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3. 周辺国の軍事情勢勢

3・1 中 国

3・1・1 軍近代化に向けた体制構築

3・1・1・1 外向進攻型軍への転換

 台湾で5月に発足した台湾で唯一の国家級防衛シンクタンクである政府系の国防安全研究院が12月13日までに初の研究報告をまとめた。
 研究報告では中国軍が進める組織改革について、国土防衛型から外向進攻型への転換を意図していると指摘し、改革が完成すれば台湾海峡や東シナ海、南シナ海の周辺諸国にとって深刻な脅威になると警告している。 (1901-121301)
3・1・1・2 定員の削減

 中国の李首相が第13回全人代の冒頭3月5日の演説で、軍の兵力を200万名にまで削減したことを明らかにした。
 削減は主として非戦闘要員及び管理要員で行われた。 (1805-031409)
3・1・1・3 元軍人等の反発

 中国各地で元軍人らが待遇改善を求めるデモが拡大している。
 江蘇省鎮江市では6月19日に市政府周辺で始まったのデモが数千人規模に達し、22日から23日にかけて行われたとみられる治安当局による強制 排除でけが人が出たもようであるが、排除にあたったのが人民武装警察部隊か現地の警察部隊かは不明という。
 軍が介入の準備を進めているとの報道もある。 (1807-062604)

 中国で退役軍人によるデモが頻発していて、山東省平度市でのデモには吉林省など多くの地域から退役軍人らが参加した。 中越戦争に従軍した50代以上が中心となって生活手当などの引き上げといった待遇改善を求めている。
 海外メディアによると、黒竜江、吉林、遼寧、河南、浙江、四川、福建の各省などから10月4日から1,000人以上が集まって行進したのに対し、公安当局が催涙ガスなどを使って阻止に動き、退役軍人らはこん棒や消火器などで抵抗したが10月7日までにほぼ鎮圧されたという。
 デモの背景には貧富の差拡大という中国社会の深刻な問題があるだけに、習指導部のアキレスけんとなる可能性もある。 (1812-110504)

3・1・1・4 実質軍の存在

3・1・1・4・1 実質陸軍の武装警察

 中国の武装警察 (PAP) の写真で、中国第2の地上軍所属機械化歩兵大隊と見ることができる。 (1803-020807)
3・1・1・4・2 準海軍の海警局

 中国国営新華社通信が3月21日、中国共産党と国の大規模な機構改革案を発表した。 それによると尖閣諸島の沖合で日本の領海への侵入を繰り返している中国海警局の部隊は武装警察の傘下に置くとしている。
 武装警察は2018年から軍の指揮下に置かれていることから、海警局の部隊が海軍と連携するなどして尖閣諸島周辺での活動を活発化させる可能性がある。 (1804-032201)

 尖閣諸島の周辺海域で領海侵入を繰り返している中国海警局が7月1日から、中国軍を統括する中央軍事委員会の直轄組織である武装警察部隊(武警)の指揮下に入る。
 海警局はこれまで公安省や国家海洋局の傘下にあり、公船の乗組員は事実上の「公務員」だったが、組織改編後は軍人に準じる武装警察官に統 一される。 中国国防省報道官は6月29日の記者会見で、海警の基本任務の属性は変わらないと、海上法執行機関である「海警局」の看板は下ろさず、日本など周辺国を刺激する軍の色彩は極力抑制する方針とみられる。
 日本政府は、海警局と中国海軍の連携による活動活発化や、武装強化につながる恐れがあるとみて警戒している。 (1808-070102)

 Global Timesが6月24日、22日の全人代で中国海警局 (CCG: China Coast Guard) が7月1日にシビリアン組織を離れ軍の指揮下に入る決定をしたと報じた。
 CCGは中央軍事委員会 (CMC) の指揮下にある人民武装警察軍 (PAPF) の隷下に入ると3月に発表されていた。 (1808-070412)

3・1・1・4・3 海軍民兵

 米国防総省でアジア太平洋の安全保障を担当するシュライバー次官補が11月21日に産経新聞の単独会見に応じ、尖閣諸島周辺で活動を活発化させている中国海警局の公船や中国軍系民兵が乗り組んだ漁船について、中国の領有権を主張して日本を圧迫する目的で活動しているのであれば中国海軍の艦船と区別しないと述べ、厳然と対処していく姿勢を強調した。 (1812-112203)
3・1・1・5 空軍近代化計画

 中国空軍副司令官が空軍創設69周年記念日に、三段階からなる空軍近代化計画を明らかにした。
 第一段階は2020年に完了するという。 (1812-111307)
3・1・1・6 米軍に対抗できる軍事力の獲得

 米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会 (USCC)」が11月14日に公表した年次報告書で、中国軍が2035年までにインド太平洋地域の全域で米軍に対抗できるまでに能力を高める可能性があると警告した。
 中国軍の大規模な予算増により、米軍が長年維持してきた技術面での優位性も崩れるリスクがあると指摘した。 (1812-111402)

 米議会が設置した超党派の諮問機関「国家防衛戦略委員会」が11月14日、国防総省が2018年に発表した中長期の国防戦略に関する報告書を公表した。
 その中では、過去数十年間にわたって米国が維持してきた軍事的優位性は危険な水準にまで低下していると指摘し、中国やロシアと戦争になった場合には、勝利するのに苦労するか、敗北する可能性があると警告している。 (1812-111503)

3・1・2 世界の覇権を狙う国家方針

3・1・2・1 艦船の大量建造

 ロシアメディアのスプートニクが2月14日、米国際戦略研究所 (IISS) が最近発表した世界の国防予算報告書で、中国がここ4年で建造した軍艦の総排水量はフランスを上回っまわり、今世紀初め以降に建造してきた巡洋艦、駆逐艦、護衛艦、潜水艦の数は、日本、韓国、インドの合計を超えると報じた。 (1803-021602)

 米メディアのDigital Journalが5月1日、中国が過去4年間に世界の多くの伝統的な海上大国に匹敵する総㌧数の艦艇を建造したと報じた。
 記事は、20世紀の最後の10年と今世紀の最初の10年に中国海軍の造船所は従来のものに多くの改良を加えた大量の艦艇を建造したが、最近は少数のモデルを大量生産する傾向にあるとし、2012年以降にType 052D駆逐艦が13隻進水し、他の艦艇も同様だと伝えた。

  ┏━━━━━━┳━━━━━━┳━━━━━━┓
  ┃      ┃米太平洋艦隊┃ 中国海軍 ┃
  ┣━━━━━━╋━━━━━━╋━━━━━━┫
  ┃航空母艦  ┃    5  ┃    1  ┃
  ┃巡 洋 艦 ┃   11  ┃    0  ┃
  ┃駆 逐 艦 ┃   36  ┃   26  ┃
  ┃フリゲート艦┃   10  ┃   53  ┃
  ┃コルベット艦┃    0  ┃   30  ┃
  ┃潜水艦 (SSN)┃   27  ┃    7  ┃
  ┃潜水艦 (SSK)┃    0  ┃   53  ┃
  ┗━━━━━━┻━━━━━━┻━━━━━━┛
          (1806-041113)
 更に、2014年以降に中国に加わった潜水艦、戦闘艦、水陸両用艦、補助艦艇の総数は、独、印、西、英海軍が現在保有している艦艇の総数よりも多く、2014~2018年のトン数では日本と英国が若干多いとしている。 また2014年以降に建造された艦艇の中で最も多いの はType 056コルベットであり、現在保有する46隻のうち28隻が2014年以降に進水し、冷戦終結以降で比較可能などの艦艇 よりも速いスピードで建造されているとした。 (1806-051402)
3・1・2・2 太平洋の覇権獲得

3・1・2・2・1 海軍潜水艦の動向を監視

 香港のSouth China Morning Post紙が1月23日、中国がグアム近くに超強力なSONARを設置して米海軍潜水艦の動向を監視していると報じた。
 同紙によると、中国科学院が2016年から台風や地震などの発生や鯨の動向などを探知するために超強力SONARを、グアム島周辺の2ヵ所で設置している。
 設置された場所は、グアム島南西300kmのマリアナ海溝のチャレンジャー海淵と500kmの位置にあるミクロネシア連邦共和国のヤップ島周辺であるが、超強力SONARは1,000km以遠でも音を聞くことができる。
 同紙は、このSONARは表面上では科学的な目的を前面に出しているが、実際にはグアム米軍基地にある潜水艦の動向を監視するためのものだと軍事専門家たちを引用して分析している。 (1802-012303)
3・1・2・2・2 西太平洋での大規模演習

 中国空軍報道官が3月25日、未来の戦争の予行演習で最も直接的な軍事闘争への準備だと称して、H-6KやSu-30などの空軍機が宮古海峡を通過して西太平洋で演習を実施し、同時にH-6KやSu-35などが南シナ海でCAPを実施したとの声明を発表した。 時期は明らかにしていないが、防衛省は23日に中国軍の爆撃機など8機が宮古海峡を通過したことを確認していた。
 中国国防省は23日、海軍も近く南シナ海で実戦演習を行うと発表しており、空母遼寧も参加する可能性がある。 (1804-032502)
3・1・2・2・3 空母遼寧 艦隊の西太平洋への進出

 防衛省が4月21日、中国の空母遼寧が宮古海峡を通過したと発表した。 同日07:00ごろに遼寧など7隻が太平洋から宮古島の東120kmの海域を通過し、東シナ海に向けて北西に進んだ。
 同省は20日 に太平洋上で遼寧から戦闘機とみられる航空機が離着艦したことを確認していた。
 遼寧が宮古島海峡を通過したのは2016年12月以来2回目で、当時は南下して太平洋に進出したため、太平洋を北上して海峡を通過したのは初めてである。
 中国は12日に南シナ海で遼寧を含む艦艇48隻が参加した大規模な観艦式を実施し、その後遼寧は太平洋上での訓練を行ったのち北上し、宮古海峡を通って中国本土に向かったとみられる。 (1805-042201>)

 中国が4月22日、空母遼寧が20~21日に西太平洋で初めての戦闘演習を行ったと発表した。
 戦闘艦6隻を従えた艦隊はバシー海峡を抜けて太平洋に入り、J-15や搭載ヘリと演習を行った。
 それに先立つ4月12日に遼寧は南シナ海で、艦船47隻と共に観艦式に臨んでいた。 (1806-050216)

3・1・2・2・4 爆撃機の西太平洋への進出

 米国防総省が8月16日に公表した中国の軍事安全保障の動向に関する年次報告書で、中国空軍が過去3年間で沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ「第一列島線」を越え、戦略爆撃機H-6Kを西太平洋にまで飛行させていると分析し、米国や日本などへの攻撃を想定した訓練の一環として、爆撃機の飛行範囲を拡大している可能性が高いと指摘している。 (1809-081705)
3・1・2・3 海外拠点の拡充

3・1・2・3・1 パキスタンに第2の海外基地を建設

 香港のSouth China Morning Post紙が1月5日、中国海軍がパキスタンのGwadarに第2の海外基地の建設を検討していると報じた。 (1802-010903)

 香港のSouth China Morning Post紙が1月5日、中国海軍がジブチに続く第二の補給基地をパキスタンのグワダル近くに建設することを検討していると報じた。 それによるとグワダル港は商業港であるため、軍港は近くの別の場所に建設されるという。
 これより先の1月1日に米陸軍退役大佐がThe Daily Callerウェブサイトで、中国とパキスタンの軍人が12月下旬に、グアダルの西方にあるジワニ半島に軍事施設を建設することで協議した述べた。
 これらの報道についてパキスタン外務省は否定している。 (1803-011701)

3・1・2・3・2 ジブチ基地

 中国がジブチに開設した軍事基地で埠頭の建設を急いでおり、衛星写真から工事を開始したことが判明した。 建設は4月30日以降に開始された模様で、5月30日の画像では沖合に向け300m以上が伸びていることが判明した。
 中国海軍のType 901は全長が240mで喫水が11mと見られている。 (1807-053007)
【註】 Type 901は一番艦のHulun Huが2017年9月に就役した全長240m、全幅31m、満載時排水量45,000tの補給艦で、中国海軍最大の艦船である。
 5箇所の燃料補給点と2箇所の貨物補給点を持つ。
3・1・2・3・3 地中海での拠点模索

イスラエルのハイファ租借

 イスラエルのJersalem Post紙によると、米国がイスラエルに対し、中国が2021年からハイファ港の民用港の租借を開始すれば、ハイファ港における米国海軍の長期行動を変更する可能性があると通告したため、イスラエルがこの取り決めについて再検討しているという。
 ハイファはイスラエル最大の港湾都市で、定期的に米国とイスラエルの合同軍事演習を行っており、米海軍の艦船が頻繁に停泊する港である。
 イスラエル交通部と中国上海国際港務集団(STPG)は、2015年にハイファ港の一部を上海国際港務集団が25年間租借することで合意に達し、2021年から使用を開始する計画で、STPGは新たな埠頭建設しイスラエル最大の港とする計画に$2Bを投入することを約束しているという。 (1901-121702)

3・1・2・3・4 南太平洋での拠点模索

サモア

 Australian紙が11月27日、中国がサモアで港湾の拡張など再開発の資金融資に向けて交渉していると報じたことから、海洋進出を強める中国が太平洋の戦略上の拠点として軍事利用する可能性があるとの懸念が浮上しているという。
 報道によると、港はサバイ島の北部にあるアサウ港で、1960年代に木材輸出のために開設されたが計画的な浚渫が行われず、現在では釣り船などによる限定的な利用にとどまっている。 (1812-112707)

3・1・2・4 海軍の活動活発化、活動範囲の拡充

3・1・2・4・1 艦隊の海外寄航

地中海以西への寄航

 中国海軍第27次護衛艦隊が5日間のモロッコ友好訪問のため、1月24日午前にカサブランカ港に入港した。
 艦隊の海口岳陽青海湖は午前9時頃、カサブランカ港にゆっくりと入港した。 (1802-012602)

3・1・2・4・2 輸送/揚陸能力の拡大

RORO船による渡洋侵攻

 中国SinoTrans社のRORO船Zhang DaLong 20,000tが、Type 99A MBTを含む完全編成の陸軍大隊戦闘団2個を海上輸送できることを実証した。
 このことから中国にもSTUFT計画が存在することは疑念の余地がない。 (1803-021208)

3・1・2・4・3 着上陸部隊の増強

 3月24日に中国のウェブ上で、海兵隊がPLL-09 SPGを装備したと見られる画像が掲載された。 PLL-09は今まで地上軍の軽機械化部隊が装備していた。
 PLL-09はZBL-09 8×8 IFVにType 96 122mm砲を搭載したもので、砲の射程は標準弾で18km、ベースブリード弾で22kmである。
 South China Morning Post紙はかつて、中国軍が現在20,000名である海兵隊を100,000名までに増強すると報じている。 (1806-040413)

 米国防総省が8月16日に公表した中国の軍事安全保障の動向に関する年次報告書によると、中国海軍は敵前上陸などを担う陸戦隊(海兵隊)について、現在の2個旅団10,000名規模を2020年までに7個旅団30,000名規模超まで拡大させる計画である。 陸戦隊には新たに「遠征作戦」などの任務も付与されるとしており、台湾の軍事的統一や尖閣諸島の占拠などを 視野に兵力を増大させている可能性がある。
 また中国海軍は潜水艦の保有数を現在の56隻から2020年までに69~78隻に増強させるほか、初のカタパルト装備の空母を今年中に建造を開始する見通しであるとしている。 (1809-081706)

3・1・2・4・4 情報収集艦の急速増強

 中国海軍の東調級 (Type 815/815A) 情報収集艦 (AGI) の9番艦 が2月3日に上海の造船所で進水した。
 中国はこの種艦の建造を急いでおり、一番艦であるType 815が1999年頃就役したのち、二番艦であるType 815Aが2010年に就役したのに続き残りの7隻はその後4年以内に進水している。 (1804-021407)
3・1・2・4・5 北極海への進出準備

 中国の艦船専門誌が、中国海軍が北極で運用できる潜水艦を検討しておりハルピン工科大学がその研究を行っていると報じた。
 これとは別に中国メディアは国立China National Nuclear Corporationが原子力砕氷艦建造を予算化し、6月21日に各社に提案要求を行った。 メディアによると砕氷艦は30,000t級で2016年に進水したロシアのLK-60Ya級砕氷艦Arktikaと同じサイズと言う。
 香港のSouth China Morning Post紙によると原子力推進装置の開発にはロシアの協力があると見られると報じた。 (1809-071103)
3・1・2・5 空軍の役割拡大

3・1・2・5・1 空軍による積極攻勢論の台頭

 最近の中国の報道では、「H-6Kの南シナ海進出はマラッカ海峡制圧を見据えたもの」や「J-20は防衛用でなく侵攻用」など空軍による積極攻勢論が多くなっている。
 中国メディアの海外網は6月1日、南シナ海の島で離発着訓練を行ったことにより、H-6Kによりマラッカ海峡を制圧する道が開けたと紹介する記事を発表した。 (1807-060202)
3・1・2・5・2 空軍を戦略部隊に発展

 中国空軍の副司令官が空軍創設69周年記念日に、現在主として国防を任務とする空軍を三段階で戦略部隊に発展させると述べた。
(1901-112105)
第一段階 2020年まで: J-10、JH-7、Su-27ファミリなど現有第三世代(中国は第四世代機のこと第三世代と呼ぶ)を主軸にJ-20やY-20などの第四世代機を加えた宇宙航空軍へ。

第二段階 2020年~2035年:  第一段階を戦略空軍に強化発展させる。

第三段階 21世紀中頃まで: 完全な世界規模の空軍に。

3・1・2・6 高利貸し外交による海外利権の獲得

3・1・2・6・1 小切手外交

米太平洋軍が中国の小切手帳外交に警鐘

 米太平洋軍隷下で対薬物を担当している 'Joint Interagency Task Force West' のJ3部長のJakson海軍大佐がNavy Leagueで4月9日、太平洋の何処に行っても中国が進出していると、中国の小切手帳外交に警鐘を鳴らした。 (1806-041808)

一帯一路沿線国向け投資の拡大

 中国商務省が公表した2017年の対外直接投資統計公報によると、金融を含む中国の対外投資は2016年比で19%減の$158.2Bとなり、統計開始以来初めて減少したが、一帯一路沿線64ヵ国向けの直接投資が、2017年に前年比32%増の$20.1Bと過去最高になった。 このうち米シンクタンクが過剰な借り入れを指摘したパキスタンやラオスなど8ヵ国向けは前年比43%増の$2.2Bに急増、投資残高も$20Bに迫った。 小国に貸し込んで借金漬けにする債務のワナとの批判が強まる可能性がある。
 国別ではシンガポール ($6.3B)、カザフスタン ($2B)、マレーシア ($1.7B)、インドネシア ($1.6B)などが上位に並び、政府は一帯一路向け投資を後押しし、急減した米国向けを補った格好になっている。 (1811-100305)

3・1・2・6・2 インド周辺諸国

パキスタン

 パキスタンの外貨準備不足が中国パキスタン経済回廊 (CPEC) のインフラ事業に影響を与える可能性があるとの西側の報道について、中国外交部報道官が11日の定例記者会見で事実と著しく異なると否定した。 (1808-071205)

ネパール

 聯合ニュースが10月31日に、中国が最近ネパールとの間で今後5年間で1億5,000万元(24億円)の軍事支援を行う覚書に署名したと報じた。
 ネパールはインドの従来からの友好国であり、貿易やエネルギーなどの分野でインドに対する依存度が高かったがネパールとインドの関係に変化が生じ、ネパール政府はポカラ空港、キドン鉄道建設計画を中国と共同で推進しているほか、『一帯一路』構想にもさらに積極的に参加するなど、多くの親中政策に乗り換えるようになった。
 一方で、ネパールと中国の接近を警戒するインドは、モディ首相が5月に首相就任後3度目となるネパール訪問を行い、両国関係の強化に向けて力を注いでいる。 (1812-110201)

3・1・2・6・3 東南アジア諸国

カンボジア

 中国人民解放軍とカンボジア軍が3月17日からカンボジア南部のコンポンスプー州で、双方合わせて500名の兵士が参加する合同演習を始めた。
 両国の合同演習は2016年に続いて今回が2回目で、カンボジアの国営メディアによると、2016年の訓練は災害救助などが中心であったのに対し今回はテロ対策に重点を置き、人質の救出や化学兵器への対応、また戦車を使った戦闘の演習などが予定されているという。
 カンボジアにとって中国は2010年以降、日本に代わって最大の支援国となり、国内の各地で中国資本による大規模開発が相次いでいて、こうした経済支援を通して、すでに親密な関係の両国は軍事面でも協力強化が進み、カンボジアにおける中国の影響力がさらに強まるものと見られる。 (1804-031803)

3・1・2・6・4 南太平洋諸国

中国への債務帳消しを要求を断念

 トンガのポヒバ首相が8月17日、トンガなど太平洋の島嶼国が共同で中国に債務の帳消しを求めることを断念した。 関係筋によると、この計画をめぐり中国がトンガに抗議したという。
 トンガは巨額の対中債務を抱える南太平洋の8島嶼国の1国で、中国に債務の帳消しを要請する計画について域内の支持固めに動いていて、ポヒバ首相は16日にロイタに対し、9月初めにナウルで開催される太平洋諸島フォーラム (PIF) 首脳会議で計画を詰める見通しを示していた。 (1809-081704)

バヌアツ

 オーストラリアのSydney Morning Herald紙が4月10日、中国が南太平洋の島国バヌアツに軍事拠点を構築する計画をめぐり、両国が暫定的な協議を開始したと報じた。
 報道によると、当初は中国海軍の艦船が定期的に寄港して燃料などを補給する拠点とし、その後、軍事的な役割を強化する。
 軍事基地が建設されれば、中国にとってジブチに次ぐ、二つ目の海外基地になる。 正式な提案はバヌアツ側に示されていないが、両国は暫定的な協議を行った。
 バヌアツには中国から多額のインフラ開発資金が流入しており、中国のこうした動きについて、豪州は米国やニュージーランドとともに懸念を持ちながら注視しているという。 (1805-041001)

 オーストラリアのFairFax Mediaが匿名筋の話として4月10日、中国が南太平洋のバヌアツに恒久的な軍事拠点を構築する意向を示し予備協議を開始したと報じたことに対し、バヌアツのレゲンバヌ外相は豪放送協会 (ABC) に対し10日に、「バヌアツ政府では誰も、中国の軍事拠点をわが国に置くことについて話したことはない」と否定した。 (1805-041002)

3・1・2・6・5 中央アジア諸国

 トルクメニスタンが国家収入の大半を占める天然ガスの輸出で中国依存を深める一方、中国への借金が膨らんで資金繰りが悪化し経済危機に陥っていて、「一帯一路」の要衝と位置づけられる中央アジアでも中国頼みの「ワナ」が浮き彫りになってきた。
 国家収入の7割を天然ガス輸出に頼るトルクメニスタンは2009年にウズベキスタンとカザフスタンを経由して中国と結ぶパイプラインを開通させ、合わせてガス田開発やインフラ建設の資金を中国からの借金に頼り中国依存を強めた。
 タジキスタンは4月に発電事業への$300Mの融資の見返りに中国企業に金鉱山の開発権を譲り渡した。
 キルギスでは首都ビシケクの発電所事業を巡る政府と中国国有銀行の融資契約の中で、「中国側は債務不履行の場合、あらゆる資産を要求できる」とする条項が含まれていると報じられており、鉄道建設の交渉でも中国側は融資の見返りに資源権益を求めていると見られている。 (1809-081302)
3・1・2・6・6 中南米諸国

 中国がエルサルバドルのラ・ウニオン港を軍事基地化する可能性がある。 駐エルサルバドル米国大使が7月初め、中国が単にラ・ウニオン港に投資する目的ではなく、軍事的に何か狙いがあって中米地域の影響力拡張を望むという点で懸念されると述べた。
 それから1ヵ月後の8月21日、中国は台湾の国交を樹立していたエルサルバドルと国交を正常化すると発表し、エルサルバドルは直ちに台湾と断交した。 (1809-082306)
3・1・2・6・7 旧ソ連の親欧諸国

 中国ウクライナなど旧ソ連の親欧諸国を欧州と結ぶ「一帯一路」の拠点と位置づけて攻勢をかけている。 2017年末には中国・ウクライナ政府間委員会を4年ぶりに再開し、同国に対してキエフの交通インフラ整備や高速道路、穀物輸出基地の建設など$700M規模の共同事業を展開する方針を示した。
 また中国はウクライナが強みを持つ軍事技術にも目を付けていて、中国企業が輸送機やヘリのエンジンを製造するモトール・シーチ社の株式41%を取得し、後にウクライナの裁判所が差し止め命令を出したこともあった。
 2017年には中国によるとみられる軍事機密に絡むスパイ事件も発覚している。 (1809-081303)
3・1・2・6・8 高利貸し外交破綻の兆し

国内からも批判

 米国メディアの多維新聞が香港のSouth China Morning Postの記事を引用して11月25日、「一帯一路が他国を債務危機に、「中国の学者が『中国・パキスタン経済回廊 (CPEC)』を猛批判」と題する記事を掲載した。
 CPECを批判したのは国際政治学が専門の蘭州大学教授で、同教授は「中国とパキスタンの『一帯一路』プロジェクトは宣伝が大げさで、副作用が隠されている」と指摘している。
 記事は、中国はアジア、欧州、アフリカなどの国々に一帯一路への参加を呼び掛け、対象国に大規模投資、経済協力などを約束しているが、大規模投資は関連国に負債の山をもたらしており、パキスタンの負債は同国のGDPの70%に上りその半分が中国からの借金だとしている。 (1812-112601)

経済支援の手法を見直し

 中国の一帯一路構想沿線各国で相次ぎ親中政権の敗北したのは中国による支援の債務問題に懸念が高まったのが原因で、習主席は経済支援の手法を見直すよう指示した。 (1811-100701)

スリランカ

 スリランカでは2015年に親中派大統領が敗北し、新政権は中国の融資で建設した大規模港湾開発凍結を要請した結果、債務免除と引き換えに港湾を中国企業に99年間貸し出すことになったことから、「債務のワナ」だとして中国への警戒が高まる端緒となった。 (1811-100701)

マレーシア

 マレーシア政府が7月5日、中国主導で着工済みの長距離鉄道建設を中止すると発表した。 総経費が2兆2,000億円超に達する見込みとなり、巨額借り入れで財政が悪化するのを避けるため計画を見直す。
 ナジブ前首相が中国と共同で進めた他の事業にも影響は波及しそうである。 (1808-070504)

 マレーシアでは5月の総選挙で、中国との経済協力を進めてきたナジブ首相が敗北し、マハティール新首相は中国企業が手掛ける鉄道建設などについて中止を通告し、8月に訪中した際には李首相に「新たな植民地主義は望まない」とクギを刺した。 (1811-100701)

ミャンマー

 ミャンマーの計画財務相がじ、中国がミャンマーのチャオピュー経済特区で進める港湾開発事業の規模縮小を求める考えを明らかにした。
 チャオピューはインド洋沿岸の港町で、中国内陸の雲 南省につながるパイプラインの起点に位置しており、2015年に中国国有大手の中国中信集団 (CITIC) を中心とする企業連合が経済特区の開発権を獲得した。 この事業は一帯一路の中核事業の一つで、投資の原資を中国からの多額の借金で賄うことに懸念を示した。 (1808-070408)

 中国が巨大経済圏構想「一帯一路」の一環としてミャンマーで主導する港湾の開発計画について、ミャンマー政府は中国からの多額の債務を返せなくなるおそれがあるとして、事業規模を当初の1/5に縮小することで中国側と合意し合意文書が交わされた。
 「一帯一路」をめぐっては、スリランカの港で債務の返済のめどが立たず、運営権を中国に譲渡する事態になったことからアジア各国で懸念が広がり、パキスタンやマレーシアでも見直しの動きが出ている。 (1812-110901)

パキスタン

 パキスタンが10月3日までに、中国が推進する一帯一路構想による南部カラチと北西部ペシャワルを結ぶ鉄道の改修事業について、中国からの融資を$2B削減することを決定した。 外交筋によると、パキスタンでCPEC関連の事業が見直されるのは初めてである。
 鉄道の改修事業は一帯一路の一部である中国パキスタン経済回廊 (CPEC) に基づいて、事業費$8.2Bは中国の融資でまかなう予定だったが、ラシッド鉄道相が1日に総額を$6.2Bに減額したことを発表した。 事業の遂行は問題ないとした上で、さらに$2Bの圧縮を検討していることを明らかにした。
 債務負担を軽減するための措置で、8月発足のカーン新政権による財政再建策の一環であるが、一帯一路への不満が各地で表面化する中、歴史的に中国と親密なパキスタンで見直し作業が始まったことは影響を広げそうだ。 (1811-100304)

モルディブ

 モルディブではヤミーン大統領が中国依存を深めて巨額債務を負ったうえ、不透明な建設資金が汚職の源になっているとの批判が出て大統領選で敗北した。 勝利したソリ氏の盟友であるナシード元大統領は選挙後、中国との契約事業は全て見直すと表明した。 (1811-100701)

3・1・2・7 周辺国の取り込み

3・1・2・7・1 対露友好政策

 9月中旬に開始されるロシア軍が300,000名を投入する過去30年間で最大規模の演習 "Vostok 2018" は、中国軍とモンゴル軍も参加してロシア中央部と東部で行われ、蒙中国境から150kmのTsugol演習場で行われる最も熾烈な場面では、中国軍と蒙古軍がロシア軍の一翼となった作戦を展開する。 (1810-090607)

 ロシアの大規模演習 "Vostok (East) 2018" に中国軍第115混成旅団から2個大隊と2個装輪SPH中隊の合わせて3,200名が参加している。
 第115混成旅団は改編前に瀋陽軍区第115機械化歩兵旅団と呼ばれていた部隊で、Stryker型装輪装甲車を装備している。 (1810-091207)  最近のロシアと中国の軍事協力関係の緊密化を専門家が警告しているが、マティス米国防長官は9月11日に中露共同演習について、軍事的要求というより政治主導と見ていると語った。
 ただ長期的には両国の同盟関係を構築する役に立つと見ているとも述べた。 (1811-091904)

3・1・2・7・2 ASEAN 諸国

 中国国防省が10月14日、タイ、マレーシアとの合同軍事演習を20~29日にマレーシア近海で行うと発表した。 演習はマレーシア西岸の複数地点で行われ、中国からは将兵692名、駆逐艦、護衛艦、艦載ヘリ2機などが参加する。 訓練海域はフィリピンやベトナムとの係争海域ではない。
 中国は演習の狙いを南シナ海の平和と安定を守り、脅威に対応する能力を高めるとして、いかなる国も対象にしていないとしているが同時期にASEAN加盟国との初の合同演習も予定しており、南シナ海で「航行の自由作戦」を展開する米国を意識した動きとみられ、緊張が高まっている。 (1811-101602)

 中国とASEAN各国海軍などによる初の共同海洋演習が10月22日に中国広東省湛江の海軍基地周辺で始まった。 中国は軍事協力を通じてASEANの取り込みを進め、一部加盟国との領有権争いを抱える南シナ海で米国の影響力を排除したい考えだが、中国側は当初「合同軍事演習」を提案したのに対して一部加盟国の反対で海洋演習に変更し、南シナ海での演習実施も断念したとされる。
 中国国防省などによると、演習には各国の艦艇8隻と将兵1,200名が参加し、海難事故を想定した救助訓練など28日までを行う。
 中国海軍はマレーシア沖のマラッカ海峡で20日から、同国やタイ海軍との合同軍事演習も実施している。 (1811-102206)

 カンボジアのフン・セン首相が11月19日の閣議で、南西部で中国が海軍基地の建設を目指しているという報道について、受け入れない考えを示した。
 ニュースサイトAsia Timesが15日に複数の外交筋の話として、中国が昨年からカンボジアに対し、海軍基地にも使用できる港湾の開設を働き掛けていると報じたが、事実なら中国による南シナ海の軍事拠点化を非難する米国を刺激することになる。 (1812-111904)

3・1・2・8 米国が構築した同盟体制の打ち壊し

 ダンフォード米統参議長が10月26日、ロシアと中国が米国が世界に構築した同盟体制の打ち壊しを図っていると述べた。  ロシアはNATOの弱体化を、中国は米国と太平洋地域同盟国との引き離しを図っているという。 (1901-110702)

3・1・3 台湾制圧に向けた準備

3・1・3・1 艦船、航空機の接近

3・1・3・1・1 台湾周辺の飛行

 台湾国防部が4月26日、複数の人民解放軍機が同日に沖縄本島と宮古島の間の公海から西太平洋に抜け、バシー海峡を経由して基地に戻る飛行を実施したと発表した。
 同部によると、飛行したのはH-6やY-8電子戦機、Tu-154情報収集機などで、中国軍機による台湾周辺の飛行は今月中旬以来4回目になる。 (1805-042604)

 中国空軍報道官が5月11日、Su-35が初めて台湾周辺飛行したと発表した。 発表によると東部戦区と南部戦区所属のSu-35とH-6KやAEW&C機がバシー海峡や沖縄本島と宮古島間を飛行した。 発表文では「空軍の 体系的な作戦能力を高めた」と強調した。
 防衛省統合幕僚監部も11日、中国軍の戦闘機2機と爆撃機4機などが沖縄~宮古間を飛行したと公表した。 航空自衛隊機が緊急発進したが領空侵犯はなかった。
 独立志向の強い台湾の蔡政権を威嚇する意図があるとみられ、中国軍は台湾周辺での活動を活発に行っている。 (1806-051103)

 中共軍のH-6 2機が5月25日04:00ごろ、バシー海峡から宮古海峡へ抜ける遠洋飛行訓練を行った。 台湾国防部空軍司令部は同日、F-16発進させて全過程を監視したと発表した。
 国防部が2017年末に公表した国防報告書によると、中共軍による同様の飛行訓練の回数は2016年8月から2017年12月中旬までで23回にのぼり、4月18日に台湾海峡の中国大陸側で実弾射撃演習が行われたのを機に再び活発化し、4月18日~今月25日までに今回を含め計7回が確認されている。 (1806-052507)

 台湾国防部が12月18日、中国軍のH-6やSu-30など多数機がバシー海峡を通過して西太平洋に進出し、同じ航路で各基地に戻ったと発表した。 中国軍の艦艇2隻も台湾南東沖の西太平洋を航行しており、海空合同の遠洋訓練だと分析している。
 中国軍は、11月24日投開票の統一地方選で与党、民主進歩党に有利に働くのを避けるため、6月20日以降は台湾周辺での活動を控えていたが、地方選が終わり活動を再開したようである。 (1901-121806)

3・1・3・1・2 艦船による示威

 台湾の国防部が1月5日夜、中国の空母遼寧の艦隊が台湾海峡の中間線の西側を南西に向けて航行した。 南シナ海に向かうとみられる。
 台湾メディアによると、遼寧は駆逐艦や補給艦など4隻以上を随伴しており、潜水艦も同行している可能性があるという。 (1802-010506)

 中国海軍が6月25日、中国艦が6月17日から台湾近海で実戦演習を続けていると発表した。 演習に参加しているのはType 052C駆逐艦の済南とType 054Aフリゲート艦黄岡の2隻で、バシー海峡、台湾海峡 を通過して、その他の水上艦、航空機、沿岸防衛部隊などと訓練を行った。 (1807-062706)

 空母遼寧群は4月12日に行われた観艦式後に台湾東部と西太平洋で演習を行った。
 演習では遼寧に Type 052D駆逐艦1隻、Type 052C駆逐艦3隻、Type 054Aフリゲート艦2隻が随伴し、この様子は海上自衛隊が監視した。 (1808-061301)

 一部の台湾メディアが、中国軍が台湾海峡中間線の西側での航行を2018年に入ってから定例化させているとで報じた。
 これについて中国時報が軍幹部の話として12月3日、国防部が3日に台湾周辺の海や空の状況を厳密に把握しているとした上で、現時点で台湾海峡に異常はないと報道資料で説明した。 (1901-120303)

3・1・3・1・3 航空基地の強化

 商用衛星の画像から、台湾に面した海岸に近い寧徳 (Xiapu、福建省) 航空基地に建設された重掩体の数が24基から48基に倍増していることが分かった。 (1807-052304)

 湖南省の永州零陵空港を5月19日に撮影した衛星の画像にKJ-500 AEW&C機とY-8輸送機1機が写っており、永州零陵空港が軍用飛行場に拡張されている模様である。 この空港では2017 年8月にもKJ-500 1機が駐機していた。
 空港には掩体や迷彩されたレドームなど各種構築物も建設されている。 (1808-061313)

3・1・3・2 台湾に向けたミサイルの配備

 特記すべき記事なし。
3・1・3・3 米国の対応

米艦船の台湾海峡通過

 米高官が、米国が台湾海峡への艦船派遣を検討している明らかにした。 この米高官によると、米国は今年に入り空母の派遣を検討したが実施しなかった。
 前回米空母が台湾海峡を通過したのは2007年であるが、頻繁ではないものの定期的に艦船を台湾海峡に派遣することも選択肢のひとつとなっており、前回実施されたのは2017年7月で、空母の派遣ほどは中国を刺激しない行為とみられている。 (1807-060502)

3・1・4 日米に対する挑発

3・1・4・1 対日挑発

3・1・4・1・1 日本海などへの進出

1月29日:航空機
 統合幕僚監部が1月29日、中国軍のY-9 ELINT 1機が同日午前から午後にかけ、東シナ海から対馬海峡を通過して日本海までの往復飛行したと発表した。 航空自衛隊が緊急発進が領空侵犯はなかった。
 中国軍機がこのコースで日本海に進出したのは、爆撃機や戦闘機など計5機の飛行が確認された2017年12月18日以来となる。 (1802-013001)

 防衛省によると、航空自衛隊の戦闘機が平成29年度に行った緊急発進は904回で、過去最高となった28年度に比べ264回、率にして23%減った。 国や地域別で最も多かったのは中国機に対するもので、500回と全体の55%を占め、次いでロシア機が390回、全体の43%であった。
 中国機は過去最高だった28年度に比べると351回、41%減ったが、昨年8月に爆撃機6機が紀伊半島の沖合まで飛行したのが初めて確認されたほか、12月には戦闘機が初めて対馬海峡の上空を通過しており、防衛省は中国機の活動範囲はこれまでより 広がっているとして警戒と監視を続けている。 (1805-041402)

1月29日:艦 船

 中国軍のフリゲート艦と情報収集機が1月29日に九州の対馬海峡を相次いで通過した。 領海領空の侵犯はなかった。
 中国海軍のフリゲート艦1隻が29日に対馬海峡を北上し、一時的に日 本海に入ったのち、対馬海峡を南下し東シナ海に向け航行したため、海上自衛隊のP-3Cと護衛艦が監視した。 (1802-013002)

3・1・4・1・2 日本周辺海軍の強化

北海艦隊に新造フリゲート艦を配属

 中国海軍が1月12日、排水量3,500tのType 054A新型フリゲート艦の26番艦を就役させ、北海艦隊に配属した。
 また1月15日にはType 056/056Aコルベット艦も北海艦隊に配属された。 (1803-012406)
【註】 中国海軍は最近、従来少数の旧型艦で編成していた北海艦隊の強化を進めており、2017年1月にはType 052D駆逐艦も配属している。

東海艦隊に大型揚陸艦を配属

 中国海軍の20,000t LPDであるType 071の6番艦が1月20日に進水した。 2016年に就役した4番艦は東海艦隊に配属されている。
 Type 071が4隻ずつ搭載するType 726/726A LCACは既に6隻が就役しているが、1月10日に更に4隻が就役した。 (1803-013108)

3・1・4・1・3 水産庁取締船への公務執行妨害事件と中国の対応

 水産庁によると、11月5日に鹿児島西方沖の日本のEEZ内で違法操業の疑いのある中国船1隻を見つけ、立ち入り検査を行ったところ、職員十数人を乗せたまま逃走した。 中国船は、海上保安庁巡視船の停止命令も無視し、航行を続けたが、その後、水産庁の取締船に職員を戻したという。
 これに対し中国外務省の報道官は27日午後に、漁船が日本のEEZで漁をしていた事実を真っ向から否定したうえで、水産庁の職員が乗船して検査したことに対し、強烈な不満を表明すると反発し、日本に対し日中漁業協定を順守するよう求めると述べた。 (1901-122803)

 鹿児島県沖の日本の排他的経済水域 (EEZ) 内で11月に水産庁の取締船白萩丸から立ち入り検査を受けていた中国漁船が検査官12名を乗せたまま半日以上逃走した事件で、政府関係者や水産庁によると、中国漁船は11月5日10:00頃、立ち入り検査を始めた直後に逃走したため、取締船が追跡して停船を求め続け漁船に乗り込んだ検査官は立ち入り検査を続行した。
 応援要請を受け、同日夜に合流した巡視船も追跡していたところ、数十隻の中国漁船団が接近してきため、立ち入り検査中の検査官の安全確保を優先して漁船に検査の中断を伝え、接舷に応じた漁船から12名を収容した。 (1901-122801)

3・1・4・2 対米挑発

3・1・4・2・1 グアム攻撃能力の誇示

 新華社通信によると中国空軍のH-6とSu-35が福建省東方130kmの島(台湾)を一周する飛行を行った。 この際H-6KはAKD20 ALCMを装備していた。
 AKD20はターボファンエンジンを搭載したAKD10の性能向上型で、射程1,500~2,000km、CEP=10m の性能を持つ。 AKD20を装備したH-6とSu-35は、福建省東方3,149kmの島(グアム島)を狙った訓練であった。  専門家によるとH-6Kの行動半径は3,500kmで、射程1,500kmのCMを装備すれば5,000kmを攻撃可能という。 因みにSu-35 の航続距離は4,500kmである。 (1806-051304)
3・1・4・2・2 その他の対米挑発

米軍機にレーザ照射

 米連邦航空局 (FAA) がウェブサイトに、ジブチの中国軍基地沖合750mの洋上から航空機に向け強力なレーザ光が照射されたことから注意を促すNOTAMを4月14日~6月14日までの期間で発表した。 (1805-042705)

 中国軍がジブチで米軍機にレーザ照射したことが3月に明らかになったが、同じく3月にイエメンでも米海軍及び海兵隊機に対してレーザが照射されていたことが明らかになった。 米中央軍によると2017年1月1日以降2018年6月までに中央軍管内で米軍機に対するレーザ照射事件は500回を越えるという。
 またインド太平洋軍によると東シナ海周辺でも20回を越えるという。
 中国軍はBBQ-905レーザ幻惑装置、WJG-2002レーザ砲、PY132A/PY131A レーザ盲目装置などを保有している。 (1808-070209)

3・1・4・2・3 交戦規定 (ROE) を変更か?

 中国艦が最近西太平洋で英国や米国の艦船に対して強硬に態度を見せていることから、米軍の情報と軍事分析部門が、中国が戦闘艦の交戦規定 (ROE) を変更したのか否かを見極めようとしている。 (1812-103104)
3・1・5 経済不振下の国防費増大

 中国の全人代が2018年の国防費に、過去2年間の伸びを上回る前年比8.1%増の1兆1,100億元 ($175B) を計上すると明らかにした。 2017年は7%増の$164.6Bを計上、米国の国防費(予算案ベース)の1/4だった。
 李克強首相は事前に公表された政府活動報告で、2018年のGDP伸び率の目標を昨年と同じ6.5%前後に設定したと明らかにしている。 (1804-030503)

 新華社通信が3月5日、第13回全人代で中国の2018年国防支出が8.1%増のCNY1.107T ($175B) と発表されたと報じた。
 過去の国防費の伸びは2016年が7.6%増、2017年が7.1%増で、2018年はこれらを上回っている。 (1805-031404)

 米国防総省が8月16日に公表した中国の軍事安全保障の動向に関する年次報告書で、中国の国防費が2028年には$240B以上に達すると推定し、軍事力拡大に警戒感を示した。 (1809-081705)

3・1・6 戦力の増強

3・1・6・1 宇宙戦/ミサイル防衛

3・1・6・1・1 宇 宙 戦

 米国国家情報長官が2月13日に上院情報委員会で、中露がASATの開発を推進していることに懸念を示した。
 長官によると中国は地上発射宇宙兵器を装備する部隊の編成完結に向けた訓練中で、ロシアも恐らく同様の活動を行っているとみられるという。 (1804-022102)
3・1・6・1・2 B M D

 中国国防省が2月6日、飛来するBMを弾道中期で迎撃する試験に成功したと発表した。 国防省はそれ以上を明らかにしなかったが、シドニーの国際政治シンクタンクのLowy研究所の研究員は、迎撃に使われたのは2007年にASAT試験を行ったSC-19と見ている。 (1803-020605)

 中国国防省が2月5日、地上発射型中期弾道迎撃システムの試験に成功したと発表した。 それ以上の詳細については明らかにされていない。
 中国はこの種迎撃システムの迎撃試験を2010年1月、2013年1月、2014年7月に実施し成功しており、今回が4回目の成功になる。 (1804-021406)

3・1・6・1・3 S-400 の導入

 TASS通信がロシア軍事産業筋の話として1月18日、ロシアが2014年の契約に基づくS-400の中国への納入を開始したと報じた。
 第一次分は既に出荷したと言うが、その数量は明らかにしなかった。 (1802-011804)

 TASS通信が1月18日、2014年の契約に基づくS-400の中国への出荷が開始されていると報じた。 売却数は明らかにされていないがライセンス生産や技術移転は行われていないという。 (1803-012401)

 TASS通信が4月3日、中国がS-400 Triumfの最初の1個連隊分を受領したと報じた。 S-400はレニングラードの港から2隻に積載され中国に届いた。 ただ1月の卸下時に嵐で一部機材が損傷したため、不足した機材が3隻目で追加輸送される。
 この結果中国がS-400初の輸出先になり、次いでトルコが輸入国になる。 中国は6個中隊の購入契約を行ったと見られている。 (1806-041109)

3・1・6・2 長距離ミサイル

3・1・6・2・1 ICBM / IRBM / SLBM

DF-41 ICBM

 Washington Free Beaconが6月5日、中国が5月27日にDF-41 ICBMの10回目の発射試験を行ったと報じた。 DF-4は山西省の太原衛星発射センタから発射され、数千㌔㍍を飛翔してゴビ砂漠に落下したと言う。
 DF-41は射程が15,000kmで2,500kgの搭載能力があり、10個のMIRV弾頭を搭載するとされている。
 中国国営Global Timesは、DF-41は2018年上半期に部隊配備されると報じている。 (1808-062004)

JL-3 SLBM

 香港や米国のメディアが軍事筋の情報として、中国がJL-3 SLBMの発射試験を11月下旬に渤海で実施し成功したと報じた。 報道によるとJL-3は核弾頭10個を搭載可能で、射程はJL-2の7,000kmから大幅に延びて9,000~14,000km前後と推定され、中国近海から発射しても米本土のほぼ全域を射程に収める。
 JL-3はICBM DF-41を基に開発されたとみられ、2020年代の配備を目指しているとされる。 (1901-122203)
【註】 WikipediaによるとJL-3初の発射試験が11月24日に行われたとWashington Free Beaconが報じている。 この試験では最大射程での飛翔は行われなかったという。

DF-26 IRBM

 中国国防省報道官が4月26日、DF-26 IRBMの配備を開始したことを明らかにした。
 DF-26は射程が4,000kmと推定されグアムを含む米軍基地を射程圏内におさめる。
 中国はこのほかに空母を攻撃できるDF-21Dや、空中給油機やAWACSを狙った射程400kmの長距離AAMを装備しているという。 (1805-042607)

 China Daily紙が4月18日、中国ロケット軍が新型ミサイルを装備した旅団を発足させたと報じた。
 新型ミサイルとは射程が3,000~4,000kmのDF-26 IRBMと見られている。 (1806-050215)

 China Dailyが4月18日に中国ロケット軍が地上発射型の新型戦略ミサイルを装備した旅団を新編したと報じたが、26日には国防省がDF-26 IRBMがロケット軍に配備された事を認めた。
 同省報道官によるとDF-26は新世代兵器で、核反撃のほか通常弾頭で中長距離の地上目標や中大型艦船を攻撃できるという。 特に情報化と連接性が向上しているという。
 DF-26は2015年に初めて公表されたBMで、射程は3,000~4,000kmと見られている。 (1807-050909)

3・1・6・2・2 MRBM / SRBM

DF-16 MRBM

 中国のロケット部隊が6基のDF-16 MRBM TELのPR写真を公開した。
 中国が "shell" と称するミサイル保護容器の内部を公開するのは初めてである。 (1804-030905)

3・1・6・2・3 長距離 CM

CJ-10

 坑道式の掩体に格納されたCJ-10の様子が報じられた。 (1808-071106)

3・1・6・3 艦 船

3・1・6・3・1 航空母艦

Type 001 空母

 中国軍は空母運用能力の向上を急いでおり、研究や訓練が主な目的の遼寧が3月下旬から1ヵ月にわたり南シナ海や西太平洋などを航行している。 (1806-051302)

 中国国防省が5月31日、空母遼寧を中心とした空母打撃群がIOCになったと発表した。 (1808-061301)

 中国メディアによると大連造船所で、中国が2012年に就役させた空母遼寧の艦橋の大規模な再改造作業が進められていると報じた。 艦載機の発着を指揮する主飛行管制所は完全に撤去されたという。 艦橋の前方と側面部には足場が組まれており、主飛行管制所以外にも改造が施される可能性があるという。
記事は遼寧について、主飛行管制所からの視界に遮蔽物があるため、中国が自ら設計した空母と同様の構造に改造した可能性があると論じた。 (1809-082806)
【註】 「主飛行管制所からの視界に遮蔽物がある」と言うが、もしそうであれば遮蔽物を撤去または移動するのが筋で、主飛行管制所を撤去する理由としては疑問である。
 遼寧はかねてから「復元性に問題」との風評があり、旧ソ連の空母を中国でスキージャンプ台を取り付けるなどの改造を行ったためトップヘビーになり、復元性を確保するため上部構造物の重量低減を図った可能性も考えられる。

 中国海軍がウェブサイトnavy.81.cnで9月12日、空母遼寧でのJ-15の全天候離着艦訓練を5月末に終了し、遼寧は昼夜間運用能力を取得したと報じた。 (1811-092606)

Type 001A 空母

 中国初の国産空母が5月13日、洋上試験のため大連の造船所を出航した。 黄海北部や渤海を航行するとみられ、国営新華社通信は「主に動力系統などの設備の信頼性を検証する」と報じている。
 2隻目の空母は2018年内にも海軍に引き渡される見通しで、2020年といわれていた就役は1年前倒しされ、2019年になる可能性が高まっている。 (1806-051302)

 中国海軍で2隻目となる空母が洋上試験のため5月13日に大連を出航した。 この空母はスキージャンプ台からJ-15を離艦させるSTOBAR方式艦で遼寧とほぼ同じであるが、レーダが最新の駆逐艦で採用されているフェーズドアレイ方式のType 346になっていること、艦橋部が1層増え短くなっているのが外観上の差異である。 (1807-052301)

 中国国防省によると、中国国産第1号空母が5月18日、13日からの初の試験航海を終えて遼寧省大連の造船施設に戻った。
 2019年にも就役する見通しである。 (1806-051801)

 人民日報系の環球時報が6月20日、初の国産空母を建造した国有造船大手企業の社長が国家監察委員会などの調査を受けていると報じた。
 空母に関する情報漏えいや空母に問題 が見つかり摘発されたと見られる。
 規律検査委と監察委は具体的な容疑を明らかにしていない。 (1807-062003)

 人民日報系の環球時報が6月22日、初の国産空母が2018年に海軍に引き渡される可能性があるという専門家の見通しを報じた。
 国産空母を建造した国有企業会長は19日、5月に初の試験航海に成功した結果、計画が前倒しで進んでいると明らかにした。
(1807-062204)

 大連造船所 (DSIC) から8月26日に空母の二番艦が2回目の洋上試験に向けて出航した。
 1回目の洋上試験は5月13~18日に行われ、23日にDSICに帰港していた。 (1810-090510)

Type 002 空母

 中国CCTVが2017年12月4日、電磁カタパルト (EMALS) を装備すると言われている建造中のType 002平甲板空母は、J-15またはその改良型とともに、J-15と別の任務を担うためJ-20やJ-31ステルス戦闘機も搭載すると報じた。(1802-121303)
【註】 J-20やJ-31はカタパルトで発進したとしても着艦するためには脚や機体の強化が必要で、拘束索をつかむフックも取り付ける必要があり、再設計に近い改修が必要になることから、カタパルト発進したとしても陸上基地に着陸するのではないか。 そうなればどのようにしてJ-20等を空母に搭載するのかが問題である。

 中国は3隻目の空母も建造中で、2022年までに3隻の空母を配備するという見方がある。 (1807-062204)

 中国の造艦企業CSIC社高官が6月20日、中国で3隻目となる空母のCGを公表した。 CG画像には3隻目を中心に3隻の空母が写っているが、左右の空母がSTOBAR離着艦方式であるのに対し中央の三番艦はカタパルト発進/拘束着艦 (CATOBAR) 方式になっている。
 CATOBAR空母には3基のカタパルトが見られるが、その形状は米海軍がGerald R. Fordに装備しているGA社製EMALSと似た形状をしている。 (1808-062704)

 中国国営新華社通信が中国版LINEの「微信」で11月25日、同国で3隻目となる新型空母について造船所で順調に建造中だと報じた。 中国の官製メディアが3隻目の空母建造を報じたのは初めてである。
 新華社は詳細を明らかにしていないが、上海で建造が進んでいるもようである。 (1812-112602)

 中国軍事筋が11月28日、中国が建造を進めている2隻目の国産空母が2020年末にも進水する見通しであることを明らかにした。
 ただ新たに電磁カタパルトを装備するため、進水後の艤装や試験航海などに長めの時間を要し、就役は2025年以降になりそうだという。 (1812-112805)

Type 003 空母

 中国メディアの新浪網が1月18日、同国にとって4隻目の保有となる空母の建造が上海にある江南造船所で始まった可能性があると報じた。
 根拠として、同造船所が最近になり新たに8万トン級大型船舶の船台を設けたことと、18,000人分の進入許可カードを発注したことを挙げ、民間船や軍艦を含めて、それほどの人数の建造関係者を必要とするのは、大型空母以外にはないとしている。
 4隻目の空母Type 003については、原子力空母との見方もあが、記事はType 003を「中国版キティーホーク 」と評している。 (1802-011902)

 中国の大手国有企業である中国船舶重工グループが2月28日までに示した今後の方針の中で、中国初の原子力空母の開発を進める計画を明らかにし、習主席が掲げる強い軍の建設という目標を断固として貫徹させる姿勢を明らかにした。
 中国海軍は、少なくとも4隻の空母を保有する計画があると見られている。 (1803-022802)

 中国国営の環球時報が2月28日、原子力空母を建造しようとしていることを示唆する記事を掲載した。
 中国がウクライナから購入した建造途中の空母を2012年に就役させた遼寧とそれを元にしたType 001Aは、共に短距離離艦拘束着艦 (STOBAR) 方式であったが、原子力艦はカタパルト発進拘束着艦 (CATOBAR) 方式になると見られている。 (1805-031402)

 香港のSouth China Mornib Post紙が11月27日、米国との貿易摩擦などの影響で中国の空母建造に遅れが出ていると報じた。
 同紙によると関係者が、2030年までに4隻の空母の就役を計画してきたが、予算の縮小や習指導部による軍の大幅な組織変更により、予定されていた4隻目の空母建造が米国との貿易摩擦の激化を受けて延期されたと明らかにした上で、中国政府は、米政府をこれ以上怒らせたくないと考えていると述べた。
 また、中国は欠陥が見つかったJ-15の代替機の開発に取り組んでため予算を逼迫させていることも空母計画に影響しているという。 (1812-112708)

艦載戦闘機パイロットの養成

 Global Timesが1月7日に中国の専門家の意見として、4隻以上の空母を維持するため今後400名の艦載戦闘機パイロットを養成する必要があると報じた。
 中国は現在渤海湾で空母遼寧とJ-15艦載戦闘機によりパイロットを養成していて、2017年末までに7期にわたり29~36名を養成する。 (1803-011712)

3・1・6・3・2 潜水艦

無セイル小型潜水艦

 江南造船 (Jiangnan) の長興島造船所 (Changxingdao shipyard) で建造中の新型潜水艦画像がネット上で公開された。
 この潜水艦の寸法その他は公表されていないが、全長50m、幅5m程度と推測され、セイルが見当たらないのが大な特長である。
 2014年10月の衛星画像で、揚子江の河口から武漢800km離れた武漢で、全長35m、幅3.5mの小型潜水艦が確認されている。 (1812-110104)

 この潜水艦はセイルがないことから潜望鏡を出した状態でも長期の作戦には向かないと見られる。 (1901-110701)
【註】 全長50m、幅5mと言うと、1963年に竣工し1978年まで就役していた水中排水量1,000tと海上自衛隊最小の潜水艦なつしお(61m、6.5m、790t)より小型になる。

3・1・6・3・3 水上艦

中国型 Aegis艦、新型フリゲート艦と合わせて60隻体制

 中国メディアの新浪網が12月14日、中国型Aegis艦などと呼ばれる駆逐艦が30隻体制になり、新型フリゲート艦と合わせて60隻体制になると報じた。
 新浪網によると就役したType 052D及びType 052Eは23隻に達し、Type 052Cの6隻を加えると30隻になる。
 Type 052駆逐艦の中でType 052C以降のタイプはHHQ-9 SAMシステムを搭載しており、AESAアンテナを艦橋構造物の四周に配置している。 新型フリゲート艦に位置づけられた満載排水量7,000~7,500t、満載排水量4,000t以下のType 54フリゲート艦は建造中も合わせれば30隻に達する。 (1901-121701)

Type 055 10,000t駆逐艦

 民間の衛星が2017年12月21日と1月3日に撮影した画像から、中国がType 055駆逐艦六番艦の建造を大連の造船所で開始したことが明らかになった。 その横にある乾ドックでは3番艦と4番艦の組み立てが最終段階に入っている。
 一方、上海に近い江南造船所では一番艦と二番艦の建造が進められており、2017年11月には五番艦の建造も開始されている。 (1805-032101)
【註】 Type 055はType 052Dを40%大型化した排水量10,000tの駆逐艦で、VLSのセル数は前部に64、後部に48、合わせて112セルになっている。

 中国のウェブ上でType 055駆逐艦の二番艦が上海の江南造船所で進水したと報じられた。 一番艦は2017年6月に進水している。
 Type 055は全長180m、排水量11,023tの中国最大の駆逐艦で、垂直発射機112セルを装備している。 (1807-050903)

 中国メディアが7月3日、新型駆逐艦Type 055 2隻が大連の造船所で同時に進水したと報じた。
 排水量が11,000~13,000tと推定されるType 055は中国の現有駆逐艦に比べミサイルの攻撃力やステルス性能が大幅に向上しており、China Daily紙はアジアで最大、最強の戦闘艦と広く認識されていると報じている。 (1808-070304)

 Type 055 10,000t級駆逐艦2隻が大連の造船所で同時に進水した。 Type 055はType 052Dを大型化した駆逐艦で全長180m、全幅20mで112セルのVLSを装備して、HHQ-9要域防空SAM、YJ-18長距離ASCM、CJ-10 LACMのほか、魚雷搭載式の対潜ミサイルなどを装備する。
 同型の一番艦は2017年6月、二番艦は2018年4月に上海近くの造船所で進水している。 (1809-071113)

 中国海軍のType 055駆逐艦の一番艦が8月24日に初めての試験航海を始めた。 Type 055一番艦は上海江南造船所で建造され2017年6月28日に進水した。 二番艦は江南造船所で4月28日に進水し、大連船舶重工業集団も7月3日に2隻を進水させている。
 すでに進水した4隻のうち、一番艦は2019年末までに、それ以外の3隻は2020年末までに海軍に引き渡されると見られている。 中国海軍はType 055を6~8隻建造すると見られている。 (1809-082502)

 中国の最新型駆逐艦Type 055が初めての洋上試験を8月24日に開始した。 (1810-090510)

 新浪網、観察者などの中国メディアが12月18日、新型Type 055駆逐艦の公試運転画像を紹介した。
 Type 055は現在までの4隻が建造され、うち1隻は1回目の公試運転は8月24日に開始され現在公試運転中で、残りの3隻は艤装中とされる。
 Type 055の満載時排水量は13,000tとType 052の7,000~7,500tを大きく上回り、航続距離はType 052型の5,000nmに対し7,000nmと見られている。推進機COGCG方式で、112セルのVLSを装備していることから、駆逐艦艦隊ではなく主に空母打撃群に配属するとの見方もある。 (1901-121905)

Type 052D 駆逐艦

 4月10日に撮影された衛星画像から、中国がType 052D駆逐艦の飛行甲板を4m伸ばした改良型を建造していることが判明した。 このことから中国海軍は従来より大型のヘリを駆逐艦に搭載しようとしている模様である。
 現在多用されているZ-9はMTOWが4,250kgであるのに対しZ-8は13,000kgもあり中国の駆逐艦やフリゲート艦での運用には適さない。
 このため中国は再設計したZ-18を遼寧に搭載している。 (1807-050904)

拡大型 Type 052D

 全長を4m伸ばすことで飛行甲板を4m長くしたType 052D駆逐艦の一番艦が7月上旬に進水した模様である。 7月16日に撮影された上海近くにある造船所の衛星画像には、4月に進水したType 055 1隻や他のType 052D 3隻と共に係留されている同艦が写っている。
 飛行甲板の延長は艦載型にしたZ-20ヘリ搭載に備えたもののようである。 (1808-073104)
 上海に近いJiangnan Changxingdao造船所で7月上旬に船体延長型のType 052D駆逐艦が進水した。
 7月16日に撮影された画像で船体延長型Type 052Dは4月に進水したType 055と同じ係船ドックに係留されている。
 船体延長型はType 052Dの14番艦で、全長が4m延長されたことで飛行甲板が4m延長されたが、格納庫のサイズはそのままである。 (1810-080804)
高速法執行艦の建造

 広州市の造船所で建造中のType 054Aを小型化したこの艦は推進装置にウォータージェット推進機4基を装備していることから40kt以上の速度性能を持つと見られる。
 この艦は高速法執行艦と呼ばれている。 (1808-070703)
【註】 中国は今までにもType 054フリゲート艦を元にした海警局の警備艦を建造しており、法執行艦と呼ばれているこの艦は警備艦の可能性がある。

フリゲート艦/コルベット艦の大量建造

 中国海軍が1月12日、排水量3,500tのType 054A新型フリゲート艦の26番艦を就役させた。 (1803-012406)

3・1・6・3・4 水陸両用戦用艦艇

Type 071 LDP

 Type 071 LDPの5番艦は龍虎山 (Longhushan) と命名された。 (1807-060607)

 中国海軍で5隻目となるType 071 LPDがLPD 980 龍虎山と命名されて就役し、中部戦域軍の東海艦隊に配属された。 (1810-091502)
【註】 Type 071は一番艦から三番艦までは南海艦隊に配属されていたが、四番艦は東海艦隊に配属されている。 五番艦も東海艦隊所属となれば東海艦隊は2隻のType 071を保有することになり、LSTなどを含め東海艦隊の水陸戦能力が急速に強化されている。

 中国海軍で7隻目となるType 071 LPDが12月28日に上海市の滬東中華造船所で進水した。
 Type 071は全長210m、全幅28m、喫水8mで、速力25ktの性能を持つ。 (1901-123103)

LCAC

 3月23日に撮影された衛星画像から、中国海軍南海艦隊の本拠地である湛江市近くにLCACの施設が建設されたのが明らかになった。 その場所の近くには中国海兵隊の2個旅団12,000名が駐屯している。
 画像にはコンクリート壁で仕切られたType 726/726A 6隻、Zubr級4隻が揚陸される場所が写っている。 (1808-062706)
【註】 Type 726/726AはType 071揚陸艦に搭載されるLCACで、Zubr級はウクライナ製の世界最大のLCACである。

3・1・6・3・5 補助艦

洋上兵舎艦

 ここにある艦番号88と89の洋上兵舎艦2隻はそれぞれ2,500名の収容が可能で、北朝鮮危機に際しては黄海を横断しての人員輸送や収容が可能になる。
 海軍は現在海軍航空隊の支援部隊に配置した人員をそのまま輸送部隊に配置しようとしている。
 中国海軍はこのような海上輸送能力に着目しており、この艦は国外で2,500名の兵員を30日間にわたって洋上に待機させることができると共に、他の観光用クルーズ船と合わせた海上輸送能力を保有しようとしている。 (1802-011904)

 No 89と記された中国海軍の訓練支援艦がType 001Aが横付けされている大連の港に入った。 これからの洋上試験を支援すると見られる。
 遼寧の試験の際にもNo 89の姉妹艦と見られるNo 88がほぼ一緒に行動していた。 (1803-013109)
Type 901補給艦

 排水量が45,000t以上である中国海軍Type 901補給艦の二番艦が近く就役する。 (1812-112503)

原子力補給艦

 中国国営メディアのChina Military Onlineが9月10日、中国が建造していることが確実視されている原子力空母には原子力推進の補給艦が必要であるとする論文を掲載した。 (1811-091910)

3・1・6・3・6 USV / UUV

大型自動航行 UUV

 香港のSouth China Morming Post紙が7月20日、中国が2021年を目標に大型の自動航行UUVを開発中であると報じた。 Lockheed Martin社は提案を明らかにしていないが、Boeing社のEcho Voyagerは全長15m、胴径2.7M、重量60tで8tの搭載能力を持つ。
 同紙によるとこの計画は米海軍のXLUUV計画に対抗するものであるという。 米海軍は2017年10月にBoeing社とLockheed Martin社にそれぞれ$40MでXLUUVを発注し、2018年12月にこのうち1社を選定し2020年に試験を実施する計画である。 (1808-072406)

 香港のSouth China Morming Post紙が7月20日、中国が2021年を目標に大型の自動航行UUVを開発中であると報じた。 同紙によるとこの計画は米海軍のXLUUV計画に対抗するものであるという。
(1809-080108)

20t 戦闘 USV

 中国CSOCが9月19~23日に南アで開かれているAAD 2018展に20tの新型戦闘USVを出展した。
 全長15mのUSVはJARI多目的戦闘USVと呼ばれ、速力42ktと航続距離500nmの性能を持つ。
 武装としては小型SAMと連動した30mm機関砲と船体中央に対艦/対空ミサイル用VLS、両側に対潜軽魚雷発射管を装備している。 (1810-092002)

L30 瞭望者Ⅱ 3.75t 武装 USV

 USVの設計と生産を行っている中国Yubzhou Tech社が、11月6~11日に開かれる殊海航空展で新型武装USVを公開した。
 全長7.5m、全幅2.7m、全高4.2m、重量3.75tのL30は2種類の武器が搭載でき、速力45kt、22kt航行での航続距離310nmの性能を持つ。 (1812-110605)

 11月6日に始まった珠海航空展で、民生用USVを開発してきた珠海雲洲智能科技が中国初のミサイルUSV「瞭望者Ⅱ」を公開した。 同社は今回の珠海航空展に8種類のUSVを出展している。
 ミサイル4発の搭載が可能で、関係者は上陸作戦にも有効などと説明した。
 瞭望者Ⅱは全長7.5m、全幅2.7m、排水量3.7tで、最高速力45kt、22ktで航行した場合の航続距離は310nmの性能を持ち、射程5kmのミサイルを搭載する。 波高2.5mまで使用可能で、航行モードは全自動、半自動、遠隔手動操作、手動が選べる。 (1812-110802)

3・1・6・4 航空機

3・1・6・4・1 戦闘機

次世代戦闘機

 中国日報が3月13日、中国がJ-20の新型と第六世代戦闘機の開発を準備していると報じた。
 第13回全人代でAVIC社の科学技術担当副社長が国営紙に明らかにしたという。 (1804-031311)

J-31

 香港のSouth China Morning Post紙が、中国は艦載戦闘機J-15の後継機として、開発中のFC-31をベースに開発しようとしていると報じた。 J-15についてはこれまで欠陥機とする報道もあった。
 記事によると、中国海軍関係者が、少なくとも4個空母打撃群を編成してようとしており、現行のJ-15に代わる艦上戦闘機が必要と述べ、新たな艦上戦闘機は開発中のFC-31でよいとした。 FC-31はJ-15より小型で軽量である。 (1808-070901)

 J-31は飛行安定と着艦に問題があるJ-15に代わる艦載機になると見られる。
 最初のJ-31はMTOWが25tであったが、2番目の試作機は28tになり、艦載型は30tになると見られる。 この結果1,250kmであった行動半径は1,500kmにまで伸びることになった。 (1901-111202)

J-20

 中国空軍が2月9日、J-20を部隊配備したと発表した。 同機の配備を受け東シナ海や南シナ海の海洋権益拡大に向けた軍の動きが活発化する恐れがある。
 中国空軍は最近、Su-35が南シナ海上空で訓練を行ったことも明らかにしており、軍備増強を着実に進めている。 (1803-020903)

 中国国防省が2月9日、J-20が部隊配備を開始したと発表した。 当初配備された機数については明らかにしなかった。
 報道官によるとJ-20は2017年11月に行われた "Red Sword" 演習に参加し重要な任務に就いたという。 (1804-022113)

 香港のSouth China Morning Post紙が9月5日に複数の軍消息筋の言葉を引用して、中国がこれまで問題になってきたJ-20のエンジン欠陥問題を解決して量産体制に入ると見通しと報じた。
 中国は2004年にJ-20のエンジン試作品を完成させたが、速度を最高値まで上げるとタービンブレードの過熱により爆発する事故が起きていたが、最近この問題を解決して陸上試験および試験飛行に成功したという。 (1810-090601)

 中国の防衛企業筋によると、NRIET社が殊海航空展にモックアップを出展したKLJ-7A機上レーダはJ-20用であるという。
 KLJ-7Aは今まで度々公表されてきたKLJ-7の改良型という。 (1812-111604)

 中国国営CCTVが放映した映像でJ-20が空中給油能力を持つことが確認された。 ただ、映像では給油プルーブが出入りする部分はモザイクをかけて分からなくしてあった。
 殊海航空展では国産のスラスト偏向エンジンを搭載したJ-10Bが公表されたが、J-10Bの設計主任は同様のエンジンがJ-20にも搭載されるかとの質問に対し、J-20でも既に同様の試みが成されただろうとの見解を示した。 (1901-112816)

J-20 改

 中国国営英字紙China Dailyが3月13日、第13回全人代でAVIC社の科学技術担当の高官がJ-20戦闘機の新型を開発していることを明らかにした。 新型の詳細は明らかにされていない。
 AVIC社はFC-31の輸出を計画しているが、空軍はJ-20の輸出は認めないと見られるという。 (1805-032109)

J-17

 台湾中時電子報が、中国で開発中と見られているJ-17戦闘爆撃機の機体と思われる写真が流出したと報じた。 流出したのは瀋陽飛機工業集団の社内向けパンフレットで、そこには同社がJ−31とJ−15について政府指導者に説明している写真の背景に未知の機体が写っていた。
 記事はこの機体がまだ公表されていないJ−17ではないかとしている。
 J−17はSu−34を元に開発しているとされるが、流出した写真ではSu−34と同様の並列複座式に見えるものの、機首形状はステルス性に優れたひし形になっているなど相違点もある。 (1806-050802)

J-15

 香港のSouth China Morning Post紙が7月5日、中国の艦載機J-15の欠陥による墜落事故が相次ぎ、代替機の開発が進められていると報じた。 中国軍に近い関係筋は同紙に対し、J-15は操縦系統が不安定だと指摘している。
 習指導部は空母を中心とする艦隊の整備を急いでいるが、性能や運用能力については疑問視されてきた。
 J-15はSu-33を基に設計され遼寧に搭載されているが、中国軍に近い2人の関係筋はJ-15の墜落事故が少なくとも4回発生したと明らかにした。 しかし中国国営メディアは2件の事故しか報道していない。 (1808-070502)

 中国国営CCTVが復座型J-15の試験映像を流した。 この機体はJ-15Dと呼ばれ、米海軍のEA-18G Growlerと同様に位置づけられたECM機と見られる。
 J-15DにはSEAD機であるJ-16Dが装備しているCETC製KG600ポッドと同じ翼端ポッドが装備されている。 (1901-122112)

J-13

J-11

 外交時事誌The Diplomatが、米軍事専門誌に掲載された「日本のF-15Jは速度以外では中国のJ-11に全面的に劣っている」とする記事を掲載した。
 2004年にインドで行われた演習で、インドのSu-30と米国のF-15が対戦した結果、Su-30が圧倒的に優勢であったが、J-11とSu-30は性能が近似しているという。
 さらにJ-11は上昇率が高く推力重量比が優れており、さらに高い角度からの攻撃が可能で力強い機動性を有していることからF-15よりも積載能力が高いと評価している。
 F-15Jの唯一の優位性はMach 2.6という速度でJ-11のMach 2.35に勝る。 また実用上昇限度も20,000mと、J-11の19,000mより高いものの、これらはいずれもJ-11との交戦で決定的な影響を与えるものではないと分析している。 (1803-022104)

J-10

 中国のウェブサイトWeiboに2017年12月25日、不鮮明ながらJ-10がTVCエンジンを搭載したと見られる画像が掲載された。
 尤も中国は25年にもわたり複数の研究機関でTVCエンジンの研究を行ってきている。 (1803-011012)

 中国語の軍事雑誌にJ-10C戦闘機の画像が掲載されていたが、J-10Cに搭載されていたWS-10大坑ターボファンエンジンの排気口が他のステルス機と似た鋸歯状に改造されており、後方ステルス性の向上を狙ったと見られる。 (1805-040405)

 中国空軍が公式「微博(ウェイボー)」を通じて4月16日にJ-10Cが戦闘警戒任務についたと発表した。
 J-10Cは多用途戦闘機J-10の最新型で、2017年7月の中国建軍節軍事パレードで初めて公開された。 中近距離での高い制空力と打撃精密度を備え、一部ステルス機能を備えている。 (1805-041706)

 11月6~11日に開かれる殊海航空展を前に、スラスト偏向式のWS-10エンジンを搭載したJ-10Bが撮影された。
 同機の翼下には発煙装置が見られることから、航空展で同機によるデモ飛行が行われると見られる。 (1812-110204)

 CAIC社が11月6~11日に開かれた殊海航空展で、スラスト偏向式のWS-10エンジンを搭載したJ-10Bを公表した。
 この機体はまた尾翼の付け根にフィッティングが付加されいるが、ここにスピン回復用パラシュートが収納されていると見られる。 (1901-110703)

 中国が殊海航空展で戦闘機、とりわけ次世代戦闘機の開発の技術力を誇示した。
 会場では推力方向可変 (TV) 方式のWS-10Bエンジンを搭載したJ-10Bが高い機動性や低空性能を展示した。  これについて英国王立防衛安全保障研究所のブロンク研究員は、西側諸国の空軍は、空中戦においてTVはコストの割りに効果がないと見ていると述べた。 (1812-110803)

3・1・6・4・2 爆撃機

H-6K

 米国防総省が議会に対し行った中国の軍事力に関する報告書によると、中国空軍が爆撃機による渡洋攻撃能力を拡大している。
 中国空軍のH-6Gは2013年にバシー海峡を通過して第一列島線を越えたが、H-6Gには西太平洋を遊弋して米国や同盟国を攻撃できる航続距離がなかった。
 このため中国は2013年に航続距離の長いH-6Kの配備を開始した。 これによりグアムをLACMで攻撃する能力を確保した。 (1810-082203)

H-20

 Aerospace Knowledge誌の5月号の表紙で、半公式情報源から得たH-20長距離戦略爆撃機の完成予想図が初めて公開された。 (1805-040807)

 中国が開発を進めてきたステルス戦略爆撃機H-20が近く初飛行する見通しである。 国営中央TVは8月に、H-20の研究開発で重大な進展があったと報じており、10月10日付の環球時報は軍事専門家の見方として、電子機器などのテストを終え試験飛行が近いという見方を報じている。
 H-20の航続距離について米国防総省が公表した中国の軍事動向に関する報告書は8,500km以上と推定されるが、環球時報は5月に12,000km以上とみる専門家の分析を伝えていることから、中国軍はハワイを目標として視野に入れている可能性がある。 (1811-101402)

3・1・6・4・3 ヘリコプタ

Z-8C

 中国海軍航空大学に新型のZ-8であるZ-8C 2機が納入された。 旧式化したZ-8の名称が新造機に付けられたのは意外で、Z-8の改良型にはZ-18の名称がついている。
 基本型のZ-18は人員輸送用で、Z-18Fは対潜型、Z-18JはAEW用として海軍で、Z-18Gは部隊輸送用として地上軍で使用されている。
 Z-8Cは明らかにZ-18の進んだ点を取り入れたハイブリッド機と見られる。 (1812-102416)

Z-10ME

 AVIC社が殊海航空展に、同社のヘリコプタ部門である昌河航空機 (CAIC) が開発したZ-10MEを展示した。 Z-10MEは中国軍が装備しているZ-10Kの輸出仕様機であるが、Z-10Kを大幅に改良している。 特にアクティブやパッシブの手段により生存性を高めている。
 具体的にはミサイル接近警報装置 (MAWS)、レーダ警報装置 (RWR)、6×4チャフ/IRディスペンサを胴体両側に1箱ずつ搭載している。 (1812-110804)
【註】 記事ではCAICをChanghe(昌河)Industries Corporationとしているが、とあるがCAICはChengdu(成都)Industries Corporationのはずである。

 AVIC社が殊海航空展に、中国軍が装備しているZ-10K攻撃ヘリを改良しパッシブ及びアクティブで生存性を高めた輸出仕様のZ-10MEを出展した。
 Z-10MEは最大速度270km/h、上昇限度16,732ft、滞空能力4.6時間、23mm砲1門と両翼にBA-7/KD-10 ATGWまたはPL-90 AAM8発及び19発入りロケット弾ポット搭載とZ-10Kと同じで、高度なECM装置と胴体両側に箱形の6×4発のチャフ/フレアディスペンサを装備している。 (1901-111403)

3・1・6・4・4 その他の航空機

AG600 飛行艇

 2017年7月にロールアウトした中国のAG600飛行艇が2017年12月24日に初飛行した。
 同じく中国製のSH-5よりやや大型のAG600はMTOWが53.5tで、500km/hで12時間滞空できる。
 軍民両用が考えられており、50名の乗客の空輸や、消火用とすれば12tの水を20秒で取り込むことができる。 (1803-011013)

 国営新華社通信が、2017年12月24日に陸上からの初飛行を行ったAG600飛行艇が10月20日に初めて離水し14分間の飛行の後に着水する飛行に成功したと報じた。
 今後2021年に民航機としての証明を獲得し、2020年には納入できるという。
 AG600は全長37m、翼端長38.8m、MTOW 53.5tで、Y-20輸送機、C919旅客機に次ぐ中国で3番目の大型機である。 旅客機として使用すれば客席数50隻、消火機とすれば12tの水を20秒で取り込めるという。 (1812-103111)

空中給油機

 民間衛星が11月1日に西安空港にあるXAC社の施設を撮影した画像に、両翼に空中給油ポッドを装着したY-20輸送機が写っていた。 Y-20の空中給油機型は今までも予想されていたが、画像が撮影されたのは初めてである。
 中国軍の空中給油機はH-6Uを改造した20機で、H-6Dを改造した何機かも報じられていた。 (1901-112805)

3・1・6・4・5 航空基地の増強

 民間衛星の画像から、中国が湖南省の零陵空港を軍用としても使用していることが判明している。 5月19日に撮影した画像にはY-8輸送機と共にKJ-500 AEW&C機が写っており、同機は2017年8月にも確認されている。
 また各種軍事施設も建設され、2013年11月~2015年1月には最初の施設が空港ターミナルビルの近くに、2016年8月~2017年4月には別の施設が建設されレーダが設置されている。 (1807-060606)
3・1・6・5 UAV

3・1・6・5・1 HALE / MALE / TUAV

Wing Loong Ⅱ

 中国国営新華社通信が2017年12月31日、試験飛行中の武装偵察UAVであるWing Loog Ⅱが一回の飛行で、5箇所の異なる標的に対し5種類のミサイルを発射し、全てに命中させたと報じた。 (1802-010304)

 新華社通信が2017年12月31日、新型武装UAVのWing Loong Ⅱが最近行われた実射試験で、5個の標的に対し5種類の武器を全て命中させたと報じた。
 報道では使用した武器は明らかにしていないが、2016年に殊海で行われた航空展では搭載武器として、47kgのBlue Arrow 7、26.5kmのBlue Arrow 9 4発パック、250kgのGB3、50kgのGB7レーザ誘導爆弾などが紹介されていた。
 更にBlue Arrow 21 ASMやTL-10 (YJ-9E) 対艦ミサイルも装備できるという。 (1803-011014)

 中国軍が殊海航空展で、WingLoong Ⅱを調達したことを明らかにした。  WingLoong ⅡはMQ-9 Reaperと似た武装偵察MALE UAVで、軍ではGJ-2 (Gongji-2) と呼ばれる。 (1901-111402)

Wing LoongⅠ-D

 中国国営通信社が1月25日、AVIC社がWing Loong Ⅰ-Dの初飛行を行い、2018年内に国際市場での販売を開始すると報じた。 (1802-012904)
【註】 AVIC社はWing Loong Ⅰの後継として武器搭載能力を増強したWing Loong Ⅱを開発し2017年に初飛行させているので、このWing Loong ⅡとWing Loong Ⅰ-Dの違いが分からない。

 中国国営ニュース社が、中国空軍がGongji-1 (Attack-1) として採用しているAVIC社製Wing Loong武装偵察用MALE UAVの新型であるWing Loong ⅠD計画を報じた。
 Wing Loong ⅠDは全長8.7m、全高3.2m、翼端長17.6mで、最高速度280km/h、対空能力35時間、実用上昇限度7,500mの性能を持つ。 搭載能力は400kgである。
 Wing Loong Ⅰの寸法はそれぞれ、9m、2.8m、14mで、MTOW 1,200kg、搭載能力200kgである。 (1804-030009)

 中国AVIC社がWing Liing Ⅰ MALE UAVの改良型であるWing Liing ⅠD武装偵察UAVを開発し、2018年末までに初飛行を行う。
 全複合材料製のWing Liing ⅠDは重量330kg、全長8.7m、全高3.2m、翼端長17.6mである。 (1811-102209)

CH-4C

 中国CASC社が1月下旬に、CH-4 MALE UAVで最も強力なCH-4Cを公表した。
 同社によるとCH-4Cでは数ヵ所で能力向上が図られ、新型の100kg級レーザ誘導爆弾 (LGB) や新型電子偵察装置も搭載できるという。
 CH-4の詳細データは現時点では公表されていない。 (1804-030107)

 中国CASC社の技術開発部門であるCAAAがCH-4 MALE UAVの能力向上型であるCH-4Cを開発している。 CH-4Cは100kg級LGBを搭載できるほかELINT装置も装備できる。
 Jane'sはかつてCH-4について、全長8.5m、翼端長18m、MTOW 1,330kgとしていたが、最近ではCH-4は速度が巡航で180km/h、最大で235km/h、滞空能力40時間、運用高度9,842~19,685ft、実用上昇限度23,600ftとしている。
 またMTOW 1,260kgで滞空能力30時間の CH-4Aや、345kgを搭載して14時間の滞空能力を持つCH-4Bも報告されている。 (1806-040012)

WJ-700

 CASIC社が殊海航空展にWJ-700 MALE UAVの実大模型を出品した。
 同社はWJ-500、WJ-600、WJ-600A/DなどのMALE UAVを生産しているが、WJ-700の前身であるターボジェット推進のWJ-600はMTOW3,500kg、滞空能力20時間であった。 (1812-110604)
【註】 WJ-700と一緒に写っているCM-102はFC-1/JH-7A戦闘機が搭載する射程100kmのARMで、80kgの弾頭を搭載する。 この写真からするとWJ-700はCM-102を搭載できると思われる。

 CASIC社が展示したジェット推進でMTOW 3.5tのWJ-700は70時間の滞空能力をもち、CM-102 ARMやC701、C-705KD対艦ミサイルを搭載するほか、EWやECM装置を搭載することもできる。 (1812-110908)

HK-5000G 空母搭載用 UAV

 HK-5000GはMTOW 5tの空母搭載のUAVで、両翼下に合わせて2箇所のハードポイントを持つ。 (1812-110908)

CloudShadow 空母搭載用 UAV

 Global Times紙が4月3日、CASC社が空母搭載用のUAVを開発中であることを認めたと報じた。 これについては2016年11月に民間衛星が中国海軍航空隊のカタパルト試験場にUAVがあるのを発見している。
 画像からするとUAVは翼端長178mでV字型尾翼のCloudShadow HALE UAVのようで、光学偵察装置やSIGINT装置を搭載できる。
 このような大型のUAVはスキージャンプ台からの離着艦は難しいため、カタパルトを装備する三番艦の空母に搭載されると見られている。 (1806-041103)

Yaoying Ⅱ (Sparrow Hawk Ⅱ)

 新華社通信が7月5日、Yaoying Ⅱ (Sparrow Hawk Ⅱ) MALE UAVが初飛行したと報じた。 国際市場も狙っているという。
 全長6mのYaoying Ⅱは攻撃能力を持つ偵察用UAVで、両翼にそれぞれ少なくとも1箇所のハードポイントを持ち、速力 230km/h、滞空能力16時間、実用上昇限度7,500mの性能を持つ。 (1809-071811)

3・1・6・5・2 UCAV

XY-280 ステルス UCAV

 はF-22/F-35並の6g高旋回が可能なUCAVでRCS=0.05~0.1㎡のステルス性を有し、機内には2箇所の弾庫を持ちステルス攻撃機として使用されることが推測される。  全長4.33m、翼端長6m、MTOW 650kgで150kgの搭載能力があり、発進は陸上からRATOを用いて行われ最大速度Mach 0.72の性能を持つ。  センサと武器を搭載しての滞空能力は2時間という。 (1812-110908)

CH-7 UCAV

 珠海航空展の開幕を前日に控えた11月5日、中国のステルスUCAV CH-7(彩虹-7)の実大モデルが公開された。 2019年に初飛行し、2022年には量産に入るという。
 翼端長22mのCH-7は無尾翼で、外観はNorthrop Grumman社のX-47Bに酷似しており、一部の欧米メディアはX-47Bのクローンで、中国がサイバ攻撃で技術を盗んだ可能性を指摘している。
 2011年にイランで墜落した米空軍RQ-170の情報が中国に流出したとの見方もある。 (1812-110506)

 米国のX-45やX-47に似たCH-7 UCAVは全長10m、翼端長22m、MTOW 13tで、最高速度Mach 0.75で、任務に応じてMach 0.5~0.6で巡航する。  巡航高度は30,000~43,000ftである。 (1812-110908)

FL-71 / FL-2 UAV

 FL-71はMTOW 3tで、高度50,000ftでMach 1.8、高度30,000ftでMach 0.74の高速性能を持つ。 100kgを搭載しての航続距離は800kmで、単一任務で1時間の滞空能力を持つ。
 MTOW22tのFL-2ははMach 0.73で航続距離7,300kmの性能を持つ。 (1812-110908)

Star Shadow

 成都市を拠点とするStar UAV社がシンガポール航空展でStar Shadow UCAV構想を公表した。
 Star Shadowは全長7.3m、翼端長15m、MTOW 4,000kgの菱形翼機で、RCSは 0.1㎡であるという。
 機内には長さ2.5m、幅0.76m、高さ0.7,の弾庫を持ち、400kgの搭載が可能であるという。 (1803-020607)

 成都市のUAVメーカであるStar UAV社がシンガポール航空展にStar Shadow UAVを出品した。
 Star Shadowは全長7.3m、翼端長15m、MTOW 4,000kgで400kgの搭載能力を持ち、最大速度700km/h、巡航速度400~ 600km/h、上昇限度49,212ft、実用上昇限度39,370ft、滞空能力12時間の性能を持つ。 (1804-021405)

 成都のStar UAV社がシンガポール航空展でStar Shadow構想を発表した。 Star Shadowは全長7.3m、翼端長15m、MTOW 4,000kgで、RCS=0.1㎡ のステルス性を持つという。
 また全長2.5m、幅0.76m、奥行き0.7mの機内弾庫を持ち、400kgの搭載が可能という。 (1804-030007)

暗剣 (An Jian) UCAV

 AVIC社が5日にウェブ上で、暗剣 (An Jian) UCAVの全体像を公表した。
 中国が2006年の航空展で構想を公表してから12年経っているが、公表された画像がモックアップなのか試作機なのかは分からない。
 一緒に写っているスタップとみられる19名からすると、暗剣の全長は12m以上と推測される。 (1807-060706)

 AVIC社が開発しているUCAV暗剣 (Dark Sword) の実大モデルの画像が中国のネット上で公表された。
 2006航空展で初めて計画が公表されて以来12年経た画像の公表であるが性能、諸元は未だ公表されず、暗剣の前に並ぶ関係者の写真から全長は12m程度と推測される。 (1808-061306)

3・1・6・5・3 TCAV / miniUAV

CH-804C 固定翼ハイブリッド VTOL UAV

 中国国営CASCの付属機関CAAAがCH-804C固定翼ハイブリッドVTOL UAVの改良型を開発した。 改良型は従来型のMTOW 25kg、翼端長4m、搭載能力3kgに対して、30kg、4.25m、4kgと能力が向上している。
 胴体下には視野角を46゚×34.5゚の広角と4.6゚×3.45゚の狭角に切り替えられる2.5kgのEO/IR装置を装備している。
 CH-804Cは到達距離100kmのL-bandデータリンクを搭載し25.6kb/sでデータ転送ができるが、画像伝送に際しては一時的に4Mb/sの伝送が可能になる。 (1810-090008)

3・1・6・5・4 その他の UAV

CH-804C ハイブリッド VTOL UAV

 中国国営CASCの付属機関CAAAがCH-804CハイブリッドVTOL UAVの改良型を開発した。
 改良型は従来型のMTOW 25kg、翼端長4m、搭載能力3kgに対して、30kg、4.25m、4kgと能力が向上している。
 胴体下には視野角を46゚×34.5゚の広角と4.6゚×3.45゚の狭角に切り替えられる2.5kgのEO/IR装置を装備している。 (1809-080605)

YJ-300 AEW UAV

 Tian Shaoとも呼ばれるYJ-300はAEWと偵察の両用UAVで、胴体両側と翼前縁にアレイを配したAESAアンテナを搭載できる。
 MTOWは1.3tで、400kgの搭載能力を持ち、滞空能力15時間、速力200km/h、上昇限度25,000ftの性能を持つ。 (1812-110908)

CH-10 チルトロータ式 UAV

 CH-10はVTOL能力を持つチルトロータ式UAVである。 (1812-110908)

TW-356 重量物運搬用 VTOL UAV

 殊海航空展に実大模型が展示されたTengden社製双発のTW-356は重量物運搬用で、空輸品はポッドに収納して翼下4箇所に搭載され高高度を空輸される。 (1812-110908)

TW-765 重量物運搬用 VTOL UAV

 Tengden社最大のTW-765は22tを7,500km空輸できる。 (1812-110908)

3・1・6・6 各種戦術ミサイル

3・1・6・6・1 SAM

HQ-2 後継 HQ-22

 中国空軍がHQ-2 SAMの後継として、中部、北部、西部軍管区にHQ-22 中距離SAMの配備を進めている。
 2016年9月に撮影された衛星画像には、北京南西のYixianに駐屯する第96大隊でHQ-2がHQ-22に換装されているのが確認されている。 (1812-112806)

HQ-8 大型 SAM

 殊海で行われている航空展で、AEW機の様な大型機を400kmの長距離から狙うHQ-8大型SAMが公開された。 (1812-110703)

3・1・6・6・2 戦術 ASBM

CM-401

 殊海航空展で、CM-401 ASBM 2発を車載した陸上発射対艦弾道弾システムが公開された。 CM-401の主たる目標は空母を含む中大型艦になる。
 CM-401はBP-12A TBMの対艦型と見られ、終末誘導はARHで行われる。 (1812-110703)

 CASIC社が殊海航空展で、中型艦船を狙った短距離ASBM CM-401を公表した。
 射程15~290kmのCM-401はキャニスタ入りで2発がTEL車載され、最大速度Mach 6、平均速度Mach 4で飛翔する。 (1901-111401)

3・1・6・6・3 ASCM

ラムジェット推進地対艦ミサイル YJ-12

 YJ-12ラムジェット推進対艦ミサイルの陸上発射型の画像がネット上で公開された。 名称はYJ-12Bと見られるミサイルはCJ-10 CMと同じ5軸TELから発射された。
 YJ-12の射程は500kmで、ラムジェット作動速度まではロケットブースタで加速される。 (1901-111410)

潜水艦発射型 YJ-18

 中国CCYVが、習主席が6月11日に北海艦隊の商級 (Type 093) 攻撃型原潜を視察した映像を流した中に、明らかに潜水艦発射型YJ-18 ASCMのキャニスタと見られるものが写っていた。
 YJ-18はロシア製で三段推進の3M-54とよく似た駆逐艦程度の艦船を攻撃する射程290nmのASCMで、宋級 (Type 039/039G)、元級 (Type 039A/B/C)、商級 (Type 093/093A/093B) 潜水艦のほかにType 052D、Type 055駆逐艦にも装備する。 (1808-062708)
【註】 3M54はロケットブースタで発射加速してジェットエンジンで巡航し、目標に接近するとロケットモータでMach 2.9まで加速する。
HD-1 液体燃料ラムジェット推進高速超音速 ASCM

 殊海航空展に展示されたHD-1 ASCMはロケットで加速される液体燃料ラムジェット推進の高速超音速ASCMである。 (1812-110703)

3・1・6・6・4 ロケット弾等

JARM

 カタールがドーハで2017年12月18日に行った閲兵式で中国CPMIEC社製のJARMを公開した。 公開されたのは発射機2両と運搬車2両で、JARMはBP-12A弾とSY400弾を発射できる。
 BP-12Aは全長6.3m、胴経600mm、発射重量2,293kg、弾頭重量480kgで射程は280kmである。
 全長6.47m、胴経400mmのSY400には、発射重量1,176kg、弾頭重量200kg、射程200kmと、発射重量1,276kg、弾頭重量300kg、射程150kmの2弾種がある。 (1802-010315)

改良型 WS-32 MRL

 中国ALT社がDSA2018の会場で改良型WS-32 MRLを公表した。 WS-32は6×6車には8発、8×8車には10発が搭載できる。
 改良型は全長が7.5mと従来型の6.89mより長くなっており、155kgであった弾頭が170kgと大きくなっている。 射程は今までと同じ150kmであるがCEPは40mから30mへと精度が向上している。
 WS-32は胴径400mm弾のほか、射程280kmのWS-3A 400mm誘導ロケット弾も発射できる。 (1806-042503)

Fire Dragon 280A

 Norinco社がAR3 MRLから発射する750mm誘導ロケット弾Fire Dragon 280Aを公表した。
 Fire Dragon 280Aの射程は今までAR3から発射していたFire Dragon 280 370mm誘導ロケット弾より10km長い290kmで、480kgの弾頭を搭載してGPS又はBeiDouで誘導されて飛翔し、最大射程でCEP=30mの精度を持つ。 (1806-042507)

 殊海航空展に220mmから750mmまでの各種が開発されているNorinco社製のFire Dragon誘導ロケット弾が展示された。 (1812-110703)

3・1・6・6・5 AAM

長距離 AAM

 中国は空中給油機やAWACSを狙った射程400kmの長距離AAMを装備しているという。 (1805-042607)

3・1・6・7 電子兵器

3・1・6・7・1 電子戦装置

H-6G 搭載 ECM ポッド

 中国国営Global Timesが1月21日にCCTVの報道を引用し、南海艦隊が2017年12月に行った演習で翼下にECMポッドを装備したH-6Gが初登場したと報じた。 (1802-012503)

車載チャフ/デコイ発射機

 中国空軍が12日に行った演習で、車載発射機からチャフ/デコイが発射された。 このシステムは人民解放軍西部軍管区の飛行連隊に配備されている。 (1806-051406)

3・1・6・7・2 ECM 機

J-15D

 中国のオンラインサイトに翼端にEW用ポッドを取り付けた復座型のJ-15が掲載された。
 復座型J-15は2012年に確認されJ-15Sと呼ばれていたが、EW用の復座型はJ-15Dという。
 翼端搭載EWポッドはSu-30MKKをコピーしたJ-16でも確認されているが、J-15搭載ポッドは別物のようである。
 J-15DはALQ-99ジャマー3基とAGM-88 HARMを装備する米海軍のEA-18G Glrowlerと同様の電子戦機と思われ、遼寧に搭載されるとみられる。 (1807-050910)

3・1・6・7・3 ミサイルに搭載する耐妨害北斗測位衛星受信アンテナ

 中国国営Global Timesが5月24日、23~25日に開かれた第9回中国航法衛星コンファレンスで北京のLi Gong航法技術社が、北斗測位衛星の信号を妨害環境下でも受信できるアンテナを2018年後半にミサイルに搭載すると発表した。
 このアンテナは既にH-6やJ-15には搭載されており、新たに搭載するミサイルとはYJ-12 ASCMやCJ-10 LACMと見られる。
 このアンテナは従来のアンテナであれば1Wの妨害源から10km離れていても影響を受けていたのが100mまで大丈夫だという。 (1807-060612)
3・1・6・8 情報取得装備

偵察衛星

 中国が7月31日、太原衛星打ち上げセンタから長征-4Bを使って高分-11 (GF-11: Gaofen-11) 地球観測衛星を打ち上げた。 GF-11の解像度は10cm以下で、米国に次いで世界で二番目の高解像度偵察衛星ということになる。
 GFシリーズの衛星は従来、民生用であるCHEOSの一部を成していたが、GF-11は民生用システムから切り離されている。 (1810-082208)

3・1・6・9 その他の兵器

Marine Lizard 水陸両用戦闘車

 USVの航法や制御装置の開発を専門にしている青島のZB Intelligence社が殊海航空展に、Marine Lizard水陸両用戦闘車を出展した。
 Marine Lizardは全長13.5mで、陸上では車体底部の4箇所につり付けられた電動の履帯で20km/hで走行し、水上では車体後部に取り付けた2基のウォータージェットにより50ktで航行する。 水上での航続距離は648nmと言う。
 Marine LizardにはEO/IRセンサ、レーダ、重機関銃やSHORADミサイルが搭載可能という。 (1812-110103)

 USVの航法や制御装置の開発を専門にしている青島のZB Intelligence社が殊海航空展に、Marine Lizard水陸両用戦闘車を出展した。
 Marine Lizardは全長13.5mで、陸上では車体底部の4箇所につり付けられた電動の履帯で20km/hで走行し、水上では車体後部に取り付けた2基のウォータージェットにより50ktで航行する。 水上での航続距離は648nmと言う。
 Marine LizardにはEO/IRセンサ、レーダ、重機関銃やSHORADミサイルが搭載可能という。 (1812-111205)

全地形走破 UGV

 中国のUGV開発技術が米露の水準に迫りつつある。 9月に北京で行われたCrossing Obstacles UGVコンペや、11月6~11日に行われた殊海航空展で各種UGVが紹介された。 (1812-112301)

<・Giant Tiger

 Sany重工社製で全長4.2m、全幅2.0m、全高1.4m、重量2.1tで800kgの搭載能力があり、12.7mm機銃を装備している。 各種センサと二重の衛星測位システムを搭載して通過点ょ指定した自動操縦が可能である。

CASC社製ATV

 TL-4 ATGWを搭載して数km以内の攻撃が可能である。

King Leopard

 NORINCO社が殊海航空展に出品した4種類のUGVの一つで、マスト搭載カメラと23mm砲を装備した6tのUGVである。

 北京近郊の遠州で開かれたCrossing Obstacles UGVコンペには、14軍関連機関、26民間機関、10国営機関、11研究所の61機関から136個チームが参加して行われた。 (1812-101006)

全地形走破運搬車

 中国国防省が8月18日に海軍が公開した東シナ海で行った演習の記事のなかで、新型の全地形走破運搬車の画像を公開した。
 この全地形走破運搬車はロシア製車を真似て中国で生産したJY813とよく似ている。
 また中国はかつてBAE Systems社からBv 206全地形走破運搬車を購入したことがある。 (1810-082910)

殊海航空展にNORINCO社が出展した各種 UGV

 NORINCO社が殊海航空展に各種UGVを出展した。 (1812-113006)

King Leopard

 6tの装軌式威力偵察UGVでディーゼルエンジンで走行し、各種砲弾を発射できる電動の23mmチェーンガンを装備している。

Cavaly

 1.2tの装軌式軽量多用途UGVで、7.62mm機関銃と一対の無誘導80mm対戦車ロケット弾を装備する。

Watchkeeper

Velociraptor APS

 南京のHerakles社が殊海航空展でAPC、IFV、MBTなどに装備するAPSであるVelociraptorを公表した。 Velociraptorは現在設計の最終段階で2019年の野外試験が計画されているが、既に中央アジアや中東から引き合いが来ているという。
 Velociraptorは76mm迎撃弾4発を装填する発射機1基又は複数基と、Ku-band AESAレーダを装備する。 AESAレーダは72×36mmのアンテナを4面装備する。 (1812-111206)

PJ26 76mm自走砲

 中国海兵隊が、5軸装輪車に搭載した直接/間接照準のPJ26 76mm自走砲を装備している。  またこの砲はAHEAD弾を用いた対空射撃が可能で、その際の発射速度は120rpmになる。 (1901-122604)
【註】 発射速度120rpmの76mm砲はOTO Melara社がSuper Rapid 76mmを販売している。 Super Rapid 76mm砲はインドネシア、シンガポールなどが採用している。

音響標定装置

 北京のCETC社が3脚搭載の音響探知装置を開発し、既に量産して軍に装備されている。
 この装置は3個のマイクで360゚をカバーし更にその上に取り付けられて1個のマイクが全周を無指向で探知する。
 システムは5.56mm、7.62mm、12.7mm弾の飛来を探知するように作られていて、結果は小型の表示装置に表示される。 捕捉距離は1,000mと言う。 (1809-080001)
【註】 このシステムは小銃等の発射位置を評定して、射手を制圧するための装置と思われる。
 一般に小銃弾の初速は音速より早く、その飛翔音を着弾前に捕らえることは不可能であり、たとえ弾の飛来を知っても対応できず意味がない。

3・1・7 高度な技術力保持

3・1・7・1 米国に肉薄する高度軍事技術

 カナダの安全保障情報組織CSISが3月の報告書で、中国が将来 軍事技術の分野で米国を超越し、戦争様相を中国優勢に転換しようとしているとした。
 その将来軍事技術とはAI、DEW及び量子コンピュータなどであるという。 (1807-060610)

 米国防総省の情報担当次官補が6月21日に下院軍事委員会で、中国軍事技術が米国の技術的、産業的と述べた。
 特に中国はAI、自動運転、サイバセキュリティ、UAVの分野に集中的な大規模投資を行っているという。 (1808-062705)

3・1・7・2 先端技術を海外から略取

 米検察が6月26日、対潜水艦戦に使われる可能性のある機器を入手しようと共謀したとして、人民解放軍と繋がりのある中国の大学を米国輸出法違反で起訴した。
 起訴されたのは西北工業大学及び、米国在住の中国人と同氏が率いる中国企業で、同社の顧客には中国の政府系研究機関や人民解放軍の海軍部門が含まれる。
 起訴状によると、同氏は2015年から2016年にかけて、水中音監視に利用できるハイドロフォン78個を中国の軍事研究機関だとされる西北工業大学向けに輸出した。 (1807-062701)
3・1・7・3 技術開発

3・1・7・3・1 電 磁 砲

 中国海軍がType 072Ⅲ揚陸艦海洋山に、次世代駆逐艦Type 055に装備する電磁砲 の試作品を装備した画像がネット上に流れた。 (1802-013105)

 中国海軍が7,000tのType 072Ⅲ LSTに電磁砲を搭載した画像が公開されたことから、近く洋上試験が行われる。
 中国艦が電磁砲の試験にType 909試験艦ではなくLSTを選定したのはType 909の供給可能な電力では電磁砲には不足するため、艦内に電源装置を搭載するに十分な余裕のあるLSTを選定したと見られる。 その証拠に揚陸用の前方扉は溶接でふさがれている。 (1803-020105)

 中国のウェブ上にType 072Ⅲ LSTの艦首部に電磁砲 (EMG) の旋回砲塔を搭載した画像が流れた。 EMGの洋上試験が行われると見られる。
 中国は艦載武器やレーダなどの試験艦として6,000tのType 909/Aを少なくとも2隻保有しているが、今回EMGの試験にLSTを使うのはType 909/Aでは電力供給能力が不十分EMG砲塔後方の甲板上に見られるISOコンテナには発電機や蓄電池を収納していると見られる。 (1804-020703)

 電磁式発射機 (EML) の開発競争で3月7日に中国がポールポジションを取った。 中国はEMLによる宇宙への発射装置を開発しているほか、射程200~600kmのEMGと、射程10~200kmの自衛用EMG、更に射程10kmのレーザ砲を装備した"万能艦"を計画しているほか、ERL式の対潜魚雷発射装置や長距離CM、射程600~1,000kmのBM発射装置も検討している。 (1805-031208)

3・1・7・3・2 レーザ砲

LW-30 30kWレーザ兵器

 中国CASIC社が殊海で11月6~11日に行われている航空展に車載型レーザ兵器LW-30を出品した。
 LW-30は6×6車搭載の30kWレーザ兵器で操作は遠隔で行われ、航空機やPGM対処を目的としている。
 同社によるとLW-30は、UAV、PGMの光学系、各種航空機、誘導武器を目標にしている。 (1812-110905)

3・1・7・3・3 小型偵察衛星群

 China Military Onlineサイトが2017年12月14日、中国が海南省で南シナ海全域を監視する「海南衛星群」計画を公式に開始したと報じた。
 海南衛星群は海南 No.1光学衛星6基、三矢 No.1多スペクトラム衛星2基、三沙No.1 SAR 衛星2基で構成されるという。 (1803-011005)

 中国の2社が2022年までに合わせて700基以上の高精細度のマイクロ/ナノ軍民両用衛星を打ち上げる。
 CASC社は2030年までに、重量450kg、寸法1.1m×1.19mで、19km×4.5kmを白黒画像で解像度0.75m、多スペクトラ ムで4mの解像度を持つ吉林-1衛星を138基打ち上げる。
 一方北京の銀河社は2022年までに銀河-1衛星を160基づつを4グループ、合わせて650基を打ち上げる。 (1803-011504)

3・1・7・3・4 超高速飛翔体

超高速飛翔体の試験の状況

 中国国営TVのCCTV-7が9月21日、1週間前に酒泉衛星打ち上げセンタで超高速飛翔体の大気圏試験を実施したと報じた。
 試験では形状が異なる3種類の供試体が気球でつり上げられたのち切り離され、音速を超える速度で自由落下した。 供試体はそれぞれ全長2m、翼端長1.5mで、それぞれDS18-1S、DS18-2S、DS18-3Sと名付けられていた。
 中国はDF-ZF (WU-14) HGVの開発を進めており、今までに少なくとも7回の試験を行っており、2017年11月にはDF-17 BMを使った飛翔試験を2回実施している。
 更に8月上旬にはXing Kong-2(星空-2)が高度30kmをMach 6で400秒以上飛翔している。
 中国はMach 5~9を出せる世界最大の超高速風洞JF-12を建設し、2014年3月から活用している。 (1812-101005)

DZ-ZF (WU-14)

 中国が2014年1月以来超高速滑空体 (HGV) であるDZ-ZF (WU-14) の試験を少なくとも7回行っていることから米国防総省はHGVに強い懸念を示している。 (1803-021405)

超高速飛翔試験用風洞の建設

 中国国営の新華社通信と環球時報が、Mach 10~25の超高速飛翔を試験するため風洞を建設していると報じた。
 CCTVによると、この風洞は供試品位置で胴径が2.5~3.0mあり、2010年に使用可能になると言う。 (1804-032003)

 新華社通信とGlobal Times紙が、CCTVが放映した科学技術大学高温ガスダイナミック研究所の技術者とのインタビューを引用して、2020年までにMach 10~25を模擬できる高速風洞を建設中と報じた。
 現在中国にある高速風洞はMach 5~9を模擬するものである。 (1805-032810)

活発な超高速飛翔体の飛翔試験

 米国防総省で新たに就任した研究開発担当のグリフィン次官が3月6日、米国にとって技術開発の最優先課題は超高速飛翔体技術であると考えを示した。
 中国はこの種飛翔体の飛翔試験を米国の20倍も実施しているという。 (1805-031401)

星空-2 超高速 Waverider

 中国航天科技集団公司の研究機関が8月3日、中国が超高速飛翔体の飛行試験に成功したと発表した。 この種兵器の試験に関して公表されたのは初めてである。
 発表によると、星空-2と名付けられた飛翔体は、予定の高度まで打ち上げられた後、高度30kmをMach 5.5~6で6分以上飛行したという。
 米メディアによると、2014年1月に中国上空で同種兵器の実験が行われたのを米軍が探知し、その際の速度はMach 10に達したとされる。 (1809-080502)

 中国航天科技集団傘下の空気動力技術研究院が8月3日、超高速飛翔体星空-2の飛行試験に成功した。 中国で初めてWaverider方式の飛行を実現したという。
 Waveriderとは超音速飛行時に発生する衝撃波によって圧縮された空気により揚力を得る飛行方式で、これまでに飛行の成功が確認されている機体には米国のX-51がある。
 星空-2はロケットに搭載され、3日06:41に中国北西部から打ち上げられ、打ち上げ10分後には切り離された星空-2が自ら飛行を始め、高度30kmをMach 5.5~6で400秒以上飛行したのち予定の場所に落下した。 (1809-080503)

 中国国営CASCの高技術研究開発部門であるCAAAが8月3日、超高速WaveriderであるXing Kong-2(星空-2)の初飛行に成功したと発表した。 星空-2は固体ロケットで10分間加速されたのちに切り離され、高度30kmを400秒にわたりMach 6で飛行した。
 中国が開発してきた超高速飛翔体は主としてHGV方式で、米国がかつてDF-17に搭載したWU-14と呼んできたDF-ZF HGVがその典型である。 (1810-081501)

爆破会社が超音速 CM を開発

 鉱山やトンネル建設工事での爆破作業を手掛けてきた広州市の宏大爆破社が15日、開発してきた超音速CMが飛行試験に成功して終了したと発表した。 同社が開発中の超音速CMはHD-1と呼ばれ、同社は試験で発射装置、ミサイルの推進装置、飛行制御装置の検証を行い、発射や飛行モードの変更など、定められていた各項目が基準を満たし実験は成功したという。  HD-1は固体燃料方式で、長年にわたり爆破業務を手掛けてきた同社が固体燃料を手掛けるのは整合性があると言える。 (1811-101703)

 広東省の轟達爆破社が10月15日、輸出用に開発しているHD-1超音速CMの飛行試験に成功したと発表した。
 固体燃料ラムジェット推進のHD-1はまだ実験段階で、開発完了時期は明らかでないが、Global Timesによるとパキスタンと中東の某国が関心を示しているという。
 特にパキスタンはインドのPJ-10 BrahMosシリーズ超音速CMへの対抗として見ている。 (1812-102407)

3・1・7・3・5 緻密に統率された USV 群

 広東省の珠海雲洲智能科技有限公司が5月下旬に南シナ海に面する珠海市沖でUSVの試験を実施した。
 上空から撮影された映像では56隻のUSVが魚群のように航行し急転回したり大型船を回避したりするなどの機敏さをみせたほか、「軍民」の文字や空母の形を描くなど緻密に統率された動きを誇示した。
 人民日報系の環球時報によると、同社は軍と共同でAI技術を利用して海上戦闘や偵察任務を行うUSV「サメの群れ」を開発している。 (1807-061801)
 USVの設計と製造を行っている珠海市のYunzhou社が5月29日に広東省万山群岛で56隻のUSV群を自動で航行させる実験を行った。
 この実験に使われたのは全長1.63m、全幅0.71m、全高0.37mのME40 USVで、14.8Vのリチウムポリマ電池を動力源に3ktで3時間航行できる。 (1808-061302)
3・1・7・3・6 戦闘艦用の全電気推進装置 (FEP) の開発

 Global Timesが7月20日、海軍工科大学の教授が戦闘艦用の全電気推進装置 (FEP) の開発で習主席から表彰されたと報じた。
 Global Timesによると、建造中を含め15隻保有するType 052D駆逐艦は今後FEP推進のType 052Eになるという。 また7月3日に3,4番艦が進水したType 055駆逐艦も改良型ではFEP推進になるという。 (1809-080108)
3・1・7・3・7 太陽光動力源長期滞空型 UAV

Qi Mingxing (Venus)

 中国の航空関係ポータルサイトCAN Newsが7月下旬、AVIC社が太陽光を動力源とする長期滞空型UAV Qi Mingxing (Venus) の開発を進めていると報じた。
 翼端長20m、翼幅1.1m、主翼重量18.9kgの試作機は2017年末に組み立てを開始し7月15日に完成して、初飛行に向け地上での電気、機械系統の試験を行っているという。
 Venus UAVの開発についてはまだ公表されていないが、2016年の航空展で全長21mも翼端長50mで4基の電動モータで推進しするモデルが公開されている。
 このモデルは翼と胴体の上面が太陽電池で覆われ、巡航速度100~120km/h、滞空能力30日以上の性能を持つという。 (1808-072703)

 中国の航空関係ポータルサイトCAN Newsが7月下旬、AVIC社が太陽光を動力源とする長期滞空型UAV Qi Mingxing (Venus) の開発を進めていると報じた。
 翼端長20m、翼幅1.1m、主翼重量18.9kgの試作機は2017年末に組み立てを開始し7月15日に完成し、初飛行に向け地上での電気、機械系統の試験を行っているという。
 Venusの最終的な姿は公表されていないが、2016年の中国航空展では翼端長50m、全長21mのモデルが公表されていた。 (1809-080107)

 中国AVIC社が10月26日、翼端長20mの太陽光発電式技術検証UAVのQi Mingxing (Venus) が初飛行したと発表した。 初飛行の場所と時期は明らかにされていないが高度20,000mを巡航し、引き続き開発する実用機に向けたデータを収集したという。
 AVIC社は2016年に10mのVenusを試作し2年間の試験を行い、2018年9月には5時間の飛行を達成している。 (1811-102906)

3・1・7・3・8 開発試験設備の建設

世界最大級の遷音速風洞の建設
 AVIC社が9月25日、世界最大級の遷音速風洞FL-62を開発したと発表した。
 FL-62は連続吹き出し式で供試部は2.4m×2.4mあり、Mach 0.3~1.6を模擬できるという。
 施設の広さは17,000㎡、重量6,620tで、80MWの電力を要するという。
 この施設があるのはSu-27/33とJ-11、J-15、J-16などの生産を行っている瀋陽航空機社 (SAC) にあるAVIC社研究所ARIの中という。 (1812-101009)

世界最先端超音速風洞の建設

 中国メディア新浪網が10月15日、米国が2030年の戦力化を計画している最高速度Mach 5、航続時間50時間、戦闘行動半径10,000kmの次世代戦闘機に対抗して中国が次世代戦闘機「火龍」を開発するため、世界最先端の超音速風洞FL-62を建設したと紹介した。 (1811-101603)

3・1・8 軍事産業の振興と武器輸出

3・1・8・1 軍事産業の振興

3・1・8・1・1 軍事企業の再編

 香港のAVIC Internationl Holding社が10月22日、中国国営AVIC社がリストラで同社の造船部門を売却しようとしていると発表した。
 AVIC社の造船部門にはAVIC Internaional Maritime Holding社の基に造船3社があり、海軍艦の建造も行っている。 (1812-103114)
3・1・8・1・2 中国の軍事産業が安全保障上の脅威になるとの米国の認識

 米政府の検討会議が10月5日に "Assessing and Strengthening the Manufacturing and Defense Industrial Base and Supply Chain Resiliency of the United States" と題する報告を行い、中国の軍事産業が今後米国の安全保障上の脅威になると警告した。 (1812-101701)
3・1・8・2 武器輸出

3・1・8・2・1 武器輸出の拡大

シェアの拡大

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) の報告書で、中国の2013〜2017年の武器輸出が2012年までの5年間と比べて38%増となったことが明らかになった。
 報告書によると、2013〜2017年の武器輸出の世界シェアで、中国は米、露、仏、独に次いで世界5位だった。
 一方、武器輸入の世界シェアトップはインドで、世界全体の12%を占めたという。 (1804-031307)

航空機等の輸出拡大

 中国AVIC社が9月17日、2017年における同社の輸出額が、国家全体の24%に当たるCNY96.7B ($14.1B) の記録を達成したと発表した。
 AVIC社は現在、一帯一路 (OBOR) 政策の一環として世界28ヵ国に65箇所の施設を有しているという。 (1811-092609)

 中国国営新華社通信が10月13日、Z-19 Black Whirlwindの輸出仕様であるZ-19Eが量産準備を完了したと報じた。 ただし新華社は輸出先については報じていない。
 開発したAVIC傘下のHAIG社によるとZ-19EはMTOW 4,250kgで、巡航速度、上昇レート、実用上昇限度で特に優れた性能を持つという。 (1811-101505)

 中国国営新華社通信が10月13日、HAIG社製Z-19 Black Whirlwind武装偵察ヘリの輸出仕様機Z-19Eが量産に入ったと報じた。
 Z-19EのMTOWは4,250kgで軽武装が可能である。 (1812-102415)

 北京UAV技術社が殊海航空展で、初めてBZK-005E MALE UAVを海外から受注したことを明らかにした。
 BZK-005EBは中国で陸海空軍が広く採用しているChangying (Long Eagle) とも呼ばれているZK-005の改良型で、全長10.05m、翼端長18m、MTOW 1,500kgで、最高速度210km/h、巡航速度130~180km/h、搭載能力370kg、上昇限度7,500m、滞空能力40時間、航続距離2,000kmの性能を持つ。 (1812-112109)

3・1・8・2・2 東南アジアへの武器輸出

 特記すべき記事なし。
3・1・8・2・3 南アジアへの武器輸出

バングラディッシュへのコルベット艦輸出

 武昌造船所がバングラディッシュから受注したShadhinota級 (Type C13B) コルベット艦の最終となる4番艦を進水させた。
 Type C13Bは中国海軍のType 056を元にした全長11m、全幅4.4m、排水量1,330tのヘリパッドを持つコルベット艦で速力25ktの性能を持ち、76mm主砲、30mm CIWS 2基、FL-3000N SAM 8セル発射機1基、C-802 ASCM 4発を装備する。 (1806-041812)

パキスタンへのフリゲート艦輸出

 パキスタンが中国CSTC社にType 054Aフリゲート艦を2隻追加発注した。 この結果パキスタンは2021年までに4隻のType 054Aを保有することになる。
 全長134m、全幅16m、喫水5m、排水量3,900tのType 054Aは速力27ktで、C-802 ASCM、HHQ-16 SAM、Yu-8ロケットブ ースタ付き魚雷を装備し、HHQ-16とYu-8は32セルあるVLSから発射する。 (1808-061314)

3・1・8・2・4 中東地域への進出

UAE への Wing Loong Ⅱ UAV の輸出

 2017年10月22日に撮影された衛星の画像で、UAEのQusahwirah航空基地にAVIC社製Wing Loong Ⅱ MALE UAVが駐機しているの明らかになった。 新華社通信はWing Loong Ⅱが初飛行する前日の2017年2月28日に、ある国から同機を受注したと報じていた。
 一方2016年10月31日と12月21日の衛星写真ではそれより小型のUAVが確認されていたが、これはWng Loongの原型と見られる。 (1803-013105)

 中国の習主席がアブダビを訪問した7月21日、中国とUAEは軍事生産の協力強化で合意した。 UAEはWing Liing Ⅰ/Ⅱ MALE UAVを購入したと見られている。
(1809-080115)

 DigitalGlobe衛星が8月3日に撮影したエリトリアのAssab空港の画像に、サイズからAVIC社製Wing Loong Ⅱ UAVと見られる機体が写っていた。 このことからUAEは少なくとも1機の同機を保有していると見られる。
 同空港では3月上旬にMirage 2000用の格納庫より大きい26×21mの格納庫2棟が建造されているのが分かっていた。
 新華社は2017年2月28日に、初飛行前のWing Loong Ⅱの輸出が確実になったと報じていた。 またCCTVが8月1日にWing Loong Ⅱが既に100機受注した報じている。 (1810-082202)

エジプトへの Wing Loong UAV の輸出

 エジプトが10月14日に行われた空軍創設45周年記念のビデオで、中国AVIC社製Wing Loong UAVを公表した。
 このビデオでWing Loongは両翼にBlue Arrow 7レーザ誘導ミサイルと見られるミサイルを1発ずつ搭載していた。 (1811-101913)

ヨルダンへの CH-4B 武装 UAV の輸出

 アンマンで5月9日~10日に開かれたSOFEX展でヨルダン空軍が中国から購入したCH-4B武装UAVを展示した。
 CH-4B は2016年4月に中国から購入したもので、Al-Zarqa市近郊のSahl Nsab航空基地に配備されている。 また同国はCH-4Bに搭載するAR-1レーザ誘導ミサイルとFT-9誘導爆弾も購入している。
 更にヨルダンのCH-4Bには衛星通信装置が搭載されているため、その戦闘行動半径が250kmから2,000kmへと延伸しているという。 (1807-051605>)

クウェートへの PLZ-45 155mm/45口径 SPH の輸出

 クウェートも7月上旬に中国と軍事生産の協力強化の合意を行っている。
 合意内容は明らかにされていないが、クウェートはNORINCO社製PLZ-45 155mm/45口径 SPHを購入している。 (1809-080115)

3・1・8・2・5 アフリカ諸国への進出

モロッコへの Sky Dragon 50 SAM の輸出

 Hespress.comが取材源を明らかにせずに、モロッコがNORINCO社からSky Dragon 50 SAMの引き渡しを受けたと報じた。
 Sky Dragon 50については2016年にNORINCO社がインドネシアと商談を進めていると発表したが、まだ輸出の実績はない 。
 Sky Dragon 50システムは最大射程50km、最大射高20,000mのARHミサイルと、火力配当装置1基、目標捕捉距離130kmのIBIS150レーダまたは150kmのIBIS200レーダ1基と発射機6基で構成される。 (1804-020709)

3・1・8・2・6 ロシアへ空母輸出?

 米National Interestが4月27日、ロシアの空母Admiral Kuznetsovは大規模な修理が必要な時期になっており、あとどれだけ使用できるか分からないと指摘した。 しかしながらロシアの財政や技術を考えると独自建造は難しいとしている。 そこで、中国から空母を購入する可能性が十分にあると分析している。
 中国の造船業はこの10年で急速の進歩を遂げており、大型の艦艇の建造経験があるほか、最新の国産空母はわずか5年で完成したと紹介し、ロシアは冷戦後に大型艦を建造していないと指摘している。 (1806-050101)
3・2 北朝鮮

3・2・1 核大国願望

3・2・1・1 核保有国を強調

 北朝鮮の金正恩委員長が新年の声明で、北朝鮮は既に米国に対して核兵器を使用できる能力を有しており、2018年に核兵器とBMの量産に入ると述べた。 (1803-011001)
3・2・1・2 核 開 発

 ウッド米軍縮大使が2月6日に国連主催の軍縮関連の会議で、北朝鮮はあと数ヵ月で核弾頭搭載BMで米国攻撃が可能になるとの見方を示し、同国の核兵器開発プログラムを止めるべきだと述べた。 (1803-020602)
3・2・1・3 ウラン濃縮活動を継続

 米Diplomat誌が7月13日、北朝鮮が国際社会の目を逃れてウラン濃縮活動を継続していると指摘されているカンソンと呼ばれる秘密施設の所在について、平壌から数kmの千里馬であると突き止めたと報じた。 米情報機関も同誌の分析を事実と確認したとしている。
 分析によると、北朝鮮は核拡散防止条約 (NPT) からの脱退を表明した2002年にウラン濃縮施設の建設を開始し2003年初頭から稼働させていた。 施設のうちウラン濃縮を行っているとみられる建物は壁で囲まれており、重要警備区域であることを示しているという。
 この1年間の衛星写真を分析したところ、問題の建物では冬季でも屋根に雪が積もっておらず、濃縮作業などで屋根が熱を帯びている可能性があるとしている。 (1808-071702)
3・2・2 核/BM の増強

3・2・2・1 核兵器の増強

3・2・2・1・1 米朝首脳会談前

 北朝鮮が火星-15を発射した2017年11月29日から2週間後の12月13日にKCNAを通じて、今後核兵器の質と数を増強するとした計画を発表した。 (1802-122005)
3・2・2・1・2 米朝首脳会談後

 米NBC TVが6月29日、米情報機関内で北朝鮮が本気で非核化する気があるか疑義が浮上していると報じた。
 米政府当局者は「北朝鮮が米国をだまそうとしている明白な証拠がある」と指摘したが、具体的な内容は示していない。 情報機関は、北朝鮮が秘密の核関連施設を明かさないまま米側から譲歩を引き出そうとする可能性があると警戒している。
 米政府当局者は、北朝鮮は核やBMの試験を停止しているものの、ここ数ヵ月間に複数の核関連施設で核兵器用の濃縮ウランも増産しているという。
 38 Northは26日、21日撮影の商業衛星写真に基づき、寧辺の核施設付近でインフラ整備が進み、ウラン濃縮工場も稼働が続いているとの分析を発表した。 (1807-063002)

 在韓米軍の司令官ブルックス陸軍大将が7月21日、コロラド州アスペンで開催された安全保障関連フォーラムに送った映像の基調講演で、北朝鮮による挑発のレベルは米朝首脳会談以前に比べると確かに弱まったと評価した。
 ただその一方で、金委員長は米朝首脳会談などで非核化を約束したがまだ実行しておらず、核弾頭の製造に必要な核物質の生産を続けていると警告した。 (1808-072304)

 米NBCが9月10日、米当局が確保した最新情報では、6月の米朝首脳会談後3ヵ月間で北朝鮮は少なくとも1ヵ所の核弾頭保管施設の入口を隠すための構造物を作り、米国は北朝鮮の労働者が核弾頭を施設に運ぶのを観察してきたと報じた。 (1810-091204)

3・2・2・1・3 核兵器の保有数

 米NBCが9月10日、前職及び現職米高官3人の話として、米国の情報機関は、北朝鮮が2018年に5~8個の新たな核兵器を生産した可能性があると見ていと報じた。 (1810-091204)

 韓国統一部長官が国会で10月1日、北朝鮮の核兵器保有数について情報当局の判断とした上で、少なくとも20個、多ければ60個との認識を示した。 (1811-100103)

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) によると、北朝鮮が現在保有している核弾頭数は10~20発だが、米NBCがシンクタンクのWoodrow Wilson Centerのリトワク上級副所長の分析を引用し、北朝鮮が2020年には100発の核弾頭を保有することになるだろうと報じた。
 北朝鮮は引き続き核分裂物質を生産し北朝鮮全域でミサイル基地を建設しているとし、2020年に保有する核弾頭は英国の保有量のほぼ半分水準に達するという。 (1901-122805)

3・2・2・2 BM の増強

 特記すべき記事なし。
3・2・3 米朝直接対話へ

(「2・6・2・4 米朝首脳会談とその後の動き」で前述)
3・2・4 長距離弾道弾開発

3・2・4・1 ICBM

 特記すべき記事なし。
3・2・4・2 IRBM

 特記すべき記事なし。
3・2・4・3 SLBM

 38 Northが1月16日、1月6日に民間衛星が撮影した画像から、北朝鮮が南浦海軍造船所で2隻目の潜航可能なミサイル試験用艀の作業を続けていると発表した。
 この艀は2017年11月に運び込まれていた。 (1803-012403)
3・2・4・4 MRBM

 DigitalGlobe衛星の画像から北朝鮮がキャニスタ発射型ミサイルの試験場を北平壌件のRikuに建設したのが明らかになった。
 Riku試験場では2017年2月12日に北極星-2 MRBMが発射されている。 (1802-122006)
3・2・5 その他の兵器

3・2・5・1 艦 船

3・2・5・1・1 羅津級フリゲート艦の改修

 2月19日に撮影された衛星写真から、北朝鮮の東海艦隊に所属する羅津 (Najin) 級フリゲート艦の二番艦が、改修のため羅津港に停泊していることが分かった。
 改修では中国製SY-1中距離ASCMの発射機2基がロシア製3M-24のコピーである国産のGeumSeong-2レーダ誘導ASCMの発射機4基に換装されるほか、30mm CIWSも装備される模様である。 (1804-030705)
【註】 羅津級は1973年に一番艦が就役した基準排水量1,200tのフリゲート艦で、100mm砲2門と57mm砲2門を装備している。
3・2・5・1・2 SLBM搭載新型潜水艦の建造

 38 Northが8月16日、SLBM搭載が可能な唯一の潜水艦が停泊している北朝鮮新浦南造船所で低い水準の活動が続いているとみられると報じた。 38 Northは衛星写真の分析結果に基づき、2017年初めてSLBM搭載潜水艦を建造する時と類似した部品と装備の移動が捉えられたとして建造が進められているか、新しい潜水艦の建造のために準備中とみられるとしている。
 衛星写真をみると、船舶停泊所では浚渫作業が行われており、目的は確かでないが土砂を除去して新浦級潜水艦が整備を目的にもう少し潜水できるようにしたり、より大きな船舶が停泊できるようにしたりするためのものかもしれないと推定している。 (1809-081707)
3・2・5・1・3 Romeo級潜水艦の改修

 北朝鮮が唯一保有している外洋型潜水艦で西海艦隊に所属するRomeo級が、2017年11月30日に撮影された民間衛星の画像から近代化改修中であることが明らかになった。 (1805-031403)
3・2・5・2 先端戦術兵器は新型の長射程砲?

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信が11月16日、金委員長が国防科学院の試験場で新たに開発した先端戦術兵器の試験を現地指導したと報じた。 同通信は兵器について、長期間かけて開発されたもので試験も成功したとしたが、兵器の詳細については明らかにしていない。
 金委員長による兵器に関する実験の現地指導は2017年11月29日に新型ICBM火星-15が発射された時以来である。 (1812-111602)

 韓国政府当局者が11月16日、北朝鮮メディアが試験に成功したと報じた先端戦術兵器について、新型の長射程砲と推定していると述べた。
 また、戦術兵器と伝えている点を指摘し、対外的な武力示威ではないという意図があり、挑発とみるのは適切でないとの見方を示した。 (1812-111603)

3・2・6 外国軍事技術利用疑惑

3・2・6・1 技術の導入疑惑

 特記すべき記事なし。
3・2・6・2 技術の盗用疑惑

 北朝鮮が2月8日に行った軍創立70周年記念式典の閲兵式に、9軸TELに搭載された火星-15 4基と共に、ロシアの 9K720 Iskander-Mと酷似したSRBM 6両が登場した。
 このSRBMは4軸車のTELにIskander-Mが発射する9M723/723-1とよく似たミサイルを2発ずつ搭載していた。 (1804-021402)

 韓国国会国防委員会で2月20日、2月8日の北朝鮮建軍節軍事閲兵式で初めて登場した新型SRBMが、韓国が開発した玄武-2と酷似しており、設計技術が北朝鮮に流出したのではないかという説が提起された。
 問題のSRBMは外観形状が玄武-2と類似していることから、韓国内外の専門家の間で北朝鮮による設計図がハッキングされた可能性が指摘されていた。
 一部では、玄武-2の原型となったロシアのIskanderをコピーした可能性もあがっていた。 (1803-022105)

3・2・7 特殊作戦能力

3・2・7・1 サイバ戦

3・2・7・1・1 情報の取得

 特記すべき記事なし。
3・2・7・1・2 外貨の略取

 日本では1月に発生した過去最大規模の仮想通貨盗難事件が起きているが、北朝鮮の対韓サイバ攻撃が仮想通貨取引所に移っている。
 韓国の専門家によると北朝鮮がサイバ攻撃で稼いだ外貨は年間1兆ウォン(1,000億円)と推定しているとし、2017年バングラデシュの銀行からも$81Mを盗んだと述べた。 国際銀行間通信協会ネットのハッキングを通じた北朝鮮の手法が明らかになると、北朝鮮はこのネットから追放された。
 これを受け、北朝鮮の関心は仮想通貨取引所に移る模様で、仮想通貨自体は暗号レベルが高く取引の過程で盗まれる可能性はないが、これを保管している取引所のセキュリティが脆弱だという点を北朝鮮が悪用している。 (1803-020201)

 韓国国家情報院が2月5日、北朝鮮がサイバ攻撃で韓国から数百億ウォン(数十億円)規模の仮想通貨を奪取したと韓国国会に報告した。
 不正アクセスにより顧客の約580億円分の仮想通貨NEMが流出した日本の事件についても、北朝鮮の関与の有無を調べているという。 (1803-020504)

 米サイバーセキュリティ企業FireEye社が、北朝鮮のハッカ集団 "APT38" が2014年以降サイバ攻撃によって世界の金融機関から$100M以上を不正に取得していたとの分析を発表した。 APT38による活動の増加は北朝鮮に対する経済制裁の強化が関係していると見ている。
 FireEyeによると、"APT38 は2014年以降、11ヵ国、16以上の金融機関を攻撃して$1.1B以上の窃盗を試み、そのうち$100Mは窃盗に成功したことが確認できているという。 チリやメキシコ、台湾、ベトナムの金融機関やバングラデシュの中央銀行を標的としたサイバー攻撃でAPT38の関与が確認された。
 APT38は国際銀行間通信協会 (SWIFT) が運営する国際送金システムにマルウェアを埋め込み、標的の銀行から他国の複数の銀行口座へ国際送金を指示するなど、取引履歴を改ざんすることで証拠を隠滅する手口をとる。 (1811-100601)

3・2・7・1・3 インフラ等の攪乱

 Los Angeles Timesなど米有力紙のシステムがサイバ攻撃を受けて配達などができなくなり、国土安全保障省が調査に乗り出した。 この攻撃で12月27日の夜から紙面の情報を印刷工場に送れなくなるといった不具合が出ている。
 米メディアは、今回見つかったマルウエアは北朝鮮のハッカ集団ラザルスが過去に用いたとされるため、今回の攻撃にラザルスが関与した可能性があると報じている。 (1901-123101)
3・2・7・2 生物化学戦

化学兵器製造に使用可能な物資などの輸出

 3月28日までに国連安全保理の北朝鮮制裁委員会専門家パネルの調査で、北朝鮮がシリアに化学兵器の製造に使用可能な物資などを輸出していたことが分かった。
 制裁違反を調べた未公表の専門家パネル報告書では、北朝鮮とシリアの化学兵器の開発に関与する「シリア科学研究調査センタ」との間で、2012~2017年に40件以 上の取引が新たに判明したと指摘している。 北朝鮮からは化学兵器製造施設で使われることがある特殊なタイルなどが運搬されたという。
 両国間の軍事協力で、アサド政権は化学兵器やミサイル技術を、北朝鮮は核やミサイル開発の資金を得た疑いがある。 (1804-030102)

3・2・7・3 EMP 攻撃

 特記すべき記事なし。
3・2・8 対中姿勢

中国は1000年の敵

 RFAが1月6日、「中国は1000年の宿敵!北朝鮮政府が民衆の反中感情を扇動」と題する記事を掲載した。 消息筋によると、北朝鮮政府は民衆の反中感動をあおる宣伝活動を行っている。
 2017年12月に咸鏡北道清津市で行われた朝鮮社会主義女性同盟主催の会議ではある政府高官が、「日本は100年の敵だが、中国は1000年の宿敵だ」と発言したという。 北朝鮮在住の情報提供者は、政府の後押しを受け反中感情は一気に拡大していると伝えている。 (1802-010901)

3・2・9 対米姿勢の変化

米朝首脳会談

 訪米中の韓国大統領府の鄭国家安保室長が3月8日にホワイトハウスで行った会見で、トランプ米大統領と北朝鮮の金委員長が5月までに会談すると発表した。 トランプ大統領は鄭室長との面談で、金委員長と5月までに会談するとの意向を示したという。
 鄭室長によると、金委員長はトランプ大統領と早期に会うことを望んでおり、さらなる核やミサイル実験をしないと明言した。 (1804-030901)

 米ホワイトハウスのサンダース報道官が3月9日、北朝鮮が具体的な行動を示さなければトランプ大統領は北朝鮮の金委員長との会談は行わないと述べた。
 同報道官は記者会見で、北朝鮮が具体的な行動を示し、トランプ大統領が何かを得られない限り、会談は行われないと述べた。 (1804-031001)

3・3 韓 国

3・3・1 国内情勢

3・3・1・1 文政権路線の推進

3・3・1・1・1 対北融和政策

南北首脳会談開催、板門店宣言

 4月27日に開かれた南北首脳会談で、文大統領と金国務委員長が「韓半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」を発表した。
 宣言文によると、南と北は地上と海上、空中をはじめとするあらゆる空間での軍事的緊張と衝突の根源になる相手に対する一切敵対行為を全面中止する。
 このため 、黄海の北方限界線 (NLL) 一帯を平和水域にして軍事的衝突を防止し、双方に提起されている軍事的問題を解決するために軍事当局者会談を頻繁に開催することにし、5月中に将官級会談を行うことにした。 (1805-042701)

 板門店宣言によると、南と北は不可侵合意を再確認し厳格に遵守していく。 このため段階的に軍縮を実現して行き、停戦協定締結65年目を迎える2018年に終戦を宣言して停戦協定を平和協定に転換することにした。
 また、恒久的かつ強固な平和体制の構築に向けた南北米3者または、南北米中4者会談の開催を積極的に推進していくことにした。 (1805-042702)

斬首部隊用の特殊作戦ヘリ計画中止

 北朝鮮指揮部を除去するため韓国が特殊任務旅団(斬首部隊)を平壌など北朝鮮後方に侵入させる特殊作戦用ヘリ10機程度を装備する計画が、4月27日の板門店宣言で軍事的緊張状態を緩和することに合意したことに伴い事実上中止になった。 特殊作戦用ヘリだけでなく韓国軍の主要装備の取得が縮小される可能性まで提起されている。
 特殊作戦用ヘリは、通常のヘリに地形追跡レーダや精密航法装備などを装備して夜昼間全天候飛行を可能にしたほか、空中給油を受けることができるため長距離飛行も可能で、機体を防弾装備によって保護して高い生存性も誇っている。
 ある消息筋は米特殊部隊が使用しているMH-47Gを導入しようとしていたと述べた。 MH-47Gは海外に販売された実績がない。 (1806-050502)

3・3・1・1・2 前政権路線の否定

 李明博政権時に樹立されたUAEに対する軍事力支援計画を、現在の文政権が再検討しよ うとしていたことが分かった。 また、両国間で締結した軍事協力関連のMoUをめぐっても、内部で問題になっていたと言われている。
 軍消息筋は、李明博政権時代に原発を受注した際に、両国間にMoU形式の軍事的合意があったため、韓国合同参謀本部がUAEに対する軍事力支援計画を立てたが、現政権発足後、合同参謀本部の支援計画や了解覚書について、手続き上違法性があると指摘され再検討または修正しようという動きがあったと承知していると語った。 (1802-010102)
3・3・1・1・3 兵力削減、兵役期間の短縮

 韓国政府消息筋が、現在603,000名の兵力を2022年までに500,000名に減らし、陸軍と海兵隊の兵役期間を段階的に現行の21ヵ月から18ヵ月に短縮すると明らかにした。 (1802-012003)

 韓国国防省が1月21日、今後4年間に兵力を125,000名削減して500,000名にすると共に、兵役期間を21ヶ月から18ヶ月に短縮すると発表した。
 2016年末の時点で韓国軍の兵力は625,000名であるのに対し北朝鮮は1,280,000名であるという。 (1803-013104)

 韓国国防部が、国防改革の一環として2022年までに軍の将軍100名を削減する計画を推進していることが3月12日に確認された。 既に伝えられている70~80名とする削減水準を大幅に上回り、430名いる将軍全体の23%を削減することになるという。 削減対象は陸軍で、副軍団長や副師団長のポストなどをなくすなどの措置を検討している。
 軍消息筋によると、有事の際に直ちに戦闘力を発揮できるヒョウのように、肥大化した軍組織を敏捷で強い組織に換骨奪胎させるための強力な処方と強調した。 (1804-031308)

 韓国国防省が7月27日に文大統領に国防改革案を報告し了承された。 それによると現在618,000名の兵力は2022年までに500,000名に削減される。 削減対象は陸軍の118,000名で、将官も現在の436名から76名減らし360名にする。 この対象も9割近くが陸軍である。
 兵役は陸軍と海兵隊で21ヵ月の期間が2021年末までに18ヵ月に、海軍は23ヵ月から20ヵ月、空軍は24月から22ヵ月にそれぞれ短縮する。
 一方、国防関連での軍属の比率を5%から10%に上げて非戦闘分野の職に軍属を充て、この分野の軍人は歩兵や機械化師団などの戦闘部隊に移す。
 女性士官の比率も2022年には昨年の5.5% (10,097名)から8.8% (17,043名)に拡大する。 (1808-072801)

3・3・1・1・4 戦略情報部門の縮小

 韓国国防部が、軍情報部隊の国軍機務司令部を解体して新たに創設する「軍事安保支援司令部」の発足式を9月1日にソウル郊外の果川にある安保支援司令部の庁舎で開く。
 司令官には8月初旬に機務司令官に任命され、機務司令部の解体や軍事安保支援司令部の創設準備に当たっていた南泳臣氏が就く。
 4,200名であった機務司令部の人員は2,900名に減っている。 (1809-083102)
3・3・1・1・5 戦術情報部隊の新設

 韓国陸軍が、2017年12月に予告していたUAV/UGV部隊Dronebot Warriorを2018年10月に発足させ、2019年に編成を完結することを公式に明らかにした。 部隊は大隊規模になると見られる。
 Dronebot Warriorが装備するのはUconsysem社製RemoEye-002BやKAL-ASD社製のKUS-FTなと既に装備しているUAVではなく、NES&TEC社が開発したStriker Droneのような戦術UAVになるという。
 4発VTOL UAVのStriker DroneはMTOW 9kgで2.5kgの搭載能力を持ち、500g爆弾2発を搭載できる。 (1810-091404)
3・3・1・1・6 ストップした国防改革

 韓国国防部が2018年初めに国防改革2.0を決定し、軍の構造改革と同時に北朝鮮の核やミサイルを打撃するKill Chain、韓国型BMDSのKAMD、大量報復という三つの軸を現政権の任期中に完成させる予定だったが、4月の南北首脳会談以降、対北朝鮮政策路線が変化したことから、北朝鮮に対応するシステムが変更されたり、各種兵器開発や導入案が白紙化されたりする可能性も出ている。 (1808-070701)
3・3・1・2 軍備の増強

3・3・1・2・1 世界5位の兵器輸入

 ストックホルムの国際平和研究所 (SIPRI) によると、2012~2016年の国際兵器輸出の規模は$142.2Bで、米国が33.2%と最も多く、ロシア23.3%、中国6.2%で、韓国は1.0%と13位を記録であった。
 韓国は兵器輸入でもかなりの比重を占め、SIPRIによる2007~2016年に世界輸入市場の3.9%を占めて5位となった。
 「2017年防衛産業統計年報」によると、2012年の2兆1,473億ウォンから2015年には5兆9,406億ウォンに増加した。  2014年にはF-35AとHALE UAVの導入などの大型輸入により9兆1,000億ウォンと最高額を記録したが、2016年には8,894億ウォンに減少した。 (1802-012005)
3・3・1・2・2 BMD 態勢の整備

PAC-3 MSE弾の導入

 韓国DAPAが2月7日、PAC-3 MSE弾をFMSで購入することを承認した。 契約額は$53Mであるが購入数量は明らかにされていない。 契約は2018年の上半期に行われ、納入は2020年以降になる。
 韓国は2015年にドイツから中古のPAC-3弾とPAC-2の地上装置をPAC-3用に改造するキットを購入している。 (1803-021905)

 韓国DAPAが2月7日、PAC-3 MSE弾を購入するFMS契約を2018年後半に米政府と行うと発表した。 購入数は明らかにしなかったが、引き渡しは2020年以降になるという。
 DAPAは2014年4月にPAC-2弾の改良を$1.3Bで、同年11月にPAC-3弾136発を$1.4Bで発注している。 (1804-022808)

SM-3 の導入

 韓国軍統合参謀本部が10月12日、SM-3を購入する決定を行ったことを明らかにした。 (1811-101210)

 韓国海軍が10月30日に、新たに建造する駆逐艦でBMD能力の向上を図るためLockheed Martin社に$365.7MでAegis Weapon System Baseline K2を発注した。
 Baseline K2はBaseline 9.C2の韓国型である。 (1812-110906)

Artillery Killer の開発

 韓国軍統合参謀本部が10月12日、Iron Domeをモデルにした独自の防空システムを開発することも明らかにした。
 開発するシステムは "Artillery Killer" と呼ばれる射程120km以上のシステムで、2mの精度を持つという。
 2016年の韓国国防白書によると、北朝鮮は8,600門の牽引/自走砲と5,500両のMRLを保有し、その70%を南北境界線近くに配備しており、前方配備された340門の長距離砲はソウル首都圏に15,000発/時の砲撃が可能という。 (1811-101210)

3・3・1・2・3 火力旅団の新設

 ある韓国軍筋によると、韓国国防部は攻撃的な新作戦計画国防計画2.0を早ければ4月末までに文大統領に報告する予定だという。 計画では火力旅団を新設する共に、既存のミサイル旅団の戦力を大幅に強化する対策を取りまとめたことが分かった。
 現在、米韓両軍は北朝鮮との全面戦争あるいはこれに準ずる有事の際、米韓連合作戦計画5015に基づいて北朝鮮の核やミサイル基地などを先制攻撃するKill Chainと呼ばれる計画をすでに取りまとめているが、その計画通り北朝鮮の核とミサイルを破壊した場合でも、ソウルなど韓国の首都圏は北朝鮮の長射程砲からかなり長い時間にわたり攻撃を受けるという問題点がある。
 韓国軍によると、首都圏を狙った北朝鮮の長射程砲は340門あり、1時間当たり最大で15,000発以上の砲弾が降り注ぐとみられている。 (1804-031902)

 韓国が新開発のSSMを装備する旅団を10月に創設する。 この旅団はDMZ近くに配備された北朝鮮の長距離砲を開戦初期に破壊することを任務とし、この計画は4月に文大統領に提出される "Defense Reform 2.0" 計画に盛り込まれる。
 配備されるのは砲兵殺しの異名を持つ射程120km以上のSSMで、固定式の発射機から4発の斉射が可能で、地下数㍍のバンカーや指揮所を破壊できる。
 対砲兵旅団はこのほかに、射程36km/80km/160kmの130mm/227mm/239mmのMLRを発射するChunmoo MLRSも装備する。
 2016年版国防白書によると、北朝鮮は8,600門の牽引または自走の長距離砲と、5,500両のMRLを保有し、その17%をDMZ近くに配備している。 北朝鮮はソウルに向け340門の長距離砲で、15,000発/分の射撃が可能であるという。 (1804-031905)

3・3・1・2・4 地上情報旅団(ドローンボット戦闘団)の新編

 韓国陸軍消息筋が8月22日、ドローンボット戦闘団が10月1日に第3軍司令部隷下で発足するとし、2019年初めに第1、第3軍司令部が統合された地上作戦司令部が新設されれば傘下の地上情報旅団として改めて編成される方針であると述べた。
 ドローンボット戦闘団は大佐を指揮官に50名規模で始まり、2019年は三桁以上に増員する計画で、現在は創設準備要員が10機のUAVと4両のUGVを装備して習熟訓練を進めているが、2018年度の予算で60~80機を取得する。
 今後は遠距離偵察 UAVと攻撃型自爆UAVを開発しドローンボット戦闘団に装備するという。 (1809-082304)

 韓国陸軍が10月にUAVやUGVを装備する特殊部隊Dronebot Jeontudahを正式に発足させる。 部隊は大隊規模で2019年に完全編成になる。
 装備するUAVはminiUAVからTUAVまでで、例えばMTOW 9kg、搭載能力2.5kgの4ロータ式Striker Droneなどになる。 (1811-091905)

3・3・1・2・5 装備調達刷新計画

 韓国DAPAが8月2日、装備調達刷新計画 (Defense Business Innovation Plan) を発表した。
 その5日前に国防省は兵力削減と部隊の近代化を盛り込んだDefense Reform 2.0を発表しており、DAPAの計画はこの軍近代化計画を支える計画になっている。 (1810-081507)
3・3・2 国防予算

3・3・1・1 2018年度国防費

 韓国の2018年度国防費はKRW43.7T ($40B)でGDPの2.6%にあたる。 (1802-122505)

 韓国政府消息筋が、戦時作戦統制権(戦作権)移転が速くなるとしたうえで、国防部が戦作権早期移転のために国防予算のうち防衛力改善費の比率を2018年の31%から2019年は33%、2023年には37%に引き上げる計画であることを明らかにした。 (1802-012003)

3・3・2・2 2019年度国防費

 韓国の文政権が8月28日、近く国会に提出する今年度比べ9.7%増となるKRW47.05T(47兆2,000億円)の2019年度(2019年1~12月)予算案を閣議決定した。 このうち国防予算にはKRW4.67Tを充て、今年度比8.2%増と2008年度以来の高い伸び率となった。
 国防予算は2010~2017年度の平均増加率4.4%と比べ2倍近い大幅な伸びで、特に「三軸体系」と呼ぶ北朝鮮の核や大量破壊兵器に対応するための防衛システムの構築にKRW578.5Bを割いた。 (1809-082804)
【註】 8.2%増が続けば9年で2倍を超える。 これに対し次期中期防の初年度となる平成31年度の防衛予算は、防衛省の概算要求段階で前年度比2.07%増で、年末に決定する政府案では2%増を割ると見られている。
 このままのペースで行けば2年後の2021年度には韓国の国防費が日本の防衛費を上回ることになる。

 韓国国防省が8月28日、2019年度予算案が前年度比8.2%増のKRW4.67T(4兆7,000億円)に上ったと発表した。
 伸び幅は2009年度以降最大で、日本の防衛省の平成31年度予算概算要求が5兆1,911億円であることから、この額に急速に近づきつつある。 (1809-082805)

 韓国国防省が8月28日、2019年度国防予算に前年度比8.2%増のKRW46.7T ($42B) を要求すると発表した。 この増加率は2010~2017年間の平均増加率4.4%の二倍に上る。
 また同時に財務省が2019年度要求の詳細と2018~2022年の国防予算計画を公表した。 それによる残り3年の予算の見積もりは以下の通りでで平均増加率は6.6%になる。 (1810-090506)

・2020: KRW49.9T
・2021: KRW52.8T
・2022: KRW55.5T
3・3・3 装備品の開発、装備

3・3・3・1 航空機

3・3・3・1・1 KFX

開発の進捗状況

 KF-Xの事前設計審査 (PDR) は6月28~29日に行われ、2019年9月に最終設計審査 (CDR) が計画されている。
 試作初号機は2021年6月にロールアウトし、その1年後の2022年6月に初飛行する計画である。
 C103案が採用されたKF-Xは自重10.9t、MTOWが24tになる (1809-071602)

インドネシアの共同開発再検討

 インドネシアが財政上の理由から韓国とのKF-X共同開発から撤退しそうな情勢にある。 もし撤退しなくても、役割は縮小されることになる。 (1803-012906)

 インドネシアがDSA2018で、韓国と進めているKFX/IFX計画から撤退することを明らかにした。
 撤退は財政上の理由やインドネシアにとっての技術戦略上の利益などであるが、インドネシアの国防当局者は最大の理由は経済的なものではなく技術的な利益や地政学上の問題であると述べている。 (1806-042506)

 インドネシア国防相報道官が5月1日、KFX/IFX開発について韓国に対し再交渉を求めていることを公式に認めた。 また関連技術の移転について米政府が輸出規制をしている事にも憂慮を示した。
 KFX/IFXの共同開発は2015年に両国で合意し、$8Bと見積もられる開発費については、韓国政府が60%、インドネシアが20%、KAI社が20%負担することになっていた。 (1807-050905)

 韓国と次世代戦闘機 (KF-X) の共同開発を進めてきたインドネシアが、新興国の金融不安などによる財政的負担を理由に再交渉に乗り出すことを決めた。 インドネシアは韓国のKF-X開発費8兆5,000億ウォン(8,500億円)のうち20%に当たる1兆7,000億ウォン(1,700億円)を負担することになっており、2026年までの開発計画に支障が懸念される。
 KF-Xの開発が遅れれば、開発にあたっているKAI社などの防衛産業への打撃はもちろん、F-4、F-5など古い戦闘機の退役に伴う戦力の空白もあり得る。 (1811-102202)
【註】 インドネシアのK-FX計画からの撤退は4月に「撤退」を表明した (1806-042506) のち5月に「再交渉」を求めている (1807-050905) と報じられていた。

 インドネシアの政治法務治安担当調整省が10月19日、現下の経済情勢から韓国と共同で進めているKFX/IFX計画について見直す必要があるとの見解を明らかにした。 (1812-103113)

レーダの開発

 Saab社が2017年12月、韓国KFX搭載AESAレーダの開発支援契約をSEK125M ($15.2M) で受注したと発表した。 同社は韓国のLIG Nex1社と共同する。
 韓国DAPAは2017年5月にAESAレーダ開発についてKRW40BB ($37.6M) でElta社と主契約社であるHanwha社に対する支援契約を結んでいる。 (1804-020002)

 韓国DAPAがKFXに搭載するAESAレーダの開発を国内で実施することに決めた。 開発をを担当するのはHanwha社で契約額はKRW360B ($334M) になる。
 DAPAは2020年までに試作を完了し、2022年にKFXに搭載する計画である。 (1807-060104)

英国企業の参入

 英Meggitt社が9月10日、韓国のKFX開発でエンジンの振動モニタ装置を受注したと発表した。 (1811-091914)

3・3・3・1・2 T-50、T/A-50、FA-50

 タイが韓国に12機発注T-50THの一次生産分4機の内の最初の 2機がバンコクに向けソウルを出発した。 KAI社に発注されたのは二次生産分の8機を含め12機であるがタイ空軍は16機のT-50TH を要求しており、最終的には18機になると見られる。
 T-50シリーズはこのほか既に12機のFA-50がフィリピンへ納入され、16機のT-50もインドネシアに納入されている。 更にイラクからは24機発注されたFA-50のうち6機が引き渡し中である。 (1802-010805)
3・3・3・1・3 ヘリコプタ

MUH-1 Marion

 韓国海兵隊がKAI社製KUH-1の海兵隊型MUH-1 2機を受領した。
 MUH-1は兵員9名が搭乗でき、3時間以上の滞空能力を持つという。 (1803-011709)

 韓国海兵隊の上陸機動ヘリMarionが7月17日に墜落し5人が死亡し1人が重傷を負った。
 MarionはKAI社が2012年に開発を完了したSurionを上陸機動ヘリに改造したもので、2013年に開発を開始し2015年1月に初飛行、2016年1月に開発を完了していた。 (1808-071801)

3・3・3・2 艦 船

3・3・3・2・1 潜水艦

3,000t級潜水艦(KSS-Ⅲ Batch 1)一番艦の進水

 韓国政府関係者が8月20日、3,000t級潜水艦一番艦の進水式が巨済にある大宇造船海洋の造船所で9月に行われることを明らかにした。
 2020~23年の第1期に配備される3,000t級潜水艦3隻にはBMの垂直発射管6門が設置され、射程50kmの玄武-2Bが搭載される。
 2025年以降の第2期に配備される3隻に垂直発射管10門が設置される。 (1809-082004)

 朝鮮日報が8月21日、7月17日に公式サイトで公開していた29日に実施する予定の3,000t級潜水艦初号艦の進水式を、公開から数時間のうちに情報は削除され、韓国政府は進水式を9月12日に行うことを再決定するも、再び計画が変更され、具体的な進水式の日程が出ていない状況だという。
 関係者は現状では9月中旬以降に行われる可能性が高いとしており、9月9日の北朝鮮建国70周年記念日、さらにその後平壌で開かれる予定の南北首脳会談を配慮した日程変更との見方が出ている。 しかし当局者はあくまで大統領の日程上の問題とコメントしている。 (1809-082401)

 韓国が初めて独自設計した3,000t級潜水艦島山安昌浩の進水式が9月14日午後に南部の巨済にある大宇造船海洋の造船所で行われた。 島山安昌浩は全長83.3m、全幅9.6m、速力は20ktで、試験を経て2020年12月に海軍に引き渡され、2022年1月に就役する。
 島山安昌浩はKSS-Ⅲ Batch 1とも呼ばれ、韓国では1,200tのKSS-Ⅰ 9隻、KSS-Ⅱ 9隻など18隻が建造された。 KSS-Ⅲには3つのBatchで各3隻が建造される。 島山安昌浩は、BMやCMを発射する垂直発射管6本を装備しており、射程500km以上の玄武-2Bの搭載を検討している。 (1810-091401)

 韓国DSME社が9月14日、3,000t級潜水艦KSS-Ⅲを進水させた。 9隻の建造が計画されているKSS-Ⅲの一番艦島山安昌浩は2020年末に就役する。
 KSS-Ⅲは全長83.3m、全幅9.6mで速力20kt、航続距離10,000nmの性能を持ち、射程1,500kmのCheon Ryong LACMを発射する6セルのVLSを装備している。 (1811-092605)

KSS-Ⅲ Batch 2 の基本設計完了

 韓国防衛事業庁 (DAPA) が12月26日、9月に進水した初の3,000t級潜水艦島山安昌浩(KSS-Ⅲ Batch 1)よりも高性能な次期3,000t級潜水艦 (KSS-Ⅲ Batch 2) の基本設計を完了したと発表した。 2019年後半に建造に入る。
 KSS-Ⅲ Batch 2の国産化率は80%で、Batch 1の76%を上回る。 (1901-122601)

リチウムイオン電池の搭載

 韓国DAPAが、2020年代中頃に進水する次世代潜水艦KSS-Ⅲに搭載するリチウムイオン電池を開発したことを明らかにした。
 この電池を採用することで潜水艦の戦闘可能時間は従来の鉛蓄電池の二倍に伸びるという。 (1812-111605)
【註】 KSS-ⅢはBatch 1の一番艦が9月に進水しており、Batch 1最後の三番艦も2017年6月に進水し、Batch 1全3隻は2020~2024年に完了すると言うことから、リチウムイオン電池搭載艦は続くBatch 2の3隻とBatch 3の3隻になると見られる。

5,000t級原潜

 複数の韓国海軍筋が、韓国海軍がフランスのBarracuda級5,300t原潜をモデルにした5,000t級原潜の建造を検討していることを明らかにした。 (1804-032802)

 米シラキュース大のフレンチ政治学博士が海軍と韓国海洋戦略研究所、韓国海路研究会が共同で開催した第18回艦上討論会で6月8日に発表する「韓国の原子力潜水艦確保のための挑戦と課題」と題する論文で、韓国が進めている原子力潜水艦保有計画が米韓同盟に新たな緊張と挑戦になるという指摘している。
 フレンチ博士はスタインバーグ元米国務副長官 (2009~2011年) の政策研究補佐官を務めた経歴がある。 2017年9月には外交安保専門誌National Interestに「韓国は原子力潜水艦を建造しなければならないのか」と題して寄稿していることから、今回の討論会に招請された。 (1807-060802)

3・3・3・2・2 水上戦闘艦艇

40,000tの中型空母

 韓国が排水量30,000~40,000tの大型揚陸艦(LPH)の建造を進め、この艦にF-35Bの搭載も検討している。 40,000tの揚陸艦となると中型空母になる。
 韓国海軍が現在保有している19,000tの独島馬羅島では、排気熱で飛行甲板が溶けてしまい、機体の重量にも耐えられないためF3-5Bの離着艦はできないためF-35Bを搭載するためには飛行甲板やエレベータなどを補強しなければならないが、このための改造費は建造費なみにかかるという。 (1809-081801)

駆逐艦

フリゲート艦

 韓国海軍が6日、次期フリゲート艦 (FFX-Ⅱ) 1隻目となる大邱の就役式を行った。
 大邱は韓国海軍の戦闘艦で初めて推進に電動機とガスタービンエンジンを結合した推進システム(COGLAG)を採用しているが、製造過程で漏水などさまざまな欠陥が見つかっていた。 (1804-030701)

 韓国DSME社が11月14日、更に2隻のFFX-Ⅱフリゲート艦をKRW 631.5B ($558M) で受注したと発表した。 FFX-Ⅱの一番艦は2月1日に引き渡されている。
 CODLOG推進のFFX-Ⅱは全長122m、全幅14m、基準排水量2,800t、満載時排水量3,650t、速力30ktで、Mk 45 Mod 4 127mm砲とPhalanx 20mm CIWS 1基を装備している。 (1812-111403)

 韓国DSME社が11月14日、FFX-Ⅱフリゲート艦2隻を追加受注したことを明らかにした。 この2隻はFFX-Ⅱの5番艦と6番艦で2022年までに就役する。
 FFX-Ⅱは6隻保有するFFX-Ⅰを大型化した基準排水量2,800t、満載排水量3,650t、速力30ktのフリゲート艦でMk 45 Mod 4 127mm主砲のほかPhalanx 20mm CIWS 1基を装備している。 (1901-112111)

高 速 艇

 韓国海軍の18番目にして最終となる犬鷲級 (Gumdoksuri class) 高速艇 (PKG-A) が1月11日に就役した。
 PKG-Aは全長63m、排水量579tで、SSM-700K海星 (Haeseong) 対艦ミサイルのほか76mm砲、40mm砲各1門を装備している。 (1802-012502)

3・3・3・2・3 水上補助艦

潜水艦救難艦

 韓国DAPAが2017年12月15日、排水量5,200tの潜水艦救難艦ASR-Ⅱの開発計画を公表した。 計画は2015年末からDSME社と進められており、2022年には完成するという。
 韓国海軍は現在、1996年11月に就役した全長103m、排水量4,300tのASRを保有しているが波高2m以下でしか使用できないのに対し、ASR-Ⅱは水深500m、波高4mまで使用可能という。 (1802-010314)

揚陸艦 (LPH)

 韓国海軍は2005年に独島級大型輸送艦の一番艦独島を、5月14日には二番艦馬羅島をそれぞれ進水させたが、三番艦白翎島(仮称)の建造計画が近く始まる。
 独島級大型輸送艦は排水量14,500t、全長199m、幅31mであるが、関係者によると三番艦にはF-35B母艦としての能力を追加することも検討しており、甲板を従来よりさらに厚くて強度が高い鉄板で補強し、戦闘機を別に格納できる二重構造の甲板を採択する可能性があるという。
 これにより白翎島は30,000t級になるという。 (1806-052803)

 韓国HHIC社が5月14日、独島級の二番艦となるヘリコプタ揚陸艦 (LPH) 馬羅島を進水させた。
 全長199mの独島級LPHは速力23ktで、UH-60 10機と兵員700名、MBTを含む戦闘車両10両、LCAC 2隻を搭載することができる。 (1807-052310)

 韓国聯合ニュースが8月17日、韓国海軍が5月14日に進水し2020年の就役を目指す独島級LPHの二番艦馬羅島にF-35Bを搭載する方針で、12月中旬を目処に検討を進めていると報じた。
 聯合ニュースによると韓国はF-4やF-5の退役に合わせてF-35Bを導入すると言う。 (1810-082909)

揚陸艦 (LST)

 韓国海軍が4隻の建造を計画している天王峰級揚陸艦 (LST-2) の三番艦日出峰が4月2日に韓国海軍へ引き渡された。 一番艦の天王峰は2014年11月に就役している。
 LST-2は全長126.9m、全幅19.4m、喫水5.4m、基準排水量4,900t、速力23ktで、完全武装兵300名とAAV 8両を搭載でき、UH-60Aなどのヘリ2機が離着艦出来る飛行甲板を有する。 (1805-040304)

 韓国海軍が4月2日、4隻建造を計画しているLST-2級揚陸艦の三番艦を受領した。
 LST-2級は全長126.9m、全幅19.4m、喫水5.4mである。 (1806-041110)

 韓国のLST-2揚陸艦で四番艦にして最終艦が11月21日にHHI社からDAPAに引き渡された。 就役は1Q/2019年に予定されている。
 基準排水量4,900tのLST-2は全長127m、全幅19.4m、喫水5.4mで、速力23kt、12kt航行時の航続距離8,000nmの性能を持ち、完全武装兵300名、戦車2両、水陸両用戦闘車8両、ヘリ2機を搭載できる。 (1901-112806)

3・3・3・3 ミサイル

3・3・3・3・1 SAM

艦載短距離 SAM 海弓

 韓国DAPAが12月24日、艦載SAM海弓を独自開発したと発表した。 海弓は垂直発射方式で射程は20km、来年に量産を始め、2021年から護衛艦や揚陸艦に順次配備される。
 海弓はRAM代替として2011年から開発が進められてきたもので、外国の同種の兵器と比べても劣らない性能を持たせた。 (1901-122404)

3・3・3・3・2 韓国産の SLV

 10月25日に予定されていたヌリ号のロケット発射試験日程が機体から異常が見つかったため延期になった。
 三段式ロケットのヌリ号のエンジンと燃料を含めた発射重量は52.1tで打ち上げ63秒後に音速を突破し、164秒後に上空100kmに到達する。 (1811-101801)

 羅老宇宙センターロケット組み立て棟で、韓国航空宇宙研究院の研究員が10月末に打ち上げられる全長25.3mの試験ロケットの下段部位の異質物を慎重に刃物で削り取っていた。
 試験ロケットを推進する75tのエンジンには燃料のケロシンが11t、液体酸素が燃料の倍の23tほど入る。 (1810-090701)

 純韓国国産ロケット「ヌリ号」の75tエンジンの試験ロケットが11月28日16:00に、全羅南道高興郡外羅老島の羅老宇宙センタから打ち上げられた。
 2013年1月30日に発射に成功した羅老号以降、韓国国内から宇宙ロケットが打ち上げられるのは5年10ヵ月ぶりで、28日に発射された試験ロケットはヌリ号に使われる75t液体燃料エンジン1基に同重量の疑似負荷が付いている。 (1812-112803)

3・3・3・4 UAV

KUS-FS MALE UAV

 韓国が開発中のKUS-FS MALE UAVが2018年後半に開発を完了する見通しである。
 3月17日に画像が公開されたKUS-FSは2012年に初飛行したかつてMUAVと呼ばれていた全長11m、翼端長25mのMQ-9 Reaper級MALE UAVで、巡航速度 169kt、航続距離1,852km、滞空能力32時間、実用上昇限度50,000ftの性能を持つ。 (1804-032101)

輸送用 UAV

 韓国国防部が8月8日、新たな国防改革案「国防改革2.0」の一環として輸送用のUAVを2024年から導入する方針を示した。
 今年下半期から運用要求に近い試作機10機を順次導入して2023年まで実証評価を行い、配備可能と判断すれば 2024年から陸軍の全般前哨 (GOP) 師団や空軍の防空管制部隊、海軍と海兵隊の島嶼部隊などに食糧や医薬品、弾薬といった軍需品を供給する際に活用する。 (1809-080801)

Striker Drone 4ロータ UAV

 Dronebot Warriorが装備すると見られるNES&TEC社が開発したStriker Drone戦術UAVは4発VTOL UAVで、MTOW 9kgで2.5kgの搭載能力を持ち、500g爆弾2発を搭載できる。 (1810-091404)

3・3・3・5 ヌリ SLV

3・3・3・6 その他

3・3・3・6・1 その他装備の開発

歩兵用システム装具 Warrior Platform

 Warrior Platformを着用したUAE派遣アーク部隊第14次特殊戦チームが25日、仁川市の平和 支援団で建物内部の掃討作戦を公開した。  この日、韓国陸軍が初めて公開したWarrior Platformは、活動性が強化された防弾チョッキと14kgの荷重を耐えること ができるラガーベルト、夜間透視鏡と夜昼照準鏡など18種類の検証された装備で構成されている。
 韓国軍は今年下半期からWarrior Platformを段階的に拡大普及させる。 (1807-062601)

K2 Black Panther MBT

 韓国のHyundai Rotem社がDX Korea 2018展にK2 Black Panther 56t MBTを出展した。 同社は中東への輸出を見込んでおり、出展されたK2 MBTには砂漠色の迷彩が施されていた。 また2018年初期には公開されていない場所で機動及び射撃の試験を実施している。
 韓国軍は旧式化したM-48 MBT及びK1 MBTの代替えとして600両の調達を検討している。 (1811-091906)

K806 16t 6×6 / K808 20t 8×8装輪装甲車

 韓国Hyundai Rotem社が9月10日、4~8月に陸軍が行った試験に通過したK806 16t 6×6装輪装甲車及びK808 20t 8×8装輪装甲車の量産を2018年末に開始することを明らかにした。
 装備数量について韓国陸軍は2016年9月に、K806を100両、K808を500両としていた。 (1811-091909)

CBRN Recon Vehicle Ⅱ

 韓国陸軍が2018 DX Korea展で2017年に配備を開始したCBRN Recon Vehicle Ⅱ新型CBRN偵察システムを公表した。
 このシステムはK200 IFVを基にしたK216 NBCRVの後継で、車体にはK200A1が使われている。 (1812-110002)

3・3・3・6・2 第四次産業革命に向けた国内技術の振興

 韓国通商産業エネルギ省が2月23日の声明で、第四次産業革命に向けた国内技術の振興予算を2017年のKRW134.3B ($125M) から2020年にKRW200Bへと大幅アップすることを明らかにした。
 ここで言う第四次産業革命関連技術とは、電子兵器、UAV、ロボット、3Dプリン、AI、自動化、データ分析などを指す。 (1804-030710)

 韓国DAPAが6月26日、1980年代初期から変わっていない防衛産業の相殺戦略を、輸出と共同開発生産重視に変えた新たな相殺戦略に変更したと発表した。 (1808-070422)

3・3・4 海外装備の導入

3・3・4・1 航空機

3・3・4・1・1 F-35A

 韓国軍が3月28日に米国テキサス州Ft. WorthにあるLockheed Martin社の工場で行われるF-35A 1号機のロールアウト式典が当初の計画よりも規模を縮小して実施されることになった。
 南北首脳会談などを控え、北朝鮮を刺激したくない韓国政府の意向が反映されたようだ。 (1804-031901)

 韓国の購入したF-35A一号機の引き渡し式が3月28日に行われた。 今回の1号機を含め、2018年に生産される6機のF-35Aは米アリゾナ州で韓国軍操縦士と整備士の教育訓練に使用される。
 F-35A 40機は来年上半期から順次韓国に導入され、2021年までに配備される。 (1804-032901)

 韓国が40機発注したF-35Aの一号機が3月28日にFort Worthでロールアウトした。 (1806-040403)

3・3・4・1・2 A330MRTT 空中給油機

 韓国空軍が初めて導入した空中給油機A330MRTTの1号機が11月12日午後に釜山の金海空軍基地に到着した。 空軍関係者によると、同機は1ヵ月間の検査後に実戦配備される。
 2019年にも3機が追加される。
 空軍は既に操縦士や整備士、給油技術者などを選抜して研修を終えている。 (1812-111202)
3・3・4・1・3 洋上哨戒機

 Boeing社とSaab社がシンガポール航空展に、韓国の洋上哨戒機MPAに提案している機種を展示した。
 北朝鮮のSLBMを警戒している韓国は、16機保有しているP-3を増強するMPA 6機を$1.7Bで購入する計画と言われている。 (1804-021403)

 韓国防衛事業庁が6月25日、次期MPAとしてP-8AをFMS方式で購入することを決めたと明らかにした。
 FMSは米政府との直接契約で装備品を調達するもので、米側が価格や納期に主導権を持つ一種の随意契約であり、公開競争とは異なるため価格交渉が事実上不可能で、技術移転も受けるのが難しいという指摘も出ており(1807-062503)

、今回の決定は議論を呼びそうである。 (1807-062503)

 韓国がP-8Aの導入を決めた。 P-8Aの単価はKRW220B ($200M) で6機購入する総経費はKRW1.9T ($1.7B) と言う。
 韓国は2013年に、米海軍が2009年に退役させたS-3 Vikingを少なくとも20機導入するとしていたが、その後2018年末までに大韓航空がL3社と共同で古いP-3を改造してP-3CKとする契約を行っていた。 (1808-070208)
【註】 P-3CKとは米海軍が25年間使用した後、14年間アリゾナの砂漠に放置されていたP-2Bを改造した機体である。

 韓国が6月26日、1990年代中頃から装備しているP-3 Orionの後継をP-8A Poseidonに決めたと発表した。
 第一次分6機は$1.8BのFMS契約で購入する。 (1808-070418>)

 米国防総省国防安全保障協力局 (DSCA) が9月13日、韓国へのP-8 6機などの売却を国務省が承認したと発表した。 売却額は$2.1Bという。 (1810-091304)

3・3・4・2 UAV

Global Hawk

 韓国空軍が国会の国政監査で10月19日、Global Hawk 4機の導入を2019年までに完了する計画であることを明らかにした。 Global Hawkの導入完了後、空軍は2020年までに複数機のMALE UAVを追加で導入する計画だという。
(1811-101907)

3・3・4・3 ミサイル

3・3・4・3・1 PAC-3 弾

 米国防総省国防安全保障協力局 (DSCA) が9月13日、韓国へのPAC-3 64発売却を国務省が承認したと発表した。 売却額は$501Mという。 (1810-091304)

 空軍は北朝鮮の核やミサイル脅威などに対応したLSAMを2024年までに装備化し、PAC-3も2022年までに導入すると明らかにした。 (1811-101907)

3・3・4・3・2 KF-X 搭載 AAM

 韓国DAPAが3月5日に、2018年選定するミサイルの候補18品目を公表した。 その中にはKF-Xに搭載するミサイルも含まれ、MBDA社のMeteor BVRAAMやIRIS-T SRAAMが挙げられている。
 DAPAは当初AIM-120 AMRAAMとAIM-9X Sidewinderの搭載を考えていたが米国からの承認が得られていないため欧州製に切り替えたが、米国からの導入もあきらめたわけではないという。 (1804-030801)
3・3・4・3・3 Taurus KEPD 350K / Taurus KEPD 350K-2

 韓国がTAURUS ALCM 90発を追加購入する。 TAURUSは射程500km以上で、韓国軍は北朝鮮の核やミサイル脅威への抑止力を強化する目的で2013年に170発の購入契約を結び配備している。
 2016年にはさらに90発の購入を決め契約締結を推進してきた。 (1804-031303)

 韓国がTaurusALCM 90発を2月下旬に発注していたが、北朝鮮との関係から今まで公表していなかった。
 Taurusの発注は今回が2度目で、最初は2013年にF-15K搭載用に170発を単価$1.8Mで発注している。 2017年9月には北朝鮮が6回目の核実験を行ったのを受け、初めての発射試験を行い、F-15Kから発射されたTaurusは400kmを飛翔してソウル南西200kmの群山に設けられた標的に命中した。
 韓国は60機保有しているFA-50から発射できる小型のTaurus 350K-2も保有している。 Taurus 350K-2はTaurus 350Kを短くして300kgに小型化したもので、射程はTaurus 350Kの500kmに対し300kmと短くなっている。 (1804-031312)

 韓国がTaurus KEPD 350K ALCM 90発を追加発注したことが3月13日に報じられた。 その半年前にTaurus KEPD 350K初の発射試験がF-15K SLAM Eagleで行われている。
 Taurus KEPD 350Kは2013年11月に170~190発が発注されている。 (1805-032108)

3・3・4・4 その他

Green Pine BMEW レーダ

 韓国DDAPAが11月27日、イスラエル製Green Pine BMEWレーダ2基を追加購入することを決めた。
 韓国軍は既に2基のGreen Pineを装備しているが、今回導入される機種は探知距離が800km以上で、600km以上だったこれまでの機種よりも性能が上がっているため、上昇段階にあるBMを捕捉することができる。 (1812-112709)

3・3・5 武器輸出

3・3・5・1 DExPro の立ち上げ

 韓国DAPAが11月19日、武器輸出の推進を担当する部局DExProを立ち上げた。 (1901-112817)
3・3・5・2 輸出相手国別

インドネシア

 インドネシア国会が7月10日、韓国との防衛技術協力や軍事生産の協力を推進する法案を可決した。
 両国は今までもKFX/IFXの共同開発やType 209/1400潜水艦の生産などでの協力をはじめ、KT-1 練習機、Black Fox装甲車、T-50高等練習機などを輸出しているが、韓国は艦船の追加受注、 野戦砲、Surionヘリなどの輸出を狙っている。 (1808-071207)

 インドネシアが韓国KAI社にT-50i高等練習機へのレーダと砲の搭載とKT-1B 3機をKRW100B ($89M) で発注したことが11月8日に明らかになった。
 インドネシアはこのほかに、2003年以降KT-1B 19機を購入している。 (1901-112110)

フィリピン

 韓国とフィリピンが軍事産業の協力拡大で合意した。 これは韓国からの装備導入の拡大に対応し円滑化するた めものである。
 フィリピンは2014年と2016年にそれぞれ12機のF/A-50をKAI社に発注したほか、フリゲート艦2隻をHHI社に発注している。 (1807-050911)

3・3・5・3 品目別

3・3・5・3・1 航空機

T-50 / TA-50 / FA-50

 タイがL-39の後継として韓国に12機発注しているT-50高等練習機の第一次分4機の最初の2機が、1月8日にバンコックに到着した。 KAI社は現在12機を受注しているが、18機は受注できると見ている。
 同社はこのほかにフィリピンからFA-50を12機、イラクからFA-50を納入済みの6機を含 めて24機、インドネシアからT-50を16機受注しており、更にアルジェリア、ボツワナ、ペルーとも商談を進めている。 (1803-011710)

 米空軍が9月27日に次期高等練習機の優先交渉対象者にBoeing-Saab共同企業体を選定したと発表した。 Lockheed Martin社と組んで入札に参加したKAI社は脱落した。
 KAIチームはLockheed Martin社と共同開発した超音速高等練習機T-50の改良型T-50Aで入札に参加していた。 (1810-092901)

3・3・5・3・2 艦 船

インドネシアから3隻受注した潜水艦の2隻目を引き渡し

 大宇造船海洋は2011年12月にインドネシアから潜水艦3隻を受注し、2017年8月に1隻を引き渡し たのに続き、4月25日に2隻目を引き渡す。
 大韓民国最初の輸出仕様となる1,400t級潜水艦は10,000mの航続性能を持ち、特に潜航能力が優れているという。 (1805-042103)

 韓国DSME社がインドネシアから3隻受注したType 209/1400級潜水艦の二番艦がインドネシアに引き渡された。
 Type 209は水中排水量1,400tで、水中速力21.5kt、水上速力11ktの性能を持ち、533mm魚雷発射管8門を装備している。 (1806-050217)

フィリピン海軍から受注したHDF-3000 2,600t級フリゲート艦

 韓国現代重工が9月17日、2016年にフィリピン海軍から受注したHDF-3000 2,600t級フリゲート艦の二番艦の建造を開始する式典を蔚山の同社造船所で行った。
 HDF-3000フリゲート艦の一番艦は5月に起工しており、2隻は2021年までに比海軍に引き渡される。 (1810-092001)

3・3・5・3・3 陸上装備

Tigon AFV の売り込み

 韓国のHanwha社とマレーシアのAVP社がDSA2018展で、Hanwha社製Black Foxを元にし、主として東南アジアや中東を輸出先としたたTigon AFVを公表した。
 Tigonは操縦手、指揮官、砲手を含む11名乗りで、12.7mm機関銃または30mm砲を装備するが90mm砲の搭載も可能という。
 重量はBlack Foxの18tより重い21~22tで、最大速度は陸上で110km/h以上、水上で8.5km/h以上という。 (1806-042505)

K9 SPH の輸出

 エストニアが韓国Hanhwa社からK9 SPH 12門を$54Mで購入することになった。 最初の納入は2020年になる。
 K9 SPHはフィンランド、ノルウェー、ポーランドも採用を決めている。 (1807-062607)

 韓国Hanwha社製K9 155mm SPHが2021年までだけで2,000門を生産される。
 K9 SPHはK10弾薬補給車とセットで韓国陸軍のほかエストニア (12門)、フィンランド (48門)、ノルウェー (24門)、搭載車両を現地車両に代えてインド、ポーランド、トルコに輸出しているほか、オーストラリア、エジプト、マレーシア、スペイン、UAEの各国も試験を行っている。
 更に2018年末には米Yuma試験場でNAMMO 155mm HE-ERの試射を行う。
 NAMMO 155mm HE-ERはNorthrop Grumman社製の誘導キットを取り付けたベースブリード弾で、射程が40kmに延伸される。 (1811-101604)

3・3・6 戦時作戦統制権返還

 鄭韓国国防部長官とマティス米国防長官が米韓安全保障協議会で10月31日、戦時作戦統制権返還で最大の課題の一つだった未来連合司令部創設に合意し、「未来指揮構造記録覚書改正案」に署名した。
 現在、韓国軍と在韓米軍を指揮する米韓連合司令部に取って代わる未来司司令官を韓国軍が担うことで合意したもので、米韓が戦作権返還の条件と関連して初めて意味ある合意である。
 現在の連合司令部は米軍大将が司令官を担い韓国軍を指揮しているが、創設案では韓国軍が司令官を、米軍大将が副司令官を担う指揮体系が明示された。
 当初、他国軍の指揮を受けない米軍の特性上、未来司創設案の合意は実現しないかもしれないという見方が少なくなかった。 (1812-110101)
3・3・7 対日姿勢

3・3・7・1 米国を仲立ちにした共同演習

大量破壊兵器拡散防止構想に基づく海上阻止訓練

 大量破壊兵器拡散防止構想 (PSI) に基づく日本主催の海上阻止訓練が7月24日から実施され、米国、韓国、オーストラリアなど6ヵ国が部隊を派遣し、20ヵ国がオブザーバ参加を予定している。
 日本政府関係者は「特定の国や事態を想定したものではない」としているが、核やミサイル開発を続ける北朝鮮の反発も予想される。 (1808-071902)

3・3・7・2 P-1 への FCS レーダ照射事件

事件の発生

 防衛省が12月21日夜、P-1が20日15:00頃に能登半島沖で警戒監視活動中、韓国海軍の駆逐艦から射撃照準用射撃管制 (FCS) レーダで照射されたと発表した。
 岩屋防衛相は21日夜、不測の事態を招きかねない極めて危険な行為と韓国側に強く抗議したと述べた。 (1901-122103)

韓国側の対応

 海上自衛隊のP-1が能登半島沖の日本の排他的経済水域 (EEZ) 内で、韓国海軍の駆逐艦からFCSレーダの照射を受けた事件で、外務省など複数のルートで強く抗議したのに対し、韓国国防省報道官室は、通常の作戦活動中で海自哨戒機を追跡する目的で運用した事実はないと説明、危険性を強く主張する日本側と立場の違いを際立たせた。  ただ、誤解がないよう十分に説明するとも表明した。 (1901-122104)

 韓国駆逐艦が日本海で海上自衛隊哨戒機にFCSレーダを照射した問題で、朝鮮日報は12月22日、駆逐艦が北朝鮮の遭難漁船を捜索するため、一般レーダよりも精密なFCSレーダーを稼働させ、哨戒機がその半径に偶然入ってきたとする韓国軍関係者の話を伝えた。
 同紙によると、韓国軍関係者はFCSレーダを作動させたのは事実だが、日本の哨戒機を狙う意図はなかったと説明し、日本側が日本の排他的経済水域(EEZ)内で照射を受けたと発表したことについて、駆逐艦が遭難船救助のため、通常の作戦海域よりも東側に進んだのは事実だが、日韓のEEZの中間水域で起きたことだと反論し、日本の反応は度を越している側面があるという認識を示したという。 (1901-122201)

 政府関係者が12月22日、海上自衛隊哨戒機が韓国駆逐艦からFCSレーダの照射を受けた問題で、海自機は数分間にわたり複数回照射を受けていたことを明らかにした。 防衛省は韓国側の意図的な行動だったことを示す事実として捉えており、外務省が韓国側に直接抗議する。
 防衛省は22日、韓国側の「哨戒機を追跡する目的でレーダを使用した事実はない」との主張に反論する文書を発表した。 北朝鮮の遭難漁船を捜索するためだったとの韓国メディアの報道を念頭に、FCSレーダは広範囲の捜索に適するものではなく、防衛省内では故意だと疑わざるを得ないかなり苦しい言い訳だとの声も出ている。 (1901-122202)

 韓国の聯合ニュースが複数の韓国軍関係者の話として12月23日、海上自衛隊のP-1哨戒機が韓国海軍の駆逐艦にFCSレーダを照射された問題で、日本の哨戒機は我々の艦艇が捜索救助作戦を開始したずっと後に接近し、我々の艦艇の上を飛行するなど、むしろ日本側が威嚇的だったと報じた。
 それによると、韓国の艦艇は20日に遭難した北朝鮮の船舶を救助するため、マニュアルに従って航海用レーダとFCSレーダをフル稼働させていたが、海自の哨戒機が接近してきたため、識別のため光学カメラで哨戒機を撮影した際、それに連動してFCSレーダが稼働したもので、哨戒機には照射しなかったという。 (1901-122301)
【註】 一般に目標からの光を追随するだけで自身はなにも発しない(パッシブ)センサである光学センサに対し、自身が電波を発する(アクティブ)レーダは相手に電波を捕捉される弱点を有する。 このためアクティブセンサが作動するとパッシブセンサが連動することはあっても、パッシブセンサに連動して自動的にアクティブセンサが作動することはあり得ない。 この意味で韓国軍の言い分は虚偽である。

ビデオの公開と韓国の反応

 防衛省が12月28日にFCSレーダの照射問題で映像を公開した。 ビデオでは乗員が韓国駆逐艦に対し、三つの周波数で「行動の目的は何ですか」などと英語で問い合わせたが、韓国側からの応答はなかった。
 現場は大量の北朝鮮漁船によるイカの密漁が問題となっている好漁場の大和堆の周辺で、日本政府関係者は「韓国軍は北朝鮮漁船の救助に普段から関わっている可能性があり、日本に知られたくなかったのではないか」と分析している。 (1901-122804)

3・4 台 湾

3・4・1 基本政策

3・4・1・1 国防の基本方針

中共軍事力の認識

 台湾国防部が8月31日に公表した今年の中共軍事力報告書の中で、中国はいまだに台湾に対する武力行使を諦めておらず、2020年までにその全面的な侵攻作戦能力の完備を目指しているとの見方を示した。
 ただ中国は上陸用舟艇や後方補給能力が不足しているため、現段階では軍事的脅威や封鎖作戦、制圧射撃などの可能性が大きいとしている。 (1810-090105)

3・4・1・2 徴兵制度の終了

 台湾軍が長年にわたり続けてきた徴兵制度が12月26日に正式に終了する。
 今後は志願制に移行するが、中台関係の緊張緩和や若者の徴兵制への反発から兵員数は目標に達しておらず、中国と対峙する台湾にとっては、戦力維持が大きな課題となってくる。 (1901-121807)
3・4・2 軍事力増強

3・4・2・1 国防費の増額

 台湾の蔡総統が8月6日、2019年度の国防予算を2018年度からTWD18.3B増額して対GDP比2.16%のTED346B(1兆2,564億円)とする方針を明らかにした。
 兵器の国内開発により自主防衛力強化を図る「国防自主」計画の推進に約2割を充てる。
 2018年度比TWD13.9B増のTWD95.1Bを軍事投資費とし、そのうちTWD73.6Bを国防自主推進に割り当てる。 国防自主に投じる予算はTWD25B増となる。 (1809-080604)

 台湾の首相に相当する頼行政院長が7月27日、2019年度の国防予算として2018年度比5.6%増のTWD346B ($1.3B) を要求すると述べた。 (1810-080807)

3・4・2・2 台湾の軍事力に対する評価

 米外交専門誌Foreign Policyが9月25日に「台湾は中国との戦いに勝てる」と題した記事で、台湾は米国からの直接的な支援がなくても、侵攻する中国軍を制圧できるとの見解を示した。 迎え撃つ台湾の方が戦いを有利に進められるとし、中国と同規模の軍事力がなくても侵攻は阻止できるとみている。
 中国に居住した経験があるグリア氏が書いた記事では中国軍の資料などを根拠に台湾侵攻のシナリオを、最初ミサイルで台湾沿岸部を狙い、空港や通信施設、レーダ設備、物資輸送の結節点、政府機関などを重点的に攻撃し、その後、大規模な上陸作戦を展開するとしている。 (1810-092804)
3・4・3 装備品の開発、装備

3・4・3・1 戦闘機等

F-16A/B を F-16V に改良

 中国国営新華社通信が10月20日、台湾が142機のF-16A/Bを最新型のF-16Vに改良する1号機が、台湾空軍に納入されたと報じた。
 この機体は2017年1月に台湾北西部にあるAIDC社の工場に入れられた4機の内の1機で、今後2022年5月末までに24機/年の割りで納入されるという。 (1811-102210)

 台湾国営のAIDC社が10月20日、F-16A/Bを最新のF-16V Block 70に改装した1号機を納入した。 別の3機もテスト飛行中で年内には納入されるという。
 台湾が保有する142機のF-16A/Bは今後20~24機/年のペースでF-16Vに改造される。
 F-16VはAN/APG-83 SABR AESAレーダを搭載するほか、AGM-154 JSOW、AGM-88 HARM、AIM-9Xなどのミサイルの装備が可能になる。 (1812-103109)

F-CK-1C/-1D (F-CK-1A/-1B改)

 台湾が2009年から開発してきた127機保有するF-CK-1A/-1B国産戦闘機をF-CK-1C/-1Dに改良する計画が2017年12月に完了した。 この結果TC-2 AAMの搭載数が2倍になった。 また射程が60kmであったTC-2の射程は100kmに伸び、更に軌条発射方式のTC-2Cも新たに開発された。
 CSISTは更にTC-2の艦載SAM型であるTC-2Nも開発している。 (1803-011702)

 台湾は144機保有する国産戦闘機F-CK1A/BをF-CK1C/Dに改良する計画は既に49機の改良を終えているが、まだ95機が旧型のままである。 (1805-032603)
【註】 JDWは2018.01.17に、「台湾がF-CK1C/Dへの改良を2017年12月に完了した」と報じている。

XT-5 Blue Magpie 超音速高等練習機

 台湾の漢翔航空工業 (AIDC) 社が2020年の初飛行にを目指して開発している新型高等練習機の組み立てを2018年6月にも開始する。 同社は2017年4月に国防部から66機を686億台湾元(2,500億円)受注した。
 同社は国産戦闘機「経国号」の開発と製造を手掛けたほか、練習機の製造のほか-F16の改修も担当している。 (1805-041705)
【註】 XT-5 Blue MagpieはF-CK-1A/-1B国産戦闘機を元にした超音速高等練習機で、1984年以来装備しているAT-3及び1970年代にライセンス生産されたF-5E/F戦闘練習機の後継になる。

 台湾のAIDC社が6月1日、4機試作する予定のXAT-5 Blue Magpie 高等練習機一号機の組み立てを開始したと発表した。 一号機は2019年9月にロールアウトし2020年6月に初飛行する計画である。
 F-CK-1国産戦闘 (IDF) を元にしたXAT-5は2026年までに66機生産され、1984年以来使用しているAT-3と換装される。 (1808-061315)

3・4・3・2 艦 船

3・4・3・2・1 潜水艦

 台湾が自力建造する潜水艦の一番艦が2025年に完成するとみられている。 国防部はすでにTWD49.36170B(1,780億円)の予算を編成している。
 建造行程は秘匿する必要があるため室内で行われるが、それに備えた建造施設の建設が進行中で、総合工場は2017年末までにそれぞれ竣工する見通しである。 (1810-090305)
3・4・3・2・2 水上艦

Oliver Hazard Perry級フリゲート艦2隻の就役

 台湾海軍が11月8日、元米海軍のOliver Hazard Perry級フリゲート艦2隻の就役式典を、高雄市の左営海軍基地で行った。
 この2隻の売却は米国の余剰兵器援助 (EDA) 計画として行われ、売却価格は$190Mと見られる。 (1812-110904)

軽フリゲート艦

 台湾国営のNCSIST社が9月27~30日に開かれた高雄国際海洋防衛博で、輸出を視野にCSBC社が共同で進めている軽フリゲート艦構想を公開した。
 この艦は全長110m、全幅17m、喫水4mで、76mm砲と30mm CIWSを装備している。 (1812-101010)
【註】 全長からすると護衛艦あぶくま (DE 229, 2,000t) と同規模と見られる。
 記事の写真から見るとヘリ甲板はなく、武装にミサイルのことは述べられていないが、対艦ミサイルの発射機と艦橋上にRAMと似た多連装の発射機らしきものは見ることができる。

沱江型ステルスコルベット艦

 台湾国防部長と海軍司令部参謀長が5月14日に立法院外交及び国防委員会で、国内建造した沱江型ステルスコルベットは2019年から本格的な量産が入り、2025年に3隻が完成する見通しであることを明らかにした。
 それによると建造を加速化するため、沱江型の量産を計画していた3段階から2段階に短縮させ、第1段階の3隻は2025年に完成するほか、8隻の建造を予定している第2段階も2019年か2020年に始動する可能性があるという。
 沱江型は全長60m、全幅14m、排水量500tの双胴船で、速力38ktの性能を持ち、HF-2/3対艦ミサイルや魚雷の装備が可能で「空母キラー」として期待されるが、現在台湾海軍が保有しているのは、2014年末に引き渡された初号艦の1隻のみである。 (1806-051503)

ドック型揚陸艦

 9月27日に開かれた高雄国際海事防衛展で台湾国防省が4月に発注したLDPが公開された。
 LPDは76mm砲を装備し、全長153m、全幅23m、喫水6mで、速力21.5kt、13kt航行の航続距離12,500nmの性能を持つ。 (1810-092704)

3・4・3・3 ミサイル

 中国からの脅威の高まりに対し台湾がミサイル戦力の強化を行っている。
 射程1,500kmのHF-ⅡE LACMには2017年に対艦攻撃能力が付加された。 Wan Chien ALCMの年産数を100発に引き上げている。 (1809-081802)
【註】 Wan ChienはAGM-154A JSOWと似たシステムで、100発以上の子弾を搭載して200kmの射程を有する。
3・4・3・4 その他の装備

Cloud Leopard(雲豹)8×8 IFV

 台湾国防省が、国内開発した雲豹 (Cloud Leopard) 8×8 IFVが間もなく量産に入ると発表した。
 雲豹はMk 44 Bushmaster 30mm砲1門と7.62mm機銃1丁を装備するが、台湾は2017年9月にMk 44 285門を$112Mで発注している。
 このほかに雲豹Type 2に81/120mm迫撃砲を搭載した24tの自走迫撃砲も公表されている。 (1901-110707)

Cloud Leopard(雲豹)自走迫撃砲

 台湾国営のMPC社とNCSISTがDSA2018で、24tの自走迫撃砲型のCloud Leopard(Yunpao: 雲豹)を発表した。 また搭載する81mm/120mm迫撃砲も新たに開発し公表した。
 自走迫撃砲型Cloud LeopardはCloud Leopard Type 2を元にしており車体周りに16個の昼夜カメラを装着し360゚の監視を可能にしている。 (1806-042508)

3・4・4 米台関係

3・4・4・1 米国の姿勢

3・4・4・1・1 台湾旅行法の成立

 トランプ政権は台湾重視の姿勢を強く打ち出し、3月には米国と台湾の閣僚や政府高官の相互訪問の活発化を目的とした台湾旅行法を成立させている。 (1812-111704)
3・4・4・1・2 政府高官の交流

 米上院の共和党幹部2名が26日にトランプ大統領に書簡を送り、台湾へF-35またはF-16Vを 売却するよう要求した。 (1804-032603)

 台湾の経済団体台湾国防産業発展協会が4月11日、米台の防衛関連企業が交流する台米国防産業フォーラムを5月10日に高雄で開くと発表した。
 毎年秋に米国で開く米台国防工業会議の関連イベントで、台湾開催は初めてになるが、トランプ政権が開催を了承したとみられる。
 米国では3月にあらゆるレベルの高官の往来を促進する台湾旅行法が成立しており、米国の軍事関連の高官が出席するかが焦点となる。 (1805-041103)

 ペンス米副大統領が11月17日に、アジア太平洋経済協力会議 (APEC) 首脳会議が開かれているパプアニューギニアのポートモレスビーで、台湾のAPEC担当特使を務める張忠謀氏と会談した。 張特使は台湾当局者ではないものの、蔡総統の特使として今回の会合に参加したもので、米副大統領が台湾トップに近い関係者と会うのは極めて異例である。 (1812-111704)

3・4・4・1・3 米軍の台湾駐留

 最近CNNが、米国務省が数週間前に海兵隊に対し、台湾に派遣する外交官の警護のための保安要員の派遣を要請したと報じた。 まだ最終決定は成させていないと言う。 これについて国務省はコメントを拒否している。
 ある匿名の軍当局者はCNNに対し、台湾に派遣される外交官は450名で、警護の海兵隊員は10名と述べている。 (1808-070204)

 米CNN TVが9月13日、米政府が台湾への海兵隊派遣を見送る方針を固めたと報じた。
 国務省は米国在台協会台北事務所(大使館に相当)の警備要員として海兵隊を派遣するよう国防総省に要請していたが、国防総省が要員不足を理由にこの要請を拒否したという。 (1810-091501)

3・4・4・1・4 潜水艦技術の移転

 台湾の国防部が一部台湾メディアの報道を間接的に認める形で4月7日、蔡政権が進める潜水艦の国内建造計画について米政府が米企業に対し台湾側との商談を許可したと発表した。
 台湾の潜水艦計画に米国が公式に支援手続きを取るのは初めてで、トランプ政権下で進む米台関係の強化が安全保障面でも示された形で、中国が反発する可能性が高い。 (1805-040802)

 台湾国防省が4月7日、米政府が台湾への通常型潜水艦に関する技術移転を承認したと発表した。
 台湾は2020年代初期に潜水艦の建造を開始し、2020年代の中頃から末に就役させる計画で、国営のCSIST社と海軍の造船所であるCSBC社が取り組んでいる。 (1806-041803)

3・4・4・1・5 台湾軍演習への米軍参加

 米上院軍事委員会が6月6日、5月24日に同委員会で可決された上院版のFY19国防権限法案を公表した。
 法案の1243条では、台湾が中国大陸軍の侵攻を想定して年に1度行う定例訓練「漢光演習」など、台湾の軍事演習に米軍が参加することを推進するよう米国防長官に要請したほか、米軍訓練への台湾の参加を促進すべきだとされた。
 1243条では、米台の実務関係のあり方を定める「台湾関係法」と台湾への武器供与に終了期間を設けないことなどを公約した「6つの保証」を前提に、米国は安全保障における台湾との連携関係を強化すべきであり、台湾の自衛能力向上を支持するとする立場が示された。 (1807-060703)

 米議会上院が6月18日にFY19国防権限法案を85対10の賛成多数で可決した。 全文公開は次週になる見通しだが、上院軍事委員会が先日公表した草案では、台湾軍の演習への米軍の参加を米国防長官に要請する内容などが盛り込まれた。
 法案は今後上下院ですり合わせ作業が行われ、一本化法案が両院それぞれで可決されたのち、トランプ大統領の署名を待って成立する。 (1807-061905)

3・4・4・1・6 武器の売却

F-16、F-35B、KC-135 の売却要求

 米上院の共和党幹部2名が3月26日にトランプ大統領に書簡を送り、台湾へF-35またはF-16Vを売却するよう要求した。 (1804-032603)

 台湾がF-35BとKC-135を導入しようとしている。 台湾は現在、空中給油機を保有していない。
 台湾が150機保有しているF-16A/B Block 20をAPG-88を搭載するF-16Vに改造する計画は2012年に145ユニットを購入することで合意しているが、まだ139機が旧型のままで、2022年までに24機/年のペースで改造を進めるという。
(1805-032603)

 米国の上院議員2名が3月26日にトランプ大統領に書簡を送り、台湾へF-35BかF-16Vを売却するよう強く求めた。 (1806-040404)

Oliver Hazard Perry級フリゲート艦2隻の売却

 台湾の李海軍司令部参謀長が立法院外交国防委員会で10月1日、米国から購入したOliver Hazard Perry級フリゲート艦2隻が11月にも就役することを明らかにした。
 2隻は米海軍を退役した艦齢約30年のフリゲート艦で、銘伝逢甲と命名された。
 Standard Missile SAMを装備するほか対潜ヘリ2機の搭載も可能で、SQQ-89統合対潜システムやSQR-19戦術曳航ソナーが装備されており、潜水艦への監視探知能力向上に大きく役立つという。 (1811-100102)

台湾への武器供与の方式を個別対応に変更

 ロイタ通信が米政府官僚の話として6月5日、米国が台湾への武器供与の方式を個別に対応する形に変更する方針であると報じた。 国防部はこれについて、正式に確認されていない情報だとコメントは控えるとしている。
 ロイタ通信によると、米政府が台湾への武器売却の方法を従来の一括供与から、ケースバイケースの方式に改めるつもりだと明らかにしたとしている。
 台湾との貿易関係促進を目指す米国の「米台商業協会」会長は、これまで10年にわたり採用してきた一括形式の武器供与をやめることは、台湾の防衛上の需要にとってはより有益であり、米国も台湾をより一般的な防衛上のパートナーとして扱えるようになると語ったという。 (1807-060503)

 台湾国防省が6月5日にTVを通じて、米政府が台湾への武器供与を従来の一括方式からケースバイケー ス方式に変更したことを歓迎することを明らかにした。 米国務省も6月7日にこの事実を認めた。
 トランプ政権になって米国は2017年6月に早期警戒レーダの技術支援やミサイル、及び電子戦装置の更新などを$1.4Bの一括で台湾に売却していた。 (1808-061304)

AAV7A1 の売却

 米国防総省が6月22日、台湾へFMSで売却するAAV7A1 36両をBAE Systems社に$83.6Mで発注したと発表した。 内訳は人員輸送型30両、指揮所型4両、回収車型2両で、納期は2020年7月22日になっている。
 台湾にとってAAV7取得は初めてではなく、2003年に米海兵隊が使用していた54両を購入し、保有していたLVTP-5と換装している。 (1808-070420)

武器部品の台湾への売却

 トランプ米政権が9月24日、台湾にF-16などの部品を$330Mで売却すると議会に通知した。
 米国防総省の声明によると売却されるのはF-16やF-5、C-130などの交換修理用部品などで、部品の売却は台湾の防衛や航空輸送部隊を維持するのに必要だと強調し、地域の基本的軍事バランスが変わることはないと述べた。 (1810-092501)

 米国務省が9月24日、台湾に武器部品等$330M相当をFMSで売却することを承認したと発表した。 (1812-100310)

 米空軍が11月1日、台湾のF-16能力向上と合わせて老朽化したF-5 Tiger Ⅱの保守部品をFY19末から引き渡すと発表した。
 台湾は1974~1976年に単座型のF-5F 242機と復座型F-5E 66機を取得しているが、現在何機残っているかは不明である。 (1901-111411)

台湾への武器売却を常態化へ

 アジア太平洋担当のシュライバー米国防次官補が台湾への武器売却について10月11日、もっと常態化した、しかも政府間取引の対外有償軍事援助 (FMS) 的な関係の構築を目指すとの考えを示した。
 トランプ米政権は9月24日、$330MにのぼるF-16の交換部品などを台湾に売却する方針を発表した。 台湾への武器売却は2017年1月の同政権発足後2度目となる。 (1811-101302)

3・4・4・1・7 米台国防産業の交流拡大

米台国防産業フォーラムの台湾開催

 台湾と米国の防衛企業による国防産業フォーラムが5月10日に高雄で開かれ、台湾の造船や航空関連企業42社のほか、米国からLockheed Martin社やRaytheon社など10社以上が参加した。
 米台は当局者も交えた企業交流を米国で定期的に実施してきたが、台湾で行うのは初めてで、米政府は台湾の潜水艦建造計画に対する米企業の関与を解禁するなど、自主防衛力の強化を目指す蔡英文政権への協力姿勢を鮮明にしている。 (1806-051001)

Lockheed Martin社の台湾進出

 Lockheed Martin社が台湾の航空防衛産業発展のためチタニウムの開発製造の支援を行っている。
 これは台湾がPAC-3を購入する見返りに行われるICP計画の一環で、チタニウムの精密鋳造で技術支援が行われる。 (1808-070409)

3・4・4・1・8 米艦船の台湾寄港

 米海軍の海洋調査艦Thomas (3,095t) が高雄港に寄港した。 高雄港務によるとThomasの高雄への寄港は今年4回目で、物資の補給や船員の交代が目的だという。
 西太平洋のパラオを出発し、10月15日午前に高雄港に入港した。 (1811-101601)
3・4・4・2 米艦船の台湾海峡通過

台湾海峡への艦船派遣を検討

 米高官が、米国が台湾海峡への艦船派遣を検討している明らかにした。 この米高官によると米国は2018年に入り空母の派遣を検討したが実施しなかった。
 前回米空母が台湾海峡を通過したのは2007年であるが、頻繁ではないものの定期的に艦船を台湾海峡に派遣することも選択肢のひとつとなっており、前回実施されたのは2017年7月で、空母の派遣ほどは中国を刺激しない行為とみられている。 (1807-060502)

7月7日:駆逐艦2隻

 台湾国防部が7月7日、米軍の駆逐艦2隻が同日に台湾海峡を航行したと発表した。 航行したのはMustinBenfoldで同日午前に台湾南部海域から入り東北方向に抜けた。
 台湾メディアによると、米軍艦が台湾海峡を航行するのは2007年以来で、台湾周辺で軍事活動を活発化させている中国を牽制する狙いとみられる。 (1808-070801)

10月22日:駆逐艦と巡洋艦

 台湾国防部が10月22日、米軍艦2隻が22日に台湾最南端のバシー海峡から台湾海峡の国際水域を北上したと発表した。
 米国が台湾海峡に軍艦を派遣するのは、7月7日の駆逐艦MustinBenfold以来で、中国への牽制が目的とみられる。 (1811-102207)

 米海軍が10月22日、この日の早朝に米第7艦隊所属の駆逐艦Curtis Wilburと巡洋艦Antietarnが台湾海峡の国際航路を通過したと発表した。 (1811-102208)

11月28日:駆逐艦と補給艦

 米太平洋艦隊が11月28日、駆逐艦Stockdale と補給艦Pecosの2隻が同日、台湾海峡を航行したと発表した。
 米軍艦船が台湾海峡を通過するのは7月以降3回目で、近くアルゼンチンで行われる予定の米中首脳会談を前に、中国を牽制する狙いがあるとみられる。 (1812-112902)

3・5 東南アジア

3・5・1 フィリピン

3・5・1・1 浮動する対外姿勢

3・5・1・1・1 依然として続く反米的な姿勢

 米自由アジア放送 (RFA) が1月21日、米海軍駆逐艦Hopperが17日に南シナ海のスカボロー礁の12nm内を航行したことに、中国政府が「強烈な不満」を表明したことについて、フィリピン大統領報道官が21日に、フィリピンのスカボロー礁に対する領有権主張は国際法の下で認められているとした上で、スカボロー礁をめぐる米国と中国との争いに関与するつもりはないとの立場を表明した。 (1802-012203)

 フィリピン大統領報道官が4月17日、ドゥテルテ大統領が米英仏のシリア攻撃をめぐり、アサド政権による化学兵器使用疑惑を否定しているロシアを支持していくと、ロシア側に伝えたことを明らかにした。 (1805-041901)

3・5・1・1・2 好転したかに見える米比関係

米空母Ronald Reagan の寄港

 米空母Ronald Reaganと巡洋艦2隻が南シナ海を経て6月26日にマニラに入港した。 米空母が南シナ海に入るのは今年になって3回目で、2月にはCarl Vinson 、4月にはTheodore Rooseveltが南シナ海を航行している。
 またRonald Reaganに随航したAntietamは5月に、サンディエゴを母港とするHigginsと共に中国が領有を主張している小島の12nm以内を航行している。 (1807-062704)

武器や資金の供与

 駐比米大使が7月19日、米国がテロと戦うフィリピンの警察を支援するため、向こう2年間で$26.5Mの資金供与を行うことを明らかにした。 この資金は訓練、装備品購入、その他法の支配の確立支援に使用される。
 米国は2016年にもフィリピンに法の支配のためとして$32Mを供与したが、M4突撃銃26,000丁の供与はドゥテルテ大統領が麻薬撲滅の戦いの名の下に裁判を経ない殺害に使用する懸念から取り消されている。
 その後トランプ政権になってからフィリピンの治安が回復したことなどを受け両国関係は改善しつつあり、3月には米国がScanEagle UAV 6機$13Mを供与している。 (1808-071905)

座礁し破損したフリゲート艦の修理

 フィリピン海軍が11月5日、8月29日に南シナ海Half Moon堆で座礁し破損したフリゲート艦Gregorio Del Pilarの修理に合わせて、搭載武器、通信装置、射統装置の改良を行うと発表した。
 スクリューや水中装備は米国に送り修理するほか、新たに同型3隻には既に搭載されているMk 38 Bushmaster 25mm砲を搭載する。 (1901-111412)
【註】 Gregorio Del Pilarは2012~2014年に米国沿岸警備隊から購入したHamiltong級警備艦の1隻で、フィリピン海軍はフリゲート艦として使用している。

3・5・1・1・3 米比共同軍事演習

"Balikatan" 演習

 ドゥテルテ大統領が中露との緊密な連携を模索するなか、米比軍が行う最大規模の年次演習 "Balikatan" が5月7日に開始された。
 この演習には米比軍合わせて8,000名のほか、日本とオーストラリアからも小規模な派遣隊が参加している。 (1806-050703)

米比合同訓練の回数を2019年に拡大

 フィリピン軍が9月28日、米比両軍が合同訓練の回数を来年は今年の261回から287回に拡大することで合意し、27日に比軍司令官と米太平洋インド軍司令官が証明したと発表した。
 ドゥテルテ大統領は2016年に、米比共同演習を中止しフィリピン南部に駐留する米軍部隊を撤退させ中国との絆を強めると主張していたが、共同演習も米軍駐留も続けられ、150~200名の米軍が比軍のイスラム武装勢力との戦いを非戦闘分野で支援している。 (1810-092809)

3・5・1・1・4 対中関係

対中姿勢に変化の兆し

 フィリピンのドゥテルテ大統領が、中国が南シナ海での行いを考え直すよう望むとし、紛争海域にある中国の人工島付近を通過する外国の航空機や船舶を追い払う権利は中国にはないと述べた。
 同大統領が中国を非難するのは異例である。 (1809-081503)

対中擦り寄り姿勢への国内からの反感

 11月20日にフィリピンを公式訪問した習中国国家主席がドゥテルテ大統領を称賛したが、フィリピン国内ではドゥテルテ大統領に対し、南シナ海問題に強硬姿勢で臨むよう圧力がかかっている。
 世論調査によると、中国による人工島の軍事拠点化に反対しないのは間違っていると回答した国民は全体の84%に上り、86%は海軍を中心にフィリピン軍を強化することが正しいと回答した。
 ドゥテルテ大統領は同問題で、中国の主権主張を退けた2016年の仲裁裁判所判決を受け入れるよう中国に求めることを拒んでいるのに対し、中国に服従しているとの批判の声が国内の国粋主義者などから上がっている。 (1812-112005)

南シナ海でエネルギーの共同開発

 中国の習国家主席が11月20日にフィリピンを訪問してドゥテルテ大統領と会談し、南シナ海でエネルギーの共同開発を行うことで合意した。
 開発が南シナ海のどこで行われるか判然としないが、中国が沿岸諸国と領有権を争っている海域が含まれる可能性もある。
 南シナ海の領有権で争っていた両国は関係強化へ一歩踏み出す形になり、習政権にとって大きな外交得点となった。 (1812-112007)

3・5・1・1・5 米国に代えてロシアから武器購入

 フィリピン国防省がマニラで開かれたADAS 2018展で、軍用システムの購入先としては、米国の法にかかわらずロシアを含む全ての国を対象とすると述べた。
 トランプ米大統領が敵対者に対する制裁措置法 (CAATSA) に署名をして成立させた2ヶ月後の2017年10月にフィリピンは、ロシアからRPG-7ロケット弾数百発を$8Mで購入している。 これは同国にとって初のロシアからの武器輸入になる。 (1812-100311)
3・5・1・2 Benham 隆起の主権宣言

 フィリピン大統領府報道官が2月6日、同国東北方海域における外国調査船の活動停止を命じ、軍に対しこれら船舶の排除を命じたと発表した。
 問題の海域は同国EEZ内にある2,400haに広がるBenham隆起と呼ばれる浅瀬で、大統領は5日の閣議で同海域での主権を宣言しフィリピン隆起と改称した。 (1803-020604)
3・5・1・3 軍備の増強

3・5・1・3・1 海軍の増強

潜水艦導入計画

 Manila Times紙が6月12日、潜水艦導入を計画しているフィリピンのロレンザーナ国防相が韓国とロシアを視野に入れていると報じた。
 国防相はその前日、軍現代化計画の一環として潜水艦の導入を決め、韓国やロシア、そして他の国々を視野に入れていると述べた。
 また建造には5~8年かかるためすぐにでも発注したいことも明らかにした。 (1807-061501)

 フィリピン国営のPNA通信が6月20日、ドゥテルテ大統領が2018~2022年の第2次軍近代化計画 (Second Horizon) を承認したと報じた。
 計画にはPHP300B ($5.6B) が配当され、多用途戦闘機や潜水艦の導入が盛り込まれている。 潜水艦の導入は当初、2023~2027の第3次計画に盛り込まれていた。
 潜水艦の導入のため海軍は既に組織を立ち上げており、2015年にRfIを発簡している。 海軍は2隻以上が必要としており、国防相は2017年にKilo級が候補に挙がっていると述べている。 (1807-062104)

 フィリピン国営PNA通信が8月6日、潜水艦の購入でロシアとMoU素案について協議中であると報じた。 ドゥテルテ大統領は6月に潜水艦の装備について必要性を強調しており、7月には国防省が潜水艦購入の検討を進めていることを認めている。
 フィリピンの潜水艦購入は当初2023~2027年の "3rd horizon" 軍近代化計画に盛り込まれていたが、現在は2018~2023年の "2nd horizon" 計画に繰り上げられている。
 フィリピンが導入するのはKilo級と見られ、装備数についてかつて海軍当局者は2隻以上と述べていた。 (1809-080702)

 フィリピン国防省が8月14日、ロシアがフィリピンの潜水艦購入に借款を提供すると提案したことを明らかにした。
 対象となるのはKilo級潜水艦3隻で、フィリピンは導入時期を2023~2027年の "3rd horizon" としていたのを2018~2022年の "2nd horizon" に繰り上げるという。 (1809-081405)

 フィリピンのPNA通信が8月3日、比海軍が露海軍とKilo級潜水艦の購入に関するMoUについて協議していると報じた。 比国防省は7月下旬に海軍が潜水艦購入に向けた市場調査を行っていることを認めている。
 フィリピンは2023~2027年の第三次軍近代化計画 (Third Horizon) に盛り込んでいた潜水艦購入計画を2018~2022年のSecond Horizonに前倒しするという。 (1810-081503)

セブ島にフリゲート艦の基地

 フィリピン国営PNA通信が7月9日、同国政府が現有及び将来装備するフリゲート艦の基地としてセブ島Lapu-Lapu市にあるRafael Ramos海軍基地をPHP1B ($18.7M) をかけて改修すると報じた。
 改良では浚渫や道路建設と共に、152×12mの突堤1箇所、105×165mの揚陸場1箇所、225×20mの停泊所1箇所が新設され、今後韓国HHI社から購入する2,600t級フリゲート艦2隻の基地としても使用される。 (1808-071103)

外洋哨戒艦 (OPV) の建造

 オーストラリアのAustal社がフィリピン海軍からCape級を元にした哨戒艦6隻を受注した。 同社はセブ島Blambanにある子会社Austal Philippine社で建造する。
 全長58mのCape級哨戒艇は豪海軍が2隻、同国境警備隊が6隻装備しているが、比海軍が建造するのはこれを80mに大型化しヘリ甲板を装備した外洋哨戒艦 (OPV) である。 (1809-081202)

3・5・1・3・2 空軍の増強

新戦闘機購入

 フィリピンのPNA通信が10月15日、国防省が新戦闘機購入の検討を終えたと報じた。 Saab社製Gripenが最有力だという。
 フィリピンは12機の新戦闘機をPHP61B ($1.1B) で購入する計画という。 (1812-102404)

3・5・1・4 軍備増強の限界

 他の東南アジア諸国同様に南シナ海問題を抱えるフィリピンでも軍の焦点は国内の治安維持にある。 軍の近代化は2013年の15ヵ年計画に基づいて行われているが軍事費は年間僅か$3.8Bで、第一段階で領域警備や装備に当てられているのは$1.75Bに過ぎず、今年始まる第二段階でも$2.25Bでしかない。 (1803-012907)
3・5・2 ベトナム

Hamilton級警備艦の供与

 米沿岸警備隊が2017年5月にベトナム沿岸警備隊に引き渡したHamilton級警備艦Morgenthauが2017年11月にホノルルを出港し、途中12月12日にマニラに寄港したのち、12月15日にベトナムのVung Tauに入港した。
 全長115.2m、全幅13.1m、喫水56.1mのHamilton級警備艦は基準排水量2,716t、満載時3,050tで速力29kt、15ktでの航続距離9,600nmの性能を持ち、76mm砲1門、M242 Bushmaster砲2門、20mm CIWS 1門を装備しヘリ甲板を持つ。
 同艦はベトナム戦争時では艦砲射撃を行い参戦していた。 (1802-010303)

空母 Carl Vinson の寄港

 2月23日に行われる13回目となる太平洋地域での災害救助/人道支援演習 "Pacific Partnership 2018" に参加する空母Carl Vinsonが3月上旬にベトナム戦争後初めての空母としてベトナムに寄港する。
 米国のほかカナダ、英国、オーストラリア、日本から民間人を含む800名が参加する "Pacific Partnership 2018" はタイとヤップ島を舞台に行われ、米海軍からはCarl Vinsonのほか病院船Mercyと外征高速輸送艦Fall Riverも参加する。 (1803-022206)

 米海軍の空母Carl Vinsonが3月5日にダナン港に寄港した。 米空母としてはベトナム戦争が終結した1975年以来初めてで、ベトナムが米国との戦略的連携を強化していることが鮮明となった。  Carl Vinsonは5日間滞在する予定である。 (1804-030505)

3・5・3 インドネシア

3・5・3・1 対米関係の好転

 1月23日にジャカルタを訪問したマティス米国防長官がインドネシア国防相と両国の防衛協力の拡大と米国製装備の売却で合意した。 (1803-013111)
3・5・3・2 装備の強化

3・5・3・2・1 西側諸国からの導入

米国からの導入

 1月23日にジャカルタを訪問したマティス米国防長官が合意した米国製装備の売却で対象になっているのはF-16 48機の追加購入で、インドネシアは2017年12月に、米空軍が使用していたF-16C/D Block 25を2012年にBlock 52に改修した中古機24機を$670MのFMSで購入している。 インドネシアは2015年にAH-64E 8機を$300MのFMSで購入している。
 このほかに今回対象になっていると見られるのはCH-47F 4~10機と見られる。 (1803-013111)

AEW&C 機

 インドネシア空軍が老朽化した3機のBoeing 737-2x9哨戒機に替えてAEW&C機4機を装備する検討に入った。
 737-2x9は1982年に就役し、19980年代初期にIFFを更新すると共にMotorola社製AN/APS-135 SLAMMRやThomson-CSF社製Ocean Masterを装備している。 (1804-021404)

Anka MALE UAV

 インドネシアのPTDT社が11月7日に同国防衛博で、Anka MALE UAVのサポートでトルコのTAI社と提携すると発表した。 (1901-111407)

3・5・3・2・2 韓国からの導入

3隻を受注した潜水艦の2隻目を引き渡し

 大宇造船海洋は2011年12月にインドネシアから潜水艦3隻を受注し、2017年8月に1隻を引き渡したのに続き、4月25日に2隻目を引き渡す。
 大韓民国最初の輸出仕様となる1,400t級潜水艦は10,000mの航続性能を持ち、特に潜航能力が優れているという。 (1805-042103)

3・5・3・2・3 中露からの導入

Su-35

 インドネシア国防省が2月14日、ロシアからSu-35を購入する契約に署名した。 国防省は公式な発表をしていないが、購入額は$1.1B、機数は11機で、最初の2機は2018年10月までに納入されるという。 (1804-022101)

 インドネシアが2月14日にロシアにSu-35 11機を発注したが、同国空軍は16機で飛行隊を構成していることから今後5年以内に更に5機を発注すると見られている。
 今回の11機は10月に最初の2機が、その6ヶ月後に6機、更に5ヶ月後に3機が納入されることになっている。
 一方空軍はTyphoon、F-16V、Rafale、Gripenなどの西側機にも関心を示しており、16機以上の発注が見込まれている。 (1805-031205)

 中国が2018年後半に、24機発注したSu-35の最後の10機を受領する。 中国は2016年に4機、2017年に10機を受領している。 (1807-060613)

 米国が敵対者に対する制裁措置法 (CAATSA) を成立させた数ヶ月後の2018年2月に、インドネシアはロシアからSu-35 11機を購入する契約を行った。 この結果同国空軍はCAASTAによる制裁を受ける可能性がある。
 米国はSu-35ではなくF-16Vの購入を働きかけていた。 (1901-111405)

3・5・3・2・4 装備品等の国産

国産 LST の進水

 インドネシアのDRU社が6月28日、全長117mのLSTを進水させた。 このLSTは40mm砲2門のほか12.7mm機銃を随所に配置できる。
 BMP-3F IFV 15両と飛行甲板に10t級ヘリを搭載でき、速力16kt、13kt巡航時の航続距離6,240nmの性能を持つ。 (1809-071111)

ソリッドステート対空監視レーダ

 インドネシア国営のPT Len社が同国国防博で、国内開発したソリッドステート対空監視レーダを公表した。 最初の試験は10月31日に完了したという。
 このレーダは捕捉距離が200kmのS-bandで、アンテナを6/10/12/20rmpで回転させる。 IFFは軍用でMode 1~4、民間用でMode A/Cをサポートしている。 (1901-111406)

3・5・4 マレーシア

3・5・4・1 マハティール首相の復活と中国依存からの脱却

3・5・4・1・1 マハティール首相の復活

 5月9日に投開票されたマレーシア下院選で、野党連合「希望連盟」を率いた92歳のマハティール元首相が議席の過半数の獲得を決め、10日に新首相に就任した。 1957年に英国から独立後、マレーシア初の政権交代を実現した。
 かつて22年間にわたり政権を担ったマハティール氏は日本の勤勉さに学ぶ「ルックイースト政策」を掲げ、東南アジアでいち早く経済発展を成し遂げる一方、米国と距離を置く政策を取っていた。 マハティール元首相が返り咲いたことにより中国への過度な依存からの脱却を図ることになりそうである。 (1806-051102)
3・5・4・1・2 着工済みの長距離鉄道建設を中止

 マレーシアのマハティール首相が5月28日に表明した高速鉄道計画の廃止と合わせて、同国最大規模の鉄道建設計画である東海岸鉄道 (ECRL) 計画についても、中国と契約条件の再交渉を行っていると語り、中国の一帯一路の 野望が逆回転を始めた。
 ECRL計画はタイ国境近くから中国が開発を進める東海岸クアンタン港を経由して西海岸のクラン港まで全長690kmを結ぶもので昨年8月に着工しが、マ首相によると総額MYR55B(1兆5,000億円)の事業費は融資する中国輸出入銀行から受注した中国交通建設に直接支払われ、マレーシア側は一度も引き出していない。
 支払いは出来高でなく計画ベースで利息も含むと、中国への債務はMYR92Bにのぼり、前政権が続いていれば国家財政は破綻していたと非難し、過度に中国へ依存した前政権から軌道修正を図るとみられる。 2016年の中国からの直接投資は前年比7倍に急増していた。 (1806-052902)

 マレーシア政府が7月5日、中国主導で着工済みの長距離鉄道建設を中止すると発表した。 総経費が2兆2,000億円超に達する見込みとなり、巨額借り入れで財政が悪化するのを避けるため計画を見直す。
 5月に返り咲いたマハティール首相は財政再建を優先して大型インフラ事業の見直しを進める方針を示しており、ナジブ前首相が中国と共同で進めた他の事業にも影響は波及しそうである。 (1808-070504)

 北京を訪問しているマレーシアのマハティール首相が帰国前の8月21日に、マレー半島を横断する「東海岸鉄道」など中国と共同で進めていた大型公共事業を最終的に中止する方針であることをマレーシアメディア などに明らかにした。
 マハティール首相は20日に会談した習近平国家主席と李克強首相にこうした意向を伝え、「彼らは同意した」と述べた。
 この計画は、シルクロード経済圏構想一帯一路の重要事業の位置付けとなっており、マレーシアの中止決定は中国政府にとって打撃となる。 (1809-082202)

 シンガポール紙が8月24日、シンガポールとマレーシアの両政府が両国間を結ぶ高速鉄道計画を延期することで合意したと報じた。 マレーシアのマハティール首相は5月の首相就任後、この計画を中止すると一方的に表明していた。
 両国は今後、どの程度開業時期を延期するかなど建設計画を再検討する。 (1809-082404)

3・5・4・2 対日接近

 安倍首相が6月12日午前、5月の総選挙で勝利し15年ぶりにマレーシア首相に返り咲いたマハティール首相と首相官邸で会談した。 今回の来日がマハティール首相にとって就任後初の外国訪問である。
 ナジブ前政権時代に中国の「一帯一路」受け入れに積極的であったマレーシアは、インフラ整備などで中国との関係を深めてきたが、マハティール首相は中国政府と共同で進めた国内の大型インフラ計画を見直す考えを示している。
 両首相は、安倍首相が掲げるアジアからアフリカに連なる地域の安定と成長をめざす「自由で開かれたインド太平洋戦略」の実現へ連携を確認した。 (1807-061204)
3・5・4・3 国内技術の発展

UAV 技術の獲得

 マレーシアのDeftech社がクアラルンプールで開かれたDSA 2018展に、マレーシア工科大学の協力で開発しているAludra Camar偵察/マッピング用UAVの1/2模型を出品した。 既に2017年7月に初飛行しており、2019年までには完成するという。
 Aludra Camarは翼端長4m、重量40kgで、上昇限度5,000ft、航続距離80km、最大巡航速度80km/h、滞空能力6時間の性能を持つ。 (1805-041809)

システム装具

 マレーシア陸軍がクアラルンプールで開かれたDSA2015でシステム装具FSSを発表した。
 FSSは背負のコンピュータと表示装置TDU、通信装置PRR、リモコン装置RCU、ヘルメット搭載ビデオカメラ、電源などからなる。
 PRRはThales社製ST@RR Mille UHF通信機で、1.5km以上の通達が可能で、X-bandを用いた3G通信仕様とリンクできる。
 マレーシア陸軍は目下第12連隊に11セットを支給して、各班の斥候兵2名に装備しての部隊実験を行っており、次の段階では大隊の3個中隊に配備しての試験が計画されいる。 (1807-060001)

3・5・4・4 海外からの装備導入

NSM

 Kongsberg社がDSA2018展で、マレーシア海軍から同国が7隻保有するLCS装備用としてNSMを€124M ($153M) で受注したことを明らかにした。 受注数は明らかにしていない。 マレーシアへのNSM輸出は2015年4月9日に合意していた。
 NSMは最大射程100km、最小射程3kmのASCMである。 (1806-042504)

 Kongsberg社がクアラルンプールで開かれたDSA 2018展で、マレーシア海軍からNSMを£125M ($155M) で受注したことを明らかにした。  この結果NSMと競っていたMM40 Block 3 Exocetは敗れた。
 マレーシア海軍は6隻計画されているLCSに、4連装発射機2基を装備する。 (1807-060004)

3・5・5 シンガポール

3・5・5・1 安全保障環境

経済的な対中接近

 シンガポールが中国と4月8日に一帯一路に関して協力を拡大する覚書を結び、中国と関係強化をはかる姿勢を鮮明にしている。
 シンガポールにとって、アジア域内のインフラ需要を取り込んでいくことは今後の経済成長に不可欠な要素となる。 その意味で中国と関係を深めることは経済的に実利が大きいが、米中間でバランスを保ってきた外交や安全保障のスタンスを維持することも同時に大きな課題となる。
 とりわけシンガポールは2018年のASEANの議長国を務めており、南シナ海問題でどう中国と向き合うかが問われている。 (1805-040905)

インドネシアとの協力

 インドネシア海軍とシンガポール海軍が4月19~27日に、テロ対策共同演習をインドネシアスラバヤ港を中心にして実施した。
 この演習は両国艦で年次演習として実施するもので、今回が1回目である。 (1805-042203)

安全保障上の課題

 東南アジアで最も多額の国防費を支出している都市国家シンガポールは低い出生率が国防上の問題点になってきている。
 このため軍は装備品の省人化に努めている。 (1803-012905)

3・5・5・2 軍備の増強、軍事費の増額

3・5・5・2・1 軍事費の増額

 シンガポール政府が2月19日、2018年の国防費が前年度比3.9%増のSGD14.76B ($11.2B) にのぼることを明らかにした。
 これは同国国家予算の18.5%になる。 (1804-022809)
3・5・5・2・2 海軍の増強

沿岸警備艦 LMV の建造

 シンガポールが8隻計画している沿岸警備艦LMVの七番艦Dauntlessが8月18日に進水した。 同艦は2019年末までにシンガポール海軍に引き渡され、2020年までには8隻態勢が整う。
 2017年5月に一番艦が就役したLMVは全長80m、排水量1,200tで、OTO Melera社製76/62 Super Rapid砲のほか、Rafael社製Typhoon 25mm砲1門、OTO Melera社製遠隔操作12.7mm機銃2丁を装備し、VL Mica SAM用の12セルVLSも装備している。 (1810-082903)

 シンガポール海軍が8隻建造する1,250tの沿岸警備艦 (LMV) の4番艦と5番艦の就役式典がが9月26日にTuas海軍基地で行われた。
 ST Marine社が建造したLMVはOto Melara社製76mm砲やVL Mica用の12セルVLSを装備している。 (1812-100309)

3・5・5・3 Cyber 戦力の拡充

 シンガポール国防相が3月上旬に国会で、同国軍のサイバ戦能力を高めるため2018年中に各種対抗手段を導入することを明らかにした。 このため個人としてのハッカー>や非政府組織を活用するという。
 また "Spear-Phishing" をはじめとするサイバ戦技術を取り入れるという。 (1806-040015)
【註】 "Spear-Phishing" とは、特定の組織や人物を狙って偽のE-mailを送信し、個人情報を収集する標的型フィッシング攻撃のことである。

 シンガポール国防省がChangi海軍基地を初のLive Digital Testbed (LDTB) として使用している。
 LDTBでは3G/4Gデータ通信を含む国防省と軍の通信に関し、セキュリティの研究を行っている。 (1808-070004)

3・5・5・4 新装備の開発

Jaeger UGV

 シンガポールのST Kinetics社が2018シンガポール航空展で6×6型のJaeger UGVを公表し た。 JaegerはイスラエルARI社製のAMSTAF車をST Kinetics社がUGVにしたもので、EO/IRをマストに搭載して偵察目標捕捉 (RSTA) 用に使用される。
 重量は750kgで250kgの搭載能力があり、電動/ディーゼルのハイブリッド動力で走行する。
 電動だけで16km/hで4時間走行できるが、ディーセル発電機を駆動すれば24時間まで走行可能になる。
 遠隔操作モードでは1kmの範囲で行動できるが、2D LiDARとGPSを併用した半自動操縦も可能である。 (1803-020906)

Airfish 8 WIG機

 シンガポールのWigetworks社が2018年末までに量産型Airfish 8 (AF8) WIG機の設計を完了する。 同社は2機のAF8を試作している。
 AF8は全長17m、全高3.5m、翼端長15m、MTOW 5,550kgで、燃料を含む搭載能力1,150kg、速力120kt、巡航速度80~90kt、航続距離300nmの性能を持つ。
 全備状態でも喫水は0.5mでしかなく、高度1~3mをWIG効果を利用して飛翔するが、障害物の飛越などに際しては7mまで上昇可能である。 (1805-040906)

3・5・5・5 海外からの導入

M142 HIMARS

 シンガポール陸軍が "Forging Saber 2017" 演習で、陸軍が装備しているM142 HIMARSの移動型指揮所装置であるLockheed Martin社製UFCSを初披露した。
 この演習で同国陸軍のHIMARSは射程15kmのM28A1訓練用縮射ロケット弾 (RRPR) を発射した。 (1802-010001)

Aster 30 SAMP/T

 シンガポールが軍創立50周年記念式典でAster 30 SAMP/Tの映像を公開した。 導入したシステムについて同国国防省は詳細を明らかにしていないが、大隊は8発搭載発射機4~6機を装備し、発射機は搭載した8発全てを10秒以内に発射できるという。
 Aster 30は同国空軍の第163大隊が装備しているMIM-23B IHAWKの後継として、2012年に導入したRafale社製Spyder短距離SAMと合わせて装備する。 (1806-041107)

 シンガポール空軍が50周年記念に際し公表したビデオ映像でAster 30 SAMP/Tを披露した。 映像でAster 30 SAMP/TはRheinmetall MAN社製8×8車に搭載されていた。
 Aster 30は1980年来第163大隊が装備しているMIM-23B I-HAWKと換装される。
 シンガポールがAster 30に関心を持っていることは2013年9月に国防相が、2012年に配備したRafale社製SPYDER近距離SAMを補う中距離SAMを選定したと述べた際に判明していた。 (1807-050006)

SPYDER SAM

 シンガポール国防省が7月4日に声明で、同国のSPYDER SAMがFOCになった発表した。
 SPYDERはRapierの後継として採用したもので、これにより操作員がRapierの15名から4名に削減できた。 (1809-071809)

3・5・6 タ イ

3・5・6・1 豆潜水艦計画

 タイ政府が海軍のChawalan級豆潜水艦計画を承認した。 計画では150~300tで、速力10kt、航続距離300nm、乗組員10名の豆潜水艦をTHB200M ($6M) で7年懸けて試作を行う。
 この計画は中国からType 041 (Yuan級) を元にしたS26T 1隻を購入した1年後に開始された。 (1809-080112)
3・5・6・2 装備の導入

S26 潜水艦 (Type 041 Yuan級)

 中国から購入したType 041 (Yuan級) を元にしたS26T 1隻は2023年に引き渡される。 (1809-080112)

T-50TH

 タイ空軍が2015年に12機発注したT-50THの最初の4機が4月4日に就役した。 T-50THは老朽化したAero社製L-39ZAの後継で、タイは更に4機を追加発注する模様である。
 T-50THはF/A-50と同程度の武装能力を持っているが、Link 16など一部の機能は搭載されていない。 (1806-041108)

3・5・7 ミャンマー

3・5・7・1 中国が進める港湾開発事業の規模縮小

 ミャンマーのソー・ウィン計画財務相が日経新聞の単独取材に応じ、中国がミャンマーのチャオピュー経済特区で進める港湾開発事業の規模縮小を求める考えを明らかにした。
 チャオピューはインド洋沿岸の港町で、中国内陸の雲 南省につながるパイプラインの起点に位置しており、2015年に中国国有大手の中国中信集団 (CITIC) を中心とする企業連合が経済特区の開発権を獲得した。 大型貨物船が入れるミャンマー最大規模の港湾施設を建設し、周辺に1,000haの工業団地や住宅地を設ける構想である。
 この事業は一帯一路の中核事業の一つで、投資の原資を中国からの多額の借金で賄うことに懸念を示した。 (1808-070408)
3・5・7・2 政府軍と少数民族武装勢力との衝突が中国に波及

 中国国防省などによると、ミャンマー北部の中国との国境付近でミャンマー政府軍と少数民族の武装勢力が衝突し、中国人3人を含む多数の死傷者が出た。 また雲南省内にロケット弾3発が着弾したという。
 中国国防省報道官は5月18日、中国軍は国境の管理を強化し、あらゆる必要な措置を講じて国家の主権と安全を守ると強調した。
 国境付近の部隊を増員しているとも報じられている。 (1806-051901)

 中国国防省が5月18日、ミャンマー軍と武装勢力との交戦でミャンマーと中国の国境にある瑞麗市で12日に中国人3名が死亡したことについて、国境防衛に必要な措置を取ると警告した。 (1807-053006)

3・6 大洋州諸国

3・6・1 オーストラリア

3・6・1・1 外交姿勢

3・6・1・1・1 対中国

対中姿勢

 豪州の対中姿勢は必ずしも一貫してきたとはいえない。
 2015年9月に安倍首相と蜜月関係にあったアボット首相が退任し、中国ビジネスで成功を収めたターンブル首相が就任した直後、豪州は軍事的要衝である北部ダーウィン港を中国企業に99年間貸与する契約を許した。
 ターンブル首相が2017年後半から対中強硬路線にかじを切り、安保協力の進展に再び期待感が高まったが、2018年8月に豪州内の政変によりモリソン政権が誕生した。
 外務省幹部は政権が代わっても安保戦略の基本は変わらず中国に過度にすり寄ることはないとみるが、新政権の国防相に次期潜水艦の機種選定で日本の提案に反対したとされるパイン氏が就くなど、不安要素もある。 (1811-101101)

多国間演習 "Kakadu" に中国軍が初めて参加

 オーストラリアのペイン国防相が8月1日、豪海軍が主催して9月に豪北部のダーウィン沖で行われる多国間演習Kakaduに中国軍が初めて参加する見通しとなったことを明らかにした。 豪メディアによると、中国はフリゲート艦を派遣する見通しである。
 "Kakadu" は隔年で行われる大規模演習で、2016年の演習には日米加印韓比など19ヵ国から水上艦や潜水艦19隻、3,000名が参加した。 豪州は今回の演習に27ヵ国を招待している。
 豪州と中国は2017年後半から関係が急速に悪化しているが、今回の演習参加で豪中関係が改善に向かうとみる声もあるが、中国は実弾訓練には参加しないなどの参加は限定的である。 (1809-080101)

3・6・1・1・2 対南太平洋諸国

島嶼国支援基金の設立

 中国が巨額の資金援助を通して太平洋の島嶼国で影響力を強める中、オーストラリアのモリソン首相が11月8日に豪軍の基地で、島嶼国との関係強化に力を入れていく方針を発表した。
 具体的には島嶼国が必要としているインフラ開発を支援するため、AUD2B(1,600億円)の基金を設け、通信やエネルギ、運輸など重要度の高いインフラの整備を支援していくという。
 また、各国の軍と共同訓練などで連携を深めるとしていて、オーストラリアが太平洋地域で持つ影響力を当たり前と思わず太平洋を重視していくと述べた。 (1812-110801)

Pacific Patrol Boatの建造、供与
 オーストラリアのAustal社が5月29日、21隻建造するPacific Patrol Boatの一番艇を進水させた。 一番艇は2018年10月にパプアニューギニアに引き渡される。 (1806-053004)

 オーストラリア西部にあるAustal社の造船所で5月29日、Canberra's Sea 3036 Pacific Patrol Boatの一番艇が進水した。
 Pacific Patrol Boatは21隻の建造が計画されており、太平洋諸島12ヵ国に供与されてこれら諸国の哨戒艇22隻と換装される。
 Pacific Patrol Boatは全長39.5m、全幅8m、乗員23名で、30mm艦載砲と12.7mm機銃を搭載できるスペースを有している。 (1807-060611)

バヌアツとの安全保障条約締結交渉開始

 オーストラリアのターンブル首相が6月25日にバヌアツのサルワイ首相と会談し、二国間の安全保障条約の締結に向け交渉を開始することで合意した。
 豪州の伝統的な友好国である太平洋諸国に開発援助などを通じて影響力を高める中国に対抗する狙いがある。 (1807-062502)

パプアニューギニアとの協力関係強化

 オーストラリアのモリソン首相が11月1日、パプアニューギニアのオニール首相と協力関係を強化していくことで合意した。
 オーストラリアは、パプアニューギニア北部のマヌス島にある海軍基地の改修にあたって資金を援助するなど、両国の軍事的な連携を強化するという。 これにより地域における協力関係をさらに緊密なものにし、南太平洋で課題となっている違法操業や国境を越えた犯罪に対する対応能力も高めることができるとしている。
 南太平洋では、中国が島嶼国に対する巨額の資金援助を通じて影響力を強めていて、軍事利用につながりかねない海軍基地の改修支援にも関心を示しているのではないかと、オーストラリアでは懸念する声が上がっているだけに、オーストラリアとしては、今回の合意によって中国による軍事的な影響力の拡大を阻止する狙いがあると見られる。 (1812-110202)

 Wall Street Journal紙が11月1日、オーストラリアとパプアニューギニアが1日に両国がパプアニューギニア北部のマヌス島にあるロンブルーム基地を整備することで合意したと報じた。
 同基地は米軍が1944年に日本軍から太平洋を奪還してフィリピンを解放するために建設したもので、2,800mの滑走路と港がある。 (1812-110603)

 ペンス米副大統領が訪問先のパプアニューギニアで11月17日、オーストラリアがパプアのマヌス島で進めているロンブラム海軍基地の増強計画に米国も協力する方針を示した。
 アジア太平洋地域で影響力を強める中国を牽制する狙いがある。 (1812-111703)

3・6・1・2 軍事力増強

3・6・1・2・1 軍事費の増額

 オーストラリア政府が5月8日に、2018-2019国防費がAUD1.2B ($900M)、率にして1.4%上昇しAUD36.4Bになると発表した。
 これは対GDP比1.9%で、目標としている2020-2021年に2%に近づいたことになる。 (1806-050908)

 オーストラリアが5月8日に発表した年次予算声明で、FY18/19における国防費が1.4%、額にしてAUD1.2B ($900M) 増額されAUD36.4Bに達することを明らかにした。
 この結果国防費の対GDP比は1.9%と、目標とするFY20/21の2%に近づいた。
 総額をAUD160.7Bとした3ヵ年計画ではFY20/21の国防費をAUD41.2Bにセットしている。 (1807-051604)

3・6・1・2・2 F-35A の取得

 オーストラリア国防相が4月9日、同国空軍が既に受領している2機に加えて3機のF-35Aを受領したことを明らかにした。
 既に受領した2機Block 3iソフトを搭載しているが、新たな3機は全戦闘能力を発揮できるBlock 3Fが海外では初めて搭載されている。 (1806-041811)

 豪空軍のF-35A 2機が12月10日に、初めてオーストラリアに飛来した。 この2機は豪空軍の9号機と10号機で、最初の8機は米国での訓練に使用されている。
 オーストラリアは72機のF-35Aを発注しており、今後10年間で更に28機を購入するか否かを決定する。 (1901-121003)

3・6・1・2・3 海軍力の増強

防空駆逐艦 (AWD) 一番艦が CEC の試験

 クリストファー豪国防相が11月5日、豪海軍AWD一番艦Hobartがハワイ沖で米海軍駆逐艦John Finnと初めてのCECの試験を実施したと発表した。 (1901-111409)

防空駆逐艦 (AWD) 二番艦の引き渡し

 2017年11月から洋上試験を行ってきた豪海軍が3隻建造する防空駆逐艦 (AWD) の二番艦Brisbaneが、7月27日に豪国防省に引き渡された。 (1808-072702)

 豪海軍が3隻建造するHobart級防空駆逐艦 (AWD) の二番艦Brisbaneが、7月27日に豪国防省に引き渡された。 就役は2018年末になる。 (1810-080811)

 豪海軍Hobart級防空駆逐艦 (AWD) の二番艦Brisbaneが10月27日に就役した。
 6,350tのBrisbaneは48セルのMk 41 VLSを装備し、SM-2 MR Block ⅢAとBlock ⅢB及び射程30nmのRIM-162B ESSM、RGM-84 Harpoon Block Ⅱ 4発発射機2基を装備する。 (1901-110708)

防空駆逐艦 (AWD) 三番艦の進水

 豪海軍の防空駆逐艦 (AWD) の三番艦で最終艦が5月19日にアデレードで進水し、Sydneyと命名された。
 豪海軍への引き渡しは2019年12月に予定されている。 (1806-052105)

 オーストラリア海軍のHobart級防空駆逐艦 (AWD) の三番艦にして最終艦が5月19日に進水しSydneyと命名された。
 Sydneyは洋上試験を経て2019年12月に豪海軍へ引き渡される。 (1807-053005)

次期フリゲート艦を選定

 オーストラリアが6月29日、Anzasc級の後継としてAUD35B ($26B) で2020年代末に配備する次期フリゲート艦にBAE Systems社のType 26のオーストラリア型であるGCS-Aを選定したとこを明らかにした。 (1807-062905>)

 オーストラリアが2027~2028年から退役するAnzuc級フリゲート艦8隻の後継として9隻建造する排水量6,900tのHunter級対潜フリゲート艦が、Type 26GCSを元にしたBAE Systems社案に決まった。 建造は同国西部のOsborneにあるASC造船で行われ、総経費はAUD35B ($25.9B) にのぼる。
 Hunter級フリゲート艦はMk 45 Mod 4 5吋砲1門と48セルのMk 41 VLSを装備し、SM-2 MR Block ⅢAやRIM-162 ESSMを発射できる。 レーダはCEAFAR2 S-/X-bandレーダを装備する。 (1808-070411)

 オーストラリアが9隻建造する対潜フリゲート艦をBAE Systems社の6,900t Type 26 GCSに決め、建造を豪国営ASC社で行うことにした。 (1809-071813)

沿岸警備艦 OPV 建造

 豪海軍が12隻計画している沿岸警備艦OPV建造に向けドイツのLürssen社とオーストラリアのCivmec社が合弁会社AMSEG社を設立した。 Lürssen社は1月下旬にAUD3.6B ($2.7B) でOPVを受注している。
 受注したOPVは豪海軍が現在13隻保有している全長56.8m、排水量300tのArmidale級に代わるもので、全長80m、全幅13m、喫水4m、排水量1,761tである。 (1807-060615)

3・6・1・2・4 UAV の整備

MQ-4C Triton を発注

 オーストラリアが6機購入予定のMQ-4C Tritonの最初の1機を$1Bで発注した。
 豪国防相によるとBoeing 737大の翼端長を持つTritonは地球面の10%を監視でき、米、英、加、ニュージーランドと共に「五つの目」として インド大平洋のほか東南アジア、南極大陸の監視にあたる。 (1807-062608)

 オーストラリアのターンブル首相が6月26日、MQ-4C Tritonを6機装備すると発表した。 1番機は2023年中頃、6機全体は2025年末までに就役するという。
 オーストラリアはAP-3C Orion 19機を保有しているが、そのあとをP-8A Poseidon 12機とTriton 6機で引き継ぐという。 (1808-070414)

Heron-1 の後継に MQ-9 Reaper を選定

 豪国防省が11月16日、豪空軍が2010年から4機装備し2017年8月に退役したIAI社製Heron-1 UAVの後継となるProject Air 7003 Phase 1にMQ-9 Reaperを選定したと発表した。
 豪空軍は2007年から装備しているMQ-9の後継としてMQ-9B 16機を発注し2024年から受領する。 豪空軍はMQ-9BにAN/APY-8 Lynx ⅡeレーダとMBDA社製Brimstone ASM、Paveway Ⅳなどを装備する。
 GA-ASI社は米空軍が採用しているMQ-9 Block 5 Reaperと英国が採用したMQ-9B Sky Guardianを提案していたが、オーストラリアはMQ-9B Sky Guardianを選定した。 (1901-112103)

3・6・1・2・5 NASAMS の導入と国産レーダの採用

 オーストラリア国防省がCEATEC社に発注したHaekei軽装甲車に搭載した車載AESAレーダを受領した。 このレーザは同国が装備するNASAMSシステムのAN/MPQ-64F1 Sentinelレーダと代われる能力があるという。 (1811-091204)
【註】 CEATEC社は今までに艦載AESAレーダのCEAFAR捕捉追随レーダ及びCEAMOUNTイルミネータレーダを開発しANZAC級フリゲート艦に搭載している。

3・6・1・2・6 OTH-R の近代化改修

 特記すべき記事なし。
3・6・1・3 その他の新装備導入

Wasp AE SUAS の追加購入

 オーストラリアが2017年6月にAeroVironment社製小型UAV (SUAS) Wasp AE 65機をAUD42M で購入したのに続き、AUD1.4M ($1.08M) でWasp AEを追加発注した。
 発注した機数は明らかにされていない。 (1806-041813)

3・6・1・4 軍事産業の振興

3・6・1・4・1 国内防衛産業の振興

 オーストラリア政府が4月23日、向こう10年間を見据えた国内防衛産業の振興策である "Defence Industrial Capability Plan" を発表した。
 豪政府は2018~2019国防予算に企業自立計画としてAUD17M ($13M) を計上している。
 豪政府は2020~2021年予算までに国防費の対GDP比を2%までに引き上げる計画で、2028年までに国防支出をAUD200Bにする計画である。 (1805-042204)
3・6・1・4・2 先端技術の開発

 豪国防省の科学技術 (DST) グルーブが量子技術を防衛装備に取り入れる提案を大学、企業、国立研究機関などに求めている。
 量子技術は2017年3月に豪国防省が設立した次世代技術基金AUD730M ($575M) でも優先課題の一つに挙げられており、DSTグループは量子センサ、測位システム、航法システム、タイミングシステムなどへの応用を期待している。 (1804-020001)
3・6・1・4・3 輸出の振興

「防衛輸出戦略」の策定

 オーストラリア政府が1月29日、防衛関連産業の輸出振興のため、AUD3.3B(3,300億円)の融資枠創設を盛り込んだ「防衛輸出戦略」を公表した。 ターンブル首相は、10年以内に武器輸出の世界トップ10入りを目指すと表明した。
 豪州の防衛機器年間輸出額は現在AUD20Bで世界20位にとどまっている。 (1802-012901)

 ターンブル豪首相が1月29日、防衛装備輸出振興策 "Defence Export Strategy" を発表した。 この計画は2016年に発表した総額AUD200B ($162B) の軍近代化計画による装備品販売を海外にも拡張しようというもので、各種組織の立ち上げやオーストラリアの輸出信用機関である EFICにAUD3.8Bの輸出補償枠を設けることなどが含まれている。 (1804-020710)

 オーストラリアの軍需相が8月20日、4Q/FY2017-18の軍用及び軍民両用の装備輸出が、前年同期比で25%増加したことを明らかにした。
 オーストラリアは1月に軍需品の輸出をAUD1B ($735M) にするとした軍需品輸出戦略を立ち上げている。 (1809-082108)

フィリピンにおける艦船建造

 オーストラリアの造船企業Austal社がフィリピン海軍の建艦計画を進めている。 建造するのは外洋哨戒艦 (OPV) 6隻で、現在はセブ島のBalambanにある施設の規模を二倍に大きくする作業を行っており、2019年はじめに完成すれば新たに1,000名の雇用が期待されている。
 建造は初期の作業をセブ島にある民間船建造の施設で行う。 (1812-100312)

3・6・2 ニュージーランド

3・6・2・1 国防の基本方針

 ニュージーランド (NZ) 政府が7月6日に公表した防衛に関する報告書で、南太平洋地域における中国の影響力拡大が地域の安定を脅かす可能性があると警告した。 NZと中国の二国間関係の緊張が高まる可能性がある。
 NZとオーストラリアはこれまで南太平洋の主要2ヵ国だったが、報告書によるとNZは現在、小規模の島国への影響力で中国を下回っているという。 (1808-070603)

 ニュージーランドが7月6日、2016年国防白書に代わる "Strategic Defence Policy Statement 2018" を公表した。
 この文書では戦略環境について、中国の領土に関する一方的な主張、ロシアの影響力拡大志向、北朝鮮の軍国主義を脅威としてとらえている。 (1809-071104)

3・6・2・2 装備の近代化

3・6・2・2・1 艦 船

洋上給油艦 Aotearoa の韓国での建造
 韓国HHI社が2016年にニュージーランドからNZD493M ($323M) で受注した洋上給油艦Aotearoaの船台組み立てが8月13日に蔚山で始まった。
 Aotearoaは全長173m、全幅24.5m、喫水8.5m、排水量24,000tで、速力16kt、航続距離6,750nmの性能を持つ。
 ニュージーランドは南島東岸のAntarcticaからペルシャ湾までAotearoaで燃料を輸送する計画で、軽油8,000t、航空燃料1,550t、真水250tを積載でき、このほかに20ft標準コンテナ12個を搭載できる。
 コンテナのうちの4個は弾薬等の危険物を収納できる。 (1809-081406)
3・6・2・2・2 その他装備

P-8A Poseidon の導入

 ニュージーランド国防相が7月9日、P-8A Poseidon 4機をNZD2.346B ($1.6B) で導入すると述べた。 納入は2023年に開始される。
 P-8A Poseidonは、ニュージーランドが1960年代以来保有しているP-3K2 Orionの後継になる。 (1809-071802)

3・6・3 南太平洋諸国

3・6・3・1 中国の進出

3・6・3・1・1 中国の影響力拡大

トンガへの進出

 中国国営新華社通信によると、習国家主席が訪中中のトンガ国王ツポウ6世と3月1日に会談し、両国は貿易や投資のほか海洋資源の保護など幅広い分野での協力を強化して関係をさらに発展させることで一致したと報じた。
 トンガに対してはオーストラリア、ニュージーランド、日本などが無償資金協力などを通じて経済発展を支援してきたが、このところ中国が支援を強化し、急速に関与を強めており、中国が南太平洋地域で影響力を一層拡大する狙いがあるものとみられる。
 トンガ国民の間では中国からの多額の借款により債務が膨らみ、中国への過度な依存に懸念する声もあがることから 、中国は今回トンガに対して債務の一部を免除する方針を示している。 (1804-030202)

3・6・3・1・2 中国への反発

ナウル

 オセアニアの島国ナウルで9月3日から開かれている太平洋諸島フォーラム (PIF) 首脳会議で、ナウル政府が参加する中国代表団に外交旅券による入国を拒否していたことが分かった。 AFP通信によると、台湾と外交関係を持つナウルは、外交関係がないことを理由に中国代表団に対して一般旅券で入国するよう通告したという。
 結局、中国から多額の援助を受けているサモアなどが反発し、最終的にナウル側が妥協した。
 中国はフォーラム非加盟国であるものの、フォーラムが毎年行う「域外国との対話」に参加している。 (1810-090404)

 9月3日から6日にかけて行われた太平洋諸島フォーラム (PIF) で、2018年の開催国ナウルのワガ大統領が中国の代表は傲慢でいじめっこのようだと中国にかみついた。 ナウルは過去に中国と台湾の間で揺れた歴史を持つ。
 ロイタ通信によると、域外国としてPIFに参加している中国の代表が4日の会合で先陣を切って発言しようとしたところ、ワガ大統領がこれを遮った。 各国首脳の方が格上と見なしたためだというが、不満に思った中国代表団が退場したため「中国の代表は傲慢」といった発言につながった。
 一方で中国と関係が深いサモアなどはナウルの対応に反発し、地域で影響力を強める中国が各国の関係にも影を落とした。 (1810-091701)

3・6・3・2 フランスの影響力確保

3・6・3・2・1 インド太平洋安全保障で日仏協力

 フランス政府が、7月12~14日の河野太郎外相の訪仏中にインド太平洋の安全保障で日仏協力を強化することに合意した。 マクロン政権はオランド前政権の中国寄り外交を修正し、南シナ海で航行の自由を確保するため昨年だけで少なくとも5隻の艦船を派遣して、中国による海洋覇権の拡大を牽制する姿勢を鮮明にしている。
 フランスはインド太平洋にニューカレドニア、仏領ポリネシアなど海外領土を保有して8,000名の部隊を展開しており、中国の強引な権益拡大に対して既成事実化の押しつけは断じて認めない(パルリ仏国防相)方針を示している。 (1808-071503)
3・6・3・2・2 ニューカレドニアの独立問題

 南太平洋のフランス特別自治体ニューカレドニアで11月4日に独立の是非を問う住民投票が実施され、即日開票の結果、独立反対が56.4%を占め否決された。
 ニューカレドニアは防衛を除く治安や医療、経済など幅広い自治権を保持しているが、貧富の差に不満を抱える先住民カナクの間で独立志向が強い一方、財界を中心とした独立反対派は、豊富なニッケル資源を狙う中国の進出を警戒している。 (1812-110406)
3・7 ロシア

3・7・1 軍事拡大政策

3・7・1・1 中東地域での拡大政策

3・7・1・1・1 シリアでの基地の確保

 プーチン露大統領が2017年12月29日に、シリアのTartus港の使用に関する条約に正式に署名した。
 それによるとロシアは原子力艦船を含む最大11隻の艦船を随時停泊することができる。 条約の期限は49年になっているが自動的に25年間延長されるとも示されている。 (1803-011003)
3・7・1・1・2 地中海への進出

東地中海での勢力確保

 米海軍の駆逐艦Donald CookがキプロスのLarnacaを4月9日に出航しシリア領海近くに向かっていたところロシア軍戦闘機の妨害を受けたという。 ただ米海軍によるとDonald Cookは妨害機の影響を受けず航行を続けた。
 Donald Cookは2016年4月にもバルト海でロシア軍Su-24の異常接近を受けたことがある。 (1805-041004)

巡洋艦の地中海への回航

 露海軍巡洋艦Marshal Ustinovが給油艦とタグボートを従えて11月9~12日に、2年ぶりに北アフリカのスペイン領Ceuta港に寄港した。
 1986年に就役した10,000t級のMarshal Ustinovは7月に母港である北方艦隊の本拠地バレンツ海のSeveromorskを出港し東地中海に向かっていた。 (1812-111306)

3・7・1・1・3 カスピ海小艦隊の強化、中央アジアでの影響力維持

 ショイグ露国防相が4月2日、カスピ海小艦隊をAstrakhanから不凍港であるKaspiyskに移動させ、人員も増強したと発表した。
 カスピ海小艦隊はCMを装備するコルベット艦10隻のほか砲艇6隻、揚陸艦艇8隻、掃海艇7隻で構成され、ロシア軍の南部軍管区に隷属している。 (1805-041006>)
3・7・1・2 欧州での戦略

3・7・1・2・1 公共警備の重視

 プーチン大統領が2017年12月22日に開かれた戦略ロケット軍大学での年次会合で、国防省の現在及び将来計画で優先課題としていることについて述べた。
 まず欧州からの脅威に対抗して国境近くの重要性について強調し、Near East及び朝鮮半島の重要性も述べた。 (1803-011007)
3・7・1・2・2 師団から旅団に縮小した2個を師団に復帰

 Izvestia紙がロシア国防省筋の話として2月16日、2009年にセルゲーエフ前国防相が師団から旅団に縮小した北コーカサスの第58軍に所属する北オセチア駐屯の第19自動車化狙撃旅団と、ダゲスタン駐屯の第136自動車化狙撃旅団の2個旅団を2018年内に師団戻すと報じた。 (1804-022807)
3・7・1・3 中南米への影響力拡大

 ロシア国防省が、Tu-160 2機が10,000kmを飛行してベネズエラに着陸したと発表した。 同機にはAn-124輸送機とIl-62旅客機も同行したという。
 Tu-160がいつまでベネズエラに留まるのか、どのような武器を搭載しているのかは明らかにしていない。
 Tu-160は射程5,500kmのKh-101 CMを搭載できる。 (1901-121004)
3・7・1・4 大規模演習の実施

3・7・1・4・1 ICBM の機動演習

 ロシア国防省が1月15日、Topol-M及びYars ICBMをTELに搭載した機動演習を15日に開始すると発表した。
 露国防省によると、この演習はモスクワ北東のIvanovoから東シベリアのIrkutskにわたる広域で実施される。 (1802-011504)
3・7・1・4・2 地中海で大規模演習

 ロシア国防省が8月27日にロシアのニュース社に対し、シリア情勢に対応して9月第一週に地中海で対空対潜演習を行うことを明らかにした。
 この演習には巡洋艦1隻を含む25隻の艦船と30機のジェット機が参加するという。 (1809-083004)

 ロシアが8月中旬になって巡洋艦と駆逐艦を北方艦隊から、ミサイルコルベット艦を黒海艦隊から地中海に入れ存在感を高めている。 露国防省が8月15日、巡洋艦Marshal Ustinovと駆逐艦Severomorskがアルジェを訪問し5日間停泊したと発表した。
 8月16日にはVishny Volochekが黒海艦隊の本拠地セバストポリを出航して地中海に向かったと発表した。
 これら3隻が地中海に入るまで地中海には6月にボスポラス海峡を通過したカスピ海小艦隊のBuyan-M級2隻しかいなかった。
 このほかに黒海艦隊のフリゲート艦Yaroslav Mudryも地中海に入ったが、露国防省は7月24日に同艦がスエズ運河を通過して紅海に入ったと発表している。 (1810-082902)

 ロシア国防省が8月30日、9月1日から1週間にわたり演習を行うため、一時的に地中海で艦船を増強していると発表した。
 露海軍は巡洋艦Marshal Ustinovと駆逐艦Severomorskを北方艦隊から地中海に入れている。 また黒海艦隊のAdmiral Grigorovich級新型フリゲート艦も参加すると見られAdmiral GrigorovichAdmiral Essenが8月25日にボスポラス海峡を通過した。  Essenは58日前に地中海を離れていた。
 8月16日にはBuyan-Mミサイルコルベット艦Vishny Volochekがボスポラス海峡を通過して地中海に向かって以降、3隻の同型艦が地中海にいる。
 このほかに8月18日まで紅海で海賊対策活動を行っていた黒海艦隊のフリゲート艦Yaroslav MudryはPort Sudanに寄港したのち帰路についている。
 この演習にはTy-160長距離爆撃機、Tu-142及びIl-38対潜機、Su-33及びSu-30SMやKilo級潜水艦2隻も参加すると見られる。 (1810-090503)

 ロシアの航空宇宙軍と海軍が9月1日~8日に初めて地中海で演習を実施し、シリアに駐留する爆撃機や戦闘機など34機のほか、潜水艦2隻を含む26隻の艦船が参加した。
 今回の演習は、アサド政権がIdlib県とその周辺に対して近く大規模攻撃を行う構えであることに関連しているとみられる。 (1810-090804)

3・7・1・4・3 独立国家共同体加盟7ヵ国空軍との大規模演習

 ロシア国防省が9月27日、独立国家共同体(CIS)加盟7ヵ国の空軍による合同演習が始まったと発表した。
 同省によると演習には加盟各国の航空機最大100機、40以上のSAM部隊などが参加したという。 (1810-092805)
3・7・1・5 陸軍の近代化

 ショイグ露国防相が10月10日、露軍の中央、南部、東部軍管区の整備状況を公表した。
 それによると3個軍管区はそれぞれ、毎年1,500品目の新型または改良型装備を受領し、今年末までに平均50%の装備で近代化を達成すると言う。 (1811-101506)

 ロシア軍のロケット砲兵部隊 (MT&A) 司令官が11月19日、MT&Aが新装備を受領していると述べた。 MT&Aが受領しているのは、2S19M2 Msta-SM 152mm SPHとTornado-G 155mm MRLで、軍は2018年に Smerch 300mm MRLの開発計画を開始している。
 更に2S35 Loalotssiya SV SPH、Nobrosok 砲兵システム、Kornet-D1 SPATGMの開発も進めている。 (1901-112810)

3・7・1・6 海軍憲兵隊の創設

 ロシア西部軍管区が8月16日、カリーニングラードのバルチック艦隊に海軍憲兵隊を創設し、最初の部隊は2018年内に編成されることを明らかにした。
 海軍憲兵隊の任務は海軍基地周辺海域の保安で、同様の部隊が北方、太平洋、黒海の各艦隊とカスピ海小艦隊にも編成されるという。 (1809-082407)
3・7・2 財政難下での軍備増強

3・7・2・1 財政難の影響

3・7・2・1・1 国防費の低落傾向と増に転換の見通し

 2017年におけるロシアの国防費は前年比27%減のRUB 2.87T ($48.5B) で、対GDP比は3.1%であった。  今後の見通しについても右表の通りである。(1802-122502)

 ロシアの2018年の国防支出は、当初2017年のRUB2.88TからRUB2.73Tの5.1%減になるはずであったが、8%増のRUB2.95T ($51.35B) になる。

   ┏━━━━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┓
   ┃      ┃ 2017 ┃ 2018 ┃ 2019 ┃ 2020 ┃
   ┣━━━━━━╋━━━╋━━━╋━━━╋━━━┫
   ┃Trillion RUB┃ 2.87 ┃ 2.77 ┃ 2.79 ┃ 2.81 ┃
   ┃% of GDP  ┃ 3.1 ┃ 2.8 ┃ 2.7 ┃ 2.5 ┃
   ┗━━━━━━┻━━━┻━━━┻━━━┻━━━┛
 この結果国家予算に占める割合は2017年の16.9%から17.9%に上昇するが、対GDP比は逆に3.2%から3.1%に下落する。 (1805-032807)
3・7・2・1・2 軍近代化計画の大幅見直し

 ロシアが、2017年欧州で行った大規模演習Zapad-17に続いて、アジア正面で過去40年間最大規模の演習を9月11~15日に行う。 この演習には300,000名の兵員と1,000機の航空機、900両の戦車に加えて、中国軍とモンゴル軍が参加する。
 しかしながらロシアは2010年に大規模な軍近代化計画を開始したが、財政上の問題から大幅な見直しを行っている。 52機調達する計画であったSu-57 PakFaは12機に削減され、2020年までに2,300両調達するとしていたArmata T-14ハイテク戦車は、ソ連時代の1970年代中頃から1990年代初期に生産された3,000両を修理して使用することにしている。 (1809-082908)

 8月21~26日にモスクワ近郊で開かれたArmy 2018展の出展品の中に第五世代通常兵器はなく、Echo Moskvy通信機だけが唯一脚光を浴びていた。
 Su-57戦闘機もArmata (T-14) MBTも、その派生型であるKurganets IFVもまだ量産に至っていないという。 国防省はArmataとKurganetsを合わせて132両、Su-57を15機保有していると言うが、ロシアの軍事専門家は2026年までに入手できるSu-57はたったの2機であると見ている。 (1810-090507)

3・7・2・2 軍備増強

3・7・2・2・1 ASAT の開発

 Washington Times紙と外交専門誌Diplomatが4月5日、ロシアが3月26日に新型ASATの発射実験に成功したと報じた。 米国防総省はロシアが宇宙空間での優位確立に向け開発を進展させたことを示すものだとして警戒を強めている。
 米国防当局者が同紙などに語ったところでは、PL19 Noodleと呼ばれるASATはTELから打ち上げられたが、標的の破壊は行われなかったとみられる。
 ASATの発射実験は今回を含め6回行われ、うち4回は成功したとされる。 (1805-040601)
3・7・2・2・2 各種新型戦略兵器開発

 プーチン露大統領が3月2日、各種新型戦略兵器を開発していることを公表した。 (1804-030209)
Dagger (Kinzhal) 超高速 ALCM

 Mig-31から発射され、数分後にMach 10に達しこれを維持する。 2,000kmを飛翔。

Avantguard

 地上発射超高速ミサイルで、ブースタで加速され切り離されたのち、Daggerの2倍となるMach 20で大気圏上端を滑空する。 既に量産入りしている。

Sarmat

 200tの新型ICBMで、射程は11,000kmであるが極軌道を飛翔させることで地球上の何処へも到達できる。 弾頭にはHGVが使われる。

原子力推進エンジン

 プーチン大統領によると、従来の100倍の比推力を得られるCMやUUV用小型の原子炉を搭載したエン ジンを開発した。

Nuclear Powered, Multi-purpose Ocean-going UUV

 核推進のUUV

A-235 (PRS-1M ABM)

 既存のA-135 (53T6) ABMの後継で、外寸はA-135と同じため既存のサイロが活用できる。 過去数ヶ月間に2度の試験が行われ、 2018年中に配備される。

S-500

 目下試験中

高出力レーザ兵器

 大型トラック2台に搭載された写真が公開されたが詳細は不明である。

3・7・2・2・3 ICBM

 プーチン露大統領が3月1日行った今後の施政方針を示す年次教書演説で、世界中どこでも到達可能な 新型ICBMを開発したことを明らかにした。 新型ICBMは複数の核弾頭を搭載し、米国のBMD網を突破できると主張した。
 例年の倍以上の2時間にわたる演説では、後半の約40分を新型兵器の説明に充てて、兵器の動画を示すために初めてクレムリンの外に会場を移して実施した。 3月18日の大統領選を前に「強いロシア」を国内外に誇示したこの演説は事実上の選挙公約の表明と見られている。 (1804-030106)

 プーチン大統領がKinzhal超高速CMの飛翔試験に2017年12月1日に成功し、現在では試験が最終段階に入っていることを 明らかにした。 KinzhalはMach 10で2,000kmを飛翔するという。 (1804-0302086)

3・7・2・2・4 爆撃機

 特記すべき記事なし。
3・7・2・2・5 戦闘機

Su-57 (T-50) PakFa

 ロシア空軍がシリアのLatakiaにあるHumaymim航空基地にかつてT-50と呼ばれていたSu-57 2機を派遣した。
 ロシアは2020~2030年に220機のSu-57を装備する計画である。 (1804-022803)

 ロシアがSu-57を2019年にも配備する。 露政府系メディアRTが副国防相の話として6月30日、Su-57 12機の引き渡し契約が結ばれ、2019年にも配備されると述べたと報じた。 これに合わせるようにRTは同月25日、「F-35とSu-57のどちらが優れている?」と題した記事を掲載した。
 それによるとSu-57は高いステルス性、高性能レーダとスーパークルーズ能力を備える上、高い機動性を持ち、さらにスタンドオフで攻撃できるミサイルも搭載しており、搭載兵器の性能は前世代から1.5~2倍向上しているという。
 さらに同じ空域にいる他の戦闘機とネットワーク化され、僚機が発射したミサイルの誘導などの役割も果たせるという。 (1808-071904)

 ロシア国防省が8月22日、軍事産業20社に32件の契約を合わせてRUB30B ($2B) で行ったと発表した。 これによりSukhoi社にSu-57 2機を発注した。 (1810-082905)

 初飛行後8年以上経ってロシア国防省が8月22日に初めてSu-57 2機を発注した。 初号機は2019年に納入される。 露国防省は当面15機を調達する計画で、残りの13機は2019年に発注される。
(1811-091703)

MiG-35

 ロシア国防省が8月22日、単座型MiG-35であるMiG-35S 2機と復座型のMiG-35UB 4機を発注した。 (1811-091703)

3・7・2・2・6 U A V

 ロシア国防省が8月22日、軍事産業20社に32件の契約を合わせてRUB30B ($2B) で行ったと発表した。 これによりモスクワ熱技術研究所にAnchar-RV長距離超高速UAVの開発を発注した。 (1810-082905)
3・7・2・2・7 艦 船

空母 Admiral Kuzunetsov の近代化改修

 ロシアのメディアが、ロシア海軍が唯一保有している空母Admiral Kuzunetsovの近代化改修を、Zvezdochki艦船修理センタ隷下の第35艦船修理工場にRUB55~62B ($0.9~1.0B) で発注したと報じた。 近代化改修は2020年末に完了し2021年に再就役するという。
 近代化の中心は8基のボイラから成るウクライナ製主機の換装で、二番目は第一世代フェーズドアレイレーダであるMars-Passatを艦載S-350 Vityaz SAMが装備しているAlmaz-Antei社製Poliment-Redutレーダに換装する。
 更に Mosinformsystem-Agat社製のSIGA-E情報処理システムも搭載される。 (1806-050209)

 ロシアRoslyakovoで10月30日、浮きドックPD-50が沈没したため、修理中であったロシア唯一の空母Admiral Kuznetsovが船体と飛行甲板を損傷した。
 PD-50は沈没した際、積載していたクレーンが倒れ、そのうちの1基がAdmiral Kuznetsovを直撃した。 (1901-110705)

新型フリゲート艦の就役

 ロシア海軍記念日の前日である7月28日に、Project 22350新型フリゲート艦の一番艦Admiral Gorshkovが就役した。
 Admiral Gorshkovは全長135m、全幅16m、喫水4.5m、排水量5,400tで、速力30kt、航続距離4,500nmの性能を持つ。
 主な装備はA-192 130mm砲1門のほか、3M55または3M54/3M14 Kalibr ASCM/LACM 16発、3M89 CIWS 2基、RPK-9対潜ロケット弾発射機1基で、Ka-27PL対潜ヘリ1機を搭載できる。 (1810-080802)

3・7・2・2・8 その他の装備

MBT, IFV

 ロシア国防省が8月22日、軍事産業20社に32件の契約を合わせてRUB30B ($2B) で行ったと発表した。 これによりRostec社に2018~2021年にT-14 Armata MBTとT-15重IFVを132両を発注した。 (1810-082905)

3・7・3 軍事産業の再興

 エジプト空軍がMiG-29M/M2にKh-31超音速ASMを搭載していることを示す画像が10月19日に公表された。
 写真ではKh-31が対艦型のKh-31ADなのかARMであるKh-31PDなのかは定かではない。 いずれにせよ高高度で発射すれば250kmは飛行できる。 (1812-103112)
3・7・4 米国の対露政策/ロシアの対米政策

3・7・4・1 米国の対露経済制裁

3・7・4・1・1 対敵対国制裁法 (CAATSA) の発動

 トランプ米大統領が9月20日にロシア、イラン、北朝鮮に制裁を科す対敵対国制裁法 (CAATSA) の発動を命じる大統領令に署名したのを受け、ロシアからのSu-35やS-400の調達に関わったとして、20日に中国人民解放軍の共産党中央軍事委員会装備発展部と李尚福部長を制裁対象に指定した。 これにより米国内の資産凍結や米企業との取引禁止などの措置がとられる。
 ロシアによる2014年のウクライナ南部クリミア半島併合や2016年米大統領選への干渉疑惑で露情報機関などに協力したロシアの33個人と団体も追加指定した。 (1810-092102)
3・7・4・1・2 ロシアからのエネルギー、武器輸入に対する米国の制裁

対ドイツ

 ドイツに対する米国の制裁については報道がない。

対中国

 米政府が9月20日、ロシアの国営兵器輸出企業Rosoboronexport社との取引で対露制裁に違反したためとして、中国人民解放軍の兵器や装備品の管理部門に当たる共産党中央軍事委員会装備発展部と同部門の責任者を制裁対象に指定した。 (1810-092101)

 香港の米総領事館が9月25日、米海軍が来月予定していた強襲揚陸艦Waspの香港寄港の申請を中国政府が拒否したと明らかにした。 米国がロシア製兵器購入を理由に、中国共産党中央軍事委員会装備発展部などを制裁指定したことに中国は猛反発しており、対抗措置の一環とみられる。
 中国は南シナ海をめぐり米国と緊張が高まった2016年にも、空母John C. Stennisの香港への寄港申請を拒否している。 (1810-092502)

3・7・4・2 対米挑発

3・7・4・2・1 アラスカ沖合へ爆撃機

 北米航空宇宙防衛司令部 (NORAD) によると、ロシア軍のTu-95 2機が5月11日にアラスカ州沖合の防空識別圏に侵入したため、米空軍はF-22 2機を緊急発進させ、露軍機が防空識別圏を離脱するまで警戒や監視を続けた。
 アラスカ近辺で米空軍がロシア軍機に対して緊急発進を行ったのは2017年5月以来という。 (1806-051303)

 米軍が9月12日、ロシアのTu-95 2機がアラスカ州に近い防空識別圏内を飛行したため、米軍機が緊急発進で対応したと発表した。 声明によるとTu-95 2機は11日夜にSu-35 2機に護衛されながら、アラスカ州西岸に接近した。 これに対し米軍はF-22 2機を発進させた。
 米軍機がロシアの爆撃機に対して緊急発進するのは9月に入って2度目である。 (1810-091302)

3・7・4・2・2 戦略爆撃機がチュクチ半島上空を飛行

 ロシア国防省がSaratovを基地とするTu-160 2機がベーリング海を挟んで米国と面するチュクチ半島まで7,000kmを飛行し帰投する訓練飛行を行ったと発表した。 この演習には複数のTu-95や空中給油機も参加したという。
 ロシアの戦略爆撃機がチュクチ半島上空を飛行するのは初めてである。 (1809-081607)
3・7・5 アジアでの活動の活発化

3・7・5・1 極東での活動

3・7・5・1・1 極東軍区での軍備増強

S-400 のウラジオストック配備

 Digital Globe衛星が2017~2018年に撮影した画像からロシアがウラジオストック近郊のS-300PSをS-400 2個中隊に換装したことが明らかになった。
 2017年12月3日の画像ではウラジオストック東方のかつてS-300PSが配備されていた場所にS-400が写っており、2018年1月24日の画像にはウラジオ南方に2個目のS-400中隊が写っていた。 (1804-022806)

新型潜水艦部隊の配置

 露メディアが12月13日までに、露太平洋艦隊に最新鋭のLada型潜水艦を装備する新たな潜水艦隊を配置する方針を固めたと報じた。 Lada型は通常動力型で、原潜に比べて小型で静音性に優れるとされる。
 国営ロシア通信によると、Lada型はこれまでに3隻が起工し、一番艦Sankt Peterburgは2004年に進水し試験航行を続けている。 二番艦は来年に海軍に引き渡される予定のほか、三番艦は2021年以降に配備される見通しという。 (1901-121307)
【註】 Kilo級の後継と見られるLanda型は水上排水量1,793t、水中排水量2,693tと、Kilo級の2,362t、3,125tに比べてかなり小型であるが搭載武器や速力などの性能はほぼ同級である。
 ただ一番艦が2005年に公試運転を開始したものの就役したのは2010年と、トラブルにより手間取っている。

3・7・5・1・2 中国、モンゴルを巻き込んだ Vostok 2018 演習

 ロシアのショイグ国防相が8月20日、9月行う大規模演習 "Vostok 2018" に、中国軍とモンゴル軍が参加すると発表した。
 この演習はが2010年以降、4年に1度行っており、今回は北方領土を含む極東シベリア地域で行われる見通しで、ショイグ国防相は前例のない規模になると強調した。 ロシアと中国は6年前から毎年、海軍が合同で演習を行っているが、この演習に中国軍が参加するのは初めてである。
 中国国防省によると、中国からは3,200名とヘリを含む航空機が参加するという。 (1809-082103)

 ロシアのショイグ国防相が8月28日、ソ連崩壊以来の規模となる演習 "Vostok 2018" を実施すると明らかにした。 演習は9月11~15日にロシア中部と東部の軍管区で実施され、中国やモンゴルも参加する。
 同国防相は、演習には300,000名の兵員、1,000機以上の航空機、戦闘艦2隻と全ての空挺部隊が参加すると明らかにした。
 旧ソ連が1981年に実施した演習以来の規模になるとし、1981年の演習を再現する部分もあれば、さらに大規模になる面もあると述べた。 (1809-082904)

 ロシア中央軍管区のウェブサイトが、1981年に実施したソ連陸軍の 'Zapad (west) 81' 演習以来最大規模の演習 'Vostok (east) 2018' を実施すると報じた。
 Tass通信によるとこの演習は9月11~15日にヴォルガ、ウラル、シベリアにかけて29地区と、タジキスタンの第201基地、キルギスタンのKant空軍基地で行われ、300,000名の部隊と36,000点の装備が投入される。 またカザフスタンの部隊も参加する模様である。
 更にショルグ国防相は8月20日、中国軍とモンゴル軍も参加することを明らかにした。 中国国営メディアは8月21日に、中国は3,200名の部隊と900点以上の装備品及び30機の航空機を参加させるという。 (1810-090504)

 ロシア軍参謀総長が9月6日、300,000名を投入する過去30年間で最大規模の演習 "Vostok 2018" が9月中旬に開始されると述べた。
 演習には中国軍とモンゴル軍も参加してロシア中央部と東部で行われ、蒙中国境から150kmのTsugol演習場で行われる最も熾烈な場面では、中国軍と蒙古軍がロシア軍の一翼となった作戦を展開する。
 演習では大規模航空侵攻が模擬され、CM対抗システムも試験される。 海上機動演習もオホーツク海と北太平洋を舞台に行われる。 (1810-090607)

3・7・5・1・3 Bastion 超音速 ASCM の発射試験実施

 ロシア国防省が9月26日、同国北方艦隊が東シベリア海で初めて行った超音速ASCMの発射試験映像を公開した。
 コテリヌイ島で行った発射試験では、Bastion陸上型発射システムから垂直発射されたP-800 Oniksが空中で点火後、90゚角度を変えて目標に向かった。 Oniksは射程300kmで高度20,000mをMach 2.5~2.7で飛行する。 (1810-092702)
3・7・5・1・4 北方領土の軍備増強

Su-35 の配備

 ロシアサハリン州のメディアが8月3日、択捉島のヤースヌイ空港にロシア空軍の戦闘機が試験的に配備されたと報じた。 NHKが入手したヤースヌイ空港で3日に撮影された写真では、Su-35が少なくとも3機駐機しているのが確認された。
 ロシア国防省は今のところ正式なコメントを出していないが、同メディアは「今回の試験的な配備は、本格的な配備に向けた第一段階だ」と報じており、ロシアが北方領土の軍備を着々と強化しているものと見られる。 (1809-080401)

千島列島や北方領土に防衛線を構築

 ロシア軍が2020年までに千島列島や北方領土に地対艦ミサイルを増強し、全域を覆って防衛線を構築する構想があることが、共同通信が入手したロシア当局の内部文書から30日に分かった。 ロシア当局筋は文書が今年夏以降に作成されたと説明しており、記載されている軍備計画をプーチン大統領が承認したのかどうかは不明だが、千島列島における軍備増強などは、直近のロシアメディアの報道と符合する。
 米国に対抗する核戦力の拠点となっているオホーツク海を守る上で、北方領土を戦略上、重視していることを裏付ける内容で、実行に移されれば日本との平和条約交渉への影響は必至である。 (1901-123001)

3・7・5・1・5 北方領土での活動

2月:北方四島で演習

 2月上旬にロシア軍2,000名が日本の北方領土の四島(ロシアは南千島と呼称)で演習を行ったことに対し、日本政府がロシアに対し正式に抗議した。 (1803-021406)

3月:Su-35が迎撃訓練

 InterFax通信が、ロシア軍が3月26日に択捉島の空港を拠点に周辺空域でSu-35が迎撃訓練をしたことを明らかにしたと報じた。 訓練をしたのは、ハバロフスク地方の基地所属の2機で、訓練後に基地に戻った。
 択捉島にはソ連時代に戦闘機が常駐していたが、現在常駐する航空部隊はヘリコプタ部隊だけとみられており、2月に同空港を軍民共用にすると発表して以来、本格的な軍事利用が明らかになるのは初めてで、今後基地化 が進む可能性もある。
 基地化が進んで戦闘機が配備されれば、周辺空域のロシアの戦闘力が大幅に向上することになる。 (1804-032702)

4月:大規模な演習

 ロシア軍が4月18日、北方領土の択捉島や国後島などで2,500名以上が参加する大規模な演習を始めたと発表した。
 ロシア軍の東部軍管区の発表によると、演習が始まったのは北方領土の択捉島や国後島なども含まれるロシア極東のクリル諸島の演習場で、兵員2,500名以上と 戦車や迫撃砲などの陸上部隊のほか、海軍からは太平洋艦隊の艦艇も参加し、実弾射撃など実戦的な訓練を行うという。 (1805-041804)

9月:Vostok 2018演習、日本の要請を受け北方領土を除外

 ショイグ露国防相が10月8日、モスクワを訪問中の河野統幕長から表敬訪問を受けた際に、ロシア軍が9月中旬に実施したVostok 2018演習の際、北方領土で演習を行わなかったのは日本の要請を受けたからだと語った。
 河野統幕長も、北方領土を演習地域から外したことを評価したいと応じた。 (1811-100901)

10月:北方領土周辺の領海などでミサイルの射撃訓練

 ロシア政府が日本政府に、北方領土周辺の領海などでミサイルの射撃訓練を行うと新たに通告した。
 複数の政府関係者によると、ロシア側は10月11日に国後島の周辺海域などで14日~21日にミサイルの射撃を行うと伝えてきた。 ロシアは8日にも、10日~13日に択捉島の周辺海域などで射撃訓練を行うと通告してきており、活発な活動が浮き彫りになった。
 ロシアは10月に日本の要請に基づき9月の大規模演習で北方領土を演習地から外したと説明していたが、その直後に相次いで訓練を通告される形となったことから、日本政府は11日に外交ルートで抗議した。 (1811-101207)

12月:北方領土を含む島々にレーダ基地を新設

 ロシアのInterFax通信が12月6日、ロシア軍が北方領土を含む島々にレーダ基地を新設したと報じた。 具体的に設置した島を明らかにしていないが、ロシア軍が2016年に択捉島と国後島に新型の地対艦ミサイルを配備したことと関連した動きとみられる。
 米太平洋艦隊が5日に、ロシアが主権を主張する海域に駆逐艦McCampbellを派遣して「航行の自由」作戦を実施したと発表した直後にレーダ基地の設置を明らかにした背景には、北方領土を含む地域を軍事的に重視する姿勢を改めて示す狙いがあるものと見られる。 (1901-120701)

12月:北方領土に建設した新施設を軍人と家族を派遣

 ロシア国防省が12月17日、北方領土に部隊を駐留させる新施設を建設したほか、装甲車両用の施設も建設すると発表した。
 ロシア国防省によると、12月25日に択捉島と国後島にそれぞれ2箇所新設した施設に軍人とその家族を派遣する意向という。 (1901-121801)

3・7・5・2 東南アジア

活動拠点の構築

 ロシア国防省が1月22日、ミャンマーがSu-30 6機を購入すると発表した。
 また20~22日にミャンマーを訪問したショイグ国防省が、艦船の寄港手続きの簡素化で合意した。 (1803-013110)

3・7・6 わが国に対する動き

3・7・6・1 空軍の活動

3・7・6・1・1 爆撃機による周回飛行

 統合幕僚監部が2月20日、ロシア軍のTu-95 2機が同日午前から午後にかけ、太平洋上空を日本列島に沿って沖縄本島付近まで進出する長距離飛行を行ったと発表した。
 統幕によると、2機は北方領土から太平洋に入り、八丈島の北方、沖大東島の南方を経て沖縄本島の南方まで進出したのち、再び八丈島北方を通過して引き返した後、日本海に入りロシア側に去った。
 ロシア軍機が同様のコースで太平洋を沖縄付近まで飛行したのは、2013年11月16日にTu-142 2機が、同17日にTu-95 2機が確認されて以来で、2017年1月24日にはTu-95 2機が日本海から逆時計回りに日本 列島をほぼ一周している。 (1803-022102)

 防衛省統合幕僚監部が9月1日、ロシア軍のTu-142 2機が同日午後に日本を周回飛行するのを確認したと発表した。
 統幕によるとTu-142は北海道沖から反時計回りに飛行して対馬海峡を経て沖縄本島と宮古島間を通過後、太平洋を北上した。 空自は4個方面隊の戦闘機を次々に緊急発進させ、不測の事態に備えた。
 同一のロシア軍機による日本列島周遊が明らかになるのは、2017年1月以来である。 (1810-090202)

3・7・6・1・2 Su-35 の接近

 防衛省が、ロシアのSu-35が9月19日に日本海上空を飛行し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進したと発表した。 Su-35はSu-24戦術偵察機などと3機で能登半島沖から北海道沖の日本海を飛行した。
 日本周辺空域でSu-35が確認されたのは初めてであるが、領空侵犯はなかった。 (1810-092103)
3・7・6・1・3 ロシア機に対する緊急発進回数

 統合幕僚監部が10月12日、航空自衛隊機の緊急発進回数が今年度上半期で561回だったと発表した。 前年同期と同数で、半期ごとの統計を取り始めた平成15年以降で2番目の多さだった。
 ロシア機に対しては211回で前年同期から56回減ったものの、9月にはSu-35 1機が初めて確認されるなど、活発な活動を継続している。 (1811-101206)
3・7・6・2 海軍の活動

3・7・6・2・1 日本海で史上最大規模演習

 AFP通信が9月15日、極東やシベリア地域で9月11日から実施されているVostok 2018演習の一環として、15日に極東沿海の半島に位置するクレルク軍事演習場で、海兵部隊が航空機と砲撃の支援を受けて上陸演習が行われたと報じた。
 この上陸作戦演習についてロシア軍のカバレンコ少将は記者に対し「この訓練の特別な点は、太平洋艦隊の海兵、航空力、軍艦、砲兵、工兵、他の特技兵らが参加することだ」と述べたという。 (1810-091705)
3・7・6・2・2 過去最多ロシア艦艇の宗谷海峡通過

 防衛省が9月3日、ロシア海軍の艦艇28隻が宗谷海峡を、オホーツク海から日本海へ航行したと発表した。
 防衛省による1日20:30頃~2日16:00頃に宗谷岬の北東210kmの海域で、海上自衛隊の艦艇や哨戒機が確認した。 冷戦後に日本側が公表した通過隻数として最多になる。
 ロシア国防省は8月28日、「演習計画に基づき、艦船40隻が日本海とオホーツク海で活動中」と公表している。 (1810-090401)
3・8 米 国

3・8・1 トランプ政権の国防政策

3・8・1・1 国防政策に関する文書

3・8・1・1・1 National Security Strategy

 トランプ政権が2017年12月19日に発表した"National Security Strategy (NSS)"では、イランと北朝鮮を「ならず者国家」と見なしている。
 また中国、ロシア、イラン、北朝鮮に対抗するため米国と同盟国の軍事力強化を打ち出している。 (1802-010306)

 トランプ米大統領が初となる一般教書演説で、国防費の増額と核戦力の 近代化を訴えた。 この内容は "National Security Strategy" と "National Defense Strategy" の内容を繰り返したもので、大統領は更に2011年の 予算管理法 (BCA) の見直しも求めている。 (1804-020707)

3・8・1・1・2 Nuclear Posture Review

 トランプ米政権が2月にも発表する核戦略の中期指針「核体制の見直し」(NPR) の概要を米政府の説明を受けた複数の議会関係者や外交筋が1月7日に明らかにした。
 新指針ではICBM、SLBM、戦略爆撃機の三本柱を堅持する。
 NPRでは中国やロシア、北朝鮮に対する圧倒的な優位性を確保するため、局地戦を想定した低爆発力小型核の開発を検討して核兵器の役割を拡大し、核攻撃の抑止や反撃に限定しない方針を盛り込む柔軟な核運用を前面に出す内容で、核なき世界を掲げたオバマ前政権からの戦略転換となる。 (1802-010703)

 米国防総省が2月に公開するはずであった核戦力体制見直し(NPR) をHussington Post紙が1月12日にオンライン上でリークした。
 それによると米国は小型低威力核兵器の開発を開発する模様で、これは潜水艦発射核弾頭CMに搭載することを目指していると見られる。 (1802-011204)

 米国防総省が2月2日、"Nuclear Posture Review" (NPR) を公表した。 前回の2010 NPRは米国が主導して核廃棄を目指すとしていたのに対し今回のNPRはロシアの核戦力増強への対抗を強調している。
 NPRのなかでは北朝鮮、中国、イランと並んでロシアの章が設けられているが、主たる対象は明らかにロシアで、ロシアとの "balance of power" 確保の必要性が強調されている。 (1803-020202)

 2月2日に公表された "Nuclear Posture Review" (NPR) では、米海軍に核弾頭CMと低威力BM の核兵器二種類を求めている。 (1803-020203)

潜水艦発射 Low-yield Ballistic Missile

 この計画は早期に実施されるもので、現在SLBMに搭載されているW76 475kT弾頭の一部(数十発)を広島型原爆より小型の核弾頭に代えることで、武器選択の幅が広がることから、既に計画は進められている。

潜水艦発射 Nuclear Cruise Missile

 空軍は既に核弾頭CMとしてLRSO計画を進めているが、核弾頭SLCMはTomahawkの改良型になると見られる。 弾頭はLRSO用にた開発されたW80の改良型になると見られる。

 トランプ米政権が2月2日、今後5~10年間の核政策の指針となる「核態勢の見直し」(NPR)を公表した。 NPRの策定はオバマ政権下の2010年以来で、中国やロシアの急激な核戦力増強や北朝鮮の核開発など安全保障をめぐる環境が大きく変貌したとの認識を土台とし、今日のさまざまな脅威に対応するには柔軟かつ多様な核戦力が必要と訴えている。
 歴代大統領が進めてきた核軍縮方針を大きく転換して爆発力の小さい低出力核弾頭や核弾頭CMの新規開発を表明した上、米国や同盟国のインフラなどに対する非核攻撃にも核で報復する可能性を明記している。 (1803-020301)

 米海軍は2010年の核戦力見直しで核弾頭Tomahawkを廃棄したが、米国防総省は2018年の見直しで中露に対抗した核戦力を構築しようとしている。
 ただその核戦力を潜水艦発射又は水上艦発射核弾頭CMか爆発力核弾頭搭載のBMにするかを検討中である。 (1805-032804)

3・8・1・1・3 National Defense Strategy

 米国防総省が1月19日、11頁から成るNational Defense Strategyの要約を公表した。 NDSは相互に関連する3件の安全保障関連文書の2件目のもので、発表された要約は秘に指定されていない部分である。
 国家安全保障については2017年12月にトランプ大統領が自説を述べているが、今回のNDSでは対テロより軍事力競争に国防の重点を置いている。 (1802-011903)

 米国防総省が1月19日、国防政策の指針をまとめた「国家防衛戦略」を発表した。 中国やロシアを国際秩序の現状変更を目指す「修正主義勢力」、北朝鮮やイランを「ならず者国家」と位置付けた。
 特に中露との長期的な戦略的競合が最優先課題であり、対抗するために投資増強が持続的に必要だと強調し、競争的優位性が損なわれている米軍再建の必要性を訴えている。(1802-012001)

 米統合参謀本部副議長のセルバ大将が1月30日に "Defense Writers Group" のイベントで講演し、中露への備えを強調した新 "National Defense Strategy" に伴う軍の再構築が始まろうとしている述べた。
 その中でセルバ大将は、両国への対応は全く同じではなく、もし中国との戦いとなれば海空が中心となり、ロシアとの戦いでは陸空が中心になるとも述べた。 (1802-013005)

 中国国防省が1月20日、米国防総省が発表した "2018 National Defense Strategy" について、中国を脅威に仕立て上げようとしていると非難した。 (1803-013106)

3・8・1・2 対中露の基本的な外交姿勢

3・8・1・2・1 対中外交姿勢

 ペンス米副大統領は10月4日にワシントンでの演説で中国に歴代政権よりも厳しく対抗していく考えを示し、米国の対中国政策の硬化が鮮明になっていて、米メディアでは第2次大戦後のソ連との冷戦の到来を告げたチャーチル元英首相の「鉄のカーテン」演説と重ねる向きもある。
 演説の要旨は次の通りである。 (1811-102601)
・中国に深く失望
・貿易赤字容認せず
・中国は「知財で略奪」
・覇権奪取「失敗する」
・市民に「迫害の波」
・「債務のワナ」に軍事的思惑
・中国はトランプ政権打倒を目指す
・ロシアよりひどい政治工作
・「改革開放」に回帰を
3・8・1・2・2 対露外交姿勢

 特記すべき記事なし。
3・8・1・3 具体的施策

3・8・1・3・1 INF 全廃条約からの離脱

 NATO米代表部のハッチソン大使が10月2日、ロシアが禁止対象のCMを開発しているとし、開発を中止しなければ米国が破壊活動に出ると警告した。 ロシアは1987年に米ソが締結したINF全廃条約の禁止対象となるGLCMを開発中で、同システムは欧州を射程内に収めるという。
 ハッチソン大使は、米国は外交的解決を目指しているとする一方、ロシアのINF開発が続けば軍事攻撃も検討する用意があると指摘し、加盟国の攻撃が可能なロシアのミサイル除去の可能性について検討することになるだろうと述べた。 (1811-100301)

 New York Timesが10月19日、トランプ米政権が旧ソ連との間で結んだ中距離核戦力 (INF) 廃棄条約の破棄を検討していると報じた。 ロシアが条約に違反してINFの配備や開発を進めているためだという。
 New York Timesによると、トランプ大統領が数週間以内に条約の破棄を決める可能性があるという。 また英The Guardianも19日にトランプ政権が今週に欧州主要国に対して条約の破棄を検討していると伝達したと報じた。
 INF廃棄条約は1987年に米国とソ連が調印し、1988年に発効した史上初めての核軍縮条約で、発効から3~5年以内に射程500~5,500kmのINFを全廃するとしている。 (1811-102003)

 トランプ米大統領が10月20日、中距離核戦力 (INF) 全廃条約から離脱する意向を表明した。 (1811-102101)

 米国がINF条約から撤退するとしているのに対しEUの外交問題高級代表が米国に対し10月22日、条約に留まるよう強く要求した。
 また同日にロシア外務省も離脱を非難する声明を出した。 (1812-103102)

 ポンペオ米国務長官が12月4日、60日以内に完全かつ検証可能な形で中距離核戦力 (INF) 全廃条約を順守するようロシアに対応を迫った。 応じない場合米国は義務の履行を停止すると破棄へ進む方針を表明した。
 執行猶予を与えた形だが、ロシアが順守する可能性は低く、条約は崩壊する公算が大きい。 (1901-120504)

 米国がINF禁止条約を破棄した場合、直ぐに実施可能な施策はTomahawkの地上発射型の開発と、射程300kmのATACMSを射程延伸することの2件である。 (1901-112101)

3・8・1・3・2 ハイブリッド戦略に対抗する全政府対応方針 (WGA)

 NATO軍最高司令官 (SACEUR) であるスカパロッティ米陸軍大将が9月29日にワルシャワで開かれたNATO軍事委員会で、ロシアのハイブリッド戦略に対抗する新たな戦略として全政府対応方針 (WGA) を打ち出した。 (1811-100206)
3・8・1・3・3 宇宙軍の創設

 トランプ米大統領が創設を指示した宇宙軍を巡り、米政府が組織編成の再検討に入った。 当初は空軍が管轄する宇宙分野を独立させて新たな軍を立ち上げる計画だったが、予算や部隊運用を考慮し、組織上は空軍に所属しつつ事実上の独立部隊として編成する案が浮上している。
 宇宙軍を創設すれば6番目の軍となり、費用の増加や官僚組織の肥大化による弊害が指摘されている。 (1901-120304)

 トランプ米大統領が2018年末までに宇宙軍を創設するとしており、12月18日にケネディー宇宙センタを訪問するペンス副大統領がこれについて発表し、早ければ同日にも大統領が大統領令に署名すると見られる。
 ただ内容はトランプ大統領の意向とは異なり、独立した宇宙軍 (Space Force) ではなく今まで通り空軍隷下の宇宙軍 (Space Command) のままで、その代わりにサイバ軍のような位置付けになる模様である。 (1901-121705)

3・8・1・3・4 宇宙空間への核兵器配置

 ペンス米副大統領が10月23日、宇宙空間に核兵器を配置する考えを示した。
 1967年に結ばれた宇宙条約では核兵器を含む大量破壊兵器を宇宙空間から排除するとしているが、ペンス副大統領はこの条約について、宇宙空間の軍事利用を禁止するものではないとしている。 (1811-102307)
3・8・1・4 マティス国防長官の退任

 トランプ米大統領が12月20日、マティス国防長官が2月に退任すると述べた。 マティス国防長官の退任は何ヶ月も前から噂されていた。 (1901-122009)
3・8・1・5 国防予算

3・8・1・5・1 FY18予算不成立と継続予算

 米議会が2017年12月21日に、1月19日まで有効な継続予算決議案 (CR) を可決した。 CRでは新規事業の開始や生産レートの変更は認められていないが、国防総省は特例を要求し議会が認めた。
 その特例にはGBU-53/B SDB Ⅱ 90発、Harpoon Block Ⅱ、B61-12核爆弾用テールキット、ATACMSの改良キットなどの新規調達と、GMLRSの生産レートを2,954発から6,000発へ、AGM-158C LRASMの生産レートを10発から25発に引き上げることなどが含まれている。 (1803-011009)

 トランプ米大統領が3月23日、FY18の歳出法案に署名した。 議会が23日までに可決させた総額$1.3Tの法案は、大統領の署名で成立する予定だったが、大統領は同日朝にツイッターで、壁建設費などの不法移民対策の費用が法案に十分に反映されていないと批判し、拒否権を行使すると宣言していた。
 現行のつなぎ予算が23日に期限切れとなるため、大統領が署名を拒否して法案が成立しなければ、24日から政府機関の一部が閉鎖に追い込まれる状況となっていた。
 2018年1月にはつなぎ予算案が成立せず、約4年ぶりの政府閉鎖が起きていた。 (1804-032401)

3・8・1・5・2 FY19国防予算

国防総省の要求

 米国防総省が2月12日、FY19国防予算に$686.1Bを要求することを明らかにした。
 内訳は基本経費が$617B、戦時経費が$69Bで、このほかにエネルギー省の核兵器関連予算を含めた安全保障費は全体で$716Mになる。 (1803-021205)

Missile defense ($12B)
 • SM-3× 43 ($1.7B)
 • GMD ($2.1B)
 • THAAD×82 ($1.1B)
 • PAC-3×240 ($1.1B)

Aircraft ($55.2B)
 • F-35×77 ($10.7B)
 • KC-46×15 ($30B)
 • F/A-18×24 ($2B)
 • AH-64E×60 ($1.3B)

Shipbuilding ($33.1B)
 • Virginia-class submarines×2 ($7.4B)  • DDG-51 Flight Ⅲ×3 ($6B)
 • LCS×1 ($1.3B)
 • CVN-78 ($1.8B)

Ground systems ($15.9B)
 • Joint Light Tactical Vehicles×5,113 ($2B)
 • M-1 MBT×135 ($2.7B)
 • ACV×30 ($0.3B)
 • Armored Multi-Purpose Vehicles×197 ($0.8B)

 米国防総省が2月12日、FY19国防予算案を発表した。 基本予算は要求ベースで前年度比約7%増の$617Bで、このほかに国外作戦経費(戦費)が$69B、エネルギ省による核兵器の維持管理費は$30Bだった。 (1803-021301)

 過去20年間上下を繰り返していた米陸軍の予算が、FY18の$175BからFY19で$6.5B増額され$182Bになる。 (1803-022108)

 トランプ政権が2月9日、FY18の$639.1Bを7.3%上回る総額$686.1BのFY19国防予算要求を公表した。 このうち基本経費は$617B、海外戦費 (OCO) は$69Bになっている。
 2011年予算管理法では国防費の上限をFY18は$549B、FY19は$562Bと定めている。 (1804-022105)

成立したFY19国防予算

 米上院が8月1日、アフガニスタンなどでの戦費を含め総額$717Bと過去9年間で最大となるFY19国防権限法案を可決した。
 法案では中国による南シナ海の軍事拠点化などをにらみ、国防長官に「インド太平洋地域の安定化」に向けた軍備拡充の5ヵ年計画の提出を義務づけたほか、中国をRIMPAC合同演習に参加させることも禁止したほか、朝鮮半島関連では現在28,000名の在韓米軍を22,000名を下回らない規模に維持することを義務付けている。
 法案は7月に下院を通過済みで、トランプ大統領の署名で成立する。 (1809-080301)

 米大統領府が8月7日、トランプ大統領が13日に陸軍第10山岳師団が駐屯するFt. Drumを訪問する際、米議会上院が先週可決したFY19国防権限法に署名することを認めた。 (1809-080804)

 米国のFY19国防予算の大枠を定めた国防権限法が8月13日、トランプ大統領の署名を経て成立した。
(1809-081401)

FY19国防権限法における対中姿勢

 トランプ大統領の署名を経て8月13日に成立した米国のFY19国防予算の大枠を定めた国防権限法は、すべての米政府省庁と取引する企業に対し、中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)や華為技術(ファーウェイ)など中国政府と関係のある企業の商品を使うことを禁止し、安全保障に関するハイテク技術を中国などから保護するため、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査権限を強化することも盛り込んでいる。 (1809-081401)

国防総省の要求に超高速兵器とDEWの開発費を追加配分

 米議会上下両院が採決したFY19国防権限法では、超高速兵器とDEWの開発に、国防総省の要求に$617Mを追加配分した。 (1812-100306)

3・8・1・5・3 FY20国防予算

 トランプ米大統領が10月17日、FY20の国防予算は$700Bまで削減されると述べた。 この額は先月成立した10月1日からのFY19国防予算$716Bから2%の削減になる。
 国防費削減の理由は国家予算全体削減の一環であるという。 (1811-101705)

 米高官が12月9日、トランプ大統領がFY20国防予算に$750Bを議会に要請する計画を支持していることを明らかにした。 国防総省はFY20に$733B程度要請すると見込まれていたが、高官が言及した数字はそれ以上で、大統領が10月に述べた$700Bを大きく上回る。 ホワイトハウスからのコメントは得られていない。
 米財政赤字が6年ぶり高水準を受けトランプ大統領は歳出を5%削減した予算案を提出するよう各省に指示したが、国防予算は削減対象とならないことを示唆していた。 (1901-121002)

3・8・1・6 米国防力の現況

3・8・1・6・1 核戦力

 核軍縮で米国とロシアが合意していた新戦略兵器削減条約(新START)が発効から7年を迎えた2月5日、米国務省が声明を発表し、戦略核弾頭数を1,550発に制限する目標を達成し、2017年9月1日時点で1,393発まで減らしたことを明らかにした。 (1803-020502)
3・8・1・6・2 空軍の可働率

 マティス米国防長官が9月17日に陸海空軍長官に対し、F-35、F-22、F-16、F-18の主要4機種の戦闘可動率を来年9月末までに80%以上に引き上げることを命じた。 また合わせてFY19以降、運用及び整備のコストを引き下げるようにも命じた。
 米空軍が3月に発表したFY17の戦闘稼働率は71.3%とFY16の72.1%より下がっている。 主な機種の戦闘稼働率は以下の通りである。 (1811-100903)
・F-16C: 70.22%
・F-35A: 54.67%
・F-22 : 49.01%
・F-15C: 71.24%
・F-15E: 75.26%
3・8・1・7 新たな戦争様相への対応

3・8・1・7・1 サイバ戦

 米国は中国やロシアによるサイバ空間での脅威増大を受け、対処能力を強化するため、戦略軍隷下のサイバ軍を5月4日に独立した統合軍に格上げし、日系人のポール・ナカソネ陸軍大将が新司令官に任命した。
 ナカソネ大将は国家安全保障局 (NSA) 局長を兼務する。 (1806-050503)
3・8・1・7・2 6番目の軍「宇宙軍」を創設

 トランプ米大統領が6月18日、米国が宇宙で優位に立つことを狙い「宇宙軍」の新設を命じた。
 宇宙開発を巡るトランプ政権の取り組みの一環で、大統領は国家宇宙評議会の会合に先立ち、「宇宙におけるプレゼンスのみでは十分でない。 米国が優位に立つことが必要だ」と言明した。 (1807-061902)

 トランプ米大統領が国防総省に対し6月18日、空軍傘下にある宇宙軍を格上げして陸、海、空、海兵隊、沿岸警備隊と同格の6番目の軍「宇宙軍」を創設するよう指示した。
 宇宙軍創設には米軍内部から強い反発があり、米議会が2017年に宇宙軍創設を模索した際、マティス国防長官やウィルソン空軍長官は「組織が複雑化し、不要な費用が掛かる」と反対していた。 (1807-061903)

 トランプ米大統領が12月18日、国防総省に宇宙軍の創設を命じた。
 宇宙軍はインド太平洋軍や中央軍に並ぶ11番目の統合軍に位置付けられ、将来は陸海空軍や海兵隊と同格にする構想で、2019年2月公表予定のFY20の予算教書に関連予算が盛り込まれる。 (1901-121902)

3・8・1・8 国際武器市場の確保

UAV 輸出制約の緩和

 トランプ米大統領が4月19日、オバマ政権が2015年2月に定めたUAVを弾薬同じ扱いにした方針を見直すと述べた。
 この見直しによりUAVメーカはFMSではなく商業取引として輸出できることになる。 (1806-042518)

FMS による武器輸出額が33%増加

 ロイタ通信が米政府当局者の話として10月9日、FY18の米国の武器輸出額が前年度比で33%増加し、$55.6Bに達したと報じた。
 トランプ政権は4月に日本を含む外国への米国製武器売却の拡大を目指し、武装UAVの輸出規制緩和や通常兵器の輸出迅速化を盛り込んだ方針を発表したのが増加の一因になったという。 (1811-101001)

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が10月9日、FY18におけるFMSでの海外への販売額が$55.65Bと、前年度比で33%増になったと発表した。 (1812-101710)

武器輸出総額が13%増加

 米国務省が11月8日、FY18における武器輸出総額が前年度比で13%増加し$192.3B(22兆円)に上ったと発表し、輸出総額増加が雇用促進にもつながったと強調した。
 トランプ大統領は、武器輸出を拡大して国内産業を潤したい考えである。 (1812-110902)

サウジ反体制記者殺害とサウジへの武器売却

 サウジアラビア人の反体制記者がトルコのイスタンブールで行方不明になった問題で、トランプ米大統領は10月11日、サウジへの武器売却凍結は検討していないと語った。
 凍結すれば、サウジはロシアや中国から武器を購入することになると指摘した。 (1811-101201)

3・8・2 ミサイル防衛政策

3・8・2・1 "Ballistic Missile Defense Review" の見直し

 トランプ大統領が2017年、2010年の脅威を念頭に置いた現行 "Ballistic Missile Defense Review" の見直しを命じたが、新たなBMDRでは標題から "Ballistic" が外される模様である。 (1803-020806)
【註】 "Ballistic" が外されることからミサイル防衛の対象とする脅威が超高速滑空弾HGVの様に弾道飛行しない脅威に拡大される可能性がある。

 米国防総省のシャナハン次官が10月3日、Missile Defense Review作業が完了したことを明らかにした。 ただし公表時期は未定という。 (1811-100405)

3・8・2・2 FY19 予算要求

 米国防総省がFY19予算要求でGMDに$1.578Bを要求している。この中には研究開発試験評価 (RDT&E) 費に$1.578B、GBI 10基の追加調達に$524Mが含まれている。
 RDT&Eでは信頼性の向上したRKVをConfiguration 3 (C3) ブースタに搭載するGBIの開発や、陸軍第100ミサイル防衛旅団による単一目標に対し複数のGBIを発射する初めての試練も計画されている。 (1804-022106)
3・8・3 陸海空軍の戦略戦術

3・8・3・1 陸 軍

3・8・3・1・1 陸軍の FY19 予算要求

 米国防総省がFY19予算要求で、陸軍は基本経費として$148.385B、海外戦費 (OCO) として$33.681B、合わせて $182.067Bを要求している。 FY18要求ではそれぞれ$137.128B、$28.594Bであった。
 内訳は人糧費が前年の$60.894Bから$60.532Bに減、作戦維持費が$72.341Bから$70.689Bに減、装備品等調達費が$21.177Bから$26.826Bに増、研究開発費が$9.545Bから$10.484Bに増えている。 (1804-022108)

 米陸軍のFY19予算要求で、陸軍の重点が重車両部隊に移ったことで、これまで予算額が首位であった航空機の調達額が装軌車両を下回った。 陸軍の航空機調達額はFY17に$4.9BであったがFY18には$4.2B、FY19要求では$3.8Bになっている。
 FY19で陸軍は31個旅団戦闘団 (BCT) と11個戦闘航空旅団 (CAB) を維持すると共に、歩兵BCT 1個と機甲BCT 1個を改編して治安部隊支援旅団SFABを新設する。
 一方155mm砲弾の調達数量をFY18の16,573発からFY19では148,287発へと大幅に増やす。 その中には1,189発のExcalibur誘導砲弾も含まれている。 またMLRS発射機は46両を$313MでM270A0からM270A2に改良される。 (1804-022111)

3・8・3・1・2 Army Future Command

 米陸軍が7月13日、次世代型戦闘車両や長距離精密誘導弾の開発配備など軍の近代化を一手に担う部門になるArmy Future Commandをテキサス州オースティンに設置すると明らかにした。
 新司令部は2019年夏までに編成完結する計画で、要員は500名規模となる。
 電磁砲などの新型装備や軽量な装甲車、離島防衛にも威力を発揮する長距離ミサイル、垂直離着陸機の開発が重視されるもようである。 (1808-071402)

 7月17日の議会議事録によると、新編される陸軍将来戦コマンド (AFC) の司令官に参謀本部G-8副部長のミューレイ中将が大将に昇任して就任することが明らかになった。
 2017年10月の米陸軍協会 (AUSA) 年次コンファレンスで創設が公表されたAFCは陸軍近代化事業の優先順を再検証するのが任務で、対象となる事業は以下の6件である。 (1808-071706)

Long-Range Precision Fire

Next-Generation Combat Vehicle

Future Vertical Lift

Network

Air and Missile Defense

Solier Lethality

 8月24日にテキサス州オースチンで発足したArmy Futures Commandは、陸軍を横に横断する$30B~$50Bの8件の事業遂行に、年間$80M~$100Mをかけることになるという。 (1809-082406)
3・8・3・1・3 陸軍本来機能への回帰

 エスパー米陸軍長官が11月8日、ここ何年かをテロとの戦いに費やしてきたため陸軍の本来機能が失われていると述べた。
 この中でロシアに対抗できる長距離火力を挙げ、ERCAと呼ばれている自走砲開発を高い優先度に掲げたことを説明した。 (1812-110807)
3・8・3・1・4 陸軍 SMDC の AMD に関する新たなドクトリンと戦略

 米陸軍SMDC司令官が1月25日、陸軍が夏までにAMDに関する新たなドクトリンと戦略をまとめることを明らかにした。 この検討は過去数年間に起きた変化に対応するもので2017年3月に開始されたという。
 新戦略では攻防の両面、殺傷性非殺傷性の全てを統合すると共に、AMD部隊の将来方向を示す。(1802-012604)

 米陸軍が夏までに新たなAMD戦略をまとめることを公表したが、元JIAMDO司令官のArch海軍少将は陸軍のAMDについて、過去20年間何も変わっておらず、再検討は25年前の湾岸戦争にまで遡るべきとしている。
 またCSISでMissile Defense Projectの責任者であるKarako氏は、陸軍のAMDは分散展開に意味があり、遠隔発射交戦能力やネットワーク化に力を入れるべきとしている。 (1802-012605)

 米陸軍第32防空BMD軍司令官とJIAMDO司令官がCSISのイベントで11月26日、AIの進歩により有人/無人機やUAVがミサイル防衛の領域を急速に変化させており、国防総省が進めているIAMD構想Vision 2020に反映させる必要があると述べた。 (1812-112906)

3・8・3・1・5 SHORAD 機能の増強

 新設された米Army Future Commandの元で防空/BMD (AMD) の検討を行っているMcIntire准将が、陸軍協会 (AUSA) が先週実施したシンポジウムで、陸軍は今後、連邦軍に10個大隊、州兵に8個大隊のSHORAD部隊を整備する計画であることを明らかにした。
 現在陸軍には州兵に7個大隊のSHORAD部隊しかなく、その全てが首都圏の防空任務に就いている。 (1805-040202)

 サウスカロライナ州兵の米陸軍第678防空砲兵旅団が、冷戦後初の在欧米軍防空砲兵旅団としてドイツのAnsbach駐屯地に移動し陸軍第10 AMD司令部の隷下に入った。 (1805-040203)

3・8・3・1・6 砲兵火力の射程延伸

 「7・5・1・1 長距離砲と超長距離砲」で後述
3・8・3・1・7 対艦火力の付与

 米陸軍太平洋陸軍司令官のブラウン大将が7月12日、陸軍が初めて対艦ミサイルの発射をKauai島で実施したと発表した。 発射はRimPac演習の一環として陸軍MDTSの指揮下で米陸軍、空軍、及び陸上自衛隊が操作し、沖合60哩の米海軍のLST Racineを標的に行われた。
 1回目はApacheのロケット弾攻撃に引き続きノルウェー製NSMの射撃とHIMARSの斉射が行われた。 2回目には陸上自衛隊のType 12 SSMとHIMARSの斉射が行われた。
 12SSMのハワイでの発射は初めてである。 (1808-071307)

 RimPac演習で7月12日に米陸軍がPLSを備えたトラックからKongsberg社製NSM、米陸軍と陸上自衛隊が12SSMを55nm沖合のLST Racineに対し発射し命中させたが、いずれも海軍のミサイルではなかった。 このように島弧防衛に陸上部隊を活用すると中国の自由な動きを阻止することができる。
 Foreign Affairs誌は2015年に、第一列島線に陸上部隊を配置すれば中国は作戦を変えなければならなくなるとする記事を掲載した。 また米太平洋軍の前の司令官であったハリス海軍大将は、2016年にハワイで行われたコンファレンスで、陸軍はHIMARSやPaladin 155mm SPHで対艦射撃をすることを考えてほしいと述べている。 (1808-072004)

3・8・3・1・8 装備強化旅団戦闘団である装甲BCT (ABCT) を編成

 ロシア軍に対抗するため米陸軍が装備を強化した旅団戦闘団 (BCT) である装甲BCT (ABCT) を編成する。
 最初の強化型BCTはFt. Bliss駐屯第1機甲師団第1BCTで、Stryker BCT (SBCT) からABCTに改編され、その1年後にはFt. Carsonの第4歩兵師団第2 BCTをIBCTからSBCTに改編する。
 またこれと共に武装勢力と戦う6個部隊を親偏する。 (1812-103106)
3・8・3・1・9 陸軍の増員計画

 エスパー米陸軍長官が11月8日、欧州や中東への米軍派遣で訓練時間が不足しており、現在476,000名の兵力を2028年までに500,000名とする計画に疑問を呈している。
 長官によると派遣部隊と拘置部隊の人員比の理想は1:3で、最悪でも1:2であるのに対し、現状は1:1.4であるという。 (1901-112106)
3・8・3・2 海 軍

3・8・3・2・1 355隻態勢実現への第一歩

 米海軍はFY19予算要求で2050年代までに355隻態勢を実現する第一歩を踏み出そうとしている。 このため向こう5ヵ年の計画ではFY18要求より11隻多い建艦を計画している。 (1804-022107)
3・8・3・2・2 Aegis BMD艦の50%増強

 米議会調査局 (CRS) が5月1日に、米海軍がFY23までにAegis BMD艦を50%増強するとした報告を行った。
 CRSの報告によると、海軍はFY18に38隻保有しているAegis BMD艦をFY19末に41隻、FY23末に57隻にまで増やす。 またFY23末の57隻中31隻は新型のAegis BaseLine 9.C2になるという。 (1806-050303)
3・8・3・2・3 第2艦隊の復活

 米海軍が5月4日、第2艦隊を復活させると発表した。 米東海岸と北大西洋を管轄する第2艦隊は経費上の理由から2011年に廃止され、米艦隊総軍に吸収されていた。
 第2艦隊の創設は7月1日で、司令部はNorfolkに置かれ、第4艦隊と共に米南方軍の隷下に入る。 (1806-050405)

 米海軍が5月4日、増大するロシアの軍事的脅威に対抗するため2011年に解体された第2艦隊を再編成すると発表した。
 復活する第2艦隊はノーフォーク海軍基地を拠点に米東海岸から北大西洋を管轄する。 (1806-050501)

 2011年に米艦隊総軍に吸収されて廃止されていた米海軍第2艦隊が再発足する。 基地をNorfolkに置き米東海岸と北太平洋を管轄する。 (1807-051603)

 米海軍統合艦隊司令部が、再び編成した第2艦隊は2019年春operationalになると述べた。 (1812-110806)

3・8・3・2・4 水陸両用参戦能力の強化

 従来揚陸艦船34隻であった米海軍が、海軍355隻になれば38隻になるという。 (1803-011703)
3・8・3・3 空 軍

3・8・2・3・1 核戦力の再構築

 2月12日に公表された米FY19国防予算要求で、空軍は核兵器近代化関連でLRSOに37%増の$615M、GBSDに60%増の$345Mを要求している。 (1804-022104)
3・8・3・3・2 F-35 の増強促進と B-21 開発の本格化

 2月12日に公表された米FY19国防予算要求で、空軍は前年度比14%増の$686Bを要求した。 中でも最重点項目はB-21の開発で前年度の$2Bを15%増額している。
 F-35AはFY18より 2機多い48機を要求している。 (1804-022104)
3・8・3・3・3 飛行中隊数を24%増強

 ウィルソン米空軍長官が9月17日、中国とロシアの脅威に対抗するため、2030年までに実戦に投入できる飛行中隊の数を24%増やす目標を明らかにした。
 計画では現在の312隊から386隊態勢を目指しており、米メディアによると、実現すれば冷戦後で最大規模の空軍増強になる。 (1810-091802)

 米空軍長官が9月17日に空軍協会 (AFA) のコンファレンスで、2025~2030年までに現在312個ある飛行隊を下記のように更に74個増強すると述べた。 (1811-092603)

・戦闘機: 7個飛行隊
・爆撃機: 7個飛行隊
・給油機: 14個飛行隊
・C4ISR : 22個飛行隊
・宇 宙: 7個飛行隊
・特殊戦: 7個飛行隊
・救 難: 9個飛行隊
・UAV  : 2個飛行隊
 米空軍長官が9月17日、現在312個飛行隊である米空軍の勢力を、向こう10年間で386個飛行隊まで25%近く増強する計画を明らかにした。
 このためには今後10年間で戦闘機182機、爆撃機60機、給油機210機、輸送機15機と40,000名の増員が必要になる。 (1812-100102)
3・8・3・4 海兵隊

3・8・2・4・1 海兵隊の FY19 予算要求

 米海兵隊がFY19予算に水陸両用戦闘車ACV 1.1開発関連予算として$265.7Mを要求した。
 内訳は30両のLRIPとして$167.5M、研究開発と試験評価費として$98.2Mになっている。 (1804-022109)
3・8・3・4・2 運用構想の大規模見直し

 米海兵隊が、中露からの長距離CMやその他近未来の高度な脅威に対抗して運用構想の大規模な見直しを行っている。 このため4月10日には企業や大学などの専門家を招聘して新たな構想 "Epeditionary Advanced Base Operations" について説明する秘に該当する内容の説明会を開催する。
 ネットワーク化された海兵隊員が居住する分散配置筏で、Ospreyやその他防御兵器が装備されている。 (1803-020907)
3・8・4 中露の進出阻止

3・8・4・1 対中戦略

3・8・4・1・1 対中包囲網の構成

アジア安全保障会議(シャングリラ対話 )

 アジア太平洋地域の安全保障について各国の閣僚らが意見交換するアジア安全保障会議(シャングリラ対話 )が、約40ヵ国から約600人が参加して6月3日までの予定で1日にシンガポールで開幕した。 当地では12日に米朝首脳会談が開かれる可能性があり、朝鮮半島の平和構築をめぐる活発な議論も展開される。
 1日にはインドのモディ首相が基調講演し、2日にはマティス米国防長官が北朝鮮に完全非核化まで圧力を加える姿勢を強調するとみられる。
 中国からは昨年に続き、過去に参加した国防相や統合参謀部副参謀長に比べ格が下の軍事科学院副院長の何雷中将が参加する。 (1807-060201)

インド太平洋地域のインフラ整備を支援

 ASEAN関連の外相会議のためシンガポールを訪れているポンペオ米国務長官が8月4日、南シナ海などの安全保障分野への協力へ新たに$300Mを拠出する方針を発表した。 支援対象には、東南アジアなどにおける人道支援や平和維持なども挙げた。
 ポンペオ長官は7月末にもインド太平洋地域のインフラ整備などを支援するため、$113Mを拠出する方針を発表したばかりである。 (1809-080403)

ASEANとの海軍合同演習

 ASEANが、2019年に米国と海軍合同演習を実施する方向で調整を進めている。 米国はこれまでASEAN加盟国などと個別に海洋演習を行ってきたが、ASEAN全体との共同演習実施は異例である。
 ASEANは10月下旬に中国海軍と合同演習の実施を予定しているため、米国とも合同演習を実施し中国への過度の傾斜を避けることで、米中両国とバランスの取れた関係を維持する思惑があるとみられる。 (1811-101804)

3・8・4・1・2 台湾防衛の明確化

 マティス米国防長官が6月2日にシンガポールで開催中のアジア安全保障会議(シャングリラ対話)の講演で、中台関係について現状を変更するあらゆる一方的な措置に反対すると述べ、台湾周辺で軍事活動を活発化させている中国を牽制した。
 マティス長官は2017年にも台湾への武器供与に言及し、中国が反発した経緯がある。 (1807-060302)
3・8・4・1・3 中国の武器輸出拡大への警戒

中国の武器輸出拡大の阻止

 中東地域の同盟国や友好国の航空基地から中国製品の進出食い止めるため、トランプ政権がUAVを含む通常兵器の輸出管理の方針を変更した。
 大統領府で通商政策を担当しているナバロ氏はこの新方針により中国だけでなくロシアの進出も防げると述べている。 (1807-050706)

中国製品への過度な依存に対処

 米当局者が匿名を条件に、米軍の調査で重要部品の調達で中国をはじめとする諸外国に依存している事例が多くあることが分かったことをロイタに明らかにした。 調査はトランプ大統領の指示で国防総省が主導して実施、数週間のうちに公表される見通しで、米軍の海外依存の低減と国内産業の強化が目的という。
 調査では、衛星やCM、UAVなどあらゆる装備に用いられる高度な電子装置に組み込まれているLSIなどの超小型電子部品などの調達で海外サプライヤーに過度に依存していると結論付けられる。
 当局者によると、調査は特に中国に焦点を当てており、軍事経済面で影響力を拡大する中国がもたらす米国の国家安全保障へのリスクに対処しようとするトランプ政権の取り組みがうかがえる。 (1811-100303)

3・8・4・2 対露戦略

露極東艦隊への圧力

 米太平洋艦隊の駆逐艦が12月5日、ロシア極東ウラジオストク沖のピョートル大帝湾付近を航行の自由作戦の一環として航行した。 この海域で航行の自由作戦を実施するのは初めてで、国際法を逸脱する海洋権益を主張しているロシアを牽制する狙いという。
 米軍はウクライナ問題で緊張が高まる黒海でも航行の自由作戦を実施する準備を進めているという。 (1901-120602)

3・8・5 インド、太平洋戦略

3・8・5・1 戦略態勢の整備

3・8・5・1・1 インド太平洋地域の関与拡大政策

 ポンペイオ米国務長官が7月30日、インド太平洋地域に関与を深めることは米国の戦略的利益になると述べ、関与を強めていく姿勢を強調した。 そのうえでアジアの国々を中心にインフラ整備や資源開発などを支援する$113Mを新たに拠出する計画を明らかにした。
 計画では、米政府に新たな組織を設けて各国との調整にあたるとともに、資源開発やエネルギー輸送を支援するため投資を行うという。 ポ長官は8月上旬にシンガポールで開かれるASEANの会議などに出席してこの計画の内容を説明することにしている。
 巨大経済圏構想「一帯一路」を提唱する中国が、インド太平洋地域でインフラ整備を支援するなどして影響力を拡大していて、新たな計画は中国をけん制する狙いがあるとみられる。 (1808-073101)

 米政府高官が11月9日、ペンス副大統領がパプアニューギニアで11月中旬に開かれるアジア太平洋経済協力会議 (APEC) 首脳会議で演説し、インド太平洋諸国への包括的な支援策を表明すると明らかにした。 米メディアによると、インフラ整備のため$60Bを民間企業に融資する方針を示すという。
 中国が進める「一帯一路」に対抗し、インド太平洋で米国の存在感を回復する狙いで、米政府高官によると副大統領の演説は地域の在り方を包括的に捉えた「インド太平洋のビジョン」を提示して米国の積極的な関与を説明する見通しである。 (1812-111003)

3・8・5・1・2 太平洋軍がインド大平洋軍に

 米国防総省報道官が5月21日、在日米軍や在韓米軍などを所管する太平洋軍を近くインド太平洋軍に改称する可能性があるとの見通しを明らかにした。
 米下院外交委員会はFY19国防権限法案で2020年1月から太平洋軍の名称をインド太平洋軍に変更することを求める条項を盛り込むなど、改称への機運が浮上していた。 (1806-052203)

 マティス米国防長官が5月30日、ハワイ州パールハーバーのヒッカム統合基地で行われた太平洋軍司令官交代式典で演説し、同軍を「インド太平洋軍」に改名すると発表した。 長官は「太平洋とインド洋における同盟国や友好国との関係は地域の安定を維持する上で極めて重要だ」と二つの海の連結性が高まっているとし、太平洋全域とインド洋までの広大な地域を管轄する太平洋軍の名称変更を宣言した。
 式典では、日系のハリス大将に代わる新司令官にフィリップ・デービッドソン海軍大将が正式就任した。 (1806-053101)

3・8・5・1・3 中国抜きの RIMPAC 合同演習

 26回目になる今年のRIMPAC合同演習は中国抜きで6月28日に開始された。 RIMPAC 2018には25ヵ国から40隻以上の艦 艇と21,000名が参加している。 (1809-071102)
3・8・5・1・4 第3艦隊を戻す動き

 スウィフト海軍大将に代わって5月に米太平洋艦隊司令官に着任したアキリノ大将は、サンディエゴを拠点とする第3艦隊をハワイ以西で活動させる "Third Fleet Forward" を推進した前任者の方針を元に戻そうとしている。 (1808-071206)
3・8・5・1・5 米国単独の演習

 Ronald Reagan CSGが一週間に及ぶ "Valiant Shield" 演習を終えグアムに入港した。
 この演習は米国単独の演習で、海軍、空軍、海兵隊合わせて15,000名が参加し、B-52とF/A-18の連携飛行も行われた。 (1810-092503)
3・8・5・2 艦船の増強

3・8・5・2・1 強襲揚陸艦を中心とする新たな打撃群

Wasp 武装強化遠征打撃群

 米海軍が2月中にも、佐世保基地を母港とする強襲揚陸艦Waspを中心とする新たな打撃群を編成する。 F-35を搭載する強襲揚陸艦に複数の駆逐艦を組み合わせることで空母打撃群に近い能力を持たせた強化型遠征打撃群の編成は初めてで、4月に開催される米韓共同演習 "Fall Eagle" にも参加するとみられる。
 米軍筋によると、第3艦隊所属の駆逐艦2隻が6日にサンディエゴを出港しており、2月中に日本に到着してWaspを中心に5隻から成る打撃群を形成する。 (1803-020801)

 全長844ftの飛行甲板を持ちF-35Bを搭載するミニ空母と呼ばれている米海軍強襲揚陸艦Waspを中心とした打撃群が3月19日に沖縄を出航し任務に就いた。
 打撃群はWaspを中心に駆逐艦Dewey、ドック型揚陸艦Ashland、揚陸輸送艦Green Bayで構成され、沖縄駐留第31海兵遠征隊の2,300名以上と、岩国駐留の第121攻撃戦闘飛行隊が乗艦している。 (1804-032004)

 米海軍強襲揚陸艦Waspとドック型揚陸艦Ashlandの2隻が8月上旬佐世保を出航し西太平洋での哨戒任務に就いた。
 1月に日本に派遣されたWaspは2018年初めにF-35Bを搭載した初めての哨戒任務に就いており、今回が2度目になる。
 運用試験が行われている武装強化遠征打撃群 (Upgunned Expeditionary Strike Group) 構想には航空機31機とLCACと共に、DeweySterettの駆逐艦2隻、及び沖縄駐留第31海兵遠征隊の1,600名以上が加わり、対地戦闘だけでなく対潜/対艦戦闘能力も持つ。 (1809-080903)

Essex水陸両用戦群 (ARG) の極東派遣

 F-35B 1個飛行隊を含む第13海兵遠征隊が乗り組んだ米海軍強襲揚陸艦Essexを中心に3隻からなる水陸両用戦群 (ARG) が10日にサンディエゴを出航し、西太平洋/中東に向かった。
 今回が米本土の部隊がF-35Bを搭載して出撃する初めてのケースになる。 (1808-071306)

 F-35Bを搭載した米海軍のEssex揚陸戦群 (ARG) と海兵隊の第13遠征隊 (MEU) が7月10日に西太平洋地域に向かってサンディエゴを静かに出港した。 EssexにはF-35Bを装備した第211戦闘攻撃飛行隊が乗り組んでいる。
 F-35Bが関心を引くのは、北朝鮮防空網を突破して主席宮やバンカーなど北朝鮮最高指導者を精密打撃する斬首能力を備えているからで、非核化交渉を進行中の北朝鮮を意識したのか米海軍はEssex ARGの出港を発表しなかったし、盛大な出港式もなかったという。 これについて米太平洋艦隊報道官は、作戦に関連して具体的な内容を明らかにすることはできないと述べた。
 米国では、北朝鮮と非核化交渉を進めている現在、F-35Bを北朝鮮近くに展開した事実を知らせる必要はないと米国防総省が判断したとみられるとの解釈が出ている。 (1808-071704)

3・8・5・2・2 太平洋艦隊の機能の一部又は全てを米艦隊総軍に移管

 米海軍が、太平洋艦隊の持つ人事、教育訓練、補給整備などの機能の一部又は全てを、東海岸にある米艦隊総軍 (US Fleet Forces Command: USFLTFORCOM) に移管する機構改革を進めようとしている。
 ただ、艦隊司令官から権限の一部を取り上げることについては太平洋艦隊司令官Swift大将が2月6日に反対の意を示しており、今後議論のあるところである。 (1803-021004)
3・8・5・2・3 空母打撃群の増強

Theodore Roosevelt CSG の合流

 ペルシャ湾での4ヶ月に及ぶ作戦を終えた空母Theodore RooseveltとそのCSGが太平洋に戻り再び第7艦隊と合流する。 Theodore Rooseveltは第3艦隊推進計画で第3艦隊が西太平洋 に派遣した空母2隻のうちの1隻でCarl Vinsonは1月にサンディエゴを出航している。
 Theodore Roosevelt CSGには巡洋艦Bunker、駆逐艦HalseySampsonPrebleのほか、第17空母航空団が随伴している。 (1804-032704)

Harry S Truman CSG の投入

 米海軍副作戦部長モラン大将が9月24日、ロシアの進出に対抗して大西洋で海軍力を増強しているが、ロシアや中国に対抗して太平洋でも海軍力を増強すると述べ、その第一弾がHarry S Truman CSGの派遣だと述べた。 (1812-100307)

Ronald ReaganJohn C. Stennis がフィリピン海で作戦行動

 米海軍第7艦隊が11月14日、空母Ronald Reaganと同John C. Stennisの2隻がフィリピン海で作戦行動を実施したと発表した。
 シンガポールで米国や日本、中国の首脳らが参加したASEANに伴う一連の首脳会議が開かれている最中に米国の軍事力を誇示し、南シナ海や東シナ海で海洋進出を図る中国をけん制する狙いがあるとみられる。 (1812-111502)

3・8・5・3 航空戦力の強化

爆撃機

 米空軍が1月11日、 B-2 3機をグアムに展開したことを明らかにした。 空軍によれば、B-2と空軍兵士約200名はミズーリ州の基地を離れ、既にグアムのアンダーセン空軍基地に到着した。
 展開は数週間で、同盟国との演習も行われる見通しである。 (1802-011201)

 米空軍が1月16日、B-52 6機がグアムのAndersen AFBに展開したと明らかにした。 空軍によるとB-52と300名の要員はB-1から任務を引き継ぐため、ルイジアナ州にあるBarksdale AFBからグアムに到着した。
 グアムには1月にB-2が到着しており、一時的に米軍の戦略爆撃機3機種が集結した。 (1802-011602)

3・8・5・4 陸上戦力の強化

在豪米軍

 オーストラリアのペイン国防相が3月23日、同国北部に近く巡回駐留する米海兵隊員が過去最高の1,587名になると発表した。 巡回駐留は2018年が7回目で、戦略の重心をアジア太平洋に移す当時のオバマ政権が打ち出したリバランス政策の一環でスタートした。
 北部ダーウィンで10月までの半年間、豪州軍に加え、日本、フィリピン、インドネシア、マレーシアなどと軍事訓練を行う。
 米海兵隊は 同盟国と軍事訓練を行い、南シナ海の軍事拠点化など海洋進出を活発化させる中国をけん制する。 (1804-032301)

3・8・6 在韓米軍の動き

3・8・6・1 米韓合同演習

3・8・6・1・1 定例演習の実施

"Key Resolve"、"Fall Eagle" 春季合同演習

 米韓首脳が共同演習の延期で合意したことについてマティス国防長官が1月4日、演習は3月9~18日の平昌冬季パラリンピックの後に行うと述べた。 米韓は毎年春季に、合同軍事演習"Key Resolve"と"Fall Eagle"を行っている。
 マティス長官は、延期は単に平昌冬季五輪パラリンピックの期間中は韓国への訪問者が激増し、韓国軍が警備などに忙殺されるという「ロジスティックな懸念」に配慮して軍事演習の延期が決まったと、韓国北朝鮮の対話とは関係がなく「あくまでも実務的な問題」と強調した。 (1802-010502)

3・8・6・1・2 米韓合同演習の中止

(「2・6・2・4 米朝首脳会談とその後の動き」で前述)
3・8・6・2 在韓米軍の増減問題

3・8・6・2・1 トランプ大統領の在韓米軍縮小発言

 New York Times紙が5月3日、トランプ大統領が国防総省に対して在韓米軍縮小の選択肢を検討するよう指示したと報じた。 複数の政府筋によれば、完全撤収の可能性は低いものの、平和協定が結ばれれば現在の規模を維持する必要がなくなる可能性があるという。
 米政府筋によると、トランプ大統領は韓国政府による駐留経費負担が十分でないと不満を持っている上、駐留米軍の存在をもってしても北朝鮮の核開発を防げなかったと主張している。
 韓国には米軍28,500名が駐留しているが、韓国政府が駐留経費の約半分を負担しているとされる。 (1806-050404)
3・8・6・2・2 大統領の発言に対する米国内の反響

 米議会下院軍事委員会で5月9日、安全保障に関する確実な保証がない限り在韓米軍を22,000名未満に削減してはならないとする国防権限法の修正案が可決された。 現在公式の在韓米軍兵力は28,500名となっている。
 これについて韓国外交部は、、米議会で検討が進む法案への具体的な言及は適切ではないとしながらも、韓米間で緊密に協力していくとの姿勢を示した。 (1806-051505)
3・8・6・2・3 在韓米軍縮小への懸念

 6月12日に行われた米朝首脳会談後の記者会見でトランプ大統領が経費節減を理由に米韓合同軍事演習を凍結すると発言した際に在韓米軍撤収にも言及しており、防衛省自衛隊にとっても予想外で波紋を広げた。
 防衛省幹部は、在韓米軍削減への道筋を付けるのではないかとしたうえで、在韓米軍の動向や体制は北東アジアの安全保障や日本の防衛力整備に大きな影響を与えるので、トランプ大統領の発言を精査する必要があると話した。 (1807-061202)

 小野寺防衛相が6月14日、米朝首脳会談を受けマティス米国防長官と電話会談した。
 トランプ米大統領が在韓米軍の将来的な縮小撤退を示唆したことに関し、小野寺防衛相が在韓米軍は東アジアの安全保障に重要な役割を担っていると維持を要請したのに対し、マティス長官は縮小などは検討していないと返答した。 (1807-061404)

 マティス米国防長官が6月28日に韓国を訪問し宋国防相と会談した。 マティス長官は同盟国防衛の義務は「揺るがな い」と強調し、現行の在韓米軍兵力を維持すると表明した。
 米韓合同軍事演習の中止決定を受けて抑止力低下への懸念が強まるなか、朝鮮半島への米国関与を確約した。 (1807-062805)

3・8・6・3 在韓米軍司令部の移転

 韓国国防部などによると、ソウルの竜山基地から移転する在韓米軍司令部の新庁舎の開館式が6月29日に平沢のCamp Humphreysで行われる。
 韓国と米国は2003年に各地に点在する在韓米軍基地を平沢に移転することで合意し、第8軍司令部は昨年7月に竜山基地からCamp Humphreysに移転していた。 (1807-062101)
3・8・6・4 米韓合同演習中止後の朝鮮半島 BMD

 米MDA長官のグリーブス空軍中将が6月26日、米韓合同演習は中止になったが朝鮮半島のBMD計画は今後も推進すると述べた。
 上院を通過した総額$716BのFY19国防権限法ではBMDの改良に国防総省の要求より$81M多い$284Mが配当されている。 議会が追加したのは以下の3点である。 (1807-062705)

① THAAD AN/TPY-2の取得したデータでPatriotの射撃を行う。

② Patriotの迎撃弾をMSEに換装する。

③ THAADの通信を改良し発射機1基を離隔配置して掩護域を拡大する。

 在韓米軍筋が9月7日、平沢基地を防御するため在韓米軍がPAC-3 1個大隊を平沢基地に配備する件について韓国と協議中であることを明らかにした。
 在韓米軍には現在、烏山空軍基地と倭館のキャンプキャロルにそれぞれPatriot 1個大隊が配置されている。 (1810-090803)
3・8・7 在日米軍の戦力強化

3・8・7・1 BMD 司令部開設

 在日米陸軍BMD部隊の新司令部が米軍相模総合補給廠に発足することになり要員の駐留が始まり、近く編成式典が行われる。 防衛省や在日米軍によると、駐留するのはハワイの米陸軍第94防空軍隷下の第38防空砲兵旅団司令部の115名で10月16日から活動を開始した。
 青森県つがる市と京都府京丹後市に配備されているX-bandレーダ部隊を指揮統制するとみられ、横須賀基地に配備された第7艦隊のAegis艦とも連携するとみられる。
 日本に前線司令部を置くことで、より迅速な迎撃判断を行うとともに、中国などをけん制する狙いもある。 (1811-102802)

 米陸軍が10月31日、第38防空砲兵旅団を現役復帰する式典を在日米陸軍司令部のある座間で開いた。
 現役復帰した旅団は115名からなる司令部を相模総合補給敞に置き、嘉手納AFBに駐留する第1防空連隊第1大隊(PAC-3)、日本本土の第10及び第14 BMD中隊(TPY-2)とグアムのTHAAD中隊を隷下に入れる。 (1811-103103)

3・8・7・2 海軍/海兵隊

3・8・7・2・1 岩国が東アジア最大規模の米軍の航空基地

 米空母艦載機部隊は、在日米軍の再編計画に基づき、2017年8月以降、段階的に厚木基地から岩国基地に移転を進めてきたが、3月29日から30日にかけてF/A-18 12機が岩国基地に到着した。 中国四国防衛局によると、31日に米側から艦載機の移転は30日に完了したという連絡が入ったという。
 これで岩国基地は、配備機数が120機とこれまでの二倍になり、数では東アジア最大規模の米軍の航空基地となった。
 米軍は今後、厚木基地にある司令部を岩国基地に移すことにしている。 (1804-033102)
3・8・7・2・2 強襲強襲揚陸艦Wasp 機動艦隊

 米海兵隊が1月9日、アリゾナ州Yuma海兵航空基地の海兵攻撃飛行隊VMFA 121所属のF-35Bを第13遠征隊 (MEU) の強襲強襲揚陸艦Waspに搭載した訓練を開始することを明らかにした。 F-35Bの実艦に搭載した訓練は米海兵隊にとって初めてである。(1802-010905)
【註】 強襲揚陸艦Waspは2017年から第7艦隊の所属になり佐世保を母港にしている。 またVMFA 121も2017年から岩国に配置されている。

 米第7艦隊の水陸両用船団Task Force 76の旗艦としてBonhomme Rchardと交代する強襲揚陸艦Waspが、1月14日に母港となる佐世保に入港した。
 Task Force 76は米海軍唯一の前方配置打撃群 (Foward-Deployed Expenditionary Strike Group) である。
 Waspは8月から沖縄駐留の第31海兵遠征隊と、岩国に駐留するF-35Bを装備したVMFA 121飛行隊と共同で哨戒任務に就く。 (1802-011603)

 米海軍強襲揚陸艦LHD-1 Waspは3月5日にF-35Bを収納して、F-35Bを搭載してのoperationalになる準備が最終段階に入った。
 Wasp水陸両用戦群は第11揚陸戦隊として第31海兵遠征隊の隷下に入る。 (1804-030506)

 米海兵隊が強襲揚陸艦WaspでF-35B初の艦載行動能力獲得準備の最終段階に入っている。
 Waspには第31海兵遠征隊 (MEU) が乗艦しており、3月中旬には乗艦している第11水陸両用戦飛行隊と共にWasp ARGを構成 してインド太平洋での任務に就く。 (1805-031407)

 在日米海軍の報道官が4月上旬に、米海軍が2021年以降にF-35CをRonald Reagan CSG所属の第5艦載航空団 (CAG5) に配備することを明らかにした。
 CAG5は先週、海軍厚木航空基地から海兵隊岩国航空基地へ移駐している。 (1805-040303)

 米海軍が唯一海外展開している強襲揚陸艦Waspが2019年のいつかに佐世保を離れてバージニア州Norfolkに戻ることが12月4日に明らかになった。
 Waspは2018年1月に佐世保に配属されたばかりで、その前にBonhomme Richardが6年間佐世保にいたことから、短期配属について憶測が流れている。 (1901-120708)

3・8・7・2・3 駆逐艦の補充

 米海軍の駆逐艦Miliusが4月20日に横須賀に向けSan Diegoを出航する。 横須賀には5月下旬に到着し第7艦隊に配属される。 第7艦隊は昨年起きた2件の駆逐艦の衝突事故で2隻が不足している。
 Miliusは昨年日本に派遣される計画であったが、海軍は7月にAegis Baselinae 9への改修のため遅れると発表していた。
 第7艦隊では駆逐艦BarryBenfoldの2隻が既にAegis Baselinae 9を実装している。 (1805-041810)
【註】 Aegis Baselinae 9はAegis Weapon Systemの最新型でAegis BMD 5が実装されSM-3 Block ⅡAの射撃ができる。

 新たな母港となる横須賀を目指しSan Diegoを出港した駆逐艦Miliusが5月14日に第7艦隊の海域に入った。
 MiliusはAegis Baseline 9を装備している。 (1806-051506)

 米海軍の駆逐艦Miliusが5月22日に横須賀基地に配備のため入港した。 これで横須賀を事実上の母港とする艦船は空母Ronald Reaganを含め過去最多の14隻となった。
 横須賀配備の14隻のうち1隻は、2017年6月に伊豆半島沖で衝突事故を起こし米国で修理中である。 (1806-052204)

3・8・7・2・4 後方支援能力の強化

 米海軍装備局 (NAVSEA) が太平洋艦隊司令官の要求に基づき、横須賀海軍工廠 (SRF-JRMC) の艦船整備任務についての再検討を始めた。 これは最近この海域で起こった艦船の衝突事故を受けたもので、SRF-JRMCは11月1日から予算計上などの行政権限を有することになる。
 SRF-JRMCが加わることでNANSEAは海外に4箇所の造船所と7箇所の補給整備基地を有することになる。 (1812-102408)
3・8・7・3 空軍/陸軍

3・8・7・3・1 CV-22 Osprey の横田基地配備

 米空軍が4月3日、CV-22 Osprey 5機が今週後半に横田基地に飛来すると発表した。 これらは特殊部隊飛行隊に属する10機の先遣隊で、2020年配備予定であったのが繰り上げ配備された。
 残りの人員は今後数週間で移動を完了する。  Ospreyの配備に伴い横田基地は残りの人員は1,100名が増員され11,500名になる。 (1805-040302)

 米空軍特殊部隊のCV-22 Osprey 5機が4月5日に横田基地に飛来した。 CV-22の横田配備は4QFY17に計画されていたが、2017年3月にFY20に延期されていた。 CV-22の横田配備は最終的に10機になるという。
(1806-041106)

 政府が8月22日、在日米軍から16日に夏ごろに予定されていた米軍横田基地へのCV-22 Ospry 5機の正式配備日が10月1日になったと連絡があったことを明らかにした。
 沖縄県以外へのオスプレイの配備は初めてで、米軍は今後数年間で10機を配備する方針である。 (1809-082206)

 尚、米空軍横田基地が管制権を持つ横田空域について、日本政府と米軍が空域を通る一部旅客機の管制を日本側が行うことで合意する見通しとなった。
 2020年東京五輪パラリンピックまでの実現を目指す。 (1812-110402)

3・8・7・3・2 F-35C 最初の実戦展開は日本

 The Japan Newsが4月1日、米海軍がF-35C最初の実戦展開を日本で行う計画であると報じた。 (1806-041106)
3・8・7・3・3 F-22を嘉手納基地に暫定配備

 米空軍が5月30日にF-22を嘉手納基地に暫定配備した。 配備されるF-22は14機で、30日は10機が到着し残りも近く飛来する。 2014年4月以来約4年ぶりで、配備期間は1ヵ月間を予定しているという。
 防衛省によると前回の暫定配備は2014年1~4月に行われた。 2018年2~3月も嘉手納基地に飛来したが、米軍は暫定配備とは説明していなかった。
 2017年11月以降、嘉手納基地に12機を暫定配備していたF-35Aは5月上旬までにユタ州のHill AFBに帰投している。 (1806-053001)
3・8・7・3・4 Global Hawk が一時的に三沢基地に移動

 東亜日報が6月6日、米空軍のGlobal Hawkの一部がグアムのアンダーセン基地から三沢基地に移動したと報じた。 東亜日報によると、Global Hawkは1日に三沢基地に到着し任務準備態勢に入った。 何機が到着したかは公開されていない。
 米軍は、2014年以来グアム地域の天候が悪化する時期にGlobal Hawkを一時的に在日米軍基地に移動してきたと説明している。 (1807-060601)
3・8・7・3・5 新田原基地と築城基地に弾薬庫新設

 政府が、有事などの緊急時に米軍の航空部隊を受け入れるため、航空自衛隊新田原基地に弾薬庫などを新設する方針を地元自治体に伝えていた。 新たに整備されるのは米軍が使用する弾薬庫や駐機場などで、平成31年度以降、設計作業などを本格化させる見通しだという。
 新田原基地は、2006年に日米両政府が合意した在日米軍の再編に基づき、緊急時に米航空部隊を受け入れる機能が沖縄の普天間基地から移転されることになっている。 (1811-102002)

 防衛省が、外務、防衛両省と在日米軍などでつくる日米合同委員会が10月24日、航空自衛隊の新田原基地と築城基地に米軍用弾薬庫などを新たに整備することで合意したと発表した。 整備費は日本が全額を負担する。
 今回の合意は、2006年に日米合意した在日米軍再編に関するロードマップに基づく。 (1811-102501)

3・9 その他諸国

3・9・1 モンゴル

 特記すべき記事なし。

3・9・2 インド

3・9・2・1 政治姿勢

3・9・2・1・1 対米関係

初の 2-plus-2 開催

 インドと米国が9月6日、初の外務国防閣僚協議 (2-plus-2) をニューデリーで開き、南アジアやインド洋への影響力を強める中国を念頭に、2019年にインド東岸で陸海空軍の合同演習を実施することを決めた。 軍事情報の共有を進めるための通信互換性保護協定 (COMCASA) も締結した。
 米印両国は、日本やオーストラリアと共に中国へのけん制を狙う「開かれたインド太平洋」戦略を共有するパートナーで、米国は2016年にインドを主要国防パートナーに格上げし取り込みを図っている。 (1810-090603)

通信互換性保護協定 (CONCASA) の締結

 米印が10年間に及ぶ協議の末、9月6日にニューデリーで行われた米印2-plus-2で通信互換性保護協定 (CONCASA) の調印を行った。
 この結果インドが保有するC-130 11機、C-17 10機、P-3I 8機への暗号化された通信装置の売却が可能になり、更に2017年末から交渉が続けられているGuardian UAV 22機や、AH-64 22機、CH-47F 15機の売却にも弾みがつくことになる。 (1811-091903)

3・9・2・1・2 対露関係

 インドとロシアが両国の軍事技術協力 (IRIGC-MTC) に新部門を立ち上げたことを10月18日に明らかにした。 新部門では既存協力計画の修正、高官の相互訪問、共同訓練演習などを取り扱う。
 IRIGC-MTCは18年前に設立され、2010年に10年間の期限延長を行っている。 (1811-101911)
3・9・2・2 国防方針

3・9・2・2・1 軍備の増強、国防費の増額

 インド政府がFY2018-19国防費を前年度比7.73%増のINR2.793T ($43.815B) とすると発表した。 しかしながら国防当局者や専門家からは物価上昇率が5%程度であり、長く遅れている軍近代化計画達成には不十分だとしている。
 更に最近の経済発展が著しいことから、対GDP比はFY2017-18の1.56%から逆に1.49%へと下がっている。 (1804-020704)

 インドDRDOが陸海軍向けに5件の新大型プロジェクトをINR196.93B ($3.03B) で進めている。
 そのうち2件は陸軍向けの中距離SAMとPinaka誘導MRLで、残りの3件は海軍向けで国産空母に装備する長距離SAM、SLCM、AIP推進装置になっている。 (1805-032102)

3・9・2・2・2 核戦力の確立

 インドのモディ首相が11月5日、軍事力の強化のために開発を進めていた核ミサイルが搭載可能な国産の原子力潜水艦を実戦配備できるようになったと発表した。
 これによってインドは、有事の際に陸と空に加えて海からも核ミサイルを使って攻撃できるようになり、モディ首相は声明で「インド太平洋地域の平和と安定のために重要だ」と述べて成果を強調した。
 インド洋で海洋進出を強める中国をけん制する狙いもあるとみられる。 (1812-110602)
3・9・2・2・3 東南アジアへの進出

ベトナムの海軍との合同演習

 インドとベトナムの海軍がが5月21~25日に初めての合同演習を行う。 両国は2016年に戦略的協力関係の樹立で合意している。
 インド海軍は20日、フリゲート艦Sahyadriとコルベット艦Kamortaのほか給油艦Deepakの3隻を参加させることを明らかにした。 (1806-052104)

インドネシアとのインド洋での防衛協力

 インドのモディ首相とインドネシアのジョコ大統領が5月30日にジャカルタで首脳会談を開き、インド洋での防衛協力に合意した。 会談後、陸海空軍の 定期的な情報交換や共同訓練の実施に両国は合意したと発表された。
 モディ首相は中国の一帯一路構想に対抗し、東南アジア諸国との関係を強化する "Act East" 政策を進めており、南シナ海の海洋権益をめぐって中国と対立するインドネシアと思惑が一致した。
 共同会見に臨んだ両首脳は互いに「戦略的パートナー」と呼び合い、インドネシアのサバン島とインドのアンダマン諸島でのインフラ共同整備も表明した。
 モディ首相は、地政学上のインド洋は危機にあり、我々は海上航路の安全を守らねばならないと強調した。 (1806-053002)

シンガポール海軍との協力強化

 5月29日から東南アジア3ヵ国を訪問しているインドのモディ首相が6月1日にシンガポールでリー首相と会談し、両国海軍の協力を強化することで合意した。
 会談後の記者会見でモディ首相はインド洋で存在感を高める中国を念頭に、地域が直面する挑戦について意見を交わし、海洋の安全とルールに基づいた秩序を確立するために関与していくことを確認したと述べた。 これに対してリー首相は、戦略的パートナーとして、重要な進展があったことをうれしく思うと答えた。
 インドはインド洋で軍事的な存在感を高める中国に対して、東南アジア諸国と一致して対応する構えを鮮明にしている。 (1807-060102)

3・9・2・3 弾道弾の増強

3・9・2・3・1 Agni Ⅴ の発射

 インド国防相が、1月18日にAgni Ⅴの発射試験に成功したと発表した。 Agni Ⅴは1.5tの弾頭を搭載し、5,000kmの射程を有する。 (1802-011803)

 インドが射程5,000kmのAgni Ⅴの発射試験に成功した。 三段推進で全長17m、発射重量50t、弾頭重量1.5tのAgni Ⅴは、この日の試験で4,900km先のインド洋上に設置された標的に命中した。
 2012年と2013年に行われた最初の2回の試験は露出した発射機で行われたが、今回を含むその後3回の発射試験はキャニスタ発射機で行われた。 (1803-012402)

 インドが6月3日に6回目となるAgni V IRBMの発射試験に成功した。 Agni Vは5,000kmを飛翔した。 (1807-060401)

3・9・2・3・2 その他の弾道弾

実配備型 Agni I SRBM の発射

 インドが2月6日、実配備型Agni I SRBMの発射試験に成功した。 Agni Iは全長15m、弾頭重量1,000kg、射程600km、個体燃料の単段式SRBMである。 (1803-020702)

Prithvi Ⅱの夜間発射

 インド陸軍戦略軍が2月21日、射程350kmの液体燃料SRBMであるPrithvi Ⅱの夜間発射試験に成功した。 (1803-022204)

3・9・2・4 海軍の強化

3・9・2・4・1 航空母艦

 インド政府の広報局PIBが7月19日、インド初の国産空母Vikrantは2020年に洋上試験を開始すると発表した。
 推進装置、発電装置、甲板機構、その他補助設備の搭載は完了しており、今後航空機運用に関する設備を搭載するという。 (1808-072407)
3・9・2・4・2 潜水艦

原子力潜水艦

 2016年8月に就役したインド国産初のSLBM搭載原子力潜水艦 (SSBN) Arihantが1ヶ月に及ぶ初の核抑止航海を終えて帰港したのを受け、インド国防相が11月5日に陸海空三極からなる核戦力が完成したと宣言した。
 インドが4隻の建造を計画しているSSBNの一番艦である排水量6,000tのArihantはインドDRDOが開発した射程700kmのK-15 SLBMを12発搭載する。 2017年12月に進水した二番艦Arigahtは開発中で射程3,500kmと6,000kmのK-4及びK-5 SLBMを装備する。 続く三、四番艦は排水量が7,000tになる。 (1901-111408)

通常動力潜水艦

 インド海軍が2017年12月14日、6隻をライセンス生産するScorpene級潜水艦の一番艦Kalvariを就役させた。
 Kalvariは全長67.6m、浮上時排水量1,615t、潜航時排水量1,775tで、Exocet SM39を発射できる。 (1802-122003)

3・9・2・4・3 その他の艦船

フリゲート艦2隻の購入

 インド国防省が10月27日にロシアと、Admiral Grigorovich級フリゲート艦2隻を$950Mで購入する契約を行った。
 2隻はカリーニングラードの造船所で建造され、36ヶ月後と48ヶ月後に納入される。 (1811-102908)

 インド当局者が11月20日、国防省がロシアと全長124.8mのAdmiral Grigorovich級ステルスフリゲート艦(満載排水量4,035t)2隻をゴア造船所 (GSL) でライセンス建造する契約を$500Mで行ったことを明らかにした。
 2隻の建造は2020年に開始し、一番艦は2026年、二番艦は2027年に引き渡されるという。 (1812-112110)

 インド国防省が10月27日、Project 11356M 4,035tフリゲート艦2隻を$950Mで購入する契約をロシアと結んだ。 2隻は36~48ヶ月以内に納入される。 但し同型艦2隻をゴアの国営造船所で建造する件については合意しなかった。
 ロシアはProject 11356Mフリゲート艦2隻を建造していたが、搭載するガスタービンエンジンを製造するウクライナが2014年のクリミア侵攻で供給停止したため、建造途中で放棄されていた。
 今回ウクライナは造船所との直接契約で同エンジンを2隻分を供給したので、インド向けエンジンも同じやり方で供給されると見られる。 (1901-110710)

 インド国防省が11月20日、Project 11356Mフリゲート艦2隻をインドのゴア造船所でライセンス建造する$500Mの契約をロシアと行ったことを明らかにした。 またこれとは別にこの2隻に搭載するガスタービンエンジン8基をINR10B ($140.4M) で購入する契約をウクライナと行った。
 インドは10月下旬にカリーニングラードで建造する同型艦2隻を購入する契約を$950Mで行っており、2隻は2021年と2022年に引き渡される。 (1901-112814)

3・9・2・5 巡航ミサイル

BrahMos ASCM

 インドが7月16日、波高9mのSea State 7状態でのBrahMos (PJ-10) 超音速CM発射試験に成功した。 (1808-071705)

BrahMos-A ALCM

 インド空軍が2017年11月22日にSu-30MKIによるBrahMos-A ALCMの発射試験成功を受け、Su-30MKI 40機程度をBrahMos-A搭載可能に改造し、2020~2021年までに2個飛行隊を編成する計画である。 (1802-010313)

3・9・2・6 防空装備

3・9・2・6・1 BMDS

配備計画

 インドDRDOは2011年に、BMDシステムを2014年までにデリーとムンバイに配備するとしていたが、システムは未だに開発段階にある。 (1808-073005)

 インドDRDOが2011年に、ムンバイとデリーに2014年までに配備するとしていたBMDシステムは未だに開発段階にある。 (1810-080812)

Ashvin AAD

 インド国防省とDRDOがAshvin AADの発射試験に成功したと発表した。 試験は2017年12月28日に、Prithvi Ⅱ SRBMを元にした標的に対して行われた。
 Ashvin AADは全長7.5m、胴経450mmの単段式固体燃料弾で、発射重量は1,200kgである。 (1802-010405)
【註】 インドは高度110~150kmで迎撃するPDVと、50kmのPAD、低高度用のAADによる三層のBMD網を構築している。 Ashvin AADは2016年5月にもPrithvi TBMを艦載にしたDhanushの迎撃に成功している。

 インドが2017年12月28日にAshvin AADの迎撃試験に成功した。 標的になったのはPrithvi Ⅱ SRBMを元にした標的弾で、IRBMを模擬した弾道飛翔をする。 Ashvinは 高度15kmで交戦した。
 全長7.5m、胴経450mm、発射重量1,200kgのAshvinは固体燃料一段推進で、終末誘導はRFシーカにより行う。 (1804-020012)

 インドDRDOが8月2日にAAD迎撃弾による射程1,500km級MRBM標的の迎撃に成功した。 試験では複数の標的が発射され、AADとこの中の特定された標的を撃墜した。
 全長7.5mのAADは大気圏上層部での迎撃を目指す迎撃弾で、迎撃高度は15~25kmとされている。 また今回の試験では初めて国内開発されたIRシーカが使われた。 (1810-081506)

PDV

 大気圏外迎撃を目指すPDVはIIRシーカを搭載している。 (1804-020012)

BMD 通信ネットワーク衛星の打ち上げ

 中国軍の動きを警戒して軍事力の強化を進めているインドは、防空システムを整備するための新たな軍事衛星を打ち上げ、ロシアから購入するSAMの運用に使われるとみられている。 現地のメディアによるとこの衛星は地上のレーダと結ぶ通信ネットワークを構成するものという。
 インドはことし10月にS-400の購入でロシアと合意していて、衛星はS-400や戦闘機を組み合わせた防空システムの整備に使われるとみられている。 (1901-121906)

3・9・2・6・2 Akash MSAM

 インド国防相が9月18日、Akash MSAM 2個連隊分をINR91B ($1.25B) で調達することを承認したと述べた。
 調達するのは改良型で、国内で開発した360゚監視可能なセンサを装備するという。 (1811-092607)
3・9・2・6・3 MANPADS

 インド国防省がロシアから9K338 Igla-S (SA-24) MANPADSを$1.5Bで購入する契約を行った。
 インドは2010年にMBDA社及びSaab社からMistral及びRBS 70NGの発射機800基とミサイル5,175発を購入している。 (1901-112815)
3・9・2・7 戦闘機の開発

3・9・2・7・1 FGFA のロシアとの共同開発

 インドが政府筋が4月20日、ロシアと11年間にわたり進めてきた第五世代戦闘機 (FGFA) 計画から撤退したことを明らかにした。 インドは政府高官をロシアに派遣し、このことをロシア側に伝えた。
 FGFAはロシアのSu-57 (T-50 PakFa) を元にした計画であった。 (1805-042003)

 インド空軍当局者が4月20日、過去11年間にわたりロシアと進めてきた第五世代戦闘機FGFAの共同開発を開発コストと技術的能力を理由に中止したことを明らかにした。
 印空軍はSu-57 (T-50 PAK-FA) を元にした開発を進めてきたが、7機の原型機の飛行試験をロシアで行ったところ、ステルス性、レーダをはじめとする戦闘用電子機器、センサなどがインド側の要求を満たしていないことが判明したという。 (1806-042502)

3・9・2・7・2 先進中型戦闘機 AMCA の開発

 特記すべき記事なし。
3・9・2・7・3 Tejas 軽戦闘機 (LCA) の開発

 インドのTejas軽戦闘機 (LCA) Mk 1が6月30日に定めていた完全戦闘能力 (FOC) 到達を達成できなかった。
 LCAはFOC達成のため2012年までに達成する計画であった空中給油能力、エンジン再起動、GSh-23双連機関砲の射撃などが大幅に遅れている。 (1809-071808)

 インド政府が長く計画が遅れているTajas LCAについて、開発を進めているADAを空軍に直接監督させることを決めた。
 LCAの第一次生産分Mk 1 20機のうち9機は空軍に納入されているがIOCになったもののFOCには至っていない。 (1810-081504)

3・9・2・8 海外からの導入

3・9・2・8・1 S-400

 インドがロシアから5個FUを購入する交渉は価格や技術移転などで折り合わず再び暗礁に乗り上げている。
 ロシアは5個FUに$5.5Bを要求しているのに対しインドは$4.5B以上は払えないとしている模様である。 (1802-012306)

 インドが敢えて米国の対露制裁に反してロシアから更に5個システムのS-400を購入すると発表した。 (1807-060603)

 米国が対露制裁を続けているなか、インドがロシアからS-400 Triumf SAM 5個システムを購入する交渉を続けていることを印国防相が6月5日に明らかにした。
 もしこの$5.5Bにのぼる契約がまとまれば、発射機30基とミサイル6,000発が3年以内に引き渡され、インドが中国に次いでS-400の二番目の輸出先になる。 (1808-061305)

 訪印中のロシアのプーチン大統領が5日にモディ首相と会談し、S-400を売却する契約を締結した。 インドはS-400 5個システムを$5.4Bで購入することで合意、共同声明で両首脳は「相互信頼と相互利益の歴史を持つ印露の軍事技術協力について強化することを再確認した」と宣言し、今後も共同歩調を取る方針を明らかにした。
 米国はインドに対して、自国のBMDSを導入するよう要求し、9月にはS-400関連の取引に関与したとして中国に制裁を科し、インド側の出方を牽制していただけに、今後の対応が注目される。 (1811-100504)

 PTI通信が10月11日、インドがS-400の導入を決めたことでトランプ米大統領が10日、インドが制裁の対象となるかは近日中に判明すると語ったと報じた。
 米国はS-400関連の取引をロシアに対する制裁の対象としており、中国には制裁を科している。
 制裁を免除する権限は大統領だけが持っており、トランプ大統領は記者団の質問に答えて「インドはそのうち知るだろう」と語った。 (1811-101202)

 米国の敵対者に対する制裁措置法 (CAATSA)による制裁の危険があるなか、インドが10月5日にロシアとS-400 5個システムを$5.5Bで購入する契約に署名した。
 引き渡しは2020年10月に開始される。 (1812-101001)

3・9・2・8・2 NASAMS-Ⅱ

 インド国防省が7月上旬に、空軍向けにNASAMS-Ⅱを米国からの$1BにのぼるFMS契約で購入することを承認した。 この計画はデリー防空計画の一環で、開発が遅れているBMD計画を補完するものになる。
 購入数は公表されていないが、1個中隊はAIM-120シリーズ弾または他のSAMを6発搭載する発射機12基、AN/MPQ-64 Sentinelレーダ8基、FDC 4基、MPS 500 EO/IR装置4基で構成される。 (1808-073005)

 インド国防省が性能向上型NASAMSであるNASAMS Ⅱを$1Bで調達することを決めた。 米国は7月上旬に 'Delhi Area Defence Plan' の一環として数量非公開のNASAMS ⅡをFMSでインドに売却することを認めている。
 NASAMS Ⅱは低層のBMDとして位置づけられている。 (1810-080812)

3・9・2・8・3 米国からの武器輸入

 米政府がインドへの武器輸出について、高度軍事技術品目についても個々の品目ごとに許可をする必要なしに輸出できるよう基準を緩めようとしている。 ロス商務長官は7月30日にこの決定でインドは主要な共同防衛国になったと述べた。
 インドはC-17を採用するなど、既に米防衛企業にとって主要な輸出先になっている。 (1810-080814)
3・9・2・8・4 イスラエル各社との取引

イスラエルIAI社、Rafael社との取引を停止

 インド政府が8月6日、イスラエルのIAI社とRafael社に対し汚職疑惑から取引を停止した。
 インド中央調査局によると汚職疑惑は2006年にBarak-1 9個システムを$181.5MでIAI社から購入した契約と、ミサイル200発を$54.6MでRafael社から購入した契約に絡むものという。 (1810-081505)

Barak 8 の発注

 インドBEL社が9月5日、2箇所の造船所からBarak 8 (Barak LR) をINR92B ($1.28B) で受注したと発表した。
 Barak 8はLRSAMとしてインド海軍が7隻の建造を計画しているフリゲート艦に装備するもので、最終受注額はINR500Bにのぼると見られる。
 開発はインドDRDOを中心にインド各社とイスラエルのIAI、Rafael、IAI/Eltaの各社が共同で行った。 (1810-090604)

 インド国営BEL社が10月24日、Barak-8 LRSAM 7個システム分を$777MでIAI社に発注した。
 それに先立つ9月5日にBEL社はフリゲート艦 7隻を建造している造船2社から、7隻分のBarak-8 (Barak LR) をINR92B ($1.28B) で受注している。 (1812-102403)

 IAI社が10月24日、インド国営BEL社からBarak-8 (LRSAM) を$777Mで追加受注したと発表した。
 BEL社は9月5日に造船2社から建造中のフリゲート艦用としてBarak-8 7個システムをINR92B ($1.28B) で受注したと発表している。 (1812-103103)

3・9・2・9 軍事産業の振興

3・9・2・9・1 Make in India 政策

 特記すべき記事なし。
3・9・2・9・2 大規模投資

 インド北部のウッタルプラデシュ州政府が7月3日に「防衛・航空宇宙産業と雇用促進政策 2018」を発表し、防衛産業と航空宇宙産業を促進するための新政策を発表した。 同州は2018年2月にモディ首相が同州に防衛産業回廊を整備する方針を示したことを受け政策を準備していた。
 優遇措置を通じて企業を誘致し、5年間でINR500B(8,049億円)の投資と25万人の雇用創出を見込んでいる。 (1808-070501)
3・9・3 カナダ

3・9・3・1 潜水艦が西太平洋で哨戒活動を開始

 カナダ海軍が2月8日、潜水艦1隻が西太平洋で哨戒活動を行っていることを明らかにした。  派遣された潜水艦の任務は約200日間で、日本やグアムに寄港するし、外国海軍との演習や商船の監視活動も行うという。
 同国が西太平洋にこの種の任務で潜水艦を派遣するのは約50年ぶりで、カナダ海軍報道官は潜水艦派遣について「カナダがアジア太平洋地 域における平和と安全保障への関与を強化するというシグナルだ」と述べた。 (1803-020904)
3・9・3・2 補給艦 Asterix の就役

 カナダ海軍が建造した補給艦Asterixが3月末の就役を控えて1月に洋上試験を完了した。
 Asterixは今年後半に行われるRIMPAC演習に参加する。 (1805-031408)
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