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5. 東アジア諸国

5・1 中 国

5・1・1 世界制覇の国家目標実現

5・1・1・1 対インド拠点の確保

ネパールと中国を結ぶ鉄道の建設

 中国外務省が、習主席が10月13日にカトマンズでネパールのオリ首相と会談し、両国を結ぶ鉄道の事業化調査を開始したいと述べたと発表した。 水力発電の開発を援助する考えも示したという。
 地元メディアによると、習主席はネパールの開発プロジェクトなどに2年間で560億ネパールルピー(530億円)を拠出する方針を表明した。
 政治の実権を持つ親中派のオリ首相が経済的なインド依存の脱却を図る中、中国は一帯一路構想の枠組みでインフラ開発を支援し、インドとの緩衝地帯のネパールで影響力を強めたい考えと見られる。 (1911-101301>1911-101301)

ネパールに軍事援助

 ネパール国防相が10月21日にロイタ通信に対し、同国陸軍が中国から今後3年間で$21Mにのぼる災害救助物資の援助を受けることを明らかにした。
 この協定は、10月12日に習主席が中国国家主席として初めてネパールを訪問したのに続いて、同国国防相が中国を1週間訪問した際の10月20日に調印された。 (1911-102306>1911-102306)

5・1・1・2 高利貸し外交による海外利権の獲得

5・1・1・2・1 中国の新たな海外投資

 (特記すべき記事なし)
5・1・1・2・2 中国依存を是正する動き

パキスタン

 パキスタンが国際通貨基金 (IMF) から$6Bの財政支援を受けることが決まった。
 同国は中国主導のインフラ事業で国際収支が悪化し、外貨不足の危機に直面しているうえ財政赤字も膨らみ、IMF支援と引き換えに構造改革に乗り出す。
 外貨急減の主因は、前政権が2015年に始めた中国の広域経済圏構想「一帯一路」の関連事業で、国土を縦断する中国パキスタン経済回廊 (CPEC) のインフラ整備で総事業費は$60Bに上り、これに伴い中国からの輸入が急増して貿易赤字が拡大した。
 対外債務も$100Bに迫り、6~12%を占めるとされる対中債務が負担となっている。 (1906-051305>1906-051305)

5・1・1・3 諸外国の取り込み

5・1・1・3・1 一帯一路と軍事拠点

 米国防総省が5月2日に議会に提出した年次報告書の中で、中国が大経済圏構想「一帯一路」への投資を保護するため、世界各地に新たな軍事拠点を建設していくとの見通しを示した。 (1906-050302>1906-050302)
5・1・1・3・2 ロシアとの連携

中露爆撃機の連携飛行:日本海

 韓国軍合同参謀本部が7月23日午前、ロシア軍機が領空侵犯したとして、韓国が実効支配する島根県竹島周辺で、韓国軍戦闘機が警告射撃したと明らかにした。
 参謀本部によると、中国軍機も同日、韓国の防空識別圏内に入ったという。 聯合ニュースは23日、ロシア軍機はTu-95爆撃機で、中国軍機は偵察機と推定されると報じた。
 ロシア軍機の韓国領空侵犯は初めてで、中国軍と行動を共にするような飛行は異例である。 (1908-072303>1908-072303)

中露軍事協力協定締結に向け協議開始

 ロシア国防省が7月23日に声明で、ロシア軍機と中国軍機が日本海と東シナ海の上空で共同の警戒監視活動を初めて実施したと明らかにした。
 それによると、活動に参加したのはロシア軍のTu-95 2機と中国軍のH-6 2機で、韓国が防空識別圏内に入ったとするロシア軍機と中国軍機とみられる。
 またロシア政府は22日、ロシアと中国の国防省が軍事協力協定の締結に向けて協議を進めていることを明らかにした。
 協定の具体的な内容は明らかになっていないが、ロシア国防省の関係者はNHKの取材に対して、最終協議が9月頃に行われ、そのあと協定が結ばれるとの見通しを示した。 (1908-072306>1908-072306)

5・1・1・3・3 ASEAN 諸国の取り込み

一帯一路への組み込み

 防衛研究所がまとめた中国の軍事動向に関する2019年の報告書は、一帯一路の安全保障面への影響に焦点をあてている。
 この中で、中国はASEAN諸国のインフラ整備に大きく寄与し、カンボジアやラオス、ミャンマーでは政策決定にまで影響を及ぼすなど、ASEANは一帯一路に組み込まれ、中国との関係は緊密化していると指摘している。
 そのうえで、中国が南シナ海で軍事基地の建設を進めている問題をめぐってASEANの立場の分断に成功し、経済的影響力を政治的影響力に転化することで、有利な地域秩序の構築で成果をあげつつあると分析している。 (1902-013004>1902-013004)

タイ海軍との合同演習

 中タイ海軍の合同演習「藍色突撃2019」に参加する両軍艦艇が6日午前、湛江から演習海域へと次々に出航した。 合同演習は接岸段階を順調に終え、本格的な洋上段階に入った。 艦隊は11時頃に予定海域に到着して通信訓練を行ったのち次の海域へ向かい海上補給も行った。
 今後3日間、艦隊は海上遭遇戦、警戒態勢、艦隊総合防御、捜索救難、海区統制、目標識別など10想定ほどの合同演習を実施する。 (1906-050705>1906-050705)

フィリピンでスービックと旧 Cklark 空軍基地に触手

 フィリピンのメディアが4月25日、中国企業がスービック造船所とかつて米国がフィリピンで最大の航空基地を置いてた旧Cklark空軍基地を手に入れようとしていると報じた。
 スービック造船所は$1.3Bの負債を抱えている韓進フィリピン社を中国企業が買収しようとしているもので、比貿易相が政府はこの問題を止めることができないし、止めるつもりもないと述べたと4月27日にロイタ通信が報じている。
 旧Cklark空軍基地については、ドゥテルテ比大統領と習主席が2018年11月に、2平方哩の工業団地建設で合意している。 (1906-050706>1906-050706)

Ream カンボジア海軍基地を独占使用

 Wall Street Journalが7月22日、今年初めに中国がカンボジアと結んだ秘密協定で、中国海軍が中国企業が大規模空港を建設している近くのReamカンボジア海軍基地を独占的に使用できると報じた。
 協定の詳細は分からないが、米当局者によると協定の期限は30年間で、その後10年単位で自動更新するという。 (1908-072407>1908-072407)

シンガポールと軍事協力強化協定

 10月17~22日に中国を訪問していたシンガポール国防相が中国国防相と両国の軍事協力を強化する協定に署名した。
 これにより両国は毎年国防相会議を開くなど軍事協力を強化することになる。 (1911-102204>1911-102204)

5・1・1・3・4 アフリカ諸国の取り込み

中国アフリカ平和安全フォーラム

 中国とアフリカ諸国の安全保障分野の協力を話し合う「中国アフリカ平和安全フォーラム」の開幕式が、アフリカ50ヵ国の代表らが参加して7月15日に北京で開かれた。
 フォーラムの開催は初めてで、人民日報系の環球時報電子版によると開幕式にはアフリカ各国の国防相、参謀総長らのほか、アフリカ連合 (AU) や中国側の関係者が出席した。
 中国のアフリカへの軍事的な影響力は急速に浸透していて、ルワンダの首都キガリで7月4日に行われた式典では、ルワンダ軍兵士は中国語で「右を向け」「一、二」と声を出して行進した。
 新華社電によれば、ルワンダ軍は中国軍教官を招き、3月から行進の指導を受けていた。 また高度成長中のルワンダは中国から自走砲をはじめとする近代兵器を大量に導入しているとみられている。 (1908-071602>1908-071602)

5・1・1・3・5 欧州諸国の取り込み

ドイツ、フランスへの働きかけ

 米国との貿易戦争に解決の糸口が見えないなか、中国は欧州との関係を深めている。
 中国はドイツ軍の医療部隊が7月3日から2週間実施する訓練に参加するため、中国軍の医療部隊がミュンヘンに向かったことを明らかにした。 2016年に続いて2度目となる両国の合同訓練では、多数の死傷者が出る事態やコレラのような感染症の大流行を想定した訓練が行われる。
 フランスとの連携も開始されており、7月1日にはトゥーロン軍港に駆逐艦西安が入港し、5日間にわたりフランス海軍との合同軍事訓練やスポーツなどで交流を深めた。 (1908-070902>1908-070902)

イタリアの抱き込み成功

 欧州歴訪中の中国の習国家主席が3月23日、イタリアのコンテ首相と会談し、中国が提唱する一帯一路への協力に関する覚書に署名した。
 先進7ヵ国 (G7) で一帯一路に参画するのはイタリアが初めてで、イタリアの対中接近には、低迷する経済再生への期待がかかる。
 ポピュリズムの現政権はバラマキ政策で財政再建が進まず、2018年の経済成長率はユーロ圏で最低だった。
 イタリアの中国との覚書締結には、米国やEUから懸念が出ているが、コンテ首相は法的拘束力はないと払拭に努めている。 (1904-032302>1904-032302)

5・1・1・4 海外軍事拠点の構築

フィリピンのスービック港に触手

 1992年まで米海軍の太平洋地域最大軍港であったSubicに中国の2社が進出しようとしている。
 Subicには韓国の韓進グループのHanjin Philippineが造船所を持っていたが、同社が$412Mの負債と$900Mにのぼる政府の債務保証を抱えて倒産した。 同社は比政府に対し事業の継続を要請し比政府も雇用継続のため事業の引受先を求めているのに対し、中国の国営企業1社を含む企業2社が名乗りを上げている。 (1902-011605>1902-011605)

 米国防総省が5月2日に議会に提出した年次報告書の中で、中国が大経済圏構想「一帯一路」への投資を保護するため、世界各地に新たな軍事拠点を建設していくとの見通しを示した。
 中国の海外軍事基地は現在ジブチだけである、報告書は中国が世界に冠たる超大国として振る舞おうとしている以上、長く友好関係にあり戦略的利益を共有するパキスタンのような国や、外国軍が駐留した前例のある国に新たな軍事基地を築こうとするだろうと述べている。 (1906-050302>1906-050302)

5・1・1・5 渡洋軍備の増強

5・1・1・5・1 遠洋での作戦能力拡大

 英国の国際戦略研究所が世界の軍事情勢をまとめた報告書(Military Ballance)を発表し、中国軍が太平洋などの遠洋での作戦能力を急速に拡大していると分析したうえで、軍事面での米国との差は縮まり続けていると指摘している。 (1903-021603>1903-021603)

 米国防総省が中国の軍事力に関する年次報告書を発表し、警戒感を示した。
 年次報告書は、中国がアジアでの超大国の地位を目指して影響力を拡大していると指摘し、米国との軍事衝突を引き起こさない限界を計算して南シナ海で人工島の建設などを進めているとしている。
 装備の面では中国本土から西太平洋を航行する米空母を攻撃できるMRBMや、グアムを射程に収めるIRBMの増強も続けていると警戒感を示している。 (1906-050301>1906-050301)

5・1・1・5・2 艦船の大規模拡充

 (特記すべき記事なし)
5・1・1・5・3 水陸両用作戦能力の強化

 (特記すべき記事なし)
5・1・1・5・4 潜水艦隊の増強

 米国防総省が5月2日、中国の軍事安全保障の動向に関する年次報告書を公表した。 報告書によると中国海軍は潜水艦隊の増強を優先課題に掲げ、2020年までに65~70隻体制となると予想している。
 報告書によると、中国海軍は現在、戦略原潜4隻、攻撃型原潜6隻、通常動力の攻撃型潜水艦50隻の計60隻を保有し、2020年代半ばまでにASCMを搭載したType093(商級)攻撃型原潜の改良型を建造する見通しとしており、西太平洋に展開する米海軍の空母打撃群などに対するA2/AD戦略の強化につながる恐れが高い。 (1906-050304>1906-050304)
5・1・1・5・5 海兵部隊の増強

 米国防総省が公表した中国の軍事安全保障の動向に関する年次報告書によると、中国が海兵隊を2個旅団から6個旅団に増強し、2020年までに7個目の旅団を立ち上げるが、新設された4個旅団に兵員や装備が充当された兆候も訓練を実施した形跡もないと言う。
 更に報告書では海兵隊に1個航空旅団が編成される計画であるが今のところ編成されている様子はないし言う。 (1906-050309>1906-050309)

 中国が7月24日に国防白書を公表した。 白書では海軍陸戦隊(海兵隊)が三大艦隊と同等に格上げされたことを初めて明記した。
 陸戦隊は今まで南海艦隊の下に置かれていたが、今回の白書では陸戦隊を東海、南海、北海の3大艦隊と並べて記した。 陸戦隊の強化は日本を含む周辺国への脅威となる。
 また台湾に対する武力行使に言及し、尖閣や南シナ海を中国固有の領土と改めて強調している。 (1908-072405>1908-072405)

5・1・1・6 海警局、世界最大の沿岸警備組織

 中国メディアによると、海警局長官に東海艦隊の副参謀長などを歴任した王仲才少将が就任した。
 海警局は組織面だけでなく警備艦の大型化と武器の充実も顕著で、海軍との一体化が進んでいる。 海警局は退役した海軍艦艇などから大型砲を除去して再利用している。
 海上保安庁によると、2012年に1,000t以上の艦船を海保は51隻、中国は40隻を保有していたが、現在では中国が倍以上と逆転し、2019年はそれぞれ67隻、145隻になる見通しである。
 1月の米国防情報局(DIA)報告書は海警局について、圧倒的な世界最大の沿岸警備組織と分析している。 (1903-021801>1903-021801)
5・1・1・7 拡大する海洋軍事活動

米豪共同軍事演習に情報収集艦を派遣

 オーストラリアで行われている米豪共同軍事演習Talisman Sabreに中国が情報収集艦を派遣していることが明らかになった。 豪側もこうした動きを把握しており、適切な手段をとると中国側を牽制した。
 豪公共放送ABCなどによると、中国の情報収集艦は6日夜にパプアニューギニア北部を航行していることが確認された。
 この演習には陸上自衛隊の水陸機動団も参加していることから、専門家は「中国は高度化複雑化している米豪の演習内容に加え、日本の水陸機動団の能力にも関心を持ったとみられる」と指摘している。 (1908-070802>1908-070802)

5・1・1・8 全地球規模測位衛星システムの構築

 中国が11月5日01:43に西昌衛星発射センターから長征3号乙SLVで49基目の北斗測位衛星を打ち上げた。
 今回の衛星の打ち上げ成功で、北斗3号システムは3基のIGSO衛星(傾斜対地同期軌道衛星)がすべて打ち上げ完了し、2020年北斗3号の世界ネットワーク構築へ確かな一歩が記された。 (1912-110602>1912-110602)
5・1・2 台湾制圧に向けた準備

5・1・2・1 対米牽制

 1月24日には米海軍駆逐艦McCampbellと補給艦Walter S. Diehlが台湾海峡を通過したのに対し、人民解放軍総参謀長の李上将が訪中した米海軍作戦部長リチャードソン大将と1月15日に会見し、米国は台湾問題に介入しないよう警告した。
 リチャードソン大将は李上将との会見3日後に東京で、米国は1つの中国の原則は承知していると述べている。 (1902-012505>1902-012505)
5・1・2・2 海空封鎖から全面武力侵攻まで

 米国防総省が公表した中国の軍事安全保障の動向に関する年次報告書では、中国が台湾への武力侵攻の準備を、軍の再編やマルチドメインへの投資を通じて進めていると警告している。
 中国は台湾侵攻を海空による封鎖から全面武力侵攻までにわたり検討している。 (1906-050306>1906-050306)
5・1・2・3 台湾に対する圧力

5・1・2・3・1 中国の国防白書

 7月24日に公表された中国の国防白書では、台湾分離の動きに強い警戒感を示している。
 中国の国防白書は2015年に初めて発簡された。 (1909-073104>1909-073104)
5・1・2・3・2 戦闘機が台湾海峡の中間線越え

 台湾紙の自由時報が3月31日、国防部が同日11:00頃に中国軍のJ-11 2機が台湾本島の西南部の空域で台湾海峡の中間線を越えて台湾本島側の空域に侵入したと発表したと速報した。 侵入時間は10分間といえう。
 台湾海峡の中間線は中台間の事実上の停戦ラインで、中国軍機がこれを越えるのは極めて異例である。
 同紙によると、台湾側は多数の戦闘機を緊急発進させたほか、SAM部隊にも即応態勢を取らせた。 (1904-033101>1904-033101)

 3月末に中国の戦闘機が台湾海峡の中間線を越えて台湾側に侵入するなど、習近平指導部が台湾への軍事的な威嚇を強めており、中国人民日報系の環球時報は2日に「台湾の基地をピンポイント攻撃する可能性も排除できない」との社説を掲載し爆撃の可能性にも言及した。
 台湾の蔡総統が太平洋諸国の訪問後の3月27日に米ハワイに立ち寄り、ハワイ州軍の少将と会談した。 台湾総統が外遊中に米軍人と会談するのは初めてだった。 すると31日には中国のJ-11 2機が台湾海峡の中間線を越え、台湾側に侵入している。
 中間線は中国と台湾の軍が偶発的な衝突を避けるための境界線で越えるのは極めて異例である。 (1905-040902>1905-040902)

 中国軍の戦闘機が3月末に台湾海峡の中間線を越えて飛行した問題で、米艦船が台湾海峡を繰り返し通過していることへの牽制が目的だったと中国軍と中国政府の複数の関係者が明らかにした。 中国軍機は中間線の台湾側を10分ほど飛行した後、西へ飛び去った。
 台湾国防部によると、中国のJ-11 2機が台湾海峡の中間線を越えたのは3月31日11:00過ぎで、台湾軍が中国軍機の通常と異なる飛行を察知したのは澎湖島の南西海域の上空で、台湾の本島まで190kmだった。
 台湾軍はF-16 4機を南部の嘉義基地から緊急発進させ中国軍機に警告した。 (1905-041303>1905-041303)

 中国のJ-11 2機が3月31日11:00頃、台湾から185kmの台湾空域に侵入した。
 その直前となる3月24~25日には米海軍駆逐艦Curtis Wilburと米沿岸監視隊警備艦Bertholfが台湾海峡を通過している。 (1906-041003>1906-041003)

5・1・2・3・3 艦船による威嚇

艦船の台湾周回

 一部の台湾メディアが6月25日、中国海軍の空母遼寧の台湾海峡航行を報じた。 それによると遼寧など複数隻の中国艦が25日午前、遼寧の母港である山東省青島に向かって南から台湾海峡に入り、同日の夜には東シナ海へと抜ける見通しという。
 日本の防衛省の発表や複数メディアの報道によると、遼寧を中心とした中国海軍の艦隊は6月11日に沖縄宮古島間を通過後、グアム島周辺やフィリピン南部の海域を経由して南シナ海に入っていた。
 遼寧が台湾を周航したのは、2018年夏に始まった改装以来初めてだという。 (1907-062503>1907-062503)

周辺海域で演習

 中国海事局が7月28日と29日、軍事活動を行うため台湾に近い2ヵ所の海域を相次いで航行禁止区域に指定した。
 航行禁止が指定されたのは、浙江省沖と広東・福建両省沖の2ヵ所で、期間は浙江沖が28日~8月1日、広東・福建沖が7月29日~8月2日だが、いずれも詳細は明らかにされていない。
 安全保障面で米国との連携を強める台湾の蔡政権をけん制する狙いがあるとみられる。 (1908-072904>1908-072904)

5・1・2・3・4 航空機の台湾周回

 台湾国防部によると、4月15日12:00頃に中国軍の偵察機や爆撃機など複数機がバシー海峡を抜けて西太平洋の海域で訓練を実施し、このうち爆撃機は沖縄本島と宮古島の間の上空を通過して中国側に戻った。
 中国軍機が台湾を周回するようなルートで飛行するのは1年ぶりで、このところ台湾海峡にたびたび艦艇を派遣している米国や、トランプ政権と連携を強める台湾を牽制したものとみられる。
 一方、中国国防省は15日に、台湾東部の海域で艦船や爆撃機、偵察機を含む海と空の兵力による合同訓練を実施したと発表した。 訓練は敵の制圧など実戦を想定したものだとして、国家の主権と領土を守る能力を絶えず向上させるなどと意義を強調した。 (1905-041601>1905-041601)

 台湾国防部が4月15日、多数の中国軍機が同日正午ごろ中国大陸南部から台湾南方のバシー海峡上空を通過して西太平洋に出る長距離飛行を行ったと発表した。
 飛行したのはKJ-500 AEW&C機やH-6K爆撃機、Y-8輸送機、Su-30、J-11戦闘機などで、このうちH-6Kは基地に戻る際、宮古海峡上空を飛行した。 (1905-041602>1905-041602)

 中国空軍機による台湾周辺の巡航を台湾の蔡政権が批判したことに対し、中国国務院台湾事務弁公室が4月16日に、国家主権と領土を守るわれわれの堅い決意と強靱な能力を見くびってはならないと警告した。
 談話は、蔡政権が民衆をだまし、機に乗じて中台の対立をあおっていると非難した。 (1905-041603>1905-041603)

 台北で4月15、16の両日、米国の台湾関係法制定40年を記念する行事が相次いで開かれ、米中両国の対立が深まる中、緊密な関係をアピールしたい米台の思惑が一致した。 会合の冒頭には蔡英文総統は「台湾は脅しに屈しない」と発言した。
 トランプ政権からは事前の予想を超える高官の訪台はなかったものの、中国が15日に爆撃機に台湾を周回させたことで雰囲気は一転し、一連の会合は米台が一致して中国を非難する場となり、16日のシンポジウムではライアン前米下院議長は中国を厳しく批判した。
 防衛省の発表で、バシー海峡から西太平洋に抜けたし中国空軍のH-6Kは異例の4機編隊だったことが判明した。 (1905-041604>1905-041604)

5・1・2・3・5 台湾を爆撃する訓練で威嚇

 台湾の呉外交部長が4月17日に外交部のツイッター公式アカウントで、中国空軍のH-6Kが15日に台湾を周回飛行した際、台湾本島南部と南東部を爆撃する訓練を行っていたと明らかにした。
 呉部長はまた、訓練に軍用機24機と艦艇5隻が参加したとも公表した。
 台湾当局が中国軍の詳しい訓練内容を公表するのは異例で、挑発行動がエスカレートしている可能性がある。 (1905-041706>1905-041706)
5・1・3 米中対立の激化

5・1・3・1 米中経済戦争

5・1・3・1・1 米国:知的財産権保護を名目とした経済制裁

 米トランプ政権が中国との貿易交渉で歩み寄りが見られなかったとして5月10日、中国からの$200Bの輸入品に課している関税の上乗せを10%から25%に大幅に引き上げたのに対し、中国も13日夜、報復措置として米国からの$60B分の輸入品に上乗せする関税を6月1日から最大で25%に引き上げると発表した。
 この報復措置にさらに対抗して米通商代表部は13日、中国からの輸入品のうちまだ高い関税をかけていない3,805品目、およそ$300B分に最大25%の関税を上乗せする手続きに入ったことを公表した。 (1906-051401>1906-051401)

 米中関係筋が5月14日までに、今回の米中貿易協議の事実上の破綻は5月5日のトランプ米大統領による唐突なツイートが発端ではなく、中国側が合意案への修正を米側に通告した時点で既に決まっていたことを明らかにした。
 中国政府が5月初め、5ヵ月間の米中貿易協議で積み上げた7分野150頁にわたる合意文書案を105頁に修正圧縮したうえで、一方的に米側に送付していたた。 ページ数で見ても実に3割もの破棄で、米側が重視してきた中国による構造改革の実行を担保する法的措置については、その重要合意のかなりの部分が白紙に戻ったことになる。
 中国指導部内で不平等条約に等しいと判断された法的拘束力を持つ部分などが軒並み削除修正されていた。 (1906-051502>1906-051502)

5・1・3・1・2 米国:安全保障を名目としたファーウェーの排除

 (特記すべき記事なし)
5・1・3・2 留学生を制限しようする米国の動き

 米議会共和党の一部議員が5月14日、中国人民解放軍の関連機関が雇用支援する人材について、学生向けと研究員向けのビザの発給を禁止する法案を提出した。
 ただ、米国の大学関係者の多くは、セキュリティリスクを認識する一方で、中国人研究者や学生が国内機関で重要な役割を担っていることも認識する必要があると指摘している。 (1906-051504>1906-051504)
5・1・3・3 中国の対米威力誇示

空母遼寧がグアム周辺へ初航行か

 中国の空母遼寧が6月中旬に、グアム島周辺海域を初めて航行したという見方が出ている。
 遼寧は6月11日に最新型の補給艦Type 901と共に沖縄本島と宮古島の間を通過していた。 台湾メディアが伝えた情報筋の分析によると、遼寧とType 901を含む6隻の中国艦隊は沖縄~宮古島間を航行後に南東に進み、沖ノ鳥島沖を過ぎグアム島に近い海域に到達した。 その後、フィリピン南部の海域を経由し、南シナ海に入ったという。
 6月28、29両日のG20大阪サミットに合わせて行われる米中首脳会談を控え、空母の活動範囲の拡大を誇示し米国をけん制する狙いがあったとみられる。 (1907-062402>1907-062402)

南シナ海で大規模対艦ミサイル発射演習

 中国MSAが、中国海軍が7月3日まで南シナ海で演習を行うとの通報を出した。 演習はパラセル及びスプラトリー諸島海域で行われる。 (1908-070107>1908-070107)

 米CNB TVが2人の米当局者の話として7月1日に、中国が南シナ海でASBMの発射試験を実施していると報じた。
 それによると、試験は6月末に始まり、少なくとも1発が発射され3日まで続くという。 実施された具体的な場所は不明である。 (1908-070202>1908-070202)
【註】中国は中国海軍が7月3日まで南シナ海で演習を行うとの通報しており、6月末から7月3日まで行われるのはこの演習で、この演習でASBM 1発の発射が行われたと言うことと見られる。

 中国が南シナ海に向けBMの発射試験を実施した背後には、米軍が実施する航行の自由作戦を牽制するねらいが透ける。 発射したミサイルの種類は明らかになっていないが、DF-21D ASBMではないかとの見方がある。 DF-21Dは速度が速く艦船が防御しにくい。
 人民解放軍は2018年に射程がより長く、米軍基地のあるグアムまで届くDF-26も配備しており、米軍は警戒を強めている。
 中国の習主席とトランプ米大統領は6月29日の首脳会談で貿易戦争の一時休戦で合意したが、台湾問題を含む安全保障の面では中国が一歩も引かない姿勢を示したといえる。 (1908-070403>1908-070403)

 中国軍が中国本土から南シナ海の領有権争いがある海域に向けて6発のミサイルを発射したことについて、米軍はASBMの可能性も含め、ミサイルの種類や能力の詳しい分析を進めている。 (1908-070501>1908-070501)

 米国防総省が7月2日、NBC放送が中国が6月30日から南シナ海で対艦ミサイルの発射試験を行ったと報じたことを追認した。
 中国海上保安当局は6月29日からSubi島の北方110nmの100×60nmの海域に航路警報を出していて、ミサイルはスプラトリー諸島近海の人工施設から発射されたと見られる。
 発射されたのはラムジェット推進で射程が250~500kmのYJ-12や射程1,500kmのDF-21D或いは4,000kmのDF-26 ASBMと見られる。 (1908-071007>1908-071007)

 米インド太平洋軍司令官のデービッドソン海軍大将が7月18日、中国が6月末から7月に初旬にかけて南シナ海のスプラトリー諸島周辺で実施したミサイルの試験について、新型のASBM 6発が発射されたと述べた。
 発射試験が行われたのは、DF-21を改良したDF-21Dか、新型のDF-26のいずれかとみられている。 (1908-071903>1908-071903)

 米インド太平洋軍司令官デビッドソン海軍大将がAspen Security Forumで7月18日、中国が6月に南シナ海に向け、24時間以内に6発のASBMを発射したと述べた。
 また国防総省は、NHKが米軍関係筋の話として中国が本土から南シナ海の2ヵ所に向けて6発のASBMを発射したと報じた2日後の7月2日に、1発の対艦ミサイルがスプラトリー諸島近くの南シナ海の人工島から発射されたことを明らかにした。 (1909-073105>1909-073105)

5・1・3・4 米中対立下で西欧から軍事物資輸入

英国からの軍事物資輸入

 英通商省が、2018年に認証された軍事物資の中国への輸出が70件近くで総額が£7.6M ($9.6M) にのぼることを明らかにした。 (1908-071015>1908-071015)

5・1・4 わが国に対する挑発

5・1・4・1 日本のEEZ内で中国の無断調査横行

 日本の領海や排他的経済水域 (EEZ) で中韓などが無断で強行する海洋調査が後を絶たない。
 無断調査は国連海洋法条約に違反するが、日本側の対応は、海上での不審な行動の監視・警告と外交ルートを通じた抗議に止まり、実態の解明も遅れている。 このため調査は次第に大胆になり、海洋権益への脅威が増大している。 (1906-053004>1906-053004)
・太平洋側に新鋭船投入、新たな段階か

・沖縄トラフで埋蔵ガス測定、日本管轄の資源に

・科学も政治利用

・無断調査の実態、把握困難

・国際法廷の活用、検討必要

5・1・4・2 東シナ海での挑発活動

「2・2 東シナ海で記述
5・1・4・3 日本海への進出

5・1・4・3・1 北海艦隊の強化

 中国のソーシャルメディアに、Type 052D駆逐艦とType 054Aフリゲート艦が2月下旬に就役し、共に北海艦隊に配属されたとする報道が流れた。
 就役したType 052Dは8番艦で、Type 054Aはこのクラスで最終となる30番艦である。 (1905-031308>1905-031308)
5・1・4・3・2 対馬海峡の通過

2月23日:Type 052D駆逐艦1隻とType 054フリゲート艦2隻が対馬海峡を南下

 統合幕僚監部によると、2月23日21:00頃、舞鶴基地所属第14護衛隊せんだいが、上対馬の東北東110kmの海域を南西進する中国海軍Type 052D駆逐艦1隻とType 054フリゲート艦2隻を確認した。 これらの艦艇が対馬海峡を南下し、東シナ海に向けて航行したという。
 これらの艦船は、2月16日に対馬海峡を北上していた。 (1903-022505>1903-022505)

5・1・4・3・3 航空機の進出

 防衛省が4月12日、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進した回数が昨年度は前年度比95回増の999回に達し、過去2番目に多かったと発表した。 特に中国軍機への発進が138回増の638回と全体の6割を超え、沖縄本島~宮古島間を通過したケースは10回で過去2番目になった。
 特に対馬海峡を通過したケースは7回と過去最多で、日本海でも活動を活発化させている実態が浮き彫りとなった。 (1905-041203>1905-041203)
5・1・4・4 南方海上での挑発活動

沖ノ鳥島沖で無許可海洋調査

 中国公船が2018年12月に、日本のEEZである東京都沖ノ鳥島沖で日本の許可なく海洋調査をしていた。
 関係者によると、昨年12月18日に沖ノ鳥島沖で中国国家海洋局の調査船が航行しているのを海上保安庁が発見したため航行の目的を確認すると、公海上で海洋調査をしているなどと返答した。  これについて外務省は、無断で調査することは認められないと中国側に抗議した。
 日本政府は沖ノ鳥島を基点にEEZを設定しているが中国側は岩にすぎないと反論し、日本のEEZを認めていない。 (1902-010304>1902-010304)

5・1・5 経済不振下の国防費増大

5・1・5・1 急速な国防費増

 韓国が作成配布した「2018世界防衛産業市場年鑑」によると、過去10年間の国防費支出増加率は中国が110%、インドが45%、ロシアが36%であった。 (1902-012803>1902-012803)

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) が4月29日、2018年の世界の軍事支出が前年比2.6%増の$1.822Tだったと発表した。 米国と中国の軍事費の増加が全体を押し上げた。
 全体の81%を占める上位15ヶ国は前年と同じ顔ぶれで、トップの米国は前年比4.6%増の$649B、軍拡を続ける中国は5%増の推定$250Bで2位である。 (1905-042902>1905-042902)

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) が4月29日、2018年の世界の軍事支出が実質で前年比2.6%増の$1.822Tだったと発表した。
 米国と中国の2ヶ国だけで上位15ヶ国の支出総額の半分を占め、米国の$649Bであるのに対し、中国は推定$250Bで1994年に比べ約10倍に膨らんだ。
 上位15ヶ国の総額に対するシェアは米国が36%、中国14%だった。 (1905-042903>1905-042903)

5・1・5・2 GDP の伸びを上回る国防費の伸び率

 人民日報系の環球時報が2月13日、2019年の国防予算が前年並みの伸び率で約1兆2,000億元(19兆,6000億円)に達する見通しだと報じた。 2018年の国防予算は前年比8.1%増の1兆1,069億元で過去最大で、予算額は米国に次ぎ世界2位の規模になっている。
 2019年の国防予算は3月に開かれる全国人民代表大会で公表される。 (1903-021305>1903-021305)

 中国政府が3月5日に開幕する全国人民代表大会(全人代)で、2019年のGDP成長率目標を2018年の6.5%前後から引き下げ6~6.5%に設定したことを李首相が政府活動報告の中で明らかにする。
 一方、国防費は前年比7.5%増の約1兆1,898億元(19兆8,000億円)を計上している。 (1904-030505>1904-030505)

 3月5日に公表された中国の2019年の国防予算(中央政府分)は、経済が減速する中で20兆円に迫り、規模は米国に次ぐ世界第2位を維持し、今世紀半ばまでに「世界一流の軍隊」を目指す習指導部の強軍路線が改めて鮮明になった。  予算額は前年実績比7.5%増の1兆1,898億元(19兆8,000億円)と4年連続で1桁の伸びとなったが依然として経済成長率を上回り、予算規模は米国の4分の1、日本の4倍に迫る。 2000年から見れば10倍程度の急増となる。 (1904-030506>1904-030506)

5・1・5・3 中国国防費の実態と今後の予測

 米国防総省が5月2日、中国の軍事安全保障の動向に関する年次報告書を公表した。
 報告書によると2018年の中国の国防予算について公式には$175Bとされているものの、研究開発費や外国からの兵器購入費などを含めると実際には$200Bを突破したとみられると指摘し、2020年までには$260Bまで膨張するとの予測も明らかにした。 (1906-050304>1906-050304)
5・1・5・4

 中国の国防費で装備費の比率が上昇している。 (1910-081904>1910-081904)

┏━━━┳━━━━━┳━━━━━┳━━━━━┳━━━━┳━━━━━━┳━━━━━━┓
┃   ┃人 糧 費┃訓 演 費┃装 備 費┃装 備 費┃ 総  額 ┃ 総  額 ┃
┣━━━╋━━━━━╋━━━━━╋━━━━━╋━━━━╋━━━━━━╋━━━━━━┫
┃2010年┃ CNY186B ┃ CNY170B ┃ CNY177B ┃ 33.2% ┃  CNY533B ┃  CNY783B ┃
┃2011年┃ CNY207B ┃ CNY190B ┃ CNY206B ┃ 34.2% ┃  CNY603B ┃  CNY891B ┃
┃2012年┃ CNY196B ┃ CNY233B ┃ CNY241B ┃ 36.0% ┃  CNY669B ┃  CNY994B ┃
┃2013年┃ CNY200B ┃ CNY270B ┃ CNY271B ┃ 36.6% ┃  CNY741B ┃ CNY1,114B ┃
┃2014年┃ CNY237B ┃ CNY268B ┃ CNY324B ┃ 39.1% ┃  CNY829B ┃ CNY1,233B ┃
┃2015年┃ CNY282B ┃ CNY262B ┃ CNY365B ┃ 40.2% ┃  CNY909B ┃ CNY1,333B ┃
┃2016年┃ CNY306B ┃ CNY287B ┃ CNY404B ┃ 41.3% ┃  CNY977B ┃ CNY1,437B ┃
┃2017年┃ CNY321B ┃ CNY293B ┃ CNY429B ┃ 41.1% ┃ CNY1,043B ┃ CNY1,541B ┃
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5・1・6 香港騒動

5・1・6・1 香港の民意

 香港で11月24日投票が行われた区議会選挙は25日に開票結果が確定し、公共放送RTHKによると民主派は452議席中、85%に相当する388議席を獲得して歴史的な勝利を収めた。
 改選前に議席の約7割を占めていた親中派は大敗した。
 票率は前回2015年の47%を大幅に上回る71%で、中国返還後に実施された立法会選、区議選を含めて過去最高であった。 (1912-112504>1912-112504)
5・1・6・2 人民解放軍の投入

 (特記すべき記事なし)
5・1・7 戦力の増強

5・1・7・1 宇宙戦 / BMD

5・1・7・1・1 宇宙戦

 米国防情報庁が2月11日の報告書で、中国が低軌道衛星のセンサを破壊する地上設置型レーザ兵器を年内に配備するするとの見通しを示した。
 また更に2020年代中頃か後半には、光学偵察衛星以外の衛星にも脅威を及ぼすより強力なレーザ兵器を配備すると警告している。 (1904-022701>1904-022701)
5・1・7・1・2 偵察衛星

遥感-30 SIGINT衛星

 中国が7月26日に遥感-30 SIGINT衛星3基を打ち上げた。
 最初の遥感-30 4基は2017年9月から2018年1月打ち上げられ、今回の打ち上げで15基が軌道上にあることになった。 (1909-080716>1909-080716)

5・1・7・1・3 B M D

ロシアの支援でミサイル警報システムを構築

 プーチン露大統領が10月3日、中国のミサイル警報システム構築を支援していることを明らかにした。
 地上設置システムは長距離レーダと、ミサイル警報用には使われていない中国の長距離フェーズドアレイレーダず対象になる。 衛星ではIRセンサが使われる。 (1912-101605>1912-101605)

5・1・7・2 戦略ミサイル

5・1・7・2・1 核兵器

 (特記すべき記事なし)
5・1・7・2・2 ICBM

DF-41

 中国が10月1日に建国70周年を祝う閲兵式に射程12,000km以上とされるICBM DF-41など新型国産兵器を多く登場させた。 この日の式典には15,000名の兵士が参加し、ミサイルに加えて航空機160機や580両の車両などが登場した。 装備はすべて国産だという。
 新型ミサイルでは超高速兵器を搭載するIRBM DF-17も今回初めて姿をみせた。 またJ-20の編隊や長距離CMを搭載できる新型のH-6Nも確認された。
 今年7月に発表した国防白書で存在を誇示した山岳地帯や軟弱な地形での戦闘を念頭に開発された新型のType 15軽戦車も初めて登場した。 (1911-100102>1911-100102)

 中国の建国70年を記念して10月1日に北京で行われた閲兵式で、新型ICBMのDF-41が初公開された。 (1911-100103-2>1911-100103-2)

 中国が10月1日の建国70周年記念パレードで展示したDF-41 ICBMは移動式のため第1撃に対し非脆弱である。 更に固体燃料ながら液体燃料のDF-5B並の射程を有する。 (1912-100901>1912-100901)

 2019年新浪軍事が11月29日にWashington Post紙の記事を引用して、中国軍が6月のJL-3に続いて22日にDF-41 ICBMの11回目の発射試験を行ったと報じた。
 DF-41は2012~18年に10回の発射試験をしていずれも成功しており、今年10月の国慶節パレードでTELが16両登場したことを考えると、1年余りの時間を開けて実施された今回の発射試験は、年間の定例訓練または戦闘準備の点検の可能性が高いと分析している。 (2001-120102>2001-120102)

DF-31AG

 中国が10月1日の建国70周年記念パレードで展示した、DF-31 ICBMの新型DF-31AGもTELに搭載されていた。 (1912-100901>1912-100901)

5・1・7・2・3 IRBM

DF-26

 DigitalGlobe衛星が1月9日に撮影した中国内モンゴル阿拉善盟 (Alxa) にある未公開の演習場の画像に、DF-26 IRBMのTEL 12両が写っていた。
 この演習場は2016~2018年に建設されたもので、兵舎1棟、ミサイルの組み立て整備棟1棟のほかに、100ヵ所以上のミサイル射座が作られている。 (1903-011605>1903-011605)

 中国国営Global Timesが1月27日、CCTVが放映した演習中のDF-26の映像を引用して、航行中の空母を攻撃できる高い運動性を誇示した。
 Global TimesはDF-26の誘導部と弾頭部の画像も報じた。 この部分を巡っては西側専門家の間ではDF-26がASBMとして使えるのかについて疑念が持たれてきていた。 (1903-020606>1903-020606)
【註】DF-26の先端が白色の材質になっていることからレドームと思われる。 また誘導部後方に終末誘導で使用されると見られる空力操舵用の小さな十字翼を見ることができる。

DF-17

 中国の建国70年を記念して1日に北京で行われた閲兵式で、中国軍が開発を進めていた新型の極高速兵器DF-17が初公開された。 (1911-100103-1>1911-100103-1)

 中国が10月1日の建国70周年記念パレードで展示したHGVを搭載したDF-17はDF-16 IRBMの発展型とみられている。 (1912-100901>1912-100901)

5・1・7・2・4 ALBM

 中国が10月1日に実施した建国70年記念パレードで披露したH-6Nの胴体下部にはALBM吊り下げ用とみられる改造がなされていた。 (1912-101607>1912-101607)

 中国の隔月誌Modern Shipsが11月1日号で、ALBMを搭載したH-6最新型H-6NのCG画像を掲載した。
 同紙によるとH-6Nは開発の最終段階あるか既に配備されているという。
 米国防情報庁 (DIA) 長官スチワート海兵隊中将が上院軍事委員会で、中国は2種類のALBMを搭載できる航空機を開発しており、そのうち1種類は核弾頭の装備が可能であると述べている。
 Diplomat誌は2018年4月号で、中国がCH-AS-X-13と米側が呼ぶALBMの発射試験を2016年12月から2018年1月の艦に5回実施していると報じている。
 中国は地上発射ASBMとしてDF-21DとDF-26を保有しており、そのうちDF-21Dは空中発射型も開発していると見られてきたが、Modern Ships誌が掲載した画像はむしろDF-15 SRBMに似ている。 (2001-111602>2001-111602)

5・1・7・2・5 SLBM

JL-2

 (特記すべき記事なし)

2018年11月:JL-3 初の発射試験

 Washington Free Beaconが2018年12月18日、中国がJL-3 SLBMの発射試験を行ったと報じた。 試験の実施は米ミサイル早期警報衛星により確認された。
 Washington Free Beaconによると遼寧省海事安全庁が11月22日に、演習実施を理由に当該海域への立ち入り監視通報を行っていた。 (1902-010211>1902-010211)

 中国海軍が2018年11月24日にJL-3 SLBMの初めての発射試験を渤海湾で行った。
 JL-3 1発はType 032 清級 (Qing級) 補助潜水艦から発射されたが、試験の目的が発射管からの射出、海面への浮上、点火であったと見られ、最大射程での飛翔は行わなかったと見られる。
 JL-3は2020年代末に就役するType 096次世代SSBNが装備することになる。 (1902-010808>1902-010808)

 中国が10月1日の建国70周年記念パレードで展示したType 094 SSBN搭載で7,500km射程のJL-2は発射管が車載されていた。
(1912-100901>1912-100901)

6月2日:JL-3 の発射試験

 6月2日に中国のメディアサイトに掲載された写真から、中国が新型SLBM JL-3の発射試験を行った模様である。
 また中国海事安全局 (MSA) は6月1日07:00~13:00と2日の02:30~12:00の2回にわたり、軍事利用のためとして渤海湾を閉鎖している。 (1907-060305>1907-060305)

 中国のweb siteに6月2日、次世代SLBM JL-3の発射試験が渤海湾で行われたとする画像が掲載された。
 遼寧のMSAは1日07:00~13:00と2日02:30~12:00の2回、軍事利用のためとして航行警報を出していた。 一方国営Global Timesは複数の住民の証言として、2日の04:00に未確認飛行体の航跡が確認されたと報じている。
 JL-3の発射試験は2018年11月下旬に行われている。 JL-3はType 032通常動力潜水艦から発射されたと見られる。 (1908-061202>1908-061202)

 次世代SSBN Type 096搭載のJL-3はDF-41を元に開発中である。 (1912-100901>1912-100901)

5・1・7・2・6 長距離 CM

 (特記すべき記事なし)
5・1・7・2・7 超高速 CM

DF-100

 中国が10月1日の建国70周年記念パレードで超音速CM DF-100を展示した。
 初登場の超音速CM DF-100にはCF-100の名称もある。 (1912-100901>1912-100901)

5・1・7・3 艦 船

5・1・7・3・1 同時大量建造

大連の造船所

 大連の造船所で5月10日、Type 052D駆逐艦の19番艦と20番艦が進水した。 この2隻は同造船所が建造したType 052Dの4隻目と5隻目になる。
 今回進水した2隻は初期に建造された13隻より全長が4m長くなって飛行甲板が拡張され、Z-20ヘリの離着艦が可能になっている。
 2隻は2018年7月にType 055駆逐艦2隻を進水させたのと同じ乾ドックから進水した。 現在このドックではType 052DとType 055が建造されており、いずれも2020年に進水するとみられる。
 また5月9日には広州の造船所でType 056 1,500tコルベット艦が進水している。 これは同級で60番艦になる。 (1907-052202>1907-052202)

上海の造船所

 Type 071 LPDの8番艦の建造が、上海の滬東中華造船 (Hudong-Zhonghua) で本格化している。
 8番艦は6ヶ月もかけずに建造され2018年12月28日に進水した7番艦と同じドックで建造されている。 またその隣ではType 075と思われる大型艦の建造も進められている。 Type 075は全長240m、全幅30m以上と思われる。
 衛星画像によると滬東中華造船から20km離れた長興島 (Changxingdao) の江南造船 (Jiangnan) では全長が370mあるブロックが建造されており、空母の三番艦ではないかと見られている。 (1907-052213>1907-052213)

5・1・7・3・2 航空母艦

原子力空母4隻を含む空母6隻態勢が目標か

 South China Morning Postが2月13日、中国海軍が2035年までに米海軍に追い付くことを目標に、原子力空母4隻を建造する計画だと報じた。
 中国海軍は現在2隻の空母を所有していることから、最終的には空母6隻態勢を構築する構想だという。 (1903-021502>1903-021502)

Type 001 遼寧

 (特記すべき記事なし)

Type 001A 山東

 中国共産党機関紙人民日報系の環球時報が4月17日、中国初の国産空母は2019年内の就役に向けた作業が続いており、海軍創設70周年の4月23日に青島で行われる国際観艦式に参加することは困難だとの見通しを報じた。
 軍事専門家は、就役までにさらに1、2回の試験航海を行う可能性があると見ている。 (1905-041704>1905-041704)

 中国国防部が6月27日、国産空母がすでに左舷部のガラス繊維強化ブラスチック救命ボートを吊り上げ交換する作業を始めており、これは就役が近いことを意味しているとのメディア報道や、ネット上では、10月に正式就役するとのうわさについて、中国の2隻目の空母は計画通り各試験を行っており、現在各作業は順調に進んでいると答えた。 (1907-062802>1907-062802)

 台湾国防部が11月17日、中国初の国産空母がフリゲート艦などと艦隊を組んで、東シナ海から台湾海峡を南下したことを確認したと発表した。
 2020年1月11日に台湾総統選を控える中、中国が敵視し再選を望まない蔡英文総統を牽制する意図があるとみられる。
 台湾の中央通信によると、中国の空母が台湾海峡を通過するのは空母遼寧が2019年6月に航行して以来である。 (1912-111704>1912-111704)

 中国海軍報道官が18日、中国初の国産空母が11月17日に台湾海峡を通過し、技術試験や訓練を行うために南シナ海に向かったと発表した。
人民日報系の環球時報は、国産空母が今回の試験航海を終えた後、母港となる海南省三亜で就役するとの専門家の見方を報じた。 三亜には世界最大級となる長さ700mの空母用埠頭が完成しており、三亜が母港になれば初の国産空母は南シナ海を管轄する南海艦隊の所属となる。
 一部官製メディアが2017年に艦名を山東と報じたため、北海艦隊の所属になるとの見方もあった。 (1912-111801>1912-111801)

 中国国営中央テレビによると、中国初の国産空母が12月17日に海南島の三亜軍港で就役した。 中国にとって遼寧に次ぐ2隻目の空母で山東と命名された。
 2013年11月に遼寧省大連で着工し2017年4月に進水した山東は、2018年5月に試験航海を開始し、9回目の試験航海で2019年11月17日に台湾海峡を通過して南シナ海に向かった。
 遼寧が搭載できる艦載機は24機だが、山東は少なくとも36機に増えるなど改良が施されたが、60機以上の艦載機を搭載する米国の空母に比べると少ない。 (2001-121701>2001-121701)

 台湾国防部が12月26日、12月17日に就役した中国初の国産空母山東が同日、護衛の艦隊を伴って台湾海峡を南から北に向けて航行したと発表した。
 国防部が公表している情報によれば、中国の空母が台湾海峡を通過するのは6度目である。 (2001-122602>2001-122602)

Type 002

 国営新華社通信のWeChatページやGlobal Times、China Dailyなどで、中国三番目の空母が建造中と報じられている。
 また衛星画像から空母のモジュールが造船所近くで組み立てられているのが確認されている。 (1902-120504>1902-120504)

 戦略国際問題研究所 (CSIS) が4月17日に撮影された衛星画像から、中国が建造している3隻目の空母Type 002の状況を明らかにした。
 Type 002はカタパルトを備える通常動力型とみられ、排水量は国産初の空母Type 001Aの推定66,000~70,000tより大きく80,000~85,000tと見ている。
 米国防省もType 002は2018年に建造を開始しており,2022年に就役の見込みとしている。 (1907-061802>1907-061802)

 武漢市に設置された中国空母三番艦の陸上模型と見られる施設が大きく改修されている。
 改修されているのはマスト部分で、先の2隻がType 382 (H/LJQ 382) 3Dレーダ2面回転レーダを配した在来型マストであるのが、Type 346A Dragon Eyeとみられる4面固定レーダを配したIntegrated Mastになっている。 (1908-061205>1908-061205)

 人民日報系の環球時報が12月19日に同国の軍事専門誌を引用し、建造中の3隻目の空母が2年以内に進水し、2025年までに就役する見通しだと報じた。
 艦載機を効率的に射出する最新の電磁カタパルトが装備されるという。 (2001-121901>2001-121901)

Type 003

 中国語ポータルサイト捜狐が中国国営原子力企業である中国広核集団 (CGN) が、全長152m、排水量33,000tの原子力砕氷船の入札募集をしていると報じている。 この砕氷船は2基の熱出力200MWの小型加圧水型原子炉を装備し速力11.5ktという。
 これについて香港の軍事アナリストは、原子力砕氷船は原子力空母を開発するためのテストベッドとしての役割をはたすかもしれないと述べている。 (1904-032608>1904-032608)

 香港紙South China Morning Postが11月28日、通常動力となる4隻目の空母は2021年にも着工する見通しと報じた。 (1912-112804>1912-112804)

5隻目の空母

 香港紙South China Morning Postが11月28日、中国初の原子力空母となる5隻目の空母建造が技術的な困難に直面し中断していると報じた。
 通常動力の4隻目は2021年にも着工する見通しだが、追加の空母建造計画はないという。
 同紙によると、中国軍関係者は中国には空母に必要な原子力技術がないと語った。 また艦載機J-15の後継機開発でも、軍関係者によると短期間で解決できそうにない技術的問題があるという。
 国有造船大手の中国船舶工業集団と中国船舶重工集団が26日に合併したが、コスト面と技術面の問題は大きく建造プロセスが早まることはないもようである。 (1912-112804>1912-112804)

艦載機パイロットの養成

 中国海軍が1月13日にウェブ上で、艦載機パイロットの希望者が昨年の二倍に上ったことを明らかにした。 昨年2,600名であった希望者が今年は4,500名に上り、このあと身体的、精神的、政治的な選考をを経て4月までに候補者が絞られて最終選考に望む。
 因みに昨年は2,600名から最終選考に残ったのは800名であった。 (1903-012306>1903-012306)

2番目の空母艦隊

 新浪網が8月3日、1日に宮古海峡を通過して東シナ海に戻った中国海軍の6隻からなる艦隊がについて中国にとって2番目の空母艦隊になる可能性があると紹介した。
 1日に宮古海峡を通過したのは、Type 052D駆逐艦2隻(西寧太原)、Type 054Aフリゲート艦3隻(荊州大慶日照)およびType 901補給艦の呼倫湖の6隻で、補給艦がType 903ではなくType 901だったことが注目されている。
 Type 903Aは多くの場合駆逐艦とフリゲート艦からなる艦隊に配属されるが、Type 901は空母艦隊に配属されるという。 (1909-080401>1909-080401)

5・1・7・3・3 潜水艦

Type 093A(商級)SSN

 中国メディアの新浪網が8月13日、中国のType 093A攻撃型原潜がそれまでの中国の原潜に比べて騒音を大きく低下させたとする記事を掲載した。
 中国の潜水艦は従来、航行時の静粛性について極めて劣るとされてきており、比較的改良されたとされるTypa 091後期型でも騒音は140~150dBで、米国のロサンゼルス級の105~125dBや最新のバージニア級の100dB以下に比べて相当に大きい音を出すとされていた。
 新浪網記事は、海外でもType 093Aの騒音は110dB程度に引き下げられたと見られており、米国とのまだ差はあるもののロサンゼルス級の中期のレベルまで引き下げており、国際的な「静粛型潜水艦」に仲間入りしたと主張している。 (1909-081602>1909-081602)

Type 094(晋級)SSBN

 Airbus社の衛星が2018年11月11日に中国遼寧省葫芦島市を撮影した画像に、同市の渤海造船所で建造しているSSBN 2隻が写っていた。 ウェブサイトPlanet Labsによると、その内の1隻は10月31日に進水した。
 射程7,500kmのJL-2 SLBM 12発を搭載するType 094(晋級)SSBNは、4隻が海南島の三亜市近くの亜龍湾に配置されている。 (1902-120503>1902-120503)

無セイル小型潜水艦

 商用衛星が9月18日に撮影した画像から、中国海軍の無セイル潜水艦が2018年10月に上海に近い江南造船で進水した模様である。
 この潜水艦は衛星画像から、全長45m、胴径4m、排水量500tで、ドイツのHDW社が建造しドイツ海軍が保有していたType 206小型潜水艦と似た大きさであることが分かる。
 中国でこのような小型潜水艦を建造しているのは同社だけではなく、2014年10月には武漢の武昌造船所が全長35m、胴径3.5mの小型潜水艦を建造している。 (1912-101604>912-101604)

5・1・7・3・4 水上戦闘艦

Type 052D 駆逐艦

 大連の造船所で5月10日、Type 052D駆逐艦2隻が進水した。 この2隻は大連で建造された4隻目と5隻目であるが、全体では19番艦と20番艦になる。 (1906-051306>1906-051306)

Type 055D 駆逐艦

 民間衛星が9月18日に撮影した画像から、上海の江南造船でType 055駆逐艦の五番艦が進水し艤装工事中であることが分かった。
 排水量が10,000tで112セルのVLSを装備するType 055の一番艦は、2017年6月に同じ造船所で進水している。 (1912-100204>1912-100204)

Type 054 フリゲート艦

 (特記すべき記事なし)

Type 056 コルベット艦

 (特記すべき記事なし)

5・1・7・3・5 水陸両用戦艦艇

Type 071 ドック型揚陸艦

 中国海軍が1月12日にType 071強襲揚陸艦の6番艦とType 052D駆逐艦の就役式を行った。 就役式の実施場所が湛江市であったことから、両艦は南海艦隊に配属されると見られる。
 Type 071は2016年初期に4番艦が東海艦隊に配属され、2018年9月に就役した5番艦も公式発表はないが東海艦隊に配属されたと見られる。
 七番艦は2018年9月に進水している。 (1903-012309>1903-012309)

 上海の造船所で6月6日にType 071 LPDの8番艦が進水した。 8番艦は2018年12月に7番艦が進水した船台で6ヶ月で建造された。
 今後12ヶ月かけて艤装及び洋上試験が行われ就役する。 (1907-061005>1907-061005)

Type 075 強襲揚陸艦

 上海の造船所でType 071より大型のType 075一番艦の建造も開始されている模様で、2019年内にも進水する模様である。
 Type 075の全長はType 071より長く、全幅32m、排水量35,000~40,000tという。 (1907-061005>1907-061005)

 上海の滬東中華造船 (Hudong-Zhonghua) で6月6日、Type 071 LPDの8番艦が進水した。 同造船所で進水した20,000t級LPDは、2017年6月以来4隻目になる。
 2018年4月に建造が開始された7番艦は、その僅か8ヶ月後の12月28日に進水している。
 Jane'sは既に、LPDが建造されたドックでType 075 LHDの一番艦と思われる大型艦が建造されていると報じている。 (1908-061904>1908-061904)

 民間衛星が8月17日に撮影した画像から、中国が上海の滬東中華造船で2隻目のType 075 LHDの建造を開始した模様であることが明らかになった。 LHDはType 071 LPD 8番艦が6月6日に進水したのち空いていた船台で建造が行われている。
 Type 075は20~30機のヘリ搭載が可能で、一番艦は8月8~17日に進水すると見られている。
 中国海軍の海兵隊は2017年以来2個旅団が6個旅団に増強され、10.000~20,000の兵員も35,000~40,000名になっている。 (1910-090407>1910-090407)

 国営新華社通信が、中国初の強襲揚陸艦が9月25日に上海で進水式を行ったと報じた。
 同艦はType 075とみられる米軍のWasp級に匹敵する満載排水量40,000tの強襲揚陸艦で、ヘリコプター30機の搭載が可能である。 (1910-092502>1910-092502)

 中国海軍が9月25日に上海の滬東中華造船でType 075 LHDの進水式を行った。
 全長235m、幅36mのType 075は全通飛行甲板を持っており、Type 382 3DレーダやHHQ-10 SHORAD発射機2基などを装備している。 (1912-100203>1912-100203)

5・1・7・3・6 支援艦船

Type 901 高速洋上補給艦

 中国政府からの公式発表や国営メディアからの報道はないが、中国海軍Type 901高速洋上補給艦の二番艦が2018年12月下旬に完成し就役した模様である。
 Type 901は全長240m、全幅31mで、満載排水量45,000tという。 (1904-022007>1904-022007)

Type 927 音響測定艦

 中国のソーシャルメディアで、南海艦隊の本拠地である湛江市にType 927音響測定艦が停泊している画像が流れた。
 Type 927は米海軍の音響測定艦と似た双胴型で排水量5,000tで、3隻が建造されていることが分かっている。 (1903-020609>1903-020609)

5・1・7・3・7 U S V

L30 3.75t USV

 主としてUSVの開発と製造を行っている永州情報技術社 (Yougzou Tech) が殊海航空展にL30 USVを出展した。
 L-30は全長7.5m、全幅2.7m、高さ4.2m、排水量3.75tで、マスト上にEO/IRセンサ、12.7mmMG 1丁と4セルのミサイル発射機を装備し、速力45kt、22ktでの航続距離310nmの性能を持つ。 (1902-120012>1902-120012)

ZB Intelligence社の USV

 青島のZB Intelligence社が各種USVの開発を行っている。 (1902-010009>1902-010009)

Snakehead

 全長9m、4.2tの多用途USVで1.5tの搭載能力があり、速力40ktの性能がありSea State 4でも航行できる有人も可能なUSV。

Hunting Shark

 有人も可能な全長31.5m、100tのUSVで、USVやUUVの群集団の指揮統制を行う。 速力42kt、航続距離2,000kmで25tの搭載能力がある。

JARI

 中国国営造船企業のCSIC社が8月21日、多目的双胴USVのJARIをネット上で公表した。
 JARIは全長15m、幅4.8m、喫水1.8m、排水量20tで、速力42kt、航続距離500nmの性能を持つ。
 推進はウォータージェットで、武装としては30mm砲1門、レーザ誘導ロケット弾発射機、小型SAM発射用4セルVLSと324mm魚雷発射管を装備する。
 また公開された画像からマスト搭載EO/IRターレット、航法レーダ、可動式サーチライトなどが見て取れる。 (1910-090414>1910-090414)

5・1・7・3・8 U U V

Marine Hound

 青島のZB Intelligence社が開発している全長19.8mのUUVで、水中速力10kt、潜水深度300m、航続距離162nm以上の性能を持ち、7.5tの搭載能力がある。 (1902-010009>1902-010009)

5・1・7・3・9 その他艦載装備等

舶用蒸気タービン発電機

 Global Timesが2018年2月25日、国営CSIC社が欧米に匹敵する出力の舶用蒸気タービン発電機の技術を実証したと報じた。
 このシステムは従来の4倍にあたる30MWのコンパクトシステムで、英海軍のQeen Elizabethに2基搭載されている36MWには及ばないもののType 45駆逐艦の主エンジンに匹敵する出力という。 (1902-010905>1902-010905)

5・1・7・4 航空機

5・1・7・4・1 戦闘機

世界第2位の戦闘機数

 新浪軍事が4月15日、中国空軍の第四世代戦闘機の数がすでに1,200機を超えて米空軍に次ぐ世界第2位になったとした上で、第五世代戦闘機が間もなく量産体制に入るとする記事を掲載した。
 中国空軍は2016年より第五世代戦闘機J-20の少量生産を開始し2018年までに28機程度を就役させているが2019年より量産に移行すると見られ、2020年以降にJ-16、J-10などの生産数が減少するのに伴い、J-20が年産30~50機の本格量産に入る可能性があるとしている。 (1905-041701>1905-041701)

Su-57 を導入か

 中国メディア新浪網が3月31日、ロシアのSu-57に輸出の許可がおりているとして、Su-57とJ-20を比較する記事を掲載した。
 記事はSu-57の問題点としてステルス性が低いと指摘し、F-22のRCSが0.001~0.01㎡程度と推定されているのに対し、Su-57のRCSは0.5㎡とされる。
 記事は一方で、Su-57が搭載している推力偏向エンジンを高く評価し、Su-57の機動性はJ-20に勝り特に低速飛行時と超音速飛行時にはとりわけ優秀と評している。 (1905-040102>1905-040102)

Su-35 の導入

 ロシア政府当局者が3月16日に、中国から受注したSu-35 24機を完納したことを明らかにした。
 ロシアのRostec社は2015年11月に中国とSu-35 24機を$2.5Bで輸出する契約を行い、2016年に4機、2017年に10機が納入されていた。 (1905-041707>1905-041707)

 ロシアが3月16日、中国へのSu-35 24機の納入を完了したと発表した。 中国へのSu-35 24機の輸出は2015年11月に$2.5Bで契約され、2016年に4機、2017年に10機が納入されていた。
 中国はSu-35を広東省湛江市のSuixi航空基地所属第6航空旅団に配備する。 (1906-042403>1906-042403)

第六世代戦闘機

 人民日報系の環球時報が、J-20の開発に関わった航空技術専門家が兵器専門誌で明らかにした見解を基に中国が2035年までに第六世代戦闘機を導入するという見方を報じた。
 この専門家はは、第六世代機にレーザや極超音速兵器などが採用される可能性もあるとしている。 (1903-021203>1903-021203)

空母艦載機の候補

 新浪軍事が7月22日、中国の二大手航空機メーカーが空母艦載機の候補となるステルス戦闘機の開発に力を注いでいると報じた。
 記事は、中国国内のメディアが流した情報として、成都航空航天公司が現在J-20の艦載型の開発に取り組んでおり、新型空母の電磁カタパルトに対応できるよう改良が進められていると紹介するとともに、同社のライバルである瀋陽飛機廠もFC-31の艦載型への改良が行われていると報じた。
 中国軍関係者によると、2社は現在激しい開発競争を繰り広げており、機体の長さの縮小、空母のカタパルトシステムとの組み合わせが最大の課題になっているという。 (1908-072401>1908-072401)

J-20 の部隊配備

 中国国営メディアが報じたJ-20のシリアル番号から、同機は蕪湖市を基地とする東武戦域軍第9航空旅団所属の実戦機であることが分かった。
 上海から長江を280km遡った蕪湖航空基地には第7及び第9飛行旅団が所在し、第9旅団は2001年からSu-30MKKを装備していた。 (1909-080711>1909-080711)

新型エンジン J-20

 新浪網が6月14日に、J-20戦闘機が新たな国産エンジンを搭載するようになったと紹介する記事を発表した。
 中国ではJ-20に搭載するためWS-15エンジンの開発が進められたがWS-15の開発は大幅に遅れた。 このため代替エンジンとしてWS-10やその改良型、ロシアのAL-31F系列のエンジンなどが検討されたが、結局はWS-10Bの改良型が選ばれたという。
 WS-10Bの改良型エンジンはWS-10Cとも呼ばれており、それまでのWS-10シリーズよりも推力が14.5t増加し、寿命も2倍の2,400時間に達したという。 (1910-091503>1910-091503)

 10月下旬に中国のウェブサイトで公表された黄色のプライマーで塗装されたJ-20の地上及び飛行中のJ-20の画像で、エンジンが新型になっていることが分かった。
 搭載されたWS10A Taihangエンジンは鋸歯状の噴気ノズルを持ち、ステルス性が追求されていることが分かる。 (1912-110106>1912-110106)

 最近公開された一連の画像から中国の戦闘機は既にロシア製のエンジンに頼っていないことが分かる。
 J-20は推力偏向方式 (TVC) ではないWS-10Cを搭載しており、Salyut AL-31を搭載していたJ-10C、J-20などでは国産のWS-10シリーズを搭載している。
 J-20がTVCでないエンジンを搭載していることは以外であるが、AWACSの迎撃が任務のJ-20にはTVCは不要とも見られる。 (2001-123004>2001-123004)

復座型 J-20
 中国国営Global Times紙が1月16日、復座型J-20が開発されていると報じた。 復座型J-20は戦術爆撃機、電子戦機、対空母攻撃機としての要求を満たすとしている。
 J-20の復座型はCCTVもCGIを報じており珍しくはないが、米国防情報庁 (DIA) が最近発簡した報告書China Military Powerでは中国が長距離/中距離ステルス爆撃機を開発中としており、長距離ステルス爆撃機はH-20であるとして、中距離ステルス爆撃機は新たな開発計画が見当たらないことから、復座型J-20がこれにあたる可能性がある。 (1903-012305>1903-012305)

J-31 / FC-31

 瀋陽航空機設計研究所が2018年12月27日、SAC社製FC-31を艦載機にするためのRfPを各社に出した。
 RfPが出されたのは長距離地上/海上目標のレーザ測距とレーザ誘導を行う搭載EOシステムやニューラルネットワークに適合した目標識別装置などである。 (1902-010908>1902-010908)

 中国メディアの新浪網が3月6日、瀋陽飛機工業集団 (SAIC) が開発したFC-31に中国軍は購入の意向を示さず、輸出の目処も立っていないと報じた。 開発費用を回収するには少なく見積もっても100機以上を売却する必要があるという。
 FC-31の開発は、軍の意向ではなくSAICが独自の企業判断で行ったとされ、中国航空工業集団 (AVIC)の子会社であるSAICは、仮にJ-31の開発で経営状態に問題が生じても、国がなんらかの救済策を講じるとは考えられるものの、中国の今後の航空機開発に影響を及ぼす可能性はある。
 新浪網は、FC-31の販売先としてまず考えられるのは中国空軍または海軍だが、軍はすでにJ-20の配備を始めており、2機種目のステルス戦闘機を導入することはないという。 (1904-031102>1904-031102)
【註】「瀋陽航空機設計研究所が2018年12月27日、FC-31を艦載機にするためのRfPを各社に出した。」と報じられているが、これは軍の方針ではなくSAIC社の自社方針なのか。

 中国メディアの新浪網が7月17日、瀋陽飛機航空集団が開発中のFC-31 (J-31) について、戦闘行動半径がこれまで紹介されてきた1,200kmではなく、500kmと考えるのが正しそうだと論じる記事を発表した。
 記事によると、最近になりFC-31のMTOWは2t、航続距離は1,200km、最高速度はMach 1.8、搭載能力は8t、設計上の寿命は30年との報道があったというが航続距離が1,200kmの場合、戦闘行動半径は500km程度になる。
 FC-31について2016年の珠海航空展では、全長17.3m、高さ4.8m、幅11.5m、実用上昇限度16,000m、最大速度1,400km/h、MTOW 28t、戦闘行動半径1,250kmと紹介する展示があったという。 (1908-071805>1908-071805)

J-16

 米National Interest誌が1月31日に、同誌編集長による「中国のJ-16はステルス戦闘機ではない」と題した記事を掲載した。
 記事ではJ-16を、J-11、J-10とJ-20、J-31の間に位置する中間機種であるとし、現状では非常にコストが高い新型戦闘機は量産できないため、暫定的にJ-16を大量に装備するとした専門家の意見を伝えている。
 その上で中国空軍は2019年初めの時点で約50機のJ-16を所有していて、今後さらに同機を大量生産するとみている。
 J-16についてはRCSの低減を実現しているとする一方で、ステルス戦闘機ではなくステルス機に近いという表現は不正確だとしている。 (1903-021601>1903-021601)

 中国の新浪網が4月13、中国軍がJ-16戦闘機の大量配備を進めているとする記事を発表した。 J-16はSu-27とは異なり対地攻撃などもこなす多用途戦闘機でJ-20を補完する運用が考えられるという。 J-16搭乗員の育成にも力が入れられている。
 中国はSu-27を改良したJ-11シリーズを開発し、さらにSu-30を元にしたJ-16を完成した。
 J-16を開発したのは瀋陽飛機集団 (SAIC) で、記事によると中国の主力戦闘機J-11が制空戦闘機であるのに対し、J-16はAESAレーダを搭載し、搭載可能な兵器の種類も増え、前輪の強度を高め対地攻撃や対艦攻撃も主要な任務とする。
 ステルス性はないがJ-20と同時に使用することで、J-20が敵の防衛網を破壊し、その直後にJ-16で攻撃を行うとの見方を紹介している。 (1905-041501>1905-041501)

J-15

 中国CCTVが11月上旬に報じた荒地村航空基地の映像に映っていたに少なくとも2機の海軍航空隊所属J-15が、KD-88 ASMとYJ-91 ARMまたはYJ-91A対艦ミサイルとみられるミサイルを搭載している画像があった。
 J-15の最大積載量は6.5tと推定されている。 (2001-112003>2001-112003)

J-11

 西安にある中国の飛行試験センタ (CFTE) の文書など中国からの情報から、J-20の生産が開始されてもJ-11Dの生産も継続しており、むしろ拡大しているという。 (1905-042504>1905-042504)

 中国筋からの情報によると、中国の二大戦闘機J-11DとJ-20がそれぞれ用途が違うものの予算の取り合いをしているという。 (1906-050104>1906-050104)

 中国空軍でAESAレーダを搭載したJ-11Bのレドームが、従来の黒ではなく明灰色になってることが、11月上旬にCCTVや軍のウェブサイトに掲載された画像から明らかになった。 (2001-111603>2001-111603)

戦闘機用エンジン

 中国国営Global Timesが4月17日、中国ガスタービン研究所 (GTRI) が18ヶ月かけて戦闘機用の新型エンジンを設計試作し試験を行っていると報じた。
 ただこのエンジンの名称も詳細も明らかにされていない。 (1906-050103>1906-050103)

5・1・7・4・2 爆撃機

H-6N

 中国が10月1日開かれた70周年記念行事でH-6の最新型H-6Nを初公開した。 この機体はシリアル番号から中央戦区所属とみられ、H-6N部隊が既に実働していることが明らかになった。
 H-6Nがその前のH-6Kと異なり、ロシアが装備しているTu-95MSと同じ空中給油プローブを装備している。
 最近の写真でH-6NはKD-20/CJ-10K 2発とKD-63 LACM 2発を搭載していた。 (1911-091809>1911-091809)

 中国が10月1日に実施した建国70年記念パレードで披露したH-6Nの胴体下部にはALBM吊り下げ用とみられる改造がなされていた。
 また登場したH-6Nはそのシリアル番号から台湾や日本と対峙する東部戦区の第10爆撃師団(第10爆撃連隊)の所属と見られる。 (1912-101607>1912-101607)

H-20

 米DIAは1月15日に発簡した「中国の軍事力」報告で、開発している長距離爆撃機H-20についてF-111級の戦闘爆撃機とも呼ばれる中距離戦術爆撃機と見なしている。
 戦闘爆撃機とは第二次大戦中の用語で、全ての爆撃機が爆装をできる今日では死語となっているものの中国だけは使用している。 JH-7が使用しているJHの機種はJが戦闘機を、Hが爆撃機を意味し、JHとは戦闘爆撃機を示している。
 DIAによるとH-20はAESAレーダを装備し、長距離AAMや精密打撃兵器を発射できるという。
 香港のSouth China Morning PostによるとJ-20は出力40,000-lbのWS-15エンジンを搭載していると言うが、H-20はJ-10に搭載する出力30,000-lbのWS-10エンジンを2基搭載するようである。 (1903-012801>1903-012801)

 中国の新型爆撃機H-20について米DIAは中国の軍事力に関する報告で、IOCは早くて2025年と見ている。
 またH-20は中距離爆撃機で、戦術爆撃機或いは戦闘爆撃機とも見ることができ、レーダや長距離AAMを搭載すると見ている。 既に発表されている全長19ftの長距離AAMはJ-20の機内弾庫には搭載できない。 (1903-020205>1903-020205)

5・1・7・4・3 ヘリコプタ

40t級重ヘリコプタ AHL

 中国国営Global Timesが3月10日、ロシアと共同開発している40t級重ヘリコプタAHLは2032年から出荷可能と報じた。
 記事はAVIC社ヘリ部門の主席設計者の言葉を引用したもので、同氏は中国ではトランスミッションの製造経験が無いことから56t級のMi-26を製造しているロシアの協力が必要と述べた。
 エンジンについてはかつてウクライナ製のAl-136Tと報じられたことがある。 (1904-031212>1904-031212)

 中国国営Global Timesが3月10日、ロシアと共同で進めている40t級ヘリの最初の引き渡しは2032年になると報じた。
 AVIC社のヘリ設計主任は取材に対し、中国には重ヘリ用トランスミッションの経験が無いため56tのMi-26を生産しているロシアの技術を導入する必要があると述べた。
 中国は2017年9月に天津で開かれた中国ヘリ展で重ヘリ計画AHLを公開してから4年間検討を続けてきた。 (1905-032015>1905-032015)

Z-20 10t級中型ヘリ

 中国のZ-20戦術ヘリの詳細な画像が中国のウェブサイトに掲載された。 写真の機体には速度/方位測定機器が取り付けられていることから、試験機とみられる。
 Z-20は陸軍が装備しているもので、海軍型はZ-20Fと呼ばれている。
 10月10~13日に天津で開かれた中国ヘリコプタ展では1,600kWのターボシャフトエンジンが展示されていたが、これが双発のZ-20用とみられる。
 このエンジンの名称は公開されていなかったがWZ-10とみられている。 (1912-102316>1912-102316)

 中国地上軍に量産型Z-20 10t級中型ヘリが配備されたもようである。 今までZ-20の写真にはシリアル番号がついていなかったが最近の写真にはついている。
 中国は1986年に米国からSikorsky S-70C/Black Hawkを24機購入しており、Z-20の構成品にはS-70を元にしたものが使われているが、回転翼のブレードはS-70が4枚であるのに対し5枚で、2基搭載しているWZ-10ターボシャフトエンジンは出力1,600kWと、GE T700-701Aより200kW強力になっている。 (1907-052204>1907-052204)

 中国国営Global Timesが陸軍が装備しているZ-20ヘリの詳細を報じた。 Z-20は10月1日のパレードで初公開されたのち、2度目の公開になる。
 Global TimesによるとZ-20に2基搭載された出力1,600kWのWZ-10エンジンは高高度での使用が可能で、低雑音ロータを駆動しているという。 (1911-101404>1911-101404)

 天津で10月10~13日に行われた中国ヘリ展にZ-20の海軍仕様機が展示された。
 AVIC社は間もなく、Z-20多用途ヘリの各種適用性の試験を開始する。 (1912-102805>1912-102805)

5・1・7・4・4 AEW&C 機

 (特記すべき記事なし)
5・1・7・4・5 その他の航空機

KQ-200 対潜機

 統合幕僚監部が3月23日、先週緊急発進した航空自衛隊機が東シナ海上空で中国のY-9を捕捉したと発表した。 統幕はこのY-9を対潜型のKQ-200と見ている。
 KQ-200が初めて確認されたのは2018年4月で、衛星画像が上海近くの航空基地に駐機するMADを備えたY-9 2機を捕らえていた。 今回の捕捉がKQ-200初の確認になる。 (1904-032611>1904-032611)
【註】Y-9は、中国がライセンス生産するつもりで1960年代にソ連から輸入したAn-12BをコピーしたY-8のファミリーであるY-8F-600の改良型で、Y-8とY-9には外見上大きな差は無い。

Y-20U 空中給油機

 中国のウェブサイトに載った画像から、Y-20A輸送機の空中給油機型が確認された。 同機は翼下に空中給油用ポッドを搭載していた。
 Y-20Uと呼ばれるY-20の空中給油型は2018年11月1日に民間衛星の画像で確認されているが、今年7月の画像では2機が確認され、少なくともあと1機はあるとみられる。
 中国空軍はH-6U空中給油機を20機程度とIl-78M 3機を保有しているほか、海軍航空隊がH-6D給油機を数機保有している。 艦載戦闘機J-15の画像には空中給油用のポッドがみられていた。 (1912-110609>1912-110609)

5・1・7・5 U A V

5・1・7・5・1 HALL UAV

Venus

 AVIC社が10月26日、翼端長20mの太陽電池動力長期滞空型UAV Venusを発表した。
 Venusの巡航高度は20,000m (65,616ft) 以上という。 翼幅は1.1mで翼の重量は18.9kgである。
 2016年の航空展で公表された同社の最終目標は、翼端長50m、全長21mで100~125km/hで巡航し30日間滞空する。 (1902-120016>1902-120016)

5・1・7・5・2 HALE/MALE UAV

殊海航空展で公開された UAV

 CASIC社がWJ-700と共にRQ-170 Sentinelとよく似たMTOW 3,000kgの技術検証機である完全自動化UAV Sky Eagleを公表した。 (1902-120011>1902-120011)

 CH-7はMTOW 13,000kg、最高速度926km/h、740km/hで飛行する巡航高度32,808~42,350ft、滞空能力10時間以上という。 (1902-120010>1902-120010)

FL-1 MALE UAV

 中国ZT Guide社製FL-1 MALE UAVが1月20日に初飛行した。
 2018年の殊海航空展で初公開されたFL-1は全長10m、翼端長20m、MTOW 3,200kg、燃料を含む搭載能力1,400kgで、両翼下に250kgを下げられるパイロンを2箇所持つ。
 上昇限度は26,246ftで、高度16,404~19,685ftを巡航速度240km/hで飛行する。 (1902-012204>1902-012204)

 中国ZT Guide社製FL-1 MALE UAVが1月20日に初飛行した。
 2018年の殊海航空展で初公開されたFL-1は全長10m、翼端長20m、MTOW 3,200kg、燃料を含む搭載能力1,400kgで、両翼下に250kgを下げられるパイロンを2箇所持つ。 上昇限度は26,246ftで、高度16,404~19,685ftを巡航速度240km/hで飛行する。
 FL-1はMTOW 3,300kgのCH-5 MALE UAVと非常によく似た外観の中翼形状で、翼端長は20mである。 (1905-030007>1905-030007)

CH-4C 重質油エンジン UAV

 中国CASC社が2018年12月21日、CH-4武装偵察MALE UAVに国内開発の重質油エンジン (HFE) を搭載したCH-4Cを開発していることを明らかにした。
 元となったCH-4はグラスファイバ製の機体に100馬力のピストンエンジンを搭載し、全長8.5m、翼端長18m、MTOW 1,330kgで345kgを搭載でき、巡航速度180km/h、最高速度230km/h、滞空能力30時間、実用上昇限度23,600ft、運用高度9,800~19,600ftの性能を持つが、134~150馬力のHFEを搭載するCH-4Cは搭載能力400kg、滞空能力50時間、上昇限度29,527ftの性能を持つ。 (1903-020009>1903-020009)

Wing Loong ⅠD 全複合材料製 UAV

 中国AVIC社が2018年12月、中国で初めて全複合材料製機体のWing Loong ⅠDが30分間にわたり初飛行したことを明らかにした。 Wing Loong ⅠDはWing Loong Ⅰが全長9m、翼端長14m、MTOW 1,200kg、搭載能力200kgであるのに対し、全長8.7m、翼端長17.6m、自重330kg、搭載能力400kgである。
 AVIC社はWing Loong Ⅰより大型で、全長11m、翼端長20.5m、搭載能力400kg、実用上昇限度24,600ft、滞空能力35時間のWing Loong Ⅱも開発している。 (1903-020010>1903-020010)

高速ステルス標的機/UAV LJ-1

 中国の北西工芸工科大学がMAKS航空展に、第五世代標的機として開発したジェット推進の高速ステルスUAV LJ-1を出品した。
 開発は中国のCCKW社と共同で行ったという。 (1910-090206>1910-090206)

5・1・7・5・3 UCAV

WZ-8

 中国が10月1日の建国70周年記念パレードで展示したWZ-8には吸気口が見当たらないことから、吸気式のエンジンではない可能性がある。 (1912-100901>1912-100901)

 中国が10月1日に実施した建国70年記念パレードで披露したWZ-8高高度高速UAVは、空軍第30航空連隊所属とみられる。
 機体には吸気口がなく2基あるエンジンはジェットエンジンではないと見られる。
 更に機体上部に固定用装置が見られることからH-6などにつり下げられて離陸し切り離されて飛行すると思われる。 (1912-101607>1912-101607)

GJ-11

 中国が10月1日の建国70周年記念パレードで展示したUCAVは、かねてから衛星画像で確認されていたもので名称がGJ-11と分かった。 (1912-100901>1912-100901)

5・1・7・5・4 TUAV / mini UAV

 (特記すべき記事なし)
5・1・7・5・5 micro / nano UAV

 (特記すべき記事なし)
5・1・7・5・6 輸送用 UAV

AT200 輸送用 UAV

 成都のStar UAV社が、AT200輸送用UAVの試験を2018年に終え、量産と納入を開始する。 同社は広東省を拠点に国内外の輸送を行っている中国で二番目に大きな輸送会社SF Express社に3機を納入するほか、明らかにたれていない発注先に2022年までに50機を納入するという。
 AT200は2018年10月26日に陝西省で行った試験で、秦嶺山脈を高度5,100mで超える飛行に成功している。 (1902-013006>1902-013006)

 成都のStar UAV社が、AT200輸送用UAVの試験を2018年に終え、量産と納入を開始する。
 同社は広東省を拠点に国内外の輸送を行っている中国で二番目に大きな輸送会社SF Express社に3機を納入するほか、明らかにたれていない発注先に2022年までに50機を納入すると共に、2022年までに50機を納入する契約を受注しているという。
 AT200は2018年10月26日に陝西省で行った試験で、秦嶺山脈を高度5,100mで超える飛行に成功している。
 AT200はPacific Aerospace社製P-750 XSTOL軽ターボプロップ機をUAVにしたものでMTOW 3,400kg、搭載能力1,500kg、上昇限度20,000ftで、8時間又は2,000kmの飛行が可能である。 (1905-030006>1905-030006)

5・1・7・5・7 特殊用途 UAV

 (特記すべき記事なし)
5・1・7・5・8 UAV の群制御

 (特記すべき記事なし)
5・1・7・6 戦術ミサイル

5・1・7・6・1 SRBM / MRBM

 (特記すべき記事なし)
5・1・7・6・2 ASBM

M20A

 中国ALIT社がIDEX展で、当初同社のプロモーションビデオでM20 TBMの対艦型と称するEOシーカ付きのM20Aを紹介したが、その部分は翌日にはその部分は削除されていた。
 元々のM20 TBMは弾頭重量480kg、射程280kmで、同社によると既に多くの友好国で生産されているという。 (1904-022703>1904-022703)

 中国天安門広場で10月1日に国慶節パレードに、東シナ海や南シナ海でのA2/AD確保のためのASBMであるDF-21DやDF-26も登場した。 (1912-101611>1912-101611)

5・1・7・6・3 ALBM

 中国の隔月紙Modern Shipsが11月1日号で、H-6NがALBMを胴体下に吊り下げた高精細のCG画像と共に、開発が最終段階にあるか、既に部隊配備を行っているとする記事を掲載した。 (1912-110606>1912-110606)
5・1・7・6・4 ASCM

対地/対艦用CM HD-1
 広州市の鉱業及び産業用爆破の専門企業である轟達社が、輸出用の地上発射型対地/対艦用CM HD-1を開発した。
 発射重量2,200kgのHD-1は固体燃料ラムジェット推進の超音速CMで、2,716~4,321km/h(註:Mach 2~4)で高度49,212ftを290km巡航する。 また高度16~32ftでのシースキミング飛行も可能である。
 ペイロードは400kgの徹甲弾頭又は240kgの破片効果弾頭で、精度はファイバジャイロを用いたINSとGPSでCEP≦20m、終末誘導にIRシーカを併用するとCEP≦10mという。 (1902-010002>1902-010002)

YJ-12

 中国海軍が23日に設立70周年を記念する観艦式を行うが、新浪網が2月19日に観艦式の予行でH-6MがYJ-12 ASCMを搭載している様子が初めて確認されたとする記事を掲載した。
 YJ-12はラムジェット推進の超音速ASCMで、射程は400kmと見られている。 H-6に搭載可能とされながらも確認されたのは初めてである。  記事ではYJ-12の搭載が確認されたことで、H-6Mはアビオニクスが進化していると考えられ、戦術データリンクも向上されている可能性があるとの考えを示した。 (1905-041101>1905-041101)

YJ-18

 中国天安門広場で10月1日に国慶節パレードに、Type 052DやType 055駆逐艦に装備するASCMではロシアの3M-54 Klubと似た射程500kmのYJ-18や300kmのYJ-12Bも登場している。 1912-101611>1912-101611)

5・1・7・6・5 S A M

S-400

 S-400が発射するの40N6弾を中国に向けて輸送していた船が嵐に遭い、ミサイルがすべて廃棄されたことが分かった。 40N6の中国への搬送は初めてだったとみられ、現在、新たに中国向けの40N6が製造されているという。
 最大射程400kmとされる40N6弾は中国本土から尖閣諸島や台湾の空域が射程に入るため、日本にとって大きな脅威になり得る。 (1903-021903>1903-021903)

 最近撮影された衛星画像から、中国軍が北京近郊で今までS-300PMU-1を配備していた2ヵ所にS-400E Triumf (SA-21) を配備していることが分かった。
 S-400Eを装備するのは中国空軍第5 SAM師団第13連隊の第3大隊と第81大隊という。 (1907-052903>1907-052903)

HQ-22

 2016~2018年の衛星画像からHQ-22 MSAM 13個中隊がHQ-2に代わって配備されていることが判明している。
 最初の中隊は2016年9月に北京南西に駐屯する第96大隊に、2番目は同年12月にウルムチ南西に配備され、2017年に3個中隊、2018年に8個中隊が配備している。
 輸出名FK-3のHQ-22は射程100km、射高50~27,000mで、射程50kmのHQ-12と125~200kmのHQ-9の中間に位置づけられている。 (1902-120509>1902-120509)

5・1・7・6・6 S S M

CM-501GA PAM弾/CM-501XA LAM弾

 中国Poly Defence社がアブダビで開かれたIDEX 2019展で、CM-501GA PAM弾とCM-501XA LAM弾を発射する陸上発射型ミサイルシステムを発表した。
 システムは12セル(記事の画像では16セル)の発射機を汎用トラックに搭載している。 (1904-030606>1904-030606)

CM-501GA PAM

 全長2m、胴径180mm、発射重量100kg以上、HE弾頭重量20kgでTV/IIRシーカを持ち、INS/GNSS誘導で40km飛翔する。
 精度はCEP≦1mである。

CM-501XA LAM

 30分以上、70kmまで飛翔し、8.5kgの弾頭を搭載して固定/移動目標を攻撃できる。

【註】汎用トラックの荷台に搭載したことや16セルでできていることなど、米陸軍が2010年に計画を中止したNet Firesそのものである。 またPAM弾とLAMを発射するという発想も全く同じである。

 中国軍が、CM-501GA PAM弾とCM-501XA LAM弾を発射する陸上発射型ミサイルシステムをかる模様である。 システムは12セル(記事の画像では16セル)の発射機をCSK181シリーズの6×6オフロードトラックに搭載している。 (1905-031309>1905-031309)

CM-501GA PAM

 全長2m、胴径180mm、発射重量100kg以上、HE弾頭重量20kgでTV/IIRシーカを持ち、INS/GNSS誘導で40km飛翔する。 精度はCEP≦1mである。

CM-501XA LAM

 全長2m、ターボジェット推進で30分以上、70kmまで飛翔し、重量は100kg以上で8.5kgの弾頭を搭載して固定/移動目標を攻撃できる。

5・1・7・6・7 ASM / 誘導爆弾

 (特記すべき記事なし)
5・1・7・7 陸上兵器

5・1・7・7・1 A P S

Velociraptor

 南京の民間企業Herakles社が2018年殊海航空展にVelociraptor APSを出品した。 Velociraptorは開発の最終段階で2019年には野外試験が計画されている。
 VelociraptorはAPC、IFV、MBTなどへの装備を目指している旋回砲塔式システムで四面のKu-band AESAレーダと76mm破片効果迎撃弾4発が装填された発射機でできている。
 装置は120~400m/sで飛来するATBMやRPGを、空中発射の場合400m、地上発射の場合50mで捕捉し迎撃弾を発射する。
 迎撃弾は15m遠方で破裂し、破片効果は0.5mに及ぶという。 (1902-010001>1902-010001)

VT4 軽戦車に APS

 中国Global Tomesが8月4日にCCTVの報道を引用して、NORINCO社がVT4軽戦車にAPSを装備すると報じた。 (1909-080608>1909-080608)

5・1・7・7・2 U G V

NORINCO社の UGV

 NORINCO社が2018年殊海航空展に新型UGVを展示した。 (1902-010007>1902-010007)

King Leopard(右図): 6tの装軌威力偵察用UGVで23mm機銃を装備

Cavalry: 1.2tの多用途UGVで7.62mm機銃又は80mm無誘導対装甲弾発射機を装備

Watchkeeper: 1.5tの6x6装輪車

War Wolf: 800kgの装輪UGV

Sharp Crow Ⅱ: 1tの6x6装輪車


Marine Lizard 水陸両用 USV/UGV

 USVの航法や制御装置の開発を専門にしている青島のZB Intelligence社が殊海航空展に、Marine Lizard水陸両用戦闘車を出展した。
 Marine Lizardは全長13.5mで、陸上では車体底部の4箇所につり付けられた電動の履帯で20km/hで走行し、水上では車体後部に取り付けた2基のウォータージェットにより50ktで航行する。 水上での航続距離は648nmと言う。
 同社によるとMarine Lizardへの搭載武器等は未だ決まっていないが、EO/IRやレーダなどのセンサと共に、機関銃、対装甲ミサイル、VSHORADミサイルの搭載が可能という。 (1902-010009>1902-010009)

 中国紙の科技日報が4月29日、中国企業が世界で初めて開発した水陸両用軍用USV/UGVのMarine Lizard(ウミイグアナ)が軍に納入されたと報じた。 複数の兵器を搭載し、揚陸作戦や沿岸警備、島嶼の飛行場防衛などに利用するという。 就役時期や部隊は不明だが、中国が軍事拠点化を進める南シナ海に配備されるとみられる。
 Marine Lizardはアルミ合金製の船体で、長さ12m、幅4.14mで機関銃2丁や垂直発射装置を装備し、対艦、対空攻撃を行える。
 水上速力は50ktで、衛星を使って遠隔操作するが自律的に障害物を避けて移動することもでき、無人島に6~8ヶ月潜伏した後、作戦を開始することも可能という。 (1905-042904>1905-042904)

 中国国営CSIC社が4月8日にWeiboで、子会社の武漢造船が水陸両用のMarine Lizard USV/UGVの受領試験に合格したと発表した。 2018年11月の殊海航空展で初公開されたMarine Lizardは2019年末までに開発を完了するという。
 アルミ合金製の船体は全長12~13.5m、全幅4.14m、重量14.7t、喫水0.55mでディーゼルと電気のハイブリッドでウォータージェットで推進する。 また水上と陸上走行用に取り外し可能な履帯も装備している。
 全自動走行用に設計されているが、50km以内であればLOS通信、それより遠方であれば衛星通信を使って遠隔操作もできる。 (1906-042401>1906-042401)

 中国CSICが4月、子会社である武漢造船がMarine Lizard水陸両用USVの1号機を納入したと発表した。 Marine Lizardの開発は2019年中に完了すると言う。
 Marine Lizardは全長12~13.5m、全幅4.14m、喫水0.55m、排水量14.7tの三胴船で5tの搭載能力を持つ。 ディーゼルエンジン2基と電動によるハイブリッドを動力に、陸上では4基のキャタピラ、水上では2基のウォータージェットで推進し、陸上で20km/h、水上で50ktの性能を持つ。
 LOSデータリンクにより50kmの範囲で遠隔制御される。 (1908-060014>1908-060014)

5・1・7・7・3 対空レーザ兵器

Poly Defence Silent Hunter(下図左)

 アブダビで開かれたIDEX展に中国が、NORINCO社製Red Arrow (HJ-10A) 対戦車ミサイルとPoly Defence社製Silent Hunter車載レーザ兵器を出品した。
 Silent Hunterの出力は30kWで、小型UAVを目標とした場合の有効射程は30kWで4km、10kWで200mあるという。 (1903-021704>1903-021704)

艦載レーザ兵器の試験(上図右)

 中国海軍がレーザ兵器試作機の試験を行っている模様で、その様子が中国のネット上に中国中央電視台 (CCTV) の番組から切り取られた画像で流れている。
 レーザ兵器の画像では大径レンズのほかに小型の装置も写っていてこれらは追随装置と見られる。 画像の中には近くに発電機搭載用トレーラと見られる車両と海軍の軍服姿の人間が写っている物もある。
 このレーザ兵器はトレーラ搭載型が沿岸警備用で、艦載用は射程が5km程度でHHQ-10 SHORAD SAMの代替として搭載されると見られる。 (1905-041005>1905-041005)

海軍のレーザ兵器

 中国の新浪新闻 (Sina news) のウェブサイトが4月5日にCCTVを引用して、中国海軍がレーザ兵器の試作品を試験していると報じた。 その詳細は明らかにされていないが、同紙によると車載型は沿岸防衛中隊に装備し、艦載型はHHQ-10 SHORAD SAMの代わりに装備され、5kmの射程を持つという。
 中国は各種車載レーザ兵器を装備していて、2017年末にはUAVを300mで撃墜している。 また同年にアブダビで開かれたIDEX展でSilent Hunterファイバーレーザー兵器を発表し、2018年の中国航空展ではLW-30路上走行型レーザ兵器を公表している。 (1906-041702>1906-041702)

5・1・7・8 電子兵器

5・1・7・8・1 レーダ等

JY-27A VHF レーダ

 中国がJY-27Aメートル波レーダを新たに2基新設し、合わせて少なくとも10基のJY-27Aが配備された。
 JY-27Aは対ステルス性を狙ってCETC社が開発生産したレーダである。 (1906-052807>1906-052807)
【註】メートル波とは波長が1m~10m、周波数が30~300MHzのマイクロ波で超短波 (VHF) と呼ばれる。
 ステルス機は主として射撃統制 (FCS) 用レーダの10,000MHz (10GHz) を対象にステルス性能を確保しているため、VHF波に対してはその性能を発揮できない。
 また一般的に、波長の長いRF波に対しステルス性能を確保するのは難しい。

 中国が国営CETC社が開発したJY-27A対ステルス (CVLO) レーダの空軍への配備を加速させている。
 DigitalGlobe衛星2018年中頃から2019年初めにかけて撮影した画像でHekouとYanbianで確認された2基を加えて既に10基が配備されていると見られる。
 JY-27AはVHF (30~300MHz) のディジタルAESAレーダで、アンテナアレイは高さ10m、幅12.5mに及ぶ。 F-22やF-35のステルス性は周波数が500MHz以下になると極端に低下する。 (1907-060510>1907-060510)

5・1・7・8・2 電子戦装備

Y-8G/GX-4

 中国国営CCTVが3月上旬にECM型のY-9の画像を放映した。
 Y-9 ECMは胴体両側の主翼前後に膨らみが付けられている。
 政府からの公式な発表はないが、恐らくこの機体はY-9G/GX-11と呼ばれていると思われる。
 中国は2004年頃からY-8G/GX-4を8機保有(内1機は2018年に墜落)しているが、Y-9 ECM機はこの後継と見られる。
 Y-9はAn-12を元にShaanxi(陝西)航空機社が1972年から製造している4発のターボプロップ機である。 (1904-031211>1904-031211)

 中国国営CCTVがECM型のY-9の画像を放映した。 Y-9 ECMは胴体両側の主翼前後にジャミング装置を収納したと見られる膨らみが付けられ、垂直尾翼先端にポッド、翌両面にフラットアンテナが取り付けられている。 政府からの公式な発表はないが、恐らくこの機体はY-9G/GX-11と呼ばれていると思われる。
 中国は2004年頃からY-8G/GX-4を8機保有(内1機は2018年に墜落)しているが、Y-9 ECM機はこの後継と見られる。
 Y-9はAn-12を元にShaanxi(陝西)航空機社が1972年から製造している4発のターボプロップ機である。 (1905-032012>1905-032012)

5・1・8 高度な技術力の獲得と保持

5・1・8・1 超高速飛翔体

H-6K が極超音速兵器の発射母機

 人民日報系の環球時報が8月7日、中国が開発を進める新型の超高速兵器が将来H-6Kに搭載される可能性があるとする軍事専門家の分析を掲載した。
 同紙は、専門家の分析として、H-6Kが極超音速兵器を搭載すれば3,000km離れた敵の拠点を数分以内に破壊できるとしている。 (1909-080705>1909-080705)

DF-ZF / Xing Kong-2

 中国は2018年に二種類の超高速弾が報じられており、非推進滑空弾がDF-ZFで、推進装置付きがXing Kong-2 (Starry Sky-2) と呼ばれている。 (1905-032705>1905-032705)

Jiageng 1

 厦門大学と宇宙運送社が4月23日に、4,300km/h以上で飛行する超高速滑空飛翔体Jiageng 1を打ち上げた。
 この日に打ち上げられた試験飛翔体は同大学が開発したタービンコンバインドエンジン (TBCC) であるXTERを搭載しており、切り離されたのちに滑空飛行しながら減速し、パラシュートで回収された。
 Jiageng 1は全長8.7m、発射重量3.7t、翼端長2.5mで、後退角60゚の主翼と50゚の尾翼3枚を持つ。 Mach 4~6における衝撃波に対し良好な特性を持つため、各種突入角での攻撃が可能であるという。 (1907-050604>1907-050604)

 中国国営Global Timesが4月28日、中国がMach 5~20で飛翔する際の3,000゚Cを超える高温に耐えられる材料を開発したと報じた。 この材料はセラミックと高熱に耐えられる金属の複合材であるという。
 Global Timesは4月23日に、厦門大学の航空技術学校と北京のSpace Transportation社が再使用可能な超高速滑空飛翔体Jiageng 1を打ち上げたと報じた。
 全長8.7m、翼端長2.5m、発射重量3.7tのJiageng 1は高度26.2kmに達したという。 新華社によるとJiageng 1はDual Waveriderの前部胴体になるという。
 Jiageng 1の発射試験はCAAAが2018年8月に中国で初めての超高速滑空体Xingkong-2 (Starry Sky-2) の飛翔試験に成功したのに続くもので、2018年には非推進超高速滑空体DF-ZFの飛翔試験も実施している。 (1907-050801>1907-050801)

DF-17

 新浪軍事が6月26日に海外メディアの報道として、中国が新型ミサイルDF-17の発射試験をすでに複数回実施しており、就役すれば世界最強の性能を誇るBMになると報じていることを紹介した。
 それによると、中国はすでに複数回にわたりDF-17の発射試験験を済ませたとしたうえで、DF-16Bをベースとした射程1,800~2,500kmの極高速滑空BMで、高度60,000mでの超高速飛行を実現するほか、大気圏やその縁を滑空することで対ミサイル兵器による迎撃を不可能にするなどとしている。
 DF-17はブースタで滑空に必要な速度まで加速すると切り離され、自らの小型ロケットエンジンで弾道を変化させながら滑空に入ることから、広く用いられている既存技術の応用で簡単かつ低コストで造ることができるという。 (1907-062801>1907-062801)

 中国が10月1日に行ったパレードでDF-17が登場した。
 DF-17は米国がWU-14或いはDF-ZFと呼んでた全長1.5mの超高速ミサイルである。 (1912-101401>1912-101401>)

5・1・8・2 TBCC エンジン

 中国国営Global Timesが1月7日、成都の研究所が超高速機用TBCCエンジンの開発段階を完了したと報じた。
 TBCCエンジンはタービンエンジンとラムジェットやスクラムジェットエンジンを組み合わせたエンジンで、通常の航空機のように滑走路から離着陸できMach 5を超える超高速飛行ができる。
 Global Timesは、SR-71の後継となるLockheed Martin社のSR-72はTBCCエンジンを搭載している見ていて、中国も早晩SR-72級機を作れるとしている。 (1903-011604>1903-011604)
5・1・8・3 電磁砲

 複数の米情報機関関係筋がCNBCに、中国による電磁砲の開発は2011年ごろに初めて確認され、2014~2017年に試験を重ねて射程や威力を向上させ、2017年末に艦船への搭載に成功し、2023年までに洋上での試験が完了し、2025年までに実配備できる見通しとなったことを明らかにした。
 中国の電磁砲は初速がMach 7.5、射程は124哩で、1発$25,000~$50,000と推定され従来型火砲よりもコストが安いという。 (1902-013102>1902-013102)
5・1・8・4 テラヘルツレーダ

 中国国営Global Timesが3月18日、中国の研究開発機関が複数のテラヘルツレーダの試作品による試験を行っていると報じた。
 この報道で300GHz~3THzのテラヘルツレーダはステルス対策で、テラヘルツ波は物質を透過する能力があるため地表下の物を発見できるという。 (1904-032708>1904-032708)

 中国国営Global Timesが3月18日、中国がテラヘルツレーダ数基を試作し試験を行っていると報じた。
 300GHz~3THzで動作するテラヘルツレーダは対ステルス性に優れるといわれている。 (1905-040317>1905-040317)

 中国が3月に、地上防空用の強力なテラヘルツレーダを開発したと発表したが、専門家は小型のシステムになら使用できるだろうとしている。
 テラヘルツとは300GHz~3THzのことで波長は1mm~100μmである。 一般にレーダは波長が長いほどアンテナが大きくなるものの長距離性能に優れるため、長距離用レーダでは3MHz~30MHzの長波長のHF波が使用されることもある。
 これに対し40GHz~400GHzのミリ波レーダはアンテナが小型化できる反面、捕捉距離は犠牲になる。 (1908-060002>1908-060002)

5・1・8・5 サイバ戦、情報戦

5・1・8・5・1 中国の関与が疑われている不正アクセス

ノルウェーのソフトウェア会社から顧客情報を窃取

 米情報分析会社のRecorded Futureが、中国の情報機関とつながりのあるハッカー集団がノルウェーのソフトウェア会社であるビスマ社の顧客情報を窃取するため同社に不正侵入したと明らかにした。
 このハッキングは中国発とみられるCloud Hopperと呼ばれるもので、ビスマ社はハイテク企業を狙い撃ちした世界的なサイバースパイ活動について業界内での認知度を高めるため、ハッキング被害の公表に踏み切ったという。
 Cloud Hopperを巡っては、2018年12月にもHewlett-Packard社やIBM社が被害に遭ったとみられている。 (1903-020701>1903-020701)

オーストラリアの主要政党に対するサイバ攻撃

 モリソン豪首相が2月18日、同国の主要政党に対するサイバ攻撃について、おそらく外国政府が関与しているとの認識を示した。 具体的な国名は明らかにしなかったが、専門家の間では、中国、ロシア、イランの関与を疑う声が出ている。  同国では5月に総選挙が実施される予定だが、今月は豪議会に対するサイバ攻撃があったことも明らかになっており、議員はパスワードの変更を指示されている。 首相はどのような情報が狙われたのかは明らかにしなかったが、選挙妨害が行われれた証拠はないと述べた。 (1903-021802>1903-021802)

米海軍向けの技術情報の入手が目的とみられるサイバ攻撃

 Wall Street Journal紙が3月5日、中国系のハッカが米国やアジアなど世界の大学にサイバ攻撃をしかけていることが明らかになったと報じた。
 米海軍向けの技術情報の入手が目的とみられる。 WSJが入手したAccenture Security社のサイバーセキュリティー部門Eye Defenseの報告書によると、海中技術に関する研究所や同技術の専門家を抱え、米海軍とつながりのあるWoods Hole海洋研究所と関係を持っているMITなど北米や東南アジアの27校以上が標的となった。
 問題の中国系のハッカ集団はこれまで複数の情報セキュリティ会社から中国政府と関係があると指摘されていて、過去には海軍の下請け業者を狙ったサイバ攻撃で潜水艦ミサイル計画などの情報を盗んだことがある。
 Eye Defenseによると、中国系ハッカによる計画的なサイバ攻撃は少なくとも2017年4月から続いている。 (1904-030601>1904-030601)

5・1・8・5・2 サイバ戦体制

ハッカ集団 APT40

 米セキュリティ企業Fire Eye社の調査によると、APT40と呼ばれている海南島などを拠点にする中国ハッカ集団が、中国政府と国家ぐるみの活動をしている。
 2016年12月に中国海軍が南シナ海の公海で米海軍のUUVを奪い数日後に返還した事件を、Fire Eyeはサイバ空間での活動と連携していると分析しており、その1年以内にAPT40はUUVの製造業者になりすまして海軍研究に従事する米国の大学などにサイバ攻撃を仕掛けた。
 米司法省は2018年12月、APT10と呼ばれる別のハッカ集団に属する中国人2人を起訴したが、2人は中国の情報機関である国家安全省とつながりがあるとされ、日本も重要な標的とみなして官公庁のほか、航空宇宙防衛産業、ハイテク通信、運輸業界などを標的にし、機密情報や知的財産を窃取している。
 Fire Eye日本法人は、APT10は2018年7~8月以降、日本に対しても積極的に攻撃を仕掛けており、米司法省による起訴後も中国関係全体の攻撃の頻度は減っていないと述べている。 (1904-033003>1904-033003)

5・1・8・5・3 情報戦体制

 米国防総省が5月2日に公表した中国の軍事安全保障の動向に関する年次報告書では、中国の情報戦組織を明らかにしている。
 中国は2015年に宇宙戦、サイバ戦、電子戦、心理戦などを担当する戦略支援軍 (SSF) を発足させた。
 2日の報告書ではSSFの中に2個ある軍レベル部隊の一つがChinese Network Systems Departmentで、情報戦を担当しているという。 (1906-050307>1906-050307)
5・1・9 軍事産業の振興と武器輸出

5・1・9・1 軍事産業の振興

5・1・9・1・1 軍事企業の再編

二大造船企業 CSIC社と CSSC社が合併

 中国の2大造船企業CSIC社とCSSC社が合併することが明らかになった。
 この結果資産総額$120B、従業員数24万人、子会社数160社の巨大企業が誕生することになる。 (1908-071014>1908-071014)

5・1・9・1・2 新分野への企業展開

NORINCO社が UGV 分野での国際市場参入

 NORINCO社が2018年殊海航空展に新型UGVを展示し、この分野での国際市場参入を目指している。 (1902-010007>1902-010007)

ZB Intelligence社が水陸両用戦闘車やUSV/UUVの分野に進出

 USVの航法や制御装置の開発を専門にしている青島のZB Intelligence社が殊海航空展に、Marine Lizard水陸両用戦闘車を出展した。
 同社はまた各種USV/UUVの開発も行っている。 (1902-010009>1902-010009)

5・1・9・2 武器輸出

5・1・9・2・1 艦船の輸出

タイへ Type 071E ドック型揚陸艦の輸出

 タイが9月9日に北京で、中国国営造船企業CSIC社とドック型揚陸艦Type 071Eの購入契約を結んだ。
 Type 071の輸出仕様であるType 071eは全長210、排水量20,000tで、今までタイ海軍唯一のLPDは2008年にTHB5Bでシンガポールに発注し2012年に取得した141mのEndurance級のみであった。 (1911-091811>1911-091811)

5・1・9・2・2 航空機の輸出

ミャンマーへの JF-17 の輸出

 ミャンマーが2015年にPAC/CAC社に発注したJF-17 16機の一次分が引き渡された。
 2018年12月15日に行われた空軍創立71周年記念航空ショーの映像にJF-17が少なくとも4機写っていた。 (1902-010213>1902-010213)

J-10C の輸出仕様 FC-20E

 中国CAC社がドバイで11月17~21日に開かれた航空展に、J-10Cの輸出仕様であるFC-20Eの模型を出品した。
 J-10は原型となったJ-10AがSu-27やSu-30MKKと同じSalyut社製AL-31FN Series 3エンジンを搭載しているのに対し、J-10CはTVCノズルを有するWS-10エンジンを搭載している。 (1912-112207>1912-112207)

 中国CAC社がドバイで11月17~21日に開かれた航空展に、J-10Cの輸出仕様であるFC-20Eの模型を出品した。
 J-10の最初の輸出先はパキスタンと見られており、パキスタン空軍は10年以上前にFC-20の調達を公式に示唆していた。
 J-10は原型となったJ-10AがSu-27やSu-30MKKと同じSalyut社製AL-31FN Series 3エンジンを搭載しているのに対し、J-10CはWS-10エンジンを搭載している。
 J-10の最初の輸出先はパキスタンと見られており、パキスタン空軍は10年以上前にFC-20の調達を公式に示唆していた。 (2001-112708>2001-112708)

5・1・9・2・3 UAV の輸出

BZK-005E MALE UAV

 北京UAV技術社が殊海航空展で、初めてBZK-005E MALE UAVを海外から受注したことを明らかにした。
 BZK-005EBは中国で陸海空軍が偵察用やELINT機として広く使用しているChang Ying (Long Eagle) とも呼ばれているZK-005の改良型で、全長10.05m、翼端長18m、MTOW 1,500kgで、最高速度210km/h、巡航速度130~180km/h、搭載能力370kg、上昇限度7,500m、滞空能力40時間、作戦行動半径2,000kmの性能を持つ。 (1902-010006>1902-010006)

UAV 輸出への逆風

 中東では中国製のUAVが目立っている。 オバマ政権時代に米国はMTCR条約の縛りからエジプト、イラク、ヨルダン、サウジ、UAEなどからのMQ-1 PredatorやMQ-9 Reaperなどの武装UAVの売却を拒んできた。 その間に中国はCH-4やWing LoongなどのMALE UAVを販売してきた。
 しかしながら中国製のUAVは西側のC&Cになじまない問題があった。
 このためイラク、ヨルダン、サウジなどは米国が武装UAVの輸出条件を緩和したこともあってMQ-1の輸出仕様であるPredator XPの導入を開始しているが、中国製の同種機種に比べて価格が3~4倍もする。 (1903-011405>1903-011405)

 ヨルダンが2016年に中国から購入したCASC社製CH-4B武装UAV 6機を売りに出した。 期待した性能が得られなかったためとみられている。
 ヨルダンはCH-4Bと共にAR-1レーザ誘導ミサイルとFT-9誘導爆弾も購入していた。 (1907-060403>1907-060403)

5・1・9・2・4 ミサイルの輸出

ウズベキスタン陸軍の FD-2000 中距離 SAM

 ウズベキスタン陸軍が11月7日、同国防空軍が初めて実施したFD-2000中距離SAMの標的機に対する訓練の映像を公表した。
 映像にはFD-2000のTEL 2基、HT-233捕捉レーダ1基、指揮統制装置のほかに、Pechora-2M(S-125-2M)の発射機2基とソ連時代のS-125(SA-3)も写っていた。 (1912-112206>1912-112206)

5・2 北朝鮮

5・2・1 金正恩体制

5・2・1・1 金正恩政府の基本姿勢

 朝鮮中央通信が12月22日、北朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議が金委員長も出席して開かれて、金委員長が今後の軍建設と軍事政治活動で基本とすべき方向と方法を具体的に明らかにしたと報じた。
 2019年中に米国との非核化交渉をめぐり最終判断と決心を下すと表明している金委員長は、軍幹部らに対し今後について指示を行った可能性もある。
 軍事委に続き「重大な問題を討議決定」する党中央委員会総会を近く開く見通しで、対米交渉の新方針が示されるかが焦点となる。 (2001-122201>2001-122201)
5・2・1・2 北朝鮮の国内事情

「臨時政府」の発足宣言

 マレーシアで暗殺された金正男氏の息子、金ハンソル(金漢率)氏らを救援したとする団体が3月1日、臨時政府を発足させたとサイトで表明した。 拠点がどこかは明らかにしていない。
 千里馬民防衛と名乗ってきた同団体は自由朝鮮と改称し、北朝鮮人民を代表する単一で正当な組織だと主張し、各国の脱北者らに決起を促した。 (1904-030102>1904-030102)

5・2・2 核兵器放棄を巡る駆け引き

5・2・2・1 北朝鮮の核兵器保有

 ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) が6月17日公開した2019年鑑 (SIPRI Yearbook 2019) によると、核保有国と判定された国は米国、ロシア、英国、フランス、中国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の9ヵ国で、これらの国々が保有している核弾頭数は2019年初めを基準として13,865発と推算している。 これは2018年の14,465よりは600発減った。
 2018年より核弾頭数が増加した国は中国、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の4ヵ国で、特に北朝鮮の場合、2018年10~20発を保有していると推定されたが2019年20~30発に増えた。
 ただしSIPRIは北朝鮮が核兵器保有に関する情報を全く提供しておらず、全体集計には北朝鮮の核兵器保有量が反映されなかったとしている。 (1907-061705>1907-061705)
5・2・2・2 米朝直接対話

5・2・2・2・1 第1回米朝首脳会談後の北朝鮮

 米戦略国際問題研究所 (CSIS) が1月21日、北朝鮮が一度も公表したことがない平壌北部の新五里基地に配備しているNo Dongは核又は非核型で先制攻撃能力を備えているとの分析を示した。
 北朝鮮が公表していないBM基地は20ヵ所にのぼり、新五里基地は非核化交渉の対象にも含まれていないという。 (1902-012202>1902-012202)

 在韓米軍司令官のエイブラムス陸軍大将が2月12日に米議会上院軍事委員会で、2018年6月の米朝首脳会談後、非武装地帯での緊張は緩和されたが北朝鮮で軍事的な変化は殆ど見られず、核を放棄した兆候はないと発言した。 (1903-021209>1903-021209)
【註】2018年暮れのマティス国防長官更迭以来、2019年になってから1月29日にコーツ米国家情報長官が「北朝鮮が核兵器を放棄する公算は小さい」と述べ、2月5日に米中央軍司令官が「米軍の撤収後にISISが勢力を盛り返す恐れがある」と述べるなど、大統領の方針に疑問を呈する政権内部の発言が目立っている。

5・2・2・2・2 米朝首脳会談に望む米国の姿勢

 ペンス米副大統領がミュンヘン安全保障会議で2月16日、2月27日と28日にハノイで行われる予定の2回目の米朝首脳会談について、「われわれは過去の過ちを繰り返さない。 完全かつ検証可能な北朝鮮の非核化が実現するまでわれわれは確固たる立場を崩さない」として、完全な非核化が実現するまで制裁による圧力をかけ続ける必要があると強調し、改めて各国に国連安全保障理事会の制裁決議の確実な履行を求めた。
 2回目の米朝首脳会談では北朝鮮による核関連施設の申告や査察の受け入れとともに、米国が見返りとして何らかの譲歩策を示すのかも焦点となっている。 (1903-021702>1903-021702)
5・2・2・2・3 第2回米朝首脳会談

 米国と北朝鮮の2月28日の首脳会談はいかなる合意に至らなかった。
 米大統領府はこの日、両首脳が非核化と経済発展案を進展させるために幅広く話し合ったが、現在ではいかなる合意にも至ることができなかったとしながら、各自チームは未来に会うことを期待していると発表した。 (1903-022804>1903-022804)

 金委員長と2回目の首脳会談を行ったトランプ米大統領が2月28日午後の記者会見で、米国は寧辺核施設廃棄以上の非核化措置を要求していたと述べた。
 更に寧辺の以外にわれわれが発見した核施設があったと述べ、われわれが知っていたということに北朝鮮は驚いていたようだと明かした。 (1903-022805>1903-022805)

 ハノイで会談した米朝首脳が合意に至らなかったのは、北朝鮮の秘密核施設を巡る対立が主な要因だったことが3月2日、米朝の説明から明らかになった。
 トランプ大統領は核開発の中心地、寧辺とは別の場所にあるウラン濃縮施設の存在を追及し情報開示を要求したが北朝鮮側は応じなかったという。 (1904-030205>1904-030205)

 米朝首脳会談に精通する複数の消息筋が3月4日、トランプ米大統領が米朝首脳会談の決裂後に非核化対象に指定した寧辺核施設以外の施設とは寧辺核施設に隣接した分江地区の地下高濃縮ウラン施設だと述べた。 トランプ大統領は、北朝鮮側は我々がそれを知っていたため驚いたようだったと述べている。
 複数の消息筋はこれについて「首脳会談2日目に北朝鮮側が寧辺地区を廃棄すると言うと米国側は寧辺以外に追加核施設1ヵ所の追加を求めたとし、この1ヵ所が分江地区の核施設で、米国側はこれを非核化対象に含めるように要求したという。 (1904-030504>1904-030504)

 ハノイで開催された米朝首脳会談が物別れに終わった2月28日に、トランプ大統領が北朝鮮の金委員長に全ての核兵器と核燃料を引き渡すよう要求していたことが、ロイタが入手したトランプ大統領が金委員長に手渡した文書で明らかになった。
 これまで米側も北朝鮮側も会談が決裂した理由を明確に説明していないが、この文書が一因となった可能性がある。
 関係筋によると、米国が求める非核化とは何を意味するか、その定義をトランプ大統領が金委員長に直接伝えたのはこれが初めてという。 (1904-033005>1904-033005)

5・2・2・2・4 第2回会談後

米大統領、交渉停滞にいら立ち?

 トランプ米大統領が12月3日、ストルテンベルグNATO事務総長との会談冒頭で記者団に、非核化交渉が停滞している北朝鮮に対し必要があれば軍事力の行使も辞さないと述べた。
 トランプ大統領は北朝鮮の金委員長と良好な関係を維持していると述べ、「非核化するとした合意の順守を望んでいる」と強調した一方、米国はかつてなく強大な軍事力を持っていると主張し、必要に迫られれば使うこともあると語った。 (2001-120302>2001-120302)

5・2・2・3 北朝鮮の動きに対するわが国の見方

 防衛研究所が4月5日に東アジア戦略概観 2019を発表した。 2018年6月の初の米朝首脳会談に関しては、北朝鮮に核やミサイル開発を継続しつつ経済状況を立て直すための時間稼ぎとして利用される可能性があると警鐘を鳴らした。
5・2・3 大量破壊兵器

5・2・3・1 核兵器

5・2・3・1・1 核兵器を放棄する公算

国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネルの見方

 国連安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが、北朝鮮は核やBMの開発計画を維持しており、いかなる攻撃にも抗堪性を持つよう取り組んでいるとした報告書を提出した。
 報告書は北朝鮮が空港を含む民間施設を使ってBMの製造や試験を行っているとし、これは既に存在が明らかになっている核やBMの製造施設に対する攻撃による致命的損害を防ぐ狙いがあるとしている。
 その上で、北朝鮮が製造、保管、試験施設を一貫して分散させる傾向にあるとの証拠をつかんだとしている。 (1903-020502>1903-020502)

国際原子力機関 (IAEA) の見方

 国際原子力機関 (IAEA) の天野事務局長が定例理事会で3月4日、北朝鮮が2月末に寧辺で核関連活動をしていた疑いがあると述べた。
 非核化について協議した2月27、28日の米朝首脳会談開催中も活動を継続していたとみられるという。 (1904-030403>1904-030403)

 ただ、国際原子力機関 (IAEA) は3月4日、北朝鮮が核兵器用のプルトニウムの大半を供給しているとみられるの寧辺の5MW原子炉が過去3ヵ月間、停止しているもようだと指摘した。 理由は示していない。
 また衛星画像を分析している一部民間アナリストは、老朽化している原子炉に技術的な問題が起こっていると指摘している。 (1904-030502>1904-030502)

米国家情報庁の見方

 コーツ米国家情報長官が1月29日に上院情報委員会で行った証言で、北朝鮮は核放棄に向けた姿勢を示しているものの、実際に核兵器能力を放棄する公算は小さいとの認識を示した。
 長官は、北朝鮮はこれまでの挑発的な行動を止め、核やミサイルの実験を1年以上実施しておらず、一部の核関連施設も廃棄しているが、われわれは北朝鮮が大量破壊兵器能力の保持を目指していると見なしているとし、北朝鮮の指導部は体制維持に核兵器が不可欠と考えているため核兵器を完全に放棄する公算は小さいと指摘している。
 こうした見方は、われわれが捉えた完全な非核化とは矛盾する一部の活動に裏付けられていると述べた。 (1902-013001>1902-013001)

 コーツ米国家情報長官が1月29日に上院情報特別委員会で、北朝鮮が大量破壊兵器を放棄する可能性は全くないと発言した。 (1903-020603>1903-020603)

米インド太平洋軍の見方

 米インド太平洋軍司令官デービッドソン海軍大将が2月12日に上院軍事委員会で行った口頭での証言で、北朝鮮がすべての核兵器を放棄する公算は小さいとの見解を示し、北朝鮮の意図に対する疑念を表明した。
 トランプ米大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と2月27~28日にベトナムで2回目の会談に臨むことになっている。 (1903-021302>1903-021302)

民間シンクタンクの見方

 米戦略国際問題研究所 (CSIS) は2018年11月以降、複数回にわたって北朝鮮内のミサイル基地の存在を発表し、全体で15~20ヵ所のミサイル基地が稼働中との見方を示しており、サッカンモル、新五里、サンナムニの3ヵ所について設備や規模、配備されているミサイルの種類も突き止めた。
 CSISはこうした基地が米朝の非核化交渉では取り上げられていないもようと指摘している。
 米Diplomat誌も2018年7月にカンソンの秘密濃縮施設所在を突き止めたとする記事を掲載していて同施設は米当局も把握しているという。
 寧辺以外のウラン濃縮施設の存在はそれ以前から指摘されていたが、具体的な施設が判明するのは初めてで、生産能力は寧辺の2倍との報道もある。
 米国や日韓両国などが求める完全な非核化には北朝鮮の核やミサイル開発の全容把握が欠かせないため米国が非核化作業の前提として核リストの提出を求めてきたのはこのためだが、北朝鮮は拒否し続けている。 (1903-022401>1903-022401)

 米戦略国際問題研究所 (CSIS) が衛星写真に基づき4月16日、北朝鮮寧辺の核施設で核物質の搬送に使われる特殊な鉄道車両が確認されたとの分析結果を公表した。 核物質の搬送の可能性を指摘したが、既に実施されたかどうかは不明としている。
 4月12日撮影の衛星写真によると、寧辺のウラン濃縮施設と再処理施設である放射化学研究所の近くで確認された停車した特殊車両5両が、過去に核物質の移動や再処理活動に関わっていたとの見方を示している。 ウラン濃縮施設には輸送コンテナのようなものが確認された。 (1905-041702>1905-041702)

韓国国家情報院の見方

 韓国の情報機関である国家情報院院長が国会の非公開会合で3月5日、首脳会談で金委員長が完全廃棄の意思を示したとする寧辺の核施設のうち核燃料のウラン濃縮施設が、会談前から正常に稼働していることも把握していると述べた。 (1904-030705>1904-030705)

5・2・3・1・2 核関連秘密施設

 38 Northが9月19日に衛星画像に基づき、北朝鮮寧辺の核施設付近で秘密の地下施設が2ヵ所存在することを確認したと発表した。 ただ、地下施設が何に使われているかは不明という。
 米国が非核化プロセスの一環として求める寧辺への査察実現を念頭に、地下施設は将来の査察チームの関心対象になるとした。 (1910-092001>1910-092001)
5・2・3・1・3 核実験場

豊渓里核実験場周辺で崩落

 北朝鮮の豊渓里核実験場周辺で1月2日、M 2.8の自然地震が発生した。 2017年9月に北朝鮮が6回目の核実験を行ったことが影響しているとみられる。
 韓国の情報当局や気象庁などによると、地震は同日07:20頃に吉州郡から北北西40kmの地点を震源として起こった。
 北朝鮮が6回目の核実験を行った場所から東におよそ11km離れたところで、震源の深さは12kmとみられる。 (1902-010302>1902-010302)

5・2・3・1・4 核兵器の保有数

 米スタンフォード大国際安全保障協力センタ (CISC) の調査報告書によると、北朝鮮は米国との非核化交渉中も核爆弾用燃料の生産を継続しており、過去1年間に核兵器を最大7個増やすのに十分な核燃料を生産した可能性がある。 報告書は、トランプ米大統領と北朝鮮の金委員長との再会談を2月末に控える中で公表された。
 一方で報告書は、北朝鮮が2017年以降、核やミサイルの試験を凍結していることを理由に、北朝鮮の核兵器計画は2017年末ごろと比べると脅威が低下したとみられると結論付けている。 (1903-021205>1903-021205)
5・2・4 弾道ミサイル

5・2・4・1 第2回米朝首脳会談後

5・2・4・1・1 ミサイル基地の復旧

 韓国情報機関の国家情報院が国会情報委員会の懇談会で3月5日、北朝鮮が寧辺の核施設の稼動は停止したが、東倉里にあるミサイル基地では復旧の兆候があると報告した。
 複数の情報委員によると、国情院は東倉里にあるミサイル基地では解体施設のうち、一部を復旧していおり、屋根とドアを取り付けていると説明した。 (1904-030507>1904-030507)

 米戦略国際問題研究所 (CSIS) が3月5日、2回目の米朝首脳会談後の2日に北朝鮮を撮影した衛星写真で東倉里にあるミサイル発射場で再建を進めている動きがあり、意図的な活動再開の可能性があると明らかにした。
 動きはエンジン試験台や発射台の軌道式ロケット移動構造物などで確認されたという。 (1904-030603>1904-030603)

 北朝鮮分析サイト38 Northが3月7日、北朝鮮の西海衛星発射場の発射台再建作業が急速に進み、正常な稼働状況に戻ったとみられることを明らかにした。
 6日に撮影された商用衛星の画像では、ロケットをレールに乗せて発射台に移動させるための構造物が完成しており、発射台からはクレーンが外されロケットエンジン試験台の支持構造物も再建が進んでいるとみられる。
 この活動はハノイで開催され物別れに終わった米朝首脳会談の前に開始されていた。 (1904-030801>1904-030801)

 ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官が3月10日、北朝鮮が東倉里ミサイル発射場を復旧している動きなどに関し、北朝鮮に警告メッセージを送った。
 ただ「特定の商業衛星写真が見せるものについて推測はしない」と発言は控えめであった。 (1904-031103>1904-031103)

5・2・4・1・2 ミサイル基地の拡大

東倉里での動き

 38 Northが5月16日、北朝鮮が先に解体を約束した東倉里のBM発射施設「西海衛星発射場」で建物の拡充などの動きがあるとする、最新の商業衛星画像に基づく分析結果を発表した。
 同サイトによると、4月18日に撮影された画像で、ミサイル関連部品の組み立て棟とみられる敷地内で、2019年1月に建設が確認されたL字形の建物が完成していることが分かった。 (1906-051701>1906-051701)

 CNNが12月5日、北朝鮮西海衛星発射場(東倉里ミサイル発射場)で以前になかった動きが見られるとし、北朝鮮が人工衛星打ち上げやICBM発射のためのエンジン燃焼実験を再開する可能性もあると報じた。
 CNNは民間衛星会社Planet Labsが5日に撮影した衛星写真で、東倉里発射場の前に5日以前に撮影された写真ではなかった大型コンテナが置かれていると報じている。 (2001-120604>2001-120604)

ミサイル基地の新設

 国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会が3月12日に年次報告書を発表し、北朝鮮が米国の攻撃に備えて核とミサイル施設を民間施設に分散し、中朝国境付近にICBM基地を建設している証拠資料を公開した。
 報告書によると、ある加盟国が2018年11月に北朝鮮が国境付近にICBM基地を建設していると通知したという。 報告書はCNNがICBM基地と見ている両江道フェジョンリのミサイル基地の衛星写真を公開した。
 これは2018年の非核化対話後も北朝鮮が核とミサイル開発および隠蔽活動を続けてきた可能性を示唆している。 (1904-031402>1904-031402)

秘密ミサイル基地が判明

 戦略国際問題研究所 (CSIS) が5月9日までに、平壌の北東63kmの場所に秘密のミサイル基地があるとの分析結果を明らかにした。
 ICBM級の火星-14や火星-15を格納していたとみられ、現在も稼働状態にあるという。 (1906-051101>1906-051101)

非公表の BM 基地に火星-9 MRBM

 米戦略国際問題研究所 (CSIS) が衛星写真などに基づき9月6日、北朝鮮南東部金泉里の非公表のBM基地に、火星-9 MRBMが配備されているとの分析結果を公表した。
 基地はソウルの北東170kmの山あいに位置し、日本の南半分と韓国全土を射程内に収めているとみられ、CSISはより新しいミサイルがこの基地に配備されれば脅威は沖縄の米軍基地を含む日本全体に及ぶ可能性があると指摘している。 (1910-090701>1910-090701)

中朝国境付近に北極星-2を配備

 国連安保理北朝鮮制裁委員会が9月5日、北朝鮮が中朝国境付近に射程2,000kmの北極星-2を配備したことを報告書を通して明らかにした。
 北極星-2が中朝国境付近に配備されれば、在日米軍基地に対する奇襲攻撃能力が大幅に強化されたと分析されている。 (1910-090702>1910-090702)

金泉里ミサイル基地に火星-6 (Scud C)

 米戦略国際問題研究所 (CSIS) が9月6日、北朝鮮の金泉里ミサイル基地施設を取り上げ、韓国全域はもちろん沖縄の米軍基地を含めた日本全域を攻撃することができると警告した。
 報告書はこれまで地下ミサイル貯蔵庫程度として低く評価されていた金泉里ミサイル基地を重要な基地だと分析している。
 報告書によると、金泉里基地は1990年代初期から射程500~600kmの火星-6 (Scud C) を装備していたが、1999年には射程1,000kmの火星-9 (Scud-ER) を初めて装備した基地の一つとして確認された。 (1910-090901>1910-090901)

東倉里で「非常に重大な試験」

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の国防科学院報道官が12月8日、東倉里にある西海衛星発射場で7日午後に非常に重大な試験が行われたと発表した。
 試験の詳細には触れていないがICBMに使われるエンジン燃焼実験の可能性がある。
 一方、北朝鮮の金国連大使は7日に声明を発表し、「米国と今、長い協議を行う必要はない。 非核化は既に交渉のテーブルから下ろされた」と非核化交渉中断を主張し、米国の求める持続的で実質的な対話についても、内政課題のために米朝対話を利用する時間稼ぎの策略と非難した。 (2001-120801>2001-120801)

 北朝鮮国防科学院が12月8日に東倉里で重大な試験が行われたと明らかにしたが、韓国大統領府は論評を発表しないなど慎重に対応する姿勢を見せた。
 国家安全保障会議 (NSC) を開催するなど積極的に対応するとの見方もあったが、NSCは開かれなかった。 (2001-120802>2001-120802)

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の国防科学院報道官が12月14日、東倉里の西海衛星発射場で13日に重大な試験を再び実施したと発表した。 試験は13日22:41~22:48に行われたという。
 報道官は実験の詳細な内容は明らかにしなかったが、ミサイル開発の本格的な再開の可能性を強く示唆した。
 北朝鮮は7日にも同発射場で非常に重大な試験を行っており、ICBMエンジン燃焼試験の可能性が指摘されている。 (2001-121401>2001-121401)

5・2・4・1・3 ミサイル生産再開の動き

ミサイル工場団地の地下施設が完工

 韓国の情報機関である国家情報院院長が国会の非公開会合で3月5日、平壌郊外の山陰洞にあるミサイル総合研究団地で物資運送用の車両の活動を捕捉していたと述べた。
 韓国軍は施設維持の動きとみており、2月末に物別れに終わった米朝首脳再会談と前後して北朝鮮が米側の出方に備えていた可能性がある。 (1904-030705>1904-030705)

 北朝鮮の固体燃料ミサイルを製造している咸興ミサイル工場団地の地下施設が完工したことが5月31日までに分かった。
 韓国軍関係者は、北朝鮮は非核化交渉中も咸興ミサイル工場団地を拡張改善してきており、ミサイル工場地域周辺で巨大な地下施設が新たに完工、もしくは拡張されたと語った。 咸興団地が地下施設まで備えた総合ミサイル団地になったということを意味する。
 こうした事実はGoogle Earthを通しても確認でき、2017年の写真では、咸興団地北西部の地下施設で工事をしている様子がはっきり分かが、2019年2月の写真には、地下施設付近がすっきり整理されている様子がとらえられ、一部はコンクリートなどで舗装されていた。 (1907-060101>1907-060101)

TEL 製造工場で動き

 米NBC TVが12月21日、専門家による人工衛星画像の分析を基に北朝鮮のICBM開発に関連する平城の工場で仮設施設などが設置されているのが確認されたと報じた。 金正恩朝鮮労働党委員長が6月に同工場を視察したとされ、直後から工場の拡張が始まったという。
 この工場は軍民両方の車両を生産しているが、2017年11月の火星-15 ICBMの発射準備に使われたとされる。
 画像を分析した米国の大量破壊兵器専門家は、ICBMの発射装置の製造または改修のために仮設施設が設置された可能性を指摘した。 (2001-122202>2001-122202)

 中朝関係筋が12月23日、北朝鮮の金委員長が2018年2月ごろ、ICBMなどのTELの量産を指示していたことを明らかにした。
 70両分の部品を中国などで調達する費用として、党軍需工業部傘下の貿易会社に数千万ドルが当てられたという。 米情報当局も同様の情報を把握しており、70両のうちICBM用が何両なのかや生産の進展状況を追跡しているもようである。
 北朝鮮が米朝交渉に臨みながら、核やミサイル戦力の強化を進めてきた実態を示すものである。 (2001-122305>2001-122305)

5・2・4・2 SRBM の発射

5・2・4・2・1 ミサイル発射再開

 韓国東亜日報が3月27日に複数の情報筋を引用して、米韓軍は北朝鮮が25日から新興一帯でミサイル活動に関連した通信を送信するのを観測したためこの一帯に対する監視を大幅に強化したと報じ、こうした信号は朝鮮半島周辺に相次いで投入されているRC-135など米軍偵察網が観測したという。
 東亜日報は外交筋を引用し、トランプ政権が対北制裁を維持する場合、対米奇襲打撃戦力で挑発の再開も可能という警告メッセージを発信して圧力を加えるものだと分析している。 (1904-032702>1904-032702)

 北朝鮮が東倉里発射場をいつでも使用できる状態に整備したのに続き、先週予定された国際会議に出席しないなど異常兆候が続いており、4月中に「人工衛星打ち上げ」を挑発カードとして取り出す可能性があるという懸念が強まっている。
 韓国政府の当局者は4月1日、北が東倉里発射場の整備を事実上終えたとして、発射台にロケットを設置したわけではないが、人工衛星に見せた発射試験をするかどうかは金委員長にかかっているという見方を示した。 (1905-040203>1905-040203)

 韓国の政府高官が4月1日、北朝鮮が宇宙飛翔体の発射試験を強行し、衛星発射と主張しても韓国政府としては長距離BM発射と理解する方針を明確にした。
 東倉里のミサイル発射施設で復旧の動きがみられることについては、交渉力を高めるためのものなのか、実際の発射のためなのかは引き続き見守って判断するとして、今予測できる状況ではないとの認識を示した。 (1905-040203>1905-040203)

 岩屋防衛相が9月3日の記者会見で、北朝鮮による5月から計9回にわたる飛翔体発射について、少なくとも2種類の新型のSRBMが含まれているとの見解を示した。
 岩屋防衛相は5月4日から7月25日と8月6日に発射された計8発について、既存のBMとは異なる新型だと推定していると述べ、ロシア製のIskanderとの類似にも言及した。 8月24日の2発についても固体燃料方式の新型ミサイルと判断した。 (1910-090301>1910-090301)

 岩屋防衛相が9月3日の記者会見で、北朝鮮が5月以降に9回発射した飛翔体について、2種類の新型SRBMが含まれていたとの分析結果を明らかにした。
 さらにもう1種類の新型SRBMが発射された可能性もあり防衛省は引き続き分析を進めている。 (1910-090302>1910-090302)

★ 5月4日、9日、7月25日と8月6日に発射されたミサイルは新型で、通常のBMと異なる変則的な軌道で落下し、速度が遅く
 Iskanderとの類似性が指摘されている。
★ 8月24日のミサイルは、高度がScudと同じ約100kmと他の飛翔体より高かったことから別の新型SRBMと判明している。
★ 8月10日と16日に発射された飛翔体は、それとは異なる新型SRBMの可能性があり、ATACMSとの類似性が指摘されている。
★ 7月31日と8月2日の飛翔体の詳細は判明しておらず8月24日のミサイルと類似している可能性があるという。
5・2・4・2・2 KN-23 (Iskander 似)の発射

KN-23 とは

 38 Northが5月13日までに、北朝鮮が4日に発射した飛翔体はロシア製Iskanderと酷似しているとの分析を公表し、ロシアから輸入したとの見方を示した。
 米ミサイル専門家エレマン氏は北朝鮮が発射後に公表した写真を基に、韓国の玄武-2のほかウクライナのGromとの形状や大きさの類似点も指摘したが、打ち上げ後の破片などから、ロシアからの輸入の可能性が高いとした。
 右図は左から、ウクライナのGrom、韓国の玄武-2、ロシアのIskander、北朝鮮が4日発射した飛翔体である。 (1906-051405>1906-051405)

 米ミドルベリー国際学研究所非拡散研究センターのルイス所長が6月5日、北朝鮮が5月4日と9日に発射したSRBMは韓国内目標を核攻撃できる能力を備えたという分析の結果を発表した。
 ルイス所長はこの日に公開した報告書で、KN-23は全長7.5m、胴径0.95mと推定した。
 KN-23は2018年2月8日建軍70周年記念閲兵式で初めて公開された時、米国の情報当局が名付けたコード名である。
 ルイス所長は、このミサイルは500kgの弾頭を搭載して450km飛翔することができると分析した。 (1907-060701>1907-060701)

 米国の核やミサイル問題専門家が6月7日までに、北朝鮮が5月上旬に発射した新型のSRBMについて、ソウル南方の平沢に移転した在韓米軍司令部を含め、韓国のほぼ全域を核攻撃できるとの分析を発表した。 (1907-060702>1907-060702)

4月17日の発射

 北朝鮮の国営メディアが4月18日朝、17日に金委員長の立ち会いのもとに新型戦術誘導兵器の発射試験を行ったと報じた。 国営メディアは、この兵器について、特殊な飛行の誘導方式だとしていて、設計上の数値が完全に検証されたとしている。
 新型の戦術誘導兵器がどういったものなのか詳しいことは明らかにしていないが、長距離BMではない通常兵器と見られる。 (1905-041802>1905-041802)

5月4日の発射
 韓国軍合同参謀本部が5月4日、北朝鮮が同日09:06頃に数発の飛翔体を発射したと明らかにした。
 飛翔体は北朝鮮南東部の元山周辺から日本海に向けて発射され、70~200km飛行して日本海に落下したという。 短距離ミサイルとみられる。
 北朝鮮のミサイル発射は、2017年11月末に火星-15 ICBMを発射して以来、1年5ヵ月ぶりになる。 (1906-050401>1906-050401)

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信が5月5日、金委員長が立ち会った火力打撃訓練が4日に日本海沿いで行われたと報じた。
 訓練では長距離MLRや戦術誘導兵器の能力点検などを目的に行われ、正恩氏は結果を高く評価したという。 (1906-050501>1906-050501)

 北朝鮮の朝鮮中央通信が5月5日、金委員長が4日に実施された火力打撃訓練を指導したと報じた。 訓練では長距離MLRや戦術誘導兵器の能力点検などを実施した。
 北朝鮮は4日、東部の元山付近から東側に向け、飛翔体数発を発射しており、火力訓練はこれを指すとみられる。 (1906-050503>1906-050503)

 北朝鮮が5月4日に発射した飛翔体について、米Middlebury国際問題研究所のルイス上級研究員が発射直後の衛星画像を基に5日、飛翔体は国連安保理の北朝鮮制裁決議違反となるSRBMの発射だった可能性が高いとの見方を明らかにした。
 ルイス氏はツイッターでミサイルが2018年2月の軍事パレードに登場したロシア製Iskanderを基にしたSRBMと同型だと述べた。 (1906-050703>1906-050703)

5月9日の発射

 韓国軍合同参謀本部が、北朝鮮が5月9日に短距離ミサイル2発を発射したもようだと発表した。 北朝鮮は4日に飛翔体を発射したばかりで、1週間足らずで2度目の挑発行為となる。
 韓国合同参謀本部によれば、北朝鮮は新五里ミサイル基地から現地時間04:29と午後04:49に計2発の短距離ミサイルを発射した。
 2発とも朝鮮半島を横切り東へ飛行し、最初のミサイルは420km、2発目は270km飛んだという。 (1906-050902>1906-050902)

 北朝鮮が5月9日に2発発射したのミサイルは、北朝鮮メディアの画像から見ると5月4日に発射したCRBM/SRBMと同型の見られる。
 2発は16:29及び16:49に発射され、それぞれ420km、270km飛翔して日本海に落下した。 聯合ニュースは高度50kmに達したと報じている。
 韓国メディアは米国防総省報道官イーストバーン中佐の発言を引用して、飛翔したのはBMで飛翔距離は300kmを超えると報じている。 (1907-051501>1907-051501)

7月25日の発射

 聯合ニュースが韓国軍合同参謀本部の話しとして、北朝鮮が7月25日05:34と05:57に東部の元山付近から2発の飛翔体を発射し、飛翔体は430km飛翔したと報じた。 韓国軍と米軍は発射の詳しい状況を調べている。
 AFP通信は米政府当局者の話しとして、発射されたのは短距離の飛翔体と報じている。 (1908-072501>1908-072501)

 北朝鮮が7月25日早朝に元山付近から発射した2発の短距離ミサイルのうち、2発目は690km飛翔したとの分析結果が出たことを受け、米韓はミサイルの詳細を把握するための情報収集を行っている。
 1発目のミサイルが430km飛翔し高度が50kmだったことから、当初は2発目もKN-23と同じ機種と評価されたが、2発目は高度50kmを維持したまま690km飛翔したことが分かり、米韓は新たな形態の短距離ミサイルである可能性があると判断した。
 ただ今回発射に使われたTELの外観は、5月4日と9日に北朝鮮がKN-23を発射する際に使用したTELと似ているという。 (1908-072504>1908-072504)

 韓国軍合同参謀本部の関係者が7月26日、北朝鮮が25日朝に発射したミサイルについて、ロシアのIskanderに似た飛行特性を持つ新型SRBMと判断していることを明らかにした。 また米韓軍の精密分析の結果、発射された2発の飛距離はいずれも600kmと推定されたという。
 合同参謀本部は当初、1発目は430km、2発目は690km飛翔したとの分析を示していた。
 同関係者は、北朝鮮のミサイルは一般的な弾道飛行ではなく下降段階で水平飛行したため、最初に判断した飛距離とは差があったと説明した。 (1908-072601>1908-072601)

 米ランド研究所のベネット研究員が7月26日、北朝鮮が日本海に向け7月25日に発射したSRBMはロシアのIskaderと同じもので、燃料システムを改造し射程距離を伸ばしたものとの見方を示した。
 ベネット氏は、BMの射程を500km以上とするには最高高度が100kmは必要だとした上で、今回北朝鮮が発射したBMの頂点は50kmだったにもかかわらず600km飛行したのは、飛行中にエンジンが再点火されたことを意味すると述べた。 (1908-072902>1908-072902)
【註】Iskader (SS-26) は固体燃料ロケットで推進するため「飛行途中で燃料に再点火」は考えにくい。
 敢えてこの記事にあるように2度エンジンに点火するのであれば、エンジンを液体燃料にしたか、二段推進のロケットエンジンにしたかのいずれかで、推進装置の根本的な変更が必要になる。

 北朝鮮が7月25日の05:34と05:57に日本海に向けて2発のSRBMを発射した。 韓国統合参謀本部は26日、2発とも600km飛翔し、高度は50kmに達したと発表した。
 北朝鮮は5月4日と9日にもロシアのIskander SRBMの9M723/9M723Eと良く似たKN-23を発射している。 (1909-073102>1909-073102)

 7月25日低進弾道で発射した新型SRBMを米韓はIskanderの9M723/9M723E似のKN-23と見ている。 (1909-080713>1909-080713)

8月6日の発射

 韓国軍の合同参謀本部が8月6日未明、北朝鮮が南西部の黄海南道から日本海に向けて、飛翔体を2回発射したと発表した。 (1909-080604>1909-080604)

 北朝鮮が米韓合同軍事演習2日目となる8月6日に発射した飛翔体について、韓国軍は北朝鮮が最近相次いで発射したものと類似したSRBMと分析している。
 韓国軍合同参謀本部は6日、この日05:24と05:36に黄海南道から日本海上に発射したSRBMと推定される飛翔体2発を捕捉したと発表した。
 発射されたSRBMの高度は37km、飛距離450km、最大速度Mach 6.9以上だったとした。 (1909-080605>1909-080605)

5・2・4・2・3 新型 SRBM(ATACMS 似)の発射

8月10日の発射

 聯合ニュースが韓国軍の話として、北朝鮮が日本海にむけて飛翔体を2回発射したと報じた。
 韓国軍が詳しい状況を調べているという。 (1909-081002>1909-081002)

 韓国軍合同参謀本部が8月10日、北朝鮮が10日05:34と05:50に咸興付近から朝鮮半島東の日本海上にSRBMと推定される飛翔体計2発を発射したと発表した。 高度は48km、飛距離は400km、最大速度はMach 6.1以上だったとした。
 北朝鮮は飛翔体を相次ぎ発射しており、7月25日、31日、8月2日、6日に続き今回で5回目で、今年に入り7回目となる。 (1909-081003>1909-081003)

 北朝鮮の朝鮮中央通信などが8月11日、10日に発射した飛翔体とみられる写真6枚を公開した。 同通信は「党で構想してきたもう一つの新たな兵器が登場した」との金委員長の発言を報じたが、兵器の名称や特徴などは明らかにしなかった。
 北朝鮮はこれまで、飛翔体発射の翌日に兵器の名称などを国営メディアを通じて発表しており、7月25日の発射については「新型戦術誘導兵器」、同31日と8月2日の発射に対しては「新型大口径操縦放射砲」と報じた。
 しかし、10日の発射については金委員長が従来の兵器体系と異なる優れた戦術的特性を備える兵器体系と述べたと伝えるにとどめた。 (1909-081101>1909-081101)

 北朝鮮が8月11日、名称不詳の新型SRBMの発射試験を行ったと発表しその画像を公開した。 韓国軍は北朝鮮が10日にSRBMを2回発射し400km飛翔したとしている。
 韓国軍によると発射されたSRBMは高機動性を持ち低進弾道での飛翔が可能なロシアのIskanderによく似ているという。 (1909-081104>1909-081104)

8月16日の発射

 韓国軍合同参謀本部が8月16日、北朝鮮が同日08:00すぎと08:15頃に東部の通川の北方から朝鮮半島東の東海上に向けて未詳の短距離飛翔体2発を発射したと発表した。
 飛翔体の高度は30km、飛行距離は230kmで、最大速度はMach 6.1以上と確認された。 (1909-081605>1909-081605)

 北朝鮮は8月10日と16日にSRBMを発射しており、KCNAが報じた画像によると両日のミサイルは米陸軍のATACMSによく似ており、NOTINCO社のKing Dragon 300 610mm弾にも似ている。 (1910-090406>1910-090406)

5・2・4・2・4 400mm MLR の発射

7月31日の発射

 韓国軍の合同参謀本部が7月31日未明、北朝鮮が東部咸鏡南道から飛翔体数発を発射したと明らかにした。
 韓国軍は米軍とともに詳しい情報の収集や分析を急いでいる。 (1908-073101>1908-073101)

 韓国軍などによると、北朝鮮が7月31日05:00すぎに、元山付近から北東の日本海上に向け飛翔体2発を発射した。 韓国軍はSRBMと発表した。
 発射したのは05:06と05:27で、250km飛翔し最高高度は30kmと推定されている。 韓国軍合同参謀本部は、更なる発射に備えて関連動向を監視し対応態勢を維持していると表明した。
 複数の米メディアによると、米政府当局者も発射されたのはSRBM 2発と考えている。 (1908-073102>1908-073102)

 北朝鮮の朝鮮中央放送が8月1日、金委員長が前日に実施された新型の大口径誘導ロケット弾の発射試験を指導したと報じた。
 北朝鮮は7月31日の05:06と05:27に元山付近から飛翔体を1発ずつを発射している。 韓国軍はこれをSRBMとしていたが、北朝鮮の発表が正しければ、BMではないことになる。
(1909-080101>1909-080101)

 韓国軍合同参謀本部が8月1日、北朝鮮が7月31日に発射した飛翔体を大口径誘導ロケット砲だと発表したが、韓国軍はSRBMだとする評価を変えていない。 韓国軍合同参謀本部の関係者は1日、この飛翔体について「現在のところ韓米情報当局は新たな形態の新型SRBMと類似した飛行特性を持っていると評価している」と述べた。
 韓国の軍事専門家の間では、射程が数百㌔に達する大口径ロケット弾の場合、誘導装置を搭載すれば一般的なSRBMと区別が難しいとの指摘もある。 (1909-080102>1909-080102)

 7月31日05:06と05:27に発射され高度30km、距離250kmを飛翔した2発は、KCNAが新型誘導ロケットと報じている。 (1909-080713>1909-080713)

8月2日: 装軌6連装 MRL からの発射

 韓国軍合同参謀本部が8月2日、北朝鮮が同日02:59と03:23に咸鏡南道永興付近から東側の日本海上に未詳の短距離飛翔体を1発ずつ発射したと発表した。
 北朝鮮による発射はこの1週間余りで3回目で、米韓両軍が詳しい分析を進めている。
 トランプ大統領は「問題ない。 ありふれた短距離ミサイルだ」と述べ、改めて問題視しない考えを示した。 (1909-080201>1909-080201)

 韓国軍合同参謀本部が8月2日、北朝鮮が同日未明に発射した飛翔体について、高度25kmで220kmを飛翔したと発表した。  最高速度はMach 6.9だったという。 (1909-080202>1909-080202)

 北朝鮮の朝鮮中央通信が8月3日、金委員長が2日未明に行われた新開発大口径誘導MLRの発射試験を再び視察したと報じた。
 同通信によると、試験は高度制御や軌道誘導、命中精度を検証する目的で実施され、高度制御水平飛行性能と軌道変則能力、目標への命中率、弾頭威力が十分と確認されという。 (1909-080301>1909-080301)

 北朝鮮の朝鮮中央通信が8月3日、金委員長が2日に行われた大口径誘導MLRの発射試験を再び視察したと報じた。

 2日に東部の咸鏡南道から発射した飛翔体を指しているとみられるが、米韓政府はこの飛翔体を新型のSRBMとみており意見が食い違っている。 (1909-080302>1909-080302) 【註】MLRだと見ることとSRBMだとすることは矛盾しない。  報道された写真では装軌式のTELに大型弾が3発搭載されていることから、多連装ロケット (MLR) と呼んでも間違いではない。 一方ロシアのIskander (SS-26) はTELに2発ずつ搭載されており、3発搭載の大型弾はSRBMと呼ばれても問題ない。
 ただ一般にMLRを搭載するTEL (MRL) は中・小径弾を6発から20発程度を搭載している。

 北朝鮮が8月2日02:59と03:23に2発のSRBMを日本海に向け発射した。 これで7月25日以来3回目の発射になる。 SRBMは最高速度Mach 6.9で高度25kmに達し220km飛翔した。 (1909-080713>1909-080713)

5・2・4・2・5 KN-25 600mm MLRの発射

8月24日: 装輪4連装 MRL からの発射

 韓国軍の合同参謀本部が8月24日、北朝鮮が同日早朝に北東部の咸鏡南道宣徳付近から日本海に向け、飛翔体を2発発射したと発表した。
 発射は今月に入り5回目で、今年9回目となる。 (1909-082402>1909-082402)
【註】今年の4月以降北朝鮮が行っている一連のSRBM発射は必ず2発ずつで、しかもかなり時間を空けて行っているのが特長である。
 2発の連続発射試験には、同一発射機から続けて発射する連射 (ripple firing) 試験または別々の発射機からほぼ同時に発射する斉射 (salvo firing) 試験が考えられ、いずれも発射の間隔は数秒以内であるはずなのに、一連の試験は数十分の間隔で行われている。

 韓国軍合同参謀本部が8月24日、北朝鮮が24日06:45頃と07:00時すぎに宣徳付近からSRBMと推定される飛翔体を日本海に向け発射したと発表した。 到達高度は97km、飛距離380km、最大速度はMach 6.5以上と確認された。
 到達高度97kmは北朝鮮が今年に入って9回発射した飛翔体の中で最も高く、韓国軍は「既存の飛翔体を高角発射した可能性がある」としながらも、別の種類である可能性も排除できないとしている。 (1909-082403>1909-082403)

 朝鮮中央通信が8月25日、北朝鮮が新たに開発した超大型多連装ロケット砲 (MRL) の試射に24日に成功し、金正恩朝鮮労働党委員長が指導したと報じた。 24日に日本海に向けて発射したBMを指すとみられる。
 北朝鮮は7月下旬以降の一連の飛翔体発射で、新開発の大口径操縦放射砲などを試射したとしたが、今回は別の種類の可能性がある。
 日本政府や韓国軍によると、北朝鮮は24日に徳付近からBM 2発を発射し、それぞれ400km、350km飛行した。 SRBMと推定され、高度は97km、速度はMach 6.5以上だった。 (1909-082502>1909-082502)

 朝鮮中央通信が8月25日、金委員長立ち会いの下、新たに開発した超大型放射砲(多連装ロケット砲 (MRL) )の初の発射試験が24日行われ成功したと報じた。
 24日朝に同国東部から日本海に向けて発射した飛翔体2発を指すとみられるが、日韓はSRBMと推定していた。 (1909-082501>1909-082501)
【註】「初の発射試験」と発表していることから、4月以来発射が繰り返されてきたMLR)やNK-23 SRBMとは別のロケット弾と見られる。

 北朝鮮国営朝鮮中央通信社 (KCNA) が8月25日、金委員長が24日に超大型多連装ロケット砲 (MRL) の発射試験を指揮したと報じた。
 韓国軍は24日に北朝鮮が同日朝にSRBMとみられる飛翔体2発を発射したと発表していた。
 KCNAが公表した写真には、8輪車両に搭載された大型の発射筒から発射される様子が写っている。 (1909-082504>1909-082504)
【註】先端に誘導用と見られる小さな十字翼があることから、米陸軍が無誘導のMLRS弾に誘導装置を付加したGMLRSと良く似ている。
 発射機に2列2弾で4発搭載されていることから、ロケット弾の胴径は400mm以上と見られる。

 北朝鮮が8月24日06:45と07:02に発射した今回のロケット砲が外見は先日発射した「大口径誘導ロケット砲」と類似で装輪式発射機に2列4本の発射管を装填し、北朝鮮は「世界にない新たな主体兵器」と主張しており、ある軍事専門家は400mmより大きな口径で以前とは完全に異なる兵器システムである可能性も排除できないと見ている。
 今回のロケット砲が以前と異なる兵器システムならば、北朝鮮が4種類の新兵器を開発したということになる。

新型戦術誘導兵器
新型大口径誘導ロケット砲
新しい兵器
超大型ロケット砲
 北朝鮮が当初から既存の300mm MLRを大口径誘導弾と超大型弾の二種類に改良しているのではないかとの分析もある。 (1909-082601>1909-082601)

 KCNAが8月25日、北朝鮮が24日に超大口径MRLを発射したと報じた。 KCNAが報じた画像で先端に4枚の小型翼を持つミサイルは8×8装輪TELから発射された。
 韓国軍連合参謀本部によると発射は06:45と07:02に行われ射距離380km、射高97km、最大速度Mach 6.5であった。
(1910-090406>1910-090406)

9月10日の発射

 韓国軍合同参謀本部が9月10日、北朝鮮が同日に中部、平安南道の内陸部から日本海側に向けて飛翔体を2回発射したと明らかにした。
 8月に実施された米韓合同軍事演習に反発してSRBMの発射などを繰り返してきた北朝鮮は、演習終了後も発射を継続しており、兵器開発を急いでいるとみられる。 (1910-091001>1910-091001)

 韓国軍合同参謀本部が9月10日、北朝鮮が同日06時:53と同07:12に平壌北方の价川から東に向け未詳の短距離飛翔体2発を発射したことを確認したと明らかにした。 飛翔体の最大飛行距離は330kmという。 (1910-091002>1910-091002)

 韓国軍合同参謀本部が9月10日、北朝鮮が同日06:53と07:12分に平壌北方の平安南道价川付近から東に向け未詳の短距離飛翔体2発を発射したと明らかにした。
 1発は330kmを飛翔し残りの1発の飛行距離はそれより短いとされている。
 韓国軍と米軍は飛翔体の正確な飛行距離や高度、速度などを分析しているが、飛翔距離などから、8月24日に発射した大口径MLRである可能性が高いと見ている。 今回の飛翔体の到達高度は40~60kmとされている。  7月31日と8月2日に発射した400mmと推定される大口径MLRは高度25~30km、飛距離220~250kmだったが、8月24日に発射した600mmと推定されるMLRは高度97km、飛距離380kmと分析されている。 (1910-091003>1910-091003)

 北朝鮮の朝鮮中央通信が9月11日、金委員長が10日に超大型MRLの試射を視察したと報じた。
 北朝鮮は10日朝に内陸部の平安南道价川付近から東方向に飛翔体2発を発射しており、これを指すとみられる。
 超大型MRLの試射は8月24日に続き2回目で、韓国軍によると最大330km飛翔し、1発は地上に落ちたとの韓国報道もある。 (1910-091101>1910-091101)

 国営朝鮮中央通信社 (KCNA) が9月11日、北朝鮮の金委員長が10日行われた超大型MRLの試射を指導したと報じた。
 KCNAによると、これまでも超大型MRLの発射試験を指導してきた金委員長は、戦闘作戦の観点から同ロケット砲の能力がついに確認できたと述べ、今後の課題は発射試験の実施だと指摘した。 どのような試験が必要とされているのかには触れていない。
 韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が米国との非核化協議再開に意欲を示した直後の10日朝に平安南道价川付近から東に向けて短距離飛翔体2発を発射したと発表していた。 (1910-091102>1910-091102)

 韓国軍が9月10日、北朝鮮の発射体挑発を発表する際、飛距離330kmだけを公表して到達高度については口を閉ざした。
 今回に先立ち5月4日から8月24日まで、9回行われた挑発のたびに頂点高度を発表し、一部の発表では発射体の最高速度まで公開していたのとは対照的である。
 このため韓国軍内外からは「最近北朝鮮の発射体についての情報判断で間違いが続いていたことから、そもそも情報を非公開にしているのではないか」という声が上がった。 実際、このところ韓国軍は北朝鮮のミサイル、MLRについて誤った飛行距離を公表したり、北朝鮮がMLRだと明かした発射体をSRBMと発表したりして、情報失敗という批判を受けてきた。 (1910-091105>1910-091105)
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┃    ┃          ┃数┃射 距 離┃ 高  度 ┃
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┃ 5月 4日┃   Iskander   ┃ 2┃  240km ┃  60km ┃
┃ 5月 9日┃   Iskander   ┃ 2┃ 420/270km┃ 45~50km┃
┃ 7月25日┃   Iskander   ┃ 2┃  600km ┃  50km ┃
┃ 7月31日┃    新型MRL   ┃ 2┃  250km ┃  30km ┃
┃ 8月 2日┃    新型MRL   ┃ 2┃  220km ┃  25km ┃
┃ 8月 6日┃   Iskander   ┃ 2┃  450km ┃  37km ┃
┃ 8月10日┃    ATACMS    ┃ 2┃  400km ┃  48km ┃
┃ 8月16日┃    ATACMS    ┃ 2┃  230km ┃  30km ┃
┃ 8月24日┃   超大型 MLR  ┃ 2┃  380km ┃  97km ┃
┃ 9月10日┃ATACMS or 超大型 MLR┃ 2┃  330km ┃ 50~60km┃
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 北朝鮮メディアが9月10日、金委員長の指導の下で再び超大型ロケット砲の試験射撃をしたと報じたが、以前の超大型ロケット砲発射発表の時とは違い「成功した」という言葉はなかった。 (1910-091106>1910-091106)

 北朝鮮国営メディアが9月11日、金委員長が10日に超大型MRLの試射を8月24日に続いて再び視察したと報じたが、飛翔体2発が発射されたが、うち1発は陸地に落下したと推定され、一部試射に失敗したとの見方が出ている。
 また北朝鮮メディアが4本の発射管を持つTELの写真を公開した際、蓋が開いた3本の発射管が写し出されており、発射を想定した3発のうち1発が不発だった可能性も指摘されている。 (1910-091107>1910-091107)

 北朝鮮国営KCNAが9月11日、前日に8月24日と同型の超大型MRLの発射試験を実施し、金委員長が最終性能確認試験と述べたと報じた。
 韓国合同参謀本部 (JCS) によると、この日の試験では06:53と07:12に発射されたミサイルは射距離330km、到達高度50~60kmを飛翔して日本海に落下したという。
 8月24日の際にJCSは、2発が発射され最高速度Mach 6.5で380kmを飛翔し到達高度は97kmであったとしていた。 (1911-091810>1911-091810)

10月31日の発射

 海上保安庁が、北朝鮮が10月31日午後にミサイルを発射したとの情報を出した。 (1911-103102>1911-103102)

 河野防衛相が10月31日、北朝鮮が発射したSRBMは2発で、飛距離は350~400km、高度は100kmとみていると明らかにした。 (1911-103103>1911-103103)

 韓国軍合同参謀本部が10月31日、北朝鮮が同日16:35と16:38に中部の平安南道順川付近から朝鮮半島東側の日本海上に未詳の短距離飛翔体を1発ずつ発射したと発表した。
 飛距離は370km、到達高度は90kmという。 北朝鮮の飛翔体発射は今月2日に元山の海上からSLBM 北極星-3を発射して以来で、今年に入って12回目となる。
 今回は陸上から海上に向けて発射していることからSLBMではなく、超大型MRLか新型TBMと見られるが、最初の発射から3分後に2発目が発射されたことから、MRLの連射実験の可能性が高いと専門家らは分析している。 (1911-103104>1911-103104)

 北朝鮮の国営メディアが11月1日朝、31日に超大型ロケット砲の発射試験に成功したと発表した。
 韓国軍は31日、北朝鮮が西部の平安南道順川付近から短距離の飛翔体を2発発射したと発表していて、北朝鮮の1日朝の発表はこの発射を指しているとみられる。 (1911-103105>1911-103105)

 北朝鮮が10月31日に2発のミサイルを日本海に向けて発射したが、韓国と日本の当局者は、狙いを米国との核協議への圧力とみている。
 韓国合同参謀本部は、ミサイルが370km飛翔し、高度90kmに達したと発表した。 日本政府は日本の領海内及びEEZ内への飛来はなかったとしている。 (1911-103109>1911-103109)

 河野防衛相が11月5日、北朝鮮が10月31日に発射したSRBMは、8月24日と9月10日に発射された新型ミサイルと同系統で米国がKN-25と呼ぶ4連装MLRとみられると明らかにした。
 北朝鮮は5月以降、12回にわたってミサイルの発射を繰り返しているが、防衛省は3種類の新型が含まれているとみている。 (1912-110504>1912-110504)

 北朝鮮のKCNAが11月1日、10月31日に超大型MRLの発射試験に成功したと報じた。 韓国合同参謀本部によるとミサイルは16:35と16:38に発射された。
 2019年になって12回目の発射となるこの日発射されたのは8月24日及び9月10日に発射されたのと同型と見られる。 (1912-110608>1912-110608)

11月28日の連射

 韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮が11月28日に飛翔体を発射した。 BMだったかどうかは明らかになっていない。 (1912-112806>1912-112806)

 防衛省が11月28日、北朝鮮が同日にBMとみられるものを発射したと発表した。
 日本の領域には飛来せず、排他的経済水域 (EEZ) 内にも落下しないとしている。
 防衛省関係者によると、BMとみられる飛翔体2発が同日16:59に北朝鮮の東岸から発射されたという。 (1912-112807>1912-112807)

 韓国軍合同参謀本部が11月28日、北朝鮮が同日16:59に咸鏡南道連浦付近から飛翔体2発を日本海に向けて発射したと発表した。
 飛距離は380kmで到達高度は97kmと探知した。
 北朝鮮によるミサイルなどの発射は10月31日に超大型MRLと称する事実上のSRBMを試射して以来で、2019年に入って5月以降13回目になる。 韓国軍は今回の2発も超大型MRLとの見方を示した。 (1912-112808>1912-112808)

 韓国軍合同参謀本部が11月28日、北朝鮮が同日16:59に咸鏡南道連浦から日本海に向け超大型MRLとみられるSRBM 2発を発射したと発表した。
 2発は30秒間隔で発射され、北朝鮮がこれまで3回行った試験発射で行わなかった連射に成功したものとみられる。 (1912-112809>1912-112809)

5・2・4・3 SLBM

5・2・4・3・1 搭載潜水艦の建造

 朝鮮日報が4月5日、北朝鮮が新浦の造船所でSLBM 3~4基を搭載可能と見られる3,000t級の新型潜水艦の建造を本格化させていると報じた。
 韓国軍高官は、新浦港に新型潜水艦建造に必要とみられる部品が大量に運び込まれたことを明らかにし、SLBMの試験発射のためのフローティングドック(バージ船)を沖に移す動きも把握されたと述べたという。 (1905-040504>1905-040504)

 北朝鮮の朝鮮中央通信が7月23日、金委員長が新たに建造した潜水艦を視察したと報じた。 近く日本海の作戦水域に配備されるとしている。
 SLBM搭載艦の可能性があり、本格運用されれば米韓や日本にとって北朝鮮の核戦力の脅威が増大する恐れがある。 (1908-072302>1908-072302)

 北朝鮮が7月23日に公開した新型潜水艦が旧ソ連のゴルフ型SLBM搭載潜水艦とよく似ていることから、同型の改造型ではないかとの評価が出ている。 公開された動画には艦橋や艦首部分などが比較的鮮明に映し出されていた。
 ゴルフ型は1950年代末から1990年代初めまで旧ソ連が配備していた在来動力潜水艦で、全長98.9m、排水量3,500tで、艦橋には3発のSLBMを搭載できる。 (1908-072503>1908-072503)

 朝鮮中央通信 (KCNA) が7月23日、金委員長が造船所を訪問したニュースで潜水艦の一部分を報じた。
 John Hopkins大学の38 Northは6月12日に、4月11日~5月5日に民間衛星が撮影した画像から、北朝鮮が別の新浦級SSBの建造を続けていると報告している。
 この潜水艦は北極星-1 SLBMの発射試験に使われると見られている。 北極星-1は2016年8月24日に500kmを飛翔している。 (1909-073101>1909-073101)

 米戦略国際問題研究所 (CSIS) が8月28日に最新の衛星写真に基づき、北朝鮮が新浦の造船所でSLBM搭載とみられる新型潜水艦を建造し発射試験の準備を進めている可能性があるとの分析結果を発表した。
 北朝鮮メディアは7月下旬に金委員長が新型潜水艦を視察したと報じ、近く日本海に配備されるとした。 (1909-082903>1909-082903)

 北朝鮮がSLBMを搭載する新型の潜水艦 (SSB) の進水準備を本格化させたとみられるという外信の報道が相次いでいる。 CNN TVは9月23日にPlanet Labs社が同日撮影した北朝鮮新浦造船所の衛星写真を基にSSBの進水が迫ったと言えると報じた。
 これに先立ちNHKも9月20日、新浦造船所の衛星写真を分析した結果、埠頭には北朝鮮の既存の潜水艦よりもはるかに大きい長さ100mの構造物が設置されているなど、一連の進水準備の動きが見られると報じた、北朝鮮が間もなくSSBを進水させる可能性が高まっていると分析している。 (1910-092501>1910-092501)

5・2・4・3・2 大規模地下要塞の建設

 北朝鮮がSLBM 3~4発を搭載可能な3,000t級潜水艦のため新浦沖の馬養島に大規模な地下施設を作っていることが9月22日までに分かった。
 韓国軍関係者が、北朝鮮は馬養島の潜水艦基地で要塞の現代化、地下化作業を進めており、島全体の潜水艦収容能力や防御能力を向上させようとする動きとみられると語った。 (1910-092401>1910-092401)
5・2・4・3・3 北極星-3 の発射

 韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮が10月2日に江原道元山の北方から日本海に向けて飛翔体を発射した。
 日本政府によると、北朝鮮からBMとみられるものが発射され、日本海の日本の排他的経済水域 (EEZ) への落下の可能性がある。 (1911-100201>1911-100201)

 菅官房長官が10月2日、北朝鮮が飛翔体2発を発射し「1発は島根県沖の排他的経済水域 (EEZ) 内に落下したとみられる」と発表した。 (1911-100202>1911-100202)

 韓国軍合同参謀本部が、北朝鮮が10月2日朝発射した飛翔体について北極星SLBMと見られると発表した。 飛翔体は元山近くの海上から発射され、到達高度は910km、飛距離は450km程度とみられ、米韓軍が詳しい情報の収集や分析を急いでいる。
 北朝鮮によるSLBMの発射が確認されれば、2016年8月以来となる。
 関係者によると、発射された2発のうち1発は島根県の島後から北寄りに370kmほど離れた日本のEEZ境界付近に落下したと推定されるという。 (1911-100203>1911-100203)

 北朝鮮によるBM発射について菅官房長官が2回目の記者会見で、BMは10月2日07:10に北朝鮮の東岸から東の方向に発射され、07:27ごろに島根県の島後沖の北約350kmの日本のEEZ内に落下したと推定されると発表した。
 飛距離は450km、到達高度900kmと推定されている。
 そのうえで菅官房長官は、1回目の会見で2発のBMが発射されたとしたが、現時点ではBM 1発が発射され、2つに分離して落下した可能性があると考えられており、詳細は現在分析中だと述べ、発射された弾数を修正した。 (1911-100204>1911-100204)

 北朝鮮が10月2日、東海岸付近から発射したBMはSLBMとみられ、特殊な軌道で飛距離を抑えたもようで450km飛行したが、日米韓の専門家らは、実際の射程は日本全域を攻撃可能な2,000kmに及ぶ恐れがあると分析している。
 過去に発射した射程1,000km以上のSLBM北極星を改良した新型の可能性があるという。
 ただ、CNNは米政府当局者の話として、発射は潜水艦からではなく沖合の海中に設けた発射台から発射したと報じている。 (1911-100207>1911-100207)

 北朝鮮の国営メディアが10月3日朝、2日に日本海で北極星-3 SLBMの発射試験に成功したと発表した。
 韓国軍は2日に北朝鮮が元山沖の海上からSLBMとみられる飛翔体を発射したと発表していて、北朝鮮の3日朝の発表はこの発射を指しているとみられる。
 一方、金委員長がこれを祝ったと伝えたものの、委員長本人が立ち会ったかどうかは明らかにしていない。 (1911-100301>1911-100301)

 北極星-3は射程2,000km以上と推定されているが、韓国軍当局は北朝鮮は射程を3,000km以上に伸ばす改良作業を続けているとみている。
 理論上、北の3,000t級新型潜水艦は、米国本土から2,000kmほど離れた沿岸進出してSLBMを撃った後、帰投することができる。 (1911-100402>1911-100402)

 米議会調査局が10月9日に発簡した報告書(註:Defense Primer: Ballistic Missile Defense)で、北朝鮮の弾道弾が中、露、イランと共に最も憂慮すべき脅威になっていると警告している。 それによると北朝鮮は韓国を射程に収めるSRBMを数百発、日本と米軍基地を射程に入れるMRBMを数十基保有し、ICBMの開発も行っている。
 更に10月2日には発射試験を行った射距離450km、到達高度910kmのSLBMは2,000kmの射程を有するとみられる。 (1912-102313>1912-102313)

 北朝鮮が10月2日、東海岸付近から発射したBMはSLBMとみられ、特殊な軌道で飛距離を抑えたもようで450km飛行したが、日米韓の専門家らは、実際の射程は日本全域を攻撃可能な2,000kmに及ぶ恐れがあると分析している。
 過去に発射した射程1,000km以上のSLBM北極星を改良した新型の可能性があるという。
 ただ、CNNは米政府当局者の話として、発射は潜水艦からではなく沖合の海中に設けた発射台から発射したと報じている。 (1911-100207>1911-100207)

 北朝鮮の国営メディアが10月3日朝、2日に日本海で北極星-3 SLBMの発射試験に成功したと発表した。
 韓国軍は2日に北朝鮮が元山沖の海上からSLBMとみられる飛翔体を発射したと発表していて、北朝鮮の3日朝の発表はこの発射を指しているとみられる。
 一方、金委員長がこれを祝ったと伝えたものの、委員長本人が立ち会ったかどうかは明らかにしていない。 (1911-100301>1911-100301)

 北朝鮮が10月3日、前日に北極星-3 SLBMの発射試験に成功したと発表した。 韓国合同参謀本部によると北極星-3は07:11に発射され飛距離450km、到達高度910kmであったという。
 防衛省によると火星-3は隠岐諸島北方350kmの日本のEEZ内に着弾した。 (1912-100902>1912-100902)

 米議会調査局が10月9日に発簡した報告書Defense Primer: Ballistic Missile Defenseで、北朝鮮の弾道弾が中、露、イランと共に最も憂慮すべき脅威になっていると警告している。
 それによると北朝鮮は韓国を射程に収めるSRBMを数百発、日本と米軍基地を射程に入れるMRBMを数十基保有し、ICBMの開発も行っている。
 更に10月2日には発射試験を行った射距離450km、到達高度910kmのSLBMは2,000kmの射程を有するとみられる。 (12-102313>12-102313)

5・2・4・3・4 更なる SLBM 開発

北極星-3 の射程延伸計画

 北極星-3は射程2,000km以上と推定されているが、韓国軍当局は北朝鮮は射程を3,000km以上に伸ばす改良作業を続けているとみている。
 理論上、北の3,000t級新型潜水艦は、米国本土から2,000kmほど離れた沿岸進出してSLBMを撃った後、帰投することができる。 (1911-100402>1911-100402)

SLBM 試験用バージ船周辺での動き

 北朝鮮の南浦造船所にあるSLBM試験用バージ船周辺にトラックや作業員が集まっている様子が衛星写真に撮影された。
 米国の戦略国際問題研究所 (CSIS) が公表した衛星写真を見ると、試験用バージ船の上にあった網のような物体が一部撤去され、周辺には小型トラックや数人の作業員が立っている様子が撮影された。 (2001-121603>2001-121603)

5・2・4・4 ICBM / IRBM

ICBM 級3種類を保有

 在韓米軍司令部が7月11日に公表した「在韓米軍2019戦略ダイジェスト」で、北朝鮮は現在、火星-13と火星-14、火星-15という3種類のICBM級ミサイルを保有しており、射程はそれぞれ5,500km (3,418哩) 以上、6,250哩、8,000哩と推定され、火星-15は米国本土の全域を攻撃する能力を備えているとの公式見解を初めて示した。 (1908-071103>1908-071103)

 在韓米軍司令部が国連軍司令部及び統合軍司令部と共同で作成した2019 Strategic Digestで、北朝鮮が2017年11月29日に発射した火星-15 ICBMは射程が8,000哩 (12,875km) と推定され、米本土のいかなる地点へも到達可能であるとした。
 また火星-14 ICBMの射程は6,250哩、火星-13 ICBMは3,418哩以上、火星-12 IRBMは4,350哩と見積もっている。 (1908-071711>1908-071711)

火星-15 ICBM は多弾頭の可能性

 韓国国防部傘下の韓国国防研究院 (KIDA) が12月13日に出した報告書「2020国防政策環境展望および課題」で、北朝鮮の多弾頭ICBM開発の可能性に言及した。
 以前から軍事専門家は、北朝鮮が2017年11月に発射した火星-15 ICBMは弾頭部が丸くて短い点を根拠に多弾頭化の可能性を提起したが、国防部、合同参謀本部、KIDAなどは明確な立場を表しておらず、政府の軍関連機関が北朝鮮ICBMの多弾頭化に言及したのは今回が初めてである。 (2001-121602>2001-121602)

5・2・4・5 BM 発射に対する関係国の対応

5・2・4・5・1 BM 発射に対する韓国の対応

 韓国国防省が5月5日、北朝鮮が4日に発射した飛翔体に関するこれまでの分析結果から、新型戦術誘導兵器を含め240mm、300mmのMLR多数を発射したと発表した。
 ただ、新型戦術誘導兵器が国連制裁決議に抵触するBMかどうかについては触れなかった。 (1906-050504>1906-050504)

 北朝鮮が5月9日に発射した飛翔体は、5日前に発射した戦術誘導兵器と、発射方式や弾体の形が同じであることが分かった。 相当数の軍事専門家は、当時この飛翔体を北朝鮮版Iskander SRBMと推定している。
 韓国合同参謀本部は10日、この発射体に対する評価を短距離ミサイル「推定」から「判断」へ修正したが、このミサイルがBMなのか否かについては、飛行特性と発射角度、射的距離、速度に対する追加分析が必要だとし慎重な態度を見せた。 (1906-051102>1906-051102)

 韓国国防部と国家情報院は、北朝鮮が5月4日と9日に発射した短距離ミサイルがBMと明示しておらず、これまで目にしなかった新型兵器なのでさらに分析が必要としている。
 しかし軍内外ではこのミサイルを2018年2月の北朝鮮軍創建70年記念式で初めて公開された新型固体燃料BMと見ている。 米韓情報当局は、このミサイルをKN-21と呼び動きを注視してきたという。
 北朝鮮は2018年、試作品を公開したあと1年かけて誘導装置や推進装置などを改良して信頼度を高め、金委員長が見るなか発射試験を強行したと見られる。 (1906-051303>1906-051303)

 韓国大統領府当局者が5月27日、ボルトン米大統領補佐官が北朝鮮のSRBM発射を国連安保理決議違反と批判したことについて、米韓軍は依然としてミサイルの種類などについて分析中だと、BMとはまだ断定していないという立場を強調した。 (1906-052703>1906-052703)

 韓国の政府高官が6月2日、米韓軍と情報当局は北朝鮮が5月4日に発射した飛翔体を短距離ミサイルと結論付けたことを明らかにした。 北朝鮮が4日と9日に発射した短距離ミサイルは同種類だが、BMかどうかやロシア製Iskander SRBMとの類似性などについては引き続き分析を進めることにした。
 また、韓国政府の消息筋は北朝鮮が5月4日と9日に発射したミサイルは同じ種類だとしたが、短距離ミサイルの高度が低く、射程もScud B(射程300km)やScud C(同500km)より短かったため、BMかどうかについては分析中との立場を維持することにしたという。 (1907-060202>1907-060202)

5・2・4・5・2 BM 発射に対する米国の対応

米政府の対応

 ボルトン米大統領補佐官が5月25日に都内で、北朝鮮による5月上旬のSRBM発射は国連安保理の決議違反だと語った。 ボルトン補佐官はまた、発射されたのは米軍がKN-23と名付けた新型のSRBMであるとの認識を明らかにした。
 トランプ政権高官がミサイル発射を安保理決議違反だと公式に明言したのは初めてである。
 問題のミサイルについては国防総省が9日の声明で、複数の弾道BMだったと断定したものの、トランプ大統領は10日に、北朝鮮が信頼を破ったとは思っていないと述べ、問題視しない考えを示していた。 (1906-052504>1906-052504)

 トランプ米大統領が日米首脳会談後の記者会見で、北朝鮮による5月の短距離ミサイル発射が国連の安保理決議に違反すると思わないとの見方を示した。
 一方、安倍首相は共同記者会見で、北朝鮮が発射した短距離ミサイルに関し安保理決議に違反し極めて遺憾だと語った。 (1906-052704>1906-052704)

 シャナハン米国防長官代行が外遊先のインドネシアに向かう機中で5月29日、北朝鮮が発射したのは短距離ミサイルであり安保理決議違反だと明言し、ミサイル発射を問題視しない構えを見せたトランプ大統領や決議違反かどうか明言を避けた国務省とは一線を画した。
 一方でシャナハン代行は、米政権幹部はまだ朝鮮半島の完全な非核化という目標で一致しており、これは揺るがないと述べ、政権内部の方向性にずれはないと強調した。 (1906-053002>1906-053002)

 ポンペオ米国務長官がFOXニュースとのインタビューで6月3日、5月4日と9日に北朝鮮が発射した短距離ミサイルを初めて国連安全保障理事会の決議を明らかに違反したとみえるとの見解を明らかにした。 (1907-060501>1907-060501)

 米議会調査局 (CRS) が6月6日に公開した報告書「北朝鮮の核と弾道ミサイル」で、5月4日と9日に北朝鮮が発射した飛翔体3発をKN-23 SRBMと断定し、発射目的は、固体燃料と誘導装置の性能改良による迎撃システムの無力化と分析した。
 米軍に続き米議会も北朝鮮の挑発が攻撃用BMと規定したが、韓国軍は依然として分析中だと沈黙を守っている。 (1907-061203>1907-061203)

 北朝鮮が最近行っているBM発射について、英独仏が8月1日に国連の制裁決議違反と非難した。
 これについてポンペイオ米国務長官は、北朝鮮との協議は続けると述べている。 1909-080107>1909-080107)

米軍の対応

 米空軍の偵察機が次々と日本に集まっており、これら偵察機の活動も増えている。 7月25日以降4回もミサイルを発射した北朝鮮の動向を監視する目的と考えられる。
 航空機の飛行をモニタリングするエアクラフトスポットによると、8月6日にWC-135W 1機が嘉手納基地を離れて横田基地に移動した。
 空中の放射性物質を採取するWC-135Wは北朝鮮が核実験を実施するたびに日本に展開して朝鮮半島周辺を飛行した。
 6月9日に嘉手納基地に飛来したRC-135S Cobra BallはEO装置で遠距離からBMの軌跡を把握できる。
 5日にはグアムのAndersen AFBからRQ-4B Global Hawk 2機が横田基地に到着した。 (1909-080805>1909-080805)

偵察飛行の活発化

 民間の航空追跡サイトAircraft Spotによると、北朝鮮が超大型MRLの連続発射試験を行った2日後の11月30日に、米軍のU-2Sがソウルなどの首都圏や江原道、忠清道の上空を飛行していた。
 今回の飛行は北朝鮮の追加挑発の動向を把握するためとみられる。
 北朝鮮が先月25日に黄海上の軍事境界線にあたる北方限界線 (NLL) 付近で海岸砲を発射した際には、同27~28日にRC-135V、E-8Cの米偵察機が朝鮮半島上空を飛行している。 (2001-120101>2001-120101)

 米軍が偵察機を投入して北朝鮮に対する監視を強化しており、12月3日にはE-8C JSTARSやRC-135U Combat Sentが朝鮮半島上空を、また2日にはRC-135W Revet Joint、先月30日にはU-2S Dragon Ladyが北朝鮮の動きを監視している。 (2001-120503>2001-120503)

 軍用機追跡サイトAircraft Spotによると、12月6日午前に米空軍のRC-135S Cobra Ball 1機が沖縄の嘉手納基地を離陸して日本海に向かった。
 Cobra BallはBMの電子信号と軌跡を追跡することに特化した偵察機で、3機だけ保有する米国の核心偵察システムである。
 米国は、北朝鮮の東倉里で新たな活動が確認されたことからCobra Ballを投入して対北朝鮮監視に入ったと見られる。 (2001-120605>2001-120605)

B-52 の日本海上空飛行

 米空軍のB-52Hが空中給油機から給油を受け日本の周辺を飛行したことが、12月11日に民間の航空追跡サイトAircraft Spotの情報で分かった。
 南北間の軍事的緊張が高まった時期には米韓合同軍事演習などに合わせ朝鮮半島周辺に頻繁に飛来したが、米朝間の対話が始まって以降、周辺を飛行する回数は減ったとされている。 (2001-121103>2001-121103)

斬首作戦の訓練画像を公開

 米国防総省が、在韓米軍特殊部隊が11月に韓国軍特殊部隊と、北朝鮮の朝鮮人民軍基地を攻撃して敵軍幹部らを生け捕りにするいわゆる斬首作戦の訓練を撮影した写真を公開した。
 米韓軍特殊部隊はこのような合同訓練を過去にも何度か行ってきたが、今回は異例にも訓練の様子を公開したのは、クリスマス挑発を示唆した北朝鮮に対し、軍事面で強い警告のメッセージを送るためと見られる。 (2001-122302>2001-122302)

5・2・4・5・3 韓国の反応

 韓国の鄭国防長官が12月4日、北朝鮮が軍事活動を強化しておりこれを韓国軍は注視していると述べた。
 北朝鮮が近くミサイル発射などの挑発に乗り出す可能性が高いと予想しているようである。 (2001-120503>2001-120503)
5・2・5 生物化学兵器

 (特記すべき記事なし)
5・2・6 懸念されるその他の兵器

5・2・6・1 焦土化と称する特別兵器

 朝鮮中央通信が北朝鮮外務省の米国研究所政策研究室長の7月11日の談話として、韓国がF-35Aの配備を進めていることを批判し、韓国に増強される殺人装備を焦土化する特別兵器の開発と試験を行わざるを得なくなったと警告したと報じた。
 米朝対話が再始動する中でも、新兵器開発を続ける立場を正当化している。 (1908-071104>1908-071104)
5・2・6・2 UAV / CM

 サウジアラビアの石油関連施設がUAVによる攻撃で大きな損害が発生したことを受け、韓国軍も対策に乗り出した。 北朝鮮もレーダ探知が難しい小型UAVはもちろん、長距離の攻撃能力を持つ自爆型UCAVの配備を進めている。
 韓国国防部と合同参謀本部によると、2014年に京畿道坡州市、ペンニョン島、江原道三陟市で墜落した北朝鮮の小型UAV 3機を復元して実験を行ったところ、3~4kgの爆弾は搭載できないが、400~900g程度の手榴弾なら1個は運べる性能があることをすでに確認しているという。
 しかし北朝鮮は小型UAVの性能向上にも取り組んできたため、今では3~4kgほどの爆弾を搭載し、韓国の主要施設に衝突させ自爆攻撃ができる能力をすでに確保した可能性も高いようである。 (1910-091703>1910-091703)
5・2・7 サイバ攻撃

5・2・7・1 サイバ攻撃による資金略取

 対北朝鮮制裁決議の履行状況を調べる国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会の専門家パネルの年次報告書が3月12日に正式に公表された。
 報告書は北朝鮮の核やミサイル開発は無傷のままだとしたうえで、製造施設の攻撃に備えて工場や非軍事施設を繰り返し利用していることや、日本を含む仮想通貨を標的とするサイバ攻撃を活発化させ、約630億円を盗んだと報告している。 (1904-031307>1904-031307)

 ロイタ通信が5日、国連安保理で北朝鮮制裁決議の履行状況を監視する専門家パネルが、北朝鮮が銀行や暗号資産(仮想通貨)取引業者に対するサイバ攻撃を仕掛け、これまでに最大で$2Bを得た可能性があるとする中間報告書をまとめたと報じた。
 資金は、核兵器など大量破壊兵器の資金源になっているという。 (1909-080702>1909-080702)

 米財務省が9月13日、北朝鮮が行ったとされる身代金要求型ウイルスWannaCryによるサイバ攻撃に関与したとして、北朝鮮政府が支援するハッカ集団Lazarus、Bluenoroff、Andarielの3集団を制裁対象に指定した。
 財務省によると、Lazarusは2017年に米国のほか、オーストラリアやカナダ、ニュージーランド、英国などでWannaCryを使ったサイバ攻撃に関与し、影響は少なくとも150ヵ国に及んだ。 また2014年には、ソニーの米子会社Sony Pictures Entertainmentにもサイバ攻撃を仕掛けたという。
 BluenoroffはLazarusと連携し、バングラデシュ中銀から$80Mを盗み出したとされている。 またAndarielは銀行のカード情報などを盗み出し現金を引き出したり、個人情報を不正に売却していたとみられる。 (1910-091402>1910-091402)

5・2・7・2 サイバ攻撃による情報略取

韓国から「韓米連合作戦計画5015」などの軍事機密

 2016年に外部と分離された韓国の国防ネットワークから「韓米連合作戦計画5015」など軍事機密が大量に流出したハッキング事件は、北朝鮮のハッキンググループAndarielによるものだったことが明らかになった。
 米財務省は9月13日に、Andarielなど北韓の3つのハッキンググループに対する制裁を発表し、こうした事実を公表した。 (1910-091602>1910-091602)

インドから原子力発電所情報

 インドの原子力発電所がサイバ攻撃を受けたことが31日までに分かった。
 情報を抜き取る狙いでつくられたマルウエアが原発のパソコンで検出されたと、国営企業のインド原子力発電公社が認めた。
 地元紙は北朝鮮のハッカー集団ラザルスが関与したとの専門家の見方を報じた。 (1912-110101>1912-110101)

5・2・7・3 サイバ攻撃による破壊活動

 (特記すべき記事なし)
5・2・8 黄海 NLL 付近での動き

咸朴島に日本製レーダー設置

 北朝鮮が黄海北方限界線 (NLL) 近くの咸朴島に探知距離30~60kmの日本製レーダを設置したことが4日までに分かった。
 咸朴島から60km以内には仁川国際空港、江華島、仁川港などがあり、仁川沖合全体が事実上、北朝鮮軍のレーダ探知圏内に入ったことになる。 (1910-090501>1910-090501)

5・2・9 国連決議違反

5・2・9・1 繰り返す瀬取

 国連安全保理の専門家パネルが、北朝鮮に対する制裁決議の実施状況を調べて毎年まとめている報告書で、2018年1月から8月までに少なくとも148回の瀬取りを行って、決議が定める上限の年間50万バレルを超える石油製品を輸入したとしている。 また、石炭や銑鉄の輸出を全面的に禁止されているにもかかわらず、ロシアの極東の港を経由して、ロシア産と偽って合わせて$5.58M分を輸出したとしている。
 報告書はさらに、寧辺の核施設が2018年1月から11月まで稼働していたことを示す排水を確認したほか、平山のウラン鉱山では採掘が行われていたとして、北朝鮮は核開発を続けていると分析している。 (1902-013005>1902-013005)
5・2・9・2 瀬取の監視

5・2・9・2・1 わが国の活動

 外務省が3月28日、東シナ海の公海上で北朝鮮が瀬取りをした疑いがあると公表した。
 瀬取りの疑いを公表するのは11件目で、海上自衛隊の補給艦が2日未明に船籍不明の船舶が北朝鮮船籍のタンカーに横付けし、ホースを接続していた様子を確認した。
 国連安全保障理事会の制裁決議違反の可能性が高いとみて、国連に通報した。 (1904-032806>1904-032806)
5・2・9・2・2 列国の活動

米沿岸警備隊

 米国沿岸警備隊が北朝鮮船の瀬取り取り締まりのため日本に派遣された。
 米インド太平洋司令部が3月19日、米沿岸警備隊の警備艦Bertholfが3日に第7艦隊の基地がある佐世保に到着したと明らかにした。 Bertholfは1月20日に母港のカリフォルニア州アラメダを出発していた。  2006年11月に就役したBertholfは4,500tで速力28+kt、高速距離12,000nmで、57mm機関砲1門、20mm CIWS 1基、Cal.50機関銃4丁、7.62mm機関銃4丁を装備し、ヘリ2機またはUAV 4機を搭載できる。 (1904-032002>1904-032002)

 4月15日に米沿岸警備隊警備艦として17年ぶりに香港に寄港した警備艦Bertholfが東シナ海に入り北朝鮮による瀬取の監視にあたったが、中国海軍が行動を妨害した。 また3月には警備艦Wilburが駆逐艦と共に台湾海峡を通過している。
 警備艦Bertholfは1月にカリフォルニア州Alamedaを出航してアジア太平洋海域に向かった。 警備艦は国土安全保障省隷下の沿岸警備隊に所属するが、行動中は海軍第7艦隊の統制下に入っている。 (1905-042004>1905-042004)
【註】記事の写真には、AN/SLQ-32 ECM装置と見られる構造物が写っている。
 警備艦Bertholfは57mm砲1門のほかPhalanx 20mm CIWS 1基も装備している。

 米国沿岸警備隊が10月24日、警備艦Strattonが9月から10月初めまでにかけて黄海で北の瀬取りの取締りの哨戒を実施したと発表した。 (1911-102601>1911-102601)

英 国

 北朝鮮の瀬取りの警戒監視活動に参加するため、日本を訪れていた英海軍のType 23フリゲート艦Montroseが3月14日に晴海ふ頭を出港した。
 瀬取りの警戒監視活動に参加する英海軍艦としては、2018年4月のフリゲート艦Southerland、8月の揚陸艦Albion、12月のフリゲート艦Argyllに続く4隻目になる。 (1904-031403>1904-031403)

フランス

 米軍嘉手納基地に3月13日17:40頃、フランス海軍の哨戒機1機が飛来した。
 防衛省は、北朝鮮の瀬取りを阻止するため、米国に加えて3月中旬から嘉手納基地を拠点にフランスが哨戒機での警戒監視活動を実施すると発表していた。 (1904-031404>1904-031404)

カナダ

 カナダとオーストラリアが国連安保理決議で禁止されている北朝鮮が行う瀬取りの警戒監視活動に参加することになった。 カナダは海軍は8月下旬にフリゲート艦を東シナ海などに派遣する。
 岩屋毅防衛相は22日の閣議後の記者会見で「取り組みを歓迎する」と述べた。 (1909-082204>1909-082204)

 カナダ海軍のフリゲート艦Ottawaが北朝鮮への国連制裁任務や洋上訓練のため、海上自衛隊舞鶴基地北吸桟橋に入港した。 27日に出港し韓国やタイに寄港したのち10月に横須賀で行われる観艦式に参加する。
 Ottawaは全長134m、排水量5,000tで、今月上旬にカナダ西海岸の母港を出発しアラスカで補給のち、舞鶴に入港した。 (1909-082506>1909-082506)

オーストラリア

 カナダとオーストラリアが国連安保理決議で禁止されている北朝鮮が行う瀬取りの警戒監視活動に参加することになった。 オーストラリアは9月上旬以降航空機を使って警戒監視にあたる。
 岩屋毅防衛相は22日の閣議後の記者会見で「取り組みを歓迎する」と述べた。 (1909-082204>1909-082204)

 オーストラリアのレイノルド国防相が10月24日、北朝鮮に対する国連安保理制裁の実施を支援するためAnzac級フリゲート艦Parramattaを東アジア全域で活動させると発表した。 (1911-102405>1911-102405)

5・2・9・3 武器輸出

 国連安保理の専門家パネルが3月5日に報告書で、北朝鮮は安保理決議に違反して小火器やその他の武器を仲介国を経てイエメンのフーシ派、スーダン、リビアなどに輸出していると指摘した。
 輸出されているのはAK突撃銃、PKG重機関銃、RPG-7、RPG-29のほか9K111 Fagot、9K111 Fagot ATGMや9K38 Igla MANPADなどのミサイルも含まれている。 (1905-032001>1905-032001)
5・3 韓 国

5・3・1 国内情勢

5・3・1・1 2018年版国防白書における文政権の基本方針

 韓国国防部が1月15日、2018年版の国防白書を刊行したと発表した。 2018年版からは「北朝鮮は敵」という文言が削除され、Kill Chainや大量反撃報復(KMPR)などの用語も消えた。
 兵力については、現在599,000名の常備兵力を2022年までに500,000名に削減する。 陸軍が464,000から365,000に、海軍、空軍、海兵隊は現在の規模が維持される。 (1902-011502>1902-011502)
5・3・1・2 軍の改編

5・3・1・2・1 陸戦司令部 (GOC) が正式発足

 韓国陸軍に新たな組織である陸戦司令部 (GOC) が1月8日に正式に発足し、司令官には第3軍団司令官であった金大将が任命された。
 これは韓国政府のDefense Reform 2.0計画に基づくものでGOCは第1軍及び第3軍を隷下に置く。 (1902-010805>1902-010805)
5・3・1・2・2 戦略軍司令部創設の大統領選挙公約を撤回

 文大統領が大統領選挙で公約にした戦略軍司令部の創設がなくなった。  韓国国防部が2月11日に「戦略軍司令部の創設を推進するのか」という中央日報の質問に対し「戦略軍司令部を創設しないことにし、代案を準備している」という立場を明らかにした。
 戦略軍司令部は北朝鮮の核やミサイルの脅威に対抗するため、有事の際、北朝鮮の指揮部とミサイルを打撃する任務を担う予定だったが、南北関係の変化が戦略軍司令部の創設に影響を及ぼしたという見方が出ている。 (1903-021202>1903-021202)
5・3・1・3 陸軍の削減

 韓国陸軍が10月11日に国会に対し、2022年までに100,000名の兵力を削減し365,000名にすると報告した。
 聯合ニュースは国勢調査結果を引用し、低出生率から20歳台男性の数が2018年の350,000から2022年には250,000以下になると報じている。 (1911-101105>1911-101105)

 韓国政府が11月21日に李首相の主宰で国政懸案点検調整会議を開き、兵役代替服務制度の改善計画を確定し発表した。
 計画は、少子化に伴う2020年代前半以降の兵役対象者の不足が見込まれるため、2022年から2026年までの5年間かけて代替服務要員を1,300名削減することが骨子となっている。 (1912-112105>1912-112105)

5・3・2 国防予算

5・3・2・1 中期計画

 韓国国防部が1月11日、2019~2023年国防中期計画を発表した。
 同期間に投入予定の国防費は総額KRW27.7T(26兆2,000億円)で、内訳は自主国防に向けた兵器システムの戦力化事業などに充てる防衛力改善費がKRW94.1T、人件費を含む戦力運営費がKRW176.6Tになる。
 各年の国防費は2019年がKRW46.7T、2020年がKRW503.T、2021年がKRW54.1T、2022年がKRW57.8、2023年がKRW61.8Tと策定され、同期間の年平均の国防費増加率は前年比7.5%と、直近10年間の年平均増加率4.9%を大きく上回る。 (1902-011102>1902-011102)
【註】同じ5年間の我が国の中期防は、総額を総額27兆4,700億円としながらも、実際の各年度予算では25兆5,000億円に抑制するとしている。 また防衛費の伸び率も韓国が年平均7.5%としているのに対し、平成31年度の政府原案では1.3%増に過ぎない。
 このことから、今後5年以内に我が国の防衛費は韓国に抜かれ、その後もリードを広げられると見られる。

 韓国国防相が1月11日、2019~2023年5ヵ年間の国防支出計画を公表した。 総額はKRW370.7T ($242B) で、過去10年間の平均上昇率が4.9%であったのに対し7.5%増となっている。 初年度にあたる2019年はKRW46.7Tと前年比8.2%である。
 研究開発費にはKRW21.9Tが配当されており、国防費全体に占める研究開発費の割合が2019年には6.9%であるのが2023年には8.5%までに増える。 (1903-012308>1903-012308)

 韓国国防省が8月15日、2020~2024年の国防支出計画を公表した。 5年間の総額は$240Bで、年間上昇率は7%になる。 そのうちの装備改善費は年10.3%の増額になる。
 特にKAMDの能力向上ではBMEWRレーダを更に2基増強すると共に、Aegis駆逐艦を3隻新たに建造する。
 またPatriotと天弓ⅡSAM (KM-SAM) の改良の改良を行うと共に長距離SAM LSAMの開発を継続する。
 韓国はドイツから購入した中古のPAC-2数個大隊を保有しているほか、$53MのFMS契約で2パルスロケット推進のPAC-3 MSEを発注している。 (1909-081405>1909-081405)

5・3・2・2 増大する2020年の国防費

 韓国経済財務省が6月14日、2020年の国防費要求をKRW50.4T ($42.5B) とすると発表した。
 これは2019年の8%増になる。 (1908-062617>1908-062617)

 韓国国防部が7月3日、2020年度(1~12月)の国防予算として前年比8%増のKRW50.4330T(4兆6,400億円)を国会に要求すると、国会国防委員会に報告した。 国会で認められれば、国防費が初めてKRW50Tを超えることになる。
 このうち防衛力改善費がKRW16.8028T(9.3%増)、戦力運営費がKRW33.6302T(7.4%増)となっている。 (1908-070301>1908-070301)

 韓国国防省が2020年の国防費に、前年度比8%増のKRW50.4T ($43B) を要求した。
 このうちKRW16.8Tが軍近代化費で、そのなかで装備等調達費が7%増、R&D費が9%増になっている。 (1908-071011>1908-071011)

 韓国国防省が8月29日、2020年度予算案を発表した。 前年度比7.4%増の約50兆1,500億ウォン(4兆3,700億円)で、初めて50兆ウォンを突破した。
 自主国防を掲げる文在寅政権が2017年5月に発足して以降、国防費は急速に拡大しており、新型SRBMなどを相次いで発射する北朝鮮に対し、弱腰との批判が上がるのを避ける狙いもあるとみられる。 (1909-082904>1909-082904)

 韓国国防省が8月29日、2020年国防予算に7月上旬の発表をKRW50.4T下回るKRW50.13T ($41.3B) を要求すると発表した。 2019年を7.4%上回る。
 予算要求では部隊運用費に2019年を6.8%上回るKRW33.46T、軍近代化経費に8.6%増のKRW16.69Tが計上されている。 (1911-091103>1911-091103)

 韓国国会が12月10日の本会議で、2020年度(1~12月)予算案を可決した。 国防予算は政府案と同じ2019年度比7.4%増のKRW501.527T(4兆5,700億円)となり、初めてKRW50Tを上回った。
 内訳は防衛力改善費が前9年度比8.5%増のKRW16.6804T、兵力運営費と戦力維持費を合わせた戦力運営費が6.9%増のKRW33.4723Tで、国会の審議段階で防衛力改善費は一部事業でKRW167.1Bが減額され、別の事業でKRW156Bが増額されたた結果、最終的に政府案に比べKRW11.1Bの減額となった。 (2001-121102>2001-121102)

5・3・3 軍備増強

5・3・3・1 ミサイル防衛

EL/M-2080 Green Pine Block-C

 韓国DAPAが2018年11月27日、Elta社にEL/M-2080 Green Pineレーダ2基を追加発注したと発表した。 納期は2020年代初期になる。
 この2基はBlock-C型で、契約額はKRW330B ($292M) と言う。
 韓国は2012年にもGreeb Pineレーダ2基を$200Mで発注しているが、これはBlock-Bで、Block-Cは捕捉距離が伸び、追随システムが向上している。 (1902-120508>1902-120508)

5・3・3・2 艦船の建造

KDX-3 駆逐艦の2次建造分

 韓国DAPAが2018年12月7日、KDX-3駆逐艦の2次建造分3隻にSM-2MR Block ⅢBを装備することにしたと発表した。 この3隻は2023~2027年に就役する。
 米国防総省は10月30日に韓国にAegis Combat System Baseline K2を$365.7MのFMSで売却すると発表している。
 2008~2012年に就役した3隻のKDX-3はAegis Baseline 7.1を装備している。 (1902-121907>1902-121907)

 韓国現代重工 (HHI) が10月10日、3隻建造されるKDX-Ⅲ第二次生産分一番艦をKRW676.6B ($573.5M) で受注したと発表した。
 二次生産分のKDX-Ⅲは一次生産分より全長が4m長い170mで、幅21m、排水量8,100tである。 Aegis Combat SystemはBaseline K2で、SM-2MR (RIM-66M-5) を装備する。 (1912-102315>1912-102315)

KDDX 駆逐艦

 韓国DAPAが2018年12月26日に、6隻建造する次世代駆逐艦KDDX計画を承認した。
 KRW1.8T ($1.59B) のKDDXは2020年末までに開発を開始し、6隻を2030年代中頃から末までに就役させる計画である。
 KDDXは全長155m、全幅18.8m、排水量8,000tで、中型ヘリ1機を搭載する。 (1902-010915>1902-010915)

 現代重工業が10月10日、韓国海軍の次世代Aegis駆逐艦を建造すると発表した。 今回、現代重工業が建造するのは、海軍が導入する次世代Aegis艦3隻の1隻目で、蔚山造船所で建造し2024年11月に引き渡す。
 新型Aegis艦は全長170m、全幅21m、排水量8,100t、速力30ktで、既存のAegis艦と比べるとBMD能力と対潜水艦作戦遂行能力が改善される。
 現代重工業は、BMの探知追跡などの能力は2倍以上増加した上、潜水艦探知距離は3倍以上向上し、作戦範囲の拡大が期待されるとしている。 (1911-101005>1911-101005)

6,000t級 mini Aegis 駆逐艦

 韓国海軍が10月10日、報道資料などでmini Aegis艦と呼ばれる排水量6,000t級の次期駆逐艦 (KDDX) の基本設計を2019年内に開始することを明らかにした。
 KDDXは、現在6隻が就役している4,200t級駆逐艦 (KDX-Ⅱ) よりは大型で、7,600tのAegis駆逐艦 (KDX-Ⅲ) よりは小規模である。 (1911-101004>1911-101004)

FFX-Ⅱフリゲート艦

 現代重工 (HHI) が2018年12月13日にFFX-Ⅱフリゲート艦で最終となる7番艦と8番艦艦の2隻をKRW633.5B ($563M) で受注したと発表した。 5番艦と6番艦は大宇造船 (DSME) がKRW631.5Bで受注している。
 FFX-Ⅱは基準排水量2,800t、満載時3,650tで、Mk 45 Mod 4 127mm砲とPhalanx CIWSを1基ずつと16セルVLSを装備し、速力30ktの性能を持つ。 (1902-121903>1902-121903)

 現代重工業 (HHI) 社がFFX Ⅰを大型化したFFX-Ⅱフリゲート艦を11月11日に進水させた。
 進水したのは8隻建造される内の3番艦で、全長122.1m、満載時排水量3,650t、Mk 45 Mod 4 127mm砲のほか16セルのVLSはPalanx 20mm CIWS 1基を装備する。 (2001-112010>2001-112010)
FFX-Ⅲ次期フリゲート艦

 韓国DAPAが12月4日、FFX-Ⅲ次期フリゲート艦一番艦の詳細設計と建造を1Q/2020に発注すると発表した。
 建造費はKRW450B ($377.6M) で完成は2024年と見られる。
 FFX-Ⅲの基本設計は2016年12月にHHI社にKRW16.6Bで発注されている。
 排水量3,000tのFFX-Ⅲはステルス要素が取り入れられると共に、AESAレーダの採用で360゚監視と多目標同時追随能力が求められている。 (2001-120404>2001-120404)

PKK-B 哨戒艇

 韓国の韓進重工 (HHIC) が10月31日、PKK-B哨戒艇4隻をKRW1.1T ($211M) で追加受注したと発表した。 この契約で同社のPKK-Bの受注は16隻になった。
 PKK-Bの一番艇は2017年10月に韓国海軍へ納入されており、続く3隻も2018年12月に進水し年内に引き渡される。
 PPK-Bは全長44m、幅7m、排水量500tで、CODAG推進で速力40ktの性能を持つ。 (1912-110104>1912-110104)
【註】PKK-Bの前身であるPKK-Aは最終となる18隻番艇が2018年1月に就役している。
 PKG-Aは全長63m、排水量579tで、SSM-700K海星 (Haeseong) 対艦ミサイルのほか76mm砲、40mm砲各1門を装備している。

 韓国の高速哨戒艇PKX-Bの二番艇が11月26日に韓国海軍へ引き渡され、2020年前半には就役する。 続く三番、四番艇も2019年中内に引き渡される。
 全長44m、幅7m、排水量500t、速力40ktのPKX-Bは一番艇が2017年10月に引き渡され、各国海軍は16隻を建造する計画である。 (1912-112605>1912-112605)

 韓国HHIC社が10月31日、高速艇PKX-B 4隻をKRW246B ($211M)で追加受注したと発表した。 4隻は2022年12日に引き渡されるという。
 同社はこの契約で16隻のPKX-Bを合わせてKRW1.1Tで受注したことになるが、第二次生産分として更なる追加受注を期待している。 (2001-111311>2001-111311)

 現代重工業 (HHIC) 社が12月13日、高速哨戒艇PKX-Bの二次発注分4隻を進水させた。
 PKX-Bの一番艇は2017年10月、二番艇は2019年11月26日に引き渡されており、三番、四番艇も2019年内に引き渡される。 (2001-121305>2001-121305)

KSS-Ⅲ二次生産型

 韓国DAPAが2018年12月26日、DSME社に発注したKSS-Ⅲ二次生産型の基本設計を完了したと発表した。 一番艦の建造は2019年後半に開始される。
 DAPAは二次生産型の建造数を明らかにしていないが、2018年9月14日に進水した一次分が3隻建造されることから、二次分の建造も3隻と見られる。
 KSS-Ⅲ二次生産型にはリチウムイオン電池が採用されている。 (1902-010916>1902-010916)

改良型の KSS-Ⅲ

 韓国の大宇造船 (DSME) が10月11日、改良型のKSS-Ⅲ 3,000t潜水艦1隻の設計と建造を$1.13T ($958M) で受注したと発表した。 改良型は従来型より水中速力が速く、潜航時間が延びている。
 同社は明らかにしなかったが、今回受注した1隻は第三次生産分の一番艦とみられる。
 一次生産分の一番艦と二番艦はDSME社で、三番艦はHHI社で建造されている。 (1912-102317>1912-102317)

KSS-Ⅰの改良

 2年間に及ぶ改良工事を終えた韓国海軍のKSS-Ⅰ級潜水艦Na Dae Yongが6月10日に大宇造船 (DSME) から韓国海軍へ引き渡された。
 KSS-Ⅰ級は全長55.9m、胴径6.2m、排水量1,200tであるが、改良の詳細は公表されていない。 (1908-061913>1908-061913)

 韓国DSME社で2018年7月から改良工事を行ってきたTypa 209/1200潜水艦Lee Eok Giが10月31日に工事を完了し韓国海軍へ引き渡された。
 2001年12月に就役した全長56.4m、幅6.2m、排水量1,200tのLee Eok Giは、国産システムを搭載して目標の捕捉追随能力を伸ばすほか、曳航アレイソナーも装備する。 (1912-110401>1912-110401)

 韓国DSME社が10月31日、能力向上改修工事中のType 209/1200潜水艦を海軍へ引き渡した。
 同型潜水艦9隻の内3隻の改修は2014年にKRW179B ($154M) で契約されていた。 (2001-111310>2001-111310)

原子力潜水艦の建造計画

 聯合ニュースが10月10日、韓国海軍が10日に国会への報告で原子力潜水艦建造の可能性の検討作業を進めていることを明らかにした。 (1911-101007>1911-101007)

30,000t LPH(軽空母)の建造

 韓国統参議長の朴大将が7月12日、韓国が2020年代後半に新型の大型LPHを就役させる計画であると述べた。
 このLPH-Ⅱは2隻現有する14,500tのLPHの二倍以上になる30,000tで、27,000tのいずも型を超え、STOVL機16機、装甲車両20両、兵員3,000名を搭載できるという。 (1908-072203>1908-072203)

 韓国現代重工 (HHI) が10月16日、STOVL機の運用が可能な次世代LHDであるLPX-Ⅱの概念設計を受注したと発表した。
 LPX-ⅡはF-35Bの離着艦を念頭に入れていたが、韓国は10月7日に2021~2025年にTRW3.95T ($3.3B) かけて40機装備するF-X ⅢをF-35BではなくF-35Aに決めている。 (1912-102318>1912-102318)

かつて検討していた70,000t級の中型空母

 韓国海軍が70,000t級の中型空母の建造を検討していた。 国会国防委員会の崔議員が10月10日、海軍が大型輸送艦-Ⅱ計画を確定するために行った研究過程で、中型空母と軽空母の2案を検討したと明らかにした。
 海軍が検討した中型空母は全長298m、満載排水量71,400tで、固定翼機32機と回転翼機を搭載できるもので、軽空母は全長238m、満載排水量41,500tで、固定翼機12機と回転翼機8機を同時に搭載する。
 崔議員によると、海軍は取得費用と取得期間を総合した結果、最終的に軽空母に決定した。 (1911-101003>1911-101003)
Hae Gum Ⅱ USV

 韓国LIG Nex1社が10月下旬に釜山市で開かれたMADEX 2019展でHae Gum Ⅱ USVの実大模型を展示した。
 Hae Gum (Sea Sword) Ⅱ はFRP製で全長が8mから12mになり、幅3.5m、排水量11tで速力35kt以上、20kt巡航での航続距離180nmの性能を持つ。
 武装としては12.7mm機銃1丁を搭載したスタビライズ砲塔とPoniard 70mm誘導ロケット弾の8セル発射機を装備する。 Poniardは昼間6km、夜間3kmの捕捉距離を持つEO/IR装置で誘導する。  速力は40kt、12km以内を15kt巡航で8時間航行できる。
 搭載したEO/IR装置は昼間6km、夜間3kmを監視でき、搭載レーダは5kmを監視できる。 (2001-120016>2001-120016)

ASW UUV
 韓国Hanwha社が釜山で開かれたMADEX 2019展で対潜用UUV ASWUUVを公開した。
 ASWUUVの開発は2017年に開始され2021年に試験を実施し、2022年に装備化する計画である。 (1911-102802>1911-102802)

 韓国Hanwha社が釜山で開かれたMADEX 2019展で対潜用UUV ASWUUVを公開した。
 ASWUUVの開発は2017年に開始され2021年に試験を実施し、2022年に装備化する計画である。
 ASWUUVは全長7m、排水量3,000kgで、深度300mまでを7ktで航行できる。 (2001-120014>2001-120014)

5・3・3・3 F-35

F-35A の初配備

 複数の韓国軍関係者が1月13日、韓国空軍が2018年末にLockheed Martin社から引き渡されたF-35A 6機のうち2機が3月末に韓国に到着することを明らかにした。
 4~5月に実配備される予定である。 (1902-011302>1902-011302)

 韓国空軍F-35Aの1、2号機が3月29日午後に、清州の空軍基地に到着した。 2機は22日(現地時間)に米アリゾナ州Luke AFBを出発しハワイなどを経由し総距離13,800kmを飛行した。
 韓国政府は2014年3月に同機を40機購入することを決定した。 20機の追加購入も慎重に検討している。 (1904-032903>1904-032903)

F-35B の導入計画

 韓国の最新の戦闘機購入計画では60機予定していたF-35Aの購入数を40機だけにした。 残りの20機はF-35Bにする積もりと見られる。 (1908-073002>1908-073002)

 韓国政府が空軍の次期戦闘機の二次計画FX-2にF-35A 20機を追加購入する方針を固めた。
 海軍が建造する計画の軽空母に搭載可能なF-35Bも検討されたが、軽空母が進水するのが2033年頃になることから当分はF-35Aに集中するとの方針に変わった。
 韓国合同参謀本部はF-35A選定当時、財源を考慮してまず40機を先に確保し、残りの20機は後で決めるとし、FX-2の機種選定を進めてきた。 (1910-092702>1910-092702)

構成品の第2段階整備業者に選定

 韓国防衛事業庁 (DAPA) が2月13日、Team ROKが地域のF-35構成品の第2段階整備業者に公式に選定されたと明らかにした。 韓国が2016年11月の第1段階業者選定時は射出座席の1品目だけだった。
 Team ROKはHunpha、大韓航空、LIG Nexone、現代などの共同企業体で、今回の整備業者選定の結果米国政府から17分野の398品目が割り当てられることになった。 (1903-021306>1903-021306)

5・3・3・4 その他の装備

指揮統制警報システムの量産開始

 韓国DAPAが1月22日、国内で開発した指揮統制警報 (C2A) システムの量産を開始したと発表した。 2018年12月に12月に当初分12個システムの契約が行われた。
 C2Aシステムは韓国が2011~2017年にKRW32.9B ($29.1M) かけて開発したシステムズ、従来音声通信で行い伝送に3分かかっていたのをディジタル化して30秒に短縮している。 (1903-013008>1903-013008)

AEW&C 機の増強

 韓国は2011年以来E-7 Peace Eye AEW&Cを装備しているが、AEW&Cの増強のため2017年にDAPAがRfIを発簡している。
 これに対しSaab社が3月12日、GlobalEye AEW&C機を韓国空軍の要求に合わせ提案したことを明らかにした。 (1904-031309>1904-031309)
【註】現在韓国が装備しているE-7 Peace EyeはBoeing 737にSaab社製EriEyeレーダを搭載したAEW&C機で、EriEye-ERをBombardier社製Global 6000に搭載したGlobalEyeとの大きな差は機体の違いだけと思われる。

ISR 機の共同開発

 Raytheon社と大韓航空がADEX 2019が開かれた10月15日に、韓国空軍向けにGlobal 6500ビジネスジェットを元にしたISR機を共同開発することで合意したと発表した。
 主契約社はRaytheonになり、レーダ、EO/IR、SIGINT情報の収集にあたる。
 韓国空軍はDassault社製Falcon 2000を元にしたSIGINT機2機を購入し、Hawker 800 4機のSIGINT活動を増強している。 (1912-102307>1912-102307)

A330-200 MRTT 空中給油機2号機を受領

 韓国国防省が3月28日、2015年に4機発注したA330-200 MRTT空中給油機の2号機を受領した。
 1号機は1月30日に受領しており、3/4号機も11月と12月に受領するという。 (1904-032905>1904-032905)

レーダ偵察機の導入検討

 韓国が地上軍 (GOC) の責任範囲を200kmまで延伸するのに合わせて長距離偵察が可能なレーダ偵察機の導入を検討しており、1月に公表された2019~2023年を焦点として国防白書ではKRW2T ($1.7B) をかけて4~8機を整備したいとしている。
 候補にはNorthrop Grumman社製E-8C JSTARS、Raytheon社のASTOR、同じくRaytheon社製で大型ビジネスジェット機にHISAR-500 AESAレーダを搭載したISTAR-K、Boeing社がLeonard社と提案しているP-8 Poseidonを元にRaytheon社製AASレーダを搭載した案が挙がっている。
 韓国はこの他に電子戦機の導入も検討しており、これにはBoeing社とBAE Systems社が関心を示している。 (1905-040001>1905-040001)

対潜ヘリの導入

 韓国DAPAが対潜ヘリの第二期分について提案を受け付けている。 計画は12機でKRW900B ($804M) になる。
 第一期分は2016年にLeonardo社がAW159を8機納入している。 (1907-052907>1907-052907)

Global Hawkの取得

 韓国空軍が装備するGlobal Hawkの1号機が12月23日早朝、南部の泗川基地に到着した。 残りの3機も2020年前半までに導入する。
 Global Hawkの導入で空軍の監視範囲は北朝鮮全域にとどまらず、朝鮮半島周辺の一部の地域にまで広がる。 (2001-122301>2001-122301)

5・3・3・5 装備開発

5・3・3・5・1 KFX

試作機の製造開始

 KAI社が2月14日、KFX試作1号機の製造が開始されたと発表した。 ロールアウトは2021年で、2026年中頃に開発を完了する計画である。
 KAI社は2026~2032年に当初分としてF-4EやF-5Eと換装する120機を生産する計画である。 (1904-022711>1904-022711)

 韓国KAI社がソウルで開かれたADEX 2019展の初日である10月15日にKF-Xの実大モックアップを公表した。
 KF-Xの最終設計審査 (CDR) は9月に完了している。
 KF-XはKAI社が第五世代戦闘機から第四+世代戦闘機に代えてリスクを低減してLockheed Martin社の支援とインドネシアの共同出資で2023年IOCを目指して進められている。 (1912-102302>1912-102302)

インドネシアの共同開発計画復帰

 KAI社が1月14日、インドネシアがKFXの共同開発に復帰することを明らかにした。
 インドネシア国防省は2018年末に開発分担金KRW132B ($118M) をKAI社に送金しており、2019年中に開発に当たる技術者150名が韓国入りするという。 (1902-011407>1902-011407)

 インドネシアが韓国のKFX計画に復帰した。 KAI社はインドネシア国防省から2018年末に分担金KRW132B ($118M)を受領し、2019年内にインドネシアの開発要員150名が韓国へ渡るという。
 またKAI社によると計画に従事しているインドネシアの技術者が、元々の28名から72名に増加している。 (1903-012304>1903-012304)

インドネシアが契約条件の再協議を要求

 韓国KFXの共同開発に参加しているインドネシアが現在の契約条件が不利だとして再協議を要求している。 インドネシア政府の再協議案は韓国に支払う分担金は減らしつつ、技術移転は増やす内容である。
 インドネシアは現在、全体事業費8兆8,304億ウォン(8,600億円)の20%にあたる1兆7,338億ウォンを分担することになっているが、インドネシアはこれを減額すると明らかにした。
 また分担金完納期限を2026年から2031年に遅らせるように再交渉するという。 (1904-032704>1904-032704)

 韓国KAI社がKF-Xの開発で、更なる国外企業の参画を求めている。
 KF-Xの開発にはインドネシアが共同開発国として参画しているが、同国は資金不足を理由に分担金KRW300B ($253M) の支出を渋っている。 (1912-102303>1912-102303)

2021年にロールアウト

 韓国空軍の主力戦闘機として開発されているKFXの試作1号機が2021年にロールアウトする。
 韓国防衛事業庁 (DAPA) は3月18日の国会国防委員会業務報告で、航空機システム基本設計の審査を終え現在は試製機製作のための詳細設計を進行中とし、9月に詳細設計を審査し2021年に試作1号機をロールアウトする計画であることを明らかにした。 (1904-031805>1904-031805)

2022年に初飛行

 韓国DAPAが9月26日、KAI社が試作しているKF-Xは2021年上期に組み立てを完了し、その1年後に初飛行することを確認した。 (1912-100202>1912-100202)

実大モックアップを公開

 ソウルで10月15~20日に開かれるADEX航空防衛博にKAI社が国内開発している4.5世代戦闘機KF-Xの実大模型を展示した。
 KF-Xは最終設計審査 (CDR) を完了し試作機製造段階に入っており、2021年には試作1号機がロールアウトして、2026年にはF-16の最新型と同等の戦闘機として開発を完了する。
 KF-XはMTOW 25,600kg、最大搭載能力7,700kgで航続距離2,900kmの性能を持つ。
 展示された模型は翼下6ヵ所にハードポイントを持ち、2個の増槽、2発のLGB、2発のIRIS-T AAMを搭載していた。
 この他に4発のMeteor BVRAAMを胴体下に搭載する。 (1911-101505>1911-101505)

MBDA社が計画参入

 MBDA社が11月22日、KAI社とKF-XにMeteor BVRAAMを搭載する契約を行ったことを明らかにした。
 この契約でMBDA社はKAI社に対しknow-howや製造のための試験装置などを提供する。 (2001-120416>2001-120416)

5・3・3・5・2 長距離ミサイル

玄武-4 BM

 韓国2019年度国防予算でHyunmu 4(玄武-4)の開発が計上された。
 韓国には玄武-2 BMと玄武-3 CMがあり、玄武-2Cは射程が800kmであるが、玄武-4は新型BMと言うだけでなにも分かっていない。 (1902-122404>1902-122404)
【註】玄武-4なのかは定かではないが、2017年9月に玄武-2Cの弾頭を2tに大型化する案を検討中だと報じられている。

5・3・3・5・3 BMDS / SAM

Chunggung Block 2

 Chunggung Block 2(右図左)は韓国の2019年度国防予算での主要事業で、Chunggung(右図右)を発展させたBMD迎撃弾である。 (1902-122404>1902-122404)
【註】ChunggungはCheongungとも呼ばれる中距離SAM (KM-SAM) で、ロシアAlmaz-Antey社の支援でS-400やS-350Eで使用している9M96を元にして開発された。

L-SAM

 韓国DAPAが12月4日、北朝鮮のBM能力増大に対応して国産長距離SAM L-SAMの開発開始を決定したと発表した。
 L-SAMは航空機及びBMに対応でき、2024年までにKRW970B ($814.3M) かけて開発するという。 (2001-120405>2001-120405)

K-SAAM Haegung

 韓国DAPAが2018年12月24日、2003年から装備しているRolling Airframe Missileの後継となるK-SAAM Haegung (Sea Bow) の開発を完了したと発表した。 (1902-010907>1902-010907)

 韓国DAPAがK-SAAMの量産移行を承認した。 KRW750B ($633M) の量産契約は3Q/2019に行われる。
 K-SAAMはLIG Nex1社が担当し、2018年12月に開発を完了していた。 (1911-092510>1911-092510)
【註】K-SAAMはRolling Airframe Missileの後継となる艦載SAMである。

5・3・3・5・4 ヘリコプタ

軽攻撃ヘリ LAH がロールアウト

 KAI社で2018年12月18日、韓国陸軍の軽攻撃ヘリLAHがロールアウトした。
 LAHはAirbus社のH155(旧名称EC155 B1)を元に開発されたもので、機首にEO/IRセンサと20mm砲、両スタブにロケット弾ポッド、胴体と機尾にミサイル警報受信機を搭載している。
 韓国陸軍は214機を2022~2023年から装備する計画だが、Airbus社は300~400機の輸出を見込んでいる。 (1902-010212>1902-010212)

 KAI社が2018年12月18日に泗川市の同社工場で、試作中の軽攻撃ヘリLAHを公開した。
 MTOWが4,900kgのLAHは2015年6月に開発を開始し、2016年8月に基本設計を完了、2018年11月に試作機の組み立てが完了した。
 今後2019年5月に初飛行して2022年7月まで飛行試験が続けられる。 (1903-020001>1903-020001)

LAH が地上エンジン試験開始

 韓国KAI社がAirbus Helicopters社製H155双発ヘリを元に開発している軽攻撃ヘリLAHの地上エンジン試験が開始され、4月8日にその画像が公開された。
 2018年12月18日に試作一号機がロールアウトしたLAHは、機首に20mmガトリング砲が取り付けられたほか、ロケット弾ポッドを搭載する補助翼が付けられている。 (1906-041709>1906-041709)
LAH が初飛行

 KAI社が7月4日、同社が開発している韓国陸軍の軽武装ヘリLAHが初飛行したと発表した。 LAHの地上試験は4月に開始されていた。
 LAHはSafran社とHanwha社が共同開発したArriel 2L2ターボシャフトエンジンを2基搭載している。 (1908-070404>1908-070404)

Safran社との技術提携

 韓国KAI社がSafran社と技術提携のMoUを結んだ。
 KAI社はAirbus Helicopter社と共同で同社のEC-155ヘリを元に軽武装ヘリLAHとその民間型であるLCHを開発しており、そのエンジンにSafran社製Arriel 2Nを元にSafran社とHanwha社が共同開発したArriel 2L2を採用している。 (1908-070312>1908-070312)

韓国海兵隊向け攻撃ヘリ MAH

 ソウルで10月15~20日に開かれるADEX航空防衛博でKAI社が韓国海兵隊向けに開発した攻撃ヘリMAHの縮尺模型を展示した。
 MAHはSurion多用途ヘリを元にして、機首に開発中の陸軍向け軽攻撃ヘリLAHと同じ20mmガトリング砲とEO/IRターレットを搭載している。
 またスタブ翼6ヵ所にハードポイントを持ち、展示された模型では両翼それぞれに70mmロケット弾ポッドと、対地、対戦車ミサイル用の4連装及び2連装の発射機を搭載している。
 MAHの元になったSurionはLAH同様にAirbus Helicopter社と共同で開発した。 (1911-101409>1911-101409)

 韓国KAI社がSurion多用途ヘリを海兵隊の攻撃ヘリとしたMAHを10月15~20日に開かれたADWX展に出展した。
 KAI社はSurionのMAHへの改造をAirbus Helicopters社の支援で行った。
 MAHには陸軍向けの<離地区と同じ20mm Gatling砲やEO/IRターレットが装備されている。 機体には6ヵ所にハードポイントがあり、展示されたモデルでは70mmロケット弾ポッド及びASMやATGM発射用の4連装及び2連装の発射筒を装備していた。 (1912-102304>1912-102304)

Surion KUH 1E

 韓国KAI社がADEX 2019展で10月15日、Surion KUHの改良型で輸出仕様のSurion KUH 1Eを公表した。
 Surion KUH 1Eは米Garmin社と共同で主として搭載電子機器を強化すると共に、キャビン扉を改良し、増槽や武器搭載用にバルクを取り付けている。 (1912-102308>1912-102308)

KUS-VH UAV

 大韓航空がMD 500 Little Bird軽攻撃偵察ヘリをUAV化したKUS-VHが7月30日に初飛行した。 (1909-080104>1909-080104)

Ka-32 の改良提案

 Russian Helicopters社がADEX 2019展で10月14日、Rostec社が韓国に対しKa-32の改良を提案していることを明らかにした。
 改良ではエンジンをより強力なVK-2500PS-02に換装し、新型の消火装置を搭載するなどが行われ、Ka-32A11Mになる。 (1912-102305>1912-102305)
【註】韓国は対ロシア借款の返済として導入し、海洋警察庁や山林庁のほか空軍も7機保有しているが、原因不明のエンジン異常などで運用に支障を生じている。

5・3・3・5・5 対空兵器

対空レーザ兵器

 韓国防衛事業庁が9月17日、レーザ対空武器の開発を開始すると明らかにした。 レーザ対空武器は近距離の小型UAVや多ローターへりなどを精密打撃できる。
 レーザー対空武器の開発は2019年から880億ウォン(80億円)をかけて2023年までに完了して装備化する。 (1910-091705>1910-091705)

 韓国防衛事業庁が9月17日、小型UAVを攻撃するファイバレーザを使用したレーザ兵器の開発に着手したことを明らかにした。 2023年までに開発を完了する計画である。 (1910-091803>1910-091803)

 韓国DAPAが9月17日、KRW88B ($74M) をかけて対空レーザ兵器を開発するとの声明を発表した。
 Block 1ではUAVの捕捉追随と無力化を目指し、2023年の実用化を目指す。
 Block 1では1回のレーザ照射にかかるコストをKRW2,000としている。
 Block 1の成功後は戦闘機や人工衛星などの更に大型の目標を遠距離で破壊することを目指すという。 (1911-092511>1911-092511)

C-UAV 用妨害装置

 陸軍首都防衛司令部は最近、イスラエルから輸入したC-UAV用レーダ9基を装備し、大統領府と国会、空港など首都圏の中核施設に配備した。 このレーダはUAVを捕捉すると共に、使用周波数を無力化するという。
 更に軍は、UAVの距離と方向に加えて高度まで探知する3Dレーダも開発中だという。 (1910-091803>1910-091803)

5・3・3・5・6 陸戦兵器

次世代 MBT

 韓国のHyundai Rotem社が10月17日にADEX展で、K2 MBTの後継として開発中の次世代MBTを公開した。
 K2 Black PantherはM48 Patton及びK1 MBTの後継として現在装備されており、2011年にBatch-1 100両、2014年にBatch-2 106両が発注され2021年までに納入される。 2020年に始まるBatch-3では100両の受注が見込まれている。
 K2 MBTのパワーパックは、Batch-1ではドイツ製のエンジンとミッションが、Batch-2では韓国製エンジンにドイツ製ミッションが使われているが、Batch-3では両者とも韓国製にする方針である。 (1911-101804>1911-101804)

K2 MBT 2次量産の再開

 昌原の現代ロテム社でK2戦車第2次量産の最初の2両がロールアウトした。
 2014年に契約が締結されたK2の2次生産は2017年までに納品を終えることになっていたが、国産変速機が耐久試験を通過できず2年以上も計画が中断されていた。
 このため防衛事業庁はドイツ製の変速機を搭載することを決め、走行試験と低温始動試験を通過したため納品開始に至った。 (1906-052702>1906-052702)

 韓国Hyundai Rotem社が2014年に受注し2017年に完納するはずであったK2 Black Panther BMT二次生産分100両の量産を再開した。 既に最初の2両は陸軍に納入され、残りも2021年までに納入するという。
 K2 MBT二次生産分は国産トランスミッションの不具合で生産が止まっていたが、韓国国防省が国産のエンジンとドイツ製ミッションを採用する決心をしたため生産が再開された。 (1907-060509>1907-060509)
【註】K2 MBTは2011年配備開始であったが、パワーパック(エンジンとトランスミッション)の不具合から、ドイツ製のエンジンとミッションを組み合わせたユーロパワーパックを搭載して一次生産分100両が2014年から装備されていた。

自走120mm迫撃砲の開発が完了

 韓国DAPAが6月27日、自走120mm迫撃砲の開発が完了したと発表した。
 この120mmSPMはHanwha社とS&T Dynamics社が2014年からKRW41.3B ($35.7M) かけて120mm迫撃砲をM113 APCに搭載したもので、現有のM30 107mm迫撃砲より射程が2.5倍に伸びる。 (1907-062704>1907-062704)

30mm装輪対空砲の開発完了

 韓国防衛事業庁が6月5日、ハンファ社と開発した30mm装輪対空砲が試験評価の結果、軍の要求をすべて満たしたとことを明らかにした。
 30mm装輪対空砲は探知距離が7km、有効射程は3kmで、現有の20mm Vulcan砲と比べて1.6倍伸びた。
 30mm装輪対空砲には、2015年6月からKRW55B(50億円)が投じられ、国産化率が95%以上で、今後輸出も期待される。 (1907-060503>1907-060503)

 韓国がHyundai Retem社製K808 8×8装輪装甲車に双連30mm砲とEO/IRセンサを搭載したSPAAGの開発を完了したと発表した。 開発にはKRW55B ($46.8M) かかったという。
 韓国軍は現在20mmのM167 VADSを装備しているが、新SPAAGの射程はその1.6×になる。 (1908-061209>1908-061209)

AS21 Redback IFV

 韓国Hanwha社が10月10日~15日にソウルで開かれたADEX 2019航空防衛博に、AS21 Redback IFVを出品した。
 AS21は42tで乗員3名のほか8名の搭乗が可能で最高速度65km/h、航続距離520kmの性能を持つ。 オーストラリアEOS社製T2000砲塔を搭載し、30mm砲を装備している。
 AS21 Redback IFVは韓国陸軍が2009年から装備しているK21 IFVの重量型で、Rheinmetall社のLinx KF41 IFVと共にオーストラリアが450両計画しているProject Land 400 Phase 3の候補にもなっている。 (1911-101703>1911-101703)

 韓国Hanwha社が10月15日、ADEX 2019展でAS21 Redback IFVを公開した。
 AS21は韓国陸軍が装備しているK21 IFVの大幅改良型で、重量42t、最高速度65km/h、航続距離520kmでオーストラリアEOS社製30mm砲塔を装備しており、豪陸軍が450両のIFVと17両の支援車を装備するAUD10~15B ($6.9~10.3B) のProject Land 400計画にRheinmetall社製Lynx KF41 IFVと共に候補になっている。
(1912-102306>1912-102306)

KAAV Ⅱ 水陸両用戦闘車

 韓国Hanwha社がソウルで開かれたADEX 2019航空防衛博に、韓国海兵隊向けのKAAV Ⅱの縮尺模型を展示した。
 KAAV Ⅱは現在装備している200両のKAAVに代わるもので、2022年に開発を完了するという。
 KAAVはAAV7A1の韓国型である。 (1911-101702>1911-101702)

 韓国Hanwha社が1ADEX 2019展で0月15日、韓国海兵隊が200両装備しているKAAV水陸戦闘車の後継を目指しているKAAV Ⅱも公表した。
 現有のKAAVはAAV7水陸戦闘車を元にしていた。 (1912-102306>1912-102306)

KAAV 水陸両用戦闘車

 フィリピン軍が9月23日に韓国製の水陸両用戦闘車KAAVを4両と17mの多目的艇MPAC 2隻を追加配備した。
 韓国製AAV7A1であるKAAVは、2016年4月にHanwha社へPHP2.42B ($46M) で8両を発注した一部で、比海軍のTarlac級揚陸艦から発進でき、比海兵隊が装備する。
 全長17m、幅4.76m、喫水2.1mでウォータージェットで推進し47ktの性能を持つMPACは3隻ずつ発注した4次分で、台湾のLung社とフィリピンのPropmech社が共同で建造した。 (1912-100212>1912-100212)

5・3・3・5・7 電子装備等

初の沿岸監視レーダ

 韓国DAPAが10月30日、LIG Nex1社と開発した国産初の沿岸監視レーダMaritime Surveillance Radar-Ⅱが9月にoperationalになったと発表した。
 今後2025年までに10基程度を取得するという。 (1912-110611>1912-110611)

5・3・4 軍事産業立国

5・3・4・1 軍事産業の育成

5・3・4・1・1 政府の計画

Defense Reform 2.0計画

 韓国DAPAが2018年12月12日、防衛装備品の調達方式を変更すると発表した。
 これは米国への依存を低減し輸出を奨励するDefense Reform 2.0計画に基づくものである。 (1902-121908>1902-121908)

 韓国国防省が3月18日、2018年中頃に発表したDefense Reform 2.0計画に基づく次世代軍事技術の開発を振興する計画を発表した。 (1905-032710>1905-032710)

中小企業への門戸拡張

 韓国DAPAが4月2日、軍事科学技術の振興策として研究開発に国内の中小企業に門戸を広げる計画を発表した。 (1906-041009>1906-041009)

5・3・4・1・2 企業の動き

現代重工 (HHI) の大宇造船 (DSME) 買収

 韓国の現代重工 (HHI) が大宇造船 (DSME) を買収することに合意し、1月31日に両社と国営の韓国開発銀行 (KDB) でMoUに署名した。
 買収額はKRW2T ($1.8B) 以上になる模様で、買収は6ヶ月以内に完了する。 (1902-013105>1902-013105)

 韓国現代重工 (HHI) 社がライバルの造船企業の大宇造船 (DSME) 社を買収する予備契約に署名したと、両社が1月31日に発表した。 買収額は$2Bという。 (1903-020608>1903-020608)

 韓国大宇造船 (DSME) と韓国国営開発銀行 (KDBKDB) が3月8日、KDBが保有しているDSME株を現代重工 (KDBHHI) の親会社であるHHIホールディング社に売却することで最終合意した。
 KDBが現在保有しているのはDSME株の55.7%で、売却によりその保有比率は18%になる。 一方HHIはDSME株の28%を保有する筆頭株主になる。
 HHIによると買収額はKRW2T ($1.7B) になると見られる。 (1905-032016>1905-032016)

 韓国現代重工 (HHI) 社が5月31日、大宇造船 (DSME) 社の買収に向けた準備として持ち株会社(KSOEを設立してDSMEをその参加に入れると発表した。 (1907-060306>1907-060306)

KAI社の大型設備投資

 KAI社が2018年12月11日、KFXやLAHなどの大型プロジェクトに対応するため、各国南部の泗川市にKRW69.6B ($62M) をかけて新施設を建設すると発表した。
 建設工事は2019年に開始する計画という。 (1902-121909>1902-121909)

5・3・4・2 軍事技術の振興

 韓国防衛事業庁が5月24日に防衛事業推進委員会の会議を開き、KRW250B(231億円)が投じる対空監視用の長距離レーダの国内で開発を決定した。
 長距離レーダの国内開発は過去にも進められたことがあったが、評価試験結果の不備や開発業者の契約違反行為などにより中断していた。
 またK1A1 MBTを地雷原処理車に改造して量産する計画もKRW480Bで進められ、2019年内に契約を締結する。 (1906-052402>1906-052402)
5・3・4・3 輸出の振興

5・3・4・3・1 輸出振興策

管理経費の削減による価格の抑制

 韓国が防衛装備の輸出拡大のため管理費の大幅削減を検討している。
 一例として現在価格の2~5%を課している技術費を1~3%に削減することを検討している。 (1904-022714>1904-022714)

構成品の国産化で輸出上の制約を回避

 韓国DAPAが3月18日、武器輸出の促進のため輸出する武器が使用する輸入部品を国産品に切り替えると発表した。
 2019年には砲システムのスリップリングなど92品目が対象になるという。 (1905-032714>1905-032714)

5・3・4・3・2 武器輸出案件

K9 Thunder 155mm/52口径 SPH

 韓国Hanwha社製K9 Thunder 155mm/52口径SPHが国内外で受注数が2,000両を超え、少なくとも2021年まで生産が継続される。
 K9は韓国陸軍が装備していたBAE Systems社製M109A2 155mm/39口径SPHより射程が画期的に長く、エスニア、フィンランド、インド、ノルウェー、ポーランド、トルコの各国が装備しているほか、オーストラリア、エジプト、マレーシア、スペイン、UAEの各国でも試験を行っている。
 更に米国もK9を用いたNAMMO 155mm HE-ER弾の発射試験を行っている。 NAMMOはねじ込み取り付け式のベースブリードユニットで、射程を40kmにまで伸ばせる。 (1902-120004>1902-120004)
タイに DW3000 フリゲート艦

 タイが韓国に発注していたDW3000フリゲート艦が韓国を出航して2018年12月25日に香港に到着した。
 このフリゲート艦は予定通り2019年初期にタイ海軍で就役することになる。 (1902-010403>1902-010403)
【註】大宇造船所で建造したフリゲート艦Tachinは満載排水量3,700tで、76mm砲のほか8セル32発のSeaSparrow用VLS、20mm CIWS 1基、30mm単装機銃2門などを装備し、速力30ktの性能を持つ。

タイに輸出した T-50TH を FA-50 並の装備にする契約

 KAI社が5月26日、タイ空軍のT-50TH練習機にレーダとレーダ警報受信機 (RWR)、チャフ/フレアー発射装置などを搭載する計画をKRW60B(55億円)で受注したことを明らかにした。
 契約には教育訓練、修理付属、支援装備納品も輸出契約に含まれ、2021年10月までに最終納品する。 (1906-052701>1906-052701)

マレーシアに FA-50

 韓国KAI社が1月28日、マレーシアから1月5日にFA-50購入に関する予備RfIを受けたことを明らかにした。
 マレーシアはLCA調達計画で当初12機、その後更に24機の調達を検討していて、2017年にT-50高等練習機の軽戦闘機型であるFA-50に関心を示していた。 (1903-020611>1903-020611)

インドネシアに潜水艦3隻を追加輸出

 韓国防衛事業庁 (DAPA) が4月12日、大宇造船海洋 (DSME) がインドネシアから1,400t級の潜水艦3隻を受注したと発表した。 受注額は総額$1.02Bになる。
 同社は2011年にも同じくインドネシアから1,400t級潜水艦3隻を受注しており、今回が2度目の輸出契約となる。 (1905-041202>1905-041202)

 韓国大宇造船海洋 (DSME) 社が4月12日、インドネシアからType 209/1400の二次分3隻をKRW1.162T ($1.02B) で受注した。 3隻は2026年末に完納する。
 この契約が行われたのは2011年に$1.1Bで受注した同型3隻の3番艦が、インドネシアの造船企業のPT PAL社で進水した翌日に行われた。 (1906-041701>1906-041701)

インドネシアから受注したフリゲート艦が進水

 現代造船 (HHI) 社が5月23日にインドネシアから2016年に$337Mで受注した受注したフリゲート艦の一番艦を進水させた。
 二番艦も船台で起工している。 (1907-052906>1907-052906)

ニュージーランドとの共同開発と共同生産

 韓国DAPAがニュージーランドと装備の共同開発と共同生産で合意し、6月4日にMoUを締結した。
 ニューーランドは2016年に現代重工 (HHI) に全長173mの洋上補給艦を発注しており、4月に進水したAotearoaと命名された同艦は2020年に就役する。 (1907-060309>1907-060309)

フィリピンへ AAV7 を韓国でライセンス生産した KAAV を輸出

 フィリピン海軍が6月17日に、AW159 Wildcatヘリ2機と韓国製KAAV水陸両用戦闘車4両の就役式典を行った。
 KAAVは2016年4月にHanwha社にPHP2.42Bで発注した8両の最初の4両で、5月第一週にフィリピンに到着していた。 (1908-062611>1908-062611)
【註】KAAVは米海兵隊が装備しているAAV7を韓国がライセンス国産したもので、KAAVにはAAV7をラ国生産したKAAV7とAAV7A1をラ国生産したKAAV7A1がある。

インド防衛産業協会と「防衛産業協力 MOU」締結

 韓国防衛産業振興会が9月6日にソウルでインド防衛産業協会 (SIDM) と防衛産業協力に関する業務協約MoUを締結すると発表した。
 両協会はK-9自走砲の輸出やK-30対空自走砲の輸出推進など、両国間の防衛産業協力が活性化している時期に防衛産業業者間の情報共有、ネットワークの構築などの効果的な支援が必要だという認識を共有しているという。 (1910-090601>1910-090601)

オーストラリアに Redback IFV の試作車3両を売却

 韓国Hanwha社が10月23日、オーストラリアにRedback IFVの試作車3両をKRW40.5T(37億円)で売却する契約を締結したと発表した。
 オーストラリアは、次期IFVと系列車両8種を400両を購入するLand 400 Phase 3計画を進めており、1年間の試験評価を経て2021年に最終的に機種が選定される。 (1911-102302>1911-102302)

イラク空軍に T-50IQ

 イラク空軍が11月29日、韓国KAI社製T-50IQ高等練習機の24号機にして最終号機を受領した。
 T-50IQはT-50 Golden Eagle / FA-50 Fighting Eableのイラク仕様機で、2013年に発注されていた。 (1912-112905>1912-112905)

フィリピンへフリゲート艦

 現代重工業 (HHI) 社がフィリピンから受注したフリゲート艦の2番艦にして最終艦が進水した。
 韓国海軍のFFX-Ⅰを小型化した進水したフリゲート艦は全長107.5m、排水量2,600tでOto Melara 76mm Super Rapid砲1門のほか、艦尾にはトルコAselsan社製30mm SMASH砲1門、艦首と艦尾にはそれぞれSIMBAD-RC SAM発射機(註:Mistralを発射するMBDA社製)を装備する。
 同型艦2隻の建造は2016年にPHP16B ($316M) でHHI社が受注し、その後PHP2Bで搭載装備等が発注されていた。 (2001-112009>2001-112009)

5・3・5 対外関係

5・3・5・1 対米関係

5・3・5・1・1 米韓統合軍の設置で合意

 韓国国防省が6月4日、将来設置される米韓統合軍の司令官に韓国の陸軍大将が付くことで米韓両政府が合意したと発表した。
 また同時に、現在米陸軍大将が司令官となっている統合軍司令部をソウルの龍山から、ソウル南方65kmに位置するCamp Humphreysに移設することでも合意した。 (1908-061204>1908-061204)
5・3・5・1・2 米韓合同演習

Key Resolve CPX の中止

 最近、3月4日から10日間行われる米韓合同軍事演習Key Resolveの事前準備を担う米先遣隊が韓国入りした。 これにより事実上演習が開始されたとの観測が流れており、演習開始日に合わせて米増援部隊の展開や演習シナリオの点検など事前手続きが着々と進んでいるという。
 軍消息筋は、27~28日にベトナムで開かれる米朝首脳会談のために合同軍事演習の中止説が出ているが、現在まで準備は正常に進んでいることを明らかにした。 (1903-021503>1903-021503)

 全面戦に備えた米韓合同指揮所演習として毎年上半期に実施されていたKey Resolveは名称を19-1演習に変更し、防御を中心に3月に実施される。 (1903-022005>1903-022005)

 米韓合同指揮所演習として毎年上半期に実施されていたKey Resolveの名称が19-1演習に変更され、3月4日から実施される。
 19-1演習はKey Resolveと同じくコンピューターシミュレーションを使った指揮所演習 (CPX) である。 (1904-030103>1904-030103)

 米韓軍事当局が3月3日、韓国の鄭国防部長官と米国のシャナハン国防長官代行が2日に電話会談を行い、両軍が毎年春に実施している二つの大規模合同軍事演習の中止を決定したと発表した。
 中止するのは指揮所演習 (CPX) のKey Resolveと実員演習のFoal Eagleで、Key Resolveは韓国式の名称に変えて3月4日から7日間実施する。
(1904-030302>1904-030302)

Key Resolve に代わる「同盟」演習

 Key Resolveとして知られてきたCPXも縮小するものの予定通り実施するという。 Key Resolveには昨年、12,200名の米軍と10,000名の韓国軍が参加した。 (1903-022810>1903-022810)

 韓国軍合同参謀本部と米韓連合司令部が3月3日、中止を決めたKey Resolve CPXに代わる演習同盟を4日から開始すると発表した。
 危機管理演習などの準備を終えた同盟は12日まで、週末を除く7日間実施される。 (1904-030303>1904-030303)

Foal Eagle

 毎年上半期に実施されていた米韓合同演習Foal Eagleの名称が消滅する。 これまでFoal Eagleの期間中に実施していた合同演習のうち、大隊級以下の演習は例年通り実施するという。
(1903-022005>1903-022005)

 米国防総省当局者が、ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談が合意無く終了したのちに、3月に予定されている韓国軍との合同演習Foal Eagleは規模を縮小するものの予定通り実施すると述べた。 Foal Eagleでは近年、11,500名の米軍と290,000名の韓国軍が参加している。
(1903-022810>1903-022810)

 米韓軍事当局が3月3日、韓国の鄭国防部長官と米国のシャナハン国防長官代行が2日に電話会談を行い、両軍が毎年春に実施している二つの大規模合同軍事演習の中止を決定したと発表した。
 中止するのは指揮所演習 (CPX) のKey Resolveと実員演習のFoal Eagleで、Foal Eagleは名称を変更した小規模な演習を年間を通じて実施するという。 (1904-030302>1904-030302)

UFG に代わる「乙支太極」演習

 Foal EagleやKey Resolveと同規模の毎年秋に行われるUlchi Freedom Guardianは2018年に中止された。 (1903-022810>1903-022810)

 韓国政府関係者が3月6日、5月27日から30日までの4日間、官民軍が参加する新たな形態の乙支太極演習を初じめて実施することを明らかにした。
 2018年8月に韓米両軍の合同指揮所演習乙支 (Ulchi) Freedom Guardian(UFG)に合わせて実施されてきた韓国政府の演習「乙支演習」を、通常5月に行う韓国軍単独の指揮所演習「太極演習」と統合する。
 これに伴いUFGは廃止される。 (1904-030602>1904-030602)

UFG に代わる米韓合同軍事演習

 韓国大統領府の高官が7月20日、8月の米韓合同軍事演習は計画通りに実施されるとの見通しを示した。
 演習はトランプ米大統領と金正恩委員長との合意に反するとの北朝鮮の主張を否定した。 (1908-072201>1908-072201)

 米韓が8月5日に年次合同軍事演習を開始した。
 演習には主に、コンピューターシミュレーションが用いられ、詳細は公表されていないが韓国軍の有事における作戦統制能力の検証などが行われるという。
 北朝鮮は先に、米韓演習は米朝の非核化交渉に悪影響を及ぼすと牽制しており、それを無視した。 (1909-080504>1909-080504)

 韓国の鄭国防相が国会で、米韓両軍が8月5日に合同指揮所演習を開始したことを明らかにした。
 米韓は2018年6月の米朝首脳会談以降、大規模な合同演習を相次ぎ中止しており、今回も例年夏に実施していた「乙支 Freedom Guardian」に代わる防御主体の規模を縮小した演習だが、北朝鮮は強く反発してきた。
 演習は当初、3月の演習名に「19-1同盟」に次いで「19-2同盟」と呼んでいたが、「同盟」という名称が北朝鮮の反発を招くとして名称が変わった可能性があるが、いまだ公表されない異例の状況となっている。 (1909-080505>1909-080505)

 米軍主導の米韓連合軍が持つ有事作戦統制権の韓国軍への移管に焦点を合わせた今年下半期の米韓合同軍事演習「米韓連合指揮所訓練」が11日から本格的に始まる。 今回は初めて韓国軍大将が司令官を、米軍大将が副司令官を務めることになる。
 韓国軍合同参謀本部によると演習は20日まで行われるが、事前演習として5日から8日まで各種の局地的な挑発やテロ対応などを想定した危機管理参謀訓練(CMST)を実施した。 (1909-081102>1909-081102)

Max Thunder が公式に廃止

 米韓合同の大規模空軍演習Max Thunderが始まってから10年で公式に廃止された代わりに、合同作戦遂行能力向上のため訓練規模を縮小して4月22日から連合編隊群総合演習を2週間の日程で行っているという。
 韓国空軍が23日、毎年4月末から5月初めにかけて実施していたMax Thunder演習を代替する連合編隊群総合演習を実施していると発表した。 今回の演習はMax Thunderより規模が縮小され、2018年のMax Thunder演習にはF-22をはじめF-15K、F-16など米韓空軍戦闘機100機が参加したが、今回の演習にはF-22などは参加しないという。
 北朝鮮はMax Thunder演習を北侵爆撃演習だとして恐れており、これ口実に南北高官級会談を一方的に中断していた。 (1905-042404>1905-042404)

Vigilant Ace

 韓国の複数の政府消息筋が11月3日、米韓空軍が実施する大規模合同演習Vigilant Aceを、2018年に続き2019年も実施しない方針を固めたことを明らかにした。
 朝鮮半島の非核化に向けた外交努力を支援するとともに、演習に強く反発する北朝鮮に配慮した措置とみられる。 (1912-110301>1912-110301)

 VOAが11月5日、米国防総省報道官が米韓合同航空演習を予定通り行うための手続きを進めていることを明らかにしたと報じた。
 報道官は演習名については言及しなかったがVigilant Aceであることを示唆した。
 韓国の複数の政府消息筋は朝鮮半島の非核化に向けた外交努力を支援するため、Vigilant Aceを昨年に続き、今年も実施しない方針を固めたと伝えていた。 (1912-110502>1912-110502)

 エスパー米国防長官が11月17日、バンコクで行われた韓国の鄭国防相との会談で11月に予定していた米韓合同航空演習の延期を決定し、共同記者会見で明らかにした。
 エスパー長官は、延期は譲歩ではなく平和を促進するための善意の措置だと米朝対話進展に向けて対立を回避する対応であることを強調しているが、北朝鮮が米韓演習実施の動きに強く反発していることを踏まえ、米朝の対話継続を優先して北朝鮮側に配慮したとみられる。 (1912-111702>1912-111702)

5・3・5・1・3 在韓米軍基地問題

異例の「返還」という表現

 韓国大統領府が国家安全保障会議 (NSC) 常任委員会で在韓米軍基地問題を話し合い、異例の「返還」という表現を使った。
 軍周辺からは、北朝鮮が挑発してきてもあまり開いていなかったNSCで、米韓関係が良くない今、10年以上経つ米軍基地返還問題を取り上げたのはやや意外という声が上がっている。
 韓国国防部が、大統領府が早期返還対象として発表した26ヵ所の米軍基地のうちの相当数はかなり前から返還交渉をしていた場所だと説明した。 国防部の関係者は基地の大部分は平沢基地移転など在韓米軍再配置で空になっている場所だとして、これまで韓国政府と自治体、米軍が敷地返還などをめぐって長期間協議してきたと語った。 (1909-083101>1909-083101)

5・3・5・1・4 米国の対韓不信

韓国が制裁をなし崩し的に緩和

 防衛研究所が4月5日に東アジア戦略概観 2019を発表した。
 報告書では、北朝鮮産石炭の密輸入を韓国政府が見逃したとされる問題などに触れ、韓国は制裁をなし崩し的に緩めようとしているのではないかという疑念を米国に持たれているようだと分析している。 (1905-040508>1905-040508)

GSOMIA 破棄への米国の不満

 米国務省が8月22日、韓国の文政権に対し軍事情報包括保護協定 (GSOMIA) の破棄を決めれば、同盟国の安全保障上の利益に悪影響を及ぼし、北東アジアの安全保障問題で文政権の大いなる思い違いを知らしめることになると繰り返し伝えてきたとの声明を発表し、韓国を異例の強い表現で批判した。
 ポンペオ国務長官は、韓国の決定に失望しており、我々は日韓両国が対話を続けるよう要請すると述べている。 (1909-082304>1909-082304)

 カナダを訪問したポンペオ米国務長官が8月22日のカナダのフリーランド外交長官との会談後の記者会見でGSOMIA終了に関する質問を受け、韓国が情報共有合意に対して下した決定を見て、われわれは失望したとした。
 米国が公に韓国政府に不満を示したものであり、日韓対立の余波が米韓関係にも悪影響を及ぼすと見られる。 (1909-082305>1909-082305)

 インド太平洋安全保障担当のシュライバー米国防次官補が8月28日にワシントン市内で講演し、韓国による日本との軍事情報包括保護協定 (GSOMIA) の破棄決定に関し韓国から米側に事前通告はなかったと明かした上で、韓国側に決定を取り消し更新するよう求めた。
 韓国政府は破棄決定を公表した22日に米国も理解を示していると説明したが、米側は「失望している」などと激しく反発していた。 (1909-082902>1909-082902)

 インド太平洋地域安全保障担当のシュライバー米国防次官補が8月28日、韓国が軍事情報包括保護協定 (GSOMIA) の延長をしない決定をした問題で、日米韓3ヵ国の安全保障を複雑化させると述べた。 (1910-090413>1910-090413)

 米国上院外交委員会のリッシュ委員長(共和党)が軍事情報包括保護協定 (GSOMIA) 終了時に韓国に撤回を促す決議案を提出する計画だと明らかにした。
 リッシュ委員長は、決議案発議に外交委民主党幹事であるメネンデス議員と、共和党所属インホフ上院軍事委委員長、リード上院軍事委民主党幹事が参加すると述べた。 (1912-112104>1912-112104)

竹島とその周辺で大規模演習を行ったことに対し批判声明

 米国務省が8月27日、韓国が竹島とその周辺で大規模演習を行ったことに関し、韓国による日本との軍事情報包括保護協定 (GSOMIA) 破棄などで日韓対立が高まっている中での演習実施は現在の事態解決をする上で生産的でないと批判する声明を出した。
 これに先立ち同省のオルタガス報道官は25日、GSOMIAを破棄した韓国の文政権についてツイッターで「深く失望し懸念している。
 協定破棄は韓国の防衛をより困難にし、米軍に対する危険を高める」と異例の強い調子で批判した。 (1909-082704>1909-082704)

韓国国防部主催のソウル安保対話(SDD) に米国が不参加

 韓国政府による日韓軍事情報包括保護協定 (GSOMIA) 破棄決定で米韓対立が強まる中で、9月4日から6日にかけてソウルで開かれるソウル安保対話(SDD) に米国政府が不参加を決めたことが8月29日までに分かった。
 2012年から韓国国防部が主催してきたSDDには、2014年を除き毎年米国防次官補もしくはそれに準ずる米軍関係者が出席してきた。 今回も韓国国防部はシュライバー国防次官補の出席を強く要請したが、米国側は日程上の理由で参加は難しいと通知したと伝えられている。
 ハリス駐韓米国大使も29日に予定されていた在郷軍人会の招請講演や対外経済政策研究院 (KIEP) 主催の行事出席を相次いでキャンセルした。 (1909-083004>1909-083004)

在韓米軍削減論

 米国のトランプ政権が在韓米軍1個旅団の撤収あるいは削減を強行する場合、第2師団第1旅団戦闘団 (BCT) がその最も有力な候補になりそうである。
 この部隊が削減される可能性が指摘されたのは、9ヵ月ごとの交代時に次の部隊を派遣しないだけで比較的に簡単に4,500名を削減できるからで、今の第1騎兵師団第3機甲旅団戦闘団 (ABCT) は2020年3月ごろに米本土に戻る。
 1st BCTは在韓米軍における唯一の歩兵部隊であると同時に主力部隊で、現時点での1st BCTの任務は米陸軍第1騎兵師団の3rd ABCTが担当しており、現在駐留する部隊は2019年6月に韓国にやって来た。 (1912-112103>1912-112103)

5・3・5・1・5 米国の動き

米韓連合司令官が韓国軍訓練を視察

 エイブラムス米韓連合司令官が10月23日、前方地域韓国軍砲兵部隊の実射訓練を視察した。
 2018年9月19日の南北軍事合意以降、米軍が前方地域訓練の場面や司令官の訓練視察の写真を公開するのは初めてである。 (1911-102601>1911-102601)

B-52H 2機が日本海上空を飛行

 民間航空追跡サイトAircraftSpotsが10月27日、グアムのAnderson AFBを出撃したB-52H 2機が25日に日本海で任務を遂行したと公開した。
 B-52Hの作戦をAndersen AFBと嘉手納空軍基地から出撃した空中給油機KC-135R 3機が支援した。
 B-52Hの飛行は北朝鮮に対する警告であると共に、中国とロシアに対する牽制の可能性もある。 (1911-102801>1911-102801)

5・3・5・2 対中関係

 (特記すべき記事なし)
5・3・5・3 対露関係

ロシア AEW&C機に警告射撃

 韓国の国防当局者が、韓国軍機が7月23日に同国領空に侵入したとしてロシアの軍用機に数百発の警告射撃を行ったことを明らかにした。
 同省によると、ロシアの爆撃機2機と中国の爆撃機2機がともに23日午前、韓国防空識別圏 (KADIZ) に進入した。
 その後これとは別にロシアのA50 AEW&C機1機が09:00過ぎにを2度にわたり韓国が実効支配している竹島上空の領空侵犯したため、韓国はF-15とF-16が緊急発進し、360発の警告射撃を行った。
 一方、ロシア側はいかなる領空も侵犯していないとしている。 (1908-072304>1908-072304)

 日本と韓国が領有権を争う島根県竹島周辺上空で7月23日、ロシア軍機と中国軍機が合同飛行を行ったことを受け、韓国軍と自衛隊の戦闘機が緊急発進し、韓国がロシア軍機が2度にわたって領空を侵犯したため警告射撃を行った。
 防衛省はこのロシア軍用機が日本の領空を侵犯し、ロシアと中国の爆撃機が日本の周辺を飛行したと発表した。
 中国とロシアは相互の軍事協定は結んでいないが、実戦レベルで中国軍とロシア軍が連携できる相互運用能力を着実に強化してきた。 (1908-072403>1908-072403)

 韓国空軍が7月23日、2度にわたり領空侵犯したとしてロシア空軍A50 AEW&Cに対し警告射撃を実施した。
 聯合ニュースによると、竹島周辺の日本海上空に09:00頃にロシア軍のTu-95MS 2機と中国軍のH-6K 2機が飛来したためF-15KとF-16Kが緊急発進したところ、A-50が領空を侵犯した。
 A-50は韓国側がフレアー10発を発射し80発の警告射撃を実施したところ空域をでたが、その30分後に再び侵入したため各国側は280発の警告射撃を実施した。 (1909-073106>1909-073106)

5・3・5・4 その他の対外関係

オーストラリア海軍と合同訓練

 韓国海軍が10月29日、南東部の浦項沖で同日から31日まで、オーストラリア海軍と合同演習を実施すると明らかにした。
 韓国からは駆逐艦崔瑩とフリゲート艦、潜水艦などの艦艇6隻、P-3、対潜ヘリなどの航空機6機が参加する。 オーストラリア海軍からはAegis駆逐艦HobartとMH-60ヘリ1機が参加する。 (1911-102903>1911-102903)

5・3・6 日韓関係

5・3・6・1 竹島を巡る対立

5・3・6・1・1 竹島の帰属問題

米国政府は1950年に竹島を日本領と認識

 内閣官房が9月10日、米国政府が1950年に竹島を日本領と認識しているとの見解をオーストラリア政府に伝えた内容が記載されたオーストラリア側の文書が見つかったと発表した。
 資料は米政府がサンフランシスコ講和条約の起草段階で日本の領域に関するオーストラリア政府の質問に答えた文書で、同じやりとりに関する米側の文書は既に公開されている。 (1910-091004>1910-091004)

5・3・6・1・2 米政府の対韓姿勢

 米国務省が韓国戦闘機の竹島上空飛行を批判した。 8月25~26日の2日間実施された韓国の「独島」防御訓練に対して非生産的と批判したことに続き、竹島関連の日韓紛争に対して引き続き批判的な立場を堅持した。
 米国務省報道官室関係者がVOA放送に送った電子メールで、1日に開かれた71周年国軍の日の記念式典で韓国空軍F-15Kが竹島上空を哨戒飛行したことに対し、韓国と日本の間の最近の意見衝突を考慮する時、リアンクール岩礁(竹島)での軍事訓練時期とメッセージ、拡大した規模は進行中の問題を解決するにあたり生産的ではないと批判した。 (1911-100205>1911-100205)
5・3・6・2 日韓関係の悪化

5・3・6・2・1 P-1 哨戒機へのレーダ照射問題

問題点のすり替えと責任の転嫁

 韓国国防省が1月2日、海上自衛隊のP-1が韓国駆逐艦からFCSレーダの照射を受けた問題で声明を出し、哨戒機が人道的な救助活動中だったわが国の艦艇に対し、威嚇的な低空飛行をしたとして謝罪を要求、実務協議の開催を呼び掛けた。
 また、わが国の艦艇は哨戒機にFCSレーダを照射しなかったと重ねて否定し、日本はこれ以上、事実を歪曲する行為を中止すべきだと主張した。
 韓国国防省が日本への謝罪要求という強硬対応に転じたことで、日韓間の対立が一層深刻化し、防衛協力全般に影響が及ぶ懸念も出てきた。 (1902-010202>1902-010202)

水掛け論に区切り:防衛省

 防衛省が韓国海軍駆逐艦によるP-1哨戒機へのFCSレーダ照射問題について1月21日、「これ以上協議を継続しても真実の究明に資するとは考えられない」とする最終見解を公表した。
 日本が韓国との協議を打ち切ったのは、不毛な水掛け論に一定の区切りをつけるためである。
 この問題では、攻撃準備行動ともいえるレーダ照射を曖昧な幕引きは許されず、政府は韓国に対し引き続き真相究明と再発防止を強く迫る姿勢を求める。 (1902-012104>1902-012104)

Jane's Defence Weekly の論調

 韓国国防省が1月24日、海上自衛隊のP-3Cが1月23日に黄海の蘇岩礁付近で、韓国海軍駆逐艦に "脅威を及ぼす低空飛行" で接近したと称する5枚の画像を公開した。
 韓国国防省によると1月に入ってこの種の飛行が3回目になるという。 (1903-013004>1903-013004)

韓国国防部がレーダ運用指針を日本に通知

 読売新聞が4月22日、韓国国防部が防衛省に対して1月に、日本の哨戒機が韓国の艦艇の3nm以内に接近したらFCSレーダを照射するという内容からなるレーダ運用指針を伝えていたと報じた。
 またハリス駐韓米大使がこの問題で鄭国防相に懸念を伝えたとも報じている。
 「哨戒機・レーダ照射」問題にまたも火が付き、日韓対立が増幅されかねないという懸念が強まっている。 (1905-042301>1905-042301)

5・3・6・2・2 わが国の対応

多国間海上共同訓練に不参加

 4月末に釜山で開かれるASEAN拡大国防相会議に合わせて実施される多国間海上共同訓練に日本が参加しないことが2月22日に分かった。
 韓国政府の消息筋によると、21日から2日間、釜山で開かれた国際海洋安全保障訓練の事前準備会議に日本代表も出席したが、釜山とシンガポールで開催される同訓練のうち、日本はシンガポールでの訓練にのみ参加することになったという。 (1903-022207>1903-022207)

海上自衛隊の観艦式に韓国海軍を招待しない

 複数の政府関係者が2月24日、防衛省が10月に開く海上自衛隊の観艦式に、韓国海軍を招待していないことを明らかにした。
 防衛省はすでに米国やオーストラリア、インド、シンガポールなどに加え中国にも案内を出しているが、韓国の招待は見送っている。
 前回の2015年の観艦式には、米豪印仏のほか韓国海軍の駆逐艦も参加していた。 (1903-022501>1903-022501)

文政権への不信

 防衛研究所が5日に年次報告書東アジア戦略概観を公表した。 報告書では韓国の文政権が北朝鮮との融和に傾いていることへの警戒感を示し、在韓米軍と韓国軍の連携を弱めて抑止能力の低下につながりかねないとの懸念を示している。 (1905-040509>1905-040509)

日韓防衛相会談の見送り

 複数の日本政府関係者が5月28日、政府がシンガポールで5月下旬から開かれるアジア安全保障会議に合わせた日韓防衛相会談を見送る方向で検討に入ったことを明らかにした。 代わって立ち話形式などでの短時間の非公式接触を調整する。
 一方、中国との国防相会談は行う見通しで、防衛当局間の幹部間のホットライン開設や部隊間交流について議論する。 (1906-052802>1906-052802)

5・3・6・2・3 日韓の軍事情報包括保護協定 (GSOMIA) の継続問題

GSOMIA 破棄宣言

 日本との安全保障協力は破棄してもかまわないのか。 一部では時々使える衛星情報を提供する国という程度で考えられているようだ。これは見えない日本の安全保障上の重要性を知らずに言うことだ。
 日韓の軍事情報包括保護協定 (GSOMIA) を見直すという声が高まり、日本の安全保障上の価値が天秤にかけられている。 (1909-080607>1909-080607)

 韓国大統領府が8月22日、国家安全保障会議 (NSX) の会合を開き、24日が更新の判断期限だった日韓軍事情報包括保護協定 (GSOMIA) を破棄する決定をした。
 会合後、記者会見した大統領府国家安保室第1次長は、日本が輸出手続きを優遇する対象国「グループA(ホワイト国)」から韓国を除外した政令改正を閣議決定したことが「両国間の安保協力環境に重大な変化をもたらした」と批判したうえで、GSOMIAの維持が「韓国の国益に合致しない」と主張した。
 北朝鮮がミサイル発射を繰り返す中、日米両政府は韓国側に協定継続を働きかけていた。 (1909-082201>1909-082201)

 韓国による日韓軍事情報包括保護協定 (GSOMIA) 破棄の決定を受け、米国が反対する協定破棄には踏み込めないと想定していた日本政府には衝撃が広がっている。 元徴用工問題に端を発した日韓関係の悪化は安全保障分野にまで波及し、両国の対立は決定的となった。
 防衛省幹部は、さすがにそこまでしないと思っていたので残念だと落胆を隠さなかった。
 別の同省幹部は何も言うことはないと絶句し、外務省幹部は誠に遺憾だと言葉少なに語った。 (1909-082202>1909-082202)

 韓国の鄭国防部長官が10月2日に国防部で開かれた国会国防委員会の国政監査で、北朝鮮が07:11に未詳の飛翔体を日本海方向に発射したことに関連し、日本に対して日韓軍事情報包括保護協定 (GSOMIA) に基づいて情報共有を要請したと明らかにした。 (1911-100206>1911-100206)

破棄宣言の撤回

 自民党幹部が、11月23日午前0時に失効期限が迫る日韓軍事情報包括保護協定 (GSOMIA) をめぐり、韓国政府が22日に日本政府に対して終了させない方針を伝達したことを明らかにした。 (1912-112205>1912-112205)

5・3・6・2・4 その他の反日行動

最大規模の「独島防衛訓練」

 韓国海軍が8月25日、韓国が実効支配する島根県竹島の「防衛」を想定した訓練を開始した。
 前回は2018年12月に行われ、2019年は6月に実施予定だったが、日韓関係への影響を考慮し延期していた。 (1909-082503>1909-082503)

日本を防衛対象国に F-35B を20機装備

 韓国は2014年から40機のF-35Aを発注しているが、新たにF-35Bを20機装備する計画である。
 追加発注するF-35B 20機は2030年就役を目指しKRW3T ($2.5B) で建造する全長250m、排水量40,000tの空母に搭載する。
 韓国にとって中国は明らかな脅威であるが、日本もまた防衛対象国と見ている。 (1910-081905>1910-081905)

5・4 台 湾

5・4・1 防衛を巡る台湾の国内環境

5・4・1・1 安全保障の基本姿勢

2019 National Defense Report

 台湾国防部が9月11日に2019 National Defense Reportを公表した。 この中では米国のインド太平洋戦略の支援を強調し、豪、日、比、韓、タイ、シンガポールとの協調の重要性を強調している。
 また2017年以来となる米国の武器輸出も挙げている。 (1911-092503>1911-092503)

5・4・1・2 対大陸姿勢

5・4・1・2・1 対大陸防衛の基本方針

 台湾国防部が9月11日、2019年度版の国防報告書を公表した。 国防報告書は2年に1度発表しており、蔡英文政権では2冊目となる。
 全体の防衛構想は前回提示した「防衛固守、多重抑止」を引き継いでいて、今年度の報告書では防衛構想が初めて150枚の図表で示された。
 防衛構想は戦力防護、沿海決勝、灘岸せん滅を3本の柱としており、作戦全過程で戦力防護を行い、航空戦力や沿岸に設置した火力で敵軍の船団を阻む沿海決勝、泊地や海岸、沿岸に上陸した敵軍を撃滅する灘岸せん滅の2段階で防衛を図る。
 さらに、地理的優位性を生かして革新、非対称の作戦思想で陸海空の戦力を統合、戦場の主導権を握り、敵軍による台湾奪取失敗の作戦目標を達成するとしている。 (1910-091103>1910-091103)

 台湾国防部が9月11日、2年ごとにまとめる国防報告書を公表した。 中国の習主席が1月の演説で台湾に統一を迫ったことに触れ、「中国は台湾への武力侵攻の選択肢を捨てておらず、軍事力の現代化で台湾海峡の軍事バランスを崩そうとしている」と位置づけている。
 また過去2年間に中国軍の戦闘機や空母遼寧などが台湾本島の周辺や太平洋沖などで訓練を行ってきたことを示し、「軍事的な行動範囲を西太平洋やインド洋にまで延ばし、我々への脅威は増している」と分析した。 (1910-091104>1910-091104)

5・4・1・2・2 台湾地区・大陸地区人民関係条例

 台湾の今国会で、安全保障関連法案、経済振興法案、関心の高い法案の47本の法案が最優先で審議されることになった。 このうち安全保障関連法案は主に、中国の交流について定めた「台湾地区・大陸地区人民関係条例」(両岸人民関係条例)の改正を指し、両岸間の政治的な協議の内容は国民投票によって大多数の同意を得なければならないと定める方針だという。
 また、中国政府が発行し中国人と同等の待遇を与える居住証を取得した者に対し、台湾の行政機関への届け出を義務付けるほか、居住証を放棄してから一定期間経過しなければ、選挙への立候補や、軍人、公務員、公立の教育機関の教員などの職に就くことを禁じるとする内容も盛り込まれる。 (1903-021905>1903-021905)
5・4・1・2・3 大陸の侵攻能力評価

 総統府が2月22日、蔡総統とCNNのインタビューでの一問一答の内容を公表した。 それによると、中国の台湾侵攻について蔡総統は「第一波の攻撃に耐えるだけの力がある」とした上で、「第一波の攻撃後、中国は国際社会からの圧力を受けると同時に、自国の経済や他分野への打撃をも受けなければならない」と指摘した。
 蔡総統は更に、「われわれ自身が第一波の攻撃に耐えてから、全世界の他の国々がそろって中国に強い抗議の意思を示し、圧力をかけてほしい」と期待を示した。 (1903-022304>1903-022304)

 台湾国防部が8月30日、中国の軍事力に関する2019年の報告書を発表した。
 報告書によると、中国は2020年に核大国の抑え込みや核戦争の封じ込め、領土防衛の力を備えた戦略的核戦力の確立を目指しているという。 さらに、中国は2020年までに台湾に対する全面的な武力侵攻の準備を整える計画だと見ている。
 ただ、中国には全面的に台湾を侵攻する正規の作戦能力が備わっていないとし、現時点で比較的可能性が高いのは、軍事威嚇、封鎖作戦、火力打撃だとの見方を示し、上陸作戦については、中国は演習の頻度や規模を拡大しているものの、現時点では中華民国の離島を奪取しうる作戦能力しかないとしている。 (1909-083006>1909-083006)

5・4・1・3 防衛産業の育成策

600t級警備艦の量産開始

 台湾が国内で建造する600t級警備艦の起工式が1月4日に高雄市の中信造船高鼎工場で行われた。 新造される12隻のうちの1隻目で、2020年末の完成を目指す。
 600t級警備艦は台湾が建造した海軍の沱江型コルベット艦を元に、任務の性質や需要に合わせ、同署向けに改良が施される。
 防衛産業の育成に積極的に取り組む蔡政権行政院は2017年に艦艇国産計画を承認し、警備艦の国産化を進めており、2027年までに600t級12隻のほか、4,000t級4隻、1,000t級6隻など計141隻の建造を目指している。 (1902-010501>1902-010501)

2019 TADTA防衛宇宙博

 台北で8月15~17日に2019 TADTA防衛宇宙博が開かれ、国内外から150社が参加して800のブースで展示を行った。
 台湾AIDC社が展示した高等練習機AJTは9月に試作機が公開されて地上試験を開始し、2020年6月に初飛行が計画されている。
 AJTは2026年までに66機が生産され、現有のAT-3及びF-5と交代する。  そのほかにイスラエルのHarpyと似たJian HsiangとTeng Yun (Cloud Rider) MALE UAVなども展示された。 (1910-082804>1910-082804)

5・4・1・4 年次演習の規模拡大

過去5年で最大規模の海上演習

 台湾国防部が5月22日早朝、台湾東部海域で実弾射撃訓練を実施した。
 演習には、2018年11月に就役したOliver Hazard Perry級フリゲート2隻を始めとする水上戦闘艦22隻、主力戦闘機3機種を出動させ、公開海上演習としては2014年以来最大規模となった。 (1906-052202>1906-052202)

高速道路を滑走路として利用する訓練

 台湾の国防部が5月28日、有事に高速道路を滑走路として利用する訓練を5年ぶりに行い、報道陣に公開した。
 この日は、F-16VやMirage 2000、E-2Kなど4機が彰化県の高速道路に着陸し、攻撃ヘリが空中で護衛する中、燃料と弾薬を補給し、次々と離陸した。
 中国は、台湾に面する地域にSRBMだけで1,500発を配備しており、ミサイルの一斉攻撃で台湾の全ての滑走路を破壊できるとされるため、国防部は本島の高速道路など5ヵ所を代替滑走路に指定し、2004年から不定期に訓練を実施している。 (1906-052804>1906-052804)

 台湾が年次演習で5月28日、中国からの航空基地攻撃を想定して彰化県で高速道路に軍用機を着陸させた。
 着陸したのはV型に改良されたF-16、Mirage 2000、国産戦闘機IDF及びE-2K AEW&C機である。
 台湾は144機保有するF-16A/Bを$4.21BかけてF-16Vに改良中であるが、米国に対しM1 MBTと共に新規生産F-16Vの売却を要求している。 (1906-052810>1906-052810)

中国軍機が台湾東部沖で偵察飛行

 防衛省統合幕僚監部が5月29日、台湾軍の定例訓練「漢光35号」が東部海域で実施された29日に中国軍機が台湾東部沖を飛行したと発表した。
 確認されたのはY-8電子戦機とY-9情報収集機の2機で、Y-8は東シナ海から対馬海峡方面に向かい、Y-9は宮古海峡を通過して台湾東部の西太平洋に入ったという。 (1906-053005>1906-053005)

5・4・2 米台関係

5・4・2・1 米国の基本姿勢

5・4・2・1・1 米台関係諸法に見られる姿勢

アジア再保証イニシアチブ法(ARIA)の成立

 トランプ米大統領が2018年12月31日、台湾への定期的な武器売却や高官の台湾訪問などを提唱する内容が盛り込まれたアジア再保証イニシアチブ法案(ARIA)に署名し、同法が成立した。
 同法は米国が「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指し、日本や韓国、オーストラリア、東南アジア諸国との安全保障や経済における連携の強化を図るもので、台湾については、断交後の両国関係のあり方を定めた台湾関係法と台湾に対する6つの保証にのっとった定期的な武器売却や2018年3月に成立した台湾旅行法に基づく高官の台湾訪問などを提言している。 (1902-010201>1902-010201)

米議会上院が台北法案を全会一致で可決

 米議会上院が10月29日、台湾の外交関係や国交を結んでいない国との民間交流、国際参加などを支持するよう米行政機関に促す台北法案を全会一致で可決した。
 下院外交委員会でも30日、下院に提出されている同法案について採決が行われる予定で、法案は上下両院の本会議をそれぞれ通過し、一本化を経て大統領が署名することで成立する。 (1911-103005>1911-103005)

5・4・2・1・2 台湾保証法案

 米共和、民主両党の超党派議員団が3月26日、台湾との関係強化を目指す法案を上院に提出した。
 法案には、台湾への米国製兵器売却を米議会が支持することや、台湾との軍事演習実現に努力するよう国防総省に要請することなどが含まれている。 (1904-032703>1904-032703)

 米下院で5月7日、台湾保証法案と台湾に対する米国のコミットメントの再確認について投票が行われ、前者は全会一致で可決、後者は賛成414票、反対0票、棄権17票で議決された。
 「台湾保証法案」の内容には、米国による台湾への武器売却を常態化すること、米台貿易協定の協議を再開すること、そして台湾の国際組織加入を支援することなどが含まれていた。
 中国メディアの海外網は8日、米国が下院で可決した台湾への干渉法案について「中国外交部は珍しく『重大な』という言葉を2度用いて米国に警告した」と報じた。 (1906-050904>1906-050904)

5・4・2・1・3 台湾への武器売却を支持するFY20国防権限法案

 米下院が7月12日、台湾への武器売却を支持する内容が盛り込まれたFY20国防権限法案 (NDAA) を賛成多数で可決した。
 同院軍事委員会が公表した草案によると、台湾について米国防長官は台湾の自己防衛力を高めるために台湾側のカウンターパートと話し合いの場を持ち、台湾の軍事力を総括的に評価するべきと第1243条で定めている。
 6月27日に可決された上院版NDAAも、台湾への武器売却や米艦による定期的な台湾海峡通過を支持する内容が盛り込まれている。 (1908-071304>1908-071304)
5・4・2・1・4 米軍人の台湾派遣

 米国の対台湾代表機関である米国在台協会(AIT)の報道官が4月3日、AIT台北事務所に2005年から現役の米軍人が警備のため常駐していることを明らかにした。
 米国は警備のため世界各地の大使館に海兵隊を常駐させているがAITへの常駐は否定していて、米国が台湾への軍人常駐を認めるのは初めてである。
 米側には中国をけん制する狙いがあるとみられるが、米中は1972年の共同声明で台湾からの米軍撤退に合意しており、「一つの中国」原則を掲げる中国の反発は必至である。 (1905-040301>1905-040301)
5・4・2・1・5 蔡総統の訪米容認

 台湾の蔡総統が3月26日に南太平洋歴訪の帰路ハワイに立ち寄った。
 27日にはヘリテージ財団がワシントンで開催するフォーラムにテレビ会議の形で初参加し、地域の安全をテーマとする講演を行うほか、危機管理を担うハワイ州緊急事態管理庁 (EMA) を訪問する。 またシンクタンク「東西センター」で行われる「台湾関係法」制定40周年を記念する映像イベントへの出席も予定されている。
 蔡総統が米国に立ち寄る際に米政府機関を訪問するのは、2018年8月の中南米歴訪に続き2回目で大きな進展として注目される。 (1904-032707>1904-032707)
5・4・2・1・6 米台安全保障担当高官の会談

 台湾外交部が5月25日、外交や安全保障政策を統括する総統の諮問機関である国家安全会議のトップの李秘書長が5月13日から21日まで訪米し、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するボルトン大統領補佐官と会談したと発表した。 会談の日時や内容は明らかになっていない。
 米国は1979年に中国と国交を結んだことに伴い台湾と断交していて、安全保障を担当する双方の高官が会談するのは極めて異例である。 (1906-052601>1906-052601)
5・4・2・1・7 米海軍艦船の台湾海峡通過、台湾寄港

1月24日:駆逐艦 McCampbell と補給艦 Walter S. Diehl

 米国防総省が1月24日、米海軍駆逐艦McCampbellと補給艦Walter S. Diehlの2隻が台湾海峡を通過し、南シナ海から東シナ海へと航行したことを明らかにした。
 米海軍艦船の台湾海峡通過は2018年11月以来で、南シナ海で軍事拠点化を進め、台湾への圧力を強める中国を牽制する狙いがあるとみられる。 (1902-012502>1902-012502)

2月25日:駆逐艦 Stethem と補給艦 Cesar Chavez

 米太平洋艦隊が、駆逐艦Stethemと補給艦Cesar Chavezの2隻が2月25日に台湾海峡を航行したことを明らかにした。
 太平洋艦隊は声明で「米軍艦が台湾海峡を航行したことは、自由で開放されたインド太平洋に対する米国の意思を示している」とした。 (1903-022602>1903-022602)

3月24日:駆逐艦 Curtis Wilbur と沿岸警備隊警備艦 Bertholf

 米軍が24日、海軍の駆逐艦と沿岸警備隊の警備艦が台湾海峡を通過したと明らかにした。
 米軍が発表した声明によると、通過したのは駆逐艦Curtis Wilburと警備艦Bertholfである。 (1904-032501>1904-032501)

 3月24~25日に米海軍駆逐艦Curtis Wilburと沿岸警備隊警備艦Bertholfが航行の自由作戦 (FONOP) として台湾海峡を通過した。 この作戦間カリフォルニアを母港とする警備艦Bertholfは第7艦隊の戦術統制下に入った。
 退役陸軍将校で海軍大学の教授を務めているアーマー氏は著書で、沿岸警備隊の部隊は作戦地域に投入されれば増強部隊になると述べている。 (1904-032508>1904-032508)

4月28~29日:駆逐艦 Stethem と同 William P. Lawrence

 米海軍第7艦隊が4月29日、駆逐艦Stethemと同William P. Lawrenceが現地時間の28~29日に台湾海峡を通過したことを明らかにした。
 米艦の台湾海峡通過は4ヶ月連続で、台湾への圧力を強める中国をけん制する狙いがあるとみられる。 (1905-042905>1905-042905)

5月22日:駆逐艦 Preble と補給艦 Walter S. Diehl

 米海軍第7艦隊が、米艦船2隻が5月22日に台湾海峡を航行したと発表した。
 報道官によると、同海峡を航行したのは駆逐艦Prebleと補給艦Walter S. Diehlである。 (1906-052304>1906-052304)

7月24日:巡洋艦Antietam

 米第7艦隊が7月24日、米海軍巡洋艦Antietamが24、25両日に台湾海峡を通過したと明らかにした。
 中国の習近平体制は24日に発表した国防白書で、台湾独立の動きに対しては武力行使を辞さない姿勢を表明しており、海峡通過は台湾に対する中国の軍事的圧力を牽制する狙いがあるとみられる。 (1908-072502>1908-072502)

8月23日:海軍艦2隻

 台湾の中央通信によると、米海軍艦2隻が8月23日に台湾海峡を北上する形で通過した。 米艦の航行は今年7回目でほぼ毎月1回のペースで同海峡を航行している。
 米国務省は20日に台湾へのF-16V売却を承認し議会に正式に通告したばかりで、中国への牽制を強めている。 (1909-082308>1909-082308)

11月12日:巡洋艦 Chancellorsville

 台湾国防相が11月13日、米海軍巡洋艦Chancellorsvilleが12日に台湾海峡で航行の自由作戦を実施したと明らかにした。
 米艦の台湾海峡通過は今年に入って9度目である。
 Chancellorsvilleは台湾海峡を北から南に向かい、バシー海峡に進路を取った。 (1912-111303>1912-111303)

5・4・2・1・8 空軍機の台湾海峡飛行

8月29日:MC-130

 台湾の国防部が8月29日、米軍のMC-130特殊作戦機が同日午前に台湾海峡の中間線に沿って北から南へ飛行したと発表した。
 これに先立ち、米軍は南シナ海で「航行の自由」作戦を実施した一方、中国は米艦船の寄港を拒むなど双方のさや当てが強まっている。
 中間線は1950年代に米軍が設けたとされ、中台間ではそれを挟んだすみ分けがおおむね守られてきたが、米中・中台関係が悪化するなか、2019年3月に中国軍の戦闘機が中間線を越え台湾側を約10分間飛行する事案が起きた。 (1909-082905>1909-082905)

9月26日:MC-130J

 台湾国防部報道官が9月27日、米軍のMC-130J特殊作戦機1機が26日に台湾海峡中間線に沿って飛行したと明らかにした。
 消息筋によると、米軍機は台湾海峡中間線沿いを北から南に向かって飛行し、台湾の南東に方向を変えたという。
 同部が公開している情報によれば、米軍機は8月29日にも台湾海峡を飛行していた。 (1910-092703>1910-092703)

11月5日:MC-130

 台湾国防部が11月5日、米軍のMC-130特殊作戦機1機が同日、台湾海峡の中間線の東側を北から南に向かって飛行したと発表した。
 同部の公開資料によれば、米軍の同型機は8月29日と9月27日にも台湾海峡を飛行している。
 米軍艦の台湾海峡通過は、同部が初めて資料を公表した2018年7月以来ほぼ毎月続いてきたが、2019年10月は確認されなかった。 (1912-110503>1912-110503>

5・4・2・1・9 米駐台代表の軍事施設訪問

 米国の対台湾窓口機関である米国在台協会 (AIT) のクリステンセン台北事務所長(大使に相当)が8月20日、高雄市の軍事施設を視察した。 訪問の様子はAITのFacebookやInstagramに数回に分けて写真とともに投稿された。
 AITが台湾の軍事施設への訪問を公表するのは異例である。 (1909-082103>1909-082103)
5・4・2・2 台湾への武器売却

5・4・2・2・1 武器売却等の要求

 台湾の一部メディアが3月6日、F-16V 66機の売却を米国に要請し、購入金額は4,000億台湾元(1兆4,500億円)に上ると報じた。
 これを受けて台湾空軍司令部が6日、米国に新型戦闘機の売却を正式に要請したと報道資料で発表したが、7日の記者会見では機種について米側に具体的な指定はしておらず、F-15、F-18、F-16、F-35のいずれも候補に含まれており、米国の回答を待ってから機種の選択や金額の交渉を行うとの方針を示し、金額については「完全な憶測」だと否定した。 (1904-030703>1904-030703)

 台湾の蔡総統が3月27日、米政府が台湾への武器売却に前向きな反応を示していることを明らかにした。
 台湾は戦車のM1 AbramsとF-16Vの購入を新たに申し入れている。 (1904-032804>1904-032804)

5・4・2・2・2 台湾への武器売却方式変更

 米政府が、従来台湾への武器輸出を複数の案件を1度に通告する「同梱」方式から、案件ごとに通告する通常のFMS方式に切り替えることにした。 (1908-070203>1908-070203)

 米政府が台湾への武器輸出について、従来のパッケージ方式輸出から個別に審査する一般のFMS方式に切り替えることになった。 これはFY18国防権限法 (NDAA) で議会から求められたことによる。
 FY18 NDAAではこの他に、台湾から武器売却の要求があった場合、政府は120日以内に承認の是非を議会に報告することを求めている。 (1908-071008>1908-071008)

5・4・2・2・3 $2Bを超す武器売却の実現

 米国が台湾への武器売却を進めようとしていると、事情に詳しい関係者4人が匿名で明らかにした。
 関係者によると、M1A2 Abrams MBT 108両と対戦車弾など$2Bを超す武器の売却に関する非公式の通知が米議会に提出された。 (1907-060601>1907-060601)

 トランプ米政権が7月8日、戦車108両とSAMなど総額$2.2B相当の装備品を台湾に売却することを承認し、議会に通知した。
 売却されるのはM1A2 Abrams MBTやStinger MANPADS及び多数の弾薬などである。 (1908-070901>1908-070901)

 中国外務省が7月12日、米企業による台湾への総額$2.2Bの武器売却は中国の主権と国家安全保障を脅かすとし、武器売却に関与する企業に制裁措置を科す方針を発表した。
 米国防総省は8日に承認した武器売却には、General Dynamics社製M1A2T Abrams MBT 108両やRaytheon社製Stinger MANPAD 250発などが含まれる可能性がある。 (1908-071203>1908-071203)

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が7月8日、台湾への総額$2.22BにのぼるFMS契約を国務省が承認したと発表した。
 売却されるのはM1A2T Abrams MBT 108両、Block Ⅰ-92F Stinger 250発とM88A2戦車回収車、M1070A1重輸送車、更にこれらに付属する機関銃、弾薬、発射発煙筒、エンジン及びトランスミッション、通信装置などである。
 M1A2は台湾が現有している老朽化したM60A3 MBTや国産のCM11 MBTと換装する。 (1908-071710>1908-071710)

5・4・2・2・4 F-16 の売却

 かつてトランプ大統領の政権移行チームの一員で、現在では大統領の中国問題顧問でHudson研究所の上席研究員でもあるPhillsbury氏が7月25日、トランプ政権が台湾へF-16を売却するとしているが実際には行われないだろうと述べた。
 事実トランプ大統領はまだF-16の売却を承認してはいない。 (1909-080712>1909-080712)

 米議会筋が8月16日、トランプ政権が台湾に新規製造のF-16V数十機を売却する決定を行ったことを明らかにした。 F-16VはF-16の最新型で台湾は2年後に退役するF-5E/Fの後継にするという。
 台湾はかつてF-16 66機の売却を要求していたがオバマ政権はこれを拒否し、代わって台湾が保有していたF-16A/B Block 20 140機の改良を認め、一号機はすでに納入されている。 (1909-081609>1909-081609)

 米議会関係者が8月16日、トランプ米政権は台湾にF-16を売却する方針を固め、議会に非公式に通知し手続きを進めており、近く正式決定する見通しであることを明らかにした。
 米メディアによると、売却されるF-16は66機で$8Bにのぼる。
 トランプ政権は7月にも、M1A2 Abrams MBT 108両などの売却を決めている。 (1909-081701>1909-081701)

 米国務省が、台湾への新型F-16の売却を承認したため、国防安全保障協力局 (DSCA) が8月20日に議会に正式に通知した。
 売却されるのはF-16V 66機とGE社製エンジン75基、及びその他システムなど売却額は$8Bになると見られる。 (1909-082102>1909-082102)

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が8月20日に議会に対し、台湾へのF-16 Block 70の売却を国務省が承認したと報告した。 売却されるのは66機で既存のF-16 142機と合わせて208機になる。
 台湾はこの他にMirage 2000-5を55機、国産のF-CK-1を125機保有しているため、戦闘機は合わせて388機になる。
 Northrop Grumman社製APG-83 AESAレーダを搭載するF-16 Block 70はF-5E/F及びRF-5E合わせて62機と換装することになる。 (1910-090207>1910-090207)

5・4・2・3 米台軍の共同

5・4・2・3・1 米軍の台湾駐留

 「5・4・2・1・4 米軍人の台湾派遣」で記述
5・4・2・3・2 米韓共同演習

CODE サイバ攻防戦演習

 台湾と米国が共同主催する一週間に及ぶサイバ攻防戦演習CODEが行われている。 2013年以来隔年で実施されてきたこの演習は、今年は初めて米国が共同主催国になった。
 演習は対抗戦で、敵方(赤軍)としてはオーストラリア、チェコ、インドネシア、マレーシア及び日本が参加し、台湾の公共及び民間のサイバインフラに対し疑似攻撃を仕掛けている。
 英Financal Times紙によると、この他に6ヵ国がオブザーバとして参加している。 (1912-110704>1912-110704)

5・4・2・3・3 台湾空軍の米国での訓練

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が4月15日、駐米国台北経済文化代表処にF-16の飛行訓練や保守後方支援を継続して提供する推定$500Mの (FMS) を国務省が承認したと発表した。
 訓練や支援は米アリゾナ州Luke AFBに配備されているF-16に対して行われる。 (1905-041606)
5・4・3 その他諸国との関係

5・4・3・1 西側諸国の支援

フランス海軍フリゲート艦の台湾海峡通過

 複数の米当局者の話で、フランス海軍のフリゲート艦が4月6日に台湾海峡を通過したことが明らかになった。
 米当局者が匿名を条件にロイタに明らかにしたところによると、台湾海峡を通過したのはフリゲート艦Vendémiaireで、中国軍が追跡していた。
 欧州諸国の軍艦のこうした行動はほとんど例がなく、米当局者によると仏艦の海峡通過を受け、中国は中国海軍設立70周年のイベントへのフランス軍招待を取り下げた。
 仏軍艦が台湾海峡を通過したことは、米国の同盟国の間で中国周辺の航行の自由を巡る主張が高まっている可能性があることを示唆しており、オーストラリアなど他の米同盟国も同様の行動を起こす可能性がある。 (1905-042501)

カナダ海軍艦が台湾海峡通過

 台湾の国防部が6月19日、自由時報などが19日に報じた自動船舶識別システム (AIS) の情報を掲載するサイトを元に、カナダのフリゲート艦と補給艦が台湾海峡を南から北に通過したと報じたことを確認する形で、カナダ海軍の艦艇2隻が18日に台湾海峡を通過したことを明らかにした。
 2隻は13~15日にベトナム沖の南シナ海で、海上自衛隊の護衛艦いずもなどと共同訓練を実施していた。 (
1907-061901)

 中国国防省が6月27日、カナダ艦が台湾海峡を航行したと発表した。 カナダ紙によると、カナダ艦は航行の自由作戦で6月18日に台湾海峡を航行した。
 カナダ艦が台湾海峡を航行するのは、カナダ当局による中国通信機器大手、ファーウエイの孟最高財務責任者の逮捕後、初めてとなる。 (
1907-062703)

 台湾の国防部が9月10日午後、カナダ海軍のフリゲート艦1隻が台湾海峡を北から南に向け通過中だと発表した。
 カナダ海軍艦艇の通過は6月中旬以来、2019年2回目で、中央通信社によると通過したのはフリゲート艦Ottawaで、自動船舶識別装置 (AIS) による船舶情報を発信していた。 (
1910-091005)

英海軍測量艦が台湾海峡通過

 台湾国防部が12月7日、英海軍測量艦Enterpriseが同日、台湾海峡を南から北へ航行したことを確認したと発表した。
 複数のメディアによると、Enterpriseは厦門に近い金門島の沖合を経由して台湾海峡に入ったという。 (
2001-120701)
【註】測量艦Enterpriseは全長90.6m、排水量3,740tで、Oerlikon 20mm機関砲2門とM134 7.62mm 6銃身ガトリング銃2丁などを装備している。

5・4・3・2 台湾を承認する国々の動き

ナウル共和国

 太平洋歴訪中の蔡台湾総統が3月24日、2ヵ国目のナウルに到着した。
 ナウル議会は25日に蔡総統のナウル訪問を歓迎する決議を全会一致で採択し、ワガ大統領は中国が掲げる「一つの中国」原則や台湾との一国二制度の方針を受け入れない台湾の姿勢に支持を示した。 (1904-032503)

ソロモン諸島

 台湾と外交関係を持つソロモン諸島のマネレ外相が9月9日、訪問先の台北で呉外交部長との共記者会見で、台湾との友好的で充実し進歩的な関係を大事にしている」と述べ、関係維持の重要性を強調し、ソロモンが近く台湾と断交して中国と国交を樹立するとの報道を否定した。
 ただ、2019年就任したソガバレ首相は、外交関係を台湾から中国に切り替える利点と問題点を調査する特別作業部会を設置するなど、中国との関係強化に動いているとされる。 (
1910-090903)

 ソロモン諸島のソガバレ首相が9月16日に、台湾と外交関係を断絶し中国と国交を樹立することを決めた。
 これに対して台湾の外交部長は、極めて遺憾であり強く非難すると述べ、同日夜にソロモン諸島との外交関係断絶を発表した。
 これで中華民国(台湾)と外交関係を結ぶ国は16ヶ国になった。 (
1910-091603)

キリバス

 台湾外交部が9月20日、外交関係を結んでいた太平洋の島国キリバスとの国交断絶を発表した。 背景には、2020年1月の総統選で再選を目指す蔡英文総統に揺さぶりをかけようとする中国の狙いがあるとみられる。
 16日にはソロモン諸島と断交したばかりで、これで台湾と外交関係を結ぶ国は15ヵ国になった。 (
1910-092002)

ツバル

 ツバルのコフェ外相が11月21日、中国企業から提案された海面上昇に対処するための人工島建設計画を拒絶したと明らかにした。
 中国はこうした申し出を通じて、ツバルなど台湾と外交関係のある太平洋の島国を取り込もうとしているが、コフェ氏は台湾支持の姿勢を鮮明に打ち出し、同様になお台湾と外交関係を維持しているマーシャル諸島、パラオ、ナウルの3ヵ国との連携を強化していく方針を打ち出した。
 コフェ外相はロイタに、ツバルと台湾の外交関係はかつてないほど強固だと語り、他の3ヵ国と結束協力することで中国の影響力に対抗できるとの見方を示した。 (
1912-112201)

 台湾と外交関係を結ぶ南太平洋ツバルのコフェ外相が11月16~21日の日程で訪台し蔡総統や呉外交部長らと面会した。
 コフェ外相は太平洋のソロモン諸島とキリバスが9月に相次いで台湾と断交して中国と国交を樹立したことを受け、太平洋にある台湾の国交樹立国に働き掛けて連盟を結成し共同で中国に対抗する考えを示した。 台湾との外交関係を維持する太平洋4ヵ国の動向に注目が集まっている。 (
1912-112204)

5・4・3・3 友好国の獲得努力

南太平洋諸国

 太平洋諸国を歴訪している台湾の蔡総統が3月26日、最後の訪問地であるのマーシャル諸島に到着した。
 総統は同行記者団との懇談で、パラオ、ナウルと海上保安に関する協力協定をそれぞれ締結した今回の成果に言及し、海洋研究や海難救助などを通じてインド太平洋地域のパートナーを密接に連携させられればと意欲を示した。 (1904-032609)

5・4・4 日台関係

5・4・4・1 台湾の対日姿勢

 台湾の蔡総統が1月5日に海外メディアと会見し、中国の習近平国家主席が2日の演説で台湾への武力行使を辞さない姿勢を示したことに対し、防衛力の構築が重要政策の中でも最優先だと強調した。
 その上で、台湾の防衛力強化に協力してくれる全ての国と共に努力したいと述べ、米国だけでなく日本との安全保障協力にも期待をにじませた。 (1902-010502>1902-010502)
5・4・4・2 日台防衛協力

 蔡英文総統が安全保障やサイバ戦に関する対話を日本政府と行いたいとの考えを産経新聞のインタビューを通じて表明したことについて、日本の外務省から蔡総統の要請に応じる考えはないとの回答があったと一部メディアで伝えられた。
 台湾の外交部は3月5日に日本側から連絡があったと明かし、各種ルートを通じて意思疎通を続けていくとの方針を示した。 (1904-030508)

 台湾の謝駐日代表が3月5日、千葉県内で開催中のイベントで、日本がこれまで台湾と安保対話を行っていないことについて、米国も台湾と安保対話を行いたいと考えているが、日米が共に懸念しているのは、台湾の軍関係者が中国を訪れた際に機密情報を漏えいしたケースがある点だとして、台湾は機密保持をより徹底するべきだとの考えを語った。 (1904-030605)

5・4・5 台湾の防衛力整備

5・4・5・1 国防政策

5・4・5・1・1 国 防 費

 台湾国防省が4月14日に国営CNA通信で、2019年にTWD346Bである国防費を毎年2%以上引き上げ、2027年までにTWD400B ($13B) 以上にすることを明らかにした。
 これにより国防費の対GDP比は、当面2%、数年後には2.4%に引き上げる。 (1906-042412)

 台湾が8月15日、2020年の防衛予算を8.3%増やしてTWD411.3B ($13.11B) とすることを閣議で承認した。
 与党の民進党が優勢な立法院で承認される見通しで、成立すれば、行政院主計総処によると伸び率は2008年以来の高率で、額は2001年の記録開始以降最大となる。 (1909-081603>1909-081603)

 台湾の2020年度予算案が8月15日に行政院院会(閣議)で決定され、国防部所管予算は前年度比5.2%増の3,580億台湾元(1兆2,100億円)である。
 行政院主計総処によると、国防部所管予算のうち軍事投資費は960億元(約3,255億円)で、軍事投資費には軍用機国産に当てる64億元(217億円)と艦船国産の154億元(523億円)が含まれる。 (
1909-081607)

5・4・5・1・2 防衛産業の育成

外資、技術の積極導入

 台湾立法院が国防及び他の戦略分野での外国からの投資を促進する法案を可決した。
 台湾国営CNAによると法案では外国からの投資に対し税制上の優遇措置を求めている。 (1908-070405)

宇宙航空・防衛博の開催

 「台北国際航空宇宙産業および国防工業展」(TADTE)が8月15日に台北市内で開幕し、開会式で挨拶した蔡総統は台湾の宇宙防衛産業の発展状況について、サプライチェーンを構築するメーカーがすでに100社以上になり、取得した認証は20項目以上に上るとアピールした。
 蔡総統は、台湾の航空宇宙産業の市場規模は2016年に1,000億台湾元(3,400億円)の大台を突破し、2018年は1,200億元(4,000億円)を上回ったほか、外資系企業からの受注も好調だとアピールした。
 また同展の目玉であるUAVにも触れ、同分野の研究開発を奨励するために法改正に取り組む姿勢を示した。 (
1909-081501)

5・4・5・2 航空機

5・4・5・2・1 戦闘機等

戦闘機の国内開発

 台湾NCSISTが戦闘機の国内開発を視野に、2018年から戦闘機用エンジンの開発を行っていることを明らかにした。
 政府は戦闘機開発についての時程表を示していないが、台湾では遅くとも2030年代までには現有機の更新に迫られる。 (1912-101406)

高等練習機 T-5 Blue Magpie

 台湾AIDC社が展示した高等練習機AJTは9月に試作機が公開されて地上試験を開始し、2020年6月に初飛行が計画されている。
 AJTは2026年までに66機が生産され、現有のAT-3及びF-5と交代する。 (1910-082804>1910-082804)

 台湾で9月24日、国産高等練習機T-5 Blue Magpie(台湾の報道では「勇鷹」)がロールアウトした。 初飛行は2020年6月に計画されている。
 台湾は2026年までに66機のT-50を老朽化したAT-3に代えて装備するほか、Northrop社製F-5E/Fに代えて軽攻撃機型のAT-5を装備する計画である。
 T-5の外観はAIDC社製の国産戦闘機F-CK-1 Ching-Kuoと似ているがエンジン部分が広くなり燃料搭載スペースも大きくなっている。 また脚が強化され翼が僅かに上向きになっている。
 エンジンはHoneywell社製F124を、同社とAIDC社の合弁会社で生産しているほか、操縦席の表示装置はBAE Systems社に台湾のソフトウェアが装荷され採用されている。 (
1912-100211)

 台湾AIDC社で、次期高等練習機AJT(T-5 Blue Magpie)がロールアウトした。 初飛行は2020年6月に計画されている。
 双発で亜音速のAJTは同社が1990年代に開発した超音速戦闘機FC-K-1を元にしているが、部品の80%は別物で、機体も練習機仕様になっている。
 エンジンはF-CK-1が搭載しているTFE-1024-7の無アフタバーナ型であるHoneywell社製F-124を搭載している。
 AJTの開発には韓国KAI社のT-50同様にLockheed Martin社が大きく係わっている。 (
1912-101405)

 台湾AIDC社で、次期高等練習機AJT(T-5 Blue Magpie)がロールアウトした。 初飛行は2020年6月に計画されている。
 双発で亜音速のAJTは同社が1990年代に開発した超音速戦闘機FC-K-1を元にしているが、部品の80%は別物で、機体も練習機仕様になっている。
 エンジンはF-CK-1が搭載しているTFE-1024-7の無アフタバーナ型であるHoneywell社製F-124を搭載している。
 AJTの開発には韓国KAI社のT-50同様にLockheed Martin社が大きく係わっている。 (
1912-101405)

5・4・5・3 艦 船

国産潜水艦

 台湾中央通信社などが、厳国防部長が立法院の外交・国防委員会で3月28日、国産潜水艦建造計画が設計段階で必要な海外製品の輸出許可がすべて得られたと明らかにしたと報じた。 海軍は3月に詳細な設計に入り、1隻目は2024年の進水を目指している。
 出席した立法委員らによると、輸出許可が得られた製品や技術は707件で、実際の建造段階では改めて別の輸出許可が必要になる。
 中国の圧力でドイツ企業などの数件がキャンセルされたが、重要なシステムでは複数の代替案があるという。 米政府は昨年4月に米企業の商談参加を許可した。 (1904-032807)

 台湾初の潜水艦建造を担当する高雄市の台湾国際造船社が5月9日、台湾最大の海軍基地がある高雄港で専用工場の建設に着手した。
 潜水艦は排水量は2,500~3,000tで建造予算は約493億台湾ドル(1,750億円)で、2024年7~9月に進水、2025年末に就役の計画である。
 初公開された模型によると、X型のスクリューを採用するなど、海上自衛隊のそうりゅう型と似た構造になる見通しである。 (
1906-050903)

 2017年に潜水艦の建造を受注した台湾のCSBC社が5月9日、高雄市南方の同社施設で潜水艦建造施設の起工式を行った。
 この施設の建造費はTWD3.7B ($120M) で、2020年には完成する。 (
1907-051506)

沱江型コルベット艦

 台湾海軍参謀長が5月16日に立法院外交および国防委員会で、量産が開始される沱江型コルベット艦は空母キラーとしての役割を問題なく果たせるとの見方を示した。
 沱江型は全長60m、全幅14m、排水量500tの双胴型で、最高速力は38ktの性能を持ち、HF-2、HF-3の搭載や魚雷を装備し、高速で中国の空母に近づき攻撃できる。
 海軍が現在保有しているのは初号艦の1隻のみであるが、2025年に3隻完成する見通しである。 (
1906-051601)

 台湾が国産コルベット艦沱江の量産を開始し、5月24日に起工式が行われた。
 沱江は全長60m、全幅14m、排水量500tの双胴型で、最高速力38ktの性能を持つ。 2025年までに3隻が建造される計画で、1隻目は2021年末に完成する。 (
1906-052503)

 台湾のLung Tec造船が5月29日、沱江級コルベット艦3隻の建造を公式に開始した。 最初の1隻は2021年、3隻目は2025年に引き渡される。
 2014年12月に就役した沱江級コルベット艦の一番艦沱江は凌波性の高いカタマラン型で全長60.4、全幅14m、喫水2.3m、排水量567tで、ウォータージェットで推進する。
 量産型は何点かの改良がなされ安定性が改善されると共に武装も強化されるが、詳細は明らかにされていない。 (
1907-060515)

600t級警備艦

 台湾が海軍の沱江級コルベット艦を元に海洋委員会海巡署(沿岸警備隊)向けに建造した600t級警備艦の命名式が11月6日に高雄市で行われ安平と命名された。 進水式は12月に行われる。
 安平は南方海域の水産資源保護や領海警備などの任務に就くが、有事には戦力として活用することが可能という。
 海洋委員会海巡署によると、600t級警備艦は12隻建造され、2027年までに順次引き渡される計画という。 (
2001-120603)

4,000t級大型警備艦の建造

 台湾が自力で建造する4,000t級大型警備艦4隻の起工式が2月11日に高雄市の台湾国際造船で行われた。 初号艦は2020年12月に海洋委員会海巡署(沿岸警備隊)に引き渡される。
 4隻の設計から建造、メンテナンスまでを一貫して手掛ける台湾国際造船によると、最後の1隻の納入は2025年になる。
 同署が現在保有する最も大きい警備艦は3,000t級で、4,000t級は同署初かつ最大になる。
 防衛産業の育成に積極的に取り組む蔡英文政権の下、同署は警備艦の国産化を推進しており、2027年までに4,000t級4隻のほか、1,000t級6隻、600t級12隻など大小計141隻の建造を計画している。 (
1903-021204)

 台湾国際造船が、海洋委員会海巡署(沿岸警備隊)から1,000t級警備艦6隻の建造を受注したと発表した。 受注額は62億4,000万台湾元(約224億5,700万円)で、2027年10月末に完成する。
 建造する警備艦はヘリコプタの発着が可能で、ロケット弾や機関砲なども装備する。
 防衛産業の発展を図る蔡政権の下、同署は警備艦の国産化を推進しており、同社では2019年2月に4,000t級大型警備艦4隻の起工式が行われた。 完成すれば同署が保有する警備艦で最大となり、同社は設計からメンテナンスまで引き受け、2025年までに納入を完了する。 (
1906-050505)

100t級巡視艇

 台湾海洋委員会海巡署(海上保安庁に相当)の100t級巡視艇の進水式が11月27日に基隆市内で行われた。
 同署艦隊分署によると、速力は30ktで航続距離は1,200nmを上回る。
 同署の巡視艇は、別メーカーが28隻を建造する予定だったが、14隻目以降納入が遅れるなどしたため2017年に契約を解除して改めて入札を行い、未納分の15隻を高雄市の台湾国際造船に発注し直していた。 (
1912-112805)

5・4・5・4 その他

5・4・5・4・1 弾道ミサイル

 産経新聞が11月6日、台湾の李登輝政権が1995~1996年の台湾海峡危機のあと、MRBMの開発を進めていた当時の機密資料を入手した。
 この資料は、1997年12月17日に開かれた国家安全会議幹部会議の議事録要旨などのコピーで、蒋国防部長が席上MRBMの研究開発が成功すれば、中共に対し有効な抑止力を持つことができると述べたと記されている。
 MRBMの開発はこれまで関係者の話として報道されてきたが、公式な文書で開発への政権中枢の関与が明らかになるのは初めてである。 (1912-110603)
5・4・5・4・2 巡航ミサイル

HF-ⅡER (Hsiung Feng Ⅱ Block Ⅱ改)

 台湾の防衛当局者が2月18日、台湾がHsiung Feng Ⅱ Block Ⅱ (HF-ⅡB) の改良を決め、改良を2023年までに完了することを明らかにした。
 改良の内容は明らかにしていないが、台湾の専門家は現在の射程160kmを250kmまで延伸するもので、一般にはHF-ⅡERと呼ばれていると述べている。
 またECCMや誘導装置も改良され、改良されれば180kgのHE弾頭を搭載するという。 (1904-022709)

無人攻撃機剣翔

 台湾国防部が8月15日、敵のレーダに自爆攻撃を行う国内開発の無人攻撃機剣翔を台北市内で始まった2年ごとの「台北国際航空宇宙・国防工業展」に出展した。 剣翔の滞空時間は6時間以上で、敵地上空を遊弋してレーダ波を感知して突入する。
 剣翔は国防部系の研究開発機関「中山科学研究院」がイスラエルのHarpyに着想を得て10年をかけて開発した。 発射機はトレーラによる移動式で1両に12発を搭載する。
 2019年から量産を始めており6年間で104機を配備する。 (
1909-081604)

 台湾の国営NCSIST社が8月に台北で開かれたTADTE 2019展に、量産可能状態のChien Hsiang索敵攻撃ARMを出品した。
 Chien Hsiangは12発のキャニスタがトレーラに載せられて1個中隊となり、台湾本島だけで無く金門島や馬祖島にも配備可能である。
 NCSISTはChien Hsiangの性能諸元を明らかにしていないが、専門家は固定及び移動中のレーダを目標に300~700kmの射程を持ち、上昇限度は20,000ftを超えると見ている。 (
1912-100005)

5・4・5・4・3 U A V

偵察監視用 UAV 鋭鳶(下図左)

 台湾国防部が1月24日、政府系研究機関の国家中山科学研究院が開発した遠距離の偵察監視用UAV鋭鳶の展示飛行を南部屏東の基地で行った。
 海軍の資料によると、鋭鳶は全長5.3m、幅8.6m、高さ1.6mで、上昇限度4,000m、滞空能力12時間の性能を持つ。
 海軍海上戦術偵捜大隊が装備している鋭鳶は、これまでに墜落事故が複数回発生しており、1月10日にも台東沖での任務から戻る途中で海に墜落した。 (1902-012401)

MALE UAV 騰雲(上図右)

 台北で8月15~17日に開かれた2019 TADTE展で、NCSIST社のASRD事業部が騰雲 (Teng Yun) MALE UAVを発展させたUAVの実大モックアップを展示した。
 現在2機が試作されている騰雲は全長8m、翼端長18mで、実用航続距離1,000km、対空能力24時間、実用上昇限度25,000ftの性能を持つMQ-9 Reaper似のMALE UAVであるが、発展型は騰雲のレシプロエンジンをターボプロップに換えて機体も大きくなり、MTOWと搭載能力が増大している。 (
1909-081608)

多ロータ UAV

 台湾国防省が台北で開かれたTADTE 2019展で、第202補給処と第205補給処で開発とした3種類の多ロータUAVを展示した。 (1912-100011)

UAV Forward Observation System

 小型使い捨てチルトロータUAVで、Cloud Leopard Ⅱ M2 8×8自走迫撃砲に搭載した試験が行われている。

UAV Patrolling System

 10kgを搭載して20分滞空でき、画像認識ソフトの試験に使われている。
 また、高精細な3D地形モデルを作成するセンサを搭載する計画がある。

Multi-Purpose Drone System

 搭載能力20kgでC-UAVとしても使える。
 10m遠方から3×3mの捕獲網を発射する1.25kgのCobra捕獲弾の発射装置3基を搭載するほか、T91 5.56突撃銃やT85 40mm擲弾発射筒も搭載できる。

5・4・5・4・4 陸戦兵器

雲豹 CM-34 IFV(下図左)

 台北で8月15日~17日に開かれた2019TADTE展で台湾国防省が、雲豹 (Cloud Leopard) 8×8装輪装甲車のIFV仕様であるCM-34を年内に32両装備すると発表した。 台湾は284両のCM-34を装備する計画である。
 CM-34は現有のCM-32/-33同様、全長6.35m、幅2.7m、高さ2.2mであるが、重量は22tから24tに増えている。
 主装備はOrbital ATK社製Mk 44 Bushmaster Ⅱ 1門と7.62mm機銃1丁で、30mm弾420発を搭載している。 (1909-082005)

雲豹Ⅱ M-2 装輪 APC(上図右)

 台北で8月15日~17日に開かれた2019TADTE展で台湾国防省が雲豹Ⅱ (Cloud Leopard Ⅱ) 8×8装輪装甲車の試作2号機M2を公表した。  雲豹ⅡM2の試験は2017年に公表されたM1と共に2019年末まで行われる。
 24tの雲豹ⅡM2は全長7.6m、幅3m、高さ2.4mで、パワーパックは現有のCM-32/-33雲豹及びそれに続くCM-34 IFVと同じものを使用するが、出力は410hpから450hpに引き上げられている。
 パワーパックはCaterpillar社製エンジンとAllison社製ミッションでできている。 (
1909-082004)

 台湾国防省が8月に台北で開かれたTADTE 2019展で次世代8×8装甲車Cloud Leopard Ⅱ M2の試作2号車を展示した。 試作1/2号車とも2017年に試験を開始し2019年末に完了する。
 8月17日に公開されたCloud Leopard Ⅱ M2は、全長7.6m、幅3m、高さ2.4m、重量24tで、次世代型CM-34のエンジンは現有のCM-32/33 Cloud Leopard IFVの410hpから450hpに強化されている。 また液気圧懸架装置は車体を全方向で最大80mm下げることができる。 さらに11mであった最小回転半径が9mになり、渡渉能力も1.2mになっている。
 TADTE 2019展には81/120mm自走迫撃砲型も展示されていた。 81/120mm迫撃砲は射程延伸弾を使用すれば6,300mの射程を有する。 (
1912-100001)

5・5 東南アジア

5・5・1 ASEAN

5・5・1・1 ASEAN 独自のインド太平洋戦略

 ASEANが独自のインド太平洋戦略作りに乗り出した。
 ASEANが推し進めようとしているのは日米が掲げるインド太平洋構想ではなく、ASEANが中心的な役割を果たす独自構想で、米中摩擦が激しくなる中で統一戦略を打ち出すことで、立ち位置を堅持する姿勢をアピールする。
 日米が「自由で開かれたインド太平洋構想」を掲げ、中国も広域経済圏構想「一帯一路」を旗印にして勢力圏争いを繰り広げているが、ASEAN全体としては日米と中国に対しバランス外交を展開してきた。 (1902-012103>1902-012103)
5・5・1・2 対外関係

 米国とASEAN加盟国の海軍による初めての共同演習が9月2日にタイ湾や南シナ海で始まり6日まで続く。
 演習は不審船が見つかったとの想定で、共同で追跡したり拿捕したりする実動訓練を実施する。
 ASEANは2018年10月には、中国と初の海洋演習も実施ししている。 (1910-090202>1910-090202)
5・5・2 フィリピン

5・5・2・1 対中姿勢のブレ

強硬姿勢への転換

 フィリピン政府が4月4日、南シナ海で係争地の一つとなっているPag-asa島付近を中国の漁船と沿岸警備艇合わせて275隻がここ数ヵ月間航行したとして違法だと抗議した。
 かつての対立を一時期抑えていたフィリピンが、改めて中国を公然と非難した。
 比外務省は、中国政府が関与を断固否定しない場合、承認しているものとみなされると指摘している。 (1905-040501>1905-040501)

 複数の中比関係筋が4月27日、フィリピンのドゥテルテ大統領が25日に開かれた中国の習国家主席との会談で、中国の南シナ海での領有権主張を全面的に退けた2016年の仲裁裁判所の判断を議題に取り上げたことを明らかにした。 中国側に仲裁判断を尊重するよう伝えたもようだが、習氏は仲裁判断を認めないとの従来の立場を堅持したという。
 フィリピンではドゥテルテ政権の南シナ海での対中融和姿勢に不満が高まっている。 (1905-042702>1905-042702)

寛容姿勢への回帰

 南シナ海でフィリピンの漁船が中国船に当て逃げされた事故をめぐり、ドゥテルテ大統領が事態を軽視する発言をして波紋を呼んでいる。
 パネロ大統領報道官やロレンザーナ国防相は当初、中国側を激しく非難した。 故意の衝突との見立てもあり、外務省は中国政府に抗議したのに対し、中国は「漁船同士の事故であり、真剣に調べるが、政治問題にするのは建設的でない」と沈静化を図った。
 ドゥテルテ大統領は6月17日に初めて発言し、「海上の事故にすぎない。 調査結果を待とう」と中国に歩調を合わせた。 これで潮目が変わり、強硬姿勢を続けた国防相も「単なる事故」と軟化した。 (1907-062301>1907-062301)

5・5・2・2 ロシアへの接近

 国営フィリピン通信が、ロシア海軍の駆逐艦2隻と海上給油艦1隻がマニラ港に寄港したと報じた。
 ロシア軍艦船がフィリピンのマニラ港に立ち寄ったのは2019年2度目で、1月初旬には3隻が平和構築、安定の追求や海上協力関係の向上や維持を図る名目で寄港していた。
 両国は今年7月にも海軍間の協力協定に署名する見通しで、合同訓練や相互寄港の増加などを見込んでいる。 (1905-041105>1905-041105)

 フィリピンのドゥテルテ大統領が10月3日、ロシアのプーチン大統領と同国南部ソチで会談し、ロシアとの軍事、安全保障分野での協力拡大に意欲を表明し、米国から距離を置く一方で、ロシアとの関係を重視する姿勢を打ち出した。 プーチン氏も原子力分野などでの協力を呼びかけ、接近をアピールした。
 ドゥテルテ大統領の公式訪問は2017年に続き2回目で、会談の冒頭で同氏は軍事分野などで「建設的な対話を続け、強化することが不可欠だ」と語った。 (1911-100401>1911-100401)

5・5・2・3 対米関係

5・5・2・3・1 米軍の駐留

 1月29日に米軍来援時の施設がルソン島に開設される式典が開かれた。 この施設は同島に数ヶ所設置される最初の施設で「人道支援及び災害救助の拠点」とされている。
 施設が設置されたのは、かつて米軍が海外最大の軍事拠点としていたクラーク空軍基地から15哩の場所にあるCesar Basa航空基地内で、クラーク基地は1991年のピナツボ山の噴火でかなりの被害を受けている。
 この他に米軍は2014年の拡大防衛協力協定に基づきパラワン島にある5ヵ所の比軍基地に米軍来援時に備えた施設を建設する。 (1902-013107>1902-013107)
5・5・2・3・2 共同演習

BACE-P 共同演習

 群山を基地とする米空軍第113戦闘航空団のF-16が1月18日にフィリピンのCesar Basa空軍基地に飛来した。 これは比空軍のFA-50と行う共同訓練Bilateral Air Contingent Exchange-Philippines (BACE-P) に参加するもので、搭乗員のほか整備員やその他支援要員も訪比した。
 BACE-Pは2016年4月以来Clark空軍基地で行われている米比共同訓練で、過去にはA-10、C-130、HH-60、EA-18 Growlerも参加している。 (1902-012303>1902-012303)

Balikatan 定期合同演習

 フィリピン軍と米軍の定期合同演習Balikatanが4月1日に始まり12日までの行われる。 フィリピン各地で上陸や災害対処の訓練を実施するほかF-35Bが初めて投入される。
 フィリピン軍によると、佐世保基地を母港とする強襲揚陸艦Waspに搭載されたF-35Bは、ルソン島西部サンバレス州沖から内陸のタルラック州に向けて飛行するが、サンバレス州沖には中国が領有権を争うスカボロー礁がある。 (1905-040101>1905-040101)

 米軍とフィリピン軍が4月11日、年次合同軍事演習Balikatanの一環として、フィリピンで上陸戦演習と実弾演習を行った。
 2019年のBalikatanには、F-35Bを搭載した米強襲揚陸艦Waspも参加している。 (1905-041302>1905-041302)

 米比合同演習Balikatanが4月1日~12日に行われ、今回は豪軍も参加した。 演習は対テロ、水陸両用、航空戦など28件で行われた。
 Balikatanとはタガログ語で「肩を組む」の意味を持ち、1951年の相互防衛条約締結以来行われており、今回は初めてF-35Bも参加した。 (1905-041504>1905-041504)

Kamandag 定期合同演習

 駐比米大使館が10月7日、第3回目となる米比合同演習Kamandagが10月9~18日にルソン島とパラワン島で行われると発表した。 今年の演習には災害救助人道支援活動などで自衛隊も参加しする。
 今回の参加規模は米軍1,400、比軍350、自衛隊100の計1,850名で、米軍からは沖縄の第3海兵遠征軍とカリフォルニアの第11海兵遠征隊がする。
 また佐世保駐留ドック型揚陸艦Germantownのほかカリフォルニアから強襲揚陸艦Boxerとドック型揚陸艦John P. Murthaの2隻が参加する。 (1911-100805>1911-100805)

5・5・2・3・3 米艦艇の示威

米艦艇のマニラ寄港

 米第7艦隊旗艦のBlue Ridgeが恒例の訪問として、南シナ海を経てマニラ湾に入港した。 (1904-031410>1904-031410)

南シナ海でのアピール

 8月6日に米空母Ronald Reaganが南シナ海に入った。
 米海軍はRonald Reaganにフィリピン軍の将官を含む士官と報道関係者を空輸し、戦闘機の離着艦を展示した。 (1909-080611>1909-080611)
【註】中国はパラセル諸島周辺で6日と7日に軍事訓練を行うため、航行禁止区域を設定している。

5・5・2・4 軍備増強

5・5・2・4・1 国防費

 フィリピン上院が11月13日、前年度比4%増となるPHP191.3B ($3.7B) の2020年度国防予算を承認した。
 その半分近くが陸軍で、海軍が15%、空軍が14%を占める。 (1912-111401>1912-111401)
5・5・2・4・2 艦 船

FFX-Ⅰフリゲート艦

 フィリピン国防省がMBDA France社に艦載SAMを€10.6M ($12M) で発注した。
 このSAMは小型舟艇、航空機、精密誘導弾に対処するもので、韓国HHI社に発注している2隻のFFX-Ⅰフリゲート艦に装備する。 (1905-032011>1905-032011)

韓国から購入した退役コルベット艦

 フィリピン海軍が韓国から購入した2016年12月に退役したコルベット艦が就役した。
 韓国ではこのコルベット艦を北方境界線近くでの対潜哨戒に使用していた。 (1909-080510>1909-080510)

 フィリピン海軍が韓国から購入したPo Hang級コルベット艦が8月5日に韓国を離れると同時に就役した。 この艦には比海軍ドック型揚陸艦の2番艦が同行ている。
 Po Hang級コルベット艦は2016年12月に韓国海軍で退役した対潜艦で、主として北方境界線 (NLL) 付近での対潜哨戒任務に就いていた。
 全長88.3m、幅10m、喫水2.9mで、Oto Melara社製76mm砲2門、40mm双連砲2基、324mm軽対潜魚雷発射管6本を装備している。 (1909-081414>1909-081414)

 フィリピンが韓国から購入し8月5日に鎮海で引き渡された浦項級コルベット艦が8月18日にマニラに入港した。
 購入したのは2016年12月に退役した対潜型の浦項級コルベットで、比海軍は領海及びEEZ内での対潜哨戒に使用する。
 同艦はOto Melara社製76mm砲2門と双連40mm砲2門、及び324mm 3連装魚雷発射管2基を装備している。 (1909-082207>1909-082207)

5・5・2・4・3 航空機

多用途戦闘機の候補に Gripen と F-16V

 フィリピン国防相が12月16日にマニラで開かれたADAS 2018展の会場で、5年間にPHP61B ($1.1B) かけて導入する多用途戦闘機の候補がGripenとF-16Vに絞られていることを明らかにした。 (2001-122004>2001-122004)

UH-1 Huey の戦列復帰

 フィリピン政府のPNA報道局が、今年初めに日本から供与された部品を使って、フィリピン空軍が老朽化したUH-1 Huey 7機を戦列復帰させようとしてると報じた。 (1911-101405>1911-101405)

A-29 Super Tucano 軽攻撃機

 フィリピン政府のPNA報道局が、10月1日に2017年にEmbraer社に$99Mで発注したA-29 Super Tucano軽攻撃機6機が2020年2月に納入されることを明らかにした。 (1911-101405>1911-101405)

5・5・2・4・4 ミサイル

BrahMos 超音速 CM

 フィリピンがインドとBrahMos超音速CMの購入交渉を行っており、2020年に購入契約が結ばれる模様である。
 BrahMosは10月に新編された比陸軍第1陸上ミサイル中隊 (1LBMS Btry) が装備することになる。 (2001-120902>2001-120902)

 フィリピン国防相が12月16日、インドからBrahMos超音速CMを2020年前半に導入することを明らかにした。 国防相はBrahMosが同国にとって初の抑止兵器になると述べた。
 BrahMosは2個中隊分を陸軍に装備するが、空軍への装備も考えられているという。 (2001-121902>2001-121902)

5・5・2・4・5 陸戦兵器

水陸両用戦闘車 KAAV と多目的艇 MPAC の追加配備

 フィリピン軍が9月23日に韓国製の水陸両用戦闘車KAAVを4両と17mの多目的艇MPAC 2隻を追加配備した。
 韓国製AAV7A1であるKAAVは、2016年4月にHanwha社へPHP2.42B ($46M) で8両を発注した一部で、比海軍のTarlac級揚陸艦から発進でき、比海兵隊が装備する。
 全長17m、幅4.76m、喫水2.1mでウォータージェットで推進し47ktの性能を持つMPACは3隻ずつ発注した4次分で、台湾のLung社とフィリピンのPropmech社が共同で建造した。 (1912-100212>1912-100212)

5・5・3 ベトナム

Hamilton 級警備艦の供与

 ベトナムを訪問中のエスパー米国防長官が11月20日にベトナム外交大学での演説で、ベトナムに沿岸警備艇1隻を供与すると発表した。
 米国は2年前にもベトナムに沿岸警備艇を供与しており今回で2隻目で、海洋警備能力を強化したベトナムが領有権を主張し、中国を牽制することを期待している。 (1912-112006>1912-112006)

 11月19~21日にベトナムを訪問していたエスパー米国防長官が、米国が元沿岸警備隊のHamilton級警備艦をベトナムに供与することを明らかにした。 Hamilton級の供与は2隻目になる。 (1912-112609>1912-112609)
【註】既報 1912-112006 (ロイタ 2019.11.20) では「警備艇を供与」とあるが、供与されたのは警備艇ではなくフリゲート艦並のHamilton級警備艦であった。
 Hamilton級は全長115m、排水量3,250tでOTO Melara 76mm/62砲1門と25mm機関砲2門、20mm Phalanx CIWS 1基などを装備している。
 同型艦を供与されたフィリピンは、同国海軍の旗艦として就役させている。

5・5・4 インドネシア

5・5・4・1 安全保障政策

5・5・4・1・1 外交姿勢

対比関係

 フィリピンとインドネシアの首脳会談が6月22日にバンコクで開かれ、重複する排他的経済水域 (EEZ) の境界線を画定した協定を2019年中に発効させる方針で合意した。
 南シナ海を巡る中国とASEAN沿岸諸国の対立が長引く中、両国が領有権を平和的に解決することの意義は大きい。 (1907-062502>1907-062502)

対シンガポール関係

 インドネシア空軍がマレーシアやシンガポールに近いBatam島に空軍基地を新設しようとしている。
 新基地はHang Nadim国際空港と滑走路を共有し、現在Hawk 100やHawk Mk209軽攻撃機のための地上装置を装備している第1空軍の管轄下に入る。 (1908-071716>1908-071716)

5・5・4・1・2 軍事産業の奨励

 インドネシア国防省が2020~2040年に、軍事生産能力向上を狙った官軍民協力による効果を求めた計画を公表した。
 計画は潜水艦、フリゲート艦、中戦車、ロケット、弾薬の国内生産を謳ったDefense Industtry Law 2012(通称Law 16)を発展させたものである。 (1909-073111>1909-073111)
5・5・4・2 戦力の増強

5・5・4・2・1 海軍の増強

潜水艦の増強

 「 5・3・4・2・2 武器輸出案件(韓国)」で記述

フリゲート艦の購入

 現代造船 (HHI) 社が5月23日にインドネシアから受注したフリゲート艦の一番艦を進水させた。 二番艦も船台で起工している。
 2016年に$337Mで受注したフリゲート艦は韓国海軍のFFX-Ⅰを元にした全長107.5、全幅13.8m、喫水3.65m、排水量2,600tで、速力25kt、15ktで航行して航続距離4,500nmの性能を持つ。  装備としては76mm砲一門と艦尾にトルコAselsan社製SMASH 30mm遠隔操作砲を搭載している。 (1907-052906>1907-052906)

揚陸艦艇の増強

 インドネシアがIDR360M ($25.5M) で戦車揚陸艦 (LST) 2隻をPT Bandar Abadi社に追加発注した。
 このLSTは全長120m、幅18m、喫水3mで、速力18kt、12kt巡航時の航続距離7,200nmの性能を持ち、双連40mm砲を装備し、BMP-3F IFV 15両を搭載可能で10t級ヘリの飛行甲板を持つ。
 同国海軍は2012年に一次分2隻、2013年に二次分2隻、2017年に三次分3隻のLSTを発注している。 (1906-042411>1906-042411)

5・5・4・2・2 空軍の増強

Su-35 の取得開始

 インドネシア国防相がTASS通信に対し、Su-35の引き渡しが2019年内に開始されることを明らかにした。
 インドネシアはロシアにSu-35 11機を$1.14Bで発注している。 (1908-061203>1908-061203)

 インドネシアはSu-35購入問題に決着を付けようとしている。
 同国は保有しているF-5E Tiger Ⅱの後継としてSu-35 11機を$1.1Bで購入する計画であったが、米国の「敵対者に対する制裁措置法 (CAATSA) 」に対する懸念などから棚上げ状態になっている。 (2001-111604>2001-111604)

Hawk 109/209の後継機

 Lockheed Martin社が11月5日、インドネシアが30機保有している1990年代中頃製のBAE Systems社製Hawk 109/209の後継として、2020~2024年間にF-16V Block 70/72 2個飛行隊分を導入する計画であることを明らかにした。
 インドネシアは既にF-16C/Dを30機以上保有していて、そのうち24機は2017年に$670Mかけて最新型に改良されている。
(2001-111604>2001-111604)

5・5・5 マレーシア

5・5・5・1 対中関係の見直し

東海岸鉄道計画

 マレーシアの星州日報紙が、マレーシア政府が中国の政府系企業と共同で進めていた東海岸鉄道計画について、両国が新たな合意文書に署名することが4月11日に分かったと報じた。
 マレーシアは当初、財政難を理由に計画を中止する方針だったが、中国側が事業費の大幅削減に同意したため計画を継続する見通しで、署名式は12日にも北京で行われるという。 (1905-041107>1905-041107)

パイプラインの建設中止

 マレーシアのマハティール首相が7月15日、パイプラインの建設中止を巡り中国国有企業である中国油天然気管道局 (CPP) の銀行口座から$243.5M超を同日までに差し押さえたことを明らかにした。 首相は、工事費の80%が支払い済みなのに13%しか完了していないとし、事業が中止された以上、政府は未完の分の資金を取り戻す権利があると説明した。
 CPPは中国国有企業の中国石油天然ガス集団 (CNPC) 傘下企業で、2016年にマレーシアのナジブ前政権から2件のパイプライン建設を$230Mで受注したが、2018年に就任したマハティール首相は、ナジブ氏が承認した不公平な中国事業について再交渉もしくは中止を約束し、2018年7月に両事業を中止した。 (1908-071603>1908-071603)

5・5・5・2 軍備増強

沿岸警備艦 (LMS) の購入

 マレーシアが経費削減のため、中国に4隻発注している沿岸警備艦 (LMS) の2隻をマレーシア国内で建造するとしていた当初の計画を止めて、今年初めに4隻全て中国で建造することにした。
 この結果経費がMYR1.17B ($287M) からMYR1.05Bに削減される。 (1905-040312>1905-040312)

 マレーシアが2017年4月に中国にMYR1.17B ($286.1M) で発注した同国にとって初めての中国製艦艇となる沿岸警備艦 (LMS) が4月15日に武漢で進水した。 2019年末には引き渡されるという。
 この警備艦は全長68.8m、幅9m、喫水2.8m、排水量700tで速力22kt、15kt航行での航続距離2,000nmの性能を持ち、20mm又は30mm艦載砲1門、12.7mm機銃2丁を装備するほか、全長6mの内火艇を搭載する。 (1905-041608>1905-041608)

 マレーシアが4隻計画しているKeris級沿岸警備艦 (LMS) の2番艦が7月12日に武漢で進水した。 一番艦も4月に同じ造船所で進水している。
 このLMS 4隻は2017年に中国CSIC社にMYR1.17B ($289M) で発注し、最初の2隻は中国で、残りの2隻はCSIC社の指導の下でマレーシアのBNS社が建造することになっていた。 しかしながらマレーシアの新政権は4隻全てを中国で建造することで経費をMYR1.05Bに削減した。
 Keris級LMSは全長68.8m、幅9m、喫水2.8m、排水量700tで、速力22kt、15ktでの巡航航続距離2,000nmの性能を持ち、20mmまたは30mmの遠隔操作砲1門と12.7mm機銃2丁の取り付け位置を持っている。 (1909-072411>1909-072411)

 マレーシア国防省が8月1日、中国CSIC社に発注した沿岸警備艦 (LMS) 4隻の契約変更について、両国の技術移転を妨げるものではないと強調した。
 マレーシアではナジブ前政権が2017年に中国とLMS 4隻をMYR1.17B ($282M) で契約し2隻を中国で、残りの2隻をマレーシアで建造することにしたが、2018年5月に誕生したマハティール政権は4隻全てを中国で建造するとこで契約額をMYR1.05Bに削減する契約変更を行った。
 これに対しナジブ前首相は国内雇用を減ずると批判している。 (1909-080203>1909-080203)

戦闘機の更新

 マレーシア国防相が、装備している戦闘機の更新をロシアから提案されていることを明らかにした。 ロシアはSu-35かMiG-35 28機の提案を行っている。
 マレーシアは2007年からSu-30MKM 18機を装備しているがこの他に1990年代中頃に購入したMiG-29 10機を最近退役させている。
 また1990年代末に購入したF/A-18D 8機も保有しているが、Su-30MKMとF/A-18Dは2030年まで維持するとしている。 (2001-120410>2001-120410)

5・5・5・3 軍事産業の振興

オーストラリアと防衛生産の協力拡大で合意

 オーストラリア政府とマレーシア政府が9月25日、両国が防衛生産の協力拡大で合意したと発表した。 (1910-092603>1910-092603)

ロシアとの軍事企業協力を強化

 マレーシアが8月下旬に、ロシアとの武器取引の円滑化を期するため軍事企業の協力を強化することで合意した。
 マレーシアのNST紙が8月30日に、ロシアから戦闘機、高等練習機、ヘリコプタを導入する交渉を進めていると報じた。
 戦闘機は老朽化したMiG-29N 18機に代えてMiG-35 2個飛行隊分、ヘリは1960年代末から使用しているS-61 A-4に代えてMi-171を、高等練習機はYak-130であるという。 (1911-091114>1911-091114)

5・5・6 シンガポール

5・5・6・1 安全保障上の課題

訓練場の不足、グアムに戦闘機の訓練基地

 2017年初めにシンガポール国防省が、同国空軍のF-15SGの訓練場を空域がすいているニュージーランドに設けると発表したが、1月7日にこの計画が破棄されたと発表した。
 理由は明らかにされていないが、ニュージーランドの報道では現地住民が反対ししたためという。 (1902-010806>1902-010806)

 シンガポールがグアムのAndersen AFBに常駐してF-15SGやF-16の訓練を行うことで合意し、12月6~7日にカリフォルニアで開かれたReagan National Defense Forumで米比国防相がMoUに署名した。
 これに伴いAndersen AFBにはハンガ、エプロン、支援施設等が建設され、訓練は2029年に開始される。
 MoUではF-15SG、F-16のほかGulfstream 550 AEW&Cなどの支援機が訓練を行うが、シンガポールは保有しているF-16 60機を2030年代にF-35Aに換装する計画である。 (2001-120904>2001-120904)

5・5・6・2 軍事産業の振興

5・5・6・2・1 陸戦装備

SRAMS Mk Ⅱ 120mm迫撃砲

 シンガポールのST Engineering Land Systems社がSRAMS 120mm迫撃砲の新型Mk Ⅱと迫弾を開発した。
 SRAMS Mk Ⅱは従来油圧式であった方位高低制御を全電動式に変え方位では180゚の方向変換を可能にしている。
 射撃統制はコンピュータ式のFCSで行い、発射速度は10rpmである。
 弾薬は誘導砲弾では射程8.5km、CEP≦10mで、HE弾の炸薬はTNT 2.8kgで初速408m/s、射程9kmである。 (1903-022103>1903-022103)
【註】ST Engineering社HPによると、SRAMS Mk Ⅱは重量が僅か1,200kg、反動が50t以下と世界最小で、最大装薬で10km飛翔すると言う。

Leopard 2 MBT

 ドイツは2007~2012年にシンガポールへ161両のLeopard 2 MBTを輸出しているが、2016年に7両、2017年にも18両輸出しており、シンガポールは現在170両以上のLeopard 2を保有していると見られる。 (1903-022105>1903-022105)

ミサイル装備型 NGAFV Hunter

 シンガポール国防省が3月1日にネット上で次世代装軌装甲車NGAVシリーズのミサイル装備型NGAFVを公表した。
 NGAFVはST Engineering社製Adder M30 RWSに代えてRafael社製Samson 30 RWSを搭載したもので、Samson Mk Ⅱの発展型であるSamson 30 RWSはOrbital ATK社製 Mk44 Bushmaster Ⅱ 30mmを装備するほか、その左側にATGM 2発を装填する発射機を搭載している。 (1904-030304>1904-030304)

 シンガポール軍が6月11日に行われた機甲部隊創立50周年記念閲兵式でHunter ATGM搭載AFVを初公開した。
 同軍はHunterを1970年代に開発されたM113A2 APC及びBionix Ⅱ IFVと換装する。
 全長6.9m、全幅3.4m、全高3.4m、重量29.5tのHunterは装備化されるまで次世代AFV (NGAFV) と呼ばれていたもので、ST Engineering社が開発した。 (1907-061108>1907-061108)

 シンガポール陸軍が6月11日にSungei Gedong駐屯地で行われた機甲部隊創立50周年式典で、Hunter装軌AFVを初公開した。
 Hunter AFVは次世代AFV (NGAFV) の呼び名で知られている全長6.9m、全幅3.4m、重量29.5t、乗員3名の全ディジタル式のAFVで、超越能力3.4m、速力70km/h、行動半径500kmの性能を持っている。 (1908-061914>1908-061914)

 シンガポール軍が6月11日に行われた機甲部隊創立50周年記念閲兵式でHunter ATGM搭載AFVを初公開した。 同軍はHunterを1970年代に開発されたM113A2 APCと換装される。
 次世代AFV (NGAFV) と呼ばれていたHunterはST Engineering社が開発したもので、全長6.9m、全幅3.4m、全高3.4m、重量29.5tで、Orbit ATK社製Mk44 Bushmaster Ⅱ 30mm砲を搭載したRafael社製Samson 30遠隔操作砲塔を装備している。
 Spike ATGM 2発を装填した発射機は屋上の左右いずれにも取り付けることができ、走行間は装甲の中に収納され、発射準備時に外に出る。 (1909-080001>1909-080001)

Bronco 3

 シンガポールのST Engineering社が、BAE Systems社製でスウェーデン陸軍が装備しているBv206を使用しているユーザ向けにBronco 3を開発した。
 Bronco 3は厳しい気象条件で使用するとのニーズに応えて、Soucy社製の600mm幅履帯を700mm幅に替えたことなどで、地球上の80%を走破できるという。 (1904-032104>1904-032104)

主要装備を更新する計画

 シンガポール国防相が3月1日に議会で、2030年を目標に陸海空軍の主要装備を更新する計画であることを明らかにし、その手始めにFY2019にSGD15.5B ($11.44B) の国防費を要求するとした。
 その中で同相は、現在ST Engineering Land Systems社で生産中の新装軌装甲戦闘車NGAFVの取得を年内に開始して現有M113A2 Ultra APCと換装して、Bionix IFVと合わせて装備することを明らかにした。
 更に現在装備しているFH 2000牽引砲に代えて155mm/52口径SPHを装備しNGAFVと共に運用することも明らかにした。 (1904-030509>1904-030509)

各種新兵器を公開

 シンガポール建国54周年記念の8月9日に軍が全長1.3kmにも及ぶパレードを実施し、各種新兵器を公開した。 パレードには国軍のほか警察軍、民間防衛軍も参加した。
 Spike LR ATGMを装備する29.5tのHunter装軌AFVは6月11日に公開されている。 この他に衛星通信の小型車Satcom VSDと装輪回収車 (WRV) の2車種も公開された。
 ERVはRheinmetall MAN社製SX45 8×8車を元にした全長10.8m、幅2.5m、高さ3.6mの車両で35tの吊り上げ/牽引能力がある。
 この他らASTER 30 SAM(右図)も公開された。 (1910-082107>1910-082107)

5・5・6・2・2 艦 艇

潜水艦

 シンガポールがドイツThyssenKrupp社のType 212Aを元にして4隻建造するType 218SGの一番艦が2月18日に進水した。
 Type 218SGは浮上時排水量2,000t、潜航時2,200tのAIP推進の潜水艦で、533mm魚雷発射管8本を装備し、潜航時15kt以上、浮上時10ktの性能を持つ。 (1903-021907>1903-021907)

 シンガポールがドイツTKMS社に4隻発注したType 218SG潜水艦の一番艦が2月18日に進水した。 シンガポールへの引き渡しは2021年になる。
 全長70m、浮上時排水量2,000t潜航時排水量2,200tのType 218SGは、燃料電池技術を取り入れた新型のAIPを採用しているため連続潜航時間を50%向上させている。 (1904-022710>1904-022710)

沿岸警備艦 (LMV)

 シンガポール海軍沿岸警備艦 (LMV) の8番艦にして最終艦となるFealessが11月5日、母港となるTuas海軍基地に入港し第182戦隊に配属された。
 Fealessは2013年にST Engineering社に発注され、2019年1月に進水していた。
 全長80m、幅12m、喫水3m、満載時排水量1,250tのFealessは速力27kt以上、15ktでの航行時の航続距離3,500nmの性能を持ち、Oto Melara 76/62 Super Rapid砲1門、同社製25mm Typoon砲1門、12.7mm遠隔操縦機銃2丁を装備している。 (1912-110605>1912-110605)

5・5・6・2・3 航空機

F-35

 シンガポール国防相が3月1日に議会で、F-35を当初分として4機、更にオプションの8機購入の要求を米国に行ったことを明らかにした。 購入額は$90M~$115Mと言うがF-35のどの機種かは明らかにしていない。 ただ同相はかつてF-35Bではないと述べている。
 シンガポールは現在F-15SG 40機とF-16C/D Block 52/52+ 60機を装備しており、2030年頃にこれらをF-35に換装する計画である。 (1904-030105>1904-030105)

【註】シンガポールはF-35の開発段階から関心を示しており、一時は開発費の1~2%を負担するLevel 3共同開発国としての計画参加も検討されていたが、結局イスラエル同様に開発費として$50M程度を負担した準メンバーSCPとなった。

 シンガポールはF-35を評価用として4機購入し、その結果を見て追加購入するとしているが、計画では2030年までにF-16を全てF-35に換装するという。 (1905-032507>1905-032507)

   ┏━━━━━┳━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━┓
   ┃     ┃  現   状  ┃  2030年以降  ┃
   ┣━━━━━╋━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━┫
   ┃戦 闘 機┃F-15SG, F-16C/D/V ┃  F-15SG, F-35 ┃
   ┃輸 送 機┃   C-130H   ┃   C-130 新型 ┃
   ┃空中給油機┃A330 MRTT, KC-135R┃   A330MRTT  ┃
   ┃ AEW&C機 ┃   G550 CAEW  ┃   G550 CAEW  ┃
   ┃ 攻撃ヘリ ┃   AH-64D   ┃   AH-64D   ┃
   ┃ 輸送ヘリ ┃   CH-47D/SD  ┃   CH-47F   ┃
   ┗━━━━━┻━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━┛
5・5・6・2・4 電子装備

ベルギー通信衛星関連企業の買収

 シンガポールの防衛産業大手ST Engineering社が、ベルギーの通信衛星関連企業NewTechグループを€250Mで買収すると発表した。 ST Engineering社は次世代通信規格5Gの導入などで、通信衛星分野の機器やサービスの需要が高まるとも期待しており、買収は2019年下期に完了する。
 ST Engineering社はシンガポールの政府系ファンドが株式の約半数を保有する国策会社で、従来主力だった防衛機器だけでなく近年はロボットや都市運営を効率化するスマートシティー関連事業などにも事業を広げている。 (1904-032805>1904-032805)

5・5・7 タ イ

5・5・7・1 中国への武器依存

5・5・7・1・1 艦 船

Type 053 HT(H)フリゲート艦とC-803A

 タイ海軍が4月5日にアンダマン海で初めて、C-803A中距離ASCMの発射試験を行った。
 Type 053 HT(H)フリゲート艦から発射されたC-803Aは100km遠方の移動目標に向けMach 0.94で飛翔した。
 C-803Aは中国海軍が装備しているYJ-83の輸出仕様で、射程は15~180kmである。 (1906-041710>1906-041710)

Type 041(元級)潜水艦

 武昌造船所で9月5日、タイ海軍向けS26T潜水艦一番艦の船台組み立てが開始された。 起工 (Steel Cut) は2018年9月に行われており、完成引き渡しは2023年に計画されている。
 S26Tは中国海軍Type 041(元級)のタイ海軍仕様である。 (1911-092508>1911-092508)

Type 071e 揚陸艦

 タイ海軍が9月9日に中国CSICL社と、Type 071E LPD建造の契約をTHB4B ($130M) で行った。
 タイはこの艦をCSIC社からTHB13.5Bで購入したS-26T潜水艦の支援艦としても使用するという。 (1911-091811>1911-091811)

5・5・7・1・2 陸戦兵器

VT-4 MBT

 タイ陸軍が内閣にNorinco社製VT-4 MBT 14両THB2.3B ($72.5M) の追加購入を要求している。 タイは2016年に28両、2017年に10両のVT-4を購入しており、今回の要求が認められれば52両を保有することになる。
 タイ陸軍は最終的に、保有している1950年代の米国製M-41の後継として更にMBT 100両の調達を考えている。 (1903-012310>1903-012310)

5・5・7・2 韓国製武器の導入

T-50TH 練習機の FA-50 化改造

 KAI社が5月24日に、タイ空軍からT-50TH練習機の能力向上をKRW62.3B ($52.5M) で受注したことを明らかにした。 タイはT-50TH 12機を発注し、既に4機を受領している。
 能力向上でT-50THには、Elta社製EL/M-2032レーダ、Elbit社の子会社Elisra社製RWRとchaff/flareディスペンサが搭載されるが、これらはT-50の戦闘機型であるFA-50では既に搭載している。 (1907-060514>1907-060514)

5・5・7・3 その他の武器の導入

ウクライナからの AFV 導入

 ウクライナの国営防衛企業UkrOboronProm社が7月25日、タイとBTR-3 8×8 AFVの指揮車仕様のBTR-3KSHで提携すると発表した。 BTR-3KSHはタイ国内でライセンス生産される。
 BTR-3はウクライナのKMDS社が開発したもので、タイ陸軍は2008年と2011年にBTR-3E1を220両以上発注している。
 BTR-3E1はウクライナで生産され2016年からタイに納入されている。 (1908-072906>1908-072906)

5・6 大洋州

5・6・1 オーストラリア

5・6・1・1 国防の基本政策

5・6・1・1・1 国防体制の見直し要求

 オーストラリアのシンクタンクであるオーストラリア戦略政策研究所 (ASPI) が、軍の抜本的な体制見直しを求める報告を行った。
 ASPIは同国北部の海空防衛が時代遅れで、中国の軍事進出に対し脆弱であるとしている。 (1908-061906>1908-061906)
5・6・1・1・2 国防費の増額

GDP 2%に向け国防費増額

 オーストラリア政府が4月2日に発表したFY2019-20国防予算はAUD2.3B ($1.6B) 上がってAUD38.7Bで対GDP比は1.93%と、FY2020-21に対GDP比を2%にするとした目標に一歩近づいた。
 また今後3年間の国防費は合計AUD136Bで、FY2022-23ではAUD48.7Bに達すると見積もられている。 (1905-040207>1905-040207)

 オーストラリアが4月2日、FY2019/2020国防予算案を発表した。 前年比AUD2.3B ($1.6B) 高のAUD38.7Bで対GDP比1.93%で、FY2020/21に2%達成とした目標に近づいた。
 FY2022/23ではAUD48.7Bに達すると見積もられることから、今後3年間の総額はAUD136Bに達すると見られる。 (1906-041006>1906-041006)

5・6・1・1・3 防衛産業の振興、輸出の拡大

 オーストラリア政府が3月28日、軍事企業に対する参画の閾値を下げたDefence Policy for Industry Participationを公表した。 (1906-041008>1906-041008)

 オーストラリアのAustal社が、セブ島にある造船所をAUD30M ($21M) かけて三倍以上に拡幅する。
 同社はここでフィリピン海軍から受注した外洋哨戒艦 (OPV) 6隻を建造するほか、ノルウェーから受注した全長109mの高速双胴船やスペインから受注した全長118mの高速三胴船などの民間船舶の建造も行う。 (1908-062616>1908-062616)

 オーストラリアの造船企業Austal社がトリニダードトバゴにCape級58m哨戒艇2隻をAUD126M ($85M) で輸出することが確実になった。
 この契約は2018年7月に公表されていたが、豪政府の債務保証で実現した。 (1910-082810>1910-082810)

5・6・1・1・4 インド洋への備えも

 オーストラリアが、西オーストラリアのパースから2,750km、クリスマス諸島から900km離れたインド洋のココス・キーリング諸島にある滑走路を、P-8A Poseidonの運用に合わせて拡幅強化する。 滑走路の長さは2,441mと変わらないが幅が3.5mから7.5mに広げられる。
 ココス・キーリング諸島は27の島から成るが、人の住んでいるのはそのうちの2島だけである。 (1908-062613>1908-062613)
5・6・1・1・5 兵員の不足問題

 豪海軍が8隻保有しているAnzac級フリゲート艦の1隻Perth (3,900t) が人員不足から過去21ヶ月にわたり造船所で係留されたままで、今後も延命工事が完了するまで16ヶ月間非稼働状態になる。 (1908-061916>1908-061916)
5・6・1・2 対外政策

5・6・1・2・1 一貫性に欠ける対中姿勢

中国艦のシドニー寄港

 中国海軍の艦船が6月3日、シドニーに入港した。 地元メディアによると、シドニーにはフリゲート艦など3隻が4日間の予定で入港した。
 中国艦は2017年にも豪州に寄港したが、今回は事前の発表はなかった。
 1989年の天安門事件から4日で30年を迎えるタイミングに加え、豪海軍のヘリが中国船からレーザ照射を受けたと報道されたばかりであるだけに、地元メディアはこの時期の入港を許可したモリソン政権の対応に疑問を呈している。 (1907-060303>1907-060303)

5・6・1・2・2 南太平洋諸国との連携

太平洋諸国のインフラ事業に資金供与

 オーストラリア政府は、太平洋諸国のインフラ事業に資金を供与する。 この基金は7月31日までに稼働する。
 モリソン首相は2018年に太平洋諸国に最大AUD3B ($2.07B) の低利融資や補助金を提供するため、基金を設立すると発表していた。 太平洋地域で影響力を拡大する中国を牽制する狙いがあるとみられる。
 中国政府は、太平洋の島嶼国に勢力圏を拡大する意図はなく、経済発展の支援が目的だと主張している。 (1907-061306>1907-061306)

太平洋地域12ヶ国に警備艇供与

 オーストラリアがPacific Patrol Boat Replacement計画で太平洋地域12ヶ国に21隻供与するGuardian級警備艇の1隻が8月16日にサモアに引き渡された。
 この計画の一番艇は2018年にパプアニューギニアの海洋警察、二番艇は4月にツバル、三番艇は6月にトンガ王国に供与されている。 (1909-081610>1909-081610)

 オーストラリアが太平洋島嶼国と東チモールの合わせて12ヵ国に供与するGurdian級哨戒艇21隻のうちの1隻が11月8日にソロモン諸島に引き渡された。
 Gurdian級哨戒艇は全長39.5m、幅8mで速力20ktの性能を持ち、主装備として30mm砲、両舷に12.7mm機銃を装備できるスペースが確保されている。 (1912-110803>1912-110803)

フィジー

 オーストラリアのモリソン首相が1月17日にフィジーでバイニマラマ首相と会談し、両国の防衛協力強化で一致した。
 モリソン首相は国境警備の強化を支援すると約束し、バイニマラマ首相は平和維持や海洋安全保障の協力だと述べた。 (1902-011702>1902-011702)

ソロモン諸島

 オーストラリアのモリソン首相が6月3日、訪問先のソロモン諸島でソガバレ首相と会談し、インフラ整備で豪州が10年間に最大AUD250Mの資金協力を行うことで合意した。
 5月の総選挙で勝利したモリソン首相は選挙後初の外遊先としてソロモン諸島を選び、太平洋諸島重視の姿勢を打ち出している。
 インフラ支援をてこに太平洋諸島諸国への影響力を強める中国に対抗する狙いがあるとみられる。 (1907-060304>1907-060304)

 オーストラリアのメディアが10月19日までに、台湾と断交して中国と国交を樹立したソロモン諸島の地方政府が中国企業に小さな島全体を貸し出す契約を結んでいたことが分かったと報じた。
 両国が国交を結んだ翌日の9月22日にソロモン諸島のセントラル州と中国企業China Enterprise Groupが合意文書に署名したという。
 産業開発が目的としているが、太平洋諸国の伝統的な援助国オーストラリアなどから「中国の軍事利用につながりかねない」との懸念が出ている。 (1911-101902>1911-101902)

5・6・1・3 米軍の駐留

5・6・1・3・1 駐留兵力の増強

HIMARS の配備

 オーストラリアで行われている米豪合同Talisman Sabre演習に沖縄駐留第12海兵連隊からHIMARS 3基が参加し、7月8日に実射を行った。
 HIMARSは今までにもTalisman Sabre演習に参加しているが、今回は演習終了後もNorthern Territoryのダーウィンに残留し、ここにこの夏まで巡回派遣されている2,500名の海兵隊と合流する。 (1908-071105>1908-071105)

 オーストラリアの元防衛当局者が10月21日、中国の進出によりオーストラリア北部州Darwinに巡回駐留している米海兵隊の役割が高まっており、米豪両国は米空軍と海兵隊の活動のため、北部州に$2Bを投資して航空機の整備、支援施設、燃料貯蔵、宿舎の改築、訓練場射場の整備などを行うと述べた。 (1911-102104>1911-102104)

Enhanced Air Cooperation

 2019年夏に数千名の米海兵隊が豪陸軍基地に入り、米国が大洋州での存在を高めているが、米空軍が豪空軍と行っているEACが拡大していることは余り知られていない。
 2017年に始まったEACの2019年の焦点は、第五世代戦闘機との共同、患者空輸、航空機の補給整備で、演習にはF-22、F-35B、F-16、F-15、B-52、C-130Jなどが参加した。 (1912-110402>1912-110402)

5・6・1・3・2 新港湾の建設

 豪州の公共放送ABCが6月24日までに、米海兵隊が駐留するオーストラリア北部ダーウィンで新たな港湾施設の建設が計画されていると報じた。
 ダーウィン港は2015年に中国企業が99年間の管理権を取得しているが、新施設は同港の北東40kmに建設され、米海兵隊のインド太平洋地域での即応性を高めることになる。 ABCによると、港湾は米海軍のWasp級強襲揚陸艦などが停泊可能な規模で、軍民両用となる見通しである。
 豪国防省は表向き「新たな海軍施設の建設は計画していない」としているが、複数の政府関係者は新施設は中国を怒らせるリスクがあると計画の存在を認めているという。 (1907-062405>1907-062405)

 ペイン豪外相が7月30日、米国がオーストラリア国内に新たな軍事施設の建設を計画していると明らかにした。 米国がどのような施設をつくるか明らかにしなかったが、米議会が承認することが条件となる。
 豪メディアは7月、北部ダーウィンの近くに港湾施設を建設する計画と報じている。
 米国がダーウィンに港湾施設を建設すれば、中国嵐橋集団が管理権を保有するダーウィン港に近い場所になる。 嵐橋集団は2015年に99年間の港の貸与契約を結んでいる。 (1908-073001>1908-073001)

5・6・1・3・3 米国の中距離ミサイルのオーストラリア配備問題

 オーストラリアのモリソン首相が8月5日、米国の中距離ミサイルをオーストラリアに配備することはないと述べた。
 両国政府が8月上旬にシドニーで会合を開き、アジア太平洋地域への中国の進出に対抗する方針を表明した際に、エスパー米国防長官が地上配備型の中距離ミサイルを比較的早期にアジアに配備することに前向きな姿勢を示していた。 (1909-080507>1909-080507)
5・6・1・4 軍備増強

5・6・1・4・1 艦 船

Attack級潜水艦

 豪政府が3月5日、フランスNaval Group社とAttack級潜水艦建造の第一段階となる設計契約をAUD605Mで結んだと発表した。 契約は2021年までとなる。
 Attack級潜水艦の建造はこのあとも含めるとAUD50B ($35B) にのぼる。 (1905-031310>1905-031310)

5・6・1・4・2 航空機

AEW&C 機の追加装備

 オーストラリアが2019年内に6機保有するAEW&C機であるE-7A Wedgetailが改良を行うか否かの決断に迫られている。 事の起こりは英国がAEW&C機にE-7Aの採用を決めたことにある。
 豪空軍のE-7Aは最終機の受領が僅か4年前で、まだ延命工事が必要な段階ではないが、初号機を発注してから既に15年が経過している。 (1905-032506>1905-032506)

MG-55A Peregring 電子戦機の購入

 オーストラリアの国防相と軍需相が3月18日、Gulfstream社製G550を改造した電子戦機4機をMG-55A Peregringとして購入すると述べた。 MG-55AはF-35A、E-7A、EA-18Gなどと共に同軍の戦闘データリンクに加入するという。
 Gulfstream社によるとG550はMach 0.8で、滞空能力15時間以上、実用上昇限度51,000ftの性能を持ち、SIGINTと使用すると400kmの捕捉距離を持つという。 (1905-032711>1905-032711)

 オーストラリアの国防相と軍需相が3月18日、Gulfstream社製G550ビジネスジェットを改造したMG-55A Peregrineを装備すると発表した。
 MG-55Aは電子戦機能を持ち、F-35A、E-7A AEW&C、EA-18G Growlerなどと、同国の戦時ネットワークで統合されるという。
 米国防総省はオーストラリアにISRとEW機能を持たせたG550 5機を売却することを承認しており、2018年6月に最初の2機をFMSで売却することを明らかにしている。
 最近の発表では4機をAUD2.46B ($1.75B)で売却するという。 (1906-050001>1906-050001)

インド洋ココス群島にP-8A Poseidonを配備

 オーストラリアがインド洋での監視能力を強化するためココス群島にある飛行場をP-8A Poseidonが使用できるように改良する計画で、6月14日に提案の受け付けを開始した。
 工事は滑走路、誘導路、エプロンの拡幅と強化などで、提案は8月8日締め切りで総工費はAUD190~220M ($133~154M) と見積もられている。 (1907-061708>1907-061708)

5・6・1・4・3 U A V

Loyal Wingman 大型 UAV BATS

 Boeing社と豪国防省が共同で通称Loyal Wingmanと呼ばれている大型UAV BATSを開発しており、その実大模型をメルボルンで開催されているAvalon航空展で2月27日に展示した。 初飛行は2020年にオーストラリアで行われる。
 豪国防省はこの計画にAUD40M ($29M) を支出している。
 Loyal WingmanはF-35AやE-7A Wedgewood AEW&C機を援護する為に使用するという。 (1903-022707>1903-022707)

 Boeing社が、既存の軍用機と共同して任務に当たる、米国以外で開発した中で最大のUAV BATSを開発していて、2020年の初飛行を目指している。  通称Loyal Wingmanと呼ばれているBATSは戦闘機並みの性能を持ちながら全長11.7mと小型で、モジュラ型であるため偵察用や電子戦用の装備を搭載できる。 飛行はAIを用いた自律飛行と、有人機による制御飛行が可能で、F-35A, E-7, EA-18G, F/A-18E/F, P-8などと一緒に行動する。  この計画にはBoeing社が$60M、豪政府が$40Mを出資している。 (1903-022708>1903-022708)

 Boeing社と豪国防省が共同で空中戦を支援する大型UAV BATSを開発している。 BATSは現地でLoyal Wingmanとも呼ばれている。
 この計画はBoeing社にとって国外最大のUAV計画で、豪国防省はAUD40M ($29M) を出資している。
 BATSの初飛行はオーストラリで2020年に行われる計画で、採用されれば豪空軍はF-35やE-7A Wedgewail AEW&Cと共同で運用されることになる。 (1905-030603>1905-030603)
 Boeing Australia社が豪国防省と開発を進めているAirpower Teaminf System (ATS) は全長38ft、航続距離2,000nmの戦闘機のようなUAVで、有人機1機に対し4~16機で行動する。 (1905-031101>1905-031101)

 オーストラリアでLoyal Wingmanのモックアップが公開された1週間後の3月6日、Kratos社が5機試作しているXQ-58Aの1号機が76分間にわたる初飛行を行った。
 XQ-58Aは米空軍研究所 (AFRL) のLCAAT計画で開発されている、Kratos社は数百~数千機を単価$2~3Mで販売したいとしている。 (1905-031102>1905-031102)

5・6・1・4・4 S A M

NASAMS

 RBS-70 VSHORADに替えてNASAMSの採用を決めているオーストラリアが3月25日に国防相と軍需相の合同声明で、調達額がAUD2.5B ($1.76B) にのぼることを明らかにした。
 調達するのはオーストラリア型のNASAMSで、AIM-120 AMRAAMに加えてAIM-9X Sidewinderも発射する。 このためAIM-120C-7 AMRAAM 114発を調達する。
 またレーダにはオーストラリアCEA社製レーダを同じくオーストラリア製Hawkei 4×4車に搭載したものを使用する。 (1904-032505>1904-032505)
【註】CEA社の製造したに6面固定型CEAFARE/F-band 捜索レーダとCEAMOUNT I/J-band射統レーダは、豪海軍の改良型Anzac級フリゲート艦に搭載されている。
 また将来フリゲート艦用にGaN素子を用いたCEAFAR2 X-/S-/L-bandレーダも開発している。

 米国防安全保障協力局 (DSCA) が3月13日、オーストラリアにAIM-120C-7 AMRAAMを$240.5MのFMSで売却することを国務省が承認したと発表した。
 これらは総経費AUD2B ($1.4B) かける豪陸軍のGBADとして採用されたKongsberg社製NASAMSのSecond Passとなるもので、First Passは2017年4月に発注されている。 (1905-032006>1905-032006)

 オーストラリアの国防相と軍需相が3月25日に、1年間の検討の結果AUD2.5B ($1.76B) でNASAMSを導入する決定をしたと発表した。
 ただしオーストラリアのNASAMSは独特のシステムになるようで、AIM-120 AMRAAMのほかにAIM-9X Sidewinderも発射する。 またレーダとしては豪企業CEA Technology社製のCEATAC戦術レーダと同社製CEAOPS監視レーダが豪軍のHawkeiおよびBushmaster 4×4車に搭載して装備される。 (1905-040316>1905-040316)

5・6・2 ニュージーランド

5・6・2・1 国防政策の積極化

5・6・2・1・1 大幅な国防費増

 ニュージーランドが5月30日に発表したFY2019-2020国防予算は、前年度のNZD4.11Bを23%上回るNZD5.06B ($3.29B) になっている。
 この中にはP-8A Poseidon 4機の購入などが含まれている。 (1907-060516>1907-060516)
5・6・2・1・2 Defence Capability Plan 2019

 ニュージーランド国防省が6月11日、2030年までの国防方針を定めたDefence Capability Plan 2019を公表した。 この計画はStrategic Defence Plicy Statement 2018と共に国防白書2016に代わる文書になる。
 この計画はNZD20B ($13.2B) に上る軍近代化計画で、5機保有しているC-130Hに代えてC-130J-30を2023年までに導入することや、P-8A Poseidon 4機をNZD2.3Bで2023年4月から装備することなどが盛られている。 (1908-061907>1908-061907)
5・6・2・2 装備の近代化

5・6・2・2・1 艦 船

測量艦の就役

 ニュージーランド海軍の測量艦Hanawanuiが6月7日に就役した。 デンマークから45日間かけて回航されてきた同艦は元々民間の洋上支援船であったが、2018年8月にニュージーランドがNZD103M ($67.3M) で購入していた。
 排水量5,700tのHanawanuiは全長84.7m、全幅18m、喫水6.3mで100tのクレーンを装備し、速力13ktの性能を持つ。 (1908-061915>1908-061915)

5・6・2・2・2 航空機

 (特記すべき記事なし)
5・6・3 南太平洋諸国

5・6・3・1 パラオ

 米国が過去37年間で初めてPacific Pathways演習の一環として、4月14~19日にパラオに200名規模の部隊を派遣する。
 派遣されるのは米陸軍第1軍団の歩兵1個中隊と1個大隊戦闘指揮所要員である。 (1905-040704>1905-040704)
5・6・3・2 ソロモン諸島

 中国は2019年初めに豪海軍基地の改良工事の契約を行ったパプアニューギニア沖合のManus島について、ソロモン諸島が10月18日に中国企業に対し全島を貸与することに合意している。 (1911-102104>1911-102104)

 エスパー米国防長官が10月25日、ソロモン諸島の地方自治体が中国企業と結んだTulagi島の長期賃貸契約をソロモン諸島政府が無効と宣言したことを称賛するとの声明を発表した。 (1911-102602>1911-102602)



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