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3. 紛争潜在地域の情勢

3・1 朝鮮半島

3・1・1 北朝鮮

3・1・1・1 核、BM 開発の再開

核実験やICBM発射の再開を示唆

 朝鮮中央通信が1月1日、北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会総会が2019年12月28~31日に平壌で開かれ、金委員長が非核化交渉に関して、「米国の軍事的脅威が続いており、約束に一方的に縛られる根拠はなくなったと述べたと報じた。
 金委員長は核実験やICBM発射の再開を示唆し、世界は遠からず新たな戦略兵器を目撃するだろうと威嚇した。
 新戦略兵器の種類は不明だが、米本土を射程に収める新型ICBMなどの可能性がある。 (2002-010101)

 北朝鮮の金委員長が2019年12月28日~31日に開かれた朝鮮労働党中央委員会の第5回全体会議の終了時に、「近く世界は新型戦略兵器を見ることになる」と述べ、長距離BMか核兵器の試験実施を示唆した。 (2003-010803)

 米北方軍司令官兼北アメリカ航空宇宙防衛司令部 (NORAD) 司令官が2月13日に、北朝鮮が行ったエンジン試験は、今までより能力が高く米本土への脅威を増したICBMの発射試験に向けた準備と見られと述べた。
 この発言は北朝鮮の金委員長が2019年12月31日に行った発表について上院軍事委員会が喚問した前に行われた。 (2003-021702)

核活動中止の撤回表明

 北朝鮮外交官の朱勇哲氏が国連軍縮会議の席で、北朝鮮がここ2年間にわたり米国との信頼関係を築くため核実験とICBMの発射を停止してきたが、米国は米韓合同演習や対北朝鮮制裁で応じていると発言した上で、米国がこのような敵対的政策を続けるのであれば、朝鮮半島における非核化は永久に実現せず、北朝鮮は新たな道を模索せざるを得ないと主張した。 (2002-012202)

 北朝鮮の労働新聞が7月27日、朝鮮戦争休戦記念日で金委員長が、北朝鮮の核兵器は国の安全保障の保険として必要であると述べたと報じた。 (2010-080504)

ミサイル関連施設での動き

 米当局による衛星画像の分析に詳しい政権当局者1人と国防当局者3人が、平壌近郊の山陰洞にあるミサイル関連施設でここ数日間、通常とは異なる車両の動きが観測されていることを明らかにした。
 ミサイルへの燃料注入ではないとみられ、北朝鮮がここでミサイルの発射実験やエンジン燃焼実験を計画しているのかどうか、確かなことは分からないという。
 米当局のある高官は、過去のミサイル実験前にみられたのと同様の活動だと指摘し、発射実験が差し迫っていることを示す兆候はないが、その可能性も否定できないと話す。 (2002-012702)

 北朝鮮KCNAが2019年12月14日、東倉里衛星打ち上げ場で重要な試験が行われたと報じた。 試験は13日の22:41~22:49に行われたという。
 この2日後に韓国国防相が、北朝鮮がロケットエンジンの試験を行ったと発表した。 (2003-010102)

 北朝鮮が2019年12月7日と13日に東倉里で、2度のロケットエンジン燃焼試験を実施した。
 火星-15 ICBMはロシア製RD-150エンジンの北朝鮮製を搭載しているが、12月7日の試験は火星-15用のエンジンとみられる。
 一方13日の22:41~22:48に行われたのはICBMかSLV搭載用の新型液体燃料高推力エンジンと見られる。 (2004-020005)

 米ラジオNPRが3月27日、北朝鮮東倉里のミサイル試験場で新たな道路建設の動きが判明し、北朝鮮が試験場の拡張を図っている可能性があることが最新の衛星画像分析で分かったと報じた。
 NPRは専門家の見方として、北朝鮮は実験場の利用を再開し、衛星打ち上げやICBMの発射、エンジン実験などを画策しているのかもしれないと報じた。 (2004-032802)

国連の機密報告書:国連制裁に違反した核や BM 開発

 ロイタが2月10日に入手した国連の機密報告書によると、北朝鮮は2019年も国連制裁に違反し核やBM開発を強化し続け、安保理決議に違反していると指摘した。
 67ページにわたる同報告書は、国連制裁の独立監視機関が国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会向けにまとめたもので3月に公表される。
 報告書では、北朝鮮は多岐にわたる国内調達力にもかかわらず、一部の部品や技術について違法な外部調達を利用していると批判している。 また石油製品を密輸入したほか、中国の貨物船の協力を得るなどして、$370M相当の石炭を違法に輸出したという。 (2003-021103)

BM 開発関連新施設の建設

 米国の北朝鮮専門サイトBeyond Parallelが5月5日に公開した報告書「Sil-li BM支援施設」で、平壌順安国際空港付近にあるSil-liにBM開発と関連する新しい施設の完工を控えていると報じた。 この施設は火星-15 ICBMが入るほど規模が大きいという。
 同サイトによると、この施設は公開されたことがなく、北朝鮮の知られているすべてのBMと関連発射機、支援車両をすべて収容できるほど規模が大きい地下施設の隣に建設された。 (2006-050603)

 米国と北朝鮮の非核化交渉の停滞が長期化している中、北朝鮮が平安南道平城舍人里でICBM数基を新たに製造した情況が捉えられたことが5月8日に分かった。
 米当局は最近、舍人里にある自動車工場でICBMを組み立て、完成した情報を捉えたほかTELも確認したという。
 舍人里は2017年に北朝鮮がICBM級と推定されるBMを発射した場所で、米政権関係者は今後の状況を注視していると話した。 (2006-050902)

正恩氏指導で核抑止力強化へ、党軍事委

 朝鮮中央通信が5月24日、北朝鮮で朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議が開かれたと報じた。
 拡大会議では、核戦争抑止力を一層強化し、戦略戦力を高度の臨戦状態で維持するための新たな方針が提示されたという。
 拡大会議では部門別の課題も示され、砲兵の火力打撃能力を決定的に高める重大な措置が講じられた。
 ただ、核抑止力をめぐる新方針や砲兵の攻撃能力向上に関する措置の詳細には触れていない。 (2006-052401)

秘密核施設が稼働した

 北朝鮮が2019年、平壌南部の降仙にある秘密ウラン濃縮施設を稼働させ、核弾頭の保有量を増やしている状況がキャッチされたことから、北朝鮮が核カードを切り米韓に対する「最大の圧迫」作戦を始めたという分析も出ている。
 北朝鮮の降仙秘密核施設は、2019年2月にハノイにおいて第2次米朝首脳会談が決裂する主な原因になった施設といわれている。 (2007-061603)

3・1・1・2 中国との国境地域に大型トンネル基地

 韓国政府の消息筋が1月29日、北朝鮮が地下ミサイル基地の疑いのある大型トンネルを両江道の中朝国境に建設した事実が捕捉され、米韓当局が鋭意注視していることを明らかにした。
 それによると、2019年に中朝国境地域の両江道大紅湍郡に幅10mほどのトンネルが建設されたことが米国の偵察衛星に捕捉されたが、このトンネルは入り口だけがあって出口がないことから、韓国軍はミサイル基地である可能性が高いとみて監視中だという。
 中朝国境地域からわずか6kmしか離れていないことから、空襲などを避けるため、中朝国境にミサイル基地を集中建設しているのではないかという分析がなされている。 (2002-013002)
3・1・1・3 大量破壊兵器

3・1・1・3・1 核兵器

 防衛省当局者が1月26日、北朝鮮の脅威、とりわけ大量破壊兵器の脅威が増大していると述べた。
 北朝鮮はBMの弾頭として使える核兵器の小型化にも成功しており、2016年9月に行われた5回目の核実験では11~12kTの核爆発を起こしている。
 更に2017年9月3日には160kTの核爆発にも成功している。 (2004-021204)

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) が6月15日に世界の核軍備に関する報告書を発表した。 2020年1月時点の世界の保有弾頭数の推計は、2019年より465発減って13,400発となった。
 世界の核保有国は、米露仏中英にインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮を加えた9ヵ国で、核弾頭の9割は米露が占めている。
 最多のロシアは前年比125発減の6,375発、米国は385発減の5,800発と、両国とも減少したが、報告書は兵器の近代化を指摘している。
 一方中国は30発増の320発、北朝鮮は前年の20~30発から30~40発となった。 (2007-061506)

 米議会調査室 (CRS) が7月14日に北朝鮮のBMに関する報告を行った。
 報告書では、北朝鮮がBMDを回避するため、核弾頭搭載などの開発に努力を傾注しているとしている。 この技術はIRBMやICBMに採用できうるという。 (2009-072902)

 国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会専門家パネルが8月3日、北朝鮮がBMに搭載可能な小型核兵器を開発した可能性に言及する中間報告書をまとめ、制裁委に提出した。
 報告書は制裁委での議論を経て、9月にも公表される。
 専門家パネルは、北朝鮮が核開発施設を維持し、核関連物質の製造も続けているなどと指摘した上で、過去6回の核実験で得た技術から、BMに搭載できる小型化した核兵器の開発を実現した可能性があるとする複数の加盟国の分析を紹介している。 (2009-080406)

 VOA放送が8月18日、米陸軍省が先月に作成した報告書「北朝鮮の戦術」で、北朝鮮の核爆弾の保有量が20~60個と推計されることを明らかにしたと報じた。
 この報告書は、北朝鮮が毎年6個の核兵器を新たに作る能力をもっていて、2020年代に核爆弾の個数が100個まで増える可能性があるという報告があったとしている。 (2009-081803)

 国連安保理の専門家パネルが9月下旬に、8月28日に纏めた北朝鮮の核とミサイル開発に関する211頁にのぼる報告書を公表した。
 それによると北朝鮮が近年、核実験やICBMの発射試験を行った証拠はないが、核施設を維持していて高濃縮ウランの製造を続けているという。 (2012-101404)

3・1・1・3・2 生物化学兵器

 VOA放送が8月18日、米陸軍省が先月に作成した報告書「北朝鮮の戦術」で、北朝鮮が韓国と米国、または日本を狙って炭疽菌と天然痘菌をミサイル搭載できるとして、北朝鮮が炭疽菌1kgを使用しても、ソウル市民5万人を死に至らしめることができると予想している。 (2009-081803)
3・1・1・4 挑発的な活動

航空活動の活発化

 北朝鮮のMiG-29数機が、前方地域へ前進配備されたことが4月13日までに分かった。 さらにこのところ、北朝鮮空軍の全般的な航空機の活動も平素の2~3倍に増えていると伝えられている。
 北朝鮮監視活動に投入されている米韓の偵察手段を萎縮させようとする狙いがあると解釈されている。
 北朝鮮が相次ぐミサイル挑発と共に旺盛な軍事活動を続けていることを受け、韓国軍内外では緊張感が高まっている。 (2005-041401)

 韓国の鄭国防長官が4月24日、北朝鮮空軍機の飛行が異例にも増加しているため警戒を強めていると述べた。
 長官は更に、北の砲兵を中心に戦闘準備態勢点検も異例に増えるなど、北が軍事的緊張感を高めていると述べた。 (2005-042406)

韓国との通信線をすべて遮断

 朝鮮中央通信が6月9日、金委員長の妹である金与正党第1副部長と金英哲党副委員長が8日、対南事業を徹底して対敵事業に転換すべきだと強調し、対敵事業計画の第一段階として北南間の全ての通信連絡線を同日正午から完全に遮断することを指示したと報じた。
 対象には、朝鮮労働党中央委員会本部と韓国大統領府とを結ぶホットラインのほか、開城にある南北共同連絡事務所や軍当局間の通信線などが含まれる。
 いずれも文政権誕生以降に開設、復旧された連絡回線で、南北融和の成果の一つに数えられていたが、通信線の遮断は脱北者団体が北朝鮮に向けて散布した非難ビラへの対抗措置であるという。 (2007-060901)

非武装地域に再進出

 朝鮮中央通信が軍総参謀部の立場表明として、人民軍が16日に2018年9月の南北首脳会談の際に締結された南北軍事合意によって非武装地域に再び進出すると予告したと報じた。
 北朝鮮が言う南北合意によって非武装化された地域とは南西部の開城と南東部の金剛山一帯を指すとみられる。
 開城は南北経済協力事業の開城工業団地が建設される2003年以前は複数の師団や砲兵旅団を配置しており、北朝鮮は開城とその近郊などに再び軍を駐留させる意図を示したと受け止められる。 (2007-061602)

南北連絡事務所の爆破

 韓国軍消息筋などによると、南北経済協力事業の開城工業団地から16日午後に爆音が鳴り響くとともに煙が上がっていることが確認されたたため、同団地内の南北連絡事務所が爆破されたようだと話している。
 金正恩委員長の妹である金与正党第1副部長は13日の談話で、南北共同連絡事務所を跡形もなくすると警告していた。 (2007-061604)

3・1・1・5 安保理制裁違反

瀬取り

 北朝鮮が洋上で積み荷を移し替える瀬取りを監視するため東シナ海に派遣されていたカナダ艦の艦長がNHKの取材に応じ、「数多くの瀬取りを目撃した。
 今後どれが不正なものかを特定することになる」と述べて収集した情報を関係国と共有し、分析が行われることを明らかにした。
 国連安保理は、北朝鮮に対して石油精製品の輸入制限や北朝鮮産石炭の輸出禁止などの制裁を科しているが、北朝鮮は瀬取りの手口で制裁逃れを繰り返しているため、日米が監視にあたっていたが、カナダも10月から11月19日まで東シナ海で海軍のフリゲート艦とヘリコプタを派遣して監視活動を行っている。 (2012-112101)

瀬取り監視活動を中国軍艦艇が牽制

 複数の政府関係者が12月19日、北朝鮮による洋上での瀬取りへの対策として日米両国などが東シナ海で実施する警戒監視活動に対し、中国軍艦艇が牽制する動きを強めていることを明らかにした。
 自衛隊や米軍の艦艇それぞれに1隻ずつ張り付き追尾する活動が常態化しているという。
 これとは別に展開する艦艇を加えれば、多いときで中国艦10隻以上が東シナ海を航行しており、中国海軍の増強を裏付ける形となっている。 (2101-121905)

3・1・2 韓 国

 韓国の文大統領が新年の辞で提案した開城工業団地や金剛山観光再開などの南北協力について、米国務省と米議会下院外交委員長が改めて反対の立場を表明した。
 米国務省は1月8日、米国と韓国は国連制裁を完全に実行するよう協調しており、制裁を守ることが最優先という立場を明確にした。 (2002-011002)

 韓国の文大統領が1月14日、北朝鮮との関係改善のため北朝鮮に科している国連の制裁を解除するかも知れないと述べた。 (2002-011406)

3・1・3 米 国

3・1・3・1 柔軟対応

 トランプ米大統領が、2019年12月31日に北朝鮮の金委員長が核やミサイル実験の再開を宣言したにもかかわらず、金委員長が非核化の約束を守ると信じていると述べた。
 北朝鮮の国営朝鮮中央通信 (KCNA) は、12月31日まで開催されていた党中央委員会総会で、金委員長が核及びICBMの試験のモラトリアム(一時停止)を撤回すると宣言し、世界は遠からず、新しい戦略兵器を目撃することになるであろうと述べたと報じた。 (2002-010102)
3・1・3・2 強硬姿勢

合同演習再開の可能性を示唆

 エスパー米国防長官が1月2日、「数ヵ月間、状況の展開を注視したい」として、米韓合同演習再開の可能性をほのめかした。
 米韓が通常、毎年3月から4月にかけて実施してきたKey Resolve演習およびFoal Eagle演習の再開がまず検討対象になるだろうという見方が持ち上がっている。 (2002-010402)

斬首作戦動画を再公開

 米軍が2019年末に米国防総省画像配信システムのウェブサイトにアップし、後に削除したいわゆる斬首作戦動画の一部を、再び公開した。
 この動画は米韓の特殊部隊隊員が朝鮮人民軍幹部らを殺害する斬首作戦の訓練映像で、公開したことが広まるや動画を削除し、動画の存在自体を否定していた。 (2003-020601)

西太平洋で空母3隻体制

 米インド太平洋軍司令部が6月23日、海軍の空母3隻が、フィリピン海など朝鮮半島から遠くない西太平洋に集結して行動中であることを明らかにした。
 Theodore RooseveltNimitzは朝鮮半島周辺海域など西太平洋を管轄する第7艦隊の作戦区域に配置され今月21日からフィリピン海で作戦行動中で、もともと第7艦隊に所属しているRonald Reaganは現在、日本とフィリピンの間の海域で行動中である。 (2007-062401)

3・1・3・3 軍事行動

3・1・3・3・1 米韓合同軍事演習

 韓国国防部が、2020年3~4月の実施が予想されている米韓合同演習を2019年と同じやり方で行う方針であることを明らかにした。
 韓国軍は2019年初めにKey Resolve演習およびFoal Eagle演習を廃止し、代わって「19-1 同盟演習」と称した指揮所演習 (CPX) のみを実施したが、2020年もまた2019年レベルの縮小された合同演習を行いたいという。 (2002-012204)

 米国太平洋空軍司令部が8月19日、米韓合同演習の開始日の18日に、B-1B 4機とB-2 2機、合わせて6機の爆撃機が米国本土とグアムから出撃して対馬海峡と日本付近の上空を飛行したことを明らかにした。
 B-1B 2機はテキサス州Dyess AFBから、他の2機はグアムのAndersen AFBから、B-2はインド洋ディエゴガルシア島から飛来した。
 Dyess AFBから出撃したB-1B 2機は航空自衛隊のF-15Jと合同演習を実施した。 また、嘉手納基地のF-15C 4機とF-35B、空母Ronald Reagan搭載F/A-18も参加した。 (2009-081903)

3・1・3・3・2 偵察活動の活発化

特記すべき記事なし
3・1・3・3・3 米軍特殊部隊の動向

 航空機の移動を追跡するCivMilAirによると、米空軍輸送機C-146A Wolfhound(Fairchild Dornier 328) 1機が1月20日、烏山の米空軍基地からモンゴル方面に向かったことが分かった。
 この輸送機は民間人を装った米軍特殊部隊の輸送に使用されており、27名の人員あるいは2.7tの貨物を輸送できる。
 これまでは中東やアフリカで特殊部隊を支援する活動を行ってきた。 (2002-012203)
3・1・3・3・4 核攻撃のシナリオ

 Georgetown大国際安全保障研究所のリーバー教授がVOA放送のインタビューで6月15日、北朝鮮の核を抑制する上では高威力核兵器よりも低威力核兵器が効果的だと述べた。
 リーバー教授は米国防総省のシミュレーションプログラム「危険予測と評価(HPAC)」を利用し、北朝鮮国内にある寧辺など5ヵ所の核施設を核兵器で攻撃した場合の人命被害と放射性降下物による被害を予測した。
 まず、高威力核兵器であるW88核弾頭10発が使用された場合、放射能降下物は韓国の南西部の一部地域を除く全地域と日本にまで影響を及ぼし、朝鮮半島だけで最大300万人の死者が出るのに対し、低威力核兵器であるB61核爆弾20発を使用した場合には、韓国の木浦地域にのみ低いレベルの放射能降下物が降り、木浦周辺でのみ100人未満の死者が出ると試算し、人命被害は従来型作戦レベルに留まると分析した。 (2007-061806)
【註】この記事の元が米国の国営放送であるVOA (Voice Of America) であることが注目される。
 W88核弾頭とはTrident SLBMの弾頭である。
3・1・4 南北の小競り合い

3・1・4・1 非武装地帯

 韓国軍合同参謀本部によると、江原道の南北軍事境界線の非武装地帯 (DMZ) で5月3日朝に北朝鮮側が韓国側の軍監視所を銃撃した。 韓国側に人員や装備の被害はないという。
 銃声があり、確認したところ4発の弾痕が確認されたため、韓国側は対抗措置として北朝鮮に警告射撃を実施した。 (2006-050301)
3・1・4・2 NLL 周辺

特記すべき記事なし
3・2 東シナ海

3・2・1 中国の動き

3・2・1・1 軍事挑発

3・2・1・1・1 継続的な挑発

 COVID-19の感染が世界的に拡大するなか中国が依然として日本周辺での軍事的な挑発を続け、防衛省や海上保安庁によると、1~3月の中国艦による尖閣諸島周辺の接続水域内への進入は289隻と、前年同期比で57%増えた。
 4月11日には空母遼寧と駆逐艦など6隻が沖縄本島と宮古島の間を南下して太平洋に入り、南シナ海にも回って訓練を実施した。
 領空侵犯の恐れがある中国機に対して航空自衛隊が緊急発進した回数も1~3月で152回と高い水準が続いている。 (2005-042601)

 米議会の諮問機関である米中経済安全保障調査委員会が5月12日、中国がCOVID-19の感染拡大に乗じて台湾へ軍事外交面で圧力を強めていると非難する報告書を公表した。
 報告書は、中国軍の航空機が台湾海峡の中台の中間線を台湾側に越える事案が今年既に3件起きたことや、中国軍が台湾周辺での演習や往来を活発化させていることを挙げ「世界がCOVID-19に気を取られている間に、中国は圧力を強化した」と指摘している。 (2006-051301)

 複数の政府関係者が8月1日、中国海警局の警備艦が尖閣諸島の領海に侵入する際、中国海軍のミサイル艇が巡視船に連動して台湾付近に展開していることを明らかにした。
 不測の事態に備え、周辺海域を警戒する海上自衛隊の護衛艦を牽制する狙いがあるとみられる。
 4月14日から8月1日まで110日連続で警備艦が尖閣周辺を航行した期間にも同様の動きがあり、中国本土ではミサイル部隊が展開していることも判明した。 (2009-080201)

3・2・1・1・2 尖閣沖接続水域の航行

 2019年に尖閣諸島周辺の接続水域を中国当局の船が航行した日数が282日に上り、統計を取り始めてから最も多くなった。
 海上保安庁によると、2019年に尖閣諸島周辺の領海に侵入した中国当局の船は延べ126隻で、2018年に比べて56隻増えた。
 更に接続水域の航行も増えて2008年に統計を取り始めてから最も多くなった。 (2002-010902)

 海上保安庁当局者が1月28日、中国海警局の10,000t級を含む警備艦が、少なくとも1ヶ月間に3回にわたり尖閣諸島の領海に侵入したことを明らかにした。
 海上保安庁で最大の巡視船しきしま型は7,000tである。 (2002-012806)

 中国海警局は10,000t級を含む警備艦を尖閣諸島に投入し、月に3回の割りで領海侵入を繰り返しているが、南シナ海の場合と異なり海上民兵である漁船の投入は行っておらず、海軍艦船の領海侵入も行っていない。
 ただ2018年1月には商級原潜とType 054Aフリゲート艦が尖閣近海を航行している。 (2002-013105)

 海上保安庁 (JCG) が1月28日、10,000tのZhaotou級を含む中国海警局の警備艦による尖閣諸島近海航行の回数は2019年4月1日から12月31日までで1,097回にのぼり、記録のある2008年以降で最大となっている。
 また1ヶ月に3回の割合で領海への侵入が行われている。 (2004-020504)

 中国艦による尖閣諸島沖の接続水域への侵入が常態化していて7月20日で連続98日となり、これまでの最長記録だった2019年4~6月にかけての連続64日を更新し続けている。
 政府によると、中国艦が初めて尖閣沖の日本領海に侵入したのは2008年12月で、2012年9月の尖閣国有化以降、活発化した。
 4月14日に始まった今回の連続侵入では、中国艦のべ365隻が接続水域に、のべ32隻が領海に侵入しており、外務省幹部は「既成事実を積み上げて現状変更を狙っている」と分析している。 (2008-072004)

 複数の中国海警局の警備艦が1月から3月の間に、尖閣諸島から24nmの接続水域に495回にわたり侵入している。 (2009-070106)

 尖閣諸島沖で8月2日、中国海警局の海警4隻が領海外側の接続水域から出たのを海上保安庁の巡視船が確認した。
 那覇市の第11管区海上保安本部によると、4隻は先島諸島周辺に接近している台風4号を避けた可能性があり、尖閣を離れつつあるという。
 中国海警局の警備艦は4月14日に接続水域に入ってから、入れ替わりながら尖閣周辺で航行を続けており、過去最長となる111日連続となる。 (2009-080204)

 尖閣諸島周辺の接続水域で11月2日、中国海警局艦4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。
 第11管区海上保安本部(那覇)によると、尖閣周辺で中国艦が確認されるのは57日連続で、年間では283日となり、過去最多を更新した。 (2012-110202)

 尖閣諸島周辺の接続水域で11月27日、中国海警局の警備艦2隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認し、領海に近づかないよう巡視船が警告した。
 那覇の第11管区海上保安本部によると、1隻は機関砲のようなものを搭載していた。 尖閣周辺で中国艦が確認されるのは82日連続となる。 (2012-112702)

3・2・1・1・3 領海侵入

 中国海警局の警備艦4隻が5月8日16:00ごろから尖閣諸島周辺の領海に相次いで侵入し、約2時間航行して領海外側の接続水域に出た。 第11管区海上保安本部によると、1隻は機関砲のようなものを搭載していた。
 中国当局の船が尖閣周辺で領海侵入したのは4月17日以来で、2020年になって8日目になる。 (2006-050806)

 尖閣諸島沖で6月22日、中国海警局の海警4隻が3時間40分にわたり日本の領海内を航行した。
 第11管区海上保安本部(那覇市)によると、4隻は15:30~15:50ごろに南小島南南西の領海に侵入し、07:10~07:30ごろに久場島東北東から領海を出た。
 尖閣諸島沖での中国艦の領海侵入は6月8日以来となる2020年になって11回目で、尖閣周辺での航行は22日で70日目となり、記録が残る2012年9月以降で最長となっている。 (2007-062203)

 那覇の第11管区海上保安本部が7月3日、尖閣諸島周辺で2日に領海侵入した中国海警局警備艦2隻が3日22:30までに領海を退去したと発表した。
 11管によると領海侵入は30時間超で、2013年8月の28時間15分を超え、2012年9月の尖閣国有化以降、過去最長となった。 (2008-070304)

 那覇の第11管区海上保安本部によると、8月9日08:17から08:33にかけて中国艦4隻が尖閣諸島久場島沖の領海に相次いで侵入した。 いずれも09:59までに領海を出た。
 中国艦の領海侵入は7月14日以来となる。 (2009-080903)

 海上保安庁によると、尖閣諸島周辺で中国海警局警備艦の活動が続くなか、9月は警備艦の航行が領海外側の接続水域にとどまり、領海侵入が月別で平成30年12月以来確認されていない。
 尖閣周辺の接続水域では10月1日に中国海警局の警備艦4隻の航行を巡視船が確認しており、尖閣周辺で中国艦は25日連続で確認されている。 (2011-100105)
【註】ただこの記事は、「中国海警局の警備艦2隻が領海に相次いで侵入」、「今年20日目」とする8月28日付の同紙報道 (2009-082804) と整合しない。

 尖閣諸島大正島沖の領海に侵入していた中国艦2隻は10月13日20:19~20:26頃に領海を出た。
 第11管区海上保安本部によると、領海内の連続滞在時間57時間39分で、2012年の同諸島国有化以降、最長となった。 これまでの最長は7月の39時間23分だった。
 2隻は、11日10:47から相次いで領海に侵入し、操業中の日本漁船に接近しようとする動きを繰り返したため、海上保安庁の巡視船が漁船の安全を確保しながら、領海からの退去を求めた。 (2011-101304)

3・2・1・1・4 中国艦の通過

4月11日: 遼寧を含む6隻

 防衛省統合幕僚監部が4月11日、空母遼寧を含む中国艦6隻が沖縄本島と宮古島の間を通過するのを確認したと発表した。
 防衛省によると、自衛艦が10日19:00頃男女群島の南西420kmの海域を南東進する遼寧とType 052D駆逐艦2隻、Type 054Aフリゲート艦2隻、Type 905高速戦闘支援艦1隻を発見した。 その後、沖縄本島と宮古島の間の海域を南下し、太平洋へ向けて航行したことを確認した。 この海域を遼寧が航行したのは2019年6月以来4回目で、危険な行為や領海侵入はなかったが、同省が情報収集に当たっている。 (2005-041103)

6月18日: 奄美大島沖を中国潜水艦が潜航

 防衛省が6月20日、奄美大島沖の日本の接続水域を18日午後に他国の潜水艦が潜航したと発表した。 国籍は公表していないが、政府関係者によると中国海軍のものとみられる。 護衛艦などが警戒を続け、20日午前には接続水域の外に出ていることを確認している。
 発表によると、自衛隊の護衛艦や哨戒機が18日午後に奄美大島の北東の接続水域で西向きに潜航する潜水艦を確認した。
 20日午前は、鹿児島県横当島西の接続水域外を西に向かっており、自衛隊の護衛艦や哨戒機が追尾して警戒を続けている。
 同省が接続水域での他国の潜水艦の潜航について発表するのは、中国海軍の潜水艦による尖閣諸島沖での潜航が初めて確認された2018年1月以来、2年半ぶりである。 (2007-062003)

 海上自衛隊は、奄美大島の周辺で外国の潜水艦が6月18日から20日にかけて、潜航したまま領海のすぐ外側にある接続水域を航行したのを確認した。 政府関係者によるとこの潜水艦は中国海軍のものとみられ、領海への侵入はなかった。
 奄美大島とトカラ列島の間の狭い海域で、潜水艦は幅10kmほどの領海と領海の間を縫うように進んでいたという。
 政府は、海洋進出を強める中国が潜水艦の能力や海底地形情報を収集していることなどを誇示するため、敢えて狭い海域を通過した可能性もあると分析し、警戒を強めている。 (2007-062102)

3・2・1・1・5 航空機の動き

中国軍機に対する緊急発進の増加

 防衛省が1月29日に、2019年の4月1日から12月31日の間における国籍不明機に対する緊急発進の回数を、前年同期の758回より少ない742回と発表した。 しかし中国機に対する緊急発進は523回と前年を9%上回っている。
 航空方面隊別の内訳では北部が156回、中部が26回、西部が99回であるのに対し、尖閣諸島を任務空域に持つ南西部航空方面隊が461回になっている。 (2004-020503)

 防衛省が4月9日、令和元年度における領空侵犯の恐れがある外国機に対する緊急発進の回数が過去3番目に多い947回だったと発表した。 999回だった前年度に比べて全体では52回減ったが、中国機に対しては37回増加した。
 947回のうち対中国機は675回で71%を占め前年度比7%増となっている。
 一方、対ロシア機は全体の34%にあたる268回で、前年度からは75回減ったが、2月にはSu-34が初めて目視されたほか、2019年7月には中露軍機が編隊を組み、対馬海峡や尖閣諸島付近を飛行する特異な動きを見せた。 (2005-040903)

 令和元年度における航空自衛隊の緊急発進回数は947回と前年度の999回を下回ったが、中国軍機に対しては675回と前年度を5.8%上回った。
 一方ロシア機に対しては前年度の343回から268回に減った。 (2006-042207)

3・2・1・1・6 演習の実施

7月5日まで: 南シナ海と呼応した演習

 中国国営中央テレビ (CCTV) が7月5日までに、人民解放軍が南シナ海だけでなく東シナ海と黄海でも演習をしたと報じた。 3海域同時の演習は異例である。
 CCTVは東シナ海を所管する東部戦区の海軍が駆逐艦を投入し、軍用ヘリ2機と連携して船舶を拿捕する訓練の様子を放映した。
 また黄海を所管する北部戦区ではフリゲート艦が実弾射撃訓練する場面を放映した。
 南シナ海パラセル諸島海域でも1~5日まで船舶の航行を禁止し海上の射撃訓練をすると通告している。 (2008-070504)

12月22日: ロシアと共同の爆撃機演習

 中国の軍用機4機とロシアの軍用機15機が12月22日に韓国防空識別圏(KADIZ)に進入した。
 韓国軍合同参謀本部によると、中国軍機4機はこの日08:00ごろ、済州島南の離於島西側から、ロシア軍機15機は朝鮮半島東の日本海の北側からKADIZに進入した。
 中国は軍用機がKADIZに進入する前に、韓国との直通回線を通じて通常の訓練であることを通知したという。 (2101-122205)

 ロシア国防省が12月22日、中国PLAと合同で日本海と東シナ海の上空で戦略爆撃機6機による哨戒飛行を同日実施したと発表した。
 アジア太平洋地域での中露合同哨戒飛行は2019年7月に続き2回目である。
 露国防省によると、ロシア側から2機、中国側から4機が哨戒飛行に参加した。 (2101-122206)

 幕僚監部が12月22日、中国のH-6 4機とロシアのTu-95 2機が日本海や東シナ海を飛行し、そのうち中露の4機が五島列島沖の東シナ海上空で合流し、尖閣諸島に向かって編隊飛行した。
 尖閣諸島に向かった4機は北緯27゚付近で進路を変え、そのまま編隊を維持して沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡上空を通過して一旦太平洋に進出した後に引き返し、再び宮古海峡上空を抜けて北上した。
 中露軍は昨年7月に合同で哨戒飛行を行った際にも尖閣諸島に向けて編隊飛行し、北緯27゚線上空で進路を変えている。
 ただ、この際は中露の爆撃機はそれぞれ反転して編隊飛行をいったん解いていた。 (2101-122301)

3・2・1・2 日本漁船に対する威嚇行動

5月8日: 領海に侵入し日本漁船を追跡

 第11管区海上保安本部(那覇)が5月9日、尖閣諸島周辺の領海に侵入した中国海警局の警備艦が8日16:50ごろ、魚釣島の西南西12kmの海上で操業中の日本漁船に接近し追尾したと明らかにした。
 海保が領海から退去するよう警告し、漁船の周囲に巡視船を配備して安全を確保した。漁船の3人にけがはなかった。
 海保によると、尖閣周辺を航行中の中国警備艦4隻が8日16:00ごろから約2時間、相次いで領海に侵入し、そのうち2隻が漁船に接近、追尾した。
 4隻は9日も尖閣周辺の領海外側にある接続水域を航行し、うち2隻は18:00ごろから相次ぎ領海に侵入した。
 2019年5月にも同様の事案があり、2009年に中国船が尖閣周辺で確認されるようになってから今回で2回目という。 (2006-050903)

5月10日: 領海外で日本漁船を追跡

 政府関係者や漁船船長らが5月24日、中国海警局の警備艦が5月10日に与那国島に向かっていた日本の漁船を領海外で45km追尾したことを明らかにした。
 中国警備艦は5月上旬にも尖閣諸島周辺の領海に侵入して日本漁船を追尾したたため8日に日本政府が抗議したが、その後も2日間にわたり漁船を追尾していたことになる。
 政府は一連の動きを特異な行動と位置づけ分析を進めている。 (2006-052402)

7月2日: 領海に侵入し日本漁船に接近

 第11管区海上保安本部が7月2日、尖閣諸島周辺の接続水域にいた中国海警局警備艦4隻のうち2隻が同日16:10頃から領海に相次いで侵入し、16:50頃に魚釣島の西7kmの海上で、操業中の日本漁船に接近しようとする動きを見せたため、海保の巡視船が間に入り漁船の安全を確保したことを明らかにした。
 中国当局の船が尖閣周辺で領海侵入したのは6月22日以来で、今年13日目になる。 (2008-070204)

 尖閣諸島沖で7月2日から領海侵入を続けていた中国海警局の警備艦2隻が5日17:45頃に領海を出た。 中国艦が連続で領海内にいた時間は4~5日にかけて計39時間で、海保によると2012年9月の政府の尖閣国有化以降で最長となった。
 海上保安庁によると、2隻は領海内で日本漁船に接近したため、巡視船を漁船と中国艦の間に入れて退去警告を続けたが、2隻は漁船が大正島へ漁場を変えても追跡し、漁船が5日夕に領海を出るとまもなく退去した。 (2008-070503)

8月28日: 領海に侵入し日本漁船に接近

 第11管区海上保安本部(那覇)が8月28日、尖閣諸島周辺で同日に中国海警局の警備艦2隻が領海に相次いで侵入し、航行中の日本漁船に接近する動きを見せたため巡視船が間に入り、日本漁船の安全を確保したことを明らかにした。
 現場付近には漁場があり、日本漁船は操業中だったとみられる。
 中国艦は接続水域にいた4隻のうち2隻が侵入し、大正島に5kmまで接近したため巡視船が領海から出るよう警告した。 接続水域の2隻のうち1隻は機関砲のようなものを搭載していた。
 中国艦が尖閣周辺で領海侵入したのは17日以来で、今年20日目になる。 (2009-082804)

10月11日: 領海に侵入し日本漁船に接近

 第11管区海上保安本部によると、10月11日11:00前に尖閣諸島沖の日本の領海に中国艦2隻が相次いで侵入し、日本の漁船に接近した。
 尖閣諸島周辺で中国艦が日本の領海に侵入するのは、今年18回目になる。 (2011-101102)

10月15日: 領海に侵入し日本漁船に接近

 第11管区海上保安本部によると、中国艦2隻が10月15日10:42~10:49に尖閣諸島大正島沖の領海に侵入した。 中国艦2隻は15日12:25までに領海を出た。
 2隻は同島沖で日本漁船に接近する動きを見せたため、巡視船が間に入り漁船の安全を確保している。 (2011-101510)

12月26日: 領海に侵入し4時間以上日本漁船を追跡

 第11管区海上保安本部(那覇)が12月26日、尖閣諸島周辺の領海に同日16:10ごろに中国海警局艦2隻が相次いで侵入し、航行中の日本漁船1隻に接近しようとする動きを見せたと発表した。
 中国艦2隻は漁船に続いて領海に入り、南小島の南南東22kmの海上で近づこうとしたため海保が警告し、漁船の周囲に巡視船を配して安全確保に当たった。
 11管によると、中国艦が尖閣周辺で領海侵入したのは23日以来で、今年になって29日目になる。 (2101-122602)

 尖閣諸島周辺で12月26日に領海侵入した中国艦に追尾された漁船に乗っていた石垣市議の仲間均氏が27日に産経新聞の取材に応じ、当時の緊迫した様子を語った。
 追尾は4時間以上に及び、中国艦が漁船に近づこうとしたが、海上保安庁の巡視船が間に入って阻止した。 (2101-122703)

3・2・1・3 中国漁船の動き

護衛艦しまかぜが中国漁船と衝突

 屋久島の西650kmの公海上で3月30日20:30頃、護衛艦しまかぜが中国籍の漁船と衝突した。 海自などによると、漁船には乗員13人がいたが、死者や行方不明者はいない。
 衝突により、左舷側の水面上5mの部分を損傷した。
 防衛省によると、しまかぜは29日午前に佐世保基地を出港し、警戒監視の任務中だった。 (2004-033101)

漁船群の大規模侵入

 中国政府が日本政府に対し、尖閣諸島周辺での多数の漁船による領海侵入を予告するような主張とともに、日本側に航行制止を要求する資格はないと伝えてきたことから、日本の実効支配の切り崩しに向け、挑発をエスカレートさせる可能性もあるとみて日本政府内では危機感が高まっている。
 尖閣周辺で中国が設定する休漁期間が16日に終わり、漁船と公船が領海に大挙して侵入する恐れがある。 (2009-080205)

 中国が東シナ海での漁船操業を解禁する8月に入り、日本政府は中国漁船が公船とともに沖縄県尖閣諸島海域で示威的な活動をすることを警戒している。
 政府筋によると、中国は5月から3ヵ月間、東シナ海などに禁漁期を設定していたが、解禁は8月16日午後以降との情報がある。
 海上保安庁などによると、2016年8月の休漁明けには中国漁船200~300隻が尖閣に出漁したのに続いて中国艦が領海侵入を繰り返し、4日間の公船の領海侵入は延べ28隻、退去警告を受けた漁船は延べ72隻に上った。
 尖閣周辺の日本の排他的経済水域 (EEZ) は日中漁業協定により中国漁船の操業も認められているが、同協定はEEZについての取り決めで領海内での操業は違法になる。
 在日米軍司令官のシュナイダー空軍中将は7月下旬、海警、海軍や海上民兵に支援された中国漁船が出漁する可能性があると指摘し、日本政府に対し更なる情報提供を行う用意があると述べている。 (2009-080902)

 尖閣諸島沖で中国艦が領海侵入を繰り返すなか、中国東部の浙江省の漁港では、近く禁漁期が明ける東シナ海への出漁準備が進められている。 ただ、片道2日を要する尖閣沖への出漁は一部大型漁船を除くとそんなにもうからない(漁民)のが実情で、必ずしも積極的ではなく当局の指示次第のようである。
 8月5日朝に台風直後の象山県石浦港を案内してくれた船長は「釣魚島(尖閣)は中国のもので、日本への引き渡しは許さない」と公式見解を力説しつつも「燃料費もかかる。
 行きたいという漁民は多くない」と付け加えた。 (2009-081001)

中国が釣魚島周辺30nmへの進入禁止

 尖閣諸島の周辺海域で中国が設けた休漁期間が8月16日に明けるのを前に、東シナ海沿岸の福建、浙江両省の地元当局が漁民に対し「釣魚島(尖閣の中国名)周辺30nmへの進入禁止」など、尖閣への接近を禁じる指示をしていたと、15日に漁民らが証言した。  中国は尖閣の領有権の主張を強めているが、日本との過度な摩擦を避ける意向とみられる。 (2009-081505)

3・2・2 わが国の対応

3・2・2・1 わが国の姿勢

海上保安庁と連携

 河野防衛相が8月4日、尖閣諸島の周辺海域で中国艦が活動を活発化させていることに関し、自衛隊としても海上保安庁と連携し、必要な場合にはしっかり行動したいと述べた。
 ただ、その場合の具体的な事態の想定や対処方法については「手の内」だとして明らかにしなかった。 (2009-080403)

接続水域航行100日連続への対応

 菅官房長官が7月22日の記者会見で、尖閣諸島周辺で中国当局の船が100日連続で確認されたことについて、極めて深刻に考えており、中国側には毅然とした態度で対応したいと述べた。 (2008-072204)

自衛隊の演習や日米共同演習の要望

 自民党の防衛関係議員グループが尖閣問題について9月17日、当該地域で自衛隊の演習や日米共同演習を行うことを求めた要望書を纏めた。 (2011-093003)

3・2・2・2 警備の強化

3・2・2・2・1 海上保安庁

乗組員が COVID-19 に感染

 尖閣諸島周辺の領海警備を担う海上保安庁の尖閣専従巡視船の乗組員がCOVID-19に感染していたことが7月10日に分かった。
 6月に鹿児島市内で感染したとみられ、尖閣警備で指揮を執る海保最大級の巡視船2隻の乗組員2名も感染していた。
 尖閣周辺での中国艦の確認日数が過去最長を更新するなかで、海保は感染拡大が警戒監視活動に影響を及ぼす恐れがあるとみて、危機感を強めている。 (2008-071008)

海上保安体制強化方針の策定

 海上保安庁が平成24~27年度、第11管区海上保安本部(那覇)に巡視船12隻の尖閣領海警備専従体制を構築し、2016年12月に尖閣警備と大規模事案の同時対応を掲げた「海上保安体制強化方針」を策定した。
 海保が保有する6,500t型PLHは尖閣国有化翌年の2013年以降2隻だったが、同方針の元で整備した6,500t型PLHが2020年2月に就役し、同時期に6,000t型PLHも1隻増やして2隻にした。
 PLHの建造ラッシュは続き、6,500t型2隻が令和2年度と3年度、6,000t型2隻が5年度の就役予定である。 (2008-072206)

3・2・2・2・2 航空自衛隊

緊急発進の基準の見直し

 複数の政府関係者が7月18日、防衛省はレーダ上で明らかに領空侵犯の恐れがある場合のみ戦闘機を緊急発進させていたが、尖閣諸島を巡る日本と中国の激しいせめぎ合いを踏まえて緊急発進の基準を見直し、2019年の早い段階から中国福建省の航空基地を離陸する全戦闘機に対し、即時に那覇基地の戦闘機を発進させるなど、大幅に対応を強化していることを明らかにした。
 また中国軍機の動向を監視するため、AEW&Cが日の出から日没まで東シナ海上空を飛行していることも新たに明らかになった。 (2008-071803)

3・2・2・3 地元の姿勢

石垣市による地名変更とその影響

 沖縄県石垣市長が市議会に、登野城と呼ばれていた地名を登野城尖閣と変えるよう提案したと朝日新聞が報じたのを受け、台湾宜蘭の地元政府が6月8日、台湾政府に対し釣魚台とした地名を頭城釣魚台に変えるよう要望した。 (2007-060906)

 日中外交筋が7月19日、中国政府が日本政府に対して外交ルートを通じて7月に尖閣諸島の周辺海域での日本漁船の操業は領海侵入だとして立ち入らせないよう要求していたことを明らかにした。
 また沖縄県石垣市議会が議決した尖閣の住所地の字名を10月から変更する措置の中止を求めたが日本側は即座に拒否した。 (2008-071901)

海上自衛隊の基地整備を要請

 南西諸島への自衛隊配備を巡り、八重山防衛協会の三木巖会長らが防衛省に対し11月10日までに、八重山地方への海上自衛隊の基地整備を要請した。
 海自の八重山配備要請は初めてとみられる。
 防衛省は要請を受けたことについて「すぐに何か動くということはない」としているが、南西諸島の防衛力強化が進められる中、今後の基地配備に影響を与える可能性がある。 (2012-111102)
【註】八重山諸島とは石垣島、西表島、下地島から与那国島に至る日本最西端の島々で、宮古列島とともに先島諸島の一部となっている。

3・2・3 米国の動き

米軍の姿勢

 在日米軍司令官のシュナイダー空軍中将が7月29日、尖閣諸島周辺における中国艦による前例のない侵入の監視を米軍が支援することが可能との見解を示した。
 尖閣問題について米国は中立な立場をとっているが、同盟国である日本が攻撃に対応する場合は支援する方針を示していた。
 これに対し、中国外務省は、釣魚島は中国固有の領土であり、この地域で法執行活動を行う権利を有すると表明した。 (2008-072905)

 日米共同演習にあわせて在日米軍司令官のシュナイダ空軍中将が記者会見し、日米の統合的な運用能力は、尖閣諸島を防衛するための部隊の輸送に使うことが可能だと述べた。
 尖閣諸島周辺での活動を活発化させている中国を牽制した発言と受け止められている。 (2011-102701)

 Rand研究所が12月17日に、東シナ海で中国海軍との衝突が生起した場合、海上自衛隊には米海軍を支援するに足る能力を有しているとした報告書を公表した。
 特に琉球諸島における高度な装備を有する海上自衛隊のプレゼンスと掃海及び対潜作戦で果たす役割は期待できるとしている。 (2101-121707)

8月25日: 中国が設定した飛行禁止区域に U-2 が侵入

 中国国防省が8月25日、人民解放軍北部戦区が実弾演習のために渤海や黄海に設定した飛行禁止区域に同日、米軍のU-2が侵入したとして、露骨な挑発行動だと非難する報道官談話を発表した。
 演習区域に他国軍機が侵入したとして中国軍が事実上抗議する声明を出すのは異例である。 (2009-082601)

11月17日: B-1B 2機が中国防空識別区域に進入

 香港のSouth China Morning Post (SCMP) が11月17日、中国海軍が大規模な演習を実施している中、米国のB-1B 2機が同日に東シナ海の中国防空識別区域(ADIZ)に進入したと報じた。
 SCMPによると、航空機追跡サイトAircraft SpotsからグアムのAndersen AFBを出撃したB-1B 2機は東シナ海を通過し、中国のADIZに進入した。
 またKC-135 2機も出撃し空中給油を行なったという。 (2012-111802)

3・3 南シナ海

3・3・1 中国の動き

3・3・1・1 埋め立ての継続

 Airbus社の衛星が7月中旬に撮影した画像で、中国が南シナ海パラセル諸島Woody島で行っている埋め立てが、同島北部の2箇所で今も続いていることが判明した。
 西側での埋め立ては2019年12月に開始されている。
(2009-072903)
3・3・1・2 軍備の強化

AEW&C 機の配備

 5月11日に民間衛星が撮影した画像から、中国が南シナ海Fiery Cross礁にKJ-200 ASW機、KJ-500 AEW機、Z-8ヘリそれぞれ1機づつを展開していることが明らかになった。
 その前に中国はベトナムやフィリピンと領有権で対立している南シナ海の80の島々に中国名を付与している。 (2006-051205)

 商用衛星が5月11日に撮影した南シナ海スプラトリー諸島Fiery Cross礁の画像にKJ-200 ASW機、KJ-500 AEW機、Z-8ヘリが写っている。
 画像には埠頭に停泊するType 071 LPDも写っているが、Type 071はZ-8を4機搭載していることから、このZ-8はType 071搭載機と見られる。 (2007-052002)

 中国人民解放軍のウェブサイトChina Military Onlineが9月3日、海南島陵水の海軍航空隊基地に駐機した空中給油用のプローブを装備したKJ-500 AEW&Cの画像を公開した。
 この画像で黄色く塗装されたKJ-500はKQ-200 ASWの手前に写っている。
 プローブを装備したKJ-500は2018年4月に2機が西安阎良区 (Xian-Yanliang) の飛行場で確認されており、このうちの1機が今年の7月15日から8月28日の間に陵水に移動したと見られる。 (2011-092308)

HQ-9 SAM 中隊の駐留

 Woody島ではJ-11BH、KJ-500、Y-8、JH-7などの飛来が確認されているほか、HQ-9戦略SAM中隊の駐留も確認されている。 (2009-072903)

爆撃機の配備

 中国軍用機専門ブログCMAが8月13日、中国海軍が8月に南シナ海のWoody島にH-6Jを配備したと関連写真を公開した。
 中国版ツイッターのウェイボに載せられた写真では、整備人員が滑走路で1機のH-6Jを点検している。
 2018年5月には中国空軍のH-6K 1機がWoody島滑走路に向かい、着陸せずに上昇したことがあったが、中国が爆撃機を南シナ海のWoody島に配備したのは今回が初めてである。 (2009-081304)

空母山東の海南島配置

 台湾国防部が12月20日、空母山東が4隻のフリゲート艦を伴って同日に台湾海峡を南下したたことを確認したと発表した。
 同部によると、山東は大連周辺で訓練を終えて今月17日に大連を出航して台湾海峡を通過し、母港のある海南島に戻る途中だったとみられる。 (2101-122003)

 香港のSouth China Morning Post (SCMP) が12月21日、中国が海南島にType 002空母用乾ドックを建設中と報じた。
 SCMPは衛星写真で海南省三亜市楡林港の潜水艦基地で乾ドックが建設中であることが確認されたとし、軍情報筋2人がType 002のためと話したとしている。
 台湾の軍事専門家呂氏によると、この乾ドックは全長420m、幅72mの船体を収容できるが、これはType 002の大きさとほぼ同じ規模という。
 Type 002は遼寧山東に続く中国3番目の空母で、自国の技術で建造される2番目の空母である。 (2101-122203)

3・3・1・3 周辺国への圧力

3・3・1・3・1 大規模演習実施による威嚇

6月29日~7月3日: パラセル諸島周辺

 中国国営メディアが6月下旬に、中国軍が6月29日から7月3日にパラセル諸島周辺で演習を行うため、この海域での船舶の航行を禁止すると報じていたが、米国防総省は2日にこの演習は地域の不安定化を招くと非難した。
 5月下旬に駆逐艦Mustinがパラセル諸島近海を航行させている米海軍は、この演習が始まる6月29日に南シナ海のマレーシアとベトナムのEEZ内で数ヶ月にわたり活動している中国調査船周辺にLCS Gabrielle Giffordsを派遣している。 (2008-070306)

7月25日~8月2日: スプラトリー諸島周辺

 人民解放軍が25日までに、7月25日~8月2日の予定で南シナ海の一部で軍事訓練を実施すると発表した。 火力を伴う実弾射撃訓練で、船舶に近寄らないよう通知した。
 解放軍で南シナ海を管轄する南部戦区の発表によると、訓練の場となる海域は広東省雷州半島沖の北部湾で南シナ海の北西部分にあたり、スプラトリー諸島の領有権を争うベトナムに近い。 (2008-072601)

8月4日~29日: スプラトリー諸島周辺

 中国軍が8月4~29日の日程で南シナ海の広い海域で演習を行う。 黄海でも重大軍事活動を展開するという。
 米海軍主催で17~31日に実施中の環太平洋合同演習 (RimPac) 多国間海上演習に対抗して演習を行い、トランプ政権を強くけん制する狙いがあるとみられる。 (2009-082301)

9月28日: パラセル諸島周辺

 中国海事局が9月26日、中国が南シナ海のパラセル諸島周辺で28日に軍事演習を行うため航行禁止区域を設定した。
 演習の詳細は不明である。 (2010-092604)

3・3・1・3・2 ASBM の発射

 香港のSouth China Morning Postが中国軍に近い消息筋の話として、中国軍が8月26日朝に内陸部の青海省と沿岸部の浙江省からそれぞれIRBM/MRBMを1発ずつ南シナ海に向けて発射したと報じた。
 同紙によると、青海省から発射されたのは射程4,000kmのDF-26で、グアムを射程に収めることからGuam Killerと呼ばれ対艦攻撃も可能とされる。
 一方、浙江省から発射されたのは射程1,500km以上のDF-21D ASBMで、いずれも海南島とパラセル諸島の間に中国軍が設定した演習海域に着弾したという。 (2009-082701)

 米海軍が、中国軍が南シナ海パラセル諸島付近に演習の一環としてBMを発射した翌日の8月27日、同海域を駆逐艦Mustinが航行したと発表した。
 資源豊富な同海域の領有権を主張している中国側は警告を発し、米中間の緊張はさらに高まっている。 (2009-082806)

 ロイタ通信が8月26日、中国が大規模演習の一環として同日に海南島とパラセル諸島に挟まれた海域にMRBMを4発撃ち込んだと報じた。
(2011-090913)

3・3・1・3・3 軍用機の飛行による威嚇

7月: 爆撃機の飛行

 中国国防省が7月30日、南シナ海での爆撃機の訓練が終了したと明らかにした。
 国防省の報道官は会見で、H-6G、H-6Jが24時間不休の訓練に参加したと述べた。 (2008-073006)

3・3・1・3・4 他国船の締め出し

一方的な夏季休漁期の設定

 中国海警局が南シナ海で、5月1日から3~4ヵ月間の夏季休漁期に入ったことに伴う措置として、「亮剣2020」と名付けた違法操業漁船の取り締まりを強化しているため、領有権を争う海域を持つ周辺国が警戒感を強めている。
 休漁期を設定した海域には、ベトナムやフィリピンが領有権を主張する海域も含まれている。 休漁は定例で漁業資源保護が目的だが、海上巡回と外国漁船の管理なども重点項目に含めている。
 これに対してベトナム政府は8日、抗議する声明を出した。
ベトナム外務省報道官は8日の声明で、中国の一方的な決定を拒否すると抗議した。 またフィリピンメディアによると、フィリピンの漁業組合も中国政府に抗議すべきだなどとフィリピン政府に求める声明を出した。 (2006-051002)

他国による資源開発の妨害

 特記すべき記事なし

3・3・1・3・5 他国漁船の操業妨害

警備艦がベトナム漁船に体当たり

 ベトナム外務省が4月3日、南シナ海の海域で中国海警局の船が操業中のベトナムの漁船を沈没させたと発表した。
 それによると、南シナ海パラセル諸島で中国海警局の警備艦が操業中のベトナム漁船に体当たりして沈没させたが、漁船の乗組員8人は無事という。 (2005-040401)

 ベトナムメディアが6月13日、南シナ海のパラセル諸島付近で10日に16人乗りのベトナム漁船が中国船に体当たりされ、船の機材や漁獲物などを奪われたと報じた。
 船体は大きく損傷し、船長が中国側に暴行を受けたという。
 中国船の所属など不明な点も多く、ベトナム当局が詳しく調べている。 (2007-061401)

3・3・1・4 東沙諸島奪取の目論み

 中国筋が5月11日までに、中国人民解放軍が8月に、台湾が実効支配する南シナ海東沙諸島の奪取を想定した大規模な上陸演習を計画していることを明らかにした。
 東沙諸島は中国海軍の基地がある海南島から台湾南方のバシー海峡を経て太平洋へ向かうルート上にあり、中国軍が太平洋に進出するため戦略的に重要な位置にある。
 中国初の国産空母山東も海南島の基地に配備されており、中国軍にとって東沙を制する必要性が高まっている。 (2006-051201)

 台湾軍がチャーターした立栄航空の双発プロペラ機ATR72-600が、10月15日午前に高雄空港から南シナ海の東沙島に向かう途中、香港飛行情報区(FIR)への進入を拒否されたため、09:44に香港FIRと隣接する空域を旋回し、10:22に高雄空港に戻った。
 香港の航空交通管制当局は「26,000ft以下の空域で危険な活動がある」として航空機の進入を拒否し、台湾側からの「いつ進入できるか」との確認に回答がなかったという。 (2011-101513)

3・3・1・5 南シナ海に防空識別圏を設定

 中国が南シナ海に防空識別圏を設定する可能性が浮上している。
 中国外務省副報道局長が南シナ海での防空識別圏の設定について6月22日、どの国にも権利はあり、設定するかどうかは直面する安全保障の程度で決まるとして、各方面の要因を総合的に考慮し、慎重に研究していると語った。
 この立場は中国が以前から示してきたものだが、趙氏の発言からは「南シナ海は安定している」といった従来の表現が消えた。
 中国の海洋問題の研究者は「我々は『当面は設定しない』と説明してきたが、その段階は過ぎた」と話している。 (2007-063001)
3・3・1・6 COVID-19の感染拡大に乗じた挑発的動き

 アジア太平洋地域の米空母でCOVID-19の感染が発生し、米軍の即応能力の低下が懸念される中、中国軍による挑発的な動きが続いている。
 このところ中国軍は米軍の隙を突くような行動を繰り返していて、台湾国防部によると10日にはH-6爆撃機、KJ-500 AEW&C、J-11が台湾の南西からバシー海峡を経て西太平洋に進出した後、同じルートを引き返した。
 中国軍機が台湾周辺を飛行するのは2020年6回目で、3月16日には台湾周辺で初の夜間飛行を行った。
 南シナ海でも中国が覇権を拡張しようとする動きが目立つ。 スプラトリー諸島では3月に科学研究用とする施設を設置したほか、ベトナム外務省によると4月3日には中国海警局艦がパラセル諸島付近でベトナム漁船に追突し沈没させた。 (2005-041201)

 中国国営新華社通信が4月13日、空母遼寧が南シナ海などを航行し訓練を行ったと報じた。 アジア太平洋地域で活動する米海軍の空母でウイルスの感染が広がり米軍の即応能力低下が懸念される中、中国軍は自らの空母が正常に活動していると誇示した。
 遼寧をを中心とした艦艇は沖縄本島と宮古島の間を通過し、バシー海峡を経て南シナ海に向かっていた。 (2005-041303)

 COVID-19の感染拡大で米空母が撤収した隙を中国が埋めようと艦隊を南シナ海に送ったのに対し、米国も艦隊を送り緊張が高まっている。  軍事メディアAlert 5が4月22日に、中国空母遼寧と随伴艦6隻で構成された艦隊が21日に東経114゚北緯13゚のMacclesfield堆付近で航海中の様子を商用衛星が撮影したと報じた。 (2005-042202)

 北京の軍事関係筋によると、中国海軍が2020年夏に南シナ海で大規模な演習を計画している。
 この演習には空母2隻が同時に参加する可能性もあるといい、米中間の軍事的緊張が高まりそうである。
 4~5月に米海軍が南シナ海で繰り返し実施した航行の自由作戦や、8月にハワイ周辺海域で開催される米海軍主催のRimPac演習に対抗する狙いがある。 RimPac演習には米国や日本、ベトナムなど20ヵ国以上が参加する見通しだが、中国は前回の2018年に招待を取り消された。 (2007-061103)

3・3・1・7 米軍の動きに呼応した動き

 米海軍によると、空母Ronald Reaganが南シナ海で週末に防空演習を行った翌日の8月15日に、香港を母港とする中国海軍のType 056コルベット艦恵州が南シナ海で実弾射撃演習を実施した。 (2009-081806)

 中国人民解放軍で南シナ海を管轄する南部戦区の報道官が10月9日夜、米駆逐艦が同日に中国が領有権を主張する南シナ海パラセル諸島周辺海域で領海に侵入したと非難する談話を発表した。 (2011-101001)

3・3・2 周辺諸国の動き

3・3・2・1 ASEAN

外相会議が中国に懸念表明

 ASEAN議長国のベトナムが9月10日、TV会議方式で9日に開いたASEAN外相会議の共同声明を公表した。
 声明は南シナ海情勢について、「信頼を損ない、緊張を高める土地の埋め立てや深刻な出来事に複数の閣僚が懸念を表明した」と明記し、名指しを避けながらも中国の対応を牽制している。 (2010-091005)

首脳会議で中国の埋め立てなどに懸念表明

 ASEAN事務局が11月18日、オンライン形式で先週開催したASEAN首脳会議の議長声明を公表した。
 声明は中国が実効支配の動きを強める南シナ海情勢について、埋め立てや深刻な出来事などに複数の首脳が懸念を表明したと指摘した上で、こうした行動は地域の平和と安定を損ないかねないと中国の動きを牽制している。
 さらに、国際法に基づき、平和的な紛争解決を目指す方針を示した。 (2012-111805)

3・3・2・2 フィリピン

Pag-asa島に埠頭が完成

 フィリピン国防省が6月9日、南シナ海スプラトリー諸島のうち、自国が実効支配するPag-asa島(英名 Thitu 島)で建設を進めていた埠頭が完成したと発表した。
 Pag-asa島は西部パラワン島の北西450kmにあり、面積は32haで島を管轄するカラヤアン町職員や漁師ら100人以上が政府から生活費の支給を受けて暮らすほか、軍や沿岸警備隊も駐留している。
 ロレンザーナ国防相は同日、これまでは沖合に輸送船などを停泊させて小型ボートを使って島に上陸してきたが、今後は接岸して資材搬入ができることから、島内での別の建設計画も進められると述べ、軍用機が離着陸可能な滑走路の整備や観光開発を進める考えを示した。 (2007-060905)

地方政府が Pag-asa島周辺の砂州と岩礁に命名

 南シナ海スプラトリー諸島のうち、フィリピンが実効支配するPag-asa島を管轄するカラヤアン町が8月14日、島周辺の4つの砂州と2つの岩礁に命名する条例に町長が署名した。
 Pag-asa島の25km沖では中国が3,000m級の滑走路を整備するなど、この海域は領有権争いの最前線となっており、領有権を主張する中国との間で緊張が高まるおそれがある。 (2009-081701)

ドゥテルテ大統領が領有権問題を棚上げ

 フィリピンのドゥテルテ大統領が、中国からCOVID-19のワクチンを提供してもらう代わりに、南シナ海領有権問題を棚上げしかねない消極的な発言をして波紋を呼んでいる。
 ドゥテルテ大統領は7月27日の施政方針演説で、「パラワン島沿岸に海兵隊を派遣した途端、ミサイルが直撃するだろう。 わが国には中国と戦争する余裕はない」と中国との軍事力の差に触れ「冷静になった方がいい」と国民に呼び掛けた。
 中国の海洋進出を勢いづける恐れもあり、識者から「敗北主義者」との批判も飛び出した。 (2009-080102)

南シナ海での石油探査再開を許可

 クーシー比エネルギー相が10月15日、ドゥテルテ大統領が南シナ海での石油探査の再開を許可したことを明らかにした。
 同相は石油探査の再開について、フィリピンと中国、フィリピンのフォーラム社と中国海洋石油 (CNOOC) が進めている交渉に十分配慮し、誠意に基づいて決定したと述べており、中国との共同開発も含めた3件のプロジェクトが再開する可能性がある。
 ドゥテルテ大統領が2019年に明らかにしたところによると、中国政府は南シナ海での仲裁裁判所の裁定をフィリピン側が無視することを条件に、南シナ海でのガス共同開発の過半数権益をフィリピンに譲渡することを提案している。 (2011-101606)

3・3・2・3 ベトナム

特記すべき記事なし
3・3・2・4 インドネシア

Natuna島の軍備増強

 インドネシアが南シナ海Natuna諸島最大の大Natuna島にコルベット艦2隻と少なくとも600名の陸軍第1混成大隊を追加派遣し、2018年から配備されている少なくとも1隻の潜水艦と合流した。 この部隊展開は過去最大規模という。
 また1月5日には、南サラウェジのSultan Hasanuddin航空基地から飛来した空軍のBoeing 737 MPA 1機が飛行した。
 インドネシアによるとNatuna諸島では、中国船によるインドネシアEEZへの進入が増大しているという。 (2002-010606)

 インドネシア政府が1月6日、南シナ海のNatuna諸島付近で2019年12月に中国漁船が中国海警局の警備艇を伴って操業した問題に対応し、既に派遣した艦船に加えて漁業関係者を動員して監視を強化する方針を明らかにした。
 同国治安担当調整相は、ジャワ島の漁業者約120人を同島から1,000km北のNatuna諸島に派遣し、現地で漁業などの活動に当たると述べた。
 インドネシア政府は前週、既に6隻の艦船派遣しているNatuna諸島周辺にを追加派遣する方針を示しており、4隻が現場に向かっているという。 (2002-010704)

 メディア・インドネシアが1月8日、インドネシア政府が北ナトゥナ海の排他的経済水域 (EEZ) で2019年12月に中国漁船が中国当局の警備艇を伴って違法に操業した疑いが浮上していることから、同海域の警備を強化していると報じた。
 このため空軍は監視のためとしてF-16 4機を派遣する。 (2002-010904)

(2003-011505)

 インドネシアが南シナ海Natuna諸島最大の大Natuna島にコルベット艦2隻と少なくとも600名の部隊を追加派遣した。 派遣された部隊は海兵隊と防空部隊及び陸軍第1混成大隊である。
 また1月5日には、空軍のBoeing 737 MPA 1機が飛行した。
 今回の追加派遣は同諸島のEEZ内に中国船舶の侵入が増大していることによるもので、同海域で中国漁船の違法操業が行われると共に、2019年12月は中国海警局の警備艦2隻が侵入している。 (2003-011505)

Natuna島近海で中国艦に退去要請

 インドネシア海上保安機構が、中国海警局の公船が9月12日にインドネシアの排他的経済水域EEZ内に進入したため退去を要求したと発表した。
 同国外務省も13日に中国の在インドネシア大使館に事実関係と進入の目的の説明を求めた。
 中国艦は「九段線」のパトロールだと主張し、その後もインドネシアのEEZ内にとどまったという。
 海保機構は14日時点で退去したかを明らかにしていない。 (2010-091403)

大規模演習の実施

 インドネシア海軍が7月24日、南シナ海の南の海域で21日から4日間にわたり、駆逐艦2隻やフリゲート艦4隻など24隻が参加する大規模な演習を実施したと発表した。 南シナ海で影響力を強めようとする中国をけん制する狙いがあるとみられる。
 演習を実施した海域は近くの排他的経済水域 (EEZ) が九段線と呼ぶ中国が独自に設定する境界線と重なるインドネシア領のナトゥナ諸島周辺も含む。
 この海域では中国漁船が公船を伴って操業を繰り返すなど、インドネシア側は中国側の動きに警戒を強めている。
 演習はナトゥナ諸島防衛を意識して陸上訓練も取り入れ水陸両用作戦の強化を狙っている。 (2008-072404)

3・3・2・5 マレーシア

ベトナム漁船を銃撃

 マレーシア当局が8月17日、南シナ海でマレーシア沿岸警備隊の警備艇に体当たりしようとしたベトナム漁船を銃撃し、ベトナム人の漁師1人が死亡したことを明らかにした。
 銃撃があったのはマレーシア領海内で、過去にもベトナム漁船から漁網を傷つけられたとして地元漁師から苦情が出ていた海域だという。 (2009-081703)

中国漁船6隻を拿捕

 マレーシア海上法令執行庁が10月10日、ジョホール州沖の海域で無許可で停泊したなどとして、中国漁船6隻を拿捕して中国人の船員ら計60人を拘束したと発表した。
 同庁によると、9日に発見された6隻はいずれも中国河北省秦皇島市の漁船で、西アフリカのモーリタニアに向かう途中に数隻が故障したため、停泊していたとみられる。 (2011-101008)

3・3・2・6 ブルネイ

特記すべき記事なし
3・3・2・7 台 湾

特記すべき記事なし
3・3・2・8 オーストラリア

 オーストラリア政府が米国と歩調を合わせ、南シナ海における中国の主張が1982年国際海洋条約に反し不当であると、国連に文書で申し入れた。 (2010-080502)
3・3・3 米国の対応

3・3・3・1 積極関与姿勢への変化

中国の権利主張は違法と断定

 ポンペオ米国務長官が7月13日、南シナ海の海底資源を巡る中国の権利主張は違法だと述べ、同海域における中国の行動への批判を強めた。
 長官は、中国は南シナ海での野心的な行動の論理的な法的根拠を示しておらず、長年にわたって東南アジアの沿岸諸国を威嚇してきたと指摘した。
 長官が声明で、われわれは、南シナ海の大部分における海底資源に対する中国の主張が、その支配を目的とする嫌がらせ行為と同様に完全に違法であることを明確にすると述べ、さらに国際社会は南シナ海における中国の領有権主張を認めないと強調し、米国は東南アジアの同盟国が国際法の下で定められた権利と義務に基づき海底資源に対する主権を守ることを支持するとした。 (2008-071401)

 トランプ米政権が南シナ海の海洋権益に関する中国の主張を完全に違法と否定し、従来の中立的な立場を転換して中国と権益を争う東南アジア諸国の支持を明確にした。
 違法な活動に関わる中国企業などへの制裁へ環境整備を進める。 (2008-071410)

 米国務省で東アジア・太平洋担当しているスティルウェル次官補がワシントンのシンクタンクで7月14日、南シナ海で中国が権益を主張していることについて、問題に関与する当局者や企業への制裁で対応する可能性があると述べた。
 次官補は制裁の可能性について問われたのに対し、全ての選択肢がありその余地もあると述べた。 (2008-071501)

 米国が、南シナ海における中国の活動に対し、受け入れない姿勢を鮮明にしている。
 ポンペイオ米国務長官は、南シナ海問題で常設仲裁裁判所 (PCA) が裁定を下してから4周年記念日の翌7月13日に、中国が南シナ海で周辺諸国を蹴散らして地下資源開発を独占していると非難した。 (2009-072205)

中国官製メディア、南シナ海で軍事衝突の危険性

 共産党機関紙人民日報系の環球時報が7月29日、南シナ海で軍事衝突の危険性が高まっているという分析を報じた。
 中国軍をけん制するため米軍が南シナ海で軍事演習を実施し緊張が高まっており、中国が埋め立てた南シナ海の人工島を米軍が攻撃するのではないかという臆測も広がっている。
 北京のシンクタンクによると、米軍機が7月中旬以降、頻繁に南シナ海や中国周辺を飛行しており、26日にはP-8Aが福建省の領海まで76kmの地点に接近した。
 中国外務省報道官は28日に、米軍機が南シナ海で今年前半に2,000回以上の活動を行ったと述べた。 (2008-072904)

3・3・3・2 戦力の増強

3・3・3・2・1 第7艦隊海域で3個 CSG が活動

 米海軍が、空母NimitzRonald ReaganのCSGがフィリピン海で6月28日に、2個CSGによる共同作戦を開始したと発表した。
 6月上旬にはNimitzRonald Reagan同様の行動を行っており、南シナ海に繋がる海域で3個CSGが活動していることになる。
 第7艦隊海域で3個CSGが活動するのは2017年に韓国近海に展開して以来となる。 (2007-062904)
3・3・3・2・2 サイバー・電子戦を強化

 米軍が2021年にも電子戦やサイバ分野での作戦、命中精度を高めた戦術SSMの運用など、複数の戦闘領域にまたがって活動する陸軍特殊部隊をインド太平洋地域に配置する。 2個隊を送りうち少なくとも1個隊は南シナ海周辺国に常駐する計画で、フィリピンなどが候補に浮上しているようだ。
 元海軍高官は南シナ海での有事に備え、中国軍の通信網を混乱させる手段が有効だと指摘する。
 中国は南沙の人工島に加え、中国本土沿岸部には南シナ海全域を射程に収める中距離ミサイルを配備しているため、米軍は有事の際に南シナ海への接近が困難にならないよう通信網を乱して中国に米軍の位置情報をつかませない戦略が必要になる。 (2008-071601)
3・3・3・3 継続的プレゼンスの強調

4月: 強襲揚陸艦Americaと巡洋艦Bunker Hill

 米インド太平洋軍が4月21日、南シナ海に強襲揚陸艦Americaと巡洋艦Bunker Hillの2隻を展開したと発表した。 2隻の詳細な位置については言及しなかった。
 インド太平洋軍は声明で、米軍は南シナ海における継続的プレゼンスを通じ、航行や飛行の自由、地域の安全と繁栄を支える国際的原則を推進すると強調した。
 米海軍は、太平洋に展開していた空母Theodore RooseveltでCOVID-19の感染が広がり、即応能力低下が懸念されている。 こうした中、中国は空母遼寧を南シナ海に派遣すると共に、南シナ海に行政区を設置するなど、領有権の既成事実化を進めている。 (2005-042201)

 COVID-19の感染拡大で米空母が撤収した隙を中国が埋めようと艦隊を南シナ海に送ったのに対し、米国も艦隊を送り緊張が高まっている。
 中国空母遼寧と随伴艦6隻で構成された艦隊が4月21日にMacclesfield堆付近で航海中の様子を商用衛星が撮影したが、Macclesfield堆から1,000kmほど離れたマレーシアの排他的経済水域 (EEZ) には米海軍の強襲揚陸艦Americaがいる。
 全長257m、満載排水量45,693tのAmericaはF-35Bを20機搭載する事実上の軽空母で、新型コロナウイルスの感染拡大でグアムに足止めされた空母Theodore Rooseveltと修理のため日本に停泊しているRonald Reaganに代わりとして、巡洋艦Bunker Hillと駆逐艦Barryを伴って同海域にいる。 (2005-042202)

7月: 空母Nimitz CSG とRonald Reagan CSG

 米海軍は空母NimitzRonald Reaganが南シナ海で7月17日に再び演習を行ったことを明らかにした。 2隻の空母は7月上旬にも南シナ海で演習を実施している。
 太平洋艦隊によると、2隻の空母を中心に構成する2個CSGは南シナ海で戦術的防空演習を行い、12,000名以上が参加した。 (2008-071802)

8月14日: 空母Ronald Reagan CSG

 米海軍が8月14日、空母Ronald Reaganを中心とするCSGが南シナ海で訓練を行ったと発表した。
 Ronald Reagan CSGは艦載機の飛行訓練や防空訓練などを実施した。 (2009-081503)

10月15日: 空母Ronald Reagan CSG

 米第7艦隊が15日、空母Ronald Reagan CSGが南シナ海に入ったことを明らかにした。
 Ronald Reaganが南シナ海に展開するのは2020年3回目で、Ronald Reagan CSGはインド洋での作戦行動ののち、マラッカ海峡を通過して南シナ海に移動した。 (2011-101604)

3・3・3・4 航行の自由作戦

積極的な航行の自由作戦 (FONOP) 実施

 2019年の米海軍による南シナ海における航行の自由作戦 (FONOP) は、2015年の開始以来最も積極的になっている。
 オバマ政権時代に始まったFONOPは2015年に2回、2016年に3回であったが、トランプ政権になってからは2017年に6回、2018年に5回となった。
 一方2016年に12回、2017年に6回であった台湾海峡の艦船通過は2018年に3回になっていたが、2019年には再び増加している。 (2003-020504)
【註】2019年の南シナ海における米海軍の実施したFONOPは8回が報じられ、台湾海峡通過も8回報じられている。

1月28日: LCS Montgomery

 中国軍南部戦区報道官が1月28日、米海軍のLCS Montgomeryが25日に中国が領有権を主張する南シナ海のスプラトリー諸島近隣海域に「無断で進入した」として反発した。
 米軍の南シナ海での航行の自由作戦が明らかになるのは2019年11月以来で、今年初めてである。 (2002-012802)

3月16日: 駆逐艦 McCampbell

 米海軍第7艦隊が3月16日、駆逐艦McCampbellが10日に南シナ海パラセル諸島で、2020年2回目となる航行の自由作戦を実施したと発表した。 (2004-031606)

4月28日: 駆逐艦 Barry

 米太平洋艦隊の報道官が朝日新聞の取材に対し4月28日、南シナ海で航行の自由作戦を実施したことを明らかにした。 駆逐艦Barryがパラセル諸島付近を航行したという。
 COVID-19の感染が拡大するなか、太平洋に展開中の空母Theodore Rooseveltで集団感染が明らかになるなど、感染拡大が米軍の海外展開にも影響を与えており、トランプ政権はこうした中で、中国軍の出方に警戒を強めている。 (2005-042901)

4月29日: 巡洋艦 Bunker Hill

 米第7艦隊が4月29日、巡洋艦Bunker Hillが同日に中国が人工島を造成して軍事拠点化を進める南シナ海のスプラトリ諸島付近で航行の自由作戦を実施したことを明らかにした。
 28日にも駆逐艦Barryがパラセル諸島の付近を通航しており、米艦船が南シナ海で連日にわたり航行の自由作戦を実施するのは異例である。 (2005-043001)

5月28日: 

7月14日: 駆逐艦Ralph Johnson

 米太平洋艦隊が7月14日、第7艦隊所属の駆逐艦Ralph Johnsonが南シナ海のスプラトリー諸島の周辺海域で航行の自由作戦を実施したことを明らかにした。
 太平洋艦隊は作戦の詳細には言及しなかったが、米外交誌Diplomatによると人民解放軍が部隊を常駐させるCuarteron礁とFiery Cross礁から12nm内を航行した。
 米メディアによると、公表されている米艦船による同作戦の実施は5月28日以来とされる。 (2008-071505)

12月22日: 駆逐艦John S. McCain

 米第7艦隊が声明で12月22日、中国の過剰な海洋権益主張を否定する航行の自由作戦の一環として、駆逐艦John S. McCain が南シナ海のスプラトリー諸島付近を航行したと発表した。 (2101-122204)

3・3・3・5 中国艦活動の制止

5月07日: LCS Montgomery と補給艦Cesar Chavez

 米海軍LCSのMontgomeryと補給艦Cesar Chavezの2隻が5月7日に南シナ海で、数週間にわたり中国戦闘艦から嫌がらせを受けている海底掘削中のマレーシアの掘削船West Caprllaの周辺を航行し、中国艦に対してシグナルを示した。 (2006-050809)

3・3・3・6 米軍機の南シナ海上空飛行

5月27日: B-1B 2機

 米太平洋空軍が5月27日、グアムに展開しているB-1B 2機が26日に南シナ海上空を飛行したと発表した。
 これは、4月29日に続く2回目の2機編隊飛行で、米空軍が何時いかなる場所へも出撃できることを示したものであるという。
 今回飛行したのは5月1日から4機のB-1Bと200名をグアムに展開させているテキサス州Dyess AFBの第9遠征爆撃飛行隊所属であるが、4月29日にはサウスダコタ州Ellsworth AFBから往復32時間かけて飛行した。
 一方中国は3月中旬に南シナ海上空で少なくとも9回、米軍偵察機に対して嫌がらせ飛行したほか、先月には中国空母の随伴艦が米海軍駆逐艦Mustinに危険な接近を行っている。 (2006-052706)

5月以降、米軍の飛行回数が飛躍的に増大

 中国国営のGlobal Timesが8月2日に北京のシンクタンクSCSPIのデータを元に、南シナ海における米軍の偵察飛行回数が5月から飛躍的に増大していると報じた。
 特に5月に35回であった大型偵察機による飛行が7月には67回になっているという。
 SCSPIが航空機追跡サイトADS-Bから得たデータによると大型偵察機はP-3C、P-8A、RC-135W、EP-3E、E-3B AWACS、E-8C JSTARS、KC-135R、KC-135Tなど多岐にわたっている。 (2010-081905)

12月23日: B-1B 2機

 米空軍B-1B 2機が12月23日に南シナ海に緊急出動した。
 中国のH-6 4機とロシアのTu-95 2機など軍用機19機が22日に済州島南の岩礁、離於島と東部の竹島付近の韓国防空識別圏 (KADIZ) に進入した翌日に行われた措置で、米国と中露の神経戦の様相を呈している。 (2101-122305)

3・3・3・7 大規模演習の実施

 米海軍は南シナ海にRonald ReaganNimitzの空母2隻を派遣し、近年では最大級となる演習を7月4日から実施する。 演習には空母2隻のほか4隻も加わり、空母艦載機の攻撃力を試す連続飛行訓練も行われる。
 また、中国は1日からパラセル諸島近辺で演習を開始しており、中国国営TVによると演習は5日まで行われる。
 米中が同じ地域で同時期に大規模な演習を行うのは異例で、米側には南シナ海の実効支配を強める中国をけん制する狙いがある。 (2008-070403)
3・3・3・8 経済制裁

 ポンペオ米国務長官が8月26日、中国による南シナ海の埋め立てや軍事拠点化などに関与した中国人に対してビザ制限を実施すると発表した。 制裁対象者の近親者にも適用される可能性がある。
 これに関連して米商務省も、米国企業からの製品輸出を禁じる海外企業リストに中国企業24社を加えると発表した。
 国営企業「中国交通建設」の子会社など建設、通信、造船など幅広い業種が含まれる。 (2009-082604)
3・3・4 豪州欧州諸国の対応

オーストラリアがフリゲート艦を派遣

 南シナ海で中国の調査船が他国の排他的経済水域 (EEZ) 内で調査活動を続けている問題をめぐり、米軍とオーストラリア軍が4月22日までにマレーシア沖に艦艇を派遣した。
 中国の調査船は14日にベトナム沿岸から158kmの海域で確認された後、16日にはマレーシア沖に移動した。
 米軍が派遣したのは、強襲揚陸艦など3隻で、豪州もフリゲート艦を派遣して米艦3隻と合流した。 豪州は共同演習の一環としている。 (2005-042203)

独連邦軍がフリゲート艦を派遣

 ドイツのクランプカレンバウアー国防相が12月12日までに時事通信の書面インタビューに応じ、日本やオーストラリアなどインド太平洋諸国との連帯を示すため、独連邦軍のフリゲート艦1隻を近くインド太平洋地域に派遣すると表明した。
 また、中国の南シナ海での領有権主張に強い警戒感を示し、自衛隊やインド太平洋諸国の軍隊と共同訓練を行う可能性にも言及した。 (2101-121306)

3・3・5 わが国の対応

米国のコミットメントを支持

 菅官房長官が7月14日午後の会見で、ポンペオ米国務長官が13日に南シナ海を巡る中国の主張は違法だとの声明を発表したことに対し、米国のコミットメントを支持すると述べた。
 その上で中国の南シナ海における活動について、懸念を持って注視していると指摘した。 (2008-071406)

河野防衛相の認識

 河野防衛相が8月7日にCNNの単独インタビュに応じ、南シナ海の現状を変更しようとする中国の試みについて、国際社会から厳しい対応を招く可能性があるとの認識を示した。 河野防衛相はこの中で、「力による現状変更を試みる者は全員、高い代償を支払うことを余儀なくされる必要がある」と述べた。
 米国や同盟国の指導者からはこのところ、南シナ海の係争水域での中国の行動を問題視する発言が相次いでいる。
 中国が人工島の一部に、ミサイル部隊や戦闘機、爆撃機を配備していることにについて防衛相は、安定を損なう動きだと指摘し、他のあらゆる地域と同様、南シナ海においても自由で開かれた海洋秩序が重要であり、そこで起きる出来事は国際社会の関心事項となると述べた。 (2009-080802)

3・4 台湾海峡

3・4・1 中国の示威活動

3・4・1・1 艦船の活動

3月18日: 駆逐艦等4隻が台湾東方海域を航行

 防衛省統合幕僚監部が3月19日、中国海軍艦4隻が3月18日午前に台湾東方海域を航行していたと発表した。
 4隻は宮古島の南東80kmの海域を東に進んだ後、沖縄本島と宮古島の間の海域を北上し、東シナ海に向けて航行したという。
 発表された報道資料によると、航行したのはType 052B駆逐艦1隻、Type 054Aフリゲート艦2隻、Type 903補給艦1隻であった。 (2004-032001)

4月18日: 遼寧など6隻が台湾東部および南部沿岸で演習

 台湾国防部の発表によると、中国の空母遼寧が4月12日に随伴艦艇とともに台湾の東部および南部沿岸を航行し演習を行った。 遼寧と5隻の中国艦は11日に宮古島と沖縄本島の間の宮古海峡を通過し、12日に台湾東部から南部の沿岸に達して演習を実施したという。
 台湾軍は、これらの艦隊の動向を逐一監視し、台湾の安全保障と平和・安定を確保する上で適切な行動を完全に遂行したと述べた。 (2005-041302)

9月上旬: 台湾東部沖合で演習

 台湾軍関係者が9月11日、今週、台湾東部沖合で中国軍と米軍の艦船が相次いで確認されたことを明らかにした。 それによると10日16:00頃に花蓮の沖合40nmの洋上を北から南に向かって航行する中国の情報収集艦1隻を海軍が発見した。 同艦は11日午前に90nmまで離れてそのまま南下を続けた。
 中国は海洋調査の名目で、バシー海峡や台湾東部の海域で情報取集をすることがあるという。
 一方、7日には米海軍強襲揚陸艦3隻が、東部の離島・蘭嶼の東51nmを北上しているのが確認されていた。
 このほか、台湾南西の海空域では、中国軍が9日と10日に大規模演習を行っており、9日には戦闘機30機と艦艇7隻が投入され、戦闘機21機が台湾の防空識別圏 (ADIZ) に進入している。 (2010-091103)

10月2日: 台湾の接続水域に接近

 台湾軍関係者が10月3日、中国艦が2日未明に台湾東部海域を航行し、台湾の接続水域から6nmまで接近していたことを明らかにした。
 中国艦が確認されたのは北東部の宜蘭県と東部の花蓮県から30nmの海域で、そのまま北に向かって航行を続けたことが判明している。
 中国艦は9月16日にも同海域を南下しており、一時は台湾本島から39nmまで接近し、この日以来中国軍は台湾周辺空域に軍用機を頻繁に飛行させ、10月1日までに9回にわたり台湾南西の防空識別圏(ADIZ)内に進入した。
 また、米国務次官が訪台した9月18、19両日には、複数機が台湾海峡上空の中間線を越えた。 (2011-100303)

12月20日: 空母山東の南下

 台湾国防部が12月20日、空母山東が4隻のフリゲート艦を伴って同日に台湾海峡を南下したたことを確認したと発表した。
 山東は2019年12月の就役直後に台湾海峡を通過したことが確認されている。 (2101-122003)

3・4・1・2 航空機の活動

2月9日: J-11 と H-6

 台湾国防部によると、中国のJ-11とH-6が2月9日にバシー海峡を抜けて太平洋に出た後、宮古海峡を経由して基地に戻った。
 人民解放軍機関紙の解放軍報によると、人民解放軍が実戦を重視した訓練を行ったと表明した。
 中国人民解放軍は台湾総統に蔡氏が就任した2016年以降、台湾本島を周回する飛行を繰り返しており、昨年の総統選で蔡氏は再選されたことから中国は台湾独立に向けた動きを警戒している。 (2003-021001)

2月10日: 台湾海峡の中間線を越え

 台湾国防部がは2月10日、中国軍のH-6などが同日10:00ごろ、バシー海峡上空を経由して西太平洋に出る遠洋長距離飛行訓練を実施したと明らかにした。中国軍機は同じルートで基地に戻ったという。
 その際H-6の護衛機が一時的に台湾海峡の中間線を越えたが、空軍が戦闘機を発進させて適切に対応して侵入を阻止し、中間線の外に出るよう無線で警告したという。
 中国軍は9日にも台湾本島を周回して飛行する長距離訓練を行っていた。 (2003-021004)

 台湾の安全保障当局者らが、中国が挑発的な空軍演習を台湾周辺で行って台湾への圧力を強めていることを明らかにした。
 2月には中国空軍が台湾近隣で演習を行っているとの報告が3件あったが、そのうち2件で台湾空軍の戦闘機が緊急発進したという。
 関係者2人によると、1件では中国戦闘機がレーダで台湾機をロックオンしたが、これは中国による非常に挑発的な行動だと述べた。 (2004-030304)

3月16日: J-11と KJ-500 AEW&C機が夜間飛行

 台湾国防部が16日夜、複数の中国軍機が19:00頃に台湾の南西空域を飛行し、台湾の防空識別圏に一時接近したことを確認したと発表した。 夜間訓練の一環とみられる。
 飛行が確認されたのは、J-11とKJ-500 AEW&C機で台湾軍の戦闘機が警告すると、中国軍機は同空域を離れた。
 台湾メディアによると、中国軍機が台湾周辺空域を夜間に飛行するのは初めてとみられるが、中国軍操縦士の夜間飛行能力が大幅に向上していることを示しており、今後常態化する可能性があるとする国防部関係者の分析を紹介している。 (2004-031702)

5月08日: Y-8 偵察機

 5月8日正午頃に中国のY-8輸送機1機が台湾のADIZに侵入したが、台湾空軍の緊急発進を受けて退去した。
 武漢ウィルス (COVID-19) のパンデミックにもかかわらず中国軍の軍事的挑発が続けられ、1月23日から5月8日までに7回に及んでいる。
 特に3月16日には中国軍の戦闘機が初めて夜間に接近し、台湾の防空能力を確かめに来た。 (2006-050807)

6月09日: Su-30 複数機

 台湾の国防部が6月9日、複数の中国戦闘機が台湾南西の防空識別圏に短時間入ったため、空軍が警告を発したと明らかにした。
 侵入したのはSu-30だという。 (2007-060902)

 米国と中国の軍用機が6月9日午前、台湾周辺空域を相次いで飛行した。 台湾国防部の発表によると、中国軍の複数のSu-30が台湾の西南空域の防空識別圏に短時間入ったが、台湾軍機の警告により出た。
 一方、米軍のC-40A輸送機は事前の申請に基づき台湾の領空内を飛行した。 地元メディアによると、同機は9日午前に沖縄を離陸した後、基隆付近から台湾の領空に入り、西側部分を沿うようにして飛行して台南付近から領空の外に出たという。
 一部報道では台中にいったん着陸したとされたが、国防部はこれを否定した。
 国防部は、米中軍機が相次いで台湾周辺を飛行した関連性についてコメントできないとしているが、中国軍がレーダで米軍機を捕捉し、戦闘機を発進させた可能性もある。 (2007-060904)

6月16日、17日、18日: ADIZ 内飛行

 台湾空軍司令部が6月18日、中国軍のJ-10とJ-11が同日午前に台湾南西の空域を飛行したと発表した。 警告を発するなどの対応を取ると、中国軍機は台湾の防空識別圏(ADIZ) を離れたという。
 16日と17日にも中国軍の戦闘機や輸送機が同圏に侵入しており、台湾国防部によれば、6月に入ってから中国軍機による台湾のADIZ内飛行は5回目になった。 (2007-061807)

6月19日: J-10

 台湾空軍司令部が6月19日、中国軍のJ-10が同日正午に台湾の南西の空域に入ったと発表した。 台湾空軍の戦闘機が対応するなどした結果、中国軍機は台湾の防空識別圏 (ADIZ) を離れたという。
 台湾国防部が公表している情報によれば、中国軍機が台湾のADIZに侵入するのは2週間で6度目で、今月に入り、9日、12日、16日、17日、18日にも台湾のADIZ内を飛行している。 (2007-061905)

6月26日:

 中国軍機が6月26日に台湾南西部の空域に一時入り、空軍の警告を受けて台湾の防空識別圏 (ADIZ) から離れた。
 中国軍機による台湾のADIZ内飛行は6月に入ってから9回目になる。
 一方、北京大学海洋研究所が立ち上げたツイッターアカウントSCS Probing Initiativeによれば、同日午前には米軍のEP-3Eがバシー海峡から南シナ海に向かって飛行し、続いてP-8AとKC-135も同空域に姿を現していたという。 (2007-062604)

6月28日: H-6 2機が台湾本島300kmまで接近

 台湾メディアの蘋果日報によると、6月28日に中国のH-6 2機が、東シナ海で沖縄と台湾の間の宮古海峡上空を通過し、台湾東部の空域に現れた。  メディアによると、H-6 2機は射程180kmのKD-63 ASMを2発ずつ搭載し、台湾本島300kmまで接近したという。 (2008-071201)

7月4日:

 台湾空軍が7月4日、中国軍機が同日午前に台湾南西部の空域を飛行し、一時台湾の防空識別圏 (ADIZ) 内に入ったが、空軍の警告を受けてADIZから離れたことを明らかにした。
 台湾国防部がこれまでに公開した情報によれば、中国軍機による台湾のADIZ内飛行は6月9日以来10回目である。 (2008-070405)

9月9日: Su-30やJ-10などが台湾南西のADIZ内を飛行

 台湾国防部が9月9日、Su-30やJ-10など複数の中国軍機が同日午前に台湾南西のADIZ内を飛行したと報道資料で明らかにした。
 一方、一部メディアが人民解放軍が東沙島を包囲したと報じたことについては事実ではないと否定した。 (2010-090903)

9月10日午前: ADIZ 進入飛行

 台湾国防部が、中国の戦闘機が9月10日午前に台湾南西の防空識別圏 (ADIZ) に進入したと発表した。
 中国軍機のADIZ内飛行は2日連続だとし、中国に対し「地域の平和を損なう」行為をやめるよう求めた。
 国防部によると、台湾のADIZに入ったのは中国の戦闘機や輸送機などで、台湾は緊急発進したという。 (2010-091002)

9月10日夜: ADIZ 進入飛行

 台湾国防部などが9月10日夜、中国軍のSu-30やJ-10など多数の軍用機が、9日と10日に台湾南西の (ADIZ) に進入したと発表した。
 台湾メディアは40回以上と極めて異例の頻度と報じている。
 中国は6月以降、繰り返し台湾南西の空域に軍用機を進入させている。 (2010-091006)

9月16日: 対潜哨戒機2機が ADIZ 進入

 台湾国防部が9月17日、中国の対潜哨戒機2機が16日に台湾の防空識別圏 (ADIZ) 内に入り、台湾空軍が出るよう警告したと明らかにした。
 17日にはクラック米国務次官が台湾入りする予定であるが、8月にアザー米厚生長官が訪台した際には、中国の戦闘機が台湾海峡の中間線を越えて一時台湾側に入った。 (2010-091701)

9月18日: 戦闘機と爆撃機計18機が海峡の中間線を越え飛行

 台湾国防部が9月18日、中国の戦闘機と爆撃機計18機が同日午前に台湾の防空識別圏 (ADIZ) に進入し、少なくとも戦闘機8機が台湾海峡の中間線を越えたと発表した。
 中国軍機が中台間の事実上の停戦ラインとして機能している中間線越えは2019年3月末以降4回目だが、今回は過去最多となる。
 クラック米国務次官が17日から訪台しており、中国軍にはこれを牽制する意図があるとみられる。 (2010-091804)

9月19日: J-16、H-6など19機が ADIZ に進入

 中国は、クラック米国務次官による李元総統の告別式参列に反発し、台湾への威嚇効果を狙った台湾海峡付近での軍事演習を行った。
 台湾国防部によると、19日午前にはJ-16やH-6など19機の中国軍機が台湾の防空識別圏に進入した。
 中国軍機による進入は2日連続で、前日の18機を上回った。 (2010-091904)

9月21日: Y-8 対潜哨戒機が ADIZ に進入

 台湾空軍司令部が9月21日、中国軍のY-8対潜哨戒機延べ2機が同日に台湾南西の防空識別圏(ADIZ)内に進入したと発表した。
 空軍は、CAPや緊急発進、無線での警告、SAMによる追跡、監視などで対応した。
 中国軍機が台湾のADIZに進入したのは16日以来4回目で、16日にはY-8延べ2機がADIZに進入し、18日にはH-6 2機、J-16 8機、J-11とJ-10各4機の計18機が台湾周辺空域を飛行し、このうち12機が台湾海峡上空の中間線を越えた。
 さらに19日には、H-6、J-11、J-10各2機とJ-16 12機、Y-8 1機合わせて19機が二手に分かれて台湾の南西と北西の空域に入り、一部が中間線を越えていた。 (2010-092201)

9月24日: Y-8 対潜哨戒機が ADIZ に進入

 台湾空軍司令部が9月24日、Y-8対潜哨戒機1機が同日、台湾南西の防空識別圏 (ADIZ) に進入したと発表した。
 中国軍機が台湾周辺の空域を飛行するのは16日以降7回目で、米国務次官が訪台していた18、19両日にはそれぞれ18機、19機が飛来し、複数機が台湾海峡上空の中間線を越えた。 (2010-092502)

2020年に台湾周辺に飛来した中国軍機

 台湾の厳国防部長が10月7日に立法院外交国防委員会で報告を行い、2020年に台湾周辺に飛来した中国軍機で台湾海峡上空の中間線を越えたのは延べ49機に上り、1990年以降の30年間で最多となったと明かした。
 厳部長によれば、2020年に入ってから中国の軍用機1,710機、軍艦1,029隻が台湾の防空識別圏 (ADIZ) に進入し、そのうち217機が台湾南西のADIZに入った。 (2011-100703)

10月16日: Y-8 対潜哨戒機が ADIZ に進入

 台湾空軍が10月16日、中国軍のY-8対潜哨戒機1機が15日夜に台湾南西の防空識別圏 (ADIZ) に進入したことを明らかにした。
 国防部によれば、中国軍機が台湾のADIZに進入するのは、台湾周辺での活動を活発化させた8月16日以降18回目である。 (2011-101607)

11月2日: 延べ8機

 台湾空軍が11月2日、PLA機延べ8機が同日に台湾南西の防空識別圏 (ADIZ) に進入したと発表した。
 飛来したのは、Y-8対潜哨戒機1機、Y-8 ELINT機1機、Su-30延べ2機、J-16延べ2機、J-10延べ2機で、国防部が公表した飛行ルートによると、J-16は台湾のADIZの西の境界線に沿ってADIZ内を飛行した。
 PLA機が台湾周辺での活動を活発化させた9月中旬以降で32回目となり、1日の進入数としては3番目に多い。 (2012-110301)

3・4・1・3 台湾海峡中間線の否定

 中国外務省が9月21日、台湾は中国の一部だとして台湾海峡の中間線など存在しないと述べたのに対し、台湾の呉外交部長が22日に台湾海峡の現状破壊に等しいと訴え、これに反発した。
 中間線は1950年代に米軍が台湾防衛のために引いた「デービス線」に由来しており、台中間の事実上の停戦ラインとして機能していた。 (2010-092202)
3・4・1・4 ロケットの台湾上空飛翔

 中国の航空宇宙当局が9月15日、地球観測用などの衛星9基を長征-11 SLVで黄海の洋上から打ち上げた。
 長征-11は台湾の上空を北から南方向へ縦断したため、台湾を挑発する目的で飛行軌道を意図的に設定したとの見方も出ている。
 自由時報など複数の台湾メディアは、台湾上空の飛行を重大な挑発だと非難している。 (2010-091509)
3・4・1・5 台湾海峡付近で大規模演習

 中国政府が9月18日、台湾海峡付近で軍事演習を実施していると表明した。
 同海峡における現状への対応で、中国の国家主権と領土の一体性を守るためだとした。
 中国国防省報道官は、台湾の民進党と米国が問題を引き起こすためにともに進めている取り組みは、いずれ行き詰まると述べた。 (2010-091802)
3・4・1・6 対米威嚇の航空機飛行

8月10日: アザー長官の訪台への威嚇

 台湾国防省が8月10日午前、中国の戦闘機が台湾海峡の中間線を越えたことを明らかにした。
 ロイタ通信によると、台湾国防省は防空網を通じて中国の戦闘機の動きを追跡したと説明した。  この日の午前に台湾の蔡英文総統を接見したアザー長官は米国と台湾が断交した1979年以降 初めて訪問した長官級の人物である。
(2009-081003)

8月13日: 台湾海峡で演習

 中国軍東部戦区報道官が8月13日、台湾海峡で実戦的演習を最近行ったとする談話を発表した。
 報道官は、演習は台湾海峡の北端から南端で実施され、空軍や海軍などの統合作戦能力を一層向上させたと強調したが、日時や具体的な演習内容は明らかにしていない。
 中国は1979年の米中国交樹立に伴う米台断交以降で最高位となるアザー米厚生長官の訪台に強く反発しており、軍事演習は米台接近をけん制する狙いがある。 (2009-081305)

8月19日: アザー長官の訪台の翌日、J-10とJ-11各1機

 米保健福祉省のアザー長官が訪台した翌日の09:00に、中国空軍のJ-10とJ-11それぞれ1機が、台湾海峡で実質的に台湾と中国の境界となっている中間線を越えて飛行した。
 これに対し台湾国防省は地域の安定を損なう行為と非難した。 (2010-081901)

3・4・2 米国等の示威活動

3・4・2・1 艦船の海峡通過

1月17日: 巡洋艦 Shiloh

 台湾国防部が1月17日、米軍艦が16日に台湾海峡を通過したのを確認したと発表した。
 米艦は台湾の西南海域から海峡を北上した。 ロイタ通信は航行したのは巡洋艦Shilohだと報じた。
 米軍艦の航行は2020年に入って初めてで、蔡総統が史上最多得票で再選されたことで中国政府が蔡政権への圧力をより強めることが予想されることから、蔡総統を支持し中国をけん制する狙いがあるとみられる。 (2002-011701)

2月15日: 巡洋艦 Chancellorsville

 米海軍第7艦隊が、横須賀基地所属の巡洋艦Chancellorsvilleが2月15日に台湾海峡を通過したことを明らかにした。
 米海軍艦が台湾海峡を通過するのは2020年に入って2回目である。
 中国に強い姿勢を示す蔡総統が1月に再選されて以降、中国は2月9日と10日に2日連続で爆撃機を台湾周辺で飛行させるなど、台湾への圧力を強めているのに対し、米軍は2月12日に爆撃機などを台湾周辺で飛行させるなど、中国を牽制していると見られる。 (2003-021602)

3月15日: 駆逐艦 McCampbell

 台湾国防部が3月26日、米海軍駆逐艦McCampbellが25日に台湾海峡を通過したことを明らかにした。
 国防部によるとMcCampbellは台湾南西の海域から台湾海峡を北上したいう。 (2004-032604)

4月11日: 駆逐艦 Barry

 台湾国防部が4月11日、米海軍駆逐艦Barryが10日から11日未明にかけて台湾海峡を北から南に向かって通過したことを明らかにした。
 10日には米国と中国の軍用機が台湾周辺を飛行したことも確認されている。
 台湾メディアは10日に、駆逐艦Barryが同日17:00頃に馬祖の東引島周辺を通過したのを、中国海軍のフリゲート南通が付近で監視していたと報じていた。 (2005-041101)

 台湾の国防部関係者が4月11日、米海軍の駆逐艦が10~11日に台湾海峡を通過し、中国大陸と台湾本島の中間線を中国側に越えた海域で航行していたことを明らかにした。
 中間線は中台間の事実上の停戦ラインとして機能しており、米軍が越えるのは極めて異例である。
 米海軍による台湾海峡通過は2018年後半からほぼ月1回と定例化しているが、いずれも中間線の台湾側を通過している。
 中国軍機が中間線を台湾側に越えて飛行した際、米国国務省は「地域の安定を害する」と批判していた。 (2005-041102)

4月17日: 駆逐艦 McCampbell が山東省威海から42nmまで接近

 4月17日に駆逐艦McCampbellが山東省威海から42nmまで中国の沿岸に接近した。 (2006-051803)

4月24日: 駆逐艦 Barry

 台湾国防部が4月24日、米海軍艦が台湾海峡を南に向かって航行し、そのまま航行を続けていると発表した。
 米海軍第7艦隊の報道官も駆逐艦Barryが国際法に基づき台湾海峡を通過する通常任務を実施したと発表した。
 米艦が台湾海峡を通過するのはここ1ヵ月で2度目である。 Barryは中国軍の戦闘機が台湾に近い海域で演習を行っていた2週間前にも台湾海峡を航行している。
 台湾は23日、中国軍の空母など艦隊がバシー海峡を通過したと発表した。 この艦隊は今月初めに台湾東部付近を航行しており、中国側は当時、南シナ海での定期演習に向かう途中と説明していた。 (2005-042403)

5月13日: 駆逐艦 McCampbell

 米第7艦隊が5月13日、駆逐艦McCampbellが同日に台湾海峡を通過したと発表した。
 台湾の蔡総統の2期目の就任式を20日に控え、中国が挑発行動に出ないよう牽制する意図があるとみられる。
 米海軍の駆逐艦は先月も2回にわたり台湾海峡を通過しており、異例の頻度での海峡通過は、中国の海軍や空軍が今年に入って台湾周辺で軍事演習や示威行為を繰り返し、台湾に圧力をかけているのに対抗する狙いがある。 (2006-051403)

5月16日: 駆逐艦 Rafael Peraltaが中国の沿岸に接近

 香港のSouth China Morning Postが5月16日、米海軍駆逐艦Rafael Peraltaが最近、上海から115nmの沖合まで接近したと報じた。
 米海軍の太平洋艦隊も前日、Rafael Peraltaが今週、東シナ海を航海したと公表した。
 4月17日には駆逐艦McCampbellが山東省威海から42nmまで接近しており、1ヵ月間に2度も米軍艦が中国の沿岸に接近した。 (2006-051803)

6月4日: 駆逐艦 Russell が台湾海峡を通過

 台湾国防部と米軍が6月5日、1989年の天安門事件から31年を迎えた6月4日、米海軍駆逐艦Russellが台湾海峡を通過したことを明らかにした。
 台湾国防部は、米軍艦が台湾海峡を南に向かって通過したが、航行は「通常の任務」だと説明し、台湾軍が監視したとしたと発表したが、これ以上の詳細には言及していない。 (2007-060502)

6月11日: 駆逐艦 Rafael Peralta

 米海軍駆逐艦Rafael Peraltaが6月11日、朝鮮半島西岸から南下し台湾海峡に入った。
 米艦の台湾海峡入りは6月4日に駆逐艦Russellが南から北上して以来である。 (2007-061209)

8月19日: 駆逐艦 Mustin

 台湾国防部が8月19日、米軍艦1隻が台湾海峡を北から南に航行したと明らかにした。
 米太平洋艦隊は同日、第7艦隊の駆逐艦Mustinが18日に台湾海峡を航行したことを公表した。
(2009-081905)

8月30日: 駆逐艦 Halsey

 米海軍第7艦隊が9月1日、駆逐艦Halseyが8月30日に台湾海峡を通過したと発表した。
 Halseyの通過12日前には駆逐艦Mustinが通過しており、今回の通過で2020年に入って11回目となる。 (2010-090109)

10月14日: 駆逐艦 Barry

 米太平洋艦隊が10月14日、米海軍駆逐艦Barryが同日、台湾海峡を通過したと発表した。
 国際法に則した定期的な通航としている。 (2011-101507)

11月21日: 駆逐艦 Barry

 米第7艦隊が11月21日、駆逐艦Barryがインド太平洋における航行の自由を強調するため台湾海峡を通過したと発表した。  米海軍艦の台湾海峡通過は2020年になって11回目となる。 (2012-112103)

12月19日: 駆逐艦 Mustin

 台湾国防部が19日、米軍艦1隻が台湾海峡を北から南に航行したと発表した。 米海軍第7艦隊が同日発表した報道資料によれば、台湾海峡を通過したのは駆逐艦Mustinであった。
 国防部や米軍がこれまでに公開した資料によれば、米軍艦が台湾海峡を通過するのは今年12回目になる。 (2101-121902)

12月31日: 駆逐艦 John S. McCainCurtis Wilbur

 米第7艦隊が、駆逐艦John S. McCainCurtis Wilburの2隻が31日に台湾海峡を通航したと発表した。 (2101-123101)

3・4・2・2 航空機の飛行

2月12日: B-52 2機とMC-130J特殊作戦機1機

 台湾国防部が2月12日、米軍機3機が台湾海峡上空と台湾東部の空域をそれぞれ飛行したと明らかにした。
 発表によれば、午前にMC-130J特殊作戦機1機が台湾海峡上空を北から南に飛行し、B-52 2機も東部空域を南下した。
 中国軍機が10日まで2日連続で台湾周辺での訓練を実施しており、米軍機が台湾の東と西を同じ日に飛行するのは異例である。 (2003-021201)

3月25、26日: EP-3E 1機

 民間の航空追跡サイトAircraft Spotによれば、米軍のEP-3Eが25日に台湾南西海域上空を飛行した。
 同機は中国大陸に向かって北上し、台湾本島南部の高雄沖上空で複数回旋回した。
 同サイトは26日にも台湾南部海域上空を飛行するEP-3Eを確認している。 (2004-032604)

4月8日: RC-135U 1機

 民間の航空追跡サイトAircraft Spot、米軍のRC-135Uが4月8日に台湾南部沖上空を飛行した。
 中国の台湾に対する軍事的圧力は新型コロナウイルスの感染が広がる中でも続いており、これに対抗するように米軍も台湾周辺での行動を活発化させている。
 2月には中国軍機が2日連続で飛行訓練を行った直後に米軍機や軍艦が相次いで出現し、3月中旬には中国軍機が初めて夜間に台湾周辺を飛行し、一時は台湾の防空識別圏(ADIZ)に接近したが、米軍は3月下旬から偵察機や爆撃機などを台湾周辺に複数回派遣している。 (2005-040802)

4月12日: EP-3E 1機

 民間の航空追跡サイトAircraft Spotによると、米軍のEP-3Eが4月12日にバシー海峡上空を東から西に飛行した。
 台湾国防部やトAircraft Spotが公開した情報によれば、米軍機が台湾周辺を飛行したのは3月25日以降9回目で、EP-3Eは11日と12日の2日連続で姿を現した。 (2005-041202)

5月01、04日: B-1B

 軍用機の動向を追跡する民間のサイAircraft Spotの情報によれば、B-1Bの編隊が5月1日と4日に台湾北東部沖の空域に接近した。 (2006-050605)

5月06日: B-1B 2機とKC-135 1機

 軍用機の動向を追跡する民間のサイトAircraft Spotが6日午後に公開した情報によると、グアムのAndersen AFBを離陸したB-1B 2機とKC-135 1機が東シナ海に向けて飛行する際、台湾北東海域上空をかすめた。 (2006-050605)
6月08日: KC-135T Stratotanker 1機

 航空機追跡TwitterのGolf9が、KC-135T Stratotankerがバシー海峡を抜けて南シナ海に入り、6月08日09:32に嘉手納に戻ったと報じた。
 AirNav RadarBoxによるとコール番号PEARL46機は嘉手納を離陸した後高度21,500ftで南西に飛行し、台湾の東海岸近くで航路を西に変えて台湾が実効支配するプラタス群島(東沙群島)に達した後同じ経路を反転して沖縄に戻った。 (2007-061208)

6月09日: C-40A 1機

 航空機の動きを追跡するツイッターアカウントGolf9とウェブサイトAirNav RadarBoxによると、Boeing 737の軍用型である米海軍のC-40Aが6月9日午前に台湾の領空を通過した。
 それらの情報によれば、沖縄を離陸したC-40Aは台湾本島に向けて西に航行し、基隆から台湾西海岸に向かった後、台湾本島上空を北から南に通過し、台南沖から領空を抜けた。
 台湾国防部報道官は、台湾周辺の空海域の状況は十分に把握しており、現在の状況は正常だと述べた。 (2007-060903)

6月12日: C-40A 1機

 6月12日には米海軍のC-40Aが沖縄を離陸して真っ直ぐ台湾へ向かい、基隆、新北、台北、桃園、新竹、苗栗、台中、彰化、嘉義を経て台湾空域を出ている。 (2007-061208)

6月28日: P-8A 1機

 中国北京大学海洋研究所が立ち上げた航空機追跡ツイッターアカウントSCS Probing Initiativeによれば、米海軍のP-8Aが6月28日にバシー海峡上空を飛行した。
 台湾周辺には米軍機が連日、姿を現しており、その多くが南シナ海に向かって飛行している。
 台湾国防部はこれについて、ノーコメントとしつつ、国軍は台湾周辺の空海域の状況を常に把握しているとした。 (2007-062801)

8月14日: EP-3E ARIES Ⅱ 1機

 複数の航空機追跡サイトが、8月14日に米軍の偵察機が台北など台湾北部上空を飛行した航跡を示した。 この時期中国軍が台湾海峡で演習を実施している。
 Golf9によると米海軍のEP-3E ARIES Ⅱ偵察/ELINT機が09:04に台湾北方に出現し、その後中国戦闘機の要撃を避けるように台湾に向け飛行した。
 その1時間足らず後の10:02に北京大学海洋研究所のSNSであるProbing InitiativeがEP-3Eが台湾の空域に入ったとツイートしている。
 ADS-B Exchangeは、機首を北東にして台湾北方に出現した機が南西に方向を変え、北部台湾向け飛行し、台北上空17,825ftを通過したと報告している。 (2009-081405)

10月8日: MC-130J 1機が台湾海峡中間線を飛行

 各国の軍事動向を追跡するツイッターアカウントCANUK78が10月8日正午前、米軍のMC-130J 1機が台湾海峡上空に出現していることを示す地図画像を投稿した。
 同機は台湾海峡中間線を北から南に飛行したという。
 台湾国防部は、同機が台湾海峡上空を飛行したことを認めた。 (2011-100802)

3・4・2・3 台湾の対応

 台湾の蔡総統が9月20日、台湾海峡での中国軍機の動きが活発化していることに警鐘を鳴らした。
 特に9月18日から19日にかけては、J-16、J-10、J-11、H-6やKQ-200 ASW機など37機の中国軍機が、台湾南西のADIZ内に進入すると共に一部が実質的に両国の境界になっている中間線を越えて飛行した。
 また17、21、22日にはKQ-200が南西空域のADIZ内に進入した。 (2011-093004)
3・5 欧 州

3・5・1 モルドバ

大統領選挙、親欧州のサンドゥ元首相が当選

 11月1日に投票が行われたモルドバで大統領選は2日までの開票の結果、親EUのサンドゥ前首相が、再選を目指す親ロシアのドドン大統領を抑えて首位に立った。
 両者の一騎打ちとなる15日の決選投票は接戦になると見られる。 (2012-110204)

 モルドバで11月15日に大統領選挙の決選投票が行われ、ヨーロッパとの関係を重視する野党候補のサンドゥ元首相がロシア寄りの現職ドドン大統領を破り初当選した。 議会で承認されればモルドバ初の女性大統領となる。
 モルドバの大統領選では過半数の票を獲得した候補者がいなかったため決選投票が行われていたが、サンドゥ氏は57.75%獲得して42.25%のドドン大統領を破り当選した。 (2012-111701)

新大統領がロシア軍の撤退要求

 モルドバで現職のドドン大統領が進めてきた親ロシア路線を見直す動きを強めている次期大統領に就任予定のサンドゥ前首相が11月末に、ロシア系住民が実効支配する親露分離派地域沿ドニエストルに駐留するロシア軍は撤収すべきだと発言した。
 親欧米派野党「行動と連帯」党首のサンドゥ氏は11月の大統領選でドドン氏に勝利したが、ドドン氏は「サンドゥ氏側に選挙違反があった」として法的手続きを取ったものの、結果が覆る可能性は低い。
 旧ソ連圏で進む「ロシア離れ」がモルドバでも表面化した形で、ロシアは焦りを深めているとみられロシアの反発を招いている。 (2101-120404)

 モルドバのサンドゥ次期大統領が、ロシア系住民の実効支配下にあるモルドバ東部の沿ドニエストルに駐留するロシア軍の撤退を要求する方針を表明している。
 11月の大統領選で親欧米のサンドゥ氏が親ロシアのドドン大統領に勝利したことから、ロシアは欧米へのモルドバの接近を強く警戒している。
 沿ドニエストルでは、1990年にロシア系住民が分離独立を宣言し、ロシアの支援を受けて1991~1992年にモルドバ政府軍と戦闘になった。
 停戦後もロシアが平和維持部隊の名目で1,500名の部隊を駐留させており、モルドバ政府の統治は及んでいない。 (2101-121001)

3・5・2 旧ユーゴスラビア

3・5・2・1 コソボ

ユーゴ紛争特別法廷

 コソボ紛争の戦争犯罪を裁くハーグの特別法廷が6月24日、コソボのサチ大統領らを人道に対する罪と戦争犯罪で訴追したと発表した。
 検察は4月24日に非公開で訴追したが、サチ氏らが法廷への妨害行為を繰り返したため公表に踏み切ったと説明している。
 1990年代後半の紛争時、独立を求めたアルバニア系の武装組織、コソボ解放軍 (KLA) の指導者だったサチ大統領らは、セルビア人の住民ら100人近くを殺害したほか、拉致や拷問などの疑いが持たれている。 被害者にはアルバニア系住民も含まれているという。
 米メディアによると、サチ氏は6月27日に米国を訪れ、ホワイトハウスでセルビアのブチッチ大統領と会談する予定だったが、訴追発表を受けて取りやめている。 (2007-062702)

セルビアとコソボが経済関係正常化で合意

 セルビアのブチッチ大統領とコソボのホティ首相が9月4日にワシントンで会談し、経済関係を正常化することで合意した。
 コソボは2008年に一方的に独立を宣言したが、セルビアは独立を認めていない。
 ただ、ブチッチ大統領は「いまだ多くの違いがあるが、大きな前進だ」とコソボとの関係改善に前向きな姿勢を示した。 (2010-090502)

 セルビアのブチッチ大統領と、2008年に同国からの独立を宣言したコソボのホティ首相が9月7日にブリュッセルで会談し、EUの仲介による関係正常化協議を続けた。
 会談前には共同声明で、EUへの加盟と、EUが支援する対話の継続を最優先すると表明した。
 双方は7月に約20ヵ月ぶりに協議を再開したもので、今回はコソボ内でのセルビア系住民の扱いなども議論し、9月中に再び首脳が会談することを決めた。 (2010-090802)

 コソボのサチ大統領が9月18日、米トランプ大統領に、コソボでの和解と平和に貢献したとして自由独立勲章を授与した。 (2010-091808)

3・5・2・2 クロアチア

 セルビア国防省が5月16日、ヴチッチ大統領が軍に対し、難民数百人がEU諸国への入国を目指しているEU加盟国クロアチアとの国境に近いSidへの出動を命じたことと述べた。
 Sidにはシリア、アフガン、パキスタンなどからの難民1,500名が3ヵ所の難民キャンプに居住している。
 セルビアは欧州へ向かう難民のルートになっており、4,000名と推定される難民が滞在しているとみられる。 (2006-051601)
3・5・3 東地中海

3・5・3・1 キプロス

米、キプロス共和国への武器禁輸を一時解除

 ポンペオ米国務長官が9月1日、キプロス共和国のアナスタシアディス大統領と電話会談し、30年以上継続している武器禁輸を一時解除する方針を伝えた。
 米国務省によると、FY21の1年間、非殺傷の防衛物資などの禁輸を解除する。
 キプロス島北部の北キプロス・トルコ共和国を唯一承認するトルコは「南北に分断する島の均衡を無視している」と猛反発している。 (2010-090208)

トルコ軍が北キプロスで年次演習を開始

 トルコ軍が9月6日、キプロス島北部にあり世界でトルコのみが独立を承認している北キプロス・トルコ共和国で年次演習を開始した。
 東地中海では、ギリシャが領有権を主張する東地中海の海域でトルコが天然ガスや石油の探査を強行したことで、著しく悪化している。
 トルコのエルドアン大統領は5日、「政治と外交の言葉を理解するか、戦場で苦い経験をして理解するか、二つに一つだ」とギリシャに警告し、緊張感は一層高まった。 (2010-090708)

3・5・3・2 トルコがキプロス周辺海域へ進出

 東地中海の天然ガス開発を巡り、周辺国の主導権争いが激しくなっており、イスラエルは1月15日に沖合で採掘したガスをパイプラインでエジプトに供給し始め、一部をエジプトの施設で液化して欧州に輸出する。 さらにイスラエルはギリシャなどとパイプライン建設で合意している。
 東地中海では2010年前後からガス田の発見が相次ぎ、イスラエルやエジプト、キプロスが開発を進めた。 EUは天然ガスの4割をロシアに依存しており、調達先を多角化するため地中海のガスに注目している。
 これに対してトルコが反発し、この計画を妨げるようにリビア暫定政権と組んで地中海に排他的経済水域 (EEZ) を設定した。 トルコがリビア内戦への介入を強めた背景ともなり、地域の火種になっている。 (2002-012004)

 トルコのエルドアン大統領が8月10日、トルコの探査船が東地中海での海底資源探査を再開したと発表した。
 トルコ海事当局によると、探査期間は10日から23日まで、海域はトルコ南方でキプロス島とギリシャの間に位置する。 現場はギリシャとトルコそれぞれが自国の大陸棚と主張する海域で、ギリシャ外務省は違法行為と反発し、ギリシャを支援するEUを巻き込み、対立が激化している。
 同様の探査が7月に予定されていたが、ドイツの仲介で中断し、歩み寄りの兆しも出ていたが、8月6日にギリシャとエジプトが周辺の海域で2国間の排他的経済水域 (EEZ) 画定に合意したと発表し、トルコが猛反発していた。 (2009-081102)

 トルコとギリシャが8月12日、地中海のエネルギー探査をめぐって対立している問題について、対話を通じて解決する考えを示した。
 トルコは10日に軍艦の護衛で問題の地中海域に探査船を派遣した。
 一方ギリシャはその数日前、エジプトとの間で周辺海域の画定に関する合意に署名していた。 (2009-081302)

 ギリシャとトルコが、東地中海で天然ガス採掘をめぐって双方が海域の領有権を主張し対立しているが、トルコが8月10日からこの海域にあるギリシャ領のカステロリゾ島の南に資源開発のため派遣した調査船を、トルコ軍が提供した写真では艦艇5隻が囲むのが確認された。
 これに対してギリシャも現地に艦艇を派遣しているということで、ギリシャ国防省の高官によると、12日には調査船を監視していたギリシャの艦艇とトルコの艦艇が衝突しそうになる事態にもなったという。 (2009-081402)

 トルコ海軍が8月27日、南部イスケンデルン沖で9月1~2日に砲撃訓練を行うと発表した。 トルコは地中海東部で何度か軍事演習を行っており、ギリシャとの緊張が高まっている。
 フランスは26日、同海域でイタリア、ギリシャ、キプロスと軍事演習を開始した。 (2009-082704)

 トルコ海軍が10月11日遅く、東地中海の海底資源を巡りトルコとギリシャが対立している問題で、探査船Oruçreisによる東地中海の調査を10月22日まで実施する方針を示した。
 Oruçreisは、別の船舶と共同で、ギリシャ領カステロリゾ島の南方の海域などで作業を進めることから、ギリシャとの緊張が高まる公算が大きい。 (2011-101201)

3・5・3・3 トルコ軍による牽制

フリゲート艦の衝突

 ギリシャとトルコが、東地中海で天然ガス採掘をめぐって双方が海域の領有権を主張し対立しているが、トルコが8月10日からこの海域にあるギリシャ領のカステロリゾ島の南に資源開発のため派遣した調査船を、トルコ軍が提供した写真では艦艇5隻が囲むのが確認された。
 これに対してギリシャも現地に艦艇を派遣しているということで、ギリシャ国防省の高官によると、12日には調査船を監視していたギリシャの艦艇とトルコの艦艇が衝突しそうになる事態にもなったという。 (2009-081402)

 AISのデータによると、トルコ海軍のフリゲート艦Kemalreisが8月12日にギリシャ海軍のフリゲート艦Limnosと衝突したの後も、トルコは13日~20日の間、東地中海で地質調査船Oruç Reisによる調査を続行している。
 8月16日にはトルコは、掘削船Yavuzが8月18日から9月15日までの間、キプロス沿岸で爆破を伴う掘削を行うとの航行警報テレックス (Navtex) を発した。 (2010-082605)

戦闘機のニアミス

 トルコとギリシャの双方が主権を主張する東地中海の海域周辺の上空で、トルコ軍機がギリシャ軍機を追尾し、偶発的な衝突が起きないか懸念が出ている。
 東地中海では、トルコがガス田の探査を推し進めているのに対し、ギリシャは周辺でフランスなどとともに8月28日まで3日間の軍事演習を行った。
 こうした中、トルコ国防省はガス田の探査をしている海域に27日、ギリシャ軍の戦闘機が近づいたため、トルコ軍の戦闘機が対応したと発表した。
 また、トルコが公開した軍機のコックピットからギリシャ軍機を撮影したとする映像から、ロイタ通信はトルコ軍機がギリシャ軍機を追尾したと報じている。 (2009-082903)

3・5・3・4 反トルコ諸国の連携

エジプトとギリシャが EEZ 画定で合意

 エジプトとギリシャが8月6日、東地中海での両国間の排他的経済水域 (EEZ) を画定する合意文書に署名した。
 同海域で採掘される石油・天然ガスの開発などで協力を深める狙いだが、東地中海での影響力拡大を図るトルコはすぐさま反発している。
 エジプトとギリシャは、イスラエルやキプロスなど域内国を巻き込み資源開発での協力枠組みを構築しているが、トルコ排除の姿勢を鮮明にしている。
 更にエジプトはリビア内戦でトルコと対立関係にある勢力を支援しており、ギリシャは歴史的にトルコとの関係が悪い。 (2009-080703)

フランスの介入

 トルコが8月10日に、ギリシャとキプロスに挟まれた海域に海洋調査船と2隻の補助船を10~23日に派遣するとした航行警報テレックス (NAVTEX) を発したのを受け、マクロン仏大統領が8月12日に近く東地中海に軍を増派することを明らかにした。
 仏大統領府は12日、この問題でマクロン大統領がギリシャのミツォタキス首相と会談したと発表した。
 仏国防省は13日、クレタ島Soudaに配備していたRafale戦闘機2機を10~12日に演習が行われているキプロスに同日中に派遣すると共に、続いてヘリ空母Le Tonnerreも派遣すると発表した。 (2009-081306)

 トルコが8月10日に、ギリシャとキプロスに挟まれた海域に海洋調査船と2隻の補助船が10~23日に爆破を伴う海底調査を行うとした航行警報テレックス (NAVTEX) を発したのを受け、マクロン仏大統領が8月12日に近く東地中海に軍を増派することを明らかにした。
 仏大統領府は12日、この問題でマクロン大統領がギリシャのミツォタキス首相と会談したと発表した。
 仏国防省は13日、クレタ島Soudaに配備していたRafale戦闘機2機を10~12日に演習が行われているキプロスに同日中に派遣すると共に、続いてヘリ空母Le Tonnerreも派遣すると発表した。
 Le Tonnerreはベイルートでの爆発事故でレバノンを支援するため陸軍工兵隊350名と海軍の爆発物処理部隊を載せている。 (2010-081902)

キプロス、フランス、ギリシャ、イタリアがキプロス南東海域で演習

 東地中海におけるギリシャとトルコの緊張がここ数ヶ月、過去数十年間で最高に高まっており、ドイツのクランプカレンバウアー国防相が8月26日に、状況は望まない方向に進展する可能性があると警告している。
 8月26日にはキプロス、フランス、ギリシャ、イタリアがキプロス南東海域で3日間の演習を開始した。
 ギリシャ紙は8月21日にUAEのF-16 4機がクレタ島のSouda基地にギリシャ軍との共同訓練のため飛来したと報じたが、Souda基地には8月13日からフランスがRafale 2機を派遣している。 (2010-090217)

ギリシャがトルコに脅迫停止を要求

 ギリシャのミツォタキス首相が9月4日に、ギリシャ入りした中国の楊共産党政治局員と会談した際に、東地中海の権益争いで対立を深めるトルコに対し、脅迫をやめれば話し合いを始められると発言した。 (2010-090501)

ドイツがキプロスとギリシャを支持

 マース独外相が10月13日、トルコは東地中海のガス田権益を巡る挑発を慎むべきと述べた上で、EU加盟国としてドイツはキプロスとギリシャ側の立場だとした。
 同外相はこの後、キプロスとギリシャに向かう予定である。 (2011-101303)

EU 首脳会議がトルコを非難

 ギリシャと管轄権を主張し合う東地中海にトルコが資源開発のための探査船を今週再派遣したことについてEU首脳会議が10月16日に声明を出し、トルコに対し「新たな一方的で挑発的な行動は遺憾だ」と非難し、緊張緩和に取り組むよう求め、2日間の日程を終了した。
 EUは12月の首脳会議で再度、この問題を協議する。 (2011-101701)

3・5・3・5 EU / NATO の対応

EU 外相会合がトルコ制裁で協議

 EUが8月28日の外相会合でトルコに対する制裁で協議した。 ギリシャやキプロスも権益を主張する海域でトルコがガス探査に踏み切ったのにギリシャなどが反発し、フランスやイタリアも参加して軍事演習を実施するなど同地域の緊張が高まっている。
 具体的にはトルコ政府関係者のEU域内への移動制限や資産凍結に加え、トルコ船舶のEU内の寄港を禁ずる措置などを検討している。 実際に制裁に踏み切るかどうかは9月下旬に開くEU首脳会議で決める。 (2009-082901)

EU の南部7ヵ国が制裁警告

 フランスをはじめとするEUの南部7ヵ国が9月10日にコルシカ島で首脳会議を行い、ギリシャやキプロスと東地中海の資源開発をめぐり対立するトルコに対し、撤収しなければEUによる制裁を科すと警告する共同声明を発表した。
 声明は、トルコが対話の道を歩むことなく一方的な活動を終えなければ、EUは24日と25日に行われる首脳会議で制裁措置のリストを作成する準備ができていると警告した。 (2010-091101)

ギリシャが対トルコ軍備増強

 東地中海で資源開発をめぐりトルコと対立を深めているギリシャのミツォタキス首相が9月12日、「軍を強化する時が来た。 国を守る断固とした計画を推進する」と宣言した。
 フランスからRafale 18機を購入するほか、フリゲート艦4隻、海軍ヘリ4機を新たに入手し、対戦車砲、魚雷、ミサイルを増強すると共に、現在140,000名の総兵力を15,000名増員する。 (2010-091301)

EU 首脳会議がトルコ制裁

 EUが東地中海のガス田探査を巡りトルコに制裁を科すべきか12月7日の外相会議で検討し、10日からの首脳会議で決定する。
 EU首脳は10月に東地中海の係争海域での探査を停止しなければ結果に直面すると警告している。 (2101-120703)

3・5・3・6 ロシアの進出

英国の警戒感

 英戦略軍司令官のパトリック大将が7月15日に開かれたAir & Space Power Conference 2020で、東地中海におけるロシアのA2/AD装備の増強について警告した。 (2009-072203)

ロシア海軍が東地中海で2度にわたり演習

 トルコ海軍が9月2日、ロシア海軍が東地中海で、9月8~22日と17~25日の2度にわたり演習を行うと発表した。
 トルコはロシアに対し、ギリシャKastellorizo島沖とキプロスのKarpas半島沖でトルコ調査船が行っている探査活動に支障がないよう要求したという。
 この演習は米国が何十年も続けてきたキプロスへの禁輸を緩和した直後に行われる。 (2010-090304)

ロシア仲介を申し出

 キプロスを訪れたロシアのラブロフ外相がニコシアで9月8日にアナスタシアディス大統領と会談し、東地中海の資源開発をめぐり緊張が高まっているキプロスとトルコの問題について「現実的な相互利益に基づき対話を促進させる用意がロシアにはある」と表明、仲介を申し出た。 (2010-090807)

3・5・4 ベラルーシ

3・5・4・1 ロシアとの対立

ロシアからの経済統合要求

 米国務長官として26年ぶりにベラルーシを訪問したポンペイオ長官がルカシェンコ大統領と会見後にマケイ外相との共同記者会見で、ベラルーシへの石油とガスの供給を停止したロシアに代わって米国がベラルーシの必要量を100%供給できると述べた。
 ロシアは、ベラルーシはロシア国内と同一価格で石油とガスの供給を受け続けるのであれば、ロシアとの経済統合が不可欠として、12月31日からこれらの供給を停止している。 (2003-020103)

米国からの原油輸入開始

 ベラルーシの国営石油化学会社が米国からの原油輸入を開始することを明らかにした。
 ベラルーシ向けの80,000tの原油を積んだタンカーは米国南部を5月17日に出港するという。 ポンペイオ米国務長官も15日にその意義を強調した。
 米国からの原油輸入を開始した背景には、ロシアへの過度の依存を避けたいベラルーシと、この地域でのロシアの影響力を警戒する米国の思惑が一致したことがあると見られる。 (2006-051701)

大統領選挙

 ベラルーシ国営メディアによると、同国の治安当局が7月29日、8月の大統領選を前に同国の情勢不安定化を画策したとして、ロシア人の傭兵32人を拘束した。
 ベラルーシのルカシェンコ大統領は、反対勢力の一部がロシアの「人形師」に操られていると主張して、ロシアに説明を求めている。
 30年近くにわたる長期政権を築いてきたルカシェンコ氏は、6選を目指す今回の大統領選で主要対立候補を拘束するなどの措置を取っており、今回の電撃発表はそうした異例の選挙戦に新たな予想外の展開をもたらした。 (2008-073002)

 ロシア検察庁は8月14日、ベラルーシで治安当局が拘束したロシア企業の雇い兵とされる32人の身柄が同国に引き渡されたと発表した。
 ベラルーシでは独裁体制を敷くルカシェンコ大統領の6選への抗議が続き、欧米も非難を強めていることから、ルカシェンコ大統領は早期の身柄引き渡しで、同盟国ロシアとの関係修復を急ぐとみられる。
 ベラルーシは7月下旬にロシアの民間軍事会社「ワグネル」の雇い兵33人の拘束を発表し、9日投票の大統領選を前に騒乱を画策した疑いで捜査していた。 33人のうちベラルーシ国籍を持つ1人は同国にとどまった。 (2009-081502)

3・5・4・2 大統領選挙後の混乱

 ストルテンベルグNATO事務総長が8月17日、NATO軍がベラルーシの西部国境に展開したとするベラルーシのルカシェンコ大統領の発言を否定した上で、ベラルーシ情勢を注視していると述べた。
 ルカシェンコ大統領は16日に、NATO軍がベラルーシとの国境から15分のポーランドとリトアニアに展開していると述べていた。 (2009-081706)

 米政府高官は8月17日、大統領選挙を巡る抗議行動が続いているベラルーシについて、民主化を求める国民の声をもはや無視できない状況になっていると米政府は判断していると述べた。
 ルカシェンコ大統領は17日、権力を分かち合う用意があると譲歩を表明したが、米政府高官は譲歩表明について、民主化を求める声を無視できないと認識したことを反映しているとの見方を示した。
 NATOのストルテンベルグ事務総長もこの日、ベラルーシ情勢を注視していると表明し、NATO加盟国に対するいかなる攻撃も抑止する用意を整えていると述べた。 (2009-081801)

 EUが8月19日、再選を決めたルカシェンコ大統領への抗議行動が続くベラルーシ情勢を巡り、TV会議形式で緊急首脳会議を開催した。
 会議では選挙の結果を認めないとし、選挙の不正や抗議活動の取り締まりに関与したとみられる当局者らに金融制裁を加えることを決定した。 (2009-082001)

3・5・4・3 ロシアへの依存

ロシアが治安部隊の派遣準備

 混乱が続くベラルーシ情勢をめぐり、ロシアのプーチン大統領は8月27日に放送された国営TVのインタビューで、ルカシェンコ大統領の要請に応じて、現地に派遣する治安部隊を編成するなど、準備を進めていることを明らかにした。
 一方で、事態が制御不能になるまでは部隊を派遣しないと強調し、あくまでも平和的な解決に期待を示した。 (2009-082801)

 タス通信が、ロシアのペスコフ大統領報道官が9月14日にプーチン大統領とベラルーシのルカシェンコ大統領が会談し、ロシアがベラルーシとの国境付近に配置していた治安部隊を撤退させ、本来の任地に戻すことで合意したと明らかにしたと報じた。
 国境付近へのロシア治安部隊の配置はこれまで明かされていなかった。 (2010-091502)

ロシア主導の演習

 ロシアのプーチン大統領が9月14日にベラルーシのルカシェンコ大統領とソチで会談し、軍事面も含めた全面的な支援を約束した。
 会談では、ベラルーシが攻撃を受けた場合にロシアが軍事援助を行うと定めた安全保障条約に基づいて両国が行動することを確認し、両国が今後ほぼ毎月、合同で軍事演習を実施することでも合意した。 (2010-091503)

 ロシア国防省が9月15日、アルメニア、カザフスタン、タジキスタン、キルギスの集団安全保障条約機構 (CSTO) 加盟国と共にベラルーシで10月12~16日に6ヵ国軍合同演習を行うと発表した。
 また、ロシア軍は15日にポーランドと国境を接するベラルーシ西部ブレスト近郊でベラルーシ軍と合同演習を開始し、25日まで続ける。 (2010-091601)

 ロシア軍がベラルーシや中国など6ヵ国と合同で9月26日までの日程で、8万人を動員した大規模演習を行っている。
 演習には隣接するベラルーシのほか中国やイラン、パキスタンなど6ヵ国から8万人が動員され、戦車250両や艦艇50隻などが投入されているという。
 ロシア軍は、政権に対する大規模な抗議デモが続くベラルーシ国内でもベラルーシ軍との合同演習を実施しており、両国の大統領が会談して以降、軍事的な連携を一層強めてベラルーシの現政権に批判的な欧米側を牽制している。 (2010-092303)

3・5・4・4 西側の対応

3・5・4・4・1 米国の対応

 関係筋6人が9月24日、ベラルーシで8月に実施された大統領選挙での不正疑惑や抗議デモへの暴力が理由として、米英加が連携して対ベラルーシ制裁を検討していることを明らかにした。
 関係筋4人によると、制裁は早ければ25日に発動される可能性があり、現時点でベラルーシ当局者8人が制裁の対象となっているものの、今後変更される可能性があるという。 (2010-092501)

 米財務省が10月2日、ベラルーシ大統領選の不正疑惑をめぐる反政権派への暴力に対しEUや英加が制裁に踏み切ったのに足並みをそろえ、カラエフ内相ら同国政府高官8人を制裁対象に指定した。
 米国は2006年からベラルーシのルカシェンコ大統領を制裁対象としているため、今回の新たな措置には含まれていない。 (2011-100301)

 米政府が12月23日、ベラルーシで8月に実施された大統領選挙で不正や抗議デモの抑圧に関与した疑いがあるとして、4団体と40人の個人を制裁対象に指定した。
 米国内の資産凍結のほか、米国人との取引が禁止される。
 米国は10月に大統領選の不正疑惑に絡み、ベラルーシのカラエフ内相を含む政府高官8人に対する制裁を行い、EU、英国、カナダも制裁を発動させている。 (2101-122401)

3・5・4・4・2 EU / NATO の対応

EU の制裁

 EUが8月28日の外相会合で、ベラルーシのルカシェンコ大統領の6選に関連し、政権による大規模な不正があったとして、20人程度を対象に近く資産凍結などの制裁を科すことで合意した。
 また東地中海でガス田開発を進めるトルコへの制裁準備を進めることでも一致した。
 EUのボレル外交安全保障上級代表は会合後の記者会見で、ベラルーシ関連の制裁対象者は20人にのぼると明らかにした。 (2009-082901)

 EUが9月21日にブリュッセルで開いた外相理事会で、大統領選後の混乱が続くベラルーシ問題を協議したが、選挙結果改ざんや抗議弾圧の責任者への制裁は決定できなかった。
 キプロスが、東地中海での資源開発をめぐり対立するトルコにも同時に制裁を科すよう求め、全会一致が必要な決定を阻止した。 (2010-092203)

バルト三国の制裁

 バルト三国が8月31日、ベラルーシのルカシェンコ大統領とその他29人の当局者に対し、渡航を禁止する制裁措置を発動した。
 ベラルーシは三国の制裁発表に「深い失望」を表明。このような「早まった措置」に報復するとの姿勢を示した。
 西側諸国は、ルカシェンコ大統領が8月9日の大統領選で不正を行なって任期引き伸ばしを画策したとして批判をしているが、大統領個人に対する制裁措置の支援に消極的である。 (2010-090106)

欧州議会がルカシェンコ大統領再選を認めない決定

 欧州議会が9月17日、大統領選の不正疑惑が取り沙汰されるベラルーシのルカシェンコ大統領の再選を認めない方針を決定した。
 欧州議会は8月9日に行われたベラルーシの大統領選の結果を巡って投票を行い、574対37(棄権82)で選挙の結果を認めない方針を決めた。 (2010-091801)

EUがルカシェンコ大統領に制裁発動

 EUが11月6日、ベラルーシのルカシェンコ大統領に対して、自由で公平なやり直し選挙に向けて行動を促したが無視されたため、10月半ばの公言通り制裁を発動した。  制裁措置には資産凍結や渡航禁止などが含まれる。
 EUは不正選挙や、選挙後のデモ参加者弾圧に関与したベラルーシ当局者にすでに制裁を科しているが、ルカシェンコ氏とその息子ら15人を今回新たにこの対象に加えたたため、EUが制裁対象とするベラルーシ当局者はこれで55人となる。 (2012-110701)

3・5・4・4・3 国連の動き

 国連人権理事会が9月18日、ルカシェンコ大統領の再選を巡って混乱が続くベラルーシ情勢の監視を強化することで合意した。
 会合では、23対2(棄権22)でバチェレ国連人権高等弁務官にベラルーシ情勢を監視する権限を与え、2020年末までに報告するよう求めた。
 国連特別報告者のマラン氏は、ルカシェンコ氏が勝利宣言して以降、10,000人以上が逮捕され、拷問や暴行などの被害報告も多数上がっていると指摘している。 (2010-091901)
3・5・4・5 ベラルーシの対決姿勢

 ベラルーシのルカシェンコ大統領が9月17日、ポーランドおよびリトアニアとの国境を閉鎖し、ウクライナとの国境管理を強化する必要があるとの見方を示した。
 大統領は首都ミンスクで開かれた女性のフォーラムで講演し、「われわれは市街地から軍部隊を撤収し、軍の半数をリトアニアとポーランドを手始めに、西側諸国との国境警備と閉鎖に配置するよう迫られている」と述べた。
 また「ウクライナとの国境も管理を強化する必要がある」とした。 (2010-091803)
3・6 コーカサス(ジョージア)

ロシアによるサイバー攻撃

 ジョージアでは2019年10月に政府や民間企業や報道機関などが一斉にサイバ攻撃を受け、ジョージア政府は米英と共に原因を調査してきたが、ジョージア外務省が2月20日にサイバ攻撃を仕掛けたのはロシア軍の参謀本部情報総局だったと調査の結果を明らかにした。
 サイバ空間での戦いが、欧米諸国とロシアの新たな火種となっている。
 ロシア軍参謀本部情報総局はロシアの情報機関の一つで、軍事や外交に関する情報収集や特殊作戦を行うほか、近年はハッカー集団を育成し、背後で指揮しているとされ欧米諸国は懸念を強めている。 (2003-022103)

3・7 北 極 海

3・7・1 北極圏諸国

3・7・1・1 ロシア

Project 20183捜索救難艦

 ロシア国営TASS通信が4月12日、Project 20183捜索救難艦が3月にロシア海軍に納入されたと報じた。
 同艦は北極海で使用するための多目的艦で、捜索救難のほか海洋調査、装備の試験、特殊装備の輸送などにも使用できる。 (2005-042002)

バレンツ海の島に空挺部隊が降下

 タス通信などが、ロシア国防省が4月26日に空挺部隊が北極圏ロシア領のバレンツ海アレクサンドラ島に降下し、訓練を実施したと発表したと報じた。
 空挺部隊は高度10,000mでIl-76から降下して3日間展開し、攻撃訓練や北極圏の環境下で生き延び脱出する訓練も実施した。
 北極圏への部隊での降下は史上初という。 (2005-042602)

 ロシアの副国防相が4月26日、同日に露軍空挺部隊が史上初めて北極圏での降下を行ったと発表した。
 特殊な落下傘と降下は高度10,000mから酸素マスクを着けた隊員がIl-76 3機から特殊な落下傘でFranz Josef Land降下し、降下後に演習を実施した。 またその内の1機は高度1,800mから18tの貨物を投下した。
 降下訓練後Il-76はロシア最北の飛行場Nagurskoyeに着陸した。 (2007-050601)

北極圏での軍備増強

 海氷の後退からベーリング海を航行する船舶が過去10年間で128%増となっている。 また今後15~30年で北極海には夏期に無氷海域が出現するとみられる。
 ロシアは北極海の軍備増強を進めていて約50箇所の航空基地やレーダサイトなどの軍事拠点を復活させると共に16箇所の本格港湾を開設している。
 またベーリング海を睨んだBastion沿岸型CMを配備している。 (2010-092304)

 アラスカ近くで冷戦以来最大規模の演習を行ったロシアは、閉鎖していたソ連時代の基地50ヵ所以上を再開し、アラスカ近くに早期警戒レーダやミサイルを配備している。
 40隻以上の砕氷艦船を保有しているロシアは更に3隻を建造中で、2030年代に12隻の建造を計画している。 (2011-101909)

3・7・1・2 米 国

北極海での演習実施

 米海軍の4隻が5月4日、冷戦終了後初めて北極圏のバレンツ海を航行した。
 この日航行したのはDonald CookPorterRooseveltの駆逐艦3隻と、戦闘支援艦Supplyで、この他に英海軍のType 23 フリゲート艦Kentも同海域に入った。 (2006-050404)

砕氷艦の建造

 トランプ米大統領が6月9日、北極圏での米国のプレゼンス拡大を狙った"fleet acquisition program"を提唱した。
 閣議に参加した閣僚等によると、大統領はFY29までに砕氷艦隊を北極海に展開するための予算処置を命じたという。 (2007-060908)

 米大統領府が沿岸警備隊に対し、重砕氷艦建造計画の見直しを命じた。
 沿岸警備隊は2026年までに通常動力の砕氷艦を3隻建造し、その後中型砕氷艦を建造する計画であったが、大統領府は原子力砕氷艦を3隻以上建造する検討を命じた。
 更にその砕氷艦にはUAVの発艦能力、情報収集設備の搭載、自衛用戦闘の装備の搭載を求めている。 (2007-060911)

 トランプ政権が米沿岸警備隊に対し6月9日に、原子力砕氷艦の検討を命じてから丁度2ヶ月経過する8月10日、沿岸警備隊は予定通り計画を提出する。
 8月提出する報告書では既に進められている、今後6年かけて3隻通常動力型のPolar Security Cutterと呼ばれている砕氷艦の調達については触れられていない。
 米国の原子力推進艦は巨大空母と潜水艦に限られているが、ロシアは6隻の原子力砕氷艦を保有している。 (2008-072807)

 米議会がFY21予算で沿岸警備隊に砕氷艦の建造を認めた。
 ロシアは現在53隻の砕氷船を保有しており、カナダですら7隻保有しているが、米沿岸警備隊の保有数は僅か2隻で、そのうちのHealyは火災事故で損傷を受けている。
 新砕氷艦を建造しても取得できるのは2025年以降になる。 (2101-121508)

米空軍の Artic Strategy

 米空軍が7月21日にArtic Strategy文書を公表した。 新戦略は中国やロシアによる挑発の増大を受けたもので、バレット空軍長官は海路の拡大や資源の開拓、主権の争いに対応すると述べた。 (2008-072111)

Healy の事故で北極海の砕氷艦はゼロ

 米沿岸警備隊が8月25日、中型砕氷艦Healy(18,000t)が18日に主機のうちの1基が火災を起こしたため母港シアトルに向け帰投中であると発表した。 到着は31日になるという。
 この結果沿岸警備隊は北極海における全ての洋上活動を停止した。
 Healyの火災により沿岸警備隊が保有する砕氷艦は、11月に南極に向けての航海に備えてオーバーホール中の重砕氷艦Polar Star(13,623t)だけにが、Healyは1980年代、Polar Starは1970年代就役の老朽艦で、いずれも機械的な事故のリスクが高まっている。 (2009-082606)

 中露の北極圏進出に対し米国は戦略的な基盤を失っている。 北極圏で決定的な意味を持つのは砕氷艦であるが、米沿岸監視隊が保有する砕氷艦はPolar StarHealyの2隻だけで、しかもHealyは火災を起こしたため現在動けるのはAntarcticaのMcMurdo基地で再補給中のPolar Starだけである。
 米沿岸警備隊は2024年までに重砕氷艦1隻を含む砕氷艦6隻の建造を計画しているが、少なくとも2023年までは艦齢を20年以上過ぎているPolar Starを使用しなければならない。 (2011-101909)

B-1B が北極点上空を飛行

 テキサス州Dyess AFBに所属する米空軍第345外征爆撃飛行隊に所属するB-1B 2機が9月25日に北極点上空を飛行した。
 B-1Bはアラスカ州Eielson AFBを離陸して北極圏内で空中給油を受けながら16時間かけて3,100nmを飛行し、途中で7時間にわたりグリーンランド及びノルウェー海上空でF-16V 2機を含むノルウェー空軍機と共同訓練を行った。 (2010-093007)

3・7・1・3 カナダ

特記すべき記事なし
3・7・1・4 その他の NATO 諸国

 英海軍が主催した演習がロシアの北極海沿岸から115nmのロシアのEEZ内で行われ、米海軍からは駆逐艦が参加した。
 演習には米駆逐艦Ross、英フリゲート艦Sutherland、英支援艦Tideapring、ノルウェーフリゲート艦Thor Heyerdahl、及びデンマークとノルウェーの哨戒機が参加して2週間にわたり行われる。 (2010-090810)
3・7・2 北極圏外国

中 国

 自らを近北極圏国と称し北極海への進出を狙っている中国は建造を進めている。 (2011-101909)



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