2019年の北極圏地域の情勢に関する報道

年 月 日
出   典
標     題
要         旨
2019.11.26 Military Times NORTHCOM commander says US needs Arctic early warning system <1912-112608>
 米
NORTHCOM司令官兼NORAD司令官のオショネシー空軍大将が11月23日にHalifax国際安全保障フォーラムで、1957年に建設されたDEWラインのような早期警戒組織を北極圏に設けるべきと警鐘を鳴らした。
Distant Early Warning Line (Wikipedia)】
 5月に初の原子力砕氷艦を進水させたロシアは2035年までに13隻の砕氷艦を装備すると報じられているのに対し、米国で就役している大型砕氷艦Polar Star 1隻だけである。
 米国は極地で数千名規模の演習を行っているロシアに対して明らかに後れを取っており、米国は2018年秋にノルウェーに700名の海兵隊を配置したものの、2018年暮れにノルウェーだ行ったNATO最大規模のTrident Juncture演習では、アイスランド沖で揚陸艦Gunston Hallが損傷し海兵隊員数名が負傷している。
2019.11 Internationsl Defence Review Cold advance: New developments indicate increase in Russia's Arctic A2/AD capabilities <1912-110011>
= ロシアの極地用装備の強化に関する3頁の記事 =
 
2019.10.29 Newsweek
(Yahoo)
北極圏の資源開発に野心、ロシアが「武装」砕氷船を進水 <1911-102902>
 10月25日にサンクトペテルブルクの造船所で砕氷警備艦Ivan Papaninが進水した。 Ivan Papaninは全長約100m、排水量8,500tで、
MANPADKalibr CMを装備し、ヘリ甲板も備えている。
 ロシア海軍によれば、タグボートや警備艦、砕氷艦と調査船としての機能を兼ね備えている。
Newsweek
(Yahoo)
【註】
 ロシアでは2016年にProject 23550砕氷コルベット艦2隻を発注している。 この記事が言う砕氷警備艦はこれを指すものとみられる。
2019.09.28 Defense Update Bastion-P Test Reinforces Russian Control of Arctic Marine Route <1910-092801>
 ロシア国防省が、Onix陸上発射超音速
ASCMがチュクチ半島から200kmの北極海に位置した洋上標的を目標にした発射試験に成功したことを明らかにした。
Chukotka半島の位置 (Google Map)】
 Onixを発射したBastion-Pシステムは揚陸艦で輸送されており、インフラが整備されていないこの地域でも射程500~800kmのシステムはデロング諸島とベーリング海を結ぶ北極海航路の東半分を火制できることを実証した。
Arctic Test for the Bastion (YouTube)】
2019.09.25 Jane's Defence Weekly Moscow deploys S-400 to Arctic <1911-092506>
 ロシア北方艦隊司令部が9月16日、北極圏内にS-400 SAMの配備を完了したと発表した。 配備されたのはNovaya Zemlya諸島Yuzhny島で、従来S-300ファミリーのSAMを装備していた連隊がS-400に換装した。 また合わせてTor-M2DT
SHORAD 2個システムも展開した。
Yuzhny島の位置 (Google Map)】
 S-400の極寒地域への配備は初めてではなく、数年前からKola半島で運用されているが、北極圏内の島への配備は初めてである。
Kola半島の位置 (Google Map)】
2019.06.08 時事通信

(Yahoo)

中国を「北極近接国家」と認めず=米国防総省、戦略文書で警告 <1907-060804>
 米国防総省が8日までに、ロシアや中国が勢力拡張を図る北極圏に関する戦略文書を公表した。 その中で「中国は自らを北極近接国家と主張しているが米国は認めない」と明記して、北極圏におけるプレゼンスを強化する方針を示した。
 文書では、北極地域は北極圏に主権的領土を持つ8ヵ国によって構成されており、米国はそ以外の国による主張を認めないと強調して、中国は国際ルールや規範を損ねかねない方法で北極圏への関与を試みており、他の地域における搾取的な経済的行為が北極圏で繰り返される恐れもあると警告している。
2019.05.07 時事通信

(Yahoo)

中ロの北極圏進出を警戒=安保・外交両面で関与強化-米国務長官 <1906-050702>
 ポンペオ米国務長官がフィンランド北部ロバニエミで開かれた北極評議会の会合で6日に演説し、新航路や海底資源開発をめぐって北極圏が新たな競争の舞台になったとした上で、中国とロシアの攻撃的な行動を伴った北極圏進出に警鐘を鳴らした。
 米国は安全保障外交両面で北極圏への関与を強化して対抗する方針を表明した。
2019.05.01 Jane's Defence Weekly USCG says new Polar Security Cutter marks Arctic shipbuilding re-emergence <1906-050106>
 米沿岸警備隊と海軍が4月22日、極地用警備艦 (
PSC) を$745.9MでVT Hater社に発注したと発表した。
 契約には1隻のほかに2隻のオプションも含まれており、総額は$1.9Bにのぼると見られる。
2019.04.24 NHK 米沿岸警備隊が「北極圏戦略」 中ロの動向に警戒感 <1905-042401>
 米沿岸警備隊北極圏戦略を新たに発表し、その中で中国について北極圏に調査船を派遣したり、沿岸の港などのインフラを整備したりしているほか、原子力砕氷船の建造も発表するなど影響力を拡大していると指摘し、更に中国は南シナ海で国際法に異議を唱えて米国の自由な航行を妨げてきたのと同様に、北極海でも米国の行動を妨げる可能性があると強い警戒感を示した。
 そのうえで、中国、ロシアが北極圏での権益拡大に向けて莫大な投資をする一方、米国の予算は抑制的で差が生じていると指摘し、沿岸警備隊の強化の必要性を訴えている。
 沿岸警備隊は複数の大型砕氷艦の建造計画を進めているが、議会では予算がかさむことから見直しを求める声も出ていて課題となっている。
Arctic Strategic Outlook 2019
2019.02.24 Navy Times Coast Guard finally gets new polar icebreaker <1903-022404>
 米議会が沿岸監視隊が装備する砕氷艦の予算$655Mを承認した。 Fairbanks Daily News-Miner誌によると、同時に二番艦用資材購入の$20Mも承認された。
 更にアラスカに配備される6隻を含む警備艦の建造費$740Mと、警備艦の受け入れ施設建設費としてKodiakに$22M、Sewardに$31Mの合わせて$53Mも承認された。
2019.02.19 日経新聞 英、北極圏に対潜哨戒機 来年、ロシア活動監視 <1903-021902>
 ウィリアムソン英国防相が18日、ロシアの潜水艦の活動監視するためP-8を来年から北極圏を含む北大西洋の広範囲な海域で哨戒任務につかせると述べた。
 英国防省は、ロシアの潜水艦の活動は東西冷戦期のレベルに達しているとして北極圏や英近海での活動を警戒しており、英国は今春には北極圏での安全保障戦略を発表する。
2019.02.16 日経新聞 中ロの北極圏開発、米国務長官けん制 「米欧を不利に」 <1903-021604>
 ポンペオ米国務長官が訪問先のアイスランドで15日、北極圏について関係国が法の統治に基づいた平和な地域であるとの認識で一致すべきだと語り、敵国が北極圏を利用して米欧を戦略的に不利な立場に追いやろうとしていると指摘して資源開発計画や航路開拓を進める中国やロシアをけん制した。 中ロが北極圏を軍事拠点に利用するとの懸念もある。
 米国務省高官は、北極圏については中ロが米欧よりも数段先を行っていると危機感を示している。
2019.01.27 Stars & Stripes US, Canadian fighter planes scramble to escort Russian jets <1902-012703>
 ロシアのTu-160 2機が1月26日に北極圏で接近してきたため、
NORADが米空軍のF-22 2機とカナダ空軍のCF-18 2機緊急発進させた。