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5. 世界各国(周辺国を除く)

5・1 米 国

5・1・1 基本政策

5・1・1・1 基本的な国防政策

5・1・1・1・1 非国際協調路線

Open Skies条約からの脱退

 消息筋がDefense Newsに対して5月21日、米トランプ政権がOpen Skies条約から脱退することを明らかにした。
 それによると大統領は同日昼に脱退の方針を決め、ポンペイオ国務長官が22日に公式に通知するという。 その結果半年後には同条約からの脱退となるが、ロシアが条約を遵守するのであれば撤回もあり得るという。
 国務省のフォード次官補によると、ロシアはカリーニングラードで条約を遵守せずに各種制約をかけており、今年初めにはエストニアとリトアニア上空で妨害を受けたという。 (2006-052105)
【註】Open Skies Treatyとは1992年に締結された協定で、締約国は協力と公開の原則に基づいて互いの領土の上空を飛行し、かつ観測できると定めており、各種軍備管理条約の検証や他の監視メカニズムのために利用されてきた。

 New York Yimes紙が5月21日、トランプ米政権が締約国の軍事活動の透明性確保を目的とする領空開放 (Open Skies) 条約から脱退する方針を固めたと報じた。 22日にもロシアに通知する。
 2002年に発効した同条約は、米露を含む批准34ヵ国が互いに非武装の偵察機を領域内に派遣することを認め、軍事活動や施設の状況を相互監視することを目的としている。
 トランプ政権はかねて、ロシアが条約に違反してバルト海沿岸カリーニングラードへの偵察機派遣を制限していると批判していた。 (2006-052201)

 米トランプ政権が11月22日、非武装の偵察機を批准国の領域内で飛ばすことなどで相互監視を認めるOpen Slies条約から脱退したと発表した。
 トランプ大統領は5月に、ロシアが条約を守っていないとして脱退する意向を表明していて、通告から6ヵ月経過した22日に米国務省が正式に脱退を発表した。 (2012-112301)

5・1・1・1・2 対露路線

NordStreem 2 建設の妨害

 複数のトランプ政権高官が12月23日、米政府が欧州の同盟諸国や民間企業に対して、ロシアからドイツへ天然ガスを送る海底パイプラインNordStreem 2の建設に加わらないよう呼び掛けており、数週間以内に幅広い追加制裁を発動する態勢を整えていることを明らかにした。
 NordStreem 2の建設は既に全区間の90%を完成させたが米国による制裁で作業は1年間中断していた。 ロシアは12月に入ってNordStreem 2の建設を再開している。
 今回の工事はドイツの排他的経済水域 (EEZ) 内の浅海部分が中心で、100kmに及ぶ未完成区域の大半を占めるデンマーク沖の深海底は未着工である。 (2101-122402)

5・1・1・1・3 宇宙防衛戦略

 米国防総省が6月17日、宇宙における中露に対する軍事的優越を維持するための戦略2020 Defense Space Strategyを公表した。
 国防総省は2019年にSpace CommandとSpace Forceの2つの組織を立ち上げ、宇宙空間を戦争領域として位置づけた。 (2007-061704)

 米陸軍SMDCが8月21日に正式に宇宙軍の隷下に入った。 しかしながらSMDCは引き続き戦略軍 (STRATCOM) の隷下でもあるという。 (2009-082106)

5・1・1・1・4 攻撃的な BMD 戦略

 米国防総省が、北朝鮮の長距離BMを発射以前に攻撃する計画を立てている。
 これはNGIの開発を含むGMD近代化の遅れを補う新戦略の一部になっている。
 FY21要求の本土防衛ではSM-3 Block ⅡAなどと共に攻撃的なBMDも取り入れられている。 (2005-042104)
5・1・1・1・5 米軍の世界規模展開

再配置計画の見直し

 エスパー米国防長官が1月23日、中露を睨んだ世界的な米軍部隊の配置見直しに2020年内に着手する可能性があることを示唆した。
 エスパー長官は記者団に対し、完了時期を特定したくはないと述べたうえで、FY21初めまでにより良い状況にいるようにしたいとし、比較的速やかに動きたいと語った。 (2002-012401)

 エスパー米国防長官が1月23日に米南方軍 (SOUTHCOM) 司令部のあるマイアミでSOUTHCOMの見直しに着手したことを明らかにした。
 この地域への中露の進出を念頭に置いたもので、見直しはまだ着手したばかりであるがFY21が始まる10月1日までには終わらせるという。
 長官は、見直し (review) というと削減ととらえがちであるが、SOUTHCOMの見直しは削減ではないと強調した。 (2002-012403)

陸軍部隊のローテーション

 米陸軍が、欧州、韓国、アフガンに合わせて3個旅団をCovid-19パンデミックの最中であるが派遣すると発表した。
 このうちテキサス州Ft. Hood駐屯第1騎兵師団第1機甲旅団戦闘団 (ABCT) の3,700名は、欧州でAtlantic Resolve演習とCombinerd Resolve演習に参加する。
 ジョージア州Ft. Stewart駐屯第3歩兵師団第2 ABCTの3,600名は韓国へ派遣され、同師団の第2旅団戦闘団 (BCT) と交代する。
 アフガンに派遣するニューヨーク州Ft. Drum駐屯第10山岳師団第2旅団戦闘団の700名は同師団の第1旅団戦闘団と交代する。 (2010-092507)

永久駐留戦略から循環式一時的駐留へ

 米国合同参謀本部議長のミリー陸軍大将が12月3日、米軍の一部の海外基地の永久駐留戦略に対する再検討の必要性を主張した。
 AP通信によるとミリー大将は、米海軍協会 (USNI) 主催のオンライン懇談会で、軍の海外駐屯はもう少し選択的であるべきだとし、米軍の海外駐屯を強く支持するが、永久的なものよりか循環式で一時的な駐留の方が良いと思うと語った。 (2101-120403)

5・1・1・1・6 動的戦力運用 (DFE) 構想

米本土の B-1B が三沢基地まで32時間の往復飛行

 サウスダコタ州Ellsworth AFBのB-1 1機が4月22日、三沢基地まで30時間に及ぶ往復飛行を行い、空自戦闘機15機との合同訓練を行った。
 この訓練にはF-2 7機とF-15 8機の他、三沢基地のF-16 6機も参加した。
 先週にはグアムに6ヶ月周期で巡回配備されていたB-52 5機がノースダコタ州Minot AFBに帰還している。 グアムには2004年以来爆撃機が巡回配備されていた。 (2005-042214)

 米軍は本土から離れた地域に前方展開する部隊の運用を大幅に見直す動的戦力運用 (DFE) に乗り出した。
 4月にはグアムに交代で配備していた戦略爆撃機を、米本土から展開させる方式に切り替えている。
 米軍はDFEの狙いを即応力の強化とし、抑止力や即応能力の低下は起きないと主張するが、海外駐留米軍の削減を唱えてきたトランプ政権が打ち出した戦略だけに、同盟国に不安が広がるのは必至とみられる。 (2006-052701)

米空軍爆撃機の西太平洋での活動

 テキサス州Dyess AFBから5月1日にB-1B 4機がグアムのAndersen AFBに派遣されたほか、DFE構想で米本土から爆撃機が派遣されている。 (2006-052806)

5月26日: Andersen AFBのB-1B×2 空自のF-15×8、F-2×8、日本海上空

5月26日: Andersen AFBのB-1B×2 南シナ海上空

4月29日: サウスダコタ州Ellsworth AFBのB-1B×2 32時間の往復飛行

4月22日: Ellsworth AFBのB-1B×2 三沢の米F-16×6、空自F-2×7、F-15×8、三沢の射爆場

2月3日: ノースダコタ州Minot AFBのB-52×2 F-2×13、F-4×4、F-15×28、三沢の米F-16×6

B-1B 2機がウクライナ軍機等と黒海上空を飛行

 サウスダコタ州Ellsworth AFBの第28爆撃航空団所属のB-1B 2機が5月29日に初めて、ウクライナのSu-27及びMig-29、トルコのKC-135と欧州及び黒海上空を飛行した。
 B-1BはポーランドのF-16及びMiG-29、ルーマニアのF-16及びMiG-21、更にギリシャ機、北マケドニア機と黒海上空を飛行した。
 この飛行には英空軍Mildenhall基地に駐留する米空軍第100空中給油航空団のKC-135とトルコIncirlik基地所属のトルコ空軍のKC-135が随行した。 (2006-052904)

 ロシア軍首脳が9月18日に、米国とその同盟国が黒海で爆撃機や偵察機の飛行を増加させていると非難した。
 8月と9月にはB-52が黒海とアゾフ海で、ロシアとの国境から11kmを飛行したという。 (2010-091807)

5・1・1・2 対中路線

5・1・1・2・1 人権保護法

チベット人権法案の可決

 米下院本会議が1月28日、中国チベット自治区での人権や宗教の自由などを擁護するチベット人権法案を賛成392、反対22の圧倒的な賛成多数で可決した。
 法案はチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の後継者選出に介入した中国当局者に対する制裁などを規定したうえで、ラサへの米外交施設設置を中国政府が認めるまで、米国内での新たな中国領事館設置を認めないことも盛り込んだ。
 2019年11月の香港人権民主法成立、同12月のウイグル人権法案の下院可決に続き、中国当局に圧力をかけた。 (2002-012903)

 ポンペオ国務長官が10月14日、トランプ政権発足以来空席となっていたチベット問題担当特別調整官にデストロ民主主義・人権・労働問題担当国務次官補を指名したと発表した。
 デストロ調整官は国務次官補を兼務する。
 これについて中国政府は15日、米国はチベットの不安定化をもくろんでいると非難した。 (2011-101512)

 トランプ米大統領が12月27日、中国共産党体制によるチベット自治区での人権弾圧を抑止するため、自治区での人権や信教の自由を擁護する法案に署名し同法は成立した。
 同法は、中国がダライ・ラマ14世の後継者の選定に介入した場合、深刻な人権侵害とみなして制裁の対象にすると規定した。
 また、中国がラサに米領事館設置を認めない限り、中国による新たな在米領事館設置を承認しないとしている。 (2101-122902)

ウイグル族イスラム教徒を大量虐殺との疑惑

 オブライエン米国家安全保障担当大統領補佐官が10月16日にオンラインのイベントで、中国が新疆ウイグル自治区でイスラム教徒に対して大量虐殺に近い行為を行っているとの見解を示した。
 オブライエン補佐官は、「中国はまた台湾をいじめており、香港を占領した。 チベットもそのままだ。 大量虐殺ではないにしても、それに近い行為が新疆で行われている。 中国は非常に積極的で、アグレッシブだ」と述べた。
 国連の推計では、100万人以上のイスラム教徒が新疆で拘束されている。 また活動家は人道に対する罪と大量虐殺が行われているとしている。 (2011-101905)

ウイグル族人権法案の可決

 米上院が5月14日、中国政府による新疆ウイグル自治区のウイグル族への弾圧に関し、トランプ大統領に制裁発動を求める法案を全会一致で可決した。
 下院は昨年12月に同様の法案を可決したが、上院で修正されたため、成立には下院で再び可決し大統領が署名する必要がある。
 COVID-19で対中批判を強めるトランプ大統領がウイグル問題でも姿勢を硬化させ、署名に応じる可能性がある。 (2006-051501)

 米議会下院が5月27日、中国政府によるウイグル族などイスラム教の少数民族弾圧に関与した人物に制裁を科すようトランプ政権に求める法案を賛成413、反対1の圧倒的多数で可決した。
 上院はすでに全会一致で可決済みで、法案はホワイトハウスに送られトランプ大統領の署名を経て成立する。 (2006-052801)

 トランプ米大統領が6月17日、中国政府による新疆ウイグル自治区のウイグル族弾圧に関わった中国当局者に制裁を科すウイグル人権法案に署名した。
 これにより同法は成立した。 (2007-061802)

ウイグル族人権問題でGlobal Magnitsky法の適用

 米政府は7月9日、中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害に関与したとして、同自治区トップの陳書記ら当局者4人に制裁を科すと発表した。
 陳氏は共産党政治局委員でもあり、米政府高官によると、米国がこれまでに制裁を科した中国当局者の中で最高位という。
 今回の制裁はGlobal Magnitsky法に基づくもので、米政府は国を問わず人権侵害に関与した人物に対し、米国資産の凍結や、米国への渡航、米国人との取引を禁止することができる。
 6月に成立したウイグル族弾圧に対し制裁を科すよう政権に求める法案を提出した共和党のルビオ上院議員は今回の制裁発動について、もっと早く行うべきだったとし一段の措置が必要だと述べた。 (2008-071003)
【註】Global Magnitsky法は、巨額横領事件を告発したロシアのセルゲイ・マグニツキー弁護士がモスクワで拘留されながら暴力を受け続けて2009年に獄中死したのをうけ2012年に制定された。

 中国外務省が7月10日、米政府が新疆ウイグル自治区での人権侵害に制裁を科すとしたことに対し、対抗措置を取る方針を示した。
 米政府は9日、新疆ウイグル自治区での人権侵害に関与したとして、同自治区トップの陳書記ら当局者4人に制裁を科すと発表した。 (2008-071004)

米議会上下両院で香港人権法を可決

 北京で開いた全国人民代表大会(全人代)が5月28日、反体制活動を禁じる香港国家安全法の制定方針を採択して閉幕した。
 中国が国家安全に関する機関を香港に設置して直接取り締まりができるようになり、香港で言論の自由が中国本土並みに制限され、高度な自治を認める「一国二制度」が形骸化するとして、米国や香港の民主派は反発を強めている。 (2006-052804)

 米上院が7月2日、香港国家安全維持法の履行に当たる中国政府当局者と取引した銀行に制裁を科す法案を全会一致で可決した。
 同法案は、香港の自治権を侵害することに加担している事業体と、その事業体と取引する金融機関に制裁を課すもので、下院では前日に可決されており、トランプ大統領の署名を経て成立する。
 中国はこの法案について、米国は香港問題への干渉をやめるべきだと警告している。 (2008-070301)

全人代常務委員会が香港国家安全維持法を可決

 中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会が6月30日に香港国家安全維持法案を可決した。
 法案の詳細はいまだ公表されていないが、中国政府は国家分裂、政権転覆、テロ活動、外国勢力との結託の4つを処罰対象にするとしている。また最高刑は終身刑になるとの報道もある。
 1997年に英国から中国に返還されて以降、高度な自治が保障されてきた香港にとって歴史的な転換点になる。 (2007-063003)

 香港の立法会(議会)選挙に向け民主派が実施した予備選が国家安全維持法(国安法)違反に当たる恐れがあると香港政府の林行政長官が指摘したことについて、ポンペオ米国務長官が7月14日、非常に憂慮しているとした上で、香港情勢を注視する考えを示した。 (2008-071503)

香港国家安全維持法施行に対する米国の対応

 ポンペオ米国務長官が6月30日、香港国家安全維持法施行を受け、中国政府による香港での言論や報道、集会の自由への攻撃に対処すると言明し、香港に認めてきた優遇措置をわずかな例外を除き撤廃すると強調した。
 具体的な対応への言及は避けたが、トランプ政権は国家安全維持法に絡み、香港の自治を侵害した中国共産党員らのビザ制限を実施済みで、トランプ大統領が5月末に表明していた優遇措置の見直しにも着手し、その一環として香港への重要防衛技術の輸出制限を発表した。
 関税の引き上げや香港ドルと米ドルの自由な交換の停止など、より強い措置に踏み込むかどうかが今後の焦点となる。 (2008-070101)

香港自治法の成立

 トランプ米大統領が7月14日署名して成立した香港自治法は、中国の大手銀行への金融制裁に道を開くもので、ドル調達の封じ込めに照準を定め、米銀からの資金調達や外為取引を禁じる8つの制裁を列挙しており、制裁を実行すれば世界の金融システムに亀裂が入りかねない強烈な脅しとなる。
 香港自治法に盛り込まれた米当局の経済制裁は2段階あり、米国務省は90日以内に香港の自由や自治を侵害した個人や団体を特定し、ドル資産の凍結などの制裁の可否を検討する。
 2次制裁ではその個人や団体と取引がある金融機関も対象となる。 香港自治法は具体的な制裁手法を列挙しており

(1) 米銀による融資の禁止
(2) 外貨取引の禁止
(3) 貿易決済の禁止
(4) 米国内の資産凍結
(5) 米国からの投融資の制限
(6) 米国からの物品輸出の制限
など8項目が決まっている。 (2008-071504)
5・1・1・2・2 知的財産の保護

ヒューストンの中国総領事館に閉鎖命令

 米政府はテキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を命じた。 米国務省は中国総領事館の閉鎖について、米国の知的財産権と個人情報の保護が目的と説明している。
 中国外務省によると、通告があったのは7月21日で、3日以内に閉鎖するよう求められた。
 ポンペオ国務長官は、中国が米欧の知的財産権を窃取しており、それによって何十万人もの雇用が犠牲になっていると述べた。
 関係筋の情報では、中国は対抗措置として湖北省武漢市の米国総領事館の閉鎖を検討しており、米中関係は急速に悪化している。 (2008-072205)

 米政府が閉鎖を命じたテキサス州ヒューストンの中国総領事館について、複数の米メディアが、長年にわたり医療研究などの知的財産を盗み出すための拠点になっていたと報じた。
 このうちNBC TVは複数の政府関係者の話として、トランプ大統領は2017年の就任直後からこうした活動について説明を受けていたとしている。 (2008-072401)

5・1・1・2・3 中国企業の排除

中国軍関連企業への投資を禁止

 トランプ米大統領が11月12日、国家安全保障に深刻な脅威をもたらす恐れがあるとして、米国の投資家による中国軍関連企業への投資を禁止する大統領令に署名した。
 国防総省が指定した華為技術(ファーウェイ)を含めて現在31社が対象で、先端技術や情報の流出阻止が狙いである。
 2021年1月11日に施行されるが 中国の強い反発は必至である。 (2012-111301)

ファーウェイ使用国への米軍追加派兵再考

 米議会上下院の軍事委員会が12月3日に合意したFY21国防授権法案 (NDAA) には、「危険な5Gあるいは6Gネットワークを使用する駐留国に、米国の装備や追加の兵力を永久駐留させることへの考慮」という項目が加えられたことが分かった。 米議会はこれらの内容を含む法案を近く採決する。
 駐留国がファーウェイを含む危険なサプライヤーの5Gあるいは6G通信設計を使用し、あるいは使用を意図している場合、米国防長官は米軍の兵力、装備、作戦に及ぼすリスクを考慮し、これを議会に報告することを義務づけている。 (2101-120702)

5・1・1・3 核戦略

核関連予算の増額

 トランプ政権のFY21予算要求で核弾頭関連が20%近く増額されている。
 原子力関係要求$46B以上のうち国防総省関連は$28.9Bで、$15.6BがB-21及び新型ICBMに配当されている。
 今後5年間の見積もりは以下の通りである。 (2004-030403)

• FY21: $15.6B
• FY22: $15.94B
• FY23: $16.27B
• FY24: $16.6B
• FY25: $16.96B
 中国の脅威が増大しているのを受け、米国防総省はFY21国防予算の4.1%を核兵器関連に振り分けようとしている。
 国防総省が今後10年間に核兵器関連にかけようとしている経費は$1T以上で、FY21には$28.9Bを要求していて、Minuteman Ⅲ ICBMの後継となるGBSD、B-2の後継となるB-21、AGM-129の後継となるLRSOの開発に当てられる。
 特にB-21の開発は顕著で、FY20予算要求時の5ヵ年計画では毎年$5.9Bとしていたのを、FY21要求では$22.6Bにしている。 (2005-030903)
5・1・1・4 核軍縮

新 START の期限切れ問題

米国務省当局者が2月11日、2021年2月に期限を迎える新戦略兵器削減協定New STARTについて、米露が延長交渉中であることを明らかにした。 (2004-021901)

 米国務省報道官が、ポンペオ米国務長官が4月17日にロシアのラブロフ外相と電話会談し、今後の核軍縮交渉は中国を含む3ヵ国の軍縮協定というトランプ大統領の構想に基づくものでなければならないと伝えたと発表した。
 一方、ロシア外務省は、ラブロフ外相は2021年2月が期限となっている新戦略兵器削減条約(新START)の延長というロシア側の提案を繰り返したという。 (2005-041806)

 ポンペオ米国務長官が5月6日にラブロフ露外相と電話会談し、軍縮交渉を行う用意ができていると主張したと述べた。
 ポンペオ長官は軍縮の具体的内容には触れなかったが、2021年2月に期限が切れる米露の新戦略兵器削減条約(新START)への対応などを協議したとみられる。
 一方、トランプ大統領は将来の軍縮交渉について、中国も加えた3ヵ国の合意が必要という立場を示しているが、中国は参加を拒否している。 (2006-050701)

 米政治専門紙Politicoが5月20日、トランプ政権が2021年2月に期限切れを迎える米露の新戦略兵器削減条約(新START)を短期間延長することも検討していると報じた。 条約は最長5年間の延長が可能だが、それよりも大幅に短い期間の延長を視野に入れているという。
 トランプ政権はこれまで新STARTの延長に難色を示しており、条約失効に対する懸念が強まっていたが、失効を回避した上で中国も含めたより包括的な核軍縮体制の構築を目指す。 (2006-052101)

 2021年2月に期限を迎える米露の核軍縮条約新STARTの延長をめぐる協議が6月下旬に行われることになったが、米国が中国も協議に参加するよう求めたのに対して中国は拒否し、条約の延長に向けた交渉は難航が予想される。
 米露間に唯一残された核軍縮条約「新START」はロシアが条約の延長を求めているのに対し米国は核兵器の増強を進める中国も条約に参加するよう求めている。 (2007-061002)

中国の言い分

 中国外務省軍縮局長が7月8日、米国が核保有数を中国と同じ水準に引き下げるのであれば、米露の軍縮協議に喜んで参加すると述べた。
 米政府は、2021年2月に期限が切れる米ロの新戦略兵器削減条約(新START)の延長を議論する交渉に、繰り返し中国を招待しているが、同局長は交渉参加に関心はないと改めて表明した。 (2008-070802)

 米国務省が7月9日、中国が軍備縮小に関与する姿勢を歓迎するとした上で、中国に対し対面協議に応じるよう求めた。
 米国は、2021年2月に期限切れとなる新戦略兵器削減条約(新START)を巡り、ロシアと協議していて、中国にも参加を要請しているが、中国は拒否している。
 中国外務省軍縮局長は8日、米国が核兵器の数を中国の水準である1/20程度に減らす用意があるなら軍縮協議に参加するが、それが無理であることは分かっていると発言している。 (2008-071001)

ロシアとの合意先行検討

 米国務省でロシアとの核軍縮交渉の責任者であるビリングスリー大統領特使が、トランプ政権が進めてきた中国を交えた3ヵ国の同時合意にこだわる方針を修正して、ロシアとの2国間での核軍縮協議を先行させる案を検討していると明らかにした。
 ビリングスリー特使は8月17~18日にウィーンでロシアのリャプコフ外務次官との協議に臨む。 米国は中国も招待している。
 焦点は2021年2月に期限切れを迎える新戦略兵器削減条約(新START)の行方で、米国は新STARTに代わる新たな枠組みについて、

① 中国の参加
② あらゆる核戦力を制限対象に追加
③ 査察・検証の強化
との条件を求めてきた。
 なかでも中国の参加に強くこだわってきたが、中国は参加に否定的である。 (2009-081506)

 軍備管理担当ビリングスリー米大統領特使が8月18日、2021年2月に期限が切れる米露間の新戦略兵器削減条約(新START)の延長条件についてロシア側に伝えたと述べた。
 条件には、ロシアが新START対象外の短距離核兵器を増強していることへの対応や検証システムの強化が含まれるという。
 米国は新STARTに代わる新たな条約には中国も参加する必要があると主張しているが、ビリングスリー特使はその姿勢を軟化させ、いずれ中国を含められる枠組みになるだろうと述べた。 (2009-081901)

延長交渉を開始

 米国がロシアと新START条約の延長交渉に入った。 中国の参加は米露両国の交渉後になる。 (2010-090219)

ロシア、米提案を拒否

 Wall Street Journalが10月1日、ロシアのリャプコフ外務次官が9月29日の電話インタビューで、来年2月に期限が切れる米ロの新戦略兵器削減条約(新START)について、次期軍縮条約への中国の参加などを盛り込んだ米露枠組み合意を条件に短期間の延長に応じるとする米側の主張を「明らかに成功の見込みがない」として、拒否する意向を明らかにしたと報じた。
 リャプコフ次官は中国の参加は見込めないとして、次善の策として米露2国間での対話を継続すべきだと述べ、新STARTを延長した上で交渉を続けることを主張した。 (2011-100201)

 ビリングズリー米軍縮問題担当大統領特使は10月、アジア訪問を切り上げてヘルシンキに飛び、新戦略兵器削減条約(新START)の延長でロシアのリャプコフ外務次官と協議を行った。
 ビリングズリー特使は10月13日に事態打開の妥協が見えたと原則合意したことを明らかにしたが、リャプコフ次官は延長した条約の期間中、核活動を凍結するという米国の要求は受け入れられない提案だと述べ、米国が提案した条件を即座に拒否したという。 (2011-101403)

米、ロシア提案を拒否

 米国家安全保障会議 (NSC) が、オブライエン国家安全保障担当大統領補佐官が10月16日に米露の新戦略兵器削減条約 (START) を無条件で1年間延長するよう求めたプーチン露大統領の提案に対し「見込みがない」と述べ、拒否する考えを示したことを明らかにした。
 オブライエン補佐官は米側も1年間の延長を提案していると指摘した上で「米露双方が、すべての核弾頭を規制することが条件だ」と強調した。 (2011-101703)

ロシア、核弾頭規制する米提案に応じる用意

 ロシア外務省が10月20日、2021年2月に期限が切れる米露の新戦略兵器削減条約(新START)を1年間延長した場合、この期間中は米側が提案している核弾頭の規制に応じる用意があると表明した。
 米国務省のオルタガス報道官は「核軍縮を前進させるロシアの意志に感謝する」と表明し、「米国は、直ちに検証可能な合意をまとめるために協議する用意がある」と語った。 (2011-102005)

5・1・1・5 国防予算

5・1・1・5・1 FY20 予算

 米議会が2019年12月16日、$738BにのぼるFY20国防予算を承認した。 この中で宇宙軍には$40Mが割り当てられた。
 陸軍ではM2 Bradley IFVの後継となるOMFVは削除された。 一方でM1A2 SEPv3 MBTの改良には$3Bが認められ、海兵隊のACV 1.1にも$300.9Mが付いた。
 海軍では戦闘艦14隻に$23.9Bが付き、Virginia級潜水艦2隻、Aeleigh Burk級駆逐艦3隻、San Antonio級揚陸艦1隻の建造が認められた。
 空軍ではB-21に$3Bが付いたほか、F-15EX 8機に$985.5Mが認められた。 F-35については要求より20機多い98機に$1.87Bが認められた。
 MDAには総額$10.4Bが割り当てられた。 (2003-010104)
5・1・1・5・2 FY21 トランプ政権の要求予算

FY21 予算教書の議会提出

 トランプ政権が2月10日に議会へ提出する予定のFY21国防予算は、国防総省が中露に対抗するため増額を求めているが、2019年12月に成立したFY20の$738Bとほぼ同じ$740Bになりそうである。 (2002-010817)

 トランプ政権のFY21予算教書で国防予算要求は、国防総省要求が$705B、国家核安全保障局その他を含めて$740Bで、この他に海外戦費 (OCO) が$69Bとなっている。
 内訳では陸海空軍の経費が以下の通り削減されている。 (2003-021008)

・陸 軍: $178B ($462M減)
・海 軍: $207B ($1.9B減)
・空 軍: $207B ($1.7B減)
 これにより空軍では以下の航空機が退役する。
・B-1  : 17機
・A-10 : 44機
・KC-10 : 16機
・KC-135: 13機
・Global Hawk: 24機
 その結果主要装備の予算配分は以下の通りとなる。
・航空機関連 : $56.9B
・艦船建造  : $32.2B
・ミサイル弾薬: $21.3B
・宇宙関連  : $15.5B
・陸上装備  : $13B
・C4I     : $11.9B
・ミサイル防衛: $11.6B
 一方研究開発費は$2B上がって$106.6Bと、過去70年で最高になる。 主な内訳は以下の通りである。
・超高速兵器関連 : $3.2B
・マイクロ電子/5G: $1.5B
・自  動    : $1.7B
・AI       : $800M
 トランプ米大統領が2月10日、国防費$740.5B(註:FY20では$738B)を含むFY21予算教書を議会に提出した。
 国防費では核兵器のほか研究開発費の増額を盛り込んでおり、国防総省高官は研究開発費の要求額は過去70年間で最大規模としている。
 別の高官は、核兵器の近代化向けには昨年度から$29B (18%) の増額を求めたと述べた。 米議会予算局 (CBO) によると核兵器近代化を完了させるには今後30年で$1T以上かかる見込みという。
 また、海外戦費$69Bを要求している。 (2003-021101)

FY21:核関連予算の増額

 トランプ政権のFY21国防予算要求で核関連費は$46Bで、国防総省要求が$28.9B、国家核安全保障局 (NNSA) 要求が$19.8BでNNSA要求中の$15.6Bが核兵器関連、$1.7Bが海軍の原子炉関連になっている。
 国防総省要求の$28.9Bのうち$14.7Bが研究開発費で、

・$4.4B: Columbia級潜水艦
・$4.2B: 核指揮統制システム
・$2.8B: B-21爆撃機
・$1.5B: GBSD
・$1.2B: Trident Ⅱ延命工事
・$500M: LRSO CM
・$110M: F-35への核兵器搭載
・$ 50M: B61-12用テールキット
となっている。 (2003-021009)

BMD 関連予算

 米大統領府政権が2月10日に公表したFY21国防予算要求でMDAの計上分は$9.187Bと、FY20の$9.431B、FY19の$10.491Bより少なくなっている。
 この内SM-3 Block ⅡAによるICBM迎撃に$39.2M、ICBM迎撃用のHomeland Defense THAADに$139Mが計上されている。
 Homeland Defense THAADによるICBM迎撃試験はFY23に行われる。 (2004-021906)

 自由アジア放送 (RFA) が11月12日、米上院歳出委員会が10日に総額$696BのFY21予算案を作成したが、MDAに査定されたのは$10.23Bで、MDAの要求額より$1.1B増えたと報じた。
 そのうちTHAADには$319.6M、GBIに$450Mが配分された。 (2012-111404)

減額された費目

 2月10日に公表されたFY21米国防予算要求では、航空機購入費が前年度の$57.7Bから$56.9Bへ微減している。
 一方海軍と海兵隊はそれぞれ$194.1B、$13B、合わせて$207.1Bで、FY20の$161B、$46B、合わせて$210Bより微減している。 (2004-021904)

 トランプ政権が2月10日に公表した総額$$741BのFY21国防予算要求で陸軍は$178Bで、FY20より$2.1B少なくなっている。 (2004-021905)

FY21:欧州を護る EDI 経費

 米国防総省はFY21の国防予算に、ロシアの侵略から欧州を護るEDI経費として海外戦費であるOCOに$4.5Bを要求している。
 FY18に$4.8Bを要求したEDIはFY19で$6.5Bに増額されたがFY20の要求では$5.9Bへと減額していたため議会が増額して$6.5Bとした経緯がある。
 このためFY21要求は実質$1.5B減額となる。 (2003-021010)

FY21:太平洋抑止計画

 米下院が12月8日、総額がFY20年比0.3%増の$741BにのぼるFY21国防予算の大枠を定める国防権限法案 (NDAA) を賛成多数で可決した。
 法案はインド太平洋地域における米軍の能力向上のための新基金である太平洋抑止計画を設置し、対中戦略を担うインド太平洋軍の装備拡充費用などとして、$2.2Bを割り当てている。
 法案は上院で採決後にホワイトハウスに送付されるが、トランプ大統領は拒否権を発動すると公言しており、成立には曲折がありそうである。 (2101-120902)

5・1・1・5・3 予算要求に盛り込まれなった優先項目 (UPL)

M D A

 米MDA長官のヒル海軍中将が2月20日に議会に対し、FY21要求の$9.2Bに加えて、SM-3 Block ⅡAやTHAAD中隊の追加購入や超高速飛翔体防衛などの追加分として$1.1Bのリストを提出した。 (2003-022107)

陸 軍

 米国防総省のFY21予算要求に盛り込まれなった中での優先項目 (UPL) に陸軍は、$3.85Bの海外戦費 (OCO) を含む$7Bを挙げており、OCOを除く$3.19Bには26項目の計画と$1.9Bの施設建設になっている。
 その中でも最優先に挙げられているのが既に太平洋地域に配置されたマルチドメイン戦隊 (MDTF) の強化と同様部隊の欧州での新設で、$151.4Mが挙げられている。
 砲兵旅団を元に編成されるMDTFは、地上発射長距離ミサイル部隊に対しサイバ/電子戦能力を高め、衛星を通じた通信や情報活動を行う。 (2003-022108)

5・1・1・5・4 同盟国への要求

 エスパー米国防長官が9月16日にRand研究所で講演し、中国、ロシアとの大国間競争に備えるためには同盟国やパートナ国との連携強化が必要と強調し、日本を含む全同盟国に防衛費をGDPの2%以上に引き上げるよう求めた。
 安全保障面で同盟国に応分の負担を求めるトランプ政権は、NATO加盟国に対して国防費をGDPの2%以上に引き上げるよう求めてきたが、NATO以外の同盟国にも同様の基準を提示したのは、今回が初めてとみられる。 (2010-091703)
5・1・1・5・5 FY22 予算への動き

 特記すべき記事なし
5・1・1・5・6 FY21 NDAA

米議会上下両院でFY21 NDAA を可決

 米議会上院軍事委員会が6月10日、インド太平洋地域での中国の動きを抑制することを焦点としたFY21国防権限法案 (DAA) を承認した。
 FY21 DAA法案では太平洋戦争抑止計画 (PDI) に$1.4Bを配当しているが、FY22には$5.5Bを割り当てるとしている。 (2007-061106)

 米上院軍事委員会が6月11日、FY21国防予算の大枠を定める$740Bの国防権限法 (NDAA) 案を公表した。
 中国との競争を念頭に置いた措置やCOVID-19パンデミックへの対応などが盛り込まれており、インド太平洋地域における軍事上の競争に特化する太平洋抑止抑止計画 (PDI) を創設し$7Bを配分している。 (2007-061201)

 米上院が7月23日、FY21の国防予算の大枠を定める総額$740Bの国防権限法 (NDAA) 案を86対14の賛成多数で可決した。
 これに先立ち下院も21日に独自の法案を可決しており、今後は上下両院ですり合わせを行い、法案を一本化した上で、あらためて両院で投票にかけることになる。 (2008-072402)

 米国のFY21国防予算法案 (NDAA) が議会の上下両院で可決され、今後大統領が署名をすれば成立する状態となった。
 法案は下院で可決されたのに続き、12月11日に上院でも賛成84票、反対13票の賛成多数で可決された。
 戦費を含む予算総額は$740.5Bで、インド太平洋地域に展開する米軍の活動強化のための特別枠が今回初めて設けられるなど、中国への対応を意識したものとなっている。 (2101-121201)

大統領の拒否権発動

 米議会上下両院が可決したFY21 NDAA法案にはトランプ大統領が反対してきた軍の施設の名称変更も含まれており、今後大統領が署名をするかどうかが焦点となっている。 (2101-121201)

 トランプ米大統領が12月23日、FY21国防予算の大枠を定めた国防権限法案 (NDAA) に対して拒否権を行使したと発表した。 法案にトランプ大統領が進めるアフガニスタンなど外国からの米軍撤収を制限する条項が盛り込まれたことなどを理由に挙げた。
 法案はまた、南北戦争で奴隷制を支持した南部連合の将官らの名前を冠した米国内の米軍基地の名前を改称することを定めた条項が盛り込まれた。
 拒否権行使を受け下院は28日、上院は29日に改めて法案の採決を行う予定で、先の採決では上院は84対13、下院は335対78と、いずれも大統領の拒否権を覆すのに必要な2/3を上回っており、拒否権が覆されればトランプ政権では初の事態となる。 (2101-122403)

5・1・1・5・7 FY21 予算の成立

 上下両院の再採決は2021年内に持ち越された。
5・1・1・6 米本土防衛

初めての4コマンド統合演習

 米北方軍 (NORTHCOM) が5月28日、初めての宇宙軍、輸送軍、戦略軍を交えての4コマンド統合演習を5月31日までの日程で米東海岸で開始した。
 この演習は米本土への攻撃を想定したもので、空母Harry S. Truman搭載機の他、カナダ軍戦闘機や空軍のF-15も参加した。 またB-1B 1機も参加する。
 Harry S. Trumanは9月にNorfolkを出航して、過去4年間で3回目の航海に出ていたが、COVID-19の感染拡大から春に公開を切り上げている。
 宇宙軍は衛星通信とGPSを担当する。 (2006-052906)

5・1・1・7 COVID-19 の影響

空母の不稼働

 「5・1・3・3・1 戦力に及ぼした影響」で記述

米軍の移動停止

 米国防総省が3月25日、COVID-19の感染拡大を防ぐため、海外での米軍の移動を60日間停止すると発表した。
 軍事演習や部隊の展開、再配置などに適用され、9万人の米軍関係者が影響を受けるという。 (2004-032606)

 Covid-19の感染拡大を受けエスパー米国防長官が4月14日、3月16日に発令した米軍の国をまたぐ移動停止を5月11日まで延長することを命じた。
 移動停止の対象は軍人、軍属、及びその家族を含み数千名規模になる。 (2005-041404)

 COVID-19の感染拡大を受け米国防総省が4月18日、軍人、軍属、その家族の移動を停止する命令を6月末まで延長した。 但し、部隊の海外展開や優先度の高い部隊交代はこの範囲に含まないという。
 米輸送軍は年平均40万人の輸送を行っており、夏期だけでその1/4を実施しているが、3月以降は例年の30%しか行っていないという。 (2005-041805)

装備品開発の停滞

 米陸軍省で調達兵站技術を担当するジェッティ次官補とArmy Future Command司令官のミューレイ大将が4月3日のネット上の記者会見で、COVID-19パンデミックにより新兵器の試験に遅れが生じていることを認め、軍事産業に及ぼす影響を分析した。
 その中でメリーランド州Aberdeenで行われていたIM-SHORADの試験が、関係者のソーシャルディスタンスを保つため中断していたが、再開を検討していることを明らかにした。 (2006-041506)

5・1・2 各軍の戦略戦術

5・1・2・1 陸 軍

5・1・2・1・1 マルチドメイン

マルチドメイン部隊

 マッカーシー米陸軍長官が1月10日、2022年までにインド太平洋地域にサイバ分野や極超音速ミサイルの運用などマルチドメイン作戦を実施する新たな部隊を2ヵ所に配置する方針を示した。 中国やロシアに対抗する狙いがある。
 米メディアは南西諸島が位置する台湾以東の島々とフィリピンを配備先の候補に挙げたが、具体的な配備場所は言及しなかった。
 2021年に最初の部隊を配置し、2022年に2番目の部隊を配置する見通しを示した。 (2002-011105)

AimPoint Force 構想

 米陸軍参謀総長が4月上旬に、マルチドメイン作戦構想を元にした新たな編成の構想"AimPoint Force"を承認した。
 陸軍将来戦構想センタ長のウェスレイ中将は4月21日に、AimPoint Forceは欧州とインド太平洋での近い将来の戦いを見据えたもので、今までのマルチドメイン作戦構想MDOに代わるものであると述べた。 (2005-042103)

5・1・2・1・2 欧州派遣に備えた改編

第5軍団の復活

 米陸軍が5月19日、2013年に在欧陸軍の縮小に伴い廃止していた第5軍団を復活させたと発表した。
 第5軍団は635名からなる部隊をケンタッキー州Ft. Knoxに置き、200名からなる部隊を欧州に巡回配置する。
 軍団司令部は2020年秋にoperationalになるという。 (2006-052004)

5・1・2・1・3 遠距離火力の強化

 米陸軍が実施したロシアや中国を相手にした図上演習の結果、射程2,000km程度の中距離火力が欠落していることが判明した。
 このためこの程度の火力の整備が要求されるが、早急な整備の要求からTomahawkの様な陸軍以外の武器の転用になるとみられる。
 陸軍Army Future Commandの野砲部長であるラファティ准将はこの中距離火力は試作品が2023年にoperationalになるとした上で、2023年は以下のように重要な時期になるとした。 (2010-090811)
・M109 Paladin SPHに代わる射程65kmのERCAの最初の大隊が発足

・当面の射程500km、将来700~800kmのPrSM最初の試作中隊が発足。

・射程1,500~2,000kmの中距離ミサイル最初の試作中隊が発足。

・ロケット推進で射程1,500km以上の戦略砲SLRCが最初の最大射程試射。

・射程数千㌔㍍の長距離超高速ミサイルLRHW最初の試作中隊が発足。

5・1・2・2 海 軍

5・1・2・2・1 355隻の構築

 エスパー米国防長官が、建艦予算が削られるなか目標とする355隻を構築するため、FY21ではどうするかについて語った。 (2003-020901)

 トランプ政権は海軍の350隻体制を唱えているが、実際の計画はオバマ政権が目指した308隻体制ペースでしか進んでいない。
 2017年以来、要求分も含めた4年間でのトランプ政権の造艦要求は37隻で、それ以前のオバマ政権下の4年間における34隻から8%しか増えていない。 この間に議会は政府要求に26%を増額した50隻分を予算化している。 (2003-022505)

 複数の関係筋によると、エスパー米国防長官が2月24日に海軍に対し、2030年までに355隻体制にするとの方針を見直すよう指示した。 (2003-022507)

 モドリー米海軍長官代行が2月28日に、INFSAが最近、海軍は有人艦艇390隻と無人艦艇435隻の体制を取るべきとの結論を出したと述べた。
 長官代行は、有無人艦の混合について述べ、今まで目標としてきた355隻体制が適切な数とは思わないと述べた。 (2003-022809)

 エスパー米国防長官が9月16日にRand研究所で行った講演で、海軍が350隻以上の態勢を達成するために更なる予算が必要であると述べた。
 350隻以上の態勢を達成しても中国は2030年に425隻態勢になるという。 長官はgame changerの必要性を述べた。
 ノーキスト国防次官を長とするチームが今週エスパー長官にFuture Naval Force Studyと題する報告を行っている。
 その中ではUSV/UUVを火力発揮、機雷敷設、補給、索敵など、広範囲な戦闘機能で活用することを求めている。 (2010-091606)

 残り任期僅かになったトランプ政権が12月10日に新たな建艦計画を発表したことについて、米議会首脳がそのタイミングと内容について異議が出ている。 (2101-121008)

5・1・2・2・2 Advantage at Sea

 米海軍、海兵隊、沿岸警備隊の三軍が12月17日に、中国とロシアの脅威増大に対処する戦略Advantage at Seaを公表した。 (2101-121708)

 米海軍と海兵隊、沿岸警備隊が12月20日までに、中国が覇権への野心をむき出しに海洋進出を強めるなか、中国との大国間競争をにらんだ中長期の戦略文書Advantage at Seaを公開し、インド太平洋への前方展開を強化し、より強硬な姿勢で中国に対峙すると明記して、中国との対決姿勢を一層鮮明にしている。
 文書では、過去20年間で3倍に膨れ上がった中国海軍の戦力に対抗するため、米海軍もUSV/UUVを導入するなど近代化を推進し、海兵隊や沿岸警備隊との統合運用を急ぐべきだとしている。 (2101-122102)

5・1・2・2・3 小型艦と USV / UUV へ

 米国防総省が、現在2030年までに355隻体制とする海軍の計画を、USVと合わせて534隻体制とする構想を進めようとしている。
 このため空母などの大型艦を減らして小型艦を増やすという。 (2010-092506)
5・1・2・2・4 COVID-19 の影響

大規模演習 Large Scale Exercise 2020 の延期

 米海軍艦隊総軍が3月24日、今夏に予定していた大規模演習Large Scale Exercise 2020をコロナウィルスのパンデミックから来年に延期すると発表した。 (2004-032404)

空母乗組員の集団感染

 海軍当局者がCNNに3月26日に、空母Theodore Rooseveltに乗艦する乗組員25名が新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示したことがわかったことを明らかにした。
 海軍は今後も艦内の陽性者は増える見込みだと説明しており、当局者の1人はCNNの取材に、新たに数十名の陽性者が出る可能性もあると明かした。
 米国防総省は24日に同艦の乗組員3名から陽性反応が出たと発表しており、わずか2日で感染者が急増した。 (2004-032701)

5・1・2・3 空 軍

機動展開 (ACE) 戦略

 2030年代を見据えた米空軍の戦略は現在実験室のシミュレーション段階にあるが、1月に沖縄で行われたWestPac Rumrunner演習は何ヶ所かで従来に比べて画期的な変化を示していた。
 演習では嘉手納に駐留する24機のF-15Cが仮想敵として岩国から飛来したF/A-18E/Fを本島の東100哩で迎撃した。 一方米特殊作戦軍の航空機も本島への侵入を試みた。
 この間、F-15C 4機は海兵隊普天間基地で給油と再装填を受けたり、F-15Cを本土から飛来した海軍のE-2Dが支援したりした。
 このような3軍共同の後方支援は空軍が進めようとしている機動展開 (ACE) 戦略の検証であると共に、PatriotやE-2DとのBattle Managementの検証でもある。
 WestPac RumrunnerはACEやJADC2全ての検証ではないが第一列島線にある基地を防衛する一歩にはなる。 (2007-051804)
【註】沖縄で行われたWestPac Rumrunnerは保有装備だけで行われた基地防衛航空機避難演習で、前方展開する部隊の運用を大幅に見直す動的戦力運用 (DFE) に関連したものと思われる。

欧州への展開能力の確認

 米空軍が最近、爆撃機を欧州まで飛行させて欧州への展開能力を確認している。
 5月7日にはB-2、B-52 44機が欧州に飛行し、5月29日にはB-1が黒海上空でウクライナのSu-27及びMiG-29、更にトルコのKC-135と飛行した。
 更に最近ではB-52 2機がバルト海上空を飛行し、その内の1機はNATOのバルト航空警察活動に当たっている英国及びフランスの航空機と一緒に飛行した。 (2007-063007)

 米空軍第28爆撃航空団所属のB-1B 2機が5月20日、サウスダコタ州Ellsworth AFBから爆撃機編隊 (Bomber Task Force) を組みスカンジナビア半島上空に飛来し、欧州各国空軍と共同訓練を実施した。
 その間B-1Bは英空軍Mildenhall基地に駐留する米空軍第100空中給油航空団のKC-135から、またB-1Bのうちの1機は北海上空でオランダ空軍第334飛行隊のKDC-10から空中給油を受けた。
 B-1B 2機はスウェーデン空軍のGripenと共同飛行訓練を実施したのちスウェーデン軍の管制官 (JTAC) の指示の元、Vidsel射爆場でCASの共同訓練を実施した。
 更にデンマーク空軍のF-16やノルウェー空軍のF-35との共同飛行訓練も実施した。 (2008-060307)

東シベリア海上空を飛行

 在欧米軍司令部が9月11日、テキサス州Dyess AFBの第345爆撃飛行隊所属のB-1 3機が10日にロシアに近い東シベリア海上空を飛行したと発表した。
 B-1は欧州に展開する第345爆撃飛行隊の先遣で、14時間の飛行後にアラスカ州フェアバンクに近いEielson AFBに着陸した。
 米空軍は過去2週間にわたり欧州への展開を試みており、最近ではB-52 6機がバルト海と黒海から北アフリカまで進出している。 (2010-091106)

COVID-19パンデミック以来最大の演習

 英空軍Lakenheath航空基地に駐留している米空軍第48戦闘航空団が主催する航空演習が5月27日に、COVID-19パンデミック以来最大の演習として行われた。
 1日間行われた演習で米空軍は空中給油機を伴った戦闘機が北海上空を横切り大規模空襲を想定した飛行を行い、これに対して16機の同盟軍機が18機の敵機を英海岸線への来襲前に会敵することができた。 (2006-052807)

5・1・2・4 海兵隊

Force Design 2030 報告書

 米海兵隊が3月に、今後の海兵隊が目指す新たな方針を示した報告書"Force Design 2030"を公表した。
 その内容は大胆なもので、戦車を全廃し火砲を削減する代わりにロケット・ミサイル部隊を大幅に増強し、更に新しい主力兵装として地対艦ミサイルを導入して中国艦隊と戦おうというものである。 (2007-060301)

地対艦ミサイルの整備

 米海軍省で研究開発と調達配備を担当しているガーツ次官が1月15日に海軍の水上戦に関するシンポジウムで、海軍と海兵隊が沿岸配備型NSMの装備を検討していると述べた。
 NSMは既にLCSからの発射が行われている。 (2003-012204)

 米海兵隊司令官ベーガー大将が3月5日に上院軍事委員会海軍力小委員会で証言し、陸上装備で海兵隊の最優先は中国海軍に対抗する地対艦ミサイルであると述べた。
 海兵隊は地対艦ミサイルとしてKongsberg/Raythwon製NSMと、INF禁止条約脱退で装備が可能になったTomahawkの2種類を考えている。
 NSMはHIMARSと共にNMESISを構成し、ROGUE-FiresのUAVと合わせて運用される。 (2004-030607)

 米海兵隊がFY21にTomahawk、地対艦ミサイル (GBASM)、長距離精密誘導ミサイル (LRPF) などを要求し一部の下院議員からの強い後押しがあったが、12月21日に公表されたFY21NDAAでは要求が受け入れられなかった。
 海兵隊はTomahawkに$125M、GBASMに$64M、LRPFに$75Mを要求していたが、認められたのはGBASMに半分、LRPFには$20Mだけであった。 (2101-122307)

太平洋地域での戦闘を見据えた改編

 中国との太平洋地域での戦闘を見据えて米海兵隊が2030年までに、戦車大隊3個の全てと架橋中隊を廃止する。
 更に歩兵大隊を24個から21個に、加農砲中隊を21個から5個に、水陸両用車中隊を16個から10個に削減する。 またMV-22 Osprey飛行隊も削減する。
 またF-35B/C飛行隊は機数を16機から10機に削減する。 (2004-032304)

 中国との戦闘を見据えて米海兵隊が今後10年間に、F-35飛行隊を縮小すると共に、戦車大隊の全てを廃止する方針である。
 これは将来の戦場を中東からアジア太平洋にシフトする2030年に向けた戦力変更計画の一部である。 (2004-032305)

 米海兵隊司令官に就任したベルガー大将が着任後1年経たない3月23日に、2030年までの中国やロシアとの戦いを見据えて戦車や長距離砲を削減する改革方針を示した。
 それによると今後10年間に12,000名を削減し、第3海兵遠征軍の3個水陸戦連隊を、制海装備を持つ部隊に改編する。 また24個の歩兵大隊を21個に、21個の加農砲中隊を5個に、6個の揚陸艇中隊を4個に削減すると共にチルトロータやヘリ飛行隊も削減する。
 これにより目指す海兵隊Fleet Maritme Force (FMF) ではロケットや対艦ミサイルを300%に増強し、UAS飛行隊を2倍にしてUAVとUGVにより攻撃力を高める。 (2005-040108)

M1A1 Abrams MBT 200両等を陸軍に管理替え

 米海兵隊が計画に基づき、M1A1 Abrams MBT 200両を退役させると共にM88戦車回収車や戦車橋と共にこれらを陸軍に管理替えした。
 海兵隊はベルガー大将が3月に公表したForce Design 2030ではその他に、歩兵大隊を24個から21個へ、砲兵中隊を21個から5個へ、水陸両用戦闘車中隊を6個から4個に削減すると共にチルトロータ機や重輸送ヘリも削減する。 (2010-081204)

5・1・2・5 宇宙軍

National Space Policy

 米宇宙軍創設1周年の直前となる12月9日に米大統領府が新たなNational Space Policyを発表した。
 National Space Policyでは民生及び民間宇宙活動の発展と共に、以下のような軍事及び情報分野での方向性も示している。 (2101-121005)

・Space Situation Awareness

・Norms of behavior

・Resilience

5・1・3 インド太平洋軍

5・1・3・1 インド太平洋軍の戦略的役割

5・1・3・1・1 極高速兵器のアジア太平洋地域への配置

 エスパー米国防長官が3月4日に上院軍事委員会で証言し、中国やロシアが開発を進める極高速兵器に対する米軍の能力向上のために、極高速兵器の開発は最優先事項の一つだと述べた。
 そのうえで、特にアジア太平洋地域の部隊で極高速兵器が必要とされており、国防総省として今後、数年のうちに配備すると確信していると述べ、中国とロシアに対抗するため、数年以内にアジア太平洋地域に配備する方針を明らかにした。 (2004-030503)

 時事通信が4月5日、「優位性の奪回」と題されたFY21国防予算の大枠を定める国防権限法に反映される米議会に提出した報告書を入手した。
 それによると米インド太平洋軍司令官のデービッドソン海軍大将が、沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ第一列島線への地上発射型ミサイル配備や、グアムのAMD体制強化などに向けた支援を訴えていることが明らかになった。
 報告書は、国防総省が中国との大国間競争を最重視する一方、インド太平洋軍に十分な予算を回していないと懸念を示した上で、中国の急速な軍備増強に対する態勢を整えるため、今後6年間で$20Bを要請した。 (2005-040601)

5・1・3・1・2 海兵隊のオーストラリア駐留

 COVID-19パンデミックの影響で国境が封鎖されているなか、米海兵隊の第1陣200名がオーストラリアのダーウィンに到着した。 一行は感染検査を受けたのち軍施設で14日間隔離される。
 2020年に計画されている9回目の年次交代配置はCOVID-19の影響で2ヶ月遅れると共に、昨年駐留した2,500名の半分にも満たない1,200名になる。 (2007-060206)
5・1・3・1・3 在独米軍のアジアに再配置案

 国家安全保障担当のオブライエン米大統領補佐官がWall Street Journalで6月22日、在独米軍から削減される9,500名のうち数千名はインド太平洋地域に再配置されるとの見通しを示した。
 その他は欧州の別の国に派遣されるか、米国に帰還するという。 (2007-062301)

 トランプ米大統領が6月30日、ドイツに駐留する米軍を9,500名削減する案を承認したが、その一部をインド太平洋地域に回す案が浮上している。
 オブライエン大統領補佐官はWall Street Journalに6月22日、数千名規模がインド太平洋地域に再配備されるかもしれないとした記事を寄稿した。
 アジア太平洋の米軍は1987年の184,000名から2018年には131,000名に減った。 354,000名が66,000名になった欧州より減少幅は小さいが縮小傾向は続いており、韓国で駐留経費の交渉が長引き、日本も在日米軍の負担に関する交渉が秋以降に始まる。 (2008-070501)

5・1・3・1・4 爆撃機の進出

日本近海に進出した訓練

 1ヶ月ほど前にサウスダコタ州のEllthworth AFBからグアムのAndersen AFBに飛来している第28爆撃航空団の第37遠征爆撃飛行隊のB-1B 2機のうちの1機が、8月7日にグアムを離陸して日本近海で航空自衛隊のF-2 8機とF-15 6機と共同訓練を行った。
 その後このB-1Bは朝鮮半島と日本の間の空域で空母Ronald Reagan CSGと共同訓練を行った。 この訓練にはF-18、EA-18、E-2Dが参加した。
 グアムへの帰路B-1Bは航空自衛隊のF-15Jと再び会合訓練を実施した。 (2009-081106)

ディエゴガルシアへの展開

 米太平洋空軍が、ミズーリ州Whiteman AFBの第509爆撃航空団所属のB-2 3機が所要の人員と共にインド洋のディエゴガルシア島に飛来し、インド太平洋軍の隷下に入ったと発表した。
 前回のインド太平洋軍へのB-2配備は2019年1月で、Whiteman AFBの第393爆撃飛行隊のB-2 3機がハワイPearl Harborに飛来し、ハワイ州兵空軍のF-22と行動した。 (2009-081206)

5・1・3・1・5 RIMPAC 演習

 2020年のRIMPAC演習はCOVID-19パンデミックの影響で艦艇部隊の洋上訓練のみと規模を縮小して実施されたが、10ヵ国から集まった水上艦艇22隻、潜水艦1隻と搭載航空機による訓練がハワイ周辺海域で実施された。
 それでも8月30日には米海軍の退役艦を実際に攻撃して沈める演習も行い、8月31日に日程を終了した。 (2010-090204)
5・1・3・2 戦力の再編

5・1・3・2・1 インド太平洋軍の再配置計画

NDS Implementation: First Year Accomplishments

 エスパー米国防長官が7月17日に配布したNDS Implementation: First Year Accomplishmentsと題する文書で、在任期間中1年間に推進した主要課題について説明した。
 長官は国家防衛戦略 (NDS) に基づき軍を再分配、再配備しているとし、それぞれの統合軍の作戦空間を最適化するため、既存の任務と課業、態勢を統合縮小に向けて最初から検討し直していると述べた。 (2008-072002)

グアムに新基地を開設

 米海兵隊が1952年3月1日にジョージア州で兵站施設を開設して以来となる新基地Camp BlazをグアムのAndersen AFB近くに開設した。
 ここには5年以内に沖縄駐留の第3海兵遠征軍が移駐する。 移駐経費は$3Bを日本政府が、$5.7Bを米政府が負担する。
 Camp Blazには5,000名の海兵隊が駐屯するが、常駐するのは1,300名で、残りの3,700名はオーストラリアに駐留する海兵空地戦隊同様の交代配置になる。 (2011-093001)

5・1・3・2・2 海 軍

第1艦隊を復活

 ブレースウェイト米海軍長官がバーチャルで開かれたNaval Submarine Leagueで11月17日、中国の脅威増大に対抗するためインド洋と太平洋の交わる海域に新たな第1艦隊を創設したいとの考えを明らかにした。 (2012-111707)
【註】米海軍第1艦隊は太平洋艦隊の一部として1946年から1973年まで西太平洋に配置されていたが、1973年にその任務を第3艦隊に引き継ぎ、現在では欠番となっている。

MQ-4C Triton の配備

 RQ-4 Global Hawkの海軍仕様であるBlock 30 RQ-4Nを元にした洋上哨戒UAV MQ-4C Triton BAMSが、米海軍が2018年6月に制式採用した18ヶ月後となる1月26日に初めて実配備された。
 MQ-4C Tritonを装備する第7艦隊に編成された第19無人哨戒飛行隊 (VUP-19) はグアムのAndersen AFBに配備され、P-8、P-3、EP-3と連携した任務に就く。 (2002-012703)

 米海軍のMQ-4C Triton BAMSが1月26日に、2018年6月に米海軍が採用を決定して以来18ヶ月ぶりでグアムに初配備された。
 Tritonは第7艦隊司令官直轄の第72戦隊 (CFT72) 隷下の第19無人哨戒飛行隊 (VUP-19) に配属され、P-8やP-3C、EP-3などと共同運用される。
 RQ-4 Global Hawk HALE UAVの海軍型であるBlock 30 RQ-4Nを元にしたTritonはAN/ZPY-3多機能レーダを搭載し、航続距離2,000nm、滞空能力24時間の性能を持ち、27億平方哩を捜索できる。 (2004-020502)

沿岸警備隊艦艇を西太平洋に配備

 米政府が10月23日、中国が南シナ海の漁場で「不安定化を招く悪質な」行為を続けている事態に対処するため、沿岸警備隊の艦艇を西太平洋に配備する方針を発表した。
 オブライエン国家安全保障担当米大統領補佐官は、中国は「違法」な漁を「野放し状態」で行い、周辺国の漁船に「嫌がらせ」をしていると非難し、国土安全保障省傘下の米沿岸警備隊が、西太平洋で艦艇の母港化を戦略的に進めており、こうした艦艇で漁船の支援をはじめとする海上治安活動を行うと明らかにした。 (2011-102402)

5・1・3・2・3 海兵隊

沿岸海兵連隊の編成

 イランやアフガンでのlow-tec戦闘ではなく、対艦ミサイルを装備するなど、西太平洋でのhigh-tec戦闘に対応した初めての沿岸海兵連隊がハワイで編成された。 今後更に日本やグアムに追加の連隊が配置される。
 ハワイに配置された連隊はハワイに駐屯する歩兵3個大隊と第3海兵隊を改編した第3沿岸海兵連隊司令部など1,800~2,000名で構成されるが、今後沿岸対空大隊を構成する複数の中隊と複数の射撃中隊も加わり、連隊の規模は3,400名になるという。 (2006-051103)

沿岸海兵連隊の展開

 米海兵隊総司令官のバーガー大将が23日に時事通信との電話会見で、2027年までに対艦ミサイルなどを装備した海兵沿岸連隊 (MLR) を3個連隊創設し、沖縄とグアム、ハワイに配置する考えを明らかにした。
 海兵隊の構想によると、沖縄を拠点とする第3海兵遠征軍傘下の海兵連隊を軸に再編成を行い第3MLR連隊を創設する。
 バーガー大将は、既にハワイでは最初の連隊が編成を開始しており、沖縄とグアムに設置予定の残る2個連隊についても2027年までに編制を完結する見通しだと明言した。
 MLRは1,800~2,000名規模とみられ、長距離対艦ミサイルやSAMを装備し、有事の際には島嶼部に分散展開して陸上から中国軍艦艇を攻撃する。 (2008-072501)

 中国の脅威増大に対抗して米海兵隊は新たに機動運用可能な小部隊の編成をしようとしている。 その試行としてハワイ駐屯の第3海兵連隊を第3沿岸連隊に改編し3年間の試験運用を行う。
 第3海兵連隊の歩兵部隊と兵站部隊はそのままにして、米本土から対空部隊を編入する。
 更に2年以内にはMLR部隊も編入する。 (2010-092305)

5・1・3・2・4 空 軍

B-52 の本土帰還

 米太平洋空軍が4月17日、グアムに交代で配備していた戦略爆撃機について、今後は米本土からの運用に切り替えると明らかにした。
 グアムに展開していたB-52は同日までに本土に帰還したという。 (2005-041802)

B-1B のグアム Andersen AFB への飛来

 テキサス州Dyess AFBの米空軍第7爆撃航空団第9爆撃飛行隊のB-1B 4機と要員200名が、訓練と作戦のためグアムのAndersen AFBへ飛来した。
 空軍は2週間前に、長い間Andersen AFBで続けてきた爆撃機の巡回配備を終わらせていた。 (2006-050103)

F-22 の前進配備

 空軍のF-22 2機が12月6日、グアムから嘉手納基地に前進配備された。 また7日にはB-1B 1機がグアムから朝鮮半島に近い日本側の日本海上空を飛行した。
 7日の民間航空機追跡サイトAircraft Spotによると、F-22 2機が6日、KC-135Rと共にグアムのAndersen AFBから嘉手納基地に移動した。
 米国は11月にバージニア州Langley AFBのF-22 7機をAndersen AFBに前進配備している。 (2101-120801)

5・1・3・2・5 陸 軍

第5治安部隊支援旅団 (SFAB)

 米陸軍参謀総長と太平洋陸軍司令官が5月20日、ワシントン州Lewis基地の陸軍第5治安部隊支援旅団 (SFAB) が年内いっぱい予定していたPacific Pathway演習をCOVID-19パンデミックの影響から完了すると発表した。
 第5 SFABは陸軍が6個編成する計画で最後の部隊である。 (2006-052905)

前置補給品 (APS) の準備

 米国が実施する過去20年間で最大規模の演習Defender 2020ではM1 MBTから医薬品までの全ての装備を前置補給品 (APS) から運び出すが、米陸軍AMC司令官のペルナ大将が、欧州にさらなるAPSを構築すると共に、アジアにおいても設置の準備を行っていると述べた。 (2003-020407)

5・1・3・3 COVID-19の感染拡大による影響

空母の不稼働

 San Francisco Chronicle紙が3月31日、空母Theodore Rooseveltの艦内で乗組員の新型コロナウイルスへの感染が見つかった問題で、同艦のクロージア艦長が「感染が急速に拡大している」として米海軍幹部に対して緊急支援を要請する書簡を送ったと報じた。
 同紙は同艦幹部の話として、乗組員4,000名のうち150~200名が感染したとしている。 (2005-040102)

 モドリー米海軍長官代行が4月1日、COVID-19の感染が拡大している空母Theodore Rooseveltについて、既に1,000名人を下船させており、数日以内にさらに1,700名を下船させる方針を明らかにした。
 4,800名が乗り組んでいる同空母は、フィリピン海に展開中に感染者が発覚したためグアムに停泊している。
 長官代行は、これまでに乗組員1,200名以上にウイルス検査を行い、93名が陽性、600名が陰性と判明したと述べた。
 ただ、兵器や弾薬、航空機、原子炉を持つ空母の安全を確保するため、全乗組員を下船させることはできないとも述べた。 (2005-040202)

 新型コロナウイルスの感染拡大が、アジア太平洋地域における米軍の活動にも影を落とし始めた。
 感染者が150~200名に達したとの情報がある空母Theodore Rooseveltの艦長は、乗組員の大半を陸上で隔離すべきだと主張しており、米軍の海外展開能力の一翼を担う同空母は、機能不全の危機に陥っている。
 また、横須賀基地に停泊している空母Ronald Reaganでも乗組員2名の感染が判明している。
 同空母はメンテナンス期間中のため、米軍の活動に即座に影響はないが、アジア太平洋に展開する空母2隻が身動きが取れない状況にあることが危惧される。 (2005-040203)

 米政治紙Politicoが4月7日、ワシントン州ブレマートンで出航準備を行っていた米空母Nimitzの乗組員1名が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと報じた。  国防当局者によると、この乗組員は既に下艦し隔離措置が取られており、この乗組員と接触した他の乗組員の特定も急いでいるという。
 米空母での新型コロナ感染をめぐっては、3月にフィリピン海で作戦行動をとっていたTheodore Rooseveltでこれまでに乗組員150名以上の感染が確認され、3,000名近い乗組員がグアムで隔離措置を受けている。
 また、横須賀基地を事実上の母港とするRonald Reagan、ワシントン州ピュージェット湾で整備作業中のCarl Vinsonでもそれぞれ感染者がいたことが判明している。 (2005-040801)

空母の復役

 米海軍が、乗組員1名のCOVID-19感染が判明した空母Nimitzが4月27日に母港であるキトサップ海軍基地から訓練のため出航したと発表した。 同艦は全ての乗組員に対し27日間の自主隔離とウイルス検査を義務付け、他に感染者が皆無であることを確認した上で出航したとしている。
 一方、空母Theodore Rooseveltの感染者数は28日現在で全乗組員の1/5に当たる少なくとも955名に達した。
 また、カリブ海航行中に乗組員の感染が判明した駆逐艦Kiddは、感染者が380名の乗組員中少なくとも47名に上るという。 (2005-042902)

 艦内でCOVID-19感染が拡大したためグアム島で足止めを強いられた米空母Theodore Rooseveltが、6月4日にグアムを出航し通常任務に復帰したと米海軍が発表した。
 1月17日にカリフォルニア州サンディエゴを出航してインド太平洋地域での任務の途中にグアムに立ち寄ったTheodore Rooseveltは、乗組員のCOVID-19感染が明らかになったため急遽グアムに引き返して感染者を病院に収容するとともに、感染が確認されなかった残りの乗組員も隔離されていた。 (2007-060604)

5・1・4 在韓米軍

5・1・4・1 戦時指揮権の移転

「4・3・5・1・1 戦時作戦統制権の移管問題」で記述
5・1・4・2 配置変更と基地返還

4基地の返還

 在韓米軍が2019年12月11日、韓国に4ヵ所の基地を返還すると共に更に13ヵ所の返還を計画していると発表した。
 返還されるのはCamp Eagle、Camp Long、Camp Marketの一部、Camp HoveyのShea Range地区である。 (2002-121807)
【註】4ヵ所は仁川の1ヵ所のほか、3ヵ所ともソウルの東北方で軍事境界線近くにある。 (2002-121807)

5・1・4・3 韓国からの撤退を検討

 トランプ米大統領の最側近のグレネル前駐ドイツ大使が6月11日、「私たちは韓国と日本から米軍を撤収することを望む」と明らかにした。
 グレネル氏はドイツ紙とのインタビューで、米国の納税者は他国の安全のために多くの金を出すことに反対しているとし、海外駐留米軍の縮小は熱く議論されている問題で、トランプ大統領は非常に明確に、韓国、日本、ドイツ、シリア、アフガニスタン、イラクから軍隊を撤収させることを望んでいると述べた。 (2007-061301)
5・1・5 在日米軍

5・1・5・1 地上発射型中距離ミサイルの日本配備問題

 米国防総省が、2019年にトランプ政権が33年間続いた地上発射型中距離ミサイルを禁止した条約から脱退したのを受け、この種ミサイルをアジアに配備しようとしていることに対し、沖縄県の玉木知事が同県への配備に反対する意向を示した。 (2007-061005)

 ロシアのラブロフ外相が8月23日、米国が日本に中距離ミサイルを配備すれば対抗措置を取ると米国に通告したと明らかにした。
 同外相は米国が緊張をあおり、ロシア国境付近で攻撃能力を持とうとしていると批判した。 (2009-082401)

5・1・5・2 COVID-19 感染拡大

横須賀基地停泊中の空母乗組員が感染

 FOX Newsが3月27日、米海軍横須賀基地に停泊中の空母Ronald Reaganの乗組員2名がCOVID-19に感染していることが確認されたと伝えた。
 基地は向こう48時間にわたり封鎖され、関係者は屋内にとどまるよう指示されたとしている。 (2004-032801)

 米海軍横須賀基地に配備されている空母Ronald Reaganが8月1日午前に長期パトロールから帰港したが、同日夕に再び出港した。 帰港した日にすぐ出港するのは異例である。
 例年は5月中に前半の長期パトロールのために出港して8月中~下旬にいったん帰港したのち、9月上旬に後半のために出港するパターンが多いが、今年は乗組員のCOVID-19感染の検査とその後の移動制限期間があったため、出港が6月8日に遅れていた。 (2009-080203)

5・1・5・3 RQ-4 Global Hawk の飛来

 米空軍が5月28日、この夏も台風を避けるため、グアムに展開しているRQ-4 Global Hawkを横田基地に退避させると発表した。
 2019年夏にはグアム駐留第319偵察航空団のGlobal Hawk 4機が、20名の軍人と100名のシビリアンと共に、8月から10月まで横田に疎開していた。 (2006-052808)
5・1・5・4 米軍宇宙部隊を沖縄に配置

 在沖米軍に米宇宙軍の部隊が創設されたことが10月3日までに分かった。
 県内に米宇宙軍の部隊が配置されるのは初めてで、米国と同盟国のための衛星通信の監視のほか、沖縄に駐留する米海兵隊の第31海兵遠征部隊や陸軍部隊の作戦などを支援する。
 嘉手納基地のホームページによると、県内初の米宇宙軍部隊は空軍から移転した兵員で構成される第16宇宙管制隊で9月に編成された。 (2011-100403)
5・1・5・5 駐日航空機の動き

F-35B の普天間飛行場飛来

 米海兵隊のF-35B 3機が8月18日14:00頃、宜野湾市の米軍普天間飛行場へ飛来した。
 F-35Bの同飛行場飛来は2019年8月以来である。 (2009-081902)

F-35B の追加配備

 F-35Bが現有機種の更新で岩国基地に追加配備されることがわかった。 防衛省は8月26日に岩国市などに説明する。
 米海兵隊のF-35Bは2017年1月に米国外では初めて10機が岩国基地に配備され、さらに同年の11月に6機が加わっている。
 海兵隊が2019年に公表した計画では、現在岩国基地に配備されているF/A-18 12機をF-35B 16機に更新するとされており、岩国基地のF-35Bは現在の16機から32機へと増えることとなる。 (2009-082404)

滑走路補修キットの装備

 駐日第171海兵航空団支援大隊の戦闘工兵隊が装備する、敵のミサイル攻撃や爆撃で損傷した滑走路を補修する滑走路補修キットは20ftコンテナ5本で成り、C-17 1機または複数機のC-130で空輸できる。
 大隊はこの他に20ftのコンクリートミキサトレーラも装備している。 (2101-120806)

5・2 ロシア

5・2・1 国内情勢

5・2・1・1 基本政策

 特記すべき記事なし
5・2・1・2 経済不振

原油価格の下落

 ロシアのプーチン大統領が3月1日、新型コロナウイルスの感染拡大への警戒感からロンドンの市場で取り引きされる北海産の原油の先物価格が先週、1バレル=50ドル台前半まで値下がりしたことについて、我々が経済政策で設定している価格は1バレル=42ドルで、今の水準は許容範囲内だと述べた。 (2004-030104)

5・2・1・3 国防予算

 特記すべき記事なし
5・2・1・4 COVID-19 の影響

 ロシア外務省が5月19日、COVID-19パンデミックの影響で、ロシア軍の訓練が縮小していることを明らかにした。 (2006-051904)
5・2・1・5 政敵の毒殺未遂疑惑

NATO が緊急大使級会合

 NATOが9月3日、緊急の大使級会合を4日にブリュッセルで開くことを発表した。
 ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏に対する軍用神経剤ノビチョク系毒物の使用をドイツ政府が確認したことを受け、対応を協議する。
 ストルテンベルグ事務総長は2日に神経剤使用を徹底的に非難すると表明し、ロシア政府に調査を要求し、事件について全てのNATO加盟国と話し合うとしていた。
 会合ではドイツが各国に状況を説明すると見られる。 (2010-090403)

ドイツが Nordstreem 2 計画への支援停止警告

 ドイツのマース外相がロシアに対し、反体制派ナワリヌイ氏への毒物使用疑惑の解明に協力しなければ、バルト海を経由するガスパイプラインNordstreem 2計画へのドイツの支援は危うくなると警告した。
 マース外相はビルト紙日曜版で、Nordstreem 2には欧州12ヵ国から100社余りが参加しているが、その約半数がドイツ企業だと指摘したうえで、われわれの姿勢がロシアによって変更を余儀なくされないことを強く願うと述べた。
 メルケル政権の閣僚がナワリヌイ氏を巡る事件とパイプライン計画を明確に結び付けるのはこれが初めてである。 (2010-090704)

EU 外相理事会がロシア制裁の独仏提案を支持

 EU加盟国が10月12日に開いた外相理事会で、ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏が猛毒の神経剤で襲撃を受けたとみられる問題を巡り、ロシアに制裁を科す独仏の提案を支持した。
 独仏は対ロシア制裁を提案する根拠として、化学兵器禁止機関 (OPCW) がナワリヌイ氏の体内から神経剤ノビチョクが検出されたとしているのに対し、ロシアからは信頼できる説明がないとしている。 (2011-101302)

EU と英国がロシア制裁を発動

 EU と英国が10月15日、ロシア反体制派指導者ナワリヌイ氏の毒殺未遂事件を巡り、プーチン大統領に近い高官6人と神経剤ノビチョクを配備した疑いが持たれている研究所に制裁を発動した。
 制裁対象者にはロシア大統領府の幹部や連邦治安当局トップらが含まれ、渡航制限や資産凍結措置が講じられる。 (2011-101601)

5・2・2 核 戦 略

5・2・2・1 核使用の指針

 プーチン露大統領が6月2日、核兵器使用の指針を定めた文書「核抑止力の国家政策原則」の更新を承認した。
 露大統領府のサイトで公表された内容は、ロシアや同盟国に対するBM発射の信頼できる情報を得た場合には核兵器を使用できるなどと明記している。
 これまで「原則」の内容は明らかにされていなかったが、今回公表された「原則」では、ロシアへの脅威として宇宙空間へのミサイル防衛施設や攻撃システムの設置を挙げ、名指しは避けながらも米国への警戒を示した。 (2007-060303)
5・2・2・2 戦略兵器の増強

 特記すべき記事なし
5・2・3 通常戦力の強化

5・2・3・1 通常戦力の近代化

 ロシアのショイグ国防相によると、2012年以来露空軍と海軍は12,000品目以上の近代か兵器、1,400機以上の航空機、190隻以上の艦艇を取得し、全てのミサイル旅団がIskanderに換装されたという。 (2005-040110)

 ロシア副国防相が8月23~29日にモスクワ近郊のKubinkaで開かれているArmy 2020展で、国防省がRUB1.16T ($15.7B) にのぼる装備品等を発注したことを明らかにした。
 契約件数はシステムが500件以上、ミサイル弾薬が80,000件になると言う。
 契約にはTornado-S 122mm MLRや、Su-34、Su-35S、Su-30SM2などの戦闘機の調達や、ディーゼル推進潜水艦2隻の建造ほか、潜水艦や巡洋艦の能力向上改修も含まれている。 (2011-090906)

5・2・3・2 BMD / 防空

Konteiner次世代レーダ

 TASS通信が3月19日、ロシアがKonteiner次世代レーダをカリーニングラードと米国の超高速ミサイル防護用に配備する計画であると報じた。
 TASS通信によると同型レーダは2019年にモスクワ南東モルドビア共和国のボルガ地方に配備している。
 ロシアはまた対超高速ミサイル用レーダを北極圏にも配備する計画という。 (2004-032002)
【註】KonteinerはOTHレーダで、モルドビア共和国のKovylinoに設置したKonteyner OTH-Rは2019年12月1日にフル稼働に入ったと報じられている。

5・2・3・3 艦 船

5・2・3・3・1 航空母艦

Project 11430E Lamantin級空母

 1月上旬にセバストポリで開かれたロシア軍当局者の会合で造船各社が新型艦の模型を展示した。
 その中でNevskoye設計局はProject 11430E Lamantin級空母の模型を展示した。
 IMDS 2019で初公開されたProject 11430E Lamantin級空母は原子力推進で、Project 1143.5 Kuznetsov級空母より大型になるという。 (2002-012007)

5・2・3・3・2 潜水艦

 特記すべき記事なし
5・2・3・3・3 水上艦

艦船の大量建造

 プーチン露大統領が露海軍記念日の7月26日に行われた海軍のパレードで、露海軍は2020年内に40隻の新造艦船を就役させると述べた。 また数日前に更に6隻の外洋艦船の船台組み立てが開始されたとも述べた。
 この式典には46隻の艦艇と4,000名が参加した。 (2008-072605)

Project 22350 Kasatonov級フリゲート艦

 ロシア国防省のウェブサイトが2月11日、Project 22350 Kasatonov級フリゲート艦の2番艦が北方艦隊での就役前試験を実施している。
 11月20日に行われた試験ではKalibr及びOnyx CMによる陸上及び水上目標に対する射撃も実施した。 (2004-021910)

 ロシア海軍のProject 22350 Gorshkoc級フリゲート艦の三番艦Golovkoが5月22日に進水した。 2022年後半には北海艦隊で就役する。
 全長135m、幅16m、排水量5,000tのProject 22350フリゲート艦は速力29kt、航続距離4,500nmで、3S-14 8セルVLSを2基装備し、Kalibr及び3M55 Onyx、Tsyrcon (Zircon) 超高速ミサイルを発射する。
 四番艦以降は3S-14を3基装備すると共に、装備するミサイルも更新される可能性があるという。
 防空システムとしては3S.97 Redut 8セルVLSを4基装備し、短距離用の9M100E、中距離用の9M96E、長距離用の9M96E2、9M-96E2-1 SAMを発射する。
 また後部両舷にはPalash 30mm CIWSを1基ずつ装備する。
 主砲はAU-192M 130mm砲で、対潜戦用にはSM-588 4セル回転弾倉発射機を2基装備し、324mm対魚雷/対潜魚雷を発射する。 (2008-060305)

Project 1155M フリゲート艦

 ロシア太平洋艦隊が7月10日、Project 1155対潜フリゲート艦を多目的フリゲート艦に改造したProject 1155Mの一番艦Marshal Shapposhnikovが、同日に日本海で洋上試験を開始したと発表した。
 Marshal Shapposhnikovはロシアが7隻保有している同級の一番艦で、上部構造の20%が変更されてKalibrやUranミサイルを装備するようになった。
 艦首に2門装備していたAK-100艦載砲は撤去されA-190-01砲1門と3S14 16セルAPSになった。 3S14はKalibr及びOniksを発射するが将来はTsirkonも発射するという。
 3S14 VLSは91R Kalibr対潜ロケット魚雷も発射できる。 また3S-35Uを発射する3S-24傾斜型4連装発射機2基も装備している。 (2009-072208)
【註】Project 1155対潜フリゲート艦はウダロイ級駆逐艦と呼ばれていた。 ここに挙げられているミサイルは以下の通りである。

AK-100: 100mm/70口径、発射速度60発/分
A-190-01: 100mm/70口径、発射速度80発/分
Kalibr: Club-N CM、射程2,000~2,500kmのCM
Uran: Kh-35 (3S-35U)、射程130kmの艦対艦ミサイル
Oniks: P-800、Mach 2.5、射程300kmの超音速CM
Tsirkon: 3M22 Zircon、Mach 8~9、射程1,000~2,000kmの超高速CM
Project 20380コルベット艦

 ロシア海軍Project 20380コルベット艦の7番艦がサンクトペテルブルグで進水した。 同艦は完成後黒海艦隊に同級最初のコルベット艦として配属される。
 同じ造船所では更に2隻が建造中で、Komsomolsk-on-Amurの造船所で同型艦が2隻建造されている。
 また同じ造船所ではProject 20380発展型であるProject 20385とProject 20386も合わせて3隻が建造中または洋上試験中である。 (2004-031307)

5・2・3・3・4 水陸両用戦艦

ヘリコプタ搭載型強襲揚陸艦

 ITAR-TASS通信が4月16日までに軍事産業筋の情報として、ロシアが近く同国初となるヘリコプタ搭載型強襲揚陸艦2隻の建造に着手すると報じた。
 建造はクリミア半島の造船工場で行われ、2隻は2027年までに露海軍に引き渡される計画という。
 TASS通信によるとこのヘリ空母は全長220m、排水量25,000tで、ヘリ20機以上のほか、兵員900名人以上の輸送が可能という。
 ロシアはかねてからヘリ空母の導入を計画しており、2011年にはフランスにMistral級の建造を発注したが2014年のクリミア併合を受け、フランス側から契約を破棄されていた。 (2005-041701)

5・2・3・4 航空機

 特記すべき記事なし
5・2・3・5 陸戦兵器

 特記すべき記事なし
5・2・3・6 戦術ミサイル

5・2・3・6・1 TBM / MLR / SSM

9K720 Iskander-M

 Izvestia紙が2019年12月16日、露国防省が9K720 Iskander-Mの増強を行うと報じた。
 Iskander-M旅団は9P78-1 TEL 4両を装備する大隊3個で編成されているが、大隊を1個ずつ増やして旅団のTEL数を12両から16両にするという。
 露陸軍は現在、バルチック艦隊の沿岸防備軍陸軍第11軍団に所属する第152防御ミサイル旅団と露地上軍の各軍に旅団1個ずつ、合わせて13個のIskander-M旅団がある。
 TELには9M723 TBM(SS-26)または9M728 GGLCMを搭載できることから、Iskander-M旅団の保有するミサイル数は312発から416発に増えることになる。 (2003-010111)

5・2・3・6・2 S A M

 トルコがロシアから$1B以上かけてS-400を購入するが、ロシア製SAMの効果に疑問の声がでいる。
 イスラエルは2019年にシリアでヒズボラを支援するイランを対象に200回以上の空爆を行っており、2020年になってもイスラエルによる空爆が継続している。 最近ではシリア人権監視団によると6月4日の空爆で9名以上が死亡し、この内5名の国籍が不明という。
 これに対しシリアは2020年だけでも1,000発以上のSAMを発射しているが、大した成果を上げていない。 (2007-060910)
5・2・4 対米挑発活動

5・2・4・1 ベーリング海とその上空

3月9日: Tu-142 Bear 偵察機2機

 北米防空軍 (NORAD) が3月9日、ロシアのTu-142 Bear偵察機2機がベーリング海上空でアラスカから200哩の防空識別圏 (ADIZ) に侵入したため、米空軍のF-22とカナダ空軍のCF-18を緊急発進させた。 ロシア軍機はアラスカまで50nmまで接近した。
 この緊急発進には米空軍のEC-135空中給油機とE-3 (AWACS) も同行した。 (2004-031004)

6月17日: Tu-95 4機

 ロシアの戦略爆撃機の編隊が6月17日にアラスカ州沿岸の北太平洋上空を飛行した。 Tu-95 4機はこの日、11時間にわたってオホーツク海からベーリング海、チュクチ海と北太平洋上空を飛行した。
 ロシア機がアラスカ沿岸60kmに接近した際、北米航空宇宙防衛司令部 (NORAD) 隷下の米空軍F-22の編隊がスクランブル発進した。 (2007-061804)

6月25日: Il-38 Dolphin 2機

 北米防空軍 (NORAD) が6月25日、ロシアのIl-38 Dolphin洋上哨戒機2機が24日にアラスカ州アリューシャン諸島のUnimak島50哩まで接近したためF-22が緊急発進したと発表した。
 露軍機は4時間にわたりアラスカの防空識別圏 (ADIZ) 内を飛行したという。  この種の事案は6月になって5回目である。 (2007-062508)

8月27日: Tu-142 2機、潜水艦

 北米航空宇宙防衛司令部 (NORAD) が8月28日、27日深夜にアラスカ州の防空識別圏 (ADIZ) 内に入ったロシア軍のTu-142洋上哨戒機2機を牽制するため米空軍のF-22が緊急発進したと発表した。 F-22はKC-135から空中給油の支援も受けたという。
 ロシア軍機はアラスカ州沿岸から50nmを飛行したが、国際空域内にとどまっていたとも指摘した。
 一方、米北方軍司令部は27日、アラスカ州沖合の国際海域に浮上したロシア軍の潜水艦の動向を監視しているとも報告した。
 米政府当局者によると、この海域にロシア軍潜水艦が現れたのは極めて異例であるという。 (2009-082907)

 米軍筋が8月28日、ロシア海軍がアラスカ沿岸でソ連時代以来最大規模の演習を行ったことを明らかにした。
 この演習について露海軍トップYevmenov大将が、50隻以上の艦艇と40機の航空機が参加してベーリング海で行ったと述べた。
 また、北極海におけるプレゼンスを強化するとも述べた。 (2009-083003)

5・2・4・2 黒海とその上空

 ロシア国防省が、露空軍の戦闘機1機が6月26日に黒海上空の中立空域で、米国の偵察機2機と空中給油機1機を捕捉したと発表した。
 露国防省の声明によると米軍機はP-8A、RC-135、KC-135の各1機で、露軍戦闘機はSu-30であった。 会合地点はロシア南部軍管区の領空よりかなり離れた空域であったという。
 S&Sの集計では、今年になって米露軍機が遭遇するのは少なくとも12回目で、殆どが5月に起きた。 (2007-062703)
5・2・4・3 バルト海とその上空

4月17日: Su-27、Su-30の計4機 vs Donald Cook

 NATOが、バルト海の公海上空で4月17日、4機のロシア軍戦闘機が米海軍駆逐艦に低空での接近を試みたが、ベルギー空軍機がこれを阻止したことを明らかにした。
 ロシア軍のSu-24 2機とSu-27、Su-30の計4機がバルト海を航行中の駆逐艦Donald Cookに低空接近飛行を行ったためベルギー空軍機がリトアニアのシャウレイ空軍基地から緊急発進した。
 NATOによれば、ロシア軍機はこれより先に2度、米軍機に異常接近を繰り返した。 (2005-042405)
【註】NATOはバルト三国の防衛のため、参加国が交代で戦闘機を派遣しバルト上空警察飛行 (Baltic Air Policing) を行っており、現在はベルギーが当番国の一部になっているとみられる。

5・2・4・4 東地中海とその上空

4月15日: P-8 vs Su-35

 地中海の公海上空で4月15日、米海軍のP-8AがロシアのSu-35 1機に42分間にわたり異常接近された。
 Su-35はP-8Aの逆方向から高速接近し、25ftまで接近した。 (2005-041606)

4月19日: P-8 vs Su-35

 米海軍が4月19日、地中海の公海上空を飛行中のP-8が同日、ロシア軍のSu-35に異常接近されたと明らかにした。
 同空域では15日にも同様の異常接近が起きている。
 Su-35は1時間40分間にわたり米軍機の近くを飛行し、高速を維持したままで一時は米軍機の前方8mまで接近するなど危険な動きを繰り返したため、米軍機は高度を下げて回避したという。 (2005-042001)

 米海軍のP-8A 1機が4月19日遅く、東部地中海上空でロシアのSu-35 1機による異常接近を受けた。 Su-35はP-8Aに高速で接近し25ftまで接近した。
 この空域でのP-8Aに対するSu-35による異常接近は1週間も経たないうちに2度目になる。 (2005-042005)

5月25日: P-8A vs Su-35×2

 米海軍が、東地中海の公海上空で5月25日に哨戒飛行中の米海軍P-8AがロシアのSu-35 2機に、危険でプロらしくない異常接近をされたと発表した。 Su-35は65分間にわたり接近飛行を行い、P-8Aの両翼に同時接近もした。
 このようなロシア軍機の嫌がらせ飛行は過去2ヶ月間に3回行われている。 (2006-052606)

 米海軍が5月26日、地中海東部の国際空域を飛行中のP-8が同日、ロシア軍のSu-35 2機から異常接近されたと明らかにし、国際的な飛行ルールと相いれない不必要な行為により、双方を危険にさらしたとロシア側を批判した。
 Su-35 2機はP-8を両側から挟むように接近するなどして1時間超にわたって飛行したという。
 地中海上空では4月にも同様の異常接近が2度起きている。 (2006-052704)

5・2・4・5 その他の海域とその上空

5・2・4・5・1 アラビア海

1月9日: 駆逐艦Farragut

 米海軍駆逐艦Farragutが1月9日にアラビア海北部でロシア艦から異常接近された。
 Farragutは衝突を回避するため国際法規に従い警笛を5度鳴らしたが当初ロシア艦はこれを無視し、最終的に回避行動を行った。 (2002-011005)

5・2・4・5・2 その他の海域

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5・2・4・6 米国の反撃

駆逐艦John S. McCainがピョートル大帝湾で航行の自由作戦

 米海軍第7艦隊が11月24日、駆逐艦John S. McCainがロシアが主権を主張するウラジオストク沖のピョートル大帝湾を航行する航行の自由作戦を実施したと発表した。
 米海軍による同湾での航行の自由作戦は2018年12月以来である。
 ロシアはソ連時代から同湾内側の海域について艦船の無害通航権を認めない内水と規定しているが、米国はロシアの主張は国際法に違反しているとしている。
 一方、露国防省は同日、John S. McCainが露領海に2km侵入したため、露海軍対潜艦Admiral Vinogradovが体当たりなどを示唆して退去させたとしている。 (2012-112501)

5・2・5 対欧州戦略

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5・2・6 中東・アフリカ戦略

5・2・6・1 シリアを拠点化

A2/AD 装備の配備

 英戦略軍司令官のサンダース大将が7月15日にAir & Space Power協会の会議で、シリアにおけるロシアのA2/AD装備配備は西側に対する挑戦として注目されると述べた。
 サンダース大将はロシアのS-400、Bastion、Kilo級潜水艦、Krasukha-4電子戦装置、及び恐らくIskander-MなどのA2/AD装備展開をロシアのマルチドメイン作戦の良い例として示した。
 またウォレス英国防相も同じ会議で、トルコがシリアとリビアで電子戦装置やUAV及び精密誘導武器を使用しているのはロシアの動きに対する画期的な行動であると賞賛した。 (2008-071603)

5・2・6・2 スーダンに拠点

 スーダンが11月6日に、ロシアに艦船基地を提供することで合意したと発表した。 無償で提供される基地にはシビリアンを含む300名が駐留する。
 基地は原子力艦を含む4隻の停泊が可能で、補給及び修理に必要な陸上も含み、向こう25年間の契約で10年毎の更新が可能になっている。
 ロシアはソ連時代にソマリアに基地を持っていたが撤退しており、数年前には中国や米国が基地を持つジブチに基地を建設しようとしたが失敗していた。 (2012-111305)
【註】スーダンに海軍基地を置くと言うことは、同国の地理的位置から基地は紅海に面することになる。
5・2・6・3 アフリカへ進出

中央アフリカ共和国に軍派遣

 ロシア政府が12月22日、中央アフリカ共和国に軍事顧問団300名を派遣したことを認めた。
 27日投票の大統領選を前に反乱を恐れる中央アフリカ政府からの要請に基づくという。
 反政府勢力が首都バンギに向け進撃を開始したという情報を受け、中央アフリカ政府は21日にロシア軍のほか、ルワンダ軍も数百名規模で国内に展開しているという。 (2101-122304)

5・2・7 極東地域での活動

5・2・7・1 部隊の増強、新装備の配備

MiG-31BM 飛行隊の追加配備

 Izvestia紙が7月3日、改良を施されたMiG-31 1個飛行隊がカムチャッカ半島のYelizovo航空基地の太平洋艦隊第317混成航空連隊に追加配備されると報じた。
 配備されるのは改良型のMiG-31BMで2019年2月に2機が到着し、年内に更に2機が配備される。
 UAC隷下のRSK MiG社は2011年からRUB46B ($644M) でMiG 31 110機のMiG-31BMへの改良を進めており、最後の50機の改良が2018年末に完了すると報じられていた。
 第317混成航空連隊にはMiG-31BとMiG-31BS 12機からなる飛行隊とKa-27対潜ヘリ2個飛行隊、Il-38対潜機1個飛行隊、更にUAVや小型輸送機を装備してい。 (2008-070606)

 Izvestia紙が7月3日、カムチャッカ半島にMiG-31の1個飛行隊を追加配置したと報じた。
 新たに配置された飛行隊はVolizovo航空基地の太平洋艦隊第317混成航空連隊の隷下に入った。 この連隊は今まで、改良が終わったMiG-31B及びMiG-31BS合わせて12機からなる飛行隊とKa-27対潜ヘリ2個飛行隊、Il-38対潜機飛行隊及びUAVや小型輸送機で編成されていた。 (2009-071505)

2019~2025年防衛計画の見直し

 ショイグ露国防相が9月17日に国防省の委員会で、極東軍管区の2019~2025年防衛計画の見直しを行ったことを明らかにした。
 2020年内に500アイテム以上の装備を受領し、S-400 2個連隊やBuk-M1-2 2個師団など14個部隊の装備が更新される。
 また2018年にはアラスカの対岸となるChukotkaに作戦管区を創設している。 (2011-093008)

5・2・7・2 大規模演習

 InterFax通信によると、ロシア軍が9月29日に北方領土を含む千島列島で、敵の上陸作戦を想定した演習を開始したと発表した。
 ロシア軍は東方軍管区の砲兵部隊など1,500名以上を動員し、200両以上の車両を投入して、29日には国後島などの演習場で陣地の構築などを訓練した。
 同通信によると、演習は9月10日にも行われ1,000名以上が参加したという。
 菅首相とプーチン大統領が初の電話首脳会談を行う日に実施することで、ロシアによる北方領土の実効支配を強調した。 (2010-092904)
5・3 欧 州

5・3・1 NATO

5・3・1・1 即応体制の強化

5・3・1・1・1 NATO 即応計画

NATO 即応計画の配付

 NATOが2019年12月3~4日にロンドンで開いた首脳会議で、NATO即応計画を配付した。
 これは2018年7月11~12日にブリュッセルで開かれた会議で、NATOが2020年までに25,00名の将兵と300機の航空機を持って、30隻の戦闘艦と30個飛行隊の作戦機、30個機械化旅団を30日以内に投入できるようにするとした計画に基づくものである。
 この会議でジョンソン英首相は、英国は2個戦闘機飛行隊と空母2隻を含む戦闘艦6隻を準備したと述べた。 ドイツメディアも12月4日に7,000名の部隊と50機の航空機、3隻の艦船を準備したと報じている。 (2002-121101)

5・3・1・1・2部隊の新編

NATO 即応部隊 (NRF) 2020 の編成完結

 NATO即応部隊 (NRF) 2020の指揮を、独蘭軍団から欧州軍団 (Eurocorps) に引き継ぐ式典が1月8日にフランスのStrabourgで行われた。 式典ではNRF旗がトルコ・イズミールのNATO地上軍司令官である米陸軍トムソン中将から仏軍のLaurent Kolodziej中将に渡された。
 指揮をドイツ軍からポーランドに移管したNRF 2020の緊急即応部隊 (VJTF) 2020 (VJTF 2020) の主力はPodhale狙撃旅団で、旅団は第12機械化師団、第3輸送航空団のほか憲兵、兵站、特殊武器 (CBRN) 防護部隊の支援を受ける。 (2002-010811)

 NATO即応部隊 (NRF) 2020の指揮を、独蘭軍団から欧州軍団 (Eurocorps) に引き継ぐ式典が1月8日にフランスのStrabourgで行われた。 式典ではNRF旗がイズミール(トルコ)のNATO地上軍司令官である米陸軍トムソン中将から仏軍のLaurent Kolodziej中将に渡された。
 指揮をドイツ軍からポーランドに移管したNRF 2020の緊急即応部隊 (VJTF) 2020 (VJTF 2020) の主力は第21Podhale狙撃旅団で、旅団は第12機械化師団、第3輸送航空団のほか憲兵、兵站、特殊武器 (CBRN) 防護部隊の支援を受ける。
 VJTFにはポーランド軍が3,000名を提供するほか、その他に3,000名がブルガリア、チェコ、ハンガリー、イタリア、ラトビア、リトアニア、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スペイン、トルコ、英国の各国から派遣されている。 (2003-011504)

JFC が IOC

 NATOが9月17日、米第2艦隊の本拠地であるノーフォークでJFCのIOCを宣言した。
 JFC Norfolkは米第2艦隊と共同で、米東海岸からグリーンランド、アイスランド、英国を結ぶ線から北極までを担当海域とする。 (2011-093007)

5・3・1・2 西欧諸国とトルコの対立

トルコのリビア介入に伴うフランスとの対立

 フランスのマクロン大統領が6月22日、トルコのエルドアン政権が内戦中のリビアへの介入を強めていることに対し、「容認できないトルコの振る舞いに対し、最も厳しい態度を取る」と極めて強い言葉で非難した。
 マクロン大統領は2019年にNATO加盟国であるトルコによるシリア侵攻を強く非難し、同盟国を統制できないNATOを脳死状態にあると指摘して物議を醸したが、今回も脳死の明らかな証拠の一つと言及した。
 フランスメディアによると、フランスはトルコ艦が6月に地中海でリビアへの武器禁輸違反が疑われた輸送船を臨検しようとした仏艦に対し、レーダを照射したとNATOのテレビ会議で非難している。 (2007-062302)

 フランスのルドリアン外相がリビアについて1日、事態の悪化はトルコが暫定政府を軍事的に支援しているためだとして、EUに対しトルコへの制裁などについて協議するよう提案したことを明らかにした。  フランスは1日、トルコに対するNATOの対応は不十分だとして、地中海でリビアへの武器の密輸などを監視するNATOの活動への参加を見合わせることも明らかにするなどトルコとの間で対立が深まっている。 (2008-070201)

 仏国防省が7月1日、仏艦艇が6月に同じNATO加盟国のトルコ軍から妨害を受けたことなどが理由に、地中海でのNATO作戦への参加を中断したことを明らかにした。
 リビア情勢をめぐる両国の対立が鮮明化したもので、NATOの結束に亀裂が広がっている。
 仏艦が6月10日にリビアに武器を輸送していると疑われたトルコ船に尋問を試みたところ、トルコ側から3回にわたるレーダ照射を受けたと仏軍は主張しているのに対し、トルコは事実関係を否定している。 (2008-070202)

東地中海の海底資源開発を巡るギリシャとの対立

特記すべき記事なし

5・3・1・3 北マケドニアの加盟

 北マケドニア国会が2月11日、同国のNATO加盟を120人中114人の賛成で承認した。
 北マケドニアのNATO加盟を未だ批准していないスペインも3月中に批准するとみられる。 (2004-021908)

 スペイン議会上院が3月17日に北マケドニアのNATO加盟を264人中259人の賛成で承認したため、同国のNATO加盟は最後の関門を通過した。
 批准書はフェリペ国王が署名を行ったため、72時間以内に米国務省に送付される。 (2004-031708)

 北マケドニアが3月27日、30番目の加盟国としてNATOに正式加盟した。 (2004-032704)

5・3・1・4 国防費の引き上げ

 ロンドンの国際戦略研究所がミュンヘン安全保障会議で公表したMilitary Ballance 2020で、欧州諸国が米国軍の欧州進駐の代償として国防費の引き上げを図っているとしている。
 2019年における欧州諸国の国防費は2018年から4.2%増の$259Bで、世界平均の4%を上回っている。 (2003-021503)

 NATOが10月21日、米国を除く加盟国の2020年の国防支出の合計額が前年比4.3%増と6年連続でプラスになるとの見通しを発表した。
 また、GDP比2%以上の目標を2020年に達成する見込みの国は、2019年の8ヵ国から米国を含め10ヵ国となる。
 国防支出をめぐっては応分の負担を訴えるトランプ米政権が再三にわたって各国に引き上げを要求してきており、特に批判の矛先が向けられているドイツのGDP比は前年の1.36%より増えて1.5%となった。 (2011-102104)

 NATOは米国の求めに応じて各国の国防費を2024年までにGDP比2%とすることを目標にしているのに依然多くの国が未達成となっているが、ストルテンベルグ事務総長は、2020年は欧州とカナダで国防費が6年連続で増加し、実質4.3%増になると述べ、この傾向は続くとの見通しを示した。 (2011-102201)

5・3・1・5 大規模演習

Crossed Swords サイバー演習

 2020年で6回目となるNATOのサイバー演習Crossed Swordsがラトビアのリガで26ヵ国から120名以上が参加して行われた。 (2003-021109)

Defender-Europe 20演習の規模縮小

 在欧米陸軍が3月16日、新型コロナウルスの感染拡大を受けて、中欧、東欧及びジョージアを舞台に4月から5月に実施する計画であったDefender-Europe 20演習は規模を縮小すると発表した。
 このため米国から欧州へ向けた人員及び装備の輸送は13日に停止したという。 また移動中の第1騎兵師団と第1機甲師団第2旅団は米国に引き返す。
 更にDefender-Europe 20と並行して行われることになっていたDynamic Front、Joint Warfighting Assessment、Saber Strike、Swift Responseの4件の演習は中止になり、部隊は米国に向け撤収を開始してると言う。 (2004-031801)

 在欧米陸軍が3月16日、Covid-19の感染拡大を受けて、中欧、東欧及びジョージアを舞台に4月から5月に実施する計画であったDefender-Europe 20演習は規模と想定を縮小すると発表した。
 このため米国から欧州へ向けた人員及び装備の輸送は13日に停止した。 また17日の発表では移動中の第1騎兵師団と第1機甲師団第2旅団は米国に引き返している。
 オランダ国防省によるとフリシンゲン港から東欧に向け出港する計画であった米旅団戦闘団の出港は中止になった。
 更にDefender-Europe 20と並行して行われることになっていたDynamic Front、Joint Warfighting Assessment、Saber Strike、Swift Responseの4件の演習は中止になり、部隊は米国に向け撤収を開始してると言う。 (2005-032503)

Defender-Europe 20演習開始

 在欧米陸軍が7月10日、7月14日から8月22日まで行われる緊急展開演習Defender-Europ-20に第1騎兵師団の1個混成大隊が参加すると発表した。
 参加するのはテキサス州Ft. Hoodの第1機甲旅団戦闘団隷下の2/12CAV大隊550名で、ポーランドPoznanにある第1騎兵師団前方司令部の指揮を受ける。
 2/12CAV大隊の550名は7月16日にPoznan空港に到着した後、Drawsko Pomorskieにある陸軍前方備蓄 (APS) から装備を受領する。 受領装備はAbrams MBT、Bradley IFV合わせて55両になる。
 演習は最終段階でポーランド陸軍第17及び第12機械化旅団と、中隊レベルの合同射撃を行い閉幕する。 (2009-072207)

Baltic Operations (BALTOPS)

 NATO加盟国と友好国19ヵ国が参加する今年の年次海軍演習"Baltic Operations (BALTOPS)"が、10日間の日程で6月5日に開始される。  BALTOPは米第6艦隊が主催し、NATOのNaval Striking and Support Forcesが参加して行われる。
 2020年のBALTOPは艦船20隻と航空機及び3,000名が参加し、リスボンを司令部にバルト海、地中海、スカンジナビアを舞台に行われ、揚陸作戦も計画されている。 (2007-060404)

Sea Breeze 2020 年次演習

 NATOが7月26日に黒海で、年次演習Sea Breeze 2020を開始した。 その前日に黒海のロシア軍は警戒態勢に入っている。
 演習には米国のほか、ブルガリア、ジョージア、ノルウェー、ルーマニア、スペイン、トルコなど2,000名以上が参加している。
 この演習に参加する米海軍駆逐艦Porterは19日に黒海に入った。 (2008-072008)

5・3・1・6 中東派兵

 NATO加盟国国防相が2月12日、トランプ大統領の圧力に屈してNATO軍のイラク駐留 (NMI) 延長に同意した。
 数百名からなるNMIはISISと戦うイラク軍の訓練にあたっている。 (2004-021909)
5・3・1・7 中国に対する姿勢

 NATO内で、ロシアとの協議会であるNATOロシア理事会 (NATO-Russia Council) と似たNATO中国理事会 (NATO-China Council) を設立しようという動きがある。
 大西洋理事会の顧問であるブレジンスキー氏が7月23日にGerman Marshal基金が行ったテレ会議で必要性を述べた。 (2010-080501)

 NATOが12月1日にオンライン形式で開いた外相理事会で、2030年を目標とするNATO改革に関する有識者会議の報告書を提示した。
 報告書では中国の台頭をロシアと並ぶ脅威と位置付け、時間を割いて「政治的戦略を構築する必要がある」と指摘し対中戦略の協議機関設置のほか、中国の活動監視や対中防衛の強化を促している。 (2101-120201)

5・3・1・8 後方・兵站

5・3・1・8・1 衛星通信の共同

 NATOが2月12日、加盟国の衛星通信の予備として、米英仏伊4ヵ国の衛星を向こう15ヵ年年間提供することで合意した。 このためのコスト€1B ($1.1B) はNATOが負担する。 (2004-021907)
5・3・1・8・2 地上戦用弾薬の備蓄

 NATO加盟国のチェコとパートナー国のスウェーデンが2月12日、NATOの地上戦用弾薬計画に加盟した。
 この計画にはNATO 19ヵ国とパートナ国4ヵ国が加盟しており、ロケット弾、対地ミサイル、SAM、戦車弾、野砲弾、迫撃砲弾の調達と備蓄を行う。 (2004-021907)
5・3・1・8・3 武器体系を NATO に切り替え

 米国務省が、ロシア製兵器を保有している欧州8ヵ国に対し米国製兵器への切り替えを促す政策の第二弾を開始している。
 2018年に実施され2年間行われた第一弾のERIでは、$277Mの計画で米防衛産業に$2.5Bの売り上げをもたらしたという。 (2004-031802)
5・3・2 在欧米軍

5・3・2・1 在欧米軍兵力

5・3・2・1・1 駐独米軍の削減

 Wall Street Journalが6月5日、トランプ大統領が国防総省に対して駐独陸軍の9,500名を9月までに撤退させるよう命じたと報じた。
 在欧米軍は現在34,500名であるため、これにより25,000名に削減されることになる。 (2007-060505)

 トランプ米大統領がドイツに駐留する米軍を縮小する計画という報道があったなか、米国の外交官が在韓米軍の撤収も計画されていると発言した。
 ドイツを離れるグレネル前駐独米国大使がドイツ日刊ビルトの単独インタビューで6月11日、米国の納税者は他国の安全保障のためにあまりにも多くの費用を出すことに反対しているとし、米軍の縮小については長い間、多くの議論があったと述べた。
 グレネル前大使はトランプ大統領の側近に挙げられる人物で、大統領選挙でトランプ陣営に合流するために6月初め辞任した。 (2007-061202)

 トランプ米大統領が6月15日、ドイツ駐留米軍を25,000名規模に縮小する意向を表明した。 ドイツには現在、欧州各国の中で最も多い米軍34,500名が駐留している。
 在独米軍の一方的縮小は欧米間の溝を深めるだけでなく、欧州における力の均衡を崩す恐れもある。 (2007-061601)

 ドイツのクランプカレンバウアー国防相が6月16日、NATOは貿易機関ではなく安全保障は取引できるものではないと述べ、トランプ米大統領の前日の発言を批判した。
 トランプ大統領は前日、ドイツはNATO加盟国に求められる防衛費を拠出していないとし、ドイツが防衛費を増加させない限り、米国は駐独米軍の規模を縮小させると述べた。 (2007-061702)

 Wall Street Journalが6月5日に、米国が駐独米軍を9,500名撤収し25,000名に下げると報じ、同日にNew York Timesが撤収する米軍にはF-16 1個飛行隊が含まれると報じたことで、ドイツ政界では与党であるキリスト教民主同盟 (CDU) /社会同盟 (CSU) だけでなく野党も含め衝撃が走っている。 (2008-061702)

 米下院軍事委員会が7月1日、賛成56、反対0の全会一致で可決したFY21国防予算の大枠を定める総額$741Bの国防権限法 (NDAA) 案では、トランプ大統領のドイツ駐留米軍削減方針に関し、国防総省が国家安全保障に影響が及ばないことを証明しない限り削減を禁止する内容が盛り込まれた。
 ただトランプ大統領は拒否権を行使する考えを示している。 (2008-070302)

 エスパー米国防長官が7月2日、クランプカレンバウアー独国防相と電話で会談し、現在34,500名規模の在独米軍を9,500名削減する計画を伝えた。
 トランプ米政権は削減する在独米軍の一部をポーランドやアジア太平洋地域に再配置する方針を示している。 (2008-070303)

5・3・2・1・2 駐欧米軍の再配置

駐独米軍の削減に伴う駐欧米軍の再配置

 エスパー米国防長官が7月29日、ドイツ駐留米軍を11,900名削減し駐留規模を36,000名から24,000名に縮小させると正式に発表した。
 また駐独米軍の削減を受け、欧州軍司令部を独シュツットガルトからベルギーに移転する方針を表明した。
 エスパー長官は削減される駐独米軍のうち約半数の5.600名弱がイタリアやポーランド、黒海周辺に再配置され、残りの6,400名は帰国することを明らかにした。 (2008-073001)

 米陸軍大学のデニー教授が、米大統領にバイデン氏が当選したことで、4年間にわたり繰り広げられたトランプ大統領とNATOの対立が終わり、トランプ政権が決めた12,000名の駐独米軍を欧州の他の国か米国に移すとした計画は中止になるとの見通しを明らかにした。 (2012-110903)

ポーランド駐留米軍の増強

 ポーランドのモラウィエツキ首相が6月6日、同国に駐留する米軍の兵員数を増やしたい意向を明らかにした。
 モラウィエツキ首相は、真の危険が東側の国境の向こう側に潜んでいるため、米軍部隊をNATO範囲の東側に移すことによって欧州全体の安全保障を強化することになると述べ、現在協議中であると明かした。
 Wall Street Journalが、トランプ米大統領が国防総省に対し、現在ドイツ駐留米軍を34,500名から9,500名を削減するよう命じたと報じたが、米大統領府と国防総省はこの報道について確認、あるいは否定することも拒否している。 (2007-060702)

 トランプ米大統領が6月24日にドゥダ・ポーランド大統領と会談後の共同記者会見で、削減方針を決めたドイツ駐留米軍について、一部をポーランドへ再配置する考えを示した。
 トランプ大統領は既に、現在34,500名規模の在独米軍を2,5000名に縮小する方針を明らかにしている。
 記者会見でトランプ大統領は、ポーランドが駐留経費の負担を申し出ていることに触れた上で、削減する部隊の一部は米国に戻り、一部はポーランドを含む欧州へ移動することになるだろうと述べた。 (2007-062502)

 エスパー米国防長官が7月29日、ドイツ駐留米軍を12,000名削減して一部を他の欧州諸国に移動させると共に、数千名を帰国させると発表した。
 それによるとドイツVilseckにNATO東翼部隊の要として駐留している駐独唯一の旅団規模部隊で、カリーニングラードから僅か50哩地点に大隊を巡回配置している第2騎兵連隊を撤退させる。
 更にシュツットガルトにある在欧米軍司令部をベルギーのMonsに移し、600名の軍人と300名の軍属を移動させる。 (2008-072907)

 エスパー米国防長官が8月3日、ポーランド政府と追加での米軍1,000名の巡回配置を含む防衛協力強化で合意したと発表した。 ポーランドには現在4,500名が巡回で駐留している。
 エスパー長官は7月下旬に、ドイツ駐留米軍を12,000名削減し、うち5,600名を欧州に再配置する計画を表明していた。 (2009-080401)

 ポーランドを訪問中のポンペオ米国務長官とポーランドのブワシュチャク国防相が8月15日に両国の防衛協力強化を定めた協定書に署名した。
 ポーランドには4,500名の米軍が駐留しており、両国はこれを1,000名増強することで合意している。 (2009-081508)

 ポーランドのデュダ大統領が11月9日、駐留米軍を増強する協定Enhanced Defense Cooperatio Agreementに署名したと発表した。
 駐ポーランド米軍の増強は、2019年にトランプ大統領が駐独米軍の削減を決めた際に決まっていた。
 これに伴い駐独米陸軍第5軍団の5,500名がポーランドに移駐することになる。 (2012-110902)

戦闘機部隊のイタリアへの移駐

 エスパー米国防長官が7月29日に発表した、ドイツ駐留米軍の一部を他の欧州諸国に移動させる計画では、F-16を装備してSpangdahlem空軍基地に駐留している第480戦闘飛行隊をイタリアのAviano航空基地に移駐させる。
 一方、空軍部隊を2024年までに英国からドイツに移駐させることにしていた計画を見直す。 この中には第100空中給油航空団や、CV-22 Ospreyを装備した第352特殊作戦航空団が含まれている。 (2008-072907)

一部をルーマニアに派遣

 エスパー米国防長官が8月4日に開かれたAspen研究所とのネット討議で、ドイツから撤収する米軍の一部がルーマニアに派遣されることを明らかにした。
 ルーマニアには今までも米軍が巡回で派遣されており、空軍はMihail Kogalniceanu航空基地とCampia Turzii航空基地をハブ基地にしていた。 (2009-080602)

 エスパー米国防長官が7月29日、10,000名以上りドイツ駐留米軍帰国させその後ポーランドとベルギーのMonsに再配置するが、これと合わせて1個Stryker旅団を黒海沿岸に派遣すると述べた。
 NATOは数千名の部隊をEFPとしてバルト海沿岸に派遣しているが、黒海沿岸では現在、ルーマニアに最小限のTFPとして1個小隊が駐留しているだけである。 (2009-081104)

5・3・2・2 在欧米軍の戦力強化

駐独陸軍の火力増強

 ドイツGrafenwoehrに駐留する米陸軍第41野戦砲兵旅団の隷下に2番目のMLRS部隊である第77野戦砲兵連隊第1大隊 (1-77thFA) が入った。 最初のMLRS部隊は1-6FA大隊である。
 350名の隊員とその家族の半数は過去6~7ヶ月に現地入りしており、残る半分も今後30~60日以内に到着する。
 第41野戦砲兵旅団は冷戦時代の33年間にわたりドイツに駐留していたが2005年に撤収しており、今回再びドイツ入りしていた。 (2009-082706)

 在欧米陸軍 (USAREUR) が8月31日、第41野戦砲兵旅団の1個MLRS中隊が9月1~10日にエストニアで行われるRail Gunner Rush演習で、ドイツ以外では初の実射を行うと発表した。
 参加するのは第6野戦砲兵連隊第1大隊 (1-6FA) B中隊でエストニア陸軍第1歩兵旅団と一緒に行動する。
 第41野戦砲兵旅団はUSAREUR唯一の野戦砲兵旅団で、2018年11月にGrafenwöhrで編成完結している。
 旅団は1-6FA及び8月27日に現役復帰した1-77FAの2個MLRS大隊を隷下に入れている。 (2011-090908)

5・3・2・3 大規模演習

Defender 2020

 米国が実施する過去20年間で最大規模の演習Defender 2020ではM1 MBTから医薬品までの全ての装備を前置補給品 (APS) から運び出す。 (2003-020407)

 テキサス州Ft. Hoodに駐屯する米陸軍第1騎兵師団第1機甲旅団隷下の第12騎兵連隊第2大隊 (2-12CAV) の550名が、Defender-Europe 20陸軍演習の1ヶ月間に及ぶ最終段階に参加するため、近くポーランドのDrawsko Pomorskie演習場に向かう。
 大隊はドイツに備蓄してあるTrophy APSを装備したAbrams MBT及びBradley IFV 55両を受領して演習に参加する。 (2008-071011)

Thracian Summer 演習

 ブルガリアで行われたThracian Summer演習でドイツRamstein航空基地第37輸送航空隊のC-130Jとブルガリア空軍のC-27から米陸軍とブルガリア軍が降下した。
 この演習は2018年以来でブルガリア中央部のCheshnegirovo航空基地近くで行われ、両軍から750名が参加した。
 この演習は8月28日に終了するが、NATOは引き続き9月に米空軍のF-16とブルガリアのMiG-29による演習を行う。 (2009-082004)

Thracian Viper 20 演習

 イタリアAviano空軍基地に駐留する米空軍第31戦闘航空団第555戦闘飛行隊のF-16 6機と兵員150名が、9月18日~25日にブルガリアで行われたブルガリア、ルーマニア、ギリシャ空軍が参加したThracian Viper 20演習に参加し、空対空/空対地戦闘の演練を行った。 (2010-092406)

5・3・2・4 爆撃機の欧州上空飛行

5月29日: B-1B の欧州への往復飛行

 サウスダコタ州Ellsworth AFBの第28爆撃航空団所属のB-1B 2機が5月29日、爆撃機編隊 (Bomber Task Force) を組んで黒海上空を含む欧州まで飛行した。
 B-1B Task Forceは初めてウクライナ空軍のSu-27及びMiG-29による護衛を受けると共にトルコ空軍のKC-135から空中給油を受けた。
 更にポーランドのF-16及びMiG-29、ルーマニアのF-16及びMiG-21と共同飛行訓練を行い、北マケドニアでの警察飛行を行っていたギリシャ軍のF-16とも共同飛行を行った。 (2008-061001)

 ロシア軍が6月1日、ロシアがNATOに対してCOVID-19パンデミックのため双方の軍事活動を控えようと提案していたのに、米国とNATO加盟国がロシア国境近くで挑発的な動きをしたと非難する声明を出した。
 ロシアは特にバレンツ海でのNATOの演習を取り上げた。 更に5月下旬にB-1Bなどが初めてウクライナ上空を飛行したことも取り上げた。 (2007-060103)

8月28日: B-52 6機が NATO加盟30ヵ国上空を飛行

 米空軍のB-52 6機が8月28日にNATO加盟30ヵ国上空を飛行した。
 英空軍Fairford基地から発進した4機は欧州のNATO加盟国上空を飛行し、ノースダコタ州Monot AFBを離陸した2機は米国及びカナダ上空を飛行した。 (2009-082807)

10月14日: B-52 2機が NATO軍の演習に参加

 ルイジアナ州Barksale AFB所属の米空軍第2爆撃航空団のB-52 2機が10月14日に、大西洋を横断して北海で行われたNATO軍の演習に参加し、無着陸で米国へ帰投した。 その間米、蘭、独、伊軍機から空中給油を受けた。
 北海で先週行われたNATOの演習は2週間にわたり続けられ、50機以上の航空機と陸海空軍が参加して行われた。 (2011-101910)

5・3・3 E U

5・3・3・1 対露・台中政策

5・3・3・1・1 対露政策

 特記すべき記事なし
5・3・3・1・2 対中政策

一段と公平な貿易関係を要求

 EUが9月14日、中国とオンライン形式で首脳会談を行い、ミシェル大統領は会談後記者団に対し、中国に利用されないと述べ、一段と公平な貿易関係を要求したと語った。
 中国の習主席は会談後の会見に参加せず、共同声明も出されなかった。 国営新華社通信によると、習主席は会談で中国の問題、特に人権に関する干渉を拒否した。
 ドイツのメルケル首相は、EUと中国間の投資協定の締結に向け、交渉を急ぐよう中国側に圧力をかけたと明らかにし、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、中国の強制的な技術移転などの問題で進歩が見られるものの、投資協定を結ぶには中国が市場を一段と開放する必要があると指摘し、中国は鉄鋼などの伝統的な分野にとどまらず、ハイテク分野でも過剰な生産能力に対処すべきとした。 (2010-091501)

ウイグル族弾圧への制裁を科す法整備

 中国によるウイグル族への弾圧に対する国際社会の批判が強まっており、米国の中国共産党幹部に対する資産凍結に動き、欧州でも制裁を科す法整備が進んでいる。
 日本政府内でも新法を視野に水面下で議論が始まっており、日本企業も意図せず関与するおそれがあり、経営リスクの一つになりかねない。
 オーストラリア戦略政策研究所が3月に公表した報告書で「少なくとも82の著名なグローバルブランドの供給網に、ウイグル族を強制労働させた疑いが強い工場が含まれている」とし、挙げられた82社のなかで11社の日本企業が名指しされている。 (2012-110601)

ドイツ政府が中国軍需企業による買収阻止

 ドイツDPA通信が12月3日、ドイツ政府が人工衛星や次世代通信規格5G関連技術を手掛ける独企業が、中国国有軍需企業航天科工集団の子会社に買収されるのを、安全保障への重大な脅威と判断し阻止したと報じた。
 買収対象となったのはドイツの人工衛星TerraSAR-Xの主要部品を開発したIMST社で、独政府は安全保障上の脅威がある買収を止める規定に照らし、買収されればノウハウが中国に流出し、軍備増強を後押しする結果となると認定した。 (2101-120307)

5・3・3・2 新規加盟

 EUが3月24日、加盟国の閣僚会議を開き北マケドニアとアルバニアとの加盟交渉を開始することで合意した。
 バルカン半島では中国やロシアが存在感を高めていて、EUとしては加盟交渉もテコにこの地域での影響力を強めるねらいがあるとみられる。
 交渉にあたるヨーロッパ委員会のバールヘイ委員は、交渉開始は他のバルカン諸国へのメッセージでもあると述べ、ほかのバルカン半島の国々との加盟交渉にも意欲を示した。 (2004-032502)
5・3・3・3 EU独自防衛機構の整備

5・3・3・3・1 財政協力機構 (CFM)

 欧州防衛庁 (EDA) が計画していた財政協力機構 (CFM) が、2019年12月9日に欧州投資銀行 (EIB) が署名したことで最終的に機能する。
 CFMはEuropean Defence Fundや常設軍事協力枠組み (PESCO) に資金供給をする仕組みで、2本の柱でできている。
 その1つがEIBで3年間にわたり€6B ($6.6B) の貸し付けを行うものである。 (2002-121805)

 EUが4日間の審議の末7月21日に、欧州防衛基金 (EDF) 及び関連経費の大幅削減を盛り込んだ2021~2027年の歳出計画 (MFF) で合意した。
 MFFとCovid-19パンデミック対策費は合わせて€750B ($862.5B) にのぼる。
 EDFは€7Bと2019年12月€6Bより僅かに増えたものの、欧州委員会の最初の合意€13Bの54%でしかない。
 更に欧州における軍の即応能力を決める機動力については、欧州委員会の€6.5Bに対し€1.5Bでしかない。 (2009-072906)

5・3・3・3・2 常設軍事協力枠組み (PESCO)

迎撃システム TWISTER の開発を PESCO として推進

 EUの常設軍事協力枠組み (PESCO) が2019年11月12日に、航空機搭載電子攻撃 (AEA) 装置の開発に出資することを明らかにした。 (2002-010002)

 欧州議会が2019年11月12日、MBDA社の大気圏上層部での迎撃システムTWISTERの開発をEUの常設軍事協力枠組み (PESCO) として進めることを承認した。
 TWISTERはPESCOが手がけている開発計画47件のうちの1件で、迎撃対象とするのは機動飛翔する中距離ミサイル、超高速または超音速CM、HGVや次世代戦闘機などの従来型目標で、欧州が現在装備している陸上及び艦載システムとの整合が求められている。 (2002-010008)

非 EU 諸国の参加を認める決定

 EUのPESCO参加25ヵ国が11月5日、非EU諸国の参加を認める決定を行った。
 但し参加が許されるのは民主主義の価値を共有する国に限定され、中国、ロシア、トルコなどの参加は認めないとしている。 (2101-111808)
【註】EUの常設軍事協力枠組みPESCOには英国が離脱して27ヵ国となったEUのうち、デンマークとマルタが参加せず、25ヵ国が参加している。

5・3・3・3・3 MAJES

 欧州防衛庁 (EDA) に加盟しているフランス、オランダと非加盟国であるが提携国であるノルウェーが、クラウドを元にした戦場研究、各軍のネットワーク、バーチャル兵士など、答えの見えない研究で提携するMAJESを立ち上げる。
 MAJESは2021年中頃に立ち上げ36ヶ月続けられる。 (2101-120002)
5・3・3・3・4 防衛能力組織的年次報告 (CARD)

 EUが11月20日にブリュッセルで開いた国防相会議で、初めての完全版である防衛能力組織的年次報告 (CARD) を承認した。
 CARDは欧州の共同防衛能力を焦点に、国防予算、研究開発などの現状と将来を分析するもので、陸海空、宇宙、サイバなどにまたがる55件を含む100以上の事業が対象となっている。 (2012-112006)
5・3・3・4 EU独自防衛軍

対米依存を引き下げた独自防衛力

 アンネグレート・クランプ=カレンバウアー独国防相が欧州議会での発言を前に7月14日、中国が米国と並ぶライバルとなってきたことを受け、米国は例え11月の大統領選でバイデン氏が勝っても、欧州への影響を徐々に薄めてゆくであろうと述べた。
 その上で欧州は米国やNATOに頼らない防衛力の強化を目指すべきで、その第一歩として欧州情報センタ (EU Intelligence and Situation Centre) を中心に欧州全域の脅威分析を行うべきと主張した。 (2008-071507)

地中海 EU 海軍 (EUNAVFOR Med ) Irini の発足

 EU加盟国が3月31日、リビアへの武器搬入に対抗するため、それまでのSophia作戦に代えて地中海EU海軍 (EUNAVFOR Med) Iriniを4月1日に発足させることを承認した。 (2005-040808)

バルカン半島駐留のEU軍 (EUFOR) 平和維持軍が Quick Response 2020 演習

 2020年初めに英国がEUを離脱して初めて、バルカン半島駐留のEU軍 (EUFOR) 平和維持軍が実施する演習Quick Response 2020に参加する英陸軍空挺連隊のA中隊が装備するFoxhound装甲偵察車が、ウクライナのAn-124によりボスニアの首都サラエボに空輸された。 (2009-081704)

EuroDefense が EU に常設指揮所などを要求

 EuroDefenseがEUに送った12頁に及ぶ文書で、EUの防衛のためには根本的な見直しが必要であると訴えた。
 そのためには防衛計画の策定や部隊運用を行う常設指揮所が必要であると共に、防衛政策の決定には全会一致の原則を止めるべきとしている。
 EuroDefenseは14ヵ国横断のネットワークで、産業界、軍、教育研究機関などからのメンバーで構成されている。 (2101-111103)

5・3・3・5 EU独自装備開発

5・3・3・5・1 PESCO の枠組みでの装備開発

兵員用スマート布 (STILE)

 欧州防衛庁 (EDA) が6月22日、EDAが出資して進められている兵員用スマート布 (STILE: Smart Textile) の開発が試験の最終段階に入ったことを明らかにした。
 STILEは温度管理に優れ生物兵器を検知できるナノ構造の軽量素材であるという。 (2009-080002)

欧州防衛産業開発計画 (EDIDP)

 EUが2019~2020年に€500M ($585M) かけて進めてきた欧州防衛産業開発計画 (EDIDP) が取り上げる先行計画が、期限となっている12月までに発注される。
 この計画には2021年に設立される欧州防衛基金 (EDF) により2027年末まで毎年€1Bが拠出されることになる。
 計画はサイバ、UAV/UGV、地球監視、ソフトウェア無線機など多岐にわたり、2019年の提案要求に対して提出された40件の提案が、今年初めに16件に絞られている。 (2101-111105)

5・3・3・5・2 独仏共同での装備開発

次世代戦闘機 FCAS

 「7・1・1・2・2 FCAS / SCAF」で記述

MGCS 次世代 MBT

 ドイツとフランスが次世代MBTであるMGCSの共同開発を行う。 MGCSをドイツ陸軍はLeopard 2 MBTの後継として、フランス陸軍はLeclerc MBTの後継として2035年から装備する。
 ドイツが主導するMGCSはフランスが主導する次世代戦闘機FCASと共に、独仏共同開発の大型プロジェクトになる。 (2006-052501)

5・3・4 欧州諸国

5・3・4・1 英 国

5・3・4・1・1 EU から離脱

 英国が1月31日にEUから離脱した。 英国民が離脱を選択した2016年6月の国民投票から約3年半続いた混迷にようやく終止符が打たれた。
 EUは拡大と深化を重ねてきたが、初めて加盟国を失う歴史的な転換点を迎え欧州は新たな時代に入った。 (2003-020102)
5・3・4・1・2 国防費の増額

 ジョンソン英首相が11月19日、国防費を向こう4年間で£16.5B増額すると発表した。 計画では2021年に10%、2024年に2%増額するという。
 この結果国防費は2020年の£46.2Bから2024年には£54Bになる。 (2012-111905)
5・3・4・1・3 極東への進出

Queen Elizabeth 空母打撃群の極東派遣

 英Times紙が軍高官らの話として7月14日、Queen Elizabeth空母打撃群が来年初めに極東に派遣され、周辺海域に当面の間留まる計画が進められていると報じた。
 海洋でのプレゼンスを強化する中国に対抗する狙いで、日本や米国との合同演習も想定しているという。 (2008-071408)

 複数の日本政府関係者が12月5日、英海軍が空母Queen Erizabethを中核とする空母打撃群を沖縄県などの南西諸島周辺を含む西太平洋に来年初めにも派遣し、長期滞在させることを明らかにした。 在日米軍の支援を受けるとみられる。
 三菱重工業の小牧南工場で艦載のF-35Bを整備する構想も浮上している。 (2101-120506)

G7 を D10 へ

 英首相官邸が12月15日、来年議長国を務める先進7ヵ国首脳会議(G7サミット)に韓国とオーストラリア、インドの3ヵ国を招待することを明らかにした。
 Guardian紙によると、英政府は中国などに対抗し民主主義10ヵ国で協力する「D10」構想の一環として連携を強める方針である。
 Times紙によると、中国の華為技術(ファーウェイ)に代わる第5世代(5G)移動通信システムの機器メーカーの育成に向け、英政府はD10構想を模索していた。 (2101-121601)

5・3・4・1・4 Joint Warrior 多国間共同演習

米海兵隊のF-35B 10機が飛来

 英国が主催する多国間共同演習Joint Warriorを前に、米海兵隊のF-35B 10機が英国東部にあるMalum空軍基地に到着した。
 飛来したのはアリゾナ州Yuma海兵隊航空基地のVMFA-211飛行隊所属のF-35Bで、英空軍第617飛行隊のF-35Bとともに、空母Queen Elizabethと行動する。
 Joint Warriorは毎年秋に英国が主催して実施される多国籍共同演習で、NATO加盟国を中心とした14ヵ国が2週間の日程で空挺戦や水陸両用戦などを行う。 (2010-091105)

5・3・4・2 フランス

2020年国防費

 フランスの2020年国防予算が4.5%増の€37.5B ($41.5B) になり、対GDP比も1.86%になる。 (2002-122301)

 仏国防省が8月28日に前年度比4.5%増の£49.7B ($58.3B) となる2021年度国防予算案を議会に提出した。 国防費の増加は2017年以来22%になる。
 内訳で物品購入費は£22.3Bで、H160Mヘリ30機、フリゲート艦1隻、MICA NG SAM 367発、Exocet改良キット45セットなどの調達と次世代戦闘機FCASの試作費が挙げられている。 (2011-100204)

 NATOが10月21日に報告書で、フランスの2020年国防費がGDPの2.1%に達するとの見通しを示した。
(2011-102201)

2021年国防費

 フランス国防省が9月28日、前年度比4.5%増の€49.7B ($58.3B) にのぼる2021年度国防予算案を公表した。
 その内訳は、物品購入費€22.3B、人糧費€12.3B、年金費€8.5B、運用費€4.6Bなどとなっている。 (2012-101407)

空母 Charles de Gaulle で COVID-19 感染

 フランス国防省が4月8日、空母Charles de Gaulleで、一部の乗組員がCOVID-19感染症の症状を示したことから、派遣先の大西洋から予定を早めて同艦を帰国させると発表した。
 発表によると、乗組員40名が経過観察を受けており、症状がある乗組員は隔離されている。重症者はいないという。
 同艦の定員は2,000名で、イラクとシリアでISISと戦うOperation Chammalに参加した後、NATOの合同演習の一環で大西洋に配備されていた。 (2005-040803)

 フランスのパルリ国防相が4月17日、空母Charles de Gaulleと随伴艦などの乗組員2,300名のうち、半数近くの1,081名にCOVID-19の陽性反応が出たと明らかにした。
 国防省は10日に同空母の乗組員50名がCOVID-19に感染したと発表していた。
 パルリ国防相によると、これまでに2,010名人に対し検査が行われ、545名に感染の症状が表れたため24名が入院したが、うち1名は集中治療を受けているという。 (2005-041801)

5・3・4・3 ドイツ

中国偏重政策の転換

 ドイツが中国偏重と指摘されてきたアジア太平洋政策の修正に乗り出していて、中国を経済発展を遂げても民主化に至らない異質な国(独外交筋)であり続けると位置付け、是々非々で向き合う方針に転換する一方で、重視してこなかった日本との関係緊密化に目を向けている。
 クランプカレンバウアー国防相は12月の時事通信とのインタビューで、中国の南シナ海での覇権主義を批判し、12月15日の岸防衛相とのウェブ討論ではインド太平洋に軍艦を派遣すると表明している。
 また独政府が9月に策定したインド太平洋指針にも、中国の南シナ海での領有権主張を否定した仲裁裁判所判決への言及など、中国牽制の要素が盛り込まれている。 (2101-122701)

独軍への追加支出を承認

 ドイツ議会予算委員会が2019年12月11日、独軍への追加支出€594M ($662.5M) を承認した。
 追加支出にはMeteor BVRAAM 100発に€185M、AGM-88B HARM 85発のAGM-88E AARGMへの改修に€127Mなどが含まれている。 (2003-010105)

Tornado の後継として F-18 を採用

 ドイツ国防当局者が、米国の核爆弾を搭載できるTornadoの後継としてF-18 45機の購入を近く決定することを明らかにした。 ただ最新型のF-18にB-61の搭載が可能なのかはまだ確認されていない。
 また4月21日に議会に対し、Airbus社製のEurofighter 93機の購入も要求したという。
 政府がEA-18G Growler 15機を装備するとしているが、国内企業はEurofighterにAirbus社固有の電子戦装置を搭載することを求めている。 (2005-042302)

 ドイツ国防省が4月21日、Eurofighter 93機とF/A-18E/F及びF/A-18 Growler合わせて45機の、計138機を2020年代中頃までに調達すると発表した。
 内訳は退役するTornado 85機の代替にEurofighter 55機とF/A-18E/F 30機、Eurofighterの新規分として38機、電子戦能力強化のためとしてEA-18G 15機である。 (2006-042902)

在欧米軍との訓練を再開

 ドイツ国防軍が8月18日、Covid-19パンデミックにより今年初めから中止していた在欧米軍との訓練を再開したと発表した。
 在欧米陸軍は8月から10月までHohenfels演習場とGrafenwöhr演習場、GÜZ戦闘訓練センタ、Latzlingen戦闘シミュレーションセンタで訓練を行う。 (2010-082608)

5・3・4・4 イタリア

国 防 費

 イタリア国防省が10月23日に2020年~2022年の防衛計画であるDPP2020-2022を公表した。 これによると3ヵ年の国防費は

・2020年 £22.94B(対GDP比1.38%)
・2021年 £23B  (対GDP比1.3%)
・2022年 £22.92B(対GDP比1.2%)
になっている。 (2012-110412)
5・3・4・5 ノルディック諸国

5・3・4・5・1 NATO との協力体制

 米第2艦隊の発足を受け2019年には米海軍、NATO及び英国が主導するJEFが合同演習BALTOPSを実施たが、JEFにはスウェーデン海軍とフィンランド海軍も参加していた。 (2005-042210)
5・3・4・5・2 フィンランドとスウェーデンの連携

両国海軍共同部隊 SFNTG

 スウェーデンとフィンランドの海軍が3月2~8日にバルト海北部で、海事状況認識共同演習を実施した。
 この演習では両国艦がそれぞれ相手国艦の指揮を行った。 (2004-031106)
【註】相手国艦を指揮するとなると実質的な軍事同盟で、非同盟中立のスウェーデンとフィンランドの国防政策に起きている微妙な変化を見ることができる。

 スウェーデンとフィンランドの海軍が3月2~8日にバルト海北部で、監視、識別、通信などの共同演習を行った。
 この演習ではスウェーデン海軍のコルベット艦がフィンランド海軍の指揮下に、フィンランド海軍の掃海艦がスウェーデン海軍の指揮下に入った。 (2005-031806)

 ロシアバルチック艦隊の活動活発化によるバルト海での緊張の高まりを受け、スウェーデンとフィンランドが両国海軍共同部隊SFNTGの活動を活発化させようとしている。 (2005-042210)

5・3・4・5・3 ノルウェー

 特記すべき記事なし
5・3・4・5・4 スウェーデン

国防費の大幅増

 バルト海での緊張の高まりを受けスウェーデンが2021年から2025年に国防費を40%増額し、2025年にSEK89B ($11B) にすることを12月15日に議会が承認した。 この上昇率は過去70年間で最大である。
 これに伴い現在55,000名の兵力を毎年8,000名増員して2030年までに90,000名とし、退役していた数個連隊を復役させる。 (2101-121507)

米空軍 B-1B との共同訓練

 サウスダコタ州Ellsworth AFBの第28爆撃航空団に所属するB-1B 2機が5月20日に欧州へ飛来し、初めてスウェーデンの上空を飛行した。
 B-1BはVidsel射爆場でスウェーデンの地上統制官の指示の元で、同国Gripenと共にCASの訓練を実施した。
 B-1Bはまた英空軍のTyphoonやノルウェー空軍のF-35Aとも共同訓練を行い、ノルウェーがF-35Aの基地にしているØrland基地に低空接近した。 (2006-052003)

米特殊部隊とのスウェーデンでの共同訓練

 在欧米軍特殊部隊 (SOCEUR) が11月13日、米海軍のSEALと陸軍のGreen Beretsがバルト海に面したKarlskronaスウェーデン海軍基地でスウェーデン軍と共同訓練を実施したと発表した。
 バルト海で脅威を高めているロシアを念頭に置いたもので、演習には駆逐艦Rossや英国に基地を置く米空軍第48戦闘航空団や第100空中給油航空団も参加した。 (2012-111306)

次期戦闘機の選択肢

 スウェーデン国防省が7月7日、次の予算サイクルである2021年~2025年に、次世代戦闘機への公式方針を決めることを明らかにした。
 方針には以下の4つの選択肢がある。 (2009-071501)

・Gripenの発展型
・英伊のTempestへの全面依存
・他の国際協力
・国内で独自の開発
バルト海防衛の強化

 ロシアからの脅威を受けスウェーデンがバルト海における防衛を強化すると共にNATOとの協調を進めている。 軍は8月25日にバルト海南東部及び南部での即応性強化計画を開始したことを明らかにした。
 Baltic News Serviceは25日に、ロシア艦4隻がラトビアの領海近くにいたのが発見されたほか、24日にはNATOのフリゲート艦2隻がリトアニアに寄港したと報じている。
 スウェーデンは2017年12月に、第2次大戦後初めて歩兵連隊を新設し、350名の部隊をバルト海の戦略的拠点であるGotland島に派遣した。 (2009-082505)

米空軍 F-15E との共同訓練

 英Lakenheath基地に駐留する米空軍第48戦闘航空団隷下の第494戦闘飛行隊に所属するF-15E 4機がスウェーデンに飛来した。
 これらのF-15Eは11月12日から18日まで行われたスウェーデンが主催する演習に参加したもので、バルト海に面したスウェーデン各地で演習を行い、バルト海への進出能力を確認した。 (2012-111908)

5・3・4・5・5 フィンランド

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5・3・4・6 バルト海及び東岸諸国

5・3・4・6・1 Swalki Gap

 ポーランドとリトアニアが1月29日、ロシアと対峙して駐留している米軍に協調してそれぞれの旅団を差し出すことで合意した。
 差し出されるのはリトアニアのIron Wolf旅団とポーランドの第15機械化旅団で、防空、機動で協力すると共にSuwalki Gap防衛の増援としてNATO軍北東司令部の統制下に入るが、それぞれの国の指揮下にあるという。
 米軍はドイツVilseck駐留第2騎兵連隊からの派遣隊が、カリーニングラードから50哩のポーランド領内に派遣されている。 (2002-013005)
【註】Swalki Gapとはロシア領となっているカリーニングラードと親ロシアであるベラルーシ間の50km程度の地帯で、ここがポーランドとリトアニアの国境になっており、NATOにとっての弱点とされている。

 2017年に米軍がNATO EFPの先遣として進駐して以来、Suwalki回廊に近い村Bemowo Piskieの人口は一夜にして三倍に増えた。 (2003-021504)
【註】Bemowo Piskieは、ポーランドとリトアニアの間で幅50km程度の国境地帯であるSuwalki Gapに近い。
 ここはロシア領となっているカリーニングラードと親ロシアであるベラルーシに挟まれ、NATOにとっての弱点とされている。

5・3・4・6・2 エストニア

2021年度国防予算

 エストニアが9月30日、€645.4M ($759M) にのぼる2021年度国防予算案を公表した。 この額はGDPの2.29%にあたる。
 支出の中には外国軍隊の駐留経費€10M、エストニア全土をカバーする沿岸防衛システムの購入費を含む装備品費€20Mなどが含まれている。 (2012-101408)

防衛産業

 イスラエルのUVision社がエストニアのMilrem Bovotics社と、UVision社製Hero-120またはHero-400EC遊弋索敵弾6発入りキャニスタ発射機をMilrem社製THeMIS UGVまたは新型のType-X RCVに搭載したシステムを公表した。
 重量1,630kgのTHeMIS UGVは最高速度20km/h、LOS 1.5km内で12~15時間の制御が可能である。
 最大搭載時の重量4,100kgのType-X RCVは50cmの最小地上高で路上80km/h、路外50km/hで走行できる。 (2101-120009)

5・3・4・6・3 ラトビア

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5・3・4・6・4 リトアニア

NASAMS 3 の導入

 リトアニア空軍が6月19日、NASAMS中距離SAMシステムを受領したと発表した。 受領したのは最新型のNASAMS 3で空軍の防空大隊が装備する。
 NASAMS 3はノルウェーに続いてリトアニアが初めて装備する。 (2009-070105)
【註】NASAMS 3はレーダのソフトが更新されたほか装置間の接続にIPを採用し、射統装置やキャニスタが改良され、発射機の機動性が向上している。

5・3・4・6・5 ポーランド

米国と防衛協力強化に合意 (EDCA)

 米国とポーランドが7月31日、防衛協力強化に合意 (EDCA) した。 これは2019年のトランプ大統領とデューダ大統領の合意に基づくものである。
 この合意に基づきポーランド駐留米軍は4,500名から5,500名に増強され、陸軍第5軍団の前方指揮所が置かれると共に、1個師団司令部とISR装置が置かれ、1個装甲旅団戦闘団 (ABCT) 及び戦闘航空旅団のためのインフラが整備される。 (2010-081202)

F-35 の導入

 ポーランドが1月31日に、F-35 32機を$4.6Bで購入する契約を行う。
 同国空軍はソ連時代からのMiG-29とSu-22をF-35に換装する計画で、引き渡しは2024年に開始される。 (2002-013106)

米国・ポーランド合同 Allied Spirit 演習

 5月に計画されていたもののCOVID-19のパンデミックで延期されていた米国・ポーランド合同演習Allied Spiritが6月5~19日に実施される。
 師団級の対抗演習であるこの演習には6,000名以上の将兵が参加し、3,000品目の装備が欧州へ運ばれる他、米国がドイツに備蓄している6,000両の車両も参加し、ポーランド北西部のDrawsko Pomorskie演習場で行われる。
 参加する米軍は4,000名で、第1騎兵師団前方司令部、第2装甲旅団戦闘団 (ABCT)、第3戦闘航空旅団、第3歩兵師団からなり、2,000名のポーランド軍は第6空挺旅団、第9機甲騎兵旅団、第12機械化旅団で構成される。 (2006-051304)

機械化師団の新編

 ポーランド国防省が7月2日、新編された第18機械化師団が6月30日にIOCになったと発表した。 FOCは2Q/2021年に行われるDragon-21演習で検証された後になるという。
 第18機械化師団の親編は2018年9月5日に第1機甲旅団と第21機甲旅団が隷下に入った時から開始され、新たに第18機械化旅団、第8兵站連隊、第18指揮大隊が加わった。
 砲兵、防空砲兵、工兵連隊及び偵察大隊は2021~2026年に加わる。 (2009-071506)

米空軍との共同訓練

 ポーランドのŁask航空基地に展開した第52戦闘航空団第480遠征戦闘飛行隊のF-16がポーランド空軍との共同訓練を行っている。
 第52戦闘航空団は航空巡回派遣 (ADR) 20.4としてŁask航空基地に派遣されており、第480飛行隊はポーランド軍のパートナーとしてOperation Atlantic Resolveに参加している。 (2009-082504)

MSPO 国際防衛企業展

 ポーランドのKielceで9月8日~10日に、MSPO国際防衛企業展がCovid-19パンデミックの影響で限定的ながら開催された。
 展示会にはLockheed Martin、BAE Systems、MBDA、Rafael、Hyundai、Leonardo、Raytheonなどの各社が出展した。 また例年通りポーランド最大のPGZ社も子会社などを引き連れて参加したが、ポーランドで二番目の企業であるWBGroupは参加を見送った。
 2020年の焦点はSHORAD、次期ヘリコプタ、及び駆逐戦車やMBTなどの陸上装備で、SHORADではMBDA社がCAMM、Rafael社がSPYDER、Raytheon社がSkyCeptorとPAC-3 MSEなどを展示した。
 Rafael社は9月9日に、Python 5やI-Derby/I-Derby ERを発射するSPYDERについてポーランド企業との技術移転を含む共同生産の準備ができていることを明らかにした。 (2011-092302)

5・3・4・7 黒海及び沿岸諸国

米空軍がブルガリアで航空警察活動

 米空軍のF-16が9月28日、ブルガリアでNATO南翼での航空警察活動を開始した。
 参加しているのはイタリアAviano航空基地の第31戦闘航空団第555戦闘飛行隊所属の6機で、バルカン半島中央部のGraf Ignatievo航空基地で4週間の任務に就いている。 (2010-092805)

米陸軍が黒海に向け HIMARS の射撃

 ルーマニアに駐留する米陸軍第101戦闘航空旅団がルーマニア陸軍の第8 LAROM旅団及び第9歩兵旅団と先週行ったRapid Falcon演習に、米陸軍第41野戦砲兵旅団1-77 FAR A中隊のHIMARS2両が参加し、黒海に向け射撃を実施した。
 米空軍第352特殊作戦航空団のMC-130J 1機と欧州アフリカ空軍のC-130 1機でドイツRamstein航空基地から運ばれたHIMARS 2両と6名は、演習終了後ドイツへ帰還した。 (2012-112306)

5・3・4・8 バルカン半島諸国

セルビアが中国から SAM システムを購入

 セルビアのヴチッチ大統領が8月11日、中国からFK-3防空システムを導入する検討を行っていると述べた。
 中国最新のHQ-22中距離SAMの輸出仕様であるFK-3の導入については、米政府がセルビアに対してEU加盟の希望を遠ざけると警告している。
 セルビアはEU加盟を希望しながらも2006年に軍事的中立を宣言し、NATOにはスウェーデンもメンバーとなっているPfPとして連携するとの方針を宣言している。 (2009-081105)

 セルビアが中国からCASIC社製FK-3中距離SAMを3個中隊分購入する。
 FK-3はHQ-22の輸出仕様で、戦闘機、ヘリ、大型UAV、CM、TBMを撃墜する。
 射程は100kmとHQ-22の170kmより短いが、50~27,000mの射高を持つ。
 導入後のFK-3はPantsyr-S1E 1個中隊やS-125MIT Neva-M、2K12 Kub-Mなどをユーゴスラビア時代から装備している第250防空ミサイル旅団が装備する。 (2010-081206)

モンテネグロの政変

 モンテネグロで行われた議会選挙の結果、およそ30年にわたって政権を担ってきたEU寄りの与党が過半数に達しない一方、ロシア寄りの野党の政党連合が躍進し、今後、この地域でロシアの影響力が高まる可能性が出てきた。
 モンテネグロは、2017年にNATOに加盟し、現在EUへの加盟を目指しているが、長年の汚職体質などをめぐり、与党への批判の声があがっていた。 (2010-090103)

5・3・4・9 その他の欧州諸国

5・3・4・9・1 NATO 加盟国

ハンガリーの防空システムがソ連時代装備から脱却

 ハンガリーと米国が$1Bにのぼる新型防空システムの売買で合意した。 ハンガリーは5月にAMRAAM-ER 60発のFMSでの売却を要求していた。
 米国防安全保障協力局 (DSCA) によるとFMSでの売却額は$230Mで、残りは直接商取引 (DCS) になるという。
 AMRAAM-ERを搭載したNASAMSの装備で、ハンガリーの防空システムはソ連時代の装備から脱却する。 (2009-081309)

5・3・4・9・2 スイス

 スイス議会が2019年12月20日、F/A-18C/DとF-5Eの更新にCHF6B ($6.2B) と陸上防空システム (GBAD) の更新にCHF2Bを承認した。 戦闘機の機種決定は2020年末~2021年4月に行われる。
 GBADにはABM性能とCUAV性が求められることになる。 (2003-010806)

 スイス議会が2019年12月20日、F/A-18C/DとF-5Eの更新にCHF6B ($6.2B) と陸上防空システム (GBAD) の更新にCHF2Bを承認した。
 戦闘機の候補には5機種、GBADの候補には2機種が挙がっており、戦闘機の機種決定は2020年末~2021年4月に行われる。
 GBADは射程を延伸するもので、最小限15,000㎢をカバーすることが求められている。 (2003-012205)

5・3・5 トルコ

5・3・5・1 国是の変更

5・3・5・1・1 オスマン帝国時代の再評価

 トルコのエルドアン政権下で、「建国の父」として絶対的存在とされてきたアタチュルクの記念行事や建築物などの歴史的遺産を縮小、廃止する動きが相次いでいる一方で進むオスマン帝国時代への再評価は、社会のイスラム主義化や親欧米外交からの転換を象徴している。
 2014年にエルドアン大統領が首都アンカラに建設した自身の大統領宮殿は、アタチュルクが市民の憩いの場として国に寄贈した緑地を敷地にしている。
 イスタンブールのアタチュルク空港は2019年4月に新たにできたイスタンブール空港に空の玄関口としての役割を譲ったなど、「アタチュルク」の名前を冠した施設は徐々に姿を消しつつある。 (2010-090701)
5・3・5・1・2 エルドアン独裁体制

 2019年3月のトルコ統一地方選挙の首長選で勝利したクルド系野党である国民民主主義党(HDP)の65人のうち、10月8日までに48人がテロに関与した疑いなどで当局に解任され、選挙で選ばれていない代理人に交代させられたことが、複数のHDP関係者の話で分かった。
 関係者によると、現時点でHDPの首長が職務を続けているのは6自治体しかなく、首長が就任後に解任された48自治体のほか、6自治体では選挙で最多得票を果たしたものの、政府の介入で当選が認められず、いずれも次点だったエルドアン大統領与党の公正発展党(AKP)の候補者が職に就いた。 (2011-100803)
5・3・5・2 対米、対欧戦略

5・3・5・2・1 米露とのバランス外交

 シリア北西部ではロシアがシリアのアサド政権軍を支援する一方、トルコは反体制派を支援して両国の対立が深まっている。 ロシアとトルコはいずれも、直接衝突は避けたいとしているが、ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が停戦合意を目指して行う会談が数日後に予定される中、直接衝突の可能性は高まっている。
 こうしたなか、シリア担当のジェフリー米特別代表が3月3日、トルコがIdlibでの戦闘で必要とする弾薬や軍装備品を供与する用意があると表明した。 (2004-030402)
5・3・5・2・2 S-400 購入問題

追加購入交渉

 ロシアとトルコがS-400の追加売買交渉を行っていることをロシア当局者が3月16日にTVで明らかにした。
 S-400の売却でロシアにとってトルコは武器輸出額で5位の顧客になっている。 (2005-032506)

COVID-19の影響で運用開始を延期

 トルコのS-400の導入に米国が強く反発している問題で、トルコ政府は当初4月に予定していた運用開始を延期した。
 COVID-19の影響で経済が大きな打撃を受ける中、米国が制裁に踏み切る事態を回避しようと模索しているとみられる。
 S-400のトルコへの搬入は2019年7月に始まり、エルドアン大統領は今年3月5日にロシアでプーチン大統領と会談したのちに、S-400の機材を全て入手しており、4月から機能し始めると表明したが、その後トルコではCOVID-19感染が一気に拡大して経済活動は冷え込んでいる。 (2006-050602)

S-400 のレーダでギリシャ空軍機を照射

 米上院議員2名が10月7日にポンペイオ国務長官に書簡を送り、トルコがロシアから導入したS-400を用いて地中海上で活動しているNATO機に対してレーダ照射を行っていると非難すると共に、トルコがS-400をNATOの戦術データリンクに結んでいる可能性があり、同盟国の情報がロシアへ渡る恐れがあると指摘した。
 この件についてギリシャのメディアは8月に、演習を終えて帰投するギリシャ空軍のF-16 1機がトルコのS-400からレーダ照射を受けたと報じている。 (2011-100804)

米国が CAATSA法に基づいた制裁

 米主要メディアが12月10日、トランプ米政権がS-400の導入を進めるトルコに対し、近く独自の制裁を発動する方針を固めたと報じた。
 トランプ大統領がポンペオ国務長官から提案された制裁内容を既に認めたという。
 制裁はトルコの防衛産業を対象とするものにとどまる見通しで、トルコのエルドアン大統領や金融機関を対象にした強硬な制裁は見送られるもようだが、制裁が実行されれば、2021年1月の米政権交代を前に両国関係が一段と冷え込みそうである。 (2101-121104)

 トランプ政権が12月14日にNATOの同盟国であるトルコに対し、ロシアからのS-400導入を理由にした制裁を発動した。
 制裁は2017年に制定したCAATSA法に基づいて行われた。 (2101-121407)

5・3・5・2・3 米国からの武器購入問題

 トルコのエルドアン大統領が、米政府からS-400を運用しないと約束すればPatriotを売却するとの提案を受けたと明らかにした。
 トルコ政府はこれまで、4月にS-400の運用を開始すると表明してきており、2人のトルコ政府当局者はロイタに、トルコは米側の提案を検討しているがS-400に関する方針に変更はないと語った。
 米国防総省によると、エスパー国防長官はS-400を返還しない限りトルコがPatriotシステムを受けとることはないとの立場だという。 (2004-031101)
5・3・5・2・4 シリア難民の取り扱い

 トルコ西部でギリシャとの国境に2月28日以降、トルコに滞在するシリア難民ら1万人以上が押し寄せ、強引に越境を図ろうとする動きが出ている。
 エルドアン大統領は2月29日の演説で「ギリシャ側に通じる国境の門を28日開いた。 難民ら18,000人が越境したと思う。」と語った。
 国際移住機関(IOM)によると、対ギリシャ国境付近には少なくとも13,000人が集結しているがギリシャは受け入れを拒否しており、難民らは国境地帯で立ち往生を余儀なくされている。 (2004-030101)

 トルコはEUとの合意にもとづいてシリアなどからの難民を国内に留めてきたが、シリア北西部を中心に内戦が激化し、新たに95万人もの避難民が発生したことから、トルコはこれ以上の受け入れはできないとして先週、難民がヨーロッパへ向かうのを容認する姿勢に転じた。
 このためトルコ政府によると11万7,000人余りがヨーロッパを目指しトルコを出国したが、ギリシャやブルガリア側の検問所は閉じられたままで、大勢の難民がそのはざまで立往生している。 (2004-030301)

5・3・5・2・5 フランスとの感情的対立

 トルコのエルドアン大統領が10月24日、イスラム教に対する考え方をめぐり、フランスのマクロン大統領には精神の治療が必要だと発言した。 これに対し仏政府は駐トルコ大使を召還するなど猛反発している。
 AFP通信によると、10月にパリ郊外で中学教員が殺害されたテロ事件では「トルコは弔意を送ってこなかった」と仏大統領府が批判するなど、なじりあいの様相になっている。 (2011-102502)
5・3・5・3 対外進出

5・3・5・3・1 シリアへの進出

「2・2・1・1 Idlib県での攻防」で記述
5・3・5・3・2 カタールへの進出

 特記すべき記事なし
5・3・5・3・3 リビアへの介入

 リビア国民軍 (LNA) が2月18日、トリポリ港で陸揚げされているリビア国民合意政府 (GNA) にトルコが送った武器弾薬を17日にロケット弾で攻撃したと発表した。
 GNAによるとこの攻撃で3人が死亡し5人が負傷した。 (2004-022610)
【註】リビア内戦では、首都トリポリを握る国民合意政府 (GNA) のシラージュ暫定政権をカタールやトルコが支え、これをイスラム組織「ムスリム同胞団」系の勢力と見なすエジプト、サウジアラビア、UAEが東部ベンガジを中心にしたハフタル将軍率いる軍事組織であるリビア国民軍 (LNA) を支援しているとみられている。

 エジプトが3月15日に国連安保理に書簡を送り、トルコがリビア国民合意政府 (GNA) を支援するためアルカイダやISなどの過激派を送り込んでいると非難した。
 それによるとトルコはスルタン・ムラービト師団や自由シリア軍のアル・ハムザ師団から戦闘員を募り、月額$1,500~$2,000の報酬でリビアへ派遣しているという。 (2004-031704)

5・3・5・3・4 地中海への進出

長距離飛行演習

 トルコ空軍が6月11日に地中海中部で往復4,000kmに及ぶ長距離飛行演習を実施し、地中海中部での航空能力を誇示した。
 演習には17機の航空機のほかフリゲート艦とコルベット艦8隻も参加した。
 空軍機ではF-16、KC-135R、Boeing 737 AEW&C、CN235M-100及びC-130輸送機が参加した。
 F-16はAIM-120とAIM-9を搭載して4隻のフリゲート艦上空を飛行し、その間に空中給油も行われた。 (2008-062402)

5・3・5・3・5 ソマリアへの進出

 トルコ国営アナトリア通信がトルコの駐ソマリア大使の話として8月4日、トルコが最終的にソマリア陸軍の1/3を訓練することになると報じた。
 ソマリアが15,000~16,000名の陸軍を目指しているのに対しトルコは5,000名の訓練を行う約束をしている。
 現在4番目の大隊の訓練を行っており、完了すれば2,500名の訓練が終了することになる。
 トルコはまた既に600名の警察官の訓練も行っており、現在更に400名の訓練を実施している。 (2010-081213)
5・3・5・4 軍備増強

 特記すべき記事なし
5・3・5・5 軍事産業の振興

ULAQ USV 計画

 トルコのAres造船とMeteksan社が10月28日に国産初のULAQ USV計画を公表した。 ULAQ USVは12月に進水し2021年初期に実射試験を実施する計画である。
 全長11m、重量2tのULAQ USVはIR誘導で射程8kmの70mmロケット弾Ciritの4連装発射機とL-UMTASの2連装発射機を装備し、速力35kt、航続距離215nmの性能を持つ。
 またMCMに特化した小型や、長距離対艦ミサイルを装備する大型USVの計画も進めている。 (2011-103006)

 トルコのAre造船所とMeteksan社が共同で、2018年から自社経費よるULAQ USVの開発を行っていて、基本設計を2018年に終え2019年には構想を決定して6月に建造を開始した。
 12月には進水し2021年初めには実射試験に入る計画である。
 全長11mで2,000kgを積載できるULAQは速力35ktで215nmの航続距離を持ち、射程8kmのIR誘導Cirit 70mmミサイル4発の発射機と、レーザ誘導の長距離L-UMTASミサイル2発を搭載する。 何れのミサイルもRoketsan社製である。 (2101-120012)

中距離対艦ミサイル用ターボジェットエンジンの開発

 トルコ産業技術相が6月19日、中距離対艦ミサイルに使えるターボジェットエンジンTEI-TJ300の試験に成功したことを明らかにした。
 TJ-300を搭載する対艦ミサイルは全長3.2m、重量300kgという。 またこのエンジンは重量1,300kg級UAVの動力としても使えるという。
 TJ300は重量が30kgで推力は400hpで、Mach 0.9、高度5,000ftまで使用可能という。 (2009-080010)

ウクライナと防衛企業が提携

 ウクライナの副首相が8月28日にトルコを訪問し、両国の防衛企業の提携について話し合った。 トルコによるとウクライナはAn-178輸送機の共同生産を提案したという。
 話し合いの焦点は航空機用エンジンの開発で、トルコはTK-Xの開発を行っているものの同国防衛産業の弱点はエンジンの開発生産能力にあるとみられている。 (2010-090216)

 トルコの産業技術相と防衛工業会会長が11月30日にウクライナ首相と会見し、宇宙及び衛星技術で協力することで合意し協定に署名した。 (2101-121406)

ウクライナへの武器輸出

 トルコとウクライナが12月15日、トルコ製ステルスコルベット艦4隻をウクライナに$1Bで売却することで合意した。 合意では合わせてトルコ製武装UAVのウクライナへの技術移転でも合意した。
 トルコ国営STM社は2018年にパキスタン海軍へMILGEMコルベット艦4隻を輸出した実績がある。 (2101-122109)

5・4 南アジア

5・4・1 インド

5・4・1・1 基本的な国防政策

5・4・1・1・1 財政難の影響

 慢性的な経済不振からインド海軍は調達計画の見直しを行っている。
 1月15日に当局者が、12隻計画していた掃海艇を8隻に、10機計画していたKa-31 AEW&Cヘリを6機に削減することを明らかにした。 (2003-012208)
5・4・1・1・2 対中関係

 インド北部ラダックの対中国境地帯で6月中旬にインド軍と中国人民解放軍が衝突し、インド兵20名が死亡した事件を受け、モディ首相が対応に苦慮している。
 米国に次ぐ貿易相手国の中国に対し強硬な措置は取りにくい一方、国内で反中感情が高まる中、対応を誤れば国民の支持を失いかねない。
 中国は、アジアインフラ投資銀行 (AIIB) を通じインドへの投資を実施している。
 今回の衝突直後の6月17日にもCOVID-19対策として$750Mの融資を発表しており、インドにとって中国は経済的に不可欠の存在になっている。 (2008-070502)
5・4・1・1・3 対米関係

トランプ大統領の訪印

 トランプ米大統領が2月24日、就任後初めてのインド訪問で、米政府はUAVやヘリコプタ、ミサイルシステムなどの装備品をインドに提供する用意があると表明した。 このうちヘリコプタは$300M相当を提供すると明らかにした。
 また、インドとの宇宙協力の拡大に期待感も示し、さらに両国は通商協定の締結に向けた初期段階にあると述べた。 (2003-022402)

米国製武器の購入

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が2月10日、インドへ統合防空システムIADWSを$1.86Bで売却することを国務省が承認したと発表した。 売却されるのは以下の品目である。 (2004-021912)

・AN/MPQ-64FI Sentinel: 5基
・AIM-120C-7/C-8 AMRAAM: 118発
・FIM-92L Stinger: 134発
・M4A1小銃32丁、M855 5.56mm弾40,320発
 インド国防省が米政府に、2019年12月にP-8I 6機の追加売却を求めるLoRを送った。 購入額は$1.8Bにのぼると見られる。
 当局筋が7月27日に、P-8Iの売却はFMS契約になる模様で、契約は2021年初めに行われるとみられる。
 インド国防省は2009年に8機のP-8Iを$2.1Bで発注して2015年に取得し、2016年に更に4機を$1.1Bで発注して2021年までに受領することになっている。
 またHarpoon Block Ⅱ対艦ミサイルや、高度6,000mから投下できるRaytheon社製のMk 54 Mod 0軽対潜魚雷も発注している。 (2010-080511)

基礎的交換協力協定 (BECA) に署名

 インドと米国が10月27日、地形情報、衛星画像、センサ情報を共有する基礎的交換協力協定 (BECA) に署名した。
 第3回の2-plus-2で署名されたBECAは両国の防衛協力に関する基本合意4件の最終となる。 (2012-110410)

5・4・1・1・4 対露関係

戦闘機の緊急購入

 インド国防省が7月2日、中印国境での緊張増大を受け、空軍が改良した中古のMiG-29 21機と、ライセンス生産しているSu-30MKI 12機、合わせて33機、INR181.48B ($2.43B) の調達を承認した。
 MiG-29 21機はINR74.18B、Su-30MKIはINR107.3Bである。 (2008-070205)

5・4・1・2 装備の増強

5・4・1・2・1 宇宙兵器

Mission Shakti ASAT

 インドは1月26日、1950年に憲法が施行されてから71回目となる共和国記念日を迎え、ニューデリーで祝賀行事や閲兵式が行われた。
 閲兵式では国産ASATとされるMission Shaktiが初めて公開された。 (2002-012602)

 インドLucknowで2月5~9日に開かれたDefexpo 2020展で、2019年3月に自国の衛星を撃破したインドASATの実大模型が展示された。
 重量18.87tのこのASATは、可動ノズル付きの2段ブースターとKVでできている。
 1段目は全長13.164m、胴径1.4mで、平均推力43.1t、燃焼時間74.8秒、2段目は平均推力20.8t、燃焼時間37.7秒である。
 開発したDRDO当局者は、既に量産可能な状態にあるが、政府からは何ら指示が出ていないと述べた。 (2003-020702)

5・4・1・2・2 長距離ミサイル

K-4 中距離 SLBM

 インドが1月19日にDRDOが開発した核搭載可能なK-4中距離SLBMの発射試験に成功した。 全長12mのK-4は潜航中の潜水艦から発射され2,200kmを飛翔した。
 この飛距離はDRDOが発表した最大射程3,500kmには1,300kmも足りないが、2016年5月にやはり潜水艦から発射した際よりは延びている。 (2002-012006)

 インドDRDOがK-4 SLBMの発射試験に成功した。 DRDOは公式発表をしないが、K-4は最大射程の3,500kmより1,300km短いが今まで最長の2,200kmを飛翔したという。
 DRDOは公表していないもののK-4の最初の発射試験は2010年1月に行われ、前回の試験は2016年3月に浮き箱から発射されている。
 K-4は全長12m、発射重量17tで2.2tの弾頭を搭載する。 (2003-012903)

ターボファン推進 Nirbhay

 インドADE社が2月5~9日に開かれたDefexpo 2020で、4月に国内開発したターボファンエンジンを搭載したNirbhay CMの飛行試験を行うことを明らかにした。
 搭載されるSTFEエンジンはインドDRDOのガスタービン研究所 (GTRE) が開発した。 (2003-020604)

 インドが国産したNirbhay CMの発射試験が10月12日に行われたが、発射8分後にエンジンの故障と見られる技術的問題で失敗した。
 2007年にDRDOが開発を開始したNirbhayは、全長6m、重量1.5t、弾頭重量300kgで、速度Mach 0.7、射程1,000kmのTomahawk似のCMで、印国防省は7月に300発を発注している。 (2011-101204)

国産 BrahMos 超音速 CM

 インド報道局が9月30日、国産の機体とブースタを採用した射程延伸型のBrahMos超音速CMの発射試験に成功したと発表した。
 射程延伸型BrahMosの射程は既存型の292kmから400kmに伸び試験ではMach 2.8を記録した。
 一方BrahMosを装備している4個連隊を持つ印陸軍は射程延伸型を装備する2個連隊を加え、この親編連隊はbRahMosに山岳戦闘に適した高角度弾着攻撃 (steep dive attack) 能力を持たせる計画を進めている。 (2012-101412)

BrahMos-A 超音速 CM

 インド空軍が12月17日、BrahMos-A超音速CMのSu-30MKIへの搭載作業が完了したと発表した。
 重量2.5tで300km近い射程を持つBrahMos-Aは、最終試験でSu-30MKIから発射され、沖合の標的に向け発射された。 (2003-010108)

 インド空軍が1月20日、BrahMos-Aを装備した最初のSu-30MKI飛行隊Tiger Sharksをインド南東岸にあるタンジャーブル航空基地に配置した。 (2003-012907)

東南アジア諸国からの BrahMos の引き合い
 Jane'sは2019年12月に、BrahMosの売買でインドとフィリピンの交渉が進んでいると報じたが、インド政府によるとフィリピン以外にもインドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムなどの東南アジア諸国も陸上発射型、空中発射型、海上発射型BrahMosの購入に関心を持っているという。
 BrahMosを生産している印露合弁のBrahMos Aerospace社は、契約の成否はインド政府の方針次第としている。 (2004-022611)

5・4・1・2・3 艦 船

中古 Kilo級潜水艦3隻の購入

 インド政府筋が4月2日、通常動力潜水艦の不足を補うため、中古のKilo級3隻をロシアから購入する計画を進めていることを明らかにした。 (2006-041502)

初の国産空母 Vikrant

 インド初の国産空母Vikrant 40,262tの就役は当初計画から4年以上遅れて2022年とされてきたが、COVID-19パンデミックの影響から更に遅れる見通しである。
 インド海軍筋が5月22日に明らかにしたところによると、3月上旬に開始されるはずであったVikrantの基本性能試験は4月に延期され、現在では早くても10月と更に延期されている。 (2008-060306)

 米海軍とBoeing社が、メリーランド州Patuxent River海軍基地に設置したスキージャンプ台を用いてF/A-18E/Fを発進させる試験の状況を公開した。
 これは短距離離艦/拘束索着艦 (STOBAR) 式空母へのF/A-18搭載を狙ったもので、インドが2018年1月に発簡したRfIに呼応したものである。
 インドは現在、元GorshkovのSTOBAR空母Vikramadityaを保有しMiG-29Kを搭載しているが、2隻目の空母となる国産のVikrantを建造中で、近く洋上試験が開始される。
 インドはVikrant搭載用として双発艦載戦闘機を57機の調達を検討しており、F/A-18E/FとDassault社製Rafale Mが候補に挙がっている。 (2101-122306)

5・4・1・2・4 航空機

国産中型戦闘機計画

 インド空軍が、外国技術は導入するもののMake in India政策で$17Bかけて国産する中型戦闘機計画の全面見直しを行っている。
 インド空軍は中型戦闘機計画はまだ生きているとしているが、本当のところは分からない。 (2006-052104)

 インド国営HAL社が、2020年代末の就役を目指している次世代中型戦闘機AMCAの開発を、民間企業との合弁で行う方針である。
 AMCAは印空軍現有のJaguarとMirage 2000の後継として開発が進められており、印空軍への150機のほか、輸出も見込んでいる。 (2012-101416)

BrahMos-A 搭載 Su-30MKI 最初の飛行隊

 インド空軍がBrahMos-Aを装備したSu-30MKI最初の飛行隊となる第222 Tiger Shark飛行隊を1月20日にThanjavur空軍基地で任務に就いた。
 インド空軍で12番目となるSu-30MKI 18機からなる第222飛行隊は2021年初期に編成完結する。 (2002-012005)

Tejas Mk 1 LCA 飛行隊の初配置

 インド空軍が8月19日、インド国産軽戦闘機Tejas Mk 1 LCAの飛行隊が初めてパキスタンとの国境に近い西部に配置されたと発表した。
 派遣されたのは2016年にインド南部のSulur基地に編成された第45Flying Dragon飛行隊で、機数は明らかにされていないが、一般的には20機程度とみられる。
 Tejas Mk 1 LCAの2番目の飛行隊は5月に同じSulur基地で編成されている。 (2010-090227)

LUH ヘリの高高度高気温環境下での試験

 インドHAL社が9月9日、同社のLUHがヒマラヤのLehで高温な高地での10日間の試験を完了し、対応能力を実証したと発表した。
 試験は海抜3,300m、気温32゚Cの状況下で行われた。
 LUHは海抜5,000mの降着場でのホバリングも行い、海抜5,400mにあるSiachen氷河での搭載能力試験も行った。
 3.15tのLUHは既に陸軍が133機、空軍が64機、合わせて197機が装備されている。 (2011-092311)
【註】空気密度が飛行性能に大きな影響を与えるヘリコプタは高高度が苦手で、更に空気密度が下がる高温下では飛行性能が大きく制約されるため、中印国境が緊迫する中、高気温高高度での飛行試験に成功した意義は大きい。

5・4・1・3 戦術ミサイル

Quich-Reaction SAM (QRSAM)

 インド国防相が12月23日、DRDOが国内開発したQuich-Reaction SAM (QRSAM) の技術試験を完了したと発表した。 システムは2021年に量産可能になるという。
 システムは完全自動化された指揮装置と、AESA方式の中隊監視レーダ及びAESA MFR各1基と、複数のトラック搭載の発射機で構成される。 ミサイルはINSと双方向データリンクで中期誘導、アクティブシーカで終末誘導を行う。 (2003-010808)
【註】QRSAMの射程は25~30kmと言う。

Pinaka Mk Ⅰ MRL

 インド国防省が国内2社に、Pinaka Mk Ⅰ MRL 6個連隊分をINR25.8B ($353.5M) で発注した。
 納入されるのは自動整地装置付きの発射機114両と指揮所装置45機で、合わせて330両の車両はINR8.42Bになる。
 発射されるロケットの射程は38~40kmと見られ、12発を44秒で発射する。
 PIB通信によると6個連隊分の納入は2024年に完了し、殆どが北部及び東部の中国との国境に配備される。 (2011-091611)

 インドDRDOが11月4日に射程延伸型Panaka Mk Ⅰ MLR 6発の試射に成功した。
 射程延伸型は現有のPanaka Mk Ⅰ 214mmの射程38km~48kmより伸びて65km~90kmになっており、逐次現有品と換装するという。
 インド国防省は8月31日、6個連隊用(註:連隊=3個中隊、中隊=12発搭載発射機6両)のPanaka Mk ⅠをINR25.8B ($353.5M) で発注している。 (2101-111810)

Rudram ARM

 インド国営PIB通信が10月9日、DRDOが国内技術で開発したRudram ARMをSu-30MKIから発射した画像を報じた。
 Rudramは長距離空中発射ARMで、広帯域2Dセンサで到来波を100km以遠で1~10GHzか6~18GHzに区別するという。
 Rudramは2021~2022年に配備される模様である。 (2012-102108)

5・4・1・4 武器国産能力の強化

5・4・1・4・1 武器国産化方針

 インド国防省が最近公式に、改定されたDefence Offset Guidelineを発表した。 草案段階では3月に内容が報じられていた。
 新指針では開発や生産における積極的な海外からの投資を謳っている。 (2009-071511)

 武器等の国産化を進めているインドが8月9日、今後7年間に外国からの輸入を禁止する101品目のリストを公表した。
 その中には、野戦砲、突撃銃、コルベット艦、ソナー、輸送機、弾薬、レーダ、ディーゼル推進潜水艦、通信衛星、艦載CMなどが含まれている。 (2009-081308)

5・4・1・4・2 イスラエルとの連携

索敵遊弋弾 PALM Hero の生産

 イスラエルのUVision社が1月29日に、インドのAditya Precitech社と現地に合弁会社を設立すると発表した。
 この合弁会社は索敵遊弋弾PALM Heroの生産を行う。 (2002-013004)

5・4・2 パキスタン

5・4・2・1 中国との連携

JF-17B の生産

 パキスタンのPAC社が、2019年12月27日にロールアウトした復座型JF-17であるJF-17Bの一次生産分8機の生産を完了した。
 これは2017年末の契約に基づく一次生産分で、続く14機は2020年中、更に4機が2021年に生産されるという。 (2003-011508)

 パキスタンが発注した復座型のJF-17B 26機のうち、最初の12機がパキスタンへ納入された。 JF-17Bの納入は2021年に完了すると言う。
 納入された12機は4機が中国のCAIG社で組み立てられ、8機がパキスタンのPAC社で組み立てられた。 (2004-021208)

5・4・2・2 軍備増強

5・4・2・2・1 弾道ミサイル

 特記すべき記事なし
5・4・2・2・2 巡航ミサイル

Ra'ad Ⅱ空中発射型 CM

 パキスタンが2月18日、射程600kmの空中発射型CM Ra'ad Ⅱの発射試験に成功した。 2017年にRa'ad Ⅱのモックアップが公表された際には射程は550kmとされていた。
 Ra'ad Ⅱはエンジンの換装などによりRa'ad Ⅰの350kmより射程が伸びており、パキスタン領内からインドの重要都市を攻撃できるようになった。
 例えばラホールからニューデリーまでは430kmである。 (2003-021803)

5・4・2・2・3 艦 船

2,300t級コルベット艦

 パキスタン海軍が2017年にオランダDamen社に発注していた2,300t級コルベット艦2隻のうちの1隻が2月13日に就役した。
 2019年9月3日に進水した2番艦も5月には就役する。 (2004-022609)

 パキスタンから4隻受注したType 054A/Pフリゲート艦の一番艦が8月22日に上海の滬東中華造船で進水した。
 二番艦の船台組み立ては3月23日に開始され、三四番艦の建造も2019年11月1日に開始されており、2021~2022年に全艦完成する。
 Type 054A/Pは全長134m、排水量3,900t、CODAD推進であるType 054Aのパキスタン仕様で、パキスタンが装備している英海軍が1970年代に装備していたType 21フリゲート艦4隻と換装される。 (2010-090224)

5・4・3 インド洋諸国

5・4・3・1 スリランカ

親中国政権の復活

 8月5日に投票が行われたスリランカの議会選挙で、かつて中国寄りの政策を推し進めたマヒンダ元大統領が率いるスリランカ人民戦線が225議席のうち過半数の145議席を獲得して勝利した。
 マヒンダ元大統領は、大統領時代に大規模なインフラ整備など、中国寄りの政策を推し進めたことで知られ、現在は昨年11月に就任した弟のゴタバヤ大統領のもとで首相を務めている。
 一帯一路構想のもと中国がスリランカへの影響力を一層強める可能性がある。 (2009-080705)

 ポンペオ米国務長官が10月28日、訪問先のスリランカで親中派のラジャパクサ大統領と会談した。 長官は会談で対中傾斜をやめるようくぎを刺したとみられる。 (2011-102808)

JICA による支援事業を中止

 AFP通信などによると、スリランカの親中派として知られるラジャパクサ政権が、最大都市コロンボでの国際協力機構(JICA)による支援事業に中止を指示した。
 問題の事業は、次世代型路面電車(LRT)の整備計画で、財政難を中止の理由にしているが、JICA広報室は「報道は承知しているが、詳細は話せない」と述べた。
 計画は渋滞緩和を主目的に16kmの鉄道を建設し、日本の車両や技術を導入する予定で、欧米諸国や隣国インドなどとの協調外交を図ったシリセナ前政権下で成立していた。 (2010-092504)

5・4・3・2 モルジブ

 米国とモルディブが9月に防衛協定を結んだ。 インド洋に中国の影響力が強まったことで、2013年に両国の協定に反発したインドは方針を転換し締結に反対しなかった。
 米海軍分析センターのサマラヤケ氏は「インドが米モルディブ協定を支持するようになったのは、中国に対する脅威が高まったとの認識による明らかな変化だ」と指摘する。
 中国は広域経済圏構想一帯一路でモルディブやスリランカを重視し、影響力を拡大している。
 モルディブでは親中派のヤミーン前大統領のもと、中国からの多額の借り入れでインフラ整備を推進したが、インドにとって裏庭と位置づける同地域への進出は大きな脅威となった。 (2010-092905)

 ポンペオ長官が10月28日にモルディブの首都マレを訪問し、2018年に親中派を破って就任したソーリフ大統領と会談した。
 会談後の記者会見でモルディブに米大使館を開設する方針を示した。 (2011-102808)

5・4・3・3 アンダマン・ニコバル諸島

 ミャンマーのヤンゴン管区政府がココジュン郡区(ココ諸島)に建設する太陽光発電とディーゼル発電を組み合わせたハイブリッド発電所を、京セラコグループの現地合弁会社KCKM社が受注した。
 ココ諸島の人口は1,000人で、海軍基地や刑務所がある。 KCKM社は300世帯を対象に500kWの太陽光発電システムとリチウム電池、ディーゼル発電を組み合わせたハイブリッド発電所を整備する。
 ココ諸島ではこれまでディーゼル発電で電気を賄っているため電力の利用は18:00~深夜に限られているが、ヤンゴン管区当局者によると、ハイブリッド発電所の建設で、電力が24時間使用できるようになる。 (2010-090206)
【註】ココ諸島は、アンダマン海とベンガル湾を隔てるアンダマン・ニコバル諸島の北側に位置しミャンマー領となっている軍事的要衝である。 因みに南半分はインド領となっている。
5・4・4 バングラディッシュ

 中国海軍で退役したType 053H3フリゲート艦2隻をバングラディッシュに引き渡たす式典が2019年12月18日に上海で行われた。
 全長112m、幅12.4m、排水量2,200tのType 053H3は双連100mm砲1門と双連37mm砲4門を装備し、YJ-83対艦ミサイルとHHQ-7短距離SAMを装備しているが、YJ-83とHHQ-7はそれぞれC-802AとFM-90Nに換装されると見られる。 (2003-010811)
5・4・5 ネパール、ブータン

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5・5 中南米

5・5・1 ベネズエラ

5・5・1・1 民主化運動

民主化勢力の敗北

 ベネズエラで2019年、反米左翼マドゥロ政権への蜂起を呼び掛け不発に終わった野党指導者ロペス氏が10月24日までに、約1年半避難していた首都カラカスのスペイン大使公邸を後にし、秘密裏に出国しスペインへ向かったと地元メディアなどが報じた。 (2011-102501)

5・5・1・2 米国の姿勢

 米政府が3月31日、ベネズエラのマドゥロ大統領率いる与党と野党が協力し、マドゥロ大統領を退陣させたうえで暫定政府を樹立し、政権移行に道筋をつければ、米国の制裁を解除するとの新たな提案を発表し、これまでの圧力政策を転換させた。
 この提案によると、マドゥロ氏だけでなく2019年に暫定大統領就任を宣言した野党指導者のグアイド国会議長も退陣し、暫定政権に加わることはできない。 (2005-040103)

 トランプ米大統領が4月1日、ベネズエラのマドゥーロ政権が、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う混乱に乗じて米国への麻薬の密輸を増やす兆候があり、これを取り締まる必要があるとして、ベネズエラの周辺に展開している米軍部隊を増強する方針を明らかにした。
 今後、カリブ海と東太平洋に新たに海軍の駆逐艦や空軍の航空機などを派遣し、現地にすでに展開している米軍の兵力を倍増させるという。 (2005-040204)

 Broomberg通信が8月18日に複数の関係筋の話として、米トランプ政権がベネズエラへの追加制裁を検討していると報じた。
 それによると、現在まだ認められている欧州やアジアの企業との燃料取引を停止させる考えだが、まだ確定はしておらず、協議が続いているという。
 米政府は数ヵ月前からベネズエラへの追加制裁を検討してきたが、同国向けにガソリン輸出を開始したイランへの対応を優先したとしている。 (2009-081904)

5・5・1・3 イランへの接近

 米国が8月14日、ベネズエラに向けて航行していたイランの燃料タンカー4隻を拿捕したと発表した。
 米制裁に違反するイラン・ベネズエラ間の主要供給路を阻止したもので、トランプ大統領は、イランはベネズエラに燃料を送るべきではないと主張している。
 米司法省は、今回押収した燃料は1,116,000バレルと過去最大量で、現在は提携国の協力とともに米国の管理下にあるとした。
 差し押さえた燃料は米国の主要な石油輸送ハブであるテキサス州ヒューストンに向かったとした。 (2009-081501)
5・5・1・4 中国、ロシアの動き

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5・5・2 その他の中南米諸国

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5・6 アフリカ

5・6・1 地中海沿岸、リビア

「2・7 リビア」で記述
5・6・2 紅海沿岸

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5・6・3 中部アフリカ、中露の勢力拡張

 New York Timesが1月28日に、中国とロシアがアフリカに軍事拠点を作ろうとしていると報じた。
 中国はセネガル海軍の支援を名目に、西アフリカのセネガルに港湾を建設しようとしている。
 一方ロシアはソマリアで分離独立派が支配しているBerberaに拠点を作ろうとしている。 (2002-012804)
5・7 中央アジア

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