「国家緊急事態法論」への地理学的アプローチ
―小笠原諸島への「防衛に関する地域条項」の導入を巡って―

2016.9
日本女子大学学術研究員 福本 慧
(プロフィール)

はじめに:問題提起と概要


 現行の日本国憲法には,国家緊急事態に関する規定がない。このことについて,様々な議論が彷彿している。これは,多様な緊急事態に直面している日本社会の危機意識の表れだ。特に,これを「憲法9条の改廃の問題」(以下,「改廃」と略記)につなげて考える議論の背景には,日本の防衛を憲法論争の枠内 だけで論じるのではなく,広く国際的な防衛環境や軍事的な合理性との関係で考える声が湧いてきているからだ1)

 その理由はなにか。それは,第二次世界戦争中から作られた現行の国際制度や国際組織,そして,国際レジームはもとより,文化・文明的な要素 もが係り始め,戦争の管理が難しくなってきているからだ2)。さらに,日本に限って言えば,憲法に定められている 日本の防衛条項(第9条)を,主権国家にとって 当たり前のものとして捉えるよりも,「江戸時代以降の防衛への無関心の現代的な再生」として積極的に評価し,戦争を抑止する「先取りの姿勢= 一種の英知」だとするような論者の声も出てきているからだ3)。こうした議論の彷彿を診れば,国家緊急事態条項の導入を「改廃」と「つなげる・ つなげるべきだとの見解」は,国際的に常識の域を出るものでないが,非常識のように思えてしまうかもしれない。
 しかし,本研究は,「改廃」問題に地理学からの参加(take part in)を試みるものだ。もちろん,これは,地理学が関心を示さなければならない 問題ではない。しかし,国家緊急事態条項の憲法への導入という国家・国民規模の問題に地理学が無関心であることは,地理学の歴史と役割から みて許されることではない。なぜなら,日本の国土の地理的な性質が,日本の防衛に重要な影響を与えていると考えるからだ。つまり,国土の 地理的な特質=地域の地理的な特質を考慮しないで,専守防衛であろうと動的防衛力構想であろうと,日本の防衛の完成度は高くならないのだ。

 さらに,地理学は古代から現代にいたるまで,政治的組織の如何を問わず,統治のために地理情報を収集し,分析・解釈し,利用の追究を行って きた歴史があるからだ。防衛は,この統治の最重要問題であり,地理学は現代の地理学者が想像できないほどの役割を担ってきたのだ。
 ちなみに,地理学とは一定の地域の自然現象・人文社会現象の総合的な把握を<目指し>,その地域の特性を闡明にすることを<目指す> 科学の一部門だ。国土は,政治的・法的な面から捉えられるだけでなく,地理的な面から捉えられるべきであり,その結果は,法の世界つまり, 防衛法のジャンルにも生かされるべきだ。なぜなら,法は国家統治の重要な手段であり,地域の地理的な特性を無視しては,法の有効性ないしは 実効性は,実現しないからだ。

 そこで,本研究は,「改廃」という法的な問題についての地理学的なアプローチを,以下のように設定する。
第1に,「改廃」問題を「法律」問題として論じるアプローチの提案だ。
 つまり,「改廃」の実質は,防衛に関連する法律の制定や修正に顕れるという点に着目し,ここから実質的に「改廃」問題を議論するという アプローチを取るということだ。その上で,「改廃」に基づく防衛に関する法律の制定や改正の中で,「防衛に関する地域条項」 (以下,「地域条項」と略記)の導入の必要を提案する。ちなみに,ここでいう「地域条項」とは,地域の地理的な特性を反映した防衛関連諸法の 制定や改正をいう。
第2に,「地域条項」についての地理学的なアプローチを行うことだ。
 つまり,日本の防衛戦略・戦術・後方に係る諸事項が展開される地域の地理情報を学術的に収集し,分析・解釈し,「地域条項」の導入の必要を 論拠づけることだ。
 具体的には,日本の防衛体制としての日米安保体制における「潜水艦作戦」の意義に基づいて,その「作戦のための基地の立地」と 「これに伴う地域条項の導入」に関する地理学的な検討を行う。すなわち,潜水艦作戦の戦略・戦術・後方の各面で充実させるための基地を, その最適地である小笠原諸島地域に立地させることについて,地理学の立地理論から追究することだ。その結果として,小笠原諸島が潜水艦作戦の 基地として最適地であることを提案する。特に,父島がその中心となりうる。そして,立地された基地とその周辺の一定地域を「防衛特区」とし,そのための「地域条項」の導入を防衛関連諸法に導入する ことを言う。
 このような「作戦基地の立地」は,第二次世界戦争下における帝国海軍による「特別根拠地隊・特設根拠地隊の基地の立地」に前例がある。 しかし,その作戦上の立地と地理学的な観点からの立地論を交錯させて最適な効果を発揮したとは言えない。軍事上の必要だけが前面に出たこと の失敗といえる。防衛と地理学は相互に交錯して,かたや勝利,かたや学術の発展と社会への貢献を実現してきたのだ。
 要は,「地域」という地理学的な概念を,防衛のあらゆる面における決定をする上での不可欠な判断要素のひとつとして,立地の初動から組み 入れておくべきだということだ。したがって,本研究でいう「地域条項」には,これら基地の立地に伴う諸々の法的対応に,当該基地の地理的条 件が反映された条項を入れることが必要だ。そして,この提案が,「改廃」という法・政治的な問題への地理学の側からの対応のひとつということだ。  
 この研究は,いずれかの国や時代かを問わず,防衛という普遍的な問題に地理学が,いかなる貢献を果たすべきかという問題関心からなされたものだ。
 また,本研究は,防衛法学会平成28年度今年春季研究大会での報告を修正したものだ。

T 「国家緊急事態問題」に関する論争の様相:地理学的な検討の前提として


1 論争の背景と内容


 現代の国際的な安全保障環境を診てみると,国際社会全体の動揺=国際レジームの変更にあるように思われる。第2次世界戦争以降の国際システム は,まさに溶解の様相をみせている。それは,破綻国家や国際的なテロ組織の出現により,「ウェストファリア体制=主権国家体制全体の動揺」だ4) 。これに対して国際社会全体が協力しなければならないが,こうした対立に有効に対処できていない。特に,国連の集団的安全保障体制は,第2次世界戦争以降の国際社会における 集団安全保障の中心となるものだったが,シリア危機で見られるように,この体制が機能不全に陥っていると言わざるを得ない5)
 これは,安全保障理事会における常任理事五カ国が全員一致して合意し,行動することが難しいからだ。さらには,これらが文化文明の次元にまで対立が至っているという現実があるからだ6)。 政治・経済といった次元だけでなく,言語や宗教,道徳といった文化・文明の対立が起きているのだ。そして,これらの文化・文明は,政治や経済体制が変化しても,なかなか変われるものでない。
 こうした事態に日本も無関係とは言えない。昨今の有事法制7),平和安全法制の制定,日本国憲法への緊急事態事項の導入に関する議論もこの流れにある。

 国家緊急事態に対する見解は,大きくわけて3つの立場がある。
第1は,現行憲法下のままで,個別緊急事態に対して,既存の個別法律で対応するとする立場だ。
 具体的に,災害防止法や国民保護法等といった現行の法律で対処できるということだ8)。その理由は,緊急事態条項を憲法に盛り込
 むと,裁判所が,統治の行為の法理が適用して,是正の判断を避ける傾向にあるからだ。また,その際,政府からの影響,特に,裁
 判所の人事と予算を含めた在り方が課題になるからだ9)
第2は,緊急権は自然権であり,憲法に規定しなくても対処できるとする立場だ。
 政府が国家緊急権を行使すれば憲法違反としておくことで,政府の責任を明確にしておこうとする考え方だ10)
第3に,緊急権の発動要件を憲法に規定しておくべきだとする立場だ。
 その上で,想定されることは,憲法を改正し,その後,細目及び実施規定に関しては個別法律によって定めるものだ11)。 自民党が
 提言する「日本国憲法改正草案」第98・99 条の「緊急事態条項」がこれに該当する12)。これは,緊急事態という例外措置が予想さ
 れる以上,憲法体制のなかにこれに関する制度を組み込んでおこくことが合法だとする立場だ13)

2 「憲法9条の改廃問題」への指向:国家緊急事態論のコロラリーとして


 これらの見解の中で,筆者は,緊急事態条項を憲法に導入する必要があり,これが憲法改正(特に,第9条の改廃)につながるという立場をとる。なぜなら, 「改廃」問題は,国民が主権者である実質を問われる問題だからだ。まさに,「主権者の第一の義務が他国の暴力と侵略から自国を守ることにある14)」のなら, 憲法9条は日本の防衛の在り方そのものを問うものだからだ。
 この「改廃」は,当然,日本の防衛の根幹を作り上げている日米の安全保障体制にも影響してくる。これに関して,「改廃」を,現在の日米安全保障体制を維持し,その枠内で発展させるという立場 15)と,日米安全保障体制の枠を重視しながらも,これを超える点で日本の防衛を考えるという立場16)がある。双方の立場を理解した 上で主権者である国民が選択しなければならない。
 「改廃」問題は,戦後70 年経った現在でも議論が続いている。これは何を意味するのか。これに関して,戦後の日本人の「憲法に対する無意識の罪悪感」ということが指摘されている。 これは,日本人が戦争に罪悪感があるにしても,それは意識的なものではないため,当然「強制」された憲法に関しても「無意識」の問題だということだ17)。しかし,より重要なことは, 「生かすか・殺すか」,「生きるか・死ぬか」という絶対矛盾した問題に対する日本人の姿勢なのだ。

U 「憲法9条の改廃問題」への地理学的なアプローチの論理


1 地理学と国家統治


 地理・地理学は,国家統治に深く係わってきた。事実,古代より国家統治の中心的な問題である軍事の主題は,空間としての領土の防衛であった。例えば,この地理情報への関心や必要性を指摘する文献として, 古代ギリシアのヘロドトスの『歴史』(18)や古代中国の『漢書』19)や『史記』20),古代インドのカウティリヤの『実利論―古代インドの帝王学―』21), 日本においても『風土記』がある。 また,軍事的な戦略論や戦術論においても,中国の『兵法三十六計』22)や孫子の『兵法』23),マキャヴェリの『戦術論』等がある。 もちろん,近現代の戦略論・戦術論は言うに及ばず,軍事地理学,地政学や軍事史における重要な検討課題のひとつだ。
 これらの文献類から分かることは,自国および他国の統治範囲の地理情報を収集し,これらを分析および解釈をし,統治や軍事の実践に活かすという仕事が重要視されてきたことだ。
 戦前の日本に限ってみても,内務省地理局と軍が,公共政策の決定において地理情報を利用してきた。内務省は,明治10 年に,地理局が置かれた。ここでは,土地に関する諸規則, 測量の方法や製図の方法を作ったり改正したりする業務を行っていた。しかし,戦況の悪化に伴い,昭和3年に地理局は廃止された24)。軍に関しては, 陸軍陸地調査部等が軍事作戦における地理情報の利用を行ってきた25)
 こうした公共政策に地理学者がどのように関与してきたのか。例えば,日清・日露戦争において,志賀重昂や小川琢治をはじめとする地理学者が従軍していた。 しかし,これらの地理学者は,戦略や戦術に対して主体的に参加していたというのではなく,記録に徹していた26)。また,第二次世界戦争中,東京帝国 大学と京都帝国大学を中心とする地理学者が,軍の戦略構想と戦術計画に関与していた。東京帝国大学を中心とする研究会は,兵要地理調査研究会と呼ばれ,軍の参謀本部で会合が行われていた。 そして,京都帝国大学を中心とする研究会は,綜合地理研究会と呼ばれ,作戦における兵要地図という戦略地図の策定 に係わる作業が行われていた27)
 ここから分かることは,日本の地理学は,日本の近代化とその帰結として現代において,常に受け身であったということだ。つまり,軍の要請に応じる形で行われていたのだ。そして, これは,地理学自体の問題であると同時に,国家の防衛の在り方の問題でもあるのだ。

2 「改廃」問題についての地理学からの視点


 国家統治のひとつの問題が,この「改廃」問題だ。なぜなら,憲法9条が日本という国家の防衛の在り方を定める条文であるからだ。そして,「改廃」の実質は,憲法の改正に伴う関連の法律の制定と修正だ。 つまり,憲法の権利義務は法律によって具体化されるということだ。一般的に,法規範には,準 則と原理がある。準則は,ある問題に対する権利義務について定めたものだ。原理は,特定の方向に向かって導く力として働くものだ28)。そして,憲法の多くの条文は原理であり,準則を設けていない。
 そこで,本研究では,「改廃」問題が現行の防衛関連法に反映されるという立場をとり,具体的な議論をこの法のフェーズから行う。なぜなら,憲法の規定とは異なり,法の規定は,具体的な準則だからだ。 地理学がこの問題に関与できるとすれば,「改廃」によって生じる法律についてだ。
 具体的には,改廃に伴う防衛関連法規の中に,地域の地理的な特性に応じた「地域条項」を導入することを提案する。ここでいう「地域条項」とは,地域の地理的な特性( 地形や気候といった自然現象と経済や文化といった人文・社会現象)と防衛上の特性とをマッチングさせた条文のことを指す。つまり,一般的な法律の中で,その規制事項の一部の適用を地理的事情に配慮して追加, または制限,除外することだ。特に,これは防衛に関する法律に必要なものだ。また,この法律の所管は防衛省であり,各法律間で生じる齟齬を調整しなければならない。
 本研究の「防衛に関する地域条項」の提案は,法の制定や改廃における地理・地理学的な配慮の必要性を提案するものだ。なぜなら,日本の場合,北から南まで約6,800もの島々から構成され, その地理的な特性も多様だからだ。そのため,全国一律した防衛策よりも,日本の地理的な多様性に応じた防衛策30)があってもしかるべきではないかと考える。
 特に,歴史的にみて,領域の画定や維持に係わる紛争・抗争は,領域の周辺部で発生している。「太平洋戦争=大東亜戦争」時における沖縄本島,硫黄島,ペリリュー,サイパンなどの太平洋の島々の激戦では 多くの死傷者を出した。これらは,領域の周辺部であり,かつ島嶼だ。現代でも,グアムやハワイ等といった国境周辺の島嶼には軍事基地が置かれている場合が多い31)。そのため,日本でも, 本土から遠隔地に位置する島嶼に防衛上の特別な配慮をすべきだと考える。

V 「防衛に関する地域条項の導入」についての地理学的な分析―小笠原諸島を事例にして


1 日本の防衛としての日米安全保障体制における西太平洋地域の防衛上の意義


 日本の防衛としての日米安全保障体制にとって,西太平洋地域は重要な戦略・戦術空間のひとつだ。そこは,日米安全保障体制の維持と発展にとって死活的な地域(海域)であり,実際日米協同の 「潜水艦作戦=原子力潜水艦の監視と偵察」にとって不可欠な地域だからだ。海中発射の弾道ミサイルや巡航ミサイルが,現代の防衛戦略・戦術における重要な意味を持っているのは自明である。そして, これを運用するのが原子力潜水艦であり,その活動水域が西太平洋であり,小笠原諸島はここに位置して,監視と偵察を支援する島嶼だからだ。ちなみに,この潜水艦作戦には,潜水艦はもちもん,哨戒機,潜水艦を探知する 音響測定艦(海上自衛隊の場合「ひびき」・「はりま」)等との協同が必要だ。
 南西諸島の場合は,主に,島嶼防衛に主眼を置かれ,原潜の監視と偵察については深刻な案件にはなっていない。もちろん,原潜の西太平洋への展開のための通過海域にある島嶼群としては重要であるが, 作戦海域としては二次的だ32)。つまり,南西諸島を超えたこの海域では,原潜の監視や偵察が難しくなるからだ。原潜の監視や偵察は,米国にとっても死活問題だ。なぜなら,この海域を突破されると, ハワイ・サンフランシスコにより近い海域から,敵のミサイル攻撃を許してしまうからだ。日米が連携をして対処することが重要だ。
 このように考えると,西太平洋地域の周辺において,潜水艦作戦を行うための戦略・戦術・後方の各面で支援できる基地を立地させることが極めて重要になる。それは,人員の休息や物資の補給や支援などを確保するための基地の立地だ。
 この種類の基地の立地で参考になるのが,戦前の帝国海軍が設置した特別根拠地隊・特設根拠地隊の基地の設営だ。これらはいずれも本拠地の前進基地という役割がある。特別根拠地隊の基地の設営は, 青島,旅順,父島,馬公,ペナン,シンガポール等に置かれた33)。特に,ペナンには,潜水艦に関する特設根拠地隊の基地が設置された34)。 この部隊は,昭和14年10月19日の内令712号「海軍特別根拠地隊令」により編成された部隊で,艦隊または警備府に所属し,作戦地とその周辺の警備,港務,通信に関することを掌り, 必要に応じて補給・工作・医務・衛生等を行った。また,特設根拠地隊の基地の設営は,ブイン等に置かれた。この部隊は,大正8年4月16日の内令116号「特設根拠地隊令」により編成された部隊で,前進根拠地の防衛, 付近海面の警衛,測量,港務,通信に関することを掌り,必要に応じて艦隊の補給・工作・患者の診療等を行った35)
 しかし,これら根拠地隊の基地の立地について,軍事作戦上の必要性ばかりが優先され,地理情報が軽視されていたことが指摘されている36)。例えば,こうした地理的な調査の結果として,基地の立地が断念され, その努力が無駄になった例として,西ニューギニアのマククルエル湾(ペラウ湾)南岸のサガ草原とゲールウェング湾北部のショーテン諸島のビック島の例が挙げられる。これらの地域においては,大規模な航空基地の立地が計画されていたが, 実現しなかった。なぜなら,このマククルエル湾の奥の陸岸は,湿地帯だったからだ。
 しかし,その決定の過程では空中写真のみが用いられ,これだけで立地を決定しようとしたことが問題だった。実際,そこは湿地帯であり, 滑走路の建設には適せず,この調査と決定の遅れによって,補給基地の立地は実現しなかった。事前の地理学的な調査が組み入れられていなかったことによって,日本軍の補給基地の立地が遅れ,飢餓に襲われ, 多くの犠牲者を出すことになった。
 これは,特定の地域の地理的な特性の把握と協働して行なわれていなければならないことを示すひとつの事例だ。この立地決定の過程における不備が結果として良い結果をもたらせなかった。
 つまり,軍側の要請と地理学側との協働が,防衛空間の立地には不可欠だということだ。

2 「潜水艦作戦」における小笠原諸島の地理的環境


 西太平洋地域における潜水艦作戦において,小笠原諸島は重要な基地になりうる。次に,その理由を,立地論を用いて説明する。
 地理学における立地論とは,「なぜそれが立地させたのか」そして「あるモノをどこに立地させたら最適か」を問う理論だ。

 立地論には2種類の考え方がある。
 東洋的な考え方として風水だ。風水的な考え方は, 住居や墓等をどこに立地させればよいのかというものだ。この立地では,地形と方位,そして,「気」の流れが重要視される37)
 その一方で,西洋的な立地論は,企業や工場といった経済活動を中心とした立地を対象とする。 この立地では,輸送費等といった経済的合理性が重要視される38)
 そして,現代の立地論の中心は「なぜそれを立地させたのか」といった立地分析であるが,これに地理情報収集・分析・解釈・利用を加えると,最適の基地の立地決定の有用な材料となる。
 そこで,小笠原諸島の地理的な条件を自然的条件と人文・社会的条件について簡潔に説明する。ここでは,地理的な条件は多岐にわたりすべてを指摘するのは困難であるので,ここでは安全保障面に係わる地理的な特性に限って説明する。
 まずは,小笠原諸島の自然条件の安全保障面での特性についてだ。小笠原諸島は,東京から南1,100キロに位置し,北緯20度(25分)〜 27度(44分),東経136度(04分)〜 153度(59分)の太平洋に散在する30余りの島々の総称になる。 北から,聟島(むこじま)列島,父島列島,母島列島,火山列島,そして,西島,南鳥島,沖ノ鳥島といった3つの孤立した島から成り立っている。その中でも,沖ノ鳥島は日本の領土の最南端,南鳥島は最東端に位置し,小笠原はその要の位置にある。 また,太平洋を東と西,北と南に分ける「十字路」に位置する。
 小笠原諸島の特筆すべき自然条件として,島でありながら,自前の水資源が確保できていることだ38)。事実,父島と母島では下水道が完備されている。また,父島には,居住可能な平地があり,父島にある二見海岸の道路は米軍が設置したもので ,中央の山稜までジープが通れる道路がある39)。要は,エネルギー補給が維持できれば,長期にわたって,自立した生活や活動ができる。
 次に,小笠原諸島の人文・社会条件の安全保障面での特性についてだ。小笠原諸島は,東京都に帰属する一行政区で,東京都小笠原村である。人口は,父島は平成24年3月現在で,父島で約200人,母島で約500人だ。 東京からは,父島二見港まで定期船「おがさわら丸」で,約25時間30分もかかる。
 小笠原諸島の歴史として,19世紀初頭まで「無人島(bonin island)」と呼ばれていたが,明治9年に小笠原島(聟島・父島・母島列島)として日本の領土になった。明治13年には当時の東京府の管轄となった。 その後,明治24年には火山列島,31年には南鳥島が編入された。
 昭和9年には父島の洲崎と硫黄島に軍用飛行場が設置され,日本本土の防衛のための拠点としての役割を果たした。昭和19年に戦況の悪化に伴い島民は本土に疎開した。昭和20年の硫黄島での激戦で, 日本軍の戦死者は19,000名,アメリカ軍の死傷者は28,600名であった。敗戦後,昭和21年〜43年までアメリカの施政下に置かれた。本土復帰後は東京都小笠原村に編入され,現在に至る40)。現在は,観光を主軸とする方向が取られ,生活の自立といったこと産業全般の政策への関心は薄い。
 また,小笠原諸島は,日本の漁業水域海面の約3分の1を占める。昭和52年に日本の漁業水域が200海里となったため,沖ノ鳥島・南鳥島を含む小笠原諸島の重要性が再認識されている。
 こうした地理的な特性から,「潜水艦作戦」における小笠原諸島の地理的な評価をする。まずは,小笠原諸島は,ランドパワーの海洋進出のチョークポイントであるということだ。小笠原諸島は,まさに,海洋部隊の前進基地に位置する。 ここには,監視,訓練,観測を行なう海上自衛隊・航空自衛隊の基地がある。父島には海上自衛隊横須賀地方隊の父島基地分遣隊が常駐し,硫黄島には,海上自衛隊の硫黄島航空基地隊と,航空自衛隊の硫黄島基地隊が所在している。また,南鳥島には,海上自衛隊硫黄島航空基地隊の南鳥島航空派遣隊が常駐して飛行場施設などを管理する。また,日本の本土の防衛を考えた時,その領土の突端に位置していることでも大変重要な拠点だ。
 さらに,西太平洋という視点から診た時,伊豆諸島,グアム・マリアナ諸島とともに,東側の壁を形成している。特に,硫黄島には航空基地,グアム,サイパン,ハワイには米軍基地がおかれている。これらの点をつないで, 一つの防衛ゾーンを形成している。特に,小笠原諸島とその周辺海域・海底は,世界の「潜水艦の行動のホット・ゾーン」のひとつで,フランス領であるニューカレドニアに近く,フランスの潜水艦を含めた武器輸出の過去の例から学ぶと, 豪州・フランス・中国というトライアングルに隣接していることにも注視しなければならない海域だ。
 次に,小笠原諸島周辺の海域は,陸地に近接する水深が深く,潜水艦を含む艦艇の基地として最適の地理的な条件を具えている。特に,小笠原海嶺の西側は,直線の急崖になっており,隣接する伊豆七島・硫黄島海溝とは水深3,000〜 4,000mの 小笠原トラフによって隔てられている41)。例えば,中国政府が約8割を出資し建造予定のスリランカのハンバントタ(Hambantota)港,パキスタンのグワーダル(Gwadar)港, その東に位置するバングラディッシュのチッタゴン(Chittagong)港は,同じように,陸地に近接して水深が急に深くなるという地理的条件を持っている。

3 小笠原諸島における「地域条項=防衛特区条項」の構想


 小笠原諸島に「地域条項」を置いた場合,どのような法的問題が想定されるのか。
まずは,
第1に,管轄主体を政府とするか,地方自治体とするかが問題だ。
 つまり,憲法における「地方自治の本旨」とそれに関連する 「地方自治法」との抵触が問題となる。これらの法律は,地方自治体
 の自主性を強化し,行政の地方分権化を進めるものであるからだ。
第2に,「地域条項」の適用範囲を,小笠原諸島全域にするか,一部にするのかという問題だ。
 小笠原諸島を対象にした「自然公園法」との整合性の問題だ。小笠原諸島は,同法律により1972年「小笠原国立公園」として指
 定され,父島と母島の集落と農業地域と硫黄島,南硫黄島,南鳥島,沖ノ鳥島を除いた海域を含む全域がその保護地域となった。こ
 の区域では,許可なく建造物を建てたり,動植物の捕獲・採集したりすること等が禁じられている。「自然公園法」の主務官庁であ
 る環境省との調整も必要だ。その他,小笠原諸島に関連する法律として,1969年に施行された「小笠原諸島振興開発特別措置法
 」がある。これは,本土復帰に際して住民生活の安定や福祉の向上を目的とするものだ。また,2016年4月には,「離島振興法
 」を改正した「有人国境離島地域等措置法(通称,離島保全法)」が施行された。これは,離島の経済発展を促進するものだ。しか
 し,これらの法律は,いずれも防衛についての言及がない。

 憲法における「地方自治法の本旨」が国家を前提とした自治の尊重にある42)とすれば,筆者は,防衛上の必要性が生じた場合,限られた地域への地方自治は制限されるべきだと考える。つまり, 現行の「地方自治法」や「自然公園法」の地域から外れた「地域条項=防衛特区条項」として防衛関連法の中に導入するということだ。
 この際,重要なことは,小笠原諸島の中の特定の島を「防衛特区」とするのではなく,ゾーンとしての小笠原諸島を「防衛特区」とするということだ。これは,昨今の「島嶼防衛」においても重要な課題だ。
 つまり,島を防衛する視点だけでなく,日本の防衛全体という視点から,島嶼防衛する視点が必要だ。これは,『防衛白書』が指摘する通り,島嶼防衛は海上・航空戦力の優勢が必要だからだ43)
 平時から,陸上,海上と航空の面でのゾーン・ディフェンスを行うことが必要だ44)

おわりに=「新しい問題」としての「残された課題」


 以上の議論は,地理学の歴史からみると,国家統治の最重要な問題である「国家の防衛」に地理学が係ってきたこと。また,現代の防衛活動の空間が地球全体はおろか,宇宙にも広がり,これらの地理学的な把握が必要になっているという認識に立ってのものだ。
 具体的に言えば,現代においても国家統治の最重要な問題である防衛問題のひとつが防衛法制の在り方であり,その必要として「防衛に関する地域条項」の必要を提案した。そして,法律の次元での検討が,「改廃」を論じることになるという組み立てを作った。つまり,これは個々の防衛活動にとって,これらが展開される「空間の特性=地域性」の持つ意義は大きく,これを専門的に研究する地理学との協働を提起したのだ。
 しかし,この「空間の特性=地域性」を把握する上で,地理学の空間認識に与える情報技術の発展の影響を簡略にだが,言及しておかなければならない。すなわち, 「防衛に関するする空間認識を含めた空間認識一般に関する通信技術・情報技術の取得」と「その防衛面での利用」についての地理学的な検討だ。

 「前者」にいえることは,空間認識における「眼からサイバーへ,そして,そのコラボレーションによるシナジー効果」についてだ。英国の社会学者であるジョン・アーリ(John Urry)は, その著作であるMobilities の中で現代社会を解くパラメーターとして統合された「通信技術・情報技術」の重要性を指摘している45)。これは, 過去に大きな関心を呼び,流行りの常として廃れ,現代におけるICT (Information and Communication Technology) を軸として,その進化版であるIot (Internet of Things) AI (Artificial Intelligence) といった通信技術・情報技術の発展に触発されて再浮上してきた問題だ。特に,社会・歴史認識における「情報技術と通信技術とのコラボレーションによるシナジー効果への注目を喚起」したものだ。
 われわれは,地理情報の多くを現場での観察や地図類を通して,すなわち,「眼=視覚」によって取得してきた。「地域条項」や防衛に不可欠な地理情報も,これらの手段を通して取得してきたのだ。 しかし,通信技術の革命とつながった情報技術の現代的な発展は,高度に技術化された装置群の開発とを共鳴して,二種類の地理情報を持つ条件を作り上げた。すなわち,眼で見る空間認識とサイバーで見る地理的認識との共有だ。
 こうした事情から,現代のわれわれは,防衛に関する地理情報も「二種類」持つことになっているのだ。しかし,地理情報は「二種類」持っているが,実際の面で必要なのは, 一方の優先ではない。現代に求められているのは,この「二種類」のコラボレーションによるシナジー効果の促進だ。人間の目だけには任 せられないが,「通信技術・情報技術側」にだけにも任せられないからだ。われわれが,日常の生活や戦場であれ,地理情報の取得は不可欠だ。その場合,どちらかの一方を優先することはあるが,他方の使用を無視することは,ありえなくなっているのだ。

 「後者」にいえることは,取得された地理情報のシナジー効果を発揮させるための「利用に関する問題」だ。防衛における地理情報の取得の効果は,その目的ばかりか利用の方法によっても左右されるからだ。 しかし,防衛分野における地理情報の軽視とは言わないまでも,これが二次的になっており,「情報 技術と通信技術とのコラボレーションによるシナジー効果」を地理情報の利用の面で活用しているとは言えない。
 その理由は,通信技術と情報技術とのコラボレーションの発展の速度が速く,複雑であるからだ。しかし,このコラボレーションの必要は,日本の防衛当局および関係者による過去の事例から診て, 定着し構造化されたものであるから,深刻に受け止められないであろう。ましてや,その実践は極めて困難かもしれない。簡単にいうと,これは,最先端の通信技術と情報技術を用意し, それを防衛に係るあらゆる面で整備し,訓練すればよいというものではないからだ。

 これらの技術と利用との関係にあるパラドックスを無視とは言わないまでも,地理情報の軽視は,防衛に関する軍の作戦やそのための各種の基地や陣地の立地における失敗の事例に現れている。 これは,軍事目的だけが突出して,地理情報の取得や利用の効果とのバランスが取れていないということだ。つまり,このパラドックスの克服は,通信技術や情報技術のそれ自体から出てこない。むしろ,地理への関心という精神から出てくるものだ。
 この点で,地理学は最も近い立場に位置しているので,地理学が,防衛における地理情報の取得と利用の両面で,通信技術と情報技術との最適なコラボレーションを模索しなければならない。 その際,特に深刻な問題として浮上しているのが「ICT・IoT・AI とのシナジー効果」だ。IoTAI による意思決定や判断が,ICT によって拡散する事態=技術的特異点(Technological Singularity) の出現だ。 これが,防衛面での地理情報の利用に適用された場合,その影響と課題を早急に検討し始めるべきだ。

(本稿は,防衛法学会 防衛法研究「第40号・2016年」に掲載された筆者論文を転載したものである)



1) 細谷 雄一 『安保論争』 (筑摩書房,2016 年).
2) Henry Kissinger, World Order Reflections on the Character of Nations and the Course of History, AllenLane, 2014, pp.361-365.
3) 柄谷行人,大澤真幸 「対談 九条 もう一つの謎 「憲法の無意識」の底流を巡って」 『世界』第884 巻 (2016 年7 月),97 〜 109 頁.
4) Stephen D. Krasner, Sovereignty Organized Hypocrisy, Princeton University Press, 1999, pp.220-238.
5) 国連創設70 周年における国連事務総長演説General Assembly of the United Nations GeneralDebate of the 70th Session, THE SECRETARY-GENERAL New York,
  28 September 2015 http://gadebate.un.org/sites/default/files/gastatements/70/70_SG_en.pdf ( 閲覧日:2016 年7 月20 日).
6) Kissinger, op.cit.
7) 大沢秀介 「緊急事態法制についての覚書」 『ジュリスト』 第1260 巻 (2004 年),142‐146 頁.
8) 豊秀一,石松恒「いちから分かる 緊急事態条項」『朝日新聞 朝刊』 (2016 年3 月22 日),14 版.
9) 長谷部恭男 「日本国憲法に緊急事態条項は不要である」 『世界』 第877 巻 (2016 年1 月)144 〜 149 頁.
10) 橋爪大三郎「緊急権は正当,だが違憲」 『毎日新聞 朝刊』 (2016 年4 月29 日),12 版。橋爪大三郎 『国家緊急権』 (NHK 出版,2014 年).
11) 浜谷英博,新正幸 「「震災と憲法」を考える」 『讀賣新聞 朝刊』 (2016 年5 月3 日),解説12 版.
12) 自由民主党「日本国憲法改正草案」https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf (閲覧日:2016 年7 月20 日).
13) 竹花光範「国家緊急事態権の法制化とその問題点」川西誠編『現代法の新展開−法と経済と道徳』(新評論,1977 年),86 頁.
14) アダム・スミス著/ 山岡洋一訳『国富論』(日本経済新聞出版社,2007 年)281 頁.
15) 防衛省編 『平成27 年度版 日本の防衛―防衛白書―』(日経印刷,2015 年),135 頁.
16) 西修『 憲法改正の論点』 (文藝春秋,2013 年),101 〜 131頁.
17) 柄谷行人 『憲法の無意識』 (岩波新書,2016 年),18 頁.
18) ヘロドトス著/ 松平千秋訳『歴史(上)(中)(下)』 (岩波書店,1971 年).
19) 班固著/ 本田済訳『中国古典文学大系 第13 巻 漢書・後漢書・三国志列伝選』(平凡社,1968 年).
20) 司馬遷著/ 野口定男訳『中国古典文学大系 第10 巻 史記(上)』 (平凡社,1984 年(1968 年)).
21) カウティリヤ/ 上村勝彦訳『カウティリヤ実利論(上)(下)』 (岩波書店,1984 年).
22) 戦略研究学会・杉之尾宜生 『戦略論大系@孫子』 (芙蓉書房出版,2001 年).
23) 守屋洋 『兵法三十六計』 (三笠書房,2004 年).
24) 大霞会内務省史編集員会編 『内務省史 第一巻』 (大霞会,1972),588 〜 591 頁.
25) 例えば,明治20 年に陸軍参謀本部によって中国の兵制や軍備,地理などをまとめた参謀本部編『支那地誌』(国書刊行会,1976 年)がある.
26) 前田愛は,志賀重昂の「旅順従軍記」について批判した。前田愛 『幻想の明治』(朝日新聞社,1978 年),179 〜 195 頁.
27) 渡辺正氏所蔵資料集編集委員会編 『終戦前後の参謀本部と陸地調査部- 渡辺正氏所蔵資料集-』 (大阪大学文学研究科人文地理教室,2005 年),5 〜 16 頁.
  戦前の地理学者の戦略研究への関与に関しては,
  小林陽一「アジア・太平洋戦争期の戦略研究における地理学者の役割―綜合地理研究会と陸軍参謀本部―」『歴史地理学』第49 巻5 号(2007 年),1 〜 31 頁.
  この論文への批判として,
  小林茂・鳴海邦匡 「綜合地理研究会と皇戦会- 柴田陽一「アジア・太平洋戦争期の戦略研究における地理学者の役割」の批判的検討-」
  『歴史地理学』第50巻4号(2008 年),30 〜 47 頁.
28) 長谷部恭男 「平和主義と立憲主義」 『ジュリスト』 第1260 巻 (2004 年),57 頁.
  Robert Alexy, A Theory of Constitutional Rights, Oxford University Press, 2002, reprint 2010, pp.44-47.
29) 寺田寅彦 『天災と国防』 (講談社,2011 年),22 頁。
30) 薮内芳彦 『現代地理学シリーズ 島―その社会地理』 (朝倉書店,1972 年),50 〜 56 頁.
31) 中村秀樹 『本当の潜水艦の戦い方』 (光人社,2008 年),233 頁. 32) 防衛庁防衛研修所戦史部 『戦史叢書 陸海軍年表付 兵語・用語の解説』
 (朝雲新聞社,1980 年),348 頁.
33) 井浦祥二郎 『潜水艦隊』 (朝日ソノラマ,1983 年),274 頁.
34) 防衛庁防衛研修所戦史部,前掲書.
35) 佐用康司,森茂 『基地設営戦の全貌』 (鹿島建設技術研究所,1953 年),226 〜 228 頁。佐用康司 『海軍施営隊の太平洋戦争―航空基地築城の展開と活躍』
 (光人社,2001 年).
36) 渡辺欣雄 『風水 気の景観地理学』 (人文書院,1994 年).
37) 松原宏編著 『現代の立地論』 (古今書院,2015 年),1 〜 9 頁.
38) 東京都,日本河川開発調査会,東京理科大学 『平成12 年度 東京都水調査報告書』
  http://nrb-www.mlit.go.jp/kokjo/tochimizu/FA/MAP/A13.pdf (閲覧日:2016 年7 月20 日).
39) 山口恵一郎編 『日本図誌大系 関東T』 (朝倉書店,1975 年),192 頁.
40) 平凡社地方資料センター編 『日本歴史地名体系第十三巻 東京都の地名』 (平凡社,2002年),40 〜 42 頁.
  近世・近代の小笠原諸島の文献として,
  石原俊 『近代日本と小笠原諸島 移動民の島々と帝国』(平凡社,2007 年).
  石原俊 『〈群島〉の歴史社会学―小笠原諸島・硫黄島,日本・アメリカ,そして太平洋―』(弘文堂,2013 年).
  塚越俊志「伊豆諸島・小笠原諸島をめぐる国際情勢―太平洋航路をめぐるボーダー―」岩下哲典他著『東アジアのボーダーを考える―歴史・国境・認識―』
  (右文書院,2014 年).
41) 貝塚爽平,小池一之他編 『日本の地形4 関東・伊豆小笠原』 (東京大学出版会,2000 年),264 頁.
42)「地方自治法」第 1条の2.
43)『防衛白書』,前掲書,226-228頁.
44) 北村淳 『島嶼防衛―われわれはいかにして守るのか』 (明成社,2012 年),36 頁.
45) John Urry, Mobilities, Polity Press, 2007. pp.14-16. ジョン・アーリ著/ 吉原直樹・伊藤嘉高訳『モビリティーズ−移動の社会学』
  (作品社,2015 年),27-30 頁.