2008年のイスラエル SRBMD に関する報道

年 月 日
出   典
標     題
要         旨
2008.08 Jane's Missiles & Rockets Rafael shows Iron Dome and Stunner missiles <0809-080018>
 6月にパリで開かれた Eurosatory 防衛展で Rafael社が Iron Dome 及び Stunner の実大模型を公開した。
Iron Dome(右図上)
 同社製 Derby AAM とよく似た形状で、Derby 同様に4枚の操舵カナード翼の直後に、Derby ではロール安定用に使用されているの同じ一対 の小型翼を持っている。
 Iron Dome はレーダシーカを搭載し、有効射程は4〜17kmで、2010年1/四半期に配備が 開始される。 Iron Dome の発射機は20発を搭載し、1基で1都市の防護が可能である。 Iron Dome 中隊は1基の BMC と1ないし複数の発射機を装備する。
Stunner(右図下)
 David's Sling BMD システムに使用する Stunner は2モードシーカと多パルスロケットモータを搭載して高運動性能を実現すると共に、 発射後の目標変換を可能にしている。 最大射程は180kmである。 中隊は1基の BMC と4個の FU で構成されるが、FU を6個にまで増やすことができる。 Rafel社は、米陸軍がレーダを換えた David's Sling を採用する見込みと考えている。
Spyder-EX
 Python 5 AAM と Derby AAM を地上発射にした最大射程15kmの Spyder-SR は2ヶ国で採用され、そのうちの1ヶ国には既 に配備されているが、ミサイルにブースタを取り付けて射程を50kmにまで延伸する Spyder-MR の開発も行 われている。 Rafael社は将来、ブースタをはずした Stunner を搭載した Spyder-MR を上回る性能の Spyder-EX を考えている。
2008.06.23 Aviation Week & ST Dual-defene <0808-062309>
 イスラエルで、対ロケット弾システムである長距離用の David's Sling と短距離用の Iron Dome の開発が進められている。
David's Sling
 David's Sling の迎撃弾である Stunner は固体燃料ロケットと3パルスモータの本体の二段推進で、イルカ型弾首には IR シーカとその後方にレーダシーカが取り付けられており、IR シーカは終末誘導に使用される。  SLAMRAAM の補完用として米陸軍への導入の可能性もあり、そのほかに20ヶ国程度が 導入の可能性のある国と考えられている。
 David's Sling の標準編成は、レーダ、指揮装置、及び16発搭載発射機4両であるが、Stunner のブースタをはずして SPYDER-LR に搭載することも考えられており、その場合でも最大射程は180kmになる。 ブースタ付きでは300kmである。
Iron Dome
 レーダシーカを装備し最大射程が70kmである Iron Dome は、David's Sling に先立つ2011〜2012年に装備化される。
2008.03 Jane's Missiles & Rockets Israel releases more details on anti-rocket programmes <0804-030002>
 1月22日にイスラエル首相が Rafael社を視察した際、Stunner の実大模型が展示された。 外観では2007年 10月の AUSA で展示された模型に比べブースタの径が細くなっている。 AUSA で展示された際のブースタは本体の二倍の径であったが、 今回は30%太いだけであった。
 本体は2パルスロケットを使用し、弾首の形状から最先端にセミアクティブレーダシーカ 、その後方に IR シーカが取り付けられている模様である。 弾尾には二列近接して十字翼が取り付け られており、ケーブルダクトがそこまで伸びている。 
 イラン製 Fajr や Zelzal など、射程が40〜250kmのロケット弾に対抗する Magic Wand システムが使用する 迎撃弾の名称は、当初米国名が Stunner でイスラエル名が David's Sling であったが、今ではイスラエル国防省も Stunner と呼んでいる。
 一方 Qassam、Grad、Katyusha など、射程4〜70kmのロケット弾に対抗する Iron Dome はレーザ誘導方式で 90kgの迎撃弾を使用し、車載発射機に20発を搭載する。 運用開始は2010年初期とさ れているが、国防省はできるだけ早く、少しでも多くを装備したい考えである。
2008.01 International Defnce Review Israel develops comprehensive defences against varied missile, rocket threats <0803-010014>
= イスラエルのミサイル防衛に関する5頁にわたる特集記事 =
 イスラエルは弾道弾脅威を以下の四種類に分類している。
 ・第一種:射程20km以下、107mm Katyusha 及び Quassam
 ・第二種:射程40km程度、122mm Grad
 ・第三種:射程50〜250km、Fajr-3/-5、Raad、Khaibar 1、Zelzal 2、
              Fateh-110、SS-21
 ・第四種:Scud B/C/D、Shahab-3
 イスラエルは現有の Arrow 2 及び PAC-2 に Arrow 3、David's Sling(右図 Stunner 迎撃弾)、Iron Cap を加えた5層防護を整備しようとし ている。 Arrow 3 用に Green Pine を改良した Great Pine レーダは既に完成している。
 Iron Cap の中隊は、レーダ1基、指揮装置1基、20発搭載発射機6基を持ち、人口密集地一ヶ所 をロケット弾の斉射から防護できる。