4・1 米 国
4・1・1 トランプ政権の国防政策4・2 ロシア
4・1・1・1 核戦略政策の変更4・1・2 各軍の戦略戦術
4・1・1・2 INF 全廃条約からの離脱
米軍が6月に、限定的な核兵器使用を想定した新指針をまとめていた。
新指針は米軍統合参謀本部が6月11日にまとめた内部文書「核作戦」で、ホームページで一度公開した後、非公開にしたものを全米科学者連盟が保存し開示している。
新指針では核爆発後の放射線環境下で地上戦をどう継続するかなどの課題にも言及しており、核弾頭の小型化を進めるトランプ政権下で、通常戦力の延長線上に核戦力を位置付ける傾向もうかがえる。 (1908-072802>1908-072802)
4・1・1・2・1 条約からの離脱と失効4・1・1・3 新 START の期限切れ問題
4・1・1・2・2 地上発射中距離ミサイルの開発とアジア太平洋地域への配備
ポンペオ米国務長官が2月1日、ロシアによる違反を理由に中距離核戦力 (INF) 全廃条約を破棄すると正式に発表した。 条約は正式通告から6ヵ月後に失効する。
米政府はロシアが条約順守に立ち返る期限を2月2日と定めていたが、米ロの協議は決裂したためロシアに通告し、2日付で義務履行を停止する。
米国は2014年、ロシアが条約に抵触する地上発射型CM 9M729 Novatorの飛行試験を行ったと初めて公表し、2017年には配備されたと批判した。 (1903-020102>1903-020102)トランプ米大統領が2月1日、1987年に米ソで取り決めたINF全廃条約からの脱退を宣言した。 この結果、翌2日から6ヶ月後に条約から正式に脱退することになる。 (1903-020604>1903-020604)
米戦略軍 (STRATCOM) 司令官のハイテン空軍司令官が上院軍事委員会で2月26日、2021年に期限を迎える新STARTの継続も危ういと述べた。
核軍縮条約は中露と結ぶ必要があるが、現在はロシアとだけ結んでいる。 (1905-030602>1905-030602)米国と旧ソ連が1987年に締結した中距離核戦力(INF)廃棄条約が8月2日に失効する。
INF条約は核弾頭を搭載できるかにかかわらず射程500~5,500kmの地上配備型ミサイルの廃棄を定めた条約で、1991年6月までに2,692基のミサイルが廃棄された。 (1909-080103>1909-080103)
4・1・1・2・3 地上発射中距離ミサイル配備に対する中国の反応
トランプ米政権は、ロシアに対する中距離核戦力 (INF) 全廃条約の破棄通告に関し、ロシアが今後も条約を順守する可能性は低いとみて、6ヵ月後の条約正式破棄後を受けて新たにSRBM/MRBMの開発を進める方向で検討に入った。
また、米政権としては条約破棄により、インド太平洋地域に展開する米軍基地や米艦船、同盟諸国を脅かす中国のSRBM/MRBMの脅威を封じ込めるため、同地域でのMRBMの配備も視野に入れていると見られる。 (1903-020103>1903-020103)ロイタ通信が、エスパー米国防長官が3日に記者団に対し、米露のINF廃棄条約が失効したことを踏まえ、アジア太平洋地域に地上発射型MRBMを配備したいとの考えを示したと報じた。 (1909-080303>1909-080303)
中国外務省報道官が8月5日、その3日前にエスパー米国防長官がシドニーで、米国がアジア太平洋地域にIRBMを配備すると述べたことに対し容認できないとの態度を示した。 (1909-081407>1909-081407)
4・1・1・4 対中露脅威認識
ポンペオ米国務長官が上院外交委員会の公聴会で4月10日、2021年に期限切れを迎える米国とロシアの新戦略兵器削減条約(新START)について、2021年以降の状況に適合できれば軍縮の合意を目指すべきだと述べ、延長の可能性に言及した。
トランプ大統領はオバマ前大統領が締結した新STARTを一方的な合意と批判してきたが、ポンペオ長官は米国もロシアも新STARTをおおむね順守していると評価した。 (1905-041102>1905-041102)
【註】新STARTを巡っては米戦略軍司令官が上院軍事委員会で2月26日に、継続は危ういと述べている。
4・1・1・4・1 China Military Power 20194・1・1・5 対中情報・貿易戦争
4・1・1・4・2 Indo-Pacific Strategy Report 2019
米DIAが1月15日、China Military Power 2019を公表した。 これはDIAが公表した初の中国軍事力に関する分析資料で、公表された以外の秘文書はない。
この文書作成の責任者は、中国が間もなく台湾を武力侵攻するに十分な軍事力を保持するだろうと述べた。 (1902-011503>1902-011503)エスパー米陸軍長官が2月26日、ロシア陸軍の軍事力のピークは2028年、中国軍は2030年ごろになるとの見通しを示した。
長官は、われわれが目を向けているのはロシアの力が最大になる2028年とそれ以降で、中国は2030年が最強だと付け加えた。 (1903-022704>1903-022704)
シャナハン米国防長官代行が6月1日、英国際戦略研究所が主催しシンガポールで開かれているアジア安全保障会議 (Shangri-La Dialogue) で講演し、新たなインド太平洋戦略を発表した。
新戦略は南シナ海で軍事拠点化を進める中国を強く牽制するもので、米国が同地域に強く関与する方針を示す一方、関係各国に対して国防費を増額するように求めている。 (1907-060102>1907-060102)米国防総省が6月1日、"Indo-Pacific Strategy Report"を公表し、インド太平洋地域の同盟国との関係強化を強調した。 (1908-061207>1908-061207)
4・1・1・5・1 知的財産の保護を問題視した制裁関税4・1・1・6 戦略資源政策
4・1・1・5・2 華為技術(ファーウェイ)の排除
(特記すべき記事なし)
4・1・1・5・3 中国との海底ケーブル阻止=安全保障に懸念
Wall Street Journal紙が3月11日、駐独米大使がドイツ政府宛てに8日に送付した書簡で、次世代通信規格5G網の構築で華為技術(ファーウェイ)の製品を排除しない場合、安全保障上の情報共有の制限に踏み切ると通告したと報じた。
ファーウェイを排除しない同盟国に対し、安保面の協力関係を見直すと警告したのは初めてという。 (1904-031203>1904-031203)ドイツが第5世代移動通信システム (5G) 入札で中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を排除しない場合、米国はドイツとの情報共有の制限も辞さないと警告したことを受け、メルケル首相が3月12日、5Gに関してドイツ独自の基準を導入する方針を明らかにした。 (1904-031301>1904-031301)
EU欧州委員会が3月12日、域内に整備する次世代通信規格5G網に関し、中国企業の進出で懸念されている安全保障上の脅威からの保護に必要な対策を加盟国に促す勧告を出す方針を表明した。
米国が各国に製品排除を働き掛けている中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)などが念頭にあるとみられる。
中国とのより互恵的でバランスの取れた関係構築に向け、欧州委が同日発表した対中政策見直しの一環で、3月21、22両日のEU首脳会議でも議論し具体化を進める。 (1904-031302>1904-031302)中国の華為技術(ファーウェイ)をめぐり、米国が欧州諸国に対して、同社を5G移動通信網構築への参入から排除するよう圧力を強めている。
米欧州軍司令官スカパロッティ大将が3月13日、ドイツがファーウェイの技術を採用した場合にはドイツ軍との通信を断つ方針を示した。 (1904-031406>1904-031406)ストルテンブルグNATO事務総長が3月14日、加盟国にファウェイの5Gネットワーク構築が中国の諜報活動と繋がっているとする動きがあるのに対し、NATOとしても情報保全上危惧していると述べた。 (1904-031504>1904-031504)
4・1・1・5・4 米議会の「人権・民主主義法」攻勢
Wall Street Journal紙が8月29日、米政府が国家安全保障上の理由から、GoogleやFacebook、さらに中国の通信会社が支援しているロサンゼルスと香港を結ぶPacific Light Cable Network事業の阻止を検討していると報じた。
中国企業が事業に投資していることなどから、米政府内で反対意見が出ているという。
ケーブル敷設工事は9月に期限が切れる暫定許可の下、既に大半が完了しているが、事業を審査する米当局Team Telecomから強い警戒が噴出しており、最終的に事業許可が下りない可能性がでてきた。 (1909-083002>1909-083002)
・香港人権・民主主義法 米議会上院が11月19日、香港での人権尊重や民主主義を支援する「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決したと米メディアが一斉に報じた。
法案では、香港の「一国二制度」が機能しているかどうか米政府に毎年の検証を義務付け、人権を犯した中国政府関係者らに制裁を科せるようにしている。
下院では10月に可決されており、成立には上下両院の調整を経たうえでトランプ大統領の署名が必要になる。 成立すれば中国政府の反発は確実でトランプ大統領の対応が焦点となるが、大統領は「中国が天安門事件のように武力を使えば、取引が困難になる」と述べたことがあり、中国政府が武力介入した場合は米中貿易交渉の継続が難しくなるとの認識を示していた。
これに関連しペンス副大統領は19日に、「もし香港で暴力が用いられたり、問題が適切かつ人道的に対処されなかったりすれば中国との貿易合意はとても難しくなる。 その点はトランプ大統領も明確にしている」と語り、中国を強くけん制している。 (1912-112002>1912-112002)トランプ米大統領が11月27日、香港の反政府デモを支援する香港人権・民主主義法案に署名し同法は成立した。
法案は前週、上院を全会一致で通過し、下院では1人を除く全員による賛成で可決されていた。
法案では香港に高度の自治を保障する「一国二制度」が守られ、米国が香港に通商上の優遇措置を与えるのが妥当かどうか、少なくとも1年に1回検証することを国務省に義務付け、香港で起きた人権侵害の責任者には制裁が科せられるとしている。
中国政府は28日、断固とした報復措置を取ると表明し、香港に干渉しようとする試みは失敗すると警告した。 (1912-112803>1912-112803)・ウイグル人権・民主主義法
米議会下院が12月3日、中国のウイグル族への弾圧に対する対応強化を米政府に求める法案を圧倒的な賛成多数で可決した。
既に上院でも可決しており大統領が署名すれば成立する。
これに対し中国外務省は法案が米国で成立した場合の対応について4日、彼らが中国の利益を損なえば当然反撃に遭うと述べ対抗措置を予告した。 (2001-120401>2001-120401)
4・1・1・7 国防予算
・米国の原油生産量が世界最大に 米国の2018年の原油生産量が45年ぶりに世界最大になったもようである。 シェールオイルがけん引して10年で2倍強に膨らみ、輸入への依存度は30年ぶりの低水準に下がる。
原油の供給を頼ってきた中東への積極関与が薄れ米国第一の外交安保政策に拍車がかかるのは必至で、米国は輸入より輸出が多い純輸出への転換も視野に入り、世界のエネルギー地政学が一変しそうな様子である。 (1902-011402>1902-011402)・レアアース磁石の備蓄を計画
米国防総省が、レアアース(希土類)磁石の備蓄を計画していることが、米政府文書で明らかになった。
レアアース磁石はほぼ全面的にアジアで製造されており、この分野での中国の支配的地位を弱める狙いとみられる。
ロイタが確認した文書で米国防総省は、ネオジムを原料とする磁石について6ヵ月供給分の備蓄を提案しており、事実上関連企業にネオジム磁石の6ヵ月分の供給量を少なくとも30ヵ月間維持することを求めるている。
しかしネオジム磁石製造への金融支援は盛り込まれておらず、業界アナリストや企業幹部は短絡的な措置と批判する。 (2001-122003>2001-122003)
4・1・1・7・1 FY20 予算教書
4・1・1・7・2 陸海空軍ごとの予算
トランプ大統領が3月11日に公表したFY20予算教書では、国防費を除く予算が9%、額にして$563B削減されるなか、国防費は$34B増額されて$750Bになっている。 (1904-031107>1904-031107) トランプ米政権が3月11日、FY20(2019年10月~2020年9月)予算教書を発表した。 経済成長率は2020年が3.1%、2021年から2024年までは3.0%と想定し、個人所得減税の恒久化などで、議会予算局 (CBO) の予測より高い成長を見込む楽観的な内容となっている。
歳入が伸び悩むため財政赤字が今後10年で累計$7.259Tに拡大する見通しのなか、メキシコ国境の壁建設費や国防費の増額が提案されている。 (1904-031201>1904-031201)米国防総省がFY20予算に、国防総省固有費$718Mを含む$750Bを要求した。 この内訳は
・研究開発費: $104.3Bで、軍種別では
・人 糧 費: $155.8B
・調 達 費: $143.1B
・部隊運用費: $292.7B
・建 設 費: $ 22.5B・海 軍: $205.6B ($9.95B増)となっている。 主な事業では
・空 軍: $204.8B ($11.8B増)
・陸 軍: $191.4B ($12.5B増)
・その他: $116.6B ($930M減)・航 空: $57.7B (戦闘機×110機、給油機×12機)研究開発費は$9B増えて$104.3Bで、主な事業は
・海 上: $34.7B (大型UUV、潜水艦×3隻)
・陸 上: $14.6B (戦闘車6,402両、JLTV×4,090両)
・M D S : $13.6B
・核戦力: $14B (B-21、LRSO、核爆弾弾頭は別)
・特殊戦: $3.4B・UGV/USV等: $3.7Bなどである。 (1904-031213>1904-031213)
・超高速機 : $927M
・DEW : $235M米国防総省が3月12日、FY20国防予算案の詳細を発表した。 基本予算と国外作戦経費(OCO)などを含む総額は前年度比5%増の$718Bに上った。
国防費は財政規律を定めた予算管理法の対象であるため、基本予算は前年度から減少したが、トランプ政権は同法対象外の戦費を大幅に増やす裏技を使って国防費を確保しており、議会の賛同を得るのは困難とみられる。 (1904-031306>1904-031306)トランプ政権が議会に提出したFY20予算教書で国防費は、国防省経費$718.349B、エネルギー省の核兵器予算など他省庁分が$32Bで合わせて$750Bになっている。
$718.349Bでは基本経費として$544.5B、海外戦費 (OCO) に$164.6Bが割り当てられているほかに非常時支出として$9.2Bが盛り込まれている。 この中にはトランプ大統領が主張するメキシコとの国境に壁を建設する費用$7.2Bも含まれている。
尚、FY20のOCOが$164.6Bであるのに対しFY19では$69Bであった。 (1905-032002>1905-032002)米FY20予算教書で国防費は$750Bになっている。 国防総省はもはや金利の上昇や国庫債務の増大に関心を示さなくなっている。 (1905-032003>1905-032003)
4・1・1・7・3 海外戦費 (OCO) を活用した実質国防費の増額
・陸 軍 マッカーシー米陸軍省次官が2月26日に米陸軍協会 (AUSA) の昼食会で、FY20予算要求ではCH-47 Chinook Block ⅡやBradley IFVなどの経費を削り、以下の重点6項目に配分したと述べた。 (1905-030604>1905-030604)
・LRPF (Lonf Range Precision Fires)・海 軍・NGCV (Next-Generation Combat Vehicle)
・FVL (Future Vertical Lift)
・Networking
・AMD (Air and Missile Defense)
・Soldier Letality
・空 軍
米FY20予算教書で空軍が$1.1BかけてF-15EXを8機購入する。 空軍はF-15C/D及びF-15E合わせて144機をF-15Xにする計画である。
一方F-35の購入は前年より15機少ない78機で、F-35Aが48機、F-35Bが10機、F-35Cが20機になっている。
この他にF-15E及びF-15C/Dのレーダ近代化計画も盛り込まれている。 (1905-032005>1905-032005)米空軍のFY20予算要求では5ヵ年計画でF-35Aが24機、F/A-18E/Fが17機、CH-47Fが若干削減され、CH-53KやKC-46A、MQ-4Cの取得時期が遅らされた代わりに、F-15EXが今後5年間で80機整備されることになった。
F-22の後継となるPCAにはFY20で$1Bが計上され向こう5年間で$6.57Bが見積もられているが、議会予算局 (CBO) はPCAが就役するのは2030年以降で単価は$300Mを超えると見ている。 (1905-032511>1905-032511)
4・1・1・7・4 議会に提出された予算に計上されなかった項目
米FY20予算教書で海軍は前値比4.6%増の$205.6Bで、この増加率はFY18までの平均を上回っている。 更に海外戦費 (OCO) は$44.7Bと$8.1BであったFY19の5倍以上になっている。
OCOの内訳は海軍が$34.9B、海兵隊が$9.8Bで、FY20の基本経費は海軍が$27.7B、海兵隊は$7.8Bでしかない。 (1905-032004>1905-032004)
4・1・1・7・5 FY20 国防権限法
・M D A 米MDAが、国防総省のFY20予算$9.4Bに計上されなかった11項目の要求$1.9Bを議会に提出した。
その中には宇宙配備BMDセンサの強化やTHAADの追加調達、レーザや新型弾頭の開発費などが含まれている。 (1904-032613>1904-032613)・空 軍
次期米統参会議副議長に予定されている戦略軍司令官ハイテン空軍大将が3月25日に議会に対し、予算化されなかった戦略軍の要求を挙げた法定文書の中で、国防総省が低軌道衛星群の開発が最適としているのに対し、できたばかりのSpace Sensor Layerを最優先としている。 (1905-041006>1905-041006)
・海 軍
米海軍作戦部長のリチャードソン大将が上院軍事委員会で証言し、艦載HEL計画HELIOSへの$80Mの復活を求めた。
海軍はFY20で早期に艦載するHEL兵器NLFoS計画に$101Mを要求しており、議会がこの予算を認めれば海軍は艦載レーザ兵器SNLWS開発に予算を充当するという。 SNLWSはUAVや小型舟艇に対抗するHEL計画で、その中にはHELIOSのほかソリッドステートレーザの技術研究 (SSL-TM) も含まれている。 (1905-041506>1905-041506)
4・1・1・7・6 部隊再配置計画
・上 院 案 米議会上院軍事委員会が5月23日、国防予算の大枠を定める国防権限法 (NDAA) 案を公表した。
中国に対する米国の軍事的な優位性の回復のほか、中国の世界各国に対する影響力の拡大への対抗策など、対中問題への対策に主軸を置いたものとなっている。
上院のNDAA案の総額は$750BでF-35 94機調達のほか、核兵器の近代化を賄う費用などが盛り込まれている。 (1906-052401>1906-052401)
【註】与党共和党が多数を占めている上院のNDAA案の総額は$750Bと予算教書と同額であるが、F-35の数は前年より15機少ない78機を要求し、その代わりF-15X 8機の購入を新たに計上している。米議会上院が86対8の圧倒的多数で、FY20国防権限法案を可決した。 この法案は上院軍事委員会を25対2で通過していた。
上院はFY20の国防費の総額を下院案より$17B多い$750Bとしている。
法案ではF-35を16機とした政府案より9機増やして$10Bとし、F-15 8機の調達費を政府案より$162M減額した$948Mとしている。 (1907-062705>1907-062705)・下 院 案
民主党が主導する米議会下院軍事委員会が6月3日、低威力核弾頭開発に関する予算を認めない国防権限法案の草案を公表した。
低威力核弾頭はTrident Ⅱ D5の核弾頭W76をW76-2にするものでFY2019に$65Mが計上され、2019年秋から海軍に引き渡されることになっていた。 (1907-060307>1907-060307)・成立した FY20 国防権限法
米下院が12月11日、総額$738B (前年比3%増) のFY20国防予算の大枠を定めた国防権限法案を可決した。 上院で採決後、大統領の署名を経て成立する。
法案は、中国の軍事利用につながる可能性のある海外投資や太平洋島嶼国との関係、ロシアとの軍事連携などについて報告書を提出するよう政府に義務付け、中国製の鉄道車両やバスの購入に公的資金を使うことを禁止した上で、台湾との安全保障協力の強化も求めている。
ロシアに接近するトルコについてはS-400の購入に対して制裁を科すよう政権に要求しF-35の引き渡しを禁止した。
また北朝鮮に対する制裁の拡大強化も義務付けている。 (2001-121201>2001-121201)米上院本会議が12月17日、FY20国防権限法案を賛成86、反対8で可決した。 総額は対テロ戦費を含め前年度比2.8%増の$738Bで大統領の署名を経て成立する。 トランプ大統領は直ちに署名する方針をツイッタで示している。
在韓米軍を現在の28,500名を下回る人数に削減することを禁じる条項が盛り込まれた。
装備ではF-35 98機の調達費として$9.8B、空母1隻と駆逐艦3隻、原潜2隻を含む艦船14隻の建造費用として$24Bを支出するとした。 (2001-121801>2001-121801)米議会上院が12月17日、FY20国防権限法案を賛成多数で可決した。 下院では11日に可決済みで、近くトランプ大統領の署名を経て成立する。
予算総額は$738Bで人工知能や5Gなど先端技術の開発に力を入れる。
トランプ大統領が創設を強く求めていた陸海空軍などと同格となる6番目の独立した軍としての宇宙軍創設を盛り込んでいる。
一方、もし28,500名の在韓米軍を削減する場合、韓国、日本との事前協議のほか米議会への事前報告を義務付けるよう求めた。 (2001-121802>2001-121802)予算総額を$738Bと規定した米国のFY20国防予算の大枠を定めた国防権限法が12月20日、トランプ大統領が署名し成立した。 (2001-122103>2001-122103)
4・1・1・7・7 FY21 国防予算
・在沖縄海兵隊のグアム移駐 トランプ米大統領が公約に掲げたメキシコとの国境沿いの壁建設に、グアムで米軍を受け入れるための施設建設費が転用されることになったため、米国防総省が在沖米海兵隊のグアム移転開始時期を、当初の2024年からFY26にずれ込むと想定している。
国防総省は9月4日に米国内外で計127の建設予算$3.8Bを壁の建設費に転用する方針を発表した。 グアム移転関連はAndersen AFB内の機関銃射撃場整備事業費 ($50M) 、覆土式弾薬庫整備事業費 ($52M)、井戸整備事業費 ($56M)など7件で$243Mが含まれている。 (1910-090703>1910-090703)・対中露に向けた部隊再配置
New York Times紙が12月24日、米国防総省が西アフリカに駐留する米軍の大幅な削減を検討していると報じた。 中露に対抗するための措置で、削減した兵力を中露対応に充てるとみられる。
世界規模での米軍再編の第一段階となる可能性があるとして同紙は、アフリカに続き、中南米、イラクやアフガニスタンでの駐留軍の削減が進むとの見通しを報じた。
またトランプ大統領は来年11月の大統領選に向け海外駐留米軍の縮小を進めたい考えで、大規模再編と同時並行で進める可能性がある。 (2001-122501>2001-122501)
・予算編成の方針 米国防総省がFY21予算要求で、陸軍の6大近代化計画遂行のため従来型装備の予算を削ることを検討している。 FY20要求に伴う向こう5ヵ年計画でも186件の計画から合わせて$31.5Bを削減するとしている。
陸軍の6大近代化計画には、長距離精密打撃 (LRPF)、次世代戦闘車両、 FVL、ネットワーク(AMD) などが含まれる。 (1911-091805>1911-091805)
4・1・2・1 ミサイル防衛4・1・3 インド太平洋軍
4・1・2・2 戦略軍
(特記すべき記事なし)
4・1・2・3 宇宙軍
米戦略軍 (USSTRATCOM) グローバル作戦部長のデイビス少将が2月14日に、空軍の核C3 (NC3) センタが4月にIOCになるとの見通りを明らかにした。
NC3センタは2016年10月1日に空軍AFGSCの下部組織として発足し、国家指揮権限(National Military Command Authority=合衆国大統領)と各部隊間の通信維持にあたる。 (1903-021506>1903-021506)
4・1・2・4 海軍、海兵隊
トランプ米大統領が2月19日、空軍省隷下に宇宙軍を創設するとしたSPD-4に署名した。
SPD-4では宇宙軍を当面は空軍省隷下に置き空軍省次官の所掌とし、参謀長に相当する大将を置くとしていて、大統領が当初主張していたほど斬新ではなくなっている。 (1903-021910>1903-021910)トランプ米政権が2月29日、宇宙領域の作戦指揮を担う統合軍として宇宙軍(Space Command)を正式に発足させた。
陸海空などの要員が横断的に指揮下に入り、ミサイル防衛や部隊指揮に欠かせない人工衛星の運用や安全確保などが主な任務となる。 (1909-083003>1909-083003)トランプ米大統領が12月20日に Andrews AFBでFY20国防権限法案に署名し同法が成立したのをうけ、同日に大統領は宇宙軍を発足させた。
独立軍の創設は1947年の空軍以来約70年ぶりである。
宇宙軍は16,000名で、陸海空軍の宇宙分野の機能を統合するが、海軍省が海兵隊を管轄しているのと同様に空軍省の管轄下に入る。
トランプ大統領は2019年2月に宇宙軍創設のための大統領令に署名していた。 (2001-122104>2001-122104)
4・1・2・5 空 軍
米海軍第2艦隊が5月29日にIOCとなり、2019年内にFOCになる見通しとなった。 (1907-060511>1907-060511) 米海軍作戦部長バーク大将が10月25日、海軍が目標とする355隻体制に対し、現在の予算状況では305~310隻を維持できる状況になっていると述べた。 (1911-102503>1911-102503)
【註】トランプ米大統領が2016年に、当時2021年までに海軍を308隻体制にするとしていたのを350隻にすると発言し、その1ヶ月後に海軍は355隻計画を打ち上げていた。米海軍長官代行が12月5日、2016年に構想した海軍355隻体制を2020年代に達成する方策を検討するよう命じたことを明らかにした。 (2001-120903>2001-120903)
米国はFY18国防権限法 (NDAA) で海軍の艦船を355隻体制にすることを国家方針としているが、国防総省は大統領府予算局 (OMB) に対し、それまで計画していたFY21~FY25におけるArleigh Burk級Flight Ⅲ駆逐艦の建造数を12隻から5隻に減らすと共に、Ticonderogo級巡洋艦の退役数を13隻から9隻に減らすとの計画を示した。
この結果海軍の保有数は293隻から287隻に減ることになる。
これに対してOMBは国防総省に対し、2030年までにUSVを含めて355隻とする予算見積もりを示すように命じた。 (2001-122403>2001-122403)
4・1・2・6 陸 軍
(特記すべき記事なし)
4・1・2・6・1 想定する主作戦戦域変更を臭わせる動き
4・1・2・6・2 編成の抜本的見直し
・Assault Breaker Ⅱ: Assault Breaker の再行 米DARPAが、冷戦時代に優勢なソ連の機甲戦力の進撃を阻止するFollow-On-Force Attackとして1970年代後半に開発していたAssault Breakerを、Assault Breaker Ⅱ (ABⅡ) として再行しようと、3月中にも議会にFY20予算への盛り込みを要求する。 (1905-031103>1905-031103)
米DARPAがマルチドメイン作戦や中国とロシアのA2/ADに対抗する戦術武器としてAssault Breaker Ⅱ計画を進めようとしている。
Assault Breaker Ⅱは1970年代に西欧に進行するソ連の大軍団に対抗するためDARPAが進めたAssault Breakerを元にしている。 (1906-050203>1906-050203)・ロシアや中国との大規模な戦闘に焦点
陸軍Future Commandは、まずロシアや中国との大規模な戦闘に再び焦点を当てている。 (1906-041705>1906-041705)
・軽戦車の装備へ
米陸軍が歩兵旅団戦闘団 (IBCT) に装備する軽戦車MPFは2018年12月にGDLS社とBAE Systems社の2社が指名されが受注競争を行っている。
GDLS社が提案しているのは英国のAJAXを車体にしてM1 Abramsの砲塔を載せる案で、BAE Systems社はM8 Buford AGSの改良型である。 (1911-101507>1911-101507)
【註】M8 Buford AGSは米FMC社(後にUnited Defense社、更にBAE Systems社)が開発した軽戦車で1995年に制式採用されたが1996年に計画中止になっていた。 105mm砲を装備し、重量は装甲程度により19.25t~24.75tの3種類がある。
4・1・2・6・3 米本土防空組織の構築
米陸軍のFutures and Concepts Center長のウェスレイ中将が3月4日、陸軍は今後5年かけて編成の抜本的見直しを行うと述べた。
陸軍は過去15年にわたり旅団戦闘団 (BCT) を中心に戦ってきたが、将来戦では大規模な戦闘が予想されることからBCTより上位の部隊単位が必要になるという。 上位部隊としては師団、軍団ばかりではなく軍も検討される。
新たな編成はMultidomain Operations (MDO) 構想に基づくもので、陸軍は1年前にその最新版を纏め、2018年秋の米陸軍協会 (AUSA) 年次総会でMDO 1.5として公表している。 (1904-030608>1904-030608)
4・1・2・6・4 部隊防空の強化
米国防総省で軍事技術を担当しているグリフィン次官が10月31日、武器の国際拡散が進んでいることから、米本土に強力な防空組織を構築する検討を開始したことを明らかにした。 (1912-112906>1912-112906)
4・1・2・6・5 マルチドメイン戦闘隊の増強
米陸軍協会 (AUSA) の防空/ミサイル防衛 (AMD) 研修会が3月12日に開かれ、参集した部隊指揮官が米陸軍の将来マルチドメインでの戦いについて討議した。 この会議でCSISのMissile Defenseプロジェクト長が、防空とりわけ部隊防空が極めて脆弱であると指摘した。
会議の焦点は太平洋地域で、太平洋陸軍司令官ブラウン大将などからレーダ列島弧を構築する必要性が述べられた。
同大将はイラクやアフガンに優先度が移ったため十数年にわたり行われていなかったRoving Sandsミサイル防衛演習が2018年と2019年に実施され、それぞれに1,800名以上がWSMRで通信や射撃演習を行ったと述べた。
また2018年には3月に州兵防空部隊の第678旅団司令部が初めて欧州に巡回展開し、11月には第38防空砲兵旅団が現役復帰した。 更に第4防空砲兵連隊第5大隊が親編された。 (1904-031215>1904-031215)米陸軍SMDC司令官のディッキンソン中将が3月27日に米陸軍協会 (AUSA) のGlobal Force Symposiumで、陸軍の新たなAMDの枠組みを公表した。 それによると陸軍のAMDは戦域及び作戦地域の機動部隊及び重要施設を護ることを重点に2028年まで近代化を行う。
具体的にはPatriotレーダに代わるLTAMDレーダの整備、C-RAMのためのIFPCの整備、在欧米陸軍からの要望に速やかに応えるM-SHORADの整備を挙げている。 またPatriot大隊やTHAAD中隊を含む混合運用も挙げ、そのためのIAMDBCSの整備も挙げている。
これらの整備目標時期は、最初のM-SHORAD大隊を2021年、FY23までに更に3個大隊を編成し、最終的には18個大隊を編成する。 Strykerに搭載したC-RAM用レーザ兵器のIOCを2024年、ACTV車に搭載したより大型のレーザ兵器を2026年までに配備する。 (1904-032710>1904-032710)
4・1・2・6・6 戦略長距離砲 (SLRC) の開発
米陸軍がマルチドメイン戦闘隊 (MDTF) を更に最小限2個新設する計画である。 新設される1個隊は欧州に、もう1個隊は太平洋地域に配置される。
500名規模からなる陸軍最初のMDTFは2018年8月のRimPac演習に参加し、長距離砲兵、航空火力、対艦ミサイルで米海軍の退役艦を撃沈させている。
Army Future Commandの副司令官ウェスレイ中将は8月6日、陸軍は2028年以降を目指した大規模な改革を計画していると述べた。 (1909-080707>1909-080707)10月14日にワシントンで始まる米陸軍協会 (AUSA) の年次総会で1月に発足したマルチドメイン大隊が話題になるとみられる。
第1軍団隷下にワシントン州Lewis-McChord 三軍基地に新編されたのI2CEWS大隊は、情報、サイバ、電子戦、宇宙戦を担当する大隊で、テストケースとして太平洋陸軍地域が選定された。 2番目の大隊も計画されている。 (1911-101303>1911-101303)
4・1・2・6・7 野戦砲兵の強化
米陸軍が$228Mかける戦略長距離砲 (SLRC) の砲及び弾薬の技術研究にFY20分として$91.9Mを要求した。 (1904-031809>1904-031809) 米陸軍が戦略長距離砲の開発を3年間で$228Mかけて行う方針で、FY20に$91.9Mを要求している。
開発は砲、自動装填機、砲弾及び、何か不釣り合いであるがMANPADの4分野で行われる。 (1905-032706>1905-032706)
マッカーシー米陸軍長官代行が9月12日に上院の公聴会で、陸軍の長距離精密打撃火力とミサイル防衛が太平洋地域での中国に対する抑止力になっていると述べ、陸軍は砲兵の増強を検討していることを明らかにした。
砲兵は過去20年近く削減されてきたが、アフガンやイラクでは歩兵に代わって戦果を挙げているという。 (1910-091205>1910-091205)
4・1・3・1 太平洋地域基地の拡大構想4・1・4 在韓米軍
4・1・3・2 火力の増強
エスパー米国防長官が海軍大学で8月27日、中国の進出に対抗するため太平洋地域に基地を拡大する必要性を強調した。
長官は具体的な候補地を示さなかったがHudson研究所の専門家は、シンガポールやフィリピンと言ったかつてからの同盟国の他、タイのU-Yapao海軍航空基地や国交正常化25周年を迎えるベトナムなどを挙げた。
更にマレーシアやインドネシアも考えられるという。 更に南方のミクロネシア連邦や北マリアナ諸島の可能性もある。
またかつて米太平洋軍の特別顧問であった専門家はヤップ島やパラオ島も考えられるとしている。 (1909-082705>1909-082705)
4・1・3・3 兵力の増強
米インド太平洋軍司令官ダビッドソン海軍大将が上院軍事委員会で2月12日、インド太平洋地域での火力の増強を求めた。
同大将は現在欠落している革新的技術を持つ重魚雷のほか、陸軍や海兵隊がMGM-140 ATACMS、NSM、HIMARSなどを装備することを訴えた。 (1904-022004>1904-022004)米軍が太平洋の島々での戦略について検討を進めており、陸軍は海軍の作戦を支援するとして、第一列島線や、第二列島線への武器配備について検討している。 (1906-041705>1906-041705)
4・1・3・4 Pacific Blitz 大規模演習
・海 軍 米太平洋艦隊司令官が上院軍事委員会の小委員会で2月26日、訓練不足を理由に駆逐艦2隻のRimPac演習参加と南太平洋における米沿岸監視隊の哨戒活動支援の為の配備を中止したことを明らかにした。 (1903-022608>1903-022608)
・沿岸監視隊警備艦の作戦海域での哨戒
米沿岸監視隊の警備艦Bertholfが1月20日、米インド太平洋軍の作戦海域での哨戒任務に就くためカリフォルニア州Alamedaを出港した。
沿岸監視隊によれば警備艦は合衆国国内法の執行と戦闘任務のいずれにも対応できるため、運用の柔軟性が持てるという。
米国防情報局 (DIA) が1月15日に公表した報告書によると、中国海警局も同様の活動を行っている。 (1903-013006>1903-013006)・新型高速警備艇3隻をグアムに配備
インド太平洋地域を訪問中の米沿岸警備隊司令官シュルツ提督が10月21日にフィリピンで、2年以内に新型高速警備艇 (Fast-Respose Cutter) 3隻をグアムに配備すると述べた。
米沿岸警備隊は2019年1月から警備艦1隻を西太平洋に配備している。 (1911-102206>1911-102206)
【註】Fast-Respose Cutterと呼ばれているSentinel級警備艇は米沿岸警備隊の最新鋭警備艇で、全長48.8m、排水量359t、速力28ktである。 5日間、2,500nmの公開が可能で、Over the Horizon級小型艇1隻を搭載し、Mk 38 Mod 2 25mm機関砲1門を装備している。
米軍が太平洋地域でPacific Blitzと命名された大規模演習を2月21日~4月7日の間に開始する。 この演習は従来のPacific Horizon演習とDawn Blitz演習を合わせ更に大規模化した年次演習の第1回目で、第1海兵遠征軍を主軸に、陸海軍と沿岸警備隊が参加する。 今回は特に通常海兵隊が行う海軍艦への乗り組みを陸軍も行う。
2017年10月に行われたDawn Blitz演習では海兵隊がLPD Anchorageの甲板からHIMARSを発射している。 (1902-013106>1902-013106)
【註】第1海兵遠征軍は米海兵隊が3個編成している遠征軍のなかで最大規模で、第1海兵師団、第3海兵航空団、第1海兵兵站群などの部隊を隷下に入れている。
4・1・4・1 在韓米軍の規模4・1・5 在日米軍
4・1・4・2 有事作戦統制権の韓国軍への移管
米上院軍事委員会が5月23日、在韓米軍の規模を現在の28,500名以下に削減することを禁止する内容の法案を可決した。 同法案には、中国の軍事覇権拡大を阻止する内容も含まれた。
米議会が、在韓米軍駐留経費負担問題で何度も不満を示したトランプ政権に在韓米軍駐留の必要性を強調する一方、最近相次いで短距離ミサイルを発射した北朝鮮にもかなりの圧力になるとみえる。 (1906-052502>1906-052502)
4・1・4・3 韓国外からの来援
米軍主導の米韓連合軍が持つ有事作戦統制権の韓国軍への移管に向け、韓国軍の軍事能力を検証する米韓合同演習が8月に実施される。
米韓連合軍司令部や韓国軍合同参謀本部によると、有事作戦統制権移管のためのIOCの検証評価を、8月の米韓合同指揮所演習と並行し、韓国軍大将の主管で実施する案が有力とされる。 (1906-052803>1906-052803)
4・1・4・4 THAAD の展開訓練
米海兵隊の航空機14機が、3月にハワイから韓国に飛来し訓練を実施していた。
通常なら米海兵隊の航空機は沖縄から朝鮮半島へ飛来していたが、Foal Eagleが実施されない状況で米軍が韓国でこのような訓練を行うのは異例である。 韓国軍は公表しなかったが、米太平洋海兵隊の司令官は2日に韓国国内のセミナーでこうした事実を公開する。
米軍の戦略偵察機が相次いで朝鮮半島付近に出動していることと併せ、米軍が独自に北朝鮮への軍事的圧力を強めようとしているのではないか、という見方が浮上している。 (1905-040205>1905-040205)
在韓米軍が第8軍司令部のある平沢市のCamp HumphreysでTHAADの展開訓練を行ったことが4月23日までに確認された。
在韓米軍関係者は、第35防空砲兵旅団D中隊が今月20~27日に擬製弾を用いた展開訓練を行ったと語った。
米軍のTHAAD展開訓練は2019年初めから本格的に実施されているが、THAADのレーダと発射機が正式配備された星州ではなく平沢基地で訓練が実施されたのは異例だある。 (1905-042403>1905-042403)
4・1・5・1 役割の変化
4・1・5・1・1 再配置計画4・1・5・2 在日米軍の国内での訓練
4・1・5・1・2 限定的な指揮統制権の付与
共同通信が沖縄駐留米海兵隊当局者の話として、在沖縄海兵隊4,100名のグアム移駐開始は早くて2024年10月で、移駐完了には18ヶ月を要すると報じた。 残りの900名も沖縄以外のどこかに移駐するという。
沖縄には現在5,000名の海兵隊員と2,400名の家族がおり、グアムには7,800名の米軍がいるという。 (1906-051605>1906-051605)
4・1・5・1・3 指揮所航空宇宙作戦センター (AOC) の設置
米インド太平洋軍が隷下の在日米軍に対し、自衛隊の捜索救助活動を支援する部隊の指揮統制権を付与した。
一定の指揮統制権が与えられたことで、在日米軍は日本周辺で米軍の航空機や艦船が絡む事故が発生した際に自衛隊との一層迅速かつ緊密な連携が可能になる。 (1904-030701>1904-030701)
複数の米軍筋が4月19日、米空軍横田基地に作戦計画の策定や実行を担う新たな指揮所航空宇宙作戦センター (AOC) の設置を検討していることを明らかにした。
AOCは紛争時に一定の条件下で第5空軍に作戦統制権が与えられた際に司令官の決断を補佐するもので、実現すれば自衛隊との連携もより密接になる。
太平洋空軍傘下にある在日米空軍は作戦統制権を持たず、ハワイの太平洋空軍司令部にある第613航空宇宙作戦センタ (613AOC) に作戦計画の策定や実行を頼ってきたが、中国との衝突が起きれば、サイバ攻撃やEAで通信が遮断される恐れがあるため、中国やロシアとの軍事衝突を見据えた統制権の分散や部隊運用の柔軟性強化を進めててる。 (1905-042101>1905-042101)
4・1・5・3 在日米海軍
・HIMARS の沖縄展開訓練 米軍が、HIMARSを沖縄県に展開させる初の訓練を2019年に行う方針を自衛隊に伝えてきてた。 米軍は将来の展開を視野に自衛隊との共同訓練も行いたい意向だという。
中国の空母と艦艇が沖縄の海域を通った太平洋進出を活発化させていることを受け、進出抑止の姿勢を鮮明にする。 (1902-010301>1902-010301)産経新聞が1月3日に、米軍が中国の進出を食い止めるため今年後半に沖縄周辺でHIMARSとATACMSの実射を行うと自衛隊に通報してきたと報じた。
米軍当局者によるとHIMARSは2017年8月に海兵隊第3師団が北海道で行ったNorthern Viper演習で初めて日本に持ち込まれている。 (1902-011410>1902-011410)沖縄駐留米海兵隊のM142 HIMRSを陸軍の揚陸艇に積載する訓練が10月31日に沖縄県金武町で行われ成功した。 この訓練には第3海兵遠征軍第12海兵連隊が参加した。
沖縄駐留米海兵隊のHIMRSが公開されるのはこれで二度目である。 (1912-110107>1912-110107)
4・1・5・4 在日米海兵隊
米海軍協会の最近の報告で、現在佐世保を母港としている第76機動部隊 (Task Force 76) の旗艦である強襲揚陸艦Waspを交代させる計画で、Military Timeによると5月頃にWaspをと交代する強襲揚陸艦Americaが佐世保に入港する。 WaspをはNorfolkに戻り整備が行われる。
2014年に就役したLHA AmericaはLHD Waspを同様にF-35Bを搭載するが、LCACを発進させるウェルドックは持たない。 (1902-012407>1902-012407)米海軍佐世保基地に強襲揚陸艦America(全長260m、44,000t)を配備することが米軍内で検討されていることが日米関係者への取材で分かった。
Americaは既存の強襲艦よりF35-Bを艦載機とすることを重視した設計になっており、配備されれば小型空母並みの戦力となる。 (1903-020402>1903-020402)防衛省が4月26日、米海軍佐世保基地に強襲揚陸艦America 44,000tが配備されると発表した。 艦載する最新鋭ステルス戦闘機F-35BやMV-22の運用能力の強化が狙いで、現在配備されているWaspをと2019年内に交代する。
AmericaはWaspをに比べ船の幅が18m広く、格納庫や航空燃料庫が充実している。
佐世保基地にはドック型輸送揚陸艦New Orieans 25,000tも追加配備される一方、横須賀基地に配備されている駆逐艦Stethemは整備改修のため帰還する。 (1905-042601>1905-042601)米海軍強襲揚陸艦Waspをが9月4日、1年半以上の第7艦隊での任務を終わりNorforkに向け佐世保を出航した。
Waspをは2018年1月に、6年間佐世保を母港にしていたBonhomme Richardの後任として佐世保に派遣され、この間韓国とのFoal Eagle 2018演習、フィリピンとのBalikatan 2019演習、オーストラリア等とのTalisman Sabre 2019演習などに参加した。
Waspをの後任となるF-35B搭載のAmericaは2019年中に輸送揚陸艦New Orleansを伴って佐世保に入港する。 (1910-090402>1910-090402)米海軍強襲揚陸艦Waspに代わって佐世保に配備される2隻の揚陸艦の1隻であるNew Orleansが12月1日にサンディエゴを出航した。 第7遠征群第11水陸両用戦隊の旗艦となるもう1隻のAmericaは11月にサンディエゴを出航している。
これで第7艦隊の揚陸艦は佐世保を基地とするAshland、Green Bay、Germantownと合わせて5隻となり、沖縄を基地とする第31海兵遠征隊の輸送にあたる。 (2001-120201>2001-120201)米海軍が12月2日にSan Antonio級輸送揚陸艦New OrleansとAmerica級強襲揚陸艦の筆頭艦Americaを、米海軍前方展開部隊として佐世保に配備したと発表した。
11月1日に佐世保に入港したNew Orleansは、2015年に配備されたGreen Bayに次ぐ第11揚陸戦隊の二番艦になる。 (2001-120606>2001-120606)
4・1・5・5 在日米空軍
(特記すべき記事なし)
4・1・5・6 在日米陸軍
・CV-22 Osprey を装備する特殊戦飛行隊が発足 米空軍横田基地で7月1日、CV-22 Osprey 5機を装備する第21特殊戦飛行隊と第753整備中隊が発足した。
これら部隊は2018年10月に沖縄に編成された第353特殊戦飛行群の派遣隊で、予定より2年繰り上げての発足となった。 (1908-070108>1908-070108)
(特記すべき記事なし)
4・2・1 拡張政策4・3 欧 州
4・2・1・1 領土拡張願望4・2・2 財政難下の軍事費
4・2・1・2 軍事的な拡張政策
・ベラルーシとの統合要求 ロシアのプーチン政権が、ベラルーシへの石油供給価格を引き上げるなど圧力をかけ、ロシアとの国家統合を迫っている。
露憲法は大統領の連続三選を禁じており、プーチン大統領の任期は2024年までであるため、ベラルーシ統合によって国家指導者の新ポストを創出し、2024年以降も政権に居座る思惑だといった観測が出ている。 (1902-011304>1902-011304)
4・2・1・2・1 INF 全廃条約違反と離脱4・2・1・3 Grom 2019 戦略兵器演習の実施
4・2・1・2・2 2012~2018年の軍近代化実績
NATOが1月25日のNATOロシア協議会 (NRC) で、9M729 GLCMの射程は480kmでINF全廃条約に違反しないというロシアの釈明を受け入れなかった。 (1903-013001>1903-013001)
【註】9M728と9M729は、2015年10月にロシアがカスピ海からシリアに撃ち込んだ3M14 Kaliber-NK CMのファミリと言われ、9M728/9M729の胴径は魚雷発射管似合わせた533mの3M14とほぼ同じで全長は1m以上長くなっている。
2015年に3M14はシリアまで1,500km以上を飛翔していることから、燃料タンクが1m以上長い可能性のある9M728/9M729は更に長距離飛翔すると見ることができる。米政権がロシアに条約順守の意思がないと判断したのは、ロシアが条約違反の対象として問題視されている地上発射型の巡航CM 9M729を装備する部隊を増強していることが判明したためで、Wall Street Journalが1月31日に複数の欧米当局者の話として伝えたところでは、ロシアは9M729を装備するする部隊を、2018年12月は3個大隊だったのが、最近になって4個大隊に増強していたことが判明した。 (1903-020103>1903-020103)
ロシア大統領府が3月4日、プーチン大統領が中距離核戦力 (INF) 全廃条約の履行を停止する大統領令に署名したことを明らかにした。
米国がINF全廃条約にロシアが違反しているとして破棄を表明したのに対しロシアも同条約の履行を停止する姿勢を示していた。 (1904-030503>1904-030503)
4・2・1・2・3 経済制裁の影響
在任6年になるロシアのショイグ国防相が3月10日、2012~2018年に軍近代化のため作戦機1,000機以上、戦車3,700両、ICBM 109基、SLBM 108基、Iskander 10個旅団を装備したと実績を誇示した。
また2015年以来ロシアが介入したシリアでの戦いで、ロシアの軍事力を確認し兵器の性能、とりわけ長距離ALCMの性能を確認したと述べた。 (1904-031109>1904-031109)
4・2・1・2・4 東地中海における勢力拡張
米財務省海外資産管理局 (OFAC) が3月15日、ロシアの軍事企業6社が新たな制裁により打撃を受けていると発表した。
同日にカナダもロシアの軍事企業14社に対し追加制裁を行った。 (1905-032716>1905-032716)
4・2・1・2・5 中央アジア諸国への影響力拡大
ロシアが東地中海で兵力増強を図っている。
3月14日にはKrasnodarと見られるKilo級潜水艦がボスポラス海峡から地中海に出、翌日には同級Stary Oskolも地中海に向かった。 3月上旬には黒海艦隊の独立第4潜水艦旅団司令官がKrasnodarとStary Oskolが長期航海の準備中であることを明らかにしており、両艦はシリアのTartusに向かったと見られる。
代わってKolpinoとVelikiy Novgorodが黒海に戻る模様である。
また3月15日には駆逐艦Severomorskがボスポラスを通過し、3月1日にはフリゲート艦Admiral Essenも地中海に向かった。
3月12日には最新鋭フリゲート艦Admiral Essenが補給艦とタグボートを従えてジブラルタル海峡から地中海に入ったが、同艦は3月20日にスエズ運河を経て紅海に入った。
一方イスラエルの衛星情報企業iSi社が、Su-25 7機がシリアのHumaymim航空基地に駐機しているのを捕らえた。 (1905-032704>1905-032704)ロシア海軍のKilo級潜水艦2隻が3月14日と27日に黒海からボスポラス海峡を南下したが、シリアのTarutusに配備されていた同型の2隻が黒海に戻る準備を整えているようで、これらと交代するものと見られる。 (1905-040310>1905-040310)
4・2・1・2・6 中米友好国の確保
・Centre (Tsentr) 2019演習 TASS通信が8月20日、Centre 2019演習がロシア、中国、パキスタン、インド、キルギスタン、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタンの7ヵ国から128,000名以上と航空機600機、火砲450門が、またカスピ海小艦隊から艦艇15隻が参加して9月16~21日に開かれると報じた。
前回のCentre 2015はカザフスタンが参加し95,000名と170機だけの参加であった。 (1910-082805>1910-082805)解放軍報がTsentr 2019 (中部2019) 演習に参加する中国の空中梯団が9月7日午後にロシアのオレンブルク州に到着したと報じた。
演習に参加する中国の陸上梯団8個、空中梯団11個が全て現地入りしたことになる。
中国側の合同戦役指揮機関と参加部隊は解放軍西部戦区及び所轄部隊から兵士1,600名、各種装備300品目、航空機とヘリコプター30機近くが参加する。 (1910-090902>1910-090902)
【註】ロシアは2017年に「西方 (Zapad 2017)」大規模演習、2018年に「東方 (Vostok 2018)」大規模演習を実施している。
4・2・1・2・7 アフリカへの進出
・ベネズエラの確保 「4・5・1・1・7マドゥロ大統領を支持する国々」で記述
・キューバの確保
米露の緊張が高まるなか、ロシアのProject 22350フリゲート艦Admiral Gorshkovを先頭に補給艦、給油艦、タグボートで構成されたロシア海軍の艦隊が、6月24日にキューバのハバナ港に入港した。 露海軍北海艦隊に所属するこの小艦隊はドバイ、スリランカ、中国、更に6月11日にはエクアドルを経てキューバに到着した。
Admiral Gorshkovは2018年7月に就役した最新鋭艦で、3M55/P-800 Oniksや3M14 Kalibr CMのほか、Poliment-Redut防空システムを装備している。 (1908-071010>1908-071010)
・北アフリカ ロシア軍が10月30日にエジプトで大規模な防空演習を開始した。 この演習にはS-125 Pechora(註:SA-3)のほかBuk-M2E及びTor-M2Eも参加する。
この演習はロシアのアフリカ進出意図の強化とみられる。 (1911-103111>1911-103111)・南アフリカ
ロシア国防省が10月21日、南アフリカにTu-160 2機を派遣し、両国の戦略的パートナーシップに基づく軍事協力の検討を行うと発表した。
ロシアはアフリカへの進出を行っており、少なくとも28ヶ国と軍事協力協定を結んでおり、しかもその大部分は過去5年間に行われている。 (1911-102105>1911-102105)
4・2・1・4 核実験再開疑惑
ロシアメディアが、露国防省が10月15日に定例の戦略兵器演習Grom 2019を露各地で開始したと報じた。
17日までの演習期間中にはYars ICBMやSineva SLBMなど計16基の発射も予定されている。
露経済紙RBKによると2018年の同演習で発射されたBMの数は不明であるが、2017年には4基が発射されている。 (1911-101601>1911-101601)
Wall Street Journalが米情報機関の分析として5月29日、ロシアが非常に低出力の核実験を秘密裏に行っている可能性があると報じた。
同紙によると、実験は北極圏のノバヤゼムリャ島で行われ、核兵器の性能維持を目的にしているとみられる。
米国は、包括的核実験禁止条約 (CTBT) をロシアが厳格に順守していないと主張しており今回の分析はそれを裏付けるものだとしている。 同条約は米国などが批准しておらず、発効していない。 (1906-053001>1906-053001)
4・2・2・1 財政難下の状況4・2・3 軍近代化の計画と実績
4・2・2・1・1 2019年までの状況4・2・2・2 財政難下の装備調達
4・2・2・1・2 2020年以降の見積もり
2017年に落ち込んだロシアの軍事予算は2018年にもRUB2.8T ($42B) 落ち込み対GDP比が2.8%になった。
ロシア国会によると2019年にはRUB2.9T増えると言うが対GDP比は依然として2.8%である。 しかもルーブルの下落でドル換算では2018年に$47Bであるのが2019年には$44Bに落ち込むことになる。 (1902-122401>1902-122401)ショルグ露国防相が1月15日、2019年におけるロシア軍の装備調達費がRUB1.44T ($21.6B) にのぼることを明らかにした。
この額は2018年度のRUB1.5Tに比べて4%削減されている。 (1903-012302>1903-012302)
Tass通信が10月1日、2020~2022年のロシア国防費の見積もりを2020年がRUB3.10T '$47.55B)、2021年がRUB3.24T、2022年がRUB3.30Tと報じた。
国防費の対GDP比は2020年が2.4%、2021年が2.7%、2022年が2.6%になる。
2018年7月に公表された2019~2021年の見積もりでは、2020年がRUB2.86T、2021年がRUB2.98Tであったことから、2020年及び2021年の見積額はそれぞれ8.4%と8.7%の増加している。 (1911-100208>1911-100208)
4・2・2・3 武器輸出の推進
ロシアは2019年には$44Bに落ち込む軍事予算のなかでも装備の近代化を進めており、プーチン大統領は11月に航空機74機、UAV 80機、S-400 4個連隊、戦車等の装甲車両250両を整備するとした。 露空軍はSu-35S、Su-30SM、Su-34に加えて、2019年にはSu-57を初めて取得する。
更に超高速兵器ではAvangardとKh-47M2 Kinzhalの開発と配備を進めており、Kinzhalは2017年に配備を開始し2018年4月には戦闘可能になっている。 (1902-122401>1902-122401)
4・2・2・3・1 武器輸出の実績
4・2・2・3・2 武器輸出努力の実例
・武器輸出の実績 ストックホルム国際平和研究所が3月11日、2014年から2018年まで5年間の国際的な武器の取り引きをまとめた報告書を発表した。
それによると、米国の武器輸出は2018年までの5年間に2013年までの5年間に比べて29%増加し、世界全体に占めるシェアも6%増えて36%になった。 米国に次ぐ武器の輸出国はロシアで世界全体の21%を占め、次いでフランスが6.8%、ドイツが6.4%、中国が5.2%などとなっており、上位5ヵ国で世界全体の3/4を占めている。
一方、輸入では中東地域が過去5年間に比べ87%増加し、ほかの地域で軒並み輸入が減少する一方中東地域だけが突出して増加している。 (1904-031105>1904-031105)ロシアのプーチン大統領が2019年の武器輸出額が2018年度を$2B上回る$13Bに達することを明らかにした。 この中にはトルコへのS-400出荷も含まれているという。
また海外からの受注残高が$50Bに達しているという。 (2001-121605>2001-121605)
4・2・2・3・3 武器の不法輸出
・Orion E MALE UAV ロシアのUAVメーカKronshtadt GroupがOrion E MALE UAVを、ブラジルで開かれたLAAD 2019展やマレーシアのLIMA 2019展に出品し海外での売り込みに力を入れている。 (1905-040306>1905-040306)
・Su-57
ロシアの業界首脳が、露政府がSu-57の輸出承認の準備をしていることを明らかにした。 輸出仕様のSu-57であるSu-57Eの輸出は最終的な決定をプーチン大統領が行う。
ロシアは2018年11月にドバイ航空展にSu-57Eを出品する様で輸出先としては中東やインド、中国などのアジア太平洋地域が考えられる。
中国は既にSu-35 24機を輸入しており、今後Su-35を追加発注または国内生産するかの決定を行うが、他の選択肢としてSu-57Eの導入も考えられる。 (1905-040311>1905-040311)
ウクライナの検察当局が3月27日、Mykoraivの倉庫にあったエリトニア向けの貨物からS-125 (SA-3) 用ミサイル5V27D 36発を発見したと発表した。
これらのミサイルはエリトニアへの武器輸出を禁じた国連の決定に反して、ロシアの武器輸出企業Rosoboronexport社がエリトリアに輸出するため2007~2010年にウクライナに持ち込んだものとみられ、押収された$8M相当のミサイルはウクライナ軍が取得した。 (1905-040318>1905-040318)
4・2・3・1 軍近代化の実績4・2・4 戦略兵器の増強
4・2・3・1・1 近代化の進捗状況4・2・3・2 2019年の計画と実績
4・2・3・1・2 2018年の実績
ショイグ露国防相が3月11日に国会で、ロシア軍が装備する近代化された兵器の割合が61.5%に達したと述べた。
この中にはYars ICBM 109基、SLBM 108基も含まれるほか、Dolgorukiy級SSBN 3隻、その他潜水艦7隻、宇宙船57基、Bastion/Bal 17個システム、MBT/IFV 3,712両、固定翼/回転翼機1,000機以上、艦船161隻が含まれる。
これらはYars ICBM部隊12個連隊、Iskander 10個旅団、MiG-31BM/Su-35S/Su-30SM/Su-34 13個飛行連隊、陸軍航空部隊3個旅団とMi-28N/Ka-52攻撃ヘリ6個連隊、S-400/Pantsyr-S SAM 20個連隊、Bal/Bastion 17個中隊に編成されている。 (1905-032008>1905-032008)
ロシア国防省が2018年12月18日に、2018年に取得した装備の総括を公表した。 装備の近代化では戦略核軍 (SYaS) が近代化率82%を達成したという。 (1902-010906>1902-010906)
・SYaS Tu-160 1機とTu-95MS 4機の近代化を達成した。 またKinzhal超高速ミサイルを装備した作戦機が黒海とカスピ海上空で89回の哨戒飛行を行った。
・地上軍
地上軍は2,200品目を取得し、10個部隊を新編。
・宇宙航空軍
宇宙航空軍は航空機126機、宇宙飛行体9機、120個防空システム。
・海軍
海軍は水上艦14隻、支援艦11隻、Bal及びBastion沿岸防備ミサイル4個システム。
・空挺部隊
300品目の武器と11,000の落下傘キット。
ロシア国防省が2018年12月18日に2018年における装備調達の総括を公表した。 それによると調達品目115,000のうち2,500品目が主要武器等であった。
空軍 (VKS) は航空機120機、機甲機械化部隊はIFVやAPC300両のほか、各種火砲等120以上とIskander-M 1個大隊、海軍 (VMF) は艦船20隻以上、防空部隊はS-400、Buk-M3、Tor-M2、Tor-M2DFなどを取得した。 (1902-010914>1902-010914)ロシア国防省が4月12日、今年1/四半期に500品目以上の新装備を取得したと発表した。
取得した中にはSu-34などの固定翼機13機、回転翼機31機、Kalibr CM 48発と、Iskandee-M、Bulava、Yarsなどのミサイルも含まれている。 (1906-042409>1906-042409)プーチン露大統領が5月15日、ロシア宇宙航空軍が2013~2018年に固定翼/回転翼機を1,000機以上調達し、空軍の近代化率が65%を超えたことも明らかにした。 (1907-052210>1907-052210)
4・2・3・3 2028年までの計画
ロシア国防省が2018年12月18日に、2018年に取得した装備の総括を公表した。
2019年の計画は、SYaS: Yars、Avabgard ICBM 31基、Tu-95MS 4機、戦略潜水艦1隻、装甲車両719両、Iskander-M 1個旅団、S-300V4とBuk-M3 2個旅団、S-400 2個連隊、S-350 1個システム、水上艦12隻、潜水艦2隻、支援艦12隻、Bal及びBastion沿岸防備ミサイル4個システムなどである。 (1902-010906>1902-010906)ロシアのショイグ国防相が10月18日、ロシア軍が2019年に航空機51機と戦闘車両200両以上を取得したと述べた。
それによると取得したのは、固定翼機16機、回転翼機35機、<装甲車両200両以上、レーダ21基、コルベット艦、警備艇、測量艦各1隻を取得し、原潜1隻のオーバーホールとコルベット艦1隻の能力向上改造を実施した。
また戦略ミサイル軍は9基のミサイルと地上型発射機を受領した。 (1911-102307>1911-102307)ロシア陸軍参謀長が9月30日、露陸軍が2019年内に2,500品目以上の新装備を受領し、近代化達成率が60%に達するようになると述べた。 この中にはT-72B3M及びT-90M MBT、BMP-3及び改良型BMP-2 IFV、BTR-82A APCやTaifun-K防護車、Khrizantrma対戦車SPが含まれる。
また防空部隊では東部軍管区がS-300V4を受領すると共に、中部軍管区の1個SAM旅団がBuk-M3、南部軍管区の1個SAM大隊がTor-M2を受領する。 更に3個混成部隊に派遣されている防空部隊がVerba MANPADを受領する。
ロケット砲兵では西部軍管区のロケット部隊が間もなくIskander-Mに換装されるほか、ロケット砲兵部隊は2019年中に200品目以上を受領する。 (1912-100905>1912-100905)
プーチン露大統領が5月15日、ロシア宇宙航空軍に2028年までに第五世代戦闘機Su-57を76機、Mi-28Nの最新型Mi-28NMを100機配備すると述べた。 (1907-052210>1907-052210)
4・2・4・1 核軍縮4・2・5 通常戦力の強化
4・2・4・2 戦略兵器の増強
・INF 全廃条約違反疑惑 米国のウッド軍縮大使が1月21日、ロシアのSSC-8/9M729 CMは射程が500~1,500kmありINF 廃棄条約に違反するとして発射機など関連設備の廃棄を求めた。
ロシアはこれまでSSC-8/9M729の開発を否定してきたが、現在はこのシステムの存在を認めているが、射程は500km以下でINF廃棄条約の対象にならないと主張している。 (1902-012201>1902-012201)・新戦略兵器削減条約(新START)の延長要請
ロシアのリャブコフ外務次官が11月27日、米国に対して新戦略兵器削減条約(新START)の5年間延長を正式に要請したと述べた。
新STARTは配備可能な戦略核弾頭数をそれぞれ1,550発以下に制限するなど、ロシアと米国が戦略核兵器を減らすことを定めた条約で2021年2月に失効する。 (1912-112802>1912-112802)・欧州でのミサイル配備一時停止提案とフランスの反応
マクロン仏大統領が11月28日、欧州でのミサイル配備の一時停止を求めるロシア側の提案は受け入れられないとの見方を示す一方、ロシア側の要求を簡単に却下しないことが重要と述べた。
米露による中距離核戦力 (INF) 廃棄条約が8月に破棄されたのち、ロシアは米国など各国に対し、欧州での短中距離核ミサイル配備の一時停止を宣言するよう求めていた。 (1912-112901>1912-112901)
4・2・4・2・1 ICBM
4・2・4・2・2 SLBM
(特記すべき記事なし)
4・2・4・2・3 中距離核戦力 (INF)
(特記すべき記事なし)
(特記すべき記事なし)4・2・4・2・4 核 UUV
・Poseidon プーチン露大統領が2月始めに潜航試験を完了したと発表したPoseidon UUVの社内試験が2019年夏に開始される。
2015年末に初めて公表された、かつてはStatus-6とかKanyonとか呼ばれていたPoseidonは高速、深深度性能を持ち2Mtの核弾頭を発射できる大陸間航続能力を持つ大径魚雷と見られているが、ロシアの報道によると全長は24mで速力107ktで自律航行し、核弾頭を破裂させて敵の沿岸に津波を巻き起こすという。 (1903-021909>1903-021909)TASS通信が3月6日、ロシアで初めてPoseidon核魚雷6発を装備するOscar改級原潜Belgorodが4月~6月にに進水し2020年には就役すると報じた。
また二番艦Khabarovskも2020年初期に進水し2022年には就役するという。 (1905-031307>1905-031307)
4・2・5・1 海 軍4・2・6 対米挑発活動
4・2・5・2 空 軍
・2018~2027年に180隻の艦艇を装備 ロシアのショイグ国防相が3月27日に、露海軍が2018~2027年に180隻の艦艇を装備するとした上で、2019年中に15隻の戦闘艦艇と20隻の補給艦を取得すると述べた。
またYasen級及びBorei級原潜や外洋型フリゲート艦の基地や停泊施設を整備し、更に長距離精密誘導兵器を艦載するとも述べた。 (1904-032810>1904-032810)・Project 20385コルベット艦
プーチン露大統領が10月31日にサンクトペテルブルグで建造中のProject 20385コルベット艦Gremyashchiyを訪問した。 同艦は94.5%完成しており、12月26日に海軍へ引き渡され、北方艦隊海域で試験が行われる。 全長104m、幅13m、排水量2,200t、速力27ktのProject 20385はProject 20380と違ってKalibrを搭載でき、3S-14 VLSから3M-14対地、3M-54対艦、91R対潜ミサイルを発射する。 (2001-111608>2001-111608)
4・2・5・3 地上軍
・Su-57 ロシア国防次官が11月8日、露空軍が2019年内にSu-57の1号機を受領すると述べた。 (1912-111204>1912-111204)
ロシア国防次官が11月8日、Su-57の1号機が年内にロシア宇宙航空軍 (VKS) に納入され、2号機も年明けに納入されると述べた。 (2001-112005>2001-112005)
・MiG-35
ロシア国防次官が11月8日、空軍は2019年にSu-35を10機取得していることを明らかにした。 (1912-111204>1912-111204)
ロシア国防次官が11月8日、Su-35Sが2019年中に10機納入され、既に発注済みの残りの10機も2020年内に納入されることを明らかにした。 (2001-112005>2001-112005)
4・2・5・3・1 作戦基本部隊4・2・5・4 U A V
4・2・5・3・2 野戦火力部隊
・ウクライナ国境近くに3個師団規模部隊を新偏 ロシア陸軍第150自動車化狙撃師団の最後の連隊が編成されるのを機に、恒久兵舎がロシア南部Rostov-on-Don近郊に2019年内に完成する。
この師団は2016年にウクライナとの国境近くに新偏された3個の師団規模部隊の一つで、今までは天幕やシェルタで寝起きしていた。 (1909-081404>1909-081404)
4・2・5・3・3 防空部隊
ロシア国防省が1月1日、ロケット砲兵部隊 (MT&A) が2019年に9K720 Iskander-M 1個旅団分が西部軍管区に配備されIskander-Mへの換装を完了すると発表した。
MT&Aは2013~2018年に10個旅団分のIskander-M 458基を受領している。
生産しているKBM社は毎年2個旅団分のIskander-Mを納入している。 (1903-011603>1903-011603)
(特記すべき記事なし)
近年シリアなどの戦場でUAVの使用実績を伸ばし、シリアでは介入以来70機程度のUAVが23,000ソティー、14万飛行時間と実績を伸ばしているロシアが、モスクワ近郊で開かれている2019 MAKS航空展では以下のようなUAVを展示した。 (1909-082907>1909-082907) ・Orlan-10:露地上軍が1,000機装備(右図)
・Forpost M:翼端長8.5m・Altius-U・Orion-E:
翼端長16m、MTOW 1t、搭載能力200kg、上昇限度22,000ft、滞空能力24時間
・Orion-2:
MTOW 5t、上昇限度40,000ft、滞空能力24時間、航続距離5,000km
・Altius:
翼端長28.5m、MTOW 5~7t、上昇限度40,000ft、航続距離10,000km
・Korsar:
翼端長6.5m、MTOW 200kg、滞空能力10時間、航続距離120km
・Frigate:チルトロータ
・Su-70 Okhotnik B:UCAV
ロシア国防省が8月20日、Altius-U UAVが初飛行したと発表した。 初飛行は32分間にわたり、全自動モードで高度800m以下を飛行した。
Altius-Uは電波、画像情報収集を主任務としレーダも搭載している。 (1910-082807>1910-082807)
4・2・6・1 米国本土への接近飛行4・2・7 対欧州戦略
4・2・6・2 太平洋地域での挑発
・1月26日:Tu-160 2機 ロシアのTu-160 2機が1月26日に北極圏で接近してきたため、NORADが米空軍のF-22 2機とカナダ空軍のCF-18 2機を緊急発進させた。 (1902-012703>1902-012703)
・5月20日:Tu-95 4機と Su-35 2機
NORADが5月21日、ロシアの爆撃機などが20日にアラスカ州に接近し防空識別圏内を飛行したため、F-22が対応したと発表した。
NORADによるとTu-95 2機がアラスカ西海岸から322kmの範囲に設定された防空識別圏に入ったためF-22 2機が対応した。
そののち別のTu-95とSu-35それぞれ2機も接近したため、さらにF-22 2機が対応に当たった。 (1906-052201>1906-052201)・8月8日:Tu-95 がアラスカとカナダの防空識別圏に進入
北米航空宇宙防衛司令部 (NORAD) が、8月8日にアラスカ沖ので米国とカナダの戦闘機がロシアのTu-95 2機に対し緊急発進したと発表し、この様子を撮影した画像を公開した。
NORADによるとTu-95がアラスカとカナダの防空識別圏に進入したため、米空軍のF-22 2機と、カナダ空軍のCF-18 2機が緊急発進した。
露軍機は公海上空で飛行を続け、米国やカナダの領空には侵入しなかったという。 (1909-080901>1909-080901)
4・2・6・3 欧州での米軍への挑発
・露駆逐艦の米巡洋艦への異常接近 米海軍巡洋艦Chancellorsvilleとロシア海軍駆逐艦Admiral Vinogradovが6月7日11:45頃ににフィリピン海で、危うく衝突する事件があった。
米海軍第7艦隊によると、等速直進していた米艦の右後方からロシア艦が50~100呎まで接近したという。 (1907-060703>1907-060703)
【註】海上衝突予防法では「2隻が衝突のおそれがあるときは、相手船を右舷側に見る方の船が相手船を避ける」と定めている。
この写真の範囲で航跡を見るとAdmiral Vinogradovが衝突回避行動をしているが、Chancellorsvilleの方に回避義務があったことになる。米国とロシアの駆逐艦がフィリピン海を運航中に異常接近する事案が7日に発生した。
ロシアの通信社は、ロシア太平洋艦隊の情報として、米海軍の巡洋艦Chancellorsvilleが、ロシア駆逐艦Admiral Vinogradovに50mの距離まで接近したと報じた。 Admiral Vinogradovは衝突を回避するため緊急措置を迫られたという。
米海軍第7艦隊の報道官は、Admiral VinogradovがChancellorsvilleに15~30mの距離に迫り危険な行動を取ったと主張しロシア側の説明を否定した。 (1907-060801>1907-060801)
4・2・6・3・1 地中海
4・2・6・3・2 黒 海
・6月4日:Su-35が妨害飛行 米海軍第6艦隊が6月4日、地中海の公海上空を飛行していた米軍機が、3時間の間に3度にわたってロシア軍機に進路を妨害されたと発表した。
第6艦隊の発表によると、Su-35が4日に地中海の公海上空で、175分間に3度にわたりP-8A Poseidonの飛行を妨害した。
このうち2度目はロシア軍機が米軍機の目前を高速で通過し、パイロットと乗員が危険にさらされたとしている。 (1907-060502>1907-060502)
4・2・6・3・3 バルト海
(特記すべき記事なし)
(特記すべき記事なし)
4・2・7・1 NATO に対する軍事的挑発4・2・8 北海、バレンツ海での謎の事故
4・2・7・1・1 INF 全廃条約の違反4・2・7・2 欧州に対するエネルギー戦略
4・2・7・1・2 北方海域での活動
・NATO 側の対応 ストルテンベルグNATO事務総長が2月13日、ロシアがINF全廃条約に反して9M729 GMLRSを開発していることについて、特段の対抗策は考えていないと述べた。 (1904-022001>1904-022001)
・Ocean Shield 2019 演習 ロシア国防省が8月1日、海軍がバルト海で一連の演習の第二弾となるOcean Shield 2019演習を開始したと発表した。
演習にはバルチック艦隊と北方艦隊及びカスピ海小艦隊から、戦闘艦49隻、支援艦船20隻、航空機58機が参加する。 (1909-080204>1909-080204)・バルト海での挑発
ドイツ海軍副司令官のブリンクマン中将が9月4日にコペンハーゲンで開かれた海空システム技術 (MAST) 会議で、ロシアがバルト海での挑発を強めており、NATO及び加盟国は共同防衛体制を強化する必要があると述べた。 (1911-091107>1911-091107)
4・2・7・3 潜水艦の活動活発化
・Nord Stream 2 ポンペオ米国務長官が2月12日、ドイツがロシアから天然ガスを輸入するために計画するパイプラインNord Stream 2について安全保障上の大きなリスクがあるとして建設に反対する考えを強調し、トランプ大統領は権限の範囲内でできることをすると非常に明確にしていると、計画に参画する企業への経済制裁も辞さない構えを見せた。
ポンペオ長官がやり玉にあげたのは、ドイツがバルト海の海底にパイプラインを建設し、ロシアから大量の天然ガスを購入する計画で、ロシアがエネルギー供給を盾に欧州に対して政治的な影響力を行使する懸念があり、ポーランドは同計画に反対してきた経緯がある。 (1903-021301>1903-021301)・Druzhba
ロシアのコザク副首相が4月26日、ベラルーシ、ウクライナ、ポーランドとの協議を受け、パイプラインDruzhbaを通じた欧州への原油供給を2週間以内に再開すると明らかにした。
ポーランドやドイツなどは4月下旬、高濃度の有機塩素化合物が混入し原油の品質が悪化しているとして、Druzhbaを通じたロシア産原油の輸入を停止していた。 (1905-042701>1905-042701)
【註】Druzhba Pipelineは1964年、ソ連中央部で産出する石油をソ連西部やヨーロッパの共産主義友好国へ供給するために建設されたもので、現在ではロシアおよびカザフスタン産の石油をヨーロッパに輸出する最大のルートとなっている。・Turk Stream
(特記すべき記事なし)
4・2・7・4 北欧諸国に対する挑発
ウィリアムソン英国防相が2月18日、ロシアの潜水艦の活動を監視するためP-8を2020年から北極圏を含む北大西洋の広範囲な海域で哨戒任務につかせると述べた。
英国防省は、ロシアの潜水艦の活動は東西冷戦期のレベルに達しているとして北極圏や英近海での活動を警戒しており、英国は2019年春には北極圏での安全保障戦略を発表する。 (1903-021902>1903-021902)
4・2・7・5 カリーニングラードの確保
ノルウェー情報当局の報告書Focus 2019によるとロシアは2017年と2018年にノルウェー軍に対する模擬攻撃を仕掛けている。 2018年2月にはKola半島のMonchegorsk基地を離陸したSu-24 11機が模擬攻撃隊型でノルウェーのVardøにあるレーダ基地に疑似攻撃を仕掛けた。 (1904-030809>1904-030809)
米ウェブニュースBreaking Defenseが先週、在欧空軍司令官のハリギアン大将がワシントンでの記者との懇談会で、必要ならばロシアがカリーニングラードに配備した防空網 (IADS) を突破すると述べたと報じたのに対し、ロシアのメドベーエフ首相が米国は自分の防空能力不足を認識すべきだと一蹴した。 (1910-092303>1910-092303)
4・2・9 極東地域での活動
・原子力潜水艇の火災 バレンツ海のロシア領海内で7月1日に発生したロシアの原子力潜水艇AS12 ロシャリクの火災で乗員14名が死亡した事故で、露メディアは7月6日までに、同艇は海底通信ケーブルからの通信傍受など、極秘任務に従事していた可能性があるとの見方を報じた。 露政府は重大な機密を理由に潜水艇の種別や詳細の公表を拒んでいる。
2003年に就役したロシャリクは全長60mで深度6,000mまで潜航可能とされ、海底通信のケーブル防衛や通信傍受、ケーブル切断による通信妨害などをに任務にするという。 (1908-070601>1908-070601)
4・2・9・1 沿海州、カムチャッカ、千島での活動
4・2・9・1・1 部隊の増強4・2・9・2 北方領土での活動
4・2・9・1・2 演習の実施
・K-300R Bastion-P のカムチャッカ半島配備 ロシア国防省が3月12日、太平洋艦隊がカムチャッカ半島でK-300R Bastion-P沿岸防備システム一式を受領したと発表した。 公開された動画には少なくとも7両がペテロパブロフスクを出発するのが写っていた。
K-300R Bastion-PシステムはK432R運搬装填車1両、K-340P自走発射機1両、K380R指揮統制車1両からなり、K432RとK-340Pはそれぞれ射程300kmのOnyx 3M55超音速CMを2発ずつ搭載している。
目標情報の取得はレーダまたはUAVで行い、3M55は陸上目標も攻撃できる。 (1904-031408>1904-031408)・カムチャッカ半島での K-300R Bastion-P、Bal の増強
ロシア太平洋艦隊司令官が5月20日、今までBastion-P ASCM 1個大隊があったカムチャッカ半島に駐屯する第520独立沿岸砲兵旅団に、過去1ヶ月以内にBal及びBastion-P 1個大隊ずつが増強されたことを明らかにした。 合わせて車両20両からなるという。
Balは射程120kmのKh-35 Uran亜音速ASCMまたは260kmのKh-35Uを装備し、Bastion-Pは射程300kmのP-800 Oniks超音速ASCMを装備する。 (1907-060508>1907-060508)
ITAR-TASS通信が、ロシア東部軍管区が10月14日に極東地域で敵対勢力の上陸を想定した大規模演習を開始したと発表した。
演習には北方領土に配置されている部隊も参加しているという。
演習は、北方領土を事実上管轄するサハリン州と沿海地方の訓練場で実施され、8,000名の将兵のほか3,000両の戦車・自走砲などと50機の航空機が投入されるという。 (1911-101403>1911-101403)
4・2・9・2・1 部隊の増強4・2・9・3 韓国周辺での活動
4・2・9・2・2 演習の実施
・国後と択捉に UAV を配備 Izvestia紙が4月8日、ロシア国防省が極東地域の防衛強化の一環として、カムチャツカ半島と北方領土の択捉島、国後島にミサイル攻撃の目標偵察のためのUAVを配備したと報じた。 ロシアが択捉、国後両島に配備済みの新型ミサイルの攻撃能力を強化する役目を負っている。
同紙によると、択捉、国後両島に駐留する第18機関銃砲兵師団に中距離UAV Orlan-10が配備される。 Orlan-10はシリアで実戦使用され大きな成果を挙げたという。 (1905-040802>1905-040802)・千島列島2島へBastion配備
共同通信が9月2日、ロシアが米国に対抗する核戦力の拠点とするオホーツク海への敵艦隊侵入を阻むため、北方領土と千島列島で進める2019年の軍備計画を入手した。
千島列島で二つの島への射程300km以上のBastion地対艦ミサイル配備を明記しており、カムチャツカ半島から北海道に至る防衛線を射程に収める計画が近く完成する。 (1910-090203>1910-090203)
・2018年秋:地対艦ミサイル Bal を発射 ロシア軍機関紙「赤い星」が5月22日、2018年秋に北方領土の択捉島でロシア太平洋艦隊のミサイル部隊が、地対艦ミサイルBalを発射する演習を行ったと報じた。
Balは射程130kmの沿岸防衛を目的とした新型の地対艦ミサイルで、3年前に北方領土に配備された。 (1906-052302>1906-052302)・3月12日:上陸作戦対処訓練
InterFax通信によると、ロシア東部軍管区が3月12日に国後、択捉両島で演習を開始した。 演習には機関銃、砲兵部隊500名が参加し、戦闘車両など70品目の装備も投入して、敵の上陸作戦への対処などを訓練した。
露国防省は3月6日に具体的な場所や日時の明示は避けながら、クリル諸島で350名以上が参加した演習を実施したと発表した。
ロシア軍は、北方領土一帯での演習を活発に行っており、日露平和条約交渉で日本側を揺さぶる狙いがあるとみられる。 (1904-031206>1904-031206)・4月4~5日と8~12日:海域で射撃訓練
菅官房長官が4月4日、ロシア政府が2日に北方領土の国後島周辺海域で射撃訓練を実施すると日本政府に通告してきたことを明らかにした。
外務省によると、4~5日と8~12日の合わせて7日に国後島周辺で射撃訓練を行うと海上保安庁などを通じ通告してきたという。 (1905-040402>1905-040402)・8月5~10日:海域で射撃訓練
ロシア政府が、国後島南部の東側海域で5日から10日にかけて射撃訓練を実施すると日本政府に通告してきた。 日本側は、北方領土の軍事力強化につながるなどとして、外交ルートで抗議した。
ロシア側は2018年秋以降、北方領土での軍事演習を活発化させており、3月には国後択捉両島で戦車などが参加する演習を行ったと公表したほか、4月にも国後島周辺海域で7日間、射撃訓練を実施すると通告してきた。
またメドベージェフ首相が2日に択捉島を訪れたばかりである。 メドベージェフ首相の北方領土訪問は4回目で、河野太郎外相が「極めて遺憾だ」との談話を発表していた。 (1909-080502>1909-080502)
4・2・9・4 わが国周辺での活動
・10月22日: 韓国軍合同参謀本部が、ロシアの軍用機6機が10月22日午前に韓国防空識別圏(KADIZ)に入り、韓国空軍の戦闘機10機が緊急発進したと発表した。
KADIZに入ったロシア軍機はA-50 AEW&C機1機、Su-27 3機、Tu-95 2機だった。
ロシア軍機がKADIZ内に入っていた時間は計3時間で、爆撃機2機は約2時間10分間、KADIZ全域を飛行した。 ただ、韓国の領空は侵犯しなかった。 (1911-102203>1911-102203)韓国軍が10月22日、韓国防空識別圏 (KADIZ) に6時間近く侵入したロシア軍機の一部機種を誤って判断していたことが明らかになった。 韓国軍は当初、Su-27 3機と言っていたが、ロシアはSu-35Sが訓練に参加したと発表した。
韓国軍の主力戦闘機であるF-15Kよりも性能が高い最新鋭のSu-35Sが今回の作戦に投入された事実が明らかになったことから、ロシアは米国と韓国の反応を見たのではないかという解釈も出ている。 (1911-102401>1911-102401)・11月27日:
タス通信などによると、ロシア国防省が11月27日にTu-95MS 2機が東シナ海の公海上空で定例訓練飛行を実施したと発表した。 Tu-95MSにはSu-35SとA-50が随行したという。
またこれに対して韓国空軍のF-15とF-16の2機、航空自衛隊のF-2 1機が警戒飛行を行ったと発表したという。 (1912-112701>1912-112701)
4・2・9・4・1 航空機の接近・周回
4・2・9・4・2 艦船の活動
・6月20日:南大東島沖合と八丈島沖合で領空侵犯 統合幕僚監部が6月20日、20日08:53にロシアのTu-95 2機が南大東島沖合の領空に入り、2分46秒後に出たと発表した。
2機はそのまま太平洋上を北上し、10:22頃に1機が八丈島沖合の領空に侵入して1分56秒後に出た。 緊急発進した空自戦闘機は領空侵犯のたびに無線で領空外に出るように警告を行った。
ロシア機による領空侵犯は2015年9月以来で、外務省はロシア側に厳重に抗議した。 (1907-062002>1907-062002)
4・2・9・4・3 日露親善演習
(特記すべき記事なし)
海上自衛隊とロシア海軍による捜索救難訓練が6月10日にウラジオストクで始まり、友好強化などを目的に15日まで行われる。
護衛艦すずなみは10日朝にウラジオストクに入港した。 ロシア側からは太平洋艦隊の駆逐艦Admiral Panteleyevなどが参加し、船内捜索や通信訓練を実施するほか、文化・スポーツ行事も計画されている。
海自によるとこの演習は今年で19回目で、太平洋艦隊によると日本の護衛艦がウラジオストクに入港するのは2017年以来である。 (1907-061003>1907-061003)
4・3・1 NATO4・4 南アジア
4・3・1・1 NATO を取り巻く環境4・3・2 在欧米軍
4・3・1・1・1 米国の役割4・3・1・2 NATO 防衛の課題
4・3・1・1・2 中露に対する脅威認識
・トランプ大統領の NATO 観 New York Timesが複数の政府高官の話として1月15日、トランプ大統領が昨年、複数回にわたってNATOからの離脱の意向を周囲に示していたと報じた。
トランプ大統領は、2018年7月に行われたNATO首脳会議の前後に、政府高官らに離脱が可能か何度も問い合わせ、これを受けてマティス前国防長官やボルトン大統領補佐官らが離脱しないよう説得にあたったという。 (1902-011601>1902-011601)米トランプ政権のFY20国防費で、米国の欧州同盟国支援EDIの経費が$6.5Bから$5.9Bへと10%近く削減されている。
EDIは殆どが陸軍関係であるが、空軍もアイスランドで$57M、ポーランドで$232Mの基地建設費を計上している。 ウクライナの支援には$250Mが当てられている。 (1904-031214>1904-031214)エスパー米国防長官がNATO加盟国に対し10月24日、イランに対抗する米軍の活動を増強するためサウジアラビアや他の湾岸諸国に派兵することを要請した。 (1911-102407>1911-102407)
4・3・1・1・3 ロンドン宣言
・ 対露相対戦力の劣勢 NATO軍最高司令官スカパロッティ米陸軍大将が3月5日に上院軍事委員会で、ロシアに比べて陸海の装備が不足していることに不安を感じると述べた。 (1905-031306>1905-031306)
・ 対中認識
ストルテンベルグNATO事務総長が加盟各国首脳に対し、中国に対し国際的な武器取引統制に従わせるべきとの考えを明らかにした。 (2001-120407>2001-120407)
NATO首脳会議が12月4日、軍事力を拡大する中国やロシアへの対応などについて協議し、ロンドン宣言を発表して閉幕した。
首脳会議で中国問題を本格的に扱うのは初めてで、同宣言は世界的に影響力を増す中国への対応は「NATOとして連携して取り組む問題だ」との認識を確認した。
ロンドン宣言は「中国の影響力の増大と国際政策はNATOの同盟として一緒に取り組む必要がある機会と挑戦の両方を示していると明記し、ロシアについてはロシアの攻撃的な行動は、欧州・大西洋の安全保障に対する脅威と指摘している。
またサイバ攻撃やハイブリッド攻撃への脅威に直面していると強調した。 (2001-120501>2001-120501)
4・3・1・2・1 NATO の方向性4・3・1・3 国防費増額問題
4・3・1・2・2 防衛の課題
NATOが11月20日に外相理事会を開催し、宇宙を陸、海、空、サイバ空間と並ぶ作戦領域に認定したほか、中国の軍事拡大を注意深く監視することで合意した。
マクロン仏大統領が7日、トランプ政権の予測不能な行動や内部の協力態勢の欠如を理由にNATOは脳死状態にあるとの見解を表明し波紋が広がっていた。 外交筋によると、ルドリアン仏外相はNATOの将来像を検討するグループの創設を提起したが、現時点で詳細は明らかにされていない。
外相理事会では、トランプ米大統領の信頼性やトルコのシリア侵攻、防衛費を巡る米欧の対立などが議題となる中で、マース独外相は欧州が独自で対応すべきではないと指摘し、戦略的な問題の議論を目的とする専門委員会の創設のほか、協議拡大に向けた非公式会議の実施を提案した。 (1912-112101>1912-112101)
・NATO BMD の課題 (特記すべき記事なし)
・INF 全廃条約失効後の課題
NATOは、米国が8月2日にINF全廃条約を離脱するのに伴い、この条約にロシアに反して装備している9M729 CMへの対応に追われている。
ストルテンベルグ事務総長は6月26日に開かれた国防相会議で、特にISRの重要性について強調した。 (1908-070306>1908-070306)・軍の充足状況
8月30日に公開された情報から、英陸軍の砲兵は現役と予備役を合わせて15%近い欠員であることが判明した。
それによると4月1日現在で現役と予備役を合わせて17個連隊の定員は7,784名であるが、実員は6,640名と14.69%の欠員になっている。 (1911-091110>1911-091110)ドイツ国防省が8月27日、ドイツ軍の兵力が2018年7月の179,797名から2019年7月には182,832名に3,035名増えたと発表した。
男女の割合は女性22,392と男性160,440で、女性の比率が1年間で11.9%から12.2%に増加したことになる。 (1911-091111>1911-091111)
4・3・1・4 NATO の作戦行動
・国防費を増額するとした NATO の方針 ストルテンベルグNATO事務総長が1月27日にFOX Newsの報道番組で、NATO加盟29ヵ国が来年末までに国防費をトランプ大統領の要請に応じる形で加盟各国増額させていく意向であることを明らかにした。
増額される総額は合計で$110B規模になるとしている。 (1902-012804>1902-012804)・ドイツの国防費
NATO加盟29ヵ国のうち、国防費支出をGDP比で2024年までに2%以上に増やす目標を2018年に達成したのは7ヵ国にとどまったことが、NATOが3月中旬に公表した資料で明らかになった。
前年の4ヵ国からは増えたが、米国が達成の前倒しを求めるなか、ドイツは逆に2023年に1.25%へと下方修正する動きもみせており、国防費問題を巡って米欧の亀裂が広がりかねないとの懸念もある。 (1904-031903>1904-031903)ドイツ軍参謀総長ゾーン大将が3月11日に軍装備品の稼働率が改善したとする報告書を提出した。 報告はドイツ軍の装備10,000品目について調査した結果で、2018年の可動率は約70%であったとしている。 (1905-032009>1905-032009)
ペンス米副大統領が4月3日、ワシントンで開催されたNATO創設70周年記念フォーラムで、ドイツの少なすぎる軍事費とガスパイプライン計画でのロシアとの協力関係を断じて容認できないと強く批判した。
これに先立ちトランプ大統領も、NATO加盟国が2014年に各国の防衛費支出を対GDP比2%とすることで合意したにもかかわらず、ドイツは達成できそうにないと繰り返し不満を表明してきた。 (1905-040401>1905-040401)ドイツが5月17日に、2019年の国防費が€5B ($5.6B) 以上上がって€47.32Bになると通告した。 更に2020年には€49.67Bになるという。
それでも2019年のドイツの国防費は対GDP比で1.35%と、NATOが目標としている2%にはほど遠い。 (1907-052904>1907-052904)・負担率算定式の変更
NATO加盟国中で米国以外の全てである欧州諸国とカナダが12月3~4日に開かれる1週間前に、各国の経費負担を増やし米国への依存を低減することで合意した。
NATO当局者が11月28日に、各国は負担率の算定式を変更することで合意した。
ドイツ通信社 (DPA) によると新たな算定式によると米国の経費負担は22%から16%に低下し、ドイツの負担は15%から16%に増えることになる。 (2001-120408>2001-120408)
4・3・1・5 NATO の機能拡大
・バルト空域警察飛行 チェコ空軍が9月1日から、JAS 39C Gripen 5機により4ヶ月交代でNATOが行っているバルト空域警察飛行任務に就いた。
チェコ空軍のGripenは固有の砲のほかに、AIM-9 SidewinderとAIM-120 AMRAAM及び、長距離視認のためのRafael社製Litening 4iポッドを装備している。 (1911-091109>1911-091109)
4・3・1・6 大規模演習
・NATO の空中給油部隊 MMU ドイツ空軍が7月10日、A 330空中給油機 (MRTT) を装備するNATOの空中給油部隊MMUがオランダ海軍准将が指揮するMMFに入ったと発表した。
A 330 MRTTの1号機は2020年5月1日に納入される。 (1909-072408>1909-072408)
4・3・1・7 NATO 内部の混乱
・Formidable Shield 2019 BMD 演習 米海軍と同盟国海軍が5月10日にスコットランド沿岸で、実射を含むBMD演習Formidable Shield 2019を開始した。
この演習には艦船13隻と航空機10機以上が参加し、5月19日まで続けられる。 米海軍が駆逐艦2隻と輸送艦を参加させたほか、英仏伊欄西加とデンマーク、ノルウェーからも艦船が参加している。 (1906-051006>1906-051006)・Immediate Response & Crisis Management Exercise
米陸軍がバルカン半島有事を想定したImmediate Response演習を、15ヵ国、6,500名で5月10日に開始した。
またNATOは5月9日に、NATO条約第5条に基づく意思決定を焦点とした1992年以来12回目となるCrisis Management Exerciseを開始している。 (1906-051006>1906-051006)・Trident Juncture 2018
NATO加盟29ヵ国のほかフィンランドとスウェーデン参加して行われたTrident Juncture 2018演習は50,000名以上の人員と、航空機250機、艦艇29隻、車両10,000両が参加し、2018年10月25日~11月7日の実働演習に引き続き、11月14日~23日にノルウェーの訓練施設JWCで3,500名が参加したCPXを行った。
CPXではVJTFを含むNRFの動きが確認された。 (1902-120507>1902-120507)・Defender Europe-20
在欧米軍司令部が10月7日、2020年4月と5月に冷戦後最大規模の演習Defender Europe-20を実施すると発表した。 演習には10ヵ国から37,000名が参加しドイツとポーランドを舞台に行われる。 米軍からは1個師団司令部と3個戦車旅団とその他部隊数千名など合わせて20,000名が参加する。 (1911-100704>1911-100704)
4・3・1・7・1 NATO 内部の対立4・3・1・8 新規加盟、離脱
4・3・1・7・2 Nord Stream 2 問題
ミュンヘン安全保障会議はかつて、米欧の結束を確認し、軍事協力を改めて誓い合う場だったが、2018年以降、米欧同盟の亀裂は深まっていて、2月15~17日に開催される今年の会議はさらに悪い事態の予兆になると懸念されている。
米国はロシアとのINF廃棄条約を破棄し、イラン核合意から離脱した上、欧州各国から信頼されていたマティス米国防長官が退任したなか、11日に発表された2019年の会議のテーマが「誰が事態を収拾するのか」という沈痛な内容になっている。
英国の防衛安全保障問題の専門家は「トランプ米大統領の外交政策は以前にも増して抑えがきかなくなっている」とした上で、「特にドイツは厳しい状況にあり、トランプ氏の格好の標的となっている上に、フランスとの関係も最悪だからだ」と懸念する。 (1903-021304>1903-021304)
4・3・1・7・3 仏大統領の脳死状態発言
ペンス米副大統領が4月3日、ワシントンで開催されたNATO創設70周年記念フォーラムで、ドイツがロシアをめぐる政治的懸案にもかかわらず、同国とのガスパイプラインNord Stream 2計画を進めてきたのに対し、ドイツ経済は文字通りロシアの支配下に置かれる恐れがあると語った。 Nord Stream 2計画が実現すれば、ロシアからドイツへのガス供給量は現在の2倍に増える。 (1905-040401>1905-040401) ペリー米エネルギ省長官が5月21日、ロシアの天然ガスをドイツ経由で欧州に輸出するパイプラインNord Stream 2の建設に関わる企業に制裁を科す方針で、制裁法案は議員が策定中で、近く議会に提出されてトランプ大統領が署名するとしている。
Nord Stream 2は国営ガスプロムが主導し、ドイツなど欧州の企業が参加しているため、ロシアへのエネルギ依存が高まり欧州の安全保障が脅かされるとして米国が反対していた。 (1906-052203>1906-052203)米FY20国防権限法に、ロシアが構築しているガスパイプラインNord Stream 2に関連した企業に制裁を加える項目が追加されることになりそうである。 欧州エネルギーセキュリティ保護法は7月に上院外交委員会を20対2で通過している。
ロシアはバルト海経由でドイツに至る1,200kmにのぼるパイプラインNord Stream 2を建設しており、トランプ政権は欧州の対露エネルギー依存が高まることを警戒していた。
Nord Stream 2は露国営Gazprom社が保有し欧州5ヵ国が建設費の半分を負担している。 (1912-112301>1912-112301)ロシア産天然ガスをドイツへ直送する海底パイプラインNord Stream 2の敷設計画について、ドイツ与党のキリスト教民主同盟 (CDU) 議員が12月23日、米国の制裁で完工が数ヵ月遅れ、事業費が増加することになると述べた。
米国では12月20日、Nord Stream 2計画に参画する企業に制裁を科す法案がトランプ大統領の署名を経て成立している。
米国はかねてより、自国の液化天然ガス (LNG) の欧州向け輸出を拡大したいと考えており、Nord Stream 2は欧州がロシアからのガス供給に過度に依存することになると主張していた。 (2001-122304>2001-122304)ロシアのメドベージェフ首相が12月23日、国営の天然ガス独占企業ガスプロム主導で建設している天然ガスパイプラインNord Stream 2について、数ヵ月で完成する見通しだとし、米国が先週科した同パイプライン事業への制裁は壊滅的ではないと述べた。
全長2,460kmのNord Stream 2はこれまでに2,300kmの建設が完了している。 (2001-122402>2001-122402)ロシア紙コメルサントが12月26日に複数の匿名の情報筋の話として、プーチン大統領が25日にNord Stream 2建設について、自国が保有するパイプ敷設船で完成させることが可能との認識を示したと報じた。
米国でNord Stream 2建設に参加する企業に制裁を科す法律が成立したのに伴い、スイスのAllseas社が制裁を回避するためパイプ敷設船による敷設作業を中止している。 (2001-122601>2001-122601)
英Economist誌が11月7日、マクロン仏大統領がNATOについて、加盟するトルコによるシリア侵攻を巡り、組織として加盟国の行動を規制していないことなどから脳死状態にあると指摘、存在目的を問い直す必要があると主張したと報じた。
マクロン大統領は、米国のトランプ政権がシリア北部から一方的に軍を撤収する一方、トルコが欧米と連携してきたクルド人勢力排除を狙って侵攻したことに関し、いずれもNATOで事前に協議がなかったと批判している。 (1912-110802>1912-110802)
4・3・1・8・1 新規加盟
4・3・1・8・2 離脱の動き
・北マケドニアの加盟に向けた動き 北マケドニアのNATO加盟が間近に迫るのに伴い米陸軍がDecisive Strike大規模演習を通じて同国軍の訓練にあたっている。 この演習は2ヶ月間に及び、24時間作戦も数回行われる。
演習には米陸軍第111歩兵連隊第1大隊が中心となり、第28歩兵師団の第56 Stryker旅団戦闘団 (BCT) が参加している。 (1908-071907>1908-071907)
アイスランドを訪問中のストルテンベルグNATO事務総長が6月11日、アイスランドがNATOからの脱退をほのめかしていることについて、心配していないと述べた。
社会主義者であるアイスランドのカトリーン・ ヤコブスドッティル首相は、NATOから脱退すべきと主張している。 (1907-061111>1907-061111)
4・3・2・1 在欧米軍兵力4・3・3 E U
4・3・2・2 米軍の欧州派遣
米国の駐NATO大使が2月12日、米軍がポーランドに恒久駐留しても駐独米軍の規模を縮小することはないことを明らかにした。
現在ドイツに30,000名以上の米軍が駐留している。 (1903-021208>1903-021208)
4・3・2・2・1 地 上 軍
4・3・2・2・2 空 軍
米陸軍Future Command司令官ムーレイ大将が下院軍事委員会小委員会で5月1日、ロシアに対抗するため2020年に欧州における巡回配置を強化すると述べた。
3月には第1機甲師団から1,500名以上がポーランドに無通告展開をすると共に、2020年には欧州で師団規模演習 "Defender 2020" を実施するという。
また陸軍は中露との大規模戦闘に備えた装備の近代化も進めるとした。 (1907-050802>1907-050802)
4・3・2・3 米仏軍の人事交流
・B-52 6機が訓練飛行 米空軍のB-52が3月、太平洋と欧州で実戦を想定した訓練飛行を実施した。 このうち欧州では6機のB-52と400名の隊員が英空軍Fairford基地に派遣され、その内の4機がノルウェー海、バルト海、エストニア、地中海、ギリシャの上空を飛行した。
米空軍は2003年のイラク戦争時に17機の爆撃機をFairford基地に派遣したほか、2017年夏にはB-1、B-2、B-52それぞれ2機ずつを派遣したことがある。 (1904-031905>1904-031905)B-52 6機が3月中旬にNATO同盟国との定期的な共同訓練のために欧州に展開し、このちの5機は先週にノルウェー海上空でノルウェー空軍のF-16と訓練を行った。
これほどのB-52が欧州に展開したのは2003年以来のことで、これに対してロシアはTu-160 2機が護衛にMiG-31を伴い、まさに同じ日に訓練を行った。 (1905-040604>1905-040604)・ルーマニアへ F-16
米空軍がルーマニアに対するロシアの脅威に対抗するため、Fort Worth AFBのF-16C 12機をルーマニアへ短期派遣している。 (1906-051005>1906-051005)
米陸軍とフランス陸軍の将官級人事交流として、米陸軍ワスムンド准将がマルセーユに駐屯する仏陸軍第3機甲師団の副師団長として4月に就任している。
一方仏陸軍からはコットロイ准将がこの夏から米陸軍第3歩兵師団の副師団長に就くため、既にジョージア州Ft Stewart-Hunter陸軍航空基地に到着している。 (1906-052008>1906-052008)
4・3・3・1 EU の脅威認識4・3・4 英 国
4・3・3・1・1 対ロシア4・3・3・2 EU としての防衛努力
4・3・3・1・2 対 中 国
(特記すべき記事なし)
3月22日に行われたEU首脳会議で中国への新たな戦略を協議し、貿易の不均衡是正などに向けた対応を進めることで一致した。
ユンケル欧州委員長は、中国はパートナと同時にライバルで、この状況に適応せねばならないと述べた。
首脳会議の声明によると、中国対応を念頭にEUの行政機関である欧州委員会は2019年末までに域内市場を歪ませる国有企業や国家補助への対処策をまとめると共に、政府調達分野での互恵的な市場開放を求め、5G移動通信システム整備での安全保障確保のため、共通の対策もとる。
マクロン仏大統領は22日、欧州が中国に甘い考えを抱く時代は終わったと強調した。 (1904-032303>1904-032303)
4・3・3・2・1 欧州共同防衛基金4・3・3・3 欧州独自軍創設の動き
4・3・3・2・2 常設軍事協力枠組み (PESCO)
欧州議会と欧州理事会が2月20日、2021~2027年の欧州防衛基金EDFを€13B ($15B) とすることで合意した。
EDFは防衛関係の研究と支援計画EDIDPに使われる。 (1904-022708>1904-022708)欧州で防衛関連の研究開発などを共同で進めるEUの財政制度CFMが2020年初期に動き出す。 CFMでは研究開発から教育訓練までを取り扱う。
CFMにはEU加盟27ヵ国中フランス、スペインなど10ヵ国が参加し、ドイツなどの6ヵ国が参加の方針であるが、残りの11ヵ国は公式に不参加を表明している。 (1912-100208>1912-100208)
4・3・3・2・3 防衛宇宙関連の開発、配備を担う部門設置
2017年12月にEUが締結したPESCO条約では第一段階として17項目、2018年11月からの第二段階にも17項目、合わせて34項目が計画されているが、今週開始される最終の第三段階では計画の出資国である仏独伊などが今夏に会合を持ち、2019年末を目指して計画を絞り込む。
現在の34項目のうち12項目は2022年まででのIOCを目指しており、更にそのうちの4項目は年内にIOCとなる。 それらの中には港湾の監視と防護を行うHARMSPROやTrainning Mission Comperence Center、サイバ応急対処チームの設立、欧州装甲歩兵車の開発などが含まれている。
更にIFV、水陸両用戦闘車、軽装甲車、間接火力支援システム、戦略指揮統制システム、掃海UUV、改良型海洋監視装置、ソフトウェア無線機の開発などが挙げられている。 (1906-050605>1906-050605)EUが11月12日に開いた国防相会議で、米国とは別に独自に13種類の新たな防衛関連機器や技術などの開発に着手することで合意した。
EUが新たに開発するのは新型警備艦や航空機搭載ECCM装置などのほかBM追跡技術などで、「NATOは脳死状態にある」との見解を先週表明したフランスのマクロン大統領が、EUとして防衛面で協力を深める必要があると強調していた。
EUでは仏独を含む23ヵ国が2017年末に、英国の離脱決定を受け防衛協力を巡る協定に署名し、協定の下で現在47件の共同防衛プロジェクトを進めている。 (1912-111301>1912-111301)EUの欧州理事会が11月12日、常設軍事協力枠組み (PESCO) に新たに13件を追加することで、加盟28ヵ国中25ヵ国が賛成して決めた。 これで2年前のPESCO発足以来、取り扱い項目が47件になった。
新たな13件中7件は訓練や作戦に関する技術協力に関するもので、残りの6件はシステム開発に関するものである。 (2001-112004>2001-112004)
EUのフォンデアライエン次期欧州委員長が9月10日、欧州委員会内に軍関連の資金調達と開発、配備を担う防衛宇宙部門を11月1日に設置することを明らかにし、総局長にフランス中央銀行のグラール副総裁を任命した。 防衛宇宙部門の設置には英国が長らく反対してきた。
米国は欧州に対し自立的防衛を進めるように圧力をかけてており防衛宇宙部門の設置を支持しているが、防衛関連の入札で米企業を締め出さないようにくぎを刺している。 (1910-091108>1910-091108)
4・3・3・3・1 アーヘン条約と核の傘
4・3・3・3・2 EDA の部隊移動円滑化協定
メルケル独首相とマクロン仏大統領が1月22日にドイツのアーヘンで、独仏両国の協力と欧州統合を一層推進する条約に署名した。 このアーヘン条約は、平和と安全保障、文化、教育、研究、気候、環境開発、経済など、多岐にわたる包括的な独仏協力をうたったものだが、最も重要なのが防衛、安全保障で、就中両国の領土に対する侵略が行われた場合、兵力を含むあらゆる手段で支援することを約束している。
この約束は、集団的自衛権を定めたNATO条約第5条を越えるものとされている。 NATO 条約第5条は締約国が攻撃を受けた場合、「必要とみなす行動を取る」と規定しているが、アーヘン条約での支援は無条件とされている。 (1904-032604>1904-032604)
4・3・3・3・3 欧州空母の建造構想
欧州防衛庁 (EDA) 加盟27ヵ国中22ヵ国が5月14日、欧州域内での国境を越えた部隊の移動を円滑化するための協定を2020年まで作成することに合意した文書に署名した。
この合意に参加していないのはドイツ、フィンランド、スロベニア、英国、アイスランドの5ヵ国である。 (1906-051508>1906-051508)EUの欧州防衛機関 (EDA) に加盟する27ヵ国中22ヵ国が5月14日、欧州域内での部隊移動を迅速化する協定に調印し、2020年から適用される。
この協定には幕僚の派遣のみに留めているドイツ、フィンランド、スロベニアと、中立政策または政治的背景から参加していないアイルランドと英国の5ヵ国が署名していない。 (1907-052209>1907-052209)
メルケル後任と目されているクランプカーレンバウア氏がドイツ紙へのコメントで3月10日、欧州の防衛力を維持するためには独仏共同で欧州空母を建造しなければならないと主張している。 これは5月に行われる欧州議会選挙に向けマクロン仏大統領の主張に呼応したものである。
彼女は2018年秋にメルケル首相がキリスト教民主同盟党首を降りたあとその地位に就いている。 (1904-031108>1904-031108)
4・3・4・1 Brexit とその影響4・3・5 トルコ
4・3・4・2 装備の近代化と改編
・アジアで新たな軍事基地構築を検討 ウィリアムソン英国防相が1月6日までに、EUから離脱した後にアジアで新たな軍事基地の構築を検討していることを明らかにした。
新基地の場所として極東の可能性に触れたが、国防筋はシンガポールとブルネイに言及している。
シンガポールは英国の元植民地、ブルネイは元保護領で、両国には今なお一定規模の英国軍が駐留している。 (1902-010603>1902-010603)・空母 Queen Elizabeth の太平洋派遣
ウィリアムソン英国防相が2月11日、空母Queen Elizabethを太平洋に派遣すると発表した。 Queen Elizabethは英米軍のF-35を艦載し、地中海や中東周辺海域も航行するという。
中国の強引な海洋進出をけん制するのが狙いだが、EU離脱後をにらんだ世界戦略としてインド太平洋地域でのプレゼンス向上を図る目的もある。 (1903-021201>1903-021201)ハモンド英財務相が2月21日、空母を太平洋海域へ派遣するとのウィリアムソン英国防相の発言で中国との関係が複雑なものになったとの認識を示した。
BBCラジオで財務相は国防相の発言が対中関係を悪化させたかとの質問に対し、「英中の関係は複雑であり、英国の艦船が南シナ海に展開することへの中国の懸念は関係を単純なものにしていない」と述べた。
英国のメディアは、財務相の訪中が中止になったのは中国が国防相の発言に反発したことが原因と報じている。 (1903-022101>1903-022101)・フランスが牽制
シンガポールとフランスが1月31日~2月2日にシンガポールで防衛政策対話 (DPD) を行った。 DPDではサイバセキュリティ、テロ対策、防衛技術、軍事交流などが話し合われた。 (1903-020504>1903-020504)
フランス国防省が2月21日に記者会見し、1年半以上かけて改修を行っ原子力空母Charles de Gaulleと駆逐艦や潜水艦など合わせて6隻が3~7月にインド太平洋に展開すると発表した。 この間、海上自衛隊と共同訓練を行うほか、エジプト軍やインド軍との訓練も予定している。
Charles de Gaulleは仏海軍が保有する唯一の空母で、ISIS支配地域に対する空爆も実施している。
仏軍はここ数年、中国が軍事拠点化を進める南シナ海で航行作戦を行うなど、インド太平洋への関与を強めているが、主力の原子力空母を5ヵ月近くにわたってインド太平洋に展開させるのは極めて異例で、この地域でのフランスの存在感を高める狙いと見られる。 (1903-022202>1903-022202)
4・3・4・2・1 防空部隊
4・3・4・2・2 空 軍
・地上配置防空部隊 (GBAD) が陸軍へ移管 英空軍の地上配置防空部隊 (GBAD) が4月5日に陸軍へ移管された。 同日、空軍のGBADは第7防空群 (7AD Gp) に改称され陸軍に移管された。
7AD Gpが装備しているのはRapier、Starstreak Ⅱ、LEAPP目標識別システムで、これらシステムは過去数年間陸軍の砲兵連隊も装備していた。
英陸軍はRapier 30個システム、Star Steak 156個システムを装備している。 (1905-040804>1905-040804)英空軍の陸上防空部隊 (GBAD) が第7防空群 (7 AD Gp) と改称され、陸軍FTCの隷下に入った。
これに伴い7 AD GpはHigh Wycombeにある空軍司令部から、チチェスターに近いソーニー島にある砲兵部隊の駐屯地に移駐した。 (1906-041707>1906-041707)
英空軍参謀総長の戦力開発補佐官であるボール准将が9月9日に2019 DSEIで講演し、S-400、Bastion-P、Iskanderなどを用いたロシアのA2ADに対抗するためAIの活用や新兵器や装備の採用、訓練の改善などが必要であると述べた。
新兵器としてはTempest第六世代戦闘機、ネットワーク化されたSPEAR 3/5、安価軽量新型戦闘機 (LANCA)、UAV群集団などを挙げた。 (1911-091802>1911-091802)
4・3・5・1 欧米との離反4・3・6 ノルディック諸国
4・3・5・1・1 S-400 購入問題4・3・5・2 キプロス問題
4・3・5・1・2 欧米の反発、F-35 計画からの排除
・S-400 購入 トルコのアカル国防相が3月8日、ロシアから調達するS-400の配備を2019年10月に開始すると表明した。
米国はNATOを通じて同盟関係にあるトルコがロシア製ミサイルを調達することに反発しており、導入推進が米トルコ関係に影を落とすのは避けられない状況にある。 (1904-030805>1904-030805)トルコがS-400のロシアからの購入により米国の制裁措置を受ける可能性が高まっている。 仮にロシアとの契約を進めた場合、トルコはF-35の購入が困難になるだけではなく、米国の敵対者に対する制裁措置法 (CAATSA) に基づく制裁措置につながる可能性もある。
エルドアン政権は、3月末が期限というPatriotの購入のオファーを公式に拒否することなく、エルドアン大統領はロシアとの契約から手を引くことはないと繰り返し言及しているが、米政府はトルコが双方のシステムを保有することはできないとしている。 (1904-030902>1904-030902)トルコのエルドアン大統領が4月5日、S-400の代金を支払い続けていると述べた上で、米国はPatriot売却提案の際にロシアと同等の条件を示さなかったとし、米国の姿勢を批判した。 (1905-040601>1905-040601)
トルコのサバハ紙が4月10日、エルドアン大統領がS-400の納入が7月から前倒しされる可能性があると述べたと報じた。
エルドアン大統領はロシアから帰国する機内で記者団に、S-400の購入は決定事項だと答え、7月とされる納入時期は前倒しされる可能性もあると述べた。 (1905-041004>1905-041004)・S-400 購入への米欧の反対
在欧米軍司令官にしてNATO軍の最高司令官であるスカパロッティ大将が3月5日に議会上院軍事委員会で証言し、もしトルコがロシアからS-400を購入すれば、F-35のトルコへの売却を中止するよう国防総省に進言すると述べた。 (1904-030510>1904-030510)
米国防総省報道官代行が3月8日、トルコがロシアのS-400を購入すれば米国との軍事関係に重大な結果を伴うと述べ、F-35やPAC-3のトルコへの売却を中止すると警告した。
トルコのアカル国防相は同日、アナトリア通信にS-400は不可欠だと強調し、10月に配備を開始すると表明した。
地元メディアによれば、エルドアン大統領はS-400だけでなくS-500の購入にも意欲を示しているという。 (1904-030901>1904-030901)米政府が、トルコが2017年にS-400導入計画を明らかにしたあと、たびたび計画の撤回を要求してきたがトルコ側はこれに応じていない。
これを受けて米国防総省は3月8日、両国の軍事関係に重大な結果を招くと述べ改めて強い懸念を表明したうえで、トルコが実際に導入に踏み切った場合にトルコはF-35を入手する権利を失うだろうと述べ、トルコにはF-35を売却しない方針を明らかにした。
トルコはNATOの加盟国である一方、このところロシアとの関係も深めてることから、F-35の売却には米議会からも懸念が示されていた。 (1904-030903>1904-030903)米国とトルコの間の緊張が高まるなか、NATO軍最高司令官スカパロッティ米陸軍大将が3月5日に上院軍事委員会で、もしトルコがS-400を配備したら米国はF-35を同国に引き渡すべきではないと警告した。 (1905-031301>1905-031301)
トルコのS-400導入で悪化したトルコと米国間で、エルドアン大統領とトランプ大統領が4月29日に電話会談した。
トルコ大統領府によると両国はテロとの戦いと貿易の促進について話し合ったという。 (1905-043008>1905-043008)ロシア大統領府が6月11日、S-400のトルコへの納入を7月に実施すると発表した。
トルコのS-400導入計画を巡っては、米下院が10日にトルコにS-400が引き渡された場合は制裁実施を求める決議案を可決しており、これを受けトルコ外務省は11日、受け入れられない脅威だとの見解を示している。 (1907-061201>1907-061201)・S-400 の搬入
ロシアが7月12日にS-400のトルコへの納入を開始した。 トルコ国防省は12日にS-400最初の納入分がアンカラ郊外の空軍基地に到着したことを確認した。
アカル国防相は国営アナドル通信に対し、輸送機3機が本日到着したと述べた上で、ロシアからの納入は今後も数日間継続すると明らかにした。
ロシア国営イタルタス通信は軍関係者の話として、2回目の納入が間もなく行われるほか3回目の納入は夏の終わり頃になると報じた。 (1908-071202>1908-071202)トルコ軍の複数の当局者が7月25日、S-400の第一陣のトルコへの搬入作業を完了し、現在第二陣を計画中だと明らかにした。
トルコ軍当局者の話では、S-400第一陣の正確な配備場所はまだ結論が出ていないという。 (1908-072602>1908-072602)トルコ国防省が8月27日、S-400の2番目の中隊機材が一部到着し始めたと発表した。
最初の中隊機材は7月12~25日に到着している。 (1910-090411>1910-090411)・S-400 の配備開始
イスラエルのImageSat衛星が9月3日に撮影した画像から、トルコが導入したS-400E最初の中隊がアンカラに近いMürted航空基地の駐機場に展開したのが確認された。
Mürtedの中隊は92N6E射統レーダ1基、96L6E捕捉レーダ1基、40V6MRマスト、5P85TE3 TEL 3基であるが、S-400中隊は通常4~8基(最大12基)のTELを装備することから、少なくとももう1基のTELが追加されると見られる。
Mürtedの中隊が装備している96L6Eレーダは30K6E BMSを構成するが、そのための55K6E指揮所車は見られていない。 (1911-091101>1911-091101)・S-400 用部品共同生産の協議
TASS通信が国営Rostec社のトップの話として、トルコにおけるS-400一部部品の共同生産の可能性を両国が協議していると伝えた。
トルコは7月にS-400の搬入を開始したため、米国は安全保障上の懸念からF-35計画からトルコを除外し始めている。 (1908-072202>1908-072202)・S-400 の追加契約
ロシア国営兵器輸出企業Rosoboronexport社が11月26日、S-400をトルコに売却する新たな契約を来年前半にとりまとめたいと考えていることを明らかにした。
それによると、両国政府は契約に含まれていたオプションをトルコが行使する件で活発な協議を行っている。
オプションには新たなS-400部隊や、S-400の一部部品をトルコで製造することが含まれるという。 (1912-112601>1912-112601)
4・3・5・1・3 ロシアへの接近
・F-35 の輸出凍結 複数の関係筋によると、米国がF-35に関連する機材のトルコへの出荷を停止した。 トルコへのF-35輸出凍結を巡る具体的な措置は初めてである。
トルコのエルドアン大統領は先月、米国が何と言おうとS-400購入から手を引くことはないと言明したのに対し、複数の米当局者はトルコがS-400の購入に踏み切れば米国はF-35の提供を早期に凍結する可能性があると述べていた。 (1905-040202>1905-040202)トルコはF-35の開発にTier 3国として参加しており、すでに受領している2機を米Luke AFBにおいているが、米国はトルコがS-400を導入すればF-35の支援は行わないとしている。
トルコはF-35Aを100機導入するほかF-35Bを20機程度購入する計画とみられていた。 (1906-041001>1906-041001)・F-35、トルコ軍パイロットの訓練停止
複数の関係筋が5月28日、米国がトルコのパイロットに行っているF-35の訓練を停止することを本格的に検討していることを明らかにした。 訓練停止に関する最終的な決定はまだという。
トルコのアカル国防相は22日、トルコ軍兵士がロシアでS-400の訓練を受けていることを明らかにした。 (1906-052902>1906-052902)複数の米当局者の話で6月10日、Luke AFBで行われていたF-35のトルコ人操縦士向け訓練が予定より早期に打ち切られたことが明らかになった。
訓練打ち切りの数日前にシャナハン米国防長官代行はトルコ側に、訪米中のトルコ人パイロットの米国内滞在を7月末までは認めると通告したばかりだった。 (1907-061106>1907-061106)シャナハン米国防長官代理が6月6日、トルコがロシアからのS-400購入を進めるのであれば、F-35の飛行訓練を受けているトルコ軍学生を7月31日をもって帰国させると発表した。
F-35の飛行訓練を受けているトルコ軍学生はアリゾナ州のLuke AFBとフロリダ州のEglin AFBに42名おり、2019年後半には更に34名が派遣されることになっていた。 (1908-061903>1908-061903)・F-35 計画からのトルコ排除
シャナハン米国防長官代行が6月7日、ロシアからS-400を導入する方針のトルコに対し、トルコとNATOの関係に亀裂が走りかねないと警告した上で、F-35関連計画からトルコを除外する方針を表明した。
長官代行はトルコ側に宛てた書簡の中で、当初年内に予定していたトルコ軍飛行士34名に対するF-35の訓練を中止するとした上で、トルコに対するF-35の技能修練要件はなくなったと述べた。 (1907-060803>1907-060803)・ロシアへの技術流出懸念
新浪軍事が8月16日、F-35開発計画から外されたトルコが、これまでに知り得た同機の機密情報を中国やロシアに売り渡すことを検討しているとする記事を掲載した。
S-400防空ミサイルの購入を決定したことで米国は直ちに厳しい制裁を発動し、トルコ向けに製造していたF-35の納品を禁止するとともに、同国企業のF-35生産ラインのシェアを取り消すことにした。
米国による全面的な制裁が同国に与える影響は深刻でT-129武装ヘリがエンジン不足で生産を停止したほか、同国が開発を進めてきたT-FX戦闘機もエンジンが手に入らなくなってしまった。
一方でトルコ政府もF-35Aの機密資料を売り出すとの意思を示し、米国がこれに強く抗議したという。 (1909-081802>1909-081802)
・S-500 の共同開発に言及 トルコのエルドアン大統領が5月18日、S-400の調達後にS-500をロシアと共同開発すると述べた。
トルコのS-400調達に米国は強く反対しているが、エ大統領は「絶対に後戻りしない。 もう決まった話だ。S-400のあとはS-500の共同開発という話になる」と強調した。 (1906-051901>1906-051901)・ロシア製戦闘機の購入やミサイルの追加調達を表明
トルコ政府が4月10日、米国がPatriotとF-35を売却しないなら、ロシア製戦闘機の購入やミサイルの追加調達に動く可能性があると警告した。
さらにF-35の供給が受けられなければ必要な戦闘機を別に調達するまでで、Su-34やSu-57などが候補になるとの見方を示した。 (1905-041104>1905-041104)ITAR-TASS通信が、米国がトルコへのF-35供与は不可能だとする声明を発表したことを受け、ロシアの国営防衛企業Rostec社のCEOが7月18日、トルコ側が望むならロシアはSu-35を供給する準備があると述べたと報じた。 (1908-071803>1908-071803)
・Su-35 購入交渉が進展
トルコ当局者が、トルコとロシアの間でSu-35購入交渉が進展しており、契約はそう遅くなく行われることを明らかにした。
トルコが購入を計画しているSu-35は2個飛行隊分の48機で、総額は$50~$70Mと見られている。 (1911-102803>1911-102803)・防衛産業で協力
トルコのエルドアン大統領が8月27日に訪問先のモスクワでプーチン大統領と会談し、防衛産業で引き続き協力していく意向を伝えた。
両首脳はモスクワ郊外で開催された航空ショーでSu-57などを視察し、その後エルドアン大統領はプーチン大統領との共同記者会見で、防衛産業のさまざまな部門で両国が取り得る措置について協議したと述べた。
プーチン大統領もSu-35およびSu-57を巡る協力でも協議したと表明し、トルコは購入だけでなく共同生産に対する関心も示したと述べた。 (1909-082801>1909-082801)
4・3・5・3 欧米との関係
・トルコがキプロス周辺での炭化水素資源探査 トルコ副大統領が7月20日、トルコだけが承認している1974年に建国したキプロス・トルコ共和国建国45周年記念式典で、トルコがキプロス周辺での炭化水素資源探査のため掘削船2隻、探査船1隻などを派遣していると述べた。
また式典に書簡を送ったエルドアン大統領は、もし必要が生じればトルコは再度、躊躇なく軍事行動を起こすと述べた。 (1908-072004>1908-072004)・トルコ空軍の戦闘機とギリシャ軍機が格闘戦状況
トルコ空軍の戦闘機が12月18日に、東地中海でギリシャと領有権を争っている上空に40回進入したためギリシャ軍機が緊急発進した。
ギリシャ軍当局者によると、この結果16回にわたり格闘戦の状況を呈したという。
ギリシャ空軍参謀本部によると2017年5月に、トルコの戦闘機とヘリが1日に141回も進入し、発進したギリシャ軍機が事故で数名の犠牲を出したことがあった。 (2001-121804>2001-121804)
4・3・5・3・1 欧米との関係維持の動き4・3・5・4 リビア内戦への介入
4・3・5・3・2 NATO 残留是非の問題
・Patriot の導入 米国務省が2018年12月18日、トルコへPatriotを$3.5BのFMSで売却する契約を承認した。
売却するのはMIM-104E GEM-T弾80発とPAC-3 MSE弾60発で、国防安全保障協力局 (DSCA) によると契約にはAN/MPQ-65 4基、アンテナマストグループ10基、M903発射機20基が含まれている。 (1902-010208>1902-010208)
4・3・5・3・3 オスマン帝国末期のアルメニア人大量殺害問題
ペンス米副大統領が4月3日、ワシントンで開かれたNATO創設70周年関連行事で講演し、トルコがS-400の導入を目指していることはトルコのNATO残留の是非に関わる問題だと警告し、異例の強い態度でS-400導入の断念を迫った。
トルコからの報道では、S-400は7月に納入が始まる見通しという。 (1905-040403>1905-040403)トルコ外相が7月22日、もしS-400購入の問題で米国がトルコに対し制裁を加えれば、米国はIncirlikとKurecikにある戦略的に重要な基地の使用ができなくなるかもしれないと警告した。 (1908-072308>1908-072308)
4・3・5・3・4 遠のく EU 加盟
米上院が12月12日、オスマン帝国末期の1915~1923年のアルメニア人150万人殺害をジェノサイド(民族虐殺)と認定する決議案を全会一致で可決した。
民主党が多数派を占める下院は同様の決議案を10月に圧倒的賛成多数で可決している。
トルコは強く反発しており、両国関係を一段と悪化させる可能性がある。 (2001-121301>2001-121301)
4・3・5・3・5 ギリシャが米国軍との結びつき強化
EUの執行機関である欧州委員会が5月29日、トルコのEU加盟に向けた進捗状況に関する報告書を公表した。
人権や司法、経済政策においてさらなる深刻な後戻りがみられるとし、加盟候補国の地位は凍結されているとした。 報告書は6月にEU各国の政府が承認する見通しである。
報告書は、政権による独裁的支配によって状況が悪化していると批判し、トルコはEUから一段と遠ざかっているとして、交渉は事実上、暗礁に乗り上げているとした。 (1906-053003>1906-053003)
4・3・5・3・6 トルコのシリア侵攻に対する欧米の対応
トルコの離反に伴いギリシャが米国軍との結びつきを強めようとしており、米空軍はギリシャ空軍との定期共同演習Stolen Cerberusの準備を進めている。
米国とギリシャは、現在KC-135給油機やUAVが使用しているギリシャ北部のLarissa AFBの役割を拡大することで交渉している。 (1905-043007>1905-043007)
4・3・5・3・7 トルコの反発
・NATO 諸国がトルコから PAC-3 を撤収 トルコのチャブシオール外相が10月11日、イタリアがトルコ防衛のために同国南部に配備しているBMDS(PAC-3)を11月に撤収すると通知したことを明らかにした。
トルコのシリア侵攻への抗議とみられる。 スペインも同様の検討をしているとの報道もありNATO加盟国内でトルコの孤立が深まっている。
シリアで内戦が勃発した後の2013年から、NATOは最新鋭BMDSを持たないトルコ防衛のため同システムを配備してきており、現在はイタリアとスペインが任務を担当している。 (1911-101201>1911-101201)・EU がトルコへの武器輸出を停止
4名のEU当局者が、トルコのシリア侵攻に対してEUが制裁を検討していることを明らかにした。
これに先立ち10月12日にドイツがトルコに対し武器輸出の出荷停止をした。 ドイツにとってトルコは最大の武器輸出相手国で、2018年にはドイツの武器輸出額の1/3にあたる€770.8M ($851M) を輸出している。 (1911-101206>1911-101206)EUが10月14日にルクセンブルクで外相理事会を開催し、トルコがシリア北部で展開する軍事作戦を受け、同国への武器輸出を制限することで合意した。 しかし、域内全体での禁輸措置に踏み切ることは避けた。
イタリアはドイツとフランスに続き、トルコへの武器輸出を停止する意向を表明し、スペインも武器輸出を停止する用意があることを示唆した。 更にオランダ、フィンランド、スウェーデンなども武器輸出停止を発表していて、ベルギーも武器輸出停止に支持を表明した。 (1911-101501>1911-101501)・英国がトルコへの武器輸出許可の全面的な見直し
Finacial Yimes紙が10月14日、英国がトルコに対し、武器輸出許可の全面的な見直しを進めていると報じた。
見直しが実施されている間、英国政府はトルコへの武器輸出に関する新たな許可証の発行を停止しているという。 (1911-101503>1911-101503)・米国が対トルコ制裁
トランプ米大統領が10月14日、シリアに侵攻したトルコに対する経済制裁を発表した。
半年前に引き下げられたばかりのトルコ製鉄鋼への追加関税を50%に引き上げるほか、人権侵害への関与が疑われるトルコ政府関係者などを制裁対象にする大統領令を近く発令する。
トランプ大統領は声明で、トルコとの通商交渉を即座に停止すると表明した。 (1911-101502>1911-101502)・米国が核兵器の移動を検討
New York Times紙が10月14日に匿名の当局者2名の話として、トルコとの緊張が高まるなか米国務省とエネルギー省が、シリアとの国境から250哩にあるIncirlik航空基地から核兵器を移動させることを検討していると報じた。 (1911-101508>1911-101508)
・米議会下院がトルコに制裁を科すよう求める法案を可決
米議会下院が10月29日、トルコのシリア北部での作戦を非難し、トルコ政府高官や軍関係者に制裁を科すようトランプ政権に求める法案を超党派の賛成多数で可決した。
下院はまた、オスマン帝国末期の1915~1923年のアルメニア人150万人殺害をジェノサイド(民族虐殺)と認定する決議案を405対11の圧倒的賛成多数で可決した。 (1911-103004>1911-103004)・米大統領補佐官がトルコ制裁を示唆
国家安全保障問題担当のオブライエン米大統領補佐官がトルコのS-400購入について11月10日、米国は非常に不快に感じており、これを破棄しない場合はトルコに制裁を科す可能性があると警告した。
オブライエン補佐官は、NATOはS-400などロシア製軍事設備の大型購入は容認されないとしたうえで、トランプ大統領が訪米中のエルドアン大統領にこのメッセージを明確に伝えるだろうと述べた。 (1912-111101>1912-111101)
トルコのエルドアン大統領が12月15日、米国がトルコ制裁をちらつかせるとともに約1世紀前のオスマン帝国によるアルメニア人殺害事件を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定する決議案を米上院が可決したことについて、対抗措置として米国の核爆弾が配備されているトルコ南部Incirlik航空基地を閉鎖する可能性があると述べた。
大統領はまた、必要ならGölcük海軍基地も閉鎖できるとも述べた。
(2001-121601>2001-121601)トルコのエルドアン大統領が米国の制裁に対抗してNATOの主要軍事基地2ヵ所を閉鎖すると述べた翌日にエスパー米国防長官が、NATOはトルコとの同盟関係見直しを検討せざるを得ないと述べた。 (2001-121703>2001-121703)
トルコのエルドアン大統領が12月20日、ロシアからのミサイル購入や天然ガスパイプラインを巡って米国がトルコに制裁を検討していることについて、報復も辞さないと述べた。
米議会はトルコがS-400を購入したことや、ロシアからのパイプラインTurkStream計画について、制裁導入を働き掛けている。 (2001-122303>2001-122303)
4・3・5・5 国防費の大幅増
トルコのエルドアン大統領が12月26日、内戦状態が続くリビアでシラージュ暫定政権を後押しするため、現地に部隊を送る意向を表明した。
エルドアン大統領はこの中で、暫定政権からトルコの派兵を求める要請があったとして、2020年1月8日か9日にも国会の承認を受け、部隊派遣に踏み切る考えを示した。
同政権と対立するリビアの軍事組織との交戦が激化し、内戦の泥沼化が進む事態も懸念される。 (2001-122603>2001-122603)国家分裂状態のリビアでロシアとトルコの対立が激しさを増している。
東部を拠点とする有力軍事組織のリビア国民軍 (LNA) がロシアの民兵部隊の支援を受け、西部の首都トリポリを統治するシラージュ暫定政権への攻勢を強めたのに対し、トルコはリビアに送る兵力や武器を増強して暫定政権側を支援する方針を示した。
両国のほか周辺国も加わるリビアの代理戦争が深刻化しかねない情勢になっている。 (2001-122901>2001-122901)
4・3・5・6 軍事産業の育成
トルコがFY2020の国防安全保障費を2019年の15.9%増となるTRY119.2B ($20.6B) とする。
そのうち国防費は16%増のTRY53.9B、警察費は15.7%増のTRY38.9B、保安警察費は17.2%増のTRY22.9Bとなる。 (1911-101805>1911-101805)
4・3・5・6・1 武器輸出の拡大
4・3・5・6・2 航空機
トルコの副大統領が3月2日、トルコの防衛産業がトルコ軍装備の65%を占めしていると述べた。
トルコの武器輸出は毎年17%ずつ増大し$2Bに迫っている。 最大の輸出先は米国で2018年には$726.7Mであった。 (1905-031315>1905-031315)
4・3・5・6・3 U A V
・第五世代戦闘機 TF-X 計画 トルコが2030年代初期の運用開始を目指して開発中の第五世代戦闘機TF-X計画にはBAE Systems社を始めとする英国航空業界が大きく係わっているが、開発を担当しているトルコのTUSAS社は英国に事務所を開設して2020年代中頃までに3,000名の技術者を送り込もうとしている。
初飛行は3年遅れの2026年というが、トルコ共和国建国100年記念となる2023年にはロールアウトしたいとしている (1907-052009>1907-052009)
4・3・5・6・4 ミサイル
・Bayraktar TB2 武装 UAV カタールがトルコErdirneのBaykar Makina社にBayraktar TB2武装UAVを6機発注したと2月1日に同社か発表した。 同社はまたカタール兵55名の教育も完了したことを明らかにした。
1月にはウクライナがBayraktar TB2を6機発注したと報じられている。
トルコ軍は75機のBayraktar TB2を装備している。 (904-021305>904-021305)
4・3・5・6・5 その他
(特記すべき記事なし)
・SOJ 機 トルコがAselsan社でAir SOJ SOJ機に改造するBombardier社製Global 6000ビジネスジェット機2機がトルコに到着した。 (1905-032708>1905-032708)
・SHORAD SAM
トルコが3月20日、Hisar-A SHORAD SAMの垂直発射試験に成功したと発表した。 Hisar-Aは射程20kmでACV-30装軌装甲車に搭載される。 トルコ陸軍へのHisar-Aの配備開始は2021年で、中距離型Hisar-Oは2022年に配備が開始される。 (1905-032709>1905-032709)
4・3・6・1 ノルディック諸国間の防衛協力4・3・7 バルト海及び東岸諸国
4・3・6・2 軍備の増強
(特記すべき記事なし)
4・3・6・2・1 ノルディック諸国共通4・3・6・3 非同盟政策の揺らぎ
4・3・6・2・2 フィンランド
・戦闘機に更新/増強 ノルウェーにGripen戦闘機を派遣した非同盟政策のスウェーデンは、戦闘機の追加購入を検討している。
同じく非同盟のフィンランドは次期戦闘機の選択に迫られている。 (1902-122402>1902-122402)
4・3・6・2・3 スウェーデン
・ELM-2311 C-MMRレーダの導入 IAI Elta社が1月21日、フィンランドからELM-2311 C-MMRレーダを受注したと発表した。 納入は2021年に予定されている。
ELM-2311はロシアが大量使用すると見られるRAMの捕捉追随を行い、陸軍のC-RAM部隊に警報を発する。 (1903-013007>1903-013007)・EA-18G Growler の導入
Boeing社が2月18日、米政府がEA-18G Growlerのフィンランドへの売却を承認したと発表した。 同社はF/A-18E/F Super HornetとGrowlerをフィンランドに働きかけていた。
(1904-022707>1904-022707)・F/A-18C/D 後継機の導入
フィンランドは2025年頃から老朽化したF/A-18C 55機とF/A-18D 7機の更新を考えていて、F/A-18EのほかMirage、Typhoon、F-35、Gripenなどが候補になっている。 (1904-022707>1904-022707)
・米地上軍との合同演習 Arrow を実施
米陸軍と海兵隊がフィンランド西部で5月6日~17日にフィンランド軍とArrow演習を実施した。
この演習ではStrykerを装備した米陸軍第2騎兵連隊の200名とLeopard 2 MBTを装備したフィンランド軍が、M1A1 MBTとLAV-25 LAVを装備した米海兵隊第4軽装甲偵察連隊第4戦車大隊の100名を対抗部隊に、模擬機甲接近戦を演じた。 (1906-051703>1906-051703)
4・3・6・2・4 ノルウェー
・強める西欧指向 EU構成国ではあるがNATO加盟国でないスウェーデンが西欧指向を強めている。 (2001-122704>2001-122704)
・国防費引き上げ
スウェーデンの財務相と国防相が8月31日、国防費を2022~2025年に毎年SEK5B ($509M) ずつ引き上げると発表した。 財源は銀行税 (bank tax) によるという。
スウェーデンでは超党派の防衛委員会が5月14日に白書を出し、2025年までに国防費をGDPの1.5%となるSEK84Bにするよう求めている。
白書ではロシアがますます攻撃的になっていることから、2021年1月1日の戦時戦力を現在の60,000名から90,000名に増強し、徴兵数も現在の年間4,000名から2024年までに8,000名に引き上げることを求めている。 (1911-091108>1911-091108)・Patriot 保有国へ
欧州ではポーランド、ルーマニア、スウェーデンが新たなPatriot保有国になった。 国務省によるとポーランドは$10.5B、スウェーデンは$3.2Bで発注している。
スウェーデンは4個FUとGEM-T弾100発、PAC-3 MSE弾200発を購入する。 (1906-050403>1906-050403)
・米海兵隊の駐留 半年前からノルウェーに巡回駐留していた米海兵隊第8海兵連隊第1大隊に代わって第6海兵連隊第2大隊がノルウェー入りした。
2-6海兵大隊は北極圏にあるSetermoen陸軍駐屯地に本部を置き、SetermoenとVaernesに駐留する。
2017年初めに始まった米海兵隊のノルウェー駐留は当初300名規模であったがその後任務を広げ、現在では1個海兵遠征旅団並の大規模な武器等の備蓄を行っている。 (1910-092706>1910-092706)
4・3・6・3・1 NATO への接近
4・3・6・3・2 NATO 加盟への動き
・スウェーデンとフィンランドが NATO の Trident Juncture に演習参加 ロシアが飛び地のカリーニングラードにBMやSAMを派遣しているのに対し、NATOのTrident Juncture演習に参加している。
同じく非同盟のフィンランドは次期戦闘機の選択に迫られている。 (1902-122402>1902-122402)・スウェーデン空軍が地中海中部で ELINT機を飛行
スウェーデン空軍がキプロスの英航空基地からGulfstream S102B Korpen ELINT機を発進して地中海で活動している。
中部地中海を飛行したのち英空軍Akrotiri基地に着陸したKorpenの飛行はADS-Bで追跡されており、スウェーデン国防省も4月30日に認めている。 (1907-050805>1907-050805)
(特記すべき記事なし)
4・3・7・1 バルト海4・3・8 黒海及び沿岸諸国
4・3・7・2 バルト三諸国の米国との防衛協力
(特記すべき記事なし)
4・3・7・3 バルト諸国の相互防衛
エストニアが5月21日に米国と、バルト三国で三番目に防衛協力協定に署名した。
この協定は2018年11月に行われた米国とバルト三国の戦略対話に基づくもので、リトアニアとは4月2日、ラトビアとは5月10日に結ばれている。 (1906-052403>1906-052403)
4・3・7・4 ポーランド
・リトアニアとポーランドが共同行動に合意 リトアニアとポーランドの国防相が2月21日、共同行動に関する合意書に署名した。
合意書ではリトアニア軍のIron Wolf旅団とポーランド軍Giżycka機械化旅団が、ポーランドElblagに駐屯するNATOの北東多国籍師団 (MNDNE) 司令部と共にNATOeFPを構成する。 (1905-030608>1905-030608)
4・3・7・4・1 米軍の常駐4・3・7・5 リトアニア
4・3・7・4・2 軍備増強
・ポーランドの強い要求 欧州のシンクタンクであるFriends of Europeが、ロシアによる侵略の脅威に対してポーランドに恒久駐留する米軍に (Fort Trump) 依存するすることに警鐘を鳴らした。 (1902-012807>1902-012807)
ブリュッセルを拠点とするシンクタンクFriends of Europeが1月28日に公表した報告書で、ポーランドはトランプ政権がポーランドへの米軍の恒久駐留を3月に正式宣言することで安全保障の確約が得られたと述べている。
ポーランドはNATOが共同防衛を定めた第5条を履行することに懐疑的であると共に、EUについても1939年にドイツとソ連がポーランドを分割占領した際に英仏がポーランドを見捨てたことから、いまだに欧州に対して懐疑的になっている。 (1902-013007>1902-013007)旧ソ連圏のポーランドに米軍が恒久駐留する話が実現に近づきつつある。 ポーランド恒久駐留は2018年9月のデュダ大統領との合意に基づくものでその際デュダ大統領は米軍駐留基地を"Camp Trump"と呼んだ。
秋にはトランプ米大統領がポーランドを訪問して駐留開始の式典に臨むと見られるが、建設にかかる$2Bと見られる経費負担の問題がまだ解決していない。 (1905-041609>1905-041609)ポーランドのドゥダ大統領が6月12日からの訪米を前に、トランプ大統領との会談を経て在ポーランド米軍の拡充計画を明らかにする考えを示した。
ドゥダ大統領が2018年9月に米国を訪れた際には、トランプ氏の名を冠した新基地の建設と、その費用$2Bの提供を申し出ている。
ポーランドの保守与党「法と正義」は、高まるロシアの脅威に対抗するため、2015年の政権獲得以降ずっと米国がポーランドへの関与を強めることを求めている。 (1907-061103>1907-061103)・米軍常駐を定めた軍事協力共同宣言に署名
トランプ米大統領が6月12日、ロシアの脅威に対抗するためポーランドに米軍1,000名を展開すると表明した。 トランプ大統領はこの日、ポーランドのドゥダ大統領と会談し、両首脳は軍事協力に関する共同宣言に署名した。
ドゥダ大統領は共同会見で、ロシアの脅威への対抗や西側との連携強化に向け軍部隊の追加投入が必要と強調し、ロシアは常にわが国の領土の占領をうかがっていると語った。 (1907-061301>1907-061301)6月12日にホワイトハウスで会談したトランプ大統領とポーランドのドゥダ大統領が、米陸軍がポーランドに部隊を追加派遣して師団の前方指揮所を開設すると共に、空軍がMQ-9 Reaperの飛行隊を新たに派遣すると発表した。
追加派遣されるのは駐独または他の地域部隊1,000名で、これによりポーランド駐留米軍は5,500名になる。
ドイツには52,000名の米軍が駐留している。 (1908-061902>1908-061902)トランプ米大統領とポーランドのデューダ大統領が9月23日にニューヨークで、防衛協力に関する共同宣言に署名し、米軍のポーランド駐留が一歩前進した。 米軍は4,500名の駐留が認められているほか更に1,000名の追加派遣が検討されている。
両国は米軍がポーランド西部のPoznańに師団司令部を置くほか、同国中部のŁaskに空軍の空輸拠点とUAVの基地を置くなど、6ヵ所を使用することで合意している。 (1910-092404>1910-092404)トランプ米大統領とポーランドのデューダ大統領が9月23日に防衛協力の拡大に関する宣言に署名した。
この共同宣言は6月12日の共同宣言に立脚したもので、6月の宣言に基づいては4,500名の駐留米軍を1,000名増強している。
また米陸軍の前方師団指揮所及び合同訓練所の整備やMQ-9 Reaper飛行隊の進出用飛行場の整備、米特殊部隊や機甲旅団戦闘団 (ABCT) の駐留などが挙げられている。 (1912-100209>1912-100209)
・軍近代化15ヵ年計画 ポーランド国防相が10月10日、2021~2035年の軍近代化計画に署名した。 計画総予算はPLN524B ($133B) で2025年にはPLN24B、2035年にはPLN50Bに達する。
計画の要となるのはHarpy計画で、F-35A 32機の購入とF-16の追加取得が盛り込まれている。 またHarpy's Talon計画ではUCAVの調達が計画されている。 (1912-102312>1912-102312)・Patriot 保有国へ
欧州ではポーランド、ルーマニア、スウェーデンが新たなPatriot保有国になった。 (1906-050403>1906-050403)
・F-35A を購入
ポーランドのブワシュチャク国防相がSNS上で5月28日、ポーランドはF-35A 32機を購入しソ連時代の戦闘機に取って代えることを明らかにした。
同国防相は、ソ連製の装備を最も現代的な戦闘機に置き換える時が訪れたとつづった。 (1906-053006>1906-053006)米国防安全保障協力局 (DSCA) が、国務省は9月11日にポーランドへのF-35 32機の売却を承認したと発表した。
売却価格は$6.5Bにのぼる。 (1910-091201>1910-091201)・サイバーセキュリティの強化
ポーランドが12日、サイバ防衛部隊を2024年までに発足させる計画を明らかにした。 サイバーセキュリティの資格を有する2,000名で構成されるという。
2022年にはサイバ防衛部隊の司令部が発足し、2024年にはIT専攻の大卒者からサイバ防衛の専門技能を備えた2,000名を確保できる見込みだという。 (1910-091301>1910-091301)
【註】わが国は令和2年度予算の概算要求で、現在220名のサイバ部隊を70名増強して290名にすることを要求している。・IBCS の装備
ポーランドが、米陸軍ですらまだ装備していないIBCSを装備するのに備え、Northrop Grumman社がワルシャワに事務所を開設した。 (1912-112010>1912-112010)
4・3・7・6 ラトビア
・軍制の確立 リトアニア政府が11月6日に軍の編制及び兵力に関する法案をまとめ11日にウェブ上で公開した。
国防相はこの法案について、常備兵力だけでなく有事所要についても毎年見直すと定めていると述べた。
法案では2020年以降の兵力を20,790~26,850とし、そのうち職業軍人を11,400~15,600、志願兵及び予備役を5,000~6,300として、毎年4,190~4,630の徴兵を行うとしている。
また士官学校の士官候補生を200~320に定めている。 (2001-112008>2001-112008)・米国と防衛協力協定
米国とリトアニアが4月2日、防衛協力協定に署名した。 この協定は2018年11月に行われた米国とバルト三国の防衛対話に基づくもので、ロシアの脅威に対抗して2国間訓練や情報交換などの協力を定めており、エストニアとラトビアとも同様の協定を結ぶ準備が進められている。
米国防総省によると、2014年以来米国はリトアニアとの防衛協力に$80Mを支出しており、リトアニアは米国から$200Mにのぼる装備品等を輸入している。 (1905-040303>1905-040303)・米陸軍部隊が進駐
Abrams MBT 30両、Bradley IFV 25両及び装輪車両70両と500名以上からなる米陸軍部隊が数日中にリトアニアに入る。 これは在欧米陸軍のAtrantic Resolve作戦の一環としての巡回配備で、リトアニア国防相によると先般演習のため同国に入った数個大隊と異なり、長期に駐留するという。
部隊はテキサス州Ft. Hoodに駐屯する第9騎兵連隊第1大隊で、10月に欧州に巡回配置される第1騎兵師団第2 ABCTの隷下部隊としてベラルーシとの国境に近いPabradeに駐屯する。 (1910-092503>1910-092503)バルト三国のリトアニア東部のベラルーシ国境に近い町パブラデに10月21日、列車に載せられた米軍の戦車や軍用車両が続々と到着した。 米軍部隊による巡回駐留の一環で、500名の部隊がこれから半年間、リトアニアに駐留する。
リトアニアのカロブリス国防相は、米国はここにいるというロシアヘの警告で、抑止力がまた一つ加わったと強調した。 (1911-102201>1911-102201)・港に中国投資が入ることは「安全上の脅威」
Russia Todayが29日、7月12日に就任したリトアニアの西側寄りのギタナス新大統領が、港に中国投資が入ることを安全上の脅威と考えていると報じた。
ギタナス大統領が問題視しているのはクライペダ港の現代化プロジェクトで、「国民はこの問題についてまだ共通の認識に達しておらず、このプロジェクトは生態環境に深刻な影響を及ぼす」と指摘し、さらに「われわれにはすべての国の国家安全基準に達した信頼できる投資者がおらず、中国が投資するなら欧州全体が直面している非常に重要なその他の問題が絡んでくる。」と語ったという。 (1909-080404>1909-080404)
4・3・7・7 エストニア
・ラトビアに駐留する NATO eFP ラトビアに駐留するカナダ軍を主力としたNATOのeFP部隊に7月、イタリアと米国が巡回展開のため装甲部隊を増派したため、一時的ではあるがMBTの数が二倍になった。
ラトビア国防軍が8月15日、米陸軍第1歩兵師団第1旅団第34連隊第2大隊のM1A SEPv2 Abrams MBT 12両と70名がOperation Atlantic Resolveの一環でCamp Ādažiに到着したことを明らかにした。
またイタリア陸軍もAriete MBTを展開した。 (1909-082006>1909-082006)ラトビア軍が8月15日に、ラトビアに駐留するカナダ軍主力のNATO eFPに米陸軍とイタリア軍が7月に新たに機甲車両を投入したため2倍になったと発表した。
新たに投入されたのは米陸軍第1歩兵師団第1旅団に所属する第34連隊第2大隊の兵員70名とM1A2 SEPv2 Abrams MBT 12両でOperation Atlantic Resolve巡回配置として2ヶ月間駐留する。
また8月16日にはイタリア陸軍もAriete MBTとDardo IFVを派遣した。
一方駐欧米陸軍は8月16日、10月中旬の次の巡回配置では第1騎兵師団第2 ABCTの兵員3,500名以上とAbmras MBT 85両、Bradley IFV 135両、Paladin SPH 15門、及び第3歩兵師団第3戦闘航空旅団の1,700名とUH-60/HH-60 Black Hawk 50機、CH-47 Chinook 10機、AH-64 Apache 20機が派遣されるという。 (1910-082806>1910-082806)
・エストニア製の装軌 UGV エストニアのMilrem Robotics社がアブダビで開かれたIDEX 2019展にTHeMIS装軌UGVを出展した。
THeMISはMBDA社製のIMPACT砲塔を装備し、FM 7.62mm機関銃を搭載できる。 重量は250kgで20km/hで走行できる。 (1905-040005>1905-040005)・エストニア海岸で上陸演習
米海兵隊とスペイン海兵隊が6月12日に、BALTOPS年次演習でエストニア海岸で上陸演習を行った。
演習には米海兵隊第22遠征隊と、スペイン海兵隊歩兵旅団第2上陸大隊が参加し、LSD Fort McHenryからの揚陸戦闘訓練を行った。
BALTOPSはバルト海を舞台とする海兵隊の年次演習で、NATO加盟国及び友好国18ヵ国が参加して行われている。 (1907-061407>1907-061407)
4・3・8・1 黒 海4・3・9 その他の欧州
4・3・8・2 ジョージア
米軍駆逐艦Rossが4月14日夜に黒海に入った。 米艦の地中海入りは今年で4回目になる。
NATOや米艦の黒海入りは2018年にケルチ海峡でウクライナ艇3隻が拿捕された事件以来増加し、2018年には2017年の80日間から120日間に増加しているが、2019年は既に2018年と同じ日数に達している。 (1905-041503>1905-041503)
4・3・8・2・1 米軍の進駐4・3・8・3 ルーマニア
4・3・8・2・2 NATO との関係
2008年に国土の1/5にあたる南オセチア州とアブハジア州を実質的にロシアに取られたジョージアが米国の力を借りて軍の強化を行っている。
米陸軍第1歩兵師団の1個軽歩兵大隊がGeorgia Defense Readiness Programの一環としてトビリシ北側の中部ジョージアで同国軍の訓練を開始している。
その前には駆逐艦Donald CookがBatumiに寄港し同国沿岸警備隊との訓練を行うなど黒海で活動している。 (1903-022208>1903-022208)
4・3・8・2・3 NATO への加盟願望と加盟実現への努力
ジョージアが防衛力強化に力を入れ、2019年国防費GEL870M ($322M) の24%を装備購入に充てるという。
また設立後4年経過して旧式となったNATO-ジョージア訓練評価センタをあらたな指揮幕僚訓練センタとして2021年に開設する。 (1905-040315>1905-040315)
4・3・8・2・4 最大規模年次演習 Agile Spirit
17年近いジョージアの努力にかかわらず同国のNATO加盟は一部加盟国の反対で実現していないが、3月23~26日にNATOが企画した報道関係者のツァーで同国国防当局者は、同国のNATO加盟に積極的でない国々との二国間協議を進めていると述べた。 (1904-032811>1904-032811)
14ヵ国から3,300名以上が参加した最大規模の年次演習Agile Spiritがジョージアで開始された。 この演習には米陸軍第2騎兵連隊から1,500名と同人数のジョージア軍のほかウクライナを含む12ヵ国から合わせて300名が参加している。
この演習はロシアを仮想敵として近代兵器を使用し、サイバー戦や接近戦など、ロシアがウクライナや2008年にアブハジア、南オセチアなどジョージア国土の20%を占領した2008年の戦争経験に基づいている。
Agile Spirit演習を行っているViziani訓練場は南オセチアから50哩の位置にある。 (1909-080106>1909-080106)
4・3・8・3・1 Patriot の保有4・3・8・4 ブルガリア
4・3・8・3・2 F-16 を装備
欧州ではポーランド、ルーマニア、スウェーデンが新たなPatriot保有国になった。 (1906-050403>1906-050403)
・ポルトガルから中古の F-16A/B を追加購入 ルーマニア国防相が4月19日、ポルトガルからF-16A/B 5機を追加購入し保有するF-16AM/BM 12機に加えることを明らかにした。 契約は本年末か来年初頭になるという。
5機のうち4機は単座のF-16A、1機が復座のF-16Bで、5機はルーマニア空軍第53戦闘機飛行隊に配属され16機編成になる。
国防相は更に36機のF-16を購入する計画であることを明らかにしている。 36機は18機ずつで2個飛行隊を編制する。 (1906-050108>1906-050108)・米空軍が F-16 の短期派遣
米空軍がルーマニアに対するロシアの脅威に対抗するため、Fort Worth AFBのF-16C 12機をルーマニアへ短期派遣しているが、これによりルーマニアのF-16購入が促進されそうである。
ソ連時代のMiG-21を装備していたルーマニアは2013年にポルトガルからF-16 12機を購入したが、今後何年かかけて更に41機を購入する計画である。 (1906-051005>1906-051005)
(特記すべき記事なし)
4・3・9・1 マケドニア/北マケドニア共和国
4・3・9・1・1 北マケドニア共和国への国名変更
4・3・9・1・2 NATO への加盟
マケドニア議会が1月11日、国名を「北マケドニア共和国」に変更する憲法改正案を承認した。 ただし、 国名変更は、ギリシャ議会による両国合意の承認後となる。
国名論争を抱えマケドニアのNATO加盟に反対していたギリシャとの合意に基づくもので、NATOやEUへの加盟へ向け大きく前進した。 (1902-011203>1902-011203)ギリシャのカメノス国防相が1月13日、チプラス首相に辞意を伝えたと明らかにした。
隣国マケドニアが北マケドニア共和国に国名を変更する問題で、首相の方針と対立していたためで、カメノス氏が党首を務める保守系第2与党「独立ギリシャ人」は政権から離脱すると述べ、連立崩壊を宣言した。 (1902-011303>1902-011303)ギリシャで与党の急進左派連合(SYRIZA、145議席)を率いるチプラス首相が1月13日、隣国マケドニアの国名変更を巡る2国間合意に反対する連立相手の右派政党「独立ギリシャ人」(7議席)を率いるカメノス国防相と会談したが、カメノス国防相は合意への反対を理由に国防相を辞任し連立政権から離脱する意向を伝えた。
このためチプラス首相は13日、政権に対する議会の信任投票を求めると表明した。 信任投票が否決された場合、前倒し総選挙が実施される公算が大きい。 (1902-011401>1902-011401)ギリシャ議会が1月16日にチプラス政権への信任決議案を賛成多数で可決した。 信任取りつけに成功したチプラス首相はマケドニアの国名変更をめぐる2国間合意の議会承認を早期に求める構えである。
1月11日にはマケドニア議会が国名変更の憲法改正を承認しており、ギリシャ議会の合意承認を待つばかりの状況となっていたが、13日に「独立ギリシャ人」のカメノス党首が合意への反対を理由に国防相を辞任し同党が連立政権から離脱したことからチプラス首相は信任投票の実施を決めた。 (1902-011703>1902-011703)ギリシャ議会が1月25日、隣国マケドニアの北マケドニア共和国への国名変更をめぐる2国間合意を承認した。 与党の急進左派連合だけでは承認に必要な過半数に届かないものの、無所属議員らの支持を確保した。
マケドニア側は既に国名変更についての憲法改正を終えており、ギリシャ側の合意承認で変更が正式に決定した。
今後はギリシャの反対で阻まれてきたマケドニアのEUやNATOへの加盟交渉が進展しそうである。 (1902-012504>1902-012504)マケドニア政府が2月12日、北マケドニア共和国への国名変更が12日付で正式に発効したと北マケドニア政府名で発表した。
今後、国連や加盟国、国際機関などへの通知を進める。 (1903-021303>1903-021303)マケドニアから国名変更した北マケドニアで5月5日、大統領選の決選投票が行われ、ギリシャと合意した国名変更を支持する与党候補ペンダロフスキ氏が、反対派の野党候補を破って当選した。
ギリシャとの関係改善やEU、NATOへの加盟交渉に弾みがつく結果となった。 (1906-050601>1906-050601)
4・3・9・1・3 EU への加盟
NATOが2月2日、全加盟国が6日にマケドニアの加盟を承認する議定書に署名すると発表した。 NATOは創設70年の今年中に30ヵ国体制となる。
国名を巡るギリシャとの争いが1月に「北マケドニア共和国」と改名することで解決し、加盟への障害がなくなった。 (1903-020204>1903-020204)北マケドニアがNATOの正規加盟国になるには幾多の技術的な課題が残されている。 例えばNATOの防空組織への加入で、これが最優先の課題である。 (1904-022002>1904-022002)
(特記すべき記事なし)
4・4・1 インド4・5 中南米
4・4・1・1 インドの防衛政策4・4・2 インド洋諸国
4・4・1・1・1 核 戦 略4・4・1・2 軍備増強
4・4・1・1・2 対米接近
・核不先制使用の原則を変更 ラジナート・シンインド国防相が8月17日にPokhran核実験場を訪問した際、核不先制使用の原則を変えることをツイート上で示唆した。 (1910-082808>1910-082808)
4・4・1・1・3 周辺国の取り込み
・米印蜜月関係の揺らぎ 15年間続いてきた米国とインドの蜜月関係が、インドがロシアからS-400 5個システムを購入することから崩れ始めている。
一方米軍事企業各社はインドの次期中等戦闘機AMCAの受注を狙っている。 AMCAは空軍用として110機、海軍の艦載型が57機が計画されている。 (1904-021103>1904-021103)・技術協力
米国防総省の調達責任者が3月15日、米国とインドがSwarm Droneの開発を共同で進めることに合意したことを明らかにした。
開発するのは輸送機から発射される小型UAVで、米DARPAの進めているGremlins計画と違って、発射母機はC-130やC-17に特定されない。
開発は米空軍研究所 (AFRL) とインド (DRDO) が国防技術貿易計画 (DTTI) の枠組みで実施する。
DTTIではこの他に電磁カタパルトEMALS計画も進められている。 (1904-031808>1904-031808)インドと米国が装備品開発の協力などを取り決めたDTTI協定の適用範囲を、小型UAV、軽量小火器、航空支援システムまで拡張することに合意した。 (1905-032715>1905-032715)
・Tiger Triumph 米印合同演習
米印軍初の合同演習Tiger Triumphが11月中旬に開始される。
演習には米第3海兵師団が揚陸艦Germantownで参加しインド側からは三軍が参加して、人道支援や災害救助をテーマに行われるが、水陸両用戦の演習も行われる。
米軍は今回太平洋海兵隊を中心に参加するが、将来は陸軍や空軍に参加を広げてゆくという。 (1912-111307>1912-111307)初の米印合同人道支援演習Tiger Triumphが9日間の日程で11月13日にインド東部で開始された。 この演習には米海兵隊500名とインド陸海空軍1,200名が参加した。
海兵隊は沖縄から揚陸艦Germantownで運ばれ13日にVishakhapatnamに到着し演習が開始された。 (1912-112011>1912-112011)
4・4・1・1・4 国防予算
・アフリカ17ヵ国との合同演習 (AFINDEX-19) を実施 インド陸軍がアフリカでの影響力を強めている中国に対抗して、3月18~27日にインド西部Puneでアフリカ17ヵ国との合同演習AFINDEX-19を実施している。 (1904-032006>1904-032006)
4・4・1・1・5 Defens eProduction Policy
(特記すべき記事なし)
4・4・1・1・6 軍の近代化、増強
インドの新Defens eProduction Policy によれば、今後数年間で防衛/航空宇宙分野で世界5指に入る国になる。
2025年までには軍事関係の売り上げがINR1.7T ($23.8B) に上り、そのうち輸出が$5Bになる。 (1902-122405>1902-122405)
・Integrated Battle Group (IBG) の創設 インド陸軍が2018年11月27日に発簡し12月中旬に公表したLand Warfare Doctrine-2018に基づき、サイバ戦能力を向上させ、DEWやAI応用兵器を導入した部隊Integrated Battle Group (IBG) の創設を検討している。
各IBGは5~6個大隊で構成される旅団と師団の中間規模の部隊で、少将を長とし、歩兵、機甲、砲兵、防空及び補給部隊からなり、ヘリ部隊が支援する。 (1902-010210>1902-010210)・海軍の大幅増強
インド海軍のランバ参謀長が2018年12月に海軍の戦力強化計画を発表し、艦艇の数は現在の138隻に加えて、潜水艦を含む32隻をインド国内で建造中で、さらに62隻の建造が政府に承認される予定であることを明らかにした。
そのうえで軍の展開能力を高める空母を現在の1隻態勢から3隻態勢に増強する計画を急ぎ、2隻目の空母は2020年にも就航させる見通しも明らかにした。
インド海軍は、インド洋でも海洋進出を強める中国を念頭に海上自衛隊や沿岸国の海軍と連携を強め、2018年は1年間で20回の演習を実施している。 (1902-010303>1902-010303)・陸軍の再編、国境地帯の増強
インド国防省が3月13日、陸軍126万名の再編を開始したことを明らかにした。 その中ではニューデリーにある陸軍司令部から229名の将校を中国やパキスタンと接する国境地帯に異動させ、主として武装勢力との戦い (COIN) にあたる部隊を強化する。
インド陸軍では7,298名の将校が不足しているという。 (1905-032013>1905-032013)・依然として高いロシアへの武器依存度
インドがロシアからS-400を購入する問題に対し、米国務省高官が議会下院外交委員会で強い懸念を示した。
インドの対米武器調達は18年前にはゼロであったのが今では$18Bになっていると言うが、ロシアからの調達額はまだ65%を占めている。 (1908-062612>1908-062612)インドとロシアが9月4日に20回目となる年次首脳会談を開き、インドがロシア製武器等の部品を国産することで合意する政府間取り決めに署名した。
一方インドは8月下旬に、2018年10月に$5.5Bで契約したS-400 5個システムの代金として$500Mをロシアに支払った。 また消息筋によると、2018年10月の契約で$950Mで購入することになったAdmiral Grigorovich級ステルスフリゲート艦2隻の代金のうち$150Mも支払われた模様という。 (1911-091102>1911-091102)インドとロシアが11月6日に開かれた19回目の軍及び軍事技術協力に関する会議で、ロシアから導入した武器の維持整備施設を早急に拡大する政府間協定に署名した。 また、インド国営OFB社が、Kalashnikov AK-203突撃銃75万丁のライセンス生産を開始することでも合意した。
3月に設立された印露合弁のRifles Private Limited社は、ニューデリー南方680kmにあるOFB社での正式な生産開始合意を待っていた。 (1912-110703>1912-110703)インドがT-90S MBT 464両をライセンス国産するため、ロシアと$3.12Bの契約を結んだ。
内訳は技術移転費が$1.2B、464両の生産費が$1.92Bで、インドの支払いが完了し次第生産に入る。 (1912-112606>1912-112606)・戦術ミサイル数千発など購入
新浪網が8月17日、北部ジャム・カシミール州の自治権を剥奪したことでパキスタンとの緊張を高めているインドが、戦術ミサイル数千発やApache攻撃ヘリを購入とする記事を掲載した。
同記事は、中国にも対抗するものとの見方を示した。 カシミールは印パ双方が領有権を主張しているほか、中国も一部の領有権を主張するなど国境紛争の舞台になってきた。 (1909-081801>1909-081801)
4・4・1・2・1 宇宙戦
4・4・1・2・2 B M D
・国防宇宙庁、国防宇宙研究庁の設立 インド政府が国防宇宙研究庁DSRAを設立することを決めた。
DSRAは年内にoperationalになり、研究開発や技術支援の分野で既に設置されている国防宇宙庁 (DSA) と連携する。 (1908-061905>1908-061905)・ASAT
インドのモディ首相が3月27日、ASATで人工衛星を破壊したと発表した。
首相は、今回の実験がインドの宇宙計画の大きな節目となると表明し、こうしたASATを開発したのは、米国、ロシア、中国に次いで世界で4番目だと強調した。
同国では来月、総選挙が実施される。 (1904-032706>1904-032706)インドが3月27日、自国の衛星をASATミサイルで破壊する試験に成功した。 インド政府情報局PIBによると、ASATミサイルは三段推進のBMD迎撃弾で、衛星は300km遠方でASATの発射から3分以内に破壊されたという。
標的になった衛星は公表されていないが、2018年に打ち上げられたMicrosat-TD地球観測衛星か2019年1月に打ち上げられたMiceosat-R地球観測衛星のいずれかと見られる。
迎撃弾はAgni Ⅴ IRBMの推進装置にBMD用の二段推進弾を取り付けたものと思われる。 (1905-040307>1905-040307)インドDRDOが4月6日、3月27日に初めてのASAT迎撃試験に成功したと発表した。 供試品は固体燃料ロケット2段を含む全長13mの三段推進で、ストラップダウン方式のIIRセンサとリングレーザジャイロを用いたINS装置を搭載している。
標的は高度283kmの低軌道を周回する740kgのMicrosat-R地球観測衛星で、相対速度10km/sで接近し衝突した。 (1906-041703>1906-041703)・EMISAT の打ち上げ
インド政府の宇宙機関が4月1日、29個の人工衛星を打ち上げ軌道にのせることに成功した。
衛星にはEMISATと呼ばれる偵察衛星が含まれ、現地のメディアは、敵のレーダ情報などを探知することができるようになると報じている。 パキスタンを念頭に軍事力の強化を進めるインド政府は、今回打ち上げに成功した偵察衛星を使ってパキスタン軍の動きを監視するねらいもあるとみられている。
インド政府は今回の打ち上げに加え、先週ASATの実験にも成功し宇宙での軍事技術の開発が進展していることをアピールしている。 (1905-040103>1905-040103)
【註】EMISATはMicrosatellite-SSB (SSB-2) を元にした436kgの小型衛星で、搭載品は公表されていないがELINT装置と見られている。インドの宇宙研究機構 (ISRO) が4月1日、電子偵察衛星の打ち上げに成功した。
打ち上げられたのは436kgのEMISATで、国産の極軌道衛星打ち上げ機C45 (PSLV-C45) で高度748kmの軌道に打ち上げられた。 (1906-041002>1906-041002)・RISAT-2B レーダ地球観測衛星の打ち上げ
インドが5月22日05:30にRISAT-2Bレーダ地球観測衛星を、極軌道衛星打ち上げ機PSLV-C46を用いて打ち上げ成功した。
衛星は打ち上げ15分後に高度556kmの太陽同期極軌道に入った。 (1907-052901>1907-052901)
4・4・1・2・3 長距離 BM
(特記すべき記事なし)
4・4・1・2・4 巡航ミサイル
(特記すべき記事なし)
4・4・1・2・5 艦 船
・BrahMos-A / BrahMos NG インドとロシアの合弁であるBrahMos社が2月20~24日にバンガロールで開かれたAero India 2019展で、初発射試験から20ヶ月以上経つ空中発射型のBrahMosであるBrahMos-Aは、最後の性能確認試験を3Q/2019年に実施し、2020年初期に装備化されることを明らかにした。
発射重量2.5tのBrahMos-Aは300kgの弾頭を搭載し射程290kmで、Su-30NKIが搭載するほか、軽量型のBrahMos NGはTejas Mk 1A軽戦闘機 (LCA) にも搭載する。 (1903-022507>1903-022507)インド空軍が5月22日にALCM型BrahMos超音速CMであるBrahMos-Aの地上目標に対する発射試験に成功した。
今回の試験は2017年11月に洋上目標に対する発射試験に次ぐ2度目となる。
Su-30MKIを改造した母機から発射された重量2.5tのBrahMos-Aは射程が300kmである。 (1906-052307>1906-052307)インド空軍が5月22日、BrahMos-A搭載用に改造したSu-MKIからの陸上目標に向けたBrahMos-A発射試験をベンガル湾上空で実施した。 (1908-070006>1908-070006)
インド空軍が12月17日、Odisha沖で水上目標を標的にしたBrahMos-AのSu-30MKIによる発射試験が成功し、Su-30MKIへの搭載準備が完了したと発表した。 (2001-121803>2001-121803)
【註】BrahMos-AはMach 2.8で飛行するPJ-10 BrahMos超音速対艦ミサイルを若干小型にした空中発射型で、シリーズ最後にoperationalになった。・長距離型 BrahMos
インドとロシアの合弁会社BrahMos社が4月10日、現在400kmであるBrahMos (PJ-10) の射程を500kmまで延伸すると発表した。
また最高速度も現在のMach 2.8からMach 4.5に引き上げるという。 (1906-041706>1906-041706)・Waghnak、Khagantak、Vel ASM/軽CMファミリ
国営BEL社を中心にしたインドの企業グループが、一連のASM/軽CMファミリであるWaghnak、Khagantak、Velを開発した。 これらが採用している構成品で輸入に頼るのは僅か10%であるという。
Waghnakは外観上米国のAGM-154 JSOWによく似ているが全く別の設計手法で開発され、機体は炭素系複合材で作られ、重量は450kg級で滑空翼のほか5枚の操舵翼を持っており、高度12,000mで投下すると154km飛翔する。
基本型では多帯域パッシブRFシーカを持ち、誘導はINS/GPSと終末はIRで行い、弾頭は45kgの成形爆薬前置弾と225kgの侵徹弾からなるタンデム弾頭であるが、シーカなどはユーザの要求で変向できるという。 (1904-031308>1904-031308)
4・4・1・2・6 航空機及び搭載装備
・航空母艦 英国防省が4月15日に声明で、インドとの防衛協力協定を更新したと発表した。 これにより英国は艦船技術での交流に道が開けた。
BAE Systems社は16日、インドとQueen Elizabeth級空母を2隻目の国産空母 (IAC-2) の候補として交渉を進めていることを明らかにした。
現在建造中の1隻目の国産空母 (IAC-1) Vikrantは2020年代初期の就役予定で、IAC-2は2030年代初期に就役する計画である。 (1905-041607>1905-041607)英国防省が4月15日に声明で、インドとの防衛協力を強化するため協定を更新することを明らかにした。
国防省は改訂の焦点を海軍装備の輸出機会の拡大であることを示唆しており、調印は3月に印海軍のランバ提督がポーツマスで空母Queen Elizabethを訪問したのに続いて行われた。
印海軍は2030年代初期就役を目指す国産空母二番艦 (IAC-2) にQueen Elizabeth級を検討している可能性がある。 (1906-042404>1906-042404)・ロシアからリースする原子力潜水艦
インドが3月7日にロシアとAkula-1級攻撃型原潜1隻を10年間リースする$3Bの契約を行った。 Akula-1級攻撃型原潜はインド海軍でChakra Ⅲとして2025年に就役する。
Chakra Ⅲはインド海軍がロシアからリースする3隻目の原潜で、現在インド海軍は2012年に$1Bで10年間の契約を行ったChakraを装備しており、このリース契約は更に3年間延長されると見られる。
印海軍はソ連からCharlie級原潜1隻を購入し、1988~1991年に装備していたことがある。 (1904-030808>1904-030808)インド政府当局者が3月7日、ロシアからAkula級攻撃型原潜を2025年から10年間$3Bでリースする契約が結ばれたことを明らかにした。 インドは同じくAkula級原潜を10年間リースしており、契約は2022年で切れる。
インドにリースする原潜はソ連が崩壊した1990年代初期に建造途中のまま放置されていたものである。 (1905-031305>1905-031305)・国産原子力潜水艦
SLBMを装備するインド初の国産原潜Arihantは既に就役しており二番艦Aririghatも2019年後半に就役し、更に2隻が建造中である。 (1904-030808>1904-030808)
・Scorpene級潜水艦の国内建造
インドMDL社で建造中の、6隻建造するScorpene級潜水艦の4番艦Velaが、5月6日にムンバイで進水した。 Velaは2020年にインド海軍に引き渡される。
全長67.6m、水上排水量1,615t、水中排水量1,775tのVelaはINR235.62B ($3.39B) のProject75計画の一部で、一番艦は2017年12月に就役し、二、三番艦は2019年後半に就役する。 (1907-051505>1907-051505)インド海軍高官が6月16日、6隻建造するScorpene級潜水艦の2番艦の就役を、不具合処理のため数ヶ月間延期することを明らかにした。
Scorpene級潜水艦はフランスのNaval Groupと提携したインドMDL社が建造しているが、36件の不具合が発見されているという。 (1907-061706>1907-061706)・次期通常動力潜水艦
インド国防省が1月31日、潜水艦6隻をINR400B ($5.62B) かけOEMで国内建造することを承認した。 今後6ヶ月かけてOEM先となる海外企業と提携する国内企業を選定し、その後2~3年かけて6隻全てを建造する企業を1社選定する。
この潜水艦はAIP併用のディーゼル/電気推進で対地攻撃能力を持つ。 (1903-020607>1903-020607)
4・4・1・2・7 U A V
・Mig-29 の増強 インド空軍が2月13日、ロシアにMig-29を追加発注したことを明らかにした。 購入するのは中古の21機で、契約額はINR60B ($850M) という。
これによりインドが保有するMiG-29は60機を超えることになる。 (1904-022003>1904-022003)・Su-30MKI の増強
インド空軍は現在、HAL社でライセンス生産した222機を含め250機のSu-30MKIを保有しているが、更に18機を追加調達する模様である。 (1908-071712>1908-071712)
・Su-30MKI の改良
インド空軍が10月4日、保有しているSu-30MKIのレーダ、搭載電子機器、搭載武器の改良を行うと発表した。 当初の改良は42機でレーダはNIIP N011M Bars AESAレーダに換装される。
搭載武器はインドDRDOが開発した射程100km以上のAstra BVRAAMやBrahMos-Aの搭載が可能になる。
一方インドはロシアとHAL社がSu-30MKI 18機を追加でライセンス生産する交渉を行っている。
インドは2001年に$12Bで契約した272機のSu-30MKIのうち252機を受領している。 (1912-102314>1912-102314)
・国産 AEW&C 機 NetraインドDRDOが9月11日、3機の製造を計画している国産AEW&C機Netraの2号機を空軍へ納入した。
NetraはEmbraer社製EMB-145機に国産のCABSレーダを搭載したもので、240゚の範囲を250~375km監視できる。 (1911-092509>1911-092509)・AAM 1,000発をロシアから購入
インド空軍が7月30日、7月上旬にロシアとMiG機やSukhoi機に搭載するAAM 1,000発を購入する$700Mの契約を行ったことを明らかにした。
購入するのはR-27 (AA-10) 300発、R-73E (AA-11) 300発、R-77 (AA-12) 400発で、R-73はMirage 2000Hにも装備するという。 (1908-073108>1908-073108)・Dornie 228 MPA飛行隊3個を追加編成
インド海軍が、ライセンス国産したDornie 228 MPAを4機ずつ装備する飛行隊3個を追加編成する。 親編される3個飛行隊はインドの西部と南部に配置される。 (1903-013009>1903-013009)
4・4・1・2・8 陸上装備
・Unmanned Wingman UCAV インドのヒンダスタン航空機 (HAL) が2月にバンガロールで開かれたインド航空展でUnmanned Wingman UCAVを公表した。
Wingmanは全長6.4m、翼端長4.4m、MTOW 1,300kgで250kgの搭載能力を持ち、速度Mach 0.7、航続距離800kmの性能を持つ。 (1905-040004>1905-040004)
4・4・1・2・9 艦載装備
(特記すべき記事なし)
・Barak-8 MRSAM インド海軍がフラビア海で5月17日、Barak-8のMRSAM型初の発射試験を実施した。 2006年からIAI社と$1.4Bかけて共同開発したBarak-8 MRSAMは射程70kmである。 (1907-052908>1907-052908)
4・4・2・1 スリランカ4・4・3 ネパール、ブータン
4・4・2・2 モルディブ
・日本政府がインドとコロンボ港を共同開発 日本政府がインド、スリランカとコロンボ港を共同開発する方針で、夏までに3ヵ国で覚書を交わし、令和元年度中にも着工する。 一帯一路を進める中国の動きをにらみつつ、日本が唱える自由で開かれたインド太平洋構想を後押しする。
中国からの巨額融資で整備された南部のハンバントタ港は融資返済の見通しが立たず、99年間にわたって港湾や周辺用地が中国に貸与されることが決まっている。
日本政府関係者は、コロンボ港の整備が遅れると、その分の積み荷はハンバントタに移ることになりかねないと指摘している。 (1906-052007>1906-052007)・米政府が Hamilton級警備艦を供与
2018年8月27日にハワイでスリランカ海軍に供与された元米沿岸警備隊のHamilton級警備艦が5月12日にコロンボに入港した。 (1907-052205>1907-052205)
・中国から退役したフリゲート艦を購入
スリランカ海軍が6月5日に中国から正式にType 053H2Gフリゲート艦を受領した。 6月末にはスリランカに到着する予定である。
この艦は1994年に中国海軍で就役し上海の中華造船 (Zhonghua Shipyard) で修理がなされていたもので、全長111.7m、全幅12.4m、満載時排水量2,286tである。 (1908-061912>1908-061912)スリランカが中国から購入した元中国海軍のType 053H2Gフリゲート艦が、7月8日にコロンボ港に入港した。
Type 053H2Gは全長111.7m、全幅12.4m、満載時排水量2,286tで、中国海軍で1994年に就役しその後退役していた。 (1908-070904>1908-070904)スリランカが6月に中国から受領したType 053H2Gフリゲート艦が8月22日にコロンボで就役した。
全長11.7m、幅12.4m、満載時排水量2,286tのType 053H2Gは双連100mm砲1門を装備している。 (1909-082309>1909-082309)・スリランカ港湾への米軍の自由アクセス問題
スリランカのシリセナ大統領が7月6日、同国の港湾に対する米軍の自由なアクセスを可能とする軍事協定の締結を許さないと表明した。
シリセナ大統領は、スリランカと米国の軍事的連携をさらに強化するために両国が交渉中の地位協定 (SOFA) 案に反対しており、欧米寄りのウィクラマシンハ首相とは対立している。 (1908-070801>1908-070801)・大統領選で親中派の前大統領実弟が勝利
任期満了に伴い11月16日に実施されたスリランカ大統領選で選管は17日、ラジャパクサ前大統領の実弟ゴタバヤ・ラジャパクサ元国防次官が得票率52%超で勝利したと発表した。
ゴタバヤ氏は、在任中にインドと距離を置き親中姿勢をあらわにしたラジャパクサ前大統領を首相に起用する方針である。 (1912-111703>1912-111703)
4・4・2・2・1 議会選挙で反ヤミーン前大統領が勝利4・4・2・3 その他諸国
4・4・2・2・2 インドが沿岸監視レーダ設置を再開
モルディブで任期満了に伴い4月6日に行われた議会選挙で、7日に発表された暫定開票結果れによると、定数87に対しソリ大統領与党のモルディブ民主党が60議席以上を獲得し、ヤミーン前大統領が率いる野党のモルディブ進歩党を大きく引き離して、単独で過半数を確保する見通しとなった。
モルディブでは2018年9月に行われた大統領選挙で、インドとの関係を重視するソリ大統領が、前のヤミーン大統領の外交政策は中国一辺倒だと批判して当選し政権が交代している。 (1905-040703>1905-040703)
モルディブで2018年末にヤミーン政権が倒れソリ政権に代わったのを受け、インドが4月上旬にモルディブに設置する沿岸監視レーダ (CSRS) 計画の第二段階をINR6B ($85.7M) で再開した。
ヤミーン政権は2016~2017年にCSRS計画を保留していた。 (1905-043005>1905-043005)
4・4・2・3・1 セーシェル
4・4・2・3・2 モーリシャス
セーシェルのメリトン副大統領兼外相が、インドとの間で一旦合意した海軍基地の共同建設を断念したことを明らかにした。
セーシェルの議会は与党が少数派で、多数派の野党が外国との共同建設に反対したためで、共同建設の見送りで両国の距離が広がれば、この地域で勢力圏の拡大を競うインドと中国の関係にも影響する可能性がある (1904-031802>1904-031802)
(特記すべき記事なし)
4・4・5・1 ネパール4・4・4 バングラディッシュ
4・4・5・2 ブータン
(特記すべき記事なし)
(特記すべき記事なし)
4・4・5 パキスタン
(特記すべき記事なし)
4・5・1 ベネズエラ4・6 中央アジア
4・5・1・1 国民議会議長が大統領代行宣言4・5・2 ニカラグア
4・5・1・2 反政府派の動き
4・5・1・3 マドゥロ政権側の動き
4・5・1・4 米国の対応
4・5・1・5 米、武力介入の可能性
4・5・1・6 西側諸国の対応
4・5・1・7マドゥロ大統領を支持する国々
4・5・1・8 大量の難民発生による中南米諸国の負担
国連難民高等弁務官事務所などが6月7日、ベネズエラから脱出した難民と国外移住者が400万人に達したと発表した。 多くは中南米諸国が受け入れているという。
過去7ヵ月間で100万人増加しており「驚異的なペース」と指摘した。 (1907-060802)
4・5・3 ボリビア
(特記すべき記事なし)
4・5・4 エルサルバドル
南米の資源国ボリビアで反米左翼のモラレス大統領に抗議する大規模なデモが広がっている。
モラレス大統領は4選を禁じる憲法の規定を事実上無視して10月の大統領選に出馬する意向を示しており、ベネズエラのような独裁化を懸念する声が広がる。
2016年の国民投票で大統領の4選を可能にする憲法改正が否定されたにもかかわらず、モラレス大統領は憲法解釈で出馬は可能と主張し、昨年末に同氏の影響下にある最高選挙裁判所が出馬を認める判断を下したのを機に、市民の間に反発が広がった。 (1903-022301)
4・5・5 エクアドル
4・5・6 ブラジル
IMFが2月21日、南米の産油国エクアドル政府に$4.2Bを融資をすることで合意したと発表した。 2017年に就任したエクアドルのモレノ大統領はコレア前大統領が進めた反米左派路線からの転換を進めており、IMFとの連携で低迷する経済を立て直す狙いである。
エクアドルは2017年まで続いた反米左派のコレア政権の下、石油販売で得られた収入を国民へのばらまきにあてていた。 原油価格の下落で経済が低迷する中、コレア氏の後を継いだモレノ氏は反米路線とばらまき政策からの転換を表明し、IMFをはじめとした国際機関との協調を重視する姿勢を示していた。 (1903-022203)
(特記すべき記事なし)
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