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8. 防空システム

8・1 宇宙防衛/戦略 BMD

8・1・1 宇宙空間の軍事利用

8・1・1・1 地球-月間 (cislunar) 空間の軍事利用

8・1・1・1・1 米 国

Cislunar 空間の軍事利用予算断念

 米宇宙開発庁 (SDA) が地球-月間 (cislunar) 空間の軍事利用計画を、予算上の優先度から断念した。
 SDAの構想ではcislunarに200基程度の衛星と、X-37Bの様な軌道変更が可能な宇宙船 (AMV) を最小限3基打ち上げようというものであった。
 軍関係者は中国がこの空間を軍事利用しようとしていることに危機感を抱いてる。 (2005-040705)

予算が不十分

 米国は深宇宙における中国への優位を確立するため地球~月間 (cislunar) の開発に力を入れようと、多くのセミナーが持たれているが、関係業界は予算が足りていないと指摘している。 (2009-082808)

宇宙軍と NASA が業務提携

 米宇宙軍とNASAが、業務提携に関する5頁にのぼるMoUを結んだ。
 このMoUは特に、静止軌道と月の間の空間cislunarでの活動に焦点を当てている。 (2010-092206)

Quantum Space Sensor

 GPSは本来、地球周辺での測位やタイミングを目的としたシステムで、地球から離れた宇宙空間での使用には適していない。
 このため米国防総省は宇宙量子センサ (Quantum Space Sensor) と名付けられたシステムの研究を行っている。 (2005-041403)
【註】米宇宙開発庁 (SDA) は地球-月間 (cislunar) 空間の軍事利用計画を持っており、Quantum Space Sensorはこの計画を成り立たせるうえで必要なものと考えられる。

8・1・1・1・2 その他諸国

 特記すべき記事なし
8・1・1・2 宇宙空間の軍事利用制限

 ロシアのプーチン大統領が9月22日に国連総会一般討論でビデオ演説し、「宇宙への兵器配備を禁止する法的拘束力のある条約」を締結するよう各国に提案した。
 2021年2月に期限が切れる米ロの新戦略兵器削減条約(新START)の延長の必要性を改めて強調し、米国に対し、新たなミサイル配備を抑制するよう呼び掛けた。 (2010-092301)
8・1・2 BMD センサ

8・1・2・1 宇宙配備型センサ

DSP 早期警戒衛星

 米SMSCがNorthrop Grumman社に$222.5Mで、2030年3月31日までのDSP早期警戒衛星の維持管理を発注した。
 1970年から2007年まで打ち上げられたDSP衛星はNorthrop Grumman社が製造したが、現在ではSBIRS衛星と交代しつつある。 (2007-062903)

SBIRS

 SBIRSは静止軌道にGEO 4基、長楕円軌道にHEO 2基を配しているが、GEOの1号機と2号機に代わる5号機 (GEO-5) と6号機 (GEO-6) を2014年にLockheed Martin社が$1.86Bで受注し製造を進めており、4月16日にGEO-5の真空チェンバにおける熱環境試験が開始された。
 GEO-5はGEO-3/4の改良型で、打ち上げは2021年に予定されている。
 SBIRSでは更に2基の打ち上げが計画されていたが、新システムへの移行のため2018年に計画は中止になった。 (2005-042904)

8・1・2・2 BMEWR

 特記すべき記事なし
8・1・2・3 LRDR

 Lockheed Martin社によると、同社と国防総省が2020年代中頃を目指し、ICBM探知用のLRDRのソフトを改良し軌道上の宇宙監視を行う計画を検討しており、目下コストの見積もり等を行っているという。 (2004-031005)
8・1・3 次世代早期警戒システム

8・1・3・1 従来方式早期警戒衛星

Next-Gen OPIR

 米宇宙軍がFY21予算に宇宙配備型新型センサNext-Gen OPIRに、開発費$2.319B、購入費$160.9Mの合わせて$2.48Bを要求した。
 Next-Gen OPIRは、静止軌道 (GEO) 衛星3基と高高度楕円軌道 (HEO) 衛星2基からなるSBIRSの後継となる。 (2005-040002)

 現在軌道上にある早期警戒衛星SBIRSに代わる次世代衛星OPIRは当初、静止軌道上の3基 (NGG) と極軌道上の2基、合わせて5基で構成され、NGGはLockheed Martin社、極軌道衛星はNorthrop Grumman社が受注している。
 この内最初のNGG 2基が搭載するIRセンサはRaytheon社とNorthrop Grumman社が競争試作を行っており、その事前設計審査 (PDR) を完了した。 最終設計審査 (CDR) は2021年秋に計画されている。
 米宇宙軍は2025年に最初のNGGを打ち上げる計画である。 (2006-052603)

 米空軍がNorthrop Grumman社に5月18日、次世代IRミサイル早期警戒 (Next-Gen OPIR) システムの最終設計審査 (CDR) に向けたPhase 1契約に、初の極軌道衛星2基を$2.4Bで追加発注した。 極軌道衛星2基は2029年までに運用を開始する。
 SBIRSの後継となるNext-Gen OPIRは極軌道衛星2基と静止軌道衛星 (GEO) 5基以上からなるが、Block 0はGEOを3基と極軌道衛星2基で、最初のGEOはFY25まで、最初の極軌道衛星はFY27までに打ち上げられ、全てのBlock 0はFY29までに完成する。 (2007-052702)

 米国でミサイル警戒衛星SBIRSの後継として進められている次世代赤外線探知衛星Next-Gen OPIR Block 0に次ぐBlock 1の打ち上げ軌道について、宇宙軍、SDA、MDAが今夏を目処に協議を続けているが、今まで36,000kmの静止軌道に打ち上げていたものを大きく変え、低高度軌道と中高度軌道の混用にする模様である。
 静止軌道衛星は大型目標の捕捉に適している。 (2007-061814)

8・1・3・2 分散配備型警戒システム

8・1・3・2・1 宇宙配備宇宙監視システム

DARPA の Blackjack 計画

 Lockheed Martin社が4月24日、米DARPAが進めているBlackjack計画の第一段階として2022年夏に20基程度の低高度軌道衛星を打ち上げると発表した。
 この計画はSDAが進めようとしている衛星群計画の試行で、最終的には数百基の衛星群を目指している。 (2005-042705)

 SEAKR Engineering社が4月28日、米DARPAが進めている低軌道衛星群計画Project Blackjackで使用する自動システムPit Boss開発企業に選定され、Phase Ⅰ Option Ⅱを受注したと発表した。
 この計画にはBAE Systems社とScientific Systems社も名乗りを上げていた。 SEAKR社はMicrosoft、Applied Technology、Advanced Solutions、Kythera Space Solutions、NKryptPhaseの各社とチームを組んでいる。 (2006-050302)

 DARPAが進めているBlackjack低高度軌道 (LEO) 衛星群計画のリスク低減衛星 (RRS) の打ち上げは今年開始される。 (2009-060101)

・Phase 1 1号機 Mandrake 1

 スーパーコンピュータチップを搭載したキューブ衛星

・Phase 1 2号機 Mandrake 2

 光学式衛星間リンク (OSIL) の試験衛星

・Phase 1 3号機 Wildcard

 ソフトウェア定義通信装置の検証

・Phase 1 4号機 Loft Orbital

 サードパーティーが開発したソフトの検証

・Phase 2

 10~20基の衛星打ち上げ

【註】CubeSatとは10×10×10cmのサイズで数kg程度の小型人工衛星をいう。

HBTSS 宇宙配置センサ

 米MDAはHBTSSを早ければFY22にもIOCにしたいと考えている。
 HBTSSは敵のHBGWを、現在盲点となっている部分を含め発射から弾着まで継続して追随しようとする新たな宇宙配置センサである。 (2003-021206)

 米国防総省は超高速/弾道追随衛星HBTSS計画を重視し、FY20に続いてFY21にも予算要求しているが、その管轄権を巡り混乱が起きている。
 議会下院ではHBTSSの所管をMDAではなくSDAにすべきとの議論が起きている。 (2003-022702)

 米MDA長官が3月12日の議会公聴会で、MDAが宇宙配備型超高速弾ミサイル探知システムであるHBTSSの開発を継続していると述べた。
 HBTSSの所管を巡っては政府がMDAからSDAに移管しようとしたが、議会がMDAに留めた。 (2004-031605)

 中国やロシアからの超高速飛翔体脅威から防衛するためには、発射から着弾までの全経路を継続的に監視する必要があり、そのための監視追随システムとしてHBTSS計画が進められているが、3つの問題が計画の推進を妨げている。 (2005-040804)

その1:全般構想が固まらない

 国防総省で化学技術を総括しているグリフィン次官は低軌道衛星群でカバーするとしているのに対し統参本部副議長のハイテン大将は低軌道と中高度軌道の組み合わせが必要と主張している。

その2:予算不足

 トランプ政権がFY19とFY20に要求した予算は僅かで、FY20では$15Mでしかなかった。 これに対し議会が予算を増額しそれぞれ$73M、$103Mとしている。 FY21要求でもFY20から10%削減した$99.5Mしか要求していない。

その3:担当部署の混乱

 HBTSSを所管するのがMDAなのかSDAなのかの混乱が続いている。

 米議会下院が国防総省のFY21要求について、2022年末と期限を定めていた宇宙配備超高速/弾道弾追尾センサ (HBTSS) の軌道上における試験の実施期限をFY23に伸ばした。
 また$100MとしていたFY21の国防総省要求を$120Mに引き上げた。 (2101-121007)

 米議会がFY21NDAAでMDAに、超高速ミサイルを追跡する新衛星群HBTSSとして$130Mを追加した。
 トランプ政権はHBTSSに予算を要求しなかったがMDAが議会に提出した予算案に盛り込まれなかった要求一覧で$108Mを呈示していた。
 尚議会はSDAから$10Mの計画をMDAに付け替えている。 (2101-122308)

ミサイル警報システムの全面的な見直し

 米宇宙軍司令官のレイモンド大将が5月20日に国防記者クラブ (Defense Writers Group) で、ミサイル警報システムの全面的な見直しを完了したと発表した。
 国防総省ではロサンゼルスにあるSMCのほかMDAやSDAなど各種機関がミサイル警報システムを構築しているが、2019年に宇宙軍や宇宙開発庁 (SDA) が設立されたことで、国家としての宇宙配備型ミサイル警報システムを構築することができるようになったと述べた。 (2006-052103)

米 SDA の NSSA

 米SDAが、宇宙空間に配置したセンサ網で超高速ミサイルの捕捉追随を行い地上の迎撃システムと結ぶ伝送層であるNSSAのTranche 0となる一次分として、小型衛星合わせて20基を発注する2件の契約を準備している。 (2006-050503)

・ 段階開発

 SDAはNSSAの段階開発を計画しており、Q4/FY22にTranche 0を打ち上げて低速でのデータ伝送を検証した後に、2年ごとに新たなTrancheの打ち上げを行いサイズと性能を向上させて行く。
 Tranche 1では150基の打ち上げが計画されている。

・ネットワーク構成

 NSSAは多層で構成され、Tranche 0は伝送層を構築する。 各伝送層衛星は前後左右向けに4基の1Gbps光波通信装置を搭載し、同一軌道面にある最近の伝送層衛星と接続する。
 衛星はまた他の軌道面にある衛星とのリンク構成能力も持ち、伝送層衛星以外の衛星ともリンクを構成できる。
 これにより1基のセンサ衛星が捕捉した目標諸元は、その衛星からの通信の到達距離にない地上施設にも送ることができる。

 米SDAが5月11日、超高速ミサイルを宇宙から監視追随する衛星群のうち、FY22に打ち上げを計画している最初の衛星についてのRfP素案を提示した。
 最終的に数百基からなるこの衛星群にはFY22に20基の打ち上げが計画され、その後2年間隔で追加が打ち上げられる計画でFY24には2次分として150基の打ち上げが計画されている。
 今回のRfPではこの内の8基の広視野 (WFoV) 衛星が対象になっていて、FY23には中視野衛星の打ち上げが計画されている。
 WFoV衛星は超高速ミサイルの追随が可能なIRセンサを搭載し、SDAが別に計画している伝送層衛星経由で追随情報を受け渡す。
 SDAは5月1日にFY22に打ち上げる追随層衛星10基のRfPを発簡している。 (2006-051502)

宇宙国防機能 (NDSA)

 米SDAのNDSAは以下のようなLayerで構成される。 (2007-062506)

Tracking Layer

Battle Management Layer

Navigation Management Layer: GPSが使用できない環境でのPNTの代用 (A-PNT)

Deterrence Layer: 静止軌道以遠の深宇宙での敵の活動阻止。

Support Layer

Transport Layer

Custody Layer

Tracking Layer 衛星層

 米SDAが6月15日、宇宙国防機能 (NDSA) で脅威の捕捉識別を担当するTracking Layerとして使われる低軌道衛星 (LEO) のRfPを発簡した。 (2007-062506)

 米SDAが6月15日、NDSAの構成要素として追随層 (Tracking Layer) を構成する低高度軌道 (LEO) 衛星の開発と打ち上げに関するRfPを発簡した。
 Tracking Layer衛星は米国や同盟国に向けて飛来する超高速目標の発見、追随、警報を担当し、Battle Management Layerなどと共にNDSAを構成する。
 Tracking Layerは2段階で開発され、Tranche 0では広視野角 (WFOV) 監視を行う衛星をFY22末に、中視野角 (MFOV) 監視を行う衛星をFY23中頃に打ち上げられる。
 Tranche 0ではそれぞれ10基ずつを打ち上げる。 (2009-080001)

 米SDAが10月5日、計画している巨大衛星網を構成する追随層 (tracking layer) の一部として低高度軌道に打ち上げる広視野角 (WFOV) センサを搭載した赤外線探知衛星 (OPIR) 4基の開発を、SpaceX社とL3 Harris社にそれぞれ$149M及び$193Mで発注した。
 SDAのtracking layerは中視野角 (MFOV) センサを搭載するMDAのHBTSSと共同運用される。 (2011-100604)

Transport Layer 衛星層

 米宇宙開発庁 (SDA) がコロラドスプリングで開かれた第36回宇宙シンポジウムで、Transport Layer衛星ネットワークの当初分として2022年夏の軌道投入を目指すTranche 0の20基について、8月に契約を行う契約であることを明らかにした。 RfPは5月1日に発簡される。
 Transport Layer Tranche 0 Layerでは、低速データ通信による作戦機との交信、センサ取得情報の発信能力、GPSに頼らないタイミング機能などが検証される。
 今後はFY24にTranche 1、FY26にTranche 2が計画されている。 (2005-040603)

 エスパー米国防長官が各軍に対し、SDAが開発している全ドメインの指揮統制装置を連接するデータ伝送衛星との連接を命じた。
 データ伝送衛星では統合全ドメイン指揮統制 (JADC2) の実現を目指していて、対象となるのは空軍のABMS、陸軍のTITAN、海軍のNIFC-CAなどである。 (2006-050609)
【註】データ伝送衛星はSDAが進めている多層からなる衛星群HBTSSで伝送層 (Transport Layer) を担当する衛星群である。

8・1・3・2・2 地上配備宇宙監視システム

Space Fence Radar

 米宇宙軍が3月27日、マーシャル諸島Kwajalein環礁に設置したSpace Fanceレーダがoperationalになったと発表した。
 2014年6月にLockheed Martin社に$914Mで発注されていたSpace Fenseは、S-bandのソリッドステートレーダで10cm以下の目標を追随できると言うが、設置されている場所が1ヵ所だけなため、継続した追随はできない。 (2004-033002)

GEODSS 宇宙監視 EO システム

 L3Harris社が4月1日、米宇宙軍から地上配備型宇宙監視EOシステムGEODSSの向こう10年間にわたる維持管理契約を$1.2Bで受注した。 当初分の契約額は$23Mである。
 この契約にはカリフォルニア、コロラド、バージニアの3州に配備されたレーダ3基についても含まれている。 (2005-040206)

8・1・3・2・3 衛星間ネットワーク

衛星間光学通信標準 (OILOS)

 米宇宙開発庁 (SDA) が低高度軌道に多数の衛星を打ち上げて相互通信を行うシステムを構築するため、衛星間光学通信標準 (OILOS) の開発を開始する。 このためSDAは1月15日にRfIを発簡した。
 SDAは2020年春にTranche 0を決め、速ければFY22にも初期版を完成させたいとしている。 (2002-011604)

地上設置情報処理装置 FORGE MDPAF

 Raytheon社が1月28日、米空軍からBMEW用地上設置情報処理装置FORGE MDPAFの開発と生産を$197Mで受注したと発表した。
 FORGE MDPAFは赤外線早期警戒衛星SBIRSやその後継となるNext-Gen OPIR衛星だけでなく、その他の衛星や海空のセンサ情報を収集分析する。
 米国では現在、気象、GPS、偵察、通信などに350基以上の衛星を使用しており、その他にも数百基の民間衛星が打ち上げられている。 (2002-012809)

8・1・3・3 長距離目標判別レーダ (LRDR)

 米空軍が6月に米会計検査院であるGAOに提出した報告によると、アラスカ州のClear空軍基地に建設中のLRDRの完成時期がCOVID-19のパンデミックの影響で1年程度遅れる。
 敵BMの捕捉追随に加えて、デコイや他の飛翔体から実弾頭を見分ける目標分別機能を持つLRDRは、当初FY21に配備され、FY22に空軍へ引き渡される計画であったが、空軍への引き渡しはFY23になるという。 (2009-080706)
8・1・3・4 宇宙配備迎撃成果評価システム (SKA)

 米国防総省がMDSの一環として正式にSKAを取り入れた。
 SKAはBMDで迎撃成功の可否を評価するシステムで、米北方軍に2022年までに配備する初期型は民間衛星に搭載した小型システムをネットワーク化する。 (2004-032306)
8・1・4 地上配備 BMD システム

8・1・4・1 米 国

8・1・4・1・1 ミサイル防衛全般

BMD の多層防衛化

 米国防総省は北朝鮮からのBM脅威に対し新型迎撃弾 (NGI) で対抗しようとしているが、同時にTHAAD homeland defense capabilityとSM-3 Block ⅡAの多層防衛システム2種類の検討を進めている。 (2003-021011)

 米MDAがFY21に要求した$1.9Bには、2019年に計画中止となったRKVに代わるNGIに$664.1Mを計上している。
 FY21要求と共に提出された5ヵ年計画でNGIは総額$4.9Bとしているが、NGIはFY21で要求の分析と設計などが行われる。
 NGIのRfPは2月末に発簡され2020年末までに契約が行われ、2025~2026年に発射試験、2027~2028年配備可能が計画されているが、MDA長官のヒル海軍中将は現在のGMDが2020年代の中頃から後段に陳腐化するとして、その間の補完を検討している。
 候補となるのはSM-3 Block ⅡAとTHAADで、FY21に発展型THAADの開発と試験に$139Mを要求している。 SM-3 Block ⅡAは間もなくICBM迎撃試験が行われる計画で、搭載艦を沿岸に配置する案とAegis Ashoreを米本土に配備する案が検討されている。 (2005-040007)

8・1・4・1・2 G M D

現有 GBI の維持管理

 Boeing社が2018年にGMDで、追加のGBI 20基とサイロ及びGMDの維持管理を$6.6Bで受注したが、同社との契約が2023年に終了するのを機にMDAは新たな契約を検討している。
(2005-040208)

NGI の開発

 米MDAはGMDのGBIに対して本格的な見直しを進めており、現在進めているGMDの従来型GBI 20基について、既に計画中止が決まっているRKVについて製造を中止しようとしている。
 新たに開発する次世代迎撃ミサイルNGIにはFY21要求に$664Mが計上されており、MDAは事前設計審査 (PDR) に向けたRFPを準備していて、2020年内には契約先を決定する。
 試験は2020年代中頃に開始し、2027年、2028年、或いはそれ以降にサイロに装填する計画である。 (2004-022403)

 米国防総省のグリフィン次官が3月11日に下院軍事委員会で、20年経過するGBIの後継となるNGIについて、当初2020年代末としていた装備時期を、RfIにたいする企業からの回答で2年早めることができるとみて、早ければ2028年としたと述べた。
 FY20に$465MであったNGI開発経費は、FY21要求の$638Mを含めFY20~FY25に$5.38Bと見積もっている。 (2005-032302)

 GMDの能力向上にMDAはRKVを進めていたが技術的な問題からこの計画を中止し、新たにNGI計画を進めようとしている。
 全く新しいGBIとなるNGIのRfIは既に出されており4月10日に提案が締め切られ、間もなくRfPが発簡されることになる。 このため現在のGBIは新弾製造を中止している。 (2005-040208)

 米MDAが4月24日、2019年8月に計画中止を決めたGMD迎撃弾RKVに代わる次世代迎撃弾であるNGIのRfPを発簡した。
 提案の締め切りは7月31日になっているがCOVID-19パンデミック次第で日程変更もあるという。 (2005-042408)

 米MDAが4月24日にRfPを発簡した次世代迎撃弾NGIの開発で、Raytheon社がNorthrop Grumman社とチームを組んだ。
 これでNGI計画には2個チームが競合することになり、MDAは今年後半に1個チームを選定する。 (2006-050403)

 米国防総省が次世代迎撃弾NGI計画を公式に開始した。 MDAは4月24日にRfPを発簡し、7月31日までに回答を求めている。
 MDAはかつて改良型KVであるRKVの開発に$1.2Bを投入していたが2019年3月に技術的問題から計画を中止している。
 国防総省は現在44基装備しているGBIに2023年までに追加する20基にRKVを搭載する計画であった。
 NGIの開発費はFY21から5年間で$4.9Bが見積もられ、FY21には$664.1Mが計上されている。 発射試験は2026年開始の予定である。 (2008-060001)

 Ft. GreelyとVandenberg AFBに配備されたGBIの後継となるNGIの最終RfPが4月24日に発簡された。 NGIにはMKV技術やDevSecOps、モジュラ方式などが求められている。  MDAはBMDの多層化にも取り組んでおり、NGIを第1層防御として第2層防御にはAegis BMD (ABMD) とTHAADの組み合わせを考えていて、NGI-ABMD/THAADの実現を2020年代中頃から後半を目標にしている。 (2008-073010)

Lockheed Martin社が Boeing社とチーム

 米MDAが進めている次世代迎撃弾NGIの開発にLockheed Martin社が正式にBoeing社と組んで参戦し、Raytheon-Northrop Grummanチームと対決する意思を表明した。 (2010-081205)

 Boeing社が9月24日、米MDAのNGI開発計画でGA-EMS社及びAerojet Rockerdtne社とチームを組んだと発表した。 Boeing社は8月12日にMDAに対し計画参加を表明している。
 またNorthrop Grumman社も部品供給先として参加する。 Northrop Grumman社はBoeing社と競っているRaytheon社ともチームを組んでいる。
 MDAが7月31日にRfPを発簡したこの計画にはLockheed Martin社も手を上げている。
 MDAはNGIの開発にFY21からの5ヵ年で$4.9Bを計画しており、FY21にはその内の$664.1Mを要求している。 (2010-092405)
【註】Northrop Grumma社はOrbital ATK社を買収してNorthrop Grumman Innovation Systems社としたことで、現在唯一の大型固体燃料ロケットメーカになっている。

Northrop Grumman社が Raytheon社とチーム

 現有のGMDシステムでそれぞれブースタとKVで経験を有するNorthrop Grumman社とRaytheon社が共同でNGIの設計に力を入れようとしている。
 両社は5月に協力態勢を発表して以来今までNGIに余り力を入れてきていなかった。 (2010-091107)

Boeing社が GA-EMS社とチーム

 米MDAが7月31日に発簡したNGI開発の最終RfPを受け、Boeing社が9月25日にGA-EMS社と8月12日にチームを組んだと発表した。
 Northrop Grumman社は5月4日にRaytheon社とチームを組むと発表しており、Lockheed Martin社も8月3日に計画参入を表明しいる。 (2012-110004)

NGI は MOKV ?

 Lockheed Martin社が8月3日、MDAが7月31日に締め切ったGBIに代わるGMDの次世代迎撃弾NGIに提案を行ったことを明らかにした。 Raytheon社とNorthrop Grumman社は既に提案を行っている。
 Lockheed Martin社は過去20年間にわたりMKVの検討を続けており、MDAが数年前に行ったMOKV計画にも3社のうちの1社として参加していた。
 他の2社はRaytheon社とBoeing社で、この2社が次の契約を受注している。 (2009-080304)
【註】MDAのMKV計画とは1発の迎撃弾で多数の目標を迎撃しようという構想で、当初はMiniature Kill Vehicle計画として開始され、後にMultiple KVと呼ばれるようになった。
 計画は独立した複数の小型KVを放出するRaytheon社案と、母弾から複数の子弾を放出し母弾が子弾を制御するLockheed Martin社案の競争となったが、2009年に計画は中止になった。
 その後MDAは2015年に、6発ずつKVを搭載する多目標迎撃弾MOKV計画を開始し開発計画審査 (PPR) を完了していた。

設計担当企業の絞り込み

 米MDAが12月予定されていたNGIの設計担当企業を3社から2社に絞り込んだ契約を2021年1月下旬か2月上旬に延期する。 (2101-120708)

8・1・4・2 欧 州

8・1・4・2・1 米 BMDS の欧州配備 (EPAA)

Aegis 駆逐艦の増強

 米議会上院軍事委員会がFY21 NDAA案の中で海軍と在欧米軍司令部に対し、イランからのBM脅威に対抗するため地中海に配備したAegis艦を増強する可能性についての報告を求めている。 (2007-061610)
【註】米国はオバマ政権時代に定めたBMDSの欧州への段階的配備計画EPAAの第一段階でAegis駆逐艦4隻をスペインのロタ港を基地に配備するとして、2014年2月11日に最初となるDDG 75 Donald Cook がRotaに入港している。

8・1・4・2・2 欧州固有の BMD

 特記すべき記事なし
8・1・4・3 中 国

「4・1・7・1・2 BMD」で記述
8・1・4・4 ロシア

ロシア

 ロシア軍が2019年6月にカザフスタンの試験場でA-235 Nudor ABMによる迎撃試験に成功したと発表しているが、TASS通信は6月4日に、ロシア宇宙航空軍が別の新型迎撃ミサイルの発射試験に成功したと報じている。
 A-235は現在モスクワ周辺に配備されているA-135の後継で、迎撃弾であるPRS-1MはMach 12で飛翔し、Mach 10までの目標を撃墜できる。 (2003-020403)

8・1・4・5 イスラエル

 特記すべき記事なし
8・1・4・6 インド

 特記すべき記事なし
8・1・5 空中発射 BMD システム

 特記すべき記事なし
8・1・6 DEW による BMD

8・1・6・1 米 国

レーザによるBM撃破計画にブレーキ

 レーザの効果について評価を行ってきた米国防総省の技術担当責任者が、MDAが進めようとしている航空機搭載レーザによるBM撃破計画にブレーキをかけている。
 これを受けMDAはFY21予算要求にDEDDを挙げていない。 米議会はFY20に$116MをDEDDに認めていた。 (2003-021904)

航空機搭載レーザ

 米国防総省の研究開発責任者であるグリフィン次官が5月20日に、航空機搭載レーザ装置をBMDに使うことはないとした上で、この種の研究開発に予算を投入しないと述べた。 (2006-052007)

Microwave Technology Testbed

 米MDAが9月24日、超高速ミサイル防衛 (HDWS) でHPMを活用することを検討しており、Raytheon社にMTT計画として15ヶ月の契約を$9.7Mで発注した。 (2010-092508)

8・1・6・2 中 国

 特記すべき記事なし
8・1・6・3 ロシア

Beriev ABL

 ロシアのBeriev社がABL搭載航空機の特許を登録した。 Beriev ABLはIl-76MD-90A重輸送機をABLに改造したものである。
 一方、SAMの開発を行っているAlmaz設計局は40年以上にわたり航空機搭載HELの開発を行っており、Beriev社は1981年に気球の破壊を目的としたDreyf計画(後にLadogaに改称)としてIl-76に炭酸ガスレーザ砲を搭載したA-60 (izdeliya 1A) を試作している。
 A-60は1984年4月に気球の破壊に成功し1991年に2度目の試験にも成功したが、その2年後に資金不足から計画は中止されていた。 (2004-031002)

8・1・6・4 イスラエル

 イスラエル国防省が1月8日、レーザ兵器を開発中であることを公表した。
 システムには地上設置型、車載型、航空機搭載型があり、地上設置型と車載型はC-RAMに用いられる。
 航空機搭載型はHALEまたはMALE UAVに搭載して、雲上で飛来するロケット等を撃墜する。 (2002-010816)
8・1・7 ASAT システム

8・1・7・1 米 国

 特記すべき記事なし
8・1・7・2 中 国

 香港のSouth China Morning Postと読売新聞が7月23日、中国とロシアのキラー衛星が米国と日本の衛星に接近するのが観測されたと報じた。 (2008-072301)
8・1・7・3 ロシア

PL-19 Nudol DA-ASAT

 安全保障世界基金 (SWF) によると、ロシアは今までに少なくとも9回のPL-19 Nudol DA-ASATの発射試験を行っているが、何れもデブリを生じるものではなかった。
 PL-19 Nudolは移動可能なDA-ASATで、低高度軌道衛星の破壊を目指している。 (2005-041501)

 米空軍宇宙軍団によると、ロシアが4月15日にASATの発射試験を実施した。
 米宇宙軍 (USSPACECOM) 司令官レイモンド大将が声明を発表し、ロシアには宇宙軍備の増強を停止する意図がないことは明白で、ロシアによる宇宙の軍備抑制提案と矛盾すると指摘した。
 専門家によると、試験が行われたのは新型ASAT Nudolで、モスクワの北800kmにあるプレセツク宇宙基地から発射された。
 衛星データからは宇宙空間での標的の破壊は行われなかったとみられるという。 (2005-041603)

 ロシアがASATになり得るBMであるNudolの試験を、2020年4月を含めて近年数回実施している。
 CSISのSpace Threat Assessment 2020によると、ロシアは2018年にNudolの7回目の試験を実施している。 (2101-121604)

 米宇宙軍が12月16日、ロシアが衛星攻撃兵器の発射試験を行ったと発表した。 ロシアによる衛星攻撃兵器の試験は今年3回目になる。
 米軍幹部は声明で「ロシアは宇宙空間が戦場にならないよう働き掛けると公言する一方でASATの開発や配備を通じて宇宙の軍事化を続けている」と批判したが、今回の実験が成功したかどうかや、宇宙ごみが発生したかには言及しなかった。 (2101-121702)

Cosmos シリーズキラー衛星

 香港のSouth China Morning Postと読売新聞が7月23日、中国とロシアのキラー衛星が米国と日本の衛星に接近するのが観測されたと報じた。
 これらメディアによると、今年初めにもロシアのCosmos 2542衛星が米国の偵察衛星に繰り返し接近し、米国を緊張させたという。 (2008-072301)

 米宇宙軍が7月23日、ロシアが宇宙配備型の衛星攻撃兵器の実験を行ったと発表した。
 宇宙軍によると、ロシアは15日に地球周回軌道上にある衛星から別のロシアの衛星周辺に向けて物体を発射したが、衛星の破壊は行われなかった。
 ロシアはこの衛星について検査用と主張していたが、2017年にも同様に物体を発射していた。 (2008-072303)

 米宇宙軍が7月23日、ロシアが宇宙空間での好戦的な活動を続けており、15日には軌道上で対衛星兵器Cosmos 2543衛星の実験を実施したと発表した。
 Cosmos 2543はロシアの他の衛星に対して別の飛翔体を発射したが破壊は行わなかったという。
 ロシアはこのように衛星から別の衛星を放出する実験を過去にも行っており、2017年にはCosmos 2019がCosmos 2523を放出し、Cosmos 2523はCosmos 2521を放出している。
 また2019年11月にはCosmos 2542、12月にはCosmos 2543を打ち上げている。 (2008-072304)
【註】

Cosmos 2519: 主衛星で軌道を変更でき、Cosmos 2521を放出する。

Cosmos 2521: Cosmos 2519から放出される衛星でCosmos 2523を放出する。

Cosmos 2523: Cosmos 2521から放出された後に軌道を変更する。

8・1・7・4 インド

 特記すべき記事なし
8・1・8 軍用宇宙船

8・1・8・1 米 国

X-37B OTV

 米宇宙軍が5月17日、X-37B OTV 6度目の打ち上げを行った。 今回X-37Bは空軍研究所 (AFRL) の支援で空軍士官学校が開発した小型衛星の放出も行う。
 2010年4月に初めて打ち上げられたX-37Bは270日のミッションが可能なように設計されているが、最近では最長780日の周回飛行を行っている。 (2007-052701)

8・1・8・2 中 国

 特記すべき記事なし
8・1・8・3 ロシア

 特記すべき記事なし
8・2 戦域防空/TBMD

8・2・1 BMD レーダ

8・2・1・1 HRD レーダ

HDR-H の設置場所変更に伴う遅れ

 ハワイに設置するBMD用レーダHDR-HについてMDAは当初、FY21に着工し1年半後のFY23にIOCになるとしていたが、設置場所の第一候補であるKuaokalaがハワイ原住民の聖地であることから、計画が大幅に遅れている。
 このためMDAはKafuku演習場内の2ヵ所を候補地としたが、このため議会はFY20 NDAAでMDA要求の$275Mを$101Mに減額している。 (2002-011503)

 Mazie Hirono(広野 慶子)米上院議員が3月4日に上院軍事委員会でエスパー国防長官に対して、ハワイに設置されることになっている$1.9Bのレーダについて問いただしたのに対し、長官は計画を中止したのではなく、設置場所について州政府や地元の合意が得られないためと述べた。 (2004-030510)

 米国防総省がハワイに設置するBMDレーダHDR-Hの計画について、海軍が管理しているPMRF内に建設用地が確保できたとして、一旦中止となっていた計画を見直すことにした。 (2012-111005)
【註】HDR-HについてMDAは当初、FY21に着工し1年半後のFY23にIOCになるとしていたが、設置場所の第一候補であるKuaokalaがハワイ原住民の聖地であることから、計画が大幅に遅れていた。
 これについてエスパー国防長官は上院軍事委員会で、計画を中止したのではないと述べていた。

HDR-P の計画の破棄

 米MDAが太平洋地域にBMDレーダを設置する計画の破棄を決め、2月10日に公表されたFY21国防予算案にはハワイ設置のHDR-Hの予算も、太平洋地域の他の場所に設置する計画であったHDR-Pの予算も計上されていない。
 MDA長官のヒル海軍中将によると、太平洋地域の目標分別はハワイに設置したAN/TPY-2と移動可能なSBXレーダ、及びAegis艦で実施可能という。 (2003-021110)

 米国防総省がFY21要求に、$1Bで計画されていたPacific Radarの経費を計上していないが、それに代わる案の検討を完了した。
 Pacific Radarの役割はLRDRレーダに肩代わりさせるとみられる。 (2007-063008)

FY21 NDAA で復活

 VOAが12月25日、米議会がFY21国防予算で、トランプ政権が最近計画中断の意思を明らかにしたハワイに配備する本土防衛レーダ (HDR-H) 予算を復活させたことを明らかにした。 これに伴い、MDAの予算に関連予算$133Mが追加された。
 ハワイ本土防衛レーダ開発は4年前から進められ、2023年の完了を目標にしている  米国のFY21のMDAの要求より$1.3B多い$10.4646Bが配分された。
 トランプ大統領はMDA予算削減を要請したが、議会は逆に前年度より$60M増やした。 (2101-122702)

8・2・1・2 その他の BMD レーダ

Cobra Daneレーダの延命

 米北方軍が先週、HDR-HやPacific Radarの計画遅延から、米空軍とMDAがアラスカに設置したCobra Daneレーダの延命計画を急いでいることを明らかにした。 (2003-022506)

8・2・2 超高速ミサイル防衛

8・2・2・1 米 国

8・2・2・1・1 方式の検討

 MDAは2002年の創設以来$160BをかけてBMDシステムの開発を行ってきたがその焦点は長中距離BMであった。 しかし大気圏内をMach 20の超高速で機動するミサイルの出現からGBIを抜本的に見直す必要に迫られている。
 そこでMDAは迎撃弾方式4案とDEW方式1案の5種類について2020年中頃までに検討を進めており、迎撃弾方式は既存のブースターを元にした射程延伸型のTHAADやSM-3が有力視されている。
 MDAは同時にGlide Breaker秘密計画も進めている。
 更に4社から提案された超高速/弾道追随システムHBTSS試作と試験を計画している。
(2002-122306)

 米MDAが1月29日、超高速飛翔体防衛システムRGPWS開発のRfP素案を発簡した。
 MDAは最初の18ヶ月で一つの方式に絞り込み、次いで非迎撃の飛翔試験を実施する計画である。 (2002-013006)

 ロシアがUR-100N Avangard HGV ICBMを配備したのを受け、米MDAは当面、短距離での迎撃に重点を置こうとしている。
 MDAが今後5年間に$600M以上かけるHDWS計画にはLockheed Martin社がValkyrie、Raytheon社がSM-3 Hawk、更にLockheed Martin社がDART、Boeing社がHypervelocity Interceptorを提案している。
 これと並行してMDAは12月上旬にRGPWS計画を開始し、此方にはNorthrop Grumman社も参加して、DEWやHPMを含めた検討に入っている。 (2003-011302)

 米MDAが1月30日、HGWに対する局地防空HDRGPWS迎撃弾開発のRfP素案を発簡した。 3月19日までの素案提出を求めている。
 HDRGPWS迎撃弾開発計画では最終的に発射試験までを求めているが、迎撃は計画していない。 (2003-020605)

 米DARPAが1月28日に、超高速飛翔体防衛の終末段階迎撃RGPWSのRfP素案である (DRPP) を発簡した。 DRPPの企業説明は2月4~8日に個別に行われ、回答を2月11日までに受領した後、4月上旬に最終RfPを発簡する。
 MDAは2018年9月までにHDWSとしての各社提案を21件に絞り込み、2019年8月下旬と9月上旬に5件に絞り込んでいる。 この5件はRaytheon社提案のDEW 1件と、Lockheed Martin社提案の2件 (Valkyrie, Dart)、Boeing社提案のHYVINT、Raytheon社提案のSM-3 Hawkの迎撃弾方式の4件である。
 これに対してDARPAは1月24日にNorthrop Grumman社にGlide Breakerを$13Mで発注している。 Glide Breakerは超高速飛翔体を大気圏上層部で撃墜する迎撃弾で、構想は2018年7月に公表されていた。 (2005-030008)

 米MDAがFY21に、超高速飛翔体防空として$206.832Mを要求した。 FY20でMDAは$132.612Mを要求したが議会がこれを$390.2Mに増額していた。
 FY21要求にはHGWSとも呼ばれている終末滑空状態の脅威を迎撃するRGPWS計画の継続も含まれている。 RGPWSではLockheed Martin社が提案するValkyrie及びDart、Boeing社のHypervelocity Interceptor、Raytheon社のSM-3 Hawkと、Raytheon社提案のDEWが候補になっている。 (2005-040009)

 米議会下院軍事委員会が海軍に対し、米本土BMDの多層化を目指してMDAがAoAを始める前に、DDG-1000駆逐艦に中距離超高速兵器を搭載する検討を求める法案を提案している。 (2007-062104)

 米MDAが、ロシアと中国が2030年代に保有すると予想されるHGVや超高速CMに対する防衛構想を8月4日に開かれたシンポジウムで公開した。
 HGVや超高速CMに対する防衛構想では2021年に試験が開始される衛星群HBTSSによるセンサ網と、次世代迎撃弾NGI、更に滑空段階を迎撃するRGPWSで成り立っている。
 またSM-3 Block ⅡAでICBMを迎撃する試験FTM-44が12月に計画され、THAADの射程延伸型である開発中のTHAAD-ER試験の評価も計画している。
 RPGWSについてMDAは20件以上の提案を2年間にわたり検討した結果、2019年9月にLockheed Martin社の提案2件、Raytheon社の提案2件、Boeing社の提案1件、合わせて5件を選定した。
 このうちLockheed Martin社のDartはTHAADの洋上発射型で、Hawkは滑空段階での迎撃狙ったSM-3である。 またBoeing社提案のHyvintも洋上発射型である。
 一方DARPAは1月にNorthrop Grumma社とGlide Breakerの検討を$13Mで開始した。 (2010-081701)

8・2・2・1・2 実用システムの計画

DARPA の Glide Breaker 計画

 米DARPAが2月10日、Aerojet Rocketdyne社に超高速飛翔体防衛迎撃弾Glide Breakerの研究開発試験評価を$19.6Mで発注した。
 契約は2021年2月までになっている。 (2005-040010)

艦載迎撃弾計画

 米MDAが超高速兵器の脅威に対抗するためRGPWSによる最初の実用として艦載迎撃弾計画を進めている。
 RGPWSはMk 41 VLSから発射できるように設計されている。 (2004-030405)

SM-6 活用案

 科学技術を担当するグリフィン米国防次官が、米国防総省がSM-6を超高速兵器の迎撃に使用する検討を行っていることを明らかにした。
 SM-6の高運動能力は既に確認されており、FY23に迎撃試験を計画している。 (2004-031206)

RGPWS

 超高速飛翔体迎撃システムRGPWSは、議会が追加予算を認めれば早ければ2020年代中頃の配備が可能になる。
 当初はMk 41 VLS発射式であるが、その後空中発射や陸上発射も計画されている。
 要求性能は秘匿されているが迎撃弾はDARPAがAerojet Rocketdyne社に開発させているGlide Breakerになるとみられる。
 MDAは2年以内の試験を目指し超強力マイクロ波で長距離ミサイルを開発しており、同時に既存システムを元にした大気圏内迎撃システムを追求している。 (2008-062905)

Dart: THAAD改良型(Locheed Martin)

Valkyrie: Patriot改良型(Locheed Martin)

Hawk: SM-3改良型(Raytheon)

 MDAが7月20日、超高速滑空弾 (HGV) 迎撃用の洋上発射迎撃弾であるRGPWSの開発と試作機の発射試験までに関する競争試作を、2020年中に開始すると発表した。 (2008-072208)

 米MDA長官のヒル海軍中将が8月4日にウェブ上で開かれたSpace and Missile Defenseシンポジウムで、中短距離超高速ミサイルに対抗する超高速迎撃弾 (RGPWS) 計画を一旦停止して見直しを行っており、1QFY21(2020年10月上旬)初めまでに結論を出すと述べた。
 ヒル中将は見直しの理由の一つにについて、2020年代中頃までの実用化を狙っているとした。
 RGPWS計画は1月にRfP素案が発簡され、3月19日までにHDRGPWSとしての提案を求めていた。
 MDAはHBTSS完成後を見据えた長期的な検討も行っているという。 (2009-080410)

第二層防衛洋上配備型迎撃システム

 米MDAがロシアや中国が開発している超高速滑空兵器の第二層防衛として終末段階で撃墜する洋上配備型迎撃システムの開発を開始した。
 各社の提案を12月までに審査し、2021年早々に契約を行う。 (2010-092907)
【註】洋上配備型迎撃システムとしてはRaytheon社がSM-3 Hawkを、Lockheed Martin社がTHAADの艦上発射型であるDartを、Boeing社がHyvintを提案している。

Sea-Based Terminal Future Interceptor

 Lockheed Martin社が9月に米MDAに、超高速兵器の終末迎撃用としてPAC-3 MSE弾の艦載型である"Sea-Based Terminal Future Interceptor"を提案している。 (2011-101612)

8・2・2・2 欧 州

TWISTER構想

 EUはPESCO枠組みで、陸上発射型の超高速弾/衛星群対抗システムTWISTER構想を進めている。 (2002-122306)

 欧州議会が2019年11月12日、MBDA社の大気圏上層部での迎撃システムTWISTERの開発をEUの常設軍事協力枠組み (PESCO) として進めることを承認した。
 TWISTERはPESCOが手がけている開発計画47件のうちの1件で、軌道上に置かれた早期捕捉システムと迎撃システムの2個システムで構成される。
 迎撃対象とするのは機動飛翔する中距離ミサイル、超高速または超音速CM、HGVや次世代戦闘機などの従来型目標で、欧州が現在装備している陸上及び艦載システムとの整合が求められている。 (2002-010008)

 欧州のミサイル防衛はPatriotを装備する独希蘭西とSAMP/Tを装備する仏伊に限られているが、HGVや超高速/超音速CMなど、中露からの新たな脅威に対抗する必要から、フランスが主導しフィンランド、イタリア、オランダ、スペインが支援しているTWISTER計画を、EUの常設軍事協力枠組み (PESCO) が11月に支援する13項目の一つにしている。
 同様の計画は米国でPRGWSやHWSが進められている。 (2003-011303)

 MBDA社が4月9日に超高速飛翔体Twisterに関する米国の特許を取得した。 同社は2019年11月にフランスでの特許を取得している。
 Twisterは2030年代までの配備を目指す超高速滑空兵器やCMに対処しようという兵器で、ノーズコーンに覆われた先端部に取り付けたシーカが弾着の数秒間まで、Mach 5以上で飛翔した際に発生する摂氏数百度に耐えられるかがカギになる。 (2007-050402)

 ドイツが10月24日、EU主導の超高速ミサイル防衛システムTWISTER計画に参画することを明らかにした。
 EUは2019年11月にPESCOに取り入れたTWISTER計画は、2030年頃を視野にMach 5以上の飛翔体を高度100km以下で撃墜することを目指すセンサネットワークと迎撃弾を開発する計画である。 (2012-113005)

MBDA社のラムジェット推進迎撃システム

 TWISTER構想とは対照的にMBDA社は吸気式である亜音速または超音速ラムジェット推進の迎撃システムを検討している。 (2002-122306)

Quartet迎撃弾

 王立航空協会が最近開催した超高速コンファレンスでQuartet迎撃弾計画が明らかにされた。
 Quartetは現在及び近未来の推進装置、シーカ、システムの技術を元にした地上発射システムで、ロケットブースタと4発の副迎撃弾でできていて、全長は5~6mになる。
 システムは高度15km以下をMach 6~8で侵入してくる目標を想定しており、目標が数十kmで発射される。
 第一段が6秒間燃焼したところで副迎撃弾を発射し10秒間の燃焼でMach 8に達しアクティブシーカで目標に向かうと、少なくとも1発の副迎撃弾は目標を迎撃できる。
 Quartetの全重量: 1,160kg (2006-040602)

・第一段 :620kg
・副迎撃弾:100kg×4
・弾  殻:140kg
8・2・3 戦域高高度ミサイル防衛

8・2・3・1 米 国

8・2・3・1・1 Home Land BMD

 米MDAがFY21に要求した$1.9Bには、2019年に計画中止となったRKVに代わるNGIに$664.1Mを計上しているが、NGIのRfPは2月末に発簡され2020年末までに契約が行われ、2025~2026年に発射試験、2027~2028年配備可能が計画されているため、MDA長官のヒル海軍中将は現在のGMDが2020年代の中頃から後段に陳腐化するとして、その間の補完を検討している。
 候補となるのはSM-3 Block ⅡAとTHAADで、FY21に発展型THAADの開発と試験に$139Mを要求している。
 SM-3 Block ⅡAは間もなくICBM迎撃試験が行われる計画で、搭載艦を沿岸に配置する案とAegis Ashoreを米本土に配備する案が検討されている。 (2005-040007)

 米国防総省は北朝鮮からのBM脅威に対し新型迎撃弾 (NGI) で対抗しようとしているが、同時にTHAAD homeland defense capabilityとSM-3 Block ⅡAの多層防衛システム2種類の検討を進めている。 (2003-021011)

 米MDAが4月30日、射程を2倍に改良したTHAADを、北朝鮮の脅威に対抗する米本土BMDに採用することを明らかにした。 (2006-050101)

 米議会下院軍事委員会戦略軍小委員会がFY21予算審議で、国防総省が要求しているSM-3 Block ⅡAとTHAAD-ERを用いた米本土BMDの多層化について同意せず、更なる代替案の検討 (AoA) を命じている。 (2007-062205)

8・2・3・1・2 太平洋軍の BMD

ハワイの BMD

 米MDAがハワイ防衛のためのSM-3 Block ⅡAを年内にKauai島のAegis Ashore試験センタに配備することを明らかにした。
 SM-3 Block ⅡAによるICBMの迎撃試験は5月にハワイ沖で駆逐艦から発射して行われる。
 北朝鮮のICBMに対してはアラスカとカリフォルニアのGBIで迎撃するが、第二線となる都市の防衛はSM-3 Block ⅡAで行い、最終段の迎撃はグアムのTHAADが行う。 (2003-022808)

グアムの BMD

 米国防次官が1月28日に下院軍事委員会で、北朝鮮のBM脅威に対応してグアム島に配備されているTHAADに代えてインド太平洋軍にAegis Ashoreを配備したいと述べた。 (2002-012807)

 ルード米国防次官が1月28日に下院軍事委員会で行われる証言を前に、国防総省がインド太平洋司令部に対し、グアムに配備しているTHAADをAegis Ashoreに換装する提案を行っていると述べた。
 ただ、国防総省はこのことについて決定はしていないという。 (2004-021206)

 米インド太平洋軍司令官のデビットソン海軍大将が、議会に呈示した予算要求に計上されなかったなかで最も優先度の高い事業としてグアムのBMD強化を挙げ、HDS-Gとして$1.7Bを示した。 (2005-040703)

 米インド太平洋軍司令官のデービッドソン大将が7月21日、中国のミサイルに対抗してグアムにAegis Ashoreを配備したいとの考えを示した。
 デービッドソン大将はAegis Ashoreの技術は既に出来上がっており、2026年までに配備が可能としたうえで、グアムに配備済みのTHAADよりも幅広く対応できるとの見方を示した。 (2008-072203)

 米インド太平洋軍司令官のダビットソン海軍大将が7月21日、グアムにAegis Ashoreを2026年までに配備するHomeland Defense System Guam計画が最優先事業であると述べた。
 グアムに配備されるAegis AshoreはBaseline 10システムで、既に配備されているTHAADと連携して360゚のBMD戦闘を行うという。
 ダビットソン大将は4月に議会で2021~2026年に$20Bを要求すると述べている。 (2008-072207)
【註】現在建造中の次世代Aegis駆逐艦Arleigh Burke級Flight Ⅲに装備されるAegis Baseline 10では、レーダが現在装備されているSPY-1DではなくGaN素子を採用した強力なSPY-6になる。
 360゚と強調しているのは、THAADのレーダが一面で一方向固定であるのに対しAegis Ashoreでは四面で360゚監視可能であるためである。

 米インド太平洋軍司令官のダビッドソン海軍大将が9月17日にオンラインのフォーラムで、中国からのBMや超高速兵器攻撃に備えたグアムへのAegis Ashoreの配備を強く要求した。
 グアムには既にTHAADが配備されているがTHAADの視野は120゚であるのに対し、Aegis Ashoreは360゚の監視が可能という。 (2010-091809)

8・2・3・1・3 Aegis Ashore

ポーランドに建設中のAegis Ashore

 米国がポーランドに建設中のAegis Ashoreの完成時期が再度延期されそうで、当初計画の2018年から2022年になりそうである。
 前回の完成時期延期は2018年に行われている。
 これに伴い米政府は2月中に建設業者を変更するか否かの決断を行う。 また2021年に$96Mの追加支出を行う。  (2003-021207)

 2018年8月のIOCを計画していたポーランドに建設中のAegis Ashoreは地元建設業者の工事遅延から完成が2020年に延期されたが、天候不順と人手不足などから更に2年延期されることになった。 (2003-021804)

8・2・3・1・4 SM-3 Block ⅡA

 特記すべき記事なし
8・2・3・1・5 THAAD

8番目の THAAD 中隊新編へ

 FY21国防予算を審議している米議会の上下両院が、8番目のTHAAD中隊新編を承認する方向で動いている。
 MDAは10年近く前からTHAAD 9個中隊を要求しているが7個中隊だけが認められ、最後の2個中隊については何年も予算化されていなかった。 (2012-111008)

THAAD-ER
 米MDAが、開発から15年近く経つTHAADの射程と射高を2倍にするTHAAD-ERの開発を進めている。
 Lockheed Martin社は2006年からTHAAD-ERの開発を進めており、Aerojet社は現在14吋であるTHAADブースタの胴径を21吋にする開発を進めている。
 新型ブースタの地上燃焼試験は2022年、THAAD KVを搭載しての飛行試験はFY23に計画されている。
 ブースタの径が21吋になることで現在20吋であるキャニスタの変更が必要になり、発射装置も新型になると見られる。 (2007-051801)
【註】ブースタの胴径を14吋から21吋にすれば胴径は1.5倍になり、ロケットモータの断面積は2.25倍になるはずで、全長が同じでも薬量即ち推力は2倍になり、射程を2倍にするというのはありうる。
 かつてTHAAD-ERはキャニスタと発射機を現在と同じものを使用すると報じられていたが、ミサイルの胴径が1.5倍になり薬量も2倍になればミサイルの重量も当然大幅増になるであろうから、発射装置の作り替えは不可避と思われる。

改良 THAAD に搭載する次世代シーカ

 BAE Systems社が3月17日、Lockheed Martin社からTHAADに搭載する次世代シーカの開発を受注したと発表した。
 発表では受注額や工程は明らかにされていない。
 BAE Systems社は今までもTHAADのシーカを生産しており、今までに500セット以上を納入している。
 米陸軍は引き続きTHAADの配備を進めているが、MDAはTHAADを米本土防衛用にも考えており、FY21予算要求では本土防空用を含むTHAAD開発費に$273.6Mを計上しており、$139Mを新型迎撃弾の開発と試作開始の経費としている。 (2004-031706)

 Lockheed Martin社がTHAADに搭載する新型IRシーカの開発をBAE Systems社に発注した。
 同社は現在のTHAAD用シーカも受注しており、今までに500個以上を納入している。
 今回の発注はMDAのTHAAD Advanced Capability Development計画によるもので、MDAはFY21に$412.6Mを要求している改良型THAADに従来と同じコンフィグレーションや支援システムを要求しているものの、詳細は公表していない。 ただFY21要求にはTHAAD Homeland Defense Tierの分も含まれている。 (2007-050005)

EPAA 第3段階としての Patriot と THAAD の連接

 米MDAが1月から8月の間に米BMDSの欧州配備 (EPAA) 第3段階となるPatriotとTHAADの連接試験を3回実施した。
 GTI-20 Sprint 1は米中央軍と在欧米軍の指揮下に行われた。 (2011-100706)
【註】MDAは2010年2月にBallistic Missile Defense Reviewで、EPAA Phase 3ではSM-3 Block ⅡAと陸上型 SM-3でIRBMまでに対処するとしていた。

8・2・3・2 中 国

「4・1・7・1・2 BMD」で記述
8・2・3・3 ロシア

 特記すべき記事なし
8・2・3・4 イスラエル

BMEW

 米国が訪米したイスラエル国防相の強い要求を受け、SBIRS早期警戒衛星のような秘匿度の高い衛星の取得情報をイスラエルが米国を経由せずに直接入手できるようにする模様である。
 そうなればイスラエルはBMDで速やかな対応ができるようになる。 (2011-102705)

Arrow 2

 特記すべき記事なし

Arrow 3

 特記すべき記事なし

Arrow 4

 イスラエルは、イランが北朝鮮のNodongをイラン型にしたShahab-3の発射試験を始めて行った2年足らず後の2000年にArrow 2 Block 1を導入した。 Arrow 2はBlock 5でイランのKorramshahrへの対抗能力を示した。
 その後配備されたArrow 3の覆域はArrow 2の4倍という。
 IAI社副社長は、同社は常に次世代を見据えていると、Arrow 3が装備化された現在Arrow 4の検討に入っていることを示唆した。
 Arrow 4に要求されている性能機能は明らかにされていないが、イランの次世代MRBMがMIRV弾頭を搭載すると見ている可能性もある。 (2009-072707)

8・2・4 TBMD /中長距離 SAM

8・2・4・1 米 国

PAC-3 CRI 低価格仕様弾

 PAC-3は2019年、低価格仕様弾PAC-3であるPAC-3 CRI弾を用いた航空機標的の迎撃試験で、今まで最大射距離での撃墜に成功している。 (2011-100110)

AN/TPY-2 レーダによる PAC-3 の射撃

 米MDA、陸軍ミサイル宇宙開発室、陸軍SMDCが、2月20日と10月1日にTHAADとPatriotによる迎撃試験FTP-27を実施した。
 10月1日の試験ではTHAADのAN/TPY-2レーダが捕捉した目標情報で発射したPAC-3 MSE弾がBlack Dagger標的の撃墜に成功した。
 2月20日の試験ではPAC-3 MSE弾の発射までは成功したがBlack Dagger標的の撃墜はできなかった。 (2011-100111)

8・2・4・2 欧 州

MEADS(TLVS)

 ドイツ政府が5月6日に、Lockheed Martin社とMBDA社に3回目となるTLVSのRfPを発簡した。 過去の2回は不調に終わっている。
 今回、企業側が同意すれば夏にも提案がなされる。 (2006-050607)

 Lockheed Martin社が5月13日に、ドイツ国防省が同社とMBDA社に対しTLVS (MEADS) の改訂版RfPを発簡したことを明らかにした。
 改訂版RfPでは2020年の夏までに回答を求めており、Q3/2020年に契約が行われるとみられる。 (2006-051302)

 Lockheed Martin社が5月13日、ドイツ軍がLockheed Martn社とMBDA社に地対空防空システムTLVS (MEADS) の改訂版RfPを発簡したことを明らかにした。
 Lockheed Martin社はかつて、契約はQ3/2020と見られるとしていたが、COVID-19パンデミックにより遅れると見られる。
 それでも現政権の終わる2021年9月までには契約が行われると見られている。 (2007-052003)

 ドイツMBDA社とLockheed Martin社の合弁であるTLVS GmbH社がドイツ政府にTLVSの最終版となる改訂提案書を提出した。
 TLVSはドイツ空軍が1989年以来装備しているMIM-104C Patriotに代わる次世代防空システムで、MEADSを元に、TBMを含む各種脅威に対抗できるように更に改良したシステムである。
 主な改良点は電子戦能力の強化、SEAD対抗能力、サイバ攻撃やUAV攻撃への対処能力の付与などである。 (2009-081408)

 MBDA独社とLockheed Martin社の合弁であるTLVS GmbH社がドイツ政府にTLVSの最終案を提出した。
 TLVSはドイツがMIM-104C Patriotの後継として開発を進めているシステムでMEADSを基本としている。
 ミサイルにはPAC-3 MSE弾のほかIRIS-T-SL弾も使用する。
 センサは4種類のパッケージからなり、長距離にはUHF-bandのLRSS、射撃にはX-bandのMFCRを採用しているほか、IRST-T-SL用にHensoldt社製TRML-4D MRS、更に新型のEOセンサも併用する。 (2011-100004)

8・2・4・3 中 国

「4・1・7・1・2 BMD」で記述
8・2・4・4 ロシア

S-350 Vityaz

 ロシア国防省が2月26日、宇宙航空軍 (VKS) の防空部隊が最初のS-350 Vityaz防空システムをレニングラード地区のGatchina演習場に展開したと発表した。 最初のS-350は2019年12月末にVKSに引き渡されていた。
 ロシアは2027年末までにS-350の発射機144基を装備する計画である。 ロシアの2018~2027年装備計画では、発射機12基を装備するS-350大隊12個をVKSに編成するとしている。 (2005-030404)

8・2・4・5 インド

 特記すべき記事なし
8・2・4・6 イスラエル

SPYDER

 チェコ国防省が9月25日、イスラエル政府とRafael社製SPYDER防空システムの購入交渉に入ったことを明らかにした。
 SPYDERはSurface-to-air PYthon and DERbyシステムで、Python 5二波長IIR誘導ミサイルとI-Derbyアクティブレーダ誘導BVRAAMを発射できる。
 SPYDERには2パルスロケットを採用したI-Derby ER搭載型もあるがチェコが採用するのはI-Derby型の様である。 (2012-100705)

8・2・4・7 イラン

 特記すべき記事なし
8・2・4・8 その他

 特記すべき記事なし
8・2・5 艦載 BMD システム

8・2・5・1 SM-3 Block ⅠB

 Raytheon社が3月30日に、米MDAからSM-3 Block ⅠBのFY19~FY23の多年度契約を$2.1Bで受注したと発表した。
 MDAはFY21でSM-3 Block ⅠBに34発分として$401Mを要求している。
 MDA当局者によるとBlock ⅠBを174発調達する計画で、最終納入は2026年になる。 (2005-040810)
8・2・5・2 SM-3 Block ⅡA

量産移行の勧告

 米国防総省のOT&E責任者が2019年秋、2006年以来日米で共同開発してきたSM-3 Blovk ⅡAについて量産移行を勧告しており、2月には実用に供しうるとの結論を下す。 (2002-010815)

量産に移行できない欠陥

 SM-3 Block ⅡAは2018年12月の迎撃試験で、開発段階から量産段階に移行できない欠陥が見つかったがその事実が公開されなかったことが、GAO最近公開した年次報告で明らかになった。 (2008-073009)

ICBM の迎撃成功

 米国防総省でBMDを担当するスーファー次官補代理が4月21日、われわれは北朝鮮がICBMで米本土を攻撃する技術的能力があると見て、日米で共同開発しているSM-3 Block ⅡAで北朝鮮からのICBM攻撃を想定した迎撃試験を2020年夏に行うことを明らかにした。
 国防総省は昨年発表したBMD戦略の中で、ICBM迎撃のためにGMDに加えSM-3 Block ⅡAも投入する方針を打ち出していて、米本土防衛の強化を図る構えである。 (2005-042207)

 米MDAがGMDを補完するHomeland Defense用としてFY20に予定していたSM-3 Block ⅡAによるICBM迎撃試験FTM-44を2020年末に延期した。 (2009-082506)

 米MDAと海軍が11月16日、駆逐艦John Finnが発射したSM-3 Block ⅡAがICBMを模した標的を撃墜する試験FTM-44を行い迎撃に成功した。
 FTM-44はSM-3 Block ⅡAによる6回目の迎撃試験である。
 標的となった模擬ICBMはハワイ時間16日07:50にマーシャル諸島共和国クウェゼリン環礁にあるRonald Reagan試験場からハワイ北東部に向けて発射された。
 駆逐艦John FinnはC2BMCのハワイ防衛シナリオに沿ってC2BMCからの情報を使った遠隔射撃モードで射撃を行った。
 SM-3 Block ⅡAはIRBM迎撃用に開発されたミサイルで、ICBMを迎撃したのは初めてである。 (2012-111608)

 米MDAが11月17日、SM-3 Block ⅡAによるICBMの迎撃試験に成功したと発表した。
 SM-3 Block ⅡAはSRBM~MRBMを迎撃する目的で開発されたもので、ICBMの迎撃試験は初めてである。
 試験はハワイ時間16日夜に行われた。 マーシャル諸島クエゼリン環礁にある米軍施設からICBM模擬標的弾をハワイ沖に向けて発射し、駆逐艦John Finnに搭載したSM-3 Block ⅡAで迎撃した。 (2012-111705)

 米MDAが11月17日、駆逐艦John Finnが発射したSM-3 Block ⅡAがICBMを模した標的の撃墜試験に成功したと発表した。
 標的となった模擬ICBMは東部時間16日01:00直前ににマーシャル諸島共和国クウェゼリン環礁にあるRonald Reagan試験場からハワイ北東部に向けて発射された。
 Aegis Baseline 9を装備した駆逐艦John Finnは他のセンサが捕捉した情報をC2BMC経由で取得し、遠隔射撃モードで射撃を行った。 (2012-111706)

 米MDAが11月17日、SM-3 Block ⅡAで初めてICBMを模した標的の撃墜に成功した。 SM-3 Block ⅡAでのICBM迎撃試験は米議会が2020年中に実施するよう求めていた。
 標的弾はマーシャル群島共和国Kwajalein環礁にあるRonald Reagan BMD試験場からハワイ北東海域に向けて発射された。
 迎撃は駆逐艦John Finnが遠隔射撃モードで行い、John FinnはC2BMCから送られた追随諸元で発射した。 (2101-112501)

ECP の要求

 米議会上院歳出委員会がFY21国防予算で、依然として量産への移行ができていないSM-3 Block ⅡAの改良について、メーカからの改造提案 (ECP) に$106Mの支出を提案した。 (2101-120104)

8・2・5・3 SM-6 Block ⅠB

 米海軍がSM-6のロケットモータを改良して射程延伸と速度の向上を目指したSM-6 Block ⅠBを開発している。
 SM-6 Block Ⅰは2013年11月にIOCとなったが、Block ⅠBではロケットモータの胴径を21吋に大型化し、操舵翼の形状や操舵装置を改良する。 (2002-010007)
8・3 短距離 BMD / C-RAM

8・3・1 SRBMD

David's Sling Weapon System (DSWS)

 イスラエルIMDOが米MDAと共同で、一連のDavid's Sling Weapon System (DSWS) の試験DST-7を成功裏に完了した。 この試験はDSWSの7回目の試験になる。
 DSWDはIron Dome、Arrow 2、Arrow 3と共に構成する多層BMD組織の中で中核となるシステムである。 (2101-121505)

8・3・2 USRBMD / C-RAM

8・3・2・1 イスラエル

改良型 Iron Dome

 イスラエル国防省が1月12日、一連の改良型Iron Domeの試験が成功裏に終了したと発表した。
 国防省は改良の内容を明らかにしていない。 (2002-011302)

 イスラエル国防省が1月12日、改良型Iron Domeの一連の試験を成功裏に完了したと発表した。 改良型はBMだけでなくCMやUAVのような低空飛行体も撃墜できるという。
 国防省によるとIron Domeは2,000発以上を実戦使用したという。 (2003-012209)

8・3・2・2 米 国

8・3・2・2・1 IFPC

 米陸軍は現有Patriotに代わるLTAMDレーダの機種選定に当たり、各社提案を実際に比較する試験"sense-off"を実施したが、陸軍でAMD近代化を担当しているギブソン准将が3月9日に、将来のC-RAM兵器となるIFPC Inc 2でも"shoot-off"を実施することを明らかにした。
 陸軍はIFPC Inc 2に2機のUAV及び3発のRAMに対抗すると共に、亜音速CM、できれば超音速CMに対抗できることを求めている。 (2004-030906)

 米陸軍はC-RAMのほかC-UAVやCMDの機能も持つIFPCの開発について、3月に発簡したRfIの業者説明会の開催がCOVID-19パンデミックの影響を受けているものの、予定通り4月末に提案を締め切り、5月末にはHWILを含む次の段階に移行する業者を選定する。
 その後3Q/FY21に実射を行い4Q/21に機種選定を完了してFY23には配備を開始する。 (2005-041001)

8・3・2・2・2 Iron Dome の取り扱い

陸 軍

 米陸軍は2019年にIron Dome 2個中隊分を暫定IFPC装備として購入することに合意したが、マッカーシー陸軍長官と陸軍参謀総長マッコンビーレ大将が2月19日に、Iron DomeをIFPCとして使用するにあたりRafael社に更なる情報を提供するよう要求していると述べた。 (2004-022605)

 マッカーシー米陸軍長官と調達責任者のイエッテ氏が、Rafael社がIron DomeでCMの撃墜が可能としているが、そのデータの提出を求めても応じないと述べた。
 米国議会は陸軍が気乗りしないIron Dome 2個中隊分を陸軍が進めているIFPCの一部としての購入することを強要したが、陸軍ではIFPCでのミサイル撃墜にHELの採用を望んでいる。
 このため陸軍は2個中隊分のIron Domeは購入するものの、購入を続ける意思は示していない。 (2004-030406)

 米陸軍が2023年にCM対処能力を確保するため、2021年に実施するIFPCInc2の競争実射に参加する企業を募集するが、米陸軍Future Command司令官ムーレイ大将はIron Domeについて、陸軍の防空システムにはなじまないとする見解を述べた。 (2004-030512)

 米陸軍で調達を統括するシビリアンのジェッティ氏が3月5日、現在型のIron DomeがIBCSの要求を満たすかとの質問に対し"No"と答えた。
 しかし、Iron Domeの"shoot-off"は2021年に実施するという。 (2004-030908)

 米陸軍Future Command司令官のムーレイ大将が3月5日に開かれた下院軍事委員会小委員会の公聴会で、Rafael社から購入したIron Dome 2個中隊分について、陸軍の防空システムとは整合しないので、他の利用法を模索していると述べた。 (2005-031106)

 米議会下院軍事委員会のスミス委員長が委員会で、陸軍がイラクでのCM脅威からの防衛にIron Domeを投入しないことに懸念を示した。
 2019年に議会は、陸軍が他の手段を得ない限り、2020年に2個、2023年に更に2個中隊のIron Domeの購入を求めていた。 (2006-050703)
【註】Iron Domeの導入について、独自にIFPCInc2を進めていた陸軍は消極的であったが、議会がFY20国防権限法で導入を強要した。
 しかし陸軍は対CM能力が明らかになっていないことや、進めているIBCS計画に馴染まないことを理由に、未だ消極的である。

 2月にイラクを視察した米議会のブーズマン上院議員がエスパー国防長官に、米陸軍は中央軍の作戦地域にIron Dome中隊を展開することを検討すべきであると述べた。 (2006-052707)

 米陸軍のAMD CFT長のギブソン准将が4月22日、Rafaek社に発注しているIron Dome 2個中隊分はCOVID-19感染拡大下でも、予定通り年内に納入され、2021年には戦力化されると述べた。
 Iron Dome中隊はそれぞれ50~75名で編成される。
 Iron Domeは陸軍の抵抗にもかかわらず議会がFY19 NDAAで購入を決めた経緯があり、議会はIron Dome中隊をイラクに派遣するなど、その運用計画を示すよう国防総省に求めている。 (2007-050604)

 米陸軍AMD Cross-Functional Teamの責任者であるギブソン准将が8月20日、最初のIron Domeは予定通り受領できると述べた。
 陸軍は2020年末までに最初のIron Dome 1個中隊分機材を受領するが、未だにIAMDSに組み込めるか否かの検討を行っている。 (2009-082108)

 米陸軍ミサイル/宇宙副司令官のラッシュ中将とAMD-CFT長のギブソン准将が8月20日に、陸軍が装備するIron Dome 2個中隊をスタンドアローンシステムにすることはないと述べた。 (2011-100006)

 米陸軍が9月30日、Iron Dome 2個中隊のうち最初の1個中隊分が納入されたと発表した。
 米議会は2019年に陸軍に対し、中距離防空システム4個を装備することを命じ、最初の2個は2020年、残りの2個は2023年に調達されることになった。
 これにより最初の中隊は12月、2番目の中隊は2021年2月に納入される。 (2012-100703)

 米陸軍が11月13日、2個Iron Dome中隊がFt. Blissで創設されたと発表した。 10月にイスラエルから搬入された最初の中隊機材は12月に部隊が受領し、2個目の中隊機材は1月に受領する計画である。
 Iron Dome2個中隊の要員はTHAAD 1個中隊の防空砲兵学校の中から抽出され、11月16日までに26名がFt. Blissに追加派遣される。
 部隊は2021年に訓練と試験を重ね、2021年末までにoperationalになる。 (2012-111304)

海兵隊

 米陸軍がサイバ保全とシステムの適合性の問題と、CMD能力が保障されていないことからIron DomeをIAMDに繰り入れることを渋っているが、海兵隊はIron Domeの採用を進めている。
 海兵隊はIron DomeをAN/TPS-80 G/ATORレーダ及びCAC2Sに連接して使用するという。 (2005-031805)

Raytheon社とRafael社が合弁会社設立

 Raytheon社とRafael社が8月3日、Iron Dome生産の合弁会社Raytheon Rafael Area Protection Systems社を米国で設立したと発表した。
 同社はIron DomeシステムのTamir迎撃弾、及びTamirの米国仕様であるSkyHunterを生産する。
 Tamir及びSkyHunterはCM、UAV、RAMに対し有効で、Iron Domeは今までに2,500発以上が実戦使用され、90%以上の撃墜率を記録している。 (2009-080303)

 Raytheon Missiles & Defense (RMD) 社が8月3日、4月にRafael社と米国でのIron DomeのTamir迎撃弾とその米国仕様であるSkyHunterを米国内で生産するための合弁会社を設立したと発表した。 ただし合弁会社は生産のみを担当し、自らが主契約社になることはないという。
 Tamirは胴径160mm、全長3m以下、重量約100kgのアクティブRF誘導のミサイルで、RAM、UAV、CMなどを最大70kmで撃墜する。
 RMD社は米国仕様のIron DomeであるSkyHunterを米陸軍のIBCSに接続するIFPC Inc 2として提案している。 IFPC Inc 2の評価試験は2021年中頃に計画されている。
 また米海兵隊も同様の要求MRICを行っている。 (2010-090002)

8・3・3 DEW SRBMD

 特記すべき記事なし
8・4 巡航ミサイル防空

米空軍の C-UAV 用 HELWS による CMD

 米空軍での戦略立案等の責任者リスティッチ氏が2月27日、空軍が海外展開部隊の防護用のDEWであるHELWSによるC-UAVの検討を進めているが、CMD能力の試験も開始することを明らかにした。 (2004-030513)
ABMS と連接した Cruise Missile Defense Sentry Towers

 Anduril社のCruise Missile Defense Sentry Towersシステムが基地や国境におけるCM捕捉機能として、11ヶ月にわたり米空軍ABMSで機能している。
 システムは光学装置とレーダからなり、同じく同社製のLatticeシステムと連接してCMの発見、識別、追随機能を果たす。
 Latticeシステムはデータ統合とネットワーク管理機能を持ち、Wafer音響探知装置、Triplineレーダ、SentinelレーダなどとABMSの連接を行う。 (2011-101611)

Homeland-Indications and Warning計画に CMD を追加

 FY21国防予算を審議している米議会上院歳出委員会が、Homeland-Indications and Warning計画にBMDに加える米本土とカナダをカバーする新たなCM防空 (CMD) 用として$40Mを追加した。 (2012-112007)

 米議会がFY21NDAAで軍に対し、CM攻撃、とりわけ北極圏からの接近に対する防衛についてFY21に報告するよう求めている。
 またカナダと共に北極圏に配備している早期警戒レーダの更新計画についても報告を求めている。 (2101-122405)

8・5 近距離防空

8・5・1 近距離 SAM

8・5・1・1 米 国

SHORAD の必要性見直し

 1980年代や1990年代には長距離精密打撃兵器が脅威であったため近距離防空は軽視されてきたが、GPS誘導装置の普及で状況は一変した。
 特に2019年9月にサウジがUAVやCMで攻撃されたことからSHORADの必要性が見直されている。 (2010-091806)

IM-SHORAD

 米陸軍が5両試作した暫定配備機動型近距離防空システムIM-SHORADに対して行っている安全性、整備性などを評価する開発試験は6月に完了する。
 開発試験の結果が要求通りであれば運用試験に移行する。
 陸軍は4個大隊分として144両のIM-SHORADを要求している。 (2004-032402)

 米陸軍は開発中のIM-SHORADについて、当初は6月までに試験を完了し、32両を発注する計画であったが、COVID-19パンデミックの影響に加えてソフトウェアの不具合もあって試験が遅れている。
 このため陸軍のAMD CFTは4月に、量産移行の決定は9月末になる見込みだとしていた。 (2006-052805)

 米陸軍が欧州でのロシアの経空脅威に対抗するため開発しているIM-SHORADの試験がWSMRで行われている。 試験は9両試作されたIM-SHORADのうち5両で行われている。
 IM-SHORADはStryker A1 IFVにM299発射機とXM914 Bushmaster 30mm報を搭載し、AGM-114 HellfireやStingerを発射するシステムで、開発で最も大変なのは異種システムの整合であるという。 (2007-052704)

 米陸軍が開発しているIM-SHORADの試験はCOVID-19パンデミックの影響で遅れているが、陸軍はFY-20末までの量産移行決定に変更はないとしている。 (2007-061207)

 米陸軍Army Future Command司令官のミューレイ大将が、IM-SHORADはソフトの不具合とCOVID-19パンデミック影響による試験の遅れから量産開始の決定(Milestone C)が2~3ヶ月遅れると述べた。 ただ装備化時期には影響しないという。
 計画では6月に開発試験を完了し32両のLRIP契約を行う予定であったが、4月に量産開始の決定が9月にずれ込むことが明らかになった。 (2008-070003)

 米陸軍がGDLS社にStryker A1 IFVを元にしたIM-SHORAD 144両を発注した。
 陸軍が6月23日に発表した通知によると、IM-SHORADは2020年8月から2025年8月の間に納入される。
 IM-SHORADの主契約社はGDLS社で、Stryker A1 IFVに搭載したMong社製RIwP旋回砲塔にLeonardo社製システム、AGM-114L Hellfire Longbow 2発を搭載したM299改発射機、スティンガ4発を搭載したRaytheon社製車載発射装置SVULと、Northrop Grumman社製Bushmaster 30mmチェーンガンを搭載している。 (2009-080006)

 米陸軍のIM-SHORAD開発責任者であるラッシュ少将が8月5日、Stryker A1 IFVに搭載する武器のソフト修正完了を待って試作機の試験を開始したことを明らかにした。
 IM-SHORADには30mm砲、Stinger、Longbow Hellfireが搭載される。 (2010-081907)

 米陸軍が9月30日、IM-SHORADの初期生産分をGDLS社に$1.2Bで発注したと発表した。 納期は2025年9月末という。
 ドイツAnsback近郊のShipton Kaserneに司令部を置く陸軍第4防空砲兵連隊第5大隊 (5-4 ADA) がWSMRで試験を行った。 (2012-101405)

 GDLS社が10月1日、米陸軍から$1.2BにのぼるIM-SHORADの契約をFY20の年度末に受注したことを明らかにした。
 納期は2025年9月30日で、初号機のロールオフまで18ヶ月かかると見られるが、32両を装備する最初の大隊は2021年3月に発足する。 大隊は現在試作機を装備している。 2番目の大隊は2022年に発足する。 (2011-100109)

8・5・1・2 欧 州

Skyranger Boxer

 SHORAD機能が不足しているドイツ陸軍用にとRheinmetall社が提案している複合機能のシステムSkyranger Boxerを9月30日に公表した。
 システムは空中炸裂弾 (ABM) を発射する35mm砲のほか高出力レーザ装置 (HEL) も装備し、中国のH16V12 UAVにも対処する能力を有する。
 ドイツ陸軍は暫定的にBoxerに120゚レーダとABMを発射する40mm自動擲弾銃を装備している。 (2012-101409)

Kongsberg MGBADS

 ノルウェー陸軍がKongsberg社にMGBADSを発注した。 納入は2022年後半に開始され、2023年中頃に完納する。
 MGBADSはノルウェー陸軍が装備しているドイツFFG社製装軌APCにDiehl社製IRIS-T-SLS発射機とデンマークWeibel社製MFSR 2100/33 3D捜索追随レーダを搭載したもので、C2にはNASAMS Ⅲの構成品を採用している。 (2002-010005)

9A33-2BOsa (SA-8)

 ベラルーシが9K33 Osa (SA-8) システムの9A33BM2車及び9A33BM車を改良した9A33-2Bを開発した。
 9A33-2Bの移動型発射装置の車体を新型のMAZ-6317車に換装する作業は2017年に開始されていた。 従来の9A33-1BはBAZ-5937車を使用していた。 (2009-080003)

IRIS-T-SLS

 スウェーデン陸軍が6月中旬から下旬にIRIS-T-SLS SAMの評価試験を完了した。
 IRIS-T-SLSはIRIS-T AAMの地上発射型でLOAL方式のミサイルである。
 システムはRB98と呼ばれるIRIS-T弾がBAE Hägglunds社製Bv410連接型路外走行装甲車に搭載され、Giraffe AMB C-bandレーダまたはSaab社製PS-91 HARD 3Dレーダとシステムを構成する。
 同じIRIS-T弾はJAS39 GripenもAAMとして装備している。 (2009-080009)

IRIS-T-SLS Mk Ⅲ

 世界中でSHORADの需要が高まっているのを受けDiehl社が新型のIRIS-T-SLS Mk Ⅲの開発を間もなく完了する。
 IRIS-T-SLS Mk ⅢはIRIS-T IR誘導ミサイル4発と伸縮式マスト搭載レーダ、指揮統制 (C&C) 装置を欧州GDLS社製Eagle Ⅴ 6×6車に搭載するもので、現在レーダにはSaab社製Giraffe 1XとHensoldt社製Spexer軽量低出力X-bandレーダが使用できる。
 C&C装置にはAirvus社製IBMS装置が採用されている。 (2101-120103)

VL MICA NG

 MBDA社が10月19日、MICA NG AAMのSAM型であるVL MICA NGを公表した。
 MICA NGはMICA NTに代わるAAMで2018年11月に開発が開始された。
 MICA NGはMICA RFやMICA IRと同じ全長3.1m、同じ胴径160mm、同じ重量112kgで空対空の射程が30%増大しており、VL MICA NGではSAMとしての射程40kmを目指していた。 (2101-120004)

8・5・1・3 中 国

「4・1・7・1・5 短距離 SAM」で記述
8・5・1・4 ロシア

Gibka-S VSHORAD システム

 ロシア国防省が2019年12月25日、Gibka-S至近距離防空システム (VSHORAD) の国家試験を完了したと発表した。
 Gibka-Sは中隊長用指揮偵察車や防空大隊の装甲車にMANPADを装備するシステムで、MANPADとしては9M336 Verba、9M342 Igla-S、9M39 Iglaなどを発射可能状態に4発と予備弾として4発搭載できる。
 指揮官車には高度10km、距離40kmを覆域とする1L122-1Eコンパクトレーダを装備し、移動間8km、固定間17km以内の6個戦闘車または4個MANPADS中隊を指揮できる。 (2003-010807)

8・5・1・5 その他

 特記すべき記事なし
8・5・2 MANPAD

IM-SHORAD 搭載 MANPADS

 米陸軍が11月11日、Stingerに換えてMSHORADに搭載するMANPADSのRfIを発簡した。
 これに伴いStinger-Reprogrammable MicroprocessorはFY23に廃止される。 (2012-111207)

8・5・3 対空砲

8・5・3・1 対空機関砲

PASARS 6×6 SPAAG(セルビア)

 セルビア国防省が8月9日、VTI社がPASARS 6×6車自走高射機関砲 (SPAAG) にIgla MANPADS 2発を搭載したと発表した。
 PASARSはBofors社製L/70 40mm砲の標準砲塔を車載したもので、セルビア陸軍のM85防空レーダ(ユーゴスラビア製のFAP2026に搭載したEricsson社製Giraffe M75レーダ)と連接する。 (2010-081908)

8・5・3・2 対空砲弾

近接信管付き30mm軽量弾LW30 PROX

 Northrop Grumman社が、米陸軍及び海兵隊向けの近接信管付き30mm軽量弾LW30 PROXの政府による試験を完了した。
 LW30 PROXは既存のOrbital ATK社製sensor fuzed weaponsの技術を利用した30mm×113mm弾で、重量は245gの弾丸とPA520電気雷管とダブルベース装薬を含め350gあり、初速1,105m/sで発射される。 (2004-032903)

8・5・4 対空レーザ兵器

8・5・4・1 米 国

不適切な使用の防止

 戦場でのレーザやマイクロ波兵器の多用から、アフガンやイラクであったような不適切な使用を防止するため、米国防総省における指向性エネルギーの責任者であるカー氏が海軍におけるDEWの専門家ベヘール氏に技術的基準草案の作成を依頼した。 (2009-081107)

車載100~300kWレーザ兵器計画

 米陸軍はFY21予算で超高速ミサイルとその迎撃システム及び迎撃レーザシステムに$1B以上を要求している。 これは前年度に比して高出力レーザで209%増になっている。
 これらでは実験室段階から実用段階への移行が目指され、2022年にはStryker装甲車に50kWレーザを搭載、2024年には100~300kWレーザの車載が計画されている。 (2003-022811)

DE-MSHORAD

 米陸軍が8月4日に開かれたシンポジウムで、50kWと300kWの異なる2種類のレーザ兵器を、予定通り2022年から装備することを明らかにした。
 C-RAMを目的に50kWレーザをStrykerに搭載したシステムで、2022年に4両からなる1個小隊を編成する。
 計画はRaytheon社とNorthrop Grumman社が競争しているが、2021年5月にオクラホマ州Ft. Sillでshoot offが行われ1社が選定される。
 DE-MSHORADの開発は2016年に2kWから開始され、その後5kW、10kWを経て50kWに至った。 (2009-080408)

HEL-IFPC

 米陸軍が8月4日に開かれたシンポジウムで、50kWと300kWの異なる2種類のレーザ兵器を、予定通り2022年から装備することを明らかにした。
 HEL-IFPCは主としてCM対処用で、ミサイル方式のIFPCや空軍が進めているHPM方式と組み合わせて使用されされる。 開発は2012年に10kWから開始され、100kWを経て300kWに達した。
 レーザ本体はLockheed Martin社がDynetics社と共同で担当し、Oshkosh社製10×10 PLS車に搭載する。
 2024年までに1個小隊分として4両のHEL-IFPCを製造する。 (2009-080408)

LWSD 艦載150kW高出力ソリッドステートレーザ兵器

 米太平洋艦隊が5月22日、試験用高出力ソリッドステートレーザ兵器LWSDを搭載した輸送揚陸艦Portlandが5月16日に無人標的機の撃墜に成功したと発表した。
 LWSDは2014年にAFSB Ponceに搭載された40kWを超えた150kWである。 (2006-052205)

ODIN 艦載レーザ兵器

 米海軍が2019年11月にUAVのセンサを無力化できるODINを駆逐艦Deweyに搭載し、実用試験に着手した。
 設置位置は艦橋前のCIWSが搭載されていた場所で、米海軍ではUAVに対処するため、新たな能力を艦艇に付加するものだと説明している。 (2011-102601)

300kW級レーザ兵器

 米国防総省長官官房 (OSD) がGeneral Atomics (GA) 社など3社に、CMが撃墜でき300kW程度のレーザ兵器の開発を発注した。
 一方GA社はBoeing社とチームを組み、自社経費で100kW級レーザの開発を進めている。 このレーザは250kWにまで拡張できるという。
 両社はこのレーザをM-SHORADや車載IFPCに向け開発する一方で、航空機に搭載して機上から正確に照射することを検討している。 (2101-120903)

8・5・4・2 中 国

 特記すべき記事なし
8・5・4・3 ロシア

Peresdet

 RVSN ICBMの5個師団には2019年12月1日にPeresdetレーザシステムが配備されたという。 Peresdetは拠点防空用であるが、限定的ながら対衛星能力も持つという。 (2003-010802)

8・5・4・4 欧 州

Rheinmetall社の艦載レーザ兵器

 ドイツ政府がQ2/2020末にRheinmetall社に対し、艦載レーザ兵器の試作を€10+Mで発注した。 艦載レーザ兵器の開発は米英を含む数ヵ国海軍で進められている。
 試作されるレーザ兵器は出力2kWのファイバレーザを12本束ねて単一ビームに合成して20kWの出力とするもので、将来は100kWを目指す。
 Rheinmetall社は2015年にバルト海で、MLG 27艦載砲に取り付けた10kWのレーザを陸上の標的に指向する試験に成功しており、これを受け2018年に同社は実験室レベルでの20kWレーザ装置を受注していた。 (2012-112608)

8・5・4・5 その他

 特記すべき記事なし
8・6 対 UAV システム

8・6・1 小型 UAV 群対処

8・6・1・1 米国の C-sUAS 体系

米国防総省が絞り込んだ C-sUAS 候補

 2019年11月から米陸軍主導で進められてきた対小型UAV (C-sUAS) 検討結果から、国防総省がC-sUAS候補を約40から以下の8機種に絞り込んだ。 (2007-062607)

(1) 固定翼/準固定翼型システム

  ・陸軍が推奨するFS-LIDS
  ・空軍が推奨するNINJA
  ・海軍が推奨するCORIAN

(2) 車載機動型システム

  ・海兵隊が推奨するL-MADIS

(3) 携帯型システム

  ・特殊作戦軍が推奨するBal Chatri
  ・Drone Buster
  ・Smart Shooter

(4) 指揮統制

  ・陸軍のFAAD-C2(空軍のADSI及び海兵隊のMEDUSA-C2)

陸軍の M-LIDS

 米陸軍が7月20日、小型UAV対処 (C-sUAS) システムであるM-LIDSシステムの開発と8両の生産をDRS社に$190Mで発注したと発表した。
 国防長官は陸軍をC-sUASの主担当としているが、M-LIDSには冗長性に欠陥があり、陸軍は長期的に装備するシステムとは考えていない。 (2009-081409)

海兵隊の L-MADIS

 海兵隊はC-sUASとして独自システムL-MADISを装備しており、2019年にはイラン沿岸でUAVの撃墜を行っている。 (2009-081409)

8・6・1・2 中国の UAV 群対処

 中国CCTVが10月19日、PLA陸軍第73軍団の防空部隊が、演習でUAV群に対抗する光景を報じた。
 この演習で部隊はHQ-17の様なMANPADSやType 90牽引対空砲のほか、突撃銃形状の携帯型RF妨害機2基も登場させた。
 更に鹵獲網を発射する2種類の砲も登場させた。 (2012-110415)
8・6・2 UAV 捕捉システム

8・6・2・1 据え置き/可搬システム

Watchdog 200(デンマーク)

 リトアニア国防省が2年計画でデンマークのMyDefence Communications社とC-UAV装置の購入計画を進めている。  機種選定されているのはWingman-105小型ハンドヘルド/装着式UAV検知器とWatchdog 200ネットワークRFセンサで、2020年9月までに納入される。 (2008-060012)

8・6・2・2 携帯型/装着型システム

RfPatrol MkⅡ(オーストラリア)

 オーストラリアDroneShield社が4月20日、RfPatrol着装型UAV検知器の新型RfPatrol MkⅡを公表した。 RfPatrol MkⅡは旧型に比べサイズが40%、重量が20%減少している。  RfPatrolはUAVとその操作員の通信を傍受し、その機数までも知らせる。
 RfPatrol MkⅡは5月と6月に出荷されることになっており、オーストラリア軍が採用したほか、旧型RfPatrol MkⅠを装備している国も受領する。 (2008-060010)

Wingman-105(デンマーク)

 リトアニア国防省が2年計画でデンマークのMyDefence Communications社とC-UAV装置の購入計画を進めている。  機種選定されているのはWingman-105小型ハンドヘルド/装着式UAV検知器とWatchdog 200ネットワークRFセンサで、2020年9月までに納入される。 (2008-060012)

8・6・3 ハードキルシステム

8・6・3・1 米 国

Boeing社の CLWS

 Boeing社が米海軍の水上戦シンポジウムで1月14日、C-UAV用コンパクトレーザ兵器 (CLWS) を公表した。  Boeing社のCLWSには2kW型と5kW型がある。 (2002-011603)

Northrop Grumman: 30mm近接信管装着弾 LW30 PRROX と M-ACE

 Northrop Grumman社が同社製M230 Bushmaster 30mm砲から発射するC-UAV弾用に軽量30mm近接信管装着弾LW30 PRROXの試験を完了し、2020年内に陸軍と海兵隊の防空部隊への納入が可能になった。
 LW30 PROXは寸法が30×113m、重量は350gで、RF近接信管を装着し初速1,105m/sで発射される。
 同社はまた移動可能索敵撃墜型C-UAVシステムM-ACEの最終評価試験も行っている。
 M-ACEはClass 1/2の小型UAVに対処するシステムで、M230 Bushmaster/LW30 PROXと共に、発見、識別とハード及びソフトキルでC-UAV戦闘を行う。
 有効距離は30mm砲使用で1,000m、電子戦手段で4,000mという。 (2007-050001)

Raytheon社製 C-UAV システム

 Raytheon社が2019年12月の試験成功を受け、地上発射式の新型C-UAVシステムの陸軍への納入をQ2/2020に開始する。
 システムは新型のCoyote Block 2迎撃弾とKuRFS Ku-band全周捕捉レーダ (KuFRS) をJLTV 4×4車に搭載している。
 システムが狙うのはClass 1~3の各種UAVで、Coyote Block 2はその前身であるBlock 1Bより大型の破片効果弾頭を搭載している。  Block 2はタービンエンジンと尾部に取り付けられた4本のブースタで推進する。 (2007-050004)

米空軍基地の C-UAS 兵器

 米空軍がDEWを使用した航空基地のC-UAS兵器に関するRfIを発簡した。 提案の締め切りは11月17日になっている。
 DEWとしてはHELまたはHPMかソフトウェアが対象となる。 (2101-111108)

8・6・3・2 欧 州

 特記すべき記事なし
8・6・3・3 ロシア

 特記すべき記事なし
8・6・3・4 その他

SMASH 2000 小火器用射撃統制装置(イスラエル)

 シリア南部al-Tanfの砂漠で射撃訓練を行っている米兵の画像で、小銃にイスラエル製の照準装置が取り付けられていた。
 M4A1騎銃に取り付けられていたのはSmart Shooter社製SMASH 2000小火器用射撃統制装置で、昼夜間を問わず引き金を引いている間、目標を追随する。
 Smart Shooter社は米軍にM4A1を納めているドイツSig Sauer社と共同で納品しているほか、UAV撃墜用として機関銃や小銃への取り付けも受注している。 (2007-060306)

風船爆弾撃墜用レーザ装置(イスラエル)

 イスラエル警察が8月30日にネゲブ砂漠で、新型レーザ装置の照射試験を行った。
 このシステムは、隣接するガザ地区から飛ばされる風船爆弾を撃ち落とすことが狙いだといわれ、命中率は90%を超えるという。
 イスラエルでは、ガザ地区を実効支配するハマス系のグループが海からの風に乗せて飛ばす大量の風船爆弾で農耕地で被害が相次いでおり、その都度戦車や航空機による報復攻撃を繰り返していた。 (2009-083102)

8・6・4 UAV キラー UAV

Iron Drone(イスラエル)

 IAI社が6月29日、Dronw Guard C-UAVシステムに、迎撃用UAVとしてIron Drone社製Iron Droneを組み入れたと発表した。
 Drone GuardはレーダやEOシステムでUAVの捕捉追随しRF妨害を行うシステムで、100個システム以上が世界に輸出されているという。
 Iron Droneは相手のUAVに接近し体当たりするUAVで、撃墜を確実にするためワイヤを放出する。 (2009-070812)

Skylord mini-UAV

 米国がイスラエルXtend社製Skylord mini-UAVをCUAVに活用する検討を行っている。
 SkylordはXtend社がイスラエルDDR&D及び米国防総省CTTSOと共同で開発したもので、約1年間の研究開発と試験の後に米軍は数十システムを装備する。 (2011-091604)
【註】Skylordfは操作員の操作で敵のUAVに体当たりして撃墜するUAVである。

ロシアが C-UAV 用無人ヘリを開発中

 2020年中頃からのアルメニアとアゼルバイジャンの戦争でアゼルバイジャンがトルコ製の各種UAVを多用したことが同国の勝利に結びついたことから、ロシア国営RIA Novosti通信が12月、ロシアが11月からC-UAV用の無人ヘリの開発を行っていると報じた。
 このUAVは低速で超低空を飛行する小型目標を追随できるという。
(2101-121705)

8・6・5 ソフトキルシステム

8・6・5・1 米 国

THOR システム

 米空軍が小型UAV対処のHPM装備であるTHORを2020年秋に海外に運び実戦下での試験を行う。 またRaytheon社が開発したHELWSとHPM兵器であるPHASERの試験も同時に行う。
 THORはC-130でも輸送できるように20呎の標準舶用コンテナに収納されており、55-lb以下の重量で高度3,000ft以下を250kt以下で飛行するGp.1及びGp.2の小型UAVに対処する。 (2009-080409)

DroneShield社のシステム

 米陸軍がAI技術を生かした小規模企業に資金を提供して開発を行うxTecSearch計画にDroneShield社を選定した。
 同社は2019年7月に拳銃型のUAV jammerである2kg以下のDroneGun MKⅢを発表している。 DroneGun MKⅢは着装式のUAV警報装置RfPatrolと併せて使用できる。 (2004-020007)

Dronebuster C-UAV 装置

 SRC社が8月24日、米空軍からC-UAVシステムを$90Mで受注したと発表した。
 契約では同社製C-UAV装置と関連装備が2028年8月までに納入されることになっている。
 SRC社はC-UAV装置を連接する指揮統制装置MEDUSAを空軍に納入しており、MEDUSAはUAEのAl Dhafra航空基地で第380外征保安大隊が装備している。 (2009-082503)

DrangonSentry

 DroneShield社が初めて米空軍からAI技術を活用したC-UAVシステムを受注した。
 空軍が購入するのはDrangonSentry C-UAVシステムで、ノースダコタ州Grand Forks AFBに配備する。 Grand Forks AFBでは第319保安大隊が装備する。
 DragonSentryシステムはRfONE RF方探装置と、DroneCannonソフトキルECM装置からなる。 (2010-090009)

8・6・5・2 イスラエル

Drone Dome-L

 Rafael社が2月12日、Land Rover車搭載Drone DomeレーザC-UAV装置で4ロータUAVの撃墜に成功した映像を公表した。 (2004-021913)

 Rafael社が2月11日、2019年12月に同社のDrone Done-LレーザU-CAVシステムによるUAV撃墜試験に成功したと発表した。 標的にはPhantom級の4ロータUAVが用いられた。
 Drone Done-Lはmini-及びmicro-UAVに対抗するモジュラ型全天候全周システムで、RPS-42 S-bandレーダ、C-Guard RD携帯型jamming装置、NetSense Widebandセンサなどで構成されている。 (2005-040001)

EnforceAir

 米国防総省が1月、特殊部隊や小部隊が装備するC-UAV装置にイスラエルD-Fend社製のEnforceAirを採用する決定をした。
 EnforceAirはUAVを自動で捕捉、識別、標定し、その指揮統制システムを乗っ取って指定した地点に強制着陸させる。 (2005-040004)

8・6・5・3 欧 州

Chimera人力可搬型 C-UAV装置(フランス)

 フランスのCERBAIR社が小型UAV (sUAV) に対抗するChimera人力可搬型C-UAV装置を開発し、輸出先を求めている。
 ChimeraはMBDA社の支援を受け2018年~2020年に開発された。
 ChimeraはWi-Fiを含む全てのRFを使用するsUAVに有効で、システムは無指向性VHFアンテナを収納した8kgの箱と、指向性アンテナ付きで長さ60cm、リチウムイオン電池で動く重さ5kgの妨害機 (effector) で構成されている。 (2012-110009)

8・6・5・4 ロシア

Rostec社の C-UAV 装置

 ロシアRosoboroexport社の子会社であるRostec社が、四段階からなるソフトキル/ハードキル両用型のC-UAV装置を開発した。
 システムは各社UAVに対応可能で、ソフトキルでは4種類のECMが可能で、200~6,000MHzをカバーし、30kmの有効範囲を持つ。
 第二段階はRostec社の子会社Avtomatika社製Sapsqn-Bekas移動型C-UAV装置が担当する。
 第三段階は12kgのKupol-PROが3~4km有効なJammingをおこない、第四段階では重量3.5kgの514K 4.5mm空気銃で撃墜する。 (2002-010012)

8・6・5・5 オーストラリア

 特記すべき記事なし
8・6・5・6 その他

サウジアラビアの C-UAV システム

 2019年9月14日にCMやUAVの群れにより石油関連施設に打撃を受けたサウジアラビアが他国と共同で、国家レベルのC-UAVシステムを開発している。
 システムはsoft killと各種hard killを組み合わせるものでシステム規模が可変なため、輸出も可能という。 (2002-010812)

シンガポール TRD社の Orion H+ 軽量 jammer C-UAV装置

 シンガポールのTRD社がSingapore Airshow 2020で重量6kg以下のOrion H+軽量jammer C-UAV装置を公開した。
 Orion H+は電源にリチウムポリマ電池を採用して連続使用60分、スタンバイで48時間の持続が可能で、433MHz、915MHz、2.4GHz、5.8GHzを30゚~35゚の範囲でカバーする。 (2003-021108)

PLA 陸軍の軽量型 C-UAV jamming装置

 中国CCTVが9月24日、PLA陸軍第80軍団の兵士が軽量型C-UAV jamming装置を取り扱っている映像を報じた。 (2012-100707)

8・6・6 鹵獲システム

DDP、E-FEND Enforce Air 鹵獲装置

 ELTA North America社が米戦闘テロ技術支援局 (CTTSO) と、機動型対小型UAV (C-sUAV) DDPを3Q/2020年に軍に配備する準備を進めている。
 DDPはX-band対空対地全周捜索レーダ、長距離EO/IR監視装置、指向性jammer、E-FEND Enforce Air鹵獲装置、Smart Shooter撃墜装置などで構成され、HMMWV車や合衆国国土安全保障省の国境警備隊が装備するF350車に搭載される。 (2005-040702)

Drone Guard と Iron Drone社製UAV迎撃装置の組み合わせ

 IAI社がメキシコ企業のIron Drone社と、自社製Drone GuardシステムとIron Drone社製UAV迎撃装置の組み合わせで共同することに合意した。
 Drone GuardはIAI社の子会社であるElta社製のレーダ、SIGINT、EOセンサなどを組み合わせたC-UACシステムで、既に100基を超える販売実績がある。
 Iron Droneは敵の操作員とUAVの通信を切るのではない特許を持つUAVを鹵獲する独特な方式であるため、プログラム飛行をするUAVや、妨害に対し強い通信を使用するUAVも排除できる。 (2007-062906)

8・7 防空 C3I

8・7・1 対空レーダ

8・7・1・1 地対空レーダ

8・7・1・1・1 米 国

前進配備長距離 3D レーダ

 米空軍が2014年にRaytheon社と開発契約を行っている前進配備長距離3Dレーダ (3DELRR) 計画を各種技術的問題などから中止しようとしている。 (2002-010814)

IAMD 用 LTAMDS レーダ

 Raytheon社が3月16日に米陸軍向けに試作しているLTAMDSレーダは、屋内の試験設備における最初のアンテナアレイ試験に成功したことを明らかにした。
 同社によると最初のアンテナアレイは120日以内に組み上がり、レーダの1号機は2021年に陸軍へ納入されると言う。 (2004-031707)

8・7・1・1・2 ロシア

P-12 / 18 VHF レーダ

 米アフリカ軍 (USAFRICOM) が6月18日、リビアのAl-Jufrah航空基地におけるロシアの活動が写った衛星画像を公開した。 その中の1枚にはP-12/18 Spoon Restレーダが写っていた。
 また格納庫の外に置かれたMiG-29 1機も写っていた。
 P-12/18レーダとMiG-29の存在はWorldView-2衛星の6月8日に撮影した画像でも分かっていた。 (2009-070101)
【註】P-12は1956年から使用している車載VHFレーダで捕捉距離は200km、P-18は1970年に装備された同じく車載VHFレーダで捕捉距離は250kmである。

8・7・1・1・3 欧 州

SMART-L

 オランダ空軍が1月16日にSignaal社製SMART-Lレーダを受領した。 SMART-Lは40年以上使用しているMPRに代えてFriesland州Wierに設置される。
 SMART-Lは多ビーム方式の艦載AESAレーダの地上設置型で、捕捉距離は2,000kmという。 (2003-012906)

8・7・1・2 艦対空レーダ

8・7・1・2・1 米 国

DDG 51 Flight ⅡA への AN/SPY-6(V)1 搭載

 Raytheon社がDDG 51 Flight ⅡAのレーダをAN/SPY-6(V)1に換装する準備を完了しており、あとは2月中旬に予想される予算執行を待つばかりであることを明らかにした。 (2002-011403)

AN/SPY-6(V)1 の装備計画

 米海軍が来週、今後何十年にわたる建艦計画を明らかにする。
 DDG 51 Flight Ⅲの一番艦の船台組み立ては11月に開始されたが、搭載されるAN/SPY-6レーダの捕捉距離は従来の3倍になる。 SPY-6はAegisシステムの最新型であるBaseline 10に組み込まれる。
 SPY-6はモジュラー式でFlight Ⅲには一面に37個が組み込まれるが、現有のFlight ⅡAには電力とスペースの制約から24個が組み込めるため、Flight ⅡA 15隻が換装され、一番艦には2024年に装備される。
 また2024年に就役するAmerica級強襲揚陸艦Bougainvilleや、12月にJohn F. Kennedyと命名されたFord級空母の二番艦にも装備される。 (2002-011408)

AN/SPY-6 1号機の納入

 Raytheon社が7月15日、Arleigh Burke級Flight Ⅲ駆逐艦が装備するSPY-6レーダの1号機を納入したことを明らかにした。 同級の一番艦Jack Lucasは2024年就役が計画されている。
 SPY-6の受信感度はSPY-1の約30倍で、米海軍は現有のArleigh Burke級駆逐艦が装備しているSPY-1レーダをSPY-6の縮小型に換装する計画で、計画は2021年に開始される。 (2008-072006)

8・7・1・2・2 中 国

将来水上艦装備捜索レーダ

 中国海軍がType 909A試験艦で将来水上艦に装備する捜索レーダの試験を行っている。
 試供品はバックツーバックの2面回転で、ロシアのFregat MR-710を元にしたType 382と似ている。 (2003-012910)

Type 055 の H/LJG-346B

 中国国営Global TimesがType 055駆逐艦が対衛星能力を持つと報じたのに続いて、CCTVが搭載レーダは低軌道衛星を捕捉する能力を有すると報じた。
 ただCCTVはType 055がHHQ-9B長距離SAMを装備しているかについては明らかにしていない。
 Type 055はType 052Dが装備しているDragonEyeと同形状の四面アンテナを装備しているが、約40%大きくなっている。
 Type 052Dが装備しているH/LJG-346AレーダはC-bandとS-bandの2帯域レーダであるが、それより大型のH/LJG-346Bは、対ステルスに有効な更に低い周波数帯をカバーしている可能性がある。 (2012-102109)

8・7・1・3 特殊レーダ

8・7・1・3・1 OTH レーダ

Konteyner OTH-R(ロシア)

 ロシアがモルドビア共和国のKovylinoに設置したKonteyner OTH-Rが2019年12月1日にフル稼働に入った。
 このレーダは西欧、バルト海、地中海東部、及び中東の一部を監視覆域に入れる。 (2002-010911)

Jindalee OTH-R(オーストラリア)

 オーストラリアからBAE Systems社が受注しているJindalee OTHレーダ3基の改良工事は6月に基本設計の審査を終え、事前設計審査 (PDR) が2021年、詳細設計審査はその1年後に行われ、2028年に計画が完了する。
 今回の改良はJoint Project 2025 Phase 6と呼ばれ、2014年にPhase 5が完了するとすぐに開始された。 Phase 6では送受信アレイと高出力送信機を除く全てが更新される。
 3,000kmの捕捉距離を持つJindalee OTH-Rは電離層反射を利用しているため最小探知距離が1,000kmであるため、オーストラリアは内陸深くに配置している。 (2008-061503)

8・7・1・3・2 バイ/マルチスタティックレーダ

PCL センサシステム(イスラエル)

 IAI傘下のElta社が10月27日、電波を放射しないで航空情報を取得するセンサシステムPCLを公表した。
 システムはFM放送、ディジタルオーディオ放送など別のシステムの発する電波を捕捉することで全周3Dの監視を行う。
 このため周波数帯域はレーダなどより遙かに低い100MHz付近を使用する。 (2101-120001)
【註】この記事の標題では'new passive radar'としているが、このレーダの原理はbi-static/multi-staticまたはセミアクティブレーダと呼ぶのが相応しいであろう。
 同様の原理で携帯電話の地上局からの電波を送信波として航空機からの反射を受信するシステムもかつて報じられている。

8・7・1・3・3 パッシブレーダ

 特記すべき記事なし
8・7・1・3・4 レーザレーダ

 特記すべき記事なし
8・7・2 空中センサ

8・7・2・1 AEW&C 機

8・7・2・1・1 米 国

 特記すべき記事なし
8・7・2・1・2 中 国

「4・1・7・4・5 その他の航空機」で記述
8・7・2・1・3 ロシア

 特記すべき記事なし
8・7・2・1・4 欧 州

NATO E-3 Sentry 後継

 NATOがドイツに置いているE-3 Sentry AEW&C機を2035年まで使用したいとして、11月にBoeing社と$1Bの最終延命計画 (Final Lifetime Extension Program) の契約を行ったが、2035年以降のE-3に代わる複数の構想の一つに、情報をマルチドメインで配付するシステム同士をつなぐシステムAFSCがある。
 計画には米空軍が開発しているABMSの導入も考えられている。 (2003-011306)

英空軍が E-7A Wedgetail の調達数を5機から3機に縮小

 英Times紙が9月22日、英空軍が5機の調達を計画していたE-7A Wedgetailが3機に縮小されると報じた。 (2011-093002)

8・7・2・1・5 その他

 特記すべき記事なし
8・7・2・2 AEW UAV

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8・7・2・3 AEW 係留気球/飛行船

Stratobus(フランス)

 フランスの防衛装備庁であるDGAがThales Alena Space社とThales社に、高高度滞空偵察監視用飛行船の研究を発注した。
 Thales Alena Space社はThales社が67%、Leonard社が33%を出資する合弁会社で2016年4月に全長100mの飛行船Stratobusを発表している。 Stratobusは高度65,600ft (20km) で太陽電池だけを動力源として4基の電動モータで90km/hまでの風に耐えて位置を維持し、500km先の水平線までを監視する。
 電力の一部で水を電気分解して水素と酸素をタンクに貯蔵し、夜間はこれを使って電気を得る。 (2002-011004)
【註】これとほぼ同じHAA構想を米BMDOが進めていたが、計画はFY07で中止されることになった。
 HAAは全長150mで滞空高度は 70,000~80,000ftとされていた。

 Thales社が1月8日、フランスの防衛装備庁であるDGADGAがThales Alena Space社とThales社に、高高度滞空偵察監視用飛行船の研究を発注したと発表した。
 Stratobusは高度65,500ft以上の成層圏を飛行する全長115m、自重7tのHAPS飛行船で、標準で250kgを搭載で、軍民両用でISR及び通信に使用できる。 (2003-012206)

8・7・3 情報処理、指揮統制

8・7・3・1 米 国

8・7・3・1・1 IBCS

 米陸軍が実施準備を行ってきたIBCSの実員検証LUTはCOVID-19の感染拡大から延期され、既にWSMRで訓練に入っていた1個防空大隊も撤収を開始した (2005-040704)

 米陸軍のIAMDの中核をなすIBCSは未だ試験中であるが、完成すると大規模情報システムJADC2を構成する主要な要素になる。
 IBCSは空軍と海兵隊のレーダとも連接し、瞬時に遅延ない情報伝達を行うが、将来は更に広範囲の情報伝達を行うようになる。 (2006-051503)

 米陸軍のIAMD計画責任者であるローテンボーン大佐が、COVID-19の流行で遅れているIBCSのLUTにより生産開始決定が9月から11月にずれ込むことになったことを明らかにした。 (2006-051805)

 米陸軍のAMD CFT長のギブソン准将が4月22日、IBCSやIM-SHORADの試験実施がCOVID-19パンデミックに見舞われているが、予定通り行われるよう努力していると述べた。
 また同時に行われているLTAMDSやIFPCの試験も遅延が懸念されている。 (2007-050605)

 COVID-19パンデミックの影響で7週間延期されていたIBCSの大規模実員試験が、700名以上の兵員と技術者が参加してニューメキシコ州の砂漠で行われている。
 ただ、インターネットを介したPatriot大隊の参加はLRIP入りの決定のMilestone C後になるという。 (2008-070608)

 4年前に悲惨な結果に終わった米陸軍のIBCSの規模を縮小した実員部隊実験であるLUTが8月13日早朝に、CMを模した低空飛行のMQM-178目標の撃墜に成功した。
 Army Future Comman司令官のミューレイ大将は、試験結果は数テラバイトにのぼる試験データの解析には数ヶ月を要するが、現時点で判明している範囲では結果に満足していると述べた。
 試験には以下の10基の装備がWSMRの50km四方以上に展開したほか、7基のネットワーク端末IFCNが使われたが、その内1基は妨害を受けた想定で閉所していた。

・Patriotレーダ 2基

・Sentinelレーダ 2基

・中隊指揮装置 (EOC) 2基

・大隊 EOC 2機

・Patriot発射機 3基(PAC-3弾2発を発射)

 この試験では従来のように2個システムのPatriotがそれぞれ1目標ずつを撃墜したのではなく、2発のPAC-3弾が2目標を撃墜したことにある。 (2009-081310)

 米陸軍がWSMRで実施したIBCSの規模を縮小した実員部隊実験LUTで、同時に襲来するBMとCMを模した2標的をPAC-2弾とPAC-3弾で撃墜したことで、量産移行への準備が整った。
 2016年に行われたLUTが失敗していたため、装備化が4年遅れになった。 陸軍は2009年からIBCSの開発に$2Bを費やした。
 IBCSは陸軍の将来IAMDシステムの頭脳となるだけでなく、IFPCの指揮統制も行うことになる。 (2009-082003)

 米国防総省が7月1~2日に行ったOFEと呼ばれる評価試験で、U-2がF-35の取得したデータを受信することに成功した。
 OFEは陸軍と空軍が参加して行われ、F-35が取得したISR追随データを陸軍のIBCSを模擬した装置に伝送した。 IBCSは航空機から複数の経路を経て送られてくるデータを空中センサ接続キットA-Kitで取り込む。
 試験では実目標に対しPAC-3の模擬射撃を実施した。 (2010-082607)

 米陸軍が2020年夏にWSMRで、IBCSを用いたBMとCMの捕捉追随及び撃墜の試験に成功した。
 防空とミサイル防衛の統合はAMDの高速、高効率、高効果に重要であるが、陸軍はここ数年防御的手段と攻撃的手段の統合も更に重要であるとの認識にある。
 この意味で陸軍のIBCSと海軍のNIFC-CAを空軍のJADC2と結ぶことに意義がある。 (2010-090808)

 米MDAと陸軍が10月1日にWSMRで、THAADのAN/TPY-2レーダが捕捉した目標情報でPAC-3 MSE弾を発射し、Black Dagger標的を撃墜する試験に成功した。 この試験は2月ににも行われたが、その際には目標を迎撃できなかった。
 この試験でTPY-2とPAC-3 MSE弾は陸軍の対空指揮統制システムIBCSに適合することも実証された。
(2011-100110)

 米陸軍が10年かけて開発を続けている、今日の経空脅威を発見追随し撃破する$7.9Bの計画IAMDは11月20日に計画されていたLRIP移行決定(Milestone C)の審査が延期になった。 (2012-112507)

 米国防総省が12月18日にNorthrop Grumman社が開発している陸軍のIAMDシステムのLRIPへの移行を決定するMilestone Cを実施し、調達責任者であるロード国防次官の評定待ち状態にある。
 IAMDは地上部隊が最新の経空脅威の発見、追随、撃破を目指すもので、$7.9Bの経費が見積もられている。 (2101-122309)

8・7・3・1・2 CEC / NIFC-CA

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8・7・3・2 その他

イスラエルの多層防空監視システム

 イスラエルの多層防空監視システムはロシアのステルス戦闘機や、イランの精密誘導ロケット、ガザからの凧に吊した爆弾などに対抗するため、新世代の強力なS-bandレーダと共にIRによる広域監視システムを採用している。
 2019年のパリ航空ショーでRafael社がSky Spotter IR広域監視システムを公表した。 イスラエルの国境に覆域を重複させながら配置されたSky Spotterはそれぞれ20゚×90゚の監視範囲を持つ中波長IRセンサで、30~60kmの捕捉能力を持つ。
 一方、2019年12月にチェコからも受注したIron Domeの主たるセンサでもあるElta社製のELM-2084 MMRは、10年以上前からGaN素子を採用しているAESAAESAレーダである。 (2003-012702)



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