日本大使館などによると、ガダルカナル島にある首都ホニアラで11月24日にインフラ整備の遅れなど政府の方針に抗議し、首相の退陣などを求めるデモが発生し、一部は国会の敷地内に侵入して警官隊と衝突、警察官数名がけがをした。
 また、中国系住民が経営する商店などに放火し、略奪行為も行っているという。  ソロモン諸島は2019年に台湾と断交して中国と国交を結んだことで、一部の住民から政府に対する不満が高まっていた。
(2112-112503)

 モリソン豪首相が11月25日、政府への抗議デモが激化しているソロモン諸島にソガバレ首相から支援要請に基づき軍と警察100名以上を派遣すると表明した。
 現地ではデモ参加者の一部が暴徒化し、ソガバレ首相は24日に首都ホニアラに36時間の外出禁止令を出したが、それを無視した抗議活動が続いている。
 現地からの報道やSNSへの投稿によると、ホニアラでは中華街で焼き討ちが発生しているもようである。 (2112-112506)

 中国外務省副報道局長かが11月25日、ソロモン諸島の反政府デモで中国人が関係する商店が襲撃されたことなどを受け深刻な懸念を表明し、ソロモン政府が必要な措置を取り中国人の安全を保護するよう要求したことを明らかにした。
 また、中国とソロモンの正常な関係発展を破壊するいかなる企ても無駄だと主張した。 (2112-112507)

 ソロモン諸島のソガバレ首相が11月25日、豪州に暴動鎮圧への支援を要請し、治安維持部隊の第1陣が同日中に到着した。
 豪州のアンドリュース内相は、治安維持部隊は警察官と兵士約100名から成り、法と秩序の回復が任務だと説明し、警察官23名がすでにホニアラ入りし26日も50名を派遣する予定だと語った。
 オーストラリアが派遣した治安維持部隊が26日に空港や港湾の安全を確保する活動を開始した。
 暴動の背景には、COVID-19パンデミックにより高まる経済面での不満に加え、ガダルカナル島の中央政府と人口が最も多いMalaita島の住民との積年の対立がある。 (2112-112604)

 ソロモン諸島のソガバレ首相が11月26日、政府への抗議デモが激化している事態について、諸外国が事態を悪化させていると述べた。
 首相は事態を悪化させているとする国を名指ししないものの、多くの抗議者の出身地で最大の人口を抱えるマライタ州について、影響を及ぼしている諸国は中国との関係を望まない国々であると述べた。 (2112-112606)

 ソロモン諸島の首都ホニアラで反政府デモを契機に起きた暴動で、地元警察は11月27日に中国人街の焼失した建物の中から焼死体3体が見つかったと発表した。
 駐ソロモン諸島豪大使は同日、ソロモン諸島政府の要請に基づき派遣された豪州軍部隊が26日に到着したと確認した。 地元警察を支援する任務に当たる。
 パプアニューギニアのマラペ首相も声明で、同国がソロモン諸島政府の求めに応じて警官らから成る治安維持チームを派遣し26日に現地に到着したと発表した。  抗議デモが起きた背景には、ソガバレ首相の内政運営や同州の経済開発が進まないことへの不満、州の自治権尊重の要求、台湾との2019年の断交や中国との国交樹立への反発がある。 (2112-112802)

 ソロモン諸島の米国大使が、特定の人物のみが恩恵を受ける支援を警戒すべきだと呼び掛けた。
 ソロモン諸島の野党指導者は12月上旬に、ソガバレ首相が中国から受け取った資金で自身の政治的権力を高めていると批判していた。 首相は疑惑を否定している。
 同国は2019年に台湾と断交し中国と国交を結んだが、これに不満を持つマライタ州が中央政府と対立している。
 マライタ州は州内で中国企業の営業を禁止しており、米国から支援を受けている。
 11月には、首相がマライタ州のデモ参加者との協議を拒んだことを受けて、首都で暴動が発生し、中国人街の多くの地区が被害を受けた。 (2201-121304)

 ソロモン諸島で起きた中国系の商店などが放火された反政府デモに関連し、中国政府は現地に警備の知識を持つ専門家チームを派遣すると明らかにした。
 中国外務省報道官は12月23日、中国はソロモン在住の中国国民の正当的権益を断固維持すると述べた上で、ソロモン諸島政府からの要請だとして、中国が警備用物資の提供とともに、警備の知識を持った専門家チームを派遣し、近く現地に到着すると明らかにした。 (2201-122303)

パラオ

(2021年には特記すべき記事見当たらず)

パプアニューギニア

 パプアニューギニアのマラペ首相が声明で、反政府暴動が続くソロモン諸島政府の求めに応じて警官らから成る治安維持チームを派遣し11月26日に現地に到着したと発表した。 (2112-112802)

キリバス

(2021年には特記すべき記事見当たらず)



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