TOP へ戻る    「5. 世界各国(周辺国を除く)」 へ戻る

6. 国 内 情 勢

6・1 防衛体制

6・1・1 制度・組織

6・1・1・1 内部部局等

安保局「経済班」が発足

 国家安全保障局 (NSS) 内に経済安保を扱う経済班が4月1日に正式に発足した。
 経済班は、経済産業省出身の審議官1人と、総務、外務、財務各省、警察庁から1人ずつ計4人の参事官を配置し、約20人体制で始動した。
 サイバーセキュリティー対策や機微に触れる技術の流出防止に当たるほか、新型コロナウイルス感染症が日本経済に与える影響にも対処することになる。 (2005-040101)

経済安全保障情報企画官の新設

 複数の防衛省関係者が11月20日、防衛省が軍事転用可能な先端技術の情報収集から保全までを担う経済安全保障情報企画官を新設する方針を固め、令和3年度予算案に盛り込んだことを明らかにした。
 今後の世界の覇権を握る鍵になるとされる先端技術に関する国内外の動向把握で、他国に後れを取れないと判断した。
 民間企業の先端技術開発を軍事分野に応用する軍民融合を推進する中国を念頭に技術流出を防ぐ狙いもある。 (2012-112005)

国際政策課にインド太平洋に専門部署

 防衛省が7月にも、防衛分野の国際交流を担当する国際政策課を実質的な2課態勢に改編して課長級職員を新たにおいて「開かれたインド太平洋」構想に関する業務に特化した専門部署を新設して、一帯一路構想を掲げる中国に対抗する。
 国際政策課は日米防衛協力課が扱う米国以外の国との防衛交流や防衛当局との調整を担っていて、オーストラリアや英国など準同盟と位置付けられる国や友好国だけでなく、中国やロシアとの窓口でもある。 (2007-062505)

防衛装備庁に FMS 対応の新部署

 防衛装備庁が令和3年度、米国から有償軍事援助 (FMS) 契約で購入する装備品の納入の遅れや前払い金の余剰額回収などに専念する履行管理促進班(仮称)を新設する方針を決めた。
 FMS契約を巡っては、高性能な装備品を購入できる代わりに、価格が米国の言い値となったり、納入が遅れたりしてきたため、会計検査院や野党からたびたび問題だと指摘されていた。
 納入遅れの原因を日本側で特定して対応を求めたところ米側の対応が改善したため、専門部署の設置で取り組みを強化することになった。 (2012-110305)

6・1・1・2 編制定員の見直し

宇宙やサイバなど新領域での防衛強化のため人員配置見直し

 防衛省は令和2年度から宇宙やサイバといった新領域での防衛を強化するため人員配置見直しを近く改正案を閣議決定する。 防衛省は1月20日召集の通常国会に防衛省設置法の改正案を提出し自衛隊の定数を改める。 自衛隊全体として247,000名体制は維持する。
 宇宙領域への対応では空自の府中基地に宇宙作戦隊を20名で新編し、最終的に100名規模に増やして人工衛星を使った宇宙状況監視(SSA)を開始する。
 サイバ領域への対応では陸海空の各部隊混合で構成するサイバー防衛隊を現在の220名から290名へ増員する。
 これらの部隊新編に伴い、自衛隊の定数を定める防衛省設置法6条を改正して、空自を20名、サイバ防衛隊に入る共同の部隊を68名、国内外の軍事情報を扱う情報本部を14名それぞれ増やすが、陸自は82名、海自は27名削減する。 (2002-012001)

BMD 用 Aegis艦建造のため陸海空の枠を超えた配置転換

 政府はBMD Aegis艦2隻を5年程度かけて新造する計画で、その乗組員を確保するため海上自衛隊の隊員を500名増員する。 ただ新規採用だけでは不十分で、陸海空の枠を超えた配置転換も検討する。
 政府はAegis Ashore代替策でBMD用のAegis艦2隻を建造するが、乗員は1隻300名前後のため、2隻で400~600名を充てて専門的な訓練をする必要がある。 (2012-111202)

6・1・1・3 陸上自衛隊

6・1・1・3・1 水陸機動団の増強

3個目の連隊を新設、北海道に駐屯地を新設

 防衛省が北海道に陸自駐屯地を新設し水陸機動団を配置することを検討していることが分かった。
 長崎県佐世保市の相浦駐屯地に次ぐ2ヵ所目の配置で規模は600名程度で令和5年度末までに立ち上げる。
 水陸機動団は、相浦駐屯地(2個連隊)のほか、3個目の連隊を相浦以外に作る計画が決まっていて、沖縄本島へ新設する案もあるが、訓練環境が整い地元の理解も得やすい北海道が有力になっている。
 北海道は即応性は不十分だが、浜大樹訓練場(大樹町)など海に面した訓練場があり、訓練実績も多い。 (2003-020801)

第3連隊の誘致に佐世保市が名乗り

 佐世保市は陸上自衛隊が編成を計画している水陸機動団の第3連隊を、佐世保市内に配備するよう国に要望する方針である。 これは13日開かれた佐世保市議会の特別委員会で、佐世保市が明らかにした。
 水陸機動団は、2個水陸機動連隊が相浦駐屯地に配備され、第3連隊の新たな編成が計画されているが、佐世保市はこの第3連隊を佐世保に配備するよう、7月下旬をめどに国に要望するとしている。 (2008-071403)

 相浦駐屯地に第1、第2水陸機動連隊がある佐世保市は7月21日に九州防衛局に対し、第3水陸機動連隊の誘致を緊急要望したことを、28日の市議会基地対策特別委員会で市が明らかにした。 (2008-072902)

第3連隊の誘致に大村市も名乗り

 陸上自衛隊水陸機動団への新編が計画されている第3水陸機動連隊について、大村市が竹松駐屯地への誘致に乗り出す。
 竹松駐屯地からは令和元年度、第7高射特科群本部と本部管理中隊など200名が宮古島駐屯地に移駐したため大村市は、自衛隊施設などの誘致を目指していた。
 同機動団3番目の連隊創設は中期防衛力整備計画に明記されているが、防衛省は新編時期は検討中としている。
(2008-072902)

 大村市の園田市長らが8月31日に県庁を訪れ、新編予定の陸上自衛隊水陸機動団1個連隊の陸自竹松駐屯地への誘致など15項目を中村法道知事に要望した。
 園田市長は部隊改編で竹松駐屯地の隊員数が減ったことに触れ、既存の施設活用で経費の効率化を図れることや、現在も同駐屯地で水陸機動団の訓練が実施されていることを挙げ「1個連隊を配備するには最適地」と強調した。 (2010-090104)

第3連隊の誘致に五島市も名乗り

 五島市の野口市長が9月23日に開会した定例市議会の市政報告で、陸上自衛隊水陸機動団に新編予定の第3水陸機動連隊について、市内への誘致に取り組むと表明したことを明らかにした。
 五島市は陸上自衛隊が配置されていない空白地域であるため、野口市長は8月上旬に市内への同連隊配置を求める要望書を防衛大臣らに提出したという。
 同連隊を巡り、県内では佐世保市と大村市も誘致を目指している。 (2010-092402)

6・1・1・3・2 Ospreyを装備した輸送航空隊を新編

 陸上自衛隊が3月26日、Ospreyを装備した輸送航空隊を木更津駐屯地に、同日付で新編したと発表した。
 Ospreyは相浦駐屯地に所在する水陸機動団を前線近くに輸送する役割を担うもので、部隊は発足したが機体は6月末から7月に配備され将来は17機態勢になる。 (2004-032605)

 南西諸島の防衛強化のため新たに設置された陸上自衛隊の部隊について、それぞれの駐屯地で式典が行われ、木更津駐屯地では新しく設置されたOspreyを装備する輸送航空隊に隊旗が授与された。
 Ospreyは離島奪還を主な任務とする水陸機動団を輸送する役割を担うことから、島嶼部への展開能力を向上させるとしている。 (2005-040502)

 陸上自衛隊木更津駐屯地に配備するOsprey 2機を載せた輸送船が5月8日に米軍岩国基地に到着した。
 防衛省によると6月下旬以降に木更津に配備される予定だが、岩国で試験飛行や整備がCOVID-19感染拡大の影響で遅れる可能性がある。 木更津では4月に水陸機動団の搬送などを担う輸送航空隊が発足している。
 Ospreyは17機装備する計画で、木更津へは5年間を目処に配備し、最終的には佐賀空港を拠点とする方針で、地元漁協との調整が続いている。 (2006-050805)

 陸上自衛隊がOspreyを木更津駐屯地に暫定配備した。 Ospreyは米国から船で米軍岩国基地に陸揚げされ、7月10日に米側の操縦で木更津に到着し、陸自に引き渡された。
 本来は相浦駐屯地に近い佐賀空港に配備し、空港の隣に駐屯地を作る計画だったが、地権者が多くいる佐賀の地元漁協と防衛省との調整が難航している。
 佐賀空港から水陸機動団が所在する相浦駐屯地までは60kmですぐに到着できるのに対し、木更津駐屯地からは1,000kmで2時間かかり、一刻を争う有事への即応性の低さは否めない。 (2008-071007)

6・1・1・3・3 電子戦部隊を健軍駐屯地に創設

 防衛省が2021年春に陸上自衛隊で80名規模の電子戦専門部隊を健軍駐屯地に創設し、相浦駐屯地の水陸機動団と連携する。
 陸自の電子戦部隊として冷戦期に発足した第1電子隊が東千歳駐屯地にあるが、尖閣諸島を巡る中国との摩擦など、南西諸島方面での離島防衛の必要性が高まっているのを踏まえ、九州に新たな専門部隊を常駐させる。
 また新たな部隊の創設に先立ち、7月から陸自通信学校で電磁波の専門教育を始め、従来の電子戦よりカバーする周波数の範囲の広い電磁波戦と呼ぶ最新の電子戦について学ぶカリキュラムを新たに導入すると共に、諸外国の最新の電子戦能力の状況も学習する。
 通信学校は3月に、収集できる電磁波の周波数の範囲が広く、移動しながら敵の通信を妨害できる車載型のネットワーク電子戦システムNEWSを導入した。
 NEWS新設部隊でも導入する方針で、新カリキュラムでNEWSの操作に習熟できるようにする。 (2007-062901)

 陸上自衛隊が7月2日、2021年の3月~4月に西部方面隊隷下部隊として80名規模の電子隊を健軍駐屯地で編成すると発表した。
 同隊は電子戦装置NEWSを装備し、敵海空の通信を探知識別すると共に、レーダやミサイルシーカの電子情報を捕捉してjammingの実施に活用する。 (2009-071507)

6・1・1・3・4 陸自が海、空自任務の一部を負担

 政府が、陸海空自衛隊に共通する任務を陸自に一元化し、相互協力を拡充させる方針を決めた。
 陸自に移管する任務は、施設整備、通信、警備などを想定しており、陸自部隊が海空自の基地の地上任務も担う。 また、攻撃を受け損傷した施設の復旧作業を陸自が担うことも検討している。
 Aegis Ashoreの配備断念を受け、海自はAegis艦の増隻を検討しているが、人手不足がより深刻となるため、陸自の協力で地上任務の要員を浮かせ艦船での任務に充てる。 (2009-080501)
6・1・1・4 海上自衛隊

 特記すべき記事なし
6・1・1・5 航空自衛隊

6・1・1・5・1 航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に改称

 政府が、航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改称する方向で調整に入った。
 中露が宇宙空間の軍事利用を拡大させている中、自衛隊としても人工衛星の防護など宇宙空間での防衛力強化方針を明確にする必要があると判断した。
 自衛隊法などの改正を経て、令和5年度までの実現を目指す。 (2002-010502)

6・1・1・5・2 宇宙防衛部隊の新編

 安倍首相が1月20日に国会の施政方針演説で、ミサイル等の脅威から護るため宇宙防衛部隊を新編すると述べた。  航空自衛隊に新編される宇宙領域専門部隊は府中基地に置かれ、2022年の本格運用開始を目指して20名で発足する。 (2002-012102)

 防衛省が1月23日、防衛省設置法改正案を自民党国防部会などに提示し了承された。
 改正案には宇宙ごみを監視する宇宙作戦隊を空自府中基地に新設すると共に、陸海空共同のサイバ部隊を70名増員するなどの内容が盛り込まれている。 (2002-012301)

 安倍首相が1月20日、今春航空自衛隊に宇宙作戦隊が編成されると述べた。 隊は府中基地に20名で発足する。
 政府が2019年12月に決定した令和2年度予算案では宇宙関連経費として506億円が計上されており、55億円で日本の衛星に対する電波妨害を探知する装置、33億円で宇宙ゴミを監視する光学装置、134億円で宇宙状況監視システムを調達する計画である。 (2003-012905)

 航空自衛隊に宇宙作戦隊新設などの組織改編を盛り込んだ改正防衛省設置法が、4月17日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決成立した。 (2005-041702)

 自衛隊初の宇宙防衛部隊宇宙作戦隊が5月18日、航空自衛隊内に20名人態勢で発足した。
 宇宙空間の軍事的脅威の高まりを受け政府は自国の人工衛星を守るため、5年度の宇宙監視の本格化に向け、山口県山陽小野田市にレーダ施設を建設し、宇宙情報を集約するシステムを空自府中基地に整備して100名態勢に拡充する。 更に8年度までに宇宙監視衛星を打ち上げる計画もある。
 また米宇宙軍や宇宙航空研究開発機構 (JAXA) などには作戦隊員を派遣して連携や情報共有の仕組みを構築しながら、宇宙の知見を学ばせ人材を育成する。 (2006-051802)

6・1・1・5・3 F-35 の配備拡大

 防衛省は令和3年度予算の概算要求で、新たに4機のF-35Aの取得費402億円を計上した。 7年度に取得する。
 F-35は三沢基地に配備されているが、4機は別基地への配備を検討する。
 現在17機を配備している三沢基地のF-35Aは来春には20機になり、運用試験を終え次第、緊急発進などの任務が付与される。
 同省はF-35を最終的に147機調達する方針で、将来は千歳基地、小松基地などの近代化改修できないF-15と換装される見込み。
 概算要求では、2年度に続いてF-35B型の調達も要求しており、6年度にも配備される。 空母化の改修を受けるいずも型護衛艦の艦載機としても運用されるため、配備先はかがの拠点である呉基地に近い新田原基地などが有力視される。 (2011-100501)
6・1・1・5・4 Global Hawk 部隊の新編

 防衛省が1月23日、航空自衛隊の三沢基地へのGlobal Hawk配備に向け、70名の部隊を新編する防衛省設置法改正案を自民党国防部会などに提示し了承された。 (2002-012301)

 4月17日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決成立した改正防衛省設置法には、サイバー防衛隊を70名増員し290名体制とすることや、令和2年度に運用を始めるGlobal Hawkの三沢基地配備に向けた70名の準備部隊新編も盛り込まれた。 (2005-041702)

6・1・1・6 警 察

6・1・1・6・1 外事部門の強化

 警視庁が北朝鮮や中国を担当する部署を拡充する方針で、関係者によると警視庁は、外国によるスパイ活動などを捜査する外事部門を再編し、北朝鮮関連の事案に専従する課を新設するという。
 対中国の体制も強化される見通しで、2021年4月の新体制発足を目指して東京都など関係機関と協議を進めている。 (2011-101002)
6・1・1・6・2 離島警備警察隊の新編

「6・4・9・2 離島警備警察隊の新編」で記述
6・1・2 周辺脅威の増大

6・1・2・1 対中危機意識の増大

防衛白書での台中認識

 政府が7月14日午前の閣議で令和2年版防衛白書を了承した。
 白書は日本周辺海空域での中国の活動活発化について「不測の事態を招きかねない危険な行為を伴い、強く懸念される」と表明し、北朝鮮の新型SRBM開発に対し「BMD網の突破を企図している」と危機感を示した。
 Aegis Ashoreの配備停止(のちに配備断念)も盛り込み、今後のBMDについて国家安全保障会議 (NSC) の議論を踏まえて検討すると明記した。 (2008-071402)

6・1・2・2 沖ノ鳥島周辺 EEZ を否定した行動

 菅官房長官が7月20日、中国の海洋調査船が日本最南端の沖ノ鳥島周辺の排他的経済水域 (EEZ) 内で、9~18日の10日間にわたり無断活動を行ったことを明らかにした。
 長官は、沖ノ鳥島は国連海洋法条約上の島だと考えており、周辺海域にEEZなどを設定していると述べた。 (2008-072003)

 沖ノ鳥島沖の排他的経済水域 (EEZ) 内で、中国の海洋調査船「大洋号」が調査活動したことを受け、自民党の領土に関する特別委員会などの合同会議が7月21日開かれ、拿捕など取り締まりが可能になる法整備を検討する方針で一致した。
 更に周辺での日本側の活動を増やすよう政府に求めた。 (2008-072107)

6・1・3 敵地攻撃能力の保有

6・1・3・1 敵地攻撃能力を有する装備

 防衛省がStand offミサイルと位置付ける射程500kmのノルウェー製対地対艦ミサイルJSMは開発が完了し、2022年3月中旬までに納入される。
 中期防衛力整備計画に基づくもので、F-35Aに搭載される。
 F-15Jのうち近代化される機体はLockfeed Martin社製の射程900kmのLRASM(AGM-158C)やJASSM(AGM-158B JASSM-ER)の搭載が検討されている。 (2010-090703)

AGM-158B JASSM-ER

 防衛省当局者が1月27日にJane'sに対し、AGM-158B JASSM-ERとAGM-158C LRASMをF-15Jに装備すると述べた。
 JASSM-ERとLRASMは何れも926kmの射程を有する。 (2002-013104)

 防衛省当局者が1月27日に、AGM-158B JASSM-ERとAGM-158C LRASMを導入する計画であることを認めた。 F-15Jに搭載するという。
 一方F-35A搭載用として2019年11月に射程500kmのJSMを45億円で発注している。 防衛省は令和元年度に79億円を確保していた。
 更に令和2年度にASM-3改の開発として103億円を要求している。 (2004-021205)

AGM-158C LRASM

 特記すべき記事なし

Strike Package

 複数の政府関係者が8月9日、政府が保有を目指す敵基地攻撃能力について、島嶼防衛用に計画している長射程ミサイルなどで敵ミサイルや施設を攻撃する案を軸に検討を進めていることを明らかにした。
 河野防衛相は敵基地攻撃能力について、

① 移動式ミサイル発射装置や地下基地の位置特定

② 敵レーダや防空システム無力化による航空優勢確保

③ ミサイル発射基地の破壊

④ 攻撃効果の評価

などで構成されると説明していた。 これらは全体でStrike Packageと呼ばれる。
 敵基地攻撃能力として、AGM-158B/C JASSM、超高速誘導弾などののほか、Tomahawkを米国から購入する案もある。
 JASSMなどは平成30年に改定した「防衛計画の大綱」や「中期防衛力整備計画」で調達研究するとしていた。 (2009-080905)

射程が2,000kmの地対艦誘導弾の開発

 複数の政府関係者が12月28日、開発を進める新型対艦誘導弾の射程が2,000kmに及ぶことを明らかにした。 射程2,000kmとなると日本からの地上発射でも中国や北朝鮮が射程に入る。
 これとは別に、陸上自衛隊が装備する12式地対艦誘導弾の射程を将来1,500kmに延伸する案が浮上していることも判明した。
(2101-122901)

6・1・3・2 Aegis Ashore計画停止の代案として敵基地攻撃能力保有論

 自民党が6月16日にAegis Ashore配備計画の停止をめぐり国防部会などの合同会議を開いた。
 Aegis Ashore導入を決めた当時の防衛相だった小野寺党安全保障調査会長が「しっかり説明がなければ到底承服できない」と述べるなど、激しい異論や怒りが噴出し、出席者からは計画停止で日本のBMD網に隙が生まれるとの懸念が多く示された。
 小野寺氏や稲田朋美元防衛相らは、敵基地攻撃能力保有などによる防衛能力の抜本的な強化を主張した。 (2007-061605)

 安倍首相が6月18日、通常国会の閉幕を受け首相官邸で記者会見し、Aegis Ashoreの導入計画停止を受け、今夏に国家安全保障会議 (NSC) で安保戦略を練り直す方針を表明した。
 またミサイル攻撃を未然に防ぐため、発射前に相手の基地を攻撃する敵基地攻撃能力の保有も検討対象とする考えを示した。
 敵基地攻撃能力について、政府は憲法上許容されるとしつつも、保有を否定してきた。 (2007-061808)

 自民党の稲田元防衛相ら女性議員らでつくるグループが7月29日に河野防衛相と防衛省で会談し、打撃力を持つこと自体は専守防衛に反せず、日本自身の判断で行使できる抑止力を持つべきだとする提言書を手渡した。
 会談後、稲田氏は記者団に「敵基地攻撃能力を検討すべきだとする提言か」と問われ「そうだ」と答えた。 (2008-072903)

 自民党のBMDに関する検討チーム(座長・小野寺元防衛相)が30日、党本部で開いた会合で政府への提言案を了承した。 週明けにも政府に申し入れる。
 相手領域内でもBM等を阻止する能力の保有を求めつつ、検討は憲法の範囲内で行うと、敵基地反撃能力の保有を求めていた2017年の提言が先制攻撃に当たるのではないかとの懸念が出されていたことから、今回はトーンダウンした。 また一定の打撃力の必要性を訴えつつ、「敵基地攻撃能力」との表現や具体的な装備名には言及しなかった。
 提言は、超高速兵器や小型UAVの群攻撃などへの対処の必要から、従来の地上レーダやSAMの強化に加え、新たに小型人工衛星群や長期滞空UAVによる探知能力の向上を促した。
 更に、情報収集や警戒監視、偵察の能力を強化する観点から、マルチドメインを重視する姿勢も強調し、米国と連携してIAMD能力の向上に努めるよう求めた。 (2008-073005)

 自民党はAegis Ashore導入断念を受け、安倍首相が6月に敵基地攻撃能力の保有について検討する方針を表明したのを受け議論していたが、4日の政調審議会で、他国領域内への攻撃力を意味する「ミサイル阻止力」の保有を求める提言案を了承し、同日午後に政府に提出する。
 先制攻撃との印象を与えかねないとして、過去の提言で用いた「敵基地反撃能力」の表現は避けた。 (2009-080402)

6・1・3・3 大綱への明記見送り

 複数の政権幹部が11月5日、政府与党が敵基地攻撃能力の保有について、年末に修正を見込む防衛計画の大綱への明記を見送る方針を固めたことを明らかにした。
 慎重姿勢を崩さない公明党に配慮し、防衛力の具体的な整備や運用を定める大綱に盛り込むのは拙速と判断した。 (2012-110503)

 複数の政府与党関係者が、安倍政権が検討課題としたミサイル阻止に関する新たな方針をめぐり、政府が12月中旬にも菅政権としての方針を閣議決定することを明らかにした。
 敵のミサイル基地などを直接たたく敵基地攻撃能力の保有は明記せず、抑止力の強化との表現で引き続き検討する方針を示すが検討の期限は設けないという。 (2101-121002)

 政府がAegis Ashore代替としてAegis艦2隻の新造を含むBMDに関する文書を決定した12月18日の閣議で、12式地対艦誘導弾の射程を延ばしてStand Off Missileとして開発する方針も盛り込んだ。
 敵基地攻撃能力保有は明記せず、抑止力の強化を引き続き検討するとした。 (2101-121801)

 政府が12月18日、新たなBMDシステムの整備に関する閣議決定で、長射程CMであるStand Off Missileを国内開発することを正式表明した。
 安倍前首相が年内のとりまとめを求めていた敵基地攻撃能力を含むミサイル阻止の新たな方針の決定は来年以降に先送りした。
 長射程CMは、12式地対艦誘導弾を基に5年かけて開発するもので、敵ミサイルの射程圏外から攻撃できるようにするため、現在の百数十㌔の射程を1,000kmまで伸ばし、更に艦船や戦闘機にも搭載できるようにする。 (2101-121802)

6・1・4 日米防衛協力

6・1・4・1 日米防衛協議

 河野防衛大臣が、8月29日にグアムでエスパー米国防長官と会談する方向で調整していることが分かった。
 会談では、尖閣諸島周辺や南シナ海などで活発に活動する中国の動向や、北朝鮮などの地域情勢の他、Aegis Ashoreの配備断念を受けたBMDのあり方などが話し合われるものとみられる。 (2009-081907)

 河野防衛相が8月29日、訪問先のグアムでエスパー米国防長官と会談し、中国の海洋進出が強まる南シナ海情勢に強い懸念を共有した。 またAegis Ashore計画断念を巡り、新たなBMD体制の構築に向けて連携することも確認した。  更に宇宙、サイバなど新領域での連携強化も確認した。 (2009-082906)

6・1・4・2 米国を核心とした多国間協力

6・1・4・2・1 日米豪防衛協力

 河野防衛相が7月8日、エスパー米国防長官、レイノルズ豪国防相とTV電話で会談したのち共同声明を発表し、東・南シナ海での中国の軍事活動活発化を踏まえ「威圧的で一方的な行動に対する強い反対」を表明し、3ヵ国が部隊の相互運用性を高め、連携を強化していくことで一致した。
 共同声明では、武装漁民などを含む「海上民兵」の危険を3ヵ国として初めて取り上げた。
 東シナ海情勢に関しても、尖閣諸島沖での中国海警局による執拗な日本領海侵入や日本漁船への威圧行為を念頭に、3ヵ国が連携して緊張を高める一方的行動を抑止することを確認した。 (2008-070801)
6・1・4・2・2 日米豪印防衛協力

「6・1・5・1 日米豪印の連携」で記述
6・1・4・2・3 Five Eyes への参加

「6・1・5・2 Five Eyea から Six Eyes に」で記述
6・1・4・3 米軍等の武器防護

 防衛省が2月14日、自衛隊が安全保障関連法に基づき日本周辺で米軍などを守る武器等防護について、2019年に14件実施したと発表した。
 防護対象の内訳は米艦艇が5件、米航空機が9件の計14件で、そのうち10件を自衛隊と米軍との共同訓練中の防護が占め、残る4件は北朝鮮のミサイル発射などの警戒監視情報収集活動中の防護だった。
 武器等防護は、2016年施行の安保関連法で可能になった任務で、初めて発表した2017年は2件、2018年は16件だった。 (2003-021402)
6・1・4・4 日米共同演習

6・1・4・4・1 Keen Sword 21 日米共同演習

臥蛇島で離島奪還を想定した演習

 統合幕僚監部が9月25日、10月26日から11月5日にかけて行われる日米共同演習Keen Sword 21の一環として、鹿児島県十島村の無人島である臥蛇島で離島の奪還を想定した共同訓練を行うと発表した。 種子島でも自衛隊の訓練が行われるという。
 Keen Sword 21演習全体では日本側から37,000名と艦艇20隻、航空機170機が、米側からは太平洋軍と在日米軍など9,000名が参加するが、臥蛇島での離島の奪還訓練には自衛隊の水陸機動団と護衛艦ひゅうがなど1,500名と、米海兵隊200名やOspreyが参加する。 (2010-092505)

 米インド太平洋軍司令部が10月7日、10月26日に沖縄を含む日本全域で開始される日米共同演習Keen Swordで、沖縄駐留第3海兵軍と新編された陸上自衛隊水陸機動団が合同で上陸演習を実施すると発表した。
 Keen Swordには第7艦隊、陸軍第94AMD軍など、米陸海空軍及び海兵隊9,000名と自衛隊37,000名が参加する演習で、カナダ海軍からもフリゲート艦1隻が参加する。 (2011-100805)

新田原基地に米空軍が飛来

 在日米軍再編に伴う日米共同訓練が10月26日に新田原基地で始まり、自衛隊と米軍のF-15が08:40ごろから模擬戦闘訓練を実施するため四国沖へ向かって次々と飛び立った。
 訓練は11月5日までで、米軍嘉手納基地の約200名が参加している。 (2011-102602)

護衛艦かがの甲板に米軍のOspreyが着艦

 日米共同演習Keen Swordが10月26日に日本各地で始まった。 四国沖では護衛艦かがの甲板に初めて米軍のOspreyが着艦する様子が報道陣に公開された。 この演習は2年ごとに実施され、今回は日米合わせて46,000名と、自衛隊からは艦艇20隻、航空機170機が参加して11月5日まで続く。
 陸海空の従来型の作戦に加え、軍事の新分野についても訓練する計画で、サイバ分野では自衛隊のシステムがサイバ攻撃を受けた想定での演習が、また初めての実施となる宇宙状況監視の訓練には、5月に発足した自衛隊初の専門部隊である宇宙作戦隊が参加し、日米で宇宙空間に関するデータのスムーズな共有を図る。 (2011-102605)

6・1・4・4・2 陸上演習

米海兵隊との共同訓練

 陸上自衛隊と米海兵隊による日米共同訓練が、12月7日から関山演習場と相馬原演習場で始まり、米側の指揮官は記者会見で「新型コロナウイルスに万全の対策をとっている」と強調した。
 日米共同訓練は2017年以来3年ぶりである。
 初日の7日に関山演習場で開始式が行われ、日米双方の指揮官である第30普通科連隊長と米海兵隊第3海兵師団の大隊長が米軍のOspreyの前で訓示した。 (2101-120704)

6・1・4・4・3 海上演習

強襲揚陸艦Americaと輸送艦くにさき

 米海軍強襲揚陸艦Americaが1月13日、12月6日に母港となる佐世保に入港以来初の海上自衛隊との演習を東シナ海で行った。
 海上自衛隊からは呉を母港とする輸送艦くにさきが参加し、1日にわたり隊形訓練や通信訓練と飛行訓練が行われた。 (2002-011502)

南シナ海でLCS Gabrielle Giffordsと遠洋練習航海艦隊

 米海軍LCS Gabrielle Giffordsが南シナ海で6月23日に、海上自衛隊の練習艦かしま及びしまゆきと共同訓練を実施した。 (2007-062404)
【註】かしま及びしまゆきは令和2年度遠洋練習航海(前期)に参加している。
 今回、練習艦隊の寄港はCOVID-19の影響で補給を行うのはシンガポールのみになる。

東シナ海で駆逐艦Mustinと護衛艦すずつきが共同訓練

 海上自衛隊によれば、東シナ海で8月15~17日に米軍との共同訓練を実施し、駆逐艦Mustinと護衛艦すずつきが参加していた。 (2009-081905)

 海上自衛隊が8月15~17日、護衛艦すずつきが東シナ海で駆逐艦Mustinと戦術訓練を実施したほか、15~18日には沖縄県南方海域で護衛艦いかづちが空母Ronald Reaganなどの米海軍の艦艇と洋上補給などの訓練を行った。
 尖閣諸島周辺で中国政府が設定した禁漁期が16日に明けたのに合わせ、挑発行為を行わないよう中国を牽制する狙いがあるとの見方が出ている。 (2009-081908)

RIMPAC 演習への参加

日米共同掃海訓練

 海上自衛隊と米海軍との日米共同掃海訓練が11月18日から日向灘沖で始まった。 訓練は、日向灘沖で11月28日まで行われる。
 防衛省によると、訓練には海上自衛隊から艦艇19隻と航空機3機、隊員およそ1,200名が、米海軍からは、掃海艦1隻と水中処分員10名が参加している。
 宮崎県によると米軍の水中処分員らは、自衛隊の艦艇に乗船し、全員Covid-19のPCR検査を受け、陰性が確認されているが、上陸しない予定という。 (2012-111803)

6・1・4・4・4 航空演習

2月6日: B-52 vs F-15 など45機

 航空自衛隊が2月6日、米空軍のB-52と空自のF-15などが4日に日本周辺で共同訓練を実施したと発表した。
 編隊を組んで東シナ海などを飛行する訓練で、空自からはF-2、F-4を含めて北海道から北陸、沖縄など6部隊の計45機が交代しながら参加した。
 米側はグアムと米ノースダコタからB-52 1機ずつが参加し、F-16も6機参加した。
 この演習は発表された中では過去最大規模で、北朝鮮や中国をけん制する狙いがあるとみられる。 (2003-020602)

4月22日: B-1B×2 vs F-2など15機

 航空自衛隊と米空軍が、日本海や沖縄周辺の上空で共同訓練を行ったと発表した。
 訓練は4月22日に日本海や沖縄周辺の上空で行われ、航空自衛隊からはF-2など15機が、米本土から爆撃機1機、三沢基地からF-16 4機が参加した。
 米本土から爆撃機が参加しての訓練は、2020年に入って2回目である。 (2005-042401)

5月27日: B-1B×2機、日本海や日本の上空

 民間の航空追跡サイトAircraft Spotsによると、B-1B 2機がグアムの空軍基地を離陸し、東シナ海を経て日本海や日本の上空を飛行した。
 B-1Bには空中給油機2機と航空自衛隊の戦闘機も合流したようである。 訓練飛行は5月27日に行われたとみられる。
 B-1Bは12日にも朝鮮半島周辺を飛行するなど、アジア地域での飛行が増えている。 (2006-052705)

6月17日: B-52H×2機、日本海や日本の上空

 米海軍のE/A-18G Growler複数機を伴ったB-52H 2機が6月17日に日本海上空で航空自衛隊機と、会合、護衛などの共同訓練を行った。
 参加した空自機はF-2 4機とF-15 12機で、B-52Hはルイジアナ州Barksdale AFBの第2爆撃航空団所属第96爆撃飛行隊の機体であるが、米空軍の新たな世界展開構想に基づきアラスカ州フェアバンクス近くのEielson AFBに展開していた。 (2007-061812)

6月23日: 日米31機が参加した Elephant Walk 演習

 在日米軍三沢基地が6月23日、22日に同基地で日米合同演習Elephant Walkを実施したことを公開した。
 航空自衛隊のF-35A 12機、米空軍のF-16 12機、米海軍のEA-18Gおよび米空軍のMC-130各2機、さらに米海軍のP-8など計31機が参加した。
 韓国への脅迫と挑発を行ってきた北朝鮮などに対し、日米が武力の誇示による警告メッセージを送ったものと解釈される。 (2007-062601)

B-1B 2機が日本海上空で航空自衛隊のF-15Jと会合訓練

 米海軍が空母2隻を南シナ海に展開したのに合わせ、空軍がサウスダコタ州Ellsworth AFB所属第28航空団第37外征爆撃飛行隊のB-1B 2機と隊員170名をグアムのAndersen AFBに展開した。
 グアム展開に先立ちB-1B 2機は日本海上空で航空自衛隊のF-15Jと会合する訓練を行った。 (2008-071702)

7月27日: B-1B 2機が日本海上空でF-2と共同訓練

 米空軍のB-1B 2機が朝鮮戦争の休戦協定締結から67年にあたる7月27日に日本近海で航空自衛隊のF-2と共同訓練を実施した。
 また、民間の航空追跡サイトNo Call Signによると、28日に日本を離陸した米空軍特殊部隊 (AFSOC) のCV-22B 1機が、韓国南東部浦項付近の日本海洋上を飛行した。
 CV-22Bが日本海上空を飛行することはまれである。 (2008-072901)

8月24日~28日: 

 北海道防衛局が8月17日、在日米空軍と航空自衛隊による戦闘機を使った共同訓練を、8月24日から5日間、千歳基地で行うと道などに伝えた。 訓練には嘉手納基地などから200名が参加する。
 この訓練は、在日米空軍基地がある地域の負担を減らす狙いで、各地の自衛隊基地で行われるもので、千歳基地では2年ぶり10回目となる。 (2009-081702)

8月15日~18日: 

 日米が8月15~18日に東シナ海などで共同訓練を相次いで実施した。
 航空自衛隊は18日に東シナ海上空でF-15など20機が参加し、米空軍、海軍、海兵隊からB-1、F-35B、AWACSなど19機が参加した大規模な共同防空戦闘訓練を実施した。
(2009-081908)

10月23日: F-35A が強襲揚陸艦Americaと戦術訓練

 航空自衛隊が10月23日、三沢基地のF-35A 2機が20日に太平洋上で米海軍佐世保基地の強襲揚陸艦Americaと戦術訓練をしたと発表した。
 空自によると、空自のF-35Aは米海兵隊のF-35Bと訓練したことはあるが米海軍とは初めてである。 (2011-102303)

6・1・4・4・5 BMD での連携

 河野防衛相が8月22日、米軍横田基地を訪れ、シュナイダー在日米軍司令官と会談した。
 日本政府がAegis Ashore導入断念を踏まえ、新たなBMD網の構築に向け日米が連携していくことで一致した。 (2009-082201)
6・1・4・4・6 サイバ戦に関する共同訓練

セミナの開催

 陸上自衛隊が2月26日、サイバ防衛について日米の担当者が意見交換するセミナを横須賀市内のホテルで開いた。
 セミナには陸自と米陸空軍の担当者や、米国のサイバーセキュリティの専門家が出席して民間企業が持つ高度なサイバ技術を防衛面で生かす重要性について議論すると共に、人材育成に努めている米国の事例なども紹介された。
 初めての開催で、安全保障上重要な新領域と位置付けるサイバ防衛における日米連携を強化する狙いがある。 (2003-022602)

6・1・4・5 米空軍への燃料補給と援護

 米空軍は過去何十年にもわたり、外征空軍への燃料補給と援護を訓練してきたが、近年その役割を航空自衛隊が引き継ごうとしている。 米第5空軍の副司令官コシンスキー准将が9月14日に述べた。
 特に8月23~28日に千歳基地で行われた訓練では米空軍がC-130Jで空輸した燃料を航空自衛隊のF-15に給油したり、航空自衛隊の輸送機が輸送した燃料を米空軍のF-16に給油したりした。 (2010-091607)
6・1・4・6 指揮系統の連携

 茂木外相とヤング米臨時代理大使が8月3日、米軍と自衛隊のC4ISRの指揮系統の連携を進めるため、共同研究を進めることを確認した書簡を交換した。
 日米相互防衛援助協定 (MDA) に基づくもので、宇宙やサイバなど幅広い分野での防衛協力強化を念頭に、米軍と自衛隊の統合運用ネットワークの情報共有時などの安全性や柔軟性について技術面の課題を研究する。 (2009-080302)
6・1・5 周辺国との関係

6・1・5・1 対中戦略

6・1・5・1・1 基本姿勢の表明

 ASEAN諸国に加え、米中なども参加する東アジア首脳会議がオンライン形式で行われ、菅首相が南シナ海と東シナ海情勢について、海洋進出を強める中国を念頭に、「法の支配、開放性とは逆行する動きが起きている」と懸念を表明し、海洋進出を強める中国を強く牽制した。
 その上で、尖閣諸島を念頭に「東シナ海では、日本の主権を侵害する活動が継続している」と述べ、更に香港情勢について重大な懸念を改めて表明した。
 会議に参加した多くの国から南シナ海の現状について懸念が示されたという。 (2012-111501)
6・1・5・1・2 日米豪印の連携

4ヵ国連携への動き

 Bloomberg通信などが9月1日、日豪印がCOVID-19パンデミックで打撃を受けた各国の供給網を強化するために協力に出ると報じた。
 この日、梶山経産相、インドのゴヤル商工大臣、オーストラリアのバーミンガム貿易相がTV会議形式で3ヵ国の経済担当相会議を行い、会議後の共同声明で、今後インド太平洋地域内の供給網強化に向けて協力することで合意したと明らかにした。
 3ヵ国の経済担当相は具体的な協力策を今年末までに立てるように当局者に指示したと伝えた。
 経済産業省によると3ヵ国の経済担当相は今後ASEAN諸国にもこのような努力に参加することを求めることにした。 (2010-090205)

 複数の政府関係者が9月18日、日米豪印4ヵ国政府が10月上旬に東京で外相会談を開催する方向で調整に入ったことを明らかにした。
 4ヵ国外相は茂木外相のほか、米国のポンペオ国務長官、オーストラリアのペイン外相、インドのジャイシャンカル外相で、実現すればCovid-19パンデミック以降、閣僚以上のレベルが来日する初のケースとなる。
 インド太平洋の各地で領土拡張的な動きを活発化させる中国を牽制する狙いがある。 (2010-091902)

4ヵ国外相会談

 米国務省が、ポンペオ米国務長官が8月6日にジャイシャンカル印外相と電話会談し、日本とオーストラリアを含む4ヵ国による協議の2020年内開催を目指す方針を確認したと発表した。
 発表によると、ポンペオ長官は、新型コロナウイルス対策やアフガニスタンの和平プロセス支援のほか、米印の外務防衛閣僚協議 (2-plus-2) の2020年内開催について協議した。
 2020年にインド軍が中国軍と衝突した北部カシミール地方ラダックでの中国軍の動向についても協議したとみられる。 (2009-080801)

 米国のオブライエン国家安全保障担当大統領補佐官が8月28日、日米豪印4ヵ国安全保障担当高官による会合を10月にハワイで開催する意向を明らかにした。
 オブライエン補佐官によると、ポンペオ国務長官も9月と10月に日豪印の外相との会合を開く予定という。
 オブライエン補佐官は、中国は侵略的な姿勢を強めているため、我々は同盟国と連携しインド太平洋地域の安全を確保していくと強調したうえで、南シナ海などでの米艦艇による航行の自由作戦を継続していく方針も明確にした。 (2009-082904)

 日本、米国、オーストラリア、インドの4ヵ国外相が10月6日夕に東京都内で会合を開く。 4ヵ国外相の会合は、2019年9月のニューヨーク以来となる。
 4ヵ国外相による会合を定例化することで合意する見通しである。 (2011-100601)

 日米豪印4ヵ国外相が10月6日に東京都内で会合を開き、台頭する中国を念頭に自由で開かれたインド太平洋構想の推進に向けた連携の強化で一致した。
 会合にはポンペオ米国務長官と茂木外相、オーストラリアのペイン外相、インドのジャイシャンカル外相が出席した。
 会合では海洋安全保障やサイバ、質の高いインフラ整備の分野で協力を進める方針を確認し、南シナ海と東シナ海、台湾海峡などを列挙して、連携して中国共産党の搾取、威圧から守らないといけないと訴えた。 (2011-100602)

Malabar 4ヵ国合同海上演習

 インド国防省が10月19日、米軍及び海上自衛隊と毎年実施しているMalabar合同海上演習に2020年はオーストラリアも参加すると発表した。
 「自由で開かれたインド太平洋」構想を共有するクアッドと呼ばれる日米豪印4ヵ国の枠組みで、海洋進出を図る中国を牽制するため軍事的連携を強める。 (2011-101907)

 インド国防省が10月19日、海上自衛隊と米海軍との2020年の共同演習Malabarにオーストラリア海軍も参加すると発表した。
 4ヵ国は10月6日に東京での外相会合で同構想の推進に向けた連携強化で一致していた。
 インド国防省は訓練の詳しい日程を明らかにしていないが、2020年内にベンガル湾とアラビア海で実施する予定である。
 Malabar演習は1992年からインドと米国が実施し、2015年に日本の定例参加が決まった。
 2019年の訓練は日本近海で実施した。 (2011-102001)

 米海軍第7艦隊が10月20日、米国、日本、オーストラリアが19日に南シナ海で合同演習を実施したと明らかにした。
 声明によると、第7艦隊の活動地域における合同演習は今年5回目になる。 (2011-102003)

 インド国防省が10月19日、11月にベンガル湾とアラビア海で行うMalabar 2020演習に、13年の歴史で初めてオーストラリアが参加すると発表した。
 一方20日には米海軍が、日米豪3ヵ国が南シナ海で19日にMalabar演習の参加艦から1隻ずつで共同訓練を行ったと発表した。
 参加したのは護衛艦きりさめ、米海軍駆逐艦McCain、豪海軍フリゲート艦Aruntaであった。 (2011-102007)

 ビーガン米国務副長官が10月20日、日米豪印4ヵ国の連携枠組みクアッドについて、より定期的に会合が行われるべきだし、ある時点で公式化すべきだと語った。
 また、4ヵ国に韓国、ベトナム、ニュージーランドを加えて毎週連絡を取り合っていると指摘したが、クアッドの拡大について話すのはやや時期尚早だと語った。 (2011-102101)

 インドを中心に米国と日本が参加する多国籍海上連合演習Malabarが、2020年はオーストラリアが13年ぶりに参加して11月3日に始まる。
 インド紙によると、2020年のマラバール演習は3日~6日にベンガル湾で前半が実施され、後半は17日~20日にアラビア海で行われる。
 2020年の演習には米国駆逐艦John S. McCain、豪海軍のフリゲート艦Ballaratと日本海上自衛隊の護衛艦おおなみが参加するほか、主催国のインドからは駆逐艦、潜水艦、補給艦、海上哨戒機などが参加する。 (2012-110203)

 防衛省が11月17日、日米印豪が3~6日にベンガル湾で実施したMalabar海上共同演習の第一段階に続く第二段階を、同日にインド沖のアラビア海で開始したと発表した。
 オーストラリアの参加は2007年以来で、日米印豪には「自由で開かれたインド太平洋」の下で連携を強化し、中国を牽制する狙いがある。 (2012-111703)

4ヵ国外務省局長級協議の定例化

 日米豪印4ヵ国が12月18日にTV会議形式で外務省局長級協議を開き、東シナ海や南シナ海の問題、北朝鮮などの地域情勢を巡り意見交換して、海洋安全保障やテロ、サイバ対策など幅広い分野で協力を進めることで一致した。
 外務省からは山田総合外交政策局長らが参加した。
 協議では10月に確認した年1回開催の定例化の方針を再確認し、2021年中の開催で一致した。 (2101-121901)

6・1・5・1・3 Five Eyea から Six Eyes に

 英Gardian紙が議会で対中国政策にかかわっている議員たちの話として7月29日に、Five Eyeaに日本を含めてSix Eyesに改編し、協力分野も軍事情報だけでなくレアアースや医療物品の共同管理などに拡大する可能性があると報じた。
 これに対して中国メディアは「絶対許さない」と敏感に反応した。
 1941年に結成されたFive Eyesは米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの5ヵ国が加入する軍事情報協力国の集まりで、中国による香港国家安全維持法制定に反対し、香港との犯罪人引き渡し協定を中止するなど、足並みをそろえている。 (2009-080101)
【註】Five EyesはUKUSA協定の俗称で、米国家安全保障局(NSA)、英政府通信本部(GCHQ)、加通信保安局(CSE)、豪信号総局(ASD)、ニュージーランド政府通信保安局(GCSB)で構成されている。

 日本が英語圏5ヵ国の機密情報共有枠組みであるFive Eyesへの参加を促す発言が相次いでいる。
 7月21日に河野防衛相と電話会談した英下院外交委員長が、日本を入れてSix Eyesにしたいと述べたのに対し、関係者によると河野防衛相は提案に前向きだったという。 英Guardian紙はオーストラリア議会にも同様の動きがあると報じている。
 ただ、日本ではスパイ行為を取り締まるスパイ防止法が整備されておらず、情報保護に不安が残るうえ、防衛省幹部はFive Eyesの5ヵ国は英語圏だから、機微なやりとりができないのではないかとも語る。 (2009-080405)

 河野防衛相が日本経済新聞のインタビューで、米英など5ヵ国の機密情報共有の枠組みFive Eyesとの関係について、価値観を共有している国々であり日本も近づいてSix Eyesと言われるようになっても良いと述べ連携拡大に意欲を示した。
 河野防衛相は「色々な場面で打診がある」と説明したうえで、Five Eyesは国際機関とは形態が異なるので加盟するというのとは違い正式な加盟の手続きを取る必要性はなく、椅子を持っていってテーブルに座って「交ぜてくれ」と言うだけの話だとし、それが恒常的になればSix Eyesと言うかもしれないと話した。 (2009-081406)

6・1・5・1・4 Covid-19対策で台日米豪が会合

 台湾で、COVID-19パンデミック関連の犯罪防止やデマ対策について日台米豪が意見を交わすワークショップが10月28日に38ヵ国と地域の警察関係者らを招いてオンライン方式で開催された。
 ワークショップでは、日本の警察庁や米連邦捜査局(FBI)、豪連邦警察(AFP)の官僚や専門家が各国の事例や経験などを分かち合い、台湾はマスクの買い占めや非正規品の問題、偽情報などに関する捜査結果を紹介した。 (2011-102805)
6・1・5・2 対韓対策

6・1・5・2・1 韓国の非友好的行為

わが国 EEZ の侵害

 海上保安庁が8月15日、長崎県男女群島女島の西方141kmの日本の排他的経済水域 (EEZ) 内で海洋調査をしていた海保測量船平洋が同日04:20頃、韓国海洋警察庁の船から無線で「韓国海域で海洋調査を行うには、韓国政府の事前同意が必要」と即時中止を求められたと発表した。
 その後も韓国側は繰り返し中止を求め、16日00:00現在も平洋付近を並走しているという。
 日本政府は不当として外交ルートを通じ、韓国政府に抗議した。 (2009-081601)

 海上保安庁が8月15日、長崎県の男女群島女島西方の東シナ海で、海洋調査をしていた同庁の測量船平洋に対し、韓国海洋警察庁の船が英語で「韓国の海域で調査するには同意が必要なので、やめなさい」と要求してきた。
 更に韓国側は船が交代し、16日になっても平洋と並走したり、漂泊したりして要求を続けた。
 現場海域は日韓双方から200nmの範囲にあるが、海保の測量船は両国の中間線の日本側で調査をしていた。
 付近で韓国からのこうした行動は初めてという。 (2009-081602)

韓国が日米韓国防長官会議提案を拒否

 エスパー米国防長官と河野防衛相が8月29日に米国のグアムで会談する方向で調整しているとされるが、当初は米国が韓国政府に日米韓国防長官会議を提案していたことが20日に分かった。
 エスパーは来週、パラオとグアム、ハワイ歴訪を機に日米韓国防長官会議を希望したという。
 しかし韓国政府が回答せず、これと共に計画されたミリー統合参謀本部議長の訪韓も具体的な進展がないという。 (2009-082102)

6・1・5・2・2 わが国の対応

 特記すべき記事なし
6・1・5・3 北方領土

6・1・5・3・1 領土問題

米政府の姿勢

 ロシア外務省が12月6日、ロシアが実効支配する北方領土出身のロシア人が米国で米国永住権を申請する際に、出身国を日本と記すよう米国務省が規定していることについて、第2次大戦の結果に疑義を呈するものだと反発する声明を発表した。
 米国務省のホームページによると、応募規定では「歯舞群島、色丹、国後、択捉各島で生まれは日本出身。 サハリン南部生まれはロシア出身」と記入するよう求める注意書きがある。 (2101-120707)

6・1・5・3・2 ロシア軍の動き

配置、配備の状況

 ロシアは2016年に射程300kmの地対艦ミサイルBastionを択捉島、130kmのBalを国後島に配備済みである。
 露陸軍第18機関銃砲兵師団が択捉島のガリャーチエ・クリューチ(瀬石温泉)と国後島のラグンノエ(二木城)に駐留し、2018年には択捉島のヤースヌイ空港を軍民共用化してSu-35を配備した。 (2101-121003)

北方領土と千島列島に T-72B3 MBT を配備

 ロシアは2020年10月にT-72B3 MBTクリール諸島(千島列島と北方領土)へ配備したと報道された。 (2101-121003)

 ロシアのイズベスチヤ紙が10月28日、ロシア軍が北方領土と千島列島にT-72B3 MBTを配備すると報じた。
 配備場所には触れていないが、北方領土と千島列島に展開する第18機関銃砲兵師団は択捉島と国後島を拠点としており、T-72B3は両島に配備されるとみられ、配備完了には1~2年かかる見通しである。
 T-72B3はロシア軍の最新兵器の一つで配備は海岸の防衛能力を向上させるとみられている。
 ロシアは近年、北方領土と千島列島の軍備を強化している。 (2011-102807)

北方領土に S-300 を配備

 ロシア国防省が12月1日、クリル諸島(北方領土を含む千島列島)にS-300を初めて配備したと発表した。
 露国防省は具体的な配備場所を明らかにしていないが、ロシアの軍事ニュースサイトは択捉島を配備先に挙げており、北方領土に配備された可能性がある。
 ロシアは北方領土の軍備拡充を図っており、10月にはT-72B3 MBTの配備を開始したと報じられた。 (2101-120102)

 ロシアが北方領土で軍備増強を着々と進めており、12月1日には択捉島に射程400kmのS-300V4を配備した。
 S-300V4の配備で「主要な脅威に対応するものが一通りそろった」(日本政府関係者)とみられる。 (2101-121003)

6・1・6 テロ対策

正体不明の気球出現

 宮城県など東北各地で6月17日、気球のような物体が目撃されたが、飛行物の正体はまだ分かっていない。
 ある気象台の関係者は、気象観測用の気球にも見えるが、自分たちのものではないと語っている。 (2007-061805)
【註】気球にはプロペラ状の構造物をもつ十字型物体が吊り下げられており、同一空域に滞空するように造られた可能性があるが、発見が報じられて以来数日経つも所有者の申し出でがないことから、海外の何者かが意図的に飛ばしている可能性もある。

陸自と北海道警が武装工作員侵入を想定した合同訓練

 陸上自衛隊と北海道警察が武装した工作員が侵入した想定で、北海道大演習場でテロに備えた合同訓練を行った。
 合同訓練には、陸上自衛隊と北海道警察、あわせて60名が参加した。 (2011-103002)

6・1・7 COVID-19 感染拡大の影響

6・1・7・1 防衛協力への影響

多国間国防大臣会合の延期

 防衛省が3月5日、COVID-19の感染拡大を受け4月に予定していた同省としては初めての主催となる多国間の国防大臣会合を延期する方針を固めた。
 この会合は1996年から毎年実施され、2020年はわが国が主催するが、各国から大臣や高官を招く準備を進めることは不可能と判断したためで、防衛交流にも影響を与え始め、自衛隊と他国軍との共同訓練なども延期される可能性が出てきた。 (2004-030502)

 河野防衛相が3月17日、4月5日に予定していた日本主催の多国間国防相会合を延期すると発表した。
 COVID-19の感染拡大を受け、各国要人が集まるのは難しいと判断したもので時期は再調整する。
 太平洋島嶼国のパプアニューギニアやフィジーの国防相に加え、米豪英仏などの防衛当局も交え、安全保障上の課題を議論する計画だった。 (2004-031703)

共同訓練の延期や中止

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、自衛隊と他国軍との共同訓練や、安全保障に関する国際会議で延期や中止が相次いでいる。
 海上自衛隊の練習艦2隻は2月に寄港を予定していた太平洋のマーシャル諸島とミクロネシア連邦から入港を拒否された。 日本で新型コロナが流行し、両国は日本からの入国全般を制限した上で、海自にも「受け入れは困難」と通知してきた。
 3月末~4月上旬には豪州が射撃競技会「AASAM」を開き、自衛隊も参加する方針だったが見送りになっている。
 インドとの防衛交流も、航空自衛隊が今年中にインド軍を日本に招き、初めて戦闘機の共同訓練をする準備を進めてきたが見通しが立たない。 (2004-032302)

6・1・7・2 サプライチェーンの多元化

 安倍首相が3月5日開かれた未来投資会議で、COVID-19の世界的な広がりを受け、中国などから日本への製品供給減少によるサプライチェーンへの影響が懸念されるなか、一国への依存度が高く付加価値の高い製品は、日本への生産回帰を進めると述べた。
 またそうでない製品も一国に依存せずASEANなどへの生産拠点の多元化を進めるとも述べた。 (2004-030504)
6・1・7・3 防疫体制の強化

 防衛省、自衛隊は新型コロナウイルスに対応した経験を踏まえ感染症対策の強化に乗り出す。 自衛隊病院での受け入れ体制を拡充し医官の育成もめざす。
 令和2年度予算案で感染症対応として約3億円を計上し、患者を長距離輸送できる機材などを新たに取得する。
 また途上国への支援も想定しノウハウを培う。
 1月31日の派遣命令を受け、COVID-19の対応でクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスや武漢からの帰国者の滞在施設で延べ8,700名が任務に就いたた自衛隊は、3月16日にすべての活動を終えた。
 ただ自衛隊病院での患者受け入れは今後も継続する。 (2004-031701)
6・1・7・4 予備自衛官の招集

 河野防衛相が2月13日、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大に対応するため、予備自衛官の招集命令を発令した。
 予備自衛官のうち医師や看護師の資格を持つ約50名を集め、武漢市から帰国した邦人やクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの乗客で陽性反応が出た人の健康管理にあたる。 (2003-021302)
6・1・7・5 病院船建造の動き

 政府が取り纏めるCOVID-19の感染対策の補正予算案に、病院船の建造に向けた調査費7千万円を盛り込む方針を固めた。
 調査は内閣府のほか、厚生労働、防衛、国土交通の各省がそれぞれ実施し、病院船を持つ外国の事例や、導入した場合に想定される運用方法などを調べる。 (2005-040302)
6・1・8 在外邦人の保護活動

 在外日本人が、治安情勢の悪化で取り残されたことを想定し、自衛隊が保護輸送にあたる訓練が陸上、航空の自衛隊員や外務省職員など300名が参加して、朝霞駐屯地と百里基地で行われ、報道陣に公開された。
 暴徒が取り囲む在外日本人の集合場所に自衛隊員が装甲車で近づき保護したのち、ヘリコプタで空港へ運び、外務省職員が身元確認などしたうえで、日本に向け輸送機に搭乗するまでを行った。
 こうした訓練は今回が12回目で、防衛省は、一連の流れを実際に確認することで、外国での不測の事態に備えることにしている。 (2101-120203)
6・2 防衛予算

6・2・1 令和2年度予算の補正

 複数の政府関係者が12月10日、令和2年度第3次補正予算案の外交防衛費に計5,000億円を計上する方向で調整に入ったことを明らかにした。
 外交関連費が1,300億~1,400億円、防衛費が3,000億円台後半になる見通しで、12月中旬にも閣議決定する。
 防衛費には、COVID-19に関する国内輸送支援としてC-2輸送機や、車両整備の関連経費を盛り込むと共に、医療用機材の整備費なども計上する。
 COVID-19関連以外では尖閣諸島周辺で中国公船の活動が活発化するなか、警戒監視態勢の充実が急務と判断し、P-1哨戒機の関連経費も盛り込む。 (2101-121004)
6・2・2 令和3年度予算

6・2・2・1 防衛予算

6・2・2・1・1 概算要求

 防衛省が令和3年度予算の概算要求で当初予算で1.6~1.7%増となる過去最大の5兆4,000億円超を計上する。 5兆3,223億円である2年度の当初予算で5兆3,133億円だった。
 6月に計画を断念したAegis Ashoreの代替案は複数の案を検討中で、金額を示さずに予算を求める事項要求とし具体案は年内に決める。
 Aegis艦やBMD専用艦を新たに建造する案と、海上に代替となる施設を設置する案が軸になる。 (2010-092101)

 防衛省が9月30日、前年度当初予算比3.3%増の5兆4,897億円を令和3年度予算の概算要求に計上した。
 Aegis Ashore代替措置については、金額を明示しない事項要求として盛り込んだ。
 F-35の機内弾庫に格納する射程500kmのノルウェー製CMのJSM取得費172億円も計上した。 更に射程900kmのミサイルAGM-158B JASSM-ERを搭載するF-15の改修費213億円も要求する。
 またSOJの開発費153億円も要求する。
 安価な小型衛星を多数使い、攻撃目標の位置を捉えるための情報収集能力を強化する研究にも着手する。
 政府関係者は「小型衛星群も導入できれば、より高度なストライク・パッケージが揃う」と話している。
 このほか、F-2後継機は開発費と関連研究費で772億円を要求する。 調達から維持費も含めた総コストは4兆円以上とされ、2030年代の就役を計画している。 (2010-093003)

 防衛省が令和3年度予算の概算要求で、宇宙やサイバなど防衛の新領域の対応を強化するため過去最大の5兆4,898億円を計上した。
 Aegis Ashore代替策や米軍再編関係経費は金額を明示しない事項要求とし、年末にとりまとめる予算案で、防衛費がさらに膨らむ可能性が高い。
 宇宙分野では宇宙領域を統括する宇宙作戦群を新設し、全体で70名規模となる。
 極超音速滑空兵器に対応するため、小型人工衛星群(コンステレーション)の調査研究費に2億円を計上した。
 陸海空の自衛隊による540名規模の自衛隊サイバー防衛隊の新設を盛り込んだ。
 電磁波領域では、電子戦専門部隊を新設し、ネットワーク電子戦システム一式の取得を盛り込んだ。
 空母化を進めるいずも型護衛艦の改修費は2年度予算の31億円から、231億円に増額した。 (2010-093005)

 防衛省が9月30日、令和3年度予算に前年度比3.3%増の5兆4,900億円を要求した。 (2012-100708)

6・2・2・1・2 政府原案

縦割り打破の方針

 加藤官房長官が11月30日の記者会見で、菅首相が28日の航空観閲式での訓示で、宇宙やサイバなどの対処能力強化に向け、自衛隊に縦割り打破を求めたことに関し、必要となる予算や人員は既存の配分に固執することなく、柔軟かつ重点的に配分する必要があると強調した。
 加藤氏は、あらゆる分野で自衛隊の統合を一層推進すべく、防衛省で不断の検討がなされていると述べた。 (2012-113003)

極めて低い伸び率の総額

 政府は、令和3年度予算案の防衛費について、歳出の総額を今年度より約300億円多い5兆3,400億円程度で最終調整しており、9年連続で増加し過去最大となる見通しである。
 防衛省は、概算要求で過去最大の5兆4,898億円を計上し、12月下旬の予算案の決定に向けて財務省と調整を進めてきた。 (2101-121305)

 政府が12月21日の閣議で令和3年度予算案を決定した。
 一般会計の総額は106兆6,097億円となり、20年度当初予算(102兆6,580億円)から3兆9,517億円に3.8%増え、3年連続当初予算が100兆円超えた。
 防衛費は5兆3,235億円で、F-2後継戦闘機の開発費として576億円を計上した。 (2101-122105)

 令和3年度予算案の防衛関係費は前年度比0.5%増の5兆3,422億円と9年連続で増加し、過去最高を更新した。
 Aegis Ashore代替艦には調査費として17億円、12式地対艦誘導弾を長射程化するStand Offミサイルの開発に335億円を充てた。
 次期戦闘機開発には576億円を計上し、高性能レーダの研究など関連経費を含めると731億円となった。
 一方、概算要求段階で213億円を盛り込んだF-15改修は、初期費用が当初の想定を大幅に上回っことから計上を見送った。
 在日米軍駐留経費は、来年度以降の日本側負担額をめぐる米側との交渉が米の政権移行などで年内にまとまらず、現行水準に沿った2,017億円とした。 (2101-122108)
【註】記事では「9年連続で増加し過去最大」と強調しているが伸び率が0.5%で過去3年間の物価上昇率0.5~1.0%にも満たない。
 過去数年間の防衛費の伸びが毎年1.0%~1.6%であったことから、伸び率は1/2~1/3になっている。
 しかも今年度防衛費は3回の補正で4,051億円が加算され5兆7,184億円になっており、補正後の予算と比較すると3,762億円の大幅減になる。

6・2・2・2 その他関連予算

海上保安庁の概算要求

 海上保安庁が9月25日に令和3年度概算要求を発表した。
 尖閣領海の警備態勢強化と大規模事案の同時発生に対応できる態勢整備の費用として、2年度当初予算比41億8,000万円増の250億円を要求した。
 配属先は決まっていないが、来年度就役予定のヘリ搭載型巡視船の乗組員として64人を要望している。 (2010-092603)

6・3 ミサイル防衛

6・3・1 全体構想

 特記すべき記事なし
6・3・2 SM-3 Block ⅡA

 特記すべき記事なし
6・3・3 Aegis Ashore

6・3・3・1 配備場所問題

新屋演習場への配備断念

 政府Aegis Ashoreについて、当初予定していた新屋演習場への配備を、地元の反対感情が強く配備は困難と判断し断念する方向で検討に入った。
 今後、秋田県内で配備候補地を検討する方針だが、政府が目指す令和7年度の運用開始はずれ込む可能性が高い。 (2006-050604)

 秋田県内を軸に新たな候補地を選定する見通しとなったAegis Ashoreを巡り、防衛省の再調査対象となっている国有地を抱える秋田県内4市からは困惑の声が上がった。
 防衛省は秋田市の新屋演習場を適地とした調査結果を2019年5月に公表したがミスが発覚したため、新屋を含む秋田県内10ヵ所と、青森、山形両県の10ヵ所の計20ヵ所で再調査を行っていた。
 秋田県では新屋のほかは能代、男鹿、由利本荘、にかほ4市の国有地計9ヵ所が対象になっている。 (2006-050803)

6・3・3・2 工事等の発注

 米国防総省が3月5日、日本に設置する2箇所のAegis Ashoreの設計から支援までをLockheed Martin RMS社に発注した。
 この結果、対日FMS契約の額は$3.21M上がって$25.9Mになった。 (2004-030904)
6・3・3・3 配備計画停止と代替案検討

6・3・3・3・1 配備計画停止

 テレビや新聞は、防衛省がAegis Ashoreの新屋演習場への配備を断念したと報じているが、河野防衛相がそれについて『フェイクニュース』と嚙みついている。
 ただ、配置場所を見直していることは事実で、しかも河野防衛相は水面下でAegis Ashore配備計画そのものの見直しを検討するよう、幹部に指示を下したという。 (2007-061501)

 Aegis Ashoreの配備計画プロセス停止と防衛相。 (2007-061502)

 河野防衛相が6月15日、秋田県と山口県で進めてきたAegis Ashore配備計画について、コストと配備時期に鑑みてプロセスを停止することを表明した。
 秋田、山口両県知事には15日に電話で伝えた。
 迎撃ミサイルを発射した後、ブースタを自衛隊演習場内などに確実に落とせない技術的問題が分かり、周辺民家などの安全確保にハードウエア改修が必要になったことを理由としている。 (2007-061503)

 河野防衛相が6月15日、秋田県と山口県で進めていたAegis Ashoreの配備計画を停止すると発表した。 安倍首相には12日に報告し了承を得たという。
 今後は国家安全保障会議 (NSA) に報告したうえで、閣議で正式に計画停止を決定する方針である。
 発射されるSM-3 Block ⅡAが発射後に切り離すブースタを周辺住宅などに落下させないためには大幅改修が必要と判明したためという。 (2007-061504)

 河野防衛相が6月15日、Aegis Ashoreの配備計画を停止すると表明した。
 安倍首相の了承を先週得たうえで、秋田県と山口県の知事にも15日に電話で報告した。
 山口配備をめぐって、大きな懸案になっていたのがミサイル発射後に切り離すブースタの落下だった。 防衛省は発射装置と民家などの間に700mの緩衝地帯を設け、ミサイルが飛ぶ経路を制御することで、ブースタを演習場内に落下させると説明してきた。
 これについて防衛相は、米側との協議の結果、確実に演習場内に落下させるためにはシステム全体の大幅な改修が必要で、相当のコストと時間を要することが判明したことから、コストと期間に鑑みて配備プロセスを停止し、国家安全保障会議に防衛省として報告をし、その後の対応を考えていきたいと思うと語った。 (2007-061505)

 河野防衛相が6月16日午前の衆院安全保障委員会で、Aegis Ashoreの配備計画停止について説明し、ブースターの安全な落下を担保するためのシステム改修には「恐らく2,000億円、10年のコストと期間」がかかるとの見通しを示した。 (2007-061606)

 河野防衛相が6月16日午前の衆院安全保障委員会でAegis Ashoreの配備計画停止に関し、国家安全保障会議 (NSC) や閣議などで議論され、必要であれば修正が行われると述べ、正式撤回する可能性に言及した。
 そのうえで導入を決めた当時は正しかったとする一方、コストと期間を考えると合理的な判断とは言えず、その時の判断として間違っているものは、やめなければいけないと説明した。 (2007-061607)

 河野防衛相が6月16日、Aegis Ashoreの配備計画停止に関し、代替地を検討しない考えを示したことで計画断念の方向が強まった。
 米側と契約した関連費1,800億円の扱いを巡り日米で協議する方針である。
 自民党国防部会では、代わりの抑止力として敵基地攻撃能力を保有すべきだとの意見が相次いだ。 (2007-061608)

 複数の政府関係者が6月16日、Aegis Ashoreの導入計画をめぐり、日本側が想定するソフトウエアの改修だけでは周辺住民の安全を確保できない恐れがあると、防衛省が今年初めの段階で把握していたことを明らかにした。
 陸上イージスの安全性に生じた懸念を配備候補地などに数ヵ月間隠していたことになり、首相官邸主導で配備を推し進めたことに伴う「つけ」が回った結果とも言えそうである。
 政府は2017年12月にAegis Ashore導入を閣議決定し、自衛隊の新屋演習場とむつみ演習場を配備候補地に選定したが、その際に問題として浮上したのが内陸にあるむつみ演習場から発射した場合、切り離された重さ200kg強のブースターが住宅地などに落下する恐れがあることだった。 (2007-061701)

 政府は近く国家安全保障会議 (NSC) を開きAegis Ashoreの計画停止を正式に決め、調達先の米国に伝えて日本が支払いを約束した費用の扱いの協議に入る。 取得費の7割にあたる1,700億円超は契約済みで回収の可能性を探る。
 Aegis AshoreはLockheed Martin社製で、本体は米国政府から、レーダはLockheed Martin社から購入する。
 装備の取得費の総額はレーダや発射装置などを含めて2基で2,520億円になる。
 2019年度までの予算でこのうち1,732億円分は支払う契約をしており、55億円を情報取得費や人材育成費などにあてるため合わせて1,787億円になる。
 レーダ分は企業側と350億円の契約を済ませた。
 令和2年度予算で100億円超の発射装置の購入額を計上しているため、本体分で残る700億円弱は予算計上が凍結になる。 (2007-061801)

 政権幹部が6月19日、Aegis Ashore配備計画を撤回する方針を固めたことを明らかにした。
 来週中に国家安全保障会議 (NSC) の4大臣会合で撤回の方向性を確認する。 その上で9月までにAegis Ashoreに代わるBMDSなどについてNSCで議論したうえで、年末にも防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画を見直して正式決定する。
 安倍首相は18日の記者会見で、Aegis Ashore配備計画の停止を受け、安保戦略のあり方を今夏に集中的に議論し、新方針を打ち出すと表明していた。 (2007-062001)

 河野防衛相が6月25日の自民党会合で、秋田、山口両県へのAegis Ashore配備計画撤回を24日の国家安全保障会議 (NSC) で決定したことを明らかにした。 (2007-062501)

 河野防衛大臣が6月15日、2個システムの配備を計画していたAegis Ashore計画を棚上げすると発表した。
 Aegis Ashoreは2023年を目標に計画が進められており、日本政府は既に1,400億円を支出している。 (2008-062404)

配備中止に関する報告書

 防衛省が9月4日発表したAegis Ashore配備中止に関する報告書などによると、候補地だった秋田県や山口県での地元説明では当初の米側の情報などをもとに、ソフトウエアを改修してブースタを演習場内や海上に落下させると説明していたが、2020年2月ごろに落下を制御できない懸念が浮上した。
 直後に高橋次官や担当局長らには報告されていたが「技術的な確認がとれていない」として河野防衛相や、山本朋広副防衛相には報告していなかった。
 地元に対して誤った説明をした理由については、ブースタは米側が設計開発しているため、防衛省として検証することに限界があったと釈明している。
 当時の状況として、北朝鮮がミサイル発射を繰り返すなど、配備を急ぐ必要があり、慎重さや誠実さを欠いた対応となったとしている。 (2010-090405)

安倍首相が退陣に伴う安全保障政策に関する談話

 安倍首相が退陣を9月16日に控えた11日に、安全保障政策に関する談話を発表した。
 敵基地攻撃能力保有を含む具体策には一切触れず、ミサイル阻止に関する新たな方針について与党ともしっかり協議しながら、2020年末までにあるべき方策を示すと記すにとどめた。
 時の首相が退陣直前に談話を出すのは異例で、首相は首相官邸で記者団に「次の内閣でもしっかり議論してほしい」と述べる一方、「次の内閣を縛ることにはならない」とも語った。
 新首相がどのような具体策を打ち出すかが焦点となる。 (2010-091104)

 8月に健康上の理由から退陣を表明した安倍首相が9月11日に、2個システムの配備が計画されていたAegis Ashoreの計画中止と、新たな方策の推進を表明し、16日に新たな首相に就任する菅氏に継承することを明らかにした。 (2011-092301)

6・3・3・3・2 代替案検討

日米の温度差

 米国防総省でインド太平洋を担当するへルビー米国防次官補代行が6月18日、日本政府が配備停止を決めたAegis Ashoreについて、前進に向けた最善策を見つけるため日本と技術的な問題を議論していると語り配備に向けた協議を続ける方針を示し、代替案の検討に入る日本との温度差をうかがわせた。
 米国は北朝鮮や中国に対抗するため日本のAegis Ashore配備を支持してきており、へルビー次官補代行の発言には東アジアの安定に向けてAegis Ashoreがなお有効だとの主張がにじみ、日本との立場の違いが浮かび上がった。 (2007-061810)

代替策の検討

 Aegis Ashoreの計画停止を受け、政府はBMDの代替策の検討に着手した。 2020年夏中のとりまとめに向け、防衛省や国家安全保障局が対応に当たっている。
 防衛省は既にAegis Ashore専門班に防衛政策局や整備計画局の幹部を加えた検討チームを新設し、国家安全保障会議 (NSC) による議論のたたき台を練る。
 河野太郎防衛相は、護衛艦にAegisシステムを搭載する案に言及しているが、海上自衛隊の慢性的な乗組員不足が課題となる。 (2007-062201)

 自民党のBMDに関する検討チームが6月30日に初会合を開き、政府がAegis Ashoreの配備を断念したことを踏まえ、BMDのあり方を改めて検討し、敵基地攻撃能力の保有も議論して、7月中に一定の結論をまとめる。  Aegis Ashoreに代わるBMDについては、Aegis艦の増強やメガフロートに置く可能性などについて意見交換した。 (2007-063002)

 政府関係者が7月28日、自民党のBMDのあり方に関する検討チーム会合で、Aegis Ashoreの計画断念に伴うBMDの代替策として、Aegis艦の新造など複数の案に言及したことを明らかにした。
 代替案には、陸上のレーダでBM発射を探知し、現有の護衛艦が洋上で迎撃弾を発射する方法なども含まれる。
 政府側は、こうした考えを国家安全保障会議 (NSC) で検討し、9月をめどに方向性を決める方針も説明した。 (2008-072803)

 防衛省が7月29日、自民党のBMDのあり方に関する検討チームの第6回会合で、Aegis Ashoreの計画断念に伴う代替策として、Aegis艦の新造など主に以下の3案を説明した。

1. 新たなAegis艦の建造
2. 地上にレーダ、海上や臨海部に発射機の分離配備案
3. メガフロートや艦艇といった洋上施設への配備案
 防衛省幹部は「どの案も一長一短がある」と述べたという。
 会合では座長の小野寺元防衛相が政府への自民党提言案を示したが、異論も出て了承は見送られた。 (2008-072906)

Aegis 艦を増強する案

 Aegis Ashore配備計画の停止を受け、防衛省は2021年春に全8隻態勢となるAegis艦をさらに増強する検討を始めた。
 Aegis Ashoreで設置する予定だった米国製レーダを、Aegis艦や地上の自衛隊のレーダーサイトへ転用する検討も進める。
 政府が配備計画の撤回を正式決定した場合、具体的に増艦数などを検討したうえで、防衛大綱や中期防衛力整備計画を改定する。 (2007-061703)

 Aegis Ashoreの配備計画の停止をめぐり、システムの開発が進んでいることから、護衛艦への転用が可能か検討している。
 防衛省は米側とすでに1,800億円の契約を交わしていて、契約を取り消した場合この費用がどうなるか見通せていない。 (2007-061803)

 Aegis Ashore配備計画の停止を受け、政府は既に米国と契約済みの1,787億円の扱いについて、米側と協議する。
 防衛省は導入総経費について、1基1,260億円の本体費用や教育訓練費、維持管理費を含め4,504億円を見積もっていたが、うち1,787億円は契約済みで、システム情報の取得費など125億円は既に米国に支払い済みである。
 Aegis Ashore用のAN/SPY-7レーダにも契約額350億円のうち65億円を支出しているが、防衛省はSPY-7レーダを護衛艦に転用可能かどうか検討する。
 河野太郎防衛相は6月16日の衆院安全保障委員会で、Aegis Ashoreに代わりAegis艦による警戒態勢の増強も選択肢と表明し、Aegis Ashoreのシステムを護衛艦に搭載することもできると答弁していたが、技術的な検討作業はこれからである。 (2007-061901)

 河野防衛相が6月15日にAegis Ashore 2個システムの計画中止を発表した。
 2019年11月にLoxkheed Martin社に発注したSPY-7レーダは、新型のAegis艦に搭載されることになるとみられる。 (2008-062903)

 複数の政府与党関係者が7月4日、Aegis Ashoreの計画断念を受けたBMDの代替策としてAegis艦を2隻程度増やし、海自の乗組員不足を補うため業務の一部を陸上自衛隊員に担わせる案を政府が検討していることを明らかにした。
 同様の事例として、ソマリア沖の海賊対処のため海自が拠点を置くジブチで、陸自支援隊が補給や警備を担当している。 (2008-070404)

 複数の政府関係者が、政府がAegis Ashoreの配備計画断念に伴う代替策としてAegis艦を2隻増やす検討に入ったことを明らかにした。 河野防衛相は6月16日の衆院安全保障委員会で、Aegis Ashoreの配備計画断念を踏まえAegis艦を増やす選択肢が考えられると述べていた。
 Aegis Ashore向けに契約したAegisシステムやレーダをAegis艦に転用できれば5~6年後にも艦の新造が可能で、支出も無駄にならない。
 一方、2隻で計4,000億円近い建造費がかかる上、計600名の乗組員が必要となるうえ、艦艇の洋上展開は悪天候の影響も受けやすく、山村海上幕僚長はAegis AshoreのようなAegis艦に代わるものを引き続き要望していくと語っている。 (2008-070604)

 河野防衛相が7月8日、Aegis護衛艦を2隻増強する案を検討しているとの報道を認めた。
 Aegis艦の運用には300名ほどが必要で、この人員不足を補うため防衛省はAegis Ashoreを装備するはずであった陸上自衛隊からの人員転用が可能かどうか検討しているという。 (2009-072209)

 政府はBMDなどに当たる人員を確保するため、海上自衛隊の自衛官を2,000名以上増員する方針を固めた。
 現在の採用の仕組みを見直し、早ければ令和3年度予算案で人件費を増額させ、現在43,000名の海上自衛官を数年かけて45,000名以上に増員する。
 Aegis Ashore配備断念を受け、海自の体制強化が必要と判断した。 (2009-081805)

分離配備案

 事情に詳しい関係者が7月10日、配備停止を決めたAegis Ashoreについて再び計画を進める可能性があることを明らかにした。 それによると、レーダと発射機を別々の場所に設置し、ブースタ落下の危険性を取り除くことを検討しているという。
日本政府は米政府の提案に基づき、他の場所に配備が可能か、技術的な調査を進めることを検討しているという。 (2008-071009)

 複数の政府関係者が7月19日、政府が配備計画を断念したAegis Ashoreの代替策について、海上自衛隊が現在保有している護衛艦を改修して対応する案を検討していることを明らかにした。
 Aegis AshoreのSPY-7レーダは地上に配備して当初配備予定だった秋田県と山口県に置けば日本全体をカバーし、残るミサイル発射装置などは護衛艦に搭載する。
 この案だと契約額350億円のうちすでに65億円を支出しているレーダも無駄にならないし、退役が計画されている護衛艦にAegisシステムを搭載して延命措置をとり、海自全体の護衛艦態勢に不足が生じないようにすることも検討する。 (2008-071902)

 政府筋が7月21日、Aegis Asore計画断念を受けたBMDの代替策として、政府、自民党内でAegis艦増隻など2案が浮上していることを明らかにした。
 もう一案は地上に分離して設置したレーダでBMを探知し、護衛艦が迎撃ミサイルで撃ち落とすもので、17日の国家安全保障会議 (NSC) で2案を含む複数の案が議論された。
 防衛省は17日のNSCで、レーダ分離案を提示した一方、出席者からはAegis艦増隻を検討すべきだと意見が出た。 (2008-072106)

洋上配備案に米側が難色

 Aegis Ashoreに代わるBMD装備について、防衛省は製造中のものを改修し洋上に配備する方向で検討しているが、米側からコストが膨大になるため合理的ではないという趣旨の指摘を受けていたことが、関係者への取材で分かった。
 Aegis Ashoreのシステムは陸上配備を前提に設計されているため、波の影響に耐えられるよう設計を大幅に見直すといった対応が必要になることを念頭に置いた指摘とみられる。 (2010-092302)

6・3・3・3・3 Lockheed Martin社と Raytheon社の攻防

 政府がAegis Ashoreの配備を停止したことを受け、Raytheon社が代替案の売り込みに動いている。 同社はAegis Ashore用レーダの選定でLockheed Martin社に敗れており、複数の関係者によると、防衛政策に影響力のある日本の議員らに働きかけを強めている。
 Raytheon社は護衛艦あたごを改修しSPY-6を搭載することを提案している。 2025年までに配備可能だという。 その後SPY-6を搭載したAegis艦を新造することを提案している。
 これに対してLockheed Martin社は、レーダを分離して地上の他の場所や艦艇に配備することなどを日本側に提案している。
 Lockheed Martin社はロイタの問い合わせに対し、同社のSPY-7は艦艇に搭載可能で、開発中で実績のないレーダという懸念が一部であることに対しては、能力に問題はなく世界で最も先進的なレーダであり、日本の安全保障に合致していると述べた。 (2008-073007)
【註】AN/SPY-6はLockheed Martin社製AN/SPY-1Dレーダを搭載したArleigh Burke級駆逐艦のFlight Ⅰ、Flight Ⅱ、Flight ⅡAの後継として建造中のArleigh Burke級Flight Ⅲが装備する、SPY-1の2倍程度の捕捉距離を持つ高性能レーダであるが、米海軍はSPY-6をやや小型化して既に就役しているArleigh Burke級駆逐艦にも搭載しようとしている。
6・3・3・3・4 Aegis Ashore 代替

代替案の方向性

 政府がAegis Ashoreの代替案として、BMDに特化した護衛艦の増備を軸に検討しており、2020年末にも方向性を決める。
 高度な防空能力を持つAegis艦でなく専用艦で費用を抑えられる。 (2010-090401)

 複数の政府与党関係者が政府が9月19日、Aegis Ashoreの代替策を洋上案に絞ったことを明らかにした。
 分離案は技術的に困難と判断したしたもので政府は24日に自民党会合など与党側に説明する。
 洋上案は、Aegis艦を新造する案や、BMD専用の護衛艦を配備する案が検討されている。 (2010-092001)

 防衛省が9月24日午前に自民党の国防部会と安全保障調査会の合同会議で、導入を断念したAegis Ashore代替案について、洋上案を軸に検討を進める方針を明らかにした。
 同省は洋上案の具体例として、以下の3案を示した。 (2010-092401)

① 民間の商船

② 自衛隊の護衛艦

③ 海上に構築した石油採掘装置のような施設

BMD 専用艦建造案

 政府が9月24日、Aegis Ashoreの導入断念を受けた代替策として、Aegis Ashoreの構成品一式を洋上で運用する3案を自民、公明両党の関連部会に提示した。
 両党関係者によると、政府はこのうちBMDに特化した護衛艦を新造する案を検討の軸になると説明している。 (2010-092404)

 政府が進めているAegis Ashore代替案の検討で、有力となっているAegis艦を新造する場合、費用は2隻で5,000億円超との試算が出ていることが、関係者への取材で分かった。
 発射機など米国から購入が見込まれる装備品の金額が流動的な面もあるが、Aegis Ashoreの倍程度の費用がかかることになる。
 3月に就役したAegis艦まやの建造費は1,720億円でこれと比べても1.5倍で、SPY-7を搭載するためには船体の大型化が必要なことなどから割高になるとみられる。 (2012-112201)

BMD 専用艦建造が有力と米側に伝達

 複数の政府関係者が9月5日、政府がAegis Ashoreの代替策として、BMDに特化した専用艦建造を有力案とする方針を米側に伝達したことを明らかにした。
 安倍首相は退任前の9月前半に、敵基地攻撃能力保有の方向性も含めたミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな考えを談話の形で打ち出す意向である。 (2010-090503)

 日本政府が、配備を断念したAegis Ashoreの代替案として、BMDに特化した専用艦建造を有力案とする方針を米側に伝達した。
 これについて北朝鮮外務省は9月19日に同省の日本研究所研究員の「地域の平和と安定を破壊する主犯」と題した文章をホームページに掲載し、極致であり言語道断と批判した。 (2010-092002)

洋上配備の方向

 岸防衛相が9月24日、中止されたAegis Ashore 2個システムの後継は洋上配備の方向で進めることを明らかにした。
 洋上配備には護衛艦の追加建造、商船の改造、オイルリグ状の構造物などが検討対象になるという。 (2012-100702)

艦船方式案が有力

 防衛省はAegis Ashoreの代替案として艦船方式で調整している。
 Aegis艦は攻撃に強い半面、導入時に多額の費用がかかるほか悪天候時に高波の影響を受けやすく、常時監視には使いにくいとされる。
 専用船は導入費を抑制できる一方、外部の攻撃から守る装備がないため安全性に課題がある。
 大型のタンカーのような形状にすればAegis艦より波の影響を受けにくいとの指摘もあり、防衛省は三菱重工業、ジャパンマリンユナイテッドの2社の技術調査を踏まえて判断する。
 艦船の運用に関わる人員の不足も課題で、海自の負担を減らすため、防衛省内では海自は艦船の運航管理に特化し、迎撃システムの運用を陸自が担うなどの案が検討されている。 (2011-101502)

 政府はAegis Ashoreの代替策3案のうち、石油掘削装置(オイルリグ)型は外部からの攻撃に弱いことなどを理由に、検討対象から外す方針を固めた。
 残る2案はいずれも艦船で、タンカーなど商船型かAegis艦を含む護衛艦型である。 (2011-101511)

Lockheed Martin社が洋上型転用の回答

 防衛省が配備を断念したAegis AshoreについてLockheed Martin社の幹部が10月15日までに、オンラインによる取材に応じ、SPY-7レーダなどを洋上型に転用する代替案を検討していることについて、「日本政府の選択に、完全に対応できる準備を整え、サポートする」と強調した。 (2011-101514)

防衛省、自民党に洋上配備案への理解を要請

 防衛省が10月16日に自民党の国防部会と安全保障調査会の合同会議でAegis Ashoreの代替策を巡り、SPY-7を含む装備品を洋上で運用する案への理解を求めた。
 合同会議では、防衛省幹部がSPY-7の連続運用時間や探知距離高度について数値を示しながら米海軍が採用したRaytheon社製SPY-6より優れていると説明したのに対し、複数の議員から「一旦契約を済ましたから無理にSPY-7を使おうとしているのではないか」と、装備品を変更しないまま洋上案を推し進める防衛省の姿勢に対し懸念が上がった。 (2011-101608)

自民議連、イージス艦新造を提言

 自民党国防議員連盟が10月20日の会合で、Aegis Ashoreの代替としてAegis艦の新造を政府に検討するよう求める提言の原案を議連メンバーに提示した。
 現在運用するこんごうの老朽化を踏まえ、新艦への更新の必要性を盛り込んだもので、23日にも取り纏めたうえで月内に政府に提言する方針である。 (2011-102004)

 自民党の国防議連が10月23日に党本部で会合を開き、Aegis Ashoreの代替策として、Aegis艦を建造するよう求める提言をまとめた。
 来週にも政府に提出する。 (2011-102302)

 岸防衛相が10月27日の記者会見でAegis Ashoreの代替策の取り纏めに関し、「スケジュール感については予断を持って話すことは控えたい」と述べ、これまで年末までに取りまとめる方針だったが、検討作業が難航しているのを受け越年に含みを持たせた。 (2011-102704)

BMD レーダに SPY-7 を採用する方針

 防衛省はBMを探知する高性能レーダとしてLockheed Martin社のSPY-7を導入する方針を固め、Aegis Ashore代替としてAegis艦に搭載することを検討する。
 自民党内では、米海軍で採用実績のあるRaytheon社のSPY-6を推す声が根強いが、防衛省はSPY-7の探知範囲が広域かつ高高度に及び、性能が高いと判断した。 (2011-102804)

政府が代替としてAegis艦を新造する方針

 政府がAegis Ashore代替としてAegis艦を新造する方針を固めたのは、当初想定したBMD能力にとどまらず、CMをはじめ多様な脅威に対応できる能力を保有すれば防衛力の底上げにつながると判断したためである。
 6月にAegis Ashoreの配備断念が発表されて以降、さまざまな案が浮かんでは消えたが、Aegis艦新造を求める自民党の声も代替策の絞り込みに影響した。 (2011-102809)

 NHKが10月15日に、9月下旬に計画が中止されたAegis Ashore 2個システムの代替は洋上設置案が有力と報じた。
 洋上案には新型Aegis艦の建造案、大型商船の改造案、オイルジグ状の構造物案がある。 (2012-102804)

 複数の政府関係者が10月31日、政府がAegis Ashore代替策となるBMD艦について、大型化する方向で検討に入ったことを明らかにした。
 乗組員の負担軽減を図るため、居住空間を拡大する目的で、Aegis艦としては海上自衛隊で最大となる。
 最新のAegis艦まや(幅21m、基準排水量8,200t)より数m拡幅し、9,000t程度にする方向で調整する。 (2012-110101)

 防衛省はAegis Ashore代替について、11月25日に開かれた自民党の会合で、民間の調査で防御性能や機動性が最も優れているとされたAegis艦の建造を求める意見が大勢を占めたことから、与党側の意見も踏まえAegis艦を増強する方向で検討を進めることにした。
 防衛省はこれまで、代替案として船を活用する案を軸に検討を進めてきた。 (2012-112603)

Aegis艦2隻に IAMD 能力付与

 複数の政府関係者が、政府がAegis Ashore代替について、北朝鮮のBMだけでなく、高性能化が進む中国のCM迎撃も想定したIAMD能力も保持する新型Aegis艦を建造する案を軸に検討していることを明らかにした。
 新型艦の規模は、来年3月に就役予定のAegis艦はぐろ(全長170m)程度の大きさにする案が出ている。
 新型Aegis艦にはAegis AshoreのSPY-7レーダや発射装置を転用したBMD機能に加え、船や潜水艦、戦闘機による攻撃に対処する自己防護能力も持たせる。 (2012-110102)

 複数の政府関係者が11月4日、Aegis Ashoreの代替としてAegis艦2隻を新造する検討に入ったことを明らかにした。 また、地上配備の目的だったBMDだけでなく、航空機やCMにも対応できるIAMDの機能を持たせる。
 技術的課題の検証を委託した民間業者から11月中旬にも中間報告を受け最終的な結論を出し、12月下旬に編成する令和3年度予算案に関連経費を計上する見通しである。 (2012-110405)

Aegis艦2隻の要員確保

 防衛省がAegis Ashore代替としてAegis艦を2隻を新造する方針で、新たに海上自衛隊の乗組員500名程度の確保を図る。
 Aegis Ashoreの運用は陸自の担当だったが、システムを艦艇に搭載するため、運用は海自が受け持つ見通しである。
 Aegis Ashoreは国内2ヵ所を予定していたため新造艦も2隻とするが、1隻当たりの乗組員は250名程度を見込み、導入が決まっている8隻のAegis艦とともに就役させる。 (2012-112401)

 防衛省が25日の自民党国防部会と安全保障調査会合同会議で、海上自衛隊の人手不足対策として令和元年度に始めた定年の1歳引き上げを、6年度以降は2歳引き上げる方針を明かした。
 もともと自衛隊員の定年は3曹~1佐を53~56歳と定めていたが、元年度から54~57歳への引き上げを順次開始しており、6~10年度には55~58歳に引き上げる。(2012-112603)

 Aegis Ashoreの代替策として新型Aegis艦建造が有力となっており、人手不足が一層深刻化する懸念が指摘されていたが、定年を2歳分引き上げることで2,000名程度のベテラン隊員が勤務を継続でき、引き上げ前に比べて800名程度のAegis艦乗組員を新たに確保できる見通しとなる。 (2012-112504)

Aegis艦2隻の建造費

 防衛省が自民党の会合で、Aegis Ashoreの代替策で新型Aegis艦を建造する場合には5,000億円以上の費用がかかるとの試算を公表した。
 Aegis Ashoreを2個システム装備する際の費用は4,000億円であるが、新型のAegis艦を2隻建造した場合は5,000億円以上、民間船舶案では4,000億円以上など、いずれの案でも、当初の費用を超えることが分かった。 (2012-112503)

Aegis艦2隻建造で閣議決定

 複数の政府関係者が11月27日、政府がAegis Ashoreの代替としてAegis艦2隻を建造する方針を閣議決定する方向で調整に入ったことを明らかにした。
 令和3年度の防衛予算に反映させるため、自民、公明両党の了承を経た上で12月中旬を軸に想定している。 防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画(中期防)も修正する。 (2012-112802)

6・3・3・3・5 国家安全保障戦略、防衛計画大綱、中期防の修正

決定に向けた行程

 河野防衛相が6月19日の記者会見で、Aegis Ashoreの配備計画の停止に伴い、令和元~5年度の防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画(中期防)が修正される可能性があると説明した。
 政府は、国家安全保障会議 (NSC) でAegis Ashoreの撤回を決める公算が大きく、その場合は大綱と中期防の修正についても議論に入る。 (2007-061903)

 政府はAegis Ashore配備計画について、今週半ばにも国家安全保障会議 (NSC) を開き撤回する。
 これに合わせて外交防衛の基本方針となる国家安全保障戦略の初めての改定に向けても議論を始めることにしている。
 政府は国家安全保障戦略を平成25年の策定以来、初めて改定するとともに、防衛計画の大綱などの見直しも進める。 (2007-062101)

 政府は6月24日に国家安全保障会議 (NSC) の4大臣会合を開き、Aegis Ashoreの導入計画停止を受け、安全保障戦略の見直しに着手した。
 会合では河野防衛相がAegis Ashoreの導入計画停止を報告し、これを受けBM脅威への対応の在り方について協議した。
 政府はAegis Ashore導入計画を撤回する方針を固めており、24日の会合で正式に決めることを検討していたが、米側との協議が継続中であることを踏まえ、プロセス停止の報告にとどめた。
 政府は2020年夏を通して集中的に議論し、2013年にまとめた「国家安全保障戦略」の初改定を検討するが、安倍首相が検討を表明した敵基地攻撃能力保有の是非が最大の焦点となる。 (2007-062402)

NSC 4大臣会合で決定

 政府が12月3日に菅首相や麻生副総理兼財務相のほか茂木外相、岸防衛相、加藤官房長官が出席した国家安全保障会議 (NSC) 4大臣会合を首相官邸で開いた。
 関係筋によるとAegis Ashoreの代替案や敵基地攻撃能力保有の是非について協議した。
 政府は複数の代替案ついて技術的課題の検証を民間に委託しており、今回は業者からの報告に基づきAegis艦への絞り込みを進めたとみられるが、2020年内にNSC 9大臣会合を開き、代替案については結論を得る方針と見られる。 (2101-120303)

 政府が12月3日に国家安全保障会議 (NSC) 4大臣会合を首相官邸で開いた。 Aegis Ashoreの代替として新型Aegis艦を2隻建造する調整を進めており、会合では導入に向けた詰めの協議を行ったとみられる。
 政府は新型Aegis艦ついて、護衛艦まやをベースとし、更に大型化させてAegis Ashoreで導入予定だった装備を転用したい考えである。 (2101-120305)

代替 Aegis艦の具体像は先送り

 複数の関係者によると、12月3日の国家安全保障会議(NSC)で、Aegis Ashore代替をAegis艦とする方針が確認され、12月中に閣議決定する見通しだが、コスト面などで見通せない要素が多いため艦の具体像はまだ絞らず、年明け以降に検討を続ける。
 ただ、現状ではどんな艦にするか絞り込むには材料が乏しいため、護衛艦だけでなく広い意味で艦船とすることにとどめるという。 (2101-120701)

 複数の政府関係者が12月19日、新たに導入を決定したAegis艦2隻に開発するStand Offミサイルを搭載する検討を始めたことを明らかにした。
 2隻は北朝鮮からのBMの警戒監視や迎撃を主任務とする方針だが、中国の海洋進出を念頭に南西諸島防衛を強化するため、艦船の機動力を生かせば島嶼防衛での活用も可能だと判断した。 (2101-121904)

閣議決定

 政府が12月18日の閣議で、Aegis Ashore代替としてAegis艦2隻の新造を含むBMDに関する文書を決定した。
(2101-121801)

6・3・4 早期警戒衛星

6・3・4・1 日本独自衛星

リム観測早期警戒衛星構想
 関係者が10月27日、防衛省が中露の最新鋭ミサイルに対応する新たな手法の調査研究に乗り出すことを明らかにした。
 同一軌道上に複数の人工衛星を展開し、遠くを飛んでいるミサイルを横方向から探知するリム観測と呼ばれる手法で、今後実用化の可能性を探る。
 多数の小型衛星を低高度の軌道上に張り巡らせて警戒に当たる米計画と複数の衛星を用いる点は同じだが、ミサイルを真下に見下ろす形になる米計画に対し、リム観測は遠距離から横方向に観測するため、衛星1基当たりの観測範囲が広くなり、少ない衛星数での運用も期待できる。 (2011-102801)
【註】大気辺縁観測(Limb 観測)とは衛星から地球中層大気を観測する手法で、普通は観測衛星が地平線近くにある太陽から大気を通過した光を観測して大気圏中の化学物質等の分析を行う。
 Limb観測でBMを捕捉すると言うことは、エンジンを噴射中のミサイルが発するIRを衛星が横から観測し、大気を通過できる特定波長のIRを捕捉しようとするものではないかと想像される。
6・3・4・2 米計画との共同

衛星コンステレーションへの参加

 複数の政府関係者が8月30日、米国の新たなBMD構想を支える「衛星コンステレーション」への参加に向け、防衛省が来年度予算概算要求に調査研究費を計上する方向で調整していることを明らかにした。
 構想に本格参入すれば多額の経費が必要となるため、政府は費用対効果や実現可能性を慎重に見極める。
 衛星コンステレーションは300~1,000kmの低軌道に1,000基以上の小型衛星を投入する構想で、2022年に実証機20基を打ち上げる。 通常数百億円かかる衛星の費用を、小型衛星は5億円程度に抑えるが総費用は1兆円以上とされる。
 政府は、米国の開発状況を把握し、日本が得意とする高感度、広範囲の情報収集を可能にするIRセンサの活用を念頭に、参入の可能性を模索する。 (2009-083002)

 12月21日に閣議決定された来年度予算案で、防衛省が多数の小型衛星を打ちあげる衛星コンステレーション(監視衛星群)計画に研究費1.7億円を計上した。
 中露の極超音速兵器は米国の早期警戒衛星でも探知が難しいため、同計画は低い軌道に数百から1千超の小型衛星を打ちあげて発見、追尾を行うというもので、米軍と連携した小型衛星群という新たな目を得ることで、新型ミサイルへの対処を可能にする狙いがある。 (2101-122201)

 複数の政府関係者が12月30日、政府がMach 5以上で飛来する極超音速滑空兵器への対処策取りまとめに向け、年明けにも本格的な研究に着手することを明らかにした。
 中国やロシアの開発進展を警戒し、日米協力による抑止力向上を目指す。
 具体的には、人工衛星を使ったミサイル探知の新手法を検討で、米国との手法の共有も視野に入れ、米側の小型人工衛星群(コンステレーション)計画に参加する意向である。 (2101-123002)

6・3・5 PAC-3

PAC-3 MSE 弾を習志野、浜松、芦屋、築城の4基地に配備

 航空自衛隊がPAC-3の改良型であるPAC-3 MSE弾を、3~6月に習志野、浜松、芦屋、築城の4基地に配備したと明らかにした。 今後、各地の部隊で順次改修を進める。
 PAC-3 MSEは迎撃高度が従来の十数kmから数十kmに延び、防護できる面積は2倍以上に拡大すると共に、レーダがより小さな目標も探知できるようにもなっている。 (2007-061203)

沖縄の4個高射隊に PAC-3 を配備

 沖縄県内には4個高射隊があり、これまで那覇基地にPAC-3、恩納にPAC-2、知念にPAC-3とPAC-2が置かれていたが、今年8月までにPAC-2の2個高射隊をPAC-3に切り替えた。
 井筒航空幕僚長は25日の記者会見で、全国に24個高射隊が置かれているPatriotについて、PAC-3かPAC-3 MSEに更新したと発表した。 (2010-092602)

6・3・6 03式中SAMの改良

 防衛省が令和2年度に、北朝鮮がBMの性能を上げていることに対応するため、新たな迎撃システムの研究に着手する。
 着弾前に急上昇する変則軌道の新型BMに対応するため、03式中SAMを複数年かけ迎撃能力が備わるように改良する。 (2002-010701)
6・3・7 BMD の実行動

 特記すべき記事なし
6・4 我が国周辺の警備

6・4・1 海洋安全保障政策

北極海での観測活動

 政府が令和3年度から北極海での観測活動を進めるため砕氷機能を持つ研究船建造に本格着手するため、令和3年度予算案に4億数千万円を計上し、5年間で総額335億円を投じる。
 建造する北極研究船はUUVでの海氷観測や音波探査など最新機器を搭載したデータ収集により海氷の分布や動きを予測し、海氷域航行の安全確保にも生かすもので、北極海の調査研究で先行する中国を牽制し、海上交通路として重要性が増す北極海航路でのプレゼンス強化につなげる狙いがある。
 文部科学省は平成29年度予算に研究船の調査費を計上し、令和2年度予算に基本設計費3億円を盛り込んでいた。
 3年度概算要求で初年度建造費として8億2,000万円を計上したがCOVID-19の感染拡大により財政状況が悪化し不透明となっていた。 (2101-121302)

6・4・2 中国に対する監視

 特記すべき記事なし
6・4・3 南西防衛を重視した部隊配置

6・4・3・1 対空/対艦ミサイル部隊

中 SAM 改を沖縄本島に

 複数の政府関係者が1月5日、政府が03式中距離地対空誘導弾改善型(中SAM改)初の配備地として沖縄本島を選定し2021年3月までに配備する計画で、早ければ今年後半にも一部が置かれる見通しであることを明らかにした。
 平成29年度予算で初めて予算化した中SAM改は、令和元年度までに予算化された3個FU全てを沖縄本島に振り向け、現在中SAMを装備している第15高射特科連隊に配備する。 (2002-010503)

宮古島に中 SAM / SSM

 2019年3月に普通科部隊を主軸として新設された陸上自衛隊宮古島駐屯地に、2020年に入りミサイル部隊の増強が開始され、駐屯地内には2月下旬以降に搬入された、地対艦ミサイルや中距離地対空ミサイルの発射機など30両以上の車両が並ぶ。
 冷戦時代の陸自は「北方重視」で戦車部隊を主軸に旧ソ連からの侵攻に備えていたが、現在は海上防衛をも担う「南西重視」に転換しており、2016年に日本最西端の与那国島に沿岸監視隊を設け、2019年3月には宮古島と奄美大島に駐屯地を新設している。
 今後は石垣島にも同様の部隊を置く予定である。 (2004-032301)

 陸上自衛隊が3月26日、12式SSM部隊を宮古島駐屯地に同日付で新編したと発表した。 12式SSMは200kmの射程であるが、改良して倍程度に延伸する案もある。
 03式中SAM部隊も26日付で長崎県から宮古島駐屯地に移駐させた。 (2004-032605)

 陸上自衛隊が4月5日、宮古島市に新設されたミサイル部隊の編成完結式を宮古島駐屯地で行った。
 同駐屯地は昨年3月に警備部隊が駐屯しており、ミサイル部隊と合わせて700名規模になる。
 竹松駐屯地から移駐した第7高射特科群は03式中SAMを装備し、新編された第302地対艦ミサイル中隊は12式SSMを装備している。 (2005-040501)
【註】竹松駐屯地に駐屯していた第7高射特科群は、2020年3月26日に群本部及び本部管理中隊、第346高射中隊、第307高射搬送通信中隊の一部が宮古島駐屯地へ移駐し、竹松駐屯地司令職は第327高射中隊長が担うことになった。

 防衛省が3月26日、宮古島駐屯地にSAM中隊とSSM中隊、合わせて340名を配置したと発表した。 SAM中隊は180名で03式中SAM改を装備している。
 SSM中隊は60名で、88式SSM-1を改良した12式SSMを装備している。 この他に100名の部隊が加わるが、その任務は明らかにされていない。
 宮古島駐屯地には2019年3月に360名が配置されているため、合わせて700名になる。 (2005-040812)

6・4・3・2 陸上部隊

離島で大規模戦時医療訓練

 陸上自衛隊が南西諸島の離島などで過去最大規模の戦時医療訓練を行っており、11月1日はヘリによる戦闘地域で負傷した人たちの輸送などがあった。
 訓練は鹿児島県徳之島の防災センタに野戦病院が設置され、負傷者を熊本県に搬送するという内容で、実際の離島を戦時医療の拠点とした実地訓練は自衛隊史上初めてという。 (2012-110103)

6・4・3・3 海上部隊

 特記すべき記事なし
6・4・3・4 航空部隊

 中国機へのスクランブル任務が頻発している那覇基地には、能力向上型のF-15を継続して配備する見通しである。 (2011-100501)
6・4・3・5 電子戦部隊

相浦、奄美、那覇、知念に電子戦部隊

 複数の政府関係者への取材で、防衛省が電子戦部隊を沖縄本島に新設する検討に入ったことが明らかになった。
 沖縄本島の既存の陸自施設内に数年のうちに拠点を置く方向で、令和3年度概算要求に関連費用が盛り込まれる見通しである。
 南西諸島周辺では昨今、中国軍が自衛隊の使う電波などの情報を集めるなど動きを活発化させており、そうした現代戦に特化した部隊も必要と判断した。 (2010-092102)

 陸上自衛隊奄美駐屯地に令和3年度、電子戦の専門部隊が新たに編成される。
 防衛省の令和3年度の予算概算では、電子戦に関する情報収集システム取得など、関連経費として88億円を要求して、陸上自衛隊は3年度に電子戦部隊を朝霞駐屯地を司令部に、留萌、相浦、奄美、那覇、知念の駐屯地合わせて6ヵ所に新編する。
 奄美駐屯地には健軍駐屯地の部隊の一部が加わるとみられるが、規模などは明らかになっていない。 (2011-100106)

6・4・3・6 馬毛島の FCLP 基地計画

 防衛省が8月7日、鹿児島県西之表市の馬毛島に整備する自衛隊基地の計画案を公表した。 滑走路2本を新設し、格納庫や燃料施設、弾薬庫なども備える。
 工期は全体で4年程度で、秋にも環境影響評価手続きを開始する。
 主滑走路は2,450m、V字型に交差する横風用滑走路は1,830mとした。
 米軍の発着艦訓練 (FCLP) では騒音の影響を軽減するため、種子島上空を飛ばずに海上に飛行経路を設定した。 また陸海空の各自衛隊も馬毛島基地で訓練を実施する。
 馬毛島基地に恒常的に勤務する自衛隊員は航空交通管制、施設の維持管理、警備などにあたる150~200名程度で、種子島に整備する宿舎に住み、船での往復することを想定している。 (2009-080704)

 河野防衛相が8月11日、西之表市馬毛島への自衛隊基地整備と米空母艦載機の陸上離着陸訓練 (FCLP) 移転計画について、南西諸島の防衛が日本の安全保障上、極めて重要になっており、基地は要の一つになると期待すると述べ、地元に特に理解してほしいと強調した。 また海上自衛隊の燃料補給に使いたい考えも示した。
 基地の主な管理はFCLPが暫定的に行われている硫黄島と同様に航空自衛隊がを担う方針という。 (2009-081103)

6・4・3・7 南西諸島部隊配置の問題点

 南西諸島で、自衛隊の航空機や艦艇が使用できる空港や港湾が少ないとの懸念が自民党内で出ている。
 南西諸島の20空港のうち、18空港は2,000m以下の滑走路のため、戦闘機、哨戒機、早期警戒機が離着陸できず、戦闘機が支障なく離着陸できる長さの滑走路は沖縄本島にしかないが、尖閣諸島からは420km離れている。
 このため沖縄県が認めていない下地島空港の自衛隊利用の解禁を求める声がある。 下地島空港は3,000mで性能上は可能だが、1971年の琉球政府と日本政府の確認書に基づき自衛隊の使用が認められていない。
 南西諸島には大型護衛艦や輸送艦が停泊できる水深6~7m以上の港湾も少ない。
 沖縄本島以西に約20の有人島が連なる先島諸島では宮古島の平良港と石垣島の石垣港のみで、輸送艦が入れなければ有事の際、海上ルートで速やかに住民を避難させることができない。 (2009-082202)
6・4・3・8 緊急時米軍受け入れ基地の準備

新田原基地の米軍受け入れ施設

 航空自衛隊新田原基地で緊急時に米軍を受け入れるための施設の工事が9月1日から始まることになった。
 整備されるのは、弾薬庫や燃料タンク、それに駐機場などで、九州防衛局は基地周辺の住民に対し7月中に工事を始めたいと説明していたが、COVID-19感染者が再び増加した影響などで調整が遅れ9月1日の着工となった。 (2009-082905)

6・4・4 航空自衛隊の緊急発進

6・4・4・1 対中国

2019年

 防衛省が1月29日、航空自衛隊が2019年4~12月に緊急発進した回数は742回と、前年の同時期より16回減少したと発表した。
 前年同時期と比べ、対中国機は47回増えて523回で、尖閣諸島周辺などを担当する南西航空方面隊が461回で最多だった。 (2002-012902)

2020年

 防衛省が10月9日、航空自衛隊戦闘機の緊急発進が、令和2年度上半期に前年同期と比べて99回減少した371回あったと発表した。
 同省によると、中国機への対応は98回減の234回で全体の63%を占め、ロシア機は36%の134回で1回減った。 (2011-100903)

6・4・4・2 対ロシア

 防衛省が1月29日、航空自衛隊が2019年4~12月に緊急発進した回数は742回と、前年の同時期より16回減少したと発表した。
 前年同時期と比べ対ロシア機は216回で54回減った。 (2002-012902)
6・4・5 南西諸島防衛演習

 尖閣諸島の日本からの奪取を狙う中国の動きが激しさを増しているなか、8月に関係者が「夏の態勢」とひそかに呼んでいた演習が秘密裏に実施された。
 演習は陸上総隊司令部が前進司令部を沖縄に置くというもので、その目的は尖閣防衛以外にない。
 夏の態勢演習では陸上自衛隊のさまざまな部隊が、沖縄本島および周辺の島嶼部に秘密裏に展開されるが、何処にどの様な部隊が配置されるのかについては極秘で、徹底的に隠されている。 (2010-090402)
6・4・6 日本海警備の強化

6・4・6・1 大和堆周辺での違法操業

 能登半島沖の日本の排他的経済水域にある大和堆周辺では、ここ数年北朝鮮のイカ釣り漁船による違法操業が相次いでいて、2019年に海上保安庁は1,308隻に退去警告を行い、このうち252隻に放水を行ったという。 (2002-010902)

 スルメイカなどの好漁場である日本海の大和堆周辺で今年、中国の大型漁船が急増している。
 水産庁は9月末、わが国の排他的経済水域 (EEZ) にもかかわらず、日本漁船に対し安全を確保するため特定の海域に入らないよう求めた。
 自国のEEZにある漁場に入れないのは異常事態である。 (2011-101509)

6・4・6・2 日本海での対潜哨戒

 朝鮮半島周辺の海中では韓国と北朝鮮だけでなく、米露中日の潜水艦が密かに行き来する。 特に水深が深い日本海は世界で潜水艦の活動が最も旺盛な海域の一つである。
 日本は冷戦時代、宗谷海峡に2隻、津軽海峡に2隻、対馬海峡に2隻の潜水艦を配置した。
 潜水艦隊司令官を務めた小林正男提督は「米国の要請でロシアのウラジオストクから太平洋に向かうソ連の潜水艦を監視しなければならなかった。 そのためには3海峡にそれぞれ2隻を配置する戦略に基づき、交代や整備などを考慮して16隻体制という潜水艦保有戦略が構築された」と述べた。 (2004-031602)
6・4・7 重要施設周辺地の監視強化

安全保障上重要な施設周辺の土地への監視強化

 政府が10月8日、自衛隊基地など安全保障上重要な施設周辺の土地を外国人らが取得することへの監視を強化するため、新法を制定する方針を固め、2021年の通常国会に法案を提出したい考えであることを明らかにした。 月内にも有識者会議を設置し、新法の具体的内容の議論を始める。
 菅首相は同日、領土問題を担当する小此木国家公安委員長と首相官邸で会談し、新法制定に向けた検討方針を了承した。
 新法では、日本の領海や排他的経済水域 (EEZ) の基点となる国境離島や、自衛隊関連施設、原発などを「安保上の重要施設」に指定し、周辺の土地を調査対象とする方向で、事前に土地買収計画の届け出を求めることも検討する。 (2011-100901)

土地取得対応を検討する有識者会議

 政府が、外国資本による安全保障上懸念のある土地取得への対応を検討する有識者会議の初会合を開いた。
 有識者会議では、自衛隊基地や原発の周辺、国境の離島など、安全保障上重要な地域での外国資本の土地取得の実態を把握し監視するため、法整備を視野に対策を話し合う。 (2012-111001)

土地取得対応を把握する法案

 政府が安全保障上重要な施設周辺の土地取引を把握するための新法案骨格が分かった。
 対象の土地は自衛隊施設や排他的経済水域(EEZ)の起点となる国境離島、原発の周辺などのほか、空港や港湾といった重要インフラ周辺を含める案もあり、2021年1月召集の通常国会への提出をめざす。
 防衛施設や原子力発電所などの周辺を対象に、国が実態を調べやすくするもので、取得目的を事前に届け出るよう義務付け、虚偽があれば罰金を科す。 外国資本だけでなく国内企業も調査対象とし、抜け道を防ぐ。
 法整備は経済安保の一環で、米国やオーストラリアは外資による軍施設周辺などの土地取得を厳しく制限している。
 米豪と英国、カナダ、ニュージーランドの5ヵ国で機密情報を共有する枠組みFive Eyesとの協力拡大に向け、国内の土地取引の実態把握が欠かせないとみる。 (2101-121602)

6・4・8 海上保安部隊の強化

大型 UAV の試験運用

 海上保安庁が6月26日、大型UAVの導入可否を検討するため9月から11月にかけて、八戸飛行場を拠点に飛行試験を行うと発表した。
 離着陸や操縦、整備方法などの課題を検証し、実際に導入するかどうかは、運用可能な飛行場の選定や海保での操縦者育成も考慮し判断するという。
 海保によると、使用するUAVは翼端長11.7m、全長24mのMQ-9B Sea Guardian 1機で、滞空性能は35時間である。 (2007-062603)

 海上保安庁は海難事故の捜索や不審船の監視などにUAVが活用できるかを検証するため、10月15日から三陸沖や日本海などで実証試験を始める。
 試験に使われるのはGA社製のSea Guardianで、丸一日以上連続で飛行して日本の排他的経済水域の最も外側を一周する能力がある。
 試験が行われるのは三陸沖や日本海などで、自衛隊の八戸航空基地を拠点にプログラム飛行するほか、地上から遠隔操縦する。 (2011-101503)

 関係者への取材で10月27日に、海上保安庁が実証実験を始めた大型UAVについて、早ければ令和4年度にも導入する方向で同庁が検討していることが分かった。
 ただ、大型UAVは航空法の規定が未整備で、運航ルートが変わる度に国土交通相の許可が必要であるが、国交省航空局は国際安全基準が整備される2025年まで同法を改正しない方針で、海保関係者は「活動が制限されるおそれがある」と懸念している。 (2011-102702)

大型巡視船の整備

 菅首相が12月21日、海上保安体制強化に向けた関係閣僚会議に出席し、同日閣議決定した令和3年度予算案について「わが国の海を守る海上保安官が崇高な使命を全うできるよう今年度補正予算も活用しながら、尖閣、領海警備のための大型巡視船などを整備したい」と強調した。 (2101-122107)

 政府が、尖閣周辺の接続水域内で中国公船の航行が2020年に過去最多を更新していることから、中国の海洋進出への対処を強化するため尖閣諸島周辺の領海警備などにあたる巡視船を急ピッチで整備する。
 1,000t以上の大型巡視船を令和5年度に22隻とし、現在の15隻から5割増やす。
 海上保安庁によると2020年に接続水域を航行した中国公船は21日時点でのべ1,135隻となり、2008年の統計開始以来、初めて1,000隻を超えた昨年を上回っている。
 また領海侵入も繰り返し、日本の漁船に接近する危険な事例もみられる。 (2101-122302)

6・4・9 国境警備

6・4・9・1 離島管理の強化

 河野防衛大臣が、海上自衛隊の南鳥島基地を初めて視察し、海洋進出を強める中国を念頭に島嶼防衛の重要性について強調した。
 河野大臣は南鳥島について、周辺にはレアアースなどの資源がある可能性もあり、日本の権益を守るための重要な拠点だと強調した。
 南鳥島は周囲6kmの小さなサンゴ礁の島で、東京から1,900km以上離れた日本の最東端で、海上自衛隊員12名と気象庁、国土交通省の職員合わせて20名が生活している。 (2008-071102)
6・4・9・2 離島警備警察隊の新編

 尖閣諸島をはじめとする離島の警備にあたる沖縄県警に「国境離島警備隊」が4月1日に発足した。 離島での対応を専門にした初めての警察の部隊で、武装集団が離島に不法に上陸占拠するといった事態に備える。
 警備隊は専従の151名態勢で隊長は警察庁キャリアの警視正、約40名は警視庁など他の都道府県警からの出向者で構成する。
 自動小銃や機関拳銃を装備し県警の施設に本拠を置く。 二十数人乗りの大型ヘリを今年度中に配備する。 大型ヘリは福岡県警にも配備し、沖縄の警備隊の支援に活用する。
 警備隊に関する費用は全額国費が充てられ、警察庁は令和2年度当初予算に約71億円を計上した。 (2005-040201)
6・5 海外活動

6・5・1 ペルシャ湾への派遣

6・5・1・1 派遣準備

事前の根回し

 河野防衛相が1月9日夕にイランのハタミ国防軍需相と電話会談し、ホルムズ海峡を通過する日本関連船舶の航行の安全に関してイランの協力を求めた。
 電話会談は昨年10月以来2回目で約30分間行われ、10日に派遣命令を出す海上自衛隊の中東派遣も説明した。
 防衛相は会談後、防衛省で記者団に「必要な協力、支援は得られる思う」と述べた。 (2002-010906)

 トランプ大統領がイランへの軍事行動を控える方針を示したことを受け、日本政府が1月9日、今週末に迫った安倍首相の中東訪問や、海上自衛隊の中東派遣を予定通りに実施する方向で調整に入った。
 また、河野太郎防衛相は同日、イランのハタミ国防軍需相と電話で協議し、海自派遣を説明して理解を求めた。否定的な反応はなかったという。 (2002-010907)

6・5・1・2 派遣命令発令

 河野防衛相が1月10日、護衛艦たかなみとP-3Cに対し、中東海域への派遣命令を出した。 防衛省設置法の「調査・研究」を名目にした情報収集が任務で、派遣規模は護衛艦と哨戒機を合わせて260名程度になる。
 P-3Cは11日に先行して那覇の基地を出発して20日から活動を開始し、たかなみは2月2日に出航して下旬に活動に着手する。 (2002-011003)

 中東海域で日本関係船舶の航行の安全を確保するために派遣される海上自衛隊のP-3C哨戒機部隊が1月11日、海自那覇航空基地を出発した。
 部隊はP-3C 2機と隊員60名で構成され、11日はクルーらを乗せたP-3Cが活動拠点があるジブチに向けて出発した。 残りの隊員は19日に出国する。 (2002-011104)

 中東海域での日本関係船舶の安全確保に向け、情報収集に当たる護衛艦たかなみが2月2日、司令部要員を含め200名が乗艦して横須賀基地を出港した。
 2月下旬に現地に到着する予定で、1月から任務に就いたP-3Cとともに本格的な活動が始まる。 (2003-020202)

 イランと米国の緊張が続くなか、海上自衛隊の護衛艦たかなみが2月2日に11ヶ月の情報収集任務のため中東に向け出航した。
 この派遣は安倍内閣が2019年12月27日に承認したもので、P-3C 2機は1月21日から任務に就いている。 P-3Cは2009年以来この海域で海賊対策のため派遣されている。 (2004-021202)

6・5・1・3 活動開始

 中東海域に派遣された護衛艦たかなみが2月26日にアラビア海北部で情報収集活動を開始した。 1月から活動中のP-3C 2機とともに防衛省設置法の調査・研究を行うが、日本関係船舶が攻撃を受けるなどの不測の事態が生じた場合には、自衛隊法の海上警備行動に切り替えて対応する。
 たかなみは対象海域のうち、主にオマーン湾やアラビア海北部などの公海で、情報収集活動を行い、バブルマンデブ海峡東側のアデン湾はP-3Cが主に担当する。
 ホルムズ海峡では原則として活動を行わない。 (2003-022601)
6・5・1・4 COVID-19感染拡大下での派遣部隊交代

 河野防衛相が4月3日、中東海域で情報収集活動をしている護衛艦たかなみの後任として護衛艦きりさめを派遣すると発表した。 5月上旬に佐世保基地を出航し、6月上旬から任務を引き継ぐ。
 また、哨戒機部隊の拠点であるジブチでCOVID-19の感染が拡大すれば、活動を中止する可能性も示した。 (2005-040301)
6・5・1・5 派遣期間延長

 政府が、中東地域に派遣している自衛隊の護衛艦と哨戒機を引き続き現地で活動を続ける必要性があるとして、12月6日に期限を迎える派遣期間を1年延長する方針を固めた。
 派遣期間の延長は初めてとなる。 (2012-111902)
6・5・2 艦隊の海外派遣

護衛艦、潜水艦などを南シナ海、インド洋に派遣

 海上自衛隊は9月7日から1ヵ月余りの日程で護衛艦かがなどを南シナ海からインド洋にかけての海域に派遣し、各国の海軍などと共同訓練を行うことにしているが、この訓練に潜水艦1隻を追加で参加させると発表した。
 潜水艦は相手に居場所を知られず警戒監視を行うのが任務で、中国が海洋進出を強めるこの海域への派遣を事前に公表するのは異例の対応で、中国が海洋進出を強めるこの海域への潜水艦の派遣を事前に公表するのを専門家は、中国海軍の出方を伺うねらいがあると指摘している。 (2010-091508)

 海上自衛隊は9月から1ヵ月余りの日程で各国の海軍などと共同訓練を実施するため、南シナ海からインド洋にかけた海域に護衛艦かがなどを派遣している。 10月9日は潜水艦しょうりゅうも参加して対潜訓練を実施した。
 派遣部隊は10日に補給のためベトナム南部のカムラン湾に寄港した。
 日本とベトナムは南シナ海での海洋進出を強める中国を念頭に、連携を強化するねらいがあるとみられる。 (2011-101005)

6・5・3 国連 PKO 活動

 特記すべき記事なし
6・5・4 国際連携平和安全活動

 特記すべき記事なし
6・5・5 人道支援活動等

豪州の森林火災対応支援

 森林火災が続くオーストラリアへの支援活動で、航空自衛隊のC-130H 2機が1月16日にニューサウスウェールズ州の豪空軍基地に到着した。
 国際緊急援助空輸隊として、消火や復旧活動に必要な物資や人員の輸送を行う。 (2002-011602)

6・6 将来戦への対応

6・6・1 サイバ戦

6・6・1・1 わが国に対するサイバ攻撃の実情

6・6・1・1・1 三菱電機に対するサイバ攻撃

2019年6月に発覚した攻撃

 三菱電機が大規模なサイバ攻撃を受け、機密性の高い防衛関連、電力や鉄道といった重要な社会インフラ関連など官民の取引先に関する情報が広く流出した恐れがある。
 同社は不正アクセスの手口などから、防衛関連の機密情報を主に狙う中国系のサイバ攻撃集団Tickが関与した可能性があるとみている。
 本社や主要拠点のパソコンやサーバが多数の不正なアクセスを受けたことが社内調査で判明した。 (2002-012002)

 菅官房長官が1月20日、三菱電機がサイバ攻撃を受けていたことを認め、不正アクセスにより同社の採用応募者や社員に関する個人情報、営業・技術関連情報などが外部に流出した可能性があるが、防衛装備品や電力関係など機微に触れる情報については流出はないことは確認済みだと説明した。
 官房長官は、不正アクセスには中国の組織の関与も取り沙汰されているが、これには言及しなかった。 (2002-012003)

 防衛省が2月10日夜、三菱電機の社内ネットワークが大規模なサイバ攻撃を受けた問題で、流出した可能性のある情報の中に防衛装備品に関する機微な情報が含まれていたと発表した。 三菱電機側から新たに報告を受け、判明したという。
 問題が発覚した1月の段階では、同省は「機微情報の流出はなかったと三菱電機から報告を受けていると説明し、同社も「防衛・電力・鉄道などの社会インフラに関する機微な情報、機密性の高い技術情報や取引先に関わる重要な情報は流出していないことを確認した」としたが、覆される可能性が出てきた。 (2003-021005)

 三菱電機への大規模なサイバ攻撃で、防衛省が研究している高速滑空ミサイルの性能に関する情報が、同社から漏洩した疑いが強いことがわかった。
 同社は当初、個人情報や社内情報流出の可能性があるが、機微な情報は流出していないとしていた。ところが、2月10日に一転して「防衛省の『注意情報』が含まれている」と説明を変更していた。
 防衛省や防衛産業へのサイバ攻撃で、特定の装備に関する情報流出の疑いが発覚するのは異例で、防衛省は他にも防衛装備の機微な情報が流出した可能性があるとみて安全保障上の影響などを調査を進めている。 (2006-052001)

二度目の攻撃

 三菱電機が再び、大規模なサイバ攻撃に見舞われた。
 2019年6月に発覚した攻撃では、BlackTechという中国系ハッカ集団の関与が浮上しているが、同社では今回も中国系集団による攻撃との見方を強めている。
 今回も同じ集団かどうかは現時点で分かっていないが、これらの集団はいずれも企業の機密情報を狙ったスパイ目的とみられ、専門家の多くは、中国政府や軍の意向を受けたハッカとの見方で一致している。 (2012-112003)

6・6・1・1・2 NEC に対するサイバ攻撃

 政府筋など複数の関係者が1月30日までに、NECが2018年までの数年間にわたり大規模なサイバ攻撃を受け、本社などのパソコンやサーバに保存されていたファイル28,000点が外部流出した可能性があることを明らかにした。 中国系ハッカ集団が関与した「標的型」攻撃の疑いがあるという。
 流出した中には同社が手がける潜水艦用センサの情報など自衛隊装備に関する資料も含まれていた。 (2002-013101)
6・6・1・1・3 NTT コミュニケーションズに対するサイバ攻撃

 河野防衛相が5月29日、NTTコミュニケーションズが不正アクセスを受けて顧客情報が流出した可能性がある問題に関し、自衛隊が同社の取引先であったことを明らかにした。
 同社は5月7日、同社提供のクラウドサービスの国内サーバーに対し、不正に操作した形跡を検知し、28日に取引先621社の顧客情報が流出した疑いがあると発表した。 (2006-052903)

 NTTコミュニケーションズに対するサイバ攻撃で自衛隊の通信情報が流出した問題で、海上保安庁での通信回線機器の工事情報も流出していた。
 海保によると、6月26日にNTTコム側から連絡があったが、これまでに機密性の高い情報の流出は確認されていない。
 NTTコムは5月28日、不正アクセスで、621の企業や団体の工事情報などが流出した可能性があると発表した。 (2008-070203)

6・6・1・2 サイバ戦体制の強化

防衛機密流出防止策の強化

 防衛省は令和2年度からサイバ攻撃による防衛機密の流出防止策を強化する。 サイバ攻撃の増加を受けて契約企業にも対策を呼びかける。
 省内や自衛隊のサーバが攻撃を受けた場合、自動で動作を止めて他のサーバが情報を復元する技術を試行する。
 また次世代通信規格「5G」の導入に合わせて通信機器への不正部品の埋め込みを検知する技術も開発する。 (2003-020203)

 防衛省が令和2年度予算に、AIを用いたシステムの構築を含むサイバ対策に256億円を計上している。 防衛省は元年度予算で英文による初期設計に3,000万円を確保している。
 AIシステムではAIを用いて悪意あるメールやシステムレベルの攻撃を発見分析する。 (2006-042205)

サイバ戦教育専門部隊を新設

 河野防衛相が7月23日に陸上自衛隊通信学校を視察し、サイバや電磁波攻撃対処の専門人材の育成を強化する方針を明らかにした。
 サイバ部隊は令和元年度末で580名だが、防衛省は5年度までに千数百名規模に引き上げる計画である。 (2008-072302)

 防衛省が令和3年度末にサイバ防衛で高度な技術を持つ隊員を養成する教育専門部隊を自衛隊に新設する方針で、来年度予算概算要求に関連経費を計上する。
 サイバ防衛の教育専門部隊は陸上自衛隊久里浜駐屯地で陸海空三自衛隊の共同の部隊として発足させ、年間に数十人の隊員に教育を行うことを想定している。 (2010-092205)

ゼロトラストの採用

 防衛省は近く、ゼロトラストと呼ばれる最新鋭のサイバーセキュリティー対策の調査研究を始める。
 ネットワークの内側と外側にかかわらず、全ての通信アクセスを疑ってかかる手法で、民間事業者に委託する調査の結果を来年3月末までに受け取る。
 現行の防衛省のセキュリティ対策は、ネットワークの内側と外側の境界に防壁をつくって不正アクセスを防ぐ境界型で、攻撃者が一度境界を突破すれば信用されたとみなされ、内部のネットワークに自由にアクセスできてしまう。
 一方、ゼロトラストでは、境界という概念を取り払い、内部の通信も全て監視して不正なアクセスを検知する。 (2012-111602)

サイバー専門人材を民間採用

 防衛省が令和3年度から、サイバー攻撃などに対処できる人材の育成を本格化させるため、自衛官を大学などに派遣して専門知識を身につけさせるほか、専門的な知見を備えるサイバーセキュリティー統括アドバイザー(仮称)を採用する方針である。
 統括アドバイザーは防衛省や自衛隊のサイバー能力の強化に向け、支援、助言を受けるもので、サイバー攻撃の最新動向などに詳しい民間人1名を非常勤職員として期限付きで雇用するもので、年収は防衛次官並みの2,000万円程度で処遇し、優秀な人材を確保する。 (2101-122903)

6・6・1・3 サイバ戦演習

わが国が主催したサイバ戦演習

 政府が2020年秋にも米国や欧州、ASEANと共同で、電力や水道など重要インフラを狙うサイバ攻撃を想定したサイバ演習を主催する。
 脅威を増す中国やロシアのサイバ攻撃に備えて平素から連携し、手口や対処策を迅速に共有する。
 この規模のサイバー演習を日本が主催するのは初じめてで、米国や英国、フランス、ASEAN 10ヵ国など20ヵ国以上の参加を見込んでいる。
 ただしCOVID-19パンデミックの影響で往来が難しいため、オンラインのみで実施する。 (2009-080901)

6・6・2 宇宙利用、宇宙防衛

6・6・2・1 宇宙利用

宇宙基本計画の改定

 政府が6月30日の閣議で宇宙基本計画を5年ぶりに改定した。
 自立した宇宙利用大国を掲げ、情報収集衛星を現在の4機から10機に増やすなど安全保障や防災への利用を重視する。
 計画では、準天頂衛星「みちびき」に宇宙ごみの接近を知らせるセンサを搭載するなど運用態勢を強化するほか、米国との連携を強めて多数の小型衛星でミサイルを探知するシステムの開発も検討する。 (2007-063004)

小型人工衛星群によるミサイル早期警戒

 防衛省が、日本や同盟国に向かうミサイルの探知追尾など早期警戒能力向上のため、小型人工衛星群(コンステレーション)導入の検討に着手する考えで、6月中にも閣議決定する宇宙基本計画改定案に「米国との連携を踏まえ、必要な措置を講じる」と明示して、小型衛星の打ち上げや地上局の整備を検討する。
 ただ、実用化には先行する米国の協力が前提となるため、導入時期は未定である。 (2007-060402)

米 HBTSS 計画への参加打診

 政府関係者が8月12日、中国やロシアが開発する超高速滑空兵器に対処するため、小型人工衛星群を活用してミサイルの捕捉追随能力を高める検討することを明らかにした。
 米国からこの計画への参加を打診されており連携する考えである。
 衛星群は、地球から近い同じ軌道に多数の小型衛星を投入して構成し、協調して作動させるもので、米国は小型衛星数百基を打ち上げる計画を進めている。 (2009-081203)

情報収集衛星のデータ中継衛星打ち上げ

 三菱重工業が11月27日、情報収集衛星のデータ中継衛星1号機を搭載したH-2A 43号機を、29日16:25に種子島宇宙センターから打ち上げると発表した。
 データ中継衛星は国の安全保障などに関する情報を地上に届ける中継ぎをする衛星で、内閣衛星情報センターによると現在運用中の情報収集衛星は地上局上空を通る時だけデータを送れるが、静止軌道上の中継衛星を介することで、伝送できる時間帯が大幅に長くなる。
 同中継衛星には、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の光通信を使ってデータ交換する装置も搭載され技術実証に挑む。
 地球を周回する観測衛星のデータをレーザ光で取り込み、電波を使って地上へ届けるシステムLUCASの一環として、通信の高速、大容量化を狙う。 (2012-112703)

 三菱重工業と宇宙航空研究開発機構 (JAXA) が11月29日16:25にデータ中継衛星を搭載したH-2A 43号機を種子島宇宙センタから打ち上げ、約30分後に衛星を予定の軌道に投入し、2005年の7号機から37回連続での成功し、成功率は約97.7%になった。
 打ち上げた衛星は、政府が事実上の偵察衛星で収集したデータを中継するデータ中継衛星1号機と、JAXAの光データ中継衛星の2機能が電源、制御系などを共有し、搭載されている。 (2012-112902)

6・6・2・2 宇宙防衛

6・6・2・2・1 宇宙基本計画

 自民党の宇宙・海洋開発特別委員会が3月5日に党本部で会合を開き、宇宙基本計画の改訂に向けた提言案をまとめ、近く政府に申し入れる。
 提言案は安全保障を最優先事項に提げ、航空自衛隊に新設する「宇宙作戦隊」を人員や予算面で強化するほか、キラー衛星の出現などを念頭に宇宙空間が既に戦闘領域となったとして、相手方の指揮統制を妨害する能力の保持や、超高速ミサイルへの早期警戒に関し日米共同研究を進めるよう求めている。
 また、2030年代の早期に宇宙産業の市場規模を現在の1.2兆円から倍増させる目標を盛り込んでいる。 (2004-030501)

 政府が2020年内に決定する宇宙基本計画工程表の改訂案が12月2日に明らかになった。
 民間企業が開発した人工衛星の増加を踏まえ、衛星のデータを狙ったサイバ攻撃の予防策をまとめた指針を来年度に策定することなどを盛り込んだ。
 一方、中国やロシアが開発中の超高速滑空兵器 (HGV) への対策として、多数の小型衛星で宇宙空間からHGVを探知追尾するシステムを調査研究するなど安全保障の取り組みも強化する。 (2101-120302)

6・6・2・2・2 宇宙防衛関係予算

 2019年12月に閣議決定した来年度予算では、宇宙関係費として506億円が計上されている。 (2002-012102)
【註】令和2年度予算政府原案における宇宙関連費は896億円で内訳は以下の通りである。
・宇宙状況監視システムの取得: 260億円
・宇宙利用C4ISR機能強化調査費: 20億円
・宇宙設置型光学望遠鏡調査費: 0.3億円
・宇宙通信の利用:       512億円
・商用衛星・気象衛星の利用:  104億円
・米空軍宇宙基礎過程への派遣: 0.2億円
6・6・2・2・3 宇宙作戦隊の新編

 日本の国会が4月17日、令和2年度に宇宙作戦隊を新設する法案を可決した。
 宇宙作戦隊は令和2年度に府中基地で20名で発足し、4年度までに100名に拡大する計画である。
 防衛省は元年度予算で山口県に設置する宇宙状況監視システム (SSA) 建設経費を確保しており、2年度予算で宇宙関連に506億円を計上している。
 また統合幕僚監部指揮通信システム部に宇宙ドメイン計画課を新設する。 (2006-042906)

 河野太郎防衛相が5月8日、自衛隊初の宇宙専門部隊となる宇宙作戦隊を18日に発足させると発表した。 当面20名規模で将来は100名規模に拡充する。
 航空自衛隊府中基地を拠点に、宇宙ごみや不審衛星などの監視任務に従事する。 (2006-050804)

 航空自衛隊に5月18日、初めての宇宙作戦隊が編成された。 宇宙作戦隊は統幕のC4システム部に設置された宇宙領域計画室と活動を行う。
 宇宙分野では令和2年度予算に506億円が計上されていて、JAXAの協力を受けて宇宙ゴミや衛星の位置情報を収集するシステムを構築すると共に要員の訓練を行う。
 更に恐らく米国と協力してASAT、レーザ照射、通信妨害、キラー衛星などの監視にあたる。 (2007-052703)

6・6・2・2・4 宇宙防衛の日米協力

日米宇宙防衛協力の協議

 米MDAが7月24日、米軍が計画中の極超音速/弾道追跡宇宙センサ (HBTSS) 宇宙監視網を活用したBMDについて、日本政府と協議していることを認めた。
 中国やロシアが開発した極高速滑空兵器迎撃のための具体的な装備について、MDAは極高速の脅威に対処するために必要な技術的要求を特定する初期的な段階にあるとするにとどめた。 (2008-072502)

Vandenberg AFB の連合宇宙運用センタに連絡官派遣

 政府が米国との宇宙領域での協力を強化するため、Vandenberg AFBの連合宇宙運用センタに、航空自衛官を10月から派遣している。
 令和3年度から自衛官を正式な連絡官として常駐させたい考えで、米側と調整を進めている。 (2012-111502)

ホステッド・ペイロード協力

 安倍首相が8月27日、レイモンド米宇宙軍作戦部長と首相官邸で会談し、「抑止力・対処力の強化に向け、宇宙分野をはじめ協力を深めたい」と述べて航空自衛隊の宇宙作戦隊と米宇宙軍との連携強化に期待を示した。
 両者は米国が主導する国際宇宙探査計画アルテミス計画について意見交換すると共に、日本の準天頂衛星に米国の宇宙状況監視 (SSA) 用センサを搭載するなど、協力を推進することも確認した。 (2009-082703)

 茂木外相とヤング駐日米臨時代理大使が12月15日に会談し、宇宙監視能力の強化を目的に人工衛星を相互利用するホステッド・ペイロード協力についての合意文書を交わした。
 ホステッド・ペイロードに関する日米協力は2018年に当時の安倍首相が来日したペンス米副大統領と具体化に向けた検討を進めることで合意しており、2020年6月に閣議決定された宇宙基本計画に盛り込まれている。
 これにより日米どちらかが運用する人工衛星に、もう一方が開発した監視機器などを取り付けることが可能になった。
 地球の周囲を浮遊する宇宙ごみへの監視能力向上を図るため、令和5年度の運用開始を目指す日本の準天頂衛星みちびき 6、7号機に、米国の宇宙状況監視センサーを搭載することが検討されている。 (2101-121502)

6・6・3 電 子 戦

艦隊情報群の親編

 河野防衛相が9月15日の閣議後の記者会見で、自衛艦隊に艦隊情報群を新たに編成すると発表した。
 10月1日付で情報業務群を改編して30名増の230名体制とする。
 防衛相は、電磁波情報をはじめとする情報の収集分析機能を強化すると述べた。 (2010-091507)

陸上自衛隊の電子戦専門部隊

 防衛省が電磁波を使う電子戦専門部隊を来年度末に朝霞駐屯地に新設する方針を固め、令和3年度予算概算要求に関連経費を計上することが分かった。
 北海道と熊本県に続く3番目の部隊で、電子戦で先行する中国とロシアに対抗する態勢を敷く。
 朝霞には3部隊を統括する司令部機能も新設し、陸自の全国の部隊を指揮する陸上総隊の傘下に置く方針である。 (2010-092004)

 防衛省が令和3年度に電子戦専門部隊を南西諸島に配置する。
 電子戦部隊の全国8拠点のうち3箇所を奄美大島と沖縄本島に置き、東シナ海での中国軍の動向に対処する体制を強化する。
 電子戦の司令部となる電子作戦隊を朝霞駐屯地に設ける予定である。 (2011-100902)

6・6・4 将来戦対応統合部隊の創設

 特記すべき記事なし
6・7 諸外国との防衛協力

6・7・1 多国間防衛協力

6・7・1・1 安全保障協力の多角化

 政府は安全保障協力の多角化で日米同盟を補完し中国を牽制する狙いで、自衛隊と外国軍が共同訓練で相互訪問する際の法的地位を定める円滑化協定の締結国拡大を本格検討する。
 11月17日の首脳会談で締結に大枠合意したオーストラリアに加え、英国、フランス、インドなどが有力候補になっており、英国とは既に水面下で交渉前の協議を始め、互いに締結に前向きという。
 フランスは太平洋にニューカレドニアなどの領土があり、軍の部隊を駐留させており、インドも近年、日米豪と海上演習を実施している。
 いずれも豪同様、燃料や弾薬を融通する物品役務相互提供協定 (ACSA) や防衛装備品の技術移転協定に署名しており、有力視される。 (2012-112004)

 11月29日から12月1日まで訪日したフランス海軍トップのヴァンディエ参謀総長が産経新聞の単独インタビューに応じ、中国の脅威をにらんだ日米豪印4ヵ国の連携枠組みQuadとの共同訓練に参加すると述べ、インド太平洋地域でQuadと連携を強化する方針を明らかにした。
 フランスはニューカレドニアや仏領ポリネシアに領土を有していて駐留部隊もおり、インド太平洋国家は近隣国だとした上で、駐留の目的はフランスのプレゼンスと排他的経済水域の安全を守ることだと述べた。 (2101-120505)

6・7・1・2 多国間演習への参加

6・7・1・2・1 日米豪3ヵ国の共同訓練

Sea Dragon 対潜訓練

 米国が2019年に開始した対潜訓練Sea Dragonが1月20日にグアム周辺海域で開始した。
 演習には米、日、豪、ニュージーランドと共に、対潜戦における相互運用性から韓国海軍も参加している。 ニュージーランドと韓国は初めて本格参加した。 (2002-012302)

日米豪3ヵ国共同訓練

 山村海幕長が7月21日の記者会見で、西太平洋と南シナ海で日米豪3ヵ国の共同訓練を19日~23日に実施していると発表した。
 3ヵ国艦は南シナ海を出発してフィリピン東方沖を通り、グアム周辺の海空域で、対潜、対艦、対空訓練を行っている。
 日米豪の共同訓練はCOVID-19パンデミック以降では初めてで、海自の護衛艦てるづき、米海軍からは空母Ronald Reaganなど、オーストラリアからは強襲揚陸艦Canberraなどが参加している。 (2008-072105)

6・7・1・2・2 RIMPAC 演習

帰途を利用した日米韓豪共同訓練

 ハワイ周辺海域で2年に1度開催される恒例の多国間共同演習RIMPACに8月31日まで参加していたた護衛艦いせと搭載ヘリ2機、護衛艦あしがらと、米、韓、豪の艦艇が、その帰途を利用して9月9日にハワイからグアムにかけての太平洋で4ヵ国共同訓練を開始した。
 この訓練には護衛艦2隻のほかに米海軍駆逐艦Barryと給油艦、ロサンゼルス級潜水艦1隻、豪海軍フリゲート艦StuartAruntaの2隻、韓国海軍駆逐艦忠武公李舜臣西厓柳成龍の2隻、合わせて9隻が参加した。 (2010-091003)

6・7・1・2・3 日米仏共同演習

水陸両用演習

 自衛隊と米軍、フランス軍が2021年5月に水陸両用の共同訓練を日本の離島で初めて実施することが分かった。
 日米仏の艦艇と陸上部隊が結集し、南西方面の無人島で着上陸訓練を行う。
 東シナ海と南シナ海で高圧的な海洋進出を強める中国の面前で牽制のメッセージを発信する訓練に欧州の仏軍も加わり、対中包囲網の強化と拡大を示す狙いがある。
 仏海軍は練習艦隊の、2015年、2017年に続く3度目の日本寄港を来年5月に計画している。 2015年の寄港時は5月に日米仏の枠組みで初めて日本で共同訓練を行い、九州西方海域で海自と米仏両海軍の艦艇が航空機の相互発着艦の訓練をしている。
 2017年5月は陸自と英軍も参加し、日本周辺海空域で偵察用ボートの発進・収容訓練などを実施した。 (2101-120504)

対潜訓練

 米海軍が12月18日、米海軍駆逐艦McCainがフィリピン海で先週、フランス海軍潜水艦、海上自衛隊空母と合同で対潜訓練を実施したと発表した。
 訓練に参加したのはMcCainのほか仏海軍原潜Emeraudeと護衛艦ひゅうがであった。 (2101-122111)

6・7・2 大洋州諸国との防衛協力

6・7・2・1 オーストラリア

日豪円滑化協定 (RAA) の締結協議

 複数の日本政府関係者が6月9日、自衛隊とオーストラリア軍が互いの国に滞在する際の部隊の法的地位を定める日豪円滑化協定について、7月に両国首相が会談し、大筋合意する見通しとなったことを明らかにした。
 日本が円滑化協定を結ぶのは初めてで、安倍政権が米国に次ぐ準同盟国と位置付ける豪州との関係強化の象徴となる。
 円滑化協定は、日豪両政府がは2014年7月に安倍首相と当時のアボット首相との会談で交渉入りしたが、死刑制度を持たない豪州側が、自国軍の兵士が日本滞在中に殺人などの罪を犯した場合に死刑になる可能性を懸念したため、協議は停滞していた。
 日本政府関係者によると、豪州の法規定に配慮することで日本側が譲歩し合意のめどが立ったという。 死刑相当罪は豪州の法定最高刑に処すなどの手法を法務当局が検討している。 (2007-061001)

 政府関係者が11月11日、菅首相が来日するモリソン豪首相と17日に実施する首脳会談で、軍事と経済安全保障分野での協力を含めた特別な戦略的パートナーシップの強化の方向性を協議する方針を日豪政府が固めたことを明らかにした。
 自衛隊と豪軍の共同訓練に関する円滑化協定 (RAA) の締結へ一定の成果を盛り込んだ共同首脳声明を発表する方向で最終調整している。 (2012-111201)

豪艦警護に向け調整を開始

 岸防衛相がレイノルズ豪国防相と会談し、自衛隊が豪艦などを警護できるようにする、いわゆる武器等防護の実施に向け調整を開始した。
 会談後、岸防衛相は「武器等防護は自衛隊と豪州軍が相互運用性を高め、平素から連携する基礎となるものである」と述べ、武器等防護の実施の意義を強調した。
 実施されれば、米軍に次いで2ヵ国目となり、オーストラリアとの「準同盟化」がさらに進む。 (2011-102002)

準同盟国としての位置づけ

 菅首相が11月17日に来日したモリソン豪首相と会談し、自衛隊と豪軍が共同訓練で相互訪問する際の法的地位を定める円滑化協定について大枠で合意した。
 安全保障分野を中心に準同盟国として関係を強化するもので、締結されれば戦後初めてとなる。
 円滑化協定は、自衛隊と豪軍が共同訓練や災害救助などで相互訪問するルールを事前に定めるもので、出入国手続きの簡略化や課税免除、事件事故を起こした隊員を処罰する手続きなどが含まれる。
 在日米軍について定めた1960年の日米地位協定に続くものだが、円滑化協定は日本国内だけに適用される地位協定とは異なり、対等な形で両国で適用される。 (2012-111704)

陸軍連絡将校を受け入れ

 陸上自衛隊がオーストラリア陸軍から連絡将校を、2020年1月中旬ごろから陸軍の少佐1名を座間駐屯地にある陸上総隊日米共同部に2年間の予定で受け入れる。
 座間には在日米陸軍の司令部もあり、日米共同訓練や日米豪の共同訓練などのさまざまな連絡調整を担うという。
 豪陸軍からの連絡将校の受け入れは昨年11月の日豪防衛相会談で確認され両国間の調整を経て決まったもので、陸上自衛隊が米国以外の国から連絡将校を受け入れるのは初めてとなり、安全保障分野での日本とオーストラリアとの協力は一段と強まる。 (2101-121704)

6・7・2・2 ニュージーランド

 特記すべき記事なし
6・7・2・3 南太平洋諸国

太平洋島嶼国との国防相級会合を主催

 河野防衛相が1月17日、4月初旬に太平洋島嶼国との国防相級会合を東京で開催すると発表した。
 太平洋地域に影響力を強める中国を意識したもので、パプアニューギニア、フィジー、トンガの3ヵ国の国防相と、同地域に関係の深い米、英、仏、豪、ニュージーランドの関係者が出席する。 (2002-011703)

パラオの光海底ケーブル支援

 茂木外相が10月28日、米豪と連携して太平洋の島国パラオへの光海底ケーブル敷設を支援すると発表した。
 太平洋を横断してシンガポールと米国を結ぶ光ケーブルの支線として建設する計画に3ヵ国の政府系金融機関が協調融資する。
 ベトナムで開いた国際フォーラムにポンペオ米国務長官、ペイン豪外相とそろってビデオメッセージを寄せた茂木外相は、パラオにとって重要なプロジェクトであり、インド太平洋地域で質の高いインフラを提供し続けていくと述べた。
 日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日米豪が連携するインフラ支援として初の案件となる。 (2011-102806)

6・7・3 インド、インド洋諸国との防衛協力

6・7・3・1 インドとの防衛協力

物品役務相互提供協定 (ACSA) 調印

 政府が9月10日、自衛隊とインド軍が物資や役務を互いに融通する物品役務相互提供協定 (ACSA) に9日に署名したと発表した。
 日本政府は米、英、仏、豪、加とそれぞれASCAを締結しており、インドは6ヵ国目になる。
 安倍首相とモディ首相は10日に電話会談し、日印がASCAの署名に至ったことを歓迎した。 (2010-091004)

戦闘機の共同訓練

 河野防衛相が5月8日夜にインドのシン国防相と電話協議し、日本で予定していた自衛隊とインド軍による初の戦闘機共同訓練をCOVID-19の感染拡大を受け延期すると決めた。
 感染終息後に速やかな実施を目指す。
 共同訓練は2019年11月の日印外務防衛担当閣僚協議 (2-plus-2) で今年中の早期実施が合意されていた。 (2006-050901)

6・7・3・2 その他諸国

 特記すべき記事なし
6・7・4 欧州諸国との防衛協力

 特記すべき記事なし
6・7・5 東南アジア諸国との防衛協力

6・7・5・1 フィリピン

両国防衛相が電話会談

 河野防衛相が5月12日、フィリピンのロレンザーナ国防相と電話協議し、東シナ海や南シナ海での中国の活動を念頭に、一方的な現状変更の試みに強く反対することで一致した。
 電話協議は日本側の要請で実施した。
 中国はフィリピンなどと領有権を争う両諸島の軍事拠点化を進めており、フィリピンは中国側を非難している。 (2006-051203)

6・7・5・2 ベトナム

哨戒艇6隻を供与

 香港のSouth China Morning Postが8月11日に共同通信の内容を引用し、日本国際協力機構 (JICA) が7月28日にハノイでベトナム政府と360億円規模の哨戒艇6隻の借款契約を締結したと報じた。
 JICAは声明で、今回の事業はベトナム海岸警備隊に資金を支援し、海上救助および海洋法の執行を改善するのに目的があるとし、これとともに、自由で開放されたインド太平洋航海実現にも貢献するとの方針を示した。
 日本政府は南シナ海領有権紛争への本格介入を示唆したことで、中国の勢力強化をけん制しようとする意図を示したとみられる。 (2009-081201)

防衛装備品の輸出に関する協定締結

 菅首相が10月13日の自民党役員会で、就任後初の外国訪問で来週にベトナム、インドネシア両国を訪問すると正式に表明した。
 南シナ海で軍事拠点化を進める中国の動きを踏まえインド太平洋地域の防衛力を強化する。
 政府はベトナムと防衛装備品の輸出に関する協定の締結に向けて調整しており、菅首相がベトナム訪問時に署名する。 協定では転売の際に日本の同意を求めるなど輸出時のルールを定める。 (2011-101401)

 菅首相がベトナムを訪問した10月19日に、日越両国が「防衛装備品の輸出と技術移転に関する合意」に署名した。
 合意内容の詳細については公表されていない。 (2012-102805)

 岸防衛相が11月16日にベトナムのゴ・スアン・リック国防相と電話協議し、10月に両国間で実質合意している防衛装備品の技術移転協定を巡り、日本の防衛装備品輸出が可能になるよう早期の署名に向けて連携することで一致した。
 協議では中国が海洋進出を強める東・南シナ海問題を巡っても意見交換し、懸念を共有した。 (2012-111606)

6・7・5・3 インドネシア

 インドネシアを訪れている菅首相が10月20日にジョコ大統領と会談し、菅首相は海洋進出を強める中国を念頭に、自由で開かれたインド太平洋構想の推進を訴え、ジョコ大統領は南シナ海を安全で安定的な水域にしていきたいと述べた。
 両首脳は、外務防衛閣僚会合 (2-plus-2) の早期開催で一致したほか、防衛装備品と技術の移転に向けた協議の加速も申し合わせ、安全保障分野での連携強化を確認した。 (2011-102102)
6・7・6 中東諸国との防衛協力

 特記すべき記事なし
6・7・7 その他諸国との防衛協力

6・7・7・1 国連 PKO

 防衛省が6月2日、国連平和維持活動 (PKO) に提供可能な装備品として、航空自衛隊の輸送機C-2とC-130Hを国連の「即応能力登録制度」に基づき登録したと発表した。
 今回の登録は、航続距離の長い輸送機を持たない国が、PKOに要員や装備品を送るなどの需要に応じることが狙いで、国連は登録国に派遣を打診するが、PKOへの派遣を義務付けるものではなく、防衛省は「PKO参加5原則などを踏まえ個別に判断する」と説明している。 (2007-060202)
6・7・7・2 カナダ

 特記すべき記事なし
6・7・7・3 ロシア

 ロシア海軍のバルチック艦隊が1月21日、アラビア海で日本と海賊対策の合同訓練を実施したと発表した。 訓練は20日から2日間にわたり、海賊に奪われた船舶の奪還作戦などにあたった。
 同艦隊の艦艇と日本の海上自衛隊による合同訓練は初めてという。
 ロシア側の発表によると、訓練には海自の護衛艦はるさめ、バルチック艦隊の警備艦とタンカー、タグボートが参加し、タンカーが海賊に乗っ取られた事態を想定し、海賊の制圧や船内の捜索などを訓練した。 (2002-012201)
6・7・8 海上保安庁の協力事業

6・7・8・1 インドとの協力

合同訓練

 海上保安庁とインド沿岸警備隊の合同訓練が1月16日にインド南部チェンナイ沖で実施された。
 日印の合同訓練は18回目で、日本からは巡視船えちごと搭載ヘリ、インドからは巡視船シャウリャなど計5隻やヘリ、航空機が参加した。 (2002-011601)

6・7・8・2 ASEAN 諸国との協力

マレーシアとの合同訓練

 マレーシアで、現地の海難当局が日本の海上保安庁とともに海上での海賊への対応などの具体的な技術を確認する訓練が行われた。 日本としては訓練を通じて、海上の要衝、マラッカ海峡があるマレーシアとの連携を強化したい考えである。
 クアラルンプール近郊の港には、1月22日から海上保安庁の巡視船えちごが寄港していて、24日の訓練には、現地の海難当局の特殊部隊と海上保安庁の職員などおよそ60名が参加した。 (2002-012402)

6・7・9 技術協力、武器輸出

6・7・9・1 技術協力

日米防衛技術協力

 シンクタンクAtlantic Councilが4月17日に公表した報告書で、日米防衛技術協力の必要性を挙げている。
 報告書が挙げている主な項目は以下の通りである。 (2005-041703)

・群制御及び有人/無人連携

・UUVと対潜技術

・AIを活用した訓練環境

・対無人システム

三井造船がマレーシアの T7 Marine社と協力協定

 三井造船が8月下旬、マレーシアのT7 Global Berhad社の子会社であるT7 Marine社とベトナム海軍及び沿岸警備隊の艦艇建造で協力するMoUを締結した。
 この合意は日本の東南アジアにおける武器輸出の足がかりになるとみられる。 (2010-090408)
【註】T7 Global Berhad社は旧社名がTanjung Offshore Berhadの投資持株会社である。
 同社は製品・サービス事業及びエンジニアリングされたパッケージ化エンジニアリング事業を運営している。

日英共同開発 AAM JNAAM

 防衛省が令和3年度予算の概算要求で、日英共同開発AAMであるJNAAMに12億円を要求した。
 平成30年度に本試作に移行したJNAAMはMBDA社製Metor BVRAAMに三菱電機製AAM-4Bのシーカを搭載するもので、令和5年度に試験を完了する計画である。 (2010-093006)

 防衛省が令和3年度予算で日英共同開発のJNAAMに12億円を要求した。
 JNAAMはMBDA社製Meteor BVRAAMにMELCO社製AAM-4BのアクティブRFシーカを搭載してF-35へ装備ようというもので、令和4年度の試作完了を目指して元年度に本試作に移行している。
 3年度要求では将来戦闘機に搭載するレーダを日英で共同開発する41億円も計上されている。 (2012-110003)

 12月21日に決まった令和3年度予算政府案で、日英共同開発のAAMであるJNAAMの開発に10億円が計上された。
 JNAAMの試作は2018平成30年次に開始され令和4年度に完了する。 (2101-122207)

6・7・9・2 武器輸出

6・7・9・2・1 防衛装備輸出推進重点4ヵ国

 読売新聞が8月11日、政府が総合商社、防衛産業など関連業界と協力してインド、ベトナム、マレーシア、インドネシアなど4ヵ国を対象に防衛装備輸出を本格化しようとしていると報じた。
 防衛装備庁は早ければ来月中に商社など該当業界と契約を結び、これらの国の防衛装備購入計画と安全保障懸念事項などに関する情報を収集して輸出が有望な装備を選定する。
 政府が検討している輸出対象装備は主に輸送機とレーダなど非攻撃用装備だと同紙は伝えているが、戦闘機や潜水艦のような攻撃用装備も相手国との共同開発を推進するなど多様な輸出方式を模索する考えだという。
 各国との安全保障関係を強化して海洋進出を拡大する中国を牽制するためと見られる。 (2009-081202)
6・7・9・2・2 輸出推進の努力

マーケットリサーチの実施

 政府は令和3年度から日本製の防衛装備を海外に売り込むために民間企業との協力を拡大するため、新たに輸出先の市場調査などを委託する。
 当面は台頭する中国への対応で協力を目指すインドとインドネシア、ベトナム、マレーシアの4ヵ国を対象とする。
 日本は2014年、装備の輸出を原則禁止していた「武器輸出三原則」に代わる新たな方針として「防衛装備移転三原則」を定めたが、現状は6年間で部品4件の輸出にとどまり、完成品の輸出は実現していない。
 長年の輸出禁止で販路を探すノウハウが少ないことが原因と判断し、海外で事業基盤を持つ総合商社などとの連携に踏み込む。 (2009-082402)

 防衛省が南シナ海やインド洋で活動を拡大している中国を牽制するため、装備品の輸出を通じ防衛協力関係の強化を図る防衛装備品の輸出促進策として、インドとASEAN加盟3ヵ国で実現可能性の調査を開始した。
 調査は日本国内の商社に委託し、民間のノウハウを売り込みに活用するもので、防衛省は9月に丸紅エアロスペース、伊藤忠アビエーションの2社と契約し、丸紅がインド、伊藤忠がインドネシア、ベトナム、マレーシアを担当する。 2社はそれぞれの国で装備品の状況や需要などを調査し、将来的な輸出につなげる。 (2012-111401)

輸出候補機種の能力再確認

 防衛装備移転三原則の策定を受け、装備輸出を主導するため防衛装備庁が2015年に発足し最新の国産完成品装備の輸出を目指してきたが、これまで成果は出ていない。
 最新装備の輸出案では英国向けのP-1は米海軍のP-8に、オーストラリア向けのそうりゅう型潜水艦はフランスにそれぞれ敗れた。 またUS-2のインドへの輸出交渉は暗礁に乗り上げ、C-2のニュージーランドへの輸出計画も立ち消えになった。
 UAEへのC-2輸出は現時点で最も期待できる計画だが、C-2は不整地離着陸能力を有していないことが輸出を実現する上で弱点と指摘されてきた。
 このためC-2による未舗装地での離着陸試験の実施に踏み切ることが8月22日に判明した。 (2009-082203)

6・7・9・2・3 個別案件

フィリピンから防空レーダ4基受注

 三菱電機がフィリピン政府から防空レーダ4基を受注したことがわかった。
 防衛装備移転三原則を2014年に決定して以降、日本が初めて輸出する防衛装備の完成品となる。
 受注したのはJFPS-3とJTPS-P14をそれぞれ改良したシステムそれぞれ3基と1基で、5月までに正式に受注する予定で、金額は100億円規模とみられる。 (2004-032601)

 政府がフィリピンへの防空レーダ輸出を機にフィリピンとの間で中国軍機の動向に関するレーダ情報を共有できる関係を築き、東シナ海と南シナ海上空での中国軍機の監視を強化する検討をしている。
 更にレーダ輸出をフィリピンの防衛力強化のみならず、日本と台湾の防衛にも資する安全保障協力に発展させる狙いがある。
 レーダ輸出は防衛装備移転三原則の策定で装備輸出に道を開いて以降、国産装備の初の完成品輸出となるが、COVID-19の影響で政府職員らが往来できないため、日比両政府などは郵送で輸出入契約の手続きに入り、フィリピン側がサインをすれば月内にも契約が締結される。 (2008-071101)

 河野防衛相が8月28日の記者会見で、三菱電機とフィリピン国防省との間で防空レーダ4基の輸出契約が成立したと発表した。
 対象となるのは、固定式警戒管制レーダFPS-3 3基と移動式対空レーダTPS-P14 1基で、受注総額は$100Mとなる。
 国産装備の完成品輸出は、政府が2014年に武器輸出基準として「防衛装備移転三原則」を閣議決定後初めてで、防衛相は「さまざまな国と防衛協力が進み、日本の防衛産業の足腰強化にもなる」と述べた。 (2009-082802)

 フィリピン国防省が8月28日、防空レーダ4基を$103.5Mで三菱電機から購入すると発表した。
 購入するのは自衛隊が1990年代初期から装備しているJ/FPS-3 3基と移動型のJTPS-P14 1基で、2022年に引き渡しが始まる。 (2011-090903)

独仏共同哨戒機開発への参画

 日本が防衛装備品輸出の一環として模索してきた、ドイツとフランスによる哨戒機共同開発への参画について、ドイツ政府が慎重姿勢を強めている。
 関係者によると、日本が共同開発のベースとして売り込む海上自衛隊のP-1について、ドイツは早期に軍用機としての型式証明を取得できるかどうか不安視しているという。 (2010-090801)

独、P1を候補から除外

 ドイツ政府が9月30日、同国連邦軍が2025年を目処に調達予定の哨戒機の候補から、海上自衛隊のP-1が正式に外れたことを明らかにした。
 除外理由は、日本との協力関係が欠如しており、かなりの時間的、法的リスクを伴うと説明している。
 P-1はこれまで英国などにも売り込みがかけられたが、失敗している。 (2011-100104)

インドネシアに護衛艦?

 日本政府が海上自衛隊と同型の護衛艦をインドネシアに輸出する計画を推進していると読売新聞が両国政府関係者の説明に基づいて11月4日に報道した。
 報道によると、インドネシアは日本から護衛艦4隻を輸入し、技術移転を受け自国で追加で4隻を建造したいとの希望を日本側に伝え、両国はこれと関連して協議を進めている。
 同紙によると、対象となっているのは2022年に海上自衛隊で就役する30FFMなどで、輸出は総額3,000億円規模になるとみられる。 (2012-110501)

C-2 の UAE への輸出交渉

 防衛省が11月12日、航空自衛隊岐阜基地でC-2による非舗装滑走路での着陸試験を初めて行い、無事に着陸して試験に成功したとみられる。
 C-2は開発段階で要求性能から不整地離着陸機能を外していたが、UAEへの輸出交渉が大詰めを迎え、非舗装滑走路で離着陸できるかの確認を求められ、実証試験を実施した。 (2012-111205)

6・8 装備行政

6・8・1 調達行政

6・8・1・1 国内調達

COVID-19 の感染拡大による影響

 米国防総省のロード次官が3月3日、新型コロナウィルスの世界的な蔓延で、世界規模のF-35サプライチェーンで基幹となる2ヵ所が影響を受けていると述べた。
 次官によるとこの日の朝、Lockheed Martin社がイタリア駐在の社員に対し自宅勤務を命じたほか、日本ではMHI社にある最終組立と点検施設が1週間にわたり停止しているという。 (2004-030404)

6・8・1・2 米国からの輸入急増

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) が3月9日、2015~2019年に世界で行われた兵器取引に関する報告書を発表した。
 世界最大の輸出国である米国は2010~2014年と比べて輸出量が23%増加し、世界全体に占めるシェアも5%増の36%に上った。
 米国の輸出先の51%は中東地域で、アジア・オセアニア地域が30%で続いた。 対アジアでは日本は85%増加した。 (2004-030901)
6・8・1・3 FMS 調達の運用見直し

 河野防衛相が1月21日、防衛省内で米国防総省の国防安全保障協力局 (DSCA) のフーパー局長と会い、米政府からの有償軍事援助 (FMS) 調達をめぐり意見交換した。
 防衛相が調達迅速化のためにシステムを改善したいと要請したのに対し、フーパー局長は日本側の懸念解決に向け努力すると応じた。 (2002-012101)

 防衛装備庁が声明で、装備庁と米国防安全保障協力局 (DSCA) の協議の結果、FMS契約の合理化で合意したことを明らかにした。
 合意内容には未納入品や役務について、代金を返済することも含まれている。 (2002-012704)

 日米が防衛装備品の取引におけるFMS契約実施の円滑化について合意した。
 合意は日本側で会計検査院がFMS契約の不適切な運用について指摘した4ヶ月後に防衛装備庁と米国防安全保障協力局 (DSCA) の間で行われた。 (2004-020509)

 防衛省関係者が3月21日、米国とのFMS契約に関して、FMSを利用しているオーストラリアや韓国など10ヵ国と共に、改善策をまとめ米側に提示する方針を決め、2020年内に申し入れる方針を明らかにした。
 FMSでは米側による納入遅れや未精算が多発しているため防衛力の計画的整備への影響も懸念されるとして、共通の問題を抱える国々と協力して米側に対応を促すが、当面は出荷証明書など米側の書類不備により納入が完了したと確認できないケースが相次ぐ問題を取り上げ、次の段階で不透明との批判がある価格設定の在り方に切り込みたい考えである。 (2004-032105)

 岸防衛相が10月16日の記者会見で、令和元年度末時点の米政府との有償軍事援助 (FMS) 契約による防衛装備品などの未納入額が前年度比49%減の166億円、未精算額が33%減の332億円だったことを明らかにした。
 FMS契約では代金を原則前払いし、納入が完了すると精算が行われて余剰金の返還を受けるが、納入や精算が遅れることが多く、会計検査院が問題視している。 (2011-101609)

6・8・1・4 中国製 UAV の排除

 政府が各省庁などが保有している1,000機超のUAVについて、原則としてセキュリティー機能の高い新機種に入れ替える方針で、安全保障の観点から事実上中国製UAVを排除する狙いがある。
 政府の支援で開発中の国産UAV導入を視野に、来年度以降、代替機を順次調達し、導入済みのUAVは原則、数年以内に交換するよう求める。
 このため、政府は令和3年度から、全省庁や独立行政法人特殊法人のUAV運用を抜本的に見直し、
① 防衛や犯罪捜査

② 重要インフラの点検

③ 機密性の高い情報を扱う測量

④ 救命・救難

などを「重要業務」に指定し、これらの分野ではサイバー対策が講じられた機種のみ使用を認める。 (2012-113001)
6・8・2 技術力の維持向上

6・8・2・1 民間研究に重点とした新技術取り込み

 河野防衛相が3月6日の記者会見で研究開発の重要性を訴え、ゲームチェンジャ技術といわれるような、全く新しい技術で防衛の考え方がダイナミックに変わっており、日本も必要な技術の開発をやらないといけないと述べた。
 防衛省はAIやUAVなどの先端技術を向上させるため研究開発の強化に乗り出し、令和2年度予算案では研究開発費として過去最大の1,676億円を計上した。
 防衛省の研究開発費はここ数年1,200億~1,400億円で推移していたが、今回の2年度予算案ではAIや無人機などの先端技術の研究開発を中心に前年度比で12%も増やしている。 (2004-030701)
6・8・2・2 国内企業の買収防止

 日本政府が防衛や宇宙航空分野などの安全保障を強化するため外国為替及び外国貿易法 (FEFTA) を改正した。
 改正法ではCOVID-19パンデミックにより不安定化した国内企業を中国の買収から防ぐことも含んでいる。 (2007-052009)
6・8・3 F-2 後継戦闘機の開発

6・8・3・1 連携海外メーカの選定

 日本は令和2年度予算で将来戦闘機に111億円を計上した。 将来戦闘機の開発の協力にはBAE Systems、Lockheed Martin、Northrop Grumman、Boeingの各社が名乗りを上げている。 (2002-122303)

 防衛省が将来戦闘機開発計画を正式にF-Xとし、開発及び生産において海外メーカと連携するとした枠組みを2020年末までに決定する。
 令和2年度予算にF-X関連経費は280億円が計上されており、そのうちの40%にあたる111億円が日本主導開発とする概要設計に当てられ、残りの60%にあたる169億円は関連装置等の開発に当てられる。 (2002-013003)

 日本政府は令和2年度予算で次期戦闘機開発に280億円を計上しており、本格開発を早ければ令和5年度にも開始する。 また河野防衛大臣は2019年12月17日に、これまでの次世代戦闘機の名称を次期戦闘機 (NGF) に変えた。
 NGFにはBAE Systems、Northrop Grumman、Lockheed Martin、Boeingの各社が参入を狙っているが、防衛省が示した2019年時点の設計案ではそれまでの26DMU案を大きく変えてBAE Systems社のTempestを示唆するものになっており、尾翼は26DMU案の4枚からTempestや独仏の計画しているFCAS同様に2枚になっている。
 毎日新聞が12月15日にNGFでは米国製のデータリンクを採用すると報じた。 米国はF-35で採用しているMADLの採用を強く希望している。 (2003-011304)

 政府は次期戦闘機の開発に関し、日米共同で取り組む方向で調整に入った。 共同開発でも日本主導の方針を維持するため、日本が開発費の大半を負担する。
 これにより基幹部分を開発し、将来的に機体を自由に改修できる優位性を保つ。
 同時期に新型戦闘機の計画を持つ英国との関係は技術協力にとどめる。 年内に正式決定する。 (2004-030601)

 航空自衛隊の次期戦闘機開発で、3月上旬に「米国との共同開発に決まった」と報じられたが、装備庁は3月10日にこの報道を否定した。
 装備庁の報道官は更に、防衛省は既存機の改良型は候補にないとも強調した。 (2004-031105)

 F-2後継となるF-Xの開発における海外提携先について3月上旬に米国になったと報じられたが、装備庁は3月10日にこの報道を否定し、まだ白紙状態であるとした。
 また計画は全くの新規開発であることも確認した。 (2005-031802)

 防衛装備庁の広報官が4月1日にJane'sに対し、次期戦闘機の開発にLockheed Martin社からを含む海外提案を拒否したと述べた。
 既存システム改良案の可能性もないという。 2005-040106>2005-040106)

 日本の次期戦闘機が米国との共同開発と報じられているが、英国では日本のTempestへの参入も視野に入れている。 (2006-040607)

 防衛装備庁が航空自衛隊の次期戦闘機開発について、Lockheed Martin社が提案していた第五世代戦闘機F-22とF-35の結合案を含む、全ての海外からの提案を拒否すると決めた。 (2005-040805)

6・8・3・2 提携先の決定

開発協力企業候補

 政府がF-2後継となる次期戦闘機の共同開発相手国として米国との最終調整に入ることが判明した。
 英政府は技術情報の開示に寛容とみて政府は2019年半ばまでは英国を選ぶ方向に傾いていたが、英政府は自国企業に仕事を割り振ることに躍起で日本主導には持ち込めないとの見方が強まった。
 これに対して、米政府が拒否感が強かったF-22とF-35を基にした派生型案を撤回したことで流れが変わった。
 日米共同開発では日本が主導で機体主要部分を担って将来の改修ができる自由度と拡張性を確保し、改修がしにくいブラックボックスを極力少なくする。 (2005-041803)

 次期戦闘機の開発で日米政府と防衛産業が6月下旬にオンラインで初の実質協議を実施し官民協議が動き出した。
 開発計画の大枠を固める今年末に向け、米国からの技術支援や総経費を詰める。
 双方の防衛当局に加え日本側は三菱重工業、米側はLockheed Martin、Boeing、Northrop Grummanの3社が参加するが、焦点は米国の戦闘機技術をどこまで取り入れるかで、Lockheed Martin社はステルス技術に強く、Boeing社は特殊素材、Northrop Grumman社はレーダや電子機器システムなどを得意としている。 (2008-070401)

 防衛省が8月25日、F-X開発に参入する外国企業を求める通知を米英の企業に向けて発簡した。 河野防衛相は同日、応募の締め切りは8月31日と述べた。
 防衛省は通知で、F-X関連技術に関する情報収集手順についての提案を求めている。 (2009-082605)

開発協力企業候補を米国の3社に絞り込み

 政府がF-2後継機開発に向けて機体製造の主契約企業を三菱重工とし、開発協力企業の候補を米国の3社に絞り込んだ。 年末までに1社を選定し2021年3月までに正式に開発体制を決める。
 2000年に導入したF-2では米側からの技術情報の提供が限定的だった経緯も踏まえ、政府は慎重に協力の条件を詰める。
 一方Tempestの開発を進める英国とも、エンジン部品の共通化などによってコスト削減が可能かどうか協議を続ける。
 政府は147機を調達予定のF-35A/Bを主力戦闘機と位置づけ、次期戦闘機にはF-15と同様、緊急発進対応などを担わせる考えで、速度を重視して強力なエンジンを積み、ミサイルもF-35より多く搭載できる大型機とする方向である。 (2008-072805)

 河野防衛相が9月1日の閣議後の記者会見で、次期戦闘機の開発主体となる日本企業に情報提供する外国企業の募集も締め切り、7社から応募があったと発表したが、具体的な企業名の公表は情報提供を受ける前の段階なので、差し控えると述べた。 (2010-090108)

 防衛省が8月25日、F-X開発に協力する海外企業を募集する招聘状を米英などの企業に向け発簡した。
 河野防衛相は応募の期限を8月31日とした。 (2010-090218)

 岸防衛相が11月4日の記者会見で、F-2の後継となる次期戦闘機の開発に対しLockheed Martin、Boeing、BAE Systemsの3社から開発支援の応募があったと明らかにした。
 防衛省は3社から提出された情報を分析し、2020年中に1社に絞り込む。 (2012-110404)

 岸防衛相が11月4日、10月30日に締め切られたF-X開発で協力する海外企業について、BAE Systems、Boeing、Lockheed Martinの3社から応募があったと発表した。 (2101-111812)

 複数の政府関係者が12月2日、F-2後継戦闘機開発における米英との協力について、いずれか1ヵ国の政府や企業をパートナーとする想定だったが、協力が特定国に偏るのは得策ではないと軌道修正し、システムやエンジンなど開発分野ごとの連携を視野に入れることにしたことを明らかにした。
 次期戦闘機の開発は国内防衛産業の技術力維持のため日本主導を掲げており、米英いずれか1ヵ国への依存が強まれば、主導権確保が難しくなるとの憂慮の声が自民党から出ていた。 (2101-120204)

F-2 開発時と異なる海外企業の参画形態

 防衛省が10月30日に次期戦闘機開発の主契約社として三菱重工業と正式に契約した。 最新技術の提供を受ける海外企業も2020年内に絞る。
 防衛省は今回、機体製造を担う三菱重工1社のみと契約し、エンジンやレーダなどのメーカーは三菱重工と直接契約し下請けとする方式で、防衛省がパーツごとに複数の企業と契約を結んだF-2の開発時とは異なる。 (2011-103004)

海外協力企業に Lockheed Martin社

 政府は次期戦闘機を巡り、Lockheed Martin社からステルス性能などの開発で協力を受ける方針を固めた。
 Lockheed Martin社はF-22やF-35の開発実績があり、システム統合や機体設計などで協力を受ける。
 次期戦闘機は令和13年度に量産機の製造を始め、35年ごろから退役するF-2と換装する計画である。 (2101-121107)

6・8・3・3 次期戦闘機 (F-X)

次期戦闘機としての開発、正式に開始

 防衛省はF-2戦闘機が2035年頃に退役することから、年内に次期戦闘機の開発を海外企業と共同で正式に開始したいとしている。
 これに伴い、今まで次世代戦闘機 (Future Fighter) としていた計画名を次期戦闘機F-Xと改称した。 ただ次世代戦闘機開発室の名称は次期戦闘機開発室には変更されない模様である。 (2004-020501)

 河野防衛相が3月27日、F-2後継機として2020年度から開発にする次期戦闘機の要求性能について、ネットワーク機能を重視し、ステルス性能も高いもので、F-35と比べミサイル搭載数を多くするとの考えを示した。
 また、米国と英国を共同開発のパートナーとして検討していることを明らかにし、年末の令和3年度予算編成までに両国との協力の在り方を決定する方針を明らかにした。 (2004-032703)

開発時程

 防衛省が7月7日に自民党本部で開かれた同党国防議員連盟の会合でF-2後継となる次期戦闘機の開発行程案を提示した。
 それによると令和6年度に試作に着手し、13年度に量産開始、F-2が退役時期を迎える17年度からの配備を目指す。
 日本主導の開発を前提に、米国や英国の政府、企業と協力の在り方を巡り協議し、本年末までに協力の基本的枠組みを決める。 (2008-070701)

 Janeが7月8日に入手した文書によると、防衛省がF-2後継戦闘機の量産開始は令和13年度であることが明らかになった。
 それによる令和と6年度に試作を開始し、10年度から飛行試験を行い、その3年後に量産に移行する。
 このため公式の装備開始は13年度になる。 (2009-071503)

 防衛省がそれまでの呼称次世代戦闘機 (Next-Generation Fighter) やそれ以前の呼称将来戦闘機 (Future Fighter) を止め次期戦闘機 (F-X) とした。
 防衛省は2013年から設計方針の検討を行っており、超高性能な飛行性能に加えて機内弾庫にAAM 8発を搭載する方針を固めている。 8発とは中距離用6発と短距離用2発という。
 このため機体はF-2を遙かに上回る大型になるとみられる。
 防衛省が7月7日に自民党に示した案によると、本試作は2022年に開始され、2024年に組み立てが始まる。 BAE Systems社が開発するTempestとの共同の話はあるがTempestの本試作は2025年以前には開始されない。
 2028年に初飛行が行われ、配備開始はその7年後(註:2035年)になる。 (2009-072706)

国内開発する技術

 防衛省が7月7日、2035年ごろから退役するF-2の後継戦闘機について、令和13年度に量産機の製造を開始する基本方針を自民党に示した。
 ステルス性能など主要機能は原則、国内開発を目指す一方、米英政府や企業と部分協力する方針で協議を進めており、開発協力相手を年内に決定する方針も示した。
 国内開発を目指すのは、ステルス性、ネットワーク戦闘機能、先進統合センサーシステムなどとする案が出ている。
 一方で米軍と一体的に作戦を遂行するインターオペラビリティーは米国の支援を受け、同時期に新戦闘機開発を進める英国からはエンジン開発で協力を受ける案などを検討している。 (2008-070702)

主契約社に1社を選定、契約

 河野防衛相が7月31日、F-X開発の主契約社に1社を選定することを確認した。
 主契約社はMHIになると見られるが、選定は9月早々に行われる。 (2010-081214)

 河野防衛相が9月1日の閣議後の記者会見で、次期戦闘機の開発主体となる日本企業の公募に三菱重工1社から応募があったと発表した。 (2010-090108)

 河野防衛相が9月1日、F-Xの開発担当をMHI社単独とし早ければ10月にも契約を行うと発表した。
 開発の提案は8月31日に締め切られている。 (2011-090916)

 岸防衛相が10月30日の記者会見で、航空自衛隊の次期主力戦闘機開発の主契約社として三菱重工業と同日に正式に契約したと発表した。
 次期戦闘機はF-2の退役が始まる2035年頃までに初号機を配備できるよう、開発を積極的に進めていきたいと述べた。 (2011-103003)

 岸防衛相が10月30日、次世代戦闘機開発 (F-X) をMHI社に発注したと発表した。 MHIはF-Xの胴体と全体の取り纏めを担当する。
 岸防衛相はF-Xの配備時期について2035年頃であることも明らかにした。 (2101-111109)

行政事業レビューと F-2 後継機開発

 政府の予算の無駄を点検する行政事業レビュー3日目の公開検証が11月14日に都内で行われ、9月まで防衛相を務めた河野行政規制改革相が、F-2後継機の調達に関連し、自衛隊の陸海空の人員、予算の見直しを大胆にやっていく必要があると指摘した。
 河野行政規制改革相は、「次期戦闘機だけで国を守ることはできない。 どういう戦いを想定して装備品を調達するのか、国民の理解が不可欠だ」とも語った。 (2012-111407)

 予算執行の無駄を外部有識者がチェックする秋の行政事業レビューの公開点検作業は11月14日に3日目の議論を終えた。
 河野行政改革担当相はF-2後継機開発に関して日本の戦闘機保有数が中国の1/3であることに触れ、「数を質で相殺しなければいけない。
 優先順位の見極めが必要だ」と述べるにとどめ、具体的な予算削減要請を行わなかった。 (2012-111405)

コスト管理

 自民党関係者が11月25日、国防族ら有志議員の勉強会がF-2の後継となる次期戦闘機について、政府に対し将来の海外輸出を見据えて開発に取り組むよう求める提言案を取りまとめたことを明らかにした。
 次期戦闘機の生産数がF-2の機数にとどまれば、コスト面でデメリットは大きいと強調した。 (2012-112506)

6・8・4 その他新装備

6・8・4・1 艦船の建造と就役

6・8・4・1・1 新造艦の計画と着工

「新たな艦艇に関する調査研究」

 ジャパン マリンユナイテッド (JMU) が7月30日に防衛省から「新たな艦艇に関する調査研究」を受託した。
 研究内容はDDH,輸送艦および掃海母艦の機能を併せ持つ艦(いわゆる強襲揚陸艦に相当する艦と考えられる)についてとされ,契約額は108万9千円であった。 (2011-102107)

6・8・4・1・2 新造艦の進水

音響測定艦 あき

 ひびき型音響測定艦の3番艦あきが1月15日、三井造船玉野で進水した。
 全長60m、幅30m、満載時排水量3,048tのひびき型は双胴船体で、曳航式パッシブソナー SURTASSを装備している。 (2003-020303)

 ひびき型音響測定艦の3番艦 あきが玉野造船所で進水した。 2021年3月に就役する。
 ひびき型は全長67m、幅30m、排水量3,048tの双胴型SWATH船型で、牽引式アレイソナーSURTASSを装備している。 (2004-021209)

潜水艦たいげい

 三菱重工業神戸造船所で10月14日、潜水艦たいげいの進水命名式があった。 同造船所から送り出す潜水艦は戦後29隻目となる。
 同造船所では2012年に商船の建造を終え、造船事業は潜水艦のみとなっている。
 全長84m、幅9.1m、高さ10.4mのたいげいは、音波探知能力を高める一方、探知されにくい船体構造にした新モデルの1隻目で、リチウムイオン電池を主動力にして長く水中を航行できる。 (2011-101404)

 リチウムイオン電池を装備した3,000t級SSKの一番艦が10月14日にMHI神戸造船所で進水したいげいと命名された。
 たいげいは全長84m、幅9.1m、喫水10.4m、基準排水量3,000tで、同じく84m、9.1m、10.3m、2,950tのそうりゅう型とほぼ同寸である。
 たいげいの就役は2022年3月に予定されている。 (2012-102103)

FFM 二番艦くまの

 海上自衛隊が11月19日に新しいFFMタイプの護衛艦を三井E&S造船玉野艦船工場で進水させくまのと命名した。
 海自は、全長133m、基準排水量3,900tのFFMを毎年2隻のペースで建造し、将来は22隻にして全体の護衛艦数を現在の48隻から54隻に増勢したい考えである。
 一方では徹底して省人化を行い乗員を90名に絞り込んでいる。 (2012-111904)

 防衛省が22隻建造する30FFMの二番艦が11月19日に岡山県の三井造船で進水しくまのと命名された。
 既に6隻の建造が決まり、来年度に2隻の追加建造が要求されている30FFMは2017年にMHIの設計が採用され、一番艦はMHI長崎造船所で建造されている。
 Rolls-Royce社製MT30ガスタービンエンジン1基とMAN社製12V28/30DSTCディーゼルエンジン2基を搭載した基準排水量3,900t、満載排水量5,500tの30FFMは速力30ktの性能を持ち、MELCO社製OPY-2 MFRと対機雷/対潜ソナーを装備し、RIM-116 RAMとMHI社製17式対艦ミサイルも装備する。
 11月中旬にはシンガポールのBusiness Times紙が、インドネシアが30FFM 4隻を購入しようとしていると報じている。
 この合意は菅首相がインドネシアを訪問しジョコ大統領と会談した際に決まったという。 (2012-111907)

6・8・4・1・3 新造艦の就役

リチウムイオン電池潜水艦 おうりゅう

 そうりゅう型11番艦でリチウムイオン電池を動力源とする潜水艦おうりゅうが3月5日にMHI神戸造船所で就役し呉の第1潜水隊群に配属された。
 そうりゅう型は水上排水量2,900t、水中排水量4,200t、水上速力13kt、水中速力20ktで、魚雷発射管6本と21吋重魚雷30発を搭載している。 (2004-030606)

 海上自衛隊が3月5日に、リチウムイオン電池を装備したそうりゅう型潜水艦のおうりゅうを就役させ、呉を基地とする第1潜水隊群に配属した。
 おうりゅうは2015年3月に船台組み立てを開始し、2018年10月に進水していた。 (2005-031102)

まや型護衛艦の一番艦 まや

 2隻の建造が計画されているまや型の一番艦まやが3月19日にJMU横浜で就役し、横須賀の第1護衛隊群第1護衛隊に配属された。
 全長170mのまや型はあたご型より5m長く、基準排水量も8,200t(満載時排水量10,070t)と450t大きくなっている。まや  SM-3 Block ⅡAを装備するまや型はAegis Baseline J7を装備し、AN/SPY-1D(V)と共にAN/SPY-9B X-bandレーダも装備する。 更にCECも装備してE-2Dなどとのデータ交換が可能になる。 (2005-032502)

6・8・4・1・4 現有艦の改修

いずも型の F-35B 離着艦に向けた改修

 JMU社が6月30日、いずも型ヘリ空母のF-35B離着艦に向けた改修が磯子造船所で開始されたと発表した。
 令和2年度の改修はオーバーホールに合わせた改修で、最終工事は平成7年度に行われる次回のオーバーホールに合わせて行われる。 (2007-063005)

 いずも型ヘリ空母の航空母艦への改修作業がJMU社磯子造船所で始められている。
 今回の改修は5年に1度行われるオーバーホールに合わせて行われ、最終的な改修は2025年に行われる次回のオーバーホールに合わせることになる。
 今回の改修には令和2年度予算で31億円が当てられている。
 一方搭載するF-35Bは2年度予算に6機分として793億円が当てられており、1番機は6年度に受領する計画である。
 航空自衛隊はF-35A 105機とF-35B 42機を装備する計画である。 (2009-070806)

いずも型護衛艦の先端形状

 海幕広報が10月8日、いずも型護衛艦の先端形状を米海軍のWasp級やAmerica級のような四角に変更する計画について、スキージャンプ台は取り付けないと述べた。 (2012-102104)
【註】現在いずも型の艦首は先端が細くなり、艦首側面がそれに合わせて造られているため、スキージャンプ台を取り付けるのであれば側面をそのまま伸ばせば良いが、飛行甲板と水平にして四角形状にするとなると、艦首部を喫水下から全部作り直す必要がある。
 はたしてこの記事の記載は正しいのであろうか。

6・8・4・2 航空機及び搭載装備

6・8・4・2・1 電子戦機

RC-2 ELINT

 航空自衛隊が10月2日、1日に新型ELINT機であるRC-2を入間基地に配備したと発表した。 (2011-100203)

 航空自衛隊の川崎重工業 (KHI) 製RC-2 COMINT/ELINT機が10月1日に正式に就役した。
 RC-2はC-2を元にしたもので、1974年に就役し単機就役しているC-1を元にしたEC-1の後継となる。
 就役式典の場所は公表されていないが、同機は入間基地の電子戦飛行隊(註:航空戦術教導団電子作戦群電子飛行測定隊)に所属すると見られる。 (2012-101413)

 防衛省が1970年代以前に装備した電子戦機に代わる3種類の電子戦機を同時に開発している。
 C-2の機体に8個のアンテナが取り付けられたRC-2は4機保有しているYS-11EBの後継で、実用上昇限度が20,000ftであるYS-11EBに対し40,000ftの性能を持つ。
 MTOWも24.5tのYS-11に対し120tと、133.6tのRC-135 Rivet Joint並である。 (2012-102604)

C-2 SOJ

 現有のMTOW 39tのC-1に代わる機体で、令和3年度に153億円を要求している。 (2012-102604)

P-1 ELINT

 4機保有するEP-3 SIGINT機の後継で防衛省は50億円を要求している。
 これとは別に5機保有しているOP-3C光学監視機の後継にもP-1が使用されると見られる。 (2012-102604)

6・8・4・2・2 ヘリコプタ

UH-X

 防衛装備庁が6月3日、3月19日にスバル社にUH-X 6機を143億円で発注したことを明らかにした。 納期は2023年1月になっている。
 2018年12月に初飛行したUH-Xは民間型ヘリであるBell 412EPXを元にしたもので、陸上自衛隊が装備している127機のUH-1Jの後継として今後20年間で150機の装備が計画されている。
 2018年12月に決定した2019~2023中期計画では34機調達の単価を18億円としている。 (2007-060305)

 防衛装備庁が、3月19日にスバル社とUH-X 6機を143億円で調達する契約を行った。 陸上自衛隊は127機保有するUH-1JをUH-X 150機に換装する計画で、2018年12月に承認された平成30~令和4年度の中期防では34機を単価18億円で調達する計画である。 (2008-061710)

新艦載攻撃ヘリ

 防衛省は対戦車ヘリの飛行隊は削減すると共に、新たに艦載攻撃ヘリの装備を目指している。 (2008-061710)

6・8・4・2・3 A A M

JNAAM

 英国と日本は2023年の発射試験開始を目指すMETEOR BVRAAMに日本製AESAシーカを搭載するJNAAM計画が2020年で3年目を迎えている。 (2002-122303)

6・8・4・2・4 A S M

P-1 に装備する12式 ASM の開発

 防衛装備庁が2月28日、12式地対艦ミサイルのASM型で、現在P-3CやP-1に装備している91式ASMの後継としてP-1に装備する射程400km以上のASMを開発してることを認めた。 (2003-022807)

 防衛装備庁広報官が2月28日、P-1に搭載する新型ASMを開発していることを明らかにした。 開発は平成29年度から令和3年度まで93億円かけて行われる。
 開発しているASMは91式の後継で12式の改良型になる。 12式SSMの射程は200kmであるが改良型は射程を延伸して400kmになると見られる。 (2005-031108)

ASM-3A

 防衛省が12月25日に「新たな重要装備品等の選定結果について」において、超音速対艦ミサイルASM-3Aの取得経費を令和3年度予算案に計上したと発表した。
 このASM-3AはASM-3の射程延伸を図ったASM-3(改)とは別の装備で、ASM-3(改)の開発完了を待たずに途中で一部機能を獲得したASM-3Aの量産を開始するという異例の決定である。 (2101-122601)

6・8・4・2・5 無人戦闘機

 河野防衛相が8月25日の記者会見で、将来的な無人戦闘機の開発について「現実的にしっかり考えたい」と検討に意欲を示した。
 高価で大きな強い装備を数少なく調達する時代から、安く大量の装備品を調達する時代になったと、近年の装備品調達での変化を指摘し、戦闘機に限らず装備品について「できるなら無人化、人工知能を搭載する流れはある」との考えを示した。 (2009-082502)
6・8・4・2・7 電子装備

 特記すべき記事なし
6・8・4・3 陸戦装備

射程が2,000kmの地対艦誘導弾

 複数の政府関係者が12月28日、開発を進める新型対艦誘導弾の射程が2,000kmに及ぶことを明らかにした。 射程2,000kmとなると日本からの地上発射でも中国や北朝鮮が射程に入る。
 新対艦誘導弾は防衛装備庁が平成30年度から研究を始め、令和2年度までに計105億円の関連予算を計上しており、4年度までに試作を行い同年度中に性能試験を行う計画である。
 地上発射に加え、艦船や航空機からの発射も可能にする。 (2101-122901)

12式地対艦誘導弾の長射程化

 複数の政府関係者が12月7日、12式地対艦誘導弾の射程を現行より伸ばす方針を固め、令和3年度予算案で概算要求の27億円の開発費を大幅増額して330億円超にする方向で調整していることを明らかにした。
 尖閣諸島周辺で中国との緊張状態が続くなか、南西諸島防衛を強化する狙いで宮古島駐屯地への配備を検討している。 (2101-120706)

 政府は、2020年末までに検討中のミサイル阻止の新たな方針の一環として、敵ミサイルの射程圏外から攻撃できる長射程CMを新たに開発する方針を固め来週にも閣議決定する。
 射程百数十㌔の12式地対艦ミサイルを改良して射程を数百㌔まで伸ばす見通しが立ったという。
 艦艇や航空機からも発射でき、地上目標も攻撃できるようにし、一定のステルス性能を持たせる考えで、将来には敵ミサイル基地などへの攻撃に活用することも可能とみられる。 (2101-120901)

 政府が12月18日の閣議で、長射程CMであるStand Off Missileを国内開発することを正式表明した。
 長射程CMは、12式地対艦誘導弾を基に5年かけて開発するもので、敵ミサイルの射程圏外から攻撃できるようにするため、現在の百数十㌔の射程を1,000kmまで伸ばし、更に艦船や戦闘機にも搭載できるようにする。 (2101-121802)

 陸上自衛隊が装備する12式地対艦誘導弾の射程を将来1,500kmに延伸する案が浮上していることも判明した。
 12式地対艦誘導弾は、今月18日の閣議で射程の延伸が決まり、当面は従来の200kmから900km程度に延ばすが、最終的に1,500kmを目指す。 (2101-122901)

S A M

 防衛装備庁の広報官が10月5日、航空自衛隊と陸上自衛隊が装備する車載SAMの開発を令和3年度に開始すると発表した。
 それによると新型SAMは現在航空自衛隊が装備しているSAMと共同で任に当たるもので、陸上自衛隊が装備している93式SAMの後継になるという。 (2012-101410)

多目的誘導弾改

 Janeが7月6日に入手した資料から、防衛装備庁が3月30日に多目的誘導弾改の開発を35億円で川崎重工業 (KHI) に発注したことが判明した。
 多目的誘導弾改は近隣国でLCACを含む上陸用舟艇などが増強されていることを受けたもので、脅威の質と量の増大に対応しようとしている。
 システムは96式多目的誘導弾(MPMS) と中距離多目的誘導弾 (MMPMS) を合わせたもので、発射機のほか指揮統制装置と多機能レーダで構成される。 (2009-071508)

装輪戦闘車両の開発

 防衛装備庁が2019年12月20日にMHI社と、16式機動戦闘車 (MCV) を元にした3車種の試作を23.5億円で発注した。
 試作するのは歩兵戦闘車 (ICV)、偵察戦闘車 (RCV)、自走迫撃砲 (MMCV) で、MMCVは120mm迫撃砲、ICVはMCVと共同行動をするためのBMSを搭載し、何れも重量はMCVの26t以下であることが求められている。
 一方装備庁は、96式APC後継の装輪装甲車の開発も計画しており、2019年9月にGD社、Patria社、MHI社を競争企業に選定していて、令和元年度には21億円を計上していた。 (2008-061711)

19式装輪自走155mm榴弾砲と16式機動戦闘車の継続調達

 陸上自衛隊が令和2年度予算で、19式装輪自走155mm榴弾砲を7門を45億円で、16式機動戦闘車を33両を237億円で調達する。
 MAN社製8×8車に155mm52口径砲を搭載した19式は元年度に同数を51億円で調達している。
 105mm砲を搭載する26tの16式は元年度には22両を161億円で調達しており、平成28年以来の総数は142両になる。 (2006-050606)

 防衛省が、令和2年度に19式155mm/52口径SPH7両と16式機動戦闘車 (MCV) 33両を追加調達する。
 19式SPHはMAN社製8×8車搭載で45億円が計上されている。 元年度には51億であった。
 16MCVは237億円で33両要求されている。 元年度には161億円22両であった。
 この他にType 10 MBTを156億円で12両調達する。 前年度は6両であった。 (2007-052004)

新小銃、拳銃

 陸上自衛隊が30年ぶりに更新した20式5.56mm小銃を初めて報道公開した。
 豊和工業が開発した20式は1丁約28万円で、射程が伸び銃身が14cm短くなっているという。
 今年度の予算で3,283丁購入し、最終的に15万丁装備する。  さらに、拳銃も1丁約7万円のドイツ製になり今後、1万4,000丁配備される。
(2006-051801)

陸上配備型の電波妨害装備

 防衛省が、北朝鮮のBMを電波で妨害できる装備の導入に着手する。
 ミサイルと地上との電波の送受信を妨害することで地上からミサイルを捕捉できないようにして自爆に導いたり発射を抑止したりすることを目指すもので、令和2年度から研究を始めて5年程度で装備する方針で、現行の装備では不可能な発射直後の上昇段階でミサイルに対処できるようになるという。
 防衛省は2年度予算案で「対空電子戦装置の研究」に38億円を計上し、最初の目的として敵の陸海上部隊への対処を念頭に置く陸上配備型の電波妨害装備をより遠方にいる敵航空機のレーダを無力化できるようにするため参考品を取得する。
 参考品の装備は陸上自衛隊に置き、北朝鮮の弾道ミサイルも電波で妨害できるようにする。 (2003-021104)

レーザ C-UAV 装置

 防衛省は小型UAVを使ったテロなどに備える車載型のレーザ装置を開発する。 2025年ごろまでに技術を確立し、早期の実用化をめざす。
 令和3年度予算の概算要求にUAV対処の研究費として44億円を計上しており、3年度中に企業を公募して5年計画で実証試験を始める。
 また車載だけでなく艦載して洋上で対応することなども検討する。
 車載用レーザのほか、マイクロ波をUAVに照射して機能を停止させる研究にも着手する。 (2012-111601)

 防衛省が小型UAVを利用した攻撃やテロへの対処を想定し、車載HELで迎撃する兵器を開発する方針を固めた。
 2025年ごろを目標に技術を確立し、早期実用化を目指すため、令和3年度予算の概算要求に技術研究費33億円を盛り込んでいる。 (2101-120503)

6・8・4・4 超高速ミサイル

 防衛装備庁が、開発中の2種類の超高速兵器HVGPと、HCMに搭載する2種類の弾頭を開発している。
 開発しているのはタンデム式のSea Buster弾頭とMEFP弾頭であるという。
 Sea Buster弾頭は大型水上艦を目標とするもので、弾頭信管と成形爆薬を用いた前置弾頭の後方に徹甲榴弾を配置している。
 一方、MEFP弾頭は対水上艦及び移動/固定地上目標を狙うもので、数十個の超高速金属片を放出して複数目標の制圧を目指す。 (2004-031203)

 防衛装備庁がウェブ上で超高速兵器開発の行程を公表した。
 開発するのは超高速CM HCMと超高速滑空弾HVGPで、前者はスクラムジェット推進の典型的なミサイルで、後者は固体燃料ロケットで高高度に打ち上げたあと超高速で滑空し目標に至る。
 HCMは空母の飛行甲板の貫徹を目指した弾頭を搭載し、HVGPは地域制圧を目指し複数の成形爆薬を搭載した自己形成弾EEPを10km/sで放出する。
 それぞれ2024~2028年に装備化し、2030年代での配備を目指している。
 防衛省はまた衛星7基からなるネットワークを構成し、他国の衛星に頼らない測位システムを構築する計画も持っており、HCMとHVGPはそのデータとRFイメージングで飛翔し、IRシーカで目標認識を行う。 (2004-031308)

6・8・5 導入新装備

6・8・5・1 長距離スタンドオフミサイル

「6・1・4・1 敵地攻撃能力を有する装備」で記述
6・8・5・2 航 空 機

F-35A / F-35B

 米国務省が7月9日、F-35 105機の日本への売却を承認したと発表した。  売却されるのはF-35A 63機とF-35B 42機のほか、F135エンジンなど関連機器で、売却総額は$23Bと推定される。 (2008-071005)

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が7月9日、国務省がF-35 105機を$23.11Bで日本に売却することを承認したと発表した。 この中にはF-35A 63機、F-35B 42機、F135エンジン110基、及び電子戦装置、搭載電子機器、ソフトウェアから工具までも含まれている。
 航空自衛隊は三沢基地でF-35A 1個飛行隊14機を展開しているほか、追加の28機も発注している。
 2018年2月の讀賣新聞は築城基地がF-35Bの基地になると報じている。
 一方護衛艦いずもを昨年8月に要求した改修する予算$29Mでは航空機誘導灯の設置や、飛行甲板の耐熱性強化の工事が行われている。 (2008-071010)

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が7月9日、F-35 105機の$23.11Bでの対日輸出を国務省が承認したと発表した。 対日輸出が承認された105機はF-35A 63機とF-35B 42機である。
 防衛省は既にF-35A 42機を発注しており、今後10年間で99機が201機保有しているF-15J/DJと入れ替わる。
 令和2年度予算ではF-35A 3機に281億円、F-35B 6機に793億円が計上されており、最初のF-35B 3機は令和6年度に納入される。 (2009-072204)

 日本政府が7月10日にF-35 105機の購入を決めたことにより、日本が米国に次いで2 番目に多いF-35保有国になる。 またF-35B 42機の購入により、米英に次いで3番目 のF-35B保有国になった。
 F-35Aは世界中で2,000機以上が装備するのに対し、F-35Bの受注数は521機に留まっ ている。 (2009-072911)

F-15J を F-15JSI に改修

 Boeing社が7月28日、MHI社とBoeing社が航空自衛隊のF-15JをF-15JSIに改修する作業の直接民間取引 (DCS) 分について$4.5Bの契約を行ったと発表した。
 改修作業の内DCS分はMHI社が主契約社、FMS分はBoeing社が主契約社になるという。
 JSI仕様への設計及び最初の2機の改修はMHI社が行い、その後2022年に98機の改修が行われるという。 (2010-081208)

 航空自衛隊のF-15に射程900kmのJASSM-ERなどを搭載できるようにする改修をめぐり、改修に先立って準備に必要な初期費用である初度費が当初見積もりより膨れあがり、予定されていた20機分の改修が大幅に遅れる見通しであることが防衛省関係者への取材でわかった。
 尖閣諸島周辺に中国が進出を強める中、政府は一連の改修を「南西諸島の防衛力を高める重要な柱」と位置づけたが、計画の練り直しを迫られる事態となりそうである。
 予算計上から納入までに5年間かかる想定で、20機の改修は令和9年度までに順次終える計画だったが、機体改修費として実際に計上されたのは元年度予算の2機分108億円だけで2年度予算と3年度概算要求には改修費が計上されなかった。 (2012-110205)

 防衛省関係者が、F-15にALCMなどを装備する改修経費の令和3年度予算案への経費の計上を見送る可能性を、米国側に伝えていたことを明らかにした。
 防衛省は3年度予算の概算要求に初度費として213億円を計上し財務省と協議を続けているが、改修の準備に必要な初度費が当初見積もりより膨れ、コストの全体像が把握できていないとの指摘があがっており、財務省の査定に対し改修の総経費を見通せない状態で予算を計上し続けることに強い懸念が示されたとされていた。
 F-15の改修計画は12月に決定する政府予算案に計上できなければ一旦止まる事態となり、Aegis Ashoreに続き防衛省の見積もりの甘さが防衛力整備に影響を与える可能性が出てきた。 (2012-112901)

 複数の政府関係者が12月6日、政府がF-15に長距離CMを搭載する機体改修を巡り、事業に関わる米政府に関連経費の減額を要求したことを明らかにした。
 改修の初期費用が見積額より膨らんでいる事態を受けた措置で、米側は初期費用の増大は部品の枯渇が原因で想定外だったとして、日本の要求には応じなかったもようであるため、令和9年度が目標だった20機の改修完了時期にも大幅な遅れが出そうである。 (2101-120601)

 政府が令和3年度予算案でF-15の改修費用の計上を見送る方針で、9年度の完了を目指す20機の改修は大幅に遅れる可能性が高く、南西諸島周辺の防衛力整備に影響する可能性がある。
 F-15の改修は設計費などの初期費用として元年度に412億円、2年度に390億円を計上、3年度も213億円を要求していた。
 これを計上した場合は1,000億円を超すことになり、当初の見積もりを上回り総額が見通せないためである。 (2101-121108)

E-2D

 航空自衛隊が第一次分として4機発注したE-2Dの3番機と4番機が3月に米海兵隊岩国基地に到着しているが、まだ正式な引き渡しは行われていない。
 2機は組み立てと試験が終了し次第三沢基地に移動するが、Covid-19蔓延の影響で日程は決まっていない。 (2005-041604)

Citation Latitude 飛行点検機

 Cessna社が4月21日、3機受注しているCitation Latitude 2機を航空自衛隊に納入したと発表した。
 3番機の納入は2021年始めになる。
 Citation Latitudeは入間基地の飛行点検飛行隊に所属し、現有のYS-11FC 2機及びU-125と交代する。
 航続距離2,700nmのCitation LatitudeにはノルウェーNSM社製のUNIFIS 3000飛行点検システムが搭載される。 (2007-050609)

F-35A への Auto GCAS 搭載

 航空自衛隊が5月22日、三沢基地に配備したF-35Aへの自動地表衝突回避システム (Auto GCAS) の搭載を完了したと発表した。
 AGCASは今後配備されるF-35Aにも搭載されるという。 (2008-060308)

MV-22B Osprey

 日本政府が2015年に$332.5Mで5機発注したMV-22B Ospreyのうちの最初の2機が、5月8日に米海兵隊岩国基地に到着した。
 2機は6月下旬以降に木更津基地に移動する計画である。
 この2機は2019年5月からノースカロライナ州米海兵隊New River航空基地で陸上自衛隊員の訓練に使用されていた。 (2007-052005)

 米海兵隊岩国基地に5月8日に到着したMV-22B Ospreyの最初の1機が、7月10日に陸上自衛隊木更津駐屯地へ飛来した。
 このOspreyは2015年中頃に$332.5Mで発注された最初の5機の中の1機で、陸上自衛隊は令和3年度までに17機を木更津駐屯地に配備し、5年後に佐賀空港へ移駐させるとしている。 (2009-072210)

 陸上自衛隊のMV-22B Ospreyが11月6日に木更津駐屯地で就役した。 (2101-112505)

Global Hawk Block 30

 関係者への取材で13日、令和3年度の配備を計画しているGlobal Hawk 3機について、調達中止も視野に再検討を行っていることが分かった。 中止も含め近く結論を出す方針という。
 見直しのきっかけは、米空軍がFY21予算案でGlobal Hawk Block 30とBlock 20の退役方針を示したことで、関係者は「米空軍が退役させればBlock 30を保有するのは日本と韓国だけになる」と指摘し、「機数が減れば維持管理費が高騰するのは目に見えている」と懸念を示している。 (2009-081404)

KC-46A

 Boeing社が航空自衛隊向けに2機追加されるKC-46Aを$342.1MのFMS契約で受注した。
 日本政府は2017年12月に最初のKC-46Aは$279MのFMSで、2番機は2018年12月に$159Mで発注している。 (2101-111110)

6・8・5・3 ミサイル

AIM-120C-8

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が8月26日、AIM-120C-8 32発を$63MのFMS契約で日本へ売却する契約を国務省が承認したと発表した。 (2011-090910)

6・8・5・4 指揮通信装備

C E C

 海上自衛隊艦で初めてCECを搭載した7隻目のAegis艦まや (8,200t) が3月19日に就役し、第1護衛隊(横須賀)に配属された。
 CECを既に搭載しているE-2Dや米海軍のAegis艦が得た探知情報をリアルタイムで共有することが今後可能となり、自らが目標を捕捉していなくても攻撃できるようになる。
 またまやは令和3年度にもSM-3 Block Ⅱ2Aを搭載すると共に、今後SM-6も搭載する予定である。 (2004-031901)

6・8・6 将来技術の研究

長距離監視航空機搭載センサ技術

 防衛装備庁がBMやCMを監視する長距離監視航空機搭載センサを統合して捕捉距離を20%向上させたことを明らかにした。
 このセンサ統合でS/Nが3dB改善したという。 (2007-050404)

随伴戦闘 UAV 技術

 防衛省は、航空自衛隊の次期戦闘機の開発に関連し、同戦闘機に随伴するUAVの開発を来年度に本格化させる。
 人工知能 (AI) で航行する複数のUAVが有人戦闘機と編隊を組み、パイロットの指示を受けながら作戦行動にあたる計画で、令和3年度に試験用UAVの試作に着手し6年度頃の飛行試験を目指す。
 現在は4機程度で編隊を組むのが一般的であるため、母機となる次期戦闘機1機につき随伴UAV 3機程度の編成を想定している。 (2011-100306)

6・8・7 軍事応用研究の助成

 防衛装備庁が8月28日、軍事技術に応用可能な基礎研究に費用を助成する令和2年度の安全保障技術研究推進制度に、120件の応募のなかから21件の研究課題を採用したと発表した。
 予算は95億円で、元年度の101億円から減少した。
 大学での軍事研究は問題性が指摘されているが、うち2件の代表者は玉川大と情報セキュリティ大学院大だった。 (2009-082805)
6・8・8 その他の装備行政

COVID-19 パンデミックの影響

 防衛省が、防衛力整備計画に基づく装備品の調達について、COVID-19パンデミックにかかわらず計画に変更がないことを明らかにした。 (2007-051305)

三井 E&S 造船が玉野工場の艦艇事業を三菱重工業へ譲渡

 三井E&Sホールディングスが6月12日、子会社の三井E&S造船が玉野艦船工場で手掛けている防衛省向け艦艇事業について、三菱重工業への譲渡に向けて協議を開始したと発表した。
 同工場は補助艦と呼ばれる補給艦や輸送艦を建造しており、護衛艦が中心の三菱重工とは船種が異なる。
 12月末の最終契約、来年10月の譲渡完了を目指す。 譲渡後も艦艇の建造や修繕は玉野で行う。 (2007-061204)

防衛産業の装備品事業承継支援

 政府が防衛装備品の生産に関わる企業の経営環境悪化を受け撤退を検討する企業が増えたため、令和3年度から事業承継支援を始める。
 防衛技術の高度化で米国製品の購入が増え、日本の防衛産業には逆風が吹いており、撤退が相次げば「守りの技術」を維持できなくなる恐れがある。
 この2年間でもコマツが陸上自衛隊車両の開発を一部中止したほか、火薬などを製造するダイセルもひきあげを決めた。 防衛装備庁が装備品の部品などを供給する下請け企業を調査しており、実際に複数の企業が撤退を検討していることが分かった。 (2101-120301)



 「7. 対地攻撃兵器」 へ