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9. 関連軍事技術

9・1 陸戦兵器

9・1・1 ロボット、UGV

ロボット警備犬が任務開始

 米空軍が11月20日、フロリダ州のTyndall AFBで犬型ロボットが警備任務に就いている映像を公開した。  後ろに屈伸する4足で、頭がないものの犬と同じ形をしたロボットは同基地の第325保安大隊で29,000エーカ(註:120㎢)の施設警備に当たっていると言う。  ただ、その数は公表されていない。 (2012-112307)

9・1・2 A P S

9・1・2・1 米 国

 特筆すべき記事なし
9・1・2・2 中 国

 特筆すべき記事なし
9・1・2・3 イスラエル

Iron Fist

 Elbit社が1月21日、Iron Fist APSの120mm APFSDSの撃破試験に成功したと発表した。
 Iron Fistは近接撃破式で、公開された映像ではIFLKから発射されたIron Fist弾がAPFSDSの直近で破裂した。   (2003-012902)

9・1・2・4 ロシア

KB-0252 Drozd-2 APS

 ロシア軍の調達に関するウェブサイトに2019年12月、国防省がKBP設計局に試験用としてTKB-0252 Drozd-2 APSのT-72BK MBTへの取り付けを発注したとの記事が掲載された。
 発注されたのはDrozd-2 一式と迎撃弾30発で、契約額はRUB745,443 ($12,138) と少額である。 (2005-030002)

9・1・3 戦闘車両

9・1・3・1 米 国

ACV の追加調達

 米海兵隊がACV 26両を$113.5Mで追加調達した。
 調達するのはLRIPの追加分で、これにより海兵隊の保有数は合わせて116両になる。 (2005-030402)

ACV の初配備

 米第1海兵師団が11月10日、ベトナム戦争以来装備しているAAV-7水陸両用戦闘車に代わるBAE社製の新型ACVの第一陣が、カリフォルニア州Twentynine Palmsを拠点とする第3水陸強襲大隊D中隊に配備されたと発表した。
 第二陣は1月か2月に配備される計画である。
 今回納入されたACVはLRIP生産分で、FRPへの移行は11月中に決定される予定である。 (2012-111007)

ACV の本格量産

 BAE Systems社が12月10日、ACVの本格量産 (FRP) を$184Mで受注したと発表した。
 受注したのはFRP Lot 1の36両であるが、2021年初めには72両に増えるという。 更に契約では、今後5年間で80両のオプションも行われている。
 米海兵隊は11月13日にACVのIOC宣言を行っている。 (2101-121109)

MPF 軽戦車

 BAE Systems社とGDLS社で製造が進められている米陸軍の軽戦車MPF 12両の3月から8月末とされていた納品が、COVID-19パンデミックによるサプライチェーンへの影響で10月以降のFY21にずれ込むことを、開発責任者が8月25日に明らかにした。
 GDLS社は26日に2両を納入し、数日中に3両目を納入するという。 (2011-090905)

Bradley 更新計画

 Northrop Grumman社が米陸軍のBradley更新計画用としてXM913 50mm砲の納入を行っており、8月下旬に4門を納入したのに続き10月末には7門を納入する。 更に2021年に10門を納入する。  50mm砲はBushmaster機関砲と混用されると共に次世代戦闘車NGCVにも採用される。 (2011-091608)

9・1・3・2 その他

 特筆すべき記事なし
9・1・4 システム装具

 特筆すべき記事なし
9・1・5 対地雷、対 IED

 特筆すべき記事なし
9・2 海戦兵器

9・2・1 航空母艦

9・2・1・1 米 国

 特筆すべき記事なし
9・2・1・2 中 国

「4・1・7・2・1 航空母艦」で記述
9・2・1・3 英 国

 特筆すべき記事なし
9・2・1・4 インド

「5・4・1・2・2 艦 船」で記述
9・2・1・5 ロシア

「5・2・3・1・1 航空母艦」で記述
9・2・2 潜水艦

 特筆すべき記事なし
9・2・3 水上艦

9・2・3・1 米 国

9・2・3・1・1 巡洋艦 (LSC)

 米海軍はFY20予算のFYDPで次期大型水上艦 (LSC) 初号艦の調達をFY25としていたが、今週公表されたFY21予算要求ではLSCについて述べられておらず、計画は再度延期される模様である。 (2003-021305)

 米海軍はArleigh Burk級駆逐艦とTiconderoga級巡洋艦の21世紀における後継艦としてDDG 1000級とCG(X)を考えていたが、CG(X)は2010年にオバマ政権により計画中止となり、DDG 1000級の建造は3隻に留まった。
 こうするうちに巡洋艦は艦齢を迎えつつあり、Arleigh Burk級も初期の艦が艦齢30年になろうとしているが、後継となる大型水上艦LSC計画は一向に進んでいない。
 FY-21予算でも海軍が要求した$60.4Mは上院軍事委員会で割愛され、フィラデルフィアで進められている将来艦船動力計画に廻された。
 この計画は将来のレーザ兵器や電磁砲装備に備えた動力源と電源を一体化する計画でITFと呼ばれている。 (2007-062507)

9・2・3・1・2 駆逐艦

 米海軍作戦部ギルデイ大将が10月13日、Arleigh Burk級に代わる次世代駆逐艦の調達を2025年に開始すると述べた。
 次世代駆逐艦DDG Nextは16,000t近いZumwalt級よりは小型になるという。 (2011-101306)
9・2・3・1・3 LCS / フリゲート艦

 2月10日に明らかになったFY21予算案で、米海軍は次期フリゲート艦FFG(X)の一番艦を数ヶ月以内に発注することが明らかになった。
 設計と建造は1社が選定されて7月に発注される。 候補は
・FREMM: Fincantieri社

・F-100: GD Bath Iron Work社とNavantia社(小型 Arleigh Burk)

・大径砲搭載Cutter: HII社

・Independence LCSのフリゲート型: Austal社

などで、Lockhhed Martin社提案の砲を大型化して2軸推進にしたFreedom級LCSは5月に外されている。 (2003-021111)

 米海軍が次期フリゲート艦にイタリアFincantieri社製のFREMMを選定した。
 一番艦の設計と建造は$795.1Mで、ウィスコンシン州のMarinette Marine造船所が建造する。
 この契約がオプションした最初の10隻の建造には$5.58Bかかるとみられる。 最終的には20隻の建造が計画され、FY21以降毎年2隻ずつ発注される。
 次期フリゲート艦はArleigh Bur級Flight Ⅲ駆逐艦が装備するAN/SPY-6レーダの派生型と32セルのVLSが搭載される。 (2006-043001)

 米海軍が次期フリゲート艦FFG(X)の設計と当初10隻の建造に、FREMMを提案していたイタリアFincantieri社の子会社であるFincantieri Marine Group (FMG) 社を選定した。  この結果Austal USA、Bath Iron Works、Huntington Ingalls、Lockheed Martinの各社は敗退した。
 10隻の建造は$5.58Bと見積もられ、一番艦の設計と建造は$1.281BでそのうちFMG社に発注した艦船建造には$795Mが当てられている。
 FFG(X)は全長151m、幅21m、速力26ktで、SPY-6レーダ、Aegis Baseline 10、Mk 41 VLS、Mk 57砲を装備する。 (2006-050102)
【註】Arleigh Bur級Flight Ⅲ駆逐艦が装備するAN/SPY-6は、2ft×2ft×2ftの送受信モジュール (RMA) 37個で組み上げられているが、FFG(X)ではRMA 24個のレーダを搭載するとされている。
 また記事中Mk 57砲と記載されているのはMk 110 57mm砲の誤りとみられる。

9・2・3・2 中 国

「4・1・7・3 艦 船」で記述
9・2・3・3 欧 州

ドイツ海軍 MKS 180フリゲート艦

 ドイツ海軍向けのMKS 180フリゲート艦4隻を受注したオランダのDamen社が11月18日、搭載する戦闘管理システムにThales社製Tacticosを採用したと発表した。
 契約額は€1.5B ($1.8B) と見られる。
 Tacticosは艦載の通信、レーダ、砲、ミサイルを連接するもので、Above Water Warfare Systemにより海空からの群攻撃に対処することができるという。
 Damen社は2020年初めにKrupp社などのドイツ企業を抑えてMKS 180を受注している。 (2012-111806)

Type 31 フリゲート艦

 特筆すべき記事なし

9・2・3・4 ロシア

「5・2・3・1・3 水上艦」で記述
9・2・4 水陸両用戦艦

9・2・4・1 米 国

軽揚陸艦 LAW

 米海軍がインド太平洋地域での作戦を見据えた軽揚陸艦LAWを進めようとしている。
 構想では30隻装備する計画で、今年初めに発簡したRfIには12社が応じており、最初の業者説明会は3月4日に行われている。
 海軍はFY-21に事前設計審査 (PDR) に向けたRfPを準備している。
 4月9日に開かれた2回目の業者説明会ではLAWを、全長200ft以下、貨物室床面積8,000平方呎、13tのクレーンを装備し、90,000ガロンの燃料を搭載して航続距離3,500nm以上、速力14ktとしていた。
 候補としてはオーストラリアのSea Transport社が提案するStern Landing Vesselが有力視されている。 (2008-070010)

9・2・4・2 中 国

「4・1・7・3・5 揚陸艦艇」、「4・1・7・3・6 支援艦船」で記述
9・2・4・3 その他

 特筆すべき記事なし
9・2・5 USV / UUV

9・2・5・1 米 国

9・2・5・1・1 全体計画

 米海軍が水上戦の検討部署に2019年12月、中型及び大型のUSV 2種類について運用構想を9月15日までにまとめるよう指示した。
 MUSV及びLUSVの運用構想取り纏めは、2019年に議会がこの計画を保留しただけに大きな意味を持つ。 (2002-010305)

 米海軍艦隊総隊司令官グラーディ大将の命で大型中型USVの運用構想を構築しているブラウン中将が4月に報告書を提出する。 (2002-011305)

 米国防総省長官官房 (OSD) が海軍に対し、空母2隻の削減を検討するよう求めている。 また駆逐艦を含む大型艦を現状に留め、無人艦や小型艦で補う検討も求めている。
 それによると現在11隻ある空母を9隻にし、無人艦や小型艦を65隻装備するという。
 検討では無人艦や小型艦を55~70隻装備して、大型水上艦の数を80~90隻に留めることを求めている。 (2005-042004)

 米海軍作戦部長のギルデイ大将が7月16日、今後何年かかけて水上、水中、空中に無人システムを展開する戦略、所謂Unmanned Campaign Planの検討を命じたことを明らかにした。
 海軍は元々2035年を目指したNavy Tactical Grid構想を進めていたが、ギルデイ大将はそれでは遅すぎるとして、空軍と手を組んで空軍が進めているJADC2に参加し、Navy Tactical GridをJADC2の海軍システムとすると言う。 (2008-072109)

 米海軍作戦部長ギルデイ大将が10月13日に、海軍はISR能力を改善するためUSVを活用する必要があると述べた。
 10月初めにはエスパー国防長官が、中国に対抗するため500隻の有無人艦を装備するとしたBattle Force 2045構想を公表している。 (2011-101308)

9・2・5・1・2 U U V

Orca XLUUV

 米海軍が、Orca巨大UUV (XLUUV) が敷設する、用廃になったMk 60 CAPTOR機雷に代わるHammerheadとも呼ばれるカプセル収納式の敷設機雷に関する文書を公開した。
 Orcaは2019年に4隻の建造をBoeing社がHII社と共同で$274.4Mで受注している。
 2024年1月までに30発の試作を行うHammerheadのRfPはFY20末に発簡される。 (2009-080014)

LDUUV

 米国防総省のFY21予算要求によると、米海軍がFY25に他の調達予算で大型UUVを2隻装備する。 このため海軍は今年後半にもLDUUVの競争試作契約を行う。
 海軍広報官が先週、FY23に研究開発費を使って試作品2隻を購入すると述べた。 (2003-022404)

 米海軍が12月23日、大型UUVであるLDUUVの試作に関するRfPを発簡した。
 海軍はFY21に1社を選定して2隻のLDUUVを試作する計画である。 (2101-122904)

Knife Fish UUV

 米海軍が開発を行っているKnifefish UUVについて、国防総省のDOT&E責任者が最近の試験結果を元に、更なる開発が必要との評価を下した。 (2003-020404)

 米海軍が7月20日、今まで$9.2MでGD社に発注していたKnifefish UUVの技術支援契約を変更して$13.6Mにした。 契約は2021年9月までになっている。
 KnifefishはLCSから発進する中型UUVで、搭載した低周波広帯域ソナーと自動目標認識ソフトで機雷などを発見する。
 LRIP 開始の承認となるMilestone Cは2019年8月に通過し、GD社は$44.6Mで5隻の生産を受注している。
 米海軍はKinefefish 30隻の装備を計画している。 (2008-072108)

9・2・5・1・3 U S V

LUSV

 米海軍が9月4日に大型USV (LUSV) の検討を数社に合わせて$41Mで発注した。
 米海軍のLUSVは全長200~300ft、排水量1,000~2,000t(同じ記事に2,000~3,000tとの記載もある)で、各種対艦/対地ミサイルを装備する。 (2010-090809)

 米議会上院歳出委員会が11月10日に公表したFY21予算案で、海軍が要求している大型USV LUSV 2隻の建造を認めていない。
 ただし委員会はLUSVの概念設計費は認めている。 (2012-111105)

MUSV

 米海軍は全長45~190ft、排水量500t程度の中型USV (MUSV) の検討を行っている。 (2010-090809)

 米海軍が7月、中型USV (MUSV) の詳細設計と試作をL3Harris社チームに決め$35Mで発注した。 試作艇はFY23に納入される。
 この契約には8隻を$281.4Mで建造するオプションもある。
 海軍は自動航行艇 (ASV) を求めており、MUAVのRfP素案は2019年1月に発簡され、最終RfPが7月に出ていた。
 L3Harris社は民生の外洋補給船を元にしたモノハル構造の全長59.4mのASViewを提案していた。 (2012-110014)

 米議会上院歳出委員会が11月10日に公表したFY21予算案で、海軍が要求している大型USV LUSV 2隻の建造を認めていないが、中型USV (MUSV) の建造は認めている。 (2012-111105)

Sea Train 構想

 米DARPAがSea Train構想を進めている。 この構想は4隻の中型USVを連結して外洋を航海させるものである。
 中型USVはそれぞれ離岸して15nm程沖合で自動的に集結して連結し、連結後は6,500nmの航続距離を持ち東南アジア海域の目的地に向けて航海する。
 目的地到着後は連結を解いてぞれぞれ情報収集などの任務に当たり、任務終了後は再び連結して帰投する。 (2007-060104)

BMD 任務に USV を活用する構想

 米海軍は現在、大型及び中型水上艦を基幹とした作戦構想を検討しているが、BMD任務にUSVを活用することを検討している。
 駆逐艦の行動の自由を確保し、より広域での活動ができるようにしようというものである。 (2008-070902)

9・2・5・2 中 国

「4・1・7・3・7 U U V」、「4・1・7・3・8 U S V」で記述
9・2・5・3 英 国

Manta S201 XLUUV

 英国防省が3月上旬、DASAが2019年9月にMSubs社に、巨大UUV XLUUV開発のStage 1を£1M ($1.3M) で発注したと発表した。
 MSubs社は現存する有人潜水艇S201を無人化する検討を行っている。
 S201 XLUUVは全長8.9m、重量8.9tでMantaと呼ばれている。
 Phase 1ではS201潜水艦に自動操縦装置を取り付けて洋上試験を行い、続く24ヶ月、£1.5MのPhase 2ではXLUUVによる対潜バリア構築の検証が行われる。 (2004-030608)

五胴型 (pentamaran) 自動 USV

 英MBT社が新型自動USVを公表した。 用途はASW、ISR、哨戒、音響測定など多岐にわたる。
 船体の外形は三胴型に似ているが三胴型と違って両側に張り出たスポンソンは常に水中にあるのではないため抵抗を減らすことができる。 (2006-051101)
【註】スポンソンの垂直部が前後2枚になっていることから、この船形を「五胴型 (pentamaran)」と呼んでいる記事もある。

9・2・5・4 その他

シンガポール

 特記すべき記事なし

韓 国

 特記すべき記事なし

9・2・6 艦載装備

電磁カタパルト (EMALS)

 米海軍が6月7日に、CVN-78 Gerald Ford が装備している電磁カタパルトEMALSが6月2日に洋上で故障し、修理が終わるまで航空機の離着艦ができないことを明らかにした。 (2007-060909)

 米海軍が、空母Gerald Fordに搭載した電磁カタパルトEMALSが6月に訓練中故障した原因について未だ調査中である。 (2007-061908)

Mk 57 VLS

 米海軍駆逐艦Zumwaltが10月13日に、Mk 57 VLSからSM-2 Block ⅢAZを初めて発射する試験に成功した。
 Mk 57 VLSはMk 41と違って艦中央ではなく舷側に配置されている。
 Zumwalt級駆逐艦はMk 57のほかにSPY-3 MFR、AN/SLQ-32(V)6パッシブ電子戦装置、RIM-162 ESSM Block 1、JUWLデータリンクなどを装備している。  SM-2 Block ⅢAZはZumwalt級に特化したSM-2である。 (2101-120008)

9・3 空戦兵器

9・3・1 機上 FCS 装置

KF-X 搭載 Elta社製 GaN AESA レーダ

 2023年の飛行試験に向けイスラエルと開発が進められている韓国のKF-X搭載レーダは量産型の試作が行われており、開発は50%完了したという。
 イスラエル社の下請けとして開発にあたっているHanwha社によるとGaN素子を採用している試作機の冷却には7.7kWを要していると言うが、GaAsを使用しているNorthrop Grumman社製APG-83ではアンテナ送信出力1kWに対し冷却には5.6kWかかっていると言うことから、KF-Xレーダの試作機の出力はこれを上回るとみられる。 (2006-040606)
【註】GaNの効率はGaAsの数倍と言われている。
 APG-83の出力が1kW、冷却が5.6kWとすると、効率は15%程度とみられる。  もし試作レーダの送信効率がAPG-83の2倍、即ち30%と見ても7.7kWの冷却を行うのであれば送信出力は3kWを超えることになる。

Gripen C/D 搭載 S-15/Aファミリ X-band 多機能 AESA レーダ

 Saab社がGripen C/Dに搭載するPS-15/AファミリのX-band多機能AESAレーダの飛行試験を開始した。
 このレーダはAESAにGaN素子を使用しているものの、送受信モジュール以外の送受信装置、信号処理装置などの総称であるバックエンドにはPS-05/A Mk4のものを使用している。 (2007-050606)

 Saab社が2015年に、Griupen C/Dに搭載しているPS-05/AレーダのフロントエンドをGaN素子を使用したAESA方式に変えたPS-05//A Mk 4機械走査式レーダに改良し、2020年4月から飛行試験を行っている。
 一方同社はGripen EにGaAs素子を使用したLeonald社製ES-05 Raven AESAレーダを採用している。 (2009-080015)

Captor-E AESA レーダ

 Eurofighter Typhoon搭載レーダをAESAにするCaptor-Eが、共同計画国のドイツで初めて採用される見込みである。 Captor-E搭載Typhoonは既にクウェートに28機、カタールに24機輸出されている。
 ドイツはTranche 2と3のTyphoon 106機に搭載するとみられ、契約額は€2.8B ($3.1B) にのぼると見られる。 (2008-062901)

 Airbus社が6月26日、ドイツとスペインのEurofighter戦闘機に搭載するE-Scan (AESA) レーダの開発、生産、換装に関する契約を受注したと発表した。
 受注したのは何れもTranche 2とTranche 3搭載で、ドイツ空軍から110基、スペイン空軍から初度分としての5基で、ドイツからの受注額は€1.5B (&1.7B) である。
 スペインからは最終的に40~50基の受注が見込まれている。 (2009-070802)

米空軍予備役 F-16 の AN/APG-83 SABR が operational

 Northrop Grumman社が10月15日、米空軍が予備役のF-16に搭載したAN/APG-83 SABR AESAレーダのoperationalを宣言したと発表した。
 AN/APG-83はそれまでのAN/APG-66及びAN/APG-68機械走査式レーダに代わるもので、2月に現役、予備役空軍及び州兵空軍のF-16用として15基のEMD及び90基の量産型を$262Mで発注していた。
 納入は2022年12月に完了する。
 米空軍は現在F-16C/D Block 40/42/50/52を合わせて1,000機以上保有している。 (2012-102803)

9・3・2 A A M

9・3・2・1 米 国

AIM-120 AMRAAM SIP

 米空軍が9月上旬にRaytheon社に、4年間、$125MでAIM-120 AMRAAMのSIPを発注した。
 SIPはAMRAAMの戦闘能力や新たな脅威対応能力を向上させるソフトウェアの更新で、現有のAIM-120C-7やAIM-120Dに適用される。
 AMRAAMのSIPは4回めで、SIP 1は2017年、SIP 2は2018年に行われ、SIP 3はQ4/FY21に行われる。 (2012-110006)

AIM-120C-8

 AIM-120C-8はAIM-120C-7の改良型で、シーカはC-7と同じであるが、内蔵GPS、データリンク、ソフトが改良され、160kmの射程とMach 4の速度と言われている。 (2011-090910)

AIM-260 JTAM

 米空軍は2019年夏に中国のPL-15に対抗するAIM-260を公表した。
 Lockheed Martin社が開発しているAIM-260はAIM-120 AMRAAMとほぼ同寸であるが射程はAMRAAMより遙かに長いが、吸気式推進装置ではないという。 (2008-061501)

自衛用小型ミサイル (MSDM)

 米空軍研究所 (AFRL) が、Lockheed Martin社とRaytheon社が受注を競っていた$375Mをかけて秘密裏に開発する自衛用小型ミサイル (MSDM) の担当にRaytheon社を選定した。
 Raytheon社は2023年10月までの最初の作業を$93Mで受注する。 (2008-072305)

 米空軍研究所 (AFRL) が7月21日、Raytheon社に総額$375Mになる自衛用ミニチュアミサイルMSDM開発の39ヶ月に及ぶ初期段階を$3.4Mで発注した。
 MSDMはAIM-9Xの25~30%の大きさのAAMで、2016年1月にRaytheon社が4年間の契約を$14Mで受注していた。 (2010-090007)

9・3・2・2 中 国

 特記すべき記事なし
9・3・2・3 その他

 特記すべき記事なし
9・3・3 戦闘機自衛装置

9・3・3・1 自衛用小型 AAM

9・3・3・1・1 米 国

MSDM

 戦闘機の自衛手段は小型自衛弾 (MSDM) や自衛用高出力レーザ (SHIELD) の出現で大きく変わろうとしている。  1月31日に要求が示されるMSDMのPhase 2は全長3ftの迎撃弾が求められる。 (2002-122307)

9・3・3・1・2 欧 州

 特記すべき記事なし
9・3・3・2 機上搭載 DEW 装置

9・3・3・2・1 米 国

SHIELD

 戦闘機の自衛手段は小型自衛弾 (MSDM) や自衛用高出力レーザ (SHIELD) の出現で大きく変わろうとしている。  SHIELD計画は50kWの固体レーザ発振装置をLockheed Martin社、ビーム指向装置をNorthrop Grumma社、ポッド搭載をBoeing社が担当し、Phase 2では2021年に航空機に搭載した試験を計画している。 Phase 3では2021~2025年に150kWレーザで実際の迎撃を行う。 (2002-122307)

9・3・3・2・2 欧 州

 特記すべき記事なし
9・3・4 その他の機上搭載装備

9・3・4・1 アビオニクス

Gunslinger システム

 米DARPAがCOINやCAS戦闘用として、ASMと砲を連動させて射撃するGunslingerシステムを検討していてFY21予算に$13.7Mを要求している。 (2005-040011)

9・3・4・2 武器等の投下システム

 特記すべき記事なし
9・4 サイバ戦

9・4・1 サイバ戦の様相

9・4・1・1 中国によるサイバ攻撃

NEC に対するサイバ攻撃

 NECがサイバ攻撃を受けたのは、米司法省が中国政府と関連すると見ているハッカ集団APT10が関与した疑いが強いことが、専門家らの分析で明らかになった。
 政府関係者や専門家によると、NECに送付された不正プログラムやネットワークに侵入する手口、通信記録などから中国のハッカーグループAPT10が特定された。
 APT10は米情報セキュリティのFireEye社が、国家組織からの指示と支援を受け高度で持続的な脅威であるハッカー集団として特定したグループの一つで、外国の政府や民間企業の広範な分野のデータを盗む手口で知られており、日本の民生、防衛部門の重要データが国家ぐるみの攻撃で盗まれている可能性が浮上した。 (2005-042603)

COVID-19 関連情報の略取

 米連邦捜査局 (FBI) と国土安全保障省が5月13日、中国系のハッカー集団がCOVID-19感染症に関する研究を手掛ける米国機関に不正侵入していると発表し、科学者や公衆衛生当局者に注意を呼び掛けた。
 共同声明によると、COVID-19関連の研究に携わる職員およびネットワークからのワクチン、治療法、検査に関連する公衆衛生上のデータや重要な知的財産を不正に入手しようとする試みを監視しているという。
 ただ不正アクセスの対象機関やハッカー集団の詳細などについては明らかにしていない。 (2006-051402)

在米中国人による米国内外の企業にハッキング

 米司法省が7月21日、10年以上にわたり米国内外の企業にハッキングを仕掛け情報を盗んだとして、中国籍の男性ハッカー2人を企業秘密の窃盗など11の罪で起訴したと発表した。 日本企業も標的になっていたという。
 ワシントン州の連邦大陪審によって7日に正式起訴された2人の身柄は拘束できておらず、司法省は情報提供を呼びかけている。
 起訴状によると、2人は遅くとも2009年9月から、ハイテク製造業や医療品、防衛産業や太陽光エネルギーなどの企業のコンピューターネットワークに不正侵入し、情報を盗んだとされる。
 最近は、COVID-19のワクチンや治療、検査技術で知られる企業のネットワークの欠陥も調べていたという。 (2008-072201)

シンガポール人によるスパイ活動

 米司法省が7月26日までに、中国の情報機関のために米国で情報収集活動をしていたとしてシンガポール人の男を訴追した。
 男は日本でのF-35配備の環境影響調査についても情報収集していたという。
 司法省などによると男はシンガポール国立大大学院在学中だった2015年に北京に渡航し、中国の情報機関にリクルートされ、偽の外交コンサル会社を設立してインターネット交流サイトなどを通じて米軍や米政府関係者と接触し情報を引き出したという。
 米メディアによると、男は司法取引で罪を認め、10月に量刑が言い渡される。 (2008-072701)

オーストラリアに対するサイバ攻撃

 オーストラリアのレイノルズ国防相が9月4日、同国に対するサイバ攻撃の頻度がここ数ヵ月の間に高まったと述べた。
 関係筋によると、政府は中国が攻撃元だと考えているが中国は疑惑を否定している。
 同日に公表したサイバーセキュリティの脅威に関する初の報告書では、当局は6月30日までの1年間に2,266件の事例に対応し、59,806件のサイバ犯罪の報告を受けたとしており、1日で4,500回のハッキング未遂があった事例が示された。 (2010-090404)

9・4・1・2 ロシアによるサイバ攻撃

ポーランドに対するサイバ攻撃

 ポーランドの保安部門報道官が、ロシアが米国との同盟関係を弱体化させる目的で、ポーランドに対しサイバ攻撃で継続的に偽情報を流す情報操作を行っていると述べた。 (2005-042501)

ドイツに対するサイバ攻撃

 ドイツのメルケル首相が5月13日に連邦議会で、2015年に同氏の事務所のメールアカウントや議会のコンピュータがハッキングされた問題について、ロシアが関与した確かな証拠があると述べ、同国に強い懸念を示した。
 ドイツメディアは最近、ロシア軍参謀本部情報総局 (GRU) が同氏の事務所のメールを多数入手したようだと報じていた。
 ロシアは関与を否定している。 (2006-051401)

メール転送ソフト Ixim の脆弱性を狙ったハッキング

 米国家安全保障局 (NSA) が5月28日、ロシアが特殊な技術を用いてハッキングを行っているとして、政府当局や民間企業に警戒するよう呼び掛けた。
 NSAによると、ロシア軍の情報機関であるロシア連邦軍参謀本部情報総局 (GRU) のハッカーが、LiruxなどUnix系のOSに標準搭載されているメール転送ソフトIximの脆弱性を狙ってハッキングを行っている。
 この脆弱性は2019年に修正されたものの、一部のユーザーはアップデートしておらず、電子メールを読まれたり不正操作されたりする可能性があるという。 (2006-052901)

COVID-19ワクチン開発情報の略取

 英政府が7月16日、ロシアのハッカー集団がCOVID-19のワクチンを開発する研究機関にサイバ攻撃をしかけていると発表した。 ワクチンや治療法に関わる情報を盗み出すのが目的だったとみられる。
 英国立サイバーセキュリティーセンター (NCSC) は、このハッカー集団がロシア政府の情報機関の関係者である可能性が極めて高いと認定した。
 今回のサイバー攻撃はAPT29と呼ばれるグループの一員によるもので、NCSCはAPT29が95%以上の確率でロシア政府の情報機関の一部であるとみている。
 これまでも英米カナダでのCOVID-19のワクチン開発に携わる研究機関などへのAPT29によるサイバ攻撃が確認されていた。 (2008-071602)

米大統領選への干渉

 Microsoft社が9月10日、中国とロシア、イランをそれぞれ拠点とするハッカー集団からのサイバ攻撃を確認したと発表した。
 11月の米大統領選の共和党候補トランプ大統領と民主党候補バイデン前副大統領の両陣営とも標的にされており、外国勢力が選挙を狙った攻撃を強めていることがはっきりしたと分析している。
 中国からの攻撃は、バイデン氏の選対関係者らを標的とし、トランプ政権と以前関係のあった少なくとも1人の著名人も狙っていた。
 一方、イラン拠点の集団はトランプ氏の選対関係者や政権当局者に攻撃を試みていた。 (2010-091102)

ノルウェーに対するサイバ攻撃

 ノルウェーのソーライデ外相が10月13日、同国議会の電子メールシステムが8月にサイバ攻撃を受けた事案について、政府が入手した情報に基づき、ロシアがこのサイバ攻撃の黒幕だと判断したとし、ロシアが関与していたと非難した。
 ロシア政府は「深刻で意図的な挑発」だとし、ノルウェー側の主張をはねつけた。
 8月にノルウェーはロシア人外交官1人をスパイ活動を行った疑いで国外追放し、ロシアはその報復として、数日後にノルウェー人外交官1人を国外追放している。 (2011-101405)

米ITインフラ管理大手に対する攻撃

 米ITインフラ管理ソフトウエア大手ソーラーウィンズが12月13日遅く、同社の顧客がロシア系とみられるハッカー集団からサイバー攻撃を受けたと発表した。 3月と6月のソフト更新で遭っていた可能性があるという。
 同社の顧客には米国内有力企業のほとんどと、米陸海空など5軍、国務省、国家安全保障局、大統領府が含まれている。
 これを受け米国土安全保障省が13日に緊急警告を出し、ソーラーウィンズの顧客に対しソーラーウィンズのソフトウエアを切り離すよう命じると共に、世界の安全保障当局がその影響を抑制しようと動いている。
 ロシア側はサイバー攻撃への関与を否定している。 (2101-121501)

 ポンペイオ米国務長官が12月18日、米政府機関が相次いで大規模なサイバ攻撃を受けていることについて、ロシアが関与していると述べた。
 このサイバ攻撃をめぐっては、これまでロシアの関与が指摘されてきたが、政府高官が公の場で言及したのは初めてである。
 一連のサイバー攻撃では、国務省や財務省、核兵器を管理するエネルギー省の国家核安全保障局なども被害を受けていることが明らかになっている。 (2101-122001)

Micro Officeのライセンス販売業者のアクセス権を利用した攻撃

 サイバーセキュリティのCrowdStrike Holdings社が12月24日、ハッカー集団がMicro Officeのライセンス販売業者のアクセス権を利用して同社の電子メールを不正に取得しようとしていたと発表した。
 CrowdStrikeはハッカー集団を特定していないものの、関係者によると米ITインフラ管理ソフト大手のSolarWinds社製ソフトを利用したサイバー攻撃を行ったロシア系のハッカー集団とみられる。
 CrowdStrikeは文書作成でOfficeを使用しているが、電子メールについては使用しておらず、同社への不正アクセスは数ヵ月前に実施されたが、失敗に終わったという。 Microsoftが15日に同社に指摘し判明した。 (2101-122501)

9・4・1・3 トルコが疑われるサイバ攻撃

 複数の欧米安全保障当局者が、欧州および中東地域で発生した大規模なサイバ攻撃に、トルコ政府が関与していた疑いがあるとみられることを明らかにした。
 ロイタがインターネットの公開記録を確認したところによると、サイバ攻撃を受けたのは政府省庁、大使館、セキュリティーサービス、企業など30以上の組織・団体で、キプロス政府およびギリシャ政府の電子メールサービスやイラク政府の国家安全保障担当補佐官なども含まれるという。
 米英当局者は、このサイバ攻撃はトルコの利益のために行われ、国家が支援するサイバ空間でのスパイ活動とみられる特徴があると指摘したが、攻撃を行った個人または団体は不明とした。 (2002-012801)
9・4・1・4 韓国に対するサイバ攻撃

 韓国軍の軍事機密を盗み出すためのハッキングがここ3年で急増したことが5月28日に分かった。
 韓国国防部によると、外国から韓国軍の国防情報システムへのハッキングを試みた事例が2017年の約4,000回から2019年は9,533回に増えた。 ただ軍事資料の流出はなかったという。
 国防情報システムは国防情報の収集、加工、保存、検索、送受信などに関連する装置やソフトウエアの総称で、同部のサイバ作戦司令部などが2019年ハッキングを試みたIPアドレスを追跡した結果、ほとんどが中国と米国のものだった。 (2006-052802)
9・4・1・5 COVID-19パンデミックに絡むサイバ攻撃

 COVID-19パンデミック下でここ数ヵ月、COVID-19に関連したデータを盗むため政府との関連が疑われるハッキング集団などが研究機関に攻撃を仕掛けるなど、医療機関がサイバ攻撃の対象となっている。
 このため国際赤十字社は5月26日に、医療機関や研究所に対するサイバ攻撃は人命を危険にさらすとし、こうした攻撃を止めさせるよう各国政府に対して即座に断固とした措置を取るよう求めた書簡を送った。 (2006-052602)

 Microsoft社が11月13日、ロシア政府や北朝鮮政府との繋がりが疑われるハッカー集団が、Covid-19感染症ワクチンと治療薬を開発している世界中の製薬会社や研究機関などを標的にサイバー攻撃を仕掛けていたことを明らかにした。 大部分は攻撃の失敗したものの、一部は成功したという。
 同社によると、ロシアのハッカ集団Fancy Bearのほか、同社がZinc、Ceriumと呼ぶ北朝鮮のハッカ集団が、加仏印韓米の製薬会社やワクチン開発者を含む7箇所を対象にサイバ攻撃を仕掛けていた。 (2012-111403)

9・4・1・6 サイバ攻撃に対する制裁

EUがロシア、中国、北朝鮮に対し初の制裁を決定

 EUが7月30日、ロシア、中国、北朝鮮の3組織と計6人が対象として、域内企業などへのサイバ攻撃に対する初の制裁を決定した。
 制裁内容はEUへの渡航禁止や資産凍結を科すほか、制裁対象への資金提供も禁じる。 EUはサイバ脅威の高まりを踏まえ、昨年5月に制裁措置導入を決定していた。
 対象となったのは、2018年4月の化学兵器禁止機関 (OPCW) への攻撃を実行したロシア軍参謀本部情報総局 (GRU) の情報員4人や、2015~2017年に欧州企業やウクライナの送電網を標的にしたGRUの特殊技術部門や、多国籍企業の機密情報に不正アクセスした中国のテクノロジー企業と中国人2人で、ポーランドの金融監督当局やソニー・ピクチャーズエンターテインメントなどへの攻撃に関与した北朝鮮企業も対象となった。 (2008-073101)

9・4・2 サイバ戦技術

SIGINT との統合

 米空軍研究所 (AFRL) が1月8日に更新した広報BAAで、空軍がサイバとSIGINTの統合を考えていて、企業からの情報提供を求めていることを明らかにした。
 サイバとSIGINTの統合で、自動的な捕捉、識別、追随、優先順位付、信頼度区分や、更に地形情報などの取得能力を向上させようとしている。 (2005-030001)

9・4・3 サイバ戦体勢

サイバ攻撃を国連が自衛権の対象と認定

 サイバ空間での国際的なルールづくりを求める機運の高まりから、国連の作業部会は今秋にも報告書を取りまとめる。
 攻撃主体を明確にするのが難しく、既存の法的な枠組みで対処しにくいが、国家に属さない集団による攻撃は被害国の国内法に基づく対処となるものの、頻発している国家が関与したとみられる大規模なサイバ攻撃は、サイバ攻撃を受けた国は自衛権を行使できるとの認識を多くの国が共有している。
 国連憲章は自衛権を各国の国際法上の固有の権利と定めており、多くの国は大規模なサイバ攻撃も武力攻撃と認定し、各国が自衛権を行使できると解釈している。 (2007-061104)

9・4・4 サイバ戦装備

サイバ戦闘状況把握装置 Cyber SU

 米陸軍が4月12日、バージニア州のResearch Innovation社に、サイバ戦を見据えた戦闘状況把握装置Cyber SUの試作を$21.8Mで発注した。 (2005-042003)

9・5 砲熕兵器

9・5・1 従来型火砲

9・5・1・1 超長射程砲

9・5・1・1・1 ERCA(米 国)

ERCA Increment 1

 米陸軍が長射程野砲計画ERCAのIncrement 1 (Inc 1) の試験を本格化させると共に、2022年にInc 2を完成させる計画で1月第3週に企業説明会を計画している。
 BAE Systems社が担当したInc 1では39口径の砲身を9.14mに伸ばして58口径としたM109A7 Paladin SPHを使用したが、Inc 2ではM109A7を使用するか他の車体を使用するか決まっていない。
 FY22ではERCA Inc 2を18両取得してFY24まで評価試験を行い、ERCA Inc 2を200両調達するか決定する計画である。 (2004-020002)

 米陸軍が3月6日にYuma試験場で、LRPF計画として開発中の長射程砲ERCAによる射距離65kmの試射を2種類行った。
 ERCAは155mm/58口径と砲身長が3呎延びた改良型M777榴弾砲によりXM1113 RAP弾を強化装薬で発射し、射距離を二倍の60km以上にするもので、試射はExcalibur長射程誘導砲弾とXM1113 RAP弾により行われた。
 ERCAシステムはXM1299試作0号と呼ばれ、18両の生産をM109A7 Paladin SPH を生産しているBAE Systems社が2019年7月に受注している。
 ERCAの装備化をFY23としている陸軍は、3~4ヶ月以内に第二段階ERCAの業者説明会を行う。 陸軍はERCAの最終目標を射程1,000nm、1,852kmと考えている。 (2004-030609)

 米陸軍が3月6日にYuma試験場で、M109 Paladin SPHの最新型で、従来の二倍となる射距離65kmで2種類の弾を試射した。
 ラムジェット推進弾をも考慮に入れたこのERCA計画では、2023年までに1個大隊分となる18両の生産が計画されている。
 今回試験が行われたM109 SPHを陸軍はM1299と呼んでおり、口径比を39から58へと砲身長を49%伸ばしたM1299が装備後57年経過したM109の後継となると見られる。 (2004-030610)

 米陸軍が3月6日に、長射程高発射速度を目指し砲身長を30ftに伸ばし口径比を58とした新型加農砲XM1299 (ERCA) 試作0号で65kmの試射を4発行った。
 試射されたのはExcalibur弾2発とXM1113 Inc 2 RAP弾2発で、Excalibur弾は標的の1m以内に着弾した。
 XM1113弾のうち1発は標的から610mずれて着弾したが、2発とも65kmを飛翔した。
 計画通り進めば、陸軍は2023年までにERCA Inc 1を18門装備する。 (2005-031804)

 米陸軍の首脳が9月にProject Convergence 2020参加のためアリゾナ州のYuma試験場に参集した。
 この主要テーマはAI技術やsnsor-to-shooter技術、とりわけ20分かかっていた決心時間を20秒に縮めることであったが、もう一つのテーマは長射程砲ERCAの試験であった。
 陸軍が装備しているM109A7 Paladin SPHを元にしたXM1299試作ゼロ号砲は砲身を30ft (9.1M) に伸ばして58口径にすることで70kmの射程を実現している。
 ERCAは超装薬 (supercharge) を用いるもののM982 Excalibur弾、XM1113 RAP弾、XM1155長射程弾などの現有弾を発射できるが、問題となったのはそのための砲身命数の低下で、現在銅や鉛を使っている弾帯 (rotating band) を変える必要が出てきた。 (2101-120017)

 米陸軍が12月19日にアリゾナ州のYuma試験場で、M109A7 Paladinの39口径の砲身を30ftに伸ばし58口径としたERCAでExcalibur誘導砲弾と強化装薬 (supercharged propellant) を用いたXM1113弾の射撃を行い、Excalibur弾が70kmを飛翔し標的に直撃した。
 3月に行った試験では70kmを目指したものの65kmであった。 (2101-122110)

ERCA Increment 2

 LRPF計画の責任者であるラファーティ准将は、ERCA計画の第二段階 (Increment 2) は別契約になり、恐らく3~4ヶ月後に契約が行われると述べている。
 同准将はまた 、ラムジェット推進弾には海軍が電磁砲用に開発した超高速弾が使われるであろうとも述べた。 (2004-030610)

 M109A7 Paladin 155mm SPHの射程を70kmにまで伸ばすERCAでは2023年にIncrement 1 (Inc 1) 18両が配備されるが、2024年に配備されるERCA Inc 2では発射速度6~10発/分の31発自動装填機構が採用される。
 従来型の装填機構では23~24発しか装填できなかったという。 (2012-101406)

9・5・1・1・2 超高速砲弾 (HVP)

 米陸軍が、現有榴弾砲の射程を2倍の100kmまで伸ばす吸気式エンジン噴進砲弾のエンジン開発で、米欧企業チームを選定した。 (2006-051305)

 米陸軍CCDCが6大優先項目に挙げているLRPF計画で開発している長距離砲ERCAが発射する砲弾ERAPは2019年7月にPhase Oneが開始されているが、Raytheon社も$7.9MでPhase Oneを受注している。
 Phase OneにはBoeing、GD、Northrop Grummanの各社も受注している。
 ERAPはラムジェット推進の155mm誘導砲弾で、100kmの射程が求められている。 (2006-051902)

9・5・1・2 大口径戦車砲

Rheinmetall 130mm滑腔砲

 Rheinmetall社が、新型 (NG) 130mm滑腔戦車砲初期型の開発を完了したことを明らかにした。
 130mm NG砲は米陸軍が計画している次世代戦闘車 (NGCV) での採用を目指すもので、新高張力鋼にクロームメッキを施している。
 砲身長は6.63m、重量3,000kgでAPFSDS-T弾を発射する。 (2004-020003)

9・5・1・3 Bradley 後継 NGCV 搭載50mm砲

 Northrop Grumman社が8月下旬、米陸軍にXM913 50mm砲4門を納入した。
 10月末までに更に7門を納入するほか、2021年にも10門が納入される。
 50mm砲はBushmasterに代えてBradleyの後継となるNGCVに搭載され、XM1204 HEAB-T弾またはXM1203 APFSDS-T弾を発射する。 (2010-090407)
9・5・2 電 磁 砲

 特記すべき記事なし
9・5・3 誘導砲弾

9・5・3・1 米国、欧州

9・5・3・1・1 155mm野砲弾

Excalibur S

 Raytheon社が2月5日、Excalibur Sによる移動目標に対する射撃試験に成功したと発表した。
 Excalibur SはGPS誘導のExcaliburにSAL誘導装置を取り付けて移動目標攻撃型にしたもので、誘導装置は榴弾砲の発射衝撃に耐えて機能した。
 米陸海軍はExcalibur Increment Bを装備して既に1,400回以上実戦使用しているが、これらはExcalibur Bに改修可能という。
 陸軍は長射程加農砲 (ERCA) の試作砲身からExcaliburを発射して62km飛翔させているが、砲身長を30ftにして58口径に改良したM109A7 Paladinでは70kmの射程を計画している。 (2003-020503)

9・5・3・1・2 155mm艦載砲 (AGS) 弾

155mm艦載砲 (AGS) 弾

 特記すべき記事なし

127mm艦載砲 (Mk 45 Mod 4) 弾

 イタリア国防省が10月23日に2020年~2022年の防衛計画であるDPP2020-2022を公表した。
 このうち£4.5Mが次世代駆逐艦の調査費、£88Mが10年間計画の127mm誘導誘導砲弾Vulcanoの今年度分、£95Mが5年計画のSHORADの今年度分になっている。 (2012-110412)

57mm艦載砲弾

 米DARPAが8月31日にMAD-FIRES計画のPhase ⅢをRaytheon社に$32.5Mで発注した。
 MAD-Firesは艦載57mm砲用RAP弾に採用する経路修正弾で、2015年にPhase ⅠをRaytheon、Locheed Martin、Northrop Grummanの3社に発注して開始した。
 その後14ヶ月のPhase ⅡにRaytheon社が選定され、Phase ⅡB/ⅡCと進められてきた。 (2011-100005)

9・5・3・1・3 迫撃砲弾

 特記すべき記事なし
9・5・3・2 中 国

 特記すべき記事なし
9・5・3・3 ロシア

 特記すべき記事なし
9・5・4 砲熕発射ミサイル

120mm施旋砲発射レーザ誘導ミサイル(インド)

 インド政府報道局が9月23日、インドDRDOが22日にArjun MBTの120mm施旋砲からレーザ誘導ミサイルを発射する試験に成功したと発表した。
 ミサイルは3km遠方の標的に命中したと言う。 (2012-100706)

Sokol-V

 ロシアが3UBK 25 Sokol-V (Falcon) 砲熕発射125mmホーミングミサイルの試験を開始した。
 試験では完成弾25発のほか、シーカだけを搭載した訓練弾46発と、INSだけを搭載した擬製弾46発が発射される。
 Sokol-Vはロシア軍が装備する唯一の砲熕発射ミサイルでT-14 Armata MBT用に開発されたが、T-80 MBTの2A82 125mm滑腔砲からも発射する。 (2002-010006)

9・6 共通技術

9・6・1 測位、タイミング (PNT)

9・6・1・1 測位衛星

GPS Ⅲ

 米宇宙軍が3月24日、10機計画しているGPS Ⅲの2号機が実運用可能な状況になったと発表した。 GPS Ⅲは従来より精度が3倍、対jamming性能が8倍向上しているという。
 GPS Ⅲの運用はコロラド州Schriever AFBの第2宇宙作戦大隊が引き継ぐ。 (2004-032403)

 4月に予定されていたがCOVID-19パンデミックの影響で遅れていたGPS Ⅲ 3号機の打ち上げが6月30日にCape Canaveralで行われた。
 今回の打ち上げは宇宙軍による初のGPS打ち上げとなった。 (2007-063006)
NTS-3 耐妨害性計画

 米宇宙軍が測位衛星の耐妨害性を高めるNTS-3計画を進めようとしている。 NTS-3はL3Harris社が空軍研究所 (AFRL) の先進技術開発Vanguards計画の一環として$84Mで受注しているもので、2023年の打ち上げが必須とされている。
 耐妨害性を高める軍用のM-codeは90年代中頃に初めて提唱されたが、25年経った現在でも打ち上げられているGPS Ⅲに搭載されていない。
 NTS-3は2025年頃に打ち上げられるGPS Ⅲ後継のGPS ⅢFまでのギャップフィラになる。 (2003-022605)

GPS ⅢF

 特記すべき記事なし

北 斗

 「4・1・1・6 地球規模の測位衛星網」で記述

その他

 特記すべき記事なし

9・6・1・2 その他の PNT

Orolia社製 LTAMDS 用 PNT装置

 ニューヨークを拠点とするOrolia社のHironori Sasaki社長が、Raytheon社が7月8日に米陸軍向けに開発中のLTAMDSで、測位タイミング装置 (PNT) にOrolia社を選定したことを明らかにした。
 Orolia社は同社製のSecureSync及びVersaSyncをLTAMDSに特化させた装置を提案している。
 LTAMDSはFY21での公式な評価に備えて、5月には実験室での試験を開始している。 (2010-090001)

MAPS Gen 2

 米陸軍が9月10日、2社と進めてきたGPSが使えない状況で自己位置標定やタイミング (NPT) を行う装置MAPS Gen 2の開発Phase 2から、Milestone Cに向けたPhase 3担当を月内に1社に絞り込むことを明らかにした。  一方陸軍はMPAS Gen 1を2019年に駐独第2騎兵連隊のStrykerに装備しており、今後カンサス州Ft. Riley駐屯第1歩兵師団第1旅団のBradley IFVや戦車への装備も進める。 (2010-091512)

9・6・2 通信,C4I

9・6・2・1 ネットワーク

9・6・2・1・1 Joint All-Domain Command and Control (JADC2)

 米陸軍で上位31件の優先項目中、Big Sixとされているなかで3項目はsensor-to-shooterを成すものでProject Convergenceと呼ばれている。
 この3項目は優先順位1位のLRPF、4位の低軌道衛星によるArmy Network、5位のAMDである。
 陸軍は最終的に海空軍、海兵隊、宇宙軍と結ぶJADC2の構成を行い、陸、海、空、宇宙、サイバの5ドメインの連接を考えており、3年かけて構成するCapability Set 23 (CS23) では、CS21で歩兵部隊、CS23では機甲部隊の加入を計画している。 (2006-051806)

 在欧米空軍司令官が6月29日、2021年春に在欧米空軍が実施する演習でJADC2経由でABMSを参加させ、同盟国も含めたISRの共有機能について検証すると述べた。 (2007-062905)

 ジェームズ・マクファーソン米陸軍次官がAFCEAのウェブサイトで7月14日、全軍のセンサをネット化して全軍がデータをシェアするJADC2の開発で、陸軍はシステムへの要求書を作成する前の初期段から企業と連携したいと述べた。 (2008-071605)

 米MDAのC2BMC責任者が5月13日、JADC2は現在BMD用に構築されたシステムに超高速ミサイルやCM対処能力を迅速かつシームレスに持たせる基本的なシステムであると述べた。
 C2BMCはアラスカとカリフォルニアに配備したGMDシステムからPatriotのような戦術BMDシステムを結ぶ現有システムで、MDAはまずC2BMCシステムと開発中のJADC2の連接を確認したのち、空軍が行うABMSの第2段階の試験であるOn Ramp演習に参加するという。
 ただ4月に計画されていたOn RampはCOVID-19パンデミックの影響で6月、8月、9月31日へと度々延期されている。 (2006-051404)
【註】JADC2は米空軍が進めている宇宙配備の全ドメインのデータ共有システムで、データ交換にはSDAが進めているTranche 0 transport layerを利用する。

 米陸軍が8月11日~9月18日にYuma演習場で500名以上を動員したProject Convergence 2020を実施した。
 検証は3段階からなり、第1段階では射程を70kmに伸ばしたXM1299 ERCAによるXM1113弾及びExcalibur誘導砲弾の射撃、第2段階では敵のA2/ADをXM1113弾及びExcalibur誘導砲弾を用いた破壊、第3段階では次世代戦闘車と連携して小型UAVで目標を発見して120mm迫撃砲での射撃が行われた。 (2011-092303)
【註】Project ConvergenceとはJADC2と陸軍を連接する陸軍の計画で、Project Convergence 2020 (PC20) に続いてPC21及びPC22と段階を進める。

 米空軍がMQ-9 ReaperにStellar Relayコンピュータを搭載し、JADC2に連接させる。
 Stella RelayはParry Labs社が製造した"hyper-converged infrastructure"で、航空機搭載データセンタとして機能する。 (2011-101516)

 米海軍が、最近太平洋で行われたRIMPAC演習及びValiant Shield演習でJADC2の検証を行った。
 この試験では潜水艦からUAVまでの連接が行われた。 (2012-111607)

 米空軍が11月18日、空軍が進めてきたマルチドメインネットワーク計画JADC2を統合幕僚会議が全軍の事業として"C" (Cmbined) を付加したCJADC2にしたことを明らかにした。 (2012-112305)

9・6・2・1・2 その他のネットワーク

Fire Weaver(イスラエル)

 イスラエル軍が2月3日にRafael社にFire Weaverを発注した。 Fire WeaverはRafael社がイスラエルDDRD及び地上軍と開発した射撃指揮装置で、機甲旅団が装備する。
 システムの端末は大隊指揮所に置かれる。
 Fire Weaverはセンサーと火力をネットワーク化、イスラエル軍が装備しているTsayad指揮統制システムと接続できる。 TsayadはElbit社のTORC2Hを元にしている。 (2003-020408)

ITW / AA(米 国)

 米国防総省が防空、BMD、宇宙に関する正確、適時、明確に情報を提供する次世代指揮統制ITW/AAの事前検討を行っている。
 この事前検討は2019 MDRに基づくもので、米戦略軍が実施している。 (2008-071508)

Network-CFT(米 国)

 米陸軍のNetwork-CFTが先週、将来戦術ネットワークに求めるツールの要求をネット (beta.sam.gov) 上に公開した。
 Network-CFTは民生品 (COTS) 技術や既に開発されている技術 (NDI) 技術を活用して戦術ネットワークを統合して高速かつ精密にデータを共有するネットワークシステムを開発し、検証を行う。 (2012-110408)

Pathfinder Initiative(米国、カナダ)

 NORADと米北方軍 (NORTHCOM) がPathfinder Initiative計画を開始した。
 この計画は中露の脅威増大に対応する米加の能力を向上しようとするもので、空中及び海上の捕捉能力を向上させJADC2と接続させるNORADとNORTHCOMのSHILD計画の中心となるものである。 (2012-110605)

9・6・2・2 データリンク

9・6・2・2・1 共用データリンク

艦載型 MIDS (MOS)

 BAE Systems社が、Link 16を経由する戦術データリンクMIDSの艦載型MOSの試験を数週間以内に開始する。 試験結果が良ければ250ユニットが艦載されることになる。
 MIDS JTRSは4チャンネルからなり、海軍のF/A-18のほか空軍のF-15、F-16、F-22ともデータ交換ができるようになる。 (2005-030004)

9・6・2・2・2 戦闘機搭載データリンク

 特記すべき記事なし
9・6・2・2・3 UAV搭載データリンク

CNPC-1000 / CNPC-5000

 Collins社がNASAの計画で9年間続けてきたC2データリンク開発が間もなく完成する。
 同社は当初L-bandで計画を進めており2014年にはScanEagleに搭載したCNPC-1000の試験を行ったが、国防総省が同じL-bandを使用している軍用のTACANや民間のDMEと干渉すると難色を示したためその後C-bandに変更された。
 CNPC-1000は送信出力1Wで、消費電力8Wである。
 NASAはCNPC-5000をMQ-9B SkyGuardianに搭載しての試験を求めている。 (2004-022401)

9・6・2・3 通 信

 米陸軍が12月7日に16頁から成るArmy Installations Strategyを公表した。
 Army Installations StrategyではAIや5Gといった最新技術を用いて先端装備をマルチドメイン作戦に適応させる基準について述べている。 (2101-121510)
9・6・3 見方識別

 特記すべき記事なし
9・7 関連基礎技術

9・7・1 航空機関連技術

9・7・1・1 電動航空機

9・7・1・1・1 eVTOL

Agility Prime計画

 米空軍が2月25日に、3年後の配備を目指して電動VTOL (eVTOL) 機であるAgility Prime計画を正式に開始した。 (2005-030403)

 米空軍が公式にFlying Car計画を開始した。 2月25日に打ち出したAgility Prime計画は民間が先行している電動VTOL (eVTOL) を戦闘地域での人員や物資の輸送に活用というものである。
 空軍は3~8名の兵員を100mph以上の速度で100哩以上輸送でき1時間以上使用できることを求めており、FY23までに少数機でIOCを目指している。
 このため企業には2020年12月17日までに実証飛行を行うことを求めている。 (2003-022603)

 米海兵隊が、空軍が2月に公表した電動VTOL機 (eVTOL) Agility Prime計画に関心を示している。
 海兵隊はeVTOLを無人空輸兵站システムULS-Aとして大中小の3種類を考えている。
 小型は60~150-lb搭載で行動半径5~10nm、中型は300~500-lbで15~110nm、大型は1,000~3,000-lbで150~300nmという。 (2006-040611)

 米空軍の調達責任者であるローパー氏が、空軍向け電気推進型VTOL機eVTOLの生産が3年以内に開始されるだろうと述べた。
 空軍はまず2~3名を輸送する小型eVTOLを目指している。 (2005-041704)
【註】記事にあるUber社製Flying Carは空地両用車ではないことから、空軍の言う'Flying Cars'とは空地両用車ではない様である。

 米空軍が4月27日に、搭載能力が1t~200kgの各種電動VTOL (eVTOL) UAV機を調達するAgility Prime計画を開始した。
 この計画には搭載能力がVTOLで2,450kg、滑走離着陸で4,500kgのRhaegal-Bを提案するSabrewing社、搭載能力100~225kgの4ロータ機Chaparralを提案するElroy Air社、ARESを提案するPiasecki社を始めに多くの企業が提案を行っている。 (2005-042703)

 米空軍が4月27日に開始したAgility Prime eVTOL計画には、重搭載型、搭載能力1t級、200kg級など各種提案がなされている。

Rhaegal-B: Sabrewing Aircraft社

 VTOLモードで2,450kg、CTOLモードで4,500kg搭載

Chaparral: Elroy Air社

 100~225kg搭載で500km航続

ARES: Piasecki Aircraft社

 Aerial Reconfigurable Embedded System、タービンエンジンのチルトロータ

PA890: Piasecki Aircraft社

 Slowed-Rotor Winged Compound

 この他にAirMap社、Beta Technologies社、Joby Aviation社、Hneywell社、LIFT Aircraft社Transcend Aerospace社、Collins Aerospace社、及びP&W社も名乗りを上げている。 (2008-060008)

Joby社のeVTOL

 Joby社が過去6年かけて開発してきたeVTOLがカリフォルニア州(場所は非公開)で試験飛行を行っている。
 まだ名がなく識別名のS4で呼ばれているこのeVTOLは、チルトする電動推進装置EPU 6基を両翼に2基ずつとV字尾翼に2基持ち、全長21ft翼端長38ftで、150nmの航続距離を持つ。
 乗員は操縦手1名のほか乗客4名になっている。 (2011-092801)

スイス Dufour社の aEro3

 大型チルト翼機は1960年代にCanadair社のCL-84 Dynavertが飛行に成功したが未だに量産化されていない。 ところがeVTOL技術により再び注目されだした。
 スイスDufour社のaEro3は5~7人乗りで、同社はまず救難&患者輸送用を目指している。
 同社は最初に、組み立てキットとして販売されているSilent Twister機を元にして2016年にaEro1を製作した。 aEro1は通常飛行で60分の滞空後に15分の余力を残している。
 aEro3はチルト翼に4基のプロペラ推進装置を持つほか、VTOL時の安定用として尾部に2基のプロペラを内蔵したテイルスラスタを装備している。 (2011-092802)

9・7・1・1・2 その他の電動航空機

 特記すべき記事なし
9・7・1・2 超高速旅客機

TBCC エンジン機

 乗客20名を乗せ4,000nmをMach 5で飛行する超高速航空機の開発を目指しているアトランタを拠点とするHermeus社が、TBCCエンジンの縮尺モデルによるMach 5を模擬した地上試験を完了した。 (2006-040610)

9・7・1・3 エンジン

Hyscram エンジン

 カリフォルニア州のHyperSpace Propulsion社が、Mach 8以上で飛行する軍民の航空機やミサイル用に、超電導電磁力、ガスタービン、ラム/スクラムジェット、磁気流体力学 (magnetohydrodynamics: MHD) を組み合わせたTBCCハイブリッドエンジンを開発している。 (2006-040609)

SABRE 超高速エンジン

 Rolls-Royce社が、Reaction Engines社が行っているSABRE超高速エンジンの開発及び熱管理技術で、過去2年間にわたり密接に協力して来たことを明らかにした。
 SABRE超高速エンジンは高マッハを実現する軍民両用のエンジンである。 (2009-082104)

 Rolls-Royce社が、自社のガスタービンエンジンと電動ハイブリッドエンジンで、Reaction Engines社の熱管理技術で協力することを明らかにした。
 このためRR社は今後2年間で£20M ($26M) を支出するという。 Reaction Engines社にはBAE Systems社やBoeing Horizon-X社も投資している。
 Virgin Galactic社は8月上旬に、衛星軌道に準じた飛行をするRR社のエンジンを採用したMach 3のデルタ翼機を公表している。
 また2020年初めにRR社は米Boom Aerospace社と共同でMach 22の民航機Overture用のエンジンを開発していることを明らかにしている。 (2009-082105)

ETHOS 計画

 米空軍研究所 (AFRL) が新型高速吸気型推進装置の開発を開始した。
 開始したのはAFRLが進めているETHOS計画の一環でTSSC計画で、以下の2つの技術分野 (TA) からなる。 (2010-090006)

TA1: 吸気型コア測エンジンの開発。

TA2: 機体と組み合わせた推進装置の開発。

9・7・2 ミサイル関連技術

THOR-ER ミサイル推進用の固体燃料ラムジェットエンジン

 ノルウェー国営兵器メーカのNanmo社と米海軍が4月20日、共同でミサイル推進用の固体燃料ラムジェットエンジンTHOR-ER計画を進めていることを公表した。
 固体燃料ロケットの燃料では重量の80%を酸化剤が占めていることから、これを外から取り込めば推力を3~5倍にすることができ、その結果射程を300~500%にすることができる。
 またラムジェットをサステナとすればMach 5~6を維持できることになる。
 THOR-ERはAIM-120 AMRAAMやNSM/JSMへの応用が考えられる。 (2007-050405)

 米国防総省とノルウェー国防省が4月20日、米国の新たなAPI計画の元に両国で固体燃料ラムジェット (SFRJ) エンジンを共同開発すると発表した。
 既に米海軍はノルウェーのNammo社と長射程型戦術高速ラムジェット弾 (THOR-ER) の共同開発を進めている。
 固体ロケット燃料では重量の80%を酸化剤が占めているため、これを外気から取り入れると大幅な推力の向上が見込まれ、射程が400kmを超えるミサイルや長距離砲弾への応用が期待されている。
 このためBoeing社Phantom WorksはNammo社と共同でSFRJを用いた155mm砲弾の開発を開始している。 (2008-060006)

回転爆轟エンジン (RDE)

 回転爆轟エンジン (RDE) は逐次回転しながら吸気に燃料を噴射して爆轟させるエンジンで、使い捨てに適する超安価なため、まずは高速CMの推進装置として考えられている。 (2011-091402)

HPAF 構想

 米DARPAが出資する研究開発機構であるASTROが2年間の研究成果として9月に、数千基のスクラムジェットエンジンを生産できる設備HPAF構想を発表した。
 ただこの施設の能力は米国防総省や防衛企業が必要とするものを超えている可能性がある。 (2012-102601)

GPAW 将来空対地武器

 米空軍が将来の空対地武器GPAWに関する画期的な技術提案を求め10月19日にBAAを発簡した。
 GPAWはF-35やB-21の機内弾庫に搭載でき、コックピットで弾頭の効果、信管の動作、センサの働き、推進装置その他の選択ができ、JADOに適応できることが求められている。 (2101-120005)

9・7・3 UAV 関連技術

9・7・3・1 UAV 群飛行

UAV 及び UGV の群制御に関する DARPA の計画

 米DARPAが4月中旬までに、UAV及びUGVの群制御に関する9件の研究開発を発注した。
 群制御ではUAV及びUGVの群とは250基以上の集団を想定している。 (2008-060009)

Golden Horde 群飛翔弾計画

 米空軍がこの飛行試験を夏に開始する群飛翔弾計画Golden Hordeの当初試作飛翔体にSDB-ⅠとMALDを選定した。
 連携飛翔SDB (CSDB) と連携飛翔MALD (CMALD) の試験は秋になる。 (2003-020304)

9・7・3・2 有無人連携飛行

F/A-18 が無人の EA-18G を飛行制御

 Boeing社が2月4日、米海軍が無人のEA-18G Growler 2機と有人のF/A-18 1機が同時に飛行し、F/A-18がEA-18Gを制御する試験に成功したと発表した。
 有無人機連携飛行を追求している米海軍は、UCAVを空中給油なしで3,000nm飛行させ対潜や電子戦任務を行わせる構想を持っている。 (2003-020406)

9・7・3・3 可変形状翼

 米陸軍研究所 (ARL) が可変形状翼 (morphing) UAV設計のツールとなるソフトを開発した。  Morphing UAVは飛行間に翼形状を変えることができるUAVでISR用のUAVで応用した場合、翼を縮小して高速で目的地に急行し、到着後は翼を拡張して低出力で長時間遊弋することができる。 (2010-090010)
9・7・4 高出力 Laser 技術

イスラエルがレーザ技術の開発でブレークスルー

 イスラエル国防省が1月8日、レーザ技術の開発でブレークスルーがあったと発表した。
 イスラエルのレーザ技術開発は同国DDRDがRafael社及びElbit社と提携して行っている。
 開発しているのは電気励起式レーザで、この技術を用いれば高効率にシステムを実現できるという。 (2003-011511)

9・7・5 その他の関連技術

米 DARPA の OFFSET 計画

 米DARPAが進めているOFFSET計画の3回目の試験が市街戦を想定した状況下でUAVとUGVを展開して行われた。
 OFFSET計画では最大250基のUAVやUGVを自動制御する。 (2002-012808)

米 DARPA の DRACO 原子力推進ロケット計画

 DARPAのFY21予算要求における宇宙関連経費はFY20の$190Mから$158Mに下がっている。 この中でROAR計画とも呼ばれている原子力推進ロケットDRACO計画にはFY20の$10Mから増額して$21Mが当てられる。
 DRACO計画はHALEUとも呼ばれている原子炉を用いた地球と月の間で使用するロケットで、これと似た計画はNASAでも5~20%の低濃縮ウランを用いる計画を進めている。 因みに一般に商用として使われている原子炉のウランは3~5%であるのに対し、米海軍の原子炉では90%の濃縮ウランを使用している。
 この他のFY21におけるDARPA宇宙計画では、静止軌道 (GEO) 衛星への燃料補給などを行うロボット技術RSGSにFY20の$47.3Mより少ない$46.3Mが、Planer Imager小型安価光学衛星に$5Mより増えて$12Mが要求されている。 (2003-021905)

Project Pele 移動型原子炉計画

 米国防総省が2月9日、Strategic Capabilities Office、通称Project Pele計画の移動型原子炉の開始作業をBWX社、Westinghouse社、X-energy社に発注した。 (2004-030907)

 米国防総省が移動型の小型原子炉の試作を、エネルギー省のアイダホ国立研究所で行っている。
 試作している原子炉は10MWの出力になる。 (2005-040906)

 米議会下院歳出委員会がFY21予算で、出力10MWの超小型原子力発電装置を軍施設に配備する計画に、国防総省要求に$50Mを追加する検討を行っている。 (2008-071606)

空中及び地上の無人システムの連接

 米陸軍CCDCが2月26日、空中及び地上の無人システムを連接する技術の提案要求を企業に対し行った。
 提案要求はCCDCのGVSXがNAMCと共同で行った。 (2004-031306)

3DSoC コンピーターの軍事利用

 米DARPAが1つのチップ上に立体で回路を構成する3DSoCにより処理能力を画期的に高めたコンピーターの軍事利用を追求して、1月22日にRfIを発簡した。
 3DSoCの処理能力は今までの高速処理装置が400Gbsecであったのに対して40Tb/secを目指している。 (2005-030003)
多帯域多用途 (MBMM) アンテナ

 Lockheed Martin社が8月31日、米宇宙軍から受注している新型アンテナ試作機のmilestone審査に合格したと発表した。
 このアンテナは多帯域多用途 (MBMM) アンテナと呼ばれるL-band及びS-bandの通信用アンテナで、異なる軌道上にある異なる周波数帯域の衛星と同時に交信できる。
 Lockheed Martin社は2019年4月にBall社及びKratos社と組んで$7.2Mで受注し、同時期にL3Harris社(当時はHarris社)が$6.3Mで受注している。 (2010-090409)

Golden Horde計画/Vanguard計画

 米空軍研究所 (AFRL) が空軍の最優先項目の一つであるGolden Hordeの、計画推進要領の見直しを行っている。
 Golden Hordeは空軍のVanguard計画の一翼を成すもので、在来の武器をネットワーク化することで自動交戦能力を付与しようという計画で、2020年末に実証試験を行う計画であった。 (2012-110005)

AI が副操縦士

 米空軍が12月16日、AIを副操縦士とした初の飛行試験を行ったと発表した。
 空軍によると使用したAIアルゴリズムはARTUμと呼ばれ、15日西部カリフォルニア州のBeale AFBでU2に副操縦士として「搭乗」した。
 ARTUμは敵機の警戒に当たる操縦士とレーダの情報を共有しつつ、これまで人間が行っていた敵のミサイル発射装置の探索などを担当した。 (2101-121703)



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