002型大連空母の戦力化を急ぐ中国海軍
漢和防務評論20180106(抄訳) 阿部信行(プロフィール)
 (訳者コメント)
 近年の中国海軍の水上艦艇の建造は大規模かつ急速で、その意図が疑念を生んでいます。 KDRは、中国が台湾を攻略するに際し、日米の介入を阻止するため、大海軍を建設しようとしていると述べています。
 また空母の艦載戦闘機については、中国がJ-15を放棄したことを匂わせる記事になっています。
 最近の米中露関係から見れば、ロシアが一転中国の艦載機開発を支援したことも考えられます。

                    002型大連空母は、2017年4月26日に進水し、艤装を開始した。

 5月18日には初めて煙突から煙を出し、補助エンジンの試験、電力供給、内部の溶接作業を開始した。
 5月22日には再び煙突から黒煙が出た。メインエンジンの試験と思われる。黒煙の濃度は空母”遼寧”と同じだったので、同じディーゼルエンジンを使用しているものと思われる。またボイラー、蒸気タービンの型式も同じであると推測される。燃料は重油であり、ロシアの空母クズネツオフと同じなので黒煙が出る。
 空母”遼寧”は、今年(2017)香港に入港した際、同様に黒煙を出し、葵芳付近の近海に滞留した。香港気象局は、現地の空気が汚染されたと述べた。
 7月24日、大連空母は塗装、線引きを開始した。このことは甲板の溶接作業が終了したことを意味する。
 8月2日、艦橋の作業用足場が全面撤去された。このことは溶接、塗装が終了したことを意味する。同日、防煙板の取り付けを開始した。
 9月20日、ロシアのFRIGATシリーズ3D対空捜索レーダーを模倣したレーダーの取り付けを完了した。しかしフェーズド・アレイ・レーダーは取り付けられていない。次の作業はその他のレーダーの取り付けで、武器はそのあとになる。不鮮明な写真だが、HQ-10型対空ミサイルの発射機はすでに取り付けられているようだ。このことはレーダーと武器系統が同時に取り付けられる可能性があることを意味する。

 ”遼寧”の艤装作業の進度から推測すると、大連造船所は約8乃至12ヶ月かけて002の艤装作業を完了し、2018年4月以降、海上試験を開始できる。海上試験の進度は相当速いと思われる。なぜなら002大連空母に搭載する多くの新型レーダー、武器系統、レーダー系統は、基本的に052D型ミサイル駆逐艦(DDG)と同じであり、003型上海空母のレーダー系統は055型ミサイル巡洋艦と同じである可能性が極めて高いからだ。002の武器系統に劇的な変化はなく、052Dのものである。少なくとも、052Dの試験の際に、技術者は電磁干渉、武器管制等々の技術的問題をすでに解決しているはずだ。
 動力系統は遼寧と同じである。このことは海上試験で重大な技術の壁に遭遇する可能性が少ないことを意味する。遼寧の海上試験は、2011年8月1日に開始され、10回の海上試験を経て、2012年9月25日に正式に海軍に引き渡された。海上試験に1年かかっている。

 このように分析すると、002空母は、控えめに計算しても、2019年4月までに海軍に渡されるはずだ。艦載機の訓練は、すでに陸上基地で行われている。したがって瀋陽航空機会社は、2019年以前に002空母用の24機のJ-15戦闘機を提供しなければならない。

 インドの国産空母VIKRANT号の建造進度と比較すると、艤装の進度を見ても、中国の空母建造速度がはるかに速いことが分かる。002の建造は、重大な技術的問題が発生しなければ、ほぼ予定表の通りに進捗すると推測される。
 インドのVIKRANT号の満載排水量は4万トン、2013年8月12日に進水、現在艤装中である。計画では2019年に海上試験が開始される。就役時期は計画では2020年乃至2023年である。
 インドの装備品製造の過程をよく調べると、大型軍事装備品の完成時期が延期されることが多い。

 真の疑問点は、J-15がバッチ生産されるのかどうか?である。2017年6月の衛星写真では、瀋陽航空機会社のエプロンにはJ-15が無く、J-16すらなかった。しかしすでに10個の新たな格納庫が建設されており、さらに古い大型格納庫が3個もあるので、J-15の生産機数を正確に把握するのは容易ではない。5月17日の衛星写真ではエプロンにJ-16が3機見られた。3月には4機出現した。2016年11月にはエプロンに16機のJ-16が出現した。
 このように見ると、KDRは、瀋陽航空機会社が2017年にJ-15のバッチ生産を開始したとは見ていない。なぜか?KDRは当然その理由を知っている。

 この記事の主題は、空母の建造速度の分析である。(これ以上J-15には触れない)中国の大型水上艦の建造速度を分析すると、驚異的な進度になる。
 2016年12月8日の衛星写真から、1艘の055型ミサイル巡洋艦が上海の江南造船所で分割建造が完了しているのが見受けられた。2艘目の055は分割の1個目だけが船台に載っていた。わずか2ヶ月後、2月9日、2艘目の055は全ての分割部分の結合を完了していた。
 同様に052Dの建造速度を見ると、2016年12月8日の衛星写真では、6艘の052Dが同時に艤装段階にあった。
 2017年2月9日には4艘が艤装の最終段階にあった。これは他の2艘が艤装を完了し、海上試験を開始したことを意味する。

 これは、平時の建造速度ではない!

 このように大規模かつ急激な海空軍の拡大は、この5年間続いている。現在生産中の空母、052D、少なくとも4艘の055がまもなく就役する。

 中国は、強大な海空軍力を盾に、台湾に対し直接経済封鎖、エネルギ封鎖、外交封鎖を仕掛けることによって、日米による台湾問題”最終解決案”への介入を阻止するであろう。その後、中国は台湾に交渉のテーブルに着かせ、習近平の提出した政治的条件を受け入れるように迫る。そして”祖国統一の大業”を達成する。最終的に中共二十大で、習近平は継続して地位に就く。これが習近平の”最終解決方案”の主要構想と骨子である。
 軍事進攻は、直接の選択肢ではないとしても、海空軍は封鎖の意図を必ず貫徹し、その保有する能力を展示しようとするであろう。このほか強大な威力を展示することによって、台湾軍に抵抗の意志を放棄するよう迫るであろう。これが中国が空母及び大型水上艦の建造を加速する理由である。

 2020年、中国海軍は2艘の空母、48機の艦載戦闘機、及び一種の秘密艦載戦闘機(KDRは今は公表しない)を保有する。そして052D、055と連携して台湾東岸の封鎖を行う。航続距離の長いJ-20、SU-35は空母を必要としない。055搭載の長距離巡航ミサイルは、1000KM離れた位置から台湾東岸の目標を攻撃することができる。
 一種の秘密艦載戦闘機は、すでに開発にかかっており、就役すれば、たとえJ-15を002に搭載できていなくとも002の制空能力に影響を与えることはない。秘密の艦載戦闘機は、空対空、空対艦、空対地作戦能力を充分備えている。

 003空母の建造については、5年を待たずに就役する可能性がある。たとえ2018年に建造を開始しても、工期は4乃至5年、艤装に1乃至2年、海上試験に1乃至2年、最速の推計では、6乃至9年で戦力を形成できる。これは、全く新しい設計の空母で、動力、レーダー、武器系統は全て新しい。たとえ後者が055と同じだとしても、055は未だ就役しておらず、運用経験もない。したがってさらに多くの時間が必要である。