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4. 東アジア諸国

4・1 中 国

4・1・1 世界制覇の国家目標

4・1・1・1 国防の基本方針

4・1・1・1・1 国防法の改正

 中国の国防法改正案を全国人民代表大会が10月21日に公表した。 草案では宇宙、電磁波、サイバの三領域が重大な安全保障分野と明記されている。
 いずれも南シナ海などでの米軍との対抗を念頭に、戦力強化を急ぐ領域で法的根拠を整えることで、予算を重点的に配分し、関連装備の開発などを加速する狙いとみられる。 (2011-102503)

 中国全人代常務委員会で12月26日、宇宙やサイバー空間などを軍事活動の対象とすることが明記された改正国防法が成立した。
 国営新華社通信が27日に報じた全文によると、宇宙、電磁波、サイバー空間を重要な安全保障分野として軍事活動の対象にするし、国の主権や領土のほか発展の利益が脅かされた場合は軍事力を総動員できるなどと規定されている。
 米国との対立が激しさを増す中、軍の体制を強化する狙いがあるとみられる。 (2101-122801)

4・1・1・1・2 第14次5ヵ年計画と長期目標

 国営新華社通信が11月3日、中国共産党の第19期中央委員会第5回総会(5中総会)で採択した第14次5ヵ年計画(2021~2025年)と2035年までの長期目標に関する基本方針の全文を明らかにした。
 それによると、軍創立100年に当たる2027年に「奮闘目標を実現する」と定めた。
 目標の詳細は不明だが、台湾侵攻や南シナ海をめぐる紛争などで米軍の介入を阻止できる軍事力の獲得を目指していることが考えられる。
 党機関紙人民日報系の環球時報は2027年の新目標について、西太平洋での覇権国家による脅威に対抗できる能力を持つ軍の実現を目指しているという専門家の見方を報じた。 (2012-110304)
4・1・1・1・3 軍民融合による軍事近代化

 防衛研究所が11月13日、中国の軍事動向に関する2021年版の年次報告書を公表した。
 習政権は軍と民間企業が一体となる軍民融合を通じて軍事力の近代化を進めていると分析し、特に重視している分野としてサイバ、宇宙、海洋を挙げた。
 報告書では、サイバや宇宙といった新領域での国際ルール形成に際し、巨大化する軍事力を背景に中国の発言力が増大し得るとしたうえで、日本や欧米諸国と相いれない考え方があり、国際秩序の混乱を招く可能性があるとした。 (2012-111303)
4・1・1・2 核戦力の増強

 アンダーソン米国防総次官補が2月27日、中国の核兵器保有数が今後10年間で少なくとも2倍になるとの見方を示した。
 中国は保有する核弾頭数を公式には明らかにしていないが、全米科学者協会 (FAS) は2019年7月時点で290発と推定している。 (2005-031104)

 米国務省が軍備管理に関する報告書で4月15日、中国が核実験場で高水準の活動を続けていると指摘し、爆発を伴う核実験の凍結を順守していない可能性があると懸念を表明した。
 報告書は、新疆ウイグル自治区ロプノールの実験場で、大規模掘削など活発な活動が行われていると指摘し、中国国内に設置された放射線濃度や地震活動監視用の観測施設から送られるデータが頻繁に遮断されたとして、核実験に関する活動が「透明性を欠いている」と批判している。
 中国は包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准していないが、米英仏と同じく、爆発を伴う核実験の凍結を公約している。 (2005-041601)

 米国務省が4月15日に発刊した報告書'Adherence to and Compliance with Arms Control, Non-Proliferation and Disarmament Agreements and Commitments'で、中国がロブノールの核実験場での動きが2019年になって活発化していると警戒感を示している。 (2006-042904)

 中国国営Global Timesの編集主幹が5月8日にウェブ上で、中国の核戦力が核弾頭数を1,000発、DF-41 ICBMを100基にするなど、飛躍的に増強していると述べた。 (2006-051102)

 中国が核兵器を大幅に増強している。 国営Global Timesが5月8日、中国の核弾頭数を1,000発、DF-41 ICBMの数を100基と見た胡锡进 (Hu Xijin) 主幹の論調を掲載した。
 アンダーソン米国防次官補代理は2月27日に上院軍事委員会で、中国の核兵器保有数は今後10年間で少なくとも2倍になると述べている。
 また全米科学者協会 (FAS) は2019年7月に中国の核兵器数を290発と見積もっていた。 (2007-052001)

 米戦略軍 (USSTRATCOM) 司令官が7月30日、中露の核戦力が2020年代末までに米国に匹敵するようになると警鐘を鳴らした。
 その上で、中国は通常戦力においても目覚ましい発展をしていると述べた。 (2010-081201)

 米国防総省が9月1日、中国の軍事力に関する議会向けの年次報告書で、中国の核弾頭保有数は現在の200発程度から今後10年間で少なくとも倍増するという見通しを示した。
 国防総省の予測は国防情報局 (DIA) の分析に基づいている。
 米国が中国の核弾頭保有数について発表するのは初めてで、米国科学者連盟 (FAS) は中国の核弾頭保有数を320発と推定している。
 国防総省は今回の見通しについて、中国政府が新たな核分裂性物質を生産することなく核兵器の備蓄量を倍増させるのに十分な材料を有していることなどを考慮しているとした。 (2010-090202)

 シカゴを拠点とするシンクタンクBulletin of the Atomic Scientistsが中国が保有する核弾頭数について、米国防総省の見積もりより多い350発とした報告書を公表した。
 この報告書はFASの核情報部長であるクリステンセン氏により書かれたもので、350発中272発は軍に実配備されているという。
 内訳は陸上発射型ミサイルの弾頭として204発、SLBMの弾頭が48発、核爆弾が20発であるという。 (2101-121405)

4・1・1・3 拡大外交政策

4・1・1・3・1 一帯一路政策による世界進出

ハンガリーの高速鉄道の建設資金に中国が融資

 ハンガリーのバルガ財務相が4月24日、ブダペストとセルビアの首都ベオグラードを結ぶ高速鉄道の建設資金の85%前後を中国が融資することで両国が合意したと発表した。 残りの15%はハンガリーが拠出する。
 中国の融資は固定金利で、早期返済のオプションがあると説明したが、具体的な融資条件は明らかにしなかった。
 融資条件で最も重要なのは金利水準だが、ハンガリーでは今月、総額$2.1Bとみられる鉄道建設契約に含まれる全ての情報を10年間機密扱いとする法案が策定された。
 高速鉄道の完成は2025年の予定で、中国の製品がギリシャから西欧諸国に運ばれることになり、ハンガリーは欧州の物流ネットワークの中心になると語った。 (2005-042404)

4・1・1・3・2 エネルギー外交

イランから大規模投資の見返りに低価格での原油供給

 New York Timesが7月11日、イランが中国との間で、今後25年間、市場価格を大幅に下回る価格で原油を供給する見返りに、中国から25年間で$400B規模のインフラ投資を受けるという協定を結ぶ見通しになったと報じた。
 同紙は18頁に及ぶ協定案を入手したとしており、それによると中国はイランに対し、高速鉄道の建設や経済特区の整備、次世代通信規格5Gの導入などを支援するという。
 更に兵器開発など軍事支援も含まれるとしている。 (2008-071303)

4・1・1・4 海洋軍拡で世界進出

4・1・1・4・1 世界最大の海軍

 米国防総省が9月1日に公表した中国の軍事力に関する報告書で、米海軍の艦船数が293隻であるのに対し中国は350隻で世界最大の海軍になっているとしている。
 その中では3隻目の空母が2023年に就役し、2024年にはoperationalになると共に、FC-31/J-31が輸出用及び次世代空母の艦載機として開発が進められているとしている。
 更に新型巡洋艦や駆逐艦及びType 093B商級攻撃型原潜から発射するLACMの開発も行われているという。 (2011-090901)

 米CSISのウェブサイト「アジア海洋透明性イニシアチブ」によると、2020年2~11月にインド太平洋地域で中国海空軍が実施したと公式に伝えられた演習やミサイル発射などの活動は、2019年同期より21回増の65回に上った。
 COVID-19感染拡大の影響で4~6月は2019年より少なかったが、7月に米中が互いの総領事館を閉鎖した後に急増した。
 米海軍情報当局は2020年2月に中国海軍の艦艇数が2015年の255隻から350隻に達したと推定し、2020年中に360隻、2030年には425隻に増えると分析しており、活動活発化背景には海軍の急激な規模拡大があるとみられる。
 統計には公式発表されていない中国軍機による台湾周辺の飛行や陸上の動きは含まれておらず、実際はもっと多くの活動が行われたと見られ、「戦争準備」を呼び掛ける習主席の方針を反映した一年だったといえる。 (2101-122802)

4・1・1・4・2 艦船の大量建造

 騰訊網が1月3日、中国海軍が2019年12月だけで5隻の艦船を進水させたことについて、世界的にもまれにみるペースだと報じた。
 中国海軍は昨年12月にType 056Aフリゲート艦2隻、Type 052D駆逐艦2隻、Type 055駆逐艦1隻の艦船5隻を進水させたのに加え国産空母山東も就役させたとし、このような建艦速度は、国外のアナリストを大いに驚かせているという。 (2002-010403)

 中国が今までで最強の戦闘艦Type 055 駆逐艦を就役させた翌日の1月15日に、米下院軍事委員会で元国防次官、退役海軍中将などが、中国が米国を上回るペースで海軍兵力の増強を進めており、2035年までには420隻体制になると見積もられると警告した。 (2002-011605)

 2019年12月末に中国で、駆逐艦3隻とコルベット艦が少なくとも1隻進水した。
 大連の造船所では12月26日にType 055の6番艦とその横で建造されていたType 052Dが、29日には別のType 052Dが進水した。 Type 052Dは23番艦と24番艦で、何れも飛行甲板を拡張した新型艦で、Z-9やKa-28/31より大型のZ-20の離着艦ができる。
 一方広州の造船所では12月30日にType 056Aが進水したと報じられたが、25日には上海の造船所でType 056Aが進水しており、これらはType 056Aの70番艦と71番艦と見られる。 (2003-010804)

 中国海軍で更に2隻のType 056A 1,400t対潜型コルベット/フリゲート艦が1月10日に就役した。 就役したのは2018年8月に武漢で進水した2隻で、江門市にある南海艦隊基地の第17フリゲート戦隊に配属された。
 Type 056Aは対潜型で就役した同型艦は2019年10月以来6隻になる。

 国営Global Timesは1月14日、2019年12月30日に進水した最後のType 056Aが完成したと報じた。 この艦はType 056/056Aで71番艦になる。 (2003-012202)

 米海軍情報局が、中国が2030年には潜水艦を含む戦闘艦を現在より20%増強して425隻になると見積もる報告を行った。  これに対し米国は現在297隻で、当該時点でも355隻の見込みである。 (2005-040809)

  ┏━━━┳━━┳━━┳━━┳━━┳━━┳━━┳━━┓
  ┃   ┃2000┃2005┃2010┃2015┃2020┃2025┃2030┃
  ┣━━━╋━━╋━━╋━━╋━━╋━━╋━━╋━━┫
  ┃中 国┃ 110┃ 220┃ 220┃ 255┃ 360┃ 400┃ 425┃
  ┣━━━╋━━╋━━╋━━╋━━╋━━╋━━╋━━┫
  ┃米 国┃ 318┃ 282┃ 288┃ 271┃ 297┃ N/A┃ N/A┃
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4・1・1・4・3 第3列島線まで進出

 台湾国防部が9月1日付で立法院に提出した中国軍に関する非公開の年次報告書で、中国海軍の艦隊が2020年初めに、小笠原諸島や米領グアムを結ぶ第2列島線を越え、初めてハワイを含む第3列島線まで進出して演習を実施したと指摘していることが3日までに分かった。
 第3列島線は、アリューシャン列島やハワイ、南太平洋の米領サモアを経てニュージーランドに至る、研究者やメディアで用いられる新たな概念で、米国防総省が1日に公表した中国の軍事力に関する報告書では言及されていない。 (2010-090302)
4・1・1・4・4 海兵兵力の強化

特記すべき記事なし
4・1・1・4・5 海警局の強化

軍事色深める中国海警局警備艦

 令和2年版の防衛白書は、尖閣諸島で領海侵入を執拗に繰り返す中国公船が所属する中国海警局が、組織面でも海軍の支援を受け融合を深めていることに警戒感を示した。
 海警に世界最大級の10,000t級の警備艦2隻が含まれるとされることや、海軍艦と同じ76mm砲を搭載した警備艦が確認されていることなどから、軍との共同訓練などを踏まえ統合一体的な作戦行動能力を着実に強化する狙いがあるなどとした。 (2008-071404)

警備艦の増強

 広東省で1月7日に行われた広東海事局の記者会見で、中国初の10,000t級海事巡視船の建造が始まったことが明らかにされた。
 同船は全長165m、幅20.6m、喫水9.5m、排水量10,700tで、ヘリコプタの搭載が可能である。
 なお、現在中国で就役している排水量1,000t以上の海事巡視船は5隻あり、海巡01 5,418t、海巡11 3,250t、海巡21 1,583t、海巡22 2,320t、海巡31 3,000tとなっていて、さらにもう1隻5,000t級が建造中である。 (2002-010908)

人民武装警察法の改正

 中国が軍傘下の機関を警備に動員するための法改正に着手し、東シナ海や南シナ海で勢力を拡大する動きを再び強め、尖閣諸島や台湾の周辺では示威行動を繰り返し、米国との覇権争いをにらみ、COVID-19後の布石を打ちつつある。
 人民解放軍の機関紙である解放軍報によると、全人代を運営する常務委員会は4月の会合で人民武装警察法の改正案を審議した。 通常は国内の治安維持を担う人民武装警察部隊(武警)の任務に、海上での権益を守る活動を追加する条項が柱で、数ヵ月以内に成立する可能性がある。
 海上で周辺国の民間漁船などと摩擦が生じた場合、現行では中国公船を管理する海警局が対応しているのが、法改正後は武警も海上警備に投入できるようになる。
 70万~80万人とされる武警の中で「海警執行証」を取得した要員に海上警備を担えるようにしている。 (2006-051204)

 中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が6月20日、中国国内の治安維持などにあたる人民武装警察部隊(武警)の指揮系統を明確化した人民武装警察法改正案を可決し、武警傘下の中国海警局が有事や合同演習の際に、人民解放軍海軍と同じ指揮系統の下で一体的に行動することが可能となった。
 2018年に海警が国務院の管理下から切り離され武警に編入されたのを受けて、改正法は武警が担う任務に「海上での権益保護や法執行」を追加すると共に、武警は戦時に中央軍事委員会か人民解放軍の地域別指揮機関である5戦区から指揮を受けると規定した。 (2007-062004)

海警法の制定

 中国全国人民代表大会(全人代)が11月4日、海警局の任務や権限などを定めた海警法草案全文を公開した。
 草案は海警局の職責として重点島嶼及び排他的経済水域や大陸棚の人工島の安全を守るために必要な措置を取ることを明記している。
 法整備により、中国が領有権を主張する尖閣諸島周辺や南シナ海で海警局の活動がさらに激しくなる恐れがある。 (2012-110406)

 中国全国人民代表大会(全人代)が11月4日、中国海警局の権限を定める海警法草案の全文を公表した。
 外国船が中国の管轄する海域で違法に活動し、海警局の停船命令などに従わない場合は武器の使用を認める内容になっている。
 中国は尖閣諸島の領有権を主張しており、尖閣周辺の領海で漁をする日本漁船が対象となる恐れがある。 (2012-110407)

 中国全国人民代表大会(全人代)が11月5日までに、中国海警局(海警)の権限を定めた海警法案の全文を発表した。
 国家主権や管轄権が外国の組織、個人に侵害されたときは武器の使用を含めたあらゆる必要措置を取れると規定し、更に中央軍事委員会の命令に基づき防衛作戦任務にあたることを明記した。 (2012-110502)

 中国が11月4日、海警局警備艦の武器使用を許容する海警法の草案を公表した。 (2101-111805)

海軍との合同演習

 中国海警局が7月5日、南シナ海のパラセル諸島周辺で行った海軍との合同演習を終了したもようである。
 海警局は6月の法改正で海軍との一体的な運用が明確になり、南シナ海や尖閣諸島周辺で緊張を高めることが懸念されている。 中国当局は1~5日、この演習を行うためパラセル諸島周辺の海域を航行禁止区域に指定した。
 米政府系放送局Radio Free Asia (RFA) によると、衛星画像によって海警局の船舶やType 071揚陸艦が同諸島で確認された。 (2008-070601)

4・1・1・4・6 海軍の大規模演習

渤海湾から南シナ海で大規模演習

 人民日報系の環球時報が9月7日、中国軍が保有する遼寧山東の空母2隻が9月上旬に、それぞれ黄海と渤海で初めて同時期に演習を行った。
 訓練の詳細は明らかではないが、2隻の空母が一体的に運用されるという見方も出ているという。
 訓練には、米国との関係が悪化する中、急速に拡大する海軍力を誇示する狙いがあるとみられる。 (2010-090706)

 中国海事局が、北東部および東部の沿岸で9月7日から軍が演習を実施すると発表した。
 第一段階の演習を7日に渤海の河北省秦皇島市沖で実施し、次いで8~9日に黄海南部の江蘇省連雲港市沖で、実弾を用いた演習などを行う。
 中国は8月、4回の演習実施を発表し、渤海、東シナ海、黄海のほか、南シナ海でも演習を実施した。 (2010-090707)

4・1・1・4・7 大規模海上民兵

 中国の漁船団は世界最大で、中国政府によれば世界の海で魚を獲る中国漁船は2,600隻ということだが、一部の海洋専門家によれば中国遠洋漁船数は、ほぼ17,000隻にものぼる可能性がある。
 これに対して米国の遠洋漁船は300隻に満たない。 (2010-092802)

 中国は南シナ海など領有権紛争を起こしている海域や、操業上の対立が続く海域などで武力を行使するため、準軍事組織海上民兵隊を活用している。
 韓国政府と軍の分析によると、中国には平時には生業に従事し、戦時には軍に編入される民兵制度があり、海上民兵隊は18~35歳の漁民らに加入が義務付られていて、その規模は30万人と推定されている。
 軍事的な対応をしにくくさせるグレーゾーン戦略を積極的に活用しており、今後黄海や離於島などの海域でも海上民兵隊を活用する可能性が高い。 (2012-111604)

4・1・1・4・8 インド洋への進出

パキスタン海軍との合同演習

 パキスタン海軍と中国海軍の合同演習Sea Guqrdians 2020がカラチに中国艦隊が到着するのを待って6日間の日程で1月6日に開始された。 この合同演習は今回で6回目になる。
 この演習には中国側からType 052D駆逐艦、Type 054Aフリゲート艦、補給艦、潜水艦支援艦の各1隻が、パキスタン側からはF-22Pフリゲート艦と高速艇各2隻が参加している。 (2002-010813)

4・1・1・5 海外拠点の確保

特記すべき記事なし
4・1・1・6 地球規模の測位衛星網

 中国が3月9日19:55に西昌衛星発射センタから長征3号乙型SLVを使い、北斗測位システムの54基目となる衛星の打ち上げに成功した。
 北斗測位システムの構築は、北斗1号、2号、3号システムの3段階を経る計画となっていて、現在は北斗1号の4基は試験衛星で全て退役し、北斗2号の1基目の衛星から起算すると、これまでに54基を打ち上げており、完成まであとわずかとなった。
 北斗3号世界測位システムは、24基の中高度軌道、3基の静止軌道と3基の傾斜軌道の合わせて30基の衛星から構成される。
 今回の衛星は29基目、地球静止軌道のものとしては2基目となる。 (2004-031103)

 中国国営中央テレビによると、中国版GPSの北斗を構成する最後の衛星1基が6月23日に打ち上げられ、予定軌道への投入に成功した。
 試験を経て運用に入れば、米国のGPSに依存しない中国の軍民共用インフラが完成する。
 最新の北斗3号システムは2017年11月に最初の衛星を打ち上げて以降、わずか2年半で30基体制を構築し、経済圏構想「一帯一路」のインフラ整備などにも活用が広がっている。 (2007-062306)

 中国の習国家主席が7月31日に人民大会堂で開かれた式典で、中国版GPS北斗システムで全世界をサービス対象とする北斗3号の正式運用開始を宣言し全面稼働した。
 米国のGPSに依存しない中国独自の軍民共用インフラが、開発着手から26年かけて完成した。
 式典では自動運転やIoTなど幅広い産業への波及効果をアピールした。 北斗関連製品の輸出は既に120ヵ国以上に及んでおり、ナビゲーション分野でも米中の覇権争いが本格化する。 (2008-073102)

4・1・2 台湾制圧準備

4・1・2・1 外交圧力

4・1・2・1・1 国際機関からの排斥

 米議会の諮問機関である米中経済安全保障調査委員会が5月12日、中国がCOVID-19の感染拡大に乗じて台湾へ軍事外交面で圧力を強めていると非難する報告書を公表した。 また中国の反対で台湾が世界保健機関 (WHO) に参加できず、COVID-19を巡る情報共有が阻害されていると批判した。
(2006-051301)
4・1・2・1・2 台湾承認国への圧力

特記すべき記事なし
4・1・2・2 武力による威嚇行動

4・1・2・2・1 周辺海空域での威嚇行動

 「3・4・1 中国の示威活動」に記載
4・1・2・2・2 東沙諸島奪取の目論み

 中国筋が5月11日までに、中国人民解放軍が8月に、台湾が実効支配する南シナ海東沙諸島の奪取を想定した大規模な上陸演習を計画していることを明らかにした。 (2006-051201)
4・1・2・2・3 珠江デルタに市民防空網を構築

 広州、深圳、殊海、仏山など珠江デルタの9都市が連携して組織化された市民防空網を構築することに合意したと発表した。
 これにより各都市は通信組織を確立して指揮統制を連接すると共に、統一した訓練を実施することになる。 (2002-010910)
4・1・2・2・4 台湾侵攻作戦も想定とした演習の実施

陸海空軍合同の大規模演習

 香港のSouth China Morning Postが北京の中国軍事筋の話として、中国人民解放軍は2020年夏に空母山東遼寧のいずれかを中心とする陸海空軍合同の大規模演習を海南島沖の南シナ海で実施することを明らかにしたと報じた。
 南シナ海の覇権をかけた米軍との戦いを前提とした演習で、台湾侵攻作戦も演習の目的の一つとなっているという。 (2007-060701)

市街地への侵攻を想定した訓練

 台湾方面を担当する中国人民解放軍の東部戦区が市街地への侵攻を想定した訓練の映像を公開した。
 訓練ではUAVによる偵察に続き、陸上部隊が図書館やカフェなど100棟以上の施設を再現した街に侵攻した。
 また、中国海事局は9月28日から軍事訓練を行うため、南シナ海、東シナ海、黄海、渤海の4海域で船舶の航行を禁止した。
 米国が台湾との関係強化を図るなか、中国は牽制を強めている。 (2010-092903)

台湾への上陸作戦を想定した演習を公開

 中国人民解放軍が、上陸作戦を想定した演習の映像を公開した。
 戦車砲やロケット弾などで海で隔てた敵地を攻撃し、上陸目標の浅瀬では遠隔操作のUSVが障害物を排除している。
 中国で台湾周辺などを管轄する東部戦区が福建省と広東省で上陸作戦を想定して実施した訓練の映像で、水陸両用戦闘車や上陸部隊がUGVと進撃する様子も公開された。 (2011-101203)

4・1・2・2・5 地上発射 BM 及び CM の配備

地上発射 BM 及び CM の増強

 米国防総省が公開した報告書2019 China Military Power Evaluation Reportによると、中国の地上発射BM及びCMの数は2018年より810発増えて2,740発になっている。 (2007-062204)

台湾対岸に超高速BM DF-17を配備

 香港のSouth China Morning Post (SCMP) が10月18日、中国が台湾の対岸となる東南部の海岸に、超高速BM DF-17を配備していると報じた。
 SCMPによると、DF-17は東南部の海岸に配備していたDF-11及びDF-15と換装されることになる。 (2011-101904)

4・1・3 米中対立

4・1・3・1 経済対立

「5・1・1・2 対中路線」で記述
4・1・3・2 軍縮交渉への参加拒否

INF 禁止条約に適合しない中国装備の内訳

 シンクタンクIISSが6月5日に公表した報告書"The End of the Intermediate Range Nuclear Forces Treaty: Implications for Asia"で、もし中国が1987年に米ソが結んだINF禁止条約と似た射程500~5,500kmの地上発射式BM及びCMの装備を禁ずる条約を批准することになれば、中国は保有するBM及びCMの95%を失うことになると結論づけている。 (2007-060504)

4・1・3・3 対米挑発活動

2月17日: 中国海軍駆逐艦が P-8 にレーザ照射

 米海軍によると、嘉手納基地に配備されているP-8が2月17日にグアム西のフィリピン海の上空を飛行中、中国海軍の駆逐艦からレーザ照射を受けたという。
 米海軍は声明を出し中国海軍の駆逐艦の行動は危険で、衝突を回避するために米中両国が結んだ取り決めにも違反していると抗議した。
 照射されたレーザ光線は裸眼では見えず、P-8に搭載されているセンサが探知したということで、米海軍当局者は駆逐艦の武器システムの一部とみられると話している。 (2003-022802)

 米国防総省が、中国海軍駆逐艦が2月17日にグアム近海で米海軍のP-8Aに対しレーザ照射をしたと抗議したことに対し、中国国防省が3月6日、P-8Aが中国艦から再三の警告を行ったのにかかわらず周辺を低空で旋回したために起きた事故であるとの見解を示した。 (2005-031803)

8月: DF-26 ASBM の実射訓練

 人民日報系の環球時報が、中国軍が最近DF-26 ASBMの実射訓練を開始したと報じた。
 DF-26は射程4,000kmでグアムを射程に収めると推定されているが、空母に対する攻撃の精度は高くないという指摘もある。 (2009-080702)

4・1・3・4 国内の引き締め

戦争に備えた訓練の強化

 中国軍が戦争準備の動きを強めている。
 10月下旬に開かれた共産党の第19期中央委員会第5回総会(5中総会)は、軍創設100年を迎える2027年に合わせた奮闘目標の実現を掲げた。
 目標の具体的内容は明らかではないが、戦争に備えた訓練の強化を確認した。
 制服組トップの許中央軍事委員会副主席は能動的な戦争立案に言及し、習中央軍事委員会主席は米国の新政権発足後も台湾や南シナ海をめぐる緊張が続くと予想して、戦って勝てる軍隊の実現を目指しているもようである。 (2012-111603)

北京市中に「戦時防空」の看板

 北京のまちなかで奇妙な看板を見かけた。 タイトルは「人民防空の使命と任務」。 いきなり「戦時防空」という項目から始まり「国防の必要に基づき、群衆を動員・組織して防護措置を取り、空襲の被害を軽減する」とある。 なにやら穏やかでない。
 中国には人民防空弁公室という役所がある。 朝鮮戦争のさなか、1950年11月に発足したもので、敵の空襲に備えた物資の調達や宣伝活動を主な任務とし、現在に至っている。
 看板は北京の人民防空弁公室が設置したものとみられ、以前からあったのかもしれないが、南シナ海をめぐって米中の軍事的な緊張がかつてないほど高まっているときだ。
 ネット上では「やはり米国との開戦は近いのか」といった不安の声が上がっている。 (2009-082803)

香港で海空合同演習

 中国軍が香港で海空合同の訓練を実施した。 訓練を行ったのは香港に駐留する部隊で、摩天楼の目の前を機関砲を構えた艦艇が通り抜け、軍用ヘリが空から監視した。
 一方、隣接する深圳に集結していた武装警察に動きがあった。
 武装警察は2019年8月から香港の抗議デモを威嚇するように訓練を続けているが、今回の動きについて当局の正式発表はない。 (2010-093004)

4・1・4 わが国への挑発

4・1・4・1 東シナ海での挑発

「3・2・1 中国の動き」で記述
4・1・4・2 その他周辺海域での挑発

沖ノ鳥島沖

 小笠原諸島の沖ノ鳥島沖の日本の排他的経済水域 (EEZ) で、中国船が無許可で海洋調査を行ったため、政府が中国政府に抗議した。 船は現在も排他的経済水域内にとどまっている。
 菅官房長官によると、中国の海洋調査船が9日午前に沖ノ鳥島沖の日本の排他的経済水域に入り、ワイヤのようなものを海の中に投入するのを海上保安庁の巡視船が発見した。
 沖ノ鳥島沖では、2019年12月にも別の中国船が海洋調査をしているのが確認されている。 (2008-071006)

4・1・4・3 日韓が射程内の BM 配置

 米国科学者連盟 (FAS) の核問題専門家が1月21日に、中国が山東省にIRBM DF-26を配備したとする8日に撮影した商用衛星の写真を公開した。
 それによると山東省青州市南部にDF-26を搭載したTEL 16両と支援車両3両、DF-26を搭載していないTEL 5両が見られる。
 青州市には人民解放軍のロケット軍の基地があり、青州市からソウルまで直線距離は750kmである。 (2002-012502)
4・1・5 経済低迷下の国防費増大

4・1・5・1 経済の低迷

4・1・5・1・1 2019年の国内総生産 (GDP)

 中国国家統計局が1月17日発表した2019年の国内総生産 (GDP) は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年比6.1%増加した。
 成長率は2018年から0.5ポイント鈍化し、政府目標の6~6.5%は達成したものの、天安門事件翌年の1990年(3.9%)以来、29年ぶりの低い伸びにとどまった。
 対米貿易摩擦が重しとなり、小売売上高や固定資産投資の伸びが減速した。 (2002-011702)

 英国際戦略研究所が発表したMilitary Ballance 2020によると、2019年の世界の軍事費は2018年から4%増加し、過去10年間で最も高い伸び率となった。
 背景には米中の軍事予算の拡大があるとして、両国の軍事費はいずれも世界の平均を上回り、前の年より6.6%増加したとしている。 しかし米国の増加分が英国の1年間の国防予算に匹敵する$53.4Bであるのに対し、中国は経済情勢を反映して伸び率は鈍化しているという。 (2003-021501)
【註】記事は米国の国防費増加が中国の伸びを凌ぐともとれる表現になっているが、2019年における米中の軍事費の伸びは当初予算レベルで米国が7.3%増、中国が7.5%増と、ほぼ同じペースである。

4・1・5・1・2 2020年の国内総生産 (GDP)

特記すべき記事なし
4・1・5・2 国防費増大

4・1・5・2・1 世界第二位の国防費

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) が4月27日、2019年の世界の軍事支出(一部推計値)が前年比3.6%増の$1.917Tだったと発表した。 増加率は2010年以降で最高で、米国や中国が世界全体の増加を牽引し、1988年以降の最高額を更新した。
 1位の米国で$732Bと5.3%増えて世界全体の38%を占め、上位国2~11位の総額とほぼ同じ規模となった。
 2位の中国は$261Bで5.1%増、前年4位だったインドは3位に上昇し6.8%増の$71.1Bだった。
 SIPRIはCOVID-19の感染拡大による経済危機が将来の軍事支出に影響を与えると分析し、増加傾向にある軍事支出が2020年で減少する可能性を示唆した。 (2005-042702)
4・1・5・2・2 2020年度国防費

 中国政府は全国人民代表大会(全人代)が5月22日に開幕するのに合わせ、2020年の国防費を前年より増額する方針を示す見通しである。
 COVID-19の流行が国内景気に暗い影を落とすが、米国による軍事圧力が増大しているとの認識の下、再び増額を決めるとみられる。
 中国は2019年の予算で国防費を前年比7.5%増やしたが、通年の国内総生産 (GDP) 成長率は6.1%にとどまり、国防費の増加率を下回った。 (2006-051901)

 中国の全国人民代表大会(全人代)に22日に提出された2020年の予算案によると、国防費の中央政府分は前年実績比6.6%増の1兆2,680億元(19兆1,700億円)で、伸び率は2019年の前年比7.5%増を下回ったが、対米摩擦の激化を背景に経済の停滞が鮮明になる中でも高い水準を維持した。 (2006-052202)

4・1・6 戦力の再構築

4・1・6・1 統合作戦能力の強化

 中国国営新華社が11月13日、中央軍事委員会が陸海空軍などによる統合作戦の概要を定めた規範である中国軍の統合作戦綱要を軍に配布したと報じた。
 新華社によると綱要では、中国軍を世界一流の軍隊にするため、統合作戦の基本的な概念や指揮系統、作戦行動の流れが示されている。
 統合作戦は陸海空軍やロケット軍などを一体運用する軍事作戦を指すもので、中国軍は米軍に比べると陸海空軍などの部隊の連携が劣っていると指摘されており、習中央軍事委主席は米軍との対抗を念頭に能力向上を図っている。 (2012-111406)
4・1・6・2 重混成旅団

 以下に挙げた中国陸軍の重混成旅団主要装備の高精細CG画像を掲載した記事 (2006-051602)
HQ-17 SPSAM: 防空大隊

ZBD-04A IFV: 混成大隊(複数)

PLZ-05 155mm SPH: 砲兵大隊

PHZ-11 MRL: 砲兵大隊

PGZ-07 35mm SPAAG: 防空大隊

MBT-99A MBT: 混成大隊(複数)

PLZ-07B SPH: 砲兵大隊

AFT-10 重ATGM: 砲兵大隊

4・1・6・3 混成大隊が陸軍の作戦基本部隊

 中国陸軍の1個旅団と1個混成大隊が福建省南部で最近、対抗演習を行った。
 参加した第3混成大隊は、陸軍の装備する主要装備を全て装備しており、今後混成大隊が中国陸軍の作戦基本部隊になる。 (2004-032303)

 中国国営の解放軍報が3月20日、陸軍が正式に混成大隊を作戦基本部隊したとする記事を掲載した。 これは2008年に開始された混成大隊の編成が完了したことを意味する。
 混成大隊には防空、工兵、CBRN偵察などの部隊も組み込まれている。 (2005-040109)

4・1・7 戦力の増強

4・1・7・1 宇宙、BMD

4・1・7・1・1 偵察衛星

Gaofen(高分)シリーズ衛星

 中国の国家宇宙本部 (CNSA) は2013年以来Gaofen(高分)シリーズ衛星を、打ち上げに失敗した1基を含め25基打ち上げているが、そのうち2015年に打ち上げられた高分-4と、2020年10月11日に打ち上げられた高分-13の2基がアジア太平洋上空の静止軌道に、重衛星を静止軌道に打ち上げられる長征-3Bにより打ち上げられている。
 中国は9月に、多波長とIR画像を白黒で撮影する高分-4は50mの分解能があり72画面/日の撮影能力があることを明らかにしたが、陸上監視、気象予報、穀物収穫予測、災害対応が任務という高分-13の詳細は公表されていない。
 ただ中国政府は9月に米海軍空母打撃軍 (CSG) の偵察と照準の能力があると述べている。 (2101-110903)

4・1・7・1・2 ASAT

特記すべき記事なし
4・1・7・1・3 BMD

早期警戒システム

 中国政府系雑誌「祖国」が5月12日に人民解放軍出身の核ミサイル専門家が、敵の発射した核ミサイルを着弾前に探知し、核兵器で反撃する早期警戒システムを備えていると論評で明言していたことが2日に分かった。
 この専門家は早期警戒システムについて、

① 発射直後の初期段階

② 発射後、大気圏外で飛行する中間段階

③ 大気圏に再突入後の最終段階

の3段階で核ミサイルを探知するもので、米露に比べて遜色ないと強調している。
 これは米国とロシアしか持っていないと言われる技術で、事実なら中国の核戦力を高め、世界の戦略バランスを変える事態になる。 (2009-080206)

中期弾道迎撃システム

 米国防総省が7月28日に公表した報告書によると、中国がBMを弾道中期で迎撃するシステムを開発しており、IRBMの迎撃で好成績を収めているとしている。
 このシステムの名称は明らかでないが、2018年2月に試験が行われているが、2020年代後半より前にIOCになる可能性はないと見ている。 (2010-081203)

HQ-19 BMD システム

 米国防総省が7月28日に公表した報告書で、米国のTHAADに匹敵する中国のHQ-19 BMDシステムが2021年にIOCになると予測している。
 HQ-19はMRBMに対抗するシステムであるが、今後IRBM、ICBM、SLBMなどにも対処できるように改良されて行く可能性も指摘している。
 米国防総省は中国がBMDシステムを大気圏外迎撃システムと大気圏上層部迎撃システムで構成しようとしていると見ており、HQ-19は射程3,000kmのBMを迎撃する試験を行っているという。 このためのレーダにはJY-27AやJL-1Aが使用されている。
(2010-081203)

S-400

 TASS通信が1月27日、ロシアが中国への2個連隊目のS-400装備を完納したと報じた。
 納入された中には2種類のSAM 120発以上が含まれているという。 (2002-012805)

 TASS通信が1月27日、中国向けで2番目の連隊分となるS-400E Triumfの引き渡しが完了したと報じた。 (2004-020507)

HQ-9B

 民間衛星が3月12日に撮影した画像から、中国軍が改良型HQ-9B SAMの5番目の中隊を配置したことが明らかになった。
 中隊は第22 SAM旅団隷下の第55大隊に所属し、北京北方に駐屯して今までHQ-2を装備していた中隊である。 (2004-031705)

4・1・7・2 長距離 BM

4・1・7・2・1 ICBM

大陸間 HGV の試験

 米北方軍司令官兼北アメリカ航空宇宙防衛司令部 (NORAD) 司令官オショネシー空軍大将が2月13日に上院軍事委員会で、中国が大陸間HGVの試験を行っていると証言した。
 オショネシー大将はミサイルを特定していないが低高度を高速で飛翔すると言う。 また2019年10月1日の閲兵式に出現したHGVを弾頭とするDF-17とは別物という。 (2003-021802)

4・1・7・3 艦 船

4・1・7・3・1 航空母艦

Type 001 遼寧

 特記すべき記事なし

Type 002 (Type 001A) 山東

 中国で二隻目となる空母山東が、2019年12月17日に海南島の三亜榆林海軍基地で就役した。 海南島にはType 052D駆逐艦やType 054Aフリゲート艦が配備されており、今後更に5隻建造しているType 055駆逐艦も配備されると見られる。
 2017年4月26日に大連造船所で進水した山東は2018年5月に洋上試験を開始し、最終試験では大連を出航して台湾海峡を通過して海南島への航海を行った。
 山東は元Kuznetsov級空母Varyagを改造した遼寧を元にしているが遼寧での経験から、ミサイルの発射機を飛行甲板の下にするなど幾つかの変更を行っている。
 中でも最大の変更点は艦橋部で、全長を10m短くし甲板での航空機の運用を容易にしている。 また艦橋部にはType 346フェーズドアレイレーダを配している。 (2003-010101)

Type 003

 民間衛星が8月15日に江南長興島造船所を撮影した画像に、建造中の3番目の空母Type 003が写っていた。
 船体は5月24日から6月2日の間に製造地域から乾ドック後方の貯蔵地域に移された。
 7月2日には最初のモジュールが乾ドックに設置され、8月15日には乾ドックに8個のモジュールが設置され、全長は265mになっているが、貯蔵地区には16mのモジュールが少なくとも1個置かれている。
 因みに遼寧の全長は304mである。
 Type 003はType 001/002と異なり初めてカタパルト発進型艦になる。 (2010-082602)

 環球時報が軍事専門家の分析などを基に9月14日、中国が建造中の3隻目の空母が2020年末か2021年初めに進水する可能性があると報じた。
 3隻目はカタパルトの搭載により、開発中のKJ-600 AEW&C機が搭載されるかどうか注目されている。
 また電磁カタパルトが初めて導入されるという見方が出ている。 (2010-091402)

 中国共産党系の環球時報が11月3日、中国の3隻目の空母が2025年までに就役する見通しだと報じた。
 中国は2012年にソ連艦を改修した初の空母遼寧を就役させ、2019年には2隻目となる初の国産空母山東を就役させた。
 電磁式カタパルトが装備される3隻目の空母は2021年ごろ進水する予定で、2025年までに実戦配備が可能になるという。
 中国の軍事専門家は、中国共産党が10月にまとめた2021~2025年の「第14次5ヵ年計画」の骨格に盛り込まれている可能性があると見ている。 (2012-110302)

Type 004

特記すべき記事なし

4・1・7・3・2 潜水艦

Type 096 唐級 SSBN

 中国国営Global Timesが4月22日、中国海軍創立71周年記念日に新型SSBNのType 096唐級が公表されたと報じた。
 式典にはType 055駆逐艦やKQ-200対潜哨戒機も参加したという。 またType 094晋級SSBNも報告された。 (2007-050602)

ロシアから潜水艦技術を導入

 ロシア国営RIA Novosti通信が8月25日にロシア連邦軍事技術協力庁 (FSMTC) 関係者の話として、中国と共同で次世代通常動力潜水艦設計をしていると報じた。
 潜水艦は海軍戦力のうち先端分野で、英仏露独などの潜水艦先進国は潜水艦を輸出するが核心技術は教えないし、最新型潜水艦は輸出もしない。 (2010-090102)

4・1・7・3・3 駆逐艦

Type 052

 全長を4m伸ばして151mとした中国海軍の7,500t級駆逐艦Type 052Dの一番艦が1月12日に就役し東海艦隊に配属された。
 同艦は上海南方150kmの舟山島にあるDinghai基地で、第6駆逐小艦隊に配置された。
(2003-012207)

 中国メディアが、PLA海軍で更に2隻のType 052D駆逐艦が就役したと報じた。
 これで現在就役しているType 052Dは13隻になり、更に12隻が進水して艤装工事中である。 (2012-102110)

Type 055

 中国のType 055 10,000t級駆逐艦の一番艦南昌が1月12日に青島で就役した。 2017年6月に進水した南昌は全長180m、幅20mで、112セルのVLSを装備し、SAMのほか対艦、対地、対潜ミサイルを発射する。 (2002-011203)

 Type 055駆逐艦が1月12日に青島南方の小青島基地で就役した。
 Type 055は全長180m、幅20m、満載時排水量12,000tで、全長173m、幅17m、満載時排水量10,000tである米海軍のTiconderoga級巡洋艦より僅かに大きい。
 艦橋前方に64セル、格納庫前方に48セルのVLSを持ち、HHQ-9 SAM、YJ-18 ASCM、Yu-8対潜魚雷、CJ-10 LACMなどを発射する。 (2002-011301)

 中国海軍Type 055駆逐艦の一番艦南昌が1月12日に青島南部のXiaokouzi海軍基地で就役した。 南昌は2017年6月に進水して2018年末から洋上試験を行っていた。
 全長180m、幅20m、排水量12,000tのType 055は艦首部に64セル、後部に48セルのVLSを持ち、Type 052Dと似たType 346四面固定のAESAレーダを装備している。
 VLSはType 052D同様にHHQ-9 SAM、YJ-18 ASCM、Yu-8魚雷搭載対潜ミサイル、CJ-10 LACM等を発射する。 (2003-012201)

 Type 055 12,000t駆逐艦が1月12日に就役し北海艦隊に配属された。 (2003-012207)

 中国海軍Type 055駆逐艦の一番艦南昌が1月12日に青島南部のXiaokouzi海軍基地で就役した。 南昌は2017年6月に進水して2018年末から洋上試験を行っていた。
 全長180m、幅20m、排水量12,000tのType 055は艦首部に64セル、後部に48セルのVLSを持ち、Type 052Dと似たType 346四面固定のAESAレーダを装備している。  VLSはType 052D同様にHHQ-9 SAM、YJ-18 ASCM、Yu-8魚雷搭載対潜ミサイル、CJ-10 LACM等を発射する。 (2003-012201)

 Maxzr Technologies社の商用衛星が5月24日に撮影した上海近郊にある江南長興島 (Jingnan Changxingdao) 造船所の画像に5月9日に進水したType 055駆逐艦の七番艦が、五番艦と並んで写っていた。 (2008-061009)

4・1・7・3・4 フリゲート艦/コルベット艦

Type 054

 上海の滬東中華造船でType 054Aフリゲート艦が1隻建造されているのが分かる。 Type 054Aは4隻がパキスタンから受注している。 (2010-080505)

Type 056

 中国海軍で更に2隻のType 056A 1,400t対潜型コルベット/フリゲート艦が1月10日に就役した。
 就役したのは2018年8月に武漢で進水した2隻で、江門市にある南海艦隊基地の第17フリゲート戦隊に配属された。
 Type 056Aは対潜型で就役した同型艦は2019年10月以来6隻になる。 国営Global Timesは1月14日、2019年12月30日に進水した最後のType 056Aが完成したと報じた。 この艦はType 056/056Aで71番艦になる。 (2003-012202)

4・1・7・3・5 揚陸艦艇

Type 071 揚陸艦

 特記すべき記事なし

Type 075 強襲揚陸艦

 上海の造船所でType 075強襲揚陸艦の二番艦が進水した。
 Type 075は全長235m、幅36m、排水量35,000tで、排水量45,000tの米海軍のAmerica級より小型である。 (2005-042209)

 中国海軍のType 075 LHDの二番艦が4月22日に上海で進水した。 一番艦は2019年9月25日に進水しているので、中国は半年間に2隻のType 075を進水させたことになる。
 尚、一番艦は艤装工事中の4月11日に火災を起こしている。 (2006-042903)

 人民日報系の環球時報が中国初の強襲揚陸艦Type 075が8月5日、上海の造船所を出て初の試験航海を開始したと報じた。
 米軍のWasp級に匹敵する排水量40,000tとみられるType 075は30機のヘリコプタや揚陸艇を搭載可能で、2021年にも就役する見通しである。
 2020年4月には二番艦が進水しており、三番艦が建造中だという。 (2009-080504)

 民間衛星が撮影した画像から中国海軍がType 075 LHDの3番艦が上海の滬東中華造船で建造されていることを示している。 (2010-080505)

 艤装工事中の4月11日に火災を起こした上海の滬東中華造船で建造中のType 075 LHD強襲揚陸艦の一番艦が8月5日に最初の洋上試験に入った。
 二番艦は同造船所で4月22日に進水し、三番艦の建造も開始されている。 (2010-081913)

Type 076 強襲揚陸艦

 中国国営造船企業CSSC社がType 076と見られるUCAVの発進用に電磁カタパルトを装備したLHD強襲揚陸艦の設計を進めている。 (2010-080509)

4・1・7・3・6 支援艦船

民間重量物運搬船をヘリ降着補給基地に活用

 中国サイトのjstv.cn(領航橋軍新時代)が8月19日に国営CCTV 7の放映した映像として、陸軍のZ-19及びZ-8へりが重量物運搬船に降着して燃料の補給や、ミサイルの搭載を行っている状況を報じた。
 当該船の船名は消されているが、米空軍研究所の研究員によると香港船籍のZhen Hua 28で、全長232m、幅42m、排水量40,000t以上という。 (2010-090228)

4・1・7・3・7 U U V

中国の UUV 開発

 中国は各種UUVを開発しており、全長3mで魚雷形状Haujing 2000は潜行深度2,000m、3.5mのQianlong-2は4,500m潜航でき、2018年3月にはインド洋南西部で科学調査に参加している。
 Haiyiシリーには行動半径1,000km、潜行深度300mのHaiyi 300、行動半径1,500km潜行深度1,000mのHaiyi 1000、深度7,076mのHaiyi 7000などがあり、Haiyi 7000はベーリング海、東シナ海、南シナ海、インド洋、西太平洋で21,600nmの航海を行っているという。 (2002-010010)

HSU001

 中国が2019年11月1日の閲兵式でHSU001 UUV 2隻を公開した。
 全長は5~7m、胴径は1m程度で、排水量は3tと報じられている。
 2軸推進であることから長距離の航行を狙っていると見られ、30日間の航行が可能と報じられている。 特徴的なのは2本のマストで、EO及びELINT用と見られる。
(2002-010010)

4・1・7・3・8 U S V

特記すべき記事なし
4・1・7・4 航空機

4・1・7・4・1 戦闘機

J-10

 中国国営CCTVが3月2日、Shenhang-Liming社製WS10シリーズのエンジンを搭載したJ-10の映像を流した。
 映像はJ-10Cと見られ、搭載されているのはWS10Bと見られる。
 2018年以来約300機製造されているJ-10は全てロシア製のSaturn AL-31FNターボファンエンジンを搭載している。 (2004-030508)

 中国国営CCTVが3月2日、国産のWS10エンジンを搭載したJ-10の画像を公開した。
 この画像は新型のJ-10Cで、エンジンを今までのAL-31FNをWS10Bに代えている。
 AL-31FNを搭載したJ-10は2018年までに300機生産されている。 (2005-031105)

J-11

 中国CCTV-7が11月9日、次世代ARMと見られる新型ミサイル2発を搭載した複座型のJ-11BSを報じた。
(2101-111813)

J-13

 特記すべき記事なし

J-15

 AVIC社の子会社であるSAC社が2月21日に公開した写真から、艦載多用途戦闘機J-15の生産が再開されたことが明らかになった。
 この画像は中国海軍が2隻目の空母山東を就役させた3ヶ月後のもので、機体は緑色のプライまで塗装されていることから、新たなバッチとみられる。 (2005-030401)

 中国PLAがスポンサとなっているウェブサイトChina Military Onlineで10月7日、J-15艦載戦闘機の生産が継続していることを示す画像が掲載された。
 PLA海軍航空大学に配属されているJ-15 2機の画像では1機の機体番号が二次生産分であることを示す0206であるのに対し、もう1機は三次生産の0306であった。 また別の画像には0303の機体もあった。
 J-15は24機だけを生産して2017年中頃に二次生産を終了していたが、2019年12月に二隻目の空母山東が就役したのに合わせて、三次生産が開始された模様である。 (2012-102107)

J-16

 中国国営CCTVが2月16日に、南昌湘潭に位置する空軍第40航空旅団に所属するJ-16 1機が2発のYJ-83K対艦ミサイルを搭載している映像を報じた。
 YJ-83Kは海軍航空隊で標準化されている装備でJH-7が搭載しているが、空軍ではJ-10Cが装備するとしているもののまだ実現していない。 J-16は今までKD-88 ASMを装備していた。
 全長5.3で165kgの弾頭を搭載するYJ-83Kは射程180kmで、高度20~30mをMach 0.9で飛翔し、終末期には高度を5~7mに下げる。 (2003-021805)

 中国国営CCTVが2月16日、射程180kmのYJ-83K ASCMを搭載したJ-16の映像を放映した。
 J-16は南京-湘潭を基地とすねる第40航空旅団所属で、YJ-83K 2発を搭載している。
 ターボジェット推進でMach 0.9で飛翔する全長5.3m、重量165kgのYJ-83Kは高度20~30mを巡航し、終末段階では高度5~7mで接近する。 (2004-022603)

 中国国営CCTVが8月29日に広東省恵州空軍基地の第2航空旅団が、老朽化したJ-10AをJ-16に換装していると紹介し、J-10AとJ-16の画像を並べて報じた。
 第26航空旅団は南部戦区に属している。 (2011-090912)
【註】記事ではJ-16への換装をJ-10Aの老朽化のためとしているが、イスラエルのLaviをルーツとするJ-10と異なりJ-16は、大量の爆装ができる戦闘爆撃機的な機体であることから、第26航空旅団の役割も変わったと見られる。

J-20

 香港のSouth China Morning Post紙が軍消息筋の話として7月13日、中国のJ-20がエンジンの推力を大幅に向上させたJ-20Bが大量生産に入ったと報じた。
 しかしこの消息筋は、WS-15エンジンはもう少し開発に時間が必要で、J-20Bは依然としてロシア製エンジンを使うだろうが、1~2年ほどあればWS-15の欠陥も解決が可能で、名実ともに第5世代戦闘機として誕生するものと予想した。 (2008-071302)
【註】J-20は試作段階で国産のWS10エンジンを搭載していたが、量産機にはロシア製のSaturn AL-31FNが搭載されていた。
 J-20Bは推力が大幅に向上したと言うことから、ロシアがSu-35に搭載しているAL-117Sエンジンの供給を開始した可能性もある。

新型艦載戦闘機

 人民日報系の環球時報が6月30日、開発中の空母艦載機が2021年に初飛行する可能性があると伝えた。 実戦配備は初飛行から約5年後という。
 同紙によると、AVIC傘下の中国航空研究院が2021年に新世代戦闘機の初飛行が予定されていると明らかにしたと言う。
 新世代戦闘機の詳細は不明だが、専門家は2012年に初飛行を行ったJ-31を基にした新型艦載機だと見ている。 (2008-070102)

新型戦闘機

 中国国営Global Timesが2019年12月14日、中国が複合材料を大幅に採用してステルス性を高めた新型戦闘機の開発を行っていると報じた。
 この報道が正しければ2018年に制式に就役したJ-20に続く二番目のステルス戦闘機になる。 (2003-010107)

JL-9 高等練習機

 中国メディアが、貴州省のGAIC社が空母艦載機の訓練のためJL-9高等練習機の生産を既に始めたか、間もなく開始すると報じた。
 JL-9は既に空母での運用に合うよう改造されているという。
 このメディアによるとJL-9が中国空母上空を飛行しているという。 (2005-032504)

 中国GAIC社が4月20日にウェブサイト微信で、空母に適応した練習機を開発するSea Mountain Eagle計画が組み立てを完了したと発表した。 GAIC社は3月16日に微信で組み立て作業中であることを公表していた。
 国営Global TimesはJL-9練習機(註:山鷹)が空母上空を飛行するCGを公表していた。 (2006-042905)

4・1・7・4・2 爆撃機

H-20

 2018年に公式発表された中国のH-20長距離爆撃機は予想に反して2019年に登場しなかったが2020年には登場すると見られる。 しかしそれから遠からずに米国のF-111と似たコンセプトでそれより大型の中距離戦闘爆撃機JH-XXも登場すると見られる。 (2002-122302)

 香港のSouth China Morning Post紙が11月26日、英国王立防衛安全保障研究所 (RUSI) が10月末にまとめた報告書を引用し、中国の次世代戦略爆撃機H-20がグアムだけでなくハワイまで攻撃可能と報じた。
 同紙は、米国防総省が8月の報告書でH-20の航続距離をグアムまで到達できる8,500kmと予想したが、他の軍事専門家らはハワイまで攻撃できる12,000kmと見ているとした。
 中国の軍事専門家宋忠平氏はH-20が中国の「三大核戦争力」構築の一環として米国領土まで到達できるよう設計されたと話した。 (2012-112606)

【註】この記事にある「中国次世代ステルス爆撃機」とされている画像は、従来報じられてきた戦術爆撃機タイプの想像図とは全く異なり、エンジンナセルや機首の形状は異なるものの、米空軍のB-2に酷似した形状であることから、中国は2種類の爆撃機を並行して開発している可能性がある。
 即ち、航続距離8,500kmの爆撃機は従来報じられてきたもので、12,000kmの爆撃機はこれとは全く別のものと考えられる。

H-6N

 2019年10月1日の閲兵式に登場したH-6の最新型H-6NはASBMのほか、DF-100(或いはCF-100と呼ばれる)超音速CMか、ロケット推進の超音速偵察用UAVのDF-8(WZ-8とも呼ばれる)を搭載すると見られる。 (2002-122302)

4・1・7・4・3 ヘリコプタ/ VTOL機

Z-20F 対潜ヘリ

 中国のネット上で、対潜型 (ASW) と見られるZ-20へりZ-20Fが紹介された。
 Z-20Fは機首の胴体下には、SH-60 Seahawkが装備するAN/APS-147/153と似たレドームが取り付けられている。 (2006-041505)

ワイドボディ型 Z-8G 中型輸送ヘリ

 民間衛星が5月26日に中国陸軍第161航空攻撃旅団が駐屯する新郷基地を撮影した画像にZ-8G中型輸送ヘリのワイドボディ型が写っている。
 国営CCTVは8月20日にこの機種をワイドボディ型Z-8Gと呼んでいるが、一般にはZ-10Lと呼ばれている。
 スポンソンがZ-8Gより長いZ-8Lは2019年12月から2020年3月の間に搬入された模様で、3月28日には6機が写っている。 (2010-090226)

改良型 Z-10

 中国CCTVが9月7日、第79軍集団所属の航空旅団が装備している、改良型Z-10ヘリの詳細が分かる画像を報じた。
 外観から分かる改良点はエンジンの噴気ノズルを上向きにして地上からのIR捕捉を避けているほか、胴体両側面に3枚ずつの補助装甲板と見られるパネルが取り付けられている。 (2011-092310)

Mi-171Sh 中型戦闘輸送ヘリの導入
 中国Phoenix TVが9月14日、PLA陸軍がロシアにMi-171Sh中型戦闘輸送ヘリを発注したと報じた。
 番組ではRussian Helicopers社の子会社であるUlan-Ude社でリポータがPLA陸軍のマークの入った機体の前でMi-171Shの最新型と述べた。 Mi-171Sh-VNは2022年に量産に入る。 (2011-093014)

 Russian Helicopers社の親会社であるRostec社が年次報告で、2019年に121機のヘリを中国に輸出したことを明らかにした。
 内訳はMi-171SH軍用輸送ヘリ18機、Mi-171E型を含むMi-171多用途ヘリ68機、VK-2500エンジン搭載のMi-171 14機、Ansat 21機である。
 同社の2018年年次報告では中国への輸出機数を明らかにしていないが、2017年には32機であった。 (2101-111111)

4・1・7・4・4 偵察機/電子戦機
Y-9特殊作戦機

 Global Times紙が2019年12月8日に7日のCCTV-7の報道を引用して、SAIC社製Y-9特殊作戦機が量産に入ったと報じた。 (2002-121810)

AEW&C機とELINT機の共同

 中国解放軍報が運営するウェブサイトChina Military Onlineが2019年12月10日、海軍航空隊が11月下旬にKJ-200 AEW&C 1機とY-9JZ ELINT 1機が、36時間に及ぶ訓練飛行を行ったと報じた。
 演習は黄海及び東シナ海上空で行われた。 この演習に参加した航空機は北部戦区の1個飛行連隊所属とだけ報じられ、何機が参加したかは報じていない。
 一方Global Timesは12月15日に解放軍報記事を引用して、同様の訓練が南シナ海上空でも行われたと報じている。 (2003-010103)
【註】AEW&C機とELINT機がセットで運用されていることが興味深い。
 AEW&C機のレーダ覆域より遠方をELINT機がパッシブセンサで捕捉している可能性も考えられる。

早期警戒用飛行船

 中国軍事問題研究家の田中三郎氏が11月27日までに、中国人民解放軍がCMなどを早期探知する警戒システムとして新たに飛行船基地を遼寧省大連に建設したことを明らかにした。
 田中氏が分析した2019年10月の衛星画像によると、飛行船基地は北朝鮮との国境に比較的近い大連市登沙河にあり、全長50m程度の飛行船や駐機施設、2,000m級滑走路などが確認された。
 ヘリウムガスで浮揚する無人飛行船を活用した早期警戒システムは低空域から進入する兵器の探知に力を発揮、朝鮮半島や日本の米軍基地が偵察範囲とみられる。 (2012-112801)

4・1・7・4・5 その他の航空機

空中給油プローブを装備した KJ-500 AEW

 中国のWeb SiteであるWeiboに11月13日に、PLA空軍の空中給油プローブを装備したKJ-500 AEW&C機の画像が掲載された。
 この機体は現在就役しているKJ-500Aと呼ばれている機の派生型と見られる。
 AEW&C機は蘇南碩放を基地とする第26特別師団第76 C&C航空連隊に所属する。 (2101-112504)

KJ-600 艦載 AEW

 民間衛星が6月24日に撮影した画像から、西安飛機工業公司 (XAC) が初めての艦載AEWの組み立てを完了した模様である。
 このAEW機はKJ-600と呼ばれ、ロトドームにはKLC-7 AESAレーダが収納されていると見られる。
 KJ-600はカタパルト発進/拘束索着艦 (CATOBAR) であることから、使用はType 003空母に限定される。 (2011-090915)
【註】KJ-600はかねてから「中国版E-2 HawkeyeであるJZY-01 」と呼ばれていた。

空中給油機型 Y-20

 中国国営CCTVが2月24日、空軍の飛行連隊長がインタビューで空中給油機型のY-20 Kunpeng戦略輸送機が近く公表されると述べたと報じた。 Y-20を空中給油機にするとIl-78空中給油機並みの90tを搭載できる模様である。
 また画像の証拠はないがAEW&C型のY-20も存在するとみられ、従来型のレドームに代えてコンフォーマル型のレドームが取り付けられるとみられる。 (2005-030406)

AG600 飛行艇

 中国AVIC社のAG600飛行艇が7月26日に初めて洋上からの離水飛行に成功した。
 AG600は10:18に青島で離水し、31分間の飛行後に日照山字河空港に着陸した。
 2017年12月に陸上での初飛行に成功したAG600は10月20日に貯水池からの離水試験に成功している。
 全長37m、翼端長38.8m、MTOW 53.5tのAG600は巡航速度500km/h、航続距離4,500km、滞空能力12時間の性能を持つ。 (2010-080510)
【註】AG600はUS-2よりやや大型だが、性能面ではまだ大きな差がある。
 飛行艇の重要な性能である離着水可能な最大波高はUS-2が3mであるのに対しAG600は2~2.8mである。 更に離着水距離はAG600が離水には1,500m必要とされる。
 US-2の場合、離水に必要な距離は280mで着水に必要なのは330mである。

4・1・7・5 U A V

4・1・7・5・1 HAPS

 特記すべき記事なし

4・1・7・5・2 HALE / MALE / TUAV

3発 MALE UAV TW328/TB001

 中国Global Timesが1月16日、Tengden社製の武装偵察用3発MALE UAV TW328/TB001が初飛行したと報じた。  TW328/TB001は両翼に1基ずつのエンジンの他胴体後部にプッシュ式エンジンを装備し、全長11m、翼端長20m、MTOW 3.2tで、上昇限度9,500m、上昇率10m/s、速力300km/h、滞空能力35時間の性能を持つ。 (2003-012909)

WJ-700 ガスタービン推進 MALE UAV

 中国のソーシャルメディアが8月中旬、2018年の殊海航空展でCASIC社がコンセプトモデルを発表しながら、これまで明らかにされていなかったガスタービン推進のMALE UAV WJ-700の画像を公開した。
 WJ-700は多用途UAVで、ISR、AEW、SIGINT、EWDなどに使用されるものと思われる。
 全長9~10m、翼端長17~19m、MTOW 3,500kg、滞空能力20時間のWJ-700は、その前身のWJ-500やWJ-600が車両発射型のCMタイプの形状であるのに対し従来型の航空機形状をしている。
 かつて公開されたコンセプトでは翼下に4箇所のハードポイントを持ち、CM-102超音速ARMやC-701またはC-705KD対艦ミサイルを搭載できるという。 (2011-100007)

4・1・7・5・3 mini / micro / nano UAV

 特記すべき記事なし

4・1・7・5・4 UAV 活用技術

小型 UAV の群制御

 中国CETC社が10月中旬に、中国軍が近く採用する同社が開発した小型UAV群システムの映像を公開した。
 映像では数機の小型UAVが同一の標的を攻撃する状況が映されていた。
 このシステムは東風越野 (Dongfeng Mengshi) 社製CTL181A 6×6装甲車に48発発射機を搭載したものである。
 中国はここ数年UAV群の開発を進めており、2017年6月にはCETC社が119機のUAVによる群飛行を行い、同年11月には200機の飛行に成功している。 (2011-102105)

 中国PLAが10月中旬に48機の小型UAVを発射する発射機を6×6装甲車に搭載してUAVを発射する画像を公開した。
 また民生用ヘリに多数のUAVを装填した発射機を搭載し複数機を発射する画像も公開した。
 中国は数年にわたってUAV群の研究開発を進めており、2017年6月にはCETCが119機のUAV群を飛行させる世界記録を達成したとしており、同年11月には200機の飛行も達成している。 (2012-110414)

4・1・7・6 戦術ミサイル

4・1・7・6・1 超高速弾頭 BM

超高速弾弾頭 ICBM

 米北方軍 (NORTHCOM) 司令官兼北米防空司令部 (NORAD) 司令官のO'Shaughnessy空軍大将が、上院軍事委員会に対し2月13日に文書で、中国が超高速弾を弾頭とするICBMの試験を実施していると証言した。 これは2019年10月1日に公開された超高速弾頭のDF-17とは別物という。 (2004-022601)

DF-17

 DF-17は、米国防情報庁 (DIA) の2017 Ballistic abd Cruisw Missile Threatで射程が700km越えと報告されているDF-16 SRBMに超高速弾を取り付けたものである。 (2004-022601)

DF-17 ALBM

 週末(10/17~10/18)のネット上に、中国空軍H-6Nが胴体下にALBMを搭載している映像が流れた。
 このミサイルは陸上発射のDF-17に良く似ている。 DF-17はDF-16 MRBMのブースタにDZ-ZF HGVを搭載した地上発射の超高速BMである。
 米国防総省は中国の軍事力に関する年次報告で2018年にCH-AS-X-13と名付けたALBMを紹介しているが、今回撮影されたALBMがこれかどうかは分からない。 (2011-101908)

 Weibo上で10月17日、PLA空軍のH-6Nが胴体下にHGV弾頭のALBMと見られる1発を搭載した映像が公開された。
 H-6Nは2019年10月1日の国慶節閲兵式で、会場上空を飛行して初公開されたが、その際にはCJ-10K/KD-20 CM 2発とKD-63 LACM 2発を搭載していた。 (2012-102801)

4・1・7・6・2 MRBM / SRBM

 複数の関係筋が2月29日に明らかにしたところによると、米軍の早期警戒衛星などが中国が2019年1年間に百数十発のBMを発射していたことを探知していた。 中国は発射数を公表しておらず、今まで実態はほとんど分かっていなかった。
 発射数は米国やロシアと比べて突出しており、日本を射程に収めるミサイルも多数含まれていて、中国が質量ともにミサイル戦力の増強を図っていることが裏付けられた。 (2003-022902)
4・1・7・6・3 MLR / MRL

PHL-03 MRLの長射程精度向上型

 中国CCTVが10月20日、チベット軍管区のPLA陸軍がPHL-03 MRLの長射程精度向上型の射撃を高地で行い、複数の小型標的に命中させたと報じた。
 名称を公開していない射程延伸型のPHL-03 MRLは8×8車に射程を従来より30km延びて160kmとした300mmロケット弾を12発搭載している。
 CCTVはまた中国型のBM-21 Grad 122mm MRLを新型の4×4車に搭載したMRLも紹介し、同じくチベット軍管区に配備されていると報じた。 (2012-110416)

4・1・7・6・4 巡航ミサイル

CF-100 / DF-100

 香港のSouth China Morning Postによると、DF-100は巡航速度Mach 4、最大速度Mach 4.5で飛翔すると言う。 (2002-122302)

YJ-12 超音速対艦ミサイル

 中国国営CCTV 7が10月27日にH-6J爆撃機の映像を報じた。 報じられたH-6JはYJ-12ラムジェット推進レーダ誘導超音速対艦ミサイル4発を搭載していた。
 H-6Jは従来PLA海軍航空隊だけが装備していると見られていたが、今日ではPLA空軍も装備している。 (2101-111112)

4・1・7・6・5 A R M

YJ-91

 YJ-91 ARMを搭載した中国空軍のJ-16の画像がネット上に流れた。
 J-91自体は新しいものではなく今までもJH-7A、J-10B/C、J-15、Su-30MKKなどに搭載された画像は公開されているが、J-16に搭載された画像は初めてである。
 J-16は今までPL-10やPL-15などのAAM、KD-88 ASM、YJ-83K対艦ミサイルを装備した画像が報じられてきた。
 YJ-91はロシアのKh-31Pをライセンス生産したもので射程120kmのARMであるが、射程を50kmにした対艦型のYJ-91Aも報じられている。 (2008-061007)

ARM と見られる新型ミサイル

 中国CCTV 7が11月9日、次世代ARMと見られる新型ミサイル2発を搭載した複座型のJ-11BSを報じた。
 もしこのミサイルがARMであればロシアのKh-31Pを元にしたPLA空軍が標準的に装備しているYJ-91があり驚くに値しないが、新型ARMの外観はPL-15 AAMより胴径と全長が大きいだけでなく固定翼の形状も異なることから、J-20の機内弾庫に搭載できないと思われる。
 またこの新型ミサイルを射程100kmで80kgの弾頭を搭載するCM-102と見る向きもある。 (2101-111813)

4・1・7・6・6 ASM / GB

BA-21 ヘリ発射 ASM

 中国が7月14日、6月22日に内モンゴル自治区でヘリコプタから発射した新方式ASMの発射試験に成功したと発表した。
 このミサイルについて詳細は明らかにされなかったが、15日に国営Global Timesは、長射程で誘導精度の高い先進誘導方式のミサイルで、戦車の厚い装甲を撃ち抜く強力な弾頭を搭載していると報じた。 (2009-072910)

 中国国営CCTV 13が、Z-10攻撃ヘリが新型ASMを発射する映像を報じた。
 このASMは、現在Z-10やZ-19が装備しているAKD-10第三世代ミサイルの輸出用の改良型であるBA-21と見られる。  BA-21はミリ波レーダ/SAL誘導で、射程は18kmと言われている。 (2010-081210)

 中国国営メディアが8月6日、陸軍第83軍集団第161攻撃飛行旅団所属のZ-10がBA-21と見られる新型ATGMを発射したと報じた。
 Z-10は少なくとも1機のZ-19Aと飛行しており、Z-19AはLockeed Martin社製AN/APG-78 Longbowと似たマスト搭載ミリ波レーダを装備している。 (2010-081904)

子弾散布弾 (sub-muynirions dispenser)

 中国国営CCTV7が8月15日、500kgの非推進滑空型の子弾散布弾 (sub-muynirions dispenser) を公表した。
 2枚の折りたたみ翼と6枚のフィンを持つこのディスペンサの外見は2018年の殊海航空展で公表されたY6-Jと似ている。
 また米国のAGM-154 JSOWにも酷似している。 JSOWの場合は240個の子弾を散布する。 (2010-082610)

Tiange GB 100 誘導爆弾

 中国のWeChatに9月17日、西部戦区に所属するPLA空軍のJH-7AにTiange GB 100 2発を搭載している画像が流れた。
 GB 100は胴径228mm、重量130kgのSALと衛星航法併用誘導の誘導爆弾で、最大飛距離30km、CEP≦3mの性能を持つ。 (2011-093013)

4・1・7・7 陸戦兵器

4・1・7・7・1 S A M

HQ-17A / FM-2000

 HQ-17Aは2018年に公開されたFM-2000 SHORADの国内仕様である。 (2008-072113)

 中国CCTVが9月27日、PLA陸軍が2020年初めから新型SAMのHQ-17Aを装備していると報じた。
 HQ-17AはHQ-17の6×6車搭載型でCCTVでは内モンゴルで行われた演習で第78軍団の混成旅団に所属する防空大隊がHQ-17Aによる射撃を実施したと報じた。
 HQ-17Aはロシアの9K330 Tor-M1/M2を近代化したSHORADであるが、Tor-M2がミサイルを16発搭載しているのに対しHQ-17Aのミサイル数は8発搭載である。
 HQ-17Aは現在装備しているHQ-10Aより改良され、僅かに広い覆域を有するという。 (2012-100710)

4・1・7・7・2 車 両

偵察用水陸両用戦闘車

 中国国営CCTV 7が9月19日、陸軍第74軍団所属の新型の偵察用水陸両用戦闘車を報じた。
 この戦闘車はType 05水陸両用装甲戦闘車にEO/IRシステムとX-bandレーダを装備している模様で、Type 88 (QJC-88) 12.7mm重機関銃も装備している。 (2011-093010)

TEL 用6軸ハイブリット車

 中国国営CCTV 7が9月15日、PLAロケット軍TEL用の3種類の6軸車を報じた。
 この6軸車はHTF5700HEVと呼ばれ、従来とはキャビンの形状が異なっている。 動力はディーゼルエンジンで発電し電動モータで駆動するハイブリット方式になっている。 (2011-093012)

4・1・7・8 電子兵器

中国の電子戦能力

 台湾国防部が8月31日、中国の軍事力に関する2020年の報告書「2020年中共軍力報告書」を発表した。
 報告書では、中国が電子戦能力を向上させていると指摘し、台湾への脅威は非常に大きいとの見解を示した。
 電子戦能力については、UAVを用いて電波妨害などの電子的要素と物理的破壊などの非電子的要素の両方で電子戦を進めることで、中国の南東沿岸の実戦能力を高めており、台湾の防空や制海、反撃作戦を麻痺させる能力をすでに備えており、戦地の統制権を有効的に奪取、保持し、台湾海峡の通路を遮断することが可能だとしている。 (2009-083104)

車載通信 ESM 装置

 中国国営CCTVの7チャネル (CCTV7) が5月10日、2019年10月1日の閲兵式で公開された中国陸軍の車載電子戦装置が既に配備されている映像を放映した。
 装置は2種類の伸縮型アンテナを持ち6×6車に搭載されている。
 CCTV7では5両が写っているがその内の2両がマストを伸ばしていた。
 システムはVHF/UHF/SHFの傍受と方探を行い、通信ESMを行う。 (2007-052705)

KJ-200B AEW&C機に ELINT 能力

 6月中旬に公開された中国のKJ-200B AEW&C機の詳細な画像から、同機が電子戦 (EW) 機能も持つことが明らかになった。
 Y-8輸送機にSaab社製Erieyeと似た固定のリニアアレイアンテナを搭載したKJ-200Aの改良型であるKJ-200Bは2017年12月の衛星画像で存在が確認されていた。
 KJ-200BはKJ-200A同様に機首に前方監視用レドームを持つほか、側面にESM/ELINT用と見られるのアンテナを搭載している。 これらのアンテナはY-9DZ (Y-8GX-12) EW機と共通と思われる。 (2010-081212)

4・1・7・9 DEW 兵器

航空機搭載 DEW 兵器

 中国人民解放軍の兵器調達web siteであるweain.mil.cn,が、ポッドに収納して航空機に搭載するレーザ兵器について提案要求 (ITT) を公示した。  国営Global Timesはこのレーザ兵器をレーザ攻撃ポッドと呼んでいる。 (2002-010810)

ソフトキル DEW

 Global Timesが3月17日、「米軍の南シナ海への侵入は電磁兵器で阻止できる」とした香港を拠点とする軍事専門家宋中平氏の論説を掲載した。
 宋氏の言う電磁兵器には米艦の武器管制装置を幻惑させる低出力レーザも含まれている。
 2月17日に米海軍P-8Aがグアム西方380哩の公海上で、中国海軍のType 052D駆逐艦からレーザ照射を受けている。 (2005-032501)

4・1・8 高度な技術力獲得

4・1・8・1 第13次5ヵ年計画の成果

 米国防総省が中国の軍事力に関する報告書で、中国が2016~2020年の第13次5ヵ年計画で、武器の研究開発、調達、試験評価、生産に関する能力向上を目指して大規模な企業再編を行ったと見ている。
 その結果宇宙航空エンジン、量子コンプュータ及び通信、電子工学及びソフトウェア、自動化及びロボット技術、特殊素材、ナノ技術、AI、宇宙システムで成果を上げているとしている。 (2011-091602)
4・1・8・2 宇 宙

 中国が軌道を変更してASATとして使える衛星の試験を行っているほか、米国も秘密宇宙船X-37Bを用いてASATとして使用できる複数の箱状衛星の放出を行っている。
 ロシアもこのような能力を向上させており、インドも参入してきた。  一方CSISとSWFは毎年開かれるSpace Symposium(COVID-19 のパンデミックで中止になった)で、日仏も同様の宇宙状況把握 (SSA) 計画を進めていることを明らかにすることを予定していた。 (2004-033003)
4・1・8・3 研究開発能力

大型遷音速風洞が稼働

 中国AVICM社が4月1日にウェブ上で、大型遷音速風洞FL-62が稼働に向けた主要な試験に合格したと発表した。
 80MWのコンプレッサを有するFL-62に連続送風式で、2.4m×2.4mの試験空間をMach 0.3~1.6で送風できる。
 中国は大型高速風洞の建設に力を入れており、超高速飛翔体試験用にMach 2.5の風洞を建設中という。 (2006-042204)

 中国AVIC社が5月26日、2012年から建設していたFL-62遷音速大型風洞が完成したことを明らかにした。
 FL-62は2.4mのチェンバに連続吹き出しができるという。 (2008-061006)

4・1・8・4 超高速飛翔体の研究開発

 中国科学院力学研究所 (Institute of Mechanics) が600秒間のスクラムジェット (Scramjet) 地上燃焼試験に成功した。
 中国では各種研究所が超高速飛翔体の研究開発に力を入れており、Mach 25の環境を模擬できる風洞も建設している。
 中国は2019年10月の国慶節閲兵式でDF-17を公開したが、DF-17は固体燃料で発射された後切り離される滑空式超高速ミサイル (HGV) であるためその射程は打ち上がる高度によって決まってしまう。
 これに対して中国が2018年8月に打ち上げたXingKong-2 (Starry Sky-2) はロケットモータで垂直に打ち上げられたのち、搭載した推進装置でMach 6での飛行を400秒間行った。
 よって力学研究所が最近行った試験結果を用いれば推進段階を50%伸ばすことができる。 (2008-061704)
4・1・8・5 高度技術素材

レーザ兵器用人工ダイヤ

 Global Times紙が2019年12月4日、北京で開かれた国際宝石展にNORINCO社がレーザ兵器に使用する人工ダイヤを展示したと報じた。
 別のメディアによると同社が展示した人工ダイヤは1~22カラットの各種サイズで、レーザ兵器に使用すると各種波長の光を発することができるという。 (2002-121811)

4・1・9 武器輸出

4・1・9・1 艦 船

マレーシアへ沿岸警備艦 (LMS)

 マレーシアが中国に4隻の建造を発注していた沿岸警備艦 (LMS) の一番艦がマレーシア側へ引き渡される式典が2019年12月31日に啓東の造船所で行われた。
 同型の二番艦は2019年7月12日に進水しており、2020年4月に完成する。 残りの2隻も2021年中頃に引き渡される計画である。 (2003-010805)

 マレーシアが中国に4隻発注していた沿岸警備艦 (LMS) の一番艦の就役式典
が1月6日に上海近くの造船所で行われた。 全長68.8mの同艦は2019年12月31日にマレーシア側に引き渡されていた。
 同艦は1月8日にコタキナバル近くのマレーシア海軍基地に回航される。  同級の二番艦は7月12日に同じ造船所で進水しており、4月には就役する計画である。 (2003-011507)

4・1・9・3 ミサイル

ウズベキスタンへ FD-2000 中距離 SAM

 ウズベキスタン陸軍が2019年11月7日、防空部隊が標的機を目標にした初めて中国製のFD-2000中距離SAMの発射試験を行った映像を公開した。
 映像にはTEL 2基を装備した中隊が映っており、それぞれのTELには4発ではなく2発ずつのPechora-2Mミサイルが搭載されていた。 (2002-010009)

4・1・9・4 陸戦装備

タイへ戦闘車両

 NORINCO社が2019年12月3日、タイ陸軍から受注していた戦闘車両を納入した。 納入したのはVN1 8×8 IFV 38両とVT4 MBT 11両である。
 VN1はNORINCO社が2017年にTHB2.3B ($76M) に受注したもので、基本型34両と回収車2両、整備車2両である。 (2002-121808)

UAE へ MRL
 UAEが2月9日に実施したZayed空軍基地で実施した閲兵式で、NORINCO社製SR5 MRLを披露した。
 SR5は220mmロケット弾6発か、122mmロケット弾20発を装填したポッド2個を搭載できる。 また射程70kmのレーザ/GPS誘導のKing Dragon 60 SSM(註:220mm)も発射できる。 (2003-021107)

 UAEが2月9日にZayel空軍基地で行った閲兵式でNORINCO社製SR5 MRLを公開した。
 SR5は220mm MLRまたは射程70kmのKing Dragon 60レーザ/GPS誘導SSM 6発入りポッドを搭載でき、122mmロケット弾20発入りポッド2基を搭載することもできる。 (2004-021914)

タジキスタンへ各種戦闘車両

 タジキスタンの首都ドゥシャンベで2月21日に行われた同国軍創立27周年記念式典で、大量の中国製武器等が公開された。
 この日に公開されたのはNORINCO社製VP11 MRAP車、NORINCO社製CS/VN3 装甲戦闘車、Shanabxi Baoji社製Tiger偵察車、Dongfeng社製4×4車などである。 (2003-022503)

 タジキスタンが軍創設27周年の2月21日、大量の中国製新型戦闘車両と武器を展示した。
 展示品にはVP11耐地雷車、Mengshi 4×4車、CS/VN3軽装甲車などの車両と、CS/SS4 82mm自走迫撃砲、Type W85 12.7mm機関銃、Type 56-3 7.62mm突撃銃、LR2 12.7mm銃などが含まれている。
 更にT-72B MBT、D-30A牽引122mm榴弾砲、D-30A 122mm MRL、BTR-70M 8×8 APC、BRDM-2M 4×4偵察装甲車、Zu-23-2 23mm対空機関銃などソ連/ロシア製の装備も展示された。 (2005-030405)

4・2 北朝鮮

4・2・1 金正恩体制

 特記すべき記事なし
4・2・2 友好国との連携

 特記すべき記事なし
4・2・3 大量破壊兵器

「3・1・1・1 大量破壊兵器」で記述
4・2・4 弾道ミサイル

4・2・4・1 ICBM/IRBM/MRBM/SRBM

4・2・4・1・1 技術の進歩

弾頭の MIRV 化

 北朝鮮の金委員長が2019年12月28~31日に開いた第7期第5回全員会議で明らかにした新たな戦略兵器は、韓国情報当局が多弾頭 (MIRV) ICBMと分析した。
 情報当局はまた、正恩氏が予告した衝撃的な実際の行動は、核やミサイル発射試験中止の破棄と見ているという。 (2002-010707)

発射試験再開に向けた動き

 韓国国防相が2019年12月10日、その3日前に北朝鮮が東倉里発射場でロケットエンジンの試験をしたと発表した。
 北朝鮮は12月8日に、東倉里発射場で重要な試験を実施したと報じていた。 (2002-121802)

大気圏再突入技術を獲得

 米ヘリテージ財団が11月17日に発行した報告書「米国の軍事力指標(2021年版)」の中で、北朝鮮がICBMの大気圏再突入技術を獲得したと米中央情報局 (CIA) が評価していることを明らかにした。
 報告書では、北朝鮮ICBMの弾頭が米大陸の目標物に向かって通常の軌道を飛行した場合、適切に作動するようだとCIAは評価してきたとしている。 (2012-111903)

4・2・4・1・2 火星-16 ICBM

新型 ICBM を公開

 北朝鮮が10月10日に朝鮮労働党創建75周年の閲兵式の最後に、新型ICBMが登場した。
 北朝鮮が最後に公開したICBMの火星-15は9軸のTELに載せられていたのに対して新型ICBMは11軸のTELに載せられていることなどから、全長は火星-15より2~3m長い23~24m、直径も大きくなったとみられ、射程が伸びたと推定される。
 韓国軍は火星-15の射程を13,000kmと推定しているが、新型ICBMはこれを上回るとみられる。
(2011-101009)

 北朝鮮が10月10日に行った閲兵式で2種類の新型戦略ミサイルを公開した。
 新型 ICBMは火星-15に比べて全長が4~4.5m長く、胴径が0.5m太い。 エンジンはRD-250型4基で、搭載能力は火星-15の1,000kgより大きい2,000~3,500kgと見られる。
 火星-15もMIRV弾頭を搭載できるが、新型ICBMはMIRV搭載に十分な能力を持つ。 (2011-101010)

MIRV 弾頭の可能性

 韓国の専門家が、北朝鮮が10月10日に公開した新型ICBMについて多弾頭型である可能性を指摘している。 韓国メディアは世界最大のICBMと報じている。
 弾頭の重量を増やすために推力を向上させたとみられ、聯合ニュースはミサイル専門家の分析を元に2~3発の核弾頭が搭載できるとの見方を示している。
 ただ、北朝鮮の技術水準から完成には至っていないとみられ、米国への威嚇が目的のようである。 (2011-101101)

 航空宇宙・機械工学が専門の韓国航空大張教授が10月16日に聯合ニュースに送った北朝鮮が10日に公開した新型ICBMについての初期分析結果によると、新型ICBMの形状は多弾頭型のように見えるが、多弾頭型ICBMだとすれば上段にPBVと呼ばれる推進体を入れる空間が必要だと説明し、北がPBVの小型化・軽量化を達成したかどうかは疑問だとした。
 軍事パレードに登場した新型ICBMは発射試験用のものではなく、軍事力を誇示するための実物大模型だった可能性が高いとの見方も示した。 (2011-101602)

11軸TELの車両は中国で作られた可能性

 VOA放送が10月15日、Rand研究所のベネット研究員が、11軸TELのような車両の製造は相当な技術が必要で、中国で作られて北朝鮮に持ち込まれた可能性があるとの見方を明らかにしたと報じた。
 専門家たちは、北朝鮮は大型TEL用車両の生産施設を有しておらず、中国の支援なくこれを確保することは難しいと分析している。
 京畿大学政治専門大学院北朝鮮学科のインギュン教授は、過去に北朝鮮の軍事パレードで登場した6両のTELは中国から伐木用の車両を密輸して改造したもので、エンジンなど主要部品の生産が難しい北朝鮮はTELを外部から持ち込んだ可能性が高いと指摘している。 (2011-101603)

4・2・4・1・3 KN-25 MLR

3月2日: 20秒間隔で2発発射

 韓国軍が、北朝鮮が3月2日にSRBM 2発を発射したことを明らかにした。
 韓国軍の合同参謀本部によると、SRBMは東海岸の元山市から海に向かって発射された。 飛距離は240km、到達高度は35kmだった。
 北朝鮮はこれまでにも元山市からSRBMを発射している。 (2004-030201)

 北朝鮮が3月2日12:37に、元山付近から2発のSRBMを20秒間隔で日本海に向けて発射した。 北東に向けて発射されたSRBMは、何れも240kmを飛翔し高度35kmに達した。
 北朝鮮は2019年に13回の発射試験を行っているが、今回が2020年初めてである。 (2004-030204)

 河野防衛相が3月3日、北朝鮮が2日に発射した2発の飛翔体について、レーダなどで探知しにくい低高度のSRBMとの分析結果を明らかにした。
 河野防衛相は、北朝鮮が保有しているScudの軌道よりも低い高度を240km飛翔したとしたうえで、北朝鮮が2019年8~11月にかけて発射した固体燃料方式のSRBMと同系統だったと述べた。
 またMRLの発射を同時に行った可能性があるともして、北朝鮮はさまざまな技術の取得を目指しており、総合的な防空能力を高めていく必要があると強調した。 (2004-030303)

 韓国合同参謀本部が3月2日、北朝鮮が12:37に20秒間隔で2発の飛翔体を日本海に向けて発射したと発表した。 2発は240km飛翔し高度35kmに達したという。
 この日発射したのは、北朝鮮国営KCNAが3日に公表した超大口径MRLの画像から2019年8月24日、9月10日、10月31日、11月28日に発したものと同じKN-25と見られる。
 KN-25は8×8車に4発が搭載され、韓国では口径を600mmと見ている。 (2005-031107)

3月9日: 多数発発射

 韓国軍合同参謀本部が3月9日、北朝鮮が東部咸鏡南道宣徳付近から北東方向の日本海に向け、同日07:36から少なくとも飛翔体3発を発射したと発表した。
 日本政府は、約100kmから200km飛翔し、日本の排他的経済水域(EEZ)外の日本海に落下したと推定されると発表した。 (2004-030902)

 韓国軍が、北朝鮮が3月9日に東岸から飛翔体を複数発射したと発表した。
 韓国統合参謀本部によるとMLRを含む飛翔体が発射され、最大200km飛翔し、高度50kmに達した。 先月下旬から実施中の演習の一環とみられるという。
 複数の米当局者らは、少なくとも4発の飛翔体が確認されたと述べ、このうち1人はSRBM 3発を含む5発が発射されたもようだとした。 (2004-030903)

 北朝鮮国営KCNAが3月10日、北朝鮮が3月9日に超大口径MLRを発射した映像を流した。
 このMLRは3月2日に北朝鮮が発射した在韓米軍がKN-25と呼んでいるものと同じで、2019年の8月24日、9月10日、10月31日、11月28日にも発射している。
 KN-25は8×8車に発射管4本を搭載したもので、韓国や日本のメディアは胴径を600mmと報じられている。 (2004-031001)

 韓国合同参謀本部が3月10日、北朝鮮が9日07:36に3発の飛翔体を日本海に向けて発射したと発表した。
 最初の2発は20秒間隔で発射され200km飛翔し高度50kmに達したという。 3発目はその1分後に発射された。
 発射したのは、2019年8月24日、9月10日、10月31日、11月28日に発したものと同じKN-25と見られる。
 KN-25は8×8車に4発が搭載され、韓国では口径を600mmと見ている。 (2005-031807)

3月29日: 2発発射

 河野防衛相が3月29日午前に、同日朝に北朝鮮が発射した飛翔体はSRBMとみられると述べた。
 政府はその後、発射は北朝鮮東岸から北東方向に2発で、低高度で250km飛翔して北朝鮮の東北部沿岸付近に落下したと推定されると発表した。
 防衛相は、北朝鮮のBM発射が3月に入り、2日、9日、21日に続く4回目と、かなり高いペースであるとして意図の分析を進める考えを示した。 (2004-032901)

 韓国軍合同参謀本部が3月29日、北朝鮮が短距離ミサイル2発を06:10で2発、20秒間隔で発射したと発表した。 このミサイルは射距離が230kmで到達高度は30kmであったという。
 北朝鮮の国営メディアが3月30日に公表した画像では、このSRBMは6発搭載の装軌TELから発射された。
 公表された画像から見ると3月29日のSRBMは2019年に初登場したものと同じで、7月31日と8月2日にも発射されている。 (2005-040811)

 北朝鮮メディアが3月30日、前日に発射したSRBMとみられる2発の飛翔体について超大型MLRと発表し写真を公開した。
 この日公開された写真は、北朝鮮が2019年8月2日に発射試験を行った大口径操縦MLRと形状が似ている。 北朝鮮は当時、6連装の移動式TELを公開したが、発射場面はモザイク処理していた。
 30日には6本の発射管を備えた装軌式のTELから発射される様子がはっきりと写った写真を公開した。 これまで超大型ロケット砲として公開した兵器は、装輪型のTELに発射管4本が搭載されたものだった。
 これを受け、北朝鮮が400mm以上級6連装装軌式と600mm級4連装装輪式MRLの2種類を開発したとの見方が出ている。 (2004-033001)

 北朝鮮が3月29日に新型大口径誘導MLRを発射して、これを超大型ロケット砲として虚偽の発表をしたのではないかとの見方が出ている。
 元韓国国防大学教授でミサイル専門家は、北朝鮮が主張してきた新型飛翔体には、北朝鮮版Iskander (19-1)、新型大口径誘導MLR (19-2/-3) 、北朝鮮版ATACMS (19-4)、超大型ロケット砲 (19-5) の4種種類があり、この流れから見ると新型の大口径誘導MLRの試験を行った可能性が高いと分析している。
 このような疑惑提起には海外専門家も加勢していて、ドイツのミサイル専門家シラー博士は、北朝鮮メディアが2月30日に公開した写真は改ざんが疑われるとし、ミサイルの直径と発射管の大きさが違うと明らかにした。 また、発射された後TELの周りに残る煙が一部だけに現れて、炎の明るい部分が写真の他の部分に影響を与えていないのも不審な点だと指摘している。 (2005-040105)

4・2・4・1・4 KN-24(ATACMS 似)

3月21日: 2発発射

 韓国軍の合同参謀本部が3月21日朝、北朝鮮が同日に平安北道地域から朝鮮半島東側の日本海に向けてSRBMと推定される飛翔体を2発発射したと発表した。
 北朝鮮の飛翔体発射は3月9日に超大型MLRを発射して以来12日ぶりで、北朝鮮は同2日にも超大型MLRを発射している。 (2004-032102)

 韓国軍合同参謀本部が3月21日、北朝鮮が同日06:45頃と06:50頃に、平安北道の宣川付近から朝鮮半島東側の日本海にSRBMと推定される飛翔体を2発発射したと明らかにした。
 飛翔体の射距離は410km、到達高度は50kmだという。
 北朝鮮の飛翔体発射は今年に入り3度目となる。 (2004-032103)

 北朝鮮が3月21日06:45頃と06:50頃に北西部の平安北道宣川付近から北東方向の日本海に向けて飛翔体2発を発射したが、日韓両防衛当局はSRBMとの分析を明らかにした。
 韓国軍によると、ミサイルは410km飛翔し、到達高度は50kmに達した。
 韓国軍当局の分析でこのSRBMは降下後に低空飛行し、再び急上昇するプルアップと呼ばれる特異な軌道を描いていたことが、分かった。
 韓国軍当局は、北朝鮮が2019年8月に試射した新型TBMなどの可能性があるとみて、さらに詳しい解析を進めている。 (2004-032104)

 河野防衛相が3月24日、北朝鮮が21日に発射した2発のSRBMについて、2019年8月10、16両日の発射したBM(KN-24)と同型だとする分析結果を明らかにした。
 8月10、16両日発射のBMは、米国のATACMSに外形や発射方式が類似した新型であると防衛省は分析している。 (2004-032401)

 韓国軍関係者が3月25日、北朝鮮が公開した3月21日に発射したATACMSに似たBM(NK-24)の写真に軌跡が描かれた地図があり、軌跡を見ると少なくとも3回フルアップ機動を行ったことが分かると述べた。
 NK-24は数百個の子弾をばらまくことでサッカー場3~4面に相当する広さを焦土化するという。
 BMは普通、放物線を描いて飛行するため弾着点を予想しやすいか、上昇と下降を繰り返すフルアップ機動を複数回するようになれば、中間での迎撃が難しいだけでなく、弾着地点も予想が難しくなる。
 北朝鮮が3月21日に発射したBMが事前に描かれた軌跡通り動いたかは確認されていない。 韓国軍は「フルアップ機動など具体的な事項については回答できない」としか語らなかった。 (2004-032603)

4・2・4・2 SLBM

4・2・4・2・1 北極星-3/-4

 北朝鮮が10月10日に行った閲兵式で公開した2種類の新型戦略ミサイルのうち、北極星-4と書かれた新型SLBMは、サイズは北極星-3 (KN-26) と同じであるが、射程は1,900km以上に延びていると見られる。
 ただ、グァム、ハワイや米西海岸を攻撃できないと見られる。 (2011-101010)

 SLBM 3発を搭載するRomeo改級3,000t級SSBの二番艦は北極星-3 SLBMを3発搭載する。
 北極星-3は2019年10月の発射試験で飛距離450km、到達高度910kmであったことから射程は2,000kmと見られている。
 北朝鮮は10月10日に北極星-4を公開しているが、北極星-4の射程や搭載能力は北極星-3を凌ぐと見られる。 (2101-111801)

4・2・4・2・2 3,000t級新型潜水艦

 韓国の国家情報院が5月6日、北朝鮮の潜水艦建造基地の咸鏡南道新浦造船所でSLBMの発射に使用される水中射出装置が確認されていると明らかにした。
 これは北朝鮮がSLBMの開発を加速化していいることを示唆する。
 水中射出装置は3,000t級の新型潜水艦用と見られる。 (2006-050702)

 韓国国家情報院が韓国国会情報委員会への報告で8月20日、北朝鮮で豊渓里、東倉里に特異動向はないが新浦造船所は違うらしいとして、新型潜水艦の建造が完了したとの見方を明かした。
 北朝鮮は新浦でSLBMの搭載が可能な3,000t級新型潜水艦を建造していたが、この艦が完成したことを意味する。
 国情院は、従来のRomeo型 (1,800t) を改造して建造したものとみられるが、進水がいつになるか動向はキャッチされていないという。
 国連安保理の北朝鮮制裁委員会専門家パネルは2020年4月に最終報告書で、新浦造船所でSLBM発射用3,000t級新型潜水艦を3隻同時に建造できる大型施設が観測されたと指摘している。
 従来の新浦型潜水艦は2,000t級でSLBMを1発しか搭載できなかったが、3,000t級潜水艦は3~4発のSLBMを積むことができ、韓国だけでなく米国を狙った「戦略的挑発兵器」に挙げられている。 (2009-082103)

 韓国情報機関の国家情報院が11月3日に行われた国会情報委員会の国政監査で、北朝鮮がSLBMを搭載する潜水艦を新たに2隻建造していることを明らかにした。
 国家情報院は、建造中のうち1隻は既存のロメオ級 (1,800t) の改良型で、もう1隻は新型の中大型潜水艦だとして、具体的な仕様は分析中だという。 (2012-110303)

 韓国が11月3日に非公開で開いた会同で国家情報局 (NIS) が、北朝鮮が2019年7月に公開したRomeo改級通常動力型SLBM搭載潜水艦 (SSB) の2倍のBMを搭載できるSSBを建造していることを明らかにした。 このSSBは排水量4,000~5,000tでSLBMを6発搭載できるという。
 またSLBM 3発を搭載するRomeo改級3,000t級SSBの二番艦はほぼ完成しているという。 Romeo改級は北極星-3 SLBMを3発搭載する。 (2101-111801)

4・2・4・3 ASBM

 韓国上層部は北朝鮮が対艦弾道弾 (ASBM) を開発している可能性があるとみている。
 韓国ADDの第1部長が8月14日に開かれたセミナで、米空母や駆逐艦の接近を拒否するため、北朝鮮がASBMの開発を進めていると考えていると述べた。 (2010-082604)
4・2・5 巡航ミサイル

4・2・5・1 LACM

特記すべき記事なし
4・2・5・2 ASCM

短距離 ASCM

 韓国軍が、北朝鮮が4月14日朝に日本海に向けてCMとみられる飛翔体数発を発射したと発表した。
 韓国軍関係者によると、発射されたのは14日07:00過ぎから07:40までの間で、150kmあまり飛行したという。
 また、北朝鮮のSukhoi戦闘機からASMが発射される動きも確認されたという。 (2005-041402)

 北朝鮮が4月14日07:00に短距離ASCMの連射による発射試験を行い、150km飛翔した。
 韓国合同参謀本部はこのASCMを2017年6月8日に発射されたものと同型と見ている。
 北朝鮮は2017年4月15日に行われた閲兵式で、ロシアの3M24 ASCMの北朝鮮型と見られるTELを登場させている。 3M24は3K60 Balと似た沿岸配備に適合させたASCMで終末誘導はアクティブレーダとIRホーミングで行われる。 (2006-042203)

4・2・6 その他の兵器

 特記すべき記事なし
4・2・7 サイバ攻撃

4・2・7・1 サイバ戦態勢

 8月18日のRFA(自由アジア放送)によると、米陸軍が7月末に米軍の対北対応作戦指針を扱った報告書を発刊し、北朝鮮の電子情報戦すなわちサイバ攻撃の深刻性を強調したと伝えた。
 報告書は、北朝鮮のサイバ戦指導部隊である121局傘下に4つのサイバ戦組織があり、6,000人以上のハッカーが海外で活動していると推計している。
 組織員らは主に東欧国家のベラルーシをはじめ、中国やインド、マレーシア、そしてロシアなどに広く分布しており、社会的混乱が主な目的のラザルス(The Lazarus Group)と、敵から情報を収集するアンダリエル(The Andarial Group)、金融サイバ犯罪を指揮するブルーノロフ(The Bluenoroff Group)、そして北朝鮮内には電子妨害連隊(Electronic Warfare Jamming Regiment)があると説明している。 (2009-081802)
4・2・8 NLL 付近での動き

 特記すべき記事なし
4・3 韓 国

4・3・1 国内情勢

4・3・1・1 政権基盤

 特記すべき記事なし
4・3・1・2 対北朝鮮姿勢

国連総会で終戦宣言を提案

 韓国の文大統領が9月22日に国連総会の基調演説で終戦宣言を提案したことをめぐり、米国国務省が「北朝鮮に対する統一された対応」を求めた。
 グリーン元大統領府補佐官は「韓国大統領が国連でこれほど米国政府の立場から大きく外れた演説をするのを見たことがない」と批判した。 (2010-092403)

終戦宣言を希望

 訪米中の徐韓国大統領府国家安保室長が10月15日にポンペオ米国務長官と会談したのち特派員らに、北朝鮮の非核化と終戦宣言が切り離せないというのは常識と語った。
 徐室長は、「米国は非核化の進展が担保されていない終戦宣言を支持するだろうか」という議論に対して、終戦宣言は非核化と結びついているとの考えを示した。 (2011-101704)

対北朝鮮ビラ禁止法(南北関係発展法)

 韓国の崔外交部第一次官が12月18日、国連や米国など国際社会が批判に対抗して対北朝鮮ビラ禁止法(南北関係発展法)を批判しているのに対して、南北境界地域120万人の住民の生命を守るための最小限の措置と述べ擁護し、康外交部長官が前日に「表現の自由は絶対的な権利ではない」と述べたのに続き、対北朝鮮ビラ禁止法の防御に向けて総力戦を見せた。
 しかし米国議会は2021年1月の新会期開始と同時に公聴会を開くと予告しており、対北朝鮮ビラ禁止法がバイデン政権の発足当初に米韓間の衝突につながる可能性が高まっている。 (2101-121903)

4・3・2 国防予算

7.4%増の2020年国防費

 韓国国防省が2019年12月11日、2020年の国防費をKRW50.15T ($42B) と発表した。 これは2019年度比で7.4%増で、GDPの2.5%を占める。
(2002-121813)

COVID-19感染症対策のための減額

 韓国政府がCOVID-19感染症対策のための第3次補正予算で、必要な財源を確保するため国防予算を更に減らす方針という。
 企画財政部や国防部などによると、第3次補正予算で国防予算をKRW700Bほど追加削減する案が浮上している。 第2次補正予算でのKRW1.5T(1,315億円)削減に続いて第3次補正でKRW700Bが追加で削減されると、合わせてKRW2.2Tも国防予算が減る。
 KRW50.2Tだった今年の国防予算では、F-35A (KRW300B)、海上作戦ヘリ (KRW200B)、Aegis艦 (KRW100B) などが盛り込まれていた。 (2006-051202)

 韓国国防部が6月3日、COVID-19による経済的な打撃からの立ち直りのため編成中の第3次補正予算案で、国防予算がKRW297.8B(266億円)減額されることを明らかにした。
 2020年の国防予算は初めてKRW50Tを上回ったが、第2次補正予算でKRW1.4758T削減したのに続き、第3次補正予算でも国防予算の3.6%を減額することになる。 (2007-060304)

5.5%増の2021年度予算案

 韓国国防省が9月1日に2021年度予算案を発表した。 前年度比5.5%増のKRW52.91T(約4兆7,000億円)で、2年連続でKRW50T台となった。
 韓国の国防予算は2005年度にKRW20.8Tだったが、2011年度にKRW30T、2017年度にKRW40Tを突破している。
 自主国防を掲げる文政権は2017年5月の政権発足以降、国防費を急増させており、2021年度予算でも国防力強化を鮮明に打ち出した。 (2010-090107)

 韓国国防省が9月3日、2021年度の国防費に前年当初予算のKRW50.15Tより5.5%多いKRW52.92T ($44.6B) を要求した。 ただ2020年予算はCovid-19パンデミックにより2度にわたり削減され、最終的にKRW48.9Tであった。
 物品購入及びR&D費は2.4%増のKRW17.73Tで、主な装備購入はF-35、K2 MBT、KDX-Ⅲ駆逐艦、玄武シリーズBMなどで、前年より8.5%増のKRW4.24TのR&DはKF-X及び新型潜水艦の開発に当てられる。 (2011-091612)

4・3・3 軍備増強

4・3・3・1 防空/BMD戦力

4・3・3・1・1 装備の導入

 韓国の国防部が8月10日、2021~2025年の国防中期計画を策定したと発表した。 中期計画によると、2021年からの5年間にKRW300.7T(26兆8,200億円)を投入する。
 2020年度KRW50Tを超えた国防予算は2024年にはKRW60Tを突破し、年平均の増加率は6.1%となる。
 ミサイル戦力を大幅に強化するとともに、迎撃するシステムも高度化する。ミサイル探知距離が拡大したBMEWRとAegis艦搭載レーダでミサイル探知能力を現行の2倍以上に強化する。
 PAC-3と2020年末に戦力化するKM-SAM Cheolmae-2の改良型を追加配備し、長期的にはKL-SAM量産に着手して、現在の約3倍の迎撃ミサイルを保有することになる。
 北朝鮮の長距離砲から首都圏と重要施設を防衛するため、いわゆる韓国型Iron Domeを2020年代後半にも戦力化する。 (2009-081002)
4・3・3・1・2 国内開発

KM-SAM

 韓国DAPAが4月28日、国産中距離SAMであるKM-SAM Block-1の量産システムが空軍へ配備されたと発表した。
 2013年に量産が開始されたKM-SAM Block-1は全長4.6m、最大速度Mach 4.5、最大射程40km、最大射高15~20kmで、価格はKRW1.5B ($1.2M) である。
 2017年6月に量産を開始したBlock-2は最大射高20kmでBM撃墜を狙う直撃方式の迎撃弾で、2017年6月上旬に試験が行われている。 (2005-042801)

 韓国DAPAが4月28日、空軍へのKM-SAM Block 1の引き渡しが完了したと発表した。
 全長4.6mのコールドロンチ(発射機から放出された後に点火される方式)弾であるKM-SAM Block 1の射程は40kmで射高は20,000m、最高速度はMach 4.5である。
 韓国はまた2017年6月に、KM-SAM Block 2の量産を開始したと発表している。
 Block 2はBMを高度20,000mで撃墜する直撃方式弾である。 (2007-050608)
天弓-2 (KM-SAM Ⅱ)

 韓国の防衛事業庁が11月26日、国内の技術で開発したATBM 天弓-2(KM-SAM Ⅱ)が韓国軍に納入され初配備されたことを発表した。 天弓-2の量産は2018年から進められていた。
 天弓-2は国防科学研究所で2012年から開発が進められ、数多くの試験発射で100%の命中率を記録し、2017年に戦闘用として適しているとの判定を受けた。
 発射試験ではMach 4.5で飛翔して40km遠方の標的機に命中した。 (2012-112604)

 韓国防衛事業庁が11月26日、天弓-2(KM-SAM Ⅱ)ATBMの軍への納入を今月開始したことを明らかにした。
 韓国軍はこれに射程40kmで航空機を撃墜する天弓-1中距離SAMの量産を2015年に開始し、4月までに引き渡しを完了している。
 11月に引き渡しを始めた天弓-2は天弓-1改良型でATBM機能も追加した。
 天弓-2が配備されれば、韓国はPatriot(高度20km前後)、天弓-2(高度30km前後)、THAAD(高度50~150km)で三層のBMD組織を備えることになる。 (2012-112607)

LSAM

 韓国DAPAが2019年12月4日、北朝鮮のBM脅威に対抗してBM撃墜能力を持つSAMであるL-SAMを開発すると発表した。
 L-SAMの開発はKRW970B ($814.3) かけて2024年まで行われる。
 L-SAMはBMを高度50~60kmの終末弾道段階で撃墜するという。   (2002-121102)

 韓国ADDが開発しているL-SAMの詳細を明らかにした。
 2019年12月に開発開始が公表されたL-SAMは2024年に開発を完了する計画である。
 L-SAMに2弾種あり、そのうちの一弾種はKM-SAMと似た形状で高高度飛行目標を150kmで撃墜する。
 ミサイルはデュアルパルスロケットで推進しKM-SAM同様に大きな翼を持つ。
 二段構造のもう一種類はBMD用で、距離150km、高度40~100kmでBMを撃墜する。
 第一段目は対航空機用と同じデュアルパルスロケットで、THAADと同じ方式のKVを放出する。
 L-SAM中隊はMFR 1基、指揮統制センタ1基、戦闘指揮所1基、車載発射機4両からなる。 (2011-091613)

航空機搭載レーザ兵器

 韓国軍が、北朝鮮のBMを発射直後の上昇段階で迎撃するシステムを開発していることが9月20日に確認された。
 中長期的には航空機搭載レーザ兵器により北朝鮮のBMを上昇段階で迎撃するシステムも開発する計画である。
 軍消息筋によると、北朝鮮のBM発射を24時間監視するUAVが発射を探知しその情報をKF-Xに伝え、KF-Xが迎撃ミサイルを発射する方式で、米国との共同開発も進めていることを明らかにした。 (2010-092106)

4・3・3・1・3 首都防空の強化

 政府消息筋が1月7日、韓国軍がソウルの青瓦台付近にある北岳山にBMなどを迎撃するPatriotを配備したことを明らかにした。 配備されたのはPAC-2とPAC-3とされる。
 対空砲などが配備されていた陣地にPatriot部隊を配置したとみられる。 (2002-010705)

 聯合ニュースが1月7日、韓国軍が慶尚北道に配備していたPatriot部隊をソウル中心部に陣地変換すると報じた。
 陣地変換されるのはPAC-2/3部隊と見られる。 (2003-011510)

4・3・3・1・4 清州基地の防空強化

 韓国軍が、北朝鮮の新型BMや超大型MRLの第1標的に浮上しているF-35を配備した清州基地に、PAC-3を緊急配備していた。
 韓国では現在までに、全土に10ヵ所ある空軍基地のうちPatriotが配備されているのは半分以下で、ミサイルの弾数も有事に必要な量に遠く及ばず、対北戦略打撃能力の核心である韓国空軍基地の大部分が北の新型ミサイルやMRLの脅威に無防備な状態で露出していると指摘する声がある。 (2005-040104)

 韓国空軍が4月1日、F-35を配備する清州空軍基地にPAC-3 1個中隊を配置した。 (2006-041503)

4・3・3・1・5 C-RAM システムの開発開始

 韓国国防省が8月10日に公表した2021~2025年の中期国防計画で、主としてソウル首都圏を防護するC-RAMシステムを開発することを明らかにした。
 聯合ニュースは2017年10月に、2020年代末か2030年代初期に配備するC-RAMシステムを開発すると報じていた。 (2010-081903)
4・3・3・2 海軍力

4・3・3・2・1 空 母

大型輸送艦Ⅱ計画を軽航空母艦計画に変更する検討

 韓国政府と韓国軍が、これまで推進してきた大型輸送艦Ⅱ計画を軽航空母艦計画に変更する案を積極的に検討していることが8月4日までに分かった。
 このために、当初は2033年ごろ進水する予定だった30,000t級多目的輸送艦と、これに搭載されるF-35Bについて、配備時期を2~3年ほど前倒しする案を推し進めている。 (2009-080502)

・排 水 量 : 30,000t

・搭載機数: F-35B×12機、ヘリ等×8機

・就役時期: 2032~2033年

2021~2025年の国防中期計画で公式化

 韓国の国防部が8月10日、2021~2025年の国防中期計画を策定したと発表した。 中期計画によると、2021年からの5年間にKRW300.7T(26兆8,200億円)を投入する。
 2020年度KRW50Tを超えた国防予算は2024年にはKRW60Tを突破し、年平均の増加率は6.1%となる。
 30,000t級の軽空母計画も公式化し、2021年から基本設計に着手して2030年代前半の戦力化を目指す。
 2019年の中期計画では多目的大型輸送艦の建造としていたが、中国や日本など周辺国の海軍力強化を受け、海上の軍事基地の役割を担わせる狙いとみられる。
 国防部が公開した完成予想図をみると軽空母は米軍の強襲揚陸艦Americaに似た外観になるとみられF-35B約10機の搭載が可能とされる。 (2009-081002)

 30年前から話ばかり何度も出ていた韓国の空母建造計画が8月10日に発表された2021~2025国防中期計画で初めて公式化された。
 韓国が2030年代初めの配備を構想している空母は30,000t級の軽空母で、F-35B 10機とヘリコプタなどを搭載すると予想される。
 中国と日本の空母が韓国周辺海域で活動することになれば韓国海軍は萎縮するほかはないという主張が、北朝鮮を主に相手にする韓国軍に空母の戦略的効果は大きくないという反対論を押さえた。(2010-090601)

軽空母の建造を要求

 韓国統合参謀本部当局者が10月8日、次世代軽空母の建造を要求したことを明らかにした。
 軽空母の建造は2021~2025年中期防衛計画に挙げられていることから、計画は早ければ2021年にも開始される。
 計画されているのは現在LPX-Ⅱとして計画が進められている30,000~35,000tの軽空母で、F-35B 20機が要求されている。
 基本設計に3年、詳細設計と建造に7年は必要なため、引き渡されるのは早くても2031年になると見られる。 HHI社は2019年10月に軽空母の概念設計を受注している。 (2012-101403)

2021年予算では非査定

 12月2日に確定した韓国の新年度予算では、文大統領の公約である軽空母建造のためのKRW10T(9億5,000万円)台にのぼる要求はKRW100Mしか査定されず、DAPAが事業妥当性の研究もきちんと行っていない状態で無理に予算要求したが予算編成当局である企画財政部から削られた。
 韓国軍からは十分に議論してもいない軽空母事業を無理に掲げてきたのではないかという指摘が出ている。 (2101-120401)

計画を中期計画に格上げ

 韓国合同参謀本部が12月30日に、長期計画として進めていた軽空母建造計画を中期計画に格上げし、2030年代初期までに就役することを目標に具体的な建造計画を立てることにした。
 また垂直離着陸戦闘機の推進を確定させ、空母に艦載戦闘機20機を導入することも決めた。 (2101-123101)

4・3・3・2・2 潜水艦

KSS-Ⅲ Batch-Ⅰ 3,000t級潜水艦

 韓国で開発された2隻目の3,000t級の潜水艦安武が11月10日午後、巨済島の大宇造船海洋玉浦造船所で進水した。
 安武は2018年9月に進水したKSS-Ⅲ Batch-Ⅰの2番艦で、全長83.3m、幅9.6mで、水中速力20kt以上の性能を持ち、SLBMの垂直発射管を6基装備している。 (2012-111004)

 韓国DSME社の玉浦造船所で11月10日、KSS-Ⅲ SSKの二番艦が進水した。
 韓国はKSS-Ⅲ 9隻の建造を計画していて、一番艦は2018年9月に進水しており、6月にはHHI社で三番艦が起工している。
 AIPを装備するKSS-ⅢはCheon Ryong対地ミサイルを発射するVLS 6基と、白鮫魚雷を発射する533mm魚雷発射管8本を装備し、水中速力20kt、水上速力11ktと、8kt航行で10,000nmの航続距離を有する。 (2101-111811)

KSS-Ⅲ Batch-Ⅱ 3,600t級潜水艦

 韓国DAPAが9月24日、KSS-Ⅲが装備するリチウムイオン電池の試作を9月中に開始し1Q/FY2021に試験を完了すると発表した。
 リチウムイオン電池を装備するのは2026年に一番艦が就役する2次生産KSS-Ⅲ 3,600t級の3隻で、今後5年以内に建造が開始される4,000t級の3次生産KSS-Ⅲも装備する。
 今日、潜水艦にリチウムイオン電池を採用しているのは海上自衛隊のそうりゅう型11番艦と12番艦だけである。 (2012-100709)

KSS-Ⅲ Batch-Ⅲ 4,000t級潜水艦

 韓国の国防部が8月10日、2021~2025年の国防中期計画を策定したと発表した。
 中期計画によると、2021年からの5年間にKRW300.7T(26兆8,200億円)を投入する。 今年度KRW50Tを超えた国防予算は2024年にはKRW60Tを突破し、年平均の増加率は6.1%となる。
 4,000t級の潜水艦の建造計画も初めて公開された。 現在は3,000t級の次世代潜水艦の建造事業進められているが、4,000t級の潜水艦ではSLBMなど武装も大幅に強化される。 (2009-081002)

原子力潜水艦

 韓国国防部は8月10日、2021~2025年国防中期計画を発表した。
 原子力推進機関搭載の可能性も取り沙汰されている4,000t級潜水艦を建造する計画を明らかにした。 原子力潜水艦は文大統領の選挙公約でもある。
 韓国大統領府の金国家安保室第二次長は7月、米韓ミサイル指針改正発表の直後、次世代潜水艦は核燃料を使うエンジンを搭載する潜水艦だと発言している。
 また米韓原子力協定と原子力潜水艦は別個で、全く関連がないとも語った。 (2009-081101)

4・3・3・2・3 駆逐艦

KDDX

 GE社が2月28日、Hanwha社と韓国が6隻の建造を計画している次世代駆逐艦KDDXが搭載する電気推進装置の製造で提携すると発表した。 (2005-031110)

 韓国政府が4月27日、次期駆逐艦KDDX 6隻が装備する戦闘システムを承認した。
 開発経費はKRW670B ($546M) で、最初の契約はQ4/2020に行われ2030年に完了する計画である。
 LIG Nex1社とHanwha社は既に、KDDXが搭載する多機能レーダで競争する意思を示している。 (2007-050610)

 韓国DAPAが5月29日に次世代駆逐艦KDDXの基本設計実施社の募集を公式に開始した。 7月20日までの応募を求めている。 KDDXの基本設計は2023年下半期に完了し、2024年に建造を開始する。
 BMKDDXのの捕捉のほか、対水上、対空、対地戦闘を行う戦闘システムを国内開発することは4月27日に決定しており、開発費をKRW670B ($546M) としていて4Q/2020に契約し2030年完成を計画している。
 KDDXの多機能レーダ開発には既にLIG Nex1社とHanwha社が名乗りを上げている。 (2008-061008)

 韓国で総額KRW7.8T(6,900億円)にのぼる次期駆逐艦 (KDDX) の戦闘システムの提案が7月30日に締め切られた。
 軍消息筋は8月2日、ハンファシステムとLIGネクスワンが提案書を国防科学研究所に提出したとし、優先交渉対象者は早ければ来月始めにも決まるとの見通しを明らかにした。
 KDDXは2020年代末から2030年代半ばにかけて6隻が建造される、国産戦闘システムを備えた韓国海軍で初となる6,000t級のステルス駆逐艦で、中国や日本のAegis艦などに対抗する韓国の水上艦の主力戦力として、海軍機動艦隊の3個機動戦団に2隻ずつ配備される。 (2009-080301)

 Hanwha社が韓国ADDと次期駆逐艦KDDX搭載戦闘システム (CMS) 及び多機能レーダ (MFR) 開発の最終優先交渉対象社に選ばれたと明らかにした。
 計画の規模はKRW670B(600億円)で、国内戦闘システム開発事業では最高額という。 (2010-091603)

 Hanwha Systems社が韓国の次期駆逐艦KDDXが装備する戦闘システムとレーダの開発担当に選定された。
 KDDXではI-MSTにS-bandとX-bandのMFRが装着される。
 同社は10年前からFFX Batch-Ⅲ次世代フリゲート艦にI-MSTを搭載し、現在試験が行われている。 (2011-093011)

KDX-1 の近代化改修

 韓国DAPAが9月9日、2000年7月1日に就役したKDX-1駆逐艦Yang Manchunが最初の近代化工事が完了し、同艦が現役に復帰したと発表した。
 近代化はセンサ類と指揮装置 (CMS) が中心でCMSの換装ではデータの処理量が3倍に増え、処理速度が10倍になったという。
 また曳航式ソナーも換装された。 (2011-092309)

4・3・3・2・4 フリゲート艦/コルベット艦

FFX-Ⅱ

 韓国海軍が8隻建造するFFX-Ⅱフリゲート艦の4番艦が、4月21日に蔚山にあるHHI社の造船所で進水した。
 全長122.1mのFFX-ⅡはMk 45 Mod4 127mm砲1門と、20mm CIWS 1基を装備している。
 DSME社で建造された1番艦は2018年3月に就役し、2番艦は2019年6月21日に進水している。 同社は5番艦と6番艦の建造を進めている。 3番艦と4番艦はHHI社で建造され、同社は7、8番艦も受注している。 (2005-042903)

FFX-Ⅲ

 現代重工業 (HHI) が3月16日、防衛事業庁 (DAPA) と計4,000億ウォン(350億円)の蔚山級Batch-Ⅲ (FFX-Ⅲ) の詳細設計と一番艦建造を受注したと発表した。
 FFX-Ⅲは海軍が6隻計画している3,500t級新型フリゲート艦で、2024年に納入する計画である。
 新型フリゲート艦は全長129m、幅15m、排水量3,500tで、速力30ktの性能を持つ。
 四面固定式型のMFRを装備し、従来の蔚山級フリゲート艦に比べ対空防御能力を強化している。 (2004-031603)

 韓国DAPAが3月16日、FFX Batch Ⅲフリゲート艦をHHI社にKRW400B ($325M) で発注したと発表した。
 FFX Batch Ⅲは全長129m、幅15m、排水量3,500tで、速力30ktの性能を持つ。
 四面固定の多機能マルチファンクションレーダを装備する計画で、2024年に引き渡される。 (2005-032507)

4・3・3・2・5 哨戒艦艇

PKX-B 高速哨戒艇

 韓国政府が、高速哨戒艇PKX-Bで起きたエンジントラブルについて調査を開始した。
 事故は5月13日に同級艇の1隻で通常の整備中に起き、壊れたシリンダーヘッドがカバーを突き破った。 その後調査したところ同級艇の3隻でも同様のトラブルが発見された。
 韓国はHHIC社に同型艇を16隻発注しており、2019年暮れには更に4隻が進水している。
 PKX-BはGE社製LM500ガスタービンエンジン2基と、Caterpilar社製C32ディーゼルエンジン2基を搭載している。 (2007-052706)

4・3・3・2・6 揚陸艦艇

LSF-Ⅱ LCAC

 韓国DAPAが12月10日、韓進重工 (HHIC) にLSF-Ⅱ LCAC 4隻をKRW316B ($264.5M) で追加発注した。
 90tのLSF-Ⅱは速力40ktで、157tの貨物または150名の兵員を運搬可能で、MBT 1両と兵員24名も搭載できる。 (2002-121809)
【註】LSF-Ⅱは韓進重工が開発建造したLCACで、1998年に米国からFMSでライセンス製造権を購入したLCACを元に開発されたと見られる。

4・3・3・2・7 その他支援艦艇

 特記すべき記事なし
4・3・3・2・8 UUV / USV

 韓国Hanwha社が6月22日、ADDからUSVのチーム制御技術開発をKRW19B ($15.6M) で受注したと発表した。
 同社は通信ネットワークとAIを活用した制御ソフトの開発にあたる。 (2009-080012)
4・3・3・2・9 艦載装備

CIWS の国内開発

 韓国が5月26日、将来FFX-Ⅱフリゲート艦やKDDX駆逐艦に装備するCIWSの国内開発を開始することを承認した。
 開発経費はKRW350B ($284M) で2021年に開発を開始して2030年に完了すると言う。 (2008-061004)

 韓国当局者が6月5日、将来FFX-ⅢやKDDXに装備する次世代CIWSの詳細を明らかにした。 開発は2021~2030年にKRW350B ($289M) かけて行われる。
 CIWS-Ⅱは30mmガトリング砲とAESAレーダを組み合わせたシステムで、レーダは国内開発するが、砲は現在韓国海軍が採用しているGoalkeeper CIWSと同じGAU-8/A Avenger 7銃身ガトリング砲になる。 (2008-061712)

ASBM 迎撃用 KVLS-Ⅱ の開発

 韓国上層部は北朝鮮が対艦弾道弾 (ASBM) を開発している可能性があるとみている。
 このため韓国は、韓国が開発したVLS (KVLS) を改良してBMに対して終末段階での迎撃をさせようと、DARPAが8月14日に57ヶ月とKRW699.86B ($590.68M) をかけたKVLS-Ⅱの開発を開始した。 (2010-082604)

C4Iシステムの換装

 韓国DAPAが9月7日、KRW147.2B ($124M) かけて行ってきた海軍のC4Iシステムの換装が完了したと発表した。
 新システムにより従来4つの別々の装置で行ってきた情報処理が1個の装置で済むようになると共に性能も3倍になったという。 (2011-091609)

4・3・3・3 航空戦力

4・3・3・3・1 F-35 の導入

 総額KRW51.15T ($44B) の2020年韓国国防費のうちKRW1.79TがF-35購入費になっている。 (2002-122304)

 韓国政府筋が7月23日、2021年から5年間にKRW4Tを投じて推進する 第二次の次世代戦闘機 (FX)計画でF-35Aに替えてF-35Bの導入を検討していることを明らかにした。
 これは海軍の軽空母の建造計画により、艦載機用戦闘機が必要という軍内外の主張が反映されたことによる。
 韓国軍は2014年に確定した第一次FX計画により、KRW7Tを投じて40機のF-35Aを2021年までに装備する。 (2008-072403)

 韓国軍が次世代戦闘機 (FX) 第2次導入の規模を当初の計画の2倍に増やし、軽空母に搭載するSTOVL機も導入することにした。 必要経費はKRW8T (7,120億円) になると推算される。
 複数の軍消息筋によると、追加導入するF-35を当初の20機から2倍の40機に増やし、そのうち軽空母に搭載するF-35Bを20機を先に導入して、その後F-35A 20機を追加を導入する。 (2009-082501)

4・3・3・3・2 KF-X の開発

段階開発

 KAI社が、2022年の初飛行を目指しているKFXのロールアウトは2021年4月になることを明らかにした。 その後試作機Block 0 6機で試験を行い2026年中頃に開発を完了する。
 次いで初期の量産型であるBlock 1を2026~2028年に生産し、完全な空対空/空対地能力を持つBlock 2の量産は2029年に開始される。 (2008-070607)

 KF-Xは段階開発され、6機製造されるBlock 0は4年間の試験に使われて2026年中頃に試作を完了する。
 2026年~2028年に生産されるBlock 1は空対空戦闘のほかに限定的な対地攻撃能力を持ち、2029年以降に生産されるBlock 2から完全な対空/対地能力を持つようになる。 (2009-071502)

試作機の状況

 総額KRW51.15T ($44B) の2020年韓国国防費のうちKRW1.40T ($1.19B) がKF-X開発に向けられる。 KF-Xは2026年末に1号機が納入される。 (2002-122304)

 KAI社が6月11日、KF-Xの試作はCOVID-19パンデミックの影響なく計画通り進んでおり、2021年にロールアウトすることを明らかにした。 (2008-062405)

 韓国Fly Togrther誌が泗川市にあるKAI社の施設で組み立て中のKFXの画像を公開した。 KF-X 1号機は2021年4月ロールアウトし、2022年に初飛行する計画である。
(2009-071502)

 韓国が18年間にわたり開発を続けてきたKF-Xの組み立てが開始され、3月に撮影されたその写真が公開された。 KAI社は写真が試作一号機のものか、静荷重試験用のものかは明らかにしなかった。
 KAI社によるとKF-Xは自重の13%がCFRP製で、CFRP部品は導体外殻、フラッパロン、尾翼、昇降舵、後部胴体に及ぶという。
 KF-Xは2021年4月にロールアウトする予定である。 (2010-081704)

 韓国DAPAが9月3日、KAI社がKF-Xの最終組立を開始したと発表した。
 ロールアウトは2021年上半期、初飛行は2022年に計画されており、2026年には開発を完了する計画で、韓国軍が120機装備する計画である。
 MTOW 25,580kg、速力Mach 1.83、搭載能力7,700kg、航続距離2,900kmのKF-Xは段階開発され、試作機であるBlock 0で4年間の飛行試験が行われたのち、2026~2028年に最初の量産型Block 1が生産され、2029年から量産されるBlock 2で空対空/空対地の完全な能力を備える計画である。 (2011-091605)

イスラエルの計画関与

 イスラエルElbit社が2月6日、韓国のKF-Xが搭載する地形追随/地形回避 (TF/TA) 装置の開発でHanwha社と6年間、$43Mの契約を結んだと発表した。 (2003-021007)
 2023年の飛行試験に向けイスラエルと開発が進められている韓国のKF-X搭載レーダは量産型の試作が行われており、開発は50%完了したという。 (2006-040606)

 韓国DAPAが、ADDが8月7日に次期戦闘機KF-Xが搭載するAESAレーダを披露する式典を行ったことを明らかにした。
 このレーダはHanwha社が2016年に受注して、イスラエルのElta社の支援を受けて開発しているもので、同時に1,000目標以上の捕捉追随ができる。
 今後、KF-Xの試作1号機に搭載した試験に向け、更なる地上試験を行う。 (2009-080707)

 韓国ADDが8月7日、KF-Xに搭載するAESAレーダの試作品を発表した。
 このレーダはElta社の協力でHanwha社が開発しており、1,000目標以上を同時に追随できる能力を有する。 (2010-081914)

F414-GE-400K エンジン

 KAI社がKF-X搭載用としてGE社に15基発注したF414-GE-400Kエンジンの1号機が5月に納入された。 15基は試作6機用12基と補用品としての3基である。
 韓国空軍は120機のKF-Xを装備する計画であるため、F414-GE-400KにはKF-X搭載用240基と補用品の発注が見込まれている。 (2007-060503)

インドネシアの動き

 韓国の次世代戦闘機KF-Xで共同開発国になっているインドネシアが、自国の技術者を韓国から帰国させた。
 COVID-19感染の余波を理由に挙げているたが、インドネシアが関連分担金を滞納している状況と重なり、事業に支障が生じるのではという懸念が強まっている。
 防衛産業業界によると、KAI社に派遣されたインドネシアの技術者110人が3月に、韓国国内でCOVID-19の感染が広がったため帰国指示が出て帰国した。 ただ、COVID-19事態が小康状態に入れば、6月末には韓国に戻るという意向を伝えたという。
 インドネシアはKF-X開発費の20%を負担することにしたが、2019年初め以来滞納した状態にある。 (2007-061101)

 韓国の次世代戦闘機KF-Xの共同開発国であるインドネシアは開発の分担金の支払いが遅れている上、別の戦闘機に目を向けており、計画から離脱するのではという懸念が出ている。
 オーストリアの日刊紙が9月6日、同国国防相が自国空軍のEurofighter Typoonをインドネシアに販売する交渉が進めていると公式発表した。
 インドネシアのプラボウォ国防相は7月、オーストリアのタンナー国防相に書簡を送り、Typhoonの購入に関心があると明らかにした。 (2010-090805)

 インドネシアが韓国とのKF-X開発における分担金の値下げ交渉に失敗した。
 元々は開発費の60%を韓国政府が、20%をKAI社が残りの20%をインドネシアが負担することになっていた。
 インドネシアはこの負担額を15%にまで下げるよう交渉していたが、結局18.8%にまでの減額にしかならなかった。 (2011-091614)

 韓国の代表がKF-X共同開発問題でジャカルタを訪問し交渉を行った。
 インドネシアは開発経費の削減と負担額の比率を20%から15%に縮小することを求めていたが、結局19%への低減に終わった。 (2011-093005)

 韓国次世代戦闘機KF-Xの共同開発国であるインドネシアがDassaut社のRafale戦闘機を購入するというフランス側の報道が相次いでいるため、韓国政府および防衛産業界内外からは、インドネシアがKF-X事業から離脱するのではないかという声も上がっている。
 韓国軍内外からは、韓国単独でやっても十分な事業をいたずらに共同開発で進めたのではないかという指摘も出ており、韓国国防安保フォーラムの専門研究委員は「インドネシアの事業離脱に備えて独自のKF-X開発計画を樹立すべき」と語っている。 (2101-120802)

搭載武器

 韓国軍筋が5月28日、KF-Xが搭載する対地攻撃武器をGBU-12 Paveway Ⅱ、GBU-31/38 JDAM、GBU-54/56 Laser JDAM、GBU-39/B SDB-Ⅰ、CBU-105 WCMDに決めたことを明らかにした。
 空対空武器については2019年11月にMeteor BVRAAMとIRIS-T SRAAMに決まっていた。 (2008-061005)

4・3・3・3・3 T-50 / FA-50

FA-50 の戦闘能力向上

 韓国軍当局者が6月18日、ADDがKAI社製FA-50の航続距離延伸と戦闘能力向上を狙っていると述べた。
 韓国空軍はT-50 Golden Eagle高等練習機を元にしたFA-50 Fighting EagleをF-5E/F及びF-4Eの後継として既に60機装備している。
 FA-50はM61A2を元にしたM197 3銃身20mmガトリング砲を装備し、機外の7ヵ所にAAM、ASM、ロケット弾ポッド、爆弾などを搭載することができる。 (2009-070107)

TA-50 Block 2

 韓国DAPAが6月29日、KAI社にTA-50 Block 2 20機をKRW688.3B ($572.8M) で発注したと発表した。
 TA-50 Block 2は22機発注しているT-50 Block 1高等練習機にElta社製EL/M-2032射統レーダを搭載し、AIM-9 Sidewinder AAMやAGM-65 Maveric ASMを搭載できるようにしている。
 一方Janeは6月18日に、韓国ADDがFA-50 Fighting Eagle軽戦闘機の航続距離の延伸と戦闘能力の向上を目指していると報じている。 (2009-070804)

4・3・3・3・4 誘導爆弾の備蓄増

 韓国軍当局者が6月2日、韓国空軍がBLU-109 2,000-lb侵徹爆弾及びMk 84 2,000-lb通常爆弾に取り付けるGBU-31 JDAM 5,000キットをKRW470B ($386M) で購入する計画であることを明らかにした。
 最初の契約は12月に行われ2027年までに完納される計画という。
 2014年の韓国National Assembly報告によると、韓国空軍は備蓄しているGBU-31とGBU-39/B(SDB-Ⅰを開戦9日目と15日目に使用する計画という。 (2008-061709)
4・3・3・3・5 AEW&C 機と SIGINT 機の追加購入

 韓国DAPAが6月26日、DPPCが同日に韓国空軍向けにAEW&C機とSIGINT機を追加調達することを承認したと発表した。 調達数は明らかにされていない。
 AEW&C機は外国製で2021年に計画を開始し2027年に完了で、所要経費はKRW1.59T ($1.32B) と言う。 Boeing E-737 AEW&C Peace Eyeを装備している空軍は、同型機2機の追加装備を希望している。
 SIGINT機計画は2021年に開始し2026年に完了する。 空軍は現在Falcon 2000S 2機とHawker 800 Peace Krypton 2機の合わせて6機のSIGINT機を保有している。 (2007-062606)

 韓国が6月26日、ISTAR強化策としてAEW&C機とSIGINT機の増強を承認した。 計画は2021年にKRW1.59T ($1.32B) で開始される。
 AEW&C機は外国製機の購入で、機数は明らかにされていないが2011~2012年に4機購入したBoeing E-737を2機追加購入するとみられる。
 SIGINT機は韓国がFalcon 2000S 2機とHawker 800 4機を保有しているが、2019年10月にRaytheon社と大韓航空が韓国空軍向けにBombardier社製Global 6500を元にしたMulti-Int機を提案している。 (2009-070803)

4・3・3・3・6 小型武装ヘリ LAH

機種選定

 韓国は遅くとも8月までに攻撃ヘリの選定を行うが、候補にはAirbus社のH155を韓国仕様にしたLCH/LAHとKAI社が開発したSurionの海兵隊向け攻撃ヘリMUH-1が上がっている。
 これについて韓国国防省の分析評価部門はSurionが適していると評価しているが、韓国メディアはこれに対し疑義を表明している。 (2008-062902)

KAI社の LAH が暫定戦闘用適合の判定

 KAI社が小型武装ヘリコプタLAHのシステム開発に着手してから5年6ヵ月となる12月11日、防衛事業庁から暫定戦闘用適合との判定を取得したと発表した。
 暫定戦闘用適合とは、開発終了前に最初の量産に着手するための中間意思決定手続きをいうもので、後続試験評価を実施したのち「戦闘用適合」可否を最終判定する。 (2101-121103)

4・3・3・4 ミサイル

4・3・3・4・1 弾道弾

SRBM 量産移行

 韓国防衛事業庁が11月25日、SRBMを2025年までに量産に移行することなどを盛り込んだ計画案を決めた。
 2020年から2025年までに総事業費KRW320B(300億円)を投じて射程120kmで侵徹弾頭を搭載するSRBMを200発量産する。
 これにより北朝鮮軍が長距離砲を配備している坑道自体を破壊し、無力化することができるという。 (2012-112505)

玄武-4

 複数の韓国消息筋が5月7日、国防科学研究所 (ADD) が3月24日に射程800km、弾頭重量2tの新型BMである玄武-4(仮称)の発射試験を初めて行ったが、2発のうち1発は失敗したことを明らかにした。
 2発のうち1発は目標水域である離於島北方60kmの海面に落下したが、もう1発は不発だったという。
 玄武-4は2017年9月、それまで韓国製BMの射程を800km、弾頭重量を500kg以下に制限していた米韓ミサイル指針の弾頭重力制限を解除することに合意したことで開発が始まった。 (2006-050802)

 韓国が3月24日、射程800kmのTBMである玄武-4の発射試験を行った。 試験では2発の発射が試みられたが、1発は発射に失敗した。
 韓国は既に射程800kmの玄武-2Cを開発しているが-2Cは弾頭重量が500kgであるのに対し-4の弾頭は2,000kgである。
 2017年9月に玄武-4の存在が初めて報じられた際に軍将校が20mの鉄筋コンクリートを侵徹できると述べていた。 (2007-051802)

 韓国が、ミサイルの弾頭重量を規制していた米韓での合意を変更してから2.5年後となる3月中旬に、射程が800kmである玄武-4新型BMの発射試験を実施した。
 米韓は1979年にBM開発をしないとしていた合意を、1997年に弾頭重量500kg、射程300kmまでを許容する変更を行い、2012年に500kg、800kmに変更した。
 この変更で射程を500kmに抑えれば弾頭を1,000kg、300kmであれば2,000kgまで可能になった。
 更に2017年11月には射程が500kmであれば弾頭が4tまで可能になった。 (2007-052006)

 関連事情に詳しい政府筋が、3月に発射試験が行われた玄武-4(仮称)は地下バンカー破壊用として開発されたものであることを明らかにした。
 同筋によると、玄武-4は大気圏外の高度500~1,000kmまで上昇したのちにMach 10で降下し、弾着時の威力はTNT 1ktの戦術核並になるという。
 このため玄武-4の弾頭部の炸薬は少なくほとんどを重金属で満たしている。
 北朝鮮は朝鮮戦争が終了後、全国土を要塞化するとして、主に花崗岩地帯に6,000ヵ所以上の地下施設を建設している。 (2006-052902)

4・3・3・4・2 巡航ミサイル

超音速 ASCM

 韓国国防省当局者が3月下旬に、同国で艦上発射超音速ASCMの開発が間もなく完了すると述べた。
 開発中の超音速ASCMには潜水艦発射型もあり、開発中のKF-Xから発射する空中発射型の開発も進められているという。
 同ミサイルは3隻建造するKDX-Ⅲ駆逐艦二次建造分か、2030年代中頃または末に就役する次世代駆逐艦KDDXが装備すると見られる。
 また当局者によると韓国は2007年にロシアとP-800 (3M55) Oniks/Yakhont超音速ASCMの技術移転について交渉を行っているという。 (2006-042202)
【註】韓国の開発した(と称する)KM-SAMや玄武-3 SRBMなどの大型ミサイルは、KM-SAMがS-400の9M96弾と極めて類似の形状で、玄武-2BがIskander (SS-26) と全く同じ形状であることから、韓国ミサイルにはかねてからロシアの技術が大幅に導入されていることが覗える。

SSM-700K の射程延伸
 韓国ADDが4月下旬に、韓国で2005年から装備している射程150kmのSSM-700Kを射程200km以上に性能向上させる計画であることを明らかにした。
 この改良でSSM-700Kの射程はRGM-84L Harpoon Block Ⅱより同等の性能で長射程になるという。 (2006-050402)

 韓国DAPAが、2005年以来装備しているSSM-700K Haeseong ASCの改良を計画していることを明らかにした。 改良は2020年10月~2021年4月に行われるという。
 改良では現在150kmの射程を200km以上に伸ばすほか、対妨害性の向上やGPS航法の導入などが含まれるという。
 韓国はSSM-700KのほかにRGM-84L Harpoonも装備しているが、Harpoonの射程は124kmとSSM-700Kより短い。 (2007-051303)

4・3・3・4・3 その他のミサイル

 特記すべき記事なし
4・3・3・5 陸戦力

4・3・3・5・1 兵力の削減

 韓国国防省が2019年12月11日に発表した2020年の国防予算案では、韓国は2022年までに現在610,000である兵力を500,000にまで削減するとしている。 (2002-121813)
4・3・3・5・2 新装備の開発

K2 Black Panther MBT の変速装置国産化

 韓国はK2 Black Panther MBT開発から20年近く経つまでその変速装置を作れないでいたが、DAPAが7月3日にHyundai Rotem社に変速装置の国内開発を指示した。
 DAPAは、国産変速装置を2020年末までに発注する第三次量産分のK2に採用する方針である。 (2008-071411)

30mm SPAAG の量産開始

 韓国DAPAが6月27日、Hanwha社に30mm SPAAGの量産をKRW250B ($207.6M) で発注したと発表した。
 新型30mm SPAAGはHyundai Rotem社製K808 8×8車に30mmAAGを搭載したもので、2021年から配備して、韓国軍が未だに装備しているM167 20mm VADSと逐次換装される。 (2007-062902)

 韓国DAPAが6月27日、Hyundai Rotem社が開発した30mm双連SPAAGの量産をKRW250B ($207.6M) で発注した。
 この30mm SPAAGは2015~2019年にHyundaiがKRW55Bかけて開発したもので、30mm砲のと共にEO/IR装置を装備し、昼夜間の射撃ができる。
 新型30mmAASPGは2021年から納入され、韓国軍はいまだに装備しているM167 20mm Hyundai VADSと換装する。 (2009-070809)

K600 工兵戦闘車 (CEV) の量産開始

 韓国のHyundai Rotem社が2019年12月26日、K600工兵戦闘車 (CEV) の量産開始を受注したと発表した。
 K600 CEVはK1 MBTの車体を利用した工兵用戦闘車両で、契約額はKRW174.3B ($149.9M) で量産は2020年に開始される。 (2003-010810)

Rexton Sports 4×4車を指揮統制車当初分として600両

 韓国の自動車メーカSsangyong社がRexton Sports 4×4車を軍に指揮統制車の当初分として600両受注した。 (2008-062407)

120mm自走迫撃砲の量産開始

 韓国DAPAが9月9日、国内開発した120mm自走迫撃砲の量産が開始され、2021年から韓国陸軍が装備すると発表した。
 この自走迫撃砲はM113 APCと似た韓国が開発したK200A1装軌APCを元にしたもので、契約額はKRW770B ($648.5M) という。 (2010-090904)

 韓国DAPAが9月9日、国産の120mm自走迫撃砲 (SPM) の量産を開始すると発表した。 5年間にわたるKRW770B ($648.5M) の契約は4Q/2020に行われる。
 このSPMは重量1,400kg以下の120mm迫撃砲をK200A1 APC に搭載したもので、3分間の最大発射速度10発/分、持続発射速度3発/分、射程13kmの性能を持ち、初弾を30秒以内に発射できる。 (2011-092307)

K806 / K808 装輪装甲車の3次生産

 韓国Hyundai Reotem社が9月29日、陸軍向けにK806/K808装輪装甲車の3次生産をKRW407.7B ($348.6M) で受注したと発表した。 2023年までに納入される。
 K806/K808は2016年に1次生産、2017年に2次生産が発注され、それぞれ2018年と2020年までに納入されている。
 韓国陸軍は6×6で16tのK806を100両、8×8で20tのK808を500両要求している (2012-101411)

MUGV 多用途 UGV

 韓国Hyundai Rotem社が11月24日、緊急調達で陸軍向けに2両の多用途UGV MUGVを受注し、6ヵ月以内に納入すると発表した。
 受注したMUGVは全長2.7m、幅1.7m、高さ0.9m、自重1.6t、全備重量2tで、5.56mm軽機関銃を装備し、水冷式蓄電池とエアレスタイヤで路上40km/h、路外10km/hで走行する。
 5km/hでは6時間の走行が可能である。 (2012-113004)

Trophy APS と Armor Shield P パッシブ装甲の導入

 イスラエルRafael社が、韓国陸軍がK1A2 MBTとHyundai社製APC 600両に装備するTrophy APSとArmor Shield Pパッシブ装甲を供給する。
 Trophy APSは米陸軍のMBTやイスラエルのNamer重APCでも装備している。 (2101-120805)

4・3・3・5・3 既存装備の改良

K1 MBT の K1E1 仕様への改造

 韓国のHyundai Rotem社が2019年12月26日、K1E1仕様への改造を受注したと発表した。 K1の改良は3回目の契約で数量は公表されていないが、契約額はKRW68.4Bで2022年完納になっている。 (2003-010810)
【註】K1E1はC4Iシステムを追加したK1のベトロニクス (Vetronics: Vehicle Electronics) 強化型である。

 韓国がK1A2 MBTの能力向上を計画しており、6月から10月に具体的な改造内容を決定する。
 これに加えて国防省はK1A2に状況監視装置を搭載することや、ATMに対する抗堪性を高めるため装甲を取り替えることやAPSの搭載も検討している。 (2005-040602)

 韓国が2014年以来480両装備しているK1A2 MBTの改良を計画している。
 改良では状況監視装置の採用や装甲の換装と共に、運動性を高めるため懸架装置がK2 MBTと同じものに取り替えられる。 (2006-041508)

4・3・3・6 U A V

中期防衛計画の各種 UAV

 韓国国防省が2021~2025年中期防衛計画で、陸海空用の各種UAVの取得を謳っている。 (2009-081407)

MUAV

 MUAV MALE UAVは1Q/2021に量産を開始し、2025年までにGlobal Hawkと共に空軍第39偵察飛行隊に装備する。
 MUAVは全長13m、翼端長25m、高さ3mで、上昇限度は45,000ftである。

Stealth UAV

 韓国ADDは8月5日、初期設計段階にあるStealth UAVを公表した。 2021~2025年に開発が行われるという。

北朝鮮のハッキングに弱い韓国軍の UAV

 韓国軍の保有するUAV 600機について、北朝鮮のハッキングに弱いことが10月9日までに判明した。
 韓国軍は2021年から2025年までの国防中期計画で、最先端のUAVを装備して監視偵察や攻撃任務まで遂行させたいとしているが、北朝鮮のハッキングなど、UAVを無力化する攻撃への対策は整備されていない。 (2011-101003)

KUS-FC UCAV

 大韓航空がKUS-FCステルスUCAVを提案していたが、当時韓国空軍はISR用のステルスUAVを求めていたため、飛行試験の予算が着かなかった。
 この間韓国の開発庁ADDは2015年に縮小模型であるKaori-Xを飛行させていた。
 一方、大韓航空は2019年10月にソウルで開かれた航空防衛博にKUS-FCの模型を展示した。
 これは2011年の同博にKUS-Xとして展示したもの同じであったが、同年に空軍は2030年までにUCAVとして装備可能なことを要求するようになっていた。 (2005-032304)

KUS-FS MUAV

 韓国国防省当局者が3月上旬、陸軍がMUAV 10機を購入する計画であることを明らかにした。
 購入するのはKAL社が開発し、既に空軍が装備しているKUS FSで、経費はKRW488B ($402.7M) という。
 KUS FSは全長13m、翼端長25mのターボプロップ機で、上昇限度42,650ft、滞空能力24時間の性能を持つ。 (2007-050007)

EAV3 高高度長期滞空太陽光 UAV

 韓国航空宇宙研究院が、高高度長期滞空太陽光UAVのEAV3 が53時間連続飛行したと発表した。
 太陽光UAVによる世界最長飛行記録は2018年にAirbus社のZephyrが記録した26日連続である。
 高高度太陽光UAVは高度12km以上の成層圏で数ヵ月にわたり滞空し、人工衛星の機能を補う役割を目指している。 (2009-082702)

4・3・3・7 その他

港湾監視システム

 韓国が新たに国内開発した港湾監視システムの運用を開始する。
 ADDがLIG Nex1とKRW130B ($105M)かけて開発したシステムは、静音型潜水艦など従来より低雑音の水中目標の捕捉識別が可能という。 (2006-041509)

航空基地配備 ASR レーダ

 韓国DAPAが6月27日、スペインIndra社に航空基地に配備するASRレーダをKRW70B ($58M) で発注した。 発注基数は明らかにされていない。
 発注されたのはPSR 2D S-bandレーダで、主アンテナの上にモノパルス方式の二次レーダ(註:IFF のこと)MSSR-Sのアンテナが載っている。 (2009-070808)

超高速ミサイルの開発

 韓国の鄭国防部長官が8月5日に大田国防科学研究所 (ADD) 創設50周年記念式で述べた祝辞で、超高速ミサイルなど先端武器の開発を急ぐと明らかにした。
 国会立法調査処が昨年6月、「ADDが2004年から超高速ミサイル関連の研究を進め、成果を出した」とし「2023年までに飛行試験を完了する計画」という内容の報告書を発表しているが、国防部長官が超高速ミサイル技術を開発中という事実に言及したのは初めてである。 (2009-080601)

小型 SAR 衛星の開発

 韓国ADDが小型SAR衛星の開発を2019年12月に開始し2023年11月に完了することを明らかにした。
 この衛星は66kg以下で寿命は3年、解像精度は1m以下という。
 計画では32基を同時に軌道上に置き、昼夜にわたり30分ごとに北朝鮮の状況を監視できるという。 (2010-081912)

IR 遮蔽煙幕

 韓国DAPAが8月14日、三養化学工業 (Samyang Chemical Industry) 社とIRを遮蔽する煙幕を構成する発煙缶を開発したと発表した。
 この発煙缶は低毒性の発煙剤を使用し、人力可搬で陸上用と水中用の2種類があり、2015年12月から2020年8月まで開発が進められたという。 (2010-082613)

停電爆弾 (Blackout Bomb)

 韓国ADDが8月18日に、停電爆弾 (Blackout Bomb) 開発の業者選定を終えたことを明らかにした。
 開発費は数千万ウォンで、取り纏めはLIG Mex1社が行い、同社が誘導装置と搭載品を担当し、豊山 (Poongsan) 社が弾体、Hanwha社が信管を担当する。
 開発は2024年11月に完了する計画である。
 停電爆弾は2枚の拡張翼と4枚のフィンで100km飛翔し、米国のGBU-94 blackout bomb同様に炭素製フィラメントを放出してショートさせ電力設備等を破壊する。 (2010-082614)

4・3・4 軍事産業立国

4・3・4・1 軍事産業の振興

Act on the Development and Support of Defense Industry

 韓国国会が防衛装備品の輸出振興を狙ったAct on the Development and Support of Defense Industryを承認した。
 この法律は2006年に制定されたDefense Business Actに代わるもので、DAPAはこの法律により同年に発足していた。 (2003-012210)

 韓国で国防科学技術振興法 (Defense Science and Technology Innovation Promotion Act) が3月6日に成立した。
 DAPAによるとこの法律は、第四次産業革命に向けた速やかな技術革新と軍事技術の発展に貢献するという。 (2005-031812)

 韓国DAPAが4月25日、2020~2034年を見据えた軍事技術振興15ヵ年計画を発表した。
 計画では以下の8項目を重要課題として位置づけている。 (2007-050612)

・AI及び自動化システム
・高度C2Iシステム
・高速、強力打撃システム
・将来ステルス技術
・無人戦闘システム
・個人装具システム
・サイバ戦
・将来先進技術
Core Technology R&D Business Processing Guideline

 韓国DAPAが7月13日、基幹軍事技術の研究開発を支援する新たな指針Core Technology R&D Business Processing Guidelineを発表した。
 新指針では民間、特に中小企業の参入の拡大を推奨している。 (2009-072213)

輸入している部品や構成品の国産化努力

 韓国DAPAと通商産業エネルギー省が9月15日に、防衛装備品の構成品や部品として輸入する品目を国産に切り替えることで協力するMoUを取り交わした。
 最初に対象となるのはK9 155mm SPHの構成品となる。 (2011-092313)

4・3・4・2 武器輸出の推進

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) が3月9日、2015~2019年に発表した報告書「2019年武器国際取引」によると、韓国は武器輸出は世界で10番目だった。
 2010~2014年の世界の武器輸出で韓国は世界の0.9%だったが2015~2019年には2.1%に増えた。 この期間、韓国の武器輸出量は143%増で、上位10ヵ国のうち最も大きく増加した。
 韓国から武器を購入する国も2010~2014年の7ヵ国から2015~2019年には17ヵ国に増えた。
 2010~2014年は輸出の過半がトルコに集中していたが、2015~2019年には英国 (17%)、イラク (14%)、インドネシア (13%) など多角化した。 (2004-031102)
4・3・4・3 個別の輸出案件

4・3・4・3・1 艦 船

Nagapasa級潜水艦:インドネシア

 インドネシアで初めて組み立てられたNagapasa級潜水艦Alugoroが公称深度試験に合格した。 試験はジャワ島東部及びバリ海で行われ潜航深度250mを達成した。
 Alugoroは2011年3月に韓国大宇造船 (DSME) に発注した3隻の3番艦である。 (2002-012205)

 インドネシアが韓国DSME社と2019年4月に交わしたType 209/1400潜水艦の二次分として3隻をKRW1.162T ($900M) で建造する契約について、契約解消を含めた再検討を行っている。
 二次分の3隻は2011年12月に発注した一次分の3隻と同じ型で、3隻中の1隻は技術移転を受けてスラバヤの造船所で建造されることになっている。 (2006-041504)

フリゲート艦:フィリピン

 フィリピン海軍が韓国HHI社で2隻建造する全長107.5mの多用途フリゲート艦の一番艦が5月18日に蔚山の造船所を離れフィリピンに向かった。 フィリピンには5日後に到着する。
 この艦は韓国海軍のFFX-1フリゲート艦よりやや小型のHDF-3000型である。 (2006-051804)

11,300t級ドック型揚陸艦:ミャンマー、インドネシア、フィリピン

 ミャンマー海軍が2019年12月24日、全長122m、排水量11,300tのLPDを初めて就役させた。 このLPDは韓国Dae Sun造船に発注していたもので、Mil-17 2機を搭載でき、装甲車両15両と兵員250名を輸送できるほか病院船としても使える。
 Dae Sun造船は同型艦をインドネシア向けとフィリピン向けにも建造した。 (2003-010809)

退役した浦項級コルベット艦:コロンビアへ無償供与

 韓国がコロンビアへ2018年12月に退役した浦項級コルベット艦1隻を無償供与する。 この合意は昨年行われていた。
 浦項級コルベット艦はOTO Melara 76mm/62砲2門とOtobreda 40mm CIWS 2門を装備している。 (2003-021901)
【註】浦項級コルベット艦は基準排水量950t、満載時1,220tで、CODOG

 韓国がコロンビアへ2018年12月に退役した浦項級コルベット艦1隻を無償供与する。 この合意は2019年行われていた。
 浦項級コルベット艦はOTO Melara 76mm/62砲2門とOtobreda 40mm CIWS 2門を装備している。 (2004-022604)

退役した警備艇2隻:エクアドルへ供与

 韓国沿岸警備隊で2019年10月と2020年1月に退役した警備艇2隻がエクアドルに引き渡される。
 HHI造船所で建造され1990年12月と1991年12月に就役した2隻は全長53.7m、幅7.4m、喫水2.5m、排水量300tで、エクアドル仕様に再塗装が終われば5月か6月に引き渡される。 (2004-032607)

26,000t 洋上補給艦:ニュージーランド

 ニュージーランド海軍が韓国HHI社に発注していた洋上補給艦Aotearoaが6月10日に韓国を出航しニュージーランドへ向かった。
 2019年4月に蔚山で進水したAotearoaは全長173.2m、幅24.5m、排水量26,000tと、就役すればニュージーランド海軍最大となり、ディーゼル油8,000t、航空燃料1,550t、真水350tを洋上で補給できる。 (2007-061003)

 韓国蔚山のHHI社で建造されたニュージーランド海軍の洋上補給艦Aotearoaが6月26日、15日間の航海を経てオークランドに入港した。
 同艦は2017年12月に退役したEndeavourの後継として7月下旬にDevonport海軍基地で就役する。
 全長173.2m、排水量26,000tのAotearoaは軽油8,000t、航空燃料1,550t、真水250tとEndeavourより30%多い燃料を積載でき、20ft標準コンテナ14個を搭載できるほか、日量100tの真水を精製できる。 (2007-062605)

4・3・4・3・2 航空機

T-50TH、タイへの輸出取り消し

 韓国製用機の輸出があちこちでCOVID-19感染症という暗礁に乗り上げている。
 海外軍事専門サイトが4月11日にタイ政府がT-50TH 2機を追加購入する事業を取り消したと報じた。
(2005-041301)

FA-50 のアルゼンチン輸出不成立

 アルゼンチン軍事専門メディアは4日、アルゼンチン政府が新型コロナのために経済状況が不確かという理由でFA-50の購入計画を中断すると明らかにした。 (2005-041301)

 アルゼンチンへのFA-50輸出がCOVID-19パンデミックの影響による財政悪化から先延ばしになったことから、KAI社が同国への売り込みを再開している。 (2006-041511)

 韓国がアルゼンチンへ輸出しようとしているFA-50高等練習/軽攻撃機にについて、英政府がFA-50が搭載している英国製主要構成品6品目の対アルゼンチン輸出を不許可にし、実質的にFA-50の対アルゼンチン輸出を阻止した。 (2011-103005)

 KAI社が10月28日に駐韓アルゼンチン大使に書簡を送り、FA-50のアルゼンチンへの輸出は英国の対アルゼンチン禁輸措置によりできなくなったことを明らかにした。
 英国は1982年のフォークランド戦争以来ある前置への武器輸出を禁止しているが、FA-50は6品目の英国製部品を使用しているためアルゼンチンへの輸出ができない。 (2101-111104)

4・3・4・3・3 陸上装備

インドと防衛生産で協力

 インド国防省が2月4日、韓国とインドが防衛生産で協力するロードマップで合意したと発表した。 ロードマップには研究開発分野も含まれている。
 インドは2017年にK9 155mm/52 SPH 100両の導入を決めており、韓国はK30 Biho SPAAGの売り込みも行っている。 (2004-021212)

オーストラリアに AS21 Redback IFV

 韓国Hanwha社の豪法人Hanwha Defense Australia社がポータルサイトAustralian Industry Portalを開設した。
 Hanwha社は豪陸軍の次期IFVに、ドイツRheinmetall社製KF41 IFVに勝って、韓国軍が2009年に採用しているK21 IFVを重量化したAS21 Redback IFVの売り込みに成功している。 (2004-031305)
Poniard 70mm誘導ロケット弾が FCT に合格

 韓国DAPAが4月7日、LIG Nex1社が2016年に開発を完了した70mm誘導ロケット弾Poniard(韓国名Bigung)が、米軍が海外から購入できる武器であるかを評価するFCTに合格したと発表した。
 PoniardはKai KM250 6×6車に18発入り発射箱を2個、計36発搭載したシステムで、2019年10月に韓国で実施されたFCT試験では、同時に発射された10発が所定の標的に命中した。 (2005-040701)

K9 155mm/52口径 SPH の輸出

 韓国外務省が7月7日、Hanwha社製K9 SPHのUAEへの輸出がドイツの輸出規制の影響で頓挫していることを明らかにした。 K9 155mm/52口径SPHのUAEへの輸出は2019年末に契約された。
 K9はドイツMTU Friedrichshafen社製 MT881 Ka-500ディーゼルエンジンを搭載しているが、ドイツではサウジアラビアとUAEへの武器輸出が禁止されている。 (2009-071510)

 オーストラリア政府が9月3日、韓国が開発したK9 SPHを豪陸軍の単独候補機種に選定したと発表した。 K9 30両とK10装甲弾薬運搬車15両が輸出される。
 K9 SPHは2001年にトルコに輸出されたのをはじめ、ポーランド、インド、フィンランド、ノルウェー、エストニアなどに輸出され、世界で1,700両が使用されている。 (2010-090301)

 Hanwha Australia社が9月3日、豪陸軍からK9 155mm DAPA 30両とK10装甲弾薬車15両を受注したと発表した。
 初号機の納入は2025年で2020年台後半に納入を完了する計画である。 (2011-0916010)

 韓国政府はKRW75B(67億円)かけてK9 SPHのエンジンを国産化する。
 K9はHanwha社が1998年に開発したが、エンジンはドイツ製を使用している。 (2010-091506)
【註】ドイツ製エンジンを採用していることが、一部で輸出の制約になっている。

K2 MBT のパワーパック問題

 韓国の防衛事業庁 (DAPA) がK2 MBTのパワーパック(エンジンと変速機を結合した動力装置)に用いられる変速機の国産化を推進しているが、国産化そのものはできても主なパーツはドイツから輸入しなければならず、これにより輸出にはドイツの許諾が必要なことが分かった。
 DAPAはこれまで、K2 MBTのパワーパックが国産化されたら輸出が本格化するだろうと主張してきた。
 韓国野党議員がDAPAから受け取った資料によると、国産化を目指しているK2用パワーパックの変速機の国産化率は67%にすぎず、更に大きな問題は、変速装置や操向装置、ブレーキ、制御装置など中心的なパーツはドイツから輸入して組み立てているという。 (2011-102103)
【註】ドイツ製エンジンを採用しているK9 SPHのUAEへの輸出がドイツの輸出規制の影響で頓挫した。

 韓国防衛事業庁が11月25日、2023年までにK2 MBT 50両をKRW2.83Tで生産する三次生産計画案を決めた。
 K2 MBTのパワーパックは二次生産と同様に、国産エンジンと外国製変速機の混合パワーパックが使われる。 (2012-112505)

155mm SPH と AS10 装甲弾薬車のオーストラリアへの輸出

 韓国Hanwha社の完全子会社であるHDA社が豪陸軍にそれぞれ30両と15両を納入するAS9 155mm SPHとAS10装甲弾薬車 (AARV) のイメージ図を公表した。
 図からするとAS9はHanwha社製K9 Thunder SPH、AS10はK10 AARVそのものである。 (2012-102111)

トルコに MBT のパワーパックで技術協力

 トルコが国産Altay MBTの量産遅延を解決するため韓国のHyundai Rotem社と交渉を行っている。 韓国ではK2 Black Panther MBTで同様の経験がある。
 生産を担当するBMC社は2019年10月に、2年以内に配備できると述べていた。
 K2では最初の100両が斗山 (Doosan) 社製1,500馬力エンジンとS&T Dynamics社製変速機を組み合わせて生産されていたが、変速機が耐久試験中の2016年末に故障したため、2次生産ではドイツRENK社製の変速機が採用されている。 (2012-111906)

4・3・5 対外関係

4・3・5・1 対米関係

4・3・5・1・1 戦時作戦統制権の移管問題

 韓国政府が、2022年5月までの文大統領任期内に戦時作戦統制権の移管を終えようとしているが、エイブラムス米韓連合軍司令官が軍関係者に、現時点での韓国軍の戦作権遂行能力に懐疑的な考えを明らかにしたという。
 韓国政府筋が9月20日、エイブラムス司令官は最近、「韓国軍の訓練態勢などを考慮すると、来年も戦作権の移管は難しい」という趣旨の意見を示したという。
 Covid-19パンデミックの影響で2020年の米韓合同軍事演習が縮小され、戦作権移管に向けた韓国軍の準備が十分でないという意味とみられる。 (2010-092104)

 米韓の国防相が10月14日に米韓安保協議会 (SCM) 直後の共同記者会見を開くことになっていたが、米国の要請で突然取り消しとなった。
 米国防総省報道官室は、この日の午後までに共同声明採択の作業が完了されなかったとした。 (2011-101506)

 米国防総省当局者が10月14日にワシントンで開かれる米韓安保協議会 (SCM) を控えて文政府が望む任期内での戦時作戦統制権の移転に対して否定的な立場を明らかにした。
 この発言は徐国防部長官がワシントンを訪ねてエスパー米国防長官と初めてSCMを開く状況で出たことから、文政府の任期内に戦作権転換が不透明になったという観測が出ている。 (2011-101505)

4・3・5・1・2 在韓米軍

在韓米軍基地の返還

 ソウル竜山の在韓米軍基地の一部が12月11日に韓国政府に返還された。 米韓両政府が2002年から全国の在韓米軍基地80ヵ所の返還に向けた手続きを開始していた。
 竜山基地には1882年の壬午軍乱直後、朝鮮を掌握した中国清の袁世凱率いる軍隊が初めて駐屯し、その後日清戦争、日露戦争で勝利した日本がこの地を占領し、1908年には後に第2代朝鮮総督となる長谷川好道が日本軍司令部を建設した。
 戦後は米軍が駐屯していたため、韓国に戻ったのは138年ぶりになる。 (2101-121202)

COVID-19 感染拡大で公衆保健非常事態宣言

 在韓米軍が3月25日、新型コロナウイルス (COVID-19) に対応するため、4月23日までを期限に公衆保健非常事態を宣言した。  在韓米軍司令部は発表した報道資料で、在韓米軍司令官が公衆保健非常事態を宣言したことを明らかにした。
 公衆保健非常事態維持の期限は4月23日までとなっている。 (2004-032602)

在韓米軍削減問題

 Wall Street Journalが7月17日、米国防総省が大統領府に対し在韓米軍削減に向けた複数の選択肢を提示したと報じた。
 トランプ大統領ががドイツの駐留米軍縮小を決めたのと同様、在韓米軍削減に踏み切る可能性も否定できない。
 米軍当局者は、世界的な米軍の配置見直しの一環として在韓米軍の態勢についても再検討が行われたが、現在28,500名の在韓米軍縮小に関しては「何も決まっていない」と語った。 (2008-071801)

防衛費分担金問題

 米韓両国が10月14日に米国防総省で開かれた第52回米韓安保協議会 (SCM) において防衛費分担金問題などを巡って衝突した。
 共同声明からは、2019年とは異なり「在韓米軍の現水準を維持」という表現が取り除かれ、予定されていた両国国防トップの記者会見も取り消された。
 インド・太平洋安全保障協議体クアッド (Quad) など、このところ各種懸案を巡って両国の立場の差が大きくなる中、米国の不満が水面上に現れた。 (2011-101605)

4・3・5・1・3 米韓合同演習

COVID-19 感染拡大の影響

 複数の韓国軍関係者が3月初めに予定されていた米韓合同演習について2月24日、新型コロナ終息局面まで時間がかかる可能性があるため、感染拡大状況を眺めながら日程を調整することを考慮していることを明らかにした。
 当初、上半期の合同演習は2020年前半期合同演習という名称で3月9日から2週間、2019年と同じく実員機動ではなく指揮所演習 (CPX) として行われる計画だった。 以前には3月にCPXのKey Resolveと野戦実機動演習 (FTX) のFoal Eagleが行われた。 (2003-022501)

 エスパー米国防長官が鄭韓国国防長官との共同会見で2月24日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月に予定している米韓合同軍事演習の規模縮小を検討していることを明らかにした。
 韓国では感染者が急速に拡大しており、両国軍の合同演習は今後の状況をみながら対応を判断することになるとみられる。 (2003-022502)

 米韓両軍が2月27日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今春に予定していた米韓合同軍事演習を延期することで合意したと発表した。
 感染拡大が続く韓国では、韓国軍や在韓米軍の兵士からも感染が確認されており、軍内でさらなる感染を防ぐ異例の判断をした。
 演習延期は平昌冬季五輪が開かれた2018年以来だが、米韓両軍は米朝の非核化協議を後押しするため昨年、例年春に行われる野外機動訓練と指揮所演習の規模を縮小するなどしている。 (2003-022701)

 在韓米軍で、最近COVID-19の感染者が急増し、検疫状況に対する懸念が高まっている。 在韓米軍では7月8日に将兵7名が陽性となったのに続き、10日と13日にも軍属1名を含む9名と11名の追加感染者がそれぞれ発生した。
 特に、これらの半分以上が民間航空機を利用して仁川国際空港を通じて入国し、米軍基地まで移動する過程で地域社会に感染が広がった可能性を排除することができない状況で、13日に発表された感染者11名のうち9名は、米国発の民間航空機を利用して8日以降に仁川空港を通じて入国した。 (2008-071409)

規模を縮小して実施

 韓国政府関係者が7月21日、米韓両政府は例年8月に行われる合同軍事演習について、COVID-19の影響で米軍兵士の渡航に混乱が生じる可能性があり、2020年はどのような規模でいつ実施するかについてまだ決められずにいることを明らかにした。
 韓国の鄭国防相が米国のエスパー国防長官は21日に電話会談を開いたが、合同演習の詳細を決められなかったという。
 在韓米軍の兵士や職員、その家族のうち、過去3週間で50人近くのCOVID-19感染が確認されており、全員が韓国に到着時あるいは到着後の2週間の隔離期間中に感染が確認された。 (2008-072103)

 韓国の鄭国防部長官とエスパー米国防長官が7月21日に電話会談を行い、8月の第3週に米韓合同軍事演習を実施することで意見が一致した。
 ただCOVID-19の影響で、米増援戦力の参加規模が大幅に縮小されるとみられ、今回の演習での韓国軍戦時作戦統制権返還の検証に支障が生じる可能性が提起されている。 (2008-072202)

 韓国軍合同参謀本部が8月16日、16日に開始する予定であった米韓合同軍事演習を18~28日に実施すると明らかにした。 演習に参加予定だった陸軍幹部がCOVID-19の陽性判定を受けたことから、開始を延期したとみられる。
 同本部は今回の演習について連合防衛態勢の維持に重点を置くとしながら、有事作戦統制権の韓国軍への移管に向けた予行演習を一部並行して行うと説明した。
 米韓両軍は11~14日に局地的挑発やテロへの対応を想定した合同演習の事前演習となる危機管理参謀訓練 (CMST) を実施したが、有事作戦統制権移管に向けた「未来連合軍司令部」の(FOC) 検証は行われなかったことから、本訓練でも移管に向けた予行演習のみ実施することから、今回の演習ではFOC検証は事実上行われない見通しである。 (2009-081603)

4・3・5・2 対中関係

中国への擦り寄り姿勢

 韓国の野党国民の力の韓議員が軍の国会報告資料と軍内部の秘密資料を比較した結果、軍が文政権に入って発生した中国軍用機の韓国防空識別圏 (KADIZ) 進入回数を大幅に縮小して公開した疑いが10月7日に浮上した。
 これによると年間侵入回数は最大100回ほどの差があった。 (2011-100801)

黄海離於島

 韓国合同参謀本部が、中国機1機が3月25日午前の韓国の防空識別圏 (KADIZ) に35分間にわたり進入したと発表した。
 それによると、10:06に中国軍のY-9 1機が済州島東南側からKADIZに進入した後、10:23に離れたが、10:40ごろに再進入し10:58に抜け出た。 合同参謀本部はY-9は日本の防空識別圏 (JADIZ) に入ろうとしてKADIZを通過したとみている。
 このY-9はこの日09:35から12:36まで離於島近くの日中韓防空識別圏が重なる空域からKADIZを経てJADIZに向かった後、同じルートを逆戻りしていった。 (2004-032501)

 韓国国会で野党「国民の力」の洪議員が海洋水産部と海洋警察庁から提出を受けた資料によると、2019年黄海で違法操業をしたため拿捕されたり退去を命じられたりした中国漁船は6,543隻と、2017年の3,074隻より113%増加した。 2020年は8月時点ですでに4,603隻に上っている。
 しかし海洋警察が拿捕した中国漁船は2017年の278隻から、2018年258隻、2019年195隻と減っており、2020年は5隻にとどまっている。
 このため洪議員は、中国漁船の違法行為に対する韓国政府の対応は弱くなっていると指摘している。 (2011-100503)

4・3・5・3 対露関係

 特記すべき記事なし
4・3・6 日韓関係

日本と対抗するため空母2隻を保有すべきとの意見

 中国と日本の空母が韓国周辺海域で活動することになれば韓国海軍は萎縮するほかはないという主張が、北朝鮮を主に相手にする韓国軍に空母の戦略的効果は大きくないという反対論を押さえた。
 一部では日本と中国の空母に対抗するため少なくとも2隻の空母を保有すべきとの意見まで出ている。 (2010-090601)

米国務省が日米韓三角協力強化を要請

 米国防省が10月14日、米韓の国防長官が第52次米韓安保協議会議 (SCM) で日米韓の三角安保協力の強化方案を議論したと明らかにした。
 米国防省は、両長官は日米韓の三角安保協力の強化など、域内の安保環境について議論したとし、エスパー長官が海賊退治作戦、域内の安保協力イニシアチブ、人道主義支援など、インド太平洋地域の安保に対する韓国の約束を歓迎したと説明した。 (2011-101508)

4・4 台 湾

4・4・1 国内環境

4・4・1・1 大陸に対する脅威認識

台湾に対し全面的侵攻する能力をまだ有していないとの分析

 台湾国防部が8月31日、中国の軍事力に関する年次報告書を発表し、中国の軍事力は増大しているが、全面的に台湾を侵攻する能力はなお備わっていないとの認識を示した。
 報告書では、中国軍が実戦訓練を強化し新たな戦闘様式への強度を構築しているほか、先進の技術・武器開発に注力しているが、台湾に対する戦術や戦略の運用では、台湾海峡の自然地理的環境によって制約を受け、陸戦装備や後方支援態勢も不十分であることから、中国は台湾を全面的に侵攻する正規作戦能力を依然として有していないと分析している。 (2010-090101)

4・4・1・2 総統選挙/立法委員選挙

総統選挙で蔡英文総統が再選

 台湾総統選挙は1月11日投開票され、現職の民進党蔡英文総統が再選を果たした。
 蔡氏の得票数は21:05時点で805万票を超え、対抗馬の国民党の韓国瑜氏を260万票以上上回った。 (2002-011106)

立法委員選挙で民進党が単独過半数

 台湾で1月11日に総統選と同時に立法委員(国会議員)選が実施され、民進党が113議席中、単独過半数の61議席を獲得した。 国民党は38議席だった。
小選挙区では全73議席中、民進党の候補が46議席を制した。
 2018年11月の統一地方選で大勝した国民党は22議席にとどまった。 (2002-011201)

国民党が親中色の払拭へ

 台湾で3月7日に国民党が党主選挙を実施し、親中色の払拭を掲げる立法委員の江啓臣氏が当選した。
 今回は総統選での大敗を受け前主席が引責辞任したことに伴う補欠選挙で江氏は68.8%を得票し、31.2%だった元台北市長の郝龍斌氏を大差で破った。 ただ投票率は約36%と低水準だった。
 同党は1月の総統選で対中強硬路線の民主進歩党(民進党)に大敗したため、江氏は中国への警戒感を強める民意との距離を縮める方針だが、同党との交流を活用する中国側の台湾統一工作に影響が出る可能性がある。 (2004-030702)

国民党の韓高雄市長がリコール成立で失職

 1月の台湾総統選に中国国民党の公認候補として出馬し、蔡総統に大敗した韓高雄市長のリコール投票が6月6日に行われたが、賛成票が有権者の1/4を超える94万票となったため、リコールが成立した。
 外省人の2世である韓氏は台湾の主要政治家の中で最も「親中的」と言われており、リコールが成立したことで中台関係にも影響を与えそうである。
 民進党のある幹部はリコール成立を受け米台間の軍事交流が進むと述べた。
 東アジア有数の軍港である高雄に米軍艦が寄港する構想は約3年前から浮上していたが、中国が猛反発していることに加え、地元首長の韓氏も消極的な姿勢を示したため、前進しなかった経緯があった。 (2007-060605)

高雄市長に民進党が圧勝

 台湾高雄市で6月に行われた住民投票で国民党の韓国瑜市長のリコールが成立して解職されたのに伴う市長選挙は8月15日に投開票され、民進党の陳其邁候補が野党2候補を大きく引き離して圧勝した。
 同市選挙委員会の集計によれば、投票率は41.7%で、陳氏の得票数は671,804票(得票率70.03%)だった。 (2009-081507)

4・4・1・3 反浸透法を施行

 台湾政府が1月15日、台湾社会への浸透を図る中国を念頭に、海外の敵対勢力による政治的干渉の防止を目的とする反浸透法を施行した。
 同法は、台湾の個人や団体が敵対勢力の指示や委託、資金援助を受け、総統選などで特定の候補を支援することや、政治献金、軍事外交対中事務に関するロビー活動を禁止し、違反した場合、罰金や懲役刑が科すとしている。 (2002-011501)
4・4・1・4 国際社会での地位主張

域内安保で同盟を呼び掛け

 台湾の蔡総統が台北で行われたアジア太平洋地域の安全保障に関するフォーラムで9月8日に演説し、中国が周辺地域で示している拡張主義に対し、民主主義諸国は立ち向かおうと呼び掛けた。
 蔡総統は名指しこそしなかったものの、中国を念頭に置いた発言であることは明らかである。
 また同じく中国の国名は挙げずに、南シナ海や台湾海峡における軍事行動や他国や企業に対する強制外交に触れた上で、「志を同じくする国々、そして民主主義の友好国が、一方的な侵略行動を抑止する戦略的秩序を維持するときだ」と述べ、一国だけでは地域の平和と安全を維持できないとして、同盟こそがわれわれが最も重視する価値観、すなわち自由、安全、人権、民主主義を守ることができると主張した。 (2010-090901)

TPP 参加申請を加盟各国と協議

 台湾外交部が、環太平洋連携協定 (TPP) 参加に向け、既存の参加11ヵ国と非公式協議を進めており、協議を終えた段階で正式に申請を行う意向を示した。
 台湾は世界貿易機関 (WTO) に加盟しているが、多くの国は中国の反発を懸念して台湾との貿易協定締結に慎重で、台湾は多国間協定への参加拡大を模索している。 (2101-121402)

4・4・1・5 漢光36号大規模演習

COVID-19 感染拡大の影響

 台湾国防部が3月2日、COVID-19の感染予防のため、4月と5月に予定していた年次演習「漢光36号」を下半期に延期することを明らかにした。
 漢光演習の延期はSARSが流行した2003年と、中台関係が緩和した翌2004年に一部が中止されて以来という。
 演習は毎年、中国軍の侵攻を想定し4月に指揮所演習、5月に陸海空軍部隊の実動演習を実施している。 (2004-030202)

 台湾の中央感染症指揮センタが4月23日、台湾でCOVID-19の感染者を新たに1人確認したと発表した。
 感染が確認されたのは、集団感染が発生した海軍艦に乗艦していた20代の男性軍人で、軍艦乗組員の感染は29人になった。
 台湾で確認された感染者は累計で427人となっている。 (2005-042301)

中国の情報収集船が監視

 台湾で7月13日に始まった中国軍の侵攻を想定した恒例の漢光36号大規模軍事演習は17日まで5日間続くが、台湾の周辺海域では13日に中国の情報収集船が南東部の離島である蘭嶼沖に出没して北東に進み、14日に監視範囲から出た。
 台湾軍は同船が演習期間中、周辺にとどまるとみている。 (2008-071405)

4・4・2 防衛力整備

4・4・2・1 対大陸防衛方針

非対称戦戦力の開発

 米国防総省が9月1日に公表した中国の軍事力に関する報告書で、台湾が中国の軍事力拡大に対応して非対称戦に適応した新戦力の開発を行っていると見ている。
 台湾は空軍力と海軍力に期待すると共に、沿岸及び海浜に重点を置いた防御を追求している。 (2011-090902)

4・4・2・2 国防費

中国の 1/15 の国防費

 中国政府は5月22日に始まった全国人民代表大会(全人代)で、2020年の国防費に前年比6.6%増となる1兆2,680億500万人民元(19兆1,440億円)を計上した。
 これに対し、台湾の国防予算は約3,512億台湾元(1兆2,570億円)にとどまり、中国の2020年の国防予算が台湾の15倍に上ることが分かった。
 これについて台湾国防部報道官は23日、軍備で中国共産党と競い合わないと述べ、非対称戦力の強化を重視する台湾の姿勢を強調した。 (2006-052301)

2021年の国防費 10.2%増

 台湾の行政院(内閣)主計総処の声明によると、行政院は8月13日に2021年の防衛費をTWD453.4B ($15.42B) と、2020年のTWD411.3Bから10.2%増額する方針を示した。
 1月の台湾総統選で中国への対抗姿勢を打ち出して現職の蔡英文氏が地滑り的な勝利を収めて以降、中国は台湾海峡の中間線を越えて戦闘機を侵入させるなど軍事活動を強化しているのに対し、蔡総統は台湾の軍備近代化と防衛予算の拡大を優先課題に掲げている。 (2009-081303)

 台湾政府がCovid-19パンデミックの中、中国との緊張増大を受け、2021年の国防費を10%増額してTWD453.4B ($15.4B) とすることにした。 対GDP比で2.36%になる。 (2010-082601)

 10月5日、6日に開かれた19回目となる米台防衛産業コンファレンスで台湾の厳国防相が、2021年度の国防費は歴史的な高水準であると共に、台湾は国内防衛企業の強化に力を入れていると述べた。
 8月に発表された2021年度の国防予算はTWD453.4B ($15.4B) と前年度比10%の上昇になっている。 (2012-101415)

米国防総省が不満を表明

 米国防総省のヘルビー東アジア担当次官補代行が6日、台湾が防衛費を$1.4B増額拡大しようとする計画は正しい方向だと評価しつつ、中国の脅威が高まる中で強靭な防衛を確固たるものにするには不十分だと述べた。
 台湾の行政院は8月に2021年の防衛支出をTWD453.4B ($15.24B) と、今年度の$411.3B ($13.99B) から10%増額する方針を示している。 (2011-100702)

4・4・2・3 新装備の開発

4・4・2・3・1 艦 船

常動力攻撃型潜水艦の起工

 台湾海軍が11月2日、高雄にある建艦企業CSBC社の造船所で11月中に、台湾初となる通常動力の攻撃型潜水艦 (SSK) の建造が開始されると発表した。
 この潜水艦は8隻建造されるうちの1隻目で、3Q/2024年に完成し、試験が行われた後に2025年に就役する計画である。  建造されるのは全長70m、幅8mで、水中排水量は2,500tである。
 台湾海軍は現在、第2次大戦中の米海軍潜水艦2隻と、オランダ製の潜水艦2隻を保有している。 (2101-111102)

 台湾政府が11月20日、来週から新たな潜水艦を建造すると発表した。
 台湾は防衛力強化に向けた長期計画として自力で潜水艦8隻を建造する計画で、まず1隻目の建造に着手して2024年の就役を目指している。
 台湾は現在4隻の潜水艦を保有しているが、うち2隻は第2次世界大戦時のもの。核兵器搭載も可能な中国の潜水艦とは比較にならない。 (2012-112002)

 台湾の国際造船社 (CSBC) が11月24日、蔡総統を招いて台湾初の潜水艦起工式を行う。
 建造にあたっては米政府が最近、建造に必要な2件の装置を米企業が提供することに合意している。 (2012-112303)

700t級コルベット艦

 台湾が自力で建造した沱江級コルベット艦の進水式が12月15日に北東部宜蘭県の造船所で行われ、蔡総統が塔江と命名した。
 塔江はコルベット艦沱江に改良を加えたもので、排水量685t、速力30ktで、対艦ミサイルHF-2やHF-3、76mm砲、20mm機関砲のほか、TC-2 SAMを装備しており、2023年までにさらに2隻の同型艦が完成する予定である。 (2101-121503)

 台湾が自力で建造しコルベット艦の命名進水式と新型の高速敷設艇の引き渡し式が15日に北東部宜蘭県の竜徳造船所で行われた。 出席した蔡総統がコルベット艦を塔江と命名した。
 塔江は2015年に就役した沱江級コルベット艦を改良した2番艦で、量産型としては1番艦となる。
 排水量は沱江の500tから大型化した700tで、超音速対艦ミサイルのほか、改良前になかった対空装備を追加し、高速を生かして空母など大型艦を攻撃する任務を負う。
 台湾海軍は2023年までにさらに2隻の建造を見込んでいる。 (2101-121504)

10,600t LPD の起工

 台湾の造船企業CSBC社が6月9日、台湾海軍が4隻の建造を計画しているドック型揚陸艦 (LPD) 一番艦の船台起工式を高雄の造船所で行った。 引き渡しは2022年4月の計画である。
 全長153m、幅23m、排水量10,600tのLPDは76mm艦載砲1門とCIWS 2門、遠隔操作機銃2丁のほか、艦中央部にHF-Ⅱ/-Ⅲ対艦ミサイルを発射する傾斜型発射機2基を装備している。
 またS-70C対潜ヘリの離着艦が可能な飛行甲板を有している。
 揚陸艦としては190名の乗組員と250名の海兵隊員のほか完全武装兵233名を収容でき、全長16mのLCMであれば4隻、36mのLCUであれば2隻をウェルドックに収容できる。 (2008-062409)
【註】この艦はLPDと言いながら駆逐艦やフリゲート艦に匹敵する装備を搭載しており、補助艦としてだけではなく戦闘艦としても機能すると思われる。

高速機雷敷設艇

 台湾が4隻建造する高速機雷敷設艇の3番艇と4番艇の船台組み立て式が4月17日に宜蘭県の造船所で行われた。
 全長41m、幅8.8m、排水量347tのこの敷設艇は速力14kt、航続距離2,000nmの性能を持ち、T75 20mm砲1門とT74 7.62mm機銃2丁を装備している。
 同型艇の一番艇は2019年11月に組み立てが開始され2021年引き渡しの計画で、2番艇も建造が進められている。 (2007-050611)  台湾が国内で建造した高速機雷敷設艇一番艇の進水式が8月4日に宜蘭県蘇澳であった。
 国防部は4隻を発注しており、同日は二番艇の船台起工式も併せて行われ、2021年までに全艇の引き渡しが完了する見通しとなった。
 国防部は2016年に次期フリゲート艇や潜水艦なども国内で建造する方針を発表している。 (2009-080505)

 台湾が4隻の建造を計画している高速敷設艇FMLB-Ⅰの一番艇が、8月4日に宜蘭県の龍德造船で進水した。
 引き渡しは2020年末になる。 残りの3隻も2021年中に完成する。
 FMLB-Ⅰは全長41m、幅8.8、喫水1.7m、排水量347tで、T75 20mm砲1門とT74 7.62mm機銃2丁を装備し、速力14kt、航続距離2,000nmの性能を持つ。 (2010-081910)

 台湾が自力で建造しコルベット艦の命名進水式と新型の高速敷設艇の引き渡し式が15日に北東部宜蘭県の竜徳造船所で行われた。
 新型の高速敷設艇 (350t) は機雷の敷設作業を自動化して中国軍の侵攻時に速やかに港や海岸線を封鎖する。 2021年末までに4隻を建造する。 (2101-121504)

4,000t 級警備艦

 台湾が国内で建造する海洋委員会海巡署(海上保安庁に相当)の4,000t級警備艦の進水式が6月2日に高雄市内で行われ嘉義と命名された。 就役後は哨戒、海難救助などのほか、病院船として台湾周辺海域における医療救助活動任務に当たる。
 嘉義は、米沿岸警備隊の大型警備艦Bertholfを設計したメーカーの協力で建造され、全長125m、幅16.5m、喫水4.7mは同署が保有する艦船としては最大級で、速力は24kt、航続距離は10,000nmを上回る。 (2007-060203)

600t級警備艦の引き渡し

 台湾が自力で建造した600t級警備艦安平が12月11日に海洋委員会海巡署に引き渡された。
 安平は、海軍のコルベット沱江を元に放水距離120mの高圧放水銃が増設されたほか、ロケット弾発射システムも搭載され、有事の際には即戦力として運用することができる。 (2101-121105)

 台湾の海上保安当局が対艦ミサイルの搭載も可能な警備艦を新たに配備した。 海上の不法活動の取り締まりに加え、中国軍に対抗する能力の強化をはかる狙いがある。
 この警備艦は排水量760t、全長65.4mの双胴型船で速力80km/h(43.2kt)以上の高速で航行できる。
 高圧放水銃のほか、自動で目標を追尾できる20mm機関砲や、夜間や悪天候でも目標を捉えられるMLRを装備するほか、台湾が自力開発した対艦ミサイル16発を搭載するためのスペースが確保されていて、必要が生じた場合には海軍の指揮下に入って戦闘に参加するという。 (2101-121106)

4・4・2・3・2 航空機

T-5 勇鷹 (Brave Eagle) 高等練習機 (AJT)

 台湾が6月22日、国内開発した新型練習機を公開した。
 台中で行われた新型高等練習機 (AJT) 勇鷹 (Brave Eagle) の初公開飛行の式典には、蔡総統が出席し、同機の飛行を歴史的瞬間と評価した。 (2007-062202)

 台湾AIDC社が6月10日に台中の空軍基地で、T-5勇鷹 (Brave Eagle) 高等練習機 (AJT)/軽戦闘機の初飛行を行った。 同機は2019年9月にロールアウトしていた。
 T-5勇鷹は1990年代中頃に開発された国産戦闘機F-CK-1経国 (Ching Kuo) IDFを元にした双発超音速機で、空軍は66機を調達し2026年までにAT-3練習機と換装すると共に軽攻撃/戦闘機型はF-5Eと換装する。
 エンジンはアフタバーナなしのHoneywell社製F124エンジンで、Honeywell社とAIDC社の合弁であるInternational Turbine Engine社で生産している。 (2008-062410)

4・4・2・3・3 ミサイル

雲峰 (Yun Feng) LACM

 台湾NCSISTが4月15日、雲峰 (Yun Feng) LACMの発射試験を行った。
 雲峰は固体燃料ロケットで発射しラムジェットで推進し、Mach 3で1,500km~2,000km飛翔する。
 NCSISTは2019年8月に麒麟計画 (Qilin Project) として移動型発射機10基とミサイル20発を$390Mで発注している。 (2005-042802)
【註】台湾は射程150kmの雄風-2 (HF-2) ASCMをジェットエンジンに替え射程を1,000kmにしたHF-2E LACMと、射程200kmでMach 2のラムジェット推進ASCMであるHF-3を保有している。
 報じられている雲峰はかねてから出現が予想されていたHF-3の長射程LACM型の可能性がある。

 台湾国営NCSISTが4月15日に雲峰 (Yun Feng) LACMの発射試験を行った。 ラムジェット推進でMach 3で飛翔する雲峰の射程は1,500~2,000kmと言われている。
 中国は4月22日に上海でType 075の2番艦を進水させ、1番艦と共に東海艦隊に配備されると言うが、東海艦隊の拠点である浙江省寧波は台湾から500kmの距離にある。
 NCSISTは2019年8月に量産を開始し、$390Mで発射機10両と少なくとも20発のミサイルを生産していると報じられている。 (2007-050607)

天弓Ⅱ/天弓Ⅲ SAM

 中国が2,740発の地上発射BM及びCMを配備しているのに対抗して台湾では毎年ミサイルの発射を行っており、今年はPatriot級というSAMである天弓ⅡをPatriotの標的として発射した。 またラムジェット推進のATBMと言われている天弓Ⅲも既に全国に配備されている。
 軍は更に最大射高を45kmから70kmに延伸した長距離型の開発も行っている。 (2007-062204)

Wan Chien(萬剣)CM

 台湾空軍第1航空団の復座型IDFによるWan Chien(萬剣)CMの高高度発射試験が11月11日に行われた。
 これに先立ち第3航空団もWan Chienの発射試験を行っている。
 台湾NCSISTが開発したWan Chienは射程200kmであるが、NCSISTは中国本土の攻撃が可能な射程400km以上の長距離型も開発中である。 (2012-111302)
【註】Wan Chienの発射試験の様子は2005年4月に報じられている。
 弾頭には散布子弾を搭載している模様であるが、用途により同一機体を使用した各種ファミリが開発されて いる可能性があるとも報じられていた。

4・4・2・3・4 U A V

Albatross TUAV

 台湾軍が5月17日、2010年に32機発注し2013年9月から使用しているAlbatross TUAV全機の信頼性と安全性を改善した改良を完了したと発表した。
 Albatrossは2016~2019年中頃だけで少なくとも8機が事故を起こしており、2019年1月には台湾南東洋上で海没している。
 Albatrossは全長5.3m、翼端長8.7m、MTOW 450kgで、航続距離120km、滞空能力10時間、搭載能力51kgの性能を持つ。 (2008-070009)

 台湾国防部が8月25日、Albatross多用途UAVを東沙諸島Prata島と南シナ海太平島に配備したことを認めた。 ただ、機数については公表していない。
 国防部は5月17日にAlbatross UAVの信頼性と安全性の改良工事を完了したと発表している。
 Albatross UAVは全長5.3m、翼端長8.7m、MTOW 450kgで、速力180km/h、上昇限度15.000ft、滞空能力10時間、行動半径120km、搭載能力51kgの性能を持つ。 (2011-090909)

4・4・2・3・5 陸戦装備

CM-34 装輪 IFV

 台湾国防省が4月16日、陸軍がCM-34装輪IFVが参加した機動演習を実施したと発表した。
 この演習でCM-34は路外機動、静止及び移動目標への攻撃を搭載している30mm砲及び発射発煙筒も使用して行ったという。
 台湾陸軍は284両のCM-34を装備する計画で、一次生産分の32両は2019年末に納入されていた。
 また公開された映像には社内試験段階にあるCloud Leopard Ⅱ M1も映っていた。 (2005-042102)

 台湾国防省が8月25日、既に284両が発注されているCM-34装輪IFVを21両追加発注したと発表した。 追加分は憲兵隊が装備するという。
 CM-34は昨年に32両が納入され年内に54両以上が納入されるという。
 全305両の生産は2023年に完了する。 (2010-090220)

4・4・3 米台関係

4・4・3・1 台湾の地位、米国の認識

米議会「台北法案」可決

 米下院が3月4日、台湾の外交的孤立を防ぐことを米政府に促す「台北法案」を賛成415、反対0で可決した。
 法案の内容が微調整されたため、上院に再び送られ、上院で可決された後、トランプ大統領が署名すれば成立する。
 法案の主な内容は以下の通りである。 (2004-030505)

・台湾が国際組織に加盟できるよう米国が支援する

・台湾との関係を強化させる国を支援する一方、台湾の安全保障や繁栄を傷つける国に対しては経済、安全保障、外交分野での接触を改める。

米国務長官が台湾は主権国家と発言

 ポンペオ米国務長官が11月12日の米ラジオ番組で、台湾が中国の一部でないとの米国の立場はレーガン政権時代から35年間にわたって続いていると強調した。
 台湾外交部はポンペオ長官に感謝の意を示した上で、台湾は主権を持つ独立国であり、中国の一部ではないことは事実であり、現在の状況だとした。 (2012-111402)

4・4・3・2 武器売却

F-16V の売却

 消息筋がAFPに台湾が8月14日、F-16を購入する契約を正式に締結したことを明らかにした。
 台湾はすでに1992年に購入したF-16を保有しているが、昨年F-16の新世代型機を66機購入する承認を米政府から得ていた。
 米国防総省は、契約期間は10年間、総額は最大$62Bで、まず90機を売却すると発表した。
 国防総省は慎重な取り扱いを要する事項だとして買い手を明らかにしていないが、この問題に詳しい筋はAFPに対し、買い手には台湾も含まれていると明らかにした。 (2009-081504)

 台湾がF-16V 66機を調達することが8月18日までに確実となった。 台湾にとっては過去数年間で最大規模の兵器調達となる。
 今回の戦闘機の売却は米国防総省が14日にウェブサイト上で発表したもので、武器売却用としてF-16V 90機をLockheed Martin社に発注したという。 納入は2026年までに行われる。
 売却先は明らかになっていないが、国務省の関係者は1年前にトランプ政権が承認した台湾からの注文が契約に盛り込まれていることを確認した。
 台湾が購入する66機以外の24機はモロッコにわたるとみられる。 (2009-081804)

先進兵器3種類を追加売却

 米トランプ政権が10月9日、台湾に対し3種類の先進兵器を売却すると議会に通知した。
 売却されるのはHIMARS、新型F-16、SLAM-ERで、F-16は数週間前にも66機の売却を決めている。 (2011-101205)

 ロイタ通信が10月12日、トランプ政権が2020年初めに台湾に対する2件の武器輸出を発表していたのに続き3件の対台武器輸出を行うと報じた。
 対象となるのはM142 HIMARS、SLAM-ER及びF-16搭載のセンサポッドである。 (2012-102101)

巡航ミサイルの売却

 事実上の駐米台湾大使である蕭代表が8月12日にワシントンで行った講演で、米国と機雷とCMの購入交渉をしていると明らかにした。
 蕭代表は、中国が台湾に対する主権を主張していることで台湾の存在が脅かされているため軍備を拡張する必要があるとした上で、コストを抑えながら侵攻を思いとどまらせるに充分な抑止力を備える必要があるとの考えを示した。 (2009-081301)

 米中間の緊張の高まりを受け、米政府が台湾へAGM-84H/K SLAM-ERを売却する。 売却は過去2番目に多額な$7Bの売却契約の一部として行われる。
 SLAM-ERは射程270kmのALCMで、大陸の沿岸部を射程に収める。 (2010-091805)
【註】SLAMはAGM-84 Harpoon ASCMのレーダシーカをAGM-65D Maveric ATGMのIRシーカに代えASMとしたミサイルで、SLAM-ERはSLAMに拡張翼を取り付け長射程にしたCMである。

 米国務省が10月21日、台湾にALCMなど$1.8Bの武器を売却する方針を決め、議会に通知した。
 売却されるのは、SLAM-ER 135発に加え、HIMARS 11基と、戦闘機や無人機に取り付ける偵察監視用センサーMS-110 6基などで、トランプ政権による台湾への武器売却決定は今回で8回目になる。 (2011-102202)

Harpoon沿岸防衛システム (HCDS) の売却

 ロイタが10月12日、米政権がHIMARSやSLAM-ERなど3種類の新鋭兵器の台湾向け売却計画を議会に通知したと報じた。 (2011-101402)

 米国務省が10月26日、台湾に地上発射型Harpoon 400発を含むHarpoon沿岸防衛システム (HCDS) 100基を、$2.37Bで売却することを承認し、議会に通知した。
 米政府は21日にも、台湾へのALCM 135発などの売却を承認しており、この問題で中国政府は関連する米企業への制裁を発表していた。 (2011-102703)

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が10月26日、中国が台湾に武器を輸出する米企業数社に対し制裁を発表した同日に米国務省がFMSで数千億円にのぼる台湾への他の武器輸出案件を承認した。
 輸出されるのは沿岸防備用Harpoon (HCDS) 100個システムとRGM-84L-4 Harpoon Block Ⅱ 400発、レーダ車25両、及び関連装備で、総額は$2.37Bにのぼる。
 Janes Weapons: NavalによるとRGM-84L Harpoon Block Ⅱの射程は67nmである。 (2012-110409)

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が10月26日に議会に対し、台湾へ最大射程67nmのRGM-84L Harpoon Block Ⅱを車載した沿岸配備型Harpoon (HCDS) をFMSで売却すると通報した。
 売却されるのはRGM-84L Harpoon Block Ⅱ 400発と発射機100両及び車載レーダ25基で、売却額は$2.37Bにのぼると見られる。 (2101-120006)

MQ-9B Sea Guardian の売却

 複数の米関係筋が、米政府が台湾に大型UAVを少なくとも4機を販売することで交渉していることを明らかにした。
 米国が販売交渉をしているのはSea Guardianで、関係筋によるとUAV 4機と関連設備、訓練や補給支援などを含めた販売総額は$600Mになる可能性がある。
 Sea Guardianの航続距離は6,000nmと、台湾が現在所有しているUAVの160nmを大きく上回る。 (2009-080701)
【註】Sea Guardianはアフガンや中東で米軍が多用しているMQ-1 Pradatorの改良型であるMQ-9 Reaperを非武装化したもので、わが国では海上保安庁も採用を検討している。

 米大統領府が10月13日、MQ-9 UAVと沿岸防衛ミサイルシステムを台湾に売却する計画を議会に通知したことが、事情に詳しい関係者5人の話で分かった。
 MQ-9の議会への事前通知はトランプ大統領がミサイル関連技術輸出規制 (MTCR) の解釈を変更してUAVの輸出規制を緩和すると発表してから初めてである。 (2011-101402)

 米国務省が11月3日、台湾に対するMQ-9B 4機の売却を承認したと発表した。 これを受け同日に国防安全保障協力局 (DSCA) が議会に通知した。
 中国のさらなる反発が予想される。
 売却価格は関連機器を含め$600Mで、トランプ政権は7月に発表したUAVの輸出規制を緩和した最初の売却事例になる。 (2012-110401)

 米国務省が11月3日、台湾へのMQ-9B SeaGuardian MALE UAV 4機のFMSによる売却を承認した。 MQ-9Bは武装も可能で、売却価格は$600Mと見られる。
 このFMS契約には固定型地上管制装置 (GCS) 2基、移動型GCS 2基のほか、Wescam社製MX-20 EO/IRセンサ、Raytheon社製SeaVue x-bandレーダ、Leonardo社製SAGE 750 ESM装置も含まれている。 (2101-111101)

PAC-3 の更新

 中国外務省が7月14日、米政府が台湾のPAC-3更新計画を承認したことに断固反対すると述べ、Lockheed Martin社に制裁を科すと発表した。
 ただ、制裁の具体的内容には言及しなかった。 (2008-071407)

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が7月9日、台北駐米経済文化代表処から要求されていた$620MにのぼるPAC-3の再保証契約を国務省が承認したと発表した。
 米国は2010年1月に、PAC-3弾114発とAN/MPQ-65レーダ3基の、$2.81Bにのぼる台湾への売却を承認していた。 (2009-072212)

AAV7 の追加発注

 米国在台湾協会 (AIT) が8月27日、台湾が32両追加発注したAAV7の最初の1両が台湾に到着したと発表した。 AITはFacebookでこの1両は7月に台湾入りしたとしている。
 この追加購入で台湾は合わせて86両のAAV7を保有することになる。
 米国防安全保障協力局 (DSCA) は2015年12月に台湾への36両の売却を国務省が承認したと発表している。 (2011-090914)

戦地情報通信システムと関連装備の売却

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が12月7日、米政府が台湾への戦地情報通信システム(JTIDS のことか)と関連装備の売却を承認し議会に通知したと発表した。
 売却されるのはNode 154台、通信端末24台、ネットワーク管理システム8基と、プログラム管理支援や教育訓練など総額は$280Mと推定される。
 台湾への武器売却承認は今年6件目で、トランプ政権下では11件目となる。米国防安全保障協力局(DSCA)が同日発表した。 (2101-120803)

4・4・3・3 米台合同演習

RIMPAC 演習に台湾を招聘

 米議会上院軍事委員会が6月23日に採択したFY21 NDAAで、8月に開かれるRIMPAC演習に台湾を招聘することを求めた。
 もし参加が実現すれば台湾にとって米国が主導するこの種演習への初参加になる。
 27回目を迎える2020年のRIMPAC演習には20ヵ国が参加するが、2014年と2016年に参加した中国は参加しない。 (2007-062704)

米海兵隊と台湾海兵隊が共同訓練

 台湾海軍司令部が11月6日、米海兵隊と台湾海兵隊の4週間にわたる共同訓練が高雄市の左營海軍基地で6日に開始されたとの報道を認めた。
 米台の共同訓練は1979年に米国が台湾との外交関係を絶って以来40年ぶりとなる。 (2012-110901)

4・4・3・4 その他の米台関係

蔡英文総統就任に際して祝電

 ポンペイオ米国務長官が5月19日に、1月11日の台湾総統選挙で当選した蔡英文総統の2期目就任に際して祝電を送ったことから、米中の関係が更に悪化しそうである。 (2008-060303)

米閣僚の台湾訪問

 米厚生省が8月4日、アザー長官が近く台湾を訪問すると発表した。 台湾外交部によると、アザー長官は滞在中に蔡総統と会談する。
 米閣僚の台湾訪問は、2014年のマッカーシー環境保護局(EPA)長官以来6年ぶりで、米国による台湾接近に神経をとがらせる中国が反発するのは必至である。 (2009-080503)

現役米海軍少将の台湾訪問

 台湾国防部筋が、米インド太平洋軍における情報担当のトップであるスチュードマン海軍少将が11月22日に台湾を電撃訪問したことを明らかにした。
 24日まで滞在するとの情報があり、台湾軍の幹部と今後の米台軍事協力などについて協議するとみられる。
 米軍の現役高官の台湾訪問が明らかになることは極めて珍しい。 (2012-112202)

米国連大使が「台湾の国連完全加盟を」

 クラフト米国連大使が9月29日、日米と台湾が開催した人材育成の国際協力に関するオンラインイベントに出席し、世界は台湾が国連システムに完全加盟することを必要としていると述べた。
 これに対して中国国連代表部は声明で、中国の主権と領土の保全を傷つけるもので、強い憤りと反対を表明すると非難し、米当局者に台湾側との接触をやめるよう要求した。 (2011-100102)

米台経済対話

 台湾の駐米代表部にあたる駐米台北経済文化代表処が11月20日、米国と台湾が同日に新設した経済対話の初会合を首都ワシントンで開き、包括的な経済協力で覚書に署名したと発表した。
 米国からクラック国務次官ら、台湾から経済部の陳政務次官らが出席し、王経済部長らもオンライン参加した。
 対話では、5G移動通信システムで中国に対抗するため協力していくことが確認されたほか、米台が最先端の半導体部品など、戦略物資で中国をサプライチェーンから排除するための安全保障上の関係構築についても話し合われたとみられる。 (2012-112102)

4・4・4 その他諸国との関係

4・4・4・1 ロシアとの関係

 台湾軍が、ロシアの軍艦3隻が9月21日夜に台湾東部の離島である蘭嶼沖を北に向けて航行したと明らかにした。
 軍当局者によれば、ロシア艦は21日19:00頃に台湾最南端鵝鑾鼻の南58nmのバシー海峡から北東に向けて航行し、蘭嶼から10nmまで近づいたのち花蓮沖に向かって航行した。
 台湾軍は航路から、基地に戻る際に通過したとみている。 (2010-092204)
4・4・4・2 台湾を承認する国々との関係

マーシャル諸島

 台湾と外交関係を結ぶ太平洋の島国、マーシャル諸島の新大統領にカブア氏が選出された。
 台湾外交部によれば、カブア氏と面会した蕭駐マーシャル諸島大使にカブア氏は、台湾との国交を堅く支持するとの姿勢を表明した。 (2002-010604)

パラグアイ

 パラグアイのギレン駐台湾大使が7月21日に台北市内で開かれた「中華民国台湾・パラグアイ国会議員友好協会」の設立式典で、同国のベニテス大統領が中国に対し、国交樹立に関してノーを突き付けたと明らかにした。
 ギレン大使は、パラグアイと中華民国(台湾)両国の友好関係は時間とともにより強固なものになると述べた。 (2008-072104)

カリブ海の3ヵ国

 国連総会一般討論演説5日目の26日に台湾と外交関係を持つカリブ海のセントルシア、セントクリストファー・ネイビス、セントビンセント・グレナディーンの3ヵ国代表が、国連諸機関から台湾が除外されるべきではないと主張した。
 これまで一般討論演説で台湾のために声を挙げた国交締結国はこの3ヵ国に、パラオ、パラグアイ、マーシャル諸島、ハイチ、ナウル、ツバル、エスワティニを加えた10ヵ国である。 (2010-092703)

4・4・4・3 非承認国の親台湾勢力

チェコ上院議長と90人の訪問団

 チェコのビストルチル上院議長が8月30日、議員やプラハ市長、企業関係者などおよそ90人の訪問団を率いて台湾北部の空港に到着した。
 ビストルチル議長は、9月4日までの滞在期間中、台湾の議会にあたる立法院で演説し、蔡英文総統と会談する。
 チェコは中国と国交を結んでおり、大統領に次ぐ地位の上院議長が台湾を訪問するのは初めてで、チェコのゼマン大統領やバビシュ首相は外交方針に反するなどとして、訪問に反対している。 (2009-083001)

 訪台中のチェコのビストルチル上院議長が9月1日に立法院で演説を行い、故ケネディ米大統領が1963年に西ベルリンで行った「私はベルリン市民である」と述べた演説になぞらえて、「私は台湾市民である」と述べて台湾への支持を表明し、拍手喝さいを受けた。
 これについて中国の王毅外相は、ビストルチル議長は一線を越えたと非難した。 (2010-090105)

 台湾を訪問中のチェコ上院議長による立法院での演説に中国外務省が対抗措置をほのめかしたことについて、フランス外務省報道官は9月1日、EU加盟国への脅しは認められないとしてチェコとの結束を表明すると訴えた。
 ドイツのマース外相も1日、中国の王毅外相との会談後の記者会見で、チェコに対する脅しは適切でないと述べ、チェコを支持する考えを示した。 (2010-090201)

リトアニアの新連立政権が台湾支援を表明

 リトアニアの新連立政権が11月9日、台湾で自由のために戦う人々を支援する方針で一致した。
 連立政権は「人権や民主的自由のいかなる侵害にも積極的に反対していく。 ベラルーシから台湾まで世界中で自由のために戦う動きを擁護していく」と表明した。
 リトアニアは台湾との外交関係はなく、同国の主要港に投資する可能性がある中国との関係が悪化する恐れもある。 (2012-111003)

4・4・4・4 台湾承認を取り消した国々

キリバス

 中国の習主席が1月6日、南太平洋の島国キリバスのマーマウ大統領と北京で会談し、2019年9月に台湾と断交し中国と国交を回復した政治判断について「歴史の正確な方向に立っており、中国は高く称賛する」と評価した。 (2002-010605)

4・4・5 日台間係

弔 問

 台湾の蔡英文総統が8月9日、李登輝元総統に弔意を示すため訪台した森喜朗元首相らと台北市内の総統府で面会した。 森氏は弔問のための訪台は安倍晋三首相の意向だったと述べた。
 弔問団には安倍首相の実弟である岸信夫衆院議員など与野党の議員が複数参加しており、李氏の死去後、海外から派遣された最初の弔問団となった。 (2009-080904)

4・5 東南アジア

4・5・1 東南アジア諸国全体

4・5・1・1 ASEAN

 一部のASEAN諸国は南シナ海の領有権などを巡り中国との緊張を高めており、防衛当局者が懸念を強めている。
 ASEANは6月下旬にオンライン形式の首脳会議を予定しているが、対中強硬派のベトナムが議長国を務め、防衛費の抑制局面での対中姿勢を協議する見通しである。 (2007-061906)

 ASEANが6月27日、TV会議方式で26日に開いた首脳会議の議長声明を発表した。
 声明は、中国が実効支配を強める南シナ海情勢について「信頼を損ね、緊張を高めた最近の動きや活動、深刻な出来事に懸念が表明された」と明記し、「平和と安定に影響を及ぼす行動を自制する必要性を確認した」として、名指しを避けつつも最近の中国の動きを牽制した。 (2007-062701)

4・5・1・2 COVID-19 パンデミックの影響

国防費の圧縮、削減

 中国を発生源とするCOVID-19パンデミックの影響で、東南アジア各国は国防費を削減している。
 インドネシア大学の海洋安全保障の専門家は同国が国防費を$588M削減し、タイも$555M削減するほか、マレーシア、ベトナム、フィリピンも同様の動きを見せているとしている。
 こうしたなかで中国だけが2020年の国防費を6.6%増額するという。 (2006-052604)

 東南アジア諸国が防衛費を圧縮してCOVID-19対策の財源に振り向け始めた。
 ASEANの総人口の4割を占めるインドネシアは2020年の防衛費を当初のIDR131T(1兆円)から7%削減し、COVID-19対策にあてると決めた。
 フィリピンのロレンザーナ国防相は、2020年の防衛費の一部をCOVID-19対策に回すことを容認する考えを表明した。
 マレーシアは近年、財政再建の一環で防衛費削減を続けているが、COVID-19対策や原油安で財政が悪化し、この傾向を強めるとみられる。
 タイも2020年度予算で国防省に割り当てたTHB233B(8,000億円)の8%を削減すると5月に閣議決定した。 (2007-061906)

4・5・2 フィリピン

4・5・2・1 対米関係

訪問米軍に関する地位協定の破棄

 フィリピン政府が2月11日、訪問米軍に関する地位協定の破棄を通告したと発表した。 ドゥテルテ大統領の指示による措置で180日後に有効となる。
 両国の同盟関係に加え、中国が軍事拠点化を進める南シナ海の問題にも影響を及ぼす恐れがある。
 1998年に締結された地位協定は、両国による合同軍事演習の根拠となっているほか、有事における米軍の迅速な援助を可能としている一方、殺人や性犯罪の容疑者となった米兵の拘束を、比側が拒否された事件があり、不平等だと批判されていた。 (2003-021105)

 フィリピンが米軍との地位協定破棄を通告したため1999年に結ばれた協定は180日後に失効するが、比国防相が2月13日に過去35年にわたり毎春実施してきたBalikatan共同演習は計画通り実施すると述べた。
 2019年のBalikatan演習は4月1~12日に、比軍4,000、米軍3,500、豪軍50名が参加して、ルソンとパラワンで揚陸戦、実射、市街戦、航空作戦、対テロ戦などの訓練が行われた。 (2003-021304)

 フィリピンが2月11日、駐留米軍との地位協定 (VFA) を一方的に破棄した。 協定破棄は180日後に発効する。
 VFA破棄によりフィリピンに駐留する米軍及び軍人はパスポートとビザが必要になり、フィリピンの運転免許取得が必要になる。 (2004-021903)

ドゥテルテ大統領の反米発言

 トランプ大統領がASEAN各国をラスベガスに招き首脳会議を行うが、それを前にした2月26日にドゥテルテ比大統領が、比軍は米国の助けを借りずにイスラム過激派や武装勢力と戦えると述べた。
 ドゥテルテ大統領と米国の関係はトランプ政権になって幾分改善されたものの、2016年中頃にオバマ大統領が比大統領の過激な反麻薬政策を批判したことから6年間にわたり悪化している。 (2003-022604)

COVID-19 流行を受け合同軍事演習を取りやめ

 米政府が3月27日、COVID-19の世界的流行を受け5月に予定されていたフィリピンとの毎年恒例の合同軍事演習を取りやめると発表した。
 演習は数十年前から毎年フィリピンで、両国軍の数千人の兵士が参加して行われており、今年は5月4~15日に予定されていた。 (2004-032702)

地位協定破棄の保留

 フィリピンのロクシン外相が6月2日、ドゥテルテ大統領が国内での米兵の法的地位を定めた訪問軍地位協定 (VFA) の破棄を保留したと明らかにした。
 これにより、両国の同盟関係の決裂はひとまず回避された。
 同協定はドゥテルテ大統領が今年2月に米国側に破棄を通告し、8月に失効する予定だった。 (2007-060302)

 フィリピンのロクシン外相が6月2日、国内での米兵の法的地位を定めた訪問軍地位協定 (VFA) の破棄を保留したと明らかにした。
 ドゥテルテ大統領は、6ヶ月間保留するとしたが更に6ヶ月間延長する可能性を臭わせた。 (2008-061703)

破棄期限の再延期

 フィリピン政府が、2月にドゥテルテ大統領の側近の入国を拒否したことに反発し、米政府に対して一方的に破棄すると通告していた同盟関係に関わる米軍との地位協定について、その後実際に破棄するかどうかの判断を12月まで延期していたが、実際に破棄するかどうかの判断を再び半年間延期すると発表した。
 米大統領選挙で勝利を宣言したバイデン氏の出方を慎重に見極めようとしているとみられる。 (2012-111206)

南シナ海で米中等距離の姿勢を表明

 フィリピンのドゥテルテ大統領が7月27日に議会で行った施政方針演説で、南シナ海での領有権争いに米国が関与する意向を強めていることに関し、米中いずれとも対峙するつもりはないと話し、米国の後ろ盾を求めずに等距離外交を進める考えを示した。
 大統領はまた自立した外交を追求すると述べたうえで、米国は我が国に軍事拠点を置きたいのだろうとして関係を再び強化することには慎重な姿勢を見せた。 (2008-072702)

南シナ海での他国との合同演習参加を禁止

 フィリピンのロレンザーナ国防相が8月3日、ドゥテルテ大統領が海軍の南シナ海における他国との合同演習に参加することを禁じたことを明らかにした。
 地元メディアの4日の報道によると、ロレンザーナ国防相は会見で「国の行動が好戦的と見なされれば緊張は高まる。 全ての関係国が慎重に演習することを望む」と述べ、各国に抑制的な対応を求めた。
 米中両国が南シナ海を巡って対立を先鋭化させており、距離を置く狙いがあるとみられるが、これまでドゥテルテ大統領は中国に接近し、経済的な結び付きを強めてきており、7月の演説では「私は反米でも反中でもない」と発言していた。 (2009-080404)

米国から武器輸入

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が7月30日、国務省がフィリピンへの$126Mの武器輸出を承認したと発表した。
 フィリピンへ輸出されるのは3m偵察艇30隻、10m突撃艇10隻、16m軽支援艇18隻と、これに伴う各種機銃や暗視装置等である。 (2010-081211)

中国から離れて米国側に付く姿勢

 ここ数年親中国の姿勢を見せてきたフィリピンのドゥテルテ大統領が9月22日行われた国連総会の一般討論演説で、常設調停裁判所 (PCA) が2016年に下した南シナ海における中国の領有権主張を国際法違反とした裁定を今までになく強く支持する演説を行い、中国から離れて米国側に付く姿勢を示した。
 フィリピンはここ数ヶ月、国民の多くが信頼する米国への回帰を示していた。 (2010-092306)

4・5・2・2 その他諸国との関係

4・5・2・2・1 対中関係

 フィリピンの沿岸警備隊と中国の海警局が1月14日、マニラ湾で初の合同訓練を行った。 16日までに高官協議で意見交換し、捜索救助や消火、パトロールといった訓練を合同で行う。
 ただ、海警局の公船は南シナ海で比漁船への妨害を続けたことがあり、一部の上院議員や地方議員は「わが領海で、わが漁民を脅した人たちだ」と批判した。 (2002-011401)
4・5・2・2・2 対露関係

 特記すべき記事なし
4・5・2・3 旧米軍施設の開発

4・5・2・3・1 スービック湾旧米海軍基地

スービック湾再開発を日本が支援

 1992年に米軍が撤退するまで米海軍の基地があり数千名の軍人とその家族が暮らしていたフィリピンのスービック湾は、施設を保有していた韓進海運社が$900Mの負債を抱えて倒産したため中国の2社が買収に意欲を示していたが、再開発を日本が支援することになり、1月16日に訪比する茂木外相と比財務相が協定に署名する。
 一方中国は、スービック湾とかつて米空軍のClark AFBがあったClark自由港を結ぶ44哩の貨物線の建設に$987Mを投資する。 (2002-011405)

スービック湾施設を比海軍が潜水艦基地に

 フィリピン海軍司令官が1月21日、現在韓進重工 (HHIC) フィリピン社が保有しているスービック湾の施設を買収して、比海軍の潜水艦基地にすると述べた。 (2002-012405)

海軍がスービック湾のHHIC-Phil保有地を買収

 フィリピンのPNA通信が8月13日、海軍がスービック湾のHHIC-Phil保有地100haを買収する計画であると報じた。
 海軍はここにNaval Sea System Command、Naval Installation Command、水陸両用戦大隊などを置く計画である。
 買収するNorth Yardは水深が10m以上あり、Tarlac級揚陸艦やDel Pilar級外洋哨戒艦が接岸できる。
 HHIC-Phil社は2006年に創設された韓国韓進重工業 (HHIC) の子会社で現在$1.3Bの負債を抱えて倒産の危機にあり、海軍によると負債額のうち$400Mは韓国の金融機関、$900Mはフィリピンからであるという。 (2010-082612)

4・5・2・3・2 クラークフィールド旧米空軍基地

クラーク国際空港への接続道路計画

 ビジネスワールドが9月28日、フィリピンの基地転換開発公社 (BCDA) が、クラーク国際空港からマッカーサー・ハイウエーへの接続道路の工事入札を開始したと報じた。
 ただ、応札できるのはフィリピン人のみで、合弁企業などの場合は発行済み株式の60%以上をフィリピン人が所有している必要がある。 (2010-093002)

4・5・2・4 軍備増強

4・5・2・4・1 国 防 費

2021年国防費の大幅引き上げ

 ドゥテルテ比大統領が8月29日、2021年国防費を前年比11%増のPHP209.1B ($4.3B) とする大幅引き上げを発表した。
 内訳は陸軍にPHP96.8B、海軍にPHP31.1B、空軍に29.8B、軍本部にPHP45.4Bとなっている。
 また毎年PHP25Bであった予備軍もPHP33Bに引き上げられる。 (2011-090917)

4・5・2・4・2 艦 船

HDF-3000型フリゲート艦

 フィリピンが2016年にPHP16B ($315M) で韓国HHI社に2隻発注していた韓国海軍のFFX-1を小型化したHDF-3000型フリゲート艦の一番艦José Rizalが、5日間の航海を終え5月23日にスービック湾に到着した。 José Rizalは6月19日に就役する。
 二番艦のAntonio Lunaも2019年11月8日に進水しており、2020年9~10月に引き渡される。
 José Rizalは比海軍初のミサイルフリゲート艦で、SAMとSSMを装備している。 (2008-060309)

 フィリピン海軍が2016年に$337Mで韓国HHI社に2隻発注して建造していたJosé Rizal級フリゲート艦の一番艦が完成し、7月10日にスービック湾のAlava岸壁に接岸した。
 José Rizal級は韓国海軍仁川 (FFX-Ⅰ) 級フリゲート艦を元にしたHDF-3000仕様で、全長107.5m、幅13m、喫水6.9m、排水量2,600tにディーゼルエンジン4基を搭載したCODAD推進により、速力25kt、15ktでの航続距離4,500nmの性能を持つ。
 装備は76mm艦載砲のほかトルコAselsan社製SMASH 30mm遠隔操作砲1門と両舷にSIMBAD-RC SFORAD発射機を1基ずつ装備しているほか、VLSを搭載できる様にも設計されている。 (2009-072211)

潜水艦建造計画

 フランスのNaval Group社がフィリピン海軍からの通常動力潜水艦受注を見込んでマニラに事務所を開設した。
 フィリピンは南シナ海における領土保全の要求の高まりを受け、2023年~2027年のHorizon Three計画にあげていた潜水艦2隻の建造を2022年までのHorizon Twoに前倒ししようとしている。 (2012-112704)

4・5・2・4・3 航空機

 特記すべき記事なし
4・5・2・4・4 ミサイル

BrahMos の導入

 フィリピン当局者が2019年12月9日、インドと射程292kmのBrahMos超音速CM購入について協議中で、2020年中に契約することを明らかにした。
 BrahMosは10月にFt.Magsaysayに編成された比陸軍第1地対艦ミサイル中隊が装備する。 (2002-121803)

4・5・2・4・5 U A V

 フィリピン空軍がElbit社に発注したHermes 900 MALEの運用を開始した。
 Hermes 900の購入はHermes 450 TUAV 3機の購入とともに比軍近代化計画の一環で、Hermes 450 の2機は2019年8月に納入されている。
 MTOW 970kgのHermes 900は300kgの搭載能力と30,000ftの上昇限度、30時間の滞空能力を持ち、550kgのHermes 450は上昇限度18,000ft、搭載能力180kg、滞空能力17時間で、共にパラワン島とミンダナオ島で使用される。 (2003-012904)

 フィリピンがElbit社に9機発注していたHermes 900 MALE UAVの最後の6機が2020年内に納入される。
 Hermes 900の発注契約にはHermes 450 3機の発注も含まれており、その内の2機は2019年8月に納入されている。
 フィリピンは更にElbit社にSkylark LEXとSkylark 3 UAVも発注している。 (2009-070807)

4・5・3 ベトナム

4・5・3・1 対米関係

空母 Theodore Roosevelt の寄港

 米空母Theodore Rooseveltが巡洋艦Bunker Hillを従えて3月5日にダナンに入港した。
 米空母のベトナム訪問は1975年のサイゴン陥落以来2度目となる。 最初の訪問は2018年3月のCarl Vinsonのダナン訪問である。
 Theodore Rooseveltのほか駆逐艦RussellPaul HamiltonPinckneyKiddRafael PeraltaからなるCSGは1月17日にSan Diegoを出港していた。 (2004-030511)

4・5・4 インドネシア

4・5・4・1 対外姿勢

インドへの接近

 インド国防省が7月27日、インドネシアとインドが防衛協力を強化する合意を行ったと発表した。 合意には防衛装備の共同生産や技術協力が盛り込まれている。
 印国防省はそれ以上を明らかにしていないが、消息筋はインドのBrahMos超音速CMの対インドネシア輸出が話し合われているとみている。 (2008-072806)

4・5・4・2 軍備増強

4・5・4・2・1 国 防 費

COVID-19パンデミックと国防費減額

 インドネシアの国防費がCOVID-19の影響を受けようとしている。  同国財務省は国防相に対し2021年度の国防費にIDR129.3Tを呈示したが、国防省は議会下院国防委員会に対しIDR19Tを追加したIDR148.3Tを要求した。
 2020年度の国防費は当初IDR131.2TであったのがIDR122.4Tに減額されている。 (2007-062403)

2021年は 16.2%増

 インドネシアが2021年の国防費をIDR136.99T ($9.2B) にすると発表した。 これは2020年の当初予算IDR117.9Tの16.2%増になる。
 2020年の国防費は途中でIDR131Tに引き上げられたが、Covid-19パンデミックの影響から4月にIDR122.4Tに縮小されていた。 (2010-082611)
【註】2021年国防予算は当初比では16.2%増であるが、2020年予算を補正後のIDR131Tとすれば4.6%増、再補正後のIDR122.4Tとすれば11.9%増になる。

4・5・4・2・2 装備調達優先計画

 インドネシア国防省が2019年11月に下院軍事委員会に2020~2024年の優先的に調達すべき装備計画を示した。
 それによると$2Bで老朽化したHawk 109/209攻撃機の後継としてF-16V Block 70/72を2個飛行隊分32機を調達するほか、機種を特定しないがF-5Bの後継も調達する。
 インドネシアは2018年始めにロシアからSu-35を購入する計画を立てたがまだ実現していない。
 この他に航空機ではC-130J 7機、空中給油機2機、中型輸送機8機、AEW&C機2機、救難ヘリ10機を調達する。
 艦船では外洋哨戒艦 (OPV) 4隻、KCR-60高速ミサイル艇4隻、LST 2隻を調達するが、2019年4月に韓国DSME社に$1Bで3隻追加発注したType 209/1400潜水艦は、今回のリストには含まれていない。 (2002-121806)
4・5・4・2・3 戦闘機の機種選定

 インドネシア政府高官が5月23日、11機購入予定であったSu-35に代わる戦闘機の機種選定中であることを明らかにした。
 2018年2月に$1.14Bで購入契約したSu-35はその数ヶ月前の2017年7月に米国で成立した対敵対国制裁法 (CAATSA) を受けキャンセルされた。
 インドネシア空軍はSu-35をNorthrop社製F-5Eの後継として装備し、Su-27SK 2機、Su-27SMK 3機、Su-30MKK 2機、Su-30MK2 9機と共に運用する計画であった。 (2008-060304)

 インドネシアがオーストリアに対し同国が2002年から保有しているEurofighter Typhoon Tranche 1 15機全ての購入を打診している。 インドネシアはその2週間前に米国からのMV-22購入を発表して衝撃を与えていた。
 インドネシアは2014年に米州兵空軍が装備していたF-15C/Dを購入しており、ロシアからのSu-35購入計画が頓挫している。 (2008-072007)

4・5・4・2・4 装備の国産

Elang Hitam 武装MALE UAV

 インドネシア国営航空機企業PTDI社が2019年12月30日、武装MALE UAV Elang Hitamを発表した。
 全長8.65m、翼端長16m、MTOW 1,300kgのElang Hitamはかなりの部分が中国のCH-4と同じで、420立の燃料と300kgを搭載できる。
 上昇限度は7,000mで、巡航高度は3,000~5,000m、滞空能力30時間以上、戦闘行動半径250kmで、速力235km/h、巡航速度50~180km/hの性能を持つ。 (2003-010812)

 インドネシア国営航空機メーカPTDI社が2019年12月30日、国内開発したMALE UAV Elang Hitam (Black Eagle) を公表した。
 明らかにCH-4を元にしていると見られるElang Hitamは、全長8.65、翼端長16m、MTOW 1,300kg、搭載能力420kgで、上昇限度23,622ft、巡航高度9,842~16,404ft、巡航速度50~180km/h、最高速度235km/hの性能を持つ。
 300kgを搭載した行動半径は250kmで、巡航速度での滞空能力は30時間である。 (2004-020008)

沿岸哨戒艦 (OPV) 建造

 インドネシア海軍が新型沿岸哨戒艦 (OPV) 建造の事前能力評価に関する提案要求を行った。 提案の期限は1月17日で、この契約はIDR1.09T ($79M) である。
 4隻建造される全長90mのOPVのうち、初号艦の建造には少なくとも$340Mかかると見られる。 (2003-011509)

4・5・5 マレーシア

4・5・5・1 情 勢

不安定な政情

 マレーシア政府が2月24日、マハティール首相が国王に辞表を提出したと発表した。 国王は辞表を受理し、マハティール氏を新首相が決まるまでの暫定首相に任命した。
 後継指名しているアンワル元副首相への政権禅譲をめぐって与党連合の分裂を招いた責任を取ったとみられる。
 マハティール氏は与党マレーシア統一プリブミ党 (PPBM) の総裁も辞任する意向である。 (2003-022401)

国防費

 マレーシアが2021年の国防費を前年比1.8%増のMYR15.86B ($3.86B) とした。 (2101-111814)

4・5・5・2 装備の充実

4・5・5・2・1 艦 船

潜 水 艦

 マレーシア海軍が保有するScorpène級攻撃型潜水艦の二番艦Tun Razakが18ヶ月に及ぶ改修を終え4月16日に戦列復帰した。  2009年10月に就役した同艦は改修を終え、2019年末から洋上試験を行っていた。 (2006-042907)

沿岸警備艇

 マレーシア海軍が第2次LMS建造計画を開始した。
 計画には米Swiftship社、蘭Damen社、独Fassmer社、マレーシアのPreston社と、マレーシアのDestini社とDamen社の合弁会社が名乗りを上げている。
 各社はSwiftship社が70.7m級、Damen社が68m級、Fassmer社が70.2m級、Preston社が70m級を提案している。 (2010-091605)
【註】マレーシアは2017年4月に中国に4隻の68.8m級LMSを発注し、最初の2隻は中国で、残りの2隻はマレーシアで建造することにしていたが、のちに経費を削減のため4隻全てを中国で建造することにした。

 マレーシア海軍が国内外の造船企業に対し、沿岸警備艦 (LCS) の第二次期建造についてのRfPを発簡した。
 第二次の建造隻数は公表されていないが、大きさは全長70m~85m、排水量1,500t以下で、57mmまたは76mm砲門と30mm砲2門を装備するなど第一次建造の4隻より大きくなると見られている。 (2101-111809)
【註】第一次建造のKeris級沿岸警備艦は全長68.8m、排水量700tで、、20mmまたは30mmの遠隔操作砲1門と12.7mm機銃2丁の取り付け位置を持っている。

4・5・5・2・2 航空機

 特記すべき記事なし
4・5・6 シンガポール

4・5・6・1 国防の基本政策

4・5・6・1・1 狭隘な国土と限られた人口

グアムの Andersen AFB に飛行訓練所

 シンガポール国防相と米国防長官が2019年12月7日、シンガポール空軍がF-15SGとF-16及びGulfstrem 550 AEW&C機の飛行訓練のためグアムのAndersen AFBに駐留することに合意したMoUに署名した。
 この合意に基づきシンガポールは同基地に格納庫、エプロン及び支援施設を建設し、2029年から1個飛行隊を駐留させる。 (2002-121812)

アリゾナ州の Luke AFB で飛行訓練

 米空軍広報官が6月23日、シンガポール空軍がFMS契約でF-35Bの訓練を行うことになっているアリゾナ州のLuke AFBでF-16の訓練も行いたいと要求したことを明らかにした。 (2010-080506)

滑走路不足対策

 国土が狭隘なシンガポールは滑走路の問題に頭を悩ましており、2016年に行われた演習ではF-15SGの離着陸のため、48時間かけてテンガー空軍基地横の道路で街路灯やバス停標識などを撤去して全長2,500m、幅24mの滑走路を構築した。
 このためシンガポールは2019年3月にF-35B購入の意志を示している。 シンガポールは$2.75BでF-35B 4機の購入契約を行おうとしており、この契約では8機のオプションも行われる。 (2004-021004)

4・5・6・1・2 軍事産業の奨励

イスラエルとの連携

 シンガポールのST Engineering社が7月16日、同社の陸上部門がIAI社との合弁会社であるProteus社をシンガポールに対等出資で設立すると発表した。
 Proteus社は第五世代対艦ミサイルであるBlue Spearの開発にあたる。
 Blue Spearの開発では両者が2~3年前に技術協力で合意しており、Proteus社はBlue Spearの出荷を2020年代後半に計画している。
 IAI社はGabrielの最新型であるGabriel 5を開発してイスラエル海軍のほかフィンランド海軍にも納入している。 (2008-071607)

韓国との技術協力

 韓国国防省が6月22日、シンガポールとの防衛技術の協力を強化すると発表した。 これは2019年暮れに合意した両国の協力協定を具現するもので、COVID-19パンデミックを受けて監視、探知、及びCBRN防衛無人システムの共同研究になる。
 シンガポールの防衛装備は周辺のASEAN諸国が韓国に大きく依存しているのに対し、主として仏独米とイスラエルに依存してきた。
 ASEAN諸国ではインドネシア、タイ、フィリピンがT-50高等練習機、インドネシアがType 209/1400潜水艦、タイがDW3000フリゲート艦、フィリピンがJosé-Rizal級フリゲート艦2隻を導入している。 (2009-070112)

4・5・6・2 防衛力増強

4・5・6・2・1 兵力の増強

 特記すべき記事なし
4・5・6・2・2 海上保安軍 (MSTF) の強化

 シンガポールの海上保安軍 (MSTF) が固有の艦艇を装備しようとしている。
 シンガポール海峡における同国領海における主権の確保と海上からの脅威に対する警備を担当するMSTFは現在、Independent級沿岸警備艦を装備する海軍第182戦隊、Bedok級掃海艦を装備する第194戦隊、同国警察沿岸警備隊と同じ民間仕様の船を装備する第180戦隊を持つ。 (2005-031109)
【註】シンガポール海上保安軍は2009年1月に海軍沿岸警備隊を改編して発足した、陸海空軍と並ぶ軍である。
4・5・6・3 武器開発と輸出

4・5・6・3・1 艦 船

 特記すべき記事なし
4・5・6・3・2 陸戦装備

Hunter 装軌 AFV

 シンガポールのST Engeering社が4月20日、Q1/2020年にシンガポール国防省からHunter装軌AFVの二次生産分をSGD1.6B ($1.1B) で受注したと発表した。
 受注数量は明らかにされていない。 またQ1/2020年末において、この受注にかかわらず一次生産分の契約はそのままであるという。
 Hunter AFVはM113A2 APCの後継として、2019年6月にシンガポール軍で装備を開始している。 (2005-042101)

4・5・6・3・3 U A V

Veloce シリーズの固定翼 VTOL UAV

 シンガポールのST Engineering社が2月11~16日に開かれたSingapore Airshow 2020で、Veloceシリーズの固定翼VTOL UAVのうち、販売可能な段階にあるVeloce 15とVeloce 30を公開した。
 Veloceは主翼下に取り付けられたブームに4基の電動式のロータを持ち、ブームの後端には逆V字型の尾翼が取り付けられている。
 機首にEO/IRターレットを搭載したVeloce 15は翼端長3.7m、MTOW 16~17kgで、30~40ktで15kmの範囲を2~3時間滞空できる。
 翼端長5mでMTOW 50~70kgのVeloce 30は50~70ktで12~24時間滞空でき、EO/IRターレットに加えてレーザ測距器の搭載もできる。 (2003-021303)

 シンガポールのST Engineering社がシンガポール航空ショー2020でVeloceシリーズのハイブリッドVTOL UAVを公開した。
 公開されたのはVeloce 15 (V15) とVeloce 60 (V60) で、機体は何れも同一設計思想で造られており、胴体後方に配したレシプロエンジンが2枚羽プロペラを駆動して推進、主翼下に配したブームに取り付けられた4基の電動モータがVTOL用のプロペラをまわす。
 MTOWが16~17kgのV15は翼端長3.7mで30~40ktで飛行し、2~3時間の滞空能力を持つ。
 MTOWが50~70kgのV60は翼端長が5mで50~70kt、12~14時間の性能を持つ。
(2005-040013)

4・5・6・3・4 その他の装備

Orion H+ 軽量 C-UAV 装置

 TRD Singapore社が2020シンガポール航空ショーで、jamming方式のOrion H+軽量C-UAV装置を公表した。
 Orion H+は6kg以下で、着脱式の22.2V 5,000mAhリチウムポリマ電池を使用し、60分の連続使用と、48時間のスタンバイが可能である。
 Jammingには、GPS、GLONASS、北斗などGNSS周波、及び433MHz、915MHz、2.4G、5.8GHzを含む6波が可能で有効距離は1,000mと言う。
 装置は3~5Wのモジュール6個でできており、6個モジュールの同時使用が可能である。 (2005-040014)

Venus 16 USV

 シンガポールのST Electronics社製USVが洋上試験を終え、同国海軍のFearless級哨戒艦とIndependence級沿岸警備艦に搭載されて任務に就いている。
 このVenus 16 USVは全長16m、幅5m、排水量30tで、速力25kt以上、航続時間36時間以上の性能を持つ。 (2011-100603)

 台湾の龍德造船(Lung Teh) が全長16mのUSVをシンガポール海軍へ納入した。
 シンガポール海軍はこのUAVにFearless級哨戒艇及びInedependence級沿岸警備艦の任務の一部を担わせるという。
 龍德造船は既に別の16m級UAVを納入しており、無人掃海任務に当たらせているという。
 台湾筋の話では、USVの洋上試験は2019年8月上旬から蘇澳鎮 (Su'ao Township) 近海で行われていたという。 (2101-120010)

4・5・7 タ イ

4・5・7・1 国防費

COVID-19 パンデミックによる国防費削減

 タイ陸軍報道官が4月22日、Covid-19対策費THB1.9Tの一部に充てるためFY20国防費をTHB18B ($227M) 削減しTHB213.7Bにすると発表した。
 タイのFY20国防費は当初THB231.7Bであるため8%の削減になる。 因みにFY19はTHB227Bであった。 (2005-042213)

4・5・7・2 装備の増強

中国から潜水艦2隻を購入

 タイ議会下院委員会が8月21日、中国からS26T潜水艦を2隻追加購入する予算THB22.5B ($713M) を承認した。
 タイは2017年5月に中国海軍のTypa 041元型 (Yuan-class) 潜水艦1隻をTHB13.5Bで購入しており2022~2023年に引き渡されることになっている。 (2010-090225)

潜水艦2隻を購入する計画を延期

 タイが8月31日、中国から潜水艦を2隻を770億円で購入する計画を延期した。
 COVID-19パンデミックの影響で経済が停滞する中、この計画は物議を醸し国民から怒りの声が上がっていた。
 2015年に結ばれた合意によって、タイは世界で初めて中国製の海軍兵器を購入する国の一つになり、2017年には潜水艦3隻の購入を決め、最初の1隻は2023年に納入されることになっており、さらに2隻をTHB22.5B(770億円)で購入することが8月に議会の小委員会で承認されると、経済の急激な悪化に苦しむ世論はこれに強く反発した。 (2009-083105)

TRML-3D 移動型レーダ

 ドイツの防衛電子企業Hensoldt社がタイ陸軍からTRML-3D移動型レーダの3号機を受注した。
 既に受注している1,2号機は2022年に納入される計画になっている。
 TRML-3Dは多モードのフェーズドアレイレーダで、対空監視やSHORADシステムの支援に使用される。 (2101-111113)
【註】タイ軍の対空レーダでは、2018年にわが国が受注を逃している。

4・5・8 その他の東南アジア

ミャンマー

 ミャンマー空軍が2019年12月15日に固定翼/回転翼機10機を就役させた。
 この日就役したのはJF-17戦闘機2機、Yak-130高等練習/攻撃機6機、Mi-35Pカンンシップ2機である。 (2003-010106)

カンボジア

 米戦略国際問題研究所 (CSIS) が10月2日、衛星写真の分析からカンボジア南西部にあるリアム海軍基地で米国が建設した施設が破壊されたことが確認されたと発表した。
 施設は司令部棟の一部で9月前半ごろに破壊されたとみられる。
 基地に面した海では100エーカー(0.4平方キロ)の新たな埋め立てが行われたことも確認された。 周辺の土地を中国政府とつながりのある中国企業が借り上げており、CSISは中国が軍事利用するとの疑念を強めるものだと指摘している。 (2011-100302)

4・6 大洋州

4・6・1 オーストラリア

4・6・1・1 国防の基本方針

2020 Defence Strategic Update & 2020 Force Structure Plan

 オーストラリアのモリソン政権が7月1日、インド太平洋地域を重視した新たな国防戦略文書を公表し、装備の強化などのため今後10年間でAUD270B (20兆円) を国防分野に投資する方針を表明した。
 「自由で開かれたインド太平洋」構想を進める日米と足並みをそろえ、中国をけん制する姿勢を鮮明にした。
 文書は2016年に公表した国防白書を見直したもので、国防分野の投資額は当時表明した総額より約4割増やし、陸海空の長距離攻撃能力強化のため長距離対艦ミサイルなどの調達を進める。 (2008-070103)

 オーストラリアが7月1日、新たな国防方針である2020 Defence Strategic Updateと2020 Force Structure Planを発表した。
 これらの計画では今後10年間にAUD270B ($184B) をかけてAGM-158C LRASMのような長距離ミサイルを含む防衛力の強化を謳っている。 (2008-070104)

 オーストラリアのモリソン首相が国軍士官学校で7月1日、長距離ミサイルや超高速ミサイルの装備など、総額$186Bにのぼる国防計画を公表した。
 計画では国防費をGDPの2%に設定し、軍用衛星、新型UAV、サイバ能力のほか、水中監視能力の強化も挙げられている。
 長距離ミサイルでは射程77哩である現有のAGM-84 Harpoonに代えて230哩以上のAGM-158C LRASMの導入に$553M、超高速長距離ミサイルの研究開発に$6.42Bを計上しているほか、M142 HIMARSの導入も入れている。
 またハイテクセンサを用いた広域水中監視システムに$3.45~$4.83Bを計上している。 (2008-070105)

今後10年間の国防投資

 オーストラリアは7月1日に2020 Defence Strategic Update及び2020 Force Structure Planを公表し、インド太平洋を見据えた大きな戦略転換を示した。
 今後10年間でAUD270B ($184B) を投入して長距離ミサイルの装備などを行う。 AUD270Bの内訳は海軍にAUD75B、空軍にAUD65B、陸軍にAUD55B、サイバ情報戦にAUD15B、宇宙にAUD7Bとなっている。
 F/A-18Fには現有のRGM-84 Harpoon Ⅱに代えて射程が3倍近い370kmであるAGM-158C LRASM 200発を2021年からAUD800Mかけて整備する。
 この他にF-35A 72機の整備や、MQ-9B Sky Guardian UAV、MC-55A Peregrine電子戦機の整備などが上がっている。 (2009-070801)

 オーストラリアの国防費は2019~20年度でAUD38.7B、2020~21年度でAUD42.2Bであるが、7月1日に発表されたDefence Strategic Update 2020によれば10年後の2029~30年度にはAUD73.7Bになり、10年間の合計はAUD575B ($397.4B) と大幅に伸びる。
 その内の装備改善費はAUD270Bで、2016 Defence White Papaerが示していた2025~26年までの10年間のAUD195Bを大きく上回る。
 2020 Updateによると装備改善費の28%となるAUD75Bは海軍装備で、次いで24%が空軍、20%が陸軍となっている。 海軍ではBAE Systems社製Hunter級フリゲート艦の調達などが目玉になっている。 (2009-070813)

国防費をAUD1B ($716.8M) 増額

 モリソン豪首相が8月26日、国防費をAUD1B ($716.8M) 増額する方針を示した。 これにより防衛費をGDPの2%以上とする公約にも寄与する。
 増額分は軍の施設や装備品の更新や予備役の増強に充てられ、予備役を27,000名増強するのにAUD80Mが投じられる。
 また、南東部で起きた大規模な原野火災の被災地域の軍施設を改修するほか、AUD200Mを軍の車両刷新に当てる。 (2009-082602)

通常の国防費とは別の国防支出

 オーストラリアのモリソン首相が8月26日、中小企業の参入を促すため通常の国防費とは別に今後2年間でAUD1B ($721M) の支出を行うと発表した。
 追加支出ではNorthern Territoryを含む軍のインフラ整備にAUD490Mを支出するほか、人道支援や災害救助に使用する大型艦の建造や、Loyal Wingman UAVへの追加支出も行う。 (2011-090911)

2020-21会計年度の国防費

 豪政府が10月6日、2020-21会計年度の国防費をAUD3.3B ($2.35B) 増のAUD42.7Bにすると発表した。 この結果対GDP比は2.19%になる。
 オーストラリアは今後3年間にわたり国防費を6.7%、8.3%、6.2%と増額し、2023-2024会計年度ではGDPの2.38%となるAUD57.47Bにする計画である。 (2012-101402)

4・6・1・2 対外政策

4・6・1・2・1 対 米

 特記すべき記事なし
4・6・1・2・2 対 中

対中関係の悪化

 オーストラリアのモリソン首相が6月11日、中国との関係が悪化していることについて、脅しには屈しないと述べた。
 両国関係は、豪政府がCOVID-19発生源に関する独立調査を呼び掛けたことなどを受けて悪化しており、中国は豪州産牛肉の輸入を制限し大麦に追加関税を課したほか、豪州への留学を検討している中国人学生に対し、COVID-19の発生で中国人を含むアジア人を差別する動きが見られるとして慎重に判断するよう促した。 (2007-061102)

 オーストラリアと中国の対立が激化している。
 豪州は4月にCOVID-19の発生源調査を世界に呼び掛けたのに対し、中国が猛反発して豪産農産物輸入で「制裁措置」に踏み切り、豪州行きを避けるよう国民に求めた。
 こうした揺さぶりに豪州は不快感を示し、コロナ後の国際情勢をにらみ日本やインドなど「価値観を共有する国」との連携を強めている。
(2007-061402)

 オーストラリアのモリソン首相が6月19日、同国が政府や公共サービスなどを標的とした大規模サイバ攻撃を受けており、攻撃主体は「国家ベース」だと明らかにした。
 モリソン首相は、国家ベースの洗練されたサイバ攻撃主体に標的とされていると述べたが、詳細は明らかにしなかったが、対立が激化する中で最近オーストラリア製品に貿易制裁を科していたことから、中国に疑いが掛けられる可能性が高い。 (2007-061902)

 オーストラリアの綿花生産団体が10月16日、中国が綿花を輸入規制の標的にし始めていると明らかにした。
 中国はこれまで、オーストラリア産の石炭、ワイン、牛肉、大麦を輸入規制対象としてきた。
 豪中関係はここ数年、悪化の一途をたどっており、オーストラリア政府は中国が国内で政治的弾圧を強めていることに異議を唱えている一方、中国政府はアジア太平洋地域で政治的、軍事的、経済的影響力を一層強めている。 (2011-101610)

中国の南シナ海領有権主張に反対表明

 オーストラリアが7月23日に国連に宛てた宣言の中で、中国が南シナ海における領有権や海洋権益を主張していることに対し、中国側の主張には法的根拠がないとして中国の主張を正式に退けた。
 専門家たちは今回のオーストラリアの宣言について、これまで領有権を主張する全ての国に対し、国際法に基づいて論争を解決するよう促してきたオーストラリアの立場を劇的に変化させるものだと見ている。 (2008-072603)

地方自治体などが外国政府と締結した協定の破棄

 オーストラリア政府が、国内の地方自治体などが外国政府と締結した協定について、政府が「国益に反している」と判断した場合、破棄できる法律の制定を計画している。
 政府は近く法案を議会に提出する予定で、2020年内での成立を目指している。
 外国の影響力拡大を防ぐ狙いがあり、国内への浸透を図る中国を念頭に置いていることは間違いない。
 豪州では南東部ビクトリア州が2019年に単独で中国との間で一帯一路構想に協力する覚書を交わしたが、政府は同州が事前の相談なかったことに不快感を示しており、新法で破棄される可能性がある。 また中国が海外の大学に設置する教育機構でプロパガンダ工作に利用されていると批判が集まる孔子学院に関する協定も見直しの対象となるもようである。 (2010-090211)

 オーストラリア議会が12月8日、同国の州政府や大学などが外国政府と結ぶ協定が国益を損なうと判断すれば、外相が拒否権を発動できるとした法案を可決した。
 中国を念頭にした措置で、豪中関係の険悪化につながりそうである。
 豪州ではビクトリア州が、中国の一帯一路構想に慎重な連邦政府と十分に相談せずに、同構想に関する覚書を締結しており、この覚書が拒否権発動の第1号になる可能性がある。 (2101-120804)

中国政府がオーストラリア産穀物の全面輸入禁止

 香港のSouth China Morning Postが11月3日、中国政府がオーストラリア産の小麦や大麦などの穀物の輸入を全面禁止すると報じた。
 今回の措置は、大麦、砂糖、赤ワイン、木材、ロブスター、銅鉱石なども含まれると予想される。
 今回の措置は、4月にオーストラリア政府がCovid-19パンデミックの発源地に対する国際的な調査を要求したことに対する中国政府の報復の一環で、オーストラリア産の牛肉に報復関税を賦課したことにつづき、オーストラリアへの旅行や留学も事実上禁止している。 (2012-110402)

4・6・1・2・3 対 印

 ロイタ通信によると、豪州のモリソン首相とインドのモディ首相が6月4日にオンラインで首脳会談を開き、共同声明を発表した。
 共同声明では両国の軍隊が互いに、艦船や航空機への燃料補給、整備施設を利用できるようにする相互後方支援協定の締結を決めた。
 また両国海軍間の協力を深め情報交換を進めることを確認した。
 声明によると、中国の海洋進出に対抗する「自由で開かれたインド太平洋」構想に賛同して日本や米国と連携を深めると共に、両首脳は豪印関係をこれまでの戦略パートナーシップから包括的戦略パートナーシップに格上げすると決め、外務防衛閣僚協議 (2-plus-2) を少なくとも2年ごとに開くとした。 (2007-060501)

 豪州は、歴史的なつながりの深い太平洋諸国で中国が影響力を強めようとしていると警戒しており、これをけん制しようと6月4日にはインドとの間で戦略的関係の格上げを発表した。
 自由で開かれたインド太平洋構想を掲げる日本とは近く、自衛隊と豪軍の相互訪問時の法的地位などを規定した円滑化協定で合意する見通しである。 (2007-061402)

 インドとオーストラリアが6月4日、軍事協力に関する協定に調印し、それまでの「戦略的パートナーシップ関係」を「包括的戦略的パートナーシップ関係」に格上げした。
 この日調印したのは相互兵站支援 (MLSA) 協定と科学技術協力に関する取り決めである。 (2008-061706)

4・6・1・2・4 対南太平洋諸国

Guardian級哨戒艇の供与

 オーストラリアが3月6日、南太平洋12ヵ国と東チモールに合わせて21隻供与するGuardian級哨戒艇の6番艇を、西オーストラリアのAustal造船所でフィジーに引き渡した。
 Guardian級哨戒艇の引き渡しは2023年10月に完了する。 (2004-030605)

 オーストラリアが太平洋諸島国と東チモールの12ヵ国に21隻供与するGuardian級哨戒艇の6番艇が3月6日にフィジーへ引き渡された。 同国には2隻が供与されることになっており、2番艇の引き渡しは2023年に計画されている。
 全長39.5m、速力20ktで30mm砲1門と複数の12.7mm機銃を装備できるGuardian級は2018年に1番艇がパプアニューギニアに供与されたのを皮切りに、2番艇が2019年4月にツバル、3番艇が2019年6月にトンガ、4番艇が同年8月にサモア、5番艇が11月にソロモン諸島に供与されている。 (2005-031808)

4・6・1・3 軍事産業の振興と輸出の拡大

4・6・1・3・1 軍事産業の振興

Defence Innovation Hub計画

 オーストラリア国防省が10月12日、総額AUD28M ($20M) のDefence Innovation Hub計画で小規模の防衛技術を振興する事業を開始した。
 事業は最大でもBlueZone Groupが進めるWave Glider USV計画でAUD7Mである。 (2012-102112)

 オーストラリア政府が10月下旬、国防省のR&D庁がDEW技術を発展させるためのネットワークを構成するRfPを発簡したことを明らかにした。
 このRfPが焦点としているのはHELとHPRF/HPMの分野で、企業、大学、政府系機関からの提案を希望している。 (2012-110602)

DEW 技術 を発展のためのネットワーク

 オーストラリア政府が10月下旬、国防省のR&D庁がDEW技術を発展させるためのネットワークを構成するRfPを発簡したことを明らかにした。
 RfPでは豪国防省DSTがScience and Technology Network in Directed Energy Technologies and Systemを設立するとしている。
 このRfPが焦点としているのはHELとHPRF/HPMの分野で、企業、大学、政府系機関からの提案を希望している。 (2101-111806)

4・6・1・3・2 武器輸出の拡大

 2020年代末には武器輸出で世界のトップ10入りを目指しているオーストラリアでは、豪貿易促進庁 (Austrade) が日本の防衛市場への売り込み強化を図ろうとしている。 このため2019年末には豪政府の支援を受け東京で開かれた一連のイベントに参加している。
 Austradeは1月21日に、防衛関連の対日輸出は2000年代初期以来AUD40M ($27.4M) であることを明らかにした。 (2002-012303)

 オーストラリアの会計検査院であるANAOが9月10日、同国が世界の主要な武器輸出国に躍り出ることを目指し2018年に定めた防衛装備輸出戦略が一部を除いて達成されていないと指摘した。 (2011-092314)

4・6・1・4 軍備増強

4・6・1・4・1 艦 船

Arafura 級外洋哨戒艦 (OPV)

 オーストラリア国防省が3月27日、海軍が12隻装備する計画のArafura級外洋哨戒艦 (OPV) の3番艦が船台組み立てを開始したと発表した。
 Arafura級OPVはPV80を元にしており、Armidale級及びCape級哨戒艇、Huon級掃海艇、Leeuwin級及びPaluma級救難艇の役割も担う。 (2005-040813)
【註】PV80はドイツLürssen社製で、一番艦のDarussalamは2011年に就役している。

 アデレードの海軍造船所でArafura級外洋哨戒艦 (OPV) 二番艦の船台組み立てが開始されたことが4月9日に公表された。 豪海軍への引き渡しは2023年に計画されている。
 OPVは12隻をAUD3.6B ($2.2B) で建造する計画で、Armidale級及びCape級哨戒艦のほか、掃海艦、測量艦の後継でもある。 (2005-040904)
【註】Arafura級OPVは全長80m、排水量1,640tで、Oto Marlin 40mm砲1門、12.7mm機銃2丁を装備している。

Cape 級哨戒艇

 オーストラリア政府がCape級哨戒艇5隻を同国海軍向けに調達すると発表した。
 豪海軍はCape級の6隻と新たに建造するArafura級外洋警備艦12隻で領海の警備を行う。
 Cape級は同国国境警備隊が8隻保有しているが、海軍がその内の2隻を借用している。
 全長58mのCape級はアルミ製のモノハル構造船体である。 (2007-051302)

 オーストラリア海軍が7月24日、Austal社に5月にAUD350M ($249M) で発注したCape級58m哨戒艇6隻の1番艇が西オーストラリアのHendersonで船台組み立てを開始したと発表した。
 Cape級哨戒艇はArafura級外洋哨戒艦が就役するまで、Armidale級哨戒艇の代替としての任につく。 (2010-080508)
19,500t洋上補給艦の引き渡し

 スペインNavantia社が8月10日、2隻受注していた19,500t洋上補給艦 (AOR) の一番艦Supplyが8月下旬にスペインのFerrolを出航してオーストラリアへ向かうと発表した。
 全長173.9mのSupplyは2020年内に就役する計画で、二番艦のSuccessは33年間就役して6月29日に退役したSiriusの後継となる。 (2009-081307)

 オーストラリアが2016年5月にスペインのNavantia社にAUD642M ($460M) で2隻発注した洋上補給艦 (AOR) の一番艦Supplyが受領検査を完了し、8月末にオーストラリアの乗組員が乗艦してオーストラリアに向け出航する。
 全長173.9m、排水量19,500tのSupplyは6月29日に退役したSuccessの代替となる。 (2010-082609)

Hunter級次期フリゲート艦

 豪国防省が10月20日、AUD35B ($25B) と見積もられる豪海軍のHunter級次期フリゲート艦9隻の建造をBAE Systems社と協同で行うことで英政府と合意しMoUを交換したと発表した。
 Hunter級はType 26級を元に建造されるもので、一番艦の船台組み立てを2022年に開始し、2026年に進水し、2027~2030年IOCを目指している。
 Hunter級の引き渡しは2042年に完了する計画である。 (2012-102806)

4・6・1・4・2 航空機

特記すべき記事なし
4・6・1・4・3 U A V

Loyal Wingman UAV

 Boeing Australia社が4月8日、2月に胴体の組み立てを完了したLoyal Wingman UAVの試作機に脚が取り付けられて初めて自立し、電気システムに通電したと発表した。
 今後更に装置を搭載して試験が行われるという。 (2005-040905)

海上 UAV の増強

 オーストラリア国防相が8月4日、2024年に始まる5ヵ年計画で海上UAVを増強することを明らかにした。 UAVは7月1日に発表された2020 Force Structure Planでは25kg~300kgになると言う。 (2010-081911)

4・6・1・4・4 ミサイル

AGM-158D LRASM の導入

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が2月7日、オーストラリアへAGM-158C LRASM 200発を$990MのFMS契約で売却することを国務省が承認とした発表した。
 AGM-158C LRASMの輸出は日本に続くものである。 (2004-021911)

4・6・1・4・5 電子装備

国立電子戦センタの設立

 オーストラリア国防省が3月6日、AUD5M ($3.31M) の電子戦防衛計画の一環として国立電子戦センタを設立すると発表した。
 同センタは国防省とFlinders大学との共同出資で設立され、電子戦能力向上に関する訓練や研究開発に使用する。 (2004-030905)

4・6・1・4・6 陸戦装備

K9 SPH

 オーストラリア政府が9月3日、韓国が開発したK9 SPHを豪陸軍の単独候補機種に選定したと発表した。 K9 30両とK10装甲弾薬運搬車15両が輸出される。
 開発したHunwha社は豪政府と提案書評価と価格交渉後に量産契約を締結する。 (2010-090301)

4・6・2 ニュージーランド

4・6・2・1 外交政策

特記すべき記事なし
4・6・2・2 防衛力整備

26,000t洋上補給艦の就役

 韓国HHI社の蔚山造船所で建造が進められ2019年4月に進水したニュージーランド海軍の洋上補給艦Aotearoaが6月10日に韓国を出航した。
 全長173.2m、幅24.5m、排水量26,000tのAotearoaはNATO仕様の洋上給油用マスト2本を装備し、8,000tのディーゼル油、1,550tの航空燃料、250tの真水を積むことができ、中型ヘリ用の飛行甲板と格納庫を有している。 (2008-062408)

 ニュージーランド海軍が韓国現代重工 (HHI) 社に発注していた洋上補給艦Aotearoaが、6月26日に15日間の航海を終えオークランド港に入港した。
 今後、2017年12月に退役したEndeavourの後継艦としてニュープリモスを母港に7月末に就役する。
 全長173.2m、幅24.5m、喫水8.5m、排水量26,000tのAotearoaは極海コードに準拠し、極海レベル6に耐えられるようになっている。
 積載能力はディーゼル油8,000t、航空燃料1,550t、真水250tであるが、日量100tの真水精製能力もある。 (2009-070810)
【註】極海コードとは「極海域における船舶運航のための国際基準」で、極海レベル6は7段階あるレベルの緩い方から2番目の、"Summer/autumn operation in medium first-year ice, which may include old ice inclusions"と定義されている。

 ニュージーランドの洋上補給艦Aotearoaの就役式典が7月29日にオークランドのDevonport海軍基地で行われた。
 全長173.2m、幅24.5m、喫水8.5m、排水量26,000tのAotearoaは2016年に韓国HHI社にNZD493M ($317M) で発注され、15日間の航海を経て6月26日にオークランド港に入港していた。
 同艦は8,000tのディーゼル油、1,550tの航空燃料、250tの真水を運べるほか、日量100tの真水を精製できる。 またSH-2G SeaspriteヘリまたはNH90中型ヘリ1機の搭載が可能である。 (2010-081209)

4・6・3 南太平洋諸国

4・6・3・1 中国の影響力拡大

バヌアツとソロモン諸島に軍事拠点

 中国が南太平洋のバヌアツとソロモン諸島に軍事拠点設置を提案したとされており、米中両国の軍事的せめぎ合いは太平洋全域に広がりつつある。 (2010-092103)

パプアニューギニア南部のダル島に大規模な多機能漁港を建設

 豪公共放送ABCなどによると、中国企業の福建中鴻漁業が11月にパプアニューギニア南部のダル島にAUD200Mを投じて、大規模な多機能漁港を建設する計画で、パプアニューギニア政府と覚え書きを交わしたことから、オーストラリアが神経をとがらせている。 周辺に大きな漁場はないため、中国側の真意を疑う声もある。
 ダル島は、オーストラリアの北200kmに位置し、豪州にとって重要なシーレーンであるトレス海峡に面しており、漁港を隠れみのにした中国民兵などの活動拠点になりかねないとの懸念が出ている。 (2101-121701)

4・6・3・2 米国の巻き返し

 Wall Street Journalによると、フィリピンの東方約1,000kmに位置し伊豆諸島やグアムを結ぶ第2列島線上にある人口2万人に満たない島国パラオが8月、同国を訪れたエスパー米国防長官に米軍基地を受け入れる意向を伝えた。
(2010-092103)
4・6・3・3 南太平洋諸国個別の動向

キリバス

 南太平洋の島国キリバスからの報道によると、同国大統領選挙が6月22日に行われ、親中派のマーマウ現大統領が再選を果たした。
 キリバスは2003年に中国と断交し台湾と外交関係を樹立したが、2019年9月に中国との国交を樹立しており、中国との関係が争点の一つとなった。
 選挙で信任を得たマーマウ氏は中国との関係強化を図るとみられる (2007-062305)

ソロモン諸島

 南太平洋の島嶼国であるソロモン諸島のマライタ州が、独立の是非を問う住民投票を実施すると発表した。
 同州は、中央政府が昨年決定した台湾との断交および中国との国交樹立に反発している。  米国とつながりが深いマライタ州には全国の人口の1/4が居住している。
 ただ、ガダルカナル島にある首都ホニアラの中央政府が住民投票の結果を尊重する可能性は低い。 (2010-090209)

パプアニューギニア

 世界有数の金山として知られるパプアニューギニアのポルゲラ鉱山を巡り、採掘を行ってきたバリック・ニューギニア(BNL)社が9月29日に声明を出し、採掘権延長に関する同社の申し立てがパプアの最高裁判所に却下されたことを認めた。
 BNLは中国の金採掘大手の紫金鉱業集団とカナダのバリック・ゴールドの合弁企業で、紫金鉱業が50%を出資している。
 ポルゲラ鉱山の採掘権は2019年8月にいったん契約期限が切れた後も、パプア政府はBNLの採掘継続を認めていたが、今年4月24日にパプア政府はBNLによる採掘権の延長申請を認めないと突如発表し、8月25日にはポルゲラ鉱山の採掘権を国営企業のクムル・ミネラルズ(KMHL)に与えた。 (2011-101901)

パラオ

 米国はフィリピン海でのプレゼンスを高めようと、ここ2ヶ月間に国防長官と海軍長官が相次いでパラオを訪問してレメンゲサウ大統領と会見し、グアムとフィリピンの中間に位置する人口わずか17,000人のこの国での米軍部隊の駐留で合意している。
 米海軍は海軍長官の同国訪問に合わせて日本を基地にしている揚陸艦Comstockを派遣して休養目的に1週間停泊させ、10月12日にはC-130 1機と24名の空軍要員を派遣してパラオ本島のBabeldaobのほかPeleliu、Babeldaob島南西の島々にあるAngaurの飛行場で滑走路や施設の調査をしている。
 更に10月には沿岸監視隊の警備艦Sequoiaも寄港している。
 海兵隊は防空能力と精密打撃能力を有する沿岸連隊を太平洋地域に数個配置する計画で、パラオに配置されるのはその一部である。
 また海軍と海兵隊は新型の軽揚陸艦 (Light Amphibious Warship) を装備して急速展開を行おうとしており、パラオがその拠点になると見られる。 (2011-102305)



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